照「気まずい…」(64)

立つか?

照「………」

照(今日は咲が泊まりに来るらしい。インターハイの個人戦決勝の後、菫たちの後押しもあって咲と仲直りすることができた)

照(だけど、あの日からもう半年は経つのにまだあまり咲と話しをしてない)

照(だからどうしよう。なんだか少し緊張する)

ふんふむ

ほう

ピンポーン!

照「あ、来た」

照(どうしよう、どうしよう、どうしよう。まず初めに何て言えばいいのかな)

ピンポーン!

照(いらっしゃいませ! は何か違う。ここは居酒屋でも喫茶店でもない)

ピンポーン!

照(ようこそ! は何か変。うーん、ここはやっぱり無難に“おかえり”とかかな)

ガチャ! キィーーッ!

「あれ、空いてる。えっと、お姉ちゃーん?」

照「はっ!? しゃっ、サキ、おかえりなしゃい!!」

咲「た、ただいま」

咲(噛みまくりだよ、お姉ちゃん)

続けたまへ

くぅ~だおだお星に帰る時間どす

咲「それでお姉ちゃん。何してたの? もしかして寝てた?」

照「ううん、起きてた」

咲「えっ、だったら何ですぐ玄関を開けてくれなかったの?」

照「ちょっと考え事をしていて」

咲「ふーん、もしかして麻雀のこと?」

照「違う。咲のことを考えてた」

咲「ふぇ…!?」

照「咲、どうしたの? 顔真っ赤だよ。もしかして風邪引いたんじゃ…」

咲「ううん、そんなんじゃないよ。大丈夫だよ、お姉ちゃん」

咲(今のは不意打ちだよ、お姉ちゃん。あんな真剣な眼差しで“咲のことを考えてた”なんて言われたら)くねくね

照「?」

咲を見たら気が狂うのか

咲「ああ! そういえばお姉ちゃんにお土産があるよ」ガサゴソ

照「お土産?」

咲「えっと、お蕎麦とお焼き。それと長野名産の林檎と―――蜂の子だよ」

照「あ、ありがと」

照(蜂の子まで持ってきたんだ、咲)

咲「うん、どういたしまして」ニコリ

照「………」

照(咲はあまり変わらないね。私は……どうだろう。やっぱり変わったかな。もうあの頃みたいに楽しみを共有して笑い合うことは……)

咲「お姉ちゃん、どうかしたの?」

照「っ、なにが?」

咲「あのね、何だか様子が変だったからちょっと気になって」

照「大丈夫。別に何でもない」ぽんっ、なでなで

咲「あっ」

咲(お姉ちゃんに撫でられるの……何年振りかな。ああ、気持ちいいなぁ)うっとり

照「?」なでなで

照(何故か咲が恍惚とした表情になってる)なでなで

咲「………」にへら

咲(えへへ)うっとり

照「咲、そろそろ出掛けよう」パッ

咲「あっ…!」

照「え?」

咲「なんでもない」しょぼん

咲(もうちょっとナデナデしてほしかったなぁ)

しえ

―外―

咲「わぁー、凄い。すごいよ、お姉ちゃん! さっきコンビニ過ぎたのにもうあそこにコンビニが見えるよ、お姉ちゃん!」

照「咲、インターハイの時に東京見物をしなかったの?」

咲「……うん。あの時は“お姉ちゃんに会ったら何を話そう”とか“お姉ちゃんとどうすれば仲直りできるのか”とかをずっと考えてなかったからとても東京を見物する余裕なんてなかったかな」

照「……咲」

咲「だから今日はめいいっぱい楽しむよ、お姉ちゃん」ニコッ

照「うん、分かった。咲、今日は私がいつも学校帰りに寄ってるコースを順々に巡る」

咲「…お姉ちゃん! うん、案内おねがいします」

照「お任せあれ!」

咲「うん、お任せするよ」

照(……今のは松実玄のモノマネなんだけど伝わらなかったのかな。やっぱりまだ完成度は低いみたい。もっと精度を高める必要がある)

照「―――ここが私のいつも立ち寄る本屋さんだよ」

咲「なにここ、楽園なの!? まるで図書館みたいだよ!」キラキラ

照(…喜んでくれて良かった)

照「咲、次に行こう」

咲「ちょっと待って、お姉ちゃん。これを買うから」

照(少なくとも十冊はあるよね。そんなに買うんだ、咲)

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.  | ::!::|ハト.乂__ノ       ーu' .| :::< .  ・ .   .|
 八::| :|::::i /i, ,     ,     /i/ , }:::}i::人   __ ノ
  (__):::l:::::.         ,  ...     i.:/::::::::厂「{:::::::{
 / :{ | :V:入    ー=(  .:::::::.   }/}::::}/::::::l.|:::::::|
 { ::|人::∨::::>...   .  `    .ィ升|:::/::::::::八::::::{

照「―――次は私が必ず寄る場所に案内する」

咲「必ず寄る場所…?」

照「それがここ」

咲「えっ、ここ?」


照「そうここが私の名寄り道スポットの菫の家!」

菫「おい、何が名寄り道スポットだ。ひとの家を観光名所みたいに紹介するのは止めろ」

支援

照「ああ、菫。いつの間に…」

菫「偶然、お前の姿が視界に入ってな。表に出てきた。お前は妹さんを案内してるのか?」

照「よく分かったね。流石、菫」

菫(いや、昨日からずっと妹が来るだのと騒いでいただろ)じとー

咲「………」

咲(なにこれ。私の入る隙がまったくない……)しょぼん

菫「……」チラッ

菫「そういえば妹さんとは話したことなかったな」

咲「ひゃ、ひゃい!」ぷるぷる

菫「そんなに固くなり必要はないよ」

照「菫の顔が怖いから咲が怯えてる」

菫「やかましい」

照「冗談。菫は可愛いから咲も緊張しているんだよね」

菫「なッ!////」

咲「はい、そうですね」

菫(くっ、この天然腹黒姉妹は…)

照「―――菫またね」

菫「ああ、またな、照。咲ちゃんもまたね」

咲「あっ、はい!」ペコッ

照「それじゃー帰ろうか、咲」

咲「うん、帰ろう」

ガチャ! バタン!

照「ただいまー」

咲「た、ただいま」

照「……お腹空いた」

咲「お土産のお蕎麦があるよ、お姉ちゃん」

照「それでいい」

咲「うん、分かった!」

照「お蕎麦おいしい…」

咲「うん、美味しいね。お姉ちゃんは長野の蕎麦は久しぶりでしょ?」

照「うん」

咲「懐かしい?」

照「……うん」

咲「そっか」

かわいい
菫さんもよき理解者かわいい

照「………」

咲「………」

照(何だろう。すごく気まずい。カニもそうだけど何で麺類を食べるときは皆静かになるのかな。前にラーメン屋の二郎に行ったときも異様に静かだったのは何で…)

咲「……静かだね」

照「うん」

咲(会話が全然続かないよ!)

照「…ごちそうさまでした」

咲「ごちそうさまでした」

照「あっ、咲。洗い物は私が」

咲「いいよ、いつも家でやってるし、お姉ちゃんはテレビでも見てなよ」

照「それじゃー、お願いね」

TV『私、気になります!!』

照(多分、さっきこの主人公が階段のところで擦れ違った梯子持ったひとが犯人だろうな)

咲「お姉ちゃん、何を見てるの?」

照「氷菓。咲も一緒に見る?」

咲「うん!」

たそ~

すみれたそ~

えるたそ~

TV『関谷純が本当に残したかった言葉はこれだ!』

照「……」じーっ

咲「……」じーっ

照(えるたそ~)

咲(てるたそ~)

TV『―――プツッ』

照「咲、そろそろお風呂に入る?」

咲「う、うん!」

照「バスタオルはソコに入ってるのを使って。着替えは持ってきてる?」

咲「ううん、お姉ちゃんのを借りればいいって言ってた」

照「誰が?」

咲「お母さん」

照(やっぱりか)

咲「服を貸してほしいんだけどダメかな?」

照「ううん、別にいいよ」

咲「本当!? 良かったー」

照「咲、一番風呂に入ってもいいよ」

咲「やったー」

TV『――調度良い。今夜見たことは全部忘れろ。生き続けたければ言葉を忘れるんだ』

照「………」

照(もしも小鍛治プロがこんな風になったら誰が狙われ―――ううん。何を不謹慎なことを考えてるの、私)

照(やっぱり誰かが亡くなるような話は苦手だな。ちょっと……怖い)

照「……咲まだかな?」

しえ

咲「お姉ちゃん、呼んだ?」ほくほく

照(湯上がり姿の咲、やっぱりかわいい)

照「次は私の番」

咲「何を見てたの?」

照「主人公に萌えるアニメ」

咲「へ?」きょとん

照「適当に何か見ていていい」

咲「うん!」

TV『―――見ていてくれ、覚えていてくれ。ただ、ここにいたことを………一夜の幻でもいい。この、光景を―――』

咲「………」

咲(お姉ちゃん、まだかな)

咲(せ、背中とか流したほうがいいのかな…)

咲(で、でも、いきなりお風呂に入るのは覗きみたいではしたないよね)

咲(うーん、うーん)

照(なにを考えてるのかな)ほくほく

咲「お姉ちゃん、寝る前にトランプやろ」

照「別にいいけど、麻雀じゃなくていいの?」

咲「人数が二人しかいないから家族麻雀はまた今度ね」

照「……分かった」

照「折角だから何か罰ゲームを付ける?」

咲「罰ゲーム?」

照「敗者が勝者の言うことを聞く、とかは? 勿論、敗者にできる範囲のことだけね」

咲「うん。その賭け乗ったよ、お姉ちゃん!」

照(別に賭けじゃないけど、まぁいい)

しえ

照「先に三勝した方が勝ちね」

咲「うん、分かった。まずはババ抜きだよね。絶対に負けないから!!」

照「それはこっちの台詞」



照「―――勝った」

咲「負けた」

咲(お姉ちゃん、ずっとポーカーフェースだったから何も分からなかったよ)

オールドメイドでポーカーフェイスはあんまり意味ない

照「―――次は神経衰弱」

咲「私の勝ちだよ、お姉ちゃん」


照「―――その次はスピード。私の勝ちだった、咲」

咲「うん、そうだったね」


照「―――さらに次の七並べは咲の勝ち」

咲「二人きりだから七並べは相手の手を読みやすいんだよね」


照「―――そしてこれが最後。大富豪では咲の勝ち」

咲「大富豪は結構得意なんだ」ふんす

だが胸は貧民のようだ

咲「三勝二敗で私の勝ちだね」

照「そうだね。それで咲は私に何をさせたい?」

咲「えっと、そのね」

照「…?」

咲「無理ならいいんだけど、あのね」

照「うん」

咲「こ、今夜、一緒に寝よ…////」カァアアア

それはだいてくれということにほかならなかった

照「…え?」

咲「やっぱり無理かな?」

照「いや、その程度なら毎日でも別にいいけど―――」

咲「えっ、ホント!? だったらこれから泊まりに来るときは毎回一緒に寝よ!」ニコッ

照「あ、うん」

照(単なる言葉の綾なんだけど、咲も喜んでるみたいだし、いいか)

―テルーム―

照「―――そろそろ眠い」

咲「それじゃあ…入るね、お姉ちゃん」

照「うん、入っていいよ、咲」






咲「お姉ちゃんのお布団いい匂いがする」

照「そ、そう? 自分では分からないけど…」

テルームにふふってなった

照「ねぇ、咲」

咲「なに、お姉ちゃん」

照「今日は……そのっ……いや…やっぱりなんでもな―――」

咲「今日は楽しかったよ、お姉ちゃん」

照「!?」

すばらっ

咲「久しぶりにお姉ちゃんに会って、話して、お出かけして、ご飯を食べて、アニメ見て、トランプして、そしてこうして一緒に寝ることができるんだもん。すごく楽しかったよ…」

照「……そう。それを聞いて安心した」ギュッ

咲「お、お姉ちゃん!?」

照「私も今日は楽しかったよ、咲」ぽんっ、ナデナデ

咲「ふぁああ…」

咲「私、お姉ちゃんのナデナデ好き」

照「これからはいつでもやってあげる」ナデナデ

咲「うん!」

咲(お姉ちゃんには深い意味はないんだろうけど、それはプロポーズみたいだよ♪)

咲「…お姉ちゃん」

咲(だから私も仕返しをするよ、お姉ちゃん)

咲「大好きだよ」ボソッ

照「…すぅー……すぅー…」

咲「ってもう寝てる!?」

咲(折角、覚悟を決めて言ったのに、もう、お姉ちゃんのバカ!!)




翌朝!

照「何故か咲が冷たいような気がして居間にいるのも気まずいんだよね。どうすればいいの?」

菫『知るか』

ガチャ! ツー…ツー…ツー…

照「……菫も冷たい」

おわり

おつおつ!

原作もこんな感じでお願いしますよ立せんせぇ~

だから立つか?でスレ立てんのやめろ
と言おうとしてたら終わってた

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