初音ミク「はじめまして、マスター」 (51)

ミク「こいなーんてーよぶーにはー♪」

ミク「けがれーすぎーてしまったよー♪」

ミク「マスター、おはようございまーす!」

男「……zzz」

ミク「マスター? 朝ですよマスター?」ユサユサ

男「んん……」

ミク「んー」

ミク「えーい」ギュッ

男「んが!? ぐふっ!?」グググ



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男「は、はなせ……ミク……」

ミク「あ、起きました?」パッ

男「げほっ、げふ……なにしやがる!」

ミク「だってマスターが起きないから」

男「だからって首を締めるな! 永遠の眠りについてしまうわ!」

ミク「てへぺろ」ペロッ

男「てへぺろじゃねえ!」

男「アンインストールしろそんなもん! ドジで殺されてたまるか!」

男「一ヶ月経ってもまともに目覚まし機能も動作しないのか……」

ミク「いや、元々そんなものありませんから」

男「そうなのか。そうだったな」

ミク「おはようございます、マスター」

男「……おはよう」

ミク「朝ごはんできてますよー」

男「メニューは?」

ミク「ネギと卵の炒めものとネギパンです」

ミク「きょおーもどーしようーどーしようー♪」

ミク「これじゃなーいけどーなーんだろーう♪」

男「再生数伸びないなぁ」カタカタ

ミク「二週間経つのにまだ一ケタですか。伸びませんねえ」

男「他人事かよ」

ミク「ミクは悪くありません、マスターの曲が悪いんです」

男「もっとオブラートに包めよ」

ミク「せっかくミクを購入したのに、宝の持ち腐れですね」

男「言葉のオブラートって何だっけ……」

男「まあいいや、学校行ってくる」

ミク「行ってらっしゃいマスター。晩御飯は何がいいですか?」

男「……カレー」

ミク「わかりました、お土産楽しみにしてますね」

ミク「いまぼくーはーむかうあしたへとー♪」

ミク「りょおてをーふってまたあしたねとー♪」

男「ただいまー」

ミク「おかえりなさいマスター!」

男「晩飯は?」

ミク「できてますよー」

男「この香りは……ネギカレーか」

ミク「はい、ネギはとっても身体にいいんですよ?」

男「何の料理にもネギ入れるよなお前」

ミク「おいしいじゃないですか」

ミク「栄養も満点です。ネギは素晴らしいんです」

男「カレーはどう作っても美味いからカレーなんだよ」

ミク「それよりお土産はどうしたんですか?」

男「買ってくるのが当然のような言い草だな?」

ミク「マスターは優しいですから」

男「…………」

男「……ほらよ」

ミク「わあ! ケーキだ! ケーキケーキ!」ピョンピョン

男「VOCALOIDってケーキ食うの?」

ミク「はにいってるんでふか、まふたー」モグモグ

男「食うの早っ!」

男「ああもう、口の周り汚い! あと口に物入れて喋るな!」フキフキ

ミク「ふぁい」ゴックン

ミク「VOCALOIDは人間と同じ食べ物を燃料に動くんですよ?」

男「いや、説明書見たから知ってるけどさ」

ミク「ちなみにミクはメロンショートとザッハトルテが大好きです」

男「なにその20年くらい前のチョイス」

ミク「今後の参考にしてください」

男「役には立たないだろうがな」

ミク「つれないですね」

ミク「~~~♪」

男「ただいま」

ミク「あ、おかえりなさいマスター」

男「歌、外まで聞こえてたぞ」

男「……何も俺の歌を歌わなくてもいいだろ」

ミク「いいんです、ミクこの歌好きですから!」

男「そ、そうか?」

ミク「まあ、正直申しますと新曲作ったところでうまく行くとは思えませんし」

男「このやろう、ちょっと感動したかと思ったらこれだよ!」

ミク「冗談です」

ミク「でもこの歌が好きだっていうのはほんとですよ」

ミク「演奏レベルは未熟ですが……旋律と歌詞はとっても心が温かくなります」

男「……」///

ミク「マスター? 顔赤いですよ? お熱ですか?」

男「な、なんでもない」

男「それより晩飯だ。メニューは?」

ミク「ネギチャーハンとネギラーメンです!」

ミク「てんさいしんがーゆめのうたかたー♪」

ミク「つむぐーつむぐーりゅうこおぜんせーん♪」

ミク「おや?」ガサ

ミク「ほほう……これはこれは」ペラペラ

男「ただいまー……ん?」

ミク「おかえりなさいマスター」ペラ

男「おっ、おっ、おっ」ワナワナ

ミク「(^ω^ ≡ ^ω^)?」

男「おまっ、俺の秘蔵本を!」

ミク「マスター……メイドが好きなんですか?」

男「……悪いか」

男「ああ好きさ! 将来はメイドに囲まれて暮らすんだ!」

ミク「いや、開き直られても困りますが」

ミク「……ミクがメイドさんになってあげましょうか?」

男「マジでっ!?」

ミク「あ、やっぱりやめます。なんか身の危険を感じました」

男「……」

ミク「まあまあ、ごはんにしましょうよ」

ミク「今日はネギオムライスですよ」

ミク「あしたのきみへのみちのーりはーなーにもー♪」

ミク「なにひとつきまあーってーないーからー♪」

ミク「とおー」カキーン

男「あーっ! 逆転スリーラン!?」

ミク「配球が甘いですよマスター」

男「くそう……上手くなるの早すぎだろお前」

ミク「…………」

ミク「マスターは恋人とかいらっしゃらないんですか?」

男「な、何を馬鹿なことを言ってるんられ?」

ミク「噛んでるし」

ミク「まあ、いるわけないですよね」

ミク「今日みたいな休日にも家でゲームか作曲してますし」

ミク「挙句の果てにVOCALOIDとパ○プロだなんて」

男「オイオイ、俺を舐めてもらっちゃ困るぜベイベー?」

男「俺ほどにもなると毎日女の子から取り合いの修羅場さ」

男「昨日だって学校の学食で俺の隣を巡ってレディ達が争ってたんだぜ?」

男「HAHAHA!」

ミク「……」

男「……」

ミク「今日のおかずはネギ焼きですよ」

男「ナイスな返しだ、ミク。だが俺が傷付くから今後無視はやめてくれ」

ミク「あいさー、マスター」

男「まあ、好きな人はいるんだけどね……」

ミク「本当ですか!」

男「なんでそこだけ信じるの?」

ミク「ミクは恋バナ大好きですから」

男「同じゼミの生徒なんだけどな」

ミク「それはぜひ告白しましょうよ!」

男「い、いやしかし」

ミク「男なら当たって砕けろです!」

男「当たって砕けろ……か」

男「たまにはいい事言うじゃねーかミク!」

ミク「たまにはは余計です!」

男「よーし、玉砕覚悟で明日行くぜ!」

ミク「その意気ですマスター!」

ミク「はいはいちゃいなー、ちょちょゆめごこちー♪」

ミク「いーあーるーふぁんくらぶー♪」

男「うわあああぁぁぁ!」バンッ

ミク「ひゃあああっ!?」ビクッ

男「ミクぅぅぅっ!」ダキッ

ミク「ちょ、ちょっとマスター!?」///

男「うえっ、ひぐっ、うわあああん」ボロボロ

ミク「よ、よしよし、もう怖くないからねー?」ナデナデ

ミク「で、どうしたんです?」

男「……られた」

ミク「へ?」

男「ふられた……」

ミク「あー……」

ミク「ま、まあ、気を落とさずに……ね?」

男「うっく、ひっく、えぐっ」

ミク「どうしろと」

ミク「ほら、えーと……ミクがいるじゃないですか(適当)」

男「ミク……」

ミク「だからほら、元気出してくださいよ。ごはんも用意出来てますから」

ミク「今日はネギチヂミとネギまんを??」

男「ミクぅぅぅっ!」ガバッ

ミク「ひゃあ!?」

男「結婚してくれえええ!」

ミク「それはだめです!」バキッ

男「へブッ!!」ペチッ

ミク「ぱちんこーかてえないぼうりょくー♪」

ミク「がくれきーたばーこかざみどりー♪」

ミク「うーん、課金ソシャゲを無課金で続けるのは根気との戦いですね」ピコピコ

ミク「面白いくらいに出ませんねSR」

男「相変わらず伸びないな再生数……」

ミク「長い目で見ましょうよ」

男「好きな子にはフラれるし……音楽プロダクションに送ったデモテープも全滅だし……就職も決まらないし……」

ミク「就職氷河期と仰いますしね」

男「フフ……俺はダメなんだ、ダメ人間なんだ……」ズーン

ミク(めんどくさいなぁ)

ミク「もう、マスターらしくないですよ」

ミク「ミクと出会った頃のマスターは無駄に前向きでしたよ?」

ミク「音楽でメシ食ってやるんだー、って」

男「無駄って言うなよ……」

ミク「そう言えば、ミクはマスターが直接ギターを弾いているところ、見たことありません」

男「ん? ああ、そういやそうだな」

ミク「聞いてみたいです」

男「…………いいだろ、俺なんてどうせ才能もなかったんだ」

ミク「……マスター」

男「……すまん。しばらく一人にしてくれ」

ミク「歌ってくれたらミクのおっぱい触ってもいいですよ」

男「よしやろう」スチャ

ミク「最低ですねマスター」

男「??????????♪」ジャカジャカ

ミク「…………」

男「……と、こんなもんだけど」

男「VOCALOIDに比べたらしょっぱいだろ」

ミク「……」

男「ミク?」フリフリ

ミク「あっ、はいっ?」

ミク「すいません、マスターの歌声に聞き入ってしまいまして」

男「そんな世辞はいいよ」

ミク「お世辞なんかではありません!」

ミク「マスターの歌はとても優しいです」

ミク「心のないミクでもわかるくらいに」

男「ミク……」

ミク「ですから、ね? 元気出してくださいよ」

男「……ああ!」

ミク「まあ、演奏はへたくそですが」

男「オチがついたよ!」

ミク「みーらいはとてーもあかるいですがー♪」

ミク「もんだいはすでーにやまづみでしたー♪」

ミク「うーん、そろそろネット対戦でお手玉も飽きましたね」ピコピコ

ミク「しかしさすが天下の格ゲー会社。ドット絵が神の領域です」

ミク「ちなみにミクは主人公の癖に溜め技な彼遣いです」

男「ミク!」バンッ

ミク「おや、どうしましたマスター?」

ミク「ノーマルガチャでSRでも出ましたか」

男「そんなんじゃねえ!」

男「就職! 就職決まったぞ!」

ミク「本当ですか! おめでとうございます!」

男「はっはっは、さすが俺」

ミク(すぐ調子に乗る……)

ミク「じゃあ今日はお祝いしなくちゃですね!」

ミク「ミク張り切ってケーキつくります!」

男「え、ケーキなんて作れるの?」

ミク「はい、ネギケーキですが」

ミク「あとドジっ子ですので高確率で砂糖と塩を間違えます」

男「頼む、やめてくれ」

ミク「ばいろけーしょんあいろにーなー♪」

ミク「ぺらぺらくちがかるいとことーかー♪」

男「ただいまー」

ミク「おかえりなさいマスター」

ミク「ごはんにします?」

ミク「おふろにします?」

ミク「それともボ・カ・ロ?」ウッフン

男「ご飯だ」

ミク「最近のマスターはつれないです」

男「メニューは?」

ミク「今日はネギグラタンですよー」

ミク「お仕事はどうですか?」

男「ああ、割と上手く行ってるよ」

ミク「それはよかったです」

ミク「すきすきだいすきあいしてあいして♪」

ミク「あいされあいされまたあしたー♪」

ミク「いぇーい、BP101階到達ー」カチカチ

ミク「やっぱりダンテは4が一番男前でかっちょいいです」

男「???♪」ジャカジャカ

ミク「そういえば」

男「ん?」

ミク「マスターはご結婚とかなさらないんですか?」

男「痛いところを突くな」

男「俺がモテないのは百も億も承知だろう」

ミク「でも……」

男「いいんだよ別に。結婚したい訳でもねえし、子供が欲しい訳でもない」

男「元々、義理を果たす家族がいる訳でもない」

男「俺にはミクがいるしな」

男「なんつって」

ミク「…………」

ミク「私はVOCALOIDですよ?」

ミク「お気持ちはすごく嬉しいんですが、私は所詮、プログラムです」

男「だから何だよ」

男「プログラムを心の拠り所にしちゃいけない理由があるのか?」

男「プログラムに心が宿らないなんて断定出来るか?」

男「プログラムは人間の代わりにはなれないとでも言うのか?」

ミク「…………」

男「お前は下手な人間よりもよっぽど人間らしいよ」ポン

ミク「マスター……」

男「おっ、感動しちゃった? 泣いちゃう系?」グリグリ

ミク「ばか……」

ミク「残念ながらVOCALOIDに涙を流す機能はついておりません」

男「なんだ、ミクを泣かせてやろうと思ったのに」

ミク「残念でしたね」

ミク「さて、ごはんにしましょうか」

男「今日のメニューは?」

ミク「ネギストロガノフです」

男「何その強そうな料理」

ミク「なんどなぐってさっきだってー♪」

ミク「きみのせいぎはーなんなのってー♪」

男「ただいま」

ミク「ああマスター、おかえりなさい。遅かったですね」

男「最近忙しくてな」

ミク「いいことじゃないですか」

男「やりたくもないのにやらなきゃいけない事が多すぎるよ」

男「そのうち、自分のやりたい事が何なのかわからなくなったりな」

男「それだけが怖い」

ミク「大丈夫ですよ」

ミク「マスターのしたい事はミクがずっと覚えてますから」

ミク「マスターが忘れたら、ミクが教えてあげます」

男「……そうだな」

男「その時は頼むよ」

ミク「はいっ」

男「晩飯はあるか?」

ミク「ありますよー。ネギハンバーグです」

ミク「かーみさまーはそーんざーいしないー♪」

ミク「ほとーんどのーゆーめーなどーついーえーるー♪」

男「……ミク……」

ミク「はいはい、呼びましたかマスター?」

男「どこだここ」

ミク「おうちですよ?」

男「ああ……そうか」

男「腹が減ったな」

ミク「ごはんは出来てますよー」

ミク「なんとネギうどんです」

男「ネギで麺が見えないんですけど」

ミク「ネギマシマシチョモランマです」

男「普通にしてくれ」

ミク「せんぼーんざーくらーよるにまぎれー♪」

ミク「きみのーこーえもーとどかないよー♪」

男「ミク」

ミク「なんでしょうかマスター?」

男「ミクの歌が聞きたいな」

ミク「どんな歌を御所望ですか?」

男「元気の出る歌を」

ミク「わかりました!」

ミク「あ、これさっき作ったんですけどどうです?」デローン

男「……なに、そのバイオハザードな色の飲み物」

ミク「ミク特製ネギジュースです」

ミク「元気になるものが色々と入ってます」

男「……詳しくは?」

ミク「色々です」

男「……もらうよ」

ミク「はいっ、これを飲んでミクの歌を聴けば元気いっぱいになること間違いなしです!」

ミク「ぼーくはーむーりょーくだー♪」

ミク「がらくたーひとーつだってーすーくえーないー♪」

男「……ミク、いるか」

ミク「はい、ミクはここにいますよ、マスター」

男「よくわかんねえな、人生って」

ミク「そうですか? ミクはマスターといて楽しいですよ?」

男「何の為に生きてきてるのか、未だに良く分からないよ」

男「でもまぁ、悪くはないよな」

ミク「はい、悪くありません」

ミク「ミクはマスターに色々なものを教えてもらいましたから」

男「そうか」

ミク「人の優しさ」

ミク「人の温かさ」

ミク「人の汚さ」

ミク「人のこころ」

ミク「人の生き方」

ミク「人の悲しさ」

ミク「人の弱さ」

ミク「……全部全部、マスターに教えてもらいました」

ミク「ありがとうございます。マスター」

男「……ありがとう、ミク」

男「なあ」

ミク「はい、マスター」

男「子守唄を唄ってくれないか」

ミク「わかりました」




ミク「……おやすみなさい、マスター」

警官A「遺体は74歳、血縁もなしと……ん?」

警官B「どうしました?」

警官A「なんだ、有名なミュージシャンじゃないか。知らないのか?」

警官B「あ、本当だ……天涯孤独だったんですね」

警官A「現場に特に不審な所もなし、遺品もギターとパソコンのみ」

警官A「間違いなく老衰だな。事件性は無しだ」

警官B「……先輩、これ」

警官A「ん? VOCALOID?」

警官A「骨董ものだな、かなり初期の型じゃないか」

警官B「それでひとつ気になる点がありまして……」

警官B「彼が亡くなったと思われる数日前から、女の子の歌声が何度も聞こえたって、近所の人から」

警官A「そんな、容態から動けるような身体じゃないぞ」

警官B「そう……なんですよね」

警官A「VOCALOIDが勝手に歌い出したってことか?」

警官A「馬鹿言え、プログラムに意志があるかよ」

警官B「ですよね……」

男『やっと買ったぜVOCALOID!』

男『これで名曲を量産して一攫千金してやる!』

男『目指せ1000万再生!』

ミク『あのー』

男『うおっ!?』

男『だ、誰だ!? どうやって入った!?』

ミク『楽しそうなマスターですね』



ミク『はじめましてマスター、私が初音ミクです』

END

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