咲「世紀末能力バトル」 (289)

21世紀、世界は核の炎に包まれた

海は枯れ、地は裂けあらゆる生命体は絶滅したかに見えた

しかし、人類は死に絶えていなかった

核戦争は文明を破壊し、世界は暴力と異能が支配する恐怖と混乱の時代になっていた

これはそんな世紀末の世界で覇を競いあう、少女達の軌跡……



※上のような荒廃した世界が舞台、簡単に死人が出ますが描写はわりと適当
※かなりなんでも許せる人向けの咲キャラを使ったバトル(?)もの
※若干の北斗の拳成分と多作品のパロはありますが、出てくるのは咲キャラのみ
※一部キャラ崩壊あり
※かなりなんでも許せる人向け




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1394182829

――かつて長野と呼ばれていた地――


未春「ヒャッハー!」

池田「汚物は消毒だしー!」

文堂「きゃあー誰か助けてー」

咲「……」スタスタ

文堂「あ、そこのお方!」

咲「え、私?」キョトン

文堂「悪漢に追われているんです、助けてくださいお願いします! 何でもしますから!」

咲「ん? そう、なんでもしてくれるんだ……」

未春「お? なんだ、ねーちゃんやんのか? まとめて乱暴しちまうぜヒャッハッハ!」

池田「消毒せずにはいられないな……って、あれ? そいつもしかして」

咲「……カン」ボゴォ

未春「たわばっ!」ミッハルーン

池田「う、うわああああ! みはるんが爆散したし! やっぱりこいつ、あの宮永……」

咲「もいっこ……カン」ゴガア

池田「あべし!」イケダア

文堂「」


咲「さあ、悪者は倒しました。私の頼み、聞いてくれますか?」

文堂「は、はい。何なりとお申し付けください、あと命だけはご勘弁を」カタカタ

咲「そんなに緊張しなくても大丈夫です。私の頼みはこれ、この写真の人を探してるんですけど知りませんか?」ペラ

文堂「この綺麗な人ですか?」

咲「そう、私にとって大事な人なんです。ずっと探しているですけど見つからなくて」

文堂「ごめんなさい知らないです……」

咲「そうですか、残念です」ガッカリ

文堂「あ、でも最近九州の方に人が集まっているって聞きました。もしかしたらその人の手掛かりが、何かあるかもしれませんよ」

咲「九州……そういえばまだ行ってなかったかな」

咲「うん、行ってみる事にします」

 ――九州かもしれない場所――


咲(うーん、ここどこだろう?)

咲(たぶん九州のどこかだと思うんだけど)

咲(あ! 人がいる。ちょっと道を聞いてみようかな)

咲「すいません、ちょっと聞きたいんですが……って酷い怪我! 大丈夫ですか?」

煌「ええ大丈夫です。全身打撲と膝に矢を受けた程度ですから。それより何か困りごとですか?」

咲「いやそれより手当をしないと・・・」

煌「これでも不死身の花田と呼ばれた身です、ご心配はご無用。それよりも、お困りな事があるなら言ってみてください」

咲「そんな、悪いですよ」

煌「いいえ、嬉しい事です。こんな私でも、誰かに必要とされる意味がある、それはとてもすばらな事」

咲(この人すごい・・・生命力に満ち溢れて邪気のまったくない気。この荒んだ時代にこんな人がまだ生きてたなんて)

咲「・・・実は道が解らなくなってしまって、ここはどこなんでしょう?」

煌「なんと、迷い込まれるてきたのですか・・・悪い事は言いません、すぐに引き返すべきです」

咲「え? どうしてですか?」

煌「ここは鹿児島、かの神代小蒔が治める地・・・この先に許可なく進めば彼女の信者たちが襲いかかってくるでしょう」

咲「信者って・・・その神代という人は、そんなにすごい人なんですか?」

煌「ええ、修羅の国であるこの九州を異能の力をもって制し、神を名乗って人々に圧制を強いています」

咲「そんな人が・・・」

煌「そして今、強大な力を持つ神代の永水教団に対抗するため、新道寺と赤山が連合を組んで戦いを挑んでいます」

煌「巻き込まれないように、早く立ち去るべきです」

咲「・・・もしかして花田さん、あなたのその怪我は」

煌「末席ですが私も新道寺の所属です、下手をうってしまいこのザマですが。しかし仲間たちが永水の本殿に到達する時間稼ぎくらいは出来たようです」

煌「神代は私の仲間達が倒してくれるでしょう。行くのなら、全てが決してからに・・・」

咲「いえ、行きます」

煌「え?」

咲「私、人を探しているんです。でも見つからなくて・・・もしその神代って人が神を名乗れるほどの異能を持っているなら、それを使って探し出せるかもしれない」

咲「だから全てが決す前に、私も進もうと思います」

煌「・・・そうですか、では私には止める権利はありませんね。ところでその探し人とは?」

咲「あ、そうだ、この写真を見てください」ペラ

煌「こ、この人は!?」

咲「知ってるんですか?」

煌「はい、私にとっても所縁のある方です、残念ながら現在の居場所は知りませんが」

咲「・・・そうですか」

煌「大して力になれずにすみません。道中、どうかお気をつけて」

咲「はい、では行きます。もし花田さんのお仲間に会えたら、ここに居たことを伝えておきますね」タタタ



煌(言ってしまわれましたか・・・)

煌(今の方、清澄の制服だった・・・写真から考えると、おそらく彼女があの宮永咲)

煌(・・・宮永神拳の伝承者)

煌(この出会いが、すばらなものになるといいのですが)


花田煌――全治三週間の軽傷

宮永咲――永水教団の本殿へ

――永水教団本殿・ピラミッド上部――


利仙「ぐ、神代との再戦も成らずに果てるとは・・・これも戦場を甘く見た報いか」ガクッ

哩「藤原! なんっちゅうこつだ・・・」

霞「あらあら~だらしないわね。九州赤山の藤原利仙と新道寺の白水哩が、二人がかりでこのザマなんてねえ」

哩「よくも、よくも藤原を!」

霞「うふふ、かつての九州二大エースの名も、地に落ちたものねえ。これでは起きている小蒔ちゃんのあいても厳しいんじゃないかしら?」アオルー

哩「くそ、石戸霞・・・神代の前にこげん化け物ば相手にせんといけんなんて」

霞「さてと哩ちゃん、あなたもすぐに後を追わせてあげるわ。悪いけど手加減は出来ないの」

霞「一度攻撃モードに入ると祓ってもらうまで止められないから」ゴゴゴゴゴゴ

哩(気付くんの遅かった・・・こいつが永水で一番ヤバか!)グググ


哩(な!? 目が・・・見えんやと!?)マックラ

霞「あらあら、悪いものに目隠しされちゃったみたいだわね。もしかして、それが哩ちゃんの能力に必要な感覚なのかしら?」ゼツイチモーン

哩(相手の見えんと縛りばかけられん。姫子・・・)

霞「うふふ、絶望したいい顔してるわよ哩ちゃん。じっくりとイジメてあげたくなっちゃわ」

哩「趣味ん悪か奴だ」

霞「いいわ、その気丈を繕おうとする態度も。あ、そうだ何だったら降参してみる? 教団信者として身を粉にして働くなら生かしておいてあげてもいいわよ」

哩「・・・こげんピラミッドば作るのに協力しろと?」

霞「今の荒んだ時代には絶対的な神と、それを誇示する聖域が人々には必要なのよ。無駄に死ぬよりも、私たちに協力して新たな時代の礎になる方がずっと有意義じゃない?」

哩「・・・こん状態で化け物相手、確かに普通はオリも考えゆ」

霞「あらあら化け物って、心外だわ」

哩「ばってん、私はオリん。この戦いの行方は普通の期待値では測れん! 新道寺の、赤山の、皆の勝利になるとやけん!」

目を封じられながらも敵の気配のみを頼りに奮闘する白水哩

だが悪しきものを降ろした石戸霞は全てにおいて上を行く

体力と精神の両面を削られる哩


霞「ふうあがくわね哩ちゃん。ここから逆転して勝つ見込みでもあるの?」スイー

哩「さあ、どげんかいな」ハアハア

哩(ある、たった一度だけ使える奥の手・・・本当なら神代に対抗する手段として残しときたかった。ばってん、もうそんな贅沢は言うてられん)

霞「じれったいわね。あまり待ってもいられないから、もう死んでもらうわよ?」

哩(・・・やるしかんか、最期のリザベーション!)ガキン

哩「いいや岩戸霞! 私はきさんの技では死なん! さらばだ!」サラダバー

哩(・・・すまん姫子、後は頼む)リザベーションクリア

霞「え? え、うそ……飛び下りた? どういうことなの・・・」

霞(あの体勢でこの高さから飛び降りれば、生きてはいられないはず。けど、この胸騒ぎはいったい何?)

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

霞(ハッ、下に強大な気を感じる・・・これは二人分の)

そびえたピラミッドの上から地上の異変に霞が気づいた時はもう遅かった

キラーン

霞「な、何の光!? ぬわーーーーーーーーーーー!」ババアーン



藤原利仙、白水哩――死亡

石戸霞――消滅

鶴田姫子――狙撃成功

――永水教団本殿から少し離れた建物の影――


姫子「・・・仇はとりました部長、あの石戸から直撃です」

姫子「部長が自ら命を絶ってリザベーションしたトリプル役満キーで・・・」

姫子「う、ぐす・・・後は一人ででも神代は必ず討ってみせます。新道寺の大将は最後まで戦うとです」

初美「あららー泣き虫さんですねー」

姫子「!?」

初美「だめですよー泣き虫の弱虫さんはちゃんと隠れてないと。あんな派手なのぶっ放したら、そりゃ居場所も知れるわけですよー」

姫子「薄墨・・・そんな、きさんは江崎先輩と安河内先輩が抑えとったはず」

初美「ふっふっふー、『なんもかんも政治が悪い』でしたっけー? 政府なんてもうとっくになくなってしまったのに、何言ってんでしょうねー」ケラケラ

姫子「・・・きさん」ギリッ

姫子(いや、挑発に乗ったらいかんだ。ここは、神代を先に討つ!)スタタタッ

初美「あら逃げるんですかー? でも私、かくれんぼは苦手ですけど鬼ごっこは得意なんですよねー」

初美「ましてそっちは鬼門の方角ですよー。さぁきてくださいー」ゴゴゴゴゴゴ

姫子の目の前に突如門が出現し、見たことない化け物がその中から這い出てくる

姫子「ひいっ!?」

初美「霞ちゃんを倒したさっきの技、どんなカラクリだったのか解らないですけど、もー使えないみたいですねー」

姫子「い、いやあああああああああああああ!」バタン

初美「あーあー鬼さん達に連れて行かれちゃった。でもこれで綺麗に片づきましたねー」

初美「それにしても私以外の六女仙は全滅ですかー。名前負けもいいとこですねー」

初美(でも目の上のタンコブだったおっぱいBBAを、新道寺が倒してくれたのは良好でした)

初美(これでらっくらくーに、名実ともに私が姫様の右腕なのですよー・・・って、ん?)ピキーン


コツ コツ コツ コツ


初美(う、裏鬼門の方角から何か良からぬものが来ます)カタカタ

初美(わわ、私が震えてるですか? ないないそんなの・・・!!)カタカタカタカタ

現れたものを見た薄墨、それは彼女の特殊な常識をもゆうに超えた存在だった

咲「・・・」コツコツコツ ガンリキピカー

初美「あ、あわわわわわわわ」ジョバジョバー

咲「・・・」コツコツコツ

初美(い、行った、私を無視して・・・でも本殿に向かってるから追いかけないと・・・)

初美(あ、あはは、いやこ、これ完全に腰が抜けて立てませんよー)ガクガクペタン



薄墨初美――再起不能

鶴田姫子――行方不明

新道寺・九州赤山連合、永水六女仙――ほぼ壊滅

宮永咲――永水教団本殿・ピラミッド内部へ

とりあえず書いた分投稿完了

続きはまた書き溜めて吐き出します

――永水教団本殿・ピラミッド内部――


咲(ここに来るまで死体はいっぱい転がってたけど、結局花田さんのお仲間には会えなかったな)

咲(なんか私を見ておしっこ漏らしてる幼女がいてびっくりしたけど、子供をあやすのは苦手だから逃げてきちゃった)

咲(さて、この何の意味があるか解らないピラミッドの中に、神代さんって人がいるといいんだけど・・・)

咲「すいませーん誰かいますかー?」

シーン

咲「・・・誰もいないのかな? とりあえず奥に進もう」

咲(そういえば土足で入ってるけど、玄関が無かったから別にいいよね)

咲が奥に進んでいくと蝋燭の明かりが照らす広間があった


神代「・・・」

咲(あ、人だ。さっきの幼女と違ってちゃんと巫女服着てるから、もしかするとあの人が神代さんかな)

神代「・・・」ズズズ

咲「!?」

咲(なんて邪悪な気・・・花田さんとはまったくの対象的な、どす黒い気。人間がこんな気を纏って、正気が保てるものなの?)

神代「誰だあ、お前はあ? 俺の名前を言ってみろおおおお!?」

咲(あ、正気は別に保ててないやこれ)

咲「あの、貴方が神代小蒔さんですか?」

神代「・・・」ギロッ

咲(違うのかな?)

神代「・・・くくく。そうだが、何用でここに来た?」

咲「えーと、この写真の人を探してるんですけど、噂に聞く神代さんの異能で探せないかと思いまして」ペラ

神代「は? なんだそれ、知らんし、下らんし、どうでもいい」

咲「」イラッ

神代「それよりもお前、中々うまそうな気をしているな・・・」ズズズズズズズ

咲(――!? 神代さんの影が八つに分かれて実体化していく)

神代「ひさしぶりにごちそうが食べt・・・」

咲「カン」ゴッ

神代「がはっ!」

咲「うすうす気づいてましたけど、神代さんに憑りついているあなた、正直神とは言えないまがい物ですね・・・ハッキリ言ってごみクズ」ゴッタオス

神代「なんだ、その拳・・・気で槓子を作り出してるのか!? そんな、まさか、あの宮永神拳の使い手がこんな場所にくるなんて!」ビビクンッ

咲「宮永のカンは、本来あいての体の嶺上秘孔をツモるためのもの・・・だけど今回はその禍々しい邪悪な気だけをツモりましょう」

咲「カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン・・・・・・・・・・・・・」

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

咲「・・・宮永百烈カン!」テーレッテー

神代「うぼわああああああああああああああああ!」

咲「お前は既に・・・いや、やっぱり言うのやめておこう///」カアッ

小蒔「私は正気に戻った!」ハキハキ

咲「あ、そうですか。じゃあちょっと聞きたいんですけど、この写真に写っている(以下略

小蒔「すいません知らないです!」ハキハキ

咲「」

小蒔「あ、でも九面を降ろせばなんとかなるかもしれません!」ハキハキ

咲「あ、じゃあお願いします(なんかこの人の相手疲れる)」

小蒔「はい! 全力以上で当たらせてもらいます! あ、でも寝ないと降りてこないのでちょっとだけ待っていてください!」ハキハキ

咲「アッハイ」

小蒔「・・・」モソモソ

咲「・・・」シバシマツ

小蒔「・・・zzz」スヤア

咲(寝るの早!?)

小蒔「・・・zzz・・・」モソモソ

咲(あ、起き上がった)

神代「・・・ととのいました」ポクポクチーン

咲「あ、そういうのいらないんで」イラッ

神代「ちっ・・・zzz」ピカー

咲(舌打ちしてふて寝したけど、纏っている気は神々しいから大丈夫だよね?)

神代「貴方はこれから向かうべきは、かつて大阪と呼ばれていた地・・・」ピカー

咲「あ、いきなり言うんですね。大阪ですか、そこにあの人がいるんですね?」

神代「いえ、そこには手がかりはあれど本人はおりません、しかし行かねばきっと貴方は後悔するでしょう・・・」ピカー

咲「後悔?」

神代「かの地では、あなたにしかできない事がある。なるべく急ぎなさい方向音痴」ピカレスク

咲(うわ、神のくせに絶対根に持ってる)イラッ

神代「それと、神代小蒔はこのまま天国に連れて行きます」ピカー

咲「え? どうしてですか?」

神代「実は彼女の魂は既に死んでいたのです。荒んだこの世界を憂い、寝食を忘れて神に祈りを捧げ続けたせいです」ピカー

咲「・・・そうだったんですか」

神代「悪しきオロチが憑りついていたのは、石戸霞が神代小蒔の魂をこの世につなぎとめる為です。外法に頼り、騙した信者を生贄にして命を長らえていた、反対した我ら九面を天岩戸に閉じ込めてまでね」ピカー

神代「霞は言っていました『今は悪魔がほほ笑む時代なんだ』と、許せなかったんでしょうね、小蒔が死ぬまで、いえ死んだ後も何もできなかった九面が」ピカー

咲「・・・石戸さんも天国にいけますか? 彼女とは一度だけ拳を交えた事がある強敵(とも)なんです。他人事には思えない」

神代「それは・・・地獄行きでしょうね。でもなるべく軽い罪で転生できるように閻魔様に頼んでみます。それが我ら九面が彼女にできる唯一の罪滅ぼしです」ピカー

咲「はい、どうかお願いします」ペッコリン

神代「あ、それと最後に小蒔が挨拶していきたいそうです」ピカー

咲「え? あ、はい、どうぞ」

小蒔「神代小蒔です!」ハキハキ

咲「気でわかります」

小蒔「最後に宮永さんとお話できて嬉しいです! それと少しでもお役にたてたなら本望です!」ハキハキ

咲「いえ、どうもありがとうございました」サイペッコリン

小蒔「それと! ぶしつけながらお願いさせていただきます! 薄墨初美ちゃんという巫女服をちゃんと着ない小さい子を見かけたら、どうか面倒を見てあげてほしいのです!」ハキハキ

咲「え?」

小蒔「寝る前にはおやつを食べさせないようにするのと、北家の時に四喜和を和了ってくるのに気を付ければ大体無害ですので!」ハキハキ

咲「え、あ、はい」

小蒔「あ、もう時間のようです! それでは失礼します!」ハントーメーカラトーメー

咲(消えちゃった、何かすごい面倒を最後に押し付けられた気がするけど、まあいいや)

咲(それより、早く花田さんの所に戻ってあげないとね)スタタ



ヤマタノオロチっぽい何か――消滅

神代小蒔――昇天

九面――なんだかんだで一応仕事はした


――たぶん九州の入口あたり――


煌「ありがとうございました宮永さん。貴方のおかげで九州に平和が戻りました」ペコ

咲「・・・いえ、私は何も・・・正直自分の事しか考えてなかったので」

煌「いえいえ、貴方が来てなければ解決はしなかったでしょう。どんな思いであれ、この結果には感謝させていただきますよ。すばらです!」

咲「そんなことないです・・・私が道に迷ってなければ新道寺の人達や、もしかしたら赤山や永水の人だって救えたかもしれないのに」

煌「いいっこなしです。私たちも彼女たちも、自分の正義に殉じたまで、それに姫子は帰ってきましたし」

姫子「あ、お世話になったとです」ペコペコ

※補足、姫子は薄墨の鬼門に連れ去れてしまったが、色々されたあと鬼の隙をつき、白水哩から護身用に貰っていた倍満キーで逃げおおせました。薄い本待ったなし

咲「では皆さん九州の復興、頑張ってください。それと・・・」チラ

初美「ひいっ!」ジョビジョバ

咲(神代さんには薄墨さんの面倒をみるように頼まれたけど・・・目を合わせただけでおしっこ漏らされるのは、さすがに考慮しとらんよ)

咲「薄墨さんの事もよろしくお願いします。すいません私が頼まれた事なのに」ペッコリン

煌「寝る前のおやつと北家でしたよね! 任されました!」ステゴマッ

咲(姫子さんの話だともっと問題がある人みたいだけど、まあ一人で大それた事できそうな知能や行動力はなさそうだし、別にいいよね。まあ念のため・・・)

咲「薄墨さん、寂しくなったらいつでも呼んでくださいね。飛んできますから」ゴッ

初美「ひ、ひいいいいいいいいいいい!」メソメソビシャー

咲(・・・やりすぎた、上も下大洪水だ)

咲「それじゃもう行きます、皆さんわざわざ見送りありがとうございました。花田さんなんて膝に矢を受けてたのに無理をしてきてもらって」

煌「杖があるから平気ですよ、不死身の花田は健在です。ではすばらな旅を!」

姫子「お元気でー」

初美「もう来るんじゃないですよー」ヒソ

咲「あ?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

初美「う、うぷ」オエエエエエエエエエエエエエエエエエエ

煌「わー薄墨さんがとうとうゲボ吐いたー!?」

姫子「ヒロインが吐くアニメは神だという法則」

――たぶん九州の入口あたり――


煌「ありがとうございました宮永さん。貴方のおかげで九州に平和が戻りました」ペコ

咲「・・・いえ、私は何も・・・正直自分の事しか考えてなかったので」

煌「いえいえ、貴方が来てなければ解決はしなかったでしょう。どんな思いであれ、この結果には感謝させていただきますよ。すばらです!」

咲「そんなことないです・・・私が道に迷ってなければ新道寺の人達や、もしかしたら赤山や永水の人だって救えたかもしれないのに」

煌「いいっこなしです。私たちも彼女たちも、自分の正義に殉じたまで、それに姫子は帰ってきましたし」

姫子「あ、お世話になったとです」ペコペコ

※補足、姫子は薄墨の鬼門に連れ去れてしまったが、色々されたあと鬼の隙をつき、白水哩から護身用に貰っていた倍満キーで逃げおおせました。薄い本待ったなし

咲「では皆さん九州の復興、頑張ってください。それと・・・」チラ

初美「ひいっ!」ジョビジョバ

咲(神代さんには薄墨さんの面倒をみるように頼まれたけど・・・目を合わせただけでおしっこ漏らされるのは、さすがに考慮しとらんよ)

咲「薄墨さんの事もよろしくお願いします。すいません私が頼まれた事なのに」ペッコリン

煌「寝る前のおやつと北家でしたよね! 任されました!」ステゴマッ

咲(姫子さんの話だともっと問題がある人みたいだけど、まあ一人で大それた事できそうな知能や行動力はなさそうだし、別にいいよね。まあ念のため・・・)

咲「薄墨さん、寂しくなったらいつでも呼んでくださいね。飛んできますから」ゴッ

初美「ひ、ひいいいいいいいいいいい!」メソメソビシャー

咲(・・・やりすぎた、上も下大洪水だ)

咲「それじゃもう行きます、皆さんわざわざ見送りありがとうございました。花田さんなんて膝に矢を受けてたのに無理をしてきてもらって」

煌「杖があるから平気ですよ、不死身の花田は健在です。ではすばらな旅を!」

姫子「お元気でー」

初美「もう来るんじゃないですよー」ヒソ

咲「あ?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

初美「う、うぷ」オエエエエエエエエエエエエエエエエエエ

煌「わー薄墨さんがとうとうゲボ吐いたー!?」

姫子「ヒロインが吐くアニメは神だという法則」

こうして九州での宮永咲の戦いは終わった

九州編――カンッ





花田煌――後に一つの国家となる九州の初代大統領に就任する。彼女の目指したすばらな政権は、かつての仲間がしきりに言っていた『なんもかんも政治が悪い』という言葉を払拭するのに十分なものだった



鶴田姫子――彼女が望めばリザベーションの相手は選ぶ事が出来たが、彼女自身がそれを拒否。想い人の愛した九州の地で生涯独身を貫いた



薄墨初美――常に咲の影に怯える日々を送る。あんまり可愛そうなので、花田は寝る前のおやつを許可するようになったという



宮永咲――神代の言葉を信じて大阪へ向かう。この後彼女が九州に足を踏み入れる事は一度としてなかった



見直したら一個分抜けてました

一番最初の文堂

↑失敗して途中で送信したうえsageてなくてすいません

一回落としてまたスレを立て直すことにします

>>4 ここの下に来るはずだった抜けてたところを投下
  大阪編も随時書いていきます



文堂「そうですか、お気をつけて……」コソ

咲「はいそれでは……」

咲「あ、その前に……カン」リンシャンカイホウ

文堂「な!? うわらば!」-49000

咲「……牌なんてこっそり構えて、何をするつもりだったのかな」

咲「まあでも、これが今の時代の摂理か。隙を見せれば殺され何もかも奪われる」

咲「……私はまだ生きていたい、あの人にまた会うまでは」


吉留未春、池田香菜、文堂星夏――死亡

宮永咲――九州へ



――荒れ果てた大阪っぽい街・入口――


咲(ふう、なんだかんだで大阪らしいところについた、気がしないでもないよ)

咲(でもやっぱり怪しいから、その辺にいる人に聞いてみよう)

咲(あ、あそこの看護師のかっこうした人とか話しかけやすそう)

咲「すいませーん、ちょっといいでs・・・って酷い怪我!? 大丈夫ですか?」

咲(あれ? 何かデジャヴ?)

憩「ああ、大丈夫、大丈夫このぐらいの傷。だってうちナースやし」

咲「は、はあ」

憩「肋骨と左腕が折れて、膝に矢を受けてしまったけど、ぜんぜーん問題あらへん」

憩「それよりあなた、ひょっとして新参さん? この辺じゃ見ーひん顔やけど」

咲「そうです、今着いたばかりなんですけど、ここって大阪であってますか?」

憩「おうとるよ、昔は大阪って言えば大都市やったけど、瓦礫と荒野で随分とせまなってしもうたよなー」

咲「いや、昔の事はあまり知らないですけど」

憩「なんや自分、ノリ悪いなー。知らんかったらヘイヘイ頷いとればええんよ」

咲「・・・ヘイヘイ」

憩「ってヘイは一回でええわーい!」ビシイ

咲(あ、この人見た目に反して大阪のおばちゃんっぽい)

憩「まあオチがついたところでシリアスな話やねんけど、もしかして自分、今から街に入る気なんか?」

咲「はい、この街には知り合いがいるはずなので、会って話を聞いてみようと思ってます」

憩「そーなんか、でも今はやめといた方がええで」

咲「え? どうしてですか?」

憩「この大阪の街はな、つい数日前まで三つの勢力が覇権をかけて争っとったんや」

憩「木刀の竜華が率いる千里山、後ひっかけの洋榎が率いる姫松、そしてこの私ことスーパーエース荒川憩が率いる三箇牧がな」ドヤア

咲「え、姫松?」キョトン

憩「(あれ? 外したんかな)ま、まあ姫松は有名やな、全国クラスやし」

咲「ところでいま数日前まで争っていたって言いましたよね? 決着がついたという事ですか?」

憩「いやむしろ逆や、一時的に収まっとる今が、もっともピリピリしとる」

憩「実は私のこの怪我な、姫松の愛宕洋榎と相打ちになってついたもんなんや」

憩「姫松と三箇牧のエース二人が怪我で倒れとる、この意味が分かる?」

咲「勢力図の変化ですか?」

憩「せや、それ以外にも千里山から親族絡みで、船久保と愛宕母が姫松に移り、エースの園城寺は死に・・・」

憩「私の見たところで現在の戦力差は姫松が3、千里山が2、三箇牧が1ってところやな」

咲「それだと、バランスとれてるようにも見えますね」

憩「いや、泥沼の兆候やで、3対3対3ならともかく、3対2対1は最悪の形で決着がつく恐れがあるからや」

咲「あ、そうか全員共倒れ」

憩「解ったようやな。まあそれは、いま一番戦力もっとる姫松が気づいてるようやから。うまい事提案して、落としどころ決めてくれたんやけど」

咲「え?」

憩「姫松と千里山の大将同士の一騎打ち、それで一先ずシマの分け前を決めて争いはおしまいってな感じ。三箇牧はなんにしても敗北確定やから、ここは泣く泣く了承」

咲「嘘・・・大将、同士?」

憩「せや、一番決着つけたがってたのはあの二人やから。清水谷は園城寺の復讐、末原は善n・・・」

咲「な、何でそれを早く言ってくれないんですか!!」ゴウッ

憩「え、ごめんなさい」ビクッ

憩(あれ? なんでいまウチ怒られたん? メゲるわ)チョットシュン

咲「急いで末原さんを探さないと・・・!」アセアセ

憩「お、行くんか? まあ、もし怪我したらうちがホイミかけたる・・・ってもう見えんくなった、早いな」

憩(それにしてもすごい気やった。最初チャンピオンかと思うたわ)

憩(それにしても、この膝の矢・・・誰の仕業やろ? エースのタイマンに茶々いれるアホは大阪にはおらんと思てたけど・・・まさかな)


――荒廃した雑居ビル――


セーラ「本当に竜華が行くんか?」

竜華「せや、まだ文句あるん?」

セーラ「そらあるやろ、俺も怜のカタキは打ちたいに決まってるやん」

セーラ「それに俺は千里山のエースや」

竜華「元、な」

セーラ「そうやけど、でも今は怜がおらんから・・・う!?」

竜華「それ以上言ったら例えセーラでも許さへん」キュイーン

セーラ「お、おう。解ったもう言わん、やからその木刀しまってーな。あとこんなとこでゾーンに入るのも勿体ないで」

竜華「せやな・・・ごめん、ちょっとピリピリしとったな」

竜華「せやな・・・ごめん、ちょっとピリピリしとったな」

セーラ(怜がやられてからずっとこんな調子や、こういう時に監査もフナQも裏切るし。俺じゃちょっと荷が重いで)

竜華「なあセーラ、うちら強くなったよな」

セーラ「あ? なんや急に」

竜華「いや、言うてたやん、私と怜とセーラの三人で強くなって、千里山の組織をでっかくしようって」

セーラ「ああ、せやな。やから、それがなんや急にって言ってんねん」

竜華「・・・二人やん、今うちら」

セーラ(お前がそれを言うなってさっき言ってたやろ・・・大丈夫なんか本当)

竜華「い、いや、あれやで、もしウチが負けたら、セーラ一人になってまうって事やで?これ以上寂しくなって耐えられるんかってな」

セーラ「負ける事を考えてんなら俺が行く」

竜華「は? うちが行くって言うてるやん! セーラまでやられたらウチどうすればええねん!」

セーラ「やから負ける事を考えんなって!」

???「大丈夫やで」ニッコリ

竜華・セーラ「「え?」」

――姫松・倒壊したプリンセスホテル――


絹枝「本当に末原さんが行くんですか!?」

恭子「せや、千里山も大将を指定しとる。仮に主将がいたとしても、私が行くのがスジってもんや」

絹枝「せやけど、相手は木刀の竜華ですよ? 百人切り、大岩崩し、十日戦場・・・伝説数えんのもキリが無い相手ですやん!」

恭子「まあそうやな、船久保と私の脳内データ合わせて計算したら、なんと勝率3パーセントくらいやった。これは凡人的に意外と高いと自慢できると思うんやけど」

絹枝「な、何をアホな事言うてるんですか! しまいにはおねーちゃんの代わりにドツキますよ!」

恭子「怖いなー、大丈夫やって言うてるのに。知っとる? 有名なプロの傭兵の言葉に『人は予想を超えてくる』ってのがあるんやで?」

絹枝「そんなん、ごまかしにもならんですよ!」

恭子「じゃあ他に誰が行く? 船久保や雅枝さんはスジ曲げてまで姫松についてくれた、それをこれ以上恥かかせられん。重ちゃんみたいな不発弾に大一番は任せられんし、絹ちゃんは次の主将としてこれからの姫松をしょって立たんとならん」

絹枝「・・・」

恭子「それにな、私かて善野さんやられてハラワタ煮えくり返ってるんや」ゴウウウウ

絹枝「う・・・」ビクッ

恭子「確かに、死の灰の病に侵されとった園城寺に手を出したんは私らが先、やから千里山が同じ病の善野さんを狙ったんはまあわかるわ。この世界スジ通してなんぼやしな」

恭子「せやけどちゃうねん、チップの交換やあるまいし、等価交換でハイさよならなるほど、簡単な話でもないはずや」

絹枝「末原さん・・・」

恭子「これはもう意地と憎悪のぶつかり合いや、相手の臓物引っ張り出して脳みそ川に流すまで終わらん」

恭子(お前もそうやろ清水谷・・・そうしないと大事な人を守れんかった自分を許せんのやろ)

恭子「止めんでくれ絹ちゃん。これ以上は、あんたの子やなし孫やなし、いらんお世話やほっちっちーて奴や」

絹枝「もう、おねーちゃんの真似すんのはずるいですよ」

恭子「はは、堪忍な」

恭子(まあ一応秘策もあるし、他にも汚い手は、遠慮なくバシバシ使わして貰うつもりやけど)

恭子(それにな、清水谷が・・・百人切りがなんぼのもんじゃ、私はもっとどうしようもない相手に挑んだことがある。どんな手を使っても、何千何万の兵隊集めても勝てそうにない奴にな)

恭子(そういやアイツ、今どこにいるんやろな?)

――大阪の街中――

泉(はあシノギの見回りなんてめんどいなあ)

泉(仮にもウチ若頭やで? こないなもんはもっと下のもんに任せてもええやろに)

泉「はあ、ダル・・・ん?」

泉の目の前を見慣れない少女がうろうろきょろきょろしている

泉(何か困ってそうやな、迷ったんか? まあついでやし声掛けたるか。千里山は姫松と違って、クリーンな組織やって事アピールするチャンスやし)

泉「ちょいとそこの・・・う」ゾクリ

咲「・・・」ゴゴゴゴゴゴゴゴオオオオオオオオオオオオオオオ

泉(あ、これあかんやつや。やっぱ声かけるのはやめとこ)スタコラサッサ


咲「あ、すいませんちょっといいですか」ニガサンヨオマエ

泉(いかん向こうから来てもうた! しかもいつの間にか背後に立たれてる!?)ヒヤアセダラリ

泉(これは・・・なるほど解ったでえ、若頭の中なら(自称)最強の私には解る! こいつは姫松からの刺客や!)

泉「へへっ、一人の所を狙ってくるなんて、随分卑怯な真似してくれるやんけ」

咲「え?」

泉(く、背中越しのこの威圧感、振り向く事すらできん)アセダク

泉「ね、ねらいは私のタマか? けどな、この二条泉かんたんにはやられへんで!」

泉「い、いままでお前が何人葬ってきたか知らんけど、それも今日までや!」



泉「ってあれ?」

二条泉が意を決して振り向いた先には誰もいなかった
確かにあった威圧感も消えて、残ったのは泉の額から流れでる大量の冷や汗だけ

泉「ど、どこやどこへ行ったんや?」キョロキョロ

泉「そ、そこに居るんやろ、はっは、解ってんねんで! さ、出てこいや! それともそこの角か? いや、解ってねんけどな! お前を試しただけや! おらあ、さっさと出て来いって!」キョウドウフシーン


千里山の拠点に帰るまでの間、そんな調子で二条泉はお前はいったい何と戦っているんだ状態に陥っていた

これは後に、ナイトストーカー(笑)事件として、泉をいじる時によく使われるネタとなった


二条泉――軽いトラウマと黒歴史を刻む

宮永咲――道に迷ったので通りかかった人に道を聞こうとしたらその人がよく解らない独り言を話し始めてキモかったので関わらないように離れたらやっぱりまた迷った


――大阪郊外・瓦礫が並ぶ無人の場所――


竜華「よう来たな末原、卑怯もののワレが逃げずに来たのだけは褒めたる」

恭子「そりゃどうも、待たせたな」

恭子(・・・わざとかなり遅れて来てんけど、清水谷には効果なし)

恭子(ずいぶん落ち着いとるな清水谷・・・私の調べではその辺ムラがあると思ててんけど)

竜華「約束は忘れてへんやろな?」

恭子「ああ、大将同士の一対一で勝負を決め、勝った方の陣営が明日から大阪を仕切る。もう血判はおしてあるやろ」

竜華「まあ一応な」

恭子(清水谷・・・なんや不気味な雰囲気や)

竜華「見届け人はおらんけど、始める合図はどうする」

恭子「そうやな・・・ちょうど日の暮れる時間や、お日さんが完全に沈んだらっていうのはどうや?」

竜華「ええな、それでいこ」

恭子「ふう・・・」

恭子「・・・なんてな」チャキ

竜華「!?」



夕日を背にした末原の手には一丁の拳銃

恭子(苦労したで、荒野ばかりでまともな鉄はそうそう手に入らん今の時代)

恭子(製鉄できる工場もなく、設計図も失われてるから、ほとんどは構造を突き詰めて独学で作ったようなもんや)

恭子「悪いな清水谷、これが凡人の戦い方や」

銃声!


竜華「・・・知っとったよ末原。それはもう既に見てあった」

恭子「!?」

恭子(外した? いや照準は正確やったはず、その上夕日を背にしてるから、清水谷からは眩しくて弾の出所は見えんはず)

恭子(もう一度!)

再び銃声!

竜華「無駄や末原。何発撃っても変わらんみたいやで?」

恭子(なんでや! なんであたらん! この距離やで、外すはずない!)

しつこく銃声!

竜華「通らんな、その射線も」

恭子(また外した・・・これで三回目。とはいえ、もう一回試したい!)

恭子(これでアカンかったら後は・・・)

竜華「無駄や言うてるやろ末原。ウチには見えるとる、少し先の未来がな」

恭子「!?」

竜華「解るか末原? お前さんがもっとも警戒した園城寺怜の力や」

恭子(な、なんやあれ、清水谷の顔の横に白いモヤが浮いとる)

目を凝らすとモヤに輪郭が浮かんでくる!

恭子(嘘やろ・・・園城寺、まさか化けてでてきたんか!? そんなオカルトありえへんやん!)

怜「・・・おおきに」フワフワ

恭子(シャアベッタアアアアアア!!)

竜華「怜はな、末原・・・お前にリベンジするために枕神として復活してん」

竜華「そして怜が生前持っていた未来予知の力は、この木刀の竜華との憑依合体によって発現するんや」シャーマンキーング

恭子「なん・・・やて?」

竜華「拳銃だけやない・・・お前の用意した策はもう大体見通しとる。次は煙幕で一旦距離を空けるんやろ?」

恭子「くっ!」

恭子(読まれてても、今はこれしかない! 屈辱や・・・)ドロン

竜華「煙いの浴びるの嫌やから、晴れるまで十秒待ってやるわ」




恭子(最悪や、こんなん考慮できるわけないやん! 「人は予想を超えてくる」って、アレもう人やなくて幽霊やんか! そういうマジもんのオカルトは永水だけでやっとれや!)

恭子(なんなんや大阪・・・いつから怪物の見本市になったんや、普通の戦闘させてーな)

恭子(苦労して考えた策が全部見通されるとか、ホンマおもんないわ・・・もうメゲたい、なげたい、つらいつらい)

恭子(いやいや、メゲたらあかん・・・相手が怪物なら凡人が出来る事は考える事や、思考停止したらホンマの凡人)

恭子(そうや、まずは銃のリロード・・・弾倉まわして頭もまわすで!)

竜華「ずいぶん悠長やんか末原ァ!」ボゴンッ

恭子(しもた、もう見つかった!?)ササッ

竜華「隠れても無駄や、しっとるやろ? 無極点・・・五感を研ぎ澄ませ、体温、呼吸、鼓動を感じ取る天然モノのセンサーや」

恭子(清水谷の最高状態・・・知っとったけど、未来予知の上になんてもん併用すんねん! 一個わけてや!)セツジツ

きぬえだって誰?

>>53

誤字、絹恵 お母さんとごっちゃになってた
ついでに漫ちゃんも重ちゃんになってて死にたい




恭子(私が園城寺を葬ったのは、奴の未来予知を恐れたのともう一つ、清水谷の精神を不安定にさせて、最高状態に影響を与える為やった)

恭子(やのにそれがまったくの無意味に帰すなんて・・・この世界少し私に厳しすぎやとちがうか)

竜華「・・・」スイスイスラスラ

恭子(設置したブービートラップも、苦労して深く掘っておいた落とし穴もスイスイ避けてきよる)

恭子(園城寺は病気で、予知の連続使用は出来んかったから付け入る隙はあった。せやけど清水谷はそれを完全にクリアしとる)

恭子(こっちの手は本当に、全部見透かされるんやろうな)

恭子(それでちょっと思い出したわ・・・昔さんざんやったっけか・・・三透牌!!)

恭子(透明な牌を使って、手の内をさらしながらうつ麻雀)

恭子(実際には三透牌とは全然ちゃう、そんなんはわかってんねん、こっちだけが不利な状況もかわってへんし)

恭子(でも私は三透牌に慣れとる・・・それが多少は繋がるってもんやろ?)

恭子(この場での戦いやすさに!)



竜華「チェストーーッ!」ボゴオ

恭子(うぐ! アカン、かすっただけで肩がいってもうた、気を通しただけの木刀やのに、まともにあたればなますにされる)-25900

竜華「わかるか末原、怜の力は最強や。病んでさえいなければお前なんぞに負けるはずがないんや」

恭子「・・・」

竜華「末原、懺悔の時間は終わったか?」

恭子「せやな、早くあの世で善野さんに会いたいところや」

竜華「そうか、なら今楽にしたる」チャキ

恭子「いや、行くのはおまえも一緒や清水谷」

竜華「なんやて?」

恭子「知っとるか、この辺の地盤は中に空洞があるせいでかなり緩くなってるちゅーこと」

竜華「そ、それがなんや」

恭子「私も穴掘ったおかげで知ったんやけどな・・・これで、ある地点にうまい事衝撃を与えたら、どうなるんやろな?」

竜華「な、ダイナマイト!? そんなもんまで作っておったんか!?」キョウガク

恭子「やっぱりこれは見えてへんかったんやな、そりゃそうや今この時まで使う気は無かったからな」

恭子(偶然かそれとも無意識か、なんの因果か絶好の位置に来てもうた。これは使うしかないやろ)

恭子「沈む地面と、上から崩れてくる瓦礫、いまから予知は出来ても回避は難しいんとちゃうか?」

竜華「やめや! そんなもんで相打ちなんて、ウチは認めへんぞ!」シュイーン

恭子「相打ち言うたな・・・それが未来の話なら上出来や、凡人が怪物相手に引き分けるんやから」

恭子(・・・善野さん今行きます、地獄で清水谷と一緒に土下座しますんで許してください)

導火線に火のついたダイナマイトを、深い落とし穴に投げ入れようとする末原!


咲「・・・カン」シュボ

恭子「え?」キョトン

竜華「は?」キョトン

ダイナマイトが落とし穴に落ちる前に、その火は消えていた

咲「ふう・・・間に合ってよかった」

恭子「お前は清澄の大将!? どうしてここに」

竜華(な、なんやあの子・・・あの子が来てから怜の予知が不安定になった)

竜華「末原ァ! タイマンで決着つける約束やろ! どこまでスジ曲げれば気が済むんや!」

恭子「い、いや知らんがな。私も想定外の事で混乱しとる」

咲「強敵(とも)の危機を聞いたなら駆けつける。それが宮永の掟であり、そして私の意志です」

竜華「・・・いきなりしゃしゃり出て何のつもりか知らんけど、もう引っ込んでてくれるか?」

竜華「さっきの事といい、末原には落とし前つけてもらわにゃならんのや」

咲「いいえ、この場はこれでお開きにしてもらいます」

竜華「ああ? 部外者がなんのつもりやねん」シバクゾッ

咲「これ以上の戦いは無意味です。貴方たちが死ねば悲しむ人が必ず出る、それが解らないわけではないでしょう?」

恭子「まてや清澄、それは聞き捨てならんで。事情も知らんくせにケチつけるんか?」

咲「いいえ、事情ならそこの・・・私をここまで案内してくれた方に聞きました」


恭子「え? ・・・そんな」

咲が示した先には今にも消え入りそうな美人が立っている

恭子「善野さん・・・?」


善野「・・・」

咲「この方は悲しんでいます。同じ大阪に生きる人々が、どうしていがみ合わなければいけないのかを」

咲「どうして手を取り合う事が出来ないのかを・・・」

恭子(・・・善野さん、なんて悲しそうな顔をしとるんや)

恭子(私のせいなんか? 恩人があんな顔をしとるんわ・・・私が姫松を大きくするために、争いを広めたから)

恭子(でもそうしないと姫松はいずれ、この暴力が支配する世界で潰されとった・・・私にとっては姫松だけが善野さんとの繋がりで・・・何をしても、どんな汚い手を使っても残したかったんです)

竜華「手を取り合う? 馬鹿な事をいわはんな! こっちは仲間を殺されとるんや!」

咲「・・・だから相手も殺すと?」

竜華「そうや! それが落とし前っちゅうもんやろ!」

咲「そうですね。確かにそれが、この世紀末では正しい理屈かもしれない・・・でも」

咲「私はそれを許しません」ゴゴゴゴゴゴゴ



竜華(・・・!? 未来が完全に見えんくなった!? どういう事や怜)

怜(アカンで竜華・・・この子に手を出してはアカン。見えへんのやない、見せられへんのや)

竜華「な・・・ウチが負ける言うんか!?」

咲「・・・」ゴゴゴゴゴゴ

竜華「そんなわけあるか! 怜が見てんのや、無様さらせるかい!」

恭子(清水谷・・・清澄に挑むんか、今の私にはなんもいえんけど、同情するわ)

恭子(その魔物を、その辺のエースや大将と一緒にしてもろたら困る事になるで・・・しょうじき格が違うわ)

竜華「チェストーー!!」スラッシュ

咲「・・・ポン」スウ

竜華「な、いなされた!? やったら、もう一撃!」ハイスラッ

咲「・・・ポン」スウ

竜華(なんでや・・・全力の一撃がまるで打ち消されるように流される・・・本当になんなんやこの子)

咲「激流に逆らえばのみ込まれる、むしろ激流に身をまかせ同化する」

咲「激流を制するは静水・・・これが宮永神拳の柔の拳です」

恭子(そうや、どんな猛攻もプラマイゼロにされる。これほど力の差を感じさせられ、メゲる相手はいない)


竜華(く、こっちは無極点で攻めてんのに、まったく隙が見つけられん・・・まるで人間を相手にしとるんやないみたいや)

咲「どうしました? もう終わりですか?」

竜華(なんや・・・この憔悴感、まだ一度も打ちこまれてへんのに、立ってるだけでつらくなってきたわ。木刀って・・・こんな重かったか?)

咲「・・・命は投げ捨てるものではない。ここで終わっておくのが双方にとって得があることだと私は思います」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

竜華(つーか、この子さっきまでと全然ふんいきちゃうやん。止めに来た感じやったのに、殺気ダダ漏れやんか!)

怜(竜華・・・今のうちに謝っとけ。な? これアカンて、シャレにならんて)

竜華(せ、せやかて怜)

咲「丸く収める気はないようですね。解りました、ではせめて奥義で葬ってあげましょう」ジョインジョインサキィ

怜(あ、ありのまま今見た未来の内容を話すで・・・奴がカンをしたと思ったら竜華が爆散していた。な、何を言ってるかのか分からんと思うねんけど以下略)

竜華「」


恭子「・・・待ちや清澄、いや頼むから待ってください」

咲「え? どうかしました末原さん?」

怜(お、未来が変わった)

恭子「これは姫松が・・・私が始めた抗争や、だからその落とし前は私がつける」

竜華「末原?」

咲「・・・どうぞどうぞ」

恭子「おおきに。なあ清水谷、有耶無耶になってもうたけど、お前と私の勝負・・・私の負けや、完敗や」

竜華「はあ? そりゃそうやろ誰が見ても・・・って!?」

咲「」ココマオウ

怜(末原の後ろからめっちゃ威圧しとる・・・竜華、ここは穏便にしとこな)イノチヲダイジニ

竜華(わ、わかった)

恭子「せやから約束通り、姫松は千里山の傘下に入る。でも一個だけ譲れん事がある」

竜華「・・・なんや?」

恭子「私の命はやれん。私は生きて、恩人から受けた教えを守らんといけんのや。凡人は力じゃなく、頭使って大阪を一つにするってな」


竜華「できるんか? お前を恨んでる奴はぎょーさんおるで」

恭子「どうにかやり直すわ。侘びいれんのは慣れとる」

恭子(これで良いですか善野さん・・・)

善野「・・・ニコッ」ハントーメーカラトーメー

恭子(消えた・・・及第点は貰えたようやな。ほんまにこの馬鹿弟子の為に苦労かけてすんませんです)

咲「末原さんはこう言ってます、千里山も協力してくれますよね?」ニコ

竜華・怜「「も、もちろんです」」ブルブル

咲「一見落着」

恭子(まあ清澄の・・・こいつ見とると凡人の私の苦労とかアホらしくて、何も考えたくなくなるんやけど)

恭子(でもあながちこういう奴が、世紀末救世主なんて呼ばれるのかもしれんな)



シュッ

咲「!?」

カッ

恭子「な、なんや弓矢!? どっから飛んできた?」

竜華「末原ァ! いい加減にしとけよお前!」

恭子「ち、ちゃうて、私やない。つーかお前なんでもかんでも私のせいにし過ぎやろ!」

咲「・・・一キロ先から放たれたのが見えました、放ったのは長い髪の女の人」

恭子(一キロ先って、こいつどんな視力してんねん)サイヤジンカヨ

咲「殺気は無かったから、当てるつもりはなかったようです。あ、でも手紙がついてますね」ガサガサ

恭子「矢文か、初めてみたわ。なんて書いてあるん?」

『咲へ 東京で待っている』

咲「どうやら私宛のようです。差出人は書いてませんがこの字はおそらく・・・」

恭子「解るんか?」

咲「ペロ・・・これはお姉ちゃんの字です!」ペロリスト

竜華・怜(え? ・・・何で舐めたん?)ドンビキ


――大阪・荒川病院――


恭子「まさかあんたに助けられるなんてな、正直驚いたわ清澄の」

咲「いいえ、大した事はしてませんよ」

恭子(こいつの存在自体が、もう大分大した事なんやけど)

恭子「いや、善野さんの事といい恩に着ますわ。ホンマありがとうございます」

咲「私はただ、また強敵(とも)を失うのが嫌だっただけです」

恭子「・・・そういや言ってたけど、その強敵(とも)ってのはなんなんや?」

咲「拳を交え、共に高め合った相手の事です。私は前回の世紀末大会を同じチームで戦った清澄のメンバーと、全ての対戦相手を強敵(とも)だと思っています」

恭子(ふうん、律儀というかなんというか・・・私にとってはあの大会、トラウマ以外のなにもんでもないんやけど・・・)

恭子(特に清澄のこの人外魔物、永水のおっぱいお化け、それと宮森の大魔人がそろった大将戦は思い出したくもないわ)

恭子「そういやあの大会、清澄は準決勝を棄権しとったよな。写真持ち歩いてまでチームメイトを探してるのと、何か関係あるん?」

咲「・・・そうですね、関係ないとは言えません」

恭子「そうか、まあ詮索はせんよ、大阪には何の手がかりも無かったしな」

恭子「それで・・・これからどうする気や?」

咲「東京に行きます」

恭子「あの矢文か・・・今の東京は恐ろしいところやで? 白糸台が暴虐の限りをつくしとるらしい。臨海の辻垣内組が敗れてからは更に荒れる一方っちゅう話やな」

咲「・・・知っています、世紀末覇者・宮永照は私の姉ですから」

恭子「そうやったな・・・じゃあ東京で何が待っているのか、あんたには解るんか?」

咲「いえ、今のお姉ちゃんが何を考えてるのか私には解りません。あの大会が解りあえる一番のチャンスだったかもしれませんが、もうその機会もなくなってしまった」

咲「でも、だからこそ、これが最後のチャンス。なんとなくそんな気がします」

恭子「そうか・・・複雑な姉妹の事情は知らんけど、分かり合えるとええな」

咲「はい。じゃあそろそろ行きます」

恭子「一人で行くんか? 何やったら不発弾を一人くらいは貸したるけど」

咲「え、足手まといは困りますよ。あ、でも末原さんが一緒に来てくれるならありがたいかもしれません」ニコニコ

恭子「」

咲「冗談です、一人でなんとかやってみますよ」

恭子「お、おう、達者でな」

恭子(少しだけ寂しそうな顔しとったな清澄の・・・真の強者は孤独ってやつなんか)

恭子(私は凡人で良かったのかもしれん)
 



こうして大阪をめぐって争った千里山・姫松・三箇牧の抗争に終止符が打たれた

大阪編――カン!


末原恭子――愛宕雅枝が就いていた千里山の監査役を受け継ぐ。詰めの甘さは相変わらずだったが、補佐の船久保がそれを補った。後に改造手術の話を怪しげな女性から持ちかけられるが、あくまで凡人として生きるとキッパリ断る

善野――教え子の心に未来を夢見て成仏する

清水谷竜華――千里山の大将として大阪を治める。口うるさいのが増えて困っているらしい。妙な設定とかが提示されて描写されないのは、ある意味原作通り

園城寺怜――清水谷の膝から離れないある種の地縛霊となる。まだまだ成仏する気配はない

二条泉――打倒宮永咲を目標に掲げるも、周囲からはその身の程知らずさにより失笑を買った

江口セーラ――若くして真理に到達する。世紀末にはバスが無いのが悔やまれた

愛宕一族――優秀な遺伝子を大阪の地に残し続ける

荒川憩――ホイミの使える僧侶戦士として完成した強さを持っていたが、自分の強さに限界を感じて転職。閃華裂光拳を習得して更に大成した


宮永咲――東京へ向かう・・・はずだったが、不思議な力にいざなわれて道に迷う


うまくまとめられなくてメゲたけど堪忍や

次からはずっと咲さんのターンなのでがんばります

――所在不明――


咲(おかしい)

咲(私は現在、道に迷っている)

咲(それはいつもの事だよ、という一言で済ませるべきかもしれない。だけど迷子歴=年齢の私にだけ解る、微妙なフィールドの違和感がここにある)

咲(自分で迷っているんじゃない、誰かに迷わさせられているような感覚)

咲(これは・・・能力者の攻撃を受けている!?)

咲(となると私のすべきことはただ一つ・・・)

咲「カン」


おもむろに咲がカンをすると、空間に亀裂が入る!


咲(周囲の景色がバラバラに・・・これは絵?)

豊音「わーさすが宮永さんちょーすごいよー」

咲「え? 姉帯さん?」

豊音「エイスリンさんの風景画と、シロのマヨヒガを組み合わせた迷路を、こんなに早くやぶるなんてねー」

咲(宮森の人達の能力だったのか、でも何故・・・?)


咲「・・・お久しぶりですね姉帯さん」

豊音「うん、ちょーお久しぶりー、大会以来かなー?」

咲「そうですね・・・また会えて嬉しいんですが。それはそうと、どうして臨戦態勢なんですか?」

豊音「これはーこちらにちょっと事情があって、端的に言うと宮永さんを東京へは行かせたくないんだー」

豊音「だから、通せんぼ!」チョーカワイイ

咲(事情? 富士山の見え方からして多分ここは静岡あたり、岩手の姉帯さんがこんな場所でどうして?)

咲「・・・その事情、教えてもらえますか?」

豊音「ごめんね、口止めされてるんだー」

咲「そうですか・・・でも私は、どうしても東京に行きたいんです。もし力づくでも通さない気なら、たとえ姉帯さんでも・・・」

豊音「私でもー?」

咲「ゴッ倒します」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

豊音(うわ、ちょーすごい気だよー。私一人なら一瞬で勝負ついちゃいそー)ヒヤヒヤ


豊音「でもでもー、今日は私、ぼっちじゃないよー?」トモビキ

咲「!?」ゴゴ・・・プシュー

咲(あれ、おかしい? 急に気が練れなくなった・・・)

咲(まるで私の体の気が、何かで塞がれたみたいな・・・そんな感覚)

塞「豊音だけじゃない、私もいるぞ嶺上使い」モノクルフキフキ

咲「貴方は確か・・・宮森の副将のお団子の人」

塞「臼沢塞だ! 二対一で悪いが、ここは私と豊音があんたのお相手、させてもらうよ」カッコイイポーズ

咲(う、なんだろう、あの人に見られてるだけで、力が抜けていく)

咲(・・・これじゃ、カンが出来ない)

咲(相手はあの姉帯さん、カンが出来なければこちらが一方的に不利)

咲(臼沢さん・・・おそらく気が使えないのは、あの人に見られているせいなのかな?)

咲(だったら、一度退いてあの人の視界から外れないと!)

咲「ちょ、ちょっとトイレに」トウソウ

豊音「んー、おっかけるけどー」ソガイノトヨネ

咲(速い!? この間合いを一瞬で!? ・・・私が後ろから縊かれる!?)

豊音「先んずれば即ち負ける、先負!」リーチイッパツ

咲「ぐう・・・」ボムーン

塞「やったか!?」フラグニテイヒョウノアルサエ

パラパラ

豊音「いや、当たる瞬間に飛んで衝撃をにがしてる。さすが宮永さんだよー」

豊音「でもプラマイゼロにはなってないみたい、ちょっとは効いたかなー?」

咲「ケホケホ、うーいたた」ニンゲンアピール

咲(なんて速くて重たい一撃。姉帯さん、前より確実に自分の恵まれた体格を生かせるようになってる・・・)

咲(これじゃ、下手に動けないよう)


豊音「動き止まったねー、ならこっちからいくよー」

咲「え?」

豊音「先んずれば即ち勝つ、先勝!」

咲(長い腕のリーチを生かした、間合いの外からの先制!?)サッ


豊音「んー避けられちゃった。でもまだまだ私のターンは続くよー」

ビシバシグッグ

咲(速い、そして遠い、どんなにうまく避けても、姉帯さんは私の間合いの外!)

豊音「通らばー、リーチ!」

咲「ぐ・・・」-5200

豊音(よし、直撃!)

咲(・・・痛い、けど、これですこし見えたよ)カンザイゲット

塞(ん・・・おかしい、塞いでいる最中なのにモノクルが曇った)

塞「トヨネ! 気を付けろ! そいつ、何か狙ってるぞ!」

豊音「え?」

咲「・・・カン」シュッ

豊音「う、あわわ!?」スッテンコロリン

咲(く、外した、せめて腕の一本くらいはと思ったのに・・・ダメージが大きすぎた)

塞「大丈夫かトヨネ!」

豊音「だ、大丈夫だよー、ちょっと驚いたけどー」

豊音(宮永さん、私の気をドローして攻撃とかちょーすごいよー!!)

塞(相手の気を利用してのカン・・・責任払いというやつか。自分の気は使えないのに器用なことを、塞いでるのだって楽じゃないのに)


塞(きつ・・・トヨネの時以上のツラさだわコレ・・・清澄のアレ少しは空気読んでくれよ・・・やばいかなこりゃ)モウロウ

豊音「サエ、だいじょうぶー?」

塞「・・・まァ、らくしょーってことで」ゼーハーゼーハー

豊音(それはフラグだよー! なら、今度こそ私が頑張らないとねー)

豊音「」スウー

咲「!?」

咲(姉帯さんの霊圧が・・・消えた!?)

豊音「仏も滅するような大凶日・・・仏滅」デデーン

豊音「自らの気を完全に消す、本来は隠遁用の能力だけどー。まさかこんな形で役立つなんてねー」

咲(そんな、もう対策された・・・)

咲(体格に恵まれてる姉帯さんなら、たとえ気を使わずに攻撃の威力を落としても、いずれは私を仕留める事が出来る)




咲(こんな戦い方もあるんだ・・・姉帯さん、臼沢さん。ここまで私が封殺されたのは、お姉ちゃんや衣ちゃん以外では初めてだよ)

咲「ふふ・・・」


豊音「!?」

塞「!?」

塞(嶺上使いが笑ってる? 劣勢にネジが飛んだわけじゃなさそうだ、まだ何か隠し玉があるのか? 冗談じゃないぞ!)

咲「戦いって楽しいよね!」ニコッ

豊音「!?」

咲「今日は二人と戦えて本当に楽しいよ。私、最近はずっと殺し合いばかりで、戦いを楽しむ事ができなくなってた・・・けど、今は違う」

咲「またこうして強敵(とも)に出会えて、楽しさを思い出させてもらった!」

豊音「強敵(とも)? ・・・そんな、私なんかが宮永さんの強敵(とも)にとか・・・ありえないかなー・・・とかとか」

咲「そんな事ない! 一緒に楽しもうよ!」

豊音(宮永さん・・・迷わせたうえに二対一で挑んだ私達を、そんな風に言ってくれるなんて・・・ちょーうれしいよー)ウルウル

塞「待てトヨネ! 話を聞くな! 口三味線はそいつの十八番だ!」

咲「臼沢さん」

塞「な、何だよ」ビクーッ

咲「能力・・・解いた方がいいですよ。これ以上は危険ですから」ヌギヌギ

塞(な、なんだ・・・いきなり靴を脱ぎだして裸足になった・・・何をする気だ?)

塞(いや、なんでもいい、私は私の仕事をきっちりこなす。さァかかってくるがいいよ・・・清澄の嶺上使い!)



咲(思い出したよ・・・私が一番、強くなろうとしてた時の事)

咲(宮永神拳の伝承者になるための修行をお姉ちゃんとしてた時は、いつも裸足だった)

咲(うん、おんなじ感じだよ!)ペチペチ

塞「!?」

塞(嶺上使いの体に気が満ちていく! な、なんだこの輝きは!?)

塞(まさか、これが嶺上使いの支配の・・・)

塞「あ・・・ああ・・・」

塞「モノクルから光が逆流する・・・! ギャァァァァァッ!」モノクルパリーン

豊音「サエー!? そんな・・・」

咲「・・・」デーンデーンデーン

豊音(宮永さんから今まで感じたこともないようなプレッシャー・・・ちょーこわいんだけどー)

咲「本来宮永の拳を秘孔に受けたものは、苦痛に悶えながら爆死する」

咲「しかし、柔の拳は有情拳とよばれ、相手に痛みを与える事なく、情けや憐れみを与える拳」

咲「極めれば天国を感じさせながら相手を葬る事が出来る」

豊音(な、なんかさらりと恐ろしい事を説明し始めたよー)ビクーッ

豊音(でも私だってビビッていられない、大会の敗北からトシさんに一から鍛え直してもらったからー)

豊音(宮永さんがどんな技を使うとしても、私の間合いの内側には絶対入れないよー。先勝、先負で迎撃する!)テンチマトウノカマエ


咲「・・・カン!」ショギョウムジョウ

豊音「はう!?」ズドン

豊音(そんな・・・間合いの外からカンをー!?)

咲「離れた位置からでもカンをして、闘気をもって嶺上秘孔をつく・・・これが宮永有情破顔カン」テーレッテー

豊音「なにこれー!? ちょー気持ちいいよー」ビビクンビクン

咲「有情破顔カンを受けた者は、その名の通り破顔するほどの絶頂に達しながら死ぬ・・・とはいえ、手加減したので足腰立たなくなるくらいで済むでしょう」

咲「久々に戦いを楽しませてもらったお礼です、あなたはまさしく強敵(とも)だった・・・」

咲「・・・もし生きてまたあえれば、決着はその時につけましょう」

豊音「ひゃうーあるがとうございましひゃー」アヘアヘ



臼沢塞――再起不能

姉帯豊根――戦闘不能



咲(さて、気を取り直して東京へ向かわないと・・・)

咲(そういえば、姉帯さん達が私を東京へ行かせたくない理由ってなんだったんだろう?)

白望「ちょいタンマ・・・」

咲「え・・・貴方は確か宮守の先鋒の?」

白望「そう、小瀬川白望・・・あ、警戒しなくていいよ・・・私は戦う気はないから、ダルいし」

咲「あ、はい」

白望「迷惑もかけたし、襲った理由を一応話しておこうと思って・・・ダルいけど」

白望「実は仲間の一人が白糸台に、人質として捕えられているんだ・・・鹿倉胡桃っていうちっこいの」

咲「あのツッコミが鋭い人ですね。つまり、私を東京に行かせたくなかったのは、その人を捕まえた白糸台の誰かからの交換条件ですか?」

白望「そう・・・多分トヨネ達はあなたに心配かけたくなくて、言わなかったんだと思う・・・でも私としては、東京に行くついでに胡桃を助けてくれないかと、ちょっとあなたに期待してる・・・」

咲(清々しいまでの他力本願・・・この人ある意味大物かも)

咲「わかりました、可能な限り考えておきます」

白望「うん、ありがとう・・・私も行った方がいいんだろうけど、サエとトヨネの介護をしなくちゃいけないし・・・私に介護されるようになったらおしまいだって、言われそうでダルいけど・・・」

咲「そ、そうですか。じゃあ私はもう行きますね」

白望(代りに・・・せめてあなたが東京まで迷わないように、マヨヒガで導くよ・・・無欲な者へ富をもたらすのが本来だし・・・)

咲(姉帯さん達を差し向けたのが白糸台だったなんて・・・お姉ちゃんが私を呼んだはずなのに、もしかして他の誰かはそれを良しとしていないの?)

咲(いや、今は何も考えずに進もう。お姉ちゃんに会えば何かわかるはずだから・・・)




小瀬川白望――塞と豊音の介護をしながら、マヨヒガで咲を東京へと導く。何気に人生始まって以来の重労働

エイスリン・ウィッシュアート――出番はキンクリされました

宮永咲――最短ルートで東京へ



今日が誕生日らしい豊音への、私なりの(最低な)プレゼント終了

北斗の原作技なら許されるとおもった・・・今は後悔している

東京編は多分ゆっくりやります

――魔都東京・入口――


咲(さて東京、まさか迷わないで来れるとは思っていなかったなあ。これはもう私が方向音痴を克服した可能性が、微粒子レベルで存在するかもしれない)

咲(それでもここはかつての日本の首都、広く入り組んだこの地で迷わずに、お姉ちゃんを見つけ出す事ができるのだろうか?)

咲(・・・今までのパターンなら入口に誰か倒れていて、何か助言をくれるというのが確立している。であれば、おそらくこの辺に・・・)キョロキョロ

良子「グッドモーニングですー、そこのレディ何かお困りですか?」

咲(やっぱりいた、そしてやっぱり人の心配している場合なのかという大怪我をしてる)

咲「あの、酷い怪我ですけど大丈夫ですか?」

良子「ええ、これでもかつては中東で活躍したプロの傭兵、膝にアローを受けてしまって立てませんがノープロブレムです」

咲「プロの人ですか、これは失礼しました」

良子「かしこまらなくてオーケーです。私は戒能良子といいます、ワッツユア名前?」

咲(なぜそこまで言って最後だけ・・・)

咲「宮永咲といいます」

良子「ほう宮永・・・ではもしかして宮永照の血縁の方ですか?」

咲「あ、お姉ちゃんを知ってるんですか?」

良子「愚問ですね、この東京でチャンピオンの名を知らない者はノーウェイノーウェイ」


良子「というか、私達プロ傭兵協会は、暴虐を尽くすチャンピオンをはじめとする白糸台をハントする為にここに集まったんです」

良子「最近の白糸台は東京だけでなく奈良や沖縄を落とし、更には他の都市にもちょっかいをかけて、目に余るものがありましたので」

咲「・・・そうだったんですか、でもその様子だと」

良子「ええあっさり返り討ちです。宮永照・・・戦場で直に感じてわかりましたけど、ありゃすっげーモンスターですね。数十人集まったプロの傭兵をほとんど一人でキルしてました」

咲「・・・」

良子「シスターの貴方が気にする事は無いですよ。力ですべてが決まるのは、もはやこの世のディスティニー。力で解決しようとしたのは私達も同じです」

咲「・・・お姉ちゃんの様子、どんなだったかもう少し聞いてもいいですか? しばらく疎遠だったんです」

良子「ふむ、そうですねー、言うなれば感情を無くした和了マシーンとでも言いますか。とにかく人間を相手にしている気がしませんでした」

咲(お姉ちゃん・・・)

良子「もしも会われるのなら、お気をつけて。貴方も同じ拳を使うようですが、一歩間違えば同じホールのムジナ、感情を捨てきって魔道に落ちる事の無きよう」

咲(さすがプロ・・・鋭い。あ、でも少しだけ永水のおねーさんに近いにおいを感じるから、そういう事なのかも)

咲「肝に命じておきます」

良子「グッド、ではもう少しだけ助言らしいものをしておきましょうか。宮永照以外にも白糸台にはデンジャーな相手がいます・・・彼女らに出会った時の為に事前情報はあった方がいいでしょう」

咲(白糸台・・・そういえば、姉帯さん達を差し向けた人がいるはず。しっかり聞いておこう)


良子「・・・まずは白糸台のキャプテンを務める、シャープシューターの弘瀬菫。気で射程を延ばした弓を使って膝を射ぬいてきますが、実は彼女には癖があります」

咲「癖?」

良子「ええ、ターゲットを定める際、右手の指が僅かに動きます。それを見逃さなければノープロブレム」

咲(いや、それって多分一キロ先から矢文飛ばしてきた人ですよね。そんな相手のそんな微妙な癖を知ってどうしろと・・・)

良子「次に大星淡、広範囲の支配の力だけで言えば、彼女は宮永照以上の魔物でしょう。近づいたら最後、そこでジエンドです。決して彼女の支配の内に入らぬように」

咲(それは対策と言えるんでしょうか・・・)

良子「そして渋谷尭深・・・彼女については、後ろでお茶をイーティングしていただけなのでよく解りません。お茶は何の銘柄を使っているんでしょうね?」

咲(ついにどうでもいい情報を疑問形で終わらせたよう・・・)

良子「ラストは亦野誠子・・・彼女については、特にいう事はないです」

咲(・・・じゃあ何も言わなければいいのに)

咲「ええと・・・宮永照に会うにはどこに行けばいいですか?」

良子「今の白糸台は、かつて世紀末覇者を決める大会が開かれた、東京国際フォーラム跡地をキャンプにしています。おそらく宮永照も、そこにいるはず」

咲「解りました、ありがとうございます」ペッコリン

良子「ではもう行くといいでしょう。思い立ったが吉日です」

咲「・・・あの」

良子「早く行きなさい」

咲「はい・・・」スタタ



良子(行きましたか・・・私も年とったものです。あんな年端もいかぬ少女に希望を見るなんて)

良子(もしも小鍛冶プロが核戦争で死なず生きていたら、また違った結果だったかもしれませんが、イフの話をするのはやめておきましょう)

良子(願わくば、ソロモン王の知恵をあの少女に・・・)ガクッ



戒能良子――死亡

宮永咲――東京へ侵入


――魔都東京・荒れ果てた通り――


ダヴァン「日本は怖いところデス・・・」フラフラ

ネリー「お恵みをー、お恵みをー」フラフラ

恒子「ヒャッハー! お前らーまとめて消毒だー!」ヤリタイホウダイ


咲(う、東京は聞いていた以上に荒れ果てているなあ、浮浪者やモヒカンがうろうろしてるよう・・・)

えり「・・・ジロジロ」

みさき「・・・ジロジロ」

咲(道行く人が全員ジロジロ見てくる、気に対して敏感な人は避けてくれるからいいけど)

咲(でも気に対して鈍感な池田ァも多そうだから、無駄な喧嘩を売られないようにしないと)スタタ


誠子「そこの貴方、もしかして宮永咲さんですか?」

咲「え? そうですけど・・・」

咲(この人いきなりなんだろう? それなりの使い手に見えるから、池田ァじゃなさそうだけど・・・)

誠子「私は白糸台のチーム虎姫に所属する亦野誠子といいます。貴方のお姉さんの使いで迎えに来ました」

咲「お姉ちゃんの?」

誠子「ええ、宮永先輩がお待ちです。ご案内させてもらえますか?」


咲(実は既に道に迷いかけていた私。ちょっと怪しい気もするけど、今は乗るしかないこのビッグウェーブに)

咲「はい、よろしくお願いします」

誠子「・・・ではこちらにどうぞ」サッ

咲(亦野さんか、礼儀正しい人だなあ。入口で色々と教えてくれたプロの人は何も言ってなかったし、多分危険な人じゃないだろうから、安心してホイホイ着いて行こう)

誠子「・・・」ザッザッザ

咲(ん? でも心なしか、道行く人が怯えて道を空けているような)

咲(まあ世の中には目があっただけでおしっこ漏らすような人もいるから、これくらい普通の事なのかな?)

――魔都東京・無人の広場――


誠子「・・・着きました」

咲「え? ここですか? ここにお姉ちゃんが?」

咲(東京フォーラム跡地って聞いていたけど・・・わざわざ私に会うために、出て来てくれたのかな?)

誠子「いいえ、宮永先輩はここにはいません」

咲「・・・え?」

誠子「偽りの道案内失礼しました、貴方にはここで果てていただきます」

尭深「・・・」オチャズズズ

淡「あはっ、まったくもって」

咲(騙された? しかも新手が二人・・・囲まれちゃった)

咲(聞いた情報と合わせるなら、お茶を飲んでる人がおそらく渋谷尭深さん・・・となるとあっちの金髪の人が大星さんの可能性が高い・・・)

咲(うん、きっとそうだ、他の二人と比べてあの人だけ気が段違いだし)

咲「わざわざこんな場所に連れてきて、ずいぶんと回りくどいですね。お姉ちゃんはこれを知っているんですか?」

誠子「いいえ、これは宮永先輩以外の、チーム虎姫メンバーが決めた事です」

咲「首謀者は誰です?」

誠子「・・・言う必要はありません」

咲(・・・そう言えば弓の人がいない。隠れて狙っているのでなければ、その人が首謀者の可能性が高いかな。キャプテンだって話だし)

咲「そうですか・・・まあ大体流れは解りました。理由は知りませんが、それはおいおい聞くことにします」

誠子(・・・落ち着いてるな、迫力もある。さすがは宮永先輩の妹ということか)

淡「・・・」

尭深「・・・」オチャズズズ

咲「それで? 三人まとめてお相手すればいいんですか?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

誠子「!?」ピク

淡「・・・へー」

尭深「・・・」


咲「敵となり邪魔する者はゴッ倒すのが宮永の掟、もしも知らなかったというのなら、今回は見逃してあげてもいいですが、どうします?」

誠子「む・・・おとなしく聞いていれば、ずいぶん好き勝手言ってくれるな。まとめて相手にするだの、見逃すだの、世紀末を制したチーム虎姫相手に何様のつもりだ!」


誠子「・・・大星、渋谷、手を出すなよ、こいつは私一人でやる」

尭深(・・・挑発に・・・乗っちゃった・・・まあ実力を測るには・・・丁度いい)

淡「アハ、どうぞー」



咲「一人でいいんですか?」

誠子「ナメるな、白糸台のフィッシャーの技その身で受けろ!」ビュンッ

ビュン ビュン ビュン

咲(この人武器・・・釣竿?)

誠子「どうだ、釣り糸と針に気を通し、変則的な動きで惑わして敵を引き裂く!」ビュンビュン

誠子「私のこの技は縦横無尽、変幻自在、絶対無敵だ!」ビュンビュン

咲「・・・そうですか」パチリ

誠子「!?」ビュンビュビュン

咲「・・・」スタスタ

誠子(ば、馬鹿な・・・目を閉じている? しかもそれで私の攻撃を全てかわしているだと!?)


咲「確かに見た目は変則的に見えますが、気を通した時点で使い手の意志が伴うのは当然の事」スタスタ

咲「ならば気の流れと殺気を肌で感じれば、見るまでもなく軌道は読めます」スタスタ

誠子「なん・・・だと!?」

咲「そして致命的な欠点として防御面をあげておきます。その釣竿でどうやって相手の攻撃を防ぐ気ですか?」ボキッ

誠子(も、もう目の前に。そして講釈のついでに釣竿折られた・・・)

咲「・・・ポン」ドゴッ

誠子「ひでぶ!」-59400

誠子(そんな・・・宮永咲のポンは、カンをするための布石だと聞いている、いわばこれはストレートの前のジャブ・・・)

誠子(それが、こんなにも重い攻撃なのか!?)ドサ

誠子(・・・白糸台のナンバー5はそこらの県代表エースをしのぐ、それは私が身をもって体現したはず――)

咲「・・・」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

誠子(だけど、宮永咲はそこらのエースじゃない! 人知が及ばないような理屈の中にいる本物の魔物・・・格が、違い過ぎる)

誠子「お許しくださいキャプテン・・・亦野はご信頼に背きました」マタンゴ



亦野誠子――死亡




咲(・・・死んじゃった、手加減したつもりだったのに。やっぱり防御って大事だね)

淡「あーあ、亦野センパイやられちゃった」

尭深「・・・だが彼女は・・・私達チーム虎姫の中でも最弱」

咲「次はどちらが相手ですか? それとも、今度こそ二人がかりでこられますか?」

淡(・・・こいつ、戦闘の前あたりから雰囲気変わったな、ちょっとテルみたい)

淡「じゃあまあ、ちょっとイケてそうだから、私が相手してあげるよテルの妹」

尭深「・・・待って淡ちゃん・・・次は私が行く」

淡「およ?」

尭深「・・・もう十分・・・熟したから」

淡「おおー久々だねー。いいよー、あの程度の獲物くらいくれてやる」ニヤ

尭深「・・・うん」

咲(今度は渋谷さんが相手か・・・お茶は持ったまま戦うつもりみたい)

咲(あの人から全く殺気は感じられない、なのに妙に不気味・・・)

尭深「・・・」オチャズズー


ドドドドドドドドドドドドド


咲(これは!? 地面から気の流動・・・それも、ひとつじゃない!)


尭深「地に撒いた種が、気々になり、実る頃――」


尭深「―― 収穫の時(ハーベストタイム) ――」



ボコ ボコ ボコ




咲(地面から・・・何か這い出てくる・・・これは、人なの?)


ゾンビはやり「新ジャンル、ゾンビ系アイドル!」ハヤッ☆

ゾンビ晴絵「ゾンビのレジェンド!」ヘヘッ

ゾンビ理沙「ぞんび!」プンスカ

咲「」

尭深「これが・・・私の能力・・・死んだ者を栽培して支配する」

尭深「ここにいるのは・・・全て宮永先輩が倒したプロの傭兵」

咲(なるほど・・・これがこの人の余裕の正体だったんだ)

尭深「ふふ・・・自ら手を汚さずに軍を得る・・・尭深様は本当に頭の良いお方」ゲスガオ


咲「カン」ボゴオ

ゾンビはやり「はや!?」ブシュッ

咲「もいっこカン」ベゴオ

ゾンビ晴絵「レジェンゴ!?」ボシュッ

咲「もいっこ・・・カン!」ガゴオ

ゾンビ理沙「なんもでない!」バシュッ


尭深「」



咲「皆それなりの使い手みたいですが、所詮はまともな意識も持っていないサイバイマン。そこらの県代表エースには通用しても、宮永神拳の前には死あるのみ」

尭深「そんな・・・私の・・・ハーベストタイムが・・・こうも簡単に!?」

咲「・・・」ゴゴゴゴゴゴゴ

尭深「ひ・・・!」

咲「死者を想うでもなく愚弄する、そんな貴方の行為は許せるものじゃない・・・永遠となった者達に地獄で侘び続けてください」ゴオオオオオオ

尭深「ま、まって・・・ごめんなさい・・・許して・・・私は弘瀬先輩の言うとおりにしただけなの・・・私も嫌だったんだけど・・・仕方なかったの・・・ねっ、だから・・・た、助けて・・・何でも言う事を聞くから・・・ほらこの通り・・・と・・・油断せておいて・・・馬鹿め・・・死ね!!」ゲスノキワミ

咲「カン」

尭深「人殺しー」タッカミーン



渋谷尭深――死亡


――東京フォーラム跡地――


照「・・・菫」

菫「どうしたんだ照、いきなり呼び出して。何かあったのか?」

照「・・・たった今、咲の気を感じた」

菫「!?」

照「何か心当たりある?」

菫「いや・・・ない、とは言えないか。全部気づいていて聞いているのだろう?」

照「うん」

菫「・・・じゃあ隠す意味はないか。宮永咲が東京に侵入した、だから淡と尭深と亦野を向かわせた」

照「そう。それで・・・どうして私に黙ってそんな事をしたの?」

菫「・・・」

照「別に怒っているわけじゃない。もちろん責めてる訳でも・・・ただ理由を知りたいだけ」

菫「・・・理由か、それならば単純に、宮永咲を照に引きあわせれば、白糸台にとっての不都合となる可能性を予想できるからだ」

照「・・・」

菫「宮永咲の戦いは、遠目からだが何回か見せてもらった。大阪では清水谷を圧倒し、宮守の能力者も返り討ちにした」

菫「・・・危険な力を持ってる、そしてお前は何故かその妹の話をしたがらない」

照「・・・私に妹はいない」

菫「ほら、そうやってな・・・私は白糸台をまとめる者として、危惧しているんだ」

菫「白糸台は宮永照という世紀末覇者によってバランスがとられている・・・」

菫「多くのチームに分かれ、一枚岩でないはずの白糸台がまとまってるのは、宮永照が最強で弱点などないからだ。だが、そんなお前が気にかける存在がいるとしたら? ハイエナ共はどうでるか」


照「・・・咲が、私の弱点?」

菫「愛しているのか、それとも憎んでいるのか知らないがな。お前が感情を持つ相手だというだけで、私にとっては恐ろしい存在だ」

照「じゃあなぜ・・・手紙を届けてくれたの?」

菫「・・・半分はお前への義理立て、もう半分は宮永咲の行動を先読みしやすくするためだ」

照「菫はいつも色々考えてる・・・」

菫「そうしなければ暴走してしまう奴らばかりだからな、お前も含めて」

照「・・・でも今回はそれが裏目に出た」

菫「何?」

照「白糸台の事を考えるなら・・・咲はまっすぐここへ来させるべきだった」

菫「どういう事だ、話が見えない」

照「このまま放っておけば、白糸台はあの子一人に壊滅させられる」

菫「なんだと!?」

照「菫がどんな邪魔をしようと、咲はいずれここに来る。だから私は、全てを知っても、ここで待ってるだけ。ここであの子と決着をつける事が、今の私にとって唯一意味のある事だから」

照「だから菫、もしも仲間を失いたくないなら・・・早く行った方がいい」

菫「ま、待て、淡もいるんだぞ? 宮永咲がいくら強くても・・・」

照「咲は敵には容赦しない・・・特に、完全に敵意を持っている相手には」

照「もしも淡が咲を、宮永咲だとしっかり認識できなければ・・・きっと負ける」

菫(何者なんだ宮永咲・・・照にここまで言わせるなんて)

菫「わかった、私も出よう」

照「そう、いってらっしゃい。あ・・・無茶しないように弓矢は全部折っておいたから、ついでに宮守の人質の子は逃がしておいた」

菫「」

照「咲によろしく」


――魔都東京・無人の広場――


淡「あーあ、二人ともやられちゃった。まあ、私の為の引き立て役お疲れ様でーすってことで」

淡「いっちょ相手してあげるよテルの妹」ゴゴゴゴ

咲(大星さん・・・とうとうこの人が相手か。プロの人が言うにはお姉ちゃん以上の支配力だって言ってたけど・・・)

咲(でも私はお姉ちゃんに会うんだ・・・それを邪魔するならゴッ倒すしかない)ゴウッ


淡「ふ・・・」

咲「!?」

ビビーーーーーーーーーーーーーーーーーン


咲(大星さんの髪が逆立って、空気が変わった・・・それに景色も、これが大星さんの支配?)

咲(・・・広がっていく、まるで宇宙みたいに。息も苦しくなってきた)

淡(絶対安全圏・・・まずは様子見だよテルの妹、これで勝手に自滅するようならその辺のザコと同じ・・・)


咲「・・・カン」

淡「!?」

スカッ

咲(駄目だ・・・地面が無い無重力にいきなり放り出されたみたいに、カンしてもうまく体が動かない)

淡(・・・こいつ、私の支配の中でいきなりカンしてきた?)

咲「カン!」

淡「!?」

スカッ

淡(またカン・・・それに、さっきよりも近くなったみたい)

淡(こいつ、カンしたら手を進ませられるのか? ・・・触れられるのは、まずい気がする)

咲(姉帯さんと臼沢さんの時みたいに、カンを封じられているわけでもない・・・)

咲(衣ちゃんの海底支配みたいに、常に圧力をかけられているわけでもなさそう・・・)

咲(大丈夫・・・これなら十分戦えるよ!)

咲「カン!」

スカッ

淡(こいつ・・・また!? 更に近づいてる!?)

淡(・・・テルの妹だかなんだか知らないけど、どんどこずんどこカンしてくれましてからにぃ~!)

淡(そろそろ耐えるのも限界・・・殺っちゃってもいいよね?)


咲「!?」

咲(また空気が変わった・・・今度は何?)

淡「ダブルリーチ」ギュウウズドン


咲「!?」

咲(両手を上に掲げた・・・同時に空に気が集まってくる)

淡「人は心に小宇宙(コスモ)を持ってる」

咲「!?」

淡「体内に存在する宇宙的エネルギー、それを爆発させれば星を砕くことだって可能になるんだよ・・・」

咲(日本語で・・・お願いします)

淡「カン!」ギュイーーーーン

咲「!?」

咲(大星さんがカンをしたら、空に集まった気が更に高まった・・・)

咲(この人のカンは私のとは違う・・・これは火力をあげる為のものだ!)

咲(なんて攻撃的な気なの・・・これが大星さんの支配の本質)

咲「カン!」

スカッ

咲(大星さんが空に飛びあがった!? カンしても、あれじゃ届かない)

淡「まだ負けを認められないのか・・・あわれな奴だな」


ゴゴゴオオオオオオオオオオオオオオオン


淡「今だ! パワーをメテオに!」

淡「燃え上がれ! 私の小宇宙(コスモ)!」ギュルイーーン

咲(く、来る・・・カン裏が乗ってる、まるで地面がひっくり返ってくるような支配・・・よけようにも・・・足が・・・体が動かない)


淡「ダブリー流星カン!」ドーーーーン


咲(ほ、星が降って・・・)


ボムーーーーーーン




――魔都東京・大穴の空いた広場――




淡「あーあ、でっかいクレーターできちゃったー。だからあんまり使うなって言われてんだよねー」

淡「でもあたってる、あたってるよーテルの妹・・・もう跡形も残ってないかな?」


ガラガラ ドスン

淡「へ? ・・・」

ペチペチペチペチ

淡(なんで? どうして?)

咲「・・・」

淡(直撃とったはず・・・何で無傷なの!? 今の私は宇宙世紀100年生くらいの力があるのに!)

咲「・・・大星淡さん、だよね」

淡「な、なんだよ」

咲「一つ言っておくよ、カンは火力をあげる為にするものじゃない。カンは手を進める為にするものだよ・・・」

淡(いや、その理屈はおかしい)

咲「それに、支配に頼った戦い方も・・・それが破られれば終わりだって事、わかってるのかな?」

淡「!?」

淡(なんだコレ・・・私の支配が染められていく・・・こんな事、私を拾った時のテルでもなかったのに!?)

咲「・・・これが私の支配・・・宮永咲の支配だよ」



――固有支配・無限の槓製(アンリミテッド・リンシャンマシーン)――


咲「―― 体は槓子で出来ている ――」

咲「―― 血潮は萬子で 心は筒子 ――」

咲「―― 幾度の戦場を超えて不敗 ――」

咲「―― ただ一度の敗走もなく、ただ一度の勝利もなし ――」

咲「―― 担い手はここに一人 他人の河でカンを鳴く ――」

咲「―― ならば我が生涯に収支は不要ず ――」

咲「―― この体は、無限の槓子で出来ていた ――」


カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カンカン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン
カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カンカン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン


カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カンカン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン
カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カンカン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン


カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カンカン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン
カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カンカン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン カン



淡(私の支配が・・・槓子で埋まっていく・・・い・・・いやだ・・・来るな!)ギュギュギュギュ

淡(私の支配が完全に・・・死ぬ)ゼツボウ


咲「・・・残念だけど大星さん」

咲「・・・ここはもう、あなたの小宇宙(テリトリー)じゃない」


淡「宮永・・・咲」ギリッ

淡(ごめんテル・・・負けちゃったよ)-18200



大星淡――死亡





咲「く、はあはあ・・・鎮まれ、私の宮永の力・・・」ジャキイ

咲(久しぶりに使ってしまった・・・プロの人にも忠告されたのに・・・)

咲(宮永神拳の技は、使い手の眠っている潜在能力を無理やり引き上げる・・・その制御をするには、感情を強く持ち続けるか・・・あるいは感情を完全に殺して、物事を機械的に処理するかのどちらかだけ・・・)

咲(私は戦いをたのしいと思う感情でなら、なんとかそれを制御できる・・・だけど大星さんはそういう相手じゃなかった・・・)

咲(私の事を見てない相手には、拳で語り合う事なんてできない・・・だから感情が死んでしまう)

咲(嫌だ・・・これからお姉ちゃんと会うのに、感情をなくしてリンシャンマシーンになるわけには・・・いかない!)

咲「はあはあ・・・ふう」シズマル

咲(落ち着いてきた・・・誰かに刺激されない内に・・・移動しないと)

菫「・・・本当に淡まで倒してしまうとは、驚きだ」

咲「!? あなたは弓の・・・弘瀬・・・さん?」

菫「そうだ、一応は白糸台をまとめている弘瀬菫だ。ちなみに今は丸腰で、キミに危害を加えるつもりはない。宮守の人質もすでに解放済みだ(照が)」

咲(見た感じ・・・確かに敵意はなさそうかな、何かを隠している感じもしない)

咲「・・・何の用ですか?」

菫「照のもとへ案内しよう、今度は嘘じゃない」

咲「・・・」

菫「いや、案内させてください」ドゲザア

咲(え、土下座?)

菫「正直言うと、私は弓矢が無ければ亦野以下なんだ・・・そんな状態で表を歩きたくないから早く帰りたい」キョドウフシン

咲(癖とはいったいなんだったのか)

咲「・・・解りました、案内をよろしくお願いします」

菫「ああ、付いてきてくれ」キリッ

咲「えっと・・・はい」

咲(なんにせよ・・・ようやくお姉ちゃんに会える。私・・・今度は絶対に間違えないよ)





宮永咲――弘瀬菫の案内で宮永照のもとへ

――魔都東京・東京国際フォーラム跡地周辺――


智葉(妙だ・・・な)

智葉(白糸台のキャンプが慌ただしい・・・数日前にプロを撃退したばかりなのに、チーム虎姫の面子が、宮永以外出て行ったぞ)

智葉(これは好機と見るべきなのか? 辻垣内組が潰れ、メグ達とも離ればなれになったが、私一人で雪辱を果たす絶好の機会・・・)

智葉(だが・・・罠という可能性も捨てきれん)

智葉(弘瀬菫は本人の強さもさることながら、個性派揃いのチーム虎姫をまとめるキレ者・・・何を企んでいるか解らない)

智葉「む? あそこにいるのは・・・」

菫「・・・」スタスタ

智葉(弘瀬! しかも弓矢を持ってない丸腰だ・・・卑怯な真似は好かないが、ひとまず奇襲で眠ってもらえば・・・ってなんだ後ろにいる奴は!?)

咲「・・・」ゴゴゴゴゴゴゴ

智葉(私には解る、やつは今日だけで三人殺してる・・・しかも全て手練れの血の匂い、あんな奴が白糸台にいたのか?)ガタン

菫「ん、そこに誰か居るのか?」

智葉(く、気付かれた・・・逃げるのは私の理念に反する、やってやろうじゃないか弘瀬)スウ

智葉「久しぶりだな弘瀬、辻垣内組が潰されて以来か」

菫(げぇ辻垣内! どうして奴が白糸台の陣地にいる!?)キョウガク


菫(逃げ出したいが・・・後ろには宮永咲、これが前門の虎、後門の狼というやつか)ハサミウチ

菫(くそ、弓矢があっても厳しい相手、ここは初手土下座で・・・いやさすがに東京の者に土下座を使えば、体裁が保てない・・・)

菫(それに、一日で二回目の土下座を使えば、私のメンタルに立ち直れないダメージが入るのも事実・・・ここは何とか知恵を絞るしかない)

菫「ひ、久しぶりだな・・・今日は何の用だ? 照に雪辱を果たしにきたのか?」サリゲナク テルアピール

智葉「・・・白々しい、あえて留守にする事でおびき寄せようとしたんだな、まんまと貴様の策に嵌ってしまった」ギリッ

菫(いや違う、違うからそんな睨むな、そしてそのドスしまえ)

智葉「後ろの少女は誰だ? 宮永に似てる気がするが・・・」

咲「・・・あ、私は妹の宮永咲といいます」ゴゴゴペコ

智葉(宮永に妹? それにしても、近くで見れば更にすごいプレッシャーだ・・・荒川を初めて見た時以上だなこれは)

智葉「・・・チーム虎姫の新たなメンバーか?」

菫「ああ、お前の想像にお任せする(嘘は言ってない)」

智葉「く、弓矢を持たずに、ふてぶてしく私の前に現れ、その余裕・・・腹立たしい奴だ。せめてお前の首だけでも、膝を射抜かれたハオの為に、地獄に持っていく事にしよう・・・」バットウ


菫(あ、この流れはまずい)


菫「まあ待て、そして聞け辻垣内」

智葉「何だ?」

菫「お前は確か、近所の子供から先生や師匠などと呼ばれて、好かれていたよな」

智葉「・・・それがどうした、今なんの関係がある?」

菫「この場にいないチーム虎姫のメンバーが何処にいるのか、少し考えれば想像できるんじゃないのか?」オモワセブリ

智葉「・・・ハッ! 弘瀬・・・貴様まさか!」

菫「手遅れにならない内に帰った方がいい。子供達・・・尭深のハーベストタイム・・・ゲス・・・ここまで言えばわかるよな辻垣内くん?(テキトーには言ったけど嘘は言ってない)」

智葉「弘瀬ェ! てめえの血はなに色だ!」

菫(う、少々ゲス成分が強すぎたか・・・? いや、世紀末ではこのぐらい普通のはずだ)

菫「いや本当に早く帰った方がいいぞ、うん。

智葉「くそ、首を洗って待っていろ、次に会う時が貴様の命日だ。今日だけはその命預けておく!」ダダダダ

菫(ホッ、行ったか、何とか危機は脱した。でももう本格的に、表は歩けなくなってしまったかも・・・隠居しようかな)

咲「あの・・・」

菫「!?」ビクーッ

咲「今のやり取りなんだったんですか?」

菫「・・・行こう照が待ってる」スルー


質問をスルーした菫の背には哀愁が漂っていた、それを察した咲はそれ以上何も聞かなかったという



辻垣内智葉――弘瀬菫に対する認識を改め、近所の子供達の守護と教育に心血を注ぐ

弘瀬菫――今日一日で色々と大事なものを失った、だいたい宮永姉妹のせい



菫さん好きには土下座モノの内容・・・で、でもあの辻垣内撃退したし(小声)

次の投下はけっこう日が空くと思います

――東京国際フォーラム跡地・決闘場――


咲「ここは・・・来た覚えがあります」

菫「そうだろう、この時代の覇者を決める、あの大会が開かれた場所だからな。白糸台が東京を占領してからは、照と一部の限られた者しか立ち入れなくしている」

菫「私たちにとって、ここは誰にも侵されたくない場所だな」

咲「この先にお姉ちゃんが?」

菫「ああ、ここでキミを待つことに意味があると、照はそう言っていた」

菫「そして、それ以外の事にはもう、何の興味もないような事も言っていたな」

咲「・・・」

菫「何か感じるものがあるのか?」

咲「・・・はい」

菫「そうか・・・君たち姉妹の間だけに通じ合うものがあるんだろうな、少し嫉妬してしまうよ」

咲「嫉妬?」

菫「ああ、私と照は仲間だが、アイツの事はよく解らないからな。自分の事はほとんど話そうとしないし、感情も表に出さない」

菫「だから憧れてしまうんだ。誰も寄せ付けず誰よりも強い、そんな宮永照に・・・私も、白糸台も、皆憧れている」

菫「同じ魔物と称された大星淡でさえそうだったんだ。照は徹頭徹尾完璧なものだと思っていた」


咲「・・・」

菫「だが、照がキミにだけ並々ならぬ感情を抱いているのを知って、気が気じゃなくなった、憧れが崩れさるのを恐れた・・・私も、チーム虎姫の他の者も。だから、二人の再会を阻もうとした」

菫「でもそれは間違いだったと、淡が負けたのを見て気づいたよ」

菫「私達がいくら阻もうと、無駄だというのが解ったんだ。そしてキミならば唯一、照のいる土俵に立てるのだと思い知らされた」

菫「きっと照が望んでいるのは、そういう相手だったんだろうな・・・」

咲「・・・そう、お姉ちゃんはやっぱりずっと一人だったんですね」

菫「何?」

咲「お姉ちゃんが私に望むものは見えないけれど、私がお姉ちゃんに見せるべきものは解った気がします」

菫「なんだと、それはどういう・・・」

咲「・・・行きます」


菫の言葉には答えず、咲は重々しい扉を開く・・・

その先で待っていたのは、世紀末覇者・宮永照その人







咲「・・・お姉ちゃん」

照「・・・私に妹はいない」

咲「う・・・」

照「だが、戦う相手として・・・私はずっと咲を待っていた」

照「二度も逃げられているから・・・一度目は宮永神拳の真の後継者を決める場、二度目はあの大会、私たちは決着をつける機会をなくしていた・・・」

咲「・・・ごめんなさい。確かに私は逃げてた、一度目はお姉ちゃんと殺し合うのが嫌で・・・二度目は仲間を失ったショックで・・・ずっと逃げてきた」

咲「でも、もう逃げない・・・私は自分の拳を、お姉ちゃんに見せるべき答えを、見つけてきたから・・・!」

照「・・・そうか」

照「なら見せてみろ・・・覚えているな、宮永の掟を」ギュイーン

咲「うん、語るなら・・・言葉ではなく拳で!」ゴウッ

菫(始まる、真の魔物同士の戦い・・・私も見届けさせてもらうぞ)コソコソ






照「・・・」ギュルギュル

咲「・・・」ゴゴゴゴゴ


菫(珍しいな、照が照魔鏡を出さずにいきなり臨戦態勢とは・・・)

菫(いつもなら一撃もらうまで様子見するが・・・宮永咲の手の内は知り尽くしてるか、あるいは一撃ももらいたくない相手という事か)

照「・・・ツモ」

咲「!?」シュッ

ギュルルルルルルゴシャッ

咲(きた・・・お姉ちゃんの、竜巻のように気を纏わせた拳・・・)

咲(あらゆるものの気を飲み込み、威力を上げていく宮永神拳の剛の拳・・・まさにすべてを飲み込んでいく激流)

咲(かわせたけど、私のさっきまでいた地面を深くえぐった・・・でも、これでもまだ序の口)

照「・・・一本場」ギュルギュルギュル

咲(ここからが本当の地獄だ)

照「・・・ツモ」

ギュルルルルウルルウウウウウウウウウウギヤン

咲「う・・・」ブシュッ

咲(纏った気に、かすっただけで皮膚が裂けた・・・受け流すことすら許されない)

咲(これが・・・王者の打ち筋)

照「・・・二本場」ギュルギュルバチバチ

咲(そして高まっていく気に反比例するかのように、お姉ちゃんから感情が消えていく・・・)

咲(あの目・・・養豚場のブタでも見るかのような目だ、残酷な目だ)


照「・・・リーチ」

咲「く、ポン!」

菫(あまい、あれくらいじゃ照のツモは防げない・・・どうした宮永咲、お前の力はそんなものなのか?)

照「ツモ」

ギュルルルルルルウウウウウンザアアアアアアアア

咲(地面を割った・・・今の、わざと外した?)

照「どうした咲・・・なぜ宮永神拳を使わない?」

咲「・・・私は、殺し合いをしたいんじゃない」

咲「昔みたいに、お姉ちゃんと戦いを楽しみたい・・・それだけだよ」

照「甘いね・・・甘いよ咲、少しは覚悟がついたのかと思っていたけど・・・ここにきてもまだ、そんな馬鹿げたことを言うなんて」

咲「馬鹿げてなんてないよ! 私は、リンシャンマシーンにはならない!」

照「私を殺せなければ、死ぬのはお前だ、咲」

照「・・・三本場」ギュルギュルギュル

咲「!?」

咲(空気が重くなった・・・これは、お姉ちゃんの支配が高まっている・・・)

咲(私の支配は、気が剛拳の激流に飲み込まれるから使えない・・・そもそも使う訳にはいかない)

咲(・・・私が、私のままで戦う為に)


照「・・・」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

菫(いつみてもすごいな照の支配は・・・見ているだけで押しつぶされそうだ)

菫(支配力では淡の方が際立っていた、だがそれは他家への影響と範囲を加味した総合での話・・・)

菫(照の支配は、誰にも影響させず、誰からの影響も受けない)

菫(只々自分自身の力を高めさせる為だけの・・・まさに覇者の、孤高の支配)

菫(その上で気を飲み込んでいく剛拳を振るうのだから、反則だろう)

咲「う・・・カン!」

菫(宮永咲が動いた!? ・・・だがこれは!)

照「使ったな咲・・・そのカン成立せず」ギギギー

咲「!?」

ギュルルルルルルキュウウイイイイイイイイイン

咲(竜巻が逆回転に!? 引き寄せられる!)



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       }ニ=-  ̄ ̄ ̄ -=ニ=- _〉
       〈  }           ̄「\



照「・・・」ガッ

咲(捕まった!? なんて力、引きはがせない・・・)

咲(ぐ・・・殺られる!?)

                          ――― 、      /;';';';';/
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                          {/   ̄\  \                           ,
                          /        ∨  ∧         __ -‐               ′
                         /         ∨  ∧  __ -ヘ ̄.: : : : : :.‐-  _            ,
                   /           /}___,彡ィ爪    \: : : :        ̄  ‐-       ′
                  /          /厂i:i:i|  |i:i∧      \:.                  ノ,
                  /           / /i:i:i:i:i:|  |i:i:i:i∧     \                / ′


照「ロン・・・槍槓、国士無双」ボゴオオオオオオッ

咲「う、がはっ・・・」チヘドビチャビチャ

菫(終わったな・・・)

咲「・・・」ドサ

照「・・・」フイッ

菫(倒した相手にはもう興味なしか、いつもの照だ・・・あっけないものだな宮永咲)

菫(まあ照のアレをくらってミンチにならずに、人の形を保っただけ大したものだと言うべきか)

咲「ま、まだだよお姉ちゃん・・・」タチアガル

照「!?」ギュルッ!?

菫(立っただと!?)





咲(痛い、苦しい・・・自分の体がいまどんな状態なのか、考えたくないな)

咲(立っているだけで奇跡かも・・・本当言うと、もう眠りたい気分、全部投げ出して)



『もうめげたい なげたい つらい つらい』



咲(・・・ふふ、思い出すよ。強者に囲まれて、心が折れかけたあの人の事を)

咲(でも、あの人は末原さんは決して諦めなかった・・・最後まで戦い抜いた・・・)

咲(私も・・・諦めない!)





咲「・・・」フラフラ

菫(宮永咲、立ったのは驚いたが足取りもおぼつかないじゃないか・・・そんな体で何が出来る?)

照「・・・四本場」ギュルギュルギュルバチバチバチバチ

菫(照も容赦する気配がない、当然だ・・・そんな甘い奴じゃない)

照「・・・ロン・・・!?」

咲「・・・」フラフラスイッ

ブンッ スカッ

菫「なんだと!?」

菫(何だ今の・・・照のあんな盛大な空振り、初めて見るぞ! しかもあんなフラフラの相手に・・・)

菫(いやしかし・・・なんだ、これは・・・デジャブを感じる気もする・・・宮永咲に何が起こったんだ!?)

照「ロ・・・!?」

咲「・・・」フラフラフラ スススッ

スカッ

菫(また照が空振り・・・違う、宮永咲が回避してるんだ・・・これは、まるで未来を見通しているかのような先読み・・・?)

菫(私はこれと似た動きを、あの大会で見たことがある! そうかこれは・・・)

菫「こ、この動きは・・・トキ!」



咲「・・・」フラフラ

怜(な、なんやこれ・・・さっきまで竜華と一緒に居たはずやのに、いつの間にか咲さんに憑りついてしもうてる)

照「・・・」ギュルギュル

怜(そして目の前には、ごっつ恐ろしいチャンピオンがおるやんか・・・アイエエエエ! チャンピオン!? チャンピオンナンデ!?)

咲(大丈夫です園城寺さん、少し力を借りているだけ・・・)

怜(え・・・どうやって、ウチはそんなつもりまったくなかったのに、なんやこれ)


『守るのは得意なんだけど、今回はそれではだめそうね。苦手分野・・・いかせてもらおうかしら』


咲(これは石戸さんの技・・・自らに悪いモノを降ろす)

怜(え・・・ウチって悪霊扱いやったん?)チョットショック


咲「・・・」フラフラ

照「・・・リーチ」

菫(照が動いた・・・宮永咲の異常さを警戒したのか)

咲「追っかけるよお姉ちゃん・・・」ソガイノサキ

照「!?」

菫(なんだあの動き!? 不可解な動きで照の背後をとった!?)

咲「先んずれば即ち負ける・・・」リーチイッパツ

ボゴオ

照「ぐ・・・」ギュルギュル ヨロ

咲「これは姉帯さんの技、先負!」


菫(とうとう照に一撃返した・・・なんでだ、なぜあんな立っているのがやっとの奴に、あんな動きが出来るんだ)



『あのころ夢みてた世界が、いまここにひらけてる・・・まだまだ続けたいので、負けるわけにはいかないよー』



咲「私の体には・・・今までに戦った強敵(とも)の技と、その思いの全てが刻まれている」フラフラ

照「咲・・・お前」

咲「お姉ちゃんにも見てほしい・・・私の見てきた全てを・・・そして・・・」

咲「一緒に楽しもうよ!」ゴウッ

照「・・・!?」ギュルギュルギュギュギュ



『衣は今までの自分と同じ打ち方を選んだ。でもこれでこの自分が敗衄するようなことがあるのなら――衣は・・・生まれ変われるかもしれない』



ザー ザー ザザー

菫(!? 今度は・・・この場から気が消えていく・・・)

菫(この場からも、照からも・・・そして宮永咲からも、気がまったく感じられない。まるで凪がおとずれたように静かになった)


咲「強制絶一門、仏滅――そして、衣ちゃんの海底支配」

照「・・・!」ギュルギュル プスンプスン プシューーーーー


それは咲が強敵(とも)から刻まれた、不屈の心、異能、能力、支配が――宮永の力を破った瞬間だった






照「・・・それがお前の答えか、咲」

咲「うん、私達の戦いには宮永神拳は必要ない・・・いっしょに強くなろうとしたあの日々のように・・・気も技も関係なく、自分の拳ですべてを語る」

咲「できるんだよ私達には・・・相手を屠る事以外でも、自分を押し出すことが!」

照「そう・・・咲。それが・・・お前の見てきた世界か・・・ふふ」

菫(あ、あの照が、戦いの場で笑った!?)

照「どこまでも・・・甘い。よく今まで生きてこれたよ・・・本当に」

咲「お姉ちゃん?」

照「でも、お菓子のようなその甘さ・・・悪くない。私の求めたものとは違ったけど・・・そうか、人は予想を超えてくる・・・久々に思い出したよ」

照「そうか・・・私はこの時を待っていたのか」

菫(・・・照?)

照「さあ続けよう・・・昔のように、どちらかが立てなくなるまで、とことんだ」ニヤリ

咲「お姉ちゃん! うん!」

菫(・・・照が、アニメ一期DVD8巻のパッケージみたいなオリジナル笑顔になった。あんな照、実際に見るのは初めてだ)

菫(なんて・・・なんて楽しそうなんだ)

咲「お姉ちゃん!」ドガッ

照「咲!」ドガッ


気が消えて、互いに技も奥義もない

良く言えば純粋な拳の戦い

悪く言えば赤子の喧嘩

頂点の戦いを決するべくは、ただ笑って殴りあう姉妹二人









(別に・・・)

(別に目の前の人を憎んでいるわけじゃない・・・)

(違う出会い方なら、こうは なっていなかった・・・)

(でもあの時出会ってしまった・・・)

(だから戻れない・・・)

(ただ上に行きたい・・・)

(白黒はっきりさせたい・・・)

(心に区切りをつけたい・・・)

(目の前にいる人は壁、相容れぬ存在・・・)

(ああ、すべては前に歩くために・・・)

(すべては前に進むために・・・)

(そう・・・)

(そう思っているはず・・・)

(あなたも・・・!)


照「サァアアアアアアアアアアアアキィイイイイイイイイイイイイイ!」ボゴオッ

咲「オネェエエエエエエエエエエエエチャァアアアアアアアアアアアン!」ドゴオッ

グラッ


ドサッ


菫(決まった・・・のか?)

菫(立っているのは・・・どっちだ?)






咲「・・・」

照「ふふ、はは、あはははははははッ!」

照「ふう・・・負けたよ咲」スッキリ

咲「お姉ちゃん?」

照「負けだ・・・宮永神拳も、私自身も・・・お前に負けた」

照「強くなったな咲・・・良い強敵(とも)に巡り合えたようだ」

咲「うん、本当に」

照「思えば、私にはただの一人も強敵(とも)と呼べる相手がいなかった・・・いや、一人だけいたか」

咲「お姉ちゃん?」

照「私に妹はいない・・・咲は私にとって唯一の強敵(とも)だった」

咲「・・・お姉ちゃん」

照「宮永神拳を極め、心を殺す暗闇の中で敵を屠り続けた日々でも・・・咲のことだけはずっと思っていた」

照「最期に・・・お前と戦えてよかった」

咲「・・・そう、やっぱり限界だったんだね」

照「ああ、淡に教えてもらったんだ・・・死兆星。北斗七星の脇にあるその星が、見えた者は死期が近いと・・・」

照「無理をしてきたから・・・頂点に立つにも、頂点で居続けるのにも・・・宮永の力を使い過ぎてしまった・・・」

咲「どうして、そこまでして・・・」

照「・・・覇者としてお前と戦いたかった、かつて覇者を決めたこの場所で・・・そんな口に出すのも恥ずかしい理由さ」


咲「そうだったんだ・・・ありがとう。そして・・・待たせてごめんなさい」

照「もういいんだ咲、それより・・・もっとよく見せてくれ、私を倒した者の顔を・・・」

咲「・・・お姉ちゃん」

照「そんな顔をするな、悔いが残るじゃないか・・・我が人生に一片の悔いもない・・・そう思いながら往きたいんだ」

咲「・・・わかった」

照「胸を張れ咲・・・お前がこの世紀末の新たな覇者だ」

咲「うん・・・」

照「もう腕も動かない・・・すまないがポケットにポッキーが入ってる・・・一本とってくれないか? ・・・最後に一服したいんだ」

咲「うん・・・」スウ

照「・・・おいしい」ポリポリ

照「咲との戦い、楽しかった・・・良かったよ・・・」ポリポリポロッ

照「強い子に会えて・・・」ガクッ

咲「私も・・・きっと今までで一番、楽しかった・・・ありがとうお姉ちゃん」ポロポロ





宮永照――死亡






菫「巨星墜つ・・・か」

咲「弘瀬さん・・・」

菫「・・・もしかしたら、照は最初からキミに覇者の座を渡すつもりだったのかもしれないな」

菫「限界近くでありながらプロや他の地域の者を潰したのも・・・次の覇者となるキミの敵を少なくするために」

咲「・・・」

菫「いや・・・照は何も言わなかった。そんな推測を私が語るのは下世話な事か」

咲「・・・私はどうすればいいんでしょう」

菫「・・・その問いには私は答えられないよ、でも下世話ついでに一つ教えておこうか」

咲「何ですか?」

菫「原村和は北海道にいる」

咲「!?」

菫「彼女の写真を持って居場所を探していたんだろう? 照から口止めされていたが、白糸台は原村の居場所を掴んでいた」

咲「和ちゃんが北海道に・・・」

菫「キミがここに来なければ、あるいは原村が照の最期の相手だったかもしれない。奴は今、有珠山の聖教会で性帝と呼ばれている」

咲「そうですか、そんな北の地で・・・」

菫「もしもキミに世紀末覇者となる覚悟があるのなら、過去の遺恨を残したままではいけないだろう?」

菫「未練がある者や、迷いのある者には、誰も従わないだろうからな」

咲「・・・わかっています」

菫「それならいい・・・それと、照の遺骸は私が預かっても構わないか?」

咲「どうする気ですか?」

菫「なに、静かな所に墓を作ってやりたいんだ・・・ここじゃハイエナ共が寄ってくるからな、照を汚させたくない」

菫「私もちょうど隠居したいと思ってたところだ、残りの人生を墓守として暮らすのも悪くないだろう」

咲「・・・解りました、お願いします」

菫「ああ、落ち着いたら見に来てやってくれ」

咲「はい」


咲(お姉ちゃん、私はまだやらなくちゃいけない事がある。だから全てが終わったら会いに行くよ)

咲(和ちゃん・・・私の一番大切な友達)

咲(そして・・・私のゴッ倒すべき相手だ)ゴウッ



こうして宮永咲は最大の強敵(とも)であった、世紀末覇者・宮永照の心を受け継いだ

東京編――カン!




宮永照――『宮永照とは、一つの時代であったのだ』と誰かが言った。そして彼女の死は、その通り新たな時代の幕開けとなる


弘瀬菫――死んでしまった宮永照とチーム虎姫の面々の為に、静かな場所に墓を作り、その墓守として余生を捧げた。 しかし辻垣内に与えた悪い印象のせいで、一部の者からは隠れてゲスい事やってんじゃないかと疑われ続けている


白糸台――チーム虎姫の壊滅と弘瀬菫の失踪によって一時混乱が生まれるが、宮永照を倒した者の噂が立つと、みな新たな覇者の帰還を待ち続けるようになる


宮永咲――過去に決着をつけるため北海道へ向かう



とうとうAAに頼ってしまった東京編終了、正直言うとここがゴールでいいです

こっからはタイトルの世紀末ってなんだっけ? が加速し、超展開とキャラ崩壊が入り交じり、>>1の※なんでも許せる人向け という名の検定会場なわけです

でもここまで付き合ってくれた方がいるなら大丈夫と、タカをくくって最後までメゲずに書いて行こうと思います(書くとはいってない)


続きヨロ

>>164
おまかせあれ!

――魔大陸北海道・有珠山聖教会周辺――


咲(ふう、ようやくここまでたどり着いたよ)

咲(思えば長い道のりだった・・・東京から北海道へ地獄のデスマーチ)

咲(それも、あちこち迷い込んだせいで、行く先々で変な人に絡まれるし・・・)

咲(ニワカニワカうるさい人とか、ガチの真剣腰に差した人とか、チャイナ服とか、戦い初めて五か月で東海王者とか・・・モブのくせにキャラ濃すぎィ!)

咲(カンが無ければ主役を食われていたかも・・・でもそんな苦労もありながら、目的地の目と鼻の先まで来れた私)

咲「・・・」キョロキョロ

咲(さて・・・いつものパターンで誰かいると思ったけど・・・いないな)

咲(あ・・・! あそこに誰か倒れてる! 言ってみよう)スタタ

咲「あの、すいません・・・って・・・あれ?」

咲(瑞原プロの上位互換みたいな人と、鬼太郎みたいな髪型の人と、サイドテールの人と、ポニーテールの人と、ふつうに美人な人が倒れてるけど・・・全員意識が無い)

ハギヨシ「む・・・もしや貴方は宮永咲様ではございませんか?」ユラリ

咲「!? は、はいそうですけど・・・」ビクッ

咲(び、びっくりした・・・私が後ろをとられるなんて・・・この執事の恰好をした人、どこから現れたの?)

ハギヨシ「これはご無礼をいたしました。私、竜門渕家に執事として仕えております、萩原と申します」


咲「竜門渕さんの執事?」

ハギヨシ「はい、宮永様の事は、衣様や透華お嬢様からよく聞き及んでおります」

咲「そ、そうですか」

咲(この人、隙が無さ過ぎてちょっと怖いな・・・それになんかトランプとか武器にするみたいな、セオリー外の事も平気でしそうで身構えちゃうよ)

咲「あの、この人たちを倒したのは貴方ですか?」

ハギヨシ「いえ、ここに倒れている有珠山の精鋭を倒したのは、衣様です」

咲「衣ちゃん? 衣ちゃんがここにきてるんですか?」

ハギヨシ「はい、今はあちらでお休みになられています、久々に全力を出されたようで、衣様はお疲れのご様子です」

ハギヨシ「なにせ有珠山の精鋭をたった一人で相手にされたのですから・・・特に副将と大将はかなりの使い手で、昨夜が満月でなければ危うい戦いでした」

咲「そうですか、あの衣ちゃんが苦戦するなんて・・・ところで他の竜門渕の人達は一緒じゃなかったんですか?」

ハギヨシ「透華お嬢様方は、一足先にこの先の教会に向かわれました」

ハギヨシ「元々はそちらに居るはずの原村和様との決着を、透華お嬢様が望まれてここへ来たので・・・衣様はそれを手助けするつもりで残られたのです」

咲(・・・やっぱり和ちゃんはここにいるんだ。私も行かないと)

衣「むにゃむにゃ・・・咲」zzz

咲「あれ、衣ちゃん?」

衣「むにゃむにゃ・・・咲・・・おっきしろー」zzz

咲(あ、寝ぼけてるのか)


衣「むにゃむにゃ・・・落花流水・・・千錯万綜・・・むにゃ」zzz

咲「え? なんだって?」ナンチョウ

ハギヨシ「落下流水は、散る花と流れる水を意味し、転じて時がむなしく過ぎ去る事の例えや、別離を意味します。 他にも、相思相愛の意味にも使われる言葉です」

咲「散る花・・・流れる水」

ハギヨシ「千錯万綜は、いろいろな物事が複雑に入り交じっている事を表す言葉ですね」

咲「なるほど・・・素敵滅法な解説ありがとうございます」

ハギヨシ「いえいえ、執事ですから」

咲(衣ちゃんには、色々見透かされちゃってたのかな?)

衣「むにゃむにゃ・・・ちゃんではなく・・・」zzz

咲(そうだね・・・私達は強敵(とも)だから)

咲「言ってくるよ衣、次に会う時はめいっぱい遊ぼうね!」

衣「むにゃむにゃ・・・欣喜雀躍・・・」zzz

ハギヨシ「踊りだしたいほど嬉しいようです」

咲「うん、私もだよ・・・それじゃ萩原さん、私もう行きます」

ハギヨシ「ええ、ではこれにて。私は衣様の警護を仰せつかっておりますので」

咲「はい」スタタタ


ハギヨシ(ふむあの方・・・聞いていた通りの傑物でした)

ハギヨシ(先に向かわれた透華お嬢様のご帰還が遅くなっているのが気になっておりましたが。あの方が向かわれるのなら、私はここを動くべきではないでしょうね)

ハギヨシ(しかし・・・今になって清澄のメンバーが揃うとは、何の因果でしょうか。彼はどう思うのでしょう)

ハギヨシ(・・・生きていれば、良い執事になれたでしょうに)




本内成香、桧森誓子、岩舘揺杏、獅子原爽、真屋由暉子――再起不能

ハギヨシ――天江衣の警護により動かず

天江衣――力を使い果たし戦闘不能

宮永咲――有珠山の教会内へ



――有珠山聖教会・教会内部――


ガチャリ ギィーーーー

咲(教会って入った事ないからイマイチ解らないけど、勝手に入っていいものなのかな?)

咲(まあ鍵はかかって無かったし、入るくらいは問題ないよね・・・それにしても暗い)

咲「すませーん誰かいますか?」

咲(人の気配はあるのに静か・・・教会って暗いと何か不気味)

咲「あのー誰かー」

久「はいはい・・・ふぁーあ、ちょっと仮眠とろうとしてたのに、あいかわらず咲は間が悪いわね」

咲「え? 竹井部長?」

久「久しぶりね咲、まさか貴方までここに来るとは思わなかったわ」

咲「あ、はいお久しぶりです」

咲(びっくりした・・・まさかこんな所でまた会えるなんて)

久「和に会いに来たの?」

咲「はいそうです。もしかして・・・部長も和ちゃんに会いに?」

久「いや、違うわ。私はここの門番みたいなものよ」

咲「え?」

久「この先には侵してはならないものがあるの、だから私は侵入者を排除する役割を担ってる」

久「ほら・・・あの上を御覧なさい」

咲「上? ・・・!?」

透華「・・・」デーン

一「・・・」デーン

純「・・・」デーン

智紀「・・・」デデーン

咲(龍門渕四天王が十字架に磔にされてる!?)


咲「そんな・・・誰があんな酷い事を」

久「いやこの流れで言ったら私でしょ普通? 戦い以外はちょっと抜けてるのもあいかわらずみたいね咲は」

咲「部長?」

久「・・・言ったでしょ私はここの門番だって」

久「私がいる限り、誰であろうと侵入者はこうなるの」

久「・・・もちろん咲、あなたが相手でもね」

咲「!?」

ドスッ ドスッ

咲「う・・・」ポタポタ

咲(とつぜん槍が上から降ってきた・・・浅いけど足を刺された)

咲(この槍・・・加治木さんの?)

久「懐かしいでしょその槍、貴方の得意技を封じたゆみの技」

久「でも次は・・・それだけじゃないわよ?」

ドス ドス ドス ドス

咲「!? う・・・げほ」ポタポタポタ

咲(痛・・・何が起こったの? いつのまにか体に何本も槍が刺さってる・・・全然見えなかった)

久「さあ・・・何本目で死ぬかな?」

ドス ドス

咲「う・・・また」ポタポタ

咲(この違和感・・・以前に感じた事がある)

咲(・・・もしかしたら)ポタポタ

ドス ドス

咲「・・・これは、やっぱり」ポタポタ

久「あら、ひょっとしてもう気付いちゃった? まあ、仲間の技だから当然といえば当然か」

咲「ええ・・・これは染谷先輩のキンクリ」


咲(体に刺さるまでの槍の軌道がまるで知覚できなかった・・・でもそれは超スピードで放たれてたわけではなく、刺さるまでの時間をキンクリで飛ばされていただけ)

咲(床に落ちた血の滴の数が、目印になってくれたよ)

久「ご名答、さすがは咲ね」

咲「・・・でもどういう事です? この槍からは部長の気しか感じられない・・・」

久「ふふ、簡単な話よ、私がゆみとまこの能力を奪ったの」

咲「!?」

久「iPS細胞って知ってるかしら? それを応用すれば他人の能力を自分のものにできるのよ」

咲「ナ、ナンダッテー!?」

久「能力を持ったオリジナルの人間から、その能力の源となる細胞を取りだしiPS細胞と融合させ移植する」

久「限界もあるけど、その技術で何種類もの能力を一人で保有できるの」

咲「・・・この世紀末の時代に、そんな文明的に高度な技術が存在するなんて」

久「そうでしょう、私も初めて見た時は驚いたわ・・・この有珠山聖教会は、地下に核戦争で失われたはずの、旧時代の施設を残していたのよ」

咲「・・・そうだったんですか、つまり部長がさっき門番だと言ったのは、その地下に対しての事だったんですね」

久「そういうこと」

咲「じゃあ和ちゃんはそこに?」

久「そう、あの子こそがこの技術を蘇らせたデジタルの化身。でも咲、あなたはここで死ぬの・・・」


久「今日は良い日ね、龍門渕さんに加えて咲のようなサンプルを得られる機会が巡ってくるなんて」ギラリ

咲(!? 部長の右目が光った!? あ、あの色は)

咲「部長・・・その目」

久「綺麗でしょ? 私好きだったのよね、美穂子の青い右目」

咲「・・・加治木さん、福路さん、染谷先輩、みんな部長の事を慕っていた人ばかり・・・部長はそんな人たちに何をしたんですか!」

久「何をしたのか、なんて言わなくても解りそうなものじゃない? そういう情はとっくに捨ててるのよ」

咲「なんて・・・なんてことを・・・」

久「人は、上を知ってしまえば上りたくなるものなの・・・私はあの大会でそれを知った」

咲「・・・そんな、誰よりもあの大会を楽しんでいたのは部長だったのに」

久「そうね、でもそれはあなたのせいよ咲」

咲「!?」

久「永水、宮守、姫松との大将戦、あなたの見せた力は凄まじいものだった」

久「それでいて誰も死人を出さずに勝利する。神か悪魔か、そういう類の圧倒的な力を見せつけられた」

咲「・・・」

久「私はね、あなたに勝ちたいのよ咲。そうする事で無様だった自分を許すことができる」

咲「・・・それで、そんな理由で戦って・・・部長は楽しいんですか!?」

久「・・・しゃべりすぎたかしら」

久「もういいわ・・・理解してもらう必要はないもの」


ドス ドス

咲(ぐ・・・また、加治木さんの槍を降らせる能力と、染谷先輩のキンクリの合わせ技)

久「タネが解っても、かわせるものじゃないでしょう?」

咲「・・・カン!」

久「その嶺上とる必要なし!」

ドス ドス ドス

咲「う・・・」ザクザク

久「咲の動きは美穂子の目で手に取るように予測できる、だからこそ過程を飛ばすキンクリが生きる」

久「咲のカンはもう私には通用しない。もう何も怖くないって感じよね」

咲(く・・・確かに強い、長野の強者の戦い方の良いとこ取り)

咲(そして私の手の内も読み尽くしてる・・・部長は本気で私を・・・)

久「そろそろトドメいいかしら?」

咲「!?」

ペチョン ペチョン

久「!?」

咲(あれ? なんだこれ・・・ちくわが降ってきた?)

久「ゆみの槍がちくわに!? え、どういう事?」

一「・・・すり替えておいたのさ。今だけはまっすぐなボクを、曲げさせてもらうよ」

咲「国広さん!」

久「く、十字架に丁寧にぶっ刺してあげたのに、どうやって!」

一「手品師にタネを聞くのは無粋な事だよ」

純「流れ変わったな」

智紀「・・・ガッツポーズ国広くんUC」ボソッ

透華「一! ちょっと目立ち過ぎですわ! わたくしにも見せ場をよこしなさい!」アホゲビンビン

咲(龍門渕さん達もみんな無事だったんだ・・・良かった)

久「へえ、がん首そろえて再戦しきり直しってわけ?」ニヤリ


久「いいわね仲間がいるって、こっちは一人ぼっちで寂しいわー」ヘラヘラ

純「そんな余裕こいてていいのかい? こっちはオレ達と宮永入れて五人、どんな能力もってようが、この流れならもう勝負は決まったようなもんだぜ!」

透華「その通りですわ! この後には原村和との再戦が控えておりますの! この場はわたくし達のワンサイドゲームでいかせてもらいますわ!」

一「ボクにとっては大会で負けた借りもある、リベンジさせてもらうよ!」

智紀「・・・みんな、それフラグ」ボソッ

咲「あ・・・」

久「あはは、多勢に無勢ねえー・・・でーも」

久「多面待ちの相手に分の悪い単騎待ちで勝っちゃうのが私なのよねー」

咲(部長の悪待ち! 気が高まってる!)


ドドドドドドドドドドドドドドドドドド 


智紀「槍が・・・天井いっぱいに」ボソッ

透華「一! もう一度だけ許します! あの槍を全部すり替えなさい!」

一「一度にあんなたくさん無理だよ! ちくわの数が足りない!」

純「なんでちくわしか持ってねえんだよ・・・この流れまずいぜ」

咲(これは・・・守りきれない)


久「こればかりはキンクリなんてしてあげない。槍がかわいそうって言われるくらい、貴方達におもいっきり叩きつけてあげる!」カッコイイツモ


ドドドドドドドボムーン


純「」

智紀「」

一「」

透華「」









久「まあざっとこんなもんよね。治水状態ならまだしも、普段の状態なら龍門渕さんは怖くない」

咲「・・・部長」スクッ

久「やっぱり咲は立つわよねえ、プラマイゼロ・・・嫌味な力だわ」

久「ねえ咲、あなたと私では決定的に違うものがある・・・何かわかるかしら?」

咲「・・・なんですか?」

久「それはね、執念よ」

咲「執念?」

久「そう、相手を絶対に倒すという執念、絶対に負けたくないという執念、その執念が咲には足りない、だからプラマイゼロなんてナメプができる」

咲「・・・執念・・・では部長は、その執念で何を得たんですか?」

久「力と狡猾さよ。さすれば勝つ!」

咲「本当に・・・もう私の知る部長じゃないんですね・・・」

咲「だったら私は、その執念を殺します。もう、かつての仲間に宮永神拳を使う事に、なんのためらいも無い」ギュルギュル

久「!?」

久(何あれ、咲が腕に竜巻のように気を纏わせた・・・)

久(ハッ! これは・・・もしかしてチャンピオンの!?)


咲「・・・確かに、部長の言うとおり私には執念が足りないかもしれない」

咲「でも今は・・・前よりも負けられない理由が増えています」ギュルギュルバチバチバチ

咲(そう・・・私は負けてはいけない。宮永照から世紀末覇者を受け継いだ者として)

久「どんな技を使おうが、こうして一対一なら、美穂子の目の死角に逃れる事は出来ない!」

久「ゆみの槍とまこのキンクリでジワジワ追い詰めてあげるわ!」

パキーン パキーン パキーン

久「!?」

咲「宮永神拳の剛の拳は、全てを飲み込む激流・・・どんな頑強な武器も飲み込まれれば砕け散る」

咲「キンクリは、過程を飛ばすだけで結果は変える事が出来ない。その目でいかに注意深くみても、攻防一体のこの技には隙が無い」

久「嘘でしょ・・・ゆみの槍が・・・まこのキンクリが・・・美穂子の目が・・・」

咲「誰かを犠牲にしての紛いものの力なんて、そんなものです」

咲「心を通じ合わせた強敵(とも)の技ならば、iPSなんてものに頼らなくても使えるはず」

久(いや、それあんただけだから)

咲「そして部長、あなたの秘孔はもう既にツモってあります」ギュルンギュルン プシューーー

久「」


久「・・・そう・・・まこのキンクリは咲の中にも生きているのね・・・私の命、あとどれくらい?」

咲「一分です・・・それを過ぎれば終わり」

久「はは、懺悔の時間には短いわね、まあ今更いい子ぶるつもりもないけど」

咲「部長、最後に一つ聞いてもいいですか?」

久「・・・何?」

咲「もしも、あの大会を最後まで清澄が戦い抜けていたら、この結果は変わってましたか?」

久「・・・無理よ、あの時の私には和を止める事が出来なかった。そして他の誰にもね・・・」

久「こうなる事は避けられなかったわよ、きっと・・・」

咲「・・・」

久「清澄はもうないの・・・だから咲・・・私達の事はもう仲間だと思わなくていいのよ」

咲「そんなの・・・!」

久「じゃないと、和に会っても・・・あの時と同じか、更に悪い結果になるわ」

咲「・・・」

久「それでも行くのなら、祭壇の裏に地下への隠し階段がある・・・和はその先にいる・・・」

咲「はい」

久「ふう・・・もうそろそろ一分か・・・でもね咲・・・私は貴方の拳では死なない・・・」

ドス

咲(!? 今の感じ・・・キンクリ!)

久「さらばだ・・・」ガクッ

咲(部長・・・加治木さんの槍で自分の胸を貫いたのか)

咲(部長の目、右目の方だけから涙が出てる、これは誰が流した涙なんだろう・・・)

咲(iPS・・・そんなものに頼っても、誰も幸せになんてなれないよ。和ちゃんはどうしてこんなものを・・・)



竹井久――死亡

染谷まこ――ある意味一番のキンクリ犠牲者

井上純、沢村智紀、国広一、龍門渕透華――戦闘不能、有能な執事の治療を受ける

宮永咲――教会の地下へ



続きは明後日くらいにまとめて投下します

なるべくはキリのいいところまでまとめたい

――有珠山聖教会地下――



咲(地下なのに電灯がついてて上よりも明るい・・・下に発電施設が残っているのかな)

咲(核戦争時代に作られたシェルターには、そういうものもあるって聞いたことがある)

咲(でも通路は入り組んでて広いし、これは迷わないで進むのは不可能に近いよ)

咲(というか既に、入ってきた方向すらも解らない・・・)

咲「ココどこ・・・」プルプル

スタスタスタ

咲(あ、誰か来る。道を聞いてみようかな? あ、でも出会いがしらにニワカニワカ言って来たり、抜刀したり、噛みついてきたりする人も世の中にはいるから、ちょっと様子を見よう)コソコソ

スタスタスタ

舞「はあ、見回りとかめんどくせえなあ」

葉子「そうっすね。昨日は一晩中カラオケしたから眠たいし」

恵「あたしゃいつも通り見回って隊長に託しますよ」

舞「まあ性帝からの命令なら仕方ないけどな」

葉子「でたよ先輩の急な原村びいきが・・・」

恵「げっひw」

咲(あれは千曲東と今宮女子の人・・・良かった、本編のモブなら阿知賀のモブと違って無害そう。ちょっと道を聞いてみよう)


咲「あのすいません・・・」ザッ

舞「ん、誰だ? ってこいつは!」キョウガク

葉子「み、宮永・・・」カタカタ

恵「さ、咲だー! 咲が出たぞー!!!」リョ、リョフダー

咲「」

咲(そんな最強の武将に出くわした、みたいな反応しなくても・・・)

咲(でもこれくらいは想定の内だよ。私がコモンセンス顔で咲さんかわいいアピールすれば、全て丸く収まるはず)

咲「大丈夫だよ、怖くないよ?」コモンセンスダヨー

舞「ぜ、絶対に目を合わせるな! 石になるぞ!」

葉子「奴の目からは、ビームも出て全てを焼き尽くすって聞いた事もあります!」

恵「・・・ブクブク(白目)」ジョバー

咲「」

舞「逃げるぞ、こうなったら隊長を呼ぶしかねえ!」スタタ

葉子「はい!」スタタ

恵「う、うううううううう・・・」スタタ

咲(道を聞きたいだけなのに・・・でも、上の人呼んでくれるなら話もしやすいかな?)



キュルキュル

咲「!?」

咲(なんだろう、正面から車輪の回るような音が・・・)

咲(あれ? でも近づいてくる気配、この気は知ってる・・・これは・・・)

優希「・・・」キュラキュラ

咲「優希ちゃん!」


咲(ん? でも何かおかしい・・・昔よりシルエットの四角っぽさが増してるし、何より足にキャタピラがついてる)

メカ優希「オウ、サキチャン! ヒサシブリダJE」ピーガー

咲(ロボだこれーーー!!)

咲(か、完全にロボだよ、目がライトになってるし、手とかはU字の磁石みたいだし・・・でも感じる気だけは、優希ちゃんのものだ・・・)

咲「ゆ、優希ちゃんなの?」

メカ優希「ソウダJE、言ワズト知レタ片岡優希ダ! 見違エタカ?」

咲「う、うん・・・」

咲(どうしてこうなった。確かに昔、タコスが切れると人の姿を保てなくなるって言ってたけどさ・・・)

咲「さっき逃げてった人達が、隊長がどうとか言ってたけど・・・あれって優希ちゃんの事?」

メカ優希「ソウダJO、私ハココノ警備隊長ヲ務メテイルンダJE」ピピ

咲「そうなんだ。じゃあもしかして、侵入者の私を排除するの?」

メカ優希「サキチャンハ友達ダJE、ソンナコトスルワケナイJO」ピガー

メカ優希「道ニ迷ッテルダロウカラ、案内シニ来テアゲタンダJE」

咲「優希ちゃん・・・」ウルウル

咲(ロボットになってもなんて良い子なんだろう・・・鬼畜外道が跋扈するこの世界でも、ここに希望があったんだね)

メカ優希「ノドチャンガ奥デ待ッテルJE。サア行クJO」キュラキュラ

咲「うん、ありがとう優希ちゃん」スタスタ


――有珠山聖教会地下・最深部――


メカ優希「・・・着イタJE、ココガ一番奥ノ場所ダ。コノ先ニ、ノドチャンガ居ルJE」

咲「そう、ここに和ちゃんが・・・」

メカ優希「私ガ連レテ来レルノハココマデ、コノ先ヘノ立チ入リハ許サレテナイJE。ココデオ別レダ、サキチャン」

咲「立ち入りを許されてない? 友達の優希ちゃんも入れずに、和ちゃんはここで何をしてるの?」

メカ優希「ソノ質問ヘノ回答ハ禁則事項ダJO。知リタケレバ、ノドチャンニ聞クトイイJE」

咲「・・・そっか。でも、ごめん、まだ聞かせて」

咲「優希ちゃんをロボットにしたのって、和ちゃんなの?」

メカ優希「・・・ソウダJE」

咲「どうして? どうして和ちゃんはそんな事を?」

メカ優希「サキチャン・・・・・・サヨウナラ」キュラキュラ

咲「あ・・・」

咲(優希ちゃん、戻って行っちゃった・・・)

咲(・・・行こう。和ちゃんに会おう)


――有珠山聖教会地下・最深部の研究施設――


咲(なに、ここ)

咲(大きな円柱状の水槽がいっぱい並んでる・・・)

咲(中にはマフラーや着物、カツ丼が浮いてる水槽もある・・・あ! あれは)

咲「この水槽に入ってる眼鏡、染谷先輩の眼鏡?」

和「そうですよ」

咲「!?」

和「それらの水槽は能力の源になる物から、力を抽出する装置です」

咲「和ちゃん!」

和「咲さん・・・来てしまったんですね」

咲「和ちゃんは何を・・・こんな場所で何をやってるの? 優希ちゃんや部長を魔改造して、何が目的なの?」

和「目的?」

咲「そうだよ、私の前からいなくなって・・・ずっと何をしていたの」

和「ずっと咲さんの事を考えていました」

咲「!?」

和「朝も昼も夜も、食事の時も、お風呂の時も、トイレの時も、自慰行為のオカズもすべて咲さんです」

咲「い、いやそういう事を、聞いているのではなくてですね・・・」

和「咲さんの事が知りたくて、咲さんの事を理解したくて、咲さんの全てを手に入れたくて、ああ咲さん咲さん咲さん・・・」

咲(ひええ・・・)

咲(お、落ち着くんだ私・・・大丈夫、まずは一つ一つ、聞いてみよう)


咲「あの、さっき和ちゃんは能力って言葉を使ったよね? それって以前は否定していたオカルトめいた力の事だよね?」

和「ええ、そうですね。以前の私が言っていたSOAはあまりにも有名」

和「ですが、今の私には否定する理由がありません」

咲「どうして?」

和「iPSのちょっとした応用によって、抽出や生成や移植ができるようになりました。そうなれば能力はもはや、オカルトではなく科学」

和「今の私にはどんなオカルトめいた事でも、科学的にあり得る事なのです」

咲「この水槽の数・・・そこまで至るのにいったい何人の命を犠牲にしたの?」

和「咲さんは今までにしたカンの数を憶えているのですか?」

咲「!?」

和「そういうことです。私にとって咲さん以外の事は眼中にありません、能力について研究したのも、全ては咲さんの力を理解するため」

咲「う・・・じゃあ部長に染谷先輩達の能力を移植させたのは?」

和「咲さんのような能力者に、私がなるためのただの実験体ですよ。私自身が能力者になる事で、真に理解したという事になるのですから」

咲「・・・じゃあ優希ちゃんをロボットにしたのは何で?」

和「ロボットになれば、永久的に咲さんを愛でられるかもと思ったからです。でもあれは失敗でしたね、ロボでは性的なあれやこれやが、出来なくなりますので」

咲「あの時、京ちゃんを殺したのは?」

和「愛してる人に害虫が寄ってくれば、処分するのが普通ですよね」

咲「なんで! 大切な人や友達を、何でそんな風にできるの!?」

和「愛ゆえに・・・」

咲「!?」


和「ずっと言ってるじゃないですか、咲さんの事が好きだって、愛してるって、咲さんは鈍感とか難聴系の主人公なんですか?」

咲「そ、そんなの愛じゃないよ。誰かを犠牲にしての愛なんて、誰も認めないよ・・・」

和「私にとっては犠牲こそが愛、咲さんの為に犠牲を積み重ねてきた事は、むしろ誇りです」コウコツノヤンデレポーズ

咲「き、気が狂ってる(いろんな意味で)」

和「なんで咲さんはここに来たんですか? てっきり私の愛を受け止めてくれる決心が出来たからだと思ったんですけど・・・」

咲「・・・私にとって和ちゃんは、一番大切な友達だった。好きだったよ、ずっと」

和「私が欲しいのはライクではなくラブなんです。それに言い方が過去形になってますよ?」

咲「うん、甘かったよ。もしかしたら拳によって強敵(とも)として通じ合えば、また友達に戻れるかもしれないって期待もあったけど・・・もう、無理なんだね」ゴゴゴゴゴゴゴ

和「ふふ、感じる・・・感じられますよ・・・咲さんの気が」

咲「和ちゃん、あなたをゴッ倒す!」ゴウッ




ビュー ビュー ビュー

咲(!?)

咲(なにこれ・・・気の流れがおかしい?)

和「こうなると思ってましたよ咲さん」

和「貴方に会えば戦う事になると・・・だから私は会わないようにしてきたのに」

ビュウーーーーーーーーーーーー

咲(気が、和ちゃんの方に集まっていく・・・)

和「こうなっては仕方ありません、貴方を倒してその後の事はそれから考えましょう」ペロリ

咲「」ゾクッ

和「私の中にはiPSによって、優秀な能力が移植されています」

和「本来は、咲さんに想われているという憎き宮永照を相手取る時の為、選び抜いた能力ですが」

和「それこそが性帝・原村和の四つの力・・・その名も風林火山!」

咲「風林火山?」

和「そう、そしてこれが風林火山の『風』――風神・雀明華(チェーミョンファ)の支配」


ビュウウウウウウウウウウウウウーーーーーーーー


咲(周囲の気が全て和ちゃんに集まった!? 私が纏おうとした気も全て流れていく・・・)

咲(これが風神・・・気の流れを操る支配)

和「ああ、咲さんの気が私の中に・・・高揚します・・・・意味もなく歌い出したいほどに」


和「でもまだ序の口ですよ咲さん、風林火山の『林』――ここからはステルス和の独壇場ですから」


フッ


咲(和ちゃんの気配が消えた!? これは、東横さんのステルス!?)

咲(あれほど膨大に集まった気が、全く感じられない、林の中に潜むように姿も全く見えない。どこ・・・どこに消えたの?)


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


和「この能力の組み合わせ、なかなかのなかなかでしょう?」

咲(後ろ!?)

和「風林火山の『火』は――阿知賀のドラゴンロード・松実玄の火力、ドラァ!」ドラバクッ

ボボボボボボボボ

咲「ぐ、ぐわー!」アツイ

咲(な、なんて火力、一瞬で焼き鳥になりそう・・・でも、東横さんのステルスは、攻撃の瞬間には発動しない!)

咲(これを逃しちゃだめだ!)

咲「か・・・カン!!!」


ガキーーーーーーン


咲「!?」

咲(な、なに? 何かの力に阻まれるように、和ちゃんの嶺上秘孔がツモれない!?)

和「残念ですが咲さん・・・そこはもう貴方の秘孔(テリトリー)ではありません」

和「風林火山の『山』――深山幽谷の化身・高鴨穏乃の守護」ザオウゴンゲン

咲(なんて守備・・・これじゃいくらカンしても、秘孔の奥の深いところには決して触れられない)

和「どうです咲さん、これが愛の成した力です」


咲(・・・愛がどうとかはともかく、この組み合わせは凶悪だよ)

咲(宮永神拳の柔の拳は山の力で阻まれる・・・お姉ちゃんの剛の拳も、腕に纏う気が全て風神の支配で持っていかれるから使えない)

咲(それならお姉ちゃんと戦った時のように、この場の気自体を消してしまえばと思ったけど・・・東横さんのステルスは、気とかそういうものを超越してるものだし)

咲(そしてあの火力・・・お姉ちゃんと戦う為に選んだ能力と、言うだけはある。隙は大きいけど、ステルスとこの守備があれば、先に沈むのは間違いなく私の方)

咲(風林火山、恐るべし!)

和「どうです咲さん、さすがの私も愛する人を痛めつけるのは心苦しい・・・ここまでにしませんか?」

咲「・・・ここまでにしたとして、和ちゃんはまた、色々なものを犠牲にしていく気なんだよね?」

和「そうですね、咲さんに振り向いてもらうために、まだまだ色々な計画を練ってあります」

和「いっそのこと、この世界の全ての人間を殺しつくしてしまえば、咲さんが私の愛を受け入れてくれる・・・なんて思っていたり」

咲「!?」

和「そうなれば新世界のアダムとイヴですね。iPSを使えば同性の間でも子供ができますし、クローンだって作れますので、きっと二人でもさびくないですよ」ニコッ

咲「あ、悪魔・・・」

和「悪魔? いいえ、咲さんの嫁です」

咲「嫁さん違います!!」ゼンリョクヒテイ


咲(・・・和ちゃんは本当にもうダメだ。百合やガチレズの域じゃないよ、クレイジーサイコレズの領域までいってしまってる)

咲「・・・和ちゃん、本当に何も感じないの? 色んな人を犠牲にしたことを、阿知賀の人達は幼馴染だったはずなのに、清澄の皆は仲間だったのに・・・」

咲「本当の本当に、何も感じてないの?」

和「ふふ、感じていますよ、いくらデジタルに徹しても感情は消せない。失うのはとても悲しい」

和「ただ・・・咲さんへの愛がその全てに勝るというだけ!」

咲「」

咲「そう、哀しいね和ちゃん。私達・・・互いが互いを思いあってるのに、全然違う方を見てる」

和「咲さん?」

咲「友だと思ってたのに、強敵(とも)だと思っていたのに・・・私には和ちゃんの心が見えない」

和「? ・・・心が見えるとか見えないとか、そんなオカルトありえません」

咲「見えていたよ、清澄にいた時は。でも、これは私のせいなんだね・・・私のせいで和ちゃんが狂ってしまったんだね・・・」

咲「私のせいで一番大切な人が狂ってしまった。私はそれがとても哀しいよ・・・」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


和「!?」


咲(哀しい、こんな気持ちで戦うのは初めてだよ・・・楽しいと思う気持ちも、心を殺す宮永の力すら超えて、ただ哀しいだけ・・・)

咲「でも、解ったよ・・・どんな哀しみを背負ったとしても、これは私が、今この場で絶対に、やり遂げなければいけない事だって」ゴウッ

和(咲さんの雰囲気が変わった? 気の流れも大きな力の波動も感じないのに、どういう事でしょう?)

咲「和ちゃんが愛ゆえに狂ってしまったのなら、その愛を殺すのが私の役目」ゴゴゴゴゴゴ

和「う、ステルス・・・」


フッ


和(咲さんに何か変化あったとしても、ステルス和を破る事は不可能のはず!)

咲「・・・そこだね」ガッ

和(つかまれた!? どうして、見えているんですか!? でも、だったらドラゴンロードの火力で引きはがせば!)

和「ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラァ!!」ドラバクッ


スカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカスカ


咲「無駄だよ」

和「ど、どうしてです、攻撃が全部すり抜ける・・・そんなオカルトありえません!」

咲「・・・教えてあげるよ和ちゃん」

咲「この世で最強のものは『無』――その無より転じて牌を拾う」

和「無より転じて・・・牌を拾う?」

咲「そう、それが・・・」



                   -=ニ二ニ          ニ二二二二二二二
                 二二二二  二二        二二ニ  ニ二二二

                     ニ二二二   ニ二  ニ二二ニ           ニ二二
                 ̄    ____       ̄ニ二二ニ  ニニ       二二
             ニ二ニ   ニ二二二二二ニ     二二ニ ニニ      二二
              ニ二         ┐  ̄ニ二二二二ニ=  ニ二 二ニ     二二
                    /::::/       ̄ニ二二二ニ  ニ   ニ    ニ二二
               /  /::::::::/...-―≠ニア{    ̄ニ二ニ  ニ二ニ     ニ二
                   /{ /::::::::::::::::::::::::::::::::-=<.. 二ニ  二ニ ニニニ ニ   ニ二
             二{::∨::::::::::::::::::::::::::::::::::-=く:::::\二ニ ニ二  二二二二  二ニニ
               二二〉::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\⌒    ニ   ニ二二ニ  二ニニ=
               二/:/:::::::::::::::::::::::::::\::::::::::::::::::\二ニ ニ   二二ニ   ニニ=
               /:::/::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.⌒丶ニ __二二二二ニ   ニ=
           ⌒i::|:::|:::::|::|:::::::::|:::|::::::::|::::::::: |::::::|乂__ /: :.:|二二ニニ   =
ニ             ニ二|::|:::|:::l:|::|::::l:l::|:::|::::::l:|::::l:::: |:l::l:| ̄/: : : : |二二ニニ     ニ
二.            二|::|:::|:::l:|::l::::l:l::|:::l\从:::l:::: |:l::l:l/: : : : : :/二二ニ  二二二
ニニ            二|从:|::从八从乂{´廴}乂::::从劜: : : : : :./二二二二二ニ 二ニ=-
 ニニ.          二二)イ::圦     ,     ∧/----: : :__:_/二二二二二ニ  二二ニ=
   二ニ= =ニ二 ニ=  二}//> . - . イ:::::: : : : :/´ ̄∨ ̄ ̄\二ニニ    二二ニニ
=ニ二二ニ  二二二 ___∠{: : : : : :| ̄ _」::: : : : :./    l|     | |__     二二二ニ
  ニニニ   ニニニ //   ∧: : : : :.ー―.:: : : :/} ___ }   リ リ    =ニ二二二ニニ
   二ニ=  =ニニニ ノノ   \{ {\: : : :.  .: : :/ニ/ l/ ̄\__彡'--  、  \ニニニ=
=ニ二二ニ 二二 { {      ̄ハニ、:_:_,:.//ニニ/   |ニニニニニニニニニニニ二\   \ニニニ
二ニ  ニ二 二=/\   ___/二|`ー ‐┼┼≦___} -=ニ三三三三ニ=-  \   \二
ニニ   二二ニ/   / ̄ ̄ 二八   ,{三三三三三三三≫  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`   \
ニニ  二  ´   /二ニ  =ニ二二}    \三ニ=- ̄{ ̄ ̄    =ニ二二ニ==   \
ニニ:/   /  二ニ ニニニニ|     \三三三ニ=- __    -=ニ二二二ニ
二/    /二ニ= =二 二二ニ _|     /≧=====┬=ニ三三三ニ=- ニニニニニニニ
. /   =ニニ二二  二二二ニニ/ {廴___/´  / ̄ ‘,     ___ .... . -――-
/ /ニニニ二二二二____. .: ::|  \     ___/  --- ‘,  /: : : : : : : :./::}:_:_:_/::
,/ニニニ:/ ̄ ̄/: : : : : /: : :人    ̄ ̄   /: :|: :\: : ̄: : : : : : : : : :/::/: : /


咲「宮永神拳の究極奥義『無想転牌』」




咲「宮永神拳の長い歴史の中でも、この奥義を体得したものはいなかった」

咲「でも今、その理由が私には解ったよ・・・この奥義の体得に必要なものは、深い哀しみ」

咲「心を殺す宮永の力を超えるほど、深い哀しみを背負って戦う者だけが至れる境地だったんだ・・・」

和「無・・・そんな不確かなものが、風林火山を超える? あ、ありえません!」

咲「夢想にて姿なき敵も捉える事ができる、そしてこの拳もまた無・・・回避も防御も無効となる」

咲「和ちゃん覚悟はいい? 私は出来てる」ゴゴゴゴゴゴオオオオオオ

和「こ、この性帝原村 退きません! 媚びます! 省みません!」

咲「・・・ツモ、嶺上開花」

和「がはっ・・・」ビチャドバアーー


和「う・・・げほ・・・げふ」チヘドビチャビチャ

咲「・・・確実だね和ちゃん、もう終わりだよ」

咲「和ちゃんの命も、私達の関係も」

和「咲さん、私は・・・貴方は・・・私の・・・・・・・・・」ガクッ

咲「・・・」





原村和――死亡




咲(哀しいよ、解りあえなくて・・・でも、本当にこれで終わったんだね、和ちゃん)

和「どうしたんですか咲さん、そんなに哀しそうな顔をして?」

咲「!?」

咲「和ちゃん!? ・・・どうして? じゃあこっちに倒れている和ちゃんはいったい誰?」

和「それも私です・・・今しがた咲さんが倒した彼女は三人目の原村和です、そして私は四人目の原村和」

咲「三人目? 四人目? ・・・そうか、クローン!」

和「そうです、この施設はいわゆる和シリーズの製造実験も行っておりました」

咲(なにそれこわい)

和「一人目は無謀にも無策で宮永照に挑んで倒され、二人目は小鍛冶健夜の死体から抽出した能力を移植したせいで、その絶望の力の強大さに呑まれて死にました」

和「三人目の彼女は、使用可能な能力の中で最高のものを集めたハイエンドタイプだったんですが、それすら凌駕してしまうとは・・・流石は私の咲さんです」

咲「私のとかもういいよ・・・それで、私はあと何人和ちゃんを倒せばいいの? この哀しみはいつ終わるの?」

和「残っている和シリーズはおよそ二万体です」

咲「!?」

和「三人目が言っていましたでしょう? 世界を滅ぼして新世界のアダムとイヴになるって・・・二万体でもまだ戦力としては少ないですよ」

咲「そう・・・解った、なら二万でも二億でもかかってきなよ。私の方はもう戦い抜く覚悟はできてる」ゴゴゴゴゴゴゴ

咲(どんな哀しみを背負うとしても、ここで終わらせるって決めたから)


和「いいえ、そんな無謀はもうおかしません・・・今の咲さんを相手にしたら、二万の私がちぎっては投げ、ちぎっては投げされる光景が、簡単に目に浮かびますから」

咲「・・・でも和ちゃん、貴方の目はまだ何かあるって言いたげだよ」

和「解ります? そうです、まだ私には奥の手がある・・・iPSの禁断の領域が」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


咲「!? 何・・・この下から何か、大きな気が膨れ上がってる!?」

和「気付きましたか? でもまだまだ大きくなりますよ・・・」フフッ

咲「何? これは何なの和ちゃん!」

和「iPSの禁断の領域、それはiPS融合・・・」デデーン

咲「」

和「すでに二万体の和シリーズは融合して一つになりました」

和「更に和シリーズは意識も共有しています、それはもちろんここに居るこの私も、そして今しがた死んでしまった三人目の意識もです・・・これはiPSではなくWi-Fiのちょっとした応用ですが」ジゲンレンケツ

和「つまり融合した和は、死んだ三人目の原村和の憎悪を引き継いでいるわけですね」

咲「憎悪・・・それは、私に対しての?」

和「違います、私達の憎悪は咲さんに対してではなく・・・愛という感情そのものへの憎悪」

咲「え?」

和「愛という感情があるから、それが届かない事が苦しい、悲しい・・・」

和「こんなに苦しいのなら、悲しいのなら、愛などいらぬ!」

咲「!?」

和「・・・ですが私には愛を捨てる事ができない・・・愛深きゆえに・・・だからもう憎むしかないんですよ」

和「愛を・・・そしてこの世界を」




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


グラグラ ガタガタ


咲「この地揺れ・・・」

和「もうすぐここは崩れるでしょう、融合した和は元々の質量もさることながら、憎悪のオーラ力によってハイパー化する」

和「逃げるなら早い方がいいでしょう・・・もっとも、この地球に逃げ場などがあればですが」

咲「え? それは、どういう・・・」


メキメキ ガラガラ


和「本当に、もうここも限界・・・さあ優希! 早く咲さんを!」パチンッ

メカ優希「サキチャン!」ピガー

咲「え、優希ちゃん?」

メカ優希「コッチニ地上ヘノ直通エレベーターガアルJE! 早ク乗ルンダ!」

咲「で、でも・・・」

和「私の事は気にせずにどうぞ、貴方へこの事を伝えるのが私の最期の役目でした・・・」

和「もうすぐ私も他の和と融合します・・・さあ、私にまともな自我が残っている内に、早く消えてください」

咲「和ちゃん・・・」

メカ優希「サキチャン! 早クスルJE!」キュラキュラ

咲「・・・解った」スタタ

和「・・・」

ゴゴゴーン




有珠山聖教会――地下の実験施設を含め、全て崩壊

原村和――二万体のクローンがiPSにより融合、そして更に憎悪によって巨大化する

宮永咲――メカ優希によって地上に連れ出される



実はここからラストに向けての展開だけは自分としてはちょっとだけ自信があります

なので淫ピに心を折られた方も、もう少しだけなんでも許せる心でお付き合い下されませ


自信があると言ったな、あれは嘘だ

――崩壊した有珠山聖教会付近――



咲「ケホケホ・・・すごい土煙」

咲(教会の地下が崩れさってしまったけど、和ちゃんはどこへ行ったの?)

咲(エレベーターから地上に出て、その後すぐに大きな気が上ってくる気配を、感じたんだけど・・・)

メカ優希「サ、サキチャン・・・アレヲ見ルJE!」

咲「え? あれって・・・うそ」


iPSによって融合し巨大化した和は、もはや地球に収まりきれるものではなくなっていた

その姿は空の上から地上を見下ろす神そのもの



――宇宙――


和(ああ、憎い・・・この世界の全てが憎い・・・)

和(どうして私の愛が届かない・・・)

和(これほどの純粋な気持ちを踏みにじれる世界、神、許せない!)

和(・・・だから私は神になる)

和(神として憎悪すべきものを駆逐し、改変し、創造する)

和(さあ目覚めなさい和・・・人を超え、魔物を超え、いでよiPS)

和(・・・おはようのどっち)

和(いえ・・・超銀河のどっち!)


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 / ゙、_,,,,,--―""",,,--〈  <___/ // /   /        \/.| \       ゙、   ゙、|\-―‐‐'´ \ ソ  /
φ   ,,,,--‐‐"" ̄     \_,,,,..// /   /|┐           |   \       ゙、.   |  ゙、       ̄ ̄
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.                     ゙、|   ゙、 \)_            l           (|   |
                           ゙、  \)_        人          _(/   /
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                                  ̄ ̄゛゛        ̄`ー -  -





――地上・崩壊した有珠山聖教会――


咲「融合した和ちゃん大きすぎるよ・・・しかも宇宙に行くなんて・・・あれじゃ私の拳は届かない・・・」

咲(そして感じるこの気は・・・和ちゃんは地球を消そうとしてる)

咲(正気の沙汰じゃない、でも止めたいのに・・・世紀末の技術では宇宙にいく事なんてできない・・・どうすれば)

メカ優希「サキチャン、サキチャン」

咲「優希ちゃん?」

メカ優希「モシモ覚悟ガアルノナラ、私ガサキチャンヲ宇宙マデ連レテ行クJE」

咲「え、それ本当!?」

メカ優希「アア、私ニハ大気圏突破機能ガ、搭載サレテイルJE。東場ノ支配ト合ワセレバ、宇宙マデヒトッ飛ビダJO」ピガー

咲「覚悟ならできてる、早く行って和ちゃんを止めないと・・・取り返しのつかない事になる前に」

メカ優希「ソウカ・・・デモ言イ難インダケド・・・飛ブ為ノエネルギーガ足リナインダJO」

咲「エネルギー? ってもしかしてそれって・・・」

メカ優希「・・・タコス」

咲(ですよねー)


咲「タコスか・・・簡単に手に入る物じゃないね」

ハギヨシ「タコスならばここに」サッ

咲「!?」ビクッ

咲(萩原さん!? いつの間にまた背後に?)

メカ優希「オオ! ソレハマサシクタコスダJE! 貰ッテイイノカ?」

ハギヨシ「どうぞお召し上がりください、こんな事もあろうかと用意していたものですから」

咲(どんな事を想定していたんだろう?)

ハギヨシ「ではお嬢様の所に戻らねばなりませんので・・・しからば御免」スウッ

咲(そして消えた・・・執事っていうより忍者だよもう)

メカ優希「デハサッソク補給スルJE・・・ムシャムシャ・・・ムッコレハ!」ピカーーン

咲「ど、どうしたの?」

メカ優希「・・・懐カシイ味ガスルJE・・・犬ノ・・・京太郎ノ作ッタヤツト似テイル」

咲「京ちゃんの?」

咲(そうか・・・京ちゃんにタコスの作り方教えてくれた人って、萩原さんの事だったんだ)

咲「・・・もしかしたら、京ちゃんも行けって言ってるのかもね。私達に、和ちゃんの所へ早く行けって、尻を叩いているのかも」

メカ優希「フ、フン! 死ンデシマッテマデセクハラトハ、本当ニ駄目ナ犬ダJEアイツハ・・・グスン」

咲「優希ちゃん・・・泣いてるの?」

メカ優希「ち、違うじょ! これはオイルでアイセンサーがかすんで・・・」

咲「あ、優希ちゃん、言葉がクリアになったよ」

メカ優希「おう、タコスぢからがみなぎってるじぇ! さあ行こう咲ちゃん!」

咲「うん! 急ごう優希ちゃん!」



ボボボボボボゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ




宮永咲――メカ優希に乗って宇宙へ


――宇宙・衛星軌道上――



咲(とうとう宇宙まで来てしまった・・・)

咲(思ってた通り、大星さんの支配と同じで、気を体に張っておけば活動は問題なさそうだ)

咲「優希ちゃん大丈夫? エネルギーは足りそう?」

メカ優希「おう、今の私には南浦プログラムもインストールされているから、帰りまでばっちりだじぇ」ボオーーーーーーー

咲「そう・・・でももう十分だよ、ありがとうここまで連れて来てくれて」

メカ優希「え?」

咲「ここからは私だけで行くよ、気を操れば動けるし一人でも大丈夫」

メカ優希「な、何をいうじぇ、私ものどちゃんを止める為にここまで来たんだ! 一人だけ帰るなんて嫌だじぇ!」

咲「いや、優希ちゃんは戦えないよ、そうでしょ?」

メカ優希「・・・」

咲「優しいよ優希ちゃんは、本当に・・・今だって和ちゃんを心配する気持ちが伝わってくるもん・・・本当に泣けてくるくらい友達思いだよ」

メカ優希「咲ちゃん・・・」

咲「でもその気持ちはきっと和ちゃんには届かない、だからこの先に行くのは私だけでいい」

咲「お願い優希ちゃん、私はもう大切な人を失いたくないんだよ」

メカ優希「咲ちゃん・・・分かったじょ」

メカ優希「でも、終わったら迎えに来るからその時は・・・」


ピピピ




咲(!? 大きな気の気配!? どこから!?)

メカ優希「熱源感知・・・咲ちゃん! 私から離れるじぇ!」ドンッ

咲「え?」


ポーヒー ボムーン


咲「え・・・うそ・・・優希・・・ちゃん?」

咲(大きな気の流れが、優希ちゃんを飲み込んだ・・・)

メカ優希「サキチャン・・・ノドチャン・・・・・・」ジジバチバチ

咲「優希ちゃん!!」

メカ優希「二人トモ・・・・・・トモダチ」ジジプスプスン

咲「優希ちゃん! 優希ちゃーーーーーーーん!!!」


ボバーーーーン



メカ優希――完全破壊




超銀河のどっち「私の咲さんが誰かとイチャついてると思ったら、相手は優希でしたか」

超銀河のどっち「咲タコなんてマイナーカプすぎて盲点でしたが、早めにその芽を摘み取れて何よりです」

咲「・・・和ちゃん、その姿は」

咲(近くで見るとより巨大さが分かる・・・もうアリとゾウどころの話じゃない、一つの星を目にしている感覚だ)

超銀河のどっち「ええ、これがiPSによって融合した私の新しい姿です、どうです? 欲情しますか?」

咲「しないよ・・・それよりそんな姿になり果ててまで、和ちゃんは何がしたいの?」

咲「感じるんだよ、和ちゃんの憎しみが・・・その憎しみで何をする気なの? ・・・これ以上、私から何を奪う気なの!!」

超銀河のどっち「・・・怒らないでください咲さん、私は何も奪う気などありません。むしろ私は、創る為にこの姿になったのですから」

咲「は?」

超銀河のどっち「私の中にあるiPS細胞は、次の段階に進化しました・・・」

超銀河のどっち「もはやこの世の全てと一体になり得る究極の万能細胞へと」

咲「・・・この世の全て?」

超銀河のどっち「はい、そして私が次に融合するのはこの地球です・・・」

咲「!?」


超銀河のどっち「地球と融合し一から作り直します、この星の全てを」

咲「そんな・・・そんな事をして地球にいる人達はどうなるの!?」

超銀河のどっち「一からと言いましたよ? 今いる全ての生物はリセットします」

超銀河のどっち「平たく言えば、一度全て無に帰して作り変えるという事です」

咲「なんで・・・そんな恐ろしい発想ができるの・・・」

超銀河のどっち「恐ろしい? 果たしてそうでしょうか?」

超銀河のどっち「もうあの星には希望なんてないですよね? 核戦争で荒廃した荒野が広がり、人の住める限られた場所は争いの場となっているだけ」

咲「・・・!」

超銀河のどっち「咲さんにとってもそうでしょう? あそこにはもう清澄はない、お姉さんもいないんです・・・あそこに咲さんの居場所はあるんですか?」

咲「奪ったのは誰!」

超銀河のどっち「私ですね・・・でもその私を生んだのはあの星なんですよ?」

咲「!?」


超銀河のどっち「極論ですが、私がここまでの存在に至ってしまったのは、あの星に原因があるんです。あの星に揃っていたものが、私をここまでの存在にしてしまったのですから」

咲「だから作り変えるって・・・そんな理屈、やっぱりおかしいよ!」

超銀河のどっち「おかしいでしょうね・・・だから新しい世界では、こんなクレイジーサイコレズの生まれない世界にします」

超銀河のどっち「地球には緑がよみがえり、モヒカンも池田ァもいない・・・人は殺し合う事もない」

超銀河のどっち「そうですね、麻雀とかで一喜一憂するような平和な世界がいいでしょう。それにちょっとした百合成分を足せば、誰も哀しみも憎しみも背負わずにすみます」

咲「・・・う」

超銀河のどっち「間違っていたんですよ最初から、この世界は・・・」

超銀河のどっち「ちょうどいい・・・まずは咲さんから融合しましょう。そうすればiPSを理解して、ともに素晴らしい世界を作っていけるはずです」

咲(!? 和ちゃんの手が迫ってる! 駄目だ、巨大すぎて逃げ場がない・・・)

超銀河のどっち「咲さん・・・」ガッ

咲「は、離して!」

超銀河のどっち「迷っているんですね・・・だから無想転牌が使えない」

咲「ち、違うよ! 私は迷っていない!」

超銀河のどっち「どうなんです? 本当に今のこの世界に価値があるんですか? 仲間も家族もいないこの世界に」

咲(仲間・・・家族・・・清澄・・・照お姉ちゃん・・・)

超銀河のどっち「みんな作り直しましょう・・・咲さんの仲間も家族も」

咲(みんな・・・・・・作り直す・・・お姉ちゃん・・・優希ちゃん・・・部長・・・染谷先輩・・・京ちゃん・・・)

超銀河のどっち「そして私も生まれ変わります、咲さんの友達として」

咲(・・・和ちゃん)





宮永咲――超銀河のどっちと融合する


――緑あふれる高原――



咲(ん? ここはどこ?)

咲(確か私・・・宇宙に行って、それで・・・)

咲(そうだ、和ちゃんと融合したんだ・・・)

咲(でもここはどこ? 草木も茂って、花も咲いてる、遠くには山も見える・・・こんな場所、世紀末世界にあるはずないけど・・・)

照「咲・・・」

咲「!?」

咲「お姉ちゃん!? なんで? ここはどこなの? 夢? 幻?」

照「落ち着け咲・・・ここは咲の心の中だ」

咲「私の心?」

照「そうだ、私は死んで肉体を失ったが・・・でもそのおかげで、こうして精神で対話ができる」

咲「・・・そうなんだ。嬉しい、たとえどんな形でもお姉ちゃんが私に会いに来てくれて」

照「そうか・・・でも私はこんな形で会いたくなかった」ギュルギュル

咲「え?」

照「・・・ロン」ボゴオ

咲「ばはっ!?」ドサ

咲「な、何するのお姉ちゃん、痛いよ」

照「咲・・・なぜ戦わない?」

咲「・・・戦うって、誰と?」

照「原村和とだ・・・なぜ奴と戦わない、どうして諦めてしまったんだ?」

咲「だって・・・私には無理だよ。和ちゃんの語った世界には、私が求めてる全てがあるんだもん」

咲「お姉ちゃんも、清澄も・・・私が失った大事なものが全部」


照「じゃあ咲は、それが無い今の世界は・・・価値が無いと思うのか?」

咲「・・・私はお姉ちゃんみたいに、一人でどこまでも行ける強い人間じゃないから」

咲「清澄があったから踏み出せて、お姉ちゃんがいたから追い付こうとして・・・でもそれが無いと、私やっぱりダメみたい・・・」

照「咲・・・」

咲「戦えないよ・・・力も心も、全然たりないし。和ちゃんに立ち向かう理由も無くなっちゃった・・・」

照「本当にそうか?」

咲「え?」

照「私が咲に見せてもらった拳は、そんな事で立ち止まるものじゃなかった」

照「そして・・・聞こえないか? 咲を呼ぶ声が・・・」

咲「私を・・・呼ぶ声?」

照「聞こえないのなら見せてあげる・・・これが咲に、姉としてしてやれる最初で最後の事」


ズズズズズ ボコボコボコボコ


咲(照魔境!? でもなんで・・・見せるって言ったけど、一体何をするつもり?)

照「これが照魔境の・・・真の力」

照「さあ咲・・・ここに映る景色を見逃すな」


――照魔境が映す景色・九州――


咲(ピラミッドが映ってる・・・これは九州? お姉ちゃん、何を見せるつもりなの?)

煌「すばらっ!」

咲(え? 花田さん!?)

煌「ようやくお気づきになられたみたいで、すばらです! この戦いは宮永さんと和の二人だけのものではありません!」

姫子「そういうこつたい、地球ん存亡かかっちるですのに」

初美「ですです。ただでさえ六女仙で私だけ生き残ってしまって、これ以上私だけハブとかないですよー」

咲(鶴田さん、薄墨さんも・・・どうして?)

煌「どうやら宮永さんの精神と、私達の精神が照魔境を通して繋がっているようです」

煌「そして照魔境を通せば、私達の力も宮永さんに分ける事ができる!」

照(そう、それが・・・照魔境の真の能力)

咲(そんな事ができるなんて・・・お姉ちゃんはやっぱりすごい)

照(違う、私には心を通じ合わせられる相手がいなかった・・・これは咲だからこそ使えたんだ)

咲(私だから・・・?)

煌「本来ならば後輩への指導は先輩の役目・・・和には人として失ってはいけないものを、私が教えるべきだった事は解っています」

煌「ですが、今となっては私に出来る事は、宮永さんに全てを託すことだけ・・・」

煌「さあ、受け取ってください私達の力を・・・これが宮永さんへのリザベーションです!」

姫子「受け取るんは部長からだけやって決めとりますけど、渡すだけならなんぼでも!」

初美(・・・私の狙いとしては、相打ちなんですけどねー)ニヤリ

咲(え? なんだって薄墨さん?)ゴゴゴゴゴゴゴゴ

初美「ひいいいいいいッ!?」ビショビショー

姫子「もはや、テンプレ乙・・・」

煌「宮永さん・・・貴方にはエースや覇者という言葉では決して測れない、誰かに必要とされるすばらな力がある!」

煌「その為ならこの命少しも惜しくない・・・捨てゴマ任されました!」スバラァ


九州を愛する者達の力が、照魔境を通して咲に伝わってくる!


咲(・・・すごい、生命力がみなぎってくる! まるで不死身にでもなったみたいに!)

咲(そしてこの気持ち・・・誰かの為に自分の犠牲も厭わない清い心も伝わってくる・・・)

咲(ありがとう花田さん達・・・こんな気持ち、誰かからもらったの初めてだよ)

照(受け取ったね咲・・・でも、まだまだこれから)

咲(え?)



――照魔境が映す景色・大阪――



憩「咲ちゃんみとるー? イエイイエイ!」アラカワダブルピース

咲(荒川さん!? いきなりのドアップで・・・じゃあここは大阪?)

竜華「荒川ァ! なに映りたがりのオバハンみたいなことしとんねん! 大阪人誤解されるやろ!」

咲(清水谷さんも・・・よく見れば千里山の人達もみんな揃ってる)

憩「そんな怒鳴らんでもええのに・・・さあ、咲ちゃん! 私らの力を使って、ミナデインでもミナカトールでもぶちかましてや!」

竜華「うすうす思っとったけど、あんただけ世界観だいぶおかしい」

怜「パワー分けるなんて大丈夫やろか、ウチ病弱やし・・・」コホコホ

竜華「そのアピールやめ」

泉「まあ、ライバルに花を持たせるのも、たまにはええ・・・宮永咲! 今だけはお前に最強の座を譲ったる!」

竜華「ライバルとか、寝言は寝てから言わんとな」

セーラ「若くして真理に到達したな」

竜華「それ言いたいだけやろ!」

竜華「つーか末原ァ! ウチにツッコミ任せて、なに隅っこでふんぞりかえっとんねん!」

恭子「・・・ノリについていけんだけや、元主将呼んで来れば良かった」

咲(末原さん!)


恭子「ずいぶん大変そうやな清澄・・・っと、原村も清澄やったか、まあええ」

恭子「ともかく、凡人やからって蚊帳の外におかんといてって話やん。まあ言うても、あんな宇宙怪獣あいてに、渡せるような策はないねんけど」

恭子「でも一個だけなら、あんたに教えられることがあるわ・・・」

恭子「メゲずにやるこっちゃ、死中に活を求めるいうてな、諦めなければ勝機はきっとあるで」

咲(・・・そうだ、どうして私は忘れてしまっていたんだろう)

咲(相手がどんなに強大でも、決して折れないで立ち向かう心を教わったのに)

恭子「分かったんなら、あとはいつも通り、やりたい放題やったらええ」


一つになった大阪の者達の力が、照魔境を通して咲に伝わってくる!


咲(・・・ありがとうございます、末原さん、大阪の人達・・・!)

竜華「それはそれとして末原、この流れでボケんとか・・・」

憩「ないわー」

恭子「え?」

怜「せっかくとっておきのネタでこの場あっためといたのに、ウチらが滑ったみたいやん」

セーラ「オチどないすんねん」

恭子(なんやこのアウェー感・・・)

絹恵「さすがに今のは、私もないと思いますわ末原さん・・・」

恭子「絹ちゃんまで!? ・・・メゲるわ」シュン



咲(メゲてる!? でも、そこから立ち上がれるのが末原さんの強さなんです)

咲(そして・・・私も)

照(さっきの流れ・・・ちょっと面白かった)クスッ

咲(うん、きっとあれが善野さんって人が見たかった、本来の大阪の姿なんだね)

咲(そして、私も守りたいと思う・・・あの人たちが笑いあえる世界を)



――照魔境が映す景色・岩手――


エイスリン「サキ! ガンバレ!」

咲(!?)

咲(え、あの画板もった外国の人誰だろう・・・知ってるような、知らないような)

胡桃「ここぞとばかりに出番を欲したエイちゃん。気持ちは解るよ、キンクリって恐ろしいよね」

豊音「さあ二人とも、一緒に宮永さんを応援しよう!」

咲(姉帯さん! 宮守の人達も!)

豊音「宮永さんために、封印してた全体効果系の能力を解禁しちゃうよー」デンデンデーン

塞「出しちゃうかー、ついにそれをー」モノクルフキフキ

白望(サエ、元気になった)

豊音「昨日の敵は今日の友・・・いや、今日の強敵(とも)だねー!」

豊音「トシさんが連れ出してくれて、私にも友達ができた・・・そして宮永さんっていう強敵(とも)にも出会えた」

豊音「もうとっくに、私の夢見てた世界なんて超えちゃってる。でも私は欲張りさんになったのでー、もっともーっと開けた世界を見ていたい」

豊音「まだまだ終わらせたくないので、宮永さんには負けてもらうわけにはいかないよー」

豊音「さあ受け取って、私達の全部!」


岩手の能力者達の力が、照魔境を通して咲に伝わってくる!


咲(すごい・・・これが六曜の全て! 姉帯さん達の全てが伝わってくる!)

白望「いいね、この他人任せな感じ、とっても私向きでダルくない」

胡桃「そこ! 身も蓋もないこと言わない!」

エイスリン「ミモ! フタモナイ!」カキカキ

塞「やられちゃえ! インターミドルチャンピオン!」

咲(そして感じる、宮守の人達の絆・・・)

咲(時として戦いは残酷すぎて怖いけど・・・でも絆があれば、実力以上の力だって出せる!)

咲(私にも絆がつながってる・・・ありがとう姉帯さん達)


――照魔境が映す景色・東京――


咲(東京? ここにも誰かいるの?)

咲(・・・あ! あのお墓が並んでるところは、もしかして・・・)

ゾンビ尭深「いまだ! パワーを咲ちゃんに!」バッ

ゾンビ誠子「いいですとも!」ババッ

ゾンビ淡「宇宙の心はサキだったんですね」オペレーションメテオ

菫「・・・お前ら、ちょくちょくハーベストタイムで出てくるのやめろ。埋めるの大変なんだぞ!」

咲(チーム虎姫の人達? 私との関係はちょっと薄い気が・・・)

照(私からのボーナスみたいなもの・・・ていうかみんな楽しそう、私もゾンビになりたい・・・)

咲(ええー・・・)

菫「やめておけ照、こういうのが許されるのは、かませまでだ」

ゾンビ尭深・ゾンビ誠子・ゾンビ淡「」

菫「さあパワーでもなんでも持って行け、こいつら死人のくせに元気すぎて困ってたんだ」

咲(死人とはいったい・・・)

ゾンビ尭深「いや・・・その前にやっておくべき事があるはず」

菫「ん? なんだ尭深、やっておくべき事?」

ゾンビ淡「ほらー、スミレの得意技のアレだよアレ!」

菫「アレってなんだよ。弓矢の事なら、さすがに私でも宇宙までは届かせられないぞ?」

ゾンビ誠子「いや違いますよ、それよりもっとすごい技があるじゃないですか」

菫「・・・言ってみろ」

ゾンビ尭深・ゾンビ誠子・ゾンビ淡「DO ☆ GE ☆ ZA」

菫「」ブチッ

菫「おい亦野、的当てしようぜ? お前が的な・・・」シャープシュート

ゾンビ誠子「なんで私だけ!?」


かつて東京最強だったチーム虎姫の力が、照魔境を通じて咲に伝わる!


咲(なんか複雑だけど・・・ありがとうチーム虎姫の人達)

照(・・・私もゾンビになりたい)

咲(まだ言ってたの!?)


――照魔境が映す景色・北海道――



咲(今度は、さっきまでいた北海道の有珠山聖教会の辺りか・・・)

咲(ここに居るのは・・・そうか!)

透華「許せません! 許せませんわ原村和!」ビンビン

咲(りゅ、龍門渕さん・・・いきなりあらぶってるよ)

透華「あんな巨大になってまで目立とうとして! どれだけわたくしの影を薄くさせれば気が済むんですの!」

一「いやあれは、目立とうとしてるわけじゃないと思うけど・・・」

純「それより透華、宮永に何か言ってやれよ。これはそういう流れだぜ」

透華「宮永咲に? ・・・う、えーと・・・そうですわね」

透華「そうだ! 宮永咲はやればデキる子! やればデキる子ですわ!」

智紀「・・・褒め方ヘタか」ボソッ

咲(そ、そんな無理して捻り出さなくても・・・)

ハギヨシ「・・・どうやら、とうとう私も真の力を発揮する時が来たようですね」

純「! ここにきてヨッシーのアレが見られるのか! この流れは予想外だぜ!」

一「これは、すごい事になるよ!」

智紀「出る・・・ハギヨシ最終形態」ボソッ

咲(な、何が始まるんです?)

透華「ハーギーヨーシー?」ワタクシヨリ メダツナ

ハギヨシ「・・・御意、執事たる者、陰よりご助力させていただきます」スゴスゴ

咲(萩原さんの真の力、ちょっと見たかった気もする)


衣「咲よ! 衣もいるぞ!」ゴゴゴゴザッパーーーン

咲(衣ちゃん! もう完全復活したんだね)

衣「さあ咲、衣の力も一切合財もってゆけ」

衣「ノノカは妖異幻怪の気形となり果てた、もはや其を打ち毀してやるのがせめてもの情け」ツー

咲(衣ちゃん泣いてる・・・そうだね、衣ちゃんも私と同じ哀しみを背負ってるんだ)

衣「衣が母君から教わった刹那の中にある幸福・・・それをノノカに教える事は、衣にはとうとうできなかった」

衣「だが咲! 咲が衣に戦いの中で見せてくれたものならば、きっと・・・きっとどんな結果になろうと、ノノカは幸福のまま終われるはずだ!」

衣「そして衣達も・・・咲の拳が作る刹那の連続が、幸福なものになると信じている!」

衣「信じよ自らの拳を! そしてそこに宿る力と心を!」

咲(衣ちゃん・・・)

衣「ちゃんではなく!」

咲(うん! ありがとう衣! 私、信じるよ・・・衣達が信じてくれた自分の拳を!)


天江衣と龍門渕に連なる者達の力が、照魔境を通じて咲に伝わる!


咲(信じてくれる人がいる・・・この世界にも私の居場所はある)

咲(できちゃったね、立ち向かう為の理由が・・・!)

照(さあ咲、次に行くぞ)

咲(え? まだ誰かいるの? もう地上の知り合いは全部回ったはずじゃ・・・)

照(まだいる・・・きっと驚くぞ)



――照魔境が映す景色・奈良――


やえ「私はモヒカンの頃からマメすらできん」

やえ「ニワカは相手に・・・」


ブツン


照(ごめん・・・チャンネル間違えた)

咲(なんというニワカキャンセル)


――照魔境が映す景色・冥府――



咲(ここはどこ? 見た事ない景色だけど)

小蒔「宮永さん!」ハキハキ

咲(!? 神代さん? どうして・・・って、その腰につけてるの何)

小蒔「これは、浮き輪です!」ハキハキ

咲(それは把握しています)

霞「小蒔ちゃんたら、咲ちゃんが危ないって聞いて、三途の川を泳いで行こうとしたのよ。無駄にがんばり屋さんよね」

咲(石戸さん! じゃあここは死後の世界?)

霞「そういう事。咲ちゃんを応援してるのは、貴方のお姉さんをはじめとして、生きている者だけじゃないのよ」

霞「九面が珍しく仕事してくれて、死者の中でも選りすぐりの強者をここに集めてくれたわ」

咲(あ、あの人達は・・・)

利仙「神代の呼びかけというのは癪ですが、今は地球の大事・・・浮世のしがらみは忘れ、力を貸しましょうぞ」

哩「ああ、姫子や花田が苦労して建てなおした九州や、そん積み重ねば無駄にさせん!」

ハオ「ルールにとらわれる必要はない、私は感じたままに力を貸すだけ」

はやり「クライマックスといえばアイドルの歌が無いとね! はやりの歌を聞けえ! 愛おぼえていますか!」ハヤッ☆

理沙「でかるちゃ!」プンスカ

晴絵「・・・瑞原さん、フロンティアから曲をもってこないあたり、年季を感じるよ」ホロリ

健夜「フ、フフ・・・狂気の沙汰ほど面白い・・・! 思い出すわ、竹槍一本で艦隊に立ち向かったあの地獄の戦線を・・・フフフ、ハハハ! アーハッハッハ!」ゼツボウオーラ

咏「小鍛冶プロがもう誰だかわかんねー」

良子「エクセレント! ソロモン王の英知を授ける時がきたようです」

池田「そろそろまぜろよ」イケダァ

睦月「うむ・・・私なりに精一杯」

咲(すごい、錚々たる顔ぶれ・・・今まで感じた事もないような強大な力も感じる!)ナンカマザッテルケド

小蒔「宮永さん! 全力以上で応援させていただきます!」ハキハキ

霞「うふふ小蒔ちゃん、そんなに肩に力を入れなくても、咲ちゃんなら大丈夫よ・・・」

霞「だって今は、魔王がほほ笑む時代なんですもの・・・」

咲(神代さん、石戸さん・・・私、いま感謝しか出てこない)

咲(死んでしまっても、皆この世界に希望を持って力を貸してくれる)

咲(馬鹿だね・・・私って本当に馬鹿だった)

咲(私、自分が思っていたよりずっと、想像していたよりずっと多くの人と繋がっている・・・)

咲(ありがとう皆、感謝しますこの出会いに・・・)

咲(そして信じます・・・これからの、この世界の未来を!)




続きは三日後くらいに投下します
それで完結する予定

いま宮永咲に、生者からも死者からも、照魔境を通して全ての力と心が伝わった!


照(どうだ咲・・・皆の声、届いたか?)

咲(うん、届いたよ。そして取り戻せた・・・)

咲(この世界への愛を)

咲(好きだよ私、このつらい時代でも強くいられる人たちが)

照(ああ、それでこそ咲だ)

咲(うん、だから私今度こそ和ちゃんに、それは違うよって言うよ)

咲(どんな理想的な世界があったとしても、この世界も負けないくらい、すばらだって)

照(そうか・・・それが言えたのなら、もう見えているんだな)

照(皆から受け取った力と心を繋ぐ・・・咲だけの拳が)

咲(うん・・・でも)

照(どうした?)

咲(もう一つだけ、照魔境で見せてほしいものがあるの)

咲(今の私の拳に一寸の迷いも乗せない為に・・・)

照(・・・・・・なるほど、分かった)

照(さあ、見るといい。そして超えてくるんだ)

照(過去の自分を・・・)



――照魔境の映す咲の精神・清澄――



咲「・・・・・・」

咲(ここは清澄だ・・・幻だけど、私の記憶の中にある景色と何も変わりない)

咲(当然か、私の心にある清澄を見せてもらってるんだから)

咲(でもさっきまでの、外の世界を見せてもらっていた時と違って、私自身がその記憶に入りこめてる)

咲(お姉ちゃんと話した緑あふれる高原みたいに、これが私の精神世界だからなのかな?)

京太郎「よう咲、何こんなところでぼうっとしてんだ?」

咲「京ちゃん・・・」

咲(京ちゃんだ、なんかこうして話すのが凄く昔の事みたい)

京太郎「早く行こうぜ、大会前の大事な時期にサボってたら駄目だろ」

咲「うん・・・そうだね、行こうか」


タッタッタッタ


久「遅いわよ二人とも、須賀君は何ももっていないようだけど、頼んでおいたもの持ってきてくれた?」

京太郎「あ、すいません忘れてました」

久「・・・まったく」

京太郎「本当にすいません」

咲(部長だ、若干作画が手抜きくさかった初期の頃の部長だ)

優希「本当にしょうがない犬だじぇ、きついしつけが必要だじょ」

京太郎「ヘイヘイ」

優希「なっ! こいつ、その態度の違いはなんだじぇ! 清澄最弱の犬のくせに!」

京太郎「俺は、弱い時にこそ強い」ドヤア

優希「言ってる意味が全然分からないじぇ!」

京太郎「ギャーギャー」

優希「ギャーギャー」

咲(優希ちゃん、最初は結構頭身が高かったな・・・)

まこ「ほらいつまでも遊んでおらんで、さっさと始めんと」

咲(この頃の染谷先輩はなんか悪い顔してた)

和「宮永さん? どうかしましたか?」

咲「!?」

咲(そうか・・・そうだよね、和ちゃんもいる)

和「しっかりしてくださいよ、大会までの貴重な時間なんですから。宮永さん聞いてます?」

咲(そう、最初は名字で呼ばれてたね。それにちょっとだけツンの属性もあった)

咲(みんなみんな懐かしい・・・私が戻りたかった、取り戻したかった清澄の姿だ)

咲(でも、諦めなきゃ・・・)

咲(もう無くなってしまった清澄に、今を望んじゃいけない)

咲(部長も、染谷先輩も、京ちゃんも、優希ちゃんももういない・・・和ちゃんは、世界の敵)

咲(ここは、ただの思い出にしなきゃいけないんだ)

久「咲、本当にどうしたの? ずっと考え込んで」

まこ「具合でも悪いんかの?」

咲「・・・いいえ、大丈夫です」

咲「ただ・・・みんなに聞いてもらいたい事があって」

和「どうしたんですか?」

京太郎「シリアスな感じだな」

優希「犬は黙ってるじぇ」

咲「私、もうここには来ない・・・」

咲「世界の皆と未来に進むために、もう失ったものを望んだりしない!」



久「咲・・・」

咲「さようなら部長。部長が作った清澄が無ければ、きっと私はここまでこれなかった」

まこ「咲・・・」

咲「さようなら染谷先輩。自分の出番を削ってまで立の負担を減らしてくれる先輩がいなければ、きっとまだ準決だって始まってなかった」

優希「咲ちゃん・・・」

咲「さようなら優希ちゃん。ロボになっても失わなかった優希ちゃんの優しさ、決して忘れないよ」

京太郎「咲・・・」

咲「さようなら京ちゃん。京ちゃんが私をここに連れてきてくれなければ、私はきっと最初の一歩すら踏み出せてなかった」

和「宮永さん・・・」

咲「・・・和ちゃんにはまだ、さよならは言わないよ。でもこの思い出も、全部持っていくから」

咲(さあ、言うんだ宮永咲)

咲(ここを乗り越えていくために)

咲「さようなら・・・」

咲「さようなら清澄! 私の大好きな場所!」





パアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアーア



咲(消えた・・・清澄の景色)

咲(ようやく私、清澄を卒業できたのかな?)

咲(・・・もうここに、清澄の嶺上使いはいない)

パチパチ

咲(ん? あれ、でも何か聞こえてくる・・・)


パチパチ パチパチ


咲(これは・・・拍手の音?)

久「おめでとう」パチパチ

咲「!? 部長?」

まこ「おめでとさん」パチパチ

咲「染谷先輩?」

優希「めでたいじぇ!」パチパチ

咲「優希ちゃん・・・」

京太郎「おめでとう」パチパチ

咲「京ちゃんも」

咲(清澄は消えた、それにここにいた和ちゃんも一緒に消えた)

咲(じゃあここに残った皆は、もしかして・・・)

久「世界に向けて初お披露目ね。いってらっしゃい」

まこ「きばってきんしゃい」

優希「咲ちゃんなら大丈夫だじぇ」

京太郎「そうだ、咲はどんな時でも強い!」

咲「・・・みんな、ありがとう」

咲(別れるのはつらいけど、それだけじゃない)

咲(この別れで私は強くなるんだ)

咲「行ってきます」

咲(今までありがとうみんな・・・ありがとう清澄)

咲(そしてさようなら、清澄の私)




―― いまを 抜けだそう 手に触れた Glossy future♪ ――




――咲の精神世界・緑あふれる高原――



咲「ただいま、お姉ちゃん」

照「・・・咲、また一段強くなったみたいだね」

咲「うん、ちゃんとお別れしてきたから。清澄と、清澄のみんなと、清澄の私に・・・」

照「そうか、じゃあもう使えるな・・・今の咲の、咲だけの拳が」

咲「うん。世界の皆からもらった力と心、それがいま私の中で完全に一つになった」

咲「早く和ちゃんに見せなくちゃ、この世界の皆と私の全てを」

照「・・・」

咲「お姉ちゃん? どうしたの?」

照「・・・いい顔をしてると、そう思ったんだ・・・今の咲は、私を倒した時よりもずっと強い」

咲「それはお姉ちゃんのおかげだよ」

咲「お姉ちゃんが皆と私を繋いでくれたんだから」

照「そうか・・・」

照「ふふ・・・・・・良かった、これで今度こそ本当に、私の生涯に一片の悔いもない」

照「さあ、見せる時だ咲・・・宮永の力を超えた、咲にしかできないその拳の神髄を」

照「森林限界を超えた山の上よりももっと高い場所・・・宇宙でも咲き誇る強い花を見せてくれ」

咲「うん!」

咲「・・・ありがとう・・・ありがとう! お姉ちゃん!」





宮永咲――過去を乗り越え、未来を信じる者達から受け取った力と心によって復活


――宇宙――



超銀河のどっち(おかしい・・・)

超銀河のどっち(地球への融合が一向にすすまない・・・今の私は二万人の原村和の演算能力により、どんな環境にもiPSを適応させられるはずなのに)

超銀河のどっち(これはどう考えても不自然です、ありえません)

咲「ううん、自然だよ和ちゃん。天然自然の中に生まれた生き物達が、iPSを拒んでいる・・・不自然なんてどこにもないよ」

超銀河のどっち「!?」

超銀河のどっち「咲さん・・・? どうして、私と融合を果たしたはずじゃ・・・」

咲「そうだね、でも戻ってきたよ」

咲「和ちゃんの語った理想に負けないくらい、この世界はすばらだって教える為に!」

超銀河のどっち「そんな・・・咲さんは私の、理想の世界を受け入れてくれたじゃないですか!!」

超銀河のどっち「何が不満なんですか! 何が不服なんですか! こんな希望の無い世界に何があるって言うんですか!」

咲「あるよ、希望は」

超銀河のどっち「!?」

咲「この辛く苦しい世界だからこそ芽吹く想いが、強さが、続いていく未来が」

咲「・・・・・・いま、それを見せてあげる」




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


超銀河のどっち「!?」

超銀河のどっち(な、何、この咲さんから感じる力・・・強大な気の流動、漲っている生命の脈動は!?)

超銀河のどっち(私が圧倒されている? そんな、ありえません! もはや私と咲さんでは、生命体の規格からして違っているはずなのに・・・)


咲「世界を愛し、世界から愛される・・・私の体を通して出る力」

咲「これが私の愛だよ、和ちゃん」



―― 神の領域 ――


咲「―― 海は幅広く無限に広がって流れ出すもの 水底の輝きこそが永久不変 ――」


咲「―― 永劫たる星の輝きと共に 今こそ疾走して駆け抜けよう ――」


咲「―― どうか聞き届けてほしい 世界は穏やかに安らげる日々を願っている ――」


咲「―― 自由な民と開けた世界で どうかこの瞬間に言わせてほしい ――」


咲「―― 時よ止まれ キミは誰よりもすばらしいから! ――」


咲「―― 永遠となった者達に願う 私を高みへと導いて! ――」



ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ


その拳に宿すは世界の意志

その拳に宿すは物語

世界から愛された子の拳に宿るのは、未来永劫続く完全なる世界の支配



                    /: : : : : : :/: : :/: : : : : : :.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.、
                      ̄ ̄ ̄¨ア : : : /: : ://: : /: : // : : : :.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
  ノ⌒ ー--‐ '⌒^ ー-     -‐…・・/ : : : /: : ://: : /: : /// : : : : , :.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::}
f《: . :   . :/      . : . : . : . : ./ : : : ; : : /{/ヘ/: : /// : : : : / : : |: : :.:.:.::::::::::::::::::::.:.:.:.}

V》       (      \. : . : . : . :/ : : : :j{: :.rf嶺峠い/イ: : : : : :/: :イ:.i|: : :.:i.:::::::::::::::::::::::.:.:,
 ¨⌒ー '"~¨`ヽ \    \: . : . // : : :イリ.:.从 _)開ハ刈i |: : : :/ |i: :|: ||: : :.:|.::::ノ⌒ヽ:.:.:.:.:′ ,,ル'⌒

          ^\  : .   // : ィ仁|i.:/  Vし℃仆|i | : : :  |i: :|: r冖れノ^  ノ⌒廴__ノ^⌒¨´
.               丶  : .  j/{ニニ|iイ    'ー '゙  八| : : |ー─-fソ:. :.  辷?い: :.:.:. ′
                \ : . : ; {ニ二い   :.:.:  ::::::::::八: : |j埖fソ^;. :. :.fら ). : :.:.:.:/
.                   \ : .l {ニニ八       , ::::::ヽ| ヒ^爻_廴 ノノ^. . : :.:./ニニ},
                    ヽ| {ニニニニニ:、   、         ー'⌒)ソ)メ . . : :.:.:/ニニニ}}
                    | k二ニニニ/\     ー    :.:.:   才イ. : /}/ニニニニ}}
                    | |ik.ニニニ{〉  \__        イニニノ/ニニニニニニニ圦
                    | |ikikニニ{入____    ̄¨アニたニニニニニニニニニニニニニハニニ\
                  /|人kikik.ニ{    >-=ニニニニニニニニニニニニニニ=-  ∧ニニニ〉

                    《    :. トミメ{   -=ニニニニニニニニニ=-     . : . / :〉 ̄
                      j}   :.   ≫→ァニニニニニ=-ァア       . : . : . : ., :/:∧⌒L_
                  リ}     :. /ikikikヽ\ikikikikikik/      . : . : . : . : . : . : . : . : /〉







咲「 和了―― 新世界へ 数え役満の物語 」





ミシ ペキペキ パリーーーーーーーーーーン




超銀河のどっち「な、何が起こっているの? う、動け超銀河のどっち、なぜ動かないんです!?」


咲「これが世界の答えだよ、和ちゃん。世界のみんなが、和ちゃんのiPSを否定してる」

咲「この世界にiPSは必要ない。私のこの拳、この支配に否定されたiPSはすべて死滅して、未来永劫消滅する」

咲「iPSはもうこの世界に生まれてくることもない、これが完全支配の拳の理」

超銀河のどっち「iPSが消滅する? ・・・究極の万能細胞が? 理想の世界の実現が?」

超銀河のどっち「ありえません! ありえません! ありえません!!」


ミシミシ ピシピシ


咲「今のままじゃ世界から否定されたiPSと共に、和ちゃんも世界から消滅する」

咲「崩壊が終わりきる前に、iPSを捨てて和ちゃん」

咲「そうすれば、肉体を失ってもまた、生まれ変わる事が出来るかもしれない」


超銀河のどっち「・・・嫌です」


ブシュ ブシュ ボオオオオオオオオオオオオオオオ


超銀河のどっちの体が端から消滅して消えていく


超銀河のどっち「私は、嫌です・・・iPSは私の全て、iPSは私の希望」

超銀河のどっち「iPSは私そのもの・・・・・・」ボロ ボロボロ

咲「・・・・・・和ちゃん」

咲(iPSと共に消える事を選ぶなんて・・・)

咲(完全に、iPSに憑りつかれていたんだね)

咲「さようなら和ちゃん・・・私の、一番大切だった友達」


超銀河のどっち「iPS! iPS! アイピイエエエエエエエエエェス!!」ドヒューン




超銀河のどっち――消滅



――地球・大気圏――



ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ


咲(成し遂げた)

咲(私は皆の思いを形に出来た・・・でも力、全部使い切っちゃったな)

咲(地球の引力に引かれて、何とかたどり着いたけど、もう気がほとんど空っぽだ)

咲(きっと大気圏突入の摩擦熱で燃え尽きちゃう・・・)

咲(・・・でもいいかな、それも)

咲(戦い守ったこの世界、この荒野こそが私の墓標・・・なんて、ちょっとかっこつけすぎかもしれないけど)

咲(お姉ちゃんはなんて言うかな、また呆れられるかな?)

咲(少しでいいから・・・褒めてほしいよ)

咲(私、頑張ったよね? もう、ゴールしてもいいよね・・・)




ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ









咲(・・・あれ?)


咲が死を受け入れたその瞬間、何かに守られているような気配を感じ取る


咲(この気・・・もしかして)

和「咲さん、大丈夫ですか?」

咲「和ちゃん!? どうして・・・iPSといっしょに消えたはずじゃ・・・」

和「はい、iPSに侵された原村和は完全に消え去りました」

和「ですが、融合した私の中にはiPSに執着していない和もいたのです」

咲「え?」

和「咲さんを性的な対象としてではなく、大切な友人として想っていたごく少数の和」

和「言うなれば私は、原村・マイノリティ・和とでも呼ぶべき存在です」

咲「和ちゃん・・・そうなんだ、私が和ちゃんから感じていた友情は、幻じゃなかったんだね」

咲「それが分かっただけでも、私は少し救われたよ」

和「救われたのは私の方です。あれだけ巨大な私がいながら、咲さんを友人として見ていた私の存在はあまりに少ない・・・淫乱ピンクばかりでお恥ずかしい限りです」

和「でも、最期にこうして咲さんをお守りできて・・・私は幸せです」

咲「え、最後?」

和「iPSが消滅した事で、iPSクローンの私の肉体はすでに崩れさりました」

和「今はなんとか消滅を免れた精神だけで咲さんをお守りしてますが、現世に長くとどまれるほどの力は、もう残っていませんから」


咲「そんな、せっかく会えたのにお別れなんて・・・嫌だよ」

和「私もです、本当は咲さんと、もっと一緒にいたい」

和「でも私のしてきた事を思えば、これで良かったのです、きっと」

咲「和ちゃん・・・」

和「・・・でも」

咲「ん?」

和「もしも・・・私が、この世界で綺麗な原村和として生まれ変われたなら・・・」

和「咲さん、もう一度・・・私と友達になってもらえますか?」

咲「・・・」

和「ふふ・・・なんて、そんなオカルトありえませんよね」

咲「いや、なろうよ和ちゃん」

和「え?」

咲「友達になろうよ! ならなくちゃ! むしろ絶対なってやる!」

和「さ、咲さん?」

咲「私、待ってるから。この世界でずっと、和ちゃんとまた会える日を・・・」

咲「ずっと、ずっと待ってるから」ブワッ

和「・・・嬉しいです、こんな私をまだ待ってくれる人がいるなんて」

和「こんなに嬉しいことはない・・・」




フワリ


咲「!?」

咲(私の背中に翼が・・・これは和ちゃんの、のどっち状態の翼?)

和「無事に成層圏を抜け、対流圏に入りました。後はその翼が、咲さんを地上へ無事に降ろしてくれるはずです」

ランランララランランラン ランランラララン

和「私も迎えが来たようです」


上天からの光が和をつつみ、徐々にその存在が薄くなっていく


咲「和ちゃん!」

和「さようなら咲さん・・・」

咲「ううん、さよならじゃないよ」

和「え?」

咲「またね、和ちゃん」

和「・・・・・・・・・はい!」

咲(またね、和ちゃん・・・・・・私の最高の友達)




原村・マイノリティ・和――iPSによって生み出されながらも、心まではiPSに侵されていなかった彼女は消滅せず、天に召された。そして彼女との約束が、宮永咲にとってこの世界での、新たなる希望の一つとなった。





――かつて長野と呼ばれた地――



深堀「ひいい!」ドムドム

久保「オラァ! 待てえ、ぶっ殺してやるァ!」

深堀「た、助けて下されー」ドムンドムン

咲「・・・」スタスタ

深堀「あ、そこのお方! お願いです!」

咲「え? 私?」

深堀「お願いです! この子の命だけは、この子だけはお守りください・・・死んだ友達の妹なんです」

緋菜「ニャー」イケダア

咲「・・・妹?」

久保「オララァ! 邪魔する奴ァつぶすぞ!」

咲「カン」ボゴオ

久保「ぺへ!? ・・・ぷえ?」ズボ

久保「な、なんだこんなもの・・・痛くもかゆくも・・・・・・!」ピキッメキメキ

咲「宮永のカンは相手の嶺上秘孔をツモり、体の内部から破壊するための技」

咲「あなたは既に死んでいます」

久保「ぶへ!?」ピキピキ ブシュッ

緋菜「」

深堀「こ、この技・・・まさか貴方様は・・・」

咲「悪は倒しました。幼女は世界の宝、その子は大切に育ててあげてください」

深堀「は、はい!」

緋菜「」ガクガクブルブル ヒナジルプシャー




咲(ドイツに向かっていたはずが、また長野に戻ってきちゃった・・・一人だと身軽でいいけど、やっぱり遠出は厳しいかな)

咲(がんばらないとね、もっと広い世界に宮永咲の名前を轟かせる為に)

咲(あの人が、どの土地に生まれ変わっても私を探せるように)

咲「さあ、次の相手はニーマンか、それともブルーメンタール姉妹か」

咲「私の戦いはまだ始まったばかりだよ」





宮永咲――かくして咲は世紀末覇者、嶺上の魔王、戦いに愛された子、世界に愛された子といった様々な呼び名を轟かせる。だが咲が迷い込む先々で、悪や修羅を屠っていく姿に希望を与えられた力なき人々は、敬意をもって彼女をこう呼ぶ……世紀末救世主と。





21世紀、世界は核の炎に包まれた

海は枯れ、地は裂け、世界は暴力と異能が支配する恐怖と混乱の時代になっていた


だがそんな世界であっても、希望を捨てずに強く生きていく者達がいる

これはそんな世紀末の世界で未来を信じ続ける、少女達の軌跡……




咲「世紀末能力バトル」――カン!





これで完結です
スレ立てとか初めてだったので色々やらかしましたが、何とか完走できました

色々言い訳したい衝動をおさえつつ、最後まで付き合って下さった、かなりなんでも許せる方々へ感謝しながら無人の荒野に埋まってきます

サラダバー


咲が北斗でDies irae。
乙です。
最初なんじゃこれと思ったけど、面白かったよ。
またなんか書いてね。

皆さん乙ありです

そして>>279が語れ超越の物語知ってて歓喜

HTML化は明日にでも依頼出しておきます

――おまけ――

※ここからは最後を照のお墓参りで締めようと思っていたのに、北斗の原作最終回再現を考えてる内に忘れてしまっていたアホな作者があわてて書いたものです。本編の余韻が損なわれるような感じなので、こんな糞スレに余韻なんざねえよという方だけお付き合いください
※おふざけしかありません



――東京近郊――



咲(そうだ、せっかく日本に戻ったんだから。お姉ちゃんのお墓参りをしよう)

咲(照魔境でみせてもらったお墓の場所は確か、このあたりだったような・・・)

菫「やあ、よく来たね」

咲「弘瀬さん、こんにちわ・・・っと、隣にいるのは確か・・・?」

智葉「辻垣内だ、前に一度会ったな宮永妹」

咲「あ、はい、どうも辻垣内さん・・・でもどうしてここに?」

智葉「定期的にこのゲスアマの監視に来ているんだ。放っておくと何をするかわからないからな」

菫「ゲスアマって・・・その誤解、まだ解けてないのか・・・」

菫「弓矢も全部処分されたし、素手では亦野以下の私じゃ、どうあってももう何もできんだろ」

智葉「取り繕おうとしても無駄だ、川に毒を流して東京の人間を皆殺しにするくらい、平気でやる奴だからなお前は」

菫(え、なにその発想・・・そういう恐い考えを、サラッと口に出せるお前の方がゲスいよ確実に)


咲「あの・・・」

菫「おっとすまない、こちらの事は気にしないでくれ。照の墓参りに来たんだろ?」

咲「はい、お姉ちゃんのお墓はどこですか?」

菫「ここをまっすぐ行った所にある一番大きな墓石だ、さすがに迷わないか?」

咲「まっすぐなら大丈夫です、どんな障害物があってもぶち壊して進みますから」

菫「・・・いやごめん、キミの進路に淡の墓石があるから、それは避けてやってほしい」

咲「わかりました」

菫「さあ辻垣内、私達は席を外すぞ・・・せっかくの姉妹水入らずだ」

智葉「ひ、弘瀬がまともな事を言っただと!? 貴様、何を企んでいる!? ハッ! まさか私を連れ出して、その隙に子供達を・・・」

菫「・・・その辺にしとけ、二条なんとかの二の舞だぞ」



弘瀬菫は辻垣内を連れて去り、咲は照と書かれた墓石の前に移動する



咲「お姉ちゃん・・・お墓参り、遅れてごめんね」

咲「お姉ちゃんがあの時来てくれたおかげで、私もこの世界も続いているよ」

咲「本当にお姉ちゃんにはいくら感謝しても足りない・・・」

咲「そうだ、この前長野に帰ったらいろんな所から手紙が届いてたんだ・・・みんな色々頑張ってるみたい」

咲「九州の花田さんは、リーダーには向いてないって本人は言ってるけど、周りからはリーダーは花田さん以外ありないって言われて、困ってるみたい」

咲「大阪の末原さんは千里山の監査役の仕事に慣れてきたけど、補佐役の船久保さんが有能過ぎて、逆にメゲる毎日だって」

咲「岩手の姉帯さんは、師匠のトシさんって人にまた鍛え直してもらってるみたい。いつか私との再戦の約束を果たそうって言ってる。あの人とならきっと楽しい戦いができるから楽しみだよ」

咲「それと今度ドイツに行くんだけど、一人じゃたどり着くの無理そうだから衣達についてきてもらう事になったんだ」

咲「井上さんが以前に住んでたことあるらしいから、地理には詳しいんだって」

ゾンビ照「ふんふむ・・・なるほどなるほど」ボコボコ

咲「」


咲「あの・・・お姉ちゃん?」

ゾンビ照「やあ咲、久しぶり」

咲「ちょっと待って! 土の下から頭だけ出して何やってんの!?」

ゾンビ照「ハーベストタイム。ねんがんのゾンビの体をてにいれたぞ!」

咲「ぞ! っじゃなくて! ・・・ええー、本当にやっちゃったの?」

ゾンビ照「照魔境で研究に研究を重ねてね・・・もはやハーベストタイムの仕組みは熟知して、私のものとなった」

ゾンビ照「今の私は、死してなお恐ろしい土の宮永照」

咲「やめてお姉ちゃん! それ四天王の中でも一番のかませだから! ラスボスの威厳は大事にしようよ・・・」

ゾンビ照「・・・ふふ、まあ冗談はここまでにして。本当は咲に教えねばならない事があって、こんな恥を晒してるんだ」

咲「教えねばならない事?」

ゾンビ照「・・・・・・実は私達宮永姉妹は三姉妹だったんだ。そして咲のもう一人の姉・・・■■はまだ生きている!」

咲「ナ、ナンダッテー」

咲「そ、それってもしかして、あの金髪の?」

ゾンビ照「そう・・・あの子の口癖は姉より優れた妹は存在しないだった。私にはなついてたが、妹の咲の事をどう思っていたかはわからない」

ゾンビ照「あの子も宮永神拳の使い手だった・・・もしかしたら、咲の最大の敵となって現れるかもしれない」

咲「そう・・・あの人が生きて」

ゾンビ照「どうだ咲・・・正直今のタイミングであの子の事を語るのは、色々なネガティブなリスクが伴う・・・それでも聞いていくか?」

咲「・・・いや、やめておくよお姉ちゃん」

咲「生きているならいつか会う時が来る。その時に相手がどんな気持ちで来ようと、私に出来るのは一つだけ・・・拳で語る事だけだから」

ゾンビ照「・・・そうか」

ゾンビ照「じゃあこの事は、他の誰にも言わないで墓まで持っていく・・・死人だけに」ニヤリ

咲(お、お姉ちゃんがアニメ一期DVD8巻のパッケージみたいなオリジナル笑顔になった・・・もしかして今のって、渾身のギャグだったの!?)

咲「は、あはは(精一杯の愛想笑い)」


ゾンビ照「ふ、咲の笑顔も見れたし・・・私はそろそろ土に帰るとしよう」

咲「え、もう? もう少し話していこうよ」

ゾンビ照「そうしたいが、死人にも勤めがある。生前のやんちゃがたたって、私は結構厳しい地獄に落ちたしな」

咲「そうなの?」

ゾンビ照「ああ、あらゆる苦痛を一万年かけて与え続け、それを一万回繰り返す、その後に待っているのは完全な無という冥獄界・・・」

咲(えげつねェな・・・)

ゾンビ照「・・・に落ちるはずだったけど、神代さんの口利きで獄卒になれたから、仕事はあっても辛くはない」

咲「そうなんだ、お姉ちゃんが獄卒とか似合ってるかも」

ゾンビ照「ふふ・・・そして最近のマイブームは、地獄に落ちたあのピンクを痛めつける事」

咲「え?」

ゾンビ照「別に私情は入ってない、獄卒としての仕事をきっちりこなしてるだけ」

咲(いや、マイブームって言ってたよ?)

ゾンビ照「まあ、あのピンクも反省してるようだし・・・それほど時間はかからず転生できるだろう」

咲「そうなんだ、良かった」

ゾンビ照「じゃあね咲・・・またここに来たかったらいつでも来るといい、今度はお茶くらい出そう(尭深の)」

咲「うん、また来るよ。でもお姉ちゃんは、ハーベストタイムをほどほどにね」

咲(そもそも仕組みが全然解らないけど・・・これだけは水影心できる気がしないよ)



こうして、ハーベストタイムという謎を残し、ヤマもオチもなく物語は幕を閉じる



咲「世紀末能力バトル」――もいっこカン!

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