哀川潤「恋物語」 (7)

貝木「あーめんどくさい事になったものだ。自分の付いた嘘で沖縄まで行かねばならんとはな」

正月からしかも飛行機の中でそう自虐的に呟くのは中学生に対し詐欺を働いた過去のある貝木泥舟。

貝木「全くめんどくさい。こんな金にならないことをするなど俺も焼きが回ったものだ」

貝木「しかしあのせんしょうがはらが俺に頼むとはな……。まあもう一眠りするかな」

貝木が睡魔に負けちょうど眠りに入る瞬間まったく同時に二人のスチュワーデスがある会話をしていた

スチュワーデス1「なんか今日揺れてない?」

スチュワーデス2「そう?気のせいじゃない?」

スチュワーデス1「そうかな……?」

そんな会話は貝木には届かず貝木は眠りについた。



※西尾節の皮を被ったただの哀川潤さんが活躍するssです


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貝木「さすが沖縄だ。バカな旅行者から金を搾り取るいい商売がそろっている」

飛行機から降りた貝木が開口一番に発した言葉はそんな感想だった。もちろん貝木は何回か沖縄には来ているがほとんど無意識のうちにつぶやいた。
そのあとの瞬間貝木のケータイがなった。

戦場ヶ原『鈴木さんどうも』

貝木「あーせんしょうがはらさん。どうも」

戦場ヶ原『今ロビーのカフェにいるわ。場所は……』

貝木「あーそれは言わなくてもいい。俺が誠心誠意こめて全てのカフェを探しますのでそこで待っていてください」

戦場ヶ原『そう。それならそれでいいわ。でも私は分かりやすく眼鏡をかけているわ』

貝木「そうか」ピッ

貝木泥舟が電話を切った瞬間貝木の肩に手が置かれた。

「電話は終わったか?貝木泥舟」

貝木が不審に思い名がら後ろを振り向くと

貝木「誰だ?ここに俺の知り合いはいなかったはずなんだがな」

貝木が振り向くとそこには真紅の服に身を包んだ。人類最強がいた

哀川「よお詐欺師」

人類最強は挨拶とともに右拳を貝木の顔面に叩き込んだ。

戦場ヶ原(眼鏡は用意出来たわ……問題は貝木が私の話を聞くかどうか……私にはもうこれしかないの。
なんとかなってちょうだい…………)

戦場ヶ原ひたぎがそんな不安と焦りと共にジュースを口に運んでいると入口から貝木泥舟が一直線に戦場ヶ原に向かってきた。
いや向かってきたというのは正しくない、正確には戦場ヶ原のテーブルまで吹っ飛んできたのだ。
テーブルにぶつかったせいでジュースがひっくり返り貝木の顔に盛大にかかった。

貝木「よお戦場ヶ原元気だったか?」

戦場ヶ原「どうしたのよ?私の気を引くためにそんな奇をてらわなくてもいいのに。
せめてあなたには全く似合わない忍野さんの着ているようなアロハシャツをあえて着てくるくらいだと思ってったのに」

貝木「そんな真似はしないがな」

戦場ヶ原が眼鏡をとると貝木は頭から少し血を流しているのが目にとれた。

哀川「お嬢ちゃん、こいつの知り合いか?すまないがこいつはちょっと痛めつけさせてもらうぜ」

人類最強はゆっくり入口から入りながら歩きながら戦場ヶ原と貝木に近づいてきた。
真っ赤な服にを包んだその異様な雰囲気に戦場ヶ原は胸ポケットに手を当てて警戒する。

哀川「おいおい。そんな身構えるなよ、あたしに来た依頼はそいつを痛めつけるだけなんだからな」

戦場ヶ原「そうはいっても私はこの人に仕事を頼みたいの。
あなたに痛めつけられた後貝木が私の仕事を受けられない状態じゃ困るのよ」

哀川「ハハハハハッ!いいねぇ!その心意気は好きだよ!」

貝木「哀川潤いつからここにいた?」

貝木がいつの間にか立ち上がり口もとの血をぬぐいながら哀川に問い詰める



哀川「ここについたのはついさっきだ。もっと正確に言えばお前と一緒だったんだぞ?」

貝木「ふぅーむ。つまりお前は俺と一緒の便で来たと?しかしお前の姿は見つからなかったぞ?」

貝木は飛行機の中のことを思い出すように顎に手を置き考える。

哀川「ああ中じゃない。外だ外。
貝木泥舟、お前が乗った飛行機に乗ろうとは思ったが時間がなくてな。ギリギリ飛行機の外にくっつけたんだ。
ちっと寒かったが沖縄に近づくにつれてだんだん温まってきたから大丈夫だったぜ?」

何のことなげもなく今日の夕食を言うかのように人類最強は説明するが戦場ヶ原ひたぎが反論する。

戦場ヶ原「あなたまさか飛行機の外にくっついてきたとでもいうの?問題よ」

哀川「問題?国内線だから国境は超えてないし問題はないはずだぜ?」

戦場ヶ原「あなたってバカなのかしら?私が言っているのはそんなことじゃないわ。まあそんなことはどうでもいいわ。
今の私はこいつ 貝木 が必要なの。あなたが貝木を痛めつけるのなら私はその前にあなたを痛めつけるわ」

貝木「よせ戦場ヶ原こいつに常識は通じない。アイツも仕事なんだ。なあ哀川潤」

哀川「お嬢ちゃん。請負人って知ってるか?平たく言えば何でも屋だ。
でそんなあたしに来た依頼っていうのは貝木泥舟を適度に痛めつけるっていうのが今回の仕事だ。貝木あんたも分かってるだろ?」

貝木「そうだな。で俺はどうすれば見逃してくれる?謝るか?金か?なんでもしよう誠心誠意こめてな」

哀川「そうかじゃあ一発だけでいい。一発殴らせろ。それでしまいだ」

貝木「どうやらさっきの一発はノーカウントらしいな。痛い目は嫌なんだがな」

戦場ヶ原「やめなさい請負人。あなたがなんでも請け負う請負人なら私が依頼するわ。貝木を痛めつけないで」

哀川「おまえ自分が何を言ってるのかわかってるのか?こいつは詐欺師だぞ?おまえがそんなことを知らないとは思えないんだがな」

戦場ヶ原「そんなこと私は百も千も万も億も兆も承知よ」

戦場ヶ原「でもね私は貝木しか頼れる人がいないの。貝木以外に適任はいないの。貝木以外にできる人はいないの。貝木しかできないの」

戦場ヶ原の必死の言葉も哀川は聞こえていないかのように進んでいきそしてついに貝木の目の前まで迫った。

戦場ヶ原「哀川さんといったわね?やめてくださいお願いします」

そんな戦場ヶ原のほうを哀川潤は向いて一言。

哀川「やめろ。あたしを苗字で呼ぶな。あたしの事を苗字で呼ぶのはあたしの敵だけだ。
貝木仕事は少し待ってやる。その代りお嬢ちゃんの話を聞いてやれ」

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