バルクホルン「我が国こそ優秀!」 ミーナ「巻き込まないで…」 (67)

 
501JFWロマーニャ基地


ミーティングルーム


シャーリー「――でさ? そうなると、結局両脚を開いて曲がるしかないんだよなぁ」

バルクホルン「…確かにな。 私はそうならないよう初めから大きく線をとるが」

シャーリー「でも組んでる時は結構そういうことないか?」

バルクホルン「まぁな。 だが編隊飛行中に最高速を維持する事もないだろ」

シャーリー「そうなんだけど、……結構隙もできるしあたしは嫌なんだよ」

バルクホルン「場合によるだろ。 私は緩急をつけるのに応用できると思うが」

シャーリー「……おお! なるほど」

バルクホルン「お前の様に、速くてもただ直線的で一定速な動きはかえって捉えやすい」

シャーリー「さらにスピードを上げれば出し抜けるぞ?」

バルクホルン「減速して緩急をつければそれで済む話だろうが。 …自分のスタイルに拘るのもいいが、効率も重視したらどうだ?」

シャーリー「だから速度を上げて緩急をつけるんだよ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1393761327

バルクホルン「……なるほど。 …ん? いや、まて。 おかしくないか…?」

シャーリー「なんで?」

バルクホルン「それは理屈というか、机上の空論だ。 本気で――…言ってそうだな、お前は」

シャーリー「フフ~ン! …なぁ、この世で最も出すのが難しい記録は何だか知ってるか?」

バルクホルン「さぁな」

シャーリー「“限界”だ! 誰も証明できない」

バルクホルン「……お前は楽しそうでいいな」

シャーリー「辞めるのは簡単だけど、本当の意味で諦めるのって難しいんだよ」

バルクホルン「………そうだな。 …私もそうだったっけな…」

シャーリー「だからあたしは加速して緩急つけるっ!」

バルクホルン「……できるといいな」

シャーリー「んだよ、その言い方ぁ~」ジトー

バルクホルン「フフッ…」




芳佳「――あ!」ピタッ

リーネ「? どうしたの、芳佳ちゃん?」

 
芳佳「あそこ。 シャーリーさんとバルクホルンさん…」

リーネ「? うん…?」

芳佳「よかったぁ。 仲直りしたんだね!」

リーネ「…そういえばこの前までまた喧嘩してたもんね」

芳佳「あんなに仲良くできるのに、なんでいつも喧嘩になっちゃうんだろう…?」ジー

リーネ「……そ――」


エーリカ「あんなに仲が良いからだよ!」


リーネ「!」ビクッ

芳佳「えー? そんなの変だよ、仲良しなのに喧嘩するなんて。 …リーネちゃんは私と喧嘩しないでしょ?」

リーネ「あの…芳佳ちゃん? 今の、私じゃないよ…?」

芳佳「え? …あ、わぁ! ハルトマンさん!? いつのまにっ!」

 
エーリカ「ヤッホー♪ 注意力が足りてないぞぉ~宮藤」

芳佳「す、すみません!」ペコ

エーリカ「……て少佐に言われちゃうよ?」

芳佳「すみません」

エーリカ「あはは、…宮藤おもしろいなー」

芳佳「……??」

リーネ「ハルトマン中尉、芳佳ちゃんをからかわないでくださいっ!」

エーリカ「まぁまぁ。 ……それよりあそこのふたり、もうすぐ喧嘩するよ?」

芳佳「えぇ!? ダメですよそんな! …止めましょうハルトマンさん!」

エーリカ「大丈夫だって。 ここからちょっと見てようよ」

芳佳「そんなぁ…」

リーネ「……本当にまた喧嘩が始まっちゃうんですか?」

エーリカ「多分ね~」

 
芳佳「…でも、いい雰囲気ですけど……」

エーリカ「だからだよ。 まぁ見てなって」ジー

芳佳「……」ジー

リーネ「……(廊下で何してるんだろう私達…)」




バルクホルン「それじゃあシャーリーは小さい時から機械弄りをしていたのか?」

シャーリー「まぁね! リベリオンの仕上げって結構雑でさ、玩具とかラジオとかよく壊れたりしてたんだよ」

バルクホルン「“壊した”んじゃないのか?」フフッ

シャーリー「ち、ちげぇよ!// 超大事にしてたんだっ、あたしのファビィちゃんは!」ズイィ

バルクホルン「…いや、知らないが」


芳佳「……なぁんだ。 全然心配なさそうじゃないですか(ファビィちゃん?)」

エーリカ「いや、きっとそろそろ…」

リーネ「あのぉ…これって盗み聞きなんじゃ……?」





シャーリー「それでよく自分で直してたよ。 親はあんまり機械とか得意じゃなかったしね」

バルクホルン「ほぉー」

シャーリー「ラジオなんかも普通に問題なく使えるんだよ? 誤解ないよう言っとくけどさ」

シャーリー「でもバラしてみると配線が無駄に長くてノイズ吸ってたりするし、アースが半端でちゃんと落ちてなかったりするし――」ペラペラ

バルクホルン「………確かにリベリオン製の銃はよくジャムる気がするな」

シャーリー「銃ならショットガンとか…あとマグナムは人気だぞ? 詰まらないし。 家庭に一丁はある」

バルクホルン「お前の言うマグナムはリボルバー式だろ? 実戦向きではないな。 …というかあんな物を素人が撃ったら肩が外れるぞ?」

シャーリー「まぁ、ノリだろ」

バルクホルン「意味がわからん…」

 
シャーリー「とにかくそんなんで、バラせるもんは大体バラしてたな」フフン

バルクホルン「銃もか?」

シャーリー「…ミリタリーに興味はなかったなぁ。 でもバイクとかは必ず自分で組み直してた」

シャーリー「ストライカーも今のP51に落ち着くまでは毎回組み直してから使ってたよ」

バルクホルン「おい、…お前は軍でそんな事をやったのか!? ……やはりリベリオン軍はちょっとおかしい」

シャーリー「な? ちょっとバラしたぐらいで目くじら立てて。 …自分のなんだからいいじゃんなぁ?」

バルクホルン「違うっ! そうじゃない。 ……それと、ストライカーはウィッチの私物ではなく軍の支給物だ」

シャーリー「へいへい」

バルクホルン「……まぁリベリオン製のユニットなら素態使用が不安なのもしょうがないか」

シャーリー「? …べつにカールスラントやブリタニア機でもあたしは組み直すけど?」

バルクホルン「…なんだと?」ピクッ





エーリカ「きた!」

芳佳「えっ? え!?」

リーネ「…ねえ芳佳ちゃん、もうやめない? 訓練に遅れちゃうよ?」

 
バルクホルン「……カールスラントの造りに欠陥があると言うのか…リベリアン?」ジロッ

シャーリー「ちげーよ。 どこ製のであれ、あたしは自分が飛び易くカスタムするってこと」

バルクホルン「必要ない。 我が軍のユニットは実戦において最大効果を発揮する様開発されている。 造りも完璧だ」

シャーリー「うん。 技術力も高いしバランスもいいと思うけどさ、あれじゃ最速は出ないよ。 …たとえば扶桑の軽量部品に一部変えたり、それから燃料と配線材も――」

バルクホルン「やめろ! 互換のないパーツを組むなっ!」

シャーリー「……扶桑の工業品は軽くて頑丈だし、インチネジとか他の規格造ってくれてる所もあるんだよ」

バルクホルン「ひ…非正規の物を使用するだと…! 何を考えてるんだお前は!?」

シャーリー「軍だって武器屋に委託だろ? 皆やってるよ」

バルクホルン「やるかっ!! カールスラント軍のストライカーはあれがベストなんだ!」ガタッ

シャーリー「なに急に熱くなってんだよ? だから使ってねーじゃん。 あたしは最速を目指してるんだから」

バルクホルン「………フンッ、所詮リベリアンには履きこなせないか」

シャーリー「……あ?」

 
バルクホルン「世界標準とはいえ、優秀なカールスラント軍人に最適化されているからな。 田舎者に扱えないのも無理はない」

シャーリー「ッ! ………聞いてなかったのかなぁ? おたくのストライカーじゃノロマで困るって言ったんだけど?」スクッ

バルクホルン「ッ!! ……イノシシ頭には難しいだろうが、不必要な速度重視に意味はないんだよ。 やろうと思えば容易い」ズカズカ

シャーリー「やった結果があの“暴走ジェット”だろ? 顔真っ青にして落っこちちゃって……ククッ」ニヤニヤ

バルクホルン「ッ!!!」

シャーリー「いや~カールスラントの本気には頭が下がるなぁ。 “本機”はいつ配備されるのかなぁ? …クフフッ」

バルクホルン「……きさまぁ!!」グィィ

シャーリー「なんだよ? またやられたいのか?」グィィ

バルクホルン「……何をふざけた事を。 私の圧勝だっただろうが…」グググ

シャーリー「もうボケたのかぁ? 干涸びてリタイアしたくせに…」ググ

バルクホルン「あ・れ・は、試作機だ…! お前の様な機体依存した田舎者でもまともに戦える様開発してやってるんだ」

シャーリー「ならレシプロでもあたしに勝てるってのかよ~? カールスラント軍人様はぁ…?」

バルクホルン「当たり前だろ? やらなきゃわからないか…?」




エーリカ「……ね?」ヘラ

芳佳「“ね?”って…ハルトマンさん! どうするんですかっ!?」ガーン

エーリカ「なにが?」

 
リーネ「……止めなくていいんですか?」

エーリカ「へーきだよ、好きでやってるんだから。 ほっといて大丈夫」

リーネ「そ、そんな…」

エーリカ「ん、お腹減ってきたなぁ。 ……ねえ宮藤! 何か作ってよ?」

芳佳「ああ~! どうしよ~ぅ!?」



 

バルクホルン「ぐぬぬぬ…!」グググ

シャーリー「ふぬぬぅ…!」ググ


――――
――


 
基地本部

執務室


バルクホルン「というわけで、我らカールスラント軍人の総力を持ってあいつの無駄にでかい尻を蹴散らす事になった」デンッ

ミーナ「………何がどういうわけなのか全然わからないわ」

バルクホルン「馬鹿な」

ミーナ「……はぁー。 …そもそも争いの原因は何なの?」

バルクホルン「リベリアンに我らが母国をこけにされたんだっ!」

ミーナ「……」

バルクホルン「……」

ミーナ「……子供の喧嘩じゃないんだから…」

バルクホルン「カールスラントの誇りに泥を投げつけられたんだぞ!?」ダンッ

ミーナ「貴女はシャーリーさんが絡むといっつも……(デスクを叩かないで…)」

バルクホルン「ジェットの件も、奴は勝手な解釈で悦に浸っているし。 一度はっきりと決着をつけてやらなければっ!」グッ

ミーナ「……(あの反省はなんだったのよ)」

 
ミーナ「…バルクホルン大尉、私達の任務を言ってみなさい?」

バルクホルン「ベネツィアハイヴのネウロイよりロマーニャ侵攻の防衛、及び地中海本部の指揮下において戦線の押し上げとハイヴの排除だ」キリッ

ミーナ「その通りね」

バルクホルン「……」

ミーナ「……」

バルクホルン「? …さっきの話だが、今週中に訓練として時間を使い、あの世間知らずに教育的指導をしたい」

ミーナ「……501の影響かしら。 しっかりして頂戴、バルクホルン大尉…」ガックリ

バルクホルン「頼むミーナ! これは隊の為にも必要な事だ!」

ミーナ(めちゃくちゃ言って……動機がブレてるわよ、もぅ…)

ミーナ「………わかった、一日だけね。 それでちゃんと終わらせる事、いい?」

 
バルクホルン「よし! 流石ミーナもカールスラント軍人だっ!」

ミーナ「……もう好きなだけじゃれ合いなさい」ハァー

バルクホルン「そんな甘いものでは済まさん! …ミーナも油断していると万が一に足元を掬われるぞ?」

ミーナ「……」

ミーナ「…………はい?」

バルクホルン「敵は間違いなく少佐を投入してくるだろう。 ミーナには少佐を抑えてもらいたいから、決して気は抜けない」

ミーナ「………お願いだから私まで巻き込まないで…」


――――
――


つづく

 
ハンガー出口 滑走路


美緒「よぉーしっ、残り半分! ペースを落とすなー!!」

美緒「……すまんシャーリー。 もう一度言ってくれ」

シャーリー「あの石頭を叩き割りませんか?」

美緒「要領が得んな。 つまり何だ?」

シャーリー「えーっとつまり、…バルクホルン率いるカールスラント軍団を倒す為に力を貸してください」

美緒「またバルクホルンか。……ふたり仲が良いのは結構だが、節度を持て」

美緒「………リーネッ、下を向くなぁ!! しっかり前を見て腕を振れぇー!」ビシィ

シャーリー「あたしは悪くない! あいつが突っかかってくるんですよ、いつも」ムゥー

美緒「……お前もまだまだ未熟か。 …一緒に走るか?」

シャーリー「本当ですって!」

 
美緒「(やれやれ)……それで? 私に何をやらせたいんだ?」

シャーリー「あたしのチームで戦ってください!」

美緒「ふたりで決着をつければいいだろ?」

シャーリー「なんかカールスラント最強説(笑)を証明するとかなんとかで。 ……あいつ、あたしに負けてもいい様に団体戦にしてきたんですよ」フンッ

美緒「………そうか…(面倒な状態だ。 さっさと終わらせるのが無難か…)」

シャーリー「あたしはあの堅物に必勝するとして、……3対3だからあとひとり勝てる人が欲しいんですよぉ~?」

美緒「わかったわかった。 …腕相撲でもすればいいのか?」

シャーリー「いえ、ストライカー履いてタイマンの模擬戦です」

美緒「!」ピクッ

シャーリー「向こうにはハルトマンと中佐がいるから、こっちも本気の人選しないとヤバいんで…」

シャーリー「……堅物軍人とかハルトマンがよく騒がれてるけど、あたしはうちのナンバーワンは少佐だと思うし」

シャーリー「あのふたりに勝つには少佐の協力が必須なんです」

美緒「……」

 
シャーリー「最近少佐が飛んでる所みてないから、久々に観たいってのもあるんですけどね? あはは」

美緒「っ…!」

シャーリー「“捻りこみ”もそうですけど、あの高機動の旋回フットワークはどうやってるんですか?」

美緒「…シャーリー。 すまんが断る」

シャーリー「………へ?」キョトン

美緒「……宮藤ぃー! 遅れているぞぉ!? 気持ちで負けるなーっ!!」ビシィ

シャーリー「急に何でですか!? 日程も少佐の都合がつく時にあたしが――」

美緒「お前達のくだらん喧嘩で飛ぶ気などない」

シャーリー「ぅ…」タジ


シャーリー「………すみません…」

美緒「……いや、すまない。 言い過ぎたな…。 許してくれ」

シャーリー「…いえ」

 
美緒「その…、ストライカーも調子が悪くてな? 模擬戦は少し難しいんだ」

シャーリー「…扶桑式の最新機が珍しいですね? ……よければあたしが診てみましょうか?」

美緒「やめろっ!!」

シャーリー「ッ…!?」ビクッ

美緒「…あ、いや……今は整備班が努力してくれているから、任せてやって欲しい」

シャーリー「え、ええ…。 勿論構いませんけど……?」

美緒「すまんな…」

シャーリー「………困ったなぁ。 少佐が駄目となると誰にすればいいか…」

美緒「…代わりは宮藤をたてよう」

シャーリー「み、宮藤ですか? …う~ん、有難いんですけどちょっと厳しい気が……」

美緒「扶桑代表として私の代役ならば宮藤しかいない。 あいつにもいい経験になるだろう」

シャーリー「……いや、でも…。 う~~ん…」ポリポリ

 
美緒「心配ない。 ミーナが相手なら僅かだが勝ちの目も有り得る。 私が通信で監督しよう」

シャーリー「……あたしはいいですけど、あの石頭が煩い事言ってくると思いますよ?」

美緒「“坂本が出ないのだから、2対1ではなくハンデだ”とでも煽ってやれば平気だろう」

美緒「……こらーっ! 残り僅かだぞ!? スパートをかけんかぁー!!」ビシィ

シャーリー「………わかりました(大丈夫かぁ? 中佐に勝つって…)」

シャーリー「じゃあ、すみませんが宮藤には少佐から軽く話をお願いします」

美緒「……ああ」


――――
――


 
宿舎 廊下


シャーリー「……やべぇ…」スタスタ

シャーリー「少佐はあー言ったけど、宮藤じゃ中佐やハルトマンに勝つのはまだ無理だろ…。 白星稼ぎに行ったのに黒星が一個確定しちまった」

シャーリー(残りの一枠で501のウルトラエースに必勝しなきゃなんねーな……)

シャーリー「…あ゛~、やっぱ少佐しかいねぇーよっ!!」クシャクシャ

『――シャーリー!』


ムギュッ


シャーリー「ぬぉ! …ルッキーニか」

ルッキーニ「ん~♪ あったか~ぃ!」スリスリ

シャーリー「……お前寝起きだな? ったく仕方ないなぁ」ギュ

ルッキーニ「ん~♪」

 
シャーリー「……ルッキーニかぁ…。 ……いや、流石に難しいかな」

ルッキーニ「にゃ? …なぁ~に?」

シャーリー「んー? ……ん~、ちょっとバルクホルンのやつを泣かすんで、そのメンツ集めだよ」

ルッキーニ「にゃー! イタズラだぁ! あたしもやりたーいっ!」ウジュー

シャーリー「わりぃ、ちょっと違くて……航空戦でハルトマンに勝たないとダメなんだ」

ルッキーニ「うじゅ? …じゃーあたしがやるー!」

シャーリー「いや待てって、タイマンだぞ? 流石に無理だろ」

ルッキーニ「え~~? ……んん~っ!」グリグリ

シャーリー「ごめんな。 ちょっとこれは遊びじゃないからさ?」ナデリ

シャーリー(…でもどうするかな? 残るメンバーで可能性があるとすれば……)

ルッキーニ「うじゅ~~!」グリグリグーリ

シャーリー「あーよしよし。 ほれ移動するぞ?」

 
エイラーニャ部屋


エイラ「…えー? 私がぁ?」ジトー

シャーリー「頼むっ! もうお前しかいないんだよ、ハルトマンに勝てそうなのは」

エイラ「え~…(めんどくせ…)」

サーニャ「……」チョコン

エイラ「そもそも中佐達もホントにやんのか? ふたりで決着つければイイじゃないか。 …なぁサーニャ?」

サーニャ「ぇ……?」

シャーリー「……ふ~ん? じゃあサーニャを入れようかな?」

サーニャ「ぇ……??」

エイラ「なっ!?」

シャーリー「だってそうだろ? エイラがやらないんじゃ、もうサーニャしか可能性あるやついないんだからさ」

ルッキーニ「……あたしがいるもん…」イジイジ

シャーリー「ちょっと黙ってろ」ヒソ

 
サーニャ「……ぁの、…じゃぁペリーヌさんは――」

エイラ「サーニャにそんな危ない事させてたまるかっ!」

サーニャ「――ぇ? …エイラ、模擬戦だか――」

シャーリー「あたしも心苦しいけどさ、仕方ないじゃん? エイラがやらないって言うならさ?」

エイラ「グヌヌ…」

サーニャ「ぁ……あの…、ですからペリ――」

ルッキーニ「エイラじゃだめぇー! きっと勝てないよぉ! あたしが―― むぐっ?」

シャーリー「さあー!!! どーするエイラぁ!?」ギュウ

ルッキーニ「むぐぐ~っ!」バタバタ



サーニャ「……」

サーニャ「………ぁ!」ピコン

 
エイラ「……し、しかたないな…」

シャーリー「ぃよし!」

サーニャ「……あの、シャーリーさん?」

シャーリー「ん?」

サーニャ「エイラのストライカー……Bf109ですけど…」

シャーリー「え…? ……あっ!」ガーン

エイラ「…どういう事だ、サーニャ?」

サーニャ「……えっと…よくは分かりませんけど、お話の流れから考えて……シャーリーさん達がカールスラント製の機体を使うのはダメなような…」

ルッキーニ「やたー♪」

シャーリー「………スオムスぅ~!」

エイラ「し、仕方ないだろっ! 私のせいじゃないぞ!?」

サーニャ「…あの、シャーリーさん。 でしたら私が……」ハイ

エイラ「サーニャッ!?」ガビーン

ルッキーニ「えぇー!!?」ガガーン

 
シャーリー「……ありがとな。 でも無理しなくていいよ。 サーニャは夜間任務もあるし」

シャーリー「さっきのはちょっとした駆け引きだからさ? 本気じゃないよ」

サーニャ「……はぃ…」

エイラ「(はぁ、よかった)…そもそも、あの3人に勝ち越すなんて少佐がいてもムリだろ?」ムリダロ

シャーリー「お前とあたしと……少佐もいれば3タテだって出来たよ!」

シャーリー「…と言ったってもう意味ねーか。 ……ん゛~、どうしよ…」

サーニャ「………なら、ペ――」

ルッキーニ「シャーリー? あたしっ! あたしぃー!」グイグイ

シャーリー「ん~…」

エイラ「もういいじゃん。 ルッキーニで」

シャーリー「……ルッキーニ、お前わかってるのか? ハルトマンだぞ?」

ルッキーニ「? うん」

 
シャーリー「前にアフリカでマルセイユとやったよな? あれぐらい強いぞ?」

ルッキーニ「にゃ……」ビク

エイラ(お? 怯んだぞ)

ルッキーニ「…が、がんばるっ!」ギュッ

シャーリー「……」

エイラ「ほら、決まりじゃん。 決まり! もう用済んだだろ?」

サーニャ「エイラ…」

シャーリー「ん~、……ちょっと考えるわ。 ユニット代えればエイラ使えるし」スク

エイラ「えぇ~?? イヤなんだけど?」

シャーリー「邪魔したね。 ……ルッキーニ、行くぞ?」

ルッキーニ「……あたし、もうちょっとここにいる…」

エイラ「オイ!」

シャーリー「? …あんまり迷惑かけんなよ?」

ルッキーニ「……ぅん…」

 
シャーリー「…じゃあエイラ、一応そのつもりでいてくれな?」

エイラ「はぁ……しょーがねぇなー。 今回だけだぞ?」

シャーリー「わりぃ! 今度うまいケーキ奢るよ」

エイラ「サーニャにもな?」

シャーリー「あはは、オッケーオッケー!」スタスタ


ガチャ …パタン


ルッキーニ「……ぐしゅ…っ」ウルウル

サーニャ「! …ルッキーニちゃん!?」

エイラ「……あ~あ、仕方ねーなぁ」

ルッキーニ「うぅ…っ…」グスッ

サーニャ「元気だして…?」サスサス

ルッキーニ「…ぐじゅ……サーニャ…」ギュ

エイラ「あぁ! オイッ!! 何やってんだよ!?」グイィ

サーニャ「エイラ、意地悪しちゃダメよ…」

エイラ「えぇ!? そんなぁ!」

(・×・)<つづく

 
――――
――



執務室


ミーナ「……」カキカキ

バルクホルン「ミーナ、お願いだ」

ミーナ「……」カキカキ

バルクホルン「ミーナ!」

ミーナ「………いい加減にしてトゥルーデ、今忙しいの。 …貴女だってそうでしょ? 昨日の作戦記録と議事録はまだなの?」コト

バルクホルン「それは今すぐ持ってくる。 だからミーナも協力してくれ! 偶には身体を動かした方がいいぞ!?」

ミーナ「“だから”の理屈もおかしいし、大きなお世話よ。 ……ちょっと落ち着きなさい」


『ミーナー、いるー?』

コンコンッ

 

 
バルクホルン「! …ハルトマン!」

ミーナ「……いるわ。 入って?」


ガチャ


エーリカ「…やっぱりトゥルーデもいたか」パタン

ミーナ「どうかしたの?」

エーリカ「うん、ちょっとね。 様子をみに」

ミーナ「?」

バルクホルン「……丁度いい。 お前も聞け」

エーリカ「えー? なになにー?(なんちゃって)」

バルクホルン「リベリアンにカールスラントの誇りを――」
 

 
~カクカクシカジカ~


バルクホルン「――というわけで、お前にも協力してもらう」

エーリカ「……(あちゃー。 結構めんどくさい事になってるなー)」

ミーナ「貴女とシャーリーさん、ふたりで決着をつければいいじゃない。 飛行訓練は許可するから」

バルクホルン「我々カールスラント軍人の技術と優秀さを知らしめなければならない! 私が圧倒しただけでは、あいつには理解できないようだからな!」

ミーナ「……はぁ。 …だから――」

ミーナ「――!」クドクド



エーリカ(…うーん、どっちの味方に着こうかなぁ?)

エーリカ「……!」ピクッ

バルクホルン「……」チラチラ

エーリカ(チョコ!)

バルクホルン「………あと2枚あるぞ?」ボソ

エーリカ「…ニシシ、のった!」

 
ミーナ「――という訳だから、他の人を巻き込まないで。 いいかしら?」

エーリカ「……でもミーナ? もう遅いかも」

ミーナ「え?」

エーリカ「向こうはもう人数揃えてるっぽいし、やる雰囲気だったよ? …少佐もその気みたい」

ミーナ「そんな、少佐まで!?」

バルクホルン「……おい、本当なのか?(いいぞエーリカ!)」

エーリカ「うん、多分。 さっきシャーリーと少佐が話してるの見たし」

ミーナ(美緒……大丈夫なの…?)

バルクホルン「最近は出撃を控えている様な気がしていたが、やはり少佐も出てくるか。 …あの“リベ兎”はともかく、少佐は油断できないな」

エーリカ「……相変わらず仲いいね(リベウサギってなにさ…?)」


ミーナ「……美緒…」

ミーナ「……(もういっそ、私が確認するべきね)」

 
ミーナ「………わかったわ」

バルクホルン「!」

エーリカ(…お!)

ミーナ「明後日の団体飛行訓練の一部を変更して、模擬戦を行います」

バルクホルン「ミーナ!」

エーリカ「チョコ!」

ミーナ「ただし、坂本少佐の相手は私が務めます。いいわね?」

ミーナ「……それと2度目はないわよ、バルクホルン大尉?」

バルクホルン「了解!」

エーリカ「決まりだねっ? …じゃあ貰ってくよー!」ヒョイ

バルクホルン「おまっ…! 後にしろっ!」

ミーナ「! ……あら…?」

 
エーリカ「残りの2枚も後でちょうだいね~?」ピューン


ガチャ

ステテテー…


ミーナ「……バルクホルン大尉?」ニコッ

バルクホルン「……違う。 ま、前からの約束で……まぁ、その」

ミーナ「あらあら…、何かしら?」ウフフ

バルクホルン「……こ、これ以上邪魔するのは悪いな! すまなかったミーナ! 失礼するっ!」


サササー

…パタン


ミーナ「……しょうがないわね、本当に」


――――
――


 
基地ハンガー


シャーリー「……よっしゃ、できた! 」バタンッ

シャーリー「これで一応エンジン出力は上がるはず~……ちょっと回してみっか」

『おい、シャーリー!』

シャーリー「ん? おー、エイラ」


タッタッタッ


エイラ「…っぜぇ…はぁ……。 まったく、呑気にストライカー弄ってる場合じゃないぞ?」

シャーリー「どうした?」

エイラ「なんとかしてくれよ? ……ルッキーニが“仲間外れにされた”って私らの部屋でずっと泣いてんだよ」

シャーリー「はぁ?」

 

エイラーニャ部屋


シャーリー「邪魔するよぉ?」ガチャ

サーニャ「ぁ……シャーリーさん」

ルッキーニ「…うぇぇ…ぇ……っ…」グスッ

シャーリー「あらら…」

エイラ「……早くサーニャを返してくれ」

ルッキーニ「っえぅ……ぅぐ…」

シャーリー「……ルッキーニ?」スッ

ルッキーニ「っ! …やっ……」ギュ

エイラ「あぁあぁぁ!! バカッ! そんなにサーニャに抱きつくなぁ!!」

シャーリー「…ごめんな。 あたし、自分の事しか考えてなかった。 ホントごめん」

ルッキーニ「ぅぅ…」

 
シャーリー「ルッキーニを仲間外れにするつもりは無いよ。 ほら、おいで?」

ルッキーニ「グスッ……シャーリー…」

サーニャ「ルッキーニちゃん、仲直りしよう…?」サスサス

ルッキーニ「…サーニャ……ぁりがと…」

エイラ「グヌヌヌヌ~!!」

ルッキーニ「……」イソイソ

シャーリー「……ルッキーニ?」スッ

ルッキーニ「…………うっ…」


バフッ


シャーリー「よしよし…。 ごめんな」ナデナデ

ルッキーニ「~~っ」グシグシ

サーニャ「…よかった」

エイラ(……くそぉ~、私もサーニャの胸で泣きたい)


――――
――

(・×・)<つづく

明日はもう少したくさん投稿します

 
そして 決戦?の日


滑走路


ペリーヌ「……えー、 …ではこれより? カールスラントチーム対リベリオン連合チームの団体戦を行います…」

バルクホルン「覚悟はいいか、リベリアン?」

シャーリー「おう。 勝ち名乗りは考えてあるから」

ペリーヌ(……何故わたくしがこんな事をやらされているんですの…)

リーネ「ペリーヌさん、メモです」ペラ

ペリーヌ「ありがとうリーネさん。 …えーっと……各チームの先鋒、副将、大将でそれぞれ1対1の模擬戦を行い、勝利数の多いチームの勝ちとします」

ペリーヌ「…えっと……模擬戦はペイント弾を使用、シールドの使用は禁止。 ストライカーか身体に被弾した時点で負けとなります…」ヨミヨミ

ペリーヌ「……また、戦闘エリアから著しく離れたり、海中へ落ちた場合等も場外となり負けです…わ」

リーネ「両チーム共よろしいですか…?」

バルクホルン「問題ない」

シャーリー「ああ」


ペリーヌ「…えーっと、でしたら先鋒の方からですわね。 どなたですの?」

エイラ「シャーリーとバルクホルン大尉は大将だろ? ……この呼び方なんかややこしいな」

バルクホルン「後出しさせてやろう。カールスラントは逃げも隠れもしない」

シャーリー「……お好きにどうぞ」

バルクホルン「我がチームの先鋒はハルトマンだ」

エーリカ「どもー」


エイラ「…イキナリだな」

サーニャ「でも、向こうは誰から出てもそんな気がする…」

 
シャーリー「……いけるか、ルッキーニ?」

ルッキーニ「…んっ!」グッ

シャーリー「ビビるな? 作戦通りやればいい」

ルッキーニ「うん…!」

エーリカ「ルッキーニか……よぉーっし!」



美緒「……ハルトマンは珍しくやる気だな?」

ミーナ「買収されてるのよ…」

芳佳「ルッキーニちゃん! 頑張れぇー!」フリフリ

エイラ「……意外に宮藤が1番楽しんでそうだな?」


リーネ「それでは、先鋒のふたりは準備してください」


――――
――


 
先鋒戦(エーリカvsルッキーニ)



ルッキーニ「うじゅ……」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~


シャーリー『いいかルッキーニ? 残念だが、飛び合いになったらハルトマン相手に勝つのは厳しい』

ルッキーニ『ぅ……』

シャーリー『後ろをとられたら終わりだ。 G55Sの高馬力を持ってしても、Bf109の最新機を履いたあいつを振り切るのは難しい(というか多分無理)』

ルッキーニ『じゃあ、どうすんの…?』

シャーリー『……手はある』

ルッキーニ『! ほんとぉ!?』

シャーリー『ああ。 さっきも言ったけど、追っかけ合いはするな? ルッキーニの土俵で戦えばいい』

ルッキーニ『え……?』

シャーリー『ちょっと耳かしな? コツがあるんだ……』ゴニョゴニョ


~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ルッキーニ「……シャーリーの作戦で…!」グ

 
エーリカ「ん~…!」ノビー


~~~~~~~~~~~~~~~~~~


バルクホルン『エーリカ! ちょっとこい』

エーリカ『……なに、トゥルーデ? 作戦とか?』テテテ

バルクホルン『燃料だ』スッ

エーリカ『わ! やったー♪』ヒョイ

バルクホルン『…残りの1枚は勝ったらくれてやる。 しっかりやれよ?』

エーリカ『りょうかーい♪』


ミーナ『あー…もぅ……』ガク


~~~~~~~~~~~~~~~~~~


エーリカ「よーっし! いっちょやりますかー」

 
ペリーヌ「おふたりとも、よろしくて? …ヘッドオンで正面から、完全にすれ違った所でスタートですわ」

ペリーヌ「ガンカメラは使用いたしませんので、難しい判定はわたくしとリーネさんで行います」

リーネ「……よろしくお願いします」

ペリーヌ「では準備がよろしければ、始めてください?」


エーリカ「ほーい! いくよ、ルッキーニ」ブゥゥウン


ルッキーニ「……んっ!」ブゥゥウン





バルクホルン「ついに始まるか…」

シャーリー「…そーだな」

バルクホルン「………誰もお前に話してなどいない」ツン

シャーリー「あたしも独り言なんだけど? ……ちなみにこれも独り言」

 
バルクホルン「ぐっ…! ……ならばこれも独り言だが、初戦も我がカールスラントの勝ちは確定だな」

シャーリー「なんか聞こえるなー? 結果は出るまでわかんねーぞぉ?」


エイラ「あんな独り言があるかよ…(寝言で会話より無理があるぞ)」

美緒「何故かふたり一緒に並んでいるしな?」ワッハッハ

ミーナ「……誰のおかげでこんなことになってるのよ、まったく…」ハァ

美緒「結局は痴話喧嘩に付き合わされてしまったが……まあ実際、訓練にはなっているか」

エイラ「いや、ただのノロケだろ? コレ」

サーニャ「…仲良しなんですね……(いいなぁ)」

芳佳「ふたりとも頑張れー!!」ワクワク

 
 

 
エーリカ「……」ブゥウン


ルッキーニ「……っ(もうちょっと!)」ブゥウン


エーリカ「…!」


――ブゥゥウンッ


ペリーヌ(始まりまし……っ! ルッキーニさん!?)

リーネ「! …ハルトマンさん、始まった途端に急降下!?」


ルッキーニ「にゃあ!」ダダダ


エーリカ(……やっぱりねー)ヒュン


ルッキーニ「あぁーん! あたんないっ!?」


エーリカ「バレバレだよぉー?」ブゥゥン





バルクホルン「……仕込んだな?」

シャーリー「んー、さすがだなぁ。 ハルトマンのやつ」

バルクホルン「おい」

シャーリー「……」ムシーン

バルクホルン「…チッ」

 
エイラ「…まだやってるぞ? 大尉達」

ミーナ「放っておきましょう」

芳佳「わぁー!? すごい! ルッキーニちゃん、いきなり攻撃!?」

美緒「今回のような開戦ルールにおける、一種の奇襲戦術だな」

美緒「互いに尻を向け速度も出ている状況から始まるため、普通ならばある程度距離が開いた状態から互いに旋回……そこから各々の戦術行動に入るのが定石だ」

芳佳「そうなんですかー!」

エイラ「“ソウナンデスカー”って、次は宮藤がやるんだぞ?」

ミーナ(……えっ?)

美緒「しかし開始と同時に急停止、または急旋回等することでいきなり相手の背後を取り、そこから初太刀を放つなどの奇襲も希にある」

美緒「決闘などの精神性を尊重した場では好まれる行為ではないが、決まれば最小の消費で最短の成果が期待できる」

芳佳「なるほど…。 でもルッキーニちゃんの奇襲は失敗しちゃいましたね?」

美緒「互いを正面に見ているからな。 実際バレずに行うのは至難の業だ」

美緒「ルッキーニは訓練もせずにかなり上手くやってみせたが、減速が僅かに早かった。 ……流石にハルトマンには通用せん」

サーニャ(ふたりともすごい…)

 
エイラ「………でもルッキーニいい感じじゃないか? 一方的に攻めてるぞ?」

ミーナ「……さっきの攻撃で“下へ押さえつけた”のが効いてるわね」

芳佳「ど、どういうことですか…??」

美緒「……宮藤。 航空戦闘において、一般的にまず占位すべき目標はどこだ?」

芳佳「え!? …えーっと」ワタワタ

美緒「基本だぞ? とうに教えた筈だが…?」

サーニャ「……ぅぇ…」ヒソ

芳佳「! ……上ですっ」

美緒「その通り。 基本的には高高度の確保が戦術位置の理想とされている」

芳佳「ふぅ……。 ありがとう、サーニャちゃん!」ヒソヒソ

サーニャ「うん…」

ミーナ「さっきの奇襲……命中こそしなかったけれど、ハルトマン中尉が下へ回避したことでルッキーニさんは優位の確保に成功したわ」

美緒「結果として今見える様に、上から狙い続けるルッキーニに対して逃げるハルトマンという状況になった訳だ。 ……先ほどの奇襲の真意がここにあったとすれば、ルッキーニの策ではないな?」

ミーナ「おそらくシャーリーさんね」

エイラ「ほえー…」

 
芳佳「……あれ? じゃあハルトマンさんは何で上に逃げなかったんですか??」

美緒「いい着眼点だ、宮藤!」

芳佳「えへへ //」

美緒「……サーニャ、わかるか?」

サーニャ「ぇ…! ……えっと、多分…上に弾が集まっていたからだと思います」

美緒「正解だ」

エイラ(……少佐がめんどくさい感じになってきたな)

ミーナ「あの子は感も鋭いから先を越して下降したけど、きっと攻撃は少し上気味に集まって下に押さえつけられたのね」

美緒「射撃センスの塊であるルッキーニの土俵だな。 上下で上手く狩場の構図になった」

芳佳「すごーい! 何で皆そんなに色々わかるんですかー!?」

エイラ「…お前なー。 コレぐらい知っとけよなー?」


ミーナ「……美緒」

美緒「うむ。 そうは言ってもハルトマンだ。 …止まっている相手に防戦一辺倒は不自然だな」

ミーナ「私達の見えないところで、何か起きてるわね…」


 
ルッキーニ「~っ(全然あたんない~!)」ダダダ


エーリカ(このまま弾切れ待ってもいいけど、……トゥルーデがうるさいだろうなぁ)ブゥゥウン

エーリカ「…でも、アレはちょっとやっかいかな?」


ルッキーニ「……」


(シャーリー『いいか、必ず太陽を背にしろ? だからスタートは逆に太陽を背にされた位置につけ、…さり気なくだぞ?』)


ルッキーニ「せっかくシャーリーが教えてくれたんだから、あてなくちゃ…!」ダダダ


エーリカ「……ルッキーニうまいなぁ。 けん制されて回り込めないや(まっぶしぃー!)」ヒュンヒュン

エーリカ(“高さ”と“方位”、…どっちから取り返そうかな?)

エーリカ「ん~………じゃ、下から抜こっと」ブゥゥン





バルクホルン「あの位置は……太陽か。 ハルトマンめ、気を抜きすぎだ」

シャーリー「フフッ(いいぞ! 落ち着いて詰めろルッキーニ)」ニヤニヤ

 
バルクホルン「………どこかの調子者が勘違いしていそうだが、この程度であいつは撃てないな」

シャーリー「状況も差し引いて5分以上だなー。 ルッキーニの技術ならミスはないし」

バルクホルン「……つまらない入れ知恵だ。 指示者のミスだな、これは」

シャーリー「遠吠えが聞こえるなー?」ドコダー?

バルクホルン「相対位置に依存したシューティングなど、ネタがわかれば避けるのは児戯だ。 1対1で使う戦術ではない」

シャーリー「……」ポリポリ

バルクホルン「まあ、“股下の隙”をついて終わりだろう。 …あっけないな」

シャーリー「…………はあ!? おい、近接戦じゃねぇんだぞ??」バッ

バルクホルン「おや? 独り言だったんだが……盗み聞きか? 趣味が悪いなリベリアン」

シャーリー「ぐぬっ! ……へンッ! この状況からルッキーニの射撃を掻い潜って、ストレーガの高度性能と馬力をチギれるのか?」

バルクホルン「らしくない台詞だ。 マシンスペックだけで結果が出るならお前も苦労はないんじゃないか?」

バルクホルン「世界トップクラス……メッサーシャルフ社最新機のフルポテンシャルをあいつが出せれば、あの状況など簡単に引っくり返る」

シャーリー「(シャルフはBf201みたいな駄作もあるじゃん)……自分だって機体性能に拘ってるじゃねぇか。 ルッキーニだってちゃんと履きこなせてるっつーの!」

バルクホルン「…そういえばファロット社のG55シリーズの搭載エンジンも“カールスラント製”だったなぁ? 道理で性能がいい筈だー!」ジロー

シャーリー「……(チッ、バレてたか)」プイ

 
バルクホルン「といっても、我がカールスラントチームの勝利に揺るぎはない。 特別に咎めないでおいてやろう」ドヤァ

シャーリー「……そんな上手くいくかよ…」

バルクホルン「やはり何もわかっていないなリベリアン。 生活態度に難はあるが、奴もカールスラント軍人だ」

シャーリー「だから?」

バルクホルン「やるときは確実にやる!」

シャーリー「……そうですか」





ルッキーニ「~っ! うじゅーー!!」ダダダ

エーリカ「(いくぞぉ、ルッキーニ?)……ぜんそく~!」フィィン


ブゥゥウン――


ルッキーニ「!? にゃっ!!」



リーネ(わっ、速い…!?)

ペリーヌ「!!(流石は中尉! 距離が開いていても、同じ縦軸で真下を潜ることでルッキーニさんの狙いから一瞬逃れましたわ!)」
 

 
ルッキーニ「うじゅじゅっ? う、うしろ……!」クル

エーリカ「シュトルムッ」フィィン


ブォォオオォオ――


ルッキーニ「ひゃっ!!?」


――オォオオン……


ルッキーニ「――……あ、ありぇ? …ハルトマンどこ……?」ワタワタ


『上だよー』


ルッキーニ「ぇ……?」チラッ

ルッキーニ「――あにゃっ!? まぶしぃ~~!!!」


タンッ


――ビチャッ


ルッキーニ「ぁ」

エーリカ「よし。 チョコもーらいっ♪」

>>61

脱字と一緒にいろいろミスしたので>>61は無視してください

またミス

グダグダしたので落とします。失礼しました

読んでくれた人にはご迷惑かけてすみませんでした。
html依頼はもう出しているのでこのスレは落ちます

書き溜まってはいたので、また機会があれば今度は一気に眈々と投稿させていただくかもしれません。
本当に失礼しました

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom