怜「…男の子?」京太郎「まぁ、見ての通り…」(338)


  
※注意


・京太郎が主人公です。受け入れられない方はそっ閉じ推奨。

・好き勝手やってしまいました。

・竜怜がメインヒロイン。

・非常に物凄く冗長です。

・しかもその割に進みが遅いです。

・一度の投下量が多くありません。

・ほのぼの空気です。

・安価は取る予定無いです。

・京太郎は麻雀しません。

・波に乗りたかったのです。





以上の事を最初にお知らせいたします。

それでは、プロローグ投下します。短いですが。






SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1353498398





夢を見た。

足が痛い。足が痛い。

夢の中で走っていた。

雑用……そうだ、雑用をしている。

明晰夢というやつだろうか。はっきりこれが夢だとわかる。

それにしても夢の中まで雑用とは、何という夢の無いドリーム。

夢なのに。はて、さっきから夢って何回言ったっけ。

…そろそろ目を開けよう。

「……ぐぁ……あっつ………」

夏、昼下がり。

大都会東京にて、須賀京太郎目覚める。

座ったままで寝たのが悪かったのだろう、首と腰が少し痛む。

「…ふぁぁ……」

大きく、欠伸。

蝉の鳴き声が聞こえる。太陽が眩しい。空が青い。

ここは…公園。だろうか。視界の端、向こうで遊ぶ子供が見える。

「…何でこんな所で寝てるんだっけ、俺」

右側、ベンチの傍に置いた買い物袋に気が付く。

「…そういえば」

買い物に行った帰り、疲れて…一休みしようとベンチに腰を降ろしてたんだっけ。

なるほど、そのまま寝たのか。

確かに、疲労が溜まっているのだろう。心なしかいつもより足が重いような感じだ。むしろ何か少し痛い。

全く、足が痛くなるまで買い物をする程頑張っているのだから俺の待遇をもっと良くして貰っても…。ん?あ、今何か引っかかった。

「…ああ!買い物!?」

ま、マズイ!

買い物リストの中には、確か…!

期待




「oh…jesus」

買い物袋に非常に生臭い物体を確認。

日用品系と別袋に入ったタコス。真夏の暑さとヒートアイランド現象の前にあえなく撃沈。

とりあえず手にとって再度確認。……食える状態じゃないなこれは。

「…ふむ、貴様には2階級特進で名誉タコス軍曹の位を授けよう」

惜しい奴を亡くしたものだ。

殉職による特例の特進を認める俺。勇敢に散ったタコス軍曹に敬礼。

さて、現実逃避はこのくらいにして。流石にこれを優希に持って行くわけにはいくまい。

「自腹で買いなおすしかねーか、はぁ…」

余計な出費が増えた。割とカツカツの小遣いが。

まぁ、仕方ない。自業自得だ。

それに食べ物がタコスだけだったのが、不幸中の幸い。

残りは日用品であるし、特に問題は無い。

「しっかし、良い事ねぇな……最近」

折角全国大会までついてきたのに、やることといえば雑用雑用アンド雑用。

…いや、もうあれはパシリだね。証拠に部長の俺を見る目はもう部員というよりも召使いだ。

と言っても麻雀では調整相手にもならないから、当然と言えば当然の処置ではあるのだが。

この全国に連れてきて貰っただけでも異例の事。そう思って、喜ばなければ。

「…そうだけどさぁ…」

実際、頭ではわかっているのだが。




最近は皆の麻雀を見てると、凄い。と思う以上に、妬ましい、と思う事の方が多くなってきた。

咲も、和も、部長も、染谷先輩も…あの優希だって。

皆、俺より遥かに強いし…きっと、咲なんかは俺がいくら頑張っても到達出来ないような境地にいる。

それを、試合を見る度に痛感する。先日行われた1回戦も、副将まで回らずに終わる程だ。

そういう事を感じる度に…この大会に来なければ良かったと思ってしまう。

いっそ雑用専門の部員として割り切れたらいいのに。

麻雀が好きで、強くなりたいからこそ。そんな割り切り方が出来なくなる。

「………あー!」

なんでこんな俺は麻雀が弱いんだコノヤロー!

後なんで部長は俺に全ての備品を買い出しさせるんだコノヤロー!

生理用品とか買い物リストにさらっと入れてんじゃねぇよコノヤロー!

買うの死ぬほど恥ずかしいじゃねーかコノヤロー!

店員の目が何か痛いんだよコノヤロー!

つーかさっきからめちゃくちゃ足が痛ぇよコノヤロー!




「……足?」

あれ、さっきからずっと痛いから疲労だと思っていたのだけれど。

よく考えたら足が痛いのって夢じゃなかったのか?

そういえばさっきから足に何か体重が掛かってるような感覚が…。

とりあえず下を向く。そして第一女の子発見。

ふむ、ぐっすりと休んでいますね。

なんだ女の子か。そりゃあ足も重いわ。あっはっは。

では早速インタビューしていきましょう。…って!?

「………女の子ォ!?」

いやいやいやいや、冷静になれ。KOOL…じゃない、COOLになれ。

須賀京太郎はうろたえないッ!

よーし、落ち着いたぞ。落ち着いた。

状況を整理すると…。

公園のベンチで力尽きる俺。

座った状態でかの疲れて白くなった方のように寝ちゃう俺。

目が覚めると足が痛い俺。

その理由は女の子が俺の膝で寝てるからで俺。




「……さっぱりわからん…」

整理したらもっと狂った。何という事でしょう。

とにかく、とりあえずこの女の子を起こさなければならない。

説明してもらわねばならないだろう。この状況を。

…というか、起きて最初に女の子の存在に気付けよ俺。どんだけ鈍感なんだよ。足に神経無いんじゃないか?

後、あんだけ独り言を呟いてんだから起きろよ女の子。

「……どう起こしたものか」

いくらなんでも『ははは、朝だよマイスウィートハニー』とかやる勇気は無い。

つまりは、だ。

「あ、あのー…お嬢さーん」

このように、面白くも何ともない起こし方になってしまうわけで。こらそこ。チキン言うな。

だが声を掛けても起きる気配は皆無。仕方ないので肩を揺する。

「お、お嬢さーん…!」

今度はもう少し大きな声で。

…けれどもやはり無反応。英語で言うとノーリアクション。英語で言う意味など無いが。

そしてこれ以上強く揺するとこの地点から落下する危険性がナキニシモアラズ。

手詰まり。早くも手詰まり。



落ち着け、まずは自分のカードを確認だ。今俺が取れる行動を考えろ。

立ち上がる…は却下。間違いなく女の子が落ちる。

このまま揺さぶり続ける…もダメだ。これも落ちる危険がある。

声をさらに張り上げる…は、何となく見栄えが悪い。というか何か不審者っぽい。

いや、既に不審者に見られてるかもしれないが。

さて、そのような謂れ無き誹謗中傷を振り払う為にもこの女の子を起こさねばならない。

何か手は…………。

「……はっ!?」

そうだ、今この状況で出来る行動。かつ古典的でドラマチックな女の子を起こす方法。

つまりはキスっ!

「…………」

無いだろ。俺。暑さで終わったか?

…いや、無いのか?俺。

…案外、いい方法じゃないか?

だって考えてもみてくれ。寝て起きたらいきなり女の子が膝の上にいるんだぞ。

これはキスをして下さいというサインではないだろうか。きっと都会の女の子の間で流行ってるんだ。

なるほど考えてみればそうだ。だって普通膝の上で寝るってヤバイだろ。

田舎民には中々厳しい課題だが、俺は気付いた!流石俺だ!

ならば据え膳食わぬは男の恥。勇気を振り絞って頂こう。




「こ、これは……」

意を決して顔を近付けると、今までしっかり見ていなかった女の子の顔や、意識してこなかった感触が急にはっきり伝わる。

結論から言うと、女の子は物凄く可愛かった。

服の上からでも伝わるさらさら感を持つ少し短めの髪。

気弱そうで守ってあげたくなるような寝顔。

鼻孔をくすぐる女の子特有の匂い。

さらに、静かな息遣いまで俺の身体に伝わってくる。

「んっ…………」

そんな時、女の子が小さな声をあげる。

思わず、ゴクリ、とつばを飲み込む。

…心なしか不審者度が増した気がする。向こうの子ども達が俺を指さしてる気がする。

よ、よし!やろう!起きて貰うためにキスをするんだ!

目的と手段が入れ替わっている気がしないでもないが、これも世の常。

…顔が、近付いていく。10センチ、7センチ、5センチ、2センチ………

そして、触れる唇。柔らかい感触。いい匂い。開く女の子の両目。

――綺麗な、綺麗な目をしていた。それが、印象的だった。

おはよう御座います。お姫様。ってやかましいわ。

目が合う。女の子は、目を一杯に開いて驚いている。無理もない。

唇を、離す。あ、よく考えたらファーストキスだったな。なんて、呑気に考えて。

瞬時にいくらか冷静になった頭で気付く。

…………あれ、俺結構とんでもない事をしてしまったのではないかと。




死ね。死んでしまえ1分ほど前の俺。

何だ、キス待ちって。有り得ねーだろ。

ストレスだ。ストレスでどうかしてしまったんだ。

まだマイスウィートハニーの方がマシだわ。というか変な方向に勇気振り絞り過ぎだ俺。

客観的に見ると俺はベンチで寝てる女の子にいきなりキスをした男。きゃあ鬼畜。

有罪だわ。これ有罪。情状酌量の余地なし。極刑。

異議あり!

サイバンチョ!さっきの俺は可愛い女の子が起きたら膝の上にいるという状況。

それと雑用ばかりの毎日のストレスが相まって頭がフットーしていたのであります!

つまり正気では無かった!あ、サイバンチョ!話を…。

さて、これら一連の脳内コント完了まで約2秒(須賀比)

この間女の子に動きなし!じっと目を見開いてこちらを見ている!

………あぁぁぁ…。何て言えばいいんだよ俺…。

思わず頭を抱えたくなるがどうせそんなことをした所でアイデアなぞ浮かばない。

この状況を覆す一言を必死に考える。もちろんそんなものはないが。

いっそ、このまま逃げてみるとか…いや…。

だが、そんな俺の思考は断ち切られる。

なんと、最初に口を開いたのは女の子だった。



「…男の子?」

「…まぁ、見ての通り」

騒ぐでも、叫ぶでもなく。なぜか性別を聞かれた。ホワイ。

しかも全くおもしろくない返答をする俺。今すぐ死にたい。いっそ誰か殺せ。

女の子は、さらに続ける。

「………え、今…キスしたん?」

「…まぁ、見ての通り」

事実確認入りましたー。そして俺認めましたー。

これは拘置所行き待ったなし。間違いないね。

すまない…清澄の皆。軽率な行動で、学校の名に泥を…。

あ、でもちょっと関西っぽい発音だわー。これは意外だったわー。

こんな俺のどうでも良い思案をよそにして。

おそらくこれから女の子の叫び声が公園に響き渡――――らなかった。

「……………きゅー……」パタン

顔を真っ赤にして再度俺の膝の上に着地。そして気絶。

どうやら女の子の中で処理しきれないほどの事項だった、らしい。



また元の状態に戻ってしまった。これぞ元の木阿弥。…いや、なんか意味が違う。

そもそも木阿弥ってなんだ。世阿弥とか観阿弥の友達か?

ま、まさか生き別れの兄さん…。木阿弥…お前も苦労したんだな。俺も今苦労してる。身から出た錆だけど。

…いい加減、目の前の事実を見つめよう。

「……放っておくわけには…いかないよなぁ」

当たり前である。ここで置いてったら俺はただのキス魔である。

というか、もう既にキス魔である。それもかなり悪質な。

…そのキスを思い返して楽しむような余裕も今は無いのだが。

「…………俺のバカヤロー……」

腹が立つくらいに晴れた空に向かって呟いた俺の言葉に反応したのは蝉の声だけで。

子どもの遊ぶ声が響く、夏の昼下がりの公園のベンチで、女の子を膝に乗せて。

普通に考えればとても幸せな状況なのに、情けない顔で空を見上げながら。

さぁ、これからどうしたものかと。俺は必死に考えていた。

主に捕まらないように切り抜ける方法を。

いや、謝る方法を先に考えろよ俺。自分で言うのもなんだけど。



これが、俺と女の子――園城寺怜との出逢いだった。

今でも思う。最悪の出逢いだと。あの時の俺は間違いなく狂っていたと。

けれど。

運命というものがあるのなら、間違いなくそいつはここから変わっていったのだろう。

いや、ここは狂っていったとでも言うべきだろうか。

それは神様の悪戯なのか、それとも俺の頭が暑さとストレスでイカれてたからなのか。

おそらく後者だろうけど。うん、そりゃそうだ。何だ神様の悪戯って。

…ともかく。

真っ直ぐに買い出しから帰らなかったこと。あの公園のベンチで休んだこと。

膝の上の女の子にキスをしてしまったこと。

それらが全ての始まりだった。

須賀京太郎の人生を変える出来事の。

園城寺怜の人生を変える出来事の。

本来ならば俺と関わることなんて無かった人達との、物語の。



冗長な割に短いプロローグ。何て事や…。

今日はここまでとなります。のらりくらりと更新していけたらな、と思います。

ラストまでの構想だけは決まっているので、エターとかは大丈夫です。

それでは、この辺で。

乙です。



期待してるでー

乙です。 また巡回するスレが増えてしまってうれしいやら悲しいやら

まーた巡回するスレが増えてしまったのか(歓喜)



期待せずにはいられないな

また巡回するスレが増えちまったぜ…

おつー。これはブクマ余裕ですわ

乙やでー

おつおつ!

京ちゃんが逮捕されて終了とかだったらどうしよう……

乙やでー
京ちゃん逮捕待ったなし!

こんな始まり方でほのぼのになるんですかね?(震え声)

死ななければほのぼのと某スレで学んだ今日この頃。

ここの怜は死んだりしませんよね(震え声)

恋愛モノだったら病弱なヒロインが死にかけるのはよくあることだよね(ニッコリ)

この導入で竜華がメインヒロイン
あっ(冊子

竜怜がヒロイン…京太郎が死んで百合という可能性

これは期待せざるを得ないぞ

怜と竜華がメインヒロイン…これは要するにあれか?
「世界の中心で愛を叫ぶ」的な展開のssだと思っていいのか?


>>31 (見たことがないとは言えない)

どうも、今日も少しですが更新します。

人は死なないので大丈夫です。ほのぼのです。



すっかり夕暮れとなり、元気に遊ぶ子ども達もいつの間にかいなくなっていた。

だというのに俺はまだ女の子を膝に乗せたまま、ベンチに座っていた。

「足痛い…」

問題は山積み。一歩間違えば逮捕。

しかもさらに悪い事に買い出しの途中だという事もある。

このままだと間違い無く帰って部長や優希にどやされる。いや、帰れたらの話だが。

つーか、結局タコス軍曹の代わりは用意出来なかった。だって動けないし。すまんな優希。

その上携帯を持ってない故に連絡を取れない。畜生。

あ、畜生は俺だった。あっはっは。

しかし待って欲しい。あれから考えたが悪いのは本当に俺だけなのだろうか。

よくよく顧みると、そもそも女の子が俺の膝の上に頭を置いてるのがそもそもの原因であり。

「………そうだ、俺は悪くないじゃないか」

開き直ってしまった。わはは。

「この女の子が悪いっ!」

ベンチで寝てる女の子にキスをした上で自分は悪くないと開き直る畜生がいた。俺だった。なんだ俺か。

閑話休題。

ともかくまともに考えよう。これからの事を。



「………はぁ」

まともに考えた所で溜息しか出てこない。何だこの状況は。詰んでるじゃないか。

くそう、なんもかんも政治が悪い。

とりあえず目を覚ましてくれ名前も知らぬ女の子。

このままの状態でずっといると考えすぎで頭がおかしくなりそうだ。もうおかしい?黙らっしゃい。

「…………ん…ふぁ…」

その祈りが届いたのか知らないが。

ちょうど、タイミングよく女の子が目を覚ました。

「………………」

なのにいざとなると何も言えない俺。

やっぱりチキンだった。さっきまであんなに謝罪の言葉を考えていたのだが、言葉に出来ない。

らーらーらー、ららーらー♪…言葉に出来ない。何考えてんだ俺は。

…何か言わなければ。

「お、おはようございます」

そしてこのセンスである。俺……。

だ、だって挨拶は大切だと思いますから。

そうだよ。挨拶しない奴はダメだって先生が言ってたよ。

……この場面で挨拶をするのが適切かどうかはともかく。



「…うん、おはよー」

だが、どうも女の子は寝惚けているようで。

「よー寝たなぁ…」

ふわぁ、と可愛く小さな欠伸。

いや、待て。待ってくれ。

なぜ膝の上にいることの違和感に気付かない。

「あ、あのー…?」

「んー……?」

おお、段々と女の子の目の焦点が俺に合ってきたぞ。

「…男の子!?」

「……まぁ、見ての通り」

なぜか性別を聞かれた。ホワイ。というかこれなんかデジャブ。

「えー…えー……えぇ!?」

バッ、と。

見かけに似合わぬ俊敏な動きで俺の膝から離れる。

「な、何者や!?」

奇遇ですね。今俺も言いたいんです。その言葉。

一体何と答えようか迷っていると、女の子が急に俯き、少し考えるような仕草をする。

「………………あれ、何か君見たことあるような…?」

頼むからそのまま思い出さないで下さい。私と貴女は初対面です。



そんな俺の願いも虚しく。

「そうや、確か…き、ききききキスッ!?」

どうやら前世の記憶を思い出したらしい。嘘だけど。

顔がまた真っ赤になっていて可愛い。こっちは本当だ。

というかこれは呑気に構えている場合じゃない。ここの対応でこれからの人生が変わる。冗談抜きで。

ならば使うはやはり、あの技。

――そう、それは、日本の伝統。土下座。

土下座をいきなりされれば、相手はよくわからないがたじろぐ。狙うはその隙。

その間に冷静な対応をするんだ、俺。

「…うおおおお!」

そうと決まれば立ち上がれ!そして地面に額を擦りつけて謝れば――

「ごめんなさぁぁぁぁぁぁ!?」

ずざぁぁぁぁぁぁ、と。いい音を響かせて。

高校球児顔負けのヘッドスライディングが決まった。セーフ。いや、アウトか。色々と。

思えば何時間も―女の子とはいえ―人を載せていた足がまともに動くはずもなく。

案の定足はもつれて。地面へダイブ。

結果として俺は顔面から地面に突っ込んだ男となった。なんだそれ。

ここまで行くとお笑い芸人でも目指そうかと思う。

しかも洒落にならないくらいに痛い。



いや、そんなことより…女の子!

やばい。今の間に逃げられでもしたらやばい。うわなんかこの発想が既にやばい。

痛みを必死に堪えて、砂塗れの顔で上を見上げる。

――女の子は、ちゃんとそこにいた。

驚きに、目を見開いて。

しばらく呆然と突っ立って、俺を見ていた。

だけど。

突然、口を押さえて。

「………くっ……くくく…ぷぷ…あはははははは!」

笑い始めた。大爆笑である。

一体何が可笑しいんだ。あ、俺か。

「い、いきなり…な、何やっとんの…あはははは!」

謝ろうとしたらヘッスラが発動しました。

とは言えず。いや、言えるけど流石に恥ずかしい気がする。

結局俺は女の子の笑いが治まるまで、砂でペインティングされた顔でひたすらに女の子を見つめていた。

それは、何も喋ることが無かった、と言うよりは。

女の子の笑顔に見蕩れていたと言うべきだろう。

先程までの寝顔も可愛いと思ったが、笑顔はまた格別で。

なんだこの人にキスして逮捕ならそれでも良いんじゃないか。とか思う始末。




それはダメだろ。目を覚ませ俺。いやもう逆に永遠に目を覚ますな俺。

とりあえず土下座継続だ。情けないぞ俺。でも仕方ないぞ俺。

「あー…笑った笑った」

「って、土下座!?」

おお、効いた。効いてる。流石日本の伝統。

ここで決めろ俺!そう、完璧な謝罪を!

「すいませんじぇ…でした!」

噛んだ!噛んだよ!?

てめぇ優希!貴様の口癖が感染ったじゃないか!という責任転嫁をしてもどうしようもならない。

やってしまった…明日のスポーツ紙の3面に麻雀全国出場校生徒強制猥褻で逮捕の文字が…。

「………………」ジー

…………なぜだ。なぜこっちを見つめる。

この悪事を盾にコイツからいくら搾り取れるかなって事を考えているのか。

残念ながら財布にはもう2000円くらいしかねぇ!参ったか!

…虚しい。自分で言ってて虚しい。

けど、そんな事は無く。

「………名前」

「へ?」

「……名前、なんて言うん?」

これは流石に予想外だった。あれか。もしかして許してくれるのか。

誠意が通じたのか。あのジャンピング土下座で。

やっぱり関西人っぽい女の子には適度にボケをかましたほうがいいのだろうか。



いや待て。油断するな。

通報時に名前を知らないと不便だから聞いてるんじゃないだろうか。

間違いない。そうに決まってる。ならばここはだんまりを決め込んで…。

「…………」ジー

「須賀京太郎と言いますっ!」

そんなつぶらな瞳で見つめないでください。答えちゃったじゃないですか。

あと微妙に上目遣いとかやめてください。どんな質問にも答えたくなるんです。

ああ、悲しきかな俺。

「須賀…京太郎…」

名前を反芻する、女の子。次は携帯を取り出して110番なのだろうか。

思えば、悪くない人生だったな。

グッバイ、全国。俺はこの夏の事を忘れない。

咲、ごめん。この前冷蔵庫のプリン食ったの俺なんだ。

優希、ごめん。この前お前が部室に置いてたタコス食ったの俺なんだ。

部長、ごめんなさい。この前ブルマ盗んだの俺です。嘘だけど。

和、ごめん。この前エトペンに――

「…よし、決めた!」

どうでも良い思考は女の子の声にかき消される。

どうやら判決が下されるらしい。運命の瞬間である。



「…私は、園城寺怜言うんや」

「…あ、はい」

自己紹介された。女の子、もとい園城寺怜さんに。

なぜに自己紹介なんだ。

「京太郎くん」

「…あ、はい」

いきなり下の名前とは、驚いた。

というかさっきからの返答は何だ。コミュ障か俺は。

「……さっきのこと、許してもええ」

「マジですか!?」

通じた。俺のジャンピング土下座。ジャパニーズ謝罪ソウル。

奇跡の逮捕回避。まさかの逮捕回避。

俺は許された。凄いぞ俺。

ああ、女神だ。この園城寺怜さんは女神だ。そう言われると女神みたいに可愛い。

その女神みたいな可愛い園城寺さんは続ける。もう声も女神のそれにしか聞こえない。

女神万歳!園城寺さん万歳!

「うん…ただし、条件があるんや」

「条件?」

女神ヴォイスで条件が差し出されるらしい。

…なぜだろうか。物凄く不安だ。

よく考えたらあんな事してただで許される筈がない。

一体どんな条件が――

「……これからしばらく、私の奴隷になって欲しいんや」

「……………は?」

ファッ⁉



フリーズ。フリーズ。再起動。

うむうむ。奴隷奴隷。ほう。

ほう。奴隷。うん、なるほどなるほどなるほどー。

…ふむ。奴隷。なるほど。…奴隷?

二度刺せば良いんでしょうか。皇帝を。

それとも大きな船に乗って新大陸に行けばいいんでしょうか。

さしずめ『君が主で奴隷が俺で』といったところでしょうか。

女神御乱心。民衆はただ戸惑うのみ。

何言ってるんだこの人は。そういう趣味なのか。流石にそれは即答できないぞ。

そんな俺の表情で悟ったらしく。

「あ、うん…言い方が悪かったかな、君にちょっとしばらく言う事を聞いて欲しいなって事や」

…つまり、悪事を剔抉しない代わりに体の良いパシリになれと。そういうことだろうか。

「えーと、それ、断ったら?」

「ん…されたことを皆にバラそうかな、って思っとるよ?」

予想通りの返答。にこり、と…可愛い笑顔、でも瞳の奥は笑ってない。

先程の言葉、訂正。女神じゃなかったよ。全然女神じゃなかったよ。

確かに怒るのは仕方ない。仕方ないけれどその条件はいかがなものだろうか。

そうだ忘れてた。この子いきなり人の膝に乗ってくるレベルの人だった。つまり変人だった。

しかし流石にほぼ初対面の人間に奴隷になれという程の変人とは思わなかったが。

俺の心情を感じ取ったのか感じ取らないのか。

急かすように、もう一度小さく笑って、園城寺さんは言う。

「さ、どうする?」

……受けないわけにもいくまい。



元々、俺が悪いのだ。それに…情けないが、雑用には自信あり、だ。

その程度の事で通報を避けられるのなら、やってやろう。

「……慎んでお受けさせて頂きます」

須賀京太郎、16歳の夏。犯罪者を回避して奴隷になる。

はて。どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。

やはり、あの時何としても逃げておくべきだった。という後悔は先に立たず。

俺は暫定主人、園城寺怜さんに頭を下げた。

…ところで、奴隷って何すんの?

教えて下さい、ハギヨシさん。いや、あの人執事か…。

なんもかんも政治が悪い、政治が悪いよ政治がー。

「じゃ、契約成立ってことやな」

「よろしく、京太郎くん!」

笑顔でそう言い放つ園城寺さん。

契約じゃねぇ、脅迫だ。とか。

全くよろしくねぇ。とか。

色々言いたいことはあったけど。

「…よろしくお願いします」

どうも、俺は園城寺さんの笑顔を見ると何も言えなくなるらしい。

こうして、今ここに1人の奴隷が誕生した。その奴隷、主を園城寺怜、名を須賀京太郎。

その者、清澄のパシリから初対面の女の子の奴隷へとクラスチェンジ。

つまり、俺だった。

そんなことより京太郎はエトペンでナニをしたんだ


今日はここまでです。

ふむ。やはり無駄に冗長ですね。ごめんなさい。

明日続きを投下出来ればいいな、と。

乙~
これは続きが気になりますな(ゲス顔)

奴隷なんてご褒美じゃないですか!(憤怒)

すばらです乙乙

乙ー

女の子にキスして土下座すれば奴隷になれるんですね!行ってきます!

怜の奴隷になれるなら全財産払うって奴は五万といそうなのに京太郎は何を言っているのやら

怜の奴隷とか最高のご褒美ですよ貴方

蔑むような目で足蹴にされたい

奴隷とか、おいおいご褒美か

おつー

>>49
※ただし、イケメンに限る

その後、>>49を見た者はいなかった…

>>49は犠牲になったのだ…


こんにちは、続きを投下していきたいと思います。

中々思ったように進まずもどかしいです。

正直最初は2週間程度を予想していたのにこの調子だとちゃんと終わるかわからない、という。

やっぱ建ててから考えるのはダメやね。




どうも。須賀京太郎です。

高校生、職業は奴隷です。よろしくお願いします。

只今私は夕暮れの街を主人を背負って歩いています。

主人は見た目通り軽いので肉体的負担はそれほどないのですが。中々に周囲の目が厳しいです。

ですが気にしたら負けだと思っています。気にしなければそれは無なのです。

後買い物袋が地味に重いです。人背負って両手に買い物袋とかなんなんでしょうねホント。

「……あーつーいー…」

「……我慢して下さい」

さて、そんな私に一切の躊躇いなく背中に全体重をかけてきやがります女の子。

そう、こちらが私の主人、園城寺怜様。

私もついさっき知ったのですが、実はかなりわがままなお方です。

「私は病弱なんやー…こんな暑い場所におったら死ぬんやー…」

「怜さんが背負って行けって言ったんでしょうが…」

声に覇気…いや、生気すら感じられません。

日もだいぶ傾いてきたとはいえ、それでも真夏の日差しは女の子には厳しいようです。

特に、主人のような病弱な方には。

おもちが押し付けられてるとな



「ふぁ…ねむー……」

ごろごろ。重心を、右へ左へ後ろへ前へ。

人の背中で好き勝手やってくれてます。この主人。

先程まではもう少しまともに見えたのですが、どうもこちらが素のようです。

さて、まずはこの状況をご説明致しましょう。

実はあの奴隷になりなさい宣言の後。携帯をいじりだした主人が急に。

『京太郎くん、初仕事や』

と高らかに宣言されなさいまして。

それはどうやら主人を友人の元へ送り届けるというタスクらしく。

なるほど、じゃあ、行きましょうか。そう告げた私に対し。

『さ、はよ背負って』

とかなんとか抜かしやがりまして。どうしても自らの足を使いたくないようです。

結局それから背負って行く事に決まりましたが、どうも私の呼び方が気に入らないようで。

『あ、後その園城寺さんてやめて』

『…いや、何か呼ばれ慣れんのや…うん、怜でええよ』

というような会話を挟み、今の状況に至りました。

ただ、背負ってからは時たま先の如くだるい、眠い、あつい。などと言葉を発するか、私に道順を指示するだけで。

基本的には遠慮無く人の背中で寛いでおります。



「おーい、遅いでー」

ぺしぺしと。俺の頭を叩きながら言う。

やめろ振り落とすぞ。…あ、素に戻ってしまった。ハギヨシさん風が。

全く、我ながらとんでもない拾い物をしたものだ。

眠り姫にキスをしたと思ったら病弱わがままっ子だったなんて。

ふむ、これだけ聞くとそれなりに良いフレーズなんだが。

「あつー……」ダルーン

何せこれである。

いや、可愛い。確かに可愛いのだけれども。

そう、思わずキスしてしまうくらいには。

だけどなんだろう、もう女の子というより妹みたいな存在にしか感じられない。

これでは奴隷というか保護者である。怜さんの友人も苦労してそうだ。

「………にょー」

ぐでー。まさにそんな体勢で謎の声を発する。なんだにょーって。

もはや背負われているというか肩に引っかかっているだけという状態に近い怜さん。

正直背中の柔らかい感触を楽しむ余裕もない。

危ないからやめて欲しい。

とりあえず体勢を立て直す。本当に世話が焼ける。

冗談抜きでこの人には小間使いでも必要なんじゃないだろうか。




「…あ、そういえば」

ふと思いつく。

「んー…どしたん?」

ずっと聞きたいと思っていたことを忘れていた。

「なんで、俺の膝で寝てたんですか?」

そうだ、なんでだ。そのせいで俺は今こんなに苦労してるんだぞ。

自業自得?何のことやら。

「…おお、うん」

「そのなー…話せば長くなるんやけどなー」

長くなるのか。まぁ歩いてる間することも無く暇だし、ちょうど良い感じではある。

「実は、りゅーか…うん、友人とはぐれてなー」

りゅーか…琉歌?わからん、上手く変換できない。

その人が今から会いに行く友人さんなのだろうか。

「そんで、ずっと歩いとったらもー倒れそうになってなぁ」

ああ、なるほど。確かに怜さんなら倒れても不思議ではない感じだ。

「そしたら、ちょうどいいとこに公園見つけて…」

「ふむふむ」

相槌は会話の基本。忘れてはダメだ。使いすぎてもダメだけど。

「ベンチにいい膝があったから、使わせてもらったんや」

「ははー…」

へぇ。いい膝が。ナイスニーが。

「膝しか見てへんかったから、女の子や思っとったわー」

あはは、と笑う。

………やっぱこの人変人だ。変人だわ。



突っ込みどころが多すぎて突っ込めない。

なぜ膝を見つけて枕にするという発想に至る。

というか何だ良い膝って。低反発膝とかあるのか。俺の膝って素敵だったのか。初耳だぞ。

今度優希か咲に膝枕してみようか。低反発かどうか確かめるため。あ、でも本当に低反発だったら怖いからやめよう。

「………だけど…ま、まぁ…その…キスは…ちょっと…予想してへんかったなぁ…って」

そしてこの不意打ち。畜生可愛いじゃねぇか。

顔が見られないのが非常に残念である。

こんなに可愛いならもう変人でも良いか。

俺の主人がこんなに可愛いはずがあるんだぞいいだろお前ら。

脳内バラ色。俺の奴隷生活もバラ色。

だがどうも怜さんはあの瞬間をまた思い出したらしく。

「………恥ずいっ!」

「あ痛っ!」

殴られた。痛くはない。というかこの威力なら微笑ましい。

むしろあれだ。ご褒美だ。ぐへへ。嘘…であってほしいぞ、俺。

「………むー…とにかく!急いでや!京太郎くん!」

話を逸らされた。というか別に話長くないじゃないか。騙しやがって。畜生。

あ、畜生は俺か。あっはっは。おっと、ネタ被った。

とりあえず急げと言われたので急いでみようとして、気付く。

「急げと言われても…目的地、教えてもらってないですし」

そう。場所は先程から背中の主人が逐一指示しているため、俺は明確な目的地は知らないのだ。

膝枕マイスターの怜の目に適ったのか…



「えー……あっちや!」

さっきまで歩いてきた方向を指差す主人。

すいませーん、このカーナビ壊れてるんですけど。

オプションで色々付けすぎて内容がゼロになってしまったか。

オートバッ○スで修理出来るのかね、これ。

「……もう、目的地教えて貰えればそこへ行きますよ」

「場所教えてくれたら、携帯かなんかで調べますんで」

ああ、この忠誠。まさに奴隷。

自分の適応力もとい雑用力に感心。

「目的地言うてもなぁ…」

だが歯切れの悪い主人。

「もしかして、結構入り組んだ場所とか?」

だとしたらこのブロークンカーナビに頼るしか無いので不安だ。

つーかさっきから話せば話していくほど俺の中での怜さんの評価がポンコツになっていく。

園城寺株大暴落、眠り姫→女神→ポンコツへ。

「うーん……」

「…携帯で連絡した時、何処へ行くって言ったんですか?」

「えっとな、○○公園に今居るって言ったんや」

なんだ、簡単じゃないか。なら○○公園に向かえばいい。

…あ?○○公園?

「………それ、さっきの公園ですよね…?」

「うん、せやな」

おい。おい。いや待て。おい。

じゃあ一体何処に向かってんだよ今。



「……俺達は何処に向かっているのでしょうか?」

「え?いや、適当に歩いとったら向かってくるりゅーかと会えるかなーって」

瞬間、俺は来た道を走りだした。

「わ、わー!お、落ちる、落ちるで!」

この人予想以上にダメだった。遭難して救助を呼んだ上で動きまわるような人だこれ。

りゅーかさん…貴女も苦労してるんでしょうね。

顔も知らぬりゅーかさんに心から同情する。

「落ちるー!死ぬー!」

頭上で騒ぐ主人を無視して、一心に公園へ向かう俺。

とりあえず、このポンコツは放っておこう。

いつまでこの奴隷もとい保護者生活が続くのかは知らないが。

出来るだけ早く終われと心から願う。

やっぱ可愛いだけじゃダメですわ。

今回、俺が得るべき教訓はオプションだけじゃなく中身も重要、ということだろう。

何か詐欺師っぽいなこの言い方。

「京太郎くんのあほー!」

うるさい、そこ!

モノローグの邪魔するな、主人!




――――――――――――

―――――――

――――

――


走って走って、公園。

流石に人一人と買い物袋を持ってのダッシュは堪える。

さぁ、まずはりゅーかさんを探そう。

「……はわー………」

あ。忘れてた。

我が主人が背中でグロッキーになっておられる。

落ちなかったし良いだろう。うむ。

しかし出会った時はあんなに可愛いと思ってたのにな。不思議なものだ。

「あの、怜さん」

「なんやー………」

「りゅーかさんて、どんなお方ですか?」

「…んー……髪が長い」

流石主人。的確かつ的確に的確すぎるまでに的確だな。友人の印象それだけっすか。

多分怜さんからこれ以上の情報を聞き出すのは無理そうだ。膝枕の感触がいいとか言い出しそうだし。

とりあえず髪が長いという手がかりだけで探すか。見た目で判別できる割とマシな情報だしな。

気分はまさに名探偵。

だが。続けた主人の一言で俺に電流走る。




「あ、胸がでかいで」

……………ほ、ほう?

い、いや…勘違いしないで欲しい。期待してるわけじゃないんだ。

そう。あくまでも見た目でわかる有益な情報が増えたことが喜ばしいのだよ君ィ!

はっはっは。待ってて下さいりゅーかさん。今会いに行きます、じゃない、見つけに行きます。

くそう、俄然りゅーかさんを探すやる気が湧いてきてしまった。

これじゃまるで俺が胸が好きな男の子みたいじゃないか。全く全く。

「……と、怜さん、もしかしてあの人ですか!?」

「お、うんうん、あれやあれ」

見つけてしまった。俺の索敵…いや、索おもち能力すげぇ。

男子高校生の欲望には果てなきパワーが秘められてる。はっきりわかんだね。

「……なるほど、これは中々…」

ナイスおもち。ナイスロングヘアー。

怜さんが可愛いという印象だとすると、りゅーかさんは美人、という感じだ。

ついジロジロと眺めていると、そのりゅーかさんも、どうやらこちらに気付いたようで。

なぜか警戒心をむき出しにして迫ってくる。

え。なんで。なんでですか。おもち見てたの気付いたんですか。

…あ、そういやポンコツ背負ってたんだっけ。

向こうから見ると友人に呼び出されたがその友人が見つからず、探しまわってたら見知らぬ男が友人を担いで現れたってことだもんな。




ああ、これは確かに不審者だ。

「…なんで、怜を背負っとるんですか?」

ストレートに聞かれてしまった。綺麗な声である。今度こそ女神ヴォイス。

しかしここで冗談言ったら普通に通報されそうだしまともに答えるしか無い。

「えーと、実はそこで……」

………そこで。何と言えばいいのだ。

キスして奴隷になりました。アホか。

いや、マジでどう説明すればいいのさ。

と、怜さーん、ヘルプ!

視線を送る。すると、耳元で。

「……とりあえず、買い物袋置いて」

よくわからないが、指示に従う。

「…次、手をちょっと挙げて」

手を胸の高さ位まで持ってくる。

な、何の意味があるんだこれ。こうしてる間にもりゅーかさんの怒りメーターが上がってるぞ。

「うん、おっけー」

手を持たれた。何する気だ。と、思った瞬間、手に伝わる感触。

ふにょん。




「……………………ふにょん?」

問題です、俺の手は今何処にあるでしょう。正解はりゅーかさんの胸でしたー!

正解者にはスーパータコス軍曹人形を…じゃない!

おいこらポンコツ何やってんだてめぇ!

後ろを見ると、悪戯が成功した子どものように楽しそうな笑みを浮べている。

「これで前科2犯やな!」

あ、振り落とそう。振り落とすわコイツ。

…あれ、手が動かん。

ふにょん。

おお、まだ胸にあったのか。こいつは一本取られた。

ふにょん。

…くっ、手が中々離れない。

ふにょん。

りゅーかさんの頬が、夕日の紅に負けないくらいに染まっている。

ふにょん。

「ええ加減にせぇ!」

ばしーん。目の前に星が飛んだ。痛い。

はい。俺が悪いです、これは。

畜生。どうしてこうなるんだ。

こうして、俺はりゅーか…竜華さんとの出逢いをも最悪に終わらせた。

正直半分以上ポンコツのせいだとは思うが。

まぁ、はっきりと言えるのは、今日が厄日だということだろう。

さて…この二度目の逮捕の危機、どう乗り越えたものか。

須賀京太郎の受難は続く。頼むから早く終われ。

今時のラノベって感じの文体ですなぁ


今日はここまで。相変わらず短い…。(亀筆で)すまんな。

なぜか書いてるうちに怜がぽんこつになっていく。

ではまた明日、続きを書いてきます。

おつー

りゅーかわいい

乙~
ここからどうデレていくのか気になりますな

乙ー

乙ー乙

おつおつ

文体を見てると生徒会の○存を思い出す 乙です

先が気になるな



凄く面白い

パイタッチ中の怜の体勢が気になる。
おんぶでかつ京太郎の腕の支えなし、怜自身も腕で支えてるわけじゃない。

これはつまり…だいしゅきホールド状態ということなのですか(困惑)

細けえことはいいんだよ

乙です。

>>83
降りてるんじゃないか?

しかしいきなりキスとは…京ちゃんヤバすぎやろ

気付いたら怜みたいな子が膝で寝てたら欲望に負ける事も有るだろうさ

そら(こんな可愛い子が膝の上で寝てたら)そう(キスもしたくなる)よ
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3664933.jpg)

そもそも知らん男の膝で寝る怜も大概だがな
まあ限界だったのもあるんだろうが

なおご主人様がもう一人増えそうな模様


>>73 最近そんな本しか呼んでないため、影響されたものだと…。
>>83 片手で肩に捕まり片手で京太郎の右手を……まぁ細かいことはご勘弁を。

投下します。

短めですがとりあえず書けたので。



男がいた。名を須賀京太郎と言った。

その男、本日2回目の土下座中である。

「…誠に、誠に申し訳ありませんでした」

「……………」

そしてそんな俺を見下ろすのは、美人な女の子と一見可愛いポンコツ。

女の子2人の前で土下座する男という構図は色々情けない。

というかポンコツ。お前なんでナチュラルにそっち側にいるんだ。加害者だろ。

「……これは教育やろなぁ」

怜が言う。ちょっとマジで黙れ下さい。

呼び捨てになってしまったがもういい気がする。

あれから。とりあえず怜の説明で誘拐犯疑惑は晴れた。

…なんて説明したんだろうアイツ。俺、気になります。

だがしかし。晴れない疑惑が1つ。いや実際に行動におこしてしまったのだから疑惑でも何でもない。

それは竜華さんのおもちこねこねという罪深い行動。

そんなわけで今俺は土下座をしているのである。



「はー……須賀君、やったっけ?」

「は、はい!」

大きく溜息をついて、竜華さんが俺の名前を呼ぶ。

「その…さっきのは、怜も悪かったけど」

「……ちょっとやりすぎとちゃうか?」

土下座している体勢なので表情などは見えないが。

声からして怒っている事は確か。当然である。

「…はい」

何も言えない。何も言えないぞ俺。

後竜華さんの後ろから聞こえるポンコツの笑い声に腹が立つ。

もしかしてさっき公園まで走ってきた俺への復讐のつもりかこの野郎。

だが、竜華さんが次に言った言葉は予想外のものだった。

「まぁ、でも…」

「怜の面倒見てくれとったみたいやしな、今回は…許したるわ」

「え?」

聞き間違えだろうか。今聞こえるはずのない言葉が…。

「…許すって、言ったんや」

もう一度続ける、竜華さん。



女神だ。胸を揉んでも許してくれる女神がいた。

竜華さん最高や!ポンコツなんていらんかったんや!

今日は女神によく会う日だな…はっ。

もしかしたらこの人も奴隷になれとか言い出すかも――

「ホンマ見つかって良かった……今日は1日中怜を探しとったんや…」

…いや、もう気力が無いだけかもしれないな竜華さん。

マジで苦労人である。

「りゅーかは優しいなぁ」

いやお前はいい加減にしろ。なんで他人事みたいに構えてんだ。

「じゃ…怜、そろそろ帰ろか」

「せやなー、相当遅くなったもんなー」

「誰のせいやねん………」

正直今の会話だけでも竜華さんの苦労の片鱗を察することが出来る。

保護者って大変。改めてそう思った。

「…それじゃあな、須賀君」

歩き出して、思い出したように振り返り、挨拶をする。

「はい、すいませんでした、ホント」

「あー…うん、ま、反省しときや」

はい、反省します。

でもあれは多少仕方ない物もあるのではないだろうか。

…口には出さないけど。

りゅーかわ



「そんじゃーなー京太郎くん」

間延びした、呑気なポンコツの声。

「おう、じゃあな」

「…あれー?な、何か話し方フランクになったことない?」

「気のせいだろ、最初からこんなんだったよ」

反乱や反乱……とぶつぶつ独り言を言う怜。

別に反乱でもなんでもなく、俺の中で敬語を使うに値しない相手だったというだけである。

「あ…せや」

何か言い残したことでもあったのだろうか。

独り言をやめ、急に何かを思い出したように顔を上げる。

そして、ポケットの中からメモのようなものを取り出し、何かを書いてから。

「京太郎くん、はいこれ」

そのメモのような物を俺に手渡す。

結構可愛い柄だったのが意外だった。

「…何だよこれ」

「私の電話番号とアドレス」

「帰ったら、それに連絡しとって」

…なるほど。

逃さないぞ奴隷。ということですか。

獲物は死ぬまで離さない

そら(優しくイケメンで面倒見がいい男の弱み持っていたら)そうよ



「…わかった」

ちっ、今度悪戯メールしまくってやる。

「あ、悪戯したらあの事バラすからな?」

心を読むな主人。

「それじゃ、本当にこれで」

「…またな!京太郎くん」

にこっ、と小さく微笑んで。

「…おう」

…笑顔だけは可愛いから本当に困る。

ついまた会う事を承諾してしまった。

はぁ、この生活はいつまで続くのだろう。

「さて、俺も帰らな……きゃ……」

だが、そこである事に気付く。

すっかりと頭から抜け落ちていたが、俺はそもそも買い出しに来ていたという事に。

周りを見る。

夏なのに沈みかけの夕日。人が少なくなった公園。

…何時だ、今?公園の時計に目をやる。

「………ぁぁぁぁぁぁ!」

買い出しに出かけてからは優に8時間は過ぎていた。

「……やっちまったぁ……」

部長様からどのような叱責を受けることになるのか想像もつかない時間。

どうやら、今日という厄日はきっかりと午前0時まで厄日らしい。

俺は、重い心と買い物袋を引きずりながら帰路へついたのだった。




――――――――――――

――――――――

――――――

―――


「はい須賀君、今何時でしょう?」

「……19時っす」

「よく出来ました!じゃ、須賀君は何時に買い出しに出かけたでしょう?」

「……10時っす」

「一体、その間何をしていたのかしらねー?」

案の定、というべきか。

俺は本日3度目の土下座をしていた。シーズン最多記録更新だなこりゃ。

「部長…京ちゃんも可哀想だし、その辺で…」

咲、ああ咲、咲!

お前めっちゃくちゃ優しいなぁ!

「駄目だじぇ!咲ちゃん、こういうのは一度甘やかすとつけあがるんだじぇ!」

優希…余計なことを!

まぁしかし優希に関しては遅くなった上タコスすら買ってないから怒られて当然ではあるのだが。

だけど今は勘弁して欲しい。

「優希の言う通りだわ」

と、部長。…ほら、こうなるんだよ。

「何をしていたのかは知らないけど…」

「こういうの、ちゃんと言っとかないと、癖になったら困るじゃない」

どうあっても説教はやまないらしい。

うう…俺の心は耐えられるのか、なんて事を思案していると、まさかの助け舟が。



「ま、京太郎も大変やったんやろうし…少しくらい、許しちゃれや」

染谷先輩の、優しい声。

…先輩、最高っす。

「でも、まこ…」

なおも食い下がる部長。

「別に買い出し自体をしてないってわけでもなし、そんな目くじら立てるようなことじゃなかろ」

「そろそろ飯じゃしな、はい、説教ここまで!」

「はぁ…わかったわよ」

けれど、最終的には折れたようで。

「じゃあ、須賀君…今度からは気をつけるのよ?」

「は、はい!」

結局、染谷先輩の優しさで救われる俺。

本当にありがたい。

今度、何かお返しをしないとな、と。

土下座をやめ、立ち上がって皆と食堂に行こうとした所で、部長の声。




「あ…そうそう、須賀君」

「どうしたんですか?」

まさかまだ叱られることがあったのだろうか。

かなり不安になってしまう。

「さっきのミーティングで言った事なんだけどね」

…どうやら違うようだ。心から安堵する。

「明日は、朝10時からAブロックの試合を皆で見ることになったから」

…はて、Aブロック?

「…Aブロックって、決勝まで行かないと当たらない相手ですよね?」

そう。全国大会の団体戦はAブロックとBブロックに分かれており、別ブロック同士の高校は決勝でしか当たらない。

なら、そんな高校の試合を見ても――

「ええ、だから…決勝で当たる確率が高い相手、って事よ」

「…なるほど」

そういうことか。…だとすると、どの学校だ?

生憎、麻雀部員の割にそういった事情に疎いのでわからない。

…もしかして、咲のお姉さんがいるという高校か?

「昨年度の、全国2位」

「…千里山高校よ」

「千里山…………」

なぜだろうか。その学校の名前を聞いたのは初めてだったのに。無性に気になった。

「……いきなり突っ立ってどうしたんだじぇ?」

後ろから声が飛ぶ。

「…ああ、すまんすまん、なんでもない」

千里山高校…か。

…何となく、試合を見るのが楽しみだった。

再会フラグが立ちました



今日はここまでとなります。

相変わらずクッソ冗長な文章ですみません。

もうちょっと大量に投下したいんですけど、中々時間が取れず…。

明日、出来たら投下しようと思います。

それでは。

乙やでー



ここで今日何度も土下座している彼に焼き土下座のAA

乙です。

自分のベースでゆっくり書いてもええんやで。

おっつおっつ

おつ

乙乙

再会時にラッキースケベでりゅーかのおもちもみもみで焼き土下座フラグですね。分かります。

おつー

乙です

部長、タコス……叱ってはいるが曲がりなりにも心配していた(多分)

咲、まこ……叱られている京太郎を庇う(多分心配もしてた)

和……無関心

ってところがまた……

げんめつしました、うえのさんのふぁんになります

おはキャップ

のどっちは声をかけるタイミングを掴み損ねただけだと言ってみる

好感度的には咲(幼馴染)>優希(仲のいい友人)>まこ(先輩後輩)>部長(使いっぱしり)>和(特に無し)みたいなんかな

のどっちが京太郎を嫌ってるという風潮

正直悲しい

嫌ってるっていうか興味ない感じじゃないか?
それ以上でもそれ以下でもない感じ

ドラマCDだとそんなこともないんだけどねぇ

ドラマCDで須賀京太郎の名前が出ることに驚いた

おもちばっか見てそうだから嫌われてもしかたない

咲が好きだから京太郎が嫌いみたいな設定はよく見るな

淫乱ピンクとか散々言われてるけど美人でスタイル良くて基本的に礼儀正しくて性格も良いから
学校じゃ結構慕われてるって設定じゃなかったか?

そうだったのか
(にわかで)すまんな

せっかくならそんな設定に準拠した和と京太郎の話が見たいです先生…

SOA

まあ基本的に好きも嫌いもそもそも「興味がない」が一番近い気がする
そうは言っても咲優希と一緒に学校で昼ごはんを食べる描写も初期にはあるが…

好きの反対は無関心とかなんとか

京太郎と文学少女は死んだんだ。
いくら呼んでも帰っては来ないんだ
もう世界は許されて、君も平穏な日々に帰って行く時なんだ。

初めての異性の友達でどう接していいかわからんだけだから(震え声
ネタはさておきのどっち京ちゃん間は描写が少なすぎてわからんってのが正解じゃね(京ちゃんの妄想ネタ除く)

空気が無いと生きていけないだろ

なぜのどっちの話になってるんや…



遅くなりましてすいません。

どうにもこうにも上手く行きませんね。

今日も短めですが、とりあえず続きを投下します。



「人、多いですねぇ」

「昨年全国2位の高校の試合よ、当然じゃない」

「そんなもんですか」

「アンタはちょっと麻雀について色々知らんすぎじゃあ、京太郎」

「…う」

「やーい、京ちゃん怒られたー」

「うっせ、子どもかお前は」ペシッ

「わ、女の子に暴力だよ、最低だよ」

「女の子ー?わはは、お前はただのちんちくりんじゃ!」

「…むー」

厄日も過ぎて、翌日。

会場のモニター前で、なんとか席を確保した俺達。

その間咲との夫婦漫才が冴え渡る。嘘だけど。

「…おお」

やはり、厄日が過ぎれば待っているのは吉日。

なんと、運良く俺の席の右隣は和。

「…どうかしましたか?」

「いえいえ、なんでもー」

思わず視線が一点に集中するのをやめられない。





「のどちゃん、気をつけるんだじぇ!こいつはのどちゃんの豊満なおっぱいをねらっているんだじぇ!」

左隣から優希。

そのとおりだが今は黙っとれ。

「…須賀君」

いつもより若干厳しめの表情でこちらを見る。

「ち、違う!そんなやましい事は欠片も考えていない!」

「はあ…男の子って、皆そうですよね」

うんざりです、と。溜息をつく。

どうやら、思っている以上にあの胸には色々な経験があるようだ。

「ほれ犬!私がおっぱい分を供給してやろう!」

こちらに身を乗り出して、これみよがしに胸を張る。

「いらねーよ」

そんな優希を手で払う。

そもそも平原でおっぱい分をどう補給しろというのだ。

「にゃにをー!」

この漫才にも慣れてしまった。悲しいものだ。

ああ、和もこうやって胸を差し出してくれれば良いのに。

などとアホな事を考えていると、試合開始のアナウンスが鳴り響いた。




『さて、いよいよ全国大会Aブロック2回戦が始まります』

『実況は私、針生えりと』

『解説の三尋木咏だよん、よろしくー』

『…あの、真面目に挨拶を』

『んー?』

…破天荒な解説プロだ。

…長野大会の人もカツ丼とか食ってたしな。プロなんてあんなもんなのかもしれない。

麻雀の能力の代わりに何かを失う。うむ、ありえるかもしれんな。

『…ごほん。えーと、この試合、三尋木プロから見て注目の選手などは…』

『うーん…』

『やっぱ、千里山女子の先鋒、園城寺怜かねぃ』

…千里山の先鋒、園城寺怜?

おいおい、園城寺怜なんて、珍しい名前がいたもんだ。

まさかあのポンコツじゃねぇだろうしなぁ。

アイツが麻雀を出来るようには見えないし、ましてや強豪校の先鋒などというわけがない。

全く、全く。同姓同名なんて偶然もあるんだな。





『さぁ、各校選手の入場です』

俺の思案の間に選手紹介は終わっていたらしく。

選手が続々と対局室へ入ってくる。

…おおおお。この阿知賀って学校の先鋒の子可愛い…。

「…………っ!?」

俺はこの時、隣で和が息を呑んだ事には気付かなかった。

なぜなら阿知賀さんのおもちがやばかったからである。仕方ないのだ。ほう、松実さんと言うのか…。

『過去35回出場、北大阪を11回連続で制している!…千里山女子、園城寺怜!』

そして、ついに園城寺怜さんの入場。

一体どんなお方なのか………。

「ぽ、ポンコツ!?」

ガタッ、と立ち上がり、つい声をあげてしまった。

すわ、何事。モニターを観戦している観客の目が一斉に俺の方を向く。

「あ…す、すいません!」

恥ずかしい。かなり恥ずかしい。

「……何やってるんですか」

「…すまん、和」

絵に描いたようなジト目。

…不覚にも興奮はしていない。よし、まだ大丈夫だ、俺。

しかし…。まさか本当にあのポンコツとは。

モニターの中で席に着くは間違いなく我が主人。

まともに打てるのかアイツ…。

そんな俺の不安の中、先鋒戦は始まった。




―――――――――――

―――――――

――――

――



『先鋒戦、終了ー!』

蓋を開けてみれば。

千里山女子、先鋒終了後+42900。圧勝であった。

…そこにいたのは、ポンコツではなかった。

気弱さを感じさせない、凛々しい少女。

他社を圧倒する、抜きん出た力。

強かった。凄かった。そんな馬鹿みたいに単純な感想しか出てこなかった。

まるで他人には見えない何かがアイツには見えている、ような打ち方。

怜が、俺の及ぶべくもない領域にいることは明らかで。

先鋒戦が終わった後も、しばらく呆けていた。

昨日俺の背に乗っていた怜は、何なのか。

あれが同一人物とは想像も出来ない。

なんたって。

『…あーつーいー』 『だーるーいー…』が

『ツモ、4000オール!』キリッ になるのである。

もしかしたらあれ偽物なのかもしれないな。マジで。

というか地味にリーチ棒どうやって立ててるのかが気になった。カッコイイななんか。

今度俺もやってみようか。しかし倒すとカッコつかないしな……うーん…

「…賀君?……須賀君!」




「はぇ!?」

…変な声出た。

いや、和があんな大きい声だすと思わなかったのだ。うん

「ど、どうした和、大きな声出して?」

「……寝ないで下さい」

え?………寝てたのか俺。

…つまり色々考えて呆けてたら寝た…ということか。

どこまでもアホだ。弁解のしようもない。

「……すまん」

「いえ…」

「…ところで、今試合は…」

「大将戦です」

「大将戦!?」

おい、何時間お休みになってんだ俺。

あれか。しかもその間ずっと怜の事考えてたのか。恋する乙女か俺は。
     オトメ  
恋する奴隷は主人に夢中。なんか嫌だ。




「………須賀君?」

「…なんでもない、もうちゃんと起きて見るから、気にしないでくれ」

「……そうですか」

『千里山女子、大将は清水谷竜華!』

…やはり竜華さんもそうだったか。

関西っぽいイントネーションだし地元の人じゃなさそうだとは思っていたけど。

まさか強豪の先鋒大将コンビとは。

不思議な出会いもあったものだ、本当に。

その時、ピロン♪、メール着信音。

『こんちは、京太郎くん』

『昼から、買い物付き合って欲しいんや』

『嫌とは言わんよな?』

まさに想いを馳せる我が主人よりの便り。

デートのお誘い、いや脅迫か。

…昼からは、また大変になりそうだ。

現実逃避に、右へと視線をやる。

和は真剣な表情で、モニターを…いや、その中にいる阿知賀の選手を見ているのか?

どうも、視線がそちらばかりを追っているようだ。

まぁ、わからない事を考えた所でどうにもならない。

ああ、それにしても和のおもちは素晴らしい。そんな事を思った、真夏の昼の出来事であった。

「……この犬、目が野獣だじぇ」

うるさい。優希。

そういう風評被害はやめろ。



短ぇ……今日はここまでです。

もうちょっと一気に投下できれば幸せなんですけどね…。

次は頑張ります…。

和さんの風評被害は可哀想だと思った(小並感)


まさかポンコツがエースとは思わんよな

お疲れ~ 二次創作は設定つけたもんがちだからね 
孕村もシスコン照も自由人淡も



清澄メンバーとの掛け合いが原作っぽくて良かったよー

乙やでー

乙ー

おつー

おつー

乙乙

何か良スレ発見

一々言わなくていいからそういうの

乙乙
これは良スレですなぁ


良い京和だった

ああ、いい京和だったな

まだっすかね~


…長らく時間を開けたというのに、相変わらず短くてアレな出来。

最初と最後だけをとりあえず考えて中盤を疎かにしていたのが悪い…すいません。

とにかく、流石にこれ以上間隔空けるのもアレなので、出来た分だけ投下します。

自分のペースでええんやで



――――――――

――――――

――――

――


色々と衝撃的な試合が終わった後。

俺は宿舎で練習をするという咲達と別れ、1人街中へ。

目的は、主人を待つため。

「…暑い…」

それにしても暑い。真夏の日差し+ヒートアイランド現象のコンボだ。後者はよく知らんが。…勉強不足なのかもしれないな。

しかし、現象を知っていようがいまいが立っているだけで汗が流れだしてくる程暑いということだけは確か。

…こうやって暑い中ひたすら主人を待つ様はまるで忠犬ハチ公のようだ。

いや、この例えはあながち間違ってもないのだが。

時計に目をやる。15時29分。そろそろ来るんじゃないか。と周りを見回すと。

果たして我が主人到来。だが。

…何か人数が多い。

「…お、やー、京太郎くん!」

相変わらず間の抜けた呑気な声。

さっきの試合中とは大違いだ。

「よう、怜」

「……呼び捨てかいな」

顔を顰める怜。

…こんな顔もするのか。何となく新鮮だ。

そんな言葉を飲み込んで、続ける。

「別にいいだろ、俺とお前の仲じゃないか」

「……いや、どんな仲やねん」



……知らん。俺に聞くな。

奴隷と主人と言えば簡単かもしれないが。

面と向かって主人とか言いたくねぇ。

「…そんなことより、何か人数多くないか?」

露骨なまでに話題逸らし。

接続後の使い方の正否についてはこの際置いておくとしよう。

「…あぁ、人数な」

何と説明したものか。そんな考えが透けて見えるような怜の考える仕草。

どうやら成功したようだ。

…人前で奴隷ですとか言わずに済んで良かった。

そんな事を考えていると、どうやら怜の考えもまとまったらしく。

「ま、別に気にすることはあらへん…ただの数人の一般人や」

何だその言い方。考えた結果それかよ。

「何が一般人や!」パコン

「あたっ」

当然…と言うか、残当…と言うか。

後ろの名前の知らない人から殴られる怜。

「痛い…何すんねん」

「…ったく、その紹介の仕方は無いやろ」

憤然とする、名前の知らない女の子。

怜と違って、元気そうだ。じゃなくて。

…俺が完全に置いてけぼりである。

「…えーと…」

「ん?ああ…すまんすまん」

俺の戸惑いの表情に気付いたらしい。

その快活そうな女の子は続ける。

待つから気にしないで
ただ、長期間空けるなら生存報告はしてほしいかも

>>163 接続後→接続語 ですなぁ…誤字すいません



「オレは江口セーラっつーもんや、今日は怜の付き添いでなー」

「江口さん…ですか」

「あー…そんなかたっくるしい呼び方やなくてええ」

「じゃあ……セーラさん?」

「さん付け……ま、ええか」

渋々といった了解の仕方をするセーラさん。

だが流石に初対面の…それも先輩を呼び捨てするなど出来ない。

怜?…あれはいいや。なんだか咲と同じような匂いがするから。

とりあえず、名前の知らない人はいなくなったが…気になる点がもう一つ。

「…な、何で竜華さんがいらっしゃるので?」

そう。なぜか竜華さんもいるのだ。

「……君と怜を2人になんてしとけんからや」

…なるほど。

とてもちゃんとした理由ですね。

なんだろう。そこまで信用無いのか俺。

ああ、泣きたい。

「…あれ?さっき竜華気になる男の子がおるとかなんとk」

「な、ななな何言うとんのやセーラ!」

セーラさんの言葉を遮り。

ああ、あの人慌ててるなぁ。おそらく10人が10人そんな感想を抱くであろう慌て方をする竜華さん。

ほほぅ…

接続後(意味深)



何と。これは俺にモテ期が到来したということだろうか。

思春期まっただ中である須賀京太郎。これは期待してしまうのも仕方ないというもの。

…もちろん、予想は裏切られるのだが。

「ち、ちゃうから!そういう意味やないからな須賀君!」

「…ただ、怜が初対面の…それも男の子に懐くなんて珍しくて…」

「…それが、気になって、な…」

…まぁ、そんな事だろうとは思った。

少しだけ悔しいですけどね。はい。

…ふむ。だけど慌てる竜華さんは可愛い。

こう、少しだけ誂ってみようかという気分になる。

決してさっき期待させられたから少し仕返ししてやろうなんて気持ちじゃないのですよ?

「……嬉しいです」

竜華さんの手を取って言う。

「…へ?」

さらに、顔を近付ける。

「実は、俺も竜華さんの事が、会ってからずっと気になってたんです」

「…え?え!?」

何が何やらという表情。

ついでに後ろ2人の目が驚きで見開かれる。



「……目、閉じて欲しいな」

耳元で、囁く。

さぁ、そろそろ本場関西のツッコミが…。

「………」

素直に目を閉じる竜華さん。なぜだ。

いや待ていくらなんでも素直すぎるだろう。

将来が心配だ。悪い男にだまされないだろうか、俺みたいな。

というかまたやりすぎた。どうするこれ。

「…………」

そんな事を考えている間も竜華さんは目を閉じてじっと待っている。

セーラさんや怜はさっきから全く動かずにこちらを見守っている。

……やっちまった。まーたやっちまったぞ。

本当は何すんねんアホ!って感じで笑いを取ろうとしただけなのに。どうしてこうなる。

…とりあえず。

「ふきゅっ」

鼻を摘んでみた。可愛い謎の声と共に、息がこほ、と口から吐き出される。

うむ、可愛い。

「……須賀君?」

「…ド」

「ド?」

「……ドッキリ、大成功…なんちゃって」

……この後、俺の頬に少しだけ早い秋が訪れた事は言うまでもない。

何と学習能力が無いんだ俺は。

ああ、頬が痛い。

セーラさんと怜の視線も痛い。

もはや空気を悪くするのは俺の固有能力と言っても過言では無いのだろう。

こうして、楽しい買い物が始まった。

りゅーかチョロかわいい



――――――――

――――――

――――

――


女3人寄ればなんとやら。とはよく言ったもので。

今、俺はまさにそれを実感していた。

「この服、怜に似合うんやない?」

「えー?絶対無いて、ないない」

「似合うと思うんやけどなぁ…そうや、セーラはどう思う?」

「…そういう話、オレに振るなや!」

「つまらんなぁ…あ、なーなー、怜」

「んー?」

「…前からやろう思っとったんやけど…セーラのために『可愛い』服選んだろーや!」

「…おお、いいなぁそれ」

「な、何や!?嫌やで!」

「ええやんええやん、一回セーラを改造してみたかったねん」

「…ノリノリやなぁ、りゅーか」

「なんたって、素材がええからなー」

「こ、こんな所おられるか!オレは一足先に宿舎に帰るで!」

「知らなかったのか?病弱娘からは、逃げられない」

「……怜も大概やん」

「嫌や嫌やー!」

わーわー、と。俺の前方で騒ぐ3人。

平和ですね。俺は会話に参加どころか5メートルくらい後ろにいますけど。

あ、申し遅れました。荷物持ち兼置物です。



基本的にステルス状態で、荷物を渡される時だけ存在が認められます。

おかしい。こんな事は許されない。

なんでこうなるのだろう。俺は呪われてるんじゃないだろうか。

…いや、自業自得なのはわかってるんだけどな。

くそう、元々怜と俺の買い物のはずだったのに。

…何かこれだと嫉妬してるみたいだな。

あー、暑い。暑いよ。

溶けてしまいそうだ。いやもうむしろ溶けてしまいたい。

周りに人がいっぱいいる中で荷物持って1人というのはめちゃくちゃ寂しい。

自業自得とは言えかなりキツイ。

早く買い物終わらないかな。

おー、雲が見えるなぁ。雲が動いてるぞ。

雲はいいなぁ。自由で。

俺なんか奴r…

「おりゃ」

「ぐわぁぁあ!?」

爆撃だ。爆撃を受けた。

冷たい飲み物を頬に当てられるという行為。

あれを実際に不意打ちでやられるとかなりの威力がある。

具体的に言うと、心臓が止まりかけそうなほど。



「な、何すんですか、竜華さん…」

「あはは、仕返しや」

その爆撃をした犯人は楽しそうに笑っている。

「……買い物、終わったんですか?」

「ううん、まだや」

「今ちょうど怜がセーラを試着室に押し込んどんのやないかな?」

「…へー、セーラさんを」

「試着室見に行く?」

「行きませんよっ!」

あはは、ざんねーん。と、笑う竜華さん。

なんだろう、この人の最初のイメージもだんだん崩れてきた。

仲良くなった証拠というやつだろうか。

…はて、仲良くなれるような行動したっけな。

「…それにしても」

「ん?」

「買い物中なら、何でこっち来たんです?」

「そりゃ…須賀君が余りにも寂しそうに空を見上げとったから…」

もしかして、それで俺を励まそうとしてくれたのだろうか。

なんて良い人なんだ。

「さっきの仕返しに、誂いに来たんや」

だろうね。そうだよね。

まぁ正直どんな目的であろうと誰かと話せることで結構救われたのも事実。

「それにしても…怒ってないんですか?さっきの事」

気になることは、これ1つ。

許してくれたのだろうか。という疑問。

りゅーかは可愛いなぁ




「もちろん、怒っとるで?」

全く目の笑ってない笑顔。

「…ですよねぇ」

当然だろう。

むしろこうやって話してもらえることが奇跡と言うべきだ。

「…ただ」

少しだけ、頬を緩めて。

「…ただ?」

「怜が君に懐いた理由が、少しわかったわ」

「…えー…」

わかったのか。あれでわかるのか。

「…一体何が理由なんでしょう」

「んーと………せやな…」

顎に指を当てて考える竜華さん。

「あれや、君アホやろ」

「………ワッツ?」

驚きの余り英語になった。

いや、確かにアホだけど。今までの行動を振り返るとそうとしか言えないけど。

流石に面と向かって言われるのはキツイ。

「…あ、うーん…その、いい意味でな!」

何だいい意味って。いい意味のアホとかあるのか。

…わからん。竜華さんがわからん。

「…ま、ええか」

「じゃ、ウチは買い物戻るわー…そのポカリ、飲んでええでー」

「…ど、どうも」

「荷物持ちよろしくなー」

「……はい」

手を振って、去っていく。

色々とまだ聞きたいことはあったけど…別にいいか。

ポカリ貰えたし。うむ。我ながら単純である。

「…………あ」

そういえば麻雀の件を聞こうとしてたのを忘れていた。

…次荷物持ってきた時に聞いてみるか。

どうか、それまでにステルスが解除されますように。

……しかし、暑い中で飲むスポーツドリンクは美味い。

りゅーかわいい



買い物編。今日はここまでです。

イチャイチャさせたかったけど書き方がわからんかった。というお話。

短くてごめんなさい。次回、出来るだけ早くやります。

それでは。

おつー

りゅーかわ

りゅーかがヒロイン過ぎてトキの立つ瀬がない


りゅーかわかわ

おつー
怜はこれからやから

乙二人ともちょろすぎワロタwwww

おつー

りゅーかのヒロインオーラがパないの!

そら(イケメン高身長福山ボイスで囁かれたら)そう(チョロくも)なるよ

乙!

今回は怜ちゃん目立てへんなー

おつ

りゅーかわいい

竜華はチョロインという風潮
千理ある
千里山なだけに

審議中…

結果、宥姉が寒がってるので火あぶりの刑

宥姉の暖になるこんな幸せな死に方はあるまい

宥「>>187が燃えてる~。あったかー~い」

どうして導入~中盤が書けないのだろう…。

ネタ浮かんだ時に最初と最後だけしか考えない思慮の浅さが原因だろうなぁ…。

というわけで、今日は投下じゃないんです。紛らわしくてゴメンナサイ。

実は、当初の予定だと怜√一本なのですが、竜華√も作ったほうが良いんでしょうか?

思ったより竜華ちゃんが真面目にヒロインしてたのが原因。

ギリギリからだと絶対構想浮かばないので、今のうちに聞いておきます。

…こんな事にレスを使うのも心苦しいのですが、最後の最後で「あ、無いよー」と言うのもアレなので。ごめんなさい、本当に。

寒がってる宥姉のために湯たんぽを作ってあげたい。

その湯たんぽの中身を冷水にしておいて暖かいと思って包まった宥姉をびっくりさせたい。

怜√終わらせてからモチベーションあったらやる、ぐらいでいいんじゃないかな

怜優先で余裕あるなら竜華もオナシャス

両方やってもええんやで

>>194でいいと思うよ

>>194 に同意だよー

意見ありがとうございます。

では、>>194みたいな感じでやってみようかと思います。

多分明日続き投下します。すいませんでした、突然。

おつ
まってるでー。あとそんなん気にせんでええで

イッチ忙しいんやろねぇ…
体壊したりしてないといいけど


時間空いてしまって本当に申し訳ないです。

何とかキリのいい?所まで行ったので続きをば。

ささっと終わらせたいものです…。

キタデー



「……あの」

「ん?」

「んー?」

「なんや?」

三者三様の反応。

あの後とりあえず許され、会話の輪に入ることが出来たので、麻雀の件を尋ねてみることにした。

「皆さん、麻雀の全国大会で来てたんですね」

「ありゃ、知っとったん?」

と、怜。

「いや…ちょうどついさっき、試合見まして」

凄かったですね、皆さん。

そんな俺の言葉に、少しだけ怜が頬を緩める。

「へー…そうなんや」

そう言って、少し考え、竜華さんが続ける。

「あ、もしかして須賀君も麻雀で東京に?」

「はい、実はそうなんですよ」

……女子の雑用係ってことで付いて来ただけですけどね。

それを言葉にする前に、セーラさんが言う。

「え?マジ!?」

「え、ええ…その、雑y」

「な、な!じゃ、一回打ってみようや!」

「え!?」




「男子の全国プレイヤーと打つ機会ってのも中々無いし…」

何より、男子はレベル高い言うしな!嬉々として言葉を紡ぐ。

「あ、いや…俺はざt」

「私も興味あるなぁ、京太郎くん」

「ウチも一回打ってみたいなー」

……残る2人も食いつき、すっかりその気になって。

今更、いやー俺あれっすよ雑用で麻雀はからっきしなんすよー。と言える空気では無くなった。

…こうなったら覚悟を決めるしか無い。

何、麻雀なんて所詮は運。天和だって33万分の1さ。

いくら怜達が全国プレイヤーでも、100%勝ち続ける事は不可能。

…おお、そう考えると行ける気がしてきた。よっしゃ、やってやるぜ俺!

「……ふふ…」

とりあえず無駄に不敵に微笑んでみた。

「…京太郎くん?」

「いいぜ、怜…打ってやるさ」

「え?な、何かまた態度変わってへん?」

「……ま、せいぜい後悔しないことだな」

「…う、うん…」

何か怜がビビってる。効果は抜群だな。

「……これは、中々期待出来そうやな」

「簡単に負けたらアカンで、セーラ?」

「バーカ、誰に言うとんねん」

他の2人も本気で来るようだ。

…ふふ、相手にとって不足なし。ってやつだな。

そうして、俺達は雀荘へと向かったのであった………。



――――――――

――――――

――――

――



「………京太郎くん」

「………須賀君」

「………京太郎」

「……すいません、マジですいません」

冷めた空気。

あっさりと剥げた化けの皮。

3回やって、3ラス。

ちなみに他の3人がトップ1回ずつ。

…3戦連続焼き鳥。これはいくらなんでも不名誉すぎる称号だ。

後半になっていくにつれ、他の3人のやる気が下がっていった事が容易に把握できた。

だが…全国レベルというのは、本当に高い。その事は実感できた。

「……うん、アレや…京太郎くん弱いわ」

「うっ」

怜に言われた。何か傷つく。

「…本当に男子代表なん?」

おそらく違うとわかっているであろう、そんな口調の竜華さん。

「…その、女子の雑用で付いて来ただけです」

「ま、そんなとこやろなぁ…ちーっと、その…何というか、拙い部分が多かったもんなぁ」

竜華さんの優しさなのだろう。

弱いという言葉を必死に隠す言葉選びをする。

だけど、こういう場合はむしろはっきり言ってくれたほうが良い。怜のように。

…どうせ、隠したその言葉などわかってしまうのだから。

あーあ、つまらんつまらんー!と、隣でセーラさんが騒いでいる。

そう、こういう風に直接的に表現してくれたほうが、幾分かこちらの気持ちも軽くなる。

気を遣わせる事ほどに心苦しいものはないのだ。

…本当に、申し訳ない事をした。

さぞかし暇な時間を提供してしまったのだろう。



「…にしても、酷い打ち方やな」

セーラさんが俺の倒牌した最後の手牌と河を見て言う。

「しょ、初心者なもので」

言い訳に過ぎないとわかっていても、つい出てしまう言葉。

「アホ、そういう考えがアカンのや」

呆れた表情で。溜息一つと共に。

「…え?」

「初心者やから、出来んでも仕方ないとか…上級者になら、負けるのも当然とか」

「そういう考えじゃ、何時まで経っても進歩できんわ」

「…………」

何も、言い返せなかった。

いや…言い返したかった。

けど、俺には何も言えなかった。

「……ったく、無駄な時間使ってもうたわ」

「…じゃ、竜華、怜、オレは先に帰るで」

「あ、ま、待って、セーラ!」

吐き捨てるようにそう言って、セーラさんは帰っていった。

その後を追って竜華さんが駆ける。

…1人、残された俺。

今回ばかりは、何の言い訳も出来ない。

ああいう冗談は、本当に言うべきではなかった。

…本気で、真剣に麻雀に取り組んで来たセーラさんが、怒るのも無理は無い。

きっと期待していたのだろう。強い相手と戦えると。

…言い訳も、我ながら最悪だった。

「……はぁ」

深く、深く溜息をつく。

…あんなこと言うんじゃなかった。そんな後悔が今更ながら俺を包む。

「……ぷぷ、怒られとんやん」

………………ああ、よく考えたら1人じゃなかったわ。



俺の横には深々と椅子に座って、物凄い馬鹿にした表情でこちらを見る怜がいた。

「……お前なぁ」

笑い事じゃ、そう言おうとしたところで、思わぬ言葉に遮られる。

「…ま、別にそんなに気にせんでええんやないの?」

笑みを消して、穏やかな…最初に会った時のような顔で。

「…気にしないって…さっきのは、俺が…」

「……いやいや、ちっとセーラもあれは頭固かったわ」

「私みたいに、うっわ弱っ!て思い切り笑えば良かったねん」

「……でも、…」

「………セーラが言ったことは、気にせんでええと思う」

「……え?」

「…初心者は、出来んことがあって当たり前やし…セーラみたいな奴に敵うはずあらへん」

「少なくとも、私はそう思うで?」

ま、セーラはちっと、別格やからなー。少しだけ、こちらを窺うようにして。そう言った。

それはさっき俺が言い返したくて、言い返せなかった事。

…ああ、そうか。

コイツは、俺を慰めようとしてくれているのか。

…なら、もっとわかりやすくやれよ、不器用な奴め。

「……そっか…」

「うん、せや」

「……私だって………」

怜の顔が、曇る。

「…どうした?」

「…ん…、いや、何でもないで」

今浮かんだ思考を打ち消そうとしているのか、頭を左右にブンブンと振る。



「…さ、りゅーか達に置いてかれてもーたし…」

一転して無駄に元気な声で。ただし姿勢は椅子にもたれたダルそうなポーズのまま。

「さっさと追いつくで!」

「……運べばいいのか?」

「ご名答や」

ふふん、と鼻を鳴らして答える。

「…はいはい、わかりましたよ、お姫様」

「丁重に扱うんやでー」

「…わかったよ」

…悔しいが。

先程の気持ちは、かなり晴れてしまった。

まだ問題は解決していないというのに。

「……何や、じーっとこっち見て」

それはきっと、コイツのおかげなのだろうな。

主人に元気づけられる奴隷というのも、滑稽なものだ。

…もうコイツがこの設定を忘れていそうではあるが。

「…いや、ちゃんとセーラさんに謝らないとな、って」

「うんうん、きっとすぐに許してくれるわ」

セーラはさっぱりしとるからなー、何て言って笑う怜。

「…………ありがとな」ボソッ

「…ん?何か言うた?」

「……何でもねぇ」

「…?」

…全く。感謝の言葉も、まともに言えないとは。

不器用なのは、どっちなんだか。


短い…、超短い。

明日また続き投下するんで許してくださいオナシャス!

そんなわけで、ごめんなさい、今日はこの辺で…。

乙ー

おっつおっつ

おつやでー

乙なのよー


怜は弱者の視点になれるから京太郎とは相性いいな

乙やでー

乙ー

乙ー


何、大切なのは量よりも継続することさね

>>1

なるべく間を空けないで投下してくれるなら、それだけでありがたいよ

京太郎sageというよりセーラsageになってるのがちょっと気になった
多分一方的に打とう打とうって言って、打ったら罵倒したってのがかなりイラッと来るんだな

というかそもそも謝る理由があるんだろうか
「初心者を言い訳にして申し訳ない」にせよ「弱くて申し訳ない」にせよ、
打った相手に言うべきことだろうか、と思うんだが
これが部の仲間なら謝るべきだけど、赤の他人やんけ

最近○○sageとかageとかいうどうでもいい事語りだす奴増えたな

まあよく知らねー他人にここまでボロクソに
言われる筋合いはねーよな

何も無条件で麻雀をさせているわけではない
我々も「この面子で麻雀していただけないでしょうか」と事前にお伺いを立てている
どういった面子で麻雀するかという決定権は須賀京太郎さんサイドにある
その上でご自分の意志で麻雀していらっしゃるのだからすなわち責任は須賀京太郎さんサイドにある
なぜ我々が責められなければならないのか
なぜ我々が須賀京太郎さんに謝罪せねばならないのか
むしろ大沢たかおさんこそが我々に謝罪すべきではないだろうか

なんだ大沢たかおが悪かったのか

なんもかんも大沢たかおが悪い

ちょっと待てなぜ大沢たかお!?

まぁ展開に色々文句があるんはしゃーないです。むしろ無いほうがおかしい(断言)

そして只今寒さにやられてましてちょっと厳しいです、土日にはなんとかしますんで許してください。

生存報告おつ

ノロとか流行ってるからきーつけてな

ノロはきついぞ.....(現在進行形での感想)

寝ろ!

お大事になー
ウイルスわんさかだから気を付けて

イッチの体調が心配だ
一見病人のトキがりゅーかに依存しているように見えるけど実はりゅーかの方がトキに依存してる
この二人は不思議な関係だ

共依存って病気があってだな

共依存(きょういそん、きょういぞん)とは、 自分と特定の相手がその関係性に過剰に依存する、その人間関係に囚われている状態を指す。
一般的に「共依存」と言うと、病的な人間関係などを指すことが多い。共依存者は自己愛・自尊心が低いため、相手から依存されることに無意識のうちに自己の存在価値を見出し、共依存関係を形成し続けることが多いと言われる。

極端な話りゅーかが死んでもトキは生きていけそうだけど
トキが死んだ場合りゅーかは後を追いそう
そんな感じな2人の関係

なお咲の世界における主な発症者は新道寺のリザベーションコンビのことを指す(無知)

生存報告と投下予告…?です。

年末忙しすぎて中々時間取れず、間が空いてしまいました、すいません。

多分きっとなんとか続きを明日投下したいです。

把握なのよ
待ってる

年末ならしょうがない
まっとるで~

把握したのよー

年末だからね、仕方ないね
待ってるよ~

把握した
楽しみやわ。

把握ですー
まってまーす

なんか遠い昔に淡は京太郎の妹的なあれをみたなあって

誤爆。すみません

生存報告は良いんだが、期待させるような投下予告はやめたほうがいいんじゃない?

適当なこと言うくらいなら書き込まなくていいよ
変に期待させんなや

生存報告は欲しいから書き込みは必要だろ。なにいってだ

まーた読者様か

もうダメだろ・・・

こんだけで読者様とか信者キメェ

まあ不誠実ではあるわな

まあ期待させる方もダメだと思うが、この程度でキレる方はもっとアレだわ

アンチの基準がゲシュタルト崩壊

やべ誤爆

安易な投下予告はやめてと言ってるだけなのになんで生存報告までやめてと解釈してるんですかね

まー投下予告を見てうきうきで全裸待機してたならキレるのもしゃーないが
別に250ぐらいならいいとして251みたいな言い方は角が立つからやめとけってことだよ
言わせんな恥ずかしい

生存報告をするのはいいが投下予告をするだけして音沙汰なしってのはどうかと思うって話だよ

何か間違ったこと言ってるか?この程度の事書き込んだだけで読者様とか言われんの?信者怖いわ

何か喚いてるのがいるが続きが読みたいのは確かだな
忙しいなら仕方ないが

どうでもいいからみんな黙って下さい

いつまでもくだらんことでス消費するなよ

正論突き付けられて震え声でそんな事言っても滑稽だぞ?

実生活が忙しいのは伝わってんだから、つまらんいちゃもんで無駄レスするなよ
投下があったかと思っただろうが

目欄も見えねーのか?

これ>>1が見たらモチベ下がる状況かもな
めんどくさいのは徹底スルーでいいじゃん、一々相手してたら無駄にレス増えるだけだし

ほんとごめんなさい、投下詐欺して。

仕事が思った以上に忙しかったです。

さらにこれから実家に帰らねばならないので、まだもう少し時間がかかります。

申し訳ありません。なるべく早く更新します。

あいよー待ってるー無理すんなー

待ってるでー。無理せんようにねー

無理なら無理と言うのも大事ってことだな
まあ年末だしゆっくり待つ

まーこの時期は皆忙しいし気長に待っとるで

年末年始多忙で次は年度末で忙しくなりそうだな
再開は4月ごろ?

2月はどこに消えたんだ

星ゅ

これってほんとに更新するの?

大体いつまで待てばいいのかの報告はなしか?
続き書けないようだったら終了報告したら?

報告から一ヶ月も経ってないだろ

ホモはせっかち

きっと君は来ない~♪

>>282
あと11か月早い!

まぁ他の話題で盛り上がろうぜ

ぬるるっと

続きが無理なら受験終わった後乗っ取る!

>>286
ローカルルール読んでこい

>>286
別のを新しくスレ建ててやればいいんじゃね

導入が素晴らしかっただけに惜しい

パンツ脱いでずっと待機

>>286
頑張れ

別の人が書けば別のSSになるだろうな
少なくともこのスレで書くのはルール違反だがな

ヤバイ忙しい。2月初週くらいにはなんとか…なんとか…

>>286 今年の受験はスピンスピンスピンの話をよく聞きますね、頑張ってください

待ってますぜー

把握したのよー
私生活第一に考えてくれ

おk
舞ってるでー

おお生きてたか、嬉しいぞ
待ってるよー

無理はいけないよ!気長に待ち待ち

投下詐欺と期待詐欺はやめてよね

まだ初週やろいい加減にしろ

あと3日!あと3日!

待っとるでー

もう落とせよww

1の得意技発動だな

まだだ・・・!!
まだあきらめてはならない!!
諦めたらイッチは帰ってこない!!
みんなで待つんだ・・・!!
そして、来たら笑顔で迎えてやるんだ!!


そろそろバレンタインデーだな。小ネタの季節だな(棒読み)

ネタで言ってるんだよな?





来いよ作者
そして生存報告と謝罪と言い訳をするんだ

おれは開き直りを要求する!

気長に待とうじゃないか

生存報告以外の本編投下から2ヶ月経ってるな

html化の対象になるスレは生存報告から2ヶ月以上

1はほんとうにグズだなww

決算とか忙しいんだろうなあ…(小声)

読者様多過ぎ

どれだけかかってもいいし、投下も気が向いたらでいいから、完結してほしいな
戻ってきづらいだろうけど、もともとss速報にいたひとは待つの得意だしさ

こんなきもい糞ゴミSSもう書かなくていいよ
>>1
生存報告もいらないからな

もう春休みの人が出てきたの?

変形文入ってないのにsagaしてるツンデレが居ると聞いてきました。

待つよ

まってるでー

あと3日ないな…

今日まで……

あれ?

落ちる前記念カキコ

なぜ落ちてないんだ…?

酉付けずに>>1が書き込んでたのか??

スレの処理なんぞまとめて何日か毎にしかやらないからな

きっちり2ヶ月で落ちる訳ではない
1月30日が確認できる>>1の最終レスだから
作業が行われるまで残ってる ただそれだけのこと

記念パピルス

乗っ取り建て直し期待

続き待ってる

導入はよかったのになぁ

ざんねん

まだ更新ないのか……

期待していただけに残念
1は糞屑

単純にやる気なくしたんじゃねーの。お前らがギャーギャー騒ぐから
1も色々忙しいみたいだからそれ位分かってやれ

単純にやる気なくしたんじゃねーの。お前らがギャーギャー騒ぐから
1も色々忙しいみたいだからそれ位分かってやれ

どんな理由でも構わないから報告くらいはしてほしかったな

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