あなたとここで(797)

初スレ立て
初ss
長文なので苦手な方はそっとお戻り下さい。

行間とか読みにくい点があればご指摘くださると幸いです。途中まで書き溜めあり

ジャンミカ コニサシャ アルクリがあるのかないのか・・・・
エロはすっとばす予定。

後、コミック12巻まで読んでます。

妄想設定多数あります。

獣の長い手が、ワイヤーを掴むのが見えたその瞬間、すべてが凍りついた。
きれいな弧を描いた軌道が、勢いもそのままに乱れ崩れて墜ちてゆく。
伸ばした指先は到底届きそうにない。


俺は墜落するミカサを追って巨人の群れに飛び込んだ。この場にいるどの巨人も人間には見向きもしない。巨人同士殴り合い掴み合い食い合って土埃の舞う中に、ミカサは消えていく。

コニー「ジャン!!無茶だ!待て!!」

サシャ「ジャン!いけません!」

クリスタ「ジャン!ダメッ!!」

ビュ・・・ドォォ

コニー「くっ!!」サシャ「あっ!!」クリスタ「キャッ!!」

巨人がまき散らす瓦礫を掻い潜ってミカサを目指す。

(死ぬな!ミカサ・・・!)

―――サシャ―――

コニー「サシャ!クリスタと一緒にアルミンとこ行って馬用意して来い!!」

サシャ「でも!」

コニー「いいからいけって!!」

サシャ「わかりました・・・・」

コニー「水門のあたりで合流だ!いいな!!」

サシャ「はい!」

コニー「いけっ!!」

サシャ「待ってますよ!!クリスタ!行きましょう!!」パシュ

クリスタ「・・・・」パシュ



もうはっきり言ってメチャクチャです。
獣の巨人強すぎます。
ライナーとベルトルトが味方になってくれて、もうコッチのもんだと思ったんです・・・・これで勝てるって。
でも・・・・ミカサもユミルも猿に叩き落されてしまいました。
リヴァイ兵長が動けない今、ミカサ以外の誰が獣を削げるっていうんでしょう?

サシャ「クリスタ!ガスはまだ大丈夫ですね?!壁の上から行きますよ!」

クリスタ「大丈夫よ!」


シュン!シュタッ
タッタッタッタッ


クリスタ、真っ青な顔してます。きっとユミルの事が心配なんですよね。



サシャ「アルミン!!」ハァハァ

アルミン「サシャ!!」

サシャ「大変なんです!」ハァハァ

クリスタ「ミカサとユミルが!」ハァハァ

サシャ「獣に!」ハァハァ「叩き落とされて」ハァハァ

アルミン「ミカサが!?それで?!ミカサはどうなったの?!」

サシャ「いえ、まだそれはわかりません。」ハァ「ジャンが助けに向かいましたけど・・・」

クリスタ「途中で立体起動を使った様子もないの。だから」ハァハァ

アルミン「どれくらいの高さから落ちたの?」

サシャ「獣の頭より高かったと思います」

アルミン「・・・・・」

サシャ「馬を用意して水門で待っていて欲しいとコニーが・・・」

クリスタ「ミカサがどうなってるかわからないけど」ハァ「巨人でメチャクチャになってるところにジャンは飛び込んでいったから、ジャンも怪我をしてるかも!」ハァ

アルミン「わかった!すぐに馬を用意する!」

―――コニー―――
ジャンの野郎、ミカサのワイヤーが獣に掴まれたとたん、巨人どもの中に突っ込んでいきやがった。
瓦礫がビュンビュン飛んでくんのに、お構いなしでやんの。無茶にも程があるよな。
追いかけようとしたけど、無理だった。
そんでとりあえずサシャにアルミン探しに行かせて、巨人の足元に突っ込んで見えなくなったジャンを置いてくわけにいかねぇから少し離れて見てたら、ミカサ担いで走ってくるジャンが見えたんだ。

正直ミカサやべぇって、一目見て思った。足も手も顔も血だらけで意識がなかったんだ。

コニー「ジャン!!お前大丈夫か!!血ィついてんぞ!!」

ジャン「俺は何ともねぇよ!それよりミカサが!」

コニー「・・・やべぇな」

ジャン「とにかくどっかに・・・!」

ヒュン

コニー「よけろ!!」

ドゴォ!!!

コニー「っく!ここじゃどうにもならねぇ!ジャン跳べるか?!」

ジャン「ったりめぇだろ!!」

ミカサ「まって・・・」

ジャン「ミカサ!!気か付いたか!」

ミカサ「まって・・・はぁっ・・・・え、えれんは・・・・」

ジャン「ミカサ・・・・・今はダメだ!早く離れねぇと!」

ミカサ「えれん・・・・ヒュウ・・・・」

ジャン「ミカサ喋るな!」

ミカサ「け・もの・・・そがないとヒュウ・・・えれんが・・・ヒュウ」

コニー「ダメだミカサ!!ジャン!ミカサ担いで壁登れるか!?」

ジャン「何回も聞くんじゃねぇよ!やるしかねぇっての!!」シュ・・・カッ

ジャン「ミカサ!跳ぶぞ!」ヒュン

―――ジャン―――

打ち壊された外扉と同化して壁となる5体の巨人を、俺たちは、ただ茫然と、壁の上から見つめていた。

もがく獣の腕を、半身を硬化させたエレンの巨人が扉の中に押し込めるのが見えた時、彼女が身じろぎするのを感じた。
もし怪我をしていなかったら、飛び出していったんだろう?
お前は強ぇよ。誰よりも。
だがな、あの獣に勝てる人間なんざいねぇんだ。たとえお前でも、無理なんだよ。
いつだってお前は・・・あいつがからむと無茶ばっかりしやがる。少しくらい、自分を大切にしやがれってんだ・・・・

ミカサ「ヒュッ、えれん・・・・」

ジャン「・・・・」

コニー「・・・・」

その日シガンシナ区の扉は塞がれた。
始まりの場所で、始まりの巨人たちと、その仲間達の手により、獣の巨人を道連れにして。

一度切ります

―――サシャ―――
アルミンは私とクリスタの話を聞くと、すぐに内門脇の船着き場へ連れて行きました。
そういえば船があるのに、なぜコニーは馬を用意しろと言ったのでしょう?今回のシガンシナ奪還作戦には船で物資を運んで来たんです。3隻のうちの1隻は中流に留め置いて、負傷者は小舟を使って船に退避させているのに、馬を使ってどうするんでしょうか?
残りの1隻の中に入ると、馬がつながれていました。でもどうして馬房じゃなくて、こんな隅っこの積荷の陰なんでしょうか

アルミン「いいかい、二人とも。馬を連れてあの第一倉庫に隠れて。町の中は巨人だらけだから、きっとコニー達も壁の上から来るはずなんだ。僕が壁の上で待つ。合図を送るまでは倉庫の中で静かにじっとしているんだ。内扉には肉の壁が作ってあるし、このあたり一帯の巨人は掃討済みだけど、十分気を付けて。」
サシャ「わかりました。」

アルミン「さ、馬を連れて行って。船を降りるときに馬を怖がらせないように気を付けるんだ。出来るだけ落ち着きのある馬を選んだつもりだけど、頼んだよクリスタ」
クリスタ「ええ。やってみる」
アルミン「じゃあ、二人とも・・・・その、気を付けて」シュ

なんでしょう。なんだか嫌な感じです。上手く言えませんけど・・・・

クリスタ「ヨシヨシいい子ね。さぁおいで。さ、あなたも。あら、この子はコニーの馬だわ。あなたあの時私を乗せてくれたわね。元気で良かったわ。」

クリスタは馬の扱いが本当に上手です。馬を嘶かせることもなくあっという間に終わらせてしまいました。
それにしても・・・・馬に積んである荷がどうしてこんなに大きいんでしょうか・・・・

―――コニー―――
ミカサの立体起動装置は見るからにぶっ壊れてた。捨てちまおうかとも思ったんだけどよ、ガスも刃もまだ残ってたんで、外してオレが持つことにした。
そうでもしねぇと担いで走んの、キツそうだったんだよ。女の体重の事、とやかく言うのはまぁアレなんだけどさ。距離もあるし。ジャンはやれるって言ったんだけどな。

ミカサはずっとポロポロ泣いてた。声も出さずに。んで、アルミンが見えるころにはまた気ィ失っちまってた。

アルミン「ジャン!コニー!大丈夫かい?!ミカサは?」

ジャン「あぁ、俺とコニーはこの通りなんともねぇ。だがミカサは・・・」ハァハァハァ

コニー「今は気を失ってるみてぇだけどよ、ひでぇ怪我だ。すぐ医者に診せた方がいいんだけどよ・・・」ハァ

アルミン「・・・・」

ジャン「やっぱ無理か?」ハァハァ

アルミン「・・・・うん。残念だけど・・・・船着き場の倉庫に馬を用意してある。出来るだけの荷物も積んである。それとこれ。」

ジャン「地図か」ハァハァ

アルミン「シガンシナから北北西の街道から少しそれた、ここ。ここに小さな集落がある。建物の保存状態も良いんだ。ここに避難して欲しい。必ず医者を連れて行くから。」

ジャン「その医者は信用できるんだろうな?」ハァ

アルミン「うん大丈夫。ハンジ分隊長と知り合いってこともあって、ちょっと変人かもしれないけど・・・・」

コニー「変人?なんだそりゃ。まぁいいや。でもちょっと遠くねぇか?その、ミカサのこの状態じゃ・・・・」

アルミン「シガンシナから近すぎても危険なんだ。討ち漏らしの危険もあるし。この集落のすぐ近くにかなり大きな木の森があるんだよ。討ち漏らした巨人が襲ってきてもそこなら立体起動が使える。それにまともに使える建物が少なくて・・・・みんなの安全を考えるとここしかないと思うんだ」

コニー「そっか・・・・」

ジャン「よし、さっさと向かうぞ」

アルミン「待ってジャン、ミカサの外套は?」

ジャン「あぁ、邪魔だとか言って脱いじまってそのまんまだ」

アルミン「用意しといて良かった。これを着せよう」

コニー「こりゃ駐屯兵団のじゃねぇか」

アルミン「これでいいんだよ。今この先では閉じ込めた巨人の掃討作戦中でみんな手一杯なんだ。君たちを気にする人は少ないと思う。フードを被せてこのまま負ぶっていけば多分大丈夫だよ。」

コニー「あぁ、そうか」

アルミン「だけど気を付けて。目立つ行動は避けたいんだ。担架もおとり部隊の負傷兵運搬で順番待ちだから使いたくないんだけど・・・・ジャン降りられる?」

ジャン「お前らなぁ、俺はお前ら程チビでもひ弱でもねぇんだよ。女の1人位どうとでもなるってぇの」フフン

コニー「悪かったなチビでよ」

アルミン「普通の女の子とはだいぶ違うからね。ミカサは」ハハッ

コニー「筋肉がちげーっつうの。並みの男より重てぇんだ。あんま無理すんなよ」

ジャン「うるせぇよ。じゃれてる暇ねぇぞ」

アルミン「うん。行こう。サシャとクリスタが待ってる」

タタタタタタ


アルミン「ここから降りて。クリスタには頃合いを見計らって僕が合図するから。出来るだけ早くシガンシナから離れるんだ」ハァ

コニー「あぁ。色々すまねぇな。骨折らせちまってよ・・・お前ぇ、やっぱ行かねぇのか?」

アルミン「僕はここに残るよ」ハァ

ジャン「アルミン・・・・気をつけろよ?」ハァハァ

アルミン「ありがとうジャン。その、長くなるだろうけど・・・・ミカサを頼むよ?」ハァ

ジャン「任せろ。お前が医者を連れて来るまで絶対に死なせねぇよ」ハァ


―――サシャ―――

クリスタ「・・・・ねぇサシャ」

サシャ「はい」

クリスタ「なにか、変じゃない?」

サシャ「クリスタもそう思いますか?」

クリスタ「うん。この馬の荷物。前もって用意してあったものだよね?」

サシャ「だと思います。この馬の装備は遠征用のものです。けど今回ほとんどの物資は船で運んでいます。マリアの巨人掃討作戦に参加していた調査兵団の馬ならこの装備も納得ですけど・・・・」

クリスタ「うん。でもこの子達は違う。毛並もキレイですごく元気よ」

サシャ「やっぱりそうですよね。とても遠征先から合流したばかりとは思えません」

クリスタ「それに、なんだかアルミンの様子も変じゃない?」

サシャ「はい。ミカサが怪我をしたかもしれないのに、船に運ばないのはどうしてでしょう?」

クリスタ「・・・・・ねぇ、もしかして・・・・104期の」ピィッ「!!」

サシャ「来ました!」

クリスタ「行こう!!」

ミカサを抱えて降りてきたジャンは汗だくで肩で息をしてて、馬にミカサを担ぎ上げてその後ろに乗ろうとしたとき、一瞬乗り損ねるくらい疲れ切っていました。
ジャンがずーっとミカサを抱えてここまできてくれたんですね。
そんなジャンに水を差し出したクリスタが悲鳴を上げました。何があったのかと馬を寄せて外套に隠れたミカサを見た時、血の気が引きました。背筋が寒くなるって言葉がありますけど、まさにそんな感じです。
両足も腕も血まみれで、ぐったりとしていて顔色も悪くて・・・・

クリスタ「ジャン!無理だよ!!こんな・・・・」

サシャ「馬でどこに行くっていうんですか!!ミカサ死んじゃいます!!」

コニー「そんなことわかってるよ!しかたねぇだろ!」ハァ

ジャン「四の五の言ってる暇はねぇ」ハァハァ「さっさと行くぞ」ハァハァ

クリスタ「でも!」

コニー「説明は後でしてやるから急げよ!」

―――ジャン―――
満身創痍のミカサを抱えて馬を走らせるうちに日暮れを迎えた。
一度も巨人に遭遇しないまま夜になるのは僥倖と言っていいだろう。正直今巨人に襲われても満足に動ける気がしない。
暗くなってからアルミンの言う集落を見つけられるかどうかも不安だったが、こんもりとした大きな森の向こうから月が出て集落を照らした時、心の底から安堵したのは俺だけじゃなかったはずだ。


そこは家が3つあるだけの小さな集落で、扉に印のある一番大きな家に入ると、中にろうそくや着替え、寝具が用意してあった。
馬には食料や寝袋、医薬品と少しだがガスと刃もあった。いつこれだけの準備をしたのか、アルミンてのは本当に頭のまわる奴だ。

痛みに呻くミカサをベットに寝かせて俺が居間に退散した後、サシャとクリスタで戦闘服を脱がせようとしたんだが、ここでちょっとした問題が起きた。


サシャ「困りました」ガチャ

ジャン「どうした!?」ガタッ

サシャ「ベルトが外せないんですよ」

ジャン「は?」

サシャ「だから、外せないんです。ベルト」

クリスタ「背中で引っかかっちゃって、ダメなの。切っちゃう?」

ジャン「いや、どうにもならないのか?装備の替えはないんだ。万が一に備えてなるべく破損させたくねぇんだが・・・・」


クリスタ「ミカサを持ち上げてくれれば、なんとかなると思うんだけど」

サシャ「私たちの力ではミカサのケガに障ると思います」

コニー「!!あ!そこに井戸があったな!俺水汲んでくるわ。要るだろ?ジャン、こりゃお前にしかできねぇよ!頼んだぜ!」ニヤッ サッ

ジャン「あ!おい!いや、えっと・・・・」


コニーって実はそんなにバカじゃねぇと思う。そうだよ。みんなにバカバカ言われてるけどよ、憲兵団狙いのやつなんざ掃いて捨てるほどいるんだ。本当にバカな奴なら10位内に入れるもんかよ。さっさといっちまいやがって。俺一人で女ばっかりの寝室に入るのか?チキショー覚えとけよ。


抱きかかえて立体起動で壁登って降りて馬で散々揺す振っといて今更なんだが、改めてあちこち怪我だらけのミカサを見ると、なんだか恐ろしくなる。
ドギマギしながらベットの上のミカサを横抱きに抱え上げると、サシャとクリスタがテキパキとベルトを外した。


クリスタ「怪我の状態を確認したいわね」

サシャ「そうですね。体を拭いて出血箇所の確認もして止血しなおさないといけませんね。服は切っちゃってもいいですよね」

ジャン「あ、あぁ。(切るのか?!)お、俺はもういいだろ?」

サシャ「当たり前です」ギロッ

コニー「おーい、水汲んできたぞ~」

クリスタ「ありがとう、コニー」

コニー「いいってことよ」

クリスタ「二人ともあとは私たちに任せて。ジャン疲れたでしょう?今日はもう休んで?」

サシャ「詳しい説明は後で伺います」キラン

ジャン「お、おう」タジッ

ガチャ

ジャン(ビクッ)

サシャ「あれ?まだ起きてたんですか?」ヒソ

クリスタ「ジャン、ダメだよ寝なきゃ。今日はジャンが一番頑張ったんだから、ちゃんと体を休めないと」ヒソ

ジャン「あぁ、寝付けなくてな(ドキドキ)で、どうだ?ミカサは」ヒソ

サシャ「あまり・・・・」ヒソ

クリスタ「隣の部屋で話す?コニー寝てるし」ヒソ

ジャン「そうだな」ヨイショ

クリスタ「何もないけど、はい、お水」カタ

ジャン「すまねぇな」

サシャ「いただきます」

ジャン「ふぅ。で、ミカサの怪我だが・・・・」

クリスタ「足は両方とも折れてると思う。手の指も酷く腫れてるし」

サシャ「あと腰のあたりも腫れてますね。立体起動装置が外れてませんでしたか?」

ジャン「あぁ。ついたままだった。ぶっ壊れてたがな」

サシャ「まずいですね」

クリスタ「そうね。腰も折れてるかもしれない」

サシャ「今のところ目に見える出血はほとんど止まっていますが、わき腹とかあちこち腫れているので、内出血しているかもしれません」

クリスタ「早くお医者さまに診てもらいたいんだけど・・・・」

ジャン「アルミンなら上手くやってくれると思うがな・・・」

サシャ「そうです!アルミン!」

クリスタ「アルミンなにか様子がおかしかった。それにこの段取りの良さ!」

サシャ「どういうことなんです?」

ジャン「そりゃあな、俺たち104期生が疑われてるからだよ。いや、今じゃ疑われるどころじゃねぇな。鎧と超大型の正体がライナーとベルトルトだってわかって、それがあっという間に兵団全体に広まっちまった。あいつらは特に怖れられ憎まれてるからな、箝口令なんてほとんど意味がなかったんだ。アニの時には疑われるだけで済んだが、さすがにもうそんなわけにはいかねぇ。104期の上位組の半分は巨人だった、104期は巨人だらけだって噂が広まってるらしい」

クリスタ「そんな・・・・」

ジャン「船で治療出来なかったのもそういうわけだ。手負いのミカサをそんなところに置いて、誰かに104期の首席だって気付かれたらどうなるか。そもそもミカサは目立つからな。気付かれない方がおかしい」

クリスタ「東洋人なんだっけ?そんな人壁の中にはいないもんね・・・・」

ジャン「それに今ここにいる全員が104期上位組なんだ。いつ誰がどんな目に会ってもおかしくねぇ」

サシャ「えぇ!!私もですか!?」

ジャン「あぁ。そうだよ。お前もだ。」

サシャ「私巨人じゃありませんよ!!」

ジャン「俺だって巨人じゃねぇよ。だがな、それがわかるのは自分だけなんだ。いや、エレンは自分が巨人になれることを知らなかった。それを考えると自分でも本当に巨人かどうかなんてわからねぇんだが・・・・とにかく俺ら以外の奴らは俺らを信用できねぇどころか怖くてしかたねぇんだ。中には俺らを巨人だと決めつけて憎んでる奴さえいるらしい。そんな中にいたらいつ何が起きてもおかしくねぇ。集団ヒステリーでも起きて見ろ。上官でも手が付けられなくなる」

サシャクリ「・・・・」 マッサオ

ジャン「アルミンはエルヴィン団長の補佐やってたからな、そのへんのところ、かなり早くから分かってたみたいだな」

サシャ「それでこんなに手際が良かったんですか・・・・」

クリスタ「でも、でも!アルミンだって104期生よ?いくら上位組じゃないからっていっても、そんな状態で大丈夫なの!?危険なんじゃ・・・・」

サシャ「ハッ!そうですよ!しかもアルミンは上位組全員と仲良くしてました。あの、エレンが初めて巨人化したときだって・・・」

クリスタ「ミカサと一緒にエレンをかばったでしょう?それを大勢が見てる・・・・」

ジャン「リヴァイ兵長にハンジ分隊長、エルヴィン団長とここにきて上の連中がバタバタ負傷してるからな、団長も使えるやつは手元に置いときたいんだろ。あいつはここのところずっとエルヴィン団長が連れて歩いて見せつけてるんだってよ。だからそう簡単に手を出されることもないだろ」

サシクリ「・・・・」

ジャン「エルヴィン団長が腹心の部下を護衛に付けてるみたいだし、俺たちを逃がす準備だって、全部あいつ一人でできることじゃないからな。」

クリスタ「そっか・・・・そうよね。馬の装備だってこの小屋の荷物だって、一人じゃ準備できないもの。エルヴィン団長がいるなら大丈夫よね?」

サシャ「・・・・」

ジャン「あぁ。リヴァイ兵長の怪我もかなり良くなってて現場復帰も近いらしいし、ハンジ分隊長なんか包帯ぐるぐる巻きでもう仕事してるってよ。アルミンは上の連中が守ってるから、案外俺らより安全かもな?」

クリスタ「そうよね。心配いらないよね」

サシャ「・・・・」

ジャン「さぁ、そうとなったら俺らもしっかり休んでおかねぇとな。お前らこの部屋で寝ろよ。ミカサは俺が見といてやるからよ」

クリスタ「ダメだよ!ジャンが一番疲れてるハズよ!」

ジャン「ちょっと目が冴えちまって寝られそうにねぇ。見張りも必要だからな。もうちょっと起きとくわ。あとでどっちか交代してくれよ?」

クリスタ「そう?じゃあ先に少し寝るね?」

サシャ「おやすみなさい」

ジャン「んじゃな」ガタ

クリスタ「おやすみ」

夜更けにクリスタが起きてくるまで、俺はただじっと月明かりに照らされるミカサの顔を見つめていた。
時々苦しそうに呻いて、あのバカ野郎の名前を呼ぶミカサを、ただ、ただじっと。

なぁ。俺は、何かお前にしてやれること、あるのかな。

―――コニー――
サシャに起こされたら、もう地平線がうっすら白くなってきてた。ずいぶんぐっすり眠っちまったな。
サシャがもう少し起きてるっつんで、ちょっとミカサを頼んどいて、集落を一回りしてみた。
扉の壊れた家畜小屋があって、中に羊と山羊、鶏が固まって寝てた。人間がいなくなったあともここをねぐらにしてたんだな。

家畜小屋の規模から考えたらもっといたはずだ。森を探せばもっと見つかるかもしんねぇ。肉が食えるってサシャが大喜びするだろうな。
使ってない別の2軒の家の中に入ってみたら、埃まみれの蜘蛛の巣だらけだった。つうことは俺らが使った家、最低限の手入れもやっといてくれたってことか。アルミンってホントすげぇな。
家から出て、森を眺めてみる。確かにデカい木がいっぱい生えてんな。あれなら立体起動が使える。
戻ってみたらミカサの横でサシャがうとうとしてた。

コニー「おい、サシャ。」ユサユサ

サシャ「・・・んぁ」

コニー「眠いんだろ?寝てこいよ」

サシャ「ん・・・・はい、もうちょっと寝ます・・・・」

コニー「待たせてわりぃな」

サシャ「・・・・あの、コニー」

コニー「なんだ?」

サシャ「私たち、戻れるんでしょうか?」

コニー「ジャンと話したのか?」

サシャ「はい」

コニー「・・・・・さぁな。わかんねぇけどよ、とりあえずお前はもうちょっと寝てこい。休めるときに休んどけ」

サシャ「・・・・はい」

ミカサのおでこの布を触ってみる。なんだ、だいぶあったけぇな。オレが寝てから熱を出してるらしいが、ホントにこいつ、大丈夫なのか・・・・
ジャブ・・・・ギュ~・・・・ピト
なんかもう、兵団に戻れるかどうかもわかんねぇし、オレの村はあんなだし・・・・オレ帰るとこなくなっちまったのかな・・・・

――――――
私が起きると、ジャンがミカサの立体起動装置を広げてバラしてるところでした。
工具もアルミンが用意してくれていたんでしょうか?


サシャ「おはようございます」

ジャン「よう、起きたか」

サシャ「それ、ミカサのですね?」

ジャン「あぁ、なんとか直せねぇかと思ったんだが・・・・俺らじゃ無理だな」

サシャ「そうですか・・・・」

ジャン「予備があるとよかったんだけどよ。まぁしかたねぇな」

サシャ「巨人、まだいますかね・・・・?」

ジャン「マリアは広いからな、狩り尽くしたとはいえねぇだろうな」

サシャ「ですよね・・・・」

ジャン「でもま、なんとかなるだろ。ここには104期の精鋭が揃ってるんだし、街道に近いエリアは重点的に討伐してるからな。巨人がいるとしたらもっと奥地だろ」

サシャ「・・・・やっぱりまだいますよね・・・・・」

ジャン「あ、そういえば今コニーが鶏さばいてるぞ?」

サシャ「!!!!!に、に、にわとりっ?!」

ジャン「おう。さっき、雄鶏捕まえたから今夜は焼きとりだ!とか言って羽むしってたぞ。」

サシャ「ジャン!」シャキッ「夕飯の支度は任せてください!!」スタタタタ

肉です!今夜は肉ですよ!!ああ!肉なんて久しぶりです!!なんという幸せ!!コニー大好きです!!

サシャ「コニィィィィィー!!」ドドドドドド「お手伝いします!!」

コニー「うわっ!サシャ!なんだよ!まだ血抜き終わってねぇから食えねぇぞ!!」

サシャ「うむむ。コニー中々の腕前!見事なさばき方ですよ!」

コニー「とーぜん!街育ちのヤツと同じと思ってもらっちゃ困るぜ。しかしこの程度で満足するオレ様ではないぞ!ちゃんとした包丁があれば芸術的な手さばきを披露してやれるんだけどな!」フフン

サシャ「あぁ、早く食べたいですねぇ・・・」ジュルリ

コニー「そうだサシャ、血抜きしてる間にちょっと手伝ってくれよ。向こうに荒れちまってるけど、畑があるんだ。かなり細くなっちまってるけど、芋とか豆とかあるから採りに行こうぜ」

サシャ「芋?!豆?!」

コニー「あぁ。味はあんまり期待できねぇけどよ、台所に岩塩がチビッと残ってたから、それふりゃ食えんだろ」

サシャ「コニー!!神様ですか!?あなた神様ですか!?」

コニー「オレが天才なのはわかってるからよ、早く採りに行くぞ。薪拾いって仕事もあるんだからな!」

サシャ「なんでもします!!コニー様!!」ガバッ

コニー「うわっ!!抱きつくな!!痛ってぇ!足痛ってぇ!」

――――――
いつ巨人が襲ってくるかも、俺らの先行きも分からないってぇのに、この緊張感の無さは間違いなくコニーとサシャの影響だ。
ガチガチに緊張して身構えてるのも疲れちまうし、長いこと持ちもしないだろうから、適度に力を抜くのは悪いことじゃないだろう。それに食料の確保は重要だ。あの二人のおかげでその辺はなんとかなりそうなんだから、ありがたいと言うほかない。俺とクリスタだけだったらあっという間に野戦糧食を食い尽くして困り果てていたところだ。

クリスタ「ねぇジャン、他の104期生のみんなはどうしてるか知ってる?」ガチャガチャ

ジャン「・・・・いや。アルミンなら把握してるかもしれないが」

クリスタ「そう・・・・」ゴシゴシ

ジャン「そもそもどんだけ生き残ってるかって問題もあるんだけどな・・・・」

クリスタ「そうだよね・・・・」ジャブジャブ

ジャン「調査兵団に入ったやつはほとんど残ってないからな・・・・」

クリスタ「・・・・・」ガチャガタン

ジャン「・・・・・」

クリスタ「・・・・・」ガタガタ

ジャン「・・・・・」

クリスタ「ふー、洗い物終わりっと」フキフキ

ジャン「お、悪いな」

クリスタ「これで今夜は温かいものが食べられるね」

ジャン「ありがたいな」

コニー!!イモガココニ!!オモッタヨリオオキイデス!!オォワルクネェナ!!

クリスタ「相変わらず仲良しだね、あの二人は」

ジャン「あぁ。あいつら見てると和むな」

クリスタ「本当だね」

ジャン「・・・・・」

クリスタ「・・・・・」

ジャン「・・・・・」

クリスタ「あ、ミカサの様子見てくる」グスッ・・・バタバタ

ジャン「・・・・・」

コニー「ジャン!見ろよ!」バタン

サシャ「芋です!」

クリスタ「わぁ!すごいね!」ヒョイ

コニー「長いことほったらかしだったから、すっかり野生化してると思ったんだけど、意外と食えそうだぞ!」

サシャ「ふふふふふふふ。今夜は豪勢な夕食になりますよ」ジュル

コニー「わりぃクリスタ、この芋洗っといてくんねぇか?」

クリスタ「うん!」

コニー「ジャン、オレらちょっと薪拾いがてら森と川見て来るわ」

ジャン「おぉ、頼むわ。気をつけろよ?」

コニー「任せとけ。サシャ!立体起動、装備してくぞ!」

サシャ「了解です!コニー様!!」バッ敬礼!!

ジャンクリ「こ、コニー様?!」

コニー「うっ・・・・馬使うからな!」バタバタ

サシャ「待ってください!コニー様!!」バタバタ

オマエソレヤメロヨ!!ナニガデス?コニーサマ!ヤメロー!!

ジャンクリ「・・・・・」ポカーン

クリスタ「・・・・プッ!あははっ」

ジャン「なんつうか・・・・いや・・・なんだありゃ?」

クリスタ「もう!サシャったら!うふふ」



そうだ。コニーとサシャがいなかったら、食糧危機の前に、緊張と不安に押し潰されてた。

――――――
道だったはずの場所も畑も雑草だらけだったけど、そんなにひどく荒れた感じがしないのは、多分羊と山羊が雑草を食べてるせいだろうな。巨人の足跡も見当たらない。
畑の囲いが壊れてなくて助かった。雑草抜いてちょっと土耕せばすぐ使えるかもしれねぇ。明日は家畜小屋の扉を直して家畜を集められるようにしよう。鶏小屋も直さなくちゃいけねぇな。それに錆びついた農機具も手入れしてやらねぇと。

サシャ「コニー!見てください!雉ですよ!あ!あそこに豚が!」

コニー「おぉ?よく太ってるな」

サシャ「弓があれば獲れるんですけど・・・・」

コニー「小屋にあるかもしれねぇな。あとで探してみようぜ!」

サシャ「川がありますから鴨もいるでしょうねぇ」ニコニコ

コニー「鳥ばっかみてねぇで巨人のことも気にしろよ?」

サシャ「抜かりはありませんよ!!」フンッ

コニー「しかし、良い森だな。」

サシャ「この木は巨大樹じゃありませんか?あんまり大きくないですけど」

コニー「そうだなぁ、成長途中の巨大樹なんじゃねぇ?なんにしろありがてぇな」

サシャ「そうですね。これなら巨人が来てもなんとかなりそうですね」

コニー「そうだ、そのうち暇ができたらツリーハウスでも作るか!」

サシャ「ツリーハウス?」

コニー「あぁ。木の上に小屋を作るんだよ。巨人が襲ってきてもそこでしばらく過ごせるようにするんだ」

サシャ「へぇ!それはすごいですね!でもあんな高い木の上に作れるんですか?」

コニー「任せろ!!ガキの頃はよく木の上に秘密基地を作ったもんだぜ!」

サシャ「やっぱり!コニー様は素晴らしいですっ!」

コニー「だからそれはやめろって!!薪拾いは終わりだ!川見に行くぞ!」バッ・・・ヒヒン

サシャ「あ!置いてかないで下さい!!」バッ・・・ヒヒン!パカパカ

川は馬で渡れる程度の水深だった。川の水はかなりきれいで、ちらちらと魚の影も見える。釣りが出来れば魚も食えるな。あそこの水車はまだ使えるかな。とりあえず食いもんに困ることはなさそうだ。サシャは川岸の鴨を見て目をきらきら輝かせてる。
ここは、オレの村によく似てる。
・・・・
・・・・・・村に、帰りてぇな。

――――――
コニーと一緒に薪を拾いながら森と川を見て回って、この場所が好きになりました。コニーは家畜や畑の知識がありそうだし、狩りはもちろん私に任せてもらえばいいし、もし兵団に戻れなくても、ここならしばらくはなんとかなりそうです。
ただ、気になるのはミカサの怪我です。私たちにできることは限られています。早く医者に来てもらわないと・・・・・

コニー「サシャ、お前釣りはできるか?」

サシャ「いいえ、川が近くにありませんでしたからね。コニーはどうです?」

コニー「やったことはあるんだけどよ、あんま得意じゃないんだよなぁ。魚が獲れれば冬も食いもんに困らねぇと思うんだよな」

サシャ「釣り道具があるといいですけど・・・・・・・!コニー!!」ハッ

コニー「!どうした!?」

サシャ「何か来ますよ!!」キッ

サシャ「いえ・・・・・・馬?」

コニー「そこにいろよ。水車小屋に登って見てくる」パシュッ


コニー「よっと・・・・馬が2頭・・・・一人は兵団の奴だ・・・・もう一人は違うな・・・・・

アルミンと医者か・・・・?いや、あれは・・・・・アルミンじゃないぞ!・・・・・・ありゃサムエル!!」パシュ

サシャ「コニー!どうでしたか?アルミンですか?!」

コニー「いや、アルミンじゃねぇ、サムエルだ!」

サシャ「サムエル!?あのサムエルですか?!」

コニー「そうだよ。あのサムエルだ。もう一人いる。ちょっとオレ行ってくるからお前ジャンに知らせろ」

サシャ「はい!」

――――――

ドッドッドッヒヒーン

サシャ「ジャン!!」

バンッ

ジャン「どうした!?巨人かっ?!」

サシャ「いいえ!サムエルです!!」

ジャン「サムエル?壁から落ちたとこをサシャがアンカーぶっ刺して病院送りにしたって、あのサムエルか?」

サシャ「うっ・・・・は、はい」

ジャン「一人か?」

サシャ「二人だそうです」

ジャン「クリスタ!立体起動を装備しろ!」

クリスタ「え?」

ジャン「念のためだ。早くしろ!」

クリスタ「でも、サムエルなんでしょう?どうして?」

ジャン「サムエルが俺らの味方だと、なぜ判断できるんだ?」

クリスタ「そんな・・・・」

ジャン「いいから早くしろ!」

クリスタ「・・・・・」カチャカチャ

サシャ「・・・・・コニーが見に行ったので、私も行きます」ドッドッドッ


クリスタとの間にかなり気まずい空気が流れた。寝食を共にした仲間を疑うことが、クリスタには辛かったんだろう。だが、その仲間から手酷く裏切られたってことを、俺たちは忘れるわけにはいかない。

いや、裏切りは違うか・・・・あいつらは、始めっからそのつもりだったんだから。アニは無口で愛想のない奴だと思ってたが、あれはわざとそうしていたんだろう。ベルトルトだってそうだ。殺すつもりの奴らと仲良くなんかできるわけがない。だがライナー、お前はどうして・・・・・


ドッドッドッドッ

ジャン(来た)

コニー「ジャン!医者だ・・・・」

待望の医者が来たってのに、コニーの態度が奇妙だった理由はすぐに分かった。
アルミン、ちょっと変わってるかもって言ってたけどよ、どこが「ちょっと」で、どこが「かも」なんだよ!!


医者「はいはいみなさんお待ったせ~。イヒヒヒ」

全員「・・・・・・」

医者「んじゃあ、ちょこっと説明するね?ヒヒヒ」

全員「・・・・・・」

医者「まずねぇ、腕ね、ここのとこのね、あ、ここねヒヒ、尺骨っていうの。ここがね、ポッキンて折れちゃってんのねヒヒヒ」

全員「・・・・・・」

医者「そんでね、まぁ多分だけどね、左側から落ちちゃったのね、この子ヒヒヒ。そんでね、肋骨ね、いっぱい折れちゃったの。ゼーゼー言ってるから、肺に刺さってるね、きっとイヒ」

全員「・・・・・・」

医者「あとね、腸骨ね、ここも折れてるねヒヒ。たいしたことないけど、腓骨と指骨も何本か折れてるねイヒヒ。まぁ、ぼっきぼきなのね、この子」

全員「・・・・・・」

クリスタ「あの・・・・それで・・・・・」

医者「ハァァァイ!!」

全員「!!!!」ビクッ

医者「そんなわけだからぁ!れっつ!おっぺったぁぁぁぁいむ!!」

全員「!?」(豹変した!!)

ジャン「オペ?手術?ですか?いや、あの、その、ここでですか?」

医者「そうです!!ここで!!するの!!」

ジャン「あの、その、こんなところで?」

医者「しゃあらぁっっぷ!!ボクは天才なの!て・ん・さ・い!!わかる?つべこべ言ってないで!そこの鍋にお湯を沸かしなさい!!いっぱい使うんだからね!そこの桶を熱湯消毒して頂戴!器具の消毒するよ!!」

全員「・・・・・・」ポカーン

医者「とっととうごぉくっ!!!!!」

全員「!」バッ敬礼

全員(ハッ!?なぜ!?)


甲高い声のオッサンの合図で、俺たちはいっせいに動き始めた。
水汲みや湯沸しはいい。器具の煮沸にも、もちろん協力する。
だが・・・・・なぜ俺を助手に指名するんだ?!なぜなんだ!!!!!!

―――サシャ―――
やっと来たお医者さんは、久しぶりに会ったサムエルと話をする暇もなく私たちをこき使って、強引にジャンを助手に指名、ジャンは最後まで「無理です!」とか「やめてください!」とか「いやです!」とか抵抗していたけど、お医者さんの「おだまりっ!!」の一言で無理矢理ミカサの寝室に連れ込まれてしまいました。かわいそうなジャンです。

――――――
やっと来たお医者さんは、久しぶりに会ったサムエルと話をする暇もなく私たちをこき使って、強引にジャンを助手に指名、ジャンは最後まで「無理です!」とか「やめてください!」とか「いやです!」とか抵抗していたけど、お医者さんの「おだまりっ!!」の一言で無理矢理ミカサの寝室に連れ込まれてしまいました。かわいそうなジャンです。

全員(ジャン除く)「・・・・・・」ボーゼン

クリスタ「あ、えっと・・・・もうちょっとお湯沸かしておこうかな・・・・」ボー

コニー「あ、じゃ水汲んでくるわ」ボー

クリスタ「ありがとう」ガチャ

サムエル「・・・・・」

サシャ「・・・・・えっと、久しぶりです。サムエル」

サムエル「あぁ。久しぶりだな、サシャ」

サシャ「あの、ごめんなさい、足」

サムエル「え?あぁ、嫌だな、気にしてたのか?」

サシャ「えと、助けるためとはいえ、大怪我させちゃいました」

サムエル「君が助けてくれなかったらオレは今頃あの世だ。気にしないでくれよ」

サシャ「でも、まだ本調子じゃないのでは?動きがぎこちないです」

サムエル「そうだよ。だけど本当に気にしないで。あの時怪我をして入院したおかげで、巨人に食われずに済んだんだから。オレの班で生き残ってるのは、オレだけだ・・・・」

サシャ「・・・・・」

クリスタ「ねぇサムエル。他の104期生がどうしてるか知ってる?」

サムエル「みんな所属の兵団に戻ったけど・・・・調査兵団に戻った連中はもうほとんど残ってないって話だ」

サシャクリ「・・・・・」

サムエル「駐屯兵団の奴らも、かなり減ってるらしい。主にマリア奪還作戦に投入されてのことなんだけど、なんか聞いた話だと、不審な戦死が多いって噂だ」

クリスタ「え?不審って?」

サムエル「死体に巨人がつけたとは思えない刃物のような傷跡が残ってるって」

サシャクリ「!」マッサオ

クリスタ「そ、それは・・・・どういうこと・・・・?」

サムエル「あくまでも噂だけどさ。どんなに上が大丈夫だって言っても、104期生は信用できない、巨人の仲間に決まってる、人類の敵だ、親兄弟親戚友達仲間を殺した連中だ、とそういうことなんだ」

クリスタ「そんな・・・・」

サムエル「生き残りの104期生はなるべく一人にならないように気を付けてる。同じ班に仲間がいれば必ず一緒に行動するようにしてるんだ」

サシャ「サムエル!あなたは大丈夫なんですか?!」

サムエル「それがねサシャ。君がアンカーを刺してくれたおかげで、巨人でないってことが大勢の目に触れることになって、疑われずに済んだんだ」

サシャ「ど、どういうことです?!」

サムエル「巨人は腕が千切れても蒸気を吹き上げながらあっという間に治す、どんな酷い怪我をしても死なないし、怪我の後も残らないって話が広まってた。だから中々治らない怪我が巨人じゃないって証明になったのさ」

サシャ「でもこんなに長引くほど酷い怪我をさせてしまって・・・・」シュン

サムエル「まぁ心配しないで。怪我が長引いてるおかげで前線に出されずに済んでるって意味でも、本当にオレは運が良いんだよ。アルミンと一緒に仕事させてもらってるから安全なんだ。他の104期生に比べたらすごく恵まれてる。まぁ嫌味や嫌がらせはなくならないけどさ」

サシャ「・・・・」

サムエル「サシャには感謝してるくらいだよ?そうだ、今度来る時シーナで人気のお菓子を買って来てあげる。」

サシャ「お菓子!?」シャキーン

――――――
水と薪を持って戻ると、なぜかサシャが「本当ですね?約束ですよ!!やっほーい!!」とか叫びながらサムエルの手を握ってブンブン振り回してて、奥の部屋から医者の「うるさいッ」って怒鳴り声が聞こえてきてクリスタがオロオロしてた。怖ぇことにサシャはお構いなしだった。ありゃ食いもんが絡んでるな。

クリスタに湯沸しを任せて、家の屋根に登る。巨人のことを忘れるわけにはいかねぇからな。
真っ青な高い空が気持ちいいな。猫が2匹、オレを見て逃げて行った。穀物貯蔵庫の番をしてたやつらだろう。人間がいなくなってネズミも減ったせいだろうな、ずいぶん痩せてた。犬は飼い主と一緒にローゼに逃げちまったかなぁ。残ってるのがいると楽できるんだけどな。探してみるか。

・・・・・少なくとも、ミカサがまともに動けるようになるまでは、ここで踏ん張らねぇといけねぇだろうな。もう秋になる。巨人が来るか来ねぇかは運次第だからおいとくとしても、やることは山ほどあるぞ。全部やりきってもオレらだけで冬を越せるか・・・・なんとか穀物を手に入れねぇと。出来れば小麦がいいな。あと酵母も。ちゃんとした窯があったから、手を入れりゃパンが焼ける。毎日焼きたてのパンが食えたらサシャが喜ぶだろうな。けど、どうやって手に入れるか・・・・

小麦を育ててたらしい跡はあるけど野生化してすっかり身が小さくなっちまってる。オレ一人なら街に出てもバレずに買って帰って来られるかな・・・・いや、トロストに入るには船しかねぇし、今マリアに居るのはシガンシナ奪還作戦中の兵士だけだ。壁を登って入るとしたら買える量はたかがしれてる。何回も買いに行かなきゃなんねぇ。冬を越す前にガスが無くなっちまう。

細い芋と豆と野草、鶏の卵に肉、山羊の乳と肉、豚、羊、鴨、雉・・・・あとは釣れたとして魚か・・・・いや、ダメだ。何もかも5年以上放置されてたんだ。相当時間かけて手入れしねぇと、とても足りるとは思えねぇな。特にミカサにはきっちり食わせてやらねぇと治るもんも治らねぇよ。食料が無くなる前にミカサが動けるようになったらローゼに戻るか・・・・いや、戻っても大丈夫なのか・・・・

コニー「はぁ、どうすっかな・・・・やっぱアルミンに頼るしかないか・・・・」

ちょっと陽が傾いてきた。今夜は少し冷えそうだな・・・・クリスタが湯を沸かしてるから、煙突がちょっと暖ったけぇな・・・・あ、やべ・・・・眠くなってきた・・・・見張りしねぇと・・・・今、ジャンは医者の助手やってんだから・・・・オレが・・・見張ってねぇと・・・・





――――――
なんかもう色々無理だった。腕の治療はまだ良かった。目のやり場に困ったが足の治療もなんとかなった。けどあばら骨の治療を始めようとしたところで、俺は医者を振り切って部屋を飛び出した。

正直傷の断面とかそんなものは今までいくらでも見てきているからどうとも思わない。傷を負ってるのがミカサだという事実には胸が痛んだが、そうじゃなくてさ、やっぱり無理だろ無理!!あばら骨ってよ、それってつまりだな、その・・・・んでその後は腰の骨?腰ってことはだよ、あれだ、まぁ・・・・無理だろ。そんな本人に無断で見るとかよ・・・・そういうものはだな、あくまでも合意の上でだな・・・・いやいやいやいや!とにかく湯を沸かしてたクリスタを無理矢理ミカサの寝室に押し込んだ

動物を捌き慣れてるサシャの方が適任だったかもしれないと後で思ったが、その時には考える余裕はなかった。クリスタ!すまん!


サムエル「ジャン大丈夫か?」

ジャン「あ~・・・・サムエル、すまん、なんか、挨拶する暇もなかったな・・・・」ハァ

サシャ「水飲みます?」カタ

ジャン「お~、ありがたい。飲む飲む」グビグビプハァー「そういやコニーはどこ行ったんだ?」

サシャ「見張りをするって屋根に上がりましたけど・・・・もう日暮れですね。何してるんでしょう?見てきます。」ガチャ

ジャン「すまねぇな」

サムエル「お疲れだったな。昨日もミカサを抱えて大活躍だったらしいじゃないか」ニヤ

ジャン「・・・・し、仕方ないだろ。他に誰がやるんだよ」フン////「それよかアルミンはどうしたんだよ」

サムエル「シガンシナの後片付け中でね、まだ離れられないんだ」

ジャン「どうなったんだ?あいつらは・・・・まぁ、どうもこうもねぇとは思うが・・・・」

サムエル「あぁ、オレはトロストから来たんではっきりは分からない。船でシガンシナまで行ってはいるんだけど、中には入らずにこっちに来てるからな」

ジャン「そうだったか」

サムエル「他の巨人は殲滅し終わって、今ハンジ分隊長が街に入って色々調べてるみたいだ。だけど、シガンシナの外扉はもうどうにもならないだろうな・・・・・」

ジャン「だよなぁ・・・・・」ハァ

ガチャ

サシャ「もう~。コニーったら屋根で寝てたんですよ~!」

コニー「悪りぃ。いつの間にか寝ちまってた」

サシャ「風邪引きますよ!気を付けてくださいね!!」

コニー「悪かったよ」

ジャン「コニー、サムエル、ちょっと奥の部屋来いよ。サシャ悪い、ちょっと外すわ」

サシャ「じゃあご飯作ってますね。もうすぐ夕飯の時間ですから」

コニー「お?サシャメシ作れんのか?」

サシャ「当たり前です!」ムネハリ

ジャン「頼むわ」

ガチャ

ジャン「さて、さっきの話の続きだが」

サムエル「あぁ、トロストもシガンシナも扉が使えないとなると、今後の壁外遠征は苦労するだろうなぁ。まぁ、マリアの狩り残しをどこの兵団が担当するのかって問題もあるから、すぐに外には出ないかもしれないけど」

コニー「やっぱ狩り残ってんのか・・・・・」

ジャン「だろうな。駐屯兵団と調査兵団はかなり消耗してるだろう?憲兵団は腑抜けだし、どこがやるにしても時間がかかるだろうな。」

サムエル「そうなんだよ。だけどどうあってもこの冬のうちに完全に討伐しなくちゃならないもんだから、今シーナじゃ上がモメにモメまくってて団長もかかりきりだ」

ジャン「食料か?」

サムエル「当たり。ローゼが一度無人になったせいで農産物の収穫量がガタ落ちだ。今年の冬は荒れるぞ」

ジャン「マリアが奪われて以来、蓄えはほとんど無いんだろ?」

コニー「おい、まじかよ。今年の冬はオレらもやべぇんだぞ!」

ジャン「あぁ~、俺らにはそっちも大問題だな・・・・やっぱやべぇか?」

コニー「ミカサはしばらく動かせねぇだろ?その間の食料のこと考えねぇと。できれば今すぐにな。肉はなんとかなるけどよ、穀物はなんもねぇぞ。ミカサの体の事考えたら食料ちゃんと確保してやらねぇと治るもんも治らねぇ」

サムエル「君たちはミカサ関係なく当分動けないと思った方がいい。とてもじゃないけど兵団に戻れるような雰囲気じゃない」

ジャン「そんなに酷いのか?」

サムエル「最悪だ」

コニー「最悪って、お前とアルミンは大丈夫なのかよ?」

サムエル「まぁなんとかな。団長とサシャのおかげで」

ジャンコニ「サシャ???」

サムエル「かくかくしかじか」

コニー「あ~、あの病院送りでか!」

ジャン「そんな怪我しないと信用してもらえないのかよ・・・・・」コエー

コニー「だけど、アルミンは団長のそばにいて安全なんだろ?だったら他の104期も・・・・」

サムエル「オレもそう思ったんだけど、そうすると今度は団長が足元をすくわれる可能性が出て来るんだ。団長も巨人側なのかって」

コニー「どんだけ疑われてんだ」

サムエル「オレは本当に運が良かっただけさ。104期生不審死の件だって今のところ噂に過ぎない。新兵の死亡率が高いのは当たり前の事だしね。だから他の104期生も兵団に居られるだけ君らよりマシだ。君ら上位組はとてもじゃないけど危なくてさ。戻るなり袋叩きなんてことになったら目も当てられない」

ジャン「戻れないのは分かったけどよ、兵団内での俺らの扱いはどうなるんだ?」

サムエル「う~ん、行方不明扱いかな?オレにはわからないな」

ジャン「おいおい、家族へはどう説明する気だよ?」

サムエル「オレがそこまで判断できるわけじゃないからなんとも言えないけど・・・・」

ジャン「アルミン待ちか・・・・」

コニー「オレ達がここに缶詰なのは仕方ねぇんだけどよ、オレの家族がまだ見つかってねぇんだよ。兵団に戻ったら非番の日にシーナに探しに行こうと思ってたんだ。なんとかならねぇか?」

サムエル「・・・・わかった。どうにか探してみる。ジャンの家族の様子も知らせるようにする。サシャはちょっと田舎すぎてすぐには無理だけど」

ジャン(そういや、親の事なんかすっかり忘れてたぜ。104期の親ってんで酷い目に会ってねぇといいけどな。なんせトロストだし・・・・)

屋根に上がると、コニーは煙突にもたれて眠っていました。もう日暮れだっていうのに、こんなところで眠るなんて。
コニーって小柄なせいもあるんでしょうけど、なんか年下の男の子っぽくて可愛いんですよね。顔だちも声もちょっと幼い感じです。同じ年でもジャンやサムエルはもっと大人っぽくて、男って感じがするんですけど。
眠ってる顔をこうしてゆっくり見るのは初めてです。ほんと、可愛いですねぇ。ほっぺたつまんでみたくなっちゃいますねぇ。ニコニコ
おっと、いけません。起こさなくては。

サシャ「コニー・・・・コニー・・・・起きてください」ユサユサ

コニー「うぅん・・・・あぁ・・・・さしゃ・・・・・」ムニャ

サシャ「起きてくださいよ、コニー」

コニー「あー・・・悪ぃ・・なんか・・寝てたわ」ファァ

サシャ「こんなところで寝て。落ちたら死にますよ」

コニー「俺は天才だから落ちねぇんだよ」キリッ

サシャ「天才でも風邪はひきますからね!ダメですよ!」


家の中に戻ると男の子達は奥の部屋に引きこもって何やら話し込み始めました。作戦会議でもしているんでしょうかね?


さて、それでは久しぶりに腕を振るうとしますか。ふっふっふっ。私は食べるだけの女じゃありませんよ?
・・・・・そうはいっても、あるのは細い芋と豆と鶏肉、野戦糧食だけです。調味料はわずかな塩しかありません。草ぼうぼうの畑を探せばもっと色々収穫できるでしょうか?

――――――
3人で話し込んで、気が付いたらすっかり暗くなっていた。クリスタに呼ばれて居間に出ると医者が血の付いた白衣を脱いでいるところで、台所からは美味そうな肉の匂いが漂って来ていた。



ジャン「先生、どうですか?ミカサは」

医者「んんん、良い身体してたねぇヒヒヒヒ」

ジャン「・・・・・先生」ゴゴゴゴゴゴ

医者「リヴァイに次ぐ逸材の噂は聞いてたからねヒヒ。前から一回切ってみたいと思ってたんだよねぇ、この子イヒヒヒヒ。しかも東洋人ヒヒ。滅多にないよヒヒヒ」

ジャン「・・・・・」ゴゴゴゴゴ

ジャン他「・・・・・」ドンビキ

医者「リヴァイは全然切らせてくれないからねぇヒヒ。安心してよね?まぁ手術は成功したからねヒヒ」

ジャン「はぁ・・・・」

クリスタ「それで、ミカサがまた動けるようになるにはどれくらいかかりますか?」

医者「そうだねぇ。この子は人並み外れて丈夫だからねヒヒ。本当に良い筋肉してるからイヒヒイヒ。手と腕はすぐ直ると思うね。足は2か月使っちゃダメだからね。腰は思った程酷くはなかったけどねぇ、やっぱ3か月ってとこだねヒヒヒ。でも完全に元通りってわけにはいかないと思うねヒヒ」

ジャン「後遺症、残りますか?その立体起動装置を使うことは・・・・」

医者「んんんん、ボクの手術は完璧だからね?こんな場所でもねヒヒヒヒ。本人次第だね。リハビリ相当辛いと思うけどね、頑張ればまた跳べると思うけどねヒヒヒ。まぁできればあの筋肉が躍動するところを直に観察したいものだけどねイヒヒヒヒ」

ジャン「・・・・・」ゴゴゴゴゴゴ

医者「というわけで、ちょっとそこの子」

サシャ「は、はい」

医者「お腹空いたんだよねヒヒ。のど乾いたしイヒヒ」

サシャ「は、はいっ。夕飯は出来てます!飲み物は水しかありません!」ビシッ敬礼!

医者「じゃいただくねイヒヒ」

この変態医者が!と口に出したいところだが、飲み込んだ。恩人には変わりねぇからな・・・・
そっとミカサの部屋を覗いてみた。麻酔のせいもあるんだろう、手術前の苦しげな様子は全くなく、暗闇の中で穏やかに眠っていた。


サシャ「ジャン、食べますよ」

ジャン「お、おぅ・・・・・」

―――コニー―――
野戦糧食ばっかり食ってたんで、久しぶりの温かいメシは最高に美味かった。医者は味気ないとかなんとか文句を垂れてたけど、それは贅沢ってもんだよな。
サシャは堅い野戦糧食を湯でふやかしてうまい具合に粥にしてた。これなら柔らかいからミカサも食えるかな。
メシが終わると、医者はさっさとミカサの部屋に陣取って器具の手入れをし始めた。クリスタが積極的に手伝ってるけど、オレなら絶対カンベンだ。

コニー「サシャ、メシ美味かったぞ。お前中々やるじゃねぇか」

ジャン「あぁ、美味かった」

サムエル「御馳走様。美味しかったよ、サシャ」

サシャ「どうです?見直しましたか?」ドヤ

コニー「作ってる間に全部食っちまうかと思ったぜ」

サシャ「失礼ですね!私は食べるだけの人間じゃないですよ!!」

ジャン「あの野戦糧食がこんな粥になるとはなぁ」

サムエル「そうそう、堅くてぼそぼそで味がないのが、こんなに美味しくなるなんてね。すごいじゃないかサシャ」

サシャ「もっと褒めてもいいですよ?」ニコニコ

コニー「野戦糧食1食分で、1杯分か?」

サシャ「いいえ、3倍近く膨らみましたよ?」

コニー「おぉ、そりゃすげぇな!」

ジャン「どうりで、野戦糧食1個で腹が膨れるわけだぜ」

サムエル「なるほどねぇ。これはいい。野戦糧食ならオレでもなんとか用意できるな」

ジャン「これで少しは問題を先送りできるな」

コニー「あぁ。余裕が少しでもあれば、他の食料を確保する時間が稼げるからな」

サシャ「何の話です?」

ジャン「かくかくしかじか」

サシャ「!!」ガーン「そんな・・・・・パン・・・・」

コニー「まぁそんなに落ち込むなよ、オレ達で麦作りゃ毎日焼きたてが食えるんだからよ」

サシャ「作るって・・・・そんな簡単に言わないで下さいよ・・・・」

サムエル「時間がかかるんじゃないのかい?」

コニー「そうだな。時間はかかるけどよ、都合よくこれから冬になる。一冬頑張れば春には種まきできるぜ」

サシャ「おぉ!」

ジャン「種はどうするんだ?来春だろ?高騰してるんじゃねぇの?」

コニー「いや、種はもう出てるはずだ。早めに手に入れてぇなとこだな。ここの畑にもあるけど、一度野生化しかけたものが普通に身をつけるかオレは知らねぇからな、買えるといいんだけどよ」

サムエル「用意できるかなぁ・・・・まぁ食料の件は多分アルミンも考えてると思うから、相談してみるよ」

ジャン「サムエル、頼むな」

サムエル「任せて。命の恩人のサシャの為でもあるしね」

サシャ「お、恩人だなんて」////テレテレ////

コニー「なにテレてんだ?オレのこと神様扱いしといてよぉ?」ニヤニヤ

サシャ「テレてなんかいませんよ!」むぅ

コニー「さぁーて、オレは洗い物してくっかなー」サッ

サムエル「ははは。相変わらず、すばしっこいなぁコニーは」

――――――
翌朝目覚めたミカサを診察して薬を山程クリスタに渡すと、医者とサムエルはシガンシナに戻っていった。シガンシナに残る負傷兵の診察をするらしい。
一度振り返って手を上げるサムエルに、サシャはブンブン手を振りかえしていた。何か約束をしたらしい。サシャの事だから食べ物がらみだろう。

クリスタは医者の言うことを全部手帳にメモして、ミカサの看病は任せて!と鼻息を荒くしていた。どうやら医者の助手をして何かに目覚めたらしい。

コニーは林だと思っていたところが果樹園だったとわかって張り切って畑と一緒に手入れを始め、家畜小屋の修理をして周囲に散らばった羊や山羊、鶏なんかをサシャと一緒に馬で追って集め、食料確保に励み、ツリーハウスの構想を練っている。多分俺達の中で一番忙しいに違いない。そのせいか、時々足が痛いと愚痴っているし、夜は誰よりも早く寝て、ちょっとやそっとでは起きないことが多い。

サシャは毎日森へ行っては狩りをし、何かしらの獲物を持って帰ってきては燻製作りに勤しんでいる。しばらく無人だったせいか、獲物が豊富らしい。肉や卵が食えるってんで毎日上機嫌だ。

俺はもっぱら家の修繕と道具の手入れに打ち込んでいる。アルミンが簡単に掃除だけはやってくれたようだが、やはり痛みが激しい。冬が来る前に直さなきゃな。親父に手伝わされた自宅修繕の経験がこんなところで役に立つとは思わなかった。コニーが考えているツリーハウス造りは俺も手伝う予定だ。

そしてミカサは・・・・・意識はある。だが誰が話しかけても、ただぼんやりとしていて反応が薄い。何も話さず、食べる事にも関心がない。なのに夜になるとうなされ飛び起きる。錯乱しているらしく、ベットから飛び出そうとするので、必ず誰かが付き添わなくてはならず、クリスタは片手でふっ飛ばされ、サシャも蹴り飛ばされ、結局コニーと俺も一緒に押えることになり、全員が狭いミカサの寝室に寝袋を敷いて雑魚寝をするという、とんでもない状況になってしまった。この状況に何の違和感も持たないのはやはりコニーとサシャで、必然的に2人が隣同士に眠り、俺とクリスタが2人を挟んで壁際とドア付近に眠るようになった。

その夜、みんなが寝静まっても、俺は中々寝付けなかった。昼フル回転で働き、夜はミカサに起こされる日が続いて、みんな疲れているからだろう。眠りにつくのは早かった。
それで俺はなんとなく、窓際に押しやられた椅子に腰かけて外を眺めていた。細い月が登り、うっすらと果樹園を照らすのが見える。空一面を輝く星が覆って、きらきらときらめいていた。別に星空を鑑賞するような趣味はないんだが、素直に綺麗だなと思った。ミカサは、こういうのに興味はあるんだろうか?そうだ、ミカサの黒い髪はまるでこの夜空みたいだな。きらきらした飾りを付けたら、きっと映えるだろう。貴族でもなきゃ、そんなものは買えないが。

ミカサ「う・・・・・うぅ」

ジャン「ミカサ」ヒソ

ミカサ「うぅ・・・・え・・・れ・・・・」

ジャン「・・・・ミカサ」ヒソ

ミカサ「わた・・・しが・・・・たすけ・・・・」

ジャン「しっかりしろミカサ」ヒソ

ミカサ「そばに・・・・いてえれん・・・・いかないで」

ジャン「・・・・・」ハッ

ミカサが飛び起きる、そう思った時、なぜそんな行動に出たのか、俺自身にもわからない。とっさに俺はミカサのベットに飛び乗って、布団の上からミカサに覆い被さった。俺の体の下で、ミカサが激しく身をよじって俺を跳ね除けようとしている。ミカサの首元に頭を付けて上半身を抑え、ばたつく足の間に体を入れて蹴られるのを防ぐ。まともに食べてないのに、なぜこんなに動けるのか。

ジャン「ミカサ・・・・しっかりするんだ」ヒソ

ミカサ「ウッ!」ジタバタハァハァ

ジャン「ミカサ、お前この前手術したばっかなんだぞ?こんな風に暴れて、治るもんも治らねぇ!」

ミカサ「クッ・・・・イヤ・・・・」ジタバタハァハァ

ジャン「逃げるなミカサ、エレンはもう帰って来ない」ヒソ

ミカサ「・・・・・」バタバタハァハァ

ジャン「エレンはもういないんだ。ミカサ!現実と向き合え!逃げんな!」ヒソ

ミカサ「・・・・・」ハァハァ

ジャン「俺が・・・・俺がそばに居てやるから・・・・だから・・・・」ヒソ

ミカサ「・・・・」ハァハァ

ジャン「・・・・」

ミカサ「・・・・」ハァハァ

気が付くと、俺はミカサの頭を抱いていた。ミカサは声を立てずに泣いていた。ミカサのこめかみをつたう涙が、俺の頬に触れる。ミカサの体から力が抜けて、そして震えた。


ジャン「俺じゃ代わりにならねぇのは分かってる。だけど、そばに居させてくれ」

ミカサ「・・・・」ハァハァ

ジャン「お前が立ち上がれるようになるまで、それまでは、俺はお前のそばに居たいんだ」

ミカサ「・・・・エレン」ハァハァ

ジャン「ミカサ・・・」ギュ

ミカサ「うれしい・・・・エレン」ハァハァ

ジャン「・・・・ミカサ・・・・クッ」グスッ

ミカサ「ずっと・・・・私のそばにいて?」ハァ


ミカサの頭を抱いて、俺は涙が止まらなかった。ミカサは・・・・ミカサの心は完全に病んでいる。俺とエレンの区別もつかないほどに。
ミカサの、包帯で真白くなった手が俺の頭をそっと撫で、そして俺の体を優しく抱き返した。


ミカサ「ずっと・・・・このままで居て?エレン」

その日から、ミカサが夜に起きて暴れることはなくなった。そのかわりに俺をエレンと呼び、ベットに招いてハグを求め、そばにいてと囁く。添い寝をしてと懇願され、そのまま朝を迎えて、珍しく早起きしたコニーに見つかった時には冷や汗が出た。女子でなかっただけマシなのだか・・・・散々コニーに冷やかされたその日の夜、コニーは狭いから居間で寝ると言い出し、サシャとクリスタも隣の部屋に引っ込んでしまった。クリスタは「あとでそっちに行くから」とか言うんだが、それならなぜ寝袋を持っていくんだ?!
そうして、俺はミカサと二人きりになってしまった。コニー・・・・覚えてろ!!

夜中になると、案の定ミカサは俺を呼んだ。正確にはエレンだと思い込んでいる俺を。
見るからに細くなった腕を伸ばして、俺を呼ぶ。


ミカサ「エレン・・・・きて」

ジャン「・・・・」

ミカサ「抱きしめて」

ジャン「・・・・」

ミカサ「お願い。腰が痛くて、動けない。だからエレン、私を抱きしめて」

ジャン「・・・・」ギシ・・・ギュ

ミカサ「エレン・・・・」

ジャン「・・・・」

ミカサ「・・・・」


ミカサの隣に横たわって、そっとミカサの頭を抱きかかえてやる。そうすると、いつもミカサは安心したように微笑む。そして俺の頭を撫でて頬に手を当て「ずっとそばにいて?エレン」と囁き俺を見つめる。その深い瞳に囚われて俺は身動きできなくなる。吸い寄せられるように顔を寄せたその時。

ミカサ「キスしてエレン」


愕然とした。俺は、何をしようとしているんだ?


ミカサ「エレン・・・キス・・・して?」

ジャン「ミカサ・・・・・お前の怪我が治って・・・・・全部ちゃんと治ったら(お前が俺をジャンと呼んでくれたら)そうしたら・・・・キスしてやる」

ミカサ「いや、今がいい。今、キスして欲しい」

いやいやと、小さな子供の様に首を振って駄々をこねるミカサの頭を撫でる。


ジャン「わがままを言うなよ・・・・くっそ・・・・そんなこと言うなよ!そんなこと言われたら俺はお前を・・・・ここには居られなくなる・・・・!」

ミカサ「いや!いやだエレン!ごめんなさい。もう言わない!だからここに居て!抱きしめていて」

ジャン「・・・・・ミカサ」

真夜中の暗闇に耳元で響いた、脳天がしびれるような甘い甘い女の声がこびりついて離れない。いっそこのまま奪って自分のものにしてしまえ、想いを遂げろと黒い囁きに苛まれ、耐えかねてベットを抜け出そうとすると、ミカサの手が俺を捕まえてどこにも行くなと言う。
そうして悶々と一晩過ごし、朝日が昇った頃、やっとミカサの手から逃れて居間へ逃げ出すことが出来た。暗闇の中でだけ、俺はエレンになる。明るくなれば俺は俺として認識される。だから陽のある内は、絶対にエレンとは呼ばれないのだ。

――――――
目が覚めて、寝袋の中でぼんやりしてると、台所ではもうクリスタが火を熾していた。ミカサの薬の準備をしてるんだな。その隣でサシャが何か作ってる。サシャは案外料理が上手い。食うのが好きだから、美味いものを作るのも楽しいのかもしれねぇな。あの大食いさえなんとかなりゃ、良い嫁さんになりそうだよな。
サシャとクリスタが何かコソコソ喋ってクスクス笑ってる。あぁしてるとなんか姉妹みてぇだな・・・・
そろそろ起きるかと思った時、ミカサの部屋からジャンが出てきた。よろよろと歩いて来て、どっかりと長椅子に伸びた。

コニー「よう、ジャン。なんだ?寝てねぇのか?」ニヤニヤ

ジャン「・・・・」

サシャ「おはようございます。なんだかお疲れの様子ですねぇ?」ニヤニヤ

クリスタ「お、おはよう////」

ジャン「おいお前ら・・・・・・どぉ~いうことなんだよっ!!」

コニー「は?」

サシャ「どうって?」

クリスタ「え?」

ジャン「なんだっつんだよ!どうして夕べ俺をミカサと二人にしたんだ!!」

コニー「なに言ってんだ?」

ジャン「生殺しだ・・・・」

コニー「は?生殺しってお前ぇ、ミカサとイチャついてたから、てっきりオレらは邪魔かと思ったんだけど?」

クリスタ「だって最近、毎晩・・・・その・・・・//////ミカサのベットに居たじゃない?//////」

ジャン「え・・・・」

サシャ「毎晩ミカサと抱き合ってコソコソ何か話してましたよね?」ハッキリ

ジャン「そ!それは!その!」

サシャ「弱ったミカサに優しくして、とうとう男女の仲になったのかと思いましたけど?」キッパリ

クリスタ「やだ/////サシャったら!/////」キャッ

サシャ「ふふふいやですねぇ。クリスタだってそう思ったから隣の部屋で寝たんですよね?」

クリスタ「/////ん~・・・・まぁね/////」キャッ

ジャン「お前らなぁ・・・・・」イライライライラ

コニー「なんだ違うのか?」

サシャ「違うならどうしてミカサを抱きしめたりしてたんです?」

ジャン「はぁ~~~~それはなぁ!かくかくしかじかなんだよ!!!」

サシャ「なんと!」

コニー「そりゃ・・・・悪ぃ・・・・」

クリスタ「・・・・・み、ミカサがそんな・・・・・」ガーン

ジャン「わかるか?!この俺の気持ちがっ!!あぁそうさ!俺はミカサが好きだ!初めて会った時からずっと好きなんだよ!なのにミカサはすっかり病んじまってる!俺にキスしてとか言うんだぞ!!俺の事エレンだと思って!!それで手を出せると思うか!?無理だろ!!だがな!俺だって健康な男なんだぞ!!ああ健康すぎるほど健康な若い男なんだ!!好きな女を抱きしめてるのに手を出せない!これがどれほどの苦痛かわかるか!!コニー!!お前ならわかるだろ?!この例えようもない苦しさがっ!!ミカサと同じベットだぞ!!ミカサと密着してるんだぞ!!ミカサが俺を見つめて抱けとかキスしろとか言うんだぞ!!お前なら耐えられるか!?手を出さずにいられるか?!」ゼーゼー

コニー「い、いや・・・・わかんねぇけど・・・・多分無理じゃねぇ?」

サシャ「うむぅ・・・女にはわからない苦しみですね」

クリスタ「ジャン・・・・そんなに我慢できちゃうくらいミカサのことを愛してるなんて!」キラキラ

ジャン「もう無理だ・・・・・もう我慢する自信がねぇ・・・・だが迂闊に手を出して後で後悔したくもねぇ・・・・正気に戻ったミカサに嫌われるのもごめんだ・・・・しかし夜中にミカサを暴れさせて怪我を悪化させるわけにもいかねぇ・・・・あぁぁぁぁ・・・・どうしろって言うんだよ・・・・・」

コニー「そりゃぁ・・・・寝る前にあれだ、賢者になっとくしかねぇだろ」

サシャクリ「賢者??」

ジャン「・・・・コニー、無駄なんだ」

コニー「なんだ、実践済か?」

ジャン「あったりまえだ」

コニー「まぁ・・・・若いしな」

ジャン「あぁ・・・・若いからよ」


サシャ「賢者ってなんでしょう?」コソ

クリスタ「なんだろう?賢者って」コソ

サシャ「賢者が若いとどうして無駄なんでしょうか」コソ

クリスタ「やっぱり賢者は老成してなきゃダメなのかな?」コソ


ジャン「お前ら!賢者賢者言うな!」

―――――
謎は残りましたが、悩めるジャンに救世主が現れました。アルミンとサムエルがあのお医者さんと一緒に来たんです。
アルミンは荷運び用に2頭馬を連れてきていて、その馬には山のように物資が積んでありました。


アルミン「みんな!遅くなってごめんね!」

コニー「おぉ!!すげぇ!!やっぱお前ぇすげぇよ!!」

アルミン「??何がだい??」

サシャ「もう絶好のタイミングですよ!アルミン!!」

アルミン「何かあったの?」

クリスタ「先生!お待ちしてました!」

居間の長椅子で伸びていたジャンはアルミンを見るなり半泣きで抱きついて、アルミンをすっかり困らせていました。
アルミンだって若いんだし、やっぱり賢者としては無駄なんでしょうから、頼れないと思うんですけど?

クリスタはお医者さんの荷物をサムエルと一緒に馬から降ろしたり、水を出したりとせっせとお世話をしていました。あまりお近づきになりたいお方には思えませんが、クリスタはどうしたんでしょうか?
一通りクリスタがお医者さんにミカサのことについて報告してすると、お医者さんは持ってきた荷物の中から本を取り出してばばばばばーっとページをめくりテーブルにドン!と乗せました。

医者「ちょっとねぇ、時期がねぇ遅いんだけどねぇヒヒヒこれ探して、後、これとこれね、お茶にして飲ませるとねヒヒヒ良くなるよ。けど時間かかるからね?イヒヒ」

クリスタ「はい!先生!あの、この本お借りできませんか?」

医者「ふぅん?いいよ。君ねヒヒヒなんかスジが良さそうだからあげるねイヒヒ」

クリスタ「えっ!いいんですか先生!!」キラキラ

医者「うん、まぁ簡単な薬草の本だけどねヒヒヒ勉強するといいよイヒ」

クリスタ「ありがとうございます!先生!!」/////キラキラ////

医者「じゃ、僕は診察してくるからねヒヒヒ」

アルミン「クリスタ、どうしたの?なんか先生にすっかり懐いてるみたいだけど」

コニー「さぁ?しらねぇ」

サムエル「多分あれだよ、手術の助手をやったからさ」

ジャン「俺も助手やったけどよ、とても懐く気分じゃねぇ。なんだあの変人は」

アルミン「あはは。変人という意味ではハンジ分隊長の上を行く人だからね。実際の医療よりも研究の方が本職らしいけど、腕は確かだよ。立体起動と人体について研究しているんだ。手術の時のメスさばきの鮮やかさは医療関係者の間で噂になってるんだって。医学生ならみんな見学したいと思うらしいよ。僕もちょっと興味あるな」

コニー「アルミン何目指すつもりだよ?」

アルミン「未知のものに興味があるだけだよ」ハハハ「ところで、ミカサを見てきたけど・・・・いつもあんな感じなの?」

ジャン「昼間はな」

コニー「話しかけてもボーっとしててよ、メシもろくに食わねぇんだ」

サシャ「体を拭いてる時、患部に触っても反応がないです。痛いはずだと思うんですけど」

アルミン「夜は全然違うの?」

コニー「初めはうなされて暴れてたんだよ。獣を削ぐとかエレンを助けるとか言ってな」

ジャン「最近は暴れなくなったけどな。俺をエレンと思って喋るんだよ」ハァ~~~~「まぁどこが痛いとか言うし、泣いたりもするようになってるけどよ。夜だけな」

アルミン「それでジャンが悩まされてるわけ?」

サシャ「それはもう、耐え難い仕打ちを受けているようですよ?老成したけ」ジャン「ワーッ!!いい加減にしろ!!」

サシャ「今朝話したばかりなのに、なんで今はダメなんですか?」むう

ジャン「そりゃその場の勢いに決まってんだろ!!参ってたんだよ!!もう忘れてくれ!!」

コニー「くっ・・・・」プルプル

ジャン「コニー・・・・」ゴゴゴゴゴ

コニー「ぷはははははは!!悪りぃ!!くくくく」プルプル


サムエル「あとで教えてくれよ?」コソ

アルミン「僕にもね」コソ


ジャン「おい・・・・」ゴゴゴゴゴゴ

―――――
謎は残りましたが、悩めるジャンに救世主が現れました。アルミンとサムエルがあのお医者さんと一緒に来たんです。
アルミンは荷運び用に2頭馬を連れてきていて、その馬には山のように物資が積んでありました。


アルミン「みんな!遅くなってごめんね!」

コニー「おぉ!!すげぇ!!やっぱお前ぇすげぇよ!!」

アルミン「??何がだい??」

サシャ「もう絶好のタイミングですよ!アルミン!!」

アルミン「何かあったの?」

クリスタ「先生!お待ちしてました!」


居間の長椅子で伸びていたジャンはアルミンを見るなり半泣きで抱きついて、アルミンをすっかり困らせていました。
アルミンだって若いんだし、やっぱり賢者としては無駄なんでしょうから、頼れないと思うんですけど?

クリスタはお医者さんの荷物をサムエルと一緒に馬から降ろしたり、水を出したりとせっせとお世話をしていました。あまりお近づきになりたいお方には思えませんが、クリスタはどうしたんでしょうか?
一通りクリスタがお医者さんにミカサのことについて報告してすると、お医者さんは持ってきた荷物の中から本を取り出してばばばばばーっとページをめくりテーブルにドン!と乗せました。

医者「ちょっとねぇ、時期がねぇ遅いんだけどねぇヒヒヒこれ探して、後、これとこれね、お茶にして飲ませるとねヒヒヒ良くなるよ。けど時間かかるからね?イヒヒ」

クリスタ「はい!先生!あの、この本お借りできませんか?」

医者「ふぅん?いいよ。君ねヒヒヒなんかスジが良さそうだからあげるねイヒヒ」

クリスタ「えっ!いいんですか先生!!」キラキラ

医者「うん、まぁ簡単な薬草の本だけどねヒヒヒ勉強するといいよイヒ」

クリスタ「ありがとうございます!先生!!」/////キラキラ////

医者「じゃ、僕は診察してくるからねヒヒヒ」

160~162だぶりました。すみません

―――――
サシャ「えっ!アルミン麦持って来てくれたんですか!?わー!!パンが作れますね!!」

アルミン「麦って言ってもライ麦だよ?さすがに小麦粉は高くて。でも小麦の種は少し手に入ったから育ててみて」

コニー「まぁ訓練兵の時食ってたパンもライ麦か2等品の小麦パンだったから、問題ねぇよ。1等品の小麦パンなんざ貴族の食いもんだろ」

クリスタ「焼きたてのライ麦パンは美味しいよ?ありがとうアルミン」

アルミン「みんなの役に立ててうれしいよ。あ、それとコニー、君の要望に合いそうな本を見つけてきたよ。」

サシャ「本?!」

ジャン「嵐になるんじゃねぇの?!」

コニー「なんだよ。俺だって本くらい読むっつうの」

アルミン「農耕の歴史についての研究書の中に、野生の品種を改良していった過程が細かく書かれていてね、役に立つんじゃないかな?」

コニー「研究書かよ・・・・小難しそうだな・・・・・」

アルミン「う~ん、難しく捏ね繰り回したような文体じゃなかったから、読みやすいと思うけどなぁ」

コニー「お前ぇの読みやすいはあてにできねぇけどよ、まぁ頑張ってみるわ」

サシャ「コニー!麦ですか?」

コニー「まぁな。」

サシャ「頑張ってください!全力で応援しますから!!」

コニー「あぁ、なんとかしてみせらぁ!」フンッ「しかし、この集落はちょっと色々変わってるな?アルミン」

アルミン「ううん、そうかもね?調べたらどこかの貴族が直轄経営してたらしいから、何か珍しいものがあるかもね」

コニー「直轄?マリアでか?」

アルミン「シーナじゃ育ちにくい植物があるんじゃない?シーナの方がシガンシナ周辺より気温が低いし、標高も高いからね」

コニー「はは~ん、それでか。普通の農家にしちゃ家もデカくて豪勢だと思ったんだ。風呂のある農家なんて見たことねぇ。ずいぶん見慣れない植物があるし、変わってると思ったんだよ。何が植わってるのかわかりゃいいんだけどなぁ」

アルミン「ん~、じゃちょっと調べてみよう」

コニー「助かるぜアルミン」

アルミン「いや、いいんだ。ここに押し込めちゃったのは僕だからね」

ジャン「そうだアルミン。そこだよ。俺らはいつまでここにいる?今までの話の流れだと、とても半年やそこらで済みそうにねぇんだが」

アルミン「・・・・・すまないジャン。状況はかなり複雑なんだ。正直どれくらいの時間が必要になるのか、そもそも戻る希望が持てるのか、僕にもわからない」

ジャン「そうなると、俺やサシャの家族にはどう説明する?コニーの家族も探してやりてぇし」

アルミン「・・・・・マリア掃討作戦前、104期上位組を隔離し監視するべきだという意見があったんだ。ユミルは上位組じゃないんだけど、11位だったからね。マルコが死んだ後は実質10位という扱いになってる。だから104期の上位からすべての知性巨人が出てることになってるんだ。それで他の上位5人も巨人の可能性が極めて高い、隔離し、巨人かどうかの確認をした上で、巨人なら拷問してでも情報を吐かせるべき、さらにはそれだけの数がいるなら、そのうち何人かは実験、解剖し巨人についての詳細な情報収集に努めるべきだと、そういう強硬な意見が少なくない数出たんだ」

ジャン「なっ・・・・」

アルミン「つまり君らは推定有罪、ある人々の中ではすでに巨人扱いなんだ」

サシャ「そんな・・・・」

クリスタ「ひどい・・・・」

アルミン「それで僕はシガンシナ奪還作戦と同時に君たちを戦線から離脱させて、避難させる計画を実行させた。幸いなことに僕はエルヴィン団長やハンジ分隊長の間を行ったり来たり、代わりに前線に出たりシーナに行ったりで、動き回ることが多かった。しかも他の兵士とはほとんど別行動だし、動きも唐突だ。だからこうやって色々準備できたんだよ。でも、君たちの家族に接触すれば、間違いなく強硬派に見つかる。多分家族は見張られてるからね。だから・・・・戦死扱いになると思う。行方不明という手もあるけど、あまり曖昧にすると君たちに危険が及ぶ可能性がある。」

ジャン「おい・・・・まじかよ!!」ギリッ

サシャ「もう・・・・村には帰れないってことですか・・・・・」

コニー「待てよ!!じゃあ、俺の家族が見つかっても、会えないのかよ!!」

サムエル「コニーの家族は探してる。見つけたら必ず連絡するから・・・・」

アルミン「待ってサムエル。気持ちはわかるけど、はっきりしておいた方がいい。中途半端に期待を持たせるのは逆に残酷だと思う。コニー、君の家族はずっと探してる。でもシーナに入った形跡はないし、かといってローゼの村に戻った形跡もない。近くの村にももちろんいないんだ。役所に出向いて避難民登録手続きをした記録もなければ、ローゼの農民の納税猶予手続きもしていない。ローゼの農民ならみんな手続きしてるものだ。今年の収穫はかなり減少したからね、いつも通りの税なんか納められっこないから。」

コニー「でも!誰も死んでなかったんだ!死体も血の跡もなかったんだぞ!そんなことって・・・・」

アルミン「それがどういうことなのか、今明確なことを言える人間はいないんだよ、コニー。ただ僕が言えるのは、コニーの家族は今壁の中で、まったく確認できないということだけなんだ」

コニー「どういうことなんだよ・・・・わかんねぇよアルミン」プルプル

アルミン「今後も調査は継続する。それは約束する。でも期待はできないと思って欲しい」

少し肌寒い屋根の上で、オレは泣いた。心のどこかにずっと、ダメかもしれねぇと思う気持ちがあったことに、やっと気が付いた。だけど認めたくなかったんだ。あの小さな妹と弟が巨人に食れたなんて、考えたくも無かったんだ。二度と父ちゃんと母ちゃんの顔が見られないなんて、そんなことが起きるなんて思いたくなかったんだ。今までそんなものは散々見てきたはずなのに、オレの家族に同じことが起きるなんて、考えてもいなかったんだ。死ぬのは見知らぬ誰かか、兵団の誰かか、それかオレで、オレの家族が死ぬなんて、思いもしなかったんだ。
あぁ、妹と弟、会わない間にきっと大きくなってたんだろうな・・・・会いてぇな・・・・

けどもう、オレの家族は誰もいないんだ・・・・・

――――――
コニーが飛び出していった後の居間には、重苦しい空気が流れた。サシャはしばらく戸口でウロウロして後を追うか迷っていたが、アルミンの「一人にしてあげなよ」の一言で素直に食卓に戻ってきた。コニーも男だからな、女に慰められたんじゃ、きまりが悪いだろう。

シガンシナ奪還作戦の大方の雑務が終わったら、アルミンは俺達の家族への死亡通知手続きを取ると言った。獣とエレン達の戦闘に巻き込まれ、巨人と共に壁の中に閉じ込められた、あるいは巨人に喰われて吐き出された中に、似たような顔があった、踏みつぶされた兵士の背格好が似ていた、頭を喰われた兵士の立体起動が俺達のものだった、そんな理由でいくらでも死んだことに出来るから。そうしたら、戸籍上俺達は死んだことになる。
そして別人の戸籍が用意され、俺達は全くの別人として生きていくことになる。

ジャン「はぁ・・・・まぁ、気持ちのいいもんじゃねぇが、アルミンお前の考えにしたがう。しかし、このままここに住んでてもいいもんなのか?マリアの帰還事業が始まったら、ここにも元の住人が帰ってくるだろう?」
アルミン「うん、ここの住人はもう帰って来ないと思うんだ。雇い主の貴族がローゼに農場を与えて、そこで上手くやってるからね。それに、トロストの外扉が使えないから、マリア南区の復興は相当遅れるんじゃないかなぁ。船しか使えないとなると、かなり不便だからね。」
ジャン「この辺は辺境ってわけか」

サムエル「そうだ、サシャ。約束のものを持ってきたんだった」

サシャ「サムエル!!もしかして!!」

サムエル「シーナで流行のお菓子だ」

サシャ「やったーーーーー!!!!!サムエルぅぅぅぅ!!!!」ダキッ

サムエル「わわ!落ち着いてくれよサシャ!」ハハハ

サムエルが持ってきたのは、チョコレートとかいう茶色くて甘い匂いのする菓子だった。かなり高価なものらしく、アルミンも「奮発したなぁ」驚いていた。1人1個だというので、俺とコニーの分を持って屋根に上がると、コニーは屋根のてっぺんで膝を抱えていた。


ジャン「よう、コニー。サムエルが菓子持ってきたからよ、サシャに獲られちまう前に持ってきたぜ」

コニー「・・・・・」グスッゴシゴシ「おぉ」

ジャン「チョコレートだとよ。知ってるか?」

コニー「知らねぇ。貴族の食いもんだろ?」

ジャン「らしいな。俺も初めてだ」

コニー「・・・・」モグ

ジャン「・・・・」モグ

コニー「ウマいな」モグ

ジャン「甘いな」モグ

オイシイィィィ!!

スゴイ!!コンナオイシイモノハジメテデス!!

サムエル!!オイシイデス!!

ホント!オイシイネ!!

コニー「サシャとクリスタ喜んでるみてぇだな」

ジャン「菓子なんか滅多に食えないからな」

コニー「・・・・」ジワッグスッ「妹たちに・・・・食わせてやりたかったな」ポロポロ

ジャン「あぁ・・・・」

コニー「母ちゃんにも・・・・・喜んだだろうな」ポロポロ

ジャン「そうだな・・・・・」

コニー「オレさ憲兵になりたくて兵士になったんだよ。憲兵になったらよ、父ちゃんが村の奴らに自慢すんだよ、オレの息子すげぇだろって。だから頑張ったのに、なんでか調査兵団入っちまってよ」ポロポロ

ジャン「はは。俺もだ。だがお前が調査兵団にいなかったら、俺らとっくにどうにかなってたよ。ミカサ助けたのだって、これが初めてじゃねぇんだし。クリスタも、あのライナーだってお前助けたんだろ?実際お前はすげぇよ。」

コニー「ありゃオレがライナーに助けられたんだよ」ポロポロ

ジャン「なんにせよ今まともに暮らせてるのは、お前のおかげだろ?コニー」

コニー「・・・・・」ポロポロ

ジャン「・・・・・」

――――――
サムエルが持って来てくれたチョコレートは、甘くていい匂いがして、最高に美味しいお菓子でした。口に入れるとスゥッととろけて、あっという間になくなってしまいました。こんなお菓子が世の中にはあるんですね。まるで夢のようです。
とても高価なものなので、滅多に買えないのだそうです。あぁ、もう一度食べたい!
憲兵になってシーナに住んだら、こんなものが食べられたんですね。せっかく上位になったのに、どうして調査兵団に入ってしまったんでしょう!


次の日、コニーは以前から痛いと言っていた足を、念のため診察してもらいました。
本人は大したことない、と言っていたんですけどね。「お前が動けないと困るだろ!」とジャンに押し切られたような形でした。


コニー「・・・・・」ガチャ

ジャン「コニー、どうなんだ?足は」

コニー「・・・・・」

サシャ「コニー?」

コニー「フッフッフッフッ」

アルミン「どうしたの?」

コニー「ハッハッハッハッ!!」

サムエル「なんだよ、何があったんだ?」

コニー「オレの時代がくる!!」

クリスタ「え?」

コニー「オレは伸びる!もうチビとは呼ばせないぜ!!」ドヤ

全員「?????」

医者「この子ね、成長期なんだよねヒヒヒヒ」

ジャン「ここにいる全員同じなんじゃ?」

医者「個人差あるからねイヒ。早いうちから伸びる子もいれば、あの子みたいに人より遅い子もいるのねヒヒヒ。結構伸びそうだよ?あの子ヒヒヒヒ。体格の変化を観察してみたいねヒヒヒ。足が痛むのも異常な眠気も急激に伸びるからだよヒヒヒ」

アルミン「先生!」ハイッ「僕も伸びますか!」ワクワク

医者「ちょっとだけねヒヒ」

アルミン「ちょっとですか・・・」ズーン「170センチくらいにはなりたいな・・・」チラッ

医者「難しいんじゃないかなヒヒ」テキトーダケドネ

アルミン「・・・・」シュン

クリスタ「先生!」ハイッ「私は伸びますか!」ドキドキ

医者「せいぜい後2~3センチかなヒヒ」

クリスタ「2~3センチ・・・・」ガーン「150センチは欲しかった・・・・」チラッ

医者「無理」キッパリ

クリスタ「・・・・」シュン

コニー「わははは。残念だったな!お前ら!だがオレは伸びる!!ジャン!オレはお前を超えてみせる!!」ビシッ

ジャン「ライバル認定すんなよ」メイワク

サムエル「ははははは」


コニーの背が伸びる?・・・・う~ん。なんか複雑ですねぇ。私はちっちゃいコニーが好きなのに、なんだか残念です。まぁ本人が喜んでいるので、良いことなんでしょうけど。

――――――
陽が傾き始めた頃、アルミン達は帰って行った。やっぱなんかさみしいぜ。
最近ジャンは二階の修繕に夢中になっててよくこもってる。ミカサの番をしなくても良くなったら、オレらもベットで眠れるってよ。
夕飯の用意をするサシャの横で、クリスタは張り切って医者に教えてもらった薬草の茶を作り始めた。どんだけ青臭い茶ができるのかってビクビクしてたんだけど、意外とすっきりしたいい匂いがしてきて、サシャが飲ませろと迫ってる。それミカサのだっつぅの。


サシャ「ん~、これはなかなかですよ!」

クリスタ「美味しい?」

サシャ「いけます!この爽やかな香り!青臭さもあまり感じません。これは脂っこい肉料理の後に飲んだらさっぱりしていいんじゃないでしょうか?」

コニー「脂っこい肉料理なんかそうそう食えねぇってーの。貴族じゃねぇんだからよ」

サシャ「そうか!そうですよ!だからこの農場にはこんなに薬草が沢山あるんですよ!」

クリスタ「?」

サシャ「つまりですね・・・・きっと探せば牛がいるはずです!使役用でも乳用でもない牛が!」

コニー「なんで牛なんだよ?豚かもしれねぇだろ?」

サシャ「いいえ!だってコニー!貴族ですよ?貴族!牛に決まってます!」

コニー「まぁ、牛食べるなんて普通なら使役用か乳用のが死んだ時くらいだからな。肉牛なんて貴族くらいしか飼わねぇけど、でもそんな高価なもん、マリアにおいとかねぇだろ?」

サシャ「わかりませんよ?ふふふ。明日から牛探しをしましょうふふふふふ」

クリスタ「見つかるといいね、サシャ。でも牛のさばき方知ってるの?」

サシャ「使役用の牛ならさばいた経験がありますよ!任せてください!ふふふふ」ジュルリ

クリスタ「楽しみにしてていいのかな?」ウフッ


あんだけアルミンにはっきり言われたからさ、もう家族のことはあきらめようって、そう思ったんだ。でもこうやってサシャやクリスタといると、妹たちとわーわー言いながらメシ食ってた時のこと、思い出すんだよな。楽しいのに変わりはねぇんだけど、なんとなく、前みたいに気楽に楽しめねぇような気がする。

――――――
夕飯の後、サシャが美味いと太鼓判を押した茶を持って、クリスタはミカサの部屋に入った。朝も夜も、ミカサは柔らかい粥を少し口にしただけで、サムエルが持ってきたチョコレートも手つかずだ。
しばらくして、クリスタが肩を落として居間に戻ってきた。俺達の顔を見てため息をつき首を振る。

ジャン「ダメか?」

クリスタ「口を湿らせて終わったような感じかな・・・・」ハァ

コニー「いい加減やべぇだろ。怪我どうこうじゃなくなってきてるぞ」

クリスタ「せっかく先生に教えてもらったお茶も、飲んでもらえないんじゃ意味ないよ・・・・」グスッ「ご飯もっ・・・グスッ・・・・全然食べてくれないし・・・・グスッ・・・・私・・・どうしたらいいの?」グスッ

サシャ「・・・・」ヨシヨシギュッ

クリスタ「・・・・」シクシク

サシャ「ジャン!」

ジャン「なんだ?」

サシャ「あなたの出番だと思います!」

ジャン「え?」




深夜。俺は・・・・・またしてもミカサと二人きりになった。サシャよ・・・・どうしてそんなに俺の理性を過信できるんだよ!

ミカサ「エレン?・・・・きて?」

病み衰えた腕を伸ばして、俺を、いやエレンを呼ぶ。もうため息しか出ねぇ・・・・

ジャン「ミカサ、腹、減ってねぇか?」

ミカサ「へいき。それよりエレン、はやくきて?」

ジャン「俺、ちょっと腹減ってよ。お前付き合えよ?」

ミカサ「おなかすいたの?エレン」

ジャン「うん。そうなんだ。ミカサ、お前と一緒にメシ食いたいなと思ってよ」

ミカサ「わたしと、いっしょに?」

ジャン「うん、お前と一緒に」

ミカサ「そう?エレンがたべたいなら、つきあう」

ジャン「少しくらいなら体を起こしてもかまわねぇんだってよ。ちょっと起こしてやるから、付き合えよ」ギシ


ミカサの体を起こしてやろうと腕に力をこめて、予想外の軽さに衝撃を受けた。ミカサを抱えて走ったあの日のことを思い出すと、今のミカサが一回り小さく見えた。すっかり細くなった肩が痛々しい。

ジャン「痛くねぇか?」

ミカサ「すこし」

ジャン「無理すんな?辛かったら言えよ?」

ミカサ「エレン・・・やさしい」//////

ジャン「っ・・・・」カチャ「これ、けっこうイケるんだぞ?」モグ

ミカサ「エレン、おいしい?」

ジャン「あぁ。うまい。訓練兵団の堅ってぇパンより遥かにうまい。食ってみろよ?」

ミカサ「ううん。おなかすいたんでしょ?エレンがたべて」

ジャン「お前と一緒に食いたいのにな。一人で食ってもつまんねぇよ」ムスッ

ミカサ「・・・・エレンがそういうなら、すこしだけ」

ジャン「お?うれしいな。じゃ食わせてやる」カチャ「ほれ、あーんして」

ミカサ「あーん」モグ

ジャン「どうだ?」

ミカサ「うん。エレンといっしょにたべるとおいしい」

ジャン「そうか。よし、じゃもう一口あーん」

ミカサ「あーん」モグ

ジャン「いいぞ、ミカサ。もう一口」

ミカサ「エレンもたべて」

ジャン「お、おぉ、そうだな」(ミカサの使ったスプーン!!)モグ

ミカサ「おいしい?」

ジャン「・・・・格別だ・・・・」

ミカサ「よかった」

ジャン「お前も食えよ」

ミカサ「あーん」モグ


ジャン「はぁ、美味かった。ミカサも結構食べたな」(つっても器の半分くらいか)

ミカサ「うん。おなかいっぱい」

ジャン「今日はすごく良いものがあるんだぜ、ミカサ」

ミカサ「いいもの?」

ジャン「チョコレートだ」

ミカサ「ちょこれーと?」

ジャン「シーナで流行の貴族の菓子だと」

ミカサ「おかし?」

ジャン「ものすごく美味いぞ。食ってみろよ」

ミカサ「エレンは?」

ジャン「もう食った。これはミカサの為にとっといたんだ」

ミカサ「わたしのために?」

ジャン「そう。ミカサの為に。さぁ」

ミカサ「あーん」モグ

ジャン「どうだ?」

ミカサ「・・・・おいしい」

ジャン「だろ?」


ジャン「明日も一緒に食おうな」

ミカサ「うん・・・・エレン、すこしつかれた」

ジャン「あ、あぁ悪かったな。じゃ、このお茶を飲んで横になれよ」

ミカサ「おちゃ?」

ジャン「すごくいい匂いのするお茶なんだ。お前の為に淹れたんだぞ?」

ミカサ「わたしのために?エレンが?」

ジャン「あ、あぁ」(クリスタだけど)

ミカサ「エレン、うれしい」/////

ジャン「ほら」

ミカサ「・・・・」ゴク

ジャン「どうだ?」

ミカサ「うん、いいにおい」

ジャン「もっと飲めるか?」

ミカサ「うん。エレンがいれてくれたおちゃ、ちゃんとのむ」ゴクゴク

ミカサの細くなった体をベットに横たえて手を握ってやると、そのまま眠った。こんなにすんなりと寝付いたのは、久しぶりに食って疲れたせいなのか、それとも薬草茶のおかげか分からない。
ハグもキスも添い寝も求めずに、ミカサはぐっすり眠ったのに、暗闇で俺を求めるミカサの瞳がチラついて、心がざわつく。大っぴらにミカサを抱きしめる口実が無くなってしまったのが惜しくて仕方ない自分が、少し嫌になった。

――――――
ミカサがご飯を食べられるようになってクリスタは大喜びでした。作戦成功です。それからは毎日ジャンがミカサのご飯担当になりました。お手柄ですよ?ジャン。

ジャンのもう一つのお手柄。それは2階と3階の修繕で見つけた大量の岩塩と本と帳面です。塩が沢山手に入るなんて奇跡です。さすが貴族直轄!
本と帳面は家主が貴族の要望で育てていた珍しい植物に関するもので、コニーが大喜びしました。ただ残念なのは、何が植わってるのか全部わかったのに、すでに秋で収穫できるものが少ない、ということです。


コニー「ちゃんと手入れさえしてありゃ、実りの秋、なんだけどなぁ・・・・栗の木が実をつけてるんだけどよ、豚が実を食っちまってんだよな。イガばっかなんだよ」

サシャ「栗があるんですか!!」

コニー「豚の数が多くてどうしようもねぇ。木から実を落とすとあっという間に食っちまう」

サシャ「森の方にはそんなにいませんけど?」

コニー「そりゃ果樹園の方が食いもんいっぱいあるからな。果樹園の柵壊れまくっててよ、入り放題だ。直してるけど、おいつかねぇ。広くってよ」


サシャ「それじゃあ、退治しないといけませんねぇ。でも一人で狩るのは大変です。コニー、手伝ってくれます?」

コニー「かまわねぇけど、オレ狩りは遊び程度だぞ?」


そんなわけで果樹園の豚狩りが始まりました。遊び程度、といっていたコニーの狩りの腕は悪くなくて順調でした。また燻製作りが忙しくなります。お肉食べ放題ですよ。うふふふ。といっても、午後からコニーはジャンとツリーハウス造りです。豚の退治が終わるのには少し時間がかかりますね。


燻製に使う木の枝を拾いに森に行く途中、なんと!川に大きな魚を発見です!!最初に来た時にはこんな大きな魚は見ませんでしたが・・・・

サシャ「コニー!!見てください!この魚!」

コニー「うぉ~、こりゃでけぇな」

サシャ「ほら、こんなに浅いところに!これは手でも獲れそうですよ!」腕マクリ

コニー「手で獲んのか?大丈夫かよ?でかすぎねぇか?」


サシャ「大きいからこそ手で獲れるんです!!」靴ヌギヌギ「行きますよ~!」バシャバシャ「こ!これは!!お!重いっ!!暴れないで下さいよ~!!」キャーッ

コニー「言わんこっちゃねぇ!!」靴ヌギヌギ「サシャ!そこオレが持つからそっち持て!うおっ!!こりゃ!!重ってぇ!!」バシャバシャ

サシャ「この魚!」バシャバシャ「美味しいですかね!?」バシャバシャ

コニー「知るかよっ!!」バシャバシャ「あぶねぇ!!」サカナアタック!!

サシャ「わあっ!」バッシャーン


コニー「あ~あ・・・・・大丈夫か?」

サシャ「ずぶぬれです・・・・・はっ!コニー魚は!?」

コニー「岸でのたうってるよ」ピチピチ

サシャ「ふうぅ。セーフです」

コニー「セーフじゃねぇだろ。風邪引くぞ、早く上がれよ」

サシャ「はい」ジャブ「さむっ」


コニー「・・・・・・・寒いに決まってんだろ。もう秋だぞ」プイッ・・・ヌギ

サシャ「へっくち!」ブルッ

コニー「後ろ向いてるからこれ着ろ」プイッ

サシャ「コニーが風邪引きますよ」

コニー「ずぶ濡れの奴が何いってんだ。早く着ろよ」プイッ

サシャ「でも悪いです・・・・」


コニー「だぁぁぁ!!いい加減にしろ!お前自分の恰好よく見ろって!!」カァァ//////

サシャ「はい?」スケスケ「・・・・・・な!」カァァァ////////////「あ、え、っと・・・・」////////

コニー「早くしろ!!」////////

サシャ「は、はいっ」////////




サシャ「コニー、この服、ちょっと大きくありませんか?」ブカッ

コニー「あぁ、そりゃジャンのだからな。最近自分のがきつくってよ。服も靴もそろそろ調達しなきゃならねぇ」

サシャ「そういえば・・・・」

コニー「言ったろ?伸びるって」


そういったコニーの裸の背中が思ったより大きくて逞しいことに気が付いて、思わず目をそらしてしまいました。伸びるって聞きましたけど、いつのまにこんなに伸びたんでしょうか?男の子の裸の上半身なんて今まで何度も見たことがあるのに、なんでこんなに緊張するんでしょうか。さっきまでコニーが着ていた服を着ていることが、どうしてこんなに恥ずかしいんでしょうか?


コニー「行くぞ」

サシャ「・・・・・はい」///////


目線が・・・・いつのまにこんなに近くなったんでしょうか?

誰も読んでなくても一度始めたことは最後までやろうという気持ちだったのでうれしいです。ありがとうございます。
拙くて読みにくいと思いますが、最後まで頑張ります。

――――――
前々からサシャは良いやつだって、思ってた。一緒にいると楽しいし、オレより体でかいくせに、なんか妹みたいなとこもあってさ、つい面倒見たくなるっていうか、そういう感じだったんだ。もちろん顔可愛いなって思ってたけど、正直女を意識したことはなかったんだよな。
訓練兵時代は上位に入りたくて必死だったから、女がどうとか考えたことなかったし、この村来てからは家族のこととか、ミカサのこととか、みんなをどうやって食わせて行くかとか、これからどうやって生きてくかとか、そういうことで頭いっぱいだったんだ。
そんときまでは。


きらきらした水しぶきの中で茶色い長い髪が揺れて、その中で笑うサシャ。
ずぶ濡れのシャツがぴったり張り付いて丸見えになっちまった丸い胸と引き締まった腹にへそのライン。そんなのが目に焼き付いちまって、どうにもならねぇ。


コニー「そういうわけでよ・・・・オレなんかもう、まともにサシャの顔見る自信ねぇわ」

ジャン「ほおぉぉ?」ニヤニヤ

コニー「そもそもオレ恋愛とか経験ねぇしよ」

ジャン「んで目覚めちまったってわけか」ニヤニヤ

コニー「はぁ・・・・くっそ~、どうすんだよオレ」

ジャン「まぁ、あれだ、とりあえず賢者になっとけよ」ニヤニヤ


コニー「サシャおかずにすんのかよ・・・・」

ジャン「おかずにしてぇんだろ?」ニヤニヤ

コニー「う・・・・まぁ」/////

ジャン「しかたねぇよ。男だし。若けぇんだし」ニヤニヤ

コニー「・・・・・だよな」/////

ジャン「きっちり出しとかねぇと、なんかの弾みにうっかり襲っちまうかもしれねぇぞ?我慢できるんならいいけどよ」ニヤニヤ


コニー「変なことしちまって嫌われたらって思うと怖ぇんだけどよ、かといっておかずにしちまうと、罪悪感出てきそうでさ」

ジャン「気にするな。男なんてそんなもんだろ?そもそもスケスケに生着替えに男物シャツなんてロマン以外の何物でもない!それは素晴らしいおかずだと考えるべきだな。感謝してありがたくいただくのが礼儀というもんだろ。罪悪感なんてお前、そりゃ押し倒さなかっただけ立派というもんだ」ウンウン

コニー「ミカサのベットで寝て手ぇ出さなかったお前に言われてもな・・・・つか、お前よく我慢できたな。オレ無理だわ。ぜってぇ無理」


いつもより早い時間に、家の修繕で気になるところがあるとか言って、ジャンは一人でさっさと帰りやがった。気の使い方があからさまだっつうの。

・・・・水車小屋にでも行くか/////////

―――――――
その日の食卓の風景は、正直見物だった。
サシャが台所に立って背中を向けている時にはチラチラ見る癖に、自分の方を向くと顔を赤くしてそっぽを向くコニー。
毎食「おいしいですね!」「肉ですよ!」「焼きたてパン最高です!」とか言いながらがっついて食べる癖に、やっぱり顔を赤くしながらうつむいてもそもそ食ってるサシャ。
普段ならバカなこと言い合ったり、戦果(収穫物)を自慢しあったりして割と賑やかな2人なのに、「あぁ」とか「うん」しか言わないことに困惑するクリスタ。
そして、どうにも頬が緩んで仕方ない俺。笑うなってのが無理な話だ。


クリスタ「ねぇジャン。一体なんなの?あの2人」コソ

ジャン「え?いやぁ」ニヤニヤ

クリスタ「知ってるんでしょ?教えてよ?」コソ

ジャン「クリスタ、サシャが帰ってきた時、会わなかったのか?」ニヤニヤ

クリスタ「水汲んでたの。馬で帰ってきたのは気が付いてたけど」コソ

ジャン「そうか。いやそれがな、かくかくしかじかで、お互い気まずいんだろ」(肝心な所は伏せてやったぜ。感謝するんだな!コニー!)ニヤニヤ


クリスタ「えぇっ///////やだ//////それは確かに恥ずかしいな//////」コソ

ジャン「だがクリスタ。おかしいと思わねぇか?」ニヤニヤ

クリスタ「なぁに?」コソ

ジャン「ちょっと恥ずかしいものを見たり見られたりして、気まずくなるにしてもだ、いつもの2人だったら、冗談言って笑い飛ばすんじゃねぇかな?」ニヤニヤ


○○ジャンクリ想像の世界○○

コニー「おぉ!サシャお前意外とおっぱいでけぇじゃん!」

サシャ「ふふふ。どうです?見事でしょう?」

コニー「牛乳絞れるんじゃね?」

サシャ「それ母乳や!」ビシッ

○○○○○


クリスタ「いやいや!さすがにそれはないよ」ドンビキ「でも確かにちょっと変だね?」コソ

ジャン「見られたサシャが恥ずかしがるのはわかる。しかしそれがあんなに食が進まない理由になるとは思えん!」ニヤニヤ

クリスタ「サシャだもんね」コソ

ジャン「見たコニーだって、普通ならちょっとラッキーくらいで済ませるはずだ」


クリスタ「男の子って最低」ボソ

ジャン「そういう生き物なんだよ。男ってのは」

クリスタ「・・・・・」ジト

ジャン「まぁとにかくだ、あの2人は2人ともひょっとするとひょっとするぜ?」ニヤリ

クリスタ「うん。ひょっとするね」ニヤリ



クリスタ「ねぇコニー、最近服がきついんだって?」

コニー「あぁ。ちょっと着られなくてな、ジャンのを借りてんだ」

クリスタ「ふぅん。でもジャンもそんなに持ってないでしょう?」

ジャン「そうだな、戦闘服とコニーに貸してるのと、あと一枚しかねぇなぁ」

クリスタ「二階に布地があったから、縫ってあげるよ?」

コニー「おぉ!いいのか?」


クリスタ「時間もらうけどいい?」

コニー「助かる!」

クリスタ「ちょっとサイズの参考にしたいから、この服着てみてくれる?」

コニー「ん?丈は良さそうだが、どうも肩幅が小せぇな?腕まわりもきついぞ?袖もボタン外さねぇと手が通らねぇな?胸元もきつくてボタンはじけちまいそうだぞ?」

ジャン「・・・・・」プルッ


クリスタ「そうだね、ちょっとコニーには小さかったかな?一番近いかなと思ったんだけど」

コニー「こりゃ誰のだ?」

クリスタ「ん?それはね、」ガチャ

サシャ「あ!!こ、こ、こ、コニー!それ・・・・・」カァァァァ//////////

ジャン「くっ!」プルプル


コニー「え?まさか・・・・・?」

クリスタ「サシャのだよ?」ニッコリ

ジャン「ぶはっ!!」バンバン

コニサシャ「ちょっ!!!!」カァァァァァ///////////

コニー「お前ら!!何考えて」ブチッ「あぁっ!!ぼ、ボタンがっ」


サシャ「わっ!私のシャツが!」

コニー「わわっ!すまねぇサシャ!!すぐ脱ぐから!!あっくそっ肩がひっかかって!!」

ジャン「ぶははははは!!!!」バンバンバンバン

クリスタ「ぷ!ふふふふふ」

コニー「お前ら覚えてやがれ!!チクショーッ!!二の腕がきつくて!!抜けねぇっ!!」

ジャン「ばっきゃろー、ミカサと俺を2人きりにした時のことを、まさか忘れたわけじゃねぇだろうな?」


コニー「だからってお前ぇ!」

サシャ「コニー、ダメです!そんなに動くと破れちゃいます!!」

クリスタ「サシャ、脱がしてあげて?その方が安全だと思うよ?」ニッコリ

サシャ「えぇっ!?」////////

クリスタ「あ、私ミカサのお茶用意しなくちゃ!じゃ、またね?」サッ

ジャン「あ、俺汗かいたから体拭いてくるわ!じゃ、後でな?」サッ

コニサシャ「ちょっ!!!まてーーーーーー!!!!!」


いやぁ痛快痛快。しかしクリスタがこんなにノリのいいやつだなんて思わなかったぜ。

面白い


~~~~クリスタの手紙~~~~

ディルクへ。

 こんにちは。ディルク。お元気ですか?少し寒くなってきましたね。体調を崩したりしていませんか?
 先日シャルロッテとハインリッヒが大きな魚を獲ってきました。ものすごく大きな魚なのに、なんと手づかみで獲ったんですって。今豚と一緒に燻製小屋にぶら下がってます。シャルロッテは狩りの名人ですよ。燻製小屋と貯蔵庫は獲った獲物でいっぱいです。すこし前に迷い牛を一生懸命探していましたが、結局見つからなくてがっかりしていました。

それと、最近フェリックスが2階の部屋を直してくれて、ちゃんとベットで眠れるようになりました。フェリックスは大工仕事が上手で、今3階の修繕とツリーハウス造りに夢中になってます。ハインリッヒも一緒になって毎日午後には木の上です。男のロマンなんですって。もうすぐ出来上がるそうです。
マレーネの病気は少しずつ良くなっています。最近立てるようになったので、もう少ししたら歩けるんじゃないかなって期待しています。今日は朝ご飯をいつもより多く食べてくれて、嬉しかったです。ギュンターのお菓子も美味しいと言って食べたそうですよ。ギュンターにありがとうと伝えてください。


そうそう、最近シャルロッテとハインリッヒの関係が、なんというか、ちょっと変わってきました。恋の季節が来たみたいです。両想いなのに、どちらも告白できずに微妙な距離感で、見ていて楽しいやらもどかしいやら。2人には幸せになって欲しいと思う反面さみしい気持ちもあります。ハインリッヒとシャルロッテが付き合う事になったら、私は1人になっちゃうんですよね。フェリックスはマレーネに人生を捧げてるし、ちょっと羨ましいなって思います。


そんな私にも最近友達が出来ました。名前はボリス。薬草摘みの最中に出会った犬です。尻尾がふさふさしていて、凛々しい顔をした子です。毎日外に出るとどこからかやってきます。昨日はそばまできて匂いを嗅いできました。ハインリッヒが馴らそうとしていますが、すぐに逃げてしまってダメなようです。私は屋根裏の猫とも仲良しです。すごく可愛いんだよ?
 初めての手紙で、ちゃんと届くか不安です。鳩さん、よろしくね。

追伸
 最近ハインリッヒの背がすごく伸びました。先生のおっしゃる通りですね。今新しい服を縫っています。前着てた服、もう全然着られないんですよ。私はちっとも伸びていません。ディルクはどうですか?

                                  フレイヤより

* * * 注 * * *
ディルク・・・・アルミン
フレイヤ・・・・クリスタ
マレーネ・・・・ミカサ
フェリックス・・ジャン
シャルロッテ・・サシャ
ハインリッヒ・・コニー
ギュンター・・・サムエル

――――――
・・・・・
・・・・・
・・・・・はぁ

あれから、コニーにどう接していいのかわからなくて、目を合わせることもできません。でも、ふと気が付くと、コニーの横顔を目で追ってるんです。それで、コニーの耳元から首、肩にかけてのラインとか、腕の筋肉とか、そういうのが目に入るとドキドキして・・・・
近くにコニーがいると緊張するのに、いないとさみしくて、会いたい、声が聞きたいって胸が苦しくなるんです。
何も手につかなくて、狩りも全然上手くいきません。


ただコニーに美味しいって言って欲しくて、料理は頑張るんです。でも・・・・

コニー「・・・・・・」モグモグ

サシャ「・・・・・・」モグ

ジャン「・・・・・・」モグモグ

クリスタ「・・・・・」モグモグ

コニー「・・・・・・」モグモグ


サシャ「・・・・・・」モグ

ジャン「・・・・・・」モグモグ

クリスタ「・・・・・」モグモグ

コニー「・・・・・・」モグモグ

サシャ「・・・・・・」モグ

ジャン「・・・・・今日も美味いなー。なぁ?クリスタ?」


クリスタ「そ、そうだね。美味しいね。ねぇ?コニー?」」

コニー「・・・・・・あ、あぁ」モグモグ

サシャ「・・・・・・」モグ


ジャン「こりゃちょっと重症じゃねぇ?」コソ

クリスタ「うん。なんとかしないと」コソ

ジャン「なんとかっつってもなぁ・・・・」コソ


サシャ「・・・・・・森に行ってきます」ガタ

クリスタ「もう行くの?!」

サシャ「後片付け頼みますね、クリスタ」グスッ バタン

クリスタ「あっ・・・・・」

ジャン「・・・・・」(泣いた?)

コニー「・・・・・」モグモグ


クリスタ「!」キッ「コニー!!」バン!!

コニー「!」ビクッ「な、なんだよ?」

クリスタ「コニーがいけないんだからね!!!!」

コニー「なんでだよ???」

クリスタ「コニーのバカ!!」

コニー「いや・・・・その、なんだよ?・・・」オロ


クリスタ「ほんっとに鈍いんだから!!!!サシャはコニーに美味しいって言って欲しくて一生懸命ご飯作ってるのに!!最近コニー何にも言わないじゃない!!!!食材も調味料も限られた中でご飯作るのがどれだけ大変だと思ってるの!!!!ひどいよ!!!!」

コニー「え?いや、美味いとは思ってるよ?」オロオロ

クリスタ「だったらちゃんと口に出しなさいよ!!黙ってちゃわからないでしょ!!」バン!!

コニー「あ、いや、その」オロオロ

クリスタ「つべこべ言ってないでサシャ追いかけなさい!!」ビシッ!!

コニー「ヒッ」ガタッ

ジャン(こえぇ)ビクビク


馬に飛び乗って西へ。果樹園からほとんど来たことのない牧草地を全力で駆け抜けて、初めて来る丘を登ったところで振り返ると、遠くに私たちの家が見えました。森の方へ誰かが駆けていくのが見えます。戦闘服を着ているから、コニーでしょう。今日は私とコニーが巨人に備える日なので。この時間コニーはいつもなら畑仕事に出るのに・・・・どうして?
とにかく森に行かなくてよかった。今コニーに会ったら、きっと泣いてしまうので。
会いたいのに会いたくないなんて、自分でも訳のわからない気持ちを、どうしたらいいんでしょうか・・・・・


見晴らしのいい丘に小春日和の陽気。気持ちのいい日なのに、ちっとも気分が晴れません。
気晴らしにこのままどこかへ散歩にでも行きましょうかね・・・・
北を見ると、私たちの家よりもっと遠くに、うっすら建物が見えました。大きな塔も見えます。ふむ。いいですね。行ってみましょうか。
・・・・
・・・・・・あれ?なんでしょう?あの塔の横・・・・あれは・・・・・

>>240
コメありがとうございます。書きはじめと違った方向に進んでしまってますが、最後まで書き上げたいと思います。

――――――
別に俺がビビる必要ないんだが、迫力満点のクリスタの説教にすっかり気圧されちまった。
いや俺も、そんなにサシャが思い詰めてるんて思ってなかったんで、なんか俺が説教されたような気分になったんだけどな。

ジャン「あ、あのさ」

クリスタ「なに?」

ジャン「今日は屋根に上がるわ。3階に雨漏りの形跡があったんで、ちょっと見てくる」

クリスタ「ちゃんと立体起動装備するんだよ?」


渋々戦闘服に着替えて立体起動を装備する。ベルト装着するのに時間がかかるってのもあるんだが、最近すこし戦闘服が窮屈になってきて、着るのが億劫だ。コニー程じゃないが、俺もまだ伸びているらしい。医者に言わせると男は20歳手前までは伸びることが多いらしいんで、俺もまだ伸びしろがあるってことだ。男としては嬉しいんだが、物資が手に入らないこの状況ではあまり体格が変わるのも問題だ。コニーはもう自分のじゃ着られなくて、戦闘服もブーツもミカサのを使ってる。だがそれもやっぱり女物ってこともあってキツイらしい。もう巨人は来ないんじゃねぇか?とか言って着るのを嫌がるんだが、あまり楽観視したくないんで、交代制で戦闘服を着ることにしてる。今日はコニーとサシャの日だから着なくて良かったんだがな。


ガスを使うのがもったいないんで、屋根裏から屋根へ上がる。
今日は天気がいい。すこし暖かくて、気持ちのいい日だ。
クリスタは今日ミカサを散歩させたいと言ってるから、後で手伝ってやろう。立てるようにはなったが、まだ一人で歩くことはできないし、積極的に自分で歩こうという気もないようだ。クリスタの薬草茶のおかげか気持ちも落ち着いてきて、昼間に女子同士で軽く会話したりしているようだが、無気力なところにはあまり変化が見られない。
夕飯はクリスタが持って行ったのを食べるようになったので、エレン(俺)との夜はもっぱら薬草茶を飲むだけになっている。だが、その時間をミカサは楽しみにしているらしい。毎晩「会いたかった」といい「そばにいて」と言う。そう言うミカサに調子を合わせて、なんとなくエレンっぽく振る舞うことに、最近は抵抗を感じなくなってきた。



――――――
クリスタって、なんかもっとフワッとして、ちっちゃくて可愛らしくて、男なら誰でも、思わず守ってやりたくなるような、そんな子だと思ってたんだけどよ、なんだあの迫力。
つかオレそんなに悪いことしてたのか?
なんとなく気まずいっつうか、サシャの顔見ると、ずぶ濡れになった時のことや、イタズラでサシャのシャツ着せられて、サシャに脱がせてもらった時のこととか思い出しちまって・・・・なんか喋ると変なこと言っちまいそうだし・・・・


でもそれでサシャを傷付けてたなんて、全然気が付かなかった。
クリスタに言われて出てきたけど、サシャにどう接したらいいんだ?とりあえず謝って、それからどうしたらいいんだ?
森にいるだろうと思って来てみたけど、どこにいるんだよ・・・・
つか、どんな顔して会えばいいんだよ?こんなところで2人きりなんてよ・・・・・

・・・・・なんだか、今日は森がやけに静かだな・・・・・

――――――
・・・・・ィィィィィィ

ん?

・・・イイイイイイイ

果樹園の方・・・・あれはサシャか?なんであんな方向から?

ピィィィィィィ


ジャン「・・・・まじかよ!!」バッ!!シュン シュタッ「クリスタ!!」バン

クリスタ「どうしたの?」

ジャン「サシャからの合図だ!馬を連れて来る!避難するぞ!!」

クリスタ「巨人がきたの?!」

ジャン「多分な。まだ姿は見えないが。準備を急げ!」

クリスタ「わかった!!」サッ


ドカッドカッヒヒーン

サシャ「ジャン!!」


ジャン「サシャ!!出たのか?!」

サシャ「ここから北、10キロくらいのところに村があります!そこに巨人が」

ジャン「10キロか、まだ時間があるな」

サシャ「立体起動を着けてきます!」

ジャン「コニーも装備してねぇんだ。サシャ持ってってやってくれ!」

サシャ「・・・・はい!」

――――――
どうしよう、とうとう来てしまいました。見えたのは1体だけでしたが、距離がありましたから、小さいのが何体かいるかもしれません。
毎日狩りをして、家には仲間がいて、ご飯食べて、コニーがいて。なんだかこのまま平和な日が続くんじゃないかと思ってました。ついこの間まで、ここが巨人に支配されていた場所だってこと、すっかり忘れてました。バカですね。
早くコニーに立体起動を渡さなくちゃ。


サシャ「コニー!!コニー!!どこです?コニィィィィ!!」ハァハァ

森にいるはずですけど・・・・

サシャ「コニー!!返事してください!!コニー!!」

――――――
ジャン「クリスタ!戦闘服着たか?!」

クリスタ「着たわ!」

ジャン「入るぞ!」ガチャ

クリスタ「巨人は今どのあたり?」

ジャン「10キロ北だ。準備はいいな?」

クリスタ「うん!」

ジャン「ミカサ!巨人が出たんだ。今から避難するぞ?いいな?」


ミカサ「・・・・巨人?」

ジャン「そうだ。行くぞ。つかまれ」ヒメダッコ

ミカサ「・・・・」

ジャン「さぁ、馬にまたがるぞ?いいか?痛くねぇか?」

ミカサ「・・・・平気」

ジャン「俺が後ろに乗るからな?」

ミカサ「・・・・」

久しぶりに抱き上げたミカサは、恐ろしく軽くなっていた。見るからにげっそりとやせ細ってたから、そりゃ軽くなってるだろうとは思ってたけどよ、ここまでとは思わなかった。
ミカサ担いで必死に走ったあの時と比べたら20キロは減ってるんじゃねぇか?目の前の首や肩があまりにも細い。
これじゃお前ぇ、守ってやらなきゃならねぇじゃねぇか・・・・!

――――――
サシャになんて言っていいかわかんねぇまんま、森に入ってちょっとウロついたところで、なんとなくツリーハウスのところまできちまった。
ツリーハウスはこの森で一番高い木の上の方に作ってある。15メートル級の巨人の手の届かない高さだから、正直作るのは骨が折れるんだよな。蔦を編んで作ったロープで資材引き上げて、ガスがもったいねぇんで立体起動は使わずに縄梯子を登って。だけど頑張ったおかげでかなり完成に近づいてきた。これならミカサを避難させてやれるな。まぁ、これだけここに住んでて一回もこねぇんだから、もう来るかどうかわからねぇけどよ。しかしツリーハウスは男のロマン!来なくても作るけどな!


う~ん、枝と枝の間に板を渡したら、立体起動を使わずに移動できるな・・・・いや、そりゃえらい労力が必要だぞ・・・・でもぜってぇ面白れぇよな。なんとか時間つくるか。頑張れば春が来る前に形にできるだろ。
つか、どこまで行っちまったんだ、サシャのやつ。
でも、顔合わせてどうすんだ?オレ。謝るだけでいいのか?

コーニィー・・・・

ん?うおっ!サシャ!!


サシャ「コニー!!」ドカッドカッ

コニー(やべぇ、真剣な顔したサシャ可愛い)

サシャ「コニー!探しましたよ!」ヒヒーン

コニー「あ、あぁ・・・」(なんて言おう)

サシャ「これ、持ってきました!!」


コニー「立体起動?!まさか?」

サシャ「北10キロの地点に!」

コニー「マジかよ!!」

サシャ「ジャン達には知らせました!こっちに来るはずです」



ジャン!お前の言うとおりだ。戦闘服着といて良かったぜ!

――――――
ツリーハウスに登るのは、今日が初めてです。登るのが大変そうだということもありましたけど、ジャンとコニーが「完成してからのお楽しみ」と言うので、いつも下から見てるだけだったんですよね。

サシャ「おぉ!スゴイですね。広いです」

コニー「だろ?ここまで資材を引っ張り上げるのが一苦労なんだぜ。その前に木材を板にすんのが大変なんだけどよ、そこはジャンの功績だ」ドヤ

サシャ「よくここまで作りましたねぇ!ここで生活できそうです!」


コニー「一応5人が寝袋敷いて寝られるようにしたかったからな。ここが完成したら枝と枝の上を歩ける通路を作るつもりだ」チラ(よし、謝るなら今だ!)

サシャ「木の上に村が出来そうですね」

コニー「あ~、えっと、サシャ」

サシャ「はい?」

コニー「さっきはその、悪かった。お前を傷付けるつもりはなかったんだけどよ」

サシャ「えっと、その・・・・・」


コニー「サシャのメシ・・・・・美味いぞ?」/////テレ///

サシャ「え・・・・」/////テレ////「あ、ありがとう・・・・ございます」////テレ////

コニー「いや、ずっと言わなくって・・・・その、ごめん」///////

サシャ「いえ・・・・そんな・・・・」//////

コニー「・・・・・」//////

サシャ「・・・・・」//////



ジャン「コニー!!いるか?!」

コニサシャ「わっ!」ビクッ

――――――
コニー「ジャン!」ノゾキコミ

ジャン「カゴ降ろしてくれ!荷物があるんだ!」

コニー「おう!」

ジャン「クリスタ、荷物頼む!」

クリスタ「任せて!ミカサをお願い!」

ジャン「ミカサ、今から立体起動で木の上に登るぞ?俺につかまれるか?」


ミカサ「うん・・・・」

シュン シュタッ

ジャン「クリスタ!いいぞ!上がってこい!!」

シュン シュタッ


クリスタ「すごい、このツリーハウス!ここなら巨人の手も届かないね!」

コニー「まぁな。完成したわけじゃないんだが、作っといてよかったぜ」

ジャン「まったくだ。こいつがなかったらミカサを匿ってやれなかったぜ」

コニー「それよか、ジャンの言うとおり戦闘服着といて正解だったな。打ち漏らしなんかいねぇんじゃねぇかと思ってたんだけどよ」

サシャ「私もです。でもいましたね」

ジャン「用心するに越したことはないと思ってな。何体いるかしらねぇが、絶対ここまで来るぞ」


コニー「あぁ、来るだろうな」

ジャン「少ねぇといいんだがな。全部倒さなきゃならねぇからな」

コニー「あぁ。ガスが無くなる前にケリつけなきゃならねぇしな」


巨人が来るまでまだ少しあるだろう。何体来るかわからねぇが、もし数が多くて手におえない場合はどうするか・・・・おとりが引き付けてる間にミカサを馬で逃がすか?いやダメだ。逃がしたところで行くところはねぇんだ。やっぱり片付けねぇと。
夜までここで粘って、奴らが寝てからそっと近づいて削ぐか。しかし森の中だからな、真っ暗だろうな。


ジャン「コニー、もし数が多かったら夜まで粘ろうかと思うんだが」

コニー「寝てるとこをヤんのか?」

ジャン「あぁ、だが明かりになるもんがねぇんだよ」

コニー「松明とか持って来てねぇもんな・・・・」

クリスタ「待って、非常持ち出し袋にマッチがあるよ?」

サシャ「たき火が出来るように準備しておいて、巨人が寝たころに火をつけるのはどうです?」


ジャン「そうだな、それでいこう。降りてたき火の準備をしてくる。何かあったら教えてくれ」

サシャ「私も行きます」

コニー「よし、オレ木のてっぺんまで行って見てくる」

ジャン「気をつけろよ?」

コニー「お前らもな」

サシャ「クリスタ、ミカサを頼みます」

――――――
立体起動を使ってみて、なんか違和感を感じた。う~ん、やっぱり急に体がデカくなったせいだろうな、重いような感じがする。動き始めに時間がかかるっていうか、なんか前とは違う。
立体起動自体久しぶりに使うからなぁ。装備の点検整備は欠かしてないけどさ。

てっぺんからは周りが良く見える。北に目をやると、巨人の頭がフラフラしてるのが見えた。4キロってとこか。まっすぐこっちにきやがる。12メートル級が1体、それに7メートル級も見える。見えるだけで2体か・・・・・


コニー「クリスタ!!ジャンに伝えてくれ!!12メートル級1体、7メートル級1体確認!距離4キロ!!」

クリスタ「ジャン!!コニーから伝達!!12メートル級1体!!7メートル級1体!!距離4キロ!!」

ジャン「了解!来てるな。サシャ!どうだ、これくらいでいいか?」

サシャ「そうですね、いいと思います」

ジャン「よし、あがろう」


2体だけなら倒せるな・・・・いやまて、後ろになんか小せぇのがいるぞ・・・・くっそ3メートル級がもう2体いやがる!全部で4体か?これ以上来たら本当に夜まで粘らなきゃなんねぇぞ・・・・

コニー「ジャン!!3メートル級2体!!」

ジャン「了解!!」「くっそ、まだいやがんのかよ!!」


数十分後・・・・・

ワンワンワンワン!!ワンワン!!


コニー「ジャン!!畑の北端まで来たぞ!!」

クリスタ「ボリスが吠えてる・・・・」

ジャン「ちゃんと番犬やってるじゃねぇか。いい犬だな。俺らには懐かないけど」

クリスタ「大丈夫かな・・・・」

ジャン「巨人は人間にしか興味ねぇからな。大丈夫だろ」

シュタッ


コニー「やっぱ4体だ。やつら、オレの畑荒らしやがって!!」


ジャン「4体か・・・・」

コニー「あぁ。どうする?」

ジャン「12メートル級から片付けてぇとこだな。クリスタ、ミカサと居てくれ」

クリスタ「うん・・・・・気を付けて」


サシャ「行ってきます。ミカサ?大丈夫ですからね?」

ミカサ「・・・・・えぇ」

ジャン「・・・・・」

シュン
シュン
シュン


コニー「なぁ!こうやって3人で森ん中跳んでるとよ、思い出さねぇ?」

ジャン「あぁ、あの訓練の時か」

サシャ「ジャンの後付けていきましたね」

ジャン「そんなこともあったな」

サシャ「じゃ、また競争ですよ!!」

コニー「遊びじゃねぇっつうの!!」


ジャン「3メートル級!!来たぞ!!」

3mその1ダダダダダダ

ギュン
ギュン
ギュン

ちょっと待てよ!動き始めは遅せぇが、加速するとえらく早ぇ!!


ジャン「コニー!!横だ!!12メートル級!来てるぞ!!」

コニー「クッ!!」

サシャ「ほらほらこっちですよ~!!」ギュン

12mゴハンゴハン!!

コニー「おらぁ!!」


ギュン!!ズバッ

12m 「」チーン

加速がついて斬撃が深い!!けど、注意しねぇとぶん回される!!

3mその1マテマテ~

ギュン!!

ジャン「捕まるかよ!!」

ズバッ!!


3mその1「」チーン

ジャン「よっしゃ!!残り2体!!」

7mキャハハハハハ

サシャ「7メートル級が!奥に行きます!!」

コニー「奇行種かよ!!」

ジャン「っんだよ!!戻るぞ!!」


ギュン
ギュン
ギュン

ドシドシドシドシ

クリスタ「来た!!みんなは?!」

ギュン
ギュン
ギュン


ジャン「クリスタ!!奇行種だ!!」

7mキャハハハハ!!ソーレ!!ビョーン

サシャ「うそ!?」

コニー「飛んだ!!」


ドシーン!!!!

クリスタ「キャッ!!」グラッ

ミカサ「あっ!」バタッ


ジャン「くっそ!!登る気か!!」

コニー「やらせるかよ!!」

ギュン!!ズハッ!!

7m「」チーン


コニー「ざまみろ!!」ガコッ「!!」(アンカーが!!)

サシャ「コニー!!」

バシュッ ガッ ギュイン

コニー(クッ!勢いが付き過ぎだ!!)

ジャン「コニー!前!!」

3mその2イラッシャ~イ


コニー「うぉぉぉぉぉ!!」ドロップキーック!!

3mその2イヤ~ン!!アタシノカオ!!

ゴロゴロゴロ


コニー「うっ、いってぇ」

3mその2ユルサナイワヨ!!ヨクモアタシノカオ!!

コニー「ちっ!」

腕ズバッ

3mその2イッターイ!!ナニスンノヨ!!


サシャ「うりゃあ!!」

ギュン!!ズバッ!!

3mその2「」チーン


サシャ「コニー!!」

ジャン「大丈夫か?」


コニー「すまねぇな。ちょっと足やっちまったわ」

クリスタ「コニー!!大丈夫なの!?」

コニー「ちょっとひねっただけだ!!」

ミカサ「あそこ!!」

クリスタ「えっ?!」

ミカサ「6メートル級!!」


サシャ「そんな!!」

ジャン「何?!」

コニー「まだいたのかよ!!」

ジャン「コニー!登ってろ!」

コニー「悪ぃ!」


6mウヒョヒョヒョヒョヒョ!!ドドドドドドドドドド


ジャン「はえぇ!!」

サシャ「イヤー!!なにこの巨人!!」

コニー「まじかよ!!登ってられねぇ!」

――――――
ミカサ「あぶない!!」バッ

クリスタ「ミカサ!だめ!!」ダキッ

ミカサ「でも!」

クリスタ「ミカサ!今立体起動装備してないのよ!!」

ミカサ「行かなきゃ!!」

クリスタ「無理よ!!」


ミカサ「私が行かなきゃ!」

クリスタ「行かせないから!」ギュッ

ミカサ「エレンが!!」

クリスタ「ミカサ!!いい加減にしなさい!!」バチーン!!

ミカサ ボーゼン

クリスタ「私みたいなチビに抑えられて身動きできないような非力な人に何が出来るのよ!!」


ミカサ「私が・・・・非力?」

クリスタ「そうよ!どうしても行くんなら私を倒してみなさいよ!!」

ミカサ「でも・・・・私エレンのところに行かなきゃ・・・・」オロ

クリスタ「ミカサ!!」バチーン

ミカサ「っ!」

クリスタ「エレンがどこにいるっていうの!!」


ミカサ「え、エレンならそこに・・・・」


ギュン!!

ジャン「くっそ!!こいつ!!なんでこんなにはえぇんだよ!!」ギュン!!

6mケキョキョキョキョキョ!!ドドドドドド

サシャ「ジャン!!私が気を引きます!!」シュッ

ジャン「気をつけろ!!」パシュッ


コニー「こっちだよ!おらぁ!!」ギュン


クリスタ「・・・・ミカサ、あれがエレンに見えるの?」

ミカサ「エレンが戦ってる!行かないと!」

クリスタ「ミカサ。エレンはもういないのよ」

ミカサ「あそこにいる!!」


クリスタ「違う。あれはエレンじゃない」

ミカサ「あれはエレン!!」

クリスタ「ミカサ!」胸倉ガシッ「あれはジャンでしょ?」ゴゴゴゴゴゴ

ミカサ「エレン・・・でしょ?」

クリスタ「エレンは壁になったの。あなた見たんでしょ?エレンは壁の中でしょ?」

ミカサ「え・・・・・」ボー


クリスタ「いい加減にしなさいよ」ゴゴゴゴゴゴゴ「エレンは戻ってこない!ミカサはそれを見たの!今までミカサのそばに居てくれたのはジャンなの!ジャンがシガンシナからあなたを助け出して、ジャンがあなたを看病して、ジャンがあなたに食べさせて、ジャンがあなたのためにここを作ったの!全部ジャンなの!!」

ミカサ「毎晩・・・・エレンが・・・・・」

クリスタ「それがジャンでしょ?」ゴゴゴゴゴゴ

ミカサ「ジャン・・・・?」ボーゼン「エレンじゃ・・・・ないの?」


~~~~ミカサ・甦るシガンシナ戦の記憶~~~~~

ミカサ「!!」


ギュン!!ガシッ

コニー「っつぅ!!」

サシャ「コニー!!」


6mオホホホホホホホホ!!イッタダキマース!!

サシャ「こっのぉぉぉ!!」指ズバッ

ジャン「うらぁ!!」 項ズバッ!!


6m「」チーン


ジャン「おっしゃあ!!」ハァハァ


コニー「やったか!?」ゼーゼー

サシャ「はぁ~・・・・もうダメかと・・・・・」

ジャン「しばらく上で様子を見よう。コニー、大丈夫か?」

コニー「いや、ちょっとやべぇかも。次来ても無理だわ」

ジャン「肩かせ、登るぞ」


シュン シュタッ

クリスタ「コニー!!足、見せて!」

コニー「いっ・・・・・てぇ」

クリスタ「ただの捻挫だといいんだけど・・・・」

コニー「あぁ、折れたって感じはしなかったんだけどよ、3メートル級蹴っ飛ばして痛めたとこ、6メートル級に握られたからな。泣きっ面に蜂だぜ」


サシャ「コニィィィィ」ウエェェェン

コニー「なんだよ、泣くなよ?足痛めただけだろ?」

サシャ「だってぇぇぇ」メソメソ

コニー「しょうがねぇやつだな。助けてくれてありがとな?」ヨシヨシ

クリスタ「ふぅん?」ニヤニヤ


ミカサ「・・・・」ジィッ

ジャン「どうした、ミカサ?」

ミカサ「・・・・ジャン・・・・」ジィッ

ジャン「ど!どうしたんだ?!」(今ジャンって言った!ジャンって言った!!)「こ、怖かったか?多分あれで巨人全部やったと思うぞ?」

ミカサ「・・・・なんでも・・・・ない・・・・」フィ

ジャン「も、もう大丈夫だぞ?また来たら俺が倒すし!」


ミカサ「・・・・・」

ジャン「ホント!ホント!後2・3体くらい余裕だし!」

ミカサ「・・・・ガス、無くなる」

ジャン「いや!!替えのガスあるし!刃もまだ余裕だし!」

ミカサ「・・・・・補給、ない」


ジャン「う!そりゃまぁ・・・・・だけどアルミンに頼めば持って来てくれるし!」

ミカサ「・・・・・ジャン、変」

ジャン「え?いや!それは!その!」

クリスタ「ふぅん?」ニヤニヤ


ミカサが俺の名前を呼んでくれた!!あぁ!神様!!壁の神でもなんでもいい!!とにかく感謝します!!


日暮れまでツリーハウスで過ごして家に戻った。その日の夕食は粥と削いだ燻製肉だけの簡単なものだったが、ここへ来て初めてミカサが食卓に着いたという、忘れられないものになった。

クリスタ「ジャン。はいミカサのお茶」

ジャン「え?いや、もう俺でなくても・・・・」

クリスタ「行って来て?」ニッコリ

ジャン「行きます」ビクビク



コンコン

ジャン「ミカサ、入るぞ?」

ミカサ「どうぞ」

ジャン「あぁ」(返事が!!)ガチャ「お茶、持って来た」

ミカサ「・・・・ありがとう」

ジャン「あぁ」ジーン(この日を待ってた・・・・)カチャ「あの、じゃあ・・・」スッ


ミカサ「・・・今日は飲んで行かないの?」

ジャン「えっ?」(えぇぇぇぇぇぇ!!!!!)

ミカサ「・・・・その・・・・いつも・・・・一緒に飲むでしょ?」

ジャン「あ、あぁ・・・・そうだな」(神様!!)

ミカサ「・・・・」ゴク

ジャン「・・・・」ゴク


ミカサ「・・・・ジャン」

ジャン「お、おぅ、どうした?」(嬉しすぎる!!)

ミカサ「助けてくれて・・・ありがとう」

ジャン「い、いや、別に大したことじゃねぇよ」ジーン(頑張って良かった・・・・)

ミカサ「覚えていないことが沢山あるけど、でも、ジャンは私に良くしてくれた、でしょ?」

ジャン「当たり前のことしかしてねぇよ」(うぉぉぉぉ!!泣きそう!!)


ミカサ「だから、お礼を言わなくちゃいけない」

ジャン「いや、だってよ、その、仲間だろ?」(あぁ!俺のバカ!!チャンスだったのに!)

ミカサ「・・・・これからは迷惑かけないように頑張る」

ジャン「迷惑だなんて思ってねぇよ!!俺は!!その・・・・」

ミカサ「こんなに痩せてしまった。これでは戦えない・・・・誰も守れない。誰の役にも立てない」

ジャン「何言ってんだ!!戦えなかったら役立たずなのか?!違うだろ!お前は元気になるだけでいいんだよ!!元気になって、笑ってればそれでいいんだよ!俺が全部守ってやるから、お前は何にも守らなくていいんだよ!!」


ミカサ「・・・・ジャン?」ポカーン

ジャン「・・・・あ、いや、その、ちょ、ちょっと、えっと・・・・」/////カァ//////(うぉ・・・言っちまった・・・・)

ミカサ「・・・・よくわからないけど・・・・ありがとう」


俺、いつでも死ねる・・・・!





――――――
サシャ「コニー!そんなことしてて大丈夫ですか?」

コニー「あぁ、足に負担をかけねぇように気を付けてるからな。家の中で座ってるだけなんて退屈すぎて死んじまうぜ」ギコギコ「今のうちに色々用意しときてぇしよ」ギコギコ


コニーが怪我をしてから、どうしても不安で仕方ありません。コニーの怪我が治る前に、また巨人が来たらどうしようって、そればっかり考えてしまって。
それぞれやることがあるんですから、いつも一緒に居られるわけじゃないんですけど、少し離れるだけで、どうしても気になって探してしまう私は、ちょっとおかしいんでしょうか?

サシャ「その、気を付けて下さいね?足、早く治さないと・・・・」

コニー「あぁ。大丈夫だよ。それに次巨人が来たときに備えねぇとな。ガスも残り少ねぇんだし」ギコギコ


サシャ「ツリーハウス用の木材ですか?」

コニー「こりゃ木と木の間に渡して橋にすんだよ。立体起動使わずに木の間を移動出来たら、ガスの節約になるだろ?」ギコギコ「んで、蔦で縄梯子いっぱい作って下げとくんだ。ん?待てよ?ロープにぶら下がって振り子みてぇにして移動すんのもありだなぁ。よし、やってみるか」ギコギコ

サシャ「あの、蔦編むの手伝いましょうか?」

コニー「いいのか?やることあるんだろう?」

サシャ「狩りに出られませんからね。縫い物はクリスタとミカサがやってるし、燻製も沢山作ってありますし」

コニー「じゃ頼むわ。助かる」


ドカッドカッドカッドカッヒヒーン

アルミン「コニー!!」

コニサシャ「アルミン!!」

アルミン「クリスタから手紙貰って、急いで来たんだ。怪我したって?!」ハァハァ

コニー「大したことねぇよ」

サシャ「歩けないんだから、大したことあります!」


アルミン「・・・・・なんていうか・・・・・コニー、君・・・・・僕より大きくないかい?」

コニー「ふっふっふっ。座っててもわかるかアルミン?」

医者「イヒヒヒヒやっぱりねぇ。この前と比べると10センチ近く伸びてるね?ちょっと計測してみようね?ヒヒヒ」

コニー「先に足を見てくれよ先生」






――――――
コニーの怪我はただの捻挫だった。だが捻挫ってのは中々侮れなくて、油断すると長引くんで、薬草の湿布を貼って松葉杖をついてなるべく使わないようにとのことだ。
医者は診察ついでにコニーの体の大きさを測ってなんだか喜んでた。やっぱり変な医者だ。
ミカサの骨折はもう治ったらしい。後は寝込んでいた間に鈍った体をしっかり動かしてリハビリすれば、普段の生活には問題ないとのことだった。


医者「ただねぇ、君全然食べてないでしょ?骨がねぇ、弱くなってるね。よくもまぁこれでくっついたもんだよ」

と珍しく真顔で言い、これじゃ立体起動を扱えるようになるには相当時間がかかる、あの筋肉をもう一度見たかったのに、と怒ったようにブツブツ言うとさっさと出て行って、コニーを捕まえて立体起動を使った時のことを細かく聞いていた。研究対象にうってつけらしい。

医者「君良いよヒヒヒ。本当に良い。出来れば連れて帰りたいねぇイヒヒヒヒこの体格の急激な変化は面白いよ?」

多分怪我をしてなかったら、コニーはさっさと逃げてただろう。残念だったな。コニー!!


アルミン「それで、クリスタの手紙には5体出たってあったけど?」

ジャン「あぁ、12m7m6m、3mが2体。北から来てる」

アルミン「ここから北西に行った所からクロルバに近い所まで山脈が広がってる。そこに狩り残しがいるんじゃないかな?ここまで来るのに時間がかかってるから、クロルバの辺りから来てるのかも。しかしよく4人だけで討伐できたね。2体は奇行種だったんだろ?」

ジャン「あぁ。ジャンプするやつと、やたら早いやつだ。早いのには苦労したぜ。おかげでガスがやべぇ」

アルミン「大丈夫。持って来た。後ジャンとコニーのブーツと戦闘服も。ジャンも伸びてるだろ?」

ジャン「おぉ。助かるぜ。ちょっとキツくなってきてたんだ。しかしよくこんなに早く用意出来たな?」


アルミン「うん、シガンシナ復興計画で、今相当数の兵士や職人を送り込んでるからね。物資が山になってるんだ。そこからちょっとね」

ジャン「やるな、お前」ニヤリ「シガンシナはこのまま復興を進めるのか?」

アルミン「そうなんだ。エレンの家の地下室調査が終わり次第、このまま復興するんだってさ。壁外遠征に船を使う計画も進んでてね、その拠点にするのもあって。専用の船の建造計画もある」

ジャン「そりゃまた画期的だな?」

アルミン「シガンシナ奪還作戦で船が大活躍だったからね。それよりも・・・・・マリア帰還開拓事業が始まる」

ジャン「もう始まるのか?!」


アルミン「食料不足が深刻過ぎてなりふり構ってられないんだよ。狩り残しがどうとか言ってられる場合じゃないって。この辺は後回しだろうけど、注意して欲しい。憲兵が帰還民の護衛についてくる予定になってるから。シガンシナ周辺の帰還が始まったらリストの中にこっそり君たちを紛れ込ませておくけど、あまり目立たないようにね?」


サムエル「サシャ、またシーナのお菓子を持って来たぞ?」

サシャ「うわぁ~!!サムエル!嬉しいです!!チョコレートですか?!」

サムエル「チョコレートはしばらく無理だなぁ。はい、キャンディだよ」

サシャ「きゃんでぃ???」


サムエル「砂糖を固めて作ったお菓子だ。みんなで分けるんだよ?」

サシャ「ありがとうございます!!」ニギッ

サムエル「サシャはお菓子が好きだなぁ」


ジャン「貴族の街には食料危機も無縁なようだな」ケッ

アルミン「特権階級には関係ないらしいよ」



サシャ「あっまーい!!美味しいです!サムエル!!」ダキツキ!!

サムエル「ははは。サシャってば」


ジャン「サシャ、餌付けされてんな」ニヤ

アルミン「コニーが不機嫌だね」プッ

ジャン「聞いてんのか?あいつらのこと」

アルミン「まぁね」ニヤリ



サシャ「クリスター!!サムエルのきゃんでぃですよー!!」

クリスタ「わぁ~。きらきらしてる。綺麗ね」

サシャ「コニーもどうぞ!!」

コニー「・・・・いや、オレはいいよ。ミカサにやれよ」ムスッ

サシャ「ミカサー!!美味しいですよー!!」



ジャン「今までにない展開だぜ」ニヤニヤ

アルミン「楽しんで生活してるみたいで安心したよ」ニヤニヤ






――――――
面白くねぇ。なんか面白くねぇ。こんな時に松葉杖つかなきゃ動けねぇとか、マジでイラつく。
サシャのやつ、嬉しいからってなにサムエルに飛びついてやがんだ?手ぇ握ったりとかよ。

ギコギコギコギコ

・・・・・・むかつく。


ギコギコギコギコ

つか、あんな貴族向けの高けぇ菓子2回も買って来るとか、サムエルのやつなに考えてんだ?まさか・・・・サムエル!お前ぇ、サシャのこと好きなのか!?いや、クリスタかもしんねぇ・・・・けど、クリスタ狙いなら菓子持って来るか?う~ん、女は甘いもんが好きだっていうからな、クリスタって可能性もあるよな・・・・・



クリスタ「アルミン!見て!そこにいるのがボリスだよ!」

アルミン「へぇ、結構大きいんだね」

クリスタ「ボリス。おいで」

ボリス オズオズ

アルミン「けっこう懐いてるみたいだね?」

クリスタ「うん。ご飯あげるようになってから、少しなら触れるようになったんだよ」


アルミン「じゃあ、これからもっと仲良くなれるね」

クリスタ「うん!巨人が来た時にはすごく吠えてたから、良い番犬にもなれると思うの」

アルミン「そうなの!?それはすごいよ?人間より早く巨人に気が付いて知らせてくれるように犬を訓練出来たら、壁外遠征に連れていけるし、マリアの開拓にも役に立つよ!!クリスタ!これはすごいことだよ?」ワクワク

クリスタ「そこまで考えてなかった!」

アルミン「ハンジ分隊長に提案してみよう!シガンシナで3体捕獲してるんだ!」ワクワク

クリスタ「なんかボリスが役に立てたみたい?」ウフフフ


アルミン「そうだね」アハハハ

クリスタ「嬉しいな」フフフフ


・・・・・あそこはあそこでいい雰囲気じゃねぇの。


サシャ「燻製小屋はあそこですよ」

サムエル「へぇ!結構大きいんだね」


サシャ「ここは設備がどれも豪華です。さすが貴族直轄です!お風呂もあるんですよ!」

サムエル「そういえば、支援物資の中に石鹸もあるんじゃなかったかな?」

サシャ「でもまだ使えません。他の部屋の修繕やツリーハウスを優先してましたからね」

サムエル「そうなのか。それは残念だなぁ」

サシャ「ジャンが近いうちに直してくれるそうですよ。楽しみです」

サムエル「そうだ、オレちょっと見てやるよ?」


サシャ「大工仕事出来るんですか?」

サムエル「まぁね。でもその前にサシャの狩りの成果を見せてほしいな」

サシャ「うふふ。驚かないで下さいよ?」ガチャ


・・・・・やっぱりサシャ狙いか!サムエル!!しかもなんだ、あの女慣れした感じは!!
マズイんじゃねぇの!!お、オレはどうしたらいいんだ!!



サシャ「ここがお風呂です。荒れてるでしょう?」

サムエル「あー、やっぱり何年も使わないと酷いね」

サシャ「掃除するだけじゃダメですよね?」

サムエル「ちょっと見てみよう。ボイラーは隣の部屋か」ガチャ「スゴイな、このポンプで水を入れるのか」ガコッ「錆びてるなぁ」ギギギガコッギコギコジョボボボボ


サシャ「わぁ!!水が出ましたよ!!」

サムエル「ここでお湯を沸かして隣の浴室に流すんだね。よし、サシャ。2人でお風呂を使えるようにしてみないか?」

サシャ「できますかね?」

サムエル「やってみよう?」


~~~~数時間後~~~~

サシャ「みなさん!!報告があります!!」

クリスタ「どうしたの?」

ジャン「なんだ?」

サシャ「なんと・・・・お風呂が直りました!!」

クリスタ「ほんと!?」

ジャン「おぉ、そりゃすげぇな。サムエルか?」


サムエル「オレだけじゃないさ。サシャと一緒に直したんだよ」

コニー(む・・・・)

サシャ「いいえ!私は掃除しただけです!サムエル凄いですよ!!」

サムエル「今夜はお風呂に入れるな」

コニー(なんか焦る・・・・)

ジャン「手が回らなくてずっとほったらかしだったんだよ。悪いな」

サムエル「女の子達があんなに喜んでるからな、頑張った甲斐があったよ」



クリスタ「わー!!お風呂なんて久しぶり!嬉しい!!」キャッキャッ

サシャ「私は訓練兵の時にトロストで一度公衆浴場に行ったきりです」キラキラ

ミカサ「私も」ニコ

サシャ「みんなで一緒に行ったんでしたね」ニコニコ

ミカサ「すごく気持ちよかった」ニコ


クリスタ「きっとミカサの体にもいいはずよ!」キャッキャッ

サシャ「今夜みんなで入りましょう!」ウフフ

キャッキャッウフフフアハハハ



アルミン「なんだか癒されるような気がするのは僕だけかな?」ホッコリ

ジャン「気のせいじゃねぇよ・・・・」ウットリ

サムエル「良い光景だ」ニコニコ

コニー(お前のせいで気が散るんだよ!サムエル!!)

医者「青春っていいねぇヒヒヒヒ」



~~~~夕飯後~~~~

サシャ「わぁー!!お風呂ですお風呂!!」

クリスタ「ミカサ、肩に捕まって、足元気を付けてね?」

ミカサ「注意する」

サシャ「わくわくしますねぇ」ニコニコ

ミカサ「入り方がよくわからない」


サシャ「私もです」ハッ

クリスタ「髪と体を洗ってから湯船に入るんだよ」


キャッキャッ セッケンイイニオイ ウフフ ワーホント キャハハ サシャオッキイ ホントダー クリスタダッテイガイトオオキイ ヤダモーミカサッテバ ワタシチイサイ ミカサモモットタベタラモトニモドルヨ!! ソウヨソウヨ キャハハ


男子一同「・・・・・・・・・・・」

アルミン「え・・・っと、僕ちょ」他男子「シッ!!」

アルミン「ごめん・・・・」


ミカサセナカアラッテアゲル アリガトウ キャッキャッ ジャクリスタハワタシガアラッテアゲマス キャハハハ!! ヤダモウクスグッタイ


男子一同「・・・・・・・・・・・」

医者「若いっていいねぇヒヒヒヒ」

男子一同「シッ!!」

アルミン(ハッ?!僕はなにを?!)/////カァ////



サシャ「お風呂最高でした~」サラ~~~~~チラ見え鎖骨に張り付く柔らか茶髪と石鹸の香り

コニー「ぬあっ!!」(なんだこの破壊力!!)

サムエル「むむ!!」(素晴らしい!!)

クリスタ「ほんとだね~。やっぱりお風呂はいいね~」サラ~~~~桃色唇に輝く金髪と石鹸の香り

アルミン「う!?」(あぁ!女神さま!!)


ミカサ「うん。気持ち良かった」サラ~~~~艶めく黒髪と石鹸の香り

ジャン「ぶはっ!!」鼻血ドバァ

医者「大丈夫かい?ジャン君ヒヒヒヒ」

ミカサ「ジャン?どうしたの?」ノソキコミ~~~~紅潮した頬しっとり唇湯上り卵肌

ジャン「あぶっ!!」(ヤバイ!!)「ふ、風呂行ってくる!!」ダッ


医者「あー、これこれ、もうちょっと後にしなさいヒヒヒヒ」

ジャン「無理に決まってんだろ!!」バタン

コニー「待てっ!ジャン!!オレも行くぞ!!」ピョンピョン

サムエル「オレも行こうかな」

アルミン「ぼ、僕も」

医者「鼻血止めてから行かないとねぇヒヒヒヒ。まぁ無理かヒヒヒヒ」


ミカサ「・・・・・なに?」ポカーン

サシャ「どうしたんでしょう?」ポカーン

クリスタ「アルミンまで・・・・」//////

医者「若いっていいねぇヒヒヒヒ私は後でゆっくり入らせてもらおうかなヒヒヒヒ」






―――チーム男子―――

ジャン「や、やべぇ・・・・・」ダラダラ

コニー「おい!ジャン!オレを置いてくな!!」ピョンピョン

サムエル「いやぁ、期待以上だった」

アルミン「まさか計算尽くなの!?」(サムエル!恐ろしい奴!)

コニー「サムエル!てんめぇ!!」ゴゴゴゴ


ジャン「待てコニー。アレを見せてくれたのはサムエルだぞ?お前はサムエルを責められるのか?!」フキフキ

コニー「うっ」

アルミン「正直言ってアレは反則だよ」ドキドキ

ジャン「アレを見られて良かったとは思わないのか!」

サムエル「オレは後悔してないぜ」ドヤ

コニー「う・・・・お前ぇは気に食わねぇが・・・・感謝する」


サムエル「いいっていいって。それよりも君たち、イベントはこれからだ」ガチャ

ジャン「なにがあるんだ?」

サムエル「見たまえ。この湯船。これは・・・・・さっきまで彼女たちが浸かっていた湯船だ」

ジャンコニ「!!」

サムエル「そう。この湯は、ちょっと前まで彼女たちの全身を包み込んでいたのだ!あんなところも、こんなところも、すべて!」

ジャンコニ「!!!!!」


ジャン「サムエル・・・お前・・・ちょっと抜けてる奴だと思ってたけど、中々やるじゃねぇか」

コニー「くっ!!そこまでの発想はなかった!!お前、やるな」

サムエル「さぁ、体を清め心行くまで浸ろうじゃないか!」

ジャンコニ「おぅ!!」

アルミン「・・・・」(サムエル、君どんな想像力だよ!)


カポーン


ジャン「あぁ・・・・この湯にミカサが・・・・」//////////

コニー「あぁ・・・・この湯にサシャが・・・・」///////

サムエル「・・・・・・フッ」///

アルミン「・・・・・えっと・・・・・」(許して女神さま!!)/////////


コニー「ん?」チラッ「ジャン、お前・・・・いいモン持ってるじゃねぇの」

ジャン「そういうお前も」チラッ「中々のモンじゃねぇか」

サムエル「フフン」ドヤ

ジャンコニ「!!」

コニー「くっ!!サムエル・・・・」

ジャン「お前それ・・・・・未使用か?」


アルミン(こっち見るな!!)

コニー「何隠してるんだ?」

アルミン「気にしないで」

ジャン「なんだよ、見せろって」

アルミン「いやー!!」キャー!!


ジャンコニ「・・・・・・」

コニー「まぁ・・・・・・お前は頭いいしよ」

ジャン「男の価値は仕事の出来で決まるって言うだろ?」

アルミン//////////カァ「ひどいよ」

サムエル「アルミン、なんだか可愛いな」






―――――――
クリスタ「それじゃアルミン、道中気を付けてね?」

アルミン「うん。クリスタも。何か困ったことがあったら、また鳩を飛ばして」

クリスタ「うん。ほんとに、こんなにすぐに来てくれてありがとう。お仕事大丈夫だった?」キラッ


アルミン(眩しいっ)「いや、いいんだ。僕が忙しい時はサムエルに頼むから、遠慮なく言って?」

クリスタ「ありがとう。アルミン」キラキラ

アルミン(女神さま!!僕が飛んできます!!)///////



サムエル「それじゃあサシャ、またね」

サシャ「うふふふ。次のお菓子が楽しみです」

サムエル「サシャ、お菓子だけかい?ひどいなぁ」

サシャ「いえいえ、サムエル達が来てくれると、すごく楽しいですよ?」



コニー「チッ!」イライラ

アルミン「まぁまぁ」プププ「毎日サシャと暮らしてるんだから、君の方がサムエルより有利だよ?」

コニー「な、なんだよ?有利って!」



クリスタ「先生、またいらしていただけますか?」

医者「ん~、もうちょっとミカサ君の経過観察したいしねぇヒヒヒ、コニー君も気になるからねぇ、また来るよヒヒヒ」

クリスタ「ありがとうございます!!」

医者「君も薬草の本をよく勉強したようだね?」

クリスタ「はい!このあたりにある薬草と本で頑張ってます!」


医者「じゃあ、今度はこれをあげようねヒヒヒ。薬草から作る薬の初歩だよヒヒヒヒ」

クリスタ「先生!!ありがとうございます!!頑張ります!!」キラキラ


ミカサ「・・・・・」ガタッ

ジャン「どうした?」

ミカサ「私も見送りに・・・・」ガタッ


ジャン「あぁ、待て、連れてってやる」ホレ、ダッコ

ミカサ「・・・・歩かないと治らない」

ジャン「あ・・・あぁ、そうか」シュン

ミカサ「・・・・・ジャン、変。あ」ヨロ

ジャン「おっと!!」ガシッ「肩貸すだけならいいだろ?」

ミカサ「・・・・・おかしい。私は私を完璧に支配できるはず」


ジャン「なに言ってんだ?ミカサ?」

ミカサ「・・・・なんでもない」


アルミン「ミカサ、大丈夫かい?」

ミカサ「ありがとうアルミン来てくれて」

医者「ミカサ君、キチンと食べなきゃダメだからねヒヒヒヒ」


ミカサ「先生、私のために、こんな所まで何度も来て下って、ありがとうございます」ペコリ

医者「リハビリ頑張ってねヒヒヒ」

ミカサ「はい。サムエルも、ありがとう。お風呂すごく気持ち良かった」

サムエル「お風呂で心も体もほぐれたら、きっとリハビリもはかどるよ。頑張って」

ミカサ「頑張る」


アルミン「それじゃ、みんな元気で」

ジャン「お前もな」

アルミン「ジャン、ミカサを頼んだよ?」

ジャン「あぁ。任せとけよ」




ミカサ「・・・・・3人が帰ったら・・・・なんかさみしい」

サシャ「私もです」

クリスタ「なんかポッカリ穴が空いたみたいなるよね」

コニー「そうだな」

ジャン「あぁ・・・・」




ジャンコニ「おはよー」

サシャ「おはようございます。寒いですねぇ」

クリスタ「良く眠れた?」

コニー「う~ん、それが寒くてちょくちょく目が覚めるんだよなぁ」

ジャン「俺もだ。熟睡できん。今年はやたら寒いな」


クリスタ「早くベットカバーを編み上げないと、ちょっと辛いね。私は猫と寝てるから平気だけど」

サシャ「猫?!猫と寝てるんですか?」

クリスタ「うん。仲良くなったら、いつの間にかベットに入ってくるようになって。すっごく暖かいんだよ?」

コニー「ノミがいるんじゃねぇの?」

クリスタ「ふふふふ。ノミ除けの薬草を練りこんだ首輪を付けたんだ。だからノミもダニもいないよ?」

コニー「すっげぇな!そんならオレも猫と寝てぇなぁ。寒くてよ」


サシャ「私もです」

ミカサ「・・・・私も、寒い」

ジャン(ミカサッ!!俺はお前と寝たいッ!!)

クリスタ「じゃあみんな猫と仲良くしないとね」フフフ


サシャ「・・・・・」アミアミアミアミ

クリスタ「・・・・」アミアミアミアミ

ミカサ「・・・・・」アミアミアミアミ

サシャ「ねぇ、クリスタ?」アミアミアミアミ

クリスタ「ん?」アミアミアミアミ

サシャ「アルミンの手紙、今すぐにでも君に会いたいってありましたねぇ?」ニヤ アミアミアミ


クリスタ「やだもう、サシャったら。そんなんじゃないよ?設定だよ、設定」アミアミアミ

ミカサ「設定?」アミアミアミ

クリスタ「離れ離れの恋人同士、手紙のやりとりをしてるっていう設定なの」アミアミ

サシャ「へぇ?設定ですか?」ニヤ アミアミアミ

クリスタ「何よサシャ?」ム アミアミアミ

サシャ「いえいえ~、案外アルミンは本気なんじゃないかな~と思いまして」ニヤ アミアミアミ


クリスタ「え?!やだ、そんなことないよ?ねぇミカサ?」オロ アミアミ

ミカサ「・・・・・アルミンの好きな子の話は聞いたことがない。でも前にクリスタのことをかわいいと言っていた。ので好きになってもおかしくはないと思う」アミアミアミアミ

サシャ「へえ!そんなこと言ってたんですかぁ?」ニヤ アミアミアミアミ

クリスタ「えっ?!や、やだ・・・・」/////////「か、かわいいなんて・・・そ、その、私が小さいからでしょ?」///////アミアミ

ミカサ「それは否定しない。でもクリスタは顔もすごくかわいいと思う」アミアミアミアミ

サシャ「アルミンと並べたら、お似合いのカップルですよねぇ?」ニヤ アミアミアミ


クリスタ「ええぇ?や、やだなもう!そんなことないよ!」///////アミアミ

ミカサ「色白で金髪で小柄で童顔。2人ともよく似てる。のでお似合い」アミアミアミアミ

サシャ「ですよねー」ニヤ アミアミアミアミ

ミカサ「クリスタはアルミンのこと、好きじゃない?」アミアミアミアミ

クリスタ「え・・・・・その、いいな、とは思うけど・・・・でも、アルミンだって他に好きな人がいるかもしれないし・・・・」オロオロ アミアミ

サシャ「ん~、他に好きな人、いますかねぇ?この前の帰り際、ちょっとアルミンの様子がいつもと違ったような気がするんですよねぇ?」アミアミアミアミ


ミカサ「どういうこと?」アミアミアミアミ

サシャ「なんかそわそわしてるというか、顔が赤くなってたし。まぁそれだけなんですけど」アミアミアミアミ

クリスタ「そ、そうなの?」//////////アミアミ

ミカサ「サシャの勘は悪い方にはよく当たるけど、良い方でもアテにできるの?」アミアミアミアミ

サシャ「いやですねぇ、悪い方だけじゃありませんよ?もちろん良い方でも当たります」ドヤ アミアミアミ

クリスタ「じゃあ、サシャの勘ではコニーは誰が好きだと思う?」シカエシ アミアミアミアミ


サシャ「うっ!!そ、それは・・・・・」////////アミ

ミカサ「それは聞くまでもないこと」キッパリ アミアミアミアミ

クリスタ「あら、ミカサにも分かっちゃう?」ニヤ アミアミアミ

ミカサ「サシャの前だと、いつも落ち着きがない。それにサシャのことをよく見てる。サシャも同じ。だから二人は両想い」アミアミアミアミ

サシャ「い、意外とミカサもそういうの見てるんですね。興味ないのかと思ってました」アセアセ///// アミアミ

ミカサ「私は至って普通の十代女子。恋バナだって興味はある」アミアミアミアミ


サシャクリ「普通?!」

ミカサ「・・・・なにか?」チラ アミアミアミアミ

クリスタ「そうだよねぇ。ミカサも熱烈に想われてるわけだし、恋愛くらい興味あるよね」アミアミアミアミ

ミカサ「えっ・・・・・」ポカーン

サシャ「ん?ちょっとミカサ?まさか?」ポカーン

クリスタ「えって、え?うそでしょ?」ポカーン


ミカサ「・・・・・・え?」ポカーン

サシャ「いやいやいやいや、それはありませんよねぇ?」

クリスタ「・・・・・はぁ・・・・・ミカサ?それはもう鈍感とかそういうレベルじゃないよ?」

ミカサ「あの・・・・?」ポカーン

クリスタ「はぁ・・・・・ホント、とことん報われない人だよね・・・・」アミアミアミアミ

サシャ「ですねぇ。あんなに尽くしてるのに、気が付いてすら貰えないなんて」アミアミアミアミ


ミカサ「それは・・・・どういう・・・・?」

クリスタ「普通あそこまで尽くされたらイチコロだよね」アミアミアミアミ

サシャ「というか、あそこまで尽くせるのがすごいですよねぇ」アミアミアミアミ

クリスタ「ねぇ。しかも 訓練兵団に入ってすぐの時に一目ぼれして、それからだから、相当一途よねぇ」アミアミアミアミ

サシャ「なのに想われてる方は気が付きもしないなんて」チラ アミアミアミアミ

ミカサ「え・・・・」オロ


クリスタ「ねぇサシャ、私思うんだけど、ミカサって天然系悪女じゃない?」ジロ アミアミアミアミ

ミカサ「あ、あく?!」オロオロ

サシャ「あぁ!そうかも!でも天然となるとやっかいですね」 チラ アミアミアミアミ

クリスタ「そうよね。わざとならただの性悪だし、嫌いになることもできるけど」アミアミアミアミ

ミカサ「し、性悪?!」オロオロ

クリスタ「ミカサはエレンが忘れられなくて、彼の気持ちに応えられないのかと思ってたけど、まさか気が付いてないとは思わなかったよ」ジロ アミアミアミアミ


ミカサ「・・・・私とエレンは・・・・」オロオロ

サシャ「家族、は聞き飽きました」アミアミアミアミ

クリスタ「色々辛い気持ちはよく分かるよ?でもね、そろそろちゃんと気持ちの整理をつけて、前を見なくちゃダメ。それに今の状態は良くないよ。彼を弄んでるのと変わらないんだから」アミアミアミアミ

ミカサ「も、弄ぶなんて・・・・・それに、エレンは死んだと決まったわけじゃ・・・」オロオロ

クリスタ「もう帰って来ないよ」キッパリ

ミカサ「でも・・・」オロオロ


クリスタ「確かに死んだわけじゃない。多分アニみたいになってるだけ」アミアミアミアミ

ミカサ「それなら・・・・」オロオロ

クリスタ「そうだね。いつかは壁の中から出てくるかもしれない。でもその時ミカサはもういない。とっくに寿命が来て死んで、それからさらに何十年、何百年もたってからの話だよ。だからもうミカサはエレンには会えないよ」キリッ アミアミアミアミ

ミカサ「どうしてそんなことが言えるの?クリスタは何も知らないはず」ムッ

クリスタ「そうね、レイス家の人間として知るべきことはほとんど知らないよ?でもこれだけはハッキリ言える。何回でも言う。ミカサはエレンには会えない。もう二度と」

ミカサ「・・・・・そんなこと分からない。きっと会える」ムッ


クリスタ「そうやって、ありもしない希望にすがって時間を浪費するのはミカサの自由だけど、彼を巻き込んじゃダメだよ。彼には別の誰かと幸せになる権利があるんだからね」ギロ アミアミアミアミ

ミカサ「・・・・・」

サシャ「えっと・・・・」アセアセ(クリスタ怖い)「でも私たちここから出られるんですか?」アミアミアミアミ

クリスタ「う~ん、わからないけど、マリアに人が増えたら、近くにも村が出来たりするんじゃない?戸籍上私たちは別人になってるわけだから、正式に家庭を持つことも可能なんだよ?」アミアミアミアミ

サシャ「そうか!そうですよね」アミアミアミアミ

クリスタ「そうよ。シャルロッテとハインリッヒは正式に結婚して子供も持てるのよ?」ニヤ アミアミアミアミ


サシャ「け!結婚!?子供?!いや、そんな!」//////カァ//////

クリスタ「サシャは分かってるんでしょ?両想いだって」ニヤ アミアミアミアミ

サシャ「そ、そりゃあまぁ、その・・・・」/////////

クリスタ「早く付き合っちゃえばいいのに」アミアミアミアミ

サシャ「付き合うとかそういうのは、まだ早いというか・・・その・・・」アセアセ アミアミ

クリスタ「どうしてよ?いいじゃない。早いことないと思うけどな?」アミアミアミアミ


サシャ「いえでも・・・やっぱり・・・その・・・・」アセアセ アミアミ

クリスタ「何をそんなにウジウジしてるのよ?コニーって結構素敵じゃない?生活力あるし、優しくしてくれそうだし、背が伸びてかっこよくなったし、サシャとも釣り合うようになったし」アミアミアミアミ

サシャ「・・・・そうですけど・・・・」ウツムキ

クリスタ「それともサムエルのことが気になる?」アミアミアミアミ

サシャ「え?サムエル?」ポカーン

クリスタ「はぁ・・・・・・揃いも揃って天然じゃないの!!」キー






――――――
深夜、ふいに目が覚めて、なんとなく気になって外を眺めてみた。特にこれと言った理由はない。本当にただ、なんとなくだ。
そして窓の外、月明かりに白く浮かび上がるミカサの姿を見つけた。


ジャン「よう、こんなとこで何やってんだ?」

ミカサ「・・・・・」

ジャン「そんな薄着で外に居たら、風邪引くぞ」バサッ「着とけよ」


ミカサは俯いて、着せかけられた上着を握った。伸びた髪が顔を覆って、表情は窺い知れない。
俯いたせいであらわになった白いうなじが寒々しい。



ミカサ「・・・・・今日、クリスタとサシャに言われた・・・・私が、ジャンを弄んでると・・・・・」

ジャン「も、弄ぶ?!」オロッ

ミカサ「ジャンは・・・・・私に・・・・尽くしてくれてる。なのに全然わかってなかった」

ジャン「・・・・」フゥ「それで、何を悩んでこんな夜中に外に出たんだ?」

ミカサ「私は・・・・・」

ジャン「エレンの野郎を、忘れられないんだろ?」


ミカサ「・・・・・」

ジャン「いつか会えるかもしれねぇって、思ってんだろ?」

ミカサ「・・・・・分かってるなら、なぜ?」

ジャン「あのな、そんなこと関係ねぇんだよ。お前はいつでもエレンしか見てなかったんだ。俺のことなんか眼中になかった。いつだってそうだったろ?」フイ

ミカサ「・・・・・気が付かなかった」

ジャン「・・・・・俺は」//////「俺はミカサが好きだ」///////


ミカサ「・・・・・・」

ジャン「初めて会った時から、ずっとミカサが好きだ」///////ジッ

ミカサ「でも・・・・・私は・・・・・」

ジャン「分かってる。それは分かってるんだ。でも、人の心は変わるもんだろ?どうせここまで待ったんだ。もうちょっと待ったところで大して変わりゃしねぇよ」

ミカサ「・・・・・変わらないものもある」

ジャン「お前の気持ちが何年たっても変わらなかったとしても、俺がお前を好きでいたってかまわねぇだろ?」///////「どうせ俺達は当分ここから動けねぇんだしよ。マリアが開発されて、近所に別嬪が越して来たら、そんときは俺の気持ちも変わるかもしれねぇけどな」ニヤ


ミカサ「でも、それでは私は一体どうすればいい?その・・・・ジャンの気持ちを知っているのに・・・・・」

ジャン「普通にしてろよ。俺はここでの生活が気に入ってるんだ。お前のそばにいて、同じ家で生活して、毎日一緒にメシ食って、それで幸せなんだ。今のところはな」///////

ミカサ「・・・・・」

ジャン「ただ、これだけは言っとく。俺は、この先何があっても」//////「お前を守ってやる。どんなことからも」///////

ミカサ「私が、守られる?・・・・・体が治れば、また戦えるようになる。ジャンに守って貰わなければ生きられないような人間じゃない」ムカッ

ジャン「本当にそうなのかよ?」


多分、この時俺はちょっとどうかしてた。告白の興奮がそのまま勢いを増したのか、やっぱりまだ、ミカサがエレンを忘れられないとハッキリしちまったせいで、嫉妬心だか独占欲だか支配欲だかに火が付いたのか、自分でも判断できない。
とにかく気が付くと、ミカサの手首を掴んで引き寄せて、無理矢理抱きしめてた。音をたてて、着せかけた上着が落ちる。
驚きに目を見開くミカサの顔が、やけに可愛く見えて、腕に力が入る。


ミカサ「・・・・・・・なにを・・・・・・」

ジャン「振り払ってみろよ?」


ミカサが俺の腕の中でもがく。
暴れる両の手首をがっちりと掴んでねじり上げながら、ミカサ自身の背中に押し付けた俺の腕がビクともしないとみると、ミカサは頭突きを試みる。が、それも想定の範囲内。つい、と頭をそらして避ける。

ジャン「以前のお前なら、そもそも腕を掴むことさえさせなかったんじゃねぇの?こんなに易々と男の腕に抱かれるような女が、どう戦うってんだ?」

ミカサ「くっ!!このっ!!」


ミカサの目に激しい闘志が燃えて足をバタつかせる。俺の脚を蹴飛ばし、急所を狙いにかかるが、筋肉の落ちた足は思い通りには上がらない。散々暴れるミカサだが、俺の腕はびくともしなかった。両腕を引き抜くことさえ出来ずに、息を荒くして暴れ続けるミカサを抱きしめる腕に力を込めて身体を前に倒すと、抗えずにミカサは仰け反った。喉元から鎖骨のラインが目の前にさらされて、囚われる。


ミカサ「あ・・・・うぅ・・・・」ハァ

ジャン「お前は強かった。誰よりも強かった。でもそれは過去だ。これからまた前のように強くなれるかどうかは分からねぇけど、少なくとも、今のミカサはここにいる誰よりも弱い。だから守られるのは当たり前なんだよ。強くなりたいなら、もっとちゃんと食え。この身体はなんだよ?」


抱き締める身体の細さに、白い肌に、荒い息遣いに、目の前がくらくらする。

ミカサ「ジャン・・・・は・・・なして・・・・はぁ・・・・く・・・るし・・・・」

少し身体を起こして、月夜に潤んで光るミカサの瞳を見つめる。喘ぐ唇をついばむと、ミカサの身体が硬直するのを感じた。

ジャン「俺は本気だ。本気でお前のことを愛してる。どれだけ時間がかかっても構わねぇ。お前があいつのことを忘れて、俺を見てくれるまで待つ。お前が強かろうと弱かろうと関係ねぇ、俺はお前を守る。お前に俺のすべてをやる。だから」

もう一度   くちづけ

ジャン「これだけでいい。今は、これだけ俺にくれ」


そっと、ミカサを解き放つ。
ふらりと一歩後ずさって、そのまま崩れるミカサを抱きとめる。ふわりと、暗闇の中に石鹸の香りが漂った。
美しい黒髪に口よせて耳元で囁く。

ジャン「ミカサ、お前が好きだ」

びくりと身体を震わせたミカサを抱え上げて、そのまま家の中に入り、ベットに降ろしてやる。

ジャン「いつまでも外にいると風邪をひく。早く寝ろよ。じゃあな。おやすみ」






―――――
この気持ちを、私はどう表現すればいいのか、まったく分からない。
戸惑って、申し訳ない気持ちになって、そして驚いて。怒って。
でもまた戸惑って。
なぜか、彼の腕を嫌悪していない自分に気が付いたから。
弱い、戦えない、そう言われたことに腹が立っているのであって、抱きしめられていることには、怒っていないのだと、気が付いたから。
くちづけられたとき、背筋に走ったあの衝撃を、心地よく感じてしまったことに気が付いたから。


私は・・・・彼の腕を知ってる。でも、いつ?

彼の怖いほど真剣な瞳、私を包み込んで強く強く抱きしめる腕、耳元で低く囁かれたあの言葉。


眠れない。
私は、どうしてしまったんだろう。
これから、どうすればいいんだろう。


クリスタの言葉が気になって眠れなくて、ちょっと外の空気を吸いに出ただけだったのに、なぜこんなことになった。


翌朝、私はジャンの顔を見ることができなかった。
食べなければ、体力は戻らないと分かっているのに、喉の奥の堅い何かが、食事を受け付けなかった。






―――――
コニー「おい、なんだよ?あれ。ミカサおかしいぞ?大丈夫なのか?」

朝食後はいつも家の手入れをするのが習慣だったが、どうしてもいたたまれず森に行こうと、そそくさと馬の支度をしていたその時、まだ少し足を引き摺っているコニーが追ってきた。


ジャン「いや・・・・・夕べちょっとな・・・・」

コニー「んんん?なんだよ?ちょっとってなんだよ?まさかお前ぇ、ミカサとやっちまったのか!?」ニヤニヤ

ジャン「ばっ!!ちげーよ!!・・・・そこまでいってねぇよ」

コニー「そこまで?じゃあどこまでいったんだよ?」ニヤニヤ


誰かに吐き出さないとやってられない、そんな気分もあって、夕べのことを興味津々のコニーにかいつまんで話す。


コニー「まじか!キスしたのか!あのミカサに!」ニヤニヤ

ジャン「なんか、すげー強引に言っちまって、今になって心臓が口から出そうでよ、なんか気持ち悪りぃ」ズーン

コニー「そんで朝メシんときお前まで様子がおかしかったんだな。んで、どうだったんだよ?キスは?」ニヤニヤ


どうやらコニーの興味は俺やミカサの心情よりも肉体的接触の方にあるらしい。まぁ思春期の男子なんてそんなものだ。俺だってこれが他人のことならそっちが気になるだろう。


ジャン「はぁ・・・あぁ?キスか・・・それはまぁ・・・もうちょっと勢いが付いてたら押し倒してたかもしれねぇ。あんだけ我慢してたのに、なんか一瞬でダメにしちまった気分だ」ハァ

コニー「そんなに落ち込むなって。ミカサみたいなタイプはちょっと強引にいっといて、こっちを意識させるくらいじゃねぇとダメなんじゃねぇの?だからこれで良かったんだって」


馬房の柵にもたれて痛めた方の足をぶらつかせながらにやつくコニーに少しムッとする。ミカサの気持ちを無視して無理矢理キスするなんてこと、今まで小指の先ほども考えたこと無かったんだ。きちんとミカサに俺のことを見て貰って、お互いの気持ちが重なり合った時に、そうしたかった。だからこそ、あの前後不覚のミカサにどれだけ迫られても、絶対に手を出さなかった。思春期の、女子を見れば頭はエロいことでいっぱいになるような年頃の男にとって、それがどれほどの胆力が必要なことか。


ジャン「お前いつからそんな恋愛マスターになったんだよ?お前だってサシャとどうなんだよ?全然進んでねぇじゃんよ?」


腹立ちまぎれに攻撃してやることにする。


コニー「う、まぁ・・・・」

ジャン「サシャの方も、お前のこと好きなんじゃねぇの?わかってんだろ?」

コニー「そう思うか?」ドキドキ////////


初めて見た時から変わらない坊主頭に手をやって、顔を赤くするコニーだった。ちょっと前のチビコニーなら子供っぽくて可愛く見えたかもしれないが、ほとんど身長の変わらない今は、弄りがいのある表情にしか見えなかった。


ジャン「明らかにそうだろ。さっさとキメろよ?」ニヤリ

コニー「いやぁ・・・・なかなかきっかけがつかめなくてよ・・・・最近サシャはミカサ達と家に籠ってるから、二人きりになるチャンスとか、ほとんどねぇし。」

ジャン「まぁそうだな。巨人のこともあるから、前みたいに外に出られねぇし、編み物してるしな」


冬になってから、サシャ達は家に籠ってせっせとベットカバーを編んでいる。以前の住人の置いて行ったものは、あまりにも汚くて洗ってもどうしようもなかった。それで編む羽目になったわけだが、大物だけあって3人がかりでも、全員分を仕上げるのは中々時間がかかるらしい。時々訪れるアルミン達の分も編むつもりらしく、掃除や料理以外はほとんど3人で固まって編み物をしている。


コニー「それになんか・・・・勇気がねぇっていうか、踏ん切りつかねぇっていうか・・・最近、微妙に避けられてる気もするし」


柵の上に組んだ腕の上に顎を乗せて、少し険しい顔になる。確かに、近頃サシャはコニーが少しでも真剣な表情で近づくと、素早く察知して逃げ去る。何かと理由を付けてコニーから遠ざかろうとする。どう考えてもサシャはコニーに気があるはずなのに、そんなことをする理由がいまいち理解出来ない。が、あまりモタついて良い状況でもないはずだ。なにしろコニーには強敵がいるのだから。


ジャン「そんな悠長こと言ってると、サムエルに掻っ攫われるぞ?」

コニー「うっ。いやでも、たまに来るだけの奴だぞ?」

ジャン「サムエルは相当な手練れだぞ?サシャは恋愛経験ねぇんだろ?あっというまに持ってかれんぞ?」

コニー「ちょ、お前ビビらせんなよ」ビクビク


ビクつくコニーが面白くて、もっとサムエルの脅威を知らしめてやりたくなるのだった。

―――――

結局ほとんど食べられないまま朝食を終えた。残すのは勿体ないので、サシャに差し出すと、ちゃんと食べなきゃダメですよ!と説教されて、半分しか受け取って貰えなかった。意外だ。
仕方なく残りを持って外へ出てボリスに見せると、恐る恐る近寄ってきた。けれど後一歩のところまで来て、尻尾を巻いてウロウロする。しきりと匂いを嗅いで物欲しそうな顔をするのに、どうしても私の手から食べることは出来ないらしい。
コニーやクリスタならすぐに飛んできて足元にまとわりつくのに、私の何がそんなに怖いのか。
妙にビクビクする犬と睨み合っていると、突然ボリスの尻尾が持ち上がって走り出した。


キュンキュン尻尾パタパタ

クリスタ「ヨシヨシいい子ね、ボリス。あら、ミカサ。井戸端で何してるの?寒くない?」
ミカサ「クリスタ・・・・これ、ボリスにあげようと思って」

そう言って朝食の残りをクリスタに渡すと、とたんにボリスがピョンピョンと飛び跳ねた。クリスタが『おすわり』の指示を出すと、今度はまるで敬礼する兵士のように姿勢良く座る。最近コニーが教え込んだと聞いた。
クリスタの手から食べ物を受け取って、少し離れた場所ではぐはぐ食べるボリスを眺める。



クリスタ「今朝ほとんど食べなかったね?」

ミカサ「・・・・・ごめんなさい」

クリスタ「やだなぁ、謝らないでよ。別に怒ってるわけじゃないんだから。心配してるんだよ?」


そう言って笑うクリスタは、女神と呼ばれた頃と変わらない優しい感じに戻っていた。シガンシナ奪還作戦の前後は、もっと険しい顔をしていたような気がする。



ミカサ「・・・・喉を通らなくて・・・・」

クリスタ「悩み事があるんでしょ?」

ミカサ「・・・・・」

クリスタ「ねぇ、お茶入れるから、家に入ろうよ?ここ、寒いし」

ミカサ「・・・・うん」



クリスタ「はい、お待たせ」カチャ「熱いから気を付けてね?」

ミカサ「ありがとう・・・・・良い匂い」スゥ


クリスタが入れてくれる薬草茶は、ここでの定番になっている。爽やかな香りがして、匂いを嗅いだだけで落ち着く。


クリスタ「・・・・」ゴク「はぁ。美味しい」

ミカサ「・・・・・」ゴク

クリスタ「・・・・最初、ここに来た時には、不安しかなかったの。ユミルが居なくて、また一人ぼっちに戻った気がしたし。今でも、いつ巨人が襲ってくるか分からないから、怖いと思うんだけど、でも、最近は悪くないなって、そう思うの。サシャもミカサも、コニーもジャンも家族みたいで。家族って、本当は今でもよく分からないんだけどね。でも楽しい。兄弟や姉妹がいたらこんな感じなのかなって。時々退屈だなって思うけど、そう思う頃に決まってアルミンが来てくれて、サムエルがお菓子を差し入れてくれて、先生が医学を教えてくれる。だから、私ここが好き。ただ、私にだけ彼氏がいないのはちょっと癪だけど」

ミカサ「か、彼氏って・・・・」アセッ


唐突に現れた彼氏、という単語にぎょっとする。
聞いた瞬間、ジャンの顔を連想したのは、きっと告白されたせいに違いない。

クリスタ「付き合ってないけど、コニーとサシャは両想いでしょ?ジャンはミカサ一筋。羨ましいなぁ。私も愛されたいな」

クリスタは可愛い。細くて、小さくて、きらきら光る金髪で、ぱっちりとした大きな青い目で。
訓練兵団の男の子達のほとんどがクリスタに憧れていたのを、恋愛事情に詳しいとは言えない私でも知っていたので、愛されてたでしょう、と言いかけたけれど、何か違う気がして自分の話をすることにした。


ミカサ「・・・・夕べ、ジャンと話した。その・・・・話したのは偶然だけど・・・・クリスタに言われたから・・・・・ちゃんと話した方がいいと思って・・・・・」

クリスタ「巻き込むなって話?」

ミカサ「うん。私はまだ気持ちの整理が出来てない。だから・・・・でも、ジャンは、それでもいいから待つって・・・・・その、あ、愛してるって・・・・」/////////

クリスタ「わぁお。情熱的」///////

ミカサ「それで、その・・・・・・・」////////

クリスタ「な、なぁに?」ドキドキ///////


ミカサ「抱きしめられて・・・・・き、き、キス・・・・された」/////////

クリスタ「わわ」ドキドキ//////////////「えっと・・・・ミカサ、それはその、初めて?」////////

ミカサ「・・・・・」コク////////////////

クリスタ「それで、どう思ったの?き、キスされて」////////

ミカサ「・・・・・嫌じゃ・・・・なかった・・・・だから、戸惑って。どうして嫌じゃなかったのか、分からない」/////////


それまで顔を紅く染めて卓上に身を乗り出していたクリスタが、ガタンと音を立てて椅子の背もたれに凭れかかった。額に手を当てて、やってられない、とでも言いたげな顔をする。


クリスタ「んもう!ミカサってば!それはジャンのこと好きってことじゃないの?普通好きでもない男にキスされたらビンタくらいするでしょ?」

ミカサ「・・・・・そう、なの?」

クリスタ「怪我する前のミカサなら半殺しにして庭の木に吊るすくらいのことはしてるよ」ハァ

ミカサ「でも・・・私はエレンが・・・・」


呆れ顔が一転、目の座ったクリスタにチラリと睨まれる。


クリスタ「ねぇ、ミカサもしかして、自分はエレンのことが好きなハズ、だと思ってない?」

ミカサ「え?」

クリスタ「エレンを差し置いて、他の男と付き合うなんてイケないことだと思ってない?」

ミカサ「そんなこと・・・・」

クリスタ「でもジャンに抱きしめられてキスされて、嫌じゃなかったんでしょ?」


反論できない。嫌悪感など無かったどころか、心地よく感じてしまったのだから。
なんとなく気恥ずかしくて俯いた。


クリスタ「はぁ・・・・ミカサはエレンにこだわってるだけだと思うな。エレンのこと好きじゃなきゃいけないって」

ミカサ「・・・・分からない」


手が冷えるのか温かいカップを両手で包んで、少し考えるような顔をする。


クリスタ「・・・・ねぇミカサ。好きな人に女として見てもらえなくても、その人と肩を並べて戦うだけで幸せっていう気持ちを否定はしないけど・・・・」

ミカサ「違う、私はエレンを、家族を守りたかった・・・・家族を守る為に兵士になって誰よりも強くなった・・・・」

クリスタ「ミカサ・・・」ハァ「それって男の子からしたら結構屈辱的なことじゃないのかな?」


屈辱、と言われて驚いた。家族が家族を守ることの、一体どこに問題があるというのか。私は強い。多分リヴァイ兵長の次くらいに強い。その私が守りたい人を守ることの何がおかしいというのか。
それで、どうして?とつぶやいた。


クリスタ「兵士なら男女問わず守ったり守られたりすることはあるけど、ミカサがやろうとしてたのはそれとは違うじゃない。あんな守られ方して喜ぶような男ならただのヒモだよ?最低な男よ?ミカサはエレンを屑男にしようとしてたんだよ?」

ミカサ「そんなこと・・・私はただ・・・・エレンが危なっかしいから・・・・」

クリスタ「そんなミカサを知っててそれでも好きだって言うジャンだって、さすがに同じようにされたら嫌になるかもね。男としての矜持も何もあったもんじゃないもの」


ヒモ?屑?男の矜持?それは一体どういうこと?よく・・・・わからない。


クリスタ「私たち兵士だけど、その前に女の子なんだよ?頼りになる男性に愛されて結婚して子供を産むっていう幸せも、選択肢にあっていいと思うな」

ミカサ「こ、こども?!」/////////


彼氏どころではない。いきなり子供とは何?!飛躍しすぎてる。そう指摘したかったけれど、二の句がつげない。


クリスタ「ミカサのお母さんは、ミカサのお父さんと結婚して、ミカサを産んで、幸せだったんじゃないの?」

ミカサ「・・・・・・幸せだった・・・・と思う」


クリスタ「それじゃあ、ミカサが同じように幸せになることを、ミカサのご両親も願ってるんじゃない?」

ミカサ「え・・・・?」

クリスタ「ちょっと余所と違う家に育った私が言うのもおかしいんだけど、普通はそうなんでしょ?」

ミカサ「・・・・多分、そうだと思う」

クリスタ「そういうの、私はすごく羨ましいと思うんだけどな。ん~、うん、ないものねだりのしすぎだけどね・・・・さてっと、随分長話しちゃったね、私水汲みに行ってくるね」


クリスタに言われて、刺青を入れたあの日、母が言った言葉を思い出した。同じものを、私の子供にも受け継がせるように、母は言った。
だから、やっぱり母は私に結婚して子供を産んで欲しいと思っていたんだと思う。

そういえばあの日、私は子供はどうやったら出来るのか聞いて、両親を困らせた。父が困った顔をして、イェーガー先生に聞いたら分かるって言ったんだった。

・・・あれ・・・お父さんの顔・・・ジャンと・・・少し似てる・・・?
ジャンの目つきを柔らかくしたら、似てる。きっとジャンがお父さん位の年になったら、もっと似てくるはず。
だから、それで、ジャンに抱きしめられても、嫌じゃなかったということ?お父さんに、そっくりだったから。







―――――
この食卓の、ビミョ~~~~な空気を、どう表現するべきでしょうか?
朝は地獄の底に落ちたような顔でほとんど食べなかったのに、やけに幸せそうに微笑みながらモリモリ食べるミカサ。
空いた口が塞がらずに手が止まっているのはジャンで、プルプル肩を震わせて笑いそうになるのを我慢してるクリスタ。
そしてなぜかいつも以上にそわそわしているコニー。


サシャ「えっと・・・・ミカサ?何かいいことでもあったんですか?」

ミカサ「うん。ちょっと」////

サシャ「食べないんですか?ジャン?」

ジャン「あ、あぁ、いや、すまねぇ。食うよ」

サシャ「クリスタ?」

クリスタ「後でね?」ニマニマ


サシャ「コニー?」

コニー「なななななな、なんだ?さ、サシャ」ソワソワソワソワ

サシャ「ご飯位落ち着いて食べてくださいよ?」

コニー「お、お、おう!べ、べつにオレは落ち着いてるぞ?」ソワソワソワソワ

サシャ「どこがです?」


コニー「今日のメシは格別美味いな!!なっ?ジャン?」ソワソワソワソワ

ジャン「お、おう」

サシャ「なんですか、これは」

クリスタ「うふふ。大丈夫よ。除け者にしたりしないから」



カポーン


クリスタ「はぁ・・・・生き返るよねぇ」

サシャ「こんなに頻繁に入浴できるなんて贅沢ですよねぇ」

ミカサ「・・・良い気持ち」


カポーン

サシャ「で~、いつ仲間に入れていただけるんです?」


クリスタ「それはねぇ・・・・」////////

サシャ「えぇぇぇぇ!!」///////「じゃ、ジャンがっ!ミカサにこ、こ、告白・・・・さらにキスまでっっっ」//////////

ミカサ「・・・・」////////

サシャ「っで!!ミカサは、どっ、どう思ってるんです?」//////////

ミカサ「うん。ジャンのこと、好き」///////

サシャ「おぉぉぉ!!」/////////


クリスタ(ジャン!良かったね!!今までの努力と苦労と忍耐が報われる時が来たよ!!)ジーン///////////

ミカサ「ジャンって、お父さんにそっくり。だから」/////////

クリスタ「・・・・・・・」ポカーン

サシャ「・・・・はい?・・・・・・今、なんと?」

ミカサ「気が付いた。ジャンの目つきを優しくしたらお父さんにそっくり。そしてジャンはいつも私に優しくしてくれる。ので私にはいつもお父さんそっくりに見える」/////////

クリスタ「・・・・・・・」真っ白


サシャ「はぁ?えっと?お、お父さん・・・・ですか?」

ミカサ「うん。お父さん。顔つきも、髪の色も、背の高さも似てる。優しくて、頼りになるところも」///////////

クリスタ「・・・・・・・」思考停止中

サシャ「え・・・・っと、その、これは、その、ジャンは・・・・喜んで・・・・いい?んですかね?????」

クリスタ「・・・・・・」フラッ サバ

サシャ「クリスタ?もう出るんですか?」

クリスタ「・・・・・・あ、うん、ゆっくり入ってて?」ボー



クリスタ「・・・・ジャン・・・・」フラッ

ジャン「ん?どうした?」

クリスタ「・・・・・ミカサのこと、好き、なのよね?」

ジャン「あ、あぁ。もちろん」////////「どうしたんだ?」

クリスタ「・・・・・・・・頑張って」フラッ ガチャバタン

ジャン「なんだ?????」

クリスタ頑張るなぁー。ジャンも頑張れ!

>>458
ありがとう!!
この二人に幸せになってもらいたい!!原作でも!





――――――
サシャに告白するって決めたのに、なんかタイミングがつかめなくって、結局全然先に進めねぇまんま。
夕べなんかやたらリキんで挙動不審になるし、ほんとにオレって情けねぇな・・・・・。こんなんじゃサシャに嫌われてサムエルに持ってかれちまうかもしれねぇ!!どうしたらいいんだ!!とりあえず、2人きりになる時間を作らねぇと・・・・
そう思って朝メシ前から機会を伺って、やっと1人になったサシャを捕まえた。
よっし!さり気なくだぞ、オレ!


コニー「お~、サシャ!今時間あるか~?悪いんだけど、蔦編むの手伝ってくれねぇかな?1人だと捗らなくてよ」アセアセ

サシャ「あ、はい・・・あ、えと、私ミカサの手伝いをする約束があって・・・」フィ

コニー「そうなのか・・・・」ガクッ

最近ずっとこの調子なのはなんでなんだよ・・・・なんかオレ怒らせたのか・・・・?

ボリス ワンワンワンワン!!

コニー「ん?どうした?」

ボリス ワン!


アルミン「やぁコニー。どうしたんだい?難しい顔して」

サムエル「元気にしてたか?」

サシャ「アルミン!サムエル!いらっしゃい!先生、お待ちしてました!」ニコニコ

医者「コニー君会いたかったよ?ヒヒヒヒ。ほぅ?また背が伸びたようだねぇ?ヒヒヒ。そうだ、足の具合はどうだい?ヒヒヒヒ」


おい・・・・・来るタイミング悪いだろ、お前ら・・・・・
しかも打って変ったようなサシャの笑顔!くっそ~!!なんかわかんねぇけどサムエルの野郎むかつくんだよ!!



医者「さぁさぁコニー君!イヒヒ。足を見せてもらおうかな?ヒヒヒ」

コニー「・・・・・・はい」(もうやだこの人)

医者「んん~、良いね。ちゃんと筋トレもしてるみたいだね?ヒヒヒヒ」

コニー「暇なんで。もう普通に動いてもいいですか?」

医者「そうだねぇヒヒヒ。ただ柔軟と筋トレは欠かさずにやるんだよ?」

コニー「はぁ~、長かった~、やっと普通に動けるぜ」


医者「んじゃ、次は身長計測ねウヒヒヒ。そこ立って、どれどれ・・・・・ほぉう!いいねいいね、伸びてるねイヒヒヒヒ。まだイケそうだね?ヒヒヒヒヒ」

逃げたい・・・・
この医者怖ぇんだよ。オレそのうち解剖されるんじゃねぇ?

医者「じゃ、ちょっと立体機動使ってみようか?ヒヒヒヒちゃんとガスは持って来たからねヒヒヒヒ」

コニー「え」

医者「アルミンく~ん?ちょっとコニー君を借りるからね?イヒ。さぁ行こうか?ヒヒヒヒ」

サシャ「どこに行くんです?」


医者「森だよイヒ」

サシャ「いいですねぇ。私も久しぶりに行きたいです!」

サムエル「じゃ、オレもお供しようかな?」


てめぇはくんな!せっかくサシャが来てくれるってのに!!
つか何があんだよ?怖ぇよ。




アルミン「クリスタ。元気にしてた?水汲みなら手伝うよ」

クリスタ「アルミン!?」バシャ「アルミン!!」 ダッ

アルミン「クリスタ!」///////(必死な顔した女神が僕に向かって走ってくる!!これは夢か現か!?)

クリスタ「アルミン!来てくれたのね!」ウルッ

アルミン「どうしたんだい?何か困りごとでもあったの?」//////(無理してでも来てよかった)

クリスタ「アルミン・・・・」ジワッ


アルミン「え?クリスタ?どうしたの?」オロッ(女神が泣いてる?!なんで????)

クリスタ「ミカサが、かくかくしかじか!なの!!もう私、なんか疲れちゃった」グスッ

アルミン「・・・・・・ジャンがお父さんって、・・・・はぁ」(ミカサ、相変わらず病んでるんだね・・・・)

クリスタ「ねぇアルミン、ミカサのお父さんとジャンって本当に似てるの?」

アルミン「さぁ?僕は会ったことないから分からないけど・・・・・ミカサはほとんど両親の話をしたことがないんだ。目の前で殺されてしまったから、トラウマになってたんだと思う。精神的にエレンに依存してたのは、そのせいだと思うし・・・・」

クリスタ「そうなの・・・・」


アルミン「けど、今お父さんの話が出てきてるのは、悪いことじゃないと思うな。何かがミカサの中で変わりつつあるような気がする。待たされてるジャンや気にしてくれてるクリスタには申し訳ないけど、ミカサがジャンの気持ちに応えられるようになるには、もう少し待ってもらわないといけないかもしれない」

クリスタ「うん・・・・」

アルミン「ごめんね?クリスタ?ミカサに付き合ってあげてくれる?」

クリスタ「うん・・・・私こそごめんね?アルミンはすごく忙しいのに、こんなこと相談して・・・・私、ちょっと疲れちゃったみたい」ウルウルッ

アルミン「い、いや」//////(かっ可愛いっ)「5人以外誰もいないところで閉塞した生活をしてるんだから、こういう悩みも当然だと思うよ?いつでも話を聞くから、ね?」クリスタの肩←ソ

クリスタ「ううん、私のわがままなの。私、自分勝手に腹を立ててたの。サシャもミカサもすごく思われてて、大切にされてるのに・・・・」グスッ「私には誰もいなくって、なのにミカサは・・・・ミカサったらジャンの気持ちに気が付きもしなくて・・・・」グスッ


アルミン「クリスタ・・・・」肩ギュッ

クリスタ「ジャンはミカサにすごく尽くしてるんだよ?見ていて羨ましくなるくらいに、ミカサのこと愛してるの。なのにミカサは」グスッ「全然気が付いてないのよ。その上お父さんだなんて・・・・」グスッ「私、私は・・・・もうユミルにも会えないのにっ」ウッグスッ

アルミン(僕の女神・・・・)「クリスタ・・・・」両手ギュッ

クリスタ「ユミルっ・・・」ポロポロ

アルミン「クリスタ?その、僕じゃ、ダメかな?」///////////

クリスタ「え」グスッ


アルミン「中々会えないし、非力な僕だけど、でも」//////////

クリスタ「・・・・・」ドキドキ/////////////

アルミン「・・・・クリスタ、僕はどんな時でも全力で君を守ります。クリスタが好きです。付き合って下さい」礼!////////////

クリスタ「あ、ある・・・みん?」ドキドキ//////////

アルミン「本気だよ?」///////////ジッ

クリスタ「・・・・・」////////////ジワッ


アルミン「・・・・・」////////////

クリスタ「うわぁぁぁん!!」//////////////シガミツキ

アルミン「クリスタ・・・・」/////////////ギュ

クリスタ「アルミン!!」ウッ//////「私、誰にも愛されてないのかと思ってた」ポロポロ

アルミン「・・・・・・・・そんなことないよ?」////////ギュ


クリスタ「私のこと、大切にしてくれるのは、ユミルだけだと思ってたの!!」ポロポロ

アルミン「僕、クリスタのこと、すごく大切に想ってるんだよ?」////////ギュ

クリスタ「ほんと?・・・・・・アルミン」ジッ///////ウルウル

アルミン「クリスタ・・・・」スッ・・・・・チュ////////


クリスタ「・・・・・」///////////ギュ

アルミン「・・・・・」//////////ギュ「ごめん、でもひとつだけ、君に話しておかなきゃならないことがある」

クリスタ「何?」////////(真面目な顔のアルミン・・・・凛々しくて素敵)//////////

アルミン「今まで黙っててごめん、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





―――――
単調な生活の中、来訪者の存在は俺達にとって一種祭りに近い。
サシャがえらく張り切って子羊を1頭絞めてさばいていて、それは狩猟民にとっちゃありふれた光景なんだろうが、街育ちの俺は最近ようやくこの光景に慣れたところで、まだあどけない様子の子羊が解体されるのは目に辛い。
それでもすっかりバラされて、ただの肉の塊になってしまえば美味そうに見えるんだから我ながら現金なものだと思う。
まぁ実際トロストはもちろん兵団内でもこんな物を食べられる人間は限られてるだろうから、贅沢なのは間違いない。


シガンシナや兵団の話をしつつも、つい今夜のごちそうに目が釣られるのはサムエルで、こんな物が食べられるんならオレもここに住みたいとか言い出す始末。目当ては食い物だけじゃないだろう。医者に振り回されて長椅子で力尽きてるコニーが一瞬サムエルを睨んだように見えたのは気のせいとは思えない。
散々コニーを酷使したらしい当の医者は、なにやらブツクサ言いながら帳面に書き付けている。時々唐突に「イヒヒ」とか笑い出すので気持ち悪いことこの上ない。目を付けられたのが俺でなくて本当に良かった。
ハンジ分隊長といいこの医者といい、調査兵団がらみの人間はなぜこうも奇人変人なのか。奇人が集まるのか、奇人しか生き残れないのか、長く残ると奇人化していくのかどれだろう?


肉の塊となった子羊に夢中のサシャ。そんなサシャと肉に見惚れるサムエル。長椅子の上からサムエルを睨むコニー、帳面やなにかしらの資料に向き合いながら奇声を発する医者と調査兵団と奇人変人についての思考にふける俺。そして淡々と夕飯の準備を進めるミカサ。
そんな面子の前に登場したアルミンとクリスタの様子に、医者以外の全員が一瞬目が点になった。


アルミン「みんなに報告したいことがあるんだけど、いいかな?」////////////

クリスタ「・・・・・」///////

ジャン「・・・・・言われなくても、分かるような気がするのは俺だけか?」

サシャ「・・・・・いいえ。私にも分かる気がします」/////

コニー「オレでも分かるんだが?」

サムエル「いつの間に?!」


ミカサ「どうしたの?アルミン?」

エスコートするかのように曲げられたアルミンの腕に両手でしがみつくクリスタ。
そのクリスタの手を空いた方の手で握るアルミン。
時折、いやかなり頻繁に目を合わせては微笑み顔を朱くする2人の様子を見て気が付かないってミカサ、ニブイにも程があるだろ・・・・

アルミン「僕とクリスタは付き合うことになりました!」

ジャン「・・・・・・・・・」

コニー「・・・・・・・・・」

サムエル「・・・・・・・・」


サシャ「やっぱり!やっぱりそうだったんですね!!クリスタ!良かったですね!!」

クリスタ「ありがとう、サシャ」///////////////アルミンの腕ギュ

ミカサ「すごい。サシャの勘が良い方で的中した・・・・おめでとう。クリスタ。アルミン?クリスタを幸せにして?」

アルミン「もちろんだよ!悲しい想いはさせないよ?クリスタ」///////////ニギッ

クリスタ「やだアルミンたら、みんなの前で」キャッ/////////////////


こういう時、素直に祝福できるというのは素晴らしい事だと思う。中には口では祝いながら心で呪うなんて恐ろしい女もいるらしいが、少なくともミカサとサシャにはそういう裏表はないに違いない。
一方コニーとサムエルの表情から察するに、俺達3人の胸中は『抜け駆けされた!!』で間違いないと思われる。

医者「青春だねぇイヒヒヒヒ」

ってアンタ聞いてたのかよ!

>>1です。最近投下出来ず、読んで下さっている神々には大変申し訳ありません。下書きではすでに完結しており、番外編や続編もあるのですが、多忙で清書が追いついておりません。またしばらく投下できないと思います。伏してお詫び申し上げまする!

間が空いてしまって申し訳ないです。>>1です。
本当は13巻が発売される前に全部投下してしまおうと思っていたのに、予想外に話が長くなってしまった上、途中でラストを変更してまたさらに長くなってしまいました。
今のお話は第一部として出来れば5月中に完結させようと思います。

>>1はコミック派なんですが、13巻読んでクリスタの豹変ぶりには正直ビビりました。心に傷のある女の子として書いてましたが、まさかあそこまでとは・・・・
というわけで、ここでのクリスタは可愛い「クリスタ」のままです。多少(?)の変化はありますが、あんな死んだ魚みたいな目の女の子にはなりません。
お話も12巻を読んだ状態で考え付いたもののままなので、捏造しまくりのキャラ崩壊しまくりです。
今後も投下出来ない日々が続いたりするとは思いますが、最後までお付き合い下さると幸いでございます。




―――――
前の戦闘の時少し重く感じた体は、筋トレを欠かさなかったせいか軽くなってて、面白いくらいに動いた。
それでも医者の無茶な指示に従うのはしんどかった。「オレはリヴァイ兵長じゃねぇよ!出来るか!!」って文句言おうとしたら、医者の隣でサシャが目をキラキラさせてオレを見てるんでつい頑張っちまったよ。おかげでサシャには「コニー凄いです!」って褒めて貰えたけど全身がガタガタだ。
ぶっ倒れそうになるくらい立体機動でカッ飛ばすなんて、訓練兵の時以来だ。すんげぇ疲れたけど、すっきりした気分。サムエルの野郎の悔しがる顔も見られた事だし、うん。悪くねぇ(笑)

夕飯はなんと子羊の香草焼きとか言う贅沢な一品(料理名は医者に教わった。サシャは勘で作ったらしいけど)台所から発掘した先人の遺物、胡椒を使った料理だ。だが胡椒なんて食った事もなきゃ使った事もねぇのに、よくもまぁこんなにウマく作れたもんだと思う。
これはシーナでお店を出せるよ!イヒヒヒ!!と医者から太鼓判を押されてドヤ顔のサシャだが、食う物に関しては文句なしに天才だ。食材や調味料が豊富なシーナでなら、毎日色んな料理を作れるんだろうな。平和な世の中に産まれてりゃ、今頃オレもサシャもシーナで憲兵やって、適当なところで結婚して毎日サシャのウマいメシを・・・・っと、今はそれどころじゃねぇんだった。


クリスタ「あぁ、美味しかった!サシャは本当に料理上手ね。ご馳走様!」

ミカサ「塩胡椒を大雑把に振ってるようにしか見えなかったのに、こんなに美味しいなんて・・・・」

サシャ「フフン。もっと褒めていいんですよ?」ドヤ

コニー「ご馳走様サシャ。いやぁ、ほんとにウマかった!さてっと・・・・」

ジャン「アルミン、風呂、付き合えよ」ギロリ

アルミン「え?」


コニー「さぁアルミン、行こうか」ガシッ

アルミン「えぇ?」

サムエル「付き合ってもらうよ?アルミン」ガシッ

アルミン「えぇぇ!!」―――アルミン連行中(ロズウェルスタイル)キャーヤメテー


クリスタ「アルミン!!」

サシャ「まぁまぁ。男同士の付き合いも大事ですよ?」

クリスタ「えー・・・離れたくないよぉ。ちょっとしか一緒に居られないのに・・・」ブー

カポーン

ジャン「しっかし、まさかアルミンがクリスタと付き合うことになるなんて、この急展開はなんだよ?手紙の恋人設定ってまさか本気だったのか?」

アルミン「まぁ設定は設定だったんだけどね」アセ

離れて住む恋人同士鳩で手紙を送り合う。
万が一手紙が他人の目に触れてもオレ達だとバレないように、偽名を使い土地の特定も出来ないようぼかして書く。
書き手を替えて筆跡で怪しまれないよう、アルミンとクリスタに限定する。
この2人は微妙に筆跡を替えて書くという隠れた特技を持っていたので、恋人役にうってつけだったってワケなんだが、それが本当に付き合う事になっちまうとは!


コニー「前来た時ちょっと良い雰囲気だとは思ってたけどよ、実際いつからだよ?」

アルミン「訓練兵の時から可愛いなって思ってたけど、意識するようになったのは最近かな」////////

サムエル「まさかこの4人の中で、アルミンが一番最初に彼女を作るなんて思いもしなかった・・・・・」

アルミンが女を意識してた事自体意外だぜ。もし女に興味があっても自分から積極的に行くようなタイプには見えねぇよ。もっと奥手だと思ってたんだけどな。そう言ったらジャンに「奥手なのはお前だろ?」とブッスリ突っ込まれた。つい「うっ」とか口籠ったら、サムエルが「ほぉ?」とか言ってニヤつきやがった。いちいちムカツク奴だな。


アルミン「付き合うって言っても恋人らしいことのできる時間はあまりないわけだから、ちょっと気が早かったかなと思うけど。でもクリスタなら待っててくれると思うんだ」

ジャン「そうそう通える距離でもねぇしな。今でもかなり無理してるんじゃねぇの?」

アルミン「まぁね。でも今回は用事があったから」

コニー「オレの足か?治ったぞ?散々森で跳ばされたぜ?」

サムエル「ありゃすごかったな」

コニー「あぁ、久々に限界までやらされた。訓練兵時代を思い出したぜ」


ギシギシ音を立てそうな筋肉に、風呂の湯が沁みていく感じがする。風呂ってのは筋肉痛にも効くのかな?

サムエル「体重が増えた分スピードが増して、体にかかる負担も大きいだろ?」

コニー「前と全然違ぇんだよな。オレちょこまか動くのが得意だったんだけどよ、ありゃ体重軽くねぇとできねぇわ。回転かけると意識飛ぶんじゃねぇかってくらい遠心力かかるし、身体デカい奴ってすげぇな。普段から訓練しとかねぇと、オレいざって時、立体起動使いこなせねぇよ」

ジャン「それであの捻挫か」

コニー「あぁ。アンカーの刺し具合も前と同じ調子でやってたら、すっこ抜けちまった」


アルミン「ジャンも少し伸びてるしね。時々立体起動使えるように、ガスの補充を心がけるよ。でも、それより対人格闘も忘れないでくれよ?」

ジャン「もう・・・・始まるのか?」

一瞬で目つきの険しくなったジャンを見て真顔のアルミンが頷く。

アルミン「うん。今回来たのはその件でだよ。予想以上に規模が大きいんだ。船を使えば、短期間に大量輸送が可能だからって。トロストとシガンシナの間の川沿いを中心に開拓が始まる。川の東の方が平地が広いから、そっちの方が中心だけど、もちろんこっちにも人が来る。もう来週にも来始めるから、注意して。もっと規模が小さいと思ってたんだけど・・・・書類上の不備はないけど、なるべく目立たないようにして欲しい」

ジャン「いや、でも来る連中から隠れ続けるのは無理があるだろ?このへんに来られたらどうすりゃいい?」


アルミン「ここは書類上今でもある貴族の直轄農地のままになってるから、直接ここに来ることはないと思う。今のところ計画書では北の村の跡地にそのまま新しい村を作る予定になってる」

ここから北って言ったら、前に巨人が来た方向だな。確かサシャは塔が見えたとか言ってたが、多分そいつはサイロだろう。農場よりも牧畜の方が盛んだったんじゃねぇのかな。

アルミン「ただ、ここから距離があまりなくて煮炊きの煙が見つかる可能性があるから、君たちは貴族に雇われていち早くここに移って来たことにする。書類上そうなってたら憲兵に目をつけられても手を出されることはないと思うけど・・・・」

ジャン「・・・・・それよぉ、アルミン。なんか臭うぞ?」

アルミン「・・・・・やっぱり、無理だよね・・・・」


ジャンが呆れたような、妙な顔でアルミンを睨んで、膝を抱えたアルミンがチラッとジャンを見返して苦笑いをした。
その分かりあったような雰囲気は一体なんだよ?
どういうことだよ?ってジャンをつつく。

ジャン「貴族がらみで書類偽造したら、さすがにやべぇだろ?」

確かにそりゃそうだ。見つかったらただじゃすまねぇよな。マリアの開拓が始まったらその貴族だってここのことを思い出すだろうし。

アルミン「隠してはおけないね・・・・。うん、レイス家だよ。どんな事情か知ることは出来なかったけどレイス家も、クリスタを死なせるわけにはいかないらしいんだ。かと言って今シーナやローゼに置くわけにもいかない。王都も壁教の内部も大混乱らしいから。でも兵団に置いておけば何が起こるか分からない。それでね、こういうことになったんだ」

ジャン「援助物資の出所もレイス家か?」


アルミン「多少はね。だけど、今のところあまり積極的に関わる気もないようだよ?とにかく生きてさえいればいいような雰囲気なんだよね。詳しいことは僕も知らないんだけど」

コニー「いいのかよ?それ、クリスタは知らねぇんだろ?隠しとくのか?」

サムエル「彼女は頭の良い人だから、気が付いてるかもな?」

アルミン「黙ったままには出来ないから話した。気が付いてたよ」

なんだ?ってことは、クリスタは薄々気が付いてたのに、今まで知らん顔してたのか?
クリスタって、レイス家の中じゃ邪魔者扱いされてたって話だろ?普通に考えたら相当複雑な心境になるもんなんじゃねぇのか?


ジャン「お前さ、そんな難しい状況にある女と付き合おうなんて、随分度胸があるな」

アルミン「そうだね。いや、でもそんな状況にあるからこそ、なんというか、僕が守りたいって、思ったんだよね」

ジャン「お前ぇやるじゃん」ニヤ

アルミン「そういうジャンだって、ミカサのあの状態でよく気持ちが続くよ」

コニー「普通なら逃げ出してるぜ?」

サムエル「それかさっさと手を出してるね」

ジャン「サムエルお前という奴は・・・・」

・・・・・こいつ、チャンスがあったら速攻サシャに手ぇ出す・・・・帰るまでぜってぇ~目離さねぇぞ!!

次はコニサシャか?

>>504
本当はジャンミカとコニサシャがメインだったんですよ?

アルクリはあるのかないのか分からないハズだったんですよ?

それがある日「私を蔑にするなんて許さないわよ!!」と女神がお怒りになって。

そしたらジャンミカなんて吹っ飛んでしまったんですよ!!

―――――
男の子達は浴室に入った。
サシャは剥いだ子羊の皮の後処理をするとかで席を立った。
夕飯の支度をしなかったから後片付けは私がやると言うクリスタに台所から閉め出され、居間のテーブルを囲むのは私と医者だけになった。
高価そうな装丁の分厚い本を生真面目な顔をして読む医者に、話しかけるか少し迷って、思い切る。

ミカサ「あの、先生。すこしお話があります」

医者「どうしたね?ミカサ君ヒヒ」


読書の邪魔をして嫌な顔をされるかと思ったけれど、案外機嫌が良くてホッとする。

ミカサ「あの・・・・・私、以前は思い通りに身体を動かすことが出来ました。完璧に動きました。でも今は、まったく思い通りに動きません。また以前のように戦えるようになりたいんです。どうすればいいでしょうか?」

医者「そうだねぇ。それよりもキミ、月のモノはちゃんと来てる?」

一瞬言葉に詰まる。
どうしてそんなことを?関係あるの?
気恥ずかしくて、俯いて小さく「いえ」と答えた。

医者「戦い云々の前に身体の基礎からだよ。貧血が酷いし、骨も弱くなってる。そこを治さないと。まずちゃんと食べる事。少なくとも後5キロは増やさないと、女性としての機能に問題が残るね。戦闘訓練なんかは月のモノが戻ってから考えなさい」

ミカサ「女性としての機能・・・・」


医者「子供、産めなくなるよ?今はあまり実感の持てない問題かもしれないけどね。まず体重を増やすこと」

ミカサ「体重が増えて訓練出来るようになったら、また元通りに戦えるようになるでしょうか?」

子供なんて今は考えられない。それよりも、戦える体に戻るかどうかが、今一番重要な事。努力すれば戻るかもしれない。それだけの事かもしれない。でも、今は大丈夫だと言って欲しい。

医者「どうだろうねぇ。キミくらいの年頃の女の子は身体のバランスが急激に変わるからねぇ。立体起動の腕前もそのへんがピークって娘が多いんだよね。ホルモンバランスが急激に変わって、脂肪の付き方も変わるし、精神面でも変わってくるしねぇ。欠かさず訓練してればまだいいんだけど。まぁ、焦って無理矢理訓練なんかしたら身体を痛めるだけだからねイヒヒ、気を付けなさいヒヒ。じゃ、お先に失礼するよヒヒヒ。お休みミカサ君」

ミカサ「・・・・はい。お休みなさい」シュン

先生は、戦えるようになるとは、一言も言ってくれなかった。もう、諦めろと、そういうことなの?
ただの女として生きて行けと、そういうことなの?
女性としての機能・・・・子供を産むこと・・・・一体、誰の子供を?
そんな事、今はどうだっていいのに。






―――――
サムエル「ここはいいなぁ。しょっちゅう入浴できるなんて」

コニー「サムエル、お前のおかげだぜ。良い湯だったなぁ。あちーあちー」パタパタ チラチラ~~~~汗ばむ逞しい大胸筋

サシャ///////////(め、目のやり場が・・・・)ソワソワ

ジャン「先に入らせて貰って悪かったな」パタパタ ムキムキ~~~~汗ばむ鍛えられた腕橈骨筋

ミカサ////////////(わ、私はなぜ緊張を・・・・)ソワソワ


アルミン「あれ?女の子達より先に入るのは初めて?」シャツフワリ チラッ~~~~うっすら割れてる爽やか腹直筋

クリスタ「アルミン・・・」///////////(い、意外と筋肉質なのね)ソワソワ

サムエル(何か疎外感を感じる・・・・)

コニー「そうだなぁ、いつも俺らが後だな」(サシャの入った湯がいいし)パタパタ 胸チラチラ

ジャン「女子は髪を乾かすのに時間がかかるからな」(髪は大事だ!)パタパタ 腕ムキムキ

アルミン「そっか、そういえばみんな髪が伸びたね」(クリスタの長い髪綺麗)フワフワ 腹チラチラ


女子一同「・・・・・・」//////////(いつも男子がお風呂から出る頃には髪を乾かすのに夢中だったから見てなかったけど・・・・男子の身体がこんなに気になったの初めて)///////////

サムエル「そうだ、サシャ。今回はシーナに行く時間がなくて、お菓子は無いんだ。ごめん」

サシャ「え!!そうなんですか・・・・残念です」シュン

サムエル「でもかわりに」ゴソゴソ「はい。みんなで使ってくれ」コト

サシャ「ん?なんでしょう、これ?綺麗な瓶ですね?」

クリスタ「あら、これはもしかしてオリーブオイル?髪油用の」


サムエル「さすが!クリスタは知ってるね。しょっちゅうお風呂に入るなら、髪につけるオイルがいるんじゃないかと思って。これはトロストでも買えるからね。今回はこれでカンベンしてくれ」

クリスタ「うわぁ!あったらいいなと思ってたの!スゴイ!!でもこれだって高価よ?」

サシャ「そうなんですか??」キョトン

クリスタ「チョコレート程じゃないけど。そもそもしょっちゅうお風呂に入れる人の為の物だもの」

サシャ「そんなに良い物なんですか」ポカン

クリスタ「サシャ、髪を梳くときに引っかかるって言ってたじゃない?」


サシャ「そうですねぇ、長くなったので、毛先が痛んできてるんです」

クリスタ「オイルを付けると引っかかりにくくなるのよ。髪が柔らかくなって艶も出るし」

ジャン(艶?)ピク「おい、冷めちまうぞ?風呂入ってこいよ?」

クリスタ「そうね。早速このオイルを使ってみたいし、行きましょ」

キャッキャッウフフキャハハ



男子一同「・・・・・・・」

サムエル「みんな・・・・分かってると思うが」

コニー「あぁ」

ジャン「そうだな」

アルミン「・・・・・う、うん」


サムエル「彼女達は今!オレ達の全身を包み込んだ湯に浸かっている!!」///グッ

男子一同(アルミン以外)「・・・・・・」///////////////////////ジーン

アルミン(なんかヤダな。僕だけの女神なのに)ムスッ





―――――
ガチャ

サシャ「ふぅ。いつもよりぬるかったので、つい長湯してしまいました」フワッ~~~~ふわふわ甘々チョコレート色の髪

コニー「お、おぅのぼせてねぇか?」////////(湯上り姿には慣れたはず!しかしいつもと違うぞ!!)

サムエル「ふっ」(あの髪に触れるのはオレだ!)////

クリスタ「ん~、やっぱりオイルがあると違うね!」キラキラ~~~~満月のごとく輝く金髪

アルミン「クリスタ・・・・」(君こそフレイヤ!!まさに月の女神!!)///////////ウットリ


ミカサ「少しぬるめのお湯もいい」キラキラ~~~~煌めく星々を抱く夜空のごとき黒髪

ジャン「・・・・・」ポカーン

ミカサ「?」ノゾキコミ

ジャン(目の前に星空が・・・・・)////////

ミカサ「ジャン?」

ジャン「はっ?!」


ミカサ「私の頭に何か変な物ついてた?」

ジャン「いいいいいいやいやいや!!変な物なんか付いてねぇよ?」(オイルだろ?!オイル!!)

サムエル「さぁさぁ、いつまでも濡れたままの髪でいると風邪を引くぞ。暖炉の前で乾かすといい。薪をくべ直しておいたからね」ニコニコ

ジャン(次は何があるってんだ!サムエル!)ワクワク

コニー(なんか企んでやがるな?)ムムッ


クリスタ「ありがとう、サムエル」サラサラ

サシャ「湯冷めする前に乾かしましょう」サラサラ

ミカサ「助かる、サムエル」サラサラ


男子一同「・・・・・・」ゴクリ//////////////


男子一同(これは!!すこし横を向いて俯き髪を乾かすこのしぐさ!)

ジャン(俯くことによって強調される首筋から背筋にかけてのエロス!!)//////////////

アルミン(暖炉方向に向けられてるハズなのにドキドキする流し目!!ほんのり開かれた唇!!)///////////////

コニー(髪を乾かすのに両腕が動くたびに、俯いて緩んだ胸元から谷間がのぞく!!これが狙いか!サムエル!!)/////////////

サムエル(ふっふっふっ)///////////

アルミン(サムエル!!恐ろしい奴!!)




ミカサ「やっと乾いた。最近乾かすのに時間がかかる」サラッ

ジャン(もう終わりですか!!)//////////

クリスタ「ふぅ、私もそろそろ乾いたかな?」サラッ

アルミン(乾かすと一層綺麗だよ!僕の女神さま!)///////////

サシャ「私はまだ乾きません~」サラサラ


サムエル「ふっ」//////

コニー(サムエルのせいで集中できねぇ)//////

クリスタ「サシャは長いもんね」

サシャ「乾かすのが大変です。すこし切りましょうかね・・・・」サラサラ

クリスタ「う~ん、私もちょっと切ろうかな」

ミカサ「私も・・・・」


ジャンアル「!!」

アルミン「クリスタ、切っちゃうの?綺麗な髪なのに」ブゥ

クリスタ「え」///////「あ、アルミンは長い方がいいと思う?」///////

アルミン「女性の髪形に特別こだわりはないんだけど、クリスタの髪はすごく綺麗だから」///////ポ//////「切っちゃうのは勿体ないなと思ったんだ」////////

クリスタ「アルミンがそう言うなら、伸ばそうかな」//////ポ/////////

アルミン「でも乾かすのが大変ならいいんだよ?風邪を引いてもいけないし。クリスタならショートでもボブでも可愛いと思うし」//////////////


クリスタ「やだアルミンたら!みんなの前で、可愛いなんて」キャッ////////////

コニー「・・・・」イラッ(イチャつくんなら2人きりでイチャつけ!)

ジャン(アルミン!よく言った!!)「み、ミカサも切るのは勿体ないんじゃねぇか?髪、き、綺麗だし」//////////////

ミカサ「・・・・・そう?でも立体機動使う時邪魔になる」

ジャン「ミカサは立体機動使えるようになるの、まだ先だろ?」ズバリ

ミカサ「うっ・・・・そうだけど」


ジャン「それに邪魔ならサシャみたいに結んだらどうだ?むしろ編んだり結んだりしといたほうが邪魔になりにくいんじゃねぇ?ボブでも立体機動中に髪が目に入ったりしそうだと思うんだが」

ミカサ「確かにそういうことはある」

ジャン「じゃあ伸ばしとけよ。お前の長い黒髪すごく、き、綺麗だぞ?」///////////


~~~~~~ミカサ回想・幼少期の思い出~~~~~~~

父「ミカサはお母さん似だな」

幼ミカサ「そうなの?どこが似てるの?」

父「顔も似てるけどこの黒い髪、お母さんそっくりだ。すごく綺麗だぞ?」ナデナデ

幼ミカサ「じゃあ私お母さんみたいに長くする!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ミカサ「伸ばす」///////////

ジャン(ヨシッ!!ミカサのポニテも見てみたい!!)

アルミン(あれ、何か違和感が・・・・)

サシャ「・・・・・」髪ヒョイ・・・・マジマジ

コニー「!」(これは!何か気の利いたことを言わねぇと!!)

サムエル「サシャはずっとロングだね?長い方が好きかい?」


サシャ「そうですねぇ、特に理由はないんですけど・・・・なんとなく、ですかね?」

コニー(くっそぉ!!先を越されたッ)

サムエル「サシャにはポニーテールがよく似合ってるよ?」ニコニコ

サシャ「そ、そうですか?」////

サムエル「けど、ボブも似合いそうだね。サシャのゆるふわな髪でボブにしたら、可愛いんじゃないかな?」ニコニコ

サシャ「ど、ど、どうでしょうかね?似合いますかね?」アハハハ///////////(ほんとやめて下さい!意識してしまうじゃないですか!!)


コニー(サムエル・・・・コロス)ゴゴゴゴゴゴゴ

サムエル「次に来るときは、すきばさみを差し入れるよ。長くても楽に乾かせるようになるからな」ニコニコ

サシャ「わぁ、それは助かります。サムエルは物知りですね」

サムエル「そんなことないさ。でも喜んでもらえて嬉しいよ」ニコニコ

コニー ゴゴゴゴゴゴゴ

ジャン(だからさっさとキメろとあれほど・・・・)ヤレヤレ




サシャ「はぁ~、やっと乾きました!疲れましたね・・・・」

クリスタ「サシャお疲れ様!」

ミカサ「眠い・・・・」ファ

ジャン「ん?じゃあそろそろ寝るか。夜更かししちまったな」

サムエル「そうだな。明日も早いし。サシャの部屋も2階だろ?行こうか」

サシャ「ミカサ、お休みなさい」

ミカサ「お休みなさい」

コニー(二人きりにはさせねぇぞ)ゴゴゴゴゴゴ

ガタガタ

ミカサ「じゃ、私も・・・お休みなさい」ガチャ

ジャン「お休みミカサ」

クリスタ「え~、もうみんな寝ちゃうの?」アルミンの腕ギュ


ジャン「アルミン。3階、好きに使っていいぜ?」ボソ

アルミン「え?!す、好きにって・・・・」///////////

ジャン「誰も使ってねぇけどよ、使えるようにはしてあるんだ。クリスタと存分にイチャついてこいよ」ボソ

アルミン「い、イチャつくだなんて」カァ////////////

クリスタ「やだ、ジャンったら」カァ///////////////

ジャン「明日帰ったらまた何か月も会えねぇかもしれねぇんだぞ?いいのか?」ニヤリ


アルミン「そ、それは・・・・」

クリスタ「考えたくないな・・・・」アルミンの腕ギュ

ジャン「そんじゃ、俺も寝るわ。じゃあな」ガタ

アルミン「・・・・・・・・・」

クリスタ「・・・・・・・・・」


アルミン「・・・・・・・・・」モジッ

クリスタ「・・・・・・・・・」モジッ

アルミン「えっと・・・・・・僕は・・・・・その・・・・・」//////////////モジモジ

クリスタ「・・・・・・・・・私、アルミンと一緒にいたいな」//////////////ギュ

アルミン「・・・・・・行こうか?」///////////ギュ

クリスタ「・・・・・・・・・うん」///////////ギュ





――――――
サシャ「おはようございます、ジャン」

サムエル「おはよう。ジャン」

ジャン「おはよう。おぉコニー、早いな」

コニー「おーっす・・・・」(サムエルとサシャを二人きりにさせない為に誰よりも早く起きたんだよ!!)


サシャ「今日は珍しくクリスタがまだ起きてこないんですよねぇ。どうしたんでしょう?」

ジャン(ほう?)ニヤニヤ

コニー「そういえば夕べ誰かが3階に上がっていったような音がしたけど、まさか・・・・」ボソッ(サムエルが夜這いかけねぇように聞き耳立ててたからな!!おかげで寝不足だチクショー!!)

サシャ「え?どういうことですか?」

ミカサ「夕べジャンが2人をけしかけてた。だからクリスタとアルミンは3階で2人きり」ジャン「うぉっ!!み、ミカサっ!!聞いてたのか・・・」///


ミカサ「私の部屋は居間のすぐ隣なんだから聞こえる」

ジャン(小声のつもりだったんだがな)///

サシャ「ということは・・・・」/////////////(クリスタ!まさかまさか!!)///////

サムエル「へぇ?」ニヤニヤ

コニー「アルミン・・・・展開が早すぎるだろ・・・・」////////////

ジャン「いやいや、お前が遅すぎるだけだし」

医者「青春だねぇヒヒヒヒ」


ガチャ

アルミン「おはよう、みんな早いね」///////

クリスタ「おはよう」アルミンの腕ギュ///////

思春期のみなさん「・・・・・・・・お、おはよう」//////////////////

コニー(アルミンが眩しく見えるのはなぜだ!!)

ジャン(アルミン、顔が赤いぞ・・・・)


サムエル(童貞卒業おめでとう。アルミン)

サシャ(クリスタが大人に見えますね)////////////

ミカサ「クリスタ、今幸せ?」

クリスタ「うん。すごく幸せ」///////////

ミカサ「良かった。さ、ご飯食べよう」アッサリ


クリスタ「手伝わなくてごめんね?」

ミカサ「気にしないで。今日はアルミンと一緒に過ごせばいい」

クリスタ「ありがとう。ミカサ」/////////

アルミン「ミカサ、気遣ってくれてありがとう」

ミカサ「2人が幸せなら私も嬉しい」


ジャン(なんて大人な対応なんだ!ミカサ!)

コニー(メシ食ったらアルミンとっつかまえてやる)

サムエル(もちろん夕べの話はしっかり聞かせてもらう)

サシャ(ミカサは夕べ2人に何があったか気にならないんでしょうか!?)

医者「若いっていいねぇヒヒヒヒヒ」


――朝食終了

全員「ごちそうさま~」

コニー「さぁてアルミン、ちょっと付き合ってもらおうか」ガシ

アルミン「え?!」

ジャン「そうだなぁ、アルミン」ガシ

クリスタ「ちょっと!またなの?!」ムッ


サムエル「ほんの少しだから、ね?」

サシャ「クリスタ・・・・・私もクリスタにお話しが・・・・・」////////

クリスタ「え?!」

ジャン「じゃ、そういうことだ」

アルミン「えぇぇ!!!」――――アルミン連行中(ロズウェルスタイル)イヤーヤメテー

クリスタ「アルミ~ン!!」




コニー「で!アルミン。その・・・・夕べはどうだったんだよ?」////////////キョウミシンシン

ジャン「そのつもりで上がったんだろ?3階に」ニヤリ

サムエル「卒業できたんだろ?どーて・い!」ニヤ

アルミン「卒業だなんて・・・・ひ、避妊具の用意もなしにそんな無責任なことできないよ」/////////////

コニー「んな!なんだとっ!!」/////////ガクゼン

ジャン「アルミン、お前・・・・」ボーゼン


サムエル「10代にしてこの自制心はなんだ!!」キョウタン

アルミン「妊娠しちゃったらどうするんだよ?一緒に暮らせもしないのに、クリスタに申し訳ないよ」

コニー「そりゃまぁ・・・そうだな」///////

ジャン「確かに。お前までここに住むわけにはいかねぇからな」

サムエル「いや、外に出せば・・・・」

アルミン「サムエル」ジト「外でもダメだよ!」


コニー(こいつにはぜってーサシャ渡さねぇ!)キッ

ジャン「アルミン、お前やっぱすげぇわ。尊敬する」

アルミン「ジャンに言われるとなんだか面映ゆいな・・・・僕もさすがに連日となると自制心が持つかどうか自信ないよ。ミカサを大切にしてくれてありがとう」

ジャン「お、おぅ・・・」(いつもギリギリなんだがな)//////////「俺とアルミンは状況が違うだろ。クリスタはそのつもりだったんだし」


アルミン「まぁね」////////「できれば僕も、その、したかったけど」////////「こういう事は男がきちんと責任持たないとね」

コニー「男の責任、か・・・・」

ジャン「・・・・・責任・・・か」




―――――

サシャ「あの、クリスタ?」///////////

クリスタ「なによ」ムスッ

サシャ「あのですね・・・・」モジモジ/////////////

クリスタ「んもう!用事があるなら早く言ってよ!ちょっとでも長くアルミンと一緒にいたいのにぃ!」イラッ

サシャ「いえ、その、アルミンとのことなんですけど・・・・」モジモジ////////////

ミカサ「サシャ、他人の情事について聞くなんてはしたない」ピシッ


サシャ「まだ何にもいってないじゃないですかぁ!」/////////////

ミカサ「全部言わなくても分かる」

サシャ「だって・・・・気になるじゃないですか!ミカサは気にならないんですか?」/////

ミカサ「気にならないわけじゃない。でも慎むべき」////

クリスタ「うふふっ。ミカサも結局気になっちゃうんだ?」////

ミカサ「・・・・・それは、まぁ・・・・私だって興味がないわけじゃない。でも聞くなんてはしたない」////


クリスタ「ふふっ。でも残念。2人が聞きたがってるようなことは何にもないよ?」

サシャ「えぇ!!でも2人きりだったんですよね?!何もなかったんですか?!」

クリスタ「うん。私は、その・・・・しても良かったんだよ?でもアルミンがね、私のことは大切にしたいから、そういうことはちゃんと準備をしてからにしようって」////////

サシャ「おぉ!!」////

ミカサ「さすがアルミン」////

クリスタ「少し拍子抜けしたけど・・・・でも好きな人に抱きしめられながら眠るって、本当に幸せ」//////////ウットリ


サシャ「・・・・・」ドキドキ/////////

ミカサ「・・・・・」(アレ?それ、知ってるような・・・・?)

クリスタ「そして朝、好きな人のあたたかい腕の中で目が覚めて、彼が微笑みながら、おはようって言ってくれるの」//////////ウットリ

サシャ「・・・・・」ドキドキ/////////

ミカサ「・・・・・」ドキドキ/////////

クリスタ「そしてギュッと抱きしめて、髪を指で梳きながらキスしてくれるのよ」////////ウットリ


サシャ「・・・・・」ドキドキ/////////

ミカサ「・・・・・」ドキドキ/////////

クリスタ「こんな幸せなことがあるなんて・・・・・毎日アルミンと一緒に眠れたらいいのに・・・・・でも今日アルミンは帰っちゃうのよね・・・・」シュン

サシャ「そうですね・・・・・」

ミカサ「・・・・・」

クリスタ「私、いつかアルミンと一緒に暮らせるのかな・・・・・」

サシャ「・・・・・」

ミカサ「・・・・・」






――――

クリスタ「アルミン・・・・」ギュ

アルミン「クリスタ・・・・」ギュ「また手紙を書いて?」

クリスタ「うん・・・・・」ギュ

アルミン「何かあったら、知らせて?飛んでくるから」ギュ

クリスタ「うん・・・・・」ギュ

アルミン「それじゃ・・・・元気でいて?」

クリスタ「うん・・・・・」


アルミンの姿が見えなくなるまで、クリスタは手を振り続けました。
何度も何度も振り返るアルミンをいつまでも見つめて手を振って、アルミンが見えなくなると、肩を震わせながらわんわん声を上げて泣きました。
そんなクリスタを見ていると、なんだか私まで切なくなって、泣けてきてしまいました。おかしいですね。ふと見ると、ミカサまで目元を押えてもらい泣きしていて、結局3人で泣いて、泣いて、泣いて、どうして泣いてるんだか分からなくなるまで泣いて、気が済むまで泣いて、気が付いたら夕方でした。


クリスタ「やだもう」ヒック「どうしてこんなに泣いちゃったんだろ」ヒック

サシャ「ほんとです」ヒック

ミカサ「よく分からないけど、でもすっきりした気持ち」グスッ

クリスタ「2人まで泣くんだもん」ヒック「おかしいよ」ヒック

サシャ「クリスタが泣くからですよ」ヒック

ミカサ「つられた」グスッ


クリスタ「でも」ヒック「だからってこんなに泣くことないじゃない」ヒック

サシャ「分かりませんけど」ヒック「なぜかすごく悲しくなって」ヒック

ミカサ「きっと」グスッ「みんな不安だった」グスッ「ので、一度泣いたら止まらなくなった」グスッ

クリスタ「これからのこととか?」ヒック

ミカサ「今までも」グスッ「辛いことが沢山あった」グスッ

サシャ「そうですね」ヒック「仲間を沢山失いました」ヒック


ミカサ「仲間も」グスッ「家族も」グスッ

クリスタ「でも」ヒック「辛いことしか無いって思ってたけど」ヒック「良いことも幸せだと思えることも沢山あるんだね」ヒック

ミカサ「・・・・・」

サシャ「・・・・・そうですね」ヒック


コニー「おぉい!お前ら、いつまで外にいるんだ?いい加減中に入れ。メシ作ってやったぞ!」

サシャ「えぇ!?コニーが?ご飯を?」ヒック

ミカサ「そんな時間?」グスッ

クリスタ「泣き過ぎだね」アハハ ヒック




サシャ「すごい。コニー美味しいです」

コニー「ふふん。すげぇだろ」

ミカサ「うん、美味しい」

クリスタ「コニーって何でもできるのね」

コニー「弟が産まれた時、ちょっと母ちゃん産後の肥立ちが今一つでな、オレが炊事洗濯全部やったんだ。近所のおばちゃんも手伝ってくれたけどな」

サシャ「そうだったんですか・・・・」


クリスタ「それで、この形の変な野菜は・・・・?」

コニー「そりゃジャンが切ったんだ」

ジャン「変で悪いな。料理はしたことがなくてよ」ブスッ

サシャ「それで手が傷だらけなんですか?」

ジャン「あぁ。包丁ってのは使いにくいもんだな。刃の方がよっぽど扱いやすいぜ」

ミカサ「・・・・・・」チラッ


クリスタ「2人ともごめんね?気を使わせちゃって」

コニー「気にスンナ」



全員「ごちそうさまー」

クリスタ「あぁ。すっごく美味しかったよ!コニー」

サシャ「ありがとうございました、コニー。さて、洗い物を・・・・」ガチャガチャ


コニー「あぁ、いいよ。オレがやる」ガチャガチャ

サシャ「え?でも、作ってもらって、その上洗い物まで・・・・」

コニー「いいって。今日はお前ら早く寝ろ。疲れただろ?」

クリスタ「コニー・・・・ありがとう」

サシャ「いいんでしょうか?」

コニー「料理ってのはなぁ、後片付けまでやって、初めて料理したって言えるんだよ。ホレ、さっさと歯磨きしてこい」


サシャ「ありがとうございます」////////

クリスタ「ふふっ。コニーお兄さんみたいね」

サシャ「私の方が年上ですっ」ムゥ

コニー「5月になったらオレも16だっつうの!」

クリスタ「あら?じゃ私の方がお姉さんね」

サシャ「クリスタは1月生まれですもんね」


ジャン「・・・・・」ピク

クリスタ「そうだ!ミカサ!」

ミカサ「アルミンの誕生日?」

クリスタ「ミカサ鋭いね・・・・」アセアセ

ミカサ「11月3日」

クリスタ「えぇ~・・・・遠いなぁ・・・・何か贈りたいんだけど・・・」


コニー「誕生日に贈り物すんのか?」

クリスタ「特別な人にはそうするよ?」

コニー「そんな習慣があるのか。初めて聞いたぜ。オレの村じゃそんなことしねぇなぁ」

ミカサ「シガンシナにもそういう習慣はなかった」

サシャ「私も初耳ですねぇ。クリスタは何かもらったんですか?」

クリスタ「うん・・・・すごく良いもの」////////////


ジャン「コニーは5月か、俺は4月だから近いな。サシャは何月なんだ?」

サシャ「7月です。コニーが16歳になったらすぐ私は17歳ですから、私がお姉さんです」ドヤ

コニー「だから何だよ」ムス

ジャン「ミカサはいつなんだ?」ソワッ

ミカサ「私は2月だからもうすぐ」


クリスタ「2月の何日なの?」(ジャン、これで借りは無しよ?)チラッ

ミカサ「10日」

ジャン「へぇ、ミカサもクリスタも冬生まれかー」棒(クリスタ!恩に着る!)チラッ

コニー「ほれ、いつまでもだべってないでさっさと歯磨いて寝る!」

サシャクリ「はーい」




ミカサ「ジャン、その手」

ジャン「あぁ、俺はどうも不器用でいけねぇな。コニーはすげぇわ」

ミカサ「手当を」

ジャン「大したことねぇよ」/////

ミカサ「いけない。ちゃんとしないと」

ジャン「・・・・悪いな」/////




すっかり大きくなった体を少し丸めて食器の片付けをするコニー。畑や家畜のことに詳しくて、みんなの為に一生懸命働いて、頼りになる人。料理まで出来るなんて思いませんでした。弟みたいで可愛いと思ってたのに、いつのまにか私より背が高くなって、肩幅も広く逞しくなって、もう少年じゃなく、大人の男性になりつつあるコニーに、私は戸惑ってばかりです。

傷だらけの手をミカサに手当してもらって顔を赤くしてるジャン。不器用だとか言ってるけど、みんながベットで眠れるように大工仕事を頑張って、燻製小屋もジャンが直してくれたんでした。何よりもミカサを大切にしている愛情深い人。昔はもっと傲慢で感じ悪い人だったんですけど、人って変わるんですね。


手に負えない数の巨人に襲われて、いつか仲間たちのように食い殺されるかもしれないとか、壁の中の人間全員が私たちを巨人の仲間と疑って、捕まって拷問を受けて殺されるかもしれないとか、ここでの平和な暮らしの中にいろんな不安が隠れていて、みんな忘れたフリをしていたわけじゃないと思うけど、気にしていたら暮らしていけないわけで・・・・

クリスタの言うとおり、辛いことばかりじゃなく、幸せだと思えることが確かに、ここにはあって。だから、この幸せな場所を失いたくないと、切に願うのです。どうかこの幸せが少しでも長く続きますように、と。

きたーい




――――――
アルミン達が帰った次の日、矢も盾も堪らず、俺は朝の畑仕事を終えたばかりのコニーを捕まえた。

ジャン「コニー、足はもういいんだろ?付き合えよ」

コニー「おぉ。いいぞ。なんだ?」

ジャン「対人格闘」

コニー「あぁ、そういえばアルミンが言ってたな」


ジャン「俺対人格闘はさぼり気味だったからな。エレンとやりあってから多少は真面目にはやってたけどよ、ちゃんと訓練しとかねぇと使い物にならねぇ」

コニー「対人格闘は点数にならねぇからな。オレもさぼってサシャと必殺技ごっこばっかやってたから、あんまり相手にならねぇぞ?」

そう言いつつも、くるくると足首や手首を回して、コニーはやる気満々だ。
今やコニーは身長も肩幅も腕の長さも昔とは大違いだ。体格差のないコニーが相手なら訓練にはちょうどいいだろう。


ジャン「そういやお前らも遊んでばっかだったな」

コニー「ミカサが復活してくれりゃ、一番いい練習になるんだろうけどなぁ」

ジャン「怪我する前のミカサじゃ、手も足も出ねぇだろ」

コニー「だな。よし、柔軟おわりっと」

ジャン「やるか」

コニー「おう」

ビシッ 
バシッ 
ドカッ 

ジャン「なぁ」ハァハァ 

コニー「なんだよ」ハァハァ

バンッ 
ドッ

ジャン「男の責任って」ハァハァ「なんだろうな」ハァハァ

ビシッ
ガシッ

コニー「なんだよ」ハァハァ「急に」ハァハァ

ギリギリ

ジャン「っつ」ハァハァ「引っかかるんだよ」ハァハァ「色々とな」ハァハァ「つかお前、中々やるじゃねぇの」ハァハァ

ドンッ

コニー「くっ」ハァハァ「自分でも意外だぜ」ハァハァ「リーチ伸びるとやりやすいもんだな」ハァハァ「で、何がひっかかるんだよ?」

ビュッ
ビシッ

ジャン「だからよ、俺らの責任って」ハァハァ「なんだろうな」ハァハァ

ガッ
ドッ

コニー「わかんねぇな」ハァハァ「だけどオレは」ハァハァ「目の前のこと」

ビシッ

コニー「今やれること」ハァハァ「それを全力でやる」ハァハァ「難しいこと」

バシッ

コニー「考えられるタチじゃねぇからな」ハァハァ

ガシッ
ドッ

ジャン「いってぇ」ハァハァ「1本」ハァハァ「とられたな。強ぇじゃんよ、コニー」

コニー「3本勝負といこうや」



ハァハァハァハァハァ

コニー「最初の1本だけかよ~・・・・」ハァハァハァ

ジャン「ははっ」ハァハァハァ「そうそう勝たせるかよ」ハァハァハァ

コニー「はぁ・・・体格が互角になったからって、簡単に勝てるもんじゃねぇな」ハァハァ

ジャン「なぁ、コニー」ハァ

コニー「ん?」ハァ


ジャン「俺らの知らないところで、アルミンは何を背負ってるんだろうな」ハァ

コニー「そりゃまたいきなりだな?」ハァ

ジャン「クリスタのことだよ。ありゃあ相当裏があるぞ」

コニー「レイス家のことか?」

ジャン「壁教もな。アルミンは俺らの知らないこと、かなり知ってるはずだ。その上でクリスタを守るって決めた。ちょっとやそっとの覚悟で出来ることじゃねぇ」

コニー「そうだな・・・・・でも、何なんだろうな。何があるってんだ?」


ジャン「・・・・・わからん。だがお前の言うとおりだ。俺達は、俺達にできることを、全力でやる。今はここで生き抜くこと。それが俺達のすべきこと。だよな」

コニー「あぁ。そうだな」

ジャン「なんか俺ら、ここでぬるま湯に浸かりすぎたって、そんな気しねぇか?」

コニー「ん?」

ジャン「俺は、大切な物を忘れてた気がすんだよ。ここの居心地が良すぎてさ」


コニー「・・・・・オレ、ここが好きだぜ?ここでなら、生きていける気がすんだ。ここでオレ、サシャと暮らしていきてぇ。亡くした家族を弔いながら、自分の家族作りてぇんだ。お前とミカサがこの家に住んでてよ、向かいに俺とサシャの家を建てるんだ。んでアルミンとクリスタがその隣。みんなで畑作って狩りして、春には羊の毛を刈ってよ。そんで街に売りに行って、菓子とか髪飾りとかの土産もって帰るんだ。子供がいっぱい居てよ、お前の子とオレの子が森でオレらの作ったツリーハウスや橋で飛び回ったり、その辺で泥まみれになって夕飯時まで遊び倒してんだ。アルミンの子は本にかじりついててよ」

ジャン「・・・・・いいな。それ」

コニー「だろ?そういうのがオレの今の夢なんだ。叶うといいなって、本気で思ってる。だからオレ、夢を叶えるために今できること、全力でやるわ」

空を見上げながら夢を語るコニーの横顔を見ながら、俺もその夢に浸った。
退屈で単調で平和な毎日。朗らかに笑うミカサと、沢山の子供たち。豊かなこの土地で、家族に囲まれて生きる幸せ。
だが、その前に俺達にはやらなきゃならないことがある。巨人との戦いで死んでいった多くの仲間達のことを忘れて、俺達だけがそんな幸せに浸ることは許されないだろう。

>>570
ありがとう!!あとちょっと頑張る!






―――――
朝食が済んで、皆それぞれ仕事を始めると、急に家の中が静かになった。
以前はジャンが家のあちこちを修繕する音が響いていたけれど、最近はツリーハウスの材料造りだとかで、外に出ていることが多い。

しん、とする家の中でなんとなく、畳まれたまま数か月放置していた戦闘服に手を伸ばした。
ジャケットはサシャかクリスタが洗ってくれたらしいけれど、血痕が薄黒く大きなシミを作っていて、ところどころ繕った後もある。下のシャツやズボンは治療の時に裂いてしまったとかで、アルミンが新しいものを用意してくれた。袖を通してみると、筋肉の落ちた身体には大きすぎて不格好なくらい生地が余る。ブーツでさえ、ふくらはぎの辺りに信じられない程隙間が空いていて、立体機動で跳んだら脱げて落ちてしまいそうだ。
一通り身に着けてみて、改めて自分の体の衰えを思い知らされる。これでは医者にも元通り戦えると断言して貰えないわけだ。

思わずため息が漏れて俯くと、俯いた顔をさらりと髪が覆った。エレンは、この髪にはなんの興味も無かった。私だって特別自分の髪にこだわりがあるわけじゃない。伸ばしたのは父に綺麗だと言われたから。切ったのはエレンに切った方が良いと言われたから。それでは今、こうして伸ばしているのは何故だろう?綺麗だと言ってくれた父はもう居ないのだし、いっそナナバさんのように短く切ってしまおうか。そう思ってハサミを手に脱衣所の鏡の前に立つ。けれど鏡の中の自分に短い髪を重ねようとしても、どうしてもしっくりしない。それに後頭部の辺りは自分一人では上手く切れそうにないと気が付いて諦める。
傍らの卓に、サシャがいつも髪を結うのに使うのと同じ結紐を見つけて、試しにサシャと同じように高く結ってみた。初めてのことなので少し手間取ったけれど、上手く結えたと思う。鏡に映る髪を結った自分の姿を眺めて、少しほっとする。


これでジャンにがっかりされずに済む
・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・え?

頭に突然湧き出た思考に鏡の中の自分が目を見開いた。
私は・・・・ジャンにがっかりされたくないの?
だとしたら、それって一体・・・・どういうことなの?
・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・愚かだ。本当に、愚かだ。それを知って、それでどうするっていうの?
結婚?
子供?
女としての幸せ?
それが何?
この残酷な世の中で、そんなもの長続きするわけない。
ここでの5人の生活だってそうだ。まるで、両親が殺される前のような、壁が壊される前のシガンシナのような、平和な生活だけれど、いつまでも続くわけないんだから。
そうだ。だから私は今、やるべきことをやらなくては。




サシャ「ミカサ!戦闘服なんか着て、どうしたんです?」

クリスタ「それに髪形も。ポニーテールじゃない」

ミカサ「・・・・・ちょっと身体を動かそうと思って。髪も結んだ方が動きやすそうだし。サシャ、結紐借りてる」

サシャ「ポニーテール中々似合ってますよ?けど無理しないで下さいね?」


ミカサ「しようと思ってもできない。アルミンが用意してくれた戦闘服、前と同じ寸法のハズのに、ブカブカ」

サシャ「・・・・しかたないですよ。あれだけの怪我をしたんです。そう簡単には戻りません」

クリスタ「筋肉がごっそり落ちちゃったもんね・・・・」

ミカサ「そうね・・・・でも私はまた戦えるようになりたい。一日でも早く」

サシャ「焦っちゃだめですよ?」

ミカサ「うん。大丈夫。でも少しでも身体を動かしたい」


クリスタ「ねぇ、サシャ。私達もたまには身体を動かさない?ここのところずっと編み物とか縫い物ばかりで、あまり動かしてないし」

サシャ「そうですねぇ。狩りにも行ってませんし、ちょっと動きましょうか」

3人で揃って柔軟を始めて、愕然とした。
以前の半分、いやそれ以下だ。しかもただの柔軟なのに、すこし動いただけで息が切れるなんて、これはあまりにも酷すぎる。

ミカサ「やっぱり・・・・・すごく身体が固くなってる・・・・」ハァハァ

クリスタ「少しずつほくしていくしかないよ。頑張ろう?」

ミカサ「うん・・・・」ハァ


落ち込む私の横で、サシャが跳ねた。

サシャ「それっ」側転クルッ「やっ」バク転クルッ「ほっ」三角跳びからの回し蹴り!「はっ」とどめの踵落とし!

クリスタ「おぉ」パチパチパチ「サシャ身軽!」

軽々と飛び回るサシャに、競争心が煽られる。

サシャ「どうです?ミカサが元に戻ったら、対人格闘、相手になってあげますよ?」ニヤッ

ミカサ「サシャ、絶対勝つから!」

クリスタ「ふふふ、ミカサ頑張れ~」キャッキャッ


コニー「おぉ?なんだお前らも訓練か?」

ジャン「み、ミカサ!!その髪・・・・」(ポニテ!ミカサのポニテ!!良いっ!!)/////

ミカサ「・・・・・」///

クリスタ「ちょっと身体動かしてるの。最近動いてなかったから」

ミカサ「すっかり体が硬くなった」

サシャ「なんだか一度動かしたらもっと動きたくなってきました。ジャン!」

ジャン(ミカサのポニテ・・・・うなじが・・・・)//////ボー「・・・・なんだ?」
サシャ「対人格闘!行きますよ!!」ビュッ
ジャン「おわっ!!」サッ「ちょ!さっきコニーとやってクタクタだっつうの!」サッ
サシャ「問答無用!!」ビュッ
ジャン「コニーとやれよ!!」サッ
クリスタ「コニーは」ビュッ「私とでしょ!!」ビュッ


コニー「うぉっ!!」サッ「クリスタもかよ!!」

クリスタ「小さいからって」ビュッ「甘く見ないでよ?」ビシッ

コニー「へっ!」サッ「チビの手の内はお見通しだぜ!」サッ

クリスタ「ふん!」ビュッ「どうかしら?」バシッ

コニー「くっ!意外と鋭いじゃねぇか!」サッ


ジャンを相手に飛び回るサシャがきらきらと眩しくて、胸が痛んだ。自由に身体を動かすことのできるサシャが羨ましいのかとも思ったけれど、羨望の対象がなぜクリスタではなくてサシャなのか。・・・・・・どうでも・・・・いいはずなのに。
大きな怪我をしたせいとはいえ、私のこの身体は一体どうだろう。固くなって、脆くなって、細くなって。
サシャのしなやかな身体が飛んで、跳ねて、茶色い髪が太陽に照らされて踊って。
いつのまにかまた、あの堅い何かが喉をふさいだ。

サシャ「脇が甘い!!」ドッ

ジャン「ぐあっ!!いってぇ!!」

サシャ「そりゃっ!」ダンッ

ジャン「だっ・・・・!」ドシッ「これはっ」


サシャ「ふふふふ」ギリギリ

ジャン「ぐ、ぐるぢい・・・・」

サシャ「アニの技です。見よう見まねですが、いかがです?」ニヤリ

ジャン「むり!むり!!」バンバン

まるであの時と同じ。
エレンに寝技をかけたアニを見てひどくイラついた、あの時と。

かなり面白い話がしっかりしていて素晴らしい

>>594
感想ありがとうございます。
5月中に完結させると言ったのに、まだ終わりません。
本当に遅筆でごめんなさい。
レスいただくとちょっとブーストかかる>>1でございます。
頑張ります。

>>594
ありがとうございます。5月中に完結させると言ったのに、遅筆で申し訳ありません。
レスいただくとちょっとブーストかかる>>1でございます。
頑張ります!

あれ・・・・ヤダ(恥)






―――――
気持ち良く身体を動かして適度に汗をかき、肉や卵をふんだんに使った夕飯を食べて、広々としたお風呂にゆっくり浸かって疲れを落とす。こんな贅沢なことが世の中にあっていいんでしょうか?ここでの生活は本当に夢のようです。巨人さえ来なければ、ですけど。
久しぶりの訓練で疲れたミカサはうっかり湯船で眠りかけて、普段より早く自室に下がり、ジャンも今日はクタクタだと言って2階に上がって行きました。
クリスタと2人、編み物を少しやっておくか、寝ちゃうかと迷っていた時、ガチャリ、と聞き慣れた音に振り返ったら、戦闘服に立体機動を付けた完全装備のコニーが立っていました。夕飯も入浴も終わっているこの時間に。

コニー「なぁ、サシャ。ちょっと付き合えよ」

サシャ「え?・・・・・い、いえ、あの」

クリスタ「あ、私眠いから寝るね」ガタッ「お休み」ニヤッ

サシャ「く、クリスタ!?ちょ!ちょっと!!」オロッ


キョロキョロと私とコニーを見上げていたクリスタは、何か悟ったような顔をして笑うと、さっさと立ち上がって行ってしまいました。
ヒドイですクリスタ!私を1人にするなんて!!

コニー「なんだよ?もうメシも後片付けも終わったし、風呂も入ったし、髪も乾かしたし、後寝るだけだろ?」

サシャ「いえ、そうなんですけど・・・・・えと、もう眠いので・・・・」

コニー「なんか最近オレ避けられてる気がするんだけど?」

サシャ「そんなことないです・・・・」

コニー「じゃあ付き合え」


どうしたんでしょう、今日のこの強硬な姿勢は・・・・。いつもならやんわりと拒絶の姿勢を取るだけで引き下がってくれたのに。

サシャ「・・・・・・」

コニー「・・・・・・」

サシャ「どこに行くんです?どうして立体機動装備してるんです?」

コニー「森だよ」

サシャ「こんな時間にですか?」


コニー「馬乗れよ」

サシャ「・・・・・」

用意された馬は1頭。
先に馬に跨ったコニーが、ん、と言って差し伸べた手に、恐る恐る手伸ばすとがっちり掴まれて引っ張り上げられました・・・・・・すごく、強い力で。
ごく自然にコニーの前に座らされてオロオロしている中、急に馬を出されて仰け反ったら、とん、とコニーの体に凭れてしまいました。凭れたコニーは微動だにしなくて、思わず振り返って見たら同じ馬上にあるのに私を見下ろしている彼が居て、その目線の高さと近さに、顔が熱くなるのを感じて慌てて前を向いてグリップを握りしめました。

その、グリップを握る私の手の横で手綱を握るコニーの手の大きさに、決して小さくはない私の後ろで、ちゃんと視界を確保して馬を進めるコニーの体の大きさに、私の心臓が跳ねまわっていて、その音がコニーに伝わってしまうのではないかと怖くてずっと俯いて目を瞑っている間に、私達は目的地に到着したようです。


夜目の利く私にも、ほとんど闇に沈んだ森。間近なはずのコニーの顔すら窺えない中、背中に感じる彼の体温。

サシャ「ここは・・・・ツリーハウス、ですか?」

コニー「行くぞ」ダキッ 

サシャ キャッ「え?なんです?」

コニー「捕まってろ」シュンッ

サシャ「わっ!!」


シュン

シュン

シュタッ

サシャ「わぁ!!」

コニーに抱えられて連れて行かれたのは、森で一番高い木の一番上でした。
そこに木の枝や葉で隠した、小さな小さな小屋が作ってあって、その小屋からきらきら瞬く満点の星空と、月明かりに照らされて私たちの家が見えました。それはとてもとても綺麗な景色でした。昼間に見たら、随分遠くまで見渡せるでしょうね。


サシャ「これ、見張り台ですか?」

コニー「あぁ。ここからだとかなり遠くまで見通せるからな」

サシャ「こんな高い所、作るの大変だったんじゃないですか?」

コニー「まぁな。枝も細いし、苦労はしたけど、いいだろ?ここ」

サシャ「はい。空が綺麗に見えますねぇ・・・・」


コニー「ちょっと寒いな。ほれ、ベットカバー引っぺがして持って来た」

サシャ「あ、ありがとございます・・・・・」

こんな夜遅くに、綺麗な月と星に囲まれて2人きり・・・・
その上背嚢から取り出したベットカバーで優しく包まれたりしたら、ほんの少し先の私達を予想するのは容易くて、ひどく緊張しました。

コニー「なぁ、サシャ」

サシャ「・・・・・や、やっぱり寒いですね。降りましょうよ?」


コニー「お前・・・やっぱりオレのこと避けてねぇ?」

サシャ「そ、そんなことありませんよ?」アセアセ

コニー「なんでだよ?」

サシャ「なんでって・・・・・」

コニー「お前、オレのこと嫌いか?」

サシャ「そんな・・・嫌いだなんて・・・そんな・・・」


コニー「・・・・・サムエルが好きか?」

サシャ「はいぃ?!サムエル?!違いますよ!!」

コニー「じゃ、なんでオレのこと避けるんだよ?」

サシャ「だから!避けてませんって!」

コニー「避けてるようにしか思えねぇだろ?」

すごく、ものすごく真剣な顔をしたコニーが一歩私に近づいて、ただそれだけなのに、目の前にコニーの体が迫って来るようで、威圧感を感じて怖くなりました。
少し前までのコニーなら、私を馬上に引き上げることも、前に乗せることも、抱き上げて木を登ることも出来なかったはずです。
クリスタやアルミンみたいな細くて小柄な子ならともかく。私は結構大きいんですから。


サシャ「・・・・・・怖いんです」

コニー「・・・・・怖い?何が?」

サシャ「・・・・変わることがです」

コニー「変わるって・・・・」

サシャ「何もかもです。何もかも変わってしまう。そのことが怖いんです」

コニー「・・・・・変わるって、悪いことか?」


サシャ「・・・・・悪いことばっかりじゃないって、分かってます。でも、変わるには覚悟がいるんです・・・・」

コニー「お前・・・・怖がりだな」

サシャ「はい・・・・・私は臆病者です。だから、コニーが変わっていくのも怖いんです」

コニー「ちょっとデカくなっただけだろ?」

サシャ「・・・・・・」

コニー「オレ、変わったか?」


サシャ「はい・・・・大人になりました」

コニー「ガキのまんまの方が良かったか?」

サシャ「小さいコニーは・・・・可愛かったです」

コニー「変わらないものなんて、何にもねぇんだぞ?」

サシャ「・・・・・・そうですね」

コニー「変わってもいいじゃねぇか。お前だって、変わったんだぞ?」


サシャ「変わりましたか?」

コニー「変わったよ。前ほどメシにがっつかなくなった」

サシャ「あ。そういえば・・・・」

コニー「だろ?」

サシャ「どうしてでしょうね?」

コニー「さぁな?知らねぇけど、なんか満足できたんじゃねぇの?」


サシャ「・・・・満足」

コニー「お前の大食いって、本当は食いもんじゃなくて別のもんが欲しかったせいかもな」

サシャ「別の物・・・・・・」

コニー「なにかは分からねぇけどよ」

サシャ「・・・・・・」

コニー「なぁサシャ。オレ、お前が好きだ」////////////


サシャ「!」ビクッ

コニー「お前とずっと一緒にいたい。オレと付き合ってくれ」////////////////

サシャ「と、突然ですね・・・・」////////////

コニー「最初っからそのつもりでここに来たんだよ。分かってんだろ?」/////////////

サシャ「・・・・・」//////////////

コニー「・・・・・ま、返事は今度でいいや」


サシャ「・・・・・」

コニー「寒いな。帰るか?」

サシャ「・・・・・いえ、もう少し・・・・景色を見ませんか?」

そうです。私はとんでもなく臆病です。コニーのことを避けてたのは、私が臆病だからです。自分をさらけ出すことが、変わる覚悟を決めることが、怖かったからです。あっという間に背が伸びて、肩も胸も大きくなって。さっき抱きかかえられた時に感じた力強い腕にドキドキして嬉しいのに、そんな気持ちを知られるのも怖いんです。


・・・・
・・・・・
・・・・・・
コニーに・・・・知られたくない。

でも・・・・・


サシャ「コニー・・・・・」

コニー「ん?」

サシャ「私・・・・」フルッ

コニー「・・・・寒いか?」ファサ「ちゃんと被ってろ」

ずり落ちたベットカバーを引き上げて、私の首元まで覆うコニーの大きな手を見つめて、そういえば身長が低かった時も手と足だけは大きかったことを思い出しました。


サシャ「あの・・・・私も・・・・コニーのこと、好きです」///////////

コニー「それって・・・・・付き合うってこと?」///////

サシャ「・・・・・はい」////////////

コニー「・・・・・・・」///////////

サシャ「・・・・・・・」///////////

コニー「ははっ。なんかオレらって、おかしいよな」///////


サシャ「え?何がです?」

コニー「なんかえらく時間を無駄にしたっつうか、遠回りしたっつうか。もっと度胸がありゃ、とうに付き合ってたかもしれねぇのにな」/////////

サシャ「・・・・だめですよ」/////////

コニー「なんでだ?」////

サシャ「だって、あんまり早かったら、私が逃げ出しちゃってますから」////

コニー「はは。そうか。そうかもな」////


サシャ「ごめんなさい。怖がってばかりで」////

コニー「おかしなやつだよな、お前。104期の上位なんだからよ、そんじょそこらの男より遥かに強ぇのに、そんなに怖がらなくてもいいだろ?」ナデナデ

サシャ「・・・・・」////////

コニー「ま、なんか怖ぇことあったら言ってくれ。オレ馬鹿だからあんま頼りにならねぇかもしれねぇけど、お前が不安にならねぇように頑張るからよ」ナデナデ

サシャ「コニーは、言うほど馬鹿なんかじゃないですよ?時々すごく鋭いこと言ってますから」

コニサシャもキター




―――――
訓練を始めて半月ちょっと。ようやく体の固さが取れ、柔軟だけで息切れを起こすこともなくなった。
家事の最中に疲れて休むことも少なくなったし、ごく軽くではあるけれど筋トレも始めた。
そうして体を動かすと食事もすすむ。胸のあばらが浮き、枯れ木のように痩せ細っていた体に、うっすらと肉が付き始めるとなんだか嬉しい。
中庭の井戸端での水汲みも1人で出来るのが楽しくて、もう二度と満足に戦える体に戻れないかもしれないと、酷く落ち込んでいたなんて遠い昔のことのよう。
サシャとクリスタは心配していたけれど、大丈夫だからと笑ってみせて洗濯を任せてもらって、冷たい水に震えながら全員分の衣類を洗い、干し終わると少し息が切れて、うっすら汗をかいていた。
寒いけれど、とても気分が良い。
物干し場のそばのベンチに腰かけて、真冬の薄い青空を見上げながら、息が整うのを待っていると、ジャンがやってきた。


ジャン「よ、よう、ちょっと今いいか?」////////

ミカサ「かまわない。何?」

ジャン「・・・・・あぁ、えっと・・・・」ゴソ「・・・・これ」////////////

ミカサ「・・・・?」

ジャン「う、動けるようになった祝いだ」アセアセ「それと、た、誕生日おめでとう」////////////


なにか落ち着きがないと思ったら・・・・そういえば前に誕生日の話をしたけれど、ジャンは憶えていたんだ。
顔を朱くして目をそらしたジャンが突き出したのは、柔らかな皮ひもの先に木彫りの花を付けた首飾りだった。

ジャン「元気になって良かったな」////////////

ミカサ「え、えぇ・・・・」////

ジャン「き、気に入らなかったら着けなくてもいいからな。細工は得意じゃねぇから大した出来じゃねぇし」フイ///////////

ありふれた意匠の花に、古い記憶が甦る。


~~~~ミカサ回想・幼少時の記憶~~~~
父「ミカサ、お誕生日おめでとう」
幼ミカサ「えへへ。ありがとう」//////////////
父「これは」ドン「お誕生日のお祝いだ」
幼ミカサ「いつも使ってる椅子が?」ポカン
父「ここをみてごらん?」


幼ミカサ「わぁ!お花が彫ってある!」

父「今日からこのお花の椅子はミカサ専用だよ?」

幼ミカサ「ほんとう?ありがとう!お父さん!」//////////

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ミカサ「・・・・いえ、とても良く出来てる」スッ「ありがとう」////

ジャン「っ!」カァ//////////////


斜め上を見ながら顔を人差し指で掻くのは、ジャンが照れた時にするしぐさだと、私はいつ気が付いたんだろう?

ジャン「・・・・こんなつまんねぇモンしか贈れなくて悪いな」/////////////

ミカサ「いいえ。誕生日を祝ってもらったのは・・・・久しぶりだから嬉しい」////「それにこの花、かわいい」////

ジャン「そ、そうか?」////////////テレッ


またやった。
着けなくてもいいとか、つまらないものだとか、ひねくれたことばかり言う癖に、ちょっとしたしぐさに本音がチラついて、少し可愛く見えてしまった。

コニー「おーい!ジャン!何してんだ!行くぞ!!」

ジャン「あ、あぁ!悪い!」/////「じゃ、俺森に行ってくる」////////

ミカサ「えぇ」///


シガンシナには誕生日を祝う習慣なんかなかった。だからエレンに誕生日を祝ってもらった事はない。けれどそれを悲しんだり不満に思った事もない。父が誕生日に贈り物をしてくれたのは多分、近くに誰も住んでいない山の中での生活を少しでも楽しくするために、特別に考えてくれた事なのだと思う。
そもそも今日自分の誕生日だという事も、朝目覚めた時に「ああ、今日で16歳か」と思った程度だ。けれどジャンに祝ってもらって、父から贈り物を貰った時の、飛び跳ねたくなるような嬉しい気持ちを思い出して、胸が暖かくなった気がした。

・・・・
・・・・・
・・・・・・
ジャンの誕生日は、4月だと言っていた。4月の何日だろう?






~~~~~クリスタの手紙~~~~~~

愛しいディルクへ

こんにちはディルク。すこし暖かくなってきましたね。果樹園の木々の蕾も膨らみ始めました。ディルクは元気ですか?私はとても元気です。あなたに会えないのがとても寂しいけど。
マレーネがすっかり元気になりました。毎日一生懸命身体を動かしています。昨日は森に行ってツリーハウスに自力で登り、フェリックスに冷や汗をかかせていました。私も久しぶりに登ったんだけど、ツリーハウスは今すごいことになってます。どうすごいかは今度来た時のお楽しみ。ハインリッヒとフェリックスが冬のうちに完成させると張り切っていて、後少しのところまで来ているんですって。もう少ししたら種まきの季節だけれど間に合うかな?

やっとシャルロッテとハインリッヒが付き合い始めました。始めた、と言ってもディルクが帰ってすぐ後からですけどね。本当にやっと、という感じ。まだなんとなく2人ともぎこちない感じですが、毎日楽しそうで羨ましいです。私も早くディルクに会いたいな。
 ハインリッヒが本格的にボリスを訓練し始めました。遠く離れたところからの指示もすんなり聞けるようになったし、馬を怖がることもなくそばに付いて走ります。すごく賢い子です。
 そうそう、ご近所に新しい人達が引っ越してきました。フェリックスとハインリッヒが様子を見に行きましたが、あまり悪い感じはしない人達で一安心だと言っていました。ご近所といっても少し距離があるので、今のところ関わりはほとんどありませんけどね。
 それではまた。お仕事無理しないで下さいね?

あなたに会いたくてたまらないフレイヤより






~~~~~アルミンの手紙~~~~~

愛するフレイヤへ
 愛しのフレイヤ。毎日君のことを考えています。君の綺麗な寝顔を見つめて柔らかな髪に指を絡めながら、君が目覚めるのを待ったあの朝のことが忘れられません。
 最近忙しくて、外の景色を眺める時間もあまりないくらいだけれど、君と一緒に、あの果樹園に咲き乱れるリンゴの花を眺められたらいいなと思います。
 忙しくてしばらく手紙のやりとりは出来そうにありません。ごめんね。
 フレイヤ、僕のフレイヤ。今すぐにでも会いに行きたいよ。
  ディルク

>>620
投下ミスりまくりでごめんね!!






―――――
クリスタ「・・・・・」フゥ・・・・///////

サシャ「・・・・・」ジ~~~~

クリスタ「・・・・・」ホウ・・・・///////

サシャ「・・・・・」ジ~~~~

クリスタ「・・・・・」//////ハッ!!「!!ちょ!やだっ!!」///////////

サシャ「これはこれは」ニマニマ


クリスタ「もう!勝手に見ないでよっ」////////////

サシャ「随分と情熱的なお手紙ですねぇ」ニマニマ

クリスタ「サシャったら!!」プンプン////////////


中庭からの賑やかな声に誘われて行って見ると、顔を真っ赤にしたクリスタがサシャ相手にお冠のようだった。
だが怒っているにしてはどうも迫力に欠けると思っていると、クリスタが握っている便箋が目に留まる。細かい折れ目から察するにアルミンの手紙だろう。
こりゃサシャが色恋がらみでクリスタをからかったんだな。そのうちコニーネタでこっぴどくやり返されるぞ、サシャのやつ。


ジャン「おう、なんだ盛り上がってるな?手紙だろ?アルミンなんだって?」ヒョイ

クリスタ「あっ!」

ジャン「おぉう・・・・こりゃ、アルミンのやつ・・・・」


足元でクリスタがピョンピョン飛び跳ねて、俺の手から手紙を奪い返そうと躍起になってるが、身長差がゆうに35センチはあるんだから無理ってもんだ。
意地悪くサシャに加勢してやろうかと思っていたが、ふと何かが引っかかった。


サシャ「ものすごく情熱的ですよねぇ。読んでるとドキドキしちゃいますよねぇ」///////

クリスタ「んもう!やめてったら!!」プリプリ//////////

コニー「お、なんだなんだ、俺にも見せてくれよ」ヒョイ「おぉ~、熱いねぇ」///////

クリスタ「ちょっと!!」////////////


さらにコニーが登場して、あっさり俺の手から手紙を抜き取るとサシャと2人してクリスタをからかい始めた。
思春期の多感な俺らには、少々刺激的すぎる内容なんだから仕方ないんだが・・・・


この話題は夕飯時まで続くかと思ったが、意外にもサシャとコニーは何も言わなかった。
ただ時々ニヤリと笑っては2人で目を合わせたり、クリスタをチラ見したりする。
クリスタの方はと言えば、そんな2人を拗ねたような顔で睨みつつも、散々からかわれた割にはそれほど嫌そうでもなかった。

だが。アルミンの手紙は、一見して情熱的な恋文だったんだが、俺にはどうしてもそれだけには見えなかった。何かが引っかかった。
いつものアルミンらしくない、そんな気がしてならなかった。
けれどもそれは、あまりにも根拠に欠けるただの勘でしかなく、顔を朱くして愛の言葉に酔うクリスタの気持ちに水を差すようで、口に出すことはどうにも憚られた。
考えたって、手にあるのはあの手紙だけで、それ以上のことは何も分からないんだが、すんなりベットに入る気にもならない。
それでみんなが部屋に入ってもまだ、1人で今の暖炉の火を睨んでいた。


カチャ

ミカサ「ジャン、まだ寝ないの?」

ジャン「あぁ、お前こそまだ起きてるのか?」

ミカサ「寝る前に柔軟やってたら、喉が渇いて」

ジャン「・・・・・なぁミカサ」

ミカサ ゴクゴク フゥ「なに?」


ジャン「アルミンの手紙、読んだか?」

ミカサ「・・・・・サシャが大騒ぎして見せてくれた」

ジャン「どう思った?」

ミカサ「情熱的な恋文。みんなで回し読みするようなものじゃない」

ジャン「・・・・・そうだな」


なるほど、と思う。
ミカサに窘められたんだろう。だから夕飯時、あの2人は大人しかったのか。


ミカサ「どうかした?」

ジャン「・・・・いや、なんか引っかかってよ」

ミカサ「手紙が?」

ジャン「あぁ。どうもアルミンらしくない気がしてな」


ミカサ「・・・・・少し、筆跡が乱れていたような気がするけど」

ジャン「何か余裕が感じられないっつうかよ・・・・」

ミカサ「そう・・・・?」

ジャン「どうもなぁ・・・・いや、ただの勘だ。忘れてくれ」ガタッ「そろそろ寝るわ。お前も早く寝ろよ?」

ミカサ「えぇ・・・・」

ジャン「無理すんな?」


ミカサ「何が?」

ジャン「訓練だよ。こんな夜中まで柔軟なんかやってると、寝不足になるぞ?」

ミカサ「・・・・気を付ける」

ジャン「おやすみ」

ミカサ「・・・・・おやすみ、ジャン」



俺の例えようのない、もやもやとした不安感と焦燥感は、いつまでも続いた。
レンギョウとかいう花が咲き、ミカサが俺の誕生日におかえしだと言って編紐を手首に巻いてくれるという嬉しい出来事があって、レンギョウが散りつくして地面を黄色く染めても、まだ消えなかった。
サシャじゃあるまいし、一体何がそんなに気になるっていうんだろう。
ただ最近毎日思い出す。誰のものとも分からない骨の燃えカスに誓ったあの日のことを。
アルミンは何を背負っているのか、どういう状況に置かれているのか、俺達には知りようもない。だが、知らないままでいいとも思えない。俺達は、知るべきなんじゃないのか?俺はあの日決めたはずだ。あそこで死んだ奴らに誓ったはずだ。なのに、今この状況はどうだ?
俺達はここで安穏とした生活に浸っているけれど、世界は変わらず悲惨で残酷で無情なままだ。そして多分、アルミンは今、そこにいる。






―――――
コニー「よぉっし!!これでどうだ!!」

ジャン「ふー。完成だな」

半年以上かけて作り上げたツリーハウス。いやもうハウスじゃねぇ。これは立派な基地だ。木と木の間に縦横に張り巡らせた渡り廊下。
まぁ廊下、なんて立派なもんじゃねぇんだが、立体機動を使わずに移動できるように板を巡らせて、あちこちから縄梯子をさげて、さらに板を渡せない距離がある場所には、上から垂らしたロープにぶら下がって向こう岸へ跳んで移動できるようにした。垂らしたロープには足をかける板もつけて安定感を増してる。これで腕力に劣る女子でも楽に跳べるし、片手に抜身の刃をもったままの移動も可能!!立体機動みてぇに自由に移動できるわけじゃねぇんだが、ガスの節約にはなるはずだ。これ見たらサシャ、喜ぶかな・・・・


コニー「これが俺達の樹上基地・・・・」シミジミ

ジャン「ここまで長かったな・・・・」シミジミ

コニー「まぁこれからも手を入れ続けるけどな!とりあえずはここで完成だ」

ジャン「もうちょっと頑張ったらここで生活できそうだよな」

ようやく完成した巨大樹の基地を眺めてたら、なんかワクワクしてきちまったぞ。サシャに見せる前にいっちょ試しとくっきゃねぇな!


コニー「なぁ、ちょっと試してみねぇ?」ニヤッ

ジャン「そうだな」ニヤッ「んじゃ、樹上戦闘訓練、やるか?」ニヤッ


タタタタタタタッ

コニー「ほっ」タッ ロープガシッ ヒュ「うひょ~!」ブラ~ン「とうっ!」スタッ

タタタタタッ


ジャン「よっ」タッ ロープガシッ ヒュ「おぉぉ~!」ビュ~ン「よっ」スタッ

コニー「・・・・これは」

ジャン「・・・・やべぇ」

コニー「面白すぎる!!」

ヤッホーイ ブラ~ン ヒャッホ~ ビュ~ン トリャア~ ブラ~ン ヒャッハ~ ビュ~ン
ヤベェ!アソビスギジャネェ?オレラ!!


チュンチュン チチチチ サワサワ

自分たちの作った基地を飛んで走って隅から隅まで遊び回って、最後にあの見張り台に登ったところで力尽きて、2人して倒れ込んだ。

自分で言うのもなんだが、オレらすげぇもん造ったぜ!!マジで楽しすぎる!!早くサシャに見せてぇ!!
つかコレ、立体機動使えないガキんちょでも、もっと低くすりゃ訓練がてら遊べるな。英才教育っての?できるんじゃねぇ?いや待て。高さがあっても下にアミ張っときゃ、落ちても大丈夫じゃねぇ?うん、良い案だ。だが相当デカいアミがいるぞ。だが子供が産まれてからここで遊べるようになるには何年もかかるからな。準備する時間はある。


・・・・
・・・・・
・・・・・・そもそもオレ、まだサシャとそういうことしてねぇし・・・・
いや、すんげぇしてぇんだけどさ・・・・なんかこう・・・・な・・・・アルミンが言った男の責任っての?あれが気になってよ・・・・
だけど正直どこまで我慢できるか分かんねぇ。ジャンの奴、よく我慢できたもんだぜ。

ジャン「なぁ、コニー」

コニー「なんだ?」

ジャン「シガンシナに行ってみないか?」


突然のジャンの言葉に、さっきまで考えてたちょっとエロいことが全部ふっとんだ。

コニー「はぁ?兵団のやつらに見つかったらどうすんだよ?」

ジャン「・・・・・お前と俺ならなんとかなるかと思うんだがな。お前は体格がかなり変わったから、よほど親しくしてたやつじゃねぇと気が付かねぇだろうし、俺も農民ぽい格好すりゃ平気かなって」

コニー「なんでそんなに行きてぇの?」

ジャン「・・・・・気になるんだよ」


コニー「ん?アルミンか?」

ジャン「あぁ」

コニー「でもそろそろアルミン来るんじゃねぇの?リンゴの花がどうとか書いてあったし。そろそろ花の時期だぜ?」

ジャン「まぁ、そうなんだが、でも手紙のやりとりも出来ない程忙しい奴が、こんなところまで来られるか?」

コニー「サムエルだけ来るとか?」

ジャン「来るとしても、どうしてもこの目で確認しておきてぇんだ。今のシガンシナを」


はは~ん。そうか、そういうことなのか。何がそんなに気になるのか知らねぇがジャンの奴、マリアの中をあちこち嗅ぎ回ってやがったな。
別にみんなに内緒にするこたぁねぇだろうによ。
まぁ、クリスタやミカサはあぶねぇってんで反対するかもしれねぇけどよ、現に何事もなかったわけだし。

コニー「・・・・まぁいいか。ミカサもそれなりに動けるようになったし、ちょっとオレらが留守にしても問題ないだろ。行くか」

ジャン「行こうぜ」






~~~~翌日~~~~

ジャン「そんなわけだから、ちょっと出かけてくる」

コニー「悪ぃが、留守頼むわ」

ミカサ「わざわざ行かなくても・・・・・」

クリスタ「本当に大丈夫なの?」


ジャン「中まで入りゃしねぇよ。ちょっと外から眺めるだけだ」

コニー「無理するつもりはねぇからよ」

ミカサ「・・・・・気を付けて」

サシャ「・・・・・」

コニー「心配ねぇよ。ボリスもいるんだし、なんかあったら基地に避難しときゃ大丈夫だからな?」手ギュッ

サシャ「・・・・・はい」


案の定3人ともいい顔はしなかった。特にサシャはずっと俯いて曇り顔だった。また何か不安になっちまってるんだろう。ここに来てから初めてだからな、こんなに離れんの。
だけど巨人が来たら基地に逃げればいいし、オレらも無茶する気はねぇ。もしジャンがシガンシナに入るとか言い出したら、オレは断固阻止するつもりだ。
サシャが少し心配だったけど、笑顔で手を振って出かけた。無事に戻って安心させてやればいいだけだし、最近ずっと一緒に居すぎてちょっとムラムラしてたんで、たまには少し離れるのもいいだろ。

戻ったらサシャに飛びつかれたりして。そしたらめいっぱい抱きしめてやんよ。んで・・・・
・・・・ニヤ
・・・・・ニヤニヤ
・・・・・・ニヤニヤニヤ ハッ
おっといけねぇ。妄想が暴走するとこだったぜ。




ドカッドカッドカッドカッ

ジャン「もうすぐシガンシナだな」

コニー「あぁ。壁があんなに近い」

ジャン「ん?」

コニー「おい、あれ?」

ジャン「誰か馬で来るな・・・・」

コニー「アルミン達かな?」


ジャン「あそこの木立に隠れるぞ!アルミン達じゃなかったら面倒だ」

コニー「おう」

ドドドドドド

コニー「おい!やっぱアルミンだ!おーーーーーい!!」

アルミン「!」ドカッドカッ「コニー!ジャン!」ハァハァ

サムエル「なんでこんなところにいるんだ!!!!」ハァハァ


アルミン「クリスタは?!」ハァハァ

コニー「家にいるけど?」

サムエル「一緒じゃないのか!!」ハァハァ

ジャン「どうしたんだよ?・・・・」オロッ

アルミン「早く戻って!!レイス卿が襲撃された!!」ハァハァ

ジャン「なにっ?!」


コニー「どういうことだ!?」

アルミン「道中説明するから!!」ハァハァ

サムエル「とにかく戻れ!!」ハァハァ

ジャン「くっそ!」ヒヒーン


ドドドドドドド

コニー「誰がレイス卿を襲ったんだ?」


サムエル「・・・・・・言っていいのか?」

アルミン「もう黙っているわけにはいかないよ、サムエル・・・・・僕らはシガンシナにいたんだ。シーナから伝令が来て」

ジャン「死んだのか?レイス卿は」

サムエル「あぁ。跡継ぎと一緒にね」

アルミン「多分次はクリスタが狙われる」

コニー「どういうことだ!?」


アルミンの説明は、オレをひどく混乱させた。
エレンとクリスタが親戚だってのはまだいい。言われてみりゃ、あいつら顔が似てるし。
だがクリスタにエレンみたいな能力の資格があるってどういうことだ?資格って何だよ?クリスタも巨人になれるのか?結晶化?巨人を呼び寄せたり操れるやつ?燃えるのか?怪我もあっという間に治せるのか?そもそも能力ってなんだよ?どれも普通に考えたら有り得ねぇことばっかなんだよ!
その能力が意味不明なのは置いといても、どうしてクリスタを狙うんだ?もし巨人を操れるとしたら、この世から巨人を駆逐できるってことだろ?マリアを取り戻せたのは、エレンがその力を持ってたおかげなんだし、クリスタも同じことが出来るってんなら、壁の外の巨人だってなんとかなるかもしれねぇのに。


アルミン「今回レイス卿を襲った連中の本当の狙いが、能力資格者の世継ぎの方だとしたら、次はクリスタだ」クッ

ジャン「サムエル」ギッ「お前も知ってたのかよ?」

サムエル「まぁね・・・」

ジャン「俺らだけ蚊帳の外か?そいつを知ってりゃ、今俺らがここにいることなんてなかったのによ!」

サムエル「悪かったよ」

コニー「今怒っても仕方ねぇよ!でもよ、居場所ばれてんのか?」


アルミン「もし、僕らが前から監視されて付けられてたら?北の村に移住してきた連中が、襲撃犯の一味だったら?その可能性は捨てきれないよ!」

サシャ、お前があんなに不安そうな顔してたのに、お前の勘は当たるって知ってたのに、なんで置いて来ちまったんだ・・・・・遠乗りだとか言って、弁当持ってみんなで出かけちまえば良かったんだ!!

ジャン「くっそ・・・・北の村には男だけでも15人居るぜ!!そいつらが全員敵だったら!」

コニー「前に見に行った時にはそれほど悪い奴らって感じでもなかったんだけどな・・・・」

アルミン「無事でいてくれ!!」

ドドドドドドド

めっちゃ楽しみ! 
アルミンサイド書いてください

期待

>>680
楽しみにしてもらえて嬉しいっ

今のところちょこちょこアルミンがかわいそうな目に会いそうな予感。
wordである程度下書き→見直して手を入れて投下、という流れで書いていて、今のお話は下書き上完結してます。
その続きもほんの少し書き出してますが、アルミンの話は下書きゼロなので、結構時間かかります・・・・





―――――
ミカサ「ジャンはどうして急にシガンシナに行くなんて言い出したんだろう・・・・」パンパン

クリスタ「ん~、分からないけど、私もちょっと行って見たいかな?今どんな風になってるのか興味あるかも」パンパン

ミカサ「・・・・・・」パチン

クリスタ「まだ気になる?外扉のこと」パチンパチン

ミカサ「・・・・・・少し」


クリスタ「・・・・・・さぁ、洗濯終わりっと。」

ミカサ「・・・・・・・」

クリスタ「・・・・・今日は良い天気ね」

ミカサ「・・・・・リンゴが花をつけてる」

クリスタ「そろそろアルミンが来てくれると思うんだ」ニッコリ


ミカサ「そうね」フッ「会いたい?」ニコ

クリスタ「もちろん!」ニコニコ

なぜでしょう。ものすごく嫌な感じがするんです。ミカサとクリスタがそばで楽しそうに話していて、ぬけるような青空が広がって、春の心地いい風が吹いて、足元には黄色いタンポポが揺れて。最高に気持ちの良い陽気なのに、こんなに嫌な感じがするなんて。なぜでしょう?
コニーと付き合って初めて離れるから?それで不安?・・・・いや違う、絶対に、何か違う・・・・

クリスタ「さて、私薬草摘みに行ってくるね!春は薬草になる植物がいっぱいあってすごく楽しい!」

ミカサ「掃除は私がする」


サシャ「待って下さい、ミカサ」

ミカサ「なに?」

サシャ「あの・・・・よかったら私達もクリスタと一緒に行きませんか?」

ミカサ「でも掃除が・・・・」

サシャ「大丈夫ですよ!後で私がやりますから!」

ミカサ「・・・・そう?」


サシャ「みんなで薬草摘み、行きましょうよ!また巨人が出ないとも限りませんし!」

ミカサ「今日はみんなちゃんと立体機動装備してる。なので心配ないと思うけど?」

クリスタ「・・・・サシャ?何かあるなら言って?」

サシャ「いえ・・・・その・・・・別にこれと言ってないんですけど・・・・ただなんとなく・・・・嫌な感じがして、離れたくないというか・・・・」

ミカサ「・・・・・勘?」

サシャ「・・・・はい」


クリスタ「なにがそんなに嫌なの?」

サシャ「わかりません・・・・」

クリスタ「う~ん・・・・」

ミカサ「サシャの勘は当たる」

クリスタ「じゃあ、天気も良いしみんなで散歩ついでに行く?」

ミカサ「そうしよう」


ワンッ 尻尾フリフリ

クリスタ「ふふっ。ボリスも来るみたい」


サワサワ チュンチュン チチチチチ 

クリスタ「ん~、良い気持ち・・・・」

ミカサ「ジャケットが少し暑いくらい」


クリスタ「ほんとねー。あっ!見て!あそこのリンゴの枝に花が」

ミカサ「あぁ、咲いてる。そこにも」

クリスタ「綺麗ね。・・・・・ねぇミカサ?アルミンって、リンゴが好きなの?」

ミカサ「・・・・開拓地に居た時、宿舎の近くにリンゴが一本生えてた。実が小さくて不味かったので観賞用だったと思うけど、真っ赤で綺麗だった」

クリスタ「・・・・・」

ミカサ「アルミンはリンゴの花が咲くと、今年も実が生ると言って楽しみにしていた。だ

から好きだと思う」

クリスタ「そうなの・・・・それじゃあ、もしかしたらここへリンゴの花が咲く頃に来るって言う意味じゃなかったのかな・・・・」


絶対に3人一緒に居たい、そう思ってクリスタについて来たんですけど・・・・嫌な予感は増すばかりです。ミカサとクリスタはリンゴとアルミンの話題に夢中ですけど、私はどうしてもそれに参加する気にはなれません。
果樹園の端を3人で歩いていると、ふいに果樹園とは反対の、雑木林に目が行きました。
ブナやニレ、ナラの低い林で、所々下生えが腰のあたりまで茂る、少しだけ暗いその場所。その暗さが、不安を増長するようで・・・・・あれ?今・・・・風もないのに、あそこだけ揺れたような・・・・・?

サシャ「・・・・・ミカサ、あの、今・・・・あっちの方で・・・・」


ワンッワンワンッ!!!

サシャ「!!」ビクッ

クリスタ「どうしたの?ボリス?」

ミカサ「!」ハッ「待って・・・・誰かいる」

あぁ・・・・やっぱり・・・・私・・・・もっと自分の予感を信じるべきでした・・・・


クリスタ「なに?巨人?!」ビクッ

ミカサ「違う・・・・・」

ワンワンワンッ

ミカサ「・・・・・・・いるのは分かってる。出てきて」

ガサガサガサ

ワンワンワンワン!!


クリスタ「・・・・・なに」ブルッ

サシャ「・・・・・・」アセダラダラ

果樹園の脇にうっそうと茂る雑木林の中、そのあちらこちらから、草木をかき分け枝を踏み折る音が聞こえてきました。あちらの木の影、こちらの下生え、そちらの茨の向こうから続々と出てきたのは、手に手に刃物を持った男達・・・・

男1「おい、全員立体機動装備してるぜ」

男2「どいつだ?」


男3「そこの金髪」クイ

男4「ふぅん?全部殺っちまうのか?」

男5「生かしとくわけにはいかねぇだろ?」

男6「もったいねぇ。上玉ぞろいじゃねぇか」

男7「高く売れそうなのにな」

男8「殺るのは味見してからでも良いんじゃねぇ?」


男9「バカか。こいつら兵士だぞ?」

男10「全員武装してるんじゃ面倒じゃねぇか」

クリスタ「・・・・私が目的なのね」

ミカサ「・・・・・・これなの?サシャの悪い予感」

サシャ「これ以上あったら嫌です・・・・ミカサ、動けますか?」

ミカサ「巨人でなくて良かった。立体機動もあるし多分大丈夫」


クリスタ「ミカサ、サシャごめんね・・・・でも!」ジャキン「私が守るから!」

叫ぶように「守る」と言った小さなクリスタが、男達と私達の間に立ちふさがって刃を構え、視界の端で、ミカサもすらりと刃を抜き去りました。
私は、ただ・・・・ただ恐ろしくて・・・・膝が震えて・・・・人間を相手に戦うなんて・・・・

ガサガサ

男11「おぉ?随分と勇ましいねぇ。ガキみてぇなナリしてるがさすが兵士だねぇ」

クリスタ「!」


私達の後ろから、また男が・・・・あぁ・・・・これ以上はもう・・・・無理です・・・・

男12「馬が2頭いない」
男13「小僧どもが出かけてるのは間違いないな」
男14「てことは」
男15「お嬢ちゃんたちだけってことだ」
ミカサ「チッ・・・・・」

>>1

この先流血&非情なアルミンがいます。苦手な方はスルーして下さい






―――――
馬がつぶれるかもしれない。そんな勢いで飛ばして家を目指す。
基地のある森がうっすら目視できる距離まで来ると、もう焦る気持ちを抑えることが難しい。

ジャン「コニー!サムエル!基地を見てきてくれ!!」

コニー「わかった!ジャン!気を付けろよ!」

アルミン「君らもね!銃を持ってたら厄介だ!!」



バンッ

アルミン「クリスタ!!」

ジャン「ミカサ!!」

汗にまみれて泡立つ馬を繋ぎもせずに家の中へ飛び込んだ。最悪の事態を想像していた俺達を迎えたのは、穏やかな静けさだった。


片付けられ拭き清められたテーブル。
台所にはいつも通りに洗われて伏せられた食器と調理器具。
それぞれの部屋の寝具は綺麗に整えられて乱れた様子はない。
1階から3階までくまなく見て回って異常のないことを確認し中庭に出てみる。
紫の藤を背に翻る洗濯物。井戸端に立て掛けられた、たらいと洗濯板。

乱れも血痕もない、いつも通りの、けれど人気の無い、静かな静かな我が家。
その静寂が、恐ろしく心地悪い。


家に誰もいないことを確認すると、燻製小屋と家畜小屋、それに全く使っていない2軒の家も見て回る。以前の住人が逃げ出した時のまま放置された家は、埃と蜘蛛の巣にまみれて恐怖感を増長させたが、その積もり積もった埃に一点の乱れもないことを見てとって、少し気持ちが和らいだ瞬間、轟いた馬蹄に心臓を掴まれて咄嗟に壁際に身を隠す。

コニー「ジャン!!どこだ!!」

バンッ

ジャン「ここだ!!」

コニーの声に安心して埃っぽい家から飛び出る。


コニー「いたか!?」

ジャン「家ん中にはいねぇ!」

サムエル「基地もカラだ」

ジャン「くっそ!どこにいるんだよ・・・・」

コニー「天気が良いから出かけてるのか・・・」

アルミン「馬が馬房にいるから遠くには行ってないと思うんだけど・・・・」


そう言ったアルミンはクリスタの馬に跨って、ミカサの馬の手綱を投げてよこした。俺の馬は、と馬小屋に目をやると小屋の前にある水場でアルミンの馬と並んで水をがぶ飲みしている。あの2頭は今日はもう走れないだろう。

コニー「いやまて、行き先がどこだろうとボリスがクリスタにくっついて行ってるはずだ!ボリス!!」口笛ピュイッピュイッ

ジャン「応えてくれよボリス・・・・」

コニー「近くに居てくれれば・・・・ボリス!!」ピュイッピュイッ


・・・・ワンワンワンワン

コニー「果樹園だ!南西の端!」

ジャン「行くぞ!!」


どうする?もし襲撃されていたら?殺し屋がクリスタを狙って来ていたら?あいつらも兵士なんだ、そう簡単にはやられないだろう・・・・・だが、ミカサはまだ充分に戦えないはずだ・・・・襲撃前に合流できれば一緒に戦える。早く見つけねぇと・・・・

・・・・
・・・・・
・・・・・・それで、どうするんだ?そいつらを・・・・・捕えて憲兵に引き渡せばいいのか?それとも団長に?
・・・・・いや、殺す気で来てるんだ。しかもそれを生業にしてる連中だとしたら、そう簡単に生け捕りに出来るとも思えない。どうすればいい・・・・?






――――
細くて低い木ばかりの雑木林と果樹園では、立体機動装置は使い物にならない。
対巨人用の長いブレードは、軽く振り回しただけで枝を引っ掻けてしまう。素早く振って切り落とせればいいけれど、柔らかくしなる刃は速度が無ければ少し太い枝だと噛んでしまって身動き取れなくなる。
15人もの男に囲まれては、存分に動けそうな場所に移動することもままならない。わずかなスキを見つけて走り出そうにも、低い枝が目を打つ。腰をかがめて走れば抜けられるだろうけど、今の私にはその体制でこれだけの敵を振り切る走力は期待できない。


一方相手は、大男からすばしっこそうなチビまで数が居て、手に持つのは鉈やナイフ。この場所に最も適した得物。
自分たちの圧倒的優位性を自覚しているからだろう。にやにやと余裕の笑みを浮かべているものさえいる。

真横のサシャはすっかり青褪めて立ち尽くしている。刃を抜く余裕もないらしい。人間が相手なんて初めての事なんだから仕方ないのかもしれない。
ボリスは尻尾を巻いて私たちの間を落ち着きなくウロウロしていて、戦力としてはアテにできない雰囲気。こちらも人間相手では吠えるくらいしか出来ないようだ。大きな犬なのに。


ざ、と背後の男が踏み出した瞬間、きらりと金髪を翻して風のようにクリスタが目の前を走り抜けた。
驚く男が振り上げた鉈を持つ腕を逆手で切り落とし、そのまま回転をかけて刃を一閃。次の瞬間首を失った男が鮮血を吹き上げながらぐらりと傾いで血の雨が降る中、1人目が倒れるよりも早く間近の男をもう一人血祭りにあげて、我に返った3人目の幅の広いナイフに刃を弾かれて飛びのき、ふっと体を沈めて足を切る。男の凄まじい悲鳴が響いた。

小さくて可愛くて、どうしても非力にしか見えないクリスタの、思わぬ攻撃に思考が止まる男の1人に体を屈めて走り寄って、さ、と刃を走らせる。
男達にとって想定外のこの事態。奴らが立ち直る前に、1人でも多く倒さなくては!


クリスタが動き始めてからわずか数秒の間に3本目の血しぶきが上がって、クリスタが4人目に襲い掛かり、私が2人目に走り寄った時に、男の1人が大声を上げた。

男1「おい!!てめぇら!!なにぼやっとしてやがる!!殺せ!!」

血しぶきを全身に浴びたクリスタが、果樹の枝をすり抜けて舞う。
敵は後10人。




ハァハァハァハァ

クリスタ「・・・・」ハァハァハァハァ(サシャ!サシャはどこ?!・・・私がなんとかしないと!)

ミカサ「・・・・・・」ハァッハァッハァッ(刃が重い・・・・眩暈が・・・・これ以上は・・・・)

男1「くっそ・・・・こいつら」ゼーゼー

男2「手こずらせやがって・・・・」ゼーゼー

男3「よくも仲間を殺りやがったな!!」ゼーゼー


男9「足がぁぁぁぁ!!いてぇよぉぉぉぉ!!」ゴロゴロ

男10~15「」チーン

男4「こりゃあ簡単には殺れねぇな」ゼーゼー

男5「あれっぱかしの金じゃ割に合わねぇ」ゼーゼー

不意打ちから立ち直った男達は、さすがに簡単には倒せなかった。
身軽さと小柄な体格を生かして戦うクリスタも、戦いが長引けば跳躍力を失う。
大事な時に、思ったように動けない自分の体が恨めしい。いくら長身がアダになってると言っても、こんな連中に囲まれて防戦一方だなんて・・・・
クリスタと背中を合わせて互いを守る。動き回るには邪魔な長いブレードも、防御には役立っている。それでも一体どこまで持ちこたえられるか・・・・


それよりも、乱戦の最中はぐれたサシャはどうなっただろう?サシャは最後まで刃を抜かなかった。男達が私とサシャの間に割って入って、サシャが走り出した時も、手には何も持っていなかった。

膠着状態の中、時々吠える以外は尻尾を股に挟んでキュンキュンと情けない声を出していたボリスが、急に尻尾を上げて吠え始めた。
ワンワンワンワン!!

男1「うるせぇ犬だな!!」ケリッ!ガッ キャイン!

クリスタ「ボリス!!」ギラッ「このぉ!!」ビュッ ガキン!!

男1「ふん!!」


クリスタの刃がナイフで弾き返され、体ごと飛ばされる。倒れたクリスタに襲い掛かろうとした男がもう一方の刃で腹を裂かれる。

男1「ぐぁぁぁ!!」

クリスタ「あぁっ!!」

倒れざまにクリスタの腕を男のナイフがかすめた。ジャケットの左袖から、鮮血が滴る。

クリスタ「ぁ・・・ハァッ」

私がクリスタの怪我に気を取られた次の瞬間・・・・
男2~5「囲み潰せ!!おりゃりゃりゃりゃ!!」

ミカクリ「!」


アルミン「クリスタぁっ!!」ザシュッ

男2「はぶっ」チーン

アルミン「ふっ!!」ザシュ

男3「あべしっ」チーン

サムエル「ふんっ!!」ダンッ ザシュッ

男4「げぶっ」チーン


アルミン「はぁっ!!」ドッ ビュッ ザシュッ

男5「おうっ」チーン

雑木林から飛び出してきたのはアルミンだった。素早く走り寄って何の躊躇いもなくあっという間に男達を切り倒していく。
アルミンに続いて現れた長身のサムエルは、避けることなく果樹の枝ごと敵の首を切り飛ばした。


クリスタ「アルミン・・・・・」クタッ

アルミン「クリスタ!遅くなってごめん!!腕が!!」ギュッ

ミカサ「・・・・」ヨロッ

ジャン「ミカサっ!!」ガシッ「大丈夫か!その血は?!怪我はないか?!」

アルミンとジャンの顔を見て、ひどく安堵する。
張りつめていた緊張の糸が途切れて、体中からすとんと力が抜けるのを感じた。


クリスタ「私達は大丈夫よ!でもサシャが!!」ハァハァ

コニー「どうした!?サシャはどこだ!!」

クリスタ「こいつらに襲われて」ハァハァ「戦ってるうちにはぐれたの!」ハァハァ

ミカサ「向こうの方に走っていくのを見た」ハァッハァッ

コニー「くっそ!!」ダッ

サムエル「コニー!待て!!1人で行くな!!」ダッ


アルミン「サムエル!!頼む!!」

サムエル「任せてくれ!!」

ジャン「何人だ?何人サシャを追って行った?」

ミカサ「3人」ハァッ「3人行った」ハァッハァッ

アルミン「僕らも行こう!ミカサ!クリスタ!大丈夫?走れる?」

何かがNGらしくて書き込みできません。一体何がダメなのか分からない・・・・

この先どんどんきわどくなるんだけど・・・・


クリスタ「待って」ハァ「もう足に力が・・・・」クタ

ミカサ「・・・・・」膝ガクガク

へたり込んだ体を、もう一度動かそうとして、すでに筋肉が限界を超えている事に気が付いた。これしきの事で、どうして・・・・・
悔しさで一杯になる。チンケなゴロツキだった。兵士でもない相手に、遅れをとった。全部、倒せなかった・・・・

ジャン「2人とも走れそうにねぇぞ、アルミン」

アルミン「・・・・そうだね」


抱きかかえていたクリスタをそっと放して立ち上がったアルミンの顔を見て、ギクリとする。
綺麗にすら見える、表情を殺した、何かを決心した時によく見せる、アルミンのその顔。

アルミン「それじゃぁ、先にこっちを片付けようか」ザッ

アルミンの視線の先には、腹を裂かれて呻く男と、脚の骨を露出させて細く悲鳴を上げる男と、最中に刃を背負ったまま逃げようともがく男。


アルミン「ジャン、悪いけど、クリスタとミカサを向こうへ連れて行って休ませてくれるかい?」

ジャン「・・・・アルミン・・・・何をするつもりだ?」

アルミン「頼むよ、ジャン」チラリ

ジャン「!」ゾワッ

ミカサ「・・・・・クリスタ、ボリスが痛がってる。診てあげないと」

クリスタ「え?えぇ・・・・」

NGワード判明しました

こもの(漢字)でした。なぜこれがNGなのか・・・・・

この先がちょっと心配です。あんまりNGが多かったらお引越ししちゃうかもしれません

たまによく分からないNGあるよね。
でぃーぶいでぃーもアルファベットだとダメだしね。多分、でぃーぶいに反応しているんだろうけど。

>>725
もう見つけるのが大変で、これからエグイ展開になるのにどうしよう!!と思ってました。
後で投下するけど、引っかからないか心配・・・・

そんなわけで

以下 エ・ロ 有 閲覧注意!!

捏造キャラが可哀想です。下種な男がいっぱい出てきます。苦手な方は回避してください。
後うっかり間違って死んだことになってる男15はまだ生きてます。非常に可哀想です。






――――
てめぇらに仕事をやる。
そう頭に言われて、助かったと思った。

標的の娘があんまり好みだったんでつい手が出ちまったのは前回の仕事の時。
年の頃は20歳かそこら。お育ちの良い色白で大人しそうなお嬢様、その癖チチや尻は自己主張の激しい、ようは刺激的な体の娘だった。

その日、標的は家族と少数の護衛を連れてシーナの別荘に来ていた。
別荘だから召使の数も少ないが、翌日にはその別荘で夜会を開く。朝には夜会用の食材や装飾道具を持った召使が大勢来る事になってるから、前日の夜中の内に全部始末しろ。そういう命令だった。

が、オレ達の侵入に気付かず、夜着の胸元をちょっとはだけて眠るその娘を見たとたん、こりゃもったいねぇと思った。ちょいと楽しませて貰ってもバチは当たらねぇよな。仕事の時にはいつも組んでる男7と男8の2人を見ると、どうやらこいつらも同じ事を考えていたらしい。

それで3人で娘を抑え込み夜着を引き裂いた。娘はただ震えるだけで悲鳴を上げる事すらしなかった。ほとんど無抵抗の娘を一通り犯すと、男8が娘の両腕を縛り上げた。

男7「おい、まだやるのかよ」

一度で満足したらしい男7に止められたが、まだまだ物足りない男8は、震える娘を立たせて縛った腕を掴んで後ろから攻め立てた。その姿に興奮してオレも参加する。
そうやって前から後ろから、天蓋から吊るして下から上からやりたい放題楽しんだ。
標的やその周辺に居た女をやるなんて数えた事もないくらい当たり前の事だったんだが、この日のオレ達はちょっと違った。
この娘は顔も体も良かったがなんといっても、普段のオレ達ならどう足掻いたって手の届かない高嶺の花を好きにできる、という状況が興奮に拍車をかけた。
呆れた男7が出て行って止める者がいなくなると、男8は益々いきり立った。あらかた満足したオレも、扇情的な娘の痴態を前に場を離れる気になれず、ちょくちょく嬲っては遊んだ。

時間を忘れて耽っていると、時々喘ぐ以外ほとんど無言で涙を流すだけだった娘が急に「あ」と小さく声をあげた。


男7「おい。いつまでやってやがる!」

男1「てめぇらいい加減にしろ!!戻って来ねぇと思ったらこんなとこで遊んでやがって!!」

天蓋から吊るされ、男8に跨って突かれていた娘が、ぐったりと頭を垂れた。その背中に突き立ったナイフを、男1が抜き取ると、正確に心臓を貫いていたのだろう、傷口から血しぶきが上がった。

男8「おい何すんだ!後ちょっとだったのによ!」

男7「バカ野郎!!もうすぐ夜明けだぞ!!」

男1「さっさとその汚ねぇもんしまえ!!ズラかるぞ!!」

大慌てで屋敷から飛び出したが、その時には遅かった。積荷を積んだ馬車が護衛と一緒に目前まで来ていて、オレ達の姿を見咎めた護衛に散々追い回された。仲間が1人殺され、もう1人が捕まったもんだから、後で頭が腕利きを口封じに差し向けなきゃならなくなった。

それでオレ達は干された。オレと男8は正直片付けられてもおかしくなかったんだが生かされた。どういう事か、一体どんなキツイ仕置きが待ってるのかとビビりまくってるところに来た仕事が、コレだった。

頭「標的は金髪の娘だ。後は好きにしろ。ただし絶対に逃がすな。殺せ」

巨人がウロチョロしてるようなとこに行くなんてまっぴらだ!!仲間はオレ達のせいだと怒りまくったが、いざ来てみると巨人なんか影も形もありゃしねぇ。どうやら役立たずの調査兵団も、今回はキッチリ仕事をしたらしい。

農民のフリして畑を作って、家畜の面倒をみる。賭場も酒場もないんじゃつまらねぇが、頭が仲間の女を連れて行く事を許してくれたんで、そっち方面には不自由しなかった。夜には仲間内で飲んで抱いて掛札で遊ぶ。時々標的の仲間のガキが忍び込んでるようだったが、その内に来なくなった。


一応面を確認しとくか、ってんで、こっちも奴らの縄張りに忍び込んだ。そこで見た栗毛の牝馬の可愛い顔と美味そうな体に、一目で惚れ込んだ。
標的の金髪も、まぁ可愛い。チビの割に出るところはきっちり出てるし。だがあんまり体の小さい女ってのは、たいがいアソコも小さい。それがイイってんで好む奴もいるが、オレはこっちのブツも痛くなるんで好きじゃねぇ。
黒髪の方は、顔は美人なんだが病み上がりらしく、どうも体が貧弱でいけねぇ。
それでオレらの標的は栗毛に決まった。

頭からの合図を待って、慎重に奴らの縄張りに入り込む。斥候からどうもガキ共が出かけたようだと聞いて安心した。ちょくちょく立体機動装置を付けてる奴らを見かけてたんで、ガキとはいえ男がいるのは厄介だ。こっちは数がいるから、武器をチラつかせて囲んじまえば、訓練兵団出たてのヒョッコなんざ軽くあしらえる。ましてや普段巨人ばっかり相手にしてる奴らの事だから、人間相手じゃ動けやしねぇ。娘ばかりじゃなおの事。オレ達は経験からそう踏んだ。

ところがどうした。一番チビで度胸のなさそうな金髪の、迷いのない動き。あっという間に仲間を切り殺しやがった。黒髪の方も、とても病み上がりとは思えねぇ動きで襲い掛かって来た。
オレの標的の栗毛、こいつは前の偵察の時にガキ共と組手してるのを見て、かなり動きが良かったんで、仲間達から一番警戒されてたんだが、武器を手に取る事も出来ずにブルブル震えてやがった。こりゃ好都合。金髪と黒髪は仲間に任せて、栗毛を切り離しにかかる。

サシャ「!!」ダッ

ミカサ「サシャ!!離れないで!!」

わざと作った囲みの切れ目。獲物は簡単にかかった。
男7と男8の3人で追い回し、果樹園から雑木林の中へ誘い込む。

サシャ「・・・・」ハァハァハァハァ

男6「こりゃえれぇ手がかかるぜ」ジリジリ

男7「だがここまでだ」ジリジリ

男8「勝ち目はないぜ?」ジリジリ

サシャ「・・・・」ハァハァハァ


古木を背に逃げ道を失った可愛い牝馬。首筋を伝って鎖骨へ流れる汗がたまらねぇ。ここらでキメるか。
大仰に武器を振り上げて襲い掛かかってみせる。恐怖で正気を失った牝馬はアッサリ罠にかかった。

男6「おらららっ」ダンッ

サシャ「!」タッ

男7「そうは!」ドンッ

サシャ「うッ・・・・」ドサッ

男7「いかねぇぜ?」ニヤリ

男7に頭を殴られ、獲物は落ちた。

男7「やっと大人しくなりやがった」ニヤリ

男8「うほほ~。うまそうだなぁ、えぇ?おい」ジュルリ ツンッ

サシャ「・・・・」ゴロリ

男6「おねむの間に」スルッ「これで身動きとれないようにしましょうねぇ?」

男7「ロープか、用意がいいな?」

男8「へへっさすが男6だぜ」ジュルッ

男6「いやぁ、偵察の時にこいつはやらなきゃ損だと思ってな」両手グルグル「おい、手伝えよ」

男7「おう」両足グルグル


両腕を縛り上げ、近場の木に括り付ける。普通の娘ならこれで完了だが、こいつは兵士だ。念の為足も縛っとく。膝を曲げて立たせ、足首を太腿に付けてグルグル巻きにしてやる。これで蹴り飛ばされる心配はねぇだろう。

男8「おい、脱がしてから縛った方がいいんじゃねぇか?」

男6「構やしねぇよ。服はナイフで裂けばいいだろ」

男7「このベルト付けたままか。クるぜ」

男8「ぐふふっ。そう言われてみれば・・・・・」ジュル

サシャ「・・・・・うっ」

男6「おっと、お姫様、お早いお目覚めで」ガシッ

サシャ「はっ!なに!?」ジタバタ

男7「暴れても無駄だぜ!」ガシッ

男6「大人しくしてりゃ痛くしねぇよぉ?」ガシッ

男8「へっへっへっ」モミッ「おぉ~、こりゃよ~く育ってんな?」ジュルジュル

サシャ「!!いやっ!!」ジタバタ

男6「おい!なに勝手に手ぇつけてんだ?お前は何にもしてねぇんだから最後だろ?」

男8「服の上からなんだからいいじゃねぇか。ケチくせぇこと言うなよ?」モミモミ

サシャ「うっ!触るなぁっ!」ジタバタ

男7「おぉ?こいつ良い匂いだなぁ」サシャの首元スンスン~石鹸の香り~

サシャ「ひっ」

男6「どれどれ」スンスン「ほぉ?こいつは・・・ここの香りはどうかなぁ?」ニヤニヤ 股間サワッ


栗毛はまるで富豪の娘のように清潔で良い匂いがした。こいつらのアジトには風呂があってしょっちゅう入ってるらしいというのは聞いていたが、本当だったらしい。こりゃあソソられるぜ。

サシャ「ひぃっ!いやぁっ!!コニー!!」ジタバタ

男8「俺にも嗅がせろよ?」シャツビッ

男8がシャツを引き裂いた。ベルトと下着に抑えられて窮屈そうに盛り上がった谷間が覗く。このベルト最高だぜ。兵団の女、クセになりそうだ。

サシャ「やだ!やだ!いやだ!!」ジタバタ

男8「どれどれ?」スンスン「おぉぉぉ!こんなごちそう滅多にないぜ?」谷間ペロッ

サシャ「いやぁぁぁぁーーーーー!!」ジタバタ

男6「ちょ、お前いい加減にしろよ。後だって言ってんだろ」

男7「オレらが先だっての」

下着の中に手をすべり込ませて汗ばんだ柔らかいものを直に揉みしだく。やっぱり若い娘の若い肌ってのは最高だ。

サシャ「いやだぁぁ!!コニー!!コニィィィィー!!」ジタバタ

ドドドドドドドド

男6~8「なんだ!?」

サシャ「!」

コニー「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」ビュッ ザシュッ ザシュ


邪魔は入らないと思っていた。それですっかり油断していた。こんなに近くに来るまで、馬に気が付かないなんて、オレ達も焼きが回ったもんだぜ。
ガキがこんなに早く戻ってくるなんてな・・・・

男6「おぶっ」チーン

男7「ぶぼっ」チーン

コニー「サシャに」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

男8「ひぃぃぃぃぃ」ガクガクブルブル

コニー「何しやがる!!」ドォッ ザシュッ

男8「ひでぶっ」チーン

サムエル(ここまでオレの出番ナシッ!!)

コニー「サシャ!!」ダッ「大丈夫か!!」

サシャ「コニー・・・・・」フラッ

コニー「サシャ!」ガシッ「しっかりしろ!サシャ!」ガクガク

サシャ「・・・・・」キゼツ

あぁ、ごめんなさい。
サシャも可哀想だって言うの忘れてた・・・・・サシャごめんね






――――
人間を怖いと思った事はほとんどない。教官や上官はもちろん怖かったが、その怖さは『畏怖』だったと思う。
だが、この時アルミンに感じた恐怖、これをなんと表現したらいいのだろう。こんな得体のしれない足が竦むような恐怖を、同期の、しかもこんな女みたいな綺麗な顔した奴に感じるなんて思ってもみなかった。

アルミン「さて・・・・こっちの人はちょっと助からないね。ほら見て」グィ

男15「ひっ」

アルミン「ねぇ?内臓が出てきちゃってる。助からないのは間違いないけど、すぐに楽になれる訳でもなさそうだね?そう思わないかい?ほら、もっとよく見て」グイグイ

男15「・・・・」ガクガク

アルミン「ね、可哀想だね?このまま苦しみながら、一体どれだけ生きるだろうね?何時間?それとも何日かな?それにほら、こっちの」グィ

男15「うぐっ」

アルミン「こっちの彼、ほら、太腿ざっくり切れて骨が見えちゃってる。この出血量、多分動脈が切れてるね。ほらほら、見てよ」グイグイ

男15「ぐ・・・・はぁ・・・・」

アルミン「出血多量で死ぬのと内臓はみ出して死ぬの、どっちが楽だろうね?君はどう思う?」ニッコリ

男15「ひっ・・・・」ビクビク

アルミン「君は・・・・背中に刃が刺さってるね。この幅広の刃をこんな風に突き刺すなんて普通は出来ないよ。何しろ巨人の項を削ぐ目的で作られたものだからね。刺すのには向いてないんだ。これは見事だなぁ。黒髪の女の子だろ?やったの」ニコニコ

男15「・・・・」ブルブル

アルミン「もう、さっきから僕1人で喋ってるじゃないか。つまらないよ。質問くらい答えてくれてもいいんじゃない?」刃グリッ

男15「ぎゃぁぁぁ!!」

アルミン「ね、これ黒髪の子だろ?刺したの」ニコニコ

男15「ははははは、はいっ」ガクガク

アルミン「やっぱりねぇ。さすがだなぁ。こういうのを才能っていうんだ、きっと。僕にも戦闘の才能があったらいいな、って思ってたんだけどね、最近別の才能に気が付いたんだ。知りたいかい」ニコニコ

男15「はははは、はいっ」ガクガク

アルミン「嬉しいな。」ニッコリ「それはね、目的の為なら」ズイ「人間性をも捨て去れるっていう才能だよ」刃グリッグリッ

男15「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!」

アルミン「あぁ、ごめん。やりすぎたね。痛かった?」ニコニコ

男15「ハァッハァッ」ビクビクッ

アルミン「君のこの怪我なら、刃を短く折って早く医者に診て貰えば助かるよ?他の人は助からないけど、君は生きられる」ニコニコ

男15「ハァッ・・・・」ブルブル


アルミン「でも、その為には協力してもらわなきゃ、ね?」ニコニコ

男15「・・・・」ブルブル

アルミン「誰に雇われた?」ズイ真顔

男15「し・・・・知らねぇ」ブルブル

アルミン「・・・・・はぁ」刃ガシッ「それは困ったな」グリッ

男15「ぎゃぁぁ!!」ビクビク「ホントだ!!ホントにオレは知らねぇんだ!!」ビクビク

アルミン「へぇ?じゃあ誰が知ってるんだい?」グリッ

男15「ぎゃぁぁ!!」ハァハァ「そこのっ腹切られたやつっ」ハァハァ「そいつが」ブルブル

アルミン「そっか。じゃこっちの彼に聞いてみるよ。ありがとう」ニッコリ「でもまともに口聞けるかな?」フム

男15「はぁはぁ・・・・・」ガクガク

アルミン「さて、と。ねぇ?君、まだ喋れるかな?」

男1「・・・・・ク・ソ・・・く・らえ」

アルミン「良かったぁ。まだもうちょっとお話できそうだね?」ニコニコ

男1「・・・・・」

アルミン「さぁ、教えて貰おうか?雇い主は誰?」ズイ

男1「・・・・・ガキが・・・・・い・きがって・・んじゃ・ねぇ」

アルミン「ふぅ・・・困ったな。協力して貰えそうにないね?この人あんまり持ちそうにないし、体に聞いても意味なさそうだしなぁ。この辺痛い?」グチャ

男1「・・・ナメ・・・ん・な・・・」

男15「ひぃっ」ガクガク

アルミン「やっぱり。もう痛みも感じないんじゃ、どうしようもないね」ズルズル

男1「ごっ・・・・ごほっ」チーン

男15「ひぃぃぃぃぃ」ガクガク ジョボ・・・・

アルミン「ねぇ。そこの君、本当に何も知らないの?」ドサッビチャビチャ

男15「ほっ本当だ!!本当なんだよ!!分かってくれよ!!オレは何にも知らねぇ!!仕事はいつも頭から貰うんだ!!だから依頼主の事は頭しか知らねぇ!!そ、そいつは古参だし頭が可愛がってるから、ちょっとは知ってるかもしれねぇけど!オレは下っ端なんだよ!!新参者なんだ!!知らねぇんだ!!」ガクガクブルブル

アルミン「ふぅん?そうなんだ。で、頭って?」

男15「シーナの、地下組織の頭だ。ヤバイ仕事専門の」ガクガクブルブル

アルミン「シーナの地下組織って一杯あるじゃない。どこの誰?」ニッコリ

身の毛もよだつ手段で、その頭とやらの名前と組織名を聞き出したアルミンはあっさりと男を殺した。足を切られた男は、いつの間にか絶命していた。
俺は、こみ上げる吐き気を堪えながら、目を反らそうとする自分と必死に戦っていた。

これだったんだ。俺が知りたかった現実。アルミンが背負ったもの。アルミンの世界。俺が感じた違和感の、正体がこれだった。


アルミン「・・・・・ジャン」

俺に背を向けて、男の服で血まみれの手を拭き立ち上がると、感情の無い声でアルミンが俺を呼んだ。

ジャン「な、なんだ?」

アルミン「・・・・・軽蔑したかい?」

ジャン「いや・・・・・」

アルミン「でも・・・・怖かったろ?」

ジャン「・・・・・・いや」

アルミン「嘘言わなくていいよ」フッ「僕も、初めは怖かったんだから」

ジャン「・・・・あぁ・・・・すまん・・・・でも軽蔑はしてねぇよ」

アルミン「・・・・・この事、クリスタには言わないでおいてくれる?」

ジャン「あ、あぁ・・・・」

アルミン「いつか、知る事になると思う。でも、それはいつかの事にしておきたいんだ」

ジャン「あぁ・・・・」

アルミン「こんな僕を、見せたくはないから」

ジャン「あぁ・・・・」




アルミン「それで、北の村にはあと何人くらい居た?」

ジャン「男はあれで全部だ。後は女が6人。年寄りと子供は見かけてない」

アルミン「・・・・女も仲間だろうな」

ジャン「あぁだろうな・・・くっそ・・・見抜けなかった!」

アルミン「仕方ない。相手の方が経験値が上だっただけのことだよ」

コニー「で、どうすんだ?」

アルミン「サムエル、伝令を頼む。団長に知らせてくれ。僕らはシガンシナに行く」

サムエル「分かった」

コニー「シガンシナ!?」

ジャン「どういうことだ!?」

アルミン「ごめん・・・・シガンシナに行ってから話す」

コニー「なんだよ・・・それ」

ジャン「・・・・・」

サムエル「オレはもう行くよ。時間がない。サシャの馬を使わせてもらうよ」

アルミン「すまない。気を付けてくれ」

サムエル「あぁ」バタン

アルミン「僕らも準備が出来次第ここを出よう。女の子達の状態が良ければだけど・・・・」

コニー「・・・・様子を見てくる」ガタッ


トントン 

ミカサ「誰?」ガチャ「コニー・・・・クリスタ?コニーが来た」

コニー「どうだ?サシャは」

クリスタ「怪我は大したことないみたいだけど、頭を殴られてるから少し心配ね・・フゥ・・それに精神的にショックを受けたみたいだし・・・・シャツはボタンが飛んだだけだったわ。ミカサが付けてくれたから。」

コニー「・・・・・動けるか?」

クリスタ「出来れば今晩は休ませた方がいいと思うけど・・・・ハァ」

コニー「お前の腕はどうなんだ?」

クリスタ「え?あぁ、えぇ・・・・大丈夫よ・・・・思ったより酷くなかったし、ミカサに縫ってもらったから・・・・ハァ」

ミカサ「ダメ、クリスタ。ちゃんと医師に診てもらうべき」

クリスタ「平気よ。大したことないわ・・・・ハァ」フラッ

ミカサ「!」ガシッ フラッ

コニー「おっと!」ガシッ ガシッ「お前らも無理すんな!ダメだなこりゃ、ちょっと待ってろ」ダッ

ミカクリ「・・・・・」ハァ


バタバタ

コニー「おい!ジャン!アルミン!来い!」

アルミン「どうしたの?!」

ジャン「なんだ?!」

コニー「ミカサもクリスタも休ませなきゃダメだ」

アルミン「え!やっぱり怪我が酷いの?」

ジャン「ミカサ・・・・!」

バタバタ


バタバタ

ジャン「ミカサ!」アルミン「クリスタ!」

アルミン「腕はどうなの?まだ血が出てるじゃないか」

クリスタ「・・・・」フルフル

アルミン「立てる?」

クリスタ「・・・・私・・・・人を・・・・」ジワッ

アルミン「・・・・」ヨイショッ ヒメダッコ

クリスタ「!」/////////

アルミン「もうちょっと自分を労わらなきゃ。サシャは大丈夫だから休もう?」



ミカサ「・・・・・」ハァ

ジャン「怪我はないんだよな?」

ミカサ「擦り傷くらい・・・・」

ジャン「どうした?」

ミカサ「急に激しく動いたので筋肉がこわばって・・・それに少し貧血気味みたいで頭がぼんやりして・・・」

ジャン「2人とも休まなきゃダメだな。アルミン、下に集まってくれ。コニーも」

コニアル「わかった」

アルミン「ごめん、クリスタ、サシャ。ちょっと狭いけど2人で一緒に休んで?ミカサ、2人と居てくれる?」

ミカサ「わかった」

クリスタ「・・・・・」コク/////////

サシャ「・・・・・」




コニー「今日は動けそうにねぇな」

アルミン「そうだね。でもいつまでもここに居るわけにはいかない」

ジャン「・・・・・アルミン、俺は北の村に行く。襲撃からそう時間がたってないから、まだ仲間が全滅したことに気が付いてないかもしれねぇ」

アルミン「襲撃の途中で馬の気配を感じなかった。見届け役の仲間はいなかったかもしれない。まぁ、徒歩なら分からないけど。でもここはマリアだから、その必要を感じなかったのかもしれないね」

ジャン「・・・・だが、覚悟決めなきゃならねぇ」ギッ

アルミン「・・・・・」

ジャン「相手が女だろうと・・・・」

コニー「・・・・おい・・・・それって、どういうことだよ?」ゾワッ

アルミン「僕らは今夜動けない。逃げる事が出来ないなら、殺すしかない・・・・増援を呼ばれたらおしまいだ」

ジャン「仲間の帰りが遅いことに気が付けば、様子を見に来るだろう。その前にやるぞ」

アルミン「もっともどこか遠くで襲撃の様子を見てたとしたら、もう手遅れだけどね」

ジャン「奴らがバカであることを祈ろうぜ」

コニー「女・・・・殺すのか?」

アルミン「襲撃犯の一味を生かしておけば必ず僕らがやられる。兵士じゃない女性でも馬を飛ばせば夜の内にローゼの壁の前まで行ける。通信手段があるだろうから、そうしたら夜明け前にはここに増援が来るよ。もし僕らみたいに鳩を使ってたらもっと早い。女の子達を休ませるなんて悠長な事は出来ないよ。無理にでも今すぐシガンシナに出発しなくちゃ。あぁ、でもその前に僕らの馬は今日はもう走れないから、奴らの馬を奪わなくちゃ。結局どうしたってすぐには発てないね」

ジャン「そういう事だ。コニー、俺達に他に道はない」

コニー「ジャン・・・・・オレも行くぜ」

ジャン「あぁ・・・・」

アルミン「・・・・2人だけで・・・・大丈夫かい?」

コニー「・・・・・」

ジャン「・・・・・お前ら・・・・慣れてんのな」

アルミン「・・・・・君達よりは」

ジャン「お前らにばっかりやらせるわけにいかねぇよ」

アルミン「汚れ仕事を任せてごめん・・・・」




サワサワ チュンチュン チチチチチ カサコソ  パキ パキ
ジャンコニ「・・・・・・」ソッ

女1「ねぇ、男達ちょっと遅くないかい?」

女2「まさか失敗したんじゃないだろうねぇ」

女3「けど相手はガキばっかだろ?」

女4「どうせまた悪い癖が出たのさ」

女5「若い娘相手にお楽しみなんだろ」

女6「やれやれ、困った連中だねぇ」

女1「それにしちゃあ・・・・」

女4「あれ、だって前の仕事の時だって男6ときたら、肝心の標的ほったらかして、標的の娘相手に3回もヤっちまったらしいよ?」

女3「男8なんか5回もさ!」

女5「そうそう、危うく失敗するとこだったって」

女6「おかげてあたしらまでこんな辺境に飛ばされちまってさ」

女4「迷惑な話さ。まぁ今更戻ったところでキツイ仕事しか回って来ないだろうけどね」

女3「おや、あたしはここが気に入ったけどねぇ。薄汚い地下にくらべりゃ、天国じゃないか。巨人も来ないしさ」

女5「ねぇ!それよか、偵察に行った奴の話だと、今度の標的は粒揃いらしいよ?」

女6「はぁ・・・・それじゃ当分帰ってきそうにないねぇ」

女3「ここじゃ邪魔も入らないしねぇ」

女4「ったく、あたしらがちょこちょこ相手してやってるってのに」

女1「けど相手は兵士だろ?いくらガキっつても・・・・」

女2「一応確認しとくかい?」

女3「行ったところで見せつけられるだけさ!」

女5「案外娘も喜んでたりしてねぇ!」

女6「あぁ~ん!もっとぉ!とか言ってたりして?」

女3~6「ぎゃはははは!!」


ジャン「・・・・・・・やるぞ」

コニー「全部いっぺんかよ?キツイぜ?バラけてからの方がよくね?」

ジャン「面倒くせぇよ!」



躊躇いを振り払って、俺はトリガーを引いた。これでもう、後戻りは出来ない。

カチッ シュン アンカードシュッ ドシュッ

女1「がっ」

女2「ごふっ」チーン

ジャン「フッ」ビュン「ふんっ」ザシュッ ザシュッ

女3「ごえっ」チーン

女4「ぐふっ」チーン

女5「なんだいっ!!」

女6「ひっ」

コニー「容赦ねぇな!ジャン!」ビュッ ザシュッ ザシュッ

女4「おふっ」チーン

女6「ぎゃっ」チーン

女1「こ、この・・・・ガキども・・・・」

ジャン「・・・・悪いな」シュッ||||

女1「がふっ」チーン

ジャン「・・・・気が付いちゃいなかったようだが・・・・」||||

コニー「・・・・・・」||||ズーン||||

ジャン「後味・・・・悪ぃぜ・・・・・くっそ・・・・」||||ズーン||||

コニー「・・・・だがあいつらを守るためには仕方ねぇことなんだろ?」ギリッ||||

ジャン「あぁ。そうだ・・・・他にいねぇか確認したら馬貰って帰るぞ」ギッ||||

コニー「あぁ」||||

ジャン「・・・・アンカーチェックしとけよ?俺前に巨人にぶっ刺して壊したからよ」||||

コニー「トロスト戦の時か?」||||

ジャン「死ぬとこだったぜ」||||

コニー「ははは・・・・そういやそうだったな・・・・すまねぇ。ありゃオレのせいだったな」||||


一通り見て回って、他に誰も居ない事を確認すると、馬を4頭連れ出した。他の馬は馬房から出して自由にしてやる。どこかに隠したんだろう。男連中の乗って来た馬は見つからなかった。
ミカサとクリスタの馬に跨って、両脇に1頭ずつ馬を従えて帰路につく。自由にした馬は少しその辺りをウロウロしてから付いてきた。馬ってのは孤独を嫌う生き物らしい。壁外調査で乗り手を失った馬が最後まで兵団の後について走るってのはよくあることだ。こりゃいい。家まで来てくれれば荷運びに使える。

ジャン「・・・・・・」

コニー「・・・・・・なぁ」

ジャン「なんだ?」

コニー「いつだったかお前が言ってたの、これか?」

ジャン「あぁ?何が?」

コニー「アルミンだよ。手紙がおかしいとかなんとか、言ってただろ?」

ジャン「あぁ・・・・」

コニー「アルミンもサムエルも、妙に慣れてやがった。あいつら、オレらの知らねぇとこで、巨人じゃなくて人間相手にしてたんだろ?」

ジャン「だろうな」

コニー「・・・・それって、今の調査兵団の相手が人間だってことか?それともあいつらが団長の近くにいるせいなのか?」

ジャン「知るかよ」

コニー「シガンシナに行くって事はよ、オレらもこういう事、これからも続くって事だよな?」

ジャン「あぁ・・・・・多分な」

コニー「野郎共の時はよ、サシャに手出されてカッとなってたから、何にも考えずにやれたんだけどよ・・・・やっぱキツイわ・・・・・・サシャに、んなことさせたかねぇな・・・・」

ジャン「・・・・・あいつには無理かもな・・・・」

コニー「お前だってミカサにやらせたかないだろ?」

ジャン「・・・・・あいつは・・・・・」

コニー「・・・・・・」

ジャン「なぁ、訓練兵団入団式の時、恫喝されなかった面子、全部覚えてるか?」

コニー「いや?」

ジャン「あいつらだよ。ライナー。ベルトルト。アニ。ユミル。エレン。それにミカサだ」

コニー「・・・・よく覚えてんな」


ジャン「今になってみりゃわかるよ。あいつら、俺達とは全然違う次元で生きてた。俺がトロストで普通に学校行って母ちゃんにガミガミ言われてた頃、ライナーとベルトルトとアニは巨人になって人殺す訓練受けてたんだろ?ユミルはよく知らねぇけど、あいつだって巨人だったわけで、多分並みの奴とは全然違う人生を送ってたわけだ。エレンとミカサはガキなのに強盗3人も殺して、2人とも目の前で親殺されてよ。」

コニー「・・・・・・そうだな」

ジャン「親を巨人に喰われて孤児になったやつなら他にもいたけどよ・・・・エレンとミカサは、あいつらはなんか突き抜けてんだよな」

コニー「・・・・・そう言われてみるとよ、キース教官ってすげぇな」

ジャン「・・・・あぁ」

コニー「そういうの、一発で見抜いてたってことだろ?あいつらが他の、オレらと全然違う人種だってよ」

ジャン「そうだよな」

コニー「・・・・・オレさぁ、実を言うと、もう家族の事ほとんど諦めてんだ・・・・多分、巨人に喰われちまったんだろうなって」

ジャン「・・・・・あぁ」

コニー「だけどよ、それでもオレあいつらみてぇに、なんてぇの?突き抜けたって言うの?そういう人間にはなれそうにねぇわ。ま、あいつらと同じ体験したわけじゃねぇし、当たり前かもしれねぇけどよ」

ジャン「・・・・・あぁ。そうだな。俺もだ」






―――――
クリスタ「・・・・・」ブルブルカタカタ

アルミン「・・・・・大丈夫、大丈夫だから。ね」ギュッ

クリスタ「・・・・・」ブルブル ギュッ

ミカサ「・・・・・」(初めて人を殺してクリスタはショックを受けてる)

サシャ「・・・・・」ポロポロ

ミカサ「・・・・・」ヨシヨシ(サシャはそれに加えて凌辱されかけた・・・・私の身体が完全ならあんなゴロツキ・・・・ギリッ)

~~~~ミカサ回想・ジャン登場シーン~~~~

ミカサ「・・・・」ヨロッ

ジャン「ミカサっ!!」ガシッ「大丈夫か!怪我はないか!?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ミカサ「・・・・・」/////////(なぜ急にジャン・・・・でも来てくれなかったら、私とクリスタも・・・・ただ殺されるだけじゃ済まなかったかもしれない・・・・)スッ首飾りサワサワ

ヒヒーン

ミカサ「!」

アルミン「!」ダッ「ジャンとコニーだ!帰って来た!」

サシャ「!!」ダッ


タタタタッ

サシャ「コニー!!」ダキツキッ

コニー「おっと」ガシッ「寝てなくていいのか?」

サシャ「コニー・・・・」ポロポロ「顔色が悪いです・・・・怪我は?」

コニー「怪我なんかするかよ」

サシャ「この血は?」ポロポロ

コニー「返り血だろ。お前だって酷い恰好だ」

サシャ「お風呂、入りたいですね」ポロ

コニー「そうだな」

ミカサ「用意する」

ジャン「ミカサ、お前は休んでろ」

ミカサ「平気」膝カクカク

ジャン「俺がやるから・・・・」

アルミン「ジャン!どうだった?」

ジャン「仲間の全滅には気が付いてなかった。全部仕留めてきたぜ」||||

アルミン「そうか・・・・すまない」

ジャン「いや、でもこれで時間が稼げるな」

アルミン「あぁ。一晩はここにいても大丈夫だろうね」

コニー「風呂入ろうぜ風呂!」




カポーン

ミカサ「クリスタ、腕を濡らさないように気を付けて」

クリスタ「うん・・・・」

ミカサ「髪を洗ってあげる」

クリスタ「うん・・・・」

ミカサ「・・・・・」ワシャワシャワシャワシャ

クリスタ「・・・・・ごめん」

ミカサ「なぜ謝るの?」

クリスタ「狙いは・・・・私だったから・・・・」

サシャ「気にしないで下さいよ」

クリスタ「巨人を殺すのは平気なのに・・・・」フルッ

ミカサ「・・・・・怖い?」

クリスタ「うん・・・・対人格闘の訓練はあったけど、殺すための訓練じゃなかったもん・・・・怖いよ」

ミカサ「・・・・・」

サシャ「すり傷だらけです・・・・」

クリスタ「ほんと」クスッ「みんな戦闘服ドロドロだしね」

ミカサ「洗濯しよう」

サシャ「乾きませんよ?」

ミカサ「シーツで水気吸って暖炉の前に干せば、朝には乾く」

サシャ「でも全員の戦闘服洗ったら、予備のシーツじゃ足りないのでは?」

ミカサ「クリスタはアルミンと眠ればいい」

クリスタ「え!!やだ、ミカサったら」//////////

ミカサ「そうすれば1枚シーツ確保出来る。サシャがコニーと眠れば2枚確保」サラッ

サシャ「んなっ!何をサラッと言っちゃってるんですか!!ミカサは!!」//////////////

クリスタ「!」ニヤリ「じゃミカサがジャンと眠れば3枚確保だね?」

ミカサ「わ、私とジャンはそんな関係じゃない・・・・」オロッ/////////

クリスタ「ふぅん?」




コニー「洗濯、悪いな」

ミカサ「構わない」パンパン

ジャン「返り血、かなり酷かったからな・・・・助かる」

ミカサ「私達も気持ち悪かったから」

サシャ「ミカサ、髪乾いたので干すの手伝います」

ミカサ「いい。サシャはもう休んで?」パンパン

サシャ「大丈夫ですから」

ジャン「おい、コニー。サシャ連れてって休ませろよ」

コニー「おぉ。言う事聞いて大人しく寝とけ。行くぞ」腰グィ

サシャ「わっ」////////

クリスタ「サシャお休み」

ミカサ「クリスタも寝なさい。アルミン!」パンパン

アルミン「はいはい。クリスタ、行こう?」

クリスタ「え?でもまだ洗濯物が・・・・」

アルミン「ミカサに任せて、クリスタはもう寝よう?」手ギュッ

クリスタ「う、うん」///////////

ジャン「早く寝ろよ~」手ヒラヒラ「ミカサ、俺手伝うわ」ガタッ

ミカサ「ありがとう」パンパン

ジャン「ミカサも疲れただろ?」バサバサ

ミカサ「少し」パンパン

ジャン「無理すんな」バサバサ

ミカサ「さて」パンパン「これで終わり」バサッ

ジャン「ミカサも寝ろよ」椅子ガタッギシッ

ミカサ「?ジャンは寝ないの?」


ジャン「あぁ。俺今夜はここにいるわ。暖炉の火が消えちまったら乾かないだろ?」

ミカサ「いや、でもこの大きい薪を間隔をこうやって・・・」ガサガサ「入れておけば・・・・」

ジャン「それに・・・・また襲撃が無いとも限らねぇ」ギラッ

ミカサ「!」ゾ

ジャン「ボリスが吠えりゃ、すぐ分かるだろうけどな。念の為ミカサは2階の俺の部屋を使ってくれ。1階じゃ危ねぇ」

ミカサ「・・・・それではジャンが1階で1人になってしまう」

ジャン「どうってことねぇよ。ホレ、寝て来い」

ミカサ「・・・・・」ガチャ ガタガタ ガチャ「私もここにいる」ベットカバーバサッ「こっちの長椅子で寝る」

ジャン「あのなぁ・・・・そんな堅い長椅子なんかで寝たら身体休まらねぇだろ?」

ミカサ「それじゃあ」ガタガタ「寝袋を使う」

ジャン「なんの解決にもなってねぇって!!」

ミカサ「ジャン1人で見張りをさせるわけにはいかない」

ジャン「お前もたいがい頑固だな・・・・」ガチャ「ボリス!」クゥン「よしよし、良い子だな。今日は中に入っていいぞ?」キュンキュン「お前は今夜ここで番をしろ。知らない奴が来たら吠えまくるんだぞ?」尻尾パタパタ

ミカサ「ジャン、いつの間にボリスとそんなに仲良くなったの?」

ジャン「さぁな。それより、ホレ、俺には頼もしい相棒もいるんだ。遠慮なく2階へ行ってくれ」

ミカサ「ボリスは吠えるけど、戦えない。ので私はここにいる」

ジャン「んんん~!あぁあ!分かったよ!!」ガチャ ガタンドタン「ったく!」

ミカサ「え!?」

ジャン「どっこら!」ドンッ「しょっ!!」ドシン!!「ここで寝てろ!」

ミカサ「ベットをこんなところに持って来るなんて・・・・」アゼン

ジャン「テーブルとイスをミカサの部屋に持ってって」ガタガタ「こうやって積んどけば」ガタガタ「ベットがあっても狭くならねぇし、窓からの侵入への備えにもなる」ドヤ「ただし本当に襲撃があったら、ここが一番やべぇんだからな」

ミカサ「分かってる」

ジャン「そこで寝とけ。きっちり身体休ませねぇと、明日動けねぇからな」

ミカサ「・・・・うん」

ジャン「分かったらさっさとベットに入れよ」

ミカサ「・・・・うん」ギシッ


暖炉パチパチ カラン パチパチ

ジャン「・・・・・・・」パキ ポイ パチパチ

ミカサ「・・・・・・・」ギシッ

ジャン「・・・・・・・」ナイフカチャ フキフキ

ミカサ「・・・・・・・」ギシッ

ジャン「・・・・・・・眠れねぇか?」

ミカサ「うん・・・・・」

ジャン「・・・・・・・キツイ1日だったな」

ミカサ「うん・・・・・クリスタは初めて人を殺したことに動揺してる。コニーも、ジャンもそうでしょう?」

ジャン「・・・・俺ら兵士だけどよ、人を殺す訓練は受けてねぇからな」

ミカサ「・・・・・えぇ」

ジャン「巨人とやりあう覚悟は出来てても、人間と殺しあう覚悟なんか出来てねぇ」

ミカサ「私の怪我の治りが遅いから、みんなに辛い思いをさせた・・・・」

ジャン「何言ってんだ。関係ねぇだろ?それを言ったら、俺がシガンシナに行くなんて言い出さなきゃ、お前らと一緒に戦えた。お前のせいな訳ねぇよ。」

ミカサ「違う!!私は人を殺しても動揺したりしない。そもそもあんなゴロツキ何人居ても、以前の私なら1人で全部倒せた。私が、私があんな風に怠けていたせいで!私の身体が完全なら、クリスタにもジャンにも人殺しなんかさせずに済んだ!」

ジャン「・・・・お前さ、人間殺して何も感じねぇの?」

ミカサ「・・・・あいつらは殺すべき人間だった。私はライナーもベルトルトも殺そうとした・・・・だからあんな連中相手に躊躇ったりしない。私は、私達を殺そうとする相手なら(あれ・・・・)誰でも殺せる」(あれ?)

ジャン「それはなぁ、それこそ人と殺りあう覚悟が出来てるってことであって、平気って訳じゃねぇだろ?」

ミカサ ハッ「・・・・・そう・・・・かもしれない」首飾りサワサワ

ジャン「だが・・・・俺達全員、おんなじ覚悟を決めなきゃならねぇ気がする」

ミカサ「・・・・・」

ジャン「これで終わりじゃねぇよ。多分」

ジャンと話している最中、強烈な違和感を覚えた。自分の気持ちに、今まで気が付いていなかった何かを見つけた気がした。そしてすぐにそれが何か理解した。今までずっと私の中で大きな場所を占めていたはずのものが、いつの間にか他のものに取って変わられていた。
ジャン、あなたの言ったとおりだ・・・・人の心は、いつの間にか変わってしまう・・・・自分自身でも、気が付かないうちに。
変わってしまった自分が、何か嫌なものになったような気がして・・・・・いえ、待って・・・・そうか・・・・やっと気が付いた。クリスタ、あなたの言ったことが、やっと理解出来た。
ジャン・・・・クリスタ・・・・あなた達は、こんなにも私のことを思ってくれて、分かってくれてるのに・・・・私はあなた達を守ることすら出来ない・・・・






――――
アルミン「クリスタ、今日は大変だったね・・・・大丈夫?眠れそう?」

クリスタ「・・・・・一緒に居てくれる?」///////

アルミン「うん。もちろんだよ?」ギュッ

クリスタ「・・・・お風呂っていいね。少し、楽になった」ギュッ(アルミンの胸の中、安心する)///////

アルミン「そう?良かった」ギュッ(クリスタ良い匂い)フゥ////

クリスタ「サシャとミカサがね、気にしなくていいって・・・・」

アルミン「そうなの?」髪ナデナデ

クリスタ「私のせいなのに・・・私が一緒にいたせいで酷い目にあったのに・・・・」ポロ

アルミン「いいや、僕が甘かったんだよ・・・・僕がもっとしっかりしていれば、ここが知られることもなかった!」クッ

クリスタ「そんなことない」フリフリ「きっとレイス家の農地も別荘も全部把握してたの。だからシガンシナから逃げたらここに来るって、分かってたのよ・・・・でも私達にはここしか無かった。ここ以外どこにも行ける場所なんか無かったの」ポロポロ

アルミン「ごめん、ごめんね。君を守ってあげられなくて」ギュッ

クリスタ「守ってくれたよ?シガンシナから来てくれたもの。アルミンが来てくれなかったら、今頃・・・・」ゾ「死んでた」ギュッ

アルミン「クリスタ・・・君を死なせたりするもんか」ギュッ

クリスタ「アルミン・・・・」ギュッ「アルミン・・・・私・・・・私のお母さん・・・・首を切られて死んだの・・・・私の目の前で・・・・それなのに今日、私人の首を切って殺したのよ・・・・」カタカタ

アルミン「・・・・・辛い思いをさせてごめん」ギュッ

クリスタ「良かったのよね?私、間違ってないよね?」ポロポロ

アルミン「君は正しいことをしたんだ。ミカサもサシャも、君が勇敢に戦ったから助かったんだよ?」ギュッ「君が2人を守ったんだ。ありがとうクリスタ」ギュッ

クリスタ「アルミン!!」ウワァァン!!

アルミン「・・・・・」ギュッ ナデナデ





――――
コニー「サシャ、疲れただろ?ベットに入れよ」

サシャ「・・・・・はい」ギシッ

コニー「ゆっくり寝ろ。隣の部屋にいるから、なんかあったら呼んでくれよ?」ガチャ

サシャ「・・・・・あの」

コニー「ん?」

サシャ「助けてくれて・・・・ありがとう」

コニー「当たり前だろ?オレが助けなくて誰が助けるんだ。お前がピンチの時はオレがいつでも助けてやんよ。さ、もう寝とけ」ガチャ

サシャ「・・・・・あの」

コニー「ん?」

サシャ「コニーは・・・・もう大丈夫・・ですか?」

コニー「何が?」

サシャ「北の村から戻ってきた時・・・顔色が悪かったから・・・」

コニー「あぁ・・・やっぱ・・・人間相手っつうのは慣れねぇからな。ちょっと気持ち悪かっただけだ。風呂入ってさっぱりしたら吹っ切れた。俺の心配はいいから、寝ろ」ガチャ

サシャ「・・・・・あの」

コニー「はぁ・・・・なんだよ?お前なんか言いたいことあるんだろ?」

サシャ「はい・・・・・」ポロポロポロポロ

コニー「ちょっ!!サシャ?どうした?オレなんか変なこと言っちまったのか?!」オロオロッ

サシャ「いえ・・・・・」ポロポロポロポロ

コニー「ど、どうしたんだ?!」オロオロ

サシャ「・・・・・怖かったんよ」ポロポロポロポロ

コニー「もう大丈夫だ、大丈夫だから!」ヨシヨシ

サシャ「コニー・・・ここにおって・・・今夜は1人で居たくないんよ・・・怖くて怖くて・・・眠れんの・・・」ポロポロポロポロ

コニー「サシャ・・・・」ギュッ「ごめん、一緒にはいてやれねぇよ・・・・」

サシャ「いや・・・・」フリフリ「お願いやけ、コニー」ジッ ウワメヅカイ ポロポロポロポロ

コニー「っ・・・・・」ダキシメッ「・・・・正直に言う。オレ、ジャンやアルミンみたいに一晩好きな女と一緒に寝て手ぇ出さない自信なんかねぇんだ。一緒に寝たら、オレ・・・・サシャが欲しくなっちまう・・・・」ギュッ

サシャ「いいんよ・・・コニー。私・・・いいんよ・・・・」//////////ジッ ウルウル

コニー「サシャ・・・・お前今日嫌な思いしたばっかじゃねぇか。それなのにオレにまで・・・・その・・・・んなこと、されたかないだろ?」////////////

サシャ「ううん」フルフル「コニーはいいんよ。コニーじゃなきゃ嫌なんよ。コニーに抱きしめて貰いたいんよ・・・・朝まで・・・・一緒におってよ」ギュッ/////////////

コニー「サシャ・・・・いいのか?」//////////

サシャ「・・・・いいの」チュッ「思い切り・・・・強く抱きしめて・・・・」/////////ギュッ

コニー「サシャ・・・・」ギュッ チュッ チュッ///////////

サシャ「コニー・・・・」ハァッ///////////////「好きよ、コニー」////////ウルウルッ////////

コニー「っサシャ!」ギシッ チュッ/////////////// ギシッ
ギシッ
ハァッ
・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・


メェェェェ コケッココッコッ 
ガチャガチャ ギィィ

コニー「・・・・元気でな、お前ら」

チュンチュン チチチチチ サワサワ

コニー「果樹園の柵、全部直しきれなかったな・・・・」

サシャ「また豚に栗食べられちゃいますね」

コニー「なぁサシャ」

サシャ「はい」

コニー「いつになるかわかんねぇけどよ、全部終わったら」


サワサワサワ チュンチュン チチチチ


コニー「ここに戻って来ないか?」

サシャ「・・・・はい」

コニー「サシャ・・・・オレと結婚してくれ」

サシャ「・・・・今、ですか?」キョトン

コニー「すぐにじゃねぇよ」ハハッ「ここでお前と暮らしてぇんだ」

サワサワサワ チュン チチチチチチチ

サシャ「・・・・・私、ここが大好きです」

コニー「あぁ」

サシャ「戻ってきましょう。ここに」

コニー「あぁ」

サシャ「コニー」チュッ「私、今すぐコニーと結婚したい」ギュ

コニー「オレもだ」ギュッ チュッ

チュンチュン サワサワサワ チチチチチチ





―――――
ジャン「みんな、準備はいいな?」

全員「・・・・」コクリ

ジャン「行こう」バッ ヒヒーン

ドッドッドッドッドッ

ワンワンッ

クリスタ「ボリス!ごめんね・・・」

ワンワンッ タッタッタッタッ

コニー「お前ぇ、付いてくる気か?」

ワンッ タッタッタッタッ

クリスタ「アルミン!いいでしょう?」

アルミン「う~ん、大丈夫じゃないかな?」

クリスタ「やった!行こう!ボリス!!」

ワンワンッ タッタッタッタッ

ドッドッドッドッ

ジャン「・・・・・・」チラ

前日と同じように、心地の良い風が吹く、抜けるような青空の中、俺達は俺達の家を出た。。俺の修理した家。コニーが修理した家畜小屋。コニーの畑。クリスタとサシャの笑い声が響く居間。ミカサと過ごした日々。初めてくちづけたあの夜・・・・
俺とコニーで作り上げたばかりの樹上基地、そのてっぺんの見張り台が、ちらりと木立からのぞく。
俺達の住んだこの場所。
ここに戻ってくる日が、いつか来るんだろうか・・・・


>>1です。
マリアの農地でのお話はこれで終了です。

本当はこのままラストを投下する予定だったのですが、少し考えてから決めたいと思います。


それと、勢い込んで一気に投下したのでもう一回


↑↑↑↑超 超 閲 覧 注 意 箇 所 有↑↑↑↑

上の方に

女として可愛そうな目にあってる捏造キャラ

拷問シーン

殺戮シーン

可愛いアルミンが好きな方には目を背けたくなる事をするアルミン

等があります。耐性の無い方はスルーして下さい。

やだ、間違えた

女として可哀想な目にあってる捏造キャラ

です。

ラスト気になる~
がんがれ

>>762
ありがとぅ!!

ラストは出来上がってますが、その前に入れたいモノが出来てしまったので、もう少々お待ちください!!


・・・のどが・・・・かわいたな・・・・みず・・・・

・・・
・・・・
・・・・・

・・・「ユミル様。私も行きます」

ユミル「・・・・いい。1人で行く」

・・・「いけません、ユミル様。どうかお連れ下さい」


ユミル様、どうか、どうか

・・・
・・・・
・・・・・

・・・あれ・・・・夢・・・か?
喉が渇いた・・・・誰か・・・・水を・・・・

・・・
・・・・
・・・・・

おっさん「おい!おい!大丈夫か!嬢ちゃん?しっかりしろ!!」

少女「・・・・・ここは・・・・どこ?」

おっさん「安心しろ。もうすぐトロストに着くぞ」

少女「・・・・トロスト????」

おっさん「嬢ちゃん家族はどうした?」

少女「・・・・家族・・・・」

おばさん「あんた大丈夫かい?さっきからぼんやりしてるようだけど?」

少女「・・・・・」

おばさん「名前言えるかい?」

少女「・・・・名前・・・・」

おばさん「大丈夫かねぇ?この子。ほら、水をお飲み」

少女「!」ゴクゴク ゴホッゴホッ

おばさん「おやおや、そう急ぐでないよ。ゆっくり飲みな」

少女「・・・・・」ゴクゴク フゥ

おっさん「嬢ちゃんどうしてあんな所に1人でいたんだ?」

少女「・・・・あんなところ?」

おばさん「もうあんたアレコレお聞きでないよ!あんな所にこんな娘が1人でいたんだ。聞かなくたって分かるじゃないか」

少女(わかるって、何が?・・・・・ここはどこだろう?・・・・・私は・・・・・誰?)

・・・
・・・・
・・・・・

・・・「ユミル様!!お逃げ下さい!!」

ユミル「ダメだ!!置いて行けない!!」

・・・「どうか!!それを持ってお逃げ下さい!!」

ユミル「嫌だ!!」

・・・「お願いします!!民をお救い下さい!!民の為に!!どうか!!」

ユミル「ダメだ!どうせ追いつかれる!!」

・・・「ユミル様!!私が囮になりますから!」

ユミル「私がこれを使う!!これで私がみんなを!!みんなの為に!!」

・・・「ユミル様ッ!!!!」

・・・
・・・・
・・・・・

喉が・・・・水・・・・
こんな夢を・・・・いつまで・・・・ヒストリア・・・・・

・・・
・・・・
・・・・・

ユミル「・・・・ヒス・・トリア・・・・」

ハンジ「目が覚めたようだね」

リヴァイ「・・・・」

ユミル「!」ハッ ガチャン「・・・・・ここは・・・・」

ハンジ「見ての通り、地下牢だよ?あ、どこの地下牢かは聞かないでよね?秘密だからさ」

ユミル「・・・・あぁ・・・・そうか・・・・捕まったのか・・・・」

ハンジ「そ。あ!でも安心して。そんなに酷い事をするつもりはないからさ!」

ユミル「フン。そんなに・・・・か。なぁ分隊長さん、水貰えねぇかな?喉が渇いて仕方ないんだ」

ハンジ「そこにあるよ?」

ユミル「とれないんですがね?」ジャラッ

ハンジ「・・・・」カツカツ コト グビグビッ「ぷはぁ~」

ユミル「チッ」イラッ

ハンジ「ふぅ~。いやぁ、ヤケドすると喉が渇くらしくて。お先に頂いたよ?」ニッコリ

ユミル「フン。良い性格でらっしゃる」イライラ

リヴァイ「・・・・・」ジロリ

ハンジ「ありがとう。褒め言葉と受け取っておくよ」

ユミル「で、こんなところに連れ込んでどうする気だよ?からかいに来たわけじゃないだろう?さっさと済ませて貰おうか?」イライラ

ハンジ「そうだね、ユミル。分かってると思うけど、全部君次第なんだよ?」

ユミル「・・・・」キッ

ハンジ「知っている事全部、話して貰おうか」ギラッ

ユミル「・・・・・・・条件がある。あんたらじゃ話にならない。団長さんと話したい」

リヴァイ「調子に乗るなよ。テメェには選ぶ権利なんかねぇ」

ユミル「あんたたちじゃ信用出来ないね。こういう時はアタマと話付けるもんだろ?」

リヴァイ「あぁ?ずいぶん生意気な口聞きやがるな、このガキ」胸倉ガッ

ユミル「ふん。あんたが思うほどガキでもないんだけどね?」

ハンジ「まぁまぁ、リヴァイ。今エルヴィンは来られないんだ。ここで私達が君と約束したことは必ず守るよ。それだけの権限を与えられてるからね。悪いけど信じてもらうしかない」

ユミル「・・・・・間違いないな?」

リヴァイ「あぁ」

ハンジ「必ず」

ユミル「・・・・・・」

・・・
・・・・
・・・・・

モブリット「こっちだよ」

サシャ「暗いですね」

ヒストリア「ちょっと怖いかも」

モブリット「悪いねぇ。手伝って貰っちゃって」

サシャ「いえいえ!報酬にパンを頂けるのでしたらいくらでもお手伝いします!!」

ヒストリア「もう、サシャったら」クスクス

モブリット「本当かい?それじゃあ色々頼もうかな?」アハハ

サシャ「お任せ下さい!!」

モブリット「あ、これだ。これを上に運んで貰えるかな?」

サシャ「はい!!」ヨイショ

モブリット「じゃあ、こっちを頼むよ」

ヒストリア「はい」ヨイショ

モブリット「2人ともありがとう。助かったよ」

サシャ「パンの為ならお安いご用です!!」

ヒストリア「副長、パンが無くても私達いつでもお手伝いしますね?」

モブリット「それは助かる」

サシャ「えぇ~!!パン無しですか!?」

ヒストリア「お手伝いのたびにご褒美貰えないよ?サシャ」

サシャ「そんなぁ~!!」

モブリット「あははは。サシャは面白い子だね。さぁ行こうか」

ヒストリア「はい」

サシャ「でもちょっとくらい頂いても良いですよね?ね?」

ヒストリア「んもぉ~、サシャってばいい加減にしなさい!」

サシャ「えぇ~、いいじゃないですかぁ!」

ヒストリア「だぁ~め!」

サシャ「ちょっとだけ!ちょっとだけです!ね?」

ヒストリア「ダメったらダメ!!」

カツカツカツカツ

カチン 蝋燭ポ

ユミル「・・・・元気・・・・そうだな・・・・」

ハンジ「今はね。少し前まで随分落ち込んでいたようだけど」

ユミル「・・・・そうか・・・・」

ハンジ「さぁ、ユミル。約束通りあの子に会わせてあげたんだから、こっちの要求も呑んで貰おうか?」

ユミル「・・・・これで逢ったって言えるのかよ・・・・」

リヴァイ「これ以上は無理だ」

ハンジ「こちらとしては精一杯譲歩したんだよ?」

ユミル「・・・・」ハァ「何から聞きたいんだ?」

ハンジ「そうだねぇ。聞きたいことが多すぎて困るくらいなんだけど・・・・ライナーとベルトルト、それにアニ。君はあの子達の仲間の1人ってことでいいのかな?」

ユミル「・・・・いや。あいつらは仲間じゃない」

ハンジ「それじゃ彼らのことは何も知らない?」

ユミル「あぁ・・・・」

ハンジ「君はどうして巨人になれるの?」

ユミル「・・・・・」ハァ「・・・・長い、長い昔話だよ。聞くかい?」

ハンジ「是非」

・・・
・・・・
・・・・・
民1「第4地区、全滅しました!!」

民2「第7地区も、もう持ちません!!」

民3「残った住民は全て第9地区に避難させましたが、いつまで持つか・・・」クッ

ユミル「・・・・・」サッ

国王「待て、ユミル。どこへ行く」

ユミル「・・・・・」

国王「ならぬ。ならぬぞ、ユミル。そなたはユミルだ。母の跡を継ぐのはそなたしかおらぬ。短慮をおこすでない」

ユミル「・・・・・もう、他に選択肢がありません。父上」

国王「何を言うか。そなたは民のよりどころなのだ。そなたを失えば民はどうなる?」

ユミル「父上。このままでは民を全て失います。民なくして何がユミルでしょう?民あってのユミルではありませんか?!ユミルは民を救い、民を導く為にあるのではないのですか?!」

国王「・・・・ユミル」

ユミル「父上・・・・ご健勝をお祈り申し上げております」


・・・
・・・・
・・・・・

少年「ユミル様。私も行きます」

ユミル「・・・・いい。1人で行く」

少年「いけません、ユミル様。どうかお連れ下さい」

ユミル「ダメだ。連れて行けない」

少女「わたくしもお供いたします」

ユミル「お前たち!ダメだと言ってるだろう?!」

少年「ユミル様!!お1人では危険すぎます!」

少女「どうか!どうかお連れ下さい!!」


・・・
・・・・
・・・・・
ハァッハァッハァッハァッ

少年「ユミル様!こちらへ!お早く!!」

少女「ユミル様!!お逃げ下さい!!」

ユミル「ダメだ!!置いて行けない!!」

少女「どうか!!それを持ってお逃げ下さい!!」

ユミル「嫌だ!!」

少年「これを持ち帰れば民を救うことが出来ます!!民の為にどうか!!」

少女「ユミル様!わたくしの事はお忘れになって!!もう走れません!!どうか捨て置き下さい!!早く!!ユミル様をっ!!」

ユミル「お前だって大事な民の1人だ!!」

少年「お願いします!!民をお救い下さい!!民の為に!!どうか!!」

ユミル「ダメだ!どうせ追いつかれる!!」

少女「ユミル様!!私が囮になりますから!」

ユミル「私がこれを使う!!これで私がみんなを!!みんなの為に!!」

少年少女「ユミル様ッ!!!!」

・・・
・・・・
・・・・・
ユミル「それで気が付いたらマリアに居た。壁外に居たはずなのにな」

リヴァイ「・・・・」

ハンジ「・・・・それが、60年前に起きた事だというのかい?」

ユミル「あぁ・・・・多分、私の国はもう無いだろうな・・・・」

ハンジ「・・・・その時、壁外にはいくつ国があった?」

ユミル「正確なことは分からない。何しろほとんど隔絶されていたからな。大きな所でサルトゥス、モンス、ヒュポゲーウム辺りはまだ残ってるかもな。他の小国はどうだろうか・・・・どこも私の国と変わらない状況にあっただろうから・・・・」

ハンジ「サルトゥス・・・モンス・・・・ヒュポゲーウム・・・・」カリカリカリ

リヴァイ「それで、ライナー達はそのどれかの出身なのか?」

ユミル「多分サルトゥスだろうな」

ハンジ「どうしてそう思うの?」

ユミル「・・・・巨人化の技術、あれを持ってるのはこの壁内の誰かとサルトゥスだけなのさ」

リヴァイ「!」

ハンジ「!・・・・壁内だって?!」

ユミル「面白い事を教えてやろうか?分隊長さん」

ハンジ「・・・・・なんだい?」

ユミル「巨人を生み出したのはね、この国なのさ。この、壁内の誰かが、その昔作り出した兵器、それが巨人なんだ」

ハンジ「な、なん・・・・兵器・・・・だと?巨人がか?!」

リヴァイ「んだと・・・・」

ユミル「サルトゥスとこの壁の国はね、昔パリエースって一つの国だったらしい。そこで生まれた兵器が巨人。おっと、どうやって作られたかなんて聞かないでくれよ?その頃私はまだ生まれてなかったんだ。それに軍事機密だからな。属国の私らには知りようもないことなんだ」

ハンジ「パリエースだって?」カリカリカリ「ユミルは属国・・・・」カリカリカリ

ユミル「そうだ。モンスやヒュポゲーウムとパリエースに挟まれた、しがないちっぽけな国さ。身を守るためにパリエースの犬になった。でもあっさり捨てられて壁外に置き去りさ。そうやって切り捨てられた小国は私の国だけじゃない。まぁ、一番酷い扱いを受けたのはマーグヌスだろうな」

ハンジ「マーグヌス?!それも国かい?」カリカリカリカリ

ユミル「マーグヌスのことは私よかベルトルさんに聞いてくれよ。多分あいつはマーグヌス人だ」

ハンジ「ベルトルト・フーバー?彼がマーグヌス人?!どうしてそう思うんだい?」カリカリカリカリ

ユミル「超大型巨人だからだ。あれになれるのはマーグヌス人だけだと昔聞いたぞ。あんたらの大事な壁の中身は全部マーグヌス人だとな」

ハンジ「あの巨人が?!マーグヌス人なのか?!というかそれはどういうことなんだ?!どんな巨人になれるかは人種や民族に依存するのか?!」グイッ

ユミル「多分な。後は年齢もあるようだが。『ユミルの民』は大体私の巨人のように中型で猿に似た体格だ。四つん這いで動きが早く森のような障害物のある地形に強い」


ハンジ「さる?!さるとは一体なんだい?!」グイグイ

ユミル「・・・・あの・・・さ、分隊長さん・・・・ちょっと離れてくんねぇかな?近すぎるんだけど」

ハンジ「あぁ、ごめんごめん。つい興奮しちゃって。んで!」グイッ「さるって何?!」

ユミル「壁内に猿はいないんだったな。動物だよ。森に棲んでいて、木の実や虫なんかを食ってて、南の方に住んでるらしい。私も本でしか見たことはないんだけどね、ちょっと人間に似ていたな。種類によってはかなり賢いんだと。大きさは人間の掌に乗るような小さいのから、人間よりデカいのまで色々いるらしい」

ハンジ「へぇ?そんな生き物がいるのか・・・・!」カリカリカリカリ

リヴァイ「・・・・それで、そのさるってのは、ウトガルドに出た毛むくじゃらの巨人とどう関係があるんだ?」

ユミル「・・・・・それはライナーとベルトルトに聞いてくれ。あいつらは知ってるみたいだったぞ?私に分かるのは、あの巨人が『猿』という生き物に良く似ているってことだけだ」

ハンジ「そうか・・・似てるのか・・・・」ムズムズ「み、み、見たいっっっ!その巨人!見てみたいっっっ!!」ハァッハァッ

リヴァイ「落ち着けメガネ」チラリ

ハンジ「ごめん」エヘ「それと、君はエレンの巨人を操る能力について何か知ってるかい?」

ユミル「・・・・『指揮者』だ」

ハンジ「指揮者?」カリカリカリ

ユミル「あれが・・・・私たちは喉から手が出るほど、欲しかった!あれがあったら、巨人から国を守れた。だがあれはこの壁を作った連中が持ってたんだ。ライナー達の狙いもあれだよ。『座標』の能力の1つさ」

ハンジ「座標?」カリカリカリカリ

ユミル「巨人を制御する能力だよ。多分、レイス家に関係があるんだろ。なんでエレンが使えるのか知らねぇが」

ハンジ「制御のとこ!!もっと詳しく!!」グイグイ

ユミル「だから、そこんとこはパリエースの軍事機密なんだよ。私が知ってるのは巨人を操れるらしいってとこまでだ。私のじいさんが『指揮者』が戦場で巨人を操るとこを見たって言ってたがな。あっちを攻撃しろとか、そこで止まれとか、巨人になれ、人間に戻れとかな」

ハンジ「そんなことが出来るのか!!!!すごい!!凄すぎるぅぅぅぅぅ!!」ウォォォォ

リヴァイ「おい!メガネ!」ギロリ

ハンジ「あぁ、ごめん」エヘ「じゃあ、もしかしたらその力で壁を作ったのかな?」

ユミル「そうだと聞いてる・・・・・はぁ。そろそろいいだろ?かなり協力したと思うんだが?」


ハンジ「そうだね。じゃ片手だけ」ガチャン

ユミル「はぁ・・・・」コト グビグビ プハー「生き返る・・・・なぁ、もういいだろ。疲れたんだよ。休ませてくれよ」

ハンジ「まだ色々聞きたいんだけどなぁ」

ユミル「こっちの条件を呑んでくれるんならいくらでも協力するよ。でも今日はもう勘弁してくれ。頼むから」

ハンジ「・・・・それじゃあ、最後に一つだけ」

ユミル「あぁ」

ハンジ「君は・・・・どうやって知性の無い巨人から人間に戻ったの?」

ユミル「・・・・・・・・・ライナー達の仲間を、喰った」

ハンジ「それは、どういうことかな?」

ユミル「巨人になれる人間を喰うことで、人間に戻れる。そして巨人化出来る人間になれるんだ。」

ハンジ「・・・・・それじゃあ・・・・エレンも・・・・誰かを喰ったということなのか」

ユミル「だろうな。そもそも腹も減らねぇ巨人が人間を喰うのも、人間に戻りたいからなんじゃねぇかと、私は思ってるよ。」

ハンジ「その仲間の名前を、知ってるかい?」

ユミル「・・・・・・マルセル」

ハンジ「ありがとう、ユミル。君が協力的でとても嬉しいよ」

ユミル「・・・・・・」

・・・
・・・・
・・・・・
ライナー「・・・・ユミル・・・・お前・・・・」

ユミル「ライナー。お前の目的は何だ?故郷に帰ることだろう?ここは協力しても損はないと思うんだけどね?」

ライナー「俺達にはできん」

ユミル「なんで?」

ライナー「俺達は、お前とは違うんだよ。シガンシナの扉を破って、何万人もの人間を殺した。そんな俺達が協力だと?冗談にも程がある」

ユミル「まぁ聞けよ。確かに壁内人類にとっちゃお前らは敵だが、同時にマリア奪還には欠かせない人材でもあるんだ。そうでなかったらどうして今ここで生きてるんだよ?とっくに首掻っ切られててもおかしくないだろ?」

ライナー「しかし・・・・」

ユミル「お前らを赦すことは出来ないって連中は掃いて捨てる程いるだろう。それは間違いないことだが、同時に必要なんだよ。お前らがさ。ここで意地張って頑張ったって殺されるだけだ。上には兵長やミカサもいるらしいからな。逃げられないぞ?上手く立ち回れよ。ズルくなれ。お前らの条件を呑ませて適当に手を貸しゃあ、故郷に帰れるんだぞ?」

ライナー「・・・・・なぁ、ベルトルトは・・・・・無事なのか?」

ユミル「さぁな。死んだとは聞いてない。確かめてやろうか?」

ライナー「頼む」

・・・
・・・・
・・・・・
ユミル「よう、ベルトルさん。元気だったか?」

ベルトルト「・・・・・やあ・・・・・」

ユミル「相変わらず辛気臭ぇなベルトルさんは」

ベルトルト「・・・・・・君は・・・・元気そうだね・・・・」

ユミル「あぁ。おかげさんでな」

ベルトルト「ライナーは・・・・・どうしてるかな?」

ユミル「安心しろ。ピンピンしてるよ」

ベルトルト「・・・・よかった・・・・」

ユミル「なぁ、聞いてるだろ?お前も」

ベルトルト「・・・・何がだい?」

ユミル「故郷に帰りたいんだろ?」

ベルトルト「今更・・・・無理だよ・・・・」

ユミル「はぁ・・・・何弱気になってんだよ、お前」

ベルトルト「もう、生きてここから出られっこない・・・・」

ユミル「お前なぁ」

ベルトルト「僕が破ったんだ。シガンシナも、トロストも・・・・・僕が殺したんだ。エレンのお母さんも、ミーナも、マルコも」

ユミル「そりゃそうかもしれんが・・・・」

ベルトルト「僕は!!人殺しなんだよ!!その僕が一体何を協力するんだ!?協力したら許されるのか?!それで仲良くなれるとでも!?」

ユミル「落ち着け!落ち着けよ!!」

ベルトルト「君はいいよね!!誰も殺してないんだから!誰も敵に回してないんだから!!君と僕らは違うんだよ!!ただ巨人になれるってだけさ!君は今からでもエレンのように英雄になれるんだ!!」

ユミル パン!!「落ち着けってんだ」

ベルトルト「・・・・・」ハァハァ

ユミル「いいか、ベルトルト。お前の巨人じゃ、ライナーのようにマリア奪還作戦に協力すんのは難しいだろうが・・・・出来るだけ情報を渡すんだ。な?あいつら意外と話の分かる連中だよ」

ベルトルト「・・・・そんなことしたら、僕らの故郷は・・・・」

ユミル「大丈夫だ。団長達はな、なんかデカいことを企んでるようだぞ?」

ベルトルト「・・・・デカいこと?」

ユミル「あぁ多分な。お前らの故郷、サルトゥスだろ?」

ベルトルト「!!どうして・・・・」

ユミル「年寄りを馬鹿にすんなよ?団長達は壁の外を目指してるんじゃねぇのかと思う。」

ベルトルト「ユミル・・・・それ・・・・信じていいの?」

ユミル「シガンシナだ。一番の狙いはな。そして壁内王政をひっくり返す。その為にはお前らと、お前らの故郷、サルトゥスの力が必要なんだよ。サルトゥスの出方次第だろうがな。そこでお前らが協力すりゃ、お前らは安全に故郷に帰れる」

ベルトルト「アニも?アニも一緒に連れて帰りたい!!」

ユミル「それを条件にすりゃいいだろ」

ベルトルト「・・・・帰れる・・・・故郷に・・・・」ジワッ グスッ

ユミル「あぁ帰れるよ。お前と、ライナーと、アニと、3人でな」

グスッ ウッ ヒックヒック

・・・
・・・・
・・・・・
ユミル「どうする?ライナー。ベルトルさんは乗り気だよ」

ライナー「・・・・・」

ユミル「泣いて喜んでるけどね?帰れるってさ」

ライナー「・・・・・そうか」

ユミル「・・・・あんたもさぁ、あんまり時間がないんじゃないの?まぁ一番ヤバイのはアニだろうけど。あんたももう早けりゃ後2~3年てとこだろ?」

ライナー「・・・・あぁ」

ユミル「その時が来る前に帰りたいだろ?故郷に」

ライナー「手ぶらで帰るわけにはいかん」

ユミル「そこんとこは心配しなくてもいい。団長はサルトゥスとの協力関係を希望してる」

ライナー「!!どうして知っている!!」

ユミル「私の名前でピンとこねぇかな?」

ライナー「・・・・・・まさか、あのユミルなのか?」

ユミル「もう、ないんだろ?」

ライナー「・・・・・そう聞いてる」

ユミル「私が最後のユミルだ」

ライナー「そうか・・・・・そうだったのか・・・・」

ユミル「私には帰るとこはねぇが、お前にはあるんだ。なんとしても帰れよ。・・・・ベルトルトと、アニを帰してやれ」

ライナー「・・・・・・・・・・・・あぁ、そうだな。あいつらを、連れて帰ってやらないとな」

・・・
・・・・
・・・・・
ヒストリア「ユミル!!」

ユミル(ヒストリア!!)

獣「やれ!!こいつらみんな!!」

エレン(巨人の中)「お前が死ねぇぇぇぇぇ!!」

無知性巨人達 ウロウロ オロオロ

鎧 ガァァァァァ!!

ミカサ「はぁぁぁぁ!!」ビュッ

獣「うわぁぁぁぁ!!」

ユミル(くそ!!ヒストリア!!ここは危ない!!)

超大型 ゴォォォォォ!!

獣「アツイィィィィ!!」

エレン(巨人の中)「押し込めぇぇぇぇ!!」

ヒストリア「ユミル!!危ない!!」

ユミル(!!)ドン(ウッ)

ヒストリア「ユミルッ!!」

ミカサ「削いでやる!!」ハッ!! ワイヤードシッ「あ!!」

ジャン「ミカサ!!」

コニー「ジャン!!ダメだ!!」



・・・
・・・・
・・・・・
ここは・・・・どこだ・・・・暗いな・・・・

のどが・・・・乾いたな・・・・水・・・・・

ヒストリア・・・・・生きていて・・・・どうかきっと・・・・幸せに・・・・・



・・・・ヒストリア・・・・お前に・・・・逢いたい・・・・

期待

>>775
ありがとう!

ラスト投下します。捏造満載。妄想設定ありまくりです。

アルミンサイド書けなくて申し訳ないです。後アニにもごめんね。

~~~国立図書館・閲覧禁止区域~~~



■新生レイス王朝 神話から現代へ■  著H・Bahner

スッ   パラパラパラ

●初代女王ヒストリアの一生●
旧暦835年 レイス卿非嫡出子として初代女王ヒストリア生誕

旧暦847年 女王ヒストリア、クリスタ・レンズを名乗り104期訓練兵団ウォールローゼ南方面隊入隊(*1)

旧暦850年 破壊されたシガンシナ区の外扉を封鎖(*2)した後、旧王政勢力の迫害を逃れ、当時閉鎖中であったウォール・マリア南区旧レイス家直轄農地に身を隠す。(*3)

旧暦851年 調査兵団団長エルヴィン・スミスらとともに、反乱軍を組織(*4)。巨人に関する旧王制と壁教の不正、100年にわたる民衆への欺瞞を追及し、調査兵団、駐屯兵団を掌握、旧王政率いる憲兵団と軍事衝突を起こす。

同年 樹上王国「サルトゥス」との接触を開始。

新暦元年旧暦853年 旧王制・壁教全面降伏。新生レイス王国を樹立し、女王に即位(*5)暦を改める

新暦2年 アニ・レオンハートを伴った新生レイス王国使節団を「サルトゥス」へ派遣(*6)同時に山岳王国「モンス」・渓谷王国「ヒュポゲーウム」との国交交渉を開始。

新暦3年 「サルトゥス」「モンス」「ヒュポゲーウム」との講和条約締結。「サルトゥス」と巨人の共同研究を開始。

同年 「サルトゥス」国王フィン・マク・クールの第2王子オシーンとの婚約成立

新暦5年 オシーン殿下を王都ターラに迎え入れ婚姻

新暦7年 第1王女アンネリース誕生(*7)

新暦9年 第2王女ベアテ誕生

新暦11年 第1王子フィデリオ誕生

同年 女王ヒストリア夭折

ピタッ ・・・・ペラッ

(*1)一般的に「伝説の104期」とはこの部隊出身者を差す。
伝説の104期とは・・・・
首席ミカサ・アッカーマン・・・・ウォール・マリア、シガンシナ区出身。のちに結婚しキルシュタインと姓を改めるが、アッカーマンの姓で呼び表わされることが多い。女王ヒストリアとともに潜伏期間を過ごす。女王ヒストリアの身辺警護の責任者を務めた。当時人類最強と評された調査兵団兵士長リヴァイ・アッカーマンと双璧と言われた名高い立体機動装置の使い手である。東洋系の血を引くと言われるが真偽は定かでなく、またリヴァイ・アッカーマンと血縁であるとする説もあるが、いずれも不明であり、これからの調査結果が待たれるところである。
美貌と美声の持ち主と言われ、女王ヒストリアの死の床で「愛の賛歌」を歌ったエピソードはあまりにも有名。現在でも多くの小説、演劇の主人公として描かれることが多い。

次席ライナー・ブラウン・・・・「サルトゥス」の工作員で鎧の巨人。シガンシナ侵攻時、同区内扉を破壊した。後にシガンシナ外扉を結晶化の能力にて封鎖した。ウォールマリアでの巨人掃討作戦にも参加し多大な成果を残したと言われる。

3位ベルトルト・フーバー・・・・「サルトゥス」の工作員で超大型巨人。シガンシナ外扉を破壊し、マリア侵攻の最初の一撃を加えた人物。後にライナー・ブラウンとともに自らが破ったシガンシナ外扉を封鎖した。

4位アニ・レオンハート・・・・「サルトゥス」の工作員で、男性のような体格の巨人しかいないと思われていた当時、初めて確認された女型の巨人。結晶化や高速での移動、通常型巨人を呼び寄せるなど、多くの能力を持っていたとされる。ウォール・シーナでエレン・イェーガーと巨人体にて戦闘、上流階級に多くの死者を出した。戦闘に負けた後結晶化するが、女王ヒストリアにより結晶化を解かれ、「サルトゥス」への使者として故郷へ赴くこととなる。数年の投獄生活ののち、女王ヒストリアの恩赦を受け「サルトゥス」へ帰還。「サルトゥス」側の記録によると、帰還後は「サルトゥス」の巨人討伐部隊に配属されたが、この頃には巨人体への変態は不可能になっており、立体機動を使用した討伐任務に就いたという。30代の半ばに引退したようだが、記録が散逸しているため、彼女のその後は不明である。
巨人体への変態については別記を参照されたい。

5位エレン・イェーガー・・・・ウォール・マリア、シガンシナ区出身。ミカサ・アッカーマンの幼馴染。駐屯兵団の研究「生体巨人化実験」の初成功者であったとする文献もあるが、エレン・イェーガー自身は調査兵団所属であったことから誤った情報であろう。また父グリシャ・イェーガーが地下組織の一員であった、母カルラが女王ヒストリアの父と異母兄妹であった、等の説があり、その背景には謎が多い。ライナー・ブラウンらとともにシガンシナの外扉を封鎖した。

6位ジャン・キルシュタイン・・・・ウォール・ローゼ、トロスト区出身。ミカサ・アッカーマンの夫。女王ヒストリアとともに潜伏期間をすごし、後にエルヴィン・スミスの身辺警護の責任者となる。104期には逸材としてのミカサ・アッカーマン、「サルトゥス」の工作員として訓練を受けた3人の巨人など、特殊な人材が多かった為にさほど目立たない存在の彼だが、他の訓練兵団もしくは別期であれば首席でもおかしくない実力の持ち主であったようだ。
妻ミカサ・アッカーマンとの間に2児をもうけたと言われる。訓練兵団入団直後からミカサ・アッカーマンに恋をし、一途に想い続け恋人の心を射止めたことから、妻ミカサ・アッカーマンと共に小説や演劇に多く登場する。一部では恋愛の守護聖人として扱われ現在でも恋する若い女性に人気が高い。

プッ・・・・ ペラッ

7位ユミル・・・・ユミル一族の最後の1人。調査兵団第四分隊長(当時)ハンジ・ゾエの記録によると、危機に瀕した国を救う為自らその身を巨人化したが、制御不能に陥り60年の長きにわたり彷徨ったという。ユミル一族に関しては別記を参照されたい。
また別の資料では7位はマルコ・ボットなる人物であり、104期の上位にユミルは入っていないともされる。
女王ヒストリアの親友でもあり、ユミルに向けて手紙が残されたと言われるが、発見には至っていない。

8位コニー・スプリンガー・・・・ウォール・ローゼ南区ラガコ村出身。ラガコ村民は獣の巨人により巨人化されたといわれ、のちに全体討伐されたとの記録がある。コニー・スプリンガーの親族もこの中に含まれる。女王ヒストリアとともに潜伏期間をすごし、エルヴィン・スミスの身辺警護を努めるも、新暦4年サシャ・ブラウスと結婚。潜伏時に使用した土地を領地として与えられ、王宮に献上する動物、果実や花などを育てその血脈は現代にも続く。

9位サシャ・ブラウス・・・・ウォール・ローゼ南区ダウパー村出身。女王ヒストリアとともに潜伏期間をすごす。狩りの名手として知られ、現在狩猟と豊穣の守護聖人としても崇められている。ミカサ・アッカーマンとともに女王ヒストリアの身辺警護を務めたのち、結婚を機に夫コニー・スプリンガーと共に引退。5児をもうける。この子供たちに関しては「旧スプリンガー邸と墓地調査のまとめ」を参照されたい。

10位クリスタ・レンズ・・・・女王ヒストリアはクリスタ・レンズを名乗り訓練兵となった。馬の扱いに長け、乗馬の腕は当時の訓練兵団においてトップだったと言われる。

アルミン・アルレルト・・・・ウォール・マリア、シガンシナ区出身。ミカサ・アッカーマン、エレン・イェーガーの幼馴染とされる。上位ではないものの、知略に長け女王ヒストリアの潜伏生活を援助した。エルヴィン・スミスの失くした右腕と言われ、新生レイス王朝の黎明期を支えた一人である。医学と巨人研究に没頭、さまざまな対巨人兵器を考案したことから、しばしば調査兵団ハンジ・ゾエと混同されることも多い。アルミン・アルレルト本人は容姿端麗であったにも関わらず、生涯独身を貫いた。このことから女王ヒストリアの愛人だった、あるいは男色家であった、また女王ヒストリアが王夫オシーンと結婚する前に婚約していた、など様々な憶測がされていた。この件に関しては「旧スプリンガー邸と墓地調査のまとめ」に記す。

(*2)「サルトゥス」工作員、超大型巨人ベルトルト・フーバーによって蹴破られたと言われる外扉は、「サルトゥス」工作員のライナー・ブラウンとベルトルト・フーバー、調査兵団エレン・イェーガーとユミルにより封鎖された。「サルトゥス」の工作員をどのように寝返らせ、壊された扉を封鎖するに至ったかという経緯については諸説あるが、エルヴィン・スミスより故郷「サルトゥス」への帰還支援と、「サルトゥス」との講和条約締結等の提案があったという説がもっとも支持されている。

(*3)シガンシナ戦時に重症を負ったミカサ・アッカーマンを連れ、女王ヒストリアが潜伏したと言われる旧レイス家直轄農地。ここでの生活は1年にも満たなかったと言われるが、絵師にこの土地の景色を描かせる(その絵画は「果樹の館)と呼ばれ、絵師は偶然にも筆者と同じ苗字である)など女王ヒストリアは強い郷愁の念を抱いていたようである。戦友でもあるコニー・スプリンガーにこの地を与え、対巨人探索犬を育てさせた他、女王が愛した馬や犬、猫などの動物を時折この地から献上させている。

(*4)女王ヒストリアが反乱軍を組織したとされるが、実際に指揮したのはエルヴィン・スミスで、女王ヒストリアは傀儡であった。

(*5)摂政にはエルヴィン・スミスがつき、反乱軍の時と同様女王ヒストリアが実権を握ることはなかった。

(*6)アニ・レオンハートの結晶化を解く際、女王ヒストリアは非常に体力を消耗したと言う。摂政にはエルヴィン・スミスがつき、「サルトゥス」との交渉等の一切を取り仕切り、反乱軍の時と同様女王ヒストリアが実権を握ることはなかった。

(*7)第1王女アンネリースはのちの2代女王となる。女王ヒストリアによく似た金髪の美女であり、肖像画が現存している。

ペラッ

●旧スプリンガー邸と墓地調査のまとめ●

○旧スプリンガー邸と墓地より発見された書物について

1.コニー・スプリンガーによる半野生化植物の成長記録
犬、猫、馬、羊、山羊、豚といった王家に献上する家畜の飼育で知られるスプリンガー邸では果樹、薬草、麦などの栽培も行っていたようである。
一度野生化しかけた植物を再び食用に戻す研究を行っており、その記録が詳細に記されている。

2.サシャ・スプリンガーによる育児記録
記録というよりも日記と言う方が正しいかもしれない。特に長女フレイヤについては詳細に記されているものの、他の子供たちと違い妊娠中の記録が一切存在せず、誕生7日目から唐突に始まる。また他の子供たちについては妊娠中からの記録が存在するが、フレイヤ程詳細に記される子供はいない。さらに他の子供たちの容姿について「コニーに良く似た灰色の瞳」とか「私と同じ茶色の髪」などと書かれているが、長女フレイヤは金髪碧眼で色白の小柄な美少女とサシャ・スプリンガーは日記に書き残している。
サシャ・スプリンガーの産んだとされる子は以下の通り
長女 フレイヤ
次女 マレーネ
長男 ディルク
次男 フェリックス
三男 ハインリッヒ
スプリンガー夫妻はもうけた子供すべてに、潜伏生活時代に使用した偽名をつけている。このことから、女王ヒストリアだけでなくスプリンガー夫妻もまた、潜伏生活時代に強い思いを抱いていたことがわかる。

3.墓地より発掘された手紙
旧スプリンガー邸の敷地には、スプリンガー夫妻の他にキルシュタイン夫妻とアルミン・アルレルトの墓地も存在している。
今回はアルミン・アルレルトの墓地の発掘を行い、数通の手紙を発見した。
手紙の差出人はディルク、フレイヤの2名となっているが、筆跡鑑定の結果、スプリンガー家の子供たちではなく、ディルクはアルミン・アルレルト、フレイヤは女王ヒストリアである可能性が高いと判明した。詳細は以下に記す。

中略

恋文様の内容から、噂でしかないと言われていた女王ヒストリアとアルミン・アルレルトが婚約していたというのは真実であったと言っていいだろう。またそう断定的する理由を副葬品の項にも記す。

ペラッ

○副葬品

アルミン・アルレルトの墓地の副葬品は以下の通り

1. 手紙
これについては先の「旧スプリンガー邸と墓地より発見された書物について」を参照されたい。

2.同デザインの銀製の指輪2個
裏面の刻印「アルミンよりクリスタへ愛をこめて」「クリスタよりアルミンへ愛をこめて」シンプルな品で装飾はない。クリスタは女王ヒストリアの偽名の1つであることから、女王ヒストリアとアルミン・アルレルト双方が贈りあったものであろう。王族の贈り物としては非常に簡素な造りであることから、日付の刻印はないものの、女王即位前に贈りあったものと筆者は推測する。

3. 花
死者に花を手向けるのは現代と変わらぬようである。ただしアルミン・アルレルトの棺にはリンゴの枝も入れられた。遺伝子解析の結果、現在でもスプリンガー邸の果樹園に植えられているリンゴと同じ木であると判明した。「旧スプリンガー邸と墓地より発見された書物について」で記した最後の手紙にリンゴの花について触れられている。アルミン・アルレルトの死に際して、手紙の内容を知る人物により入れられたものであろう。なお、スプリンガー邸の果樹においては、すべて女王ヒストリアの時代より挿し木によって増やされており、当時と変わらない品質を保つという。

4. 髪
女王ヒストリアの研究を行う者にとっては、もっとも重要な発見の1つと言っても過言ではない。アルミン・アルレルトの遺体の手には筒状の容器が2つ握らされており、その容器の1つの中にあった髪の遺伝子解析の結果、女王ヒストリアのものであると断定した。
またもう1つにも髪が入れられており、この解析結果を見た時の筆者の興奮は筆舌に尽くしがたい。この髪の人物の遺伝子は、女王ヒストリアとアルミン・アルレルトの間に少なくとも1人、娘がいたことを我々に証明してくれた。その娘がコニー・スプリンガーとサシャ・ブラウスの長女フレイヤであろうことはまだ想像の域を出ないが、長年の論争が1つ幕を下ろした瞬間であると言えよう。

5.手帳
内容のほとんどは、いつ誰に合う、といった事務的なメモである。しかし最後のページには以下の書き込みがされている。
・・・・・・・・・・・・・・・・
ペラッペラッ

・・・・・・・・・・・
終章
女王ヒストリアの墓地には、旧スプリンガー邸の景色を描いた絵画「果樹の館」とともに現在も良好な状態で保管されている絵画がある。
共に潜伏期間を過ごしたと言われる面々と共に、戦闘服を身にまとった勇壮な姿の女王ヒストリアが描かれたそれを、女王ヒストリアは生涯寝室の枕元にかけ、死に際しても棺から見える場所にかけるように遺言を残したという。

この絵画を目にした時の筆者の率直な感想としては、戦闘服を身にまとってなお可憐な美少女ヒストリアと、満点の星空を頂く夜空のごとく、と言い表された美しい黒髪のミカサ・アッカーマン、のちに狩猟と豊穣の守護聖人とも言われたサシャ・ブラウス、逞しい青少年ジャン・キルシュタインとコニー・スプリンガー。そして伝承に違わぬ金髪碧眼の美少年アルミン・アルレルトとの、まるで和気藹々とした学生のスナップ写真のようである。その後描かれたどの肖像画も、女王ヒストリアの表情はどこか悲しげであるのに対して、この「学生のスナップ写真」的絵画では楽しげに笑っている。ところがこの絵画は、その華奢な身体を巨人や旧王政勢力との壮絶な戦いに投じた日々の中で描かれたはずである。にもかかわらず、この頃女王ヒストリアはもっとも幸福であったのだ。

遺言に関しては、ユミルについても触れている。シガンシナの外扉を含めた壁の巨人の解放を熱望した女王ヒストリアは、それが自分の能力では叶わないと知ると、ユミルにあてて手紙を残し、いつか壁からユミルが解放された暁には、必ずユミル本人に手渡すように命じた。しかしユミルの消息も手紙の行方も現在不明である。

また壁そのものも現存しておらず、巨人の生息も確認されていない為、そもそも壁や巨人などというものが存在していたのかどうか?という議論が巻き起こっている。壁はある日突然、雷鳴が轟き地響きと共に消失、数万の巨人が壁の中から出現したが、ほぼ同時に全体消滅したと伝えられている。しかし巨人の骨格や遺跡等いかなる物証も発見されていない。またシガンシナ外扉を封鎖したと言われるエレン・イェーガー、ユミル、ライナー・ブラウン、ベルトルト・フーバーもこの時壁から解放されたはずだが、その消息はいかなる書物にも記されておらず不明のままだ。
今や樹上王国サルトゥスがその王国を築いたとされる巨大樹の広大な森すらも存在していない。様々な書物からその巨大樹はセコイアに似たものと推測されるが、かつてのレイス王朝や樹上王国があったとされる地域にそれらしき樹木は一本も認められない。その為、巨人や長大な壁などは、新生レイス王朝を正当化し、女王ヒストリアを神格化する為に後世付け加えられた「神話」だと主張する向きもある。しかし巨人討伐の為考案されたと言われる戦術や武器などの多くが現在にも伝えられていることから、生物兵器としての巨人は存在していたと、筆者は考えるのである。特にスポーツとしての立体機動は少年少女たちが熱狂するものの1つである。2000年近く経った今でもミカサ・アッカーマン、リヴァイ兵士長らは、彼らにとっては英雄なのだ。
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・

パタン  コト

コソッ サッ タタタタタ


ザワザワ プップー ピッポッピッポッ
少年「・・・・・・」
◇街頭テレビ◇
「FNNでは現在、世界でも類のない難病に侵されたマリアちゃんの治療の為、皆様からの募金をお願いしています。マリアちゃんは世界中でもヨーロッパのほんの数家族にしか確認されていない、遺伝性の表皮硬化症に侵され苦しんでいます。この病気は特殊な遺伝子を持った女の子にのみ、発症する可能性があるという大変珍しい遺伝病です。現在のところ予防法、治療法ともに確立されておらず、患者数の少なさから研究費用も限られており・・・・」
ザワザワ プップー ピッポッピッポッ

女「待たせたな」
少年「よう、気が済んだか?」
女「あぁ・・・・」チラッ

◇街頭広告◇
監督パズ・ラーマンにより一新された脚本と演出でお送りする超巨編ラブロマンス・・・・豪華俳優陣による圧巻の歌とダンス、若き女王ヒストリアと美少年アルミン、その悲しい恋の結末に誰もが涙する・・・・・「悲恋の女王・ヒストリア」来春公開!



女「なぁ・・・・・似てるか?」
少年「・・・・」チラッ「全然」
女「クリスタはもっと可愛かったよな」
少年「アルミンはもっと童顔だった」
女「見ろ、これジャンじゃねぇの?」
少年 プッ「あいつこんなにイケメンじゃねぇだろ」
女「馬面だしな」
大男「おい、なにしてんだ」
長身男「早く行こうよ」
少年「あぁ」
女「悪い・・・・」
スタスタスタ
女「なぁ、見に行きたいものがあるんだが」
少年「なんだよ?またか?」
女「いいだろ。これが最後だ」
大男「何を見たいんだ?」
長身男「ヤバイ場所じゃないだろうね?」
女「大丈夫だろ・・・・・お前らも来いよ」
長身男「えぇ?やだよ。君の大丈夫は信用できない」
女「なぁ、来いって。絶対見た方がいいって。見ないと後悔するぞ?」
大男 フン「そこまで言うなら付き合ってやろう」
少年「仕方ねぇな」
長身男「・・・・はぁ。もう」
女「さぁ、行こう。あいつらの顔を拝みに」




お粗末様でした。

途中で期待支援コメ下さった神々には感謝しかございません。

シガンシナに戻ってからの小ネタとか壁外で魅力的な美少女に出会ったジャンが彼女の猛烈アタックに揺らめいたり、不器用なりに気にかけてくれる兵長にミカサが惹かれたり、アニの悲しい孤独な人生に光が射したり、色々妄想していますが、ひとまずここでおしまい。

お付き合いありがとうございました。

お疲れ様!

全部読んだけど、面白かったよ!

次回作も、書くなら期待!

~~~~おまけ~~~~


ミカサ「アルミン?」

アルミン「・・・・・」

ミカサ「クリスタが・・・・逝ったわ」

アルミン「・・・・・・」

ミカサ「これ・・・・クリスタから、あなたに」

アルミン「・・・・・これは」パカッ「・・・・・っ」ポロポロポロポロ

ミカサ「クリスタの言葉を伝える。・・・・・私の心はアルミンのもの。今までもこれからも。愛してる。・・・・・・以上よ」

アルミン「っクリスタぁ!!・・・・・僕はっ!!僕はなんて無力なんだ!!」

ウッ ウワァァァァ アァァァ グスグス ポロポロ

ミカサ「もう1つ、クリスタから頼まれていることがある。ついて来て欲しい」

アルミン「なに?」グスッ

ミカサ「その前に、そのむさくるしい恰好をなんとかして。髪、切ってあげるから」

~~~~~~
燦々と降り注ぐ5月の太陽を浴びて、その少女は輝いてみえた。いや、実際にその金髪はきらきらと輝いていた。懐かしいその場所の、りんごの花咲く、果樹の森の中で、木漏れ日をその髪で受け止めてきらきら、きらきら。
ふさふさした尻尾の大きな犬を従えて、天使が僕を目指して走ってくる。



アルミン「ク・・・クリスタ・・・・?」

少女「ミカサ!久しぶりね!」

ミカサ「元気だった?」

少女「父さんったら!ミカサが来るなら教えてくれればいいのに!私ミカサの為にクッキー作りたかったの」

コニー「悪りぃな。急だったんだよ」

ミカサ「クッキー作れるの?」

少女「母さんに教えてもらったの。ねぇ?そちらの方は?」

コニー「アルミン・アルレルト卿だ」

ミカサ「アルミン、フレイヤよ」

フレイヤ「こんにちは!アルレルト卿」ニコッ キラキラッ

ミカサ「フレイヤ?アルレルト卿にお茶をお出ししないと。支度を手伝って来てくれる?」

フレイヤ「はい!」タッ「行くよ!ボリス!」ワンッ

アルミン「・・・・フレイヤ?」ボーゼン

ミカサ「アルミン、あなたの娘よ」


アルミン「・・・・・・・・いくつに・・・・なったの?」

コニー「もうすぐ10歳だ・・・・」

アルミン「それじゃあ・・・・あの時の・・・・てことは、あの頃体調不良だって言ってたのは・・・・・・・・」

アルミン「あの時、クリスタは・・・・あの子を産んだの?能力の使い過ぎで体調を崩して寝込んだっていうのは・・・・・あれは・・・・あの時出産してたの?」

ミカサ「・・・・そうよ」

アルミン「今までずっと・・・・僕に隠してたの・・・・?」

ミカサ「・・・・そうよ」

アルミン「・・・・どうして?」

ミカサ「アルミン、あなたを・・・・守るためよ」

アルミン「・・・・女王の元恋人だから?」

ミカサ「そうよ。王夫殿下は女王を愛しすぎてる。このことが知れたら、嫉妬に狂ってあなたを殺してしまうかもしれない、だから。あの子が産まれたことも秘密。婚約から婚姻の儀まで時間が空いたのもそのため」

アルミン「・・・・ここで・・・・ずっとコニーとサシャが育てたの?」

ミカサ「・・・・そうよ。ここで、コニーとサシャの子供たちと一緒に」

アルミン「・・・・・僕に・・・・僕に、どうして育てさせてくれなかったの!!」

ミカサ「・・・・・あなたが必要だったの、アルミン。モンスやヒュポゲーウムとの交渉や他にも・・・・あなただって分かってるはず」

アルミン「・・・・酷いじゃないか・・・・こんなの無いよ・・・・僕だって、クリスタを愛してたんだ・・・・」

ミカサ「・・・・クリスタもよ。だから、アルミンに内緒であの子を産んだの。それがクリスタのアルミンへの愛の証」

アルミン「じゃあ、そのつもりだったの?あの時・・・・あの時にクリスタは、そのつもりで・・・・」

ミカサ「そう。そしてフレイヤを産んだ後、全部捨てて人類の為に、心臓だけでなく、全部捧げたの。心以外の、全部を」

アルミン「・・・・僕が研究室に引きこもってないで、早くここに来ていれば・・・・・」

フレイヤ「ミカサー!お茶の支度ができたよ!アルレルト卿もどうぞ!お入りになって!」

ミカサ「今行く・・・・あの子、アルミンの小さい時によく似てる」

アルミン「クリスタにそっくりだよ・・・・・」

>>786
わっ!コメはやっ

ありがとうございます!!

SS初書きでしたが、すごく楽しかったです!!こんな長文かつ誤字脱字投下ミスの激しいモノにお付き合い下さってありがとうございます!

>>790

SSは完走することと書いてて楽しいってことが大事だと思うよ!

誤字脱字は後で訂正してれば問題もないし。

初書きの後はもっとスムーズに、自然に書けてくると思う。

頑張れー、応援するから!俺もSS書いてるしね

>>791

モンハンの方?モンハン知らないけど、読んでみよっと。

日本着は明日かな?気を付けて帰ってきて下さいねー!

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年03月23日 (日) 18:38:31   ID: GcWrY80U

こう言うの大好きです(笑)
ミカサ、ジャンとくっ付け!

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