番長「ストライクウィッチーズ?」(1000)

注意

・P4AとストパンのクロスSS(P4G本編もプレイ、ストパンはアニメ、マンガのみ)
・一応ストパン一期が舞台だけどちょいちょい改変
・P4終了後、稲羽から帰るときにストパン世界へ
・鳴上無双にはならないよう気を付ける。
>>2から本格開始


リムジンの中にギョロリとした眼を持つ老人、イゴールと妙齢の美女がマーガレットが座っている。

イゴール「ほほぅ、また貴方と会えるとは思っておりませんでしたぞ。ようこそベルベットルームへ。」

マーガレット「やはり貴方は数奇な出来事に翻弄される運命にあるようです。」

イゴール「なんのことか今は分かりますまい。どれ、一つ占ってみましょう。久しぶりのことですな。」

イゴール「塔の正位置。どうやら思ってもいない事態が起こるようですな。」

イゴール「そして戦車の正位置。そのトラブルにも挫けず戦いを続けてこそ、始めて解決の糸口が見つかるやもしれません。」

マーガレット 「間もなく発進いたします。お力添えはここまでのようです。」

イゴール 「では、貴方のご健闘と、再び運命に打ち勝てることを……」

クルマのエンジン音は鳴りを潜め、意識が遠退いていく。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1343404462

【1944年/ブリタニア】

>日差しと潮の香りが心地いい。ここは海岸のようだ。

鳴上「……ここは、何処だ。」

>つい先程、かけがえのない友人たちと別れ電車に乗ったばかりだ。しかし、見知った光景は何も見えない

鳴上「そうだ、携帯は……圏外。」

鳴上「もしかしたら」

>イゴールの警告が頭をよぎる

「どうやら思ってもいない事態が起こるようですな。」

「トラブルにも挫けず戦いを続けてこそ、始めて解決の糸口が見つかるやもしれませんな。」

>これが“思ってもいない事態”だとしたら……

>もう少しこの周辺を調べて見ることにしよう。海岸から少し動いて見晴らしの良い場所に出た

鳴上「向こう岸は廃墟もいいところだ。一体どうなって……!」

???「うじゅじゅ……アタシのお昼寝を邪魔するのは……だーれーだー!」

鳴上「!?」

>突然背後から小さな何かが飛び出した。避けられない!

ドスッ

>飛び掛かられた勢いで芝生にうつ伏せに倒された。

???「うじゅぁー!」

鳴上 「ご、ごめん。人がいるって気付かなくて」

??? 「せっかく人がいい気持ちで寝てたのに……んで、アンタ誰?」

>どうやら飛び出したものは小柄な少女らしい。不思議そうにこちらを見てくる。

鳴上 「鳴上悠だ。君の名前は?」

???「アタシ? ルッキーニ。フランチェスカ・ルッキーニ。んー、ゆーは扶桑の人?」

鳴上「扶桑? 日本人だけど。」

ルッキーニ 「日本? そんな国、聞いたこともないけど……」

鳴上 「日本が……無い?」

ルッキーニ 「だーかーらー、無いったら無いの!」

>ルッキーニが背中に乗ったまま乗馬ごっこよろしく動く

鳴上 「詳しく教えてほしいから、一回離れてくれないか。」

ルッキーニ 「いよっと。日本は置いといて、こんなところで何してるの?ここ、一応軍の土地だよ。」

>ルッキーニと名乗る少女は素直に解放してくれた。……なぜ下半身は下着なのだろう。

>そっとしておいた。

鳴上「そういうルッキーニこそ。」

ルッキーニ「アタシ、軍人だもん。にひひ、少尉なんだよ?」

鳴上 「少尉って、君みたいな子供が?」

ルッキーニ 「子供じゃないもん。そりゃシャーリーみたいにバインバインじゃないけどさ。ウィッチだもん」

鳴上「ウィッチ?」

ルッキーニ 「おじちゃん、そんなことも知らないの?ほら、あれ。」

鳴上「誰がおじちゃん……人が空を飛んでいる?」

ルッキーニ 「飛んでるのはまだ新人の二人だけどねー。アタシなら、もっとビューン! って飛べるよ」

> 眼を凝らし空を飛ぶ人間を見た……やはり少女だ。

鳴上 「そういや、ここって何処なんだ?」

ルッキーニ 「えぇー! そんなことまで!? ブリタニアだよ、 ブ リ タ ニ ア~」

> ブリタニア……昔のイギリスの呼び名だったか。どうやら、本当にとんどもないことになったようだ。

ルッキーニ 「おじちゃん……本当に何者? なーんか変なんだよね。こんなとこにいるのにウィッチを知らないし?」

鳴上 「誰がおじちゃんだ。実は……」

> ルッキーニという少女ダメもとで話してみた。気がついたら自分の国から遠く離れた海ここの岸に倒れていたことを。

ルッキーニ 「うじゅじゅ、きおくそーしつ? 」

鳴上 「そうかもしれない。ここに来る前後の記憶が曖昧なんだ。」

ルッキーニ 「ふーん。じゃあさ、アタシがこのへん案内したげよっか。なんか分かるかもよ?」

鳴上 「昼寝の途中じゃなかったのか?」

ルッキーニ 「どこかの誰かさんに起こされちゃったしねー。そ、れ、に……何か面白そうじゃん! マンマのお話みたい!」

鳴上 「ありがとう、助かるよ。ルッキーニ……少尉」

ルッキーニ 「うがー、何かむじゅむするー。少尉ってのはいらなーい。それじゃ、悠おじちゃん着いてきて」

鳴上 「……分かった。」

> “寛容さ”が上がった

ーーー

ルッキーニ「んでねー、ここがハンガー。ストライカーとか銃が置いてあるとこ。」

鳴上 「部外者にそんなことまで話していいのか?」

ルッキーニ 「へーきへーき。悠おじちゃん悪い人じゃなさそうだし、ストライカーは男には乗れないしね。」

> ストライカー……どこかで見たような気もするフォルムだ。

ストライカーの整備をする女性 「おーい、ルッキーニー! 何してるんだ~。」

ルッキーニ 「あ、シャーリー!あのね、 記憶喪失の人の案内してるの!」

鳴上 「記憶喪失ってわけじゃ……」

シャーリーと呼ばれた女性 「記憶喪失……? 詳しく教えてくれ!」

ルッキーニ 「んっと、知らない間に海岸で倒れてたらしいの! 日本ってとこの生まれだって。」

シャーリーと呼ばれた女性 「はっはっは、そりゃ凄い。少佐たちにばれないようにな。アタシはシャーロット・E・イェーガーだ。こっちは相棒のP-51D。」

鳴上 「P-51? 昔の戦闘機じゃないのか。」

シャーリー 「何を言うか。最新鋭のレシプロストライカーユニットだぞ。」

> どうもおかしい。P-51世界大戦の時代だ

鳴上 「今は西暦何年だ?」

シャーリー 「お、ホントに記憶喪失っぽい質問だな。今は1944年だよ。」

番長WWⅡの機体なんて知ってたのか

>>5 知識が生き字引並みなら、零戦からちょっと踏み込んでP-51くらいいけるかなと思ったり。あと読み返すと誤植酷すぎるね。

鳴上 「本当か、雪子……じゃなくて、シャーロットさん。」

シャーリー 「雪子って誰さ……まぁいいや。シャーリーでいいよ。で、悠おじちゃんの知ってるのは何年なのかなー?」

> シャーリーはからかうような視線をこちらに向けてくる。

鳴上 「2011年だ。だから驚いた。」

シャーリー 「頭がやられてるわけじゃ……ないよな? 歳、いくつ?」

鳴上 「大丈夫だと思う。17だ。」

シャーリー 「何で若いのにそんなに落ち着いているんだ! こんなのSFか夢でも早々ないぞ。」

鳴上 「夢じゃないと思う。さっきルッキーニに飛び掛かられた時、痛かったから。あと、若いのにってのはお互い様だ。」

シャーリー 「そうじゃなくてだなぁ……趣味に関しては放っといてくれよ。」

ルッキーニ 「ねーぇー、悠おじちゃんは未来から来たってこと?」

鳴上 「……多分。」

ルッキーニ 「だったらさ! 1944年から先ってどうなるか知ってるの!?」

シャーリー 「お、それなら私も気になるな。私が音速の壁を越えたのかどうか!」

鳴上 「それが、こことは随分違う。世界中で戦争が起きていた。」

シャーリー 「変わらないじゃないか。私たちもしてるぞ?」

> シャーリーはストライカーの近くに格納された機関銃を見せた

鳴上 「少なくとも、ストライカーなんてのもなかったし戦争は女の子のものでもない。」

シャーリー 「ネウロイと戦いながら戦争するよゆうがあるのか。」

鳴上 「ネウロイ?……聞いたこともない。」

シャーリー 「とすると……悠の知らない世界というわけか。」

> 「少なくとも下着で女の子が飛ぶことはなかった。」

> だが今の勇気をもってしてもそれを言うのは難しい……

鳴上 「そういうことになる。」

シャーリー 「そうか……でも、未来を知っても面白くないしな。これはこれで良かったかも。」

ルッキーニ 「うじゅじゅじゅじゅ……」

シャーリー 「どうしたルッキーニ。いつもに増してうじゅうじゅ言ってるぞ。」

ルッキーニ 「シャーリー、悠おじちゃん。後ろ、後ろ!」

鳴上・シャーリー 「……後ろ?」

>振り向くとそこには竹刀を持つ眼帯の女性が。かなり怒った様子だ。

ペリーヌがメギドラオン使ってきそうで怖い

>>8 ベスさんのことか。声ネタはキリがないのでときたま挟むくらいで。

眼帯の女性 「イェーガー大尉。何をしている。」

シャーリー 「そりゃ、整備ですよ。」

眼帯の女性 「そうじゃない、この男のことだ。民間人をホイホイ連れてどうする気だ。」

シャーリー 「えぇ!アタシですか?連れて来たのはルッキーニですよ!」

眼帯の女性 「監督責任だ!」

シャーリー 「ちょ、ちょっと待ってくださいって少佐。いくらなんでも理不」

ルッキーニ 「にゃはは、おっこらーれ……うにゃ!」

> 眼帯の女性がルッキーニを睨む。二人とも固まっている。

鳴上 「あの、話を……」

眼帯の女性 「そうか、問題のお前話す方が手っ取り早いな。私は坂本美緒。ここ、501統合戦闘航空団の戦闘指揮官だ。」

鳴上 「押忍。鳴上悠です。」

坂本 「ほほう、見かけによらず体育会系か? それと、その名前だとお前も扶桑か。」

鳴上 「……扶桑というと、極東にある島国ですよね。」

坂本 「おかしな事を聞く。それ以外に何があるというんだ。そして鳴上。どうしてここに。」

鳴上 「俺も聞きたいくらいです。気が付いたら海岸に倒れていて。」

坂本 「流れ着いたにしては身なりが綺麗だがな。スパイ……にしては肝が座っている。うーん……」

> 坂本と名乗った女性は首を捻っている。近くでは二人がひそひそ話している。

ルッキーニ 「うーん、素直に記憶喪失って言えばいいんじゃないの?」

シャーリー 「それで上手くいかないのが軍隊なんだよな。」

ルッキーニ「うじゅー、めんどくさいなぁ。」

シャーリー 「そう言うなっての。ここ501はまだ優しいほうなんだからさ。」

鳴上 「まるで家族みたいだな。親子か」

シャーリー 「勘弁してくれよ、アタシだってまだ16だ。早いのは好きだけど母親って年じゃ……」

鳴上 「ま、まぁ……そうだな。」

坂本 「何をぶつぶつ喋ってる。まったく……取り敢えず鳴上、着いてきてくれ。ミーナ、ここの指揮官とも話そう。」

鳴上 「分かりました。」

時系列としては三話と四話の間だったり。あんま強く意識してないけど。

(サイレン音)

坂本 「敵襲? ネウロイか。 今日のロッテは……シャーリーとルッキーニか。丁度いい。先行して出撃だ!」

シャーリー 「了解!」

ルッキーニ 「アイアイサー。」

> ストライカーに乗ると同時に二人から耳と尻尾が生えた。ウサギと……猫科の何かだろうか。

坂本「詳しい指示は海上でミーナから聞け! 私じきに出る。すまない鳴上、お前はここで待機だ。案内をしている余裕は無い。」

> 走り去る坂本を見てシャーリーがストライカーを履いたまま来て耳に何かを押し込んだ。

シャーリー 「空の様子はこいつで分かる何かヤバかったら伝えてくれ。」

ルッキーニ 「おっ先にー!」 ブロロ……

シャーリー 「じゃあな! っておーい。待ってくれー!」 ブロロ……

> 行ってしまった……耳に押し込まれたものはインカムらしい。プロペラのような音が聞こえてくる。

シャーリー 『あー、もしもし。ナルカミー、聞こえる?』

鳴上 「あぁ、問題ない。何か手伝えることはあるか?」

シャーリー 『ははっ、そうだな。無事に帰ることを祈ってくれたら嬉しいかなーなんて。』

鳴上 「……今、ちょっとキュンてした。」

シャーリー 『お、おい!』

ルッキーニ 『あーん、シャーリーはアタシのー!』

鳴上 「冗談だ。気がほぐれるかと思って。どうだ?」

シャーリー 『さらっととんでもない事を言うな、お前。あぁ、面白かっ……おっと!』 タタタタッ

> 会話が途切れ銃声や風を切る音が聞こえる。戦闘が始まったようだ。

>今は待つしかない。

【ブリタニア/ 海上】

坂本 『聞こえるか? 敵は中型が一機だけのようだ。』

シャーリー「見えてる! だいぶ陸地に近いが……陽動とかじゃなさそうだ。」

坂本 『あぁ、他に報告は無い。すぐに私も出る。気を抜くな』

ルッキーニ 「にししー、来る前にやっつけちゃお?」

シャーリー 「そうだな。一つ土産にアタシらの武勇伝を聞かせるか。」

ルッキーニ 「悠おじちゃんにね!」 ガガガガ!ッ

シャーリー 「くそ、なんて硬い装甲だ。ルッキーニ! いつもの合体で」

ルッキーニ 「こんにゃろ! わにゃにゃ! 弾幕が多すぎて合流できないのー!」

シャーリー 「くっそー……こいつは銃身交換出来ないってのに。少佐……聞こえるか!」

ルッキーニ 「だめ、さっきから通じないの!。ぼーがいされてるみたい。」

シャーリー 「私としたことが、たかだか一機に苦戦するなんてね。」 タタタタッ ガチッ

ルッキーニ 「シャーリー!」

シャーリー 「ジャムったか! ガバメントじゃマトモに戦えないぞ……ちとヤバイな。」カチャ

ルッキーニ 「もうちょいで坂本少佐も来るから! 諦めちゃダメ!」ガガガガッ

シャーリー 「分かってるっての!」

【格納庫】

鳴上 「……シャーリーさん。聞こえるか? ルッキーニ、どうだ?」

> 無線からはノイズだけが響く……

鳴上 「様子だけでも分かる手段があれば……そうだ、ストライカーなら」

> ルッキーニの言葉を思い出す

ルッキーニ 「ストライカーは男には乗れないしね。」

鳴上 「クソッ……?」

> 何かに呼ばれた気がする。懐かしい声だ。

ーー我は汝

> 導かれるように足が動く……声は格納庫の隅からだ

ーーー汝は我

> 誘われるままに覆われたカバーを外す。

鳴上 「ストライカー……でも、乗れないんじゃ」

ーーーー汝、己が双眸を見開き

> 思いきってストライカーに足を差し込む……!

坂本 「おい、お前、なにをやって」

ーーーーー今こそ発せよ!

鳴上 「ペル……ソ……ナ!」 キュイン…ブイイイ……

坂本 「バカな! 男のウィッチだと? おい、止まれ! 無謀だ!」

鳴上 「すいません! どうしても行かなきゃならないんだ。」 ブロロロロ……

> 無我夢中で使えそうな武器をかき集めた。早く行かなければ……

鳴上が下半身トランクスで上半身学ランか

これ番長ペルソナ使えたら最強じゃね?

パンツじゃないから恥ずかしくないもん!
って事で褌装備にしよう

>>12 凄いハイカラ……でも、ちゃんと履いてますのでご安心を。そんなアングルいらない。
>>13 ペルソナ言わせちゃったけど、チェンジとか召喚はしないつもり。描写とか辻褄合わせが苦手なもので。

番長のストライカーは足先が高下駄みたいになってます。イザナギの下みたいな。

【海上】

ルッキーニ「どーこーだー、コアー! 」ガガガガ……ゴォッ

シャーリー 「よし! さすがルッキーニ、止めだ!」

ルッキーニ「こんのー! うにゃっ! また攻撃が激しくなってきた!」

シャーリー 「ってもこっちのガバメントじゃ……もうちょい近付ければ……うわっ!」

ルッキーニ 「あぁっ!シャーリーがやられちゃう! 邪魔すんなコイツ!」



> ネウロイの攻撃で体勢を崩したシャーリーが見える。機動もままならないがやるしかない。

鳴上 「くっ、間に合えっ」

> 無理矢理な加速に気が遠くなる。内蔵が押し潰されそうな感覚だった。

鳴上 「おおおおおっ!」

> 思いきってシャーリーを突き飛ばす。前に居た空間をレーザーが焼く

シャーリー 「あいたー! いきなり何を……って、ええええ!? 何で? 何でぇ?」

鳴上 「この……眼鏡か? ハイカラだろ?」 スチャ

シャーリー 「そうじゃない! 男にストライカーは乗れないんじゃなかったのかって話だよ!」

鳴上 「根性だ」

シャーリー 「いや、意味が分かんな……ってこんな話してる場合じゃない! 頼む、そのトミーガンを貸してくれ!」

鳴上 「トミーガン? この銃か。」

シャーリー 「あぁ、それだよ早く。予備の弾はどうした?」

鳴上 「さぁ………よく分からない。」

シャーリー 「お前……無茶苦茶だナルカミぃ!」

鳴上 「ご、ごめん。手伝うよ。囮くらいやれる。」

> シャーリーに丸いマガジンの銃を手渡した」

ルッキーニ 「ええー!? 何で悠おじちゃんが飛んでるの?」

鳴上 「根性で」

シャーリー 「あぁ、もういいから! 出来れば離れてて欲しいくらいだ。その扶桑刀を使おうなんて思うなよ。んじゃ、仕切り直しだ。ブレイク!」

ルッキーニ ・鳴上「了解!」

なかなかにカオスでワロタwww

>>14、15 これ見てて坂本少佐の元ネタの方が褌で戦闘機に乗って出撃した話を思い出したわ。番長もやりそうだけど。

シャーリー 「ちっ、またコアが隠れたか。」 パタタタタタ

鳴上 「コア? 弱点みたいなものか。」

シャーリー「せーかい。名前通り核ってことさ。アイツは丁度、ど真ん中だ。装甲も硬いから大口径かデカイ刀でもなけりゃ……」

ルッキーニ 「シャーリー! シャーリーの後ろにネウロイが回ってきたよ!」

鳴上 「俺が引き付ける。シャーリーのが上手く戦えるんだから。」ブロロロ

シャーリー 「当たり前だバカ! だからって無関係の人間を巻き込めるかっての!」

鳴上 「関係ならある。自分でも信じられない荒唐無稽なことを、バカにせず聞いてくれたからな。」

シャーリー 「……あー、どうしてこう宮藤といい少佐といいナルカミといい、扶桑人ってのは一度言ったらきかねーのな。」

ルッキーニ 「レーザーが来るよ! 」

鳴上 「こっちだ、ネウロイ!」

> シャーリーがシールドで防いだのを見計らい一気に飛び出し、すれ違いざまに切りつける

カキンッ

鳴上 「本当に硬い。やっぱりスピードが」

シャーリー 「後ろにつかれたぞナルカミ。レーザーに当たるんじゃないぞ!」

鳴上 「そのための囮だ。しっかり食いついてこい。」 ブロロロ……

ルッキーニ 「囮になったはいいけど、速くて狙いがつけれないよぉー」

シャーリー「ダメだ。スピードを落としたら格好の的だ!」

> ネウロイは食いついて離れない。少し緩めたらあっという間に撃墜されるだろう。

シャーリー「あんなトーシロじゃ、下手な機動をすれば墜落は免れない……何とかコアを露出させてくれ!」

ルッキーニ 「そんなこと言われても……うがー!」 ガガガガッ

鳴上 「何とかして動きをとめないと……攪乱くらいなら!」ブロロ……ブロ……

> 思いきって一気に速度を落とす。両手でバランスをとりほぼ滑空のように空を滑る

シャーリー 「なにやってるんだ! アイツ、失速しちまうぞ!?」


坂本 「あの男まさか……急がないとな!」 ブロロロロ……

>>17 こう、一作目の プレデターとか、B~C級映画の気持ちで見てくれると少し嬉しい。無茶苦茶なのは自覚してる。

鳴上 「ここだ!」

>スピードをギリギリまで落とし無理矢理急上昇をかける。

> 失速したことが分かる。洗濯機の中身よろしくもみくちゃにされ、左右に揺すられる。

ルッキーニ 「ホントに墜落しちゃうよ! 早く助けなきゃ……」

坂本 「待て! 鳴上の奴を信じろ。もしかしたらアイツとんでもないことをやらかすかもな。」

シャーリー 「まさかナルカミ!」

>上手くいったようだ。ネウロイはスピードを落とした、一瞬だが自分を見失ったのろうか。

鳴上 「今度はこっちの番だ! 」

>体勢をどうにか整え、失速から強引に回復する。今度は慎重にネウロイの上へ上昇。やや手間取ってしまった。ネウロイのレーザーがこちらに飛ぶ。

>数本が服や体を掠めたが無視してネウロイ懐へと降下の勢いで飛び込み刀を突き立てる。

鳴上「このぉぉぉぉっ!」

> ネウロイの装甲に突き立てたまま、勢いに任せて飛び、装甲に大きな切れ目をいれる。

坂本 「無茶苦茶すぎる……まぁいい。今だ! 持てる弾をありったけ叩き込めェ!」

シャーリー・ルッキーニ 「了解!」 パタタタタタッ ガガガガッ……カチカチ

パリン

>背後から陶器を割ったような音が聞こえる。どうやら撃墜したようだ。

シャーリー 「ふー……ヒヤヒヤさせるなー、無事だからよかったものの。」

ルッキーニ 「一歩まちがえたら海にドボーン! ってなってたかもね。」

鳴上 「ごめん。足を止めるなら、こっちがピタリと止まるといいかなって。」

坂本 「はっはっは! ぶっつけで“木の葉落とし”をかけるとは、胆が座っている。だが、お前のしたことの大きさを分かっているよな。部外者にもかかわらず基地への侵入、ストライカー銃器の無断使用。とんでもない話だ。」

鳴上 「あれ、技名が……えぇ、分かっています。」

シャーリー 「でも、少佐。ナルカミはあたしらを助けようと」

坂本 「分かっている。 魔力切れかけの三人相手に空で話すわけにもいかん。帰投するぞ。」

シャーリー 「了解。行くぞー、逃げたりするんじゃないぞ。」

鳴上 「分かっている。すまないな。庇ってくれて」

ルッキーニ 「ね、ね。どうだった?空をこうして飛んだ気持ち。」

鳴上 「……悪くない、かな?」

ルッキーニ 「にしし、でしょー?」

> 潮風が心地いい。ルッキーニ達の力になれたようだ。

坂本 「しかしお前、使い魔と契約をしていたのか?」

鳴上 「使い魔? 何の話です。」

坂本「……気付いてないのか? その耳だよ。尻尾もだ」

鳴上 「耳?尻尾?……!」

>坂本少佐の言う通り、頭にふさふさした耳、腰は尻尾が生えている……

シャーリー 「うっぷぷぷ……改めて見たら、っくく……似合ってるぞ。狐」

ルッキーニ 「うしゃしゃ。狐ー、狐ー」

鳴上 「狐か。そうか、あの時の。」

> この前まで暮らしていた町の神社の境内で暮らすがめつい狐……

> 何か関係があるのだろうか。

坂本 「心当たりがあるのか?」

鳴上 「えぇ。少し前に、狐に頼まれて人助けをしたことが。」

坂本 「なんだそれは……一応、様にはなってるがな。」

鳴上 「ありがとうございます。」

坂本 「お礼を言うところか? 基地までじきだ。着陸はできるのか?」

鳴上 「やってみないとなんとも。」

シャーリー 「だと思ったけどさ。アレか? 考えるより先に動くタイプか。」

鳴上 「そうかもしれない。」

ルッキーニ 「んじゃあさ、アタシが着陸教えたげるー」

シャーリー 「お?珍しいな。ルッキーニが教官役なんて。」

ルッキーニ 「いひひ、ちょっとはイイトコ見せなきゃ。名誉返上!」

シャーリー 「間違えてるぞー」

鳴上 「よろしくお願いします、教官!」

ルッキーニ 「うーん、いい響き! んじゃあ見てて! こうギュワーンとやって、クイッとして……こう!」ブロロ…ロ……ザザッ

鳴上 「よし、分かった。ギュワーンとやってクイッと……つまり勢いか。」

坂本 「イェーガー中尉。鳴上を支えて着陸してくれ。肩を組むくらいでいい。」

シャーリー 「了解。」 ガシッ

鳴上 「そうか、やっぱり逃げたら大変だからな。」

坂本 「バカ者! 離着陸が最も危険なのだ! そんな調子でやっては怪我じゃ済まないぞ。」

シャーリー 「そゆことだ。」

ルッキーニ 「何してるの? はーやーくー!」

>叱られてしまったが、三人からの心配が伝わってきた……

>>21 一応、これで区切る予定。もうちょっと続けて遊んでみたい。

> シャーリーの助けを借、無事に基地へ着陸した。

赤毛の女性 「えーっと、ナルカミ・ユウさんね。」

鳴上 「はい。」

赤毛の女性 「まさか、本当に男のウィッチが……信じられない。」

眠そうな女性 「男だったら、ウィザードのほうがいいんじゃないの?」

お下げの女性 「今は名称についての話をするときではないだろう、ハルトマン中尉。」

眠そうな女性 「はーい……もういいかな。私、部屋に戻って寝てるね。」

お下げの女性 「あ、ちょっと待て! まったく……カールスラント軍人たるもの部隊の模範となるべくだな……」

> ハルトマンと呼ばれた眠そうな女性とお下げの女性は行ってしまった……

赤毛の女性 「気を悪くしないで下さい。やっぱり、男でストライカーを使うっていうのは例の無い話だから。」

鳴上 「そういうものなのか?」

シャーリー 「そうなの。」

赤毛の女性 「私はミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ。ここ501統合戦闘航空団の隊長をしています。」

ミーナ 「早速で申し訳ないけどナルカミ・ユウさん。貴方をストライカーの無断使用を始めとする行為に基づき拘束します。」

> 坂本少佐とシャーリーが両脇に立ち、着いて歩くように促した。

【501基地/ 個室】

坂本 「生憎だが、営倉は無いからな。しばらくここで待っていてくれ。」

シャーリー 「二三日で出れるだろーから、ホテルに来たと思ってゆっくりしなよ。 トイレとかは部屋にあるから。」

坂本 「イェーガー中尉。余り無責任にものを話すな。では、任せた。」タッタッタ……

シャーリー 「りょーかい。んじゃ、見張りはアタシがするから。用があったら何でも。」

鳴上 「分かった。どうしてシャーリーが見張りに?」

シャーリー 「ナルカミを放っておいた罰だと。ルッキーニはトイレ掃除。少佐もそんなとこかな?」

鳴上 「ごめん、俺のせいで面倒をかけて。」

シャーリー 「気にすんなって。アンタのお陰でどうにかネウロイも倒した。疲れたろ、ゆっくり休め。」

鳴上 「分かった、ありがとうシャーリー。お休みなさい。」

シャーリー 「おう。お休み。」

>今日一日、色んなことあって疲れた。考えるよりまずは身を休めよう……

ーーつづく

一旦キリがいいとこで中断。こんなアホなのを読んでくれる人がいたら感謝を。

あれから数日後……

【501基地/執務室】

坂本 「ミーナ、鳴上の様子はどうだ。」ガチャ

ミーナ 「いらっしゃい。男の子だからかしらね、あれだけのことがあったのに健康そのもの。」

坂本 「確かにな。心臓に毛でも生えてるのかもな。はっはっは。」

ミーナ 「美緒、茶化さないで頂戴。宮藤さんといい、貴方といい扶桑の人って……」

坂本 「すまない。だが、奴の言ったことは考えられないな。」

ミーナ 「シャーリーさんも言ってたわね。彼が2011年……60年も先で暮らしていたって。」

坂本 「それも、ウィッチが居ない世界だとも。信じがたい話だが……」

ミーナ 「嘘をつくような人間じゃなさそうだし、精神を患ってるわけでもないの。」

坂本 「あぁ。 アイツの眼は一本筋があるというか……何か強い意志を持った眼だ。戦士のな。」

坂本 「狂った人間の眼光じゃあないことは確かだ。」

ミーナ 「扶桑らしい見分けかたね。それで、使用していたストライカーの方は?」

坂本 「それも……というか、一番引っ掛かるんだ。戦闘の時は私の零式とそう変わらないようすだったがな。」

坂本 「パーツも変わらない。だが、魔導エンジンだけは全く解析できない。おまけに」

ミーナ「それから?」

坂本 「製造番号がどこにも見当たらない。扶桑まで問い合わせても覚えはないそうだ。」

ミーナ 「まさか、存在しないストライカーだとでも!?」

坂本 「可能性としてはな。」コクリ

ミーナ 「そう……それと、鳴上君のこと、上にも報告したの。未来云々は外して。」

坂本 「反応は?」

ミーナ 「その青年を501に配属する辞令を近日中に送る。だそうよ。行為を不問にして、ね。」 ピラ

ミーナ 「一応是非は聞くけど、鳴上君の言い分が本当ならほぼ強制。厄介を押し付けたようなものよ。マロニー将軍の差し金かしらね。」

坂本 「おいおい、なにも厄介とはないだろう。」

ミーナ 「そうね。勝手も知らずにネウロイを相手なんて、早々無いわ。でも、上の相手をするとねぇ……」

坂本 「いつもながら、迷惑をかける。 一応話は伝えておくぞ。鳴上君の承諾もあれば指導もお願い。」

ミーナ 「えぇ、扶桑同士なら気も楽でしょうから。」

坂本 「任せておけ、リーネ、宮藤ともどもビシバシしごいてやる。はっはっはっ!」 キィ……バタン!

[二話: 翼のために ]

【501基地/ 個室】

> シャーリーと他愛ない話をして盛り上がった。

シャーリー 「なあなあ、お前の荷物にあったあの変なパカパカするやつ。また見せてくれよ。」

鳴上 「携帯電話のことか。見てどうする気だ。分解する気ならゴメンだ。」

シャーリー 「い、いやだな。するわけないじゃん。なぁ、後生だか……ヤバッ」

鳴上「なぜ詰まる。後、何が」

坂本 「ご苦労だ、イェーガー中尉。鳴上の様子はどうだ?」

シャーリー 「退屈そうっすよ。そりゃ、5日ずっと閉じ込められてたらね。」

坂本 「そうか? やけに弾んだ会話が聞こえた気もするが。」

シャーリー 「うっ……そりゃアタシだって、暇っすから。」

坂本 「まぁ、そうだろうな。別に今回の話題はそっちじゃないしな。鍵を開けてやってくれ。」

シャーリー 「また尋問すか?」 カチッ ガチャ

坂本 「話をするだけだ。人聞きの悪い。」

シャーリー 「だからって、何日も質問責めじゃ同じと思いますがね。」

坂本 「うぅむ、そう言われると弱い。だが安心してくれ、今日で最後だ。」

鳴上 「分かりました。」

坂本 「今度は場所を変えるぞ。着いて来てくれ。イェーガー、お前もだ。」

シャーリー 「え、アタシもですか。」

坂本 「あぁ。ちょっとした立ち会いだ。鳴上と面識があるのはお前とルッキーニくらいだし」

坂本 「ルッキーニはまぁ、その……なんだ。」

シャーリー 「あんま難しい話も出来ない……ってことか。中佐のこと苦手だし。」

坂本 「理解が早くて助かる。では行くぞ。」 スタスタスタ……

シャーリー 「お勤めご苦労さん。と言いたいけどさ、ナルカミはこの先どうなるんだ?」

鳴上 「そうだな……余りに唐突過ぎて考えてなかった。」

シャーリー 「普通そうだよなぁ。なぁ、この際ここの整備部隊に志願しちゃえばどうだ?」

鳴上 「あぁ、考それはそれで楽しそうだ。」

トネールみたいにジオぐらい使えんのかな?
でももろ被りだしな…


続き期待してる

>>29 ちょうどそれで考えてる。カジャ系かなーと思ったけど、何か地味だし……

坂本 「入るぞ。」

ミーナ 「どうぞ。」

鳴上 「失礼します。」

ミーナ 「そう畏まらなくても大丈夫よ。ゆっくりして。」

鳴上 「はぁ……」

ミーナ 「じゃあ、結果から話そうかしら。基地への無許可侵入、ストライカー及び兵器の無断使用に関しては不問になるわ。」

シャーリー 「よかったじゃないかナルカミ! 無罪放免。言うことなしじゃないか。」

鳴上 「いきなりそう言われても……」

坂本 「どんな風の吹き回しだ。か?」

鳴上 「いえ、そこまでは……」

ミーナ 「そう思うのも無理ないわね。簡単に説明すると、隊としての面子よ。」

シャーリー 「そうか、ここ501ってのは各国のエースウィッチが集まる、言ってみればオールスターだからな。」

ミーナ 「加えて形式上では、ある程度の独立した指揮を認められているの。」

坂本「無論、それを快く思わない人間も多い。分かるな?」

鳴上 「なんとなく。厄介が起きると面倒がかかるわけですか。」

ミーナ 「理解が早くて助かるわ。一応上にも掛け合ってみたけど似たような話。」

坂本 「マロニー将軍なんかは恩着せがましい様子だったな。」

ミーナ 「少佐……」 ジト…

坂本 「おっと、すまないな。やはりこういった話は不得手でな。はっはっは。」

シャーリー 「あけすけだなぁ。」

ミーナ 「理由に関してはそんなところ。で、こっちが本番なんだけどね……」

坂本 「ここ、501にウィッチ……ウィザードのほうがいいか?なんだ、協力してくれないか。」

シャーリー 「呼び方はともかく。何でそんな急な。」

坂本 「お前もここに居たらいいと話していたではないか。」

シャーリー 「そうじゃなくて! 話が早すぎるってことですよ。」

ミーナ 「初陣で撃墜のサポートって戦果もあるけど、一番はプロパガンダになると上が踏んだの。」

鳴上 「戦争は少女というか、ウィッチのものだけじゃない……と?」

シャーリー 「古典的な堅物らしいお偉い方の発想か。」

ミーナ 「あまり明け透けなのもいけないわ。ナルカミ君の通り。」

坂本 「いくら武器があっても、士気が低ければただのガラクタだ。」

ミーナ 「それに、ネウロイの解析はまだ進んでいないの。ひょっとしたらってこともあるから……」

鳴上 「帰る手立てが、ってことですか?」

ミーナ 「ただ暮らすよりはいくらか見込みがあるかも。」 コクリ

番長は一応日本刀使えるしなぁ

>>31カジャは地味だが>>1の演出次第じゃね?

>>32 ありがとう、頑張ってみる。

鳴上 「……分かりました。よろしくお願いします。」 ペコ

坂本 「本当に良かったのか? じきに扶桑からの船が来る。無理にここに居ることはないんだぞ。」

鳴上 「ある人に“戦って始めて見えるものもある。”と言われたんです。今のままじゃ何も見えないままだ。」

坂本 「そうか……しかし、まるでそいつはこうなることを予測してたみたいだな。」

鳴上 「何をやっても不思議じゃない人でしたよ。」

ミーナ 「ありがとう。実のところ、ウィッチは慢性的に不足していて、とにかく戦力が欲しいところなの。」

ミーナ 「細かい手続きはやっておくから、この紙にサインをお願い。少佐と中尉は皆を講堂に集めて。紹介をしなくちゃ。」

坂本 「分かった。じゃあ後でな、鳴上」 ガチャ スタスタスタ

シャーリー 「なんか凄いことになっちまったな。ま、改めてよろしくな。」 スタスタスタ

ルッキーニ 「シャーリー! お疲れー!怒られてたの? 」

シャーリー 「ナルカミの付き添いだよ。掃除辛かったろー! 今度外出のとき、美味いもん食わせてやっからなー?」

ルッキーニ 「やったー! スパムじゃないシャーリーのご馳走ー!」

> どうやらルッキーニは外で待っていたらしい、次第に声が遠退いていく。

鳴上 「あの……ここ、軍隊なんですよね。」

ミーナ 「意図的にこうしているのよ。苦労も多いけど、押さえつけられるのが嫌で力を発揮できないんじゃ意味無いわ。」

鳴上 「ルッキーニとかですか。」

ミーナ 「本当に大変なのよ、あの子。イェーガーさんが来るまでは……」

> しばらくミーナ中佐の愚痴が続く。相当苦労しているようだ。

ミーナ 「あらごめんなさい。机仕事ばかりだとつい、ね……」

鳴上 「俺でよければいつでも。まるで母親みたいですね。」

ミーナ 「ふふっ、そんなに老けて見える?」

鳴上 「いえ、雰囲気というか。暖かいひとだなって。あ、これ書き終わりました。」

ミーナ 「そう言ったのは三人目かしら。ご苦労様。講堂まで案内するわ。皆良い子だから、仲良くしてあげて。」

鳴上 「分かりました、ミーナ中佐。」

ミーナ 「よろしい。もっともそんなに固まることはないわ。」

【501基地/講堂】

ミーナ 「みんな集まったようね。紹介するわ。」

お下げの少女 「……あのときの男?」

ルッキーニ 「悠おじちゃん。ここにいることになったんだ!」

シャーリー 「凄いだろアイツ、初見でストライカーに乗り回してこう、ネウロイを扶桑刀でズバッと一刀両だ」

お下げの少女 「何度聞かせる気だリベリアン。信じられん話だが……」

短髪の少女 「へぇー、私のときみたい!」

おっとりした少女 「坂本少佐といい、芳佳ちゃんといい、扶桑の人って、みんなそうなのかな……」

青い上衣の少女「お前ラ、静かにしろよナ。サーニャが眠れないだロ」

銀髪の少女 「ん……エイラ。うるさい。」

青い上衣の少女 「私なのカ! サーニャぁー……」

眼鏡の少女 「殿方でストライカー……おかしいですわ。」

ハルトマンと呼ばれた少女 「じゃあ、アイツのお風呂でも覗いたらどう?」

眼鏡の少女 「ふんっ。そんなはしたない真似。」

鳴上 「……」

坂本 「静かにせんか。」

ミーナ 「話には聞いていたでしょうけど、この人が男性にも関わらずストライカーに乗ったウィッチ……男性なら、ウィザードっていった方がいいかしら。」

シャーリー 「よっしゃ、アタシの付けた名前の採用か!」

ルッキーニ 「シャーリー凄ーい!」

シャーリー 「すっごいだろ?胸と速さだけじゃないんだぞー?」

ミーナ 「それじゃあ……自己紹介をお願い。」

鳴上 「初めまして、鳴上悠です。ふつつか者ですが今後ともよろしく。」 ペコリ

ミーナ 「ふつつか者って、女性が使うんじゃ……それは置いておいて、仲良くしあげて頂戴。」

眼鏡の少女 「ちょっと待ってくださいまし! 殿方との接触は最小限と規律にあるじゃありませんの!」

シャーリー 「大丈夫じゃね? ナルカミはもう好きな人がいるってよ。」

鳴上 「あぁ、菜々子のことか。好きとは違うと思うが……大切な家族だ。」

眼鏡の少女 「その菜々子さんとやらが大切と言うだけでどうしてそう言い切れるのかしら?」

鳴上 「良いだろう、菜々子はな……」

>15分経過

鳴上 「そして……」

眼鏡の少女 「分かりました! どれだけ大切かよぉく分かりましたから!」

鳴上 「そうか……」 ショボン

ミーナ 「そ、そういうことだから。安心していいみたい。それじゃあコレ。」

> 階級章や規則の書かれた本。それに拳銃を手渡された

ミーナ 「以上で解散よ。お疲れ様。」

> 隊員たちは思い思いの場所に戻っていく

短髪の少女 「初めまして鳴上さん! 私、宮藤芳佳っていいます。で、こっちがリーネちゃん。」

おっとりした少女 「初めまして……リネット・ビショップです。」

宮藤 「ん、どうしたのリーネちゃん。そんな固くなって。」

リネット 「だって私、男の友達なんていなかったし……」

鳴上 「誰だってそんなもんだ。」

リネット 「そう……ですね。よろしくお願いします。」

鳴上 「ああ、よろしく。」

青い上の少女 「なーんだ、ホントに男かヨ。揉めないじゃン。私はエイラ=イルマタル=ユーティライネン。んでこっちが」

銀髪の少女 「すぅ……サーニャ・V・リトヴャク……眠い。」

エイラ 「エイラは夜間の哨戒……つまりは警戒とか、偵察をしているんだ。」

鳴上 「そうか。だから寝てるわけだ。わざわざ俺なんかのために悪いな。」

エイラ 「そうだゾ。ありがたいと思エ。」

サーニャ 「エイラ……そんなこと言っちゃダメ。ごめんなさい。」

鳴上 「いや、大丈夫だ。ゆっくり休んで頑張ってくれ。」

サーニャ 「ありがとう……ござい……ます……」 スヤ

エイラ 「さ、サーニャ。んじゃあ、私はサーニャを部屋へ連れて行くぞ。……イーッだ。」 タッタッタッ……

> 何故か警戒されてしまった……

鳴上 「揉むって、何をだ?」

宮藤 「胸……じゃないかな。そんな明け透けに聞くことじゃないと思うけど……」

鳴上 「そうだな。悪かった。」

お下げの少女 「宮藤軍曹、リネット軍曹。何をモタモタしている。これから少佐と訓練があるのだろう。」

リネット 「そ、そうだった。行こう、芳佳ちゃん。」

宮藤 「うん。じゃあね、鳴上さん!」 タッタッタッ……

鳴上 「ああ、頑張れよ。」 ニコ

お下げの少女 「鳴上軍曹、貴様もだ。ここで必要とされているのは即戦力だ。」

鳴上 「軍曹?それって、結構偉いんじゃ。」

お下げの少女 「航空歩兵等のウィッチは言ってみれば少女だ。自然と男の眼も行く。」

鳴上 「予防線……というわけですか。」

お下げの少女 「そういうことだ。また、そうやって高い位にいることで自らを律する。そんな意味もあると思うぞ。」

鳴上 「自らを律する……」 チラッ

シャーリー 「よーしルッキーニ! ちょっとストライカーのチューニングだ。今日こそ音速に!」

ルッキーニ 「おーぅ! やっちゃおー」

お下げの少女 「はぁ、あいつらはいいから早く行け。」

鳴上 「了解。えっと……」

お下げの少女 「ゲルトルート・バルクホルンだ。階級は大尉。」

鳴上 「行ってきます、バルクホルン大尉。」 タッタッタッ……

そういえばミーナさんの中の人もペルソナと関わりがあったな

>>39 怒ると一番怖いというとこは一致してたね。小説改めて怖さが分かるという。

鳴上 「宮藤。」

宮藤 「あ、鳴上さん。どうしたんですか?」

鳴上 「バルクホルン大尉から、訓練に参加しろって。」

リネット 「入隊初日からなんて随分急ですね。」

鳴上 「慣れているからな。問題ない。」

宮藤 「んじゃあ、急ごう。坂本さん厳しいんだから。」

【滑走路】

> 滑走路に坂本少佐が竹刀を提げて佇んでいる。

坂本 「来たか。鳴上もいるな。よし、滑走路20往復!」

鳴上 「え、ストライカーは」

坂本 「バカ者! 体力が無ければマトモな機動で戦えるものか。グズグズするな! 走れッ!」 ビシッ

> 滑走路をひたすら往復して走った

……

鳴上 「っはぁ……終わりました。」

坂本 「そうか、では腕立てに腹筋。50×4だ! 終わったら……」

> 次々と与えられるメニューをこなした。

――
――――

宮藤「……終わった……」

リネット 「疲れたぁ……」

> 何故か宮藤の手はリネットの胸に置かれている……

> そっとしておこう

坂本 「ほぉ、鳴上。多少の体力はあるようだな。」

鳴上 「根性だ。」

坂本 「っはっはっは! その意気込み、嫌いじゃないぞ。特別メニューだ、こいつを持て。」 ヒョイ

> 坂本少佐から竹刀を手渡された

鳴上 「これは……あの、何を」

坂本 「お前、扶桑刀一本でネウロイを相手どったそうじゃないか。陸で戦えなければ空で刀を振るうなど叶わん。」

鳴上 「はっきり言ってくれ。」

坂本 「そのくらい気骨があるほうが面白い。好きなようにソイツを振るえ。さぁ、晩飯までに一太刀でも浴びせればお前の勝ちだ。」

鳴上 「なるほど……」 ニッ

宮藤 「やっぱり、男の子は強いな……」

リネット 「そうだね……」

坂本 「お前たち、いつまで休んでいる。滑走路、もう10往復だ!」

宮藤・リネット 「ええええ!?」

坂本 「さぁ、グズグズするな! 走れ走れ!」

鳴上 「せいやっ!」 ブンッ!

坂本 「甘いぞ鳴上! 脇ががら空きだ。」 バシッ

> 降った竹刀はことごとく払い、擦り上げ、返される……

鳴上 「うっく! まだ……まだっ」 ヒュッ

坂本 「お前の剣は勢いだけだ!」 ガッ!

> 足払いをかけられた……バランスを崩される

鳴上 「とっと。マズ」

坂本 「メェン!」スパンッ

鳴上 「あうっ……まだ俺は」 ドサッ……ザッ

坂本 「バカ者! 命を預ける刀を杖にする奴があるか!」 バシッ

> 立ち上がるために支えにした竹刀を払われた

坂本 「いいか、竹刀だろうと握ればそれは既に刀。己の体幹だ。粗末な扱いはするな。どうしてもなら鞘だ。」

鳴上 「……はい。」 キッ

坂本 「そうだ、殴られたら睨み返すくらいでいい。扶桑男児に相応しいものをお前は持っている。」

坂本 「さっきみたいに全力で来い。女とて、ヒヨッコに負ける気は無いからな。」

鳴上 「はいっ!」

宮藤 「終わりました……もうダメ……」

リネット 「これ以上……走れません……」

坂本 「と言ったが……今日はここまでだ。汗の始末をして飯だ。動いた後の飯は美味いぞ。」

鳴上 「ありがとうございました。あの、この竹刀は……」

坂本 「言っただろう。刀は命を預けるものだ。お前にやる。はっはっはっは!」 スタスタスタ……

> やはりシャドウとは勝手が違う。掠りさえしなかった……

リネット 「鳴上さん、大丈夫ですか? これ、タオルとお茶です。」

鳴上 「ありがとう。グイ……美味いなこのお茶。優しい味だ。」

リネット 「ふふっ、芳佳ちゃんが淹れてくれたんです。」

宮藤 「リーネちゃん、鳴上さん、お疲れ様! 凄かったね、さっきの稽古。」

鳴上 「手も足も出なかった。」

宮藤 「そんな、ランニングでフラフラの私たちにくらべたら。あ、待って鳴上さん、手のひら擦りむいてる。見せて。」 ガシッ

鳴上 「い、いきなり何を。」

宮藤 「じっとしてて。これくらいなら大丈夫。」 ピコッ スウウウ……

鳴上 「傷が、治ってる。」

リネット 「芳佳ちゃんの固有魔法です。回復に特化してるんですよ。」

宮藤 「えへへ、お母さんにはまだまだ未熟って言われてるけどね。」

鳴上 「ありがとな。」

宮藤 「そんな、お礼なんて……ちょっと嬉しいかな。今まで、上手く出来たこと無かったし。」

鳴上 「じゃあ、リネットの固有魔法なんかは……」

> そろそろ暗くなってきている。

>宮藤やリネット達と喋りながら基地に帰ることにした。

【食堂】

シャーリー 「えらく遅かったな。はっはーん。そのようすじゃ坂本少佐にコテンパンにされたな?」

鳴上 「ギャフンと言わされた。」

シャーリー 「ギャフン?」

鳴上 「日本……じゃない、扶桑の言葉だ。相手にやられたときに使うんだ。」

ルッキーニ 「負けたらギャフン!って言うの?」

鳴上 「……そういえば、実際にそう言ったのを聞いたことはないな。」

ルッキーニ 「聞かないのにギャフンっていうの?にしし、変なのー。」

鳴上 「確かにな。んで、夕飯はなんだ。」

シャーリー 「おう、今日は私が腕によりをかけて作ったんだぞ。」

ルッキーニ 「アタシも手伝ったー!」

> 自分の座席だろう空いた席には、網で焼かれた肉と野菜が盛られている……

シャーリー 「いやー、ここじゃ火力が足りなくて大変だったよ。」

鳴上 「そ、そうか。」

バルクホルン「気にすることはないぞナルカミ軍曹。リベリアンの料理はいつもこうだ。」

鳴上 「リベリアン?」

宮藤「シャーリーさんのことですよ。リベリオンの出身だから。」 コソッ

鳴上 「リベリオン? ガン=カタ使いが……じゃなくて、どのへんだ?」 ボソッ

宮藤 「がん……何?えっと、リベリオンはここから西の……大西洋を越えたところ。」 コソ

鳴上 「なるほど。ありがとう。」

眼鏡の少女 「そんなことも知りませんの?一般常識ですわ、一般常識。」

坂本 「はっはっは。鳴上にも事情があるんだ。ゆっくり学んでいけばいい。ペリーヌ、そうカッカするな。」

眼鏡の少女 「~! か、カッカなどしていませんわ、坂本少佐。」

眼鏡の少女 「そういえば名乗っていませんでしたわね。私はペリーヌ・クロステルマン。お見知りおきを。」

坂本 「ペリーヌもああ見えて粘り強い奴だ。ちょっと強情だか、いい奴だ。」

鳴上 「強情なら坂本さんも負けていないと思います。」

坂本 「……はっはっは! いい度胸だ。やはりお前は面白い。」

ペリーヌ 「豆狸といいあの男といいどうして……」 ブツブツ…

シャーリー 「ささ、いいから食ってくれよ。冷めたら肉が硬くなっちまうよー。」

鳴上 「そうだな。いただきます。」 合掌

> 肉と野菜を塩コショウで素朴で大胆な味付がされている

鳴上 「……!……ごちそうさまでした。」

> 途中、塩の偏った部分があったがどうにか完食した。

シャーリー 「お、いい食いっぷりじゃないか。」

鳴上 「成長期だからな。」

エイラ 「それで済む問題なのカ? んぐ……うへ、しょっぱい。」

バルクホルン 「どんな料理でも腹に詰め込むのも軍人の仕事だぞ。」

坂本 「よし鳴上、まだしっかりお前の風呂に入れる時間を決めてなかったな。今日は先に入ってこい。」

ペリーヌ「汗と泥まみれの殿方が先に入るなんてブツブツ……」

坂本 「それなら私でもそう変わらんではないか。汗と泥まみれのいうのは。」

ペリーヌ 「しっ、少佐はいいんですの!」

坂本「そうか。ではコイツでも大丈夫というわけだ。行ってこい。」

鳴上 「あの、クロステルマンさんが言いたいことは」

坂本 「いいから行ってこい。お前が上がらなければ皆が入れんだろう。」

鳴上 「わ、分かりました。シャーリー、食器ここに置いとくな。」 タッタッタ……

シャーリー 「へーい。ゆっくり汗流せよー。」

エイラ 「大変だナ、ツンツン眼鏡ー」

ペリーヌ 「う、うるさいですわ! 全く。むぐ……~~!」

エイラ 「やーい、塩の固まりをくってやんノー。」

バルクホルン 「それで、坂本少佐。鳴上軍曹の様子は。手合わせでは少佐に掠りもしていないそうじゃないか。」

坂本 「そうだな……一言で言うなら面白い奴だ。竹刀の構えは脇構えのようだが、微妙に違うし振りも無駄な動きが多い。」

坂本 「おまけに握りは野球のバットみたいだ。まるで素人と変わらない……」

ハルトマン 「ただ滅茶苦茶なだけじゃないの?」

バルクホルン 「お前がそれを言うのか。」

坂本 「まあ最後まで聞け。にも関わらず間合いの取り方は言うことがないし、少し隙を作ったらすかさず飛び込んでくる。」

坂本 「力も勢いもあるから、捌くのはあれでもなかなか辛かったぞ。一本一本に迷いが無い。まるで獣や……怪物を相手にしていた見たいな動きだ。」

シャーリー 「怪物だって? アイツのいるとこにネウロイは居ないんじゃなかったのか?」

バルクホルン 「軍曹が未来から来た、というのは未だに信じられんが……ネウロイに似た何かと戦っていた。と?」

坂本 「かもしれんな。どうだ? 思わぬ拾いものだと思わないか?」

【浴場】

> 熱いお湯が体をほぐしていく……

鳴上 「ヘクシュッ!……風邪?」

> 訓練のとき、汗で体を冷やしたのかもしれない。そろそろ上がろう……

鳴上 「いい湯だった。」 ガチャ

宮藤 「鳴上さん。もう上がったんですか? ちょっと早いような……」

鳴上 「ちょっと体調が悪くてな。一晩眠れば平気だと思う。風呂、気持ちよかったぞ。」

宮藤 「そうですか。このお風呂、坂本さんが作るようにって言ったらしいんですよ。同じ釜の飯を食うんだから、裸の付き合いも。だって。」

鳴上 「……なんか、簡単に想像出来てしまった。」

宮藤 「私もです。 あんな風になれたらなぁって、憧れちゃいますよね?」

鳴上 「……」

宮藤(イメージ) 『さあ行くぞ、グズグズするな! あっはっはっは』

鳴上 「それちょっと……そう言えば、どうしてここに?」

宮藤 「あっ、忘れてた。いけない。えっと、明日の訓練は9時からって、坂本さんが。」

宮藤 「しばらくは今日のメニューやっていくってさ。一緒に頑張ろうね。」

鳴上 「分かった。次は負けないって、伝えてくれ。」

宮藤 「分かった。坂本さん、喜んで相手してくれると思う。それじゃあね!」 タッタッタ……

鳴上 「ああ。お休み。」

宮藤 「おやすみなさーい。」

> 明日も大変そうだ。部屋に戻ることにした。

【翌日】

> 今日も訓練だ……

坂本 「さあ、今日は掠りくらいできるか?」

鳴上 「でやあっ!」

――

――――

鳴上 「っ……はぁ……はぁ……もう、一本だけ…」 ドサッ

坂本 「そこまでだ。一日そこらで変わるわけがないだろう。まずは構えから始めねばならんようだ。宮藤、リーネ。お前たちも加わって素振りだ!」

宮藤・リネット 「はい!」

> 苦しくも身になる稽古が続く

鳴上 「……ん?」

> どこからか視線を感じる……

> そっとしておこう

【ペリーヌの部屋】

ペリーヌ 「少佐……またあの豆狸や男と……」 グヌヌ

【数日後】

鳴上 「坂本さん! 今日もお願いします。」 ペコリ

坂本 「いや、きょうはそいつは使わん。別のことをしよう。銃を撃ったことは?」

鳴上 「無論、ゼロだ。」

坂本 「だろうな。そこで、今日はコイツで訓練だ。」 ガチャガチャ

鳴上 「これは……マシンガンとか、そういうものですか?」

ペリーヌ 「正解ですわ。それはカールスラント製のMG42 GPMGですわ。」

鳴上 「ペリーヌさん、どうしてここに?」

宮藤 「じーぴー……何それ。」

ペリーヌ「ナルカミなんはともかく、どうして軍属の宮藤さんが知らないのかしら?」

リネット 「えっとね、汎用機関銃って意味よ、芳佳ちゃんにナルカミさん。」

坂本 「ペリーヌには私の補佐をしてもらおうと思ってな。助かるよ。」

ペリーヌ 「いえ! 少佐の為なら喜んでお手伝い致します! オホン、汎用というのは歩兵用、車載用、対空用。ウィッチ用。どの用途にも扱える、という意味ですわ。ミーナ中佐達も使っているオーソドックスな銃ですの。」

鳴上 「しかし重いな、これ。こう構えるのか?人に向けちゃダメなんだろ。」 カチャ

坂本 「そうだ、といいたいが。」

ペリーヌ 「魔法を使わなければマトモに扱えませんわ。早くなさい。」

鳴上 「分かった。」 スウ……パァァ

坂本 「ほぉ、キツネか。なかなか面白い。」

ペリーヌ 「それに関しては上出来ですわね。整備は後程ですが……それじゃあ、構えてみなさい。」

鳴上 「こうだな。」 カチャ

ペリーヌ 「そう、セーフティはセミオートに。肩をストックに付けて。頬を当てるの。」

坂本 「なかなか教えるのが上手いじゃないか。後はよろしく頼む。私は宮藤やリーネを見ている。」

ペリーヌ 「え? 少……」

坂本 「じゃあ、任せたぞ。さあ宮藤、リーネ。お前たちも武器を取ってこい。

宮藤・リーネ 「は、はい!」 タッタッタ……

ペリーヌ 「そんな……」

鳴上 「大変だな。ペリーヌさんも。」

ペリーヌ 「うるさいですわね。さあ、スライドをお引きになって!」

鳴上 「あ、あぁ。」カチッ

ペリーヌ 「的は海上に見えますわね? 自信が無ければ地べたに這って構えてもよろしくてよ。」

鳴上 「いや、多分平気だ。行くぞ。」 タンッ タンッ タンッ

ペリーヌ 「上に逸れましたわね。魔力を解放したなら反動を抑えられましてよ。」

鳴上 「やってみる。」 タンッ タンッ

ペリーヌ 「今度は下。もう少し上を狙いなさい。弾は山なりに飛ぶし、サイトは銃口よりも下にあるの。考えなさい。」

鳴上 「分かりやすいな。わざわざすまないな。」

ペリーヌ 「べ、別にこのくらいの指導など当然ですわ。持てるものの義務。ノブレス・オブリージュというもの。」

鳴上 「今後も救世主たらん……いや、何でもない。続けよう。」

> しばらくペリーヌに射撃の指導をしてもらった。

ペリーヌ 「マシになったようね。もっとも、静止した的に単射なら当然ですわね。」

鳴上 「ペリーヌさんのおかげだ。」

ペリーヌ 「い、いきなり何をおっしゃいますの。そ、それはガリア1のウィッチ教えられて上達しないなんて言わせませんわよ。」

> ペリーヌはどこか得意そうだ

坂本 「ペリーヌ、鳴上の様子はどうだ?」

ペリーヌ「は、はい!……ナルカミさんなら、問題ありませんわ。」

坂本 「そうか。だったら、ストライカーの機動も教えてやってくれないか。」

ペリーヌ 「分かりました。……聞いた通りですわ。ハンガーへ行きましょう。」

鳴上 「坂本さんはこっちに来ないのか?」

ペリーヌ 「随分少佐になついているようね。」 ジト

鳴上 「犬じゃあるまいし……」

ペリーヌ 「はぁ……少佐は集団よりも個人の長所を伸ばす指導をしておられるの。ここ501集められる人間はどなたも一癖ありますから。宮藤さん然り、リーネさん然り。」

鳴上 「宮藤はともかく、リネットは普通じゃないのか?」

ペリーヌ「あら、ああ見えてしたたかですのよ?」

鳴上 「それで、手のかからない俺をこっちにってことか。」

ペリーヌ「自分で言うことじゃありませんわ! 確かに飲み込みは早いですが、それだけです。あまり調子にのって少佐を失望させないように努力を怠らないよう。」

鳴上 「少佐になついているのはそっちだな。」

ペリーヌ 「ししし、失礼な! 私は仮にも上官ですわよ!」

鳴上 「ごめん。つい思ったことを。」

ペリーヌ 「っきー! 淑女として接してきましたのにその態度! 我慢なりませんわ。ついてらっしゃい。ペイント弾での模擬戦にしましょう。」

> どうやらペリーヌを怒らせてしまったようだ……

鳴上 「わ、分かった。これ。どうすれば……」

ペリーヌ 「私が担ぎますわ。デッドウェイト以外にハンデは必要かしら?」

鳴上 「いや、いい。」

ペリーヌ 「勝負は空中でお互いに真正面ですれ違ってからスタート。二発の被弾で決着。何か質問は?」

鳴上 「日本……いや、この扶桑刀を持っててもいいか。前にこれを持ってて上手くやれた気がするんだ。」

ペリーヌ 「お好きになさい。行きますわよ。着いていらっしゃい。」 パァァ……ブロロロロ…

鳴上 「分かった。」 ブロロロロ……

鳴上 「なあ、ペリーヌはどうして怒って……」

ペリーヌ 「怒ってなどいません。何よ、少佐に期待されてるからって……」

鳴上 「坂本さんがどうしたって?」

ペリーヌ 「あなたもそう呼ぶのね……この辺りにしましょう。最悪、墜落しても岸に辿り着けるでしょうから。」

鳴上 「陸がペイントで汚れてもいいのか?」

ペリーヌ 「せいぜい100m飛べばいいとこの演習弾でそんな心配は無用よ。そんなことも知らなくて?」

ペリーヌ 「確かに、最初は飛んでいると距離が掴めないでしょうけど……慣れなさい。」

鳴上 「分かった……いつでもいいぞ。」 スチャ

ペリーヌ 「あなたも眼鏡……ですか? 目が悪いの?」

鳴上 「ハイカラだろ?」

ペリーヌ 「え、ええ。じゃなくて、行きますわよ!」 ブロロ…

> 互いに向き合い、すれ違ってからが模擬戦の開始だ……

鳴上 「旋回はこのストライカーの十八番だったはず。よし!」

ペリーヌ 「いくら性能がよくても。」

鳴上 「早い、もう後ろを取られた!」

> 全速にして左右に身を振り、追跡を逃れようとする。しかし振り切れない!

ペリーヌ 「使い手が素人ではその黒い零式も泣きますわよ?」 ダダッ! ダダダッ!

鳴上 「このっ!」 ブーン……ヒュルル

ペリーヌ 「消えた……いえ、急上昇をかけて無理やり失速させた!?」

鳴上 「もらっ……マズイな。墜ちてたまるか。」

> 失速し、墜落しかけたがどうにか体勢を整えた。

ペリーヌ 「アイデアはユニークですが、二度は通じませんわよ? まずは一発」 ダンッ

鳴上 「くっ!」 ベチャッ

> 青い蛍光塗料がストライカーを汚す。

> あと一発でも命中すれば敗けが決まってしまう……!

ペリーヌ 「これでも“青の一番”。501に来るだけの実力はありましてよ!」

ヽ人人人人人人人人ノ
< ハイカラだろ? >
ノYYYYYYYYヽ

     __
    /_(S)\
   // ∧∧\\
   \\(゚Д゚)/ /
    \⌒ ⌒ /
     L_人_ノ
    /   /
  ∧_∧ ■□(  ))
 (  ;)□■  ̄ヽ

/⌒  ⌒ヽ ̄ ̄| |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|


>>53 堂島さん、こっちです。

鳴上 「くっ、早い……」ドンッ! ドドドッ

ペリーヌ 「どうしました? 地上とは銃の癖も違ってきましてよ?」 ブーン

ペリーヌ 「零式の十八番は低速戦闘での小回りと上昇性ですわ。」 ダダダッ

鳴上 「わざわざご丁寧に。詳しいんだな!」ブロロ……ブーン

ペリーヌ 「それは! 坂本少佐……じゃなくて、ストライカーや隊員の特性を掴むのは当然の義務ですから。」

鳴上 「それじゃあ、お言葉に甘えて! 」ブイーン

>体を捻りながら急上昇をかける。

ペリーヌ 「今度はあの子供騙しは通用しませんわよ。」

> ペリーヌは急降下をかけた。失速したところを撃つ算段だろうか。

鳴上 「降下はやめだ。今回はその特性を利用させてもらう!」 ブーン……

ペリーヌ 「さすが狐を使い魔にするだけありますわね。……うっ?」

鳴上 「そうだ。ネウロイに太陽の光で目眩ましって、効くのか?」 ドドッ! ドンッ!

ペリーヌ 「時と場合、ですわね! 小癪な! 太陽を背中にして戦うなんて!」 ブーン

鳴上 「そう長くはこれも使えない……一気に決める!」

ペリーヌ 「お止めなさい!」

> ペリーヌの動きは前よりも精彩にかけている……

> このまま急降下で勝負を!

鳴上 「……何だ? 操縦が……!」

ペリーヌ 「やってしまいましたわね……零式の欠点ですわ。速度に任せた急降下では空中分解防止の為にリミッターが搭載されてますの。」

ペリーヌ 「言うのが遅れましたわ……でも、これを教訓に。精進しなさいな!」 ダダダダッ

鳴上 「くっ…………イザナギッ!」 カッ!

> 無意識につき出した右腕から電流が迸る

ペリーヌ 「ト、トネール?アナタ、能力持ちでしたの?」 サッ

鳴上 「イヤ、夢中で手を動かしたら……こう、バチっと。」

坂本 『ペリーヌ! 何をしている!』

ペリーヌ 「しょ、少佐! あの、これは……」

坂本 『バカ者! 模擬戦とはいえ味方に攻撃魔法とは何事だ!』

ペリーヌ 「いえ、その……」 オロオロ

坂本 『模擬戦は中止だ、戻ってこい。』

ミーナ 『待って、み……坂本少佐。近くに幾つかの小型ネウロイの反応があったの。』

坂本 『ちっ、しばらく出現は無いんじゃなかったのか? まあいい。』

ペリーヌ 「私が行きますわ……」 ブロロロロ……

坂本 『おい、待てペリーヌ! 戻れ!』

鳴上 「俺が止めてきます。」 ブロロロロ

ミーナ 『ナルカミ軍曹!? 待ちなさい、実戦はまだ早……』

坂本 『任せた。アイツは、隊の皆は私にとって家族みたいなものだ。ペリーヌを連れてさっさと戻ってこい。倒すことより生きることが優先だ。』

ミーナ 「ちょっと! 美緒!?」

鳴上 「了解です。」

鳴上 「それから、坂本さん。ペリーヌさんをあんまり責めないでやってください。」

坂本 『攻撃魔法を使ったんだ。それも新兵のお前にだ。流石に見過ごせんぞ。』

鳴上 「その……今の電撃、俺が撃ったんです。」

坂本 『……庇ってる、とかじゃないよな。』

鳴上 「事実です。申し訳ありません。だから、ペリーヌさんには」

坂本 『分かった分かった。ペリーヌ非はないんだな。こりゃあ、後で謝らんといかんな……ペリーヌには悪いことをした。』

鳴上 「俺もです。」

坂本 『そうか、それなら。罰として1週間食事の当番だ。皆、未来の扶桑食事が気になるみたいだからな。振る舞ってやれ。』

坂本 『だがな、納豆は使わないでくれ。ペリーヌが“腐った豆なんて”と言って聞かないんだ。』

鳴上 「了解です。期待していてください。っ! 今、銃弾の光が。」

坂本 「二度目の実戦か。小型だ。恐れずに行け、任せたぞ。」

> インカムからは雑音だけになった

> 今は ペリーヌの援護に集中しなければ……

未来の日本料理・・・・あるか?

すみませぬ…
出来心だったんで堂島さんだけは…堂島さんだけは……ッ!!

ってかカジャ系の魔法ってどれを使う予定やったん?

ブリタニアにジュネスはチェーン展開してるのか?

>>56 和風パスタとか、日本人が大好きな魔改造レシピを考えてる。後はハヤシライスとか。ムドオンカレーは番長でもレシピが分からないみたい。

>>59 ラクカジャ、タルカジャとか。触れたら仲間にそれを共有出来るとかにしてお姉ちゃん更に強化とか面白いかな。と思ってた。

>>61 あったらなんじょうくんみたいに、無意識のうちにあのジングルを口ずさむペリーヌを想像して寛容さが上がった気がする。


ペリーヌ 「このくらいなら、私一人で! ペイント銃は勿体ないけど……」 ヒョイ ダダダダッ

> 無数の小型ネウロイをペリーヌは隙間を縫うように飛んで撃ち落としていく……

ペリーヌ 「このぉ!」 ダダダッ

鳴上 「ペリーヌさん! 一人でこんな数は流石に無茶だ!」

ペリーヌ 「私はガリア空軍のエースよ。これくらい、どうってことありませんわ!」

鳴上 「だからって、模擬戦で魔翌力を使ったんだ。」

ペリーヌ 「知ったような口を聞かないで! 私はガリアの復興の為に戦っているの! アナタみたいな遊びで戦ってるんじゃないの」

ペリーヌ 「宮藤さんといい、アナタといい。ほんっとうに腹が立つ! 戦争が嫌いですっ? 何をしにここへ来たっていうの!」

ペリーヌ 「もっと私は強くならなきゃいけないの! ですからこんな雑魚ごときに魔翌力が心許ないというだけで逃げることなど」

鳴上 「ペリーヌ……」

ペリーヌ 「……言い過ぎましたわ。とにかく、アナタは帰りなさい。」

鳴上 「嫌だ。」

ペリーヌ 「足手まといになるだけよ。帰りなさい。」

鳴上 「少佐に言われたんだ。ペリーヌは家族も同じって。それを連れて帰らずに戻ったら俺は少佐に……」 ガタガタ

ペリーヌ 「はぁ……これを持っていなさい。撃つときは相手にぶつかるくらいの気持ちで突っ込まないと当たりませんわよ。」

鳴上 「分かった。後ろは任せてくれ。」

ペリーヌ 「それはもう少し戦えるようになってからおっしゃい。ネウロイは待ってくれませんわよ!」 ブーン……ダンッ! ダダダダッ

鳴上 「分かった。それとペリーヌ!」 ゴオッ ドドドドドッ

ペリーヌ 「チィ、なんですの!?」

鳴上 「俺も宮藤も、困っている誰かを助けたいって思う気持ちは、お前がガリアを守るって気持ちに負けないと思うぞ。そのためにここにいるってことはわかってほしい。」

ペリーヌ 「……ふふっ、でなければ坂本少佐の訓練に耐えられませんわ。」

> ペリーヌの胸の内を垣間見た気がする……

> 今はともかく、ネウロイを倒さなければ。

宮藤…魔術師
坂本…死神 戦車もありかと思った
ミーナ…節制
リネット…女帝
ペリーヌ・・・力
バルクホルン…正義
イェーガー…刑死者
ルッキーニ…太陽?
サーニャ…星
エーリカ…戦車

なのかな?
エイラ…月か隠者で迷った

>>1よ、メール欄にsagaするべき

魔力が魔翌力とかにならんから

>>64 リーネの女帝はあの母性から来たんだって、信じたい。
>>65 ありがとう、これから気をつける。

鳴上 「相手にぶつかるくらいの気持ちで……一気に飛び込む。」 ドドンッ パリン!

ペリーヌ 「上出来ですわ。思い切りがいい方が空戦では有利なの。」

鳴上 「これだけ数がいても四方から攻撃を受けることはないから気が楽だ。」

ペリーヌ 「大型だったら、そうはいきませんわよ? レーザーの数もバカになりませんから。」

鳴上 「これで小型? 人よりも大きいぞ。」

ペリーヌ 「ナルカミさん、前、前!」

鳴上 「うわっ、レー……アラミタマ!」 ブン! バァァァ

ペリーヌ 「あら……アラミ? 余所見してたら死にますわよ!」

鳴上 「気をつける。もう弾が切れたのか。」 ドドドッ カチカチ

ペリーヌ 「こちらも弾切れですわ。デッドウェイトとして持ってきたのだから予備はありませんことよ。」

鳴上 「刀で相手をするには多すぎるしな……」

ペリーヌ 「アナタ、魔法力はどのくらい残ってるかしら?」

鳴上 「特にダルいとかは無いぞ。疲れてるが。」

ペリーヌ 「そうですか。なら、さっきの固有魔法で蹴散らしましょう?」

鳴上 「なっ、いくらなんでもネウロイが広がりすぎている。俺だけじゃ厳しい。」

ペリーヌ 「全く、誰が一人でやれと言いましたの。私も協力しますわ。タイミングは任せます。」

鳴上 「分かった……どんな風にすれば出せるんだ?さっきの感覚、忘れた……」

ペリーヌ 「何を寝惚けたことを!? はぁ……私がシールドで時間を稼ぎますから、イメージしなさい。」

ペリーヌ 「自分の住んでいた町、家族、友達を考えるの。支えてくれた人、お喋りで盛り上がった日。」

鳴上 「皆、笑っている。平和で幸せそうだ。」

ペリーヌ 「……それが、突然の攻撃。人間が立ち向かえないような恐ろしい攻撃で焼かれたとしたら?」

鳴上 「……ペリーヌ?」

ペリーヌ 「聞きなさい! それをやったのはアレなの。ネウロイが暖かい暮らしを滅茶苦茶にしたの。」 バァァァ

> ペリーヌの声は震えている

鳴上 「それは、やっぱり、許せないな……」

ペリーヌ 「そんな怒りを、アナタの言う困っている人を守りたいって気持ちをぶつけるの! よろしくて!?」

鳴上 「分かった! やるぞ!」

ペリーヌ 「合わせますわ!

鳴上 「イザナギ!」 カッ バチバチッ
ペリーヌ 「トネール!」 バチバチッ

> 二つの電撃がネウロイを砕いていく……!

今更だが この番長はペルソナの使い方を忘れてるのかね

>>67 テレビの中以外使ってなかったし、ここでは使えないと勝手に解釈してる。ペルソナ名叫んでるのはその行動をイメージしやすいから。みたいに考えてくれたら。


ペリーヌ 「終わりましたわね……大丈夫かしら?」

鳴上 「なんとか。酷い髪だな。グシャグシャだぞ。」

ペリーヌ 「だから、あまりに使いたくないの、いっそナルカミさんみたいにしようかしら。」

鳴上 「止めておけ。」

ペリーヌ 「冗談ですわ。それにしても……イザナギ? 扶桑の神様の名前なんて叫んでどうしたの。」

鳴上 「……気合いみたいなものか」

ペリーヌ 「変わってますわね。帰投しますわよ……そうだ、インカムは切ってくださいます?」

鳴上 「分かった。どうして?」

ペリーヌ 「レディが話そうとするのを急かすのは野暮ですわね。」

鳴上 「なるほど。続けてくれ。」

ペリーヌ 「ありがとう……正直なところ、分かってましたわ。私が宮藤さんやナルカミさんが遊びで来ているんじゃないってこと。」

鳴上 「じゃあ、どうしてあんな風に?」

ペリーヌ 「でも、そうやって嫌っていないと自分の本心がどれだけ幼稚かを見せつけられている気がして辛かったの。」

ペリーヌ 「ガリアの貴族の子女として、エースとして。」

鳴上 「本心?」

ペリーヌ 「やっぱり不思議ですわね、あなた。自分のドロドロした感情をぶつけているのに嫌な顔一つしないなんて。あの子には内緒よ? 」

ペリーヌ 「もっと坂本少佐に近付きたい、少佐に私を見てほしい。それだけですわ。子供でしょう?」

鳴上 「……少し、ある人の話をしていいか。誰のとは言わないけど。」

ペリーヌ 「どうぞ。私だけ恥ずかしいことを話すなんてフェアじゃないですわ?」

鳴上 「ははっ、誰の話しか分からないのにフェアか?」

ペリーヌ 「ええ、フェアよ。続けなさい軍曹。上官の命令ですわ。」

鳴上 「了解。」

鳴上 「ある片田舎に一人の男がいたんだ。そいつは親の事情で都会から引っ越して来たばかりの学生だ。」

鳴上 「それなりに充実した生活を送っていたんだがな。その時に変な事件が起きたんだ。」

ペリーヌ 「事件……といいますと? 」

鳴上 「殺人事件だ。殺した方法も分からない、誰がどんな理由でやったかも分からない。霧の中にいるみたいだった。」

鳴上 「友達の彼女……そこまで進んでないようだけど、その人も殺された。」

ペリーヌ 「それは……」

鳴上 「その中で、男は殺人の手口を掴んだ。警察も信じないような突拍子もない方法だった。」

ペリーヌ 「どんな方法でしたの?」

鳴上 「それは後だ。そこで、気付いた男は事件に巻き込まれた友達を誘ってその解明に乗り出した。」

鳴上 「不謹慎だけど、捜査は少し刺激的だったし、男がリーダーを任されたこともあってそいつは優越感と義務感に追われていた。」

ペリーヌ 「……」

鳴上 「俺が解決するんだ。俺にしか出来ないんだ。そうするうちに男にはある疑念が生まれたんだ。」

鳴上 「事件が終わったら俺は必要ない人間じゃないか? 事件が解決したらまた一人じゃないか?って。」

ペリーヌ 「そんなもの、杞憂ですわね。信頼も何もない、その程度の関係で危険な事件に飛び込むはずがありませんわ!」

鳴上 「ああ、その通りだった。男は気付いた。皆はちゃんと俺を相棒や仲間だと信じて戦ってくれたんだって。男もペリーヌも、誰でもそんな“幼稚”なものを抱えてるんだ。」

ペリーヌ 「っ!」

鳴上 「坂本さんはペリーヌを家族だって言ってたんだ。大切な家族の事を見ない奴はいないだろ。心配するな。」

鳴上 「といっても、自分の幼稚さに向き合うことはやっぱり、難しいけどな。」

> そっとペリーヌの肩に手を置いた……

ペリーヌ 「……お父様?」

鳴上 「違うぞ」

ペリーヌ 「いえ……お父様も私が不安だったとき、こうやって大きな手を乗せてくださったの。」

鳴上 「そうか。」

坂本 「……上~!ぺ……ヌ~!! 鳴上~! ペリーヌ~!」 ブーン

鳴上 「ほら、ちゃんと迎えに来てくれた。」

ペリーヌ 「……そう、ですわね。」

   我は汝・・・、汝は我…

 汝、新たなる絆を見出したり…

 絆は即ち、まことを知る一歩なり。

汝、”力”のペルソナを生み出せし時、

 汝ら、更なる力の祝福をえん…


見たいな?

番長ときいて飛んできました。おもしろいね

P4Uのストーリーの描写だと、
テレビの中(精神世界)>>>現実世界(召喚器使用)
の順でペルソナが出しやすいみたいね。召喚器使わずに軽く集中しただけでテレビの中では出せるみたいだし。
現実でも最高に追い詰められて集中したらP4勢も出せるかもしれん

>>73 コミュ的な話は事欠かないので、ガンガン入れてく予定。その口上は毎回やるの厳しいかもだけど。

>>74 読んでないけどペルソナ探偵NAOTOでは出してたみたいですしね。自分の力量で出来るか分かんないけど、どのみちしばらく出さないつもり。


坂本 「無事か、二人とも! 全く、まさかペリーヌまで宮藤みたいな無茶をしてくれるとはな。」

ペリーヌ 「も、申し訳ありません。少佐……」

坂本 「いや、謝るのは私の方だ。ロクに確かめもせずにお前を怒鳴るなど、上官失格だ。」

ペリーヌ 「ですが! こうして迎えに来てくださったではありませんか。」

坂本 「しかしだな、こういうのは」

ペリーヌ 「隊の皆さんは家族同然。なんでしょう?」

坂本 「お前……鳴上! あの事を話したのか!?」

鳴上 「ええと、少し。」

> 心なしか、坂本の耳が赤い

坂本 「全く……しかし、ありがとう。これだけ慕われるとは、私は幸せだな。」

ペリーヌ 「ヒック……しょ……グス……少……少佐ぁ~」 ダキッ

坂本 「おいおい。いきなり抱きつくな。困ったぞ……」

坂本 「鳴上、泣いたやつと言うのはどうやって落ち着かせれば……」

鳴上 「じゃあ、俺は飯の支度をしなきゃいけないので。」 ブーン……

坂本 「ちょっと待て! あー、ペリーヌ? 何もそこまで泣くことはだな……」

ペリーヌ 「わた……ウゥ……私は~……」

> 薄暗くなった空に二人の声が聞こえる

> そっとしておこう……

【数時間後/ 食堂】

> 未来の扶桑食をと言われたが……

鳴上 「何を作ろうか……」

宮藤 「あれ、鳴上さん? 今日のご飯の当番は私ですよ?」

鳴上 「実は……」

> 先程の模擬戦からのいきさつを話した……ペリーヌの泣いたことは伏せておいた。

宮藤 「へぇー。それで罰としてご飯の支度?」

鳴上 「やるからには美味いものを作る。ゆっくりしてくれ。」

宮藤 「じゃあ、そうさせてもらうね? でも、パスタと明太子くらいしか無いけど……」

鳴上 「明太子? ブリタニアにか?」

宮藤 「うん。前に扶桑から届いたの。納豆とかと一緒だったんだ。」

鳴上 「そうか……なら大丈夫そうだ。」

シャーリー 「聞いたぞー、ナルカミ~! さっそく罰をくらったそうじゃないか。意外にやんちゃだな。」

鳴上 「聞いてたのか。やんちゃって……」

ルッキーニ 「聞いたんじゃないもーん。聞こえただけだもーん!」

鳴上 「どっちでもいい。待っていてくれ。今から作るから。」

ルッキーニ 「ふふーん。アタシの舌は肥えてるもんねー。」

宮藤 「それじゃあ、私は皆を呼んでくるね!」

――

――――

鳴上 「隠し味に……よし。完成だ。」

> とろとろ明太子パスタが完成した!

鳴上 「お待たせしました。」

坂本 「あぁ……何だ。私は扶桑食を頼んだのだが……」

鳴上 「随分疲れたようですね。」

坂本 「ある男が食事当番だと言って逃げたからな……で、これはなんだ。」

鳴上 「明太子パスタです。扶桑が考えたんですよ。」

坂本 「そうなのか。はっはっは! 面白い事を考えるやつがいる。」

ルッキーニ 「パスタだー! んぐ……変なの。プチプチしてて美味しいけど。」

シャーリー「扶桑の奴の考えることはよくわかんねーよな。悪かないけどさ。」

ペリーヌ 「ま、合格点ですわね。」

エイラ 「何でツンツン眼鏡は眼が赤いんダ?」

エーリカ 「泣いていたんじゃないの?」

ペリーヌ 「なっ!……ナールーカーミーさーん?」

鳴上 「ち、違っ……あと、それ自爆じゃ」

シャーリー 「だーっはっは! お前……お前……何があったか聞かせてくれよ。な?ナルカミぃー。」

ペリーヌ 「しまっ! お止めなさい!ナルカミさん!」

> 楽しい団らんの時間が過ぎていく……

ミーナ 「食べないの? 美味しいわよ、これ。」

バルクホルン 「食欲がわかないんだ……先に休ませてもらう。」 ガチャ……

ミーナ 「トゥルーデ……」

――

――――

シャーリー 「っかー! 食った食った。お前、何でも出来るのな。」

鳴上 「菜々子が喜ぶからな。そういえば」

リネット 「また菜々子ちゃんの話……」

ペリーヌ 「ストーップ! そこまでですわ! 皆さん食べ終わったのですから。まだ片付けが残っていますでしょう?」

鳴上 「……そうだな。」

ペリーヌ 「何をそんなに落ち込んでいますの。さあ、食器洗いなら私がしますから。テーブルをお拭きになって。」

鳴上 「分かった。でも仕事は俺の……」

ペリーヌ 「私の監督責任もありますから。さあ、ちゃっちゃと終わらせますわよ!」 ジャブジャブ……

シャーリー 「ペリーヌの奴、少し丸くなったか?いつもなら片付けなんて言わないぜ?」 コソッ

リネット 「うん。何か吹っ切れたみたい……」 コソコソ

宮藤 「ひょっとして鳴上さんは何か知ってる?」ゴニョゴニョ

鳴上 「抱えてた重石を背負ったのかもしれない。辛いのは変わらないが両手が使えるようになれたってことかな。」

シャーリー 「……扶桑の言い回しは面倒くさいな。」

ペリーヌ 「早く食器を持ってきてくださいまし! ほら、ナルカミさんも手を動かす!」

シャーリー 「っと、ヤバい。すぐ持っていくー。」

> ペリーヌを通して隊の皆との絆を感じる……




ひとまず終わり。宮藤、リーネ、ペリーヌ回の予定がペリーヌだけでいっぱいいっぱいに。
最後のは愚者コミュのつもりでした。次回はお姉ちゃんことトゥルーデ回の予定。

[3話 ディヴィジョン]

>ようやく1週間の食事当番も終わった……

鳴上 「これで食事のレパートリーに悩ませられなくて済むな。」

宮藤 「そんな主婦みたいな……料理、美味しかったですよ。」

鳴上 「そう言ってくれると嬉しい。バルクホルン……えっと、大尉が残していたから、少し不安だったんだ。」

リネット 「バルクホルンさん……最近様子がおかしいですよね。」

エーリカ 「そーそー。トゥルーデ、どんなときもご飯だけはちゃんと食べるのに。」

リネット 「ハルトマンさん、いつの間に?そういえばご飯の時、居ませんでしたね……」

エーリカ 「エヘヘ、ちょっと寝過ごしちゃった。酷いよねトゥルーデ、普段ならお昼寝していても起こしてくれるのに。」

鳴上 「なぁ、さっきから言ってる、トゥルーデってなんだ?」

エーリカ 「んー? ああ、バルクホルンのこと。ファーストネームのゲルトルートの下の綴り。」

鳴上 「あー……なるほど。ありがとう。」

エーリカ 「お礼なら、ご飯を作ってくれると嬉しいな。ジャガイモならもっといいけど。」

鳴上 「仰せのままに。宮藤たちは先に風呂にでも入ったらどうだ?」

宮藤 「そうだね。行こ、リーネちゃん!」

リネット 「そうだね。それじゃ、お先に失礼します。」 ガチャ……タッタッタ

エーリカ 「じゃねー。早く早く。お腹ペコペコだよ。」

鳴上 「どうぞ。ふかしただけだけど。後は夕食のとっておいたやつ。」

エーリカ 「苦しゅうないぞよ……なんちって。いただきまーす。あぐ。」

鳴上 「……えっと、ハルトマンさんはこの前ネウロイの200機撃墜を達成したんだっけ。」

エーリカ 「ふん、ふももも。むぐぐぐぐ」

鳴上 「あ、飲み込んでからの方がいいんじゃないか。」

エーリカ 「もきゅ。そうだけど、トゥルーデなんか250機だよ。」

鳴上 「ミーナ中佐は160……カールスラント出身のウィッチの撃墜数は群を抜いているよな。」

エーリカ 「そうだけどね、いくら多く撃墜しても意味が無いよ。」

鳴上 「どうしてだ。」

エーリカ 「だって、ネウロイは巣から来るんだよ。それを叩かなきゃ意味が無い。」

鳴上 「巣か……あのガリアに見えた黒い雲みたいな奴か。」

エーリカ 「正解。まずはペリーヌのガリアから。大陸奪還の足掛かりってのがこの隊の目的。」

鳴上 「だからペリーヌはあんなにピリピリしてたんだな。私がって。」

エーリカ 「誰かさんのお陰で、丸くなったけれどね。」

鳴上 「誰かがいなくてもじきにそうなったと思うぞ。」

エーリカ 「どうだかね~」

> エーリカはいたずらっぽい笑みを浮かべている

エーリカ 「トゥルーデもああなればいいんだけどね……」

鳴上 「やっぱり、何か思い詰めているのか?」

エーリカ 「あー! このお味噌汁もジャガイモ入りだー。こう、身が中でほぐれて凄い美味しいよ!」

鳴上 「そ、そうか……それは良かった。」

エーリカ 「ところで、撃墜数の話だったよね? 話題、それちゃった。」

> バルクホルン大尉についての話題をするのは難しそうだ……

ズボン一丁を想像したけど・・・なぜだろう。番町だとまったく持って違和感が無いむしろハイカラ

>>83 プレイヤー次第では海パンでシャドウを蹴散らすから仕方ない。でも、制服。

鳴上 「それじゃあ、疑問というか、ここの隊員にカールスラントの軍人が一番多いのはどうしてだ?」

エーリカ 「もぐ……大体の説明だけどね。一言で言うとここは最前線で戦える級ウィッチの集まりだよね。」

鳴上 「ああ。俺や宮藤なんかは珍しいケースだって坂本さんが。」

エーリカ 「“特例”だよねぇ。強力な治癒魔法と、イレギュラー。」 ズズズ……

エーリカ 「それはいいや。ぶっちゃけた話、どこも国の防衛に優秀なウィッチを集めたいから」

鳴上 「こうした遊撃部隊の運営には消極的ってことだ。」

エーリカ 「正解。501はブリタニアの懐なのにリーネしかいないでしょ?」

鳴上 「言われてみたらそうだよな。それも、リネットも新米なんだろ?」

エーリカ 「その通り。半分は上の嫌がらせだけど、ホント宮藤が来るまでは大変だったんだよ?」

エーリカ 「何一つ自信が持てなくてろくに戦えなかった。胸はあんなに大きいのにね。」

鳴上 「そこで同意を求められても……」

エーリカ 「私の見立てじゃあの大きさは一、二を争うね。」

鳴上 「……なんとなく分かる気がする。」

> “勇気”が上がった

エーリカ 「まあ、そういうことだね。カールスラントは国を失ったけど軍は大陸でも大きかったんだ。」

エーリカ 「撤退に関しては概ね上手くいったし、技術も進んでいる。ネウロイが来るまでは守備の要だった。」

鳴上 「だから、カールスラントの防衛から多くの戦いを重ねて経験を積んだ上、」

鳴上 「国を失っても奪還や支援でウィッチを最前線に送り続けるせいで送られた方は」

エーリカ 「撃墜数も増えてったって寸法。呑み込み早いね。」

鳴上 「参考になったよ。複雑なんだな。人が戦争をしない世界も。」

エーリカ 「そうだね。軍からの無理難題とか、嫌がらせとか。ホント……馬鹿馬鹿しいよ。」

> ハルトマンの意外な一面を知った……

一応ステータスはカンストのつもり。何か面白い表現を思い付いたら上昇させるかもだけど。
そして、番長の勇気は主に女性に発揮される。つまりそういうこと。

鳴上 「色々勉強になったよ。ありがとう。」

エーリカ 「どーいたしまして。お礼もだけど、今度はお菓子とか作ってくれたら嬉しいな?もっと教えたげる。」

鳴上 「宮藤ほど良いものは作れないけど、いいのか?」

エーリカ 「実は……トゥルーデにお菓子取り上げられちゃったんだよね。宮藤にも作るなって言ったみたい。」

鳴上 「……分かったけど、程々にな。」

エーリカ 「えへへ、りょーかーい。」

バルクホルン 「ハルトマン、いるか?」 ガチャ

エーリカ 「おっとっと。何、どしたの?」

バルクホルン 「なぜ慌てている。いや、お前が寝ていたのを忘れていてな。」

エーリカ 「この通り、ちゃんと食べてるよイモもサービスしてくれたし。」

鳴上 「どうも。」

バルクホルン 「すまないな。……ハルトマン、まさかイモをねだったんじゃないだろうな。」

エーリカ 「う゛……ソンナコトナイヨー」

バルクホルン 「全く……鳴上軍曹も、あまり甘やかすことはないぞ。」

鳴上 「いえ、夕飯で余った食材でしたから。」

バルクホルン 「そうか。元はと言えばお前がしっかりとした生活習慣をだな……」 ガミガミ

> バルクホルン大尉の説教は続く……

鳴上 「まるでお姉ちゃんみたいだな。」

バルクホルン 「ッ!…………」

エーリカ 「うわー……やっちゃった。」

鳴上 「?」

バルクホルン 「…………行くぞ、ハルトマン。」

エーリカ 「はーい。……ナルカミ、トゥルーデの前でお姉ちゃんは禁句。」

鳴上 「わ、分かった。」

バルクホルン 「モタモタするな、早くしろ……」

エーリカ 「そんじゃね。ごちそうさま。」

エーリカ 「しょうがないよ、ナルカミは知らないんだし。」 ガチャ……バタン

バルクホルン 「分かっている……」

エーリカ 「分かっていたら、そんな落ち込まないよね。」

バルクホルン 「分かっていると言っているだろう! ああそうだとも、鳴上軍曹は悪くない。」

バルクホルン 「宮藤もだ。全てあの子を、クリスを守れなかった私が悪い! そういうことだろう!?」タッタッタ……

> 廊下に一人、ハルトマンが取り残されている……

エーリカ 「……トゥルーデのバカ。宮藤の前にそっちが死んじゃうよ。」

> 扉一枚を隔て、バルクホルン大尉の声が聞こえる……

バルクホルン『…藤も……全て……クリスを守れ…かった……悪い!』

鳴上 「クリスって……誰だ?」 カチャカチャ……ジャブン

> 今はそっとしておこう

> 片付けも終わった。次は何をしようか……

鳴上 「ストライカーのこと、もう少し勉強しようか。」


【ハンガー】

> シャーリーとルッキーニが熱心にストライカーを整備している……

シャーリー 「おーっす、どうしたナルカミぃ。珍しいな。アタシに会いに来たか?」

鳴上 「ああ、そんなところだ。」

シャーリー 「なんだ?嬉しいこと言ってくれるじゃんかよー。」

ルッキーニ 「シャーリーの胸はアタシのだかんね!」 ガルル

鳴上 「安心しろルッキーニ。そういう意味じゃなくて、ちょっとストライカーの整備で聞きたいことがあってさ。」

シャーリー 「なーんだ、でもいい心がけじゃんか。自分の命を預けるものは自分でもよく知りたいよな。」

ルッキーニ 「こっちは終わったよー!」

シャーリー 「よし、それじゃあアタシとルッキーニで軽くバラしながら説明するから。」

鳴上 「よろしく頼む。」

ルッキーニ 「よろしく頼まれちゃったね!」

シャーリー 「ああ、ビシバシ行くぞ。」

> しばらくストライカーの構造や整備について教えてもらった。

> 複雑な仕組みに苦戦しつつも一通り方法を習得した……

> 知識が上がった。

> 根気が上がった。

鳴上 「終わった……結構難しいんだな。」

シャーリー 「だろ? エンジンが入るともっとキツイ。今はアタシじゃ少し弄れないけどな。」

鳴上 「どうしてだ?」

ルッキーニ 「この魔導エンジン。どこのものかも分からないの。」

シャーリー 「ああ。ド三流の粗製とも思ったけど違う。オリジナルより良いものだ。」

鳴上 「分かるのか?」

シャーリー 「当然だ。長いことストライカーを弄ってるんだから。」

ルッキーニ「……うじゅぁ……眠い。アタシ先上がるね。」 フラフラ

シャーリー 「お休みルッキーニ。」

鳴上 「ルッキーニ、どこへ行くんだ? 部屋の方には」

シャーリー 「ああ、ルッキーニは基地のあちこちに寝床を作ってるんだよ。部屋に帰ることは滅多無い。」

シャーリー 「中佐も堅物も眼を瞑ってくれるから何も言わないけどな。」

鳴上 「堅物?」

シャーリー 「バルクホルンだよ。一応、中佐や坂本少佐がいないときは戦隊長を担当してる。」

鳴上 「あんな様子で、指揮なんて出来るのか?」

シャーリー 「うわ、新入りナルカミにまで心配されちゃってるよ。前はもうちょいマシだったな。」

シャーリー 「アタシがからかっても返してくれたし、飯を残すなんて無かったもん。」

鳴上 「今の様子じゃ考えられないな。いつからだ?」

シャーリー 「多分……宮藤が来てからだな。」

鳴上 「宮藤が? ……大尉はクリスとか言ってたけれど。」

シャーリー 「あぁ……それか。えっと、すまん。アタシからは言えないわ。」

鳴上 「分かった。」

シャーリー 「あまり根詰めるなって、お前からも伝えてくれ。あんなんじゃいつか大変なことになる。」

鳴上 「ああ、ハルトマンも心配していたしな。」

番長のストライカーは零式艦上戦闘脚二二型のつもり。可視化するプロペラが一回り大きくて安定性が高かったり、
魔導エンジンの出力が強化された五四型並っていうどうでもいい俺設定があったりします。

シャーリー 「取り敢えず、今日教えることはもう無いぜ。そろそろ夜も更けてきた。」

鳴上 「ああ、俺も坂本さんにどやされたくないしな。」

シャーリー 「いや、一番恐いのは少佐よりも……まあいいか。追々分かるし。」

鳴上 「何の話だ。」

シャーリー 「こっちの話だから気にすんな。ゆっくり休め。」

鳴上 「? そうだな、お休み。」

シャーリー 「そうだ、折角だし部屋に戻るまで話さないか? お前のいたとこの戦闘機の話をしてくれよ。」

鳴上 「学生が知ってる範囲でもいいか?」

シャーリー 「ああ! 頼む、このとーり!」 ペコッ

鳴上 「確か……」

> ジェット戦闘機やステルスなど、この時代に無いものについて話した。

シャーリー 「すっげぇ! ジェットに手をだしてるなんてこっちじゃカールスラントくらいだ。」

> シャーリーの機械へのマニアックな知識に振り回されながら部屋まで話していった。

【翌日/ 食堂】

> 全員が集まって朝食を摂っている

宮藤 「おはようございます、鳴上さん。」

鳴上 「ああ、おはよう。」

> リネットと宮藤が何かを話している

宮藤 「……なんだ、それでね、私も頑張って皆を守れたらなって。」

リネット 「素敵な話だね、芳佳ちゃん。」

バルクホルン 「皆を守る……そんなものは夢物語だな。」 ボソッ

リネット・宮藤 「え?」

バルクホルン 「……」

ミーナ 「どうしたの? トゥルーデ。」

エーリカ 「最近、食欲も無いみたいだね。いつもちゃんと食べるのに。」

バルクホルン 「そんなことはない。」 モグ……チラッ

宮藤 「ん?」

リネット 「どうしたの?」

宮藤 「今、誰かに見られてたような……一体誰g」

ルッキーニ 「……おかわりー!」

鳴上 「あ、俺にも。」

宮藤 「は、はーい。鳴上さんもルッキーニちゃんもよく食べますね。」

鳴上・ルッキーニ 「育ち盛りだ(もん!)」

宮藤 「ふふっ、今よそうから。ちょっと待っててね。」

バルクホルン 「……」

宮藤 「あの、バルクホルンさん。お口に合いませんでしたか?」

バルクホルン 「……」 スタスタスタ……

宮藤 「バルクホルンさん……」

ルッキーニ 「おかわり早くー。」

鳴上 「はーらーへーりーはーらーへーりー」

宮藤 「何ですかその歌。んしょっと。」

> やや重たい雰囲気のまま食事の時間が過ぎていく

乙、鳴神番長のブレなさがいいね。
ストライカーはどうせオリジナルなんだから紫電改とか震電でもよかったな

>>98 考えてたけど、近接戦闘では零式のが使いやすいともっさんが言ってたみたいなので。

【夕方】

ミーナ 「さて、宮藤さんに鳴上君にも、そろそろあげないとね。」 ガサゴソ

鳴上 「あげるって……?」

ミーナ 「はい、これ。まだ半月程のだけど、皆と渡す時期を合わせたいから、お給料よ。」

宮藤 「お給料……?」

ミーナ 「使い道を決めたら私に伝えてちょうだい。」

宮藤 「ありがとうございます。えーっと……」

リネット 「芳佳ちゃーん、お風呂入りに行かない?」

宮藤 「うん、いいよー! ……後で見よっと。」 タッタッタ……

鳴上 「お給料か、バイト以外じゃ初めてだな…………!」

鳴上 「…………」 カタカタカタ

ペリーヌ 「どうしましたの?そんなに震えて。」

鳴上 「ああ、ペ、ペリーヌか。これで……半月分なの、か?」 ピラッ

ペリーヌ 「えーと……そうですわ……ナルカミさん?どうしてそんなに頭を抱えて?」

鳴上 「下手したら、堂島さんよりもらってるんじゃないか……これ。」

シャーリー 「誰だよドージマって。」

鳴上 「こっちの話だ。あの。ミーナ中佐。こんなにもらって……?」

ミーナ 「ええ。最前線だもの。」

バルクホルン 「鳴上軍曹。これは言ってみれば保険のようなものだ。」

バルクホルン 「いつ死んでもおかしくない我々だからな。せめて自身や家族の生活だけでも困らないようにしよう。」

ミーナ 「言い方はキツイけど、トゥルーデの言う通りね。このくらいの厚意は受け取ってもバチはあたらないわ。」

鳴上 「わ、分かりました……」

鳴上 「でも、こんなに……シャーリーは何に使ってるんだ?」

シャーリー 「メンテの機材とか、車だな。」

ルッキーニ 「私はお菓子とか、虫かごとか!」

鳴上 「ペリーヌは?」

ペリーヌ 「へ?わた、私は……なんでもいいでしょう。」

シャーリー 「ニィ……ああ、ペリーヌの奴なら殆んどを貯金ってか、どっかに寄付してるんだっけ?」

ペリーヌ 「ちょ、ちょっとシャーリーさん!?」

鳴上 「ペリーヌはガリアの出身だよな。ってことは……」

ペリーヌ 「余計な詮索はしないでよろしいの!!」

鳴上 「……ミーナ中佐。給金の半分、ペリーヌに回したりって出来ますか?」

ミーナ 「出来ないことはないけど……いいの?」

鳴上 「はい。指導とか、お世話になってますし。」

ペリーヌ 「当事者を入れて話してください!」

鳴上 「いらないのか?」

ペリーヌ 「そんな安易な同情を買うほど落ちぶれていませんわ!」

ルッキーニ「心配してもらって嬉しいくせに、うしゃしゃ。」 コソッ

シャーリー 「素直になれないって面倒だな。」 ゴニョ

ペリーヌ 「な に を 話 し て い らっ しゃ い ま す の?」

鳴上 「…………」 ジーッ

ペリーヌ 「ですから、部外者のナルカミさんに……」

鳴上 「…………………」 ジ―ッ

ペリーヌ 「……まぁ、どうしてもというなら。受け取らないこともないですけど。」

ペリーヌ 「こっ、これはナルカミさんが押し付けるからですが、それを無下に断るのは貴族として……//」

ミーナ 「決まりね。」

ルッキーニ 「悠おじちゃんって、あれだよね……」

シャーリー 「使い魔は狐だけど、アレだな。せーのっ」

シャーリー・ルッキーニ 「人懐っこい大型犬。だよな(ね)……ぷっ……くくっ……」

鳴上 「犬が何かおかしいのか?」

ペリーヌ 「……気にするだけ無駄ですわよ。」

>101 人が装備するメカとかって……全身機械より肌とか生身のとこがあるほうがいいじゃない?好みだけど。


シャーリー 「くくっ……んで、半分は何に使うんだ?」

鳴上 「そうだな、本とか原付かな。」

シャーリー 「なんでぇ、原付なんてしけてやんの。バイクのがよくね?」

鳴上 「といっても、バイク運転出来ないしな……」

シャーリー 「アタシが教えるって。初心者向けの小型ならそんな変わらないからさ。」

鳴上 「それはありがたい。是非とも頼む。」

シャーリー 「任せなさいって。」

ペリーヌ 「ナルカミさんがバイク……それで行きましょう。」

ルッキーニ 「何で行くのー?」

ペリーヌ 「な、何でもありませんわ。」


ミーナ 「鳴上君も、大分馴染んで来たわね。」

バルクホルン 「少しリベリアン寄りに馴染みすぎだ。まるで緊張感が足りない。」

ミーナ 「でも、男の子だし力もあるから実戦では頼りになるんじゃないの?ペリーヌ少尉との共闘だって」

バルクホルン 「まだまだ荒削りだ。見ていて危なっかしい。」

ミーナ 「ふふっ、それもそうね。トゥルーデのお給料は」

バルクホルン 「いつも通りだ。」

ミーナ 「いいの? 少しは手元に置いとかないと……」

バルクホルン 「衣食住全て保証されているのにこれ以上貰う気は無い。」 ガタッ……スタスタスタ……

密着作戦はしたいけど大分先になると思われ。ペルソナで仮面というとフィレモンの胡散臭さ全開なアレしか浮かばないや。

シャーリー「んでさ、どうする? カタログなら腐るほどある。何だったら色々話をして」

鳴上 「じゃあ、明日にでも。」

シャーリー 「集めとくよ。別にハルトマンじゃないから今日でもいいぞ。」

鳴上 「ハルトマンじゃないからって?」

シャーリー 「あの部屋の凄さを知らないのか? 相当汚いぜ。」

ルッキーニ「んでさ、今日はダメってことは何か用事でもあるの?」

鳴上 「今日は涼しいからな、基地の周りをちょっと走ってから寝ようかと。ルッキーニも来るか?」

ルッキーニ 「やだ。」

鳴上 「汗を流して風呂に入って寝ると気持ちがいいぞ?」

ルッキーニ 「うじゅぅ……なんか、少佐みたい。」

鳴上 「そうか? それじゃ、行ってくる。」

――

―――

> 基地の海岸に沿って走り続けた……

> 根気が上がった

鳴上 「感情にあーらーがうなーよー」 タッタッタッタ

鳴上 「その足をとーめんなー 倒れるーのーはーまーだはーやーいぜ……」

> ここは自分が立っていた場所だ……

鳴上 「ここに来て半月か……」

> まだ帰る手立て、来た理由も分からない……

鳴上 「そろそろ戻るか……」

鳴上 「おー、break'n throuthうちーぬーけーよー……」タッタッタッタ……

富山県民なのに盛大なスペルミス。トチってるからちょっと影抜きして落ち着いてくる。
break'n throughだった。

> 一旦戻って風呂に浸かった

鳴上 「相変わらずいい湯だ……今度はサウナも行こうか。」


> 通りかかったら部屋から話し声が聞こえる……バルクホルン大尉の部屋だ。

ミーナ 「あれはアナタの責任じゃないわ。」

バルクホルン 「だが、もっと早くネウロイを倒せたら」

ミーナ 「それでも、皆を逃がす時間稼ぎを出来たのよ。」

バルクホルン 「クリスを……妹一人を守れないでいったい何が……」

ミーナ 「トゥルーデ、疲れてるのよ。休暇を取ったらどう?しばらく貯めているでしょう?」

バルクホルン 「いや! 私の命はウィッチーズに捧げたんだ。次の作戦も出してくれ、必ず。」

ミーナ 「宮藤さんのこと、クリスと重ねているの?」

バルクホルン 「……そんなことは、無い。」

ミーナ 「相変わらず、嘘は苦手ね。それが良いところなんだけど。」

バルクホルン 「余計なお世話だ。」

ミーナ 「そうね。お休みなさい。明日は編隊飛行の訓練でしょう?」

バルクホルン 「分かっている。」

ミーナ 「じゃあね。皆心配してるわ。」 キィィ……バタン

バルクホルン 「……」

ミーナ 「……それで、いつまで隠れているつもりかしら? 鳴上君。」

鳴上 「っ! すいません。少し話し声が聞こえるのでつい……」

ミーナ 「正直でよろしい。私の固有魔法は三次元の空間把握なの。」

ミーナ 「そんなに範囲は広くないけど、高性能のレーダーみたいなものよ?」

鳴上 「り、了解です。中佐。」

ミーナ 「今は勤務時間外だから、そんなに固くならなくていいわ。」

ミーナ 「で、どこまで聞いたのかしら?」

鳴上 「バルクホルン大尉に妹がいるってことと、何かに動揺してるってこと。」

ミーナ 「そこまで聞いたなら、アナタにも話さないといけないわね。」

ミーナ 「隊の仲間があんな様子じゃ不安でしょう。理由くらい気になるわよね。」

鳴上 「力になれたら嬉しいですし。」

ミーナ 「気持ちだけでもありがたいけど。こればかりは本人の問題ね……」

ミーナ 「トゥルーデにはね、妹さんがいるの。クリスって名前でね、仲も良かった。」

ミーナ 「その妹がネウロイのカールスラント襲撃の時にね。」

鳴上 「ウィッチとして戦っていたのに、守れなかったってこと?」

ミーナ 「ネウロイは倒したの。でも、その破片を受けて閉まって意識が無いままなの。」

ミーナ 「そのことをあの子はずっと気にかけている。」

鳴上 「でも、カールスラントの撤退戦は随分前のはずじゃ……」

ミーナ 「宮藤さん、が原因かしら。少し似ているのよ……」

> ミーナ中佐の表情は疲れて見えた……

> 中佐のバルクホルン大尉への心配が伝わってくる

ミーナ 「宮藤さんには内緒ね。お願い。そろそろ就寝時間だから、アナタも早く寝なさい?」

鳴上 「分かりました。」

番長だって、夜中に女性の部屋に訪れるなんて緊張するだろうということで。


鳴上 「宮藤が、似ている……大尉の妹さんにってことか。」

> 今からでも話を聞いてみたいが……

> その為には大尉の部屋をノックしなければならない。

> 今の勇気なら大丈夫そうだ……

鳴上 「あの、バルクホルン大尉。」 コンコン

バルクホルン 「……鳴上軍曹か。どうした。」

鳴上 「いえ、少し気になることがあって……」

バルクホルン 「口説きには乗らんぞ。」

鳴上 「軍規で決まっているんでしょう。」

バルクホルン 「分かっているならいい。そうだな、15分だ。それ以上は就寝時間に入るからな。」

鳴上 「それじゃあ、失礼します。」 キィ……バタン

> 机の上のグラスに赤い液体が注がれている……

バルクホルン 「安心しろ、酔いを明日に残す気は無い。お前も飲むか? 安物だがな。」

鳴上 「いえ、未成年ですから。」

バルクホルン 「私もだ。カールスラントでは16から飲めるんだ。保護者の監視という制約はあるがな。」 クイッ

鳴上 「保護者なんて、どこにもいないぞ?」

バルクホルン 「ふっ、18にもなれば大丈夫だ。しかし保護者がいるとしたら……お前だな。」

鳴上 「俺、年下ですけど……」

バルクホルン 「いるとしたら、だ。冗談の通じんやつめ。」

鳴上 「……バルクホルン大尉には言われたくない。」

バルクホルン 「どうした。ぶつぶつと呟いて。」

鳴上 「いえ、何も。」

バルクホルン 「おかしな奴だ。それで……話というのは何だ。」

鳴上 「時間も少ないので、本題から行きます。何か悩みでもあるんですか?」

バルクホルン 「フラウ……ハルトマンのことにリベリアン。祖国の現状。山ほどある。」

鳴上 「そして妹さん……クリスのことだな。」

バルクホルン 「 ! 」

バルクホルン 「いつそれを知った。」

鳴上 「少し声が聞こえたので」

バルクホルン 「悪趣味だ。」

鳴上 「否定はしないが、質問をいいか。どうして妹に会いに行ってやらない。」

バルクホルン 「盗み聞きをしたなら分かっているだろう。私のせいであの子は眠ったままなんだ。」

鳴上 「でも、それはバルクホルン大尉の責任じゃないと中佐が」

バルクホルン 「じゃあ、何と言えばいいんだ。お前は怪我をしたけど私は頑張ったから、こうなったのは仕方ない。」

バルクホルン 「そんな無責任なことを言えというのか貴様は。」

鳴上 「少なくとも、妹さんは宮藤に似ているんだろう?」

バルクホルン 「ッ……ああ。クリスの方がずっと可愛いがな。優しい子だ。」

鳴上 「だったら、それでいい。ごめんなさいを言えばいい。無責任だろうと。家族なら迷惑だってかけるものだろ。」

バルクホルン 「……それでも、私はカールスラントの軍人だ。この命をウィッチーズに捧げると決めた。」

バルクホルン 「まずはガリアを解放してからだ。妹がどうこうの話ではない。」

鳴上 「最後に一つだけ。あるところに警官がいた。彼は綺麗な妻に一人娘がいた。」

バルクホルン 「それがどうした。」

鳴上 「幸せな家庭だったらしいが、ある日を境に幸せは簡単に崩れたそうだ。」

鳴上 「事故で奥さんが亡くなったんだ。轢き逃げでな。」

鳴上 「警官は必死で捜査をした。妻を殺した、娘に悲しい思いをさせた人間に報いを受けさせるために。」

バルクホルン 「警官の鏡じゃないか。」

鳴上 「ああ。だけど、警官は一人残された娘にどう接すればいいか分からなかった。」

鳴上 「男にありがちな、家庭は妻に任せきりでいたわけだ。」

鳴上 「娘も少しずつ育っていくと、また壁にぶつかった。」

鳴上 「可愛い娘の顔立ち、仕草。所々が奥さんにそっくりだったらしい。」

バルクホルン 「……」

鳴上 「彼はさらにどう接すればいいか分からなくなった。」

鳴上 「いつからか男は仕事に更に没頭するようになった。娘と正面から向き合おうとしなかった。」

追いついたら変なところで止まってるな

バルクホルン 「何が言いたいんだ。ハッキリしてくれ。」

鳴上 「大尉もその人と同じです。」

バルクホルン 「違う、私をそんな臆病者」

鳴上 「いいや、大尉も臆病だ。妹と向き合おうとせず、ネウロイ討伐に逃げ道を見出だしているだけだ。」

鳴上 「そうやって、悲劇のヒロインになった気で」

ゴスッ! ガッ!

> 壁にぶつからないように胸ぐらを掴まれ、殴られた。

バルクホルン 「お前に、お前に私の何が!……すまない。少し、取り乱したようだ。」

鳴上 「俺も言い過ぎました。でも、大尉とその警官は似ています。規律に厳しく、勘が良くて」

バルクホルン 「今更の世辞だ。……16分。そろそろ見回りが始まるぞ。早く帰れ。

鳴上 「失礼しました。」 キィげ……バタン

> 夜も更けてきた。部屋に戻ることにした……

>>112 うっかり寝落ちしてた。少しペース落ちそうだけど、今週中にこの話を終えたいと思う。

【翌日】

宮藤 「お早うございます。鳴上さ……どうしたんですか頬っぺた。真っ赤じゃないですか!」 トントン……

鳴上 「ああ、ベッドから落ちて床に顔を打った。お早う、宮藤。朝飯はなんだ?」

宮藤 「えっと、お豆腐のお味噌汁と銀ジャケと、おひたし……じゃなくて。痛くないんですか!?」

鳴上 「根性だ。」

宮藤 「とにかく、ちょっと屈んでください。手が届かないですから。」

鳴上 「なんだ。早くしないと味噌汁が沸騰するぞ……こうだな。」

宮藤 「じっとしててください。」 ピコ……パァァァ

> 暖かい光が頬撫でていく……

鳴上 「ん、くすぐった……あれ、腫れが引いてる。」

宮藤 「治癒魔法ですよ。大きな怪我は上手く出来ないけどこのくらいなら平気です。」

鳴上 「わざわざすまない。」

宮藤 「いいんです。これくらいしか取り柄が無いし、私のご飯。美味しく食べてもらいたいですから。」

宮藤 「えへへ。顔、気になってご飯の味が分からないときって少し悲しいですよね。」

鳴上 「そうだな。治してくれたからにはしっかり味わって食べるよ。」

宮藤 「たーんと食べてください。少し量が多かったので。」

> 宮藤とのほのかな絆の芽生えを感じる……

ルッキーニ 「おはよー。って、芳佳に悠おじちゃん、何してんの?」

シャーリー 「男が女の顔と高さを合わせる時ってのは決まってるっての。つーまーりー……?」

ルッキーニ 「ちゅー?」

ペリーヌ 「あ、ああ、朝からふしだらですわ!? 宮藤さん、ナルカミさん。早急な説明を!」

宮藤 「えぇ!? 違うってば、キスとかじゃなくて怪我の……」

リネット 「芳……佳………ちゃん?」

宮藤 「リーネちゃんまで!? ご、誤解だってば! 鳴上さんも説明を……」

鳴上 「そんなに……イヤだったか?」

宮藤 「なにそのしおらしい様子!? 悪ノリしないでよ! も~……」

鳴上 「すまん。正直楽しんでた。詳しく事情を話すとだ……」

> 悪ふざけを打ち止め、誤解への経緯を話した。

> 今の伝達力なら皆を納得させる説明は簡単だった。

シャーリー 「なーんだ、よく考えりゃそうだわな。」

ルッキーニ 「つまんなーい……」

ペリーヌ 「ま ぎ ら わ し いですわ! 全く、冗談にも限度が……」 ブツブツ

リネット 「ごめんね。その、鳴上さんって、時々冗談か本気か分からなくて……」


バルクホルン 「……」

シャーリー 「どうしたバルクホルン。いつもなら軍規がああだこうだって言うところだぜ?」

鳴上 「……」 チラッ

バルクホルン 「疲れただけだ。宮藤と鳴上が来てから慌ただしくてならん……」 プイ

シャーリー 「んで、どうなんだよ。色恋とか、あったのか?」

鳴上 「……さあ、な。」プイ

ルッキーニ 「そのかお、絶対何かあったね。何股とか?」

鳴上 「そういう関係じゃなかったと思うけどな。」

エイラ「どれ、私ガ占って当ててや 」

鳴上 「そっとしておけ。」

> 先程の出来事があってか、食堂の空気は明るい……

坂本 「色恋話に盛り上がるのも結構だが、宮藤とリーネは60分後にハンガーへ来い。」

坂本 「鳴上は今日は稽古をつけてやれん。ペリーヌと訓練だ。お前の射撃は酷いからな。」

鳴上 「分かりました。」

ペリーヌ 「―――」

鳴上 「落ち着け」



――

【一時間後】

坂本 「集まったな。これより、編隊飛行の訓練に入る。」

坂本 「私とバルクホルン大尉が一番機になる。大尉には宮藤が、私にはリーネが二番機につけ。」

宮藤 「あ、あの……」

坂本 「返事は!」

宮藤 「は、はい。了解です。」

坂本 「内容は簡単だ。私とリーネが先行し、大尉と宮藤がそれを追う。」

リネット 「あの、鳴上さんは、どうするんですか?」

坂本 「考えてみろ。一人で飛ぶのに精一杯なお前たちがいきなりケッテなど危険すぎる。」

バルクホルン 「そういうことだ。鳴上軍曹も大概だが、お前たちは危なっかしい。」

坂本 「そういうことだな。行くぞ。二番機は一番機から眼を離すな。」 ブーン……

リネット 「了解です。」 ブロロ……ブーン……

バルクホルン 「行くぞ、新人。」 ブーン

宮藤 「はい!」 ブロロ…ブーン

ペリーヌ 「くっ……あんの豆狸……!」 プルプル

鳴上 「狸というより、豆柴じゃないのか? 使い魔もそれだ。」

ペリーヌ 「どうでもいいですわ。そんなこと! 問題は坂本少佐と宮藤さんが一緒にいることなの!」

鳴上 「だって、前に坂本さんがペリーヌをちゃんと見てくれてるって分かっ」

ペリーヌ 「それとこれとは話が違います!」

鳴上 (……違うのか?)

ペリーヌ 「でしたら、訓練をしますわよ! これを使いなさい。」

> ペリーヌの手には見慣れた拳銃がある

鳴上 「確か、ワルサーっていうんだっけ。」

ペリーヌ 「残念。扶桑の銃ですわ。南部十四式よ。ミーナ中佐から渡してくれって。」

鳴上 「ありがとう……? ナンブって、リボルバーじゃないのか?」

ペリーヌ 「またワケの分からないことを……まずはそれ、撃ってみなさい。」

鳴上 「こうか。」

ペリーヌ 「なぜ銃を横に倒してますの!」

鳴上 「いや、直斗はこうして……」

ペリーヌ 「拳銃はこう! ですわ。あなたは体格が良いですから、片手撃ちでも……」

鳴上 「……近くないか? こうだな。」

ペリーヌ 「あ、あなたが構えを知らないから仕方無くよ。横に倒して撃つのは危険なの。」

ペリーヌ 「弾詰まりのうえ、当たらないし手首にくる負担も大きいから。ともかく! あの岩を撃ってみなさい。」

鳴上 「こう……」

ペリーヌ 「片眼を閉じない。それと、サイトを覗かず撃ちなさい。ネウロイは狙わせてくれないわ。」

鳴上 「体で覚えろってか。」 タン…タタン

> ペリーヌの指導で射撃を改めて教わった……

ペリーヌ 「マシにはなってきましたわね……」

鳴上 「ペリーヌのお陰だ。」

ペリーヌ 「……当然ですわ。私を誰だと思って」

ウゥ―――――ウゥ―――

鳴上 「サイレン!? まさかネウロイが……」

ペリーヌ 「そのまさかよ。訓練の成果を見せてやりなさい! 反動の制御以外は拳銃と同じ。」 タッタッタ……

鳴上 「任せろ!」

リボルバーって、ニューナンブかww

>>121 直斗の初期武器がそうだったと思うので。どうでもいいネタを拾ってくれてありがとう。

坂本 「見える敵ネウロイは大型が一機だ。宮藤とリーネは私の直援に回れ。」

ミーナ 「美緒、ごめんなさい。ネウロイはあの一機だけ。陽動の線は薄いそうよ。」

ペリーヌ 「少佐! ご無事で!?」

鳴上 「遅れました!」

坂本 「充分だ。ペリーヌと鳴上はバルクホルンにつけ。三番機だ。しっかり面倒を見てもらえ。ミーナ、後の指揮は任せた。」

ミーナ 「ご苦労様。各機散開、攻撃目標は敵大型ネウロイ。」

リネット 「はい! 援護に回ります。」 ドンッ……ガチャ……ドンッ

宮藤 「了解です! 坂本さんががコアを見つけるまで引き付けます。」

坂本 「それでいい。バルクホルン、聞こえているか!」

バルクホルン 「……了解した。着いて来い。」

ペリーヌ 「あの豆狸……また坂本少佐と……」

鳴上 「やああぁってやるぜ!」

ペリーヌ 「ひっ、ちょっといきなり大声出さないでくれます!?」

鳴上 「ごめん。確か……狙いは大体でいい。脇を締めて、当たらないならぶつかるくらいに近付いて……」

鳴上 「引き金を絞る!」 ドドドドドッ

ピシッピシッピシッ!

鳴上 「よし、命中。」

ペリーヌ 「その調子ですわ。あちこち撃ってコアを探すの!」

バルクホルン 「ふっ!」 ゴバッ!

鳴上 「凄いな……銃をトンファーみたいに。あれが汎用機関銃の」

ペリーヌ 「違います! 大尉の固有魔法ですわ。魔力で物を持ち上げる、いわば怪力ですわね。」 ダダッ ダダン

鳴上 「なるほど、だからあんなに痛かったのか。」

ペリーヌ 「?」

鳴上 「こっちのはな……くっ!」 バァァッ

バルクホルン 「お喋りの暇があるならしっかり着いてこい。」 ブーン……

鳴上「そう言われても……」

ペリーヌ 「あんな機動、真似できるのはハルトマン中尉くらいですわ。私が追い付けないなんて……」

ミーナ 「やっぱり、トゥルーデの様子がおかしいわ。」

リネット 「え?」

ミーナ 「あの子はいつも二番機、三番機を視界に入れて戦うのに。前に出すぎよ。」


バルクホルン 「このっ! このっ!」 ドドドドドッ

鳴上 「大尉、前に出すぎです! カミカゼじゃあないんですから!」 ダダダッ ……ダダンッ

ビィィィ!

バルクホルン 「その程度の攻撃など!」

ペリーヌ 「あぶっ、シールドを……きゃっ!?」

ドンッ

バルクホルン 「くっ! しまっ……があぁぁ!」 バァン!

坂本 「どうした!? 何があった!」

ペリーヌ 「あの、えっと……」

鳴上 「ペリーヌは大尉を拾って手当てを! 坂本さん、治癒の使える宮藤も呼んで」

坂本 「もう行ったよ……」

鳴上 「大尉が回避したビームの射線上にペリーヌがいて、そいつを防ぎきれなくてペリーヌが大尉とぶつかったんです!」

鳴上 「それで大尉の押し出された先にネウロイの攻撃が!」

坂本 「分かった。お前もバルクホルンの援護につけ。動揺したペリーヌだけじゃ不安だ。」

鳴上 「分かりました! 早くしない……とっ! 」

> しかしネウロイの熾烈な攻撃で身動きが取れない……!

鳴上 「邪魔を……するな。仲間が危ないんだ……」 カッ!

鳴上 「構ってる場合じゃない、どけよ!」 バチバチッ……ズバッ!

> 雷撃を纏った扶桑刀が横一文字に切り裂く……

1more

鳴上 「イザナギ!」 バチィ……ザシュッ!

> 何も無い空間から強力な斬撃が飛ぶ……!

バルクホルン 「今のは……鳴…か…じゃが…い。刀を持った……大男……?」

ペリーヌ 「大尉――!!」

宮藤 「バルクホルンさん!!!」

> 地面は土埃で何も見えない……

鳴上 「ペリーヌ! 宮藤!」

宮藤 「大丈夫、無事に地面に降りた! けど、大尉の傷が酷いの……」

鳴上 「分かった。今行く。手伝えることがあったら何でも!」

鳴上「よくやった、宮藤。あとは基地に……」

宮藤 「ダメ、出血が酷いの。動かしたら大変なことに……」

ペリーヌ 「どうしよう……私のせいだわ……私の……」

鳴上 「落ち着け! 何か出来ることはあるか!?」

宮藤 「ネウロイの攻撃をしのいで! その間に私が魔法で何とかするから!」

鳴上 「頼りにしてるぞ!」

ペリーヌ 「お願い宮藤さん。大尉を助けて!」 タッタッタ

宮藤 「大丈夫。みっちゃんの時と同じ……自分を信じて。」 ポゥ……

バルクホルン 「うっ……く……宮……じ……」

宮藤 「大丈夫です。壊れた鉄砲の破片で負った傷ぐらい、何とかしてみせます」

バルクホルン 「違う。私のことはいい……その力をネウロイに使え……」

宮藤 「イヤです。絶対に助けます。二人に頼まれたんですから!」

バルクホルン 「私の命程度、安いものだぞ……ペリーヌの足を引っ張ってこのざまだ。」

宮藤 「250機もやっつけたエースなんでしょ!? 私なんかより、もっとたくさんの人間を救えます。」

宮藤 「だから、このくらいで泣き言を言わないで下さい!」 ポゥゥ……

バルクホルン 「泣き言じゃない! ……現に、私は妹すら、クリスさえ助けられなかった。」

バルクホルン 「家族さえ守れず、そこんな無様な失態だ。不甲斐ないではすまんぞ……」

鳴上 「甘えるな。ここでのうのうと死んでみろ。501の皆は悲しむぞ。」

鳴上 「ペリーヌと宮藤なんかは特にだ! 二人とも優しいから、アンタが死んだらずっと引きずる。目の前で救おうとした人間が自ら諦めるなんて、いい思いでになるはずがない。」

バルクホルン 「それは……」

ペリーヌ 「確かに甘いかもしれません。うっく……一人すら助けられないと言って救おうとさえしないなんて……逃げるのと変わらないわ!」

宮藤 「私は……逃げたくありません、だからウィッチになったんです。バルクホルンさんも、守りたいから空を飛んでいるんでしょう!?」

鳴上 「それに、誰が妹さんの目覚めのときに側にいてやれるんだ。」

宮藤 「はい、クリスちゃんも元気になります!っはぁ…… お願いです、戦ってください!!」

バルクホルン 「宮藤……ペリーヌ……鳴上……」

宮藤 「もう、魔力切れ……傷はふさがったけど……」

ペリーヌ 「そろそろ……持ちこたえられませんわ……!」

鳴上 「ペリーヌ、まだ……もう少し耐えてくれ……!」

バルクホルン 「私は……私は……」

4話で引き込まれたって人は多いよね。そのせいか5、7話は色んな意味で驚かされた人が多いと思うの。



バルクホルン 「クリス……今度こそ、私は皆を守ってみせる。鳴上、宮藤! 銃を借りるぞ。」

宮藤 「バルクホルン……さん……どうぞ。」

鳴上 「ああ、やっちまえ。そして坂本さんとミーナ中佐に叱られてこい!」

バルクホルン 「そのつもりだ! お前たちは先に帰投していろ。」カチャ、ブロロ……

鳴上 「了解。二人とも、立てるか? 」

ペリーヌ 「なんとか、ですわね。」

宮藤 「おっとと、先に帰って皆を迎えなきゃね……」

シャーリー 「その前に、お前たちへの迎えだ! さあ、アタシの車に乗りな。」 キキィィィィ!

鳴上 「シャーリー!?」

ルッキーニ 「アタシもいるよん。」

シャーリー 「バルクホルンが墜ちたって連絡があったからな。回収に来たのさ。」

ペリーヌ 「騒々しい回収役だこと……」 フラ

シャーリー 「まー、乗りなよ。疲れてるみたいだしな。今日は安全運転だ。」

ルッキーニ 「えー。さっきのアレはー?」

シャーリー 「ナルカミのバイク買うときにしてやるから、今度な。」

ルッキーニ 「うじゅー……」

宮藤 「それじゃあ、遠慮なく……」

鳴上 「あれ、ペリーヌは乗らないのか?」

ペリーヌ 「お先どうぞ。貴族は庶民を優先させますのよ……」

鳴上 「ノブレス・オブリージュか? ……よっと。」 ヒョイ

ペリーヌ 「その通……ひゃっ!? いきなり何を!」

鳴上 「抱っこ。義務とかそんなの、たまには無視して皆に甘えてもいいぞ?」

ペリーヌ 「そういう話ではなくて!」

宮藤 「すごーい、お姫様抱っこだ。」

鳴上 「よいしょと。それじゃ俺も。」

シャーリー 「この人たらしめ。それじゃ、帰るか。」

【上空】

坂本 「リーネ、あの部分を撃て!」

リネット 「はい!」 カチャ……ズドン!

ゴバァッ!

坂本 「直撃とはいかんか。流石に。」

ミーナ 「上出来よ。各機はコアに攻撃を……下から何かが……これは!」

バルクホルン 「うおおおおおおおおおおぉぉぉ!!」 ドガガガガガガガッ

ピシッ……パリン!

坂本 「ネウロイの消滅を確認。無茶は変わらないが……」

リネット 「何か、吹っ切れたみたいですね。」

坂本 「よく見ているな。先に帰投しろ。少し長くなりそうだ。」

リネット 「ふふっ、分かりました。」ブロロ

ミーナ 「トゥルーデ!」

バルクホルン 「ミーナ、その……」

パシッ

バルクホルン 「っ……」

ミーナ 「何をしているの! 宮藤さんがいなければ死んでいたかもしれないのよ!?」

ミーナ 「確かに祖国も何もかも失ったけど、だからって!」

ミーナ 「私やフラウだって同じよ! それであなたまで失ったら、どうすればいいの!?」

ミーナ 「私たちだけじゃないわ! 隊の仲間も、いえ家族だって悲しむわ!」

バルクホルン 「家族か……」

ミーナ 「妹さんだってきっと元気になる。だから、家族を悲しませることはやめて!」

バルクホルン 「……さっき、同じことをあいつらにも言われたよ。」

ミーナ 「皆思いは同じなのよ。」

バルクホルン 「そうだな……休暇、溜まっているのだったな。少し、貰えないか。」

ミーナ 「2日前までに届け出をだすこと、いいわね。」

坂本 「ようやくその気になったか。」

バルクホルン 「ああ、迷惑をかけたな。少佐。」

ミーナ 「……それでは、帰投します!」

坂本・バルクホルン 「了解!」

バルクホルン 「そういえば……鳴上のことなんだが。私が落ちた直後のことだ。」

坂本 「あの時、アイツは扶桑刀に雷撃を纏って攻撃していたよな。」

ミーナ 「ペリーヌさんもレイピアで同じことをするわ、それで?」

バルクホルン 「初太刀は確かにそうだったんだが、二度目の攻撃がな……」

坂本 「えらく歯切れが悪いな。お前らしくない。」

バルクホルン 「怪我をして朦朧としていたからだろうか。それが……」

バルクホルン 「鳴上の居ないところから斬撃が飛んだ気がしたんだ。」

ミーナ 「……あの十字に切った攻撃は、鳴上さんだけじゃじゃないってこと?」

バルクホルン 「ああ。なんというか、その……とても大きな黒い男が、な……」

坂本 「ありえん。と言いたいがな……奴は分からないことが多い。」

バルクホルン 「今言うべきことじゃなかったな。忘れてくれ。」


【地上】

シャーリー 「さっきの会話、インカムで拾ったか? 私たちは家族だってさ。ちょっと照れ臭いや。」

ペリーヌ 「確かにミーナ中佐はお母さんって感じですわね。」

ルッキーニ 「マーマがミーナなら、パーパは少佐か悠おじちゃんかな!?」

鳴上 「ならペリーヌ、パパって呼んでもいいぞ。」

ペリーヌ 「呼びません、つまらない冗談に乗らないでくださいまし!」

鳴上 「そうだな、そんな柄じゃない。501の大黒柱は坂本さんだな。」

宮藤 「だったら、シャーリーさんとバルクホルンさんはお姉ちゃん、かな?」

シャーリー 「ははっ、そうかそうか。じゃあ今度堅物にお姉ちゃんて言ってやれ。」

宮藤 「たっ、例えですからね。」

シャーリー 「よーし、そろそろ到着だ。笑顔で迎えてやろうな。」

> 他愛ない会話を続けながら基地へ帰った……

【501基地】

シャーリー 「さてと、到着だ。」

リネット 「お帰り、芳佳ちゃん。それに皆も。」

宮藤 「ただいま。先に戻ってたの?」

リネット 「うん。お医者さんに話をしてたの。バルクホルンさんのこと。」

鳴上 「悪いな。面倒をかけた。」

ペリーヌ 「……」

鳴上 「ペリーヌも、心配なら後で謝ればいい話だ。落ち着け。」

ペリーヌ 「……」 コクッ

ハルトマン 「みーやーふーじー!」 ダキッ

宮藤 「な、なんですか? いきなり。」

ハルトマン 「リーネから聞いたよ! トゥルーデを助けてくれたんだって? ありがとね!」

ハルトマン 「あとは……ナルカミにペリーヌも!」

ペリーヌ 「へ? い、いえ。私は、その……」

鳴上 「たまには甘えてもいい。」

ペリーヌ 「ど、どういたし……まして……」

ルッキーニ 「ペリーヌがデレた。うしゃしゃ」

ペリーヌ 「なっ!?」

シャーリー 「話はそれくらいにしとけー。帰ってきたぞー?」

宮藤 「あ、ホントだ! おーい! 」 ブンブン

バルクホルン 「……」 スッ

宮藤 「やった、手を振ってくれた!」

鳴上 「それじゃ、せーの! っていったらお帰りなさいだな。」

ペリーヌ「お帰!……ここの流れで分かりますわよ!」

鳴上 「すまん。もう一度……せーの。」

一同 「お帰りなさい!」

バルクホルン 「……ああ、ただいま。」

例のモーションはP4Uの十文字斬りのつもり。描写下手くそだけどね。

【数日後】

コンコンッ

宮藤 「バルクホルンさーん、お迎えの車が来ましたよー!」

バルクホルン 「ああ。分かった。……いつか、お礼を言わなきゃな。」 ガチャ

宮藤 「クリスちゃんのところですか?」

バルクホルン 「まぁな。まだ目覚めていないそうだが、顔くらい見ておきたい。」

宮藤 「そうですよね。お気をつけて!」


バルクホルン 「迎えの車は……」

鳴上「どうかしたのか?」

バルクホルン 「いや、迎えの車はどこかと思ってな……」

シャーリー 「ナルカミー! バルクホルンの奴は来たかー?」

鳴上 「ああ、いま見つかった!」

バルクホルン 「ちょっと待て、迎えというのは……リベリアンなのか?」

シャーリー 「ああ。ナルカミのバイクを見に行くついでだけどな。」

バルクホルン 「じょ、冗談ではない!……また何をからかわれるか……私は乗らないぞ!」

シャーリー 「何言ったかか分からないけどさー、お前運転苦手じゃん。」

バルクホルン 「むぐぅ……ナルカミ、何か案は」

鳴上 「諦めろ。」

ルッキーニ 「いいじゃん、早く早く!」

バルクホルン 「ちょっと待ってくれ。聞きそびれたんだがな……前に言っていた警官の話だ。」

鳴上 「……娘と向き合いましたよ。本当の家族になった記念日だって、ケーキを買ってきたんだ。」

鳴上 「家族から逃げるためにじゃなく、町を守るために犯人を探す。だってさ。」

バルクホルン 「ケーキか……よし。」

鳴上 「……ずいぶん妹に甘いんだな。」

バルクホルン 「ナナコといったか。その子に関してはお前も大概だ。」

鳴上、バルクホルン 「……」

シャーリー 「早くしろってのー」

鳴上 「行こうか。」

バルクホルン 「ああ。」

> バルクホルンからの共感を感じる……

シャーリー 「乗ったか? それじゃ、飛ばすぞー!」

鳴上 「飛ばすって……なぁっ!?」

> 車が突然急加速した!

鳴上 「これは……流石に……!」

バルクホルン 「だから……嫌だと言ったんだああああぁ!!!」

ルッキーニ 「う――――にゃっほ―――い!!」


続く。

エイラーニャ回を先にして別にシャーリー回を作る予定。

【ベルベットルーム】

イゴール 「ようこそベルベットルームへ。少しばかり久しいですな。」

イゴール 「ご心配めさるな。現実のあなたは眠っていらっしゃる。」

イゴール 「私が夢の中でお呼び立てしたのです。」

マーガレット 「久しぶりね。」

イゴール 「いかがですかな? この世界。」

鳴上 「色々と……刺激的です。」

マーガレット 「あら、やっぱり男の子なのね?」

イゴール 「これ、お客人をからかいなさるな。」

マーガレット 「失礼。確か……パンツじゃないから恥ずかし」

鳴上 「落ち着け。」

イゴール 「と、それはさておき。帰る手だては見つかりそうですかな?」

鳴上 「さっぱりだ。」

イゴール 「左様でございますか。焦る必要はありませんぞ。」

イゴール 「この世界も同様、絆がお客人の力となるのです。」

マーガレット 「真実を求めるだけではいけない。」

マーガレット 「それをあなたは知ったはずです。」

鳴上 「分かっている。」

イゴール 「……強くなりましたな。最初に来たときよりもずっと。」

鳴上 「大切な仲間がいたからな。」

イゴール 「その気持ち、お忘れなきよう……」

イゴール 「それではまた会いましょう……」

また一週間ほどでゆるゆる書き上げる予定

[4話: sweet quartetto]

>夜が更けて来た……そろそろ寝てしまおうか。

ザザッ…♪…ザザッ……~♪

鳴上 「歌? インカムからか。」 スポッ

> ノイズに混じって歌が聞こえる……とても澄んだ声だ。

バシュウ! バシュウ!

鳴上 「今度はロケットの発射音? まさかこんな夜中にネウロイが。」

> 窓の外を覗いた

> 厚い雲に覆われて外の様子は見えない……

ザザッ……ザァァァァ……

鳴上 「聞こえないってことは大丈夫、だよな……」

> 眠ることにした

――
――――

> 妹の様に振る舞うバルクホルンになつかれる夢を見た。

> シュールだったが、バルクホルンとの仲が深まった気がした

ガチャ……ドサッ

鳴上 「!?」

> 誰かが布団に潜り込んできた!

鳴上 「サーニャ、か? 夜間哨戒の帰りか……」

鳴上 「少し、マズイ。ソファーで寝よう」

> ベッドから出ることにした。

鳴上 (……落ち着け、菜々子が寝てると思えばいい。)

サーニャ 「……くぅ」

鳴上 「…………」

> 勝手に気まずい思いをしたまま、夜が空けていく……

【翌朝】

鳴上 「結局、目が覚めたきり眠れなかった……」

サーニャ 「んっ……すぅ……」

鳴上 「取り敢えず、カーテンは閉めたままでいいな。」

> そろそろ朝食の時間だ……食堂に向かおう……

鳴上 「今日だけだぞ、サーニャ……本当にこれはキツイ。」

サーニャ 「ぅ…………」

【食堂】

宮藤 「あ、鳴上さん。おはよ……今度はどうしたんですか? 少し眼が赤いですよ。」

鳴上 「ちょっと、寝不足でな。」

宮藤 「それは魔法でも治せないかな……あはは。なにか悩みでも?」

鳴上 「!! ……ちょっと、前に買ったバイクのマニュアルを読んでいたらな。」

バルクホルン 「鳴上、浮かれるのはいいが程々にしておけよ。」

シャーリー 「いいじゃないか、折角のトライアンフだぜ。早めに馴れたいさ。」

バルクホルン 「だからといって、いつネウロイが襲ってくるか分からないときに……」

宮藤 「なんか、子供の躾で揉める夫婦みたいですね。」

鳴上 「だな。」

バルクホルン 「お前の話をしているのだ鳴上!」

鳴上 「す、すまない。」

エイラ 「……ん~」 ソワソワ

リネット 「どうしたの、エイラさん。」

ペリーヌ「うろちょろと何をしていらっしゃいますの?」

エイラ 「実は……サーニャに朝飯だって伝えようと部屋に行ったんだけどナ……」

エイラ 「サーニャガ……部屋にいなかったんダナ。」

鳴上 「……」 ツゥ……

宮藤 「鳴上さん? 顔色が悪いですよ?」

シャーリー 「寝不足ならそんなもんだろ?」

鳴上 「そうだな。寝不足だからな。」

エイラ 「なあ、少佐! サーニャは、サーニャは帰ってきたんだよナ!?」

坂本 「あ、あぁ。ちゃんと帰還していた。基地のどこかにいるはずだ。」

ハルトマン 「エイラってば、本当にサーニャンが好きなんだねぇ。」

エイラ 「あた、当たり前だロ……」

鳴上 「……どこか別のとこで寝てるんじゃないのか?」

エイラ 「エイラはルッキーニみたいな事をしないゾ!」

ルッキーニ 「木の上で寝るの、気持ちいいのに……」

リネット 「そんな問題なのかな……」

鳴上 「夜間哨戒って、大変なんですね。」

ミーナ 「ええ。生活のリズムが逆転しちゃうし、何かと苦労をかけるの。」

鳴上 「りせがいれば楽になったかな……」

バルクホルン 「りせというのは?」

鳴上 「ええ、俺の友達で……」

ガチャ

サーニャ 「おはよう……ございます……くぁ……」

エイラ 「サーニャ! どこに行ってたんダ!? 心配したんだからナ!」

サーニャ 「ええと……」

鳴上 (頼む! うまく誤魔化してくれないか?)

宮藤 「鳴上さん? なんか、眼が恐いですよ……?」

サーニャ 「………」 コクッ

> 決死のアイコンタクトが通じた!

サーニャ 「ナルカミさんの部屋に……」

鳴上・エイラ 「!!?」

ハルトマン 「サーニャン、積極的?」

> 気まずい沈黙が食堂を包む……

鳴上「少し寝不足で」
サーニャ「ナルカミさんの部屋で寝た」
この二つが符合する意味は一つ……

エイラ 「……ナールーカーミぃぃぃぃぃぃ!!」

鳴上 「ま、待て。エイラ。落ち着け、話せば分かる。」 タジッ

> 説得を試みた

> だが今の伝達力をもってしても通用しない!

エイラ「問答無用……サーニャに………何をしタぁぁぁぁぁぁ!」

サーニャ「エイラ、駄目。」

エイラ「ぁぁぁぁぁぁぁ……アレ? 何でだヨ! このケダモノはサーニャを」

鳴上 「誰がケダモノだ。」

サーニャ 「エイラ、お願いだから話を聞いて。」

エイラ 「ぅぅぅぅぅ……」 グヌヌ

> なぜか物凄い形相で睨まれた……

サーニャ 「ごめんなさい、さっきの視線の意味を察しられなくて……」

鳴上 「あの空気は辛かった。今も辛いが。」

シャーリー 「いや、そこで眉一つ動かさないで言われても……」

サーニャ 「えっと、寝惚けて部屋を間違えただけなの……だから鳴上さんは悪くないわ。」

サーニャ 「ベッドも占領しちゃったし、悪いのは私の方。何も無かったわ。」

エイラ「……本当カー?」 ジト

鳴上 「菜々子に誓って。」

バルクホルン 「エイラ少尉、信じてやれ。」

ペリーヌ 「どうしてそこで菜々子さんの名前が……どうして大尉がそれで即答を……」

バルクホルン 「いや、妹分に嘘をつくやつはいないというわけではなくだ。」

バルクホルン 「とにかく、この男は誠実だ。」

シャーリー 「そりゃ、分かってるけどなぁ」

ハルトマン 「あー、妹に面会してからもうこれだ……」

エイラ 「……サーニャがそこまで言うなら……悪かったヨ……」

宮藤 「ああ、だから寝不足だったんですね?」

鳴上 「ちょっとだけ、気になってな。」

ミーナ 「全く。鳴上君のことだから、間違いを犯すことは無いでしょうけど……」

ミーナ 「サーニャさんも。以後気をつけるように。」

サーニャ 「分かりました。それと、少し話したいことが……昨夜のネウロイのことです。」

> 慌ただしい朝食の時間が過ぎていく……

>>151 番長がエイラにヒトラーのノコギリでミンチにされるね。でも、番長は妹に手は出さないよ。


サーニャ 「昨夜、私が仕止め損ねたネウロイのことですけど……」

坂本 「攻撃してこなかっただと?」

サーニャ 「はい。偵察にしては大きかったですし……」

鳴上 「何か、歌みたいなのも聞こえたんだが。」

サーニャ 「き、聞いてたん……ですか……?」

鳴上 「いい歌だったぞ。」

サーニャ 「でも……途中から歌っていたのは、私じゃなくてネウロイでした。」

サーニャ 「どうしてかは分からないけど……そのまま雲に隠れてしまって……」

リネット 「恥ずかしがりやのネウロイとか……は、無いよね……」

ペリーヌ 「でしたら、似た者同士呼びあったのではなくて?」

サーニャ 「……」 ショボン

エイラ 「いーっ! ダ」

鳴上 「つまりペリーヌの言いたいことはだ。」

鳴上 「そのネウロイがサーニャ自体を狙っているんじゃないかってことだ。」

> それとなくフォローを入れた。

> 寛容さが上がった

エイラ 「ネウロイがそんなまどろっこしいこと、すんのカ?」

坂本 「いや、考えられない話じゃない。ネウロイの行動は組織だっている。」

坂本 「そうした個人を識別できるネウロイが絶対にいないとは言えない。」

坂本「面白い考え方だ。ペリーヌ、鳴上。」

ペリーヌ 「へ? いや、その……こ、このくらい当然ですわ。」

ミーナ 「と言っても……過剰に人員は割けないわね……」

ハルトマン 「んじゃあさ、新人組がいいんじゃないかな。」

ハルトマン 「サーニャンを狙ってるのは中型一機でしょ? 夜間哨戒に慣らすには持ってこいじゃない?」

坂本 「そうだな……やれるか?」

宮藤 「はい!」

鳴上 「任せろ。」

ペリーヌ 「その根拠の無い自信はどこから来るのやら……」

エイラ 「はいはいはーい! 私モ! 私モ!」

坂本 「はぁ……言うとは思ったがな。」

ミーナ 「戦力的には、これが限界……他に希望者は?」

シーン……

ミーナ 「それじゃあ、決定ね。」

坂本 「それで、編成はどうする。」

ミーナ 「夜間哨戒の経験のある二人だし、エイラさんが鳴上君。サーニャさんが宮藤さんについてあげて。」

エイラ 「……」

ミーナ 「そ、そんな顔しないで? 一応ロッテとしての編成も考えなきゃいけないからって話。」

ミーナ 「ずっとバラバラってわけじゃないから大丈夫よ。」

エイラ 「ちぇっ、しょうがないナー。足引っ張んなヨ。」

鳴上 「悪い視界には慣れている。」

サーニャ 「よろしくね。」 ペコ

宮藤 「こちらこそ。」 ペコ


>それからしばらくして……


リネット 「そういえば、家からブルーベリーが届いていたんです。」

リネット「眼の疲れをとるのにいいんですよ。」 コトッ

> 目の前にブルーベリーの入った皿が置かれている……

鳴上「いただきます。」

> ……優しい味だ

サーニャ 「んむ……おいしい。」

宮藤 「ホントだねー。」

ルッキーニ 「芳佳ー、シャーリー! 舌、べーってやって?んべーっ」

宮藤・シャーリー 「べーっ」

>三人とも真っ青だ……

宮藤・シャーリー・ルッキーニ「あっははははは! 真っ青ー!」

ペリーヌ 「全く、ありがちなことを……はしたない。」

エイラ 「にしし……」 チラッ

鳴上 「……」コクッ

エイラ 「そいや!」

> エイラがペリーヌの口を開く……

ペリーヌ 「ひほほ! ひほー!?」

> 歯まで青くなっている……

鳴上 「ふっ……」ビッ

エイラ 「……うしし」ビッ

> サムズアップでなんとなく、エイラと通じあった気がした……

坂本 「……ほどほどにな。」

ペリーヌ「ひょ、ひょうは……」

鳴上 「歯、磨けよ? 俺も同じだし。」 イーッ

ペリーヌ 「~~!!」

乙、今日はここまでかな?
>>1は富山県か……。
富山県といえばトリニティ・ソウルの舞台

>>156 もうちょっとだけ続くよ。でも、知ってるかい? TSは富山の民放じゃ、しなかったのよね……

鳴上 「ご馳走さまでした……それで、夜間哨戒組はどうしたら?」

ペリーヌ 「坂本少佐に見られた……」ブツブツ

坂本 「取り敢えず、夜に備えて……寝ろ!!」

エイラ 「りょーかーい。行くぞ、サーニャ。宮藤もナ。」

宮藤 「鳴上さんは?」

エイラ 「お前、ナルカミは男だぞ? おんなじ部屋に入れるかっての。」

鳴上 「……ダメかしら。」

エイラ 「何言ってんダお前! 気持ち悪いってノ、見ろ! 鳥肌立ったじゃないか!」 ゾワァ

鳴上 「ウブなのね。」

エイラ 「ウガー!! やーめーろー!」

坂本 「鳴上は自室だ。」

鳴上 「分かっています。」

坂本 「じゃあ、どうして今のセリフが出た。」

鳴上 「……ノリ?」

坂本 「疑問に疑問で返すな……いいから、ゆっくり休め。」

エイラ 「訳ワカンネーな、ナルカミの奴。何考えてるんダ?」

ハルトマン 「エイラも大概だよね……」 ヒソ

サーニャ 「ええと……そうかも。」

エイラ 「な、なんだって。そうなのか!?」

坂本 「お前たち……は~や~く~……」

鳴上 「それじゃあお先にお休みなさい。」 バタン


坂本 「部屋に戻れと言っとるんだあああ!!」

> 扉一枚隔てて怒鳴り声が聞こえる……部屋に戻って休もう

これ確かISバージョンないっけ?
一夏「ストライクウィッチーズ?」みたいな
もしやその時の>>1

>>159 なんと。そんなのがあったのか。でも、自分はこれ初SSです。


> ベッドに横になったはいいが……

鳴上 「……眠くならない。前に買った本でも読もうか……」

ルッキーニ 「おーい、悠おじちゃーん! 起きてるー!?」

> 外から声が聞こえる……

鳴上 「ああ。どうしたんだ……木に登って。」

ルッキーニ 「虫取り! あとね、シャーリーがバイクいじらせてくれって!」

鳴上 「見繕う代わりにって、そういう約束だったからな……」

ルッキーニ 「分かったー! シャーリーに伝えてくるね! お休みー」

鳴上 「……ああ。」

> しばらく本でも読めば眠くなるだろうか……

鳴上 「加東圭子の来た、飛んだ、落っこちた。か……」

> 初めて現在のストライカーが使用された扶桑海事変での戦闘の記録らしい。

> ……陸軍がメインだが、海軍の話に少しだけ坂本さんが出ている。

> 次第に苛烈さを増していくネウロイとの戦いを、写真を交えて丁寧に書き綴っている。

> ブリタニア語の格調高い文章に苦戦した……

鳴上 「数多の勲しと栄光に満ちた戦いは……」 ウトウト

鳴上 「ここで幕を……閉じ……た……」 スヤ

> 勇気ががっちり高まった。

> 知識が上がった。


【一方、サーニャの部屋】

宮藤 「なんか、すみません。お邪魔しちゃって。」

サーニャ 「いいの。私もエイラ以外を呼ぶのは初めてだから。ゆっくりしていって。」

宮藤 「ありがとね。」

エイラ 「っても、宮藤なんかはなかなか寝付けねーよナ。」

宮藤 「そういえば……そうかも。」

エイラ「だったら、私らが先に寝ても暇だしタロットでもすっカ?」

宮藤 「いいの? でも、タロットって?」

エイラ「こーいうカードを使った占いだよ。私のは固有魔法も兼ね合わせて使うから、当たるゾ」

サーニャ 「逆位置が多いけどね……」

エイラ 「だ、大丈夫なんだナ! それを宮藤で証明してやる! 面倒だから、ワンカードな。」

宮藤「逆位置って?」

サーニャ 「簡単に説明すると、悪い意味を持つカードよ。」

宮藤 「えぇ!? そんな」

エイラ 「まー、悪魔とか月とか。一概には言えないけどナ。よっと……ホラミロ、正位置。」

宮藤 「……どんな意味が書いてあるの?」

エイラ 「喜べ、思い人に会える。だってサ。」

宮藤 「思い人か……お父さん、死んじゃったもん……会えないや。」

エイラ 「……なんか、悪いナ。」

サーニャ 「……そうだ、鳴上さんを占ってみたら?」

宮藤 「あ、そうだね。面白そう!」

エイラ 「ナイスアイディアだサーニャ! さーてと、アイツは……あぁ……恋人カ……」

宮藤 「どんな意味なの?」

エイラ 「なんと言うか、天然ジゴロってことだな。」

サーニャ 「エイラ、ジゴロってなに?」

エイラ 「え、えっと……そ、そうだな……人に好かれるって意味だナ。うん。」アセ

宮藤 「確かにそうかもね。ペリーヌさんとかシャーリーさんともすぐ打ち解けたし。」

サーニャ 「バルクホルンさんとも……私も、ちょっと好きかも……」

エイラ 「そそ、そんな…………」 バフッ

サーニャ 「エイラ、どうしたの?それ、私のネコペンギンの縫いぐるみ……」 オロオロ

エイラ (サーニャの好きがそういう意味じゃないってのは分かってるけどサ……)

エイラ (べ、別に羨ましくなんてないからナ!)


【自室】

鳴上 「……へくしゅっ……うぅ……」

エイラ 「なんだよもー……ん?一枚くっついて……」

サーニャ 「ネコペンギン……」

エイラ 「ああ、ゴメン。うっかり……」

宮藤 「どうかしたの?」

エイラ 「いいや、何でもないぞ。そろそろ休めるんじゃないか?」

宮藤 「そうかも……」

エイラ 「んじゃあ、ゆっくり休め。」

エイラ (くっついていたのが塔の正位置……悪いことが無きゃいいけどな……)


【夜】

> 寝ていたせいかあまりお腹が減っていない……

ペリーヌ 「どうぞ皆さん。マリーゴールドのお茶ですわ。」

ペリーヌ 「これも眼を良くすると言われてましてよ?」

リネット 「それって、民間療法じゃ……」

ペリーヌ「お、おばあ様の言うことに間違いはありませんわ!」

鳴上 「いや、間違ってはいないぞ。」

リネット 「え、そうなんですか?」

鳴上 「ああ。眼を良くするというよりは暗い場所に眼を慣らす働きの補助だ。」

バルクホルン 「夜間哨戒にはうってつけなわけだ。」

サーニャ 「少し……苦い…」

ペリーヌ 「や、やはり、私の眼に狂いは狂いはありませんでしたわね。」

シャーリー 「リーネに言われて自信無かったのな。」 ボソッ

ペリーヌ 「そこ! 聞こえてますわよ!!」

鳴上 「熱っ……」 チラッ

坂本 「どうした鳴上。」

> 扶桑海事変での臆病な様子はどこにも見えない……

鳴上 「いえ、時の流れは凄いなと思って。」

坂本 「?」

鳴上「扶桑海事変でのことです。」

坂本 「なっ! ……鳴上、いつそれを知った?」 コソッ

鳴上「ちょっと本で。」

坂本 「忘れろ、いいな上官命令だ……こればかりは本当に頼む……」

> 坂本さんの意外な一面を見た気がする……

【深夜】

鳴上 「やっぱり……暗いな。」

エイラ 「夜だからナ。当然ダロ。日付もじきに変わる。」

鳴上「……そういえば、1日が24時間じゃないって話を知ってるか?」

鳴上 「日付の変わる0時、1時間だけ誰も気付かない時間があるんだ……」

鳴上 「その時間に気づいたものは、影のような蠢く異形の怪物に魂を食われて……」

エイラ 「ストーップ!! いきなり何話し出すんダお前!」

鳴上 「昔流行った怪談。夏だし、夜だから面白いかなって……」

サーニャ「気になるけど……ちょっと怖い……」

エイラ (そうか! これはきっと、ナルカミの作ったチャンスなんだナ。)


エイラ[妄想] 「恐いカ? だったら、手を繋げば怖くないぞ。私が絶対、守ってやル!」

サーニャ[妄想] 「うん……エイラと一緒なら、大丈夫。」


エイラ (こここ、こんな風にする雰囲気を作ったのか!? くぅ~、何考えてるか分からない癖に、ブリリアントなんダナ。) ビッ

鳴上 「?」

サーニャ 「宮藤さんも怖いの?」

宮藤 「面白そうだけど、少しね……」

エイラ 「それじゃあ、サーニャ。いい、一緒に……」

サーニャ 「それなら一緒に手を繋がない? そしたら、怖くないかも。」

宮藤 「……うん!」

> 宮藤とサーニャが手を繋いでいる……

エイラ 「手を……ぉぉ」

鳴上 「怖いなら、手、繋ぐか?」

エイラ 「つ……繋ぐか、バカーッ! 行くゾ!!」 ブロロ……

サーニャ 「え、エイラ?」

宮藤 「エイラさん!?」

鳴上 「やっぱり、噂が現実になる話の方が面白かったかな……」 ブロロ……

> エイラがサーニャの手を握って飛んでいった

ちなみに2は小説の罪しか知らないです。いつか買おうと思ってるけど。

鳴上 「空、綺麗だな……」

宮藤 「そうだね。こんな景色を見られるなんて、ちょっといいかも。」

サーニャ 「それじゃ、そろそろ別れてみましょう。エイラ、お願い。」

エイラ 「しょーがねーナ。行くぞ、ナルカミ。」

サーニャ 「鳴上さん、もしはぐれたら北極星を目安に飛んで海岸をぐるっと回って。滑走路が見えると思うわ。」

鳴上 「了解。詳しいんだな。」

エイラ 「ナイトウィッチじゃない私たちには基本だぞ。」

サーニャ 「一度、エイラはそれで迷いかけて」

エイラ 「ワー! ワー! モタモタすんナ! さっさと来イ!!」

宮藤 「じゃあね、気をつけて。」

鳴上 「ああ。また後でな。」 ブーン……

サーニャ 「……」


エイラ 「呑気なもんダナ。」

鳴上 「どういう意味だ?」

エイラ 「今はセンソーやってるんダ。後でなんてうちに死んじゃうかもしれねーんだゾ?」

鳴上 「そうかもしれないがな……良い方に考えるほうが楽しくないか?」

エイラ 「確かにそうダケド……そう言って帰って来ない奴もいた。」

鳴上 「……」

エイラ 「私はサーニャに悲しい思いをさせたくないんダ……」

エイラ 「お前とか宮藤の言う事には……正直ムカつく。遊びじゃなイんだゾ。」

鳴上 「随分、サーニャと仲がいいんだな。」

エイラ 「そうだナ。初めは同じ北欧出身ってことと、ストライカーの融通だった。」

エイラ 「スオムスじゃあちこちの武器を使ってるからナ。」

鳴上 「それだけか?」

エイラ 「それだけじゃ無い。オラーシャ……サーニャの生まれた国は」

エイラ 「ネウロイに占領されてる。そんときにサーニャ、家族とバラバラになったんだ。」

エイラ 「だから、私はサーニャの家族を見つける手伝いをしたいんダ。」

鳴上 「そうだったのか……だったら、俺も協力したい。」

エイラ 「バカ言うな。オラーシャは広いんだゾ。そんな迷子を探すみたいに行かなイ。」

鳴上 「サーニャの家族だって、サーニャを探してるんだ。きっと見つかる。」

鳴上 「“俺に、私にしか出来ない”なんてことは案外少ないもんだ。」

エイラ 「そういいのがムカつくんだっての……全く。コレ、やるよ。」

> エイラから変わったお菓子を貰った。

エイラ 「サルミアッキだ。上手いゾ。」

エイラ 「それに、そろそろ合流する頃ダナ。着いて来い。」

> エイラからサーニャの力になりたいという思いが伝わってくる……

~♪……ザザッ…~♪

鳴上 「……なぁ、歌が聞こえないか?」

エイラ 「あー……これか? サーニャの歌だヨ。」

鳴上「サーニャの歌? 彼女が作曲したの……」

サーニャ 『エイラ、鳴上さん。気を付けて! 』

エイラ 「なんダ!?」

サーニャ 『今の歌は私じゃないわ。きっと、今朝話していたネウロイよ!』

鳴上 「そうなのか?」 カチャ

エイラ 「すぐに合流するからナ! 待ってロ!」

サーニャ 『また雲に隠れて……あなたは何がしたいの?』


エイラ「サーニャー! 無事カ!?」

鳴上 「宮藤もだ。怪我はないか?」

サーニャ 「大丈夫よ。」

宮藤 「私もです。サーニャさんの言う通り、何もしないでいっちゃいましたね。」

サーニャ 「とにかく、一旦帰投しましょう。もう探せないわ……」 ブーン

宮藤 「そうだね。帰ろっか。」

鳴上 「サーニャ、1つ質問なんだが。あの歌はなんなんだ?」

サーニャ 「……お父様がね、私がずっと小さな時にピアノで作ってくれた曲なの。」

サーニャ 「雨でどこにも行けなくて退屈していた時、雨音を曲にしてくれたの。」

宮藤 「へぇー、なんだかロマンチックだね。」

鳴上 「そうだな。早く、お父様に会えるといいな。」

サーニャ 「エイラ……話したの?」

エイラ 「うっ……ちょっとダケ。」

サーニャ 「エイラの……ばか。」

エイラ 「うわぁぁぁ! ナルカミ、お前のせいだかんな! サーニャにバカって言われたぁぁ!」

鳴上 「俺のせいなのか?」

サーニャ 「大丈夫よ。ちょっと、恥ずかしかっただけだから。心配してくれてありがとう。」

> 基地まで、他愛ない会話をして帰った。

【朝】

バルクホルン 「それで、ネウロイは攻撃せずに逃げていったと。」

鳴上 「はい。偵察にしても時間が短すぎるとサーニャが。」

バルクホルン 「分かった。気を付けろよ。何が目的か分からないだけに細心の注意を払っ」

エイラ 「何度目ダ、そのこと言われんノ……」 グッタリ

鳴上 「それだけ気をかけてくれてるってことだ。良い話じゃないか?」

エイラ 「そうカ~?」

シャーリー 「なんつーかナルカミとエイラの奴、きょうだいっぽいよな。使い魔もキツネだし。」

バルクホルン 「エイラは妹という柄ではないと思うぞ。」

エイラ 「なんだヨそれ! 私にはネーチャンがいるし、柄云々の話じゃないダロ。」

バルクホルン・鳴上 「妹だったのか?」

エイラ 「反応する場所が違うダロ! 何でハモったんダ!?」

鳴上 「お兄さんって」

エイラ 「呼ぶか! バカーッ!!」

> エイラをからかう騒がしい朝食の後に、宮藤が一斗缶を抱えて持ってきた……

宮藤 「皆さん、どうぞ。」

ペリーヌ 「なんですの? そのドロッとした生臭いものは。」

宮藤 「肝油です。これも眼にいいんですよ?」

ペリーヌ 「おーっほっほ! 宮藤さんらしいヤボったいチョイスだこ……」

坂本 「いや、私が持ってきたんだが。」

ペリーヌ 「ありがたく頂きますわ!!」 グイッ

ペリーヌ 「!」

> ペリーヌの顔が一瞬で青くなった……

ルッキーニ 「ヴェー、ナニコデ……」

シャーリー 「エンジンオイルにこんなのが……」

バルクホルン 「……マズイ。」

ミーナ 「もう一杯、貰える?」

ハルトマン 「ミーナ……?」

エイラ 「ぺっぺっ!」

サーニャ 「……」

> 1人を覗いて同じ反応をしている……

> まだ飲んでないのは自分だけだ……

一同 「……」 ジーッ

鳴上 (前にもこんなことがあったような……)

鳴上 「あぁ、あの時のカレーだ……謎の物体X……」

坂本 「何をぶつぶつ言ってる。」

鳴上 「い、頂きます……」 ゴクッ

鳴上 「!?」

生は真実、片時も夢ならず

もとより誰もが知る……

真実は選びとるもの

ペリーヌ 「……さん!…上さん!! 鳴上さん!!!!」

鳴上 「……はっ。今、何が……」

ペリーヌ 「私が聞きたいですわ!? 倒れたと思ったら……」

シャーリー 「青い部屋とか、長い鼻がとかうなされてたぞ。」

鳴上 「そうか。助かった……」

鳴上 「しかしこれ……飲み物って、甘いとか苦いだよな。」

鳴上 「これ、臭い。ジャリジャリする……」

坂本 「まあ、魚の肝を煮詰めたものだからな。」

宮藤 「良薬口になんとかですよ!」

鳴上 「口が……」

エイラ 「口直し、したらどうダ?」

鳴上 「それだ!」

> 哨戒の時に、エイラから飴を貰っていた。震える手で飴を取り出した

鳴上 「飴なのに、少し柔らかいんだな……」

サーニャ 「それは、サルミアッ……」

鳴上 「んぐっ。ぶよぶよしてて、それでいて」 ドサッ

生は真実、片時も夢ならず

もとより誰もが知る……

真実とは選びとるもの…

眼差しと意志とで見出だされるもの

それを得てこそ、己も真実たりうる

過去と未来を結ぶ糸となる

けれど今、客人の定めは途切れ

未だ謎は霧深き虚ろの森の中…

ペリーヌ 「鳴上さぁぁぁぁぁぁん!!」

エイラ 「……美味しいのにナ。」

シャーリー 「いやー、その2連チャンはキツイよ? やっぱり。」

サルミアッキ食べたことないけど凄い癖の強い味みたい。田舎じゃ売ってないから気になる。


鳴上 「……またかこのパターンか!」 カッ

シャーリー 「あ、起きた。」

エイラ 「タフなのか弱いのか、わかんねーナ。」

宮藤 「あともう一回気絶できますよ?」

鳴上 「ボケとかじゃないぞ。本気で危なかった。」

エイラ 「他にもレバーのソーセージとかシュールストレミングとか」

サーニャ 「エイラ、ダメ。」

ペリーヌ 「今度は変な歌を歌いだして、何事かと思いましたわ。」

ペリーヌ 「ベルベルベ~ルベ~ルベット~わーがーあーるじ長い鼻~……だったかしら。」

> なぜだろう、妙にしっくり来ている……

鳴上 「もう大丈夫だ。心配かけたな。」

ミーナ 「そんなに、酷い味なの?1個貰うわね?」

鳴上 「ど、どうぞ……」

ミーナ 「どれどれ……あら、美味しいじゃない。」

エイラ 「ダロ!? さっすが隊長、話が分かるナ!」

鳴上 「……それじゃ、先に休ませてもらいます。」

坂本 「ああ、お前たちもゆっくり休め。」

宮藤・エイラ・サーニャ 「はーい。」 ガチャ……


坂本 「よし、行ったな。」

ミーナ 「しっかりした準備は夕方以降だけど、先に出来ることをやりましょう。」

シャーリー 「りょーかい。」

バルクホルン 「リベリアン、そんな軽い気持ちでは」

シャーリー 「分かってるっての。やることはやるさ。なんたって今日はアレだもんな。」 ニヤリ

ペリーヌwwwwww

そういえば番長はズボン(パンツにあらず)の上からストライカーを着けてる感じなのかな?

>>220であってます。あっちの世界でも男はズボン(パンツじゃないほう)ですし


鳴上 「……」

> 寝汗で気持ち悪い……

鳴上 「少し汗でも流そうか。」 ガチャ

シャーリー「おう、どうしたんだ鳴上。」

鳴上 「ちょっとお風呂でも入ろうかなって。」

シャーリー 「あの三人が先に入ってるぞ?」

鳴上 「……そうですか。」

シャーリー 「どうしてもなら、池があるかな。割と綺麗だし、水浴びくらいならいいと思う。」

鳴上 「ありがとう。ちょっと行ってくる。」

> 一応水着を着ていこう……

【夕方/ 池】

鳴上 「結構、大きいな……」 ザプッ

> 冷たい水が心地よい……

鳴上 「こういうのも……悪くない……」 プカ……

ピト……ピト……

> 誰かが近付いてくる……!



鳴上 「……一体、誰が。」

~♪……~♪

鳴上 「この歌は……サーニャ? 風呂に入っていたんじゃ……」

> 足音が近付いて来る。どこかに隠れなくては……

鳴上 「あの岩の窪みにしよう……」 ザブザブ

サーニャ 「……冷たくて、気持ちいい……」

鳴上 「…………」 ゴクリ

> こちらには気付いていないようだ……

鳴上 「バレる前に逃げるか……」

エイラ 「ここでよくサウナで暖まった体を冷やすんダナ。」

宮藤 「へー、そうなん……うひゃっ! ちょっと、冷たいね。」

鳴上 (最悪だ……サーニャだけならまだ逃げられたのに……)

ピト……

> 自分の隠れている岩に誰かがもたれかかった。

鳴上 (ますます身動きが取れない。)

エイラ 「何か、サーニャを見てるとこう、ドキドキしないカ?」

宮藤 「サーニャちゃん……凄い綺麗……」

エイラ 「だから、サーニャをそんな目でミンナ!」

鳴上 (一体、何が起きて……) チャプ

サーニャ 「? 誰か……いるの?」

鳴上 「……うなーぉ……なーご」 ゴロゴロ

> 猫の物真似で誤魔化そう……

サーニャ 「猫ちゃん?」

エイラ 「どしたんだ? サーニャ。」

サーニャ 「猫ちゃんが、一緒に入ってるみたい。」

エイラ 「……イヤイヤ、猫って水が苦手なんだゾ?」

宮藤 「そうだよね? 後、扶桑では隠れてるときに誤魔かす代名詞だったり……なんちゃっ」

鳴上 (余計なことを!) ビクッ

宮藤 「て……あれ? ホントに……」

エイラ 「……そこにいるノ、誰だヨ。」

鳴上 (これは……マズイ。どう誤魔化すか……)

エイラ 「出てこい! サーニャ、そこから離れろ!」

サーニャ 「うん……」

宮藤 「あ、ねえ。これって……」

エイラ「あー、犯人。わかっちったな。こりゃ。タオル巻いてっと……」 ザブザブ

> こちらに近付いて来る……! 近づけさせないためには……

鳴上 「オレサマ オマエ マルカジリ!」

エイラ 「……何を言ってんダ、いや。その前に、何をしてるのカナ?」

宮藤 「やっぱり、鳴上さんの服だね、これ……」

サーニャ 「うん……」

エイラ 「で、何をしてるんダ。」

鳴上 「汗を、流しに。」

エイラ 「見たノカ?」

> どう答えても許してくれそうにない……

鳴上 「そうだな、エイラを現在進行ゴボゴボ……」

エイラ 「とにかく、処刑ダ! 処刑ダ! ホントならミーナ隊長呼びつけて氷漬けダゾ!?」

鳴上 「ゴボッ! ゴボボボ(いや、中佐は別に氷とか……)」

エイラ 「サーニャの時といいお前はどうしてこう……」

シャーリー 「うっんめいっせーん……あれ。宮藤、ナルカミが水浴びに来てないか?」

宮藤 「あの、あっちで……エイラさんが……」

バチャバチャ

シャーリー 「あー、悪いことしちゃったなー。」

サーニャ 「何かあったんですか?」

シャーリー 「それがな、お前らが風呂にいるから汗を流すならこっちへ来いって……」

サーニャ 「そうなんだ。って……エイラ、ストップ! 誤解よ!」

エイラ 「へ、何だって?」

宮藤 「鳴上さん、覗きとかそんなんじゃないみたいなんです!」

エイラ 「……ホントか? 鳴上」

死はふいに訪れる旅人にあらず

もとより誰もが知る…

生なるは死出の旅…

エイラ 「何度目だ、コレ!!」


【夕方/ 自室】

鳴上 「……ここは、どこだ?」 パチッ

> 宮藤達は服を着ている……

シャーリー 「あ、起きた。ナルカミの部屋だぞ。服はこっちな。」

宮藤 「朝の二回とこれで、天丼の完成ですね。」

鳴上 「少しばかり、体を張りすぎだが……そうなる。」

サーニャ 「ごめんなさい。変な誤解しちゃって……」

エイラ「お前があんなこと言わなきゃ、私だって……」

鳴上 「いや、あれは俺にも非がある。部屋に運んだのも?」

シャーリー「アタシとエイラだな。少佐とかには羽目外して頭打ったって誤魔化しといたから。」

鳴上 「面倒をかけたみたいだ。ありがとうな。」

エイラ (昨日のタロット、この3連チャンを意味してたのかもナ……)

エイラ 「気にすんな。それと、夕食は軽食を置いとくから早目に済ませて哨戒に行けって隊長が言ってたゾ。」

鳴上 「分かった。すぐに準備をしよう。といっても着替えくらいだがな。」

宮藤 「本当に、大丈夫ですか?」

鳴上 「ああ。問題なさそうだ。」

シャーリー 「タフだなー、お前。気を付けろよ? んじゃあな。」 ガチャ

サーニャ 「私たちも出よ? 着替えの邪魔だし……」

エイラ 「それもそうだな。さっさと来いよ? 置いてったりはしないかカラナ。」 キィ……バタン

> もうすぐ哨戒に出なければならない……準備を整えよう。

【夜/ 滑走路】

宮藤 「やっぱり……ちょっと恐いかも。」

鳴上 「同感だ。雲の中はどうも馴れないな。」

エイラ 「意外だナ。恐いものなしみたいな顔シテ。」

鳴上 「恐いものは結構あるぞ。 親戚の叔父さんに母さん。マーガレットに霧。」

鳴上 「後は……友達の料理か。」

サーニャ 「霧?」

鳴上 「ああ。目の前すら見通せない、自分がどこにいるかさえ分からなくなる深い霧だ。」

鳴上 「霧そのものより、何も見えないことが恐いのかもな。」

サーニャ 「大丈夫……何かを見るのは私の固有魔法の十八番だから。」

サーニャ 「あなたが迷っても、私が見つけてあげる……それならどう?」

鳴上 「それは心強い。是非頼らせてもらう。」

宮藤 「それじゃあ私も。」

サーニャ「……任務だから。」

エイラ 「そんじゃ行くぞ? 心の準備はいいナ。」

鳴上 「少し待ってくれ。ペルソナ様って儀式は知っ」

エイラ 「モタモタすんナよ?」

宮藤 「怪談は……今度人が集まったときに、ね? 」

鳴上 「そうだな。とっておきを準備しておく。」 ブーン……

エイラ 「もーちょいで雲を抜けるからナ。辛抱シロ。」

宮藤 「確かに、何も見えないってのは少し不安になるよね。」

サーニャ 「大丈夫よ……」

エイラ 「3……2……」

鳴上 「1……抜けた。」

エイラ 「私の台詞だゾ、それ。」

宮藤 「やっぱり、いい眺め……」

鳴上 「同感だ。」

宮藤 「知ってる? 私、今日が誕生日だったんだ! 」

鳴上 「そうなのか? おめでとう。」

エイラ 「早く言えよナ。何も準備出来ないじゃんカ。プレゼントはこの眺めでいいナ?」

サーニャ 「確かにそうね……」

宮藤 「あのね、私のお父さんの命日もね、今日なんだ……だから、どうすればいいか分からなくて。」

エイラ 「お前、バッカだナ~」

宮藤 「え?」

エイラ 「そんなときはナ、楽しいことを優先してもいいんダゾ?」

鳴上 「そうだな。ちょっと俺の知ってる話をいいか?」

宮藤 「怖い話じゃないよね?」

鳴上 「安心しろ、俺の大切な……相棒の話だ。」

鳴上 「俺が元の世界にいたときだ。」

エイラ 「なんか、たまにコイツが異世界? の奴って忘れるよな。」

サーニャ 「……」 コクコク

宮藤 「凄い馴染んでいるよね……」

P3Uがあるなら順平を使いたいです、はい。

鳴上 「ソイツも、都会から田舎に引っ越してきたくちで馬が合ってな。知り合った日から割と仲良くやってたんだ。」

鳴上 「結構いい奴で、付き合ってた先輩もいたんだ。」

エイラ 「いい話じゃないのカ? 全く関係ないケドナ。」

鳴上 「その先輩が、死んだんだ。」

宮藤 「……」

鳴上 「それから、俺とソイツとクラスメイトで捜査に乗り出したんだ。」

鳴上 「大切な人を失って悲しいはずなのに、ソイツは俺の隣にいてくれた。」

鳴上 「一番辛いはずなのに、楽しいときはいつも誰より笑って、楽しんでいたと思う。」

鳴上 「バイクを買ったときなんてナンパするぞーとかバカな話もして盛り上がった。」

エイラ 「スケベな奴……お前、やっぱり覗きじゃ」

サーニャ 「エイラ、野暮。」

鳴上 「宮藤だって同じだ。」

宮藤 「え?」

鳴上 「楽しいときに悲しいことを考える必要なんてないんだ。」

鳴上 「誕生日なんて1年に1度の楽しい日をうじうじしてたら、勿体無いじゃないか。」

鳴上 「笑っている人がいるだけで、誰かの支えにもなるんだから、悲しいことは後で考えればいい。」

宮藤 「そうだね……ありがと。」

サーニャ 「静かに……宮藤さんたちに聞かせたいものがあるの……」

> サーニャの方からノイズ交じりに音が聞こえる……

鳴上 「ラジオ……か?」

宮藤 「この曲、知ってる……こーいしやーふーるさとー懐かしちーちははー……」

エイラ 「扶桑の歌なのか?」

鳴上 「あぁ。有名だぞ。」

宮藤 「ゆーめじにーたどーるーはーさーとのいーえじー……」

サーニャ 「宮藤さん……上手……」

宮藤 「サーニャちゃんほどじゃないよ。素敵なプレゼント、ありがとう。」

サーニャ 「こうして哨戒にあたるとき、こっそりラジオを聞くの。扶桑まで届くのは珍しいけど。」

エイラ 「宮藤、サーニャのことも祝うゾ。」

宮藤 「どうして?」

エイラ 「だって、今日はサーニャの」

~♪……~♪

サーニャ 「待って! この歌は……前のネウロイ。」

宮藤 「……ホントだ!」

鳴上 「だが、姿が見えないぞ!」 カチャ

サーニャ 「この歌は……やっぱり。」

エイラ 「どうしたんだ!?」

サーニャ 「三人とも、私から離れて!」

鳴上 「いきなりどうした!」

サーニャ 「あのネウロイは多分、ペリー。ヌさんの言う通りなの。」

宮藤 「どうして分かるの?」

サーニャ 「説明している時間はないの!」 ブーン……

エイラ 「……マズイ、ナルカミ! サーニャを止めてくレ!」

鳴上 「言われなくても、そのつもりだッ!」 ブーン


サーニャ 「鳴上さん、来ちゃだめ!!」

鳴上 「どうでもいい。仲間を見捨てられるか。」

サーニャ 「危ない!」

> 下からレーザーが飛んでくる……!

鳴上 「雲の中から? シールドを……ぐあっ!」 ボンッ! ヒュルル……

サーニャ 「きゃっ!」 ボンッ

エイラ 「サーニャ!? ナルカミ!!」

サーニャ 「私はストライカーを片方やられただけ……でも、鳴上さんが……」

エイラ 「クソッ! だから“後で”は嫌いなんだ……あのネウロイの動きは!?」

サーニャ 「離れて行ったわ……多分、また来ると思う。」

エイラ 「よし……サーニャ、フリーガーファウストを貸してくれ。」

サーニャ 「分かったわ……場所を教えるわ……」

宮藤 「鳴上さんは!? 」

エイラ 「ちゃんと回収と救助の通信を入れた! 」

宮藤 「だけど!」

サーニャ「今回は、エイラが正解……まずはあれをやっつけないと……」

エイラ 「私らもやられちまうってことダナ!!」

サーニャ 「距離……3200……蛇行してるから、注意して……」

サーニャ 「今、射程に入ったわ!」

エイラ 「任せロ!」 バシュ! バシュ! バシュ!

ゴォッ! ドゴォッ! ドゴォッ!

宮藤 「当たったの!?」

エイラ 「手応えはあったナ! 」

サーニャ 「動きが鈍くなったわ……離れていく……」

宮藤 「今のうちに鳴上さんを!」 ブロロ……

サーニャ 「待って、また戻ってきたわ……」

エイラ 「戻ってクンナ!!」 バシュ……ババシュ

キィィィィン

エイラ 「クソッ、こうもビームが来ちゃ集中出来ない……」バシュ…バシュ…バシュ! カチカチッ!

エイラ 「弾切れ!? こんにゃろ!」 カチャ……ズドドドド……

宮藤 「私がシールドを張ります! だから攻撃に集中して!」

エイラ 「気が効くじゃないカ! ちゃっと終わらせて、ナルカミを探すか!」 ドドドッ

サーニャ 「……私も手伝う。借りるね……芳、佳…ちゃん。」

宮藤 「……うん!!」

サーニャ 「いっしょなら……何でもできそう……」

エイラ 「それが……」

エイラ「『チームだ!!』」

エイラ 「ッ! サーニャ、一回射撃を止めろ! 宮藤、もうちょいシールド、我慢できるナ!」

宮藤 「多分……何秒かなら平気。」

エイラ 「十分すぎる!」

エイラ 「もうちょい……もうちょい……」

サーニャ 「そういうことね……」

エイラ 「今ダ! ナルカミ!」

鳴上 「任せろ、土手っ腹にお見舞いしてやる!」 ズバッ!


宮藤 「雲の中から!?」

サーニャ 「止めたのは、流れ弾を防ぐため……?」

エイラ 「こ、こんな無茶をすんのハ、キョウダケダカンナ……」

宮藤 「エイラさん……優しいんですね。」

エイラ 「言うナ、バカ!」


鳴上 「コアが見えた……もう一丁!」

> 切り上げて上昇し、一気に急降下する。

鳴上 「降下と回転の勢いで……」

鳴上 「一気に叩っ斬る!」 ズバッ!

パリンッ

鳴上 「また、つまらぬ物を切って……」

エイラ 「バカ! さっさとシールドを張れ!」

鳴上 「!」 カン……カカンッ!

> 無数のネウロイの欠片が降り注ぐ!

エイラ 「グズグズすんな、こっちまで来イ!」

鳴上 「わ……分かった……」 ブーン…

宮藤 「よかった! でも、怪我はないの!?」

鳴上 「腕に細かい銃の破片が刺さったくらいだ……名誉の負傷さ。」

宮藤 「大変! 直ぐに治癒魔法をかけなきゃ!」

鳴上 「いや、そんなに痛みは……」

宮藤 「いいから! それは戦いで痛みに意識が向いてないだけ! 化膿したら大変なんだから……早く見せる!」

鳴上 「……こういうお節介なとこも、陽介に似てるんだよな。」 ボソッ

エイラ 「なんか言ったカ? 」

鳴上 「気にするな。」

> 宮藤に傷の手当てをしてもらった……

宮藤 「全く……心配したんですからね。」 パァァ……

鳴上 「だから、ゴメンって何度も……待ってくれ、あの歌がまだ聞こえる……」

エイラ 「まさか、別のネウロイだったのカ!? 」

宮藤「……違いますよ。サーニャちゃんの受信するラジオからです。」

サーニャ 「……」

エイラ 「そうか……」

鳴上 「一人で納得しないでくれ。」

エイラ 「悪い。言いそびれたケド、今日がサーニャの誕生日だったンダ。正確には昨日カ。」

鳴上 「ちょうど、日付が変わったな……」

サーニャ 「お父様……」

鳴上 「そういうことか……」

宮藤 「サーニャちゃんのお父さんも、サーニャちゃんを探してるんだね……」

エイラ 「誕生日に、サーニャが聞いてくれることを願って、か……」

宮藤 「奇跡……神様が祝ってくれたのかな……」

エイラ 「違うゾ。皆がサーニャを思ってくれたから、こうなったんだ。」

鳴上 「ああ、奇跡は起こらないから奇跡なんだ。」

鳴上 「神様なんて身勝手なものじゃない。俺達みんなが起こしたんだ。」

エイラ 「なんか……お前が言うと説得力あんナ……何でだロ?」

宮藤 「サーニャちゃん、お誕生日おめでとう。」

サーニャ 「芳佳ちゃんも。おめでとう。」

エイラ 「よ、芳佳ちゃん?……まあいいか。オメデトナ、宮藤。」

鳴上 「おめでとう、宮藤。サーニャ。」

宮藤 「……うん!」

サーニャ 「もう少しだけ、聞いていい?」

エイラ 「もちろんダ!」


ペリーヌ 「エイラさん! 宮藤さん! サーニャさん! 鳴上さんはどちらで撃つむぐっ!?」 ブーン……

鳴上 「無事だから……今は静かに。」

ペリーヌ 「」 コクコク

> ラジオの演奏が終わるまで、じっとしていた……

サーニャ 「待っててくれて、ありがとう。」

エイラ 「別に全然平気ダゾ。」

ペリーヌ 「もご……いつまで口を塞いでますの!?」

鳴上 「あ、すまん……そろそろ帰るか。」

ペリーヌ「そうですわね……サーニャさん、案内をお願いできますか?」

ペリーヌ 「ストライカーは見つけられませんでしたが……大丈夫なのかしら?1人で飛べますわね?」

サーニャ 「え、ええ……」

エイラ「……」ニヤニヤ

鳴上 「……」 ニヤッ

ペリーヌ 「なっ?何を笑っていらっしゃいますの!?」

エイラ 「いやいや、珍しいナって思って。」

ペリーヌ 「そ、それはサーニャさんの火力とナイトウィッチとしての技量はみみ、認めていますから。」

ペリーヌ 「501の夜の眼はアナタだけですし、重大な負担はいけませんわ。」

鳴上 「前に言ったこと、気にしてい」

ペリーヌ 「おお、おだ、お黙りなさい! と に か く! ……帰投しますわよ? 待たせてはいけませんし。」

サーニャ 「ありがとう……待たせるって誰を?」

宮藤 「皆寝てる時間じゃないの?」

ペリーヌ 「じきに分かりますわ。ゴホン、道案内をお願いできます?」

サーニャ 「分かりました……先導するね?」

宮藤 「よろしくね、サーニャちゃん。」


エイラ 「ナルカミ、ツンツン眼鏡のことだけどな?」 コソッ

鳴上 「なんでサーニャを先頭にしたか、か?」 コソッ

エイラ 「そうダ。アイツもサーニャがすっごい内向的ってのを知ってるからだと思うんだ。」

鳴上 「こうして少しずつ、人の後ろじゃなくて前にも立てるように。ってことか?」

エイラ 「こういうのだけは気が合うナ。ツンツン眼鏡も素直じゃないよナ。」

鳴上 「ダナ。」

ペリーヌ 「何をこそこそこちらを見て話してますの?」

鳴上 「そうだな……」 チラッ

エイラ 「……」 グッ

鳴上 「ペリーヌが優しいってことだ。」

ペリーヌ 「――――!!」

> 話をしながら基地まで帰った

【深夜/ 501基地 滑走路】

宮藤 「……基地、真っ暗。やっぱりちょっと、寂しいね」

サーニャ「いつものことだから……」

ペリーヌ 「お疲れ様。と言いたいところですが、ちょっと着いて来なさい。」

宮藤 「何が始まるんですか?」

エイラ 「第三次世界」

鳴上 「ストップ。どこの電波を受け取ったんだ。」

エイラ 「サーナ、知らネ。」

ペリーヌ 「あなたちはスケッチをしてますの?」

宮藤 「スケッチ?」

サーニャ 「お笑いってこと。漫才とか。」

鳴上 「面白いのか?」

ペリーヌ 「まっっっったく。ですわね。 着きましたわよ。」

サーニャ 「ここは……食堂?」

ペリーヌ 「サーニャさん、開けてみなさい。」

サーニャ 「わ、分かりました……」 ガチャ

> サーニャが恐る恐る扉を開けた……

パパン! カチッ

サーニャ「」ビクッ

ハルトマン「サーニャん、芳佳、誕生日おめでとー!」

鳴上 「今のは……」

ルッキーニ 「クラッカーだよん。」

鳴上 「しょうなのぉ?」

シャーリー 「誰の真似だか知らないけど……そういうことだ。」

ミーナ 「折角のお誕生日だから、少しくらい美味しいものを食べようと思ってね。」

坂本 「サーニャには苦労をかけているしな。」

バルクホルン 「宮藤も、よく頑張っている。このくらいの労いは然るべきだ。」

ハルトマン 「そんなこと言って、チョコケーキを焼くんだって張り切っていたくせに。」

バルクホルン 「なっ!? エーリカ。そのことは黙っていろとだな!」

シャーリー・ルッキーニ 「……」ニヤニヤ

バルクホルン 「ああ、こうなるから……」

宮藤・サーニャ 「あの……えっと…」 オロオロ

鳴上 「今日はお前たちが主賓だ。楽しめばいい。」

坂本 「そうだ。さあ、食え。私が切り分けてやろう。」

バルクホルン 「ナイスだ鳴上。写真も後で撮ってやるぞ。」

宮藤 「ありがとうございます。サーニャちゃん、一緒に食べよう?」

サーニャ「うん。皆で一緒に、だね。」

> ささやかな誕生日パーティを楽しんだ……

鳴上「ペリーヌ、どうした?」

ペリーヌ 「後で、相談がありますの。」
続く

280 :せつなさみだれうち [saga]:2012/08/15(水) 16:32:07.49 ID:T0MPKzQz0
P3Uがあるなら順平を使いたいです、はい。

鳴上 「ソイツも、都会から田舎に引っ越してきたくちで馬が合ってな。知り合った日から割と仲良くやってたんだ。」

鳴上 「結構いい奴で、付き合ってた先輩もいたんだ。」

エイラ 「いい話じゃないのカ? 全く関係ないケドナ。」

鳴上 「その先輩が、死んだんだ。」





陽介と小西先輩って付き合ってなくね?陽介の片思いじゃね?

>>297

>オカン級の慣用さ
>そっとしておこう
>どうでもいい
>歌う

お好きなものをお願いします。どうしてもというのなら、表と裏が逆の10円をあげますので許して下さい。
実際はキリノアムネジアのイチャイチャっぷりに指が走っただけです。ミスです。

ミスと穴だらけですが今日はここまで。次回はペリーヌ(シャーリー、ルッキーニ)回です。
ペリーヌ推しは元ネタの人の本を読んで感動したという、>どうでもいい な理由。
大空のサムライとか蒼空の河も好きだけど、翻訳だとしても凄い文章がキレイナンダナ。

[6話 Feux ru Ciel]

> サーニャ達のパーティの後、ペリーヌを部屋に呼んだ。

ペリーヌ 「お邪魔します……内装はシンプルですのね……」

鳴上 「適当に腰かけてくれ。ソファーかベッドくらいだが。」

ペリーヌ 「ここでベッドに腰かけるなんて、どうかしてますわ。」

鳴上 「ごもっとも。何も出せなくてすまないな。」

ペリーヌ 「こちらから押し掛けたのですから、当然のことですわね。」

鳴上 「……今度は何かお菓子でも用意しようか。」

ペリーヌ 「い、いえ。そういう意味で言ったのではなくて」

鳴上 「知ってる。話ってのはなんだ?」

ペリーヌ 「はぁ……それで、頼みというのは他でもないの。」

ペリーヌ 「買い物に、付き合っていただけませんか?」

鳴上 「いいぞ。いつだ?」

ペリーヌ 「決断が早いですわね。」

鳴上 「癖だな。で、何を買うんだ?」

ペリーヌ 「今日からちょうど1週間の後、何があるか知ってます?」

鳴上 「知らないが……」

ペリーヌ 「その日、26日は坂本少佐の誕生日ですの。」

ペリーヌ 「それで何かプレゼントを、と思いまして。」

鳴上 「話は分かった。シャーリーに頼んで車を……」

ペリーヌ 「待ってください! それじゃ意味がありませんわ!?」

鳴上 「いや、アイツなら快く引き受けてくれそうだが……」

ペリーヌ 「最終的にはそうでしょうけど……シャーリーさんやルッキーニさんには絶っっ対にからかわれますわ。」

鳴上 「二人はそんな奴じゃ……」 シマパフアワー!

鳴上 「……」 ナーッハッハッハ! ウシャシャシャシャ!

鳴上 「否定、出来ない……」

ペリーヌ 「そういうことですわ。大きな物を買うつもりではないですから、オートバイでも事足りますし。」

鳴上「引き受けよう。出来るだけ内密がいいってことだな。」

ペリーヌ 「話が早くて助かりますわ。」

探偵NAOTOではペルソナ使ってたし、チェンジしたいけど、はしたないのと一狂は少し躊躇う。

鳴上「それで、買うものというのは決まっているのか?」

ペリーヌ 「……」

鳴上 「分かった。それとなく聞き出してみるよ。」

ペリーヌ 「お願いします。 それでは、また後日に」

鳴上 「ちょっと待て、この本を持っていけ。」

ペリーヌ 「来た、見た、落っこちた? 確か、これは扶桑皇国陸軍の……」

鳴上 「坂本さんも出ている。少しだけな。」

ペリーヌ 「一通り扶桑海事変は学びましたが……こ、こういった個人の目から見る出来事もいいですわね。」

鳴上 「分かってる。大丈夫だから。」

ペリーヌ 「では、良い夜を……」 キィ…バタン

> ペリーヌから頼み後ごとを引き受けた……そろそろ休もう。


ペリーヌ 「……これで大丈夫ですわね。」 キョロキョロ

エイラ 「なーにーをーしてるんだーナ?」 ムニッ

ペリーヌ 「ひあっ!? い、いきなり胸を触らないでくださいまし!」

エイラ 「相変わらずペッタンコな。宮藤といい勝負ダ。」

ペリーヌ 「お、大きければいいわけじゃありませんわ!」

エイラ 「でもお前、この前はパッド入れてモゴッ!?」

ペリーヌ 「こ え が 大 き い で す わ。」

エイラ 「いやー、スマン。で、鳴上の部屋から出てきたロ?」

ペリーヌ 「そ、それは……」

ペリーヌ (こんなときに限ってシャーリーさんの次に面倒な人に……!)

エイラ 「ンデ、その大事そうに抱えてる本は何ダ?」

ペリーヌ 「そ、そうですわ! 鳴上さんに本を貸してもらいましたの!」

エイラ「なんだ、ツマンネーナ。」

ペリーヌ 「い、一体何を期待してましたの?」

エイラ 「イロイロ~。ツンツン眼鏡もさっさと休めヨ? 夜の飛行は神経を使うからナ……」

ペリーヌ 「ふぁ……そうですわね。お休みなさい。」

エイラ 「オヤスミー」 バタン

ペリーヌ 「……何とか、誤魔化せましたわね。」

【早朝/ 海岸】

> 坂本少佐に稽古をつけてもらった……

鳴上 「たあっ!」 ブンッ

坂本 「甘いわっ!」 カカンッ

坂本 「悪くない振りだったが……2の太刀を考えただろう、お前。」

鳴上 「……はい!」

坂本 「なまじ動きを覚えると起きることだ。1つの攻撃に集中できなくなる。」

坂本 「ネウロイは第2、第3の攻撃を許すほど甘くはないぞ。初太刀が肝心だ。」

鳴上 「分かりました!」

坂本 「しかし、眼の付け所は良くなっている。あれを全力でしたら私もああ綺麗に捌けなかっただろうな。」

坂本 「よし、もう一回だ。へばったとは言わせんぞ?」

鳴上 「上等。」

坂本 「はっはっは!……それでこそ、扶桑男児だ。」

> 一本と言わず、何度も竹刀を振るった…

> 根気が上がった

坂本 「今日はここまでだ。宮藤たちに負けないくらいの悪くない上達だぞ。」

鳴上 「ありがとうございます……」

> ペリーヌが草むらから様子を窺ってくる……

ペリーヌ (今回だけですわよ! 早くお聞きになって!)

鳴上 「」 コクッ

坂本 「どうした?」

鳴上 「坂本さんって、何か欲しいものとかは無いんですか?」

坂本 「急にどうした。」

鳴上 「いえ、少し気になって……」

坂本 「はっはっは! おかしな奴だ。そうだな……鳴上は昨日で初戦果だったろう。」

鳴上 「一応、そうなります。」

坂本 「謙遜するな。今度はそうだな……宮藤の初戦果が見たい。」

鳴上 「そう、ですか……」 チラッ

ペリーヌ (ムリダナ、ですわね。当分。)

坂本 「他には……そう言えば、お前と風呂に入ったことはなかったが……」

ペリーヌ ( ! )

坂本 「こればっかりは仕方ない。なにせ性別の壁がある。」

鳴上 「そりゃそうですよ。」

ペリーヌ (当然ですわ!!?) キシャーッ

> ペリーヌからのプレッシャーを感じる……

坂本 「ゴホン、とにかくだ。私は隊の皆が無事に過ごせれば十分だ。」

鳴上 「なるほど……」

坂本 「ちょっとクサイか?」

ペリーヌ (本当に素敵ですわ!少佐ぁ~)

鳴上 「いえ。やっぱりここに来て良かったと改めて。」

坂本 「嬉しいことを言ってくれる。汗の始末をして飯にしよう。」

鳴上 「分かりました。タオル向こうに置きっぱなしですからちょっととってきます。」

坂本 「ああ。早く戻ってこいよ。」 スタスタ……


鳴上 「任務失敗だ……自爆す」

ペリーヌ 「爆発物なんてありませんわよ。」

鳴上 「その通りだ。」

ペリーヌ 「それで、今回分かったことは……」

鳴上 「坂本さんって、いい人だよな。」

ペリーヌ 「ええそれはもう。ってそうじゃなくて! プレゼントへの糸口は見つかりましたの?」

鳴上 「ペリーヌはどうだ?」

ペリーヌ 「少佐はお風呂が好きですから……お風呂の道具?」

鳴上 「タオルとか、そんなのか?」

ペリーヌ 「……なんとも言えませんわね。」

鳴上 「坂本さんなら、何でも喜んでくれそうだけど……」

ペリーヌ 「そういう人への贈り物が一番難しいですわね、やっぱり。」

鳴上 「ひとまず、俺たちも飯にしよう。」

ペリーヌ 「ええ。ここで悩んでもいいアイデアは浮かびませんわね。」

> 食堂へ戻ることにした。

【朝/ 食堂】

宮藤 「あ、おかわりいりますか?」

鳴上 「じゃあ、頼む。」

ルッキーニ 「アタシもー」

バルクホルン 「宮藤も鳴上も、随分基地に馴染んだようだな。」

ハルトマン 「前までは必要以上に馴染むなとか言ってたくせに。」

バルクホルン 「リベリアンたちのようになってはいけない、という意味だ。」

シャーリー 「んだよ、人聞きの悪い……いただき。」 ヒョイ

バルクホルン 「なっ! それは私の芋だ!」

シャーリー 「カールスラント大好きの電撃戦だ。」 ドヤッ

バルクホルン 「子どもかお前は。」

シャーリー 「その子どもに目くじらを立てるお前はなんだってんだ。」

バルクホルン・シャーリー 「ぐぬぬぬぬ。」

ハルトマン 「まーた始まった。」

宮藤 「おかわりならありますから、落ち着いて下さい。」

鳴上 「仲が悪いって訳じゃないんだよな。」

ペリーヌ 「ベクトルが違うだけで本質は似てますから。あの2人。」

バルクホルン・シャーリー 「いーっ! だ!!」

鳴上 「納得した。」

> 賑やかな時間が過ぎていく……

> 食事を終え、食器の片付けを手伝った……

リネット 「わざわざすみません。」

鳴上 「好きでやってるんだ。気にしなくていい。」

鳴上 「変わりというかちょっと聞きたいことがあるんだがな。」

リネット 「?」

鳴上 「女の子がプレゼントで喜ぶものって、なんだ? 俺は男だからよく分からなくて。」

宮藤 「リーネちゃんに鳴上さん。なんの話をしてるの?」 ヒョコッ

リネット 「あ、芳佳ちゃんも答えてくれない? 貰ったら嬉しいものだって。」

宮藤 「うーん……お鍋かな? 最近、コゲが酷くてダメかなーって思うの。」

鳴上 「………」

宮藤 「後は……包丁研ぎの石!」

リネット 「なんだか……主婦みたいだね……」

鳴上 「家庭的で、いいと思う……」

宮藤 「えへへ……じゃあ、リーネちゃんは?」

リネット 「ええと……お洋服とかかな。可愛いの、最近着てなかったし。」

鳴上 「その辺りか……」

宮藤 「誰かに、プレゼントするんですか?」

鳴上 「いや、例えの話だ。それより宮藤、リーネって?」

宮藤 「リーネちゃんはリーネちゃんだよ。」

リネット 「私の呼び名です。シャーリーさんと同じですね。」

鳴上 「そういうことか。」

リネット 「もし良ければ、そっちで呼んでください。なんだかむずかゆくって。」

鳴上 「分かった。ええと……リーネ。」

リーネ 「……はい!」

> リーネに少し心を開かれた気がする……

宮藤 「ところでリーネちゃんって普段どんな服を着てるの?」

リーネ 「えっとね……」 ワイワイ

> 2人はそっとしておこう。

> 他に聞ける人は……

【エイラの部屋の前】

鳴上 「エイラ、いるか?」

エイラ 「い~な~い~ゾ~。」

鳴上 「いるじゃないか。ちょっと聞きたいことがあるんだがな。」

エイラ 「……なんダ? まあいいや。ちょっとだけだぞ。」 キィ

鳴上 「お邪魔します。」

サーニャ 「えっと、鳴上さん?」

鳴上 「サーニャも来てたのか。」

エイラ 「で、要件てのはなんだ。ちゃっちゃと終えて出てケ。」

サーニャ 「エイラ、鳴上さんが可哀想。」

エイラ「……」 ムクレッ

鳴上 「ああ。そんなに時間のかかることじゃないから、安心してくれ。」

鳴上 「二人、というか女の子が貰ったら嬉しいものってなんだろうなって。」

エイラ 「……ハァ? 変な質問ダナ。私なら……サルミアッキ。スオムスからニパが送ってくれるけどナ。」

サーニャ 「ニパっていうのはエイラのお友達なの。」

鳴上 「……」 カタカタ

エイラ 「ドシタ?」

鳴上 「サルミアッキは……ムリダナ。」

エイラ 「なんだよソレ!」

サーニャ 「サルミアッキについては同感よ。」

鳴上 「サーニャが貰ったら嬉しいものって、あるか?」

サーニャ 「…………ぬいぐるみ。」

エイラ 「よし、私に任せロ! 今度買いにいこうナ。」

サーニャ 「でも、そんなの悪いって…ぬいぐるみ。」

エイラ 「ちょっと遅い誕生日プレゼントだからいいんダナ。大丈夫!」

鳴上 「参考になったよ、ありがとう。」

エイラ 「まあ待テ。ぬいぐるみの話は今度にして折角来たんだ。一つ占ってやろう。」

鳴上 「面白いな。是非とも頼む。」

エイラ 「よし来た。未来予知とタロットで……ほいっと。」シュッ

エイラ 「……逆位置なんダナ。」

サーニャ 「安心と信頼の逆位置。」 ボソッ

エイラ 「……えーと、アルカナは。ほしー。」

鳴上 「クマか……逆位置だと、悲観的、消極的だったか。」

エイラ 「なかなか話せるナ、お前。補足しとくと前途は明るいのに……って感じダナ。」

鳴上 「悪くない知らせだ。」

エイラ 「そんで、もう一つ私からも話があったんダ。」

エイラ「なんか、面白いものってないか?」

鳴上 「面白いもの?」

エイラ 「夜間哨戒のことダ。ラジオはあるけど、電波が悪いと何にも無いからナ。」

サーニャ 「何か、刺激になるものは無いかな……って。」

鳴上 「……だったら、サーニャとエイラでラジオをするのはどうだ? お前たちが発信者だ。」

サーニャ 「 ? 」

鳴上 「今度はお前たちが楽しい会話を流すんだ。哨戒でも、少しくらいなら大丈夫じゃないか?」

鳴上 「自分の声で聞いてる人たちをを元気にする。楽しいと思う。」

エイラ 「それは……なかなか……」

サーニャ 「他のナイトウィッチとも交流できるかも……」 ワクワク

エイラ 「よし、後でミーナ中佐にかけあってみようナ!」

サーニャ 「うん。いろいろ考えなきゃ……」 コク

鳴上 「それと、もう1つあった。すぐに持ってくるよ。」 ガチャッ…タッタッタ

エイラ 「……サーニャと2人で……」

サーニャ 「エイラ、どうしたの?」

鳴上 「待たせたな。」 ダダダ……バンッ!

サーニャ 「」 ビクッ

エイラ 「いきなり戸を開けんなバカ! サーニャがビックリしてるダロ!」

エイラ 「私モビックリ……って何言わせんダ! バカ!」

サーニャ 「自分で地雷を仕掛けて起爆したわよ、エイラ。」

鳴上「こいつなんかはどうだろうか?」

エイラ 「インカム?……ちっさいな。色も目立つ。 これがドーシタ?」

鳴上 「ジュネスブランド、音楽プレーヤー(1980円)だ。」

サーニャ 「じゅ、じゅね……す?」

エイラ 「音楽プレーヤー? どれどれ……何て曲が入ってるんダ?」

鳴上 「さあ。陽介って友達に貰ったから。」

エイラ 「テキトーダナ。ま、イイヤ。これ、耳に差してドウスンダ?」 スポ

鳴上 「このボタンを、ポチっと。」カチッ

now I face-out I hold-out I reach out to the truth of my life seeking seize on the wbole moment yeah!

エイラ 「うわっ! こんな激しい曲が未来の扶桑じゃ流行ってんのか?」

鳴上 「さあな。どんなのが入っていた?」

エイラ 「こう、ぶわーっときて、グワーって!」

鳴上 「すまん。分からない……」

サーニャ 「どんな歌なの……聞かせて?」 ピトッ

エイラ 「!!!」

エイラ (サーニャが、サーニャのほっぺが私のほっぺニ!)

エイラ (うわっ、凄いスベスベで……プニプニしてて……)

エイラ (それでいてちょっと冷たくてうわああああぁぁぁぁぁぁ!!)

サーニャ 「なんだろ……激しい歌なのに、ちょっと悲しい……」

サーニャ 「でも、凄い力が湧いてきそう……背中を支えてくれそうな歌……」

鳴上 「気に入ったならよかった。ずっと使うと電池がなくなるから、少しずつ聞いてくれ。」

サーニャ 「いいの?……ありがとう。大事に聞くわ。」

エイラ (うへへ……サーニャぁ……)

鳴上 「ああ。そろそろおいとまするよ。じゃあな。」

サーニャ 「ばいばい。」

エイラ 「曲が……変わったんだーな……」

あなたのーテレビにー時価ネット田中~

み ん な の 欲の友!

エイラ・サーニャ 「……?」

スペル間違えたね。 wboleじゃなくてwholeダナ。

>あなたのーテレビにー時価ネット田中~
絶対、番長が追加で入れた曲だろww

>>363

鳴上 「陽介、このプレーヤーってどうやって曲を入れるんだ?」

陽介 「あー、そっか。んじゃ、俺が入れとくよ。何か希望あるか?」

鳴上 「何でもいいが……時価ネットを」

陽介 「分かっ……へ?」

鳴上 「時価ネット田中のアレとジュネスのジングルを頼む。」

陽介 「お、おう……任せとけ。」

こんな感じのやり取りがあったはず。Reach out~は陽介が戦闘で聞いてたと思うの。



【格納庫】

シャーリー 「貰うと嬉しいもの? マリーンの最新のエンジンかね。あれなら音速を越えられる、きっと。」

シャーリー 「んでもって、バイクの改造だがな、最大トルクを―――」

> バイクを改造した箇所の説明を受けた……

【林】

ルッキーニ 「貰うと嬉しいもの? んっとね! 虫かごと網かな。なになに!? ユー、くれるの?」

鳴上 「……少し、待ってろ。」

> 虫取り網を貸した

ルッキーニ 「やったー! 虫~虫~どーこーだー……にしし~」

鳴上 「後で部屋に戻してくれよ。」

ルッキーニ「分かってる~」


【バルクホルンの部屋】

バルクホルン 「貰うと嬉しい? それよりもエーリカの奴を起こすのを手伝ってくれ。」

鳴上 「分かり……ました。」

> ハルトマンの部屋へ着いて行った……

バルクホルン 「起きろエーリカ! 昼寝と言って何時間だ!」

ハルトマン 「うーん……あと2時間。」

バルクホルン 「日が暮れるぞ!?」

鳴上 「ハルトマンは、何か欲しいものがあるのか?」

ハルトマン 「寝たい……でなきゃ、お菓子」

鳴上 「……分かった。作ろう。」

ハルトマン 「ホント!?」 ガバッ

鳴上 「なっ!?」

バルクホルン 「ズボンを穿かんか! 馬鹿者!!」

ハルトマン 「はーい……お菓子。」

鳴上 「分かってる。何故か芋は大量にあるからな……」

> ポテトチップスを作って過ごした……

【夜/ 食堂】

鳴上 「……」 グッタリ

宮藤 「随分疲れたみたいですね……何かあったんですか?」

鳴上 「ちょっと、堪えることが多くて、な……」

ハルトマン 「私のセクシーな姿を見れたから、いいじゃん。」

ペリーヌ 「な、鳴上さん!?」

エイラ 「またやらかしたのカ……ラッキースケベ。」

サーニャ 「……スケベ、なんですか?」

鳴上 「!!!」 グサッ

シャーリー 「うわ、サーニャがトドメ刺した……」

バルクホルン 「すまんな、鳴上。エーリカお前のせいだぞ。」

ハルトマン 「いや、トゥルーデにも責任はあるんじゃないの?」

バルクホルン 「なっ、私のせいなのか?」 クドクド……

鳴上 「いえ、大丈夫です……」


> 誰かが足を軽く蹴った……ペリーヌだ……

ペリーヌ「“また”ってなんですの? まさか前科が」 ボソッ

鳴上 「そっとしておけ……」

ペリーヌ 「はぁ……それで? 調査の報告は……」コソッ

鳴上 「後で話す。」 コソッ

シャーリー 「それはそうと、何を話してるんだろうな。アイツら。」


バルクホルン 「だいたいお前は……ん?さあな。聞いてみたらどうだ?」

シャーリー 「それもそうか、ペリーヌ。コソコソと何を……」

鳴上 「ああ。前に見せた手品の種明かしをせがまれて。」

ルッキーニ「へー。どんなの? 見せて見せて!!」

鳴上 「ええ、そのうち。ところでシャーリー。バイクのことだが」

シャーリー 「お、おう……」

シャーリー (はぐらかされた……ペリーヌならチョロい筈なんだが)

バルクホルン (鳴上がフォローに回ったな……しかも、聞き出しにくいものに置き換えた。)

ルッキーニ (なんか分かんないけど……面白そう!)

ペリーヌ 「ごちそうさまでした。それではお先に失礼します。」 バタン

鳴上 「……」

シャーリー (なんとかしてナルカミの口を割らせたいが……)

ルッキーニ 「んでさ、ユウはペリーヌと仲いいの?」

鳴上 「多分。良い方だと思う。」

エイラ 「そりゃ、夜中に部屋の出入りをする仲だからナ。」

鳴上 「誤解を招く言い方だ。本を貸しただけだぞ。それじゃ、ごちそうさまでした。」キィ……バタン

> 何故か、シャーリーたちから色々な勘繰りをされている気がする……

鳴上 「あれだけ聞いて回ればな……用心するか。」


【夜/ 休憩室】

鳴上 「簡潔に話すぞ。良い話と悪い話がある。どっちがいい。」 FBIスーツ

ペリーヌ 「なんで、怪しさ満点の黒い服を……?」

ペリーヌ 「なんで、新聞を読みながら背中合わせに座ってますの……?」

ペリーヌ 「なんで言い回しが不自然ですの……?」

鳴上 「スパイとか、内緒の話はこうしたほうが、それっぽいだろ?」

ペリーヌ 「気のせいかしら……随分楽しそうですわね。」

鳴上 「ちょっと楽しい。」

ペリーヌ 「こちらは真剣にやってますのよ!?」

鳴上 「楽しいことでも真剣に。それがモットーだ。」

ペリーヌ 「初耳ですわよ、それ。」

鳴上 「だろうな。それで、どっちのニュースから聞きたい。」

ペリーヌ 「そうですわね……悪い方から。」


ハルトマン 「サーニャん。あれ、何をしてるんだろうね。」

サーニャ 「さぁ……」

ハルトマン 「ダメダメ。こういうときの答え方、教えたじゃん。」

サーニャ 「えっと……言わなきゃダメ?」

ハルトマン 「もちろん。」

サーニャ 「さぁ……にゃ。やっぱり、恥ずかしい……//」

エイラ 「今の何ダ!? もう一回、もう一回言ってくれサーニャ!」

そういえば、宮藤少尉、サーニャ中尉、服部軍曹。誕生日おめでとう。


鳴上 「悪い話はだな……聞き込み調査は徒労に終わった。」

ペリーヌ 「想像はしてましたわ。良くも悪くも、501は個性が強すぎますから。」

鳴上 「お前がそれを言うか……」

ペリーヌ 「何か仰いました?」

鳴上 「いえ、何も。」

鳴上 「それどころか、バイクの改造についてマニアックな会話をしたり。」

鳴上 「網を貸して虫捕りに付き合ったり」

鳴上 「バルクホルンさんに話を聞こうとしたら、ハルトマン起こしを手伝うよう言われ、」

鳴上 「下半身素っ裸のハルトマンにお菓子をねだられた。」

ペリーヌ 「そんなことが……それは、ご愁傷さまとしか。」

鳴上 「オマケに……サーニャに、スケベと呼ばれた……」

ペリーヌ 「……一番疲れた顔になりましたわね。」

ペリーヌ 「鳴上さんがバルクホルン大尉と気が合うのも無理ありませんわね……」

鳴上 「……」 ペラッ

ペリーヌ 「……」

鳴上 「……話していいか?」

ペリーヌ 「もしかして、新聞をめくるのが合図でしたの?」

鳴上 「」コクッ

ペリーヌ (面倒臭い……)ギリ

鳴上 「良いニュースだ……そこまで良いか分からないが、話すぞ。」

ペリーヌ 「……どうぞ。」 ペラッ

鳴上 「エイラの占いでは、気にすることない。感覚で良い。だそうだ。」

ペリーヌ 「本当に微妙ですわね。」

鳴上 「作戦の開始は明日だな?」

ペリーヌ 「ええ。休暇願いはしっかり。」


シャーリー 「作戦? なあバルクホルン、聞いてみたらどうだ? “お願いパパ、危ないことは止めて! ” とか。」

バルクホルン 「そうだな……って、なぜ私なのだ。」

シャーリー 「24な感じだから。」

バルクホルン 「まるで意味が分からんぞリベリアン。」

鳴上 「見て回るところは決まって?」

ペリーヌ 「一通りは、ですがね。」

鳴上 「そのなかに手芸道具の店は?」

ペリーヌ 「時間はあるでしょうから、何か買いますの?」

鳴上 「少し、な。」 パタン

ペリーヌ 「……畳むと、報告の終わり……ですわね。さっきの調子だと。」

鳴上 「分かってるじゃないか。」

ペリーヌ 「今、凄い笑顔でしたわね。顔は見えませんけど。」


シャーリー 「ナルカミー。何をしてるんだ? みょうちきりんなスーツまで着て。」

鳴上 「ハイカラだろ? このスーツ。」

シャーリー 「お、おう……んで、作戦ってなんだよ。」

鳴上 「ああ。ペ、ペリーヌと俺の固有魔法を組み合わせた技を作れないかなって。」

シャーリー 「……へえ。どんな感じに?」

鳴上 「……こうやって、俺が扶桑刀でズバッとやって」

ペリーヌ 「わ、私がレイピアで上からザクッと……」

鳴上 「名付けて……」

鳴上 「十文字斬り!」

ペリーヌ 「グランドクロス!」

鳴上・ペリーヌ 「……あれ?」

鳴上 (おい、肝心の所でバラバラじゃないか。)

ペリーヌ (アドリブが急すぎますわ。)

シャーリー 「はっはっは! まあ、ゆっくり決めるといい。実戦で見るのを楽しみにしてるよ。」

> どうやら、上手く誤魔化せたようだ……

シャーリー 「それと、そのスーツ、似合ってるぞ。」

ペリーヌ 「佇まいが落ち着いているから、かしら……?」

鳴上 「そうか? 今度、着てみるか? 色々あるぞ。」

シャーリー 「面白そうだな。今度、仮装大会でも開くといいかもな。」

鳴上 「……! そう遠くないうちに、な。」

シャーリー・ペリーヌ 「?」

鳴上 「独り言だ。」

ルッキーニ 「つっかまーえた!! 見て見て、シャーリー!ユウー!」

シャーリー 「どうしたんだ? 嬉しそうだが。」

ルッキーニ 「えへへー……籠の中! クワガタ捕まえたの!」

鳴上 「よかったじゃないか……ヨーロッパミヤマクワガタか。日……扶桑より大きいんだな。」

ルッキーニ 「うん! 最近見なかったけど……やっと見つけたの!」

シャーリー 「よかったな。ちゃんと世話をするんだぞ?」 ナデナデ

ルッキーニ 「うじゅじゅ……シャーリー、痛い。」

シャーリー 「ん~? よーしよしよし。」 ワシャワシャ

ルッキーニ 「痛いってば! シャーリーの馬鹿力! 」ダッ

鳴上 「なぜ、俺の後ろに隠れる。」

ルッキーニ 「わはー、凄い。おっきい……」 ピョイッ

鳴上 「なぜ、肩車に!?」

シャーリー 「バルクホルンみたいに固いこと言うなよ~お前の頭、撫でやすいんだからさ~。もうちょいだけ。な?」

ルッキーニ 「べーっだ。ユウ、シャーリーから逃げて! いっつもああやって髪をぐちゃぐちゃにするの!」

鳴上 「任せろ。」 シュタタタタ

シャーリー 「速さで、私に勝てると思うなよー。」 ダダダダダ


ハルトマン 「たまに、ここが最前線ってこと忘れちゃうよね……」

バルクホルン 「平和だな……鳴上もすっかりお兄さんか。うむ。」

ハルトマン 「なんでそこでシンパシー感じるの……あー、妹バカってか……」

リーネ 「皆さん、お茶が入りまし……随分、賑やかですね。」

> 仲間と楽しい時間を過ごした。

【翌日の朝/ 格納庫】

鳴上 「朝飯の後すぐに来たが……少し早かったな。」

> バイクの点検をして時間を潰した……

鳴上「えーっと、これがブレーキで。これが……」

ペリーヌ 「お待たせしました。」

鳴上 「いいや。こっちも来たばかりだ。」クルッ

ペリーヌ 「そうですか……ぶっ!?……なんですの……それ。」

鳴上 「眼鏡だ。」

ペリーヌ 「外しなさい。」

鳴上 「ペリーヌもかけてみるか?」

ペリーヌ 「遠慮します!」

> 鼻眼鏡を外した。

鳴上 「結構人気のジョークグッズなんだがな……」

ペリーヌ 「何で点検にジョークが必要ですの!?」

鳴上 「真面目なペリーヌが休暇を取ると言ったんだ。折角なら楽しんで欲しいと思って。」

ペリーヌ 「そ、その気遣いは嬉しいですけど……もっとこう、良いものがあるんじゃ?」

鳴上 「それなら、カールスラントの殺人ジョークマシンの話を」

ペリーヌ 「……しなくていいです!」

鳴上 「そうか……?」

> 誰かに見られている気がする……



シャーリー 「久々にストライカーいじろうとしたら。」コソッ

ルッキーニ 「凄いしっとりした空気だよ、シャーリー。」コソコソッ

シャーリー 「何を話してるんだろうな?」

ルッキーニ 「面白い眼鏡だろ?ペリーヌ」

シャーリー 「ええ、そうですわね鳴上さん。」

ルッキーニ 「そうだ、折角ならこの眼鏡を買いに行こう。」

シャーリー 「まぁ、嬉しいですわ。」

ルッキーニ 「ペリーヌ……」

シャーリー 「鳴上さん……って感じか?」

ルッキーニ 「うーん……ちょっと違うんじゃない? 眼鏡は不評みたいだし。」

シャーリー 「でも変な空気だよな。……面白そうな感じの。」 ニヤリ

ルッキーニ 「やっぱり、そう思う?」 ニヤリ

ペリーヌ 「それじゃあ、そろそろ行きましょうか。」

鳴上 「そうだな。これ、被ってくれ。」 ポスッ

ペリーヌ 「うにっ! ヘルメットくらい、自分で被れますわ……何で、No.1?」

鳴上 「いいだろ?“青の一番”だし。」

ペリーヌ 「白ですわよ。このヘルメット。」

鳴上 「……」

鳴上 「取り敢えず、行こうか。後ろに乗ってくれ。」

ペリーヌ 「ええ。なかなか……大きいですわね……」

鳴上 「しっかり掴まってくれ。落ちると危ないからな。」

ペリーヌ 「分かりましたわ。」 グッ ムニッ

鳴上 「 ! 」

ペリーヌ 「どうかしましたの?」

鳴上 「いや、何も。それじゃあ。」

鳴上 (これが……あの時の俺たちが夢見た……)

鳴上 (密着作戦……!)

鳴上 (悪いな陽介……完二……)

鳴上 (しかし、何だろう……その……今一つ……そう、ボリュームが……)

鳴上 「シャーリーやリーネなら、もっと……」

ペリーヌ 「シャーリーさんやリーネさんがどうしました?」

鳴上 「何でもないそれじゃ行くぞ。」 ブロロロ……

鳴上 (……陽介。あの時の無念は晴らした……)

可哀想だがクッソ笑ったわな
あと周回しても頑なに牛選択肢選んだり完ニの水着気にして花村の胃を痛め付けてんのは俺だけじゃないはず

あと何気に>>1は裏表逆のコインとか南条好きなんだな

>>394 セベクビルまでモップで戦い続けるガッツは勿論、つっけんどんなキャラが軟化するって過程が好き。
あと、みんな完二が大好きみたいで安心した。選択肢だとつい、ね……

シャーリー 「あいつら、行ったか……やっぱり、何かあるのか?」

ルッキーニ 「デート」

シャーリー 「そうだな……調べてみるか?」

ルッキーニ 「そだね。でもさ、外出許可願い。出してないよ?」

シャーリー 「ルッキーニ……アタシらが、そいつを出して出たことがあったか?」

ルッキーニ 「えーと、あんまないね。」

シャーリー 「その通り。行くぞ! 特別捜査隊の結成だ。」

ルッキーニ 「おーっ!」



鳴上 「くしゅっ……?」

ペリーヌ 「風邪ですの?」

鳴上 「いや、砂ぼこりだろう。すぐに慣れるさ。」

ペリーヌ 「無理はなさらないで下さい。」

鳴上 「そのつもりだ。見ろよ、景色。綺麗だぞ。」

ペリーヌ 「……ダメですわね。どうしても、海の向こうに眼が行ってしまいますわ。」

鳴上 「ガリアのことか……生まれた場所だもんな。」

ペリーヌ 「ごめんなさい。折角の外出ですのに、楽しみを削ぐようなことを言って……」

鳴上 「誰でもそんなものだ。謝らないでくれ。なんて言えばいいか分からなくなる。」

鳴上 「いつも通り“鳴上さん、あなたという人はどうしてこう訳の分からないことを!”……って。」

ペリーヌ 「……一応、変なことをしてるって自覚はありますのね。真似、似てませんわよ。全く!」

鳴上 「それでいい。憎まれ口でも少佐のことでも、何でも話してくれ。」

鳴上 「全部受け止めてやる。」

ペリーヌ 「……たまにこういったことをするから、やりづらいのに……」

鳴上 「どうかしたのか?」

ペリーヌ 「いえ、何も。でしたら、少佐の話を……」

> ペリーヌと坂本少佐の出会いの話を聞いた。

ペリーヌ 「それでも少佐は傲慢な態度をとり、私の言う“扶桑なんて極東の魔女”に負けた私にも気さくに話しかけてくださったの。」

鳴上 「ペリーヌが何度も負けるなんてな。」

ペリーヌ 「あなたの稽古も似たようなものですわよ?」

鳴上 「ぐっ……」

ペリーヌ 「それでは、私からも質問がありましてよ。一体、このバイクをどのように手に入れたの?」

ペリーヌ 「タイガー100。トライアル社製のなかなか良いものではなくて?」

ペリーヌ 「半月じゃ手が届かないはずですわ?」

鳴上 「その話か……」

――
――――

【数週間前、ロンドン市内】

シャーリー 「さてと。バルクホルンは送ったし、買いにいくか。」

鳴上 「うぶっ……安全運転で頼む……お前の運転は……危ない。」

シャーリー 「流石に街中でぶっ飛ばすわけないじゃないか。心配性だなー。」

ルッキーニ 「ダナダナ。」

鳴上 「エイラの真似はいいから……」

シャーリー 「あー、分かったって。ちぇっ、面白いのにな。」



シャーリー 「おっちゃん! いるか。」

店主 「おう。いるぞ。何の用だ。」

鳴上 「知り合いなのか?」

ルッキーニ 「ここでパーツ買ってるもんね。」

店主 「いらっしゃい。ベルベット・ブルーへようこそ。」

鳴上 (なんか、気になる名前だ……)

シャーリー 「んでおっちゃん。コイツに適当なバイク見繕ってくれね?」

店主 「小僧、バイクの経験は?」

鳴上 「50ccなら。」

店主 「ぺーぺーじゃないか……まあ、探してみるさ。」

鳴上 「お願いします。」

シャーリー 「……おっちゃん。まさかコレ。トライアル社製、タイガー100!?」

店主 「お、おう……最近仕入れてな。」

シャーリー 「コイツにしよう!」

鳴上・店主 「なっ!」

店主 「バカ言え。トーシロをそんな大型に乗せられるか。」

シャーリー 「アタシがしっかり指導するから! な? それならいいだろ!?」

店主 「グラマラス・シャーリー直々なら、指導にゃ問題ないだろうがな……」

乗ったことないけど、制限30kmと限界で160出るような大型じゃやっぱちがうと思う。最初は恐いっぽいね。

鳴上 「グラマラス・シャーリー?」

ルッキーニ 「シャーリーのあだ名だよ。」

シャーリー 「アタシ、昔はバイクのレーサーしてたのよね。」

シャーリー 「ボンネビルフラッツってレースなんかで色々走ってたわけさ。」

店主 「見てたぜ、あの走り。」

シャーリー 「照れるから、あんま言うなっての。」

鳴上 「それで、このタイガーってのは良いものなのか?」

店主 「おうよ。1939年に開発された名車スピードツヴァイのアップグレード版だ。」

シャーリー 「並列2気筒って珍しいバイクなのにコストに優れていてな。」

シャーリー 「このタイガーはちと値段が張るけど。良いものだ。」

鳴上・ルッキーニ 「 ? 」

店主 「おっと、マニアックな会話に花ぁ咲いちまったな。」

シャーリー 「だから、頼む! 売ってくれね? コイツのことは責任持って面倒見るから!」

店主 「……そこまで言うなら。」

ルッキーニ 「シャーリー、捨て犬拾った子供みたい。」

鳴上 「だが、俺はそんなに持ち合わせは……」

シャーリー 「私が半分出すから! 」

シャーリー 「変わりに、今度いじらせてくれ!」 ハァハァ

鳴上 「あ、あぁ……息を荒くしなくても……」

――――
――

鳴上 「こんなことがあってな。」

ペリーヌ 「……絶対、シャーリーさんがいじりたいだけですわよね。」

鳴上 「俺もそう思う。」

これを張れと言われた気がした
http://livedoor.blogimg.jp/otanews/imgs/1/a/1af20f18.jpg?5e9a931b

>>407 垂れ気味の加東さんがいなくて残念だ。

鳴上 「結構いじくってるらしいけど、そうした箇所は教えてくれるし。大丈夫だ。」

ペリーヌ 「シャーリーさんの整備の腕は普通の整備兵程度なら敵いませんは。」

鳴上 「珍しいな……ペリーヌが人を褒めた。」

ペリーヌ 「じ、事実を述べたまでですわ。いつもからかってきますけど……」

鳴上 「大切な仲間。だもんな。」

ペリーヌ 「そろそろ街ですわ。いくつか気になる店もありますし。」

鳴上 「道案内はまかせたぞ。綺麗な街並みだな……」

ペリーヌ 「ええ。ガリア等の避難民もちゃんとした生活を送っているそうですし。」

ペリーヌ 「501の上以外はしっかりしてますわ……」

鳴上 「501の上が?」

ペリーヌ 「もう少し物資の補給を円滑にしてくれたらってだけですわ。」

鳴上 「そうだな。ミーナ隊長を見てると手続きが大変そうだ。」

ペリーヌ (余計な心配をかけさせるわけにはいきませんしね……)

ペリーヌ 「この道を3ブロック行ってから右折してちょうだい。」

鳴上 「ああ。仰せのままに。」



ルッキーニ 「うじゅー、あんなご飯粒くらいにしか見えない距離じゃなに話してるか分かんないよ―」

シャーリー 「仕方ないだろ? これ音デカイんだから。すぐにばれちまう。」

ルッキーニ 「もー、速く走ってもくれないしさー。」

シャーリー 「尾行なんだから、また今度な?」

ルッキーニ 「はーい……つまんないの。二人は市街地に入ったぽいよ。」

シャーリー 「あいよー」 ブロロ……

鳴上 「それで、何を見るんだ? 服屋ってことは……」

ペリーヌ 「その、少佐に可愛い洋服をと思いまして……きっと、似合うと思いますの。」

鳴上 「少佐がこう、ヒラヒラのをか?」

坂本(鳴上のイメージ) 「あははは、うふふふふ……」 キラキラ

鳴上 「ちょっと、考えにくい。かな……もっとこう、落ち着いた服とかのが。」

ペリーヌ 「……そうですわね。やっぱり、扶桑撫子然とした佇まい……あぁ……」

店員 「何かお探しものですかぁ?」

鳴上 「ええ。ちょっとプレゼントでもと思って。」

店員 「そうですかぁ。ではそちらのお客様に丁度いいお洋服が……」 グイ

鳴上 「あの、プレゼントの相手はペリーヌじゃ……」

ペリーヌ 「ちょっと、お待ちになって……」

店員 「ご遠慮なさらずぅ。ぜひご試着お願いしまぁす。」

ペリーヌ 「だから、そうじゃなくて」 ピシャッ

鳴上 「俺のミスだ。すまん、ペリーヌ。」

>しばらくして……

ペリーヌ 「……」ガラッ

鳴上 「……ハイカラだな。」

ペリーヌ 「なんですの、この変なカチューシャは。」 ムスッ

鳴上 「頭に剣が刺さってるみたいだな。足は拘束具みたいで。」

鳴上 「でも、似合ってるとは思うぞ。」

ペリーヌ 「この格好では落ち着きませんわ! すぐに着替えますから。」

店員 「そちらのお客様が着替えている間、渋いお兄さんにはこのタンクトップやベースボールキャップのご試着は……」

鳴上 「よし、行くぞペリーヌ。」 グイ

ペリーヌ 「い、いえ。その、お勘定は」

鳴上 「これでお願いします。」

店員 「あ、ありがとうございました……」


ペリーヌ 「そんなに嫌でしたの? あの帽子。」

鳴上 「なんとなく、ああいう店の雰囲気はまだ苦手でな。」

ペリーヌ 「ふぅん。男の人の気持ちって、今一つ分かりませんわね。」

鳴上 「逆もまた然り、だな。」

シャーリー 「店に入ったきり……」

ルッキーニ 「出てこないね……」

シャーリー 「備考とか、映画じゃ面白そうだけど。」

ルッキーニ 「結構面倒くさいもんだねー」

シャーリー 「我慢だぞールッキーニー」

ルッキーニ 「あいあい~……ユウとペリーヌ、出てきたよ。」

シャーリー 「どれど……ぶっ!? ペリーヌのアレって……」

ルッキーニ 「凄いカッコだね……なになに、ユウがあれ着せたの?」

シャーリー 「ぷっくくく……意外と……似合ってるのな……」

ルッキーニ 「ユウ。面白い趣味してるね。」



ペリーヌ 「……ん~?」 ジーッ


シャーリー 「やばっ、こっち見た。伏せろ。」 グッ

ルッキーニ 「むぎゅう……シャーリー、ハンドルとおっぱいでぐるじい……挟まっでる……」



鳴上 「どうかしたか、ペリーヌ。」

ペリーヌ 「いえ、なんだか見覚えのあるような人が車に……」

鳴上 「近くで見るか?」

ペリーヌ 「いいえ、行きましょう。時間が勿体ないですし。」

ペリーヌ 「知り合いだとして、こんな格好を見られたら……」

鳴上 「? 結構、可愛いと思うぞ。」

ペリーヌ 「そういう問題ではありませんの! 次の店に行きますわよ。早くなさい。」

鳴上 「それもそうだ。車に見覚えのあるような人……」

鳴上 「まさか、な。」

ペリーヌ 「やっぱり、こうヒラヒラした服は落ち着きませんわ。風でベルトがはためきますし。」

鳴上 「ベルト?」

ペリーヌ 「これですわ、穿いている白いこれ。」

鳴上 「そうなのか……俺としては凄い安心するんだが。色んな意味で。」

ペリーヌ 「訳の分からないことを仰らないで。次はここですわ。」

鳴上 「ここは……何の店だ? 」

ペリーヌ 「扶桑の食品を売ってくれるお店ですわ。」

ペリーヌ 「私も何かご馳走しようと思いましたけど、扶桑料理は分かりませんし……」

鳴上 「理屈は分かったが……」

看板《あいしい焼き内》 《納豆ご叛》

鳴上 (何かが……決定的におかしい……!)

ペリーヌ 「入りますわよ?」

鳴上 「あ、ああ……」 ガラッ

鳴上 (なんで、入り口なのに……障子なのだろうか)

> 今はそっとしておこう……

ウェイトレス 「イラッシャーイマセ」

鳴上 「お邪魔しました!」 ピシャッ

ウェイトレス 「ドーモ、アリガート。」

> やっぱり、そっとしておけない!

ペリーヌ 「いきなり何をしますの!」

鳴上 「こっちの台詞だ。ウェイトレスがなんで中途半端な忍者なんだ。」

鳴上 「なんでカタコトの日本……扶桑語で話すんだ。」

鳴上 「なんで蕎麦に……クリームソースをあえるんだ。」

鳴上 「お百姓さんに……謝ればいい。この店は。」

ペリーヌ 「急に長いセリフを言ったと思ったら、どういう意味ですの?」

鳴上 「熱くなった、すまない……俺が言いたいのはだ。この店の知る扶桑文化は、坂本さんや宮藤の知るものと違う。」

ペリーヌ 「そういうことですのね……分かりました。次の店へ行きましょう。」

鳴上 「それで、次に行く店ってのはどこだ?」

ペリーヌ 「そうですわね……近くに雑貨屋がありますし、見てみましょう。」

鳴上 「分かった。」 ブロロ……


――
――――

鳴上 「よかった……普通の店だ。」

ペリーヌ 「そんなにあの店が嫌でしたのね……」

鳴上 「あれは、冒涜だ。」

ペリーヌ 「あなたの趣向はどうでもいいですわ。見て回りますわよ。」

鳴上 「了解。」


鳴上 「……ネコペンギン……ふむ。」

ペリーヌ 「誰に買うつもりですの?……まさか、サーニャさんにでも?」

鳴上 「」 コクッ

ペリーヌ 「鳴上さん? 何だか、バルクホルン大尉の宮藤さんへの態度みたいですわよ?」

鳴上 「そんなことはない。」

ペリーヌ 「エイラさんが言ってましてよ? 鳴上さんがサーニャさんに甘いって。」

鳴上 「ちょっとだけ菜々子に似てるなと思ってさ。父親が大好きなこととか、少し人見知りなとことか。」

ペリーヌ 「友達や菜々子さんの話の話になると妙にイキイキしますわね……」

鳴上 「まあ、な……」

ペリーヌ 「ひょっとして、少し寂しいとか?」

鳴上 「元々、1年だけそこの仲間や菜々子と暮らすってことだったから、それなりに覚悟はしてたけど。」

鳴上 「やっぱり分かれてこうしていると時々、考えるんだ。皆のこと。」

ペリーヌ 「会いに行こうとしても、時代が違ってはね。きっと、元に戻れますわ。」

> ペリーヌから、さりげない気遣いを感じる……

鳴上 「悪い。面白くない話題だった。」



シャーリー 「何か、少し悲しそうだな、ナルカミ……」

ルッキーニ 「ねね、シャー……むぐっ」

シャーリー 「しっ、名前で呼ぶんじゃない。バレちゃうだろ?」

ルッキーニ 「じゃあ……マーマー」

シャーリー 「私は16だっ!」



ペリーヌ 「気のせいかしら、聞き慣れた声が……」

鳴上「……まさか。な。」

ペリーヌ 「うーん……これだ! って思うものは見当たりませんわね……」

店員 「お買い上げありがとうございまーす。」

鳴上 「やっぱり、見当たらなかったか。」

ペリーヌ 「ええ……って、何をそんなに買ってますの?」

鳴上 「手芸の道具。フェルトとか、綿とか。」

ペリーヌ 「裁縫の道具は持っていまして?」

鳴上 「……リーネになら、持ってそう。」

ペリーヌ 「確かに、あの子は器用ですしね。何を作りますの?」

鳴上 「ちょっとな。」

ペリーヌ 「そんなに買って……ちょっとの量じゃないですわよ。」

鳴上 「ごもっとも。2週間もすれば出来るだろうから。」

ペリーヌ 「……分かりましたわ。そろそろお昼にしましょう。」

鳴上 「何か決めているのか?」

ペリーヌ 「……あの扶桑料理のお店の予定でしたけど。」

鳴上 「じきに見つかるだろ。ブラっとまわるか。」

ペリーヌ 「そうですわね。行きましょう。」

【喫茶店】

鳴上 「この辺りにはここしか無いな……」

ペリーヌ 「このくらいが丁度いいですわ。ブリタニア料理は美味しくありませんし。」

鳴上 「そうなのか?」

ペリーヌ 「我が国は美食を求め植民地を~なんてトップが言ってしまえば、ですわ。」

鳴上 「なるほど。ここなら財布にも少しはやさしい。胃にも。」 カランカラン


シャーリー 「アイツら、昼飯みたいだな。」

ルッキーニ 「アタシもお腹すいたー。ねぇ、お店入ろうよ。」

シャーリー 「そうだな~……ちょっとならバレないよ、な?」

ルッキーニ 「奥の席なら大丈夫だよきっと。」

シャーリー 「それもそうだな。」 カランカラン



鳴上 「メニューって無いのか?」

ペリーヌ 「普通は、どこにもありますけど?」

鳴上 「注文できないもんな。聞いてみようか。すいませーんメニューって何がありますか?」

コック 「卵とベーコン、それからスパム。他にはスパムとレタスとスパムのサンドウィッチ。」

コック 「トーストに、スパム。ポークビーンズにスパム。伊勢海老のスパム乗せ。」

コック 「スパム、ベーコン、ソーセージ。スパム、ベーコン、卵にソーセージ、スパム。」

鳴上 「スパムって、あれだよな。シャーリーが料理当番の時のやつ。」


ルッキーニ 「あのー、スパムが入ってないやつは?」

コック 「スパム、ベーコン、卵、ソーセージ、スパム。これ、スパムが少ないよ。」

シャーリー 「卵、ベーコン、スパムで。」

ルッキーニ 「スパム入ってるよ、シャー……お姉ちゃん。」

シャーリー 「スパム、ベーコン、ソーセージ、スパムよりスパムが少ないじゃん。」

ルッキーニ 「やーだー! スパム食べ飽きたのー!」


ペリーヌ 「やっぱり、この声は……」

客 「スパムスパムスパムスパムスパムスパムスパムスパ~ム、おいしいスパ~ム♪」

鳴上 「突然歌い出した!?」

ペリーヌ 「なんで他の客が海賊ルックですの……」


シャーリー 「スパム食ってやるから、好きだし。スパム、スパム、スパム、豆を。」

コック 「あ、豆切らしてる。」

シャーリー 「じゃあスパム。」

コック 「つまりスパム、スパム、スパム、スパム……」

客 「スパムスパムスパムスパムスパムスパムスパムスパム♪」

鳴上 「全部スパムか……」




ペリーヌ 「とにかく、注文して食べましょう?」

鳴上 「そうだな。スパムがスパムでスパムスパム」

ペリーヌ 「落ち着いてくださいまし!」

9999

鳴上 「……ああ。何だか、体の中までスパムだらけになりそうだ……」

> 取り敢えず、スパムの少なそうなメニューを注文した……

ウェイター 「よお、おまちどお。俺様こそマードッ……おっと、こちらご注文の品です。ごゆっくり。」

ペリーヌ 「今のウェイターはなんですの?」

鳴上 「精神病院から抜け出したパイロットだろう。」

ペリーヌ 「?」

鳴上 「いただきます……」

> スパムの強い塩味が他の味をかきけしている……

> 舌が慣れたせいか、味すら感じなくなってきた……今ならすべてを受け入れられそうだ

> 寛容さが上がった

ウェイター 「ありがとうございましたー」 カランカラン


ペリーヌ 「結局、スパムだらけでしたわね……」

鳴上 「スパムはしばらく食べたくないな。」

ペリーヌ 「リベリオンの食文化は分かりませんわね。ひょっとしたら甘い、辛い、しょっぱい、脂っこいしかわからないのではなくて?」

鳴上 「シャーリーを見てるとそうでもないと思うが……」

ペリーヌ 「ああいった缶詰やファーストフードのことですわ。」

鳴上 「それはまあ……確かに。結構、美食家なのか?」

ペリーヌ 「これでもガリア貴族の端くれですわよ。繊細な味の機微を知らなければひゃあっ!」 ドテッ

鳴上 「……味の機微は分かっても、道端の石は気づかなかったな。」

ペリーヌ 「うるさい……ですわ……」 ウルッ

鳴上 「……すまん。言い過ぎた。膝、擦りむいたのか。薬屋、見てこよう。」

ペリーヌ 「……」 コクッ

――
――――

鳴上「サトミ……タダシ……?」

ヒットポイントカイフクスルナラキズグスリートーホーギョクデー

ペリーヌ 「なんですの、この歌……」

鳴上 「ハイカラだな。」

ペリーヌ 「なんでもそう言えばいいってものじゃありませんわよ?」

鳴上 「その通りだな。荷物見てるからさっと買ってこい。」

ペリーヌ 「ええ。お願いしますわね。」 タッタッタ……

> 珍しく晴れた夏の日差しが心地いい……


ルッキーニ 「うじゅぁー……スパムは飽きたよー……」

シャーリー 「今度は薬屋か……」

ルッキーニ 「デートにしちゃ味気ないよね。」

シャーリー 「ペリーヌのことだ。ペラペラ話してるうちにどっかぶつけたんだろ。」

ルッキーニ 「そだね。」




アナタノマチーノオクスリヤ サ ン……

> 夏の日差しがそろそろ苦痛に変わってきた……

鳴上 「少し、遅いな。何か良いものでも見つかったのか?」 チラッ


男A 「」

男B 「」

ペリーヌ 「」

> 遠くで何か話をしているようだ……

鳴上 「話というより、絡まれてるよな……」

男A 「ねぇ、そんなにバイクの彼氏んとこ行くの? なに買ったのさ。」

男B 「その服、もしかして彼氏さんケッコーヘンタイ趣味とか? 拘束とかしちゃう感じ?」

鳴上 「ペリーヌ、どうし……」

ペリーヌ 「な、鳴上さ……」

ルッキーニ 「やぁぁぁって、やるニャス!!」

男A 「ムゲッ!」

男B 「いきなり何だ!?」

ルッキーニ 「もいっちょ! アタァァァック! ニャンバー・1!」ゴッ ガッ バキッ

コーコーカラナガーメヨ-ウー

ルッキーニ 「碧に染まるまで~……にしし、決まった……」

ペリーヌ・鳴上 「る、ルッキーニ(さん)!?」

ルッキーニ 「えへへ、助けに来たよ。だって、そいつらに絡まれていたんでしょ?」

鳴上 「だからそうじゃなくてだ……」

警察 「こら! 何をしている!」 タッタッタ

ルッキーニ 「ヤバッ、逃げよユウ。バイクあれでしょ!?」

鳴上 「……」

ルッキーニ 「デートの時間なくなっちゃうでしょ?」

ペリーヌ 「デートじゃありませんわよ!?」

鳴上 「……後で説明すればいい。三人乗りはダメなんだけど……」

ルッキーニ 「早く早く!」

鳴上 「……ルッキーニ、後で言いたいことがある。色々。」 ブロロ……

> 追いかけてきた警察から逃げることになった……

ペリーヌ 「……」

ルッキーニ 「にゃっほーい! 早い早い~!」

【路地裏】

ルッキーニ 「ふいー、ここまで来れば安全安全。さっきのアタシの技、見た!?」

鳴上 「……」 スッ

ベチッ

ルッキーニ 「いっ……たぁーい! いきなりオデコに何するのさ!」

ペリーヌ 「今の技は……デコピン?」

鳴上 「ルッキーニ、さっきのあれはダメだ。」

ルッキーニ 「うじゅー、でもさ……」

鳴上 「何でも安易に暴力に走るなってことだ。お巡りさんにもああして誤解されただろ?」

鳴上 「誰も助けないから自分がする。それは手段を間違えたら時に取り返しのつかない失敗になるかもしれない。」

ルッキーニ 「……」

鳴上 「上手く倒れてくれたから良かったけど、もしそうじゃなかったら? ルッキーニより強かったら?」

ルッキーニ 「アタシが……やられちゃう。」

鳴上 「分かってるじゃないか。ルッキーニなら、他にもペリーヌを助ける方法があっただろ?」

ペリーヌ 「そう言えば、ルッキーニさんはよく遊びにくるのでしょう?」

ルッキーニ 「……うん! この辺りは結構詳しいよ? 裏道とか……あっ。」

ルッキーニ 「ペリーヌを連れて逃げるとか、そういうのとか?」

鳴上 「一度立ち止まって自分の出来ることを考える。大事なことだと思うぞ。」

ルッキーニ 「分かった……ユウ、ごめんなさい……迷惑かけちゃって……」

鳴上 「謝るのは俺の方だ。ペリーヌを助けてくれて、ありがとうな。」

ペリーヌ 「少し、かっこよかったですわよ?」

ルッキーニ 「そうでしょ……えへへ。」


シャーリー 「いたいた。おーい、ルッキーニ、ナルカミー、ペリーヌー。」

ルッキーニ 「あ、シャーリー!」 ダキッ

シャーリー 「よーしよし。 いきなり飛び出したもんだから、心配したぞ?」

鳴上 「それで、どうして二人がここに?」

シャーリー 「うぐっ、そ、それはだな……」

ペリーヌ 「いきなり飛び出した、というのも引っ掛かりますわね……」

鳴上 「少し、説明をしてくれないか?」 ゴゴゴ……

ルッキーニ 「気のせいかな……ユウの後ろ、デッカイ男の人が見える気がするよ?」

シャーリー 「はは、アタシも……」

鳴上 「いいから話せ。」

《説明中……》

シャーリー 「というわけだな。」

ルッキーニ 「ごめんちゃい。」 ビッ

ペリーヌ 「デートと勘違いなんて……第一、そういったことは禁止されてるでしょう?」

シャーリー 「お前らも悪いんだぞ? そんなこそこそするから……」

鳴上 「ペリーヌはからかわれるのが恥ずかしいそうだ。」

ペリーヌ 「ちょっと鳴上さん!?」

シャーリー 「ははっ、そんなことを気にしてたのか。」

ペリーヌ 「……おちょくりませんの?」

シャーリー 「いやー、敬愛する少佐のために内緒でプレゼントなんて、殊勝ですわねー。」

ルッキーニ 「全くですわ。いじらしい人ねぇー」

ペリーヌ 「ち、ちょっと! 私が言った矢先にからかわないでくださいまし!」

鳴上 「本当ですわ。おほほ。」

ペリーヌ 「乗らないでください! そしてその口調はなんですの!? 」

ルッキーニ 「ペリーヌの真似。」

ペリーヌ 「全 く 違 い ま す わ!」

鳴上・シャーリー・ルッキーニ 「 ? 」

ペリーヌ 「揃って首を傾げないでください! 全く、この三馬鹿ときたら!」

ルッキーニ 「……ユウ、いつの間にそんなのになったの?」

鳴上 「気付いたときにはなってるのさ。」

ルッキーニ 「そっか!」

ペリーヌ 「受け入れないでください! 今のは嫌味ですわ!」

鳴上 「それも自分だって、受け入れるのも大事だ。」

ペリーヌ 「いい話にまとめないで! も~……」

シャーリー 「そうやって反応が分かりやすいから狙われるんだよなぁ……」 ボソッ

シャーリー 「でもまあ、そんな話なら応援する。で、何を買ったんだ?」

鳴上 「それが。なかなか、決まらなくてな……」

ペリーヌ 「そうですの。」

シャーリー 「なーんだ。そんなことか。だったら、幾つかいい店を知ってる。」

鳴上 「紹介してくれるのか?」

シャーリー 「もちろんだ。誕生日ってのはめでたい日だからな。」

ペリーヌ 「……あ、ありがとうございます。」

シャーリー 「そういうわけさ。バイク、荷台に乗っけてくれ。乗っけてやる。」

鳴上 「了解っと。よっと」 フラッ

ペリーヌ 「手伝いますわよ?」

鳴上 「魔力を開放すれば……よっと。大丈夫だ。」フワッ

シャーリー 「へえ、魔力の使い方も様になってるな……やっぱり、その耳と尻尾があれだけど。」

鳴上 「キツネがどうかしたのか?……そい。」 ゴトッ

シャーリー 「いいや、何でも。似合ってる似合ってる。」

鳴上 「そうか。」 パタパタ

ペリーヌ 「ちょっと、くすぐったいですわ。」

鳴上 「ごめん……撫でるか? 尻尾。」

ペリーヌ 「撫でません!」

鳴上 「ふさふさだぞ?」

ペリーヌ 「知りませんわ! 早く乗りますわよ!」

鳴上 「そうだな。」

シャーリー 「相変わらずだな、ナルカミ。そんじゃ、行くぞ。」

来たか、>>1待ってたぞ……。

連投スマソ
なぜか直らないけど「まりょく」ね

>>501を踏むとはやるな……。

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                              ( ゚Д゚) / < ここに「saga」(半角)と

                               ⊂ つ    | 入れるとちゃんと表示される。
                            | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|   \_____________
                            |          |
                            |          |
                       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|

>>501 おめでとう。その件に関しては嫁としてマロニーちゃんをあげるから許してください



> シャーリー達のクルマに乗って色々な店を見て回った……



ルッキーニ 「見てみて! これ、このクッキー美味しそう!」

ペリーヌ 「買いませんわよ。」

シャーリー 「そうだな……一個くらいなら」

ペリーヌ 「ダメですわ。付け上がりますわよ。」

シャーリー 「そんな硬いこと言うなって。なぁ?」

鳴上 「しつけで揉める夫婦みたいだな。」

ルッキーニ 「ペリーヌのは、揉むほど無いんじゃない?」

ペリーヌ 「その揉むではありませんわ!」


――
―――



シャーリー 「お っほー! 見ろよナルカミィ! 最新のマーリンエンジンだ! 」

鳴上 「そうだな……どの辺りが違うのか、分からないんだが……」

シャーリー 「ああ、このエンジンはな……」 クドクド

ペリーヌ 「相変わらずの機械マニアですわね……」

シャーリー 「マニアでー結構ースピードーそーれはースパーイスー♪」

ペリーヌ 「歌う意味が分かりませんわ!?」

ルッキーニ 「秘め歌ー。」

鳴上 「なんの話だ?」

――
―――

鳴上 「……これは。いい釣竿だ……」

シャーリー 「なんだ、お前。釣りが好きなのか?」

鳴上 「ああ。時々してるぞ。」

ルッキーニ 「それじゃあさ、なんか釣ったら見せてよ!」

鳴上 「ああ。捌いて生のままぱくっと……どうして嫌そうな顔を?」

シャーリー 「いや、生の魚はちょっと……」

ルッキーニ 「生ぐしゃい……」

ペリーヌ 「野蛮ですわ……生のままなんて。」

鳴上 「そういうものか?」

ペリーヌ 「そういうのはエイラさんかミーナ中佐に……」

鳴上 「サルミアッキと同じ扱いなのか?」

カルパッチョはまだ考案されてない時代らしいなこの頃は

【夕方/ 市内】

シャーリー 「結局、見つからなかったか? 少佐なら、なんでも喜んでくれると思うけどな。」

ペリーヌ 「途中から、ただあなた方の見たいところだったような……」

ルッキーニ 「ちょっとだけ妥協するとかじゃダメなの?」

ペリーヌ 「妥協は許されませんわ。年に1度しか無いのですよ!?」

鳴上 「ルッキーニ。妥協なんて難しい言葉、よく知ってるな。」 ナデ

ルッキーニ 「うじゅ~……もっと褒めて~耳の後ろらへんも撫でて~。」

シャーリー 「アタシが撫でたら嫌がるのに、何でナルカミならいいんだ?」

ルッキーニ 「ん~……こう ゴツゴツしてるのに~ふわふわ~ってして~優しいの。枕は無いけどね。」

鳴上 「なんのことだ?」 ナデナデ

ルッキーニ 「おっぱい」

鳴上 「……そりゃ、男だからな。」

シャーリー 「ははっ。そこには自信があるぞー」 ユサッ

ペリーヌ 「……」ギリッ

鳴上 「どうした、ペリーヌ。」

ペリーヌ 「なんでもありませんわ!」

鳴上 「そうか……」

> 途中、店の中にハルトマンの写真が見えた……

鳴上 「ルッキーニ、あの店ってなんだ?」

ルッキーニ 「ん~? もうちょっと、頭のてっぺんの方お願~い」

鳴上 「……」

ペリーヌ 「何か、気になるものが?」

鳴上 「ちょっとな、店の中にウィッチの写真があったような……ハルトマンとか。」

ペリーヌ 「ええ。ウィッチというのは女性や軍人の憧れですから。」

シャーリー 「そうそう。写真とか売ったりするんだよ。結構評判らしいぞ? アタシも撮ってもらったし。」

ルッキーニ 「扶桑だったら~人形も作ってたり~。」

ペリーヌ 「ビルマの桃太郎、穴拭智子さんですわね。以前その人形を見ましたけど……」

鳴上 「けど?」

ペリーヌ 「あれの坂本少佐があったらと。思うと……///」

シャーリー 「はは、は……気になるなら、入ってみるか? ちょっと恥ずかしいけど。」

鳴上 「ああ。頼む。」

ペリーヌ 「何か気になるものでも?」

鳴上 「少佐の写真もあると思うぞ?」

ペリーヌ 「寄りましょう、是非!」

>>506 2でカルパッチョの歌があったけど、秘め声のエイラだと生魚不評だったぽいからって話。


鳴上 「それじゃ、入ってみようか。」

店員 「らっしゃーせー」

鳴上 「 ! 」

ルッキーニ 「ん、どうかしたの?」

鳴上 「いや、何でも……しかし」

ガヤガヤ

鳴上 「人、結構多いな。」

シャーリー 「まあな。扶桑じゃウィッチが題材の映画が大ヒットしたんだし。」

ルッキーニ 「ユウも撮ってもらったら? きっと売れるって。」

ペリーヌ 「男の航空歩兵は珍しいですからね……」

鳴上 「男の写真なんて持ってて嬉しいか?」

シャーリー 「だから、ウィッチは女性の憧れなんだってば。分かるだろ?」

鳴上 「……?」

ルッキーニ 「無自覚って、一番始末が悪いよね……」

シャーリー 「だな。」

鳴上 「……? お、宮藤の写真。緊張してるっぽいな。」

シャーリー 「お、ホントだ。カッチカチじゃん……これでも買って堅物でもからかうか。」

ルッキーニ 「いいね! 面白そう!!」

鳴上 「……この写真。加東圭子中尉の、 か。」

ペリーヌ 「ひょっとして、好きですの?」

鳴上 「あの本を読んで、少しな……訳者の後書きにアフリカで航空団を率いているみたいだし。」

ルッキーニ 「ほほぅ、ちょっと垂れぎみだけどなかなかの……」

ペリーヌ 「なんの話をしていますの。」

ルッキーニ 「おっぱい。」

鳴上 「だと思った。」



鳴上 「加東中尉の写真と、ペリーヌ。この扶桑人形なんてどうだ?」

ペリーヌ 「……この人形は。」

鳴上 「お前なら、分かるだろ。」

ペリーヌ 「……少佐、喜んでくれますかしら。」

鳴上 「ああ。きっと。」

ルッキーニ・シャーリー 「 ? 」

【夕方/ 帰還中】

ペリーヌ 「ふんふんーふふーん……」

ルッキーニ 「ご機嫌だな。そんなに、良いものだったの?」

鳴上 「まあな。」

シャーリー 「アタシらには分からなかったけどなぁ……」

鳴上 「人のどうでもいいものが、他の人にとって大切だったりもするだろ?」

シャーリー 「確かに、それもそうだな。エンジンとかも然り。」

ペリーヌ 「結局、私の心配は杞憂でしたのね……」

鳴上 「楽しかったから、別にいいぞ?」

シャーリー 「マイペースというか、ブレないよなナルカミ……」

鳴上 「友達が、裏表が無いって。」

ペリーヌ 「なんとなく、分かるような……」

鳴上 「惚れるなよ?」

ルッキーニ 「にゃよー……すぅ……」

ペリーヌ 「間に合ってますわ。」

鳴上 「そういえば……何て言われたんだ。薬屋の前で。」

ペリーヌ 「大したことじゃありませんわ……下品な嫌がらせくらいですから。」

鳴上 「そっか……悔しい時は、何でも言ってくれて大丈夫だからな。」

ペリーヌ 「朝も言いましたわね……本当の事を言うと、鳴上さんを貶されたこと。少し悔しかった、かも……」

鳴上 「優しいんだな。やっぱり。」

ペリーヌ 「べ、別に。仲間のあることないことを言われたら不快に決まってますわ。」

ペリーヌ 「わざわざ気にかけてくれてありがとう。あなたの方が、優しい人ですわ。」

鳴上 「どうかな。……そう言えば、シャーリー達は俺達を尾行してたんだろ?」

ペリーヌ 「休暇願いは出しましたの? 他に休みをとるなんて話は……」

シャーリー 「……ひゅー……こひゅ……ひゅひゅー」

鳴上 「口笛、吹けないのか?」

鳴上 「休暇の届け出をしてないってことは、つまり?」

ペリーヌ 「無断外出ですわね。」

鳴上 「それは……軍規に? 」

ペリーヌ 「違反しますわね。」

シャーリー 「……」 ツゥ……

ペリーヌ 「このことは、ミーナ隊長に報告を」

シャーリー 「待て! そんなことをすればお前らだってお説教だぞ?」

鳴上 「……ペリーヌ、そも無断外出者の車に乗って帰るのは……」 タラッ

ペリーヌ 「黙認ってことになりますわね……」 ツゥッ

鳴上 「シャーリー、まさかそのことを計算して俺達を」

シャーリー 「だあっ! 待て待てマテ茶よ。最初は厚意だったんだって!」

鳴上 「今は?」

シャーリー 「ナルカミ……旅は道連れって……言うだろ?」

ペリーヌ 「道連れの意味が違いますわ!?」

鳴上 「今なら降りて……」

シャーリー 「させるか! 」 ブオオオッ

ペリーヌ「ちょっと! スピードを上げ……」

シャーリー 「固いこと言うなっての! 一緒に地獄へ行こうじゃないの。」

ルッキーニ 「シャーリー……ひょれ……悪役の……むにゃ……」

シャーリー 「行くよ、ジ・エンド!」

鳴上 「この車、そんな名前だったか!?」

シャーリー「溶けちゃえ溶けちゃえー!!」

ペリーヌ 「完全に敵キャラのセリフですわよ!?」

> 騒がしい帰り道になった……

【夜/ 501基地 格納庫】

シャーリー 「ほいっと。到着。」

鳴上・ペリーヌ 「」 グッタリ

ルッキーニ 「んにゅ? 帰って来たの? もうすぐご飯?」

シャーリー 「まあな。」

ルッキーニ 「ごっ飯! ごっ飯!」 ガチャ

シャーリー 「おい、バカ! そんな不用意に出たら、ミーナ隊長に」

ポスッ

ルッキーニ 「うじゃっ!? いったぁ~」

ミーナ 「あらあらルッキーニ少尉、おかえりなさい。」

シャーリー 「だーから、言わんこっちゃない……」

ルッキーニ 「たた、ただいま……みみみ、ミーナ隊長」 タジッ

ミーナ 「どうしたの? そんなに焦って。フランチェスカ・ルッキーニ少尉?」

シャーリー (ヤバい……ものすごーく怒ってらっしゃる!)

ルッキーニ 「うう、ううん。なんでもないよ? ね、シャーリー……?」

シャーリー 「バカっ! こっちに話題振るな!」

ミーナ 「あらあら、イェーガー大尉も。おかえりなさい。」

ミーナ 「ブリタニア観光は……た の し か っ た か し ら?」

シャーリー 「ええ、そそ、そりゃ勿論……あっ。」

ミーナ 「ブリリアント。それは良かったわねぇ……」 ゴゴゴ

ルッキーニ 「……抜き足……差し足……」

ミーナ 「でしたら、そのお話、くわしく教えてもらえる……?ルッキーニ少尉も。ね?」 ガッ

シャーリー・ルッキーニ 「は、はひ……」



【数分後】

ペリーヌ 「……あれ、シャーリーさん達は?」

鳴上 「さっき、隊長が見えた……そっとしておいたほうが、いい。」

ペリーヌ 「同感ですわ……いつもなら、夕食の時間ですわね。」

鳴上 「そうだな……」

リーネ 「いくら手をーのーばしたってー届ーくはーずのーないー」

鳴上 「ただいま。リーネ。」

リーネ 「ひゃあっ! 鳴上さん? お、お帰りなさい。聞いてたん……ですか?」

鳴上 「いくら手を…って辺りから。上手だったぞ?」

リーネ 「あ、ありがとうございます……」

ペリーヌ 「私もいますわよ?」

リーネ 「ペリーヌさんも、お帰りなさい。随分遅かったですね。夕食、もう出来るころですよ?」

鳴上 「ちょっと慌ただしくてな。」

リーネ 「そうですか。その手に持っているのは?」

鳴上 「久々になにか作ろうかなと思って。リーネは裁縫道具とか持っているか?」

リーネ 「は、はい。立派なお嫁さんになるにはってお姉ちゃんがくれたんです。良ければ、貸しますよ?」

鳴上 「ありがとう。いいお姉さんだな。」

リーネ 「はい、私の自慢です。近くにあるワイド島の所属なんです。」

ペリーヌ 「ワイド島……」

鳴上 「知っているのか、雷電。」

ペリーヌ 「雷電? ええ、私の古い付き合いもウィッチとして働いていますのよ。」

鳴上 「ウィッチってのも、狭い業界なんだな……」

リーネ 「はい。代々ウィッチの家系とかもあるから、姉妹でそうなるのも珍しく無いんですよ?」

ペリーヌ 「私のところも、その類いですのよ?」

リーネ 「へえ、そうだったんだ。」

ペリーヌ 「考えてみれば、自分達の身の上を話すというのは少なかった気がしますわね。」

リーネ 「言われてみれば、そうかも……ちょっと気になってきちゃった。」

鳴上 「時間はいっぱいある。これから話せばいい。」

リーネ 「はい。……ところで、ペリーヌさんは何を買ったんですか?」

ペリーヌ 「なな、何でもいいでしょう!? 一度荷物を置いてから食堂に向かいますわ! では。」 タッタッタ…

リーネ 「ペリーヌさん……どうしたんだろう?」

鳴上 「もう何日かしたら分かるさ。今はそっとしておこう。」

リーネ 「……そう言えば、さっきミーナ隊長がシャーリーさんとルッキーニちゃんを引っ張ってたけど……」

鳴上 「それも……」ツゥッ

リーネ 「そっとしておけばいいんですか?」

鳴上 「……ああ。俺達も食堂に行こうか。」 コクッ

リーネ 「賛成です。」

【食堂】

鳴上 「ただいま。」 ガチャ

宮藤 「あ、お帰りなさい。ご飯、もうすぐですよ?」

バルクホルン 「災難だったな。リベリアンたちに付きまとわれたのだろう?」

鳴上 「そんなところです。収穫はありましたから。」

リーネ 「そう言えば鳴上さん。ペリーヌさんのあの服は……」

鳴上 「……あっ。」

ペリーヌ 「ふう、あれって結構重たいのですわ……ね。」チドリのアレ

一同 「……」

ペリーヌ 「へ? どうかしました?」

バルクホルン 「いや、その服だが……」

ハルトマン 「……ドレス?」

宮藤 「すごく、凄いね。お姫様みたいで。」

エイラ 「……」 プルプル

サーニャ 「エイラ、笑っちゃダメ。」

ペリーヌ 「……! 」

リーネ 「似合ってると、思うよ? その、剣? のカチューシャ……」

ペリーヌ 「な、鳴上さん?」

鳴上 「すまん。着替えた方が良いって言うの、忘れてた。」

坂本 「はっはっは! 似合っているぞペリーヌ。鳴上が見立てたのか?」

ペリーヌ 「そ、そうですか? //」

鳴上 「いえ、俺じゃなくて……」

坂本 「なかなか見る目があるんじゃないか?」

鳴上 (聞いていない、この人……)

宮藤 「そう言えば昨日はスーツ着ていたよね、鳴上さん。お洒落さんなの?」

サーニャ 「……確か、部屋に色々服があったような……清掃員とか。」

坂本 「……仮装でもしていたのか?」

鳴上 「友人の仕事の手伝いとか、行事で少し。」

坂本 「ほう、面白そうだな。今度見せてくれないか?」

鳴上 「……」

鳴上 「……はい。」

坂本 「今の間はなんだ。」

ペリーヌ 「少佐が……褒めて……」

エイラ 「ツンツンメガネが……ヒラヒラの服……」 プルプル

サーニャ 「そんなに面白い……かな?」

ミーナ 「あら、お帰りなさい。」 ガチャ

鳴上 「ええ、ただい……」

シャーリー 「…………」

ルッキーニ 「うじゅじゅじゅじゅ…………」

> なんとも言えない空気のまま夕食の時間が過ぎた……

【数日後/ 自室】

鳴上 「……今日は坂本さんの誕生日か。」

ペリーヌ 「鳴上さん、起きてます?」 コンコン

鳴上 「寝てる。」

ペリーヌ 「起きているじゃありませんの。坂本少佐から伝言ですわ。」

ペリーヌ 「今日は用事でブリタニアに行くから、いつも通り訓練を。ですって。」

鳴上 「そうか。だったら、早いところ済ませてお祝いの準備にしよう。」 ガチャ

ペリーヌ 「ええ。ミーナ隊長もそのつもりだそうよ。」

鳴上 「ミーナ隊長も坂本さんを慕っているからな。」

ペリーヌ 「ええ……豆狸といい、隊長といい。どうしてこう……」

鳴上 「 ? 」

ペリーヌ 「なんでもありませんわ。」

鳴上 「そうか……しかし、あのドレスは着ないのか?」

ペリーヌ 「きっ、着るわけがないでしょう!? あの後、エイラさんにとことんおちょくられたんですのよ!?」

鳴上 「どんなふうに。」

ペリーヌ 「……足のわっかはなんダ。少佐の犬ッテカ? とか、可愛いケド、胸の辺りが緩くナイカ? とか。」

鳴上 「…………」

ペリーヌ 「なにかおっしゃいなさい!」

鳴上 「ああ。そうだな。ペリーヌの使い魔は猫だからな。」

ペリーヌ 「いろいろ引っ掛かりますけど……まあいいですわ。早くなさい。」

>>543 ワイドじゃなくてワイトでした。ちょっとウィルマ軍曹に狙撃されてくる。


> 長い滑走路を何度も往復した……

鳴上 「Papa and mama were lying bed~」 タッタッタ……

ペリーヌ 「なんですのその歌。」

宮藤 「ファミコンウォーズが……はぁ……でーるぞー……」

リーネ 「歌詞が違うよ……っ芳佳ちゃん……」

鳴上 「Mama roled over and what she said」

ペリーヌ 「何て言いましたの?」 タッタッタ

鳴上 「……」 タッタッタ

宮藤 「……うにっ……あと5往復だっけ……?」

リーネ 「6だよ……芳……芳佳ちゃん。」

ペリーヌ 「その続きはなんなんですの!?」

鳴上 「君の中に~わーたしをずっと~」

ペリーヌ 「ちょっと!?」

鳴上 「考えたら歌詞が過激だったから……女の子の前ではちょっと……」

ペリーヌ 「でしたら……っ……そんな歌を歌わないで!」

鳴上 「叫ぶと疲れるぞ。」

ペリーヌ 「誰のせいだとケホッ……思ってますの……」

鳴上 「……俺だな。」

宮藤 「鳴上さんは……なんでそんな落ち着いているのぉ……」

鳴上 「訓練だ。」

リーネ 「なんだか……少佐みたいになってる……」

――
―――

鳴上 「……こんなもんか。いい汗をかいた。」

リーネ 「疲れたぁ……」ドテッ

宮藤 「私……もう、ダメ……」 ムニッ

ペリーヌ 「……だらしがないですわね。」 ファサッ

鳴上 (どうして宮藤は腕をリーネの胸に……)

シャーリー 「うーい、お疲れっす。」 バスバス

ルッキーニ 「うじゅー……暑い……」

鳴上 「何をしているんだ?」

シャーリー 「罰。洗濯だよ、せ ん た く。干してるの。」

ルッキーニ 「後は掃除に、食事の準備に……あー、もう。」

鳴上 「自室謹慎とかじゃ、ないのか?」

シャーリー 「アタシらは常習だからさ、そういうのじゃ甘いって。」

宮藤 「ははっ……大変だね。」

リーネ 「頑張って……下さい。」

ルッキーニ 「うじゅ~……あれ、こんな服、あったっけ?」

シャーリー 「やけに長いベルトだな……これ。」

鳴上 「……ああ。それか。」

シャーリー 「なんだ、お前のか?」

鳴上 「だいたい、そんなとこだな。ちょっとした小道具さ。」

シャーリー 「ふーん……ま、少佐の帰って来るまでには乾くだろーさ。」

鳴上 「よろしく頼む。」

ペリーヌ 「そろそろ、休憩はよろしいですわね?」

宮藤「ええー……もう?」

リーネ 「もう、少しだけ……」

鳴上 「二人もそう言ってるし……」

ペリーヌ 「まったく……もう5分だけですわよ?」

乙?

最近来てる荒らしってミツオ?

>>550 今日でこれを終えたいなって。そんなことより、りせちーの腰について語ろうぜ。


ペリーヌ 「はい、腹筋ラスト10回ですわ。リーネさん。」

リーネ 「1……2……3…4……5……6」 プルン

宮藤 「頑張って、リーネちゃん!」 ジーッ

鳴上 (どうして、宮藤の視線が胸に……)

リーネ 「7……8……9……」プルプル

鳴上 (気持ちは……分からなくもない……)

ペリーヌ 「……」 ジトッ

鳴上 「な、なんだ?」

ペリーヌ 「別に。」 ツーン

リーネ 「じゅ……う…」

宮藤 「お疲れ様、リーネちゃん。」

ペリーヌ 「これで、一旦終わりますわね。」

鳴上 「賛成だな。何か飲み物でも持ってくるよ。」

宮藤 「いえ、そういうのは私の……」

鳴上 「これくらいの甲斐性は無いとな。」 タッタッタ……

リーネ 「何て言うか……キザなことをさらっと言えるって才能かもね。」

宮藤・ペリーヌ 「そうだね(ですわね)」

――
―――

鳴上 「シャーリーにコーラ貰って来たぞ。後はタオルと。」

宮藤 「うわー、ふかふかだー。お日さまの匂い~……」 パサッ

リーネ 「いただきます。」 ゴクッ

ペリーヌ 「コーラの蓋って、開けづらいですわね……」

鳴上 「こういうのはコツがいってだな……」

> 短い休憩を楽しく過ごした……

【夕方/ 食堂】

ミーナ 「全員そろったわね?先週、宮藤さんとサーニャさんの誕生日があったことは覚えているわね?」

ミーナ 「そして今日は美緒の誕生日なの。知ってるわね?」

エイラ 「やけに気合い入ってるナ……」

シャーリー 「そりゃ、少佐だからな。ほら、あっちも。」

ペリーヌ 「……」 ソワソワ

エイラ 「ソダナ。宮藤に少佐にナルカミ、扶桑の奴らの天然たらしは」

ミーナ 「聞いてるの? エイラさん。」

エイラ 「もも、勿論ナンダナ! 折角のお祝いなんだからナ! 祝わないと。」

ミーナ 「よろしい。夕食は宮藤さんと鳴上君、リーネさんとペリーヌさんが。」

ミーナ 「お菓子の方はエイラさんとサーニャさん、トゥルーデがお願い。」

ミーナ 「フラウとシャーリーさん、ルッキーニさんは飾り付けね?」

一同 「了解!」


鳴上 「それで、何を作るんだ?」

宮藤 「カレーです。坂本さんは海軍だし、海軍といったらカレーかなって?」

リーネ 「少佐、喜んでくれるかな……」

ペリーヌ 「……」

鳴上 「どうした、ペリーヌ。料理が作れないとか?」

ペリーヌ 「いえ、そそ、そんなわけは……ただちょっと、経験が少なくて……」

宮藤 「大丈夫ですよ。料理は愛情が一番ですから! 」

リーネ 「私もカレーは初めてだから、一緒だよ?」

鳴上 「ああ。キムチとか、コーヒー牛乳を入れないでくれたら充分だ。」

宮藤 「あはは、カレーにそんなの入れるはず無いよ。おかしな鳴上君。」

鳴上 「……」

宮藤 「どうしたの? まさか、君って呼ぶのダメだった?」

鳴上 「そうじゃない。それは嬉しいよ。」

鳴上 (入れた奴が……いるんだ!)

『強い方がいいよ、男の子だし。』

『魚とか入れたらダシが出るかな?』

鳴上 「……」 カタカタ

リーネ 「ど、どうしたの? 顔色、悪いけど?」

鳴上 「何でもない。精一杯、サポートさせてもらう……」

――
――――
グツグツ……

宮藤 「うーん……いい匂い。」

ペリーヌ 「本当。悪くありませんわね。」

鳴上 「これに少しだけ醤油を入れてっと。」

リーネ 「え……お醤油?」

鳴上 「少しだけなら、コクが出るぞ。ケチャップやソースみたいに辛味を消さずに出来るって話を聞いたような。」

ペリーヌ 「随分詳しいですわね。」

鳴上 「カレー、ハンバーグ、オムライスは菜々子の好物だ。」

宮藤 「あ、私も好きだよ?」

リーネ 「芳佳ちゃん……」

ペリーヌ (舌が子供なだけですわ!)

ミーナ 「調子は……あら、いい匂い。」 ガチャッ

リーネ 「少し煮れば完成です。どうかしましたか?」

ミーナ 「もう一時間程で美緒が帰ってくるって連絡、頑張ってね?」キィ……

リーネ 「分かりました。じゃあ、サラダでも作って待とう?」

ペリーヌ 「賛成ですわね。」

鳴上 「すまん、ちょっと空けてもいいか?」

宮藤 「大丈夫だけど……どうしたの?」

鳴上 「後で分かるよ。それじゃ、任せた。」ガチャッ

リーネ 「行っちゃったね……何をするんだろう?」

ペリーヌ 「斜め上を行きますわよ、きっと。」

なんだかんだで一時間……

【夜/ 食堂】

坂本 「全く醇子め……ロマーニャを中心に統合航空団編成するから色々教えろだと?」

坂本 「そもそも私は細かい指揮はミーナに任せて……もう少し私も勉強するかな……」

坂本 「もう皆食べ初めているだろうか……」 ガチャッ

坂本 「今、帰ったぞ。」

一同 「誕生日おめでとう、少佐(坂本さん)(美緒)! 」 パパンッ

坂本 「うわっ………ビックリさせるな。何事かと思ったぞ。電気も消しっぱなしだ。」 パチッ

鳴上(女装) 「おめでとうございます。」

坂本 「……」プイ

鳴上 「おめでとうございます」 ズイッ

坂本 「」 プイ

鳴上 「」 ズイッ

坂本 「……ぷっ、鳴上……お前は……はっはっはっはっは!! とんでもない大馬鹿だな。」

シャーリー 「だーっはっは! だよな!? いきなりこんなので来たら目ぇ逸らすっての!」

ルッキーニ 「ねー! だってさ。準備の時にやって来たと思ったら『俺を見ろ(いい声)』だよ!?」

エイラ 「これは……真っ直ぐ見れない……ナ……」 バンバン

サーニャ 「エイラ……椅子叩きすぎよ?」

ハルトマン 「真顔だから、冗談か本気か分からないんだよねー」

バルクホルン 「いくらなんでも、体を張りすぎだ……」

ミーナ 「そう? 501らしくて、好きよ?」

坂本 「はっはっは! 折角なら、それでストライカーに」

鳴上 「それは勘弁ですよ。」

ペリーヌ 「ささっ、お座りになってください少佐!」

宮藤 「今日はカレーですよー?」

リーネ 「私たちで作ったんです。」

サーニャ 「デザートに……チョコケーキもある。」

坂本 「……ありがとう。私たちはいい仲間を、家族を持ったな。」

宮藤 「はい!」

> ささやかだが、賑やかな団欒を満喫した……

坂本 「ご馳走さま。美味かった。」

鳴上(女装) 「まあ、嬉しいわ。じゃがいもはペリーヌが切ったのよ。」

坂本 「そうだったのか……綺麗に切れていたぞ。」

ペリーヌ 「あ、ありがとうございます……」

宮藤 「まさか、食事もそのカッコでなんて……」

リーネ 「意外と……ノリノリだよね?」

ペリーヌ 「口調も変えてますし……」

シャーリー 「なんでだろ、今、ゴッツいマリリン・モンローが脳裏を……」

バルクホルン 「しかしなんだ? あのやり取りはまるで……」

ミーナ 「夫婦……よね」 ギリッ

ハルトマン 「ミーナ!?」

ミーナ 「何でもない。何でもないわよ?」 ニコッ

鳴上 「そうそう、ペリーヌが坂本さんにプレゼントだって。」

坂本 「何だって? それは本当か、ペリーヌ。」

ペリーヌ 「え、ええ。直ぐにお持ちしますわ!」

エイラ 「いつまで続けるンダ? この小芝居……ツンツンメガネが娘役カヨ。」

サーニャ 「……楽しそう。」

エイラ 「えっ」


ペリーヌ 「お待たせ……しましたわ……」

坂本 「随分大きいな……」

鳴上 「あの子ったら、張り切っちゃって。」

坂本 「……辛いなら止めても大丈夫だぞ。」

鳴上 「分かりました。」

宮藤 (でも、カツラは外さないんだ……)

ペリーヌ 「これが、私からの、日頃のお礼ですわ……」

坂本 「どれどれ……これは!」 パカッ

坂本 「……ありがとう。」

ペリーヌ 「い、いえ! いつも訓練をしてくださることに比べたらちっぽけですわ!」

坂本 「はっはっは! そうか。だったら、もっと厳しく稽古をつけてやろう。」

ペリーヌ 「はい!」

坂本 「宮藤にリーネ、鳴上もだ。」

リーネ・宮藤 「えぇー! 」

鳴上 「上等だぜ。」

シャーリー 「あれ、ナルカミが男らしい。」

ルッキーニ 「女の子のカッコなのにね。」

バルクホルン 「スイカに塩をかけると甘くなるだろう。これも、鳴上が女装をしつつも男らしい発言をすることで、」

バルクホルン 「相対的に男らしく見える。ということだな。」 ドヤァ

ハルトマン 「うわ、なんか腹立つ……」

ミーナ 「そろそろ、お開きかしらね。片付けもしなくちゃいけないわ。」

坂本 「そうか、だったら私も……」

ペリーヌ 「とんでもない!! 」

ミーナ 「そうよ。ただでさえ美緒は疲れているんだから。」

宮藤 「部屋に戻ってゆっくりして、お風呂にでも浸かってください !」

鳴上 「ああ、今日は坂本さんが主賓だからな。」

坂本 「そこまで言うなら……休ませてもらおう。」

バルクホルン 「ああ。ゆっくりして、また明日からの戦いに備えてほしい。」

坂本 「分かっている。今日はありがとう。はっはっはっはっは……」 スタスタ…


鳴上 「成功だな。」

ペリーヌ 「ええ。鳴上さんがあの店に立ち寄ったからですわ。」

> ペリーヌに感謝された……

鳴上 「偶然だよ。さ、片付けもしよう。カレーはこびりつくと落ちない。」

リーネ 「その……洗い物の前にカツラ、外したほうが……」

鳴上 「それもそうだな。」 カポッ

【夜/ 坂本の部屋】

坂本 「ペリーヌのやつ……さては鳴上にあの本を……///」

坂本 「うむ、部下が上官のことを知りたいというのは自然だが……恥ずかしいな。やはり。」

坂本 「しかし、面白いことをしてくれる……私も、新人達に教えられる全てをしないとな……」

坂本 「今日で20歳……いつまで飛べるだろうな……」

坂本 「いや、飛ばなくちゃいけないな……。たとえ“あがり”が近くても……」 コトッ

坂本 「……お久し振りです。北郷師範……」

坂本 「扶桑人形の師範に挨拶……ちょっと変かもな。はっはっは。」



つづく

てなわけで、5話。いかがだったでしょうか。完全に勢いに任せた結果
自分の趣味とマイナーな嗜好大公開と三流パロディ。
ストライクウィッチーズの外伝作品のマーケティングになりました。
一番レスを消費してこの体たらくです。

次回は伝説の始まり7話ベースですが、いろいろと危ないので
7話のアフター話にする予定です。早くも折り返しですね。

番長がしっかり番長をやっていると言ってくれて、嬉しいです。

[6話 Purple Heart]

【朝/ 自室】

鳴上 「……この時間じゃ、少佐の朝の訓練は出れないか。」

ドタドタ……

> 何やら外が騒がしい……

鳴上 「ふぁ……」 ガチャ

ルッキーニ 「あれ! ユウ。おはよう―……」

鳴上 「ああ、おはよう。何を持って走ってるんだ?」

ルッキーニ 「ヤバッ、芳佳もう来た! 」タッタッタ

鳴上 「おは……宮藤。それ、少佐の服じゃ?」

宮藤 「返してぇ~……って、鳴上君!? あのね、ルッキーニちゃんがペリーヌさんの……」

鳴上 「ペリーヌの?」

宮藤 「ズボンを盗んだみたいなの! なんでか私のズボンも盗られちゃって……」

鳴上 「通りで騒がしいわけだ。」

ペリーヌ 「待ちなさい! 私のズボン! って、鳴上さん!?」

鳴上 「同じ反応が続いた。」

ペリーヌ 「部屋に戻ってください! 私が良いと言うまで!」

鳴上 「? どうし」

ペリーヌ 「いいから早く! 」ドンッ バタンッ

宮藤 「ご、ごめんね! 鳴上君。すぐに出れると思うから。お昼にはハルトマンさんの勲章授与もあるし。」

鳴上 「わ、分かった。」

ペリーヌ 「絶対に! 出ないでください!?」 タッタッタ

> 音が遠ざかっていく……

鳴上 「普段下着みたいなものでいるしズボンくらいなら、いいんじゃ……」

鳴上 「……いや、あれがズボンなんだっけか……」


鳴上 「……飯は、後で適当につまむとして……」

> 今日は何をしようか……

鳴上 「……裁縫道具も借りれたし、早速作るか。」 チョキチョキ

『待ちなさい!』

『こっこまーでおーいでー!』

『私のズボン~!』

鳴上 「……集中、出来ない……」

鳴上 「無心になれ……指を動かすことだけを……」 チョキチョキ

『あ、コラ! それは私のズボンダゾ!』


『待って! 返してよぉ、ルッキーニちゃん!』

『ここまでおいでーだ!』

『んしょ……あれ? もう降りてる!』

『よーしかっ……丸見え~にしし』 タッタッタ

『なっ……って枝がキャアアッ』 ドテッ


鳴上 「……考えるな……感じろ……」

鳴上 「……」

鳴上 「……何をだ?」

鳴上 「ダメだ……歌でも歌って気を紛らわせるか……」

鳴上 「懐かしいな、封筒貼りとか鶴折りのとき。」

ドタドタ……

鳴上 「器の大きな人間は~ちょっとやそっとのことなんて~」

鳴上 「気にするこーとはないんだぞー……そーうーだーなー」

鳴上 「ちょうどーわーたーしーみーたーいーにー」

鳴上 「あーめが降っても気にしないー……かーぜが吹いても気にしないー」


【廊下】

坂本 「全く、ルッキーニの奴め……」

『やーりが降っても気にしない~』

坂本 「鳴上も何を歌っている……流石に気にしろ、エイラじゃないんだから……」 タッタッタ

鳴上 「だけどスースーするのは勘弁ナー」

鳴上 「一通りフェルトは切れたけど……お腹減ったな。」つ おっとっと

鳴上 「日は……大丈夫だよな……あ、錨。これも珍しいんだっけ。」 ポリポリ……


『どこに行ったんですの!?』

鳴上 「まだ当分、続きそうだな……潜水艦……」ポリポリ


ウウウウウウウウゥゥゥゥゥ!!

鳴上 「サイレン!? こんなときにネウロイか。」

鳴上 「パン……じゃなくて、ズボン穿いてないなら飛べないだろうしな……行こう。」 ダッ

鳴上 「……スクランブルっていうんだっけか。久々だな。」

【午前 / 格納庫】

鳴上 「……もう、だれか来ているのか?」


『……本さん! スースー…ます!』


鳴上 「!?」


『安心…ろ、空…は誰も見ていない!!』


鳴上 「いや……俺はどうなって……」

バルクホルン 「どうした鳴上。格納庫前で立ち止まって。」

鳴上 「いや、その……」

バルクホルン 「何人かのズボンが盗まれてしまった今、飛べるのは私達だけだ。グズグズするな。」 グイ

鳴上 「ちょっと、待ってくださっ……」


ペリーヌ 「あの……こすれ……」

坂本(スク水)「モタモタするな、行くぞ!」

宮藤 「だって、やっぱり恥ずかし……鳴上さんもいるし!」

ペリーヌ 「なっ? 出ないでと言ったではありませんの!」


バルクホルン 「なんだ、これは……」

鳴上 「誰か教えてくれ……ッ!」 ロンリーウェー

久々に面白いものを読ましてもらいました。
とっても面白いです(現時点では)。

>>575 ( )でエイラ以上のヘタレをさらにビビらせるつもりか。


バルクホルン 「ここは小学校かなにかか……?」

鳴上 「どうでしょうね……」

サーニャ 「エイラ……それ、私のズボン……」 グイグイ

エイラ 「なっ! サーニャ、こんなとこで脱がす奴がアルカ!」

サーニャ 「私の……ズボン……」 グイグイ

エイラ 「ね、寝惚けてル」

バルクホルン 「……気のせいか? サーニャがなんだか明るく見えるが……」

鳴上 「そういえば、確かに……何ででしょうね……」

サーニャ 「ズボン……」

鳴上 「……」 ポクポクポク……チーン

鳴上 「サーニャがタイツを穿いてないからだろう。」

バルクホルン 「タイツ? ああ、重ね穿きするズボンのことか。」

鳴上 「え、ええ……多分。サーニャは黒い服が多いから。」

鳴上 (あれもズボン……なのか?)

鳴上 (色々と開放的すぎるだろ……)

エイラ 「なっ、ナルカミに大尉モ、サーニャヲソンナメデミンナー!!」 クワッ

ペリーヌ「 エイラさんなら?」

エイラ 「ワ、ワタシもミンナー!!」 ブンッ

===「MG42のドラムマガジン」 Σ「鳴上の頭」

「MG42のドラムマガジン」「鳴上の頭」<ゴシャッ

鳴上 「タコス」 ドサッ

エイラ 「あ……ヤッチッタ……お、おい。ナルカミ?」


ある時、私は蝶になった夢を見た


エイラ 「久々に……ナルカミィィィィィィ!」

――
――――

【昼/自室】

鳴上 「ううっ、便器が自爆……んっ?」

宮藤 「? 起きた。調子、大丈夫? 軽い脳震盪ってとこかな。」

鳴上 「詳しいんだな。……ああ、大丈夫そうだ。変なこと、言ってなかったか?」

宮藤 「えへへ、これでも医者志望だからね。」

エイラ 「モップでゾンビ倒すとか、便器が自爆とか。ワケわかんないことナラ。」

サーニャ 「無事で良かった……エイラ……ちゃんと謝って。」

エイラ 「うぅ~……分かってるヨ。その、いきなり乱暴して、スマン。」

鳴上 「気にするな。あれ、弾が入ってなかったんだろ?」

宮藤 「うん。結構音も軽かったし。」

鳴上 「……出撃は!? ネウロイはどうなった!?」 ガバッ

サーニャ 「それが……」


【午前/ 格納庫(回想)】

エイラ 「ナルカミィィィィィィ!!」

宮藤 「たた、大変! 衛生兵……私だ!」

サーニャ 「芳佳ちゃん……古典的だよ。」

バルクホルン 「取り敢えず、私と少佐で先行して」

「出撃の必要は無いわ。」

坂本 「どういう意味だ?」

バルクホルン 「登場がロム……じゃなくて、ミーナ。話が飛びすぎだ。」

ミーナ 「あら、ごめんなさい。これ、皆さんのズボンよ。」 パサッ

ペリーヌ 「私のズボ……それで、どういった関係が?」

ミーナ 「ルッキーニさんが隠れていたときに誤ってサイレンを鳴らしたのよ。」

ハルトマン 「そゆこと。」

ミーナ 「フラウがルッキーニさんを見つけてくれたの。」

ルッキーニ 「…………」カタカタ

ミーナ 「ルッキーニさん? 分かっているわよねぇ?」

――
――――

サーニャ 「こんなことがあって……」

鳴上 「そうだったのか。慌ただしかったのにな。わざわざ運んでくれてありがとうな。」

エイラ 「ああ、運んだのは私らじゃネーゾ?」

バルクホルン 「鳴上は起きたか?」

鳴上 「はい。大丈夫です。」

バルクホルン 「そうか。もうすぐハルトマンの勲章授与の式だ。早めに準備をしろ。」

鳴上 「分かりました。」

エイラ 「運んだのは大尉ダヨ。」 コソッ

鳴上 「……ありがとうございます。バルクホルンさん。」

バルクホルン 「ふっ……お安いご用だ。このくらいはな。それじゃあ。」 スタスタ

鳴上 「……何だかんだ、優しいんだよな。」

宮藤 「そうだね。」

サーニャ 「うん……私が隊に馴染めないときも心配してくれてた。」

エイラ 「……妹に似てるから過保護になんてんじゃねーの。」

鳴上 「妹とかいると、年下の世話を焼きたくなるもんだぞ。」

エイラ 「あー、ナルカミが言うとスゲー説得力ダナ。」

鳴上 「どういう、意味でだ?」

エイラ 「んにゃ。何でもネーヨ。んじゃ、私らは先に行くゾ。」

サーニャ 「そうね……着替えしなきゃいけないし。」

宮藤 「お先にね。」 キィ……バタン

鳴上 「確かに、ちゃんとした服じゃないとな……」高校指定ジャージ

鳴上 「制服は……昨日、干したんだったな……」

鳴上 「……」

――
――――

【滑走路】

「これより、エーリカ・ハルトマン中尉への騎士鉄十字勲章の授与を……」

ペリーヌ 「だからって、なんでそのスーツですの」 ヒソヒソ

鳴上 「いつもの制服は乾いてないし……」 FBIスーツ

鳴上 「他は着ぐるみとかだし、もう一着は腕章が取れなくてさ。」

ペリーヌ 「本音は?」 コソッ

鳴上 「これ、結構お気に入り。」 ニコッ

ペリーヌ 「だろうと思いましたわ……」

坂本 「こら、静かに聞かんか。」

鳴上 「……」 クイッ

坂本 「……なんだ、今の仕草は。」

鳴上 「口にチャックです。」

坂本 「……静かにしておけ。いいな。」

ペリーヌ 「チャック?」

ルッキーニ 「うぅ……スースーする……」

鳴上 「……どうしてズボンなんか盗んだんだ?」

ルッキーニ 「元々は私悪くなかったもん……」

鳴上 「悪くなかった? どういう意味だ……」コソッ

ルッキーニ 「あのね? お風呂から上がったら、ズボンが無かったの。」

鳴上 「それじゃあ、最初はルッキーニが盗られてたのか? だとすると今は……」

ルッキーニ 「うん……スースーする……」

鳴上 「…………」 プイ

ルッキーニ 「なんで眼をそらすの?」

鳴上 「べ、別に……」

ルッキーニ 「ねえ、ユウは昔、事件の捜査をしてたんだよね?」

ルッキーニ 「だったら、私のズボン探すの手伝って?」

鳴上 「……お尻丸出しで駆け回られるよりマシか。」 ボソッ

鳴上 「それで、なくなったズボンは?」

ルッキーニ 「んーっとね……」

ルッキーニ 「青色と白色のシマシマ。」

鳴上 「……」

ルッキーニ 「どしたの?」

鳴上 「ハルトマンを見ろ。」

ルッキーニ 「ん~っ……あ、ハルトマン、私のズボン、穿いてる。」

ルッキーニはエーリカのが呼び方自然かなと思ったけど、補完はよろしく。


【午後/ 食堂】

> お茶の時間、ルッキーニと騒動の原因について説明した……

バルクホルン 「なに? 結局、ことの発端はエーリカだったのか!?」

ルッキーニ 「だーかーらー! 何度も言ってるじゃん。……あちち。」

リーネ 「大丈夫ルッキーニちゃん? お茶少し暑いから、気をつけてね。」

ルッキーニ 「おひょい……」

ハルトマン 「いやー、ごめんね? ズボン見つからなくてさー……借りちゃった。」

バルクホルン 「借りちゃった……ではないだろう!? だからあれほど片付けをしろと言ったのだ!」

宮藤 「そんなにハルトマンさんの部屋って汚いんですか?」

鳴上 「あれは……足の踏み場がな……」 カツカツ

宮藤 「……」

鳴上 「……ゴクン……見つからないぞ。どうした。」

シャーリー 「いや、その食していられるものは何かなと思ったんじゃね?」

鳴上 「なんだかんだ、ご飯を食べてなかったからな。有り合わせで作った肉丼だ。」

鳴上 「あの味の再現……長い道のりだった……」

宮藤 「あの味が何かは知らないけど、紅茶に合うのかなって、それはいいけど……あはは、その量は……」

シャーリー 「全てを受け入れる寛容さ、正しいペース配分する知識、肉の群れに突っ込む勇気、食べ続ける根気。」

シャーリー 「ナルカミのタフさはあれから来てるのかもな……凄い量だ……」

ペリーヌ 「そんなわけないでしょうに……見てるこっちの胃がもたれそうですわ。」

ペリーヌ 「……どうして少し説明口調ですの?」

鳴上 「少し愛屋よりも油……多かったかな……」

宮藤 「早い!」

バルクホルン 「……いつの間に肉の話になったんだ?」

バルクホルン 「とにかくだ! ハルトマンの部屋のついて、何か対策を立てねばなるまい!」

リーネ 「確かに……今日の警報が誤報だったからいいけど……」

ミーナ 「そうね……何かしら、考えておくわ……」

宮藤 「あ、私片付けなら得意ですよ! よかったら」

バルクホルン 「止めておけ。1日はおろか1週間かけても片付けられるかどうか……」

ハルトマン 「なにさー、人の部屋を魔界みたいに」

バルクホルン 「事実を言ってるのだ!」

ミーナ 「それじゃあ、明日の午前中にエーリカの部屋に集まってちょうだい。」

バルクホルン 「やっぱり、片付けをするのか?」

ミーナ 「……ええ。仕方ないわ。隊の全員で片付けにあたります。」

宮藤 「全員……ですか?」

鳴上 「それほどまでに……侮れないということだ。」

ハルトマン 「ちょ、ちょっと待ってよミーナ。ズボンは見つかったんだしさ?」

ハルトマン 「なにもそこまでしてやる必要は……」

ミーナ 「だって、こうでもしないと片付け、しないでしょう?」

ハルトマン 「うっ……」

バルクホルン 「申し訳ないと思うのなら、これを期に整理整頓をするのだな。」 フフン

ハルトマン 「うぅ~……」 チラッ

> チラチラと助けを求めるような視線を送ってくる……

鳴上 「諦めも、肝心だ。」

宮藤 「うん、今回は同感。」

サーニャ 「そうね……」

ハルトマン 「うわぁぁぁぁ! サーニャんにも愛想尽かされたぁ~」

ハルトマン 「ナルカミなんて、この前私の裸見たくせにぃ~」

「……」

> 周囲の視線が、ちょっと痛い……

鳴上 「ちょっと待て、あれは事故だっただろ。」

鳴上 「そもそもいつまでそれを引っ張るんだ!?」

> 少し、雪子の気持ちが分かった……

ミーナ 「オホン……とにかく、予報ではネウロイも来ないみたいだから。」

ミーナ 「汚れてもいい格好でお願いね。」

――
――――

【午前/ ハルトマンの部屋前】

ミーナ 「揃ったみたいね……鳴上君、それは?」

鳴上 「汚れてもいい服と言われたので。」 清掃員服

ミーナ 「そ、そう……」

宮藤 「鳴上君って、何かにつけてノリノリだよね。」

リーネ 「この前の少佐の誕生日もね……」

ペリーヌ 「全く、何を考えているのやら。」

鳴上 「ペットボトルを使ってるから、エコだぞ。」

宮藤 「ペット……ボトル?」

ミーナ 「はいはい、お喋りはそこまで。それじゃ、作戦を説明するわね。」

ハルトマン 「……作戦? ネウロイじゃないんだからさー……」

バルクホルン 「私としてはお前の部屋の掃除かネウロイなら、ネウロイの方が気が楽だぞ。」

ハルトマン 「そこまでかなぁ……」

ミーナ 「注意事項として、物を捨てる時はエーリカに断りを入れてちょうだい。」

ミーナ 「必要なものと要らないもの、段ボールに入れて整理するの。」

ミーナ 「まずは、トゥルーデとシャーリーさん、鳴上君。」

ミーナ 「三人は大きな物や重い物を部屋から一旦出して整理ね。」

鳴上 「押忍。」

バルクホルン 「適役だな。」

シャーリー 「えぇー、堅物が一緒か……サボれないじゃん。」

バルクホルン 「何か言ったかリベリアン。」

シャーリー 「私はペンより重いものを持ったことがない。なんちって。」

バルクホルン 「……」

シャーリー 「そんな眼で見るなって……やりづらいなぁ。」

鳴上 「いつも重たそうな機械とか工具、引っ張り出してるだろう。」

シャーリー 「あぁ~……こっちもやりづらいなぁ。」

あれって富山の東部だったのね。tt TSといいだいたい西武だから、少し嬉しい。


ミーナ 「そして、宮藤さん、リーネさん、サーニャさんは入り口近くの小物。」

宮藤 「頑張ろうね、リーネちゃん、サーニャちゃん。ルッキーニさん。」

リーネ 「うん!」

ルッキーニ 「あいよー!」

サーニャ 「頑張ろう……」

ミーナ 「ペリーヌさんとエイラさん、美緒に私は奥の方。」

ペリーヌ 「異存はありませんわ。」

坂本 「頼りにしてるぞ、ペリーヌ。」

ペリーヌ 「も、もちろんですわ! 期待に添えるよう、頑張らせていただきます。」

エイラ 「へ、なんでサーニャと一緒じゃないんダ? なんでツンツンメガネと…」

ミーナ 「ごめんなさい。奥の方はサーニャさんには少し……その、厳しいと思うから。」

エイラ 「うぅ、サーニャぁああ……」

サーニャ 「エイラ……」

エイラ 「サーニャ!」

サーニャ 「頑張ろうね、別々のところでも。」

エイラ 「…………」ダボダボ……

鳴上 「エイラの涙が止まらなくなった。」

ハルトマン 「あれじゃ攻撃が当たらないね~」

バルクホルン 「なんの話だ?」

鳴上 「おとなも」

ハルトマン 「こどもも」

鳴上・ハルトマン 「「おねーさんも。」」

バルクホルン 「……?」

ミーナ 「と、とにかく。始めましょう。」

「了解。」

エイラ 「サーニャぁああ…………」

ゆるゆりも高岡大和出てたりで県西部だよ

>>596 後はanotherもPAだからか風景は富山らしいね。全部西だ、くそう。


ハルトマン 「そいじゃ、開けるよ~。」 ガチャ

鳴上 「腐海だ……前よりも悪化してる。」

バルクホルン 「いい得て妙だ。」

ハルトマン 「あんたらねぇ……言いたい放題……」

ミーナ 「さ、始めましょう。」

シャーリー 「ワイン……? そっか。カールスラントは酒飲んでもいいんだ……」

バルクホルン 「やらんぞ。」

シャーリー 「ケチ。ってか、うちらも原隊じゃこっそり飲んだりもしてたけど。」

鳴上 「えっと、このお菓子はどうするんだ……」

ハルトマン 「えっと、それは後で食べようと……1週間前くらいに。」

鳴上 「それが、色々と生えてカラフルだ……」

ハルトマン 「……」

鳴上 「処分……しとく。」

ハルトマン 「よろしく。」


――

鳴上 「このインカムは……」

ハルトマン 「あーっ! この前無くした奴だ。ありがとね。」

バルクホルン 「何台なくしたんだ……前も無くしたと言っていたような……」



――

シャーリー 「これで1時間くらいか。ようやく床が見えたな……」

バルクホルン 「気を抜くなここからが本番だ。」

鳴上 「12人もいるんだ。これなら今日中に」


『サーニャーサーニャ―サーニャ―サーニャ―サーニャ―』

『ちょっと、同じ部屋にいるんですから、そんな泣くこと……』

『ひゃあっ!? ル、ルッキーニちゃん!?』

『リーネの、またおっきくなった。シャーリーの程じゃないけど。』

『そうなの!?』

『芳佳ちゃんも反応しないで!』

『……賑やか。』

『はっはっは! 宝探しだな、まるで。』


鳴上 「……」

ハルトマン 「今日中に?」

鳴上 「なんでもない。」

鳴上 「しかし……どうしてここまでになるんだ?」

シャーリー 「そうだな、何か秘訣とかないか? アタシん部屋も結構ダメなんだよねー」

ハルトマン 「あ、私も気になる。するかどうかは置いといて。」

バルクホルン 「置いておくんじゃない。」

バルクホルン 「リベリアンにフラウ、使ったら片付ける。床に物を置かない。」

バルクホルン 「この2つさえ出来れば散らからんのだ。不必要なものも持ち込まない! 」

シャーリー 「つってもさ、それが難しいんだよね。」

ハルトマン 「そーそー。トゥルーデだってクリスの写真はどうなのさ。」

バルクホルン 「あっ、あれは私の大切なものだ。」

鳴上 「概ねバルクホルンさんのがセオリーだけどな……」

鳴上 「所々に無くしたくない物を置いたらどうだ?」

シャーリー 「無くしたくない物?」

鳴上 「友達のプレゼントとか、大切な物……勲章とか。柏餅騎士鉄十字章だっけ?」

バルクホルン 「おいしそうだな、って違う! 柏葉だ。カールスラント皇帝からの栄誉あるものだ。」

シャーリー 「勲章は通用せんだろうね……腐るほど持ってるんだぜ。」

ハルトマン 「まーね。前になくしたし。てゆーかさ、どんだけ勲章好きなのさ。出撃するだけで貰えるようなもんだよ?」

鳴上 「そんなにか? どうしてだ。」

ハルトマン 「知らないよ~、どーせ士気をどうこうでしょ?」 ボリボリ

ハルトマン 「……そんなのの為に戦うんじゃ、ないのに……」

鳴上 「……バルクホルンさん。」 ヒソッ

バルクホルン 「あぁ、元々フラウは軍の考えに否定的だからな。」

バルクホルン 「宮藤とは多少ベクトルが違うが……同類だ。」

ハルトマン 「おっと。変なこと言っちゃった。もー、ナルカミに変なこと吹き込まないでね?」

バルクホルン 「別に吹き込んでなどいないぞ。」

ハルトマン 「ふーん……ま、アドバイスありがとね。考えてみるよ。」

> ハルトマンの新たな一面を知った気がした……

鳴上 「……そういえば、フラウとか、トゥルーデってなんだ? 愛称なのは分かるけど。」

バルクホルン 「ああ。それか、フラウというのはな、カールスラントの言葉で成人女性への呼び方だ。」

鳴上 「……成人?」 ジーッ

ハルトマン 「どこ見てるのさ。」

鳴上 「……未成年だろう。」

バルクホルン 「早くその呼び方の似合う、成熟した女になれということで付けられたんだ。」

ハルトマン 「そういうこと。いやー、初陣なんかは散々だったからね。」

シャーリー 「マジ? ……それが200機撃墜のエースなんてなぁ……」

バルクホルン 「ああ。最初は僚機をネウロイと間違えて魔力の尽きるまで逃げ回ってたそうだ。」

ハルトマン 「お恥ずかしい話。」

シャーリー 「全然そうは見えないけどな……」

ハルトマン 「次、トゥルーデのね。特に意味は無いよ。」

鳴上 「そうなのか?」

バルクホルン 「うむ。ファーストネームのゲルトルートの綴りを考えるといい。」

シャーリー 「えーっと……G E R T R U D……ああ。」

鳴上 「下の読みでトゥルーデか。」

ハルトマン 「そっちのが呼びやすいしね。なんかヌルッて言える。」

シャーリー 「確かに……ゲルトルートは固いけどトゥルーデなら……可愛いな。」

バルクホルン 「なっ!?」 カァァ

シャーリー 「ん~どうした? まーさーかー……照れたとか。」

バルクホルン 「ち、違うぞリベリアン! 貴様などに愛称で呼ばれても」

シャーリー 「トゥルーデぇ~」 ガバッ

バルクホルン 「ええい! 絡み付くな気色悪い!」 グイ

シャーリー 「トゥルーデお姉ちゃ~ん」

バルクホルン 「いい加減にしろ!」

ギャアギャア

鳴上 「仲が良いのか?」

ハルトマン 「そだね。喧嘩するほどなんとかってわけじゃないけど。」

バルクホルン 「は な さ ん か!!」

シャーリー 「むぎゅう」

ハルトマン 「根っこは近いんだろうね。」

鳴上 「考えるとここには似た者同士集まってるんだな。」

ハルトマン 「あはは、確かにそうかもね。」

ダイタイオマエハグンジントシテ……

ナンダヨ。アイカワラズアタマガカタイナ

鳴上 「……この帽子はいるのか?」

ハルトマン 「ん。とっといて。」

鳴上 「分かった。段ボールにっと。」 ポイ

ハルトマン 「手際、結構良いんだね。料理とかも上手だし。」

鳴上 「ああ。元々嫌いじゃないし、菜々子が喜ぶ。」

ハルトマン 「あはは、またそれだ。もし帰れなかったらカールスラントにでもおいでよ。」

ハルトマン 「意外と器用な人って重宝されるよ?」

鳴上 「ははっ、考えておく。」

シャーリー 「どした、スカウトでもしてんのか?」

ハルトマン 「そんなとこー。」

シャーリー 「早くもなつかれてんなー。ペリーヌといい、宮藤といい。」

鳴上 「そういうものか?」

シャーリー 「そういうもの。」

――
――――

鳴上 「床……半分くらい見えたかな。」

バルクホルン 「ようやく、人の暮らせる許容範囲といったところだな。」

ハルトマン 「あのねぇ、さっから好き放題ばっかり……」

ウウウウウゥゥゥ!!


シャーリー 「警報!? まさかネウロイ……クソッ、今日は出ないんじゃなかったのか?」

バルクホルン 「最近の予報の精度が悪いな……怠慢か?」

サーニャ 「待って、調べて見る……中型のネウロイが5機くらい。こちらに接近してます。」 フワッ

ミーナ 「作業は中断!私と少佐は管制に回って確認を取るわ。各機は出撃の準備を!」

「了解!」

シャーリー 「へへっ、お先に行かせてもらうよ。」

鳴上 「同じくっと。」 タッタッタ

ハルトマン 「そういや、ネウロイの襲来なんて久し振りだね。」

バルクホルン 「ああ。体も鈍って来たところだ。丁度いいだろう。」 タッタッタ


宮藤 「ま、待ってあう。」 ドテッ

エイラ 「ったく、足取られて動けないっての……」

ルッキーニ 「うじゅあっ!」

【格納庫】

シャーリー 「ったく、毎度毎度ネウロイも飽きないもんだね。」

バルクホルン 「全くだ。私たちで先行するぞ。」

シャーリー 「えぇ!? マジ?」

バルクホルン 「一番に来たのだ、待つ時間も惜しいし仕方あるまい。」

シャーリー 「そりゃあ、そうだけどさ。ハルトマンもいるじゃん。」

バルクホルン 「念には念をだ。アイツには鳴上のフォローをしてもらう。」

バルクホルン 「余程の無茶をしない限り撃墜は無いからな。」

バルクホルン 「空ではハルトマンの右に出る物はいない。ヤツの空戦から何かしら学べれば尚良しだ。」

シャーリー 「確かに、アタシは前に出るってやりかたじゃないしな。」

バルクホルン 「その通り。鳴上はドッグファイト“しか”出来ん……被弾も多い。」

シャーリー 「まーな。新人特有の無謀っつーか。クールななりで熱いんだから。ナルカミ。」

シャーリー「んじゃ、行くぞ。大尉同士のロッテだ!」 ブロロ……ブーン

バルクホルン 「ああ。行こう」 ブォォォ…ブーン


ハルトマン 「トゥルーデ達は先に行ったみたいだね。私たちも出るよ!」 フワッ

鳴上 「言われなくても。」 フワッ

ハルトマン 「それじゃ、私の斜め後ろに付いてね。離れないように。」

鳴上 「分かった。」

ハルトマン 「それじゃ、行っくよー!」 ブロロ……

鳴上 「弾は送られているな……安全装置は外した。刀は問題なし。」

鳴上 「鳴上悠は重装型アグニ……じゃなくて零式で出ます!」 ブーン……


ミーナ『聴こえる? 皆。』

バルクホルン 「肯定だ。」

シャーリー 「よく聴こえるよ、中佐。」

鳴上 「アファーマティブ。」

ハルトマン 「良好だよー。」

坂本 『じきに他の者も出撃する。各機はロッテを組んで攻撃だ。』

バルクホルン 「問題ない。」

坂本 『流石、経験豊富だけある。鳴上、しっかり着いて行けよ。』

鳴上 「了解。」

坂本 『いい返事だ。』

ミーナ 『敵のネウロイについてだけど……少佐、見える?』

坂本 『んっ……はあ……見えた。戦闘機タイプだ。双発式のが5機。』

ハルトマン 「戦闘機タイプだけ? おかしくない?」

ハルトマン 「飛行型のネウロイは護衛をつけて爆撃で防衛力を奪ってから……」

バルクホルン 「地上型が制圧にかかる。戦争のセオリー通りに来るはずだろう?」

坂本 『同感だ。本来なら爆撃機のネウロイが居てもおかしくないのだが……』

鳴上 「偵察だってことですか?」

サーニャ 『えっと、こっちでももう一度調べました……やっぱり、5機だけです。』

シャーリー 「そうか? 随分とネウロイも適当だなー。」

エイラ 『なんダ。イェーガー大尉はサーニャの能力にケチつけんのカ?』

シャーリー 「いや、そういう訳じゃなくてな?」

サーニャ 『念のため、探査は続けてみます……』

坂本 『ああ、よろしく頼む。機首はおそらく、ロッキードのメザシだろう。』

シャーリー 「メザシ?……まさか、リベリオンのP-38か?」

鳴上 「なんだ、それ。」

シャーリー 「レシプロの戦闘機だよ。ここらでも時々使われる。」

シャーリー 「目立った性能はないけどコストに優れてな。」

鳴上 「それで、どうしてメザシ?」

坂本 『見れば分かるだろう。多分。』

ハルトマン 「ナルカミ! あれだよ! ネウロイ。」

鳴上 「あのネウロイ……確かに……メザシだ。干してるやつ。」

ハルトマン 「双発の戦闘機って、大抵あんなかんじになんだよね……」

宮藤 『こちらでも捕捉しました! リーネちゃんと一緒です。』

エイラ 『私も見つけたんダナ。サーニャもいる。』

ペリーヌ 『こちらでも発……ちょっとルッキーニさん! ああ、もう……』

シャーリー 『私とバルクホルンも見つけた。』

ハルトマン 『ナルカミも見つけたっぽい。』

ミーナ 『他のネウロイの接近は見られないわ。早めに叩いてちょうだい。』

鳴上 「やっぱり、偵察ってとこか。上等だ。」

ハルトマン 「あんま、無茶はしないようにね。」

鳴上 「ああ。早く潰して片付けの続きにしよう。」

ハルトマン 「うへぇ……そだね。安心して戦うといいよ。絶対に撃墜させないからね。」

鳴上 「どうしてだ?」

ハルトマン 「私ね、僚機を一度も撃墜させたこと無いんだ。凄いでしょ。」

鳴上 「ああ。凄いじゃないか。心強い。」

ハルトマン 「ふっふー、でしょ?」

鳴上 「ああ。こちら鳴上、これよりネウロイとの戦闘に入る! 」 ドドドッ

ハルトマン 「エンゲージ、エンゲージ!」ドドドドッ

鳴上 「……ハルトマン、コイツっ!」

ハルトマン 「うん……そんなに強くはない、ね。」

ハルトマン 「速度はそこそこだけど……攻撃もイマイチ……」

鳴上 「……零式のシールド防御でも十分なんてな。」 バァァァ

ハルトマン 「おっと……確か、零式の装甲は結構薄いんだっけ?」

鳴上 「ああ。結構……薄い。」 ドドドッ……ドドッ

ハルトマン 「相変わらず、射撃はへたっぴだね。」ドドッ

鳴上 「そうだな。ダーツなら得意だけど……」ドドドッ

バキッ

鳴上 「ジャックポットだ! コアが見えてきた!」

ハルトマン 「やっぱり、こんな簡単に行くもんかな……?」

鳴上 「倒せるなら十分だ、撃墜2機目はいただく。」

ハルトマン 「……そだね。後輩君に譲ってあげるよ。」

鳴上 「ああ。サクッと倒してくる !」 ブーン

鳴上 「メザシって言う通りだ……なっ。」

> ネウロイは急上昇していく……

鳴上 「逃げるか……上昇力なら、こっちの方が上だ!」 ブォォォ

> 目の前のネウロイの黒い装甲が大きくなっていく……

ハルトマン 「……おかしい、あんな見え透いた機動なんてネウロイでも……」

ハルトマン 「ナルカミ! ネウロイからすぐに離れて! 」


鳴上 「あのネウロイ……片方のエンジンが動いていない? だったら」 カチッ

鳴上 「貰ったあああ!」 ドドドドッ

> ネウロイが旋回しようとしている……

鳴上 「そんな起動で逃げられ……なっ!?」

> ネウロイが信じられない速度で旋回しこちらへ急降下してきた!


ハルトマン 「片発旋回からのダイブアンドズーム!? アイツ、滅茶苦茶だよ!」

ハルトマン 「とにかく避けて、ナルカミ!」


鳴上 「くっ、もう遅い……っ!」

ネウロイ 「」 バウッ

鳴上 「あぐぅっ!」 ドォッ


ハルトマン 「ナルカミ!? 大丈夫?」

ハルトマン 「このっ! 離脱なんてさせるもんか……!」

坂本 『どうした、ハルトマン!』

ハルトマン 「ナルカミが射たれたの! それで……」

坂本『細かい話は後だ! バルクホルン達を向かわせる、お前は鳴上を連れて戻れ!』

ハルトマン 「り、了解!今の話聞こえた? すぐに戻って」

鳴上 「……っ……まだ、飛べる……問題ない!」

坂本 『命令だ! 帰投しろ! そうやってモタモタするうちにネウロイが……』

ハルトマン 「うわっ! あのネウロイの動き……もう一度こっちに仕掛ける気だ!」

坂本 『だから言ったのだ! 逃げろ、低飛行ならば奴の性能も知れている!』

ハルトマン 「っ!了解。ナルカミ、手ぇ、貸そうか。」

鳴上 「問題無い。」

ハルトマン 「オーケー、それじゃ着いて来て!」 ブーン

鳴上 「……」フラ


ハルトマン 「……なっ!? バカ! どうして着いて来ないのさ!!」


鳴上 「……」

> ネウロイが降下の準備に入っている……


ハルトマン 「速く降りて! ねえったら!」


鳴上 「……ごめん。少しだけ……」

鳴上 「無茶をしてみるようと思う。」

訂正

鳴上 「無茶をしてみようと思う。」


鳴上 「久し振りだな、これも……」

坂本 『バカ者! 今度は一体なにをしでかす気だ!』

鳴上 「大丈夫です……死ぬつもり、無いからさ。」

鳴上 「小夜子さん……ハルトマンとの絆が……変わらないなら。」

坂本 『おい! 聞いているのか!? おい!』

鳴上 「ペル……ソナ……」 ゴオオオ…


ハルトマン 「なに、あれ……」

坂本 『ハルトマン! 何が起きている!』

ハルトマン 「えっと、変なカードが浮かんでナルカミの手のひらに乗って……」


鳴上 「来い、ベルゼブブ!!」


ハルトマン 「…………でっかい。」


>ネウロイからビームが放たれる……

鳴上 「まとめて吹き飛ばせ!」カッ!

ドゴオオオオオッ

――
――――

鳴上 「っはあ……ぐっ……」 ゼェゼェ

ハルトマン 「……えっと。」

バルクホルン 「ハルトマン中尉、鳴上は無事か、ネウロイはどうなった!?」

シャーリー 「今の爆発は何だったんだ? 青白いのがピカーッってやつ!」

ハルトマン 「えっと、鳴上が変なカードを出したと思ったら、でっかい……」

バルクホルン 「カード、まさかでっかい大男が見えたのか!? 剣を持った大男が!」

ハルトマン 「ううん……なんだか、羽にドクロの入った……ハエ。ハエが爆発を起こしたの。」

バルクホルン 「ハエだと!? どういうことだ……」

シャーリー 「アタシが言いたいよ。大男にハエ? おたくら一体何を話してるんだ?」

バルクホルン 「後で話す、ネウロイは消えたわけだな。」

ハルトマン 「あんな爆発に巻き込まれたんだから、跡形もなく。」

シャーリー 「なんつー破壊力だよ……んで、鳴上は?」

鳴上 「」

ヒュウウウウウウウウウ

ハルトマン 「落ちてる!」

バルクホルン 「シャーリー!」

シャーリー 「おっ、名前で呼んでくれたなおい。よし来た! 今ならマッハも夢じゃない。」 ブーン

バルクホルン 「茶化している場合か!?」


シャーリー 「どっせ―――い!! やったぜアタシ、流石アタシ~……あ、意外と重い……」 ブロロロ

バルクホルン 「私に貸せ。まだ少しは固有魔法を使える。」

シャーリー 「いいのか? 血がついちまうぞ。」

バルクホルン 「問題ない! リベリアン、今の加速で魔法力が厳しいのだろう。」

シャーリー 「あ、バレた? 実はちょっとねー。んじゃ、お願い。」

バルクホルン 「全く……もう少し仲間を頼らんか。」

シャーリー 「バルクホルンには言われたくない。」

バルクホルン 「なんだと!?」

ハルトマン 「ストップ! 重傷者運んでるんだから! 結構大きな破片が刺さってるっぽいし。」

ハルトマン 「ネウロイの攻撃で壊れた銃の破片かな。なんだかんだビームの直撃は避けたみたい。」

シャーリー 「生存本能っつーの? 強いのかもな。しかし、良く見てるな~。」

バルクホルン 「ああ。なにせエーリカは」

ハルトマン 「速く運ばなきゃいけないのは間違いないよ。出血は多いし。」

バルクホルン 「すまん、立ち話をしている場合じゃなかったな。」

シャーリー 「羽にドクロの入ったデカイハエねぇ……うぇ、気持ち悪い。」

バルクホルン 「ルッキーニ少尉なら喜んで捕まえるだろうな。それで、そのハエは?」

ハルトマン 「爆発が収まったら、影も形も無くなっていた……」

ハルトマン 「動揺して、幻覚でも見ちゃったのかな……」

シャーリー 「でも、爆発自体はアタシらも確認したけどなあ。」

バルクホルン 「うむ……少なくとも、あの爆発はあのネウロイの起こせる規模のものでは無い。」

ハルトマン 「私の起こせるものでもないよ。」

シャーリー 「ってことはアレか? ナルカミの固有魔法はペリーヌと同じじゃないってこと?」

バルクホルン 「さあな。鳴上については分からないことが多い。」

バルクホルン 「1996年に生まれたといい、男にも関わらずストライカーに乗り」

シャーリー 「固有魔法は持ってるけど何が何だか分からない。」

ハルトマン 「……でも、大事な仲間だよ。」

バルクホルン 「無論だ。短い付き合いではあるが、悪い奴じゃあない。」

シャーリー 「当然、バカやる奴が増えて嬉しいよ、アタシはね。」

バルクホルン 「そのバカやるタイミングが読めればやりやすいがなぁ。」

鳴上 「……ごめん……ハル……トマン……」

ハルトマン 「ん?」

鳴上 「……僚機を落としたこと……無いって記録、台無し……にした。」

ハルトマン 「……別にいいよ。ナルカミが生きて帰れそうだし。もう少しの辛抱だからね。」

鳴上 「ごめん……ごめん……」

ハルトマン 「気にしてないって……しつこいよ?」

鳴上 「か……片付け……手伝……えない……」

ハルトマン 「う゛っ……そっちかい。」

バルクホルン 「うむ、いい奴だ。その気持ち、ありがたーく受け取ってやれ。」

ハルトマン 「…………りょーかい。」

【格納庫】

バルクホルン 「慎重に……着陸っと。」

ハルトマン 「ナルカミのストライカー、外しとくよ。」 ブシュッ……ガコン

宮藤 「シャーリーさん! バルクホルン大尉にハルトマンさん!」

ペリーヌ 「鳴上さんが怪我をしたというので」

リーネ 「担架持ってきましたぁ! お医者さんもじきに来るそうです!」

バルクホルン 「早いな。」

宮藤 「坂本さんとミーナ中佐のお陰ですよ。」

シャーリー 「宮藤たちは大丈夫なのか? お前達も出撃してたんだろうに。」

宮藤 「だからなんなの! ですよ。私に出来ることがあるなら頑張れます!」

リーネ 「私もです。」

ペリーヌ 「同じく。まして坂本少佐の頼みなら尚更ですわ!」

バルクホルン 「相変わらずだな……よし、任せたぞ。」 トサッ

ハルトマン 「私も、何か手伝うよ!」

宮藤 「いいの? じゃあ、先に医務室に行って綺麗なシーツと包帯を集めて!」

宮藤 「治癒魔法で体力の消耗は防げるけど、これだけ傷が多いと止血も大変だから!」

ハルトマン 「おっと合点承知の助、なんちって。」タッタッタ……

バルクホルン 「なんだそれは。」

シャーリー 「言葉遊びじゃないのか? 私らは甘えて休ませて貰わないか?」

バルクホルン 「……うむ。そうだな。」

シャーリー 「そうだ、ハルトマンにも話しておいてほしいんだがな……」

ボソボソ……

バルクホルン 「リベリオンらしい発想だが、そのくらいならば皇帝も許してくれるだろう。」

シャーリー 「んじゃあ、よろしく頼むよ。あー、疲れた……」

――
――――

【数日後/ 医務室】

鳴上 「…………んっ。ここは……病室?」

ハルトマン(ナース服) 「歯磨き体操きーがえちゃおーおー……あ、目。覚めた?」

鳴上 「……」

ハルトマン 「ここは医務室だけど、どしたの?」

鳴上 「……その服は?」

ハルトマン 「似合ってるでしょ、えへへ。1回着て見たかったんだよね。」

鳴上 「ああ……看護婦になりたい、とか?」

ハルトマン 「そんなとこだね。人を助ける仕事に就きたいなってね。」

鳴上 「素敵なことだ……無理はしないようにな。」

ハルトマン 「なんのこと?」

鳴上 「何でもない、こっちの話だ……ぐっ! あいたぁー……」

ハルトマン 「ストップ! まだまだ傷は完治したわけじゃないんだから。何日も寝てたんだし。」

ハルトマン 「ちょっと待っててね! お医者さん呼んでくる、あとご飯も作ってもらうね。」 バタン…タッタッタ

鳴上 「それじゃあ、お言葉に甘えて……」

鳴上 「暇だな……」

鳴上 「次に私がその瞼を開いたのは、純白の絹の褥の上であった……」

鳴上 「死神の顎から逃れ、身を紗に包まれて。」

ペリーヌ 「何をブツブツ言ってますの?」

バルクホルン 「ポエムか。」

鳴上 「前に読んだ本の一説ですよ。ペリーヌも読んだろう。」

ペリーヌ 「ええと、きた、とんだ、おっこちた。の最後でしたっけ。」

バルクホルン 「ああ、その話か。」

ペリーヌ 「知ってますの?」

バルクホルン 「ああ。確かアフリカの航空団の……真美だったか? が役したんだ。」

鳴上 「アフリカというと、加東圭子さんの率いる……」

バルクホルン 「ああ。彼女の部下がカールスラント語に訳したものが最初だな。」

鳴上 「詳しいんですね。」

バルクホルン 「エーリカの知り合いのハンナが送ってきたそうだ。」

鳴上 「アフリカの星と!?」

バルクホルン 「ああ。同期らしいぞ。」

鳴上 「凄い交遊関係だ……」

ペリーヌ 「JFWにいる時点で恐ろしいことになってますがね……交遊関係なんて。」

ペリーヌ 「それより、渡すものがありましたでしょう?」

バルクホルン 「そうだった、見舞いがてらにな。」

> 不恰好な青と緑の折り紙の鶴が吊るせるように作られている……

ペリーヌ 「扶桑では怪我の治るようこういうものを渡す習慣があるのでしょう?」

鳴上 「千羽鶴か……ありがとう。」

バルクホルン 「べ、別に感謝される謂れは無い。たまたま、クリスへ折るついでにお前にもと思っただけだ!」

ペリーヌ 「わ、私も扶桑の文化をもっと学ぼうとして……」

バルクホルン 「ペリーヌは食いつかんばかりの勢いで宮藤に尋ねていただろう?」

ペリーヌ 「なっ! 大尉こそ、ここぞとばかりに宮藤さんにデレデレしてたではありませんの!」

バルクホルン 「そんなことは無いぞ! 私は普段通りだ。」

鳴上 「……」

鳴上 (一番常識人を気取ってるのに、一番面倒なんだから……)

鳴上 「上手に折れているよ。」

バルクホルン 「そうか? それは良かった……」

ペリーヌ 「安心しましたわ。」

鳴上 「どんな理由でも、嬉しいことに変わりはないよ。」

ペリーヌ 「……」

バルクホルン 「……」

鳴上 「 ? 」

ペリーヌ 「そそそれでは私はこれで。」

バルクホルン 「そうだな、あまり騒いで傷に響いてはいかんからな。」ソソクサ

ハルトマン 「お医者さん、すぐに来るってさ。んで、なんかあったの?」

バルクホルン 「それでは安静にするといい。お大事ににな。」 バタン

ハルトマン 「ペリーヌとトゥルーデ、顔赤くして出てったけど。」

鳴上 「鶴をくれたから、嬉しいよって言ったら……」

ハルトマン 「あー……照れてるんじゃないの?」

ハルトマン (なんだかんだ一番面倒なのが組んで来たわけね……)

> 医者に怪我の具合を見て貰った……

医者 「傷、開かないように安静にね。2、3日の辛抱だから。」

鳴上 「分かりました。」

医者 「しかし君、凄いバイタリティだね。タフというかなんというか。」

医者 「若いっていいね。それじゃ、薬は飲んでおいてね。お大事に……」 バタン


ハルトマン 「無事みたいで良かったね。傷も宮藤とかのお陰で大きいのは塞がったみたいだし。」

鳴上 「ハルトマンのお陰もあるよ。」

ハルトマン 「いやー、面と向かって言われたらむずがゆいね。」

ハルトマン 「あはは、気分は良いんだけどさ。トゥルーデの気持ちも分かるかも。」

宮藤 「鳴上くーん、どう? 気分。おかゆ作ってきたけど、食」 ガチャ

鳴上 「いただきます。」

リーネ 「ちょっと早いと思うよ!?」

宮藤 「男の子だし、やっぱりお腹すくよね。卵と鮭で良かった?」

鳴上「最高の組み合わせ……あいたた…」 ガタッ

宮藤 「落ち着いて。傷開いたらいけないから。」

鳴上 「ごめん。久しく何も食べてない気がして……」

ハルトマン 「点滴だったもんね。」

宮藤 「あはは……ほら。あーん。」

鳴上 「……その……」

宮藤 「どうかしたの?」

> なんというか,、恥ずかしい……

> 勇気を振り絞っておかゆを口にした……

鳴上 「……あちっ」

宮藤 「あ、ごめん。熱かった?」

鳴上 「大丈夫だ。美味しいよ。」

ハルトマン 「……色んな意味で。」 ニヤッ

鳴上 「ゲホッ! ゴホッゴホッ!」

宮藤 「だ、大丈夫!? やっぱり冷ましての方が……」

鳴上 「大丈夫だ。うん。大丈夫。」

宮藤 「なんだか眼が遠くに行ってる気がするけど……」

> なんとも言えない空気のまま、食事をした……

鳴上 「ごちそう……さまでした。」

リーネ 「味、薄くなかったですか?」

鳴上 「問題ない。ちょうどいいと思うぞ。」

リーネ 「そうですか……よかった。扶桑の食事ってそんなに作ったことなくて……」

宮藤 「これ、リーネちゃんが作ったんですよ。ちょっと教えたら、こんなに上手に作って。」

リーネ 「ちょっと、そんな人前で褒めないでって……恥ずかしいから……ね?」

宮藤 「あはは、ごめんごめん。それじゃあ、私達もそろそろ行くね?」

鳴上 「ああ、わざわざありがとうな。それじゃ。」

リーネ 「早く良くなってね、バイバイ。」 バタン

鳴上 「……ハルトマン。」

ハルトマン 「なに? 」

鳴上 「さっきハルトマン言ったことは、黙っていてくれ。」

ハルトマン 「……お菓子1週間で手、打つよ。」

鳴上 「成立だな。」

ハルトマン 「いえいえ。」

鳴上 「……暇だな。」

ハルトマン 「そだね。なにか面白いもの無い?」

鳴上 「……好きなタイプでも話そうか?」

ハルトマン 「それはいいや。」

『なあ、ホントに入るのカ?』

『お見舞いに行こうって提案したのはエイラよ。』

『やっぱり、サーニャはダメダ! アイツはケダモノダ! 池の時ダって』

『あれは誤解だったって……』

ハルトマン 「面白いのが来たね。」ニヤリ

鳴上 「エイラなら、少しくらいドッキリは許される。」

ハルトマン 「作戦は?」

鳴上 「アレを着てくれ。」

ハルトマン 「なんで、あんなの持ってるの……?」

鳴上 「友達に少し作ってもらった。」

サーニャ 「いいから、お見舞い……」

エイラ 「わぁ! サーニャ、押すなッテ! 分かった! 分かったカラ!」 ドタドタ……ガチャッ

鳴上(?) 「今度は誰だ。」

サーニャ 「私とエイラよ。具合はどう?」

鳴上(?)「ああ、大丈夫だ。じきに動けそうだ。」

サーニャ 「そう、シーツを被ってるからまだ辛いのかと。良かった……」

エイラ 「何か、声が別のとこから聞こえないカ?」

鳴上(?) 「そんなこと……無いクマ。」

エイラ 「クマ? って、お前、そんなに丸かったカ?」

鳴上(?)「運動不足クマ。」

エイラ 「いや、そんなにはナンネーゾ?真ん丸!?」

サーニャ 「そういえば……青い大きな耳……」

鳴上(?) 「サーニャの歌を、声を良く聞くためだよ。」

エイラ 「私はどうしタ! なんか、聞き覚えのある言葉ダナ!」

サーニャ 「嬉しい……手も、はみ出てる。ふわふわ……」

鳴上(?)「半分は優しさで出来ているんだよ。」

エイラ 「何がしたいんだよお前ハ!」

鳴上(?)「そーれーはー……」

クマ「お前達を、食べてしまうクマーッ!!」 ガバッ

エイラ 「ワアアアア!? 変な着ぐるみ!?」

サーニャ 「ちょっと、可愛いかも……」

クマ「クマー!」 ドタドタ

エイラ 「転がりながらこっちクンナ! あっち行け、バカ! ケダモノ!」

サーニャ 「ケダモノ……?」

クマ 「……」ドタドタ

クマ 「ちょっと、ナルカミ、もうちょいおどかすんじゃなかったの?アテレコ!」

「……」

クマ 「ねえって、なんかナルカミもサーニャに弱くない?なにがあるの……って、あ。」

エイラ 「おい、ちょっと顔貸セ。」 グイグイ

クマ 「止めて! 取れちゃう! 頭が取れちゃう、取れちゃあぅ……」スポッ

サーニャ 「……あれ、ハルトマンさん?」

ハルトマン 「えーっとね。ナルカミが、ケダモノって言われたの少しイラッとしたんだって。」

エイラ 「あ、聞こえてたのカ。扉の前の話。」

サーニャ 「それで、この着ぐるみを……」

ハルトマン 「ナルカミの私物だってさ。これ。」

エイラ 「なに持ってんダ!? こんなもん、何に使うんダヨ!」

鳴上 「いろいろ、事情があってな……説明は難しい。」 ヌッ

エイラ 「わあアッ! いきなりベッドの下から出てクンナ! どこの傭兵ダ!」

鳴上 「傭兵?」

完二(?) 『チドリいいいい!』

鳴上 「いかん、色々、ごっちゃに。」

鳴上 「その、なんだ。……隠れる場所、無かったし。声、アテレコしてたから。」

エイラ 「そんで、なんで止まったンダ?」

鳴上 「サーニャに……ケダモノって……少し、昔のことを思い出してな。」

『お兄ちゃん……チカン、なの?』

鳴上 「少し……トラウマがな……」

エイラ 「私の時は平気だったじゃないカ!」

ハルトマン 「んじゃあ、ペリーヌとサーニャに“全く……”って言われたらどっちが辛」

エイラ 「サーニャ。」

ハルトマン 「早いね……まあ、そういうこと。」

サーニャ 「これ、お見舞い。」

> 小さな猫のぬいぐるみを貰った。

サーニャ 「なにがいいか分からなかったから……」

鳴上 「ありがとう。大事にするよ。」

ハルトマン 「よかったじゃん。」

エイラ 「うぅ~…」

鳴上 「……」

ハルトマン 「……何で、ベッドに戻らないの?」

サーニャ 「……床、冷たくてちょっと気持ちいいかも。」 ピト

鳴上 「いや……傷に響いて……起き上がれない……」

ハルトマン 「あー……」

エイラ 「じゃあすんナ! お前、バカなのカ? てかバカ!」

鳴上 「起こして……」

エイラ 「面倒くせーナ、コイツ! ナに考えてるか分かんないよ、モー。」

ハルトマン 「エイラがそれ言っちゃう?」

鳴上 「優しく……頼む。」

エイラ 「なんか、言い方気持ち悪イ。」

ハルトマン 「はいはーい。そーっとねー。」

サーニャ 「ちょっと……重い、かも。」

> 三人に助けられてベッドに戻った……

鳴上 「ごめん。少し調子に乗ってしまった。」

エイラ 「素面で言うから恐ろしいんダヨナ。」

サーニャ 「ふぁ……ちょっと、眠い……」

エイラ 「そっか。そんじゃ、そろそろ戻るか。」

鳴上 「ゆっくり休ませてやれ。今日も哨戒だろう。」

エイラ 「ああ。サーニャの心配してくれて、あんがとな。」

エイラ 「そうダ。私からもお見舞いがあるんだっタナ。ほいっと。」

> シュールストレミングを貰った……

鳴上 「……おい、エイラ。」

エイラ 「そんじゃあな!」 バタン

鳴上 「これは……生物兵器じゃないのか?」

ガチャ

エイラ 「……」

鳴上 「エイラ、これって凄く臭い発酵食品じゃ……」

エイラ 「べーっ、だ!」 バタン! タッタッタ……


ハルトマン 「なんか、ボコボコしてない?それ。」

鳴上 「後で、丁重にお返ししとく。」

ハルトマン 「それにしても、今日は賑やかだったねー。」

鳴上 「ああ。こうして話すのは久し振りだからな。」

ハルトマン 「お見舞いも、いっぱい貰ったしね。」

鳴上 「そうだな。」

ハルトマン 「それで……まだあるって言ったら?」

鳴上 「嬉しいが? どんなものにも、お見舞いやプレゼントには誰かの気持ちがあるんだから。」

ハルトマン 「そっか……勲章とかも、そうなのかな?」

鳴上 「中には、作業って思う人もいるだろうけど、それだけじゃないと思う。」

鳴上 「女の子を前線に出すしかない今、出来ることをって思う人もきっと。」

ハルトマン 「そうかなぁ……だったら、満更じゃあ、ないかもね。」

鳴上 「急に一体、なんの話だ?」

ハルトマン 「なんでも。そういやさ、誰か足りない~って思わない?」

鳴上 「そうだな……ミーナ中佐や坂本さんは忙しそうだから仕方ないけど……」

鳴上 「シャーリーとルッキーニか? あの賑やかしが遊びに来ないって珍しい。」

ハルトマン 「寂しいの?」

鳴上 「少しな……なんだかんだ、最初に知り合った奴らだからな。」

ハルトマン 「なるほどねぇ……」 パチン

鳴上 「そんな急に指パッチンなんて、どうした。」

デェェェェェェン!!

ルッキーニ 「話は聞いたぞー!」 ガラッ

シャーリー 「まさかのときのヒスパニア軍事裁判!!」 バンッ

バルクホルン 「わ、我らの武器は突然の登場、そして恐怖! その2つ……」

ルッキーニ「唐突、恐怖、脅迫、赤いズボン!」

バルクホルン 「それじゃ4つだ! 私がやる!」

シャーリー 「やり直して……いい?」

鳴上 「……」 コクッ

シャーリー 「撤収~……」 バタン……ピシャッ

鳴上 「なんで、ヒスパニア。」


デェェェェェェン!!

ルッキーニ 「まさかの時の!」 ガラッ

シャーリー 「ヒスパニア軍事裁判!」 バンッ

バルクホルン 「我らの武器は唐突、恐怖、脅迫、赤いズボン、皇帝の崇拝……」

ルッキーニ 「また増えてるよー」

バルクホルン 「す、すまん……」

シャーリー 「次行くぞ! 鳴上軍曹への判決を言い渡す……」

シャーリー 「あんたぁ、気の毒にぃ……命令無視してそんな無茶ぁ」

バルクホルン 「訛らんでいいだろう!」

シャーリー 「そっか。んじゃ、判決。拷問台持ってきて、ルッキーニ。」

鳴上 「突拍子が無い!」

シャーリー 「言っただろ? 我らの武器は唐突だと。はっはっはっは」悪魔的笑い

ルッキーニ 「持ってきたよー」

鳴上 「早……い?」

ルッキーニ 「」 つ「食器棚」

鳴上 「古典的すぎる!」 カッ

ハルトマン 「もうちょい付き合ってね……」

バルクホルン 「それで、この罪人をどうする?」

シャーリー 「……縛っとく? 拷問台で、紐もあるからさ。」

ルッキーニ 「りょーかーい! ぐるぐるーぐるぐるー!」

鳴上 「……あ、ちょっと痛い。」

ルッキーニ 「あ、ごめんね。この辺は大丈夫?」 グルグル

シャーリー 「痛いか痛いかー……ごめんな?」

バルクホルン 「なんというかもう……」

シャーリー 「バルクホルン。」

バルクホルン 「いかん……苦しめ苦しめーわははー」悪魔的動作

ハルトマン 「トゥルーデ、棒読み。」

鳴上 「……食器棚が、お腹に……」

ルッキーニ 「ねーえ、そろそろ止めない? ユウ、辛そう。」

鳴上 「困惑しているだけだ。」

シャーリー 「そうだな。飽きたし。」

バルクホルン 「全く……なんでこんな小芝居に……」

ルッキーニ 「赤いしましまズボン~。今ほどくからねー。」

鳴上 「……ありがとう。か?」 ナデ

ルッキーニ 「うじゅじゅ~……ゴロン」

――
――――

シャーリー 「んじゃあ、本題に入るかな。」

鳴上 「今のは何だったんだ?」 ナデナデ

バルクホルン 「特に意味は無いそうだ。リベリアンの話ではな。」

ルッキーニ 「うじゅー……耳の後ろも……思いつき……パロで…2レス無意味に~」

鳴上 「今、なんて?」

シャーリー 「ミーナ中佐からの伝言な。鳴上は医者からオッケー貰っても3日は飛行禁止。」

鳴上 「そうか。少し軽い罰かもな。」

バルクホルン 「一応、ネウロイは撃退したし大事には至らなかったからな。」

ルッキーニ 「私と~一緒~……」 ゴロゴロ

鳴上 「まるで猫だな。」

シャーリー 「使い魔は豹なんだけどなぁ。」

バルクホルン 「随分なつかれているな。それで鳴上、先日の爆発なのだが」

シャーリー 「ストップ。そんなヘビーなのは後でいいだろ? まずは無事を祝おう。」

バルクホルン 「む…それもそうだな。渡すものもある。」

鳴上 「渡すもの?」

シャーリー 「ルッキーニ、おいで。これを首にかけてやんな。」

ルッキーニ 「あいあいー……ユウ、ちょっと頭を下げて」

鳴上 「こうか?」 ヒョコ

ルッキーニ 「そうそう……ちょいな。」

> 何か、メダルのようなものをかけられた……

鳴上 「……これは? 勲章かなにかか?」

バルクホルン 「ああ。カールスラントの二級十字章だな。」

ハルトマン 「元々私のだけどねー。せっかくなら、ナルカミも欲しいかなってさ。」

バルクホルン 「ゴミに埋もれるよりは幸せだろう。」

シャーリー 「そんなこと言って、ノリノリだったくせに。」

バルクホルン 「そそ、そんなことはないぞ? お前が言うから仕方なく……」

鳴上 「……なんで、紫のハートが書かれてるんだ?」

ルッキーニ 「パープルハートって言うんだよ!」

シャーリー 「ああ。作戦で負傷した兵士に送られるものでな。とどのつまり。」

バルクホルン 「カールスラントとリベリオンの合同勲章だ。」

ハルトマン 「ナルカミしか持ってない、レアものだよー?」

鳴上 「そうか。大切にしよう。」

ハルトマン 「それとね、もうひとつだけあるんだ。」

シャーリー 「なんだ?自分でも用意してたのか。」

ハルトマン 「まあね。ナルカミ、こっち向いて。」

鳴上 「ああ。どうかし……! 」

> ハルトマンに頭を抱えるように抱き締められた……

ハルトマン 「無事で良かった。お帰りなさい。」

鳴上 「……ああ。ただいま。」

> ハルトマンから安堵の様子が見える……


ルッキーニ 「アタシも入るー!」 ダダダッ

シャーリー 「助走をつけて……おい、止めろって!」

ハルトマン 「ねえ、これってヤバいんじゃない?」

ルッキーニ 「とーうっ!」 ガバッ

ハルトマン「むぎゅう」

鳴上 「うぼぁ!?」

シャーリー 「あちゃー……ナルカミらしいオチっちゃそうだな。」

鳴上 「」ピクピク


> 予定の2日遅れで怪我は完治した……


つづく

てなわけで6話はいかがだったでしょうか。タイトルから勲章オチは見えてたかもね。
一回番長やられるとこを書こうとしたらつい勢いでオーバーキルしちゃいました。
アニメでも30近くで作るジャックランタンを千枝チャンのシャドウに使ってたし、
いいか。またゆるゆると書き上げていきます。このペースなら収まる、かなあ。

【7話 Aster tataricus】

【朝/ 自室】

> 今日で飛行禁止の謹慎が解かれるはずだ……

鳴上 「長かった……色々と。こいつも、じき完成しそうだ。」 チクチク……

ルッキーニ 「なーにしてんの?」 バタン

鳴上 「何もしていない。今日からストライカーにも乗れるから、少し嬉しくてさ。」 バッ

ルッキーニ 「……うしし、今背中になんか隠したでしょ。見てたかんね。」

鳴上 「さあな。何の話だ。何も持っていないぞ?」

ルッキーニ 「いーいーかーらー……見せてー!!」

鳴上 「ま、待てってば!」

ルッキーニ 「マテ茶ー! 待てないって言いたかったー!」 ガバッ


【総攻撃のアレ】ドカッ! ゴッ! バスッ! バタン!


ルッキーニ 「うっしっし……観念しろーい。ニャス」

鳴上 「ニャス!? いくらなんでも魔法力解放は反則だろう……話せば分かる。」

ルッキーニ 「問答無用! バキューン……なんちって。」

鳴上 「それで、この姿勢って、結構不味く」

コンコン

シャーリー 『ナルカミ~、ルッキーニ見なかったか?』


鳴上 「!! ルッキーニ、離れてくれないか?」 コソッ

ルッキーニ 「やー! 教えてくれるまで離さないかんね!」


シャーリー 『なんだ、遊びに来てるのか? お邪魔しまーあああ……』

ルッキーニ 「どしたの、シャーリー。」

シャーリー 「……なんで、ナルカミがルッキーニに押し倒されてんの?」

鳴上 「話せば少し長い……やましいことがあるわけじゃない。」

シャーリー 「あ、あぁ……来たのがペリーヌとかじゃなくて、良かったな?」

鳴上 「全くだ。」


> シャーリーに事情を説明した……

鳴上 「それで、隠したものを見せろと言って取っ組み合いの果てに」

シャーリー 「ラブコメもビックリのラッキースケベか。」

鳴上 「……」

ルッキーニ 「ラッキースケベー、スケベー。うっしっし。」

シャーリー 「しかしまあ、考えたら美味しいとか、思わないわけ?」

鳴上 「いや、どうせならもっとこうムードというか……分かるだろ?」

シャーリー 「あー、そゆこと。」

ルッキーニ 「いいもんねー。何年かしたらアタシもすんごいナイスボデーだもんね。」

鳴上 「期待しとく。そもそも、ウィッチじゃ付き合いとかってマズイんだろ?」

シャーリー 「ああ。ここの整備員との会話も最小限って決まってるしな。」

ルッキーニ 「ユウが来たときはビックリしたよ。男がこの中に混じるなんて考えたことないもん。」

ルッキーニ 「ミーナ中佐とかはやっぱり心配みたいだったし。扶桑は人たらしが多いって。」

シャーリー 「ペリーヌとかもピリピリしてたもんな。穢らわしいなんて言ってたもん。」

鳴上 「結構、自分がどう見られているかとかが分かると、こたえるな……」

シャーリー 「まあまあ。昔の話だってば。今はそうでもないだろうに。」

ルッキーニ 「ペリーヌ、言ってることと考えてることが逆のとき多いし。」

鳴上 「それはなんとなく分かる気がする。」

シャーリー 「でも、さっきみたいなのは起こらないようにしろよ?」

シャーリー 「あれぬ誤解だって招きかねないんだ。慎重に頼む。」

鳴上 「了解した。」

シャーリー 「そんじゃ、堅っ苦しいはおしまいにして……」 ニヤリ

ルッキーニ 「何を隠してたの?」 ニヤリ

鳴上 「……」

シャーリー 「そんなにハードなものなのか? こっそり教えなさい。お父さん、黙ってるから。」

鳴上 「……? 何を隠していると思っているんだ?」

シャーリー 「そりゃあ、まあ……こう、エッチいかんじの?」 ゴニョ

鳴上 「変な誤解をするな。」

シャーリー 「違うのか? ベッドの下とか凄いんじゃないの。」

鳴上 「そんなことは……ない。」

シャーリー 「んじゃ、教えてくれよ。」

ルッキーニ 「ねえ、なにをコソコソ話してるの?」

鳴上 「る、ルッキーニには関係ないぞ。分かった、正直に話そう。」

ルッキーニ 「……やけに、正直だね。」

鳴上 「下手に黙って誤解を招かれるよりはマシだからな。」

鳴上 「コレだよ、コレ。」 ゴソゴソ

シャーリー 「なんだよ、裁縫道具?」

ルッキーニ 「フェルトに、綿……いっぱいあるね。」

鳴上 「女みたいってからかわれるとは思ってないけど。」

鳴上 「本当は完成するまで隠しておくつもりだったから。」

シャーリー 「そんくらいでからかったりはしないっての。」

鳴上 「分かっている。」

ルッキーニ 「んでさ! 何を作ってるの?」

鳴上 「内緒だ。完成したら、一番最初に見せよう。」

ルッキーニ 「ケチ。」

シャーリー 「ははっ、楽しみにしておくよ。約束だからな。」

鳴上 「ああ。約束だ。」

鳴上 「ところでシャーリー、ルッキーニに何か用でもあったのか?」

シャーリー 「んー、そういや特に無いかもな……」

ルッキーニ 「んじゃあ、なんで探してたの?」

シャーリー 「そりゃあ、ルッキーニに会いたいからさ。」

ルッキーニ 「えへへ~」 パフッ

シャーリー 「こーら、勝手にもたれかかるな。」

鳴上 「言葉の割には嬉しそうだな。お母さんみたいだ。」

シャーリー 「あっ、アタシ、そんなに老けて見えるのか!?」

鳴上 「寛容さがってこと。」

シャーリー 「そっか? なんか、照れるな。」

ルッキーニ 「そうだ! ユウ、今日から飛んでも大丈夫なんでしょ!?」

鳴上 「ああ。」

鳴上 「スケッチがなければもう少し早かったけどな。」

ルッキーニ 「う゛っ……イジワル」

シャーリー 「お前……結構根に持つタイプ?」

鳴上 「いや、久々にゆっくりできたから、それはそれで。」

ルッキーニ 「ならよかった!」

シャーリー 「もう少しだけしょんぼりしといたほうがよくないか?」

鳴上 「ルッキーニらしくて、いいと思う。」

ルッキーニ 「えへへ、んじゃあさ。今から飛ばない?」

鳴上 「ルッキーニから訓練とは、珍しいな。」

シャーリー 「悪くないかもな。油断してたとはいえ、高高度でやられたわけだ。」

シャーリー 「アタシもルッキーニのも高高度での戦闘が得意だし、勘を戻すついでやるのもいい。」

鳴上 「ああ。助かるよ。早速準備をしよう。」

ルッキーニ 「んじゃ、先に準備してるねー。」

> 二人は先に行ったようだ。

鳴上 「簡単に着替えをして、行こうか。」 バタン

鳴上 「write me an endless song As l'll fill so aliveー繰りーかーえーすー」

ペリーヌ 「歌なんて歌って、随分ご機嫌ですのね。」

鳴上 「ソーウルフレーズ……ペリーヌか。」

ペリーヌ 「傷はもうよろしくて?」

鳴上 「ああ。お陰様でなんとか。」

ペリーヌ 「別に私は何もしていませんわ。感謝なら手当てをした宮藤さんやハルトマンさんに。」

鳴上 「でも、運んでくれたし、鶴もくれた。」

ペリーヌ 「それは…………」

ペリーヌ 「それはそうと! 話を聞けば不意を着かれてやられたそうではありませんの!」

ペリーヌ 「あれほど訓練では深追いはするなと言ったはずでしょうに。嘆かわしい。」

鳴上 「す、すまん……」

ペリーヌ 「謝ってもどうもなりませんわよ。なんだかんだ、生きて帰れましたし……」

ペリーヌ 「いい? 無茶と無理は違うの。前者はいたずらに自分や仲間を危機にさらしますわ。」

ペリーヌ 「くれぐれもお忘れにならないように。」

鳴上 「ところで、どうしてそんなに気分が良いのかしら?」


ペリーヌ 「!?」

鳴上 「いや、お前は次にそう言うと思ってな。」

ペリーヌ 「どこのブリタニア人ですの。別にビートとかは刻みませんわ?」

鳴上 「冗談だ。ミスをいろいろ誤魔化そうと必死になっている。」

ペリーヌ 「あれほど楽屋ネタは止めようとして」

鳴上 「それ以上、いけない。それで、正解は?」

ペリーヌ 「まあ、概ね合ってますけど。理由を教えてくださる?」

鳴上 「今日から飛行が許可されるんだ。空を飛べる。」

ペリーヌ 「それは良かったですわね。」

鳴上 「そうだ、折角だから暇ならペリーヌも来ないか?」

ペリーヌ 「へ?」

鳴上 「3人より4人の方が楽しいし、参考に出来る人は多い方がいい。」

ペリーヌ 「他の二人というのは?」

鳴上 「シャーリーとルッキーニだ。」

ペリーヌ 「…………仕方ありませんわね。」

ペリーヌ 「あの2人となると、訓練になりそうもありませんし、お目付け役くらいしてさしあげますわ。」

鳴上 「助かるよ。」

――
――――

> 格納庫に向かう途中、少し話をした……

鳴上 「そのネウロイ、いきなり振り返って来たと思ったら急降下をしてな…」

ペリーヌ 「ダイブ・アンド・ズームですわね。多分。」

鳴上 「ダイブ・アンド・ズーム?」

ペリーヌ 「ええ。急降下からの攻撃で不意を突く。ヒット・アンド・アウェイのほうが分かりやすいかしら。」

鳴上 「なるほど。一撃離脱ってやつか。」

ペリーヌ 「そうですわね。ハルトマン中尉の十八番ですわ。」

ペリーヌ 「零式の格闘性能は高いですが防御は良いとはいえないのはご存知ですわね?」

鳴上 「ああ。油断してたとはいえ、被弾には毎度ヒヤヒヤする。」

ペリーヌ 「とはいえ、一撃離脱も難しいものですから。急降下なんて零式は酷ですし。」

ペリーヌ 「そういった戦いもある。位で覚えておきなさいな。」

鳴上 「分かった。早速実践してみる。」

ペリーヌ 「話を聞いてましたの!? 鳴上さんは他に学ぶものが山ほどありますのよ!」


宮藤 「……」 トボトボ

>宮藤が寂しそうに格納庫から歩いて来た

鳴上 「宮藤、どうかしたのか? 体調が悪いとか」

ペリーヌ 「人の話を聞きなさい!」

宮藤 「あ、鳴上君にペリーヌさん。整備のみなさんに、いつも頑張ってるから差し入れをって……」

ペリーヌ 「手に持ってるものを見ると……残念だったようですわね。」

宮藤 「ミーナ中佐に、ウィッチとの接触は避けるようにって言われてるんだって。」

ペリーヌ 「仕方ありませんわ。もし、暴漢がいたらってことでしょう?」

宮藤 「そんな悪い人たちじゃないと思うけど……」

ペリーヌ 「それは 分かってますわよ。」

鳴上 「やっぱり、セクハラみたいなの、あるのか?」

ペリーヌ 「考えてみなさいな。男臭い戦場で女性が歩き回っていますのよ?」

ペリーヌ 「ロマーニャなんて散々だったそうですから。」

鳴上 「……やっぱり、そうなのか。」

宮藤 「でも、これって極端じゃないですか!?」

宮藤 「部隊は家族だって、なら、支えてくれる人だって!」

ペリーヌ 「規則は規則ですわ! ここは学校でも遊び場でもないの! お気持ちが分からないとは言わないけど。」

鳴上 「それでも、少し極端とは俺も思うけどな。」

鳴上 「まるで男との接触を無くそうとしてるみたいじゃないか?」

宮藤 「でも、鳴上君は普通に話をしてるよ?」

鳴上 「信頼されてるってことか?」

ペリーヌ 「前がどうかは知りませんわよ。拘束されたとき、随分揉めていたそうですから。」

宮藤 「そうだったの?」

ペリーヌ 「ええ。異例だらけだったことも、鳴上さんが男ということも含めて。」

鳴上(カツラ) 「望むなら、こう振る舞うわ。」

ペリーヌ 「おっ、お止めなさい! 持ち歩いてましたの!?」 トリハダ

鳴上 「こんなこともあろうかと。」

鳴上 「今の台詞……1度、言ってみたかった。」

宮藤 「……」

鳴上 「よし、演技は自信があるぞ。」

宮藤 「あはは……遠慮、しときます。」

鳴上 「そうか。そうして笑っているほうが、宮藤らしいぞ。」

宮藤 「そっ、そうかなぁ……えへへ。」

ペリーヌ 「……」

鳴上 「?」

ペリーヌ 「なんでもありませんわ。行きましょう? あまり2人を待たせるわけにも。」

鳴上 「最後に1つだけ。差し入れをしたいなら、俺に任せろ。」

宮藤 「でも、ウィッチとの接触は禁止って……」

鳴上 「俺はウィッチじゃない。」

鳴上 「ウォーロックだ。」

鳴上 「……ウィザードだっけ?」

宮藤 「どっちでもいいんじゃない?」

ペリーヌ 「意味は似たり寄ったりですわ。」

鳴上 「じゃあ、ウォーロック。響き、ちょっと良いだろ?」

宮藤・ペリーヌ 「……」

宮藤 「ありがとうね。もしかしたら、頼むかも。」

鳴上 「ああ。任せ「あああっ!!」」

ペリーヌ 「い、いきなりどうしましたの!?」

宮藤 「もうすぐで赤城が来るんだった。私、行かなきゃ!」

宮藤 「それじゃあね! 訓練、頑張ってね~」 タッタッタ……

【格納庫】

鳴上 「赤城って……扶桑の、空母だっけ?」

ペリーヌ 「ええ。確か、宮藤さんがこっちに来るときに乗ってたはずですわ。」

ペリーヌ 「その時に、ネウロイを初めて乗ったストライカーで迎撃したの。」

鳴上 「凄いんだな。あんなものを乗り回すなんて」

ペリーヌ 「アナタも大概ですわよ。本当に……」

シャーリー 「おーい、遅かったじゃないか。」

ルッキーニ 「待ちくたびれちゃったよー」

鳴上 「ごめん。さっそく始めるか?」

シャーリー 「おっ、ペリーヌもいるのか。」

ペリーヌ 「なにかご不満でも?」

シャーリー 「いや、ロッテが2つ作れるだろ。」

鳴上 「ロッテってのは……2機編成の戦闘陣形か。」

ルッキーニ 「せーかーい! 」

ペリーヌ 「それがどうかしましたの?」

シャーリー 「ああ。どうせなら、模擬戦でもやろうぜ?」

鳴上 「いきなりか?」

シャーリー 「おう。ナルカミに足りないもの、それは戦闘での読みとか立ち回りだな。」

シャーリー 「ドッグファイトの一辺倒じゃ見てられないし、危なっかしいからな。」

ペリーヌ 「実戦の空気をもう一度体に染み込ませるってことかしら?」

シャーリー 「正解。ペアはそうだな……アタシとペリーヌ。ルッキーニとナルカミ。」

ペリーヌ 「どうして、その組み合わせですの?」

シャーリー「ペリーヌとルッキーニやナルカミじゃあ、お前が前に出すぎるからな。」

シャーリー 「ペリーヌはちとばかし、単独行動が多い。周りに合わせるのも大事だ。」

ペリーヌ 「……了解しましたわ。もっともです。」

鳴上 「……」

シャーリー 「どした? ナルカミ?」

鳴上 「いや、シャーリー、しっかりと皆を見てるなと思って。」

シャーリー 「一応、大尉だしな。そりゃあ見てるさ。ははっ」

> シャーリーは満更でもなさそうに笑っている……

ルッキーニ 「んじゃ、早速しよ? よろしくね、ユウ!」

鳴上 「ああ。背中は任せた。」

シャーリー 「いつも通り、ペイント弾を使うぞ。片方が撃墜されたら負け。」

ルッキーニ 「やられた人は、ストライカーの掃除もねー!」

ペリーヌ 「周りと合わせる……ねえ……」

【上空】

シャーリー 「んじゃ、準備はいいか?」

ペリーヌ 「いつでも」

ルッキーニ 「どこでも」

鳴上 「ロックンロール!」

ペリーヌ 「なんですの今の合わせは!」

シャーリー 「ははっ、よく分かんないけど……お互いにヘッドオンですれ違うのが合図だ。」

鳴上 「前にやったのと同じか……」

シャーリー 「んじゃ、さっそくやるぞ!」 ブーン

ルッキーニ 「お~う!」

鳴上 「やってやるぜ!」

ペリーヌ 「行きますわよ!」

――
――――

> 今なら戦闘のコツが掴める気がする……

鳴上 「くっ……降りきれないか。」

ペリーヌ 「低空には持ち込ませませんわよ!」 ダダダッ

鳴上 「ルッキーニには……」

シャーリー 「そーら、当ててみなーっと!」

ルッキーニ 「んも~! ズルいよシャーリー! 固有魔法なんて使ってさー!」ドドッ ドドドッ

シャーリー 「ほれほれ~。もう少しだぞーっと。」

ルッキーニ 「むっきー!」

鳴上 「ルッキーニ! シャーリーは置いて上昇してくれ!」

ルッキーニ 「……分かった! 高いとこは得意だかんね。」 ブーン

ペリーヌ 「ええい、ちょこまかと細かい旋回ばかりを……」 ダダッ

シャーリー 「おっと逃げたか……ペリーヌ、深追いをするなって言ったばっかってのに……合流するか。」

鳴上 (2対1とはいえ、横並びじゃ相対出来るのは1機だけだ。)

鳴上 (こうして引き付ければ、こっちの1機は自由だ……)

鳴上 「いつものアレ、行くか……久し振りに……」

> 胃がキュッとする感覚をこらえ、急上昇にかかる……

シャーリー 「おっと、こっちに来たな……逃がすかっての!」

ペリーヌ 「気を付けてくださいまし!」

シャーリー 「ああ。零式の上昇は伊達じゃあない。」

ペリーヌ 「そうではなくて!」

鳴上 (かかった!) ブロロ……ロロ……

シャーリー 「失速してる? 貰ったな。」 バババッ

鳴上 「」 ヒュルル

シャーリー「ストール!? くそっ、フラフラして当たんないっての!」

> 故意に失速を起こし、相手の腹の下へ潜り込む……

ペリーヌ 「木の葉落とし!」

鳴上 「今だルッキーニ!」

ルッキーニ 「うにゃ―――――ッ!!!」 ゴオオオ……

シャーリー 「なっ! マズ……」

鳴上 「このまま、挟み撃ちだ!」ドドドッ

ルッキーニ 「うにゃにゃ!?」 ブーン

> ルッキーニが横に逸れていった……

鳴上 「ルッキーニ、どうした?」

シャーリー 「あー……やっちったな……」

ペリーヌ 「そりゃあ、流れ弾で負けるなんて嫌に決まってますわ……」

> 背後にペリーヌがピタリと着いて来た……!

鳴上 (さっきはちゃんと射線を考えてたのに……!)

鳴上 「マズッた……」

ペリーヌ 「ごめんなさいね。」 ダダダッ

ベチャ! ベチャベチャ!

――
――――

シャーリー 「うっし、アタシとペリーヌの勝利!」

鳴上 「すまん、ルッキーニ……」

ルッキーニ 「いーのいーの。あの変な飛び方、面白かったし。」

シャーリー 「戦闘じゃ相対するのは1機だけってのを分かったのはいいけどなあ。」

シャーリー 「上でも挟み撃ちは危険なんだよ。攻撃ならXの文字みたいな、射線に味方がいないようにしなきゃ。」

ペリーヌ 「アイデアはユニークでしたわね。」

鳴上 「得るものの大きい、戦いだった……」

シャーリー 「ペリーヌも、いいフォローだったぞ。」

ペリーヌ 「い、いえ。そんなことは……」

ルッキーニ 「ペリーヌが照れた。」

シャーリー「ああ。」 ニヤニヤ

ペリーヌ 「うっ、うるさいですわね! 出来ることをやっただけですわ!」

シャーリー 「はいはい。……これが無いなら、もっと伸びるのにな……」

ペリーヌ 「大きなお世話です……ホントにもう……」

シャーリー 「そうかいそうかい。んじゃ、もう少しは焼かせてもらうぞーっと。」

ペリーヌ 「結構です!」

シャーリー 「そう言うなって。ペリーヌは相手をやっつけようって気が動きにそのまま乗ってるんだ。」

シャーリー 「んでもって、そのせいで前に前に先走ってる。時々だけど、僚機が視界に入っていない。」

ペリーヌ 「うっ……」

シャーリー 「私に言えるのはその辺かな。」

鳴上 「凄いな、よくそこまで目が行き届くもんだ。」 パチパチ

シャーリー 「いやあ、そんなこと……あるかもね! 」

シャーリー 「ナルカミも動きはましになってる、後は経験さえあればいいウィッチ……んー、ウィッチ?」

ペリーヌ 「ウォーロック。だそうですわ。」

ルッキーニ 「うぉ、ウォークマン?」

シャーリー 「ウォーロック? ああ、なるほど。そいつになれるさ。」

鳴上「そうか? 全くダメダメだったと思うけど……」

シャーリー 「んな100時間も飛んでないぺーぺーにしては上出来だ。自信持てって。」

鳴上 「ああ、分かった。」

ルッキーニ 「見てみて! あっち! 赤城だよ!」

> 停泊している大きな船が見える……

ペリーヌ 「相変わらず、大きいですわね……」

ルッキーニ 「空母っていうんだよね! リベリオンと扶桑くらいしか持って無いんだって。」

ペリーヌ 「失礼な! ガリアにも空母はありましたわ!」

ペリーヌ 「そりゃ……少し、小さいですけど。」

シャーリー 「ペリーヌと一緒だな。」

ペリーヌ 「なっ! 大きければいいってものじゃないでしょう!?」

シャーリー 「まあ、そうだけどね。大きいと可愛い服とかあんまないんだよなあ……」

ペリーヌ 「そうですわ! そんな、言ってみれば脂肪の」

シャーリー 「体格の話じゃないのか?」

ペリーヌ 「!!」

ルッキーニ 「ねね、ペリーヌはなんだと思ったの?」ニヤニヤ

ペリーヌ 「ななな、なんでもよろしいでしょう!?」

シャーリー 「脂肪ってなんの脂肪だ?」 ニヤニヤ

ペリーヌ 「う、うう……」

鳴上 「なんだかんだ、仲は良いよな……?」

> 海軍の服の青年と宮藤、ミーナ隊長が何かを話している……

ミーナ 「」

宮藤 「」

青年 「」


鳴上 「何をしてるんだろうな……」

シャリーヌ派と言っといてアレだけど、好きなキャラやペアが変わるんじゃなくて増えるのがストパン。
ルッキーヌも、シャーゲルも大好きです。そして、白銀のペリーヌは劇場版に次ぐ聖女ペリーヌ。


【格納庫】

シャーリー 「そんじゃな。綺麗にしとかないと、エイラ辺りに笑われちまうぞ。」

鳴上 「そうだな……黒いのが、真っ赤だ。イチゴヤドクガエルじゃあるまいし。」

ペリーヌ 「まどろっこしい例えですわね……」

ルッキーニ 「えっと、毒のあるカエルだよね! 昔本で見たよ!」

鳴上 「詳しいんだな。凄いぞ。」

ルッキーニ 「えへへ。じゃね! 」

ペリーヌ 「それでは、また後で。シャーリーさんもう少し私に指南を……」

シャーリー 「め、珍しいなこりゃ……ははっ、まあ。いいんだけどね。」

鳴上 「ああ。また後で」

> 三人と別れ、機体の掃除をした……

――
――――

鳴上 「……ようやく、片足か。もう少し。」 フキフキ……

> 根気が上がった。

鳴上 「……」

> さっき見た、ミーナと宮藤の会話が気になる……

鳴上 「……」

「ほらほら、手、動かしなって。余計時間がかかっちゃうよ。」

鳴上 「あっ、すいません……少し考え事してて……」

若い整備士 「ああ。赤城のことかい? 扶桑からの物資と、あのちっちゃい子……」

鳴上 「……宮藤ですか。」

若い整備士 「そうそう! その子へのお礼だってさ。凄いよね、初めてなのに飛んで赤城を守ったんだから。」

若い整備士 「こうして考えると、僕らはちょっと情けないよなって思うんだよね。」

若い整備士 「少女が戦って自分は機械いじりしか出来ないってね……」

鳴上 「そんな、ペラペラ話してもいいんですか?」

若い整備士 「ええと……話してはいけないのはウィッチだけだ。」

若い整備士 「ウィッチ、つまりは魔“女”だ。君は違う。男。問題ない。」

鳴上 「貞操の危機……とかじゃないですよね。」

若い整備士 「ははっ、少し話をしたかったんだよ。面白い奴って調整の時、イェーガー大尉が言ってたし。」

若い整備士 「これ、ノーカンだよ。ちゃんと整備の相談だし。」

鳴上 「そういうことですか。」

鳴上 「だったら……」 タッタッタ…

若い整備士 「って君? どっちに行くのさ!」

鳴上 「……お待たせしました。」

若い整備士 「……それって、さっきの差し入れの……」

鳴上 「お茶はいれなおしました。」

若い整備士 「そういう話じゃないんだけど……」

鳴上 「ウィッチとの接触が禁止なんでしょう? 」

鳴上 「でしたら、魔“女”じゃない自分なら、問題ありませんよ。」

若い整備士 「……僕の言い訳をダシになんて、強かだね。」

鳴上 「理屈をこねるのは得意ですから。」

若い整備士 「……分かった。参ったよ。おーい、皆。差し入れだってさ。」

整備士 「ウィッチとの接触は禁止だろう?」

若い整備士 「だからって、男の彼がわざわざね。」

鳴上 「お菓子は宮藤のですけど。」

整備士 「……こじつけだが、いただこう。少し甘いものが欲しかった。」

若い整備士 「規則とはいえ、女の子に少しキツイこと言ったの、後悔してる?」

整備士 「……まあな。優しそうな子だったし。厚意だとは分かってた。悪いことをしたんじゃ。とな。」

「おいおい! ぶっすーっとしながら恥ずかしいこと言ってるぜ。」

「知らねーの? アイツ、あれっくらいの妹がいるんだぜ! 」

「そうだったのか!? へえー、ベッタベタに甘やかしそうだな。」

整備士 「いいから、お前たちも取りに来い。」

鳴上 「……」 ホワンホワン

某大尉(イメージ) 『お姉ちゃんと、呼んでもいいんだぞ?』

鳴上 「ないわー」

若い整備士 「ん?……意外に好評だね。僕もいただこう。」

鳴上 「ええ。もちろん。」

若い整備士 「それじゃ、いただきます……」

若い整備士 「……んっ? このカステラの中身は? 栗となんだい?」

鳴上 「小豆を砂糖と煮詰めたんです。どら焼きって扶桑の有名なお菓子。」

若い整備士 「銅鑼?……あの、丸くてでっかいやつかい。」

鳴上 「ええ。叩かないでくださいよ。……もうちょい…」 フキフキ

整備士 「そんなことするはずがなかろう。勿体無い。」

若い整備士 「同感。いやあ、こんな美味しいものを食べないなんて、危なかったよ。」

若い整備士 「また、頼んじゃおうかな……君が持ってきたらみんな受け取ってくれるし。」

鳴上 「ええ、宮藤にも伝えておきます。ええと……」

若い整備士 「僕は……クルツ。K U R Tでクルツだ。カールスラント出身。」

鳴上 「クルツ、さんですね。……鳴上悠です。今後とも、よろしく。」

クルツ 「ああ。こちらこそ。よろしく、鳴上君。」

> クルツとの間に、ほのかな絆を感じる……

鳴上 「ところで、そのワッペンは?」

クルツ 「ああ。いいだろう? ここの整備中隊オリジナルだ。」

鳴上 「……なんの花が書かれてるんですか?」

クルツ 「ああ。シオンって花。僕のアイデアが使われたんだ。」

鳴上 「手先が器用なんですね。」

クルツ 「それなりに、ね? 本当はこっちのが得意だけど。」

> クルツは指をわきわきとさせている……

鳴上 「マッサージ?」

クルツ 「ピアノだよ。昔はよく弾いてたもんさ。」

鳴上 「また……弾けると、いいですね。」

クルツ 「そう……だね。」

> 言葉とは裏腹にどことなく寂しそうだ……


宮藤 「……」トコトコ

リーネ 「……」 テクテク


鳴上 「すいません、もう一回、席を外しますね。」 タッタッタ


鳴上 「宮藤にリーネ。何かあったのか? 凄い顔してるけど。」

リーネ 「その……」

宮藤 「赤城に乗ってた子が、お手紙をくれたんだけど……ミーナ隊長に見つかって」

鳴上 「ああ。必要以上の接触がってやつか。」

リーネ 「凄い剣幕でした……」

鳴上 「だからか……変わりじゃないけど、お菓子。受け取ってくれたぞ。」

宮藤 「本当に?」

鳴上 「ああ。また用意してくれって。俺が持って行けば多分、バレても平気ってさ。」

宮藤 「分かった。ありがとうね。」

> 宮藤に感謝された……

クルツか・・・・狙撃手やらせたら死にそう
最後のセリフは「母さん・・・・俺の・・・ピア・・・ノ」だな

あの頃三木さんスナイパー役でやたら死んでたよな
ミシェル、ロックオン、クルツ(生死不明)が同時期とか・・・

鳴上 「すみません。色々あって……」

クルツ 「大丈夫だよ。そりゃ僕らより近くのウィッチと親しくするのが当然さ。」

鳴上 「そういうわけじゃ……」

クルツ 「分かってるよ。放っておけないんだろう? 困った顔の人が。」

鳴上 「」 コクッ

クルツ 「やっぱり、鳴上君は優しい人だね。お節介だけどね。」

クルツ 「優しいってのは、たまに人を傷付けもするから、気を付けて。」 ボソッ

鳴上 「今、何かを?」

クルツ 「いいや、そういえば宮藤さんはどうして落ち込んでいたんだい?」

> 教えてもらったことをかいつまんで話した……

クルツ 「ふむ、規則で接触を禁じられてるから、手紙もダメってことか。」

鳴上 「ええ。俺、少し極端じゃないかって思うんですよ。」

クルツ 「彼女、規則とかには厳しいからね……仕方ないと思う。」

クルツ 「君は、どうして男の接触を禁じていると思う?」

鳴上 「セクハラとかそういったものを防ぐため……」

クルツ 「50点かな。もっと言えば、ミーナ…ミーナ中佐は恋愛への発展を恐れているんだ。」

クルツ 「吊り橋の話は知ってるよね?」

鳴上 「ええ。危険な場所の男女は恋愛にって。」

クルツ 「ここはどこだ。」

鳴上 「ブリタニアの盾である、最前……あっ。」

クルツ 「分かったかい?」

クルツ 「いつ墜ちるとも知らぬウィッチといつ襲撃が来るか分からない整備中隊。」

クルツ 「どっちとも死に近いんだよね。」

鳴上 「かたや、10代の少女……」

クルツ 「その通り。ウィッチへの暴行とかって、滅多に無いんだよ?」

鳴上 「お詳しいんですね……」

フルメタは大好きだし、ここでもネタ入れたいと思ってるけど、クルツはチガウンダナ(・×・)
なんとなく回想でいっぱい死ぬ人もいたけど。にわかドイツ知識でオチで話を改変しつつ、ね。



クルツ 「まあ……ちょっとね。そういったバカを知ってる。」

鳴上 「バカ?」

クルツ 「近所に住んでいた、ウィッチになった少女に恋をした、ね……」

クルツ 「おっとっと。話はそこまで。」

鳴上 「どうしてだ?」

クルツ 「女侯爵のお出ましだからさ。じゃあね。」

ミーナ 「ご苦労様。鳴上君はいるかしら?」

鳴上 「女侯爵……? ええ、俺ならこっちに。」

ミーナ 「珍しいわね、整備の人と交わってるなんて。」

鳴上 「宮藤の差し入れの代理に少し。出島みたいなもんです。」

ミーナ 「出島? ああ、扶桑が海外との交流を許した……」

ミーナ 「少し手伝ってほしいことあるんだけど……」

鳴上 「ストライカーの掃除がまだ……?」

> 物陰から、クルツがウィンクし、口を動かしている

クルツ 「あ と は や っ と く 。 は な し と さ し い れ の お れ い」 パクパク

ミーナ 「ストライカーの掃除?」

鳴上 「いえ、大丈夫です。なにをすれば?」

ミーナ 「そんな気負わないで。簡単な荷物運びだから。」

鳴上 「了解です。」

――
――――

ミーナ 「やっぱり、男の子ねえ。」

鳴上 「い、いえ。このくらいならいつでも。」 グラッ

ミーナ 「もしかしから、40mmとか、アハト・アハトを持てたりね。」

鳴上 「アハト・アハト?」

ミーナ 「対空用の大きな砲ね。88mmなの。」

鳴上 「なるほど……」

ミーナ 「じょ、冗談よ? いくらなんでもサイズが違いすぎるから……」

鳴上 「そうなんですか?」

ミーナ 「どうしてこう、扶桑の人って……」

鳴上 「 ? 」

ミーナ 「独り言よ。気にしないで。」

ミーナ 「こうやって独り言にしないとやってられないことって多いのよね……」

鳴上 「デスクワークですか。」

ミーナ 「ええ。上官との話を擦り合わせなきゃいけないし」

鳴上 「あれ、ここって独立した指揮権があるんじゃ……」

ミーナ 「形式上だけはね。そうならないよう努力はしてるけど……」

ミーナ 「後は隊員のこととか……みんな、無茶ばかりするからねぇ。」

鳴上 「大変ですね。」

ミーナ 「あなたのことよ。突然現れて大立ち回りを演じて固有魔法の発動。」

ミーナ 「宮藤さんと並ぶ問題児よ。どっちも悪気がないから余計に……ごめんなさい。責めてるわけじゃないの。」

ミーナ 「その変わり、少し話をしてくれないかしら? この前のことよ。フラウが言ってた大きい蝿。」

ミーナ 「あなたの固有魔法に関わっているのかしら?」

鳴上 「そのうち話そうとはしてました。かいつまんで、説明しましょう。」



鳴上 「俺の力は厳密には、魔法じゃありません。ペルソナって言葉は知ってます?」

ミーナ 「ペルソナ。仮面ってことかしら?」

鳴上 「心理学のとこです。相手との付き合いによって態度を変えること。」

鳴上 「細かいところはうろ覚えですけど。俺のそれは、深層心理の具現化です。」

鳴上 「抑圧された感情とか、そういった類い。俺はペルソナの力を借りて戦ってるんです。」

ミーナ 「でも、魔法じゃ、女の子じゃないのに……どうしてストライカーを?」

鳴上 「これも推測ですけど、アニマっていう……」

ミーナ 「思い出した。ユングね。」

ミーナ 「男の中にある女性的な部分とかよね?」

鳴上 「ええ。俺もペルソナを完全に把握してるわけじゃないですから」

鳴上 「“かもしれない”しか言えませんけど。」

ミーナ 「ふふっ、やっぱり、変わっているのね。」

鳴上 「すいません。」

ミーナ 「いえ、そうじゃなくて面白いなって。」

ミーナ 「ペルソナ……仮面を被ってるのに、裏表のない人って、変じゃない?」

鳴上 「そういうものですか……」

ミーナ 「ええ。」

鳴上 「昔、友達にも言われました。」

ミーナ 「そう。私の思い違いじゃあなさそうね。」

ミーナ 「隊のみんなに慕われるのも分かるわ……でも、くれぐれも」

鳴上 「過度なスキンシップというか、親しくするのは控えるよう。ですか?」

ミーナ 「分かってるじゃない。そういうことよ。」

鳴上 「それでも、整備士との交流も最小限ってのは少しやりすぎじゃ……」

ミーナ 「……他のところじゃ、ウィッチと整備士の付き合いがない訳じゃないし最もな考えね。」

ミーナ 「ウィッチになった子を追って整備士に……ってのも珍しくないわ。」

ミーナ 「守るものがあるってのはいいことだけど……」

ミーナ 「必ずしも良いわけじゃないってのは分かってちょうだい。」

> ミーナ中佐の表情は悲しそうだ……

【執務室】

鳴上 「……荷物、ここに置いておきますね。」 ゴトッ

ミーナ 「ええ。お疲れ様、もう上がっていいわ。」

鳴上 「……ええ。その、ミーナ隊長はそんななのにどうして俺を?」

ミーナ 「シャーリーさんのお陰よ。悪い奴じゃないって何度も言ってたから。」

鳴上 「……分かりました。たまには、休んでください。」 バタン


> やや過剰なミーナ中佐の男性への態度……

鳴上 「……私、気になり……じゃなくて。」

鳴上 「やっぱり、気になる。」 タッタッタ


> 誰かに話を聞いてみよう……

【格納庫】

整備士 「クルツが元々どこにいたかって?」

整備士 「えっと……カールスラントの撤退戦に参加してたって。」

整備士 「あんなひょろっちい見た目でって、信じれないよな趣味なんかはピアノとかだし。」

鳴上 「ありがとう。」

整備士 「何かあるのか? なんでもいいが、探偵ごっこは程々にな。」

鳴上 「ええ。分かってます。」

鳴上 「他に話を聞ける人は……」

> 一室から、大きな声が聞こえる……

『起きんかハルトマン! いつまで寝ているつもりだ! 昼を回っているんだぞ!?』

『うー……あと、7時間半くらい……』

『それだけで何本の映画が見れると思っている!』

『オラーシャの……大河なら…一本……むにゃ』

『訳の分からんことを言うな! ってああ! また勲章をゴミの中に!』

『うーん……ナルカミに、あげる。』

『いい加減にしろ!』 バサッ

『ひっ……ズボンを穿かんか。外に出てるぞ。支度はするから、飯を早く食え!』 ガチャッ

バルクホルン 「全く世話を焼かせて……」

鳴上 「これじゃシャーリーを怒鳴れないな。」

バルクホルン 「ああ。ヤツのルッキーニの世話となんら……」

バルクホルン 「鳴上!? 聞いていたのか! ……悪趣味だな。」

鳴上 「あれだけギャアギャアと怒鳴っていれば。」

バルクホルン 「し、仕方あるまい。下の不始末は上の責任でもある。」

バルクホルン 「規律を正すためにやっている。な、なにも恥じることはない。」

鳴上 「自覚……あるくせに。」

バルクホルン 「なにか言ったか。」

鳴上 「いえ、何も。」

バルクホルン 「そうか。それでは私はこれで。エーリカの食事の支度をな。」

鳴上 「バルクホルンさんって、料理出来るんですか。」

バルクホルン 「失敬だな。確かに、この隊は料理の出来るヤツは少ないがな……」

バルクホルン 「料理は言うなれば科学だ。手順を間違えなければ問題はない。」

鳴上 「……手伝いましょうか。暇してるとこですし、付け合わせくらいなら。」

バルクホルン 「む、そうか。ならば断る道理はない。着いて来い」

【厨房】

鳴上 「それで、何を作るんですか? 牛丼?」

バルクホルン 「なんだそれは。」

鳴上 「牛肉と玉ねぎを砂糖と醤油のたれで煮て、ご飯にかけるんです。」

バルクホルン 「体に悪そうだな。」

鳴上 「身も蓋もない……」

バルクホルン 「作るのはそれではない。サツマイモとやらが来たらしいのでな。それを蒸かすだけだ。」

バルクホルン 「じきにエーリカも起きる。そう手の込んだものを作る余裕も無い。」

鳴上 「そうですね。それじゃあ俺もそれを使って……大学いもでも。」

バルクホルン 「おかしな名前だな。」

鳴上 「確か、学生に人気があったとか。」

バルクホルン 「なるほど。では、任務開始だ。」

鳴上 「任務?」

バルクホルン 「なんでもない。いいから作れ。」

鳴上 「肯定。」

バルクホルン 「合わせなくていい!」

> バルクホルン大尉と料理をした……

バルクホルン 「塩が……いかん。2g多い……」

鳴上 「目分量でいいんじゃ……」

バルクホルン「ダメだ。そして鳴上、その砂糖、煮詰めすぎやしないか。」

鳴上 「おっとっと。いもも、揚がるころだ……」

> 慌ただしい時間が過ぎていく……

――
――――

ハルトマン 「トゥルーデー……あれ?」

バルクホルン 「ようやく起きたか。寝坊助め。」

鳴上 「昼飯にしては、随分遅いがな。」

ハルトマン 「ナルカミまでそういう……いいじゃん。別に。」

バルクホルン 「当然だ! カールスラント軍人たるものくどくど…」

鳴上 「そのくらいにしとかないと。」

バルクホルン 「しかしだな!」

鳴上 「飯が冷めますし、叱られた後の食事ほど辛いものはないですよ。」

バルクホルン 「わ、分かった……」 ゾクッ

ハルトマン 「ふ、扶桑の人って、食事のこだわりとか凄いよね。」

ハルトマン 「残したりしたら少佐とかもすっごい渋い顔するし。」

鳴上 「そうか?」

バルクホルン 「あ、ああ。今の視線は怒った時のミーナに通じるものがあった。」

ハルトマン 「そんじゃ、いっただっきまーす、と。」

ハルトマン 「むぐ……ひゃるかひもふっはりほほに」

バルクホルン 「飲み込んでから話せ。」

ハルトマン 「ゴクン……いや、鳴上もすっかりここに馴染んだなあと思ってさ。」

ハルトマン 「宮藤もだけど、バラバラな隊を支えてるって感じだよ。」

鳴上 「そうか?」

ハルトマン 「ペリーヌとか、後は怪我した時のトゥルーで」

バルクホルン 「その話は止めてくれないか……我ながら恥ずかしい……」

鳴上 「誰でも、そういった時期はあるものだ。」

バルクホルン 「フォローしないでくれ。余計に傷が抉れるだろう!」

ハルトマン 「あはは、とにかく。君も隊に欠かせない人間ってこと。」

鳴上 「コンゴトモ、ヨロシク。」

バルクホルン 「なぜカタコトだ。」

> 他愛ない会話をして食事に付き合った……

ハルトマン 「ごちそーさま。このサツマイモだっけ? 美味しいね。」

鳴上 「ああ。まだ残っているから。宮藤にでも頼んで色々作って貰うか。」

バルクホルン 「そうだな。無理は言えないが。」

ハルトマン 「そんなこと言って~」

鳴上 「1番期待しているくせに。」

バルクホルン 「そんなことはない!……いや、ないわけではないが…えっと……」

鳴上 「それは置いといて、少し気になることがあってな。」

鳴上 「ここのウィッチの男性との接触を頑なに禁止するのはどうしてなんだ?」

鳴上 「調べてみたが、アフリカとか自由なとこも少なくは無いだろう。」

ハルトマン 「えっと、確かティーガーユニットを開発したシュミット技術大尉と、」

ハルトマン 「元スツーカの爆撃ウィッチだったポルシェ技術少佐?」

ハルトマン 「愛の為に男を追って地上に……ロマンチックだよねぇ……」

バルクホルン 「ゴホン、戦争には不必要な感情だ。」

鳴上 「女の子には?」

バルクホルン 「不要とは言わないが……時にそれはしがらみになる。」

バルクホルン 「何よりも、それで大事な人を失ったら?」

鳴上 (また、同じ話だ……)

バルクホルン 「ミーナだって」

鳴上 「中佐が、どうかしたのか!?」

バルクホルン 「あっ……」

ハルトマン 「あちゃー……」

鳴上 「何があったんです?」

バルクホルン 「……あまり、食後にする話ではないが、いいか。」

鳴上 「問題はない。」

ハルトマン 「……いいの?」

バルクホルン 「こいつに言質をとられてはな。それに……」

バルクホルン 「いや、これは鳴上の前で話すことじゃないな。」

バルクホルン 「それじゃ、本題に行っていいか?」

鳴上 「ああ。」

バルクホルン 「ミーナは、恋人を失ったんだ。」

バルクホルン 「いや、恋人かは知らないが……大事な人だったのは確かだ。」

バルクホルン 「軍に入る前はミーナは歌手を目指していてな。」

バルクホルン 「その男……クルトのピアノに合わせて歌を歌うのが好きだったらしい。」

鳴上 「ピアノ……」

ハルトマン 「未来には無いの?」

鳴上 「いや、ある。すまない、続けてくれ。」

バルクホルン 「分かった。」

バルクホルン 「音楽学校にも通おうとしたらしい。戦争が激化して、それどころではなくなったがな。」

バルクホルン 「状況が状況だったし、ウィッチとして開花したミーナは軍で訓練を受けてな。」

バルクホルン 「技術もさることながら、指揮や人間をまとめるのが上手だった。」

バルクホルン 「実戦でも十分な力を発揮していたこともあって、ダイナモ作戦……」

バルクホルン 「大規模な撤退戦での一部隊の指揮を任されたんだ。」

鳴上 「たかだか、16、17の少女にか!?」

ハルトマン 「ガランド少将みたいな前例もあるし、珍しくはないよ? 凄いけれど。」

バルクホルン「うむ。その前後に、ミーナの慕っていた男が整備の部隊に志願したんだ。」

バルクホルン 「自分にもできることがあるなら……整備なら大丈夫、とな。」

バルクホルン 「そして、その男は命を落とした。」

バルクホルン 「ミーナ達が出撃した後、ネウロイの進行が想像以上に早く、基地を焼かれた……」

鳴上 「そんなことが……」

ハルトマン 「……失うのは悲しいもんね……」

> 気まずい沈黙が流れる……

ウウウウウウウウウウウウ!!!

バルクホルン 「サイレン!?」

ハルトマン 「ネウロイが来たの?」

ミーナ 『警報、海上に大型ネウロイを確認したわ。ストライクウィッチーズ、全機出撃!』

鳴上 「リハビリには、もってこいだ……お先に行きます!」 バタン! タッタッタ……

ハルトマン 「さっき言いかけたことは?」

バルクホルン 「私が怪我を追う前、鳴上が私に話したんだ。立ち直るきっかけをな。」

バルクホルン 「荒っぽいが、アイツなら何か、してくれるかもと思ってな……」

ハルトマン 「素直に言えばよかったのに。」

バルクホルン 「言えるわけがなかろう! そんな照れ臭いこと。」

バルクホルン 「アイツも我々の仲間。そういうことだ! 行くぞ。」

ハルトマン「はいはい。」

バルクホルン 「はい、は1回!」

ハルトマン 「はーい」

【格納庫】

ミーナ 「発進!」

> 次々とストライカーが出撃していく……

鳴上 「クルツさん! 機体の整備は」

クルツ 「ピッカピカに磨いたし、どれだけでも飛べる! ただ、MGを調整中だ。まだ使えない!」

鳴上 「分かりました! 予備の武器はどうすれば!?」

クルツ 「アレを使ってくれ。急増だが、対空のカールスコーガ40mmを持てるようにした。」

鳴上 「了解! 腰だめに構えればいいんだな!」

クルツ 「ああ。アフリカでも使ってたらしい。お前なら持てる!」

鳴上 「おだてても何も出ないぞ。回せ!」

クルツ 「生きて帰れよ!」

鳴上 「分かってる! 差し入れが来なくなるからな。」

クルツ 「分かってるじゃないか!」

鳴上 「行きます!」 ブーン……


【海上】

ミーナ 「目標、前方のキューブ型ネウロイ!」

坂本 「宮藤は私の援護を! コアを探す時間を稼いでくれ。」

宮藤 「了解です!」 バァァッ

鳴上 「動きがのろい……あの敵ならこいつで……」 ガチャッ

鳴上 「消し飛べ!」 ドンッ!

バルクホルン 「40mmだ。あの程度のネウロイなら…」

ハルトマン 「待って! あのネウロイ、分裂してるよ!?」

ミーナ 「落ち着いて! 各機、分裂した小型ネウロイを攻撃! 少佐、コアは?」

坂本 「もう少し待ってくれ! 気配はするんだ!」

シャーリー 「雑魚の処理は……アタシらにお任せあれ!」

ルッキーニ 「ボヤボヤしてると……後ろからバッサリ!」

> シャーリーがルッキーニ掴んで振り回している……

ルッキーニ 「どっちもどっちも……」

シャーリー 「どっちもどっちも!!」 ブンッ

> 思い切りルッキーニが投げられた!

ルッキーニ 「うにゃあああああ! 止まらないーぜハニハニー!!」 ゴォォォォ


> 次々とルッキーニのシールドに触れたネウロイが弾けていく……


鳴上 「あれは!?」

ペリーヌ 「ルッキーニさんとシャーリーさんの固有魔法ですわ。」

ペリーヌ 「物体を加速させるシャーリーさんルッキーニさんを投げて、」

ペリーヌ 「ルッキーニさんの光熱がネウロイを攻撃。お二人らしいですわね。」


ルッキーニ 「パーン! ネウロイは砕けた。」

シャーリー 「その辺にしないと怒られるぞ。」


ハルトマン 「あっちもやるね……だったら、私も!」

ハルトマン 「シュトゥルム!」 ゴオッ

> ハルトマンの前方に強い風が吹く!


鳴上 「あれは……山吹色の波紋疾そ」

ペリーヌ 「シュトゥルム。大気を操作して強風を起こす技ですわね。それを……」


リーネ 「行きます! 」 ズドン

バルクホルン 「弾を使うまでもない!!」 ゴッ! ガッ!


ペリーヌ 「リーネさんとバルクホルン大意が切り崩す。」

ペリーヌ 「スタンドプレーの上に成立するチームプレーかしらね。」

エイラ 「サーニャ、右ダ!」

サーニャ 「ええ……エイラ。上に2機。」


鳴上 「未来予知に、探査……」

ペリーヌ 「まさにコンビネーション、ですわね。」

鳴上 「あっちも、だな。」


宮藤 「坂本さん! 危ない!」 バァァ!

坂本 「すまんな! もう少し辛抱してくれ!」

宮藤 「大丈夫です!」


ペリーヌ 「くっ……あの豆狸……」

鳴上 「俺たちも合体技だ。」

ペリーヌ 「アレですわ。合わせて……」

鳴上 「イザナギ!」 カッ バチィ!

ペリーヌ 「トネール!」 カッ バチバチッ!

鳴上 「名付けて!……ブレイブルー!!」

ルッキーニ 「うにゃ?」

リーネ 「レ……じゃなくて、呼びました?」

鳴上 「いや、気のせいだろう。」

>>741 の整備士のセリフがすんごいミス。

整備士 「カールスラントの撤退戦に参加していたって。」



整備士 「欧州からの撤退戦に参加していたらしいな。ダイナモ作戦だったか。」

ペリーヌ 「キリがありませんわね……コアはどこにありますの?」

鳴上 「ペリーヌの髪もキリがないくらいにボサボサだ。」

ペリーヌ 「ほっといてくださいまし!」

鳴上 「しかし、40mmじゃ分が悪いな……」 ドンッ……カチッ

ペリーヌ 「そりゃそうでしょう。この相手には大きすぎますわ。」 バババッ

鳴上 「もう少し大きかったら……」

ペリーヌ 「余計に当たりませんわよ。かさばりますし。」

鳴上 「いや、ネウロイをぶん殴れないかなって。」

ペリーヌ 「背中の刀をお使いなさい!!」

エイラ 「漫才やってる場合じゃネーゾ! 弾だってじきに底をつくんダ!」

バルクホルン 「確かに……戦況は控えめに言っても良くはないな。」

ハルトマン 「トゥルーデ、遠回しすぎ。」

バルクホルン 「む、純粋な物量では不利ということだ。」


坂本 「っ……もう少しで……見えるのに……」

鳴上 「坂本さんがそういうなら……持ちこたえるのが男の花道だ。」

ペリーヌ 「アナタ以外の11人、女性ですわよ。」

鳴上 「そう言われると……締まらないな。なんだか。」 シュン

ルッキーニ 「ペリーヌぅ~……」

ペリーヌ 「わ、私のせいですの?」

シャーリー 「まあまあ、心躍る状況ってことだ。少佐が見つけるまで耐え、見つけたら撃つ。」

サーニャ 「凄い大雑把……」

バルクホルン 「簡単に言ってくれるな。」

ミーナ 「だけど、それ以上はないわね。各機、諦めないで。」

「「了解!」」

坂本 「くっ……すまない……」

宮藤 「謝っちゃだめです! 持ちこたえてみせますから!」

バルクホルン 「これで25……スコアがのびていくな。」

ハルトマン 「なに? 今日で300越え狙うの?」

バルクホルン 「そう悠長も言ってられん。後はマガジン1つだけだからな。MPを持つべきだった。」

ハルトマン 「どんだけ持つのさ……」

バルクホルン 「その気になればアハトアハトだって持てそうだ。」

鳴上 「アハトアハト?」ドンッ!……カチャッ

バルクホルン 「8.8cm砲だ。対空用の他にも戦車の主砲にも使われる。」

鳴上 「……」ソワソワ

ペリーヌ 「……鳴上さん?」

鳴上 「い、いや。何でもない。」

坂本 「……見つけた!!」

ルッキーニ 「来た来た!」

シャーリー「エウレーカー!!」

リーネ 「はい?」

ペリーヌ 「哲学者のセリフではなくて?」

ミーナ 「それで、コアを持つネウロイは!?」

坂本 「アレだ!」

宮藤 「私が行きます! 弾だっていっぱいあるもの!」

坂本 「分かった……気を付けてくれ……」

ミーナ 「美緒? 顔色が悪いわ。」

坂本 「すまんな……少し力を使いすぎたらしい。」

ペリーヌ 「少佐。ここはお任せください。」

坂本 「ああ……頼む。」

ペリーヌ 「……お、お任せください!!! さあ、どこからでもかかってらっしゃい!」 バチバチッ

エイラ 「ったく、ツンツンメガネは調子がいいんだナ……」

サーニャ 「エイラが……言っちゃう……?」

宮藤 「このっ! 当たって!」 ドドドッ……ドドッ

宮藤 「当たらない……動きが見えない……」


ルッキーニ 「芳佳! 右見て右!」

>宮藤の死角から、ネウロイの子機が突進してくる……


宮藤 「右……っ! 間に合わ……」

パリンッ

リーネ 「芳佳ちゃんは……やらせない!!」ズドンッ……チャキッ


宮藤 「リーネちゃん……ありがとう!」


坂本 「訓練を……思い出せ! 私の訓練をこなしたんだ。出来んとは言わせんぞ!」


宮藤 「坂本さん……でも……私……」

エイラ 「ったく、ショーガネーナ! 私がナビをしてヤル! そのまま右に行ケ!」

宮藤 「右に?」

エイラ 「グズグズすんナ! 早くすんダ!」

宮藤 「わ、分かった! こう!?」 ブーン


サーニャ 「大丈夫……芳佳ちゃんなら……信じてる。」


宮藤 「サーニャちゃん……」


鳴上 「宮藤も、1人じゃない。背中は俺たちが支える。」

シャーリー 「そーゆーこと。」

ルッキーニ 「美味しいとこ持ってきなって!」

バルクホルン 「行ってこい。」

ハルトマン 「ふざけたネウロイにぶちかましてやりなって。」

ペリーヌ 「訓練を思い出しなさい! 坂本少佐の竹刀の方がよっぽどですわ!」

ミーナ 「ふふっ、そうね。」


宮藤 「了解!」

宮藤 「私に出来ること……1つずつ、叶えるんだ!」

エイラ 「宮藤、そこで全力で上昇しロ!」

宮藤 「ぐっ……凄い、ネウロイがこんな近くに!?」


シャーリー 「シールドだ! シールドを張れ!!」

宮藤 「……はい!」 ボウッ


鳴上 「思い切り突っ込め!」


宮藤 「だあああああああああああぁぁ!!!!」 ド ゴォッ

>辺りを大量の破片が舞った……

ミーナ 「シールドを!」

坂本 「っ……ネウロイは消滅……宮藤い!」ピッ

「……い……」

バルクホルン 「宮藤いいい!!」

「……えてまーす……」

リーネ 「芳佳ちゃん!!!」

宮藤「聞こえてるってば! あー、びっくりした……耳が壊れちゃいそう……」 ブーン……

シャーリー 「ぶっつけでよくやったな。お疲れ。」

リーネ 「凄いよ! 芳佳ちゃん! 凄い凄い!!」 ムニッ

宮藤 「えへへ……エイラさんや、みんなのおかげだよぉ……」 ムニッ

> 心なしか、宮藤が幸せそうだ……

エイラ 「まーナ。私にかかればチョロイもんなんダナ。」ドヤァ

坂本 「かたちはどうあれ、初戦果だ。おめでとう。」

宮藤 「……はい!」


ミーナ 「作戦は終了。これより帰還……と言いたいけれど……」

ミーナ 「少し私はここを外すわ。少し長くなったら各自帰還して。」

> ミーナ隊長が廃墟へと降下していく……

鳴上 「……基地の跡?」

バルクホルン 「ああ。ここは、パ・ド・カレー。」

バルクホルン 「ミーナが大切な人を失った場所だ……」

【パ・ド・カレー跡地】

ミーナ 「……もう、二度と来れないと思っていたけど。」

ミーナ 「何の因果かしら……もう、忘れたと思っていたのに……」

ミーナ 「鳴上君のせいかしら……」

ミーナ 「……私個人の問題よね……」

> 基地の外れに、一台の車が停まっている……

ミーナ「クルトの車……?」 ガチャッ

> 紙袋の上に、枯れた花と手紙が置かれている。

ミーナ 「手紙……?」


ミーナへ

僕が整備士に志願したことを君は怒っていると思う。心配していると思う。

ごめん。だけど、僕は君の側にいたかった。ミーナが次の休暇だといった日に

帰ってこなかったとき、僕はとても恐かったんだ。それは杞憂だったけど、

ミーナに、もう二度と会えないんじゃと思うと、居ても立ってもいられなかった。

だから、僕も志願したんだ。その時は、皆を守りたいからっていったけど。

僕はミーナに会いたい。それだけだったんだ。我ながら、酷いワガママだ。

書いてみて分かった。僕はどうやら酷い男らしい。いっそ開き直ってみようかな。

だから、もう少しだけワガママを言ってもいいかい?戦争中だけど、もう2つだけ。

誕生日、おめでとう。時期が時期だから、いいものじゃないけど……プレゼントを受け取ってほしい。

そして、よかったらまた、歌を歌ってくれないか? ピアノは僕が演奏しよう。

君には空が似合うけど、歌を歌う姿も負けないと思う。

クルト


ミーナ 「本当に……酷い人……」グスッ

ミーナ 「半年も遅れて……こんな大事なことを……」

ミーナ 「……そろそろ、行かないと……皆、帰ったころかしら。」


坂本 「ミーナ、遅かったじゃないか。」

鳴上 「みんな、待ってますよ。」

ミーナ 「アナタたち! 先に帰還してもいいって……」

坂本 「許可を貰っていないし、何よりお前の指示が無ければ締まらん。」

坂本 「それに……どうした。目が赤いぞ?」

ミーナ 「何でも無いわ。さあ、帰還しましょう?」

鳴上 「ミーナ隊長……」

ミーナ 「 ? 」

鳴上 「前を見るのは悪いことじゃありません。」

鳴上 「でも、一度立ち止まって、後ろを振り替えるのも……」

鳴上 「悪くないと思います。」

ミーナ 「……ひっく………うぁ……」

坂本 「み、ミーナ?」

ミーナ 「うあああ……えぐっ……ぐすっ……わあああ……」 ガバッ

坂本 「ミーナ……よしよし……頑張った……泣け。好きなだけ。」

鳴上 「それじゃ、俺は先に。今回はいいですよね?」

坂本 「ああ。もう少し待ってくれと伝えてくれ。それと、ナイショだぞ。」

鳴上 「当然です。」

鳴上 「涙の後の笑顔ってのは、一番信頼している人が見れる特権ですからね。」

ミーナ 「うわああああ……ああああ……ひぐっ……うっ……」


ハルトマン 「んで、ミーナの様子はどうだった?」

鳴上 「大丈夫だ。隊長は強い人だと思う。」

バルクホルン 「無論だ。でなければこのような隊をまとめるなど不可能だからな。」

ルッキーニ 「……でもさ、なんで少佐はユウを連れて行ったの?」コソッ

シャーリー 「実績があるから? なあ、ペリーヌに……バルクホルン。」

ペリーヌ 「なぜそこで私に振りますの!?……」

バルクホルン 「あ、あれの切っ掛けは確かに鳴上だが、実際に行動に出たのはみ、宮藤だろう!」

シャーリー 「ほら見ろ。少なからず心当たりがあるってことだ。」

鳴上 「なにの話だ?」

シャーリー 「ああ、ナルカミが男前ってこと。」

鳴上 「惚れるなよ。」

シャーリー 「やばっ……今の少しキュンって……」

バルクホルン 「するなバカ!」

シャーリー 「冗談だっての。な? 」

鳴上 「思いがけない反応に、どうすればいいか凄い困った。」

シャーリー 「してやったり。ってな、結構動きを見てると分かるもんだぞ?」

鳴上 「モルモットか何かなのか。俺。」シュン

シャーリー 「あ、素でちょっとヘコんだぽい。」

ペリーヌ 「またスケッチですの……」

――
――――

ミーナ 「楽しそうね……まさか、全員残ってるなんて。」

坂本 「言っただろう。お前がいなければ締まらないとな。」

ハルトマン 「そうだね。私らをまとめられるのはやっぱり、ミーナだよ。」

バルクホルン 「ああ。指示を頼むよ。」

ミーナ 「ふふっ……ストライクウィッチーズ、これより帰還します!」

一同「了解!」

ミーナ 「鳴上君。ありがとうね、さっきのこと。」

ミーナ 「失うことを恐れるだけじゃ、ダメなのよね。」

ミーナ 「失わないための努力をするべきなのよ……」

鳴上 「頑張って下さい。」

ミーナ 「ええ。あなたが慕われた理由も分かったわ。」

> ミーナは決意を新たにしたようだ……

鳴上 「それと、1つ聞きたいことが。カールスラントの言葉についてですけど。」

ミーナ 「何かあったの?」

鳴上 「いえ、大したことじゃないですけど。ちょっと気になって……」

ミーナ 「問題ないわ。話してちょうだい。」

鳴上 「実は……かくかくしかじか…」

ミーナ 「そのことなら……ってこと。」

鳴上 「SSって便利ですね。」

> 知識が高まった

ミーナ 「楽屋ネタは止めなさいって。」

鳴上 「すいません。でも、これで分かりました。ありがとうございます。」

坂本 「何か調べているのか?」

鳴上 「ええ、少し。」

リーネ「ねえ、鳴上君も赤城の見送りに行かない?」

宮藤 「そうだよ。杉田艦長も会ってみたいって言ってたし。」

鳴上 「……ごめん、確かめたいことがあって。」

坂本 「そうか。じゃあ、次の機会があったらお前も参加してくれ。」

鳴上 「ええ。その時は是非。」

【夕方/ 格納庫】

クルツ 「お帰りなさい。40mmの調子はどうだい?」

鳴上 「ああ。ただいま。威力は申し分ない。中型相手ならこいつだけで充分ってほどだ。」

クルツ 「それはよかった。今度は88mmでも作ってみるかい?」

鳴上 「是非頼む。」

クルツ 「返答が早いよ。一応、見繕ってみるけど。」 プイ

鳴上 「 ? 」


ミーナ 「それじゃ、よろしくね。」

サーニャ 「はい。分かりました。」


鳴上 「隊長がどうかしたか?」

クルツ 「いや、何も。行った?」

鳴上 「ああ。」

クルツ 「そうか。君は戻らなくていいのかい?」

鳴上 「いえ、少し、話が聞きたい。」

クルツ 「まるで、警察か探偵みたいな口振りだね。不安になっちゃうよ。」

鳴上 「これから少し無粋な話をしようと思ったけど、探偵か。」

鳴上 「面白そうだ。すこし、やってみていいか?」

クルツ 「ははっ、ご自由に。」

鳴上 「それじゃ……」

クルツ 「どうして歩き回るの?」

鳴上 「気分かな。」

鳴上 「そして、探偵は話をこうやって切り出す。」


鳴上 「さて、」

鳴上 「俺が違和感を感じたのはついさっきです。」

鳴上 「最初に話をしたとき、あなたはミーナ隊長のことを呼び捨てにしかけました。」

鳴上 「まあ、それに関してはよくあることですけど。」

鳴上 「1番引っ掛かったのはクルツさんが参加した作戦。ダイナモ作戦でしたっけ。」

クルツ 「ああ。それも珍しくはないよ。そういう奴はごまんといる。」

鳴上 「ちなみに、どこに配属を?」

クルツ 「パ・ド・カレーさ。壊滅しちゃったけど。」

鳴上 「ダイナモ作戦はミーナ隊長も、そこから出撃したそうですね。」

クルツ 「どうしてそこでミーナの話が出るんだ?」

鳴上 「ウィッチに恋をした友人の話。」

クルツ 「……それで。」

鳴上 「その話が友人じゃなくて、アンタ自身じゃないかって言いたいんだ。」

クルツ 「何を根拠に。」

鳴上 「ミーナ隊長も、大切な人を亡くしたそうです。」

鳴上 「何だか、妙に話が繋がっている所があるんです。」

鳴上 「クルツの趣味や、経歴とか。」

鳴上 「カールスラントの言葉じゃ、クルツの綴りはK U R Zですよね。」

鳴上 「それをあんたは K U R Tって言いました。よく知らなかったから、変だとは思いませんでしたけど。」

鳴上 「カールスラントの言葉じゃ、譲ってもツと読むのは ts じゃないんですか。」

鳴上 「そうですよね。クルトさん。」

クルツ 「……小説だったら、ミステリー作家になればいいと笑うとこだね。」

クルツ 「でも、君のは推理じゃないよ。ただの推測……邪推もいいとこだ。」

クルツ 「綴りを間違えるのはたまにあることさ。」

鳴上 「その通りです。俺は探偵ってわけじゃない。」

鳴上 「どうしても気になったんですよ。」

鳴上 「あんたが “バカな友人” の話をしたとき、隊長が “大切な人を” 亡くしたとき。」

鳴上 「全く同じ表情だったことが。」

クルツ 「ははっ……はっはっは……ミステリーにもなりゃしない。」

クルツ 「感情で話を進めるなんて……くくっ……冒涜じゃんか……ひひっ……」

鳴上 「ええ。だけど、死人の霊を呼び出して推理するって話もありましたよ。」

クルツ 「はっはっは! それ、凄く面白そうだね……いいよ。全く……」


鳴上 「笑ってるのに……なんで泣いてるんです。」

クルツ 「いや、そうだね。ミーナがまだ、僕の事を思ってくれてるって……」

クルツ 「少し、嬉しくてね。忘れてくれた方がまだスッキリするけどさ。」

鳴上 「やっぱり、あんたは……」

クルツ 「ああ。クルトだ。クルト・フラッハフェルト。」

クルツ 「こっちじゃクルツ・シュトロハイムって名乗ってるけど。」

鳴上 「偽名か?」

クルツ 「パ・ド・カレーで戦死した友人さ。彼は身寄りが無いらしいから悪いとは思ったけど借りたんだ。」

クルツ 「ミーナにこれ以上悲しい思いはさせたくなかったしね。」

鳴上 「すぐに会いに行けばよかったじゃないか。どうして」

クルツ 「君みたいに、歴戦の軍人顔負けの度胸と勇気があればって思うよ……」

鳴上 「どういう意味だ。」

クルツ 「もし、僕が生きていることをミーナが知ったらどうなる?」

鳴上 「きっと喜ぶ。今からでも遅くは」

クルツ 「同時にこうも思うよ。また、僕がいなくなってしまったらって。」

鳴上 「……」

クルツ 「そしたらミーナはどうするだろうね。」

クルツ 「そのなかには、ウィッチを止めるってのもあるかもしれない。」

鳴上 「そんなことは……隊長は強い人です。」

クルツ 「ああ。同時に、一線を越えてしまうととても弱いんだ。彼女。」

クルツ 「僕がいることで空を飛ぶことを止めるんじゃ……そう思うと恐いんだ。」

クルツ 「最初は、空を飛ぶなんて危ないって思ったよ。」

クルツ 「でも、出撃する姿を見て変わった。なんて美しいんだろうってね。」

クルツ 「僕が理由で彼女が空を失ってはいけない。」

クルツ 「こうしてひっそりと整備を続けるうちに尚更そう思った。」

鳴上 「そんなことで……」

クルツ 「そして、僕がもう一度ネウロイの襲撃に遭って、本当に死んだら?」

クルツ 「ミーナはまた近しい人を失うことになる。2回も。」

クルツ 「死んでいたほうが、都合がいいんだ。」

鳴上 「そんなの……勝手だ! そうやって他人を盾に、逃げている臆病者だ。」


クルツ 「正論だよ、言い返せない。僕は逃げているだけかもしれない。」

クルツ 「でも、その正直さとかお節介でも、僕は当分は明かさないつもりだよ。」

鳴上 「どうして!」

クルツ 「言ったろ? 君みたいな勇気があればって。」

クルツ 「やっぱり、恐いんだよ。どうしても。」

鳴上 「……」

> スピーカー越しに歌が聞こえる……

静かな大地の底から

君の唇が僕を呼ぶ……

クルツ 「リリーマルレーンか……」

鳴上 「……素敵な歌だ、えっと」

クルツ 「クルツでいいよ。」

鳴上 「分かった、クルツ。この歌は?」

クルツ 「カールスラントの落ちた後に出来た歌さ。」

クルツ 「僕がパ・ド・カレーの撤退あとに渡そうとした手紙で、歌ってくれってリクエストしたんだけど。」

鳴上 「帰りに、そこへ立ち寄ってました。」

クルツ 「読んでくれたのか……嬉しいよ。本当に。ピアノを弾いているのは?」

鳴上 「……多分、サーニャかと。」

クルツ 「……少しだけ、思うよ。このピアノを弾いているのが僕ならって。」

クルツ 「……カールスラントが奪還したときには、ミーナと向き合えるくらいの男になりたいね。」

鳴上 「今まで、バレてなかったのか。」

クルツ「まあね。帽子の下、見る? 火傷とか、結構酷くてさ。深く被ってるし、極力会わないようにしてるから。」

鳴上 「……」

クルツ 「そうだ、これをあげるよ。変わりに、ミーナには僕のことを黙っててくれ。」

> 整備中隊のワッペンを手に入れた。

クルツ 「シオンの花言葉って、知ってる?」

鳴上 「さあ……」

クルツ 「君を忘れない……遠くの君を想う。だってさ。」

鳴上 「クルツとミーナにピッタリだ……」

クルツ 「ありがとう。なのかな? それとも皮肉?」

> 口数の少ないクルツと話ながら歌を聞いた

夜更けに僕は戻る

リリーリリーマルレーン

リリーリリーマルレーン……


つづく

【次回予告】
人の運命を司るは神か偶然か

だが、男の運命を変えたのは人の意志だった。

ある少女の運命は避けようのない月日の流れ。

宮藤の運命を変えたのは金属の生命体……

過去の戦慄がちっぽけな少女に襲いかかる。

次回 「撃 墜」

黒く、のっぺりとした顔が宮藤に熱い視線を注ぐ

止めてあげて! ネウ子が泣いてる!!

昨日ほとんど書けなかったのは予告を考えてたせい。ミーナ回というより、クルツ回でした。
どうせならウド以外のノベライズも買うべきだった。ほぼ絶版なのよね、あれ。ガサラキも
てなわけで7話はおしまい。推理のグダグダはともかく、ガンダム0080の
一流の悲劇を三流のハッピーエンド……(さらに悪化してるかも)。が今回の考えでしたので、
クルトは生存させてみました。あの話、結構好きなんですけどね。8話もいい話だと思うの。

次は大きな転機を迎えるアレ。ペリーヌを2期の少し丸い仕様にしたせいで、困ってる。
これまでタイトルの元ネタが全て分かる人にはマロニー(登山家)をプレゼントです。

今日は多分これまで。次回もまた、少女達と地獄に付き合ってもらう。

【8話 撃墜】

【夜/ 執務室】

坂本 「良い歌を聞かせてもらったよ。赤城の皆も喜んでくれた。」

ミーナ 「ありがとう。」

坂本 「それで、話というのはなんだ。」

ミーナ 「……」 チャキ

坂本 「どうした。私に銃なんか向けて。」

ミーナ 「夕べの戦闘、シールドが機能していなかったわ。」

坂本 「……ッ」

ミーナ 「約束して、もう、ストライカーを履かないって。」

坂本 「でなければ、撃つ……と?」

坂本 「どうも飛躍していないか。」

ミーナ 「ええ。膝でも撃てば、治療に時間がかかるでしょう。」

ミーナ 「私は……決めたの。」

ミーナ 「大事な人を失うことを恐れるだけじゃない。」

ミーナ 「失わないためなら、どんなこともやるって。」

ミーナ 「だから……撃てるわ。」

坂本 「そうか。だが、宮藤がいるだろう。」

ミーナ 「 ……だったら、近付けさせないわ、宮藤さんも。どんな酷いこともしてみせる。」

坂本 「……安全装置がかかったままだぞ。」

ミーナ 「 ! 」

坂本 「言いたいことは分かるが……それは命令か?」

ミーナ 「……」

坂本 「すまないが、私にはまだやるべきことがある。」

坂本 「それに……鳴上がな、訓練に付き合えとうるさいのだ。」

坂本 「毎度毎度、私から一本をとるんだと言ってな……教官として嬉しいよ。」

坂本 「宮藤もな…………そういうことだ。疲れたろう、ゆっくり休め。」 キィ……

バタン

ミーナ 「全く……これだから扶桑のウィッチは……」

【朝/ 海岸沿い】

> 坂本少佐に稽古をつけてもらった……

鳴上 「今日こそ……一本を……」

坂本 「望むところ……」ギリッ

> 鍔迫り合いから、一気に振って間合いを取る!

坂本 「どうした、逃げてばかりでは勝てんぞ。」 カンッ

鳴上 「くっ……」

坂本 「今度はこっちからだ。」 ブンッ

鳴上 「今だ! 」

カカンッ

坂本 「……」

鳴上 「っ……はあ……」


リーネ 「鳴上君が坂本少佐の後ろに……今、何が起きたの?」

ペリーヌ 「確か……ケンドーの技ではなくて?」

宮藤 「うん。払い胴だったかな? こう、相手の竹刀を弾いて殺して、」

宮藤 「その勢いのまま右の脇腹に振ってって技。結構、難しいと思うよ。」

リーネ 「へー、一瞬なにがあったか分からなかった……」

ペリーヌ 「ですが……」


坂本 「何故、当てずに向けた……」

鳴上 「今日の坂本さんは動きが雑です。なんというか……」

鳴上 「何かに焦っているみたいだ。」

坂本 「……そうか? 私は正常だ。」

鳴上 「だったら、俺みたいな素人がこんな小手先の技は決められませんよ。」

坂本 「……お前が力をつけたということだ。自信を持て。」

鳴上 「分かりました……」

坂本 「おっと、すまんな。私は先に上がらせてもらう。」

坂本 「お前たちも訓練は一通り終わったら戻れよ。」

「「「了解」」」

坂本 「うむ。良い返事だ。」スタスタ

宮藤 「凄いよ! あの坂本さんに一本決めちゃうなんて!」

リーネ 「かっこよかったですよ、本当!」

鳴上 「……」

ペリーヌ 「あれだけ一本奪うんだって息巻いていた割には、面白くなさそうですわね。」

鳴上 「俺は専門家じゃあないけど、坂本さん、なんか変じゃなかったか?」

リーネ 「そう、かな……? ペリーヌさんは何か感じた?」

ペリーヌ 「そう……ですわね。少し、攻めに出るのが早かった気がしますわ。」

ペリーヌ 「いつもなら、余程の隙でないと攻撃しませんから。あんな急にというのは……可笑しいかも、ですわね。」

宮藤 「なにか違うの?」

ペリーヌ 「大違いですわ! 考えてみてくださいまし!」

ペリーヌ 「極端な話なら、針のむしろの如くビームを飛ばすネウロイに突っ込むくらいですわよ。」

宮藤 「……そっか。確かに危ないね。」

ペリーヌ 「全く……前回の撃墜で少しは実力も実ったかと思った矢先にこれですわ……」

宮藤 「ご、ごめんなさい。」

ペリーヌ 「謝るくらいならもう少し空戦の勉強をなさい!」

リーネ 「お、落ち着いてペリーヌさん……」

ペリーヌ 「……申し訳ありません。少し熱くなりましたわ。」

鳴上 「すまんな。リーネ……」 コソッ

リーネ 「いえ。私、きょうだいの真ん中で、喧嘩とかも多かったから、こういうの慣れていて……」

鳴上 「道理でしっかりしているわけだ……」

リーネ 「えへへ、そういうわけじゃ……」

> リーネの意外な一面を知った……

ペリーヌ 「何をコソコソ話してますの?」

鳴上 「滑走路のランニング、何往復にするかって話。今のところ10かなって。」

宮藤 「ええ!? そんなに……」

ペリーヌ 「依存はありませんわ。」

誤植多いな、自分。最後の行、
ペリーヌ 「異存はありませんわ。」 ね。

> 滑走路をひたすら走った……

宮藤 「……今っ……何往復だっけ……?」 タッタッタ…

リーネ 「8だから……残り2往復だよぉ……」

宮藤 「まだ、そんなに……鳴上君……ペース、速くない……?」

鳴上 「ペリーヌは大丈夫だぞ。」

リーネ 「何か……鳴上さんの思考が……坂本少佐みたいに……」タッタッタ


ペリーヌ 「全く、だらしがありませんわね……」

鳴上 「それでも、足取りはしっかりしてる。成長してると思うぞ。」

ペリーヌ 「分かっていますわ。でも……」


リーネ 「はあ……はあ……」タユン

宮藤 「…………」ジーッ


鳴上 「その、人にも色んな趣味嗜好はあるから。」

鳴上 「ペリーヌの少佐ウォッチングと同じと思えば。」

ペリーヌ 「勝手に名前をつけないでくださいまし!!」

鳴上 「しかし、ペリーヌはどうして宮藤を目の敵にするんだ。」

ペリーヌ 「別に……敵になどしてませんわ。ただ、少佐にあんなずけずけと……」

鳴上 「羨ましいとか、嫉妬?」

ペリーヌ 「っ……まあ、そういうことですわね。」

ペリーヌ 「鳴上さんには悪いですけど。」

鳴上 「 ? 」

ペリーヌ 「来たばかりの時ですわ。言ってくれたでしょう?」

ペリーヌ 「家族をないがしろにする奴はいないから、安心しろって。」

鳴上 「……そうだったな。それで、どうして謝る。」

ペリーヌ 「今の私がしていることはアナタの言ったことと逆ですわ。」

ペリーヌ 「何度もそう思って抑えようとしましたけど……なかなか上手く行きませんわ。」

鳴上 「そんなに、すぐに人は変われないだろう。」

鳴上 「何度も悩んで、がむしゃらに足掻いて、傷付いて。やっと人は変われる。」

鳴上 「それと、悩みを共有とか、相談できる仲間もいたらな。」

ペリーヌ 「こんな話……とてもじゃないけど……」

鳴上 「もう俺に話してるだろ。いくらでも頼ればいい。バイクの時も言っただろ。」

ペリーヌ 「……ズルいですわ。その言い方。」

ペリーヌ 「でも、そうね……では、気が向いたら相談させていただきますわ。」

鳴上 「ああ。温かいお茶でも用意して待ってるさ。」

宮藤 「つっ……かれたぁ……」

リーネ 「汗、びしょ濡れ……」

鳴上 「お疲れ様。」

ペリーヌ 「マシには、なってますわね……お風呂でも入って汗を流したら?」

宮藤 「そう、だね…… 行こ? リーネちゃん、ペリーヌさんも!」

ペリーヌ 「私も?」

宮藤 「だって、ペリーヌさんも凄い汗だよ。」

鳴上 「そうだな、行って来い。」

リーネ 「鳴上さんは?」

鳴上 「また、池で水浴びでもしとくさ。この時間なら誰も居ないさ。」

宮藤 「じゃあ、鳴上君も後でね。ほら、早く早く!」 タッタッタ

リーネ 「ひゃあっ!」

ペリーヌ 「ちょっと、手を掴まないでくだひっ……噛んじゃった……」


鳴上 「……まだ、走る元気はあるじゃないか。はっはっは。」

鳴上 「……坂本さんのアレ、感染ったか?」

【池】

鳴上 「……水着も着てるし、着替えも用意した。大丈夫」 クールトランクス

鳴上 「……そいっ」 ザパァッ

鳴上 「冷たくて……気持ちいい……」 プカ

鳴上 「そういや、暇があったらこうして浮いてたな……」

鳴上 「…………」

> 今なら全てを受け入れられそうだ……

> 寛容さが上がった

「なーにしてんのーっ!」

鳴上 「!?」

鳴上 「ごぼっ……ごぼぼっ。」

ルッキーニ 「どしたの? 水死体ごっこ?」

鳴上 「げほっ! 急だったんで驚いただけだ。どうした。」

ルッキーニ 「んっとね、エイラとサーニャが寝てるかって確認。」

鳴上 「木の上からか。」

ルッキーニ 「うん! ユウも来る?」

鳴上 「何にだ?」

ルッキーニ 「来れば分かるって。決めるなら早くね!」

鳴上 「よし行こう。」

ルッキーニ 「分かってるね! さあ、40秒で支度しな!……なんちって。」

鳴上 「イエス・マム。だからあっちを向くか、行くかしてくれ。」 ザパッ

ルッキーニ 「どして?」

鳴上 「着替えるからだ。」

ルッキーニ 「あー、そっか。」

> ルッキーニに連れられ、一室へと招かれた……

シャーリー 「どうだった、ルッキーニ。」 カチャカチャ……

ルッキーニ 「大丈夫だよん。」

クルツ 「音響とかって初めてなんだけどなぁ……」

整備員 「どうして俺まで……」

クルツ 「地方のラジオ局で働いていたんでしょ?」

鳴上 「クルツにシャーリー……これは一体?」

シャーリー 「見て分からないのか? ラジオだよ、ラジオ。」

クルツ 「普段はサーニャ中尉たちが夜にやってるんだけどね。」

ルッキーニ 「こっそり機材を使ってやろう! って感じなの。」

シャーリー 「いやー、一回やってみたかったんだよね。マジで。」

整備員 「よし、準備は出来た。イェーガー大尉、報酬は」

シャーリー 「とっておきのパーツが手に入ったんだ。安心してくれよ。」

鳴上 「男女の交流は最小限ってのは……バルクホルンさんにも叱られるぞ。」

シャーリー 「あー、アレは今妹のお見舞いだから。目、覚ましたんだって。」

鳴上 「そうか。良かったよ……」

クルツ 「これも任務さ。ウィッチ達の士気を上げるささやかな作戦。」

整備員 「別に、報酬に惹かれたわけでも、前の仕事が懐かしいわけでもない。」

シャーリー 「よっし、んじゃあ始めるか。ほら、ナルカミも入った入った。」

鳴上 「いや、台本とかあるんじゃないの?」

ルッキーニ 「無いよ?」

シャーリー 「思いつきだからね。」

鳴上 「流石に、大丈夫か?」

ルッキーニ 「困ったときはー」

シャーリー 「ムリダナ(・×・)で落ちをつければいいじゃん。」

鳴上 「……俺も入るのか?」

シャーリー 「ぶっちゃけ、話題無かったし。ゲストがいれば面白いだろ。」

鳴上 「無計画にも、程がないか……」

鳴上 「やるからには、全力を尽くそう。」ガラッ

整備員 「なんだかんだ、ノリノリだな。」

クルツ 「それが良いところだね。」

クルツ 「3…2…1……スタート」


シャーリー 「しっましまのルッキーニと!」

ルッキーニ 「ぱっふぱふのシャーリーの!」

シャーリー・ルッキーニ 「しまぱふアワー!!」

「「なーっはっはっは! いーっひっひっひっひ!」」

わーたしーにーでーきることー ひとーつずーつーかーなえたいー

シャーリー 「はい、みなさんお早うございまーす。あ、もう10時!? こんにちは。」

シャーリー 「第501統合航空戦闘団、シャーロット・E・イェーガーと」

ルッキーニ 「こんにちわち……こんにちはー。フランチェスカ・ルッキーニだよー。」

シャーリー 「今、何て? まあいいや。しまぱふアワー、来ちゃったね!」

ルッキーニ 「うん! 思い付きで電波ジャック!」

シャーリー 「大丈夫、ジャックジャナーイ。リスナーの皆は夜のラジオ、聞いてるかな?」

ルッキーニ 「エイラとサーニャのラジオだね! それをー私たちでやってみよー! って企画なの。」

ルッキーニ 「ジャックじゃないけど、思い付きで始めちゃったよね。」

シャーリー 「まあね。整備の方に専門がいたお陰だ。ありがとねー!」

シャーリー 「初放送。偶然聞いてる君はラッキーだよ。またやるか分かんないからね。」

ルッキーニ 「うちら、ギリギリのラインでやるから。放送コードとか。」

鳴上 (これ自体が放送事故だよ。)

シャーリー 「さて、今回は素敵なゲストもお迎えしていますので、お聞き逃しのないように!」

ルッキーニ 「このラジオがウィッチや暮らしている人たちの支えになれば! 」

シャーリー 「それでは戦線を維持してくれ。スタートだ!」

つばさーひろーげーてー……さあとーぼうーよーあーしーたーのーたーめにー

シャーリー 「それじゃあ、早速ゲスト呼んじゃう? 普通はフリートークだけどさ。」

シャーリー 「話題、ある?」

ルッキーニ 「うーん……ロマーニャのストライカーユニットを使用した高高度における格闘戦と一撃離脱の有利不利を航空力学的観点から考えるとか。」

シャーリー 「パーッス! そういうマニアックなのは需要が全く無いんだよ!」

シャーリー 「知ってるか? ある作家が自身の作品のミリタリー世界観を書いたとき、批判の手紙すら来なかったんだぞ!?」

ルッキーニ 「しょうなのお?」

シャーリー「つまり、マニアックなのは控えめにな。んじゃ、ゲストさんどうぞ。」

鳴上 「唐突過ぎないか!? もちょい引っ張るのかと。」

シャーリー 「ほら、挨拶挨拶。今日はこの人! なんと、男の魔法使い。つまりウォーロックだ。」

鳴上 「ぱっぴー……じゃなくて、皆さんこんにちは。扶桑海軍……かな? の鳴上悠軍曹です。」

ルッキーニ 「今日はこの三人で、やっていこうと思いまーす!」

鳴上 「ええ、今日はよろしくお願いしまっ……」ガッ

シャーリー 「えー、ゲストのナルカミがおでこをマイクにぶつけたとこで、スタートとしましょう。」

鳴上 「今の言う必要あったか!?」

ルッキーニ 「にゃはは。それじゃあ、質問行っとく?」

鳴上 「意外と本格的だな。リスナーとかはいないし、思い付きで始めたんだろ?」

シャーリー 「おう、まあな。てなわけで色んなから聞いた質問の一部をって感じだな。」

鳴上 「分かった。さあ来い。」

ルッキーニ 「んじゃあね、これ。“ティーカップの猫”さんから。」

ルッキーニ 「あ、名前はアタシがてきとーにつけてるよ。」

ルッキーニ 「シャーリーさんとルッキーニちゃん、ゲストさんもこんにちは。」

ルッキーニ 「501へ来て、一番大変だったことは何ですか? だって。どう?」

鳴上 「……訓練だな。男なのに、まだ女性の教官に一本を取れない。」

シャーリー 「ほほう。ナルカミは結構デカイのにな。」

鳴上 「扶桑には柔よく剛を制すとある。」

ルッキーニ 「どゆ意味?」

鳴上 「体格の差も、立ち回りでは大きな相手にも勝てる。って意味かな。」

鳴上 「元は柔道って武道の言葉なんだけど。あの人の動きはまさにそれだ。」

シャーリー 「確かに、アタシらは自分の何十倍もあるネウロイを相手に戦うわけだもんな。」

ルッキーニ 「ええと、じゅー良くごーを制す。覚えた方がいいかもね。」

鳴上 「光栄です。」

鳴上 (一番は女性の“ズボン”だけど……)

鳴上 (電波の上じゃ言えないよな……)

シャーリー 「んじゃあ次もアタシがチョイス、。“色よし張りよし堅物軍人”さんからの質問だよ。」

鳴上 「分かりやすい名前だな。最初のそれはともかく。」

シャーリー 「食事や上着の洗濯などは手慣れているようだが、どうしてだってさ。」

鳴上 「そうだな。元々、手先は器用な方だったし、洗濯もいっしょに暮らしてた子の手伝いでしてたから。」

鳴上 「ああいう、単純な作業は好きだ。鶴折りとかね。」

ルッキーニ 「料理の方は?」

鳴上 「本格的に始めたのは去年からだな。友人が学校の行事でカレーを作って……」カタカタ

ルッキーニ 「友達がカレーを作って?」

鳴上 「人並みに、料理を出来るようになりたいと思った。」

シャーリー 「凄い、切実な感じが伝わってくるな……」

シャーリー 「そういや、裁縫もやってるよな。あれは?」

鳴上 「後輩に教わったんだ。染め物屋の息子で、いいやつだ。」

ルッキーニ 「へー、一回会ってみたいかもね。アタシも何か作ってみたい!」

鳴上 「……少し、難しいかもな。」

シャーリー 「あー、確かに。」

鳴上 (ここの女性を直視するのは厳しいからな)

【ブリタニア市街】

バルクホルン 「何かやってると思ったら……このふざけたラジオは何だ。」

ハルトマン 「あはは、まあいいんじゃない。色よし張りよし堅物軍人、そんなに身を乗り出しちゃ危ないって」

バルクホルン 「ええい、もっと早く出せんのか、その名で呼ぶな!」

ハルトマン 「交通違反で怒られるのやだもん。トゥルーデも前に飛ばしたら怒ったじゃん。」

バルクホルン 「くっ……」

シャーリー 『メッセージでも送っとく?』

鳴上 『そうだな。ありがとうございました、えっと……堅物軍人さん。』

鳴上 『妹さんを大事にしてください。軍人の前に、姉として。』

バルクホルン 「っ!……言われるまでもない//」

ハルトマン 「だってさ。お姉ちゃん。」

バルクホルン 「お、お前が言うな。」

シャーリー 「まだまだあるぞー。」

ルッキーニ 「次はね。アタシからの質問。」

ルッキーニ 「ズバリ! 好きなウィッチは誰!?」

鳴上 「……ぶっちゃけすぎじゃない?いや、これ。えぇっ……」

シャーリー 「確かにまー、気にはなってるのよね。」

シャーリー 「ペリ……じゃない、ガリアのウィッチとかオラーシャの子とか、結構仲良いだろ?」

鳴上 「……怒られない? こういうぶっちゃけトーク。危ないよね? 色んな意味で」

シャーリー 「本気でテンパってる……しっしっし。」

ルッキーニ 「そんなマジメに考えたら余計に本気に取られちゃうよ?」

鳴上 「だってさ、公共の電波でしょ? うーん……」

鳴上 「分かりました。白状します。」

シャーリー 「おおっ、さて。気になるウィッチは?」

鳴上 「シャーリーだ。」

シャーリー 「……へ?」

鳴上 「何だかんだ、来た時から良くしてくれてるし。」

鳴上 「俺が配属された時のフォローとかもやってくれたらしいし。」

鳴上 「お世話になってます。」 ペコ

シャーリー 「……あー、こちらこそ。今後ともよろしく。」 ペコ

ルッキーニ 「うわー、ジョークのつもりが本気のトークなっちゃった。」

鳴上 「純粋にファンってのなら、アフリカの加東圭子さんかな。」

シャーリー 「……」

ルッキーニ 「シャーリー、カトーって?」

シャーリー 「……ああ、えっと。そういや、本を読んでたな。」

鳴上 「まあな。勉強にも使ってる。」


【アフリカ/某所】

鳴上 『楽しく読ませていただいてます。』

圭子 「ちょっと、私はあれが翻訳されてたなんて聞いてないわよ!?」

ハンナ 「伝えてなかったか?」

圭子 「聞いてないわよ!」

ハンナ 「そうだったか。前に聞いたマミの朗読が忘れられなくてな。」

真美 「えへへ。ハナGも出版に力を貸してくれましたよ、ケイさん。」

圭子 「金子さんまで……あああ、もう!!」

ハンナ 「安心しろ、印税はケイの取り分以外、武装の新調に使った。」

ライーサ 「好評みたいでMGに離陸ユニットまで新しくしちゃいました。」

圭子 「全員グルじゃないのよ、これ……」

シャーリー 「そろそろ、時間も危ないかな。それじゃ、最後の質問というか。」ピラ

ルッキーニ 「あ、これ、質問じゃないよ。アンケートの結果。」

鳴上 「アンケート?」

シャーリー 「ああ。そんなのもしたっけ。えっと。お題はこれ。」

「もしも鳴上に2つ名を付けるとしたら。」

鳴上 「趣旨が、分からないが……」

シャーリー 「ああ。エースとかになるとさ、異名みたいなのがつくのよ。」

シャーリー 「アタシなら、グラマラス・シャーリーとか。」

ルッキーニ 「アタシはガッティーノ。他にも魔のクロエとか、ついてないカタヤイネンとか。」

鳴上 「待て、1つ酷いのが無かったか?」

シャーリー 「詳しくはエイラに。それで、みんなにナルカミの2つ名を考えてもらいました。」

ルッキーニ 「じゃじゃん!」

天然ジゴロ 正

人たらし T

ケダモノ ー

ワイルド ー

ハイカラ ー

扶桑の豪傑 ー

鳴上 「…………俺が、どう見られているか。良く分かった。」

鳴上 「二人がどれに入れたかも、何となく。」ジロ

ルッキーニ 「……うじゅー……うじゅじゅー……」

シャーリー 「だって、事実だし。」

鳴上 「それで、ケダモノは多分……」

シャーリー 「後ろの奴だな。」

ルッキーニ 「志村、後ろ!」

鳴上 「誰が志村だ。」クルッ


エイラ 「」

> ブースの向こうでエイラが睨んでいる……

シャーリー 「しまぱふアワー、今回はここまで! 」

ルッキーニ 「フランチェスカ・ルッキーニと」

シャーリー 「シャーロット・E・イェーガーと」

鳴上 「鳴上悠でした。」

シャーリー「それでは、各員戦線を維持しつつ別名あるまで待機!」

鳴上 「次回は?」

ルッキーニ 「ムリダナ」

エイラ「!!!」ドンドンドン

ペリーヌのパジャマをシャーリーが着たのを見て少しキュンとした。どうでもいいね。


クルツ 「お疲れ様ー。ぶっつけの割には面白いトークだったと思」

エイラ 「何で私とサーニャの機材を使ってんダーッ!!」

鳴上 「すまん。なかなか面白いな。ラジオ。」

シャーリー 「まあな。また遊ばせてくれよ。」

エイラ 「遊びでやってんじゃねーゾ!?」

ルッキーニ 「分かってるってー。」

エイラ 「ったく……」

シャーリー(裏声)「キョウダケダカンナー」

エイラ 「い、言ってねーヨ! バカ!」

鳴上 「それで、どうしたんだ?」

エイラ 「ドースルもコースルも」

ルッキーニ 「何を擦るの?」

鳴上 「ストップ、話が進まないから。続けてくれ。」

エイラ 「お、おう……まあ、機材を使うなら、一言くれヨ。」

エイラ 「……それと、午後からの訓練イェーガー大尉とルッキーニダロ?」

シャーリー 「……あちゃー……忘れてた。あんがとな。」

エイラ 「こ、こんくらいはナ。早くしろヨ。」

シャーリー「あいよ。行くぞルッキーニ!」

ルッキーニ 「おう!」タッタッタ……


クルツ 「んじゃあ、僕らもこれで。じゃあね。行くよ、島田さん。」

整備士 「ああ……あ、名前ついたんだ。」

クルツ 「モブは島田って相場は決まって……いや、これ以上はダメだ。」 スタスタ…


鳴上 「訓練?」

エイラ 「ツンツンメガネと宮藤と模擬戦だト。」

鳴上 「なるほど。んじゃ、俺も少自主練でもするかな。」 スタスタ

エイラ 「待っタ。ラジオ、面白いって言ってたナ。」

鳴上 「ああ。それで、どうかしたか?」

エイラ 「まあな。男のストライカー乗りが居るって話したラ、思いの外反応があってナ。」

エイラ 「お前も出ないカ? 夜間哨戒の日にでもサ……サーニャもしようって言うし。」

鳴上 「ああ。時間があれば。是非とも。サーニャが?」

エイラ 「……何でもナイ! バーカ! サトゥルヌス!」 タッタッタ

鳴上 「さと……何?」

【午後/ 海岸】

鳴上 「……さてと、自主練とはいったものの、また汗を流すのに池か……」

鳴上 「また、鉢合わせは嫌だしな……」

鳴上 「こんな時は……釣りか。」

バルクホルン 「ラジオの次は釣りか。忙しいな。」

鳴上 「ばっ……バルクホルンさん!? 早いですね。」

バルクホルン 「仕方あるまい。いつでもネウロイの襲撃に備えるのが私たちの役目だ。」

鳴上 「今の口振りだと、ラジオ聞いてたんですね……」

バルクホルン 「ああ。ノリノリだったな。」

鳴上 「……」

ハルトマン 「安心しなって。ただ面会時間が短っただけ。」

ハルトマン 「お陰でトゥルーデったら帰りはずっと機嫌が悪くてさ。」

ハルトマン 「もっと話したいことがあるとか。合わせたい奴がいるのにとか。」

バルクホルン 「や、止めろエーリカ! 」

鳴上 「姉バカなのは知ってるから、問題は特に。」

バルクホルン 「なっ!?」

ハルトマン 「いやね、流石にみんな知ってるよ?」

バルクホルン 「…………うるさい///」カァッ

鳴上 「むしろ、それで隠し通せると思ってたことに。」

ハルトマン 「そんな勘違いしてるのエイラくらいじゃない?」

ハルトマン 「自分をクールでカッコいいエイラ少尉って思うのと変わらないよね。」

バルクホルン 「わ、私をエイラの思い込みと一緒にするな!」


クールでカッコいいエイラ 「今、スッゴい酷いことを言われたようナ……」

クールでカッコいいエイラ 「まあ、いいや。私とサーニャの運勢デモ……」

クール(?)でカッコいいエイラ 「…………」

クール(?)でカッコいい(?)エイラ 「うがー! 怖くて捲れネー!!」

サーニャ 「……エイラ、うるさい……」

男子中学生エイラ 「……サーニャぁぁ……」グスッ


バルクホルン 「まあ、ともかく。クリスは元気だ。これ以上ないほどに。」

バルクホルン 「私の希望を守ってくれて、ありがとう。……用件はそれだけだ。」

鳴上 「あの時は、他人事には思えませんでしたし。俺より先に言うべき奴がいるでしょう。」

ハルトマン 「それは山々だけどねー」


宮藤「発進します!!」 ブロロ……


ハルトマン 「訓練を始めるとこらしいからさー、言いたくてもってやつ?」

鳴上 「よく分かった。」

バルクホルン 「そ、そうだ。今度はお前も見舞いに来い! 宮藤もだ。」

鳴上 「俺が、ですか?」 ヒョイ

バルクホルン 「恥ずかしかったが、私の撃墜した話をした。」

バルクホルン 「させられた、と言うべきかな。」

ハルトマン 「~♪」

バルクホルン 「そしたら、私もお礼を言いたい。だそうだ。」

バルクホルン 「お姉ちゃんを助けてくれた勇者さん達に。だぞ。名誉なことだ。」

鳴上 「ええ。休暇でも都合つけてもらえたらお供します。」 バチャッ……

バルクホルン 「うむ。それがいい。」 バチャチャッ

ハルトマン 「ねえ、竿、引いてない?」

鳴上 「おっとっと。」グッ

鳴上 「 ! こいつ、大物だ……」 バチャバチャバチャッ

バルクホルン 「凄い引きだ。私も手伝おう。」

鳴上 「いえ、自分だけでも……っ」

バルクホルン 「私の固有魔法を忘れたか? 良いから手伝わせろ。」 ガシッ

鳴上 (また……背中に、牛……)

バルクホルン 「どうした、力が抜けているぞ。」

鳴上 「その、そんなに密着しなくても……」

バルクホルン 「なっ!? そんな話をしとる場合か!!」

ハルトマン 「もう少しだから。頑張って。」

鳴上 「ペル……ソナ!!」 カッ

ザッパーン

> 海のヌシを釣り上げた。

鳴上 「……辛い、戦いだった。」

バルクホルン 「お前がああ言わなければもう少し簡単に釣れた筈だ。」

ハルトマン 「……ラッキースケベ。」

ハルトマン 「でもさ、これ……どうすんの?」

ビチビチッ

鳴上 「そっとしておこう」

バルクホルン 「とにかく中に運んで、冷蔵庫にでも突っ込もう。悲しい話、スカスカだからな。」

ハルトマン 「久々のたんぱく質だしね。SPEM以外の」

【食堂】

バルクホルン 「しかし、どう調理するのだ。こいつ。」

ハルトマン 「面倒だし丸ごと焼くとか。」

バルクホルン 「奥の方が生焼けになるだろう。ここは小さく切ってあれだ。」

バルクホルン 「宮藤が前に作った、魚を醤油とみりん? で煮込んだ……」

鳴上 「煮付け?」

バルクホルン 「それだ。あれは美味かった。」

鳴上 「ええ。それじゃ伝えておきますよ。」

バルクホルン 「任せた。こういったものは本人からの方がいい。」

鳴上 「イエス・マム。そうだ、コーヒーでも飲みます? 疲れてるでしょう。」

ハルトマン 「んじゃあ遠慮なく。ミルクお願いねー。」

> 2人と他愛の無い会話をして過ごした……


シャーリー 「たっだいまー!」 バタン

ルッキーニ 「まー!」

バルクホルン 「む、早いな。それと、服が少し汚れているぞ。」

シャーリー 「まーな。模擬戦やってたし。」

バルクホルン 「……まさか、負けたのか?」

シャーリー 「お、いただき。」 グイッ

バルクホルン 「それは私のコーヒーだぞ!」

シャーリー 「んー、砂糖入れてるのか。」

バルクホルン 「わ、悪いか。」

シャーリー 「いや。アタシも入れた方が好きだから。丁度いい。」

バルクホルン 「そ、そうか……ではない!!」

バルクホルン 「大尉であるお前が新人に負けるだと!? 怠慢だ。」

ルッキーニ 「あれ、芳佳がアタシらをやっつけたんだから、もっと喜ぶのかと。」

ハルトマン 「確かに少し気になるね。射撃はそりゃあナルカミよりは上手いけど。まだまだだし。」

バルクホルン 「一撃離脱という訳でもないだろう。」

ルッキーニ 「それがね。あの、少佐が得意なアレ……ひだ、左ひ……ヒンデンブルク?」

シャーリー 「それじゃ墜落しちゃうって。左捻り込みをやったんだ。」

鳴上 「……?」

バルクホルン 「捻り込みを知らないのか?」

鳴上 「木の葉落としくらいしか。」

ハルトマン 「まあ、新人のストライカー乗りのする技じゃあないからな。」

ルッキーニ 「捻り込みってのはね、ツバメ返しって言われてるんだよね。」

ルッキーニ 「ツバメ返しって何か分からないけどさ。」

鳴上 「昔の剣豪の編み出した技だったはずだ。」

鳴上 「なびく枝がツバメを追い払う様子から編み出したとか、ツバメを切り伏せたからとか。」

鳴上 「諸説はあるけど。どんな技かは分からない類いだな。」

シャーリー 「ふーん。カッコいいな何か。ま、空戦の方の説明をしようか。」

シャーリー 「ストライカーはこうしてプロペラが回転してるだろ。」

バルクホルン 「あれはエーテルであってプロペラでは」

シャーリー 「わーってるよ。例えがあれば分かりやすいだろう。」

シャーリー 「そこで、回転してるとトルクが打ち消しあっているんだ。」

鳴上 「どっちかだけだと、その方向へ回転するわけか。ドリルみたいに。」

シャーリー 「ははっ、そうそう。そのまま加速してシールドで体当たり!」

ルッキーニ 「ギガぁ……ドリルぅ……ぶ」

ハルトマン 「はいストップ。」

鳴上 「でも、片足のストライカーを壊された時は何とか飛べたぞ。」

シャーリー 「そんで木の葉落としとかはできるか?」

鳴上 「姿勢で精一杯だった。」

シャーリー 「そういうことだよ。」

シャーリー 「そこで、捻り込みはひと頑張りするんだ。」

シャーリー 「上昇して失速しかけたところで左にトルクを集中。」

シャーリー 「その回転を活かして宙返り。相手のお尻について」

> シャーリーが指を鉄砲の様に構えてくる

シャーリー 「弾けろ、バーンッ! って感じだ。」

鳴上 「難しいわけだな。」

バルクホルン 「まあな。相手の位置や姿勢の制御。山のように考えることがある。」

鳴上 「……ふんふん。」

ルッキーニ 「あちゃー、ユウってば、変なスイッチ入っちゃったよ。」

バルクホルン 「……」ジト

シャーリー 「私は説明をしただけだぞ!?」

最近勉強したばっかだけど

インメルマンターンは宙返りの頂点で背面飛行から180ºループして通常飛行に戻る。
捻り込みは宙返りでも姿勢を変えずにそのまま錐もみ操作で降下するみたい。

一番面倒なのは海軍の教本とかには書かない(危なすぎて)から
使う人によってまちまちなところ。

間違えてたらそんな感じで補完お願いします。寛容さがオカン級の皆様なら。

いつも楽しませて貰ってるお礼にからあげにレモンかけておきますね

バルクホルン 「鳴上にあまり変なことを教えるな。何をしでかすか分からん。」

シャーリー 「なっ、説明をしなきゃ話の流れが掴めないだろーが!」

バルクホルン 「それはそうだが、また無茶をやらかすかもしれんだろうが。」

ルッキーニ 「まーた始まった……」

ハルトマン 「何かさ、子育ての躾で争う」

鳴上 「親の会話だよな。」

シャーリー 「他人事みたいになぁ……」

バルクホルン 「いいな!? 飛行時間何百のベテランがこなす技だ。少佐もモノにするには3年かかった技だ。」

バルクホルン 「絶対にやろうなどと思うな。」

バルクホルン 「でなければ、ラズベリーで武装したネウロイへの対処法を新米ウィッチに教える教官に任命してやる。」

鳴上 「む、無茶苦茶だ……そんなに危険なのか?」

バルクホルン 「ちょうど貴様くらいの時期が一番危ないのだ。」

シャーリー 「それは言えてるかもな。降下のスピードを間違えちゃ空中分解だってな。」

鳴上 「……分かった。」

> 二人からの心配を感じる……

バルクホルン 「分かればいい。今度少佐にでも教えてもらえ。」

ルッキーニ 「あとは芳佳に~。なんちって。」


宮藤 「……」 テクテク


ルッキーニ 「噂をすれば、なんとやら?」

ハルトマン 「ナルカミ、今のうち魚のことを言ってくれば?」

鳴上 「そのつもりだ。」


鳴上 「宮藤~。」

宮藤 「……鳴上君? どうしたの?」

鳴上 「ああ、結構な大物を釣ったから。バルクホルン大尉が煮付けにしようってさ。」

宮藤 「ホント!? 見せて見せ……」

ペリーヌ 「……」

宮藤 「あー、ごめんね? もう少し、訓練をしなくちゃいけなくて……」

ペリーヌ 「何をしてますの!?」

宮藤 「じゃあね、そういうことだから。」

鳴上 「……ペリーヌ、今から何を」

ペリーヌ 「あなたには関係ありませんわ!!」

鳴上 「…………分かった。」

> いつもに増してペリーヌの発言が刺々しい……

>>821 大好きだけど……唐揚げはな、最初はプレーンで食べたいんだ。出来ればお酢も欲しいです


バルクホルン 「どうだった。」

鳴上 「訓練を終えてから、だそうだ。」

ルッキーニ 「珍しいね。芳佳がそんなに飛ぶなんて。」

バルクホルン 「うむ、熱心なのは良いことだ。」

シャーリー 「母さんや、宮藤のことになると甘いな。」

バルクホルン 「誰が母さんだ!」

ギャアギャア


――
――――

【脱衣場】

ペリーヌ 「……」

宮藤 「ペリーヌさん、そのどうしたの?」

ペリーヌ 「あの左捻り込み。いつ習得しましたの?」

宮藤 「捻り込み?……えっと……さっきのなら……その時だったよ?」

ペリーヌ 「なっ!? 超上級者の機動ですわよ!?」

宮藤 「えっと、少佐の動きを見て、何となく……」

ペリーヌ 「なんとなくで覚える機動じゃありませんわよ!」

ペリーヌ 「全く、どうしてアナタみたいなのが……少佐に教わったのね!?」

宮藤 「だから……見よう見まねで……」

ペリーヌ 「ああ、少佐に手取り足取りあんなことを…うら、もとい!!」

ペリーヌ 「決闘ですわ! どちらが少佐にふさわしいか!」

宮藤 「えええ!!?」

――
――――

【格納庫】

ペリーヌ (また、やってしまいましたわ……)

宮藤 「えっと……それで勝負のつけかたって……」

ペリーヌ 「……相手の背後に10秒にしましょう。」

宮藤 「じゃあ、これで……」

ペリーヌ 「いいえ、雰囲気も出しましょう。実銃よ。」

ペリーヌ 「安全装置と引き金に指をかけなければ問題ありませんわ。」

宮藤 「でも、人に鉄砲を向けるのは……」

ペリーヌ 「……仕方ありませんわね。吹っ掛けたのは私です。多少は融通しなくては。」

宮藤 「ありがとう……ペリーヌさん。」

ペリーヌ (……本当なら、銃なんかを持つ人じゃありませんわね……)

バルクホルン 「そうだ。何かおかしいとおもった。ペリーヌの様子、何だか、変じゃなかったか……」

ルッキーニ 「いつもあんな感じじゃないのー?」

鳴上 「いや……なんというか、初めて会った時みたいだった。」

鳴上 「何かに焦っているみたいだ。」

シャーリー 「流石によく見てるな。」

ハルトマン 「お兄ちゃんってこと?」

鳴上 「あまり茶化すな。」

ミーナ 「あら、珍しいわね。トゥルーデとシャーリーさんが揃ってくつろいでるなんて。」

シャーリー 「ええ。たまには喧嘩無しでぐでっとしたいみたいです。妹に会って安心したんでしょう。」

バルクホルン 「よっ! 余計なことを言うなリベリアン!!」

ハルトマン 「トゥルーデ、あの話。しないと。」

バルクホルン 「……そうだったな。すまん、少しミーナに話がある。」

鳴上 「どうぞ、いってらっしゃい。」

ハルトマン 「んじゃね。コーヒー、ごちそうさまー。」

> 三人は行ってしまった……


ルッキーニ 「うにゃ……くふぁ……眠い……」 ゴロン

シャーリー 「こら、よりかかるなって。」

鳴上 「その割りには、にやけてるぞ。顔。」

シャーリー 「ははっ、そうかもな。何だかほっとけなくてさ……」

シャーリー 「アタシとルッキーニがさ、規律とか苦手なのは知ってるだろ?」

鳴上 「ああ。」

シャーリー 「アタシは無断でストライカーを改造したり、してこっちに送られた。」

シャーリー 「能力を惜しんでなんて言っても、まあ体のいい厄介払いだ。」

シャーリー 「あ、誤解しないでくれ。ここでの暮らしは気に入ってる。」

鳴上 「もちろん分かってる。」

シャーリー 「ルッキーニもそんな感じだったんだ。ああいう性格だし甘えたい盛りだ。」

シャーリー 「似た者同士ってわけだな。だから、つい世話を焼いてさ。なんだかんだ可愛いよ。」

シャーリー 「なあ、ナルカミも、こっちの生活は慣れたか?」

鳴上 「楽しくやってるよ。お陰でな。」

シャーリー 「でもさ、この隊も……ここの防衛って大義が無くなったら解散だよな……」

シャーリー 「お前も、いつか居なくなってしまうんだろ?」

シャーリー 「……たまに、夢に見るんだ。振り向いたら、ナルカミが居なくなってる。」

シャーリー 「探してもどこにもいない。ルッキーニとか、皆に聞いても誰? って顔をするんだ。」

鳴上 「心配するな。居なくなる前には、絶対に一言伝えるさ。」

シャーリー 「なんて?」

鳴上 「泣くんじゃないって。な。」

シャーリー 「お前……そんな恥ずかしい言葉を素面で言うなんて、才能かもな。まあ、あんがと。」

> シャーリーの心の奥に触れた気がした……

【管制室】

ミーナ 「ここなら、今は人も少ないわ。話って?」

バルクホルン 「ミーナ、話と言うのはこれだ。」ピラ

ハルトマン 「読んでみて。」

ミーナ 「これ以上、深入りするな……ネウロイのこと?」

坂本 「可能性は高いな。最近の不規則な出現について調べ始めたばかりなのだからな。」

ミーナ 「とすると、この手紙の主は……マロニー中将?」

バルクホルン 「だろうな。中将は501を良くは思っていない。」

ハルトマン 「というより、ウィッチをって感じだね。」

ミーナ 「警告ってとこかしらね……クリスさんをダシというわけでは無いといいけれど……」

バルクホルン 「くっ……」

坂本 「どう出るか分からん以上は静観するしかあるまい。しばらく様子を見よう……」

ミーナ 「後手に回るのは好きじゃないけどね……」


ウウウウウウウウウウゥゥゥゥ!!!

バルクホルン 「っ!? ネウロイか!」

ミーナ 「二人は出撃の準備をお願い。美緒は管制の手伝いをお願い。」

坂本 「……私はまだ飛べる。問題はない!」

ミーナ 「ダメよ。許可できないわ。私は見たのよ。アナタ、シールドが使えないって。」

坂本 「また、前の夜に戻るか……」

ミーナ 「ウィッチは20を境にあがりを迎えるのは知っているでしょう!?」

ミーナ 「これ以上誰かを失うのはイヤなの!」

坂本 「私は、まだ死ぬ気にはなれんよ。宮藤が気ががりだ。」

坂本 「アイツに私の全てを教えるまでは、死にきれんさ。」

坂本 「私は、宮藤が皆の後ろじゃなくて先頭に立つ姿を見たいんだ。」

ミーナ 「……」

坂本 「そいつを見るまでは、私は飛ぶぞ。」

坂本 「はっはっは。そう心配するな。ウィッチに不可能はない!」

【海上】

ミーナ 『聞こえる? 宮藤軍曹、クロステルマン中尉』

ペリーヌ 「くっ……勝負はお預けですわね……」

ミーナ 『そのままそこで待機しなさい。5分で少佐達が合流出来るから。』

宮藤 「……偵察くらいなら、私にも出来ます!」 ブロロ……

ペリーヌ 「ちょっと、宮藤さん!?」

ミーナ 『どうしたの!? 待ちなさい宮藤さん!』

ペリーヌ 「わ、私も宮藤さんを止めに……」

ミーナ 『……いえ、クロステルマン中尉はここで待機して。武装、持ってないでしょう。』

ペリーヌ 「……はい。ペイントしか。」

ミーナ 「宮藤さんのシールドなら、多分大丈夫だと思うわ。それに、小型が一機だから。」

ペリーヌ 「小型に……こんな数ですか?」

ミーナ 『ええ、どうも様子がおかしいの。予測のパターンと大きく違うの。』

ミーナ 『間違えは珍しくないけど、念を入れるに越すことは無いから。』

ペリーヌ 「了解しました。」

――
――――

坂本 「ペリーヌー!! 遅れてすまない。」

ペリーヌ 「いえ、少佐。大丈夫ですわ。それより、宮藤さんが……」

坂本 「分かっている。すぐに向かおう。鳴上。武器を。」

鳴上 「そら。ペリーヌのブレンだ。」

ペリーヌ 「ありがとうとは、言っておきますわ。」

ハルトマン 「この先だよね、ネウロイって。結構近くない?」

バルクホルン 「だからこうして、」

シャーリー 「皆で来てるわけだよ。」

エイラ 「……ほいっと。」 シュッ

エイラ 「うげっ……塔かよ……」

サーニャ 「なんか、恐いね……」

宮藤 「……見つけた……ネウロイ……小型?」

宮藤 「安全装置は……大丈夫……」 カチッ

宮藤 「…………」 フルフル

ギュウウゥ……

ヒト型ネウロイ 「……」

宮藤 「!? 変形した……ヒト型のネウロイ。」

宮藤 「……」

宮藤 「……ごめんなさい」 ブシュシュ

ビチャッ

宮藤 「これっ……ペイント弾だった……」

宮藤 「やられっ……」

ヒト型ネウロイ 「……」ヒュウウ……

宮藤 「まるでウィッチみたい……」

ヒト型ネウロイ 「♪」 ヒュンヒュン

宮藤 「わぁ……凄いっ!」

ヒト型ネウロイ 「……」 パァァ

宮藤 「ネウロイの、コア?」

宮藤 「……ねえ、ネウロイ……ううん、アナタは。本当に、敵なの?」

――
――――


坂本 「……っ……」

ペリーヌ 「少佐、大丈夫ですか!? 宮藤さんも。」

坂本 「見えた。もうすぐ接敵する。準備をしろ。」

シャーリー 「ロックンロールか。」

鳴上 「この手に限るぜ。」

エイラ 「油断すんナ……」


宮藤 「……皆だ。」


坂本 「そいつから離れろ! 宮藤っ!!」 カチャッ

宮藤 「ま、待ってください! このネウロイは……」

坂本 「!? どういうことだ! ネウロイは敵なんだぞ!」

ヒト型ネウロイ 「!」 バッ

坂本 「くっ!」 ドガガガッ

ヒト型ネウロイ 「……」 ゴオッ

鳴上 「坂本さん! シールドを!」

坂本 「……!」 バァンッ!

リーネ 「どういうこと!? 少佐は確かにシールドを!」

ルッキーニ 「見て、ネウロイが巣に戻って行く!」

バルクホルン 「ミーナ、少佐が負傷した。ネウロイは巣へ逃走、帰還する。」

ペリーヌ 「少佐―――ッ!!」

宮藤 「ねえ……ネウロイって、なんなの……?」

宮藤 「敵なの……それとも……」


つづく

【次回予告】

「少佐がやられたのはあなたの責任よ!」

「アナタには自室金庫10日を命じます。」

「お願い、信じてよ……」

「宮藤に……撃墜命令!? 仲間なんだぞ!」

「現時刻を以て、ストライクウィッチーズを解散する!」

ep.9 【TRY AGAIN】

今回もありがとうございます。台詞だけで戦闘って難しいですね。
そんなわけで次回もっと面倒になる予感。うーん。ここでは一応、ネウロイの存在に
クロスならではのアンサーを出したいなとも思うけど。どうなんでしょう。
パンフレットじゃストライクウィッチーズはまだ入り口とあるので。
公式での答えはずっと後なんじゃないでしょうか。


それでは、次回もキリ……少女達と地獄に付き合ってもらう。

大変、面白いSSだと思いますが宮ふ、わたしとバルクホルン大尉の絡みを多くしたら、
すごく面白い作品になると思います!

>>834 シャーリー 「呼んだか トゥルーデ?」

>> 837 ボーボボとかのSSなら絶対に使ってやったのに。筆が遅いのに成田病ってなんやねん……

片翼の魔女二巻の表紙が来ましたね。ついでに零の二巻の重版も欲しいものです。
関係ないけど、片翼の角丸隊長の元ネタが不憫すぎて泣きそうです。マルちゃんとかも。戦争って怖いですね。


【9話 TRY AGAIN】

バルクホルン 「くっ……イェーガー!」

シャーリー 「わーってる! アタシの早さを舐めんな!」 ゴォォッ

鳴上 「あのネウロイ……」

バルクホルン 「鳴上は宮藤を連れて射線から引き離せ!」

鳴上 「りょ、了解……宮藤。こっちだ……」 ブロロ……

宮藤 「どうして……」

バルクホルン 「よし、手の空いている者は攻撃に移れ!」

サーニャ 「歌の次は人の形……どれだけ私たちを……」 バシュバシュ

エイラ 「おちょくりやがるんダ!!」ドドドドドッ

ハルトマン 「的がちっちゃいなあ……ホント」

ヒト型ネウロイ 「!!」

鳴上 「あの避けかた……まるで、ウィッチみたいだ……」

バルクホルン 「そんなことがあってたまるか!」 ドガガガガッ

ヒト型ネウロイ 「」コォォォ

> ネウロイは雲の向こうへ逃げていく……

鳴上 「逃がすかって……」

バルクホルン 「落ち着け!」

鳴上 「坂本さんがやられたんだぞ!」

宮藤 「」ビクッ

鳴上 「あ、いや……宮藤のことじゃなくて……」

バルクホルン 「あの黒い雲が何か分かるか。」

鳴上 「……」 フルフル

バルクホルン 「ネウロイの巣だ。今のお前ではあっというまに特進だろうな。」

鳴上 「特進?」

バルクホルン 「妙な所は鈍感だな」

バルクホルン 「戦死だよ。」

鳴上 「……」

シャーリー 「バルクホルン、少佐を掴まえた!」

ペリーヌ 「少佐! しっかりしてくださいまし! 少佐!!」

バルクホルン 「よくやった! 直ぐに帰還するぞ、宮藤は少佐の出血だけでも魔法で抑えてくれ。」

宮藤 「……」

バルクホルン 「宮藤芳佳軍曹! 坂本少佐の手当てを!!」

宮藤 「は、はい…………少佐…………」

ハルトマン 「それじゃ、帰ろっか。」

サーニャ 「エイラ……」

エイラ 「もっかいめくるカ、タロット……気休めだけどナ。」 ペラ

エイラ 「っ……星の……正位置。大丈夫ダ。すぐに治るし、皆元通りになるさ。」

サーニャ 「そっか……よかった……」

エイラ 「お、おう……」

鳴上 「……エイラ、少し来てくれ。」

エイラ 「あ、何だヨ。」

サーニャ 「そんなつっけんどんにしないの。」

エイラ 「……分かっタ。どした。」

鳴上 「サーニャに教えたタロットの絵柄、嘘なんだろ。」

エイラ 「!!……サーニャには、心配してほしくないからナ。」

鳴上 「それじゃ、大橋……じゃなくてエイラ先生に絵柄を教えてもらおうかな。」

鳴上 「サーニャを心配させたくないからって、1人で抱え込むこともない。」

エイラ 「……そうだナ。と言っても、私のタロットの読みは皆、どこかで考えていることダ。」

エイラ 「ここの皆だけじゃない。誰もが奥で恐がっていること。」

エイラ 「それじゃ問題だ……このカードの答えを言ってミロ」

鳴上 「四人の天使に……輪っか。運命のアルカナか。意味は……」

エイラ 「すれ違い、物事の悪化……そんなトコダナ。80点カナ。」

鳴上 「そりゃどうも。でもエイラが言いたくない理由も分かった。」

エイラ 「そうダロ。」

鳴上 「やっぱり、エイラは優しい奴だ。」 クシャクシャ

エイラ 「おい、勝手に頭撫でんナー!!」

鳴上 「俺たちで、隊を守ろうな。」

エイラ 「……当然ダロ。それが私に出来ることダ。一応、頼りにしてるゾ。」

> エイラからの信頼を感じる……

シャーリー 「どうかしたのか?」

鳴上 「皆、気持ちは同じだってことだよ。」

シャーリー 「そうか。あんま、騒ぎすぎないようにな。」

バルクホルン 「担架の準備は出来ているそうだ。直ぐに行くぞ。」

シャーリー 「皆ピリピリしてるしな。」

――
――――

【医務室】

医師 「ひとまず、危険な状況は抜け出したよ。今の所はね……」

宮藤 「……って、言うと? 」

医師 「余談を許さないってことだよ。それじゃあね。僕は少し休ませてもらう。」

リーネ 「分かりました。何かあったら、よろしくお願いします。」

医師 「ああ、そうならないことを祈るよ。しかし、止血とか、手当ては相変わらず完璧だよ。」

宮藤 「ありがとう……ございます……」

医師 「さすが宮藤博士の娘さんってことかな?」

宮藤 「父を知っているんですか!?」

医師 「そりゃあ、名前だけならね。」

看護師 「こっちでは結構有名ですよ。映画の記念式典で墜落したウィッチを救ったのも宮藤さんって名前ですし。」 バタン

宮藤 「……」

鳴上 「凄いな、本職から褒められるなんて、そうも無いぞ。」

宮藤 「……」

リーネ 「嬉しく……ないの?」

宮藤 「だって、こんな酷い怪我になったのは、私のせいだもん。それで褒められても……嬉しく、ない。」

ペリーヌ 「……」バタン

鳴上 「ペリーヌ。眼が赤いぞ。」

ペリーヌ 「宮藤さん……最初に、謝っておきますわ。」

宮藤 「え……っ!」

パシッ

> ペリーヌが、宮藤の頬を叩いた……

リーネ 「ペリーヌさん!?」

ペリーヌ 「少佐がやられたのはあなたの責任ですわ!」

ペリーヌ 「ネウロイなんかを庇って、それで……っ!!」

リーネ 「ペリーヌさん。落ち着いて……」



ペリーヌ 「あなたには関係ありませんわ、黙ってなさい!」

リーネ 「関係ある……絶対に、黙りません! 」

> 凄まじい口論が起こっている……

鳴上 「落ち着」

ペリーヌ・リーネ 「すっこんでて(なさいまし)!」

鳴上 「すいませんでした。」

宮藤 「……」 フワッ

鳴上 「宮藤? お前、さっきまで回復魔法を使って消も」

宮藤 「いいの。ペリーヌさんの言うことは本当だから……」

リーネ 「芳佳ちゃん……」

宮藤 「私が……やらなゃ……」

ペリーヌ 「……フンッ」 バタン…タッタッタ…

> ペリーヌは行ってしまった……

リーネ 「ペリーヌさんも、芳佳ちゃんも……皆、焦ってるみたい。」

鳴上 「確かに、少し様子がおかしかったな。坂本さん絡みってのもあるけど」

リーネ 「でも、そうだとしたら、ずっと少佐の傍にいるはずですよ。」

鳴上 「そうだよな。」

鳴上 「……少し席を外していいか、様子を見てくるよ。」

リーネ 「お願いします……今は、私も冷静に話とか、出来なくて……」

鳴上 「大丈夫だ。皆そうなんだよ。」 バタン


鳴上 「皆、思っていることは一緒なのに、バラバラになっていく……」

【格納庫】

鳴上 「しかし……どうしてあんなに動揺して……」

島田 「鳴上じゃないか。どうした。」

鳴上 「ええ、少し。それより名前がついたんですね。フ……敏……でもなくて。」

島田 「まあ、ずっとモブも……って、あと。下は止めてくれ。ホント危ない。」

鳴上 「そういえば、ペリーヌと宮藤って何かあったのか? ネウロイが来るより先に飛んでたけど。」

島田 「うーん……決闘だ、なんだと言ってたと思うけど。」

鳴上 「決闘……?」

――
――――

【機関室】

ペリーヌ 「……」

鳴上 「探したぞ、ペリーヌ。少佐の傍にいてやらなくても」

ペリーヌ 「放っておいてください……」

鳴上 「そういうわけにもいかない。」

鳴上 「ずっと眼を腫らして俯いているつもりか?」

ペリーヌ 「こんなみっともない顔をお見せするつもり、無いですから。」

鳴上 「……少佐が起きたとき、傍に居てやらないでどうする。」

ペリーヌ 「だから、放っておいてといってるでしょう!!」

> 今は慰めることは逆効果だ……

鳴上 「分かった……休んだらちゃんと顔を見せてやれよ。」

ペリーヌ 「今の私に、そんなことをする資格なんてありませんわ。」

鳴上 「ああ。そんな弱虫の顔なんて少佐だって見たくないだろうしな。」

ペリーヌ 「 ! 」ピクッ

ペリーヌ 「今……何とおっしゃいました?」

鳴上 「弱虫と言ったが。間違っていないだろう。」

ペリーヌ 「……訂正なさい。」

鳴上 「何がだ? 決闘とかいったか。宮藤に模擬戦を申し込んだんだろ。」

鳴上 「その時、宮藤が丸腰同然で行ったにも関わらずその場に待機して。」

ペリーヌ 「それは命令に従ったまでで……」

鳴上 「それでも、少佐が怪我をした原因の一端じゃないのか?」

鳴上 「……まあ、これはいい。いちゃもんは後からならいくらでも出来る。」

鳴上 「俺が言いたいのは、少佐の怪我の“責任”を負わなきゃいけない奴が頑張ってるのに……」

鳴上 「“責任”とやらを押し付けた奴がそいつに八つ当たり紛いに喚いて、逃げていることを弱虫以外にどう表現する。」

鳴上 「お前はただ宮藤、少佐と向き合うのが恐いだけだ……甘えるな!」

ペリーヌ 「勝手を言わないで……私の何が分かりますの!」 パシッ

> ペリーヌに頬を打たれた……

鳴上 「……」

ペリーヌ 「そうよ、私にも責任はありますわ。命令を無視してでも本当は宮藤さんを止めるべきだった!」

ペリーヌ 「いえ、嫉妬紛いの感情から決闘なんて申し込むんじゃ無かった!」

ペリーヌ 「坂本少佐の怪我は私の責任でもありますわ。じゃあどうすればいいの!」

ペリーヌ 「故郷を失った時は簡単でしたわ! ウィッチという出来ることがありましたもの!」

ペリーヌ 「でも今は、宮藤さんみたいに治癒を使える訳でもない! 何か食事を作ってあげられるわけでもない!」

ペリーヌ 「本当に……どうすればいいか分からないの……それを向き合うと表現するならその通りですわ。」

鳴上 「……自分を慕ってくれる人が傍にいることほど。心強いことは無い。」

鳴上 「いつも通り傍にいてやれ。」

ペリーヌ 「……」

鳴上 「訂正しよう。弱虫じゃないな。」

鳴上 「メソメソ逃げる奴は頭1つ違う男をぶったりはしないからな。」

ペリーヌ 「……ズルいですわ。そういうの。」

鳴上 「前に言っただろ?」

ペリーヌ 「前というと……」

鳴上 「プレゼントの買い物のときだ。」

鳴上 「何でも話せ。憎まれ口でもなんでも。全部受け止めてやるって。」

ペリーヌ 「……扶桑のウィッチはどうしてこう……グスッ」

鳴上 「確かに酷い顔だ。ぐちゃぐちゃだぞ。」

ペリーヌ 「……だから、見せたくなかったのに。」

> ペリーヌとの間にかけがえのない絆を感じる……

> ペリーヌが落ち着くまで待ってから、病室へ向かうことにした……

ペリーヌ 「……」

鳴上 「どうして俯いているんだ。石ころが転がってるわけでもないだろう。」

ペリーヌ 「いえ、その……」

ペリーヌ 「やっぱり、宮藤さんにあんな事を言ってしまって……」

ペリーヌ 「何と言えばいいのか……」

鳴上 「少し、クサイことを言ってもいいか。」

ペリーヌ 「もう、何度も言ってますわ。」

鳴上 「それもそうだ。んじゃあ……」

鳴上 「顔を上げろ。地面に希望は転がってないぞ。」

ペリーヌ 「……それと、何の関係が?」

鳴上 「覗き見ってのはいい趣味じゃないけど……ペリーヌはよくやってるしいいか。」

ペリーヌ 「し、失礼な! 私のはただ」

鳴上 「しっ……」

> そっと医務室の扉を開けた

鳴上 「あれが、ペリーヌの希望だ。多分。」

ペリーヌ 「……?」


宮藤 「……少佐……くっ……」 ポゥ……

リーネ 「どう、芳佳ちゃん……もう、魔法力が……」

宮藤 「……お母さんや、お祖母ちゃんがいてくれたら……」


ペリーヌ 「……ッ!」 バンッ

宮藤 「……ペリーヌ、さん……?」

ペリーヌ 「……ねがい……て」

宮藤 「 ? 」

ペリーヌ 「お願い……少佐を助けて!」

リーネ 「ペリーヌさん……」

ペリーヌ 「お願いよ、もう少しだけでいいの!」

ペリーヌ 「悔しいけど、アナタにしか出来ないの……お願い……」

宮藤 「……分かったよ。」


鳴上 「何だ。ちゃんと、話せてる……」

エイラ 「ふあぁ……ナルカミ~」

鳴上 「どうした?」

エイラ 「いや、さすがに夜と昼のフル出撃は少しナ……ちと夜間の哨戒、変わってくれないカ?」

鳴上 「……珍しいな。自分からサーニャと離れるなんて……」

エイラ 「……サーニャが、休めって言ったカラ。」

鳴上 「なるほど。分かった、ゆっくり休め。俺も邪魔をしたくなかったしな。」

エイラ 「邪魔?」

鳴上 「少佐たちのことだよ。」

【夜/ 滑走路】

サーニャ 「そうですか……エイラ、ちゃんと休んでくれたらいいけど……」

鳴上 「多分、サーニャが言ったんだから守ってるって。そりゃあ犬みたいに。」

サーニャ 「? エイラの使い魔はキツネだと思うけど……」

鳴上 (凄い、いい子だ……)

サーニャ 「それじゃあ、早速行きましょう……?」

鳴上 「あ、ああ。そうだな。」


――
――――

サーニャ 「……少し雲が多いけど。ひょっとしたら、明日は雨かも。」

鳴上 「雨か……」

サーニャ 「鳴上さんは、雨が嫌い?」

鳴上 「結構好きだ。水かさが増えたら、大きな魚だって狙える。」

サーニャ 「私も、雨は好き……垂れてくる水滴を数えたりとか、よくするから。」

鳴上 「歌を歌いながら、か?」

サーニャ 「ええ。お父様の作ってくれた……」

鳴上 「……なあ、ネウロイって何だろうな。」

鳴上 「敵だとしても。歌を歌ったり……ウィッチの姿になったり。」

鳴上 「まるで、人間の真似をしてるみたいだ。」

サーニャ 「……ネウロイは、私たちの敵よ。」

サーニャ 「オラーシャに、ヨーロッパの大陸。アフリカ。みんな侵略されているもの。」

鳴上 「……そうだな。悪い。」

サーニャ 「大丈夫です……」

> 口数の少ないサーニャと話ながら基地へ帰った……

【朝/ 医務室】

リーネ 「……すぅ」

宮藤 「むにゃ……」

坂本 「……っ。ここは。医務室か。」

坂本 「どうやら生きて帰って来れたか……」

ペリーヌ 「……んっ……し、少佐!?」

坂本 「ああ、お早う……か? お前たちが看病してくれたのか。」

ペリーヌ 「ええ……殆どは宮藤さんのお陰ですけれど……」

坂本 「傍に居てくれるのは嬉しいが……任務はどうした。」

ペリーヌ 「その、私もそう思ったんですけど……」

ペリーヌ 「鳴上さんや、イェーガー大尉がしっかり看病してやれと言って聞かなくて……」

坂本 「はっはっ……っう…」

ペリーヌ 「少佐!?」

坂本 「いや、大した痛みじゃあない。大丈夫だ……いい仲間を持ったな。」

ペリーヌ 「……はい!」

宮藤 「……ふぁ。あれ。私、寝ちゃって……坂本さん!?」

ペリーヌ 「お静かに。傷に響きますわ。」

坂本 「いや、ペリーヌも同じような反応だったぞ。」

ペリーヌ 「 ! 」

坂本 「まあ、気にするな。話し声に参るほどヤワじゃない。」

宮藤 「坂本さん……私……」

坂本 「……助かったよ、宮藤。」

宮藤 「いえ、そうじゃなくて……」

坂本 「1つ聞きたい。いいか?」

坂本 「なぜネウロイを庇った。」

坂本 「まさかお前がネウロイのスパイロボットというわけでもあるまい。」

宮藤 「ち、違いますよ。私がネウロイだったら、もっと賢くします。」

宮藤 「例えば……リーネちゃんみたいな!」

ペリーヌ 「……言ってて、悲しくなりませんの?」

宮藤 「う……」

リーネ 「……レン……じゃなくて……坂本少佐!?」

ペリーヌ 「3人が1様に同じ反応を……」

宮藤 「その……少佐。ネウロイって、何ですか?」

坂本 「……?」

宮藤 「あの時のネウロイ……今までのと、少し、違う気がしたんです。」

ペリーヌ 「ネウロイが……違う?」

リーネ 「どういうこと?」

坂本 「ウィッチの姿をしていたから。という訳ではないだろうな。」

宮藤 「……」

宮藤 「あの時……ネウロイが私にコアを見せたんです。」

宮藤 「敵だったら、そんな。自分の弱点を晒すことなんて……」

ペリーヌ 「……」

坂本 「それはミーナにも伝えてくれ。考えなければならないことだ。」

坂本 「でも、ネウロイは……私や仲間から沢山のものを奪ったんだ。」

坂本 「ネウロイは……敵だ! 」

ペリーヌ 「……」

宮藤 「ご、ごめんなさい……ペリーヌさん。その……」

ペリーヌ 「謝らないで。余計私が惨めに思えてしまいますわ……」

バルクホルン 「すまない。宮藤はいるか?」

宮藤 「あ……はい……」

バルクホルン 「ミーナが呼んでいる。すぐに、とは言わないが落ち着いたら来て欲しいそうだ。」

宮藤 「わ、分かりました……」

【執務室】
――
――――

ミーナ 「命令の違反に、上官の負傷の原因……後者は軍規じゃないけど……」

ミーナ 「宮藤軍曹。軍事裁判へ掛け合うことを希望しますか。」

宮藤 「…………あの」

ミーナ 「希望しないとみなします。」

ミーナ 「宮藤軍曹。貴方には10日の自室禁固を命じます。」

ミーナ 「以後は衛生、食事以外は自室にいること。」

宮藤 「……あの、話を」

ミーナ 「こちらからは以上よ。退出しなさい。」

宮藤 「……」

ミーナ 「復唱は?」

宮藤 「宮藤芳佳軍曹は……10日の自室禁固です……」 キィ……


リーネ 「芳佳ちゃん……」

宮藤 「……ン。」

リーネ 「一緒に、お風呂、行かない? 熱いお湯を浴びたら、少し気が晴れるかも……」

宮藤 「そだね……」



バルクホルン 「いくら何でも少しくらいは話を聞いてやるべきではないのか?」

ミーナ 「軍規は絶対よ……上の眼も厳しいの。分かって……」

バルクホルン 「人のことは言えないがな……ミーナは1線を越えるとどうも1つに固執しすぎる。」

バルクホルン 「極端というかなんというか……」

ミーナ 「……そうね。ひょっとしたら、エーリカの方がこういうの、上手くまとめるのかも。」

バルクホルン 「……かも、しれんな。」

ミーナ 「……変わったわね。トゥルーデ。今までなら、そんなこと絶対言わなかったもの。」

バルクホルン 「宮藤や鳴上を見ていればな。」

ミーナ 「確かにね。」



【浴場】

シャーリー 「おっす。宮藤。」

ルッキーニ 「シャッスー!」

宮藤 「シャッスー……じゃなくて。シャーリーさんに……ルッキーニちゃん?」

シャーリー 「んで、どうだったんだ。処分は。」

宮藤 「自室、禁固だって……」

シャーリー 「なーんだ。そんくらいでウジウジすんなって。」

ルッキーニ 「うじゅうじゅー!」

宮藤 「あ、ありがとう……かな?」

シャーリー 「アタシなんか4回だぜ? ハルトマンは?」

ハルトマン 「ろ~く~……」 ブクブク

シャーリー 「うおっ……そうなのか。負けた気がする…」

ハルトマン 「胸だけが優劣を決めるのんじゃないのだよー」

サーニャ 「胸……関係あゴボゴボ…」

エイラ 「サーニャ! こんなとこで寝たら溺れるゾ!」

バルクホルン 「全く……そんなことで張り合うな。」

シャーリー 「おっす、バルクホルンも。」

バルクホルン 「全くお前たちは……宮藤も、あまり独断行動は控えるようにな。」

ハルトマン 「ずるーい! 宮藤にだけ甘くない?」

バルクホルン 「お前たちは常習だろう!?」

宮藤 「はは……分かりました。気を付けます。」

バルクホルン 「うむ……ところで、執務室で何か言いかけただろう?」

宮藤 「そのことですけど……」

> ネウロイが本当に敵なのか、分からないことを伝えた

シャーリー 「あー……今更、ネウロイが敵じゃないってもなぁ……」

ルッキーニ 「現に、いっぱいの人がやられてるしねー」

バルクホルン 「私たちの国もやられた。

ハルトマン 「それで敵じゃないっても……こればっかりは少佐に賛成だよ。」

宮藤 「……そう、ですよね……」



エイラ 「……サーニャ、どした?」

サーニャ 「鳴上さんも、同じことを言ってたの……」

宮藤 「私……先に上がるね?」

リーネ 「……芳佳ちゃん……」

バルクホルン 「上がったら、廊下で少し待っていてくれないか。」

バルクホルン 「宮藤を信頼しないわけじゃないが……規則でな。」

宮藤 「分かりました……」


――
―――――

宮藤 「……どうして、みんな信じてくれないのかな。」

鳴上 「宮藤。ペリーヌと、上手くいってないのか?」

宮藤 「鳴上君……そうじゃなくてね。」

宮藤 「私、あのネウロイが、悪いものって思えなくて……」

鳴上 「その事か。」

宮藤 「鳴上君も、ネウロイは敵だって思うの?」

鳴上 「……俺の友達にさ。姉を殺された奴がいたんだ。」

鳴上 「そいつは最初、俺や仲間のことを嫌ってたんだ。」

鳴上 「お前の友達が死んだのに、どうしてそんなヘラヘラしているって。」

宮藤 「……それと、どう関係が?」

鳴上 「特に意味は無いぞ。」

宮藤 「……あ、そうですか。

鳴上 「……でもさ、何かをこうだって決めつけたりすることって、恐いよな。」

鳴上 「少し、状況を整理してみないか? 宮藤のことだ。ミーナ隊長との話はビビってたんだろ?」

宮藤 「うぅ……」

鳴上 「まず、どうして宮藤は撃たれなかった? 持っていたのはペイント弾だった。」

宮藤 「……うん。撃ったけど……全部ペイントだし、すぐにたま切れで……」

鳴上 「少佐は実銃を撃った。そして攻撃を受けた……」

宮藤 「あのネウロイ……どうしてそんなことを?」

宮藤 「余計に変になっちゃうよ……」

鳴上 「ゆっくり考えればいいさ。焦ることはない。」

バルクホルン 「宮藤。に鳴上? 何か話していたのか?」

鳴上 「ええ。少し世間話を。」

バルクホルン 「そうか。では宮藤。着いて来い。」

えろはありますか?

>>864 サーニャヲソンナメデミンナー!


【宮藤の自室】

バルクホルン 「では、鍵をかけておくぞ。何かあったら言ってくれ。」

宮藤 「ありがとうございます……」

バルクホルン 「あくまで規則だ。大人しくしていてくれ。」

宮藤 「分かりました。」

バルクホルン 「ゆっくり休むといい。きっと疲れているんだ。」 カチッ

宮藤 「……」 ドサッ

宮藤 「あのネウロイ……何なんだろう……」

宮藤 「……」

> カーテンが風に揺れている……

> 窓が開きっぱなしのようだ。

宮藤 「……ごめんなさい。でも、確かめなきゃいけない……よね。」ヒョイッ

宮藤 「……っ……」 ガサガサッ……タッタッタ



ざる警備w
と笑っていいのかこれ?

>>866 アニメもザル極まり無かったし、もうね、それだけ宮藤を信頼してるってことで。

【格納庫】

宮藤 「……あ。」

鳴上 「こんなとこだと思ったよ。」

宮藤 「鳴上君……お願い、止めないで。」

鳴上 「さて、なんのことだろうな。俺は少しストライカーの調子を見に来ただけだ。」

宮藤 「こんな時間にですか?」

鳴上 「ちょうど終わって俺は部屋で編み物をする。俺は何も見ていない。」

鳴上 「見送りって大層なもんじゃない……これはただの独り言だ。少し声が大きいかな?」

宮藤 「……ありがとうございます。」

鳴上 「……行ってこい。宮藤自身の霧を払うんだ。」スタスタ……

宮藤 「うん。」


リーネ 「芳佳ちゃん……やっぱり。」

宮藤 「確かめなきゃ、いけないから。」

宮藤 「ネウロイのことを。答えが出るまで。」

リーネ 「ネウロイは分からないけど……芳佳ちゃんのことなら分かる。」

リーネ 「絶対に、帰ってきてね。私が、私たちが芳佳ちゃんの戻る場所だから。」 ギュッ

宮藤 「大丈夫だよ。行ってきます。」

リーネ 「行ってらっしゃい。」

宮藤 「宮藤芳佳……発進します!」 ブロロ……

鳴上 「どうやら、行ったらしいな。」

リーネ 「本当だったら、着いて行きたいですけど……」

鳴上 「1人でやらなきゃいけないこと。向き合わないといけないことだってあるさ。」

リーネ 「まるで、自分のことみたいに言うんですね……」

鳴上 「少し前の俺を見てるみたいだからな。気にもかけるさ。」

リーネ 「じゃあ、鳴上さんもあんな無茶をしたんですか?」

鳴上 「ははっ、どうだろう。」

> リーネは笑っている……

シャーリー 「ナルカミに、リーネ? 何をしてたんだ。珍しい組み合わせだ。」

鳴上 「なに、無鉄砲な友人を持つと大変だって話だ。」

シャーリー 「宮藤のことか? まー、アタシは常習だし何も言えないわな。」

シャーリー 「脱走に無断出撃、このまえはつまみ食いに…」

シャーリー 「お前からも言っておいてくれよ。一度の失敗でくよくよするなって。」

鳴上 「……ああ。分かった。」




宮藤 「……あのネウロイ。まだいるかな……」

【数時間後 講堂】

> 全隊員がミーナ隊長に呼び出された。

ミーナ 「あまり時間が無いから、用件だけを伝えるわ。」

ミーナ 「宮藤さんが、脱走したわ。」

シャーリー 「……まさか、ネウロイは敵じゃないかもといってたの。マジで確かめに!?」

バルクホルン 「否定はできんな……」

鳴上 「……」

ミーナ 「上からの報告はこうよ。直ちに出撃して、宮藤さんを撃墜しなさいって。」

ハルトマン 「……話が、急すぎない?」

バルクホルン 「アイツを……撃墜?」

サーニャ 「……芳佳ちゃん……」

鳴上 「……ふざけるな! 宮藤を撃墜だって? 仲間なんだぞ!。」 バン

鳴上 「ここの世界じゃ、銃は守るために撃つんだろ! 人を殺すためじゃないだろう!」

鳴上 「こんなので守れるのはただの体面だ。そうやって人に銃を突きつけたら……戦争も同じだ!」

ミーナ 「落ち着きなさい。鳴上君……」

鳴上 「何もかも納得出来ませんよ。ハルトマンの言う通りだ。まるで、待っていたようなタイミングじゃ」

ミーナ 「もう一度しか言わないわ……落ち着きなさい。鳴上悠軍曹。」

鳴上 「っ……」

鳴上 「……出すぎた真似でした。」

ミーナ 「……誰も納得してるわけじゃないでしょうけど。こちらに決定権は無いわ。」

ミーナ 「でも、撃墜は、最終手段よ。多分命令伝達に手違いがあったとでも誤魔化せるわ。」

ミーナ 「鳴上君……皆、考えてることは同じなの。」

鳴上 「……」

鳴上 「……1つだけ、話をしてもいいですか。」

ミーナ 「手短に。」

鳴上 「宮藤の言った、ネウロイは敵じゃない……ここの皆は信じてないと思う。」

鳴上 「だから、1つだけ忘れないでください。真実は見たい人の思いで都合よく姿を変えるってことを。」

鳴上 「都合よく真実を見てるのは宮藤かもしれませんけど。」

ミーナ 「……リネット軍曹は自室待機。宮藤さんの代わりをお願い。」

ミーナ 「ペリーヌ中尉と鳴上軍曹は少佐の看病を。何をしでかすか分からないから……」

鳴上・ペリーヌ・リーネ 「了解。」

ミーナ 「それでは、出撃準備を。解散。」

> 皆は慌ただしく格納庫へ去っていく……

エイラ 「ナールっカミ。さっきのハッパ、かっこよかったゾ。」

エイラ 「だかラ、こっちは私に任せロ。ちゃんと宮藤を連れて帰ってやっから。」

エイラ 「誰か1人でも欠けちゃ、部隊を守ったなんて言えねーカラ。」

> エイラからの気遣いを感じる……

鳴上 「頼りにしてるぞ。」

【医務室】

> 坂本少佐に話の経緯を伝えた。

坂本 「……そうか。宮藤が脱走。よほどネウロイのことが気になったんだろうな。」

鳴上 「ええ。きっと。帰ってきてくれたら万々歳ですけど……」

ペリーヌ 「けど、意外ですわね。鳴上さんがあんなに怒るなんて。」

坂本 「ああ。こっちにまで声が聞こえたぞ。」

鳴上 「仲間が仲間を殺すなんて……」

鳴上 「ごめん。また熱くなった。けど、こんなのはあんまりだ。」

ペリーヌ 「ふふっ……よっぽどですわよ、ミーナ中佐にあこまでの剣幕で食ってかかるなんて。」

ペリーヌ 「私なんて、あの目で見られただけでも落ち着きませんのに。」

坂本 「けれど、確かにその命令はおかしい。」

坂本 「まるで宮藤が都合の悪いことをしでかしたみたいだ。」

鳴上 「ネウロイのことで、ですか?」

坂本 「あのヒト型ネウロイが……という線は捨てきれないな。」

坂本 「……車椅子を、出してくれないか。」

ペリーヌ 「こちらに……何か、ありまして?」

坂本 「念には念を。だ。」


【ガリア国境/ ネウロイの巣付近】

宮藤 「……やっぱりいた。

ヒト型ネウロイ 「……」

宮藤 「あの時の、ネウロイ……ねえ、あなたは本当に、敵なの?」

ヒト型ネウロイ 「……」 スーッ

宮藤 「……着いて来い。ってこと?」



ミーナ 「見えたわ。宮藤さんよ。」

ルッキーニ 「見て! 芳佳がネウロイの巣に行っちゃう……」

ミーナ 「ここで様子を見ましょう。無闇に接近は危険よ。」

宮藤 「……これが、ネウロイの巣の中。」

宮藤 「……少し、恐いかな。」

ヒト型ネウロイ 「?」 ギュッ

宮藤 「ありがと。手、握ってくれるんだね。」

ヒト型ネウロイ 「♪」

宮藤 「ふふっ……やっぱり、あなたが敵だなんて、思えない……」

ヒト型ネウロイ 「……」 スッ

宮藤 「……なに、これ。っ! 私や、みんな!?」

> 巣の一面に、ウィッチの戦う姿が映されている……

> 黒い飛行機が見える……

宮藤 「これって……」

ヒト型ネウロイ 「 ! 」ドンッ

宮藤 「きゃっ!?」

ゴオッ!!

> ネウロイらしきビームがヒト型ネウロイを襲った……



シャーリー 「っ!? 今のは何だ!」

ルッキーニ 「わかんないよ! あっという間だったし。」

エイラ 「早い……」

バルクホルン 「ひょっとしたら、お前よりも早いかもな。リベリアン。」

シャーリー 「そんなことがあるかっての。」

ミーナ 「静かに。」

宮藤 「今のは!?」

ゴォォォ……

宮藤 「また、行っちゃった……」

ミーナ 「宮藤軍曹!」 ブロロ……

宮藤 「ミーナ中……」

ミーナ 「宮藤軍曹。アナタを脱走の罪で拘束します。」

宮藤 「 ! 」

ミーナ 「アナタには、撃墜命令も下されているわ。抵抗はしないでちょうだい。お願い。」

宮藤 「……はい。」

ミーナ 「目的は達成したわ……全機、帰投します。」



【格納庫】

ペリーヌ 「こ、こうですか?」 ゴソゴソ

鳴上 「……もう少し奥まで入らないか?」

ペリーヌ 「無理を言わないでくださいまし。」

坂本 「すまんな。お前たちにこんな無茶をさせて。」

ペリーヌ 「っ……少佐のせいではっ、ありませんわ……っ」 グイ

鳴上 「扱いの差が酷くないか……?」

「そこで何をしている!」

鳴上 「ヒーホー!」

「なんだ……ジャックフロスト……そんなわけがあるか! 今は夏だぞ!」 ドタドタ……

ペリーヌ 「今のはなんですの!? 色んな意味で!」

兵士 「動くな。」 カチャ

坂本 「くっ……」

鳴上 「くそっ!」チャッ

坂本 「止めろ、抵抗はするな。」

兵士 「賢明な判断だ。貴重なウィッチを射殺したくはない。」

ペリーヌ 「どうだか……」ボソッ

鳴上 「……不細工な銃だ。子供の工作みたいだ。」

兵士 「……」

ペリーヌ 「お止めなさい! ブリタニアの兵器は一風変わってることで有名で……」

兵士 「とにかく、着いて来い。逃げようなどとは思うな。」

兵士 「モブなのに、どうしてここまで傷を抉られなきゃいかんのだ……」

【滑走路】

> 銃を向けられ、立たされている……

リーネ 「……」

ペリーヌ 「……」

上級士官 「これはこれは、坂本少佐。傷はいかがかね?」

坂本 「トレヴァー・マロニー中将……」

マロニー 「車椅子では健康とは言えそうにありませんな。」

マロニー 「もっとも、その怪我の原因がアナタの部下というのも、やりきれないでしょうな。」

坂本 「……」

マロニー 「出来の悪い部下を持つと苦労するのは、どこも」

鳴上 「出来の悪いなんて決め付けて突っぱねるから、アンタは苦労するんだ。」

マロニー 「っ」

坂本 「……ええ。アイツには手を焼かせられますが、出来の悪いなんて言う積もりはありません。」

坂本 「ゆくゆくは、皆を率いて戦うウィッチになると、確信していますよ。」

マロニー 「……君は確か、男のストライカー乗りだったか?」

鳴上 「第501統合戦闘航空団、鳴上悠軍曹です。」

兵士 「口が過ぎるぞ軍曹。」

鳴上 「俺は朱子学はくそ食らえと思ってます。間違ってることなら、遠慮なく言いますよ。」

マロニー 「……扶桑男子、だな。鳴上軍曹。しかし、その肩書きもじきに意味をなさなくなる。」


> 遠くに8機のストライカーが見える……


ミーナ 「……マロニー中将。」

マロニー 「待ちくたびれたよ。宮藤軍曹の撃墜を命じたはずだが?」

ミーナ 「彼女に交戦の意志が無かったので。弾の無駄だと。」

マロニー 「そうか。」

> 一斉に銃口が皆を包む……

マロニー 「抵抗はしないほうがいいぞ。」

鳴上 「……」

マロニー 「さて、先に新たにブリタニアの空を守る者を紹介しよう。」

> 戦闘機のようなものが変形して人型を作り、着陸した……

マロニー 「我がブリタニア空軍の誇る新兵器。ウォーロックだ。」

鳴上 「……」 ギリッ

シャーリー 「ナルカミ、少し怒ってる?」

ルッキーニ 「ほら、自称してる名前を取られて……」

マロニー 「完全な自律飛行に高い攻撃力……まさに新たな時代の象徴たる兵器だ。」

宮藤 「……私見ました!」

マロニー 「どうした。君も空でこの力を見たのだろう。」

宮藤 「いえ! ウォーロックを、ネウロイの巣の中で!」

マロニー 「ば、バカなことを言うな!」

宮藤 「本当です。アレが、ネウロイと接……」

マロニー 「その前に、何故脱走した。挙げ句の果てにはネウロイの巣へ突っ込むなど、無茶もいいところだ。」

> マロニー中将は僅かに動揺している……

マロニー 「答えを聞かせてもらおう、宮藤軍曹。」

宮藤 「そ、それは……」

マロニー 「まあいい。これで君たちはお役ごめんだ。」

ミーナ 「……と、言いますと。」

マロニー 「解散だ。」

鳴上 「 ! 」

マロニー 「現時刻を以て、ストライクウィッチーズを解散する。」

宮藤 「……ぇ」

マロニー 「各員は直ちに荷物を纏めて基地を離れ、元隊に復帰したまえ。」

マロニー 「これ以上の命令無視は看過出来ないからな……君のせいだぞ。宮藤軍曹……」

宮藤 「私の……せい……」

宮藤 「私の……私の……」 ドサッ


つづく

【次回予告】

「ごめんなさい……私のせいで……」

「なに、少し君と話がしたくてな。」

「見張りはいないな……マロニー中将の、ヤツの態度には。何か裏がある。」

「バカな……こんなデカイものを使う気なのか!?」

「出撃を命じた人間か……ここ501の、最先任下士官の許可だ!」

「我が名は……アメノサギリ。」

最終話 We can do it

ちょっと駆け足のような気もするけど、9話はいかがだったでしょうか。
最後あたりを大きくいじろうとしたら、結構レス消費するかなーって思いまして。
シリアス(not尻ass)なのに変なボケをかましてgdgdにしちゃいました。反省。
でも、ステンのモッサリ感は2のダンテにも勝ると思う。
それでは、次回も少女たちと地獄に付き合ってもらいます。
もう少しお付き合いください。

ゴールデンだとスキルカードのお陰で殆どのペルソナが使い勝手良くなったよ

>>887 お陰で事故ナギの意義も薄れたけどね。金さえあれば簡単に強いナギ作れるのは嬉しいけど。

てなわけで、最終話をこれまたゆるゆる書いてきます。


【10話 We can do it】

【昼/ 宮藤の部屋】

>倒れた宮藤を部屋へと運んだ

鳴上 「よっこら……せっと。」

ミーナ 「ごめんなさいね。こんなことになって。」

鳴上 「いえ、人を運んだりするのは慣れてますから。」

バルクホルン 「しかし……宮藤が目覚め次第、荷物をまとめて基地を出ろとはな。」

シャーリー 「さっきから言ってるけど、おかしいよなぁ。やっぱ。」

ハルトマン 「だよね。まるで私たちに見せたくないものがあるみたい。」

ルッキーニ 「男の子のベッドの下にある本とかみたいなものだったりして。」

シャーリー 「ナルカミとこにも……あったりする?」

鳴上 「……見せればいいのか?」

シャーリー 「……乙女にはなかなか来る冗談だな。」

鳴上 「よく見抜いた。」

バルクホルン 「漫才をやっている場合か!」

エイラ 「まー、こんくらい緩い方ガ、宮藤もそんなに気負わないダロ。」

リーネ 「……そうかも。お別れなら、笑ってのほうがいいもの。」

ミーナ 「……取り敢えず、皆は荷物をまとめておいて。」

一同 「了解。」

> 皆は思い思いに立ち去っていく…

ミーナ 「……鳴上君。アナタも準備をしておきなさい。」

鳴上 「ええ、今のところはそうさせて貰います。」 スタスタ

鳴上 「……俺は、まだ終わりとは思ってません。」 バタン

ミーナ 「皆こんな終わりじゃ、納得出来ないわよね。」

> 散らかった部屋を掃除し、荷物をまとめた

鳴上 「……結局、渡す機会。無くしたな。」

> あちこちの部屋から声が聞こえる……


『エーリカ! 騎士鉄十字章を無くすとは何事だ!? それにこの部屋! 明け渡すどころか封鎖しているではないか!』

『しょーがないじゃん……別に恥ずかしいものがあるわけじゃないし。』

『こ の ズ ボ ン は な ん だ ! 第一、生活に必要の無いものを集めるからこうなるんだ!』

『じゃあ、クリスの写真は……別に生活にはいらないんじゃ?』

『ぐっ……仕方あるまい。家族の写真なのだ。それに、無いと心細くてな……』

『ふぅーん……』

『ええい! なっ! 何がおかしい! このっ! 逃げるな! 』 ゴトッ…ガシャッ

『わーい、トゥルーデが怒ったー!!』

『ぐっ…お前というやつはどうしてこう!』


鳴上 「陽介と、クマみたいだ……」

> 別のことろからも、声が聞こえる……


『わざわざすみません……整理を手伝ってくれて。』

『いいんですのよ。私はほとんど着の身着のままですから。』

『すみません……』

『だーかーら、謝らないでくださいまし。』

『すっ……ありがとう。ペリーヌさん。』

『ふふっ……変わりましたわね。前なら、もう二度くらい謝ってましたのに。』

『ペリーヌさんこそ変わりました。そんな可愛い笑顔なんて、少佐にも向けませんでした。』

『……お互い、ここで良い出会いをしたってことかしら。隊の皆さんと。』

『はい!』

『……変わったといえば。』

『あの……どこを見ているの?』

『来た時よりも大きくなっているような……同じものを食べているのにどうしてこう……格差が……』

『あのっ……そんな……見ないで……ください。』

『ごっ、ごめんなさい。私としたことが、はしたない真似を……』


鳴上 「あと、2年もすれば……」

鳴上 「いや……ムリダナ」

『……エイラ。』

『んー、ドシタ? サーニャ。』

『あの時のタロット……違うタロットを言ったんでしょ?』

『ギクッ……ナ、ナンノコトダカ、サッパリナンダナ。』

『……とぼけないで。エイラ、正直に話して。』

『……私……そんなに信じれないの?』

『……ち、違うンダ! これは、サーニャを心配させたくないってコトデ、ソンナことじゃない。』

『私ハ、約束は守るウィッチだ。ナルカミとも約束したんだ。一緒に隊を、チームを守るッテ。』

『まあ……守れなかったから、こうなったんダケド……サーニャのことは、私が誰よりも信じてル!』

『……でも、最初から言ってほしかったな。』

『私にも、何か出来たかもって思うと……ちょっと、悲しい……』

『……ゴメン。』

『いつも一緒にいるんだから、エイラが嘘を言ってるなんて、お見通しよ。』

『……サーニャの、イジワル。』


鳴上 「100%のヒーローなんているわけないよと分かっているのに……」

鳴上 「君の前だとついつい心がオーバーヒート……」

鳴上 「サーニャを守る騎士には遠いかもな。」

シャーリー 「おーい! ナルカミー!」 ドンドン

鳴上 「どうした。荷物はまとめのか?」

シャーリー 「それを少し手伝ってくれ。ルッキーニのなんだけど。」

鳴上 「分かった。手伝おう。」

シャーリー 「早い! 早すぎるよ! こういうときは慌てたほうが」

鳴上 「シャーリーがそれを言える立場か?」

シャーリー 「えへへ……バレたか。そんじゃ頼むよ、相棒!」 タッタッタ

> シャーリーに頼まれルッキーニの荷物をまとめる作業を手伝った……

鳴上 「……といっても、っ……何ヵ所で過ごしてるんだ!?」

シャーリー 「さあ? アイツも、寝床にしたとこがどこか覚えてないらしいし。」

鳴上 「こんな広いところのあちこちで寝ていたらな……」

シャーリー 「だからお前に頼んだんだって。ルッキーニの世話をしてるんだ。よく知ってるだろう。」

シャーリー 「アタシの次に、だけどな。」

鳴上 「それはどうも。しかし、こうもまちまちだと……」

鳴上 「まるでモズの早贄だ。」

シャーリー 「モズクの……なんて?」

鳴上 「モズって鳥は餌を捕まえたら一回木の枝に刺して保存するんだ。」

鳴上 「でも、すぐに飛んでいくから、餌を見失う。」

シャーリー 「ははっ、ちょっと似てるかもな。アイツは飽きっぽいから。」

鳴上 「それで、本人はどこに行ってるんだ?」

シャーリー 「やっぱり心配だから、そばにいるってさ。部屋のものをまとめて宮藤のとこ。」

シャーリー 「そんで、アタシらはハヤニエ探しってわけさ。」

鳴上 「優しいな。ルッキーニ。」

シャーリー 「まあな。あとは整理整頓が出来れば上出来だけど。」

シャーリー 「アタシもそんな出来ないし、あんまし言える立場じゃないな。」

鳴上 「料理もか?」

シャーリー 「ひっで! アタシだって挟むのと焼くのなら出来る。あとSPEM」

鳴上 「SPEMは出来合いだ。SPEMは料理じゃない。」

シャーリー 「SPEM美味いからいいだろ? 温めればもっと美味い。」

鳴上 「だからって、当番の度にSPEMを出すことはないだろう。」

鳴上 「おかげで飯の都度腹のなかがSPEMでいっぱいだ。」

シャーリー 「一文字間違えたらとんでもないセリフだぞ!?」

シャーリー 「てか話が逸れたし。とにかく、集めるぞ。」

鳴上 「了解。」

> シャーリーと基地を回ってルッキーニの荷物を集めた……

――
――――

鳴上 「ブランケットに……虫かご……こんなもんか。」

シャーリー 「基地中を回った気がするな。お疲れさん。」

鳴上 「シャーリーこそ。どうせならコーヒーでも淹れるか?」

シャーリー 「……ちょっとなら、大丈夫だよな。」

鳴上 「ああ、そうだな。」


【食堂】

鳴上 「……何人分にしようか。」

シャーリー 「アタシとナルカミのでいいと思うけど? 何杯も飲むのんじゃないだろうに。」

鳴上 「それもそうだ。」

ルッキーニ 「あれ? シャーリーにユウ。なにしてんの?」

鳴上 「基地とのお別れにコーヒーでもと思って。」

シャーリー 「まーな。荷物まとめといたぞ。」

ルッキーニ 「そっか! ありがとね!」

鳴上 「それで、何か用か? 」

ルッキーニ 「んーっと……何だっけ。」

鳴上 「思い出せないのか?」

シャーリー 「宮藤のとこにいたんだろ?」

ルッキーニ 「……思い出した!」

鳴上 「空戦以外でも、いい援護だな。」

シャーリー 「これでも上官だぞ?」

ルッキーニ 「あのね、芳佳の目が覚めたってミーナ中佐に伝えたら。皆を呼べって。」

シャーリー 「……どうする?」

鳴上 「二人も全員も量が変わるだけさ。全員分淹れるよ。」

ルッキーニ 「アタシのは砂糖とミルクいっぱいねー!!」

どうでもいいけど、エウレカってチャールズの辺りから凄い面白くなるよね。



鳴上 「もう少しで出来るから。先に行っててくれ。」

鳴上 「しっかり励ましてやれ。」

シャーリー 「ああ。行こう、ルッキーニ。」

ルッキーニ 「うん!」

【医務室の前】

> 部屋の中から声が聞こえる……

宮藤 『そっか……解散、なんですね……』

宮藤 『ごめんなさい。私のせいで……』

リーネ 『芳佳ちゃん……』

鳴上 「失礼します。」 ガチャ

> 部屋を包む空気が思い……

鳴上 「あの……コーヒーを淹れて来ました。」

ミーナ 「あら、気が利くわね。」

ペリーヌ 「もう少し、この基地で過ごしたいですものね……」

シャーリー 「まあ飲めって。ナルカミのは結構美味いぞ。」

ルッキーニ 「ミルクと砂糖もあるよー。」

鳴上 「俺の叔父さん直伝だ。」

バルクホルン 「お前の叔父とな……どんな人間か気になるな。」

鳴上 「前に話した通り、正義感が強いけど、普通の優しい人だ。」

鳴上 「さ、早くしないと冷めるぞ。」

> それぞれがカップを手に取り、口をつけた

ペリーヌ 「……」

鳴上 「口に合わないか?」

ペリーヌ 「その、コーヒーは……好みではなくて……」

リーネ 「私も……紅茶のが、好き……かな?」

鳴上 「そっか。じゃあ、今度までに勉強しておくよ。」

宮藤 「だけど……これで、お別れなんですよね?」

鳴上 「まだ生きている。その内会えるさ。」

宮藤 「そう、かな……ご馳走さま、でした。」

宮藤 「カップ、空っぽ……」

ペリーヌ 「そりゃあ、飲み干したら空っぽですわよ。」

宮藤 「私の心みたい……隊がなくなって……何をすればいいのか。」

鳴上 「……バカだな。」

ペリーヌ 「右に同じ。」

エイラ 「バーカ。」

バルクホルン 「言わせてもらうぞ。バカだ。」

坂本 「ああ、バカだな。」

宮藤 「あ、あの……」

坂本 「宮藤。お前はどうしてウィッチになった!」

宮藤 「……みっ、皆を守るためです!」

鳴上 「ウィッチじゃなくても出来ることだ。別の方法だってある。」

鳴上 「お前の思う方法で誰かを守ることだって出来る。」

宮藤 「……」

鳴上 「宮藤の言ったことは間違ってない。人の心はカップだ。」

鳴上 「たまには、空っぽになることだってある。」

鳴上 「でもさ、きっと心を満たしてくれる人がいるんだ。」

鳴上 「後生の別れじゃないんだ。もしも空っぽになったなら注いでくれる人はいる。」

シャーリー 「コーヒー片手にか?」

鳴上 「希望によっては紅茶やハーブティーも。」

鳴上 「……その2つはもう少し後かな?」

ハルトマン「いや、細かいところ律儀にならなくていいってば。」

坂本 「はっはっは! まあなんだ。しょげかえるなんてのは宮藤らしくない。」

鳴上 「ああ。笑うといい。」

宮藤 「……ありがとう、ございます。」

バルクホルン 「相変わらず面白い奴だな。お前は。」

鳴上 「これは叔父さんの受け売りだけどさ。」

ミーナ 「……そろそろ、時間ね。荷物はまとめた?」

> 名残惜しいが、そろそろお別れだ

> 結局、帰る手だては見つかっていない……

【基地の外】

リーネ 「それじゃあ、お世話になりました。」

ミーナ 「いいえ。アナタの狙撃の技能に何度助けられたことか。」

ペリーヌ 「そうですわ。ここ最近の成長と狙撃は、認めてあげてもよくってよ。」

エイラ 「素直に言えばいいのにナー」

鳴上 「そっとしておこう。」

ペリーヌ 「ちょっと! 外野が茶々を入れないで!」

鳴上 「あれは迎えの車か?」

リーネ 「はい。お姉ちゃんの友達が迎えてくれるって。またね。芳佳ちゃん……」

宮藤 「うん……」 ギュッ


鳴上 「お邪魔かな。」

エイラ 「ソダナ。」

鳴上 「……エイラもあれくらいの甲斐性があればな。」

エイラ 「うっせ! バーカ! トロル! シルクハットでも被ってロ!」

鳴上 「トーベ・ヤンソン? 暴言なのか!?」

サーニャ 「エイラ、そんなひどいこと言っちゃだめ。」

エイラ 「うぐぐ……」

鳴上 「視線でぶっ殺すとはこれか……交渉でされたら……」ゴクリ

鳴上 「……ところで、エイラたちはどうやって?」

エイラ 「そうだな。私らは結構単独も許されてるし、カウハバでも行くよ。」

サーニャ 「お父様の探す足掛かりを見つけないと……」

鳴上 「カウハバ……どっかで聞いたような…」

エイラ 「優秀なウィッチが集まってるけど、少し隊長がナ……」

鳴上 「厳しいのか?」

エイラ 「個人の趣向ダヨ。少し、隊長さん、女性だけど、好きらしくて……若い女の子」

元祖○獣 『あらあら、エイラさんっていうの? 可愛いわねぇ……』

鳴上 「…………」 ゴクリ

鳴上 「サーニャ、エイラをしっかり守ってやれ。」

サーニャ 「わ、分かったわ……」

エイラ 「逆じゃなくテ!?」

鳴上 「エイラ、押しに弱そうだし。」

エイラ 「ナァァァッ!! ソッ……ソンナコトナイヨー」

鳴上 「目を見て話せ。」

サーニャ 「エイラ……そろそろ、列車行っちゃうよ? じゃあ、さよなら。」

エイラ 「バーカ! 大っ嫌いダ! じゃあな! 風邪ひくナヨ!!」


鳴上 「……ああ。気を付けてな。」

宮藤「まんこじゃないから恥ずかしくないモン☆」モローン★

鳴上「は…はえてな……!」ブハッ!

リーネ「見ちゃだめぇ…///」バッ!

シャーリー 「ナルカミー!! 」

鳴上 「どうした。そんな飛行帽を被って。ルッキーニまで。」

ルッキーニ 「にっしっし。どう? 似合うでしょ!」

鳴上 「ああ。ハイカラだな。」

ルッキーニ 「えへへ……ハイカラってなに? シャーリー。」

シャーリー 「お洒落とかそんなのだろ、多分。」

ルッキーニ 「そっか!」

鳴上 「それで、そんな帽子を被る訳は?」

シャーリー 「ふっふっふ、見て驚ちぇっ!……驚け!」

鳴上 「舌……大丈夫か?」

シャーリー 「うん……まあ、見てくれよ!」

> 基地の一角に小型の複葉機が鎮座している

鳴上 「……私物?」

シャーリー 「まあな。高かったんだぞ~」

宮藤 「わはぁ……凄い! ちゃんとグラマラス・シャーリーってある!」

鳴上 「さすがリベリオン。やることの規模がデカイ。」

ルッキーニ 「アタシもこれに乗ってロマーニャまで行くんだー!」

シャーリー 「現隊復帰っても、時間はあるしな。ゆっくり休んでからにするさ。」

鳴上 「……もう、発つのか?」

シャーリー 「もう少し、点検したらな。」

シャーリー 「……アタシらはいいからさ。宮藤とか、バルクホルンの見送りもしてやれよ。」

鳴上 「でも」

シャーリー 「あー、もう。行けっての。上官命令。見送りに行きなさい。」

鳴上 「わ、分かった。じゃあ、元気でなシャーリー。」

鳴上 「面倒みてくれて助かったよ。またな。」

シャーリー 「ああ。帰れるといいな、ユウ。」


> 二人と別れ、港まで歩いた……

鳴上 「宮藤たちは空母で帰るんだよな。」

宮藤 「はい……それにしても、仲いいんだね。シャーリーさんたちと。」

鳴上 「まあ、面倒かけたし。もう少し話をしときたかったけどな。何か怒らせたかな……」

宮藤 「シャーリーさんも同じだと思うよ。ただ、少し心残りだから話したくなかったとか。」

鳴上 「心残り?」

宮藤 「うん。私も扶桑を出るって決めた時とか。船に乗る前とか。友達と話が出来なかったから。」

宮藤 「ちょっとだけ、決心が揺らぎそうで怖くなること。あるよね?」

鳴上 「……ああ。分かるよ。」

宮藤 「それに、怒ったなら、嫌いなら下の名前で呼びません。」

鳴上 「……確かにユウって呼ぶのはルッキーニだけだったからな。」

> シャーリーとの間にかけがえのない絆を感じる……

大丈夫。番長はアニメ通りの運転。お圭さんはあいてますか。


宮藤 「それで、鳴上君はこれからどうするの?」

鳴上 「……そうだな。蓄えはそれないだけど。」

鳴上 「よくよく考えたら俺が一番危ないんじゃないか?」

宮藤 「今さら!?」

鳴上 「ど……どうしようか。少佐にでも……ああ、でも、迷惑だとか思ったり……」

宮藤 「落ち着いてって。少佐だってそんな迷惑だとか思わないと思うよ?」

鳴上 「どうしてだ?」

宮藤 「家族には迷惑をかけるものって、ペリーヌさんに言ったんでしょ。逆も同じ。」

宮藤 「それに、男のストライカー乗りが居るって話で皆のやる気も上がったみたいだし。」

宮藤 「ちょっとした有名人だよ。」

鳴上 「宮藤も同じじゃないか?」

鳴上 「お父さんの遺志を継いでウィッチに……言い方は悪いけど。」

宮藤 「はは……そだね。んじゃ、先にミーナ隊長たちにも挨拶をしよう?」

宮藤 「……ちょっと、気まずいけど。」

鳴上 「問題ない。俺も行くさ。」

宮藤 「でも、鳴上君も隊長が少し怖いって言ってたような。」

鳴上 「誰が?」

宮藤 「前、私が撃墜命令を受けたときとか、隊長に申し立てて怒られたって。」

鳴上 「……」

宮藤 「でも、真っ向からそうやって反論する人は滅多に居ないっても言われてた。」

宮藤 「ガッツがあるって、あんな怪我でも少佐は笑ってたって。」

鳴上 「あの目で睨まれたら、落ち着かない。」

宮藤 「ははっ、だよね。」

鳴上 「三人はバスで戻るのか……」

バルクホルン 「うむ。当分はブリタニアかカールスラントの防衛に回されるだろうな。」

ハルトマン 「あーあ……宮藤のご飯も、ナルカミのお菓子ともお別れかー」

鳴上 「ちょうどいい機会だ。少し控えたほうがいい。」

バルクホルン 「その通り。貴様は少し弛んでいる。これを機に少しは生活を改めて……」

ミーナ 「あら、この中で解散を惜しんでいるのはトゥルーデだと思っていたのに。」

宮藤 「そうなんですか? バルクホルンさん。」

バルクホルン 「み、ミーナ!」

ハルトマン 「宮藤のご飯が恋しくなるかもーっていったのは」

バルクホルン 「わああああ!! ち、違うんだ宮藤。これはだな……」

宮藤 「あはは……本当に、ごめんなさい。」

ミーナ 「遅かれ早かれ、こうなっていたわ。ブリタニアの防衛が結成時の目的だったし。」

バルクホルン 「そ、そうだ! 宮藤はもう謝った。これ以上謝ってどうこうの問題ではない。」

バルクホルン 「それに、謝る必要があるのは私の方だ!」

鳴上 「バルクホルン大尉が、宮藤にか? つまみ食いとかか。」

バルクホルン 「エーリカじゃないんだ。そんなくだらないことではない。」

ハルトマン 「ぶー」

バルクホルン 「クリスに紹介しようと思っていたのに、機会が無くてな。」

バルクホルン 「本当にすまない。私の不手際だ。」

宮藤 「いえ。また平和になったときにでも。」

バルクホルン 「……ああ。そうだな。」

ミーナ 「そろそろ時間かしらね。それじゃあ二人とも。気を付けて。」

ハルトマン 「じゃね。」

バルクホルン 「立派な医者になってくれ。宮藤。」


> 三人を乗せたバスが行ってしまった……

> 自分も空母“赤城”に戻ろうか……

【港】

鳴上 「……これが空母、赤城か。デカイな。」

宮藤 「そうだね。私も乗ったことがあるけど……おっきい。」

鳴上 「そういえば知ってるか。船ってのは全部女性の名前なんだ。」

宮藤 「そうなの? 長門とか、おっかない名前ばかりだけど……」

鳴上 「俺も詳しくは知らないけど、物に性別をつけたりする国……カールスラントとか。」

鳴上 「そういうとこはだいたい、船は女性だ。他にも実際に名前が女性の船もある。」

宮藤 「へー……それで?」

鳴上 「女性は強いってことさ。大きく、皆を守るのは女性。世界の根底は繋がっている。」

宮藤 「……なんだろ。私も凄いみたいに思っちゃう。」

鳴上 「海軍の人は実はそんなに知らないらしいぞ。痛快じゃないか。」

宮藤 「赤城も……女の子……」

鳴上 「どうだ。海軍も、悪いばかりじゃないだろう?」

宮藤 「……うん!」

宮藤 「ふふっ、坂本さんに教わったんでしょ?」

鳴上 「……バレたか。」

鳴上 「俺も初めて聞かされたときは凄い驚いたさ。」

鳴上 「だって、こんなデカイのに女ってのは。」

宮藤 「確かにそうかもね。」

> 宮藤は快活に笑っている……


坂本 「宮藤ー! 鳴上ー! 見送りは済んだかー!?」

ペリーヌ 「もうじきに出港ですわよー!」

宮藤 「はーい! ……って、ペリーヌさんも?」

ペリーヌ 「ええ……どのみち帰る部隊もありませんし……」

ペリーヌ 「それなら、カリカリするよりは扶桑で、しょ、少佐のお手伝いでもと。」

鳴上 「……すまん。」

ペリーヌ 「な、何故謝りますの。」

ペリーヌ 「それに、あなたも同じですわ。折角なら、少佐にびしばしと鍛えてもらったら?」

坂本 「はっはっは! 鳴上もやってみるか、15回連続模擬戦。」

鳴上 「……15回と言わず、60回でも。」

宮藤 「お、男らしい……」

鳴上 「扶桑男児の根気を侮るな。」

マロニー「根気はいいが、それじゃ部隊さえ守れんぞ。サージ。」

鳴上 「何の用です。マロニー中将。」 ザッ

マロニー 「そんなに身構えんでくれよ。ナルカミ軍曹。」

坂本 「何か私たちに用事でしょうか。」

マロニー 「君らではなく、ナルカミ軍曹にな。少し、いいかね。」

鳴上 「……ええ。」

マロニー 「それじゃあ、管制室に来てくれ。道は間違えないだろう。」

マロニー 「安心してくれ。扶桑への船は別に用意してある。」

> マロニー中将は去っていった……

鳴上 「……じゃあ、俺は行ってきます。」

ペリーヌ 「ナルカミさん……」

鳴上 「問題ない。扶桑で会おうじゃないか。」

> くしゃくしゃとペリーヌの髪を撫でた

ペリーヌ 「ちょっと、髪が乱れるでしょう!?」

鳴上 「高さがちょうど良かったから。それに、いつも滅茶苦茶じゃないか。」

ペリーヌ 「あれは固有魔法のせいでしょうに!」

ペリーヌ 「全く……」

> ペリーヌは困ったように笑っている……

坂本 「はっはっは! すまんな。ナルカミ。」

鳴上 「……何のことですか?」

坂本 「マロニー中将の時だ。私の前に庇うように立ってくれたろう。」

鳴上 「三人の前に、ですよ。」

ペリーヌ 「男とはいえ、三人を一人で庇うなんて無理でしょうに……」

宮藤 「あ、本当だ!」

鳴上 「そ、それは少佐が真ん中にいただけで……」

坂本 「車椅子だからって気を遣ってくれたのか。ありがとう。」

> 坂本少佐から感謝された……

鳴上 「そ、それじゃ行ってきます。しばらくはお別れだな。それじゃ!」 タッタッタ


坂本 「なんだ、可愛いとこもあるじゃないか。」

宮藤 「意外に、照れ屋なのかもしれませんね。」

ペリーヌ 「擦れたように見えて真っ直ぐですから。ナルカミさんは。」

坂本 「それじゃ、行こうか。」

宮藤・ペリーヌ 「はい。」

【バス停】

バルクホルン 「……どうだ。ミーナ。」

ミーナ 「行ったみたい。見張りの気配はしないわ。」

ハルトマン 「便利だよね。ミーナの固有魔法。」

ミーナ 「ふふっ。そう?」

バルクホルン 「双眼鏡はこっちに置いたぞ。」

ハルトマン 「仕事が早いね。」

バルクホルン 「機械音痴でも、このくらいはな。」

ミーナ 「さ、マロニー中将の偵察を始めましょう。」

バルクホルン 「状況開始、だな。」

ハルトマン 「それって、訓練状況開始の略じゃないの?」

バルクホルン 「なっ!? そうなのか。」

ミーナ 「はいはい。静かになさい。」



【管制室】

鳴上 「……失礼します。」

マロニー 「来たかね。鳴上軍曹。」

マロニー 「君の活躍は聞いているよ。」

マロニー 「男のストライカー乗りってだけでも珍しいのに、加えて固有魔法。」

マロニー 「魔法だって……どんなものかすら分からない、ね。」

鳴上 「……」

マロニー 「すまんね。癖で問い詰める口調になってしまったよ。」

マロニー 「別に説明する必要もない。君未来というか、別の世界から来たといってもね。」

鳴上 「 ! 」

マロニー 「軍の情報はバカに出来ないということだよ。」

鳴上 「それで、何が目的なんです。」

マロニー 「君にとってこの世界はどう見えているのか、気になってね。」

マロニー 「少女が戦い、我々が指をくわえる……このふざけた世界が。」

鳴上 「そりゃ……戸惑いましたよ。でも、そうしないと戦えないんですよね。」

マロニー 「今までは、今まではそうだった。」

マロニー 「このウォーロックがあれば……空を男たちが再び守ることが出来るようになる。」

鳴上 「アイツらが戦わなくてもいい世界……」

マロニー 「ああ。小娘のせいで少しばかり計画は前倒しだがね。」

鳴上 「ネウロイの巣でウォーロックを見たと言う……」

マロニー 「あまり部外者にペラペラ話すわけにはいかんからな。」

鳴上 「答えを言ったようなものですよ。」

マロニー 「ははっ、まあそう言わんでくれ。軍人は家族にさえ仕事を言えんこともある。」

マロニー 「少しはこうしてガスを抜かないと辛いのだよ。」

鳴上 「それで……」

マロニー 「おっと、話が逸れた。どうかね、少女が戦わなくていい世界は。」

鳴上 「……つまり?」

マロニー 「若い小娘どもが普通に暮らせる世界だよ。」

マロニー 「脂っこいファーストフードを食べ散らかし、恋のひとつする。そんな世界だ。」

鳴上 「……確かにな。俺のところはそうだ。」

マロニー 「だろう?」

マロニー 「まあ、汚い話をすれば、世界のイニシアチブを握るというのもあるが。」

マロニー 「まずは平和な世界が先だ。それもウォーロックがあればすぐに、だがね。」

鳴上 「……じゃあ、アンタの言う小娘が何を思って戦うのか、知ってるのか。」

マロニー 「彼女らは犠牲者だ。プロパガンダと愛国心という甘い言葉に踊らされた。被害者だよ。」

鳴上 「……それは、違うと思います。」

マロニー 「ウィッチの一員として戦った感想、かね。」

鳴上 「ええ。俺はあんまり話すのが上手くない。でも、これだけは言わせてもらう。」

鳴上 「マロニーさん。アンタは間違っている。」

マロニー 「……すぐに分かるさ。」

兵士 「ネウロイの巣から反応。大型ネウロイが……凄い数です!」

マロニー 「そうか。ごくろう。ウォーロックの発進準備を急げ!」

兵士 「しかし、メンテナンスにもう少し時間を……」

マロニー 「その近くを空母がいるのだ。迷う暇はないぞ。」

兵士 「り、了解しました。各員ウォーロックの発進準備を!」

> 静かな管制室が慌ただしくなっている……

マロニー 「よし、ウォーロックを出撃させろ。」

兵士 「了解。ウォーロック、発進!」

> 滑走路からウォーロックが飛び立っていく……

鳴上 「質問がある。なぜウィッチーズに執拗な嫌がらせを?」

マロニー 「まあ、そうだな。嫉妬がないと言えば嘘になる。」

マロニー 「しかし考えてみたまえ。急にこしらえた戦闘団がマトモに機能するかね?」

マロニー 「早く解散した方があの小娘どものためだ。」

鳴上 「右も左も分からない新人を送ってよく言う。」

マロニー 「試した、と言って貰いたい。現に足並みはバラバラだ。」

マロニー 「功を焦る者、消極的になるもの。規律の無視……加えて無謀な攻撃で死にかける。」

マロニー 「いくらエースが揃おうとこれでは戦えん。」

鳴上 「でも、そうはならなかった。」

マロニー 「宮藤軍曹と君が緩衝材になったからだ。結果論に過ぎんよ。」

鳴上 「なんだかんだ、評価はしてるんですね。」

マロニー 「はっはっは。評価しない部隊なんぞは視界にも入らんよ。」

> マロニー中将は愉快そうに笑っている

マロニー 「面白い男だよ君は。お茶でも出そうかね。あまり美味とはいえんが。」

鳴上 「お構い無く。作戦に集中してください。」

マロニー 「そうか。ではお言葉に甘えて、かな。」

兵士 「ウォーロック、間もなくネウロイと接触します!」

マロニー 「よし、ネウロイどもめ。これがブリタニアの底力だ。その身にとくと味わうがいい……」

女性の名前ではなく女性格・女性名詞であり、人称代名詞は女性を使う。
日本は戦艦に旧国名を用い、重巡に山、軽巡に川、駆逐艦には波・雲・風・雨等の名称を用いた。
米国は戦艦に州名、巡洋艦に都市名、駆逐艦には人名。

>>924 そういや、ゴードンとシュガートとかもあるしね。そうです、人称代名詞の方でした。勉強不足です。ドイツはスカートに男の人称代名詞を使うとか。なんか携帯サイトの変な広告を思い出してしまった。

【空母“赤城”/ 甲板】

宮藤 「……」

坂本 「どうした宮藤。」

宮藤 「いえ、来るときもこうして来たんだなって思っちゃって。」

ペリーヌ 「当たり前の話でしょうに。」

宮藤 「そうだけど、何だかここに来るときと今の私。何か変われたかな……って思って。」

坂本 「成長はしたが、何一つ変わってないな。」

ペリーヌ 「人の中にズケズケ踏み込んでは引っ掻き回して……本当に……」

坂本 「それじゃ鳴上も言える話だぞ。」

ペリーヌ 「ふふっ、それもそうでしたわね。それはそうと宮藤さん。機会があればもう一度決闘を」

宮藤 「見て、ガリアの巣から……何か!」

坂本 「何だと!?」

ペリーヌ 「少佐! そんな体で魔眼なんて」

坂本 「こちらにも危機が迫ってるかもしれんのだ!」

坂本 「……ネウロイだ! 大型があんなに。」

ペリーヌ 「痺れを切らしたとこかしらね……」

坂本 「あっちからも何か……あれは!」

宮藤 「ソニックダイバー!……じゃなくて。」

ペリーヌ 「ウォーロック!」

ゴォォォォ……



【501基地/ 管制室】

兵士 「ウォーロックがネウロイと接触。戦闘を開始します!」

マロニー 「そうか。いいぞ……」

鳴上 「すごい……レーダー上のネウロイがあっという間に撃墜されて……」

今更だけどシャーリーが中尉になるの二期からだっけ……やっちゃった。


マロニー 「……どうした。攻撃の手が緩まったぞ。」

兵士 「いくらなんでも数が多すぎます!」

マロニー 「ちっ……やはりプロトタイプ一機では厳しいか。」

鳴上 「そう言えば、あれは完全なスタンドアロンなのか?」

マロニー 「……ああ。考えられないかね?」

鳴上 「……噂では、自分のとこも人工知能を備えたロボがあるそうですけど。」

鳴上 「でも、そんな完全な自律飛行なんて考えられない。」

鳴上 「まるでSFじゃあないか。」

マロニー 「君の立場とてSFとそう変わらんさ……」

マロニー 「確かに過ぎた技術かもしれん……だが勝つためだ。」

兵士 「このままではジリ貧です……」

マロニー 「コア・コントロールシステムを起動しろ!」

兵士 「待ってください! あれには連携のためにも最低5機のウォーロックが必要なんですよ!?」

マロニー 「コアならばクソほどあるぞ。」

兵士 「なっ……まさか!」

マロニー 「ああ……もう一度言う。コア・コントロールシステムを起動しろ。」

鳴上 「何をする気だ!?」

マロニー 「数が多ければ、ただ同士討ちをさせればいい話だ。」 ガコッ

> レーダーに映る光点の色が変わっていく……

マロニー 「成功だ!」

> ウォーロックの周囲の光点が消えていく……

鳴上 「これは一体!?」

マロニー 「驚いたかね。その名の通りネウロイを操るのだ。ウォーロックに埋め込まれたコアの力でな。」

鳴上 「宮藤の言っていたことは正しかった訳か……」


【バス停】

ミーナ 「ネウロイが同士討ちを……!?」

ハルトマン 「ウォーロック……凄い性能だね。こりゃ自信を持つわけだ。」

バルクホルン 「……待て、何か様子がおかしい。」

【空母“赤城”/ 甲板】

宮藤 「ネウロイが同士討ち……」

坂本 「待て。ウォーロックがおかしいぞ。」

ペリーヌ 「一体何をするつもりです……」

ドゴォ

坂本 「ぐっ!? ウォーロックが攻撃だと!?」

ペリーヌ 「少佐!」

宮藤 「坂本さん!」

> 車椅子の坂本少佐を支えた……

坂本 「すまん! しかしこのままでは……」

宮藤 「沈没しちゃうかも。」

ペリーヌ 「対空砲火は何をしてますの!」

坂本 「空母一隻などただのカモだ。ましてあんな小粒じゃ戦艦の砲だって当たらんさ。」

坂本 「私が時間を稼ごう。」

宮藤 「そんな、ストライカーは無いんですよ!?」

坂本 「あるさ。こんなこともあろうかと。」

> 車椅子の下に、ストライカーユニットが入っている……

宮藤 「通りで重かったわけだ……」

ペリーヌ 「やっぱり、無茶ですわ、少佐! その怪我では」

宮藤 「私が飛びます。」

坂本 「……駄目だ。」

宮藤 「坂本さんは死ぬ気です。だからそうやって答えるんです。」

宮藤 「何だか、少佐らしくないです!」

宮藤 「少佐はそんな簡単に命を捨てる人じゃありません!」

宮藤 「腕がやられても無理矢理止血して、ストライカーがダメになっても意地で飛んで。」

宮藤 「墜落して海に落ちても泳いで帰るくらいの、何て言うか、意志がありました!」

ペリーヌ 「……今回ばかりは宮藤さんに賛成ですわね。」

坂本 「……ははっ。言うようになったじゃないか……分かった。私の翼をお前に託す。」

坂本 「変わりに、今いった通りにしろ。お前が死んではお笑いだぞ。」

宮藤 「……了解です。宮藤芳佳、発進します!!」 ブォォ……


【“赤城” 上空】

シャーリー 「……見えるかルッキーニ。ウォーロックが。」

ルッキーニ 「うん……何でこんなことになったんだろ。」

シャーリー 「暴走ってとこか……少し寄せるか。」

【管制室】

兵士 「う、ウォーロックが暴走しています、こちらの制御を受け付けません!!」

マロニー 「なんだと!?」

鳴上 「スタンドアロンじゃなかったのか?」

マロニー 「ネウロイがこんな真似をするとは思わなかったのだ。」

鳴上 「ネウロイの技術を利用して作っていたのか!?」

マロニー 「ああ……だから機密だったのだ。成果が必要だったのだ。」

兵士 「ウォーロック、赤城に攻撃を開始!」

鳴上 「なっ! すぐに止めさせてくれ! あれには俺の仲間が乗っているんだ!!」

マロニー 「……くっ! 仕方あるまい。鳴上軍曹。そっちのレバーを頼む。」

鳴上 「分かりました!」

マロニー 「3、2、1でレバーを下に引くんだ。せーの。1、2、3!」 ガコン

> ウォーロックは停止しただろうか……

兵士 「……ダメです! 止まりません!」

マロニー 「なんということだ……」

兵士 「ワイトの隊はネウロイと交戦。最短でも応援は30分かかります!」

マロニー 「……」

鳴上 「俺が行けば、10分もかからない。ここからだったら。」

マロニー 「……諦めろ。ストライカーは凍結だ。格納庫も鉄骨で塞いだ。」

鳴上 「……どかしてやるさ。鉄骨がどうした! 仲間が危険なんだぞ。」

鳴上 「2つ質問です。マロニーさん。501にはある程度の独立した指揮権がある。」

マロニー 「ああ。」

マロニー 「もっとも、大したものじゃない。ある程度は裁量で。というレベルだ」

鳴上 「正式な解散の辞令はまだですよね。」

マロニー 「ああ。もう数日はかかるだろう。役人仕事の宿命だ。」

鳴上 「それだけ聞ければ充分だ。俺の出撃は501統合戦闘航空団、最専任下士官の独自行動だ。」

鳴上 「これより俺は敵ネウロイへの攻撃、及び空母“” 赤城の救援に向かう!」

マロニー 「何をいきなり言い出している! 誰だね、最専任下士官とは。」

鳴上 「……俺しかいないだろう。」

マロニー 「認められるはずがなかろう! 君らのような者を守るために軍が、我々がいる!」

マロニー 「これは軍人の戦いだ!」

鳴上 「違う! これは人類の戦いだ! さっきアンタは言った。彼女らは犠牲者と。」

鳴上 「そんなバカがあるか!」

鳴上 「ある女の子は祖国の奪還を目指した。」

鳴上 「ある女の子は病院にいる妹のため。」

鳴上 「ある女の子は父親の遺志を継いで……」

鳴上 「誰もが守りたいものがあるから戦うんだ! 誰も安っぽいプロパガンダからの愛国心なんかで戦っていない!!」

鳴上 「自分の手が届くところだけでも、守りたいから空を飛ぶんだ!」

鳴上 「アンタの勝手な同情なんかで、アイツらの空を奪われてたまるか! 」

鳴上 「自分の手でしなければ、心の大事なとこが折れてしまうこともある。」

鳴上 「それは心が死んでしまうのと同じなんだよ!」

マロニー 「好き放題言ってくれる。」

鳴上 「先に好き勝手やったのはアンタだ。おあいこだろう。」

マロニー 「だがしかし、認めることはできんぞ軍曹。」

鳴上 「認めさせてやりますよ……俺はアイツらを守りたいから戦う。」

マロニー 「ほぅ……どうするのかね?」

鳴上 「簡単だよ。ボディチェックが無くて助かった……」 チャキッ

鳴上 「……まさか、足立さんと同じことをするなんて夢にも思わなかったさ。」

マロニー 「撃てるのかね? 君のようなお人好しが。」

鳴上 「膝なり撃てばいいだけだ。」

『ナルカミの安全装置は私たちだぞっと。トゥルーデ!』

鳴上 「この声は!?」

『おおおおりゃあ!!』

バゴン!

兵士 「あがぁっ!」

> 鈍い音と共にドアが兵士を巻き込んでぶち破られた……

マロニー 「お前たちは!」

ハルトマン 「まさかの時の……」


バルクホルン 「ヒスパニア宗教裁判だ!」

兵士 「くそっ! たかが小娘に」

マロニー 「よせっ!」

バルクホルン 「小娘とは……甘く見られたものだ!」

> バルクホルンの鋭いストレートが兵士のみぞおちに食い込む……

バルクホルン 「まだまだっ!」 1more

ゴッ……ガスッ……

ミーナ 「トゥルーデ、もういいわ。やりすぎ……」

ハルトマン 「熱くなると回りが見えないんだから……」

バルクホルン 「む……すまんな。君。」

兵士 「むぎゅう。」

鳴上 「アーメン。」

ハルトマン 「生きてるってば。」

ミーナ 「話は聞いたわ……ウォーロックに関しても。証拠は山のように。」

マロニー 「そうだな。

トゥルーデ 「すまないが、拘束させてもらうぞ。マロニー中将。」

鳴上 「待ってくれバルクホルン大尉、マロニー中将は」

マロニー 「庇う必要は無いぞ、軍曹。彼女らを苦しめたのは事実だ。」

鳴上 「……アンタはズルい人だ。」

マロニー 「ははっ、中傷には馴れておるさ。」

――
――――

> 管制室の隅に兵士達が縛られている……

ミーナ 「さて、私たちは行きましょう。」

バルクホルン 「了解だ。行こう。」 タッタッタ……

鳴上 「マロニーさん。なんでアンタは俺にそんな機密をペラペラと……」

マロニー 「異世界というか、未来から来たってのが事実なら気になったのさ。この世界がどう思うかとね。」

マロニー 「答えは聞かんさ。さあ、行くといい。答えは宿題だ。」

鳴上 「……了解!」


【空母“赤城” /甲板】

> ウォーロックの攻撃が赤城を襲う

坂本 「ぐっ!」

ペリーヌ 「少佐!」 ガシッ

坂本 「手を放せペリーヌ。お前まで」

ペリーヌ 「さっき宮藤さんが言ったでしょう! 」

坂本 「誰かが巻き込まれるなら話は別だ!」

ペリーヌ 「聞きません……絶対に、放すもんです……っあ……」

> 縁に掴まる手が滑り、落下していく……

基地の敷地の中といえば、俺が考えていたよりは衛生的だし、整っていた。
アフリカというと暗黒大陸だの、混沌だのと悪いイメージが多いが何てことはない。
しっかりと舗装した道がちまちまとあり、テントの奥には暖かい食事が見える。
夜、すこぶる寒いことと昼の暑さ。それに砂を除けばリベリオン……とまでは行かないが
いくらかの“文化的”な生活は期待できそうだった。


ダンテ 「わお……牛までいるのか?」

ケイ 「ティナは牛乳が好きだから。結構苦労したのよ?」

ダンテ 「その代わりに甘い飲み物にありつける、と?」

ケイ 「分かってるじゃない。この先よ。」


ケイの指差した先にはこぢんまりとしたテント。それの前に立つ褐色の少女。厚ぼったい唇に
少し縮れた髪。アフリカ系だろう。召し使いまで雇っているのか? 随分と偉いこった。


ケイ 「マティルダ。調子はどう?」

マティルダ 「問題ない。そっちの男はダンテか。」

ダンテ 「おう。頼むからその大砲を向けないでくれ。」


マティルダと呼ばれた少女の抱えている武器はデカイ大砲……陸戦ウィッチ用の代物だ。
流石に頭をぶち抜かれても死なないとはいえ、あんなものを食らったら頭が粉々……
いや、体ごと粉微塵になるんじゃないかと思えるだけのものだ。人に向ける物じゃあない。


マティルダ 「紙を。許可証だ。」

ダンテ 「コイツで大丈夫かい?」


俺が差し出したいくつかの書類にざっと目を通し、マティルダは頷いた。
加えてその間油断なく向けられていた大砲もどうにか納めてくれた。
何はともあれ、俺は無事にこの場に踏みいる正当な権利を手にしたわけだ。


マティルダ 「着いて来い。」

ダンテ 「了解。なんか酒臭いぜ、ここ。」

ケイ 「まあ、少しね。」


そう答えたケイの顔は騒がしい妹を見るような、複雑な笑みだった。

>>936 しまった。投下ミス。


坂本 「ペリーヌ!」

ペリーヌ 「少佐!」


シャーリー 「ルッキーニ。少し席を。」

ルッキーニ 「了解!」

シャーリー 「間に合えーっ!!」 ブロロ……

坂本 「ぐっ!」

ペリーヌ 「ひゃっ!」

ルッキーニ 「やったー! ナイスキャッチシャーリー!」

シャーリー 「おうよ! んで……ウォーロックの相手をしているのは宮藤か!?」

坂本 「ああ! 早く宮藤の援護をしなければ」

シャーリー 「っても、武装は無いぞ?」

ルッキーニ 「一回、基地に戻ってみれば? ストライカーはあっちでしょ?」

ペリーヌ 「そんな、宮藤さんはもちますの!?」

宮藤 『行ってください! 私が引き付けます。まだ大丈夫です!』

シャーリー 「……うっし。宮藤! 後は任せたぞ!」 ブロロ……


【501基地/ 滑走路】

バルクホルン 「やっぱり、宮藤の言うことは正しかったんだ……」

バルクホルン 「もう少しアイツの話を聞いてみればこんなことには……」

ハルトマン 「トゥルーデぇー……何回目なのそれ。」

鳴上 「俺も一応意見を言ったが?」

ハルトマン 「駄目だ。私が知ってるトゥルーデじゃない……」

ミーナ 「見て、格納庫の前にも人がいるわ。」


エイラ 「でっけーナ。これ。」

サーニャ 「向こうにストライカーがあるのに……」

クルツ 「せーのっ! ……ダメだ。」

島田 「流石に男でも無理だぜ、こんなの。」

エイラ 「いや、あんま無茶すんなッテ。ちょうどいいとこに大尉が来タ。」

ミーナ 「エイラさんにサーニャさん? どうしてここに。」

エイラ 「あ、ああ。わ、忘れ物をしちゃってナー……あはは。」

サーニャ 「エイラのタロットに、良くないことが起きるからって……」

エイラ 「ワァァ! サーニャ、そんなこと……恥ずかしいダロ……」

鳴上 「いつも通りだな。」

シャーリー 「……い! おーい!!」 ブロロ……

鳴上 「シャーリー! どうしてお前もまた!」

ペリーヌ 「宮藤さんがウォーロックと戦って! それで……!!」

> 機体は無事に減速して滑走路に……おまけに完璧な着陸だ!

ルッキーニ 「んでもって、赤城が大変なの!」

鳴上 「ああ。俺もレーダーでだけど確認した。宮藤が戦ってるだって? 」

ペリーヌ 「っ……ええ! 早く、助けに行かないと!」

坂本 「私もだ。部下を置いてのうのうとするわけにはいかんさ。」

ミーナ 「後、揃っていないのは……」


リーネ 「……っ! 遅れて! すみません!」タッタッタ


ミーナ 「全員、戻って来たわけね。」

島田 「整備中隊も、全員です。」

ミーナ 「トゥルーデ、お願い。」

バルクホルン 「任せろ! ……ふんっ!!」 ゴゴゴ……

バルクホルン 「どっ……せぇい!!」 ゴォン……

> 塞いでいた鉄骨を投げ飛ばした!

バルクホルン 「宮藤を助けるためだ! この程度は重さに入らん!」

鳴上 「……! あれは。」

クルツ 「驚いたかい? 君のために改造した88mmだよ。」

> 巨大な砲身が吊り下げられている……

クルツ 「直接照準のサイトも付けたし、徹底的に軽量化したさ。」

バルクホルン 「こんなデカブツを空で使うのか!?」

鳴上 「ああ。撃てないものを作る気はない。」

ペリーヌ 「整備部隊も鳴上さんたちの勢いに飲まれて……」

島田 「扶桑の技術は世界一、だ。」

坂本 「色々ベクトルがおかしいがな……」

ミーナ 「何でもいいわ。出撃の準備を!」

「了解!!」

> 再び隊が一つにまとまった気がする……

ここのリーネちゃんが走ってくるシーン、
すげーヌルヌル動いてたんだよなぁ 懐かしい

>>943 股監督の本気を見たよね。

宮藤 「くっ……このっ!」


ミーナ 「見えたわ、ウォーロックに」

バルクホルン 「宮藤!!」

鳴上 「凄い……宮藤の奴。ウォーロック相手に」

シャーリー 「互角に渡り合ってる!」

リーネ 「このまま援護します!」 カチャッ

鳴上 「俺も手伝う。」 ガコッ

リーネ 「コリオリは無視……鳴上さん。もう少し上。弾が重い分風の影響は受けないけど」

鳴上 「重さで重力の影響がってことか。」

> ウォーロックの動きが止まった……

リーネ 「芳佳ちゃんが近い……少し様子を見ましょう……」


宮藤 「これ、ウォーロックのコア……?」

宮藤 「おんなじだ、前のネウロイと……」

宮藤 「触って……いいの?」

宮藤 「……違う! ウォーロックは……あのネウロイじゃない!」 カチャッ


リーネ 「今です!」ドンッ

鳴上 「当たれ!」ズドンッ

鳴上 「!!!」

> ウォーロックが煙を噴いて赤城へ墜ちていく……

リーネ 「命中……」

坂本 「よくやった!」

鳴上 「これで……言い訳がつくだろ……帰ってしまえよ!!」

シャーリー 「どうかしたか? 辛そうだぞ、ナルカミ?」

鳴上 「ああ……耳が、ガンガンする……」

シャーリー 「……お、おう。耳栓、別にあるから、使う?」

鳴上 「ああ。すまん。」

宮藤 「リーネちゃん! みんな!!」

エイラ 「活躍……持ってかれたナ。」

サーニャ 「そうね……待って、何か様子が変よ。赤城から!」

「よくぞここまでたどり着いた……人の子達よ、そして、怪異の子。」

鳴上 「……この声は!?」

ペリーヌ 「人の子に……怪異の子ですって?」

坂本 「怪異……ネウロイのことか?」

シャーリー 「ユウ! さっきの言葉は!?」

鳴上 「ああ。俺はこの声を知っている……こいつは……」

「我が名は……アメノサギリ……」

坂本 「アメノサギリだと!?」

宮藤 「アメノサギリ……って?」

坂本 「神様だ。平たく言えばな。霧を統べると聞いたことはあるが……」

ペリーヌ 「霧!? そんなことはどこにもありませんわよ?」

シャーリー 「フォッグオブ・ウォー……知ってるだろ。」

バルクホルン 「戦場の霧……」

ミーナ 「戦いの混沌も統べる……ってこと?」

アメノサギリ 「ほう……私を知る者がいるか……我が望みは」

鳴上 「人の望み……そうだろう。」

エイラ 「人の望みがこんなだってカ!? フザケンナ!」

アメノサギリ 「お前たちの望みを叶えてやったというのに。随分と手厳しいな。」

鳴上 「俺たちが何を望んだ!」

アメノサギリ 「簡単なことだ。皆ともう少しここにいたいと。」

シャーリー 「っ!」

アメノサギリ 「心当たりが無いとは言わせんぞ……これはお前たちの望みを叶えたに過ぎないのだ。」

ペリーヌ 「ガリアが焼かれたのも……アナタのせいですの!?」

アメノサギリ 「……我が望みは人の望み。」

ハルトマン 「ネウロイも……お前がけしかけたっての?」

アメノサギリ 「怪異とは人の心が作り出すものだ。」

サーニャ 「……どういうこと?」

アメノサギリ 「そこの男を回答としよう。」

坂本 「まさか、さっき言った怪異の子というのは!」

鳴上 「俺だっていうのか……アメノ……サギリ。」

アメノサギリ 「その通りだ。」

アメノサギリ 「お前の力を思い出してみろ……」

アメノサギリ 「ペルソナ……その中にいる者を……」

坂本 「ペルソナ……?」

バルクホルン 「あの大男とか……」

ハルトマン 「でっかいハエのこと?」

アメノサギリ 「イザナギ、ベルゼブブ……」

アメノサギリ 「神話の生物とは、総じて怪異と呼ばれた存在だ……」

鳴上 「俺の力が……ネウロイと同じだっていうのか!」

アメノサギリ 「……」

鳴上 「何とか言えよ! おい!!」

シャーリー 「落ち着け!」

鳴上 「落ち着いていられるか!」

鳴上 「誰かを守る力が、傷付けるものだった!? そんな事が……」

ペリーヌ 「いい加減にしなさい! 」

バシッ

> ペリーヌに強く頬を打たれた……

シャーリー 「落ち着け、鳴上悠軍曹!」

ペリーヌ 「散々自分と向き合えと言っておいて……その体たらくですの!?」

ペリーヌ 「失望させないで下さい。人に偉そうなことを言っておいて!」

ルッキーニ 「バカユウ!」

シャーリー 「お前も宮藤を笑えないっての……」

鳴上 「……」

ペリーヌ 「力をどう扱うかなんて、人それぞれでしょ!」

ペリーヌ 「怪異が何だっていうの! 」

シャーリー 「銃が人を殺すんじゃない、人が人を殺すんだ……誰かの受け売りだけどな。」

シャーリー 「お前の力も同じだ。」

坂本 「……何を落ち込むかと思えば。くだらん。」

リーネ 「ちゃんと、私たちを支えてくれたんです! 今さらその力の元がネウロイだからって!」

宮藤 「それがどうしたっていうの!!」

鳴上 「……!」

バルクホルン 「しかし……何故アメノサギリとやらは攻撃をしてこないのだ?」

アメノサギリ 「……」

ミーナ 「優しさってわけじゃないだろうけど……」


鳴上 「やっぱり、自分と向き合うのは難しいな……」

ペリーヌ 「自分で言っておいて何を今さら……」

ルッキーニ 「ユウは落ち着いた?」

鳴上 「……ああ。すまない。」

アメノサギリ 「……ほう。人は真実を見たいようにねじ曲げる。」

アメノサギリ 「私の虚言に惑うことなく事実を受け入れるか。」

アメノサギリ 「しかし、自分たちの望みをお前たちは捨てるというのか。」

シャーリー 「こんな戦争を続けて皆と過ごす気は更々ないっての!」

ハルトマン 「その通りだ。平和になれば、いつでも会えるからね。」

ペリーヌ 「鳴上さんとだって……」

アメノサギリ 「そうか……面白い。心地よい緊張と安寧の海に溺れることを拒むか。」

ペリーヌ 「私たちがそうして生きたとして、誰かが傷つくなんて」

鳴上 「真っ平ごめんだ!」

アメノサギリ 「ならば我にその意思を見せてみろ……」

アメノサギリ 「少女たちと怪異の子……共存を目指す者よ!」

宮藤 「最後のって……?」

坂本 「さあな! しかし、これが私たちが揃う最後の“戦い”にしよう!」

シャーリー 「任せろ!」

ペリーヌ 「当然!」

エイラ 「行くゾ、サーニャ。皆。」

サーニャ 「……ええ。」

ルッキーニ 「もっちろん!」

ハルトマン 「なんとかなるって。」

バルクホルン 「お前は相変わらず楽観的だな……」

リーネ 「ふふっ……決戦ってことかな。」

宮藤 「アメノサギリの言うこと……やっぱり間違ってるよ。」

鳴上 「ああ。」

ミーナ 「全機、攻撃を開始、目標アメノサギリ!」

「了解!」

坂本 「しかし……デカイ。赤城を取り込んだだけはある。」

シャーリー 「何か弱点とかは無いのか!?」

鳴上 「ああ……小手先は通用しない。全力でぶつかるしかない!」

ペリーヌ 「でしたら……ネウロイとさほど変わりませんわ。」

エイラ 「避けろ、皆!」

アメノサギリ 「お前たちの可能性を、見せてもらう……」

> アメノサギリの目玉、至るところから光線が放たれる。

宮藤 「坂本さん!」 バァァ

ペリーヌ 「少佐!」バァァ

坂本 「すまん。シールドが張れないばかりに……」

ペリーヌ 「謝らないで下さい!」

宮藤 「そうです! 私、いっぱい少佐に迷惑かけたんですから、これくらいは!」

バルクホルン 「しかし……空母とはいえ大小40の火砲。どうやって潰すんだ。」

ペリーヌ 「私の能力をお忘れになって?」

ペリーヌ 「細かい処理はお任せあれ、ですわ!」

鳴上 「ペリーヌ!」

ペリーヌ 「合わせますの?」

鳴上「ああ……タイミングは任せる。」

ペリーヌ 「行きますわよ!」

鳴上 「ジークフリード!!」 カッ

ペリーヌ 「トネール!」

> 巨大な拳が雷と降り注ぐ……

ペリーヌ 「……空からの鉄槌。」

サーニャ 「私の武器とおんなじだ……」

シャーリー 「うひょー……すっげ。」

バルクホルン 「感心している場合か!? 私達も行くぞ。」

シャーリー 「何を?」

バルクホルン 「私がお前をぶん投げる。ルッキーニとしているやつだ!」

シャーリー 「……カールスラント大好きの電撃戦か。」

バルクホルン 「私がお前と協力というのも……たまには、悪くなかろう。」

シャーリー 「……まあな。」

バルクホルン 「なっ、何がおかしい!!」

シャーリー 「さあ、思いっきりぶん投げろ!!」

バルクホルン 「どおおおおりゃああああああ!!!」 ブンッ

シャーリー 「おぉっ! こりゃ音速だって夢じゃ……」

アメノサギリ 「無駄だ!」 ゴォッ

> 強力な風がシャーリーを襲う!

ハルトマン 「シュトゥルム!?」

シャーリー 「ヤバッ!」

鳴上 「そのまま突っ込め! 俺を信じろ。」

シャーリー 「……死んだら化けて出てやるぞ!」

鳴上 「死なせるか! 守ってくれ、だいそうじょう!」 カッ

> アメノサギリの起こす風が反射する

坂本 「……無茶苦茶だ!」

シャーリー 「もうちょい援護頼む! カッコよく決めさせてくれよ!?」

鳴上 「任せろ!!」

鳴上 「オロバス!!」 カッ

シャーリー 「……変なポーズの馬?」

鳴上 「焼き払え!」

> 大きな火の玉がアメノサギリの目の前で爆発する

鳴上 「燃えれば少しは脆くなるだろ!」

シャーリー 「弾けろ、アメのなんとか!」

> シールドを張ったシャーリーがアメノサギリを貫く!

シャーリー 「あの馬……凄いじゃないか!」

オロバス 「」クルッ……シュタッ

ハルトマン 「変なポーズで消えちゃった。」

ペルソナはアニメ基準じゃないのか?

>>962 ペルソナ×探偵NAOTOとか、設定を見てたら、ペルソナ出せないこともないぽいのと、もうサギリ出しちゃったし。そんな開き直りしか出来ないです。ごめんなさい。ウィッチに不可能は


サーニャ「私も、負けてられないな……」

ルッキーニ 「うじゅじゅ……シャぁーリぃー」

エイラ 「まあまあ。お前も行くゾ。」

ルッキーニ 「うじゅあー!!!」

鳴上 「よし、その勢いだ。力を貸せ、ネコショウグン!」 カッ

サーニャ 「猫さん……」

宮藤 「わはぁ……可愛い……」

エイラ 「んー……でも、何か変ダ。不思議と、力が湧いてこないカ?」

ルッキーニ 「……ホントだ。次から変なことばっか。」

エイラ 「来るゾ! 右からダ。」

サーニャ 「ええ。」

ルッキーニ 「やあああってやるぜ!」

鳴上 「俺がヤツを引き付ける。セト!」 カッ

アメノサギリ 「そう思い通りになると思うな。」

> 無数の雷が襲いかかる

鳴上 「見切った!」

エイラ 「サーニャ。もうちょい上に撃テ!」

サーニャ 「ここ! ルッキーニちゃん。今よ。」 バシュッ

ルッキーニ 「ビリビリだって、隙間を抜ければ恐くないもんね!」

鳴上 「タムリン!」カッ

ルッキーニ 「いっけえええ!」ドゴッ

鳴上 「このぉ!」 ズバッ

取り敢えず、ウィッチに合うアルカナを決めて、適当に中堅~強ペルソナを選んでます。オロバス強化って、ついしたくなるよね。



アメノサギリ 「怪異の子よ。何故戦う……」

アメノサギリ 「お前たちが我に勝つとき、お前がどうなるか……分かってるはずだぞ。」

鳴上 「……」

ミーナ 「だからって、こうして戦いを続けることに意味なんてないわ!」

ハルトマン 「そりゃ、お別れは寂しいと思うけどさ。寂しいばっか言うのも違うじゃん。」

ハルトマン 「絶対忘れないようにバカ騒ぎした方が楽しいしね!」

鳴上 「ああ。こんな残りかたは望んじゃいない! 」

鳴上 「黙って凍れ、ハリティー!!」 カッ

アメノサギリ 「ぬぅ……」

ミーナ 「フラウ、今よ!」 ドドドッ

ハルトマン 「集中砲火ってね! ナルカミ!」 ドドドッ

鳴上 「ベルゼブブ!!」 カッ

ハルトマン 「皆、逃げて!」

シャーリー 「まさか……この前のアレ!?」

鳴上 「グランドフィナーレだ……メギドラオン!」

ゴオオオオオ……

> 閃光と爆音が辺りを埋め尽くす……

シャーリー 「よっしゃ! これならアイツだってイチコロで……あ?」

ルッキーニ 「シャーリー、なんか、変!!」

> 辺りを深い霧が包む……

ミーナ 「霧……なんだか、気味が悪いわね。」

バルクホルン 「関係ないだろう。一斉にありったけの弾を撃ち込めば問題ない!」

ミーナ 「各機は一斉に攻撃!」

鳴上 「……待て! 攻撃に備えて」

ドドドッ!……パタタタタッ……タタタン…タタタン……カシャッ……ズバン

> 声は銃声にかき消された……

エイラ 「……お、霧が晴れて……皆! シールドを張ってクレ!」

サーニャ 「攻撃、来ます!!」

> 巨大なビームがウィッチたちを襲う!

鳴上 「くっ! 88mが!」 ボンッ

宮藤 「少っ……きゃあっ!」 バァァッ

リーネ 「芳佳ちゃん!」

坂本 「宮藤ぃ!!」

バルクホルン 「宮藤!」

ミーナ 「待ちなさい! あなたも魔法力が厳しいはずよ!」

バルクホルン 「……くそっ!!」

アメノサギリ 「流石は怪異の子……そして新たな可能性の子。」

アメノサギリ 「だがしかし……戦場の霧を晴らすなどは不可能……」

アメノサギリ 「この動きを止めぬ混沌ではどんな精密な指示さえ用を為さない……」

アメノサギリ 「お前たちの魔法力もここまでだろう……弾だってそうだ……」

鳴上 「……武器なら、ある。」

鳴上 「銃が無ければ刀だ……折れたらその先を使えばいいだけだ。」

鳴上 「戦場の霧がなんだ……そんなもの。俺が何度だって晴らしてやればいいだけだ。」

アメノサギリ 「面白いことを言う……怪異の子よ。なら刀ごと奪ってみせよう!」ガッ

鳴上 「ぐあっ!……刀が無ければ蹴りでもなんでもしてやる!」

鳴上 「俺は本気だ。ラケシス!」 カッ

アメノサギリ 「無駄な足掻きを……」

ズバン!

> 下から飛ぶ弾丸がアメノサギリを貫く……

宮藤 「やったよ……っはあ……リーネちゃん!」

リーネ 「今なら……百発百中も……夢じゃないかも!」

シャーリー 「何だあれ、肩車?」

バルクホルン 「狙いを安定させるのだろう……」

アメノサギリ 「小賢しい真似を! 燃え尽きるがいい……」

鳴上 「やらせるか……スカディ!! 弾き……返せ!!」 カッ

アメノサギリ 「怪異の子よ……何故そこまでして戦う……既にお前の精神はボロボロの筈だ。」

アメノサギリ 「もう何度もペルソナを呼べないだろう……」

アメノサギリ 「何故そうまでして戦う! もう二度と会えないかもしれぬのだ。」

坂本 「何度も言わせるな!……しかし、鳴上……今のは本当か?」

鳴上 「……ええ。二回も出来ればいいところだ。」

坂本 「そうか……ならば、コイツはお前が使え。」

> 無銘の刀を受け取った

坂本 「私の先生が託してくれたんだ。今度は私が誰かに託す番だ。」

坂本 「継承……というやつだ。」

鳴上 「……重たい。」

坂本 「はっはっは……それが、私の、北郷先生の、皆の思いだ。」

鳴上 「通りで、心地のいい重さだ。基地の格納庫……俺のストライカーがあったところを調べて下さい。」

坂本 「何かあったのか?」

鳴上 「お願いします、先生。」

坂本 「……その呼び方は止めてくれ。さあ、行って来い!」

鳴上 「了解!」

鳴上「お前がどうなるかって言ったな……俺からの答えを教えてやる。」

鳴上 「お別れってのは寂しいもんだ……それはよく分かってる。」

鳴上 「でも、それはコイツらとの絆が無くなったことにはならないだろう!」

鳴上 「人は広い広い無意識の海で泳いでいる。」

鳴上 「絆ってのは広い海で泳ぐ仲間がいると気付くことなんだ。」

鳴上 「それが分かったなら……俺はどこにいたって皆と繋がっている。」

アメノサギリ 「それがどうしたというのだ。」

> 周囲を光の壁に囲まれた……

> 巨大なハンマーが襲いかかる

鳴上 「アバタク!」 カッ

アメノサギリ 「何っ……」

鳴上 「絆が俺に力を与えてくれる……離れてもいっしょだ。」

鳴上 「陳腐な言葉だけど……そいつがあるから、俺は戦える!!」

アメノサギリ 「そうか……」

鳴上 「だから、ここを戦いしかない世界になんて……」


坂本 「……刀の切っ先に……電撃? まさか魔法力を!」


鳴上 「させてたまるもんかあああああ!!」

> 雷を纏った刀を思い切り振り抜ける……

鳴上 「終わらせろ、イザナギ!!」カッ


バルクホルン 「あの時の大男か……」

ペリーヌ 「お願い、ナルカミさん!」

シャーリー 「美味しいとこ、持っていけ!!」


> アメノサギリの上に表れたイザナギが剣を振り下ろす……


――
――――

ミーナ 「鳴上君は!?」

坂本 「くっ……どこにも見え……っ!」

バルクホルン 「どうした、少佐!」

坂本 「そんな……」


アメノサギリ 「見せてもらった、お前たちの力を……」

シャーリー 「マジかよ!?」

ペリーヌ 「ボロボロですわね……でも、こちらも同じかしら。」

アメノサギリ 「我が望みは……人の望み……」

アメノサギリ 「無論、お前たちの願いもだ……」

宮藤 「……どういう、こと?」

アメノサギリ 「この地のネウロイを消し、怪異の子を帰そう。」

ペリーヌ 「本当ですの!?」

アメノサギリ 「我が望みは人の望み……お前たちが願う時、私はまた姿を現すだろう……」

シャーリー 「そんなこと、あるわけないっての!」

ルッキーニ 「もう来んな!! イーっ!! だ!」

> アメノサギリは溶けるように消えていく……

ミーナ 「……終わったのかしら。」

坂本 「……ああ。ネウロイの反応は何処にも無い。」

ペリーヌ 「私のガリアが……ようやく……」

坂本 「鳴上の反応も、だがな……私の刀も。」

シャーリー 「……ま、元に戻っただけさ。寂しくはなるけどな。」

ルッキーニ 「……」

シャーリー 「別に、泣いてもいいんじゃないか?」

ルッキーニ 「……約束したもん。泣かないって。」

シャーリー 「そういや、そうだったな。偉いぞルッキーニ。」

バルクホルン 「そういうリベリアンこそ、目が赤いぞ。」

シャーリー 「これは、アレだよ。使い魔、ウサギじゃん? だから、ほら。な?」

バルクホルン 「まあ……そういうことにしといてやる。」

ハルトマン 「あれ、トゥルーデが珍しくむぐっ」

バルクホルン 「黙っていろ。」

ミーナ 「はいはい。それじゃ、ストライクウィッチーズ、帰投します。」

「了解!」

ハルトマン 「もごごー」

キタロー「ここは・・・」
綾時「僕は封印されてたはずじゃ・・・・」


新たな旅人がやって来たようです

サーニャ 「……ねえ、芳佳ちゃん。これ……」

宮藤 「どうしたの、このイヤホン。」

サーニャ 「鳴上さんがくれたの。いっぱい歌が入っているんだけど。扶桑語……分からないから。」

エイラ 「ヨシカちゃん………?……うぐぐ。」

宮藤 「うん。ちょっと借りるね。」

宮藤 「……ふんふん。」

サーニャ 「どう?」

宮藤 「えっと……こんな感じかな。」

この何気ない日常流れて 過去から今まで過ごしてきたよ

今日からあす、あしたから未来へ

皆と築いた絆 秘めて歩き出す

リーネ 「何だか、今の私たちと、鳴上さんみたい……」

サーニャ 「続きだ……」

あの暖かい暮らしが終わって 未来へ遠くへ進むと知った

旅立ちは少し寂しいけれど 僕らの互いの絆 今も信じて……

ペリーヌ 「……」

エイラ 「どした、ツンツンメガネ。」

ペリーヌ 「鳴上さんは、私たちと過ごしたことを」

バルクホルン 「忘れるはずがなかろう。」

ハルトマン 「そだよ。こんな歌を入れてるんだから。」


【501基地/ 格納庫】

坂本 「皆、少し待ってくれ……確かこの辺りに……」 ガサゴソ

坂本 「あった。これだ。」

宮藤 「可愛い袋ですけど……それがどうかしたんですか?」

坂本 「開けるぞ……ははっ、はっはっはっはっは!!」

ミーナ 「み、美緒?」

坂本 「鳴上らしい! 憎いことをしてくれるよ、全く!!」

> 袋の中には501の隊員を模したフェルトのぬいぐるみが入っている

バルクホルン 「……なるほど。確かに。」

ルッキーニ 「あの時、これを作ってたんだね……シャーリー?」

シャーリー 「ははっ……ホント、大バカだよ、アイツ。」

宮藤 「でも、どうしてコレとか、音楽を聞くのは残ってるんだろ。」

坂本 「さあな。知らん。ウィッチに、絆の力に不可能は無い、それでいいだろう。」


――
――――

> それから数日後、1944年9月。

> ガリアのネウロイの消滅が確認されブリタニアの脅威が無くなったことで

> 第501統合戦闘航空団「ストライクウィッチーズ」は正式に解散になった……

【エピローグ】


【空母“天城”/ 甲板】

坂本 「……」

坂本 「おかしい……あの時の、アメノサギリといったか。」

坂本 「コアが無かった……とするとあれは……」

坂本 「いや、考え過ぎだ。神を名乗るなら、無くて当然だな。」

坂本 「どこまで飛べるかは分からんが……私はやるぞ。」



【ガリア】

ペリーヌ 「……本当に、良かったの?」

リーネ 「ええ。」

ペリーヌ 「これから、私たちはこの国を守った英雄だの、あること無いことを言われますわ。」

ペリーヌ 「そして、それを利用する人だって……」

リーネ 「大丈夫です。ペリーヌさん1人で戦わせません。」

ペリーヌ 「1人じゃありませんわ。皆さんとの絆があれば……」

リーネ 「ふふっ、何だか、鳴上さんみたい。」

ペリーヌ 「う、うるさいですわね! さ、まずは瓦礫の撤去よ!」

リーネ 「そうだね……ペリーヌさん、見て。小さいけど花がある!」

ペリーヌ 「……始めますわよ。植物に負けていられませんわ!」

リーネ 「うん!」


【スオムス】

エイラ 「サーニャ、寒くないカ?」

サーニャ 「ええ。大丈夫。エイラが、手を繋いでくれてるし。」

エイラ 「そそそ、そっカ。もう少しだ。そしたら暖かいご飯ダカンナ。」

ニパ「わああああああああああああ!!!」 ドスッ……バサバサバサッ

サーニャ 「エイラ……今のは?」

エイラ 「気にすんナ……アンラッキーとタンゴってるだけダ。」

エイラ 「?」

訂正。最後の最後まで誤字

最後の行
サーニャ 「 ? 」


【アフリカ】

> 広い砂漠を一台のバイクが走っている

シャーリー 「……見えた、オアシス!」

ルッキーニ 「水! ご飯! 泳ぐ!」

――
――――

シャーリー 「んぐっ……いやー、生き返った!」

ルッキーニ 「ね、あの人もオアシスに寄ったのかもね。あの赤いコートの。」

シャーリー 「かもな。さ、飯にしよう。」

ルッキーニ 「……またSPEM?」

シャーリー 「ふっふっふ……じゃん! 」

ルッキーニ 「viva!! パスタだー!」

シャーリー 「さ、お湯を沸かして茹でてくれ。アタシはソース作る。」

ルッキーニ 「作れるの?」

シャーリー 「まあな。ユウから少し。」

シャーリー 「絆だけじゃない。こうして、技術とかもちゃんと残ってる。」

シャーリー 「継承……ってのかな?」

ルッキーニ 「○×はないけどねー。」

シャーリー 「なんだそれ。ほら、もうすぐパスタ入れとけ。」

【ノイエ・カールスラント】

ハルトマン 「ふんふふっふーふんふーふー……」

ハイデマリー 「あの、どうかしたんですか?」

ハルトマン 「っ! なんだ……驚かさないでよ。」

ハイデマリー 「すいません……」

ハルトマン 「いや、大丈夫だよ。これ、あげる。」

ハイデマリー 「……クッキーですか? いただきます。」 サクッ

ハルトマン 「いや、501だったら食べ放題だったのにねー。」

ハイデマリー 「……?」

ハルトマン 「むぐ……大変だったんだよ、食堂にこっそり忍び込むの。」

ハイデマリー 「……」

ハルトマン 「トゥルーデの眼を盗まないとダメだし。」

バルクホルン 「ほう、誰の眼を盗んだって?」

ハイデマリー 「……」 カタカタ

ハルトマン 「だからトゥルー……デっ!」

バルクホルン 「……今日という今日は」

ハルトマン 「エスケープ、この風に涙を乗せ!」タッタッタ

ハイデマリー 「私も!? 泣いてませんよ!?」

バルクホルン 「待てええええええええええ!!」ドドド



ミーナ 「相変わらずね……」

ヘルマ 「飽きないものでありますか?」

ミーナ 「さあ。どうかしたの、そのぬいぐるみに。」

ヘルマ 「いえ、その。可愛いなと思いまして。」

ミーナ 「そうね……もし、作った人に会えたら、お願いしようかしら。」

ヘルマ 「いいのでありますか!?」

ミーナ 「ずっと遠くの人だから、難しいけれどね。」

【扶桑皇国】

美千子 「へえ、501で映画を作ったんだ。」

宮藤 「うん。戦闘とかは記録映像を使ってたんだけどね。本当に緊張しちゃって……」

美千子 「芳佳ちゃんらしいね。ふふっ。」

宮藤 「もう、笑わないでよ……」

美千子 「それよりさ、知ってる? あの男のストライカー乗りの人の話。」

宮藤 「鳴上君のこと?」

美千子 「うん。面白い2つ名だよね、番長って。」

宮藤 「あはは……まあ、間違ってないというか。なんというか。」

美千子 「色々聞かせてよ! 芳佳ちゃんの話も、501のことも!」

宮藤 「みっちゃんの好きな話はあんまし出来ないけど……見て、あれ。」

美千子 「……あの鳥、怪我してるのかな。」

宮藤 「待ってて。直ぐに助けてあげるから。」 パァァ…

――
――――

美千子 「凄いよ芳佳ちゃん。前よりも治癒が上手になってる!」

宮藤 「えへへ……まだお婆ちゃんの手伝いしか出来ないけどね。」

宮藤 「いつかは皆をたすけられる、立派なお医者さんになって……」

ウィッチ 「うわっ……っとと! ひゃあっ!?」 ……ガサガサッドシン

宮藤 「今のは!?」

ウィッチ 「あいたたぁ……あの、宮藤芳佳さんはどちらに」

宮藤 「私ですけど……」

ウィッチ 「私、扶桑皇国陸軍所属の諏訪天姫といいます。」

美千子 「三式戦闘脚だ!」

諏訪 「宮藤一郎様から、お手紙です。」


宮藤 「……えええっ!?」

【日本/ 稲羽発の電車内】

鳴上 「……っ!?」

鳴上 「……やけに、変な夢を見たような。」

鳴上 「……?」

> 制服には紫の十字章が飾られている……

鳴上 「……これは。」

> 鞘に北郷と文字の彫られた刀がカバンの中に入っている……

鳴上 「向こうの絆の証……か。」

鳴上 「……ゴールデンウィークにまた音楽プレーヤーを買おうか。陽介にでも頼んで。」

> あの世界にいたアメノサギリが気にかかる……

> アメノサギリはイザナミノオオカミの作り出した存在だ……

鳴上 「……」



【2ヶ月後/ 稲羽駅】

堂島 「久し振りだな、悠。といっても、2ヶ月か。」

菜々子 「お兄ちゃん! 久し振り!」

鳴上 「ええ。お久しぶりです。菜々子も体は大丈夫か?」

菜々子 「うん、菜々子すっかり元気だよ!」

堂島 「そう言えば、お前宛に郵便だ。俺は英語がさっぱりでな。」

堂島 「いつの間に外国人と交遊を持ったんだ?」

鳴上 「 ? 」

> 古ぼけた手紙を受け取った

鳴上 「 ! 」

> 差出人はJFW501とある……中には写真が入っていた

堂島 「……写真か? 随分古いな。」

菜々子 「綺麗なお姉さんたちと……見て、お兄ちゃんにそっくりな人!」

堂島 「……どういうことだ、こりゃ。」

鳴上 「……ウィッチに不可能は無いってことですよ。」


おわり














堂島 「ところで……この女の子たちはどうして……」

鳴上 「た、たぶん海に行く途中だったんじゃないですか。きっとそう。」



こんどこそおわり

おつん
すごい面白かった!
次はなんか書く予定あるの?

円城先生の新刊にさらりと「パンツじゃないから~」ネタがぶちこまれて凄いビビった私です。


これにて物語は一応の終幕となります。遅い更新、稚拙な文章、ちぐはぐの設定。
これにもめげず着いてきたオカン級の慣用さの皆様方に心からの感謝を。
少しばかり細かい設定を捻りつつ出してきます。チラ裏です。

【コミュ】
501→ 愚者。言わずもがな。
宮藤→運命。アルカナの通り、彼女が来たことで物語は大きく動いたと言うことで
リーネ→女帝。溢れんばかりの母性です。リーネさんは裏表のない優しい子です
もっさん→戦車。1937年から戦いづくめです。零式の設計しかり
ペリーヌ→剛毅。刑死者とも思ったけど、意見を頂いて。銀翼のペリーヌさんはまさしくこれだしね
ミーナ→女教皇。優しくも厳しく皆をまとめる。それでも女性的な弱さを持つとか
バルクホルン→法王。規則大好き堅物軍人。思えば一番すんなりはまったポジ
ハルトマン→悪魔。元ネタがネタだし。天使だけど正義はなんだかね。
シャーリー→魔術師。陽介、テレッテポジ。アルカナ通り何だかんだ計画性とかあるし。
ルッキーニ→太陽。お姉ちゃんに次いではまった。
サーニャ→星。サーニャ=夜。スターライトストリームです。
エイラ→月。スターライトストリーム。逆位置の魔女
マロニーちゃん→道化師。サギリのいいようにウォーロックを操られたり、ドジっ漢
クルツ→塔。ヨシツネを出したかったけど、ウィッチが11人だからペルソナがカツカツ


【アメノサギリ】

霧の神だし、戦場の霧でええやん。そんな思い付き。番長の2つ名は霧を払う者に
したかったけど、それじゃダンクーガノヴァだし。


以上チラ裏。今度こそ終わりです。

本当に、本当にありがとうございました

>>981 あ、ちまちまDMC × マルちゃんやってます。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年04月24日 (金) 14:19:08   ID: UYPr-Qzp

乙乙。これはマジもんの良作ですわ

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