女騎士「もう決めたんだ!私は……」(620)

家族での晩餐中

父「ダメだ、絶対に許さん」

女騎士「何故ですか、父上!」

父「……娘よ、お前の気高さと強さは認めているつもりだ」

女騎士「でしたら、何故!……山賊討伐への参加に、反対などと!」

長兄「許せない事情がある。お前はまだ分からんだろう」

女騎士「仰ってください!私の腕を疑うのですか!?」

次兄「………そうではない。お前の剣は、山賊に決して遅れは取らぬだろう。だが……」

女騎士「何が問題だというのですか!私は……」

父「……犯される」

女騎士「命など、惜し……み……は……?」

父「確実に犯される」

女騎士「ち、父上……何を!?」

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父「お前はまだ知らぬだろう」

長兄「……なぁ。お前は強い。それに美人だ。流れるような金髪に、宝石のように蒼い目。肌は白磁のように滑らかで、切なく美しい」

女騎士「あ、兄上……いきなり、何を……/////」

次兄「困っている者に手を差し伸べる優しさと気高さまで備えていて、凛とした佇まい」

女騎士「……つまり、何が言いたいのですか!」

父「ダメだ。もうダメ。女騎士が山賊退治に行くとか、もうダメ。フラグすぎて」

長兄「アウトですよね、父上。もう見え見えすぎて」

次兄「強さがどうとかいう問題じゃないね。犯されない訳がない」

女騎士「は?」

長兄「いいか、まずお前が山賊退治に行くだろう?」

女騎士「は、はぁ……」

次兄「最初は調子がいいかもしれないが、悪辣な罠にかかって討伐隊は全滅、あるいは捕縛される」

女騎士「…………」

父「そして、その中に美しく、穢れを知らない誇り高き『女騎士』がいる。もうこの時点で終了のお知らせだ」

長兄「俺には見えるね。代わる代わる犯され、全身を白く染め抜かれて腹はボテボテ、濁った眼で放心し」

次兄「大股開きのあられもない姿で、ごぷごぷと秘所から山賊どもの精を泡立たせて吐き出すお前の裸身」

父「そしてお前に思いを寄せていた縛められた若き騎士は、歯を食いしばり、涙とともに殺意を籠めて山賊達を睨みつけるのだ」

女騎士「……話は終わりましたか?」

父「一応は」

長兄「っていうか父上、最後のそれはどうなの」

父「え、ダメ?」

長兄「いやー、NTRとかぶっちゃけ好みじゃなくてさ」

次兄「うん、僕もどうかと思うな、それは」

父「……そうか」

次兄「どうせなら、山賊の頭領のモノを咥えながら、とろんとした目で童貞の騎士を見てほしいね、妹には」

長兄「そっち!?」

次兄「頭領の吐き出した精液をごくごくと飲み干して、『あは、はは……美味しい……美味しいのぉ……』とレイプ目で微笑みを浮かべてほしい」

長兄「……やべ、ちょっとキタわ」

次兄「だろう?」

父「なるほど。確かにそれもいい。わき目も振らず騎士道を求めてきた、穢れを知らない若き騎士。
  しかし、その彼が目にするのは、完全にメスへと堕ちてしまった、思いを寄せていた美しい『女騎士』か」

次兄「それも、薄汚い山賊の、強烈に饐えたようなオスの、荒々しい暴力の匂いに完全に屈服して、メスの悦びを……」

長兄「いいぞ、もっとやれ。……あ、ワインくれ」

メイド「はい、只今」

女騎士「……………」

長兄「…どうした、妹よ」グビグビ

女騎士「言わなければ分かりませんか」

父「……あぁ、そうか。お前が、いや何故『女騎士』が山賊に負けるのか、という事かな」

女騎士「その話でもいいですが」

父「まず、分かっている。普通に戦えばお前が勝つ。間違いない」

長兄「だが、山賊は違うぞ。人質を取るかもしれない。お前は、それでも戦えるのか?」

次兄「清潔な騎士の性分は、その逆にある者にとっては付け入る隙でしかない。……まぁ、僕は武官じゃないけど」

長兄「あるいは、武器に痺れ薬を塗っているかもしれない。体の自由を奪われては、もう戦えまい」

女騎士「私は、決して引けを取りません!」

父「……なるほど、それでは、お前が山賊を打ち倒し、人質を救ったとしよう」

次兄「それでもやっぱり、勝てないんだよ。人質たちは、既に山賊の息がかかっているかもしれない」

長兄「逆らえば家族を殺すと、人質も更に人質を取られているのかもしれない」

女騎士「……それは……」

父「悪漢とはそういうものだ。……油断した所を、人質に薬を盛られる、あるいは痺れ薬を塗った刃で切りつけられるかもしれない」

長兄「そしてお前は、朦朧とした意識のまま抵抗もできず服を剥かれ、姿を現した山賊達に裸のままアジトに連れ去られ……」

次兄「そこから先は、もう言うまでもないね。詰みだよ」

女騎士「結局その話!?」

父「お前を思っているからこそだ。山賊退治になど、行ってはならん。山賊に勝てる『女騎士』など、世界のどこにもおらん!」

女騎士「……むぅ。分かりました……父上が、そこまで仰るのなら……」

父「分かってくれたか。私の親心」

女騎士「……それでは、オーク退治になら。確か西方の集落がオークの害に困っていると」


父・長兄・次兄『アウトォォォォ!!!』ガタガタガタッ!

翌日、中庭

女騎士「……なんて事があって、結局、山賊討伐もオーク退治も却下されてしまった」

弟「……仕方ないなぁ、父上と兄上は」

女騎士「何が『女騎士は山賊に勝てない』だ。全く納得いかん」

弟「ああ、いやそこは間違ってないですけど」

女騎士「え!?」

弟「というより、『女騎士』って基本、何と戦っても詰みですよ姉上」

女騎士「………え?」

弟「山賊は言うまでも無く、オーク、ゴブリン、スライム、サキュバス、そしてもちろんローパー。全部危険です。」

女騎士「…………」

弟「大型の亜人種なんて特に酷いですよ?」

女騎士「何故?」

弟「あえて擬音で表現してみましょう。僕、こういうの得意なんですよ」


『メリメリメリメリッ……ブチブチ、ブチィッ!ボコォ!…プシャァァァァァ……』

弟「……なーんて風になりますよ?開きっぱなしです。壊されます」

女騎士「……うちは、いったいどういう家系なのだ」

弟「おへそは規格外のモノを無理やり突っ込まれて無様に出てしまい、突かれるたびに胃液をまき散らし、
  圧迫された膀胱から断続的におしっこがぴゅっ、ぴゅっ、と吐き出されて」

女騎士「説明しなくていい!」

弟「いえ、あくまで姉上の身に迫る危険を」

女騎士「…………我が家の男は、私を何だと思っているのだ……」

弟「ああ、ちなみにモンスターや山賊だけじゃなくて意外な盲点もあって」

女騎士「盲点?」

弟「……『腐敗した領主』パターンです」

長兄「そこまでだ、弟よ」ガサッ

次兄「僕たち抜きで、何の話ができるんだい?」ガササッ

弟「や、兄上方。失礼いたしました」

女騎士「湧いてくるな!帰れ!」

長兄「弟よ、続けるんだ」

次兄「さすがは我が家の男だ。僕は嬉しいよ、君が立派に育ってくれていて」

女騎士「もういいから!職務はどうしたんですか!?」

長兄「ヒマだから早くあがった」

次兄「僕はとっくに終わった。昼から飲むワインは最高だし」

弟「流石は二兄様。……しからば、続けさせていただきますね」

女騎士「続けるな!」

弟「……コホン。では、僭越ですが」

弟「……まず、腐敗した領主の特徴から述べたいと思います。あくまで典型例として」

長兄「うむ、聞こうじゃないか」

弟「…一つ、肥っていること。二つ、脂ぎっている事。三つ、服や装飾品が高そうで、仕立ての趣味が悪い事」

次兄「ありありと浮かぶね」

弟「まぁ、外見についてはこんなところでしょう。民衆から搾取し、私欲を肥やす。ありがちでありながら、
  それでいて極めて理にかなったイメージです」

長兄「あぁ、それと……ものを食べる時、ぐちゃぐちゃと下品に食べるのもある。食べこぼしながら」

次兄「あと、使用人を平気で殴る蹴るするよね。性別年齢問わず」

弟「はい。どちらも欠かせないものです。基本的に、貴族以外はみなブタと思っている節があります」

女騎士「……(ちょっと分かる自分が悲しいよ)」

やばいおもしろい

弟「実際にそういう領主もいるのでしょうが、貴族主義を極端に表現したイメージとしてはかなり的確です」

長兄「8年前にまさにそういう奴が。反乱で殺されて、死体を晒されてたな。あれは同情できなかった。領民GJ」

弟「まぁ、大まかな人物像はこの辺にして。次は、私生活です」

次兄「挙げだすとキリがないものね」

弟「まず、食生活は極めて派手で、快楽主義。食べたいものを食べ、飲みたいものを飲み、
  気に入らないときはすぐにその場にブチまけ、料理人を解雇したりしますね」

長兄・次兄『あるある』

弟「次いで、本題です。基本的に倫理観はなく、眼をつけた領民の女性を連れ去って囲います。
  たとえ誰かの恋人や妻、娘、母親であろうとも。逆らった場合は言うまでもありません」

女騎士「……(まだ続くの?)」

弟「連れ去って何をするかは、もうあえて言うまでもありませんよね」

長兄「まぁ、みなまで言わずとも」

弟「ただ、その扱いは興味深いですね。まず、首輪です」

次兄「ふむふむ」

弟「さらった女性には首輪を嵌めます。場合によっては焼印も。どちらも、所有権を主張するものですね」

女騎士「先ほど言ったように『平民は家畜だ』という思想によるのか」

弟「姉上も興味を持ってくれましたか。その通り、自分がボスだ、と主張するためのアイテムです」

長兄「たいていそういうのは、権力に溺れてて、縋り付こうとしてるんだよな」

弟「異常な嗜虐趣味もセットの事が多いですね。地下室に色んな道具を持ってる場合もあります」

長兄「あるある、三角木馬とかな」

次兄「外せないよね」

弟「で、前置きが長くなりましたが……『腐敗した領主』のイメージは伝わったと思います」

長兄「うむ、オリジナリティはそう無いが、実にいい目の付け所だ」

次兄「将来が楽しみだよ」

女騎士「(……私は、将来が心配で仕方ない)」

弟「そして、これが『女騎士』と絡んだ場合のシミュレーションですが」

長兄「続けてくれ」

弟「まず、謁見した場合。……脂ぎった視線を向けられます。ほの暗い情欲を灯らせた、薄気味悪い眼差しで」

長兄「うんうん」

弟「その後言葉を交わして出ていくも、その視線は離れません。後ろ姿。特に尻からは目を離さず、舌なめずりまで」

次兄「いいねェ」

>>父「ダメだ。もうダメ。女騎士が山賊退治に行くとか、もうダメ。フラグすぎて」

>>長兄「アウトですよね、父上。もう見え見えすぎて」

>>次兄「強さがどうとかいう問題じゃないね。犯されない訳がない」

ここの部分はテンプレにしてもいい

弟「その後、領主から食事に誘われます。前提条件として、『女騎士』と領主は特に敵対はしていません。
  しかし、その薄気味悪さには抵抗を感じているものの、領主からの申し出は断れるはずもなく」

女騎士「……」

弟「食事の間にも、蝦蟇のような、蛞蝓のような、全身をネトネトと這いまわるような粘着質な眼差しは外れない。
  居心地の悪さを感じながらも、食べ進めていくと、体に変調を来します」

長兄「とうとうか?」

弟「ここでは、媚薬と痺れ薬を混ぜたような毒薬を盛られた事にしましょう。
  視界には薄紅の靄がかかったように意識が薄れ、四肢の先端から、じわじわと痺れ、遂には椅子から崩れ落ちてしまう」

女騎士「………」ゴクンッ

長兄「……?妹よ、どうかしたのか」

女騎士「あ、い、いや……何も……」アセアセ

弟「大丈夫ですか?続けます」

弟「目が覚めると、裸のままで首輪をはめられ、領主の寝室に。もちろん手は頭上で拘束され、柵に繋がれています」

長兄「……うむ、イメージできるぞ」

次兄「イメージできるね」

女騎士「私を見るなっ!!」

弟「後は、地獄です。べちょべちょと胸を嬲られ、初めてだったキスも奪われ、舌まで入れられます。
  最後は純潔も奪われ、性行でたっぷりと汗をかいた領主に何度も抱かれ、モノにされてしまいます」

長兄「うーん……想像するだに気の毒だな」

次兄「肥った領主に、汗まみれのまま犯されるなんて。……うーん、酷い」

女騎士「だから私を見るなと言ってるだろ!いい加減に殴るぞ!」

弟「そして次の日。街ゆく人々は、信じられないものを目にします」

女騎士「もういいだろ!」

弟「それは、裸で首輪をはめられ、ムチを浴びながら引き回される女騎士の姿。
  あまりの羞恥にぽろぽろと涙を流しながら、痛みに堪えながら、無様な姿を晒して」

女騎士「……………」

弟「とまぁ、こういう具合に。ある意味、山賊やモンスターより酷いです」

次兄「権力のあるクズ、って最低だよね。多分永遠に変わらないよ、そこは」

長兄「長続きはしないだろうが」

弟「しかも、悪気でやってるのではないのが酷いです。歪んだ貴族主義を持ったまま、
  選民意識に支配されて純真な暴君になる。むしろ、悪気でやってる山賊のほうがマシですよ」

長兄「なるほど、興味深い話だった。次回はぜひ、父上にも聞かせてくれ」

次兄「しかし、やけに熱が籠もってたね」

弟「……あれ、姉上。いったいどうし―――」


ゴツンッ! ガシャァァ! パリィン!


―――――――――

弟「いっ……痛……」ウルウル

長兄「……何で長々語った弟はゲンコツで、俺達はワインボトル……!?」サスサス

次兄「痛っ……しかも頭じゃなく、顔面フルスイングって……僕、メガネかけてるのに……!」ボタボタ

女騎士「知るか!私はもう部屋に戻ります!!」スタスタスタ


長兄「……それにしても、領主の話だけどさ」

次兄「っ……何、だい。兄上」

長兄「……『悩ましい魅力のある、妖しい雰囲気の女領主』ってのもありじゃないか?」

弟「……なる……ほど、確かに」

長兄「さて、その話はまた今度として……本気で痛いから、とりあえず医者に行ってくる。血が止まりそうにない」ポタポタ

次兄「僕も……」ポタポタ

弟「い、行ってらっしゃいませ……お大事に」




勢いで立ててみた
後悔はしてない
立てた以上はダラダラ続けてみる

とりあえずちょっと設定だけ投下して寝ます、おやすみ


女騎士:年齢20歳。生真面目で、もちろん処女。気高い女騎士だが、危機感がない

長兄:騎士武官。それなりに強くて、嫌味なほどイケメンだがかなり残念な人間

次兄:文官。メガネのイケメンで恐ろしく有能だが、やっぱり残念

弟:まだ少年だが、非凡な発想力と分析力は将来を大いに期待され、将来は名軍師とまで言われる。この時点でもう既に残念

父:黙ってれば渋い、歴戦の騎士。「軍神」の異名をとるほどだが、喋るともちろん残念

母:既に他界。もとはある伯爵家の一人娘で、他の家族と比べるとかなりまともだが、それでも残念な部類だった

なんで女騎士だけ残念にならなかったんだろwww

ある日の晩餐

父「……もう一度言え、娘よ」

女騎士「はい。この度、王女を守るために新しく親衛隊を設立するとの事」

弟「ああ、そんな話がありましたね。確か、姉上は既に推薦を受けたとか」

女騎士「腕に覚えがあり、尚且つ、歳も近く性別も同じとの事で。……お受けしたいのです、この務めを」

父「ふむ。……私としては、賛成はできんな」

長兄「俺もだ。……お前では、いかん」

次兄「僕も同感。辞退すべきだ」

弟「………僕も、あまり良い話ではないと思います」

女騎士「今度は何故ですか!?」

父「………決まっているだろう?」


父・長兄・次兄・弟『 犯 さ れ る 』

女騎士「またそれですか!?というか、誰に!?」

父「『誰にでも』、だ」

長兄「そう。王女と歳が近く、姉のように慕われる親衛隊の若き女騎士」

次兄「もう、これはどう考えてもダメだ。絶対に何か起こる」

弟「山賊、野盗、亜人、サキュバス、怪しげな教団、無数の危険性が」

女騎士「あんたらそれしか無いんか!!」

父「……違う」ピシャリ

女騎士「………ッ」ビクッ

父「私達がそれしかないのではない。……『女騎士』には、それしかないのだ」

女騎士「…………」

長兄「仮に、若く熱意のある男の騎士だったなら、その職務はロマンス、更に言えば『許されざる関係』へと昇華したろう」

次兄「だが、『女騎士』はだめなんだ。……なぁ、僕たちは別に意地悪で言っているんじゃない」

弟「そう。……姉上が親衛隊になったら、王女にまで危険が及びます」

女騎士「私の……せい、で?」

父「そうだ。例えば、こういうのはどうだ」

――――――

女騎士『やめろっ……貴様ら、その手を離せ!』

山賊A『ヘヘヘヘ、随分といい身なりしてんじゃねぇか。どこぞのお姫様ってか!?』

王女『いやぁっ…やめて、やめてください!』

山賊B『服も髪も上等じゃねーか。それに、ちぃっとガキ臭ぇが……たまんねぇツラしてやがるぜ』

女騎士『クッ…貴様ら、その方を誰だと思っている!貴様らのような下劣な……』

山賊A『うるせぇ!てめぇは黙ってろ!』ドゴォッ!バキィ!

女騎士『う”ぇっ……!う、ぶぅ……』

王女『や、やめてぇっ!お願いです、彼女に……酷い事をしないで!』

山賊B『あァ?……お嬢ちゃんがキチンという事を聞いてくれたら、考えてやるよ』

女騎士『……良い、のです……私は…どう、なっても……』

王女『……本当に、私が…言うとおりにすれば?』

山賊A『ああ、いいぜ。……そうだな、とりあえず……』ボロリ

王女『!?////』

山賊A『……しゃぶってもらおうか?歯を立てたら、そのアマを殺すぜ?もちろん、できないと言っても殺すからな』

――――――

父「……という目に遭いかねないのだぞ」

女騎士「……なんで食事のたびにそういう話を聞かなければならないのですか」

長兄「お前の身を案じているからだ」

弟「僕たちの気持ちを汲んでくれても良いのでは」

次兄「そうだ。心配しているんだよ」

女騎士「…………」

父「納得できない、か」

長兄「そうか。……なら、次は僕だな」

女騎士「もういいです。諦めますって」

長兄「そうだな……折角だから、父上に続くか」

女騎士「もういいっつってんだろ!!」

――――――――

王女『む、ぅ……ちゅぷ……ふぅ……むぐっ……』

山賊A『ハハハ、うめぇじゃねぇか』

山賊B『おいおい、早く代われよ。もうたまんねぇぜ』

女騎士『貴様らっ……!ただでは、すまさんぞ!』

山賊A『おぉ、怖い怖い。それじゃ、もう出すからよ。待ってな』

山賊B『おー、出せ出せ。…そうだ、こういうのはどうだ?』

山賊A『あ?』

山賊B『ちゃんと飲めなかったらよ、このアマの喉を掻っ切ってやるのよ。こいつのせいで、俺の仲間が随分やられたからな』

女騎士『あっ…!?』グイィッ

王女『ぐむぅっ……!?ん、んー!んぅぅっ!』

山賊A『そいつぁいい。聞こえたか、お嬢ちゃん。頑張んねぇと、大好きなお姉ちゃんが死んじまうぞ?』

山賊B『俺ァどっちでもいいがね。いや、それとも……手足を切り落として、売りとばしちまうのもありだな』

――――――――

長兄「……なんて事になってしまうんだぞ」

女騎士「…なんで、顔色もまったく変えずそんな長々と言えるのですか」

長兄「事実だからだ」

女騎士「…………」

長兄「そして、次はこうなる」

――――――――

王女『ぶ、ぐ…うえぇぇ…げほっ……』ボタボタボタ

山賊A『あーあ、こぼしちまった。……もったいねぇが、あの女には死んでもらうか』

山賊B『おうよ。……それじゃ、約束通り……喉をやっちまおうか』スラッ

女騎士『…………ひ、ぃっ……!』ビクッ

王女『ま、待って!待ってください!』

山賊A『あん?』

王女『の、飲みます……飲みます、から……お願いします……彼女は……!』

――――――――

弟「鉄板ですね。いや、僕としては王女と姉上の立場が逆でも良いです。というかそっちが自然ですね」

女騎士「とうとう『女騎士』じゃなく私になったよ、何この羞恥プレイ」

父「続けろ。お前の力を、私に見せてみよ」キリッ

女騎士「何威厳出してんだよ!話の内容さっきから最低だからな!?」

弟「はい。流れを切ってしまいますが……不肖の身ではありますが、お聞きください」

父「うむ」

弟「では、まず。山賊達は、王女と姉上の正体を知っています」

次兄「ふむ、なるほど」

女騎士「もしかして、これからずっとそれでいくのか?」

――――――――

女騎士『クッ……貴様ら、こんな事をしてタダで済むと……』

頭領『まさか、こんな上物が転がりこんでくるたぁ。なぁ?王女サマ』

王女『……私達を、どうするつもりですか!』

頭領『どう、って言われてもよぉ。箱入りのあんたにはちょいと刺激が強いかな?』

女騎士『ま、まさか……!』

頭領『最近、女がめっきりこの辺りを通らなくてよぉ。溜まってんのさ』ニタニタ

女騎士『げ、下劣な……!/////』

頭領『だが……まぁ、ちょっとは慈悲もくれてやるよ。王女サマはまだガキだしな?俺にはそっちの趣味なんかねェ』

王女『え……?』

頭領『そっちの騎士サマに、俺達の相手をしてもらうのさ。イヤとは言えねぇはずだぜ?』

山賊A『さすがはお頭!話が分かるぜェ!』

山賊B『オラオラ、さっさと脱ぎやがれ!』

女騎士「………う、うぅ……」

――――――――

弟「そして服を脱ぎ、山賊達に凌辱を受ける姉上。それをただ黙って、かたかたと震えながら見ている王女」

長兄「しかし、知らず知らずのうちに内腿を、粘り気のある液体が伝う」

次兄「股の間に不思議な熱を感じ、もじもじと摺合せ、吐息を漏らす」

父「そして、そんな変化を―――頭領が見逃すはずは、無かった」


女騎士「…私だけ拾われてきた子だったりしないかな」

父「何を言っている。お前は、私とあいつとの間に、望まれて生まれてきた可愛い娘だ」

女騎士「娘が無理やり犯される妄想をよくもまぁ語れますね」

父「違う、不純な動機ではない。その証拠に、私達のは全く平常状態だ」

長兄「何なら見るか?」

次兄「心拍も正常だよ」

弟「ねえ姉上、僕たちは、真剣に……」

女騎士「だから、食事中に本人の前でやるなってんだよ!」

父「……ともかく、分かってくれるか?お前の強さを疑うのではない」

女騎士「……私ならば、必ず、王女を守り通す事ができます」

長兄「…今、『守る』と言ったのか?」

女騎士「……?」ピクッ

長兄「……『守る』じゃない。守らなければならないような目に遭わせてしまう事自体が恥なんだよ」

次兄「『起こってから何とかする』のではなく、『起こらないように何とかする』事に尽きるね」

父「王女を守れない事は恥だ。だが、長兄が言ったように――危険を察知できない事は、それだけで罪だ」

女騎士「………私に、危機管理能力が足りないと?」

弟「はい。……僕と二兄様は、一昨日の晩。父上に命じられて、ある実験を行いました」

女騎士「……私を、試したのですか」

父「お前が王女の親衛隊に抜擢されかけていると風の便りに聞いたのでね。これが、何か分かるか?」ゴソゴソ

女騎士「?」

父「……あれ、どこに仕舞った?」ガサゴソ

長兄「父上、これでしょう?」バッ

女騎士「そ……それは……!」

長兄「どうだ。……お前には、この程度のぶふぅっ!!」ゴギィィィッ!

女騎士「私のパンツじゃないかぁーーー!」

次兄「武官の兄上や父上ならともかく、僕たち二人の気配も察知できないんだよ、お前は。寝てるとはいえ」

弟「全くです。ちなみに合わせて四枚盗りましたよ?気づきましょうよ、姉上」

女騎士「返せよ!」

次兄「……いや、もっと早く気付けば返したんだけどさ」

弟「すみません、競売にかけてしまいました」

長兄「最低だな、お前達」ポタポタ

女騎士「お前もな!」

長兄「何を言っている。……俺は、お前を愛しているんだよ」

女騎士「えっ……?」

長兄「愛する妹の下着だ。……手放しはしない。ずっと大事にする。大事な思い出だ」ギュッ

女騎士「少なくともバレたんだから返せよ!!いい話にしようとするな!」

父「話に戻るぞ」

女騎士「どうでもいいから返してください」

父「いいか、お前はこの程度の気配も感じ取れないんだ。危険の匂いを嗅ぎ取れない者に、王女を任せる事はできん」

女騎士「くっ………」

父「これは、あくまで一般論だ。私がお前に厳しくしたい訳ではない」

次兄「……だから、僕と弟も父に賛成。もし僕たちがナイフを持っていたら、その時は反応できたとでも?」

長兄「そうじゃないだろう。言いたくはないが……お前は、まだ未熟なんだよ」

女騎士「………仰る通りです。……失礼いたします」ガタッ

長兄「……あ、ちょっと待て」

女騎士「はい?」

長兄「これは返すよ。……すまなかったね」サッ

女騎士「兄上……」

長兄「……許してくれるか?」

女騎士「……はい、私が愚かでした。この身の未熟、恥じ入るばかりです」

長兄「……いいんだ。お前の、その信念は何より貴い」

長兄「ところで、妹よ」

女騎士「?」

長兄「これなーんだ」バッ

女騎士「そっ……そ、れ……は…」

長兄「今まさにお前がはいてたヤツ」

次兄「おお……あの技が出た!」

弟「相手は斬られた事にさえ気づかないと言われる、あれですか。まさか応用まで……!」ゴクリ

父「我が子ながら、神業だな。……ん、どうした、娘よ」

女騎士「………………」

父「………フフ、面白いな」ボタボタ

長兄「…よかった、今日は蹴りで」

次兄「相変わらず僕だけ顔面なんだけど」

弟「僕には手加減してくれてますね。今日はちょっと痛いですけど」

長兄「……まぁ、心配ない。明日には、もうケロっとしてるさ。水に流してね」

弟「本当、それだけが救いですよ」

父「最近、あいつに似てきたよ」

弟「そう……ですか?僕は、あまり……」

父「強く、育ってくれたよ。……さて、年寄りには堪える。もう寝るよ」

長兄「では、私も」

次兄「僕も。っていうか顔に破片超刺さってる」ダラダラ

弟「大丈夫。明日には治ってます」




本日終了のお知らせ


焦る必要はない

ネタはいくらでもあるんだ
そう、いくらでもな………

寝室

女騎士「…………」

メイド「どうなさいましたの?」

女騎士「食事のたびにネタにされる」

メイド「あらあら」

女騎士「……なぁ、教えてくれ」

メイド「私に答えられる事なら」

女騎士「『女騎士』というのは、そんなに甘美なイメージが?」

メイド「はい」

女騎士「即答するのか!」

メイド「慰めの言葉を求めておりましたか?」

女騎士「……まぁ、うん、多少は」

メイド「……これは、あくまで私の、正直な気持ちですが」

女騎士「うん?」

メイド「お嬢様は、『女騎士』としてだけではなく、十分に魅力的でございます」

女騎士「ヘタな慰めはよせ」

メイド「いえ、本当です。真っ直ぐに伸びた、さらりとした黄金色の髪。まるで純金を糸へと伸ばしたようです」

女騎士「そっ……そんな、事……////」

メイド「その肌はしんしんと降る雪のようで、それでいて暖かく紅が差して。確かな生命力を認めます」

女騎士「………///」

メイド「キリっとしたお顔立ちも。一切の緩みなく、強い意志を感じる瞳」

女騎士「…や、やめろ、もう……///」

メイド「鎧の下の、自己主張を忘れない中々立派なお胸、引き締まった肢体、剣を握っているとは思えないたおやかな指」

女騎士「………お、おい?」

メイド「高く締まったお尻、時折ふわりと漂わせる、上質なミルクのような香り。
    どこか幼い顔に、アンバランスないやらしさを花として添える、やや大きめに膨らんだ艶めかしい唇」

女騎士「ちょ、待て!?何か途中から怪しいぞ!」

メイド「……殿方のモノを咥え込み、涙を流して咽返る姿。その唇からは、赤黒いモノが出たり入ったり……ああ、素敵!」ゾクゾク

女騎士「お前もかぁぁぁぁぁ!!」

メイド「……という訳で、キスさせてくださいませんか?」

女騎士「何を言ってんだこの人」

メイド「一度でいいですから」

女騎士「クビにするぞ」

メイド「…………」

女騎士「な、何だ?急に……」

メイド「…私は、生まれてすぐに両親に捨てられました。幸い持っていた美貌も、とても武器には成り得ず」

女騎士「………」

メイド「育ててくれた男は、私がおよそ10歳を迎えると、売り飛ばそうとしました。裸にされるよりも屈辱的な格好をさせて」

女騎士「………」

メイド「…そこで、旦那様が。お嬢様のお父上が助けに来てくださいました。そして、私を抱き締めて、連れ帰ってくださったのです」

女騎士「…そ、そんな事が……あったのか」

メイド「そして、私に名前を下さって。……お仕事を。生きる意味を、与えてくださったのです。
    それでも、私をクビになさるのですか。……いや、お嬢様が命じるのなら、私はここを去りましょう」

女騎士「…すまない。そんな事があったなんて。……もしよかったら、ずっと………」

メイド「まぁ、超ウソですけど。作り話です」

女騎士「おい」

メイド「こんな作り話に騙されちゃダメですよ。そんなだから『女騎士はすぐ堕ちる』って言われるのです」

女騎士「いったいどこで言われてるんだ。ていうかそんなすぐ堕ちるのか」

メイド「堕ちます堕ちます。ヤラれまくってすぐプライド消えておねだりします」

女騎士「…まさか」

メイド「チャドの霊圧並みにすぐ消えますよ、プライド」

女騎士「変な例えを出すな!そんな頻繁じゃなかっただろ!」

メイド「もう、夜なのですからそんな大きな声をお出しになっては……」

女騎士「……どうして、この家の人間は皆私にツッコミをさせるんだ。喉がもたんぞ」

メイド「突っ込まれる側はお嬢様ですけどね」

女騎士「やかましいわ!」

メイド「ふふふ。さて、おやすみなさいませ」バタン

女騎士「………全く、もう」

メイド「あ、手淫をなさるならちゃんと私を呼んで下さいね」ヒョイッ

女騎士「いいから行けっ!おやすみ!」



明日は早いので、短いがすまん
キャラ紹介を追加して寝る、おやすみ


メイド:有能で美人だが、飄々としていて言動が残念。ある経緯からメイドとなった。女騎士よりちょっと年上。

山賊:対戦相手の場に女騎士もしくは女エルフが存在する場合、+7/+7とともにトランプルと速攻を得る。

とある山 山賊のアジト

傭兵「ねー、メシまだっすか?」

山賊A「うるせぇな、まだだよ。草でも食ってろや」

傭兵「あれあれwwwwwそんな事言っていいんスかwwwww山賊の分際でwwwwwww」

山賊A「オメーはその山賊に厄介になってる行き倒れじゃねぇか」

傭兵「うはwwwwww言われたwwwwマジ返す言葉ねぇwwwwwwwサーセンwwwww」

山賊A「だいたい何でお前行き倒れてんだよ。ボスが拾えっつったから拾ったけどよ」

傭兵「空腹でwwwwwww仕事場にwwwww辿り着けなかったwwww雇い主サーセンwwwww前金うめぇwwww」

山賊A「っつーか腹立つ喋り方だよな、オメーよ」

傭兵「wwwwwww」

山賊A「見てくれだけはいいのがさらに腹立つわ」

傭兵「いや、それはwwwwほら、あれだからwwwwwww」

山賊A「あ?」

傭兵「ファイアーエムブレムでいうとwwwww俺、説得されて仲間になるタイプだからwwwwwwイケメンはイイ奴だからwwww」

山賊A「キルソード持ってて避けまくるやつな」

傭兵「説得される前にwwwwww山賊が拉致った女子供逃がして感謝されたりするのねwwwww心もイケメンwwwwww」

山賊A「仲間になったら頼りすぎて他のメンバーの育成おろそかになって色々悲惨になんのな」

傭兵「それ>>1だしwwwwwwねぇどんな気持ち?ねぇどんな気持ち?wwwwwやり直しっすねwwwwwざまぁwwwww」トントン

山賊A「よせって」

傭兵「それにしてもさwwwwwお前らwwww身奇麗すぎねwwwww体臭とかきつくねーしwwwwww」

山賊A「そりゃオメー、まめに川で水浴びしたり洗濯してっからよ」

傭兵「山賊のwwwwwwくせにwwwwwwお洗濯wwwwwww」

山賊A「いや、常識的に考えてみろ?」

傭兵「何スかwwwwww」

山賊A「体臭きつかったら、人襲うにも獣狩るにも不利だろ……常識的に考えて……」

傭兵「あぁwwwwww匂い消さないと話にならないっスねwwwwwwモロバレwwwwww」

山賊A「そういうこった。っていうか俺は他にも前から思ってた事あんだけどよ」

傭兵「今度はwwwww何wwwwwww」

山賊A「水をむやみに使えないはずの海賊がなんであんなにルックスもイケメンなんだよ」

傭兵「ハゲドwwwwwww水なんて腐らして、食料もロクにねぇじゃんwwwwwwアホかとwwwww」

山賊A「その点俺らは肉も食えるし、山にはいくらでも食える植物生ってるし、パンだって焼けるぜ」

傭兵「テラ健康wwwwwwっつーか山賊が野菜とかwwwwwwwうぇwwwwww」

山賊A「俺たちは体が商売道具だからよ」

傭兵「ていうかwwwwwお前らやたらと料理上手だよなwwwwww」

山賊A「そりゃ、塩も香辛料もキャラバン襲えば手に入るしよ」

傭兵「使うんかよwwwwww」

山賊A「ボスが料理好きなんだよ」

傭兵「ちょwwwwww山賊のボスが?wwwwww料理?wwwwww」

山賊A「いいじゃねぇか、お前だって美味いメシにありつけんだから」

傭兵「そっスねwwwwwwマジリスペクトwwwwwwww」

山賊A「……っていうかうちのボス、マジで怖ェーよな、顔」

傭兵「正直wwwww俺もちょっと勝てる気しないwwwwww六回ぐらいリセット押すと思うwwwww」

山賊A「あーあ、女騎士とか乗り込んでこねーかなー」

傭兵「ちょwwwwwおまwwwww何考えてんのwwwwww」

山賊A「極めて健全だろうがよ」

傭兵「wwwwwwそしてwww俺がwwwwww女騎士助けんのねwwwwww」

山賊A「あー、そっちいっちゃう?」

傭兵「だってwwwww俺wwwwwイケメンだしwwwwwwww俺だってホントはハメハメしたいわwwwww女騎士涙目wwwww」

山賊A「うわ、言っちゃった」

傭兵「健全なんだろ?wwwwwww」

山賊A「ちょっと引いた」

傭兵「何でwwwwww山賊はイイんすかwwwwww」

山賊A「いいんだよ。山賊の特権だ」

傭兵「wwwww酷ッwwwwwwぶははははwwwwwww」

山賊B「おい、メシの準備できたぜ。お前らさっきから何話してんだ」

山賊A「ちょっと特定の職業に対する世間の評価と現実の相違についてな。オラ、行くぞ。イケメンクズ」

傭兵「ちょwwww酷くないッスかwwwwww」

山賊A「お前を正確に表現するとそうなんだよ」

――――――――

女領主「………ふふふ、可愛いわ」

女騎士「…貴様……何を…盛った……」

女領主「大したものじゃないわ。……『サキュバス』の淫水よ。どうかしら?体が燃えるようでしょう?」

女騎士「ふんっ……この、程度……!」モジモジ

女領主「落ち着かない様子ね。……邪魔な鎧は、脱ぎ脱ぎしましょうね」カチャカチャ

女騎士「なっ……!き、貴様!止せ、触れるなぁ!」

女領主「駄目よ、暴れないで。……あら、随分とおっぱい大きいのね。意外ねぇ」モミッ

女騎士「ひゃぁぁっ!?」ビクビクゥッ!

女領主「びっくりしたの?……それとも、敏感なのかしら?」

女騎士「き、貴様がぁ……変な、ものを……!」

女領主「全部私のせい?……違うわよ。あなたの体は、思ってるよりずっとエッチなのよ」チュッ

女騎士「んむっ……!?ちゅ……はぅ……ひゃ、ひゃめ……ろ……っぐ……れろ…むちゅ……」

女領主「………うふふ、ご馳走様。さてと、今度は邪魔な服も脱いじゃいましょうね」

女騎士「はぁ……はぁ……。やめ……ろ……やめ、て……」

女領主「大丈夫。私も脱ぐから、恥ずかしくなんてないわよ」シュルリ


女騎士「……く、そ……見るな…見るなぁ……」

女領主「どうして?…こんなに、綺麗なのに」ボソッ

女騎士「ぅひゃっ……」ゾクゾクッ

女領主「…ふふ、耳元で囁かれるのが好き?」

女騎士「……ふんっ……何を、バカな……」

女領主「………」かぷっ

女騎士「いひゃぁぁぁぁんっ!!」びくぅっ!びく、びくん!

女領主「やっぱりお耳が弱いみたいね。さてと、次は……どこが、いいかしら?」

女騎士「……イヤ……ぁ……もう、放して……」

女領主「まだ何もしていないじゃない。……夜は、これからよ。……離れられなくしてあげる。そうだ、私のペットにしてあげるわ」

女騎士「…やだ…やだぁ……」

女領主「身も心も私のものになるまで、いくらでも可愛がってあげる。……ふふ、あははははははっ!」

――――――――

長兄「なーんて展開もいいな」

弟「山賊でも、腐敗した領主でもなく、力では劣っているはずの女領主に穢される。確かに、素晴らしいものがありますね」

長兄「うむ。強く凛々しい『女騎士』が謀略にハマり、正反対のなよやか、かつ艶やかな婦人に堕とされる」

弟「感動さえ覚えますね」

長兄「……それはそうと、弟よ。それは何を描いてるのだ」

弟「…あ、これですか。今の話を絵で表してみました」

長兄「……ほう……これは、中々……」

弟「ポイントは、表情です。薬を盛られて朦朧としながら、与えられる快楽に抗えず、受け入れていってしまう堕落の過程」

長兄「実にいい。流石は弟、才を感じるぞ。ただ……少し、惜しいな」

弟「?何か、不備が?」

長兄「ここだ。……我が妹には、左鎖骨下から乳房の上部にかけてホクロがあるんだ。このあたりに」ビシッ

弟「あっ……!も、申し訳ありません!失念していました!」

長兄「それと、右脚の付け根にも小さめのホクロがある。それ以外はとても素晴らしい」

弟「……まだまだ、未熟」

長兄「いや、むしろそなたの歳にしてこれは見事。この美しく柔らかく切れ込んだような『へそ』の表現は秀逸の一言。ペロペロしたい」

弟「……恐縮です」

長兄「……それにしても、遅いな」

弟「二兄様も姉上も、今日は遅くなるとか。この絵を見られるパターンかと思いましたが」

長兄「…最近、妹が冷たいな」

弟「何故でしょうね」

長兄「……まぁ、そういう時期もあるだろうさ」

弟「不思議ですね」

長兄「まったく、不思議なものだ……」

弟「………不思議ですねぇ」








明日は早いんだpart2

ファイアーエムブレムほど酷い外見カーストは無いと思うね

おやすみなさい

きちんと血は繋がっているさ
ただ、彼らはちょっとだけシスコンでほんの少し女騎士萌えなだけなんだ


空いてすまない、続ける

長兄「それで、思うのだよ。『女騎士』は極めて貞淑であるべきだと」

弟「……今日は随分と大人しいのですね?」

長兄「うむ、そういう日もある。三年に一度くらいはな」

弟「…そういうものですか。貞淑というより、極めて堅い、という方が近いのでは」

長兄「脇目も振らず剣術に打ち込み、半ば女を捨てて『騎士道』に拘泥する。そこに魅力があると思うのだ」

弟「なるほど。それが故に、自らが『女』である事を意識させられ、『女』にされてしまった時の破壊力が増すと」

長兄「その通りだ。事実そんじょそこらの男には負けず、自らの力に自信を持っていればいるほど良い」

弟「落差、というか……現実を急激に認識させられるのですね」

長兄「つまり、平素の振る舞いこそ、『女騎士』の真価を問われるのだ。堕とされる過程、堕ちた後、それは後付けにすぎない」

弟「ふむふむ。……では、こういうのはどうですか?」

長兄「ほう?」

弟「舞台は、舞踏会。乗り気では無かったものの、立場上欠席する事も許されず、着慣れないドレスを着て出席して……」

――――――――

女騎士「……こ、こういう服は……着慣れてないんだが……おかしい、か?」

男「いや。すごく、綺麗だよ。お姫様みたいだ」

女騎士「ば、莫迦者!そんな……!////」

男「本当さ。……一曲、踊ってくれないか?」

女騎士「…え、と……すまない、私は……その……踊れない、んだ」

男「…大丈夫。俺がリードするよ」

女騎士「……私で、本当に……いいのか?」

男「ああ」

女騎士「…私なんかで、本当に?」

男「…君と、踊りたいんだ。……イヤなら、無理にとは言わない」

女騎士「い、イヤじゃない!イヤじゃ、ない……が……」

男「なら、行こうか。……大丈夫、俺に任せて」スッ

女騎士「……ああ。……その……よろしく」ギュッ

――――――――

長兄「肌を大きく曝け出す、甲冑とは正反対のドレス。自分に似合っているかどうかが心配になり、自信が持てない」

弟「しかし内心では、綺麗なドレスに身を包み、煌びやかな舞踏会の雰囲気に、心躍ってしまっている訳です」

長兄「そうだ。堅物で甘え下手な性分ゆえに、素直に感情を出せない訳だ」

弟「想い人にダンスの誘いを受けても、つい不自然な態度を取ってしまうと」

長兄「本当は嬉しくてたまらないはずなのに、な」

弟「……実際の性行為でなくともここまで妄想を掻き立てるとは」

長兄「『女騎士』は、素晴らしい存在だ。もし神がいるとしたら、恐らく神からの贈り物だ」

弟「……ところで、兄上」

長兄「ん、何かな」

弟「……『女騎士』は、やはり処女であるべきでしょうか?」

長兄「ふむ。……俺個人としては、こだわりはない。処女であるかどうかなど、些末なもの」

弟「おや、意外ですね」

長兄「ちっぽけなプライドに踊らされる者は、処女以外認めないそうだが。思うのは自由だが、口にしてはいけないだろう」

弟「ほほう」

長兄「確かに純潔は尊い。だが、絶対ではない。……そもそもおかしいのは、何故有難がっているだろう『純潔』を奪いたがるのだ」

弟「それは……征服欲、あるいは一種の信仰に近いのでは?」

長兄「信仰というなら、それは恥ずべき『邪教』だ。純潔を『護り、尊ぶべき存在』ではなく、
    『奪い、自分自身を満たす存在』と認識するのはな」

弟「なるほど……。確かに信仰というなら、聖なるものとして崇め、穢そうとはしないでしょう。少なくとも、婚儀を終えるまで」

長兄「ともかく、俺は処女性に興味は無い。その程度で、心を変える男ではないつもりだ。……しかし」

弟「しかし?」

長兄「……『女騎士』なら話は別というもの」

弟「一瞬で覆りましたね。ちょっとカッコよかったのに」

長兄「兄を見損なったか」

弟「いえ、それでも尊敬しております。しかし、『女騎士』の場合だけは処女であるべきだと?」

長兄「そうだ。『女騎士』だけは処女でなければならん。例えこの世のすべての純潔が失われようとも」

弟「そこまで言いますか」

長兄「しかし、話は変わるが」

弟「今度は何です、兄上」

長兄「最近妹が可愛くて仕方がない」

弟「同感です」

長兄「自分でも、『ちょっとだけ行きすぎかな?』と思わなくもない。ちょっとだけな」

弟「いえ、まだまだ常識の範囲内かと」

長兄「そう言ってくれると嬉しいよ」

弟「ところで……ここだけの話にしてくださいますか?」

長兄「我が名に、我が家の名誉に懸けて、秘密は守ろう」

弟「……姉上ですが、朝の訓練の時は、後ろで髪を束ねますよね。ポニーテールに」

長兄「あれはいいな。特に毛の薄い、白い首筋が露わになるのがたまらない」

弟「当然、訓練しているのですから汗もかきますね。頬が赤く、息が荒く、髪も乱れて」

長兄「なるほど、その姿に興奮したと?」

弟「いえ、少し違います」

長兄「流石、一筋縄ではいかんな」

弟「……実は、その。………訓練で汗をかいた姉上の、うなじの匂いを嗅いでみたいのです。一度だけ」

長兄「…なんだ、秘密にするほどではないだろう?」

弟「そ……そう、ですか?……自分でも、少し……変かな、と思ったのですが」

長兄「俺もさ。うなじの匂いをくんくんしたい。汗まみれのな。……それで、『や、やめてください……兄上///』なんて言われた日には」

弟「……!」

長兄「甘ったるく湿った、立ち上るような汗の匂いと熱気。……きっとそれは天界の、楽園の花のような香りに違いない」

弟「……兄上!」スッ

長兄「弟よ!」 ダキッ

メイド「麗しい兄弟愛ですわ……」グスッ

長兄「何だ、見ていたのか」

弟「僕は、幸せです。こんな良い兄上がいてくれて」

長兄「はっはっは、よせ。照れるじゃないか」

メイド「良いものを見させていただきました。……ああ、何と美しい……」グスグス

長兄「よ、よせと……言っているじゃないか……//」

メイド「それはそうと、そろそろお嬢様方がお戻りになられるかと。……それは?」

長兄「ああ、我が弟が描いたのだ。中々に巧いだろう?」

メイド「差し出がましい事とは思いますが、一つだけ」

弟「?」

メイド「……お嬢様には」

長兄「?」

メイド「…………生えていらっしゃいません」



長兄・弟「 ! ? 」




長兄「え、ちょ。おま……?」

メイド「そうです、…おま○」

長兄「ま、待て!その先は言うな!弟がいるだろうが!」

メイド「失礼いたしました」

弟「……え、えぇぇぇぇぇー……?」

長兄「それにしても…はー……20歳、でか……?」

弟「ちょっと……それは……」

メイド「私も驚きました。驚きのあまり、知った晩には指が捗りましたわ。軽く8回は」

長兄「……見たのか?」

メイド「この目で、しかと」

弟「ど、どういう状況で……?」

メイド「お召し替えをお手伝いした時に」

長兄「……うーん」

メイド「生えていた方がよろしかったでしょうか?」

長兄「んー……難しい、実に難しいな」

弟「…その、全く……ですか?」

メイド「はい。影も形も」

長兄「……新たな境地だな」

弟「僕は、意外とアリかと」

メイド「私も、お坊ちゃまと同意見です」

――――――――

山賊「何だぁ?お前、まるでガキみてぇな……」

女騎士「や、やめろぉ!見るなぁ!///」カァァ……

山賊「ハッハッハ!こいつぁいいや!ピッチリ閉じた割れ目が丸見えだぜ!」

女騎士「…くぅっ……!」

山賊「へへっ……さぁて、お楽しみはこれから、だな」ボロンッ

女騎士「っ…そ、そんな……汚い、ものを……!」

山賊「汚い、なんて失礼じゃねぇか、えぇ?……今から、お前のツルツルのマ○コを、こいつでぶち抜いてやろうってんだ」

女騎士「や、やめ…やめろ!そんなの入るものか!」

山賊「ああ。もしかすると、裂けて使いモンにならなくなるかもな。まぁ……安心しろ」

女騎士「な、何が…!」

山賊「そん時ァ、残ったケツの穴を使うまでだ。ほら、力抜きやがれ!」

女騎士「あ、あぁぁぁぁ……!嫌だ!やめろ、放せ、放し……!」

――――――――

長兄「うーむ……」

弟「どうです?」

メイド「背徳感をくすぐりますわね」

弟「その後は」

――――――――

ミリッ……

女騎士「ひ、ひぃぃ!やだ、やめろ…やめてくれ!いやぁぁぁぁぁ!」

ミリミリミリミリ……ブツンッ!

女騎士「ひぎっ…!が、ぁぁぁぁぁぁ!抜いてっ……抜いてぇぇぇ!痛い!痛いぃぃ!」

――――――――

弟「ゴリゴリと抽送を繰り返し、内部を荒々しく犯され。鮮血が結合部から流れ出て、その後は―――ぶっ!」ゴィィン!

女騎士「………兄上」ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

長兄「おかえり、妹よ。……ちなみに、今日はどの辺りから」

女騎士「使用人が、私の秘密を呆気なくバラした辺りから」

メイド「あらあら。聞かれてしまいましたわ」

長兄「何、恥じる事は無い。俺も、たった今、無毛の良さを―――がっ!」ドギャァッ!……ドサッ

メイド「…す、すごい……全く、手先が見えませんでしたわ……!」ゴクリ

女騎士「……お前は……」

メイド「わ、私は……?」ドキドキ

女騎士「…………」ポロッ

女騎士「……っ」ポロポロ

メイド「お、お嬢様?」

女騎士「何なんだ……みんな、して……私を…笑いものに……ぃ…」ポロポロ

メイド「…お嬢様」

女騎士「…私、だって……何も…好きで……」ポロポロ

メイド「…お許しください、お嬢様」ギュッ

女騎士「何……を…!?」

メイド「…私達は、お嬢様を軽んじている訳ではありません」

女騎士「……え?」

メイド「…すべては、お嬢様を愛し、敬う故。……お嬢様の魅力を知っているからこそ、時に行き過ぎてしまうのです」

女騎士「…そ、そんな事……で、騙されると…」

メイド「ですから、もう」ナデ…

女騎士「あっ……」

メイド「……泣くのは、およしになってくださいませ」

女騎士「……うん」

メイド「……さぁ、もう日も沈んで参りましたし。お食事の準備をいたしますね」

女騎士「…ああ。済まない、取り乱して」

メイド「いえ、私こそ失礼いたしました。今後は、軽はずみに口を滑らす事はいたしません」

女騎士「分かった。……気を遣わせてしまって、すまない」

メイド「……さ、お食事の準備をして参りますね」



メイド……( 計 画 通 り )」ニヤッ




投下終了

やりたい事が多すぎて収拾つかん

おやすみ

こなさん みんばんわ

投下します、少しだけ
エロは無い

弟「……父上」

父「何だ?」

弟「その…母上は、どのような方だったのですか?」

父「…そうだな。優しい奴だったよ。恐らく彼女を嫌っている者など、誰もいなかった」

弟「そうですか……。僕には、母上との記憶が無いので」

父「…早いものだな。もう、あれがいない生活にも慣れてしまった」

弟「…………」

次兄「おや、何の話をしてるんだい?」

弟「…母上の」

次兄「気になるか。……気になる、よね」

弟「……はい」

次兄「……そうだな。こういう事があったよ。あれは、確か……お前が生まれる少し前だ」

――――――――

市街

物乞い「ねぇ、旦那!少しでいいから、恵んでおくれよ!…ほんの少しでいいんでさぁ」

通行人「うっせぇな、寄るんじゃねェ!」

通行人「消えやがれ、この野郎!」ドカッ!

物乞い「ぐぅっ……!」


母「……まぁ、あの方は?」

次兄「見ての通りです、母上。いわゆる、『物乞い』というものですね。……でも、確か……奴は」

母「まぁ。……少しだけ、失礼いたします」

次兄「……?母上、何を……?」


母「………大丈夫ですか?酷い事をなさいますね……」

物乞い「いやぁ、慣れっこでさ。……それよりあんた、貴族サマかい。俺みたいな奴に優しいこった」

母「…ご家族は、いらっしゃるのですか」

物乞い「…親の顔なんて知らんね。カミさんはガリガリに痩せて死んで、ガキも同じさ」

母「…………」

物乞い「あれだ。……同情するんなら、銅貨の一枚も恵んでおくれや」

母「はい」

物乞い「……まぁ、あんたみたいな貴族サマは俺達なんて……って?」ジャリッ

母「少ないですが、私の持っているお金全てです。……お持ちくださいませ」ギュッ

物乞い「え?……え?」

母「…こんなお金で、貴方に何かできたつもりはありません。恩に着なくて構いません。……忘れて下さって構いません」

物乞い「…あんた、正気か?」

母「…そのつもりです。……少ないですが、どうかお持ちください」

物乞い「…あ、ありがとよ!あんたは、まるで女神様みたいだ!」

母「い、いえ……そんな……!///」

物乞い「この金は、大事に使わせてもらうよ。……すまねぇ!」タッタッタッタッ

次兄「……母上!」

母「はい、何でしょう」

次兄「奴は、盗賊ギルドのメンバーです!……金の首飾りは、どうなさいました!?」

母「…あら?なくなっているわ……」

次兄「……!」

母「…あら。騙されて、しまったのですね」クスッ

次兄「…何故、笑えるのですか」

母「……あの方が盗賊だとしても。あの方の自らについて語った言葉は、真実かもしれないでしょう」

次兄「あんなものは出まかせです!……盗賊ギルドなんて、人を騙して、盗むのが生業のクズばかり―――」

母「嘘ですか?……やっぱり、良かった」

次兄「え?」

母「……両親を知らず、妻と子に先立たれた人なんていなかったのでしょう?……何より、です」

次兄「……母上!」

母「…これで、いいの」

次兄「……え?」

母「全てが嘘だとしても。……あの方は盗賊としてギルドに属した」

次兄「…そうです。あいつは、わざわざ盗賊という生き方を選んだ!今からでも遅くありません、取り返します!」

母「他に、選べなかったとしたら?」

次兄「母上、何が言いたいのですか!」

母「…誰かを騙し、不当に金品を得る事しか選べなかったとしたら。それでしか、生きる道が無かったとしたら」

次兄「……」

母「……貴方は、それを『やめろ』と言えますか?……それは、『生きるのを止めろ』と同じ意味ではないでしょうか」

次兄「……しかし……盗み、騙す生き方など!」

母「…生き方に上等も下等もありません。命を諦めない事こそが、等しく尊く美しいのです」

次兄「母上……恐れながら……」

母「?」

次兄「甘すぎます!……なぜ、盗賊などというものを庇えるのですか!?」

母「……そう、ね。変ですよね?」

次兄「……!」

母「…こんな事を言えるのも、きっと、私が『貴族』だからなのでしょうね」

次兄「…人が良すぎです、母上は」

母「そう、ですか。……でも、私は決めたのです。人を疑う事はしない、と」

次兄「何故ですか」

母「……信じる事でしか、『大切な人』は生まれません。。……それに、私は……恐らく」

次兄「……?」

母「…いえ、何でもありません。さて。この話は終わりにして、我が家に帰りましょう。……言い忘れていましたね」

次兄「何ですか?」

母「……ありがとう。私の為に、怒ってくれて。……貴方は、優しい子に育ってくれました」

――――――――

父「そんな事があったのか」

次兄「はい。……今なら、母上の伝えたかったことが分かるつもりです」

弟「……真実、優しい方だったのですね」

次兄「……僕や兄上も、時折、ついていく事が出来ないほどね」

父「あれは、そういうタチだったよ。騙されようと、利用されようと。……人を疑うという事を、しなかった」

次兄「……でも、母上は多くの人に惜しまれながら、見送ってもらえたんだよ」

弟「え?」

父「……葬列には、様々な者が顔を連ねた。老年の侯爵から若き無名の騎士、町民、物乞い、……それと」

弟「それと?」

父「…各ギルドの長。……盗賊ギルドの面々までも」

弟「盗賊までも、母上を見送りに?」

次兄「……人を食い物にするのが生業の盗賊までが、母上に惹かれたのさ」

父「あの時は傑作だったな。盗賊のギルドマスターが目の前にいるのに、衛兵は手出しできなかったのだからな」クックッ

次兄「父上が衛兵に『死者を悼む思いに、この場の者達は寸分の違いも無い!』と一喝したでしょう」

父「結局、埋葬して市街へ飛び去っていくまで、ポカンと見ているしかなかったものな?」

次兄「………やれやれ」

女騎士「………(何やら、真面目な話をしてるようだな)」コソコソ

父「……更に、面白い後日談があってな」

弟「何ですか?」

父「埋葬が済み、盗賊達が一礼を送って去ってから。……私達家族を除き、参列者はほぼ全員金品をスられていた事に気づいた」

次兄「ああ、あったあった」

弟「……流石は盗賊」

父「本当に、良い葬儀だった。……あんなに面白くて、あんなに哀しい別れは、無かった」

弟「…………」

父「さて、母の事を分かってくれたかな」

弟「はい。……僕は、母上を……誇りに思います」

次兄「……よし。それじゃ、話題を変えよう。しんみりしてしまったよ」

弟「はい、……何にしましょう?」

父「……そうだな。それでは…………」


父「……勇敢で美しい『女騎士』が敵国に捕まった場合、どうなるか―――」


女騎士「やっぱりそれなのか!?」




投下終了 
おやすみなさい

ペースが落ちた?気のせいですよ気のせい

少しだけ投下
多分明日も投下します

食事中

山賊A「あー、女が欲しい」ボソッ

傭兵「何スかwwwwwww朝メシのwwww最中wwwwwwwwwww」

山賊A「いや、オメーも男だろ?正直になろうぜ」

傭兵「まぁwwwww同感スwwwwwww溜まるモンは溜まるwwwwww」

山賊A「でさぁ、俺ちょっと思ったんだけどさ」

傭兵「何wwwwもったいぶんなwwwwww言えwwwwwwwwwww」

山賊A「『騎士』『エルフ』『盗賊』みたいな言葉って、なんで頭に『女』がつくといけない感じになるんだろうな」

傭兵「確かしwwwwwwっていうかwwwww」

山賊A「あん?」

傭兵「この喋り、疲れるんでちょっとやめていいスか」

山賊A「普通に喋れんのかよ!」

傭兵「正直、朝からこのテンション維持すんのはキツいんスよ」

山賊A「……まぁ、ともかくだ。『女』がつくだけで何だか淫靡になるよな。職業や種族名って」

傭兵「そッスね。『女騎士』は金髪で高潔、甘え下手で不器用、ちょっと女としての魅力に自信がなくて奥手、って感じッスね」

山賊A「あーあー、分かる分かる。んで二人称は『貴公』か『お前』だよな?定番すぎるわ」

傭兵「何のイメージなんスかね、一体」

山賊A「俺達は山賊だけど、お前、傭兵だろ?どっかの戦地でそういう女騎士見かけなかったのか」

傭兵「いねッスよ。……でも、噂は聞いたわ。割と近い都市に、まさにそういう『ザ・女騎士』みたいのがいるそうッス」

山賊A「へー」

傭兵「ま、その内見に行ってみよ。ホントかどうか確かめてくるわ」

山賊A「ずりぃ」

傭兵「まぁ、女騎士はその辺でいいっしょ」

山賊A「……『女エルフ』はどうだ?」

傭兵「女騎士に負けず劣らずプライド高い感じっスね。人間に犯されてよし、魔物に犯されてよし」

山賊A「金髪耳長、白い肌の高慢ちきな美女、って感じな。たまんねぇ」

傭兵「でも、俺は正直『ダークエルフ』の方がいいッス」

山賊A「あ、そっち行っちゃうんだ」

傭兵「銀髪、蒼い肌、けしからんカラダ、エルフと違って露出度高くて……って感じ?」

山賊A「『女エルフ』と違って、『ダークエルフ』は頭に女がつかなくてもそういうのが浮かぶよな」

傭兵「っしょ?」

山賊A「あー、エルフ犯したい」

傭兵「俺はダークエルフに犯されたいッス」

山賊A「えっ」

傭兵「えっ」

――――――――

女エルフ「わ、私をどうするおつもりですか!」

山賊1「どうするもこうするも……わかんだろ?」ニタニタ

山賊2「いや……それとも、処女のまんま、どっかの変態に売り飛ばすのもいいな」

女エルフ「えっ……!?」

山賊1「察しの悪い奴だな。お前は、もう終わりなんだよ」

山賊2「俺達に犯されるか、どっかの地方領主に犯されるか。……選びたいか?」ニタニタ

女エルフ「そ……そん、なぁ……!」ガタガタブルブル

山賊1「折角だし、俺達で味見しちゃおうぜ?ボス、いいですよね?」

頭領「相変わらずだな、オメェら。……あんまし、ムチャすんじゃねぇぞ?」

山賊2「ヒャッハー!お楽しみの時間だぜぇ!」ガバァッ!

女エルフ「い、いやぁぁぁぁぁ!やめてぇ!だ、誰か……助けて、誰かぁぁっ!」

――――――――

山賊A「ってのは定番だろうがよ」

傭兵「定番ッスね。でも俺はやっぱダークエルフ」

山賊A「盗賊、はちょっと違うかもしれないけど、女騎士と女エルフには共通項があると俺は思う」

傭兵「ほうほう」

山賊A「どちらも高貴というか、一種の神聖さがあるだろ」

傭兵「あー、なるほど」

山賊A「忠義を貫く、清潔な騎士。人類より妖精に近い、森の奥で隠れ住む種族」

傭兵「それで、穢してやった時の征服感だとか、堕ちた時のアヘ顔ダブルピース的なあれが際立つって訳ッスね」

山賊A「そうだ。男の俺が言うのもなんだが、チンポと精液はこの世で最も汚いもんだと思う」

傭兵「酷い言い草ッス」

山賊A「今言ったように、女騎士と女エルフは高貴な存在だ。だからこそ、粗野な男に組み伏せられると興奮するだろ」

傭兵「あー、ハイハイ」

山賊A「つまるところ、タブーに似た何かがそこには存在する。清らかな存在を欲望のままに穢すからこそ、そこには興奮が生まれる」

傭兵「処女厨と同じような感じッスか」

山賊A「そうだ。処女で女騎士、あるいは女エルフならその価値は『足し算』ではなく『掛け算』になる」

傭兵「なるほどー」

山賊A「更に俺達のような山賊、性欲しかない下等な亜人種、堕落を司るサキュバスなど」

傭兵「そういう連中と絡むと、更に増幅される訳ッスね」

山賊A「ほの暗い背徳の快感と興奮が、そこには生まれる。欲望ってのは、叩きつける対象がピュアであればあるほど興奮するんだ」

傭兵「すんげー犯罪臭いリクツ」

山賊A「ロリコンやショタコンだってそんなとこだろ」

傭兵「あるある」

山賊A「さてと、そろそろ準備しとけ」

傭兵「?」

山賊A「すぐ近くの道を、キャラバンが通るんだよ。詳しくは分かんねぇが。お前も働け」

傭兵「えwwwwwマジすかwwwwww」

山賊A「働かずに食うメシは美味いか?たかひろ」

傭兵「たかひろじゃねぇwwwwwwwわーったよwwwwwやるよwwww働けばいいんだろwwwwww」

投下終了です
また明日


『女騎士』は素晴らしいと思います

女騎士邸
朝の訓練中


女騎士「……ふぅっ」グイッ

長兄「相変わらず、見事なものだな」

女騎士「兄上。おはようございます」

長兄「邪魔をしてしまったか?」

女騎士「いえ。一息入れようかと思っていたところです」

長兄「…一言、言いたい事があるのだが」

女騎士「何でしょうか?」

長兄「その両手剣は、お前には持て余すのではないか?」

女騎士「何か、見ていて感じた事がございましたか」

長兄「ところどころで、剣先に引っ張られるような動きが見えた。態勢を崩している」

女騎士「……兄上の眼は、誤魔化せないのでしょうね」

長兄「だがそれでも、隙と言う程ではないが」

女騎士「…兄上なら、狙える『隙』なのでしょう?」

長兄「どうかな、分からないぞ」

女騎士「ご謙遜を」

長兄「……たとえ空想の中でも、妹に剣を向けたくない」

女騎士「…兄上」

長兄「今ちょっとときめいた?」

女騎士「いえ、全然」

長兄「ちくしょう」

女騎士「全く、我が家の男は……」シュルッ…… ファサッ

長兄「…………」

女騎士「…今度は何ですか、その目は」

長兄「髪をほどく仕草にちょっとドキっとした。色っぽくて」

女騎士「…な、何を言いますか!////」

長兄「まぁ、それはさておき。……折角だ。朝の城下の空気でも吸いに行かないか?」

女騎士「……はい、お伴します」

長兄「それでは、行こうか」

城下町 表通り


女騎士「……ハァ」

長兄「どうかしたか、妹よ」

女騎士「…私が騎士として拝命してから、我が家の様子がおかしいのです」

長兄「と言うと」

女騎士「わ、私を……その……犯す…だとか……!///」

長兄「…ああ」

女騎士「何なのですか。私をそのような目で見ているのですか?」

長兄「……誤解するな。妹をどうこうしようという気はない。ただ、『女騎士』はそれだけで魅力的なのだ」

女騎士「…………ああ、そうですか」

長兄「それにしても」

女騎士「はい」

長兄「……お前は、何故剣にこだわるんだ?」

女騎士「…質問の意図が分かりません」

長兄「言葉通りだ」

女騎士「『騎士』として拝命したから、としか」

長兄「…我が家の末弟だが。『騎士になりたい』と願ったのを、父上が言葉強く却下した事があった」

女騎士「…何故?」

長兄「……何でも、『早くて30年後には、もはや騎士の時代は終わっている』と」

女騎士「………?」

長兄「時と場所を告げ合い、正々堂々ぶつかり合う。そんな時代は、もう来ない。我々の世代で終わりだそうだ」

女騎士「…では、どうなるというのです?」

長兄「父上から聞いた訳ではない。……ただ、戦場から誇りが失われつつあるのは間違いない」

女騎士「お心当たりが?」

長兄「…火薬を用いて、遠くから安全に敵を倒すための武器が生まれたそうだ」

女騎士「え?」

長兄「そんな武器が広まれば、誰だって剣を捨てるさ。ブレオンにも限界がある」

女騎士「ブレオンとか言うな」

長兄「勘違いした剣豪気取りを引き撃ちで仕留めると気持ちいいぞ」

女騎士「ついていけません、話題に」

長兄「執拗に当たりもしないブレード振ってる奴を引き撃ちで仕留めた時など感動すら覚える」

女騎士「…………」

長兄「AC3のOPは最高だと思う」

女騎士「…いや、一体何を言っているのか」

長兄「……剣の時代は、もう終わりに近づいているのさ」

女騎士「それでは、戦場はどうなるのです」

長兄「近づかずに敵を倒せる兵器。そこには、魂のぶつかり合いなど無い。先に見つけて攻撃すれば、それで勝ちなのだから」

女騎士「戦は、『人間の戦い』ではなく、……『武器の戦い』になるのですね」

長兄「そうだ。俺達は、もうじき、時代に置いて行かれる」

女騎士「……認められません、そんなの」

長兄「認めようと認めまいと。いつか必ず、『騎士』はいなくなる。今でさえ、長槍と弓、そして魔法の前では俺達は無力だ」

女騎士「…………」

長兄「淘汰の時は目の前だ。……せめて、後世まで語られる『伝説』ぐらいは残したいものだな」

女騎士「……兄上」

長兄「ん?」

女騎士「本当に兄上ですか?」

長兄「どういう質問かな」

女騎士「……まさか、兄上がそんな真面目な話をするとは」

長兄「俺はいつだって大真面目だぞ」

女騎士「それこそ知りたくありませんでした」

長兄「冷たいな」

女騎士「からかうのもそろそろたいがいにしてください」

長兄「…さて。そろそろ屋敷へ戻ろう。じきに朝食のはずだ」

女騎士「はい」

長兄「聞きそびれたが、何故お前は両手剣を使う?」テクテク

女騎士「……子供じみた理由です」テクテク

長兄「…大きければいいというものではないぞ。必要なのはテクニックだ」

女騎士「兄上が言うと何かいやらしいです」

長兄「失敬な」

女騎士「いつも変な事ばかり言うから」

長兄「言っただろう。俺はいつでも真面目だ」

女騎士「それはそうと、例の山賊ですが」

長兄「ああ、お前を犯す予定だった……?」

女騎士「表情一つ変えずに言うな!」

長兄「で、そいつらがどうかしたか」

女騎士「……討伐は取り止めになったそうです。特に大きな危害は出ておらず、危険度が低いと判断されたとかで」

長兄「ふむ。……まぁ、わざわざ蜂の巣を突く事もあるまいさ」

山道

商人「くそっ……!山賊どもめ!」

傭兵「何でお前らwwwwwwろくに護衛つけてねーのよwwwwwwバカなのwwwww死ぬのwwwwwwねぇwwww」

山賊A「うわぁ、最高にウゼェ」

山賊B「ぶっ殺してぇ」

山賊C「っていうかこいつら何運んでんだ」

商人「…領主様に献上する品物だぞ!貴様ら、自分が何をしたか分かっているのか!?」

傭兵「へぇへぇwwwwwんで、何を献上するんスかwwwww」

山賊A「金目のモノだといいけど、何かこの商人すげー俺らと同じ匂いがする」

山賊B「ヤベーよこいつ、何人か殺ってるよ絶対」

山賊C「悪人顔だな。苦労が多いだろな」

山賊A・B『お前が言うな』

傭兵「それでwwww何運んでるんスかwwwww見ーちゃおwwwww」

商人「よ、止せ!馬車に触れるなぁぁ!」

傭兵「はーい、御開ちょ……う……?」ギィィィ

山賊A「何だよ、何があった」

山賊B「そのマズいモノを見たってツラは何よ」

傭兵「…………うはぁ」

山賊A「チッ。何だよ、一体………?」

女エルフ「あ……ぁ……」ガタガタガタガタ

傭兵「どう見てもwwwww売り飛ばされる途中ですwwwwwどうもありがとうございましたwwwwwwwww」

山賊A「ああ。ボロ布みたいな服に首輪と手枷。どう見ても売り飛ばされる『女エルフ』です」

山賊B「うわ、ちょっとカンドー。こういう事、ホントにあんだ」

山賊C「ちょっと写メってもいい?」

商人「きっ…貴様ら!それは、領主様に献上すると言っているだろう!?解放すれば、身の安全は―――ぐぶぅっ!」ドスッ!

傭兵「……悪ィwwwwwつい刺しちゃったwwwwwwサーセンwwwwwww」

山賊A「いや、正解。顔見られてるし」

山賊B「これどうすんだよ」

山賊A「とりあえず、連れて帰るか?」

傭兵「wwwwwwちょwwww何する気ッスかwwwwwいやwwwwナニをするんですよねwwwwwわかりますwwwwww」

山賊B「うわー、信じらんない。ちょー不潔→」

山賊C「私、課長の事信じてたのに!最低!」

山賊A「メシ抜きにすんぞお前ら」

傭兵・山賊B・C『 す み ま せ ん で し た 』

山賊A「……それにしても……」

傭兵「どうしたwwwwwww」

山賊A「なんていうか、こういうのマジで目にするとドン引くよな」

傭兵「wwwwwwいつもwwwwwwエロい事言ってるじゃないスかwwwwwww」

山賊A「そうだけどさ。実際目にするとちょっと胸糞悪い」

山賊B「なんか分かるわ」

山賊C「グロ画像に耐性あっても、実際目の前でひどい死体見るとパニクるよな」

傭兵「お前らwwwwwwwwwwwwwwwまぁ俺も分かるけどwwwwwww超萎えるwwwwwwwテンション下がるwwwww」

アジト

山賊A「……で、仕方なく連れてきた訳ですが」

女エルフ「……っ」ビクビク

山賊A「ボス、どうしますか?」

ボス「……どこから来た?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

女エルフ「…わ、から……ない……です……」ビクビク

山賊A「完全にボスにビビってますよ」

傭兵「顔面凶器wwwwwww限度があるだろwwwwwwww」

ボス「……何故、捕まった?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

女エルフ「い、いきなり……後ろから……真っ暗になって……それで……」ビクビク

ボス「…………商人はどうした?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

山賊A「傭兵の野郎が殺しちまいました」

ボス「………そいつを押さえろ」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

女エルフ「…え?……!は、離し……て……!」ガシッ

傭兵「何、剥き剥きタイムっすか?wwwwwwww」ガシッ

ボス「……じっとしてろ」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

女エルフ「いやぁ!やめて!……離してぇぇぇぇ!」

ボス「………破っ!!」バキバキィ!

女エルフ「え……?」

傭兵「うわぁ……素手で鉄の首輪と手枷を引きちぎった………」

山賊A「草生えてねぇぞ」

傭兵「いや、だって……人間技じゃ……」

ボス「…………おい」

女エルフ「は、はい…?」

ボス「………どこから来たか分かんねぇんだろう?」

女エルフ「……はい」

ボス「……しばらく、居ろ。洗濯とメシの支度の手伝いぐらいはしてもらうぞ」

女エルフ「え…?」

山賊A「…全く、ボスはこれだから」

傭兵「『お前らで好きにしな!』『ヒャッハー!ボスは話が分かるぜぇ!』なパターンじゃなかったのかよwwwwwww」

山賊A「無い無い、うちに限って」

傭兵「wwwwwwww」

ボス「………それと、もう少しマシな服をくれてやれ」

山賊A「へい」

傭兵「着替えちゃうんすかwwwwwwww」

ボス「………俺は少し寝る。ご苦労だった。アガリはお前らで適当に分けろ」ノッシノッシ

傭兵「太っ腹wwwwwゴチになりますwwwwww」

女エルフ「あ…あの……」

山賊A「ビクつくなよ。……とりあえず、今日は近くの川で水浴びでもさせて休ませるか」

女エルフ「い、いいのですか?」

山賊A「いいも悪いも、ボスの命令なんだよ。……まぁ、こうなるんじゃないかとは思ってたがね。ほら、行くぞ」

女エルフ「……はい、ありがとうございます」



傭兵「あれwwwww結局お楽しみは無しなんスかwwwwwwwwww山賊なのにwwwwwww」




予告無し投下終了です
ちょっとだけ設定を投下して寝ます
おやすみなさいー


傭兵:無理にテンション上げてるフシがある男。回避率とクリティカル率がハンパない
山賊A:山賊なのに割と常識的な部類に入るかもしれない人
ボス:顔面だけで人が殺せるレベル。亜人の血が混じってるのか疑うほどの大男で、料理好き
女エルフ:売り飛ばされる途中で山賊に助けられた。外見年齢約17歳、実年齢は………

ある日、うららかな昼下がり
テラスにて


長兄「俺は思うんだ。『山賊×女騎士』はあくまで、基本形なんだと」

次兄「いきなりだね、兄上」

長兄「オークの場合も、サキュバスの場合も、ローパーの場合も、基本、いや原点はそこなんだ」

次兄「強姦、抵抗、淫悦、そして堕落。この流れは美しく完成されているね」

長兄「エルフだろうが騎士だろうが、その流れは尊い。例えるのなら、それは黄金比」

次兄「『くやしい!でも感じちゃう!ビクビク』って?」

長兄「ツボを確実に押さえ、急所を着実に打つ。騎士剣術のように正統派、クラシック、ゆえに時代に左右されない」

次兄「根強いというか、王道だね。これを上手く調理できるかどうかが、職人の腕の見せ所」

長兄「そうだ。変わり映えしない王道。故に、それを思い描く者の実力が大いに問われる」

次兄「流石は兄上。一片の反論もないよ」

長兄「……そこで、加えるべきスパイスについて語らないか?次兄よ」

次兄「僭越ではありますが、謹んでお相手させていただきます」

長兄「うむ、ありがとう。……先ほども言ったように、『山賊と女騎士』は不滅にして不破。侵し難き規範なのだ」

次兄「後はいかにして味付けをするか、という事だね」

長兄「以前語ったように、『王女の護衛をする騎士』というのもそう。『王女』『責務』といったスパイスにより、女騎士は際立つ」

次兄「なるほど。で、あれば、『妹を助けに行く女エルフ』というのも?」

長兄「『姉妹丼』『妹の見ている前で』『姉の目の前で』という、いくつもの味わいがもたらされる一例だな」

次兄「妹の見ている前で犯され、そして姉が犯されるのを見て妹が『も、もう……やめて……!お姉ちゃんに、酷い事しないで……』と」

長兄「美しい流れだ。ある意味では、『王女と女騎士』と通ずるものがある」

次兄「思うに、守るべき対象、という点が共通しているのかな?」


長兄「そのようだ。守るべき者を守れず、卑しく滾った欲望の渦へと巻きこまれてしまう」

長兄「不甲斐無さ、悔しさ、屈辱、そして、欲望に突き動かされる者達への殺意」

長兄「それでも尚抵抗が許されず、彼らの意のままにされるしかない。そこに初めて『王道』が発生するのだ」

次兄「……一個、思いついたよ」

長兄「何だ、聞かせてくれ」

次兄「『女騎士』に対して、『従騎士の少年』というのは?」

長兄「良い響きだ。実に良い」

次兄「金髪、巻き毛、細く頼りなく、ある種の性的嗜好に強烈にマッチするような美少年で」

長兄「続けてくれ」

次兄「その少年は、『女騎士』へ憧れを抱き、武具の手入れ、馬の世話までできる事を光栄に思っているんだ」

長兄「うんうん」

次兄「甲冑を着る手伝いをしていて、偶然に尻や胸に手が当たってしまったら、『も、申し訳ありません!!』と顔を真っ赤にして」

長兄「その可愛らしさに、『女騎士』もつい頬が緩んでしまうのだな。『ふふっ…、そんなに怯えるな。傷つくだろう?』と」

次兄「そう。その微笑みだけで、少年はもう虜になってしまう。憧れが、別の意味へと変じ始める」

長兄「ロマンスだな」

次兄「しかし、この世に山賊ある限り、『女騎士』の栄えた例無し」

長兄「良い言葉だ。碑文に残したい」

次兄「海賊ではダメだ。盗賊でもない。あくまで『山賊』でなければいけないんだ」

長兄「再確認だな」

次兄「ともかく、『女騎士』とその少年は、山賊に捕らえられてしまう」

長兄「それで」

次兄「あえて、『女騎士』がまず犯される所は省いてみようかな。それを目の当たりにした少年の反応からで」

長兄「良い判断だ」

次兄「それでは、少しの間付き合ってもらいます。……コホン」

――――――――

放棄された砦の一室で、女騎士は何度も何度も犯され続けていた。
甲冑は剥がされ、着込んでいた服は引き裂かれ、粗野な大男たちの欲望を全身に受け止めていた。

「き、貴様ら…ぁ……!ただでは……ぐ、うぅぁぁぁぅ!」

驚くべきことに、今も尚、彼女は気丈を保ったままだった。
純潔を奪われる、股から裂かれるような痛みにも。
こんな所で、こんな者達に奪われた屈辱にも。
手首を後ろで縛られ、美しく整った顔を埃にまみれさせ、犬のような姿勢で犯され続けていても。

彼女の心は、いまだに屈していない。

「へっ……流石はあの女騎士。思わずナニが縮んじまいそうだぜ」

殺意を叩きつけるような眼差しに、山賊の一人が冗談を飛ばす。
冗談ではあるが、気圧される部分があったのも違いない。
それほどまでに、彼女の眼に宿した憎しみは、紛れも無く練り上げられていたからだ。

後ろから突かれるたびに苦しげな吐息を漏らし、荒く吐き出される息には、苦痛を堪えている様子が読み取れる。
流石に彼女といえど、破瓜の痛みには堪えがたいものがあるようだ。
加えて純潔を奪われた悔しさは、時折、涙となって頬を伝った。

「お、女騎士……様……!」

その光景を見続けていた、従騎士の少年がか細く漏らす。
甲冑を引き剥がすところから、暴れる彼女を組み伏せて縛り上げる山賊達。
続けて、ろくな前戯もしないままに彼女を穢し、苦痛に喘いだ吐息を楽しむ山賊達。
懇願虚しく膣内に射精され、ぽろぽろと涙をこぼす彼女の、痛ましい姿。

あまりにも痛々しく、見ている事は苦痛でしかなかった。
己が身に迫る命の危険さえ忘れ、心臓が氷の手で握り締められるような、歯の根を合わなくさせる光景。
それに反し―――少年の一物は、がちがちに堅く隆起してしまっていた。

「何だ、このガキ?……おっ立ててやがんのか?」

ぎゅむぅ、と、男の一人が少年の股間を掴む。
節くれだった指は、遠慮なしに、陰茎から睾丸までをその手に収めてしまった。

「ひぎゃっ…、痛っ……痛いよぉぉ!」

「はははっ!すげぇな、おい?随分立派じゃねぇか?」

最大の急所を遠慮なしに揉みしだかれ、苦痛に悶える。
大きく開かれた口の端からは唾液の筋が垂れ、身をよじりながら、涙も零して。

「いけねぇ坊やだなぁ。ご主人サマがレイプされてんのに、興奮してんのか?」

「違う…!違い、ます……!」

「…違う、って言われてもよぉ。これこそまさに、『動かぬ証拠』ってんじゃねぇのか」

ぐい、と更に力を籠め、少年の一物を持ち上げる。
後ろ手に縛られたままでは、抵抗の術などない。
仮に抵抗できたとしても、少年の細身の体格では、熊のように大きな山賊から逃れる事などできはしないだろう。

「貴様ら…やめろ!彼に、手を出すなぁ!」

「はははは!ケツ丸出しで、後ろっから犯されながら言ってもなぁ!?」

「こ、この…下司が!!」

「……そうだな。せっかくだから、チャンスをやろうか?」

その言葉に、女騎士は、反応してしまう。
山賊の言葉など、信用に値しないとわかっていても。

「な、何だと?」

「簡単さ。お前が、この坊やのを口でしてやるのさ」

「…口……?」

「わかんねぇか?……この坊やのチ○ポを、しゃぶってやれってんだよ」

「そ、そんな……事……!」

想像を巡らすと、あまりのおぞましさに身が震えた。
口で、男性器を含む事など。
考えた事すらなく、ひたすら、汚らわしい行為としか思えない。

「イヤか?……なら、いいさ。この坊やがどうなってもいいんならな」

ぎゅうぅ、と少年の一物を握る手に力を加える。
脅しではなく、彼の丸太のように太い腕なら、一物を握りつぶしてしまう事など造作も無い事だろう。
痛みにもはや少年は、上げる声すらない。
金切り声を更に薄めたような、か細い吐息を、精一杯に目と口を開いて吐き出すのみ。

「待て……!わかった……分かったから……!」

山賊は、にやり、と口元を歪めて、少年の股間から手を離す。

――――――――

次兄「……っというように」

長兄「なるほど、実に良い。純潔を奪われてすぐに大人しくなる、というのもそれはそれでそそるが」

次兄「犯されてもなお覇気を失わない気丈さを備えていても、絵になる。『女騎士』の特権だね」

長兄「このように、『女騎士』はいかなる反応をしても絵になる。どう調理しても美味しいのだな」

次兄「少年の方にも山賊の血走った視線が注がれ……という展開もあるね」

長兄「それもまた定番だな。巷では根強い人気を誇る」

次兄「僕が思うに、少年愛は『娯楽』の側面が強いと思うんだ」

長兄「ほう?」

次兄「強姦、緊縛、変態的性行為。どれも、女性が相手なら『性行為』。ひいては、『本能』の延長に過ぎないんだよ」

長兄「なるほど。『娯楽』ではなく、ベクトルが違うだけの『本能』か」

次兄「そうさ。はっきり言うと、『少年愛』には生産性が存在しない。繁殖にはつながらない、堕落の象徴たる行為だ」

長兄「少年愛に耽った者が堕ちる地獄も存在する程だな」

次兄「『娯楽』の条件には、生産性がない事がまず含まれる。無意味な行為である事が、まず重要」

長兄「社会に対して何も生み出さないからこそ、そこには完結した、ほの暗い楽しみがあるのだな」

次兄「そういう事。まぁ……これは、少年愛に限ってもいないね」


長兄「一区切りついたところで、また次回」




投下終了

『女騎士』には無限の可能性がある

おやすみなさい

――――――――

上衣はそのままに、少年は下半身のみを裸にされた。
ブーツまでもが脱がされ、砦内の冷たい空気が、直に伝わる。
その中でも硬く勃起した、半ばまで皮に包まれたペニスは、萎れる様子はない。
僅かに露出したピンクの亀頭は、まるで生娘の包まれた陰核をそのまま拡大したようだ。

「おやおや、随分と可愛らしいナニじゃないか?えぇ?」

下卑た笑い声が山賊達から漏れ出すと、少年はかぁっと紅潮し、ぎゅっと目を閉じて顔を背けた。
これまでに感じた事のない羞恥心は行き場をなくし、深いブルーの眼から涙となって溢れ出す。
全身がかたかたと震え始め、その様にも、山賊達の下品な野次が飛んだ。

「女騎士さんよぉ。さっさと咥えてやれよ。寒そうだろ?」

「いや、きっと嫌がってんのさ。こんな女みてぇな坊ちゃんのなんて、情けなくてできねぇのさ」

「酷ェなァ、おい?この坊ちゃんは、今までテメェのために働いてきたってのによ」

矛先は徐々に女騎士へ向かう。
彼女は束の間、凌辱から解放され、息を整えていた。
毛の薄い秘所からは、痛々しくボタボタと白い液体が垂れ、ぼろぼろの石畳を汚した。

「…わかって……いる」

膝立ちのまま、女騎士は、少年にゆっくりと近寄っていく。
かろうじて残ったズボン生地の膝の部分は、石畳の床に、音を立てて擦り減っていく。

一歩進めるたびに、秘所にズキリと痛みが走った。
月のものとも違う、引き裂かれそうな、いや、事実として「引き裂かれた」痛みが。

「ぎっ……!…が、ぐぅ……!」

二歩、三歩。

―――膝で歩みを進める内、痛みに涙がこぼれた。
―――もし許されるのなら、うずくまってすすり泣いてしまいたい。
―――「痛い」と、声に出してしまいたい。

でも、それはできない。
山賊に弱みを見せる事など、できない。
彼らは、女を犯しながら、縛り付けて皮膚を切り刻みながら食事さえできる人種なのだ。
彼らに楽しみを提供する事など、彼女のプライドはよしとしない。

まして、今は従騎士の少年の安全までがかかっている。
涙を流し、動きを止めてしまうわけにはいかない。
たとえ自分がどうなろうとも、彼だけは。
彼だけは、無事でいてもらいたい。

騎士の誇り、というには、いささか湿った感情もそこには乗っている。
彼女でさえ掴み切れない部分に、少年のために献身する理由がある。

「へへっ……ほら、来たぜ坊ちゃん。恥ずかしがってねぇで、足開きな!」

「あっ…!」

山賊の一人が、少年の後ろから両ひざ裏に手をかけ、左右に思い切り開く。
目の前の女騎士に少年のペニスを見せつけ、その時を待つ。
勃起したペニスに引っ張られたのに加えて寒さに晒された睾丸が縮みあがり、
門渡りから淡い桃色の、皺の少ない小さな菊門までもが覗かせた。

「み、見ないで……見ないで、ください……」

全てを晒され、それも敬愛する女騎士に見られてしまっている。
しかし、彼女は軽蔑したり、黙って見つめてきたりする風ではない。

秘所の痛みに耐えながら、それでも、少しずつ少年へと近寄ってくる。
心配をかけまいと、優しい微笑さえ浮かべながら。

「大丈夫。……大丈夫、だから、な」

唇の端を震わせながら、それでも……彼女は、少年を安心させようと言葉をかけた。

――――――――

長兄「いきなり絶好調だな」

次兄「前回で火がついてしまったからね。それより、これまでの展開はどうかな?」

長兄「ああ、実に良い。特に、『女騎士』の気丈さが素晴らしいな」

次兄「『女騎士』の素晴らしい部分は、『女』でありながら、『騎士』である事さ」

長兄「ふむ。『女』として少年を護ろうとする、母性。『騎士』として護ろうとする、気高い献身」

次兄「そこにもう1アイテム、『自覚していない感情』を加えるのがミソさ。ここに『女騎士の不器用さ』を織り込めるからね」

長兄「うむ、実に……実に、素晴らしいぞ。まさしく…パーフェクトハーモニー。完 全 調 和 だ」

次兄「ははっ……そんなに褒めないでよ」

長兄「もしも山賊に囚われる事が無かったら、二人は、少しずつ距離を縮めていたのだろうな」

次兄「だろうね。従騎士の少年も、頼もしく成長していったかもしれないね」

長兄「俺としては、そちらのルートも興味はあるな」

次兄「一応、そっちも綴ってはみたけど……すまない、失くしてしまったんだ」

長兄「いや、いいさ。見つかったら見せてくれ」

次兄「ああ、もちろん」

長兄「ところで、この後も続くのか?」

次兄「……我らが妹がそろそろ、乗り込んで来るはずだけどね」

長兄「そういえば、遅いな」

次兄「騎士団支部からまだ帰ってないみたいだ」

長兄「…あの事、か?」

次兄「あの事って?」

長兄「例の山賊の拠点近くで、キャラバンが消息を絶ったらしい」

次兄「憤慨するね。討伐取り止めになった直後にそんな事があれば」

長兄「推測だけで語れば……おそらく、そのキャラバンは西方の辺境伯領へと向かっていたのだろう」

次兄「あの、何かとキナ臭い?」

長兄「ああ、有能な男には違いないが……その…何だ」

次兄「どうしたんだい?」

長兄「いささか、血を好みすぎる。城壁の外には、串刺しのオークやゴブリンの死体が林のように立ち並んでいるそうだ」

次兄「……そりゃぁまた、どこかで聞いたような話だね」

騎士団支部

女騎士「何故です。何故、奴らを討伐しなかったのですか」

支部長「…キャラバン襲撃の件か?」パラリ

女騎士「他に何があるというのですか!」

支部長「その事なら、私に言われても困る。本部の決定なのだからな。私など、しょせん中間管理職だ。ハゲさせたいのか?」

女騎士「……討伐隊の再編成の話などは無いのですか?」

支部長「少なくとも、私には聞かされていないな。疑うのも結構だが」……パラリ

女騎士「…………それでは、質問を変えます」

支部長「うん?」チラッ

女騎士「何を読んでおいでなのですか?……というか、話す時は本を閉じていただけないでしょうか」

支部長「おお、これは失敬。最近出たばかりの本なのだが。読みふけってしまってな。許してくれ。ほら、これだ」

女騎士「……『女騎士、肛辱の夜会(サバト) ~雌騎士への堕落~』」

支部長「最近出てきた娯楽作家でな。中々良い。所々に文官のような言葉の堅さがあるが、それがまた良いんだ」

女騎士「…………」

支部長「ちなみにストーリーは、邪教の集会へと潜り込んだ女騎士が、見つかってしまい―――」

女騎士「それ以上喋るとセクハラで訴えんぞハゲ」

支部長「ごめんなさい」

女騎士邸

長兄「そういえば、最近また本を書いたらしいな?」

次兄「ああ、仕事の片手間にね。最近は暇だったし」

長兄「売れ行きはどうなんだ?」

次兄「悪くないよ。印刷の技術が無かったら追いつかない程度にね」

長兄「流石だな、弟者」

次兄「流石だよな俺ら」

長兄「冗談は置いておいて、聞くところによると価格はだいぶ抑えたらしいな」

次兄「うん。庶民にも気軽に読んでもらえる程度にはね」

長兄「にしても、お前が本を書くというからもっと堅いものと思っていたのだが」

次兄「意外かい?」

長兄「あぁ。まさか娯楽。それも艶モノとは」

次兄「堅い本も書き飽きたしね。それに、『現実逃避』って大事だろう?」

長兄「ふむ?」

次兄「現実だけを見てたら、死にたくなって当たり前さ。たまには現実逃避するのは、悪い事じゃない。たまには目を逸らすべきだ」

長兄「なるほど。そういう考え方もあるか」

次兄「……ちなみに、第二弾の構想もすでにあるんだ」

長兄「タイトルを聞いても?」

次兄「仮題だけどね。……『蒼肌の美畜 ~闇のエルフ、溺れる刻~』」

長兄「wktk」

次兄「プロットはもうできてる。完成までは、まぁ一週間かな。印刷、製本は急がせてもう二週間」

長兄「はやくかくべきだとおもいます」

次兄「ははは、大丈夫。逃げやしないさ」

長兄「どんなストーリーなんだ」

次兄「ダークエルフのしなやかな女戦士が、ある遺跡を探索するんだ。そこで、古代の……いや、やめておこう。楽しみにしていてよ」

長兄「俺とした事が、野暮な事を聞いてしまったな。……それにしても、遅いなぁ」

次兄「妹か。……遅いねぇ」

投下終了
次兄の台詞がオタコンの声で再生されて困ったのは内緒だ


それでは、またみてね!

山賊のアジト近く
川辺にて

女エルフ「……ふぅっ」ジャブジャブ

傭兵「よぅwww耳長wwwwww精が出るねぇwwwwwww」ヒョコッ

女エルフ「傭兵、さん」

傭兵「さんとか付けなくていいからwwwwwww」

女エルフ「……助けてくれた方を、呼び捨てになんてできません」

傭兵「よせよバーローwwwwwそんなんじゃwwwwwねーよwwwwwww」

女エルフ「ところで、傭兵さんは何故ここに?」

傭兵「いやwwwww別にwwwwwヒマだから見に来たwwwwww手伝う?wwwwww」

女エルフ「いえ、これは私の仕事ですから……」ジャブジャブ

傭兵「あっそwwwwwwじゃあ見てるwwwwwww」

女エルフ「………♪」ジャブジャブ

傭兵「……何か楽しそうじゃね?wwwww」

女エルフ「え?」

傭兵「洗濯させられてんのにwwwwwwwなんか満足げwwwwwww」

女エルフ「そうですか?」

傭兵「聞かれてもwwwwwwwww」

女エルフ「…そうですね、確かに楽しいのかもしれません」

傭兵「何が?wwwwwww」

女エルフ「里から出たのも初めてで、こんな風に働くのも初めてで」

傭兵「山賊のwwwwwwアジトでwwwwww丁稚奉公wwwwなのにwwwwwww」

女エルフ「皆さんは、恩人ですから。……ありがとうございます、助けてくれて」

傭兵「…………」

女エルフ「…どうか、しましたか?」

傭兵「べ、別にwwwww何でもねーしwwwwwwww余裕wwwwwwwマジでwwwwww」

女エルフ「?」キョトン

女エルフ「ところで、あの……」

傭兵「何?wwwwww」

女エルフ「…傭兵さんは、他の国に行ったことがあるのですか?」

傭兵「そりゃwwwwwwあちこちなwwwwww」

女エルフ「どう、でしたか?」

傭兵「……誰をどう殺したか、って?」

女エルフ「…傭兵、さん?」ビクッ

傭兵「…なんつってwwwwwwカッコつけてみましたwwwwwサーセンwwwwwwww」

女エルフ「………」

傭兵「なんだよwwwwww笑えwwwwww」

女エルフ「……ごめんなさい」

傭兵「だからwwwwカッコつけただけだってwwwwwwwマジに取るなやwwwwww気まずいwwwwっうぇwwwwww」

女エルフ「…はい」

傭兵「それよりwwwwww早く残りwwwwwwやっちまおうぜwwwwwwww」

――――――――

そして女騎士は、潜入の為にまとった黒いローブのまま、邪教の集会を司る男の眼前に引き出された。
目深にかぶったフードを強引に下ろされ、一切の隙なく手入れされた金髪が翻る。

「クッ……!殺すなら、殺すがいい!」

両脇からがっちりと捕まえられても、彼女の意思は屈しない。
眼前に羊頭の仮面を被った司祭が、骸骨の杖と短剣を携えているというのに。
あくまで、彼女は強気な姿勢を崩さない。

「……クククク。殺すなどと、何を勿体ない……」

しゃりしゃりと二つの儀式の道具を擦り合わせ、短剣の切っ先を彼女の胸に当てる。
ローブとその下に着込んだシャツの生地を貫き、胸の中心、双丘の間にちくりと痛みが走った。

「おお、神よ……!このような素晴らしき贄を与え給うた事を、我ら皆、感謝いたします!」

大仰な言葉とともに、司祭の手が思い切って振り下ろされる。
鋭く研がれた刃は、呆気なく―――ローブとインナーを、へそが見えるまで裂いてしまった。
びぃ、という音とともに、裂けた布の間から、真っ白な肌が現れた。
切っ先が浅く掻いたのか、胸の間から血が一筋流れ、白い肌に退廃的な美を加えているようだ。

「……美しい……美しいぞ」

羊頭の司祭が嘆息し、短剣の切っ先で、彼女のへそを弄ぶ。
冷たく鋭い金属で中を探られ、体を強張らせる彼女に、司祭も、捕らえている邪教徒達も満足しているようだ。

彼女がその身に抱いている―――「恐怖」に。

――――――――

女騎士邸
書斎

父「………ふむ」

弟「父上、何をお読みに?」

父「うむ。……我が息子の著作だ」

弟「買ったのですか?」

父「ああ。息子が書いた本なのだからな。父親である私が買わずにどうする?」

弟「それにしても、流石に二兄様ですね」

父「邪教徒の集会とは、実に良いな。特に、この中に出てくる『淫蟲』というのが特に良い」

弟「祠の中から現れる場面は、まさに至高。『女騎士』の抱いた恐怖が、活字を通して伝わるようでした」

父「まぁ、その話は今度ゆっくりするとして……何か用があったのではないか?」

弟「そうでした。……最近、市井を賑わす『賊』の事です」

父「……詳しく話すんだ」

弟「はい。主に貴族の邸宅に集団で押し入り、金品を盗み、婦女に狼藉を働き、場合によっては殺人さえ辞さないとか」

父「そういえば、どこかで聞いたな。手口は恐ろしく残忍、その暴威から『竜巻』と呼ばれている強盗団」

弟「……最初、僕は盗賊ギルドが絡んでいると思っていました。しかし、母上の事を聞いた今では」

父「ああ。連中は悪辣な盗賊だが、決して『悪党』ではない。あのギルドは、殺人を決して許さないからな」

弟「らしいですね。……次いで、これをご覧ください」バサッ

父「地図、か。この×印は恐らく……」

弟「そう、被害に遭った邸宅です。奇くも、螺旋状に、まるで『竜巻のように』並んでいますね」

父「これに推測を加えると……次は我が家、か」

弟「どうしましょうか?……一応、衛兵隊に知らせますか?」

父「いや。せっかくだ。この機を逃す手は無い」

弟「……同感です」

父「…あえて、押し入らせよう。折角だ、お前が計画を立ててみろ」

弟「御意に。……小一時間ほど戴きます。それでは」

父「……」パン、パン

メイド「何でしょうか?」スッ

父「……盗賊ギルドに、鳩を。それと、お前にはあの子の寝所の護衛を頼む」

メイド「御意のままに。それで、現れた際には――殺してしまっても、良いのでしょうか」

父「最悪の場合はな。…できれば、『あれ』は使わないようにしろ」

メイド「かしこまりました。最後の手段といたします」

父「……任せはしたが、大丈夫だろうか」

メイド「階段に罠を仕掛けたり、ドアノブに電流を流したりなどしないでしょうか?」

父「そういう発言はよせ」

メイド「はい、自重いたします」

父「……それにしても、時の流れは残酷だな」

メイド「全くです。あの主役の坊やも、今となっては見る影も」

父「だから、よせと言っただろう。……下がって良いぞ」

メイド「はい、旦那様。……失礼いたします」スッ



父「………やれやれ、この歳になると、騒がしいのは苦手だというのに」

少ないけれど投下終了也
一度の投下量はさておき、スピードを重視したい


おやすみなさいー

女騎士邸
長兄の部屋


弟「……そんな訳で、近い内に件の強盗団が我が家に押し入ってくると思います」

長兄「……衛兵に知らせなくて良いのか?」

次兄「何言ってるんだい、兄上。そんなんじゃ楽しめないだろう?」

弟「別に楽しもうという訳では無くて……」

次兄「で、どうする?トランポリンで罠を作るかい?それとも、階段の上からドラム缶を転がす?」

長兄「待て。テレビから大音量でマフィアの怒鳴り声をだな」

弟「色々と危険なのでやめてください」

長兄「……冗談は置いておいて、どうするんだ?」

次兄「え、何冗談だったの?」

弟「……どうもしませんよ」

次兄「何だって?」

長兄「どういう、事だ?」

弟「特に備えはいたしません。強いて言えば、二方にこの事を知らせるだけです」

長兄「……俺と」

次兄「僕に?」

弟「はい。それに加えて、父上にも知らせました。……これで、条件は全てクリアです」

長兄「……拍子抜けだな」

次兄「てっきり、何か仕掛けるのかと」

長兄「街で拾った屈強なホモを、50人ほど待機させておくとか」

次兄「いいじゃない。それ、やりなよ」

弟「…それも考えたのですが」

次兄「何で止めたんだい」

弟「50人のホモが徘徊する屋敷に居たいですか?」

次兄「ノーセンキューです」

長兄「まぁ……正直、父上だけで賊の100人程度なら討てるだろうからな」

弟「そうなのですか?」

次兄「『不死身の軍神』とまで言われる人だからね。四本の短剣と十数本の矢が刺さったまま戦う人だから」

弟「あれは、噂では?」

長兄「いや、真実らしい。しかも負傷した味方の重装兵を二人も担いで陣地に帰ってきたとか」

弟「……父上は人類なのですか」

次兄「僕たちの知る限りは」

長兄「『あの時はこたえた。波動拳ガードで削り殺されていた』と言ってたぞ」

弟「……ともかく、『何も備えない』のが計画です」

次兄「思い切ったね」

弟「色々罠を仕掛けたいですけど……そこは、その」

長兄「どうかしたのか」

弟「……後片付けが、面倒で」

次兄「いきなり現実的だね」

長兄「ふむ」

弟「でも、心配な事が一つだけ」

長兄「何だ?」

弟「姉上です」

次兄「ああ……」

弟「押し入ってくる賊。寝所に一人きりの『女騎士』。危ういでしょう」

長兄「ああ、危ない」

次兄「うん。実に危ない」

長兄「夜中、目が覚めるとベッドの上に圧し掛かり、生臭い息を浴びせてくる醜い男」

次兄「何が起こっているのか理解できず、思わず叫ぼうとしても手で口を塞がれ」

弟「白い首筋や頬をべろりと嘗められ、身の毛もよだつ不快感に苦悶の表情を……」

長兄「……けしからんな、実にけしからん」

次兄「全く、これだから『女騎士』は」

弟「ええ、本当に残念ですね」

女騎士「残念なのはお前らだ」ヌッ

長兄「……おや、聞かれてしまったか。ノックぐらいしてくれ」

次兄「ハハハ、これは参ったな」

女騎士「参ったな、で済ませる気かコラ」ゴゴゴゴゴ

弟「聞かれてしまったので姉上にも言いますが」

女騎士「何だ?」

弟「……近い内、我が家に賊が押し入ってきます。かなりの確率で」

女騎士「衛兵隊には知らせたのか?」

弟「いえ。というか、知らせても無駄と判断しました」

女騎士「無駄?」

弟「彼の賊の押し入った屋敷は、述べ8件。未だどれも防げていない衛兵に、一体何を期待します?」

長兄「……ま、仕方ない。衛兵隊長が代わってからは、ずっとこのザマだものな」

次兄「昨日の晩見かけたけど、ひどく泥酔してたな」

女騎士「全く……どうなっているのだ」

長兄「詰め所に立ち寄った時も、酒の香りが立ち込めていたぞ。酒気を帯びてない奴はいなかった」

次兄「仕方ないから、騎士や兵士、町民で有志を募って自警している有り様さ」

弟「……そういえば、一兄様も属していましたね」

女騎士「え?」

長兄「何だ、知らなかったのか」

次兄「兄上は主に夜から明け方にかけて、城下の巡回を行っているんだ」

女騎士「……いつ眠っているのですか?」

長兄「明け方帰ってきてから、二時間か三時間」

女騎士「…何故」

長兄「何故、とは?」

女騎士「いくら、衛兵隊が機能していないからといって……兄上が」

長兄「彼らの仕事を奪っている訳では無いさ。それに、これも『騎士』の務め」

女騎士「務め?」

長兄「我々の護るべきは、主君だけに非ず。主君の民と、その平穏をも護る事こそ」

女騎士「……兄上。しかし……」

長兄「気遣ってくれるのか?」

女騎士「………」シュン

長兄「…貴族には義務がある。民を護る為には、その身を惜しんではいけないのだ」

女騎士「兄上……」

長兄「……護れては、いないが」

女騎士「……兄上を、誤解していました」

長兄「そうか?」

女騎士「というか、我が家の人間は妙なところで人徳がありますね」

長兄「よせ、そんなに褒めるな」

女騎士「…………ところで、思ったのですが」

長兄「ん?」

女騎士「衛兵の怠慢で八件もの貴族の屋敷が襲われているのに……何故、お咎めが無いのでしょうか」

弟「……確かにそうですね。民衆に知れ渡っているほど、衛兵隊は腐敗しているのに」

次兄「それは、僕から話そう」

長兄「説明キャラで身を立てるつもりか」

次兄「安全、かつ出番も約束されてるポジションだね。競争率は高いよ」

女騎士「いいから、説明をお願いします」

次兄「……まぁ、と言っても難しい話じゃないんだ。単に、今の衛兵隊長が、二代前の隊長の息子ってだけでね」

女騎士「……二代前と言えば、城下の犯罪率を約3分の1まで抑え込んだという?」

弟「また、本人も人格者で有名でしたね」

次兄「衛兵隊長の職を全うした後、城の近衛兵にまで取り立てられてね。つい最近、退役と同時に息子を衛兵隊長に推薦した訳だ」

長兄「それだけの尽力を以て功績を残した以上、上も彼の望みは突っぱねられなかった訳か」

次兄「ところが、彼だって親としてはともかくボンクラじゃあない。『半年だけ』と条件を付けたのさ」

女騎士「それはまた、何故?」

次兄「思うに、ロクデナシの息子を矯正するため、責任ある職を一度経験させたかったんだろうね」

弟「しかし、息子の器にはどうしようもないヒビが入っていたと」

長兄「……救えない話だな」

女騎士「父親の想いを無駄にするとは……。唾棄すべき輩め」

次兄「まぁ、ともかくあと二ヶ月もせず、彼はお役御免だ。それだけに、下ろし辛いんだろう」

弟「……あの先先代の隊長の縁者となれば、人々も負い目があるのでしょうしね」

次兄「それに、そもそも一番悪いのは『弛んだ衛兵』じゃなく『賊』だからね。衛兵に怨みをぶつけるのは何か違うだろ?」

長兄「……市井の人々と衛兵の名誉の為に言うが、犯罪率自体はあまり上がってはいないぞ」

女騎士「…それは、兄上達の巡回の賜物では?」

長兄「いや。巡回を行う前からだ。確かに誤差程度に犯罪件数は増えてはいるが、内容も大した事は無い」

弟「という事は、この度の強盗団の台頭は……」

長兄「すべて例の衛兵隊長のせい、とは言い難い。もしかすると関係があるのかもしれないが、捕まえて口を割らせるまで分からん」

次兄「どれだけ努力して治安維持活動を行っても、凶悪事件は、起こる時には起こるさ」

弟「……ともあれ、彼らはこの屋敷が、最後の仕事場となるのでしょうし」

女騎士「ふむ……」

弟「兄上方、そして姉上。……どうか、お気を付け下さい」

長兄「……いやぁ、腕が鳴るな」ニヤリ

次兄「久々に、楽しい夜になりそうだね」クスッ

弟「とりあえず、僕は隠れているとします」フッ

女騎士「何なんだ、このノリは」

弟「笑うという行為は本来、攻撃的なものであり、獣が牙を――――」

女騎士「もうツッコミ切れない」

投下終了です
速度重視とか言ったバカはどこのどいつだ

それでは、また

――――――――

無様に開かれた尻肉の間に、硬く閉じた窄みがある。
邪教の信奉者達の環視の中、天に向かって尻を突き上げていた。
否――させられて、いた。

「いやだ……!見るな!見るなぁぁぁぁ!」

両手はそれぞれ別の、屈強な体格の邪教徒に、地に押し付けるように自由を奪われていた。
バタつかせて気を紛らわす事もできずに、ただ、暴かれた秘所への視線に耐え続けるしかできない。

くすくすと笑い合う声。
時折混じる、卑猥な野次。
空間を支配する、屈辱と羞恥心を苦く刺激し続ける、空気。
それらは強烈に彼女の胸を締め付け、絶望感を生み出す機械として組み上がりつつある。

思わず、視界が潤み、揺らぐ。
護り続けるはずだった純潔を、ここで散らされ、無惨に凌辱を受けるのかと。
死よりも恥ずべき、尊厳を奪われて邪教徒達に弄ばれるのかと。

いっそ、辱めを受けるぐらいなら―――と。
彼女は、奥歯の間に、舌を滑り込ませる。
そのまま、ぎりぎりと噛み締めて――口の中に、じわじわと鉄臭さが満ちていく。
溢れた血の温もりをせめてもの慰めにしようと、感傷を巡らせた時。

「っ……!?ふ、が……!」

細長い布で、口角を思い切り吊り上げるように、口をふさがれた。
噛み切る筈だった舌は奥歯の間から口内へと押し戻され、血の混じった唾液が滴り落ちた。

「……ふぐっ…ふ…む…うぅぅ……!」

顔を上げると、口を塞いだ邪教徒の歪んだ笑顔があった。
そこで、全てを悟る。

もう―――彼女は、死ぬ事さえ許されないのだ。

――――――――

山賊のアジト
寝室


傭兵「―――そして、邪教徒の一人が、おもむろに指を嘗め上げる。その行為の―――」

山賊A「うるせえぇぇぇんだよ!!何なんだオメーは!」ガバァッ!

傭兵「何ってwwwwww眠れないからwwwwww本読んでんだよwwwwwwwwwwwマジギレすんなしwwwwwww」

山賊A「黙って読めねぇのか!しかも何だそれ!?何だそれ!?」

傭兵「こないだのカモが持ってたwwwwwwwwうはwwwwwエロスwwwww」

山賊A「……声出さずに読め、頼むから」ドサッ

傭兵「あいよwwwwwwww」

山賊B「…何だよ、うるせぇなぁ」

山賊C「エロ小説ぐらいいいじゃねぇか」

傭兵「ですよねwwwwwww」

山賊A「いいから寝ろよ、お前ら……」

山賊B「んで、その女騎士はどうなんのよ」

山賊C「レイープ?レイープなの?」

傭兵「いやwwwwwネタバレはしねぇよwwwwwww」

山賊B「それにしてもさー」

山賊C「あ?」

山賊B「今こういう事言うとあれだけど、『女エルフ』ってどうよ」

傭兵「それはあの子の事?それとも、そういうセオリーの事?」

山賊C「普通に喋ってんな」

傭兵「結構疲れるんスよ」

山賊B「……いや、どっちもね」

山賊C「あいつ、いったいどこの部族だ?」

傭兵「多分、北の森にあるエルフの里。肌の白さと、眼の色で」

山賊B「へー」

山賊C「エルフの見分けなんかつかねーよ」

山賊B「耳長は全部同じに見えるわ」

傭兵「自分、違いの分かる男なんで」

山賊B「うぜぇ」

山賊C「闘技場で調子こいてやられろ」

山賊B「98%の攻撃をミスして、3%の反撃をもらってやられろ」

山賊A「『説得』しない初心者にさっくり殺られろ」ボソッ

傭兵「ちょwwwwwwwwww」

山賊B「で、あの耳長はどこに連れてかれるとこだったって?」

山賊C「商人は領主、つってたけどこいつが殺しちまったな」

傭兵「どうせ殺すんだからいいじゃないスか」

山賊B「だからって」

山賊C「あの山道を通る、って事はマトモな筋じゃないぞ」

傭兵「そういや、キャラバンを三つに一つぐらいしか襲わないのはなんで?」

山賊A「……バカ。通る奴通る奴全部襲ってたら、誰もあの道使わなくなるだろが」

山賊B「つまり飼い殺しだ。世間に顔向けできない奴らがあの道を使う。そして、俺らはたまにしか襲わない」

山賊C「リスクは分かっていても、あの山道を使わない訳にはいかんって訳よ。後ろ暗い連中はな」

傭兵「なるほどねぇ」

山賊A「武器商人だったり、密輸だったり、密使だったり。公にはできないから、追手も少ない」

山賊B「『密輸していた食料を略奪されました』なんてお上に言えないから、泣き寝入りするしかねぇって事」

傭兵「賢いんだなぁ」

山賊C「バカ野郎、『悪知恵が働く』と言いやがれ」

山賊B「……で、話戻すけど。一体、どこに行くつもりだったんだろーな」

山賊C「『領主』かぁ。……うーん」

傭兵「何ヤラシイ事考えてんの」

山賊B「……うーん」


~~~~~~~~

領主「フフフ……美しい、美しいぞ…」顎クイッ

女エルフ「…ひっ……!」ゾクッ

商人「お気に召しましたかな?」

領主「うむ。この前のは……壊れてしまったからな。褒美は弾むぞ」

商人「毎度。いつでも、新しいのをお持ちしましょう。人間、エルフ、ダークエルフ、美少年から美しく熟れた果実まで何でも」

領主「商人よ、おぬしも悪よのう」

商人「いえいえ、領主様ほどでは……」ニヤッ

領主「フフフフ……」

商人「さて、私はこれにて。……どうぞ、お楽しみください」

~~~~~~~~

山賊B「なーんて事になったのかな?」

山賊A「…こう、顎を『クイッ』とやるのがたまらんよな」

山賊C「ゲスい奴ほど似合う動作だよな」

傭兵「いやいや。立場が弱い奴にするのが、じゃね?」

山賊A「いや、そうでもない。例えば、捕らえられた気の強い『女戦士』に、プライドの高い矮小な地方貴族のバカ息子が」

~~~~~~~~

貴族息子「くっくっく……どうだ?今の気分は……」顎クイッ

女戦士「………」ペッ

貴族息子「き、貴様……!この私の顔に、唾を……!」ドカァッ!

女戦士「あぅっ……!…ふ、ん……『僕ちゃん、怒りまちたよ』って……かい…?」

貴族息子「黙れ!卑しい下民の分際で!よくもっ!よくもっ!!」ドグッ……!バキ!グシャァッ!

女戦士「ぐっ…ぇ…ぅ……!や……やめ……!」

貴族息子「んん~……?何か、言ったのか?よく聞こえんなぁ」踵で顔面グリグリ

~~~~~~~~

山賊A「――的なのも」

山賊B「それはそれでたまんねぇ」

山賊C「いや、俺暴力はちょっと…引くわー」

傭兵「オマエ『山賊』だろ」

山賊A「……で、オメーらは何かねーのか、そういうシチュエーション」

傭兵「んー……じゃ、俺はこれで」


~~~~~~~~

吸血鬼「フッ……哀れな。この私を討てるとでも、思ったのかね?」

女僧侶「…貴方は、見過ごせません。私の命に換えても……!」

吸血鬼「フハハハハ!そなた一人で、何ができる?……いや、できるなぁ」

女僧侶「な、何ですって……?」

吸血鬼「この私の虜となるが良い。……そして、身が枯れるまで……私の糧となるのだ」

女僧侶「……そ、そんな……事……!」ビクッ

吸血鬼「さぁ。……怯えずともよい。私に、身を任せるのだ」顎クイッ

女僧侶「あっ……!」ピキーン

吸血鬼「ククッ……私の眼を見てしまったな。さぁ。…首筋を、自ら差し出すのだ」

女僧侶「………はい」トローン……

吸血鬼「それでは……頂こう。とびきりの、美酒をな」……カプッ

女僧侶「あっ……!あ…あ、ああぁぁぁぁぁぁ~~~!」ゾクッ!ゾクゾク、ビクゥゥッ!!……プシュッ…チョロロロロロロ……

~~~~~~~~

傭兵「――どう?」

山賊A「優勝」

山賊B「たまんねぇ」

山賊A「吸血鬼と聖職者っていいよな」

山賊B「どっちかといえば聖職者が上の立場なのにな。これって、『山賊と女騎士』みたいな感じかな」

傭兵「そうッスねぇ。『立場が上であり、穢し難い存在』が、その対極にある者に穢される時、それは至高となる、みたいな?」

山賊A「下剋上の爽快感が、そのまま興奮に繋がるんだな」

山賊B「うーん、奥が深ェーな」

傭兵「さて。……最後は、Cの番だろ?」

山賊A「ここまで来たんだ。話してみろ」

山賊C「いやぁ……俺のはいいって……」

山賊B「何だよぉ→。言えよぉ→」

傭兵「言えって。秘密にするからさー」

山賊C「……じゃ、言うけどさ。これ絶対ないしょな!」

山賊A「修学旅行の男子かお前ら」

~~~~~~~~

女騎士「……済まない」

騎士「気に、するな。俺の未熟だ」

女騎士「……違う、私のせいだ。私が……逸ってしまったから……お前に、そんな傷を……」

騎士「大した傷じゃない。利き手も無事だ」

女騎士「………ごめん、なさい」

騎士「だから、気にするなと言っているだろ。人の話を聞かない奴め」

女騎士「…だって…ぇ……私を、…庇って……っ」グスグス

騎士「……変わっていないな。拝命しても、お前は昔っから泣き虫で」

女騎士「っ……私…怖く、て……お前が…死んじゃったら……って……!」グスグス

騎士「ああ、もう。……俺は大丈夫だと、言ってるだろう」顎クイッ

女騎士「な、に……んむぅっ!?」チュッ

騎士「……っは。…落ち着いたか?」

女騎士「お前……急に、何を…!/////」

騎士「……仕返しさ」クスッ

~~~~~~~~

山賊C「――っていうんだけど」

山賊A「イイ」

山賊B「あえて純愛か。やるじゃねーか」

傭兵「悔しいけど……俺の、負けッス」

山賊A「いや、勝ち負けではない」

山賊B「ほう?」

山賊A「顎を持ち上げる動作には、それだけ沢山の意味とシチュエーションがある。俺達は、それに気付けたんだ」

山賊C「……純愛してよし、凌辱してよし、悪巧みをしてよし、虜にしてよし」

山賊B「なるほど。……ただ、相手の顎を持ち上げるだけの仕草にさえ、こんなに広く深いものがあるんだなぁ」

傭兵「……まだまだ、あるのかな。俺達の知らない、『顎クイ』シチュエーションが」

山賊A「ああ、ある。この世は未だ――宝の、山なんだ」

山賊B「A……!」

傭兵「ところで、俺達何の話してたっけwwwwwwwwwww」

山賊C「……さぁ、何だった?」

山賊B「…………思い出せねぇ」

山賊A「思い出せないなら、大した事じゃねぇ。さ、寝ようや」

山賊B「そうだな。おやすみー」

山賊C「お前、本読むなら黙って読めよ」

傭兵「へいへいwwwwwwおやすーwwwwwwwノシwwwwwww」




投下終了

顎クイッていいよね
おやすみ

長兄「それで、どう思う?」

次兄「何だい、兄上」

長兄「『触手』だよ。お前は『どちら派』なんだ?」

次兄「……僕か。僕はやはり、『射精派』だな」

長兄「ふむ。……俺は、『産卵派』だ」

女騎士「兄上方、一つよろしいでしょうか」

長兄「何だ、改まって」

次兄「どうしたんだい」

女騎士「……私の部屋に押しかけて、一体何の話をしているのですか」

長兄「何って、決まっているだろう」

次兄「『触手について』の議論さ」

女騎士「だから、なんで私の部屋に来るんだ!!」バンッ!

長兄「いや。スレタイがスレタイだけにな」

次兄「お前を話に参加させなければいけないだろ?」

長兄「それに、最近出番が少なかったしな」

女騎士「…………とりあえず、そのお気遣いは受け取りましょう」

長兄「話を続けるぞ」

女騎士「続けるな!」

次兄「とりあえず、『触手』の定義から始めようか?」

長兄「うむ。生体の器官としてではなく、女性に対して用いる場合の『触手』の場合、まず『複数』である事だな」

次兄「そうだね。個体ではなく、群体である事が第一条件。一本や二本ではいけない」

長兄「一、二本では、生体器官としての活動に用いる事はできても、女体を責めるには不足すぎる」

女騎士「そもそも触手なんて持ってる生物がどれほどいるというのですか」

次兄「おや、話に乗ってくれるのかい?」

女騎士「……どうせ出て行ってはくれないのでしょう」

長兄「では、触手生物の具体例を挙げてみようか?」

次兄「『ローパー』は鉄板だよね」

長兄「ああ、そうだ。『ザ・触手』『マスター・オブ・触手』と呼んでも過言ではあるまい」

女騎士「…………」

次兄「後は……『スライム』を初めとして、タコ、イカ、クラゲなどをベースにしたモンスターかな」

女騎士「……軟体生物ばかり」

長兄「良い所に気付いたな、流石は我が妹」

女騎士「は?」

長兄「触手は、軟体であるべきなのだ。狭い所を好む生物であれば尚良し」

次兄「穴をこじ開け、無理やりに侵入する軟体生物。これは実に想像に容易い典型例。モンスターではない『生物』にもよくある話だろう?」

長兄「仮に山賊などであれば、言葉を交わす事もできよう。だが、触手生物は『モンスター』なのだ」

次兄「やめろと懇願しても、反応は返ってこない。異種に体内を穿られ弄られる恐怖や屈辱、そして裏腹な反応を示してしまう肉体」

長兄「子宮へ届き、腸内を遡り、乳房を想像すら出来ない手段で嬲られ、無数の触手が背筋や内腿を撫でる」

次兄「その激流のような感覚への刺激により、心では嫌悪していても体は反応する。それは正しく、感情の火炎旋風」

女騎士「………」ゴクッ……

長兄「何もかもが、未知の感覚。人間とでは決して得る事のできない類のな」

次兄「言葉が分からないから、何を考えているか分からないから、恐怖は決して離れない」

長兄「……触手に対して気を許し、恐怖を取り除くタイミング。それは、ただ一つ」

女騎士「…それは?」


長兄・次兄「……『堕ちた時』だ」キリッ

女騎士「……詳しくお聞きしても?」

長兄「いつになく乗り気ではないか、妹よ」

次兄「普段は蹴りかパンチ、あるいは手首を用いた―――」

女騎士「それも考えましたが……今回は付き合わせていただく事に致しました」

長兄「ほほう」

次兄「それじゃ、話を戻そうか?」

長兄「…絶え間なく与えられ続ける快楽は、もはや性感の域ではない。心へと沁み込む、猛烈に甘い劇毒」

次兄「うん。そして、その毒が心の奥底まで達した時、最後の鍵は解き放たれるんだ」

長兄「しかしその鍵は、心を繋ぎ止めるための『索』でもある。それが解き放たれてしまえば、心は崩壊する」

次兄「そして再び繋ぎ合わさった時―――そこには、『女騎士』はいない。淫語を喚き散らす『媚肉の塊』があるだけ」

女騎士「結局私か!予想はしていたが!!」

長兄「ともかく、触手と、それによってもたらされる快楽については理解して貰えたかな」

女騎士「……何とはなしに」

次兄「それは良かった。……それじゃ、次だね」

女騎士「ところで、兄上方」

長兄「ん」

次兄「何かな?あ、触手にはもちろん媚薬―――」

女騎士「そうではなく!何故、今晩に限って私の部屋に?」

長兄「何、妹と親睦を深めようと思ってな」

次兄「というのが建前」

女騎士「建前?」

次兄「多分、何かあるとしたら今夜だよ」

長兄「うむ。……だから、弟も今頃父上と一緒にいるはずだ。一緒にいた方が安全だからな」

女騎士「……なるほど」

次兄「まぁ、それだけの理由じゃあないけど」

女騎士「と言いますと」

長兄「…正直、あれだ。……猥談を繰り広げて、お前の反応を見たかった。悪意はない」

女騎士「悪意でなきゃ何なんだ!!」

女騎士邸 敷地外


強盗A「……次は、ここか?」

強盗B「ああ。……騎士が三人。一人は『軍神』だが、もはや老いぼれだ」

強盗C「本当にやるのか?」

強盗B「ああ。……何、俺らは20人。ソッコーで野郎を殺せば、後は……」

強盗A「あの『女騎士』サマか。お楽しみって訳だ」

強盗C「………ククッ。楽しみじゃねぇか」

強盗B「全くだ。さぁ、行こうか。開始時刻だ」

強盗A「さて……と」チャキッ

強盗C「…ん?」

強盗B「今度はどうした」

強盗C「……何か……周りに気配、感じないか?」

強盗B「はぁ?……何を……ぐっ!?」ドサッ

強盗D「…な、何だテメェら!?」

強盗E「うちの奴じゃねぇな」

???「………何。同業者、と思われても困るのでな」

???「…マスター。さっさと片付けましょう」

???「そうだな。……殺すなよ、絶対に」

強盗D「………マスター?まさか、お前ら……!」

???「…ああ、そうだとも」

強盗E「ぐぼっ……!」ドサッ

強盗D「何でだよ!?何で、盗賊が……!」

???「別に貴様らがどうしようと勝手だ。我々とて御法に触れる存在。咎める筋合いは無い」

???「だけど。……彼らに手を出すというのなら、別」

強盗D「……何…言ってんだ…?」

???「話は終わり。……倒れて」フッ……

強盗D「っ…消、消え……!?ぐおぁっ!」バタッ

次兄「まぁ、今夜は兄妹三人、酒でも飲もう」ゴトッ

長兄「ほう、いい酒を持ってきたな。シャンパンか」

女騎士「…有事に備えているというのに、飲酒なんて」

次兄「良いじゃないか。……きっと、恐らく……辿り着けないよ、彼らは」

長兄「ああ。恐らくな」

女騎士「?」

長兄「何でもない。さ、飲もうか」シュポンッ……トクトクトク

女騎士「あ、ちょっ……勝手に……!」

次兄「仮に何かあってもだ。お前や兄上は、酔った程度で賊に負けるのかい?」

女騎士「…それは……」

長兄「例え、父上が泥酔して足取りがグラついていたとしてもだ。……それでも、俺は勝てる気がしない」

次兄「それどころか……『人類と戦う』、という気すらしないね」

女騎士「……兄上だって、私にとっては怪物ですよ」

長兄「そうか?」

女騎士「細身のダガーのみで、重装歩兵4人をそれぞれ一突きで仕留めたという」

長兄「ああ、そんな事もあったか。簡単だぞ。装甲の縫い目、骨格の隙間、急所への距離さえ掴んでいればいい」

女騎士「芸術家みたいな事を言わないで下さい。立場がありません」

長兄「まぁ、文字通り堅苦しい話はさておき。……話を戻そうか」

次兄「ああ、触手ね」

女騎士「まだ続けるのですか……」

次兄「何を言っているんだい。まだ序盤の序盤。ポーンを一個動かした程度だよ?」

長兄「否。まだ鎧を着て馬上へ座しただけの段階。始まってすらいない」

女騎士「えー………」

長兄「ともかく、乾杯といこう」グッ

次兄「……何にする?」

女騎士「それでは。……『我が家門に』」

長兄・次兄・女騎士『 乾 杯 』チンッ


女騎士「……美味しい、ですね」

長兄「うむ、中々。どこで手に入れた?」

次兄「ある銀行屋から貰ったのさ。あと三本あるよ」

長兄「賄賂か?」

次兄「そうとも言うかな」

女騎士「わっ……賄賂!?」アタフタ

長兄「もう遅い。飲んでしまったのだろう?」

次兄「大丈夫、共犯者にはならないし、やばい話でもないからさ」グビッ

女騎士「……一体何をやっているのですか」

次兄「まぁ、秘密にする話でもないけど……その内明るみに出るよ。賄賂と言うより、『謝礼』に近いかな?」

長兄「それで、どこまで話したかな?」

次兄「まだ序文だよ」

女騎士「あれで!?」

次兄「いいかい、妹よ。『触手』は、一晩でなんて語り尽くせないんだ。由緒ある存在なんだ」

長兄「それはもはや信仰、いや哲学。万人に万通りの触手論が存在する。時に交わり、時に衝突する、な」

次兄「『愛』の形がいくつもあるのと同じさ。……そして、どれが最高の『愛』かなんて、誰にも決める権利は無いよ」

女騎士「(……あれ?納得してしまった……?)」

長兄「まあまあ。……とりあえず、まずは一例。触手のもたらす、背徳の興奮について語ってみようじゃないか?」

四時間後


長兄「という、訳でなぁ……つまり……『触手』とはだなぁ……おい、聞いているのか?」

女騎士「はい……聞いて、まふ……よぉ……」グデングデン

次兄「……Zzzzz……Zzzzz……」

長兄「本当か?……なら…ぁ…おさらいしてみてくれ」

女騎士「はぁーい……えっとぉ……触手さんがぁ……ぐいーってなって……わたひの、中に……ぶしゅーって……ぇ…」

長兄「そう、そういう…事、だ……ぁ……っとぉ」ガタンッ!ドシャァッ!

女騎士「あははは……兄上ぇ……転んじゃってぇ……!だらひない……ですぅ……」ケラケラ

長兄「…そういえば……今夜、何かがあった……ような……?」ベロンベロン

女騎士「えぇー……何が……?」

長兄「何だった…かなぁ……?あー……ダメだ……もう、寝よう……」

女騎士「そうれすねぇ……。暑いから……脱いじゃいます……」ゴソゴソ

長兄「はははは、そうかぁ……なら、俺も……」ゴソゴソ

女騎士「それじゃ……おやすみ、なさい……」

長兄「おいおい……折角だし……久しぶりに、一緒に……眠ろう、じゃないか……」モソモソ

女騎士「えへへへ……わぁい……お兄様といっしょだぁ……暖かぁい……」ヒシッ

長兄「Zzz……Zzz……」

更に翌朝

次兄「っ……痛っ……!そうか…………こんなに空けちゃったのか……」キンキン

長兄・女騎士『スー……スー……』

次兄「……そうだ、兄上と……って、おわっ!?」

長兄「んん~……」ゴロッ

次兄「あ、兄上!何で、裸で……って!」

女騎士「……スー……スー……」コロン

次兄「い、妹まで!?……ちょ、起きて!起きなよ、二人とも!」アセアセ

長兄「……ん…?」ムクッ

次兄「…兄上、これはどういう……?」

長兄「……なっ……何だ、これはぁぁ!?」

次兄「僕が聞きたいよ」

長兄「あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!…『俺は寝て起きたと思ったら、妹と同じベッドで二人とも裸だった』
    な、何を言っているのかわからねーと思うが……俺も何をしたのか……」

次兄「いいから、服を着なよ!そろそろメイドが起こしに……!」

メイド「失礼します。朝食の準備が……」ガチャ


メイド「……失礼いたしました」バタン

また間隔が開いてしまった
投下終了です

基本的に女騎士もかなりブラコンです
それでは、また次回ー

山賊のアジト
朝食中

傭兵「はよーッス……」

山賊A「遅ェーよ」

山賊B「さっさとメシ食え。今日は働くぞ」

傭兵「何、また襲うん?間隔狭くね?」

女エルフ「?」

山賊A「何キョトンとする」

女エルフ「お仕事に行くのですよね?……襲う、とは?」

山賊A「山賊の仕事なんて一つっきゃねぇだろ」

傭兵「女騎士をレイ……」

山賊A「そーそ、手籠めに……ってちゃうわボケ」

山賊B「いやぁ、それも大事だろ?」

傭兵「俺達がやらねば、誰がやる」

山賊A「朝っぱらからウゼェ」

山賊A「…今日は襲撃じゃねぇよ。アジトの掃除だ」

傭兵「山賊がwwwwww掃除wwwwwwwww」

女エルフ「お掃除ですか?それなら、私もお手伝いいたします」

山賊A「見た通り、ここは放棄された砦でな。地下室だの何だの、手つかずの場所が多いんだ」

傭兵「何でwww掃除wwwwwしねぇんだよwwwwwwww早くにwwwwww」

山賊B「ここに移ってから、色々やる事が多かったんだよな。付近の探索に測量、地図作成」

山賊A「とりあえずここを根城にすると決めた時に、最低限の内見はしたんだけどな」

傭兵「で、何かwwwwwパネェもんでもwwwwww見つけた?wwwwwwwwww」

山賊A「ミノタウロスが一匹住み着いてた」

山賊B「あれはデカかったよな」

女エルフ「だ…大丈夫だったのですか?」

山賊A「試合開始37秒、フロントスープレックスだ」

傭兵「は?wwwwww」

山賊B「ボスが仕留めた」

傭兵「またwwwwwww何モンだよwwwwwwあいつwwwwwww」

山賊A「さぁな。……ともかく、それから問題は起こってないぜ」

傭兵「wwwwwwwwww」

女エルフ「それで、お掃除とは……?」

山賊B「瓦礫片づけたり補修したり。後は、何かめぼしいモノでもないかとね」

山賊A「微妙に広くて、眼が届かない場所が多いからな」

女エルフ「……そういえば、Cさんと、親分さんは?」

山賊A「ボスとCは先に外壁の補修に行った」

傭兵「でwwww俺らはwwwww?」

山賊B「まず地下室だ。何かあるかもしれねぇし、地下牢を使えるように整備しておけってさ」

山賊A「何かって何だよ」

傭兵「そりゃおめぇwwwwwwナニかあるんじゃねwwwwwww?」

女エルフ「?」

山賊A「で、嬢ちゃんはいつも通り掃除と洗濯」

女エルフ「はい、分かりました」

山賊のアジト 地下室


山賊B「それにしても、地下牢ってのはどうしてこんな不健全な匂いがするんだろうな」

山賊A「また何か振るのかよ?いいからゴミ拾え。そこに骨落ちてんだろ」

傭兵「ちょwwwww見て見てwwwwwwこれwwwwww」パタパタ

山賊A「今度は何だよ」

傭兵「こっちのwww牢屋wwwww壁一面にwwwwwwwびっしりwwwwwwwww」

山賊A・B『うわあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』ドキィッ!!

傭兵「どう見ても血文字ですwwwwwwww本当にwwwwwありがとうございましたwwwwwwww」

山賊A「……ビックリした。これ、落ちるのかよ?水つけてブラシでこすってみるか」

山賊B「典型的だよなー、こういうの」

傭兵「お前らwwwwwwwメッチャビビってたろwwwwwヘイヘーイwwwwwwww」

山賊A「うるせぇ!お前はどうなんだよ!」

傭兵「メッチャ余裕だしwwwwwあなたとはちがうんですwwwwwwwwwww」

山賊B「いいから落とすぞ、コレ」ゴシゴシ

傭兵「……で、綺麗に落としちまってやんのwwwwww」

山賊A「正直、残しといたほうが雰囲気出たのにな」

山賊B「そりゃまぁ、そうだけど。ボスに怒られるぞ」

傭兵「そういえば、ここって『王国』の領内だっけ?wwww」

山賊A「……いきなり草が減ったな」

傭兵「だから、疲れるんだってば」

山賊B「で、何の話がしたかったんだよ」

傭兵「ああ、いや。……何でここ放棄されたんかなーって」

山賊A「確かに、妙だよな。そもそも、なんでこんな見通しの悪い山中に作られた?」

山賊B「見た感じ、10年以内まで使われてたっぽいけどな」

傭兵「……最大の仇敵、『帝国』は王都を挟んでこの砦のはるか東。こんな所に作る理由も、いきなり廃棄した理由も分かんねッス」

山賊A「使いもしない無駄な箱モノを建てるのは、お上にありがちだろ」

山賊B「いや、それにしたって限度があるぜ。理由や名目が一つも思いつかない」

傭兵「ちょっとヒネた事言っていいスか」

山賊A「何だ?」

傭兵「……まともに考えて答えが出ないんなら、きっと、『まともじゃない』用途に使われてたんじゃね?」

山賊B「……ヒネたっていうか、正論だな、それ」

傭兵「それともう一つ、気になってた事があるんスけど」

山賊B「次は何」

傭兵「……これは、今の話と……あと、俺の経験からくる推測なんスけど。…………」

山賊A「何が言いてぇんだ。タメるんじゃねぇ、クイズの司会者か」

傭兵「こういう場所には、『あれ』がある事が多いんス」

山賊B「くどいわ。スパっと言え」

傭兵「…………『拷問室』」

山賊A・B『……!』

傭兵「拾ってもらった時から思ってたけど、言いづらくてさぁ」

山賊A「……なるほどなぁ」

山賊B「…人里離れた場所にある、って事は。人に見られちゃマズい事をやるから、って事か」

傭兵「何か、ここ……間取りといい設備といい、外敵に対応するために作られたっぽくないんス」

山賊A「確かに。やけに入り組んでるし、不自然な扉が多い」

山賊B「敵の侵入を阻むためと言うより、中にいる奴を逃がさない為、と言った方がしっくり来るよな」

山賊A「厩も妙に遠い。まるで、わざとアシを遠ざけてるみてぇだな」

傭兵「……砦と言うよりも、『殺人鬼の館』と言った方がしっくり来るんスよね、どうにも」

山賊A「おっかねぇ事言いなさんな」

山賊B「面白ぇ話だったが、どうすんだよ」

傭兵「ん」

山賊A「……長々語ったが、拷問部屋の有無はお前の勘だよな?」

傭兵「んまぁ、そうッスけど」

山賊A「状況的にも可能性は高いし。何より、『バカの勘』は当たるのが相場だ」

傭兵「ちょwwwwwwwwww扱い悪ッwwwwwwww」

山賊B「……拷問部屋、探してみっか?」

山賊A「無いなら無いでいいしな。あるかどうか分からない、でもある可能性が高い、ってのは気持ち悪いな」

傭兵「でも、正直怖いッスね」

山賊A「ま、探してスッキリしようや。もう地下牢はこれでいいだろ。錠前は俺がその内作り直す」

傭兵「何、そんなアビリティまであんの?」

山賊A「山賊が地下牢の修理できなくてどうすんだよ」

山賊B「そうだ。拘束もできて当たり前」

傭兵「変な方向に持ってくなよ」

山賊A「それにしても……拷問か」

山賊B「ふーむ」

傭兵「またいつもの流れッスか」

山賊A「と思うだろ?」

傭兵「wwwwwwwwwwwww」

山賊B「それは置いといて、一体何に拷問するってんだよ、こんな所で」

傭兵「……敵の間諜とか?」

山賊A「妥当だな」

山賊B「……どうかなぁ」

傭兵「?」

山賊B「さっきの血文字、もう消しちゃったけどよ」

傭兵「ああ……そういや、読んどけばよかったスね」

山賊A「そうだ、あれ何処の言葉だったんだ」

山賊B「『帝国』の文字でも、この『王国』の文字でもねぇ。そもそも『文字』だったのかも分かんねぇ」

傭兵「随分詳しいッスね」

山賊A「そら、こいつ三ヶ国語話せるんだよ」

山賊B「読み書きだけなら五ヶ国いけるぜ」

傭兵「何で山賊やってんスか」

山賊B「……色々あんのさ。強いて言えば、東大卒のインテリヤクザみてぇな」

傭兵「把握」

山賊A「…ひょっとすると、『人類』の文字じゃないかもな」

山賊B「……考えられるな」

傭兵「ゴブリンとかオークとか、そういう事スか?」

山賊B「いや、ゴブリンは文字を持たない。オークも似たようなもんだ。知能の低い亜人種じゃない」

山賊A「するってぇと、……エルフ系列の種族とか、あるいは人類でも辺境氏族とか、そんな?」

傭兵「…ますます目的が分からんッス。この国がエルフと対立してた事なんてないでしょ?」

山賊A「……『無い』のかもな?」

傭兵「は?」

山賊A「『無い』目的なんか、知る事もできるはずがねぇだろ?」

山賊B「強いて言えば、『手段』ではなく『目的』だったとか?」

傭兵「…………」

山賊A「ハァ……この話は、やめようぜ。段々ムカついてきた」

山賊B「俺も賛成だ」

傭兵「じゃ、俺も降りるッス。後、何かする事は?」

山賊A「井戸の整備はボス達がやるから、あとは……地下通路の点検だけだな」

女騎士邸
書斎

父「……で、言いたい事はあるか?」

長兄「……違います。誤解です」

女騎士「…そうです。誓って何も……無い、と信じます」

次兄「確かに妹を愛していますが、そういう類のものではありません」

父「信じよう」

女騎士「早ッ!」

長兄「……日頃の行いというものだよ」

女騎士「いや、それなら疑われると思いますが」

次兄「この話が終わりだとすると、他に何か?」

父「……件の、強盗団の事だ。今朝方、衛兵詰め所に一人残らず裸で縛りつけられていたそうだ」

次兄「何か、メッセージは?」

父「ああ。……『盗賊より、衛兵隊長殿に愛を籠めて』と書き残されていたと」

長兄「…彼らが?」

次兄「そうなると、衛兵隊長もトドメを刺された形かな?」

父「うむ。盗賊ギルドがあっさりと全員お縄にした事から、もうかつての衛兵隊長も、息子を庇えなくなった」

女騎士「任期を終えずして下ろされる事になったのですね」

父「我が家に押し入ろうとしていたそうだが……人数、知っているか?」

長兄「100人ほどでしょうか?」

父「……20人、だそうだ」

次兄「20人で、我が家に押し込み強盗?」

女騎士「(危なかった……酔いつぶれて寝てたなんて……!)」ゾクッ

長兄「…見縊られたものですね」

父「否、甘く見るな。たとえ賊といえども、油断は禁物」

次兄「……父上、何かもっと大事なお話があるのでは?」

父「お前には隠せないな。……いや、隠すような話ではないし、隠してはいけない話でもあるんだが」

長兄「何なりと」

父「……娘よ」

女騎士「はい」

父「……親衛隊の話を、覚えているな」

女騎士「……勿論です」

父「王女殿下の強い御希望でな。……お前に、加わってほしいとの事」

長兄「……ほう」

次兄「理由を、お尋ねに?」

父「殿下に加え、国王陛下からも打診された。……歳がやや近いのもあり、何より、我が家門の『騎士』という事もあると」

女騎士「……身に余る光栄です」

父「だが、喜ぶなよ。……これで、お前は王族の命を預かる身となったのだ」

次兄「失敗は、許されないって事だね」

女騎士「………!」

父「差し当たって、謁見は明後日だ。……その後は、わずらわしい式典がいくつか続くぞ」

女騎士「はい、承知いたしました」

次兄「……僕が言うのも差し障りがあるけど、その手の儀式って本当面倒だよね」

長兄「大きな声では言えないが、俺もそう思わない事も無い。手順を忘れて頭が真っ白になる事も多いぞ」

父「そう言うな。……これも、どうせあと数十年の事だ」

長兄「…………」

女騎士「……父上」

父「何だ?」

女騎士「確か、王女殿下の御歳は……」

父「確か、今年で14歳との事。……お前にとっては、妹のようなものか」

女騎士「そ、そんな……畏れ多い……です」

父「お花畑で追っかけっことかするなよ」

長兄「『お、お待ちください殿下!』と見失って、花飾りを不意に首にかけられるとかやめろよ」

次兄「それ、結構な不吉フラグだからね?」

女騎士「(……少しだけ、やってみたかったな……)」シュン

父「さぁ、話はこれで終わりだ。解散」パンパン

女騎士「……責任、重大ですね」

次兄「気にしない気にしない。お前にできる事を全てやっても王女を守れなかったなら、お前のせいじゃないさ」

女騎士「無責任なエールですね……」

次兄「だって僕、文官だもの」

ギィ……バタン


長兄「……良いのですか?」

父「良い悪いじゃない。王女と国王二人の希望だ。拒めるものか」

長兄「…………」

父「明日から、お前が直々に稽古をつけてやってくれないか?」

長兄「ええ。たとえやるなと言われようともやります」

父「心強いな。……なぁ」

長兄「はい」

父「……『王族などどうでもいい。娘には何をしてでも元気で生きてほしい』と願うのは、不敬かな」

長兄「…それを不敬と言うのなら、騎士には『親心』を許さないという事になります。……そして、不敬者は父上だけではありませんよ」クスッ

父「……くくく、殺し文句だな」

長兄「偽らざる本心です。……決して大声では言えない、ね」

父「本心ついでに聞かせろ。……強盗が不発で、ホッとしただろう」

長兄「はい。……心底、安心しました」

父「私が、盗賊ギルドに伝書を送ったのだ。彼らも、市井を賑わす強盗団のせいでやり辛くなっていたからな」

長兄「痛快な話でしたね。盗賊達も、市民も、さぞや胸がすくような思いでしょう」

父「先先代の隊長はともかく、例のボンクラ息子が逆恨みしそうだがな」

長兄「息子というのは、父を超えられないものでしょうか」

父「……超えられるさ。息子とは、父より、ほんの少しだけ大きくなるものだ」

長兄「そうである事を祈ります。……お互いに」

父「さて、今日は舞踏会に呼ばれている。帰りは遅くなるぞ」

長兄「はい、父上。それでは、俺も」

キィ……バタン


父「……何故、嬉しくないのだろうな。愛娘が出世しようというのに」

投下終了です

スローペースで申し訳ねぇ

それではまた次回

翌朝
女騎士邸 中庭


女騎士「…やぁぁぁ!!」

ブォンッ……! ザンッ……ドサドサッ!


長兄「おはよう。…一振りで丸太を二本、袈裟懸けか」

女騎士「……兄上」

長兄「どうした、そんなに驚いて」

女騎士「兄上……何故、剣を?」

長兄「……刃を帯びて目の前に立った相手に、『何故』と?」

女騎士「………」チャッ

長兄「そう。無言で構えるのが正解だ」

女騎士「……ご指南、願います」ググッ……

長兄「来い」ユラッ……


ギィィィィン!

女騎士「なっ……何で、受けられ……!」ギリッ……

長兄「俺相手に大上段は通らないと踏んで、下段から胴薙ぎ。その判断は悪くない」

ギシッ……ギギギ……

女騎士「……くっ…!」

長兄「だが、剣先に速度が乗る前に抑えられれば、重量に勝る得物はお前の枷になる。……そして、こうだ」

ぱしぃぃんっ!


女騎士「痛っ……!」ドサァッ!

長兄「もしも、俺が弱手に武器を持っていたら……今、お前は死んだのだぞ」

女騎士「………」

長兄「…悪く思わないでくれ。これからは、俺がお前に稽古をつける」

女騎士「…はい、よろしくお願いします」

長兄「では、立て。もう一度だ。両手剣の特性を活かす事を忘れるな」

女騎士「……言われずとも!」ダッ

一時間後

女騎士「ハァッ……ハッ……!」

長兄「敵の前で息を整えるな。殺してくれ、とでも?」

女騎士「フゥッ……」スゥー……

長兄「そうだ、息は長く、静かに。あるいは……荒くつくぐらいなら、息などするな。剣筋が乱れる」

女騎士「……っ!!」ブゥゥンッ!

長兄「まだ遅い!」シュォンッ……

女騎士「(……逸らされた!?)」

ヒタ……

長兄「これで、27回目の死だ」

女騎士「……参りました」

長兄「…妹よ、こちらへ来い」

女騎士「…………!?」ギュッ

長兄「…頬を打って、すまなかった」ギュウウ……

女騎士「…兄、上……」

長兄「………」

女騎士「(……震えてる?)」

長兄「許してくれ」

女騎士「……苦しい、です」

長兄「……87、それと58か」ポツリ

女騎士「はい…?」

長兄「上から。……そして、最後は……」さわっ

女騎士「あっ……!!」ビクビクッ……


キーーーーン

朝食時

長兄「妹よ、俺が悪かった」

女騎士「…………」

長兄「次から金的だけはやめるんだ」

女騎士「…お言葉ですが。あの状況で、それ以外の選択肢が?」

父「うむ。急所を狙うのは常道の常道。油断したお前が悪い」

次兄「心情的には兄上に同情するけれど」

弟「稽古をつける、と言ってしまった一兄様の不覚です」

長兄「…………」

父「だが、しかし……軽はずみに狙ってはいけない、というのも確かだ」

女騎士「……私には、どうもピンと来ません」

次兄「例えば、そうだな。……もしも子宮が、薄皮一枚で股間にぶらさがっていたら、と考えるといい」

女騎士「……うっ……」

弟「そんな場所を、力任せに蹴り上げられたらと思うと……」

父「思わず、すくみ上るな」

長兄「……俺はもう気にしてはいないが、女は金的を軽く考えすぎだと思う」

次兄「ああ、僕もそれは思った。実際にそういう器官が無いからというのもあるけどね」

弟「酷い場合は、ショック死する事さえあるというのに。面白いリアクションを取らせるためのスイッチだと考えてる人が多いですね」

長兄「男にとっての金的は、女で言えば下腹部に渾身のブローを見舞うようなものだぞ」

父「であるのに、何故か遊び半分に玉を打つ女は後を絶たぬ。嘆かわしい」

女騎士「……すみませんでした、兄上」

長兄「いいさ。……ただ、できれば……金的は、本当に殺されそうな時以外は使うなよ。誰に対してもだ」

父「この話は終わりとして。明日、城で王女殿下に会ってもらうぞ」

女騎士「……はい」

父「その後は、お前と、二人きりで話したいそうだ」

女騎士「わ…私と?」

長兄「…………二人きり?」

次兄「そりゃ、どうしてだろうね」

弟「……いや、詮索は止しましょう」

父「うむ。……まぁ、粗相のないようにな。少し失敗したからといって殺される訳じゃない」

長兄「恥をかくのも、かかせるのも、『騎士』にとっては死活問題でしょうに」

父「まぁ、そうだがな。あまり気負いすぎるな、という事だ」

次兄「………ちなみに、親衛隊って何人で構成するのかな」

弟「多くて10人というところでは?城には近衛兵もいるのですから、そう多くいる必要は無いかと」

父「それが、私にもはっきりと聞かされていないのだ。今お前が言ったのが妥当な線だとは思うが」

長兄「……そもそも、何が目的の親衛隊だ」ボソッ

女騎士「兄上?」

長兄「何故こんな時期に、親衛隊を募る?……一体、何が迫っているというんだ」

次兄「暗殺ギルドから予告でも届いたんじゃないの?」

弟「それなら、親衛隊設立などと回りくどい事をせず、即座に信頼できる勇士を集めるでしょう。父上のような」

父「そして、そんな話は私に来ていない。何もかもが時期外れのイレギュラーという訳だ」

女騎士「…………」

長兄「……いや、悪い考え方はやめようか。さて、俺はもう出るよ」ガタッ

次兄「早いね」

長兄「自警団の集まりがあってな。例の賊達は縄を打たれた事だし」

弟「……いや、恐らく……」

長兄「おっと、厳しい事を言うなよ。……それでは、失礼」

山賊のアジト
広場

山賊A「おお、井戸が使えるようになったのか?」

山賊C「俺にかかればこんなもんだ。涸れてなかったのが救いだ。滑車を新しく付け直しただけさ」

山賊B「どうでもいいけど、井戸ってなんかやだな」

山賊A「ロン毛の悪霊が這い出てくるからか?ビデオ見てない奴まで殺すのは反則だよな」

山賊C「ああ、あれはな。三作目のピンヘッドじゃあるまいし、フリーダムすぎると逆にイラっとくるよな」

山賊B「全くだ。絶対のルールを遵守するからこそ、『抗えない』という絶望感が生まれるっつぅのに」

山賊A「条件を揃えた相手は必ず殺し、そうでない奴は絶対に殺さない。このスタイルを崩しちゃダメだよな」

山賊C「走るゾンビもそうだよな。『はいはい、もう好きにすれば?』って半ギレであてつけがましく言ってやりたくなる」

山賊B「いつまで続けんだよ」

山賊A「で、何だ?井戸の何が怖いって?」

山賊B「……まぁ、例の悪霊もだけどさ。井戸って、どうもゾッとしない話が多いよな?」

山賊C「死体投げ込んだの、水が真っ赤に染まって溢れたの、色々な」

山賊B「思うに、『井戸』が象徴するものって何だろうな?」

山賊A「『憩いの場』とか、『貴重な用水』じゃなくてか?」

山賊B「どうも、井戸には何か謎めいたものがある気がすんだよ」

山賊C「そういや、どっかの神話の巨人は、力を封じるために井戸に縛り付けられてたな。そういう事?」

山賊B「ああ、それだ!……『井戸』ってのは多分、深淵に通じる所があるんだな」

山賊A「なるほどな、巨人の力を吸い取るのもそうだし、水底から這いあがる悪霊や悪魔もそうか」

山賊B「そういう話が古今東西にあるのも、『井戸』が何か恐ろしい世界への扉のように誰もが感じてるからだろうな」

山賊C「……なるほど、興味深い」

山賊A「面白いな。……しかし、これって文字通り井戸端会議だな」

山賊B「……で、あのロクデナシはどこで何してんだ」

川辺

女エルフ「……あの、どうして…ご一緒に?」

傭兵「いや、別にwwwwwwwwはよ洗濯しろwwwwwwwww」

女エルフ「…………はい」

ジャブジャブ

女エルフ「……この砦の皆さんは、本当に『山賊』なのですか?」

傭兵「っぽくねぇよなwwwwwwww身奇麗だしwwwww毛皮の腰みのも巻いてねぇしwwwwwwwwヒゲ剃ってるしwwww」

女エルフ「あ、いえ…そうではなく」

傭兵「何よwwwwwww言っとくが俺もよく知らねぇからwwwwwwwwww」

女エルフ「……どうも、皆さんには。…何か、別の物語があった気がするのです」

傭兵「何それwwwwwwwwんでんでwwwwwwwww」

女エルフ「……物腰からも。身のこなしからも。どこか洗練されたものを感じます」

傭兵「wwwwwwwwどこがwwwwwww」

女エルフ「荒々しさがありません。……まるで、そう……貴族、のような」

傭兵「………」ピクッ

女エルフ「…あ、あの……何か……」ビクッ……

傭兵「…嘘だしwwwwwwwビビんなwwwwwwwwキレてないッスよwwwwww俺キレさしたら大したもんッスよwwww」

女エルフ「…び、びっくりしました……」ドキドキ

傭兵「ほらほらwwwwwww洗濯終わったら戻って干せwwwwwwww一人で帰れる?wwwwwww」

女エルフ「はい……。あの…本当に、怒って……?」

傭兵「怒る要素ないだろwwwww今のやり取りwwwwwwww顔色伺うなっつのwwwwwww」

女エルフ「そ、そうです……よね?それでは、お先に戻りますね」

タッタッタッタッ

傭兵「はいはいwwwwwwwよろしくねwwwwwwwwwww」フリフリ

山賊のアジト 
広場


山賊A「……あれ、耳長の嬢ちゃんか?」

山賊B「真っ白な服着たエルフが、この砦に他にいるってのか」

女エルフ「……ただいま、戻りました」

山賊C「……なぁ、あのイケメンクズは?」

山賊A「一緒にいたのか?」

女エルフ「はい。お洗濯をしながら、話を」

山賊A「…ほほう?」

山賊B「……あいつ、たまに消えるよな」

山賊C「夜中、こっそり寝室に入って来てたぜ」

女エルフ「…何か、ご用でもあったのでしょうか」

山賊B「………ははぁ、なるほどね」

山賊A「あん?」

山賊B「まぁ、男には仕方ねぇ時もあるさ。うんうん」

山賊C「……ま、触れないでやろうぜ?」

女エルフ「???」

山賊A「さ、洗濯物を干しちまおうぜ。俺達も手伝うよ」

深夜
川辺にて

傭兵「ふはぁっ……」ザバァッ!

傭兵「……冷てぇ……」ザブッ


傭兵「……っていうか、出てきてくれね?そんな気配隠せねぇよwwwwww」

ボス「…………」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

傭兵「覗くなwwwwwwのび太さんのエッチwwwwwwww」

ボス「……こんな夜中に水浴びか?」

傭兵「いいじゃんwwwwwww寝汗かいたんだよwwwwwwww」

ボス「…血の匂いがするぞ」

傭兵「大丈夫wwwwww俺のじゃないからwwwwwっていうかアンタこそ何しに来たwwwwwwwwww」

ボス「……お前と同じ、筈だったが。もう間に合ってたみてぇだな」

傭兵「wwwwwwww遅wwwwwいwwwwwww」

ボス「……あまり遅くなるなよ」クルッ

傭兵「……待てよ」

ボス「………」ピタッ

傭兵「それ、片づけるの手伝って行ってくれ」ピッ

ボス「……何者だ、こいつら」

傭兵「さぁ。『娘はどこだ』つっていきなり。随分切羽詰ってた感じがしたねぇ」

ボス「…皆殺しか?」

傭兵「最後の一人は生け捕りにしたかったけど、喉を突いて自決したよ」

ボス「……自決を選んだという事は、恐らく、身元の知れる物は……」

傭兵「ったく、消化不良だわ。これからは、あの子を砦から出さない方がいいな」

ボス「…その為に井戸も整備した」

傭兵「……とりあえず、どうしよっか?こいつら」

ボス「問題ない。5人までなら」ヒョイッ……ヒョイ、ヒョイ

傭兵「もう驚かねぇよ?」

ボス「………こいつらを埋めて弔ってくる。お前は戻って寝ろ」

傭兵「お手数かけるね」

ボス「……気にすんな。分かってるだろうが、ここであったことは、俺とお前の秘密だ」

傭兵「はいはい、よろしく。……まぁ、秘密にしてられればいいがね?」

ボス「そん時は、ヤサを変えりゃいい」

傭兵「『小さな牧場』を手放すのは悲しいね」

ボス「………話は終わりだ。オラ、さっさと戻れ」

傭兵「気を付けて……と言いたいが、アンタには笑われそうだな」

ボス「…………」ノッシノッシ


傭兵「……やれやれ、タダ働きしちまったよ」


投下終了

「ストーリーを進める」「メタな猥談を繰り広げる」
『両方』やらなくっちゃあならないってのが……書き手の辛い所だな。
覚悟はいいか?俺はできてる


おやすみなさい

昼前
謁見の間の前、廊下にて


女騎士「…………」

父「堅くなるな。別に処刑される訳ではないぞ」

女騎士「……は、はい……」ガチガチ

父「………」サワッ……

女騎士「ひゃっ……」ビクッ

父「……89。張りがありながら、硬くはない」

女騎士「ち、父上!」/////

父「緊張は解けたな。……それでは、入るぞ?」

女騎士「……はい」

父「何、入ったらすぐ、許しがあるまで膝をつけばいいだけだ。難しい事は無い」


ギギィ………

――――――――

国王「本日は、よく来てくれた。……楽にしなさい」

父「はっ……」サッ

国王「そちらも。立ち上がって、楽に」

女騎士「仰せの通りに」スクッ

父「……陛下。この謁見の間には、我々しかいないようですが」

国王「うむ、衛兵は遠ざけた。大臣もな」

父「……内緒の話、という事ですかな」

国王「内緒話は、好きであろう?……さて、話を始めようか」

父「王女殿下の、親衛隊という事でしたな」

国王「……『隊』ではない」

父「と仰いますと」

国王「……女騎士。そなたには、我が娘の警護を頼みたい」

女騎士「えっ……!?」

父「…一人で、でしょうか?」

国王「うむ。我が娘の傍についてもらいたい。……質問はあるかな?」

父「……『何』から、守らせるおつもりですか」

国王「……それは、後で話そう」

女騎士「?」

父「……もしや。だから、あの時申したのです。私が……」

国王「…………耳が痛いな」

女騎士「…あの…何の、話を……」

父「…後で、説明しよう。お受けするな?」

女騎士「……はい、全力にて、必ずやお応えいたします」

国王「うむ。……聞いていると思うが、我が娘が、そなたと話したいそうだ」

女騎士「仰せの通りに、陛下」

国王「……この場に連れて来たかったのだが。悪いな」

女騎士「いえ、滅相もありません!」

国王「それでは、案内させよう。……そなたは、残ってくれ。年寄りは年寄り同士、話したい事がある」

父「はっ……」

女騎士「……それでは、陛下。失礼いたします」

国王「うむ。外に、案内の者を待たせてある。……頼むぞ」

父「…粗相のないようにな」

女騎士「はい、心得ております」

その頃
女騎士邸
茶会の席にて


長兄「………『民衆に嬲られる女騎士』というのはどうだろうな?」

次兄「そりゃまた、随分古典だ」

弟「ええ。もっとも、それにはパターンが大きく分けて二つありますね」

次兄「二つ?」

弟「一つは、『敵国の』民衆によってたかって、というもの。こちらの方がメジャーです」

長兄「もう一つは?」

弟「言わずもがな、『自国の』民衆に、というパターンです。背景には複雑なものがある分、前者の方が理解しやすいですね」

長兄「では、そちらを先に話そうではないか」

次兄「それじゃ、兄上からどうぞ切り込みを」

長兄「うむ。……そうだな。敵国に捕らえられ、紆余曲折経て市中を引き回され、広場へと連れて行かれる訳だ」

次兄「途中、民衆からは怒号とともに、石を投げつけられると」

弟「夫や息子、兄弟を失った女達。親を殺された子供。そういった人々から石つぶてを受け、哀しく目を伏せる『女騎士』」

長兄「罪悪感からか、俯いて歩く事しかできないのだ」

弟「しかし、それ以外の、『男』達が彼女を見る視線は違います。胸や尻、身体のライン、そして美しい顔を見て舌なめずり」

次兄「猿轡を湿らせ、漏れ出る唾液の雫を見て、粗野な妄想を繰り広げると」

長兄「そして、連行していく兵士達は民衆を制する事もなく、まるで牛馬を牽くかのように淡々と連れて行く」

弟「まさにその通り。これこそが、『敵国に捕まった女騎士』の末路であります」

次兄「しかし、ちゃんとした国が、敗軍とはいえ捕虜の『女騎士』をそういう風に扱うものかな?」

長兄「それはナンセンスというものだ」

弟「ええ、それを言えばキリがありません。初めての肛淫や、処女喪失で達するのもそうです」

次兄「なるほど、これは野暮だった」

弟「そこはまぁ、お約束として割り切りましょう」

長兄「うむ」

メイド「差し出がましいですが、一つだけよろしいでしょうか」

次兄「何だい?」

メイド「確かに敗軍の『女騎士』に対する扱いとして、それは通常在り得ません。……しかし、それが『有り得る』国だとしたら?」

長兄「つまり?」

メイド「女子供は欲望の為に酷使し、男は皆殺し。掠奪は黙認。そういう程度の社会倫理しか備えていないような国に、捕まってしまったのだとしたら」

次兄「……なるほど。『姫騎士と山賊の法則』がここにも発生するのか」

弟「『姫騎士と山賊の法則』?」

次兄「兄上と二人で考案した法則さ。清らかであればあるほど、正反対にあるものに征服された際の背徳と興奮が増す、というものさ」

長兄「今度、煮詰めて本を書いてみようかと思う。その時は、知恵を貸してくれ」

次兄「おっと……すまない、腰を折ってしまった。続きを頼むよ」

メイド「いえ、敬服いたしました。……ともかく、蛮族から一歩踏み出した程度の国に、捕まってしまったとしたら?」

長兄「それはまぁ、敗北感、劣等感、血を吐くような悔しさ。様々な感情が交ざり、濁るな」

メイド「内心見下していた、程度の低い国に打ち負かされ、捕虜として引きずり回される屈辱感ともなれば……ああ、素敵……昂ってしまいます…」ゾクゾク

長兄「ふーむ……国家権力そのものが敵となり、責め苛むのは明らかに『山賊』とは違う部分があるな」

次兄「いや、しかし……いくら途上国とはいえ、首都圏でそうするのは無理があるよ」

弟「独裁国家の場合なら分かりませんよ。民衆のストレスの吐け口として、という事も無くはないのですから」

長兄「ふむ。国家の不当な抑圧に対する不満を、『女騎士』への侮蔑や凌辱で発散するという事か」

弟「ある意味では生贄。あるいは、民衆への娯楽の提供。ともかく、それによって独裁国家は民衆の不満をリセットできるのです」

次兄「使わない手は無いね」

メイド「その場合、お嬢……いえ、『女騎士』の心境はいかばかりか」

次兄「独裁国家の現状を知り、民を解放してやりたかったという崇高かつ高潔な使命感。それを穢されてしまうんだ」

長兄「喪失感、無力感。今度湧きあがるのはそんなところか?」

弟「唾棄すべき兵士達にいくら強気な視線を向けて罵倒しようと、ニヤニヤと意地悪く見つめてくるだけで」

次兄「気付けば、民衆からは様々な視線を向けられ、石を投げつけられ……心を四方から裂かれるような感情」

長兄「そして目標地点、『広場』に辿り着くと、そこに待っているのはもちろん……」

次兄・弟・メイド 『  枷  !』

長兄「そう。手首と頭が一直線に固定できるタイプの、木製の枷。尻を突き出すような姿勢で」

弟「あれを見る度に思うのですが、お腹を載せるための、止まり木のようなものが必要じゃないでしょうか?」

次兄「確かに、そうすればより自然に、かつ犯す方も楽だろうね。姿勢も決まるよ」

メイド「難しいところです。そんな気配りを見せてしまっては、『肉便器』感が薄れてしまいますよ」

長兄「クッ……!なんという……!」ギリッ

次兄「腰を乱暴にひっつかみ、無理やり立たせて後ろから。これは定番のスタイルだね」

メイド「その際は、必ず『つま先立ち』でなくてはなりませんね」

弟「はい。プルプルと震え出すのも、セットで」

長兄「フィニッシュは当然、中出しだな。その際の悲鳴のような懇願は、もはや言うに及ばない」

次兄「あまりのショックに涙を流してしまうけれど、顔を覆うことも、涙を拭うこともできない。そのための『枷』さ」

弟「いったい何なんでしょうね、あの枷」

次兄「その手の目的以外に使われる事ってあるのかな」

長兄「無いな。凌辱以外では使わない。……否、使ってはいけない!絶対に!」

メイド「晒しものにする目的では、性別問わず使いますよ」

次兄「案外、不届き者が晒されてる女性を無理やり犯したのが、はしりなのかもね」

長兄「そうだとしたら、俺はその男を『マスター』と呼びたい」

弟「騎士として、その発言は良いのですか?」

長兄「いいか。男には、体面を気にしてはいけない場合がある。身分とは、自分を抑え込むためのものではないのだ」

メイド「良いお言葉です」

長兄「脱線したが、その後はどうなる?」

次兄「代わる代わる犯され、夕暮れには、もはや反応は返ってこないね。前も後ろも口も散々使われ、
    何十人分もの白濁が饐えた匂いを放ち始める。尻も、顔もべとべとに汚されてね」

弟「夜になって群衆が去ると、あn……じゃなくて『女騎士』の閉じかけていた心が少しだけ元に戻り、そこで現状を再確認して、静かに嗚咽を漏らすのです」

長兄「これが、『敵国の民衆』パターンの大きな流れか。何か他にあるか?」

次兄「付け加えるものはないと思うよ。多少の誤差はあれど、完成された流れだね」

弟「僕もそう思います。……ところで、二兄様」

次兄「ん?」

弟「次の本は、いつ出版されるのでしょうか?」

次兄「ああ、あれね。もう完成したから、印刷に回したよ。あと二週間もすれば市場に出る」

長兄「……それにしても、妹は、大丈夫だろうか」

メイド「腕前の事を懸念してらっしゃるのでしたら、恐らく、お嬢様に勝てるのは、この国には旦那様と若様だけかと」

次兄「というより、父上と兄上がチートすぎるんだよ。強制敗北イベントとしか思えないぐらいだ」

弟「負けたら『GAME OVER』と表示され、唖然とするのですね。何度か挑戦して、しまいにコントローラーを投げつけると」

長兄「ああ、いや……強さの事ではなく」

次兄「?」


長兄「………『いけない関係』にならないか、という事だな」

次兄「聞き捨てならない……というか、真面目にそんな懸念があるのかい?」

弟「いくらなんでも、考えすぎでは。……ところで、兄上方は王女殿下に拝謁した事が?」

長兄「俺はある。……何というか、その。好奇心が旺盛な無邪気な方でいらっしゃってな」

次兄「僕はお会いしたり言葉を交わした事は無いけど、どこか溌剌とした方らしいね」

長兄「王女と、直に護衛を行う、うら若き『女騎士』。不健全な匂いがしないか?」

次兄「百合?」

長兄「ああ、百合」

弟「……まさか」

長兄「それにしても、『王女』と『女騎士』。これ以上に良い相性はあるだろうか?」

次兄「無いね。意味合いにもよるけれど」

弟「……下手をすれば不敬ですね、この話題は」

長兄「良いじゃないか。兄弟三人メイド一人。当人のいない間の、ささやかな憩いの一時だ」

メイド「私をお加えいただき、まことにありがとうございます」


次兄「……さて、次は何の話をしようか?」

投下終了

たまに、どこまでが一般的な許容範囲なのか自信がなくなる
変態は自分を変態と思わず、ノーマルだと思うと言うけど


おやすみなさい

引き続き
女騎士邸、茶会にて


長兄「『自国の民衆に』パターンはどうなんだ?」

弟「はい。前提条件としてやや複雑なものがあり、姉う…ゴホン、『女騎士』の絶望は、更に深くなります」

次兄「言い直さなくてもいいよ。僕たちは皆、イメージするものは同じなのだから」

メイド「ええ、そうですわ」

弟「……ええ、分かってはいますが、そこはけじめとして、『女騎士』という言葉を使わせていただきます」

長兄「真面目だな。……それでは、続きを頼む」

弟「……敗北という発端は同じですが、『どこで負けたか』が分岐点。最大の違いです。敗北の度合と言っても構いません」

次兄「ふむ、何となく見えてきたね」

弟「敵国の民衆なら、戦場で捕らえられる、あるいは敵の街近くで捕らえられる事でそちらのルートへ」

メイド「あるいは、侵略して行って、というパターンもありますわね」

弟「しかし、『自国民』パターンは、敗北の深さが違います。それはつまり、自国の都市が、完全に敵国に掌握された事を意味します」


長兄「つまり、こうか?……制圧された都市を、護る筈だった『女騎士』が敵国の兵士によって引き回されると」

次兄「向けられる感情は、痛ましさ、遣る瀬無さ。そして、結局力及ばなかった彼女への、憤り」

メイド「……彼女は、民衆への申し訳なさ、これからの末路を想像して、その恐ろしさで顔を上げられない」

弟「どちらのルートも傍目には同じですが、女騎士、そして民衆の感情は全く違いますね。同じなのは、敵国兵士だけ」

長兄「手枷をはめられたまま牽かれていき、少しでも足が止まれば、容赦なく鞭が飛ぶ」

次兄「端正な顔が苦痛にゆがむ様は、彼女を良く知る国民達にとっては、眼を覆いたくなる光景でしかないんだ」

弟「……ちなみにこの時、拘束の具合によっても好みが分かれますね」

メイド「目隠し、猿轡の有無ですね。両方無し、両方あり、目隠しのみ、猿轡のみ、この四つでしょうか」

弟「そう、その通りです。流石は、我が家のメイド」

メイド「恐れ入ります」

弟「両方なし、の場合は、女騎士の表情を余すところなく読み取れます。震える唇、瞳に湛えられた感情、これだけでメインディッシュになり得ます」

長兄「ふむ………」モヤモヤ

~~~~~~~~

敵将「ほら、キリキリ歩かんか!」ビシィッ!!

女騎士「うぐっ……!」ガクリ

敵兵「貴様、誰が休んでいいと言った!」グイッ

青年「や、やめろ!」

少女「女騎士様……!」

敵将「んん~……?貴様ら、何か文句があるのか?」

青年「くっ……」

敵将「いいか?貴様らは、負けたのだ。……大人しくしているがよい!」ビシィィッ!!

青年「ぐあぁっ!」ズサァッ

女騎士「よ、よせ!よすんだ!」ガクガク

敵将「……なんなら、そこのガキと代わってもらうか?私はそれでも一向に構わんぞ?」ジロッ

少女「ひっ…!」

女騎士「わ、分かった……歩く、から……」

青年「女騎士……様……!」

~~~~~~~~

次兄「……兄上?」

長兄「ん?……あ、いや。ちょっと考え事をな」

弟「続けますね。では、目隠しと猿轡両方あり、の場合はどうか?」

次兄「さっきとは逆に、表情が全く読み取れない。強いて言えば、眉の寄せ具合ぐらいだね」

弟「民衆からは、表情を想像するしかできない。目隠しの中で、どんな顔をして耐えているのか……」

長兄「噛み締められた猿轡は、『敗北の味』そのもの」

メイド「『女騎士』側から考えると、どれだけの民衆が集まっているのか、耳でしか知ることができないのです」

弟「大勢が集まっていることは分かっている。しかし、今どこを歩いているのかさえ分からない。ただ、牽かれていく事しか許されない」

長兄「足が止まれば、やはり鞭。視覚が奪われた状態での鞭打ちは、『恐怖』でしかないな」

次兄「やがては、痛みへの恐怖から、自発的に足を進めるようになる。目隠しの隙間からは、涙が伝い落ちるんだね」

弟「鞭で打たれても、猿轡によって、悲鳴さえ自由に上げられない。豚のような、くぐもった声にしかならないのです」

メイド「畏れながら、猿轡と目隠し両方を行ってしまうと、『女騎士』としての鮮度が落ちてしまいます」

弟「鮮度?」

メイド「『女騎士』には、凛とした姿勢が欠かせません。捕虜と化しても、表面上はなおも気丈。それこそがアイデンティティかと」

長兄「…なるほど、一理ある」

次兄「そこまでの女傑を、恐怖で服従させてしまうのも定番だけど。勿体なさも確かにあるよ」

メイド「『自国の民衆に犯される』のであれば、そこからが本番です。牽き回す途中で堕としてしまっては、勿体ないかと」

弟「……そう、確かにその通りです。目が覚める思いですね」

メイド「だから、私としては。猿轡も目隠しも、両方なし、を推したいですわ」

長兄「……只者ではないな、お前は」ゴクリッ……

弟「成程……むやみやたらにゴテゴテと加えるものではない、という事ですね」

メイド「しかし、無意味ではありません。視覚と言葉を奪われ、恐怖に急き立てられて歩を進める、かつての高潔な『女騎士』。
    それはそれで、民衆に見せつける価値は十分にあると思いますよ」

次兄「ワインが良いかエールが良いか、の議論だね。結論なんて出ない、完全に『好みの問題』さ」

長兄「ふむ……。他にも、『焼印の有無』『服装』など、様々な要素があるな?」

弟「一息には語り尽くせませんね。甲冑の有無、そもそも服を着ているかどうか、等々」

次兄「いや、服は着ていなければならないよ。甲冑は、まぁお好みで。でも、裸ではいけない」

メイド「それは……?」

次兄「裸で、手枷をつけて牽かれているとなれば、それは『売られる奴隷』と変わりがないじゃないか」

弟「なるほど、あくまで、『市中を牽き回される女騎士』という点を崩してはいけないのですね」

次兄「全裸なのが悪いという訳じゃない。だが、順序がある。敵の高官や兵士に散々嬲られた後、というのなら納得できるけれど」

長兄「ふむ………」

次兄「着地点は、あくまで民衆に犯させる事にあるんだから。それまでは、清く美しい『女騎士』でなくては」

弟「……なんだかややこしくなってきましたね」

長兄「同感だ。ここは、広場まで『女騎士』を引っ張っていき、到着したところまで進めないか?」

次兄「そうだね。個人のこだわりを語り出すとキリがない」

メイド「それでは、引き回し、広場に到着。『例のあれ』に『女騎士』を拘束したところまで」

次兄「『例のあれ』で通じるのって、素敵だよね」

長兄「広場に集まった民衆は、まるで処刑台を見上げるかのように、『女騎士』を見る」

弟「中には、涙を眼に浮かべた人までいる有り様。沈痛な面持ち、とはまさにこの事です」

長兄「しかし、次の瞬間聞いた言葉は、耳を疑うものだったと」


~~~~~~~~

敵兵「……どうだ、諸君。この雌豚を、犯してやりたいと思わないか?」

市民A「な、何だって……?」ザワザワ

市民B「ふざけるな!お前ら……何のつもりだ!」ザワザワ

敵兵「この女は、結局諸君らを守り切れなかった。……その怨みを、晴らしたくはないか?」

市民A「違う!女騎士様は、俺達のために……!」

敵兵「では、こう言い換えよう。……この女を抱いてみたいと思ったことは、一度も無いのだな?」

市民A「…………!」

敵兵「いいか、諸君。これより、諸君は我々の民となる。遠慮する事はないのだぞ」

市民B「…………」

敵兵「もう一度訊こう。この女を、犯してみたくはないか?……なに、我が国から諸君への見舞いと思ってくれ」

~~~~~~~~

長兄「その言葉に、まるで盤面をひっくり返したように、市民の……男たちの視線が、変わっていくのだ」

次兄「時折ひそひそと話す内容は、小賢しく、そして血走った卑しい欲望なんだね」

弟「最初は難色を示していた者まで、その場の空気、負けて占領された現実、そして目の前の『女騎士』を見て考えを改めていくのです」

メイド「『どうせなら……俺もやらないと、損だ』と。そんな矮小な心理が働き、もはや止められませんね」

長兄「当の『女騎士』は、民衆以上に、敵兵以上に彼らの変化を目敏く感じ取る。向けられる視線の数だけに」

弟「何かを叫ぶように言っても、取り合ってもらえない。絶望。その一言に尽きますね」

次兄「……あとは、お察しさ。津波にように押し寄せる男たちの勢いは、止められないんだ」

メイド「純潔を保ったままの秘所も散らされ、固く窄まった『後ろ』も、滑らかな血色の良い唇も、殿方を迎え入れる事しかできないのですね」

次兄「………うーむ、酷いね。実に酷い」

長兄「酷いな。市民を守る為に戦って、それが末路とは」

弟「そういうものですよ。『女騎士』ですから」

メイド「ええ。『女騎士』ですもの」



王女の部屋前にて


使用人「こちらが、王女殿下の私室でございます」スッ

女騎士「ありがとうございます。……あなたは、お入りにならないのですか?」

使用人「ええ。女騎士様だけ、との事ですので。私はこれにて」

女騎士「それでは。…王女殿下、失礼いたします」ガチャッ


女騎士「……王女殿下?どちらに?」

???「……やぁっ!!」

シュバッ……

女騎士「……っ!」

スッ……ドシャァッ!!

???「くあっ……!」

女騎士「……何者だ?」ギリギリ

???「っつ…………流石、お見事ですね」

女騎士「えっ!?」

???「始めまして、お初にお目にかかります。……王女、と言えば分かりますか?」

女騎士「も、申し訳ありません!」サッ

王女「謝るのはこちらです。……お噂はかねがね」スクッ

女騎士「……何故ですか?というか、今完全に殺すおつもりでしたね。暗殺者のような恰好まで」

王女「ちなみに、この短刀には麻痺毒も……」

女騎士「だから、何故ですか」

王女「ついカッとなって……」

女騎士「何にっ!?」

王女「冗談ですって。試した非礼をお許しください」

女騎士「……」

王女「その話はともかく。……うん、思っていた通りの人ですね」

女騎士「女騎士と申します。……この度、王女殿下の護衛の大任を仰せつかりました」

王女「堅苦しいのは無しにしましょう。ようこそ、我が私室へ」

女騎士「…………」

王女「ご緊張なさらず。楽になさって」

女騎士「は、はい……」

王女「それで、何故です?」

女騎士「……何故、とは?」

王女「質問文に対し質問文で返すと0点ですよ」

女騎士「無茶です」

王女「……何故、私の護衛役を買って出てくれたのですか?」

女騎士「王女殿下のお望みとあらば。……それに、国王陛下の」

王女「…お父様、ですか」

女騎士「いかがなさいました?」

王女「あなたを護衛にしろ、とお父様から強く勧められたのです。……理由は、分かりません。
    そもそも、何に対しての『護衛』なのか。あなたなら知っているのかと」

女騎士「………?」

謁見の間

国王「……歳を取ったな?」

父「私とて、人の子なので」

国王「『不死の軍神』も人の子とな」

父「して、話とは?」

国王「……そなたの娘御を……いや、そもそも何から話せば良いのか」

父「それでは、私からお伺いしても?」

国王「許そう」

父「…なぜ、奴を殺しておかなかったのですか?」

国王「…………」

父「あの男は、もはや人ではない。―――比喩でも何でもありません。とうに人間をやめているのでしょう?」

国王「………」


父「……あの、西の辺境伯は!!」カッ


国王「……彼があの領地を治めるようになり、辺境の獰猛な亜人は水を打ったように静まっている」

父「答えになっておりませんな。……言わんとする事は、もちろん理解しておりますが」

国王「…そう、そなたの申す通り。あの男は、もう人間ではない」

父「…………」

国王「だが、あやつは……人間を手にかけた事など、一度たりともない」

父「…それが真実だとして、今回の事とどう繋がりを?」

国王「……あやつが寄越した文書にな。我が娘と……王女と、一度会いたいと書いていたのだ」

父「……そして?」

国王「だが、私とて……怪物の顎門の前に、愛娘を突き出したくは無い。……護りの『騎士』無しにはな」

父「……それなら、我が息子……あるいは、この私で良いのでは?」

国王「『帝国』との緊張が高まっている今、そなたをこの王都から離したくはないのだ」

父「我が息子では?」

国王「……何故だろうな。気付けば、そなたの娘に白羽の矢が立っていた」

父「莫迦げた親心、とでも?」

国王「笑うか?」

父「…『親心』を笑い嘲る事ができるほど、堕ちてはおりませぬ」

国王「ふっ…まぁ、そういう訳だ。出発予定は、近日中」

父「……娘に、話しても?」

国王「よい、任せる。頼んだぞ」

父「心得ました。……ところで、我が娘は城に住み込む事に?」

国王「うむ……そうした方が、自然だろう。明日からで良い。今日は帰り、準備を整えよ」

父「…はっ」

国王「……済まないな」

父「陛下の為でしたら、何事でも」

国王「さてと、話はこれで終わりだ。下がって良いぞ」

父「はっ。……それでは、陛下。失礼いたします」

ギィ………バタンッ


国王「………済まない、な」ボソッ

投下終了
おやすみなさいー

女騎士が国王へ拝謁する前夜

山賊の砦
山賊達の寝室


傭兵「……起きてる?」ボソッ

山賊A「あ?……何だ」

傭兵「あのね……私、前から……A君の、ことね……」/////

山賊A「一生眠らすぞボケ」

傭兵「ごめんなさい」

山賊A「で、何か用あんのか?」

傭兵「……『ダークエルフ』ってどう思う?」

山賊A「またその話か」

傭兵「何度でも」

山賊A「……そうだな。褐色?蒼白?」

傭兵「どっちも捨てがたいけど、俺は蒼白の方がいい」

山賊A「俺は決められねェな」

傭兵「……俺さ、自分が死ぬとしたら、どんな死が一番いいかって考えてたんスよ」

山賊A「いきなり物騒な話に飛ばすんじゃねぇ」

傭兵「まぁ、聞きなって。……俺が望む、最高の死は」

山賊A「何だよ」


傭兵「……ダークエルフの女戦士に、『幸せ投げ』を喰らって死にたい」


山賊A「…………さ、寝よ」

傭兵「色々なパターンがあるけど、その中でも俺が望むのは、ふとももで頭挟まれて、最高の風景を見ながら首をコキっと」

山賊A「……聞かない聞かない」

傭兵「すらりと引き締まったふとももが頭をがっちりと挟み込み、飛び乗るようにしながら腰のひねりでゴキっとさ。
    目の前には超至近距離の下着。いや、ノーパンでも捨てがたいが俺は下着の方が……!」

山賊A「…………俺はどっちかと言うと、顔面騎乗の体勢で後頭部から地面に叩きつけられたいな。ミニスカで」

傭兵「それもいいな。冥土の土産、いや、死者への手向けスね」

山賊A「どっちのパターンもよく考えると相当エグい殺り方だけど、そう思わせないだけの何かがあるな」

傭兵「あーあ。ダークエルフと仲良くなりたいなー」

山賊A「いや、むしろ仲悪くならないとダメじゃんそれ」

傭兵「どっちに転んでもおいしいんだってば」

山賊A「……もうだめだこのひと」

傭兵「何だよ、いつになくノリ悪いッスね」

山賊A「だから、前にも言っただろ。俺はどっちかというと生エルフ派なんだよ」

傭兵「エルフっ子を保護してそれはないッスわー」

山賊A「あいつは対象外だから安心しろ」

傭兵「じゃあどういうのが対象なんスか?」

山賊A「……そうだな、族長あたりの、高慢ちきなエルフの女王的なのがいい」

傭兵「ほうほう?」

山賊A「血走った目でニヤニヤと見つめて、『ふん……下賤な人類め』とか冷たく見据えられてそういう台詞を吐かれたいね」

傭兵「ドM?」

山賊A「お前が言うな」

傭兵「……でも、普通のエルフならともかくトップの族長ってどうッスかね?」

山賊A「どういう意味だ?」

傭兵「ましてエルフって何千歳とか余裕じゃないスか。ほんのちょっとやそっとじゃ堕ちそうにない。達観とかいう域じゃなさそう」

山賊A「あ~……確かにイメージしづれぇわな」

傭兵「ところで、こんな話してんのにBとCが入ってこないのは?」

山賊A「っていうか、いねぇぞ二人とも」

傭兵「便所?」

山賊A「ああ……つぎはションベンだ……」

傭兵「そろそろそのネタもキツくないッスか?」

山賊A「一周回ってくるもんだろ、何事も」

深夜
山賊のアジト近くの山中


黒衣の男「……何だ……貴様ら、何のつもりで……!」ゼェゼェ

山賊B「何だじゃねぇだろ。人ん家の近くでそんな物騒なモン持って」

山賊C「居直り強盗かっての」

黒衣の男「……何者なんだ!……あの娘の事など、貴様らには関係ないだろう!?」

山賊B「……まぁ、そうなんだけどさ」

黒衣の男「頼む……あの娘を、渡してくれ……!そうすれば、全て私が収めて……」

山賊B「……『領主』の側に勤めてるんだな?お前」

黒衣の男「!?」

山賊B「必死さが、『他の』連中とは違う。多分、あいつを連れて帰れないとそろそろヤバいんだろ?」

山賊C「流石Bだなー」

黒衣の男「……金か?金ならいくらでも払う。できる限りの事は何でもする!」

山賊B「……多分、一度しくじってるんだろ?しかもお前、何で手袋をはめて来なかった?」

黒衣の男「?」

山賊B「指輪の痕が残ってるぞ。そこそこ高い身分みたいだな、お前」

黒衣の男「な、何を言って……」ピクッ

山賊B「……とはいえ、確かにお前の言った通り」

黒衣の男「何だと?」

山賊B「あのエルフの小娘、俺達には関係ないんだよな。……だから、別に差し出してもいいぞ」

山賊C「え、ちょっ……おま……!」

黒衣の男「……何が、望みだ?」

山賊B「ネタだよ。……お前らは多分、定期的にあの商人から『買って』たんだろ?互いのキン○マを握り合おうって事さ」

黒衣の男「……続けろ」

山賊B「全て吐けとは言わんさ。ただ、ほんの少しでいい。お前の飼い主と、あの道を通ってお前らの所へ行く馬車。
    それさえ教えてくれれば、俺達は二度とお前らに関わらない。お前らと懇意にしてる連中も襲わないようにする」

黒衣の男「…………」

山賊B「お前、現場に出るタイプじゃないんだろ?……なぁ、ちょっと吐くだけでお前の安全は保証できるんだぜ?」

黒衣の男「…………」

山賊B「金を払わなくてもいい。何もしなくてもいい。ほんのちょっとネタをこぼすだけで、全て丸く収まるんだぞ?」

黒衣の男「……くっ」

山賊B「それとも、俺達を殺して、ボスと残りの仲間を欺くか対峙して、無事にあいつを連れて帰れる自信があるのか?」

黒衣の男「……本当、なのか?」

山賊B「もう一度言う。お前がほんのチラっとネタをくれるだけで、全てが、丸く収まるんだ」

黒衣の男「……伯」

山賊B「聞こえないな」

黒衣の男「……西方、亜人領土に面した領地を治める、辺境伯だ」

山賊B「……へぇ、そいつはそいつは」

黒衣の男「……まだ、言わねばならないか?」

山賊B「いや、十分さ……おっとっ!?」


ザスッッッ!!!

黒衣の男「あ”……!何……で……!?」ガクガク

山賊B「……悪い。猛烈に手が滑った」

黒衣の男「きさま……ぎざ……ま……!」ゴフッ

山賊B「……それに、『山賊』が約束を守るわけねぇだろ?聞いた以上は、あの娘は渡せない」グリュッ!

黒衣の男「…かはっ……!」ビクッ……ドサッ

山賊B「……悪ィな。せめて、安らかにな」ソッ

山賊C「おいおい、ヒヤヒヤしたぞ」

山賊B「俺を信じらんねぇのか?」

山賊C「……まさか。それに……相変わらずだよな、お前」

山賊B「あ?」

山賊C「ホントは、指輪痕の形と、そいつが首に提げてた『紋章』で、全部分かってたんだろ?」

山賊B「念の為、ウラを取りたくてよ」

山賊C「……昔取った杵柄?」

山賊B「というより、経験に学んでの結果だな」

山賊C「とりあえず、こいつらどうする?」

山賊B「埋めに行こうぜ。……ちゃんと、目を閉じてやってな」

山賊C「にしても……多くね」

山賊B「……10人、か」

山賊C「誰か、手伝ってくれねーかな」

ボス「…………」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

山賊B・C「うぉわっ!!?」ビクゥッ!

ボス「……お前ら……」

山賊B「仕掛けてきたのあっちですよ。それに、ネタも一個仕入れましたぜ」

山賊C「さきになぐってきたのはあっちだもん!」

ボス「……行くぞ」

山賊B「え?」

ボス「こいつらを埋めに」

山賊C「うい」


間隔空いてすまない
短くて悪いが、とりあえず勢いをつけて切り替えねばと思ったんだ
言い訳はしない、怠けてた

おやすみなさい

国王に拝謁した夜

女騎士邸
書斎にて


長兄「……親衛隊の話はブラフ。我が妹が一人で、護衛に就く、と」

次兄「説明ぐらいはしてくれるのかい?父上」

父「……ああ」

長兄「我が妹には?」

父「聞かせても良い。ただ、これは私の、否……我が国の恥部なのだ。その事をゆめ忘れぬようにな」

次兄「……」

長兄「それでは……父上、どうぞご説明を」


父「――――今から、30年近く前になるかな」

――――――――

父「……私がまだ一介の騎士であった頃。妻とも出会ったばかりの頃……ある領主の息子と知り合った」

父「私と、年の頃はそう離れていなかった。快活でよく笑い、貴族だというのにどこかフランクな若者だったよ」

父「……領民には、慕われていた。善政を為す領主の息子というだけではなく、彼は、高潔な男だったからだ」

父「パン屋の小さな息子がいなくなったと聞けば、彼は単身森へ分け入り、ゴブリンに囚われている少年を救い出した」

父「涙とともに礼の言葉を述べようとするパン屋のおかみには、『これからも、美味いパンを焼いて届けてくれ』とだけ答えたそうだ」

父「……その身分にもかかわらず、下町の酒場に入り浸り、鍛冶屋のバカな倅や退役した老兵と、快く酒を酌み交わしてもいたな」

父「私は、彼ほどの『貴族』を他に知らない。あれほどまで人々に愛され慕われる人間を、他に知らな……かった」

父「……数年して、彼に、重大な転機が訪れた」

父「……そこで、彼は『人間』をやめさせられてしまったのだ」

――――――――

長兄「……どういう事ですか?」

次兄「おれは人間をやめるぞ!的な……?」

父「鋭いな」

次兄「…………?」

父「……領民の、特に年若い娘たちが失踪する事件が起きたのだ。彼は、そこでも持ち前の正義感を発揮した」

次兄「独自に調査を?」

父「彼の父が止めたのだが、聞く筈もない。そうして、彼は探り当てた。その事件の真相をな」

長兄「……『吸血鬼』」

父「不死の存在にして、強大な暴風雨の如き魔物。最近は聞かなくなったがな」

次兄「彼は、その後は?」

父「……古びた館に住まう怪物に彼は、立ち向かった。折れた刃を握り締め、その掌を紅く染めながら、何度も、何度も」ギリッ……

長兄「…………」

父「……彼は、勝てなかった。しかし、吸血鬼の方から、彼に対してある取引を持ちかけたのだ」

長兄「それは、一体……?」

父「『もしも自分を見逃し、若い娘を定期的に差し出してくれるのなら。お前に、我が眷属としての力をくれてやろう』」

次兄「……身勝手な言い草だね」

父「――――彼は、この取引を飲んだ」

次兄「そして?」

父「彼は、転化の術を受け、吸血鬼となった。…………その後、彼が最初に取った行動は何だと思う?」

長兄「……囚われていた娘の首筋に、噛みついた?」

次兄「そんな所かな?お決まりだと」

父「いや」


父「彼は――――その吸血鬼を『吸血鬼』の力で殺し、娘たちを、無事に連れて帰った」

長兄「……吸血鬼と化しても、あくまで領民の為に?」

次兄「見上げた根性だねぇ。で、彼はその後?」

父「彼は、二度と日の光を浴びる事ができない身体となった。流れる水も渡れず、十字架には目を焼かれる、魔物の肉体へと」

次兄「……お伽話のようだね」

父「日の出から日没までは眠り、日没から日の出までが、彼にとっての活動時間。闇の住人、そのものだ」

長兄「……吸血鬼になる、というのは他にどういう変化をもたらすのですか?」

父「血液しか胃に入れられなくなる訳ではない。普通に食事も取るし、理性も失わない。
  ――ただ、血液への渇望が、強烈な本能として植え付けられてしまうのだ」

次兄「……そんな体で、彼は今?」

父「…………西方の、ある領地を統治している」

長兄「……まさか!?」

同時刻
山賊の砦
ボスの部屋


山賊B「あの野郎から仕入れたネタで、かなり見えてきましたよ」

ボス「……そうか」

山賊B「あの娘は、山道を通って西の辺境伯の所へ行く途中だったんです。……ボスは、聞いた事がありますかい?」

ボス「…………人並みにはな」

山賊B「……あちこち渡り歩いてると嫌でも耳に入りますもんね。どこまで信じていいんだか分かりませんや」

ボス「大袈裟に伝わるもんだろう、何事も」

山賊B「『オークやゴブリン、トロールにオーガ。屈強悪辣な亜人から領民を守り続ける、不死の領主』なんてね」

ボス「……不死、か」

山賊B「どういう訳か、領民に姿を見せる事は滅多にないそうで。それすらも、日が落ちてからだとか」

ボス「……その話と、あのエルフの小娘。どう繋がる?」

山賊B「そこですよ。……例の噂は置いておいて、一つだけ、ハッキリしてる事があるんです」

ボス「勿体ぶるな」ギロッ

山賊B「……っ! 睨むのやめてくださいよ、ガチで顔怖いんすから」ギクッ!

ボス「…………そうか」シュン

山賊B「凹まないでくださいよ」

ボス「……で、何だ?」プイッ

山賊B「もう続けますけど、奴は、人間に対しては誠実な名君で通ってるそうです」

ボス「それと?」

山賊B「その反面、奴は――――『人類』以外に対しては、異常な程の嗜虐癖がある」

ボス「…………」

山賊B「聞いた事あるでしょう。城壁の外に立ち並ぶ、串刺しの亜人の骸。針山の地獄のような様相だとか」

山賊B「確かに知能の低い低級亜人どもには効果的な見せしめでしょうけど、度を越えてますぜ」

ボス「……実際にそれで領地を守れているのなら、いいんじゃねぇのか?」

山賊B「だからって、限度があるでしょうや。……いや、それはいいとしても……最大の問題点が一つ」

ボス「エルフの娘、か」

山賊B「亜人を睥睨し、領民と王国を守り続ける不死の領主。……そんな奴が、エルフのガキに何の用があるってんで?」

ボス「……お前はどう思う?」

山賊B「……えっちなのはいけないと思います」

ゴツンッッ!!!


ボス「……真面目にやれ」シュゥゥゥ……

山賊B「いっつぅ~……ったくもう、ジョークっすよジョーク」サスサス

ボス「……それとも、情報が今一つ足りてないのか?」

山賊B「ええ、正直。……『王国』側の事は詳しいつもりでも、奴の称号通りの『辺境』の事となると……噂以外の事はどうにも入ってこなくて」

ボス「……そうか」

山賊の砦
見張り塔


傭兵「今夜は何も無いかな」

傭兵「……寒い」ブルッ


女エルフ「……傭兵、さん?」ポツリ

傭兵「お前ww寝てなくていいのかwww」

女エルフ「静かでいい夜だったので……つい、星が見たくなって……ごめんなさい」

傭兵「wwwww」

女エルフ「……すみません。部屋に戻りますね」クルッ

傭兵「別に、戻れとは言ってないけどww」

女エルフ「え?」

傭兵「いればいいだろ」

女エルフ「…………いいんですか?」

傭兵「星が見たいなら、見ればいいだろ。誰に遠慮する必要があるんだ」

女エルフ「……はい。それでは……よいしょ、っと」トスン

傭兵「…………」

女エルフ「……今、普通にお話ししてくれましたね?」

傭兵「いつも普通だろ」

女エルフ「いえ、いつもは……その……」

傭兵「何だよ、かまわないから言えって」

女エルフ「……無理に笑ってると言うか、どこか……距離を置いてるようで」

傭兵「何だそりゃ」

女エルフ「……自分を、深い茂みの中に隠しているような印象を受けていました」

傭兵「…………」

女エルフ「明るく振る舞う事で、自分を埋もれさせてるような……そんな……」

傭兵「……なるほど、ねぇ」

女エルフ「……ごめんなさい」

傭兵「謝るなっつの。……多分、お前の言ってる事は正解だからさ」

女エルフ「……?」

傭兵「……というか、『傭兵』稼業をやってる奴は多かれ少なかれそんなもんだ」

女エルフ「そうなのですか?」

傭兵「『傭兵』には大きく分けて二種類いる。……普段から仮面みたいに無表情で、隣の奴がくたばっても一瞥もしないで戦う寡黙な奴」

女エルフ「もう一つは?」

傭兵「……嘘くさい笑いを浮かべながら、仲間たちと薄っぺらく明るい酒を酌み交わしながら、やっていく奴」

女エルフ「……詳しくお聞きしても?」

傭兵「俺達の命は軽いんだ。砲弾で千切れて魔法で焼かれて斬られて刺されて撃たれて死ぬ。俺が今生きてるのも偶然だ」

女エルフ「…………」

傭兵「死んでも、遺族に挨拶しなくていい。遺体も届けなくていいし、遺族への見舞金もいらない。そんな便利な『道具』が俺達なんだ」

女エルフ「…道具なんて!」

傭兵「事実だ。俺はもう、『道具』呼ばわりされても何も感じなくなった」

女エルフ「……そんな……!」

傭兵「で、だ。何故、俺達が明るくやるのか、って話だったな」

女エルフ「……はい」

傭兵「その日の戦いが終わり、夜は宴。その中に、昨夜いたはずの奴の姿が見えなくなってるのは珍しくない」

女エルフ「……亡くなってしまったのですか?」

傭兵「ああ、しょっちゅうだ。故郷からおん出てきた靴屋の息子は、初陣は命からがら切り抜けても二日目で死んだ。喉に矢を喰らったそうだ」

女エルフ「…………」

傭兵「ある日に出会った陽気なオッサンは、俺と同郷だった。故郷の話で盛り上がったが、翌日にはもういなかった」

女エルフ「…………」

傭兵「それでも、俺達は、『前者』のように、他のヤツを拒絶して生きる事ができなかった。……人と、触れ合いたかったんだ」

女エルフ「……それは……いけない事、なのですか?」

傭兵「感情を殺していけるほど、強くなかった。死ぬまで人を殺す人生だと分かってても、それでも、ホッとしたかった。……弱いからな」

女エルフ「弱く……なんか……」

傭兵「……でも、あんまり仲良くもなっちゃいけない。別の戦場では、敵味方に分かれるかもしれないんだからな」

女エルフ「あ……」

傭兵「それでも、そうだと分かってても、俺達は仮面をつける事なんてできなかった。……その結果が、『嘘の明るさ』」

女エルフ「…………」

傭兵「当たり障りなく、仲良くも仲悪くもならないように、上っ面の笑いと空虚な陽気で自分を塗り潰す。弱い奴は、そうするしかないのさ」

女エルフ「……辛いのですね」

傭兵「いや、慣れたよ。……まぁ、俺の話はこんな所だ。湿っぽくして悪かった」

女エルフ「……今度は、私のお話をしていいですか?」

傭兵「別に、そういうつもりで話したんじゃないが」

女エルフ「……でも、順番ですから」

傭兵「俺も気になってた事があるんだけど、いい?」

女エルフ「はい、何でしょう?」

傭兵「……お前さ、洗濯しててもメシ炊きしてても掃除してても、妙に楽しそうに働くのは何で?」

女エルフ「……楽しいので」

傭兵「山賊のアジトなんだけど」

女エルフ「それでも、皆さんと一緒にいると楽しいんですよ」

傭兵「…………危機感無い奴」

女エルフ「?」

傭兵「何でも。で、何が楽しいんだよ」

女エルフ「……それが、自分にもよく分からないのです」

傭兵「分からない?」

女エルフ「多分私は、どこかのエルフの里にいたのでしょう。……でも、思い出せなくて」

傭兵「(……拉致された時のショックか?)」

女エルフ「……冷たいお水を使うお洗濯も、お料理も、お掃除も。新鮮な気がして……すごく楽しくて……」

傭兵「エルフだって、洗濯や掃除ぐらいするだろ?」

女エルフ「え? ええ、恐らく……」

傭兵「…………」

女エルフ「私は、皆さんに助けてもらって……今ここにいられて、幸せです」ニコッ

傭兵「……変わった奴」

女エルフ「そうですか?」キョトン

傭兵「…………っていうか、全然星なんて見てないだろ」

女エルフ「あっ……そう、でした」

傭兵「……せっかくなんだし、星見ろよ」

女エルフ「はい……あの、一つだけ聞いても?」

傭兵「今度は何だよ」

女エルフ「傭兵さんは、なぜここに?」

傭兵「……お前と同じ」

女エルフ「まぁ……そうだったのですか?」


傭兵「…………そういう事にしておいてくれ、今はな」



朝方に投下終了です
おはよう、そしておやすみなさいー

翌朝
女騎士邸エントランス


女騎士「それでは、本日より……不肖の身ではありますが、行って参ります。……命に代えても、王女殿下をお守りいたします」

父「うむ。気を付けるのだぞ」

長兄「……訂正、してくれ」

次兄「どうしたんだい?」

女騎士「?」

長兄「……『命に代えて』ではなく。『王女殿下をお守りし、必ず生き延びる』と」

弟「兄上……」

長兄「『守って死ぬ』事など、誇りでも誉れでもない。生き延びて、守り続ける事ことが最高の名誉なのだ」

父「……一端の口だな」

長兄「…………」

女騎士「わかりました。必ず、何があっても生きます」

長兄「…………ありがとう」


王女の私室

女騎士「……失礼します、殿下」キィ

王女「女騎士様。ようこそお越し下さいました」

女騎士「今日は、襲いかからないのですね」

王女「まぁ、何の事でしょうか?」

女騎士「…………」

王女「冗談はさておき」

女騎士「(……毒付きの短剣で後ろから襲いかかるのが冗談なのか?)」

王女「お疲れでしょうし、おかけになってください」スッ

女騎士「…はい、失礼いたします」ギッ

王女「お茶はいかがですか?」コポコポ

女騎士「そ、そんな…王女自ら……」

王女「いいんですよ、これからお世話になるのですから。……さ、どうぞ」

女騎士「……はい、いただきます」クイッ


――――30分後

女騎士「……あの……王女殿下」

王女「はい?」

女騎士「先ほどから、何故私の顔をじっと見つめているのですか?」

王女「…いえ、別に。………おかしいですね」

女騎士「何ですか?」

王女「……いえ、このお茶ですけど」

女騎士「はい」ゴクゴク

王女「媚薬をたっぷりと効かせた筈なのに…………」キョトン

女騎士「ぶっっ!?」ブシュゥッ!!!

王女「おかしいです、ちゃんとした筋で手に入れたのに」

女騎士「び、媚や……!?」ゲホゲホ

王女「ええ、説明書きを無視してお入れしたのに。効かないなんて……」

女騎士「……な、何で……! そんな……?」

王女「『遊ぶ金が欲しかった』」

女騎士「王族なのに!?」

王女「まぁ、冗談ですよ冗談。変化は起こってないのですから」

女騎士「……冗談で薬を盛らないで下さい、どうかお願いします」

王女「しかし、何故効かないのですか?」

女騎士「……さぁ。そもそも、本当に盛ったのは媚薬なのですか?」

王女「ええ、この小瓶なのですけれど」スッ

女騎士「……『一滴でお堅い女騎士もイチコロ! 超強力即効性媚薬』」

王女「半分は飲んだ筈なのですが。……本当に、何もお変わりありませんか?」

女騎士「…………いえ、全く」

王女「……うーん……おかしいですね。本来なら……」


~~~~~~~~

女騎士「……んっ……ふぅ……んぅ……!」モジモジ

王女「ふふ……どうか、しましたか?」

女騎士「身体が……熱く、て……!」

王女「…ここ、ですか?」ヌチュッ……

女騎士「ひぁっ……止め……そんな……不潔な……ぁ……!」 ビクッ

王女「こんなに濡れて……はしたないですね、女騎士様」

女騎士「やぁっ……! 止めて……止めてください……!!」

王女「どうしてですか? ……こんなに、ぐちょぐちょに濡れてるのに……」クチュクチュ

女騎士「やっ……うぁっ……!」

王女「我慢しなくていいのですよ。……ほら、どうです?」グチュグチュ

女騎士「んんぁっ……!! き、気持ちいい……です……!」

王女「……良く言えましたね、ご褒美ですよ」グチュッ……!!

女騎士「ふあぁぁぁぁっ……!んん、ひゃぁぁぁぁぁ!!」ビクッ……ビクビクッ……!!


~~~~~~~~


王女「なんて事になる筈でしたけれど」

女騎士「…………」

王女「もしくは、私の目の前であられもなく指で自らを慰めて」

女騎士「……身の危険とかいう問題ではありませんね」

王女「全く、ノリが悪いのですね」

女騎士「ノリで身体を任せろと?」

王女「何故媚薬が効かないのですか。それでも『女騎士』ですか?」

女騎士「効かなくてはいけないのですか?」

王女「媚薬や催淫剤で悶絶し、心ならずも肉体を任せてしまう。それこそが『女騎士』の醍醐味では?」

女騎士「…………」

王女「まったく、つまらないですね」

女騎士「……(え……? 何で責められてるんだ?)」

王女「媚薬の効かない『女騎士』なんて! 嗚呼……何という事でしょう……!!」シクシク

女騎士「え? ……えー……?」


王女「では、逆に訊きますけれど」

女騎士「はい、何なりとも」

王女「そういう展開はお嫌でしたか?」

女騎士「……薬を盛られて襲われるのが、嫌じゃないと?」

王女「本当に?」

女騎士「な……何故疑うのですか?」

王女「いいですか?想像してみてください。あなたの身ではなく、別の『女騎士』で思い浮かべてもいいですよ」

女騎士「?」

王女「しとやかな『王女』に、お茶に薬を盛られて。だんだんと早くなる鼓動、紅潮して汗も出てくる」

女騎士「…………」

王女「『どうかされました?』と訊かれても、心配をかけまいと『い、いえ……何でもありません』と返してしまう『女騎士』」

女騎士「……(このパターン、覚えがあるな)」


~~~~~~~~

「……あの、本当に大丈夫なのですか?」

王女の淡いブルーの瞳が、わずかに心配の色を深めて女騎士の目を覗き込む。
汗をかき、肌に赤みが差し、俯き具合の彼女は、どこか背徳的な悦びをも纏わせていた。

不意に、テーブルの上に置かれたままの女騎士の手に、王女の手が重ねられる。

「んぁっ……!」

薬物によって昂り切った触覚は、ぴりぴりと張り詰めたかのように鋭くなっていた。
それは――手を重ね合せる動作だけでも、愛欲を秘めた営みにすら受け止められるように。
甘みを絡めた頓狂な声を上げてしまうほどに。

「……お体の具合が悪いようですね。どうか、あちらで横になっては?」

細木の枝のようにしなやかな指が指し示した先には、この部屋の主の――王女の、華やかな寝台が鎮座していた。
細やかな彫刻を施された支柱が天蓋を支え、その下には、雪の地のようなシーツが敷かれている。

「いえ……そんな……!」

「……では、命じます。私のベッドに横になって、休みなさい」

「……は、はい。仰せの通りに」

命じる、という言葉は彼女の遠慮を消し去ってしまう。
護衛の任に就いている以上、王女に逆らう事などできない。
加えて、体調を気にかけてくれている事実が、身に染みた。

――――たとえ、それが蜘蛛の巣のような姦計の産物だとしても。

立ち上がり、ベッドを目指す彼女の歩みは、見ていて肝を冷やすほどに覚束ない。
ふらふらとよろめく様子は、立つことを覚えたばかりの幼子のように見えた。

――盛られた甘い毒は、四肢の安定を奪った。
――歩くたびに肌に擦れる衣服の裏地が、信じられない程に熱く、じんじんと痺れさせるように。
――薄桃の靄がかかったような思考は、淫らな空想ばかりを浮かばせた。
――さしたる距離も歩いていないと言うのに、呼吸は大いに乱れ、煮詰めた糖蜜のような呻きを伴って、喉から漏れた。

鋭く尖った肌への衣服の愛撫に耐え、ようやく、彼女はベッドに辿り着く。
手をつけばゆっくりと柔く沈み込み、もしも雲に手が届いたのならこのような手触りなのかと、子供じみた夢想までもが浮かんだ。

だが、脳内と肉体はその夢想の正逆。

豊かな双丘の頂点は、痛々しく尖り、二枚もの衣を隔ててなお、その存在が見て取れるほどに膨らんでいた。
秘所からはとめどなく清水があふれ、黒い絹のズボンを、ことさらに黒く湿らせていた。

自分の身に起こった明らかな異変にも、彼女は疑いを向けようとしない。
主が――『王女』が自分に薬を盛る事など、考えもしない。
考えては――いけないからだ。


ベッドにゆっくりと身を横たえようとした時、後ろから衝撃が加わり、ベッドの上に倒された。
力の入らなくなった両腕を押さえつけられて――――気付けば、組み敷かれてしまっていた。

「王女」その人に。

~~~~~~~~

王女「…………というのが夢でしたのに。幻滅しました」ハァ……

女騎士「……」ドキドキ

王女「手首を押さえつけながら口づけを交わしたり、頭を優しく抱えながらトロンとした視線を交わし合って唾液を注ぎ込んだり……」

女騎士「……」ゴクッ……

王女「なのに! 何故……媚薬が効かないのですか」バンッ!!

女騎士「わ、私に言われましても……!」ビクッ

王女「……何故……何故!?」シクシク

女騎士「……お言葉ですが、その媚薬が偽物だったという事は?」

王女「そんなはずはありません。試しました」

女騎士「なるほど、試し………って、試した!? 誰にです!?」

王女「メイドの一人に、一滴だけ飲ませました。しばらく観察していたら、庭園の隅で手淫を始めてしまって……一時間ほど」

女騎士「何故そんな危険なものを半分も飲ませるのですか!?」

王女「……効かなかったから、いいではありませんか」プイッ

女騎士「えぇー……?」

王女「さ、お茶会は終わりにしましょう。城内を少し歩きましょうか」ガタッ

女騎士「(……何故、私は平気なんだ?)」

王女「何をしているのですか?行きますよ」プイッ

女騎士「薬を盛っておいて拗ねないでください」

王女「拗ねてなどいません」プイッ

女騎士「(…………不安だ。不安すぎる……)」ブルッ……



変な時間に投下終了

遅筆で申し訳ねぇ……

夕食後、城の庭園にて


女騎士「……王女殿下、何の御用でしょうか?」

王女「身構えないでくださいな。もう、薬を盛ったりはしませんよ」

女騎士「本当ですか?」

王女「貴女がその気になってくれるまで、いつまでも待ちましょう。何年でも」

女騎士「絶対になりません」

王女「まぁ、残念ですね」

女騎士「…………『女騎士』は辛いな」ボソッ

王女「?」

女騎士「いえ、こちらの話です、王女殿下」

王女「……そうですか?」

女騎士「少し脱線しましたが、何の御用だったのですか?」

王女「そうでしたね。……明日の昼前、私を護衛してある場所へ向かってもらいます」

女騎士「ある場所?」

王女「……聞いていなかったのですか?西方の辺境伯領です」

女騎士「……いえ、申し訳ありません」

王女「こちらこそ……てっきり、貴女のお父上から聞かされているのかと」

女騎士「父上が?」

王女「はい。貴女のお父上に話は通したと聞きまして……」

女騎士「……私は、何も知りませんでした」

王女「……詳しくは、明日の馬車の中で。この話は、大っぴらに城内ではできません」

女騎士「はい、王女殿下」

王女「……ごめんなさい。今日の明日で、いきなりで」

女騎士「いえ、良いのです。……もしや、このために私を護衛に?」

王女「恐らくは。ただ……募るのも、決めるのも、実際に護衛として同道させるのも、あまりに駆け足すぎます」

女騎士「……畏れながら、私もそう思います」

王女「一応の名目は、『辺境伯領の視察』との事ですよ」

女騎士「それだけの事を、このように急ぐものでしょうか?」

王女「お父様にも、お考えがあっての事なのでしょう」

女騎士「気は抜けませんね」

王女「……あるいは、私を生贄に仕立てようとでも言うのでしょうか」

女騎士「え……」

王女「……いえ、何でも。話題を変えませんか?」

女騎士「はい、王女殿下」


同刻
山賊の砦 ボスの部屋

山賊B「……おそらく、明日辺り、山道を何か通る筈です」

ボス「根拠は?」

山賊B「統計と言えば聞こえはいいですが、まぁ、『勘』です」

ボス「…………信じるぜ」

山賊B「そりゃどうも、ボス」

ボス「……まぁ、張ってみて損する事はねェ」

山賊B「そんじゃ、いっちょ張ってみますか。誰か残していきましょうか?」

ボス「留守番は俺一人でいい。お前らも油断はするなよ」

山賊B「ええ、そりゃもう」

ボス「……ところで、今夜はゆっくりと眠れそうか?」

山賊B「ええ、今夜は何事も無さそうですぜ。……いくつか罠も張っておきましたから」

ボス「なら、問題ないな。明日に備えて休んどけ」


山賊の砦 
見張り塔

傭兵「…………」コクリコクリ

カサッ

傭兵「…誰?」

山賊A「耳長の嬢ちゃんだと思ったか?ねぇ今どんな気持ち?NDK?」トントン

傭兵「うわぁ…………」

山賊A「来たばっかの頃お前がやってただろ!? 引いてんじゃねぇ!」イラッ

傭兵「自分、過去には囚われないんで」

山賊A「……まぁ、いい。ほらよ」ポイッ

傭兵「…火酒?」

山賊A「俺の奢りだ」グビッ

傭兵「どーも」グビグビ

山賊A「で、何してんだお前」


傭兵「見張り塔でやる事つったら、一つしかないじゃないッスか」グビッ

山賊A「星空を見ながら二人きりで一枚の毛布にくるまって語らうのか?」

傭兵「ぶふっ!?」ブシュッ!

山賊A「鼻から火酒を噴くとは……想像するだに恐ろしいぜ……」ゴクリッ……

傭兵「ちょ、鼻……喉……焼け……!! 死ぐ……!」バタバタバタ

山賊A「ほら、水」スッ

傭兵「っ……」ゴクゴクゴクゴク

山賊A「……で、何焦ってんだ。まさか本当にやったのか?」

傭兵「……! …ゼー……ハァ……」

山賊A「まぁ、お前ならいいんじゃねーか」

傭兵「…んな事、やってね……!」ゴクゴク

山賊A「何故しない」


傭兵「……何も無いってば」

山賊A「何も?」

傭兵「じゃ、何があるって言うんスか」

山賊A「あるだろ。俺達には無いものがお魔にはある」

傭兵「……何それ?」

山賊A「お前は、『折れて』ない。『曲がって』もいないだろ」

傭兵「何、エロバナに持ってくの?」

山賊A「脳ミソで精子生産してんのかお前」

傭兵「ひど!」

山賊A「……話に戻るが、俺達はもう、『折れ』ちまったんだ。ボスもBもCも、俺もな」

傭兵「んー……?」

山賊A「『曲がる』事ができなかったから、『折れる』しかなかった。……でもまぁ、それはそれで良かったんだろうな」


傭兵「……その話って、お前らの身の上に関係あったり?」

山賊A「……そいつは想像に任せるが。折れた剣にも、華々しい時代はあっただろうさ」

傭兵「……」

山賊A「俺の持論だが、曲がり鈍った剣では戦えないだろ。……だけど、折れた剣で戦う事はできると思うんだよな」

傭兵「……戦う?」

山賊A「ああ。『折れた』のなら、それに合ったやり方がある。刃を直に握って、相手の胸に突き立ててやればいいさ」

傭兵「…………」

山賊A「折られても、人は戦える。……戦えるが、間合いは短くなる。かつて欲したものには、もう届かないんだ」

傭兵「……つまり、何が言いたいんスか」

山賊A「説教にするなら、ありきたりに『諦めるな』ってところだ。ねじ曲がるぐらいなら、いっそボキっと折れちまえ。
     刀身を失った綺麗な柄なんか捨てて、折れた刀身を握って、手を血まみれにしながら足掻いてやれ、って事さ」

傭兵「で、別の意味は?」

山賊A「……お前は、折れても曲がってもいないんだ。だから、いくらでも届くものがあるはずなんだ」


傭兵「……俺とあいつをくっつけたがってんの?」

山賊A「お前こそ、あの耳長にやたらと絡むのは何故なんだよ」

傭兵「……貴重な女っ気だから?」

山賊A「真面目な話だぜ」

傭兵「俺にもわかんないッスよ」

山賊A「ま、答えなんてそうそう出ない。全部、お前が決める事なのさ。手の届くうちに決めておけよ。どっちでもな」

傭兵「そんだけ語って丸投げ?」

山賊A「説教上戸の酔っ払いに絡まれたと思え」グビッ

傭兵「納得いかね……」グビグビ

山賊A「一言でまとめりゃ……まぁ、『後悔はするな』ってだけの話だ」

傭兵「最初っからそう言ったらどうッスか」

山賊A「…ああ、悪ィ。酒が回って、つい舌が動いちまうんだ」


ギシッ………

山賊B「……お前ら、こんなところで酒盛りか?」

傭兵「持ってきたのこいつ。ぼく、わるくない。こいつ、わるい。とてもわるいね」

山賊A「片言で告げ口すんなっ!」

山賊B「別に酒盛りしようが女体盛りしようが勝手だが、今夜のうちに休めよ、明日は久々に仕事だぜ」

傭兵「え?」

山賊A「例の道を、何か通るのか?」

山賊B「確率は高い。だから、きちんと寝ておけってんだよ。見張り番はもう今日はいい」

傭兵「…………そういう事なら」

山賊A「んじゃ、寝るぜ。……おやすみ」

山賊B「待てよ」

山賊A「あ?」

山賊B「……水音が聞こえるぞ」

バシャッ……ザバー……バシャッ……


山賊A「……井戸の方からか?」スクッ

山賊B「…………この音、誰かが水浴びしてるな。肌に当たる水の音、地面に流れる音……ボスでもCでもない」

山賊A「嬢ちゃんか?」

山賊B「もう一度聞くぞ。……このまま『寝る』つもりか?」

山賊A「…………」ニヤッ

傭兵「ちょ、お前ら……え?」

山賊B「行くぞ。ついてこい」

傭兵「ちょっと待てって、マジで?」

山賊A「いいか、俺達は今決断すべきなんだ。意地を張ってこのまま寝室に戻るか。それとも……自分に従うか」スッ……

傭兵「……OKOK、行こうぜブラザー」ガシッッ……!!

山賊B「気配を殺せよ」コソコソ


カラカラカラ……ザバッ……

女エルフ「ふー……いい気持ち……」

――――――――

山賊B「……うむ。壁上からなら何とか見えるな」

山賊A「おい、押すなよこの……!」

傭兵「……あくまで、俺は見守る為について来たんスからね」

山賊B「はいはい。……しかし……何だか……」


バシャッ……ザバー……カラカラカラ…

山賊A「月明かりを浴びて、満天の星の下で」

傭兵「一糸まとわず水浴びをする、綺麗な長い金髪のエルフ」

山賊B「水滴を弾く白い肌、無駄な肉のない、ほっそりとした儚いプロポーション」

山賊A「肌を流れ落ちる水滴が、月光をきらきらと反射させて、まるで全身に宝石をまとっているように」

山賊B「…………何だか、逆に全然興奮しないな」

傭兵「『いいもん見たなぁ』って気分ッスね。違う意味で」

山賊A「……ああ、期待したのと違う意味で目が離せない」


山賊B「……それにしても、なんだってこんな時間に?」ジー……

山賊A「昼だと俺らの目があって……。野暮な事訊くんじゃネェよ」ジー……

傭兵「腕組みして凝視しながらその台詞ってどうなん。せめて隠れようよ」ジー……

山賊B「…………挿絵」

傭兵「?」

山賊B「ガキの頃に読んだ本に、こんな挿絵が入ってたのを思い出した。確か、月下のエルフの姫、みたいな感じの」

傭兵「……姫」

山賊A「お前にもガキの頃があったのかい」

山賊B「誰だってあんだろ。俺にもガキの時分はあったし、従騎士の―――」

傭兵「何?」

山賊B「……いや、何でも。お、水浴び終わったのか」

山賊A「もうちょっと見てたかったぜ」

傭兵「…………」ボー……

山賊B「どうしたい」

傭兵「あ? ……ああ、別にッス……」

山賊B「…さて、お楽しみも終わったし、戻って寝ようぜ」

山賊A「おう。……そういや、Cは?」

山賊B「……城壁の向こう側。隠れてやがるよ」

傭兵「あぁ、先に来てたッスね。……この中庭を見渡せる位置に、多分得物を構えてる。弓?」

山賊B「…いや、その上だ。それにしても流石だな。耳長の嬢ちゃんが水浴びをやると踏んで、狙撃位置から警護とは」

山賊A「あー……気付かなかったな。あの嬢ちゃんに見蕩れちまった」

傭兵「そんなんじゃ死ぬぞ」

山賊A「…………鈍ったな、俺も」

山賊B「いいから寝るぞ。もういいだろ」

傭兵「うーい」



山賊C「……チッ。気を取られていいとこ見逃しちまったじゃねぇか、変態どもめ」スゥ……




投下終了

風呂場(窓ナシ)の換気扇が壊れたおやすみなさい

翌日
出発前、城の玄関ホール


王「……それでは、我が娘を頼んだぞ」

女騎士「はい! 必ずや、護衛の任を勤め上げます!」

王「うむ、結構。……お前も、気を付けるのだぞ」

王女「ええ父上。……必ず、帰ってまいりますからね?」

王「……うむうむ」

御者「…陛下、そろそろ出発の時刻です」

王「そんな時間か。……それでは、乗り込んでくれ」

女騎士「……あの、陛下。一つよろしいでしょうか?」

王「許そう」

女騎士「……馬車は、一両のみですか?」

王「そうだが」

女騎士「……私は、どこへ乗れば?御者席ですか?」

王「我が娘と同じ馬車に乗り合わせてもらう。客室にな」

女騎士「…………」

王女「さぁ、行きましょう。時間が押しております」

女騎士「はい、王女殿下」

王「それでは、任せたぞ、女騎士」

王女「任せましたよ?」ニコッ

女騎士「はい」

御者「それでは、出します。……よろしいですか?」

女騎士「ああ、こちらはいいぞ」バタン

王「くれぐれも、『安全』にな?」

御者「…………勿論です」


ピシィッ! ……ガラ……ガラガラガラガラ……


翌日
日暮れ前、王都西の山道沿い


山賊A「……で、本当に来るのか?」

山賊B「運頼みだが、待つのは慣れてんだろ?」

傭兵「俺、待たせるのは好きだけど待つのは嫌い」

山賊A「最悪な奴」

傭兵「『説得』されるまで仲間になれねーし」

山賊A「うるせぇゲーム脳」

傭兵「『女騎士』フェチに言われたくねぇ」

山賊A「『幸せ投げ』で昇天したがるハードコア変態童貞のくせに」

傭兵「ど……童貞ちゃうわ! ヤリまくりだわ !捕虜とかヤリまくってるもんね! くやビクもアヘ顔もさせまくってるもん!」

山賊B「それはそれでどうなんだよ………倫理として」

山賊A「山賊が倫理とか言うんじゃねぇ! ……で、どうだ、何か変わった事は?」

山賊B「……今の所ナシ。こういうのはCの野郎が得意なんだが」


傭兵「Cが何だっての?」

山賊B「あいつ、謎が多いんだよな。地面に耳をつけて、5km先の騎兵の足音を聞けるそうだ」

山賊A「あれはビビったな。数も装備も、全部言い当てやがった」

傭兵「……何か、そんな話どっかの戦場で聞いたような?」

山賊B「まぁ、詮索は止せ。今は山賊なんだ」

傭兵「やけにハイスペックな山賊だよなお前ら」

山賊A「褒めるな。……で、Cは今どこだ?」

山賊B「俺達より、さらに王都側に伏せてる。何かあれば、合図がある筈だ」

パァーーーーーーン!!!


山賊A「……これか?」チャキッ

山賊B「ああ」スクッ

傭兵「……行く?」

山賊B「……勿論」


山道
王都側

女騎士「何の音だ……!? それに、何故……何故、こんな狭い山道に!?」

王女「……!」カタカタカタカタ

女騎士「……御者! おい!」

シィーン………

女騎士「聞こえないのか、御者! ……王女殿下、少しだけお待ちを」チャッ

王女「…………は、い……」

女騎士「……一体、何が起こって……御者! どこにいるんだ!?」バタンッ

王女「……どう、ですか?」

女騎士「…いない? 御者がいません、王女殿下!」

王女「なんですって……?」

女騎士「くそっ……王女殿下、掴まって!駆け抜けます!」ガタッ……

ヒュンッ……! ブチィッ!

女騎士「っ……? 手綱が……!?」


女騎士「くっ……何処だ! 姿を現せ!」ザッ…… スラッ

ヒュンッ……ダンッ!

王女「ひっ……!」ビクッ

女騎士「や、止めろ! ……狙うのなら、私を狙え!」

ヒュンッ……!

女騎士「クッ……!」ガキンッ!!

女騎士「……この重さ、クロスボウか……! 賊め! 遠間から放つしかできぬか!」ギロッ……

山賊A「……いや、そうでも?」ヌラッ……ピタリ

女騎士「っ!?」ビクッ

山賊A「……剣を置け。変な気を起こすなよ?」

女騎士「…………」ギリッ

山賊A「もう一度言うぞ。ゆっくりと剣を置くんだ。さもなくば、馬車へ炎の魔術を放つ。……俺の仲間がな」

女騎士「……卑劣な!」スッ……ガシャンッ!


山賊A「……よし、それでいい。……次は、ゆっくりとこちらを向くんだ。手は上げたままだ」

女騎士「…………」クルッ

山賊A「……!?」ピクッ

女騎士「これで……満足なのだな?」ジロリ

山賊A「…………い」

女騎士「……い?」

山賊A「  イ ャ ッ ホ オ オ オ オ オ ゥ ! ! ! 」 

女騎士「!?」ビクゥゥッ!!

傭兵「何、どうしたん!?」ガサッ!

山賊B「いきなり奇声……うぉうっ!?」ビクッ

傭兵「何だよ、お前まで――――あっ!」ビクッ

女騎士「????」


傭兵「…………『女騎士』だ……」

山賊B「……ああ……『女騎士』だよ……」ツゥー…………

女騎士「? ……ちょっと待て、貴様ら……」

山賊A「金髪で、蒼い目で、白銀の鎧を付けて……」

山賊B「怯まずにこっちを見つめてくる瞳。………間違いない、『女騎士』だよ……」ポタ……ポタ……

傭兵「ああ、言葉遣いも堅くて……真面目そうで……」ズズッ……ポタポタ

女騎士「何だこの空気!?」

傭兵「……俺……生きてて良かったよ……」グスッ……

山賊A「……ああ。良かったなぁ」ポンポン

山賊B「……スゲェ……本当にいるんだ……こんな絵に描いたような『女騎士』って」グスグス

女騎士「…………待て、貴様ら」

山賊A「?」


女騎士「……山賊だろ?」

山賊A「見ての通り」

女騎士「…………私を、アジトに連れて行くのか?」

山賊B「あ、うん……まぁ、常識的に」

傭兵「ついでに、馬車の中の人もね」

女騎士「な、中の人などいない! その馬車に触れるな!!」

山賊A「いや、『私を狙え』と言っただろ。中に誰かいるんだろ」

山賊B「誰もいないんなら、馬車は置きざりにして、お前だけをアジトに連れて行こうか?」

山賊A「……この辺りは、最近物騒なんだよなァ」ニヤリ

女騎士「…くそっ……! 外道が!」ギリリッ……

傭兵「なぁ、一つだけ気になってたんだけどさ」

山賊A「あ?」


傭兵「……御者はどうした?」

山賊A「……? そういや、そうだな」

山賊B「Cの野郎が殺ったにしても、死体はおろか血痕すらないぜ」

女騎士「……貴様らの仕業ではないのか?」

山賊A「さぁな。……それより、馬車の中身を拝ませてもらうぜ」

女騎士「…………!」

山賊B「さて、中身は何だろうね?」

ガチャッ……シュバッ!

山賊B「おっとぉ」サッ

王女「あぅっ……!」ドタァン!

山賊B「危ないじゃねぇか、扉開けるなり斬りかかってくるたぁ」

女騎士「王女殿下!」


山賊A「………何だって?」ピクッ

山賊B「とりあえず、こんな物騒なモンは没収だ」ガシッ

王女「……あなた方は、何のためにこんな……」

山賊B「だから、『山賊』が通行人を襲うのに理由がいるのか?」

王女「…………あなた方、だったのですね」

――――――――

傭兵「なぁ、『女騎士』サマ」

女騎士「……何だ」

傭兵「……お前、今『王女』って呼んだか?この嬢ちゃんを」

女騎士「…………」

傭兵「黙ってちゃ分からん」

女騎士「……ああ、そうだ」

傭兵「……まぁ、何だ。とりあえず、アジトについて来てもらうよ」

女騎士「……どうする気なんだ」

傭兵「どうって……まぁ、色々とね」ニヤッ

女騎士「…………」ゾクッ

投下終了です

王女と女騎士がまとめて山賊に捕まる展開っていいよね
おやすみなさい

山賊の砦
広間


女騎士「……無駄だ。私はともかく、王女を攫ったとあっては貴様らも長くないぞ」

山賊A「ほう、そうかい。……ならせめて、俺達を愉しませてもらおうか?(……あー、いいなこういうシチュ)」

山賊B「くくく……たまらねぇツラしてやがるぜ(……我ながら名演技じゃね?)」ニヤニヤ

傭兵「…………まぁ、楽しみにしておけよ?(悪役の演技楽しすぎワロタwwwwwwwwワロタwwwww)」顎クイッ

女騎士「……! 触れるな!!」カァッ……

山賊A「さて、とりあえず……王女様をボスに引き渡すとするかい」ガシッ

王女「くっ……お放しなさい!」ジタバタ

山賊A「騒がない方がいいぜ?お嬢ちゃん」ニヤニヤ

女騎士「よ、止せ!王女殿下に手荒な事は……!」

山賊B「何も殺すわけじゃねぇさ。……なかなか立派だが、自分の心配をするべきだと思うぜ?」

王女「……卑劣な」

山賊A「山賊だからな。さぁ、キリキリ歩け!」グイィッ

王女「痛っ……!」

山賊A「Cはどうした?」テクテク

山賊B「それが、御者の奴を探してやがるんだと。どうもあいつが殺した訳じゃないらしい」テクテク

山賊A「こんな辺鄙な道を『王女』が通って、しかも御者が逃げただと?」

山賊B「そうなる」

王女「…………」

山賊A「しかも、正真正銘の王女殿下だ。間違いない」

王女「……失礼ですが、お会いしたことが?」

山賊A「………まぁ、あんたは覚えてないよ」

王女「え?」

山賊A「俺の事なんてどうでもいい。……着いたぞ」

山賊B「ボスの部屋だ。一人で入ってもらう」

王女「………はい」


――――――――

女騎士「…王女殿下を、どうするつもりだ」ギロッ

傭兵「どうって……ねぇ」

山賊B「『美しい流れ』ってのがあるよな」ヌッ

傭兵「よう、おかえり。……Aは?」

山賊B「どうも王女を知ってたみたいでな。考え事があるっつって消えた」

傭兵「……ふぅーん」

山賊B「で、王女様がどうなるかって話だったかな」

傭兵「ああ、そうそう。お決まりだけどな」

女騎士「…………」モワモワモワ

山賊B「まぁ、つっても実際……こんな厄ネタ、どう処理したもんか」

傭兵「扱いに困るよなぁ。……って、どうしたんだおい」

女騎士「ッ……こ、このケダモノどもが!」//////

傭兵・山賊B『はっ?』


女騎士「き、貴様ら……! 恥を知れ! 恥を!」/////

傭兵「えっ」

山賊B「ちょっと待て、一体何の話―――」

女騎士「ききき…貴様ら、あれだろう!? 王女殿下を、無理やり―――!」モワモワモワ


~~~~~~~~

後ろ手に縛られ、目隠しを施された少女が、薄暗い地下牢の一角に転がされていた。
闇の牢獄を照らすような純白のドレスと、血管が青く透けて見えるほどの白い肌、
そして艶のある白金の髪が、冷たい床の上に広げられていた。

ふと、鉄格子を開ける音が響いた。
不快な軋みが耳をつんざくが、縛められたままでは塞ぐことも許されていない。
続いて、何人かの、重たい足音。
明らかに全身に熱気を帯びた、荒く息をつく男たち。

「……何か、ご用でしょうか?」

感じた事もない、血走った熱情を肌でひりひりと感じながらも、彼女は飽く迄弱気を見せようとはしない。

答えは、返ってこない。
答えの代わりにドレスを、強引に脱がされ―――否、”毟り”取られた。


~~~~~~~~


女騎士「……クッ……下衆どもが!!」ボタッ……

傭兵「……何で鼻血出してんの?wwwwwww」

山賊B「鼻血ってレベルじゃねぇぞ。流血じゃねーか」

女騎士「……//////」ボタボタボタボタ

傭兵「血だまりできてんぞwwwwwww」

山賊B「おい、一体どうしたんだ!?」

女騎士「……くそっ……! 頭がクラクラする……貴様ら……私に、何を……!」ボタボタボタボタ

山賊B「いやそれ貧血だからね」

女騎士「何を……バカな……!」ボタボタボタボタ

傭兵「もうそれ鼻血で出ていい量じゃないよね」

女騎士「………っ」バタン!!

傭兵「あ、死んだ」

山賊B「……とりあえず、耳長の嬢ちゃんを呼んで介抱させとこうや」


ボス「……何したんだ? オメェら」ゴゴゴゴゴゴゴ……

山賊B「濡れ衣です」

傭兵「Bくんがこの『女騎士』を犯そうとして、抵抗されたので殴りつけてました」

山賊B「ちょ、おま」

ボス「…………」ポキ……ポキ……

山賊B「ち、違います! 違いますって! こいつが勝手に鼻血噴いて倒れたんですってば!!」

傭兵「いえ。『騒ぐなこのアマ! 黙って股ァ開きやがれ!』って言って顔面にいいのを2、3発……」

山賊B「言ってねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」アタフタ

ボス「……覚悟は出来てんだろうな?」ガシッ……ググ……ミシミシミシミシ

山賊B「ちょ、ボス……!!」ジタバタジタ

ボス「……冗談だ。それで、何だこの血の海は」パッ

山賊B「冗談でちょっと本気のアイアンクローは止めてくださいって、本当に鼻血ですよ。俺は鼻から脳ミソ出るかと思いましたけど」

傭兵「で、女エルフにしばらく介抱してもらおうかなーって」

ボス「…………ああ、そうしろ。……それが済んだら、俺の部屋に来い」


その夜
西方 辺境伯領 
城壁外、「亜人の早贄」


ゴブリン「グギッ……ギィィィ……」

???「……品の無い鳴き声だな」

ゴブリン「…ガァァァッ!!」ブォンッ!

???「遅いな」ヒュパッ……ドスゥッ!

ゴブリン「グエッ……!」ピクッ……ピク、ピク……

???「…………これで、最後かね」ブンッ……ドサッ!!

???「………クッ…」

ドクン……

???「……ク……また、か……!」ドクンッ……ドクンッ……

ガサッ…!!

???「……!? まだ、いタ……ノ、か……!」

ゴブリン「ギィィィィ!!」

トロール「ブォォァァァァァァッ!!!」ズシン……ズシン……

――――――――

女騎士「……う、うぅ………」ジャラッ

山賊A「よう、目が覚めたかい?」

女騎士「ここ、は……!?」

山賊B「よく眠れたかい?『女騎士』さん」ニヤリ

女騎士「貴様ら……! これは、どういうつもりだ!」ジャラッ……

傭兵「……見ての通りだろ。マ○コもケツの穴も丸出しでグッスリ寝てた女騎士さん」ニヤニヤ

女騎士「ふざけるな! 今すぐ私を……っぐぅ……!!」ズキッ……ドロ…

山賊A「悪ィな。起きるまで待てなかったんでねぇ」

女騎士「う、嘘……だろ……?」コポォ……

山賊B「もう、二周は回ったか?……おねむの間に、処女散らした感想はどうだい?」

傭兵「いやぁ、まさか起きないとはね」

女騎士「嘘だ……騙されないぞ……」ジワッ……

山賊A「信じなくてもいいがね。……お前は、眠ってる間に拘束されて、ひん剥かれて」

山賊B「とっくに処女奪われて、何度も腹ン中に出されちまってんだよ。……さて、起きたんなら続きをやるかい?」

傭兵「今度は、ケツも奪ってやるよ。……なぁに。痛いのは最初だけってな」ジリジリ

女騎士「や、やめろ……来るな……ぁ……嫌だっ! やめろぉ! やめてえぇぇぇぇぇ!!」ジャラン……ガキン! ギシッ……ギシギシ……


――――――――


女騎士「はっ……!?」ガバッ

女エルフ「あら、気が付かれましたか? よかった……」

女騎士「ここは?」

女エルフ「はい、私の部屋です」

女騎士「……私は、山賊に捕まったのではなかったか?」

女エルフ「はい、そうですよ」ニコッ

女騎士「……笑顔で? ……そうだ…! 王女! 王女殿下は……!?」オロオロ

女エルフ「お連れして参りましょうか?」

女騎士「何だって?」

女エルフ「……今なら、食堂で皆さんとくつろいでらっしゃるかと」

女騎士「……あなたは?」

女エルフ「あ、申し遅れましたね。……私、女エルフと申します」

女騎士「……女騎士だ。何故あなたのような人がこんな所に? 人質か?」

女エルフ「いえ、皆さんにお世話になっておりまして。良くしていただいておりますよ」


女騎士「山賊に?あなたが?」

女エルフ「ええ」

女騎士「…………その……何か、酷い事を強要されていたりとかは…?」

女エルフ「酷い事と言いますと?」

女騎士「その……犯……あ、いや……ええと……」//////

女エルフ「?」

女騎士「……いや、何もされてないのなら良いのだ」

女エルフ「……ところで……」

女騎士「何かな?」

女エルフ「どのような夢をご覧に?」

女騎士「へっ!?」ピキーン

女エルフ「変わった寝言を仰っていたので」

女騎士「な、何の事かな!?」

女エルフ「えっと……『お願いだ! お願いだから、中には……』のような事を」


女騎士「……忘れてくれ」//////

女エルフ「はぁ……」

女騎士「それはともかく、王女殿下がご心配なのだが」

女エルフ「あ、はい。お呼びして参ります。安静になさっていてください」

女騎士「…………」

女エルフ「それと、剣はそこですよ」

女騎士「……返してくれるのか?」

女エルフ「はい、……ずいぶんと大きな剣ですね」

女騎士「…………」

女エルフ「では、失礼いたします。まだ激しく動かない方がいいですよ?」

ギィィ……バタン


女騎士「…………何だ?一体、何なんだ……この状況は……?」


早朝投下終了

遺伝子には抗えない様子
それでは、また次回

捕まった夜
山賊の砦
食堂


王女「……私に、何もしないのですか?」

山賊B「何を?」

王女「まぁ……ナニ、でしょうか?」

山賊C「ズバリ言うなよ王女様」

山賊B「………そんな気分じゃなくなったんだよなぁ」

王女「私ではおっきしませんか」

山賊B「どっちかというとあの『女騎士』の方がいい」

山賊C「うん」

王女「……彼女は今どこへ?」

山賊B「介抱してる。鼻血出してぶっ倒れたんでね」

王女「あらあら……」クスッ

山賊C「お前ら何そんな楽しいイベント独り占めしてんだよ」


王女「……ところで……あなたは」

山賊C「山賊Cだ。初めまして、王女殿下?」ヒラヒラ

王女「ええ、よろしくお願いします」

山賊C「……馬車に射掛けて悪かったね。あの『女騎士』を無力化する必要があって」

王女「理解しております。……それにしても、凄い腕前ですね」

山賊C「何が?」

王女「手綱を一矢で断ち切ったでしょう」

山賊C「……あぁ」

山賊B「相変わらずいいとこ持ってく奴だな」

山賊C「うるせぇノゾキ魔」

山賊B「Aと傭兵もいたぞ」

山賊C「知っとるわボケが」

王女「え?」

山賊B・山賊C『何でもないです』


山賊B「それで、御者はどうしたんだ?」

山賊C「……逃した」チッ

山賊B「お前がか?」

山賊C「痕跡が全く無いものをどう追えってんだ。多分、『転移』の魔術を使ったんだろう」

山賊B「……また変な情報が増えやがったよ」

山賊C「調べりゃ調べるほどおかしな事ばっかだ。この砦の事から何から……」

王女「………………」

山賊B「ん、どうしたよ王女様」

王女「……あ、いえ……ここの方々は、『山賊』なのですよね?」

山賊B「そうだよ」

王女「…………こう言うと失礼に当たるかもしれませんが……山賊だというのに、並ならぬものを感じます」

山賊B「何も出ないぜ」


王女「……いえ、詮索は止しましょう。…………ところで」

山賊B「次は何だよ」

王女「……お食事は、まだですか?」グゥー……

山賊C「山賊にとっ捕まって食事を要求するのかよ」

王女「精液以外でお願いしますね」

山賊B「定番パターンだなぁ」

山賊C「食事は精液、飲み水は小便ってか」

王女「一度経験してみたいものではありますね。『肉便器』」

山賊B「……でも、やっぱり……なぁ」チラッ

山賊C「ああ。あの『女騎士』の方がいい」

王女「それでも良いですね。是非見たいです」

山賊B「あんたの警護役だろうが」

山賊C「私は一向に構わんッッ!」

山賊B「うるせぇ!!」


女エルフ「………あの、王女様はいますか?」スゥッ

王女「はい、私です」

山賊B「何だ、あの鼻血女は起きたのか?」

女エルフ「はい。しきりに王女様を気にしていたので、お呼びに参りました」

山賊C「『女騎士』の見本みたいな奴だな」

山賊B「んじゃ、まぁ……行ってやんな、王女様」

王女「……せっかくですので、演技でも打ってみますか?」

山賊B「あん?」

王女「私に首輪を嵌めて、犬のように四つんばいで歩かせて……」

山賊C「却下」

山賊B「何だと?」

山賊C「そういうのは、あくまで屈服させてからやるのがいいんじゃねぇか。遊びじゃないんだよ!!」カッ

王女「っ……!」ビクッ!


山賊B「……修学旅行で、いきなり大人しい男子がキレた時みたいな空気だな」

山賊C「ゼェ、ゼェ……変な例えすんな!」

王女「……いえ、私が間違っておりました。お許しを」

山賊B「いや、そんな真面目に考えなくても」

女エルフ「……あの……」オズオズ

山賊C「あ、そうだった。行ってやれってよ」

王女「それでは、しばし失礼いたします」ペコッ

山賊B「戻ってきたら飯にするぜ」

山賊C「今日のメシは何だ?」

山賊B「猪の山賊風直火焼きだとよ。荒く挽いた胡椒をたっぷり効かせて、肉汁なんてもう、火傷するぐらいジュワーっと……」

山賊C「……山賊『風』じゃねぇだろ」グゥゥゥ

女エルフ「…………い、行きましょう。こっちです」キュルルル

王女「……は、はい」ジュルッ……グイッ


女エルフの部屋

女騎士「…………私は、何をしていたのだ」

女騎士「……王女殿下を守れなかったばかりか、山賊に虜にされ」

女騎士「…………情けまでかけられてしまった」

女騎士「…………」ウルッ

トントン

女騎士「!?」ビクッ

女エルフ「…私です。王女様をお連れしましたが……」

女騎士「あ、あぁ……ありがとう……」

女エルフ「…それでは、入りますね」ガチャッ

王女「……体の方は、いかがですか?」

女騎士「王女殿下! ……私はもう大丈夫です」


王女「それなら良いのです」

女騎士「……この度は、申し訳ありません。私が至らなかったばかりに……」ジワリ

王女「いえ、貴女のせいではありません。……どう考えても」

女騎士「え?」

王女「……あのような狭い山道。図ったかのように御者が姿を消し、私達は山賊の襲撃地点へと置き去りにされたのですよ?」

女騎士「……え…」

王女「……落とし前は、つけさせましょう」ニコリ

女騎士「…王女、殿下……?」

女エルフ「……あ、あの……王女様、と……女騎士、さん……?」

王女「はい」

女騎士「…………」

女エルフ「ご、ごはんに……しませんか?」ビクビク

王女「……そうですね」キュルルルル

女騎士「……いただけるのなら」クゥー……


深夜
ボスの部屋

ボス「……寝たか?」

山賊A「はい。一応、女騎士とあの王女にも部屋をあてがいました」

山賊B「どうせなら地下牢使いたかったよな」

山賊C「女騎士+牢獄=正義」

ボス「……阿呆が」

山賊A「それはそうと、あの王女と一体何を話したので?」

ボス「いくつか、情報を交換しただけだ」

山賊B「……で、結果は?」

ボス「行き先は、西方。目的は辺境伯領の視察。……女騎士を独り護衛につけただけでな」

山賊B「…………胡散臭いわー。マジ胡散臭いわー。ねー、マジ胡散臭くねー?」ドヤァ

山賊C「ぶっ殺してぇ」

山賊A「目と目が離れすぎじゃね」

ボス「……話を続けるぞ?」


山賊B「まぁ、冗談はともかくとして、どうにも気に入らない感覚だな」

山賊C「…つまり?」

山賊B「こういう感覚は、昔一度だけ感じたよ。……多分、俺達は」

ボス「……嵌められた、か?」

山賊B「…………」コクリ

山賊A「…どの時点で?」

山賊B「…恐らくは、あの耳長。……嬢ちゃんが何かした訳じゃないが、俺達は蜘蛛の巣にかかっちまったんだ」

山賊C「そして……感知した蜘蛛が、素早く寄ってきたってか?」

山賊B「……俺達は、今まさに……糸に巻かれちまってるみたいだ」

ボス「…………」

山賊A「ボス、どうします?これから」

ボス「……とりあえずは、あの二人を何とかして王都へ返すぞ」


山賊A「…ボス。山賊ってのは、こういう時は『あのメスどもを売り飛ばせば、しばらくは遊んで暮らせるぜぇ!』とか」

山賊B「そうそう。もっと乱暴でいいんですよ。テンション上げましょうよ」

山賊C「いやいや、そこがボスのいい所だろ」

ボス「……それはそうと、あの野郎はどこだ?」

山賊A「さぁ。……見張りじゃないですか?」

山賊B「……見張りならお前が行けよ、C」

山賊C「つまんねぇんだよ。もっと『色々』使いたいのに、お前らが寝てるせいで派手にやれねぇし」

山賊A「何言ってんだこいつ」

山賊B「危険な事言ってんなよ」

山賊C「お前ら、数秒前に何言ったか覚えてねぇのか」

ボス「……まぁいい。もう寝とけ」

山賊A・B・C『うっす』

投下終了です
不規則で申し訳ない

申し訳ない、エターなる所だった
二ヶ月も間隔を空けてしまって、本当に申し訳ない……

数日後

王都
城にて


父「陛下。我々に話とは?」

長兄「…………」

国王「うむ。さぁ、話すのだ」チラッ

御者「……仰せのままに」

父「して、その男は?」

国王「我が娘と、そなたの娘の乗った馬車を操っていた御者だ」

父「……何故、御者のみが此処に?」

国王「それを、今から話すのだよ」

長兄「………」

――――――――

父「王女殿下が、小休止の間に我が娘を伴って馬車から離れた所を、山賊に襲われたと?」

長兄「……そして火の粉を逃れ、辛くも貴公のみが王都へ辿り着いた」

御者「はい、その通りでございます。……命からがら」

父「……なるほど。話は分かった」

長兄「質問をしても?」

御者「はい、何なりと」

長兄「……何故、山賊の現れるような道を通った?」ツカツカ

御者「…………」

長兄「…貴様! 答えろっ!!」 グイッ!!

御者「っ!」

父「止せ。陛下の御前だぞ」

長兄「止めないでください! それに、我が妹が……王女殿下を危険に晒すような真似をするものか!!」ググッ……

国王「………」

御者「し、しかし……お二人の方には、何十人もの山賊が……うぐっ…!」

長兄「だから、諦めて一人逃げ延びたとでも言うのか? 我が妹と、王女殿下を見捨てて!」ググググ……

父「………『止せ』と言ったぞ」

長兄「……失礼、いたしました」パッ

御者「かはっ……はぁ……。確かに、仰る通りにございます。私は……お二方を省みる事なく……」

父「襲撃を受けた地点は?」

御者「に……西の山道です」

長兄「………分かった」

国王「もうよい、下がれ、御者よ。……すぐに討伐隊を組織しよう」

父「……それがよろしいかと」

長兄「………」ギリリッ……

国王「……御者には罰を下す。縛り首というところだな。討伐隊を編成次第、追って通達する。何かあるか?」

長兄「一つよろしいでしょうか、陛下」

国王「何かね?」

長兄「討伐隊には、私を加えていただけませんか」

父「……」

長兄「仮に山賊達に、我が妹をも凌ぐ者がいるとすれば……恐れながら、その者に勝てるのはこの国では私か父上しかおりません」

国王「……うむ」

長兄「どうか、お願い申し上げます。討伐隊には、どうか私を」

国王「………分かった。出発時は伝えよう。邸内で待機していなさい」

長兄「……仰せの通りに」

女騎士邸
書斎

――――――――

弟「成程。そんな事に……」

次兄「…山賊?」

父「…うむ。討伐隊が組織される事になる」

次兄「……『討伐隊』ですって?」

弟「……今さらですか? それに……どう考えてもおかしいですよ」

次兄「ああ。王女殿下の身がかかっているのに。軍団をそのまま送り込めばいいじゃないか」

弟「わざわざ討伐隊なんてものを組織する手間を、何故かけるのですか?」

父「……そう。お前達の言うとおり」

次兄「……父上も、感付いてはいるのでしょう? 何かの思惑を」

弟「これは露骨にすぎます。どう考えても……」

父「『友人』に鳩を送った。今夜にでも何らかの情報を掴めよう」

次兄「蛇の道は蛇、ですね。しかし父上、それをしたって事は……」

弟「全てを疑っているのですね。そう……国王陛下の舌をも」

父「……口が過ぎるぞ?」

弟「…………失礼いたしました」

次兄「でも、正解。こんな事態になって、その何もかもがチグハグだ。もはや、正規ルートからは真実は得られない」

父「…………」

次兄「少し前に討伐が取り止めになった山賊の一党。……そして今回の一件。僕や弟じゃなくても、子供でも分かる繋がりだ」

弟「……あの山賊達による犯行だと?」

次兄「君は、正直にものを見すぎだね。……でもまぁ、妥当。その線だ」

弟「兄上方にかかっては、形無しですね」

父「この話は、終わりとしよう。……何、心配は要らぬ。我が娘が、賊に後れを取るものか」

次兄「それもそうですね。その御者が逃げる隙があったのですから、王女殿下を連れて逃げる事も出来ましょう」

弟「……姉上…」

コンコン

父「……入れ」

メイド「失礼いたします、旦那様」

次兄「どうかしたのかい?」

メイド「……申し訳ありません。私の失態です」

父「どうしたと言うのだ? 先に言わないか」

メイド「……若様が……邸内のどこにも……おりません」

次兄・弟『 ! 』

父「いつ気付いた?」

メイド「恥ずかしながら、たった今です。……悪い予感がして、馬房も見たのですが……若様の馬の姿がありません」

父「クッ……早まった事をっ!!」ガタッ

次兄「父上! どうか、落ち付いて! 父上までも屋敷を離れてしまっては―――」

弟「まさか……兄上、お一人で……」


父「何故……何故、待てなんだ!!」バンッ…!!





重ね重ね、二ヶ月も待たせて本当に申し訳ありません
それでは、また次回

山賊の砦
女エルフの部屋


女騎士「……結局、ここに留まってしまっているな」

女エルフ「もし、よろしければ……ずっといらしては?」

女騎士「……いや、私には帰る所があるんだ」

女エルフ「……そう、なのですか」

女騎士「あなたにも、帰るべき所があるのではないか? ……ここで生まれ育った訳では無いでしょう」

女エルフ「そうですけれど……憶えていないのです」

女騎士「え?」

女エルフ「……何処から来たのか、憶えていないのです。薄暗い馬車の中、震えていた事だけは……」

女騎士「…………何、だって?」

女エルフ「私は、馬車でどこかへ連れて行かれる所でした。……少しでも声を出せば、容赦なく……」ブルッ

女騎士「どういう事だ? あなたは、ここの山賊達に無理に連れて来られたのでは?」

女エルフ「ち、違います! 皆さんが、私を助けてくださって……ここに連れてきてくれたのです」

女騎士「山賊達が、あなたをその何者かから救い出したと?」

女エルフ「はい。……皆さん、私にとても良くしてくれていますよ」

女騎士「…………」

女エルフ「お料理のお手伝いに、お掃除にお洗濯。楽しい事ばかりで……」クスッ

女騎士「……おかしい」

女エルフ「え……?」

女騎士「『山賊』は人を襲うのが生業。だというのに……ここの者達は、まるで……」

女エルフ「?」

女騎士「……荒々しさも、暴虐で得た金の匂いも感じ無い。まるで……世を拗ね人里離れて隠れ住む、賢人の寄り合いだ」

山賊B「……よぅ、お邪魔か?」コンコン

女騎士「……貴様か」

山賊B「『貴様か』って……まだ警戒してんのかよ」

女騎士「少しは和らげたつもりだが」

女エルフ「あ、あの……ケンカは……その……」

山賊B「しないしない。……それはそうと、明後日にでも、王都へ帰してやるよ」

女騎士「…どういう話だ?」

山賊B「王女様も一緒だ。馬をやるから、それで帰りな」

女騎士「……背景が見えないな。何故私達を?」

山賊B「持て余すっつってんだ。あんたはまだしも、モノホンの王女様なんてどうにもできん」

女騎士「…………」

山賊B「宝石と同じさ。立派すぎると、逆に換金で困るもんだ。よほどエグい闇ルートがありゃ別だが、俺達は友達がいないんだ」

女エルフ「……帰られてしまうのですか」

女騎士「……王女殿下の御身が為に」

山賊B「まぁ……楽しかったよ。華やかなのはいいもんだな。男ばっかだとムサくてさ」

女エルフ「短い、間でしたね」

女騎士「奇妙な数日間だったよ。山賊に捕まり、まさか手厚くもてなされるとはな」

山賊B「……『山賊』の定義って、何なんだろうな?」

女騎士「何……?」

山賊B「俺らのせいで、誰が困ってるってんだ? 密輸の元締め? それとも、コソコソ密使をやり取りする、お上の連中か?」

女騎士「罪なき人々を苦しめているのでは、なかった……らしいな」

山賊B「というか、あんな道を堅気が通るかよ。昼でも暗い林の中を通り抜ける、まるで『待ち伏せの聖地』ってとこだったろ?」

女騎士「…確かに、そうだな」

山賊B「……ま、どうでもいい事さな。もう少ししたら昼飯だ。それじゃ、後でな」

食堂

王女「また、私の一人勝ちですね。……さぁ」パサッ

傭兵「初手でそれはズルいって!」

山賊C「なんでカード交換無しでそんな手が出るんだよ、オイ!!」

王女「さて、何故でしょうね。さ、早く」

傭兵「畜生……!」ヌギヌギ

山賊C「……俺、もう脱ぐもん無くなったな」ヌギヌギ

王女「ふふふ。私はまだ、靴さえも脱いでませんよ」

山賊A「おーい、そろそろメシ……って、何やってんだっ!?」

王女「見ての通り、ポーカーです」

山賊A「脱衣ルール組み込んでんじゃねぇよ! しかも何、一方的にカッ剥がれてんだ!」

傭兵「だって、こいつ……メチャクチャ強くて」ガタガタ

山賊C「ちなみに、このルール提案したのは王女様だぞ。しかもハンデ付きだ」ブラブラ

王女「もし私が負けたら、『二枚』脱ぐルールです。それも、指定されたものを」

山賊A「………とりあえず、パンツは穿け! ブラブラさせんな!」

傭兵「なぁ、もう服着ていい? 流石に寒いんだけど」カタカタ

王女「だめです。まだ下着が残ってるじゃないですか」

傭兵「うへぇ……」カタカタ

山賊A「王女がそんな事しちゃいけません! さっさと着ろ!」

山賊C「……冗談はさておいて、Aよ」ゴソゴソ

山賊A「話があんなら、服全部着てからにしろ。パンイチの人間とマジメな話なんてできねぇ」

山賊C「『チッ……これでいいだろ? シャワー浴びたら帰れよ。あ、あと腹減ったから何か作れ』」カチャカチャ

山賊A「事後みたいなベルトの締め方すんな。こっち向けアホ」

傭兵「しかも最低な男のな」カチャカチャ

王女「まぁ……服を着てしまわれるのですか。残念ですね」

山賊A「もう喋んな! お前本当に王女なんだろうな!?」

王女「お言葉ですが……私を、御存じなのでは?」

山賊A「こんな性格だとは思わなかったんだよ! 頼むからもう抉らないでくれよ! 頼むから!!」

傭兵「あれwwwwwwひょっとして一目惚れしてたんすかwwwwwwww王女様にwwwwwwwwww」

山賊A「……俺、泣いていいかな?」

王女「……涙は『心の精液』ですよ。泣いてすっきりするのも大事です」

山賊C「なんか説得力あるなぁ」

傭兵「それで、何の話だったっけ」

山賊A「…………」

山賊C「もう王女様と女騎士をさらって何日も経つのに、何も動きが無いよな」

傭兵「確かに不自然。そもそも不自然じゃない部分が無いんだけどね」

山賊C「護衛と二人きり、御者の影も無く、あんな山道を通る。どう考えてもおかしいし、追手が来ないのもおかしい」

王女「私はここが気に入りましたよ。皆さん、楽しくて博識な方ばかりですし、あと半年ほどいたいぐらいです」

山賊A「……頼むから、もう帰って……ください……」ドヨーン

山賊C「まぁ、俺はBじゃないから難しい事は分かんないけどさ。どうなんだ? 通例、こういう時って」

王女「御者が逃げ延びたというのなら、昨日あたりに軍団を差し向けられても可笑しくない筈です」

傭兵「だってのに、まるで音沙汰ねぇよ」

山賊C「俺の耳にも、軽装兵の足音さえ聞こえてこねぇ。少なくとも、半径7km以内にはな」

山賊A「……ますます不気味だな。耳長の時のあのしつこさを鑑みると、特に」

王女「耳長?」

山賊C「ああ、女エルフさ。保護してしばらくは、追手が止まなかったのさ」

王女「追手……? どこからですか?」

傭兵「あんたらの行き先。西の辺境伯」

王女「えっ……!?」

山賊C「Bの奴が追手から直接聞いた。辺境伯領から、耳長の嬢ちゃんを奪還しようと送り込まれてね」

傭兵「全部返り討ちにして、その中には『貴族様』もいたよ」

山賊A「まぁ、バレたら俺達は絞首刑だな」

山賊C「知ってるか? あれって、わりとスンナリ死ねるらしいぜ」

山賊A「『悪い事をするとこうなるぞ』ってガキどもに見本を晒して死ねるんだから、悪くしたもんじゃないな」

傭兵「また脱線してるし」

王女「……辺境伯殿が、女エルフ様を奪還?」

山賊A「………ちなみに、あの嬢ちゃんが最初に『献上』させられる予定だったのも、辺境伯の屋敷だ」

山賊C「だから、『奪還』って言葉を使った。……本来、あの嬢ちゃんは辺境伯の『モノ』になる筈だった」

傭兵「…………チッ」

山賊C「それでだ。王女様。……頼みたい事があってね」

王女「何でしょう?」

山賊A「この砦の由来を調べてほしい。それと、西方辺境伯の身辺調査。特に、奴が……この砦に、関わっていなかったかどうか」

王女「……確信が?」

山賊C「……まぁ……奴は関係無いとしても、この砦で何があったのかは知りたい」

山賊A「ただ、自分らのヤサの歴史ぐらいは知っておきたいんでね」

王女「分かりました。城の文献で調べてみましょう。後に、何らかの方法でこちらへ伝えますね」

山賊C「鳩でも密使でも、何でもいい。何なら暗号使ってもいい。大抵はBの奴なら解ける」

傭兵「サラッと暗号解けるっつった?」

山賊A「あいつ、本当に『何でもできる』んだよな」

山賊C「酒飲んだ時に『オークの言葉がちょっとだけ話せる』とか吹いてたけど、冗談に聞こえなかったぐらいだ」

王女「ぜひ、側に置きたい人材ですね。……何者なのですか?」

山賊A「……さぁな。はぐらかしてる訳じゃなく、本当に知らねぇ」

山賊C「…多分、訊いたら教えてはくれるんだろうけどな」

傭兵「……お前らって、そういう所あるよな」

山賊A「何が」

傭兵「ノリがいいくせに、何か干渉しあわないっていうか……突っ込まないっていうか」

山賊C「別に、仲が悪い訳じゃ無いんだけどな」

山賊A「関心が無いわけでも無いぜ」

傭兵「……冷たくはないんだけど、変な所でよそよそしいんだよな、お前らって。まぁ、この話はもういいや」

山賊A「一段落ついたし、メシにしよう。……昼も過ぎてるしな。運んでくるよ」

王女「楽しみです。……昨日なんて、骨付きのお肉に手づかみでかぶり付く、という体験まで。肩が凝らなくて美味しかったです」

傭兵「……楽しんでるっていうか、段々山賊じみてきてね? 野生化してね?」

夕刻
王都西の山道


長兄「……この辺りか。襲撃を受けた現場は」パカ、パカ、パカ……ザザッ

長兄「成程。確かに伏撃にはうってつけだな。……む?」パカ、パカ……

長兄「……あれは……馬車、か?」

長兄「…馬の姿は無い。車体に目立った損傷は無い。……これは…」シュタッ……スタスタスタ

長兄「……王族の紋章!?」

???「……そう。王女殿下と、貴方の妹の乗っていた馬車」ヒタリ

長兄「…父上に、追跡を命じられたか?」

???「いいえ、ついてきただけ。……連れ戻す命令も、時間の問題だけれど」

長兄「…………」

???「……『山賊』が根城にしている砦は、この先」ピッ

長兄「何故教える?」

???「……さてね。……私にできるのは、ここまでだから」

長兄「……『マスター』はお変わりないか?」

???「いつも通り。たまには顔を見せてあげて」

長兄「…………」

???「……妹煩悩も、ほどほどにして置くべき。冷静になった方がいい」

長兄「……冷静だとも」ギリッ……

???「冷静じゃない人間は、皆そう言う。……それでは、私は帰る。血に染まる事の無き事を」

長兄「……ああ。肝に銘じるとも」

???「…………盗もうとも、卑しくはならざるべし。高貴な―――」スゥ……ッ

長兄「……高貴な者であってこその―――。……分かっている、分かっているとも」


長兄「……分かってはいても」


長兄「―――この怒りの行き場は、他に見当たりそうにない」



投下終了
それでは、また


砦近く、山中

――――――――

山賊C「……来るぞ、馬の足音が聞こえる。……いや、今降りたな」ピクッ

山賊A「何人だ?」

山賊C「一人。……重装じゃあないが、砦にまっすぐ向かってる。かなり近い」

山賊B「……警戒するべきだな。西側から来たとすれば、恐らくかなりの使い手だ。もしも王都側からなら、大軍が来るはず」

傭兵「で、どうすんの」

山賊B「Cは距離を取れ。お前ら二人が前線、仕掛けるのはCが撃った直後だ。俺はその中間で様子を見る」

傭兵「了解」

山賊A「一人だけ楽なポジションかよ」

山賊B「死にそうになったら助けてやるから安心しろ」

山賊A「そうかよ。……じゃ、行こうか」

傭兵「……ああ」

少し前
山賊の砦 
馬小屋

山賊B「…馬車馬、連れてきたのか?」

山賊C「せっかく馬小屋があるんだしな。馬車本体以外は全部返す事になるな」

山賊B「………あの二人、どっちに向かうと思う?」

山賊C「あん?」

山賊B「王都に戻るかな? それとも、改めて馬で西へ向かうかな?」

山賊C「お前はどう思うんだ」

山賊B「王都だろうな。まずは戻って王女の安全を確保するだろう」

山賊C「その後は?」

山賊B「……俺達に、改めて追手を差し向けるってのか?」

山賊C「無いとは言えねぇだろ。お前、まだ『貴族』だの何だのを信じられるのか?」

山賊B「…………」

山賊C「責めてる訳じゃねぇし、俺だってあの女騎士と王女様を信じたいさ。……お前が信じられるのなら、俺も信じる」

山賊B「……意地悪い奴だな」

山賊C「意地悪くなきゃ、俺みたいな仕事はできねぇ。お前もだろ?」

山賊B「まぁな。ボスもAも、面影を残しすぎなんだ。『山賊』になりきれてねぇ」

山賊C「全くだ。……いや、面影じゃなく未練かな」

山賊B「Aの野郎はともかく、ボスはなぁ」

山賊C「詮索はもう止めようぜ。……ん?」ピクン

山賊B「どうした?」

山賊C「シッ……。……」ベタッ

山賊B「………!」

山賊C「……南から、馬の足音。距離は……まだ結構あるが、まっすぐ向かってくる」


山賊B「……人数は?」

山賊C「一人なのは確かだ。馬も相当良いな」

山賊B「一人、だと?」

山賊C「……よほどのバカか、正真正銘の英雄か。お前はどう見る」

山賊B「Aと傭兵を呼んで来よう。ボスにも伝える。……人数の少なさなんて、気を抜く理由にならん」

山賊C「同感だ。……俺は装備を整えてくる。南門で合流するぞ」

山賊B「ったく、懲りもせずに向けてきやがる」

山賊C「全くだ。……それにしても、怨みってのは何をしても買うもんなんだな」

山賊B「ボヤくのは後にしろ。まず、潰すぞ」

山賊C「あいよ」


――――――――


山賊A「………いたぞ。確かに徒歩だな」シュルッ……

傭兵「……月明かりの差す道を通ってるって事は、潜入や暗殺目的じゃなさそうッスね」スラッ

山賊A「…底が知れねぇ。分散するぞ。Cの射線に入るなよ」

傭兵「誰に言ってると思って……っ!?」

ヒュッ……キンッ!!

山賊A「何だ!?」

傭兵「……投石? あいつ、こっちに気付いてるのか?」

山賊A「チッ……バレてるのなら、距離を詰めるぞ!」ダッ

傭兵「(……この距離で……暗闇の中の俺達に、正確に狙ってきた……?)」ゾクッ

山賊A「何してる! 行くぞ!」

傭兵「あ、あぁ……!」ダッ

長兄「………」チキッ……

傭兵「……装備は長剣。左手はマントに隠れて見えない」ヒソッ

山賊A「………俺達が二人、全く同時に長剣で斬りかかれば、弱手に短剣を隠していても押し切れる。Cの射撃に続くぞ」ヒソヒソ

傭兵「……三人がかりなんてねぇ」

山賊A「やらなきゃやられる。山賊の辞書に『卑怯』は無い」

傭兵「……来る」

……パシュッ…………トスッ…

山賊A「左手、当たった!! 今なら……!」ダッ

傭兵「……待てよっ! ブラフだ!! そいつは左手に……!」ダッ

長兄「………」シュッ……

山賊A「何……!?」ガキン!!

傭兵「…矢を、掴んで……投げ返し……!?」

長兄「………」ユラッ

ドスッ……!!

山賊A「っ…か……」グラ……ドサッ

長兄「…………一つ」チャキッ……

傭兵「く……! 何だ……何だ、こいつ……!?」チャッ

長兄「……王女殿下と、護衛の者は?」

傭兵「は……?」

長兄「二度問うつもりはなかった。……貴様等が攫った二人は、どこだ?」

傭兵「……西から来たんじゃないのか?」

長兄「………答えになっていないな」

傭兵「……!!」

……シパッ……ギンッ!!


傭兵「……っぶね…!」ギリギリギリ……!!

長兄「……受けるか」ギギギギ……!!

――――――――

山賊C「チッ……! 近すぎて狙えねぇ!!」

山賊B「おい! 状況は!?」

山賊C「Aがやられた! 傭兵が奴とやり合ってるが、近すぎて援護できねぇ! それに……」

山賊B「それに、何だ?」

山賊C「野郎……俺の矢を掴んで止めた」

山賊B「何……!」

山賊C「どうすればいい!?」

山賊B「……俺が応援に行く。そうすれば、奴は対応するはずだ。その瞬間を逃すな」

山賊C「……あのAを一撃で倒すような奴だぞ?」

山賊B「構うか。少しは間を持たせてやるよ」

傭兵「クソッ……! 何者だお前!!」ゼェゼェ

長兄「……もう一度だけ、訊こう」

傭兵「?」

長兄「…我が妹は、どこだ!!」

傭兵「……『王子様』には見えない」

長兄「王女殿下の事ではない。俺の妹はどこにいる?」

傭兵「国王が放った討伐隊、って訳じゃなさそうだな……」チャキッ

長兄「……『兄が妹を護る』事は、例え王であろうと、神であろうと止められるものか」

傭兵「…………気に入らねぇ」

長兄「何と?」

傭兵「……所詮、お貴族様じゃねぇか。……ぬくぬくと兄妹仲良く暮らせて、帰ったらまたぬくぬくと暮らせるんだろ?」

長兄「…………」

傭兵「……俺は、お前みたいなのが気に入らねぇんだよ」

長兄「…貴公に、何があった?」

傭兵「…『何も』さ」シュバッ……ドシュッ!!

ブワッ……ッ!! 

長兄「止さないか!」

傭兵「…何故、受けない?何故切り返さない?」

長兄「……八つ当たりに付き合う趣味は無い。ただ、俺は妹と王女殿下を連れ帰りたいだけなのだ」

傭兵「知った風な口を叩くんじゃねぇ!!」

長兄「クッ……!」

キィィンッ……ヒュンヒュンヒュン、ドサッ……!!

傭兵「……剣無しで、今度はどんな口を叩くんだ?」ピッ

長兄「…………もう一度だけ、言わせてくれ。妹と、王女殿下を……返すんだ。それで、収めよう」ギリッ

傭兵「……命乞いにしちゃ色気が無い」

長兄「…誤解しているのか」

傭兵「……?」

長兄「確かに命乞いだが……乞うているのは、『貴公の』命だ」

傭兵「…何だって?」

長兄「降伏してくれないか。貴公らは見逃そう」

傭兵「……どういうつもりで言ってるんだ?」

長兄「………殺めたくはないんだ」


傭兵「…………」

山賊B「おい、無事か?」ザッ

傭兵「………見ての通り」

山賊B「で……何の最中なんだ?」

傭兵「……なんと、降伏しろと言われた」

山賊B「誰が? いつ?」

傭兵「俺が、たった今」

長兄「……金が要るのなら、有り金は置いて行こう。だが、王女殿下と……我が妹は解放してもらうぞ」

山賊B「…そいつは、殺したのか?」チラッ

長兄「いや、当身だ。加減は出来なかったが、急所は外した」

傭兵「……気持ち悪い野郎だ」

長兄「どうなのだ。二人の身柄を解放してくれるのか?」

山賊B「うん、いいよ」

長兄「…そうか、やはりやるしか……って、『うん』!?」

傭兵「ちょっ……おま……!」

長兄「聞き違いか?」

山賊B「いや、元々明日解放する予定だったしさ。迎えに来たんなら好都合」

傭兵「えー……俺、こいつに相当カマしちまったんだけど……」モヤモヤ

山賊B「…やめとけ、こいつには勝てねぇ勝てねぇ。死んじゃうよ」ヒラヒラ

傭兵「………」

山賊B「…という訳で、砦まで案内するよ。っと……その前に」

傭兵「?」

山賊B「……覇!!」

ゴキッ!!

山賊A「ぐっ……!」ビクッ!!

長兄「(……気つけ?)」

山賊A「痛っつ……情けねぇな……俺……」コキコキ

傭兵・山賊B『うん』


長兄「……妙な展開になったものだな」

投下終了でございます

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