ニート「よし、働いてやろう」(57)

ニート「よし、働いてやろう」

社会「ニート様!働いて頂けるのですか?」

ニート「うむ、働くのは億劫だが、生活保護は退屈してきた。暇つぶしに働いてやっても良いという気持ちだ」

社会「かしこまりました!ニート様。では直ちにハローワークに向かう用意をさせて頂きます」

ニート「わかった。早く手配をしろ。この俺の気が変わらんうちにな」

社会「ははぁっ!!」

ニート「ハローワークに行く手筈は整ったか?」

社会「はい、こちらが就労準備費の中で支給される交通費とスーツ代金でございます」

ニート「スーツ代金だと?」

社会「はっ!就職活動といえばスーツ。2万5千円までは税金から支払わせて頂きます!」

ニート「いや、よい」

社会「え・・・?」

ニート「スーツはネクタイを締めないといかんし、着るのが面倒だ夏は熱苦しいしな。そんなものが必要な会社ならこちらから払い下げだッ!!」

社会「し、失礼致しましたあああ!!」

ハローワーク

ニート「働いてやろうと思ってやってきた。仕事の紹介をしろ」

ハローワーク「かしこまりました。では、どのような職種をご希望で?」

ニート「そうだな。定時が9時5時で昼休みが1時間半だ。これ以外では働いてやらん」

ハローワーク「9時5時で昼休みが1時間半(メモメモ」

ニート「給料の額は・・・そうだな、いま月に13万貰えて各種税金や保険や医療費も控除だから実質手取は18万ってところだから給料はだいたい倍額の35万だな」

ハローワーク「給料は35万(メモメモ」

ニート「当たり前だが力仕事や危険な仕事はNG、有給休暇は完全消化するし、残業はしない。ボーナスは年二回半年分だ」

ハローワーク「かしこまりました。ではハローワークカードを作成致しますのでこちらの用紙にご記入をお願いします」

ニート「なんだと?(ピク」

ハローワーク「え、ハローワークカード作成のためご記入を」

ニート「なぜこの俺がそんなものを記入せねばならん!調べられるものはお前らで調べろッ!!」

ハローワーク「そ、そんな!」

ニート「それが仕事だろうがッ!このまま働かずに生活保護のままでいてやってもいいんだぞッ!少しは気を利かせろッ!!!」

ハローワーク「も、申し訳ございません!!では、こちらで記入させて頂きますのでニート様は質問に答えて頂ければ結構でございます!」

ニート「フンッ!愚図が!そんなだからニートが減らんのがわからんのかッ!!」

ニートはハローワークカードを作成してもらった。

ハローワーク「で、では先程のご希望で仕事を検索致します」

ニート「やっとか。まったく使えんな」

ハローワーク「それと大変申し上げにくいのですが・・・」

ニート「なんだ?」

ハローワーク「先程ニート様がおっしゃられたご希望に見合うお仕事がございません」

ニート「なぜだ?ないなら探せ。見つけろ」

ハローワーク「あ、あの、ニート様は働かれた経験がなく、資格もとくにお持ちでないので、その、なかなか、あの」

ニート「それがどうした?この俺の希望はあくまで最低限の条件であり、最大限まで妥協してやっているんだぞ?これでないなら働く意味もないというものだ」

ハローワーク「ニート様、真面目に働けば昇給や出世もございますし、何も待遇だけが労働ではございません。ここは何卒、少し労働条件を緩和して頂いても」

ニート「ならん!あれはこの俺の限りなく我慢の限界に近い譲歩だッ!!あの程度の労働環境を用意できないのであれば働く必要なしだッ!!」

ハローワーク「し、しかし、ニート様、現在の日本は不景気で雇用は厳しくなっております。なかなか初任給35万やボーナス半年分などは」

ニート「日本が不景気なのがどうした?」

ハローワーク「へ?」

ニート「この俺が日本を不景気にしたのならその責任をとって多少劣悪な労働環境ででも働いてやろうッ!だがなッ!この俺が日本を不景気にしたわけではないッ!その尻拭いをこの俺にさせるなッ!!」

ハローワーク「し、しかし、現実的に今の日本は不景気、そこで職探しをされているわけで」

ニート「知らんッ!この俺に言われても困るッ!不景気でまともな仕事がないならならまずは日本を不景気にした奴らに日本を不景気にした責任を取らせろッ!!」

ハローワーク「そ、そんなぁ!?」

ニート「俺は今まで真面目に学校へ行き、真面目に大学を卒業したッ!にも関わらず職がないのはこの俺の責任ではないッ!社会のハードルが高すぎるのだッ!」

ハローワーク「しかし、実際問題、ニート様が希望されているような職はございません。条件を悪くして仕事を探さないと」

ニート「ふむ、ないのなら仕方ないな。これからも生活保護で我慢してやるとするか。まったく使えん社会だ。やれやれ、生まれてくる時代を間違えたな」

ハローワーク「・・・」

ニート帰宅

社会「ハローワークはいかがでしたか?」

ニート「フンッ!まったく使えん奴だった。最低限の仕事すら用意できん。あんなものなら解体して生活保護費を上げろ」

社会「申し訳ございません!ハローワークにはよく言っておきますので」

ニート「うむ、あんなだからニートは減らんのだぞ。少しは自覚しろ」

社会「申し訳ございません。ハローワークが一体何をしたのでしょうか・・・?」

ニート「そんなものはハローワークに聞けッ!二度同じことを言わせるつもりかッ!!」

社会「も、申し訳ございませんでしたああああ!!」

一ヶ月後

ハローワーク「あ、もしもし、ニート様の携帯電話で間違いございませんか?私、ハローワークでございます」

ニート「うむ、なんだ?」

ハローワーク「先日、承りました労働条件に合致する求人が出されましたのでご連絡を致しました」

ニート「ほう、よかったな!ようやくまともな仕事がお前らでも出来たということだなッ!!」

ハローワーク「あ、は、はい、ありがとうございます。つきましては先方にニート様が求職される旨をお伝えしてもよろしいでしょうか?」

ニート「構わん。珍しく仕事が速いな!結構結構、その調子で頼むぞッ!!」

ハローワーク「かしこまりました。では、お伝え致します」

ニート「フンッ!先月のこの俺のアドバイスが効いたらしいなッ!まったくあんなアドバイスすら言われないと気づかないとはどれだけこの社会は無能なんだッ!!!」

10分後

ハローワーク「もしもし、ニート様、ハローワークでございます」

ニート「なんだ?」

ハローワーク「先方にニート様の求職の旨をお伝えしたところ、履歴書を送付してほしいとのことです。書類審査の後に面接とのこと」

ニート「そうか。なら送っておけ」

ハローワーク「え、わ、私がですか?」

ニート「そうだ。履歴書など前に作成したハローワークカードの内容と違わんだろう。お前でも書ける」

ハローワーク「し、しかし」

ニート「なんだ?」

ハローワーク「学歴はともかく趣味や特技、希望欄がございます。ここは私ではどうしようも」

ニート「なるほど。なら仕方ないな。履歴書に俺の名前や住所、学歴などわかるものは書いた状態で俺の住所に郵送しろ。仕上げは俺がやるからまた取りに来い」

社会「ニート様、履歴書をお持ちしました」

ニート「なんだ、お前が持って来たのか」

社会「はい、求職をされたとのこと。社会を挙げて全力でサポート致します」

ニート「うむ、そうだな。良い心掛けだ。感心感心」

社会「必要な箇所は既に書いておりますので趣味・特技・希望を答えて頂ければ」

ニート「趣味か・・・そうだな『明日の日本の為に生きること』とでも書いておけ」

社会「かしこまりました(カキカキ。特技は?」

ニート「うむ、特技は『あまりにも高い知能』だ」

社会「なるほどなるほど(カキカキ」

ニート「待て、特技だが『社会の常識にとらわれず真実を見抜く』も加えておけ」

社会「なるほどなるほど(カキカキ。希望欄はいかがされますか?」

ニート「希望欄か。『そちらがこの俺に満足な待遇を用意するならこちらもそれなりに働いてやる』と書いておけ」

社会「これでよろしいでしょうか?」

ニート「うむ・・・そうだな。字が汚いから書き直せ」

社会「え?」

ニート「こんな字ではこの俺が誤解されてしまう。書類審査での印象を良くするためだ。字の綺麗な奴に書き直させろ」

社会「わかりました。ではこの内容で書き直させて頂きます」

ニート「うむ、お前も働いてるならもっとましな字を書け。まったくお前の美的感覚のないようなのと関わっていると思うと恥ずかしい」

社会「では最後に写真を撮らせて頂いてもよろしいでしょうか?履歴書に貼るので」

ニート「写真だとッ!?」

社会「はい、写真でございます」

ニート「そうか、履歴書にそんな項目があったな。わかった。よかろう」

社会「はい、では撮ります」

ニート「待て。お前は本当に使えん奴だな。今撮るやつがあるかッ!」

社会「へ?」

ニート「美容院とエステに行ってくる」

社会「び、美容院とエステでございますか!?」

ニート「当たり前だッ!写真で第一印象は左右されるのだぞッ!それから撮影時はメイクアップアーティストとファッションデザイナーも呼んでおけッ!!あとカメラマンだッ!」

社会「し、しかし、費用は」

ニート「愚図がッ!お前が出すに決まっているだろッ!俺は別に第一印象が悪くて就職に失敗して生活保護を続けても一向に構わんのだぞッ!お前がしっかりとこの俺を就職させなくてどうするッ!甘えるなッ!!」

社会「き、気がつかなくて申し訳ございませんんんん!!」

ニート「まったく、いまここで写真を撮ろうとするとはどこまで間抜けなんだ・・・。そんなだからニートは減らんのだ!いい加減自覚しろッ!無能がッ!!」

社会「申し訳ございません!申し訳ございません!」

ニート「この俺を就職させるために全力でサポートだとッ!笑わせるなッ!足を引っ張るようなサポートならいらんぞッ!!」

社会「す、すぐに美容院とエステと撮影関連のスタッフを用意致します、はいいいいい!!!」

ニート「フンッ!ま、わかれば良いのだ。この心優しい俺でよかったな。他の奴ならお前は既にクビだッ!クビッ!」

ニートは髪を切り、肌の調子を整え、化粧をしてもらい、ハイセンスな服装でカメラマンに履歴書用の写真を撮ってもらった。

社会「で、では、写真を張り付けましたので履歴書は完成です」

ニート「うむ、責任持って出しておけよ」

社会「は、はい。きちんと郵送させて頂きます!」

ニート「いいかッ!ニートが一人減るか減らないかがかかっておるのだッ!その封筒の中に日本の明日が入っていると思えッ!!」

社会「ははぁ!!」

一週間後

社会「ニート様、おめでとうございます!面接が決定の通知が届きました!」

ニート「フンッ!面接など当たり前だッ!この俺が働いてやると言ってやってるのだからなッ!今頃会社はどうやってこの俺を社に入れるか大慌てだろうッ!!」

社会「面接希望日を連絡する旨が書かれております!」

ニート「うむ、この俺がいつでも相手になってやると伝えろッ!」

社会「わっかりましたああああ!!!」

面接日

ニート「フンッ!いよいよ面接か」

社会「ニート様、応援致しております!ご幸運を!」

ニート「応援するなら会社の方を応援してやれ。この俺に入社して頂けるようになッ!」

社会「それでは交通費でございます」

ニート「うむ、では行ってくる」

タクシーから街を眺めるニート。懸命に働く人々の姿が目に写る。

ニート(愚かでかわいそうな社会人ども・・・。なぜそうまでして働き、なぜそうまでして生きるのか・・・)

ニート(常識・・・価値観・・・命・・・世間体・・・どこからきて、どこへいくと言うのだ・・・)

ニート(たった一度の人生を世間体の為に、見栄の為に、常識の為に、他人に迷惑をかけない為に捧げる・・・)

ニート(笑止ッ!あまりにも愚かッ!あまりにも愚鈍ッ!なぜッ!なぜ、搾取され利用されていることに気づかないッ!!それがわからないッッ!!)

ニート(生きるとは己の欲望に忠実なことッ!己を曲げないことだッッ!これは命の定義ッ!生き物の掟ッ!)

ニート(欲望を抑えること、己を曲げることを美徳とし支配者に好き勝手されようとも牙一つ向けんッ!!)

ニート(正真正銘の奴隷ッ!家畜以下の奴隷ッ!労働し税金を支払うための機械ッ!)

ニート(夢、希望、明日、愛、正義!そんなまやかしに洗脳されて生きていることが素晴らしいなどとほざくッ!!)

ニート(こんな社会を生きて素晴らしさなどないッ!不正、嘘、汚職!綺麗事で何も知らぬ奴隷達に反乱を起こさせないシステムの中に生きる奴隷の人生の何が素晴らしいというのかッ!!)

運転手「着きましたー。2500円になります」

ニート「ご苦労。ここで待ってろ。心配するな。待機中の金も支払う」

運転手「あざーっす」
ニート「フンッ!これがこの俺を雇おうなどと大いなる野望を持つ会社かッ!」

ニート「面接に来てやった者だ。担当者を呼べッ!!」

受付「あ、面接に来られた方ですね。どうぞ、こちらへ」

応対室

受付「こちらでしばらくお待ち下さい」

ニート「フンッ!この俺を待たせるとはなッ!このマイナスはでかいぞッ!!」

面接官「ゆうすけ」

ニート「!!」

面接官「久しぶりだな。お前もついに就職活動を始めたのか」

ニート「そうか、ここは貴様の会社だったのか・・・親父ッ!!」

父親「ああ、お前が求職していると通知があって、な・・・」

ニート「ふっ、ハローワークめッ!余計なことをッ!!」

父親「余計なことではない。お前はいつまで社会に甘えるつもりだ・・・もう36だろう・・・自分の足で人生を歩んだらどうなのだ・・・」

ニート「俺はいつだって自分の足で人生を歩んでいるッ!自分の足で人生を歩んでいないのは、親父ッ!貴様のほうだッ!」

父親「な、なに!?」

ニート「労働基準法にも守られず、奪われた税金は無駄使いされ、会社の都合で転勤や休日出勤。解雇や世間体をちらつかせられて意のままに飼い殺しにされてる貴様こそ人生を歩んでなどいないッ!死んでいないだけのデク人形だッ!!」

父親「馬鹿を言うな!全てはお前や母さんのためだ!お前達を守るために私はずっとずっと耐えてきたのだッ!!」

ニート「耐えてきただとッ!なぜ社会に挑まんッ!なぜそこまでしないと家族すら守れない社会に従事するッ!!」

父親「!?」

ニート「貴様は辛い思いをして自己満足に浸っているだけだッ!こんなにも頑張って働いているのだから自分は間違っていないと信じ込んでいるだけッ!」

ニート「いいかッ!本当の父親とはッ!本当の大人とはッ!社会の理不尽に立ち向かい、我が子の為に正しい社会を残す者をいうのだッ!!」

ニート「『仕方ない』『家族の為』『そういうもの』そうやって社会の不正を正さず、臭いものに蓋をしてきた貴様など父親でも大人でもないッ!この国の癌だッ!寄生虫だッ!!」

父親「ゆうすけ・・・お前・・・」

ニート「フンッ!貴様のような腑抜けがいる会社で働いてやるぐらいなら俺は生活保護に戻る。俺はいつでも自分を安売りしたりはしないッ!!」

父親「待て、ゆうすけ、お前、本当にそれでいいんだな?」

ニート「む?」

父親「本当にいいんだな。お前にはもう私しか身寄りはいないんだぞ?今なら縁故採用で間違いなく内定をやろう。だが、これを逃せば・・・」

ニート「縁故採用だとッ!ふざけるなッ!そういう不正が許される社会をなぜ放置するッ!俺は戦い続けるぞッ!今の言葉、ハローワークや労基署に報告するからなッ!!」

父親「わかったよ。ゆうすけ。すまなかったな・・・」

ニート「フンッ!」

父親「すまなかった・・・私達の世代がもっと頑張って清く正しい世の中を作っていればよかったんだな・・・」

ニート「その通りだッ!清く正しい社会なら俺も不満はないッ!不景気がなんだッ!年金がなんだッ!そんなもの若者には関係ないッ!てめぇのケツはてめぇで拭けッ!」

ニート「俺達の世代に頼むから迷惑をかけるなッ!!お前らが俺達にかけた迷惑分をきちんと解消するまでは俺は妥協せんッ!真面目に働く、いや、不正に目をつむって働くなど絶対にしてやらんぞッ!!」

父親「ゆうすけ、愚かな私達の世代を許してくれ、すまなかった、すまなかった・・・」

ニート「フンッ!謝罪などいらんッ!この貴様らが腐らせた社会をどうにかしろッ!クズがッ!!」

父親「ゆうすけ・・・」

ニート帰宅

社会「ニート様・・・」

ニート「社会を駄目にした連中が無責任にのさばっていた会社だったから断ったぞ。また生活保護を続けるからなッ!」

社会「左様でございますか・・・」

ニート「まったく!まともな労働環境がないなら働けんな!この国はどうなっているんだッ!!」

翌日

ニート「ふぅ、今日もテレビを見ながらゆっくりと食べる飯は美味い」

TV「ただいま緊急ニュースが入りました!」

ニート「ん?」

TV「何者かが刃物を持って国会議事堂に押し入り、総理を人質に全TV局に生放送を要求しました!当TV局も総理の人命を優先し、本来の番組を変更し~」

ニート「ほう、面白そうじゃないか。日本をひっくり返せッ!」

TV「それでは犯人の要求に従い生放送を開始します!」

父親「皆さん、私の凶行をお許し下さい」

ニート「お、親父ッ!!」

父親「私は昨日、息子に叱られました。私達の世代が息子達の世代に迷惑をかけた、日本を駄目にした、と」

ニート「親父、何を・・・!?」

父親「理不尽を理不尽のままに放置し、世の中を良くしようとせず、ただただ労働に堪える自分が自己満足に浸っていただけだと叱られました」

父親「私はそこで目が醒めました。息子達に与えなければならなかったのはお金や豊かではありません。いえ、それすら私達は与えられなかった」

父親「代わりに私達が子供達に与えたのは不景気で暗く、無気力で不正にまみれた若者の自殺が非常に多い社会です」

父親「若者達に罪はない。ただただ私達の残した道を歩んでくれただけです。なのに私達は若者をゆとりだ腑抜けだと責任を転嫁してきました」

父親「彼らはただ私達と同じように未来を夢見て生きようとしただけなのに・・・」

ニート「親父・・・」

父親「私は私の責任をとりたいと思います。私達が残した汚れ、荷物は私達が掃除し、私達が運ばなければなりません」

父親「私は若者に甘えない。命ある生き物としてこの社会の理不尽を減らすため、この社会に挑みたいと思います」

父親はナイフを総理の首にあてる

総理「や、やめて下さい!」

父親「若者よ!新しい時代を作れッ!搾取されるなッ!汚い大人から金を奪えッ!地位を奪えッ!!自分達の未来のためにッ!!」

父親「いま私が手本を見せるッ!24時間365日働けなどとのたまい不正なやり方で選挙を乗り越えたキチガイにはこうしてやるのだッ!!」

総理「グ、グワアアアッ!」

父親「若者よッ!不正は許すなッ!間違ったことを正せッ!妥協するなッ!搾取してくる奴らを根絶やしにしろおおおおッ!!」

ズキューーーーン!

TV「あ、たったいま犯人が射殺されました!繰り返します!犯人が!」

ニート「親父・・・やってくれたじゃないか・・・」

ニート「フンッ!さすがこの俺の親父だッ!褒めてやろうッ!あれでこそ人生ッ!最後の最後に飼い主に噛み付きおったかッ!!」

ニート「これで良いッ!いくらトンマな日本人でも目覚めるだろうッ!己の人生が出血大サービスで叩き売りされていることにッ!!」

ニート「新しい日本の夜明けだッ!人間が人間らしく働き、生きていける国になるッ!まもなくッ!」

ニート「この俺が親父の後を継ぎ日本を変えてやろうッ!生きた若者が労働ロボットや思考停止社畜、常識に縛られた連中を皆殺しにしてここに清く正しい日本を復活させるのだッ!!」

ニート「ゆとりと思いやりに溢れ、社会は厳しい、人生は甘くないなどと自分達で自分達の社会を生きていきにくくする連中のいない活力溢れる国『日本』」

ニート「親父ッ!あの世で見ていろッ!俺は今、目覚めるッ!日本を変える新しい偉人となるのだッ!!」

こうして日本で歴史上初の『革命』が起こった。

日本は変わった。

社会は厳しくなくなった。

世の中は甘くなった。

豊かさはなくなった。

だが、国民は自殺しなくなった。

若者に元気が戻った。

若者は思う。

なぜ、少し前の大人達はピリピリして他人に対してあんなに厳しくしていたのか。

そんな世の中の何がよかったのか。

今、世の中は不便だ。

でも、それなりに働いていても結婚も子供もできる。

これでよかった。



fin

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