勇者「土から作られたゴーレム」(142)

国王「勇者が魔王に殺された……」

大臣「勇者様の血を込めたゴーレムを作りましょう!」

国王「それがなんになると言う……女神様の加護を受けた勇者でさえ、魔王には敵わなかったのだぞ」

側近「……そうか、なるほど。陛下、一考の価値はあると思います」

大臣「魔道人形ことゴーレムであれば魔力さえ続けば疲れ知らず」

大臣「そこに勇者様の血肉が混ざれば、不完全とは言え女神様のご加護を授かるゴーレムとなりえましょう」

側近「まだ実験段階とは言え、対魔物用にゴーレムの研究はされています」

側近「今しばらく時間はかかるとは思いますが……このまま手をこまねいているよりも遥かに建設的かと」

国王「……ふむ」

国王「そうだな、このままでは人間が滅びるのを待つだけだな」

国王「勇者の遺体の一部だけを保管し、残りは彼女の故郷に帰らせてやるのだ」

それ魔族じゃね?

聖なる力の加護どころか消滅しちまう

学者「陛下、ご報告いたします」

学者「まずは現状について。試作型の動作確認が終わりました。何時でも実行できます」

学者「性能について。魔力を動力、水を冷却水、この二つがあれば基本的には稼動し続けます」

学者「体は土で出来ており、良質な土さえあれば自己修復が可能です」

学者「また頭部、胸部、下腹部にそれぞれ一つずつ核となるコアが埋められており」

学者「これさえ残っていれば、再起不能にはなりません」

国王「一つでも破壊されたら?」

学者「一つさえ残っていれば再生できます。無論限度や限界もありますが」

側近「なんと……素晴らしい」

遺体返してくれるとか優しいな

国王「現状想定される問題点は?」

学者「基本的な倫理などは埋め込まれていますが、やはり人間同様にはいきません」

学者「悪党たる者が現れた際にどう行動するか、凶悪な魔物と負傷者を前にどちらを優先するか」

学者「等々、選択を迫られる状況下においてはどうなるかが判断できません」

側近「やはりそういった所は難しいのでしょうか」

学者「ええ、こればかりは……旅における経験にて成長を期待するしかないですね」

国王「学習するのか?」

学者「完全に仕上げられない以上、そこに余地を持たす他ないですので」

学者「とは言え、どう成長するかは全く分らないのですがね」

魔術士「術式、準備完了です。いつでもどうぞ」

学者「それでは始めますね」

国王「うむ……」

側近「……」ゴクリ

魔術士「彼の者の血肉混ざりし……」ブツブツ

学者「魔力安定」ポォ

側近「ご、ゴーレムから光が」

国王「……お、おお」

ここは錬金術師じゃね…?

圧倒的つまらなさ

健康な人間の肉体を繋ぎあわせてゴーレム作ればいいのに

『……コアABC正常起動、始動開始』

『出力上昇、駆動系に伝達開始……出力30%、通常モードに移行』

「……」パチ

側近「!」

「……」ムクリ

学者「陛下……あの名前でよろしいのですね」

国王「……うむ」

学者「君の名前は勇者だ。理解できるかね?」

勇者「私の名前は……勇者。了解」

側近「凄い……感情こそ感じられないがこんな流暢に喋るなんて」

学者「陛下、どうぞ」

国王「う、うむ。今現在、魔王軍の猛攻の前に我々人類は劣勢に立たされている」

国王「多くの者達が各地で奮闘をしているお陰で、大きな進行には至っていない」

国王「だがそれも長くはもたないだろう。早急に魔王を撃破せねばなるまい」

勇者「……」

国王「そなたは人間ではない。魔道人形……ゴーレムであるがその体には」

国王「人間の勇者の血肉が混ざっている。その加護はきっとそなたの助けとなるだろう」

国王「必要であれば各地の者達の力添えを。そして魔王を倒し、帰還する事。それがそなたの任務だ」

勇者「了解しました」

国王「なにか質問はあるだろうか?」

側近「陛下……流石にゴーレムから質問をさせるのは」

勇者「……」

勇者「人間の勇者の状況と、大衆に対する私の立ち振舞い方についての情報を求めます」

国王「勇者は……魔王に敗れ死んでしまった。魔王の当てつけなのだろう……見るも無残な姿でここに送られてきた」

国王「悲報は既に各地に行き渡ってしまっているだろう。そなたは飽くまで勇者の代役であり」

国王「魔王を討つ者である、と認識してもらえばよい」

勇者「……」

勇者「私が人間の希望であった勇者の名を語る事は、おこがましいと思われますがよろしいのでしょうか?」

側近「……こ、これも設定されている倫理観なのですか?」

学者「ええ、特にこの子には人間としての道徳を大量に組み込んでいますので」

国王「今の希望はそなただ。それでも負い目を感じるのであれば、その名に恥じぬ働きでもって自らを示せ」

勇者「了解しました。出撃は今この時からでよろしいでしょうか?」

国王「うむ……頼んだぞ」

読んでるぞ
続けたまえ

『居住地を通る魔王城へのルート検索……完了』

勇者「……」ザッザッザッ

『次の町まで真方位2-5-0、距離13マイル』

勇者「……」ザッザッザッ

『方位0-1-5、熱源確認、数5』

勇者「……」ピタ

「……」ガササ

インプA「んあー? げっ! 人間!?」

インプB「んな! ん? こいつ人間臭くないぞ?」

インプC「ほあー……良く出来てるゴーレムじゃねーか。脅かしやがって。お使いかぁ?」

『照合開始……魔物インプと判明、排除対象。出力上昇、戦闘モードに移行』

勇者「……殲滅開始」ザッ

インプD「こ、こいつ戦闘型のゴーr」ズバッ

インプE「ふ、袋にしちm」ズルッ

勇者「残り3」バッ

インプA「ひっ!」

インプB「に、逃げろ!」

インプC「早」ブァ

勇者「……」ヒュン パッ

勇者「……」シャー ッチン

『……殲滅完了。出力低下、通常モードに移行』

勇者「……」ジッ

インプ達「」

勇者「……」フィ

勇者「……」ザッザッザッ

>>4
あれだ、どこで死んでも絶対教会に戻れるからそれを蘇生前に奪ったんだろ

「おや旅人さ……お、おお?! 勇者様?!」

「何を馬鹿な事を……勇者様は二週間前に……な!」

勇者「私は魔王討伐を命じられたゴーレムの勇者だ」

「あ、ああ……そうか、そうだよな」

「にしたって……なんでゴーレムを勇者様と同じ姿に」

勇者「……」

『残量計測……魔力92%、水分94%、損傷無し、補給の必要無し』

『ルート再検索中……』

勇者「すみませんが私は先を急いでいるので」

「ああ、引き止めてすまなかったね……」

>>18
送られてきたって書いてあんだろ

まーだー?

ゴブリン達「」

勇者「……」ザッザッザッ

『機動力5%低下。汚物の付着増加、洗浄を勧めます』

勇者「……」キョロキョロ

ゴブリン「仲間の仇ぃ!」バッ

勇者「!」キュィン

『出力緊急上昇』

勇者「……」ズバン

ゴブリン「がっ、かは……!」ドジャ

『出力低下。現在出力30%、安定』

勇者「……」ザッザッザッ

勇者「……川?」サラサラサラ

勇者「……」ザッザッザッ

『そのままでの入水は装備の劣化を招きます。装備は汚れた箇所のみの洗浄を勧めます』

勇者「……」ピタ

勇者「……」

勇者「……」ガチャガチャ

勇者「……」パシャパシャ

>>20
流し読みして見落としてたわ


「おい……どうするんだ」ザワザワ
「だけどもう誰も……」ザワザワ

勇者「何か問題でもあったのだろうか?」

「え? あれ? ええ?!」

勇者「私はゴーレムの勇者だ。魔王を討伐の命を受けて旅をしている」

「ご、ゴーレム?」
「凄いな……本物の人みたいだ」

勇者「もし何かあるようなら微力ながらも援護を行うが」

「……この子に頼むか」
「ええ?! し、しかし」
「他に頼れるあてもないだろう……ここから南の山中に洞窟があるのです」
「そこに魔物が住み着き、冒険者の方々に討伐を依頼したのですが誰一人未だに……」

勇者「……」ソロー

勇者「……」ピク

『微音感知。聴覚感度最大』キュィン

「はぁ……はぁ……」

勇者「……」ソロリソロリ

戦士「はぁ……ぐっ……」

勇者「……大丈夫か?」

戦士「うわああああ!!」ザザッ

勇者「私はゴーレムの勇者だ。救援に来た。状況報告を求む」

戦士「あ……ああ……救、援?」ドックドック

戦士「PTは壊滅だ。敵の先制を食らって俺もこの様だ」

戦士「仲間達は追撃に向かったが、少し前から戦う音が途絶えたんだ……」

『目視スキャン……出血量軽度、損傷……胴体部軽微、脚部軽微……命に別状無し』

勇者「私は奥に向かい敵を排除する。一人で大丈夫か?」

戦士「どの道、俺は動けない……もし生きていたら帰りに連れて行ってくれ」

勇者「了解」

勇者「……」クル

『臨戦態勢に移行……出力50%に上昇』

勇者「……」タタッ

そこはかとなく漂うTASっぽさ

魔法「ひっぐ……ぐす……誰かぁ」

大狼「ハッグ、ハグ、ウゥゥゥ」ギチギチ

狩人「」ガクガク

大狼「ウゥゥ」ブチィ

狩人「」ドザッ

『大狼と判明。強敵判定、出力70%に上昇』キュィィン

勇者「……」バッ

大狼「ウル!?」

勇者「……」ズバッ

大狼「ギャイン! ガウガウ! グアァァ!!」バッ

勇者「……」バッザザァ

大狼「……グルルル」ズザァ

『行動パターン解析中……回避に専念して下さい』

勇者「……」

大狼「……グルル、ガウ!」ジリ バッ

勇者「……」バッ

勇者「……?」

支援

勇者「オートモード解除」

『解析中止……出力さらに上昇』

勇者(避ける瞬間に隙が見えた気がする)キュィン

『駆動系出力上昇、視覚感度上昇』

大狼「ガアアアァ!」ザッ ダンッ

勇者「……」バッ

勇者「……見えた」ブォン

大狼「カヒュー……カヒュー」

勇者「……」スゥ ズバン

狼首「」ゴッ ゴロン ゴロゴロ..

魔法「……」ビクッ

勇者「……」

狩人「」

『大狼絶命を確認。男性、生命反応確認できず』

勇者「私はゴーレムの勇者だ。救援に来た。立てるか?」

魔法「……は、はい」

勇者「……」カツ カツ

戦士「……魔法使い!」

魔法「戦士! 良かった……生きていたのね」

戦士「二人は……いや、お前が生きていただけでも奇跡だな」

魔法「ええ……本当に。食べられる順番が最後だっただけよ」

勇者「……二人?」

魔法「もう一人、武道家がいたのよ……もっと奥の方で餌食になったわ」

勇者「そうか」

勇者「……」ザッザッ

戦士「情けねえな……ゴーレムとは言え女の子に背負われているなんて」

勇者「容姿においては人間の勇者を模しているだけで、身体能力は成人男性を上回る」

魔法「……勇者様」グス

戦士「止めろ、魔法使い。俺達が一人に頼りすぎた結果なだけだ」

戦士「俺達が勇者様と共闘していればこんな未来でなかった可能性も……」

戦士「だから、嘆くんじゃなくて俺達の愚かさを恨むんだ」

勇者「……」ザッザッ

「……そんなお二人も」
「いや、あれだけの時間がかかって生存者がいるほうが……」
「何という事だ……我々の所為で……」


勇者「……」ザッ

戦士「もう、行くのか?」

勇者「私の任務は各地での戦闘の救援並びに魔王撃破、そして本国への帰還にある」

勇者「この町において、これ以上の救援の必要性が感じられない」

戦士「そうか……世話になったな。俺らは当分、この町からは出られないだろう」

魔法「あの……死なないで、ね?」

勇者「最大限善処しよう」ザッ

勇者「……」ザッザッ

行商A「……おや?」ガラガラ

行商A「ゆ、勇者様?! まさか、そんな!」

行商B「なにぃ?! あ、ああ……そうか勇者様の姿をしたゴーレムがいるって話だったな」

行商C「ゴーレムってこたぁ普通の商品じゃあ買ってもらえんだろうな」

行商C「上質ってもんでもないが魔石とかあるがどうだい?」

行商A「おいおい、ゴーレムに商売だなんて」

『残量計測……魔力72%、水分86%、損傷極軽微、可能であれば魔力の補給を推奨』

勇者「魔石を見せてもらいたい」

行商C「おう、これなんだがよ、一個これくらいの価格だか」ジャララ

『測定開始……売価にそう魔力含有魔石を識別、赤』

勇者「これとこれとこれを頂こう」

行商C「まいど」

冒険者A「ふぅ……こんな所に宿があって助かるぜ」

冒険者B「全くだな。このまま豪雨の中を行くかと思ったぜ」

冒険者C「しかし、こんな所に宿って危なくないのか」

店主「用心棒を雇っているからね」

用心棒「この辺りの魔物だったらなんとでもなるからな」

勇者「……ん、く」グビグビ

勇者「……っふぅ」

『水分100%、完全補給完了』

『天候を加味しルートを再検索中……複数個所、水辺の立ち入りが不可能を想定……』

冒険者C「おお、例の……」

冒険者B「本物そっくりだな」

店主「流石の勇者様もこの雨じゃ足止めかい」

勇者「ああ……一つ尋ねてもいいだろうか?」

用心棒「ゴーレムの方から尋ねるなんて事あるんだな」

勇者「何故、皆は私を勇者様という? 私は確かに勇者の名を頂いたゴーレムだ」

勇者「しかし人間の勇者とは全くの別だ。皆、私に敬称をつける必要はないのではないだろうか?」

冒険者A「そういえばそうだな」

冒険者B「……俺達が弱いからかなぁ」

勇者「?」

用心棒「勇者様が敗れ、こうして勇者様の姿をしたゴーレムである君が魔王討伐の旅をしている」

用心棒「結局は縋りたいのだ。たった一人に……情けない話だな」

勇者「……」

冒険者A「勇者様さえよければ途中まで一緒にどうでしょう?」

勇者「?」

冒険者B「俺らは西の都市の剣術大会に出ようと思っているんだ」

用心棒「こんな時に大会だぁ?」

冒険者C「こんな時だからこそだ。何でも傭兵の選考も兼ねているらしいな」

店主「民間の人達も魔物の討伐に出ていると聞くし、場所によって魔王軍の数も桁違いなのかねぇ」

『検索完了……ルートを提示します』

勇者「……大会は別にしても、私もその都市を通る予定であるので同行しよう」

支援

翌日
冒険者A「このくらいの雨なら行けそうだな」

冒険者B「勇者様は大丈夫ですか?」

勇者「この程度なら問題ない。行くぞ」

冒険者C「抑揚はないけど……人間にしか見えないな」ヒソ

冒険者B「全くだな」ヒソ

『探査出力上昇、周辺探査を行います……』

冒険者A「だいぶ道が荒れているな」

冒険者C「これじゃ恐らく、水辺の道は使えないだろうな」

勇者「この先の湖と川を大きく迂回するつもりだが、三人はそれでも構わないだろうか?」

冒険者A「予期しないトラブルに巻き込まれても嫌ですしねぇ」

冒険者B「急がば周れってやつだな」

『方位0-2-5、距離8、熱源確認、数5』

冒険者C「……」ピク

冒険者A「どうした?」

勇者「何かがいる」スッ

オークA「人間だぁ! 襲えぇ!」ザザァ

『戦闘モードに移行、出力上昇』キュィィン

勇者「……」バッ ズシャァ

オークB「ひぎゃああ!」ブシャアアア

冒険者C「つあらあぁぁ!」フォンブォン

オークC「ぐぬぅ!」ガギィン

冒険者A「てやああぁぁ!」バッ

オークA「長物など詰めればこっちのボゥっ!!」ザザッ ダシュ

冒険者B「次ぃ!」ザッ

支援

オークE「グヒュー……グヒュー……」

冒険者A「あとはそいつだけか……」

冒険者B「つってももう放置していれば死ぬだろうけどな」

『オークE、重度の損傷……致命傷と判定』

勇者「……」スゥ ザッ

冒険者A「……なにも止めを刺さなくても」

『オークEの絶命を確認。敵戦力殲滅完了』

勇者「私の命令は魔王を倒す事……それは魔物の殲滅にあたる事と同義である」

勇者「生きている以上屠るだけだ」ザッ

西の都市
冒険者A「じゃあ俺らはここで」

冒険者B「勇者様、お元気で」

冒険者C「最も、各国が魔王城への進撃を考えている今、どこかでまた相見えるかもしれないがな」

勇者「三人も達者で」ザッザッ

冒険者A「なんていうか……怖いっていうのとは違うんだが」

冒険者B「ああ、分るよ」

冒険者C「俺はそうは思わんな……心が無いからこそ全てが合理と使命の上に成り立っているだけなんだろうな」

西の都市 領主宅
領主「ここから北に行った所に魔物達の陣営が築かれているらしい」

領主「そこに元よりこの都市にいた傭兵部隊が殲滅に向かったが、誰一人として帰ってこないのだ」

領主「……魔物達の殲滅を頼みたい」

勇者「傭兵部隊の出発は何時頃だ? それとその場所までにかかる日数は?」

領主「陣営までは四日……彼らが発ったのはもう二週間前だ」

領主「望みは……ないだろう」

勇者「今まで何をしていた? 対策を講じずにいたのか?」

領主「兵を集め、守りに徹していた。地の利がこちらにあれば、彼らを迎撃した魔物と言えど陥落はできまい」

勇者「……」ザッザッ

『間もなく作戦区域、警戒を厳に』

勇者「……煙、あそこか」


「ゲッヘッヘ! 大量の餌人間のお陰で食料に困らんなぁ!」
「ちげぇねぇ!」
「おい、そろそろ肉切れるぜ! 後二人、どっちから絞める?!」

勇者(生存者がいるのか……)キュィィィン

『出力80%に上昇』

勇者「……」ダッ

くそつまんねえ
言い回しもいちいち気持ち悪いわ
どんな顔してこんな糞SS書いてんだろう

「な、なんだこいグフゥッ!」ズシャァ
「に、人間じゃねぇ! こいつは!」
「か、囲めぇ! 退路をひぃ、く、来」ザンッ
「せめてあいつらだけでも!」バッ

勇者(生存者はそっちか)タタタ ヒュゥン

「ひぎゃあ!」ザシャァ

傭兵E「んん!」
傭兵G「んー……んー……」

勇者「ここを死守する」ザッ

支援

勇者「都市の領主の命で救援に来た。大丈夫か?」

傭兵E「ゆ、勇者様……す、すまねぇ助かる! 早くこいつの手当てを」

傭兵G「ひゅー……ひゅー……」

勇者「……」

『……極めて衰弱状態と判定。早急に専門の者の手当てが必要』
『現状のスキルでは可能な手当て無し……余命二日と判定』

勇者「彼はもうもたない」

傭兵E「な、何言ってんだ! まだこいつは生きてんだぞ!」

勇者「ここでできる手当てはない。都市までもたないだろう」

傭兵E「それでも俺は諦めねぇ! 諦められるかぁ!」

勇者「……」

勇者「その分帰還が遅れ、お前自身の生存率を下げるぞ」

傭兵E「それでもだ!」

勇者「そうか、ならば私も手伝おう」

傭兵E「え? い、いいのか? だってあんたは……」

勇者「人々に力添えするのも命令として受けている」

勇者「行くぞ」ザッ

領主「なんと……」

傭兵G「」

傭兵E「ちくしょう……ちくしょう……」

領主「いや、それでも生存者がいただけまだ良しとせねばならないな」

勇者「回収できた遺品はこちらに。まだ何人もの遺品は残っていた」

領主「ご協力、感謝します」

勇者「ではこれで……」

傭兵E「……待てよ」

勇者「……」ザッザッ

傭兵E「待てっつってんだろ」ザッ

勇者「私としてはお前に話す事もない以上、待つ必要もないのだが」

傭兵E「……こいつを持っていってくれ」ザッ

勇者「? それは彼の剣ではないのか?」

傭兵E「あんたの剣、もうボロボロだったろう」

勇者「仲間の大切な遺品ではないのか?」

傭兵E「だからこそだ。だからこそ……あんたに使って欲しい。こいつもきっとそう思っている」

傭兵E「倒してくれ……魔王を。無念に終わったこいつらの仇を晴らしてくれ……」

勇者「心得た。有り難く使わせていただく」


魔物の群れ「」

勇者「……」

『残量計測……魔力68%、水分84%、損傷率9%、可能になり次第補給を推奨』

勇者「……」ザッザッ

勇者「?」ピタ

『熱源を感知……人間と判定、数1、方位3-4-5、距離20』

勇者「……」

剣士「助かります。まさか道を見失うとは思ってもいませんでした」

勇者「構わない。向かう先は同じだ」

勇者「……」ピク

『方位3-5-0、熱源を確認』

勇者「ここで待っていろ」バッ

剣士「ゆ、勇者様?」

勇者「……」ザザザ

『数2、距離18』

「ギギギ?!」

勇者「……」ズシャァッ

リリリ
剣士「あの……勇者様は何かお食べにならないのですか?」

勇者「私は魔力と水さえあれば稼動し続けられる。食物を必要としない体だ」

剣士「それは……寂しくありませんか?」

勇者「私は生きているとは言い難い。所詮は魔道人形、ゴーレムに過ぎない」

勇者「食欲と言うものはないし理解もできない」

勇者「肉体の維持に必要な休息は取るが睡眠そのものとて必要としない」

勇者「そもそも私には睡眠と言う機能が無い。一時的な機能停止はあるが、それはまた別物であろう」

剣士「……」

勇者「私は人間ではないし生きてはいない。お前がそのような顔をする必要も無い」

剣士「か、囲まれた!」

野犬A「ガルル!」

野犬B「ガァウ! ガウ!」

勇者「背中は任せる」

剣士「は、はい!」ゴクリ

野犬C「ガアアア!」バッ

勇者「……」ヒュパン

野犬C「ギャイン! キャインキャイン!」

剣士「凄……」

勇者「私に気を配ってどうする、くるぞ」

勇者「……」

『敵戦力殲滅を確認。出力通常モードに移行』

剣士「はぁ……はぁ……なんて数だ……ゆ、勇者様!」

勇者「なんだ?」

『損傷率15%、稼動に問題ありませんが修復を推奨』

剣士「今回復薬をお出しします!」ゴソゴソ

勇者「要らない。この体は土で出来ている。体の生成に使える土以外、損傷を修復できるものはない」

剣士「え? ええと……」

勇者「行くぞ」ザッ

勇者「土から作られたコンドーム」
に見えた俺はどうかしてるのか

リリリ
勇者「明日には森を抜けられるだろう」

剣士「あの……お怪我の方は」

勇者「まだ行動に障害が出るほどではない」

『周囲の土の成分解析完了。適合と判断』

勇者「……」ザクザク

剣士「……?」

勇者「……」パク ジャリジャリ

剣士「ゆ、勇者様?!」

勇者「体の生成に適合した土を摂取し、体内で魔力と混ぜ合わせる事で修復を行うのだ」ザクザク

勇者「これが私の体の回復方法だ。気にしないでくれ」パク

剣士「……お辛くないのですか?」

勇者「……」ジャリジャリ ゴクン

勇者「昨晩話した通り私は人間ではない。倫理や道理こそあれど人間としての感覚はない」

剣士「そう、ですか」

剣士「じゃあ……勇者様が戦ってらっしゃるのは……」

勇者「私はその為に作られ、そう命令されたからだ。それ以外に何も無い」

やはり蓄えられた魔力を放出してレーザー的な事ができんのかな
威力は凄いが動けなくなる危険もある諸刃の剣みたいな

勇者「……」ザッザッ

剣士「ああ……久しぶりに平地を見るなぁ」

勇者「次の町は明日の昼頃、その先の都市には後五日といったところか」

勇者「お前は都市の方から北に向かうのだったな?」

剣士「ええ……」

勇者「ならば後五日ほどの旅だな」

剣士「……」

宿
剣士「……」ドキドキ

勇者「どうした?」フキフキ

剣士「あの……以前、倫理や道徳はあると仰ってましたが……その」

勇者「私はゴーレムだ。お前は人形を相手に欲情をするのか?」

剣士「……」

勇者「折角、安全なところで休めるのだ。私は横になるぞ」

『休息モードに移行……3,2,1……』

勇者「……すぅ……すぅ」

剣士「勇者様……」

ほぉ

剣士「え? 街道に魔物?」

店主「何でも大きな魔物がいて交易が止まっちまっているそうだ」

勇者「丁度向かう所だな」

剣士「戦うのですか?」

勇者「それが私に下されている命令だ」

勇者「仮にその魔物に勝てないようなら、そもそも私は与えられた命令を遂行出来ない事を意味している」

勇者「であるならば、回避する必要性が無い」

剣士「……」

大猪「フゴーッ! フゴー!」ドドド

勇者「ぐ……」ガガガガ

剣士「てりゃあああ!」ザン

大猪「フーッ! フーッ!」

剣士「毛が厚すぎて刃が通っていない……!」

大猪「フゴー!」ザザ

勇者「お前の相手は私だ!」ヒュンスザン

勇者「く……」フラ

『損傷率21%、支障発生、体勢バランス以上、出力64%にダウン』

支援

イエス・ドクター・カオス

大猪「フゴーッ!!」ダダダ

剣士「くっ!」ビク

勇者「!」

剣士(……覚悟を決めろ!)

剣士「うおおおおおお!!」

『コアマニュアル稼動、出力90%に上昇』キィィィン

勇者「たあああ!!」バッ

大猪「?!」

剣士「勇者さ」

大猪「」

剣士「勇者様! 勇者様!」

『損傷率34%、右脚部損傷甚大、左椀部損傷重度、早急に修復して下さい』

『コア損傷修復完了。出力安定、稼動に問題なし』

勇者「機能停止に至らないが損傷が激しい。すまないが負ぶって行ってくれないか」

剣士「は、はい!」

勇者「すまない」

剣士「いえ……お気になさらないでください」

勇者「……」ユッサユッサ

剣士「……」ザッザッ

『周囲の地層解析完了。粘土質を多く含んでいます。応急処置としてこれで修復を推奨』

勇者「すまないが下ろしてくれ」

剣士「え? は、はい」

勇者「……」ザックザック

剣士「ここら辺の土も?」

勇者「粘土を多く含んでいるから、応急処置に使えるだけだ」コネ コネ

剣士「?」

勇者「粘土質だらけのこの土を、本体として使うには難しい」ペタペタ

勇者「だからこれを直接損傷箇所に補填し、魔力を通して一時的に体として動かす」ペタペタ

『魔力伝達開始……修復部位硬化開始』

勇者「都市に着き次第、石材や土を購入して修復を行う」シュゥゥゥ

剣士(体が土色のままだ……普通のゴーレムみたいだ)

『硬化完了。行動可能』

勇者「あまり戦闘はできないがしばらくは自力で動ける。早いところ都市に向かうぞ」

都市
勇者「……」モリモリ ゴクン

『容量90%。補給を一時中断して下さい』

勇者「一先ず、しばらく安静にして様子を見るしかないな」ボフッ

剣士「……」

『身体の再構築を開始。休息モードに移行しますか?』

勇者「……? どうかしたか?」

『休息モードへの移行、スタンバイ中……』

剣士「あの……ここで別れる事を前提にした旅でしたが」

剣士「この先も付いて行っては駄目でしょうか?」

勇者「お前にはお前の目的が合ってここまで来たのではないのか?」

剣士「大層な目的ではありませんよ……今はその、勇者様と共にいたいんです」

勇者「……」

『現状の剣士の能力値から魔王討伐に至る生還する確率を試算中……0%と判定』

勇者「お前ではこの先の戦いで命を落とす事になるぞ」

剣士「それでも構いません!」

勇者「理解が出来ない。何故だ?」

勇者「人間には極稀に自殺願望を持つ者がいると聞くが、お前がそれにあたるのか?」

剣士「違います。俺は……俺は、勇者様の事が……好きなんです!」

勇者「……」

剣士「勿論、貴女にはそんな感情も無いし、理解されない事は分っています」

剣士「人間で無い事も分かっています。それでも俺は貴女の事を愛しているのです!」

勇者「……ありがとう」

剣士「勇者様……」

勇者「と、言うべきなのだろうか。正直、お前に対してどう反応してやればいいか分からない」

勇者「ただ、お前の気持ちが好意的であるのは分かる。そしてそれが本来は人間に向けられる事も」

勇者「だから感謝しよう」

勇者「この先の同行はお前に死ぬ覚悟があるならば付いて来るといい」

剣士「……!」

勇者「だがもう一度言うが、お前が必ず死ぬ事になる。その事を努々忘れずもう一度考えろ」

勇者「私は少し休む」

剣士「はい! 勇者様!」

『休息モードに移行を開始……』

勇者(愛している、か。愛しているとは、何なのだろうか?)

『3,2,1……』

m

『魔力96%、水分99%、損傷率0%。補給の必要なし』

勇者「ここからは魔王城があるとされる西の山に向かう」

勇者「用心してかかれ」

剣士「はい!」


剣士「しかし……険しい所ですね」

勇者「今ならまだ戻れるぞ」

剣士「いえ! 最後までお供させて頂きます!」

さるよけしえん

パチパチ
勇者「お前ならそれなりに魔物の討伐もできただろう」

勇者「都市で傭兵として、周囲の町を守るという生き方もあっただろう」

剣士「俺は勇者様の力になりたいんですよ」

勇者「町に残り町の人々を守る。それもまた、私にとっては大きな力添えだ」

勇者「人間にとっては、共にある事が力添えの全てなのだろうか?」

剣士「いえ……相手を信じて託すのも立派な事です。でも勇者様はずっと一人だったのでしょう?」

剣士「なら、俺は残る側でなく、付いていく側になって力になりたいんです」

勇者「そうか」

面白い、
支援

勇者「右に3」ザザ

剣士「てやああああ!!」ズザン

『左斜め後方よりオーク、二体接近』

オークB「グオオオオ!」ブォン

勇者「……」ヒラリ

勇者「……」ヒュン

オークB「ガアアアア!」ズシャア

オークA「くそおおお!」ブン

勇者「……」ギィィン

勇者「……」ギィン ザン

剣士「はあ……はあ……」

勇者「大丈夫か?」

剣士「きついですけどもまだ……いけます!」

勇者「そうか」フィ

剣士「何を見て……あ」

勇者「随分と標高が高くなってきた。私は大丈夫だが、お前は息が苦しくなるだろう」

勇者「一層警戒し、油断をするな」

剣士「……はい」ゴクリ

ゴーレムっつかロボじゃねえか

・・・同じか?

ハイオーク「コヒュー……コヒュー……」

勇者「……」シュバン

『ハイオーク絶命を確認。魔力87%、水分91%、損傷率6%』

勇者「剣士……」

剣士「ぜぇ……ぜぇ……」

『剣士、内臓損傷、右脚部中度。即座に専門の者の手当てが必要』

勇者「私の体ならいくらでも修復できるというのに、何故庇ったのだ」

剣士「はは……好きな、女性……ですから」

勇者「私は人間ではないのだぞ」

剣士「惚れた……弱み、というやつですかね」

剣士「勇者様……これを」スッ

勇者「これは?」

剣士「爆薬、です。爆破魔法を、物理的に……ゴホッ! ゴホッ!」

剣士「せめて、敵を道連れにと、思いましたが……それも、できやしませんで……」

勇者「……有り難く頂戴していく」

剣士「……はい」

勇者「お前の剣も持っていって良いだろうか?」

剣士「……! はい、連れて行って、下さい……」

勇者「……すまない」

剣士「いいん、です。俺が、望んだ……ゴホッ! ゴホッ! ぐ、がっ……」

『血液が呼吸器官に浸入したものと判定』

勇者「今、楽にしてやる」

剣士「ゴハッ! ガハッ! ……ひゅー……ひゅー」

勇者「……すまない」スゥ

剣士「ひゅー……ひゅー……」ニコ

p

支援

勇者「……」ズシャァ

『敵戦力殲滅を確認。魔力81%、水分85%、損傷率16%』
『周囲の土壌解析完了。適合と判断』

勇者「……」ジャリジャリ ゴクン

勇者「……」ジャリジャリ ゴクン

勇者「……」スック

勇者「……」ザッザッ

勇者「ぐ……は……」ドザ

『アークデーモン絶命を確認』
『コアA損傷……修復モードに移行』

勇者「はぁ……ふぅ……」

『魔力72%、水分81%、損傷率14%』
『身体の負荷増大……休息モードに移行……』

勇者「……はぁ」

『3,2,1……』

魔王城
勇者「……」ザッザッ

門番「……」ズドォン

勇者「……」スラァン

門番「ゴアアアア!」ドォォン

『解析完了、地獄の門番と判明。強敵判定』

勇者「……」ザザ

『出力80%に上昇』

勇者「……」ダッ

門番「ゴアアアア!」ドゴッ

勇者「ぐぅ!」

『損傷率14%、駆動系、身体内部、損傷』

門番「」

勇者「……」シュウゥ

『魔力59%、水分68%、損傷率19%』
『身体の修復を行います』


『魔力51%、水分59%、損傷率6%、起動します』

勇者「……」ムク

勇者「……」ザッザッ

勇者「……」ザッザッ

『巨大な魔力を感知……現在、魔力42%、水分57%、損傷率8%』

勇者「……」ザッザッ

『撤退を推奨』

勇者「……」ギィ

魔王「よもや……ゴーレム如きに我が軍が退けられるとはな」

魔王「いや、ゴーレムだからこそか」

勇者「……」スラァン

魔王「ゴーレムとは厄介なものだな。魔族や人間と違い意思が無い」

魔王「それ故に合理性と命令のみを忠実にこなす意志だけを持つ……懐柔の余地がない」

勇者「御託は終わりだ。散っていった数多の命の為にも、ここでお前を討つ」

魔王「数多の命、それはこちらも同様だ。そしてお前さえ倒せば人間は墜ちる」スック

魔王「人形如きがこの我に敵うと思うなよ」キィィィン

魔王「滅びよ、人間の希望よ!」ドゥ

『出力90%に上昇』キィィィン

勇者「最大出力」バッ ズザァァ

『マニュアルモードに移行、最大出力』

魔王「避けるか! 流石だ!」ボッボボッ

勇者「……」ザザッ ドドン

勇者「……ぐ」ッドン

『損傷率4%上昇』

魔王「加護による魔法耐性か……しかし、避けられん火炎ならどうだ」ゴァァァァ

勇者「魔力開放」ダダダ

『魔力開放、前方に障壁を展開』

勇者「……」ジュァァァ

『障壁、急速に飽和。崩壊まで5秒』

勇者「強い……だが」バッ

勇者「……」ボゥゥズザァァ

魔王「炎を抜けてきた?! ぐぅ、ならば!」バチ バチィ

勇者「ぐあああ!」ジジ バヂヂヂ

『魔力35%、危険です』

勇者「……」ドザッ

魔王「……ふむ、所詮はゴーr」

勇者「……」バッ ヒュン

魔王「ぐお!?」ザシュ

『敵戦力、攻撃範囲内に捕捉』

勇者「……」キィンギィン

魔王「ぐ、く!」ギィィン

魔王(パワー勝負で向こうに分があるか……ならば)キィィン

魔王「燃えろ!!」ゴァァァ

勇者「……」ジュァァァ

『魔力30%を切りました。出力を』

勇者「下げるな。押し切る」ググ

魔王「……くっ!」ググ

勇者「……」ギィン

魔王「しまっ」カァァン

『身体の負荷急増、危険です』

勇者「この好機を」ダッ

魔王「ぬう!」

勇者「……」ブァ

魔王「ぐあああああ!」ザシュゥ

『魔力26%、水分39%、損傷率23%』

勇者「はぁ……はぁ……」

『魔王、左肩より胸部にかけて深い傷、致命傷と判断。生命反応有り』

勇者「……ふう」スゥ

『出力40%に低下、止めを刺してください』

魔王「……」ギラッ

魔王「はあ!」ビュッ

勇者「!」

勇者(せめて剣を盾に)スッ

勇者「こふっ」ドシュッ

k

支援

ごはんいてらー

支援

『コアB破損、危険です、退避して下さい」

勇者「ぐ……」ドザ ガラン

魔王「ふん……どうやら貴様は貴様に組まれたデータを元に判断しているのだな」

魔王「我がこの傷程度で動けなくなる致命傷足り得ると思ったか」

『出力上昇、現状65%が最大値』

勇者「……」ググ

魔王「どうやらお前の動力部、いや重要機関が損傷したようだな。更には剣も折れた今、攻撃の術とて無かろう」キィィン

勇者「……」バッ

魔王「甘い!」カッ ドドン

支援

勇者「くぅ……」ドザ

『右眼部損傷、コアA損傷、出力50%に低下』

魔王「人間よりかは頑丈であったが……ここまでだな」

『コアAより魔力流出、魔力20%を切ります』

勇者「! 障壁展開!」

魔王「この期に及んで時間稼ぎか? だがも」キィィン

『流出魔力を障壁化開始……』

勇者「……剣士」スラァン バッ

魔王「な!?」ドズッ

魔王「うぐうう!」ボタタ

魔王(ま、不味い、溜めた魔力が……もう一度集めなおさねば)シュウウ

『障壁形成完了』

勇者「剣士……お前のお陰で最高の道連れができる」シュ

魔王「な、なんだそれは?」ジジ

勇者「任務、失敗」ジジジ ジ

魔王「ま、まさか、貴」カッ

ゴゴ ゴゴゴゴゴ
土塊「」ガラガラ

魔王「ぐ……おのれ、自決など」ゴゴガガ

魔王「ここから、脱出せね」ゴアアアア ドッ

土塊「」ゴゴゴゴ

土塊「」ドゴッ ドガガガ  ゴシャァ

しえ

必要な分は見せたということか?
これ以上はみせぬ気?

……

…………

………………



『コアC再起動。最優先修復モードに移行』

『周囲に高濃度の魔力を感知。大気中の魔力吸収を開始』

『コアA損傷重度、修復開始。コアB完全破損……修復不可』

さる?

女性型ということは初めはボンキュッボンだけど損傷を受ける度に予備の土を消費してちっぱいになっていくんだよな?

>>123
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               r仁二二二二三三三三ア.:.:.:.:.:/⌒  ヽ:::::て {_i        |
            r仁二二二二三三三㌢.:.:.:/.:.:.:r'      V::/   Y       .ノ

>>122
おさる

『駆動系応急修復完了……コアA、C機能異常。出力上昇』

『駆動系に伝達開始……出力20%、省エネモードに移行』

勇者「……」パチ

勇者「あれで、生きていられるのか」ムク

『魔力34%、水分45%、損傷率24%』

勇者「……何故」

『魔王死亡時に大量の魔力を感知、これを吸収。また戦闘より二ヶ月経過』

『この感の雨天時に水分を補給』

『コア異常、これ以上外部魔力物質による補給が行えません』

『それに伴いこれ以上の身体修復不可。左椀部損失、各駆動系に損害有り』

続き気になるな

『魔力31%、水分41%、損傷率25%』

勇者「……」

墓「」

勇者「……お前のお陰で打ち勝てた」

勇者「ありがとう。出来ればお前に直接会って伝えたかった」

勇者「この私の思考は、恋に至らずとも心と呼べるものなのだろうか」

勇者「死者に届くはずの無い思いを伝えるという行動は」

勇者「単に私が壊れかけているからなのだろうか? 剣士、お前はどう思う?」

『魔力26%、水分29%、損傷率27%、駆動系の負荷が増大』

勇者(どう足掻いても帰還まで魔力も体ももたない)

勇者(そもそも体を形成するのに必要な魔力量は)

『10%を切ると身体の崩壊が始まります』

勇者「……」

『現状より最短ルート上で到達可能な位置を計、けい、けけけいさ……』

勇者「……」

『……』

勇者「そうか、お前ももう限界か」

『検索完了……最短ルートを提示します』

勇者「?」

勇者「王都ではない。何処だ、これは?」

勇者「村、いや町か?」

勇者「……」

勇者「どの道、この体で行き着ける場所であるのならば」ザ

勇者「……」ザ ザ

『魔力13%、水分14%、損傷率32%、右脚部駆動系に甚大な損傷』

勇者「……」ザ ザ

勇者「……」ザ ザ

『右脚部駆動系に致命的な損傷、損傷率39%』

勇者「……」ビシ

勇者「……」ドザァ

勇者「……」ズル ズル

支援

『魔力11%、水分9%、損傷率46%、現在、目的地周辺』

勇者「……?」

勇者「ただの町だな」

『詳細ナビゲート、方位0-4-0、距離30』

勇者「何があるというのだ?」ズル ズル


墓「」

勇者「……」

『目的地に到着』

勇者「『我らの英雄、勇者ここに眠る』」

『魔力9%、水分6%、損傷率50%、身体の崩壊が始まりました』

勇者「ここは人間の勇者の……ここが故郷なのか。しかし何故」ズ ボロ

『右腕部脱落』

勇者「そうか……この体にもお前の一部がいたのだな」ボロボロ

『左眼部、右頬脱落』

勇者「今こそ返そう。そして私も土に」ボロビシビシ

『身体維持、不能、機、能停』



魔王は討たれ世界に平和が訪れた。が、その英雄が凱旋する事は無かったという。
ただ、何時の頃か。とある町の英雄の墓が、二つになっていたという。


国王「勇者が魔王に殺された……」大臣「勇者様の血を込めたゴーレムを作りましょう!」   終

おつかれ

おっつー

おつ、テンポ良かった
最期の目的地剣士の骸のとこかと思ったが外れた

よかった、乙

おつかれー
なんとか追えて良かった

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