「生命繊維の成れの果て」(美木流)(135)


「流子君、…流子…」

くすぐったい、くすぐったい。


目が覚めると私は知らないトコにいた。
目が覚めるとソコには知らない男がいた。
ふわりと香るのはシャボン玉のような独特の香り。どうやら今は夜らしく窓の外から月の光が差し込んでいる。
男は眠っていた。髪がボサボサな上、サングラスをかけたまま寝ている。でも、気持ちよさそうに寝ている。
(不思議と嫌な感じはしない、けど…コイツは誰だっけ。)

『流子。』

「へっ?!」

(な、なんだ今の声…?コイツ…じゃないよな。)

『ここだ、流子。』

ピョンピョン

「はぁ!?ふふふふふ服が喋ったぁああ?!」

ガタタッ

『!そうか…流子、…』

(ななななななんだコイツは!?って、よく考えたら私服着てねぇじゃねぇか!もしかしてこの男に連れさられて無理やり脱がされたのか…!?とりあえずコイツが起きないうちに…)


「…あれ、起きたのかい。流子君…」

ビクッ

「ななななんで名前っああああんた何もんなんだよ!!!」ブンッ

「ぶっ!!!!…ったいなぁ…」

カシャン、とサングラスが落ち男の瞳が露になった。

月明かりに照らされた青い瞳。

「私の服は!?片太刀バサミはどこへやった!?」サッ
(何か武器になるもんは…)

「!…流子君、きみ…」

「あ?」

男は何か言いたげに唇を動かしたがサングラスを拾い上げてかけただけだった。


「まぁまぁ、落ち着いて。君の服もハサミも無事だ。…あれが君の服だ。」スッ

「!?ちげーよ!私の服はセーラー服じゃねぇ、シャツとスカートとスカジャンはどこいったって聞いてんだよ!」

『流子!』

「ひっ!…ななななんで服がしゃべっ…うごっ…」

「……驚かせて悪かったね、僕は纏博士の助手をやっていた美木杉愛九郎だ。」

(みきすぎ…あいくろう…?)

「父さんを知ってるのか…?」

美木杉「ああ、それで君の転校の手続きをしてやってくれと頼まれてね。」

流子「そう、だったのか。って…でもなんで裸なんだよ!?」ガンッ

美木杉「っとと、…覚えてないかなぁ…倒れたんだよ、君。すごい熱だったし、汗もすごかったからね。」

流子「え?…じゃあ、アンタが看病してくれたのか?」

美木杉「まぁ、」

流子「…そうだったのか。」

美木杉「うん、だから安心してくれ。」


流子(安心しろっつったって…初対面の相手にどう安心しろってんだ…)

美木杉「うーん、ホントなんだけどなぁ…」ポリポリ

流子「…わかった、百歩譲ってアンタのことは信じてやる。」

美木杉「そりゃよかった。」

流子「っっでも!アイツは信じられねぇ!なんだあの服!?」バッ

『私だ流子!』

流子「私って誰だよ!?」

美木杉「君のお父さんが君のために作った一張羅さ。名前は鮮血。」

流子「鮮血ぅ?…妙な名前だなぁ…つーか服に名前つけてんのか…」

『そうだ、私は鮮血だ!私を着てくれりゅうこぉおおお!!』バッバババババッ

流子「うわぁあああ!?…な、…な…」(腹出しセクシースタイル!?)

美木杉「あー…おそらく君には彼の声が聞こえてるだろうけど、他の人間には聞こえないんだ。」

流子「え?」

美木杉「纏博士が施した細工さ。…ところで、流子君はどこまで覚えているんだい?」

流子「どこまでって…、…本能町に来たところまでは覚えてるけど。」

美木杉「そうか、誰かにあったりした?」

流子「会ってねーよ、…なんでんなこと聞くんだよ。」

美木杉「一応保護者としてね、君の身になにかあっちゃあいけないし。」

流子「別に何も…、…あっそういや途中レモンを奪ってきた変な小学生が…」

美木杉「変な小学生?」

流子「ああ、でもんな悪ィやつじゃなかったし。面倒見の良さそうなねーちゃんがついてるみてぇだから見送ったけどな…?」

美木杉「…なるほどね。」

流子「うん?」

美木杉「わかったよ。まだ起きるには早いしもう一度寝よう。僕はソファーで寝るから、流子君はこっち使って。」ファサッ

流子「?…ああ、ありがとう?」

美木杉「おやすみ、流子君。」

流子「…おやすみ、…あっ、待った!そういや、アンタのことなんて呼べばいい?」

美木杉「え?」

美木杉「あ、…そうだなぁ…美木杉でも愛九郎でもお兄さんでもオジさんでも、好きに呼んでくれていいよ。」

流子「んー、…じゃあ美木杉?でも一応これから保護者なんだしオジさんか?」

美木杉「お兄さんでもい…」

流子「よし!おやすみ、オジさん。」

美木杉「!あはは、おやすみ。流子君。」

それから私は毛布に包まるとすぐに眠ってしまった。オジさんも多分寝た。


美木杉(オジさん、…か…)

さっきのそれから私は…要らなかったですね。脳内で削除お願いします!ム。

初めて書くので至らないことが多いと思いますが最後まで書けたらいいな…流子ちゃんがこんな感じになってる理由は後々わかるようにします!…タブン。

──朝──

チュンチュン、チュンチュン

流子「ん、……」

美木杉「おはよう、流子君。ごはん出来てるよ。」

流子「んぇ?…あ!…うん、おはよう。」ゴシゴシ

流子(…夢じゃなかった。)

美木杉「やぁ、悪いねぇ。パン焼くくらいしか料理出来ないから。」

流子「それ料理って言わねーよ。…でも、……ありがと。」ボソッ

美木杉「ん?」

流子「いただきます。」はぐっ

美木杉「うん、いただきます。」パク

美木杉「ごちそうさま。」スッ

流子「ごちそうさまでした。…あ、洗い物は私はがやってやるよ。台所使うなー。」スッ

美木杉「流子君はそんな気つかわなくていいんだよ、僕が」

流子「だぁって今日から一緒に住むんだろ?アンタが作ってくれたなら洗い物くらいしねーと、フェアじゃないってもんだ。」ジャー、ゴシゴシ

美木杉「!!」(…一緒に住むことになってる!?)

ジャー、カチャ、カチャ、カタン

美木杉(皐月お嬢様や紬にどやされるだろうなぁ…)

流子「~♪」

美木杉(まぁ、いっか。)

美木杉「そうだ、流子君。転校できるのは明日からだから、今日は必要なものを買いに行こう。」

流子「へ?今日はいけねーの?」

美木杉「僕も君が昨日来るとわかってなかったからねぇ…」

流子「あ、でも私金そんなに持ってねーんだけど。」

美木杉「博士から君の学費やらなんやらは預かってる、心配ないさ。」

流子(父さん…いつの間にそんな金…)

──旧2番星街──

流子「ええっと、…歯ブラシは買ったし…次は寝間着だな!」

美木杉「流子君、これはどうかな?」ヒラヒラリーン

流子「却下。…あ!これにする!」

美木杉「!うさぎ柄か。…うん、可愛くていいんじゃないか。」(少し驚いたけど…)

流子「今ガキくせぇと思っただろ。」

美木杉「あはは、思ってないよ!君によく似合うと思う。」

流子「ふーん、…んじゃコレよろしく!オジさん。」ニッ

美木杉「はいはい。」

店員「ありがとうございましたー。」

カランカラン

ぐぅうー

流子「!!!」カァア

美木杉「…お腹空いたのかい?流子君。」

流子「…別に。」フイ

美木杉「何か食べたいものある?」

流子「……クレープ。」ボソッ

美木杉「よし、じゃあそれにしよう。」

美木杉「へーぇ、クレープってこんなに種類あるんだねぇ。」

流子「私コレ。」

美木杉「じゃあ僕も同じので。」

美木杉「甘い…。」

流子「うまいっ!」

美木杉「流子君は甘いものは好きかい?」

流子「うん、好きだ。」モグモグ

美木杉「そっか。やっぱり女の子だね。」

流子「んだそれ。男だと思ってたのか?」ギロッ

美木杉「そんなわけないだろ。」

流子「…うん?」


美木杉(…君をただの女の子として見るのがこんなに難しかったなんて。)

──愛九郎宅──

流子「なぁオジさん。」

美木杉「…うん?」

流子「鮮血、つったか?…あの服昨日喋ったっきり喋んねーんだけど…」

美木杉「ああ、鮮血は君の血を得ることで喋れるようになるんだよ。」

流子「私の血!?」

美木杉「うん、だから血を与えなければ喋らないし、動かない。ただの服だ。」

流子「そう、なのか。」

美木杉「うん。」

流子「…私、全然父さんのこと知らなかった。」

美木杉「……」

流子「父さんが何の研究してたのかも、…父さんが何で死ななきゃいけなかったのかも…、…何も知らない。」

美木杉「…明日は早いから、もう寝た方がいい。」

流子「…うん。」

美木杉「おやすみ、流子君。」

流子「…おやすみ。」


流子(なぁ…鮮血、…お前は父さんのこと、何か知ってるのか?)

──翌日──

流子「制服?このセーラー服着てくんじゃねーのか?」

美木杉「ああ、学校指定のものがあるからねぇ。」スッ

流子「…なら仕方ねーな。」スッ

美木杉「……」ジー

流子「……」ジー

美木杉「…流子君?」

流子「っ着替えるから向こう行ってろ!」バシンッ

美木杉「ぶっ!…ハイ…」トボトボ

流子「…ったく、…」チラッ

流子(…ホントにコイツを着なくて良いのか、…私は。)

──本能字学園──

流子「でっけー校門だなぁ…」

美木杉「流子君、こっちこっち。」

流子「おー、って…もうここまで来りゃ大丈夫だから。オジさんは仕事行けよ。」

美木杉「僕、君の担任だから。」

流子「おう、じゃあまたあと…で!?」

美木杉「ちなみに世界史担当ね。」

流子「アンタ先公だったのか!?」

美木杉「うん、だから心配いらないよ。」

マコ「流子ちゃーん!こっちこっち!」ヒョイヒョイ

流子「んぁ?…あ、!レモン女。」

美木杉「満艦飾マコ君だ、あの子の隣が君の席だよ。」

マコ「おはよー流子ちゃん!制服似合うねぇ!新鮮だねぇ!」

流子「ああ、ありがとよ。つーか、なんで名前…」

マコ「えっ?あ、うんとね!!昨日フクタンニンの先生から紹介があったんだー!流子ちゃんが明日来ますよーって!」チラッチラッ

流子「ふーん。」

マコ「えへへ。」スヤァ

流子「って、もう寝てやがる。…よく見たらスゲー隈だな…」

流子(満艦飾マコ…)

──放課後──

マコ「りゅーこちゃーんっ!!」バビュンッ

サッ

ドッゴォオーンッ

マコ「もーっなんでさけるの!」

流子「そりゃ急に飛びかかってきたらな。」

マコ「親友のハグなのにーっ!」

蟇郡「くぉら!満艦飾!廊下で飛ぶな!怪我をしたらどうするっ!」ズンッ

マコ「ひぇっ!あ、蟇郡せんぱいっ!」

流子「ガマゴリ?」

蟇郡「風紀部委員長蟇郡苛だ!!お前は纏流子だな。…うむ、制服の着こなしは申し分ない。」

流子「ん、あぁ…どーも?」

蟇郡「今夜生徒会長の鬼龍院皐月様がお前のために歓迎パーティーを開いて下さることになった。」スッ

流子「招待状ぉ!?すげーなこの学校…」

マコ「パーティーだねっ行くの?行くんだっ!楽しみだね~!」

蟇郡「服装は自由だ、制服でも構わん。場所は本能字学園生徒会室。遅刻は厳禁だ!以上!」ザッザッ

流子「マコも行くのか?」

マコ「うんっ!マコも行くよ~っ!だって親友の歓迎パーティーだもんね♪」

流子「親友って…、(まぁ悪い気はしないけど。)開始まで結構時間あんな。」

マコ「わたしは一回ウチに帰ってから行くね~。」

流子「んじゃ、私も一回帰るかな。」

マコ「また後でねー!流子ちゃんっ!」

流子「おう、またな。マコ。」

──愛九郎宅──

流子「まだ美木杉帰ってねーのか…」

流子(何着てくかな、…制服でいいっつってたけど。…コイツ、着て行くか。)スルッ

ガチャ

美木杉「ただいま。」

流子「!!」ブンッ

美木杉「あ、りゅ…ぶっ!!!??」

流子「タイミング悪ィんだよアンタ!」カァアッ

美木杉「流子君、コップは結構痛いよ。」

流子「だぁかぁらー、悪かったっつってんだろ。ビックリしたんだよ。」

美木杉「やれやれ。…着替えてたってことは、歓迎パーティーに行くのかい?」

流子「そうだけど…、何で知ってんだよ?」

美木杉「何でって僕も呼ばれてるからねぇ。君の担任だし。」

流子「先公まで誘ってんのかこの歓迎パーティー!?」

美木杉「まあ、教師で来るのは担任の僕だけだろうけど。」

──本能字学園生徒会室──

皐月「よく来たな纏流子!!!!本能字学園へようこそ!!」

皆「ようこそ!!!」

流子「アンタが生徒会長の鬼龍院皐月か?…丁度良い。アンタに聞きたい事がある。」シャキンッ!

皐月「それは、…片太刀バサミか。」

流子「どうやらコレについて知ってるようだなぁ、洗いざらい教えてもらおうか。」

皐月「安心しろ、そのもう片方を持つ…すなわちお前の父親を殺害した輩は我が鬼龍院財閥が責任を持って処罰した。」

流子「え?」

流子「マジかよ!?」

皐月「大マジだ。だから今は安心して歓迎パーティーを楽しむが良い。」

流子「えっ、でも」

蛇崩「ちょっと転校生!皐月ちゃんが楽しめって言ってんだから楽しんどきゃいいのよ!ほら!これでも食べなさい!」ズイッ

流子「んだこれ?つーかアンタ…?」

蛇崩「……生徒会四天王の一人蛇崩乃音様よ。乃音様とお呼び!ちなみにそれはフォアグラとキャビアとフカヒレのソテーよ。」

流子「フォアグラとキャビアとフカヒレ!?!?」

犬牟田「俺は四天王の一人情報戦略部委員長犬牟田宝火だ。ほらコレ、君がこれから関わるであろう人間、生物のリストだ。写真つき。活用してくれ。」バサッ

流子「!?お、おう。ありがとよ。」モグモグ、パラッ

流子「…鬼龍院皐月、マコ、…マコの母さん、マコの父さん、マコの弟、マコんとこの犬…」パラパラ

流子「…猿投山…」

猿投山「四天王の内の一人!猿投山渦とは俺のことだァ!!!」

流子「うわっ!?な、なんだテメェ!」ポロッ

マコ「3秒ルール!」パクッモグモグ

猿投山「纏流子!俺と勝負しろ!!」

流子「はぁ!?」

皐月「…猿投山。」

猿投山「(わかってますよ皐月様、これは俺なりの歓迎パーティーです。)早食い勝負だ!」バァーンッ

流子「早食い勝負だとぉ?」

猿投山「ああ、お前は甘いものが好きらしいからな。ケーキワンホール早食い対決だ!!」

流子「代打マコ。」

マコ「よぉーし!任せて流子ちゃん!」

猿投山「なっ!逃げるのか纏!?」

流子「大体こーゆーのはマコの得意分野だろーが、私は自分のペースで食うから。」

猿投山「待てまと」

流子「よーいドン。」

マコ「いっただっきまーす!」パクパクモグモグモグモグ

猿投山「ぅおおおおお!!!」バクバクモグモグモグモグ

蟇郡「猿投山は頂きますくらい言わんかぁ!!!」

流子「…ったく、…なんだってんだ…」ローストビーフよそいよそい

流子(…ん?…そういや私なんでマコが食うの得意だって知ってんだ?…)モグ

流子「あ、…さっきこの冊子読んだからか。」パサ

伊織「今は鮮血を着ているんだね、制服の着心地はどうだったかい?」

流子「え?」

伊織「裁縫部部長伊織糸郎だ。僭越ながら君の制服を作らせてもらったよ。」

流子「生徒が制服作ってんのか!?…や、まぁ…別に普通だったぜ。やけにピッタリだとは思ったけど。」

伊織「ふむ、…ゆったり目が好み…と。」メモメモ

美木杉「楽しんでるかい?流子君。」

流子「オジさん!おう、こんなに豪華なもん初めて食ったぜ。」

黄長瀬「ぶふぉっ!…オジさん!?」

美木杉「ああ、そうそう。こっちは黄長瀬紬、…事務員だ。」

黄長瀬「おいっ美木s」コソッ

美木杉「質問はあとで受け付けるから!」コソコソ

流子「ふーん。事務員なぁ…」

カンカンカンカンッ!

「ケーキ早食い対決は満艦飾マコ選手の勝利!!!」

マコ「やった!かてた!かてたよーっ!」

猿投山「…うっぷ…」


黄長瀬「脱げ。」

流子「は!?」ポトッ

マコ「3秒ルール!」パクッモグモグ

美木杉「ちょっと紬!」

黄長瀬「俺は反対したはずだ、この服は着るべきじゃないと。」

美木杉「紬、その話はよすんだ。」ガシッ

蛇崩「気にしなくていいわよ転校生、アイツセーラー服に妙な思い入れがあるただの変態だから。」

黄長瀬「おい!」

蛇崩 んべっ

マコ「はい流子ちゃんコレ!わたしからのプレゼントだよ!」スッ

流子「…犬?」

マコ「うん!ガッツのぬいぐるみ!母ちゃんが作ってくれたんだー!」

流子「…サンキュ、マコ。」

マコ「!!!うんっ、どういたしましてっ。」フラッ

流子「っっおい!大丈夫か。」

マコ「あっ、ごめんごめん。お腹いっぱいになってクラクラ~っと来ちゃったよ!」

流子「それだけじゃねぇだろ。…隈すげーぞ、お前。」

マコ「んぇ!?これはその!今日流子ちゃんが来るって聞いて楽しみでねむれなかったんだよ~!」

流子「…そんなに転校生が珍しいのか…今日は早く寝ろよ。」ポンポン

マコ「はーいっ♪」

流子(…つーかよく見たら他のやつも隈が出てんな、…お祭り大好き学校なのか?ここは…)モグモグ

皐月「流子、」

蛇崩(皐月ちゃんが転校生を名前呼びした!?)

流子「ん?…鬼龍院皐月か。」

皐月「保護者から話は聞いている。私はここの生徒会長だ、何か困ったことがあれば遠慮なく頼れ。」

流子「おう、アンタ見かけによらずいいヤツだな!サンキュ!」

皐月「…ああ。」

皐月「これにて流子の歓迎パーティーを終了する!皆気を付けて帰るように!」

蛇崩(皐月ちゃんまた流子って言ったわ!!)

ワイワイガヤガヤ

マコ「また明日ね~っ!流子ちゃん!」ブンブン

流子「お~!また明日な!」ヒラヒラ

美木杉「…さてと、僕達も帰ろうか。」

皐月 ギロッ

美木杉(ひゃ~…皐月お嬢様の視線が痛いねぇ…)

──愛九郎宅──

美木杉「流子君、まだ寝ないのかい?」

流子「んー、…」パラパラ

美木杉「それは?」

流子「今日情報なんとか部の犬牟田ってヤツがくれたんだ。パーティーに来てた奴らとか、その家族とかについて書かれてる。」パラパラ

美木杉「へぇ、僕についても?」

流子「ああ、ちゃんと書かれてるぜ。…でも、この写真アンタじゃないみたいだよなぁ?」スッ

美木杉「ん?」

流子「うん、サングラスかけてねー方がかっこいい。」カシャン、

美木杉「へ」

流子「普段からこの写真みてーにしてりゃいいのに。」

美木杉「……」

流子「ふぁあ…そろそろ寝るかな。はい、サングラス。」スッ

美木杉「あ、ああ。」スッ

流子「おやすみ、オジさん。」

美木杉「おやすみ、流子君。」


美木杉(……、…危なかった。もう少しでキスするとこだった…)

今更ですが、流子ちゃんが目覚めてから美木杉は流子ちゃんの前ではずっと先生モード(髪ボサボサングラス)です。

皐月様がパーティーでおっしゃっていましたが、時系列的にはお母様もぬいぬいも倒した後の平和な世界です。
なので極制服での星の制度はなくなり、旧二ツ星街といった風になっています。
(14の所で2番星街になってました…正しくは二ツ星街です…)

――1ヶ月後――

美木杉(流子君と暮らし始めてもう1ヶ月か…)日めくりカレンダーペリッ

流子「オジさーん!ネクタイこっちに忘れてるぜー!」パタパタ

美木杉「ああ、ありがとう流子君。」

流子「ったく、3日に一度はこれだからなぁー。ほら、私が締めてやるよ。」

美木杉「うん。」

シュルシュル、キュッ

流子「これでよし、と。」

美木杉「ありがとうねぇ、流子君。」ポンポン

流子「どーいたしまして、早く学校行こうぜ。先公が遅刻してちゃあ示しつかねーだろ。」パタパタ

美木杉「あ、」

流子「ん?」

美木杉「今日は出張で他の高校に行くことになってるんだ、一人で行ってもらってもいいかい?」

流子「出張?うん?別に構わねーけど。」

美木杉「遅くなりそうだから夕飯は食べておいて。」

流子「…わかった。」

美木杉「…何か食べたいものある?お土産買ってきてあげる。」

流子「!!クレープ!!」

美木杉「あはは、了解。」


ブゥウウウウウン

――鬼龍院邸――

皐月「遅かったな…」

美木杉「おやおや生徒会揃ってサボりとは、先生としては複雑だなぁ。」ファサッ

蟇郡「今日受けるはずだった授業は先週の土日に済ませている。サボりなどではない。」

犬牟田「それにコレはアンタが提案した会議だったんじゃないか?美木杉愛九郎。」

猿投山「そ

蛇崩「もうなんでもいいから始めましょ。時間は限られてんだから。」

皐月「蛇崩の言う通りだ。…それでは、第1回流子定期報告会を始める!!!!」


【第 1 回 流 子 定 期 報 告 会】

皐月「蟇郡、猿投山、蛇崩、犬牟田、美木杉の順で報告せよ。」

蟇郡「ハッ、風紀の面では特に問題なし。満艦飾の報告によると普段の生活も異常なし、週に3度は放課後に旧二ツ星街へ行き共にウォータータイムを過ごすとのこと。」

皐月「ウォータータイムとはなんだ?」

蟇郡「おそらく喫茶店で茶を頼まずに水を頼んでお喋りをする会のことだと思われます。」

皐月「何ぃ!?…揃、流子と満艦飾が来店したら無料で茶と菓子を振舞うよう旧二ツ星街の連中に資金繰りをしておけ。」

揃「かしこまりました、お嬢様。」サッ

猿投山「纏は先週テニス部元主将の函館臣子とテニス勝負を行い勝利。その際に立会いましたがごく普通のテニス勝負でした。」

皐月「何か変わった様子はなかったか?」

猿投山「…残念ながら、函館との勝負で何かを思い出したような素振りはありませんでしたね。」

皐月「そうか…」

蛇崩「文化部とは特にそういったことはなし。前と同じく劣等生と一緒にいるところはよく見かけます。」

犬牟田「人物図鑑の更新は完了、新しいものは纏に渡しておきました。ただ、」

皐月「どうした。」

犬牟田「その時に鮮血や美木杉愛九郎のことについて聞かれましたよ。」

皐月「なんだと?」

美木杉「僕?」

犬牟田「聞いた限りじゃあの夜、つまり纏流子が現在の状態になった日以来鮮血の声は聞いていないらしい。」

美木杉「それどころか歓迎パーティーの日以来流子君は鮮血に袖を通していないみたいだが。」

犬牟田「あれ、それはおかしいな…先週の土曜日に纏流子は鮮血を着用して出かけているはずだよ。夜中にね。」

美木杉「なんだって?」

犬牟田「鮮血に縫い付けておいたGPSがそれを証明してるよ。どうやら纏一身の研究所跡地に行ったらしい。」

美木杉「纏博士の…」

皐月「まさか監視を怠っていたのではないだろうな。」

美木杉「……」

猿投山「皐月様、こんな奴に纏をあ

犬牟田「まぁ、普通に考えると何か盛られたんだろうね。」

猿投山・美木杉「え?」

犬牟田「寝る前になにかいつもと違うことはなかったかい?」

美木杉「!!…ああ、そういえば流子君が買ってきた紅茶を一緒に飲んだよ。」

犬牟田「ビンゴ。」

美木杉「僕としたことが…けど、どうやって研究所まで…」


犬牟田「協力者がいたんだよ。」

美木杉「協力者?…満艦飾君か?」

犬牟田「いいや。」

美木杉「じゃあ一体誰が…!」

犬牟田「黄長瀬紬だよ。彼が纏流子を研究所跡地まで連れて行ったのさ。」

──愛九郎宅──

流子(美木杉まだかなぁ…)パラパラ

ガチャ

美木杉「……」

流子「!!おかえりオジさん!」

美木杉「…ああ。ただいま。」

流子「お疲れさん?」

美木杉「はいコレお土産。クレープは流石に持ち帰れなかったからミルクレープにしたよ。」スッ

流子「ミルクレープ!」パァアアッ

美木杉「なぁ、流子君。」

流子「ん?」モグモグ

─犬牟田 「目的がわかるまではこの件については触れないように。もちろん纏流子に対しても黄長瀬紬に対してもだ。」─

美木杉「……」

流子「オジさん?」モグ

美木杉「…あ、いや、それ美味しいかい?」

流子「?おうっ、すっごく美味しいぜ!ほら、一口やるよ。」スッ

美木杉「えっ!」

美木杉「いやっ、いいよ僕は。」

流子「遠慮すんなって、つーかこれアンタが買って来てくれたんだし。」グイグイ

美木杉「んむっ」パク

モグモグ

美木杉「…甘いね。」

流子「なっ?おいしいだろ!」

美木杉「…うん。僕シャワー浴びて来るよ。流子君先に寝てていいからね。」スッスタスタ

流子「へーい。」モグモグ

カチャッ、パタン

美木杉「…っはあ…(……情けない。)」カァア

カチ、カチ、カチ…─

美木杉(…なぜ流子君と紬が…、…アイツは一体何を考えてるんだ…)チラ

流子 スー…スー…

美木杉「…流子君、…もう君は普通の高校生に戻っていいんだよ。」

流子 スー…

美木杉「…おやすみ。」

──3週間後、昼休み──

流子「なーんか変なんだよなぁ。」

マコ「お弁当?」モグモグ

流子「いや、弁当はいつも通りなんだけどな。」

マコ「?」モグモグ

流子「なんつーか、…オジさんがさ…」

マコ「オジさんって、美木杉せんせーだよね?」

流子「うん、最近やけに帰りが遅ェし…朝も私が起きる前に学校に行ってるみたいで…殆ど話せてねーっつーか…」

マコ「ううーん?」モグモグ

蛇崩「テスト前だから忙しいんでしょ。」ヌッ

流子「蛇崩!?」

蛇崩「せめて先輩をつけなさいよ、先輩を!」

流子「そういやもうすぐ中間テストだったな、忘れてた。」

マコ「ひぇえ!次赤点とったら放校になっちゃうんだった!」

蛇崩「劣等生はガマ君に家庭教師でもしてもらいなさいな。」

流子「そうか、…だからか。」

蛇崩「納得した?いくら血は繋がってないとは言え教師と生徒だもの。それなりに配慮してるんでしょ。」ハムハム

流子「おう。」パクモグ

マコ「うう~。」モグモグ

蛇崩(なに考えてんのかしらあの教師、…監視だけはちゃんとしてるみたいだけど。)チラッ

美木杉「……」

──放課後──

流子「……」ボーッ

猿投山「纏?」

流子「あ、よう。」

猿投山「今日は満艦飾と一緒じゃねぇのか?」

流子「うん、マコは蟇郡に勉強教えてもらいに行ったぜ。私も勉強しなきゃな~…」

猿投山「なんかあったのか?」

流子「え?」

猿投山「元気ねーぞ、今日のお前。」

流子「ふは、目ぇ見えねーのにわかるのかよ。」

猿投山「心拍がやけに落ち着いてる。」

流子「別にいつもと一緒だろ。」

猿投山「なに悩んでるかは知らねぇが、こういう時は体動かすのが一番だ。来い。」グイッ

流子「!っおい!お前私の話聞いてたか!?」

──本能字学園武道場──

猿投山「めぇええええんんんん!!!」

流子「どぉおおおお!!!!」

猿投山「こてぇえええええ!!!」

流子「うぉらああぁああ!!!」

スパーンッッ

猿投山「おい纏!最後の掛け声はなんだ!面胴小手の後は突きだ!」

流子「うっせーなァ、剣道やんの始めてなんだよ!突き!!」ドゴッ

猿投山「甘いぞ纏!!まだまだァ!!!!めぇえええんんん!!」

バターンッ

流子「はぁっ…はあ…あ゛ー、疲れた…」

猿投山「ふっ、この程度で疲れるとはお前もまだまだだな…」

流子「そういうテメーもぶっ倒れてんじゃねーか、このっ。」ツキッ

猿投山「ぐっ、俺はただ天井が見たくなっただけだ!」

流子「んだそれ。…ぶっ、はは…」

─ぐきゅるるる

流子・猿投山「……」

猿投山「メシ、食いに行くか!」

流子「おう!」

猿投山「じゃ、シャワー浴びてから昇降口集合な。」バッ

流子「りょーかい。」ヒラヒラ


流子(…美木杉は今日も帰り遅ェだろうし、いいよな。)

──ファミレス メン・ド・コーテ──

猿投山「お前部活には入らねぇのか?」モクモク

流子「んー、そういや考えたことなかったな。」モグ

猿投山「剣道部とかどうだ?結構筋は良かったぜ。」

流子「剣道部なぁ…まあ、確かに今日のは楽しかったけど。」

猿投山「放課後なんもねーってのも暇だろ、満艦飾も一応テニス部入ってるしな。」

流子「んー…」モグモグ

猿投山「まぁ、無理にとは言わねぇが。」

流子「考えとくよ。」

猿投山「!!」

流子「ごちそーさん。これ、私の分な。」チャリン

猿投山「あ、もう帰んのか?」

流子「うん、オジさんの夕飯作るからさ。」スッ

猿投山「…そうか。」

流子「今日はサンキュ!猿投山のおかげでスッキリした。じゃあな。」

猿投山「おう!また明日な!纏。」ヒラヒラ

流子「!おう、また明日。」ヒラ

──愛九郎宅──

流子「んー、マコの母ちゃんみてーにうまく包めねー…っ!」グチャグチャ

流子「…チキンライスの上に卵がかかってりゃ、それはオムライスだよな。よし。」ノセノセ

流子「!そうだ。ケチャップケチャップ…」

流子(みーきーすーぎー、ほしっと…)

流子「できた!」

カチッ、カチッ、カチッ…─

流子(今日は特に遅ェな…、…部活のこと相談したかったんだけど。)

流子「…先に寝とくか。」カキカキ

──ガチャ

美木杉「……」スタスタ

美木杉(!!…美木杉って、…久々に呼ばれたなぁ…いや、正しくは書かれたか。)ストン、モグ

美木杉「うん、…美味しい。」モグモグ

─オジさんへ
今度のテストが終わったら部活に
入ろうと思ってる。まだどれに入
るかは決めてないけど、多分運動
部かな。今度また相談する。
─流子

美木杉(部活か、…そういえば喧嘩部の一件以来気にしてなかったな…)

──テスト最終日、放課後──

流子「あ!オジ…じゃねぇ、せんせー!」

美木杉「ん?…ああ、纏君。」

流子「…あのさ、今日は帰り早いだろ?テスト終わったし。」

美木杉「…部活の相談かな?それだったら今から聞こう。おいで。」

流子「えっ?あっ、うん!」

──社会科準備室──

美木杉「部活に励むのはいいことだと思うよ。それに纏君は体育の成績もいいし、運動部は向いているよ。」入部届スッ

流子「うん、…今んとこ剣道部にしようかなって思ってんだけど…」

美木杉「剣道部か、いいんじゃないか。」

流子「そうかなっ?あっ、でも部費とか」

美木杉「ああ。ここは部活を重視している学校だから、部費諸々は全て学園が出してくれる。心配ないよ。」

流子「そうなのか!すげーな…あ、あと今日は…」

美木杉「ごめん流子君、今日も遅くなりそうなんだ。テストの採点がね。」

流子「…そっか、わかった!頑張ってな。」

美木杉「うん、ありがとう。気を付けて帰ってね。」

流子「おうっ!」

──昇降口──

流子「…どうすっかな…」

マコ「あっ、流子ちゃーん!!いたいた!探したよーっ!」

流子「!マコ、どした?」

マコ「テストの打ち上げしよーよ打ち上げ!久しぶりに泊りにおいでよっ!」

流子「!いいな、丁度おばさんの手料理が恋しくなってきたところだ。」

マコ「じゃあ決まりねっ!」

流子「おうっ!準備してからすぐ行くな。」

マコ「うん!待ってるよー!」

流子(なんか手土産もっていかねーとな、何にすっか…)スタスタ


──ツー、ツー、 こちら犬牟田、纏流子は下校した模様。

──ツー、こちら美木杉、了解。今から鬼龍院邸へ向かう。

──鬼龍院邸──

【第 2 回 流 子 定 期 報 告 会】

犬牟田「前回の一件から纏流子は鮮血を着用した様子はなし。部員に黄長瀬紬を見張らせていましたがこちらも動きはなし。」

皐月「…そうか。」

蛇崩「ますますよくわからないわねぇ、…どうして転校生とあの変態マッチョが関わってたのか。」

犬牟田「もしかしたら黄長瀬紬はただ連れて行くタクシーの役を担っただけで深い意味はなかったのかも。」

皐月「この件については前回と同じく。監視は続けておけ。」

犬牟田「ハッ。」

─皐月「今回の報告は以上か。」

蛇崩「少し気になることがあるんだけど。」スッ

皐月「なんだ、蛇崩。」

蛇崩「美木杉愛九郎、アンタなに考えてるの?」

美木杉「なにって?」

蛇崩「毎晩遅く帰ったり朝早く出て行ったり、監視は怠ってないようだけど…転校生が気にしてたわよ。」

美木杉「流子君が?」

猿投山「おいおい、なにやっ」

皐月「美木杉、答えろ。」

美木杉「……」

美木杉「そろそろ、流子君を普通の高校生にしてあげたいんだ。」

蟇郡「普通の高校生?」

美木杉「ああ、学校に行って授業を受けて、友達とご飯を食べて、部活して、友達と遊んでから家に帰る。休みの日には好きなことをして過ごす。そんな普通の生活を送って欲しいんだ。」

蛇崩「?そんなの今でも送れてるじゃないのよ。」

美木杉「でも普通の生活に監視役は要らないだろう?」

皐月「何が言いたい。」

美木杉「…もう流子君が昔を思い出すことはないし、もう思い出させなくてもいいと思うんだ。」

皐月「貴様は流子が言っていたことを忘れたのか?決して忘れない、忘れたとしても絶対に思い出すと。」

美木杉「忘れたわけじゃないさ。でも、少なくとも今の流子君はそれを望んでいないんじゃないか。」

猿投山「それに関しては俺も同意です。皐月様。」

蟇郡「猿投山お前っ…!」

皐月「待て蟇郡。」

猿投山「この前アイツと剣道した時、アイツほんとに楽しそうに笑ってたんです。そん時思っちまったんですよ、別にこのままでもいいんじゃねぇかって。」

皐月「…犬牟田、纏が記憶を取り戻す可能性は?」

犬牟田「前回の身体検査によると、…第1回目に比べて1.3%下がり現在1.1%です。」

─皐月「この件については保留とする。だが、犬牟田及び情報戦略部員による纏流子の監視は学内のみとし、他の四天王による監視はなし。記憶を故意に揺さぶる行動は禁ずる。黄長瀬紬の監視は続行せよ!そして明後日までに剣道場を新設する。以上だ!」

──

蛇崩「…これで良かったの?皐月ちゃん。」

皐月「なにがだ?」

蛇崩「だって…もう転校生に皐月ちゃんがお姉ちゃんだってこと、思い出してもらえないかも知れないのよ。」

皐月「…構わん。元々あってないような繋がりだ。」

蛇崩「でも…っ!」

皐月「乃音、私は妹がもし生きていたら普通の幸せを手に入れて欲しいと思っていた。妹の幸せを私のエゴで壊す必要はない。…あんな記憶ない方が幸せだろう。」

蛇崩「…皐月ちゃん…」

皐月「駄目な姉は卒業しなければな。」

蛇崩「皐月ちゃんはダメな姉なんかじゃない!転校生には勿体無いくらいよ!いくら皐月ちゃんでも、皐月ちゃんをバカにしたら許さないんだからっ!」ペチッ

皐月「!…ふふ、それは困るな。乃音は怒ると怖いからな。」

蛇崩「そうよっ!毒だってもってるんだからね!」 シャーッ

──ファミレス メン・ド・コーテ──

猿投山「俺はアンタには同情しないぜ。」モグモグ

美木杉「わかってるさ。」

犬牟田「纏流子への気持ちはどうするんだい?」カタカタ

美木杉「覚悟した時から準備はしてたよ、…といっても厄介なことに中々捨てられるものじゃなくてね。」

猿投山「もし、纏がアンタ以外の男を好きになったら…」

美木杉「きっと流子君は僕以外を好きになる、…なんたってオジさんだからねぇ。…それに、その方が昔を思い出すようなことはないと思うから。その方が良いんだ。」

犬牟田「その方が良い、…ねぇ…」

美木杉「それじゃあ僕はお先に失礼するよ。」スッ

蟇郡「ああ、気を付けてな。」


犬牟田「あれ、風紀部委員長いたんだ?」

蟇郡「最初からな。」

犬牟田「まあ、リア充の立場からは何も言えないよねぇ。」ニヤニヤ

蟇郡「リア充などでは…!」

猿投山「違うのか?」

蟇郡「ムッ、…そ、それは…─

──愛九郎宅前──

黄長瀬「随分と遅かったな、美木杉。」

美木杉「紬…!僕の家には連絡してから来るように言ってあったはずだけど?」

黄長瀬「二つ、いいことを教えてやろう。一つ、纏流子は満艦飾マコの家に泊まっている。二つ、あの日のことを話してやりに来た。」

美木杉「あの日のことだって?」

黄長瀬「ああ、俺と纏流子が出掛けた夜のことだ。」

美木杉「!!」

黄長瀬「俺は歓迎パーティーの翌日、纏流子に纏博士の研究所まで連れて行ってくれと頼まれた。─

──某日土曜深夜──

黄長瀬「美木杉は?上手くいったか?」

流子「あ、ああ…」

黄長瀬「…なぜその服を着て来た?」

流子「父さんのところへ行くんだ、父さんが作ってくれた鮮血を着て行きたい。」

黄長瀬「声は聞こえるのか。」

流子「いや。」

黄長瀬「そうか。…行くぞ、乗れ。」ブゥン

黄長瀬「振り落とされねーようにしっかり捕まってろよ。」

ブゥウウウウウウウン

流子「…なぁ、アンタなんで協力してくれるんだ?」

黄長瀬「お前こそどうして俺に声をかけた?」

流子「歓迎パーティーでアンタ言ってたろ、私は鮮血を着るべきじゃないって。」

黄長瀬「ああ。」

流子「だからだよ。」

黄長瀬「あ?」

流子「アンタ、鮮血について何を知ってるんだ?」

黄長瀬「俺がそいつについて知ってるのは危険だということだ。」

流子「どうして鮮血が危険なんだよ?」

黄長瀬「…お前は今まで喋る服に出会ったことがあるのか?」

流子「ねぇよ。」

黄長瀬「そういうことだ。」

流子「どういうことだよ!」

黄長瀬「…今のお前には危険過ぎる。」ボソ

流子「あ?なんか言ったか?」

黄長瀬「飛ばすぞ、」ブォンッ

流子「うぉっ!」ヒシッ

──纏一身研究所跡地──

流子「……あの時以来だな。」

黄長瀬「あの時?」

流子「父さんが死んだ日だ。」

黄長瀬「……」

流子 スタスタスタ

流子「父さん、…父さんを殺したやつは鬼龍院が捕まえてくれたんだってさ。…本当は私がとっちめてやりたかったけど、…ごめんな。」壁ナデナデ

チッ

流子「って!…、…なんでこんなとこに針が…」

黄長瀬「おい、どうした?」

流子「いや、ちょっと指……!?」キョロキョロ

黄長瀬「纏?」

流子「…今なんか聞こえたか?」

黄長瀬「いや。…何か聞こえたのか?」

流子「……気のせいか。」

──愛九郎宅──

黄長瀬「時間も時間だったからな、研究所にいたのは10分くらいか…。それからお前の家まで送り届けた。」

美木杉「流子君はそこで何かを聞いたのか…?」

黄長瀬「さぁな。」

美木杉(指を怪我して血が鮮血に付着していたとしたら…鮮血の声で納得できるが…)

黄長瀬「俺の話はそれだけだ。…鬼龍院にも伝えておけ、もう監視されるのはウンザリだからな。」

── ─ ─

黄長瀬「おい、どうした?」

流子「いや、ちょっと指…

──『魂のキョウダイなんだよ♪』

流子「!?」キョロキョロ

黄長瀬「纏?」

流子「…今なんか─

─ ─ ───

──某日 愛九郎宅──

流子「なぁなぁオジさん。」

美木杉「どうしたの?流子君。」

流子「修学旅行って何持っていきゃいいんだ!?」

美木杉「えっとね…─

──翌日 本能字学園校庭──

ピカァァアアアアアアアアアア

皐月「皆集まったようだな、…おはよう諸君!!只今より三都巡回修学旅行に向かう!!各々十二分に羽を伸ばして心ゆくまで楽しむように!!」


マコ「ひゃー!修学旅行だねっ!楽しいね!おいしいね!」ダラダラ

流子「マコ、まだ着いてすらねーから。」フキフキ

流子「…つっても…、…どうして3年と同じ班なんだよ!?」

蛇崩「あら、不満かしら?」

猿投山「剣道部繋がりだ!」

犬牟田「それはちょっとキツくないか猿投山。」カタカタ

蟇郡「目を離しておくとどこへ行くかわからんからな。」

マコ「?」

皐月「公正なダーツの結果だ。」

流子「ダーツで決めたのかよ!?」

──大阪──

皐月「ここではガイドがつく。」

宝田「いやぁ、皐月はんも人が悪いなぁ。宝田財閥の御曹子にガイド役をさせるとは…」

皐月「ガイド役で呼んで貰えただけでも有難く思え。」

宝田「ヒャッヒャッヒャ、相変わらず気持ちええほど上から目線やなぁ。そういうとこ嫌いやないでぇ。」

皐月「私は貴様に対しては何も思っていないがな。」

流子「…皐月の知り合いか?」

蛇崩「ええ、昔からのね。」

マコ「はいはいはいはいはーいっ!ガイドさん大阪名物食べたいです!!」ピョンピョン

宝田「ほいきた!任せときや!なにわの歩き方教えたる!」

マコ「たこ焼きだーっ!!!!おいひ」はふはふもぐもぐ

蟇郡「おい満艦飾!慌てて食べるな!火傷するだろう!」

蛇崩「ちょっとアンタたちもう少し静かに食べらんないの?ってあ!犬君なにとってんのよ!」

犬牟田「一つくらい良いだろ、宝田財閥の奢りなんだから。」モグモグ

猿投山「纏、俺のチョコ焼きと一つ交換しようぜ。」ヒョイッ

流子「お前チョコ焼きにしたのかよ!まあ、いいけど。」モグ

猿投山「辛ぇっ!」

流子「あ、言い忘れたけど私のは激辛たこ焼きだから。」

猿投山「はひひふへほ!」フーフー

宝田「皐月はん、あーん。」スッ

皐月「乃音、私にも一つくれ。」フイ

蛇崩「はい、皐月ちゃん。あーん♪」

──大阪 タカラ・ドゥ・ホテル──

マコ「おいしかったぁー!お夕飯はなにかなー♪」

流子「もう腹いっぱいだぜ、…タコ焼きに串カツにお好み焼き、イカ焼き、豚まん、うどん…」

蛇崩「…劣等生の胃袋を尊敬するわ…」

皐月「ここからは男女別行動だ、夕食は部屋に運ばれる。就寝は午後10時だ。それまでに風呂を済ませておくように。」

「「「「ハッ」」」」

流子「へーい。」

マコ「はーいっ!」

すみません
宝田→正しくは 宝多 でした。

──大 浴 場──

カポーン

マコ「流子ちゃん洗いっこしよーっ!」ガバッ

流子「うぉっ!おう、背中洗ってやるよ。」ゴシゴシ

マコ「わぁーいっ!」

蛇崩「…皐月ちゃん、」チラッ

皐月「私はもう済ませたぞ。」サァーッ

蛇崩「そっそうよね!洗いっこなんてガキの…」

皐月「乃音、背中を向けろ。」

蛇崩「えっ」

皐月「きれいにしてやる。」スッ

蛇崩「皐月ちゃんっ!」キュン

マコ「よしっ、次はマコの番だね~!」ゴシゴシ

流子「はあー…サンキュ、マコ。」ほわほわ


流子(…そういや美木杉はなにしてんだろ、…引率はするって言ってたはずなんだけどな…)

流子(明日はどっかで会えんのかな…まぁ、先公だし仕方ねぇか…私らの班は生徒会がいるから引率いらずだし。)

マコ「流子ちゃん?」

蛇崩「ん?どうしたの、劣等生。」パシャ

流子(…今日のたこ焼きうまかったな、…美木杉もちゃんと食ったかな…)

ブクブクブクブク…

マコ「流子ちゃん!!???」

蛇崩「転校生!?」

皐月「流子!」ザバァッガシッ

マコ「うえぇ!たいへんだよー!大ピンチだよ!起きてっ!流子ちゃん起ーきーてー!!!!」

──大 浴 場 男湯──

ザッパァーン

犬牟田「想像はしていたけど蟇郡が入るとこんなにお湯が溢れるのか。」ペッショリ

蟇郡「ム、すまん。」

猿投山「やはりデカい風呂はいいなぁ!心が洗われるぜ!」ドカッ

犬牟田「大丈夫か?伊織。」

伊織「ああ、先程のあれで流されかけたが平気だよ。」ホカホカ

蟇郡「まさかこうやって皆で風呂に入る日が来ようとはな。」

猿投山「皐月様が修学旅行に行くと言った時はどうなるかと思ったが、ホントの修学旅行だったとは…」

犬牟田「フツーの高校生活ってやつだね。」

猿投山「!!そういうことだったのか!!」

犬牟田「え?今頃気付いたの?皐月様ああ見えてシスコンだからねぇ。」

蟇郡「シスコン?」

犬牟田「うん、面倒だけど風呂上がったら説明してあげるよ。」

犬牟田「その代わり満艦飾とどこまで進んでるのか教えて欲しいな。」

蟇郡「どこまで?なぜそこで満艦飾が出てくる。」

犬牟田「どうしてって、付き合ってるんだろ?君ら。」

蟇郡「なっ!!」

猿投山「ヒュー」

伊織「そうだったのか。」

蟇郡「つつつつつつ付き合ってなどおらん!!」

犬牟田「マジで?満艦飾がカバーズに飲み込まれた時あんなに必死になって助け出したくせに?」

蟇郡「そのような不純な動機で満艦飾を助けたのではない!アイツの弟と約束したからだ。」フン

犬牟田「ふーん、…まあ時間の問題か。」

蟇郡「……」

犬牟田「あれ、否定しないんだ?」ニヤニヤ

蟇郡「もう俺は上がる!!」ザッパァーン

犬牟田(ホントからかうと面白いなコイツ。)

猿投山(…恋人かー…)

――杉の間――

美木杉「あー…これは、のぼせてるね。」

マコ「うわぁーん!流子ちゃんしんじゃやだよー!流子ちゃぁああん!!」

蛇崩「ちょっと劣等生!静かにしなさいよ、悪化したらどうすんの。」

皐月「こういうときは水分をとったほうがいいのだったか。」ミネラルウォーターヒ1箱ドォンッ

流子「…ふは、…おおげさだな…ちょっとあたまがボーッとするだけだから、だいじょうぶだって。」

美木杉「今日はもう安静にして寝た方がいいよ、慣れない場所での疲れもあったのかもね。君たちの部屋は…えっと、」

皐月「最上階の宝多船の間だ。」


美木杉「じゃあ纏君を

流子「……まだ動くのキツいから、もう少しここで休んでから上がるわ。マコたちは先に行っててくれ。」

マコ「ううん!マコ流子ちゃんのそばにいる!心配だもん!」

蛇崩「……」

皐月「満艦飾、私たちは先に上がるぞ。」

マコ「えっ!」

皐月「こう大人数に囲まれていても休まらないだろうからな、纏には少し静かな時間が必要だ。」

マコ「…うう、わかりました。流子ちゃんっ!困ったことがあったらすぐに叫んでね!父ちゃん引っ張ってくるから!」

流子「オジさん呼んでくんのかよ!?…ありがとな。すぐ行くから。」

皐月「では、あとはお願いします。」

美木杉「ああ。」

流子「……」

美木杉「……」

流子(…思ってたより早くあえたな。)

美木杉「大丈夫かい?纏君。」

流子「…その纏君ってやついやだ。」

美木杉「…流子君、」

流子「オジさん、たこ焼き食ったか?」

美木杉「え?…あぁ、昼に食べたよ。」

流子「そっか。私も食べたぜ。」

美木杉「たこ焼きがどうかした?」

流子「ん、うまかったからさ。オジさんも食べてりゃいいなって、…思っただけ。」フニャ

美木杉「!…流子君は優しいね。」

流子「そりゃ、いつもオジさんに優しくされてるからな。」

美木杉「…そっか。」

流子「…なあ、」

美木杉「ん?」

流子「ちょっとの間だけ、手にぎっててもいい?」


美木杉「……いいよ、今日はそんなに疲れた?」ギュ

流子「…ちょっとはしゃぎ過ぎたかも。」ギュウ

美木杉「あはは、君が楽しんでるならよかったよ。」

流子「…うん。」ギュ

美木杉「……」

流子「……」ギュウ

流子「…みきすぎ、」

美木杉「え?」

流子「アンタが纏君って呼んだから、お返しだ。あいくろー。」ニヒッ

美木杉「っ…!、…」カァア

流子「へ?」


バァアアアアアアアアアアアアアン

猿投山「大丈夫か纏!!!!!!」

流子「うぉっ!?」パッ

美木杉「!」パッ

蟇郡「おい!猿投山!宿泊地で大きな声を出すな!!」

犬牟田「君の声も十分大きいけどね。」

流子「…っるっせぇなぁ、もう回復したから上がろうとしてたとこだよ。」ムクッ

美木杉「ああ、丁度良かった。君ィ、これ持って行ってもらえるかな。」ミネラルウォータースッ

猿投山「あ?おう、わかった。」

流子「んじゃ、どーも。せんせー。」ヒラ

美木杉「安静にねぇ。」ヒラヒラ

パタン、


流子・美木杉(…ビッ…クリした…。)カァア

──宝多船の間──

蛇崩「…で、なんてアンタらまで来てんのよ!?」

猿投山「まだ就寝時間まで時間もあるしな。」

犬牟田「俺たちは隣の道頓堀の間だし。」

蟇郡「う、うむ。」

マコ「今ちょうど恋バナしてたとこだったんですよ!」

猿投山「恋バナだとぉ!?」

流子「恋バナ!?」

蟇郡「なっ!は、は破廉恥である!」

犬牟田 ガタッ

皐月「…こういうのは人数が多い方が良いだろう。お前達も参加するといい。」

「「「ハッ」」」

犬牟田「ただ話すっていうのもなんだからね、ババ抜きで負けたヤツから話すってのはどうかな?(俺は絶対いいたくないし。)」トランプすっ

皐月「ほう、ババ抜きか。」

蟇郡「それがいいな。(勝つ!!)」

猿投山「ああ!」

蛇崩「いいんじゃない?(誰がいちばん面白いかしら…)」

マコ「ババ抜き?」

流子「ババ抜きってなんだ?」

犬牟田「君達まさかトランプやったこと…」

流子・マコ「トランプ?」

犬牟田「……。オーケー、解説しながらやるよ。」

─数分後

猿投山「うぐぐぐぐ…!」

流子「さっさと取れよ!もうこっちは腹決めてんだ!」

犬牟田「なんだかんだでこの二人か、…満艦飾が早めにあがったのには驚いたけど。」

マコ「よくわからないけどすぐにそろっちゃいました!」

蟇郡「うむ。」

犬牟田「うむ?」

蟇郡「……」

猿投山「こっちだァァア!!!!」バッ

流子「!!!」

猿投山「くぅうう!」

流子「よしっ!」

蛇崩「もうどっちでもいいから早く決めなさいよ。」グダ

皐月「なかなか面白いな、ババ抜きというものは。」

─10分後

猿投山「うぉおおおおおおお!!!」

流子「よっしゃあ!あがりィ!!」

マコ「流子ちゃんおめでとーっ!!」

犬牟田「やっと決まったか。」

蛇崩「んじゃ、猿君恋バナよろしく。」

猿投山「クッソー、…あー…恋バナってなに話しゃいいんだ?(勝って纏の恋バナを聞くつもりが…)」

蛇崩「もちろん、好きな人についてでしょ。」

皐月「まず好きなものがいるかどうがだが…」

猿投山「好きなやつ…」チラッ

流子「ほら、負けたんだからさっさと言いやがれ。」グイグイ

猿投山「すすすす好きなヤツなんかいねぇっつーの!!」ボボッ

蛇崩・犬牟田・皐月(…いるな。)

キルラキルついに最襲回をおえてしまいましたね、…。
設定が色々あれですけどゆっくり書いていこうと思います!

皐月「…猿投山の好きな者について詳しくきかせてもらいたいところだが、そろそろ就寝時間だ。」

猿投山「さ、皐月様俺は好きなやつはい

蛇崩「男共はちゃっちゃと自分の部屋に戻んなさい。」

流子「また明日なー。」

マコ「おやすみなさーいっ!」バサッ

蟇郡「満艦飾ゥ!浴衣はちゃんと着ろ!」なおしなおし

マコ「ひぇっ!あっ、ありがとーございます!」

犬牟田「イチャイチャしてないで行くよ。」

蟇郡「いっ、イチャイチャなどしておらん!」

皐月「では消灯する。」

「「「はーい」」」

「「「「……」」」」

皐月「時に流子、」

流子「んぁ?」

皐月「お前好きな者はいるのか?」

流子「ぶふっ」

マコ「流子ちゃんいるの!?いるんだ!?」

流子「ばっ、マコ!」

蛇崩「教えなさいよ流子。」

流子「消灯後は大人しく寝るんじゃなかったのかよ!?」

蛇崩「だって気になるじゃない!ねぇ?」

マコ「だよー!」

皐月「うむ。」

流子「い、…いねぇよ…バカ!」カァアッ

蛇崩*皐月*マコ(いるな…。)

皐月「一体それは誰だ?」

流子「私の言葉聞いてたか!?」

蛇崩「まさか猿クンじゃないでしょーねぇ?」

流子「猿投山じゃねーよ!」即答

皐月*蛇崩「…。(哀れ猿投山(猿クン)。)」

マコ「じゃあ美木杉センセーだっ!」

流子「なッ!!」カァアッ

蛇崩「図星ー?」ニヤリ

流子「ちっ、ちが…」アワ

マコ「うひょー!当てちゃった~!?」

流子「だからちがっ…!」アワアワ

皐月「そうなのか?流子。」

流子「~っ!!…あー!もー!そうだよ!好きだ!でも別に恋人とかそういうのになりたいわけじゃねぇ…よ!」カァアップイッ

蛇崩・皐月・マコ「……」

流子「そもそもオジさんみたいな大人が私みてぇなガキの相手なんてしねーだろ。…かっこいいとこあるし…」ボソボソ

蛇崩「こういうことってあるのねぇ。」ポソ

皐月「…そうだな。」ポツ

マコ「流子ちゃん!それはもう真実の愛だよ!!」\ハーレルヤッ/

流子「えっ」

マコ「流子ちゃんは美木杉センセーが好き!美木杉センセーは流子ちゃんが好き!それが一番!そーしそーあい!手と手をつないでデートして!指輪交換マリッジブルーだよ!だから遠慮せずに、アタックしちゃえー!!!」タックル

流子「いてっ!?」ドサッ

蛇崩「相変わらずわけわかんないわね。」

皐月「そこが満艦飾の良さでもある。」

流子「やっ、いや、オジさんは別に私のことはただのほら…姪っ子っていうか娘…はいきすぎか?そういう意味で好きなだけだから…っ!」ババッ

マコ「恋はアタックあるのみだよ流子ちゃん!」ポン

蛇崩「頑張りなさいね、流子。」ポン

皐月「何か出来ることがあれば遠慮なく言ってくれ、流子。」ポン

流子「ちょっ、なに勝手に進めてんだお前ら!」

皐月「私たちに出来ることがあればしてやりたいからな…」

蛇崩・マコ(コクリ)

流子「…な、なんでも…?」チラッ

皐月・蛇崩・マコ「もちろん!」

流子「じゃあ、…──

──修学旅行2日目──

美木杉「ええと、…おはよう流子君。」

流子「…おはよう、オジさん。」ボソ

美木杉「じゃあ、…とりあえず通天閣でも上る?」

流子「!おうっ!」タッ


コソコソッ

皐月「…がんばれ流子。」

蛇崩「修学旅行中に見せつけちゃって~…」

マコ「流子ちゃんファイトだよーっ!!」

流子「すげー!眺めいいな!」

美木杉「そうだねぇ…」(あの時の惨状が嘘みたいだ…)

流子「なぁオジさん!これ!これ買ってもいいか?」チャリッ

美木杉「もうお土産買うのかい?良いと思うけど…」

流子「じゃあほら、オジさんも!お揃いにしよーぜ。家の鍵につけてさっ。」にひっ

美木杉「!!…お揃いかぁ…、うん。いいよ。」スッ

流子「やった!オジさんとお揃いのって初めてだよなっ。」

美木杉「…ああ、そういえばそうだね。」

流子「あっ!でもあっちのストラップも…──

──美木杉(今の流子君とは、初めて、か…。)

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年03月24日 (月) 21:17:37   ID: FtqIifFV

いいね、面白いよ

2 :  SS好きの774さん   2014年05月01日 (木) 21:15:48   ID: lAzAC0Fv

完結待ってる

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