P「ここが地獄ですか」貴音「……」 (22)

P「いやぁ参った参った。まさかライブの打ち合わせに寝過ごして車ぶっとばしてたら交通事故だもんなぁ」

P「………」

P「いやいやいやいや!マジ!?えっ?俺本当に死んだの?!」

P「ちょっと電柱に頭から突っ込んで車大破しただけだよ!?意識失う前に電柱が目の前に来たのは覚えてるけどさ」

P「………俺、死んだのか」

P「て、言うかさ…死んでからどれ位経ってるんだ?ここって向こうと時間の流れ一緒なのか…?」

P「ははは……困ったな」

P「皆今頃どうしてるんだろうなぁ」

貴音「あなた様」

P「お~貴音か、どうしたんだ?」

貴音「一大事です」

P「はっはっはっ。一大事ね………は?なんで貴音が居るんだ」

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貴音「今は私の話を聞いてくれませんか?」

P「いや、話ってさ……あっ、貴音も死んだのか?」

貴音「いえ、私はまだ死んではいません」

P「………だったらなんでここに居るんだ?ていうかさ貴音」

貴音「……?」

P「なんか、雰囲気変わったよな?最後見た時はそのぉ、なんて言うか」

貴音「時が経てば容姿も変わるのです……あなた様、私の話を

P「時が経てばって、やっぱり時間の流れは違うんだな。で?どれ位経ってるのかな」

貴音「………2年です」

P「に、2年…?ははは、死んだのはさっきな気がするんだが早いなおい」

貴音「…………色々と」

P「ん?」

貴音「色々と、変わりました…いえ、変わり果てて…」

P「………話を聞かせてくれないか」

貴音「先ずはあなた様に伝えなければならない事が有ります」

P「うん」

貴音「765プロの事ですが…」

P「2年だもんなぁ、やっぱり新しいプロデューサーとか居るんだろ?ははは、なんか嬉しい様な悲しいような」

貴音「……いえ」

P「あぁ、だったら律子が頑張ってるんだろうな!流石だな、俺も鼻が高いよ」

貴音「…………いえ」

P「じゃ、じゃあ何なんだよ」

貴音「765プロは1年前に倒産してしまったのです」

P「………」

貴音「皆は散り散りになり、何処に居るのか分からず仕舞い……だったのですが」

貴音「最近になり、萩原雪歩の居場所が分かりました」

P「そ、そうなのか……で、で?雪歩は今何処に」

貴音「あなた様のお墓の前に」

P「………は?」

貴音「まこと、信じがたい事なのですが…」

P「雪歩は思いやりが有るんだなぁ。2年ってまだ信じれないけど、要するに俺のお墓参りに来てくれてるんだろ?」

貴音「萩原雪歩はあなた様の遺骨を掘り起こそうとしているのです」

P「………」

貴音「死者を冒涜しようとする萩原雪歩を私は止めようとしたのですが…」

P「お、おい、まさか雪歩に殺されたんじゃ」

貴音「いえ、私は生きております」

P「じゃ、じゃあどうして地獄なんかに」

貴音「堕とされた。と言えば宜しいでしょうか」

P「お、堕とされた…?」

貴音「はい……堕とされたのです。奈落の底、ここに」

P「ど、どうやってだよ」

貴音「穴を…」

P「あ、穴?」

貴音「迂闊でした。まさかあの様な力を持っていたとは」

P「ち、力って……い、意味が分からないんだが」

貴音「そうでしたね。あなた様の前では私達は普通のアイドルでしたから」

P「……(この子、頭おかしくなってんじゃないよな?さっきから意味不明な事しか言ってないし)」

貴音「因みに、私の能力なのですが

P「分かった。これドッキリだろ?実は俺は死んでなくて気絶してる際にこんな変な場所に運んで

貴音「あなた様、現実を受け入れて下さい」

P「………」

貴音「幸い、私の能力は萩原雪歩と相性が良いのです」

P「は、ははは……もういいよ、受け入れるよ」

貴音「私の能力はあの世とこの世を繋げる能力。つまりここから向こうに帰る事が出来るのです」

P「………そ、そうですか」

貴音「ふふっ。ですが、せっかくなのであなた様の顔を一目見ようとずっと探して居ました」

P「あ、あのさ貴音?」

貴音「はい?」

P「そのずっと探してる間に向こうはまたアホみたいな時間が流れてるんじゃないのか?」

貴音「ご安心ください。私の能力でそれはクリア出来ますから」

P「あっ、そうですか…」

貴音「……それで、あなた様にお願いが有るのですが」

P「………」

貴音「私と一緒に、あなた様の遺骨を元の場所に戻すお手伝いをしてくれませんか?」

P「向こうに帰れるのか!?」

貴音「はい。私の能力を使えば」

P「か、帰りたい!手伝う!手伝わせてくれ!」

貴音「ですが、一つだけ問題点が有るのです」

P「問題点?」

貴音「あなた様は向こうに行けば、魂だけの存在になってしまうのです…」

P「えーっと、つまり幽霊な訳だな?」

貴音「はい。ですが、幽体として現世に居続ければあなた様に様々な災いが降りかかってきてしまうのです……」

P「………じゃ、じゃあどうすればいいんだ?」

貴音「私の部屋の物を一つ選んで下さい。それを受け皿にし、あなた様をその中に憑依させます」

P「な、なんか話がややこしくなってるな……まぁ、帰れるなら選ぶよ」

貴音「……では、行きましょうか。あなた様」

P「ん、あ、あぁ」

~Pの部屋~

貴音「……無事、帰る事が出来ましたね」

P「………」

貴音「あなた様?」

P「いや、ここ、何処だよ」

貴音「???私の部屋ですが」

P「このベッド、俺のだよな」

貴音「え、えぇ」

P「この部屋、俺が借りてるアパートの俺の部屋だよな」

貴音「そうですが……どうかしたのですか?」

P「2年、だっけ……ずっとここで暮らしてたのか」

貴音「そうですが…」

P「………鍵は」

貴音「あなた様が死んだ日に車から…」

P「お前、家は」

貴音「???ここですが」

P「………」

P「つまりだ」

P「俺は2年前に車で電柱に突っ込んで死にました」

貴音「はい……」

P「んで、1年前に765は倒産しました」

貴音「……そうです。私達の力及ばず765プロダクションは…」

P「それで、貴音は俺が死んだ次の日から俺の家に住んでいると」

貴音「あなた様の匂いが忘れられず…つい」

P「………まぁそれはいいよ」

貴音「ふふっ、ありがとうございます」

P「皆の現在は分からず、唯一分かる雪歩が俺の遺骨を持ち逃げ、しかも変な力持ちと」

貴音「一戦交えて分かった事は二つあります」

P「?言ってみろよ」

貴音「一つ目、萩原雪歩は空間を引き裂く能力を持っています」

P「………(これは絶対夢だな)」

貴音「そして二つ目……」

貴音「私では萩原雪歩を倒せません」

P「……(倒せませんって…お前等アイドルの言う事じゃねーだろ)」

P「雪歩を倒すって…」

貴音「あなた様の遺骨、願わくばこの部屋に飾りたい位の代物…」

P「死者冒涜云々はどうしたんだよ」

貴音「………能力の相性は良いのですが、私と萩原雪歩には埋められない差が有るのです」

貴音「戦闘経験の差が」

P「貴音、お前本当にアイドルだったんだよな?」

貴音「それに、あの剃故増……あれのせいで下手に近づく事が不可能なのです」

P「ん?す、スコップ?」

貴音「剃り落とし、故人を増やすと書いて剃故増」

P「頭痛くなってきた」

貴音「幾ら私の能力で現世に戻ってこようと、再び地獄へ落とされてしまいます…」

P「……だから俺を呼んだんだな?雪歩を倒す為に」

貴音「いえ」

P「は?さっき遺骨を取り返す手伝いとか言ってたよな?」

貴音「私はウサギ、あなた様はご存知ですか?ウサギは自らの寂しさに耐えきれず果ててしまうと」

P「………」

P「ま、まぁ貴音の戯言は置いといてだな」

貴音「なんと」

P「どんな物に憑依すればいいんだ?」

貴音「そうですね……」ガサガサ

貴音「これなどどうでしょうか」

P「………なんだそれは」

貴音「8分の1すけいる、あなた様人形です」

P「いやいやいや……なんでそんな物持ってるんだ」

貴音「月日が経てば人も変わる……あなた様」

P「……貴音」

貴音「はい、なんでしょう」

P「そのあなた様って言い方やめような」

貴音「なんと面妖な…」

P「いや、アイドル時代から思ってたんだけど、二人きりの時に限ってあなた様って呼んでたよな?」

貴音「ふふっ」

P「俺達はそういう関係じゃないからな?」

貴音「………」

貴音「い、いまなんと…」

P「俺達はあくまでアイドルとプロデューサー、それ以上でも以下でもないの」

貴音「あ、あなた様…」

P「俺と音無さんなら分かるよ?けどな貴音、俺はお前をそういう目で見たことは一回も無いからな」

貴音「………」

P「泣いたって無駄だ」

貴音「あなた様……」

P「まぁ、こっちに連れてきてくれた事は嬉しいよ。けどそんな関係には成らないからな」

貴音「ふふっ」

P「?なに笑ってんだ?」

貴音「いえ、久しぶりにあなた様から罵声を浴び、高翌揚しているのです」

P「………気持ち悪い」

貴音「あぁあ!この胸が張り裂けそうになる衝撃、まこと面妖な気分になります」

P「とりあえず、その人形に憑依するよ」スウゥ

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