電子世界の艦娘達 (1000)

自分なりの解釈で艦これの世界を書いてみたいと思います。あんまりいちゃいちゃするような話にはならないかも……

こういう系は長く書こうとするとグダるのでそこまで長くもならない予定です

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1393986664

男「テスト?」

上司「あぁ。上からの指示でな、簡単なテストをするからこい……と」

男「はぁ……」

上司「今すぐだそうだ。仕事はまた後でいいから行ってくれ」

男「わかりました……」


コツコツ

男「テストって一体なんなんだ……?」

男「ま、まさか……俺なんかやった……?」

男(まてよまてよ、この会社の会長って確か……)

男(現職総理大臣の江良……だよな)

男「……」ゾクッ

男「……」

男「応接室……ここだな」ゴクリ

コンコン

男「お、男です!失礼します!」ガチャ

男性「よく来てくれた。まぁ掛けてくれ」

男「はい……」スッ

男性「君を呼んだのは他でもない。少しばかり話が聞きたくてな」

男(や、やっぱりなにか……ど、どどどうしよう……)

男性「ん……そんなに硬くならなくてもいいぞ!これからやるのはちょっとした調査……だからな。別に君がなにかしたという訳じゃない」

男「……」

男性「社員から無差別に対象を選んでいるだけだから、まぁ……業務時間内で仕事をサボれるからラッキーだとでも思ってくれて構わないよ」

男(正直仕事してた方がマシだわ……)

男性「それじゃあ……質問させてもらおうかな」

男性「君は正義感が強いかな?」

男「正義感……ですか?」

男性「なんでも自分でやろうとするとか……困っている人がいたら助けにいくとか」

男「それなら……あまり正義感はないかもしれないです。困っている人がいたとして、自分の出来る範囲なら手助けしますし……無理なら誰かに任せます」

男「とにかく自分の動ける範囲でしか動かないかもしれません……上からの指示、であれば最善は尽くしますけど」

男性「そうか。では次、ルールは守るタイプかい?タバコのポイ捨てとか」

男「他人が困るような事ならしません」

男性「では上司が明らかに無理な計画で作業を突きつけて来た時には?上司の言う事を守って作業をする?」

男「失敗が明らかな時は自分なりに最善を尽くします」

男性「ふむ……よし。ありがとう。これで質問は全部だ」

男「はぁ……」

男性「あとはこの……紙に少しばかり記入してくれ。これで全て終了だ」ペラッ

男(なんだこれ……入試とかでやった性格診断テストみたいだな)

男「……」カリカリ

男性「……」


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~数日後~


上司「辞令が出た」

男「はい!?」

上司「急で申し訳ないが、これからすぐに行ってもらう事になる」

男「どういうことなんですか?」

上司「さぁ……ただもう車は用意しているらしい」

男「えぇ……」

上司「一体なにやらかしたんだお前……」

男「なにもしてないですけどね」

上司「まぁいいから、そういう訳で行ってくれ」

男(一体なにがなんだか……)

男「……」

運転手「お待ちしておりました。お乗り下さい」ガチャ

男「はぁ……失礼します」スッ

バタン


男(……言われるがままに乗ったけど)

男(そんな急に辞令って出るものなのか?いくらなんでもおかしいだろ)

男(訴えたら勝てるかな?)

運転手「……」

ブォォォ

とりあえずここまで。結構はしょりました

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男「……」

運転手「到着しました」ガチャ

男「……ここは?」バタン

黒服「それはおいおい説明があるかと。この先は私が案内させていただきます」

男(黒服にサングラスって……怪しすぎる……)

黒服「どうぞこちらへ」スッ

男「……」

男(……どうやら医療施設みたいだな)

男(松葉杖の人に……看護婦の人まで……)

男(病院勤務かぁ……キツいって聞くけど……)

男(もしかして俺……会社に厄介払いされた?)

黒服「ここは見ての通り病院ですね。医療の他にもここでは孤児の引き取りやリハビリセンターも併設しています」

男「はぁ……」

黒服「国に管理されていますから、安全性や技術力でも国内有数だと思います」

男「へぇ……それはすごいですね……」

男(国の施設なのか……確かに敷地もかなり広そうだし整備されてる)

男(良くテレビで見る海外の綺麗な公園ってかんじだな……)

男(それで奥には……巨大な建物。ガラスが多めに使われててなんとなく最先端の施設っぽい……かも)

黒服「入りましょう」

男(ここは受付だな。随分沢山の人がいる……)

黒服「この先奥のエレベーターに乗ります」コツコツ

男「はい……」コツコツ

黒服「緊張されてます?」

男「いえ、そういう訳ではないんですけど……急に辞令が出てここに来たので戸惑っている……というか」

黒服「そうですか……それは大変ですね……」

チン

黒服「丁度着きましたね。行きましょう」


ウ゛ォォ

男「地下ですか……」

黒服「地下の6Fまでいきます」

男(見た目以上に大きな施設みたいだな)

チン

黒服「こちらへ」コツコツ

男「……」


黒服「ここは病院の備品などを管理する場所ですね。ここからいろいろな物を専門の人間が各階へ送っています」

男(物運びの専門の人間って……)

警備員「……」

男「ん……」

黒服「ご苦労様です……」スッ

男(……なんだこれ。病院の警備とは思えないような)

男(分厚そうな鉄の扉に警備員。監視カメラ……怪しい……)

ピッ

黒服「ここは厳重に警戒されてます。カードキーに指紋、網膜認証が必要になります」

男「なんでそこまで……?」

黒服「いずれ分かります」

グォォォン……ガコン

黒服「いきましょうか」コツコツ

男「……」ゴクリ

男(一体なにがあるんだ……もしかして国の秘密の施設だったりして……)

男(んなアホな事ないか)


看護婦「体調はどうですか?」

少女「バッチリです!」

看護婦「それはよかった」

男「……」

男「……あの」

黒服「どうかされましたか?」

男「ここも普通の場所じゃないんですか?上の階とあまり変わらないような……」

黒服「それもすぐにわかります」

男「……」

車椅子の少女「あら、お客さんですか?珍しいですね」

黒服「もしかしたら君の担当になるかもしれないね」

車椅子の少女「そうなんですか、よろしくお願いしますね」ニコッ

男「え、あぁ……よろしく」

男(担当???俺に看護師のスキルなんてこれっぽっちもないぞ……)

黒服「こちらです」コツコツ

男「……」コツコツ

男「……」チラッ

車椅子の少女「……」フリフリ

男「……かわいい娘だな」ボソッ

次回艦娘登場……の予定。キャラ付けは自分のイメージでやるのでみなさんが思ってるようなのと違う……かも

男「……」

黒服「こちらの部屋へお入り下さい」

男「……」

男「し、失礼します……」ガチャ


女性「ん、よく来てくれた」

男「……」

男(執務室みたいだな……だけどイスも机も立派だし……どちらかというと社長室か)

女性「急な辞令で戸惑っただろう?すまなかった」

男「いえ……」

女性「まずは自己紹介から……私はこの施設を統括している……皆は私の事を元帥と呼ぶな」

男(げ、元帥……?軍かなにかかここは……)

元帥「それでだ、男くん。君の話は良く聞いているよ」

元帥「成績も優秀で渡り上手だそうじゃないか?臨機応変な対応が出来るらしいし君は人の上に立つ素質があるのかもしれないな」

男「はぁ……ありがとうございます……」

元帥「ならば一度、人の上に立ってみないか?」

男「……それは、どういう……」

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男「……」

男「一体なんだったんだろう」


元帥『まぁ、詳しい話は後でするとして。まずはこの施設を見学していくといい』

元帥『君には悪いが自宅出勤ではなくこちらに住んでもらう事になる』

元帥『なに、家賃も食費も取りはしないし給料も……今の倍に跳ね上がるかもしれないぞ?』


男「悪い話ではないんだけどなぁ……一人暮らしだしさ」

男「でも……なんだかなぁ……」

男「んで、見学って言ってもなにをどうすればいいんだ」

男「結構広そうだし正直迷うかもしれないし……うむ……」

車椅子の少女「あら、先ほどの……」

男「あ、あー……どうも」

車椅子の少女「どうかされたのですか?」

男(やっぱりかわいいな……綺麗に伸ばしてある髪の毛、顔はまるで人形みたいに整ってて……すごく優しそうだ)

男「しばらく見学していてくれって言われたんだけど……どこから見ればいいのやら」

車椅子の少女「それなら私がご案内しましょうか?」

男「それは嬉しいけど……いいの?」

車椅子の少女「私なら大丈夫ですよ。今日は時間も沢山ありますし」

男「それならお願いしようかな……」

車椅子の少女「それではよろしくお願いします!えっと……」

男「あ、俺は男って言うんだ。よろしくね」

車椅子の少女「男さん……いい名前ですね。私の名前は……」

車椅子の少女「翔鶴型航空母艦1番艦、翔鶴です!」

今日はここまでで

男「……」

翔鶴「……」

男「……」

翔鶴「……あ、あの……」

男(翔鶴型うんたらって……どういう事なの?そんな長い名前なのか?というか型って……)

男「う、うーん……?」

翔鶴「私……なにか変な事言いましたか?」

男「い、いや……翔鶴……ちゃんでいいのかな?」

翔鶴「はい!」

男「随分……個性的な名前だね」

翔鶴「名前は旧日本海軍の航空母艦から来てるんです」

男「あ、だから翔鶴型航空母艦なのね」

男(最近の親ってのは子供に軍艦の名前を付けるのか……これが噂のキラキラネーム……?)

男(キラキラ輝いてると言うよりは砲撃の火花でキラキラしてるな)

翔鶴「でもこれは本名ではないのですけどね」

男「???」

翔鶴「それより、施設のご案内ですね」グッ

男「あ、俺が押すよ」

翔鶴「ありがとうございます」


翔鶴「基本的にこの施設は食堂や遊戯施設などみんなで使う場所以外はブロックで分けられています」

男「ふむ」

翔鶴「中心がその食堂や遊戯施設のある場所で……ブロックは6つあります。丁度6角型になっていて……」

男(とても……病院の施設とは思えない)

翔鶴「東西南北に地上への昇降機があります」

男「ブロックの中にはなにが?」

翔鶴「ブロックの中は私達の部屋や提督の執務室にダイビングルームなどがありますね」

男(提督???ダイビングルーム???)

男(……まてよ、元帥に……軍艦の名前の少女、提督……)

翔鶴「……男さん?」

男(俺ってもしかして今……とんでもない所にいるんじゃ……)

しばらく説明とかで進行しそうですねー……ちゃんと他の艦娘も出たりするのでどうぞお付き合い下さい

翔鶴「まずは中央からご案内しますね」

男「うん」


ワイワイ

男「おお……なんかどこかの大きなショッピングモールってかんじだな」

男「ファーストフードに居酒屋に甘味処」

翔鶴「ゲームセンターにパチンコに雀荘もありますよ」

男(会社的にギャンブルっていいんだろうか)

翔鶴「お洋服もここで買えますし温泉に日用雑貨までなんでも揃ってますね」

男(……一体ここはなんなんだろうか)

男「ここから出ないでも生活出来るレベルだなー……」

翔鶴「それでも足りない物がある時には外出届を提出して外に行くんです」

男「そうなのか……」

翔鶴「次は私の部屋もあるブロックの方をご案内しますね」


翔鶴「全部で6ブロック。提督に1つブロックの管理を任されます」

翔鶴「AからFまでアルファベットで名前がついていて、南西のブロックから時計回りに並んでいるんです」

翔鶴「私達が今いるのはEブロックですね」

男「なんか……ここってすごいな……」

翔鶴「初めはみんなびっくりしてます」

男(もう……訳が分からなくなってきたぞ)

お仕事へ

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男「いろいろ見て回れてよかったよ。ありがとう」

翔鶴「いえ、私も久しぶりに見知らぬ人と話せて楽しかったです!」ニコッ

男「それならよかった……それじゃあ」

翔鶴「……」フリフリ

男「……」スッ

男「失礼します」

元帥「よく来てくれたね。いろいろと見て回れたかな?」

男「えぇ……とても病院とは……思えませんでした」

元帥「そうだな……確かにこの施設は病人や孤児を収容したりするだけの場所ではない」

男「……」

元帥「君は……ウイルスと言われてなにを思い浮かべる?」

男「ウイルス……ですか?病気とかの原因になる……それとコンピュータウイルス」

元帥「そう。コンピュータウイルスだ。簡単に説明しよう」

元帥「ここではコンピュータウイルスの処理を行っている」

男「……」

元帥「人類がインターネットという物を使い始めてから時間はそう過ぎてはいない。しかし既に集約された情報は膨大となり……」

元帥「私達が暮らしている世界とはまた違う世界が産まれた」

元帥「そこは海。情報の海だ。どこまでも……どこまでも続いていく海」

元帥「だが海と言っても水の様に流動的……液体の様な型の物だけではない」

元帥「土や岩、草、ビル、シンボル」

元帥「酸素、窒素、二酸化炭素」

元帥「様々な型を持った情報がひしめき合う。そんな世界……」

男「……」

元帥「きっとそれは私達が暮らしている世界と違えども酷似した世界なのだと、私は思っている」

元帥「私達はこの世界をわかりやすく、海と呼んでいる」

男「海……ですか」

元帥「そうだ、私達人類はいつの間にか海と呼ばれる世界を作ったんだ!」

元帥「……私達人類の祖先を辿れば……それは海に繋がる」

元帥「『海』と呼ばれる情報世界にも"海"があると考えれば……」

元帥「情報世界にも生物がいると思わないか?」

男「生物……?」

元帥「A.Iと生物の違いは?分かるか?」

男「……生殖するかしないか?」

元帥「その通り。情報の世界で知能を持った者……それは単なるA.Iであると……決めつけるのはおかしい」

元帥「情報世界の生物達が繁栄する為には生物である必要がある」

元帥「いや、ここではっきり言ってしまった方がいいか」

元帥「私達が暮らしている世界とまた別の世界で生物は暮らしていて繁栄している!!」

元帥「単に他の者を造るのではなく!お互いの情報をコピーし分け与えて産み出しているんだ!!」

男「……!!」

元帥「……人の歴史は戦いの歴史だ。人類はここに来るまで、暮らす場所を獲得する為、生きる糧を手に入れる為、地位や名誉の為そして……自分と違う者、自分を害する者を排除する為」

元帥「情報世界の生物達は私達の知識を受け継いでいる。歴史を受け継いでいる」

元帥「……もし、そんな彼等と自分達の世界が隣り合っていて接触する事が出来たとしたら?」

男「……まさか」

男(こんな……SF地味た話……信じられる訳もないけど)

男(あの目は本気だ……そして、元帥、提督、軍艦……そこから考えられるのは……)



元帥「本気の殺し合いが起きる」

お付き合いありがとうございます

長々と続いていますがそろそろ説明も終わる……と思います

男「……そんな馬鹿な」

元帥「普通はそういう反応をするだろうな」

元帥「一般の人間には決して知られてはいけない。故に公表はしていないし外部に情報が漏れない様に徹底的にしている」

元帥「が……どこからか情報を仕入れたのか盗んだのか……時折ちょっかいを出してくる輩はいるがな」

男「それってまずいんじゃあ……」

元帥「そこは問題無いさ。例えマスコミに垂れ込んだとしても……」

元帥「"インターネットに住んでいる別次元の敵と戦っている"なんて証言信じると思うか?」

元帥「だから証拠を引きずり出そうとちょっかいを掛ける連中が……それとも他の目的かもしれないが」

元帥「男くん。もし私達がこの情報世界の生物達相手に負けたり手を出さなかったりしたらどうなると思う?」

男「……インターネットが使えなくなる」

元帥「そうだ。そして結果、人類は殲滅される」

元帥「インターネットが支配される。つまり機械仕掛けの物全てが私達の敵になる」

元帥「食糧、電化製品、武器、あらゆる生産ラインが制圧される。そして、奴らがインターネットから外に出てくる」

男「……情報生物が外に?」

元帥「きっと、現代のテクノロジーや……この先使える様になるであろう技術を使えば、生物の意識を乗っ取ったり、身体を自分達で造る事も出来るだろうな」

男「……ロボット」

元帥「昔全てのロボット、A.Iが反乱を起こす。そんな映画があった様な気がするが……そんな物では済まない」

元帥「竹槍でパワードスーツやら戦闘ロボットやら戦車、戦闘機と戦う羽目になるぞ」

男「……」

元帥「そのような事態が訪れない為、私達は戦っている。私達は、全人類を守る為に戦っているんだ……!!」

男「……」

男(そんな……そんな事が日本のこんな所で……)

男(……話は分かったけど、一つわからない事がある)

男「……その情報生物とは、誰が戦っているんですか?」

男「私達とは言っていますけど、この施設で科学者や軍人の様なのは見なかった」

男(黒服で怪しいのは沢山いたけどな)

元帥「はて……見なかったか?沢山いたじゃないか?」

男「……」

男「まさか……!!」

男(そんな……そんな外道な事をしているのか……!!!)

元帥「いただろう?身体の何処かに障害を抱えた少女達が……!」




男「……」ギリッ



男「なんで、何故……あの娘達が……」

元帥「説明してあげよう。何故障害を抱えた少女なのか」

元帥「まず、女子である事が重要だ。私達はその情報生物と戦っていると言ったが……」

元帥「まず既存のファイアウォールや対策ソフトなどで打ち破れないのか?」

元帥「答えはNoだ。これらは言えばブービートラップや警備システム程度の力しかない。これだけでは奴らを殲滅する事は不可能だ」

元帥「ならどうするか?簡単だ。兵士を送って戦えばいい」

元帥「その為の彼女達だ」

元帥「情報生物と戦う為に極秘の技術である、ダイビングシステムを採用している」

男「ダイビングシステム……?」

元帥「私達の意識をマシンで情報世界へと送り、直接奴らを叩く」

元帥「そのマシンはな、女性との適応性が高いんだ。女性の出す脳波に良く適応する。だから女性である必要がある」

元帥「その中でも10代から20代前半の女性の方が圧倒的に強く、殲滅力がある」

元帥「そして……何故障害を抱えた少女なのか。それと孤児なのか」

男「……」

元帥「彼女達が普通に生活を送り、働いていくのには中々ハードルが高い。だからここで雇っている。それだけだ」

元帥「それ以上でもそれ以下でもないよ。別に普通の少女でもいいが……こういう娘達を助けたいだろう?」

男「……」

ここまでです。イメージ的には今よりほんの少し先の世界。もう少し技術力が上がれば攻殻機動隊の様な電脳や義体が一般的になる世界になるであろう世界です

世界の危機を前にして少女達はなにを思いながら戦うのか、そういうのを書いていきたいと思います

出来ればこの先もお付き合い下さい

男(そうは言ってるけど……その方が反乱に密告の心配が薄いから……だろうな。なんとなくだけど……)

元帥「そして君がここに来た理由」

元帥「君には提督として、彼女達の指揮を取ってもらう」

元帥「つまり、君が世界の命運を握っていると言ってもいい」

元帥「君のデータは取らせてもらったよ」

男「……あの会社で受けたテスト……」

元帥「それだけでなく普段の君の行動も見せてもらった。君は本当に指揮官の才能がある。是非私達と一緒に戦ってもらいたい」

男「……」

男(昨日まで普通の会社員として、普通に生活してきて……いきなり世界の命運を握っているなんて言われても……)

男(とは思うけど、もし俺がここで断ったら?どうなる……)

元帥「断ったらどうなるか……聞きたい様な顔をしているな?」

男「!!」

元帥「ふふ。もし断れば……別の人間が指揮を取るだけだ。だが……もしその人間がヘマをするような者だったら……」

元帥「この国も、彼女達も、大変な事になるかもな……!!」

男(脅しか……!!)

元帥「それに、ここまで話を聞いてもらった以上帰す訳にはいかないよ」

元帥「もしそれでも帰ると言うなら……どうなるか想像はつくんじゃないかな」

男「……」

元帥「言っただろう?外部に情報が漏れない様徹底的にしている……と」

男(ここで断れば……殺される?)

元帥「そういう訳でよろしく頼むよ、提督」

男「……」ギリッ

元帥「詳しい説明は秘書艦に聞くといい、サポート用のA.Iプログラムもあるから大丈夫だろう」

元帥「さあ、表で秘書艦が待っているぞ。行きたまえよ」ニヤ

男「……失礼します」スッ

ガチャ

バタン

次回は秘書艦の登場。完結出来るよう頑張ります

男「……」

翔鶴「……男さん?」

男「ん……翔鶴ちゃんか」

男(この娘も……戦っているのか……)

翔鶴「もしかして……男さんが私の新しい提督……?」

男「……ということは翔鶴ちゃんが秘書艦……って事か」

翔鶴「やっぱり!どうぞよろしくお願いします」

男「うん、よろしくね」

翔鶴「これからは提督と呼ばせていただきますね」

男「提督……か」

翔鶴「それと、私の事や他の艦娘達も呼び捨てで構いませんから」ニコッ

男「分かったよ……」

翔鶴「……なんだか浮かない顔をされていますけど……」

男「まぁ……いろいろ聞いたからね……」

翔鶴「そうですか……」

男「……」

翔鶴「とりあえず、提督の執務室に向かいましょう」

男「そうだね。押していくよ」

翔鶴「はい、お願いします」


男「……翔鶴は、どう思ってる?」

翔鶴「と言うと?」

男「戦っているんだろ、怖かったりしないのかなって……」

翔鶴「……最初のうちは怖かったです。けど、私には仲間もいます。今は提督もいます。だから怖くはないです」

男「そうか……」

翔鶴「提督にだって、私や他の艦娘がいますから……きっと大丈夫です」

男「……ありがとう」

翔鶴「いえ……到着しましたね」

男「そういえば中は見てないな」

ガチャ

男「へぇ……それっぽいな。机に椅子に……すでのな……?」

翔鶴「これは基本の内装なんですがこのカタログのアイテムであれば明日までに変えることが出来ますよ」

男「カタログね……」ペラッ

男「壁紙に床まで一日で?」

翔鶴「はい」

男「なんというか……ほんと凄いな……」

翔鶴「いかが致しましょうか?」

男「……とりあえず和室にしておこうか」

翔鶴「それですと……この壁紙なんかよろしいのでは?」

男「へぇ……オシャレだな……」

翔鶴「障子に畳に……こたつですね」

男「あとは……これと、これでいいか」

翔鶴「では後で発注を掛けておきますね」

男「うん、よろしく頼むよ」

翔鶴「他には給湯室にトイレ、お風呂まで併設されてます」

男「普通に暮らせそうだな……これもカタログが?」

翔鶴「こちらです」スッ

男「へぇ……檜風呂なんかいいな」

翔鶴「床や壁も木造りにしましょう」

男「それがいいな」

翔鶴「……提督?」

男「ん?」

翔鶴「さっきと違って明るい顔をされてますね」

男「……意外に楽しくてね」

男(一瞬なんとかなりそうなんて思ってしまった。けど……提督としてこの娘や他の娘達の責任者になるなら……)

男(なんとかしてみせないと)

翔鶴「それならよかったです。内装はこれくらいでよろしいでしょうか?」

男「うん。これが本当に明日変わってたら驚くなぁ……」

翔鶴「お楽しみですね」

翔鶴「……お仕事の説明もしなきゃいけないですね」

男「ん……」

翔鶴「細かな事は明日説明します」

翔鶴「この部屋では基本的に書類仕事や作戦会議などを行うと思います。編成や装備まで見直していただいたり」

翔鶴「ですが最初のうちは私が説明しながらお手伝いしたり講義をさせていただきます」

男「丁寧にありがたいね」

翔鶴「とりあえず今日は出来る事もないので……晩御飯はいかがいたしますか?」

男「食堂……で食べるんだっけ?」

翔鶴「勿論ここで何か作って召し上がる事も出来ますし、コンビニもありますから」

男「……正直ちょっと疲れてて食欲が無いんだよな」

男「翔鶴は晩御飯食べた?」

翔鶴「私もこれからです」

男「……」ポリポリ

お仕事へ

男「……なにか適当に作ろうか」

翔鶴「提督はお料理が出来るんですか?」

男「こう見えて一人暮らしのサラリーマンだからね。ある程度は出来るよ」

男「材料は買いに行くとして……何が食べたい?」

翔鶴「私もご一緒してもよろしいんですか?」

男「勿論、食堂で食べたいなら食堂でもいいけど……」

翔鶴「いえ、是非提督の料理を食べてみたいです!」

男「そっか……それじゃあ材料買ってくるよ。翔鶴はゆっくりくつろいでて」

翔鶴「はい、それならお茶を淹れておきます」

男「ありがとう」ガチャ

男「……考えてもみれば女の子に手料理を振る舞うなんて初めてかも……」

男(ど、どうする……見栄はってちょっと頑張るか……?でも失敗したらなぁ……)

男(うどん……うどんがいいな……けど鍋も捨てがたいし……)

グキュゥゥゥ

男「……お腹空いた」


ガヤガヤ

男「へぇ……いろいろ揃ってるなぁ……」

男「とりあえずこれと、これと……」

???「ん、お前もしかして……新しく配属されたっていう提督か?」

男「え?あー……そうかも。よろしくね」

天龍「オレの名は天龍。フフフ、怖いか?」

男「……?」

天龍「……な、なんだよ」

男(怖い……?眼帯してるしなんとなく大人っぽいけど……怖くは……)

男「どっちかって言うと……怖いよりかわいいんじゃないかな?」

天龍「な、なに言ってんだこの!!」

男(というか……)チラッ

天龍「初対面でかわいいとか……たらしなのか……//」タユン

男「……」

男「……か、買い物続けるか」

天龍「お、おい!待てよ」

男「んー?」

天龍「明日から俺がお前の所に配属されるのは知ってるか?」

男「え、そうなの。知らなかった」

天龍「どうせ説明やらなんやらで忙しくてメシも食ってないんだろ?食堂でも行って食おうぜ」

男「お誘いは嬉しいんだけど今日は自分で作って食べるつもりなんだ……」

天龍「そ、そうか。なら仕方ないな……うん」

男(あれ?なんか凹んでる?)

男「……折角だし天龍ちゃんも一緒に食べる?」

天龍「いいのか!」パァァ

男(あ、ダメだかわいい)

天龍「というかちゃん付けで呼ぶのは龍田で十分だから、呼び捨てにしてくれよ」

男「それじゃあ……いこうか天龍」

「お会計が2248円です」

天龍「ミファチキ下さい」


天龍「……」モグモグ

男(軽く作るつもりだったのにがっつり買ってしまった……)

男(まぁ……3人いるし大丈夫か)

天龍「ところで……んぐ、ここに来る前提督はなにしてたんだ?」

男「俺は……普通のサラリーマンだったよ。まさかこんなところに連れて来られるとは思わなかったね」

天龍「こっちも急な人事だって聞いたからな。まぁ分からない事があれば聞けよな」

男「そうさせてもらうよ」

天龍ちゃんかわいい

ガチャ

翔鶴「おかえりなさい……天龍ちゃん?」

天龍「翔鶴姉?来てたのか」

翔鶴「秘書艦だから。いろいろと説明をしてたのよ」

男(やっぱりちゃん付けじゃないか)

男「それじゃあちょっと作るからしばらく待っててよ」

翔鶴「よろしければお手伝いしますよ」

天龍「翔鶴姉はそこにいろよ。オレが手伝ってくる」

翔鶴「そう…?ありがとう天龍ちゃん」ニコッ


男「野菜とか切れる?」

天龍「あったりまえだろー!この天龍様に掛かれば野菜のみじん切りなんざ……」トントン

男「それじゃあ俺はこっちを……」

天龍「ふぇっ……ぐすっ……」ポロポロ

男「!?」

天龍「オレがここまで……ずぴぴ、泣かされるとはな……玉ねぎのくせに」

男「鼻かむ?」スッ

天龍「ん……」チーン

男「……ふふ」

天龍「な、なに笑ってんだよ!」

男「なんでもないよ」


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男「今日はオムライスにしてみました」

翔鶴「まぁ!美味しそう!」

天龍「オレが手伝ったんだから絶対美味いぜ!」

男「泣くほど頑張ってくれたからな」

天龍「そ、それはもういいだろー!」

翔鶴「ふふ……」

書き溜め苦手なんですよね……(白目

ちなみになんでこんなちまちま更新になるかと言うと、元々通退勤の間の暇を潰すのが目的なので。ここはご容赦下さい

男「……」モグモグ

翔鶴「美味しいですね」

男「それならよかった」

天龍「……」モグモグ

天龍「んぐ……ごっそーさん」

翔鶴「ごちそうさまでした」

男「お粗末さま、それじゃあ洗い物と……」

翔鶴「この後はいかがいたしましょう?」

男「とりあえず……今日は休もうかな……明日は何時にここに来ればいい?」

翔鶴「明日はマルロクマルマルにここに集合しましょう」

天龍「オレも来た方がいいか?」

翔鶴「どっちでもいいわよ?」

天龍「そんじゃオレもここに来るぜー」

翔鶴「……ふふ、なんだかんだ提督が気に入ってるみたいね」

天龍「なっ……んな訳ねーだろ!」

天龍「……//」

男「……」

男(なんか……初日だけど上手く溶け込めてるみたいでよかったな……)

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翔鶴「それでは提督、提督の自室へご案内します」

男「うん。よろしく頼むよ」

天龍「オレはぼちぼち寝るかな……」ポリポリ

翔鶴「おやすみなさい、天龍ちゃん」

天龍「翔鶴姉も提督も早く寝ろよー」フリフリ

男「おー、おやすみー」

翔鶴「ではこちらです」

男「うん」


男「ここかー」

翔鶴「私の部屋はすぐ隣なので、なにか用事があれば呼んでください」

男「うん。それじゃあ」

翔鶴「はい、おやすみなさい」グッ

男「……さて」ガチャ


男「!?」

男「な、なんで……」

男「俺の住んでるアパートの荷物が……」

男「ん……手紙?」ペラッ

元帥『アパートの解約やその他諸々は私の方で済ませておいたよ。お詫びとして欲しい家具があれば今回だけ無償で用意するよ。では、いい提督ライフを』

男「……」

男「まずは荷解きだなぁ……」

男「でも……結構広いしトイレも風呂もあるし……」

男「いやだからなんだってんだよ……はぁ」

男「とりあえず……この際だからいろいろ買い換えてもらおう」

男「……はぁ」

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男「……ん、んん……」

男「もう朝か……」ムクッ

男「ぜんっぜん寝れてない……」

男「ふぁ……ふぅ……」


男「さて、執務室へと」スタスタ

男「……」ガチャ

男「うおお!?」

天龍「ど、どうした!?」ダッ

男「あ、天龍か……おはよう」

天龍「おっす……じゃなくて!なんかあったのか?」

男「いや……別にどうという事はない……のかな?」


天龍「おぉ……」

男「まさか一日で本当に全部変わってるなんてなー……」

天龍「和室にしたのか。いい趣味してると思うぜ」モソモソ

コンコン

翔鶴「提督、おはようございます」

男「翔鶴か」スタスタ

ガチャ

男「おはよう」

翔鶴「おはようございます。天龍ちゃんももう来てたのね」

天龍「おっす翔鶴姉」

男「それで今日は?」

翔鶴「朝食でも取りながらお話しましょう。今日は私が作って来たんですよ?」

天龍「翔鶴姉の手料理かー、久しぶりだな……」

翔鶴「料理ってほどでもないけどね」

男「それじゃあお茶でも淹れてくるよ」

天龍「翔鶴姉もこたつ入るか?」

翔鶴「降りるの手伝ってもらっていい?」

天龍「おう!」

男「どうぞ」コトッ

天龍「サンキュー」

翔鶴「ありがとうございます」

男「……」ズズッ

翔鶴「朝だから手軽に食べられた方がいいと思って……サンドイッチにしてきたんだけど……」スッ

天龍「お、美味そう!」

男「本当だ……美味しそう」

翔鶴「提督のお口に合えばよろしいんですけど……」

男「いただいてもいい?」

翔鶴「勿論、どうぞ」

男「それじゃあ……いただきます」ハグッ

天龍「オレももらうぜ」モキュ

男「……うん。美味しい!」

天龍「そりゃあ翔鶴姉の作るサンドイッチは美味いに決まってるよなー」

翔鶴「お口に合ったようでよかった」

男「それで今日は……?」

翔鶴「この後まずは艦隊のみんなを紹介して、実際に海に出ていただきます」

男「……海」

翔鶴「指揮官としての役割としては、戦闘を行う艦娘の陣頭指揮になります」

翔鶴「と言っても……最初ですから、まずは私達の戦いを見ていただくだけになるでしょうけど」

天龍「百聞は一見に如かずだな」

翔鶴「そういうこと。その後説明もして……というような流れになります」

男「そうか……」

男(戦いって……どういうのなんだろうな……)

男(艦娘って事はつまり……軍艦の女の子って事だろ。軍艦に乗るのかそれとも……軍艦になる?)

男(なんにせよ物騒だな……)

翔鶴「提督?」

男「ん、あぁ……」

天龍「ま、この天龍様に掛かれば楽に終わるからよ。そう心配すんな」

男「それじゃあ期待してるよ」

天龍「おう!」


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ーーー

翔鶴「そうそう。提督に支給品が届いてますよ」

男「支給品……?」

翔鶴「こちらです」

男「なんかでっかい段ボールに黒いケース……だな」

男「段ボールの方は……」ビリッ

男「……」

男「これは……軍服?」

翔鶴「これからはそれが提督の仕事着になります」

男「へ、へぇ……」

天龍「ちゃっちゃと着替えてこいよ」

男「そうさせてもらうよ……」

お仕事へ

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ーーー


男「……」

翔鶴「まぁ……とてもお似合いですよ」

天龍「提督はこうでなきゃな」

男「な、なんか変なかんじだな……」

男「仕方ないか……で、この黒いケースには……」ガチャ

男「!?」

男「……これって」

天龍「へぇー、結構いいの貰ったんだな」

翔鶴「M4カービンライフルですね」

男「これって……本物?」

男(ゲームとかでよく使った覚えはあるけどまさか……でもモデルガンな訳もないよな)

天龍「たりめーだろ、オモチャなんか渡さねーって」

男「……」

男「と、とりあえずこれは置いておくとして……」

コンコン

翔鶴「みんな来たみたいね」

天龍「開けてくるぜ」トテテッ

ガチャ

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ーー


翔鶴「私と天龍ちゃんは済ませたから、みんなもよろしくね」

木曾「木曾だ。お前に最高の勝利を与えてやる」

男(眼帯二人目か……)

龍田「初めまして、龍田だよ。天龍ちゃんがご迷惑かけてない?」

天龍「……」

電「電です。どうかよろしくお願いします」

金剛「金剛デース!ヨロシクオネガイシマース!」

男(外国の子……なのか?)

男「えっと……今日から正式にみんなの提督……になるのかな。よろしく」

最後の最後までなやんでこのメンバー。第六駆逐隊のみんなとかも出したいですねー

翔鶴「全員挨拶は終わったわね。それじゃあ早速だけど……」

天龍「よっしゃあ!今日も海の底に沈めてやるぜ!」

龍田「あら~、天龍ちゃんったら……」

金剛「早速提督に私の実力を見せてあげるネー!」

電「電も頑張るのです」

男「……」

男(これからいよいよ戦いが……)

木曾「おい」

男「ん?」

木曾「不安なのか?」

男「……まぁね」

木曾「心配するな、お前は後ろで見ていればいい。失敗もしない」

男「……ありがとうな」

翔鶴「全員出撃準備!」

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ーー


男「ここは……」

男(大きな機械に電子パネル。それに手術台の様なものが7つ)

翔鶴「ここがダイビングルームです。この機械を使って情報世界……海へと送り込まれます」

翔鶴「そして情報世界の敵、深海棲艦と戦うんです」

男「深海棲艦……」

木曾「ネーミングの由来は情報の海の奥底から現れるから。俺達の決して探索し得ない所……というのを深海と呼称している」

男「……元帥の説明だと、その情報世界に住んでいるウイルスだと聞いたけど……」

木曾「ウイルスか、中々面白い例えをする」

天龍「ウイルスだろうがバグだろうが、オレ達が倒さなきゃいけない相手だって事に代わりはない」

金剛「今日も張り切って戦うネー!」

電「……」

男「……電?」

電「本当は戦いたくないのです。もしかしたらお話で解決出来るかもしれないのです……」

龍田「そうなら楽でいいけどね~」

木曾「電の気持ちも分かる。だがこれは……戦争だ」


翔鶴「このヘッドギアを付けて、その台に寝て下さい」

男「うん……」カチャ

翔鶴「妖精プログラムが起動した後、カウントが始まって。0になった瞬間に意識を失うと思います」

男「妖精プログラム?」

翔鶴「支援システムの事です」

天龍「初めは慣れないと思うけどよ、何回かやってりゃ慣れるから動揺すんなよ?」

龍田「あら~、天龍ちゃんが人の心配なんて……うふふ」

天龍「な、なんだよ!……//」

木曾「姉貴もそういう所あるんだな」

天龍「っ……///いいからちゃっちゃと行こうぜ!」

翔鶴「ふふ、それじゃあ……行くわよ?」


『妖精プログラム、起動します。戦闘支援開始。メモリ、数値、生体反応に異常はありません』

『各員戦闘の準備を。ダイブ開始までカウント……5、4、3、2…」

翔鶴「みんな!頑張りましょう!第一艦隊、出撃(ダイブ)!」

『1、0。転送します。よい戦闘結果を』


男「ぐっ……!?」

男(め、目眩……いや、これは……)

男「……」

男(……)


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ーーー

いよいよ戦闘です

ジジッ...ジジジ...

男「……ん……んん」

バチンッ...ジジジ...

『転送に成功。作戦遂行海域付近に到達』

男「ここは……」

男(少し……頭がクラクラするな……それにしてもここ……は……)

男「……」

翔鶴「提督、大丈夫でしたか?」

男「そ、それより……ここは……」

男(俺が普段見ていた様な都会だ。ビルが建ち並んで車が道路にあって……ただ一つ……)

男「……海に沈んでる」

男(ビルの半分が海の中に沈んでる……水が綺麗だからか水中の景色が全部見えるけど……紛れもない……東京だ)

天龍「よっしゃあ!行こうぜ!」

龍田「そんなに焦っちゃダメよ~、提督が混乱してるわ~」

木曾「流石に初めてでは転送中の意識を保つのは難しいか」

男「それに……俺達水の上に立ってるししかも……翔鶴?」

翔鶴「なんでしょう?」

男「なんで……立ってるんだ?歩けないんじゃないのか……それに服装もみんな」

男(全員さっきとは全く違うし…砲みたいなのが付いてる)

翔鶴「"海"では身体に障害がある娘でも不自由なく動けますし……」

木曾「絶大な力を行使出来る」

金剛「海の上を進んで敵を砲や艦載機で倒すので、艦娘と呼ばれているのデース!」

電「電も最初はびっくりしたのです」

男「……そうか」

男(艦娘か……これじゃあまるでこの娘達が……)

男(兵器みたいじゃないか……)

『戦闘支援プログラム、オペレーターシステム起動』

翔鶴「妖精さん、よろしくね」

妖精『よろしくお願いします。提督の初陣ですから、私も精一杯支援します』

男(妖精……少し電子音っぽいけど女の子の声だ。それが頭の中に直接響いてる)

翔鶴「目標と撤退ポイントの座標をお願い」

妖精『データ転送します』

ブォンッ

男(こ、今度は空間にパソコンのウインドウみたいなのが浮かんで……)

男「まるで映画とかゲームの中にいるみたいだ……」

妖精『目標は敵艦隊の殲滅及び、敵艦隊の領域外への撤退です』

妖精『敵艦隊襲来予想方角は北、敵艦隊発見次第レーダーにポイントします』

翔鶴「ありがとう、そのままオペレートをお願い」

妖精『了解』

男「……」

天龍「翔鶴姉、頼むぜ」

翔鶴「任せて」スッ

男(そういえば翔鶴の服装は弓道着みたいだな。弓を構えて……どうするんだ?)

翔鶴「偵察機部隊、発艦!」パシュンッ


ブォォォン!!


男「!?」

男(翔鶴の背後から……渦みたいなものが……!!)

偵察機乗員『方角了解、偵察いたします』

ブォォォン...

男「……戦闘機が飛び出して来た……?」

翔鶴「あれは戦闘能力の低い偵察機です。これで敵の位置を探し当てます」

男「……」

木曾「陣形はどうする?」

翔鶴「逆Tの字にしましょう」

翔鶴「電ちゃんと木曾ちゃんには私の護衛をお願いするわね。天龍ちゃんは敵に肉薄して、金剛さんは後ろから天龍ちゃんの援護に。龍田ちゃんは天龍ちゃんと金剛さんと連携を取りながら敵を攻撃して」

翔鶴「提督は私の後ろに。みんなが戦っている所をよく見ていて下さい」

男「わ、わかった」

翔鶴「それじゃあ艦隊前進!」

「「「了解!」」」

スーッ

男「あ、あれ……みんな水の上をホバリングしてる???なんで???」

翔鶴「これも艦娘だからでしょうか。行きましょう提督」

男「あ、あぁ……俺は徒歩なんだ……」

どうしても説明が長く……申し訳ないです

男「……」

男(しかし本当に不思議な世界……だな)

ピトッ

男(ビルの壁面を触ってもコンクリートの感触がするし……)

チャプ...

男(水はやっぱり水だ……)

男「……」

偵察機妖精『敵艦隊発見しました。12時方向に駆逐艦多数。レーダーにポイントします』

翔鶴「ありがとう。それじゃあ今度は……!」グッ

パシュンッ

翔鶴「攻撃機、爆撃機部隊!」

ブォンッ

攻撃機妖精『いよっしゃあ!!ドッグファイトなら任せろ!!』

爆撃機妖精『某の出番でござるな』

偵察機妖精『敵空母は発見出来ず、制空権確保は用意かと』

攻撃機妖精『なーんだ、つまんねぇな。それじゃあ降下して奴らを穴だらけにしてやるか』

翔鶴「先制攻撃が終わり次第各自行動を!」


偵察機妖精『攻撃成功、敵駆逐艦多数、轟沈します』

天龍「先陣は切らせてもらうぜ!!」ドッパアアアンッ

男「うわっ!」

男(す、水柱が天龍の足元から上がったと思ったら弾丸みたいに飛び出して行った……)

金剛「私も負けてられないネー!!」ドッパアアアンッ

龍田「あら、天龍ちゃんったら……」ドッパアアアンッ

男「……」

翔鶴「私たちはこのままの速度で前進しましょう」

木曾「……」ウズウズ

電「翔鶴お姉ちゃんは私が守ります」

男「……」

翔鶴「提督、天龍ちゃん達の戦闘映像を見てみますか?」

男「あ、うん。そうだな……入り組んだビルが邪魔で先が見えないし」

妖精『映像、送ります』


天龍「オラオラ!!」ズバァ

深海棲艦「……」ブシュゥゥゥ


男「……あれが、深海棲艦。化け物だな……」

木曾「あれは駆逐イ級だな。奴らの中でも最下層にいるみたいだ。強くは無いが……数は多い」

偵察機妖精『敵増援、駆逐艦多数!戦艦の姿も確認しました!』

攻撃機妖精『戦艦か!腕が鳴るぜ!』

爆撃機妖精『一気に沈めるのが上策か……』

ヲ級ちゃんも何度か目で出したいですね。かわいい

木曾「善戦しているみたいだな」

翔鶴「そうね」


天龍「うっしゃあ!まだまだ!」ザクッ

駆逐ハ級「……」ゴボゴボ

龍田「今日の天龍ちゃん、なんだか調子良さそうね。提督が見てるからかしら?」

天龍「ちげーよ!……まぁ、恥ずかしい所は見せられねぇけどよ」

金剛「おしゃべりもいいデスけど後続来ますヨー!」ドゴォンッ


戦艦ル級『……』バババババ

攻撃機妖精『うおっ!流石戦艦だな……当たるなよ!』

爆撃機妖精『一発食らうでござる!』

ブォォォン


ドゴォォォン!!


爆撃機妖精『……チッ』

天龍「翔鶴姉の艦載機が手間取るなんて、中々やるみたいだな」

金剛「ヘイ天龍!私が突っ込むから龍田と左右から攻撃お願いしマース!」

龍田「三方向から攻撃するのね~、行きましょう天龍ちゃん」

天龍「おう!」

木曾「ん……どうやらこっちにも客が来たみたいだな」

電「はわわ!?敵さんに囲まれてるのです!」

男「え、うそ!?」

駆逐イ級「……」

駆逐ロ級「……」

駆逐ハ級「……」

男(お、俺……死ぬんじゃないか……?)

スッ

翔鶴「提督、安心して下さい」

木曾「翔鶴姉さんにもお前にも、弾丸一発当てさせないからよ」

電「電の本気を見るのです!」ドンッドンッ

木曾「弱すぎるッ!!」

翔鶴「提督は私の後ろに!」

男「あぁ……」

男(完全に足手まといだ……)

戦艦ル級「……」ドンッ

バゴォォォン

天龍「ぐぅっ……」

金剛「天龍!」

天龍「これくらい……擦り傷程度だ!」

龍田「天龍ちゃんに怪我させるなんて……そんなに死にたいのかしら~?」ブォンッ


妖精『天龍損傷率16%、砲門、近接装備は無事です!』


金剛「この一撃でっ!ファイヤー!」ドォォンッ

ドゴォォォ

天龍「っしゃあ!中破だ!」

龍田「畳み掛けるわよ~」


爆撃機妖精『もう一撃食らうでござる!』

ドゴォォォンッ!!

戦艦ル級「……」ゴボゴボ

爆撃機妖精『戦艦を沈めたでござる』

攻撃機妖精『あとは雑魚の掃除だな!』


電「なのです!」バシュゥ

ザバァァァン!!

木曾「いい腕だな……ん?」

翔鶴「敵が退いていきますね」

木曾「追撃するかい?」

電「あまり頑張ると司令官さんが疲れちゃいます」

翔鶴「そうね。今日はこれで終了にしましょう」

妖精『敵艦隊の作戦地域離脱を確認。戦闘終了です、お疲れ様でした』

妖精『撤退ポイントをレーダーにマークしました。随時帰還を』


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戦闘終了です。運動の後は……

お風呂は半分正解

輸送任務とかものちに書くのでそれまでお楽しみに

男「……」パチッ

男「……ふぅ」

男(目を開けると部屋の照明が映った。なんだか……本当に不思議な気分だ)

男(さっきまでの戦いが現実に行われていた様に感じるし……)

男(……汗でぐっしょりだ)

翔鶴「みんな、お疲れ様」

天龍「あー……疲れたぜ……」

男「本当にさっきのは……現実じゃないのか?」

木曾「現実だと言えば現実だ。リアルでの時間進行とも同じだし、精神的にも負担が掛かる。攻撃を食らえば尚更な」

男「そうか……妙にリアリティに溢れてて……うん」

男(……まてよ)

男「もしあの海で大怪我したり……死んだらどうなるんだ」

金剛「それは……」

電「……」

男「……なぁ。もしかしてあの世界で死ぬと……」

翔鶴「セーフティが掛かっています」

男「セーフティ……?」

翔鶴「大ダメージから瀕死まで……私達は大破と呼んでいますけど。その状態で歯止めが掛かるはずです」

翔鶴「仮に海で轟沈しても……現実に死ぬ事は……ありません」

男「……」

男(……この妙な感じ。まさか嘘を吐いてる?)

男(セーフティはいいけど……歯止めが掛かるはず……か。はずって言うのはどういう事なんだろう……)

男(……あれがある意味現実だと呼べるなら……)

男(あの世界に飛ばした意識が死ねば残された身体は……?)

木曾「おい!」

男「……」

木曾「……確かに現実だとは言ったがあれは俺達の生きている現実ではない。バーチャルとリアルを混同するなよ」

電「司令官さんは初めての出撃(ダイブ)だったから混乱しているのです」

金剛「まぁ、最初から慣れろなんていうのは無理がありマスよネー」

天龍「それよりさー、腹減ったぜ」

翔鶴「それじゃあみんなで軽く食事にしましょうか」

龍田「天龍ちゃんは何食べる~?」

天龍「今日はカツカレーだな。あぁ……疲れた」

妖精『出撃お疲れ様でした。各艦の損傷データ修復と点検に多少時間をいただく為に出撃はしばらく控えていただけると助かります』

翔鶴「お疲れ様、プログラムは終了していいわよ」

妖精『お疲れ様でした。ごゆっくりお休み下さい』

男「……」

男(流石に考えすぎか……世界の命運を握ってるって言ったってバーチャルだもんな……)

翔鶴「あの……提督はいかが致しますか?」

男「俺も食堂で食べようかな」

天龍「っしゃあ!行こうぜー!」

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ーーー


男「へぇ……食券を買うんだ」

翔鶴「食べたいメニューのボタンを押して、このカードキーをタッチすればいいんですよ」

男「そういえばこれ渡されたな」

木曾「このカードキーには個人情報は勿論預金の情報も入っているらしい。この施設の中だったらこれさえあれば金銭を持ち歩く必要がないんだ」

男「便利でいいなぁ」

男「とりあえず……このA定食にしとくかな……」

電「電はオムライスにします」

木曾「俺は……カツ丼だな」

短いですけどまた明日

攻殻機動隊もそうですけどBaldrシリーズも実はなんとなく背景に意識して書いてます

I've曲聴きながら書くとすごく雰囲気も出ていいのでそれもあってか余計に……かも

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ーー


男(……それにしても)

男(なんでたかがコンピュータウイルス退治にあれだけの事をしなきゃいけないんだ……)

男(海……軍艦……深海棲艦……)

男(……機密)

男(忘れちゃいけないのは一番最初に言ってたあの……)

黒服『国に管理されていますから、安全性や技術力でも国内有数だと思います』

男(ここは国の施設だって事だ……)

男(……総理大臣が関わって……)

男(…………まさか)

男(日本で初めて若干20代で総理大臣まで登りつめた女性……江良恵娘)

男(彼女の父親は大企業の社長で……その大企業は……)

男(俺が勤めてた会社の事だ)

男(…………)

男(ここに来たのも……多分偶然じゃない。国家レベルでのなにかを……世間に隠蔽しながらしている……)

男(……もし俺がこれを探ったとして、暴露たら間違いなく消される……)

男(……)


翔鶴「提督?お箸が進んでいないようですが……?」

男「えっ?あぁ……」

天龍「早く食べないと……ごくん。伸びちまうぞ」

金剛「食後のティータイムは格別デスネー」

電「電も紅茶が飲みたいのです」

金剛「それなら!私特性の紅茶をプレゼントしマース!」

木曾「……」モグモグ

龍田「天龍ちゃんったら、口に物を入れたまま喋るとお行気悪いわよ~?」

男「……」

男(考えれば考えるほど訳が分からなくなる)

男(……今は目の前の事に集中したほうがいいかもな)

男「ごちそうさま。美味しかった……」

男「あ、この後の予定は?」

翔鶴「今日は各自自由に過ごして貰ってもいいと思います」

翔鶴「明日はきっと大変になると思うので……」

男「わかったよ」


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男「自分の部屋に戻った訳だけど」

男「頼んでおいた家具、もう届いてるんだな……少し動かしておくか」

男「……よし」ガシッ

男「ふんっ……!!」グググッ

男「ふぅ……」ドサッ


男「……とりあえずこれくらいでいいよな」

男「風呂でも入るかー……そういえば温泉があるって言ってたっけ?」

男「ちょっと行ってみるかな」

ついにお風呂

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男「へぇ……入り口もそれっぽいし。いいなぁ……」

番頭妖精『あ、貴方は新任の提督さんですね』

男「えっと……番頭さん?」

番頭妖精『ええ。入浴の際やドリンク購入時にはお声がけを~』

男「じゃあ……入りたいんだけど」

番頭妖精『はいはい。入浴料300円ですねー』

男「はい」チャリン

番頭妖精『どうもー。着替えの浴衣とかは好きにどうぞー』


男「……」パサッ

男「温泉なんていつぶりだろうなー。ここはどっちかってと銭湯っぽいけど」

男「ん……この湯は肩こり腰痛などに効能があります……ふぅん……」ガララッ

天龍「あー、いい湯だぜ……」

龍田「天龍ちゃん、少し大きくなった?」

天龍「た、戦うのには邪魔なだけだけどな……」

木曾「……」

電「……」

金剛「あれ、二人ともどうしたんデスか?」

翔鶴「こ、金剛さん……」

ガララッ

男「はぁ…さむさむっと……」

天龍「あん……?」

天龍「!?」ザバァ

金剛「て、提督!?」

男「お……」

男「!?!?!?」ガバッ

電「はわわ!?司令官さん!?」

木曾「な……//」

龍田「あら~、大胆なのね~」

翔鶴「あ……あ……///」

男(こ、混浴!?男湯はないのかよ!!)

男「……」ダッ

ピシャッ


男「……」

男「……///」

男「……どう弁解したらいいんだろ」

ガララ...

木曾「おい」

男「っ!?あ、あのこれは誤解でな……」

木曾「知ってる。それより、風邪引くぞ?」

男「そうだな……悪かったって伝えておいてくれ。自分の部屋で入ってくる……」

木曾「別に入ればいいじゃないか」

男「……いいのか?」

木曾「まぁ……こういうスキンシップも……アリだと思うぞ」

木曾「男は裸の付き合いで腹の内を語ったりするだろ?」

男「んまぁ……どうだろ」

木曾「会って間もない内から腹の内を語れ……と言っても難しいが、親睦を深めるには丁度いい。嫌なら別に……」

男「いやじゃない。そういう事なら……お邪魔するよ」

男(まさか混浴する羽目になるとは……)

男「……」

翔鶴「……」

電「……」

金剛「……」モジモジ

天龍「……///」

龍田「うふふ♪」

木曾「……」

男(気まずすぎる……)

男「……えっとさ……」

金剛「ハイ!?な、なんデショウ……」ドキドキ

男「お、おう……」

男「そういえば……みんなの名前ってその……コードネームだよな?」

天龍「あぁ……そ、そうだぜ」

木曾「みんな実在した駆逐艦や巡洋艦、戦艦や空母から名前が取られているな」

電「そ、そうなのです!性能もそれに見合ったものになってるんですよ」

男「そ、そうなのか……という事は戦闘の時の編成とか作戦も重要になる?」

翔鶴「そうですね……私の様な戦闘機を使う空母を敵の目の前に配置するよりは、金剛さんの様な堅い戦艦を配置する方がいいです」

金剛「敵との接近戦なら任せてくだサーイ!」

天龍「オレみたいな軽巡洋艦とか電みたいな駆逐艦は魚雷を使った攻撃が出来るのも特徴だぜ」

男「金剛は魚雷使えないのか?」

金剛「残念ながら……強力な砲門を装備している代わりデスね」

男「そっか……そういうのも勉強しないとな」

男「ところでその……本名とかは……教えてもらっちゃいけないの?」

木曾「……どうしてだ?」

男「仕事とそれ以外とで区別は付けたいかなって……」

木曾「残念ながらそれは無理だな。というよりそれではコードネームの意味が無いだろ」

男「それもそうか……」

翔鶴「……」

男(そういえば、翔鶴だけには本名知られてるんだよな)

男「あぁ……いい湯だなぁ……」

男「……」

男(……見てみると、いろいろだなぁ……)

男(片目を隠した女の子二人に下半身の不自由な女の子。外国人みたいだけど……孤児なのかな。それにまだ小学生くらいの……)

男(こんな子達が世界を守る為に戦ってる。一体、何を思いながら戦ってるんだろう)

男「……いつ終わるんだろうな」

翔鶴「なにが……でしょう?」

男「戦い。みんながどれだけ戦ってきたのかはわからないけど」

男「俺にとってこれから……数年先か数十年先か。一生続くのかそれとも……」

男「正直、なんで俺みたいなのが呼ばれたのかなんてわからないし。まだいまいち実感だって湧かない」

男「俺が終わらせる事が出来るのか……それとも無力なままなのか……どうなんだろうな」

木曾「……考えても始まらない。今は目の前の事から片付けるべきだ」

天龍「いつ終わるかなんてオレにもわかんねーけどよ。きっといつか終わってるんじゃねーか?」

電「司令官さんならきっと……」

男「……」

もう少ししたら個人のエピソードを書き始めると思います

男「……」

男(……しかし)

天龍「ふぅ……」チャプ

翔鶴「やっぱり温泉ね」

金剛「お風呂上がりのミルクティーは最高ネ!」

龍田「天龍ちゃんとコーヒー牛乳でも飲もうかしら」

電「電も飲みたいのです」

木曾「もう少し温まってからだな……」

男(みんなリラックスしてきたせいかその……隠さなくなって、いやタオルは巻いてるけども)

男(ここからが本当の勝負か……)

男「……」

金剛「提督は紅茶は好きなんデスか?」タユン

男「紅茶……好きだよ?」チラッ

男(タオル越しに身体のラインが……)

金剛「それなら今度私とティータイムしまショウ!」

男「ティータイムか。それならお菓子でも作ってこないとな」

金剛「提督はお菓子作りも!?」

男「んまぁ……そんな本格的には無理だけどね」

電「電もティータイムにお邪魔してもいいですか?」

金剛「勿論!紅茶はみんなで飲んだ方が美味しいネー!」

電「やったなのです!」

男(……流石にこんな小さな子に興奮したりはしない)

電「司令官さん、今なにか言いましたか?」

男「へ!?いやなにも……」


天龍「そろそろ上がるか」

龍田「逆上せた天龍ちゃんも見てみたいけどなー」

天龍「なんでだよ!」

翔鶴「それじゃあ手伝ってもらっても……」

天龍「任せろ!」

木曾「提督は少し目をつむっていてくれ」

男「え……?」

金剛「提督ったら鈍感なんですネ!」

男「……あ」

男(そっか、翔鶴を手伝って上げる時に隠せないからか……)

男「わかった。しばらくつむってるよ」

木曾「姉貴は先に上がってくれ。俺一人で運ぶから」

天龍「無理すんなよー」

木曾「大丈夫だ。翔鶴姉さん、いくよ」

翔鶴「うん……」

ザバァ

金剛「おおー……」

龍田「あらあら~」

電「お、お姫様だっこ……なのです」

男(木曾が翔鶴をお姫様だっこ……?)

男(見てみたい……)

木曾「それじゃあな提督。また一緒に入ろう」

男「あぁ……そうだな」

翔鶴「……」ギュッ

金剛「提督ー!また後でデース!」

天龍「ま……良かったぜ」

龍田「うふふ、天龍ちゃんったら……」ツンツン

天龍「いいから上がるぞ!」

男「……急に静かになったな」

男「俺も上がるか……脱衣所は流石に男女別だったし。大丈夫だろ……」スッ


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翔鶴「おはようございます、提督」

男「おはよう」

翔鶴「今日はまず溜まった書類の整理から始めたいとおもいます」

男「デスクワークならいつもやってたから問題なさそうだな」

翔鶴「それならよかったです。二人でやればあっという間に片付きますよ」

男「だな」


男「……」カリカリ

翔鶴「……」カタカタ

男「パソコン用メガネ?」

翔鶴「そうです。疲れ目のまま訓練などはしたくないですし……」

男「似合ってるよ」

翔鶴「ありがとうございます……//」

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男「本当にあっという間だな」

翔鶴「提督が順序良くこなしてくれたからですよ」

男「そう……かなぁ」

翔鶴「そうですよ。ありがとうございます」

男「うん……それで次は?」

翔鶴「次は射撃、格闘訓練です」

男「……射撃格闘?」

翔鶴「最悪の場合を常に想定して……だそうです」

翔鶴「それに……屋外に出ての任務もあるらしいので」

男「そう……なのか?」

翔鶴「支給された小銃を持って訓練所まで行きましょう」

男「……お、おう」

翔鶴「教官には自衛隊から人が派遣されているので、すぐにでも強くなれますよ」ニコッ

男「……俺どちらかと言うと肉体派じゃないんだけどな」

お仕事へ

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男「ぜぇ……ぜぇ……ヒィ……!」

天龍「体力ねーなー」シュッシュ

木曾「これから付けていけばいいさ」タタタンッ

男「外での任務ってなんだよ……外回りとは違うのか……」

木曾「少なくともその辺のサラリーマンとは違うはずだな」

男「……」

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男「こんなのが毎日続くのか……」

翔鶴「しばらくは出撃(ダイブ)より体力訓練や座学が多いと思います」

男「……」

翔鶴「一月もやれば慣れますよ」ニコッ

男「一月ねぇ……」

男「まぁ……そしたらそれなりに頑張らないとな」


男「個人の特色を知る為に勉強だ……」カチカチッ

男「金剛型戦艦……ふぅん……」カチカチッ

男「……なるほど」

男「翔鶴型航空母艦。翔鶴に瑞鶴……翔鶴姉さんって呼ばれてるし……もしかしたら妹が?」

男「他にも兄弟……というか姉妹の型が多いな。天龍と龍田も姉妹になるのか」

男「……」

ちょっとだけでした。これから個人エピソードに入るかと。展開は駆け足の方がいいですか?それともいろいろ挟みます?

ありがとうございます。いや、割とさっくりやったつもりなので、飛びすぎて面白くないんじゃないかと思ったので……

好きなペースでやらせてもらいますね

男「うん……今日は午前だけで訓練は終わりか」

男「書類も大した量も無かったし……」

男「だからってこれから自主で勉強するのもなんか……疲れたしなぁ」

男「今日はのんびりするか……」ゴロゴロ

コンコン

男「ん、はい」スクッ

ガチャ

天龍「おっす」

龍田「こんにちは~」

男「ん、どうした?」

天龍「暇してるんじゃないかと思ってよ。遊びにでも行こうぜ」

龍田「天龍ちゃん、提督にすごく会いたそうにしてたもんね~」

天龍「そ、そんなんじゃねーよ!」

男「……」

男「まぁ……いいよ。なにしようか?」

天龍「ゲーセン行こうぜゲーセン!」

男「そういえばあるんだっけ……行こうか」

龍田「うふふ……」


ガヤガヤ


男「おー……本格的だな」

天龍「……」キョロキョロ

男「……?」

天龍「あの台だな」

男「パチスロ?」

天龍「腕が鳴るぜー」

龍田「天龍ちゃん、大体ここに来たらパチスロか格ゲーばっかりやるのよ~」

男「そうなのか……」

天龍「隣の台も良さそうだな。やろうぜ」

男「暇潰すには丁度いいかもな」

龍田「私は見てるだけでいいわ」

男「押忍!提督……か」

天龍「~♪」

男「……」チャリン

龍田「ねぇねぇ天龍ちゃん?」

天龍「どうしたー?」チラッ

「いっひっひ、また大当たりなのね!」

「確変引くとは中々やるでち」

天龍「……負けてらんねーな」ゴゴゴゴ

男「んお、特訓入った」

天龍「……」ポチポチ

男「おお、大当たり引いたけど」ポチポチ

男「目押し出来ねー……下手くそになってんな」

天龍「俺に任せな?」ポチポチ

男「おー、揃った。流石だな」

天龍「まぁこの天龍様に掛かれば……」

「このスナイパー19に掛かれば余裕なのね!また確変引いたのね!」

天龍「……」ゴゴゴゴ

龍田「頑張れ~」

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天龍「まぁ……今日は運が無かったんだ。そうそう」

男「次はなにやるんだ?」

天龍「そうだなー……」

龍田「私あれやりたいわ~」

男「あー……ゾンビ倒すやつか」

天龍「4人分ガンコンあるしやってやるか!」


男「これも久しぶりだな……銃を下げると物陰に隠れて、横に振るとリロードか……」

天龍「そんじゃいくぜ!」

龍田「負けないわよ~♪」


男「うおっ」ズガガガ

天龍「中々……」ズガガガ

龍田「いったぁ~い……許さないから」ズガガガ

天龍「ボスまで来たな」

男「結構迫力あるなぁ……」

龍田「殺しちゃうわよ~うふふふ♪」

男「なんか人が変わってないか?」

天龍「気のせいだろ?」


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ーーー

男「クリアか」

天龍「っしゃあ!」

龍田「あ~、楽しかった~」

天龍「スコアは……お、2位か!まぁまぁだな~。で……1位は……」

「ゲーセンなら最強なのね!」

天龍「……」ゴゴゴゴ

龍田「~♪」

男「……」

お仕事です

男「次は?」

天龍「音ゲーやろうぜ!」

男「ゆびいとか」

天龍「コインを入れて……店内対戦にしようぜ」


龍田「曲はどうするの?」

天龍「これこれ、えゔぁんす」

男「いきなり赤の10かよ」

天龍「まぁ、ここ天龍様に掛かれば……」

TENRYU
TATSUT
OTOKO
IKU

天龍「!!」サッ

少女「軽くフルコンしてやるのね」ニヤッ

天龍「……」ゴゴゴゴ

男「……知り合いか?」

19「イクって呼んでもいいの」

天龍「……」ポチッポチッシュッシュッ

男「顔が本気だな……」

龍田「私たちも頑張りましょうか~」

ready? go

天龍「……」シュッシュッ

男「おうっ!?」タタンッ

龍田「最初からハードだけど、ここからなのよね~」

19「~♪」

男「このっ……回転の前の所も難しいよな」タンタンタンタタンッ

龍田「リズムゲームというよりは覚えるゲームだもの~」タンタンタンタタンッ

天龍「……」タンタンタンタタンッ

19「スタイリッシュに決めるのね!」

男「きたぁ!!」グルゥゥゥ

天龍「うおおおおおお!!」タンタンタンタンタタンッ

龍田「うふふふ♪」

19「お皿が回したくなってきたのね」タンタンタンタンタタンッ


天龍「ぜぇ……ぜぇ……す、スコアは?」

TENRYU S

天龍「S表来たァッ!……」

IKU SS

19「少しだけずれちゃったの、でもまぁまぁなのね」

TATSUT A
OTOKO B

男「……次元が違うというか……動きも人間じゃなかった……」

龍田「やっぱり難しいわね」

久しぶりに音ゲーやりたくなりました。艦これアレンジ増えたら入るかな?

天龍「……」ゴゴゴゴ


天龍「次はメルブラだッ!」

龍田「天龍ちゃんの得意な格ゲーね」

天龍「さぁて、どいつが勝負するんだぁ?」

男「んじゃ俺が行こうかな」

天龍「うっしゃあ!抜錨だ!」


男「……」ガチャガチャ!!

天龍「おらぁ!」ガチャガチャ!!

男「つえぇ……」

天龍「ま、天龍様に掛かれば……」

19「次はイクがやるのね」ニタァ

男「おっ……」チラッ

天龍「……」ニヤッ

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ーーー


天龍「馬鹿な!?ハメ技だって!!?」ガチャガチャ!!

19「いっひっひ!楽勝楽勝~♪」ガチャガチャ!!

天龍「これは使えなくなったはずじゃあ……!!」

19「これで決めるのね!」ッターン

天龍「そ、そんな馬鹿なあああ!!」ガクッ

19「楽しかったのね!また遊ぶの~」

「後で提督に報告してご褒美貰うのね~」

「ゲームでご褒美とか無理に決まってるでち」

天龍「……」プルプル

男「……て、天龍?」

天龍「……ぐすん」ジワッ

男「!?」

龍田「あらあら~うふふふ♪」

男「こ、こんな時もあるよ!な、な?だから落ち着け……」

男(女の子が泣いた時って……どうすりゃいいんすかねぇ……)チラッ

龍田「頭でも撫でてあげればいいんじゃな~い?」ヒソヒソ

男「……」

天龍「……」ゴシゴシ

ポフッ

男「……」ナデナデ

天龍「……!」

男「……負けたって事は、まだまだ強くなれるって事だぞ?」ニッ

天龍「~~~!!」ギューッ

男「おうっ!?」ナデナデ

龍田「~♪」

男(おぉ……めっちゃ柔らかいしいい匂いするし……って)

男「……//」

天龍「……//」

龍田「よかったわね~」

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男「クレーンゲームなら得意だぞ」チャリン

ウィーン

男「あのもふもふのあざらしみたいなのがいいな」

天龍「取れるのか?」

男「コツがあるんだよ」


ボトンッ

男「ほら取れた、これは天龍にな」スッ

天龍「いいのか?」

男「勿論」

天龍「……」ギュー

男(かわいい……)

男「龍田もなんか欲しいのあるか?」

龍田「私?私はいいわ~。欲しいものなら沢山見れたし」

男「……そうか?」

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男「今日は楽しかったな」カシュッ

男「……」ゴクッ

男「……」

天龍「おっす」

男「ん……龍田と一緒に戻ったんじゃないのか?」

天龍「あの後フラフラしてたら提督を見つけてな」

男「あぁ……」

男「ん」スッ

天龍「さんきゅ」カシュッ

男「……」

天龍「……」ゴクッ

男「……そういえばさ。天龍はいつも龍田と一緒にいるよな?」

天龍「そうだな……」

男「龍田は確か……天龍型の巡洋艦だっけ」

天龍「……あいつとは幼馴染なんだ。多分、近しい人同士で同じ型になったりするんだろ」

男「……」

天龍「もう……そろそろか」

男「ん?」

天龍「……すぐに分かるさ。すぐに……」

男「……」

天龍「……」ゴクッ

男「二人は幼馴染なんだろ?二人共どういう経緯でここに来たんだ?」

天龍「……」

男「話したくなければそれでもいいけど……」

天龍「二人とも孤児でさ。同じ孤児院の出なんだ」

男「……」

天龍「オレは母親に育てられてよ。父親の顔は知らねぇ」

天龍「その母親もすぐに死んじまって、親戚との関係もほとんど持って無かったから、誰にも引き取られなくそのまま」

天龍「あいつは……事故に合って……それから、親に見捨てられたんだ」

男「事故?」

天龍「事故自体は単なる交通事故だったんだけどよ……まぁ、これもきっとすぐに分かる」

男「……」

天龍「なぁ……頼みがあるんだ」

男「……」

天龍「もしあいつが……どんな事になっても、見捨てないでくれ」

男「……なんだかよく分からないけど、当たり前だろ」

男「天龍だって、龍田だって。同じ所に住んで、戦ってる仲間だ。俺はまだ来て日は浅いけど、それでも……仲良くなれたと思ってる」

男「絶対に見捨てない」ゴクッ

天龍「……フフッ」

お仕事へ

>>61見ていただければ……の通り天龍は常時眼帯です。木曾も同じく

天龍「うっしゃあ!」ズバッ

駆逐イ級「……」ブクブク

龍田「天龍ちゃんばっかりに気を取られてると……死んじゃうかもね~?」ザシュッ

駆逐ロ級「……」ザバ...

男「11時方向にも敵!天龍は反転して迎撃、龍田はそのまま攻撃を続けてくれ!」

天龍「おう!」

龍田「私と天龍ちゃん、離してもよかったのかしら?」

男「これくらいの敵なら各個撃破で問題無いと思ってさ。数で押されて挟撃される方が怖いし」

龍田「ふぅん……少しは指揮も良くなってきたみたいね~」

男「少しって……結構頑張ってるんだけどな……」

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翔鶴「二人共、それに提督も。お疲れ様でした」

天龍「連携も随分良くなってきたな」

龍田「これならもっと作戦にも参加出来そうね~」

翔鶴「そうね。後は金剛さんや木曾ちゃん、電ちゃんとも一緒に訓練しないとね」

龍田「……」

天龍「どうした?」

龍田「なんだか少し疲れちゃったみたい。お布団でゆっくりしてくるわ~」

天龍「……」

翔鶴「……」

男「大丈夫なのか?」

天龍「……提督が着任してそろそろ一月だよな」

翔鶴「そうね……」

男「……」

男(……一体なんなんだ)


天龍『もしあいつが……どんな事になっても、見捨てないでくれ』

男「……」


天龍『あいつは……事故に合って……それから、親に見捨てられたんだ』

天龍『事故自体は単なる交通事故だったんだけどよ……まぁ、これもきっとすぐに分かる』


男「……交通事故と関係あるのか?」

天龍「……」

男「……なぁ、隠さないで話してくれ。頼む」

翔鶴「……」

天龍「……立って話すのもなんだ、執務室でお茶でも飲みながら話そうぜ」

翔鶴「そうね。行きましょう、提督」

男「……」

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男「……」ズズッ

天龍「……」

翔鶴「……」

男「それで、どういう事なんだ?」

天龍「……まず結果から言うと」

天龍「あいつは記憶が一月もたないんだ」

お仕事へ

男「……」

天龍「……」

翔鶴「……」

男「記憶が……?」

天龍「龍田は今、一月周期で……今までの記憶を忘れてる」

男「……」

天龍「その原因になったのは、あの時の事故だった」




「陽射しが強い日だったな。そう……あれは夏だ……」

幼天龍「早くこいよー!」

幼龍田「待ってよ天龍ちゃん!」


「あんなにクソ暑かったのに、よく走り回る気力があったよ。今じゃそんな気になりゃしないな」


幼天龍「今日はあそこの公園で遊ぼうぜ!」

幼龍田「うん!」


「道路に飛び出したら危ないってさ、知ってたのによ。なんで子供ってそんなの気にしないで走り回れるんだろうな……」


幼天龍「へへっ!こっちこっち!」ダッ

ブォンッ!!

「オレが交差点を渡りきったくらいだな。車が一台通ったんだ。あとは……多分分かるだろうけどよ」

ドゴンッ

幼天龍「え……」

ドサッ!!ゴロゴロ...

幼龍田「……」

幼天龍「お、おい……おい!!!!」

「だ、大丈夫かい!?救急車だ……救急車を!」

幼龍田「ううん……」

幼天龍「大丈夫か!?」

幼龍田「……痛い、痛いよぉ」ジワッ

「はい、はい。そうです。お願いします!」


「よく考えたらその龍田を撥ねたドライバーは悪くないんだけどさ、その時のオレにはそんなのわからなかった」


「クソ、会社にも連絡して……どうすんだよ……」


幼天龍「……」キッ

「今、救急車を呼んだからね!そうだあの子、とりあえず路肩に……」

幼天龍「よくも……よくも龍田を!!」

「あぁ……ごめんよ、悪かった……」

幼龍田「痛いよ……痛いよ……」

「まぁ……それはいいだろ。それで龍田は病院に運ばれたけど、全身を軽く打ったのと腕の骨折だけで済んだ」


「その時は……な」





「全治する頃には秋になってた。その頃にはオレと龍田はまた外で遊ぶ様になってた」

「だけどある日……」


幼龍田「なんだかね、頭が痛くて、眠いの」


「そう言って遊ぶ約束を断ったんだ。次の日心配で見舞いに行ったらよ……」


幼天龍「大丈夫か?具合は良くなった?」

幼龍田「……」




幼龍田「……誰?」

男「……」

天龍「あれは流石のオレでも……参ったな」

天龍「友達も家族も、自分の事も忘れてた。覚えてたのは……自分の名前だけ」

天龍「その頃オレは母親が死んで、孤児院に引き取られる事になった。記憶が無くなってから……一月とちょっとだな」

天龍「短い間だったけど、オレはそれまでの事を丁寧に話して……また今まで通りに仲良くなれた」

天龍「その後三ヶ月くらいして、龍田がオレと同じ孤児院に来たんだ。理由を聞いたら」


幼龍田「お父さんとお母さんは私が嫌いなの。他人の子供みたいだ……って」


男「……それは、いくらなんでも……」

天龍「その時のオレもそう思ったよ。そしてもっと、沢山あいつと接してやろうって思ってさ……」

天龍「二人だけになっても、ずっと一緒にいようって。約束したんだ」

天龍「……楽しかった。楽しかったけどよ……なんだか、この先生きてどうなるかわからなくて、不安だったな」

天龍「気がついたらオレも龍田もそこそこの歳になっててよ。その時になってやっと、引き取り手が見つかったんだ」

翔鶴「それがここ……だったかしら?」

天龍「そうそう。新しい環境にはなったけど、こうやって翔鶴姉や他の仲間とも会えたし」

天龍「戦うって目的も出来た」

天龍「ここにも少しずつ馴染み始めて……半年くらいだな」


龍田「なんだかね、頭が痛いのよ~。なんでかしら?」


天龍「その時まで忘れてた。頭が痛いって言われた瞬間、心臓が止まるかと思った」

天龍「慌ててオレはその事故の事を医療担当に話して、精密検査が行われた」

天龍「そしたらさ……あいつの脳みその……記憶を司る部位の細胞が……一部死んでるって」

天龍「すぐにでもまた、忘れるかもしれない。って……」

天龍「龍田にもその事話したんだよ。そしたら……」


龍田「私が記憶を無くしても、天龍ちゃんは私のそばに居てくれるんだよね?そしたら~、私が忘れた事、ぜ~んぶ話して聞かせてね?」


天龍「そう言って……笑ったんだ」

天龍「それから一月経って、あいつは記憶を無くした。そこからあいつはほとんど一月の周期で……忘れ続けるんだ」

男「……」

翔鶴「私達もフォローしながら、今まで頑張って来たんです」

天龍「……今提督の下に付いてる艦娘はみんなオレと龍田がここに来てからの知り合いだから……なんとかなった」

天龍「でも提督、お前の事は忘れ続ける。一月後、また一月後、そのまた一月後も」

天龍「それでも……頼む……っ」

天龍「あいつを、あいつを見捨てないでくれ!!」サッ

男「……」

天龍「例えあいつは忘れてても!!忘れた事は夢でも嘘でもないんだ!!だから……っ……」ポロポロ

この場面risetのシナリオ聞きながら書いてるともう目頭が……文面で伝えきれるほど表現力がないのが悔しいです

男「……」

男(こういう時にどう言葉を掛けたらいいんだろうな……こういう時に限って……上手い言葉が見つからない)

翔鶴「提督……」

男「……天龍」

天龍「……」

ポフッ

男「……なんというか……上手くは言えないけど……」

男「……なんとかなる。だから見捨てたりなんてしない、な?」ナデナデ

天龍「……!!」ガバッ

男「うおっ!?」

天龍「うぅ……」ギュゥ

男「……」ナデナデ


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ーーー

男「……ん」

男「朝か……」


男「……龍田は?」

金剛「今日はまだ……」

電「なのです……」

木曾「……」

翔鶴「……」

天龍「……なぁ、提督」

男「ん?」

天龍「龍田はきっと今、ゆっくり眠ってる。目が覚めた時……多分記憶は……」

男「……あぁ」

天龍「オレは今日はあいつのそばに居てやる事にするよ」

男「……そうだな」

翔鶴「今日は各自自由にしましょう」

木曾「射撃場に行ってくる。なにかあったら呼んでくれ」

金剛「私は紅茶の葉を買ってきマス」

電「電は駆逐隊のみんなでお勉強します」

翔鶴「私も……今日は道場で練習してくるわね。その前に提督の書類も整理しないと」

男「……書類整理が終わったら俺も龍田の所へ行くよ」

天龍「わかった」

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ーーー


男「……」コンコン

天龍「……」ガチャ

男「龍田は?」

天龍「まだ寝てる」


龍田「……」スースー

男「……」

天龍「……」

男(龍田の部屋……女の子の部屋とは思えないくらいにさっぱりしてるな、それに……)

男「写真、多いな」

天龍「こいつが忘れても写真が残ってればオレも思い出しながら話せるしこいつも…思い出すかなって」

男「……思い出すさ、きっとすぐに」

天龍「……そうだな。もうそろそろ……思い出すかもな」

龍田「……ん」

天龍「!」

男「お……」

龍田「……」モゾモゾ

男「……」

天龍「……」


龍田「……」パチッ


男「……」

龍田「……天龍……ちゃん?」

天龍「……やっと起きたか。調子はどうだ?」

龍田「……うん。ばっちりよ~」

男「龍田……大丈夫か?」

龍田「あら……」

天龍「……提督だ、覚えてるか?」

龍田「覚えてるもなにも……」

男(よかった……まだ大丈夫みたいだな……)

龍田「天龍ちゃんったら~からかわないでよ~」

天龍「フフ……悪かったって」

龍田「提督とは全然違う人じゃない。流石に騙されたりはしないわよ~」

男「……」

天龍「……」

龍田「それに天龍ちゃん……なんだか身長も……胸も大きくなってる気がするし……その眼帯はコスプレ?」

天龍「……龍田」

男(これが……)

龍田「……天龍ちゃん。私、忘れてるの?」

龍田「この間のお医者さんの診断だと、いつ忘れてもおかしくないって言ってたけど~……」

天龍「……あぁ、そうだな……これで……38回目だ」

龍田「38回……?……そう」

天龍「お前の今の記憶から……もう3年経ったんだ……」

龍田「私は……3年間忘れ続けてるのね」

天龍「……あぁ」

ここまでで

龍田「そうなの……そう」

天龍「……」

男「……」

龍田「……それなら~、この間の……じゃなくて、3年前の約束なのね」

龍田「私の忘れてる事、話してくれるかしら~?」

天龍「……ったりめーだろ」

天龍「今日は寝ないで朝まで話してやるからな」ニッ

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ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


男(天龍はあの後、ずっと龍田に話を聞かせ続けた)

男(3年間、毎月同じ事を話しているとは思えないくらい楽しそうに)

男(龍田もニコニコしながら話を聞き続けてた)

男(俺は……途中で抜け出して自分の部屋に戻った)

男(……どうしたものか)

男「……」モゾモゾ

男「……はぁ」

元帥「……」

元帥「彼が着任して一月か」

元帥「そろそろ指揮の方も簡単に仕上がったようだな……」

元帥「……歴戦の部隊では目立ちすぎる。ここは……彼に出てもらうか……」

元帥「上手くいくといいがな……」


翔鶴「提督、指令が発令されました。いよいよ任務に出る事になりますね」

男「任務……?」

翔鶴「今回の任務は遠征。情報交易路の哨戒……だそうです」

男「情報交易路って?」

翔鶴「この施設では様々な地域、機関と情報の交換を行います。深海棲艦に関する情報や国防に関する……」

男(随分……スケールの大きな話だな)

翔鶴「極秘裏に行う為専用の交易路……ネットワークを使うのですが。深海棲艦が出没しないように、出没した場合殲滅する為に定期的に哨戒を行っているんです」

翔鶴「もし届けなければいけない情報が深海棲艦に破壊されたり……奪われてしまえば……」

男「大変な事になりそうだな……」

ここまでで。ところでカードゲームは辞めたつもりなのにヴァイス買ってしまいました。折角の復帰なのでお金に糸目はつけず金剛ちゃんメインデッキ

しばらく艦これモチベーション上がってるのでこのペースで更新できそうです

翔鶴「ただ今回私達が哨戒するのは強力な敵の確認をされていない海域になるので、そこまで難しくない遠征だと思います」

男「そうか……」

翔鶴「一週間後のヒトマルマルマルに出撃の予定なので、それまではもう訓練をして陣形の確認等仕上げていきましょう」

男「わかったよ」


男「……」スタスタ

木曾「ん、射撃訓練か?」

男「やっと発砲出来るようになったしな、練習するに越したことはないよ」

木曾「やっと……というか異例のスピードだとは思うがな。提督は実戦にも適性があるのかもしれない」

男「そうかなぁ……」

木曾「よし、俺が見てやるから一緒に訓練しよう」

男「頼む」

タタタンッ

木曾「もっと腰を入れろ!弾道がブレるぞ!」

男「……」カチャンッチャキッ

タタタンッ

木曾「そこそこ当たる様になってきたな。これなら出撃(ダイブ)の時に小銃を携帯しても良さそうだ」

男「武器も持って行けるのか?」

木曾「あぁ、今まではまだ持たせられる程技術が無かったから持たせなかっただけだ。次からは護身用にも携帯出来るはずだ」

男「それなら……」

木曾「ただあくまで護身用だ。小銃くらいで深海棲艦を倒せるとは思うなよ。奴ら装甲が厚いし生の部分を狙って撃てる程上手くない」

男「……」

木曾「この調子なら駆逐艦くらいは多少ダメージを与えられる様にはなるかもな。この調子だ」

男「……木曾は訓練教官向きだな」

木曾「そうか?」

木曾「そういえば……姉貴達はどうしてる?」

男「今は一緒に訓練してるはずだ」

木曾「……」

男「……俺は慣れるまで時間がかかりそうだ」

木曾「俺も最初は同様したさ……それも毎月だ。どうすればいいかと悩んだ」

木曾「……ずっと悩んでいる訳にもいかない。前向きにしていたらいつしか慣れていた」

男「……なんとかしよう」

木曾「ん?」

男「手術すればなんとかなるかもしれない。余裕が出来たらいい医者を探そう」

木曾「……そうだな」

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男「……」スタスタ

天龍「ん、提督じゃねえか」

龍田「提督さん、こんにちは~」

男「あぁ、二人とも訓練は終わりか?」

天龍「休憩だ。終わったら続きをやるつもりだぜ」

龍田「提督さんは初めてなのよね?」

男「初めて?」

龍田「私が記憶を忘れてる事。と言っても私にもまだ実感はあんまり無いけど~」

男「そうだな……初めてだ」

龍田「そこまで心配しなくても大丈夫よ~、天龍ちゃんがちゃ~んと今までの事話してくれたから」

男「……」

天龍「だな。こいつもいつかコロっと思い出すかもしれねーし」

男「思い出すといいな、本当に……」

天龍「お前は今暇なのか?」

男「時間はあるぞ」

天龍「一緒にメシでも行こうぜ!」

龍田「そうね~、一緒に食べましょう?」

男「そうしようか。どこに行く?」

天龍「間宮に行こうぜ!新作のデザートがあるらしいんだ……」

男「メシって……デザートでお腹いっぱいにするつもりか?」

龍田「天龍ちゃんは甘いもの好きな乙女だもんね~」クスクス

天龍「な、なんだよそれ!いいから行こうぜ!」

天龍「……//」スタスタ

男「……ふふ」

龍田「ねぇ?かわいいでしょう?」

男「だな」

間宮「いらっしゃいませ、新任の提督さん?」

男「はい。よろしくお願いします」

男(なんか……良く出来るお母さん……みたいだな。綺麗だし)

間宮「それに天龍ちゃんに龍田ちゃんも、今日は新しくパフェをメニューに出してみたの。よかったら食べてみて?」

天龍「それそれ!そのパフェを食べに来たんだよー」

龍田「私もおんなじの頼もうかしら~」

間宮「提督さんはいかがいたしますか?」

男「とりあえずメニューがみたいな……」

間宮「それならまずお好きな席にどうぞ。メニューが置いてありますから決まりましたらまた呼んで下さい」

男「はい」

男「さて、どこの席に……ん?」

木曾「……」モグモグ

男「木曾、来てたのか」

木曾「ん……提督に姉貴達か、奇遇だな」

龍田「相席してもいいかしら~?」

木曾「勿論」


男「へぇ……スパゲティにハヤシライス……結構あるな」

男「デザートだけかと思ってた」

木曾「どれも絶品だぞ?」

男「迷うなぁ……」

男「カレーか……カレーにしよう」

間宮「お水どうぞ、ご注文はお決まりですか?」

男「このカレーを」

間宮「かしこまりました。二人はパフェだけでいい?」

天龍「頼むぜー」

龍田「私も大丈夫よ~」

間宮「それじゃあ少し待っててね」

ヴァイスの木曾改二が強くて感動しました。さすがキソーさん

そんな訳でお仕事へ

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ーーーーーー
ーーー


男「はふっ、辛いけど美味い!」

天龍「うめぇ……」キラキラ

龍田「甘くて美味しいわね~」

木曾「食後は羊羹に限るな」モクッ

天龍「木曾も食べるか?」スッ

木曾「それじゃあ俺の羊羹も姉貴に……」スッ

龍田「食べさせ合いっこしてる天龍ちゃんもかわいいわ~……」パクッ

天龍「落ち着いた甘さもいいなぁ」

木曾「甘い……甘すぎるっ!!」

男「辛いっ!」

男「これは本当に癖になりそうだ……」

天龍「また時間があったら来ようぜ。龍田も木曾も、金剛姉に電も一緒に」

男「そうだな。また一緒に、みんなで食べよう」

龍田「そういえば二人はどうしてるの~?」

翔鶴「二人で一緒になにかしてるみたいね」

木曾「紅茶でも飲んでるんだろう……」ズズッ

男「木曾は紅茶よりも緑茶派なのか?」

木曾「抹茶とかコーヒーの方が好きだな……」


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ーーー

翔鶴「任務当日ですね」

金剛「久しぶりの遠征デスネ!頑張りマース!」

電「電も頑張るのです」

木曾「気を引き締めて、油断しないように」

天龍「奴らが出てきたらブっ潰してやるよ!」

龍田「潜水艦が来なければ大丈夫よ~」

男「……」

『妖精プログラム、起動します』

翔鶴「よろしくね」

『よろしくお願いします。今回は遠征任務ですね。作戦概要は転送完了後、目標地点までの移動及びその間の周囲警戒です』

『到着ポイントに着いた時点で帰還を行います。みなさんお気をつけて』

天龍「っしゃあ!行こうぜ!」

龍田「第一艦隊出撃します」

いよいよ遠征任務です

男「……」

『戦闘支援開始。メモリ、数値、生体反応に異常はありません』

『各員戦闘の準備を。ダイブ開始までカウント……5、4、3、2…」

『1、0。転送します。よい戦闘結果を』


ジジッ...ジジジジ...


バチンッ...ジジ...


男「……ん」

男(今度は……廃墟みたいだな。ビルも道路も荒れ果ててるし……水も淀んで底が見えない)

『作戦海域付近に到着。レーダーに航行ルートをマーキングしました』

男(まだ……慣れないな)

木曾「周囲に異常無し」

翔鶴「偵察機を先行させましょう」スッ

パシュッ

ブォォォン

偵察機妖精『偵察機部隊発艦します』

翔鶴「進行ルートを先行しながら周囲警戒を」

偵察機妖精『了解しました』

男「そういえば……今更なんだけどさ」

翔鶴「はい?」

男「翔鶴の出す戦闘機って、なんだか古いかんじがするんだけど。プロペラ機って……」

翔鶴「それは多分……軍艦が活躍した時代を基本に作られたからだと思います」

木曾「それに迂闊にジェット機を使って敵にその情報を盗まれたら……」

金剛「ジェット機と戦う事なりマース」

電「あまり早いと撃ち落とせないかもなのです」

男「そうか……」

龍田「いよいよ、初めての出撃ね~……」

天龍「お前が覚えてる限りだとそうなるかもな」

男「え?」

天龍「ここに来て半年……の時はまだ出撃はしなかったな……」

男「……それじゃあ今まで、ほぼ未経験の状態で戦ってたって事なのか……?」

龍田「そうなるかも~。でも……なんとなく戦いのスキルとか、身についてるのよね~」

天龍「記憶が無くても今までの3年間の経験は身体が覚えてるんだろ、それに……」

翔鶴「龍田ちゃんはかなりポテンシャルが高いと思うわ」

龍田「そんな事ないと思うけどなぁ」

男(どっちにしたって……身に染みた技術とポテンシャルだけであんなに強いのか……)

金剛「そろそろ行きませんカ?」

翔鶴「そうしましょうか」

翔鶴「今回は単縦陣で航行します。両端戦闘に天龍ちゃん、後方に木曾ちゃん。天龍ちゃんの後ろから龍田ちゃん、金剛さん、私に電ちゃん」

男「俺はまた翔鶴のそばにいればいいな」

翔鶴「お願いします。私がサポートしますから指揮を」

男「おう。それじゃあ進行しよう」


男「……」

木曾「チェックポイント到達、異常は無し」

男「またどこかで敵が沢山湧いてくるのか……?」

天龍「前線じゃねーしそれは無いと思うぜ?湧いても精々10は行かないくらいだと思う」

男「そうか……」

偵察機妖精『前方30000メートル先に敵発見。駆逐艦が5隻です』

翔鶴「艦爆で攻撃しましょうか?」

金剛「戦闘機が勿体無いデスよ!私達が接近して攻撃しマース!」

電「司令官さん、どうしますか?」

男「……」

男「もしかすり傷でも怪我をしたら怖い。艦爆で一気に沈めよう」

翔鶴「了解です!」パシュッ

爆撃機妖精『拙者の出番でござるな』

男「油断せず、このまま行こう」

金剛「了解デース!」


爆撃機妖精『爆撃成功、駆逐艦全隻沈むでござるよー』

翔鶴「ありがとう、戻って補給して」

爆撃機妖精『また敵が出て来たら拙者にお任せでござる』

天龍「……」キョロキョロ

木曾「どうした姉貴」

天龍「いや……なんとなく出撃してるって気にならねぇなってよ。やりあわないとな」

男「戦わないに越したことはないと思うけど……」

翔鶴「前線ならともかくここでならそうかもしれないですね」

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


翔鶴「このままなら無事に終わりそうね」

偵察機妖精『……!?再び前方に敵……なんで……?』

翔鶴「どうしたの?」

偵察機妖精『確認出来るだけで……空母1隻、戦艦6隻、重巡洋艦に駆逐艦……多数』

木曾「……どういう事だ」

金剛「ここは前線じゃないデスよネ……」

翔鶴「……」

男「……どういう事だ」

『原因不明、これだけの数が潜伏していたとは思えない……』

『緊急事態宣言発令します!今すぐ本部に増援を要請します!』

電「……」

龍田「大丈夫よ~、なんとかしてみましょう」

天龍「何が原因かは置いておいても、敵が現れたんだ。攻撃だ!」

やばくなってきました

元帥「……」

元帥「……まさか嗅ぎつかれるとはな。芳しくない……」

コンコン

「失礼します」

元帥「中佐か。準備は?」

中佐「は、既に艦隊出撃準備は整っております」

元帥「至急出撃、なんとしても彼らを守り抜け」

中佐「はっ!」ピッ

中佐「それではすぐに出撃します。失礼します」

バタン

元帥「……」

元帥「何者の差し金かは知らんが、いずれ尻尾は捕まえさせてもらうぞ」

攻撃機妖精『いよっしゃあ!ドッグファイトだ!』

爆撃機妖精『まずは戦艦をどうにかせねば……』

攻撃機妖精『墜とされるんじゃねーぜ!』

爆撃機妖精『承知した!』


『敵駆逐艦部隊、射程圏内まで接近します』

天龍「っしゃあ!天龍様の攻撃だ!」ドッパァァァンッ

龍田「あんまり突出するのはまずいわよ~」

金剛「先頭が危ないデスネ。私も行きますよ~!フォロミー!」

木曾「俺も出る!!電、翔鶴姉さんと提督を頼む!!」

電「わ、わかりましたっ!」

男「……」チャキッ

翔鶴「提督、小銃をお持ちだからと言って油断しないで下さいね」

男「わかってる」

攻撃機妖精『中々やるぜあいつら』

爆撃機妖精『そのようでござる』

「……」

攻撃機妖精『空母ヲ級だ。あいつから狩るぞ!』

ヲ級「……ヲっ」

攻撃機妖精『……チッ、本当にあいつ一機だけなのか?艦載機が多い』バラタタタタ

ザバァァンッ!!

爆撃機妖精『機動力も中々の物、まるで艦娘相手に演習しているようでござる』


天龍「っらぁ!!」ザバッ

金剛「バーニング~ラーヴ!!」ドゴォォォ

木曾「数が多すぎるッ!!」ドンッドンッ

龍田「……駆逐艦の動きが妙に纏まってる気がするのよねぇ」

木曾「ん……?」

木曾「全員回避行動!!!」

ドゴォォォンッ

天龍「うおっ!?」

ザバァァンッ

木曾「奴ら、奥にいる戦艦の射線を開けながら戦ってる!!」

龍田「深海棲艦ってそんなに頭良かったかしら~?」

天龍「さぁてな。ただそれよりも今は……」

金剛「敵がそうくるなら、私達もそれに対する作戦で行きまショウ!!」


翔鶴「提督、いかが致しますか?」

男「ううん……」

電「はわわっ!3時方向から敵が!」

翔鶴「奇襲!?」

駆逐イ級「……」ザァァァ

電「電だって、頑張るのです!」ドンッドンッ

男「くそ……」タタタンッ!!タタタンッ!!

駆逐ロ級「……」キンッ!キンッ!

男「弾かれてる……」

翔鶴「小銃で戦うのは無理です!私が機銃で応射します!」ダダダンッ

龍田「大丈夫~?」サッ

翔鶴「龍田ちゃん!天龍ちゃん達は?」

天龍「俺たちは大丈夫だぜ!なんとかしてみせる!」

木曾「だが戦艦の砲撃に対する回避ばかりで攻撃が出来ない。徐々に後退してるぞ!」

ドォォォンッ

金剛「シット!!大切な装備が!」

『金剛損傷率24%、小破です!繰り返します。金剛損傷率24%、小破です!』

龍田「そんなに死にたいのかしら、うふふふ」ザシュッズバァッ

『味方艦隊作戦海域に到達、到着予定時間は約30分後!』

天龍「まだそんなに掛かるのか……」


男「一時後退しよう!!敵の砲撃範囲内から一旦抜けて体制の立て直しだ!」

木曾「引くぞ!金剛姉さんと姉貴は先へ、殿は任せろ!」

天龍「一人で大丈夫か!」

木曾「そこまで甘く見られちゃ困るッ!!」ダダダンッ

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


男「木曾、大丈夫か?」

木曾「これくらいどうという事もない」

電「それでも中破してるのです。無理はしない方がいいのです」

『提督へ極秘回線で通信が入っています』

中佐『お初にお目にかかる、中佐だ。よろしく!』

男「……よろしくお願いします」

中佐『敬語じゃなくてもいい。タメで話そう!』

中佐『今現在全速力でそちらに向かっている。もう間も無く到着するはずだ!』

男「そうか……これでなんとか」


偵察機妖精『安心するには早いかもしれません。敵戦力にも増援が到着、戦力を二分して攻撃してくる模様です』


中佐『ん……どうやら敵がこちらに向かっているみたいだな。戦艦に……重巡が……こんなにいるのか』

中佐『しばらく合流出来そうにない!なるべく早く片付けるが……それまで耐えてくれ!』

男「わかった!頼む!」

中佐『ん、よしいくぞ!赤城、加賀!!航空隊発艦!!』

プツン

援軍が到着するも未だ厳しい戦況。一体この局面をどう乗り切るのか、明日に続く

木曾「で、どうするんだ。戦力が多少減った所で奴らの数は多いぞ」

男「こっちに向かってくる敵の詳細は?」

翔鶴「偵察機の報告だと空母1、戦艦2、軽巡に駆逐艦が多数だそうです」

男「……」

天龍「また俺が突撃して倒してやれば問題ねぇだろ」

電「敵は頭が良さそうですから、同じ方法だと対策を取られそうなのです」

金剛「そもそも深海棲艦が頭がいいって言うのが良くわからないデース。知能はさして高くなかった気がしマス」

龍田「とにかく、早く考えないと射程に入っちゃうわよ~」

男「……どっちにしろやるしかないんだ。やろう!」

男「戦艦の砲撃があるから厄介なんだ。金剛には無理してもらうけど、金剛を先頭に敵駆逐艦群を突破、天龍、木曾、電で一気に戦艦を沈める!」

金剛「イエース!まだまだやれるネ!」

木曾「悪くないな」

天龍「戦艦なんざ、天龍様に掛かれば大した事ねーぜ!」


男「翔鶴は敵空母と交戦、金剛達への被害が出ないよう出来るだけ押さえ込んでくれ」

翔鶴「わかりました。艦載機のみんな、お願い!」

男「龍田はこっちに来る駆逐艦、軽巡洋艦の殲滅。翔鶴を守り抜いてくれ」

龍田「わかったわ~うふふ♪」

ドンッドンッ!!

ダダダンッ


金剛「当たらないヨー!」

木曾「金剛姉さん!目の前に駆逐艦!」

金剛「ノープロブレム!!」ドゴォッ

駆逐ロ級「……!」バキィ

木曾「ショルダータックルで沈めるなんて……」

天龍「そろそろ戦艦の正面に出るな」

電「魚雷装填しますっ」


攻撃機妖精『オラオラ!!お前らの相手は俺だぜ!』

爆撃機妖精『やらせないでござる!』


龍田「結構多いわね~……」ドンッドンッ

男「俺にもなにか……」


木曾『ただあくまで護身用だ。小銃くらいで深海棲艦を倒せるとは思うなよ。奴ら装甲が厚いし生の部分を狙って撃てる程上手くない』


男「……生の部分」

男「あの口の中か!」

駆逐ハ級「……」グパァ

男(あいつら砲撃の時に口が開く。そこにぶち込めれば……)チャキッ

男「ッ!!」タタタンッタタタンッ

ドゴォォォ……!!

駆逐ハ級「……」ゴポゴポ

男「……」

龍田「……ふふ、やるじゃない♪」

男「よし、次だ!!」


ドゴォォォンッ

金剛「戦艦の砲撃は引きつけマス!!」

天龍「その間にやるぞ!!魚雷装填!!」

木曾「本当の戦闘を教えてやるよ」

電「電の実力を見るのです!」

金剛「みなさん!!お願いしマース!!」

木曾「てえええ!!!」

ボシュゥゥゥ!!


戦艦ル級「……」ドゴォォォンッ

シュゥゥゥ

戦艦ル級「!?」


ザバァァンッ!!!

天龍「このままいけばやれるぞ!!」

金剛「ファイヤー!!」ドゴォォォンッ


攻撃機妖精『こっちは手こずりっぱなしだな……』


『通信入ります!』


赤城攻撃機妖精『こちら赤城艦載機、余力が裂けそうだ。すぐに援護してやる』

赤城爆撃機妖精『空母1機なら、やれるわね』


翔鶴「助かります!一緒に空母を攻撃しましょう!」

男「勝てるかもしれないな……!」

『……!!!』

『緊急連絡!敵増援を確認!!』

男「また増援か……ッ」

『なにあれ……未確認の戦艦です!速い……高速戦艦並みの速さです!!真っ直ぐ翔鶴に向かっています!!』


翔鶴「……!」


天龍「流石にこの状況じゃ下がれないぜ!!」

金剛「また私が盾になって……」

龍田「私に任せてもらおうかしら~」

男「龍田!行けるか!」

龍田「大丈夫よ~」

『敵戦艦、接触します!』


戦艦「……」ザァァァァ

戦艦「……」ニィッ

さらに迫る謎の戦艦。そしていよいよ……続きます

翔鶴「戦艦タ級……?」

龍田「でもなんかすこ~し、見た目が違う様な気もするのよねぇ……」

男「金色の光を放出しながら……突進してくる!!」

戦艦タ級?「……」ドンッドンッドンッ!!

龍田「きゃっ!?」ドゴォォォ...

天龍「龍田!!」

『龍田損傷率46%、中破です!』

龍田「痛いじゃない……許さないから♪」

金剛「天龍!龍田を助けてあげてくだサーイ!」

電「ここは電達がなんとかしますっ」

木曾「姉貴!!」

天龍「わかった!任せるぜ!」


敵駆逐艦群「……」

天龍「オラオラ!!どけってんだ!!」ドッパァァァンッ

ズバッ

ドンッ

翔鶴「龍田ちゃん!」

男「くそッ!!」タタタンッタタタンッ

戦艦タ級?「……」ザァァァァ

龍田「行かせないわよ~?」ヒュッ

戦艦タ級?「!!」シュッ

キンッ!キンッ!

ヒュッ

龍田「戦艦なのに随分身軽ね……本当に貴方はただの戦艦なのかしら……?」

戦艦タ級?「……」ドンッ

天龍「らぁッ!!」ズバァッ

ドゴォォォンッ

天龍「あまり調子に乗んなよ」

戦艦タ級?「……見ツケタ」

天龍「あぁ?」

シュルシュル

男「なんだ!?コードみたいなのが……」

グッ

天龍「ぐっ……」

龍田「天龍ちゃんを……どうする気……!!」

翔鶴「天龍ちゃんが捕まった!?」

天龍「離せ……このっ……!!」

戦艦タ級?「……」

ドスッ

天龍「がっ……」

男「あれはコードじゃなくて……プラグか!?」

戦艦タ級?「……」

天龍「ぐお……」

龍田「天龍ちゃんを離しなさい!!」シュッ

ドゴォォォ

バァァァンッ!!!!

龍田「っ……」

天龍「龍田あああああああ……!!!!」

『敵主砲直撃!!損傷率82%!!大破です!!』

龍田「……」フラッ

戦艦タ級?「……ニンムカンリョウネ」

ズブ……

天龍「あっ……」ザパァァァン

龍田「天龍……ちゃん……」

ザァァァァ

翔鶴「なに……?」

男「プラグを抜いたと思ったら……退却し始めた……?」

天龍「この……待てよ!!」


『……敵戦艦タ級、戦線離脱しました』


木曾「……なんだったんだ今のは」

金剛「余所見してる暇は無いデスヨ!!」


駆逐ハ級「……」グパァ

天龍「くそ……頭がクラクラしやがる……」

龍田「天龍ちゃん!!」

天龍「え……?」

駆逐ハ級「……」

ドゴォォォンッ

男「天龍!!!!」

木曾「チッ!!後退しよう!!」

金剛「了解デース!!」

電「天龍さん!!」


天龍「……」

天龍「……」

天龍「……ん」




龍田「天龍……ちゃん……」ポタッ




天龍「龍……田?」

龍田「……がふっ」ドシャアアアン

天龍「……龍田、龍田あああああ!!!!!」


翔鶴「龍田ちゃん!!!!」ドドドンッ

駆逐ハ級「……」ゴポゴポ...


天龍「龍田、龍田!!しっかりしろ!!」

龍田「天龍ちゃん……」ドクドク...

天龍「やめろ、血なんか流してんじゃねえ!!」

龍田「よかったぁ……天龍ちゃんが……無事で……」

木曾「……クソがッ!!!」

金剛「龍田!!」

電「龍田さん!!」


龍田「あれ……おかしいよ……身体…が、動かない……なぁ」

天龍「大丈夫だ、まだやれる!!ここで踏ん張って帰るぞ!!」

龍田「ごめん……ね。今のでもう……ダメみたい……」


『龍田損傷率……100%』


天龍「まだだ!!!まだ……諦めるな!!」

龍田「ごめんね……私……足引っ張っちゃった……」

龍田「記憶も無くして……天龍ちゃんとの思い出も忘れて……」

天龍「いいんだそんな事、すぐに思い出す。だから……!!」

龍田「……あ」

龍田「……ふふ」

天龍「どう……した?」

龍田「……」

龍田「……今ね、思い……出したよ」

天龍「なにをだ……?」

龍田「天龍ちゃんと……みんなと過ごした事……」

龍田「忘れ……てた。3年間の……事」

天龍「……!!」

龍田「……ごめんね。その目……私のせいなんだ……」スッ

天龍「龍……田……」ポロポロ

龍田「泣いちゃだめだよ……天龍ちゃんは……笑ってなきゃ……」

龍田「ごほっ!!げほ……」ビシャッ

天龍「もういい喋るな!!離脱しよう、な?直ぐに……」

龍田「天龍ちゃん……生きて……最後まで……」

龍田「死んだみんなの……分まで」

天龍「やめろ」

龍田「……私の分まで」ゴポッ

スッ

ブクブク

天龍「沈むな!!龍田!!お前がここで死んだら……オレは……」グッ

龍田「……」

天龍「龍田!龍田!!」ググ...

天龍「沈ませない……絶対に……」

天龍「うわっ!」ゴポッ

木曾「姉貴……もういい。離せ」

天龍「ふざけるな!!このままじゃ龍田が……!!」

木曾「姉貴まで沈む気か!!それに敵前だぞ!!……龍田姉さんの死を……無駄にするな」

天龍「死んでねぇ!!まだ龍田は死んでなんか!!」

龍田「……」

金剛「敵が集結してマス!!このままだと……」

木曾「姉貴!!!」

天龍「がぼっ……ぷは!龍田!!オレは絶対に離さない……!!」

天龍「ずっと一緒にいるって約束だろ!!!」

木曾「……」スッ

パァン

天龍「……」

ゴポゴポ

男「木曾……」

ゴポゴポ

龍田「……」

天龍「あ、あぁ……龍田……龍田ぁぁ……」


『龍田、撃沈しました』





天龍「うああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

ここまでです。待っていたのは龍田の撃沈でした。バーチャルでの死は現実でどう影響するのか、次回かその先に

ドゴォォォンッ

戦艦ル級「……」

駆逐イ級「……」


金剛「囲まれてマス!!」

電「はわわ……」

木曾「ここでお陀仏なんて御免だな……」

攻撃機妖精『ダメだ!この距離だと味方を巻き込んじまう』

爆撃機妖精『空母からの攻撃も途絶えぬ……』

翔鶴「……っ!」


男「……」

男(どういう事だよ……)

男(死なないはずじゃないのか……だけど龍田は……)

男(……ここで俺も死ぬのか。この海の底へ……)

翔鶴「……提督」

男「……」

翔鶴「提督!」

男「……」

中佐「まずいな……赤城、どうだ?」

赤城「深海棲艦の動きとは思えないですね。完成度は甘いですが連携が取れてる」

赤城「それにこの前線並み……それ以上の戦力。明らかに敵には目標がある様な……」

中佐「目標……誰かが意図して深海棲艦を操っているのかそれとも……」

中佐「我々と同じ思考能力のある深海棲艦がいるのか。どちらにせよ厄介だ」

中佐「とりあえず今はそれよりも救出を最優先にしよう。扶桑!山城!」

扶桑「はい」

山城「なんでしょう」

中佐「彼らまでの道を遮る深海棲艦を出来るだけぶち抜け!山城は扶桑に続いて突入、彼らと接触するぞ!」

扶桑「全力で行きますよ!」

山城「お姉様の為なら……!」

木曾「チィ…ッ、弾薬がそろそろ無くなりそうだぞ!」

金剛「私の主砲ももうあんまり撃てそうにないデス……」

電「電の魚雷ならまだ!」

天龍「……うっ……うぅ……」

男「……」

翔鶴「提督!!天龍ちゃんも!!戦って!!」

男(絶望的状況、戦って勝てるのか……)

男(……どうすれば)

天龍「……」

天龍「フフッ……フフフ……」スッ

翔鶴「天龍ちゃん!やっと……」

天龍「アハハハ!!」

翔鶴「天龍……ちゃん?」

天龍「……ブチ殺してやる。残らず全部、ブチ殺す」

天龍「引き裂いて抉って千切って削いで」

天龍「根絶やしにしてやる……!!!」ドッパァァァンッ


木曾「姉貴!?」

天龍「ッラァ!!」ドシュッ

軽巡ホ級「ゴボッ……」

ザシュッザシュッザシュッ

ブチブチッ...

電「ヒッ……!!」

金剛「……」

木曾「……」

翔鶴「天龍ちゃん……」

天龍「フフフ……アッハハハハ!!」

天龍「死ね死ね死ね死ね!!!」

『て、天龍出力……96%……いや、まだ上がります!!』

『限界値突破……このままでは負担が大きすぎます!』

木曾「ぶっ壊れるぞ!!」

天龍「最初からこうしてれば良かったんだ」ドンッドンッドンッ

天龍「自分の身体なんかどうでもいいんだよ」ダダダダダダンッ

チャキッチャキッ

天龍「弾丸が無くなってもこのブレードがある」ザシュッ

天龍「ブレードが無くなればこの拳を使えばいい」シュッ

ベコォッ

駆逐ロ級「……」ブシュゥゥゥ

天龍「最初から全力で戦っていれば……」

天龍「あいつは死ななかった!!!!」

天龍「死ぬまで戦って殺し続ければ……」

天龍「もう誰も死なないんだ!!!!」

天龍「だからお前ら深海棲艦共……」

天龍「全員首斬り落としてやるよ……!!」


翔鶴「……金剛さん」

金剛「分かってマス」ザァァァァ

『通信入ります』

扶桑『無事ですか!?今そちらへ……』

翔鶴「扶桑さん、これから脱出を図ります。脱出ポイントまでの敵を攻撃して誘導してもらえませんか?」

扶桑『分かりました!殿は私達で!』

翔鶴「助かります……」

翔鶴「提督、脱出しますよ。私に掴まって下さい」

男「……翔鶴」

翔鶴「背負います。動かないで……」

天龍「オラオラ!!アッハハハ!!」

ゴキンッ

天龍「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!」

金剛「天龍!!艦装が持ちませんヨ!!」

天龍「ぐぅ……まだだ……まだオレは……!!」

金剛「……」

金剛「……いい加減」スッ

ドゴォッ

天龍「ゴフッ!!?」

金剛「頭を冷やしなサイ」

天龍「がっ……た、龍田……」フラッ

ギュッ

金剛「天龍は私が背負いマース!!」

木曾「……やるぞ!」

電「です!」

扶桑「食らいなさい!」ドゴォォォンッ

ジュッ...

山城「さすが扶桑姉様!私もやります!」ドゴォォォンッ

加賀「……」

赤城「脱出を始めた様ですね」

中佐「うん。今翔鶴から連絡があった。ありったけ弾丸に爆撃をぶち込んでくれって」

赤城「そんな事しては脱出自体困難なんじゃ……」

中佐「元々敵の塊の中に突っ込んで脱出を図るんだから無理がある。ならいっそ爆風の中を駆け抜ける方がチャンスがあると思ったんだろう」

中佐「俺たちもある程度攻撃を加えたら脱出するぞ。それまではありったけぶち込んでやれ!!」

ドゴォォォ!!

木曾「派手な花火だな」

翔鶴「みんな巻き込まれない様に!一気に突破するわよ!」

金剛「あっという間に火の海デスネ……」

電「あ、危ないのです……」

木曾「まるで火災現場の中を駆け抜けてるみたいだ」

男「……」

男(本気の殺し合いだ。[ピーーー]か殺されるか)

男(甘くみてた。本当の戦争じゃないか……)

男(俺は……彼女達は……戦争の駒にされたんだ)

『戦艦来ます!!』

戦艦ル級「……」ザァァァァ


ドゴォォォンッ!!


戦艦ル級「……」ゴポゴポ...

『……ご、轟沈』

木曾「アレに当たったらたまったもんじゃないな……」

翔鶴「敵空母の脇を抜けて行くわよ!その先まで行けば敵の群れから逃げられる!」

空母ヲ級「……ヲッ」

電「……じっとこっちを見てるのです」

木曾「攻撃は出来ないみたいだな」

金剛「弾が勿体無いので無視していきまショウ」

翔鶴「……」

空母ヲ級「……」

翔鶴「……」

空母ヲ級「……ヲッ」

翔鶴「……?」


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー

>>271 修正


ドゴォォォ!!

木曾「派手な花火だな」

翔鶴「みんな巻き込まれない様に!一気に突破するわよ!」

金剛「あっという間に火の海デスネ……」

電「あ、危ないのです……」

木曾「まるで火災現場の中を駆け抜けてるみたいだ」

男「……」

男(本気の殺し合いだ。殺すか殺されるか)

男(甘くみてた。本当の戦争じゃないか……)

男(俺は……彼女達は……戦争の駒にされたんだ)

『戦艦来ます!!』

戦艦ル級「……」ザァァァァ


ドゴォォォンッ!!


戦艦ル級「……」ゴポゴポ...

『……ご、轟沈』

木曾「アレに当たったらたまったもんじゃないな……」

翔鶴「敵空母の脇を抜けて行くわよ!その先まで行けば敵の群れから逃げられる!」

今日はここまでです。これをきっかけに、物語は一気に進んでいきます(予定)

『作戦終了です、お疲れ様でした』


男「……」パチッ

天龍「……」

翔鶴「……龍田ちゃんは?」

『先ほど回収されました……死亡の確認も取れています』

電「……」

金剛「……」

木曾「……」

翔鶴「……提督、元帥に報告を」

男「……あぁ」スッ

翔鶴「みんなお疲れ様……各自休憩を……」

天龍「……」スッ

ガチャ

バタンッ

金剛「……わ、私の部屋でティータイムにしまショウ!」

電「そ、そうですね!」

木曾「俺もたまには邪魔させてもらおう」

男「……」

翔鶴「……提督、一緒に行きましょうか?」

男「……頼む」


元帥「今回の事は残念に思う。また一人大切な同志が逝ってしまった」

男「……龍田は、戦闘で死んだ」

男「俺は……あの海では死ぬ事はないと!!」

元帥「落ち着きたまえ……彼女はな、ダイブの途中から発作を起こしていたんだ」

元帥「あの装置は無理に外すとそれこそ死ぬ危険性がある。どうする事も出来なかった」

元帥「死因は急性発作による心肺停止だ」

元帥「診断書を後で出す事も出来る」

男「……」グッ...

翔鶴「元帥、後ほどその診断書を送っていただいても構わないでしょうか?」

元帥「ん、わかった」

元帥「おそらく秘書艦の彼女から聞いたのだろうな。確かにダイブで人は死ぬ事はない。今回は……運が悪かった」

男(運が悪かっただなんて……そんな一言で……)

男(本当にダイブで人は死なないのか?)

男(あれは……)

元帥「今回の作戦の責任は君達には無い」

元帥「まさかあの様な場所に敵の大軍が押し寄せるとは想像も付かなかった」

元帥「それに予想を遥かに越えて強力な敵だった。あの謎の戦艦についても調査を進める必要がある」

元帥「詳しい報告はまた後でいい。今はゆっくりと休養するといい」

男「……」

翔鶴「提督……」

翔鶴「ありがとうございます。それでは失礼させていただきます」


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー

男「……」

翔鶴「大丈夫ですか?」

男「……少し、一人で考えたい」

翔鶴「そうですか……」

男「明日。マルハチマルマルに全員執務室に集めてくれ」

翔鶴「わかりました」

男「……」スタスタ

翔鶴「……」


男「……」

男(龍田の部屋、気がついたらここまで来ていた)ガチャ

男「……」バタンッ

天龍「……」

男「……」スッ

天龍「……」

男「……」

天龍「この目、龍田にやられたんだ」

男「……そうなのか」

天龍「龍田が記憶を無くす様になってそれが……9回目の時か」

天龍「オレがあまりにも……心ない事言ってさ。なんであんな事言ったんだろ」

天龍「……目を抉られた時、傷つけられた事よりも龍田を傷つけた事を後悔した」

天龍「それからオレは絶対に龍田を傷つけない、オレが守ってやるって……誓ったはずなのによ……」

男「……そうか」

天龍「見てみるか、オレの目」

男「……いいのか?いつも外さない様にしてる気がしたけど」

天龍「特別だ」スルッ

男(眼帯を外して両目をつむっている天龍はまた……別人を見ている様な気がした)

天龍「……どうだ?」

男(ゆっくりと瞼を開いたその先には……空洞があった)

天龍「……気持ち悪いよな。こんなになっちまってよ」

天龍「だけどこれが、オレと龍田の……」

ポフッ

天龍「んぅ……」

男「気持ち悪くなんかないさ。俺は気持ち悪いだなんて思わない」ナデナデ

天龍「……」

男「……」

天龍「なぁ……頼みがあるんだけどよ」

男「あぁ……」

天龍「少しだけでいい。胸……貸してくれ」

男「……好きなだけいいさ」ギュッ

天龍「ん……」ギュ...

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ーーーーーー
ーーー


男「みんな集まったな」

男「翔鶴、一応確認するけど……」

翔鶴「はい……」

男「ここに盗聴器とか……無いよな」ボソッ

翔鶴「……恐らく無いと思います」

男「……テレビでも付けてゆっくりしながら話そうか」ピッ

ワイワイ

男「……龍田の死因は心肺停止で、あの戦いのあの一撃とは関係ないそうだ」

男「……だけど俺は嘘だと思ってる」

男「……今まで龍田は発作を起こした事は一度も無いし今までにそういう事があったとも聞いていない」

男「確実に龍田はあの場で、深海棲艦に殺された」

木曾「……根拠は?なにか確証はあるのか?」

男「それは……次海に出た時に俺が一撃もらえば分かるんじゃないか?」

木曾「……!」

男「ほぼ生身の俺がアレを食らったらどうなるか……多分小学生でも分かるだろ。それでも死なないなら話は別だけど」

木曾「……」

男「なんで隠してた。なんで隠しているんだ」

男「……」

金剛「……」

電「……」

天龍「……」

翔鶴「……」

ここまでで

木曾「もし仮に海で撃沈して死ぬとしたら、お前はどうするんだ」

男「……」

木曾「赴任した一番最初にそれを告げられて、その状態でお前は迷いなく戦えたか?」

男「それは……」

木曾「お前はきっと戦う事を躊躇ったはずだ。そうしたらどうなる……?」

木曾「簡単だ。不要な人間は……邪魔だ」

木曾「仮に迷いのある状態でもダイブ出来たとする。だけどな、そんな状態で指揮されたんじゃあ今度は俺たちの命が危ない」

木曾「……人が死ぬと知って迷うのは当然だ。普通の神経の持ち主ならな。だから言わなかった」

男「……」

金剛「き、木曾……不味いデス……」

翔鶴「……」


木曾「なんてな、冗談だ。事故なのは本当だろう……偶然が重なってそう思うのは仕方ないが……あくまでバーチャルと現実は違う。分かれ」

男「……こ、この……!!」

ガッ

男「!?」

木曾「……ふっ」グッ

ドサッ

天龍「……!」

金剛「!?」

電「木曾さん!?」

翔鶴「木曾ちゃん!暴力は……」


ピトッ

男「……!!」

男(身体を密着させて……!?///)

木曾「この件はあまり探らない方がいい」ボソッ

男「……!!」

木曾「詳しく聞きたいなら後で俺の部屋へ、そこなら盗聴される心配もない……」ボソボソ

男「……」

木曾「……下手に聞かれたりすれば、死ぬぞ。とりあえず今は我慢しろ」ボソボソ

男「……」


スッ

木曾「……悪いな、こんな事で熱くなって。俺は先に部屋に戻るぜ」

木曾「こいつをおちょくるのも飽きた」スタスタ

バタンッ


男「……」

天龍「……」

電「……」

金剛「……」

翔鶴「……」

男「そうだな、俺は……考えすぎだったのかもしれない」

男「あの世界がリアルすぎて、それこそ混同しそうになっていた……」

男「木曾に遊ばれてやっと冷静になれた、ごめん」

男(……後でしっかり聞いておかないとな)

男「あいつも相当頭に来てただろう、謝りにいくよ」

男「みんな集まってもらって悪かった。今日はゆっくり休養してくれ……」

これからが本番です、多分この調子で進行していくと思うのでそれでも大丈夫だという方は今後ともお付き合い下さい

基本的になんかくっちゃべった時が投下終了の合図になると思います。投下時間帯は……お察しの通り

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ーーー


男「入るぞ」ガチャ

木曾「ん」

男(ここが木曾の部屋か……武器やらが沢山並んでて物騒だな……教本まであるぞ……)バタンッ

木曾「鍵を閉めてくれ、俺は普段鍵を掛ける様にしてるからな」

男「あぁ……」カチャ

木曾「まぁ座れ。コーヒーの一杯くらいでならもてなせる」ガチャガチャ

男「悪いな……」

木曾「一応盗聴器の探索やカメラが無いかはチェックしてある。壁にも防音材を使ってるからバカ騒ぎしなけりゃ周りにも聞こえないはずだ」サラサラ

コポポポ...

木曾「俺の部屋へようこそ」コトッ

男「……」ズズッ

木曾「さて、どこから話そうか……」

男「……」

木曾「が、その前に一つ確認したい」

男「なんだ」

木曾「この件、踏み込めば後に引けないぞ」

男「……!」

木曾「ここはなにかを隠蔽している。それの一部に触れるとなれば……死ぬのも覚悟しろ」

男「……」

木曾「生半可な気持ちで聞くのなら悪いがそれを飲み終わったら帰ってくれ」

木曾「死ぬ覚悟はあるか、提督」

男「死ぬ……覚悟」

木曾「このままここで飼い犬の様に暮らすか、命を掛けて真相を暴くか。選べよ」

男「……」

木曾「……」

男「その事の真相ってのは……そこまで酷いのか?」

木曾「……実を言うとまだ確信は突いていない。だが恐らく……相当ヤバイだろうな。少なくとも国家レベルでの企みになる、なんとなく想像出来るだろ」

木曾「俺たちは……それの実験体だろうな。マウスと同じだ。ただの実験材料に過ぎない」

男「……」

木曾「……」

男(木曾が言っている事が本当なら……)

男(大変な事になる……)

男(俺はなんて所に飛ばされてきたんだ……)

木曾「さ、どうする。と言っても口でいきなり命を掛けろなんて言われたってそう簡単にはいと言えるものでもないか」

木曾「だが時間は待ってくれないぞ。多分これがお前がここの闇に触れられる最後のチャンスだ」

男「……」

男「一つだけ聞かせてくれ」

男「あの世界で死ねば、現実で死ぬんだな」

木曾「……」

木曾「死ぬ」

男「……」

木曾「……きっとこれからも犠牲は出る。今までも沢山の艦娘が……死んでいった」

木曾「このまま放置すればこれからも犠牲は出続けるし……こいつらの企みは大成してしまうだろうな」

木曾「だが闇に触れてそれを防ごうとするのならまた……犠牲は必要だ」

木曾「どちらにしても誰かが死ぬ」

木曾「どうする?別にお前がこれに触れる事もない」

男「……木曾は、どうなんだ。お前は……」

木曾「俺はとっくに覚悟は決めてる。多くの人が救われるなら俺の命なんざ安いもんさ」

木曾「大切な友人を守れるなら、平和の礎になれるのなら」

男「……」


龍田『天龍……ちゃん……』

天龍『龍田……龍田……』

男「……」

木曾「……」

男「俺の犠牲でも、誰かを助けられるか」

男「俺の命を捧げれば大切な人が死んで泣く人間は減るのか」

木曾「……確実にそうとは言えない。お前の働きにもよる」

木曾「だが、決して無駄になる事はない」

男「……」

男「少し前にも同じような事を言った気がする」

男「ここに来てまだまだ日は浅い、だけど。みんな大切な仲間だ」

男「あの世界で戦って、寝食を同じ所で過ごして。俺はみんなと少しでも仲良くなれた気がする」

男「みんなが悲しむのは見たくない、もう龍田の様な犠牲は……要らない」

男「聞かせろよ」

木曾「……」

木曾「本当に最初に赴任してきた提督と同一人物なのか疑いたくなるくらいの……成長っぷりだな」

男「誰のせいだ。それに本当なら……こんな成長要らないんじゃないか?」

木曾「それもそうだな」

木曾「……もう一度だけ、勧告する」

木曾「絶対に後には引けないぞ。お前の命を平和の礎にする覚悟はあるか」

男「……誓って」

木曾「……いいだろう」

木曾「まず、先に一番聞きたかっただろう答えを」

木曾「さっきも言ったがあの海、情報世界で命を落とすとどうなるか。現実の肉体は……こちらも命を落とす」

木曾「そもそもアレがどういうシステムなのかと言うのも簡単に説明してやる」

男「……」

木曾「この現実の世界と情報世界を繋いでいた媒体、それがまずあのダイビングマシンだ」

木曾「あれは人間の神経、脳にリンクして発せられる全ての情報を情報世界へ送る役目をしている」

木曾「……わかりやすく言うなら、魂だ」

木曾「身体から魂だけを取り除いてあの世界へ送り出している」

木曾「つまり身体だけは現実世界にあるが情報世界には俺たちの意識がある」

木曾「ある意味あの海も現実だと言うのはそういう事だ」

木曾「俺たちは魂を持って実体験していたんだ」

お仕事です。ちょっと小難しい説明になりそうです

男「という事は情報世界で怪我を負う事は……魂がダメージを受けているという事か」

男(つまり情報世界で死ねば魂が死ぬ……?現実世界では身体だけ取り残されている事になるのか)

木曾「いや……少し違うな。確かに魂もダメージは受けるが実際に直接攻撃されているのは身体と魂のつながり、だ」

男「身体と魂のつながり……?」

木曾「ダイビングマシンは身体と魂のつながりを引き伸ばして繋ぎとめているんだ」

木曾「身体と魂が糸で結ばれているのを想像してもらえば助かる」

木曾「ダメージを受けるのはその糸、ではその糸が切れるとどうなるか」

木曾「身体はただの肉になり魂は情報世界に解き放たれる。つまり死んだ状態になる」

男「まて、ということは魂は死んでない」

木曾「……そうだ。魂は情報世界を漂い続ける。永遠にな……」

男「……」

木曾「龍田姉さんは情報世界に幽閉されたんだ」

男「……そんな」

男(龍田はまだ生きている……だけど、身体は無くてあそこからは……永遠に出られない)

男(……死ぬよりタチが悪いじゃないか……!!)

男「なんでそんな大事な事隠して……」

木曾「あえて、隠しているのかもな」

男「あえて?」

木曾「奴ら、これよりもさらに重大な事実を隠している。だがそれだけを隠蔽していたのではいずれそこにたどり着かれてしまう」

木曾「防壁だ。あえて"誰もが気がつきそう"な事を秘匿として扱う事で予防線を張っているんだ」

木曾「重大な事実の手前のそのまた前の所で深入りさせるのを押さえている」

木曾「そこが最深部であるかの様に思わせて確信は突かせない。それでも探ろうとする人間を"嘘の最深部"を探れば殺すと脅す事でその人間の興味を"本当の最深部"から逸らす」

木曾「まぁ、仮にそれでも踏み込んで来たならその時点で始末してしまえばなんの問題も無い。そいつが嘘の最深部を探ったから始末されたんだと周りに思い込ませる事も出来る」

木曾「客観的に見てしまえば簡単な話だが当事者になるとこれが中々分からないもんだ……」

男「……」

木曾「で、そこまでして隠したいものは……なにか」

男「……」

木曾「さっきも言ったが確証はない。だが、かなり惜しい推測になるんじゃないだろうかと思っている」

男「……」

木曾「一つ聞こう。簡単に金を稼ぐにはどうする?簡単に稼げる事はなにか、でもいいな」

男「簡単に……そりゃあ……安く仕入れて高く売り込めば……」

木曾「そうだな。そして出来るなら、安く、使い捨て出来るもので、高く売れるだな」

木曾「もう一つ質問だ。世界で一番の金持ちは?」

男「世界で一番の……」

男「……国、か?」

木曾「そうだな、つまり国に対して安くて使い捨てで高く売れるものを売ればいいんだ」

男「……まさか」

木曾「答えは簡単。武器や兵器だ」

木曾「今や経済が主流のこの時代、それだけでなく力が国同士の均衡を保っている。昔からな」

木曾「とある国が突然誰にも負けない力を付けたとするなら?」

木曾「例えその国が小国であろうと、大国よりも力で優っているなら、経済や国力でさえもすぐに取って変われるだろうな」

木曾「いいか。確かに深海棲艦という脅威はある。当然対策をしなければならないな。だがそれを利用出来るとなれば、当然利用するだろ?」

木曾「俺たちは次世代の兵器の実験体だったんだよ!!」

木曾「誰にも批判されずに堂々とVR訓練を行い実験のデータを集める」

木曾「その結果作られる兵器が現実世界の物なのか情報世界の物なのかはわからないが……」

木曾「きっとこの成果をちらつかせればどの国も食いつくだろうな……」ニヤッ

男「……ふざけるな」

男「俺も、彼女達も、お前も。戦争の道具にされてるって言いたいのか!!」

木曾「それ以外に何がある」

木曾「軍需産業はどの産業と比較しても飛び抜けて儲かる。それも力の均衡を保たせる為に平等に買わせるから余計にな」

木曾「一国だけに与えてはいずれここが占領される危険性があるが、多数の国にばら撒けばそれだけで抑止力になる」

木曾「この国が、日本が……世界の"死の商人"になるんだ」

男「……」

男(ば、馬鹿げてる……こんな話……)

男「……訳が分からない」

木曾「あくまで推論だ。実際の所は蓋を開けて見なければわからないが……恐らく正解だろうな」

男「……」

果たしてこの推論は本当なのか。答えはまだまだ先です

男「……そんな陰謀相手にどうしろってんだ」

木曾「捻り潰すに決まってる。今ならまだ間に合う」

男「……はぁ」ドサッ

男(今までの平凡が本当に……嘘みたいだ)

男(当たり前に働いて、生活してたはずなのに気がついたら命がけの戦いに足を踏み入れてて国の陰謀にまで手を出し始めた)

木曾「流石に気疲れしたか、まぁ仕方ない」

男「……」

木曾「ゆっくり整理して……思案するんだ」

男「……」ポリポリ

木曾「後悔でもしてるのか?」

男「……正直な」

男「こんな事とは無関係の暮らしを続けていたかった。考えるだけで気が重くなるしな……」

男「だけど……俺より年下の女の子が命張ってるの見たら……逃げられないだろ」

木曾「……」

男「で、俺はどうすればいいんだ」

木曾「……正直な所を言うと今はまだ表立ってやってもらう事はない」

男「……」

木曾「その時まで仲間と一緒に生きていてくれ。そしてその仲間と心まで通じ合える様な仲になっていてくれ」

男「心まで……」

木曾「多くの仲間がいる事に悪い事はない。ただし、絶対今話した内容は漏らさない様に。お前もそれを聞いてしまった艦娘も……死んでしまう」

男「……わかった」

木曾「この作戦、出来るなら早く成功させたいものだな」

木曾「もう俺にも……世界にも時間は無いかもしれない」

男「木曾にも時間が無い……というのは」

木曾「あまりにも探りを入れすぎたかもしれない。そろそろ勘付かれてもいい頃だ……」

木曾「俺がまだ自由に動き回れるうちに……手を回しておかなければ」

男「……」

木曾「もし俺が消えたとしても、それでも動じずに……時を待っていてくれ」

木曾「それがお前が一番安全で……お前が最後の決め手になれる唯一の方法だ」

ブレードランナーは小さい時に見た気がします。ああいう引き込まれる様なものが書きたいですね…

元帥「……」

元帥「一体何故あんな場所にあれだけの敵が……」

元帥「統率も取れていた、それにあの戦艦……」

元帥「……」

コンコン

「失礼」

元帥「大佐、頼みたい事がある」

大佐「は」

元帥「先日の戦闘の詳細は聞いているだろう。内通者を探せ」

大佐「処分は」

元帥「どんな拷問を使っても構わない。ただし[ピーーー]なよ」

元帥「吐くまで徹底的にやれ」

大佐「了解」スタスタ

バタン

元帥「どこのスパイかは知らんが……あまり舐めるなよ」

>>313 修正


元帥「……」

元帥「一体何故あんな場所にあれだけの敵が……」

元帥「統率も取れていた、それにあの戦艦……」

元帥「……」

コンコン

「失礼」

元帥「大佐、頼みたい事がある」

大佐「は」

元帥「先日の戦闘の詳細は聞いているだろう。内通者を探せ」

大佐「処分は」

元帥「どんな拷問を使っても構わない。ただし殺すなよ」

元帥「吐くまで徹底的にやれ」

大佐「了解」スタスタ

バタン

元帥「どこのスパイかは知らんが……あまり舐めるなよ」

あかん。ぐっすり寝てしまいました

明日はお休みなので明後日再開します

男「……」

男(木曾との会話を終えて執務室に戻った)

男(……)

男「はぁ……」

コンコン

男「はい」

翔鶴「よろしいですか?」

男「うん」スタスタ

ガチャ

翔鶴「ありがとうございます」

男「……」

翔鶴「……あの、提督?」

男「ん……」

翔鶴「木曾ちゃんは……」

男「機嫌は直してくれたみたいだ」

翔鶴「そうですか……」

男「……」

翔鶴「なにか……まだ思う事が?」

男「ん……いや。そういう訳じゃないんだ」

男「少し疲れてるのかもしれないな……翔鶴達の方が頑張ってるのに……」

男「……」

翔鶴「……提督、車椅子から降ろしてもらってもよろしいですか?」

男「ん、よし」スッ

ギュッ

男「……」

男(いい匂いがする……)

男「はい、これで大丈夫?」

翔鶴「ありがとうございます、そしたら……」

翔鶴「あ、あの!」

男「うん」

翔鶴「……み、耳かきさせてくれませんか?」

男「……うん?」

翔鶴「……//」

男「……//」

男(い、いきなりなんだ……耳かきって……)

男「いや……いいけどなんで耳かき?」

翔鶴「いえ……その……た、たまにはいいんじゃないかと」

男「……」

翔鶴「それでは膝の上に頭を乗せて……楽にして下さい」

男「……」

コロン

男「……//」

男(膝……あったかくて柔らかい……それにやっぱりなんだかいい匂いがする)

翔鶴「失礼しますね」スッ

男「……」

翔鶴「……」クリクリ

男「……」

男(……落ち着くな)

翔鶴「痛かったりしませんか?」

男「ん、大丈夫……」

翔鶴「よかった……」

男「……」

翔鶴「……」

男「……」

男(聞こえるのは俺と翔鶴の静かな息遣いと、耳かきの音と時計の針の音だけ)

男(……こんなにリラックス出来たのって、思えば久しぶりだったかも)

翔鶴「反対側を向いてもらってもよろしいですか?」

男「うん」コロン

翔鶴「……」

男「……」

翔鶴「提督」

翔鶴「……もしなにか抱えているのなら話して下さいね」

翔鶴「話せない事なら無理して話していただく必要もありませんけど……」

翔鶴「私たちに出来る事ならお手伝いしますし」

翔鶴「もし疲れたらこうして……甘えて下さい……」

男「……翔鶴」

翔鶴「一人で悩むのも、一人で抱え込むのもよくありませんから……」ナデナデ

翔鶴「提督は……私たちの大切な上官で、仲間なんです」

男「……あのさ」

翔鶴「はい」

木曾『多くの仲間がいる事に悪い事はない。ただし、絶対今話した内容は漏らさない様に。お前もそれを聞いてしまった艦娘も……死んでしまう』

男「……」

翔鶴「提督……?」

男「……近いうちにみんなで花見にでも行こう。そろそろ綺麗に桜が咲いてるはずだ」

男「たまには……いいよな?」

翔鶴「……はい!」

木曾「……あぁ、そうだな。そろそろ潮時かもしれない」

木曾「作戦通り、定刻に種を蒔いておいてくれ」

木曾「この回線の隠蔽も限界だろう、これを最後に遮断する」

木曾「……分かってる。心配しないでくれ」

木曾「……疑いたくはないが、元帥派の艦娘が情報を引き出そうとしている可能性もある」

木曾「……あいつは口も固そうだしな、ある程度の事は話した。力になってもらおう」

木曾「来てまだ間もない、元帥を信用してはいない確証も得てる。大丈夫だ」

木曾「……ん。予定通りに行くといいな、それじゃあ」

木曾「……」

木曾「もうすぐ……か」

こういうストーリーは何回かオリジナルで書こうとしてるんですけどやっぱり見てくれる人がいないとやっぱりこう……モチベーションが

鑑これたまたまハマってあんまりこういうかんじのSSが少ないなと思って今思う様に書かせてもらってます

今後またここからいろいろ話を広げる基礎になるように完結まで書き上げたいと思います

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ーーー


男「外出許可をいただきたくて、全員分持ってきました」

元帥「外出許可か……より全員との親睦を深める為に花見に……」

元帥「本来ならダメと言いたいが……この間の事もある。今回は特別に許可を出そう」

男「本来はダメ……とは?」

元帥「全員で居なくなられては深海棲鑑が大量に出現した時に対処しづらくなるからな。この日は任務での出撃部隊も少ないしいいだろうと」

男「ありがとうございます」

元帥「……」ジッ

男「……」

男(なんだこの……獲物を見定めた猛禽類の様な目……)

男(心臓を射抜かれたみたいに……息が……)

男「……」

元帥「……」

男「……」

元帥「この短期間でだいぶ成長した様だ。これからも、私たちと一緒に世界の為に頑張ろうじゃないか」

男「はい……」

元帥「下がってくれて構わない。楽しんでくるといい」

男「ありがとうございます、失礼します……」

ガチャ

バタン

元帥「……」

元帥「……彼の元の艦娘……か?」

元帥「……今ならまだ、彼を殺さずに使えそうだな……」

元帥「……いよいよ尻尾が見えてきたぞ、裏切り者……」

男「という訳でみんなに伝えておいてくれ。明日の12時から花見、場所は……この公園だな」

翔鶴「わかりました。ではおやすみなさい」

男「うん。おやすみ……」


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ーーー


男「……」

男「……」

男「はっ!……んん……」

男「夜中マルサンマルマル。ぴったりだな……」

男「私服に着替えて……荷物だな」


男「よし……そろそろ」スタスタ

翔鶴「ん……提督?」

男「あれ、翔鶴か。どうしたこんな時間に……」

翔鶴「少し喉が渇いて……自動販売機まで」

男「ん、そうか。暗いから気をつけてな」

翔鶴「提督はどちらへ……ふぁ……」

男(ピンクのパジャマ……これもかわいいな……髪の毛が少し跳ねてるのも眠そうな顔もまた……)

翔鶴「提督……?」

男「あ、あぁ……花見の場所取りにな」

翔鶴「今から行かれるのですか」

男「むしろこれくらいに行かないと場所なんか取れないしな……」

翔鶴「それなら……私も行きます」ゴシゴシ

男「寝ててもいいぞ?来ても多分暇だし……」

翔鶴「上官一人にそんな事させられません!むしろ本当なら私たちがやるべき事なのに……」

男「そう……かなぁ。会社に勤めてた時は大体俺とか同期の役目だったし……」

翔鶴「今は私たちの責任者なんですよ!」

男「まぁ……そりゃあそうだな」

翔鶴「着替えて来ますから、少しだけお待ちいただけますか?」

男「そうだな……そしたらここの車を借りれたからそれに荷物でも積んでるよ」


男「……っよしと」

男「こんなもんか……あとは……」

翔鶴「提督、お待たせしました」

男「丁度終わった所だよ。行こうか」

翔鶴「はい」ニコッ

ブロロロ...


男「……」

翔鶴「……」

男「……ここは左折か」カチッ

翔鶴「……久しぶりに外に出た気がします」

男「施設の外に?」

翔鶴「えぇ……」

男「……」

男「……これからは外に行きたくなったら言ってくれよ。なるべく許可が取れる様にするから」

翔鶴「……いいのですか?」

男「あたりまえだろ。ずっとあそこに居たらきっとつまらないし……外に出た方がいろいろ見られる」

男「嫌でもたまに連れ出すかもなー……」チラッ

翔鶴「……ありがとうございます、提督」

男「意外と近かったな、この公園」

翔鶴「まだ日が登ってないですね」

男「でも遠くの方が少し明るいよ。最近早くなってきたな……」

男「行こうか、ビニールシートだけ持ってもらっていい?」

翔鶴「はい」


男「……」

翔鶴「まぁ……綺麗な桜……」

男「一面ピンク……だな……」

サァァァ...

ヒラヒラ

翔鶴「……」

男「……今週か来週がピークかもな。今日は丁度いい頃合いだったかも」

翔鶴「そうですね……」

男「ここがいい。大きな桜の木の下、特等席だなー。ビニールシート敷こうか」

翔鶴「お願いします」スッ

男「おう」バサッ


ーーーーーーーーーーーー
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ーーー


男「とうとう荷物も運び終わって暇になった」

翔鶴「お疲れ様でした」

男「お疲れ……ここからが本番だよ。暇な時間をどう潰すか……」

翔鶴「そうですね……」

鑑これの世界をどうしたら一番現実的に書けるかと考えた時に、バーチャルの世界でならこういう事もありえるだろうと思って近未来?設定にしてみました

これ以上書くとネタバレになりそうなのでまたお話が進んだ時に

こういう系にするとやっぱり取っ付きにくいかなってイメージだったんですけど好きとか面白いって言ってくれる方がいてよかったです

翔鶴「すっかり日が登ってきましたね」

男「そうだなぁ……」

翔鶴「……」

男「……」

サァァァ

男(暖かい陽射しに涼しい風が吹いて桜が舞う)

男「これは……眠くなるぞ」

翔鶴「……」ウツラウツラ

男「ん……眠いのか?」

翔鶴「いえ、そんな事は……」

翔鶴「ふぁ……」

男「無理しなくてもいいんだぞ?」

男「なんだったらこの間の耳かきのお礼に膝枕でもしてあげようか?」

男「……なんてn」

翔鶴「それじゃあ……お願いしてもよろしいですか……?」

男「え……あぁ……うん。いいよ」

男「……」

翔鶴「失礼します……」コロン

男「……」

翔鶴「……」

男(女の子に膝枕なんかしたの……初めてだ……)

翔鶴「提督の膝……暖かいですね……」

男「そ、そっか……寝心地はそんなに良くないと思うけど……」

翔鶴「そんな事ないですよ……」

男「……」

翔鶴「……」

男「……」ナデナデ

翔鶴「……ふふ」


男「……」

翔鶴「……」スースー

男「そりゃああれだけ早起きしたら眠いよな」

男「それもいいけど……」

男「あ、足が痺れてきた……」

翔鶴「……」スースー

男「……もう少しだけ頑張ろう。うん」

男「……まだ30分も経ってない!?」

男「あ、足が……限界……」プルプル

翔鶴「……」スースー

男「しかしこのままブルーシートの上に頭置いて寝かせるのもなぁ……」

男「……起きなきゃ大丈夫だよな」


男「……///」

男「自分で思ってやったにしてもこれは……」

翔鶴「……うん……」スースー

男(か、顔が近い……)

男「……腕枕はまずかった……かなぁ」

男「だよなぁ、やっぱり頑張って膝で……」

コロン

ギュッ

男「……」

翔鶴「……」

男「こ、今度は……抱き枕……///」カァァァ

男「……まずい。非常に……」

男(首筋に息が当たる……)

男(それになんというか……柔らかくて……)

男(犯罪的かもしれない)

男「……」

翔鶴「……」スースー

男「ま、まだ間に合う……よなぁ?」スッ

ギュッ

男「……」

翔鶴「……」スースー

男「だめだ」

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


翔鶴「……」スースー

男「……」スースー

翔鶴「……ん、ん……」ギュゥ

翔鶴「……ふぁ……おはようございます提と……く」

男「……」スースー

翔鶴「/////!?」カァァァァァ

翔鶴「な、なんで私提督に腕枕されて……しかもこんなに抱きついてたの……」

翔鶴「うぅ……恥ずかしい……///」

男「うん……」パチッ

男「よくね……た」チラッ

翔鶴「……」モジモジ

男「……あ」

男(し、しまったあああ!?!?)

男「こ、これはそのえっと……」

男「……俺の言う事信用してくれる?」

翔鶴「……」コクッ

翔鶴「膝が痛くてだけどそのまま寝かすのは申し訳なく感じたから腕枕をした……」

翔鶴「すぐに退こうと思ったけど……その、私が抱きついて退くに退けなかった……」

男(完全にこれテレビで見る犯罪者のアレだな。完全に……)

男「……ごめん」

翔鶴「いや……その……」

男(嫌われたかなぁ……)

翔鶴「私……いつも寝る時に抱き枕を使うんです……だからそのせいかも……すみません」

男「え。いやけどやっぱり……その……」

翔鶴「いいんです!全然気にしてませんし……」

翔鶴「少し嬉しか……いえ!良く寝れましたから。ありがとうございました!」

男「あ、あぁ……そういう事なら……よかった……」

男「流石に嫌われたんじゃないかななんてさ……」

翔鶴「嫌いになんかなりませんよ。大丈夫です!」ニコッ

男「……よかった。本当に」

重い話もいいけどたまには潤いも必要ですよね

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーー


金剛「提督ー!」

天龍「へぇ……立派なもんだなぁ……」

木曾「たまにはこういうのもアリだな」

電「お待たせしました」

男「お、来たか」

翔鶴「みんな揃いましたね」

電「お弁当に……」

木曾「酒もあるぞ」

金剛「今日は特別な紅茶を持ってきマシタヨー!」

天龍「少し菓子は買いすぎかもしれねーな……」

木曾「それより、翔鶴姉さんが提督と来てるとは思わなかった」

翔鶴「提督一人に負担をかける訳にはいかないでしょう?」

男「まぁ、たまたま出る時に会ったからな」

翔鶴「て、提督……」

男「みんな電車か?」

天龍「じゃなきゃ酒飲めないしな」

金剛「提督はここまで何で来たの?」

男「俺は車だから飲めないなー……」

電「そうなのですか……」

男「俺は電とジュース飲むから、酒はみんなで分けてくれ」

金剛「それなら私の紅茶も飲んでみて下サーイ!」

男「そうするよ」


男「みんな器は持ったか?それじゃあ……」

木曾「提督、俺のと交換だ」

男「え、これジュースだぞ。見ての通りだけど」

木曾「今日の一番のメインが飲まないでどうするんだ。俺が車運転してやるから飲んでおけ」

男「……それじゃあお言葉に甘えて」

男「改めて、乾杯!」

「「「乾杯!」」」

ワイワイ

男「ん……ふぅ。桜を見ながらの酒ってのも……落ち着くな」

電「司令官さん」

男「ん、どうした?」

電「このお弁当、電が頑張って作ったのです。よかったら食べて下さい……」

男「それじゃあもらおうかなー」

男「……」モグモグ

男「……お、美味い。電は料理が上手いんだな」

電「えへへ……//」

天龍「……」モキュモキュ

天龍「ごきゅっ……ぷはー!」

男「……ジャーキーにビールって……おっさん臭いな」

天龍「い、いいだろ別にー!」

翔鶴「みんな楽しそうでよかった」

男「翔鶴は飲まないのか?」

翔鶴「私はあまりお酒に強くないので……少しずついただきます」

金剛「ねぇねぇ提督」

男「どうした?」

金剛「このビスケット、私が焼いたので食べてみて!」

男「ありがとう」スッ

男「ん……ほんのりレモンの香りがするな」

金剛「このハーブティーともよく合うんデス!」

男「へぇー……食後にハーブティーももらおうかな」

金剛「イエス!提督の為に沢山作ってきましたから遠慮せずに飲んでクダサーイ!」

男「ん、それじゃあ遠慮しないよ」

木曾「……」

木曾「……こう、平和な時間を長く過ごしたいものだな」

男「……そうだな」

木曾「ん、酒が進んでいないぞ。注いでやろう」

男「悪いな」

精神をすり減らす毎日の中でのこういう時間は本当に大切だと思います

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


男「……」ゴクッ

男「ふぅ……」

天龍「そんでよー、そしたらあいつさぁ……」

金剛「そうなんデスカ~?うぃっ……」

翔鶴「……」ポー

電「みんな酔っ払ってるのです」

木曾「提督は強いみたいだな」

男「そりゃまぁ……会社勤めの時はしょっちゅうだったしなぁ……付き合いでも息抜きでも」

金剛「ヘイ!私はまぁだ……全然酔っ払ってないデスからネー!」

天龍「俺もまだまだだぜー!」

木曾「帰りが大変にならない事を祈るよ」

酔っ払い1「あれぇ?こんな所に沢山かわいい娘がいんじゃん~」

酔っ払い2「本当だ~、男は一人だけかよ。俺たちにも女の子わけてくれよ」

木曾「……」

金剛「デース!」

天龍「ふへへ……」

電「はわわ!みんな気がついてないのです!」

翔鶴「……」ポー

男「……」

酔っ払い1「そこの外人っぽい女の子!かわいいねー」

酔っ払い2「足の悪そうな娘もいいじゃん。俺が介抱してやるよ」

男「……そういえば、花見の面倒ごともあったな……」

木曾「……そうだな」

酔っ払い1「そこの男はちっさいこのおもりでもしててくれりゃ後は俺たちに任せて……」

酔っ払い1「な、俺たちの所にこいよ!」グッ

金剛「ワッツ!?あなたたちは誰デスカ?」

木曾「……おい」スクッ

ガシッ

男「……」

酔っ払い1「……んだよさわんじゃねえ!」

男「それはこっちの台詞だぞクソガキ」ギリギリ

酔っ払い2「暴力はいけないよなぁ……手出したのはそっちなんだからよぉ。騒ぐんじゃねえぞ」ブンッ

パシッ

男「……」ググッ

翔鶴「……提督」

男「……今すぐどこかに行けよ。興が冷める」

酔っ払い1「どこかにいくのはお前だよ!」シュッ

ガッ

酔っ払い1「いってぇ!」

男「このクソタコ共。女の子に迷惑掛ける事してんじゃねえよ」

酔っ払い2「っせえ!」

ドゴォ

酔っ払い2「ぐへっ……」

男「聞こえなかったかよ。こいつらみんな俺の女だっつってんだ!」

天龍「……お、俺の女……!?///」

金剛「……私が提督の女……///」

翔鶴「提督……」モジモジ

電「し、司令官さん?」

木曾「……ダメだ。あいつも酔っ払ってる」

男「……そうかもしれない」

酔っ払い1「チッ、興が醒めたのはこっちの方だ。いくぞ」

酔っ払い2「離せよスケコマシ野郎」

スタスタ

男「……これが訓練の成果か」

木曾「違うだろ」

男「だよなぁ……疲れた」

男「さて。飲み直すかー……」

金剛「提督」

男「ん?」

天龍「おい」

男「……な、なんだ天龍まで」

翔鶴「……提督」

男「なんだなんだみんなして……そんなにかっこ悪かったか今の……」

金剛「私のラヴを受け取ってくだサーイ!」ガバッ

男「うわっ!?」

天龍「お前がそんな風に思ってたなんてな……」ギュッ

翔鶴「お疲れ様でした」ナデナデ

男「く、苦しい……き、木曾!助けて……」

木曾「電の弁当は本当に美味いな。今度俺が出掛ける時には持たせてくれ」

電「もちろんなのです!」

男「……」

多分相当目立ちますよね。きっとこんなかんじで絡まれそう

という訳でありがちな展開でお開き

元帥「……さて。空いた枠に人員を補充してやらんといけないな」

元帥「誰がいいか……」

「ならば私が行こう。来るべき……戦闘に備えるなら一番適役ではないだろうか?」

元帥「そうだな……なら、任せようじゃないか。戦闘もそうだが……」

「監視、だな」

元帥「あぁ……何かあれば報告するように」

「任せておけ」


男「……みんな揃ったな?」

男「翔鶴、頼むよ」

翔鶴「はい。本日付けで……空いた一枠に艦娘が異動してくるそうです」

天龍「……」

木曾「いつ頃ここへ来るんだ?」

翔鶴「もうそろそろだと……」

コンコン

金剛「もう来たみたいデスネ」

電「どんな方なんでしょうか?」

「失礼する」

木曾「……」

「……」

金剛「……ワオ」

長門「本日付けでここへ配備される事になった。戦艦長門だ、よろしく頼むぞ」

男(高身長でスタイルのいい女の子だな……)

電「な、長門さん……なのです」

天龍「……マジか」

男「ん、どうしたみんなして。知り合いなのか?」

長門「あぁ……まだ着任したばかりで知らないのか」

翔鶴「長門さんは……元帥直下の部隊のナンバー2の方なんです」

天龍「百戦錬磨も猛将……なんて言われてるくらい強いんだ」

金剛「私でも多分敵わないデス……」

男「……そんな艦娘が俺の所に!?」

男(元帥直下……)

>>364 修正

電「な、長門さん……なのです」

天龍「……マジか」

男「ん、どうしたみんなして。知り合いなのか?」

長門「あぁ……まだ着任したばかりで知らないのか」

翔鶴「長門さんは……元帥直下の部隊のナンバー2の方なんです」

天龍「百戦錬磨の猛将……なんて言われてるくらい強いんだ」

金剛「私でも多分敵わないデス……」

男「……そんな艦娘が俺の所に!?」

男(元帥直下……)

長門「提督の有能振りは元帥閣下も認めておられる。着任から僅かでは考えられない戦功を上げているとか」

長門「提督をさらに鍛え上げる為、さらに戦功を上げてもらう為にこの長門、尽力しよう」

木曾「よろしく頼むよ、長門姉さん」

長門「うむ、また木曾と一緒に戦えると思うと胸が熱くなる」

男「二人は本当に知り合いみたいだな」

木曾「一時期俺も元帥の部隊に居たことがあってな。その時に世話になった」

男「……そうなのか」

長門「早速だが、手土産代わりに任務をいただいてきた」

長門「近々深海棲艦駆逐の為、大規模な掃討作戦を行うらしい」

長門「それへの参加が決まっている。他に参加するのが中佐、大佐の部隊だな」

男「大規模な掃討作戦……」

木曾「……」

電「……」

金剛「腕が鳴りマスネ!」

天龍「ガンガン叩き潰してやらねーとな」

長門「激しい抵抗が予想される。その為にもまずは全員の能力底上げも兼ねて……」

長門「演習を行う事を提案する」

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


パァン!パァン!

男「……」チャキッ

男「……もっと強く……か」

男「もっと威力のある銃……扱える様にならないとな」スッ

チャキッ

木曾「いくら強い銃を持った所で、深海棲艦は沈められないぞ」

男「……木曾か」

木曾「デザートイーグル。確かに人間相手なら絶大な威力を発揮するだろう、けど深海棲艦には無意味だ」

木曾「それに……弾を当てる以前にお前みたいなのが撃てば先に反動で肩が外れるぞ」

男「……」

木曾「今のお前に求められているのは指揮能力と精々銃を扱うなら命中率だ」

木曾「M92Fも悪くないがな、お前にはこれをやるよ」スッ

男「……」

木曾「Mk23、日本じゃSOKOMピストルとか呼ばれたりもするな」

木曾「お前の手のサイズならこれが丁度いいだろう。威力もそこそこにある」

木曾「お前の癖や握り方を見させてもらっていたからな、グリップを多少削って調整させてもらった。使ってみろ」

>>368 修正


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ーーーーーー
ーーー


パァン!パァン!

男「……」チャキッ

男「……もっと強く……か」

男「もっと威力のある銃……扱える様にならないとな」スッ

チャキッ

木曾「いくら強い銃を持った所で、深海棲艦は沈められないぞ」

男「……木曾か」

木曾「デザートイーグル。確かに人間相手なら絶大な威力を発揮するだろう、けど深海棲艦には無意味だ」

木曾「それに……弾を当てる以前にお前みたいなのが撃てば先に反動で肩が外れるぞ」

男「……」

木曾「今のお前に求められているのは指揮能力と精々銃を扱うなら命中率だ」

木曾「M92Fも悪くないがな、お前にはこれをやるよ」スッ

男「……」

木曾「Mk23、日本じゃSOCOMピストルとか呼ばれたりもするな」

木曾「お前の手のサイズならこれが丁度いいだろう。威力もそこそこにある」

木曾「お前の癖や握り方を見させてもらっていたからな、グリップを多少削って調整させてもらった。使ってみろ」

お仕事です

男「……結構重いし、でかいな」

木曾「重量はそこのデザートイーグル並みにあるが……」

木曾「レーザーポインターとサイレンサーを標準で装備出来る」

木曾「取り回しが難しいハンドガンではあるが使いこなせればいい相棒になるさ」

男「……」スッ

チャキッ

木曾「弾丸は入ってる、撃ってみろ」

パァン!パァン!

男「……難しいな。反動もさっきより大きい」

木曾「上手く扱える様に俺が仕込んでやる。俺の知っている技術、知識全てもな」

男「……木曾」

木曾「強くなってくれ……」

元帥「……」

大佐「……」

元帥「この情報。どう思う?」

大佐「あまりにもタイミングが良く、出来すぎているかと」

元帥「ブラフである可能性は高いな……」

大佐「さらに調査を進めます」

元帥「頼む」

元帥(こちらに情報がほとんど無い以上、そのブラフに引っかかってやらなければ埒が明かない)

元帥(誘われているのだろうが……いいだろう。乗ってやる)

元帥(撒かれた種は芽が出るまでに拾うまでだ)

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


男「斉射で一気に叩き潰す!」

天龍「おう!」

木曾「敵もそう多くない。仕留めてやろう」

長門「ビッグ7、長門の力。見ているといい」

翔鶴「航空隊、一斉爆撃準備完了しました!

金剛「私の力も見せてあげるネ!」

電「電も頑張るのです」


駆逐ロ級「……」

戦艦ル級「……」


男「射程に入った。斉射!」

ドゴォォン!!


翔鶴「爆撃!」


爆撃機妖精『いくでござるよ!』

『爆撃成功確認、敵大部分轟沈します』


戦艦ル級「……」ザァァァ


天龍「逃がすかよ!」

長門「ここは任せてもらおう」チャキッ

ドンッドンッドンッ


ボゴォォォン...!!


金剛「戦艦を一撃で!?」


戦艦ル級「……」ゴポゴポ


『全敵深海棲艦の撃沈を確認。退却を開始して下さい』

男「あの一撃の破壊力……」

天龍「駆逐艦程度の攻撃じゃあ擦り傷程度にしかならないし……」

木曾「機動力も高い……」

長門「もう少し出撃を重ねれば連携も難なく取れそうだ」

金剛「演習でも今みたいに戦えればパーフェクトデスネ!」

電「もっと練習して備えましょう」

翔鶴「でも今日はこれくらいにしましょう。適度な訓練が一番効果的だから」

男「そうだな。この後は各自自由に過ごす様に」

この先どういう風に進めるか少し悩んでます。話の大筋からクライマックスは書き始めから頭の中でなんとなく決めてたからいいんですけど細かい所で少しつまづきました……

ところで今まで進行してきた中でいまいちわからない事とかその他諸々あれば大体答えられると思うのでそういうのもあれば聞いて下さいね

それと結構裏設定とかも結構練って考えてるつもりなんで実際ストーリーに関係なさそうなとこにも設定とかあったりするのでそういうのも気になる方いれば

ネタバレになりそうな事は答えないので安心して下さい。いろいろ探りながら読んでいただけると面白い……かも

閑話ですね。それならこのお話が終わった後に……

実は木曾ルートに入っていた!!

男「……」

コンコン

木曾「邪魔するぞ」

男「木曾か、どうした?」

木曾「たまには二人で飲まないか?俺の部屋に酒を用意してるんだが……」

男「そうだな。行くよ」


カラン

男「本格的だな」

木曾「この大きな氷にも意味があるんだ」

木曾「氷が大きな塊であれば溶けにくいし、長く冷やす事が出来る」

木曾「ウイスキーはいけるか?」

男「大丈夫だよ」

コポポポ...

カラカラ

木曾「乾杯」

男「乾杯」

カラン

木曾「……」

男「……」

木曾「こういうゆったりした時間も悪くない」

男「そうだな……」

木曾「……」

男「そういえば……木曾は良く片目であれだけ戦えるよな。天龍もだけどさ……」

木曾「随分訓練したからな。それに……生まれつきなんだよ、この目」

男「生まれつき……」

木曾「網膜色素変性症……だったか」

木曾「折角だ、見せてやるよ」

スルッ

男「……!!」

男(木曾が眼帯を取り払った先にあったのは、金色に輝く瞳だった)

男(よく漫画なんかで見る、オッドアイだ)

木曾「産まれでた時には症状が進んでいてな、片目の半分しか見えなかった」

男「目、見えてないのか?」

木曾「いや、まだ視力は残ってる。けれどほとんど見えないに等しいけどな」

木曾「視野が中心部に向かって狭まる病気なんだ。夜盲の症状も出る」

木曾「網膜がこの金色に外堀から犯されていくんだ」

男「……」

木曾「別に眼帯をする必要は無いんだがな、あまり見られるのも嫌で着けてる」

男「……」

木曾「物珍しいか?」

男「いや……」

木曾「フッ……」ゴクッ

木曾「……不思議なもんだな」

男「……」

木曾「お前とはまだ大して過ごしてはいないのに、こんなにも気を許してしまっている」

男「……」ゴクッ

木曾「他の艦娘もそうだ。お前にはなにか……人を惹きつける力があるのかもしれない」

男「そんなものは無いと……思うけどな」

木曾「……いや、あるさ。きっとな」

木曾「さ、どんどん飲んでくれ。ウォッカも用意してある。ライムと塩もちゃんとな」

男「それは是非いただきたい」

木曾「ん……なんとなくわかった気がする」

男「なにが?」

木曾「お前は俺たちに対して、対等に接してくれている。心からな」

男「……そうか?」

木曾「お前にとっては当たり前でも、ここじゃ違うんだよ」

木曾「どこぞの元軍人、訳ありで素性の知れない奴。そんなのばかりがここの……艦娘の上官として指揮を執ってきた」

木曾「大佐はいい例だ。あれは中東辺りの国の軍人だった気がする」

男「……」

木曾「お前の前任も気の許せそうに無い奴だった」

木曾「まぁ、軍の上官なんてもんはそうなのかもしれないけどな」

木曾「ある意味、お前の存在は異質なんだ」

男「……」

木曾「……」

男「……なら、他の奴らみたいにならない様にしないとな」

木曾「是非そうしてくれ」

男「……」ゴクッ

木曾「……」

男「……」

木曾「さぁ、明日からまた厳しくするからな。短期間で出来るだけ、お前に教え込む」

男「なぁ……木曾」

木曾「どうした?」

男「お前は死なないよな」

木曾「……」

男「……」

木曾「……さぁな。わからない」

木曾「戦場で死ぬか死なないかなんて、運が良いか悪いかくらいなもんだ」

木曾「弾丸がたまたま当たって死んだ。たまたま榴弾が飛んできて爆ぜた」

木曾「こればっかりは努力してもどうしようもない。そうならないようにはしたいけどな」

男「……」

木曾「不安か?」

男「……あぁ」

木曾「……」スッ

ギュ...

男「……」

木曾「……」

男「……木曾」

木曾「俺の心音は聞こえるな?」

男「……聞こえる」

木曾「この心音が止まるか止まらないかは、お前にも掛かってる」

木曾「お前が頑張ってくれれば、お前が成長してくれれば。それだけこの心臓は長く音を鳴らせる」

木曾「……だから。一刻も早く俺はお前に俺の全てを教えたい」

木曾「たまたま運悪く、心臓が止まる前にな」

お仕事へ

>>384


カラン

木曾「……」

男「……」

木曾「こういうゆったりした時間も悪くない」

男「そうだな……」

木曾「……」

男「そういえば……木曾は良く片目であれだけ戦えるよな。天龍もだけどさ……」

木曾「随分訓練したからな。それに……生まれつきなんだよ、この目」

男「生まれつき……」

木曾「網膜色素変黄症……だったか」

木曾「折角だ、見せてやるよ」

スルッ

男「……!!」

アドバイスいただいたので病名を一部訂正しました

木曾「……時たまお前は子供の様な目をするな」ナデナデ

男「……そうか」

木曾「そうだ。今もそんな目をしている……羨ましいよ」

男「……恥ずかしいだけだと思うけど」

木曾「……ん。そういえばこんな話を思い出した、酒の肴代わりに聞いてくれないか」

男「……あぁ」





木曾「今から10年と少し前になる……」

木曾「とある日本人の家族がいた。父親と母親に小さな少女」

木曾「その日は両親の結婚記念日で、家族はアメリカに旅行に来ていた」

少女「わぁ……すごい!」

「少女の目に映るものは新しいものばかり。煌めくビーチに美しいビル群、食べ物だって日本とは違う」

「少女にとってその日は最高の日に……なるはずだった」


「夜になるとまた景色は変わる。眩い光を放つビル群は昼間とはまた違う美しさだった」

「少女はまた新しいものに出会えると思った。ホテルの部屋でくつろぐ両親に気づかれないようにそっとそこを……抜け出した」

少女「すごい……」

「未知の世界は少女を引き込んでいく。気がつけば少女はホテルが見えないところまで歩いて来ていた」

「だが、そこで記憶は突然途切れた」

「一体どうして」

「すぐに分かる」

「目が覚めると腹部に強烈な殴られた様な痛みとホコリ臭さが少女を襲った」

「そこは……そうだな。捨てられた倉庫の様だったな。光も入り込まない闇、少女は痛みと不安と恐怖で……泣き出した」

少女「お父さん……お母さん……!!」

「しばらく経つと泣き声を聞いたのか、人の足音が近づいて来た」

「必死に少女は叫ぶんだ。助けて……と」

「だが……次の瞬間。倉庫の扉を開けて中へと入ってきたのは」

「……」

「ヒッ……」

「ぼろきれの様なTシャツと短パンを着て、汚れた小銃を抱えた男だった」

「おい……それって……」

「攫われたんだ。人身売買で金を稼ぐグループにな」

「……」

「腹に一発蹴りをもらった。まるでボールでも蹴り上げるみたいに」

「少女を黙らせるにはそれだけで十分だった」

「その後……どうなったんだ」

「人身売買で買われた人間が辿るのは……」

「労働力としての奴隷、性的目的での奴隷、気の狂ったスプラッタ野郎のオモチャ、そして……」

「戦争のコマとしての運命だ」


「1年もすれば少女は両親の事なんかとっくに忘れた」

「教え込まれるのは、戦闘技術と政権の崇拝意識だけ」

「後になってわかった事だがその少女が辿り着いたのは中東のパレスティニアという国だったらしい」

「そこは当時パレスティニア政権派と反政権派同士の熾烈な争いが繰り広げられていた」

「内戦だ。死者は数十万人にも上った歴史に残る内戦だった」

「状況は政権派が不利でな。軍内部からも脱走者が出る始末」

「戦力が減る中で編み出した苦肉の策が、チャイルドソルジャーだ」

「国内からだけでなく、海外からも男女関係無く子供を集め。殺人マシンとして育てた」

少女「……」チャキ

子供「お父さん……お母さん……助けて……」

タタタンッ

「少女も例外無く。感情を殺した殺人マシンとして、成長していった」

「殺さなければ殺される。こちらに目を向けるもの、銃口を向けるものは全て殺した」

「政権の為には命を捧げる。少女はその時そう思っていた」

「子供らしさのカケラも無い。甘えもしなければ悲しみもしない。笑う事もなければ時よりさみしい顔をする事も……ない」

「……」

「その少女は……救われるのか」

「救われるかどうかはわからない。少女は今も戦い続けている」

「だが……一時の光は差した」

少女「……」

軍人「殺せ!!パレスティニア政権に逆らう者は皆売国奴だ!!」

少女「……」タタタンッ

「ぐぁっ……」

「嫌だ……嫌だ……ッ!!あ゛あ゛あ゛あ゛……」

「わかった。降伏する。政権にも従う。だから……」

少女「……」パンッパンッパンッパンッパンッ

チャリン...

「5年の月日が流れた。少女にはもう自力で人間の心を取り戻す術は無かったかもしれない」

「その日は……そう確か。血の一日、なんて呼ばれてたな」

今日はここまで。天龍、龍田の話よりよっぽどエグいことに……次くらいで終わると思うので苦手な人には申し訳ないですがもうしばらくお待ち下さい

「その日、反政権派の総攻撃が始まったんだ」

「米軍がそれに介入していてな、政権派はあっという間に殲滅され……崩壊した」

「政権派の本拠地となっていたパレスティニア議事堂の前には大量の死体が折り重なる様に倒れていたそうだ」

少女「……」タタタンッ

政権派「装甲車が来る!」

ドゴォォォ

「銃弾が何時もより激しく飛び交い、蹂躙されていく。それでも少女は小銃を撃ち続ける」

「ところで話は少し変わるが……少女が戦うその隣にはいつもある少年がいた」

「少女がこの戦場に連れて来られた時からな」

「その少年もまたチャイルドソルジャーとして、生きていく運命を課せられていた」

「ただ少女といくつか違う所があってな。一つは現地の人間だと言うこと、もう一つは……」

「彼はいつまで経ってもおしゃべりで、優しかった」

「心が荒んで感情を消していく少女と彼はずっと……一緒にいてくれた」

「現地の言葉も教えてくれた。おかげで必要最低限の会話くらいは出来る様になっていた」

「ここでの今までの暮らしや文化。なんでも話してくれた」

「あの日も少女と少年は一緒にいた。仲間が次々倒れ爆ぜていく中、必死に戦った……」

少年「大丈夫!?」

少女「……」タタタンッ

少年「ここはもう危ないよ。仲間も逃げていく、一緒にいこう」グッ

少女「……」

タッタッタッタッ...

「少女は彼に手を引かれて走った。だけどそれもあまり意味は無かった」

「その時には既に議事堂も包囲されて、パレスティニアのほとんどは反政権派に占拠されていたからな」

「まだ子供だった二人に長い距離を逃げろというのは難しい話で、疲れた二人は壊れた民家の影で息を整えていた」

少年「怪我はない?」

少女「……大丈夫」

少年「よかった……他のみんなはどうしたんだろう……どこに行っても反政権派ばかり」

少女「……」

「フリーズ!!」

少女「……!?」

「周りを見ていなかった少女か少年の失態だったかもな。気がつけば小銃を装備した迷彩服の男達に取り囲まれていたんだ」

「こっちの方に逃げたと思って追いかけてみたら……正解だった」

「髭面で眼帯を付けた男。彼は銃を降ろす様に言った」

「為す術無く、少女と少年はそいつらに捕まったよ」

「長い道のりを経て彼らに連れられて辿り着いたのは大きな家だった。そこには……」

「たくさんの少年少女がいたんだ」

「……どういうことなんだ」

「助かったんだよ。二人共」

「そこは戦場で無理矢理戦わせられていたチャイルドソルジャー達を救出、自立支援する団体の本拠地だったんだ」

「そこで少女はテレビを見た。ニュースではパレスティニア政権が崩壊し、事実上反政権派が国内を掌握したと報じていた」

「少女の戦う意味はそこで消えた」


「髭面の男はその団体のリーダーで、少女と少年は特に可愛がられた」

「少女は平和な日常の中で少しずつ、少しずつ感情を取り戻していく」

「少女は日本国籍だったからな。いづれは日本に返してくれると言っていた。その為に男は炊事洗濯、コミュニケーションなど沢山の事を教えてくれた」

「少女が拐われてから実に8年の月日が流れた。ほとんど忘れていた日本語もまた勉強して思い出した」

髭面の男「日本に知り合いがいる、そこで世話になるといい。彼ならきっと助けてくれるはずだ」

「日本へ行く目処も経ち、いよいよ来月にそれを控えていた時だった……」

「まて、少年はどうなったんだ?」

「あぁ、少年の方もまた勉学に励んで一生懸命頭に叩き込んでいたよ」

「彼はかなり頭が良かったみたいで、将来はアメリカの大学に行くのだと言っていた」

「……でだ。ある日」


「だ、誰だお前達は!」

タタタンッ

「しばらく少女が耳にしていなかった音が突然鳴り響いた」

「家のドアを蹴破り見覚えのある男達が入ってくる」

「同胞を返してもらうぞ」

「謎の集団のリーダー格らしい男がそう言った」

「同胞……!?」

「そうだ。そいつらはパレスティニア政権派の残党だったんだ。しかもそのリーダー格は……」

「パレスティニア国防軍の大佐だった!」

「少女を救った団体の男達も銃を構えるが、先制したのは勿論大佐の方だ」

「悲鳴と銃撃の音が混じり合う。少女はその時、チャイルドソルジャーとして戦っていた時の事を思い出した」

「足が竦んだ。あの時は感情が麻痺していtから耐えられた。それを取り戻したその時少女は……恐怖に耐えられなかった」

「動けない少女を真っ先に助けようとしたのは……少年だった」

少年「こっち!早く!」

「あの時の様に手を引いて逃げようとしてくれた。だがそう何回も上手くは逃げられない」

大佐「……」ニィ

「大佐は笑っていたよ。あの顔は今でも少女は忘れていない……!」

「大佐の放った弾丸は簡単に少年のこめかみを撃ち抜いた」

「少年はバタリと倒れるとそのまま……動かなくなった」

髭面の男「みんな!子供達を連れて散開してくれ!またみんなすぐ会える!!」

団員「俺があいつらの相手をする。みんな逃げろ!!」

「心を許した仲間が倒れていく。次々と……」

「髭面の男に少女は連れられてなんとか脱出した」

「そしてそのまま空港に向かったんだ」

髭面の男「実は今日の分の、航空機のチケットを買っていたんだ。日本の友人に挨拶しに行くつもりだったんだけど、それも無理そうだな」

髭面の男「これにチケットとお金と君のパスポートが入ってる。地図も渡すから、一人で行くんだ」

「お前は来ないのかと、少女は聞いた」

髭面の男「まだ仲間が戦ってる。助けに行くんだ。だから……頼むよ」

「別れの挨拶は実に短くて……最後にあいつは……」

髭面の男「そうだ。俺の眼帯をあげよう。これなら君のその黄金の目も隠せる」

髭面の男「俺はいつだって君のそばにいる。離れてても、君には沢山の仲間がいる!」

男「……」

木曾「少女は日本に辿り着いた。帰ってきたんだ」

木曾「……」

ポロッ

男「……」

男「その後は。どうなったんだ」

木曾「無事に男の知り合いと会うこととが出来、今もそこで暮らしている」

男「……その男ってのは」

木曾「……元帥の父親だ」

男「……なんて……」

木曾「そしてしばらくして少女はまた奇跡的な出会いをするんだ」

木曾「知り合いの男の元に暮らす少女の所に、新しい仲間がきた」

木曾「そいつはパレスティニアで少女や少年を苦しめ、また数年後に少女の心を傷つけた……」

木曾「"大佐"だった」

男「……!!」

ここまでです

男「……」

木曾「……」

男「その少女は復讐するのか」

木曾「復讐したいと思っている。殺してやりたくてたまらない」

木曾「だけど今、あいつは奇しくも人の命を守っている」

木曾「深海棲艦と戦っている。世界の人間の命と少女の復讐心を天秤に掛けたらどちらに傾くかなんてのは……明白だ」

木曾「少女は気持ちを噛み殺して……生きていくしかないんだ」

男「……」

木曾「ただ奴が元帥に手を貸し陰謀を手助けするなら話は別だ」

木曾「全力で叩き潰す。文字通りな」

男「……」

木曾「さて、俺の胸で話を聞いてもらったがつまり……なんだっけか」

木曾「あぁ……こんな少女ならきっと、子供らしさに憧れただろうな……と。そういう事だ」

ギュッ

木曾「ん……ふふ、どうした。子供どころか幼児退行してるぞ」ナデナデ

男「……まだ間に合うさ。きっと」

木曾「間に合う……?」

男「子供らしさを持たないで成長してしまったのなら、そこから子供らしさを覚えればいいんだ」

男「恨みや過去の記憶がそれを邪魔するなら、俺が半分背負ってやる」

男「仲間だって、沢山いるだろ。みんなで背負えば軽くなる」

男「……その少女がもしここにいたとしたらな」

木曾「……」

男「背負うって言ってもそうだな。話を聞くだけでも、怖くなったら一緒にいたりとか」

男「出来る事はあるだろ?」

男「今からでも遅くない……よな?」

木曾「……そうだな。きっと間に合う」

木曾「子供らしさだって、ずっと欲しかった人の暖かみだって。手に入れられる」ギュッ

木曾「今度はきっと失わない」

ここまでで

木曾の壊れた心は錆び付いたボルトで繋がれて鋼鉄の外殻で覆われているイメージです。木曾の心を癒すにはまず鋼鉄の殻を破る必要があります。でも中のボルトが錆び付いている為衝撃を与えると中でバラバラになる可能性も……

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ーーー


長門「今度の演習の相手は中佐だそうだ」

男「中佐か……」

長門「一度挨拶に向かうといい」

男「そうだな……今時間もあるし挨拶しに行くよ」


男「……」

コンコン

「入ってくれ」

ガチャ

中佐「あぁ……君か。今度の演習の相手になったみたいだ。よろしく頼むよ」

男「今その挨拶で来たんだ。それと何時ぞやは……ありがとう」

中佐「いいんだ……気の毒だったね」

男「いや……仕方ない事だった」

中佐「今お茶となにか甘いものでも用意するよ……えっと」ゴソゴソ


コトッ

中佐「……」ズズッ

男「……」

中佐「それで……少佐?」

男「ん……少佐?」

中佐「君の事だよ。ここでは少佐から大将まで役職が決められているんだ」

中佐「と言ってもみんなやることは同じだけどね、功績や実力を見て位を上げ下げしているみたいだ」

男「今まで提督って呼ばれてたからなんとなく違和感が……」

中佐「僕も呼ばれ方は提督だよ。まぁ、すぐに慣れるよ、少佐」

男「……ここに来て何年目になるんだ?」

中佐「僕は……まだ3年くらいだね。僕も君と似たようなかんじでここに来たよ」

男「半ば拉致されているようなかんじでか?」

中佐「そうそう!」

男「……」

中佐「近々大規模な作戦があるみたいだね」

中佐「僕に少佐、それと……大佐だっけ?」


木曾『復讐したいと思っている。殺してやりたくてたまらない』


男「どんな人なんだ、大佐は?」

中佐「外国の人みたいだね。元々軍人だったとか……どこのかは知らないけど」

中佐「気さくに話してくれるし悪い人じゃない……とは思うんだけどね」

男「……ん?」

中佐「たまに……なにか企んでいるような顔をしてるよ。一人ですごい形相をしているのも見た」

中佐「それと……」

中佐「外国の人と電話していたみたいだったんだけど……」

中佐「英語だったから少しは聞き取れた」

中佐「どこか国の名前が出て……復讐とか復興とか……」

中佐「僕たちには関係ない話だとは思うけど。なんだか怖いね」

中佐「表面的に仲良くするのはいいかもしれないけど、深くは入り込まない方がいい」

男「……そうか、ありがとう」

中佐「まぁ、今度作戦会議もするだろうし。その時にでも一度どんな人なのか見られるはずだよ」

少しだけ

中佐「まぁ、演習の時はよろしく頼むよ。僕の鑑娘達にも君の鑑娘達にもいい刺激になるはずだ」


ガチャ

男「……」

男(優しそうなイケメンだった。演習ではどう指揮してくるのか……)

男「ん……!?」

「……」

男「……」

男(な、なんだ……この大男は……!?)

男(黒人みたいだけど……筋肉量もかなりあるみたいでなにより身長が……)

男(2mはあるんじゃないだろうか……)

大男「おい。お前は」

男「えっと……先月程前から配属された少佐……です」

大佐「そうか……俺は大佐。よろしく」

男「よろしくお願いします」

大佐「ゆっくり話したいが用事……また今度」

男「……」

男(た、確かになんとなく話せそうではあったけど……)

男(どことなく……怖かったな……)

天龍「提督じゃねーか。どっか行ってたのか?」

男「中佐に挨拶にな……」

天龍「ふぅん……」

男「天龍は?」

天龍「これから訓練だ。長門姉が稽古つけてくれるらしいからよ」

男「頑張れよ」

天龍「おう!」


男「俺も勉強しないとな……」

金剛「ヘイ!提督!」

男「金剛か、どうした?」

金剛「私の部屋でティータイムしまショウ!」

男「ん……そうだなぁ……」

男「折角だからお邪魔しようかな」

男「おぉ」

金剛「ヨウコソ提督!今紅茶とお菓子を用意しマスネ!」

男「ありがとう」

男(オシャレな部屋だなぁ……ティーセットに植物も飾ってあるし)

男「……」

金剛「今日はレモンティーにクッキーネ!」

男「ありがとう」ズズッ

男「うん、美味い」

金剛「それは良かったデース!おかわりも遠慮なく言って下さいネー」

男「ところで金剛、少し頼みがあるんだけど……」

金剛「私に出来る事ならなんでも!」

男「勉強に付き合ってくれ」

男「……で。こうなって」

金剛「それじゃ横から叩かれマス」

男「ん……そうか。なら戦艦をこう運用すれば……」

金剛「それなら安心ネ!」

男「よかった……次に空母の攻撃を最大限に生かした戦術なんだけど……」

金剛「敵の対空砲火をどうにかしなければいけませんネ」

男「巡洋艦で空母を護衛、戦艦で突撃が一番いいかな……」

金剛「遠距離からの砲撃で敵を分断するのも一手デス」

男「それも悪くない……」

金剛とお勉強、演習まであと少し

男「一人で考えるより誰かと一緒に考えた方が捗るな」

金剛「そうデスヨ!またなにかあればすぐに私の所に来てくだサイ!」

男「そうさせてもらうよ」


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長門「いよいよ演習も近づいてきたな」

男「作戦と対策。重点的に強化して挑もう」

木曾「まずは相手のデータが必要だ」

翔鶴「それなら用意したわよ」

男「早速目を通そう……なに」

男「正規空母赤城、加賀。戦艦扶桑、山城。潜水艦伊19、伊58」

男「部隊編成はこうらしい」

天龍「……」ゴゴゴゴ

金剛「て、天龍……?」

長門「元帥艦隊と中佐の艦隊の合同演習があってな。その時に一戦交えた事がある」

電「どうだったんですか?」

長門「まず正規空母の二人だが……」

長門「艦載機運用能力はかなり高い。攻撃機を重点的に運用している為ドッグファイトになれば数で圧倒的に押されるだろうな……」

翔鶴「確実に制空権を奪ってから爆撃を仕掛けてくるのね」

長門「それにこちらは正規空母は一人のみ。まず航空で勝ち目は無いと見ていい」

翔鶴「……」

長門「そして戦艦の二人だ」

長門「砲門の強力さ、威力だけ見れば私や陸奥にも劣らない」

長門「だが機動力や砲撃の不正確さが弱点になる」

長門「つまり砲撃はあたりにくいが当たれば一撃で持っていかれる可能性もある」

長門「そして潜水艦の二人だな」

長門「まず戦艦や空母の装備で迎撃するのは難しい。対処は駆逐艦と巡洋艦に任せる事になる」

長門「機動力も去ることながら一番はやはり海中からの魚雷攻撃だろう」

長門「当然不意打ちに等しい攻撃になる。喰らえばタダでは済まないだろう」

天龍「つまりオレがすぐにぶっ潰せばいいんだろう」ゴゴゴゴ

長門「まぁ、そういう事だ」

木曾「……姉貴はどうしたんだ?」

電「わからないのです……」

長門「今のを踏まえて作戦を練ろうじゃないか」

翔鶴「制空権は本当に取れないのかしら……」

長門「無理だ。翔鶴の戦いも見せてもらったが……確かに赤城や加賀と比べてもかなり練度は高かった。だが向こうは二人だ」

長門「力で接戦くらい、だが数では圧倒的劣勢となれば……難しいな」

男「対空砲火に力を入れてまずは初動で一気に敵の艦載機を削るのは?」

長門「初動で相手がアウトレンジを狙ってくればな。まぁ艦載機の数が圧倒的に多い事を考えればそれで来る可能性は高いが……」

長門「空中に注意が向いて足下がお留守になった艦は潜水艦の格好の餌食だろうな」

木曾「なら長門姉さんはどうする?」

長門「私なら……制空権は最初から捨てる」

翔鶴「制空権を捨てる……!?」

長門「最初から取れないとわかっているものに固執する必要はない」

長門「一気に敵艦隊に肉薄して、赤城加賀を潰す」

長門「散会して機動力を重視した陣形を組めば被害も抑えられるはずだ」

長門「最初から制空権争いをするのではなく、空母を叩いてから悠々と艦載機を飛ばしてやればいい」

長門「それか……扶桑、山城を攻撃してから赤城、加賀を攻撃するか」

長門「当然空母を狙えば敵も黙っていないだろう」

長門「潜水艦は恐らく攻撃の隙を突いて背後から……戦艦は空母との間に入ってくるはず」

長門「ならそれを見越して先に戦艦を潰すのも手だ」

ここまでです

男「……」

木曾「一筋縄ではいかなそうだな……」

男「……なぁ長門。扶桑と山城の命中率はどれくらいなんだ?」

長門「副砲や機関銃は標準とさほど変わらないがな。主砲は少しブレがある気がする」

長門「それと連発出来ないのも弱点かもしれないな」

男「連発出来ない……?」

長門「威力は絶大だが反動と準備に時間がかかるんだろう……」

男「……」

男「よし。今回の作戦、決まったぞ」

天龍「本当か!」

男「奇策で勝ちを取りにいく。今回の演習の主役は翔鶴だ」

翔鶴「私……」

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中佐「今日はよろしく頼むよ」

男「よろしく」

中佐「では、お互いそれぞれのブロックのダイビングルームから。海で会おう」

男「……」


電「電は勝てると思います」

金剛「あったりまえネー!提督の考えた作戦ならバッチリデース!」

長門「しかしこの作戦……素人目に見ても困難だぞ」

男「……」

翔鶴「……提督」

男「頑張ろう、みんな一緒に。きっと勝てる」

天龍「っしゃあ!出撃しようぜ!」

長門「フッ……そうだな。全力でやってみよう」

『妖精プログラム、起動します。戦闘支援開始。メモリ、数値、生体反応に異常はありません』

『各員戦闘の準備を。ダイブ開始までカウント……5、4、3、2…」

長門「戦艦長門、出るぞ。第一艦隊、出撃(ダイブ)!」

『1、0。転送します。よい戦闘結果を』


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いよいよ演習開始です

男「……」

男(暗闇の中を……緑色の光が張り巡らされてる)

男(基盤……配線みたいだ……)

男(俺は落ちてるのか……)

男(底が見えないからどこまで落ちるのかわからないな……)

木曾「ん……もしかして意識があるのか?」

男「……あぁ」

天龍「やっと慣れてきたってとこだな」

長門「今は"海"へ接続している最中だ。すぐに視界が明ける」

男「……」

男(ん……底に光が……)

木曾「来るぞ」


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ーーーーーーー
ーー

ジジ...ジジジ...


男「……終わったのか」

金剛「張り切っていきまショウ!」

電「なのです!」

『オペレート開始します。今回が演習初めてだそうなので簡単に説明させていただきます』

『まず艦娘は相手の指揮官への攻撃的干渉を一切禁止します』

『指揮官は艦娘への会話のみ許されています。それ以外の干渉は許されません』

『戦闘につきましては、大破した時点で強制的に武装を解除します。また大破した相手への攻撃はシステム上出来ない様プログラムしてあります』

『最終的にどちらかの戦える艦娘が居なくなるか、制限時間での戦闘終了となります』

『それでは、お気をつけて』

男(今回の海は……本当に海だな)

男(青い水、広がる水平線……雲に太陽……)

男「これだけ広ければ好きな様に動けるな」

男(確実に、作戦を成功させないと……!)

男「よし。やろう!」

翔鶴「偵察機、飛ばします!」スッ

パシュッ

偵察機妖精『偵察開始します』

男「よし。指示通り頼む!」

長門「戦艦長門、推して参る!」

金剛「私の実力、みせてあげるネ!」

ドッパァァァン!!

天龍「オレたちも行くか」

木曾「よろしく頼むよ、姉貴」

中佐「さて……どう動いてくる……?」

赤城「偵察機より、敵艦隊を発見したとの事」

加賀「私と赤城さんの艦載機で、制空を取りましょう」

中佐「そうしようか。頼む」

扶桑「私たちは……」

中佐「赤城と加賀をそれぞれ守ってくれ。制空権を奪った後、爆撃と共に斉射を仕掛ける」

中佐「二人にも期待してるぞ。油断を突いて沈めてやれ」

19「いひひっ、イクにお任せなの」

58「ゴーヤ、潜りまーす!」

男「予想通り……」

ブォォォォ

電「ものすごい数……なのです」

男「だな。だけど……やってくれるはずだ」


ダダダダダダンッ

長門「くっ……」

金剛「まだまだネ!」

翔鶴「もう少し……もう少し……」


赤城「提督、敵の艦載機が見当たりません」

中佐「どういうことだ……?」

加賀「恐らく、制空を取れないと見て対空装備に切り替えたのかと」

中佐「空母の艦載機を全て対空装備に……?」

赤城「……流石に初心者の考える事はわからないわ」

中佐「翔鶴ちゃんは優秀な秘書艦だからまさかそんなバカみたいな事は……」

扶桑「見えたわね」

山城「あれが戦艦長門……」


長門「敵が見えたな。そろそろ……射程に入る」

金剛「翔鶴!ヨロシクオネガイシマース!」

翔鶴「任せて!」

続きはまた夜に

扶桑「山城、迎え撃つわよ!」

山城「扶桑姉さまとなら……!」


ザァァァッ!!


扶桑「来る……!!」


長門「……」

金剛「……」


山城「……」スッ

長門「……フッ」

金剛「扶桑山城の二人は……」

翔鶴「私が相手します」


扶桑「な……に!?」

山城「長門に金剛が……左右に方向を変えた!?」


加賀「赤城さん、これはどういう事でしょうか」

赤城「さぁ……空母を戦艦の前に……囮にしては雑すぎる……」

赤城「なんにせよ。艦載機が無い以上こちらの艦攻艦爆で一気に沈めます」


翔鶴「……」スッ


扶桑「……」

山城「……扶桑姉さまをバカにしているのでしょうか。それなら……許さない!!」ドンドンドンッ


ヒュッ...ヒュッ...


ズドォォォンッ!!


扶桑「水柱……外したの……?」


翔鶴「……それだけ?扶桑型の主砲も大した事ないわね」

扶桑「……馬鹿にしないで!」ドンドンドンッ

山城「扶桑姉さまを貶すな!!」ドンドンドンッ


翔鶴「……ッ!!」スッ


ズドォォォンッ!!ズドォォォンッ!!

翔鶴「……当たらないわね。この程度?」


男「……翔鶴、頑張ってるな」

電「なのです」

男(……水飛沫を浴びながら、まるでアイススケートでもしているかの様に水上で踊る)

男「……完璧だ」


扶桑「私たちより早いからって……」

山城「調子に乗らないで!!」


ドンドンッドンドンッドンドンッ


加賀「……」

赤城「……水飛沫で敵影が確認出来ない……!!」

加賀「……これを狙っていたの?」

赤城「それなら、他の艦を狙うだけ!」

長門「翔鶴に群がっていた敵艦載機がばらけ出したな」

金剛「ここからは私たちの出番ネ!」


ズドォォォンッ!!

扶桑「これだけ撃ち込めば……」

山城「……あれは」


翔鶴「お願い!敵艦載機を叩いて!」

攻撃機妖精『久々の燃えるドッグファイトだ!』


赤城「水飛沫の中から敵艦載機が!?」

加賀「反転、敵空母艦載機を……」


翔鶴「……遅いわ」ニヤッ


攻撃機妖精『不意打ちってのは少し気に入らねえけどよ……これだけアウェーなんだから許してくれるよな!』

赤城「間に合わない!!」


中佐「……ここまで艦載機を出し惜しみしていたとは……しかもこの数。艦載機全てを艦戦にしたな」

中佐「こちらの空母の数で油断していた……このままでは押し切られる」

中佐「扶桑、山城。頭を冷やせ。機銃、副砲で確実に削りに行くんだ」

扶桑「そ、そうね。最初からこうしていればよかった」

山城「落ち着いて……」

ダダダダダダンッ


翔鶴「……っ」

ピシュッピシュッ


男「……削られ始めた」

電「あの……司令官さん」

男「そうだな。そろそろ電の出番だ、頼むよ」

電「はい、電の本気を見せてあげるのです!」

赤城「艦爆が墜ちていく……」

加賀「……!?」


長門「脇がお留守だぞ」

金剛「ファイヤー!!」

ドォォォン!!

扶桑「赤城さん!加賀さん!」

山城「すぐに救援に……」

木曾「待ちくたびれたぞ。正直」

天龍「やっとオレの出番か……いくぜ!」

ボシュゥゥゥ


ズドォォォンッ!!

19「イクを忘れてもらったら困るのね」

58「当たってくだち!」

ボシュゥゥゥ

ズドォォォンッ


木曾「チッ、やっと出たな」


電「なのです!」


ボシュゥゥゥ


19「え?」


ズドォォォンッ!!

男『恐らく……敵は空母を後方に、戦艦を前方に置いた配置で来るんだよな』

木曾『まず間違いないだろうな』

男『それを前提に、作戦はこうだ』

男『まず長門金剛を盾に翔鶴が戦艦の前へ移動する』

男『そこで長門金剛は左右に展開、戦艦とは一定距離置いて後方へ徐々に回り込んで欲しい』

天龍『ちょっとまて!そんなの自殺行為じゃねーか!』

男『自殺行為でもこれしか作戦は思いつかない』

男『翔鶴はなんとかして戦艦を挑発してもらいたい』

木曾『戦艦の前に空母を置いてやるなんてそれだけで挑発行為になると思うが』

男『まぁ……それだけで動いてくれれば楽だけど』

男『そこで翔鶴は戦艦の主砲を浴びてもらいたい』

翔鶴『……囮ですか』

男『囮……だけどそこで大破されたら困る』

男『どんどん主砲を撃たせてやってくれ。水飛沫で翔鶴が見えなくなるくらい』

長門『水飛沫……か』

男『で、その間に長門と金剛は空母の脇に回る』

男『多分、敵の艦載機は翔鶴を真っ先に狙うはずだけど……もし水飛沫に姿が紛れれば』

電『攻撃出来ないのです!』

男『視認出来ないと攻撃は難しいだろ。で、しかも近くに戦艦が迫ってきたら……』

男『攻撃を緩めて戦艦の対処を始める』

男『そしたら初めてそこで翔鶴は艦載機全てを発艦させるんだ』

ここまでで。こんな作戦現実じゃ不可能ですね

男『奇襲で艦戦さえ墜とせばあとはみんなただの的になる』

男『それで空母戦力を潰せればよし。天龍、木曾がそこから戦艦に接触。金剛、長門は独自の判断で反転。戦艦と前後から攻撃を加えるもよし』

男『空母が生きていたなら天龍、木曾で戦艦の足止めをして空母を叩く』

男『電は潜水艦の対処を。シビアな作戦だからどこかで潜水艦の妨害を受けて狂うと大変だ』

男『潜水艦を発見次第魚雷で攻撃を仕掛けて欲しい』

男『戦艦の処理が終われば天龍、木曾も潜水艦攻撃に加わってもらいたい』

男『これで……いけると思う』

眠くてうとうとしてました。また夜に

長門「まさか本当に成功するとはな」

山城「まだ……終わってません!」ドォォォン!!

長門「!?」


ドゴォォォ...


山城「当たった!」


長門「長門型の装甲は伊達じゃない……」シュゥゥゥ...

山城「嘘……」

ドォォォンッ!!


58「一旦潜行して……」チャポン


ボシュゥゥゥ!!ボシュゥゥゥ!!


58「!?」

電「命中させちゃいます!」

58「危ないでち!」

木曾「後ろがガラ空きだぞ」スッ

58「……」

ズドォォォンッ!!

中佐「……」

加賀「提督」

中佐「油断したかな」


中佐「降伏するよ。僕たちの負けでいい」

『中佐側から降伏宣言されました。演習は現時点を持って終了します』

赤城「……」

扶桑「え……」ダダダダダダンッ...

翔鶴「……はぁ……はぁ」

天龍「っしゃあ!」

男「……勝った。勝ったぞ!」

金剛「イエス!提督の作戦でなら勝てるって信じてたネ!」

電「やったのです!」パァァ

木曾「……いい勝負だった。ほとんど賭けに近かったけどな」

アップデートの情報見ながら書いてたら全然進まず……(白目

利根筑摩改二くっそやばいし新艦娘も……!猫に捕まらないよう祈りつつイベント海域攻略してきます!

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ーーー


中佐「いい勝負だったよ。まさかあんな作戦で来るとは思わなかった」

男「二度とは使えない手ではあるけど……なんとか上手くいってよかった」

中佐「なるほど……確かに……」

中佐「また時間があれば演習しよう。君の実力をもっと見てみたい」

男「次も勝てる様に頑張るよ」

中佐「次は勝ちを譲らないぞ」

コツコツ

元帥「緊急招集だ。すぐに来てくれ」

男「……」

中佐「なにかあったのですか?」

元帥「ここでは話せない。私の執務室へ」

大佐「……」

元帥「全員揃ったな」

男「……」

中佐「……」

元帥「三日後、深海棲艦への大規模攻撃を仕掛ける」

中佐「また急ですね」

元帥「深海棲艦発生源の一部と見られる強大な歪を探知した」

元帥「我々だけで、早急にここを叩き制圧する」

元帥「作戦概要は後ほど送らせてもらう。各々万全を期して挑むように」

元帥「大佐は少し残ってくれ。作戦に関する話がある」


男「……」

中佐「いよいよ……か。まさかここまで急だとは思わなかった」


元帥「……」

大佐「内通者を発見」

元帥「気がついている様子は?」

大佐「今の所は」

元帥「今夜誰にも悟られない様に拘束しろ」

元帥「突然海に情報の歪が現れた。恐らくこれが……」

元帥「これを逆手に取る。歪を発生させている原因を吐かせろ」

大佐「了解」

元帥「……目的はなんだ。大方予想はつくが……まぁいい」

元帥「楽しませてもらおうか」


ーーーーーーーーーーーー
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ーーーーーー
ーーー

ゴスッ!!

大佐「……」ジャラッ...

パシィンッ!!

「……ッ」

大佐「吐けば楽になる」

「……」

ゴスッゴスッ

大佐「殺すなと言われた。だがこのままだと死ぬかもな」

パシィンッパシィンッ

「ぐぁぁ……」

大佐「肋が折れたか?苦しいか。吐けば楽になれる」

「……誰が言うか」

大佐「……」

コツコツ


ジュゥゥゥ...

大佐「熱した鉄板を押し当てたら、どうなるだろうな」

「うぐ……」

大佐「生きたまま身体が焼けるのは辛い」

大佐「戦場で焼夷弾に焼かれる人間見たが……もがいて苦しんで死んだ」

大佐「……」

「はぁ……はぁ……」

大佐「汗が凄いぞ。無理するな、吐け」

「……」

大佐「……」グッ

ジュワァァァ

「ぐぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!」

大佐「……」

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……」

スッ

「ぐぅ……すぅぅぅ……はぁぁ……」

大佐「忍耐があるのは褒める。俺も楽しめるからな……!!」

大佐「お前の持っていたマイクロチップから歪を作る場所はわかってる。これ以上隠す事はないぞ」

「……フフッ」

大佐「……」

「平和の……礎に……」

カリッ

大佐「……何を噛んだ」

「フフッ、ハハハ!」

「おぇぇぇ……!!」ビチャビチャ

大佐「……」

「くたばれ……」

大佐「……」ジャラッ

パシィン!!

「……ごふっ」タラ...

大佐「……自決用の薬物か?なら……」

大佐「死ぬのも気にしないで好きなだけ拷問出来るな」ニィ

男「おはよう」

翔鶴「おはようございます」

天龍「おっす。今日はどうすっかなぁ……」

金剛「今日は出撃の予定も無いし私の部屋でティータイムを……」

長門「こういう時にこそ鍛錬をだな……」

電「あの……木曾さんは?」

男「……そういえば遅いな」

天龍「今日はまだ見てねーぞ?」


木曾『もし俺が消えたとしても、それでも動じずに……時を待っていてくれ』


男「……」

ここまでです。E-2の夜戦マップはクソ(白目

ガラッ

男「!」

木曾「遅くなった……」

天龍「ん……なんか顔色悪くねーか?」

木曾「気のせいだろ。心配しないでくれ」

男「……」

男「今日は大規模作戦の概要だけ伝えるよ」

翔鶴「モニター準備します」

ブォン...

男「今回の作戦は中佐、大佐の部隊と合同での深海棲艦殲滅任務……だそうだ」

男「深海棲艦が局地的に発生しているポイントが浮上してきたらしく、そこを攻撃するそうだ」

翔鶴「この地点ですね」

天龍「おいおい、ここってある程度制圧もした巡回地域じゃないのか」

翔鶴「そうなの。最近急に現れたらしいわ」

翔鶴「その場所だけ画面上で不鮮明に表示されて、そこから深海棲艦が溢れてきてるとか」

長門「早急に対処する必要があるな」

男「各自作戦決行日までに万全の体制を整える様に……だと」

男「陣形を取りつつ進軍するそうだ。状況に応じて連絡も取り合う必要があるな……」

男「気を抜かない様に。頑張ろう」


男「……」

木曾「……」

男「さて。みんな戻ったし、俺も戻るぞ」

木曾「俺の部屋に来てくれ……」

男「ん……」

男「どうした」

木曾「頼む……」

男「……」


ガチャ

男「……」

木曾「……」

男「……どうしたんだ」

木曾「仲間が殺された」

男「……は?」

木曾「俺に味方してくれていた人間が一人、殺された。大佐の拷問でな」

男「……」

木曾「……時間が無い」

男「……それって」

木曾「……俺の全てを託す事は出来なかった。だが……十分だろう」

男「おい……」

木曾「俺を信じろ。いいか、どんなに長い時間が経っても……必ず風が吹く」

木曾「突然……な」

男「なに言ってんだ」

木曾「ただひたすら準備して、身構えて。その時を待っていて欲しい」

木曾「……さぁ。そろそろ始まる」

男「……何が」

木曾「……」


ジリリリリ!!!


男「!?」

『緊急事態発生。少佐、中佐、大佐はただちに元帥執務室へ。繰り返す……』

男「な、なんだ……」

スッ

木曾「……」スタスタ

ガチャ

木曾「俺たちの、最後の戦いが始まるんだ」

男「……」

短いですが。やっと山場……かな

おかげさまでE-2クリアしました。E-3は比べて楽でいいですね

元帥「深海棲艦の襲撃が確認された」

元帥「ここのファイアウォールが破られるのも時間の問題だ」

元帥「あまりにも……数が多すぎる。無数の深海棲艦がこちらに攻撃を仕掛けてきている」

元帥「私はここの防衛に当たる。大将、中将も防衛に戦力を割いてもらう。少将は現在別の任務に着いていてすぐには戻れない」

元帥「少佐、中佐、大佐の三人で……あそこを攻め落としてくれ」

中佐「ここは……大規模作戦の襲撃翌予定地」

大佐「……」

元帥「作戦を気どられたか……原因はわからんが今はアレをどうかするしかない。頼むぞ……」

ダンッ!

元帥「なんとしても深海棲艦発生源を落とせ!!私たちの未来の為に……」

男「……」

翔鶴「さっきのは一体……」

男「出撃だ。作戦が早まった……」

男「大量の深海棲艦が押し寄せているらしい。すぐに出撃して発生源を攻撃する」

天龍「……やってやろうじゃねーか」

電「どうしてそんな突然に……?」

男「……わからない」

木曾「……」

長門「なんにせよ、おしゃべりしている時間は無さそうだな。ダイビングルームへ急ぐぞ」

金剛「早く倒して凱旋しまショウ!」

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーー


男「……行こう」

スッ...


『妖精プログラム、起動します。戦闘支援開始。メモリ、数値、生体反応に異常はありません』

『各員戦闘の準備を。ダイブ開始までカウント……5、4、3、2…」

木曾「……」

『1、0。転送します。よい戦闘結果を』

ジジ...ジジジ...


男「……」

翔鶴「空が黒い……」

『攻撃ポイントをマークしました。攻撃ポイント周囲の情報が乱れていてレーダーにも表示が出来ません。注意して下さい』

男「中佐に大佐は?」

『別々に攻撃ポイントを目指しています。連絡を取りますか?』

男「頼む」

『……』

長門「……どうした?」

『連絡が取れない……通信不能です』

金剛「何かあったのでショウカ……」

電「助けに行きましょう!」

長門「いや、大丈夫だろう。私たちは攻撃ポイントへ急ごう」

木曾「……」

男「……」

翔鶴「偵察機を出します」スッ

ビュォォォ!!

翔鶴「……!!」

天龍「風!?」

電「はわわ、これじゃあ艦載機も飛ばせないのです!」

木曾「相当……天候が荒れている様だな」

ザパァッ

男「波も荒れてる……」

天龍「オレが先行する」

男「大丈夫か」

天龍「天龍様に任せとけって!いくぜ」ザァァァ

金剛「天龍……」

天龍『こちら天龍、先は荒れてるけど敵は見えないぜ』

男「進もう」

翔鶴「ごめんなさい……」

男「翔鶴は悪くないだろ?天候が良くなってくれれば艦載機で思いっきり戦ってもらうよ」

男「……」チラッ

木曾「……」


木曾『俺たちの、最後の戦いが始まるんだ』


男「……木曾」

木曾「ん……どうした?」

男「いや……なんでもない」

男「……」

天龍『……さっきから、敵が一匹も湧いてこねーぞ』

翔鶴「どういう事なんでしょうか」

『レーダーにも反応ありません。そろそろ攻撃ポイントに近づ……』

ジジジッ!!

長門「どうした」

『なに……ジジッこれ……情報が書き換わる……ジジジッ』

ゴゴゴゴゴ...


男「じ、地震!?」

金剛「な、なにが起こってるデース!?」

『空間情報がジジッ...すぐに避難してくdジジジッ...』

天龍『な、なんだ!?』

木曾「……」

『応答して下さい!応答をジジジッ』

男「クソ!なんだ!?」

ゴォォォォ

翔鶴「巨大な渦……!?」

電「……」ガタガタ

天龍『引きずり込まれる!』

男「うわっ!!」ザプッ

金剛「提督!!」

『応答を…ジジジッジジッ...』


ブツン


男「……」ガボガボ

男(沈む……!身体が底に……)

男(死ぬ……のか……)

ゴポッ

男「……」

男(……)

お仕事行ってきます

ゴォォォォ...

男「……ん、んん」

男(一体なにが……俺は……生きてる?)

男「……」

男「頭が……ガンガンする……」

男「……寒い……」

男「……まて。なんでだ……」

男「なんで俺は吹雪の中にいるんだ……?」

ゴォォォォ...

男「ここは……どこだ!?」

男(春も終わって初夏になろうとしてるこの時に雪なんて……)

男(ありえない……!!)

男「……つってもここは電子世界、なんだもんな。現実じゃない」

ザッ

男「武器は無事……だな」チャキ

男「……進もう」

ザッザッザッ...

男(一面の雪原。先は吹雪で見えない)

男(音も吹雪く音だけ。ここは一体どこなんだ……)

男(みんなの姿も見えないし……)

スッ

男(空間に手をやっても。文字は浮かばない)

男(通信も……ダメだ)

男「……」


木曾『……そうだ。魂は情報世界を漂い続ける。永遠にな……』

木曾『龍田姉さんは情報世界に幽閉されたんだ』


男「……俺は……」

男「……まだだ。いくらなんでも決めるのは」

男「……」

ザッザッザッザッザッ...

男(歩いても、歩いても。景色も聞こえる音も変わらない)

男(前にさえ進んでない様な錯覚に陥りそうだ……)

男(……俺は前に進んでいるのか……?)

男(……進んでいるのか?)

男「……」

男「……」

男「……」


ザッザッザッザッザッ...

男(どれだけ時間が経ったのかもわからない)

ザッ

男(俺は……やっぱり……)

男(死んだのか?)


男(……)


ザッザッザッザッザッ



ザッザッザッザッザッ




ザッザッザッザッザッ

男(……みんなは……どうなったんだろう)

男(みんなは……)

男「……」

男「……」

男「……」

男「一人じゃ何も出来ない……」

男「くだらないな……提督か」

男「みんなに頼りきりで一人になればこれだ。なにが偉いんだ……」

男「俺は……!!」

男「……」


ザッザッザッザッザッ...

ヒュオオオ...

男「……雪が弱まった」

男(降る雪が少なくなって周りが少し見渡せる様になった)

男(ただの雪原じゃなかった。所々木も生えてるし巨大な岩の壁もある)

男「……ん?」

男(遠くに建物の様なものが……見える)


ザッザッザッ...


男「……」

ザザザザザ...

男「!?」サッ

男(あれは……)

駆逐イ級「……」

男(深海棲艦……!!)

男(雪の上を泳ぐ様に動いてる……)

男(見つかったら勝ち目はない……)チャキンッ

男(見つからない様に。隠れながら進もう)


男(腰を低く、音を立てない様に移動する)

男(幸い。俺の服は白だから、雪に上手く紛れ込めれば……)

男「……」

駆逐イ級「……」チラッチラッ

男(……まずいか?)

サッ

男(匍匐でバレない様に……慎重に進もう)

男(……まさか木曾に教えてもらった事がここまで役に立つなんて思わなかった)

男(射撃も格闘も、一人での動き方からなにから)

男(……木曾は無事だろうか)


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー

ありがとうございます。定休無い仕事なので仕方ないですね(´・ω・`)

そろそろ話の中盤なんじゃないかと

天龍「クソ!!」ザッ

ズバッ

駆逐ロ級「……」ゴボゴボ

電「みんな無事でしょうか……」

天龍「そんな事より目の前の敵をなんとかしねえとな!」


翔鶴「艦載機のみんな。お願い!」

金剛「ファイヤー!!」

翔鶴「提督はどこに!?」

金剛「そう遠くへは行ってないはずデース!」

中佐「……」ガンッ!

赤城「提督、これは……」

中佐「障壁か……」

中佐「作戦ポイントを囲む様に展開されてる。これじゃあ中に干渉出来ない」

加賀「少佐の部隊とは連絡がつかないままです」

中佐「早くなんとかしないと……!!」


元帥「少佐の部隊は?」

『依然行方は不明です。恐らく作戦ポイントにいる事は間違いないとは予想出来ますが……』

元帥「どんな攻撃でも突破出来ない障壁』

元帥「強力な情報の歪、索敵障害」

元帥「中で何が起きている……」

男「……」

ザッザッザッ...

男「ここは……?」

男(巨大な倉庫……研究施設にも見える……)

男「……」


男「……」

男「……明かりが付いてる辺り動いてるのか、ここは」

男「……」

男(見たこともない様な機械になにか……ロボットみたいなのが置いてある)

男(なんなんだ……)

ガシャン

男「!?」チャキ

ガシャン...ガシャン...

男(近づいてくる……)

男(敵か……それとも……)ダッ

サッ

「誰ダ……」

男「……」

男(喋った?深海棲艦では……ない?)

「ソコノ物陰カ……出テコイ」

男「……」チラッ

男「!?」

男「……なんだ、あいつ……」

男(深海棲艦……!!だけど、雰囲気が違う……?)

「キタノカ……」

男「……」

「オマエ……ソウカ…ソウイウコトダッタノカ……」

男「なにを言ってる!」


木曾「そいつに構うな!!」


男「き、木曾!?生きてたのか!!」

木曾「早く逃げろ!!……まさかお前まで巻き込むとは思わなかった」

「ナニモシラナイヨウダナ……ソノオトコ」

木曾「知る必要は無い」

「ナラワタシガオシエヨウカ?」

木曾「その前に消えてもらう」

男「一体なにがなんなんだ……」

ここまでです

木曾「しかし……鬼か。まさか本当にいるとは思わなかった……」

男「……鬼」

男(鬼ってあの鬼か?見た目からは全然想像出来ない……)

木曾「そこをどいてもらう」

鬼「……」

ジャコン!!

男(主砲がこっちを向いた!?建物の中であんなの撃たれたら……!!)

木曾「甘い、甘すぎるッ!!」ダッ

スッ

ガキンッ!!

木曾「……」ググッ

鬼「ナイフテイドデヤレルトデモ?」

木曾「ほざけ!」

ガキンッ!!ガキンッ!!

男(懐に飛び込んで接近戦に持ち込んだ!)

木曾「流石に……装甲は硬いか……」

鬼「フッ」

ブォンッ!!

木曾「がっ……」ゴッ

フラ...

木曾「そうこないとな……!!」ダッ

ガキンッ!!ガキンッ!!

男(木曾……見てても明らかに不利だ)

男(他の仲間を呼びに行くか……?)

男(……でも。見つからないのにどうすれば!!)

木曾「本当の戦闘を教えてやるよ……」チャキッ

ドンッドンッドンッ!!

鬼「グゥ……!!」

男(至近距離での砲撃!)

木曾「……っ」ダッ

ガキンッ!!

鬼「……」

木曾「……!」

ギリギリ...

鬼「ソウオナジテハクワナイゾ」

ブォンッ!!

木曾「っ!!」

チャキッ

鬼「……」

ドゴォォォン!!!!

男「ぐあああ!?耳が……!!」

男(あ、頭が刺された様な爆音が……)

木曾「……」プッ

木曾「ちょっとばかし、涼しくなったぜ……」

男「木曾!!」

木曾「なんだ……まだいたのか。早く逃げろと……」

ダッ!!

ガキンッ!!

木曾「言ってるんだ!」

男(クソ、俺にだってなにか出来るはずだ……なにか……)

チャキッ

男「……」スッ

パンッパンッパンッ!!

木曾「ハンドガンでダメージが通る訳ないだろ!さっさと……」

鬼「グァァァ……」

木曾「……なに?」

今日はここまでです

男「入った!」パンッパンッパンッ!

チャリンッ

木曾「喰らえ!!」ヒュッ

スパッ

木曾「……」チャキッ

ドンッ

鬼「……」フラッ

木曾「……」

鬼「……マサカケイジュンイッセキトソノオトコ二オサレルトハ」

木曾「……」

男「……」

安定の寝落ちでした(´・ω・`)

今日は仕事長引いてお泊りまでありそうなのでそうなったら今日はこれでおしまいです

木曾「……違う」

男「……」

木曾「なにか……違う」

鬼「……」

木曾「……」

木曾「……弱すぎる」

男「……は?」

鬼「……ナメルナ!」ドンッドンッドンッ!!

木曾「違う……」フッ

木曾「もっと強いはずだ……」

木曾「俺が太刀打ち出来ないくらいに……」ドンッ!

鬼「……」ズザッ...

男「……木曾?」

木曾「……まぁいい。それならそれで構わない」

木曾「かかってこい」


元帥「旗艦はそのまま前進せよ」

『報告します。発信源と思しき場所へ部隊の配置が完了しました』

元帥『ん……さて。この自体を招いた犯人の顔を拝むか……突入させろ』

『了解、突入』


黒服「突入の合図が出た」

黒服2「まさかこんなアパートがな」

黒服3「黙れ。蹴破って入るぞ」

バンッ!!

黒服「……」チャキッ

黒服2「……誰もいない」

黒服3「……デスクのイスが温かい。周囲を探せ」


『姿は確認出来ず。が、歪みを起こしている原因らしきPC群がありました。侵入します』

元帥「……」

元帥(誰かこの内部から外部へ情報を流しているスパイがいた。おそらくこのような行動を起こして攻撃を仕掛けてくるとは思っていたが……)

元帥(案の定当たりだった)

元帥(実行犯は……上手く逃げおおせたか)

元帥(……何が目的だ)


鬼「……」ドサッ

木曾「……」ダンッ

鬼「……」

男「……」

男「……倒した……」

木曾「……はぁ……はぁ……ごふっ……」

男「木曾、大丈夫か」

木曾「あぁ……」

木曾「こいつではないとなると……早くしないと……」スタスタ

シュルル...カチ

木曾「……」カタカタ

男(設置してあった巨大なコンピュータにケーブルを繋いだ……?)

木曾「……これか。これがあれば……」カタカタ

男「なぁ……どうした」

木曾「……よかったな。お前には幸運の女神が付いているらしい」

男「……幸運の女神?」

木曾「あぁ……きっとお前は生きて、また俺と再開してくれるな……」

男「木曾……」

木曾「……黙って聞いてくれ」

木曾「例え自分の身に違和感を感じても、自分が自分で無くなったとしても。臆するな」

木曾「仲間との絆も……大切にしてくれ」

木曾「ただひたすら耐えて、その時を待っていてくれ」

木曾「俺たちが……平和の礎に……」スタスタ

スッ

木曾「明日の為に戦うんだ」

チュッ...

男「んん……っ!?」

木曾「……」

男「……」

ゴスッ!!

男「がはっ!!?……木曾」

木曾「悪いな。しばらく……お別れだ」

男(腹を……一体……)

男(意識が……)フラッ

ドサッ

木曾「……」

長い戦いだった……(仕事的な意味で

とりあえず山場は越えました。ちょっとこの辺りよくわかりづらいですね……本編の一部として最初からここまでを一旦わかりやすいように?振り返っても大丈夫ですか?

要らないようであれば先進めちゃいますけど

大体そんなかんじです。

深海棲艦の急襲により予定よりも早く大規模作戦開始、攻撃ポイントに向かうも突然通信電波障害が発生しさらに海に巨大な歪み(艦隊丸ごと飲み込むうずしお)が発生

艦隊は散り散りに。男はどこともわからない吹雪の中で目を覚ます。とにかく歩いていると施設の様なものを発見

中に入ると大量のコンピュータとロボットの様なパーツやモデルが置かれていた。そこには泊地棲鬼が待ち構えていたが、そこに木曾が登場。激しい戦闘の末……

というようなかんじです。とりあえず最初から背景的、感情的な補足も含めて簡単に振り返っていきます

それは雪も解け、梅が花を咲かせていた頃の出来事だった

国内有数の大企業……で下っ端として働いていた男。当たり障りなく仕事をこなしていたつもりではあったがある日上司から突然、上からの指示でテストを受けてこいと言われる

男はただならぬ不安に駆られながらも渋々その指示に従うことに

この企業の会長と言えば今や誰もが名前を知っている。現職総理大臣の江良恵娘であった。それだけになにか失態を起こして上に呼ばれたとなれば相当な物になるはずなのだ


唾をごくりと飲み、呼ばれた応接室の扉をコンコンと叩く。中に入るとそこにはいかにもお偉いさんという様な見た目の男性がいた

その男性は男に心理テストを思わせるいくつかの質問とマークシート式の用紙に書き込みをさせた


数日が経ち、男は再び上司に突然呼び出された。なんでも急な辞令が出たとか。車も用意してあり今すぐ行けと言うのだ

普通ではまずあり得ないし理解も出来ないだろう。男も一体なんなのか理解出来ていなかった

こんなかんじで。簡単に今までのあらすじを……お付き合い下さい

すいません。今日は少し体調がよろしくないので……今日の通退勤は寝るのに使わせて下さい

明日はおやすみなので明後日更新します(´・ω・`)

そこは国に管理された国内でも最大の医療機関であった、表向きは

案内されるがままに進んでいくと業務用らしきエレベーターがあった。それを使い地下へと降りて行く

到着するとそこは……


明らかに普通ではないその施設。そこで男は日本軍の軍艦の名を持つ少女達と出会う。少女達に共通していたのは、身体のどこかしらに障害を持っている、ということだった

情報世界。人間の作り出した別の世界からの侵略者から世界を守るために戦う。そう聞かされた時には現実味を感じる事はなかったが、情報世界へ初めて飛び込んだ時に初めてこれが紛れもない現実だと直感した

触れる物も、空気も、気配でさえ全てが現実で感じるものと全く違いはなかった。唯一違うのは、異形の敵と、圧倒的な力を振るう少女達の姿だけだった

そんな環境で俺は、彼女達と交流し、成長し、この施設の裏へ迫る

仲間の死をも乗り越えた先に見つけた答えは……人間同士の戦争だった

>>536 修正


情報世界。人間の作り出した別の世界からの侵略者から世界を守るために戦う。そう聞かされた時には現実味を感じる事はなかったが、情報世界へ初めて飛び込んだ時に初めてこれが紛れもない現実だと直感した

触れる物も、空気も、気配でさえ全てが現実で感じるものと全く違いはなかった。唯一違うのは、異形の敵と、圧倒的な力を振るう少女達の姿だけだった

そんな環境で男は、彼女達と交流し、成長し、この施設の裏へ迫る

仲間の死をも乗り越えた先に見つけた答えは……人間同士の戦争だった

男はすぐそこにある強大な敵に立ち向かう為に戦う事を決意する。そしてその直後、最悪の戦いが幕を開けるのだった……


押し寄せる異形を仲間に任せて男は敵中を進む。だが、何故か男の周囲にだけは敵は現れなかった

警戒しつつも目標の地点へと進む男と少女達を突然、巨大な渦潮が襲う

身体が海に引きずり込まれる。呼吸出来ず、視界が狭まって行く。すぐそこに忍び寄る死に……手を握られた気がした


気がつくとそこは雪原だった。猛吹雪が辺りの視界を遮る。一人になった男は黙々と歩く

歩いて歩いて歩いた先に見つけたのは、謎の施設だった

中にはいるとそこはなにかの研究施設の様でもあり、俗に言うパワードスーツの様なロボットの様なものが幾つも転がっており、精密機械が並んでいた

そこで出会ったのは、見ただけで背筋が凍るような気迫を持った異形であった

今度こそと……焦りと恐怖を感じた時。少女は現れた

眼帯の少女はナイフを取り出し接近する。鉄と鉄同士がぶつかり合い、火花を散らす

敵に砲を打たせない為の作戦だった

だがそれでもジリジリと押されていく少女。それを男は……黙って見ていられなかった

眼帯の少女から受け取った自動拳銃を取り出し、撃つ

例え無駄だとわかっていても撃たずにはいられなかった。しかし……


やがて音は鳴りやんだ。必死の攻防の末敵を倒したのだ。そして……

お気遣いありがとうございました。なんとか生きてます(白目

流石にここまで書いておいてあらすじ書くとなると膨大な量になる事に気がついたので結局はしょりました(´・ω・`)

わかりにくい所は言っていただければ答える形でこれから進めていくので逐次あればよろしくお願いします

男「……」

コツコツ

木曾「……」

男(待て……木曾……)

男(……)


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー




天龍「お、おい!全員無事か!」

金剛「天龍!電!私たちは大丈夫デース!」

翔鶴「……木曾ちゃんと長門さんは」

電「……見かけてないのです」

天龍「それに急に……敵が引き始めたな」


元帥「敵が引いていく……」

元帥「……罠か」

元帥「だが……」

『元帥、報告します。本部データベースにハッキングの痕跡を見つけました』

元帥「……強固な壁が破られた!?」

『報告、突入部隊から。PCのハッキングに成功。深海棲艦を誘導していたと見られるプログラムの停止に成功』

元帥「……あぁ」

元帥「障壁の修復に状況確認。追撃は……しない」


中佐「壁が消えた!これで中に……」

加賀「レーダー回復……障壁内部は……何もない……?」

中佐「……なにもないとは?」

赤城「友軍……少佐の部隊の反応はありますがそれ以外の建造物、物体の反応がありません」

中佐「……とりあえず、少佐の部隊と合流しよう」

今日の通勤中は爆睡してしまいました……おかげで降りる駅寝過ごした(´・ω・`)

重い話はまだまだ続くので帰りはゆるい感じの番外編でも書こうと思います

番外編


男「あぁ……なんか今日はもう働きたくない」

翔鶴「書類も全てまとめましたし今日はゆっくり過ごしましょうか」

男「そうしようか……今飲み物取ってくるよ。何がいい?」

翔鶴「何があるんですか?」

男「コーラにオレンジジュースにコーヒーにお茶に……」

翔鶴「それじゃあ……オレンジジュースでお願いします」

男「あいよー……」


男「はい。オレンジジュース」コトッ

翔鶴「ありがとうございます」

男「ふぅ……」モゾモゾ

男「コタツもしまわないとなぁ……」モゾモゾ

男「でもこの……なんだ。冷房効かせながらコタツに入るっていう贅沢?」

翔鶴「あまり電気も無駄遣いすると元帥からお叱りが来ますよ?」

男「そうなんだよなー……ダメなのはわかってるんだけどさぁ……やめらんなくなるよね」モゾ

翔鶴「提督……」

男「そういう翔鶴もなんだかんだくつろいでるな」

翔鶴「……//」モゾモゾ

男「あ、そうそう。間宮さんのとこで羊羹もらってきたんだ。食べようか」

翔鶴「よろしいのですか?」

男「勿論」

翔鶴「それじゃあ……いただきます」

男「……」モグモグ

翔鶴「美味しい……」ニコニコ

男「このしっとり具合に甘さがたまらないよな」

翔鶴「上品な甘さで滑らかな舌触りも……」

男「

>>546 修正


男「……」モグモグ

翔鶴「美味しい……」ニコニコ

男「このしっとり具合に甘さがたまらないよな」

翔鶴「上品な甘さで滑らかな舌触りも……」

男「ほっとするな……」

男「そういえば……普段なにも無い時ってなにしてるんだ?」

翔鶴「何も無い時ですか?」

翔鶴「うーん……弓道の練習とか射撃訓練とか……」

男「そういうのじゃなくて趣味的な」

翔鶴「それなら読書にお料理はよくしていますね」

男「料理か……たまには誰かの手作りってのも食べてみたいな」

翔鶴「それなら今度お作りしましょうか?」

男「いいのか?」

翔鶴「いつも提督にはごちそうになってますから。たまには私の手料理も食べてみて下さい」ニコッ

男「そっか。それは楽しみだなぁ……」

男「料理と言えば金剛も料理するよな」

翔鶴「金剛さんはお菓子専門ですね」

翔鶴「いつも紅茶に合うお菓子を研究しているみたいです」

男「そうなのか……コーヒーに合うお菓子も作ってもらいたな」

翔鶴「提督はコーヒーが好きなんですか?」

男「仕事の合間にちょこちょこ飲んだりして眠気を飛ばそうとしてる内に飲むのが習慣になった……かな」

翔鶴「そうですか……」

男「他には?」

翔鶴「他には……編み物にお裁縫なんかも」

男「編み物に裁縫まで出来るのか!すごいなぁ……」

男「本当に、いい奥さんになれるよ」

翔鶴「そう……ですか?///」

男「だって炊事洗濯掃除以外もなんでも出来るんだから。絶対なれるよ」

翔鶴「そう言っていただけると嬉しいです」

男「……俺もこんな彼女が欲しいよ」ボソッ

翔鶴「提督?」

男「ん……なんでもないよ」

翔鶴「提督は普段なにをされるんですか?」

男「俺か……そうだなぁ……」

男「天龍とゲーセンに行ったり龍田と天龍からかって遊んだり……」

男「金剛にお茶によく誘われるな」

男「あとは電に勉強を教えたりいろいろ話して、木曾とはよくミリタリーの話をしたりドラマを見るな」

男「それにこうやって翔鶴とまったり過ごしたりな」

翔鶴「休日までみんなと過ごすなんて……提督の鏡ですね」

男「そんなじゃないよ。友達と遊ぶ様な感覚だし。退屈しないで助かってる」

翔鶴「それじゃあ……また提督が退屈しないように誘っても?」

男「大歓迎だよ。次はお腹空かせて待ってる」

翔鶴「はい!」

翔鶴ちゃんはなんでもこなせるお姉さん的なイメージですね。かわいい

『……そっか。そうだったのか……』

『俺も好きだ。ん……嘘なんかつかないよ。本当に』


『あれからもう一年か……早いもんだよな』


『仕事?順調……だよ。そうだなぁ……もう少しお金が貯まったらさ……』


『へぇ……そうなんだ。そいつそんなに面白い奴なのか。俺も一度話してみたいな』


『あれ……今日は遅いのか……あいつも仕事大変なのかな。たまには労ってやらないとな』


『あれは……あいつの良く話してた男か。二人で出掛けるのか。別に友達くらいなら俺もなにも言わないし話してくれてもいいのにな……』


『いってらっしゃい。うん……』

『あ、またあの男か……最近あいつと二人で…………まさかな』

『なんで俺……後なんかつけてるんだ……馬鹿馬鹿しい。疑う方が……』

『お、おい……あそこって……ホテルか……?』


『……なぁ。今日あの男と……違う!つけてた訳じゃない!それにお前……』

『そうか……全部俺のせいか……わかった。それでもいい。もう別れよう』

『待てる訳ないだろ!!浮気されて黙ってろって!?』


『……この部屋もさみしくなったな』

『確かに。あいつの気持ち、わかってやれなかった。何度も兆候はあったのに。俺の落ち度だ……』

『人を好きになるって……虚しいな』

男「……」パチッ

男「ん……ここは……俺の部屋?」

男「なんか……腹の上に……」

翔鶴「……」スースー

男「……翔鶴?」

男「……そういえば俺、木曾に殴られて……」

男「……一体どうなったんだ?」

翔鶴「……んん」モゾッ

男「……」

男(なんか、気持ち良さそうに寝てるな)

男「……起こすのも悪いか」ナデナデ

男「……ふふ」

男「……」

翔鶴「……ん。提督……?」

男「お、やっと起きたか。よく寝れたか?」

翔鶴「……わ、私……その……///」カァァ

男「いい寝顔だったよ」

翔鶴「恥ずかしい……」

男「ははは。それでなんでこんな所で……?」

翔鶴「そ、そうよ!提督!どこか痛みはありませんか?精神的な痛みは?」

男「俺は……大丈夫だけど……そ、それより!作戦はどうなったんだ!?」

翔鶴「攻撃ポイントそのものが突然消滅して……深海棲艦も突然引いていきました……」

男「なんだそれ……それでみんなは無事か!」

翔鶴「……」

男「翔鶴?」

翔鶴「……木曾ちゃんと。長門さんが……」

男(俺があの豪雪の中にいる間。翔鶴達もバラバラになって戦っていたらしい)

男(ポイント、歪みが消滅した後に合流しその地点へ向かうと)

男(意識を失った俺が海上を漂っていたそうだ)

男(翔鶴、金剛、天龍、電は無事に合流出来たそうだが……木曾と長門だけは見つからなかったそうだ)

男(そしてみんなは俺を連れて海から撤退。俺自体はほぼ丸一日眠っていたそうだ)

男(現実に戻った直後、ダイビングルームのベッドにも木曾と長門の姿はなかった)

男(元帥やその周囲に話を聞いても教えられないの一点張り。中佐や大佐も勿論知らなかったそうだ)

男「……」

男「今度は俺が元帥に聞いてくる」フラッ

翔鶴「提督!まだ安静にして……」

男「自分の身よりまずは部下だ。上司が部下の心配しないでどうする……」

翔鶴「提督……」

木曾や長門の安否は一体……次回

元帥「……体調はどうだ」

男「今目を覚ました所で……まだなんとも」

元帥「そうか……それで要件は。戦闘報告やらは後でまたするつもりだが」

男「木曾と長門は」

元帥「……」

男「……」

元帥「……すまない」

男「……!!」

元帥「……彼らは。勇敢に戦ったようだ」

男「……」フラッ...

元帥「!」

元帥「まだ……体調は芳しくないようだな。ゆっくり休みたまえ」

男「失礼……します」ガチャ

バタン

元帥「……」

元帥「……ふふ」


男「……」スタスタ

翔鶴「提督……」

男「少し一人にしてくれ。みっともない所は見られたくない」

翔鶴「……」


男「クソ!!!」ガンッ

男「クソ!!クソ!!クソぉッ!!!」ガンッガンッガンッガンッガンッ

男「……はぁ……」

男「俺はどうしてこんな所で戦ってるんだ……」

男「誰かが死ぬのを見る為にか。いや……殺したのは俺か?」

男「なんで……なにも出来ないんだよ!!!ふざけるな!!!」

男「彼女達が戦えるんだ。俺にだって戦えてもいいだろ……理不尽だ……」グッ

男「……」

男「……」


翔鶴「……」

翔鶴「提督……」

元帥「……つまり。私たちが出撃し実働部隊が発信源を叩きに行った隙を狙われた。ということか」

「恐らく。そうだろうな」

元帥「……ハッキングの痕跡、全ての監視カメラの停止……まさか」

「今までの歪みの発生から深海棲艦の攻撃に至るまで全て彼女達をここから離脱させるためのものだった……ということになる」

元帥「……全て計算どおりだったということか」

「それほどまでの事が出来るバックアップが付いていると考えると……これは驚異ではないか」

元帥「確かに……深海棲艦を操りここまで緻密な計画を建て……」

元帥「深海棲艦を操る……か」

「どうした。なにか思いついたか」

元帥「いや。ただいいアイデアを貰った」

「そうか……」

金剛「提督は大丈夫なのデスカ」

翔鶴「……」

天龍「……それに木曾に長門姉は」

電「……心配なのです」

ガチャ

男「……」

金剛「提督!!身体は大丈夫なのデスカ!?」ダッ

天龍「丸一日寝てたらしいじゃねえか!怪我とか痛いとこは!?」

電「まだ疲れてるんじゃないですか?ゆっくりお休みされても……」

男「大丈夫だ……大丈夫」

男「……戦闘報告と。木曾と長門について話がある。翔鶴、頼むよ」

翔鶴「はい。戦闘報告については海における支配領域の約30%を喪失。防衛プログラムや施設システム合計の約16%が破損」

翔鶴「味方艦隊も大打撃を受け今まで通りの任務や遠征は困難」

翔鶴「方針としてはしばらくは施設の修復。艦隊の十分な回復に戦力向上に努め、以前の支配領域を奪還する。との事です」

男「だからみんなにはしばらく休暇を与える。好きに過ごすといい……」

男「そして、木曾と長門だが……」

男「……」

男「……死亡が確認された」

天龍「……おい」

金剛「……」

電「……」

ここまでで

男「脳細胞に……神経系が焼き切れていたそうだ。恐らく歪みに取り込まれて……」

男「……」

金剛「嘘……そんな事!!」

電「……ぐすっ」

男「……以上だ」

天龍「……提督」

男「なんだ」

天龍「随分……淡々と話すな」

天龍「もう慣れちまったのかよ」

男「そんな訳ないだろ。正直……どうかなりそうだ」

男「だが当たり散らして、喚いてあいつらが戻ってくるのか」

男「それならいくらでもわめき散らしてやる」

天龍「……」

男「負い目だって感じてる。自分のせいだと……責めて責めて責めて……自分を殺してやりたいくらいな」

男「……」

男「……俺たちは強くならなきゃいけない。もう誰も死なない様に」

男「誰も殺させない様に」

男「負い目を、悲しみを、全部昇華させるんだ」

男「……だろ?」

翔鶴「……本当に、成長しましたね」

天龍「……フフ、そうだな。別人みたいだ」

電「それでも……ひくっ……悲しいのです……」ポロポロ

金剛「電には……辛すぎマス」ナデナデ

男「今は好きなだけ泣けばいい。その後でどうするか……だよ」

男(本当の事を言うと俺も耐えきれないくらいに悲しくて、辛い。それでも……俺には確信があった)

男(木曾は生きている。恐らく長門も……)

男(木曾は何度も別れが来る事を俺に伝えてきた。もしそれが……木曾の頭の中で練られていたものなら)

男(絶対に生きている!!)

男(俺が次に木曾と再開する時までに……みんなとの絆を深めて)

男(強くならなきゃいけないんだ)

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


男「……」チャキッ

パンッパンッパンッ

男「……」スッ

コトッ

男「……」スッ

ガチャンッチャキッ

男「……」

タタタンッタタタンッタタタンッ

男「……」ジャコンッ

ガチャンッ

タタタンッタタタンッタタタンッ

天龍「……」

男「……ん、天龍か」

天龍「最近随分頑張ってるみたいじゃねーか」

男「そうか……?」

天龍「なにかに追い詰められてる様な。そんな気がするぜ」

男「……」

天龍「訓練はほどほどにやるのが効率がいいんだ。詰め込みすぎるのも良くない」

男「……」

天龍「……わかった。ちょっとこっちこいよ」

男「なんだ?」

天龍「剣で相手してやる」

天龍「道場は……誰も使ってないみたいだな」

ポイッ

男「……」パシ

天龍「使うのは竹刀だ。満足するまで相手してやる」

男「……」

天龍「……こいよ」スッ

男「……」スッ

男(いくら練習しても足りない。もっと……もっと強く)

男「ッ!!」ダッ

パンッ

天龍「……フ、流石に力は男だな」ギリギリ

スッ

男「!?」フラッ

天龍「受け流せば関係ねーけどよ!!」ブンッ

パシンッ!!

天龍「おいおい、もう一発入っちまったぜ?」

男「……」ギリッ

ブンッ!!

天龍「危なっ!!」サッ

男「……」ダッ

パンッ

天龍「これじゃさっきと同じだぜ……?」ギリギリ

スルッ

天龍「なっ…竹刀を滑らせた!?」

男「っらぁ!!」

パンッ

天龍「……チッ。流石に教えてもらってただけの事はあるな」

天龍「けど、まだ甘いぜ!!」

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


パンッ!パシンッ!

男「はぁ……はぁ……」

天龍「……ふぅ」

男「……」

天龍「疲れた。一旦休憩しようぜ」

男「あぁ……」


天龍「ごきゅ……ぷは!」

男「……」

天龍「ま。これでわかっただろ?お前はまだ弱い」

天龍「海じゃなくて現実でもオレに遅れを取ってるんだ」

天龍「艤装を着けて人間を超えた動きをする艦娘と同じくらいに強い深海棲艦共と今のお前と同じ実力でやり合うんだ」

男「……」

天龍「これだけの差なんか急いだ所でそう簡単には埋まらねーよ」

天龍「だから急ぐな……強くなるにしたってゆっくりでいいんだよ」

男「……まさか天龍に諭されるなんてな」

天龍「そりゃどーいう意味だよ!」

男「……わかった。少し自分の身体にも気を使うよ」

男「その代わり、手伝ってくれ」

天龍「……しょーがねーよな。ったくよ」

ナデナデ

天龍「オレの剣をお前に教えてやる」

男「……」

今日はここまでです

男「……」

元帥「男くん。ここにいたか」

男「元帥……」

天龍「なんだ、呼び出しか?」

元帥「あぁ。少し話がある」

男「いってくるよ」スッ

天龍「んじゃ今日はここまでだな。風呂でも入ってサッパリするか!」


コツコツ

元帥「最近鍛錬に励んでいるみたいじゃないか」

男「えぇ……」

元帥「先日の件、まだ気に病んでいるか」

男「……」

元帥「鍛錬して強くなるのはいいことだ。だが、己の身体も省みる事も大切だぞ」

男「そう……ですね」

ガチャ

元帥「入りたまえ」

男「失礼します」

男「それで……要件は?」

元帥「うむ。男くんにはこの間戦闘の後眠っている時に検査をさせてもらった」

男「検査……」

元帥「目を覚まさないものだからな。採血と……簡単な検査だけだ」

元帥「だが。男くんは少し身体や心を酷使しすぎているようだ」スッ

男「これは……」

元帥「朝晩に三錠ずつ飲むんだ。医師の診断では少し薬を飲んでおいた方がいいと」

男(薬……一体これはなんの薬だ……)

元帥「そんなに警戒するな、精神安定作用と疲労回復に効果のある薬だ。診断書も後で送ろう」

男「はぁ……」

元帥「元帥として命令させてもらう。しばらくの間薬を飲んで身体を休ませろ」

元帥「勿論鍛錬などはしても構わない。酷使してやるな」

男「わかりました……」

元帥「うむ。ここの医療技術は国内トップ……いや、世界にも通用する。安心したまえ」

元帥「以上だ。今晩から飲むんだ。無くなったらまた私の所へ」

男「元帥の元へ……?医師の所ではなく?」

元帥「部下の心配をするのも上司の勤めだ。薬を取りに来るついでに色々話も聞かせてもらう」

男「……わかりました」

元帥「よろしい。では戻ってくれ」

男「失礼しました」スッ

ガチャ...バタン

元帥「……」

元帥「……さて。楽しみだな」

元帥「……もうすぐ……だ」


男「……」コツコツ

金剛「ワオ!提督!」

男「金剛か。どうした」

金剛「これからティータイムをと。その薬は?」

男「精神安定剤……らしい」

金剛「精神安定剤……?提督まさか病んで……」

男「違う!病んでないから安心してくれ」

金剛「それじゃあ……」

男「……最近色々詰め込みすぎだと。元帥に言われてな」

金剛「そうデスカ……」

金剛「確かに……最近の提督は来た時よりも暗くなっている気がしマース」

男「……そうか?」

金剛「そうデス!」

金剛「……ゴメンナサイ」

男「な、なんで金剛が謝るんだ?」

金剛「提督はまだ着任して日も浅いデス。それなのに……沢山辛い思いしてるんデスから。無理に元気に振る舞う必要は無いと思いマス」

金剛「けど……私たちといる時は。楽にして……楽しんでもらいたいデス」

男「……ありがとう。金剛」ナデナデ

金剛「はうっ……///」

男「……後で紅茶でも飲みにいくよ」

金剛「……!それなら美味しいクッキーも用意して待ってマスヨー!」

男「そっか。楽しみにしてる」コツコツ

金剛「……ウフフ///」

男「……」

男(確かに……木曾と長門が消えてから。みんなと遊ぶ事も少なくなってた気がする)

男(強くならなきゃと思って……ずっとずっと……思い詰めてた気がする)

男(……)

男「どうしたら……いいんだろうな」


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー

また夜に

(俺が望むのは……)

(俺が戦うのは……)

(そんなのは簡単だ。世界を守る為)

(だけど、その為には……)

龍田「仲間の犠牲が必要」

(そうだ。世界を守る為に戦う代償は……仲間の命)

木曾「俺だって。犠牲になった」

長門「私も犠牲になった」

翔鶴「これから私たちも」

金剛「犠牲になるかもしれない」

電「私たちの命を捧げて」

天龍「その果てに世界の平和がある」

男「俺も、その人柱だ」

(俺の目の前に立った彼女たちと"俺"は。薄気味悪い笑みを貼り付けながら俺を取り囲む)

男「お前は選ばなきゃいけない」

男「天秤の上に乗せられたのは、世界と、大切な仲間達と自分の命」

(ゆらゆらと揺れる目の前の天秤。どちらを選ぶべきかは……わかっていた)

(脚が動かない。手を伸ばしたくない)

(選んだ先にあるのは……)

龍田「やめ……助けt……」

(龍田の首に太いロープが巻きつく)

(俺は声も出せずに……見ているだけ)

龍田「嫌……みんな……けふ……天龍……ちゃ……」

ゴキッ

男「さぁ、選べ。お前に選択権はない」

シュルシュル

木曾「ぐぁ……っ」

ギリギリ...

木曾「俺は……お前を信じて……いる……」

木曾「かはっ……世界も……俺たちも……守って……くれ……る」

ゴキッ

男「世界中の人間の命と俺たちの命。どちらが大切なのか、お前には分かるはずだ」

シュルシュル

長門「ぐぅぅ……提督……お前は……出来るはずだ。世界を……守る事が……」

ゴキッ

男「お前が躊躇う間、世界の人間も俺たちも死んでいく」

男「選ばなければ両方失う」

シュルシュル

電「ひっ……司令官さん……助け……て」

ゴキッ

男「早く選べ。さぁ……早く……」

(俺は……嫌だ。両方とも大切なんだ……両方とも失いたくない)

男「我儘だな」

シュルシュル

金剛「提督……どうして選んでくれなかったんデスカ」

(……)

金剛「私たちが大切なら、私たちを選んでくだサイ!くふっ……」

金剛「どうして……私たちを……捨て……」

ゴキッ

男「仲間が大切なら仲間を選ぶのもいいだろう。だが……世界を捨てるという事は……」

シュルシュルシュルシュル

天龍「か……げほっ……」

翔鶴「う……うぁ……」

男「遅かれ早かれみんな死ぬ」

シュルシュル

男「もちろん、俺もだ」

男「最初から……お前に選択権はないんだ。最初から……」

(それでも俺は……両方とも失いたくないんだ!!)

男「……とことん馬鹿だなお前は」

天龍「お前の我儘で……っ……俺たちは……!!」

ゴキッ

翔鶴「死ぬのよ……!!貴方が無力……だから……!!」

ゴキッ

男「無力だから。みんな死ぬ」

ゴキッ

(あぁ……そういう事だったのか)

(俺には選択権はない)

(世界を守る事も、仲間を守る事も……選べない)

(俺が……無力だから。俺のせいでみんな死ぬ)

(みんな死ぬ)

(死ぬ)

(どうして俺には力がないんだ)

(寄越せ。力を寄越せよ)

(みんなを守る力を)

(敵を全て殺し尽くす力を!!)

(俺はどうなったっていいんだ。俺だけが人柱になればいい)

(だから俺に力を……)


男「寄越せええええええええ!!!!!」ガバッ

男「はぁ……はぁ……はぁ……」

男「ゆ……め……?」

男「……なんだって……こんな……」

男「……」

また明日に

男「……世界と……仲間の命……か」

男「……」ギュッ


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


男「みんな。おはよう」

天龍「おっす」

金剛「今日も元気にいきまショウ!」

電「お、おー!なのです」

翔鶴「任務の通達が来ていたので発表するわね」

翔鶴「外部との情報伝達をスムーズにする為に、近隣海域の攻略を行うそうです」

翔鶴「各部隊にはそれぞれノルマが与えられます。私たちの海域を取り戻せる様に頑張りましょう」

天龍「人数の補充は……ねーよなぁ」

翔鶴「しばらくはこのメンバーだけで活動することになるでしょうね」

男「あの作戦で被害が一番大きかったのは俺たちらしい。それに気を使ってくれたみたいだからな……そこまで難しくはない」

翔鶴「まずはその海域がどういう状況なのか調査する必要がありそう……今日の所はそれの報告待ちという事で……」

男「……自由だな」

金剛「それじゃあ私は明日に備えて紅茶の準備を……」

天龍「それってどういうことなんだ……?」

電「私は……お勉強しなきゃです」

男「まぁ……各自好きなことをするように」

男「さて……と」スッ

翔鶴「あの……また……訓練ですか?」

天龍「……」

男「……ほどほどにな」

電「あ、あの!もしよかったらそれが終わった後にお勉強を見てもらいたい……です」

男「ん、わかった」

金剛「その後は私と二人でティータイムネ!」

天龍「俺だって剣術を教えてやらねーとな!」

男「わかったわかった。みんなの所に行くから」

翔鶴「ふふ……」

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


男「……」

『おはようございます』

男「ん。今日も頼めるか」

『了解。訓練海域での模擬戦闘ですね』

男「あぁ……武装は……」

『いつもの通りで。それでは楽に寝てください』

男「……」スッ

男「……」カチャ...スチャ

『ダイブ開始までカウント…5、4、3、2……』

男「……」

『1、0、転送開始します。よい結果を』

ジジッ...ジジジ...


男「……」チャキッ

男(M4カービンライフル。M203グレネードランチャーに……レーザーサイト)スッ

男(サブウェポンは……Mk23、SOCOMピストル)

男(フラッシュライトにこちらもレーザーサイト装備)

男(グリップには削りが入れてあり手に馴染む)

男(背には戦艦に対抗する為にパンツァーファウスト3。RPG-7に似た運用方法も出来る)

男(FIM-92 Stinger、スティンガーミサイルの運用も考えたがこちらを選択した)

男(グレネード、スタングレネード一個ずつ。フレアも一つ)

男(これだけの重量を背負って戦闘を行う。まずは機敏に動ける様に……)

『訓練用デコイ発射』

ザバァァァ

男(深海棲艦に似せた木偶を相手にここで訓練をする)

男「……」スッ

タタタンッタタタンッ

男(装甲に弾かれない様に生身の部分を狙って……沈める!)

『模擬弾発射開始』

駆逐ハ級「……」ボシュゥゥゥ

男(木偶も動きや攻撃を限りなく深海棲艦に近づけてもらっている)

ザバァァァンッ!

男「くっ……」

男(間一髪かわせた……!)

男「行くぞ!」

男(ここからが勝負だ!自分の限界を超えるんだ)

男(この世界でさえも俺は彼女達とは違って現実とほぼ同じ様な力しか出せない)

男(それでも……俺は……!)

男「……」タタタンッタタタンッ

駆逐ロ級「……!」

男(口が開いた!)

男「喰らえ!」ボシュッ

男(すかさずそこにグレネードランチャーをぶち込む!)

ドゴォォォ!!

男「ふっ……」タタタンッタタタンッ

男(装弾数は20発、なら後は2発か)

駆逐イ級「……」

男「……」タンッ!

男(一発はチャンバーに残して……)

ダダダダダ

男「リロードよりこっちの方が早い!」スッ

タンッ!タンッ!タンッ!

男(訓練の成果なのだろうか、この重量級のハンドガンでもかなり命中率が上がって来た)

駆逐イ級「……」コォォ...

男「!!」スッ

ピンッ

男「グレネード!!」ブンッ

ドゴォォン

駆逐イ級「……」グラッ

男(ずれた……それでもこれだけの隙なら!)

タンッ!タンッ!タンッ!

駆逐イ級「……」ゴポゴポ

男「よし……」

男(なんだ……?気のせいかいつもより俊敏に動けてる気が……)

戦艦ル級「……」ザバァ

男「……戦艦!!」

男(いつもなら軽巡とかが出てくるけど……これは?)

男「いくぞ!!」ダッ

ドンッドンッ!!

ザバァァァンッ!!

男「うわっ!!」

男「……よし!」スッ

男「狙いを定めて……喰らえ!!」ボンッ

戦艦ル級「……!」

ボコォォンッ

男「怯んだ!」ピンッ

男「スタングレネード!」ブンッ

ボンッ!!!!

男(戦艦に対抗する武器、パンツァーファウストも正直そこまで効力があるとは思わない。ならそれで怯ませてスタンを食らわせる!)

男(深海棲艦にスタングレネードって効くのか?)

戦艦ル級「……ゥゥ」

男(効いてる!それならここで踏み込んで!)ダッ

シュッ

ガキィィィン!!

男(木曾と天龍に教わった太刀で斬る!!)

『ま、待って下さい!なにかおかしい!!』

男「ん……?」

戦艦ル級「!」ブンッ

男「うお!!」

ガキィィィン!!

男「……!!!」

男(て、手が……!!)

『その深海棲艦、本物です!!』

男「……は?」

男「ど、どういう事だよ!」

『一体どんな経路で……退避!退避して下さい!!』

男(……ま、不味い。落ち着け……)

男(本物の深海棲艦?しかも戦艦だと……)

男(……殺される)

戦艦ル級「……」ギロッ

ゾクッ...!!

男(待て……引くな!間合いを取れば敵の武器の有効射程に……)

『早く退避を!!』

男(……考えろ。どうすればいい……どうすれば……)

ガキィィィン!!

男(……この不思議な感覚。身体が……軽いだけじゃない)

ガキィィィン!!

男(俺は今、本物の深海棲艦と打ち合っている!?)

男(……ともかく。間隔を開けたら間違いなく蜂の巣かバラバラにされる……それならこのまま)

ガキィィィン!!!

男「打ち合う!!」

ここまでです

男(振るいを流して突きを逸らす)フッ

ヒュッ!

男(ただ力で押すのではなく相手の力を吸収し相乗させる)

ガキィィィン!!

男「……はっ」グッ

ゴスッ!!

戦艦ル級「カハ……」

男(……おかしい、相手の動きが見える。無理な動きでも身体がついていく)

チャキッ

ヒュッ!ドスッ!!!

男(突きが入った!)

ズブッ

男「……」ブンッ

ガキィィィン!!

戦艦ル級「……」

ギリギリ...

ザァァァ

天龍「おい!助けに来た……ぞ?」

金剛「天龍!行きマスヨ!……天龍?」

電「はわわ……」

翔鶴「……嘘」


ガキィィィン!!ヒュッ!

男「……」サッ

天龍「……なんだよあれ」

電「し、司令官さんが敵さんと戦ってるのです!」

翔鶴「どうなってるの……」

金剛「ま、まるで映画の殺陣みたいデース……」

天龍「いや……そんなもんじゃねーよ……アレ。動きが人間じゃない」

翔鶴「本当にどういう事なの!?」

電「……」

金剛「……カッコイイデス」

天龍「潜在能力が表に出た?でも男は力は出せないはずだし艤装だって……」


男「はぁ!!」

ズバッ

男「もう一撃!」

ドシュッ...

戦艦ル級「……」

男「……」チャキッ

パンッ!パンッ!パンッ!


ゴポゴポ...

お仕事です

男「……はぁ」ザバッ...

チャプ...

男「……戦艦を……倒したのか……俺」プカプカ

天龍「大丈夫か!?」

金剛「テートクー!!」

電「司令官さん!すごいのです!」

翔鶴「……」

男「みんな。来てくれたのか」

天龍「それよりありゃなんだよ!!なんで生身のお前があんな……」

男「さぁな……俺にもわからない。本当に突然……力が湧いて身体が軽くなった」

翔鶴「なにか特別な変化があったのでしょうか……」

男「どうだろうな。でもこれで……これなら……」

男(みんなを守って世界も救える……!!)

男(天秤に掛けられた両方を……掴むんだ)

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


元帥「……そうか。私の研究は確かに……」

元帥「いよいよか……いよいよ……!!」

元帥「……フフ、フフフ……アハハハハ!!!」

元帥「私の目標が!!目指したものがもうすぐそこに……」

元帥「あとは……もう一つの方も……」

元帥「こちらはすぐに上手くいくだろうな……」

元帥「……パパ。いよいよだ。貴方の作り出したこれを……昇華させて……」

元帥「アハハハハ!!!」

男「金剛、入るぞ」ガチャ

金剛「提督!私の部屋へヨウコソ!」

男「お邪魔するよ」

金剛「今日はアップルティーにシナモンクッキーデス!」

男「あぁ……そりゃあいいなぁ」


男「……」ズズッ

金剛「それにしても提督!アレは凄かったネー」

男「自分でも驚いてる。あそこまで出来るとは思わなかった」

金剛「本当に、カッコよかったデス」

男「そ、そう言われると照れるな……」

男「まぁ……でもこれで……」

男「俺の手でみんなを守れるかもしれない」

金剛「私たちを……守る?」

男「俺にとって大切な仲間なんだ。俺が守らなきゃ。艤装がついてるかついてないかも置いといて」

金剛「……提督///」

男「……ところで金剛」

金剛「は、ハイ!」

男「金剛は……どうしてここに?」

金剛「あ……」

男「いや。答えにくいならいいよ」

金剛「……いえ。提督には話したいデス」

金剛「……私が小さな頃」

金剛の過去も紐解いていきます。終盤まで一気に行きマスヨ

金剛父『さぁ、美味しい料理が出来たぞ』

金剛母『今日はパパも頑張ったくれたのよ』

幼金剛『そうなの?ありがとうパパ!』

金剛父『はは!これくらいなんて事ないよ!』

金剛母『さ、みんなを呼んできてくれるかしら?』

幼金剛『はーい』

アメリカの比較的犯罪の少ない州の静かな住宅街に私は住んでマシタ

両親と他に妹が3人。みんな仲が良くて……あの時は本当に幸せで……

パパは元軍人でママがパパのハイスクールの同級生だったみたいデス

二人も仲が良くて……優しかった……

あ。金剛の建造はイギリスでしたっけ。イギリスに変更でお願いします

>>613 修正


金剛父『さぁ、美味しい料理が出来たぞ』

金剛母『今日はパパも頑張ったくれたのよ』

幼金剛『そうなの?ありがとうパパ!』

金剛父『はは!これくらいなんて事ないよ!』

金剛母『さ、みんなを呼んできてくれるかしら?』

幼金剛『はーい』

「イギリスの比較的犯罪の少ない地区。静かな住宅街に私は住んでマシタ」

「両親と他に妹が3人。みんな仲が良くて……あの時は本当に幸せで……」

「パパは元軍人でママがパパのハイスクールの同級生だったみたいデス」

「二人も仲が良くて……優しかった……」

「あ。提督、そんな真剣な顔しないでくだサイ」

「……多分ここに来たのは辛い過去を背負った人達ばかりだと思いマスけど、私はそうじゃないデスから」

「大きくなって私はハイスクールを卒業したらどこに行くか、真剣に悩んでました」

「そこで選んだのが軍だったんデス」

「軍。自分から?」

「えぇ。もちろん最初は反対されましたよ」

金剛父『軍……か』

金剛母『あ、危ないわよ!女の子が軍人だなんて……』

次女『お姉さま!!そのような危ない所にわざわざ飛び込まなくても!!』

三女『そ、そうですよ……』

四女『そうね。常識で考えても女性の軍人が多い訳じゃないですし』

「それでも私は軍に入りたかった。それはいつも父が自慢気に軍にいた頃の話をしていたカラ」

「みんなを守るために戦う。それがどれだけ誇りになるか」

「困っている人々を私が救えたら。きっとそれは一生の宝物になると思ったんデス」

「最初は反対していたみんなも、私が必死に熱弁したおかげで賛成して応援してくれるようになりまシタ」

「それに……」

次女『お姉さまが軍にいくなら!私も一生にいきます!」

三女『わ、私だって……みんなと一緒に……』

四女『戦闘の最前線じゃ活躍出来ないかもしれないけど、私には頭がある。やれるわ』

「結局末の妹がハイスクールを卒業した時点で父のコネを使って軍に入隊することになりまシタ」

「けれど私が入ったのはイギリス軍ではなくて……」

「ここだったんデス」

「……元帥のパパが私のパパの古い知り合いだったんデス」

「イギリスだけじゃない。ここでなら世界を守れるんだ」

「パパはそう言ってまシタ」

「それで私達姉妹はここに来てそれぞれ……」

「金剛」

「比叡」

「榛名」

「霧島」

「そう名付けられたのデス」

金剛「短い話でしたけど聞いてくれてありがとうございマス」

男「まて、という事は金剛の妹がここに……?」

金剛「比叡と榛名は別の部隊にいマス」

金剛「霧島は……この部隊にいたんデスけど……」

金剛「……」

男「……そうか」

お仕事です

犬娘からみてくれてる方いたんですね。ありがとうございます。向こうとはかなり雰囲気違うですけどお楽しみいただければ幸いです

男「……金剛は。世界の為に戦う事をどう思う?」

金剛「……提督?」

男「やりきれると思うか?自分の力で」

金剛「……それは分からないデス。けど……」

男「……」

金剛「自分のやりたい事をやって、その上での結果なら私は成功でも失敗でも受け入れマス」

男「……自分のやりたい事」

金剛「自分で選んでやったからこその結果なんデス。霧島の事だって……後悔して、悲しんで、受け入れマシタ」

男「……」

金剛「ねぇ……提督」スッ

男「っ!?」

男(顔……近……///)

金剛「……」

男(吐息が顔に掛かる……それに……)

金剛「提督はなんの為に戦ってるんデスカ?」

男「……」

男(なんの……為?)

男「そりゃ……世界の……為」

金剛「本当に?」

男「……」

金剛「……」

男(……世界の為。仲間の為。今までそう思ってたのに)

男(聞かれた瞬間。俺は答えられなかった)

金剛「私は自分の為に戦ってマス」

男「……自分の為」

金剛「私が戦いたいから。私が戦えばみんなが救われる。そういう優越感。正義感で戦ってるんデス」

男「……エゴイストなのか、金剛は」

金剛「エゴイストじゃない人間なんていまセン。人間はみんなエゴイストなんデス」

金剛「提督は……自分の為ではなくて、世界の為に戦ってるつもりなんデスネ」

男「……」

金剛「世界の為……みんなの為……それは提督の欲デス」

男「!!」

金剛「世界の為に、仲間の為に戦うと言う事でみんなからの英雄を見る様な目が、みんなから信頼されているという優越感が、欲しいだけデスヨ」

男「金剛!!」

金剛「それとも。それを感じた事は無いと?一度も?」

男「……」

金剛「答えてくだサイ。"一度も感じた事は無い"んデスネ?」

男「……それは」

男「それは……」

男(一度も優越感を感じた事が無いか?そう自分に聞いてみた。答えは……)

金剛「提督。提督は自分はエゴイストじゃないというエゴに、酔ってただけなんデス」

男「……」

男(否定……出来ない。違うと叫んで黙らせてしまえという凶暴な思考ばっかりが……湧き出てくる)

男(俺は……俺は……)

ギュ

男「……金剛?」

金剛「……提督」スリスリ

金剛「いいじゃないデスカ。自分の為でも。結果は同じデス」

金剛「悩んで、苦しんで、重荷に感じる事は無いんデス」

男「金剛……お前」

金剛「提督はあの日から変わりマシタ!いつもいつも苦しそうな顔をして、なにかに追い込まれていて……」

金剛「恐ろしいなにかから逃げる様に黙々と、機械みたいに……訓練ばかり……」

金剛「前の提督は!!そうやって自分に潰されて死んだんデス!!!」ギュゥゥ

男「……」

金剛「嫌デスヨ……もう……」

男「……何が、あった……」

金剛「今の提督と同じデス。そうやって自分を追い込んで追い込んで……耐えきれなくなって。自殺したんデス」

金剛「優しくて……みんなの事を考えてくれて……みんなから好かれていたのに……!!」

男「……」ギュッ

男(……俺は腕の中で震える金剛に掛けてやる言葉が見つからなかった)

男(結局。金剛に話をされて、俺は……なんの為に戦ってるのか分からなくなった)

男(心に、大穴が空いたみたいだった)


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー

男(俺は仲間の為や世界の為に戦っていたんじゃなくて自分の為に戦っていた?)

男(俺は……仲間の事をちゃんと思っていなかったのか?)

男(俺を讃える為の道具だと。そう思っていたのか?)

男(……)

翔鶴「という訳で。今回の任務は近海のさらなる警備強化の為の巡回が目的です」

翔鶴「何故鎮守府内部に敵が現れたのか。原因を調査するとともに事態の解決を図ります」

翔鶴「それでは提督。お願いします」

男「……」

翔鶴「提督?」

男「……」

翔鶴「提督!」

男「んっ?なんだ?」キョロキョロ

天龍「……なんだありゃ」

電「ぼーっとしてたのです」

金剛「……」

天龍「なんか。珍しい事もあるもんだな。今まで人の話聞いてないなんて事無かっただろ」

翔鶴「もう……しっかりして下さい」

男「悪い悪い。で、なんの話だっけ?」

翔鶴「今回の作戦の概要までは話しました」

男「えっと……ここまでか。うん」

男「今回の任務。もちろん増援は無いしもし敵と接触した場合は自分たちで対処するしかない」

男「各々、万全の状態で挑む様に」


天龍「おーし……ゲーセンでも行くか……たまにはみんな来るか?」

翔鶴「私は……また今度にするわ」

金剛「私も今度にしておきマース」

天龍「なんだ……電はどうする?」

電「電は……少し行ってみたい……かな?

天龍「よし決まり!行こうぜー」

男「……」

今日はここまでです

男「……」

翔鶴「……提督はいかがされるんですか?」

男「俺か……俺は……」

翔鶴「……」

男「……」

翔鶴「なにも予定がないのでしたら私とお茶でもいかがですか?」

男「ん……そうしようかな……」


翔鶴「どうぞ」コトッ

男「ん?今日は麦茶か」

翔鶴「最近急に暑くなって来ましたから」

男「……部屋も模様替えした方がいいかもな」

男「……」ゴクッ

男「ふぅ……」

翔鶴「……麦茶を飲んでいると風鈴の音が聞きたくなります」

男「なんとなくわかる」

男「ま、もう夏だしな……風鈴に扇風機に……」

翔鶴「簾も欲しいですね」

男「だな……」

翔鶴「……」

男「……」

翔鶴「……」

男「こう……静かに、なにも考えないでまったりしているとすごく癒されるよ」

翔鶴「そう……ですね」

男「……」

翔鶴「……あの」

男「ん」

翔鶴「楽しい……ですか?」

男「……なにが?」

翔鶴「私と……こうしていて。あまり面白い話も出来ませんし……」

男「楽しいか……そうだな。楽しいというよりは……落ち着くかな」

男「翔鶴と一緒にいると……なんだろうな。癒される……というか、心が安らぐ……というか」

男「なんか……凄い恥ずかしい事言ってないか俺……」

翔鶴「そ、そんな事は……ないと、思いますよ……///」カァァ

男「……」

男(も、もじもじして……顔が赤くなってる……)ゴクッ

男「……な、なんか……暑いな」

翔鶴「そうです……ね……」

男(……目を合わせづらい)

男(ちょっと待て、なんで俺こんなに動揺してる……んだ?)

翔鶴「あ、あの……」

男(誰かと話しててこういう事にはなった事……ない)

男「どうした……?」

翔鶴「いえ……」

男「……そっか」

男「……」

翔鶴「……」

男(前からなんとなく……居心地の良さは感じてたし。なんだ、触れると……恥ずかしくなるし)

男「……」

男「……まさか、な」

翔鶴「どうかしたんですか?」

男「いや、なんでもない」

男(そうだったとしても……この関係だ。後腐れが酷くなりそう……だし)

男「……」

男(意識し始めた途端、なんだか……)

なんだかんだこういうのが一番難しい

男「……」

男(心臓が高鳴る……ってのは……こういう事か……)

男(凄く……息苦しい……)

翔鶴「……」

男「……」

男、翔鶴「あ、あの!」

男「そ、そっちから……」

翔鶴「いえ!て、提督の方から……」

男「むぐ……」

男(こ、このベタな展開……な、なんだよ……)

男(で、でも。ベタだから……先が見えるから余計に……)

男「い、いや……別に大した事じゃないんだ……」

翔鶴「私もそこまで……」

男「……」

翔鶴「……」

男「……なぁ、翔鶴」

翔鶴「は、はい!」

男「……なんの為に戦えばいいんだろうな」

翔鶴「……え」

男「……世界の為か、仲間の為か、自分の為か、それとも……」

男「大切な人の為」

男「……俺はなんの為に戦えばいいんだ」

翔鶴「……」

男「世界の為に仲間の為にと戦う事は偽善なのか。独善なのか」

男「自分の為に戦うのは他人を蔑ろにするのか」

男「……わからない」

翔鶴「……提督」

男「やっぱり世界の為に、仲間の為に戦うのが一番か」

男「そうすれば俺はどこまでも自分を追い込める。追い込んで追い込んで、強くなれる」

男「でもそれだと。俺は……途中で壊れそうだ」

男「自分の為に戦う?そうすれば俺はきっと楽が出来るな。心に余裕だって出来る」

男「だけど……それじゃあ強くなれない!!間に合わない!!」

男「……どうすればいい?」

翔鶴「……」

翔鶴「……」

翔鶴「提督、私の隣に来てもらえませんか?」

男「……」スッ

ナデナデ

男「……」

翔鶴「提督は優しくて……真面目で……一生懸命だから。中途半端な事は出来ないんですよね」ギュッ

男「……!!」

翔鶴「これは多分。提督自身の問題で、私たちが口を出していい話じゃないんだと思います」

翔鶴「時間は提督が思っている以上にあります。だから、焦らないで」

翔鶴「ゆっくり、考えましょう?」

男「……あぁ」

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


男(何故練習用海域にまで敵が現れたのか。あそこは、そう簡単に手を出せるほど侵入が容易い訳じゃない)

男(どこかに穴がある……?誰にも気づかれない侵入ルートが……)

男「……注意を怠らない様に」

翔鶴「艦載機、先行させます!」パシュッ

偵察機妖精『進行ルートを先行して偵察します』

翔鶴「お願いね」

男「電、天龍の二隻を先頭として。後方に金剛、翔鶴で続くぞ」

天龍「っしゃあ!任せろ!」

電「頑張ります!」

金剛「敵が現れたら私に任せるネー!」

翔鶴「……敵は発見出来ない様ですね」

男「……たまたま現れただけだった……」

男(そんな都合のいい事あるのか?)

翔鶴「待って!」

偵察機妖精『敵艦発見!空母ヲ級が一隻』

天龍「……それだけか?」

偵察機妖精『……艦載機を発艦させる様子はありません。微動だにせず』

電「……お話で解決するかも!」

金剛「一体どういう事なんでショウ」

翔鶴「……」

男「……囮か?」

天龍「ん、見えたぜ。確かにあいつ一体だけだ」

空母ヲ級「……」

翔鶴「あの時の……ヲ級」

男「……あの時の?」

天龍「よし、さっさと沈めて……」

ヲ級「……」ボソッ

天龍「……あぁ?」

翔鶴「……あ、そん…な。嘘」ガクガク

男「お、おい!翔鶴、どうした!!」

翔鶴「そんな……だって、あの娘は……」

男「翔鶴!しっかりしろ!あのヲ級、なにかあるのか?」

ヲ級「……ェ」

電「ひっ……そんな……」

金剛「……」

天龍「……おい、今の……」

翔鶴「い、嫌……」

男「……」ジッ

ヲ級「……」




「翔鶴……姉」

お仕事です

男「……あいつ、今翔鶴の名前を……」

翔鶴「……瑞鶴」

男「……瑞鶴。もしかして……!!」

翔鶴「瑞鶴は……私の……妹です」フルフル

男「!!!」


木曾『身体はただの肉になり魂は情報世界に解き放たれる。つまり死んだ状態になる』

木曾『……そうだ。魂は情報世界を漂い続ける。永遠にな……』


男「……でも。でもあれはどう見たって深海棲艦だろ!!」

翔鶴「そう……ですけどあれは……あの娘は確かに……瑞鶴です!!」

翔鶴「あの……肩に……飛行甲板が……」

男「……飛行甲板?」

ヲ級「……」

男(本当だ……あれにだけ飛行甲板が……付いてる)

翔鶴「それに!!あの声……雑音になにか違う声が混じってたけど……瑞鶴の声でした……」

男「……」

男(ちょっとまて、状況が理解出来ない。突然現れた深海棲艦が翔鶴の妹?)

男(確かに見た目も少し違うけど……とても艦娘とは、思えない)

男(艦娘……じゃない……)

男「……まさか。もしかして……」

男(情報の世界を魂が漂う……)

男(それが情報として存在しているのなら、深海棲艦というエラー、ウイルスに……)

男(犯される事もあるんじゃないか?)

男「……深海棲艦に……喰われた」

翔鶴「っ!!」

天龍「……瑞鶴姉」

金剛「……私は」

電「……」

男(……こんな状況にも慣れてきたのは、なんだか悲しいな)

男「……それで。あれが翔鶴の妹だったとして、どうするんだ」

天龍「……クソッ!!」

金剛「……深海棲艦なら、倒すしか……」

電「待って欲しいのです!まだお話で……」

瑞鶴?「……翔鶴……姉」

翔鶴「瑞鶴!!」

瑞鶴「タス……ケテ……」

ザバァァァ!!!

天龍「なっ!!」

男「海中から……深海棲艦が……!!」

電「はわわ、沢山いるのです……」

金剛「囲まれましたネ……」

翔鶴「……」

男「とりあえず……通信を……」

『ザザッ……ザザザ……』

男「……ジャミング……」

天龍「で?どうすんだよこれ」

男「……やるしかないだろ。全部叩き潰す!!」

翔鶴「待って!!瑞鶴は攻撃しないで!!」

男「翔鶴……」

ヲ級「……」スッ

ブォォォン!!

男「艦載機まで……」

金剛「……なんとか、してみまショウ……!」

天龍「……瑞鶴姉なら、助けてやらねーとな」

電「そうです!きっとなにか方法があるのです!」

男「……」

翔鶴「お願い……します。提督」

男「……」

男「……あのヲ級へのダメージは最小限に抑える様に。追い払うか鹵獲するか、なんにせよ」チャキッ

男「まずは周りをなんとかしないとな!」タタタンッ

駆逐イ級「……」ゴポゴポ

天龍「さらっと駆逐艦倒してるのがなぁ……まぁいいか。いくぜ!」ザッパァァァンッ!!

金剛「ファイヤー!」

ダダダダダ!!

男「空は敵艦載機の土壇場だな……翔鶴!制空権を確保してくれ!」

翔鶴「は、はい……」スッ


男(しかし……あのヲ級が翔鶴の妹、瑞鶴なら……どうやって助ける?)

男(ウイルス……深海棲艦部分を叩き潰せば元に戻るのか?だけどそれだと……)

男(放っておけばそれこそ被害も増える。鹵獲して考えるしかないか……)

雷巡チ級「……」ボシュッ

男「……」ダッ

ドゴォォォンッ

男「……」スッ

タンッ!タンッ!タンッ!

ダダダダンッ

男(流石に装甲は硬いよな……なら!)ダッ

シュッ

スパッ

雷巡チ級「……」ブシュウウウ...

男「近接で攻撃した方が戦えるのか、俺」

軽巡へ級「……」ザァァァ

金剛「提督!後ろ!」

男「なっ……」

ドンッ!!

男(しまった……!太刀を落とした……!)

軽巡へ級「……」ガバッ

男(下の口で喰ってやるつもりかよ!)

男「……うおおお!!」ダッ

ブンッ

軽巡へ級「……!?」

男(上の人型部分なら、素手でも行けるか!!)

男(殴って殴って、敵のカウンターを受け流して利用する!)

ドゴッドゴッドスッ!!

雷巡チ級「……」メコォ...

男「顔面に喰らっとけ!」スッ

タンッ!タンッ!タンッ!

天龍「嘘だろ……あいつ今素手で戦ってたよな……?」

電「司令官さんは……人間なのでしょうか……」

男「一応人間のつもりだけど……一体どうなってるんだ……」

金剛「それはこっちが聞きたいデス」

翔鶴「瑞鶴!」

瑞鶴?「……」


ブォォォ


戦闘機妖精『……あれが少し前に一緒に空で戦ったやつだとは。正直思えねぇな』

爆撃機妖精『姿形はほとんど深海棲艦。面影があるかと言われればある様な気もするでござるが……』

戦闘機妖精『ま、なんとかするっきゃねーだろ』


翔鶴「瑞鶴……どうして……」

瑞鶴?「……」

お仕事ですー

男「しかし……鹵獲するにしてもどうしたらいいものか……」

天龍「方法がッ!!ないよなぁッ!!」ダンッダンッダンッ!!

男(本部に連絡しようにも電波障害が酷い。クソ……)

電「お話して付いてきてもらうのはどうですか?」

天龍「話が出来るのかが問題だな……」


翔鶴「瑞鶴!ねぇ、どうして……どうしてなの……」

瑞鶴?「……」

翔鶴「……どうしたらいいの、私」


重巡リ級「……」サッ

ブンッ

金剛「翔鶴!!」

翔鶴「え……?」

ガンッ

男「……いってええええええ!!!!」

翔鶴「提督!!」

男「左手……折れたんじゃないか……これ……」ギリッ

翔鶴「提督……私……ご、ごめんなさい……」ポロポロ

男「だ、大丈夫。それより制空権を!!」


天龍「……あいつ、パンチで重巡のフルスイングを……!?」

金剛「……oh」


男「……やらせるかよ」ギュッ

男(まだ右手は生きてる。片手で銃を撃つのは難しい……なら!)

男「……右手と脚で勝負してやる」ゴクッ

ブンッ

男「ふっ……」スッ

男(かわして……脚で首を狩る!!)

男「喰らえ!!」グッ

重巡リ級「!?」

ゴキッ

天龍「……首を膝裏で挟んで、折った……?」

金剛「捻りを加えて体重を掛ければ出来るかもデスけど……」

電「はわわ……」

男「……翔鶴には手は出させない」

翔鶴「……あ///」カァァ

翔鶴「……」キッ

翔鶴「艦載機!すぐに制空権を確保して!海上の駆逐艦にも爆撃を!」

瑞鶴?「……」スッ

ブォォォン

金剛「苦戦してマスネ」

電「なのです!」ボシュッ!!

天龍「でも敵の航空攻撃が来ない辺り、翔鶴姉はがんばってくれてるぜ」

翔鶴「……」スッ

ブォォォン

ズダダダダダンッ!!


瑞鶴?「……ァ」

翔鶴「制空権確保!」

天龍「っしゃあ!!一気に行くぜ!!」

敵駆逐艦群「……」チャキッ

電「な、なにか来ます!」

天龍「一斉に口を開けた!?」

ボシュッ!!

ブシュゥゥゥウウウ...

金剛「こ、これは!?」

男「煙……げほっ……げほっ……」

翔鶴「視界を奪って……なにをする気なの……」


男「……」

金剛「……」

天龍「き、消えた……?」

電「敵さんがみんないない…のです」

翔鶴「……瑞鶴」

ここまでです

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


元帥「なるほど……それほど大量の敵が潜伏していたか」

元帥「駆逐艦に……軽巡洋艦に重巡洋艦。戦艦、空母は確認出来ず」

元帥「報告ご苦労だった」

男「はい」

元帥「時に、あの薬はちゃんと服用しているね。体調はどうだ?なにか変化はあったか?」

男「体調は今のところ特に……変化は……」

男(めちゃくちゃ強くなった、なんて言えないよな……)

男「特にありません」

元帥「……そうか。今後も頑張ってくれ」

男「はい、それでは」ガチャ

バタン

元帥「……」

男「……」

男(翔鶴の妹、金剛の妹……俺の前任の提督)

男(……話、聞いておかないとな)

男(その前に……)

コンコン

男「……いるか?」

翔鶴「あ、提督……なにか御用ですか」

男「様子を見に来た」

翔鶴「……空いているので、どうぞ」

男「ん……」ガチャ

バタン

男(そういえば翔鶴の部屋って入るの初めてだな)

男(どの家具も綺麗に整えられていて、新居みたいなかんじがする)

男(ピンク色とかも少し散らばってて女の子の部屋なんだとはわかるか)

男(そして……)

翔鶴「今お茶をお淹れしますね」ニコッ

男(……新妻っぽいな)

翔鶴「紅茶と緑茶どちらが……提督?」

男「ん、ん?」

翔鶴「少しお顔が赤い気がするのですが……大丈夫ですか?」

男「あ、あぁ!大丈夫大丈夫……」

男「……」

お仕事です

男(それになんだか……こう。女の子特有の……匂いというか)

男(甘い匂いが……)

翔鶴「紅茶で大丈夫ですか?」

男「うん……」

男「……」

翔鶴「お砂糖とシロップと……ジャムもありますから好きに使って下さい」コトッ

男「ありがとう。いただくよ」

サラサラ

男「……」

翔鶴「……」

男「……あー……えっと」

翔鶴「はい……」

男「翔鶴も紅茶とかにこだわりがあったりするのか?」

翔鶴「金剛さんと一緒に飲んでいるうちに……少しだけですけど」

男「そ、そうなのか……」

翔鶴「提督は……紅茶は好きですか?」

男「うん。好きだよ。そこまで頻繁に飲む訳じゃないけど……」

翔鶴「提督はいつもコーヒーですもんね」

男「これだけはずっと変わらないんだ」

翔鶴「……」

男「……」

男(この……気恥ずかしさ……ああもう。なんなんだ)

男(あの時、意識し始めてしまってから……)

男「……」

翔鶴「……提督?」

男「ん?」

翔鶴「先ほどから……落ち着きが無い様な気がするのですけど」

男「そ、そうか?」

翔鶴「もしかして私の部屋だと……居心地悪いですか?」

男「そんな事は無いよ!むしろずっと居てもいい」

翔鶴「……///」

男「あ……」カァァ

男「……」

翔鶴「……」

男「……」

男(な、なんかお見合い……だな。これ)

男(……そういえば俺なにしに来たんだっけ)

男(……そうだ)

男「翔鶴」

翔鶴「は、はい」

男「前の提督の話、聞かせてくれ」

翔鶴「……!」

男「……俺には関係の無い話って訳にはならないからな」

男「部下の不安は……その、指揮に関わるし。上司として……いや、友人として」

男「聞かせてくれ」

翔鶴「……提督になら。お話します」

男「……」

翔鶴「私たちの提督は、とても心優しくて、暖かくて、心から信頼出来る……そんな方でした」


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ーーー


提督『翔鶴!瑞鶴!大丈夫か……?』

翔鶴『私は大丈夫です。それより……』

瑞鶴『翔鶴姉、瑞鶴はまだ大丈夫!』

霧島『司令は少し過保護なんじゃないですか?』

提督『そんな事はない!もしみんなが大怪我したら……』

天龍『もっとオレたちを信頼してくれてもいいんじゃないか?』

提督『いや……信頼はしてるよ……けど』

龍田『天龍ちゃん?あまり提督を困らせちゃダメよ?』

金剛『提督は私たちにラヴだから気にしてくれるんデスヨネ?』

木曾『そうなのか?』

提督『むむ……』

「海で大破しようものなら……」

提督『て、天龍!?た、大変だ……』

天龍『これくらい……どって事ねーよ!』

提督『早く下がれ!みんなは天龍のカバーを!』

天龍『だから大丈夫だって!』

提督『大丈夫じゃないだろ……こんなにボロボロになって……』グスン

天龍『あ、あー……』ポリポリ

木曾『大人しく下がった方がいいな。このまま提督を砲火の危機に晒してる訳にもいかない』

天龍『わぁったよ……ほら泣くなって……』ナデナデ

提督『うん……』

今日は用事でお仕事休んでお出かけしてます。次は夜になると思いますが更新出来るかどうかはわからないです

展開的にはそろそろ伏線回収も始めたい頃

「そんな本当に心優しい方でした」

「出撃以外だって……」


翔鶴『……』

提督『……どうした?なんとなく浮かない顔してる』

翔鶴『いえ……なんでも』

提督『……悩み事は一人でするよりみんなで考えた方が早く解決すると思うんだ』

提督『も、勿論プライバシーとかもあると思うから無理に話す事も無いけど……』

翔鶴『……ふふ』

提督『翔鶴?』

翔鶴『優しいんですね、提督は』

提督『や、優しいというか……心配というか』

提督『一人で苦しんで欲しくない……かな』

「……すごく提督に似てました」

「……俺?」

「はい!」

「……そうかなぁ」

「そうですよ!」

「……でも。ある戦闘がきっかけで変わってしまったんです」

「ある……戦闘」

「私の……妹が死んだ戦闘」

元帥『……今回の戦闘。沢山の犠牲を払った』

元帥『炎上する海上での死闘。敵艦を近づけまいと勇を振るってくれた者』

元帥『全ての艦娘達に……冥福を』

「元帥閣下の直属部隊でも、大和さんが犠牲になったそうです」

「大和って……あの戦艦大和?」

「そうです。この鎮守府でも最強と謳われた艦娘……無数の深海棲艦相手に奮戦し続け……沈んだ……と」

「……」

「……ん、待ってくれ」

「はい?」

「……盗聴器とか、無いよな」

「……ありません」

「……何故元帥は海で死ぬ事を認めている?」

「今は……ほら。例え死んでも……その」

「……そうですね。確かに」

「でもそれには訳があるんです」

「訳?」

「この頃の元帥閣下は……今の元帥のお父様なんです」

「……父親」

「……この数日後に急病で亡くなられて、今の元帥になったんです」

「……そうだったのか」

(元帥の父親、この話にもなにかありそうだな)

「そのせいで、今とは色々違うところがあると」

「そうです……ね」

「……話を戻しますね」

「私たちの部隊からも……霧島さんと瑞鶴が……犠牲になりました」

「……」

提督『……ごめん。みんな』

天龍『……』

金剛『……提督が謝る必要は無いデス』

翔鶴『そうですよ。提督はなにも……』

木曾『……』

龍田『……』

提督『そうは言っても。結果は結果だ。この事は、重く受け止めなければいけない』

提督『……来週には補充として駆逐艦の娘が編入されるらしい。仲良くしてくれ』

「……電?」

「そうです」

「……」

「それから提督は。なにかに取り憑かれた様に訓練をする様になりました」

「いつもなにかに迫られているような。そんな面持ちで……」


翔鶴『あ、あの……提督?』

提督『……なんだ』

翔鶴『少し……休まれた方が』

提督『……俺に休んでる暇なんか無い。俺がもっと強くなれば、あんな事にはならなかった!!』

提督『……ごめん。いくよ』

翔鶴『あ……』

「私たちとも話してくれるか機会が少なくなりました」

「今までは和やかで仲の良かった艦隊のみんなとも……関係が希薄になっていって……」

「ある時、首を吊って自殺していたんです」


翔鶴『提督、入りますよ……』ガチャ

提督『……』

翔鶴『……あ、あ……嘘……』

提督『……」

翔鶴『い、いや……提督……提督!!!』

金剛『翔鶴!どうかしたんデ……スカ』

金剛『なに……これ……』

男「……そうだったのか」

翔鶴「その後しばらく時間が空いて、提督がここに着任したんです」

男「……」

翔鶴「……」

男「そうか……そうだったのか……」

男「似てる……か」

翔鶴「……」

男「いや、金剛にも似た様な事を言われたんだ」

翔鶴「金剛さんに?」

男「あぁ……」

男「自殺は……わからないけど。確かに……なんとなく、似てる気がする」

男「悪かった。そういうのを見てきたみんなにまた、同じ事を見させようと……していたのかもしれない」

翔鶴「……」

お仕事です

男「ただ、訓練はやめないよ。強くなった方がいいに決まってるし」

男「みんなの事を守ってやりたい。俺も戦いたい」

男「そういう気持ちも変わらない」

翔鶴「……提督」

ナデナデ

男「でも……本当に無理はしない。自殺なんて絶対にしない。みんなと笑って過ごしたい」

男「……翔鶴と、一緒にいたい」

翔鶴「はい……え?」

男「え?あ……」

男(あ、うあああああ……!?!?)

男「あ、いや……これはそのだな……えっと……」

翔鶴「て、てて提督!?今…のは!?///」

男(口が滑った!!?いや……思った事そのまま言ったら……ああうん……)

男「……」

翔鶴「……」

男(心臓が……痛い。胸なんか飛び出して行っちゃうんじゃないか……)

男「……」

男(や、やば……歯カチカチ言い出した……)

翔鶴「……あ、あの」

男「はい」

翔鶴「今の……本当ですか?」

男「ほ、本当……です」

翔鶴「えっと……一緒にいたい……というのは……具体的に……その」

翔鶴「教えてください」ズイッ

男「……」ゴクッ

男(お、漢見せろよ俺……!!どうせここまで来たら……)

男(逃げられない!!!)

男「……二人で、一緒にいたい」

男「ずっと。二人きりでいたい」

男「……ああ、なんだ。その、あんまり上手く言えないけど」

翔鶴「……」

男「死ぬまで一緒にいてくれよ」

ここまでですー

翔鶴「……」

男「……」

翔鶴「……」

男「……あの、なんか言ってくれると嬉しいんだけど」

翔鶴「へ?あっ……その!」ワタワタ

男(も、ものすごい動揺してる……って。そりゃあそうだよなぁ)

翔鶴「あぁぁ、なんて言えばいいのか……」

男(なんだろ。ぶっちゃけた後ってすごい……楽だな)

翔鶴「わ、私!」

男「うん……」

翔鶴「あ、歩けないですよ?」

男「……ん?」

翔鶴「多分一生このままですよ?誰かに手伝って貰わないとまともに生活も出来ないんですよ?」

男「……そう、だな」

翔鶴「それでも!それでもいいんですか……?」

翔鶴「貴重な時間を奪ってもいいんですか?」

男「……」

男「いいんじゃないかな。別に」

翔鶴「……本当に?」

男「翔鶴と一緒に居たいって言ったろ。お世話してる間は少なからず翔鶴と一緒にいる事になる」

男「別に悪い事はないんじゃないかな……」

翔鶴「……提督」

男「それに諦めるのは早いぞ」

翔鶴「え……?」

男「インターネットと神経を繋ぐ技術があるなら。途切れた神経と神経を繋ぎ合わせる技術だって出てくるかもしれない」

男「もっと技術が伸びればもっと優秀な義足だって出てくるかもしれない」

男「リハビリ次第で治るかもしれない。投薬で治るかもしれない」

男「まだ諦めるには早いよ」ナデナデ

翔鶴「提督……」

男「可能性だけなら無限にあるよ。少なくとも今俺が言った可能性は"実現する可能性"だって十分にあると思うけど」

男「……まぁ。ここまで話したけど、全部翔鶴次第だから」

男「なにを選んだって俺は、翔鶴のそばにいたい」

翔鶴「……提督」

翔鶴「私も……提督のそばにいたいです。ずっと……ずっと……」

男「……そっか。良かった」

翔鶴「提督、車椅子から降ろしてもらっても大丈夫ですか?」

男「ああ。いくよ」

翔鶴「はい」

グッ

男「ん、どこに降ろす?」

翔鶴「提督の……腕の中に」

男「……」

ギュッ

男「……」

翔鶴「……」

男(翔鶴の熱を感じる。身体の柔らかさを感じる。鼓動を感じる)

男(……絶対に失う訳にはいかない)

翔鶴「……提督」

男「……翔鶴」

翔鶴「はい」

男「今だけは、提督じゃなくてさ。男って呼んでくれ」

翔鶴「……男さん」

男「……」

翔鶴「……//」

男「……さん、は要らないと思うけどなぁ」

翔鶴「そ、そうですか?」

翔鶴「でも、提督という呼び方自体に敬称が含まれていますしその……呼び捨てにするのは」

男「んー……まぁいいか」

翔鶴「……ふふ」

男「……ははは」

男「……そういえば。翔鶴の本当の名前はなんて言うんだ?」

翔鶴「……それは」

男「……言うのはまずいか」

翔鶴「申し訳ありません……」

男「いや、翔鶴は悪くないよ。そうだな……」

男「いつか全部終わった時に教えてくれ」

翔鶴「……はい!」

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


男「……」

男「……へへ」

電「なのですっ!?」

男「はっ!?電いつの間に……」

電「司令官さん……どうしたのですか」

男「いや……なんでもない」スタスタ

電「……」

電「司令官さんのあんな顔、初めて見たのです」

男(いかんいかん。顔が勝手ににやけて……)

男(これじゃあすぐにばれそうだな……)

男「……へへ」

男「うお、危ない危ない……」キッ

男「……」

男「仕事にならないなこれは……」

グラッ

男「……ん。地震……か?」

男「あ、あぁ……?なんか、揺れてるな……」

翔鶴「提督!」

男「あれ……翔鶴か。どうした?」

翔鶴「提督にお話が……ってそれより!」

男「地震か……揺れて……るのは……俺?」

翔鶴「大丈夫ですか!?提督!!」

男「フラフラする……眠い……なんだ……これ」ガクッ

翔鶴「提督!提督!」

金剛「翔鶴!どうしマシタ!?」

天龍「おいおいなんだなんだ」

電「なにかあったのですか!」

男「……みんな」

ドサッ

お仕事へ

男「誰かを好きになるなんて馬鹿らしいな」

男「一度懲りたんじゃないのか?本当にお前は馬鹿だよ」

(俺の目の前に立つ俺は淡々と話す)

男「心から好きだっただろう?将来だってあの女と……それなのにお前は裏切られたんだ」

男「なんで繰り返そうとする?わざわざ」

男「お前には、世界を救う使命があるんだよ。いつかあの娘だって死ぬんだ」

男「吊り橋効果で得られた恋なんてその場だけの物なんだ。さっさと諦めろ」

翔鶴「わかったなら早く諦めて下さい」

翔鶴「私は怖いだけ。死にたくないから提督に寄生しようとしているだけなんだから」

(グサリと心臓を抉られた様な痛みが走る)

男「痛いだろ?な?こんな痛い思いするくらいなら……いっその事殺してみるか?」

男「ほら、ナイフだ。お前にやるよ」

(俺は動けない俺の手にナイフを握らせる。すると動けない筈なのにナイフを握る手には力が篭った)

男「それでその娘を刺せ」

(脚が少しずつ翔鶴へ向かう。どんなに嫌だと思っても、止まろうとしても、言う事を聞かなかった)

男「裏切られるのは怖いだろ?苦しいだろ?自分が好きだと思っていても相手はそうとは限らない」

男「なにかお前にはわからない様に隠し事だってしてる。お前の事なんかまるっきり信用してないんだよ」

男「ん……今なんでお前にそんな事がわかるんだ……って思ったか?」

男「そんなの簡単だ。お前は俺、俺はお前なんだ。お前が一番わかってる癖に」

男「さ、早く息の根を止めてやれ。お前には世界中の人間を救う"使命"があるんだ」

男「裏切られるくらいなら、どうせ犠牲になるのなら。お前が殺してやれ」

翔鶴「や、やめて……下さい。提督……」

翔鶴「私、提督の事……愛してる。好きなんです。だから……ずっと提督と一緒にいたい!」

(嫌だ……)

翔鶴「お願い……お願い……します。だから……」ポロポロ

(嫌だ……嫌だ……!)

男「ここからが、お前の真価だ」

ドスッ

翔鶴「あ……ぐ……ごぼっ……」

(あ……あ……)

ドスッドスッドスッドスッドスッ...

「……く」

「て……く」

「て……とく」

「提督!!」


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男「……」ポロポロ

翔鶴「提督!!提督!!」ユサユサ

男「……翔…鶴」

翔鶴「大丈夫ですか!?どこか苦しい所は?」

男「だ、大丈夫……大丈夫……」

男(涙が止まらない……なんだろう。すごく苦しくて、辛い夢を見ていた気がする……)

男(頭の中がぐちゃぐちゃにかき混ぜられて、全部吐き出したくなるような感覚)

男(声に出して泣きたくなるのを我慢するので精一杯で、嗚咽は隠しきれない)

翔鶴「……ずっとそばに居ますから」

男「え……」

翔鶴「ずっとそばに居ます。提督が悲しくなくなるまで、手……握っていてもいいですか?」

男「……あ、ああ……」

ギュッ

翔鶴「どうしてそんなに悲しいんですか?」

男「……わからない」

翔鶴「なにか、我慢している事があるんじゃないですか?」

男「……わからない」

翔鶴「……怖い、ですか?」

男「……」

翔鶴「……そう。怖い……んですね」

男「……」

翔鶴「大丈夫ですよ……どんなに怖い事があっても。提督のそばに私が居ます」

翔鶴「……だから」

男「……ありがとう」


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翔鶴「……落ち着きましたか」

男「なんというか……恥ずかしい所を見せたな……」

翔鶴「ふふ、大丈夫ですよ」

男「ところで……どれくらい眠ってた?」

翔鶴「ほとんど丸一日……ですね」

男「そうか……確か、突然目眩というか……眠気が来て。視界が揺れたかと思ったら……」

男「俺、もしかしてやばいんじゃないか……」

翔鶴「……」

男「しばらく……落ち着いていた方がいいか」

翔鶴「……元帥に報告してはいかがですか」

男「元帥に?」

翔鶴「はい。もしかしたら事情を考慮して正式に休養を取れるかもしれません」

男「……そう、だな」

男「……寝ていた丸一日分の報告もしないといけないしな。報告してみるよ」

翔鶴「はい」

男「迷惑……掛けたな」

翔鶴「そんな事……ないです」

男「……そっか」


元帥「……ふむ」

男「……」

元帥「この症状……そうか」

男「あの……」

元帥「少佐。君は……誰かを守りたいと思うか?」

男「……はい?」

元帥「どうしても失えない。大切ななにかは?」

男「……」

元帥「仮にそういうものがあったとしよう。そしてそれを脅かすなにかがすぐそばにある」

元帥「自分の力ではどうしようもなく非力で、その大切なものを失ってしまいそうになった」

元帥「そんな時に、その大切なものを確実に守れる絶対的な力が簡単に身につく事がわかったら……どうする?」

男「……!」

どうしてこういう悪夢が現れる様になったのかはネタバレになるのでまだ言いません

ここからどんどん泥沼に沈んでいく様な展開にする……予定です。このスレだけで終わるかが少し心配になってきました

男「……それは、どういう意味ですか」

元帥「聞いたままの通りさ」

男「……なにかそれに合わせたデメリットはありますか」

元帥「あぁ、そうだな……悪夢にうなされたり、突然倒れる……くらいだ」

男「……どうして黙って使わせたんですか」

元帥「仮に使ってくれなければそれでは意味が無かったからね」

男「……」

元帥「それで。それでも君は使い続けるか?」

男「……たったそれだけの副作用であれだけの効果を得られるなら。使いますよ」

元帥「わかった。ではいつも通りまた薬を渡しておく。容量は守る事」

元帥「悪夢は……まぁ大丈夫だろう。倒れたなら少し休養を取る事は許可する」

元帥「それと……薬の事は他言無用だ」

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男(つまり、あの海での異常な俺の強さは……薬のせいだったって事か)

男(副作用は……正直軽いものじゃない)

男(だけど、薬を飲み続ければあれだけの力を使い続けられる)

男(……)

男「大丈夫だ、きっと……」

元帥「……もしもし」

元帥「……えぇ。それの結果報告に……」

元帥「……資料は送らせます。えぇ、紙媒体の方がいいでしょうね」

元帥「……なに」

元帥「ふふふ、今はそちらの方が立場は上の人間でしょう」

元帥「……まぁ、どうしてもと言うのなら戻そうか」

元帥「……あぁ。そちらも準備を整えておいてくれ」

元帥「……これが上手くいけば、君も私も……」

元帥「……わかった。また今度」

ガチャ

元帥「……あと少し、か」

お仕事です

男「……」

翔鶴「……あ、提督」

男「翔鶴……」

翔鶴「いかがでしたか……?」

男「……今日は休養に当てる事にするよ。明日改めて……みんなに説明する」

翔鶴「はい。あの……」

男「ん……?」

翔鶴「お茶……しませんか?」

男「……そうだな」

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男「……今日も、薬を」ジャラッ

男「……」

男(薬を飲もうとするたびに手が震える。またあの拷問みたいな悪夢にうなされるんだと考えると手が止まる)

男(最近になって最初は覚えてもいなかった悪夢の内容をハッキリ思い出せる様になってきた)

男(心臓を抉られる様な、精神の削れていく夢……)

男(寝るのさえなんだか億劫だ……)

男(それでも……俺はこの薬を飲み続けなければいけない)

男(まだまだ俺は強くなれる。誰も死なないように……)

男(守る為に)

ゴクッ

男(みんなには疲労で倒れたと説明した。またこういう事があるかもしれないと)

男(悪夢はまだいい。だけど急に意識を失うのは……勘弁してもらいたい)

男「……」

男「今日は……電に勉強を教えてやるんだっけな」ガチャ

今日はここまでです

男「電、いるか?」

電「司令官さん。いらっしゃいませです」

男(小さな女の子ってイメージがすぐに湧いてくる様な部屋)

男(本棚には絵本や漢字、計算のワークに……)

男(かわいい人形なんかも飾られてる)

男「さて……今日はどこだったけな」

電「司令官さん」

男「ん、どうした」

電「お身体の具合は……」

男「ああ……うん。大丈夫。少し休んだら楽になったよ」

電「……無理、しないで下さいね」

男「……気をつける」

男「ここを、こうしてやると……ほら。簡単だろ?」

電「ここを……こうして?」

男「この数字を……こっちに」

電「わかったのです!」カリカリ

男「ん、正解。だいぶ早く解けるようになってきたな」

電「司令官さんが教えてくれたからです」

男「そっか……それなら嬉しいな」ナデナデ

電「えへへ……//」

男「……それじゃあ次の問題を」

電「……夢、だったのです」

男「……ん?」

電「こうして、お勉強を教えてもらうのが」

男「……そうだったのか」

電「お父さんもお母さんも、教えてくれませんでしたから」

男「……話してくれるか」

電「……」コクッ

「私には暁、響、雷……という名前のお姉ちゃんがいるのです」


「という事は電は一番末っ子なのか」

「そうなのです」

「それにお父さんとお母さんも一緒に……暮らしてたのです」

「お父さんは働き者で、お母さんは優しくて」

「でも……電たちがみんなで学校から帰って来た時に……」


暁『帰ったわよ!』

響『……この靴、誰のだろう』

雷『お客さんかしら?』

『やぁ、みんな。初めまして……かな?』

電『お姉さん……誰ですか?』

『私の名前は……そうだなぁ。元帥って呼んで欲しい』

「……元帥」


元帥『突然で……驚くかもしれないけど』

元帥『これから私の家に来てくれないかな?』

雷『ちょっとまって、それって……』

暁『し、知らない人に着いて行っちゃいけないって……言われてるの!』

元帥『そっか……みんなのお父さんお母さんは偉いんだね。ちゃんと教えてるんだ』

元帥『でも安心して。私はお父さんとお母さんの友達だから。その証拠に……お父さんお母さんから手紙を預かってる』

ペラッ


響『手紙……私たちにかい?』

電『見せて下さい!』


みんなへ


急で本当にお父さんとお母さんもごめんなさい、と思っています

これから二人で少し遠い所へ行かなければいけなくなりました

みんなはお父さんとお母さんの友達の元帥さんについて行って下さい

元帥さんは優しい人だから、きっとみんなを大事にしてくれると思います

今までお金が無くて、みんなを苦労させてごめんなさい。忙しくて構ってあげられなくてごめんなさい

けど、みんなが元帥さんの所に行ってくれるおかげで、お父さんとお母さんは沢山お金がもらえます

次に会う時はみんなで美味しいものを食べにいきましょう。それまで待っていて下さい

電「それで私たちはここに来たんです」

電「お父さんもお母さんも……いつか電たちを迎えに来てくれます。だから……」

男(これって……人身売買じゃないか……!!)

男(……多分電の両親は帰ってこない。しかも今聞いた内容を信じているのなら)

男(ずっと……ずっと待ち続ける事になる)

お仕事です。これで一応艦隊のみんなのエピソードが出揃った事になりますね

全員の過去を知って、男はなにを思うのか。男が取る行動は……続きます

おっと、まだ一人過去を話していない艦娘がいましたね。それもまたおいおい……

お仕事です

男「……他のみんなはどこに?」

電「みんな別の司令官さんの所にいるのです」

電「たまにみんなで会っておしゃべりするんです。だから、さみしくないのです」

男「……そっか」

男(この娘も、守ってやらなきゃ……)

男「さぁ。勉強の続きをしよう」

電「なのです!」

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男「勉強も終わり……と。さて、どうするかな」

男「……」

男(誰かの所にいくのもいいけど……訓練でもいい)

男(……さて)

男「……訓練するか」


シュッ

男(呼吸は一定に保って……)

男(一瞬の動きに力を入れて踏み出す!)

ダッ

男(脇を締めて剣を振り上げ、叩き潰す!)

スパァンッ!!

男「……」

男「現実ではこうも普通なのに……あの世界にいくと人外の様な力を発揮出来る」

男「……」

スパァンッ!!

男「……ふぅ」

男「……」

男(静かに、心を研ぎ澄ませて。集中する……)

「……」

男「……!」スッ

男「……誰も、いないか」

男「……気のせいか?」

男「……」

男(随分……変わったよ。本当に)

男(とんでもない事に巻き込まれて、銃なんか撃ち始めて)

男(死に物狂いで戦って、みんなの過去を知って)

男(……人を好きになった)

男「……」

男(そして……俺が忘れちゃいけないのは……)

男(木曾はどこかで生きていて、いつか……)

男「……」

男(……)

男「ダメだな。静かに集中しようとするといろいろ考えてしまう」

男「……」

男「……いろいろ、か」


男(結局なんとなく練習にならなかった)

男「……どうするかな」

なんか知らない間に捻挫してるし近所のコンビニに行っても湿布売ってないし……(白目

ところで少しお題募集させてもらってもいいでしょうか。誰か名前上げていただければコミュニケーション取ります。消えた艦娘でも大丈夫です

なにかアクションを上げていただければそれを実行します。お話的にまずそうなのは少し湾曲させて書きます

なにも無ければ翔鶴ちゃんと過ごさせようかと思ってますが

あ、有る程度であったら謎とか伏線の回収でも大丈夫です。自分でももしかしたら見落としてるかもしれないので……

よろしくお願いします

男「……ん」

男「金剛の……部屋か。居るかな」コンコン

金剛『ハーイ!』

男「俺だけど……今暇か?」

金剛『提督!今開けマスネ!』

ガチャ

金剛「どうしたんデスカ?」

男「いや……少し暇になってな」

金剛「それなら私とティータイムにしまショウ!」

男「そうさせてもらうよ」

金剛「さっきちょうどブラウニーが出来たんデスヨ!ストレートティーと一緒にドウデショウカ?」

男「へぇ……それは楽しみだな」

金剛「今用意するのでくつろいでいてくださいネー」

男「ん、ありがとう……」


金剛「どうぞ召し上がれ!」コトッ

男「これ……あったかいのか?」

金剛「温かいブラウニーにアイスクリームが凄く合うんデスヨ」

男「じゃあ早速……いただきます」スッ

男「ん……美味しい」

金剛「……フフ」ニコニコ

男「けど……甘いな」

金剛「糖分はしっかり取らないとネー」

金剛「……疲れちゃいますヨ」

男「……」

金剛「提督、最近なんだか少しやつれてる気がしマス。それも……」

金剛「木曾が消えたあの戦いから……」

男「……!」

金剛「まだ、引きずって……」

男「いや、そうじゃない……あれは関係ない」

男「俺の中で……踏ん切りは付いてる」

金剛「それなら……」

金剛「……」

金剛「……!!」

男「どうした?」

金剛「……薬。飲んでますよネ?」

男「薬……あぁ……飲んでるけど……」

男(金剛……!?まさか……)

金剛「……その薬。本当に精神安定剤デスカ?」

男「……そうだ」

金剛「……それならいいんデス。ならその薬、提督には合わないんじゃないデスカ」

金剛「あの時から……考えると薬のせいとしか思えないデス」

金剛「別の薬を使った方が良いと思いマス」

お題ありがとうございます。折角なので話の進行と合わせて使わせていただきました

あと2つくらい。あればよろしくお願いします。無ければがんばって考えてみます

トイレは各部屋に一つずつあるから争奪戦にはならないんですよねぇ……結構改変すると思いますけど使わせていただきます。ありがとうございます

男「……わかった。そうするよ」

男(金剛は……鋭いのかもな)

男「心配してくれてありがとう」

金剛「い、いえ……それより!ブラウニーが冷めないうちに!」

男「ん、そうだな。冷めたら勿体無い」


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男(あの後は……金剛と他愛ない話をして、別れた)

男「もう、すっかり夜だな……」ジャラッ

男「……」

男(当然薬を変える気はない。変えてしまったら……)

ゴクッ

男「……確実に、蝕まれてる気がする」

男「……俺もまた、実験体って事なのか……」

男(結局俺は、元帥の手の中で踊らされてるだけ……らしい)

男(……だけど)

男「例え利用されてるだけだとしても……俺は……」

コンコン

男「はい」

翔鶴「失礼します」

男「翔鶴か……どうした?」

翔鶴「あの……その……」

男「ん……?」

翔鶴「よ、よろしければ……一緒に……」

男「……」

男(翔鶴の香りが微かに香る。なんだかそれに……顔が赤くなっているような)

男「……」ゴクッ

男(というかなんで俺は緊張してるんだ!)

翔鶴「ご迷惑……で、無ければでいいんですけど」

男「あ、あぁ……」

翔鶴「……一緒に……せんか?」ボソボソ

男「……ごめん、上手く聞こえなかった」

翔鶴「その……!一緒に、寝ませんか!」

男「……え?」

男「……」

男(え、えぇ!?)

男「そ、それってつまりその……そういう事だよな……」

翔鶴「そ、その寝ると言っても添い寝という意味で別にそれ以外のやましい事は全然!」

男「そ、そうだよな!ははは……」

男「……でも、なんで急に?」

翔鶴「……提督。最近よくうなされてますよね」

男「……」

翔鶴「なにかあったんですか?処方された薬はちゃんと飲んでますか?」

男「大丈夫、薬は飲んでる……うなされるのは、きっと……少し疲れてるだけだ」

男(薬の事を知っているのは今の所翔鶴と、金剛だけ)

男(副作用の話は、誰も知らないはず)

翔鶴「……不安なんです。提督が……壊れてしまうんじゃないかって」

翔鶴「怖い、夢を見るんですか?」

男「……そうだな。怖くて怖くて……逃げ出したくなるような夢、だな」

翔鶴「だったら、提督の……夢の怖さが少しでも和らぐ様に……そばに居させて下さい」

翔鶴「……いえ、ただ。提督の隣に、居たいんです」

男「……そうか。ありがとう」

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男「よっ……と」

翔鶴「ひゃ……」

男(生まれて初めてお姫様だっこなんてしたよ……)

男(なんというか……翔鶴の重みを感じる……というか、温もりを感じる……というか)

翔鶴「提督、なにか今失礼な事を……」

男「え!?いや、そんな訳ないだろ……」

翔鶴「……て、提督。そろそろ降ろしていただいても……」

男(翔鶴の困惑した様な、恥ずかしそうな顔が……たまらなく可愛く見える)

男(しばらくこのままでもいいかもしれない)

翔鶴「……」

男「……」

男「……ごめん。腕が疲れてきた」

翔鶴「……」

ポフッ

男(ベッドの上にゆっくり降ろして……俺も隣に……)

モソモソ

男「……」

翔鶴「……」

男(元々一人用で狭いベッドに二人寝ればどうなるかってのは、大体分かる)

男(でも……実際に体感すると……なんというか)

翔鶴「……」チラッ

男「……」チラッ

翔鶴「……お顔が真っ赤になってますよ」

男「……翔鶴の方こそ、真っ赤になってる」

男(腕と身体が密着して……温もりをさっきよりも強く感じる。吐息も顔が近いせいか肌にかかってくすぐったい)

男(そしてこの表情に……匂いに……)

男(あぁ……なんて言うんだっけこういう時……)

男「……あ、あのさ……」

翔鶴「はい……」

男「俺たち、多分だけど……10歳くらい歳は離れてるだろ?」

翔鶴「……そうなんですか?」

男「翔鶴は……二十歳くらいに見えるし、俺は、その……もうすぐ三十路だ」

男「歳を取っていく……つってもまだ若いんだろうけど」

男「なんか……こう。もう二度とこういう……気持ちにはなれないんじゃないかって思ってた」

男「諦めていた……というか、拒絶してた……のかもな」

翔鶴「……なにかあったんですか?」

男「みんなの過去と比べたらゴミみたいな内容だよ」

翔鶴「……ゴミ、ですか」

男「あぁ……くだらない。内容だよ」

翔鶴「……くだらないかどうかは私が決めます!」

男「え……」

翔鶴「聞かせて、下さい」

男「……聞かせるほどの内容じゃ……」

翔鶴「……」

男「……」

男(いつになく真剣な表情で俺の事を見つめていた。気がつけば手をぎゅっと、握って)

男「……その時大切だった人に、裏切られたんだ」

男「すごく、すごく大切で。かけがえのない……人だった」

男「様は失恋だよ。浮気……してたんだ」

男「いつかは結婚しようと思ってた。いつも俺の事を支えてくれて、彼女がいたから仕事だって頑張れた」

男「その時はまだ稼ぎもあんまり良くなくて、彼女にも負担を掛けてたかもしれない」

男「それでも彼女は俺の事を……好きだと言ってくれた」

男「中学からの付き合いでさ、結構……長く続いてたし。そんな……裏切られるなんて思ってもいなかったな……」

翔鶴「……」

男「あの時は、とてつもなく憎く思えたよ。けど今になって考えたら……俺が原因なのかもな」

男「彼女に依存して、俺はなにもしてやれなかった……のかもしれない」

男「それで……怖くなったんだよ。また誰かを好きになった所でまた、同じ事になるかもしれない」

男「俺の見えない所で彼女を悲しませているかもしれない。そう考えたら……」

男「くだらない話だよ。本当に」

男「大の大人が失恋にビビってるんだ」

男「な、聞いた所で……」

ギュッ

翔鶴「……提督は、一途な人なんですね」

翔鶴「率直で、素直で、そういう人なんですね」

男「……そんな事ないよ」

翔鶴「そうです。提督は……優しすぎるんです」

お仕事です

男「違う。俺は……そんな優しい人間じゃない」

翔鶴「提督は優しい人です。いつもみんなの事を考えていて、苦心していて……みんなの為に戦って……」

男「違う。これはただの……」

男(ただの……なんだ?)

金剛『提督は……自分の為ではなくて、世界の為に戦ってるつもりなんデスネ』

金剛『世界の為……みんなの為……それは提督の欲デス』

金剛『世界の為に、仲間の為に戦うと言う事でみんなからの英雄を見る様な目が、みんなから信頼されているという優越感が、欲しいだけデスヨ』

金剛『提督。提督は自分はエゴイストじゃないというエゴに、酔ってただけなんデス』

男「……あぁ。そうだ」

男「俺は……自分の為に戦ってるんだ」

翔鶴「……提督」

男「失うのがたまらなく怖くて、今の楽しい時間が奪われる気がして。だから……守りたいんだ」

男「自分を……守りたいだけなんだ」

男「人を好きになりたくなかった理由だってそうだ……怯えてた、だけだった」

男「……」

男「翔鶴、やっぱり俺は……」

翔鶴「それでも、私は提督のそばに居たいです」

翔鶴「提督、私と一緒にいて……幸せですか?」

男「……」

翔鶴「私と居て、苦痛を感じますか?」

男「……そんな訳ないだろ。幸せに……決まってる」

翔鶴「……私が今一番怖いのは。提督が幸せじゃなくなる事です」

男「……」

翔鶴「幸せそうな提督と一緒に……隣にいるのが……私の幸せなんです」

翔鶴「私だって、自分の幸せが崩れるのが怖い……です。だから……」

翔鶴「私は提督を悲しませたりしません」

男「……翔鶴」

翔鶴「まだ……怖いですか?私が……裏切るかもしれないと……思いますか?」

男「……」

翔鶴「……ふふ」

翔鶴「そう……すぐに治るものではないですよね」

男「……ごめん」

翔鶴「大丈夫です!少しずつ、少しずつ……治していきましょう」

男「……ありがとう。けどそれよりも……」

男「こんなに……女々しい人間だった。俺の事……嫌いにならないのか?」

翔鶴「……嫌いになる訳がないです」

翔鶴「話してくれて……嬉しかった。これで私も……決心がつきました」

男「……え?」

翔鶴「絶対に……提督を……」

男「……」

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男(また……夢か)

男「……お前は本当に馬鹿だよな」

男「一度裏切られて、また人を好きになろうとしてるのか?」

男(……口も、身体も動かないのが腹立たしい。今すぐにでも反論してやりたい)

男「本当に……お前は、救いようがない」

男「人を好きになるのが怖いだろ?幸せを享受するのが怖いんだろ?」

男「そうだよなぁ……もしそれを失ってしまったら」

翔鶴「たまらなく苦しいですよね」

男「なのにお前は……自分からまた傷付きにいくのか」

翔鶴「楽しいですよ。人の幸せを奪うのは」

翔鶴「心から信用してくれた提督を裏切る瞬間が、すごく楽しみです」ニコッ

男(違う……翔鶴は……そんな下衆な笑みを浮かべたり……)

男「自分からナイフで自分の身体を滅多刺しにする馬鹿はそうそういない。お前だって違うだろ?」

男「自分が傷つく事を避けてきただけだ。それは当たり前の事で、普通なんだよ」グッ

翔鶴「あっ……あぁ……」ギリギリ

男(目の前の俺は翔鶴の姿をしたなにかの首を締め上げる)

男「誰も信じるな。自分だけを信じろ」

男「みんな殺してしまえばいい。お前以外の全部」ゴキッ

ドサッ

翔鶴「……」ビクッ...

男「なにも考えてないで、世界の為に英雄になれ。戦え、殺せ」

男「お前は俺で、俺はお前だ。俺の言葉だけ信じればいい。自分は、自分だけは誰も裏切らない」

男「今のお前には力がある。世界で唯一で、世界で一番強くなる」

男「さぁ……裏切られる前に……」




翔鶴『提督』

男(……今のは)

男「……」

翔鶴『私は、提督を決して裏切らない。ずっと……提督のそばにいます』

男(暖かい。冷たいこの夢の中で初めて感じた、優しさだった)

キラキラ...

男(光が集まって、出来たのは。優しく微笑む……俺の……愛しい人)

男(手を優しく握って、隣に……立っていた)

男「……チッ」

男(俺は……俺は……!!)

男『翔鶴を信じる』

男(冷め切っていた身体中の血が沸騰する様な感覚。気がつけば口も身体も、自由だった)

男『……散々好き放題言いやがって』

男「言っただろ。俺はお前でお前は俺。俺はお前の心を代弁しただけだ」

男『違う、お前は俺じゃない。そこに倒れている翔鶴も、翔鶴じゃない』

翔鶴「いえ、私は翔鶴。貴方が愛しく思う人」

男『違う、お前はただの……虚構だ』

翔鶴『私だって、他のみんなだって。提督を信じてます』

翔鶴『提督が戦うのなら私たちだって一緒に戦います』

翔鶴『絶対にもう誰も欠けない』

男『それに俺は……分かったんだ。最初から俺は……自分の為に戦っていた。生きていた』

男『それでも構わない。俺は……自分の為に翔鶴を、仲間を信じる』

男『エゴだってなんだっていいさ。なんでもいいんだ』

男『俺の……幸せが掴めるなら。それでいい』

男『そもそも世界と仲間を天秤に掛けるのが間違っていた。最初から……両方掴めばいいんだ』

男『迷う事なんかない。海であの力を手に入れた時、俺は確信した』

男『この力があればみんなを守れる。世界だって守れる』

男『仲間を信じれば、仲間が信じてくれるなら。絶対に……出来る』

男「……そうか。それがお前の答えか」

翔鶴「かわいそう。みんなの言葉に踊らされてるだけなのに……」

男「絶対に後悔するぞ。絶対に」

翔鶴「私は貴方に幸せになってもらいたいの」

男「また、近いうちに会おう」

男『何度来たって同じだ』

ギュッ

翔鶴『何度来たって、私が一緒にいます』

男「……なら、見ている事にしよう。俺はお前を見続ける」

男「お前のその信念のせいで、溺れて、崩れて行く様を」

男「精神が崩壊するその時まで」

サラサラ...

男(そう言い残して、俺の姿をしたなにかと、翔鶴の姿をしたなにかはサラサラと砂の様になって消えた)

翔鶴『……いきましょう』

男『……そうだな。長居する必要はない』

男(二人手を繋いで歩く。遠くの方に見える小さな光の方へ)

男『……翔鶴がいるなら怖くない』

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男「ん……」

翔鶴「おはようございます。提督」

男「……おはよう」

男(目を覚ますと、隣には翔鶴がいた。手には暖かくて柔らかな感触)

男「……また、あの夢をみた」

翔鶴「……どうでしたか?」

男「……今回のは、少しだけ。楽だった」

男「翔鶴が隣にいてくれたから」

翔鶴「よかった……」

男「……良ければいいんだ。良ければで」

男「また、俺の隣で寝てくれないか?」

翔鶴「……喜んで」ニコッ

男(今度みた翔鶴の笑顔は、いつもの翔鶴だった)

男の見た悪夢は少しだけ、いい夢でした。それでも男は薬を飲み続ける。少しずつ、少しずつ男を蝕んでいきます

今日はここまでです

男「……さて、今日も仕事だ」

翔鶴「その前に、朝食ですよね」

男「そうだな。さて……」

男「……」

翔鶴「……提督?」

男「着替え……ないといけないよな」ポリポリ

翔鶴「あ……へ、部屋に一回戻りますね!」

男「あ、あぁ……そうだな!うん……」


男「……」ジュー...

翔鶴「提督、ゆっくりくつろいでいてくれれば私が作りますよ?」

男「んー?まぁ……なんだ。ここは俺の部屋で翔鶴は客人だからな。客人に作ってもらう訳にもいかないだろ」

男「と言っても大したものは作れないけど」サッ

男「トーストにバターとマスタードを塗って……ベーコンエッグを乗せたら完成」

男「レタスとトマトでサラダにコンソメスープ。朝だからこれで十分だよな?」

翔鶴「美味しそう……」

男「お口に合うと嬉しいですけど。それじゃあ食べようか」

翔鶴「はい。いただきます!」

男「……」

翔鶴「ん……」モグモグ

男「……どう?」

翔鶴「……んくっ。美味しいです……!」

男「よかった。塩とコショウもあるから好みでどうぞ」

男「俺もさっさと……」

「……」

男「……」チラッ

翔鶴「提督?」

男「いや、なんでもない……」

翔鶴「……」

男「……」

翔鶴「……提督」

男「どうした?」

翔鶴「午前中、少々席を外してもよろしいでしょうか」

男「ん。構わないけど……」

翔鶴「ありがとうございます」

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男「……」カリカリ

男「……どうも一人だと捗らないな」

男「気分……転換でもするか」スッ

ガチャ


男「……とは言ったものの。どうするかなぁ……ゲーセンで遊ぶ訳にもいかないし」スタスタ

男「……ここは」

男(龍田の部屋……か)

男「確かここは天龍が整理してた……気がするな。そういえば木曾の部屋は……」

男「少し、様子見るか」

ガチャ

男「……誰もいじってないな。少しホコリが溜まり始めてる」

男「なんというか。相変わらず物々しい部屋だな……」

男「ハンドガンにアサルトライフル。ショットガンにサブマシンガン」

男「……全部、手入れされてたんだろうな」

男「……」スッ

チャキッ

男「……」スッ

カチンッ

男「……」

男「少しだけ、拝借していくか」

男「……ん?」

男「……これは」スッ

男「LARK……か。あいつタバコ吸ってたんだな。全然気がつかなかった」

男「……換気扇。あったよな」


シュボッ...

男「……ふぅ」

男「……タバコなんて吸ったの、何年ぶりだろうな」

男「……」

男「なぁ……どれだけ待てばいい?」

男「……案外。すぐだったりしてな」

『永遠に来ないかもしれないぞ』

男「……」

ジジ...

男「……はぁ」

男「……俺を見続ける、か」

男「……今まで感じてた誰かの気配ももしかして……」

男「……悪夢、幻覚、幻聴。俺……どうなるんだろ」

『俺に取って食われるかもな』

男「……うるさい」

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翔鶴「戻りました」

男「ん、おかえり」

翔鶴「……」

男「なんか……浮かない顔してるけど。なにかあったのか?」

翔鶴「いえ……」

男「……」

翔鶴「……」

男「……あ、そうだ」

男「翔鶴が居ないとどうも……仕事が進まなくて……手伝ってくれないか?」

翔鶴「……はい!」

お仕事です

男「……」カリカリ

翔鶴「……」カタカタ

男「これ頼むよ」ペラッ

翔鶴「はい。それとこれが前回の戦闘のレポートです」

男「ん……」

男「……」カリカリ

翔鶴「……」カタカタ

男(こうして事務作業をしている間もなんとなく心地のいい時間に感じられる様になった)

男(俺は……本当に翔鶴に救われてるんだな)

男(……)

男(あの幻聴……とうとう俺の夢から外にまで出てくる様になったのか)

男(精神が崩壊するその時まで。とあいつは言ってた)

男(俺はこれから……壊れていくのか)

男(薬を……断つべきなんだろうか)

男(……いや。まだその時じゃない)

男(最後の最後。ギリギリまで幻覚にも、幻聴にも耐えてみせる)

男「……終わった」

翔鶴「こちらも終わりました」

男「お疲れ様。少し休憩しよう」

翔鶴「それでは少し席を外しますね」

男「ん……」

男「……」

男(こうして一人になった瞬間。妄想に喰われるんじゃないか、なんて考えてしまう)

男「……まだ。まだ耐えられる」

男「……」


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー

元帥「……経過はどうだ?」

「良好……とは言えません」

元帥「悪夢、意識の断裂以外の症状が出たか?」

「すでに幻覚、幻聴の症状が現れている様です」

元帥「ふむ……進行が早いな。持って……半年か。彼の精神力にも寄るが」

「……」

元帥「……引き続き観察を続けてもらいたい。経過は逐一報告するように」

「元帥、その事でお願いがあるんです」

元帥「……君からお願い……なんて珍しいじゃないか」




「翔鶴」

翔鶴「……」

元帥「……まぁ、いいだろう。そういう理由であるならば、仕方ない」

元帥「父も君には世話になっていた。今回は……特別に許可しよう」

翔鶴「ありがとうございます」

元帥「その代わり、これからも私の為に働いてもらえると助かる」

翔鶴「はい。元帥の為になら」

元帥「うむ。では下がってくれ」

翔鶴「……失礼します」


元帥「……」

元帥「まぁ、これぐらいでは支障はきたさない……か」

元帥「どこまで伸びるか、楽しみだ……!」

翔鶴「……」

翔鶴「……提督」


男「……」

コンコン

天龍「提督、いるか?」

男「ん、天龍か」

ガチャ

天龍「邪魔するぜー。翔鶴姉は?」

男「今は席を外してる……けど」

天龍「あのよ……その……」

男「?」

天龍「いや……大した、ものじゃねーんだけどよ……えっと」

男(な、なんだ……妙にしおらしい……というか、モジモジしてる)

天龍「け、ケーキを作ってみた!!食え!!」

男「……ん?」

男「ケーキ……?天龍、料理出来たのか?」

天龍「いつもいつも作ってもらってばっかりだからよ。その……たまには、オレからもなにかないとなぁ……なんて、へへ」

男「……あ、あぁ。そうなのか」

男(なんだこれかわいい)

天龍「オレの分と二人分しかないからよ。翔鶴姉には悪いけど黙っておいてくれ」

男「わかった。それでそのケーキは?」

天龍「お、オレの部屋に用意してある。ちょっと来てくれよ」

男「あー……でもまた書類の整理とかしないといけないから」

天龍「いいから!な?な?」グイッ

男「うおっ!?」

男(そして半ば強引に天龍の部屋に連れて来られた)

男「あれ、なんか雰囲気違わないか?」

天龍「気づいたか!!そりゃあホラ、お茶つったらそういう雰囲気の方がいいだろ……?」

男「そ、そう……か?」

男(確かにテーブルクロスもオシャレだしそれっぽいティーカップにポットまで置いてある)

天龍「本当は服もさ、こう……フリルのついたスカートとかの方がいいかなって思ったんだけど」

男「そこまでする必要は無いんじゃないか?俺も軍服だし……」

天龍「だ、だよなぁ!ハハハ……」

男(というか天龍の中でティータイムとはどういうイメージなのだろうか)

天龍「い、今持ってくるから!!大人しく座ってろよ!!」

男「あ、あぁ……」


「えっと……ケーキと……あぁ!?フォーク忘れた!?」

「フォーク……フォークどこやったっけ?」ガチャガチャ

男「だ、大丈夫か……?」

「大丈夫だから待ってろって!」ガシャンッ

「あぁ!!?」

男「……」

天龍「ど、どうだ!うまそうだろ!?」

男「おー……」

男(見た目は……普通のショートケーキだな)

天龍「茶!茶も今注いでやるよ」カチャカチャ

男「いや!それは俺がやるよ」

天龍「だ、大丈夫だから!」カタカタ

男(震えてるんだけど)

天龍「……」

男「……」

天龍「……よ、よし!」

男「……はぁ」

男(茶……と言ってたけどこれは紅茶か?)

男(なんというか……嗅いだ事のない匂いだな)

天龍「……」

男「……」

男(今度は難しそうな顔をして動かなくなった)

天龍「は、早く食えって……」プルプル

男「い、いただきます……」スッ

男「……」モグモグ

天龍「……」ソワソワ

男「……美味い!」

天龍「ほ、本当か!?」パァァ

男「あぁ、よく出来てるよ」

天龍「そうか!そりゃよかった……」

男「すごいな……練習したのか?」

天龍「まぁ、少しはな……で、でも天龍様に掛かればこれくらいどうって事ねーよ!」

男「ははは、そっか。そうだな!」

天龍「まぁな!オレも食うか」スッ

天龍「ふへ、へへへ……」モキュモキュ

男(……なんだろう、この……マスコット)

男「……」ズズッ

男(……んー、この紅茶は。少し苦味があるな)

男(甘いケーキに合わせたのか……頑張ってるんだな)

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ーー


男「ありがとうな。わざわざ用意してくれて」

天龍「これくらいどうって事ねーぜ」

男「……また期待してる」

天龍「おう!」


ガチャ

翔鶴「提督、どちらへ?」

男「ん、少し用事が出来てな。もう済んだから残りの書類を片付けよう」

翔鶴「はい!」

男「……」カリカリ

翔鶴「……」カタカタ

グギュルルル...

翔鶴「……ふふ、提督ったら。そういえばお昼はまだでしたね。どこかで……」

男「……」

翔鶴「……提督?」

男「……ぐぉぉ」ガタッ

翔鶴「提督!?提督!!」

男「腹が……ちょ、ちょっと……」

翔鶴「腹痛ですか!?早くトイレに……」

男「わ、悪い!!仕事頼むッ!!」バタンッガタッ

翔鶴「……」

男「うっ……うぉぉ……」

男「……急に腹が痛くなるなんて」

男「……冷房かけ過ぎたかなぁ……」

男「……うっ……!」


天龍「いってぇぇぇ!」

天龍「……な、なんだ……急にこんな……」

天龍「っひぃ!!」

天龍「……な、なんか変なもんでも……」

天龍「……そういえば。あの紅茶の葉の賞味期限って……いつだっけ……」

天龍「確か……いつかもらってそのまま放っておいたやつだったよな。アレ……」

ギュルルル...

天龍「ひんっ!?」

天龍「うぅ……」


男「……」

バタンッ

翔鶴「提督……大丈夫ですか?」

男「冷房……上げようか」

翔鶴「はぁ……」

男「27度くらいでいいんだよ。きっと……」

翔鶴「その……随分げっそりされた様な気が……」

男「大丈夫。大丈夫……」

男「っ……」

男「……ごめん」ガチャ

バタンッ

翔鶴「……」

みんなは賞味期限がやたら切れた食べ物を食べたらダメだぞ!特に夏場は地獄を見る事になるよ!

賞味期限は「おいしく食べられる限界」の日なので、過ぎても大丈夫。

消費期限は「食べられる限界」の日なので、過ぎたらアウト。

でも、真夏に直射日光の当たる車の中においておいたオニギリは消費期限前でももう糸引いてアウトですよ(泣

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ーーー


男「はぁ……ひどい目にあった……」

男「まぁ……でも楽しかったな」

男『まぁ、こんなのいつまでも続く訳ないけどな』

男「……よくもまぁ夢の外までご苦労だと言ってやりたいよ」

男『お前を今からでも正しい道へ戻してやりたいからな』

男「なにが正しい道だ。一回面と向かって話し合った方がいいんじゃないか?」

男『いずれな……』

コンコン

男「はい」

天龍『入ってもいいか』

男「どうぞ」

ガチャ

天龍「……誰か居たのか?話し声が聞こえた様な気がしたんだけど」バタン

男「いや、誰も居ないよ」

男(自分の幻聴と対話してました、とは言えないよな)

天龍「あのさ……」

男「……あぁ」

天龍「昼間、もしかして……腹壊したりしなかったか?」

男「……壊したなぁ。いやあれは……きつかった」

天龍「実は……」


男「……そうか。いつのか分からないお茶だったって事か」

天龍「わ、悪い!!悪気はなかった……」

男「別に怒ってないけど、次はちゃんと新しいのを買っておいてくれよ?」

天龍「わかった。本当に悪かったな」

男「あぁ。またケーキも期待してるよ」

天龍「へへ……」ガチャ

バタンッ

男「……そーだったのか」

男『それでお前を苦しめようとしたんじゃないか?』

男「流石にそれは冗談で言っただろ?」

男「……」

男「なんで普通に会話してるんだろ……」

お仕事です

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男「みんな集まったな」

天龍「おう!」

金剛「今日の任務も張り切っていきまショー!」

電「なのです!」

男「詳細を頼む」

翔鶴「はい」

翔鶴「今回も巡回任務です。いずれくる領海奪還任務に備え、一刻も早く後方の憂いを無くしたい考え……かと」

天龍「しっかしよ、どうして前線でもないのにあいつらが毎回毎回湧いてくるんだ?」

男「考えられるとしたら……前線の防衛に穴があるか、なにか抜け道があるか、誰かが意図的に湧かせているか。だな」

金剛「一番後者は考えたくないデース」

男「そうだな。そうじゃないのが一番だけど……」

電「なにか手がかりは無いのですか?」

男「出ている情報を簡単にまとめてみた」

男「まず目撃される深海棲艦の艦種についてだが……ほとんどが駆逐艦だ」

男「これだけなら前線のファイアウォールをすり抜けて侵入してきたとも考えられる……が」

男「稀に巡洋艦、軽空母、潜水艦クラスが混じっていて、ごく稀に戦艦、空母の姿も確認されている」

翔鶴「ファイアウォールの特性は……説明も必要ないとは思いますが」

翔鶴「強力な艦種であるほど通り抜けられない」

翔鶴「駆逐艦クラスがせいぜいで他の艦種であるとファイアウォールに引っかかるはずです」

男「つまりファイアウォールを抜けた可能性は低い」

男「そして次に深海棲艦の発見されるポイントだけどこれは……まちまちだな」

男「ただ一つ共通するのは、ほとんどが後方の方で発見されているという事だ」

男「レベル帯もまちまちで弱小な者も、強力な力を行使する者もいる」

翔鶴「その為現在は領海内での実戦訓練は困難になっています」

男「ただ、戦術を見ると思考能力は一般の深海棲艦と同等だと推測出来る」

男「誰かが操っている訳ではなさそうだ」

男「以上を踏まえて考えると……」

金剛「ファイアウォールがどこか壊れているという事は無さそうデスネ」

男「そうだな。破損があったとしてそこから侵入してきたなら……まず前線で発見されるだろうしそれに……駆逐艦の率が高すぎる気がする」

天龍「前線の奴らがサボっているとも考えたくねーな」

男「前線は主に将官の部隊が警戒している」

男「それが深海棲艦を見逃しているなら……とんでもない陰謀説を組み上げなければいけない」

男「それに将官達の元帥への忠誠は高いと見えるし、無さそうだな」

お仕事です

男「なら残りは……」

翔鶴「誰かが故意に内部から発生させているか、内部に発生源があるか」

電「でもそれだと……」

天龍「……やっぱり裏切り者がいるって事だよな」

金剛「でも、これだけ自体が長引いていて。しかも内部からの犯行で気がつかないなんておかしいネ!」

男「そうだな……普通……気がつくはず」

翔鶴「……」

男「……どうしてだ。一体……」

男『お前をはめようとしてるんだ。早く気づけ』

男「……」

男『みんな知ってて黙ってるんだ。なぁ?』

男「……黙れ」ボソッ

天龍「……おい、どうした?」

男「あ、いや……なんでもない」

翔鶴「……」

金剛「……」

電「でも、どうしてなのでしょうか?」

男「……」

男「……!」

男「知ってて……黙っている?」

翔鶴「……それは、どういう事ですか?」

男「自然発生するポイントが領海内部にあって、なおかつそれを隠蔽している。または知らないふりをしている……?」

金剛「それなら……説明出来ますケド……」

天龍「なんのメリットもねーじゃねえか」

男「普通に考えればそうだよな。だけどそこにメリットがあるとするなら……」

翔鶴「提督」

男「なんだ?」

翔鶴「あの……それ以上、この話は……」

天龍「あっ……」

金剛「……」

電「……」

男「……大丈夫だ」

カチャ

男「盗聴器は外しておいた」

翔鶴「提督……!」

男「木曾の部屋で少し借りてきたんだ。盗聴器発見器。木曾も多分これで……外したんだろうな」

男「ここは全員が集まる場だ。誰か個人を責める事は出来ないだろう、大丈夫だ」

男「さて、深海棲艦を沸かせる事で得るメリット……とは?」

天龍「……敵と内通してる奴がいるなら話は早いよな」

翔鶴「錯乱、施設の破壊、防衛の脆弱化」

男「沢山出て来るな。逆なら?」

金剛「自分達のそばに敵が湧く事でのメリット……」

電「……わからないのです」

天龍「オレも……パッと出ねえな」

翔鶴「……少なくとも敵を利用しているのは確かです」

男「……敵を利用する」

男「活用、自分達の為に使うなら」

男「……」

男「……」

男「……」

男「まさか……」

翔鶴「……なにか、気がつきましたか?」

男「いや……だけど。ありえない話じゃない」

男「一つだけ、可能性がある」

天龍「……なんだよ」

男「もっと早く気付くべきだった。俺の最初の出撃の時も……領海内部の敵の、殲滅任務だったよな」

翔鶴「はい。確か……」

男「少なくともあの時から、始まっていた」

金剛「もったいぶらないで話してくだサイ!」

男「……内部。少なくとも情報をほぼ完璧に隠蔽出来るクラスの人間の手で……」




男「公表出来ない。深海棲艦を使った実験、あるいは研究を行っている」

はたして男の仮説は真実なのか?明日に続きます

今朝はがっつり電車で寝てました。帰りには書きます

ウイルスというのは元帥が分かりやすい様に例えたもので、実際は情報世界で生まれる意識ある者の事です。肉体の無い生物と捉えてもいいかもしれないです

元ある情報を脅かす存在でもあるのでコンピュータウイルスという考え方でも間違えではないですけど

天龍「……おいおい」

男「ならなんで隠蔽する必要がある?施設外部までならともかく俺たちにまで知られたくない事をしているからと考えるのが妥当だろう?」

金剛「深海棲艦を使った実験って……もしそれが本当なら……」

電「なんなんですか?」

男「……兵器実験か、あるいは……」

男(考えようと思えばいくらでも考えられる。けどこれ以上は推測の域を超えてただの妄想だ)

男「……証拠、じゃないにしろなにか痕跡を掴めれば……」

男「……今回の出撃は今まで通りに行う。各々深海棲艦の殲滅に徹する様に」

翔鶴「調べますか?」

男「……もしこの実験が、人間を脅かす物だとしたら。見過ごすわけにはいかない」

男(木曾の言っていた通り、強力な兵器の開発計画の末端だとしたら。調べておくことに越したことはない)

男「絶対にこの事は知られてはいけない。みんなを信頼して……お願いする」

天龍「……へっ、なんか。面白くなって来たじゃねーか」

金剛「私たちでなんとか出来るのなら……やりますヨ!」

電「電もやるのです!」

翔鶴「……」

男「よし。ではまた、いろいろ作戦を練ろう。とりあえずは解散だ」

男(いよいよ、尻尾が見えたか)

男(もう、後には引けない)




ザザァ...

男「……」

男(一面の、海。この光景ももう見慣れたな)

翔鶴「提督、指示を」

男「金剛を戦闘に天龍、電、翔鶴が追従する形で進行する」

男「それと……俺がどこまで戦えるのか試したい」

天龍「提督がどこまで戦えるか?」

男「俺が単独で先行する。みんなは間を置いて進む様に」

翔鶴「提督!!どういう事ですか!?」

男「俺が……どんどん強くなっているのはわかるだろう?」

男「少し、試してみたい」

男「際限なく伸び続けている。自分でも怖いけど、ここで俺が十分戦える事を証明出来れば……」

男「みんなを守れる」

金剛「……提督は、最近クレイジーになってきてマス。艤装も付けていないのに被弾したらどうするのデスカ!!」

男「その為にみんながいる。頼む」グッ

ドッパァァァン!!!

金剛「くっ……みんな……追いかけますヨ!!」

電「司令官さん……」

男(水面を踏み込んだ瞬間、まるで弾丸の様なスピードで身体が飛び出した)

男(後ろのみんながどんどん小さくなっていく)

男『そうだ。一人で戦える事を証明しろ。他の奴らは要らないと』

男「そういう為のものじゃない!」

男(でも……この変化は明らかに異常だ……)

男(薬だけでここまで?)

翔鶴『提督!聞こえますか!?』

男「翔鶴か、どうした?」

翔鶴『前方に敵艦隊!戦艦を旗艦とした部隊です!』

男「……バックアップを頼む」ジャキンッ

電池が無いのでここまでです

男「……」

バシャッバシャッ!!

男(止まらず動き続ける!!)

駆逐イ級「……」ダダダダダ!!

男(敵の中央を軸として、円を書く様に移動する)

ピシュッ!!

男「……っ」バシャッバシャッ!!

男「……」チャキッ

男(敵の装甲を避け、生身を狙う!!)

タタタンッ!!タタタンッ!!

ボスッ!ボスッ!

男「……あ?」

駆逐ロ級「……」ゴボッ

男「……」

男(装甲を……貫いた……!?)


天龍「……見たか、今の」

翔鶴「……」

金剛「小銃で深海棲艦の装甲を撃ち抜くなんてあり得ないネ!!」

電「でも、司令官さん……」

天龍「……嘘だろ」


男(……どういう訳か。俺の小銃で奴らの装甲を撃ち抜く事が出来た)

男(……なら!!)ダッ!!

ピシュッピシュッ!!

重巡リ級「……」ダダダダダ

戦艦ル級「……」スッ

ドゴォォォンッ!!


男(弾が見える!!)バシャッバシャッ

男(身体を半捻りして……)


戦艦ル級「……!?」


男(かわす!!)


天龍「あんな動き、オレたちにだって出来るやつはいねえぞ……」

金剛「あれじゃあ……化け物……みたい」

男「……」グッ

シュッ

男「喰らえッ!!」

男(懐に飛び込んでこのブレードで……)

ザバァッ!!!!

戦艦ル級「……バケモノ」ブシュゥゥゥッ!!!!

男「……はぁ……はぁ」

男「……」

男(……確かに。良く考えばこんな動きをして戦う艦娘はみたことないよな)

男(おまけに……こっちは生身で……武器も大した事はない)

男(けど、これは……?)

男『楽しいだろ?』

男「……楽しい?」

男『お前、今すごく楽しんでるだろ?』

男「……楽しい訳ないだろ。死ぬかもしれない、殺されるかもしれない。そんな所が……」

男『海面を見てみろ。お前の顔、見れるぞ』

男「……」

男(チラリと海面を見ると、おびただしい血を浴びて、ニヤついている男の姿が映っていた)

男「……誰だよこいつ」

男『お前だ。俺でもある』

男『やっと、俺の気持ちが伝わったみたいだなぁ?』

男「……うるさい」

男『認めろよ。楽しいだろ?深海棲艦と言えど殺して楽しんでるんだ、お前は』

男「うるさい!!うるさいうるさいうるさいッ!!!」

駆逐ハ級「……」コォォ...

男「畜生が!!」ダッ

ザバァッ!!!

男「……元々お前らみたいなのが湧いてきたからこうなったんだ!!」

男「誰も苦しむ必要なんて無いのに!!幻聴に悩まされる事なんか無いのに!!」

男「くたばれえええ!!」ダダダダダ!!!!

男『ギャハハハハ!!!あれだけ違うなんてほざいて御託並べてた結果がこれか!!笑わせるのも程々にしてくれぇ』

男「うるさいってんだ!!」

男『はぁ……今のお前が本当のお前だって、わからないのか』

男『なにも考えないで殺すだけでいいんだ。苦しむ必要もない。悩む必要もない。楽しめよ』

天龍「なにか叫んでるぞ!?」

金剛「……ッ!!」ドッパァァン!!

電「助けないと!!」

翔鶴「……」スッ


男「目障りだ目障りだ。あぁ……!!」

翔鶴『提督、聞こえますか?』

男「……後にしてくれッ」

翔鶴『提督、落ち着いて下さい。大丈夫ですから』

翔鶴『私がついてますから。提督の姿をした幻覚に惑わされないで』

男「……」

男「……翔、鶴。今……」

翔鶴『大丈夫です。私の声だけ聞いて』

ここまでです

男「……俺は」

天龍「……残骸だらけだな。結局一人でやったのか」

金剛「提督!!一体どうしたデス!?」

電「ど、どこか痛い所があるなら……」

男「あぁ……大丈夫だ。大丈夫……」

男「……戻ろう」


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー

男「……」

翔鶴「……」

男「……とりあえず。お茶でも用意するよ」

翔鶴「はい」

男「……」


コトッ

翔鶴「……ありがとうございます」

男「……それで」

男「なんで……なんで俺が幻聴を聞いているのを……知っていたんだ」

翔鶴「……私の役割は、実験体の監視及び周囲艦娘の内部調査でした」

男「……実験体の監視……」

翔鶴「前の提督と合わせて、適応薬の効果と副作用をレポートして元帥に報告するのが第一の役割」

翔鶴「そして、スパイ、または造反を企てていた艦娘を特定するのが第二の役割」

男「……最初から」

翔鶴「……はい」

男(それじゃあ……翔鶴が俺と一緒にいると言ってくれた事も)

男(……そばに居たいと言ってくれた事も)

男「……」

翔鶴「……」

男「……そうか。そう……だったのか……」

短いですがお仕事です

男「……知ってる事、教えてくれ」

翔鶴「はい。何を……知りたいですか」

男「薬の副作用。進行したらどうなる……?」

翔鶴「……最初は悪夢にうなされます。次の段階で幻覚幻聴の症状が現れ、次の段階で……脳細胞や神経に異常をきたします」

男「俺は……まだ第二段階……か。第三段階はつまり……どういう事だ」

翔鶴「……思考回路が著しく制限されたり、精神が不安定になったり。震えや吐き気……最悪身体が動かなくなります」

男「……狂人になる……のか」

翔鶴「……」

男「その後は、どうなるんだ」

翔鶴「……」

翔鶴「……神経や重要な脳の機関が焼き切れて……死亡……します」

男「……」

男「そう……か。それで、前の提督と合わせて……というのは」

翔鶴「……前任の提督も、この薬の被験体でした」

翔鶴「前任の提督は提督と違い……強力な戦闘能力だけに特化するのでなく。驚異的な演算能力も手に入れました」

翔鶴「軍神と呼ぶのに相応しい、指揮能力で……深海棲艦との戦闘はほぼ負け無しでした」

翔鶴「けれど、提督は……副作用に……負けたんです」

男「……」

翔鶴「症状の進行が著しく、あの戦いの時には既に……第三段階の終盤まで……進行していたんです」

翔鶴「その影響でまともに指揮を取る事もままならず……指揮下の艦娘を失った」

翔鶴「あの時の提督は……正常な思考を取る事さえ困難だったと思います」

翔鶴「……そして、それに耐えきれず……自殺したんです」

男「……」

男「仮に、だ。ここで薬を絶ったとして……回復するか?」

男「正直言うと……俺は薬を飲んだ事を後悔してる」

男「まだ別の方法があったんじゃないか。辛い思いをする必要は無かったんじゃないか」

男「……そう、思う」

翔鶴「……」

男「……なぁ」

翔鶴「……」グッ...

男「……いい。本当の事を教えてくれ。頼む」

翔鶴「……今のところの症例や実験報告では……回復は見込めない……です」

翔鶴「症状の進行ももう……止まらない……っ!」

男「……は、ははは……そうか」

男「俺は……死ぬのを待つ……だけなんだな」

男「……そっか」

翔鶴「……提、督……」

男「もう一つ。翔鶴は……俺と居て楽しかったか?」

翔鶴「……え?」

男「……俺と一緒にいたいって、言ってくれた事。あれは……演技だったのか?」

男「実験体を観察する為の……いい、口実だったのか……」

翔鶴「それは……っ」

男「……」

翔鶴「それは……」

男「……」

翔鶴「本当……ですっ!!提督と一緒に居たい!!提督の隣に居たい!!」

翔鶴「けど……私は、提督を騙していたんですよ?」

翔鶴「結果的に私は……提督を利用していたんです……!!提督の気持ちを……裏切っていたっ」

翔鶴「私は……私は……」ポロポロ

男「……でも。話してくれただろ」

男「例えこれからも……実験体として観察されるとしても……」

翔鶴「それは……もう心配しないで下さい」ポロポロ

翔鶴「つい前に……その任を辞退しました。もう、提督を……悲しませたくない」

翔鶴「あのままだったら、また違う実験にも……だから……」

ギュッ

男「……そっか。なら……いいんだ」

翔鶴「……」

男「あの言葉が本当なら……それでいい」

翔鶴「提督……っ」

男「……翔鶴。俺は……戦い続ける」

男「幻覚や幻聴に負ける前に……死んでしまう前に……やらなきゃいけない事がある」

男「翔鶴、力を貸して欲しい。最後まで、隣にいて欲しい」

翔鶴「……はい……っ!」

ここまでです

男『おいおい……信用してもいいのかよ』

男『そいつ、お前が死ぬのを分かってて放っておいたんだぞ』

男「……」

男『そんなやつをホイホイ信用して、騙されて泣くのは自分だぞ?』

男(それは……)

男『よく、考えた方がいいと思うぜ。俺はな』

翔鶴「でも……よかった……」

男「……ん」

翔鶴「この事を話したら……私は提督に嫌われてしまうんじゃないかって。私の事をきっと恨むと……思って……」

男「……むしろ、話してくれてよかった。最後まで黙っていられたら……それこそきっと恨んでたかもしれない」

男「まだ、いろいろ俺の知らない事。あるよな」

翔鶴「……それも、お話します」

男「……翔鶴は、どういう経緯でここに?」

翔鶴「私は……先代の元帥閣下にここへ連れて来られたんです」

男「先代……というと今の元帥の父親か」

翔鶴「はい」

翔鶴「私の父は、元帥閣下の古い知り合いで……艦娘計画にも賛同していたんです」

男「艦娘……計画」

翔鶴「正しい名前は、対情報生物用特殊攻撃部隊計画……です」

短いですが。ここからまたいろいろとお話が続きます

翔鶴「対抗手段を欠いた日本に革命を起こす計画……」

翔鶴「元帥閣下はとても優しくて……人間をモルモットの様に実験体にする様な人じゃなかった」

男「……」

翔鶴「人間が情報世界に入り込み直接深海棲艦と交戦する。この技術が完成した時は……世界に平和が訪れると思っていました」

翔鶴「深海棲艦は世界共通の敵です。この作戦内容を技術が完成した上で各国に極秘裏に公開することで……先進国の連携を円滑に強められる」

翔鶴「現実の戦争が無くなる……はずだったんです」

男「……つまり」

翔鶴「もちろん、深海棲艦との決戦用に計画されていました。けれど……それを現実の戦争に利用する計画が持ち上がったんです」

翔鶴「内閣と結託して国家予算で……それの研究にも着手しました……いえ、せざるを得なかったんです!」

翔鶴「情報世界でのシミュレーションを元に新兵器を開発する……これが本当の計画です」

翔鶴「……でも、この計画に大きな支障が出ました。艤装と呼ばれる兵装を装備し自在に戦場を駆ける。その兵士に当たる人間が……」

男「少女にしか適性が無かった」

翔鶴「……はい。私と瑞鶴は……その最初期の被験体です」

翔鶴「私と瑞鶴には……幼い頃から適性があったんです。だから……ずっと私はここで暮らしてきました」

翔鶴「元帥閣下は最初、この作戦を拒否したんです。しかし……断り切れなかった」

翔鶴「娘……元帥の命を天秤に掛けられた。元帥閣下は日本という国に脅されて計画を進めたんです!」

翔鶴「……私のおじいちゃんの様な人だったんです。優しくて、いつも気を使ってくれて……」

男「……」

翔鶴「計画が進んでいくうちに、提督の服用した薬の計画も持ち上がりました」

翔鶴「薬を使って大人の男性にも無理矢理適性を与える。元帥閣下は……これを拒んだ。けれど……元帥閣下の知らない所で計画は進行していたんです」

翔鶴「元帥……元帥閣下の娘である元帥が……主導でこの実験を行いました」

翔鶴「それと同時に、艤装を装備し、軍艦の名前を与えられた少女、艦娘を量産する計画も……着実に進行していました」

翔鶴「元帥閣下はもう辞めたくても辞められなかった!私艦娘が増えるたびに人質が増えていくんです!」

翔鶴「元帥閣下の管理の元では最低限のリスクで艦娘を保護出来る。けれどこれを日本に譲渡したら……どうなるか」

翔鶴「……けど、元帥閣下の苦悩も無駄になります」

男「……」

翔鶴「急死……されたんです。瑞鶴が死んだあの戦いの翌日に」

翔鶴「日本内閣と結託していた元帥の管理下に置かれ、残酷な実験が繰り返され……」

男「やがて。最強の兵士が現実の戦場に現れる」

翔鶴「……」

翔鶴「私も……抵抗したかった。こんな実験の観察も……手伝いもしたくありませんでした……」

翔鶴「でも!私の大切な……友達と……私の命を……逆らえば奪うと……元帥は脅したんです」

翔鶴「……私は。自分の命が惜しかっただけなんです!でも……そのせいで……提督は……」

男「……もういい」ギュゥ

男「……」

男(翔鶴がここまで感情的になっていたのは初めてみた)

男(つまり、翔鶴はこの実験の初期の頃からここにいて、全てを知っていた)

男(全てを知りながら、抗う事を許されなかった)

男(強力な兵士を造る実験は……今も順調に進んでいる)

男(それも……この日本を主導に……!)

男「……辛かったんだな」

翔鶴「自分の命が惜しくて私は提督の命を売ったんです!私は……やっぱり……提督のそばには……」

男「翔鶴が悪い訳じゃない」

翔鶴「……それでも。提督は私を……」

男「恨みもしないし嫌いにもならない」

男「翔鶴は……なにも悪くない」

翔鶴「提……督」

男「……この計画。止められるか?」

翔鶴「……」

翔鶴「国を相手に……戦うんですか?」

男「なにも俺一人の力で勝てるとは思ってない」

男「今の時代民主主義だ。国で一番強いのは……民衆なんだ」

男「ここを叩き潰して、証拠を掴んで!内閣も計画も潰す」

翔鶴「……」

男「死ぬまでどれだけ時間があるかは分からない。けど、死ぬと分かっているなら……その前に必ず……やってみせる」

男「犠牲なら俺一人でいい。みんなの命は必ず守る」

男「……頼む。力を貸してくれ」

翔鶴「……ふふ。提督、私はもう最後まで提督のそばにいるって……決めたんです」

翔鶴「私こそ、お願いします。提督、これ以上被害者を出さない為に……力を貸してください」

男「……あぁ!」

男「それで……他にも聞きたい事がある」

翔鶴「……はい」

男「俺はどこまで強くなれる?」

翔鶴「……」

男「小銃で深海棲艦の装甲を撃ち抜く事が出来た。切る事も出来た」

男「どこまでいける?」

翔鶴「……それはわからないです」

翔鶴「小銃で装甲を貫通した理由は……多分装備が艤装化していたからです」

男「……艤装化?」

翔鶴「使ううちに武器が提督に馴染んだんです。艤装は身体の一部。提督の武器も……今は身体の一部になっているのかもしれません」

翔鶴「身体能力の強化の影響を受けて武器も強くなっているんだと思います」

男「……そうか」

翔鶴「でも、それ以上はわかりません。ここまで成長が見られているのは……提督が初めてかもしれません」

男「……わかった」

ここまでです。またお願いなんですが、出来ればお題をいただけないでしょうか。最後の本編以外のシナリオになると思います

それと。今の翔鶴の話を他のみんなに打ち明けるか、巻き込む危険を案じて黙っているかも選んで頂けると嬉しいです。エンディングまでのシナリオに変化が出ます

よろしくお願いします

男「……翔鶴」

翔鶴「はい」

男「この事、みんなに話そう」

翔鶴「……」

男「……俺だって、みんなを巻き込みたくはない。だけど……これは二人だけじゃ、荷が重すぎる」

男「話を聞いてもらって、その上で……協力してもらえるか。無理なら無理で構わない」

翔鶴「……誰かが元帥に話す可能性は」

男「……その時は、その時だ」

男「俺はみんなを……信じるよ」

翔鶴「……」

翔鶴「わかりました。すぐにみんなを招集します」

男「それと……俺がおかしくなっている事は……」

翔鶴「提督」

男「……」

翔鶴「みんな、わかってくれます。それを知った所で誰も提督から離れたりしません」

翔鶴「提督の痛み、みんなで支えれば……きっと楽になります」

男「……わかった。これも話そう」

男「全員、執務室に招集してくれ」

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ーーー


男「全員揃ったな」

天龍「なんだ急に呼び出したりして」

金剛「なにか特別な話ネ」

電「特別……パーティーとかですか?」

男「悪いけどそんなに明るい話じゃないんだ。これから話す事、黙って聞いて欲しい」

翔鶴「私も、途中提督が説明しきれない所を補足します」

男「いいか、今から話す事は……嘘じゃない。この鎮守府、いや、この日本が……行おうとしている事。それに、今の俺の状態と……」

男(それから俺は、翔鶴が打ち明けてくれた事。俺たちがこれからやろうとしている事。薬の事に……俺が少しずつ狂っている事を、話した)

男(いきなりこんな話をされて戸惑うと思ったけど……みんなは最初から最後まで真剣に話を聞いてくれた)

男「……と、言う訳なんだ」

男「俺と翔鶴は、戦う。みんなにも協力してもらいたい……けど、強制じゃない」

男「元帥に言いたければ言うといい。俺は……今のみんなの暮らしを奪おうとしているんだから」

男「だけどそれでも……俺は止まれない」

男「止まっている時間は……残されていない……っ!」

天龍「……今の話、全部本当なんだな」

男「……あぁ」

天龍「この場所で、兵器開発が行われてる事。オレたちが実験台である事」

天龍「提督の命が……もう残されていない事」

男「本当だ」

電「……そんな」

金剛「……」

天龍「……どうしてだ」

男「……」

天龍「どうして最初から話さなかったんだよ!!」

天龍「もう少し早ければ、また違ったかもしれない。薬の事だって、わかっててお前が苦しむ必要は無くなってたかもしれない!!」

天龍「ふざけるな!!死なせてたまるか!!お前は誰にも殺させない!!元帥にだって、薬にだって!!」

金剛「そうデス!!まだ助かる可能性はありマス!!」

電「司令官さんは……私が助けます!」

男「……ありがとう」

天龍「それと……お前が狂人になったらこの天龍様が縛って引っ叩いて止めてやるから」

天龍「だから……安心しろ」ポフッ

男「そりゃあ……心強いよ……」ナデナデ

金剛「わ、私もデース!」ギュッ

電「えっと……は、恥ずかしいけど……」ギュ

翔鶴「ふふ……」

男「……よし。やろう!!」

打ち明けルートで進める事にします。ありがとうございます。お題も使わせていただきます

お仕事です

男「それで……やると言ってもそう大きく動く事は出来ない」

翔鶴「この事がばれれば……」

天龍「タダじゃあ済まねえだろうな」

男「密かに、まずは情報収集をしたい。この施設の防衛に穴は無いか、実験に関する資料、部隊の戦力」

電「それなら沢山本を読んだ方がいいと思うのです」

金剛「情報収集は任せるネー!」

男「ん、各自出来る範囲で。なんでもいい、沢山の情報を集めて欲しい」

翔鶴「わかりました」

男「とりあえず、この場は解散だな」

男「それじゃあ足が付かない様に、なるだけ自然に振舞ってくれ」


バタン

男「……ふぅ」

男(言っても……よかったのだろうか)

男(俺はみんなを危険に晒そうとしているんだ。ましてや電の様な小さな子供まで……)

男(俺の想いに反して、現実は進んでいく……)

男(いや……最後は俺が。命を散らせるのは……俺だけで十分だ)

『……よぅ』

男「……ん?」

男(ドアの向こうから声が少し聞こえるな)ピトッ

天龍『ちくしょうちくしょう!!!どうして……どうして……』

金剛『提督が犠牲になる必要は無いはずデス!』

電『うぅ……うわぁぁぁん……』

天龍『翔鶴姉、あいつはあと……どれくらいで……』

翔鶴『元帥は、持ってあと半年だと……』

天龍『半年……!?半年であいつは死んじまうのかよ!』

金剛『私たちがもっと早く気づいていれば……提督が苦しむ必要は……』

天龍『あいつだって!!なんでこんな事我慢して……会うときはいつも笑顔で……本当はずっと苦しんでたのか……』

電『ぐすっ…司令官さん……死んじゃ嫌なのです……』

天龍『俺だって死んで欲しくなんかねぇ!!死んで……欲しく、なんかぁ……』

金剛『ぅぅ……』

男「……」

ギュッ...


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男「……もう、寝よう」

コンコン

男「はい」

翔鶴『提督、大丈夫ですか』

男「あぁ……大丈夫だ」スッ

ガチャ

翔鶴「具合はいかがですか?」

男「今日は比較的大丈夫だよ」

翔鶴「そうですか……」

男「それで……どうしたんだ?」

翔鶴「その……もしよろしければ……」

男「あ……あぁ。大丈夫だよ」

翔鶴「それじゃあ……失礼します」

男「その……抱き上げるぞ」

翔鶴「はい……」

男(何度やってもこれは……緊張するな)グッ

翔鶴「……ふふ」ギュッ

男「……」

ポフ...

男「……それじゃあ寝ようか」

翔鶴「はい」ニコッ

モゾモゾ

男「……」

翔鶴「……」

男「今日は……疲れた」

翔鶴「そうですね。いろいろありました」

男「いろいろ、な……」

翔鶴「もう目蓋が閉じそうですよ」

男「手、繋いでくれ……」

翔鶴「喜んで」

ギュゥ...

男「……」

翔鶴「また悪夢を見ても、私がそばにいますから」

男「あぁ……」

男(今日もまた悪夢を見る。虐殺され、心臓を抉られ)

男(絶望して、悲しんで、恨んで)

男(それでも、翔鶴が手を握ってくれているかぎり……大丈夫だ)

男(さて、今日もまた俺の姿をしたなにかとの対話の時間だ……)


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男「ん……」

上司「おい、就業時間中に居眠りなんてして大丈夫なのか?」

男「あ、あれ……」

上司「何があれ……だ。次の企画、締め切り近いんだからしっかりしてくれよ」ポンポン

男「あ、あぁ……はい」

男(今……なんだかすごく嫌な夢を見ていた気がする)

男「さて……と」カタカタ

男(今日もデスクに座って画面とにらめっこ……か)

男「……」


男「ん……もうこんな時間か」

男「報告書と資料。こんなかんじでいいでしょうか?」

上司「あぁ。後で目を通しておくよ」

男「それじゃ、先上がります」

上司「ん、お疲れ」

男「お疲れ様でした、と」

男「……」コツコツ

男(なんにも無い)

男(今日も特に変化の無い日だった)

男(俺には夢も希望も無いからなぁ……そういうのを目標にしている人は羨ましいよ)

男「電車は……まだまだ余裕だな」

男(これならゆっくり行っても問題なさそうだ)

男「……ふぅ」

ドン

「きゃっ……」

男(あ……しまった)

男「だ、大丈夫ですか?」

「はい……大丈夫です」

男「……あ」

「あ……」

ドキッ...

男「そ、その……どこかであった……事あります?」

「わ、私も……どこかであった様な気が……」

男(……正直言うとあった事は無い……はずだ)

男(ロングの髪の毛にヘアバンド。清純を思わせる服装。なにより……人形の様に整った顔)

男(こんなに……綺麗な人に出会っていたなら忘れるはずはない)

男(なのに……記憶の中を探ってもこの女性の姿も顔も浮かんでは来なかった)

男(ただ……どこか懐かしい様な、ずっと一緒にいた様な。そんな気がしてならない)

男「名前、名前は……」

翔鶴「私、翔鶴って言います」

男「お、俺は……男」

男「……やっぱり、気のせいですかね」

男(心臓がバクバク言ってる。なんとなくソワソワした気分だし……これって……)

翔鶴「でも……なんとなくですけど……ずっと、一緒にいた気がするんです。それも凄く……昔に」

男「お、俺もそうなんです!凄く、凄く遠い昔……覚えていない頃……かな」

翔鶴「……」

男「……」

翔鶴「……」

男「……」




翔鶴、男「あ、あの!」

今日はここまでです

男「あ、えっと……」

翔鶴「お先に……どうぞ」

男「いや大した事じゃないんですけど……」

翔鶴「大丈夫ですよ」

男「じゃあ……その。よかったら……コーヒーでも飲んでいきませんか?」

翔鶴「は、はい……」

男「それで……翔鶴さんは?」

翔鶴「いえ!そのなんというか……」

翔鶴「男さんと……同じ事を思っていたので……」

男「……」

翔鶴「……」

男「……ははは」

翔鶴「……ふふ」

男(正直、上手くいきすぎだとは思っている。だけど……)

男(俺たちは、ここで会わなきゃいけなかったんじゃないかと思う。ありきたりな言い方だと……運命、とか言うんだろうな)


男「砂糖、入れますか?」

翔鶴「それじゃあ、二つ」

男「はい……どうぞ」スッ

翔鶴「ありがとうございます」

翔鶴「男さんは?」

男「俺はそのままで大丈夫です」

翔鶴「そのままで飲めるなんて凄いですね」

男「慣れ……ですかね。眠気覚ましにはこれくらいの方がいいですし」

翔鶴「お仕事……は、なにをされているんですか?」

男「あ、普通のサラリーマンです。商品の企画を作ったり、いろいろ」

翔鶴「へぇ……そうなんですか」

男「翔鶴さんは?」

翔鶴「私は大学生です。今年で二十歳になったばかりで……」

男「え、そうなんですか。大人っぽく見えたから……」

翔鶴「それって、私が老けて見えるって事ですか?」ニコッ

男「そ、その!そういう事じゃなくて……なんというか。ええと……」

男「しっかりしている様に見えますし……」

翔鶴「しっかり、ですか」

男「仕草……とか。座り方とか、飲み方とか。凄く落ち着いていて……大人っぽいなと」

翔鶴「ふふ、そういう事だったんですね」

男「それにその……魅力的、ですし」

翔鶴「……」

男「……」

翔鶴「……」カァァ

男「……はっ!?」カァァ

翔鶴「えっと……そのぅ……」

男「あぁいや!今のはその口が滑ったというか!本音なんですけど言うつもりはなかったというか」

翔鶴「本……音」モジモジ

男(ぼ、墓穴掘った……!?)

男「そ、そうだ!ここケーキがすごく美味しいんですよ!チョコレートケーキなんかコーヒーと凄く合うんです!」

翔鶴「そ、そうなんですか?それじゃあそれを頼みたいなー……」

男「……はは、ははは!」

翔鶴「ふふふっ……なんだかおかしいですね」

男「やっぱり初めてあった様な気がしないです」

翔鶴「私も。普段知らない人とこんなにお話出来ませんし」

男「あの……もしよかったらでいいんですけど」

男「また、コーヒー飲みに来ませんか?」

翔鶴「次は食事でもいいですね」

男「食事か……食事もいいなぁ」

翔鶴「メールアドレス、交換しませんか?」

男「そうしましょうか」

正直辛い毎日の中で見る平和な夢って一番心に刺さると思うんです

お仕事です

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男「さてと……そろそろ寝るかな。ん……」スッ

男「メールか……」


翔鶴

件名:ありがとうございました

今日は一緒にお話出来て楽しかったです。

初めて合う人なのにこんなにも懐かしい気がするのは不思議で仕方がないです。

また近いうちにどこかに一緒に行けたら嬉しいです。


男「……」

男「返信しておくか」




件名:Re:ありがとうございました

俺も翔鶴さんと話が出来て楽しかったです。

自分でも不思議に思います。でもそのおかげでこうして翔鶴さんともメールが出来るので感謝したいですね。

次は話していた通り食事にでも行きましょう。


男「……よし」

男「はぁ……なんだか……はは」

男「多分……好きなんだろうな……」

男「……一目惚れ……か」

男(そこから翔鶴さん……いや、翔鶴と俺は少しずつ会う事を重ねていった)

男(眠れないときには電話で話したりもした)

男(気がつくと翔鶴の事ばかり考えていた辺り俺は……翔鶴の事が好きなんだと思う)

男(仕事だって手に付かなくなるし翔鶴の事を考えると思わず口元が緩みそうになる)

男(そして……ふと虚しくなって胸が苦しくなった)

男(会っていない時間が苦しかったんだ)

男(そして俺は今日。好きな人と一緒にいる為に……告白しようと思う)


男「……」

翔鶴「楽しかったですね」

男「そうだなぁ……もうすっかり夕方になってる」

翔鶴「楽しいと時間を忘れてしまいますね」

男「本当に……」

男「……」

翔鶴「……」

男「翔鶴」

翔鶴「はい」

男「俺はこうして……翔鶴と一緒に並んで歩いてるだけでも楽しいよ」

翔鶴「私も……楽しいです」

男「もう少し道が長ければなって……思う事だってある」

翔鶴「今は……どうですか?」

男「今だってそうだよ。延々と続く道だったらいいのに」

男「別れ道。あっという間だった」

翔鶴「それじゃあ……また今度……」

男「……翔鶴」

翔鶴「……男さん?」

男「俺さ……翔鶴とこうして別れる時が一番辛いんだ」

翔鶴「……」

男「でももっと辛いのは……翔鶴と一緒にいれない間なんだ」

男「……翔鶴。お願いがあるんだ」

翔鶴「……はい」

男「……」

翔鶴「……」

男「俺の……そばにいて欲しい」

男「俺の……隣にいて欲しい」

男「ずっと……離れないで欲しい」

翔鶴「……それって」

男「……最初にあったときからずっと……翔鶴の事が……好きだ」

翔鶴「……」

翔鶴「私も……男さんのおそばに居たいです」

翔鶴「男さんの隣で、寄り添っていたい」

男「……翔鶴」

翔鶴「……男さん」

男(俺たちはお互いの身体を慈しむ様に抱き合った)

男(翔鶴の香りと体温と柔らかさが、俺を満たしていった)

男(ずっと、離したくない)

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ーーーーーー
ーーー


男「さて……寝ようか」

翔鶴「はい……」

男(女の子を家に連れてきたのって初めてだし、なんとなく緊張するよな)

男(それに湯上がりの翔鶴は……凄く……こう……艶やかで……)

翔鶴「あまり見られると恥ずかしいです……//」

男「ご、ごめん……」

男「それで……ベッドなんだけどさ……」

翔鶴「……」

男「……やっぱり、恥ずかしいよな?」

翔鶴「……男さん。私は男さんの隣に居たいって……言いましたよね」

男「あぁ……」

翔鶴「ベッドでも……隣がいいです……」カァァ

男「……あ、あぁ……俺も、隣がいい……」

モゾモゾ

男「……」

翔鶴「……」

男(こ、こういう時はどうしたらいいんだろう)

翔鶴「……手、繋いでもいいですか?」

男「も、もちろん……」

ギュッ

男「……あぁ。そうだ、翔鶴」

翔鶴「なんですか?」

男「最近俺……悪夢を見るんだよ」

翔鶴「悪夢……ですか?」

男「よくわからないんだけど……凄く辛くて、悲しくて、切ないんだ」

男「大切なものがすぐそばにあるのに、すぐにでも壊れてしまいそうで……それで、自分が壊れていく」

男「ここ最近、こんな悪夢ばっかり見るんだ」

翔鶴「……大丈夫ですよ」

翔鶴「私がそばに居ますから」

翔鶴「たとえまた悪夢を見ても、私が隣に居ます」

男「……そうだな。それなら……安心だ」

男(意識が暗闇に引き摺り込まれていく)

男(今日もまた悪夢を見る。でも今日はきっと大丈夫だ)


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ーーー

男「ん……う」

翔鶴「おはようございます、"提督"」

男「あぁ……おはよう」

翔鶴「今日は悪夢を……見ましたか?」

男「いや、よく覚えてないけど……凄く幸せな夢だった気がするよ」

翔鶴「ふふ、そうですか。それならよかったです」

男(そう、幸せ。幸せな夢だった気がする)

男(だけど、だからこそ)

男(今の俺にとっては、一番の悪夢だったのだと思う)

ここまでです

男「さて、朝食でも作ろうか」

翔鶴「はいっ」

男「えっと……」

男『随分くだらない夢を見てたみたいだな』

男「……」

男『恋だの愛だの虫唾が走る。結局はただの性欲なのにそれを美化しようとする』

男『お前も、取り繕う必要は無い。ただその女を犯してやりたいだけだろう?』

男「……っ!」

翔鶴「私もお手伝いしますね」

男「あ……いや、いいよ。翔鶴は座って待っていてくれ」

男『確かにお前が性欲の矛先を向けたくなるのは分かる。いい女だよそいつは』

男『だからこそ遠慮なんてする必要は無い。お前の好きな様に凌辱してやれば……』

男「うるさい。消えろ」

男『ま、いつまで持つかな……お前のくだらない理性も、壊れかけて来ている。せいぜい足掻くといい』

翔鶴「提督……?」

男「ん、どうした?」

翔鶴「……いえ」

男「そっか。それじゃあ早く朝食を済ませて、みんなを集めよう」

翔鶴「……」


男「みんな集まったな。まず今日の任務だが、領海の警備が予定されていたが無しになった。よって今日は訓練に当てる事にする」

男「それが終わったら後は自由だ。各自好きに過ごす様に」

天龍「っしゃあ!気合い入れていこうぜ!」

金剛「リアルファイトでも負けないネ!」

電「私はまた走りこみと……」

翔鶴「今日は私と弓も練習してみる?」

電「なのです!」

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー


男「ふっ……!」ブンッ

天龍「甘いぜ!」ガッ

男「なっ……」

グリンッ

男「うわっ!?」

ドサッ!!

男「ってぇ……」

天龍「現実じゃこんなもんなのに海へ行くとあの強さか……」

男「天龍が強すぎるんじゃないか……?」

天龍「まぁ、天龍様が強いのは当たり前だけどよ」

電「こ、こうですか?」

翔鶴「ううん。持ち方はこう。それで弦を引いて……」ヒュッ

ストンッ!

電「はわ……凄いのです」

翔鶴「練習すれば出来る様になるわよ」

男「向こうもしっかり練習しているみたいだな……そういえば金剛は?」

天龍「さぁ?さっきから姿が見えねえけど……」

男「……ちょっと探してくる」

天龍「おう」


男「さて……どこにいるのやら……」

男「金剛の部屋……」

男「おーい、いるかー?」

男「……」

男「別の所か……」

男「……ん?」

男「あれは……木曾の部屋?」

男「なんでドアが空いてるんだ……?」

男「……」スッ

チャキンッ

男「……」

コツ...コツ...

男「っ!」バッ

男「……誰も居ない」

男「部屋の中は……」

男(入ってみたがこれと言って変化はない。飾ってある重火器が減っているのは俺が借りたからだろう)

男(なにもない……)

男「ん、なんだこれ」

スッ

男「……携帯電話?」

男(テーブルの上にポツンと置いてあった携帯電話。外見は普通の携帯だが……)

男「誰が置いたんだ?こんな所に……」カチッ

男「……留守電が一件?しかもさっき入ったみたいだな」

男「……」

男「まぁ……誰のものか確かめる為に……仕方ないよな。仕方ない」

ピッ

『ザザ…ザザザ……』

男「……?」

『久しぶりだな。提督』

男「…………!!!!』

男「この……声、まさか……!?」

『出来れば、もう少し時間を掛けたかったんだがな。そうもいかないみたいだ』

『お前にも、時間が無いんだろう?』

男「な、なんでその事を!?」

『今から丁度180日後の午前1時。俺は待ってる』

男「待て、何処だ!?何処に……」

『場所は当日になれば分かる。そうだな……179日目のフタフタマルマルくらいに全員を集めるといい』

『最後の、決戦だ』

男「……最後の」

『あぁ、それと。今留守電メッセージを聞いてくれていると思うがこの携帯で折り返しや通信をする事は出来ない』

『だが、無くさずに持っていてくれ』

『メッセージを終了します……』

男「……」

男「……生きて、いたんだな」




男「……木曾」

>>917 修正


男「……携帯電話?」

男(テーブルの上にポツンと置いてあった携帯電話。外見は普通の携帯だが……)

男「誰が置いたんだ?こんな所に……」カチッ

男「……留守電が一件?しかもさっき入ったみたいだな」

男「……」

男「まぁ……誰のものか確かめる為に……仕方ないよな。仕方ない」

ピッ

『ザザ…ザザザ……』

男「……?」

『久しぶりだな。提督』

男「…………!!!!』

男「この……声、まさか……!?」

『出来れば、もう少し時間を掛けたかったんだがな。そうもいかないみたいだ』