ミーナ「変質者の出現に注意してください」 【ストパン】 (161)

御託

・若干に下品
・他コンテンツからの引用、パロディにより世界観がブレる可能性有

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1394249221

 
西暦1965年 某日夜方


501JFWロマーニャ基地

ミーティング室


ミーナ「――以上が明日の連絡事項です。 明日は非番の人も多いけど、外出の申請は今日中に行ってくださいね?」

シャーリー「よーし! 明日はドライブだー!」

ルッキーニ「やたー♪ たのしみー!」

エーリカ「いいなぁー」

バルクホルン「わがまま言うな」

エイラ「サーニャは明日どっか行かないのか? 哨戒に出る前に書かないと間に合わないぞ?」

サーニャ「うん……早く起きれたら」

ペリーヌ(明日は少佐と……ヌヘヘェ~~)デレー

ペリーヌ「……ハッ!?(い、いけませんわ! 明日はガリアの復興手伝いをしに行くんですのよ!? 浮かれるなんて不謹慎な……!!)」

リーネ「……私達はお留守番だね?」

芳佳「うん! 坂本さんはいないけど、しっかり訓練しないとね?」

バルクホルン「宮藤。 よければ私が監督してやろうか?」

 
美緒「お前達! 骨休めは良いが、外出先ではくれぐれも注意しろよ?」

ミーナ「……そうね」

ルッキーニ「にゃ?」

シャーリー「何かあるんですか?」

ミーナ「最近、欧州の治安が悪化してきているみたいなの」

美緒「暴漢、強盗等の不貞な輩の騒ぎが増えてきていると聞く」

バルクホルン「初耳だな? ガリアも奪還して、ネウロイ被害の当初から大分落ち着いてきている筈だが?」

ミーナ「局地的に見ればね。 ベネツィアの様に新しくハイヴが出現した地域もあるし、カールスラントも未だネウロイの侵略下にあるわ」

ミーナ「欧州全体の人々の不安はどうしても不安定にならざるを得ないから、こういった治安の波もやっぱり起こるのよ」

シャーリー「……おー! そういや最近ローマで“異様な連中”がよく目撃されてるってラジオで言ってたな?」

ルッキーニ「ぅにゃあー! なにそれー!?」ワクワク

芳佳「い、異様な人達……ですか?」

リーネ「ぇ……ぇぇ…」ゾワ

 
バルクホルン「どんな奴等なんだ?」

シャーリー「ん? いや、あたしも知らないけど……なんかすんげぇ変な格好してんだって? ちょっとした人気者にもなってるらしいぞ?」

サーニャ「……」

エイラ「なんだそりゃ?」

バルクホルン「危険ではないのか?」

ミーナ「そのニュースなら私も知っているわ。 悪質な事件ではないらしいけど、不振な点も多いそうよ」

ペリーヌ「そんなの、邪な方々に決まっていますわ! ……善業をするのに可笑しな格好をする必要などありませんもの」

美緒「その通りだ。 名は体を表し、体は実を表すからな。 怪しい出で立ちであるなら警戒するべきだ」

ミーナ「そうね。 ……皆、変質者の出現には十分注意してください?」


「「了解」」



――――
――



しかし翌日、事案は発生した……

 
事案ファイル1(宮藤&リネット)


宿舎 食堂


芳佳「……あれぇ?」ゴソゴソ

リーネ「ない?」

芳佳「うん。 見つからないや……どこいったんだろ?」ゴソソ

リーネ「訓練用のやかん、こっちにしまった訳じゃなかったんだね?」

芳佳「うん。 それどろか、お台所用のも無くなってるみたい……」

リーネ「誰かが使ってるんじゃないかな?」

芳佳「そうなのかなぁ? でも皆ほとんど出掛けてるよね?」ゴソゴソ

リーネ「そ、そうだったね? 私達の他はハルトマンさんとバルクホルンさんとミーナ中佐しかいないから…」

芳佳「ふぅ……。 3人の中の誰かが使ってるのかなぁ? あれがないと水が飲めないよ…」

リーネ「芳佳ちゃん。 今日は水筒使おうよ? それなら訓練途中にちゃんとお水も飲めるよ?」

芳佳「……でも、坂本さんはいっつもやかんで」

>>6
※訂正※

『事案ファイル1(宮藤&リネット)』 → 『事案ファイル1(宮藤&ビショップ)』

 
リーネ「大丈夫だよ! 坂本少佐も今日はペリーヌさんとガリアに行ってていないから、今だけ水筒でも平気だよ?」

芳佳「……うん。 そうだね、リーネちゃん! そうしよっか」

リーネ「うん」

芳佳「でもどこいっちゃったんだろ? あのやかん、明日までに見つけないと……」


ガシャンカラ


芳佳「?」

リーネ「……何か物音がしたね?」

芳佳「やかんっぽい音だったよね!? ステンレスっぽい」キョロ

リーネ「やっぱり誰か使ってるのかな?」


???「――モシ、オジョサン? ヤカンホシーノ?」チョンチョン


リーネ「? ……は――」クル

???「コノ ヤカン アゲルカラー、ボクト イッパツ ヤロ?」ニコッ

リーネ「ッッ!!?」

 
芳佳「? ……リーネちゃん、今エイラさんみたいな――」

リーネ「きゃぁぁあぁああぁあああっ!!!!」


芳佳「!?」ギョッ


???「オッパイデケェー! イイネ、クッチャイマス!」

リーネ「きゃああぁああ!! きゃぁあぁああ!!!」

芳佳「リーネちゃん!!?」

???「ガマンデキナイヨー」

芳佳「ちょ、ちょっと! 誰ですか!?」

???「ア……コッチハチイサイ…。 コドモ…」

芳佳「だれですかっ!!!」

???「ボクハー、アレ! ヤキソバンン デス」

芳佳「ヤキソバン!?」

 
ヤキソバン?「コノ ダキゴコチ! タマンネェー! コノ、メスマシュマロ!!」ギュウー

リーネ「やぁあぁあああぁああっ!!!」

芳佳「ちょっ!? やめて! リーネちゃんを離して!!」グイ

ヤキソバン?「コノ、フトエロモモッ!」ペチッ ペチンッ

リーネ「やあぁ!? いたいッ!!」

ヤキソバン?「イッコン! ニコン!!」ペチンッ ペシンッ

リーネ「誰かたすけてぇええ!!」

芳佳「リーネちゃん!! リーネちゃあぁあん!!」グイィ



『青のりーフラッシュ!!』


シュパパパパパ


ヤキソバン?「ウワァー」バッ

リーネ「ひゃあぁっ!?」

芳佳「!? リーネちゃん!」

 
リーネ「ッ……」ドサッ

芳佳「リーネちゃん、大丈夫!? リーネちゃん!」

リーネ「ぅ……よしか…ちゃ……~ハクシュン!」

芳佳「しっかりしてリーネちゃん! ……なにこれ?……青のり…?」

ヤキソバン?「ブァックシュ! ~ファック、シュー! ……ダ、ダレ!?」



『地球の食生活を守る正しい焼きそばの化身……みんなの見方――』


シュバッ

グルグルグル――


――スタッ


ヤキソバン「UFO仮面ヤキソバンだ!!」デーン





芳佳(な、なにあれぇーー!??)ガビーン

リーネ「ゃ……色付きの痴漢さん…!?」ビクッ

 
ヤキソバン「こんな年端もいかない少女にまで“硬くする”んじゃない、堅ヤキソバン! いや……偽ヤキソバン!」ビシッ

偽ヤキソバン「ガマンデキナインデス!」

ヤキソバン「しかも私の名を語って痴漢を働くな! 風評被害でお嫁さん候補がいなくなってしまう!」

偽ヤキソバン「ヤリタイ!」


芳佳(いったい何が何だか……どうしよう?)

芳佳「……と、とりあえず逃げようリーネちゃん!? ミーナ中佐に報告しよう!」グイ

リーネ「まっま、まってぇ芳佳ちゃんっ!!」

芳佳「リーネちゃん?」

リーネ「わた、わたし……怖くて…た、立てなぃ……」ガタガタ

芳佳「!」


『おい! サンコン!!』


芳佳「っ!?」

 
ケトラー「回収したやかんを勝手に持ち出して何してる! さっさと次のやかんを奪い行くぞ!」スタスタ

ヤキソバン「やはりお前もいたか……ケトラー!!」





芳佳(また変な人ーー!?)ガビーン

リーネ「ぁ……頭にやかんが…?」

リーネ(……辺な格好の痴漢さんふたりに、やかんが乗った変態さん……。 そっか……これは夢なんだ…)

リーネ「……そっか………なんだ、よかった…。あはは……よしかちゃん、…いまぉきるねぇ~……えへ…」クラクラ

芳佳「リーネちゃん!?」

リーネ「……ぁぅ」ガクッ


リーネ「」チーン


芳佳「……!」ガーン

ヤキソバン「少女よ、安心しなさい! その娘は気絶しただけだ」

芳佳「え? あ、はい。 知ってます」

 
ケトラー「ヤ~キソバ~ン! お前がこんな所まで来ていたとは……! お前が邪魔だから扶桑のやかん独り占めは後回しにしたと言うのに~!」

ヤキソバン「扶桑撫子のお嫁さんが理想だが、170㎝55kgの理想体系がなかなかいないんだ! ……だから世界規模に視野を広げ、ここまでやって来た」

ヤキソバン「そんな事より、とにかく食らえー! ソースビーム!」サッ


ビューーーーッ


偽ヤキソバン「ウワァー」


芳佳「うわ…!(あんなもったいない事してる!?)」

リーネ「」←のりまみれ


ケトラー「くぅ! やるなヤキソバン……だが、お前の弱点もお見通しよ~」チャキッ

ヤキソバン「ッ!! しまった、それは…!」

ケトラー「ヒヒヒ、そうだ。 水鉄砲だ、くらえー!」ピュー

ヤキソバン「ぐおあぁあ!!!」


芳佳「あ、ヤキソバンさん!?」

 
ケトラー「ふゃははははー! どうしたヤキソバン?」

ヤキソバン「ぐぅ……くそぉ。 麺がふやけて…」グラッ

ヤキソバン「っ……」チラ

ヤキソバン「…!(あれだ!)」

ケトラー「ははは-! それそれぇー!」ピュー

ヤキソバン「グググッ……」

ヤキソバン「でやぁ!」ゲシィ

偽ヤキソバン「イテッ!?」


カランッ カラ…


ヤキソバン「よし…」ヒョイ

ケトラー「あぁー! 何してるんだサンコン!! やかんを取られるなよ!」

偽ヤキソバン「ボク チャント ヤッテタヨー?」

 
ヤキソバン「あ、あとはコレでなんとか……」ヨロヨロ

芳佳「あ、あの……大丈夫ですか…? 怪我してるなら私が――」

ヤキソバン「少女よ!」

芳佳「へっ? は、はい?」

ヤキソバン「こ……このやかんで、…お湯……お湯を沸かしてくれ」

芳佳「え?」

ヤキソバン「ここはキッチンだろう!!? ……はやくぅ!!」グイ

芳佳「え? え!? わ、わかりました!」パシッ


ステテテッ


ケトラー「フヒヒヒ。 死んでもらうぞ、ヤキソバン?」ピューピュー

ヤキソバン「ぐわぁー!!」




芳佳「……(ど、どうしよう……ヤキソバンがピンチだ…!)」ハラハラ

芳佳「う~! お湯がまだ沸かない!」

やかん「……」

芳佳(リーネちゃんを助けてくれたんだから、私も助けなくちゃ!)

芳佳「……よぉしっ!」

 
ケトラー「おらおら~! ……おいサンコン! お前も手伝え」

偽ヤキソバン「ボク テッポウ モッテナイヨ!」ムリダヨ


ヤキソバン「ぐぅぅ……このままでは――」

芳佳「やぁ!」フィィイン ピョコ


パァアア


ケトラー「なにぃ!? 何だあれは! バリアーか?」


ヤキソバン「しょ、少女……君は…」

芳佳「諦めちゃダメですっ!!」

ヤキソバン「!」

芳佳「まだ……まだ終わってないじゃないですか!? 倒れちゃダメです! 諦めちゃダメですよ!!」パァアア

ヤキソバン「……」

 
芳佳「世界中の食生活を正すなんて、すごい立派なことだと思います! きっとヤキソバンさんを必要としてる人達がまだ沢山いるはずです!」パァアア

芳佳「私も……私も一緒に戦います! だから、まだ諦めないでください!!」

ヤキソバン「少女…」

芳佳「ヤキソバンさんっ!」

ヤキソバン「…………ああ、そうだな!」キリッ


やかん「……ゴポゴポゴポ!!」


ヤキソバン「! 湯が!?」

芳佳「沸いた!」



ケトラー「このこの~! ……なに!? 水がきれた!」シュカ シュカ



芳佳「よし! 今のうちにっ」ダッ

 

ガシッ


芳佳「ヤキソバンさーーん!!」タタタ

ヤキソバン「少女よ! その湯を私にぶっかけろぉ!!」

芳佳「やぁぁああああ!!!」ジョボボボ

ヤキソバン「!!!!!」


ヤキソバンは、弱点の水をかけられるとフニャフニャになってしまう。
しかし、お湯をかけると麺がしっかりするためパワーアップし、“大盛り仮面ヤキソバングレート”になるのだ。(※Wikipedia)


芳佳「な、なに今の声!?」


<♪デ~デッデデデデン♪>


芳佳「!??」


やきそば~ん♪ やきそば~ん♪

UFOかめ~ん♪ や~き~そば~~ん♪

 
ヤキソバン「うぉぉお! くらえっ! 青のりフラーッシュ!!」シュパパ

ケトラー「ぐわぉぉお!?」


か~っこ~いいのか~♪ わるい~のか~♪

どっち~なんだか~♪ Confusion~♪

だけど笑顔が~♪ いかすヒ~ロ~♪


ヤキソバン「ソースビィーム!」ビュー

偽ヤキソバン「ウワァー」


心を開け~♪ ふた~を開け♪

命をかけて~♪ ソースをかけろ~♪


ヤキソバン「うまいぜ必殺! 揚げ玉ボンバー!」ボボボ

ケトラー「ぐわぁぁあ!」


あ~い~つ~が~正しい~♪ や~き~そば~ん~♪

UFO~(UFO)♪ UFO~(UFO)♪


ケトラー「く、くそぉ~! 覚えてろぉ~ヤキソバーン!!」スタコラー

偽ヤキソバン「マッテー」タタタ


UFOかめ~ん♪ や~き~そば~~ん♪

<♪デーデデッデッデン デンッ デンッ♪>




ヤキソバン「ふぅ…」

芳佳「い、今の音楽は……?」

 
ヤキソバン「……ありがとう、少女よ。 君のおかげで勝てた」

芳佳「あ、いえ! そんな……ヤキソバンさんこそすごくカッコ良かったですっ!」

ヤキソバン「君の正義感には感服した。 それにその真っ直ぐな目を…………っ!?」ビクッ

芳佳「? ヤキソバンさん?」

ヤキソバン「き、君は今いくつだ……?」

芳佳「え? 年齢ですか? 15です」

ヤキソバン「……成る程。 子供っぽさはあるが、…美人だ」

芳佳「えっ…//」

ヤキソバン「少女よ。 名前を聞かせてくれ?」

芳佳「ぅえ!? ぇえぇ~っと……み、宮藤芳佳ですっ」ワタワタ

ヤキソバン「宮藤芳佳……やはり扶桑の撫子だったか。 清く、正しく、そして美しいわけだ」

ヤキソバン「……宮藤さん? 君が将来、身長170㎝体重55kgになったら話がある」ガッ

芳佳「へ?」

ヤキソバン「その時まで、今のまま変わらず育ってくれたまえ! 頼むぞ!」グッ

芳佳「え? ええ?」





リーネ「」←ソースと揚げ玉も飛び火

ファイル2へつづく

>>24
※訂正※

『リーネ「」←ソースと~』 → 『リーネ「」 ←ソースと~』

 
事案ファイル2(坂本&クロステルマン)


ガリア南東の町 マントン


美緒「ふんっ……と」ガラガラ

美緒「よし! この辺の瓦礫は粗方片付いたな」

美緒「……ふぅ。 汗水垂らして労働に勤しむのも、やはり良いものだな」


『少佐ー! 差し入れを頂きましたわー! 少し休憩されてはいかがでしょうかー?』


美緒「ん! そうだな、……丁度キリも良い事だし、一息つこう」


――――
――



美緒「うむ! 水が美味い!!」

ペリーヌ「お疲れ様です、坂本少佐。 お身体にお障りありませんか?」

美緒「わっはっはっ! 労働の汗は訓練以上に気持ちのいいものだ、寧ろ活気付いてきたぞ?」

ペリーヌ「流石少佐ですわ…!」ウットリ

 
美緒「……ペリーヌも大分汚れたな? 大丈夫か?」

ペリーヌ「わ、わたくしはガリアの為でしたら服の一枚や二枚破れようと気になりませんわ」

美緒「そうか。 ……立派だぞ、ペリーヌ」ポン

ペリーヌ「いえ、そんな…っ! こ、これも貴族としての義務ですから///」

美緒「はっはっは! そこが立派なんだ」

ペリーヌ「そんな、わたくしなんて……。 坂本少佐こそ本当にご立派でおられますわ」シュン

美緒「ん?」

ペリーヌ「少佐ともあろうお方が、折角のご休暇にこの様な所での重労働を買って出られるなんて…」

ペリーヌ「……本当に、申し訳ございません」

美緒「自惚れはいかんぞ、ペリーヌ?」

ペリーヌ「え…?」

美緒「我々はウィッチで、ウィッチは人々を護るために在る。 …しかしネウロイと戦う事だけが、その役目ではないぞ?」

美緒「ネウロイの残した傷跡に屈せず、こうして復興に従事するもまた人々の為であり、ウィッチの使命だ」

ペリーヌ「少佐…」

美緒「だからお前が気に病む必要などない」

 
ペリーヌ「……はいっ! ありがとうございます!」

美緒「よぉし! いい返事だ! 我々は死ぬまでウィッチだぞ!」

美緒(……そうだ。 たとえ“いつか”飛べなくなろうとも、私達は……私は…)

ペリーヌ「あの、ところで少佐。 レモンなどはお好きでしょうか?」

美緒「――ん? …どうしたペリーヌ?」

ペリーヌ「宜しければこれを……このマントンの地で獲れたレモンですわ」スス

美緒「ほぉー、はちみつレモンか! 昔は訓練の時によく食べたな。 頂こう」パク


美緒「もぐもぐ……」


美緒「うむ! 酸っぱい!!」


ペリーヌ「レモンやライム等の柑橘果実はマントンの特産品です。 17年前には世界で最大の生産量を誇るほどだったそうですわ」

美緒「流石はかつての欧州戦線の台所、農国ガリアだな! こんな立派な果物の成る木が生き残っているとは」

ペリーヌ「はい…。 またわたくし達の役にたてる様にと、リベリオンから逆輸入したレモンの樹木をこの地に植えるそうです」

美緒「逞しいな。 やはり国を護る1番の力は人々の想いか」

 
ペリーヌ「……ですが。 皆さん復興のため不屈の思いで頑張っていますが、ここはロマーニャやベネツィアの鼻先に位置する町…」

ペリーヌ「ネウロイに親や兄弟を奪われた町の方々は、見えない所できっと今まで以上の不安と恐怖を感じている筈ですわ……」

美緒「だからこそ来たのだろう? 基地からも比較的に近い場所ゆえ、日帰りも可能だからな」


『ペリーヌおねぇちゃーん!』


ペリーヌ「あら? ……はぁーい! もう少しで戻りますから、待ってちょうだーい!」フリフリ

美緒「慕われているな? 皆楽しそうにしている」

ペリーヌ「今のわたくしには、こんな事しかできませんから……」

美緒「……ネウロイ侵攻で両親を亡くした子供達か。 有志の施設で共同生活をしているそうだな?」

ペリーヌ「はい…」

美緒「……」

ペリーヌ「……」

美緒「…容易ではないぞ? 人を教え、導くのは」

ペリーヌ「え?」

 
美緒「あの子等は謂わば宝だな。 いずれ我々大人に変わり、未来の世を切り開く者達だ」

ペリーヌ「な、何をそんな……!? 少佐も全然お若いではありませんか!」

美緒「わっはっはっ! そうだな」

美緒「……たった一日とは言え、その未来への橋渡しをしてやるんだぞ? 決して“こんな事”などではない」

ペリーヌ「も、申し訳ございません! わたくしは断じて少佐の御立場を批判した訳では……」ペコッ

美緒「待て待て、叱っている訳ではない。 言っただろう? お前のその想いが何より子供達を正しくに導き、国を護る」

美緒「……胸を張れ、ペリーヌ」

ペリーヌ「坂本少佐……っ…」ウル

美緒「はっはっはっ! 涙腺がなっとらんぞペリーヌ! 帰ったら訓練だな!」

ペリーヌ「ぅ…も、もうしわけありません……」グシグシ

ペリーヌ「……少佐の様に上手くは出来ませんが、わたくしも頑張ります」

 
美緒「わっはっはっ! 私などまだまだだぞ? 目指す軍神は遥か先だ!」

ペリーヌ「ぐ、軍神……ですか?」

美緒「うむ、恩師だ。 ……怖いぞぉ?」フフ

ペリーヌ「まぁ…!?」

美緒「わっはっはっ!」


ぐぃー


ペリーヌ「きゃ!?」カクン

子供1「もぉ~! ペリーヌねーちゃんいつまで待たせるんだよぉー?」テテテ

子供2「はやくはやくー!」

子供3「おねえちゃん、おねえちゃん! わたしがうえたお花さん、むこうで咲いてたんだよ?」グイグイ


キャイキャイ


ペリーヌ「あらあら……わかりましたから、皆さん少し落ち着きましょう?」ニコ

美緒「ふふっ…」

 

テテテテッ


子供4「ペリーヌお姉ちゃーん! みんなぁー! ニュースニュース!! ……レモンまつりやるんだってー!?」テテテ

美緒「?」

ペリーヌ「あら! そうなんですの!?」

子供2「ほんとー!? やーたぁー!!」

子供3「わーい! わたし、たのしみー!」ピョン

子供1「おまえはやった事ないもんなー? すげんだぜぇー!」

子供4「ねえ! レモンまつり、ペリーヌお姉ちゃんもいっしょに行こうよ?」

ペリーヌ「ええ、そうですわね。 時間があれば是非とも」

子供1「あ! おまえ、ズルいぞ!? ペリーヌねーちゃんひとりじめすんなよっ!!」


ギャーギャー


ペリーヌ「はいはい。 仲良く皆で行きましょう?」

 
美緒「レモン祭り? ……祭りがあるのか?」

ペリーヌ「この町のお祭りですわ。えっと34年でしたから……30年以上も前から伝統になっている物でして、国内でも有名なイベントのひとつなんです」

美緒「ほおー! 知らなかったな」

ペリーヌ「ネウロイとの大戦が始まって以来はずっと中止になっていましたから……少佐が欧州にいらした頃にお耳にされなかったのも無理ないですわ」

ペリーヌ「わたくしも小さい時にお邪魔しましたが、素晴らしかったです。 町で獲れたいっぱいのレモンで作ったオブジェがパレードで凱旋しますの……」

美緒「おお、それは凄そうだな? 私も一度見てみたい。やはり扶桑撫子として、祭りと聞いて黙ってはおれんからな!」ウム

美緒「……おい童、その祭りは今からやるのか? 準備なら私も手伝おう」

子供4「え? 違うよぉ、まだだよ! 2月ー!」

美緒「むぅ……そうか。 惜しいな」

ペリーヌ「この温暖の地を求めて毎年来た避寒客の為に、ホテルの経営者が始めたイベントが前身となっているそうですから…」

美緒「なるほど。 故の、冬にレモンなのか」

 
美緒「……しかし、そうした祭りも人々を元気にする。 本当に強い国だな、ガリアは! わっはっはっ!」

子供2「わーはーはー!」

美緒「お? なかなかいい気合だぞ、童! わっはっはっ!」

子供2「わっはーはー!」

子供3「わーい! サムライおねえちゃーん!」グイグイ

美緒「おい、待て。 髪を引っ張るんじゃない」


ペリーヌ「こ、こら! 坂本少佐にご無礼は――」ワタワタ

子供1「あ、そだ! ねーちゃん? ペリーヌねーちゃん!」

ペリーヌ「え? あ、はい。 どうしました?」

子供1「へへへ……これ!」ゴソゴソ


スッ


ペリーヌ「……まあ! 綺麗な石ですわね?」

子供1「さっき川でみつけたんだ! すっげぇキレイだったからさ……ね、ねーちゃんにやるよ!//」

ペリーヌ「え?」

子供1「……///」

 
ペリーヌ「……フフッ、ありがとう。 大切にしますわ」スッ

子供4「あー! 何それ!? 見せてー?」

子供1「ッ!? お、お前はいいんだよー! くんなー!//」

ペリーヌ「ウフフ…」ニコニコ

石「……」


ユラッ


ペリーヌ「!」ビクッ

ペリーヌ「…………?」



子供2「わーはっはー!」スタタタ

美緒「こ、こら! 眼帯を返せっ」

子供3「サムライおねえちゃーん!」グイグイ


――――
――


 
美緒「やれやれ……まったく。 身に余る事はするべきではないな(首が痛い…)」ワッセ ワッセ

美緒「やはりまだまだ、北郷先生には遠く及ば――」ガラガラ


『さ、サムライおねえちゃーんっ!?』


美緒「ん?」


テテテテ


子供3「おねえちゃ~ん!」

美緒「よせ、もう引っ張るなよ?」ジリ

子供3「助けてぇ…サムライおねえちゃん……っひぐ…」

美緒「! ……どうした?」

子供3「ぐすっ……ペリーヌおねえちゃんが…」

美緒「何…?」


――――
――

 

 
子供1「ねーちゃん! やめろぉ! どーしちまったんだよ!?」

子供2「びぇぇええん!」

ペリーヌ「オホホホホ!! 皆困ってしまえばいいですわー!!」グシャグシャ


ザッ


美緒「ペリーヌッ!」

美緒「!? こ、これは……いったい何が…?」

子供4「うっ……ペリーヌお姉ちゃんが…急に、…ぼっ……僕たちのレモンを……つぶして…」

美緒「何故そんな事を…!?」

子供4「…ぅくっ……」グスッ

美緒「……事態は飲み込めんが、とにかくペリーヌを止めるか」



 
 
ペリーヌ「オホホホホ!」グシャコラ


子供1「ねーちゃん! やめてくれよぉ!」グイー


ガシッ


美緒「ペリーヌ、そこまでだ。 それはこの土地の財産だぞ?」

子供1「…片目のねーちゃん!」

美緒「童、皆を連れて離れていろ」

子供1「う、うん……」テテテ


バタバタバタ


美緒「……ペリーヌ? 何故いきなりこんな事を――」

ペリーヌ「……」フィィイン ピョコ

美緒「!?」


バリバリバリャ


 
美緒「くっ……! 何をするペリーヌ!?」シュタ

ペリーヌ「お邪魔をする方は排除しますわ……」ユラァ

美緒「おい! ふざけるのも大概にしろっ!!」

ペリーヌ「オホホホ~!」

美緒(……駄目だ、完全に様子がおかしい! 一度黙らせるしか無いか)

美緒「……しかし」

ペリーヌ「トネール!」


バリバリーッ


美緒「ふっ!!」サッ

美緒「くっ、…魔法を使うペリーヌ相手では簡単に接近できん」

美緒(烈風丸を抜けばペリーヌも無事では済まない。 シールドも…)

ペリーヌ「オホホホホー!」

美緒「電撃を防ぐだけの魔法力は…もう私には……!」

 
ペリーヌ「次こそ丸コゲにして差し上げますわ~~」フィィイン

美緒(ぐっ……どうする…!!)

ペリーヌ「ホホホホ~」バチバチ



『 待 て 』



美緒「!」

ペリーヌ「? ……どなたですの? 今の声は」キョロキョロ


子供1「……あ! なんだあいつ!?」


ペリーヌ「!」

美緒(……本当になんだあれは…?)


???「と~うっ!!」ダッ


美緒「ッ!!」


???「えっほ、えっほ……」タッタッタッ


子供1「……ふ、ふつうにかけ足…(かっちょわる)」

 
???「ふぅ」スタ

美緒「……おい、すまんが――」


<♪デンッ デデンッ デデデン♪>


美緒「!?」



???「フンッ! ン~~ッン!」ビシッ

『S』< シャキーン

???「ストレッチマン、参上!」デーン


ペリーヌ「まぁ! ストレッチマンですって!?」ガーン

美緒(……誰だ?)

 
ストレッチマン「怪人ダメガーネ。 元気に実ったレモンは人々の希望の象徴、それを踏みにじり子供達を悲しませるとは……許さん!」

美緒「……」

ペリーヌ「出ましたわね~、ストレッチマン!」キィー

ストレッチマン「子供達に悪さを働けば、我輩は何処へでも駆けつける! ぬぁ~っはっはっはぁ!」

ペリーヌ「なんて厚かましい!?」


美緒「……まて、お前達」ズイ


ペリーヌ「な、なんですの…ちょっと」

ストレッチマン「む? ちょっと待っていろダメガーネ。 ……どうした、お嬢ちゃん?」

美緒「私は二十歳(はたち)だ」

ストレッチマン「むむ、それはすまなかった! ……え~――」

美緒「扶桑海軍の坂本美緒だ。 お前は何者だ?」

ストレッチマン「我輩の名はストレッチマン! ストレッチ第七星雲から大気圏を抜けてやってきた」

美緒「…………そうか。 遠い所から御苦労だったな。 で、お前の目的は何だ?」

ストレッチマン「子供達を襲う怪人ダメガーネを懲らしめにきたのだ!」

美緒「怪人? あのおかしくなったペリーヌに心当たりがあるのか?」



ペリーヌ「……はぁ。 まだ終わりませんのー?」ファサ

 
ストレッチマン「奴は“ツンツン怪人ダメガーネ”。 どうやら、人々の持つ負の心の汚染を浴びて変身してしまったようだ」

美緒「何だと!?」


<♪デレレレレ~♪>

ペリーヌ「…!」
ツンツン怪人 ダメガーネ
〈ペリーヌ・クロステルマン先生〉


ペリーヌ「ちょっと! なんですの、この下の字幕は!?」
ツンツン怪人 ダメガーネ
〈ペリーヌ・クロステルマン先生〉



美緒「……すまん。 正直よくは分からんが、取り敢えずペリーヌを戻したい」

ストレッチマン「奴を元に戻すには、懲らしめて負のエネルギーを追い出すしかない! 我輩にまかせろ」

美緒「待て! アレは私の部下だ、私もやろう」

ストレッチマン「むう~、危険だ!」

美緒「こう見えても私は鍛えている。 心配ない」

ストレッチマン「…!(この婦人から感じるエネルギー、まさか…)」

ストレッチマン「わかった、坂本さん! では一緒にダメガーネを倒そう」

美緒「了解」


――――
――


 
ペリーヌ「……やっと終わりまして?」

ストレッチマン「行くぞ! ダメガーネ!」ダッ

美緒「待て! 迂闊に飛び出すな!」グイ

ストレッチマン「イダーッ!? こら、つねるな~!」

美緒「っ!? す、すまん! ……着衣だとばかり…」

ストレッチマン「何を言う? 我輩は常に裸だ」

美緒「…………なるほど、すごい練度だ」


バリバリバリャ


ストレッチマン「のわぁっ!?」ピョン

美緒「ふっ!」サッ

ストレッチマン「……い、今のはまさか…!!」

美緒「ちゃんと避けるとは、流石に伊達では無いんだなストレッチマン?」チラ

美緒「……? ……おい?」


ペリーヌ「これ以上お邪魔をするなら、あなた方の脳天に雷を落として差し上げますわ!」バチバチ

 
ストレッチマン「や、やはり! か、かかっ雷だぁ!!?」ガビーン

美緒「……どうした、ストレッチマン?」

ストレッチマン「わ…我輩、雷と怪談だけは苦手なのだ……」

美緒「……」


ペリーヌ「トネール」

ストレッチマン「ぎゃあぁあああ!!」バリバリバリャ

美緒「ストレッチマンッ!」


ペリーヌ「オホホホホ! 頭の避雷針がグシャグシャですわ!」

ストレッチマン「」チーン

美緒「大丈夫か、ストレッチマン!? しっかりしろ! 先程からまだ何も進展していないぞ!!」

美緒「……気絶している!(何とか起こせないか…? 何か気付けになる物――)」


美緒「!? アレだ!」ピコーン

 
ペリーヌ「お次は貴女の番ですわー!」フィィィイン


バリバリバリャ


美緒「くっ!」ダッ

美緒「とぁ!!」ズザァー


ヒョイ


美緒「よし! 後はこれを……(いくぞ烈風丸!)」スラァ



美緒「秘技! 返し輪切り!!」スパスパ



ペリーヌ「なっ!? なんて美しい輪切り…!!」
 

 
美緒「ストレッチマンッ! マントンの特別酸っぱいレモンだ! 多少厚めに切ったぞ、食えっ!!」グイグイ

ストレッチマン「ッ……」モガモガ

ストレッチマン「!!!!!」


ストレッチマンの唯一の弱点“ストレッチトンガリ”は敵の攻撃などで破損するが、レモンを食べることで復活するのだ(※Wikipedia)


美緒「……ん? 何の声だ?」


シャキーーンッ


ストレッチマン「ぬわぁ~っはっはっは! ふっかぁ~~つ!!」デデーン

美緒「よし、起きたな」

ストレッチマン「ありがとう、坂本さん」

美緒「礼はいい。 それより怪人だ」

 
ペリーヌ「あなた方! いい加減におやられなさい! そろそろわたくしの髪が限界ですわ」


ストレッチマン(髪? ……そうか!)ピーン

ストレッチマン「坂本さん! 我輩、名案を思いついた」

美緒「何、本当か?」

ストレッチマン「我輩がこれを使って奴のメガネを外させたら、坂本さんはそれを弾いてくれ」スッ

美緒「……やってみるが、その鏡はどこから出した?(腰の小袋か…?)」

ストレッチマン「頼んだぞぉ~!」ダッ

美緒「おい! …………快活なやつだ。 …好ましい性格ではあるが」



ストレッチマン「ぉわあ~!? おいっ! ダメガーネ!?」ガーン

ペリーヌ「なんですの? いちいち喧しいですわね?」

ストレッチマン「お前の髪、ずいぶん乱れてメチャメチャだぞ~!?」

ペリーヌ「えぇ、そんなに!? うそ!?」

ストレッチマン「ほら、鏡持ってるから見てみろ」スッ

ペリーヌ「……まぁ! なんてこと!?」ガーン

 
ペリーヌ「……まぁ! なんてこと!?」ガーン

ペリーヌ「もぅ……あなた方が粘るから…」クシクシ

ペリーヌ「…………」クシクシ

ペリーヌ「~~ッ! …んもぅ! 邪魔ですわ」スチャ

ストレッチマン(よし、外したぁ!)



美緒(……レモンを投げた経験はないが…)ヒョイ

美緒「せぇぇいっ!!」ブン


ビュンッ


ペリーヌ「ひゃっ!?」ビシッ


ポテ


ペリーヌ「あら、そんな…! ……メガネ……わたくしのメガネ――」
 

 
ストレッチマン「やったぞ、坂本さん!」

美緒「成る程。 これでペリーヌの動きを封じたという事か」

ストレッチマン「よし! 今のうちに子供達を交えてストレッチだっ!!」クルッ

美緒「は?」

ストレッチマン「子供達ーー!! おいでぇーー!! ストレッチだぁー!」



子供達「……」



ストレッチマン「……おかしい。 子供達のやる気が著しく低い」

美緒「待て! 何故今ストレッチをする?」

ストレッチ「……決まっているっ!」クルッ

ストレッチマン「ストレッチパワーを溜めるんだ!!!」ギラ

美緒「っ!!!」


この時、坂本はストレッチマンの熱い眼差しの中にあるストレッチへの情熱と、ストレッチパワーを感じた。
理解は一切無理だったが、感じたのである。


子供1「……おい、なんか声がしないか?」

子供4「えー?」

 

美緒「……いいだろう。 ただし、私も本気で挑むぞ…?」ヌギ


バサッ


美緒「やるぞ、ストレッチ!!」 ←水練着

ストレッチマン「!?(なんとしなやかな身体つき!? やはりこの御婦人、ストレッチレベルはかなり高い!!)」

美緒「わーっはっはっは!! お前達、集合ッ!! 皆でペリーヌを救うぞ!?」



子供1「か、片目のねーちゃん…?」

子供3「わぁーい! サムライおねえちゃーん!」テテテ

子供2「わーはーはー!」テテテ

子供1「あ、ちょっ……!」

子供4「行こうよ? ペリーヌお姉ちゃん助けようよ!」クイ

子供1「……う、うん」


――――
――


 
美緒「よーっし! 全員整列ッ!!」ビシィ

子供達「!」ピッ

美緒「今から皆でストレッチパワーを溜める! ストレッチマンの指示に従って元気よくストレッチを行うぞ?」

子供達「はーいっ!」

美緒「若干伸ばし気味だか、いい返事だ!! ……ストレッチマン、始めてくれ」


ストレッチマン「うむ! ……さあ、皆で“腰のストレッチ”だ!」キリッ





<♪テレレテ~ン テレテテ~ン♪>


ストレッチマン「まず、座ってみよーう! ……足はガバチョーンと開いてー」グイー


美緒「ふむ…。 がばちょーん、か」グイー

子供2「ガバチョーン!」


ストレッチマン「足の片方をもう片方の太腿につけたらー、両手で伸ばした足のつま先を捕まえに行くよー?」グッ


美緒(腿の筋肉にもきそうだな……)

子供3「んしょ…」グイグイ

 
ストレッチマン「この時ー、伸ばした足の膝が“曲がらない様に”注意しようねぇ」(ブッブー♪)


子供4「……曲がってるよ?」

子供1「ま、まがってねーよ!」

美緒「こらぁ、お前達! ちゃんと聞けー!」


ストレッチマン「しっかりと前を向いてー、いくよー?」スッ

ストレッチマン「のび~る、のび~~る――」ググー


美緒「ふぅっ……(む、これは中々…!)」ググー

子供3「ん~~っ!」プルプル


ストレッチマン「…ストップ! 一緒に1から5まで、大きな声で数を数えてみよーう!」

 
ストレッチマン「いーちっ!」


『1』デン



子供達「にーぃ! さぁーん!」」


『2』デーン


『3』デデーン



美緒「しぃぃいい!!」


『4』バァーン



ストレッチマン「ごぉ~~!!」


『5』ズズズ



『5 → S 』シャキーン!

 
ストレッチマン「ぬぅあ~っはっはっはぁ!! ストレッチパワーが、ココに、溜まってきただろ~ぅ?」ビシッ

美緒「わっはっはっは!! これがストレッチパワーか! 帰ったらミーナにも教えてやろう!」

ストレッチマン「さぁ皆で、怪人ダメガーネに――」



ストレッチマン「ストレッチパワーー!」バッ

美緒&子供達「ストレッチパワーー!!」



ブワァァアーー


ペリーヌ「ひゃあぁ~~れぇ~!」グラァ


シュウウウ…………


ペリーヌ「~~!」

ペリーヌ「……」バタッ


ペリーヌ「」チーン



子供1「ペリーヌねーちゃん!?」

美緒「ペリーヌッ!」ダッ


――――
――


 
ペリーヌ「本当に……皆さんにはお詫びのしようもございませんわ…」シクシク

子供4「ペリーヌお姉ちゃん……げんき出してよ?」

ペリーヌ「あなた達を傷つけたばかりか……しょ、少佐にまで手をあげたなんて…。 ~~ッ!」

美緒「お前の意思ではなかったんだ。 気にするな、ペリーヌ?」

子供3「ペリーヌおねえちゃん…?」ナデナデ

ペリーヌ「で……ですが…」グス

美緒「お前に罪はない、……全てはこいつの仕業だ」スッ

ペリーヌ「こ…これは……!」

子供1「……これ、オレがねーちゃんにあげた石!?」

美緒「私の魔眼で視てみたが、恐らくこれはネウロイのコアの欠片だ」

ペリーヌ「へっ!? そ、そんなこと…!」

美緒「確かにあり得ない。 しかし、偶然朽ちずに残ったこれが海や川を流れるうちに、人々の不安や憎しみ等の“負の心”を溜め込んだ」

美緒「そしてペリーヌの抱えていた故国への不安や恐怖に呼応し、お前は取り込まれてしまった…」

ペリーヌ「……そんな、わたくしの…」

美緒「――と、こいつが言っていたぞ?」クイ


ペリーヌ「……はい?」チラ


ストレッチマン「少女よ! 悩んだ時こそ、ストレッチだっ!!」ズイ

ペリーヌ「きゃあぁああ!!!」ビクゥ

美緒「わっはっはっは! 驚き過ぎだペリーヌ」

子供2「わーはーはー!」

ストレッチマン「悪の心に付け込まれない様に、不安や悲しみはストレッチで解消だぁ~!」

ペリーヌ「しょ、しょっしょしょ少佐!! こ、この変態の方は……!?」アワワワ

美緒「お前の恩人のストレッチマンだ。 確かに変な奴だが、骨のある奴だぞ!」

ストレッチマン「ぬぁ~っはっはっは! 坂本さんも、素晴らしいストレッチだったぞぉ~?」

美緒「む? そうか? …では次にはお前を超えるか? わっはっはっ!!」

ペリーヌ「んなっ!!? 坂本少佐に対して…な、なんて馴れ馴れしい…!?」


ストレッチマン「子供達! 君達もこれから大きくのびのびと育って、ストレッチで筋肉ものびのび伸ばそう!」

子供達「はーい!」

美緒「こら、返事は伸ばさなくていいぞ? 伸ばしたければストレッチだっ!」ビッ

ストレッチマン「おお! 坂本さんも言うではないかっ! 我輩も負けてられんなぁ、ぬぅあっはっはー!!」

美緒「わっはっはっはー!!」

ファイル3へつづく

>>46
※修正

【『S』< シャキーン】 → 【『S』シャキーン】

 
事案ファイル3(イェーガー&ルッキーニ)


ローマ市街地


シャーリー「んじゃあ時間になったら、またここで落ち合うぞ?」

エイラ「ぅ……おぇ…。 ワカッタ…」グッタリ

サーニャ「……」フラフラ

ルッキーニ「ん~♪ 今回もたのしかったー!」

エイラ「だ……大丈夫かサーニャ?」

サーニャ「…ぁ……」クラ

シャーリー「あっははは! ごめんなー? 久々の外出にあたしも楽しくなっちゃって、つい」

エイラ「……か、帰りはもっとユックリでたのむ……」

エイラ「…行こう、サーニャ……」

サーニャ「……ぅ…」


ヨロヨロヨロ~


シャーリー「……あいつら大丈夫かな? 一応、あたしのせいだしなぁ」ポリポリ

ルッキーニ「シャーリー! シャーリー! はやくいこ~?」

シャーリー「んー……まぁ、大丈夫か。 ウィッチがそう簡単に危険になる事もないよな?」

シャーリー「よし! まずは歩くぞルッキーニ? 買い物と、なんか面白いもん探そーう!」

ルッキーニ「うじゅー!」


――――
――


 

ガヤガヤ


『ガリアでボランティアやってるダチから聞いたんだけどよ? 来年は南のレモン祭りやるかもしんねーんだって?』

『マジで!? だってまだ復旧済んでないだろ?』

『え、じゃあさー。 時間作って行こうよー? 私行ってみたいなー』

『やだよ。 ネウロイ出たらしゃれになんねーぞ?』

『ガリアにはもう出ないって! ウィッチがなんとかしたんでしょ?』





シャーリ「……相変わらず賑やかだなぁ(ガリアか…。 少佐たちは今ごろ復興支援してんのかな?)」スタスタ

ルッキーニ「ん~! 美味しかったー」スタスタ

シャーリー「ルッキーニ、ほら。 ゴミ、この袋に入れろ」ガサ

ルッキーニ「あーい!」ポイ

シャーリー「さぁーって! 買い食いも済んだし、何すっか~? 先買い出し行ってもいいけど荷物になるしなぁ……」

 
ルッキーニ「あ、まってシャーリー!? まだあたしアイス食べてない!」

シャーリー「……お前まだ食うの? ちょっと時間置いてからにしたらどうだ?」

ルッキーニ「へーき! このへんの屋台で買い物したら、最後はぜったいジェラート食べるんだもーん!」

シャーリー「まぁ、いいけど。 ……腹壊すなよ?」

ルッキーニ「シャーリーも食べよっ? あたしすっごく美味しいとこ知ってんだ~♪」

シャーリー「そりゃ気になるな。 けどあたしは後ででいいよ、帰りにでも買う」

ルッキーニ「え~~? 美味しいのにぃ…」

シャーリー「……そっか、じゃあルッキーニのひと口貰おうかなー?」ニヤー

ルッキーニ「にゃー! だめぇ~、あたしのだもーん!」

シャーリー「あははは! ……あたしはアイスよりドリンク欲しくなってきたなぁ」

ルッキーニ「ジュース?」

シャーリー「ああ。 なぁーんかさっきから、そこら中で皆美味そうに飲んでるからさ?」

シャーリー「よく見えないけど、皆同じやつ飲んでるっぽいんだよ。 ……流行ってんのかな?」

ルッキーニ「あたしは知らないよ?」

 
シャーリー「……まーいっか。 じゃあ、ルッキーニの行ってたアイス屋に――」


『あ、あの~……』


シャーリー「ん?」クル

ルッキーニ「にゃ?」チラ

街娘「も、もしかして……“グラマラスシャーリー”さんです…でしょうか…?」

シャーリー「え? ああ、まぁ、一応そうだよ?」

街娘「わぁ! や、どうしよ……ほんっ本物…!! ///」キャー

シャーリー「? ……あー、なるほど(久々だから何かと思った)」

ルッキーニ「にゃ?? シャーリー、誰ぇー?」

街娘「あ、あのっ!! 私つまり…その、あなたのファファファッ ///」

シャーリー「あーっと、ストップストップ! 一旦落ち着こう」ドウドウ

街娘「~~ッ! ……すぅ……はぁー…。 ん、コホンッ」

 
街娘「あの……ストライクウィッチーズのイェーガー大尉ですよね…?」

シャーリー「ああ。 間違いないよ」

街娘「わ、私あの……バイクレースの頃からファンで、ずっと好……憧れてました ///」

シャーリー「そっか、ありがとね?」ニコ

街娘「ッ!!? そそそ、そのっ! もしよければ、さっサインとか……あ、あくっ…握し…~~ッ ///」

シャーリー「お? いいよ、どこに書こうか? ……確かペン持ってたよなぁ、あたし」ゴソゴソ

街娘「え!? あ、どうしよう。 どこに……お財布? 服?」ワタワタ

街娘「……こ、ココに! お願いしますっ!! ///」

シャーリー「え!? ……シャツのど真ん中だけど、いいの? 書いちゃって」キュポン

街娘「はぃい! おお、大きくお願いします!! ///」

シャーリー「オッケー。 しっかり引っ張っててね?」カキカキ

街娘「ッ~~ ///」ドキドキ

シャーリー「(あはは、硬いなぁ~)憧れてるって言ってたけど、お姉さんもウィッチなの?」カキカキ

街娘「い、いえ。 私はウィッチには、なれなくてっ……バ、バイクレースを」

シャーリー「おお! すげぇじゃん! 魔法動力じゃないやつだろ!?」

 
街娘「い、いえ。 私はウィッチには、なれなくてっ……バ、バイクレースを」

シャーリー「おお! すげぇじゃん! 魔法動力じゃないやつだろ!?」

シャーリー「……あっち男ばっかなのにすごいなぁ~! 数字はどのぐらい出てんの?」カキカキ

街娘「えと……ま、まだ勉強中で…公式には一度も。 ……今はリベリオンに行くためにお金を貯めてて…」

シャーリー「マジか! いいねぇ~。 リベリオンはマイナーレースでも皆速いから楽しいよ、頑張れ?」ウンウン

街娘「は、はいぃ!///」

シャーリー「――よっしゃ、できた! ……どう? こんな感じでいい?」

街娘「わぁ~……!」ジーン

街娘「ありがとうございます! 一生の宝物にします!!」

シャーリー「そこまで言われちゃうと照れるなぁ //」アハハ

シャーリー「……興奮もだいぶ落ち着いたかな? はい、握手」スッ

街娘「す、すみません…… //」ニギ

シャーリー「あたしも“あがり”いったらそっち行くかもしんないからさ? トップレコード伸ばしておいてよ」ニギニギ

街娘「そんな……む、無理です!」

シャーリー「あはは! やる前から無理って言ってちゃダメだなぁ!」

街娘「…… ///」カァア

 
ルッキーニ「……む~~!」ジトー

ルッキーニ「シャーリーはあたしんのだかんねっ!?」グイ

シャーリー「ぅおい、ルッキーニ!? 急に引っ張るとあぶねぇって!」

街娘「……わぁ!? ふ、フランカちゃんまで…!!」

ルッキーニ「ん~~」ジトー

シャーリー(見えてなかったのか……)

街娘「本物始めてみたけど、かっわいい~っ!」キャー

シャーリー「……ここルッキーニの地元だよ? お姉さんと同じ」

街娘「あ、私はミュンヘン〈※カールスラントの都市〉産まれでずっとミラノ〈※ベネツィアの都市〉に避難してたんですけど、最近こっちにまた移ってきたんです」

シャーリー「そ、そっか……(さらっと重いこと言われた)」

ルッキーニ「シャーリー、はやくアイス買いにいこーよぉ?」

街娘「こ、声までかわいい! きゃ~~! ///」ナデナデ

ルッキーニ「うじゃじゅッ!? にゃにすんの~!」グシグシ

シャーリー「……ミーハーなんだなぁ、この人」

 
シャーリー「――お、そうだ! …なあ、お姉さん?」

街娘「え? は、はいっ!」ピタ

ルッキーニ「フーッ!!」キシャー

シャーリー「なんか街中皆で同じドリンク飲んでるけど、あれ何? 最近流行ってんの?」

街娘「あ、アレですか? コーラです」

シャーリー「え? コーラ!?」

ルッキーニ「? こーら?」

シャーリー「……まぁ市街地だし、売ってるのは知ってたけど。 こんなに普及してるとは」oh…

街娘「売ってる……というか、皆貰ってるんだと思いますけど……」

ルッキーニ「ジュース配ってんの!?」

シャーリー「ず、随分思い切ってるなぁその店……!」

街娘「えと……お店じゃなくて、ヒーローなんです」

シャーリー「へ?」

ルッキーニ「ヒーロー!?」ピクッ

 
街娘「は、はい。 実は最近、この街は事件とかトラブルが多かったんですけど…」

シャーリー「みたいだね。 治安が悪化してるってあたしも聞いてるよ」

街娘「……ちょうど少し遅れてからなんです、彼が現れ始めたのは」

シャーリー「(ヒーローねぇ……)悪者を退治して回ってるとか?」

ルッキーニ「にゃあー♪ 正義の味方だー!」ティッティテー!

街娘「いえ、そういうのは特に……。 警察がいますし」

シャーリー「……」

ルッキーニ「ぅじゅ…………」シュン

街娘「彼は、落ち込んだ人達のもとに颯爽と駆けつけてはコーラを振舞い、また何処へとなく去っていくんです」

シャーリー「(なんだそりゃ……)この間のラジオで言ってた人気者はそいつだったか」

ルッキーニ「変なかっこの?」

街娘「確かに目立つ見た目ですけど、素敵ですよ! 足もすっごく速いんです!! わ、私のドゥカティでも追いつかないんですっ!」

シャーリー「へぇー、足でだろ? そりゃ人間離れしてるなぁ(ていうか、愛機はロマーニャ車なんだ)」

ルッキーニ「スーパーマンだー!」ワクワク

シャーリー「あっはは! いたら面白いけど、ウィザードはフィクションだぞ? ルッキーニ」

ルッキーニ「えぇ~、でもすっごいんでしょ!? ねえねえ、なんて名前なの? カッチョイイ?」ピョンピョン

街娘「あ、うん。 えっとね……本人が名乗った事はなくて、愛称なんだけど――」


――――
――

 
イスパニオ広場


シャーリー「はぁ~……っと」トスン

シャーリー「………いい天気だなぁ」

シャーリー「……」ゴソ

シャーリー(今更こんな所でサイン書くなんてなぁ。 あたしに声かける人なんてまだいるんだ)

シャーリー「……ま、ペンなんて持参してるあたしも大概だけど」クルクル


テテテテッ


ルッキーニ「シャーリー」ステテ


シャーリー「フフッ。 ルッキーニの奴……(リーネとかだとこけそうなシチュエーションだな)」

シャーリー「……転ぶなよー?」


ルッキーニ「みてみてー? 大盛りにし―― ッ!」ガクッ


ズテーン


シャーリー「うぉわ!? マジでこけた!!」ガタッ

シャーリー「……嘘だろ? ルッキーニが、珍しいな」タッ
 

 
ルッキーニ「ぅじゅじゅ……」

シャーリー「おーい! 大丈夫か、ルッキーニ?」スタタ

ルッキーニ「ん……うん…」ムクリ

シャーリー「はぁ~。 危ないからあんまはしゃぐ――」チラ

シャーリー「あぁ、靴紐が解けてたのか!」

シャーリー「……だから紐付きのスニーカーは気をつけろって言ったろ? …よいしょっと」キュッ

ルッキーニ「だってぇ……。 ……あり?」

ルッキーニ「!? あーーーっ!! あたしのジェラート!」ガーン

シャーリー「……あー。 やっちまったなぁ」

ルッキーニ「うじゅ……あたしの………っ…」ウル

シャーリー「おいおいおい、待てルッキーニ! 悔しいのはわかるけど、これはしょうがないぞ?」ワタワタ

ルッキーニ「うぐっ……ぐしゅ…」シクシク

シャーリー「……まいったなぁ~。 これは予想してなかった」


~♪


シャーリー「ん…?」ピク

 
ルッキーニ「…ぇぎゅ……っ」グスッ


…ッデー……♪ デッ…デ……レ♪


シャーリー「おいルッキーニ、ルッキーニ? なんか聞こえるぞ?」サスサス

ルッキーニ「~っ……ぇ…?」

シャーリー「……大きくなってきてる」



デッデ……レ♪ …ッデーデレ~♪



通行人1「おい、あれ見ろ! また“アイツ”だぜ!?」

通行人2「おお! また出たのか!」

通行人3「ヒューゥ!」


シャーリー「!? な、なんだありゃ!?」

ルッキーニ「にゃ……!?」

 

???「……」シュダダダダ



デッデーデレー♪ デッデーデレー♪



デッデーデレー♪ デッデーデレー♪



???「ッ……」シュバ



ペッスィマーーーーーーンッ!!




シュタンッ


シャーリー「ぅおっ!?」

ルッキーニ「ぃ…!?」

???「シュワーーーッ!!」

 
通行人3「ヒャッホーゥ! ペプシマンだ!」

通行人1「今日はよく出るな」



シャーリー「ペプシマン!? こいつが例の……!(すっげえ派手なタイツ! 前見えてんのか?)」

ルッキーニ「……? …ん……」グシグシ

ペプシマン「……」

ルッキーニ「……ぺぷしまん?」

ペプシマン「シュワーー!」

ルッキーニ「………銀ピカでカッチョイイね…?」

ペプシマン「///」テレッ

シャーリー「なあ、あんた? コーラ配ってんだって? もしかしてコカ――」

ペプシマン「シュワー!!」スッ

ルッキーニ「にゃ……? くれるの…?」

ペプシマン「……」コク


シャーリー(あれ、あたし無視された…?)

 
ルッキーニ「……」

ルッキーニ「……」ゴクゴク

ペプシマン「シュワー!」

ルッキーニ「!」シュワシュワー

ルッキーニ「……んじゅあー!! おいしーー!!」テーレッテレー

シャーリー「あははは! 現金だなぁ、ルッキーニ。 まぁでも、コーラが美味いのは確かだな」

ルッキーニ「しゅわしゅわ~!」

ペプシマン「……」


ルッキーニ「~♪」ゴクゴク


ペプシマン「……」


ルッキーニ「んにゃ~!」シュワシュワー


ペプシマン「……」ゴクリ・・・
 

 
シャーリー「悪かったね? うちのルッキーニのために。 ……よければ代金出すよ、いく――」

ペプシマン「シュワーーーー!!」シュダッ

シャーリー「あ、おい! 待てって!」


ビューーーンッ



シャーリー「……は、はえー…」

ルッキーニ「~っぷはー! きんもちぃー♪」シュワシュワー

シャーリー「………ルッキーニ、追うぞ?」

ルッキーニ「え? なんで?」

シャーリー「まだお礼も言ってねーだろ!」ダッ

ルッキーニ「あっ、まってシャーリー!?」ステテ


――――
――

 
デッデーデレー♪ デッデーデレー♪


ペプシマン「……」シュダダダ




シャーリー「はぁ……はぁ…。 ダメだ、足が速いとかいう次元じゃない」クテ

シャーリー(こうなりゃ意地でも……)キョロキョロ

シャーリー「! うし、あれだ!」タタッ




バイク屋「……さっきのはペプシマンか? 相変わらず飛ばしてんなぁー」アリャー

シャーリー「この台付チャリもらうよ!?」ガシャン

バイク屋「へ? あ、ちょっとお客さん! それ――」

シャーリー「ごめん、急いでるんだ! 釣りはいらない」ピラ

バイク屋「え? ……え!! こんなに!?」ガビーン

 
『シャーリー! おいてかないでよぉー!』


シャーリー「急げルッキーニ!! 後ろ乗れぇー!」

バイク屋「待った、お客さん! それ中古で――」

シャーリー「構わないから! 走れるんだろ?」

バイク屋「いや、漕ぐ分には問題ないけどブレ――」

ルッキーニ「ちゃっかーん!」トスン

シャーリー「行くぞぉー! 振り落とされんなよ!?」グッ


ビューーン


バイク屋「……行っちまったよ」

バイク屋「…………こんだけあるなら新品買えたのに…」


――――
――

 
ビューーーンッ


シャーリー「うぉおおおりゃー!」キコキコキコ

ルッキーニ「シャーリー、ペプシマン見えなくなってるよ?」

シャーリー「大丈夫だ! さっきの音楽が少し聞こえて来るから、場所はわかる」キコキコキコ

ルッキーニ「…………」


『…デッデ゙ーデレ♪ デッデ…レ♪』


ルッキーニ「ホントだ!」

シャーリー「よぉっし、飛ばすぞー!」キコキコキコキコ

ルッキーニ「うにゃー、はやーい! まゆ毛が繋がった警察官みたーい!」


――――
――

 
デッデーデレー♪ デッデーデレー♪


ペプシマン「……」シュダダダ



ルッキーニ「シャーリー、あそこ!」

シャーリー「うっしゃあ! 見つけたぁー!」キコキコキコ



デッデーデレー♪ デッデーデレー♪

ペッスィマーーーーーーンッ!!


ペプシマン「ッ!」ビュダダダ





ルッキーニ「あー! 離されてるよ、シャーリー!?」

シャーリー「くっそ、あいつ……まだ加速すんのかよ!?」

シャーリー(……上等)グッ

 
シャーリー「ルッキーニ、体重移動でカーブの補助頼む」

ルッキーニ「まっかせてぇー! 魔女が自転車の後ろ乗ったときのお約束だもんねー♪」

シャーリー「“ここまで”やるからには、あたしも負けらんないっ」フィィイン ピョコ

ルッキーニ「あにゃっ! シャーリー、尻尾がくしゅぐったい」


シャーロット・E・イェーガーの“超加速”は、自身を望む方向へ引っ張る能力を利用して速度増加を可能とする念動系の固有魔法である。
さらにこれを応用することにで、自転車の速度を維持したままの強引なカーブ等も可能となるのだ!(※多分)


ルッキーニ「? シャーリー、今なんか言ったー?」

シャーリー「えー? だから、あたしも負けないよって! ……いくぞぉ!?」フィィイン


ギュォォオオオオ


――――
――

 
デッデーデレー♪ デッデーデレー♪

ペッスィマーーーーーーンッ!!


ペプシマン「シュワーー!」ビュダダダ



……ギュォォオオオオ


シャーリー「うぉぉおお!! 追い付いたぁあっ!!」ギコギコギコ

ペプシマン「……!」ビュダダダ

ルッキーニ「やったぁー! いっけぇシャーリー!」ゴォォオ

シャーリー「ぐおりゃあぁあー!!」ギコギコギコ

ルッキーニ「~♪」


ルッキーニ「~~…!」

ルッキーニ「…………ありゅ?」

 
シャーリー「~~~ッ!!」ギコギコギコ

ルッキーニ「……ねぇー、シャーリー?」

シャーリー「~~、あーっ? どうしたぁー!?」ギコギコギコ

ルッキーニ「ゴールってどこにあんの?」

シャーリー「ッ!?」

ペプシマン「……」ビュダダダ

シャーリー(……そういやこいつ何処に向かってるんだ? ていうか、何でこんなことしてるんだっけ…?)

シャーリー(あ! そうだ、ルッキーニの件のお礼言ってねぇって……)

ペプシマン「……」ビュダダダ

シャーリー「おーーい!! ペプシマーン! さっきの――」ギコギコギコ

ルッキーニ「シャーリー、前ぇー!! 行き止まりーー!!」グイー

シャーリー「―― えっ?」

シャーリー「のわぁあ!? やべえっ!!」ギュー


シャーリー「……!?」ギュー ギュー

 
ルッキーニ「シャーリー! ぶつかっちゃうよー!?」

シャーリー「このチャリ、ブレーキ壊れてる!!」

ルッキーニ「えぇーー!!?」ガーン


ギュオォォオオッ



デッデーデレー♪ デッデーデレー♪


デッデーデレー♪ デッデーデレー♪


シャーリー「おわぁぁああぁあ!! ぶ、ぶつかるーー!!」フィィイン

ルッキーニ「ぎにゃぁああぁああ!!!」

ペプシマン「ッ!」キキーッ



ペッスィマーーーーーーンッ!!

 
シャーリー「……し、死ぬかと思った…」グデー

ルッキーニ「うじゅ~……」ガク



シャーリー「はぁ~……。 とっさに魔法でなんとかなった〈※逆に引っ張った〉けど」

シャーリー「……ペプシマンも、よく足が無事だな? 多分50キロ以上は出てたのに、どうやって止まったんだ…?」チラ

ペプシマン「……」ゴソゴソ

シャーリー「(やっぱり聞いてねー…)……何してんだ?」スタスタ

シャーリー「お? 自販機…! 何でこんな路地の端に?」


ペプシマン「……?」ゴソゴソゴソ


シャーリー「そっか。 ペプシマン、ここで買ったやつ配ってたんだな」ヘー

シャーリー「……ん? これ、ペプシコーラじゃん! 流行ってたのってそっちかよ!?」

ルッキーニ「シャーリー、どったのー?」テテテ

シャーリー「見てみろルッキーニ? お前がさっき飲んだペプシコーラの自販機だ」

 
ルッキーニ「コーラ!? 飲みたーい!」

シャーリー「やめとけ。 1日2本も飲んだら腹壊すぞ?」

ルッキーニ「平気だもーん!」チャリン


ペプシマン「……??」フリフリ


シャーリー「じゃあ、帰りのアイスはお預けだからな」

ルッキーニ「えぇ~!?」ガーン

シャーリー「……あたしも、運動して流石に喉が渇いたなぁ」チャリン

ルッキーニ「シャーリー、ジェラートも食べようよぉ~?」グイグイ

シャーリー「…まぁ、自分のお金だから無理には止めねぇけど。 あんまりでっかいの食うなよ?」

ルッキーニ「あーい!」


ペプシマン「…………」ガックリ

 
シャーリー「…? どうしたんだ、買わないのか?」

ペプシマン「……」ズーン

シャーリー「まさか、買いすぎてお金なくなったのか…?」

ペプシマン「……」チラ


ルッキーニ「ん~、これこれ~♪」シュワシュワー


ペプシマン「……」ションボリー

シャーリー「……」

ペプシマン「……」

シャーリー(んー、そうだな…)ゴソゴソ

シャーリー「……」チャリン

シャーリー「ぃしょっと。 ……ほら、ペプシマン」スッ

ペプシマン「!」

シャーリー「広場の件、ルッキーニを元気付けてくれてありがとな? お返しだ」

 
ペプシマン「……」

シャーリー「あはは! 遠慮しなくていいよ? 自分も飲みたくなってここへ来たんだろ?」

ペプシマン「……」オズオズ

シャーリー「もしかして貰う方は初めてか?」アハハ

ペプシマン「……」

ペプシマン「……」ゴクゴク

ペプシマン「シュワー!!」シュワシュワー


シャーリー(のっぺらぼうのわりに、変に愛嬌あるやつだよなぁ?)ゴクゴク

シャーリー「……んー、やっぱペプシは甘すぎるな。 あたしは『コカ・コーラ』のが――」シュワシュワー


ペプシマン「!!!!!」ビクゥ

ルッキーニ「にゃ!? ペプシマンどったの!?」

ペプシマン「~~~ッ!!」バタバタ

ルッキーニ「シャーリー! ペプシマンが急に苦しみだしたよー?」

ファイル4へつづく

※訂正※

>>73 の、始めの2台詞↓

------------------------------------
街娘「い、いえ。 私はウィッチには、なれなくてっ……バ、バイクレースを」

シャーリー「おお! すげぇじゃん! 魔法動力じゃないやつだろ!?」
------------------------------------

は、前のレスとの被りなので無視してください


事案ファイル4(ユーティライネン&リトヴャク)


ローマ市内 某カフェ


『――おい! 向こうでペプシマンと自転車乗ったねーちゃんがレースしてるってよ!?』

『またあいつの話か。 お前も好きだなー』

『……でも面白そうね! 見に行ってみましょ?』

『あ、おい待て! ここの支払い俺が出すのかよ!? こらー!』





エイラ「……なんか事件か?」

サーニャ「エイラ、どうかしたの…?」

エイラ「ん? あー、なんでもない」

サーニャ「そう…」

エイラ「宮藤が言うには、ここの限定ナントカケーキがすっごくウマいんだってさ?」

サーニャ「楽しみね? エイラ」ニコ

エイラ「ムフフ……(今日も寝坊しないでホントによかった)」

 
エイラ(……サーニャの嬉しそうな顔を見ながら食べるウマいケーキはどんなに最高だろうな?)ムフムフ

ウェイター「失礼致します。 ご注文はお決まりでしょうか?」

エイラ「えーっとな? ……どれだっけな?」ジー

サーニャ「…エイラ、さっきこっち見てた……」チョイ

エイラ「…………ああ、あった! ありがとなサーニャ」

エイラ「…これ! このケーキをふたつくれ? それと1番合う飲み物もな」

ウェイター「かしこまりました。 少々お待ちください」ペコ


エイラ「ん~、楽しみだな? サーニャ?」ワクワク

サーニャ「うん。 ……フフッ」

エイラ「どうした? 何で笑ってんだ?」

サーニャ「エイラが珍しくはしゃいでるから…」クスクス

エイラ「え! ……そ、そうか? そんなコトないぞ? //」

サーニャ「……私は嬉しいな」

エイラ「ふぇ!? ///」

サーニャ「こんな良い天気のお昼に出かけるなんて、久しぶりだから……」

エイラ「サーニャ…」

 
サーニャ「エイラが誘ってくれたおかげよ…? ありがとう」

エイラ「……オープン席にして正解だったな?」

サーニャ「うん。 私達、日差しには弱いけど……フフッ」クスッ

エイラ「ヘヘッ… //」

ウェイター「失礼致します。 お客様、大変申し訳ありません」

エイラ「ん?」

サーニャ「?」

ウェイター「誠に恐れ入りますが、本日のケーキの残りがお一人様分のみとなっておりまして……」

エイラ「えっ」ピクッ

サーニャ「……」

ウェイター「お二人様分用意させていただく事が出来かねてしまいます」

エイラ「ウソダロぉ……」

ウェイター「お一人様分だけでもお持ち致しましょうか…?」

エイラ「う、うん……まあ…頼む」

ウェイター「かしこまりました。 直ぐにお持ち致します」ペコ

エイラ「……」

サーニャ「まだこの時間なのに…」

エイラ「…人気らしいかんなー……」ガックリ

サーニャ「エイラ…」

 
ウェイター「お待たせ致しました、本日のケーキでございます」コト

ウェイター「こちら、お飲物でございます」コト

ウェイター「こちらも宜しければ、取り皿と……お詫びのフルーツでございます」コト

エイラ「……」

ウェイター「ごゆっくりどうぞ」ペコ

エイラ「……」

サーニャ「…………いい店ね?」

エイラ「だな…」

サーニャ「……」

エイラ「……サーニャ、食べてイイぞ?」スス

サーニャ「ぇ? でもエイラ……ケーキ楽しみに…」

エイラ「ち、違うぞ! ホントに美味しかったらサーニャに食べさせたいなって……アレだ」

サーニャ「……でも、一緒に行こうってエイ――」

エイラ「と、とにかく! サーニャは遠慮しなくていいんだぞ? フルーツもあるし、私はこっち食べるよ」ヒョイ パク

 
サーニャ「……」

エイラ「もぐもぐ……(ん! ウマいぞコレ?)」

サーニャ「……ぃしょ…」ガタン

エイラ「! さ、サーニャ!? 隣に詰めてど、どうしたっ?」

サーニャ「……ケーキ、一緒に食べよう? エイラ…」ジッ

エイラ「ッ ///」ドキッ

サーニャ「……」ジー

エイラ「~~そ、そうだな?/// サーニャがそう言うなら……半分こしよう」

サーニャ「うん…」

エイラ「……ごめんな、サーニャ?」

サーニャ「エイラが謝る事なんてないじゃない。 ……また一緒に来よう?」

エイラ「サーニャ…(天使だ……)」

エイラ「………じゃあ、キレイに半分こするか?」

サーニャ「うん」

エイラ「まってろ? 私が切って――」


『ナーッハッハッハッハ!』

 

 
エイラ「……なんだ? 変な声がするぞ?」

サーニャ「?」


通行人4「お、おい! あそこっ!?」

通行人5「キャーー!!」


エイラ「!?」

サーニャ「!」



<♪ドンッ デレッデレー♪>

???「お前ら……本当にそれで、公平に分けたつもりなのかい?」



エイラ「お、おい! なんだアイツ!? 変な格好して!?」

サーニャ「……(片方が裸足…!)」



“半分=平等”という先入観だらけの現代社会に、真の平等を伝授する彼こそが“公平戦士ザ・センターマン”だ!(デンッデデン♪)



エイラ「……どっから聞こえてくるんだよこの声…?」

 
サーニャ「え、エイラ…? もしかして、昨日ミーティングで言ってた……」

エイラ「えぇ? アレはホントに危ないヤツの話だろ? あーいうのはコスプレっていう変わった趣味で、ホンモノじゃ――」


<♪デレレレデーレ デレレレデーレ♪>

センターマン「人は五分だ五分だと言うけれど……本当は七三くらいが丁度いい――」グイ


バサッ


センターマン「ザ・センターマン!!」バァーン

エイラ「うわぁあぁああぁっ!!!! ホンモノ(変態)だったあぁああ!!!」ガビーン

サーニャ「ッッ!!? ///」ビクゥ

センターマン「ザッ! ……セン・ター・マンッ!」ビシッ


街人達『キャー!? ニゲロー!!』

バタバタバタ……

 
サーニャ「~~ッ! ///」

エイラ「さ、ささっサーニャ! 私らも逃げよう!? コイツ危ない!!」クイ

サーニャ「ぁ……ぅ… //」ヨロヨロ

センターマン「おい待てぇ!!」

エイラーニャ「ッ!?」ビクッ

センターマン「一旦テーブルに戻れ、お前ら」

エイラ「ばっ、バカヤロー! こっちくんな変態ー! なんで半分裸なんだよぉー!?」

サーニャ「///」

センターマン「いいから! 0対0は流石にダメだ」

エイラ「……」

サーニャ「……」

エイラ「…………な、なんだよ。 私達になんか用かよ…?」オズオズ

サーニャ(エイラすごい……答えた…!)

 
センターマン「お前、今そのケーキ。 真ん中を切ろうとしただろ?」ピシ

エイラ「は? あ、あぁ…そうけど」

センターマン「本当にそれで平等に分けてるつもりかい?」

エイラ「いや、分けてるだろ? 普通に」

センターマン「……まったくこの世の中において、こんな不公平な話があっていいものか」

エイラ「な、何いってんだよ? 平等じゃねーか。 キレイに半分こするんだから……なぁサーニャ?」

サーニャ「ぅ……ぅん…」

センターマン「いやいや、小さい嬢ちゃんはそれで良いかもしれないよ?」

サーニャ「ぇ…?」

センターマン「俺が言いてぇのは大きい嬢ちゃんの方だよ」

エイラ「はぁ? 私?」

センターマン「大きい嬢ちゃん、お前はそれで本当にいいのか?」

エイラ「何がだよ?」

センターマン「その分け方で本っ当に大丈夫なのか?」

エイラ「お前の格好のが大丈夫かよ!! 街中でナニやってんだよっ!?」

 
サーニャ「え、エイラ……落ち着いて…」

エイラ「ったく! …………サーニャがせっかく分けてくれるんだ。 貰わないとバチが当たるだろ?」

エイラ「まぁキレイに切れなかったら、勿論大きい方をサーニャにあげるけどな」ムフー

サーニャ「エイラ…」

センターマン「はぁー……。 お前は本当にアレだねぇ~?」

エイラ「はぁ?」

センターマン「おん前は本っ当に…………アレだねぇ~~?」ジロー

エイラ「なんなんだよっ!?」

センターマン「じゃあ聞くが大きい嬢ちゃん! ……一日の睡眠時間、どのくらいだ?」

エイラ「あー? なんでそんな事――」

センターマン「いいから! いつもどれくらい寝てるんですかっ?」

エイラ「……まあ消灯時間に寝て起床時間に起きてるけど、夜更かしも偶にしてるから…。 7時間ちょっとかな?」

センターマン「夜間哨戒がある時は?」

エイラ「なんでお前がそんな事知ってんだよっ!!?」ガタッ

 
センターマン「いいからっ! 夜間哨戒の時は?」

エイラ「……べつに同じくらいだよ。 7時間くらい」

センターマン「本当か?」

エイラ「……」

センターマン「……まぁいいや。 じゃあ小さい嬢ちゃん、睡眠時間は?」

サーニャ「ぇ…っと。 私も夜間哨戒から帰って、エイラと一緒に起きるから……同じ7時間くらいだと思います」

センターマン「成る程ねぇ~同じか。 ……これじゃあ五分と五分になっちゃうなぁ?」

エイラ「……」

センターマン「お前、嘘ついてるだろ?」ビッ

エイラ「ッ!」ギク

サーニャ「ぇっ! ……エイラ?」

センターマン「お前、夜間哨戒の日は何時間寝てるんだ!?」

エイラ「……」

サーニャ「……」

エイラ「…………5時間…弱…」

 
サーニャ「ぇ…?」

センターマン「何でそんな少ないんだい?」

エイラ「……夜間哨戒はすごく神経使う任務で、サーニャは疲れてるから直ぐベットに倒れこんで寝ちゃうんだ」

エイラ「だから私はいつも、その後にベッドを整えてサーニャをちゃんと寝かし直してやるんだ。 それでその後はサーニャの脱いだ服を片付けて、10~20分サーニャの寝顔見てから寝る」

サーニャ「……!」

センターマン「うんうん……偉いなぁお前は」

エイラ「起きる時も、先に起きてサーニャの服を出して枕元に置いて……その後に、寝起き用のドリンクと蒸しタオルを用意してる。 ……あとトイレ行ったり」

サーニャ「で、でもエイラ…? いつも同じぐらいに起きて……」

エイラ「……サーニャが気使うと悪いと思ってさ? 全部やったあとにまたベッドに戻ってたんだ。 ゴメン…」

サーニャ「!!」

センターマン「健気だねぇ…。 眠かったろうねぇ…」

エイラ「ち、ちがう!! 私が勝手に、好きでやってることだぞ!?」ワタワタ

サーニャ「エイラ……」

 
センターマン「小さい嬢ちゃん……お前は自分が何者だかわかるか?」

サーニャ「ぇ? ……ぇと…」

センターマン「お前は“幸せ者”だ!」ビシッ

サーニャ「!」


センターマン「カモーンッ!!」グッ


デ~~~ン

……ゴゴゴゴゴゴ


エイラ「うわっ!? なんだぁー!!?」

サーニャ「……カフェが…!」


バタバタバタ


センターガールズ「……」ズラー

エイラ「な、なんだこいつら!?」

 
センターマン「ゥレッツゴー!」


おまえは健気♪ お~まえは幸せ者♪

ほんとに平等なのか~♪



エイラ「……なんか始まったぞ?」

サーニャ「……」



ほ~んと~ぉに~五分と五分か♪

ほ~んと~ぉに~五分と五分か~~~♪


センターマン「ッ!」キメッ

<♪ ジャジャジャ ジャンッ ♪>



エイラ「……」

サーニャ「……」

 
エイラ「……食べようか、サーニャ?」

センターマン「待て、お前達!」ムクリ

エイラ「なんだよっ!?」ムガー

センターマン「まだわかんないのか! その分け方で……本当にそれでいいのか!?」

エイラ「あ゛ー、うるせー! お前は関係ないだろーが!?」

センターマン「わかった。 じゃあ、じゃあ聞くけど――」

センターマン「大きい嬢ちゃん、501部隊で個人的に仲いい奴は誰だ?」

エイラ「だから何でコッチのこと知ってんだよ!?」

センターマン「いいから! 仲良しは何人いる?」

エイラ「……そ、そんなの。 サーニャひとりが居てくれれば十分だ」

センターマン「ちょ、ちょっと待った! 待って、嬢ちゃん」スッ

エイラ「……なんだよ?」

センターマン「いくら何でもそれは……もうひとりくらい誰かいるだろ?」

エイラ「はぁ? …………あ! ああ、ツンツンメガネもかな? たまにサウナ行ったりするし」

 
センターマン「なるほど、ふたりか。 ……小さい嬢ちゃんは?」

サーニャ「えーっと……1番仲良しはエイラ――」

エイラ(…サーニャ!)パァー

サーニャ「――と芳佳ちゃん」

エイラ「!?」ガーン

サーニャ「……それと、最近はリーネさんやペリーヌさんも一緒に芳佳ちゃん達の部屋でお話したり」

サーニャ「ハルトマンさんやミーナ中佐だけじゃなくて、バルクホルンさんもよくお話してくれる様になりました」

エイラ「……!!」ガガーン

センターマン「10人中7人も!? ……すげぇ、人気者じゃん」

エイラ「ぅ……サーニャ…」ドヨーン

サーニャ「?」

センターマン「大きい嬢ちゃんは一途なのになぁ~」

サーニャ「!!」

 
センターマン「……おい、お前みたいな奴の事を何クマって言うか知ってるかい?」

サーニャ「ぇ……熊…?」

センターマン「“小悪魔”だ!」ビシッ


センターマン「ゥレッツゴー!!」


おまえは一途♪ お~まえは小悪魔♪

ほんとに平等なのか~♪


センターマン「~~!」ズリッ



エイラ「いっ!? //」ビクッ

サーニャ「!! ///」



ほ~んと~ぉに~五分と五分か♪

ほ~んと~ぉに~五分と五分か~~~♪

 
センターマン「ッ!」キメッ

<♪ ジャジャジャ ジャンッ ♪>


エイラ「お、おまえー!! ハミ出てるっつうのぉー!!! ///」カァー

サーニャ「……///」

センターマン「!? ……ッ」グイグイ

エイラ「……もう、なんだよコレ…。 後ろのネーチャン達もなにもんだよ? ……ていうか建物割れたこの店もいったい…」

サーニャ「…………でも、この人の言ってる事……正しいかも…」

エイラ「!?」

サーニャ「私、エイラにばかり苦労かけて…」

エイラ「なにいってんだよサーニャ!? こんな奴にだまされんなー!」

センターマン「……レッツゴー」ムクッ


Cガールズ「……」ムクリ


エイラ「!?」

 
Cガールズ「……フフフンフ~フッ♪ フ~フフンフ~ン♪」ジリジリ

センターマン「じっくり考えろ~?」ジリジリ

Cガールズ「フ~フフン フンフフ フフフ~ン♪」

センターマン「正直になれぇ~?」

Cガールズ「フ~ンフ~ンフン♪ フフンフフフン♪」

センターマン「頑固だなぁ~お前は」

Cガールズ「フ~ンフ~ンフン♪ フフンフフフフ~~ン♪」


Cガールズ「フフンフンッ♪」クイッ



エイラ「…後ろのお前らはこの変態になんの違和感もないのか?」ナァ?

サーニャ「……エイラ、ごめんね?」

エイラ「へ?」

サーニャ「私、エイラが影でどんなに頑張ってたか……どんなに寂しい思いをしていたのかも知らなかった…」

エイラ「さ、サーニャ…」

サーニャ「ケーキ、私は3割でいいから……エイラが7割食べて?」

エイラ「……サーニャ。 ケーキの切り分けなのにそんな具体的な数字を…」

 
サーニャ「こんな事なんかじゃ、エイラの支えには到底釣り合わないけど――」

サーニャ「ちょっとずつでも、返させて欲しいの…?」ジッ

エイラ「ッ //」キュン

サーニャ「……」

エイラ「……わかったよ、サーニャ。 ちゃんと切れるかわかんないけど、ナナサンで分けよう?」

サーニャ「ありがとう。 ……これでやっと、エイラと五分と五分になれた…」


センターマン「!!!!!」


センターマン「……小さい嬢ちゃん、今何て言いました?」

サーニャ「……やっと、五分と五分です…。 ね、エイラ?」キュッ

エイラ「サーニャ…//」

サーニャ「……///」



センターマン「ゥレッツギョーウ!!!」


おまえがナ~ナ♪ お~まえがサ~ン♪

こぉ~れこそほんとの五分だ~♪

 
ナナとサ~ン~でも五分と五分だ♪

ハ~チニぃじゃ~ダメダメダメだぁ~~~♪


センターマン「ッ!」キメッ

<♪ ジャジャジャ ジャンッ ♪>



エイラ「ありがとな! センターマン」

サーニャ「ありがとうございました…」ペコ

エイラ「よし、サーニャ。 ここは騒がしいから、あっちの方でユックリ食べよう?」カチャ

サーニャ「うん。 ……あ、私も持つわエイラ! ひとりでそんなに…」


スタスタスタ
 

つづく

 

501JFW基地


通信室


ミーナ「……わかりました。 詳しい話はまた戻ってきてから聞かせてもらうわ」

ミーナ「……ええ。 あまり無茶な運転はしないで、気をつけて帰ってきて頂戴ね」


――ブツ


ミーナ「はぁ……まさかシャーリーさん達まで…」


ガチャッ


バルクホルン「ミーナ! 宿舎どころか、基地内にもやはり不審者はいなかった」スタスタ

エーリカ「目撃情報も、結局宮藤とリーネだけだったね」スタスタ

ミーナ「……リーネさんは夢だと言い張るし、宮藤さんの勘違いかと最初は思ったけど…」

バルクホルン「しかしリーネの汚れ方が尋常ではなかったぞ? 奇天烈な話だが、宮藤の証言とも一致する」

エーリカ「青のりにソースに揚げ衣のカスまみれだったね? かわいそうにー」ニシシ

バルクホルン「真面目な話だ、ハルトマン」

 
ミーナ「……ガリアへ復興支援に行っているペリーヌさんと、ロマーニャのシャーリーさん達からも奇抜な姿をした者と遭遇したと連絡があったわ」

バルクホルン「なにっ!?」

エーリカ「……おんなじ奴かな?」

ミーナ「…恐らく違うわ。 各出現場所と時刻から考えて、とても独りでは無理よ」

ミーナ「それに、それぞれから聞いた外見的特徴にも違いが見られるわ。 ……宿舎に出たって言う不審者3名も、嘘ではないかもしれないわね」

エーリカ「宮藤はふたりって言ってたよ? 後のひとりと一緒にやかん泥棒を追い返したんだって」

バルクホルン「そのヤキゾバンとかいう奴も十分に不審者だ」

ミーナ「……困ったわねぇ。 関係者でない人の基地侵入を許したうえに、ウィッチの宿舎にまで入られたなんて…」

バルクホルン「しかもウィッチにちょっかいを出されて取り逃がした……これは大問題だぞ、ミーナ? 何としても犯人を捕まえて断罪すべきだ!」

エーリカ「でも逃がしちゃったじゃーん?」

バルクホルン「基地から出られたとしても、まだそう遠くへは行っていないはずだ。 私がストライカーで出撃しよう」

>>91
※訂正※

地の文の2行目頭↓

『さらにこれを応用することにで、』 → 『さらにこれを応用することで、』

 
エーリカ「えぇ~、人相手に…?」

バルクホルン「ある意味怪異(ネウロイ)だ。 我々の基地に音もなく潜入できる不審者を放っておく訳にはいかない」

エーリカ「まぁ……そうだねぇ」

ミーナ「…………いえ。 待ってトゥルーデ」

バルクホルン「ミーナ、何故止める?」

ミーナ「もうすぐシャーリーさん達が帰ってくるわ。 少なくともそれまでは基地内の警戒を優先しましょう」

バルクホルン「……基地が手薄になる心配はわかるが、今行かなければ完全に逃げられてしまうぞ!?」

エーリカ「一昨日の今日だし、ネウロイは出ないんじゃない?」

ミーナ「ええ。 でも、……私達3人の前にも不審者が現れる可能性があるわ」

バルクホルン「何だと!?」

 
エーリカ「本当なの、ミーナ!?」

ミーナ「確証は無いわ。 ただ、私達を除いて皆が不審者と遭遇している事を考えると……」

バルクホルン「ミーナらしくないな。 そんな論拠の弱い類推を推すとは」

ミーナ「外出先での目撃だけでなく、基地内にいた宮藤さん達までとなると――」

ミーナ「……深刻な被害は出てない様だけど、何か意図を感じざるを得ないわ」

バルクホルン「全てが何者かのシナリオだとでも言うのか?」

エーリカ「お、トゥルーデうまいね!」

バルクホルン「? ……何がだ?」

エーリカ「…………わかんない。 何となくそんな気がしたから」

ミーナ「……とにかく、今は基地内で厳戒待機よ」


――――-
――

 
夕方

ミーティング室


ミーナ「――というわけで、今後暫くは基地の警備体制を強化します。 宿舎の中に警備隊員は入れませんから、ウィッチ各員は十分注意してください」

ミーナ「宮藤さん、ペリーヌさん達が戻ったら、ミーティング内容を伝達しておいて頂戴?」

芳佳「はい、わかりました」


バルクホルン「結局、私達の前に不審者は現れなかったか……」

エーリカ「多分飽きちゃったか、ネタ切れだよきっと。 4人ぐらいで満足しちゃったんじゃないの?」

バルクホルン「? ……何を言っているんだ、エーリカ?」

エーリカ「…………いや、何となくそう思ってさ」


リーネ「ぅぅ……(髪の毛がまだ油臭い気がする…)」スンスン

芳佳「リーネちゃん、大丈夫?」

リーネ「う、うん……」

シャーリー「痴漢されたんだって? 怪我とかしてないか?」

ルッキーニ「おっぱい揉まれたのー!?」キャッキャッ

シャーリー「……ルッキーニよせよ。 あたし達がじゃれ合うのとはまた別なんだから」

 
エイラ「やっぱ、1番ダメージでかいのはリーネだなぁー?」

サーニャ「リーネさん、かわいそう…」

バルクホルン「……お前達が見たものも、相当に危険度は高いと思うが?」

エイラ「た、確かにトンデモない奴だったけど…。 なんだかんだイイヤツだったぞ?」

サーニャ「…うん……」


ルッキーニ「――それでねー? 銀ピカですっごく速くてー、コーラもくれたんだー!」

芳佳「へぇー、そうなんだ!」

シャーリー「なかなか面白いやつだったよ。 『コカ・コーラ』って言うと悶え出すし」アハハ

リーネ「そ、それって大丈夫なんですか……?」





ミーナ「……」

エーリカ「皆、結構仲良くなっちゃってるみたいだね?」

ミーナ「………はぁ~~~」ガク

エーリカ「ねぇ、私達の所にも来ないかな? お菓子が欲しい!」

ミーナ「……フラウ、冗談はやめて…」


おわり?






(/・×・)/ < イヤ、もうちょっとだけ続くかんナ?
 

 

【エピローグ】 ~サムライの進路~




執務室


ミーナ「……」コト

ミーナ「ふぅー……。 まったく、やることばかり増えるわね」


コンコンッ


ミーナ「!」


『中佐、坂本だ』


ミーナ「……入って」


ガチャ パタン


ミーナ「お帰りなさい。 随分遅かったわね?」

美緒「ああ、少しあってな。 すまなかった」

 
ミーナ「何かトラブル?」

美緒「いや、問題はない。 …それより宿舎にいないからどうしたかと思えば、こんな時間までとは――」

美緒「……あまり根を詰めすぎるなよ?」

ミーナ「そうも言ってられないわ。 ネウロイと関係ない所でも、トラブルが増えるばかりで……」ハァー

美緒「宮藤達から話は聞いた。 ロマーニャにも出たそうだな?」

ミーナ「ええ。 でもそれよりも問題なのは、基地への侵入を許したことよ」

美緒「心配ない」

ミーナ「……え?」

美緒「私の目の黒いうちは、奴らが悪さをすることは無い。 大丈夫だ」

ミーナ「どういうこと…?」

美緒「……」

ミーナ「……美緒…?」

美緒「……ミーナ、お前には今のうちに言っておこう」

ミーナ「…? いったいどうしたの?」

 
美緒「結論から先に言うと、……ウィッチ引退後の身の振り方が決まった。 まだまだ先の話だがな」

ミーナ「えっ!?」

美緒「私は“長官”になる」

ミーナ「は…? あの……え? …ちょ、ちょっと待って美緒!? 急にそんなっ、……どういう事??」

美緒「……ペリーヌがここへの連絡を入れに行っていた時の話だ――」



――
――――


■ 回想 同日昼方 ■


ガリア マントン


美緒「世話になったな」

ストレッチマン「なぁ~に! 我輩は自分の役割を果たしたまでだ」

美緒「我々はもう暫く町の復興作業を手伝うつもりだが、お前はどうする?」

ストレッチマン「んん……輝ける明日への復興、我輩も是非手伝いたい所ではあるのだが、これから長官と会わねばならない」

 
美緒「長官? ガリア国家機関の高官と…!?」

ストレッチマン「違う、扶桑だ」

美緒「何っ? こんな所でか!?」

美緒「扶桑組織の長官職がこんな所まで直接来る訳など無い……いったい何処が…?」

ストレッチマン「我輩達の組織はあまり公にはされていないのだ。 恐らく坂本さんも知らないだろぅ」

美緒「お前も所属してるのか!?」

ストレッチマン「地球外に住んでいるとは言え、我輩も無職でいるわけにはいかないからな! 今は盾の一員として、仲間に協力している」

美緒「盾?」

ストレッチマン「皇国非魔法特殊防衛局、通称“盾”だ! ウィッチにばかり頼らずに世界へ通用する平和機関を組織しようと、長官が創ったのだそうだ」

ストレッチマン「ん~~! 実に立派な考えだぁ~!」

美緒「非魔法特殊防衛……? そんなものが有ったとは――」ムゥ…

美緒「……待て? 皇国防衛局員のお前とその長官が何故ガリアにいる?」

ストレッチマン「ぬぅあ~っはっは! それは、元々長官が――」


『喋り過ぎだ、ストレッチ』


美緒「!」

ストレッチ「長官!」

 
???長官「露天の叩き売りじゃあるめぇし、ピーチクパーチクと……」ヨロヨロ

美緒「っ!(後ろ…! いつの間に!?)」クルッ

???長官「……お嬢さん、悪いんだが今聞いた事は――」チラ


???長官「!!!!!」ピキーン


ストレッチマン「むむ、すまなかった長官」

美緒「……一応私も一般人ではない。 扶桑海軍原隊所属、ストライクウィッチーズの坂本美緒少佐です」

???長官「…そ、そうかい。 …坂本……、あんたがあの軍神写しのサムライ」

???長官「……なるほど、いい面構えだ。 こいつぁ予想以上だぜ」ヘヘヘ

美緒「(何なんだ?)……貴方が皇国非魔法特殊防衛局の長官殿ですか?」

???長官「あぁ。 わしが盾の“おっつぁん”……丹下だ」

美緒「丹下…?(坊主頭に左目の眼帯、そして数多見える古傷……)」

美緒「!? まさか、極西拳闘の?」

丹下長官「ほぉ。おめぇさん、わしがわかるのかい……物好きなやつだ」ヘヘ

ストレッチマン「長官、引継ぎの件だが――」

丹下長官「待った! 気が変わった。 おめぇじゃねぇ」

ストレッチマン「なんと! では、どうするつもりなのだ?」

 
美緒(……私はこの場にいていいのか?)

丹下長官「坂本さん……」

美緒「?」

丹下長官「おめぇさん、いっちょわしの後を継いでみねえかい?」

美緒「は?」

丹下長官「おめぇさんのその眼帯を見た時、ピンときた。 わしの後を継ぐのはお前さんしかいねぇ」

ストレッチマン「なぁんと!?」

美緒「いや、待ってください。 何を言っているんです?」

丹下長官「わしも、もう若くねぇ……。 今日はこのストレッチに引継ぎをするつもりだったが、正直こいつは宇宙人だし、まず眼帯も似合わねぇ」

美緒「長官殿、話が見えないので一度止めてください」

丹下長官「まったく、わしぁついてる! へっへっへ…」

美緒「いや、聞いて――」

丹下長官「うっ…!! ゴホッゲハァ!」ガク


バタリ
 

 
ストレッチマン「長官!!」ザッ

美緒「……え? ちょ、長官殿!?」ササッ

丹下長官「はぁ……ゴホッ…。 すまねぇ、わしはもう燃え尽きちまった……」

ストレッチマン「長官! しっかりするんだ!」

美緒(つい先程までピンピンしていたが……?)

丹下長官「き、聞けぇ坂もっさん…っ! わしは……わ、わしはぁ自分の腕っ節に……拳闘に自信があった…」

丹下長官「……だがネウロイが来て、大戦が始まったらもう何てことはねぇ…。 殴り合いで得意になった男一人に護れるものなんて、何もありゃしなかった…」

美緒「……長官殿…」

丹下長官「へへへ、唯でさえ歯がたたねぇってのによぉ。 奴ら、航空機の真似して空まで飛びやって……」

美緒「……」

丹下長官「わしら大の男は、数も歳も少ないおめぇさん達に助けてもらうしかできねぇんだ。 …なさけねぇ」

ストレッチマン「長官……そんなことが…」


美緒「……」


美緒「……それは違います、丹下長官殿」

丹下長官「……!」

美緒「ウィッチだけでは人類を護れません。 我々を支える多くの人々が力をくれればこそです」

 
美緒「このガリアの地も、残された人々や力になろうとやってきた者達の想いによって、また力強く起ろうとしています」

美緒「皆の未来と笑顔を護るのは、決してウィッチだけではありません」チラ

ストレッチマン「…ぬぅははっ! 流石、坂本さんだ」

丹下長官「……その通りだ。 だからわしはチームを創った…」

丹下長官「扶桑中を探し回って、骨のあるやつを集めた……。 ネウロイは倒せねぇが、わしらにできることをするためのチーム……世界にも通用する…」ゲホッ

美緒「……そうか、ウィッチを除いた超人による民衆支援組織。 それでこいつが…」チラ

ストレッチマン「我輩は長官に会う前から、ストレッチパワーで子供達を運動不足と怪人の手から守っていたぞぉ!」

丹下長官「こいつだけじゃねぇよ。 扶桑人の治安、心をそれぞれ手前流に護っていたはぐれ物達をまとめた……」

丹下長官「そして扶桑だけじゃねぇ、世界へ……戦渦を孕む欧州へ出るためにここまで―― っ!」

丹下長官「グェッホ! ゴホァッ!」

ストレッチマン「長官! これ以上喋ると危険だぞ!?」

 
丹下長官「……坂もっさん…。 志半ばだが、わしはここまでだ」

美緒「……」

丹下長官「おめぇさんに、後を頼みてぇ…」

美緒「……しかし、私はウィッチです」

丹下長官「へへ…、おめぇさんもわしと同じで頑固だな。 もう長くねぇんだろ?」

美緒「なっ!?」

丹下長官「扶桑をスカウトして回ったわしの目は欺けねぇよ。 …ひょっとしてわざと気付かねぇ様にしてたかぁ?」ヘヘヘ

美緒「くっ……私は――!!」クワッ

美緒「っ……」ギリ

丹下長官「……」

美緒「…………まだ終われない。 私はまだ…っ」

丹下長官「泥臭く粘るのもいいさ。 …たが、おめぇさんの魔法力はいつか必ず消えちまう」

丹下長官「それでも、おめぇさんの目が曇るわけじゃねぇ。 ウィッチの終わりは寿命じゃねぇ、なぁ“若造”?」


美緒「……」


(美緒『我々は死ぬまでウィッチだぞ! ペリーヌ』ワハハ)


美緒「……」グッ

 
丹下長官「おめぇさん、分かってんだろ? 自分でわしに説教たれたじゃねぇか……」ゴホッ

丹下長官「…その刀でネウロイを切れなくなっても、おめぇさんは扶桑の坂本だ」

美緒「長官殿……」

丹下長官「わしは扶桑の坂もっさんに頼んでんだぜ…? ……っ…ゥゴッフ!」ゴホゴホッ

ストレッチマン「長官!」

美緒「し、しかし…」

丹下長官「……わしら――いや、こいつらぁ…お偉方に盾と呼ばれてる」

丹下長官「何でか分かるか? ……奴さんらにとってこいつらは超人じゃぁねぇ、人外の盾だ」

美緒「…!」

丹下長官「人を護るシールドなんかじゃねぇ、弾除けも同然。 そういう意味だ……」

美緒「そんな馬鹿な……!?」

丹下長官「頼む、坂もっさん…。 こいつらを……わ、わしのチームを導いてやってくれ…」プルプル

美緒「! …長官殿っ!!」

丹下長官「……眼帯の似合うおめぇさんに…、任せてぇ……。 た、盾のもっつぁんとして…」プルプル

ストレッチマン「長官!!」


丹下長官「――た……たてぇ…! 起つんだ……もっさん………っ」ガクッ


美緒「長官殿ぉっ!!!」

 
丹下長官「…」シーン

美緒「……長官殿…」

美緒「…くっ……」

美緒「っ!」スクッ


美緒(……わかりました。 私が空での使命を果たし終えたその後は――)グッ

美緒「今際の頼み、……承った!」





丹下長官「…zzz」グガー

ストレッチマン「……寝てしまったか。 あれほど酒は控えた方がいいと言ったのだが」

ペリーヌ「――しょうさ~! ……きゃぁ!? な、なんですのこの小汚い小父様は!?」ガーン


――――
――

 
□ 現在 執務室 □


ミーナ「……」

美緒「そういうわけで、私は扶桑皇国非魔法特殊防衛局の次期長官“もっつぁん”になった」

ミーナ(……強く頭を打った可能性があるわね)

美緒「はっはっは! 心配そうな顔をするな! 501の任務を終えて、落ち着いてからの話だ」

ミーナ「いえ、そうじゃなくて……(というか、魔眼が消えても眼帯している気なの?)」ガク

美緒「なんだ、辛そうだな? やはり少し休んだほうがいいんじゃないか?」


ミーナ「…………」


美緒「む、そうだ! ミーナに教えてやろうとストレッチマンから会得したストレッチがあるんだ! 凝った肩によく効くぞ?」

ミーナ「(あ~~もぅ…!)……その変し―― 個性派チームは、シャーリーさん達が遭遇したのも同じなのね?」

 
美緒「ん? ああ、そうだ。 他にもテレホマン、タフマン、変態仮面、よろしく仮面等のメンバーもいたそうだが……やる気が無いのでこっちには来なかったらしい」

ミーナ「(今、明らかにおかしい名前があったわ……)それ、本当にチームとして成り立っているの? なんだか統一感も感じられないし」

美緒「わっはっは! 心配するな」

ミーナ「してないわ」

美緒「じゃじゃ馬揃いらしいが、骨のある奴らだ。 私がまとめて見せる! ……チーム名もあるぞ?」

ミーナ「別にそれは聞いてないけど……まぁいいわ、もう」ガク

ミーナ「……なんて名前なの…?」ハァー

美緒「うむ、奴等の名は――」




美緒「 マ ベ ン ジ ャ ー ズ だ !」




   あしたのマベンジャーズ ~わしらにできること~ 【完】






(・×・)< なんつってナ!
 

わけがわからん。おしまい

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