キョン「ハルヒ、愛してるぞ」ハルヒ「あんたバカでしょ」(49)

ハルヒ「東中出身、涼宮ハルヒ。ただの~」

キョン「なあ」

ハルヒ「なによ、あんた宇宙人なの?」

キョン「いや、宇宙人ではない。だがお前にとって特別な存在ではあるな」

ハルヒ「! それってどういう意味よ」

キョン「俺はな……」

ハルヒ「うんうん」ドキドキ










キョン「お前を守るナイト様さ。可愛いお姫様」フッ

ハルヒ「あんたバカでしょ」

キョン「ハルヒと一緒に部活を作ったわけだが」

ハルヒ「誰に話してるのよ」

キョン「ちょっとな。ところで」

ハルヒ「なによ」

キョン「この部には可愛い女の子が多い」

ハルヒ「そうね」

キョン「長門に朝比奈さん。名誉顧問である鶴屋さんがそうだな」

ハルヒ「……そうね」

キョン「だが、あえて言おう」

ハルヒ「なによ」







キョン「俺にはお前しか見えていないぜ。ハルヒ」フッ

ハルヒ「あんたバカでしょ」

キョン「なあハルヒ」

ハルヒ「なによ」

キョン「俺は実はポニーテール萌えなんだ」

ハルヒ「あっそう」

キョン「だが、変わった。俺の価値観はこの高校に入学して劇的に変わった」

ハルヒ「へえ」

キョン「それはなハルヒ、お前に出会ったからなんだ」

ハルヒ「ふーん」

キョン「つまり今の俺はだな」

ハルヒ「ほおほお」






キョン「ハルヒ萌えなんだ」フッ

ハルヒ「あんたバカでしょ」

キョン「ハルヒ。お前は冷たいな」

ハルヒ「あんたに対してだけね」

キョン「成程。だが俺はハルヒに対しては陽だまりのような温もりを持っているぞ」

ハルヒ「ちょっとなにを言ってるかわからないわ」

キョン「証明してやろう」

ハルヒ「なにをする気よ」

キョン「なーに、すぐにわかるさ」

ハルヒ「は? なんで近づいて……」







キョン「お前の心の氷は俺が溶かしてみせる」フッ

ハルヒ「あんたバカでって抱き着くな!! こらバカキョン!!」

キョン「ところでハルヒ」

ハルヒ「なによ」

キョン「映画のチケットが二枚手に入ったんだが」

ハルヒ「古泉君といってきなさい」

キョン「一緒にいかないか」

ハルヒ「話を聞きなさい」

キョン「俺はハルヒと行きたいんだ」

ハルヒ「私はそうでもないわ」

キョン「そう……か……」ショボン

ハルヒ「っ」ズキ

キョン「ハルヒと行きたかったなー。映画……」ショボボン

ハルヒ「っ!」ズキズキ

キョン「でも無理なら仕方ないよなー……」ションボリン

ハルヒ「っ! わかったわよ! 行くわよ! 行けばいいんでしょ!」

キョン「明後日の十時にいつもの喫茶店集合な」

ハルヒ「あんた……」

キョン「いやー楽しみだな。ハルヒとデート」

ハルヒ「デ、デートじゃないわよ! 不思議探索よ! 映画館に不思議がないか探すの!」

キョン「お、そうだな不思議探索な。不思議探索」

ハルヒ「……」





キョン「いやー楽しみだな。ハルヒと不思議探索」

ハルヒ「あんたバカでしょ」ボソッ

キョン「なあハルヒ」

ハルヒ「なによ」

キョン「昨日フロイト先生もビックリの夢を見た」

ハルヒ「聞かせなさい」

キョン「なんとハルヒが俺の家で義妹として一緒に暮らすという夢だ」

ハルヒ「いよいよダメになってきたわねバカキョン」

キョン「あ、姉の方がいいか? 俺、実は姉貴とかに憧れてたんだよな。長男だし」

ハルヒ「あんたの憧れとかどうでもいいわよ」

キョン「なあお姉ちゃん」

ハルヒ「……。なにかしらキョン君?」ニコッ

キョン「!!!!!???? !!!!?????」

ハルヒ「ちょ、ちょっと何よその反応! ってみくるちゃん湯呑からお茶溢れてる! 有希、エラーってなんのことよ!!
    古泉君急に狂った様に笑い出して大丈夫!?」

キョン「ハ、ハルヒ」

ハルヒ「な、なによ。ってなんであんた吐血してんのよ!!」








キョン「血が繋がらないから結婚は出来るぞ。やったなお義姉ちゃん」ゴフッ

ハルヒ「あんたバカでしょ!」

キョン「ゲームをやろう」

ハルヒ「いいわよ」

キョン「罰ゲームありだ」

ハルヒ「当然ね」

キョン「不戦敗も当然罰を受けるぞ」

ハルヒ「御託はいいわ。罰ゲームの内容は?」






キョン「俺が勝ったらハルヒが俺にキス。ハルヒが勝ったら俺がハルヒにキスだ」

ハルヒ「あんたバカでしょ」

キョン「なぁ、ハルヒ」

ハルヒ「なによ」

キョン「昨日病院に行ったんだ」

ハルヒ「なんで」

キョン「最近、どうも体調が優れなくてその検査に、な」

ハルヒ「……で、どうだったのよ」

キョン「……俺は後、一年しか生きられないらしい」

ハルヒ「……。あっそう」

キョン「……。悪いな、SOS団の平団員ともあろうものがこんな体たらくで」

ハルヒ「本当に、そうよ」

キョン「悪い……」

ハルヒ「……で」

キョン「うん?」

ハルヒ「その手はなに?」






キョン「こういったらハルヒが抱き着いてくるかなって」

ハルヒ「あんたバカでしょ」

キョン「眠いなハルヒ」

ハルヒ「あんた授業中ずっと寝てたじゃない」

キョン「春眠暁を覚えずというやつだ」

ハルヒ「今は夏よ」

キョン「なぁハルヒ」

ハルヒ「なによ」





キョン「膝枕してくれないか」

ハルヒ「あんたバカでしょ」

キョン「困ったことになった」

ハルヒ「いつも通りね」

キョン「テストがやばい」

ハルヒ「日頃の行いのせいね」

キョン「ハルヒ様、助けてください」

ハルヒ「古泉君に教えてもらいなさい」

キョン「嫌だ」

ハルヒ「あんた、古泉君隅で泣いてるじゃない」

キョン「嫌なものは嫌だ。絶対に、嫌だ」

ハルヒ「古泉君バイトがあるって帰っちゃったじゃない。あれ絶対嘘よ」

キョン「ハルヒ様。お願いします」

ハルヒ「はぁー……。次からはしっかり授業聞きなさいよ」

キョン「やった! さすがハルヒ!」

ハルヒ「で、なにがわからないのよ?」






キョン「保健の実技の方がちょっと……」

ハルヒ「あんたバカでしょ」

キョン「夏と言えばなんだハルヒ」

ハルヒ「幽霊、妖怪」

キョン「それ以外」

ハルヒ「そうめん、冷やし中華」

キョン「もう少しアクティブに」

ハルヒ「登山」

キョン「もっと若者らしく」

ハルヒ「はぁ、海」

キョン「正解。というわけで海に行こう」

ハルヒ「その心は?」




キョン「ハルヒの水着が見たい」

ハルヒ「あんたバカでしょ」

キョン「海に来たわけだが」

ハルヒ「古泉君の親戚の人に感謝ね」

キョン「なあハルヒ」

ハルヒ「なによ」

キョン「水着似合ってるぞ」

ハルヒ「ありがと」

キョン「で、ものは相談なんだが」

ハルヒ「なによ」





キョン「その水着いくらで売ってくれる?」

ハルヒ「あんたバカでしょ。って鼻血出てる! 中学生かあんたは!」

キョン「……」

ハルヒ「なによ。じっと見つめて」

キョン「ハルヒの顔を脳裏に刻もうと思ってな」

ハルヒ「好きにしなさい」

キョン「おう」

ハルヒ「……」

キョン「なあハルヒ」

ハルヒ「なによ」

キョン「愛してる」

ハルヒ「あっそう」






キョン「世界の誰より、誰よりもお前の事を愛してる」

ハルヒ「……あんたバカでしょ」

キョン「ハルハルハルヒ、ハルヒさん」

ハルヒ「その呼び方はやめなさい」

キョン「ハルヒが教えてくれたおかげでテストを無事に乗り切れそうだ」

ハルヒ「当然ね」

キョン「というわけでお礼だ。どっかいこう」

ハルヒ「奢り?」

キョン「当然だ」

ハルヒ「ま、付き合ってあげてもいいわよ」

キョン「イエス!」

ハルヒ「で、どこにつれていってくれるのよ」






キョン「ラブホ」

ハルヒ「あんたバカでしょ」

キョン「ところでこいつを見てくれどう思う」

ハルヒ「凄く赤いです……」

キョン「赤点とった」

ハルヒ「本気でバカね。大丈夫って言葉はなんだったのよ……。ってなんで白紙なのよ」





キョン「テスト中ずっとハルヒとのいちゃラブを妄想してたらこうなった」

ハルヒ「あんたバカでしょ」

キョン「もう夏も終わりだな」

ハルヒ「そうね」

キョン「早いもんだ。俺とハルヒが出会ってもう半年近くになるのか」

ハルヒ「あたし達が入学してから約半年ね」

キョン「なぁハルヒ」

ハルヒ「なによ」

キョン「そろそろよくないか?」

ハルヒ「……なにがよ」






キョン「子供を作ろう」

ハルヒ「あんたバカでしょ」

キョン「星空っていいと思わないか」

ハルヒ「まぁ悪くはないわね」

キョン「っというわけで今夜星空を見に行こう」

ハルヒ「拒否するわ」

キョン「なぜだ」

ハルヒ「あんたのことだから、どうせあたしにいやらしいことでもするつもりでしょ」

キョン「ふっ……」

ハルヒ「なによその笑い」

キョン「いや、ハルヒもついに俺の気持ちを口に出さなくても理解してくれているんだと思ったら嬉しくてな」

ハルヒ「できれば一生理解したくなかったわね」





キョン「安心しろゴムは買ってある」

ハルヒ「生々しすぎるわよ」

キョン「ハルヒは将来、俺のお嫁さんの他にどういったことがしたいんだ?」

ハルヒ「まず、なんであんたのお嫁さんが規定事項に含まれているのかを問いたいわね」

キョン「?」

ハルヒ「本気で不思議そうな顔すんな」

キョン「まぁそれはいいじゃないか」

ハルヒ「よくないわよ」







キョン「ちなみに俺はハルヒの夫の他にはなりたいものはない」

ハルヒ「あんたバカでしょ。色んな意味で」

キョン「……」

ハルヒ「どうしたのよ。随分眠そうじゃない」

キョン「昨日はあんまり眠れなかったんだ」

ハルヒ「あんたのことだからまたあたしのことを考えてーとかでしょ」

キョン「よくわかったな。その通りだ」

ハルヒ「まったく。……。どんなこと考えてたのよ」







キョン「いや、ハルヒとの初めてはどんなプレイで臨もうかと考えたら滾ってな」

ハルヒ「あたしの半径百メートル以内に近づくな」

キョン「なぁハルヒ」

ハルヒ「なによ」

キョン「その飲みかけのジュースもらっていいか?」

ハルヒ「断固拒否するわ」

キョン「ストローだけでいいんだ」

ハルヒ「余計嫌よ」

キョン「先っちょ。先っちょだけでいいんだ」

ハルヒ「必死すぎて正直ひくわね」

キョン「なぁ、頼むよ」

ハルヒ「……。一口だけよ」

キョン「やり!」

ハルヒ「……」




キョン「ちゅばべろべろしゅごごべろんべろんちゅばばばば」

ハルヒ「やっぱりそれ全部あげるわ」

キョン「なぁハルヒ」

ハルヒ「なによ」

キョン「最近、俺は変態じゃないかと思えてきたんだ」

ハルヒ「キョン……。それに気づくなんて成長したわね」

キョン「でも、そんな俺もいいかと思えるんだ」

ハルヒ「キョン……。そろそろ病院に行きましょう」

キョン「だってさ」





キョン「ハルヒはそんな俺が愛おしいだろ?」

ハルヒ「確かにあたしは普通は嫌いだけど、非常識が好きなわけじゃないわよ?」

キョン「ハルヒは、まぁ俺の嫁になるわけだ」

ハルヒ「いきなりなにを血迷ってるの」

キョン「子供は何人作る?」

ハルヒ「相変わらずねキョン」

キョン「俺としてはやっぱり最初は男の子、次は女の子がいいんだが」

ハルヒ「あたしでも人の話は一応聞くわよ?」

キョン「まぁでも」








キョン「元気に生まれてくれるならどっちでもいいな」

ハルヒ「……そうね」

キョン「なぁハルヒ」」

ハルヒ「なによ」

キョン「写真。いいか?」

ハルヒ「だめよ」

キョン「なぜだ」

ハルヒ「碌なことに使わないでしょ」

キョン「そんなことはないぞ」

ハルヒ「じゃあなにに使うのよ」






キョン「新しいおかずに」

ハルヒ「あんたバカで、って待ちなさい。新しいってなによ。あんたまさか……」

キョン「……」

ハルヒ「……あれ、ウソじゃなかったの」

病室。
1人の青年がベッドに横たわっている。

そして、その青年に語りかける一人の少女。


キョン「すまん」


申し訳なさそうな声色で少女の問いに答える青年。
顔は開かれている窓に向けられ、少女の顔を見てはいない。


ハルヒ「……すまん、じゃないわよ」


俯きがちに、青年の言葉に弱弱しく文句を言い放つ。
その表情は悔しそうで、泣きそうにも見える。

ハルヒ「あたしと、結婚するんじゃなかったの」


相変わらず窓の方へと顔を向ける青年に対し、少女は睨み付けるように、そう言った。


キョン「すまん」


青年は少女の言葉にさっきと同じような口調で返答する。

そして、ゆっくりと顔を少女に向けて、一言。


キョン「俺の事は、忘れろ」


無表情にそう告げる。


ハルヒ「ッ!」


パンッ! と乾いた音が病室に響いた。
少女が青年へと近寄り、胸倉を掴み無理矢理起き上がらせ彼の頬を叩いた音だ。


少女の突然の暴挙に、その場にいた彼女達の友人が驚きを見せる。

キョン「……」

叩かれた頬を手でさすりながら、青年は少女を見る。


ハルヒ「……」


その青年の瞳をじっと、見つめ返す少女。



少し、時間が経つ。
彼女達が見つめ合っていた時間は長くはないが、それを見ていた者達からはとても長い時間のように感じられた。

ハルヒ「……もう、いいわ」


ハルヒ「行きましょう」

その場にいる、ベッドに寝ている青年以外の者に声をかける。


ハルヒ「……馬鹿」


小さく、誰に聞かせるわけでもなく、そう呟く。
そして、病室から出ていく少女。

そんな彼女を追いかける二人の少女。


彼女達が出ていった病室に静寂が流れる。

キョン「……」


少女と一緒に来ていたのであろう穏和そうな青年が一言声をかける。


本当にそれでいいのですか、っと。


キョン「それでいいもなにもない。いなくなる人間のことなんて忘れちまうほうがいいに決まってる」


ぶっきらぼうにそう答え、お前も俺の事は忘れろ。

そう言って、ベッドに横たわる。



そうですか。そう短く答え、青年は日頃から浮かべる微笑を苦笑に変え、病室から出ていく。


出ていく前に、


涼宮さん、泣いていましたよ。


その一言だけを残して。

キョン「……」

キョン「はは、最低だな俺……」

キョン「好きな女に、辛い思いさせて、泣かせて……」

キョン「……」

キョン「いいわけねーだろ」

キョン「あいつに、ハルヒに忘れられるなんて、考えただけでこえーよ」

キョン「……でも、俺は、いなくなるんだ」

キョン「なら、これからのあいつの足枷になるくらいなら……」

自嘲気味に笑い、再び顔を窓の外へと向ける。
窓の外では雲一つない青空が広がっていた。

夜。

キョン「……」

真っ暗な部屋で、じっと天井を見つめる青年。

そんな彼に来訪者が訪れる。


ハルヒ「よ」

キョン「……。不法侵入とは団長様は相変わらずだな」

ハルヒ「言ったでしょ、あたしは普通って嫌いなの」

キョン「そういう問題じゃない」

ハルヒ「それより、行くわよ」

キョン「どこにだ」

ハルヒ「屋上」

キョン「俺は病人なんだが」

ハルヒ「団長命令よ」

キョン「やれやれ……」

―屋上


ハルヒ「すっごいわね」

キョン「ああ」


病院の屋上へと昇ってきた彼等の頭上には満天の星空が広がっていた。
その、圧倒されそうな光景に見惚れてしまう2人。


キョン「でもなんで急に星空なんて見に来たんだ?」

ハルヒ「なに言ってんのよ、あんたが前に見に行こうっていったんじゃない」

キョン「……よく覚えてたな」

ハルヒ「……忘れるわけないじゃない」

キョン「そうかい」

ハルヒ「そうよ」

少し静寂。


澄んだ空気の中、白い息を吐きつつも星空を見上げていた。
寒空の下、少しでも暖をとろうと、彼等は二人寄り添いあうように座る。

ハルヒ「でも、屋上とはいえ肉眼でここまで星が見えるのって変ね」

キョン「そうだな。不思議なこともあったもんだ」

キョン(……ありがとよ、長門)

ハルヒ「……ねえ」

キョン「なんだ」

ハルヒ「あたしって普通って嫌いなの」

キョン「さっき聞いたな」

ハルヒ「でも、それは、だった。に変わったのよね」

キョン「……」

ハルヒ「北高に入学して、あんたと会って、あんたに付き合ってるうちにね」

キョン「……そうかい」

ハルヒ「……そうよ」

ハルヒ「忘れないから」

キョン「……」

ハルヒ「あんたが忘れろって言ったって忘れてなんかやらない」

キョン「……」

ハルヒ「だってあたしは団長なのよ? SOS団の団長で、あんたは平団員」

キョン「……」

ハルヒ「平の分際で団長様に命令なんて、許されないんだから」

キョン「そうかい」

ハルヒ「そうよ」

ハルヒ「ねぇキョン」

キョン「なんだ」

ハルヒ「そういえばゲームの罰ってまだ済ませてないわよね」

キョン「あれか」

ハルヒ「あれよ」

キョン「そういえばそうだな」

ハルヒ「そうよ」

キョン「不戦敗も罰を受けるんだったな」

ハルヒ「そうよ」

キョン「俺が勝ったらハルヒが俺にキス。ハルヒが勝ったら俺がハルヒにキスだったな」

ハルヒ「そうよ」

キョン「確か、俺が負けたんだったか」

ハルヒ「あたしが負けたのよ」

キョン「そうだったか?」

ハルヒ「そうよ」

キョン「どっちも負けじゃなかったか?」

ハルヒ「そうだったかしら?」

キョン「そうだったはずだ」

ハルヒ「じゃあ、しょうがないわね」

キョン「あぁ、しょうがない」

ハルヒ「あたしが勝ったんだからあんたがあたしにキスしなさい」

キョン「俺が勝ったからハルヒが俺にキスだな」

キョン「……」

ハルヒ「……」


キョン「……愛してるぞハルヒ。世界の誰より、誰よりもお前の事を愛してる」

ハルヒ「……ばーか」



星空の下、屋上で二人の男女が向い合せに立ち上がる。
そして、徐々に顔を近づけ……。












キョン「って感じの脚本を考えたんだが今度の映画にどうだろう」

ハルヒ「あんたバカでしょ」

いくつかの年月が流れて。


白い教会。
その教会で二人の男女が誓いを交わそうとしていた。


「はぁ……」

「こんなめでたい日に溜め息とは縁起でもないな」

「うるさいわね。こんな平凡な男と結婚することになった自分を憐れんでるのよ」

「ははは」

「笑い事じゃないわよ。あーあ、結局。宇宙人も未来人も異世界人も超能力者にも会わなかったし」

「やっぱり不思議な事ってないのねー」

「ふむ。だがな、ハルヒ。俺はお前にとって特別な存在だぞ」

「……。どういう意味よ?」

「俺はな」

「……」

「お前を一生守るナイト様さ。可愛いお姫様」

「あんたバカでしょ」

「でも、ま。宇宙人や未来人や異世界人や超能力者に会えなくても、あんたと会えたから十分かな」

「それは光栄だな」




「好きよバカキョン」

「愛してるぞハルヒ」




二人の男女がくちづけを交わす。

それを合図にしてか、教会のベルが鳴る。
そしてその音に驚いた白い鳩が飛び立つ。


その光景は二人の若い夫婦を祝福しているかのようだった。



おわり


面白かったよ

すごい面白かった


やっぱハルヒっていいわ

良かった
乙でした!

乙。やはりハルヒが一番


パッピーエンドで良かった


こういう風に淡々と1レスでオチつけれるのは本当にすごいと思うわ

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