響 「自分にたーりーってほんとにいたのか?」 (149)

-765プロ-

伊織「まったく、お父様もお兄様も私のことを全然わかってないわハァ」ハァ

やよい「あれ、伊織ちゃんどうしたの?なんか疲れてるみたい」

伊織「どうもこうもないわよ。まったくあの二人ったら」ハァ

真 「なになに、どうしたの?」

亜美「いおりんが家族とお出かけしたんだって→」

伊織「......昨日、久しぶりに遊びに連れて行ってくれたと思ったら」

伊織「あの二人、どこに行ったと思う?」

真 「どこだろ......やっぱり、ディズニーランドとか?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1394197049

伊織「もしそうならどんなに良かったか...ききなさい」

伊織「お父様が連れて行ったのは......サンリオピューロランドよ!?ありえる!?」

真 「えー、いいじゃないか!キティちゃん!」

やよい「わ~!伊織ちゃんキティちゃんにあったんだ!いいな~!」キラキラ

伊織「ま、まぁ、それなりに楽しかったけどね...」

伊織「けど人は多いし、途中で二人共はぐれるしで、ちょっと疲れたわ...」

真 「へー、そういうもんかなぁ」

伊織「別に.....私は二人が一緒なら別に近所の公園とかでもよかったのに...」ボソ

亜美「へ~」ニヤニヤ

真美「いおりんも思春期ですなぁ」ニヤニヤ

伊織「.......なによ」ジロ


ワイワイガヤガヤ


響 「......」

響 (お父様、かー)

響 (そういえば自分のお父さん...たーりーってどんな人だっけ)

響 (一緒にいたのって幼いころだけだから、あんまり覚えてないんだよな)

響 (一緒に遊んだ記憶はあるような、ないような...)ボー

真美「あれあれひびきん、そんなタソガレちゃってどうしたの?」

響 「ぅ、うえっ?い、いや、なんでもないぞ!」

亜美「さては、ひびきんも思春期マッサカサマなんだね→」ニヤリ

真 「それを言うなら思春期マッサカリじゃないか?」

伊織「ほら、響も聞きなさい!いい?レディの扱いってのはね....」

響 「あ、あはは...」


響 (なんか気になってきたぞ...そうだ、今日うちに帰ったら写真とか見てみよっと)

-響のマンション-

響 「あれー、ないなー」ゴソゴソ

響 (アルバム、向こうに置いてきちゃったんだっけ?)

響 「ね、ハム蔵知らない?自分のアルバム」

ハム蔵「ヂュイ!」

響 「やっぱり知らないよね....うーん、モヤモヤするぞ...」

響 「.......」

響 (たーりー....か)

響 (こうして考えると自分、たーりーのことほとんど知らないぞ....)

響 (......ん?)


響 (そもそもどうして、たーりーは死んじゃったんだっけ?)

響 「.........?」

響 (思い出せない....)

響 (..........あれ?自分もしかして、大事なこと忘れてないか?)


響 「...もしかして、実は自分に父親なんていなかったりして....なんて」

響 「ははは、ないない!漫画の読みすぎさー」

響 (...........)

響 (....寝よう)バフッ

響 「...........」

響 「...........」

響 「...........」

響 「...........んー」ゴロ

響 「...........」

響 「...........」

響 「...........っ」ムクリ


響 「うがー!ダメだ!気になって眠れないぞ!!」パチン

響 「うぐぐぐぐ、気になる、気になる~!!」バタバタ

響 「誰か知ってる人に訊いてすっきりしたい.....」

響 (でも、あんまーもにぃにも、たーりーの死んだ時のことなんて)

響 「きっと話したくないよな......うー....」

響 (..............)

響 「あ、そうだ!」ティン

響 「プロデューサーなら、スカウトの時にあんまーと話してるはずだし」

響 「何か知ってるかも!」

響 「......いや、さすがにそんなことまで聞いてないかなぁ....」

響 「うーん....」ゴロン

響 (それに、すごく気にしてると思われるのもヤだし....)ゴロゴロ

響 「.....でもなぁ...」ピタ

響 「..........」モヤモヤ

響 「もー!なんかもやもやして気持ちわるいぞ!」ガバッ

響 「もういいやっ!ずっとこんな気分なんじゃ困るし、明日とりあえず聞いてみよっと!」

-翌日 765プロ-

響 「というわけでプロデューサー!」バン

響 「たーりーのこと、あんまーから何か聞いてる!?」

P 「と、突然すごい勢いでくるから何かと思ったら.....」

P 「.......あー」

P 「俺は、いや、俺べつに、何も.....聞いてないぞ?」

響 「...........怪しいぞ」

P 「あ、怪しくない、俺、全然」

響 「......」

P 「......」

響 「もしかして、プロデューサー.......ほんとに何か知ってるのか?」

P 「あ、あー!そうだ!そろそろ春香迎えに行かないとー!」

響 「へっ?」

P 「じゃあ行ってくる!」

P 「そうだ響それと、そろそろ律子が来ると思うから」

P 「スタジオへは律子に乗せて貰ってくれ宜しくな!じゃ!」


バタン! タタタ


響 「うぇ!?あ、待ってプロデューサー!!って、もう行っちゃった....」

響 「...............」

響 「......あやしい、すっごくあやしいぞ」

響 「あの慌てぶり......プロデューサー、ほんとに知ってるのかも...」

響 (これはもっと突っ込んできいてみたら、ぽろっと教えてくれるかもしれないぞ!)


ガチャ


律子「おはようございまーす」

響 「よーし!やるぞー!!」

響 「おー!!!」


律子「.......へっ?」キョトン

-翌日-

響 「ねぇプロデューサー!ほんとは知ってるんでしょ?」

P 「知らん!何にも知らんぞ!」

響 「えーっ、でも」

P 「あーっ、雪歩!そろそろ時間だー!出かけるぞ!」

雪歩「えっ?プロデューサー、まだちょっと早いんじゃ...」

P 「道が混んでるかもしれないからなー!ほら、行くぞー!」


バタン! タタタ


響 「.......むぅ」

-後日-

響 「お願いプロデューサー、教えてよ~!」ユサユサ

響 「実は自分、すっごい気になってるんだ~!」ユサユサ

P 「ぐっ...だ、だから、俺は何にも知らないんだって!」

響 「むーー!」ジッ

P 「そ、そんな目で見てもしょうがないだろ...」

P 「あっやよい!そろそろ出かけるぞ!」

やよい「えっ、もうそんな時間ですかー?」

P 「ああ、もうそんな時間だったんだ!それじゃ行くぞー!」

やよい「はーい!」


バタン! タタタ


響 「...........」

-更に後日-

響 「じゃあヒント!ヒントだけでも頂戴!」

P 「し、知らないのにヒントも何もないだろっ」

P 「おーい真美ー!出かけるぞー」

真美「あれ、今日なんか予定あったっけ?」

P 「ほら、えっとあれだよ営業があったろ?行く途中でアイス買ってやるからほら早く行くぞ」

真美「アイス!?....しょーがないなー、ほら、はやくいこ!」

P 「ははは現金なやつめ~この~」


アハハハハ
バタン! タタタ


響 「.........」

響 「う、うがーっ!!」

-数週間後-

響 「プロデューサー!もういい加減おしえてよ!」

P 「だ、だから本当に知らないんだって...」

P 「あ、おい貴音ー、そろそろ時間じゃないか?車で送ってくぞ」

貴音「はて....本日はわたくし、もう予定はないはずですが....」

貴音「あなた様の勘違いではございませんか?」

P 「あ、あれ...そうだったか.......あはは......」

響 「プロデューサー!!」バン

P 「あ、ああーまちがえたー今日はお得意さんのとこ行くんだったー」

P 「今日は音無さんもいないから、すまないが出掛ける時は戸締り頼むなー!」バタバタ


バタン! タタタ


響 「あ、待ってよ!プロデューサーってば!!」


響 「くそー、また逃げられたぞ......!」

響 「うー、絶対何か知ってるのに....」

貴音「......?響、何か調べているのですか?」

響 「あ、貴音.......うん、実はね」

---------------------
-------------------
----------

貴音「なるほど、そういうことでしたか」

響 「プロデューサー、なんか隠してるっぽいのになかなか教えてくれないんだ」

貴音「..........秘密というのは、隠されると余計知りたくなるもの...」

貴音「ですがそこまでして隠すとなると、よほど響に教えたくない事なのかもしれませんよ?」

響 「う...それは、そうかもしれないけど...」

響 「でも自分、すごく気になってモヤモヤするし...」

響 「それに、自分の過去なのに知らないことがあるって、なんか気持ち悪いぞ...」シュン

貴音「ふむ......」

貴音「確かに響の言うことも一理あります」

貴音「自身の出自、過去が気になるのは仕方なきことでしょう」

響 「うんうん!」

貴音「で、あれば.....」

響 「で、あれば.....?」

貴音「あちらを探ってみるというのはどうでしょう」ビシ

響 「ん?あれ......って、パソコン?」

貴音「ええ、普段なら閉じているはずのそれが、今日は開いたままとなっております」

響 「あれ、ほんとだ。あわてて出てったから、消し忘れたのかな」

響 「.....あ、そっか!」

響 「パソコンになら、なんか自分のプロフィールデータとか残ってるかも!」

貴音「ええ、可能性はあるかと」ニコ

響 「さっすが貴音さー!ありがと、早速調べてみるね!」

ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーーー

響 「えっと、こんなかんじかな」カチ

貴音「おおっ、なにやら開きましたよ、響!」

響 「うん...ここをこうして......っと」カチカチ

貴音「このようなはいてくな機械をこうも自在に...」

貴音「響ははいぶろぉですね」

響 「えへへ....自分完璧だからな!」

響 「うーん、でもそれっぽいファイルは見つからないぞ...」カチ

響 「空振りかなぁ....ん?なんだこれ」

貴音「響、なにか見つけたのですか?」

響 「いや、なんか怪しいフォルダが......」

響 「なんだこの”■極秘■<響>”って」

貴音「極秘...名前の通り、響に関する重要なことがらなのでしょうか...」ゴクリ

響 「....とりあえず、開いてみよう」ゴクリ


カチ

パッ

響 「ファイルがいくつか入ってるな......えっとこれは......地図?」

貴音「どうやらこの近くの地図のようですね......ですがなぜ......」

響 「うーん......とりあえず他のファイルも開いてみよう」カチ

響 「おっ、写真もはいってるぞ」カチ

パッ

貴音「!?」

貴音「こ、これは....幼きころの響、ですか?」

響 「うん、そうみたいだな」

貴音「なんという愛くるしさ....面妖な!」

響 「あはは....でもなんで自分の子供のころの写真が?」

響 「.............もしかして」

響 「この地図の場所」

響 「なにか、自分に関係のある所なのか......?」


貴音「.......気になるのでしたら、行ってみてはいかがですか?」

響 「貴音?」

貴音「幸いなことに、わたくしも響もこのあとはおふです」

貴音「いっそ、直接訪ねてみるのも手かと」

響 「貴音.....一緒に来てくれるの?」

貴音「ええ。どうやらここからそう遠くない場所のようです」

貴音「本日は二人でらぁめんを食しに行こうかと思っておりましたが...これもまた一興」

貴音「喜んでお供させて頂きますよ、響」

響 「たかね....」ウルウル

響 「ありがとー!自分、すっごく嬉しいぞ!」ダキッ

貴音「おやおや.......」ナデ

響 「えへへ.......よーし、そうと決まればさっそく出発さー!」

貴音「ええ、では参りましょう」

貴音「響のるぅつを探しに」

響 「おー!」

-------------------------
----------------
--------


響 「えーっと、この角の先が地図の場所みたい」テクテク

貴音「ふふ、どきどきしますね」テクテク

響 「うん、自分もドキドキしてきたぞ....」テクテク

テクテク

響 「到着ー!.....って、あれ?」

貴音「ふむ......響、ここで間違いないのですか?」

響 「そのはずだけど......」

響 「これ......病院?」

貴音「確かにこれは....病院、あるいは研究所といった風貌」

貴音「施設の名称は......」キョロキョロ

響 「んーと........あ」

貴音「ありましたか?」

響 「....なんか、看板とか表札とか、全部剥されちゃってるみたい」

響 「それらしきあとだけ残ってた」

貴音「そうですか...。ということはこの施設は既に、閉鎖されているということでしょうか」

響 「そうかも.....うーん、これでふりだしかぁ」ハァ

貴音「残念でしたね、響」

響 「うぅん、貴音ありがとね。ここまで付き合ってくれて」

貴音「いえ、久々の響との散歩、わたくしも楽しかったです」

響 「へへ、ありがと。.......でも、ちょっとくやしいぞ。あと一歩だと思ったのに」

響 「実は扉とか開いてないかな.....」ガチャ


キィイイ


響 「............」

貴音「............」

響 「......開いちゃった」

貴音「....はい。開きましたね」

響 「.........」

貴音「.........」

響 「.....い、行く....?」

貴音「.........」

響 「........貴音?」

貴音「.........ひ」

響 「ひ?」

貴音「響が....行くのであれば.......」ブルリ

響 「.........」ゴクリ

響 (勝手に建物に入るなんて...よくないことだし、ちょっと怖いけど)

響 (たーりーのことを知る、絶好のチャンスかもしれない....)

響 (怖がりな貴音には悪いけど...やっぱり気になるぞ)

響 「じゃあ.....少しだけ入ってみてもいいか?」

貴音「っ....承知いたしました」


響 「よ、よし、行くぞ....し、失礼しまーす」

貴音「た、たのもーう.....」


テクテクテク

キィイ.....バタン

-建物内-

響 「....あれ?」

貴音「....おや」

響 「電気が......生きてる?」

貴音「ええ......それに中はとても清潔で、とても閉鎖された施設とは思えません」

響 「だよね...。あ、あのー!すみません、誰かいませんかー?」


シーン


響 「誰もいないのかな...」

貴音「ふむ、人の気配はしないようですが......これは一体」

響 「映画とかマンガなら、隠れて怪しげな研究をしてる......とかが王道だけど」

貴音「なんと...面妖な」

響 「あはは、電気がついてるなら、そんなに心配いらなさそうだし」

響 「誰かいないか、建物の中を回ってみよっか」


テクテク

―――――――――――――――
―――――――――――――
――――――――――
-地下-

響 「うがー!もう、この建物広すぎだぞ!」

貴音「はい.....ですがどうやら、このふろあで最後のようです」

貴音「色々と回りましたが、響きについて手がかりとなるようなものは見つかりませんね」

響 「そうだね、他のフロアは引越し後みたいで何も置いてなかったし」

響 「もしかしたら、電気とか空調が生きてたのも、中がキレイだったのも」

響 「単純に、つい最近引っ越しちゃったからってだけなのかな」

貴音「そうかもしれませんね....」

響 「たーりーのことがわからなかったのは残念だけど.....まぁ、しょうがないか!」

貴音「響......」

響 「あ!そうだ貴音、ここに入ってから結構時間経っちゃったし」

響 「この階はさっと終わらせて、ラーメンでも食べに行こっか!」

貴音「らぁめん...!響、それはまことよき案かと」

響 「今日は付き合ってくれたお礼に自分が貴音の分も出させてもらうさー」

貴音「なんと!......ふふ、では替え玉数回程度には控えないといけませんね」

響 「替え玉するのは前提なんだな...」

響 「よし、それじゃ自分あっち見てくるから、貴音はあっちを調べてみて!」

貴音「はい。お任せください」

テクテク

響 「うーん、この階もやっぱり何もないみたいだぞ」キョロ

響 (すごく広いし......部屋数も多い。ここ、何の建物だったのかな)

テクテク

響 「えっと、この部屋で最後かな....ってあれ?」

響 (なんだこの扉、やけに大きいな。鍵はかかってないみたいだけど)

響 「まぁいっか。失礼しまーす」ガチャ



プシュー
ゴゥンゴゥンゴゥン


響 「!?」

ゴゥンゴゥンゴゥン

響 「な、なんだここ...さっきまでと雰囲気が全然違うぞ...」

響 (チューブとか配管がいっぱい転がってて、なんか不気味...)

響 (なんていうか、工場みたいな....)

響 (うーん......あ!)ティン

響 (もしかしてここ、ボイラー室とかそんな感じの部屋か?)

響 (うんうん、きっとそうだ!それなら工場っぽいのも納得だよね!)

響 「へへ、さっすが自分。今日も推理が冴え渡るぞ」ニヤリ

響 (じゃあ、この部屋は手がかりとか関係なさそうだな....)


響 「......よし、これで全部回ったし、戻って貴音とラーメン食べにいこっと」


コポ...


響 「.....ん?」

響 (奥に見える...なんだあれ)

コポ...

響 (なんか大きなカプセルみたいなのが並んでる...?)

響 (あそこだけなんか........なんだろう、変な感じだ)

響 (布がかかってるみたいだけど....)


ゴゥンゴゥンゴゥン

コポコポ...


響 「.......」ゴクリ


テクテク

テクテク

響 「.......これか...」

響 (自分の身長くらいの大きなカプセル)

響 (布越しだけど、なんだかほのかに光ってるみたいだ)

響 (入り口からは見えなかったけど、同じものがずっと奥まで並んでるぞ)

響 「なんだろう......気になるさー」

響 (布をめくってちょっと見るだけなら...)ゴクリ


響 「えーいっ」パサッ


響 「............ひっ!」ビクッ



子供『.......』コポコポ

響  「こ、子供.....!?」

子供『.......』コポ...


響 (培養液みたいな液体の中...小さな子が浮かんでる...?)


響 「な、なに....これ......」ガクガク

響 (ほ、本物....?)

響 「なんで、こんな........い、いや、落ち着け」

響 「い、いくらなんでも、本物の人間なわけないぞ」

響 「..........っ」スーハー

響 (そうだ、よくできた人形......そう、そうに決まってる.....)

響 「は、ははは....まったく自分ったら、ほんと漫画の読みすぎさー....」チラ


子供『.......』モゾ

響 「きゃっ!」

子供『...........』コポコポ

響 「う、動いた......?もしかして、生きてる...のか?」

響 (いや、そんなわけないか...。そういう風に見える製品、なのかな)

子供『...........』コポコポ

響 (だとしたら、ずいぶん悪趣味だな....)

響 「なんだかホルマリン漬けみたいで、気味が悪いぞ...」ゾク

子供『...........』コポ

響 「うぅ......こんなの、見なければよかった......布、戻しとこ」バサッ


響 「.....ん?」

響 (なんだ?台座のとこになにかついてるな...これは銘版か?)


響 「.....なになに、えーっと」


響 「"GaNaHa HiBiKi model 0.835680"?」

響 「”ガナハ ヒビキ モデル 0.835680”.....?」

響 「............」

響 「............」

響 「............」


響 「え?」

響 「...なんで?」

響 (あれ?このカプセルの台座なんだから)

響 (この商品の名前が書いてあるはずだよな?)

響 (な、なんでそこに、自分の名前が書いてあるんだ....?)ゾク

響 「こ、この子が自分ってわけでもあるまいし...は、はは....」

響 「.............」

響 「.............ねぇ......なに、これ」

響 「どういう....こと......?」



貴音「響、そこにいるのですか?」

響 「っ! 」ビクッ

響 「た、貴音....!」

貴音「ああ、響.......ご無事でしたか」ホッ

響 「た、貴音...どうして」

貴音「響の戻りが遅いので、何かあったのでは、と......っ」ビクッ

響 「っ!」ハッ

貴音「響、こ、これは......?」

響 「だ、ダメっ!見ないで!!」バッ

貴音「この子供は一体......それになぜ、響の名が刻まれているのですか...?」

響 「.................」

響 「.......わかんない、わかんないよ.....」グッ

響 「一体、何がなんなのか......」

響 「何だコレ.......こんな気味悪いものが、自分と何か関係あるのか....?」グス

貴音「響.....」

―――――――――――――――
―――――――――――――
――――――――――

貴音「......落ち着きましたか、響」ナデ

響 「.......うん、ありがと貴音」ギュ

貴音「いえ、あのようなものを見たのですから、動揺も当然です」

響 「うん.....」

貴音「......さて」

貴音「響。わたくしは、この先を調べてまいります」

響 「わかった........じゃあ自分も」

貴音「いえ、何があるかわかりません。響はここで待っていてください」

響 「え?で、でも...」

貴音「わたくしのことなら心配いりませんよ」ナデ

貴音「ほんの少し確認してくるだけですから」

響 「わかった........気を、つけてね」

貴音「はい。響も気をしっかり持つように......絶対にここから動いてはなりませんよ?」

響 「うん、大丈夫さー」

貴音「では、すぐ戻って参りますので」

響 「行ってらっしゃい」フリフリ

貴音「はい、行ってまいります」ニコ フリフリ

テクテク


響 (貴音......)

響 「............」

響 「............」

響 「............」スクッ

テクテク

響 「.......っ」バサッ

子供『.............』コポ

響 「............」

響 「ねぇ.......いったい君は....誰なんだ......?」

響 「本当に、君は.....」


カツ カツ

響 「...ん?貴音、もう戻ってきたのか?」クルッ

響 「って、え?」


社長「やあ、我那覇君。奇遇だね」

響 「社長!?」

響 「な、なんで社長がここに....」

社長「ハハハ。まぁちょっと用事があってね」

響 「用事......!?そうだ、社長、そんなことよりこれ...!」

社長「おぉ、どうやら見てしまったようだね」

響 「っ......社長はこれ、知ってたのか?」

社長「当然だよキミィ」

社長「961プロとの共同開発である、最高のアイドル素体作成プロジェクト」

社長「そのプロトモデル”我那覇 響”」

社長「社運を賭けた、一大プロジェクトだ」


響 「.........は?」

響 「アイドル.....素体?」キョトン

響 「.......?な、何を言ってるんだ?」 

社長「この説明をするのも何度目かな.....いいだろう」

社長「我那覇君。昨今、アイドル業界の競争が熾烈の一途を辿っているのは知っているね?」

響 「そりゃ、765プロ、876プロ、961プロ、315プロ......ほかにもたくさん」

響 「それに、スクールとかも含めるとかなりの人数だって聞いてるぞ」

響 「それに最近はスクールアイドルってのも全国で流行してるみたいだし.......」

社長「よく勉強しているみたいだねぇ。感心なコトだ」

社長「そう!この業界は今、とてつもない勢いでアイドルの絶対数が増えてきているのだよ」

響 「それは知ってるけど...それが、どうこの話につながるんだ?」

社長「アイドルの絶対数が増えるという事は、それだけ皆の興味も分散するという事だ」

社長「皆の興味が分散する....つまり我々に対する世間の反応が鈍化するという事」

社長「みなの興味を引くことで収入を得る我々としては、看過できない状況なのだよ」

社長「事実、近年の我が765プロの経営状況は、ある時をピークに減衰方向に向かっている」

響 「そうだったのか!?自分、ぜんぜん知らなかったぞ!」

社長「あえて言う事でもないだろう。皆を不安がらせるだけだ」

響 「そ、それは、そうかもだけど...」


社長「話を続けよう」

社長「世間の興味が765プロから完全に離れてしまえば、我々の生きる道はなくなってしまう」

社長「そうなる前に、何か手を打つ必要があった」

響 「それが......その、アイドルなんとかプロジェクトってやつなのか?」

社長「そうだ。今回のキミは理解が早くて助かるよ」

響 (....今回の?)

響 「でも.........そのプロジェクトって、具体的に何をするんだ?」

社長「簡単なことだ」

社長「世間の興味が離れるのを食い止めたいのであれば」

社長「世間が目を離せないような、魅力的なアイドルを765プロから生み出せばいい」

響 「言うのは簡単だけど、それってすごく難しくないか?」

社長「そう、現実はそれほど簡単ではない」

社長「そのような優秀な人材はそうそう現れるものではないし、また現れたとしても」

社長「765プロに入ってくれるとは限らない」

社長「今は天海君たちも頑張ってくれているが、その人気も永遠に続くとは限らない」

響 「........」


社長「わかるかね」

社長「新たな人材の発掘、維持が難しいなら」


社長「一から作ってしまえばいいのだよ」


響 「......は?」

響 「一から作る......って、どういうこと.......?」


社長「一般的な女性の遺伝子情報をベースに」

社長「魅力的なアイドルとしての容姿、性質等」

社長「トップアイドルとしての素養を持った遺伝子に改変する」

響 (なんだ、社長は何を言ってるんだ...?)

社長「あとはそれを、ある程度コントロール可能な状況下で育成をすれば」

社長「完璧なアイドルの完成、というわけだ」

響 「完、璧......」


社長「もうわかるだろう?」

響 「.........まさか」

社長「そう」

社長「そうして生み出されたのが、キミだ」

響 「っ!!」


社長「キミは我々が生み出した”我那覇 響”という一人の理想的な偶像なのだよ」

響 「.............うそ」

響 「ドッキリ........でしょ?」

響 「も、もー社長ってば、演技に力はいりすぎさー!」

響 「じ.....自分、もう少しで完全にダマされるところだったぞ!」

響 「こんなセットまで作って、気合いれすぎだろ、あっ、あは、あははは.....!」

高木「...........」

響 「は、はは.......は」

響 「.............っ」

響 「..........冗談......だよね?」

高木「キミがそう信じたいのであればそれもいいだろう」

高木「だが真実は、常に一つだ」

響 「うそっ.....うそだっ!」

響 「遺伝子をいじるなんて、そっそんな技術があるわけ」

高木「世間にはまだこのような技術の存在は公表されていない」

響 「!」

高木「なぜならこのプロジェクトは、961プロが出資し」

高木「私を通じて、水瀬財閥に独自に研究を依頼しているプロジェクトだからね」

響 「なっ、水瀬....!?」

高木「しかし、この技術は最先端とはいえ、まだ完璧とはいえなくてね」

高木「ブレが大きく、なかなか我々の望む通りの結果は得られないのだよ」

高木「トライ&エラーの繰り返しでね。いや、お恥ずかしい......ハハハ」

響 「ちがう.....そんなコトが聞きたいんじゃない.....!」

響 「自分が作られたなんて、そんな訳ない....!」

響 「だって.......だって.....!!」

高木「...............」

響 「っ!そうだ!自分には、今までの記憶があるぞ!」

響 「中学校とか、家族の記憶....あんまーに、にぃに」

響 「それに、たーりーとの記憶だって......!」

響 「たーりーとの思い出は多くないけど......小さかったし.......」

響 「それでも、記憶があるから、絶対にたーりーはいて......それで」

響 「それで、自分たちは、家族で.........」

響 「それで.........それで........」


響 「それで....................」

高木「................」

響 「そうだ、自分....自分はたーりー似だってあんまーが.....」

高木「.........やれやれ」フゥ

響 「....っ」ビク

高木「記憶というものは、記録と違い非常に不確かだ」

高木「本人の認識一つで、過去の”思い出”は簡単にその形を変える」

響 「.........!」

高木「そして特に、幼き頃の記憶は条件さえ揃えば」

高木「操作することなど容易い。........我那覇君」

響 「や、やだ.......」

高木「残念だが、その記憶は」

響 「やめて......」

高木「アイドル”我那覇 響”のバックボーンとして」

高木「我々が刷り込んだものに過ぎないなのだよ」


響 「いやああああああああああ!!!!」

高木「つまり」

高木「キミがトップアイドルになるまで沖縄に帰りたくないというのも」

響 「うあ.....」

高木「沖縄の家族へ積極的に連絡をとらないのも......」

響 「あ.......ああぁ.......」ブルブル


高木「そう考えるよう、思考の方向性を制限しているということだ」


高木「アイドルとして活躍している間、真実に気付いてもらっては困るからねぇ」


響 「そ....んな.......っ」ポロポロ

響「そんな.....そんな.......」ポロポロ

社長「........」

社長「私としても、今回の”我那覇 響”はかなり良かっただけに、残念だ」

社長「過去最高のスペック.....特にダンス性能は理想モデルと言ってよい水準だ」

響 「..........」

社長「変わった一人称になるといったバグは見られたが、それも個体差の範囲内」

社長「このまま行けば、トップアイドルにかなり近づけるはずだったんだが」

響 (社長......社長の言ってることが、理解できない........)

響 (ちがう....きっとこころが、理解を拒んでるんだ....)

社長「......本当に残念だよ」

社長「これを知ってしまった以上」

社長「今回の君は処分しなければならない」

響 「処分.....」

社長「心配はいらないよ、君がいなくなっても」


高木「すぐに次の”我那覇 響”が補充されるからね」チャキ


響 「っ!」

響 (じゅ、銃......!?)

響 「ひ......!」


社長「........我那覇君、今までご苦労だったね」


カツン


社長「む! 誰だ!?」


貴音「響っ!逃げてください!!」バッ


響 「た、貴音っ!?」

貴音「響!!!!!」ダダダ

社長「四条君.......まさかキミまで来ていたとは」

貴音「響っ!わたくしが高木殿を抑えてる間に、早く逃げるのです!!」ガシッ

社長「くっ......は、離したまえ!」グイ

貴音「さぁ響、早く立って......立つのです、響!」

響 「貴音....でも、自分は......」

貴音「先ほどのやり取り、影から伺っておりました」

響 「.....っ」

貴音「まこと、衝撃的な話です」

貴音「ですが、響.....私にとっての響は、あなただけなのです」

響 「貴音....」

貴音「たとえ姿かたちが同じであろうと」

貴音「今、わたくしと共に生き、共に笑う響は...一人しかおりません」

貴音「他の何者にも、あなたの代わりなど務まらないのです」

響 「.......っ!」

貴音「生まれも育ちも....何も関係ありません」

貴音「あなたは、わたくしの最も大切な友人なのですから」

貴音「それでは......いけませんか?」ニコ

響 「....貴音....たかねぇ....っ!!」

貴音「だから....だから、今は逃げてくださいっ、響!」


響 「う、うんっ....!わかったぞ、貴音!!」スクッ

響 「貴音、ありがとう....!」

貴音「いいのですよ、響。わたくしたちの仲ではありませんか」

響 「えへへ.....そうだね」ニコ

貴音「この局面を切り抜けたら、また共にらぁめんを食しましょう」ニコ

響 「うん....貴音、約束だからなっ!」ダッ


タタタタタ...


響 (社長の言葉が、まだ頭の中をぐるぐるしてる......)

響 (確かに、自分のこれまでは、社長が作ったマボロシだったのかもしれない)

響 (でも、貴音が......貴音が今の自分がいいんだって言ってくれた)

響 (だから自分は生きなきゃ....自分を守ってくれる、貴音の為)

響 (これからの自分のために....!)タタタタ

社長「くっ......我那覇君が....!離したまえ四条君」

貴音「この先へ行かせるわけにはまいりませんっ」ガシッ

社長「なんという力だ.......おーいきみ、そろそろ助けてくれぇ」

??「........わかりました。貴音」ガシッ

貴音「っ!」

貴音(な、何者っ....!?)

貴音(わたくしが容易に組み伏せられるなど.....!)

貴音「くっ...離しなさい!!」ジタバタ

社長「四条君をおとなしくしたら、我那覇君を追いかけたまえ」

??「はい」

貴音(ひ、響っ!!このままでは、響がっ!!)

貴音「嫌っ!嫌です!!響っ!!!」ジタバタ

??「痛っ!おい、落ち着け貴音!!」

貴音「!?」

貴音「そ、その声は......あ、あなた様っ!?」


P 「ああ、そうだよ貴音、俺だ」

貴音(....っ!)

貴音(なんということ....この方までもが.....いえ)

貴音(考えてみれば当然のこと)

貴音(わたくしたちを管理しておられる方が、家族構成)

貴音(その背景を把握していないはずがありません)

貴音(それにそもそもの発端は、この方のぱそこんでしたか.....)

貴音「あなた様もぐるだった......ということですか」

P 「グル?......あー、まあそういうことだ。すまん」

貴音「自らの欲望のためだけに、都合の良いよう彼女の全てを玩弄する....」

貴音「狂っています....!」

貴音「あなた方は、自分たちが何をしているのかわかっているのですか!」

高木「.........」

P 「......貴音」

P 「すまないがまた暴れられると色々困るから、軽く腕を縛らせてもらうぞ」シュル

貴音「ぐっ....!」

貴音(響.....わたくしは......)

貴音「く.....うぅっ....」ポロポロ

P 「...............」

P 「社長、俺は響を追いかけて来ますので、貴音を外まで連れて行って頂けますか?」

社長「おぉ、それぐらいならお安い御用だ。キミなら我那覇君もすぐ捕まえられるだろう」

社長「私はそのまま外で待っているとしよう。では頼んだよキミィ」

P 「はい」


貴音「響.......っ」ポロポロ

----------------------

タタタタタ......

響 「くそっ、ホント広いぞこの建物....」

響 (はやく地上にいって、助けを呼ばないと.....!)


響 (で、でも、誰を頼ればいいんだ.....!?)

響 (警察は助けてくれるのか?美希たちは....このこと知ってるのか?)

響 (伊織は.....?)

響 (うー......ダメだ、みんな敵に思えてきたぞ.......!)

響 「どうしよう、貴音......!」


タタタタタ....


P 「おーい!響ー!!どこだー!?」

響 「!?」

響 (.....は!?この声、ぷ、プロデューサー!!?)

響 (な、なんでプロデューサーまで....!?)

P 「響ー!!返事をしてくれーー!!」ダダダ

響 (プロデューサーは、やっぱり社長側の人間なのか...?)

P 「響ー!」ダダダ

響 (くっ、このまま走ってたら見つかりそうだ.....とにかく、いったん隠れないと)

響 (この部屋....よかった、カギはかかってないっ)

ガチャ バタン

響 「カギをかけて....よし」

響 (と、とりあえずここでやり過ごせれば....)

P 「響ー!!おかしいな、こっちから足音がしたと思うんだが」ハァハァ

響  (すぐそばでプロデューサーが止まったぞ.....)

響 (........)ドキドキ

P 「もしかして俺を警戒して、どこかに隠れてるのか?」

響 「っ!」ドキッ

P 「くそっ、こんな所で時間をかけてる場合じゃないのに...!」

P 「響ー!俺は味方だ!!」

P 「お前達を助けに来た!!頼む、出てきてくれ!!」

響 (み、味方.....本当か!?)

響 (もし本当にプロデューサーが味方ならすごく心強いけど.....)

響 (でも......もし敵だったら......)ブルリ

響 (くっ、情報が足りないぞ.....!どうしたら....!)


P 「頼む、出てきてくれ、響!!」

P 「貴音が社長に捕まったんだ......!このままだと貴音も処分されてしまう....!」


響 「っ!?」


響 (そ、そんな!!貴音が捕まった!?いや、それより)

響 (処分って.....そんな、貴音まで!?)

P 「時間がないんだ.....頼む、響....!!」

響 (貴音.....!)


『........我那覇君、今までご苦労だったね』


響 「.......っ」ゾク

響 (貴音がいなくなるなんて、そんなのダメだ!)

響 (もしプロデューサーが社長側の人間で)

響 (これが自分をおびき出すための嘘だったとしても)


響 (貴音を見捨てるなんて.......絶対できないぞ!)



カチャ

P 「扉のカギが.....響、そこにいるのか?」

響 (.........)スーハー

響 (..............)スーハー

P 「おい、響?ここにいるんだよな?」コンコン

響 (チャンスはたぶん一回......落ち着け.....)

響 「.........っ」フーッ


P 「......響、入るぞ?」


ガチャ

P 「......」スッ

響 (いまだっ!!)


響 「うごくなっ!!!」ガシッ


P 「なっ、響っ!?」

響 「おとなしくしろ!」ダンッ

P 「お、おい!響!?」

響 (よし、イメージ通りに身体が動いたぞ!)


響 「プロデューサー!!プロデューサーも自分たちの敵なんだろ!?」ギシッ

響 「社長の手先なんだ!美希も伊織も、春香も!!自分知ってるぞ!!」

P 「いたた...!響....違う!俺は!!」

響 「違う......?」

P 「俺は、俺たちはお前の味方だ...!」

響 「味方....!?信用できないぞ!」

P 「本当なんだ、信じてくれ!」

響 「信じられるわけないだろ......!」

響 「第一、ココの場所はプロデューサーのパソコンで知ったんだ!」

響 「味方だって言うなら、証明してみせてよ!」

P 「......俺は、社長の方針に従うフリをして、このプロジェクトをどうにかしようと思っていたんだ」

P 「人間の遺伝子をいじり、その人生まで操るなんて、どう考えてもイカれてる」

響 「..........」

P 「響、俺のポケットにメモリースティックが入っている」

響 「......」ゴソゴソ

響 「これか?」ヒョイ

P 「ああ、それは社長のパソコンから盗み出したこのプロジェクトのデータが入っている」

P 「それをマスコミ、あるいは警察にリークすれば、プロジェクトに大打撃を与えられるはずだ」

P 「そのデータを手に入れるため、ギリギリまで社長に忠実な部下だけ思わせておきたかった」

P 「結果、貴音が捕らわれることになってしまったが....まだチャンスはある」

響 「貴音.....!」


P 「......そのデータは響に預ける」

響 「これを.......自分に?」

P 「ああ。......それで何とか、俺たちのことを信じてもらえないか?」

響 「..........っ」


響 「信じて........いいの?」ウル


P 「ああ、音無さんや春香たちも協力してくれている」

P 「みんなで、このふざけた計画をぶっ潰そう」

響 「.........うん。わかった.....」ポロポロ

P 「.....いってて......」

響 「ご、ゴメンねプロデューサー、痛かった?」

P 「いや、大丈夫.....しかし、響も中々やるな」

響 「前に収録で護身術を体験したからな!そのイメージで動いただけだぞ」

響 「そんなことよりプロデューサー!早く貴音を助けに行かないと!」

P 「落ち着け響、貴音ならすぐにどうにかされることはない」

響 「え?そうなのか?」

P 「ああ、貴音は大切な765プロのアイドルだ」

P 「社長がそう簡単に手放すとは思えない」

響 「そうか.....確かに、社長がそんな自分のクビを絞めるようなことはしないよな」

P 「そういうことだ」

響 「よかった.....」ホッ

響 「ん?じゃあこれからどうするんだ?」

P 「まずはこの建物から出よう」

P 「この建物には正門と裏口がある」

響 「うん、裏口は1階を調べたときに確認したぞ」

P 「社長は正門.....響たちが入ってきた側で俺たちを待っているはずだ」

P 「だから、俺達は裏口から一度脱出する」

響 「ふむふむ」

P 「裏口には春香たちも待機してくれている」

P 「一度みんなと合流し、体勢を整えてから貴音を助け出そう」

響 「わかった........!!」


響 (待っててね貴音!今度は自分が貴音を助ける番だぞ!)グッ

P 「よし、じゃあそろそろ行くぞ響。しっかりついてこいよ?」

響 「ふふん、なんくるないさー!」

タタタッ

-1階-

タタタタタ...

響 「もうすぐ裏口だな....」

P 「ああ、そうだな」

響 (裏口でみんなと合流したら、一度体勢を整えて貴音を助け出す.....)



響 (............あれ?)



響 「ねえ、プロデューサー」

P 「ん、どうした響?」

響 「さっき自分を探してたとき、急がないと貴音が危ないっていってたよな?」

響 「そりゃもちろん、すぐ助けたいけど」

響 「すぐにどうにかされる訳じゃないってわかってるなら」


響 「なんであんな言い方したんだ?」

P 「ああ、あの時は響がどこにいるかわからなかったからな」

P 「部屋を全部探すのも大変そうだったし」

P 「響の方から出てきてもらうために、ああいう言い方をしたんだ」

響 「ふーん.....なるほどな」


響 (.........ん?なんだ、この違和感)

響 (なにか、大事なことを見落としてるような....)


P 「ほら、もう出口だ。行くぞ響」

響 「あ、うん。わかってるぞ」



響 (そうだ.......自分の居場所を知りたいからって)

響 (わざわざ、あんな嘘をついてまで自分を誘いだす必要は)


ガチャ



社長「やあ、遅かったじゃないか」


響 「........なっ.......!」


響 (社長!?ど、どうしてこっちに!?)

社長「おぉ、また会えて嬉しいよ、我那覇君」

貴音「だ、ダメです響っ!そこから逃げてください!」

響 「た、貴音っ!」

響 (貴音、やっぱり捕まって....!)

響 (って、だ、ダメだ....今はあれこれ考えてる場合じゃない......!)

響 「プ、プロデューサー.....とにかく一回中に逃げないと......」

P 「............」

響 「プロデューサー?どうしたんだ、急に黙って....」

P 「............」


トン


響 「っ」ヨロ


ドサッ


響 「............え?」

P 「............」

響 「............プロ、デューサー?」キョトン


貴音「ダメです!響!ここに味方はいません!!!」

貴音「一人で逃げるのです!!」


響 (........うそ)


社長「うまく連れてきてくれたねぇ、さすがは私の見込んだ男だ」

P 「..............」



響 「だま、した........のか?」

P 「..............」


ザッ

響 「っ!!」バッ

響 「........みんな.....!」

春香「響ちゃん」

伊織「響」

あずさ「響ちゃん」

千早「我那覇さん」

やよい「......ひ、響さん」

真 「響」

雪歩「響ちゃん」

律子「響」

亜美「ひびきん」

真美「ひびきん」

美希「響」



響 「みんな......!た、たすけて........っ!!」

全員「..............」フイッ


響 「っ!!!!!!」

響 「そんな......っ」

P 「..............」


響 (.......あぁ、そっか........)


『俺は、俺たちはお前の味方だ...!』


響 (.......全部)


『ああ、音無さんや春香たちも協力してくれている』

『みんなで、このふざけた計画をぶっ潰そう』


響 「あ、あぁ.....あぁああ」ポロポロ


『一度みんなと合流し、体勢を整えてから貴音を助け出そう』


響 (全部.....ウソだったんだ.........!!)



響 「うぁ....あああぁぁぁぁぁぁぁああぁ!!」ボロボロ

P 「..........っ」

響 「あぁあ......うあぁ....」ボロボロ

貴音「しっかりしてください!!響っ!ひびきぃ!!!」ジタバタ


やよい「ひ、響さん....」

伊織「やよい、見ちゃダメ......」ソッ

亜美「うあぁ、ひびきん.....」

真美「なにコレ、こんなの......」ジワ


響 「ああぁぁ....ああぁあぁ....」ポロポロ


社長「................」

社長「さて......私もそろそろ辛くなってきた」

社長「いい加減、終わりにするとしようか.....」


チャキ


貴音「っ!」

貴音「そ、そんな.....!!」

貴音「お、お待ちください!あなた様!!高木殿を止めてください!!」

P 「っ......」ギリ

貴音「っ......!!だ、だれかっ、誰でも良いのです!!」

貴音「お願いですっ、誰か響を、響を助けてください!」


全員「.............っ」


貴音「っ!!!どうして.........どうしてですっ!!!」

貴音「わたくしたちは、仲間ではなかったのですか!!」ポロポロ

貴音「それを、なぜ......響ばかりがこんなっ.......!こんなっ......!」ボロボロ




雪歩「四条さん.....っ」ギュ

春香「........ぅうっ」ポロポロ

美希「も、もう限界なの.......ミキ、こんなのガマンできないよっ!!!」

律子「だ、ダメよ美希!!ちゃんと最後まで役目を果たしなさいっ!!」ガシッ

響 「.........」ポロポロ


社長「..........我那覇君」チャキ

響 (.........銃......)

貴音「や、やめてください!!.....響!!!響!!!!!」


響 (ゴメンね貴音....)

響 (自分、もう......動けない.....)


響 「.........っ」ポロポロ

貴音「ひびきぃ.....っ!」ボロボロ



社長「本当によく頑張ってくれた.........ご苦労様」カチッ




パァン!!


響 「....................!」

響 「....................」

響 「....................」

響 「....................?」

響 「...............あ、れ?」



貴音「...................え」



「「空......砲?」」

貴音「こ...............これは、いったい」

貴音(それに、この宙を舞っている金色の紙は......)


響 「ぇ.........え?」


P 「響。貴音」

響 「ひっ!ぷ、プロデューサー........」ビク


P 「あ、あはは.....これ、読んでもらえるか?」


響 「な、なにそのプラカード.........えっ......と」

貴音「こ、これは......」




響・貴音 「「”ドッキリ 大 成 功”........!?」」

響 「え.....な...........ぇ?」キョトン

響 (あれ、え、コレ.........つまり、どういうこと?)


美希「ひびきぃっ!!」ガバッ


響 「ぅわっぷ!え、み、美希.....!?」

美希「ゴメン!ゴメンね響!!!ミキ、ミキ.....!!」

美希「ミキは.......ぁああぁあああん!!」ビエー

響 「え、ど.....どうなってるの......?」

響 「自分、しんだの?」


小鳥「いいえ。響ちゃんはちゃんと生きてるわよ」ヒョコ


響 「ぴ、ぴよ子!?今までどこに.....」

小鳥「ふふ、あたしは撮影係だったから、ずっと隠れてたの」

貴音「さ、撮影........!?」

春香「ひびぎちゃーーん!ゴメンねー!!」ビエー

真 「響いいぃ!!!」ガバッ

亜美「ひびきぃいいいん!!!」

真美「ゴメンなざ→い!!!」


響 「ちょ、みんな、重っ、わ、うぎゃーーー!!」モミクチャ



貴音「..........」ポカン

やよい「だがね゛さ゛~~ん」ウルウル

律子「貴音.......お疲れ様」

貴音「やよい、律子嬢........これは......まさか」


千早「はい.....ドッキリ......だそうです。その.......すみません」シュン

貴音「  」

響 「わぷっ......は?ど、どっきり?」

社長「そ、そうなのだよ......ハハハ」

響 「ハハハって........え?」

響 「どっきり.................」

響 「...................」

響 「...................」

響 「は!?ドッキリ!!?」

響 「どっから!?どっからドッキリなんだ!!!?」


P 「あー、えっと.......俺がパソコンを消さないまま外出するとこあたりから」


響 「そ、それっ.......つまり、最初からじゃないか!!」

響 「えっ、えっ、じゃあ、あの子供は?」

伊織「社長にどうしてもって頼まれて、水瀬製作所で作ったロボットよ.....」グス

響 「じ、自分が遺伝子操作で産まれたアイドルって言うのは?」

あずさ「そんな技術、存在しないわ.....響ちゃんは正真正銘、ご両親に望まれ、祝福を受けて産まれた子よ」ナデ

響 「......自分の記憶が、作られたものだって言うのは......?」ウル

雪歩「社長の真っ赤なウソですぅ」ギロ

社長「う、うぅ....」

響 「ほんとか.....?じゃあ、自分の家族は、ちゃんといるんだな?」ウルウル


P 「ああ、響の家族はちゃんといる.......響の記憶は、間違いなく響自身の、大切な家族との記憶だよ」

響 「そっか.......そっか......」

響 「よ......よかった....うぅ......」

響 「あぁぁあああぁぁぁぁあああん!!!」ビエー

-----------------------------


貴音「........................さて」

社長「.............」

P 「.............」

貴音「それでは、わたくしたちに説明して頂けますか?」

貴音「今回のあまりに悪趣味な所業について」

響 「........ぐすっ.....うぅ。そ、そうだぞ!」

響 「いくらドッキリにしたって、今回のはさすがに趣味が悪すぎるぞ!!」

P 「いや、その.....」

社長「これはだね.......」

P 「......少し前から、響がお父さんについて俺に訊きにくるようになっただろ?」

響 「うん」

P 「ただ、とても繊細な問題だし、俺一人の意向で話をするわけにもいかない」

P 「だから、どう話を進めるべきか、社長と相談したんだ」

貴音「なるほど。続けてください」

社長「ま、待ってくれたまえキミィ、その話の流れは....」

貴音「続けてください」

社長「ひ、ひぃいっ」ガクガク

P 「そ、そそ、それで社長に相談したら、だな.....」ダラダラ


P 「”おお、それはいい。ちょうど今ドッキリの企画がきていてね”」

P 「”我那覇君を主役に据えた765プロ総出演のドッキリ企画とするのはどうだろう”」

P 「........と言うことになったんだ」


響 「....................」

貴音「....................」

社長「..................」ダラダラ

響 「.......ねぇ、社長」

社長「ひゃ、ひゃい!」


響 「........社長には、モラルってものがないのか?」


春香(う、うわ~直球......)ヒソヒソ

千早(当然よ、こんな企画....)ヒソヒソ

社長「す、すまない!本当に我那覇君には、申し訳ないことをしたと思っている!!」ズザァ

真美「う、うわ→......土下座.....」

貴音「....このような企画.......人として、信じられません」

社長「さ、最初はこんな大掛かりでゲスなものになる予定ではなかったんだ.....」

社長「だが、向こうの脚本家が暴走してしまったらしく.....」

社長「行き過ぎていることに我々が気が付いたときには....もう止められないところまで.....」

社長「.....いや、そんなことは見苦しい言い訳に過ぎない......」

社長「みなを守る立場の私が......苦しめることになるなど......」

社長「二人とも......本当に..........本当に申し訳ない!!!!!」ポロポロ

P 「俺も.......すまなかった!!!」ズザァ



響 「................」

響 「まったく..........ほら、もういいから、立ってよ二人とも」

貴音「響......よいのですか?」

響 「うん......二人とも悪意があってやったわけじゃないってわかったし」

響 「全部ドッキリだったなら......もう.....いいかなぁって.....」

貴音「響............」


響 「あ、あはは.....なんか、疲れちゃったね?貴音、ラーメンでも食べて帰ろ?」

貴音「えぇ......そうですね....わたくしも喉が痛いです.......」

響 「うん、自分も......」


テクテク


社長「...........」

P 「............」


響 「.........あ、そうだ。ねぇ春香」クルッ

春香「......なぁに、響ちゃん?」

響 「この後、みんな予定って入ってる?」

春香「えっと.....ううん。今日は全員、これで終わりだよ」

響 「そっか.....なら、みんなでラーメン食べに行かない?」

真 「えっ、ボク達も行っていいの.....?」

響 「当たり前だろ?ねっ、貴音」

貴音「ええ。響の言うとおりです」

貴音「まぁ、わたくしはちょっと怒っておりますが....それでもわたくし達は」

貴音「仲間......でしょう?同席を拒む理由などありませんよ」ニコ

やよい「貴音さん.....うぅ、ありがとうございますー!」

響 「ほら、じゃあみんな行こっ!」

響 「自分、泣きつかれてもうおなかペコペコさー!」

雪歩「響ちゃん....ありがとう.....」ウルウル

響 「あはは、なんで自分にお礼言うんだ?自分、何にもしてないぞ!」

美希「あはっ☆さすがは響なの」ナデナデ

響 「も、もー、なんだよー!」

ワイワイガヤガヤ


社長「...........」

P 「............」


響 「........社長、プロデューサー」

社長「......はい」

P 「......なんでしょうか」


響 「反省、してるか?」

社長「..........ああ、もちろんだとも」

P 「もう、二度とこんなことはしないよ。約束する」

響 「................」

響 「そっか、ならいいんだ」

響 「.....ほら、二人も早く行こうよ?みんなに置いてかれちゃうぞ?」

社長「が、我那覇君.......!」ウルウル

P 「響.......!!本当に、俺達も行っていいのか?」ウルウル

響 「も-、さっきみんなで行こうって言っただろー!なに聞いてたんだよー!」

響 「ほら、みんな待ってるから早くっ!!」


社長「ありがとう........あ゛りがとう゛.......」ポロポロ

P 「ひ、響......今日ば本当にずま゛なかったな゛......」ポロポロ


響 「も、もーなんだよ二人ともー!男が二人して泣くなんてみっともないぞー」メッ

響 「あ、そうだ!二人は今日のお詫びとしてみんなのご飯代出してよねっ!」

響 「それで今日のことはチャラ、ね、いいでしょ?」


社長「ああ、それくらいお安い御用だよ.....」

P 「俺も.....!」


響 「えへへ、よーし、じゃあみんな、しゅっぱーつ!!」オー


オー!!!!!!

-数日後-

響 「それにしてもこないだは大事件だったな.....」

貴音「ええ。しかもどうやら聞くところによると、内容があまりに過激だったため」

貴音「おんえあもしないことになったとか」

響 「え、ええー......じゃあ自分たち、骨折り損のくたびれもうけじゃないか.....」ガクッ

貴音「とはいえ、お詫びとして別の番組のオファーをたくさん頂けたようですので」

貴音「全くの無意味という訳ではなかったようです」クス

響 「ふーん........まぁ、あれがオンエアされるのは恥ずかしいし、ちょうど良かったのかもな」

貴音「ふふ、そうですね.....」

響 (あ、そういえば.......)

響 (いつの間にか部屋から持ってかれてたアルバムは返してもらったけど)

響 (なんで自分はたーりーのことをあまり覚えてないんだろうなぁ....)

響 「うーん....やっぱりあんまーに......」

貴音「あんまー.....?」キョトン

響 「あ、うぅん!なんでもないぞ!」

響 (..........まぁいっか)

響 (深入りして前みたいになるのはごめんさー!)

春香「おーい、響ちゃ-ん!貴音さーん!」

美希「響ー!貴音ー!お腹すいたから早く行くのー!!」

響 「あ、はーい!」

貴音「おや、もうこんな時間ですか」

響 「うん、二人が待ってるし、行こっか」

貴音「ええ、そうですね」

貴音「......ふふ、今日はどのような美味に出会えるのでしょう....!」パアッ

響 「ははは....」


響 (無理に思い出すこともないや)

響 (いつか、自然に思い出すよね。きっと!)


響 「じゃあ、いってきまーす!」


ガチャ


-終わり-

偶然見つけたこの画像を見て書きたくなりました。
ひびたかはやっぱり最強だと思います。
ありがとうございました。

http://i.imgur.com/2jK5U7g.jpg

誤字がいくつか
初っ端から間違えててすみません

>>1
×伊織「まったく、お父様もお兄様も私のことを全然わかってないわハァ」ハァ
○伊織「まったく、お父様もお兄様も私のことを全然わかってないわ」ハァ

>>47
貴音「色々と回りましたが、響きについて手がかりとなるようなものは見つかりませんね」
貴音「色々と回りましたが、響について手がかりとなるようなものは見つかりませんね」

>>79
高木「我々が刷り込んだものに過ぎないなのだよ」
高木「我々が刷り込んだものに過ぎないのだよ」

>>103
P 「そのデータを手に入れるため、ギリギリまで社長に忠実な部下だけ思わせておきたかった」
P 「そのデータを手に入れるため、ギリギリまで社長に忠実な部下だと思わせておきたかった」

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