あやせ「お兄さんに嫌われた…?」(162)

京介「いい加減にしてくれよ」

京介「俺は別にシャカでも聖人君主でもM男君でもねーんだよ」

京介「それをお前は毎回毎回毎回毎回理不尽な扱いしやがって…」

京介「これ以上付き合いきれねーわ」

京介「新垣さん、俺にはもう二度と関わらないでくれ」



~遡る事数十分前

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1335533336(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)

あやせ「お兄さん、ご相談があります」

京介「また桐乃に何かあったのか?」

あやせ「…すぐに桐乃の名前が出るなんて、やっぱりお兄さんが原因なんですか?ま、まさかあれだけ言ったのに桐乃に手を出し…」

京介「いや違うからっ!お前、俺に桐乃以外の相談持ち掛けた事あんましねーだろ?」

あやせ「そんな事無いじゃないですか!」

京介「そーか?まぁどっちにしろ誤解だって」

あやせ「どーだか」

京介「………」

あやせ「それで、ご相談と言うのは…まぁ桐乃の事なんですが、最近どうも元気が無いみたいなんです」

京介「桐乃だって調子の悪い時ぐらいあんだろ?気にしすぎじゃないのか?」

あやせ「それだけじゃないんです!桐乃…元気が無いかと思えば突然ニヤついて…そうかと思えばまた落ちこんだり…」

京介「う~ん」

京介(ニヤついて、の辺りから察するにまた妹ゲー関係か?)

あやせ「それで、もしかしたらお兄さんが関係してるんじゃないかと思ってご相談を」

京介「ちょっと待て!今の話の流れで何で原因俺?しかも原因候補に相談ってどーよ!?」

あやせ「単に疑いの可能性があるってだけです」

あやせ「何せお兄さんはド変態のドスケベな最低野郎なんですから」

京介「…………」

京介「まぁ今の段階じゃどーとも言えねーが、多分妹ゲー関係じゃねーのか?最近新しいゲーム手に入れたとか浮かれてたし」

あやせ「またゲームですか…」

京介「だから、そんなに心配する事は無いと思うぞ」

京介(まぁ一応少し聞いては見るか。何だかんだで俺も気になるしな)

あやせ「心配、するに決まってるじゃないですか!お兄さんなんかにはわからないかもしれませんが桐乃はあれで危なっかしい所あるし」

京介(しかし、最近のこいつは特に口が悪くなってんな?桐乃の影響か?)

あやせ「クドクドクド」

京介(……正直、最近こいつの相手するの疲れるだけなんだけどな)

京介「分かった分かった!聞くだけ聞いてみて何があったのか確認してみるよ」

あやせ「さ、最初からそう言えば言いんですよ、全く…」

京介「それはそうとさ、最近あやせ口が悪すぎじゃねーか?」

あやせ「え?」

京介「仮にも相談相手にド変態だのなんだの…この前も勝手な勘違いで[ピーーー]だのセクハラ野郎だの」

あやせ「あ、あれはお兄さんが悪いんじゃないですか…」

京介「セクハラはもうしないって言ったろ?現にあん時のは完全にお前の勘違いだったろ?」

あやせ「でも…お兄さんには前科もあるし」ブツブツ

京介「ハァ…分かった、もう言いわ…」

あやせ「自分の非を認めましたか?それなら最初から…」

京介「いや、お前は俺が何言おうが聞いちゃくれねーのが分かったって言ったんだよ」


あやせ「…え」

京介「前から思ってた事だけどもう無理だわ」

京介「そりゃお前は俺の妹の親友だし、妹が世話になってる分何かと手助けしてやんなきゃなって我慢してきたけど」

京介「俺も、人間なんだよ」

京介「だから…」




~現在に至る


あやせ「お、お兄さん…ちょっ、待っ」

京介「………」

あやせ「…ち、中学生にそんなキレたりして恥ずかしく無いんですか?あ、あなたは…」

京介「…ハァ……」

あやせ「…待って、待って下さい!」

あやせ「本当に帰っちゃった…」

あやせ「だって…お兄さんが悪いんじゃないですか」

あやせ「そりゃ私も言いすぎたりしたけど………お兄さん、いつもと様子違ってたな」

あやせ「…私から謝って、…許してくれなかったら、どうしよう」グスッ

京介「ただいまー」

桐乃「あ、おかえり」

京介「おぅ」

桐乃「じゃ、今からダッシュでダッツの苺買ってきて」

京介「待て待てぇ!俺今帰ったばっかなんですけど!?」

桐乃「だから?」

京介「……何でもないっす」

桐乃「あ、お金先に渡しとくから京介のも買って良いからね」

京介「へっ?お前が奢ってくれんの?」

桐乃「何?悪いっての!?」

京介「いや、珍しい事もあるなーってよ」

桐乃「へへー、今日は気分良いんだー♪」

京介(全然大丈夫そうじゃねーか)

京介「買ってきたアイス冷凍庫に入れといたぞ」

桐乃「んっ」

京介「なぁ」

桐乃「何?」

京介「何か最近顔面変化させてっけど何かあったのかよ、いきなりオチたりニヤついたり」

桐乃「何~、あんたそんなに妹の動向が気になんのー?ほんと、シスコンなんだから~♪」

京介(ヤケに嬉しそうだな…)

桐乃「あのねあのね、最近手に入ったゲームがもうマジ神ゲーで…」

京介「つまり、要約すると最初神ゲー予想してたゲームが妹ルートの無い糞ゲーだったと思えば妹ルートが隠し仕様な上シナリオの出来が最高だったと」

京介「でもってその隠しシナリオに入るには桐乃が嫌ってる幼なじみキャラを攻略しないといけなかった、と」

京介「どーも様子が変だったのは妹ルートに入れる事が分かった嬉しさと、自分の嫌いなキャラを攻略しないといけない葛藤からっぽいな」


桐乃『攻略サイトに情報乗った時は悩んだもんよ~、でも愛しのキリコちゃんの為だもん!我慢してあの邪魔者マサミを攻略してやったわ』


京介「エロゲー相手に何やってんだかアイツは…」

京介「………………」

京介「ま、一旦請け負ってる事だからこの件はな」

京介「…」ピピピ

京介「送信っと」





あやせ「どう切り出して謝ろうかな…」

あやせ「お兄さん、今回は相当怒ってたし…」

あやせ「メール?……!?お兄さん!!」ピロリン

あやせ「……そっか、やっぱり桐乃、ゲームの事で…お兄さん、わざわざ教えてくれたんならそんなに怒って…」

あやせ「あれ?続きがある」


京介『これで最後の相談は終わった訳だし、金輪際俺には関わらないで欲しい。
それじゃあ新垣さん、これからも妹とは仲良くしてやってくれ』

あやせ「なに…コレ…?」

あやせ「電話…!」

あやせ「…」プルル

「おかけになった電話番号は、お客様の都合によりおつなぎできません」


あやせ「そ、そんな…」ヘタッ


あやせ「メールも…送られたメール最後にアドレスを変えられたみたい…」

あやせ「…ヒック…うぇぇ…」

あやせ「お兄さん……お兄さん……お兄さん……お兄さん……お兄さん……」グスッ

あやせ「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさ…」

あやせ「………」

~翌朝


京介「じゃ、行ってきます」

桐乃「あたしも行ってきまーす」

佳乃「二人とも気をつけて行ってくるのよ」

桐乃「あれ?あやせ」ガチャッ

あやせ「おはよう、桐乃」

あやせ「お兄さんも、おはようございます」

京介「…じゃ桐乃、行ってくるぜ」

桐乃「え?あ、うん…?」


桐乃「…あいつ、何か態度悪くなかった?」

あやせ「そうかな?それより桐乃、早く学校行こう」

桐乃「え、うん…」

あやせ「………」

京介(昨日の今日で、何考えてんだか…やっぱりあいつにはついて行けねーわ)

麻奈美「京ちゃん?お顔恐いよ…?」

京介「あぁ、悪ぃ。ちょい考え事してた」

麻奈美「ふ~ん…そうなんだ」

京介「おぅ」

麻奈美「京ちゃんも色々と考えの多いお年頃なのかな?」

京介「妙な言い回ししてんじゃねーよ」

麻奈美「えへへ」

京介(あー、この空気良いよな~…癒される)


あやせ「ねぇ桐乃、聞いてる?」

桐乃「え?…あぁゴメン、ぼーっとなっちゃってた」

あやせ「もー、桐乃ったら」

桐乃「あはは…、ねぇあやせ。もしかして京介と何かあった?」

あやせ「…ううん、何で?」

桐乃「や、今朝様子がおかしかったから…」

あやせ「やだなぁ桐乃、お兄さんがおかしいのはいつもの事じゃない」

桐乃「そ、そうだよね、あははゴメン、今の忘れて」

あやせ「………」

桐乃(あやせの様子も少しおかしいんだよね…)

桐乃「あやせー、今日は部活休みだから一緒に帰ろ」

あやせ「ごめんね、桐乃。今日は帰れないんだ」

桐乃「そうなの?珍しいじゃん」

あやせ「うん、用事でね。もしかしたら当分は先に帰らなきゃ駄目かも」

桐乃「そっか、なら仕方ないね」

あやせ「ごめんね、桐乃」

桐乃「気にしないでよあやせ」

加奈子「じゃあ加奈子と帰ろーぜ」

桐乃「加奈子、どこ行ってたの?」

加奈子「やー、ちびっと野暮用でよー」

桐乃「じゃあ帰ろっか」

加奈子「帰りに最近出来たカフェ行かね?」

あやせ「………」クスッ



京介「はやく自由登校になってくんねーかな?」

麻奈美「学校に行かないからって、サボっちゃ駄目だよ?」

京介「分かってんよ」

麻奈美「自由登校になったらどこで勉強しよーかね」

京介「いつも通り図書館で良いんじゃね?」

麻奈美「家なら休憩の時、お茶貸し出せるよ?」

京介「それもいーな、それじゃ今度お邪魔させて貰うか」

麻奈美「うん!」


あやせ「お兄さん!」

京介「!?」

麻奈美「あれ?あやせちゃんだぁ」

京介「……」

あやせ「偶然ですね、こんな所で会うなんて」

麻奈美「こんにちは~、あやせちゃん」

あやせ「お姉さんもこんにちは」

京介「麻奈美、俺今日は先に帰るわ」

麻奈美「えっ?きょ、京ちゃん?」

あやせ「あ、もしかして…お邪魔しちゃいました?」

京介「…じゃーな、麻奈美」

麻奈美「京ちゃーん…」

あやせ「……」

麻奈美「あやせちゃん…京ちゃんと、何かあったの?」

あやせ「何もありませんよ?いつも通りです」

麻奈美「…本当に?」

あやせ「はい」

京介「ただいま~」

桐乃「…」

京介「…何仁王立ちしてんだ?」

桐乃「…今から、あたしの部屋に来なさい」

京介「何だ?また人生相談か?」

桐乃「今日は、違う…どっちかって言うと、あんたの相談」

京介「はぁ?」

桐乃「良いから来る!鞄置いたらすぐだかんぬ」

京介「へいへい、ったく」

桐乃「で?あんたあやせと何があったの?」

京介「またか…」

桐乃「え?」

京介「いや、別に何でもねーよ」

桐乃「嘘っ!あやせもあんたも何か変じゃん!」

京介「別にお前が心配する事はねーよ、気にすんな」

桐乃「気になるに決まってんでしょ?あやせは親友だしあんたは!……あ、あたしの兄貴…だし」

京介「桐乃…」

桐乃「と、とにかく何かあるなら今この場でとっとと白状する!」

京介「……はぁ、本当に何も無いって。嘘じゃねーから心配すんな」

桐乃「………本当?」

京介「あぁ」

桐乃「エロゲーに誓って?」

京介「エロゲーに誓ってどうする!?」

桐乃「…分かった、この場はあんたの言葉を信じてあげる」

京介「そうか」

桐乃「でも、何かあったらすぐに言いなさいよね、でないと[ピーーー]」

京介「俺いきなり殺されんの?罰が重くね!?」

桐乃「別に良いじゃん、信用してるっつってんだし」

京介「それ信用してる奴の釘刺しじゃねーよ…」

桐乃「それじゃ、もう行ってよし」

京介「あぁ…」

桐乃「……ばか」

~数日後

あやせ「ねぇ桐乃、久しぶりに桐乃の家に遊びに言って良い?」

桐乃「あー、本当に久しぶりだよね~、誰かさんは帰りも付き合い悪かったしさ」

あやせ「それはごめんったら~」

桐乃「ふふ、冗談だよ」

加奈子「何の話ー?加奈子も混ぜろよ」

あやせ「加奈子はだーめ」

桐乃「え?どうせだし加奈子も誘っ」

あやせ「加奈子は用事があるから駄目だよ…ね?加奈子」

加奈子「や、別に用事はねー…」

あやせ「ね、カ・ナ・コ」

加奈子「いや、そう言えばありましたハイ」

あやせ「ね?」

桐乃「う、うん」

桐乃(ま、いっか…加奈子がいないんならお宝も出せるしあやせにもあのお宝の素晴らしさを分かって貰うってのもできるしね)

あやせ「じゃあ今度の日曜日にお邪魔させて貰うね」

桐乃「ねぇ」

京介「あん?」

桐乃「今度の日曜日あやせが来るから」

京介「じゃあ俺はどっか出かけてるわ」

桐乃「邪魔だから部屋に篭って…え?」

京介「邪魔なんだろ?友達帰るまで家から出てるよ」

桐乃「や、別にそこまで……つか、また地味子の所いくつもり?」

京介「いんや、麻奈美も何か家の用事とからしいぞ、だからその日は家で勉強するつもりだったし」

桐乃「だったら別にいても…勉強するなら篭ってんだし」

京介「別に勉強なら図書館あるしいーって」

桐乃「…何か、その気遣いキモいんですけど」

京介「キモくて結構、話それだけなら勉強に戻って良いか?」

桐乃「あ、うん」


桐乃(…やっぱり何か変だ)

今日はこの辺で
明日また書きます。

桐乃「いらっしゃーい」

あやせ「こんにちは、桐乃」

桐乃「今日はあたしだけしか家いないし気軽にくつろいでよ」

あやせ「あ、ご両親もお兄さんもいないんだ?」

桐乃「う、うん…兄貴は、勉強とかで図書館行ったんだ」

あやせ「へー、そうなんだ」

桐乃「ちょっと待っててね、今お茶とお菓子とって来るから」

あやせ「うん、ありがとね桐乃」

桐乃(兄貴いないって言ってもいつも通りか…気にしすぎかな?)



桐乃「で?最近何やってたの?」

あやせ「えー?気になってるの?桐乃」

桐乃「そりゃ気になるっつーの、結構寂しかったんだからね?」

あやせ「そっかぁ、桐乃が私がいなくて寂しい…桐乃は私がいなくて寂しい…ウフフ」

桐乃「や、連呼されても困るんだけど…」

あやせ「本当に大した用事じゃなかったの、でももう大丈夫だよ」

桐乃「本当に?」

あやせ「うん!大丈夫になったの」

桐乃「ふーん…」

あやせ「それより桐乃、最近お兄さんとはどう?変な事されてない?」

桐乃(いつものあやせだ)

桐乃「大丈夫だって~、マジマジ。うん本当に大丈夫だよ」






あやせ「あ、もうこんな時間か」

桐乃「送ってこうか?」

あやせ「ううん、それだと桐乃が帰る時に危ないよ。大丈夫だから」

桐乃「う~ん、でも…」

京介「ただいまー」

桐乃「あ、アイツ帰ってきた…そうだ、アイツを連れていけば大丈夫」

あやせ「……お兄さん、を?」

桐乃「ちょっと言ってくるから待ってて」

京介「おぅ、ただいま」

桐乃「今からあやせ送ってくから京介もついて来なさいよ」

京介「あ?友達まだいたのか?」

桐乃(……)

桐乃「そ、今からだと暗くなるし危ないからついて来て」

京介「………」

桐乃「…」

京介「ま、良いけどよ」

桐乃「じ、じゃああやせに言ってくんね!」

京介「……」

桐乃「あやせー、京介が送ってくれるって行ったから大丈夫だ……よ?」

桐乃「あやせ?」

京介「おい、桐乃。友達は何処だよ」

桐乃「さっきまで居たのに…待っててって言ったのに……」

京介「帰ってたのか?それじゃ俺は出なくて良さそうだな」

京介「晩飯にはお袋も親父も帰ってくるらしいからそしたら呼んでくれ、部屋にいるから」

桐乃「…待ちなさいよ」

京介「あん?」

桐乃「いい加減にしろ!あんた、最近のあやせへの態度何!?」

京介「何が?別に普通だろ?」

桐乃「何処が!?あんたらしく無いしあやせも変だし…あんたら何があったのか言ってくれないし……」

京介「桐乃…」

桐乃「グスッ…今白状しろ、出ないとマジで[ピーーー]」

京介「…はぁ」

京介「わーったよ、じゃあ部屋に来い。話長くなるかもしれねーし」

桐乃「…」コク

桐乃「…最低」

京介「……」

桐乃「中学生相手にキレて意地はって、あんた情けない事この上無いじゃん」

桐乃「大体あたしに内緒であやせと会ってただけでもムカつくのにそれを何?」

桐乃「あんた何様だっつーの」

京介「俺にだって言い分はあるんだよ」

桐乃「言い分っつーか鬱憤をぶつけただけじゃん?中学生の女子相手に情けないと思わない訳?」

桐乃「しかも反撃方法に無視とか、ガキかっつーの」

京介「まぁ、確かに大人気ないとは思うよ」

桐乃「ならさっさと謝れ!」

京介「謝りはしても、もうアイツと関わり合いになりたくないってのは変わらないぞ」

桐乃「あんた…この後に及んで!」

京介「あのなぁ、俺にだって人権ぐらいあるだろうが」

京介「付き合いたくもない相手に付き合う程俺は奇特な人間じゃねーからな」

京介「大体桐乃、俺とあやせが陰でコソコソしてるのが気にいらないんじゃなかったのか?」

桐乃「それとこれとは話が別だっつーの!」

京介「正直な話、謝ってもこれから前みたいにアイツと接するなんて無理だし」

京介「元々、桐乃絡みじゃなけりゃ極力関わり合いになりたくなかったんだよ。」

桐乃「え?あたし絡みじゃなかったら?」

京介「そうだ」

桐乃「こんな時にまでシスコン発言とか、キモッ…」

京介「ふん、うるせー」

桐乃「…じゃあ、その妹の頼みで仲直りしてとか言われたら、あんたどうすんな?」

京介「…………」

京介「なぁ、別に仲直りもねーだろ?元々アイツはお前の親友で、俺とは無関係な訳だし」

桐乃「そうだけど…何か嫌なのよね…上手く言えないけど!…うー、あ~ムカつくムカつく!」

京介「いきなり叫ぶなよ!」

桐乃「とにかく仲直りしろ!しなきゃお父さん達に『京介があたしに手を出した挙げ句親友にまで…』って泣いて報告するかんね!」

京介「お前も理不尽の極みだな!?……ったく分かったよ」

桐乃「最初からそう言え!…シスコン兄貴」

桐乃「ねぇ」

京介「あん?まだ何かあんのか?」

桐乃「あんた、あやせが理不尽すぎて付き合いきれないって言ってたけど……あ、あたし……」

京介「……」

桐乃「やっぱいい」

京介「…ったく、アレが妹様の理不尽だったら俺も気にせずに付き合えたんだろうけどよ」

桐乃「!」

京介「何せ俺は妹第一のシスコン変態兄貴だからな、妹の理不尽な要求なら何だかんだで何でも聞くんだろうよ」

桐乃「…あっそ、……このシスコン」

京介「へーへー」

京介「ったく……まぁ、確かに今回は俺も大人気なかったのは事実だし、仕方ねーか」

京介「とりあえず着拒解除して…あやせに新しいアド送って…」

京介「こっちから電話かけるか」プルル

あやせ「はい、お兄さんですか?」

京介「おぅ、…すまん。あやせ」

あやせ「……」

京介「色々大人気なかった、今更だが謝らせて欲しい」

あやせ「いえ…お兄さんは悪くありません、謝ったりしないで下さい」

京介「!?」

京介「えっと…あやせ、だよな?」

あやせ「はい?当たり前じゃないですか」

京介(態度が…てっきりまた罵倒の嵐かと…コイツも堪えてたってのか?いや、まさかな…)

京介「いや、そんな事ねーよ。俺が悪かったのは事実だ」

あやせ「それじゃあ…私からもお兄さんに謝らせて下さい」

京介「へ?」

あやせ「今まで…お兄さんにすき放題しちゃって…すみませんでした」

あやせ「お兄さんが甘くしてくれるから、それに甘えて…私、お兄さんを追い詰めてたんですね」

京介「いやそこまで深刻になられても」

あやせ「お兄さん!私を…許して下さいますか?」

京介(…)

京介「あぁ!それじゃ、仲直りだ」

あやせ「はいっ!」

あやせ「あ、あの!お兄さん」

京介「ん?」

あやせ「相談では無く…今度のお休みに少し付き合って頂けますか?お詫びもかねて行きたい場所が」

京介「そんな気をつかわなくても良いぜ?」

あやせ「いえ!半分は私の為みたいな面もあるし…駄目、ですか?」

京介「ま、良いよ」

あやせ「本当ですか!ありがとうございます!!」

京介「じゃあ今度の休み、いつもの公園で待ち合わせするか」

あやせ「はい!」

あやせ「それじゃ、また今度お願いしますね。さようなら」プチッ

京介「…ま、仕方ねーか…少しは関係修復に努力するかね」

桐乃「で?どうだった」

京介「………」

桐乃「まさか、またあんた」

京介「ま、待て!…怒らないし、蹴らない殴らないって約束出来るか?それなら喋るが」

桐乃「そんなの聞くまで分かるか!さっさと白状しろ!」

京介「…あやせと今度の休みに、でかける事に」

桐乃「[ピーーー]!!!」

数日後~

あやせ「お兄さーん」

京介「…おぅ、早かったな」

あやせ「って、どうしたんですか?その顔」

京介「あの電話の後桐乃にボコボコにされて…未だに傷がひかねー…」

あやせ「桐乃…」

京介「『あやせに少しでもおかしな真似したらぶっ[ピーーー]!』だそうだ、まぁ分かってるけどな」

あやせ「お兄さんにそんな心配いらないじゃないですか、桐乃ったら…」

京介(うん?)

あやせ「さ、早く行きましょう」

京介「あ、あぁ…」

あやせ「これが欲しかったんです」

京介「ストラップ?」

あやせ「はい!これ中々出回って無いから…それに二つ欲しかったので」

京介「中学生はストラップ好きだよな」

あやせ「そうですかね?お兄さんはしないんですか?ストラップ」

京介「あんまし興味はねーな」

あやせ「…そう、なんですか」

京介「?」

京介「それじゃあそろそろ帰るか?」

あやせ「あ、待って下さい。帰る前に…これ」

京介「これ…今日買ってたストラップじゃねーか」

あやせ「はい、一つは私が付けますからもう一つを、お兄さんに」

京介「お前それで二つ…」

あやせ「でも失敗だったかも…お兄さんストラップにはあまり興味なさそうだったし、すみません」

京介「い、いや。凄い嬉しいって!ありがとうな」

あやせ「本当ですか!?良かった…付けてみて貰って、いいですか?」

京介「あ、あぁ」

あやせ「お揃い、ですね」

あやせ「仲直りの記念ですから、簡単に外さないで下さいね?」

京介「あぁ!勿論だ」




桐乃「お・か・え・り」

京介「た、ただいま帰りました…」

京介(何か、浮気バレ確定なのに帰るしかない行き場所の無い旦那みたいな…やるせねー!!)

桐乃「んで?」

京介「お、おぅ!バッチリ完璧に仲直りしてきたぜ」

桐乃「…ん、ならよし。今日は…許す…あくまで今日だけだかんね!」

京介「は、はい」

桐乃「それから、次の休みはあたしに一日中付き合う事、これ決定事項だから」

京介「了解っす…」

桐乃「…ふんっ!」



~数日後~

京介「………うーん」

麻奈美「どうしたの?京ちゃん」

京介「や、なんつーか…最近…気のせいか?」

麻奈美「???」

京介「いや、やけに視線感じるっつーか…誰かに後つけられてる気が」

麻奈美「それって…ストーカーさん?」

京介「まぁ、んなわきゃねーよな」

麻奈美「そうだよぉ、京ちゃんにストーカーだなんてそんな物好きな」

京介「麻奈美…それ、絶対フォローじゃねーよな!?」

麻奈美「ふぇっ?」


…………

京介「でも最近本当に、四六時中こうなんだよなー…心休まる場所がねーっつーか」

麻奈美「そうなんだ~?」

京介「最近色々あったから疲れてんのかもな」

麻奈美「じゃあ、帰ったら少しゆっくりしなきゃだね~」

京介「おぅ」

麻奈美「じゃあ京ちゃん、ばいばい」

京介「おー、また明日な~」

京介「ただいまー」

桐乃「……」

京介「…桐乃?」

桐乃「あぁ…うん、お帰り」

桐乃「あのさ…」

京介「うん?」

桐乃「……やっぱり何でも無い」

京介「はぁ?何だよそりゃ、気になるじゃねーか…何だよ」

桐乃「う、うっさい!何でも無いったら何でも無いの!!」

京介「何だ?ありや」

京介「ふー、……やっぱり何か…こ~違和感が」

京介「部屋でも違和感なんて、疲れてんのかなー」

京介「少し寝るか」


京介「……」zzz

桐乃『……ん……誰……ふざ…て……』

京介(桐、乃?電話でもしてんのか?)

桐乃『やっ……お父……うん……』

京介(……ま、関係ねーか…)

京介「う~ん、少しは疲れとれてっかなー」

京介「…げっ、寝過ぎた……何で晩飯呼んでくれなかったんだよ…」

京介「今から降りても、晩飯食えねーかな…トホホ」

京介「まぁ、何かあるかも知れんし降りてみっか」


京介「あん?桐乃と…親父、珍しく話してんな」

京介「まーた桐乃のヤバいもん見つけられたか?」

大介「確かにその程度の事では警察は動かん、しかし俺個人で調べる事は出来るが…個人捜査には限界がある」

大介「ここで下手をうってあいつに危険が及んでは元もこも無いし…難しい問題だ」

桐乃「だから!そんなまどろこっしい話してないじゃん!メールの主をサクッと見つけて捕まえるとか出来ないの?お父さん」

京介「何の話してんだ?」ガチャ

桐乃「!?」

大介「…」

京介「よ、よぉ…親父お帰り…」

大介「京介、いつまで寝ていたんだ。お前の分の晩飯は無いぞ」

京介「あ、あぁ…(やっぱな…)所で何の話して」

桐乃「あー!あ、あたしあやせに用事があったんだ!電話してくるから部屋に入ってこないでね」

京介「お、おい」

大介「……」

京介「なぁ、親父…さっき何の話」

大介「お前が気にする事ではない」

京介「いや、でも何か様子変じゃ」

大介「口説いぞ」

京介「……」


京介「ちっ、なーんか嫌な感じだよな」

京介「まさか、桐乃に何かあったのか?でも、俺に内緒ってのがなぁ…」

京介「物騒な単語も飛び交ってたし、気にならない訳ないってーの」

京介「………」

京介「桐乃ー、入るぞ~」

桐乃「ちょっ、いきなり入ってくんな!」

京介「…それをお前が言うか?」

桐乃「電話するから入ってくんなっつったじゃん」

京介「今電話してねーじゃね~か、もう終わったんだろ?」

桐乃「…ちっ」

京介「でさー、何かあったのか?」

桐乃「ウザい」

京介「はぁ!?」

桐乃「ウザいっつってんの!!何勘違いしてんのよ、最近少し仲良くしてやったから調子に乗っちゃった?」

桐乃「あんたなんかに何でもかんでも言う必要ある訳?無いよね?だったらとっとと出てく事」

京介「桐乃、お前さっきから何言ってんだ?」

桐乃「人の話すぐに理解出来ないとか、コミュ障乙、とっとと死んだ方が良いよ」

京介「あのなぁ…俺はただ話を」

桐乃「しつこい!出てかないならその顔面に…」

京介「わわ、分かったから!その掲げた椅子下ろせ!」

京介(椅子掲げて何する気だよ!マジに[ピーーー]気満々だなこの妹様は)

京介「ったく桐乃のヤロー」

京介「あんな態度とられたら余計気になるじゃねーか」

京介(黒猫か沙織にでも様子聞いてみるか)

京介「…」プッププルル

黒猫「はい…」

京介「あぁ、もしもし。夜遅くにすまん」

黒猫「構わないわ、用件は何かしら?」

京介「実は桐乃の事でちょっと聞きたい事が」





京介「で、様子が変なんでお前らは何か心当たりないかなーってよ」

黒猫「…私にも全く検討がつかないわね」

黒猫「ただ、あの娘の言っている事を鵜呑みにすべきではないと私の第六感が告げているわ」

黒猫「それにしても、貴方と言うシスコンは妹に関しても肝心な所はヘタレそのままなのね」

京介「待て!それは俺がシスコンと言う名の存在そのものでいつもヘタレてるって言われてるみたいなんだが!?」

黒猫「あら?暗に言ったつもりはなくてよ、その通りじゃない」

京介「…最近色々ダメージ与えられてるけど、いい加減泣くよ?俺…」

黒猫「ふふっ、なら、私が慰めてあげましょうか?京介くん」

黒猫「京ちゃん、兄さん、それともお兄ちゃんって呼んで欲しいかしら」

京介「俺で遊ぶな」

黒猫「まぁ、どうせ貴方の事だから本当に関係無いとしてもどんどん突っ込んでお節介をやくのだろうけど…あまり無理はしない事ね」

京介「へっ、そりゃ無理な相談だ」

黒猫「…そう」

京介「結局黒猫に聞いても分からず仕舞いか」

京介「あやせにも聞いてみ…と、もうこんな時間か」

京介「メールだけしといて明日返事を待つか」ピッピッ

京介「とりあえず、今日は寝るか」



???「………が……いんですね」

??? 「だから……殺……でも貴方が……」

???「これ…は……一緒に……」

???「大嫌いだけど、大好きですよ」

京介「…!」

京介「……」

京介(妙に鼓動が早いな……汗も、…夢、見てたはずなんだが……いまいちはっきりしねー…)

京介「あ…れ?風?」

京介「って!窓開いてんじゃねーか」

京介「閉めんの忘れてたのか、あっぶねー…」

京介(もっかい寝なおすか)



京介(あれ?俺…いつ窓なんか開けたっけ?)

京介(……

短いですが今日はこの辺で

京介「おはよう」

大介「うむ」

佳乃「おはよー」

京介「…桐乃は?」

佳乃「桐乃なら先に出たわよ、部活の朝練が早いとかで」

京介「ふーん」

京介(まぁ今聞けるもんでもないし、焦る必要もねーか)



京介「あやせから返事ねーな~」

麻奈美「あやせちゃん?」

京介「うおっ!麻奈美いつからそこに?」

麻奈美「帰る時からずっといたよぉ…」

京介「まぁ良いや、ちょい桐乃の事であやせに聞きたい事があってよ」

麻奈美「その返事待ちなんだね~」

京介「まぁあいつにも都合はあるだろうから、そんな焦っても仕方ね(プルル)…って言ってる側から電話かよ!タイミング良いな~、あいつ」

京介「もしもし」

あやせ『あ、お兄さん、今朝メールみました』

あやせ『それでなんですが…お話したい事がありますので今からいつもの公園に来て頂けますか?』

京介「あぁ、そりゃ構わないが…」

あやせ「ありがとうございます、出来れば桐乃には内緒で」

京介「?」

実験
[ピーーー]
[たぬき]

実験
[ピーーー]
[たぬき]

実験
殺す
ドラえもん

あやせ「お待ちしてました」

京介「よっ、悪いなわざわざ」

あやせ「いえ……」

あやせ「……」

京介「あやせ?」

あやせ「お兄さん、お話の前に良いですか?」

京介「何だよ」

あやせ「もしお話の内容次第で、お兄さんに危害が出る事になっても、…それでもこのお話を聞きたいですか?」

京介「!?」

京介「……それは桐乃に関係する事なんだよな?」

あやせ「………」コク

京介(桐乃や俺に関係してて、危害の出るような危ないもの、か…)

京介「まぁ、妹の名前出された時点で答えなんざ決まってんだけどよ」

あやせ「……やっぱりお兄さんは、お兄さんなんですね」

京介「聞かせてくれ、あやせ」

あやせ「はい、…実は…私も無関係では無いんです」

京介「えっ?…って、これお前宛のメールか?」

あやせ「……」コク





高坂 京介に近づくな




京介「……何だよ、これ」

あやせ「わかりません、サブアドレスを使ってるみたいで…誰から送られたのか」

あやせ「送られて来たのは、調度お兄さんと仲直りのお出かけした直後です」

京介「……」

あやせ「最初は誰かの悪戯かと思ったんです、特に相手にしないで…ちょっと前にお兄さんと電話でお話した事あったじゃないですか?」

京介「…あぁ、仕事の帰りからとかであの時は…そうだ、今度加奈子のマネージャーの代役頼めないかって話だったよな?」

あやせ「はい…実はその後…階段で誰かに押されたみたいで」

京介「!!?」

あやせ「幸いそんな高くなかったし怪我もなかったんですけど…」

京介(あやせ…奮えてんのか?)

京介「って!おい待てよ、そんな話ならこんな所で話してんのもし見られでもしたら」

あやせ「そんな事言ってられません!!お兄さんだって危ないかもしれないのに…桐乃まで」

京介「そういや桐乃にも関係って…まさか」

あやせ「…桐乃、その話したら警察に駆け込むよりあたしのお父さんに直接話つけてみるって…でも私の話だけじゃ証拠能力に欠けるから警察は動かないだろうって言われて…」

京介(あの時の話はあやせの事と俺の事だったのか…)

あやせ「……桐乃にも届いたんです、メール」

京介「何だと!?」

京介「桐乃にはなんて…」

あやせ「…私と同じです、『高坂京介に関わるな』…桐乃、凄く怒ってました」

京介「……」

あやせ「お兄さんに相談しようか迷ったんです、お兄さんにも危害を加えられるかも…でも桐乃が…桐乃が!」

京介「分かった、分かったから…」

京介(何だか、とんでもない事になってんな)

京介「あやせ、もう良いから…後は俺に任せとけって」

あやせ「……はい!」

京介「とりあえず、今日は送ってくから」

あやせ「で、でも帰り道まで付き合って貰ったらお兄さんと一緒の所見られるかも…」

京介「大丈夫だって、今も見られてんならその帰り道の方が危なくね?」

あやせ「こ、怖い事言わないで下さいっ!」

京介「や…お前から言ったんだよ…?」

あやせ「…うぅ…すみませんが、お願いします」

京介「おぉっ!」

京介(とりあえず、あやせ送ったら帰って桐乃に)

京介(でも簡単にゃ口わらねーだろうな、あいつは)

京介「今日はサンキューな」

あやせ「それはこちらの台詞ですよ、お兄さん」

京介「そっか?」

あやせ「はい」

京介「…あんま無理すんなよ、危なくなったら誰でも良いから助けを呼べよ?いつもみたいに通報も即しちまえ」

あやせ「そうですね、その点にはお兄さんに感謝です、通報はお手の物ですから」

京介「お前な…」

あやせ「うふふ、…お兄さんも気をつけて下さいね」

京介「おぅ」

京介「ただいまー」

桐乃「遅いっ!!!」

京介「げっ!」

桐乃「何よ、その『げっ!』って…人がどれだけ…チッ、まぁ良いわ」

京介「桐乃、ちょっと話が」

桐乃「うっさい、あたしには無いから…部屋行くけど絶対入ってこないでよね」

京介「おい、待てって…桐」

桐乃「うっさい!ついてくんな」ドカッ

京介「いでっ!!っっつー…」

桐乃「…ふんっ!」


京介「桐乃、おい開けろ桐乃」

桐乃「ウザい、くんな!」

京介「…事の次第、あやせに聞いた」

桐乃「!?」

京介「事が簡単な事じゃねーのは分かるし、俺の事気づかってくれたのも…多少分かる」

京介「けど、お前らだけで解決出来る事でもねーだろ、だから」

京介「イダッ」ガン

桐乃「…何人の周り嗅ぎ回ってんのよ…ウザッ」

京介「…仕方ねーだろ、お前に何かあったんじゃねーかって」

桐乃「…下手に関わると、京介も危ない目にあっちゃうかもしれないじゃん」

京介「お前だけが危ない目に合うよりずっとマシだよ」

桐乃「…キモ」

桐乃「それで?どうするつもりなの?」

京介「………」

桐乃「…まさか、あんた…」

京介「すまん、まだ考えてない」

桐乃「はぁっ!?…チッ、マジ使えねー」

京介「仕方ねーだろ!話はさっき聞いたばかりだしよ」

京介「えっと、話を整理するとあやせに脅迫めいたメールが届いた、んであやせに危害が加えられて…お前にも同じ様なメール…か」

京介「でもよ、脅迫に危害、これでも警察は動かねーもんなのか?」

桐乃「あたしが聞いた限りではね、脅迫ってのも…ただ京介に近づくなってだけじゃない?これに『近づくなら殺す』とか『お前がどうなっても知らないぞ』とか明らかに実害を被らせるニュアンスがあれば脅迫罪成立なんだって、だけど…」

京介「これだけじゃあ、な…んじゃ階段で押されたってのも?」

桐乃「うん、あやせに聞いたんなら知ってるかもだけど、あやせが押されたってのも階段の一番上、とかじゃなくて結構下の方からだったらしいのね?んでそれを見た第三者もいなけりゃあやせ自身、目立った外傷も無かったしこれだけじゃ証拠にもならないし…あやせの勘違いって事もありえるって」

京介「何だよ、そりゃ!!」

桐乃「お父さんも言ってた、こういうストーカー紛いの事件が一番立証が難しくって、警察が動けないんだって」

桐乃「あたしから言わせりゃ単なる怠慢だっつーの!自分達が面倒だからって法律盾にして…マジ最悪っ…!!」

京介「…桐乃」

桐乃「一応ね、お父さんが独断だけど調べてくれてるらしいんだけど…」

京介「目的っつーか、そいつ何がしたいんだよ…俺をぼっちにでもしたいのか?」

桐乃「………」

桐乃「あんた自身、どーなの?何か変わった事無かった訳?」

京介「いや、別に…?」

桐乃「……」

京介「桐乃?」

桐乃「ねぇ…明日の放課後、あたしに付き合ってくんない?」

~日が変わって放課後

京介「おい、何考えてんだ?こんな所見られたら」

桐乃「ふん!見せつける為にやってんだから良いの!」ギュッ

京介「あのなぁ…」

桐乃「それともあんた、昨日の話忘れた訳じゃないわよね?」

京介「………」

~前日の夜


京介「はぁ?お前何考えてんだよ、んな事してもしお前まで」

桐乃「そのつもりで出かけるんだっつーの」

京介「はぁ!?」

桐乃「あたしが囮になって犯人に襲わせる、犯人捕まるのを恐れてか事件にしたくないのか…多分そこまで酷い事をしてこないはず」

桐乃「でも、あたしが必要以上の怪我でもすれば、擦り傷でも打ち身でもなんだって良いのよ。あんた、すぐに救急車にTELね」

桐乃「そこまで話が膨らめば、警察だって動かない訳にはいかないっしょ」

京介「って、駄目に決まってんだろ!?もし、洒落にならない事になったらどうすんだよ!」

桐乃「大丈夫だって、あたしを信じなさいよ」

京介「駄目だって、大体な」

桐乃「あー!も~ウザッ!あたしだってね、頭にきてんだから!!」

京介「き、桐乃…さん?」

桐乃「あやせに手を出されたり、人の家庭に口出ししてきたり…ふざけんなふざけんな!!」

桐乃「ここらで、白黒はっきりつけたいの」

京介「……」

桐乃「あんたの身は、多分大丈夫。今まで何の手も出されてないのにここで出される事はないっしょ?だから、協力して」

京介「…俺より、お前の身はどうなんだよ…」

桐乃「うっさい、これ以上グダグダ言うなら…あやせ共々あんたにてごめにされたってお父さんに言ってまずあんたを警察に」

京介「喜んで協力させて頂きまっす!!」



京介「はぁ…」

桐乃「~♪」

桐乃「~ふふふーん♪♪」ギュッ

京介「…やけに嬉しそうじゃね?」

桐乃「は、はぁ!?演技に決まってんでしょっ!」ゴニュゴニョ

桐乃「これだからシスコンは」

京介「へーへー…」

桐乃「…ねぇ」

京介「何だよ」

桐乃「クレープ食べたいからあそこの店で買ってきて」

京介「…はいよ」

桐乃「あそこの噴水の前で待ってるから、早くね」

京介「一人で大丈夫なのかよ」

桐乃「…元々そういう作戦だったでしょ?何もなけりゃよし、何かあるならいっそここで取り押さえて」

京介「……すぐ戻るからな」

桐乃「ん」


京介「買ってきた…桐乃?…桐乃、桐乃!!」

京介「おい…どこ行ったんだよ…桐」

桐乃「ここよ」

京介「桐乃!」

桐乃「そんな取り乱すなってーの、大袈裟なんだから」

京介「バカッ!何が大袈裟だよ、心配するに決まってんだろ?」

桐乃「…」

京介「どこ行ってたんだよ…本当に」

桐乃「えっ?いや、あー…ちょっと」

京介「?」

桐乃「あ、あんたねっ!お、女の子に何言わせようとしてんのよ!!」ゲシッ

京介「んなっ!、怒る事聞いてねーだろうが」

桐乃「うっさい!察しろ!!」



京介「ったく、ほらよ」

桐乃「…ん、あれ?京介のは?」

京介「俺はいらねーよ、あんま腹も減ってないし」

桐乃「ふーん…一口ぐらいなら、食べる?」

京介「くれんのか?」

桐乃「…ん?」

京介「…」

桐乃「な、何よ、早く食べろ!」

京介「なぁ、どうせ演技なんなら、『はい、お兄ちゃんあ~ん♪』とかやっても」

桐乃「………」

京介「うわっ!ゴメン!冗談だから」

桐乃「…あーん」

京介「え?」

桐乃「あーん!!」

京介「な、何でキレながら言ってんだよ」

桐乃「あんたが早く食べないからでしょ!」

京介「…」パクッ

桐乃「…美味しい?」

京介「あ、あぁ…」

桐乃「…たまには、こんなのも良いかもね…勿論演技だけど」

京介「…」

桐乃「……あ、あたしちょっと…クレープ持って待ってて!」

京介「あ、あぁ…」

桐乃「すぐ戻るから、そこ動かない様に!命令だから」

京介(やべー…俺今絶対顔真っ赤だ…)




京介「桐乃の奴、おせーな~…何やってんだ?」

京介「携帯にかけてみるか」

京介「…」プルルプルル

京介「出ねー…」

京介「…!?」

京介「まさか…!!?」



キャーッッッ!!!!
おい!誰か救急車っ!! 早く!


京介「え…」

京介(違う……違う違う…桐乃は関係ない、桐乃じゃない桐乃じゃない桐乃じゃない桐乃じゃない桐乃じゃない桐乃じゃない桐乃じゃない桐乃じゃない桐乃じゃない桐乃じゃない桐乃じゃない桐乃じゃない桐乃じゃない桐乃じゃない桐乃じゃない桐乃じゃない桐乃じゃない桐乃じゃない桐乃じゃない桐乃じゃない桐乃じゃない桐)






桐乃「」

京介「桐…乃?」

通行人「うわっ…ひでー…」

通行人「誰か救急車呼んだのかよ」

通行人「ねぇ…これ、救急車来ても助からないんじゃ…」

通行人「エグ…だれがこんな事…」



京介「桐、乃………」

ちょい一休み、昼ご飯食べたらまた書きます。
多分今日中には完結予定。

~事件から数日後



京介「…………」

大介「京介、入るぞ」

京介「親、父…」

大介「全く、仕方の無い奴だ…葬儀にも出ず部屋へ篭りっぱなしとは」

京介「親父…」

大介「何だ」

京介「目が赤いぜ…ひでー面してら」

大介「……」

京介「………」

大介「あらかじめ言っておくが、今回の事件、お前に責任は無い」
大介「犯人は未だ捕まらないが、恐らく脅迫メールの主と同一人物だろう」

大介「俺はこの先犯人を捕まえるまで追いつづける、それが桐乃の、俺の自慢の娘が望んでいる事だろうからな」

大介「お前も、お前の望まれた事をやってみろ」

京介「……何だよ、それは」

大介「まずは、母さんに顔を見せてみろ。そうすれば少しは分かるかもしれん」

京介「………」

佳乃「京介…あんた、」

京介「……」

佳乃「あんた、…もう大丈夫なの?」

京介「…!」

京介「…うっ、…くぅ…ぅぅっ」

佳乃「京介…、あんたが泣いた所見るなんて、何年ぶりかしらね…」

京介「…ぅ、…悪ぃ…お袋」

佳乃「…気にしないの、それより…お腹すいてんじゃないの?あれからろくに食事とりもしないで」

京介「少し」

佳乃「少し待ってなさい、軽いものならすぐ作ったげるから」

京介「……サンキュー、お袋」

京介(桐乃、お前はこれから…これからの俺に何を望んでるんだろうな…)



京介「あぁ…悪かったな、葬儀の時はろくに顔も見せないで…あぁ、うん」

京介「また近い内に顔出すよ、またな、麻奈美」ピッ

京介(一応黒猫や沙織、麻奈美には連絡つけといたが…あやせ)

京介(こいつに連絡するのが一番怖いな…こいつは、俺をどう思ってるんだろうか)

京介「……」

京介「…!」プルル

京介「あやせ、か?」

あやせ「お兄さん、ですか?」

京介「……あぁ、久しぶり」

あやせ「………」

京介「…」

あやせ「あ、あの……あの…っ!」

あやせ「………」

あやせ「ごめんなさい、何から話して良いのか……」

京介「…気にすんな、俺も同じだから」

あやせ「……ごめんなさい」

京介「あやせ?」

あやせ「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……ぅ、ぅぇっ、うぅ…」

京介「お、お前は何も謝る事はしてないだろ」

あやせ「だって…だってあの日…私桐乃に…桐乃から聞いてました…!お兄さんと桐乃が…」

あやせ「私は止めた、危ないから辞めてって…でも桐乃、『京介にも同じ様な事言われたけど、絶対に止めない』って…凄く真剣で…怒ってて…」

あやせ「こんな事なら、もっと強く止めておけばっ!!」

京介「あやせ!それは違う!あやせは何も悪くないから!」

京介「…俺も、俺も桐乃を止められた、守れたはずなんだ…それが、こんな…」

あやせ「……お兄、さん…」

あやせ「……あの、お兄さん」

あやせ「今から、いつもの公園に来てもらっても良いですか?」

京介「!!…危なくないか?」

あやせ「大丈夫です、あそこ…すぐ裏が交番じゃないですか?…今は状況が状況ですし、犯人もおいそれと出てはこないはずです」

あやせ「……駄目、ですか?」

京介(…あやせ、不安なのかもな…)

京介「…分かった、直ぐに出て待ってるから、気をつけて来いよ」

あやせ「…!は、はい!」

あやせ「それじゃ、また後で」プチッ

京介「……一応武装に家にあったバット持ってきちまった…」

京介「パッと見、俺の方が不審者に見えるんじゃね?」

京介「……おせーな、あやせの奴」

京介「…!!」

京介(まさか…おい嘘だろ?また前みたいに…あやせ!)

京介「…!」プルル

京介「あやせか!?」

???「………」

京介「なぁ?あやせだよな?あやせなんだろ!?」

???「………」

京介「お願いだから………あやせって言ってくれよ……頼むから……」













???「お願いだから………あやせって言ってくれよ……頼むから……」



京介(え……受話器から…俺の、声?電話、近く、に)バチッ!!!

京介(え…力、はいんねー………スタン、ガン……?)

京介(誰…………………………………………………………………)








???「………」




京介「……」

あやせ「……ぅぅ、ん」

京介「……うーん…」

京介「え…ここ、あやせ…あやせか!?おい!!あやせっ!」

あやせ「ううーん……ん?、お兄、さん?」

京介「そうだよ…っ!無事だったのか!?」

あやせ「私、なんで…と、言うか…今無事なんですか?」

京介「…そういや、無事、じゃねーよな」

あやせ「お兄さん、動けますか?」

京介「……一応、手錠されちまってっけど、どうにか…あやせは?」

あやせ「私もです…それより、ここは」

京介「…さらわれ、たんだろうな」

あやせ「…!!そうだ、私公園に行く途中に…スタンガンみたいなもので…それから…あれ、誰だったんだろう…」

京介「俺もおんなじだ、気絶させられたからか顔まで見れなかった」

あやせ「……私達、殺されなかったんですね…何で?」

京介「そりゃ、犯人に直に聞かなきゃわかんねーよ」

京介「とにかく、こっから出なきゃな」

あやせ「はい!当たり前です、…でも」

あやせ「まずこの部屋から出てもここがどこなのか、どうやったら帰れるのかわからないと」

京介「だよなぁ…とんでもない所に来させられてりゃマジにそれだけでアウトかもしれんが…やるだけやってみよーぜ」

あやせ 「お兄さん…はい!!」

京介「部屋の出口らしい扉は………」

あやせ「お兄さん、どうしたんですか?」

京介「見ろよ、あやせ…扉、別に鍵がかかってるとか無かったぜ」

あやせ「えっ?でも…どうして…?」

京介「何考えてんだろうな…」

京介「手錠のせいで不自由でも十分歩き回れる…これを逃す手はないぜ」

あやせ「はいっ!」

京介「じゃあ、いくぞ」

京介「どっかの別荘みたいだな…」

あやせ「気をつけて下さいよ、お兄さん…もし犯人が見てたら」

京介「今度こそ殺されるかもな…」

あやせ「そうしたら真っ先に桐乃の下へ行きますよ、私」

京介「…ちょっとは調子出てきたじゃねーか」

あやせ「は、はい!」

京介「だな。こうなりゃ犯人が出てきたら桐乃の弔い合戦だ!桐乃の変わりに犯人をボコボコにしてやらー」

京介(………、こうやってでもテンション保たないと、正直心が折れそうだ…)

京介(あやせも…同じなんだろうな)

京介(……くそっ!!)

京介「さっきの部屋所か玄関まで」

あやせ「鍵、かかってませんでしたね」

京介「……」

あやせ「でも…ここ、どこですか?」

京介「どー考えても…すんなり帰れそうにねーな」

あやせ「はい…」

京介(…何だよこれは!見渡せば背に崖と海、前は森、森!森!!)

京介(これがあったから鍵もいらねーってか!!ふざけやがって!)

あやせ「お、お兄さん…」

京介「戻ろう、あやせ…これじゃ帰るに帰れねー」

京介「………」

あやせ「………」

あやせ「お兄さん、携帯は…ありませんよね…」

京介「あぁ…そりゃいくら何でも、通信機器残す程甘かねーわな」

あやせ「…はぁ」

京介「…ここ、ライフラインは生きてんのか?」

あやせ「さぁ…?」

京介「……!テレビ!電気が通ってんなら…」

テレビ「」

京介「…駄目かぁ」

あやせ「ガスや水道も駄目にみたいです、お兄さん」

京介「やっぱ駄目かぁ…」

京介「なぁ、いっそ一か八かにかけるか?」

あやせ「え?」

京介「明日の日の出と一緒に、ここをでてひたすら森を突っ切る」

あやせ「で、でも…歩いて助かる様な場所があるなら、こんな自由な状態にしないんじゃないですか?」

京介「だから一か八かなんだろ?どうせこのままだと俺達、確実に死ぬぞ」

あやせ「………そう、ですね」

京介「よし、今日はたっぷり寝ておいて、明日ここを発とう」

あやせ「………」




京介「一応、この建物の中を隈なく見てみたけど、誰もいないし」

あやせ「こんな真夜中にいくらなんでもこないです、よね?」

京介「そうである事を祈ろうぜ…寝るか」

あやせ「じゃあ、部屋は最初にいた部屋で…あそこベッドもあったみたいだし」

京介「俺は」

あやせ「勿論お兄さんも一緒ですよ?」

京介「」

あやせ「当たり前じゃないですか」

京介「え…でもいくらなんでも」

あやせは「こんな非常時になんでも、無いです。いくらお兄さんが変態でも…こんな非常時に何もしないでしょ?」

京介「………」

あやせ「…!?、ま、まさか…こんな非常時まで、い、嫌らしい事考えて…」

京介「待て!!絶対無い、それだけは無いから!!」

あやせ「…本当ですか?お兄さんは救い様の無いド変態のセクハラ……野郎……ですから」

京介「あやせ?泣いてんのか…?」

あやせ「……こんなやり取り…凄く久しぶりですね」

京介「…だったかな」

あやせ「はい…このやり取りのせいでお兄さんを怒らせてしまて事があったけど…」

京介「うっ…」

あやせ「私にとっては、………」

あやせ「お兄さん、私、お兄さんの事が大嫌いだったって覚えてますか?」

京介「覚えてるよ…今は」

あやせ「今も大嫌いです」

京介「おいっ!」

あやせ「いつもセクハラはしてくるし、その癖いつも子供扱いされるし、私から桐乃は盗るし」

あやせ「変態だし、スケベだし……それなのに優しくて…いつも相談にのってくれて」

あやせ「私の事を守ってくれて、………だから」

あやせ「私、お兄さんの事大好きなんです」

あやせ「大嫌いですけどね」


あやせ「大嫌いだけど、大好きですよ」

京介(えっ…?今の台詞……)

あやせ「まぁ勿論いかがわしい事をしたらぶち殺しますが、我慢してもらって一緒に寝ますよ」

京介「………」

あやせ「…?お兄、さん?」

京介「あ!…あ、悪ぃ」

京介(……)

京介「そうだよな、少し離れた隙にあやせに何かあったら、もう俺駄目だわ」

あやせ「お兄さん…」

京介「桐乃の時も…」

あやせ「あれはお兄さんのせいじゃありません、クレープ買いに行った隙をつかれて襲われるなんて…誰も考えませんよ」

京介(!!?)

ぐわっ!ミスった!!
書いて修正途中なのに書き込んでもーた!!最悪………無理かもしれんが>>120は忘れて…修正版の流れはそう変わらないから…
えろうすんませんm(_ _)m

京介(えっ…?今の台詞……)

あやせ「まぁ勿論いかがわしい事をしたらぶち殺しますが、我慢してもらって一緒に寝ますよ」

京介「………」

あやせ「…?お兄、さん?」

京介「あ!…あ、悪ぃ」

京介(……)

京介「そうだよな、少し離れた隙にあやせに何かあったら、もう俺駄目だわ」

あやせ「お兄さん…」

京介「桐乃の時も…」

あやせ「あれはお兄さんのせいじゃありません、桐乃が命令だって言ったからついて行けなかったんですよね?だったら…」

京介(!!?)



あやせ「お休みなさい」

京介「あ、あぁ…お休み」

京介(………)

京介(……俺、あやせにあの時の事細部まで言ったっけか?)

京介(言って、ねーよな…)


あやせ『あれはお兄さんのせいじゃありません、桐乃が命令だって言ったからついて行けなかったんですよね?だったら…』



京介(……)

京介(……つーか、ダレカにあの話した覚えは俺には無い)

京介(もしかしてあやせ…あの場にいたのか?)

京介(でも……あの場にいたんなら桐乃が襲われた時、あやせもいた事になるし)

京介(そういえば、桐乃が危険承知で囮になってる時にこいつがいないのって…)

京介(そうだよ!考えてみりゃいるよりいない方が違和感あるって!)

京介(……でも、こいつは……聞いた話じゃ桐乃の死を知ったのも電話の連絡だったっとかで…)

京介(…もしかして、嘘ついてたのか?嘘をつく理由…一番しっくり来るのは)



京介(こいつが、桐乃を殺した犯人)

京介(何考えてんだよ!それじゃあこいつは親友を殺して、何食わぬ顔でその親友の兄を、こんな所に軟禁して一緒に暮らしてるって事になる)

京介(んなキチガイじみた事する理由なんて…)

京介(…今なら、ある…)

京介(でも…今それを言っても……)

京介(……今、このままの状況ってヤバいよな…)

京介(とりあえず、トイレにでもいく振りして…)

京介(……寝静まるまで、待とう)




京介(……)

京介「あやせ、起きてるか?」

あやせ「………」スゥスゥ

京介(寝てる、よな?)

京介(とりあえず、外に出て……)

京介(少し明かりが出て来たら…)

京介(森を抜けてみるか、もしかしたら歩いて助かる距離じゃないかもってのもこいつの狂言かもしれんし)

京介「うーん、……明かりが出るまでそんなに長くかからないかもな」

京介(若干明かりが漏れてる感じだし)

京介(しかし……あやせが本当に?)

京介(……案外、前に貰ったストラップに盗聴器でも仕掛けられてたりしてな…ははは)

京介(……桐乃をあいつが殺したなんて、考えたくないが、今あいつといるのはどうも危険な気がしてならねー)

京介(……かなり明かりが、これなら大丈夫じゃねーか?)

京介「森まで、行ってみるか?」














あやせ「そうですね、お兄さん」

京介「うわぁっ!!?」

あやせ「?」

京介「あ、ああああああやせ!?いつからいたんだ!」

あやせ「いつからって…最初からいましたよ?」

京介「え…」

あやせ「だって、お兄さんが起きてるか?って聞いたんじゃないですか。全くお兄さんたら…」

京介「………」

京介(だったら、何で返事を返さねーんだよ)

あやせ「まだ少し暗い感じがしますけど、調度二人して出てるんですからもう行きますか?」

京介(…怖い、昨日までのあやせの印象が、カケラもねー…ただ、怖い……)

あやせ「ねぇ?お兄さん」

京介(…下手な事は、言えない)

京介「…だな」

あやせ「…………」

京介「…………」

あやせ「…………」

京介「…………」

あやせ「お兄さん?」

京介「!?」ビクッ

あやせ「どうしたんですか?お兄さん……」

京介「別に、何でもないって……って、アレ?」

あやせ「あ…森、もう終わりそうですね」

京介「最初は真っすぐと思って横道にも入らないでいたら…」

京介(…やっぱりあやせの狂言だったのか?)

あやせ「…!お兄さん!ここ、海ですよ!?」

京介「はぁ!?」

京介「海、だな…」

あやせ「見て下さい、停船場もあります…」

京介「まさか…ここ島だとか言うんじゃねーだろうな」

あやせ「そ、そんな…」

あやせ「…何なんですか、一体…もう、帰りたい」

京介「あやせ…」

京介(演技、にゃ見えない……でも、あやせが信用できねー…)

京介(どうなっちまってんだよ!何もかも!)

京介(脅迫めいた事されたかと思えば!桐乃が死んで、拉致られて…わけのわからん無人島みたいな場所で……)

あやせ「……お兄さん、帰りましょう…ここにいても、もう」

京介「…あぁ」


あやせ「……ふぅ」

京介「…?もしかしてあやせ、お前殆ど寝れて無いんじゃないか?」

あやせ「へ?ぇ、あ…そんな事は」

京介「隠すなよ、実は俺もなんだ…もう一歩もあるけそ~にねーし、居間のソファーで良いから少し寝ておこうぜ」

あやせ「…そう、ですね」

京介「お休み、あやせ」

あやせ「お休みなさい」


京介「……」

京介(…この建物調べりゃ何か分かるかもな、あやせへの疑いもはっきりさせたい!)

京介(……)

京介「本当に寝ちまってたみたいだな、今度は」

京介「誰もついて来てないみたいだし…調べてみるか」

京介「……」

京介「この部屋は…確か子供部屋」

京介「子供がいたんだろうけど…ここいつから使ってないんだよ…最初見回った時も思ったけど、明らかに廃墟だよってぐらい汚れ…」

京介「あれ?そういや最初にいた部屋や居間は割と片付いてたよな?」

京介「他の部屋は……やっぱり、きたねー…」

京介「……最初の部屋!最初の部屋をもっと隈なく探してみよう!」

京介「あんだけ汚れてりゃ、何かしら手をつけりゃ後が残るはず、それもないなら…整頓された部屋は?」

京介「………!?」

京介「これ、あやせの携帯じゃねーか!!」

京介「こんな所に…電源は…まだ生きてる」

京介「アンテナも立ってるし、これなら!」








京介「……」

あやせ「………」

京介「あ、あや…せ」

あやせ「………」

あやせ「お兄~さん、駄目ですよおイタは」バチッ


京介「……ぅ」

あやせ「あ、気がつきましたか?お兄さん」

京介「……今度は、手錠だけじゃねーんだな」

あやせ「はい、こうしないと、お兄さん暴れちゃうと思ったから」

京介「あぁ!!今にもお前をぶん殴りたくって仕方ねーよっ!全部、お前がやった事だったんだな、あやせ!?」

あやせ「はい、そうですよ」

京介(何で…そんな日常みたいな返事で返せるんだよっ!)

あやせ「あぁ、安心して下さい」

あやせ「後、何日もしない内に…お父さんの部下の方が迎えに来てくれますから」

京介「!?」

京介「親父さん…この事知ってんのか!?娘が親友殺した事も…今の現状も」

あやせ「あ、いいえ。それは知りません…だって私、桐乃を殺してなんかいませんから」

京介「はぁっ!?」

あやせ「少し語弊がありしたね。確かに私はお兄さんを監禁しました、脅迫メールを送ったり、お兄さんの動向を監視したり」

あやせ「でも、桐乃を殺してなんかいないんです」

京介「ふざけんな!!じゃあ誰が桐乃を」

あやせ「本当に、通り魔的な、無差別殺人だったんですよ」

あやせ「現にもう捕まってますよ、桐乃を殺した犯人」スッ

京介「携帯…ニュースか」


女子中学生通り魔事件
〇月×日に、〇〇噴水近くで女子中学生が刺殺される事件が起こった。
この容疑者として▲日、都内に住む無職の〇〇容疑者(30)が、同都内にて本部捜査員に確保され………

あやせ「……信じて頂けましたか?」

京介「……」

あやせ「因みにお兄さんのご家族には事態が落ち着くまで安全な場所で保護している、と伝えてます。」

あやせ「ライフラインも実は故意に止めていただけで…今は普通に使えますから安心して迎えを待ってて下さいね?」

あやせ「お兄さんを保護しているって辺りですね、だから」

京介「……お前、本当にふざけんなよ」

あやせ「お兄さん…?」

京介「脅迫や監視?それが原因で俺や桐乃、親父やお袋がどれだけ………それに何なんだよこれは、桐乃を殺したのがお前じゃねーなら、こんな事やる意味」

あやせ「ありますよ」

あやせ「ほら、危機的状況は恋を芽生えさせるって言うじゃないですか」

あやせ「調度こんな状況だし、お兄さんには私と危機的状況の共有による恋仲進展でベタ惚れになって貰ってからネタばらし、って思ったんです」

京介「………」

あやせ「でも、迎えより先にお兄さんにはばれちゃうし、仕方なくお兄さんは拘束させて頂きました」

京介「………お前、最低だわ…このキチガイ」

あやせ「………」

京介「やっぱりお前とは付き合いきれねー…迎えが来るなら調度良い、家に帰ったら今度こそ縁を切らせて」

あやせ「ふふ……あは」

あやせ「やっぱり、お兄さんは私が大嫌いなんですね」

あやせ「あの時と同じ様に…いやあの時から」

京介「?」

あやせ「お兄さんに嫌われてから…私気づいちゃったんです」

あやせ「私はお兄さんの事が大嫌い、でも同時にお兄さんの事が大好きだって」

あやせ「お兄さんに嫌われて気づいた時は悲しくて悲しくて……でも、思ったんです」

あやせ「私はお兄さんの事が大嫌いで大好き、ならお兄さんも…私の事を大嫌いで大好きなんだって」

京介「…何の理屈だよ」

京介(こいつ…本当に頭が…)

あやせ「だから私、お兄さんが私を大好きだって自覚してもらいたくて色々やったんですよ?」

あやせ「桐乃の事に関しては…………」

京介「?…」

あやせ「でも、全部バレちゃいましたね」

京介(話してる内容はキチガイそのものなのに……何でそんないつもと変わらない笑顔を向けられるんだ?)

京介「あやせ…残念だよ」

あやせ「残念がる必要なんかありませんよ」

あやせ「だって、帰ってからもお兄さんには、私が大好きだって自覚して貰う様にするつもりですから」

京介「……そのつもりは無い、お前とは、もう関わるつもりは無い」

あやせ「いいえ、お兄さんは私とずっと一緒にいなきゃいけないんです」

あやせ「誰が邪魔しようと、それは絶対なんですよ」

京介「俺が望まなくても、か?」

あやせ「お兄さんは望んでくれます、今は望まなくても、お兄さんは私の事を、大嫌いで大好きなんですから」

あやせ「私も、お兄さんの事が大嫌いで、大好きなんですから」


事の顛末を少し話したいと思う。
それから俺は、争う気も暴れる気も無くし、あやせもそれを感じとったのか拘束を解かれ、数日間をあやせとの奇妙た共同生活で過ごす事となった。
ただし、その際あやせとは一切口を聞く事はなかった。
最初から何日か過ごすつもりで、食料等は持参していた様で、生活には何の不都合もなかった。
新垣議院が当初、避暑地にと保有していた元別荘は隠れ稔には持ってこいだったようで、
世間的には俺は「殺人犯から身を匿われていた一般市民」と位置づけられた。
内容はかなり違うのだが
今回のケースは、娘の暴走とはいえ新垣議院のスキャンダルにも関わる事象な為、これに訴えを出すには相手はかなり大きく、スキャンダル隠蔽の為何をしてくるかわからない事を懸念した俺(や周りの意見)もあってあやせの行った事が明るみに出る事は無かった。
しかし、これを機会に俺や俺の周りの人間はあやせとの関わりを極力絶っている。
当のあやせが諦める事は無いのだが…

余談ではあるが、いつの間にか仕掛けられていた監視カメラを部屋で数点、やはりストラップに仕込まれていた盗聴器を後に回収した際は溜息とともに力が抜けたものだ。
それから俺は事件のショックからも回復し、一年遅れで麻奈美の通う大学への合格を果たした。
それを気に大学近くのマンション(セキュリティがそれなりに高い所)への転居も果たした。

…………しかし



京介「………」

???「お……さん」

???「…兄さ…」

京介「…うぅ…うわっ!!」

京介「……夢、だよな?」

京介(未だにあいつが夢に出てくるんだよな…今も、どっかで見られてる気が)

京介「一人暮らし、早まったかな?」

京介(……あれから大分たってるのに、まだあの悪夢から逃げられねー…あの時聞いた言葉もまだ、耳の奥に残ってる)

あやせ「桐乃の事に関しては…………」

あやせ「桐乃の事に関しては、手間が省けました。一番邪魔だったあの娘があんな形で亡くなってくれて…」





あやせ「お兄さんは大嫌いですけど、大好きなんです。
だからお兄さんも、私が大嫌いですけど大好きなんです」


end

~epilogue~

麻奈美「京ちゃ~ん」

京介「おぉ、麻奈美…先輩」

麻奈美「言いなれないなら別に麻奈美で良いんじゃないかな?」

京介「そうだよな、何かお前が先輩って新鮮だからさ」

麻奈美「えへへ」

麻奈美「あぁ、それより桐乃ちゃんの一周忌が近いよね?」

京介「あぁ、麻奈美も来てくれんのか?」

麻奈美「うん、黒猫さんや赤城君も来てくれるって」

京介「黒猫や赤城は聞いた、赤城の奴は妹も連れてくるらしい…瀬奈の奴、桐乃とは少しの面識しか無かったのにな」

麻奈美「嬉しいね~、お兄ちゃん」

京介「うっせ!」

麻奈美「今日はどうする?ご飯作りに行こうか?」

京介「んー、良いや。最近自分でも何とか自炊できてっし、バイトが遅番であるしな」

麻奈美「そっかぁ、じゃあ頑張ってね。京ちゃん」

京介「おぅ」

………

京介「ん?…気のせい、だよな?」


京介「あれ?引っ越し業者」

京介「誰か引っ越してきたのか」

管理人「あぁ、高坂君」

京介「ちわっす、管理人さん。誰か越してきたんですか?」

管理人「おぅおぅ、調度君の隣の部屋、空いてただろ?あそこにねぇ」

京介「へぇ…それなら挨拶来られるかもしれないんですね」

………さん

京介(……!)ビクッ

京介(……何か、気分が…)

管理人「しっかし偉いもんだねぇ、女子高生らしいんだが自立心を育てる為に親元を離れての一人暮らしだと」

京介「…えっ?」

……兄……

京介「それって…どんな」

管理人「あぁ、業者の人が呼んでるわ、じゃあ高坂君。お隣りが来られたらよろしくね」

京介「………まさかな」




















     お兄さん




end

今日でこのSSは終わります。
しかし何と言うか………自分で書いてて(苦笑)だわこりゃ
因みに続かないんで悪しからず。

でわ、お付き合い頂きありがとうございました。
機会があればまた。

面白かったが誤字脱字が結構あったな

隠れ稔というのは本当になんなんだ?

>>151
隠れ蓑の間違いっす。

しかし、やっぱり誤字脱字見逃して貰えんかww
自分でも気づいてない誤字脱字がいくつあるやら…

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