勇者「幼女と姉さんとスライムたちで旅に出ることになった」(220)

「……おかーさん」

「? なあに?」

「……ねられないの……」

「……あらあら」

「なにか、おはなしして?」

「お話?」

「うん」

「…………そうね」

「……」

「…………昔、あるところに――」

【 あるところに――勇者さまが居ました 】

王様「おお。来てくれたか」

勇者「はい。……突然呼び出すなんて、どうしたのですか?」

王様「うむ。まあ掛けなさい」

勇者「……失礼します」

王様「……」

勇者「……?」

王様「いきなりで申し訳ないが、本題から話させてもらうぞ」

勇者「? はい……」

王様「……勇者よ」

王様「……魔王を倒してこい」

勇者「…………ま、魔王を……ですか? 僕が?」

王様「うむ」

勇者「し、しかし……。魔王軍は数年前から衰退の一途を辿っているのでは?」

王様「……それがだな。ここ最近になって、急に勢力を伸ばしてきたのだ」

勇者「はあ……。何故なのかは分かっているのですか?」

王様「いや。要因はまだ分かっていない」

勇者「なるほど……」

王様「それだけなら、まだ警戒だけで済むのだが……」

勇者「……」

王様「我々の所領と魔王軍の領土との間に結界があるのは知っているだろう?」

勇者「はい。あの強力な結界のことですよね?」

王様「ああ」

王様「だが……。……その結界の力が弱くなってきているのだ」

勇者「…………えっ」

王様「それに加えて」

勇者「?」

王様「我が国の特長はなんと言っても、緑豊かなことだ」

勇者「はい」

王様「……しかし、魔王軍の力の伸びと反比例して、我が国の緑が減少しているのを確認した」

勇者「……そ、それは本当ですか!?」

王様「ああ。調査班を数回に渡って送ったが、みな同じことを言っていた」

王様「『緑が少なくなっている』と」

勇者「…………」

【 勇者さまは王様に呼ばれ、『魔王を倒せ』と命じられました 】

王様「我が国から勇者への支援の程は尽くすつもりだ」

勇者「……は、はあ……」

王様「……急な話で申し訳無いとは思っている。どうか引き受けてくれないだろうか?」

勇者「……えーと……。行くのは私だけでしょうか?」

王様「ああいや。勇者の他にも人員を1名呼んである」

勇者「?」

王様「……出てこい」

勇者「…………」

王様「…………」

勇者「…………」

王様「…………」

勇者「……あ、あの……? どこに……?」

王様「……はぁ……。隠れてないで出てくるんだ」

幼女「……は、はい……っ」

勇者「……!?」

書き溜めちょっとしか無いけど今日から書きたいと思います

ひとまずまた明日

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勇者「……す、すみません。私の目に狂いが無ければなんですが……。あれは……ごく普通の女の子では……?」

王様「勇者よ、安心しろ。彼女は十二分に戦える能力が備わっている」

勇者「し、しかし! あんな女の子を魔王軍に向かわせるなんて、いくらなんでも……」

王様「……その為の勇者だ」

勇者「……」

王様「それに、『可愛い子には旅をさせよ』と言うだろ?」

勇者「そ、それは物の例えで……!」

幼女「……」

王様「勇者よ。話を変えるが、大魔法使いさまの話を知っているか?」

勇者「……は、はい。かつて、この世界を治めたという、あの大魔法使いさまですよね?」

王様「そうだ」

勇者「……それがあの女の子とどのような関係が……?」

王様「……」

勇者「……?」

王様「……驚くなよ」

勇者「……は、はい……?」

王様「……あの女の子は、大魔法使いさまの末裔らしい」

勇者「…………え?」

勇者「い、いやいや。いくらなんでもそれは信じがたいものがありますよ、王様」

王様「……まあそうだろうな。私も最初は耳を疑ったくらいだ」

勇者「…………仮に大魔法使いさまの末裔だとして、ですよ?」

王様「うむ?」

勇者「あんなちっちゃい女の子が魔法を使えるんですか?」

王様「……それが、まだ練習中らしい」

勇者「……えー……」

王様「……しかし、彼女の中に大魔法使いさまの血が流れているのは確かなのだ」

勇者「は、はぁ……」

幼女「……」

王様「少々臆病なところもあるが……。どうだ。彼女と一緒に行ってはくれないか」

勇者「………………」

王様「頼む」

勇者「! …………わ、分かりました! 一緒に行きますから、どうか頭をお上げください!」

王様「おお、本当か!」

勇者「……はい。頭まで下げられたら断る術はありません……」

王様「すまないな。勇者よ」

勇者「……い、いえ」

勇者(……なんか、上手く嵌められたような気がするけど……。この際どうでもいいや)

勇者「でも……。……僕が彼女を守りきれる自信は……、無いです……」

王様「そうか? 勇者は常日頃から身体鍛練を欠かさないと聞くが」

勇者「自分の中では一所懸命にやっているつもりですが、実戦は未だ熟れていません……」

王様「構わん。私は勇者を信じている」

勇者(……ええー……)

王様「……彼女と打ち解けるには少しばかりの時間がかかると思うが、宜しく頼んだぞ」

勇者「…………はい……。分かりました」

【 勇者さまは、大魔法使いさまの末裔である女の子と旅に出ることになりました 】

   (『出発は準備を整え次第で構わない』)

勇者「……はぁ……」

幼女「……」

   (『色々大変だとは思うが、どうか宜しく頼んだぞ』)

勇者「…………」

幼女「……あ、あの……」

勇者「? なに?」

幼女「! な、なんでもないです……。……ごめんなさい」

勇者「……」

   (『健闘を祈る』)

――勇者宅

勇者「…………」

勇者(出来るだけ家族には知られたくないなぁ)

勇者(……外であの子も待ってるし、急いで仕度しよう)

勇者(薬草……は必要だな)

勇者(剣と盾もいるだろ)

勇者(……あとは……食糧。お金……)

勇者(寝袋も一応持ってこう)

勇者「……」

勇者「……よしっ」

姉「……?」

勇者(……よし。誰も居ないな)

勇者「……」

勇者(では。暫しの別れです)

勇者(父さん。母さん……)

勇者(……僕の尊敬する、姉さん)

勇者(……必ず帰ってきます)

勇者(それまでは暫くお待ちください)

勇者「…………」

勇者(さようなら)

姉「……なにしてるんだ?」

勇者「っうわあああああ!?」

また明日

10レス程投下

【 しかし、旅の支度をしているところを、勇者さまの姉が偶然見つけてしまいました 】

勇者「な、なんだ。姉さんか。びっくりした……」

姉「帰ってきたと思ったらまた出掛けるのか?」

勇者「う、うん。ちょっとね」

姉「…………それにしては荷物が多いような……」

勇者「き、気のせいだよ。あは、あはは……」

姉「……」

姉「お前は昔っから隠し事をするのが下手だったよな」

勇者(…………見透かされてる……!)

勇者「……と、とりあえず、事情は外で話すよ」

姉「? 何故だ?」

勇者「外で、ある人を待たせてるんだ」

姉「ほう」

勇者「……だから、いいかな」

姉「うむ。別に構わないが……」

【 勇者さまは説明しました 】

【 境界の結界の力が弱くなっていること 】

【 我が国の緑が減っていること 】

【 こちらをチラチラ見ている女の子が大魔法使いさまの末裔だということ 】

【 勇者さまの姉は、すっかり聞き入りました 】

姉「なるほど……」

勇者「……姉さん。みんなには秘密にしておいてくれる?」

姉「…………いや、その必要はない」

勇者「……え? どういうこと?」

姉「……私も行くことにした」

勇者「……えええ!?」

姉「シッ……。静かにしろ。知られたくないんだろ?」

勇者「っ」

姉「女とはいえ、私も日々鍛練を積んでいるのは知っているだろう。弟よ」

勇者「し、知ってるけど……」

姉「私も力になりたいのだ」

勇者「…………う……」

姉「……頼む……」

勇者「……や、やめてよ。分かったよ」

姉「……」

勇者「姉さんも一緒に行こう」

姉「いいのか」

勇者「う、うん……」

姉「……ありがとう。宜しく頼むぞ、弟」

姉「……いや、『勇者さま』」

勇者「……そんなに畏まらなくても……」

勇者(……はぁ。押しに弱いな、僕……)

幼女「……?」

【 力になりたいと感じた勇者さまの姉は、一緒に魔王軍へと向かうことになりました 】

姉「では、急いで仕度をしてくる」

勇者「うん。僕はここで待ってるよ」

姉「ああ」

勇者「……もしものときに備えて、回復薬は多めに持ってきてくれるといいな」

姉「そのつもりだ」

勇者「……」

幼女「……」

勇者「……」

幼女「……」

勇者(気まずい……)

勇者(……そ、そういえば、自己紹介してなかったな)

勇者「えっと……」

幼女「!」

勇者「……僕、勇者っていいます。よろしくね」

幼女「よ、よろしく、おねがいします」

勇者「……良かったら君の名前も教えてくれないかな?」

幼女「え、と」

勇者「あ。嫌だったら言わなくてもいいからね」

幼女「…………よ、幼女っていいます……」

勇者「幼女ちゃん……ね。改めてよろしく」

幼女「……は、はい。よろしくおねがいしますっ」

また明日

10レス程投下

勇者「……」

幼女「……」

勇者「……姉さん、遅いね」

幼女「う、うん……」

勇者「……」

幼女「……」

勇者(……距離を置かれている……)

幼女「……」

勇者「ね、ねえ。幼女ちゃん」

幼女「な、なんですか?」

勇者「……あの、僕たち、これから一緒に旅をすることになったわけだけど」

勇者「順調に旅を進めるには、……その、みんなが仲良くないと駄目だと思うんだ」

幼女「……なかよく……?」

勇者「うん」

勇者「だからさ」

幼女「?」

勇者「今すぐじゃなくてもいいから、お互いの距離を少しずつ縮めてみようよ」

幼女「…………」

勇者「……なんて、ちょっと図々しかったかな。はは」

幼女「……」

幼女(…………このひとは……だいじょうぶ……?)

――

姉「遅れてすまない」

勇者「いや、大丈夫だよ」

幼女「……」

姉「……なあ、ところで」

勇者「?」

姉「あの女の子も同行するんだろう?」

幼女「……」

勇者「うん」

姉「…………人見知りなのか?」

勇者「……うん」

【 準備も整い、最後の確認をすることにしました 】

勇者「かなりの距離になるだろうから、ここで大体の道筋を決めていこうよ」

姉「うむ。そうしよう」

幼女「……」

勇者「……じゃあ……え、と。地図出すから待ってて」

勇者「えっと……」

勇者「今いるところがここ。……幼女ちゃん分かる?」

幼女「はい」

勇者「うん。それで……今日の宿はここにしよっか」

姉「そうだな。……歩ける距離と時間からして、賢明な判断だ」

勇者「……あ、ありがと」

勇者「起きたら、ひたすら東に向かう」

勇者「途中で街があれば休憩したり、物資の補給だね」

勇者「……進むにつれて敵が強くなったり、荒地が多くなったりするから……。回復薬は計画的に使おう」

姉「分かった」

勇者「だから……、道筋はこんなところかな」

姉「……どれどれ」

【 勇者さまたちは念入りに道筋の確認をしました 】

【 転ばぬ先の杖が大切なんですね 】

勇者「……じゃあ、出発しよっか!」

姉「よしっ」

幼女「……」

幼女「…………あ、あの……っ」

また明日


珍しいな貴方が勇者もの書くなんて

>>64
珍しいというか初めて
至らないところがあったら……ごめんなさい

遅くなった
10レス程

勇者「うん? どうしたの?」

姉「?」

幼女「……えっと……」

勇者「なにか忘れ物?」

幼女「…………」

幼女「……おしっこ……」

勇者「……おおう」

姉「……どこか、民家の手洗いを借りるしかないな」

勇者「……うん」

――

勇者「ありがとうございました」

「いえいえ。……勇者さま、頑張ってくださいね」

勇者「はい、ありがとうございます」

勇者「……ほら、幼女ちゃんも、お礼しないと」

幼女「……あ、ありがとうございますっ」

「いえいえ。お嬢ちゃんも頑張ってね」

幼女「はいっ」

勇者「……」

勇者(……姉さんだけ蚊帳の外か……)

【 ……気を取り直して。いよいよ勇者さま一行は出発しました 】

――草原

勇者「ここ。僕は何回か来てるんだよ」

姉「ほう。どうしてだ?」

勇者「たまに魔物の討伐を頼まれたりするんだ」

幼女「…………まもの……」

幼女「そういえば、でるんですよね」

勇者「うん?」

勇者「この辺りはそんなに強い魔物は出てこないし……。心配はしなくていいよ」

姉「……私もここは来たことがない。……少し心配だ」

勇者「大丈夫。出来るだけ僕が守るから」

幼女「……おー」

姉「……」

姉「…………頼もしい」

勇者「――ほら早速。そこにスライムが」

幼女「……おお」

「~♪」

勇者「幼女ちゃんはスライム見るの初めて?」

幼女「は、はい。ほんものをみるのははじめてですっ」

勇者「へえ」

【 少し歩くと、勇者さま一行の前に一匹のスライムが現れました 】

勇者「姉さんも初めて?」

姉「……ば、馬鹿にするな。スライムくらい……」

勇者「……」

姉「……」

勇者「…………へぇ……」

姉[「…………な、なんだ」

勇者「……僕の後ろに隠れながら言うことじゃないなぁと思って」

姉「う、うるさいっ」

姉「……しゅ、修行を積んでるとは言っても……。実際の魔物を相手にしたことはないのだ……」

勇者「……姉さん。顔真っ赤」

姉「~~!」

勇者「はは……」

幼女「……ゆうしゃさま」

勇者「? どうしたの?」

幼女「ちかづいたらきけん?」

勇者「……うーん。気性は荒くなさそうだから、大丈夫だと思うけど」

幼女「えっ……。ほ、ほんとですか!」

勇者「う、うん……。なんで?」

幼女「あ、あの……。えほんでみたときから、かわいいなっておもってて……」

勇者「あー……。確かに。ぷにぷにしてそうだよね」

幼女「……ちょっと、みにいってきます」

勇者「大丈夫?」

幼女「はいっ」

姉「……」

勇者「……」

姉「…………こ、怖くないのか……。あの子……」

勇者「……子どもは好奇心旺盛だからね……」

――

幼女「す、スライムさん……っ」

「!」

幼女「……こ、こんにちは」

「……?」

幼女「わたし、ようじょっていいます」

「…………」

幼女「……えっと……。ちょっとだけ、さわってみてもいいですか?」

「……あー。駄目。あんまり触られるの慣れてねえから」

幼女「!?」

寝るんです

かきます

【 そのスライムは、なぜか話すことができました 】

幼女「……しゃ、しゃべった!?」

「そりゃあスライムでも喋るさ」

幼女「し、しかも……、すらすらと……」

「まあな」

幼女「す、すごい」

「ん?」

幼女「ゆうしゃさま、おどろくかも!」

「!!」

「ま、待て! ……勇者……って……」

幼女「うん?」

幼女「ゆうしゃさまはゆうしゃさまだよ。…………ほら、あのひと」

「……あー。……俺はここで失礼するわ」

幼女「……なんで?」

「だって……あいつ、強いだろ?

幼女「わかんない」

「なんでだよ。一緒に旅してるんじゃないのか」

幼女「まだはじめたばっかりだもん」

>>88
×「だって……あいつ、強いだろ?
○「だって……あいつ、強いだろ?」

誤植誤変換等あれば言ってくださいな

「……でも、俺、あいつ見たことあるぞ」

幼女「……たまにここにきてるっていってた」

「チッ……。だからか。ヤバイな。俺も倒されちまう」

幼女「そんなことないよ?」

「あ?」

幼女「あのひとは、たぶんだいじょうぶ」

「なんでだよ」

――

姉「おい……。いっぱい話しかけてるぞ」

勇者「積極的だなぁ」

姉「そ、そういう問題か!?」

勇者「危害も加えられてないし、大丈夫じゃない? 危なくなったら僕が行くし」

姉「う、ううむ……」

――

幼女「ね? いっしょにいこ?」

「いや……、でもだな……」

幼女「だいじょうぶ」

「……どこからその自信が」

幼女「だいじょうぶ」

「……」

幼女「……いこ?」

「……」

幼女「おねがい」

「…………おう……」

――

幼女『ゆうしゃさまー!』

勇者「帰ってきた」

姉「……お、おい。後ろにスライムが……!」

勇者「……いるね……。なんでだろ」

幼女「はぁ、はぁ……」

勇者「……幼女ちゃん。後ろのスライム……。なに?」

「……っ」

幼女「そ、そうそう! きいてください!」

幼女「……このスライムさん。しゃべるんですよ!」

勇者「…………はい?」

「…………」

勇者「……いやいや。スライムが喋るわけないから」

幼女「ほんとなんですって!」

勇者「……えー……」

幼女「しんじてください」

勇者「……じゃあ……、なにか喋ってみてよ」

「…………」

幼女「……す、スライムさん。おねがいします」」

「…………」

「……これでいいのか」

勇者「……!?」

姉「!?」

また明日

今更なんですが、RPG系のゲームはほとんどやったことがありません
マダンテってなにそれ状態

投下

勇者「ちょ、え、ほ、本当に……!?」

「スライムが喋っちゃ悪いかよ」

姉「……し、しかも少し口が悪いぞこいつ……!」

勇者(そ、それは姉さんが言えることじゃない!)

幼女「……ね? しゃべりました」

勇者「……う、うん……」

勇者「ね、ねえ。スライムさん」

「あん?}

勇者「話すことができるのって君だけなの?」

「……いや、どんなスライムでも話せる」

勇者「そ、そうなの!?」

「ああ」

勇者「……そ、そうなんだ……」

勇者「……意思疎通ができるなら……、」

「あ?」

勇者「……今まで君たちの仲間を倒してきたのは知ってるよね」

「……まあな」

勇者「…………ヒドいことしてきてごめん!」

「……は?」

勇者「正直、僕は相手の事情も考えず駆逐していた」

勇者「だから……。謝っても許されないとは思うけど。ごめん」

「……!」

「………………今更、遅えよ」

勇者「……」

「……でも」

勇者「……うん」

「……お前は……、普通の人間とは違う気がする」

勇者「うん?」

「お前の言動からは悪意が感じられない」

勇者「……」

「……良く言えば純粋。悪く言えばバカだな」

勇者「えっ」

姉「……うむ。それについては同意する」

勇者「え、ちょ、姉さん!」

「人間は、みな荒んだ心しか無いと思っていたんだが……」

勇者「……どうせ、僕はバカですから」

「まあそう拗ねるな」

勇者「…………ヤバい! 早く行かないと駄目なんだった!」

「ほう。……魔王討伐のためか?」

勇者「う、うん……」

「……」

勇者「……?」

「……その旅、俺も同行していいか」

勇者「え?」

勇者「ちょ、ちょっと待って!」

勇者「……だ、だって、君たちスライムを指揮してるのは魔王じゃ……!?」

「ああ。そうだな」

勇者「……そしたら、なんで……?」

「捨てられたんだ」

勇者「え?」

「魔王は。俺たちスライムを捨てた」

勇者「……」

「『てめえらゴミは使えねえからな。戦力は幾らでも他で代用できるんだわ』……つってんの。フザケんなよ。あんのクソ魔王が」

勇者「……」

勇者「……てことは、魔王、嫌い?」

「ああ。胸糞悪いほど嫌いだが」

勇者「…………」

勇者「…………一緒に行こう」

「いいのか」

勇者「目的は同じだし、数は多い方が有利になるから」

「スライムだぞ。役に立たないぞ」

勇者「何者にも一長一短はあるもんだよ」

「足手まといになるぞ。裏切るかもしれないぞ」

勇者「構わない」

勇者「……姉さんたちも。いいよね?」

姉「…………ちょっと怖いが……。私は別にいいぞ」

幼女「はい。だいかんげいです」

「…………」

勇者「……ほらね。誰も君を拒むことはない」

「…………っ」

「そうだな」

「……魔王軍に立つくらいなら、こっちの方が良さそうだ」

勇者「……ということは?」

「ああ。……お供する」

勇者「そっか。……よろしくね」

「ああ。宜しく頼む」

【 なんと、魔王を嫌うスライムが仲間に加わりました。果たしてどうなるのやら 】

今日はこれで終わり

良ければ、1匹目のスライムの名前をどうぞ↓

以下、スライムにかわりまして鉄也でお送りします

投下開始

――

幼女「ねえねえ、スライムさん」

鉄也「あ?」

幼女「……どうしてもさわっちゃだめ?」

鉄也「駄目」

幼女「おねがい」

鉄也「駄目」

姉「…………」

鉄也「……オイ。勇者」

勇者「ん?」

鉄也「俺、そこの女に嫌われてねえ?」

姉「……っ」

勇者「……いや、怖いんだと思うよ」

鉄也「俺のことが?」

勇者「うん」

鉄也「へー」

勇者「別に怖がることないと思うけどなぁ」

姉「だ、だって……。魔物なんだろう?」

鉄也「魔物だけど襲いやしねえよ」

幼女「やさしいんだね」

鉄也「うっせえ」

姉「…………」

鉄也「というか、こいつ名前、知らないんだけど」

姉「……あ、姉と……いう者だ」

姉「……こいつの姉に当たる。よろしく」

鉄也「ん。覚えとく」

姉「…………」

姉(き、緊張した……!)

――

勇者「幼女ちゃん」

幼女「?」

勇者「歩き疲れたら言うんだよ」

幼女「? はい」

勇者「あんまり無理させるわけにはいかないから」

幼女「……は、はい……」

【 この後は特に魔物と遭遇する訳でもなく、順調に旅を進めていました 】

【 ……しかし 】

また今度

書く

――

姉「……いかんな。思ったよりさっきの場所で時間を食っていたようだ」

勇者「……みたいだね。日が橙になりつつある」

姉「街まであとどれくらいだ?」

勇者「えっと……。あと半分くらい」

姉「…………ううむ……。日が落ちる前には到着したいものだ」

勇者「うん」

勇者「そういえば。スライムさん」

鉄也「ん」

勇者「今日は宿に泊まる予定なんだけど……。どうしよっか」

鉄也「問題ねえよ。ある程度は伸縮自在だから、荷物の中に入れればいいだろ」

勇者「そうなの?」

鉄也「ああ」

勇者「ていうかそれでいいの?」

鉄也「別にいい」

勇者(…………凄いな。色々と)

幼女「――はぁ」

勇者「……」

姉「……」

鉄也「……」

幼女「……はぁ、はぁ」

勇者「……幼女ちゃん」

幼女「はぁ。は……はい?」

勇者「疲れた?」

幼女「い、いや。だいじょうぶですよっ?」

勇者「……んー」

勇者「……姉さん。先に進んでて。すぐ追いつくから」

姉「? 分かった」

勇者「無理しなくていいんだよ」

幼女「だ、だいじょうぶですから。まだあるけます」

勇者「息、切れてたじゃないか」

幼女「……そ、それは……」

勇者「……ほら。……乗っていいよ。宿までおんぶするから」

幼女「え、えええっ!」

また明日

今日は投下できそうにありません

ごめんなさい

優しいな

少しですが投下

幼女「そ、そんなっ、だめです!」

勇者「……痛めてからじゃ遅いよ?」

幼女「……だ、だって……」

勇者「……」

幼女(…………は、はずかしい……)

勇者「うーん」

勇者「……じゃあ、もう少し歩こっか?」

幼女「は、はいっ」

勇者「大丈夫?」

幼女「いけますっ」

――数分後

幼女「……ん、はぁ。はぁ。ゆ、ゆうしゃさま……」

勇者(ですよね)

幼女「あの……」

勇者「ん」

幼女「や、ぱり、……お、おんぶ、してほしいです……っ」

勇者「いいよ」

勇者「……その前に」

幼女「?」

勇者「姉さん。街まで後どれくらい?」

姉「ん……。あと三分の一くらいだな」

勇者「分かった。…………よし。幼女ちゃん、乗って」

幼女「……ありがと……ございます」

勇者「いえいえ」

姉「…………」

姉「……はぁ」

もうだめです寝ます

遅くなりました

投下します

……と思ったけど、もう少しお待ちください
早朝になるかも

――

幼女「すぅ……」

勇者「……ん」

姉「……寝ちゃったな」

幼女「すぅ……」

勇者「みたいだね。後ろから寝息が聞こえる」

姉「よほど乗り心地が良いんだろうな」

勇者「……はは」

鉄也「…………」

鉄也「……それにしても、そのガキは戦えんのか?」

勇者「ん。この子?」

鉄也「それ以外に誰が居るよ?」

勇者「……大魔法使いさまの末裔……らしいけど」

勇者「僕もまだ分かんない」

鉄也「……へえ。あの大魔法使いさまの末裔ねぇ」

勇者「知ってるの?」

鉄也「俺も魔物とはいえ、存在ぐらいは知ってるさ」

勇者「へえ」

姉「私も、昔はお前をおぶってやったんだぞ」

勇者「……そうなの?」

姉「ああ。本当に幼かったがな」

勇者「そうなんだ……」

姉「ああ」

姉「……」

姉(…………あの頃の弟は……)

……………………
………………
…………
……

弟「おねえちゃん!」

姉「……はいはい。どうした」

弟「きょうもけいこするの?」

姉「そうだな……」

姉「……昼過ぎにでもやろうか」

弟「うんっ」

弟「……あのね、ぼくね」

姉「ん」

弟「かっこよくて、つよくて、やさしくて……」

弟「おこるとこわいけど、そんなおねえちゃんがだいすきだよっ」

姉「…………そ、そうか……」

弟「えへへ」

姉「…………」

弟「ぼくも、おねえちゃんみたいにつよくなりたい」

姉「…………私は強くない……。けど」

姉「稽古を欠かさずに精進すれば伸びるぞ」

弟「うん」

姉「頑張れよ?」

弟「うんっ」

姉「……」

姉(……いつか、私を追い抜くときが来るんだろうな)

姉(それはそれで寂しい感じもあるが……)

――

姉「準備は出来たか?」

弟「うん」

姉「よしっ。じゃあ、庭に出ようか」

弟「……あ、おねえちゃん。ちょっとまって」

姉「ん?」

弟「はい、タオル。わすれものだよ」

姉「……あ、ああ。すまんな。ありがとう」

弟「どういたしまして!」

姉「…………」

寝ますお休みなさい

今日は家にお客様がくるので投下できないかも

勉強の方が忙しくなるので、こちらは一旦落としてもいいでしょうか……

落ち着き次第スレ立てしようと考えています

あんまり日が開くと、俺も色々と忘れそうな気がして……

残しておいても大丈夫なら、一応残しておきます
落ち着き次第投下再開しますので、それまで暫くお待ちください……

一応生存報告

>>174
いつこれる?

>>175
3月中旬くらいには落ち着くと思います
それまでにも何回か投下したい……と考えてる次第

15日あたりで落ち着きそうです

ごめんなさい

お待たせしました

投下します

姉「よし。始めるぞ」

弟「……うん」

姉「…………」

姉(――いつもだ)

姉(いざ稽古となると、決まって目つきが変わる)

姉(素質があるんだろうな)

姉(現に、力量をメキメキ上げているし)

姉「……」

弟「……」

姉「……いくぞっ!」



……………………
………………
…………
……

姉(今は……)

勇者「……? なに?」

姉「いや、なんでもない」

姉「そ、それより、次の街までもう少しだぞ」

勇者「ん。分かった」

幼女「すー……」

姉「……な、なあ、それ、重くないのか?」

勇者「なんのなんの。こんなちっちゃい女の子一人背負うことくらい余裕だよ?」

姉「そ、そうか……」

鉄也「……ふ」

姉「な、なんだ」

鉄也「若いな」

姉「どっ、どういう意味だ!」

勇者「ちょ、ちょっと姉さん。あんまり声大きいと起きちゃう……!」

姉「……ぐぬぬ」

鉄也「まあ、分かってるんだろ?」

姉「…………うるさい」

短め……というか、短すぎだけどひとまずこれで今日は終わり

また明日からよろしくおねがいします

投下始めます

【 親睦を深めつつ(?)歩いていると、最初の街が見えてきました 】

――最初の街

勇者「幼女ちゃん、起きて起きて」

幼女「ん、ぅ……」

勇者「着いたよ」

幼女「……んあ……、はっ……、ご、ごめんなさい! つ、ついねちゃって……!」

勇者「え、だ、大丈夫だよ。あのあと敵とも遭遇しなかったし」

幼女「そ、そうですか……。って、そういうもんだいじゃなくて……!」

勇者「?」

姉「……とりあえず下ろしてやれよ」

勇者「う、うん」

幼女「……あれ、そういえば、スライムさんは?」

勇者「ああ。街の人に見つかると色々と厄介だから、小さくなって鞄の中に」

姉「あれには私も驚いた。みるみる小さくなっていくんだもんな」

勇者「うんうん」

幼女「へー……、みたかったなぁ」

鉄也(俺は見せ物じゃねえよ)

幼女「なんだか、あのスライムさんすごいですね」

勇者「言葉も話せるし伸縮自在かぁ」

姉「ふむ……。そう考えると意外に凄いのかもしれないな」

鉄也(『意外に』は余計だ!)

勇者「とにかく、日が暮れる前に着いてよかったね」

姉「ああ」

幼女「あの……、ほんとうにごめんなさい……」

勇者「……僕、なにか謝られる要素あるのかな?」

姉「うーん……。『勝手に寝ちゃってごめんなさい』ってことだろうか」

幼女「そ、そうです」

勇者「そんなこと?」

幼女「そ、そんなこと……」

勇者「別に謝らなくてもいいのに」

幼女「でも……」

勇者「……謙虚だなぁ」

今日は終わり

一つ訊きたいのですが、一日の投下量は何レスくらいが一番見やすいでしょうか……?

ちょっと前に書き溜めが尽きて心配だったんだ
ありがとうございます

ちまちま投下

勇者「よし。取りあえず、今日の宿を探そっか」

姉「ああ……。そうだな」

幼女「やど?」

勇者「うん。人の家に泊まるわけにもいかないから、そういう施設があるんだよ」

幼女「へえ。そうなんですか」

勇者「もちろんお金は必要だけどね」

勇者「……あ」

姉「ん?」

幼女「?」

勇者「どうしよう。もしかして魔物も宿泊代金とられるのかな……」

姉「……ぷっ」

勇者「え?」

幼女「……いやいや……」

勇者「え? えっ?」

鉄也『頭が弱くても勇者になれるんだな』

勇者「ええっ!? な、なんで!?」

勇者「と、というか、鞄の中で話されると色々と困るから!」

姉「鞄に向かって話されても色々と困るんだけどな」

勇者「……う……」

鉄也『やーい怒られてやんの』

勇者「くう……っ」

勇者「そっ、そんなことより! 宿を探さないと!」

姉「あー、はいはい。あとお前も怪しまれるようなことは控えるんだぞ」

鉄也『へいへい』

勇者「もう……」

幼女(勇者さま……、なんか、かわいいかも……)

――宿屋

勇者「あの……、」

「ん……はいはい。お客様かな」

勇者「はい。えっと、今日泊まれる部屋ってありますか?」

「ええと、ちょっと待ってくださいね…………」

「……すみません。生憎一部屋しか空いてないのですが」

勇者「……姉さん、幼女ちゃん、いいかな?」

姉「一部屋……ってことは、全員同じ部屋ってことだよな」

勇者「そうだね」

幼女(勇者さまとおなじへや……?)

姉(勇者と同じ部屋か……。久々だな……)

姉「……うん。私は別に構わないぞ」

幼女「あ、あたしもっ」

勇者「……じゃあ、その部屋でお願いできますか?」

「かしこまりました」

今日はこれで
また今度

すみません
中々モチベーションが上がらず停滞気味です
書けるときに書きたいと思うので……ごめんなさい

大変遅れました。
明日の夜頃に投下します。

――部屋

姉「へえ。思ったよりも広いんだな」

勇者「若干失礼な意味合いを含んでる気がするけど……まあいいや」

幼女「わー、すごい! ベッドふかふかですよ!」

姉「どれどれ……。おお、本当だ。……本当だ、けど」

姉(少し、小さくないか……?)

幼女「? どうしたんですか?」

姉「あ、ああ、いや、なんでもない」

勇者「あー。でもさ、そのベッド少し小さいかも?」

姉「えっ」

幼女「いわれてみれば……。さんにんだとすこし……」

鉄也『……』

鉄也(……まあいいか。どうせ俺はこの中だし……)

勇者「ベッドは幼女ちゃんと姉さんが使ってよ。僕はこっちで寝るから」

姉「こっち……たって、床じゃないか」

幼女「だ、だめですそんなの!」

勇者「いや……。幼女ちゃんと姉さんに向かって『床に寝ろ』とは言えないし」

姉「いや、でも――」

『すみません。ちょっといいですか』

勇者「あ。……え、あ、は、はいっ、どうかしましたか?」

【 勇者さま一行は無事に宿を借りることができました 】

【 ですが、寛いでいるところに誰かがやって来ました 】

『私、先ほどの宿主です』

勇者「あ、ああ。はい、どうも……」

姉「何で吃るんだ……?」

幼女「あ、姉さん、しーっ」

『実は……、勇者さまご一行にお話というか、お願いというか……、頼みがあるのですが』

勇者「頼み……ですか?」

『はい。聞くだけでもいいので、少し時間をとらせていただいても結構ですか?』

勇者「はあ……。構いませんが」

――

勇者「モンスターによる襲撃?」

「はい……。最近この辺りで被害が続出しているんです。勇者さまご一行にどうか力を貸してほしくて……」

勇者「僕たちに?」

姉「……この辺りのモンスターは基本的には街には入らないし、好戦的でもないと聞くが」

「はい。ですが、一部の人が言うには、『自然から得られる食料が減ったから』……と聞いています。実態はまだ良く分かってないのです」

勇者(……やっぱり……)

勇者「すみません。その話、もっと詳しく聞かせてもらえませんか?」




改めて見ると短すぎ笑えないです

またその内

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