小鳥「プシュケ」 (17)


律子「それじゃあ、帰りますね。小鳥さんも、早めに帰ってくださいね」

小鳥「分かってますって」

律子「プロデューサーと一緒で、すぐに残業したがるんですから……」

小鳥「今日は、早めに帰りますよ」

律子「……本当ですか? じゃあ……お疲れ様でした」

小鳥「はい、お疲れ様でした」

バタン

小鳥「……ふー」チラッ

【22:19】

小鳥「さーて、もうひとがんばり」



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小鳥「……終わったぁ」

P「お疲れ様です」

小鳥「うわぁっ! ぷ、プロデューサーさん!」

P「どうしました?」

小鳥「いつからそこにっ」

P「さっき、小鳥さんにおかえりなさいって言われましたよ?」

小鳥「へっ?」

P「ほら、お茶も」スッ

小鳥「……記憶がありません」

P「だ、大丈夫ですか? 働きすぎなんじゃ」


小鳥「……なんか、ごめんなさい」

P「どうして謝るんですか、俺こそ謝らなきゃ」

小鳥「え?」

P「小鳥さんに無理させてること、ですよ」

小鳥「そんな……これは私の仕事ですから」

P「社長と俺と3人で仕事を分けあってましたけど、最近ここに来る時間もなくて」

小鳥「そういえば……今、何時ですか?」チラ

P「日付、変わってますよ」

【00:40】

小鳥「ええっ!?」


P「小鳥さん、家に帰りますか? よければ送りますが」

小鳥「え、ええと……今日は泊まるつもりでした。
   さっき、律子さんと銭湯に言ってきたので」

P「泊まりですか……? 仕事、もしかして溜まってたり」

小鳥「い、いえ……仕事は終わったんですが、帰るのも面倒で」

P「そうですか……」

小鳥「プロデューサーさんは?」

P「……何がですか?」

小鳥「プロデューサーさんは、今からおうちに帰るんですか?」


P「いや、事務所で寝ようかな、って。明日は俺の付き添いありませんから、朝イチで家に帰ろうと」

小鳥「そうですか……。仕事はあるんですか?」

P「実は、ちょっと。でもすぐに終わりますから」

小鳥「なら、手伝いますよ」

P「えっ、いいんですか?」

小鳥「早く終わったほうが、プロデューサーさんも長い時間寝られるでしょう?」

P「ありがとうございます、小鳥さん」

小鳥「いいえ、いいんですよ。私も、後は寝るだけなので」


P「……ここを……はい、お願いします」

小鳥「分かりました。……えーと…………」

P「…………やよいと真美……」

小鳥「……ブーブーエス…………」

P「……竜宮…………フェアリー……」

小鳥「……あの、プロデューサーさん」

P「はい?」

小鳥「この枠なんですが……」

P「ああ、そこはですね…………」


P「終わったー!」

小鳥「お疲れ様です」コトッ

P「ありがとうございます、小鳥さん」

小鳥「プロデューサーさん、嘘つきでした」

P「えっ?」

小鳥「こんな量を、『ちょっと』だなんて言って、ひとりでやろうとするなんて」

P「あはは……」

小鳥「お茶ですけど……乾杯しませんか? 仕事終わりの記念に」

P「いいですね、しましょう」

「乾杯っ」

【01:29】


P「ふぅ……」

小鳥「プロデューサーさん、仕事は順調ですか?」

P「さっきの残業みたいなものを続けて、やっと順調になってる感じですね」

小鳥「そう、ですか」

P「小鳥さんは?」

小鳥「私は……うーん、わからないです」

P「やっぱり、ひとりだと厳しいですか?」

小鳥「……忙しいなぁとは思いますけど、辛いとは思いません。だから、大丈夫です」


P「社長も、増員は考えてないみたいですね。今のメンバーがベストって思ってくれてるのかも」

小鳥「ティンと来る人がいないんですね、きっと」

P「ですね」

ズズッ…

コトン

P「小鳥さん」

小鳥「はい?」

P「お休みとか、取ってます?」

小鳥「お休み……みんなが忙しくなってからは、ないですねぇ。そういえば」

P「実は俺も律子も、ずっと休んでないんです」


小鳥「お二人はプロデューサーですからね、私よりも忙しいはずです」

P「小鳥さんだって、忙しいはずですよ。全員分のオファーの電話、ひとりでまとめてるんですから」

小鳥「……まあ、765プロはみんなが忙しいです」

P「そう、それでですね」

小鳥「はい」

P「アイドルのみんな含め、社員全員で今度旅行に行こうと思うんです」

小鳥「旅行ですか?」

P「去年の夏、小鳥さんはお留守番でしたけど……海に行って、みんな楽しめてました」

小鳥「ああ、懐かしいなぁ。あれからもう一年ぐらい経ちますか?」

P「ええ。……それで、また行きたいなぁって」


小鳥「いいなぁ、今度は私も誘ってくださいね」

P「もちろんですって!」

小鳥「スケジュールとかは調整してるんですか?」

P「いえ、これからです。いつどこにいくかも決まっていないので」

小鳥「ふむふむ……」

P「暇な時に考えようと思ってるんですけど、なかなかそんな時間がなくて」

小鳥「……じゃあ、今2人で考えてみませんか?」


P「今、ですか?」

小鳥「プロデューサーさんのまとまった暇な時間って、多分取るのが大変でしょうから」

P「そ、そうですね……じゃあお言葉に甘えて。小鳥さんのアドバイスもくださいね」

小鳥「ええ、任せてください」

P「みんなの行きたいところを聞きたいな、って思ってるんですよね」

小鳥「なら、明日メールで聞いてみるってのはどうですか?」

P「いいですね、今のうちに文面を打っておいて……」


P「…………」

小鳥「それで、この温泉が……プロデューサーさん?」

P「……ぁっ……すみません」

小鳥「ふふっ、無理しないで下さい。今日はもう寝たほうがいいと思います」

P「小鳥さん」

小鳥「はい?」

P「明日の朝、もう一度おすすめの旅館、聞かせて下さい」

小鳥「……もちろんです!」

P「おやすみなさい」

小鳥「はい、おやすみなさい」


【01:58】

P「…………すー……」

小鳥「私も、そろそろ寝ようかな」

P「…………」

小鳥「……おやすみなさい」


 旅館のホームページを映したパソコンの電源を切る。
 鍵を閉め、電気を消して、ソファーに横になった。

P「……小鳥さん」

小鳥「はい?」

P「小鳥さんも、明日は家でゆっくり休んで下さい」

小鳥「……」

P「おやすみなさい」


 やがて、プロデューサーさんの寝息が聞こえてくる。

小鳥「……優しいなぁ」

 だから、彼のプロデュースでアイドルが輝くのね。


 私がもし若返ったら、彼にプロデュースしてほしい。
 そんな変な考えが出てきたので、暗闇の向こうに飛ばした。


小鳥「……おやすみなさい、プロデューサーさん」

 丑三つ時、私の気持ちは彼に向いていた。


 夜のテンションで書き溜めもなしにピヨちゃんに挑戦したけど無謀でした。
 お読みいただき、ありがとうございました。お疲れ様でした。

乙!
ピヨちゃん頑張りやさん可愛い!!

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