美琴「だって私は、姉だから」(531)




・もし5巻の時一方通行の立場が美琴だったらっていう話
・更新はゆっくり
・二番煎じかも。ごめんなさい

じゃあまったり更新しますー






SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1330005603(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)



御坂美琴という少女は、とある闇を抱えている。
彼女を元にして作られた体細胞クローン、通称『妹達』。そしてその『妹達』を実験動物としたとある実験。
だが、先日とある少年によって実験は凍結した。
10032人の“人間”は、命を救われたのだ。
だからこそ、美琴は今ふらふらと夜の街をふらつくことができる。

「救われた……か」

しかし、と少女は心の中で思う。
結局、私の力では誰一人救えなかったんだと。
自分は、一人では妹を守ることすら、できないのだと。

「……高望みが過ぎるのかしらね」





ふぅ、とため息をつく。
救われたのだから、それでいいじゃないか。
そう割りきることが――どうしても美琴にはできなかった。
それは、姉としての意地なのかもしれない。
妹を守るのが――姉の役目だから。

「おいおい幼女ホームレスかよ」

「すっげ、レアだぜレア!」

「だから、ミサカはホームレスじゃないってさっきからいってるってミサカはミサカは主張してみたり!」

……幼女ホームレス?
と、美琴は首を傾げた。前方には明らかに分かりやすい不良がたむろっていて、彼らの体で顔は見えないが、女の子らしき甲高い、しかし平淡な声が聞こえる。
どうやら不良が幼女に絡んでいるらしかった。





「……まったく」

科学がどんなに発展しても、この手の馬鹿はいなくならない。
そのことをしみじみと実感しつつ、美琴はそちらの方へ近づいていく。

「ちょろっと――アンタら、何やってんの?」

「ああん? ガキはとっとと家に帰んな」

「あっ――」

「おっ上玉じゃん」

美琴は不良を無視して、囲まれている女の子へ近づいた。なぜかその女の子は青い毛布を被っていて、こちらからは顔はおろか着ている服さえ見えない。



「あ、あの――」

「?」

女の子が何かいいかけたが、それを遮るように無視された不良達が声を荒げた。

「おらぁっ無視すんじゃねぇっ!」

「なめやがって!」

そんな不良達を、彼女は

「……うざったいわね」

瞬間、バチバチィ!! と紫電が不良達を襲った。
一撃で倒れる、しかし絶対にしなない程度の、絶妙な威力だった。


「やっぱり……ってミサカはミサカは確信してみる」

女の子はなにやらウンウン頷いている。
――と、彼女は気付く。

(――ミサカ、?)

もしかして、と美琴は眉をよせる。この平淡な声も、なんとなく懐かしい感じがするし。

「ねぇ、アンタ。その毛布とっぱらって、よく顔見せてみなさい」

その瞬間、ぎくりと女の子は身をすくませる。
少女は2、3歩後ずさりしつつ、

「へってミサカはミサカはたじろいてみたり!!まさかお姉様といえど往来でミサカを素っ裸にするのはってぎゃあああ!!」

「ああもう、めんどくさいわね」

少女の抵抗もむなしく、美琴はその青い毛布をとっぱらった。

「……っ」


――顔が見えた。
その顔は、自分の幼少期、10歳ころの顔に似ている――否、瓜二つ。
全くもって、同一のもの。

(……間違いない、この子は――)

美琴がそれを結論付ける前に、

「あ……あ、ああ……」

――少女の裸の胸が。
――少女の裸のへそが。
――少女の裸の太ももが。

「……へ?」

見えた。
美琴の口元がひくつく。
少女の瞳にはちょっぴり涙がたまっている。




美琴の幼少期に瓜二つの少女は、完全無欠の素っ裸だった。
それはつまり、美琴が素っ裸なのと同じようなことで――




「「ぎゃああああああああっ!!」」





直後、良く似た二つの声が二つ分の絶叫をした。





終わりー。
こんな感じで続けていきます。


続きに期待

細けぇことだが、助かったのは打ち止め抜かして9969人では?


「で、ミサカは造られてる途中で計画が終わっちゃって、製造途中で培養機から取り出されたからこんなナリをしているわけで、だから別に第三次計画とかが勃発してるわけではなく、何が言いたいのかと言うとお姉様のそのつり上がった瞳を元に戻して欲しいなあ、ってミサカはミサカはお願いしてみるんだけど」

一気にまくしたてた少女――打ち止めに、はあ、とため息。
一応つり上がった瞳が元に戻ったお姉様に、打ち止めはさらに説明を加える。

「お姉様、確か研究者との繋がりを持ってたはずだよね? ってミサカはミサカは確認してみる。布束って人」

「……別に繋がりと言える繋がりじゃないわよ。連絡先も知らないし」

「でっでもでも、お姉様のハッキング能力があれば連絡をとるくらいできるよね? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」

「……はあ、まあ、できるけど」


やったあ! と喜びを露にする打ち止め。
そういえば、と美琴は思案する。実験後、残った妹達は皆外部組織だかなんだかに保護されたと布束からきいたが、なにせ数は1万人弱もいる。その全てを把握できていない可能性だってある。つまり、この少女は妹達の管理から漏れて、保護もされずにこんなナリで夜の街を歩いているのだろうか。
……あながち幼女ホームレスも間違っていないんじゃないだろうか、と少々不安になる美琴。

「……ってわけなんだけど……って聞いてる?」

「あっ……ああ、ごめん。何?」

「だから、その研究者とコンタクトをとってもらって、ミサカのこの不安定なハードとソフトを完成させてほしいの、ってミサカはミサカはお願いしてみる」

「……コンタクト、ねぇ……」


「お姉様、妹のわがままは聞くべきだよ、ってミサカはミサカは諭してみたり」

「アンタねぇ……まあ、いいわ」

ぽん、と打ち止めの頭に手をおき、くしゃくしゃと撫で回す。

「妹のわがままを聞くのは、姉の役目なんだもの」

その顔が――凄く、優しいものに打ち止めには見えた。
こういうところが他の個体達は好きなのかな? と彼女はぼんやり思った。






向かうべきは今日泊まるホテルだ。
さすがにこの子を連れて寮に帰るわけにもいかない。なら、そこらへんのホテルで一泊すればいいや、と美琴は結論づけた。こういうところはお嬢様感覚の美琴なのだった。
全裸(毛布はかぶっているが)の打ち止めには一階に置いてある小さい服屋で適当に服を見繕い、彼女達は割り当てられた部屋に入った。

「おー、ここがホテルの個室なのねーってミサカはミサカは初めて入る場所に感嘆を漏らしつつ着替えてみる」

「着替えるか喋るかどっちかにしなさい」

「じゃあ喋るってミサカはミサカは即答してみたり!」

美琴の注意にそんな憎まれ口を叩きつつ、打ち止めは着替え終えた。
簡素な淡い色彩のワンピースなのだが、中々に似合っている。それを言うのは自画自賛みたいでいやなので、絶対に口には出さないが。

「お腹減ってる? パンとかお菓子とかは部屋についてるみたいなんだけど」

「あっじゃあ貰うってミサカはミサカはお腹減ったアピールをしてみる」

打ち止めはルンルンしながらパンだのなんだのが入っている籠に近づくと、食べたいものをあーだこーだと選び出す。
それを見ながら、美琴はなんだかなぁ……とちょっぴり思う。
今まで会ってきたどの妹達より感情が豊かだ。
それはとても喜ぶべきものだし、勿論姉として凄く喜んでいるのだが、時々動揺してしまう。慣れてないのかもしれない。


(――もし)

美琴は思う。

(あの子達が元々こんなに感情豊かだったのなら――)

彼女はすっと目を細めた。

(……何かが、変わっていたのかな)

戦うことを放棄し、
殺されることを拒否し、
誰も死なずに、
――そんな、夢物語が。

(……なんて、今更言ってもしょうがないか)

はあ、と嘆息した。
打ち止めは相変わらず美味しそうにパンを食べている。
そのスピードから見て、どうやら相当お腹が空いていたらしかった。


「ねぇ……打ち止め」

「なに? ってミサカはミサカは応えてみたり」

美琴は一瞬だけ言葉を詰まらせ、言おうとしていた言葉を飲み込み、違う言葉を言う。

「……それ、美味しい?」

「? お姉様も欲しいの? ってミサカはミサカはパンを半分に裂きつつきいてみたり」

打ち止めにパンをもらい、それを咀嚼しながら、美琴は心の中で思った。

(……まだ、自分達のことを――)



今日の分終わりー。
初めて5巻見たとき「服くらいかってあげようよ……」と思ったので美琴には服を買い与えてもらいました。

>>13 うわぁああ……はずかしい……。そうですごめんなさい

乙です 

美琴が一方通行の立場と言う事は、
原作の一方通行の出番は全て美琴になるわけだが…

乙ですの

>>32逆に考えるんだ。原作での美琴の出番が一方さんになるんだと考えるんだ

>>32 >>34 つまり上条「恋人をやってほしいだって?」一方通行「……あァ」が始まるんですねなるほど

〉〉35
他にも猟犬部隊ふっとばしたり妹達に遭遇したり友達(上条)を追っかけてロシアに行ったり…


>>37 なにそれ楽しそうwww あれ?ってことは木原テレに美琴がぼろぼろにされるのか……。それもいいかもしれない

しかし私はそろそろ本気で抱えてるスレの数がやばいので、誰か書いてほしいな!絶対読みに行きますwwそんな楽しそうなのww




美琴の足に、男は思い切り腕を下ろした。いやな音が体の内側から響き、美琴は思わず苦悶の声をあげた。

「俺の名前は木原っつうんだけど、木原くらい知ってるよなあ!」

木原。
確かその名前を、前に聞いたことがある。
……そうだ。

「木原……テレスティーナ……」

「おぉッご名答ーッ!!俺は木原数多「かえして……!」

美琴は木原の言うことを最後まで聞かずに、叫ぶ。
あの子を。
あの子を返せ。
カエセ!!
美琴が伸ばした手は、しかし木原が足で踏みつけたことによって打ち止めに届かない。あぐ、と声が漏れた。


「人の話は最後まで聞けクソガキィ!!」

いいながら、木原は美琴を踏みつける。頭を、腹を、腕を。踏まれるたびに美琴の体には血が流れ、痣が浮かび上がっていく。
美琴が歯を食いしばると、じゃり、と音がした。口の中がざらざらとして、ぺっと唾を吐き出したものの、その感触は消えない。
砂の味は、いつしか鉄の味に変わっていた。砂によって口内は傷つけられ、血が出ているらしい。

「さーて問題です。テメェはその頭に何をされているでしょーかぁ!?」

瞬間、頭を掴み持ち上げられた。抵抗しようと試みるが、演算が上手くいかず静電気程度の火花しか出せない。
木原は持ち上げた美琴を、地面へと叩き落とす。衝撃が美琴の背中を蹂躙した。

「あ、うぅ……っ」

「はっ!無様だなあ超電磁砲!!」

確かにそうだ、と美琴は思った。
今の自分は、とてつもなく無様だ。
笑えるくらい、無様で。
レベル5なのに。最強の電撃使いなのに。雷ひとつも、落とせないなんて。

「正解はぁーッ、上位個体をテメェからこの打ち止めってヤツに書き換えられてんだよ!!」

「……っ」


驚きに目を見開いた美琴は、思わず木原を見上げた。木原は相変わらずにやにやと嫌な笑いを浮かべていて、不快そうに美琴は顔をしかめた。しかしすぐに一際きつい頭痛におそわれて、それは嫌悪から苦痛へと塗り変わったのだが。

「改変にはちょいとばかし時間がかかるからな……その間テメェと遊んでるっつうわけだ。分かったかなぁ?」

「……どうしてそんなこと……?」

「これからの作業にはテメェが上位個体よりコレの方がやりやすいんだよ。ま、アレイスターには他の考え方があるみてえだけどな」

アレイスター……?
その言葉に、美琴は怪訝そうに眉を顰めた。
確か、その名前は――

「……おい、あと時間はどれくらいだ?」

美琴ではなく後ろにいる部下(らしき黒服)に尋ねる木原。部下は「あともう少しです」と告げた。
木原はんー、とつまらなさそうに首をかしげ、

「じゃ、このガキィぶっ殺して、さっさと行くか」

そう言って、打ち止めを部下に手渡そうとする。
ドクン、と心臓が波打った。


(や、めて……)

伸ばした手は、やっぱり、届かなくて。
びりびりと痺れる指先は、打ち止めの服の裾さえ、掴むことがなかった。

(かえ、して……)

赤く染まる視界の中で。
あの子が。
私の手から。
あの時のように。

(私の妹を、これ以上……奪わないで……!!!!!)

ナニカがぷっつりと切れたような気がした。
体の痛みも、頭の痛みも彼女の心には響かなかった。
ただ、返してと。
ちっぽけな願いを、叶えるために。

彼女は、自らに課したたった一つの誓いを、破った。

妹達にとって『生』の象徴であった彼女は。
例え彼のようにあの子達の『死』の象徴になったとしても。
それでも……、それでも構わないと、思えたのだ。
あの子達を――自分の手で、守れるのならば。


人間を、殺しても、かまわないと。



通常ならば重傷――いや重体と言われる傷を負い、脳に重大な負荷をおいながらも、美琴は無理やり立ち上がった。
あらゆるところから尋常でない量の血があふれ出ていたし、意識が朦朧としていたのに、それでも美琴は、笑っていた。
本当の本当に嬉しくて堪らないとでもいうかのように、口を思いっきりあけて、笑っていた。

「人、の……」

その笑顔が、憤怒の様に変わる。そして、ビリ、と紫電が小さく散った。
この状態で、電撃を放つ。
あり得ない、と思った木原達の反応が一瞬遅れる。
その一瞬が――電撃を操る能力者である美琴に対しては、大きな隙となった。

「妹に手ぇ出してんじゃないわよぉおおおお!!!!」

まさに気力だけで、美琴は高圧電流を放った。的確に打ち止め以外の敵を狙うように。
ともすれば、死んでしまうかのような威力の電撃を、彼女は生まれて初めて、ためらいもなく放った。
それは、あの日鉄橋で上条に打ったときよりも、遥かに高次元の、雷。

「あ……が……」

学園都市第三位の電流を浴びて、木原達は動けなくなる。美琴は各所から流れる血も、気を失ってしまいそうな強烈な頭痛も全て無視して、ただ打ち止めを、妹を守るためだけに歩きだした。
ようやく打ち止めのところまで辿り着くと、彼女はそれを抱える。頭を右手で支え、膝を左手で支えるといったお姫様だっこのような形だが、しかしそこには童話のような温かさなどない。
どこまでも冷たく、どこまでも暗い、狂気だけが満ち足りていて。


「あは、あははははは……」

ぎゅ、と腕の中の小さな温もりだけを頼りに。
美琴は正気を手放した。

「私が、私が守ってみせる……!!!!」

それが私の、たった一つできる、報いなのだと。
そう信じて、それを決して、彼女は疑わない。




最近頻繁に投下できて嬉しい
今日のところはこれで終わり


エツァリ「夏祭り……ですか」

美琴「ええ。明後日あるんだって。一緒に行くわよ」

エツァリ「ええ、喜んで」

美琴「でね、私もちゃんと浴衣着てくるから、アンタも着てきなさい」

エツァリ「……浴衣、ですか」

美琴「そ。いい、これは命令だからね! 破ったら怒るわよ」

エツァリ「つまり一人だけ着てくるのは恥ずかしいってことですね」

美琴「……うるさいわね。まあそうなんだけど。恥ずかしいものは恥ずかしいのよ」

エツァリ「はいはい。では、明後日に」

美琴「……ええ」



エツァリ「御坂さんよくお似合いですよ」

美琴「うるさい。……やっぱその顔はなんでも似合うのねぇ。でもそれ禁止。素顔になりなさい」

エツァリ「いや、だから目立ちますって」

美琴「……アンタ、私がアンタ以外の男……っていうか海原だけど、そいつと付き合ってるっていう噂が流れていいの?」

エツァリ「それは……嫌ですね」

美琴「なら決定ね。人目につかないところにいってさっさとその顔とるわよ」



美琴「綿飴おいしいわね。最高」

エツァリ「自分はりんご飴派なんですけどね」

美琴「りんご飴って正直一回も食べたことないのよね。一口頂戴」パクッ

エツァリ「さり気に間接キスをするところが御坂さんの凄いところって痛い痛い痛い痛い」

美琴「アンタなんて豆腐の角に頭ぶつけて死んじゃえばいいのに!」

エツァリ「恥ずかしいからって無理してツンデレにならないでください」

美琴「……まあいいわ。じゃあお返しにアンタも私の綿飴食べなさい。これで平等よ」

エツァリ「何か違う気がするんですけどけどねぇ」

美琴「うるさい」



エツァリ「金魚すくいですか」

美琴「金魚にビリビリしたらやっぱり効果抜群なのかしら」

エツァリ「ポケ○ンですか。……まあとりあえずやめといてくださいね」

美琴「それくらい分かってるわよ。うん、やってみますか」

エツァリ「電磁波で逃げられるんじゃないですか?」

美琴「……電撃使いって不便よね。絶対」



美琴「こういうところの食べ物ってどうして美味しいのかしら。お祭りパワー?」

エツァリ「そうかもしれませんね。まあ自分は御坂さんと食べる料理なら全てが」

美琴「ストップ。恥ずかしいこと言うな禁止。それにしても浴衣着てる子ばっかりね。浴衣を着ると皆大抵可愛さアップするわよね。こっちは浴衣パワーかしら」

エツァリ「まあ御坂さんならいつでも可愛」

美琴「だから禁止だってば!」


美琴「……そういえば、聞きたかったことがあるの。アンタもし私が別の男好きになったら、どうする?」

エツァリ「……どうする、とは?」

美琴「略奪愛か私を応援するか。どっち?」

エツァリ「そうですねぇ……。自分は、御坂さんが幸せだったら何でもいいですよ」

美琴「……ふぅん」ムゥ

エツァリ「……おや? お気に召しませんでしたか」

美琴「べっつにぃー。ま、その程度のものってことよね。どーせ」ムスッ

エツァリ「自分はどうして怒られているのか分からないんですが」

美琴「そういうのは自分で考えなさい。ヒントもなし!」

エツァリ「はぁ……。でも、それでも自分は御坂さんを好きでい続けると思いますよ」

美琴「それは駄目」

エツァリ「えー」



美琴「……焼きそば」

エツァリ「はぁ」

美琴「焼きそば買ってきて!」

エツァリ「え、ええ。わかりましたけど……」スタッ

美琴(あーあ……馬鹿よね、アイツ)

美琴(私の幸せってのが何なのか分かってないってのが駄目ね。全く)

美琴「……帰ったら妹孝行しよう! うん!」

エツァリ「妹孝行ですか」

美琴「うわっ!? なんだ、帰ってきたの」

エツァリ「なんだとは酷いですね。はい、焼きそばです」

美琴「……割り箸ひとつしかないの?」

エツァリ「ええ、自分はいらないので」

美琴「全部は多いわ。半分あげる」

エツァリ「いや、でも割り箸ないですし」

美琴「ならこれ使えばいいじゃない」モグモグ

エツァリ「……。なんというか、複雑な心境ですね」



エツァリ「さっきの質問、ずっと考えてたんですが」

美琴「……分かった?」モグモグ

エツァリ「御坂さんの幸せの中に、自分も含まれてるのかなあ……と」

美琴「……それで?」モグモグ

エツァリ「だから、応援する前に、最後に御坂さんに想いを伝えようと思います」

美琴「普段から十分すぎるくらい伝わってはいるんだけどね」モグモグ

エツァリ「はは。……それで、スッパリ諦めようと思います。あなたの為にも」

美琴「……及第点、かな」

エツァリ「それはそれは手厳しい」

美琴「でも合格は合格だから、ご褒美あげる」アーン

エツァリ「御坂さんって甘いですよね」モグモグ

美琴「妹達にはこんなもんじゃないわよ」

エツァリ「……ええ、まあ知ってますが」



美琴「へえ、結構綺麗じゃない」

エツァリ「来て正解でしたね」

美琴「ま、そうかもね。来年はあの子達と来ようかしら」

エツァリ「おや、自分は用済みですか」

美琴「……ふぅん、嫉妬?」クスクス

エツァリ「さて、どうでしょうかね」

美琴「じゃあその代わりクリスマスにまたこうやって遊びましょうか」

エツァリ「これってデートの予約ですか?」

美琴「さあね? ……指きりでも、しましょうか」スッ

エツァリ「はいはい」スッ

美琴「ゆーびきーりげーんまーん嘘ついたら……そうね、超電磁砲100発」

エツァリ「御坂さんらしいですね」

美琴「約束、してくれるわよね?」

エツァリ「ええ、勿論です」

美琴「……えへへっ」


衝動的に書いた夏祭りエツァ琴。それにしてもエツァリの本来の口調がわからん。
時系列はあんまり気にしてないです。
もっとエツァ琴広まればいいのに。




景色は灰色。
お先は真っ暗。
唯一の居場所もなくなってしまった。

妹達はただ漠然と今を生きる。

彼女達はクローンだ。
その存在を受け入れてくれる人間など片手に足りるほどしかなく。
しかし、その中のたった一人さえ自分達の傍にいればよかったのに。


お姉様は、もういない。


あの人だけがいればよかった。
姉であり、親であるあの人だけが。
なのに、どうしてこんなことになってしまったのだろう。

病室から見える景色はやはり単色だった。
少し前までは、全てが新鮮で、よくあの人が遊びに来てくれて、『幸せ』だったのに。

……ああ、なんだろう。
自分達の幸せは、今なら痛いほどわかる。
けれど、

「おねえさまの、しあわせは」

分からない。
お姉様の幸せを、自分達は知らない。

『たまたま不良に囲まれているところを助けてあげたら、毛布の下は全裸で、それが私の妹の一人で、そしたらなんだかついてくるわ、わがままはいっぱいいわれるわ――』

『――こんな、幸せなことはないわ』

彼女はそんなことを、かつて言っていたけれど。
今思えば、本当にそうなのだろうか。
もしかして、あれも全て『お姉さま』としての演技だとしたら?
本当の『御坂美琴』は、自分達が生まれたことを疎ましく思っているとしたら?

――あの実験は、やはり『御坂美琴』の存在を歪ませたのではないだろうか。


思い出す、結標淡希のときの一件を。
自分が生まれてこなければよかったと、思われているかもしれないなんて、思ったとき。

『思うわけないでしょ馬鹿妹!!!!!!!!!!』

彼女はそう言った。
そう言ってくれた。――けれど。
妹、と呼んだ。
あの時、確かに『妹』だと――姉として、そう言った。

自分達は、『御坂美琴』という少女を知らない。
知っているのは、『お姉様』としての御坂美琴と、『お母様』としての御坂美琴だけ。
本当の、『御坂美琴』は……きっと、死んでしまったのだ。
否――自分達が、殺した。

ハンプティ・ダンプティが元には戻せなかったように。
一度壊れた『御坂美琴』はもう二度と元には戻らない。

……本当に、どうしてこんなことになってしまったのか。
ふ、と自嘲の笑みを浮かべた。彼女が消えて初めて顔に出した笑みだった。

「……お帰りなさい、お姉様……と、いうために」

ポツリと御坂妹は呟いた。
ああ、そうだ。もう、それしかない。
生きているのか、死んでいるのかもわからない姉の帰りを待つためだけに。


妹達はようやく、今を瞭然と生き始める。


彼女たちは決意した。
まるで道化のように、姉を演じ続けよう。
皆を騙して、姉が生きていることだけを信じて、帰りを待とう。

――残された者の末路は、あまりにも哀れで、悲惨だった。



長い間空けてしまってすみません
短い量ですが、今日はここまでです



「はーい、こーんばーんわー。ごめんけど、眠っておいてね?」

決して世のためとなることを研究していない研究所で、場違いな明るい声が響いた。
そこに勤めている研究員の男性は、その声に反応する前に、バチィッと平行に迸る雷電によって意識を刈られた。

その声の主――御坂美琴とその付き人、エツァリは彼の後ろにある扉の電子ロックを能力であけ、さらに奥へと入っていく。
最後の研究所は、まさにあの『実験』の主要研究員が詰めている場所だ。
美琴の雰囲気がいつもより殺気立ち、しかしそれを隠すためにわざと明るく振舞っているのを感じながら、エツァリはあとに続いた。

再会の日の翌日、既に彼らは動き出していた。
もたもたしていてはまた何かよからぬ事をたくらみかられない。ならば、さっさと手を打つのが定石だろう。
そんなわけで、時刻は深夜。暗闇に紛れて彼らは最後の研究所へ身を投じている。

「あーあ、なんていうか、歯ごたえがないするめを噛んでるみたいっていうか」

「ふやけてるってことですか?」

「……いや、違うわよ」

美琴の能力によって、監視カメラは役に立たず、遭遇した研究員や警備員は残らず即意識を奪っているためか、驚くほど侵入は静かだった。
それを不満に思っているのか、美琴が口を尖らせる。
そんなわけで、順調に歩みを進めていた美琴は、ふと足を止めた。


「……あ」

小さくつぶやいたその先は、透明なガラスの向こう側。
そこには、人一人入れるくらいのサイズの培養機が、4つ並べてあった。
ビクン、と美琴の肩が大きく揺れる。
いやな記憶が一気に蘇ってきた。

(……ッ、あれも、全部壊していこう。全部、全部!)

培養機に背を向け、美琴は再び歩き出した。気遣うような気配が後ろから感じられたが、しかしそれを無視する。
脳裏に鮮明に映る妹達の顔を振り払い、ずんずん前へと進んでいく。
その間、美琴は無言だった。先ほどまでの取り繕ったようなテンションもなく、ただひたすら何かを堪えているような。
――まるで、なく寸前の子供のような。

(……まったく)

いつも沢山のものを身のうちに隠して、それで全て処理しようとして、そのくせ不器用だから隠しきれていなくて。
だからこうも、心配をかけさせてくれるのだ、この少女は。
……まったく、愛おしい。

そんなエツァリの心中など露知らず(知っていても無視されていただろうが)、美琴は最後の扉を開けた。
そこには、巨大な実験装置が並べられていた。一体何に使うのか、二人には検討もつかないが、大事なものなのだろう。


「……とりあえず、爆発させていきましょうか」

美琴は手を機材にあて、放電を始めた。
彼らが知る由もないが、一機数千万もするそれらは、美琴によって確実に破壊されていく。
高圧電流を受けた機材の一つが、ボン、と音を立てて爆発した。それに伴って湧き上がった炎があたりを熱していく。

「御坂さん、早々に出ましょう」

「……分かった」

全て破壊しつくしたのを確認すると、二人は実験装置からくるりと背を向けた。
そんな彼らの視線の先にいたのは、数十人の研究員。
彼らは一様に殺気立っていた。

「……なんで、今更現れたのかしら」

「さあ? とりあえず、潰すしかありませせんよね」

物騒すぎる会話をする彼らは知らない。
あの研究員達は、『実験』が凍結されたせいで職を失い、この研究所が壊れてしまえば今よりも深い闇へまっしぐらなことなど。
研究員が彼らの研究の成果であろう武器を持ち出したのをきっかけに、エツァリも槍を懐から出した。
美琴も交戦しようと演算を開始して――、

「――ッ!?」


ふと、気がついた。
一度だけ、彼女はそれを、見たことがあった。
記憶力が桁外れにいい彼女だからこそ、気がついたのかもしれない。
かつて絶望の中足掻いていたときにレポートの中で見た、『実験』の研究者の一人だ。

「ア、ンタ……」

名前は知らない。遺伝子のことが書いてあるレポートの中、顔写真が張ってあるのを見ただけだからだ。
中身は読む気がしなかった。読んでも意味がないと知っていたから。

「……アンタは、あの子達の――ッ!!」

美琴の憎悪の視線の先には、『芳川』というネームプレートの付けられた、若い女性が立っていた。



今日の更新はこれで終わり
超電磁砲2期とか嬉しすぎる。

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