キュゥべえ「ハートレスマンション?」第2夜 (190)





——これは、とある女神が創り出した優しい世界のお話





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1368011436

前スレ

キュゥべえ「ハートレスマンション?」


——石造りの部屋の一室


ハチべえ(以下HB)「暁はちゃんと行けたかい?」

円環の理「うん、満足そうだったよ」

HB「それはよかった」

円環の理「ハチべえのおかげだね、こんなに上手く行くなんて思わなかった」

HB「僕もかなり危なかったけどね。勘弁して欲しいな、今の僕はネットワークから分断されているんだから。僕が死んだら今の僕の情報も記憶もロストしてしまうんだよ」

円環の理「ふふふ」

HB「? 何が面白いんだい?」

円環の理「いや、随分人間らしいことを言うようになったなぁって」

HB「そうだね」

HB「種から切り離されて・・・1人になって初めてわかったよ。だから人間は死ぬことを恐れ、見知らぬ他人が死ぬことすらも嫌うんだね」

円環の理「そんな風に思えるなら、あなたはきっと——」

円環の理「・・・ん、来たみたいだよ。新しい迷い人が」

HB「やれやれ、人使いが荒いね」

円環の理「いってらっしゃい」


——ハートレスマンション・エントランス


HB「やぁ、初めまして。僕の名前はハチべえ!」

???「・・・」

HB「僕と一緒に記憶の欠片を探してよ!」

???「うるさい・・・」

HB「えっ」

???「消えて! 私の前から!!」

HB「うわぁ!」

 目の前の少女が十字架の様な杖を振うと、稲妻がハチべえの立っていた場所を焼き払う。

HB「なにをするんだい! 危ないじゃないか!」

???「黙れ!! 私達を散々騙してきたくせに!!」

HB「何を言ってるんだい?」

???「あ・・・そうか」

 少女は十字架を降ろすと、ペコペコと頭を下げる。

???「・・・ごめんなさいごめんなさい! この世界では違うんだよね!」

HB「この世界? なにを言ってるんだい」

???「ううん、なんでもない」

HB「名前を聞いていいかい?」

???「私? 私は——」

かずみ「かずみ!」




Chapter2 汚れた日記帳



HB「——と、いうわけで君にはもう一度願いをやり直すチャンスがあるんだ。その条件はこのマンションにある君の記憶の欠片を全て探し出すことだ」

かずみ「ほうほう! なるほどなるほど!」

かずみ「それなら早く探しに行こう!」

HB「協力的で助かるよ、前の子なんてそりゃあもう大変だったのに」

かずみ「前の子?」

HB「こっちの話だよ」

かずみ「ふぅん? よし! それじゃあしゅっぱーつ!」

祝復活!!
超期待!!


——ハートレスマンション・東棟


かずみ「みーつーかーらーなーいっ!!」

HB「随分せっかちだね」

かずみ「だって! このマンション部屋数多すぎるよ! 部屋の1つ1つも広いし!」

HB「そう言われてもなぁ」

かずみ「誰が住んでるの、誰が住むの!」

HB「確かに不可解だね。マンションと言うには住人は居ないし」

かずみ「きっとこの部屋も誰も居ないんだよ!」ガチャリ

髪の長い少女「あ」

かずみ「えっ」

髪の長い少女「ひゃわああああああああ!」

かずみ「ぎゃあああああああああああ!」

HB「落ち着きなよ」


——ハートレスマンション・NE3−4号室


かずみ「えーっと、ねぇそんなパソコンの後ろで隠れてないで出て来てくれないかなー・・・?」

髪の長い少女「・・・」ガタガタガタガタ

HB「僕が行ってみるよ」

髪の長い少女「・・・」ボソボソボソボソ

HB「うん、うん」

 ハチべえは携帯を咥えて戻ってくる。

HB「言いたい事はこのチャットに書くって」

かずみ「喋れないの!?」


携帯『ごめんなさい、私他の人の前だとキョドって上手く話せないんです。』

かずみ「あ、そうなんだ。ねぇ、名前教えて。私はかずみ!」

携帯『私は真矢エリです。』

かずみ「エリだね! エリはいつからここに住んでるの?」

携帯『わかりません、気付いたらここに。』

かずみ「ふーん、そうなんだ。エリ以外にここに住んでる人って居るの?」

携帯『ごめんなさい。わかりません。この部屋から出たことないので……。』

かずみ「え、えぇー・・・。出たいとは思わないの?」

携帯『特に……。別にお腹も空かないし、ここにはパソコンもネットもあるし。』

かずみ「うーん、退屈はしなさそうだけど・・・」


かずみ「じゃあ違うこと聞いてみるよ! エリは魔法少女だったでしょ!」

携帯『』シーン

かずみ「あ、あれ・・・? 違ったかな・・・」

携帯『はい。どうしてわかったんですか?』

かずみ「やっぱり! だってエリの服とってもかわいいもん! そんなの魔法少女以外にないでしょ!」

携帯『ありがとうございます。』

かずみ「・・・ねえ、とってもデリケートなこと聞いていい?」

携帯『なんですか?』

かずみ「エリは何を願って、魔法少女になったの?」

エリ「・・・」

携帯『下らない事です、とっても。』

かずみ「・・・そっか」

携帯『かずみさんは何を願って魔法少女になったんですか?』

かずみ「かずみでいいよ! ん、私はね・・・」

かずみ「ねぇエリ」



かずみ「私は生まれた時から魔法少女だったって言ったら、信じる?」



エリ「・・・」

かずみ「・・・」

携帯『信じます。私もこんな不思議な状況だし。』

かずみ「あはは、そうだよね。誤魔化してるわけじゃないんだけどさ」

かずみ「本当に、気が付いたら魔法少女だったんだもん。損だよねー、願い事を叶えて貰ってないなんてさ!」

携帯『大変ですね。』

かずみ「ううん、でも平気だよ! 私は今生きてるんだし!」

エリ「・・・」

携帯『……そうですね。』

かずみ「うん。それじゃあバイバイ、エリ。また遊びに来るからね」

携帯『さようなら。』


かずみ「うーん、最後までこっち見て話してくれなかったなぁ・・・」

HB「・・・」

かずみ「それに、私迷惑だったかなぁ・・・」

HB「どうだろうね、僕にはわからないな」

HB「それより記憶の欠片を探そう。まだ1つも見つかっていないよ」

かずみ「おうっ!」

今日の所はここまでです


お久しぶりです、文体を変えてみましたが如何でしょうか?
エリの名前は超偉大な作品"まどか「無限の中のひとつの奇跡」"からお借りしました
なおこの作品のエリは同じ名前なだけで別人です、あしからず

前作を読ませてもらいました。実に面白かったです。今回も期待しています。

妙なタイミングで投下してしまいまして
大変申し訳ございません

お変わりなきクオリティで安心しました
引き続き>>1様の投下を黙って待ちます

(内容は感動ものだったけど正直文体は覚えてなかった)

続編北か!

あの感動の作品の第二段が開始されたのか!
これは読む以外の選択肢は無いな!

乙!
人見知りエリちゃんペロペロ

今は明るいかずみちゃんだが、やはり欠片には苦しめられるのだろうか

おつ

ネタバレになりそうだから詳しくは書かないけど、このかずみ色々謎があるな
これから明かされていくんだろうか


 かずみとハチべえは3つの部屋を出たり入ったりしていた。
 3つの部屋の真ん中の張り紙にはこう書かれている。


 平和 食卓 崩壊
 この世界には3つの時間軸がある。
 それぞれの時間軸を正しい順序で訪れよ。
 平和の食卓は崩壊から始まる。
 最後には食事を囲む部屋が残るだけである。


かずみ「うむむむむむむ!」

HB「ふむ、これは簡単な問題だね。かずみ、答えは——」

かずみ「わ、わかるよ!? 間違えたらどうなるかちょっと試しただけだよ!」


 かずみが慎重な手順で出入りすると、
 最後に入った部屋でゴトリ、と音がして。
 テーブルの上に湯気の立つ料理の乗った皿が現れた。


かずみ「うわっ!」

HB「突然物が現れたり消えたりするのはここじゃよくあることだよ」

かずみ「さ、流石魔法世界!」

かずみ「これが記憶の欠片か」

HB「かずみ、見覚えは?」

かずみ「・・・うん、あるよ」




 かずみがその料理を手に取ると、周りの風景が暗転し。世界はモノクロに染まった。



——工場街・コンビナート


 張り出した鉄骨の上に、5人の少女が立っていた。
 5人は皆生気の無い表情をし、今にも飛び降りてしまいそうだ。


海香「・・・」

カオル「・・・」

里美「・・・」

みらい「・・・」

サキ「・・・」


【御崎海香の絶望】

「正直驚いた、中学生の文章とは思えないよ」
「この原稿、『地図と手紙ときみのうた』は私が責任を持って世に出す」
「詳細が決まり次第連絡するから待っていてください」

「御崎先生」

 ・
 ・
 ・

「あ、海香ちゃん?」
「事後承諾でごめんね、でも君の文章すごく評判がいいんだ」
「ゴーストライターって言えば聞こえは悪いけど、一般の中学生が書いたってよりあの芹沢ナルミが書いたって方が話題になるだろ?」
「無名のまま世に出して埋もれるより、この方がいいと思ったんだ」
「そういうわけでさ」


「 次 回 作 も お 願 い で き る か な ? 」


【牧カオルの絶望】

「カオルちゃん、残念だけど・・・。君の足ではもう2度とサッカーはできないだろう」
「そうか、君は強い子だな・・・」

 ・
 ・
 ・

「中学生が自殺未遂だって?」
「サッカーで虐めにあったんだって。上手い子怪我させて選手生命奪ったとかで」
「助かるの?」
「お父さんが運んできたみたいだけど」


「意識不明だって」


「里美、3歳の誕生日おめでとう。ずっと欲しがってた猫だよ」
「わぁ、かわいい! ずっと一緒だよ!」


【宇佐木里美の絶望】


「サレちゃん、今日はずいぶん鳴くのね」
「うふふ、甘えんぼさん。すぐに帰って来るわ、だから我慢して待っててね」
「バイバイ」

 ・
 ・
 ・

「肺炎が悪化していました、かなり苦しんでいたでしょう」
「あと数時間早ければ助かったかもしれません」


(私が、あの時の声に気付いてあげられれば)
(こんなことには・・・!)


「みんな! 新しいメアドにしたの、赤外線しよう!」
「うん」
「あっ、私も!」
「・・・あのボクちゃんこっち気にしてるよ、キモい」
「しっ、聞こえるよ」


【若葉みらいの絶望】


「寂しくなんかないよ、ボクにはおまえ達がいるもん」
「・・・」
「トモダチ・・・、欲しい・・・な」


「見て、サキちゃん。スズランが咲いたよ!」
「いい香りだね」
「美幸ね、スズランを沢山咲かせて結婚式のブーケにするのが夢なんだ!」
「それは叶わん夢だなぁ」
「え!? どうして!?」
「どんな男を連れてきても、私が認めんからだ!」

「じゃあ美幸、サキちゃんと結婚するもん」


【浅海サキの絶望】


「美幸」
「美幸、美幸」
「美幸」
「・・・みゆ、き・・・」

 み・・・ゆき・・・


「高速道路でトラックとの衝突事故があり、乗っていた浅海美幸さんは死亡。浅海サキさんも重傷で——」


 結界が揺らめき、5人を深淵へと誘う。
 【食事】が始まる。


「リーミティ・エステールニ!!」


 紫電が奔り、結界の中の異形を討った。

 5人が飛び降りた瞬間、黒い帯が5人に伸び、その身体を支える。


「ちぇ、逃したか・・・。でも結果オーライ!」


 そこに居たのは、かずみだった。


かずみ「ちゃお! 死にたがりのみんなたち!」


海香「・・・ありがとう、助かった」

かずみ「・・・」

 かずみは大きく振りかぶると。
 海香の顔を殴りぬいた。

 海香は大きく跳ねて、地面を滑る。

海香「ッ!」

カオル「な、なにすんだ!?」

かずみ「私が来なかったら、どうするつもりだったの?」

里美「・・・っ!」

サキ「・・・」



かずみ「そんなに死にたいなら、私が殺してあげるよ」



カオル「なっ・・・!」

里美「ど、どうして」

かずみ「リーミティ・エステールニ!」


 かずみが杖を振うと、稲妻が爆ぜる。


サキ「う、ああああああああ!」

カオル「ほ、本気か・・・!?」

かずみ「私はいつだって本気だよ。嫌いなんだよね、命を粗末にするやつ」


 かずみが帽子を振ると、銃が飛び出し全員の足元に転がる。


里美(銃!?)

かずみ「デッド オア アライブ?」


 全員が銃を拾うと、かずみは嬉々として襲いかかる。


かずみ「あはははははは! ほらほらどうしたの死にたがりさんたち!」

カオル「うわぁ!」

海香「っ!」

かずみ「リーミティ・エステールニ!」

里美「きゃあ!」

かずみ「あはははははははははっ!」

サキ「う、うぁ・・・!」


 かずみがサキに掴みかかろうとしたその時。
 みらいがそれを遮るように間に割って入り、結果かずみはみらいの首を掴んで持ち上げる。


みらい「・・・ぁ! ・・・っ!」

かずみ「逃げても無駄だよー、一人一人追い込んで——


 ガチャリ、と。首を掴まれていたみらいが震える手で銃口をかずみに向けた。
 それを切っ掛けにカオルが、海香が、里美が、サキが、かずみを囲むように銃を突きつける。


里美「私・・・死にたくない・・・!」

カオル「ちくしょう・・・」

海香「・・・」

サキ「く・・・」

みらい「・・・っ」

かずみ「・・・いいじゃん、撃ちなよ」

かずみ「私の屍を乗り越えてさぁ!」


 5つ発砲音が鳴り響いた。


 銃から飛び出したのは、紙吹雪とリボン。


かずみ「なんてね」

みらい「!」


 かずみはみらいを降ろすと、ペロッと舌を出す。


かずみ「それが撃てるなら上出来だ」

カオル「なっ・・・!」

海香「試した・・・の?」

サキ「何なんだ・・・あいつは・・・」

???「魔法少女かずみだよ」

サキ「!?」


 全員が一斉に振り返ると、そこに居たのは白い小動物のような姿をした者。


キュゥべえ「なるほど、僕の声が聞こえるってことはここにいる全員に素質が——

「ぐぅ・・・」

「ぐぎゅぅううううううう」


 緊迫したこの場所に、気の抜けた音が響いた。


かずみ「えへへ。おなかすいちゃった」

かずみ「デッド オア ライス?」


 全員が食卓の様な場所でテーブルを囲んで食事をしている。
 食べている料理は赤くて、甘酸っぱい香りのするリゾット。


かずみ「そっか、みんな辛かったんだね」

かずみ「でも死んじゃだめ」

かずみ「グランマはこう言ってた。ヒトは生きるためにご飯を食べる。野菜、お肉、お魚色んな命を食べて生きてる」

かずみ「だからその分まで生きる義務があるんだって」

かずみ「ごちそうさまでした」

かずみ「どう? グランマ直伝のイチゴリゾットは」

カオル「甘酸っぱくてすっごいウマかった」

里美「死ななくてよかったわ」

かずみ「グランマが聞いたら喜ぶよ、よしよしご飯粒も残してないね」

里美「あなたのおばあさんは?」

かずみ「もういないよ」

里美「あ・・・ごめんなさい」

かずみ「気にしないで・・・それより」

かずみ「海香がパクられた小説って、それ?」

海香「!」


かずみ「海香には悪いけど、駄作だね」

海香「・・・」ムカッ

かずみ「だってこの主人公食べ物を粗末にしてるじゃん。『パンを踏んだ娘』は地獄に落ちるんだよ」

海香「・・・そ」

海香「そうなの! そうなのっ!」

海香「私の原文にはそんなシーンなかった。食べ物を粗末にするやつは悪役だもの!」

かずみ「どういうこと?」

海香「物語に登場する悪役の法則。食べ物を粗末に扱ったやつは本当の悪人。生きてエンドマークを迎えられないの!」

かずみ「へえ、そうなんだ」

かずみ「うん、初めて聞いたけど。すっごく同感!」

海香「!」

かずみ「また書きなよ、主人公のところ以外はすっごくよかったもん。海香ならもっと面白いの書けると思う」

海香「うん・・・ありがとう」

かずみ「さて次はデザートを——」

サキ「その前に」

かずみ「?」

サキ「聞きたい、君のことを。『魔法少女』について」

かずみ「・・・グランマが死んだあの日、私は魔法少女になった」

かずみ「留学グランマが危篤に陥り、私は急いで帰国してこの家に向かっていた」


 ・
 ・
 ・

かずみ「グランマ!」

「・・・家族の方ですね」

「薬で今は安定していますが、このままならもって数日でしょう。
 人工呼吸器をつけることもできますが、意識の戻る可能性は極めて低いです」

「どうされますか?」

かずみ「延命措置は・・・しません」

かずみ「それがグランマの意思だから・・・」

「そうですか、わかりました」


かずみ「グランマ」

かずみ「私もっとグランマといろんなこと話したかったよ・・・、いっぱい教えて欲しいことあったよ・・・」

かずみ「グランマのイチゴリゾット・・・、もう一回食べたかったよ・・・」

かずみ「グランマ・・・お願い、もう一回だけでいいから」

かずみ「目を開けてよ・・・!」

かずみ(グランマ・・・!)

???「僕なら君の願いを叶えることができるよ」

かずみ「!」

???「だから僕と契約して」


 光差す窓枠。
 そこに立っていたのは、契約を履行する白い獣。


キュゥべえ「魔法少女になってよ!」


かずみ「魔法少女・・・」

QB「とても危険な仕事だ、戦いの中で命を落とすことだってあるだろう」

かずみ「それでもいい! 私、魔法少女になる!」

かずみ「グランマの命が尽きるまででいいから、グランマを元のグランマに戻して!」

QB「病気を治すことだってできるのに、それでいいのかい?」

かずみ「そうしたい、けど! それはグランマの生き方を踏みにじることになるから!」

QB「わかった」


 かずみの胸から眩い光と共に魂の宝玉が現れる。


QB「契約は成立だ、君の願いはエントロピーを凌駕した」


グランマ「・・・」

かずみ「グランマ!」

グランマ「これは、夢・・・?」

かずみ「そうだよ。グランマが天国へ行くまでに見る、最後の夢」

グランマ「まぁ、素敵な夢だわ」

かずみ「グランマ、料理を教えて。グランマのイチゴリゾット。一人になっても・・・」

かずみ「一人になってもずっと食べられるように!」

グランマ「ええ」


グランマ「お米はイタリアのカロナーリがピッタリなの」

グランマ「白ワインはイタリアのものが好きだけど、自分が一番おいしく作れるものを選びなさい」

かずみ「でも子供はお酒を買えないよ」

グランマ「大丈夫、ワインセラーにたくさんあるから」

グランマ「大人になるまで料理にしか使っちゃだめよ」

かずみ「うん」

グランマ「イチゴは高くても新鮮な物を使ってね」

かずみ「うん」

グランマ「ほら、いい香りがしてきたでしょう」

かずみ「・・・」

かずみ「グランマ・・・」


 かずみはグランマにひしと抱き着き、しゃっくりを上げながら泣いていた。


グランマ「辛い事があってどうしたらいいかわからなくないときは、お腹に聞きなさい」

グランマ「お腹が減って食べたいと感じたら」

グランマ「あなたはまだ生きたいと思っているわ」


——ご飯を食べたら

——あなたが食べた命のぶん

——がんばって生きなさい

——それが希望になる


 グランマは鈴のイヤリングを外すと、かずみに手渡す。


——大丈夫

——ヒトは決して絶望なんかしないわ






 次の日、グランマは天国に行った。


 ・
 ・
 ・

かずみ「今日の料理はグランマに教わったんだ」

サキ「どうして」

かずみ「?」

サキ「どうしておばあさんを生き返らせなかった? キミは一人ぼっちなんだろう?」

かずみ「グランマは死んだけど、私の中からは絶対にいなくならない」

かずみ「サキの中から美幸ちゃんが消えないように」

サキ「!」

かずみ「その花と共に妹さんは生き続けてる」

サキ「・・・!」


「なれるのかな」


みらい「ボクも、魔法少女になれるのかな」

かずみ「!」

QB「君達が戦いの運命を受け入れるというのなら」

QB「僕は願いを叶え、魔法少女にしてあげる」

みらい「ど・・・どんな運命でも受け入れる!」

海香「わ、私も」

カオル「私も!」

里美「・・・うん!」

サキ「私もだ」


かずみ「やった! トモダチが一気に5人もできちゃった!」

みらい「トモダチ?」

サキ「ああ、トモダチだ」

サキ「キミは私たちを守ってくれた、感謝する」

みらい「あ・・・ありがとうサキ!」

QB「じゃあみんな、願い事を」

みらい「ボクたった今、願いが叶っちゃったんだ。ずっと一人で、トモダチが欲しいって。だからもう・・・」

サキ「今までキミを守ってくれた友達のために願っては?」


 サキがみらいの抱きかかえていたテディベアを手に取る。


サキ「この子は666番目のトモダチだろう?」

みらい「どうしてわかるの!?」

サキ「妹も同じことをしていた、似てるんだキミは」

みらい「・・・!」

みらい「決めた! ボクのテディベア達のための大きな家、博物館が欲しい!!」

かずみ「じゃあ博物館の名前は『アンジェリカ ベア』だね」

みらい「え?」

かずみ「『アンジェリカ』は英語で明日葉。若葉みらい、キミそのものだ!」

みらい「うん!」


里美「動物の言葉がわかる力を、どんな子でも助けられるように」

サキ「妹を・・・いや」

サキ「妹の残したこの花が永遠に咲き続けることを願う」

海香「私の作品を認め、大切にしてくれる編集者との出会いを」

カオル「あの試合で傷ついたすべてのヒトを救ってくれ」

かずみ「足の怪我は良いの?」

カオル「いい、この足で必ずピッチに立って見せる」

QB「決まったようだね。さぁみんな心に強く祈るんだ、その願いを」


 全員の手に祈りの宝玉が乗せられる。


かずみ「これで念願のサジタリウス聖団の結成だーー!」

サキ「サジタリウス?」

かずみ「南の夜空を射抜く6つの星だよ!」



 世界に色が戻っていく。
 かずみとハチべえは食堂の前で佇んでいた。


HB「記憶が終わったみたいだね」

かずみ「・・・違うよ、ハチべえ」

HB「? どうしたんだい、かずみ」


 かずみは寂しそうに笑って、ポツリと呟いた。



かずみ「これは、私の記憶じゃない」



HB「そんな馬鹿な、だって」

かずみ「ううん、そっか。私の記憶の欠片なんておかしいと思った」

HB「かずみ?」

かずみ「なんでもな——」


 ぐぅうう、と。
 気の抜けた音が食堂に響いた。


かずみ「お腹すいた〜」

HB「・・・」

今日の所はここまでです。

今回はほぼかずみマギカのトレースでしたが、長かったので時間がかかりました。
(最初の案では今回の回想はもっと長くなる予定でした。)

以下レス返しです。

>>15-19
ありがとうございます。
気分的には前作とは設定を引き継いだだけの別物として書いていますが、前作と比べて見劣りしないよう頑張ります。

>>16
自分はVIP出身なので合いの手レスはむしろ歓迎ですよー。

>>20
かずみは絶望耐性が高いので、カンナよりは絶望の回数が少なめです。
あとエリーちゃんは元から可愛いです。

>>21
(・∀・)ニヤニヤ

おつ

射手座宮が回収されたか

乙!

絶望か……俺の場合は、現実に魔法や特殊能力とかが存在せず、人類の敵対者なんてものすら居ない事かな
出来るものならば、この三種のどれかで仕事がしたかった……!orz


記憶の欠片はイチゴリゾットだったんかな?

乙!
前作感動しました
今回も楽しみにしてます


かずみ「うん! おいしい!」

HB「・・・」

かずみ「ビーフストロガノフに、サラダスパ、ワッフル! ここって色んな材料があって素敵ー!」

HB「凄いね。僕から見ても料理の手並みはマミ以上だ。生きていた頃は料理をよくしていたのかい?」

かずみ「・・・うん、よくみんなに作ってたよ」

HB「でも分量を間違えていないかい? 君一人で食べるには量が多いような気もするけど」

かずみ「多くないよ、3人分だもん!」

HB「3人?」


——ハートレスマンション・NE3−4号室


エリ「・・・」ポケー

エリ「・・・」カチカチ

かずみ「エリ! 一緒にご飯食べよー!」バターン!

エリ「!?」ビクゥ!

かずみ「ほーら冷めないうちに召し上がれー」

エリ「け・・・」

かずみ「け?」

エリ「け、結構です・・・」

かずみ「えー、どうしてー!?」

エリ「お腹・・・空いて、ませんし」

かずみ「嘘」

エリ「っ!」

かずみ「ソウルジェムでお腹空いてるのをごまかしてるでしょ」

エリ「・・・」

かずみ「誰かが言ってたよ。どんな生き物も食べずには生きられない、食べることは生きることだって」

エリ「・・・」


かずみ「ねえ、一緒に食べよ?」

エリ「・・・お、お金は持ってませんよ?」ビクビク

かずみ「いらないよっ!?」

エリ「じゃ、じゃあ見返りに何かさせる気ですか・・・?」ビクビク

かずみ「違うよ!? どうしてそういう方向に考えが行くの!?」

エリ「だって、おかしいですよ・・・。どうして私なんかの為に・・・」

かずみ「えー・・・」

エリ「とっ、とにかくいりません・・・」

かずみ「じゃあいいもん、ここで食べちゃうから」


かずみ「あー、おいしいなー。このワッフルサクサクだよぉー」

かずみ「・・・」チラ

エリ「・・・」

かずみ「このサラダスパもおいしいなー、野菜がシャキシャキだー」チラッチラッ

エリ「・・・」

かずみ「うーんこのビーフストロガノフも——」

エリ「・・・いただきます」

かずみ「どうぞ召し上がれー!」

かずみ「ほら、ハチべえも食べなよ」

ハチべえ「僕は食べても味はわからないよ」

かずみ「いーのいーの! 大勢で食べた方がおいしいから!」


 ・
 ・
 ・

かずみ「ごちそうさまー!」

エリ「ごちそうさま、でした」

HB「ごちそうさま」

エリ「あの・・・2つ、聞いてもいいですか?」

かずみ「なーに?」

エリ「かずみ・・・は、ここで何をしているんですか?」

かずみ「私はねぇ、迷い人なの!」

エリ「迷い人・・・?」

かずみ「えーっと、迷い人っていうのは・・・」

HB「僕から説明するよ」


エリ「そう、なんですか」

HB「そう、それで今は記憶の欠片を探している途中なんだ」

エリ「願い事を・・・1つ」

かずみ「えへへ、なんだかゴメンね。ズルみたいでさ」

エリ「・・・いいえ。でも、そうなんですか」

エリ「かずみも、もう死んでるんですか・・・」

かずみ「へっ・・・?」

エリ「私も、実は死んでるんです。覚えています、はっきりと」

かずみ「へえ・・・そうなんだ・・・」

かずみ「エリは、やっぱり呪いで終わったの?」

エリ「・・・」

かずみ「・・・そっか。あはは、困っちゃうよね。せっかく魔法が使えるのにさ」

かずみ「どうにもならないことって、あるよね」

HB「・・・」


エリ「それと、もう1つ」

かずみ「ん、なぁに?」

エリ「どうして、私に・・・こんなに関わるんですか?」

かずみ「どうしてって?」

エリ「だっておかしいですよ」

エリ「私って、暗いし、つまらないし、話してても・・・全然楽しくないでしょう?」

かずみ「んー、それはねぇ・・・」

かずみ「エリが悪い人じゃないから、かな?」

エリ「・・・どうして、そんなことがわかるんですか?」

かずみ「うーん、それはねぇ・・・」

かずみ「!」

かずみ「エリが食べたそれは実はアクトウワカルガノフっていって、食べた人の善悪がわかるんだよ!」

エリ「そんな馬鹿な・・・」

かずみ「だってエリは、料理残さず食べてくれたでしょ?」

エリ「それは・・・、せっかく作ってくれたものですし・・・」

かずみ「食べ物を粗末にするやつは——」

かずみ「・・・いや」

かずみ「そんな風に思えるエリが悪人なわけないもん」

エリ「・・・」

エリ「本当に、そう思うんですか?」

かずみ「うん!」

エリ「・・・」

かずみ「・・・それじゃあ、私そろそろ出るね」


 かずみは食器を持って立ち上がる。


かずみ「エリ、またね!」

エリ「・・・はい、また」


 何やら魔術師の薬の調合室の様な部屋。
 かずみは一枚の紙とにらめっこしながら頭を抱えている。


かずみ「うむむむむむむ・・・!」

HB「やっぱりこの手の関門があったか」


 その部屋には棚には青い瓶と丸い瓶が。棚には小瓶が。
 机にはボトルとビール瓶と袋があった。


・この薬を作るには、3種類の薬品を正しい順番で入れなければならない
・薬は失った記憶を思い出させる、最も強い薬品は最後に混ぜるべし
・机の上の薬品の一つは、最も強い薬品である
・棚の中にある薬品は、中和成分があるため間に使うべし
・机の上にある容器の中身の一つは、壁にかけてある片方の中身と同じただの水である
・最初に入れるべき薬品は机の上にはないものだ
・黄色い袋の中には、棚の中にある薬品を薄めたものが入っている
・真っ青な容器に入れてあるものは水ではない


HB「まぁ、前の問題と違って寓意的な捻りが無いから簡単だね。かずみ、正しい手順は——」

かずみ「ダメッ!」

HB「?」

かずみ「これは私の記憶だから、私が答えなきゃいけないんだ」キュピーン

HB「そうかい」

かずみ「えーーっと、これがこうしてああなって・・・」

 ・
 ・
 ・

かずみ「できたーーー!」

HB「おめでとう」

かずみ「じゃ、じゃあ飲むよ・・・!」

HB「うん」

かずみ「・・・」ドキドキ

かずみ「ハチべえ! やっぱりこの手順と薬品で合ってた!?」

HB「合ってたよ」


かずみ「ん・・・マズー!」

HB「でも全部飲むんだね」

かずみ「うーん、でも記憶って・・・」


 ゴトリ、と音がして。
 机の上に一冊の汚れた本が現れた。


かずみ「・・・もう驚かないよ」

HB「文章から察するに、これも記憶の欠片のようだね」

かずみ「うん、これも見覚えがある」



 かずみが本を手に取ると。
 世界はモノクロへと暗転した。


 まず広がったのはその汚れた日記。
 1ページ目は『グランマのイチゴリゾット』と表題に書かれたレシピ。

 おそらく契約したあの日から書き始めたのだろう。
 2ページ目からは魔法少女としての活動記録や試行錯誤、そして他の魔法少女との出会いやすれ違いが綴られていた。

 そして踊るような字になったのはサジタリウス聖団の幸せな日々だった。
 6人は共に笑い、共に泣き、共に歩いた。

 その中心にいたのは、かずみ。


 だが、そんな日々は長くは続かなかった。


 追憶が始まる。


 雨の降る公園。かずみは傘を片手に、ソウルジェムを片手に乗せながら1人で歩いていた。


かずみ「うーん今日も収穫なしかー。平和なのはいいけど困ったなー、もうグリーフシードのストックも無いし」


 かずみは街灯の下で蹲って一冊の本を抱える少女を見つける。


かずみ「!?」

少女「・・・」

かずみ「なっ! どうしたの!?」

少女「・・・」ボソッ

かずみ「見た所魔法少女みたいだね。どうしたのこんな所で、風邪ひくよ」

少女「・・・」

かずみ「確か家にシチューが残ってたな・・・って」

かずみ「!? ソウルジェムが真っ黒だよ! どうしてこんなになるまで放っておいたの!?」

少女「・・・こんな世界大っ嫌いだ」


 少女がそう呟いた瞬間。
 ソウルジェムが砕け中から上下に棘の生えた黒い球体が現れる。

 グリーフシード。



 魔女が産声を上げる。



      Pet name  『einleitende Kapitel』



——どうして?

——どうして

——どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして


 かずみは少女の死体を抱えて走った、走って走って走って走った。
 そうして、河原まで辿り着くと。

 吐いた。

 ガクガクと震えながら息を絶え絶えにしながら。
 その名を呼んだ。


かずみ「出てきて、キュゥべえ」


キュゥべえ「やれやれ、見てしまったんだね」

かずみ「キュゥべえ、この子はソウルジェムが砕けてしまったの。助けて」

キュゥべえ「それは無理だ。その身体の持ち主、詩織はもう居ない。君が持ってきたのはただの抜け殻だ」

かずみ「!? どういう、こと・・・?」

キュゥべえ「君達魔法少女の本体はソウルジェムなんだ。魔法少女にとって身体は外付けのハードウェアでしかない」

かずみ「なっ!?」

キュゥべえ「便利だろう? ソウルジェムが破壊されない限り、身体はいくらでも修復できる。ソウルジェムが肉体をコントロールできる半径約100m以内なら魔法少女は無敵だ」

かずみ「ふざけないで! そんなの聞いてない!!」

キュゥべえ「聞かれなかったからね。僕はちゃんとお願いしたはずだよ? 僕と契約して魔法少女になってくれって。実際の姿がどんなものかは省略したけど」

かずみ「・・・」


 かずみは絶句した。
 目を見開き、呆然と立ち尽くしていた。


 長い沈黙の後。
 かずみは口を開いた。


かずみ「・・・もう1つ教えて」

キュゥべえ「なんだい?」

かずみ「ソウルジェムが濁り切るとどうなるの?」

キュゥべえ「魔法が使えなくなる」

かずみ「そんなことは聞いてない・・・!」

キュゥべえ「君も薄々気づいているんだろう?」

キュゥべえ「ソウルジェムはグリーフシードへと変異して、魔法少女は魔女になる」


 さも当然という風に。
 キュゥべえは言い放った。


キュゥべえ「この国では成長途中の女性のことを少女って呼ぶんだろう?」

キュゥべえ「だったらいずれ成長し、魔女となる君達は、魔法少女と——」


 喋っている途中のキュゥべえを。
 かずみは杖で叩き潰した。


かずみ「・・・どうしよう」


——信じられない、信じたくない

——魔法少女が魔女になるなんて

——知ってたらみんなが魔法少女になったのを喜んだりなんかしなかった

——グランマ、私どうしたらいいの

——こんなこと誰にも相談できない


かずみ「みんな、ごめんなさい・・・」

かずみ「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

長くなったので分割
次も回想から始まります

外道なキュゥべえさんを書いてる時、凄く楽しかった



 日記はここで終わっていた。

>>70を本当に無かったことにしたいです・・・

以下レス返し
>>49>>53
ありがとうございます
ご期待に添えるように頑張ります
といっても今日はさっそくやらかしちゃいましたが・・・

>>50
神話って7人姉妹はいっぱいいるけど、6人姉妹って少ないんですよね

>>51
大丈夫! きっとその内地球を狙う侵略者が来ます!
何年後になるかはわかりませんが・・・

>>52
はい! イチゴリゾットでした!
それをほのめかす描写を入れとけばよかったと反省中です


盛り上がってきたな
それだけにあのレスミスが悔やまれる

乙!
今回のエリーちゃんの台詞で、

「・・・」

「本当に、そう思うんですか?」

個人的にこの部分をな〜んか勘ぐっちゃうんだよなぁ

仮初だろうと、一時の絶望から解き放たれたんだ……今は、そういう事で良いだろう?

謎解き凝ってるよな


 雨の日だった。


 かずみの家にて6人は集まっていた。
 タマネギを炒める匂いとコンソメの匂いが食欲をそそる。


カオル「この匂い、イチゴリゾットか」

かずみ「今日は海香のデビュー作の発売日だからね」

かずみ「特別な日はイチゴリゾットって決めてるんだ」

サキ「特別な日か、私達が契約した日を思い出すな」

かずみ「!」

かずみ「・・・」

海香「ありがとうカズミ! あなたが私の運命を変えてくれた。あなたに出会えて本当に良かった」

かずみ「あ・・・、あ・・・!」

カオル「あっ、泣いてる。まったくカズミは」


 かずみの手から。
 かずみのソウルジェムが零れ落ちた。


カオル「なんだよこれ! ジェムが真っ黒じゃないか!?」

海香「カズミ!?」

かずみ「ごめんな、さ・・・」


 かずみのソウルジェムは殻を破ってグリーフシードへと変化し。
 現れた魔女が家を吹き飛ばす。


サキ「カ、カズミ! カズミぃ!!」


 海香がかずみの身体を揺さぶるが反応は無い。
 首筋に手を当てると、サッと顔を青くする。


サキ「脈が無い・・・!」

みらい「そんな・・・!」



      Prinzessin der Störche



里美「魔法少女って、魔女になるの・・・?」


 魔女の結界は調理器具が浮かび、黒い茨が張り巡らされた結界だった。
 黒い翼を広げ、縄梯子のような触手を振りかざし里美に振り降ろそうとしたその時。


カオル「カンピーノ・ポテンザ!!」


 魔法少女へ変身し、両腕を魔法で硬質化させたカオルがその触手を受け止めた。
 しかし。


魔女「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

カオル「がぁ!?」


 魔女が絶叫すると。
 触手が放電し、火花を走らせカオルの身を焼いた。


里美「そんな、嘘よ・・・だって、こんな・・・」ブツブツ

サキ「カズミ、カズミぃ!」

みらい「サキ、落ち着いて!」

海香「・・・」

サキ「う、ぁ・・・」

サキ「うあああああああああああああああああああ!!」


 魔女の亡骸は霞のように消え、そこには1つのグリーフシードが残った。
 破壊された家へ雨が降りしきる。


キュゥべえ「やはりこうなったか」

カオル「・・・カズミは、元に戻せる可能性はあったのか?」

キュゥべえ「そんなの不可能に決まってるじゃないか」

里美「どうして、どうして私達にこんな酷い事を・・・」

サキ「人間に恨みでもあるのか・・・!」

キュゥべえ「勘違いしないで欲しいな。僕達はなにも人類に対して悪意を持っているわけじゃない」

キュゥべえ「宇宙はエントロピー増大則に乗っ取って、エントロピーが増加していく。このままだと宇宙はエネルギー状態の高い物体が枯渇し。やがて宇宙は熱的死を迎えるだろう」

キュゥべえ「僕達は熱的死を回避するためにエントロピーを覆す、感情というものを発見した。
        感情の相転移は0から膨大なエネルギーを発生させる、とりわけ効率がいいのは二次性徴期の少女の希望と絶望だ」

キュゥべえ「ソウルジェムになった君達の魂がグリーフシードへと燃え尽きるとき、膨大なエネルギーを発生させる」

キュゥべえ「それを回収するのが、僕達インキュベーターの役割なんだ」

カオル「まるで、家畜じゃねぇか・・・!」


 カオルはキュゥべえの耳を掴むと怒鳴りたてる。


カオル「何が魔法少女だ、ふざけんな!!」

キュゥべえ「この国では成長途中の女性のことを少女って呼ぶんだろう?」

キュゥべえ「だったらやがて魔女になる君達のことは、魔法少女と呼ぶべきだよね」

海香「うあああああああああああああ!!」


 海香はカオルの手からキュゥべえをひったくると。
 怒りにまかせて壁に叩きつけ、さらに具現化させた槍で頭を串刺しにした。


里美「酷いよ・・・、何も殺さなくても・・・」

海香「こいつさえいなければ、魔法少女は生まれない・・・!」

キュゥべえ「それはどうかな」

海香「!?」

キュゥべえ「僕達インキュベーターは個の概念を持たない、種で1つの意識を共有する生命体なんだ」

キュゥべえ「端末の代わりはいくらでも用意されているよ」

海香「・・・」

サキ「だったら・・・、それが尽きるまで潰していくだけだ!」

みらい「サキ、やめて!」

サキ「止めるな・・・。お前さえ、お前さえいなければ!!」

カオル「サキ」

サキ「・・・カオル?」

カオル「帰ろう」

サキ「・・・っ」


 ・
 ・
 ・

里美「魔女の心臓を使ってミチルちゃんの命を創り出す!?」

みらい「本気で言ってるの・・・!?」

海香「本気よ」

サキ「それでミチルが本当に帰って来るのか?」

海香「理論上は。でも死者蘇生は禁断の魔術。禁忌に足を踏み入れるかは、あなた達次第——」

カオル「・・・」

里美「・・・」

みらい「・・・」


サキ「——やろう」

カオル「!!」

サキ「私達はミチルに救われた、一度ならず二度までも」

カオル「二度?」


 サキはあの汚れた日記帳を取り出す。


サキ「ミチルの日記だ、手作業の修復でところどころ読めないが・・・」

サキ「ミチルは知っていた、魔法少女が魔女になることを・・・」

カオル「っ!」

サキ「それを知らせず何度も一人で戦っていた。ソウルジェムの浄化も私達を優先して・・・」

里美「そんな・・・」

サキ「私達と出会い、希望にあふれていた子の日記は絶望のまま書き手を失った」

サキ「ミチルを絶望のまま終わらせていいのか?」

サキ「私は・・・いやだ・・・!」


 魔法陣を囲む5人の魔法少女。
 これより行われるのは条理に反した禁忌の魔法。

 生まれてきた少女はミチルの姿をしていた。
 何も知らぬその少女は、5人を見るとニコリと笑った。

 少女の名は。



 かずみ。



 世界が再び色を取り戻した。


.


キュゥべえ「・・・」

かずみ「・・・」

キュゥべえ「実に驚くべきことだよ」

キュゥべえ「かずみ、君は」



キュゥべえ「魔女の居る世界から来たんだね」



かずみ「うん・・・!」

今日はここまでです。
ようやく本編のトレース部分が終了しました・・・!
次からは完全な分岐となります。

一番悩んだのはミチルの魔女名だったりします。
以下レス返し。

>>73
(´・ω・)

>>74
ふふふふふ・・・。
エリーちゃん可愛いですよねぇ(ニタァ

>>75
ええ大丈夫です、このSSは基本的にハッピーエンドですから(ニタァ

>>76
謎解きパートは基本的にハートレスマンションの引用です。
簡単すぎたり、場面と合わない部分はちょっと変えたりしてますが。
このSS、トレースばっかりだったりします。

HB「・・・」

かずみ「・・・」

HB「実に驚くべきことだよ」

HB「かずみ、君は」



HB「魔女の居る世界から来たんだね」



かずみ「うん・・・!」

キュウべぇゲスト出演乙


みんなもよく絶望に耐えられたよなぁ


魔女名が2つも出て来たけど、やっぱり元ネタあるのかね

仲良し系(後ろ暗)

乙で

(ニタァ)と(マジキチスマイル)って通じるところがあるよね(マジキチスマイル)


 かずみとハチべえは、調合室にて座り込んでいた。


HB「・・・」

かずみ「・・・思ったより反応が薄いんだね、私が魔女の居る世界から来たってことに」

HB「そういう世界があるってことはある程度知っていたからね。それに最近、その世界が存在しているという確証も知った」

HB「とは言っても驚くべきことに変わりはないよ。君は僕にとっていわば異世界人、いや平行世界の住人と言った方が適切かな。
    とにかくここハートレスマンションの力がそんな所にまで及ぶなんて考えもしなかったからね」

かずみ「私が合成魔法少女なことには驚かないんだ」

HB「前例があるんだ。願いや魔法によって作られた人間が魔法少女になるというのは」

かずみ「・・・ねぇ、その子ってどんな人だったの?」

HB「そうだね。とても攻撃的で自分を作り出した魔法少女を恨んでいたよ。そして自分を作り出した魔法少女の破滅を願って契約した」

かずみ「・・・悩んでたんだね。自分が人間じゃない事に」

HB「悩んでたなんてものじゃなかったよ。彼女は自分が人間でない事に絶望し、願いどころか存在そのものが呪いになっていた。
    僕としてはそんなもの些細な違いなのにね。どうして人間は自分の存在というものにそんなに拘るんだい? わけがわからないよ」

かずみ「あはははは」

かずみ「・・・それでさ。その子、最後はどうなったの?」

HB「消えてしまったよ。自分を作り出した存在を助けるためにね」

かずみ「!!」


かずみ「どう・・・して・・・?」

HB「彼女の心中は僕にはわからない。でも、1つ仮定を立てるならば」

HB「自分が本来どんな存在なのか気付いたから、かな」

かずみ「・・・」

HB「かずみ・・・?」


 かずみは自分の身体を抱くと、突然ガクガクと震えだした。


かずみ「そっか・・・、そうだよね」

HB「かずみ、どうしたんだい? かずみ!」

かずみ「ハチべえ、どうしよう私」



かずみ「なにも、ない」



HB「!?」


 景色が塗り替えられていく。
 巨大な薬品や試験管が宙を舞い。
 火にかけられた大なべが辺り一面に現れる。


 ここは魔女の結界。


 結界の奥から何かが凄い速さで迫ってくる。


 それは巨大な黒い両手で地面を捉え、蛇のような下半身で地面を滑るように這う。

 上半身。
 人間のような身体。
 大きな鈴のような球があちらこちらに付いている。

 つば広のとんがり帽子、さながら童話に出てくる魔女。
 頭からは髪の様に、リボンの様に、生えるコウモリのような2対の羽。


 これが、かずみの魔女。



Hassliche Coppelia


.


 かずみの心が絶望に染まった時、魔女が現れた。
 魔女はかずみを取り込まんと、襲いかかる。


HB「かずみ、逃げるんだ! 君の絶望の具現であるこの魔女は君には倒せない、早く!」


 ハチべえが急かすが、かずみは呆然と魔女の姿を眺めている。


HB「かずみ!」

かずみ「これが、私の魔女・・・」

かずみ「・・・あはは」

HB「かずみ!? 何をやって・・・!」


 ふらふらと立ち上がったかずみを、魔女は横薙ぎに殴りつける。
 かずみは木片のように吹き飛ばされ、大なべに衝突した。
 なべがひっくり返り、ぶちまけられた液体が鼻を突く臭いを放つ。


かずみ「が、はぁ・・・!」

HB「どうして!? 早く逃げよう!」

かずみ「わかってるよ」

HB「なら!」


 魔女はかずみを掴みかかると。
 縦筋の入った蛇のような瞳でかずみを見た後。
 口を裂けんばかりに広げる。


かずみ「でも・・・記憶も無い、身体も作り物、仲間もみんなミチルの借り物」

かずみ「そんな私が、生きる意味って何?」

HB「何を言ってるんだ、そんなものは関係ないじゃないか!」

HB「君は生きたくはないのか! かずみぃ!!」


かずみ「・・・」

かずみ「・・・そうだね」


 かずみは出現させた杖を魔女の額に突き刺す。
 魔女は呻き声をあげて、かずみを手放すが、すぐにそれを引き抜いてかずみに向き直る。
 駆け出したハチべえとかずみ。ハチべえはかずみに語りかける。


HB「この魔女は速い! 走っても逃げ切れるかどうか・・・!」

かずみ「大丈夫・・・!」


 かずみが振り返り、4本の黒い帯を伸ばして、左右の4つの大なべに括り付けると。
 飛び込んできた魔女へ向けて、大なべをひっくり返す。

 毒々しい原色の液体が魔女へぶちまけられ、魔女が液体を被ると。
 それが熱いからなのか、掛けられた液体が毒や酸なのか、魔女はのたうちながら怯む。


かずみ「倒せないけど怯ませることはできる・・・!」

HB「ファインプレーだ、今の内に早く!」


 ハチべえとかずみは再び駆け出すと。
 結界を抜けて気が付いたころには元の調合室へ戻っていた。


かずみ「はぁー、はぁー・・・」

HB「かずみ、さっきは一体どうしたんだい? 君が魔女に吸収されたら、君の魂は今度こそ魔女に変質してしまうんだよ」

かずみ「・・・わからないよ、ハチべえには」

HB「わからない? 一体なにがわからないっていうんだい?」


 かずみはハチべえをキッと睨みつける。
 歯を食いしばり、目にはいっぱい涙を溜めていた。


かずみ「じゃあ答えてよ! 私は誰? 私はなんなの!? 和紗ミチルになれなかった私は一体どうすればいいの!?」

HB「・・・」

HB「君はかずみ、君は君だ。僕にはそんな月並みなことしか言えない」

かずみ「・・・」


 かずみは両手で目を覆うと。
 口元だけ微かに笑って。


かずみ「やっぱり、あなたは感情を理解できないんだね」


 かずみは調合室の扉を開けて、勢いよく外へ飛び出す。


HB「かずみ!!」

かずみ「ついてくるな!!」


 一喝されたハチべえは足を止め。
 ただ一人残された。


HB「まずい事になったな・・・」

HB(かずみのあの様子だと、いつ魔女に飲まれてもおかしくない。かといって僕が近くに行くのも今は逆効果だ)

HB「・・・」


——ハートレスマンション・NE3−4号室


HB「エリ、入っていいかい? 話があるんだ」

エリ「・・・? どうぞ」


 ハチべえは扉をすり抜けると、エリの前にちょこんと座る。


エリ「かずみは?」

HB「ついてくるなと言われたよ」

エリ「喧嘩したの・・・?」

HB「うん」

HB「エリ、お願いだ。かずみの傍に居てくれ。今のかずみを一人にしておくとまずい」

エリ「えっ・・・?」

HB「感情を理解できない僕じゃ駄目なんだ。エリ、力を貸してくれ」


今日はここまでです。
やっと、やっと本編のトレースから脱出できました!
前回のハチべえさんはちょっと情熱的過ぎたので、今回は反省して少し抑え目にしてみました。

以下レス返しです

>>89
( ´・ω・)・・・。

(´・ω・`)今度からちゃんと推敲しよう。


>>90
個人的な考えですけど、プレイアデスの皆さんってミチル蘇生なんてヤバい事を共犯でしてなければ、
かずみマギカ始まる頃には全員魔女化かマミさんみたいに自害してるかだったと思うんですよね。


>>91
あい! 実はかなり悩んで付けました!
SSが終わったときにもう一回質問していただければ解説貼ります!


>>92
自分は歪な友情、裏目の努力、犠牲による勝利を応援しています!


>>93
もしかしてSOWクロスの作者さんですか?
(ニタァは自分で使ってみてなんか違うかな、って感じがするので多分次から使わないです。

乙乙!
まぁ前回のべぇさんは死に掛け&感情芽生え掛けだったからね。そりゃあ生き急ぎもするわな

>>102
乙です

いいえ、ただの読者です

このかずみはどの時点のかずみなんだ?
あとかずみの魔女って……

ハチべぇ必死の頼みだが……エリーさんのグラビティックウエストは上がるのか?


エリ「そ、それはどういう・・・」

HB「迷い人の話はしたね。実は記憶の欠片を探すにあたって邪魔になる存在がいるんだ」

HB「それが魔女、絶望に飲まれた魔法少女の成れ果ての姿。もし世界の改変が無ければ絶望に飲まれた魔法少女は、皆等しく魔女になっていただろう」

エリ「? ?」

HB「わからなくてもいい。とにかく魔女は絶望に飲まれた迷い人を吸収するために襲い掛かってくるんだ。
    絶望した迷い人は魔女には勝てない。そして今、かずみは絶望に飲まれている。感情の篭っていない僕の言葉なんか届かないくらいに」

HB「エリ、かずみの傍に居てくれ。かずみが絶望に飲まれないように」

エリ「で・・・」

HB「で?」

エリ「できません・・・」

HB「どうして!?」

エリ「私には荷が重いです。それに私は・・・その、そんなすごい人間じゃないんです」

HB「そんなことは関係ないよ! 頼むよ、エリ!」

エリ「人の感情なんて・・・人の気持ちなんて私にもわかりませんよ!」


HB「・・・」

エリ「私が生きていた頃は、どれだけ人の気持ちを踏みにじったかわかりますか!?」

エリ「他を、他を当たってください・・・。きっと私以外にも住んでる人はいるはずですから。私よりもすごい人が・・・」

HB「エリ」


 ハチべえはエリの前まで歩み寄ると。
 ペコリと頭を下げる。


HB「君がどういう人間なのかは僕にはわからない。それに君の苦悩もきっと僕には理解できない。それでも今かずみを救えるのは君だけなんだ」

HB「かずみは今、絶望に飲まれかけてる。このままじゃいつ彼女の存在が消えてしまってもおかしくない」

HB「力を貸してくれ、お願いだ」

エリ「・・・」


 エリは一瞬躊躇ったような表情をした後。
 震えた声でポツリと漏らす。


エリ「・・・わかりました」

HB「!」

エリ「でも」

エリ「ハチべえが思っているような、綺麗な方法じゃないですよ」

HB「ありがとう、それでもいいよ」


——ハートレスマンション・NEN


かずみ「・・・一人にしてって言ったでしょ」

HB「かずみ」


 エリがおそるおそるかずみに歩み寄る。


かずみ「エリも来ないで、私は・・・」

エリ「オブリビオン」


 エリがかずを指さすと。
 黒い閃光が奔り、かずみの頭を透過した。

 一瞬の沈黙の後。
 きょとん、とした表情のかずみが顔を上げる。
 そこに先ほどの絶望に沈んだ色は無い。


かずみ「あれ・・・、私・・・?」

かずみ「!」

かずみ「ハチべえ、さっきはゴメン! 私、どうかしてた!」

HB「エリ、君は一体何をしたんだい?」

エリ「・・・一時的にかずみの絶望と不安を封印しました。私の固有魔法はマインドコントロール。相手の心を好きに操ることができるんです」

かずみ「お、おぉ・・・」


 かずみは目を輝かせ、エリの手を取る。


かずみ「すごいよエリ! ありがとう!」

エリ「・・・」

エリ(違う)

かずみ「素敵な力だね! 誰かを絶望から引っ張り上げられるなんて!」

エリ「違う」

かずみ「えっ?」

エリ「違う違う違う違う違う違う違う違う違う!」

かずみ「ど、どうしたの!?」


 エリは突然目を見開き、頭を血が出そうなくらいにガリガリと掻きはじめた。


かずみ「エリ、やめて!」

エリ「私はすごくなんかない! 素敵な力なんかじゃないッ!」

かずみ「!?」


 エリは目を手で覆うと。
 声高に叫び始めた。


エリ「私の願いはみんなにチヤホヤされたいだった! そして人の心を操る魔法を手に入れた!」

エリ「生きてた頃の私は! 願いの力でみんなに好かれて、魔法で好き勝手に人の心を弄繰り回して! 王様気分で散々酷いことしてた!」

エリ「あげく最後には、膨らみ過ぎた人付き合いが嫌になって! 自分のやったことが怖くなって! 自分の記憶を全部消して死んだの!」

エリ「本当の私は! お父さんとお母さんが怖くて! 学校もクラスのみんなも嫌いで! 人とまともに会話すらできないただの引きこもりなのに!!」


 エリは絶叫した後、肩を震わせてすすり泣き始めた。


 それを呆然と眺めていたかずみは、不意に小さく笑った。


かずみ「そっか」


 かずみはすすり泣くエリを抱き寄せる。
 小柄なかずみだったが、エリはかずみよりもさらに小さかった。


かずみ「エリは一人ぼっちでさみしかったんだよね。本当は友達や仲間と楽しく過ごしたかったんだよね」

かずみ「私だって一人は嫌だよ、友達や仲間が一人もいないなんて耐えられないよ。・・・だからそんなこと願っちゃったんだよね」

かずみ「でもね、エリ。あなたが卑怯者でも悪者でも、どんなにいい人だったとしても。私が言うことは一緒だよ」


 かずみはエリの方を向くと。
 一番の笑顔でこう言った。



かずみ「助けてくれて、ありがとう」



エリ「っ!」

エリ「ぅああああああああああああああああああああああああああああ!」


 ・
 ・
 ・

かずみ「落ち着いた?」

エリ「うん」


 エリはハンカチでゴシゴシと顔を拭いた。


エリ「えへへ、これじゃあどっちが助けに来たのかわからないや」

かずみ「あははは」

エリ「ねえ」

かずみ「うん?」

エリ「かずみのことも教えて欲しいな。喋ったのが私だけじゃ不公平だよ」

かずみ「うーん、そうだね。でも信じてもらえるかどうか・・・」

エリ「信じるよ」

かずみ「どんなに滅茶苦茶なことでも馬鹿にしない?」

エリ「うん」

かずみ「・・・じゃあ話すよ。えーとまず私の始まりは和紗ミチルっていう女の子の話から始まるんだけど——」


かずみ「そういうわけでみんなはミチルを取り戻すために魔女の心臓と魔法の力で命を作った。そうしてできたのが合成魔法少女の私なんだよ!」

エリ「・・・」ポカーン

かずみ「あ、あはははは。やっぱり信じられないよね。魔法少女が魔女になる世界だとか合成魔法少女なんて・・・」

エリ「ううん、信じるよ」

かずみ「本当に?」

エリ「うん!」


 エリとかずみは顔を見合わせ互いに笑った後。
 エリがふとなにかに気付いたような表情になる。


エリ「かずみの生まれはわかったんだけどさ」

かずみ「うん」

エリ「どうしてかずみは絶望して呪いで終わることになったの?」

かずみ「そうだね、それは」

かずみ「・・・そうだ」


 かずみは数歩歩き出すと。
 クルリと後ろを振り返る。


かずみ「エリも一緒に行こうよ。最後の記憶の欠片を探しに!」

エリ「・・・え?」

かずみ「そうすればきっと私のことは全部わかるから」

エリ「・・・うん!」

かずみ「よし! ・・・あ、そういえば」

かずみ「引きこもりはもういいの?」

エリ「あ、それは・・・」

エリ「なんか、もう大丈夫になっちゃった」

かずみ「・・・そっか。じゃあ行こう!」


 かずみはエリの手を引き、ハートレスマンションの奥の部屋へと歩き出していった。

今日はここまでです。
読んでいただきありがとうございました。

いいですね、いいですね、いいですね。
今はキボウに溢れてますねぇ。

以下レス返しです。

>>103
ま、まぁ、あれはコネクトのおかげということで・・・。
書いててすごくキュゥべえさんらしくないなぁと思ってました。

>>104
そうでしたか。自分もSOWクロスは読んでました。
が、マミさんの〇〇でギブアップでした・・・。

>>105
( ・`ω・´)

>>106
グラビティックウエストなんて言葉初めて聞きました。

乙!

>>115
そりゃあ>>106のは無理矢理作った単語だし。だって
ヘヴィウエストにすると、なんか太ってるみたいで女の子には失礼に思えるじゃん?

乙だが……ここから何が起こるのか……


エリーちゃんの固有魔法はマインドコントロールか
なるほどなー

黒い閃光とかカッケェじゃんか


かずみ「おお、やった! 解けた!」

HB「この問題はエリが居ないと時間がかかったかもね」

エリ「えへへ」


 魔力の防壁の掛かった小箱が開くと。
 その中には鈴のイヤリングが入っていた。


エリ「これって・・・」

HB「かずみが着けているものと同じものだね。片方しかないけど」

かずみ「・・・」

HB「かずみ、これに見覚えはあるかい?」

かずみ「うん・・・」


 かずみはしばし黙ったのち。
 エリの方を向いて語りかける。


かずみ「ねぇエリ、見たくなければ見なくてもいいんだよ?」

エリ「なっ! ここまで来てそれはないよ!」

かずみ「そうだけど・・・。考えてみたらこの記憶は見てて面白い物じゃないよ」

エリ「・・・」

かずみ「それにエリが私の辛かったことを一緒に背負うことない」

エリ「・・・」


 エリはかずみの頬をパチンと軽く叩く。


エリ「言ったよ、このままじゃ不公平だって」

かずみ「エリ、それは——」

エリ「私だけ助けてもらったままじゃ不公平」

かずみ「!」

エリ「呪いでもなんでもいい、私にも一緒に背負わせて」

かずみ「・・・」


 かずみは俯いて、小さく笑うと。
 頭を掻いてエリに向き直る。


かずみ「うん、それじゃあお願いしようかな」

HB「決まったようだね」




 かずみが鈴のイヤリングに触れると。
 世界はモノクロに染まった。


.


 世界は1人の祈りによって書き換えられた。


 絶望しかなかった世界は少しだけ優しくなった。


 いずれ魔女になる少女は、本物の希望を振り撒く存在へ。


 光は光へ、光の影は闇から生まれた獣が代役を演じ。
 無邪気な悪意は、悪気を含む好意へと移り変わる。



 そして。



 絶望から生まれた存在は。


 世界のごみ箱ともいうべき場所へ送られた。


 場面はかつてサジタリウス聖団が結成された場所。
 5人は瞳を輝かせて、魔法少女の話を聞いていた。


みらい「なれるのかな」

みらい「ボクも魔法少女になれるのかな」

ミチル「・・・」

キュゥべえ「君達が戦いの運命を受け入れるというのなら、僕は願いを叶え魔法少女にしてあげる」

みらい「ど・・・どんな運命でも受け入れる!」

海香「わ、私も」

カオル「私も!」

里美「うん!」

サキ「私もだ」


ミチル「キュゥべえ」

キュゥべえ「うん。それじゃあ説明しようか、魔法少女になるというのがどういうことかを。ミチル、ソウルジェムを出してみて」


 ミチルが手を出すと。そこには卵形の宝石が現れた。


キュゥべえ「これがソウルジェム、魔法少女の魔力の源にして」

キュゥべえ「魔法少女そのものだ」

サキ「!?」

里美「どういう・・・こと?」

ミチル「そのままの意味だよ。私の本体はこんな石ころってわけ」

カオル「なっ・・・!」

キュゥべえ「魔獣との戦闘は苛烈を極めるからね。僕達は願いを叶えて魔法少女にする際、身体から魂を抜き取ってソウルジェムと言う形にする。
       これなら身体をいくら魔獣に傷つけられても、ソウルジェムが破壊されない限り魔力でいくらでも体を修復できる。いうなれば僕らなりの魔法少女に対する安全処置だね」

海香「そんなことって・・・!」

里美「ひ、酷い・・・!」

ミチル「キュゥべえのやってることは正しいよ」

ミチル「現に私も、このソウルジェムの効果がなければ何回死んでるかわからない。それだけ危険なことなんだよ、魔法少女になるってのは」

サキ「・・・っ!」

キュゥべえ「ソウルジェムの役割はもう1つある。これは命の計測器でもあるんだ」

カオル「命って・・・!」

キュゥべえ「魔法を使ったり時間経過、そして精神の消耗が進むとソウルジェムに穢れが溜まっていく。そしてソウルジェムの穢れが限界に達すると」

キュゥべえ「魔法少女は消滅する」

里美「!!」


 ミチルは黒い角砂糖のような物を取り出す。


ミチル「これがグリーフシード、魔獣を倒すと落とす物。これをソウルジェムに当てると」


 ソウルジェムの陰りがグリーフシードに吸い取られていく。


ミチル「こんな風に穢れが取れるんだ。だから魔法少女は魔獣と戦い続けるしかない」

キュゥべえ「そしてその穢れを吸ったグリーフシードを回収するのが」


 ミチルがグリーフシードを投げると。
 キュゥべえは背中の口を開いて、それを食べる。


キュゥべえ「僕達インキュベーターの目的ってわけさ」

ミチル「世界を守る正義の味方って言えば聞こえはいいけど。実際はたった一回の奇跡の先払いで、死ぬまで傭兵をさせられるみたいなものだよ?」

キュゥべえ「人聞きが悪いなぁ」

ミチル「魔法少女になるっていうのはとっても危険なことなの。1年2年先に生きていられるかどうかわからないし、もしかしたら明日死んじゃうかもしれない」

サキ「・・・君は」

サキ「魔法少女になって後悔したことはないのか?」

ミチル「ないよ」


ミチル「っていうのは嘘。本当は何度も後悔しそうになったことがある」

ミチル「でもね、今回は契約して本当に良かったと思うんだ。だってあなた達を助けることができたんだから」

ミチル「だから、あなた達にはよく考えて欲しい。本当に命を、魂を賭けてまで叶えたい願いなのか」

サキ「・・・」

里美「・・・」

ミチル「・・・個人的にはみらいはやめた方がいいと思う」

みらい「えっ・・・どうして・・・」

ミチル「願いを叶える為に魔法少女になるならともかく、魔法少女になる為に願いを叶えるものじゃない」

みらい「・・・」

ミチル「それに、奇跡の力になんか頼らなくても。あなたにはもう5人もトモダチがいるじゃない」

みらい「トモダチ・・・?」

サキ「ああ、トモダチだ」

サキ「君は私達を守ってくれた、感謝する」

みらい「あ・・・ありがとうサキ・・・!」

サキ「・・・私もやめておこう」

みらい「!」

サキ「私までそんなに早く死んでしまったら。美幸にどんな顔をして会えばいいのかわからない」

里美「わ、私も」

里美「ごめんなさい、ミチルちゃん・・・。私、死にたくない・・・!」

ミチル「うん、いいんだよ里美。魔法少女になんかならなくても、私達はもう友達だから!」

ミチル「さて、2人は・・・」

カオル「私は魔法少女になる! どんな運命でも受け入れる!」

海香「わ、私も!!」

ミチル「なっ・・・!」


ミチル「わからず屋! どうして!?」

カオル「・・・私が魔法少女にならなきゃ、私が契約しなきゃ、あの子は死んじゃうかもしれないんだよ! 私のせいで!!」

海香「私の作品が受け入れられるなら、私の作品が一生ゴーストになるくらいなら!!」

ミチル「・・・っ!」

キュゥべえ「決意はあるみたいだね、それじゃあ——」

ミチル「待って、キュゥべえ」

ミチル「んー、実を言うとさ」

ミチル「2人の願いにだけはアテがあるんだよね」



 ミチルとカオルは病院へ行く。
 そこに居たのは金髪でツインテールの少女。


ミチル「紹介するよ、カオル。この子はユウリ」

ユウリ「よろしく」

カオル「あ、ああ・・・」

ミチル「話は前にした通りだよ。グリーフシード5個でどう?」

ユウリ「10個」

ミチル「・・・7個」

ユウリ「10個」

ミチル「8個!!」

ユウリ「10個」

ミチル「えーい、持ってけドロボー!!」

カオル「お、おい・・・いいのか? これって・・・!」

ユウリ「いいのいいの。カズミは私達の中でも一番戦闘向きだから、まだまだ溜め込んでるんだよっ!」

ミチル「人聞きが悪いね!」


 3人は例の子が居る病室へ入ると。
 ユウリがその子の手を握る。柔らかい光が身体を包んだ。


カオル「何をする気だ・・・?」

ユウリ「私の固有魔法は癒し、オーバードーズの昏睡状態からの回復くらい朝飯前だよ」


 しばらくして、その子が呻くと。
 ゆっくりと目を開けた。
 カオルはその子に抱き着く。


「あれ・・・私・・・!」

カオル「よかった、よかった・・・!」

「ひっ、カオルさん!」

「ごめんなさい、ごめんなさい・・・! 私・・・!」

カオル「いいんだよ、私こそごめん! 私のせいでこんな・・・!」


 ユウリとミチルは顔を見合わせると、ニヤッと笑った。


 病院の外。


カオル「ありがとう、ありがとう!!」

ユウリ「いいのいいの、あとこれはおまけ」


 ユウリがカオルの膝に手を当てると。
 柔らかい光が染み込んでいった。


カオル「これって・・・まさか!」

ユウリ「肝心のあなたが怪我したまんまじゃ、解決することも解決しないでしょ?」

カオル「あ、ありがとう・・・! 本当に・・・!」

ミチル「・・・さて、魔法の力が手助けできるのはここまでだよっ!」


 ミチルが指を立てると、得意気に話を続けた。


ミチル「これからあの子がまたチームに馴染めるか、そして虐めどう解決するかはカオル次第!」

カオル「ああ、ありがとう二人共」

カオル「ここから先は、奇跡なんかに頼らなくても、私一人でやれる!」

ミチル「よろしい!」


 出版社の前に海香とミチル、そして長髪をポニーテールにした少女が居た。


ミチル「海香、この子が——」

あやせ「双樹あやせ、よろしくね御崎せんせー」

海香「あ、ああ・・・よろしく」

あやせ「読んだよー、地図と手紙とラブソング! 私はスキくないなぁー、なぁーんか色々とクサくて!」

海香「・・・」イライラ

ミチル「・・・あなたじゃ話にならないからルカを出して」

あやせ「ええー」

ミチル「いいから!!」

あやせ「はいはい」


 あやせは一瞬目を閉じると。
 まるで狐憑きにでもなったかのように急に雰囲気が変わる。


ルカ「なるほど、それで私達・・・というわけですか」

海香「なっ・・・!」

ミチル「改めて紹介するよ、彼女が双樹ルカ」

ルカ「私とあやせはいわゆる二重人格なのです」

ミチル「さーて、ポンコツ編集者に殴り込みだー!」


 3人は出版社の前に入る。
 そこへ入ると海香がまるで過呼吸を起こしたように息を切らし始めた。


ミチル「さて。ルカ、お願い」

ルカ「その前に例のものを」

ミチル「・・・はい」


 ミチルはルカにソウルジェムを預けた。
 ルカの雰囲気が急に転換する。


あやせ「うへへー、これがカズミのソウルジェムー」

ミチル「返してね! 一週間経ったら返してね! あと魔獣と戦うときも返してね!」

海香「あの・・・、何を・・・」

ルカ「ああ、忘れるところでした。はい、しばらく目を閉じてください」


 あやせは再びルカに代わる。
 ルカが手を翳すと、魔法陣が海香の頭上に現れ、回転しながら収束し、消えた。


海香「何を・・・?」

ルカ「私は死んだ妹の魂と心を自分の身体に宿すという祈りで契約しました。心を相手に伝える魔法は得意です」

海香「!!」

ミチル「これで海香の声はちゃんと届くよ、あとは自分の言葉でビシッと伝えてやれ!」

海香「うん!」


 海香と編集者はしばし話した後、編集者は頭を掻きながら悩ましげに答える。


編集「うーん、ゴメンね。まさかそこまで熱意があるとは思わなかったよ」

編集「わかった。一番腕のいい編集を君個人の作品として売り出す条件で付けるよ。
    あれだけ成果を出してるんなら、どんな編集でも嫌とは言わないだろうしね」

海香「口約束では信用できません! これにサインを!」

編集「・・・私も嫌われたもんだ」


 誓約書にサインと判子を付けさせると。
 海香は悠々と立ち去ろうとする。


編集「あ、ちょっと待って!」

編集「片手間でいいからさ、芹沢ナルミのゴーストライターの方もお願いするよ。本当に評判がいいんだ、頼むよ御崎先生!」

海香「・・・」

海香「べー!!」



 ・
 ・
 ・

 雨の日だった。


 かずみの家にて6人は集まっていた。
 タマネギを炒める匂いとコンソメの匂いが食欲をそそる。


カオル「この匂い、イチゴリゾットか」

ミチル「今日は海香のデビュー作の発売日だからね」

ミチル「特別な日はイチゴリゾットって決めてるんだ」

ミチル「で、その海香せんせーは・・・」

海香「はぁー、はぁー!」カタカタカタカタ

みらい「ゴーストライターの仕事も断れなかったんだって」

ミチル「あはは・・・」

サキ「特別な日か、私達が助けられた日を思い出すな」

ミチル「!」

ミチル「・・・」

里美「ありがとうミチルちゃん! あなたが私の運命を変えてくれた。あなたに出会えて本当に良かった」

ミチル「・・・」

ミチル「うん!」

カオル「あっ、泣いてる。まったくカズミは」


——違うよ


ミチル「さて、出来上がりだよー!」

カオル「待ってました!」

あやせ「わーい」

ユウリ「いただきまーす!」

サキ「って、いつからいたんだ!?」

ミチル「ちゃんと8人分作ってるから大丈夫だよ」

キュゥべえ「僕の分は?」

ミチル「ないよ、グリーフシードでも食べてて」


 ミチルはキュゥべえにグリーフシードを投げる。


キュゥべえ「ちぇっ。・・・きゅっぷい」


——みんな気付いて


サキ「そういえば、ミチル。記念・・・というわけではないが。プレゼントがあるんだ」

ミチル「? なにかなー」


 ミチルが小さな箱を開けると。
 そこには鈴のピアスが入っていた。


ミチル「これって・・・!」

サキ「グランマの形見のピアス、左の方は失くしたまんまだったろ?」

カオル「海外出張中の父さんに探してもらったんだって」

ミチル「ありがとうサキ!」

みらい「・・・」

サキ「それと、みらいにも」

みらい「!」

サキ「チョーカーだ、気にいるかどうかわからないが・・・」

みらい「あ、ありがとうサキ! 一生大事にするよ! ずっと着けてるよ!!」

サキ「ああ・・・うん、気に入ってるようでよかった」


——どうして


カオル「カズミ」

海香「カズミ」

サキ「ミチル」

みらい「ミチル」

里美「ミチルちゃん」

ユウリ「カズミ」

あやせ「カズミ」

ルカ「ミチル」


かずみ「かずみは私だよ!! カオル! 海香! サキ! みらい! 里美! みんなぁああああああああああああああああ!!」


かずみ『これが私が世界のごみ箱から見た風景、そして』

かずみ『ソウルジェムを濁らせた理由』

HB『なるほどね』

エリ『こんな・・・こんなことって・・・!』


 場面は幸せそうに談話する8人と。
 それをモニター越しに見て、嘆くかずみの場面だった。


かずみ『書き換えられた世界ではミチルは絶望しない』

かずみ『みんなが禁忌に走ることもない』

かずみ『・・・所詮、私はミチルの代用品だった』

かずみ『みんなが幸せになるための結論は』

かずみ『魔法少女かずみ(かずみマギカ)は始まらない方が良かった』

かずみ『私はね、ハッピーエンドには必要なかったんだよ』

エリ『・・・』

HB『・・・』


かずみ『一緒に来てくれてありがとう、エリ。私一人でこんなの見てたら、きっと私は潰れてた』

エリ『・・・』


 寂しそうに笑うかずみにエリは泣きながら首を振る。
 かずみは、膝を抱いて一人で俯く記憶のかずみを見ると。
 苦々しそうに笑った。


かずみ『・・・こう言っちゃなんだけど、私はミチルの代用品でも良かった』

かずみ『仮初の日常でも、作られた命でも、偽物の身体でもなんでもよかった』

かずみ『みんなが居るなら、それだけで耐えられた・・・!!』




 記憶が終わり、世界は色を取り戻した。


.

今日の分はここまでです。
読んでいただきありがとうございました。

大人しい子に急に友達ができると、尽くし過ぎてヤンデレになると思う。


以下レス返しです。

>>116
そうですね、エリーちゃんにヘビィウエストなんて言ってたらはっ倒してました。

>>117
こうなりましたよ、うふふふふ。

>>118
これはかなり悩みました。
でもアイドルだったら、こんな感じかなーというイメージで洗脳になりました。

>>119
実はオブリビオンの掛け声と黒い閃光には元ネタがあります。



ミチル、双樹、ユウリとかかずマギドリームチームじゃないか……



オブリビオンの元ネタねえ…

真っ先に思い出したのは
ラストバトルで自分にオブリビオン(忘却)を使いまくった奴(うろ覚え)だが…
あいつには「黒い閃光」があてはまらない…

狂愛さんか、忘失だっけ

乙!
気付けっつわれても、ヘルシングに出て来た虚無空間みたいな所に放り込まれた奴を感じ取れる訳ないよなぁ

全員契約しなかったんだな……


かずみ「・・・」

エリ「・・・」

HB「さて。これからどうするんだい、かずみ」

HB「君は全ての記憶の欠片を集めた。ここで願いを決めてもらってもいいんだけど」

かずみ「・・・うん、私の願いは——

エリ「待って」

かずみ「?」

エリ「こんなのおかしいよ、絶対おかしいよ!」

かずみ「・・・」

エリ「どうして、どうして!? 好き勝手に命を作っておいて! 本物が居たらかずみは要らないなんて! そんなのメチャクチャだよ!」

エリ「本物になれない命はどうでもいいの!? かずみがどう思うか考えなかったの!?」

エリ「そんなの自分勝手すぎるよ! 酷すぎるよぉ!」


 エリの糾弾にかずみは瞳を閉じて小さく笑った。


かずみ「エリ、みんなのこと悪く言うのはやめて」

エリ「!?」

かずみ「カオルがね、言ってくれたんだ」

かずみ「いままでもこれからも、ずっと仲間だって」

かずみ「ミチルのクローンじゃなくてただのかずみとし出会っていても、私達はトモダチになれたって」

かずみ「言ったんだよ、そう言ってくれたんだよ?」

かずみ「向こうがたとえ私のことを忘れていたとしても、私がカオルやみんなのことをトモダチだって思うのは、自由だよね・・・?」


 かずみが涙を零しながら笑顔で言い切った。


エリ「そんなの、そんなのって・・・」



エリ「寂しすぎるよ」


 


 エリとかずみは隣り合わせに座っていた。
 エリは膝に顔を埋めるように座り、かずみは上を仰ぐように座っていた。


エリ「・・・ねぇ、かずみ」

かずみ「ん、なに?」

エリ「生き返ったら、なにしたい?」

かずみ「んー、そーだねー」

かずみ「みんなとおいしい物いっぱい食べたいな。イチゴリゾットがいいな。おいしかったなぁ・・・立花さんの料理」

かずみ「そうだ、立花さんにも会いたいな。どうしてるんだろう?」

かずみ「やっぱりお店奪われてるのかなー、もしそうだとしても爆弾なんて使わないでほしいな」

エリ「爆弾?」

かずみ「うん。立花さんっていうんだけどね、お店を奪われた復讐として、商店街を爆破しようとしちゃうんだよ!」

エリ「えー・・・」

かずみ「参っちゃうよね。凄くいい人なのにさー」

エリ「・・・かずみ」

エリ「なんで、全部諦めたみたいに言ってるの?」


かずみ「・・・」

かずみ「やっぱりさ、私は書き換えられた後の世界には要らないんだよ。存在しちゃいけないんだよ」

エリ「でも! 願えば叶うじゃない! どんな願いでも叶えられるじゃない!」

かずみ「ううん。結局向こうに戻っても、私のことをみんなが覚えてないんじゃ意味ないよ。それに」

かずみ「今のみんなの幸せを壊してまで、戻りたいとは思わない」

エリ「どうにもならないの・・・?」

かずみ「エリが悲しむことないよ。私の決めたことだから」

エリ「・・・」


 エリはしゃっくりを上げて泣き出す。
 それを見るとかずみは困ったように頭を掻く。


かずみ「あはは・・・駄目だなぁ、私。心配してくれる人を悲しませるなんて」

HB「かずみ、君は」

HB「生きるということ以外を願って、消えてしまう気かい?」

かずみ「・・・」

HB「君はここで生きるという選択もあるんだよ?」

かずみ「ミチルだったらそう選ぶだろうね、どんな状況にあろうと生きるのを諦めない」

かずみ「でもさ」

かずみ「私はかずみなんだよ・・・?」

HB「それが答えなのかい」

かずみ「・・・うん」

かずみ「さて、と」

HB「願いを叶えるのかい」

かずみ「いや、その前に。死ぬにしても生きるにしても」



かずみ「倒すべき奴がいる」


 


かずみ「エリ、お願いなんだけど」

エリ「・・・」

かずみ「忘却の魔法、解いてくれないかな? 全部乗り越えたうえで戦いたい」

エリ「嫌」

かずみ「!」

エリ「かずみ、自分が死んじゃってもいいって思ってるでしょ?」

かずみ「・・・」

エリ「かずみが消えるっていうなら止めないよ。かずみが決めたことなら仕方ない」

エリ「でも」

エリ「約束して、必ず帰って来るって! そしてもしかずみが乗り越えられたなら、最後に3人でイチゴリゾット食べよう!」

かずみ「・・・」

かずみ「うん、約束する」

かずみ「必ず3人で食べよう!」

エリ「・・・オブリビオン、開錠」


 かずみの頭で黒い飛沫が弾けると。
 かずみは苦悶の表情を浮かべる。


かずみ「くっ・・・!」

HB「かずみ、大丈夫かい?」

かずみ「大丈夫・・・!」

かずみ「ちゃんと耐えられる、ちゃんと向き合える」


 3人が立ち上がると、急に周囲の背景が歪んでいく。
 世界が塗り替えられていく。


 その結界は十字架の墓標が立ち並ぶ墓地だった。
 空は満天の星々が輝き。太陽の数倍は大きな月の白い光が辺りを照らす。

 これが魔女の結界。

 魔女は結界の奥の枯れた巨木に巻き付いていた。
 月光に映えるその姿は以前にも増して禍々しい。

 魔女が縦筋の入った眼で3人を捉えると。

 凄まじい速度で這いながら近づいてくる。


 3人の眼前に来た魔女は。

 その蛇体を起こすと。

 避けた口元を吊り上げながら。


 笑った。


死神の魔女。その性質は破戒。

禁忌によって作られた仮初の命しか持たない故に、本物の命に恋い焦がれる作り物の魔女。
生きとし生ける命を刈り取り、共に天国の様に腐敗した日々を送ることを夢見る。
禁じられた祈りはやがて歪みを生み、歪みは破滅へと疾走する。

短いですが今日はここまで


>>143
双樹ちゃんの性格や設定には色々捏造や妄想が入ってます。
でも改変後だと杏子が普通にマミさんやさやかちゃんの仲間してるし・・・別にいいよね!。

>>144-145
はい! あの人です!
最初のオブリビオンがやたらカッコよくて印象に残ってます。

>>146
あれはかずみに絶望してもらう為に用意しました。
かなりキッツいですよね・・・自分が居ない方が上手く行く場面って・・・。

>>147
改変後のキュゥべえさんの契約ってかなり良心的になってると思うんですよね。
改変前は隠れた敵対関係だったのに、改変後はパートナーって感じですし。
リスクがはっきり説明されるので、契約しないで望みを果たせるなら、契約しないに越したことはないかと。


遂に戦闘か
かなりの強敵そうな気がするが……

もうミチルと双子とかになっちゃえばええやん、かずみ


エリ「・・・」


 エリは前に出る。
 両手には光り輝くチャクラムが握られていた。


エリ「これで・・・」


 エリが投擲しようとしたその瞬間。
 魔女は大きく手を広げると。


エリ「!?」

HB「なっ!」


 ハチべえとエリは結界の外に弾き出された。


HB「不味いね。この魔女はもう結界を操れるのか」

エリ「そんな、それじゃあかずみは・・・!」


かずみ「みんなを追い出して、一対一にしたいの?」


 かずみが杖をクルクルと回すと。
 魔女に向き直る。


かずみ「いいよ、それなら——」


 魔女は笑うように身体を揺らす。
 笛を吹くような音と共に、周囲から5体の魔女の手下が現れる。


かずみ「・・・そっか」


死神の魔女の手下。その役割は家族。

魔女の母親であり姉妹でもある。
禁忌を犯してまで求めた物は一途な愛だったのか、
身勝手な幻想だったのかはもう知る術はない。


 かずみは杖で、魔女の爪の攻撃をいなす。
 そうしている間に手下が次々とかずみに飛び掛かる。


かずみ「ぐ・・・、あっ!」


 肉が避け、血飛沫が飛ぶ。
 かずみは杖を振って手下を散らすが、倒すまで追撃することはない。


かずみ(やり辛い・・・!)

かずみ(この使い魔は、この魔女は・・・まるで)


 魔女の両手から閃光が奔る。
 光の玉が次々とかずみ目がけて放たれる。


かずみ(あの頃の私・・・!)


 かずみは跳び退いて躱していくが、最後の一撃が直撃する。


かずみ「ぐ・・・、あぁ!!」

かずみ「くっ!」

かずみ(体中が痛い、傷ついた場所が熱い・・・)

かずみ(でも)

かずみ「痛覚遮断を使えば・・・このくらいっ!」


 かずみは杖を突いて立ち上がる。
 よろめいていたが、痛覚遮断が発動すると同時に震えもよろめきも止まる。


かずみ(だけど)

かずみ(私に倒せるの・・・? この魔女を、使い魔を・・・)


 手下達が、かずみを追撃せんと飛び掛かった。


エリ「かずみ! かずみぃ!」


 エリは血の滲んだ手で結界を叩き続ける。
 しかし紋章の浮かんだ結界はびくともしない。


HB「困ったね、中の状況がわからない」

エリ「どうして、どうして肝心な所で私は何もできないの・・・!?」

HB「・・・そうだ」

エリ「・・・?」

HB「魔女の結界が、魔獣の結界と同じ構造かどうかわからないから何とも言えないけど」

HB「テレパシーだ、テレパシーなら結界を隔てていても届く」


 かずみは血の海に沈んでいた。

 手下によってその身体は蹂躙され、傷のない部分の方がが少ないというありさまであり。
 マントも服も赤い血で汚れ、辛うじて見える白い肌にも植物の蔦のような痣が走っていた。


かずみ「・・・」


 絶望した魔法少女は魔女には勝てない。
 さも当たり前というように、魔女は悠々とかずみに近づいてくる。


かずみ「駄目だった、か。あはは・・・」


 かずみは力なく自嘲的に笑う。
 すでにソウルジェムの濁りも限界になろうとしていた。


かずみ「ごめんね、エリ。約束・・・守れなか——」

エリ『かずみぃ!!』


かずみ「エリ・・・? そっか、これはテレパシー・・・」

かずみ『なぁに、エリ』

エリ『大丈夫!? 今どうなってるの!!』

かずみ『うん、ちょっとヤバいかもしれない』

エリ『・・・!』

かずみ『ゴメンね、カッコつけたのに。どうやら私、絶望してたみたい』

エリ『そんな・・・!』


 手下達がかずみを拘束する。
 魔女が両手を広げると、巨大な光の玉を作り始めた。


かずみ『最後に話せてよかったよ。じゃあね、エリ』


 かずみが笑う。
 魔女は巨大な光の玉を放った。


エリ『そうだ・・・私が契約すれば!!』

かずみ「!?」


エリ『ハチべえ! 私契約する! 出来るはずでしょ!!』

HB『理論上はね。でもいいのかい? エリ、願いを叶えたら君は・・・』

エリ『いいよそんなの! 早く!!』

かずみ『駄目だよ』


 上がる煙と土埃の中。
 辛うじて人の姿を留めていたかずみが小さく笑った。


かずみ『そんなの駄目、私の為にエリが消えることない』

エリ『でも・・・だって!!』

かずみ『ゴメンね、エリ。私どうかしてた』


 かずみの生々しい傷が、爛れた火傷が。再生していく。
 その再生した白い肌に、もう植物の蔦のような痣はない。


かずみ『約束したよね』

エリ『!!』

かずみ(些細かもしれないけど、ちっぽけかもしれないけど)


 魔女は巨大な爪を振い、かずみの胴を両断せんとする。


かずみ(確かに今の私にもあった)


 かずみはそれを杖で受け止める。


かずみ「ねぇ、私」


 かずみは魔女に向かって笑いかける。


かずみ「大丈夫だよ。絶望することなんてないよ」

かずみ「未来のあなたにはこんなに素敵な友達が2人も居るんだから」


 手下達が笛の音のような雄たけびを上げながら、かずみに襲い掛かる。
 かずみは手下の3体の攻撃を杖で受け止める。


かずみ「ファンタズマ・ビスビーリオ」


 急に動きを止めた3体が急に後ろを向き。
 残りの2体を抑え込む。


かずみ「こんな幻に縋らなくても」

かずみ「私の中にはちゃんとみんなが居るから」


 魔女はかずみに飛び掛かる。


かずみ「エピソーディオインクローチョ」


 その魔女を雷でできた巨大な熊が受け止めた。


——だから、さようなら


かずみ「メテオーラ・フィナーレ」


——サジタリウス聖団


 光の矢と化したかずみが魔女を貫いた。


今日の所はここまでです

ビターエンドにするかハッピーエンドにするか悩み中・・・。


以下レス返しです。

>>157
カンナさんと違って、かずみは絶望しかけていたのでかなり強敵になりました!
ちなみに魔女のデザインは・・・言わなくても大丈夫ですよね?

>>158
もうそれでもいいかなと思いかけてます・・・。


本編より救いがあれば何も言うまい

どうせならエリも混ぜて三つ子に(暴論)

かずみの親友は、この世界に来て最終的にエリのみ。だから「また二人で親友になれる様に」と一緒に願わせれば良い

そして来世は恐竜と隕石で運命の衝突(出会い)  なんて星新一さん展開はゴメンだぜ!?

>>189>>105>>1>>112>>20>>42>>151>>152>>129>>128>>197>>158>>12>>138>>102>>108>>193>>171>>67>>103>>34
>>49>>14>>12>>18>>85>>89>>140>>127>>198>>128>>31>>199>>40>>50>>41>>191>>1>>169>>119>>198>>126>>130
>>28>>37>>128>>198>>103>>31>>32>>169>>79>>46>>180>>96>>130>>69>>35>>56>>66>>163>>87>>65>>2>>136
>>193>>137>>73>>111>>134>>199>>40>>69>>26>>77>>196>>24>>180>>27>>55>>148>>105>>100>>127>>200>>29
>>35>>85>>62>>197>>171>>126>>199>>107>>30>>191>>43>>103>>101>>177>>101>>141>>46>>127>>18>>42>>150
>>68>>4>>145>>172>>104>>72>>171>>132>>67>>5>>16>>128>>2>>186>>53>>200>>92>>83>>190>>135>>185>>91
>>86>>31>>157>>12>>48>>198>>161>>45>>65>>165>>189>>36>>68>>60>>7>>200>>126>>12>>16>>53>>13>>1>>106
>>93>>188>>2>>28>>173>>92>>139>>59>>123>>95>>70>>170>>93>>31>>14>>157>>196>>2>>193>>63>>62>>200>>63
>>11>>78>>40>>24>>79>>145>>36>>172>>133>>38>>199>>106>>129>>138>>164>>51>>33>>34>>21>>125>>65>>34
>>61>>36>>74>>124>>98>>73>>186>>84>>84>>63>>124>>108>>141>>68>>143>>113>>1>>180>>111>>106>>109>>49
>>159>>81>>104>>179>>5>>169>>13>>87>>29>>49>>160>>152>>146>>33>>137>>30>>116>>200>>153>>23>>141>>21
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>>32>>113>>76>>61>>146>>83>>183>>33>>85>>148>>132>>49>>10>>39>>196>>34>>87>>24>>15>>28>>58>>29>>56
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でもかずみが救われたらエリは一人でここに残されるわけで、
エリにも救いがあるといいなあ


問題はここからやね


エリ「結界が・・・!」

HB「・・・」


 消えていく結界。
 部屋の中央には。

 全身が鮮血で汚れたかずみが立っていた。


エリ「かずみ、かずみ!!」

HB「無事だったんだね」

かずみ「エリ、ハチべえ・・・」


 かずみはエリとハチべえを認めると。
 ふにゃりと笑って、倒れた。


エリ「か、かずみ!」

HB「大丈夫だ、ソウルジェムは大分穢れが溜まってるけど・・・」

HB「魔女の魔翌力はもう、消失した」

エリ「と、いうことは・・・」

かずみ「うん、エリ・・・」

かずみ「勝ったよ、私」

エリ「うん・・・!」


 突然。

 ぐううう、と気の抜けた音が響いた。


エリ「・・・」

HB「・・・」

かずみ「えへへ、お腹空いちゃった」

エリ「ぷっ・・・あはははは」

HB「さっき食べたばかりじゃないか」


 食卓の部屋。
 かずみはイチゴを水でサッと洗う。


かずみ「さーて、今から作るから待っててね」

エリ「待って、かずみ」

かずみ「?」

エリ「私にも作り方を教えて」

かずみ「・・・」

エリ「かずみが居なくなっても、一人で食べられるように」

かずみ「・・・うん、わかった」


 ・
 ・
 ・

かずみ「それで、最後に刻んだイチゴとチーズを混ぜる」

エリ「うん」

かずみ「チーズがとろけたら、できあがり」


 フライパンに赤くて甘酸っぱい匂いのするイチゴリゾットができあがった。


かずみ「さーて盛り付けて、仕上げに」


 かずみはとっておきのイチゴを3つ取り出した。
 盛り付け終わったお皿に1つずつ乗せていく。


かずみ「一人一個ずつとっておいたんだ」

エリ「おいしそう・・・!」

かずみ「さーて、それじゃあいっただきまーす!」

エリ「いただきます」

HB「いただきます」


 食べながらエリは語りかける。


エリ「かずみ」

かずみ「んー?」

エリ「このイチゴリゾットはあなたにとって大切な料理なの?」

かずみ「ううん、ミチルの思い出の料理だよ」

エリ「そっか・・・」

かずみ「でもね、そんなの関係ないよ。おいしい物はおいしいんだもん」

HB「かずみ、君は・・・まだ生きるということ以外を願う気かい?」

かずみ「うん」

HB「わけがわからないよ、君達はどうして・・・」

かずみ「そうだね」

かずみ「私にもわからない、かな」


 2人は立って、ハチべえに向き合っていた。


ハチべえ「さあ、かずみ。願い事を」

かずみ「うん、私の願いは」

エリ「待って」

ハチべえ「?」

かずみ「エリ?」

エリ「私も一緒にいいかな・・・?」

かずみ「エリ、それは・・・」

エリ「かずみのことを追いかけたいわけじゃない。けど、私ももう願い事は決まっちゃったの」

かずみ「・・・」

エリ「最後くらい、一緒でもいいでしょ?」

かずみ「・・・」

かずみ「しょうがないなぁ。じゃあどっちかが先に言って、片方だけ聞くんじゃあ不公平だから同時に言おう」

エリ「うん!」

HB「それじゃあ2人共、願い事を」

かずみ「私は」

エリ「私は」




「「なにもいらない」」


 


 眩しい、それでいて優しい光の中。
 かずみは漂っていた。

 かずみが目を開けると。

 そこには白いドレスを着た少女が立っていた。


かずみ「・・・はじめまして、神様」

円環の理「あなたはまだ一個だけ、見ていない記憶がある」

かずみ「?」

円環の理「これを」


 少女は片方だけの鈴のピアスを差し出した。


かずみ「これは・・・3つ目の記憶の」

円環の理「ううん、あなたが見たものとこれでは込められている思いが違うの」

かずみ「違う?」

円環の理「さあ」

かずみ「・・・」

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