男「2次元の世界が危ないだと!?」(84)

ティンコーベル「そうなのよ!実は2次元の世界がおかしくなっちゃって、登場人物たちも物語に逆らって好き勝手行動しまくってるの」

男「するとどうなるんだ?」

ティンコーベル「もうお話はめちゃくちゃ。ハッピーエンドもバッドエンドになってしまうわ」

男「そ、それは一大事だ。何とかしないと!」

ティンコーベル「よく言ったわ!そこであなたにお願いがあるの!私と一緒に2次元の世界に行って元凶になっている登場人物を懲らしめて欲しいの」

男「俺ケンカは弱いぜ?いいのか?」

ティンコーベル「元凶になっているのはだいたい女の子よ。だからケンカはしなくて大丈夫!」

男「そうなのか。でもどうやって懲らしめるんだ?」

ティンコーベル「女の子が一番屈辱を感じるのは強姦されることよ。あなたには悪い女の子を犯して欲しいの」

男「それなら俺にも出来そうだ!よろしく頼むよ!」

ティンコーベル「それじゃあ、まずはこの世界から行くわよ」ゴソゴソ

男「おいおい、俺の本棚にある本でいいのか」

ティンコーベル「ええ、同じタイトルならどの本からでも同じ世界に行けるわ」

男「そいつは便利だな!で、初めはどの世界へ行くんだ?」

ティンコーベル「3匹のこぶたよ」

男「何だって!?その本には女の子なんか出てきやしないぞ?」

ティンコーベル「おかしいわね。でも確かにこの本から邪悪な波動が感じ取れるんだけど・・・。とにかく行ってみましょう!」

ティンコーベル「ティンコロ コロコロ カワッカムリノ ホーケー!」

ムラムラムラムラムラムラムラムラムラムラ ヒューーン

ティンコーベル「さ、本の世界に着いたわよ」

男「こいつはすげえぜ!」

男「さすが童話の世界。あたり一面草っ原でのどかな風景だな。で、誰を探せばいいんだ?」

ティンコーベル「残念だけど誰が元凶なのかはわからないの。とりあえず誰か探してみましょう」

男「おい、あそこに藁の家があるぞ。こぶたがいるんじゃないか?」

ティンコーベル「行ってみましょう」

-藁の家-

長女こぶた「あん!はっぁん!狼さん!すごぉい!!」

狼「はぁっ!はぁっ!お前のここ凄く締まってるぜぇ!もっと突いて欲しいか!」

長女こぶた「いいわ!もっと!もっとぉぉ!!」


男「・・・驚いたな。見た目はまるで人間そっくりだ」

ティンコーベル「でも間違いないわ。あれは元はこぶたよ」

狼「ふー、すっきりしたぜ。じゃあな」

長女こぶた「ちょっと、終わったばっかりでどこ行くのよ」

狼「べ、別に。帰るんだよ」

長女こぶた「もうちょっと側にいてくれたっていいじゃない?いつも終わったらすぐ帰るでしょう」

狼「うるせえな。俺の勝手だろ?じゃ、また来るからよ」

長女こぶた「もう・・・本当に私のこと好きなのかしら・・・」

-木の家-

狼「よう、会いたかったぜぇ」

次女こぶた「あ、いらっしゃい!待ってたわ!」

狼「へっへ。今夜は寝かさねえぜ」

次女こぶた「いやーん////」

長女こぶた「あーあ、狼さんたら今度はいつ来てくれるのかしら」

コンコン

長女こぶた「はーい。どなたー?」

男「あ、こんにちは」

長女こぶた「何ですか?新聞ならお断りですけど」

男「いえ、そうじゃなくてですね。あなたはこぶたの長男・・・いや、長女さんですか?」

長女こぶた「ええ、そうですが。何か?」

男「間違いないぞ、こいつだ」

ティンコーベル「よっしゃ。男、この子を犯すわよ」

長女こぶた「え!ちょ、ちょっと何するの!?嫌!嫌ーーっ!!」

次女こぶた「あぁん。狼さんたら素敵だったわ。ところで姉さんとはいつ別れてくれるの?」

狼「ん、ああ。そのうちにな」

次女こぶた「もう!その言葉何ヶ月も前から変わらないじゃない」

狼「まぁまぁ焦るなよ。お前の姉ちゃん結構いい体してっからよ。まだまだ楽しみてえんだよ」

次女こぶた「呆れた。でも姉さんったら私たちのことも知らないで本気になっちゃって。本当にお馬鹿よね」

狼「あれは見かけによらず純情な性格だ。だから扱いやすいんだけどな。ところで、ちょっと金貸してくんねえか?」

次女こぶた「また?この間5万円あげたばかりじゃない。ギャンブルなんかいい加減止めてよね」

狼「いやいや、次のレースは絶対勝てるんだよ!頼むよ!」

次女こぶた「もうしょうがないわね、はい」

狼「へへっサンキュ!じゃ、俺そろそろ行ってくるわ!」

次女こぶた「あ、待って!ん・・・ちゅっ 行ってらっしゃい!」

-煉瓦の家-

狼「よう、マイハニー!」

三女こぶた「ダーリン!」

男「ふぅ。あそこの締まりがなかなか良かったぜ」

長女こぶた「うっ・・・うっ・・・」

ティンコーベル「おかしいわ。犯したのに世界が元に戻らない」

男「こいつが元凶じゃなかったのか?」

ティンコーベル「いえ、豚が狼とSEXするなんてありえないもの。この子が元凶で間違いないと思うわ」

男「じゃあ、もう一回ヤっとくか?」

長女こぶた「ひぃっ!」

ティンコーベル「多分そういうことじゃないわ。きっと他にも元凶がいるのよ」

男「まさか狼とヤれって言わないだろうな?」

ティンコーベル「ううん。狼って酷いやつよ。だからあいつはあいつで正しい行動をしているの」

男「なるほどな」

ティンコーベル「他のこぶたの家にも行ってみましょう」

男「そうだな。おいこぶた!もうお前に用は無えからよ!じゃあな!」

長女こぶた「狼さん・・・ごめんなさい・・・私・・・汚されちゃった・・・」

男「木の家か。ここにはきっと次女がいるんだろうな」

ティンコーベル「しっ、中から狼の声が聞こえるわ」

男「あの野郎・・・二股かけてやがったのか」

ティンコーベル「しかも次女は姉と狼の関係を知っててヤってるみたいね」

男「いわゆるNTRってやつかよぉ!」

ティンコーベル「あ、狼が出て行くわ。さ、行きましょう」

男「悪い次女め!こてんぱんにしてやるぞぉ!」

三女こぶた「ダーリン!もっと!もっと突いて!」

狼「く・・・!イキそうだ!」

三女こぶた「出して!中に出してぇー!」

狼「わおぉぉぉぉおおぉん!!!」ドピュー

三女こぶた「あん。凄かったわ」

狼「お前の中もサイコーだったぜ」

三女こぶた「ところでダーリン。私たちそろそろ身を固めてもいいと思うの」

狼「またその話かよ」

三女こぶた「でも大事な話よ。いいアクセサリーショップを見つけたの。今度一緒に指輪を選びに行きましょうよ」

三女こぶた「結婚式は綺麗な湖が見える小さな教会で挙げるの。姉さんたちにも出席してもらって盛大に祝ってもらうのよ」

狼(あーだりぃーなぁー)

ガチャッ

男「悪いがその結婚式は中止になった」

三女こぶた「誰っ!?」

男「なあに。通りすがりの正義のレイパーさ」

狼「てめえ!人の家に勝手に入ってきやがって!出て行きやがれ!」

男「すまんが出て行くのはお前の方だ。この姉妹丼野郎!」

狼「な!?」

三女こぶた「え!姉妹丼ってどういうこと?」

男「こいつはお前の2人の姉とも関係を持ってるってことさ」

狼「だーーーー!言うんじゃねえ!!」

三女こぶた「そんな・・・!嘘よ・・・!」

男「悲しいことに嘘ではないのだ。こいつは長女と次女のあそこにハメハメしてなおかつ盛大に射精しやがったんだ。とんだ狼野郎さ!」

三女こぶた「うわあああああああああああん」

狼「ちっ!これはまずいぜ!ずらかるしかねえ!」ダダダダ

三女こぶた「ぐすっ・・・私・・・信じてたのに・・・」

男「悪い狼は追い払った。これからは簡単に男を信用しちゃいけないよ」

三女こぶた「はい・・・。えっと、あなたは一体・・・」ドキドキ

男「俺はこういうものだ」パサッ

三女こぶた「こ、これは!長女お姉ちゃんのブラジャーに次女お姉ちゃんのショーツ!ま、まさかお姉ちゃんたちを!?」

男「さきほど頂いた戦利品だよ。3つ目は今から頂くがね」

三女こぶた「嫌ああああああああああああああ」

ティンコーベル「見て。世界が元に戻っていくわ」

男「やれやれ。これで世界も元通りか」


狼「わおーん!煉瓦の家は硬すぎて入れないよー!しくしく」

三匹のこぶた「わーい!これで悪い狼も家に入ってこれないぞー!これからは三匹仲良く暮らそうねー!」


ティンコーベル「あはは!見て!あの狼のツラったらないわ!」

男「やっぱ物語はこうでないとな。めでたしめでたし」

ティンコーベル「さぁ、次の世界へ行くわよ」

男「おいおい、休みなしかよ。こっちは3発もした後だぜ?」

ティンコーベル「でもぐずぐずしてたらどんどん2次元の世界が崩壊していくわ。我慢してちょうだい」

男「全く、人使いの荒い妖精だぜ」

ティンコーベル「次は涼宮ハルヒの憂鬱よ」

男「今度はラノベかよ!?ギャップが酷いぞ!」

ティンコーベル「そうかしら?私はどっちも大して変わらないと思うけど」

男「まぁ、いいや。よく考えたらこっちの世界の方に行きたかったんだからな」

男「ん?この本・・・表紙カバーは『憂鬱』なのに中のタイトルが違うぞ」

ティンコーベル「それじゃあ行くわよ。ティンコロ コロコロ カワッカムリノ ホーケー!」

男「あっ おい」

ムラムラムラムラムラムラムラムラムラムラ ヒューーン

ハルヒ「今度のクリスマスはSOS団でパーティをやるわよ!」

キョン「パーティとはまた突然だな」

古泉「僕は賛成ですけどね」

みくる「なんだか楽しそうですね」

ハルヒ「みくるちゃんにはミニスカサンタのコスプレしてもらうわよぉ!」

みくる「きゃあー!」

長門「・・・」ピクッ

キョン「どうした長門?」

長門「何でもない。何か異分子の存在を感知したような気がしただけ。たぶん気のせい」


ティンコーベル「危うくこの世界の登場人物に存在を気づかれるところだったわ。何とかバリヤーを張ったけど」

男「周りには誰もいないぞ?超能力者でもいるのか?」

ティンコーベル「超能力者もいるけど宇宙人の方が・・・ってあなたこの本読んでないの?」

男「初めの2、3ページだけ読んで寝ちまってね」

キョン「何だ!?この世界は何かがおかしい!ハルヒの存在を誰も知らないなんて!」


ティンコーベル「どうやらおっぱじめたようね。世界をまるごと改変するなんて凄い力だわ」

男「何だ?俺には何が変わったのかさっぱりわからんが」

ティンコーベル「この本の登場人物の誰かが世界自体を変えてしまったのよ。それが誰なのか探しに行くわよ!」


キョン「このしおり・・・長門、やはりお前が助けてくれるんだな。だが鍵って何だ・・・?」

長門「・・・?」

キョン「いや、こっちのことだ。入部届け、とりあえず預かっとくよ」

ティンコーベル「まずこの本の主人公の涼宮ハルヒに会いに行きましょう」

男「北高に通ってるんだよな。どのクラスかぐらいはわかるぞ」

-教室-

男「あの、すいません。涼宮ハルヒさんって人いますか?」

朝倉「あら、あなたも涼宮ハルヒさんを探してるんですか?」

男「あなたも?」

朝倉「あ、いえ、すいません。実はウチのクラスのキョン君って友達が同じ人を必死で探してて」

男「どこにいるんですか?」

朝倉「光陽園学園に通ってることがわかったらすぐに走って行っちゃいましたよ」

ティンコーベル「それだわ!」

男「ども!ありがとうございました!」

男「なあ、あの女子生徒は特におかしいところはなかったか?」

ティンコーベル「別にそうは思えなかったわ。どうして?」

男「いや、単に犯したかっただけだ」

-光陽園学園-

キョン「ハルヒ!」

ハルヒ「誰・・・?」

男「あ、いたいた!あれじゃないか?」

ティンコーベル「ちょっと待って!あのキョンって人、何か考えがあるみたいよ。しばらく様子を見てみましょう」

男「でもあのハルヒってのが元凶じゃないのか?あいつ世界を変える力を持ってるんじゃなかったっけ?」

ティンコーベル「そうだけどそれはこの本において正しい設定なの。だから世界を変えたからと言ってハルヒが元凶とは限らないの」

男「何だかよくわかんねえな。俺としてはとっととハルヒを犯したいわけだが」

ティンコーベル「誰かれ構わず犯すために来たんじゃないのよ!全く」

ハルヒ「ちょっとキョン!何なの?このPCに表示されてる文字は?」

キョン「俺の選択は・・・」タン

ゴオオオオオオオオオオオオ

男「何だ何だ?どうなってんだ!?」

ティンコーベル「また世界が変わってるわ・・・。というより時間軸がさっきの世界改変より前に戻ってる?」

男「一体何がどうなって」

ティンコーベル「わかったわ!キョンは世界改変の原因を突き止めるために行動してたのよ!ということは今からキョンが会いに行く相手は」

男「そうか!世界が変わっちまった原因ってことか!」

ティンコーベル「ビンゴ!さぁ、キョンのところに行くわよ!」

キョン「長門、やっぱりお前の仕業だったんだな」

長門「あ・・・どうして・・・あなたが・・・」

キョン「いいんだ、今のお前には訳がわからねえだろうからな。だから俺も躊躇せずにやるぜ」スッ

長門「ひっ・・・!」

男「ちょっと待ったああああ!」

キョン「!?」

男「キョンとやら!やりたくねえことを無理にやる必要はねえ!そんな後味が悪いことは俺に任せな!」

キョン「何だお前は!?」

男「なるほどな。長門が元凶だったとはな。なんともおいしいことしてくれるぜ」

長門「だ、誰・・・?」

男「名乗る程の者じゃねえが、あえて言うなら処女とトコトンしてみ体ってとこだ」

キョン「何だお前は!?みくるさん!一体どうなって!」

みくる「キョン君!」

ティンコーベル「はいはい。キョン君たちはしばらく眠っててねー」プシュー

みくる「うっ」

キョン「急に眠くなってきた・・・ガクッ」

男「さぁ、これで邪魔は入らない。無敵の長門も今は単なる文学処女・・・もとい少女。懺悔は済んだかい?」

長門「嫌あああああああああああああああ」

長門「ひっく・・・ひっく・・・」

ティンコーベル「おかしい。元凶を懲らしめたはずなのに世界が元に戻らないわ」

男「長門が世界改変の原因なんだろ?もう一回ヤっとくか?」

長門「ひっ!」

ティンコーベル「何回ヤっても同じよ。うーん、わからないわ!」

男「こうなりゃ片っ端からヤってやるか!せっかく大人みくるさんが寝てるんだしな!」

ティンコーベル「どういうことなのかしら。何かを見落としている・・・?」

男「うおおおおおおお」パンパンパンパン

長門「誰か・・・助けて・・・」

コツ コツ

ティンコーベル「! 誰か来るわ!?」

朝倉「あなたたち・・・よくも長門さんに酷いことしてくれたわね」

男「あ、お前は教室にいた女子生徒!」

朝倉「キョン君をここで殺して永遠に長門さんとの平和な世界を作るつもりだったのに。おかげで私の計画はめちゃくちゃよ」

ティンコーベル「何ですって!?語り部を殺すということはあなたが元凶だったのね!」

男「やっぱりあの時犯しときゃよかったじゃねえか!」

朝倉「何言ってるの?まあいいわ、長門さんの処女を奪ったあんたはここで殺してやるわ!」グサッ

男「うおっ!?こ、こいつ強ぇ・・・。おい、どういうことだよ。ケンカは弱くても大丈夫なんじゃなかったのかよ・・・」ガクッ

ティンコーベル「男!しっかりして!しっかり・・・!」

???「おい、前に体験した時と随分変わってねーか?」

???「問題ない。決められた通りに行動すればいい」

朝倉「あ、あなたたち!どうして・・・!」

男(だ、誰だ・・・?駄目だ・・・意識が・・・薄れて・・・)

男「う・・・ここは?」

ティンコーベル「良かった!気がついたのね!病院に運んでもらったのよ」

男「俺は・・・朝倉に刺されて・・・そうだ!あれからどうなったんだ!?」

ティンコーベル「あなたが刺された後にどうやら救世主が現れたみたいでね。元凶も懲らしめてもらって世界はすっかり元に戻っちゃったわ」

男「なんだ・・・朝倉を犯したかったのに・・・がっかり」

ハルヒ「すー すー」

男「あれ?何でハルヒがベッドの下で寝袋にくるまって寝てるんだ?」

ティンコーベル「さぁ、それは私にもよくわからないのよ」

男「まぁいいや。せっかく寝てるんだし。頂いちまおう!」

ハルヒ「え・・・?あっ!きゃああああああああああ」

ティンコーベル「やれやれね」

男「ふー、やっと俺の部屋に戻ってきたか!今回は酷い目に会ったぜ!」

ティンコーベル「あっ・・・これ『憂鬱』じゃなくて『消失』じゃない!違う表紙になってるわよ!」

男「たまにそういうことあるんだよ。参ったね」

ティンコーベル「全く・・・。不精なんだから」

男「まぁまぁ。どうせまたすぐ次の世界に行くんだろ?次はどこなんだよ」

ティンコーベル「鶴の恩返しよ」

男「今度は日本昔話か。俺もうわかっちゃったぜ!人間に変身した鶴が元凶だ。間違いない」

ティンコーベル「まぁこの話の登場人物はおじいさんと鶴しか出てこないものねぇ」

男「さっさと言ってちゃっちゃとヤっちまおうぜ!」

ティンコーベル「あんただんだん楽しみになってきてない?まぁいいわ。ティンコロ コロコロ カワッカムリノ ホーケー!」

ムラムラムラムラムラムラムラムラムラムラ ヒューーン

翁「おやまぁ、鶴が罠にかかっておるわ。可哀想に。それ、助けてやろう」

鶴「キューン」バサバサバサ

男「お、ちょうどおじいさんが鶴を助けたところだぞ」

ティンコーベル「ってことは今夜には鶴が訪ねてくるわね」

男「なぁ、それにしても寒ぃよ!ここ雪国じゃねえか!」

ティンコーベル「うぅ・・・このままだと凍えちゃうわね。そうだ、おじいさんの家に泊めてもらいましょうよ」

男「あぁ、鶴の動向も見れるし、それは名案だな」

翁「ふー今日は特に冷えるわい」

コンコン

翁「おや、こんな夜中に誰じゃな?」

男「おじいさん、私です。昼間助けてもらった鶴でございます」

翁「な、なんと!あの時の鶴とな!?」

男「嘘嘘!冗談ですよ!実はね、俺道に迷っちゃって!すみませんが今晩泊めていただけませんか?」

翁「何じゃタチの悪い冗談を言いおって。まぁ泊めるくらいはかまわんよ。それにしても何という薄着じゃ。お前さん死にたいのか?」

男「いやぁ、不慮の事故ってやつですよ。いえ、こっちのことで」

コンコン

翁「またお客か。今日は客が多いのう。どなたじゃな?」

鶴「夜分にすみません。道に迷ってしまって。どうか泊めていただけませんでしょうか?」

翁「今度は若い娘さんかえ。まあいいじゃろう入りなさい。それにしてもあんたも実は昼間の鶴なんですなどと冗談を言うのかと思ったわい」

鶴「えっ」男「いえいえ!何でもないんです!」

ティンコーベル「もう!あんたのせいでおかしなことになってるじゃないの!」

鶴「おじいさん。泊めてくれたお礼に綺麗な布を織ってさしあげます。あちらの部屋で織りますが決して中を覗かないでください」

翁「なぜじゃ?」

男「やだなぁ、おじいさん!乙女には色々と秘密があるんですよぅ!」

翁「そ、そうなのか。わかった。決して覗かんと約束しよう」

鶴「ありがとうございます。では」

翁「ふわ~ぁ。何だか眠くなってきおったの~ ぐが~ぐが~」

                                         ・ ・ ・ ・ 
男「ようやく睡眠薬が効いたようだな。すまんなじいさん。何しろ中を覗かれちゃ困るんでな」

鶴「罠から助けてくれたおじいさんのために機を織るんだ。一生懸命に織るんだ」カタンカタン

ガラッ

男「話は聞かせてもらった」

鶴「きゃぁ!」

男「良かった。まだ人間のままだ」

鶴「ど、どうして!?決して中は覗かないでと言ったではありませんか!」
                   ・ ・ ・ ・
男「ああ、確かに言ってたなぁ。うっかりしていたよぉー!」バッ

鶴「きゃああああああああああああ」

鶴「ひっく・・・ひっく・・・」

ティンコーベル「あれ?おかしいわ?世界が戻らない・・・」

男「おいおいそれはないだろう?この世界には鶴とおじいさんしかいないんだから。もう一回ヤっとくか?」

鶴「ひっ!」

ティンコーベル「だから一回で充分だってば!でも参ったわね。他に行くところもないし」

鶴「あ、あの・・・。あなたがたが何者かは知りませんがお願いがあります。おじいさんのために機を織らせてください」

男「なに?おい、鶴は物語と変わらない行動してるぞ」

ティンコーベル「うーん、確かにそうねぇ」

鶴「どうか。お願いします」

男「ああ。別にそれは構わねえよ。ただし、機を織る前と後に俺の相手をすること、それが条件だ」

鶴「う・・・。わ、わかりました」

ティンコーベル「ちょっと何よその条件は」

男「単なる趣味だ」

翁「ここ数日激しい雪が続くのう」

鶴「そろそろ機を織りに行って参ります」

男「俺もちょっとトイレに」

翁「トイレとは何じゃ?」

男「厠ですよ厠。用を足しに行ってくるってことですよ!用 を 足 し に ね」

翁「なんじゃ。そういうことか。ズズズ」

男「ククク・・・」


男「おらっ おらっ ここが気持ちいいんだろぉー!?ここがよぉー!」

鶴「あああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁああぁあぁぁぁーーーーん!!!」

翁「雪がおさまる気配が無いのぅ」

鶴「そろそろ機を織りに行って参ります」

男「俺もちょっとトイレに」

翁「おお、そうか」

翁「あの娘・・・毎晩毎晩機を織っておるようじゃの・・・」

翁「ちょっと覗いてみようかの」


翁「ん?障子に影が2つ映っとるぞ?しかも影同士が激しく交差しとるように見えるが・・・?」

ガラッ

男「おらっ おらっ 泣けよっ!もっと泣いて悦んでみせろよぉーーー!!」

鶴「あああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁああぁあぁぁぁーーーーん!!!」

翁「なっ なんとぉー!?」

鶴「ああっ!おじいさん!?」

男「うおっ!じじい!?覗くなって言ったのになんて奴だ!」

翁「お、お前らぁ!居候の分際で人の家で何やっとるんじゃぁーー!!出て行けーーーー!!」


男「マジかよ・・・本当に追い出すなんて・・・」

鶴「ううっ・・・!おじいさんに渡せなかった・・・!せっかく織ったのに・・・」

ティンコーベル「なんだか可哀想ね・・・」

男「あー悪かったよ。あんたおじいさんに助けられた鶴だろ?恩返しさせてやれなくてごめんな」

鶴「・・・違います。私罠から助けてもらった鶴ではありません」

男「え?」ティンコーベル「え?」

鶴「私は罠から助けてもらった鶴の 妹なのです」

男「妹ぉ!?」

鶴「私はおじいさんに姉を助けてくださった恩返しをしたかったのです」

ティンコーベル「健気な妹さんね・・・ぐすん」

男「ちょ、ちょっと待った!じゃあお姉さんは一体どこで何してるんだよ!?」

鶴「今頃は多分・・・遊郭にあるホストクラブで飲み遊んでることでしょう」

男「ホストクラブゥ!?」

鶴「姉はいつも、私が織った布を売ったお金で豪遊しているのです」

男「助けてもらった恩も忘れて・・・なんというクズだ・・・」

ティンコーベル「男!こうしちゃいられないわよ!」

男「ああ!そのクズな姉をとっちめに行かないとな!」

-ホストクラブ-

鶴「きゃーははは!ユウくーん!ドンペリ追加ー!」

ユウ「あーーーざーーーーーーーっす!!!!!」

ホスト共「「「飲んで飲まれて飲まれて飲んで!今夜アナタが女王様!ハイ!!」」」

鶴「きゃーーーーーはははは!!!たーーーのしーーーぃ!!!!」」

パリン!パリン!パリン!

ホスト「ああ!鶴子さんのためのシャンペンタワーが全部割られたぁん!」

鶴「だ、誰っ!?」

男「命助けた恩をも忘れ ホストクラブで豪遊三昧 暮らし支える妹君の ぢっと手を見るおいらだぜ」

鶴「何あんた!?妹の知り合い?」

男「知り合いではない。お尻合いだぁーーーーーっ!!天誅!!!」

鶴「きゃああああああああああああああああ」

ティンコーベル「見て。世界が戻っていくわ。雪も止んだみたい」

男「ああ、この世界は白く美しい世界だったんだな」


鶴「おじいさん。姿を見られたからにはもうここにはいられません。私が織った布はこれで最後です」

翁「ま、待ってくれ!約束を破って悪かった!行かないでくれぇー!」


ティンコーベル「鶴の恩返しって結構悲しいお話なのよね」

男「なぁ、これってハッピーエンドなのかな?」

ティンコーベル「さぁ、読む人次第じゃないかしら」

男「ふーん」

男(・・・あばよ!鶴の姉妹!)

男「もう寒いのは勘弁だぜ。今度はどっか暖かい南国の世界にしてくれよ!」

ティンコーベル「あらそう?ちょうど次の世界は暖かいところよ」

男「マジか!やっほー!」

ティンコーベル「千夜一夜物語よ」

男「ん?また日本昔話か?」

ティンコーベル「ノン、ノン。これは外国のお話よ。通称アラビアンナイトって呼ばれてるわ」

男「アラビアンナイトって言ったら・・・砂漠じゃねえかよー!暑すぎるわっ!」

ティンコーベル「きゃはは!世の中そう都合良くはいかないのよ!さっ行くわよ!」

ティンコーベル「ティンコロ コロコロ カワッカムリノ ホーケー!」

ムラムラムラムラムラムラムラムラムラムラ ヒューーン

男「うわーーーー暑ぃーーーー!空だー!太陽だー!神社だーーー!」

男「ってあれ?何で神社があるんだ?ここはアラブじゃないのか?」

ティンコーベル「あらやだ。これって出雲大社よ!」

男「は?出雲ぉ!?」

ヒュルルーーーーー パン パパパーーン

神「さぁーついに始まりました!日本一強い神を決める大会!その名も天神一武道会!!」

神「『100年経ったらまたおいで』そう今日は100年に1度、日本中の神がここ出雲に集まり最強の神を決める日なのです!!」

男「おいおい!何か物騒な大会が始まっちゃってるぞ!」

ティンコーベル「うーん。どうやらだいぶ崩壊の進行が進んじゃってる世界のようね」

男「あの神の話からすると八百万の神が集まってるってことかよ。そんな大勢の中からどうやって元凶を探すんだ!?」

ティンコーベル「焦っても仕方ないわ。とりあえず大会を見学してみましょう」

男「まぁ、砂漠じゃなかっただけマシってことか」

神「大会を始める前にまずはこの方にお越しいただきました!本大会の主催者であり同時に大会の賞品でもある天照大神(アマテラスオオミカミ)!」

天照「みなさま、ごきげんよう。本日はご多忙の中お越し頂きまして誠にありがとうございます」

男「ひゅ~超美人だね~」

ティンコーベル「日本で一番美しい女神と言われるだけあるわ」

天照「本日、日本で最も強い神が決まります。そして本大会より優勝者にはこの私を自由にできる権利が与えられます!」

天照「私は強い神が好き。優勝者は私を娶るも恋人にするも奴隷にするも何をしても構いません!」

ウオオオオオオオオオオ

男「マジかよ!俺も出場するは!!!」

ティンコーベル「落ち着きなさい!出場できるのは神だけよ!それにあんたケンカ弱いでしょう!」

天照「それでは!天神一武道会 開幕です!!!」

神「今年予選を勝ち抜いて残ったのはこの8名だーー!」

「タイマンなら絶対に敗けん!!暴走神のケンカ見せたる特攻隊長!天手力男神(アメノタヂカラヲノミコト)!」

「竜殺しは生きていた!!剣神!!建速須佐之男命(タケハヤスサノヲノミコト)ー!」

「天照はオレのもの!邪魔するやつは思いきり殴り思いきり蹴るだけ!!驚異の姉萌!月読命(ツクヨミ)ー!」

「ルールの無いケンカがしたいから神になったのだ!!火之迦具土神(ヒノカグツチ)ー!」

「デカアァァァァァいッ説明不用!!1000m!!!8000t!!!八岐大蛇(ヤマタノオロチ)!!」

「打撃対策は完璧だ!!化かされたら負けッッ稲荷大明神(イナリダイミョウジン)!」

「闘いたいからここまできたッキャリア一切不明!!アラブのピットファイター荒神(アラガミ)!」

「そして前大会チャンピオンッッ俺達は君を待っていたッッッ建御雷神(タケミカヅチノカミ)ーー!!!」


男「あれっ今アラブって言わなかった?」

ティンコーベル「あら、どの選手だったかしら?」

神「1回戦は30分後に開始です!」

男「荒神ってやつだ。あいつの時にアラブのファイターって言ってたな」

ティンコーベル「ちょっと待って。荒神ってもしかしてアラジンのことじゃない?」

男「おお!それだ!アラジンはこの世界で荒神になっちまったんだよ!」

ティンコーベル「会いに行きましょう!選手控え室にいるはずよ!」

-控え室-

天手力「うおおおお!!今年こそは優勝じゃーーー!」

須佐之男「ふっ優勝するのはこの私ですよ」

月読命「姉萌姉萌姉萌姉萌姉萌姉萌姉萌・・・」

荒神「はぁ・・・大会なんてだるいなぁ・・・」

ガチャッ

男「いたいた。おい、アラジン!」

荒神「ん?僕のこと?僕は荒神だよ。たまに間違えて音読みしてアラジンって言う人もいるけどね」

男「んなことはどうでもいいんだよ!いいか、この世界は本当の世界じゃないんだよ!お前は本当はアラブの凡人なんだ!」

ティンコーベル「馬鹿ねえ。それを今この場で言っても分かるわけないでしょう」

荒神「ねえ聞いてくれない?本当は僕大会なんて出たくないんだよね~・・・痛いし疲れるし汗かくし。家でクーラー効いた部屋でゲームしてたいんだ」

男「なんだこのだるそうなやつは。アラジンってこんなんだっけ?」

ティンコーベル「ねえ、荒神。ここ最近変わった女の子を見たりしなかった?」

荒神「さぁ?僕は女の子に興味ないし~。まぁでも天照様はキレイだよね」

ティンコーベル「う~んやっぱり天照が元凶なのかな・・・」

男「おう!間違いないぜ!天照だろ!さっさと犯しちまおうぜ!」

ティンコーベル「あんたはただヤりたいだけでしょ!」

荒神「天照様に手を出そうとしてるならやめた方がいいよ。天照様には伊弉諾(イザナギ)様っていう恐ろしいお父上がいるんだよ」

男「もし手を出したら?」

荒神「あっという間に消し炭にされるだろうね」

男「怖ぇー・・・」

ティンコーベル「そうだ!アンタ優勝しなさいよ!そしたら天照を自由にできるでしょ?」

男「あ、なーるほど!どうせ荒神は女に興味が無いんだし!」

荒神「あの~それって僕に何のメリットが?」

男「もし優勝してくれたら新作のゲーム買ってやるぜ」

荒神「やる」

ティンコーベル「単純ねぇ」

荒神「でも優勝するのは多分無理だよ」

男「何ビビってんだよ!」

荒神「ほら、モニターを見てごらん。ちょうど1回戦が始まるところだよ」

神「1回戦!建速須佐之男命 VS 稲荷大明神!始めッ!」

神「おーっと!開始早々稲荷大明神が狐火をバラ撒き始めたーーッ 予選ではこの火に惑わされてからの不意打ちが強烈だったーーッ」

神「なんと!須佐之男は全く動じない!それどころか目を瞑って心眼で対応しているーーッレベルが高い!」

神「これに業を煮やした稲荷大明神が突っ込むが―― あーーッ須佐之男がそれを一刀両断!!まさに一瞬で稲荷大明神を下しましたーーッ」

ワアアアアアアアアアアア

男「何だこれ・・・。これが神々の戦いか・・・?全く見えなかったぞ・・・」

荒神「ね?こんな怪物だらけの大会で優勝なんて無理だよ」

男「でもお前だって予選通過したんだろ?実力ならあるんじゃないのか!?」

荒神「それがさ・・・。僕の対戦相手がみんな腹痛で棄権しちゃったんだよね・・・」

男「・・・」

ティンコーベル「これはもう終わったかもね」

荒神「だから僕ももう諦めてお茶でも飲んでさっさと負けて帰ろうかと思ってたとこなんだよねぇ」

男「緊張感の無いやつだなぁ」

荒神「あれ、この茶釜汚れてるなぁ」ゴシゴシ

ボワワワワワワワワワワワワワン

男「おわっ 何だ!?」

魔神「我は茶釜の魔神。我を茶釜から出してくれたのはそなたか?では今からそなたが我のご主人だ」

男「マジで?じゃあヤらせて」

魔神「お前ではない」

魔神「我を茶釜から出してくれた礼に3つの願いを叶えてやろう」

荒神「え~3つも願いを叶えるの面倒くさいな~」

男「何言ってんだよ!こいつに頼めば優勝できるじゃんか!」

ティンコーベル「そうね。1回戦・準決勝・決勝でちょうど3回だわ!」

荒神「でもそんなずるして勝っても嬉しくないなぁ」

男「お前なぁ~・・・」

荒神「ていうか『優勝させてくれ』って言えば1回でいいじゃないか。残り2つは君にあげるよ」

男「え!いいのか?」

荒神「いいよ。どうせ僕使わないし」

魔神「ご主人が仰るのならば我は従うのみだ」

男「じゃあ、魔神。1つ目の願いだ。ヤらせろ」

魔神「・・・」

男「ふぅ・・・魔神ってのはアソコの締まりがいいんだな」

魔神「うるさい!言うな!」

荒神「そろそろ時間だね」

男「1回戦の相手って誰だ?」

ティンコーベル「月読命ってやつよ」

男「強いのか?」

ティンコーベル「この天神一武道会公式パンフレットによると姉に萌える気持ちだけは最強らしいわ」

男「楽勝じゃないか・・・?」

荒神「まぁ油断は禁物ってねぇ~。行ってくるよ~」

神「続いての対戦は月読命 VS 荒神!始めッ」

月読命「姉萌姉萌姉萌姉萌姉萌姉萌・・・」

神「おーっと月読命が何やら念仏のように唱えだしたーッ!何か術でも繰り出す予兆なのかーッ!?」

月読命「姉萌姉萌姉萌姉萌姉萌姉萌・・・」

月読命「姉萌姉萌姉萌姉萌姉萌姉萌姉萌姉萌姉萌姉萌姉萌姉萌・・・ウッ!」

神「何ということだ!!月読命まさかの過呼吸の発作が出てしまったーーッ無理をし過ぎたかーーッ」

荒神「はぁ・・・勝っちゃった」

月読命「ま、待て・・・。天照姉の好きなお菓子は・・・松葉屋の桜もち・・・だ」ガクッ

神「おーっと月読命が何やら意味深なセリフを残して倒れたーーッこれは後々の伏線になるのかーーッ」

男「なるわけねえだろ」

ティンコーベル「とにかく1回戦突破おめでとう!」

荒神「僕は勝ちたくないのに・・・」

魔神「ご主人。それが望みならば叶えてさしあげるが」

男「お前は余計なこと言うな!おらっ!こっちに来い!」

魔神「くっ・・・!うあああぁぁぁあぁぁぁあぁ!!」

荒神「はぁ・・・」

ティンコーベル「ねえ、荒神。優勝したくないのに何で大会に出場したの?」

荒神「父上が無理矢理エントリーしたんだ。家でごろごろしてゲームばっかりやってないで少しは男らしいことやれってさ」

男「はっは!言えてるな!」パンパンパンパン

荒神「僕は仕事もしないで家にばっかりいるから家族みんなの厄介者なんだよ。近所の人からも白い目で見られるし」

ティンコーベル「そんなんで悔しくないの?優勝すればきっと尊敬されるよ!」

荒神「そうかなぁ?今まで何やったって中途半端だった僕だし。優勝なんてできるわけがないよ」

ティンコーベル「魔神の力を使いましょうよ!決してずるなんかじゃないわ!これは荒神にだけ与えられたチャンスなの!使わなきゃ損よ!」

魔神「そ、そうっ・・・だ・・・!我の力を・・・・んおぉっ・・・もっとぉ・・・頼って欲し・・・いぃんっ・・・!」

男「お前は下半身にだけ集中するんだよぉっ!」

神「準決勝!荒神 VS 八岐大蛇!!始めッッ」

男「おいいいい!何だよこの規格外のデカさはよぉーー!!反則だろぉーーッ!」

ティンコーベル「格闘技は身長差が全てじゃないと言うけどこれはどう見ても無理なレベルね・・・」

八岐大蛇「オ オ オ オ オ オ オ オ オ ン」ずずぅーーーーーーん

神「勝負ありッッ 荒神の勝ちーーーッッ」

男「は?」

神「八岐大蛇!まさかの第一歩でリングアウトしてしまいましたーーッこれは悔しいッ」

フザケンナアアアアアーーーー カネカエセエエエエエーーーーーー

神「会場中ブーイングの嵐ですがルールはルール!八岐大蛇失格です!!」

男「こいつ1回戦どうやって勝ったんだよ・・・」

ティンコーベル「次はいよいよ決勝ね!」

荒神「うん、緊張してきた」

男「お前って本当ラッキーな男だよな。魔神の力使わずに決勝まで来るんだもんよ。でも決勝では流石に使うだろ?」

ティンコーベル「そりゃそうよ。何たって決勝の相手は前回のチャンピオン建御雷神だもんね」

男「やっぱ相当強いのか?」

荒神「建御雷神は雷を操る神だ。それに神速で誰も動きを捉えることができないんだ」

男「そんなに凄え神様なのか。こりゃまともにやったら勝ちっこないよな」

荒神「魔神、ちょっと付いてきてくれるかい?」

魔神「あぁ」

男「しかしこれで優勝は確実だな!待ってろよ天照ちゃん!!」

ティンコーベル「あんたって本当どうしようもないわね・・・」

神「ついにこの時がやってきました!いよいよ日本一強い神が決まります!! 決勝戦!!建御雷神 VS 荒神 始めえぃッッッ」

神「建御雷神いきなり疾風迅雷の動きを出したーーッ 一気に決めるつもりだーーッ」

荒神「速いっ・・・!」

ドガアアアーーーン

神「やるーッ建御雷神の渾身の一撃を躱したーーッ」

ドガアアーーン ドガアアーーン ドガアアーーン

神「立て続けの雷神の連続攻撃に耐えられるかーーッ」

荒神「くっ・・・!このままではっ・・・!」

男「おいおい!やられそうじゃねえか!!魔神!ちゃんとあいつの願いを叶えてやったんだろうな!?」

魔神「我は確かに願いを叶えた。だが、ご主人の願いは試合に勝つことでは無かったのだ・・・」

男「な、何だって!?」

神「荒神ここまでかーーーッ」

建御雷神「ぬうん!!」

ズッパアアーーーーーーーーン

神「建御雷神の右腕が荒神を貫いたーーーッッ」

男「あ、荒神・・・」

建御雷神「終わったか・・・むっ!?」

天照「はっ!あ、あれはっ!?」

グチャ・・・

神「あれは何だーーッ!?建御雷神の足元に何かあるようだがーーーッ!?」

荒神「せ、せっかくの・・・桜もち・・・が・・・」

建御雷神「何だと!?」

神「な、何とーー!?あれの正体は桜もちだったーーッ!?って何故そんなものがーーッ」

天照「お待ちなさい」

神「あ、天照様!?」

天照「荒神よ。それは桜もちか?」

荒神「はい・・・松葉屋の・・・桜もちでございます・・・」

天照「そうか・・・」

天照「この勝負!建御雷神の負けである!!」

神「えええええええ!?何故なんだーーーッ!?」

どよどよどよ

天照「私は強い神が好き。でもそれ以上に・・・食べ物を粗末にする神は嫌いだッ!!」ドン

男「荒神、お前すげえよ!優勝しちまうんだもんな!」

荒神「はは・・・。こんなボロボロで自慢できないけどね」

ティンコーベル「でも魔神に願ったことがまさか天照にプレゼントするための松葉屋の桜もちだったとはね」

魔神「全くご主人は相当の馬鹿かお人好しであるぞ。我も肝が冷えたというものだ」

荒神「でも僕、魔神の力に頼ったらなんか全てに負けちゃう気がしたんだ。それだけはなんか認めたくなくって」

男「あのな、言っとくけど優勝できたのは結局魔神の力のおかげだぞ。つっても結果論だけどな」

ティンコーベル「荒神はもっと自分に自信持っていいと思うよ!」

荒神「うん。僕この戦いでなんか成長できたような気がするよ」

魔神「うむ。これで我も安心して眠りにつけるというものだ」

男「待てよ。願いはあと1つ残ってるだろ」

魔神「・・・・・・・・・・・・・・」

男「ヤらせろ」

天照「荒神よ。優勝おめでとうございます。私は強い神ばかりを求めていましたが、どうやらあなたのような心優しき神に惹かれてしまったようです」

荒神「そ、そんな」

天照「優勝賞品である私を受け止めてくださいまし」

男「ちょっと待ったぁ!」

ティンコーベル「あんたがこの世界を変えた元凶であることはわかってるのよ!」

天照「ふっ確かに。でも私にはもうこの世界を維持する理由はありません。荒神のような方に出会えたことで充分満足です」

ティンコーベル「じゃあ、おとなしく罰を受けるのね?」

天照「ええ、甘んじて。荒神に抱いていただけるのでしたら本望です。さぁ荒神よ・・・私を抱いて・・・」

男「残念だったな。お前を抱くのは荒神ではなくこの俺だ」

天照「は?」

男「荒神、優勝ご苦労さん。ほら、新作ゲームだぞ!」ポイ

荒神「わーい!」

男「さぁ、女神様の御身体をとくと味わわせてもらおうかぁっ!!」

天照「きゃあああああああああああああああああああ」

ティンコーベル「世界が元のアラビアンナイトの世界に戻っていくわ」

男「うへー暑いのは勘弁!」


アラジン「魔神よ。3つ目の願いだ。お前に自由を!」

魔神「おお・・・」


ティンコーベル「アラジンの運の良さは人柄の賜物かしらね」

男「さぁな。あばよ!ラッキーボーイ!!」

男「あ~疲れた!神々の戦いってのは恐ろしいねぇ」

ティンコーベル「そうね。次の世界もそんな世界かもよ」

男「また神が出てくるのか?」

ティンコーベル「それはないと思うけど。でもこの本古すぎてタイトルが読みにくいのよねぇ。あんたって怖いのは平気?」

男「なに。今度の世界はホラーか?」

ティンコーベル「うーん。そうかも」

男「ばばば馬鹿言うなよ。俺がそそそんなもんここ怖いわけねえだろう!」

ティンコーベル「あーー!!後ろ!!!」

男「うおおおおっ!!!」

ティンコーベル「には何もないわよ」

男「てめえええええ!!!」

ティンコーベル「さぁさ、次に行くわよ!ティンコロ コロコロ カワッカムリノ ホーケー!」

男「おい、まだ本のタイトルを!」

ムラムラムラムラムラムラムラムラムラムラ ヒューーン

男「こ、ここは・・・・・・森?これ、ホラーか?」

ティンコーベル「しっ!誰か来るわよ!」

「父さんたちはちょっと仕事に行ってくるからな。お前たちはここで待ってるんだぞ」

「お腹がすいたらこのパンを食べなさい」

ザッザッザッ

男「おいおい、こんな暗い森に子供2人置いていくやつがあるかよ」

ティンコーベル「あの2人きっと戻って来ないわね」

男「え?何でわかるんだ?」

ティンコーベル「こんな右も左もわからない森の中で1つの目印も持たせてないのよ。それに見て。あのパン毒入りよ」

男「何だって!?」

妹「お兄ちゃんお腹すいたよ」

兄「ああ、このパンを食べさせてあげるからね」

妹「おいしそう早く食べたい」

男「待てーい!!そのパンを食べてはならぬ!!」

兄「どうして」 妹「どうして」

男「ちょっと貸してみ。これをカラスにやるから。ほら、見てみな」

カラス「グエエエエエエエエエエエ」バタリ

兄「死んだ」 妹「死んだ」

男「なっ?これを食ってたらお前たちも死んでたんだぞ?」

妹「でもお腹すいたから食べたい」

兄「ほら」

男「おいいいいいいいい!!人の話聞いてたのかよ!!これ食べたら死ぬっつったろうがああ!!」

ティンコーベル「この子達何か変ね」

兄「お腹すいた」 妹「お腹すいた」

男「しゃあねえなぁ!この酢こんぶをやるよ!これを食え!」

兄「うえー」 妹「すっぺー」

男「うーん、子供にはまだ早いか」

ティンコーベル「でも完食したわよ」

兄「もっと」 妹「もっと」

男「うーん。もう無いなあ。というかこいつらを家まで連れて帰ってやろうぜ」

ティンコーベル「そうね。もうすぐ日が暮れちゃうし」

兄「もっとくれー」 妹「すっぺーのもっとくれー」

父「これで良かったんだよ・・・これで」

コンコン

母「はい・・・どなた・・・ひっ!」

兄「ただいまー」 妹「ただいまー」

父「お、お前たち!どうして・・・!」

男「あ、どもっす。何か迷子になってたんで連れてきました」

父「そ、それはどうもご親切に」

男「それとこのパン腐ってたみたいだから捨てときますね」

母「!? あ、あぁ・・・それはどうも」

男「じゃ!」バタン

父「・・・明日もう一度捨ててこよう」

母「ええ」

ティンコーベル「いいの?あいつら明日になったらきっとまた捨てるわよ」

男「もし、そんなことしたら元凶とか関係なく懲らしめてやる。特にあのむっちりで熟女の魅力香る母親の方をな」

ティンコーベル「うーん動機はともかくあの母親は確かに怪しそうね」

男「ところでこの話のタイトルなんだが」

ティンコーベル「もうわかってるでしょう?」

男「ヘンゼルとグレーテルだよな。でもどこがホラーなんだよ。お菓子の家が出る話だろ?メルヘンじゃねえか」

ティンコーベル「わかってないわね。さっきのアレは間引きっていうのよ」

男「何だそりゃ?」

ティンコーベル「生活が苦しくて子供を育てられない親が子供を捨てることよ。それってホラーだと思わない?」

男「げ、ヘンゼルとグレーテルってそんな重い話だったっけ・・・」

父「さ、今日も父さんたちは仕事に行ってくるからな・・・ここで待ってるんだぞぉ」

母「これ、お腹がすいたら食べなさい」

・ ・ ・

兄「帰ってこないな」 妹「帰ってこないね」

兄「パン食べていいぞ」妹「いただきます」モシャモシャゴクン


父「パンには毒を入れなかったのか?」

母「だって、毒で殺すなんてとても不憫で・・・」

男「おいおい、そりゃ偽善もいいとこだぜおい」

父・母「!?」

男「子供を捨てといて不憫だからだぁ?寝言は寝て言えやぁ!!」

ティンコーベル「はいはーい。お父さんはおねんねしましょうねー」プシュー

母「きゃあああああああああああああああああああ」

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom