P「うっす!」冬馬「うーっす!……って」(69)

冬馬「おせえっつーの!」

P「わるいわるい。やっぱり待った?」

冬馬「てめっ、何時集合だと思ってやがる!もう10分は過ぎてんぞ」

P「だから悪かったって!冬馬、そうカリカリしてると女の子にモテないぞ?まぁモテモテなのは知ってるんだが」

冬馬「ふんっ、そんな事はどうでもいい」

P「まぁ、そうだろうな。なんせ冬馬は春香一筋だし」

冬馬「ばっ…!?だ、誰がだっ…!」

P「ホントにわかりやすいヤツだなぁ。お、噂をすればアレ春香じゃないか?」

冬馬「!?」

春香「おーい!Pくん、冬馬くん、おはよ!」

冬馬「お、おうっ!」

P「おはよう」

千早「おはよう。二人して何か揉めてるみたいだったけれど、何かあったの?」

P「ああ、実はな…冬馬の好きな女の子について話をしてたんだよ」

冬馬「ばっ…!ち、ちげーだろっ!」

春香「えっ、冬馬くんって好きな子いたんだー!誰なんだろう?もしかしてウチのクラスの子?」

冬馬「い、いねえよそんなの」

春香「えー、ホントかなぁ。なんだか目が泳いでるけど」ジー

冬馬「あ、あんまり近くで見てくるんじゃねえよ……暑苦しいだろ」

春香「えーん、千早ちゃーん、暑苦しいって言われちゃったよぉ~」

千早「今のは春香が悪いと思うのだけれど」

春香「なんでっ?!」

冬馬「……いや、別に嫌だったって訳じゃ--」

春香「…あっ、千早ちゃんごめん!私、真に用事があったんだ。って事で、Pくん達と一緒に登校してね!おーい、真~!」タッタッタッ

冬馬「………」

P「ははっ、相変わらず春香は鈍いよなぁ」

千早「……P、あなたがそれを言うの?」

P「え?何がだよ」

千早「はぁ、やっぱりわかってないのね」

P「何がわかってないっていうんだよ。…そういう自分こそ何人も男を泣かせてきて、わかってるのか?」

千早「……物好きな人もいるものよね。どうして私なのかしら?春香だっているのに」

P「ま、好みは人それぞれって事だろ。春香もだけど、こうやって幼なじみが揃って人気があるってのは、結構鼻が高いもんだぞ」

千早「そ、ありがとう。……そっちと違って私達の場合はそれが不安でもあるのだけれど、どうせその自覚もないんでしょうね」

P「ん?」

千早「いいえ、何も。それで、あなたはどうなのよ…その、好きな人とか……」

P「うーん、好きな人かぁ。どうなんだろうな」

千早「自分の事なのにわからないの?」

P「好きだっていう感情がどういうものなのかイマイチわからないしなぁ」

千早「天ヶ瀬くんが春香に抱いている感情で間違いないんじゃないかしら」

P「なるほど、その例えはわかりやすい」

冬馬「あん?何か言ったか?」

P「ああ、言ったぞ。冬馬の好きな人は天海春--」

冬馬「っておま馬鹿…!」ワーワー

ナニアノヒト コワーイ

千早「ふふっ」

P「ははっ。ふぅ、俺にはこんな冬馬みたいに夢中になれる人はいないかもしれない。ハッキリとはまだわからないよ」

千早「……そう」

P「で、そういう千早はどうなんだ?『不沈戦艦キサラギ』って呼ばれてるの知ってるのか?」

千早「ふふっ、何よそれ、初めて聞いたわ。……私の好きな人についてって事?」

P「ああ。……って、千早、好きな人いるのか?まさかな。なんたって千早だし」

千早「……私にだって好きな人くらいいるわよ。知らなかったの?」

P「なっ!?ま、マジで?もしかして既に付き合ってる人がいるとか?」

千早「私、不沈戦艦だなんて呼ばれてるのでしょう?その名の通り、付き合ってる人なんていないわ」

P「だ、だよなぁ」ホッ

千早「……今もしかして、私に付き合ってる人がいないって聞いて安心した?」

P「そりゃ安心したに決まってるだろ」

千早「えっ…」

P「千早みたいな堅物に先越されるとか流石にヤバいからな」

千早「くっ……あなたに言われると余計に腹が立つのだけれど」

冬馬「お前らさっきから何話してんだ?」

P「ああ、聞いて驚くなよ?なんと、不沈戦艦キサラギにも好きな人はいるんだってさ!」

冬馬「あー」

P「あれ、驚かないのか?」

冬馬「は?だって驚くも何も、如月の好きな奴っておま……ってぇぇぇえ!」

千早「………」

P「お、おいどうした冬馬!?」

冬馬「……な、なんでもねえ。ただちょっとハチかなんかにケツを刺されたみてえだ」サスサス

P「おいおい大丈夫かよ…朝から災難だな。一応、帰り道とか車に気をつけろよ?」

冬馬「おう…」

P「それで冬馬、お前は千早の好きな人とか知ってるのか?」

冬馬「それは…」チラリ

千早「……天ヶ瀬くん、何かしら?」

冬馬「いや、なんでもねえ!如月の好きな奴かぁ、誰なんだろうな!あー全くわかんねえー…って事で、この話題終わりにしようぜ!」

P「え、けど…」

冬馬「あ、そういえばP、お前どうして今日は遅れたんだよ。今更だが、弁明してもらおうじゃねえか」

P「ああ、それね。実はさ、こっちに向かってる途中でおにぎり咥えた女の子とぶつかっちゃって色々あったんだよ」

冬馬「おにぎり咥えた女って…お前バカだろ!今時食パン咥えた女だって珍しいのに、それがおにぎりとか都市伝説モンだぜ」

千早「ふふっ」

P「いや、それがホントなんだって!ぶつかった拍子に咥えてたおにぎり落ちちゃってさ、謝ったんだけどすごい文句言われて」

冬馬「なんだその女」

P「その子もなんか急いでたみたいで、おにぎりの恨みはどうとか言いながら走って行っちゃったんだよ。それでしばらく呆然としてたら時間が経っちゃっててさ」

冬馬「そういう事か。まぁそんな事があったんならしょうがねえよな。お前の方こそ朝から災難だったな」

P「うーん…でもさ、その子ウチの学校の制服着てたんだよ。しかもなんていうか……すっごく可愛かった」

千早「………」

冬馬「おっ、Pが女の事を可愛いとか言うの珍しいじゃねえか。なんだ、もしかして惚れちまったのか?」

P「いやいやそうじゃないって。あんなに目立つなら、学校で話題になっててもおかしくないし、見た事がないのも不思議だなって思ってさ」

冬馬「……ま、ウチの制服着てたってんならガッコにいるって事だろ。休み時間にでも探しに行こうぜ!」

P「そう…だな。もう一回ちゃんと謝りたいし。それにしても、冬馬の方こそ春香以外の女の子に関心があるだなんて珍しいじゃないか」

冬馬「あ、天海は今カンケーねえだろっ!お前が可愛いって言うくらいだから、どんなもんか見てやろうって思っただけだっての!」

P「はいはい、野暮な事言ってすみませんでしたー。そうだよな……冬馬はゾッコンだからなぁ」

冬馬「だから天海はカンケーねえって言ってんだろうが!」

千早「天ヶ瀬くん、Pは春香の事だなんて言ってないわよ」

冬馬「えっ……あっ…!?」

P「なるほどね」

冬馬「くっ、P、てめえっ!」

P「千早ー、悪いが俺も先に学校行ってるぞーっ!……うおっ、あぶね~」

冬馬「てめえ、避けんなコノ…!待てやコラー!」

タッタッタ…

千早「可愛い…かぁ」

千早「私、言われた事ないのに…」

千早「………ばか」

----------

キーンコーンカーンコーン

冬馬「……ん?新米の奴今日はおせえな。いつもはチャイムと同時に入ってくるっつーか、扉の前で待機してるくせによ」

P「おい鬼ヶ島、いい加減音無先生の事新米って呼ぶのやめてやれって。そんな呼び方されてるなんて知ったら先生また泣いちゃうかもしれないだろ?」

春香「そうだよ羅刹くん!」

冬馬「誰が鬼ヶ島羅刹だよっ!だから何なんだよソレ!」

千早「ピピン板橋くん、チャイム鳴ったのだからもう少し静かにしなさい」

冬馬「だからそれも文字の数しか合ってねーっつうの!…ったく、どっから出てきたんだよ」

P「とにかく、音無先生の前ではちゃんとするんだぞ?お前はただでさえ怖がらせてるんだからな」

冬馬「は?なんでそうなるんだよ!」

春香「あっ、新学期の事もう忘れちゃったの?非道いなぁ羅刹くん…」

冬馬「羅刹じゃねーっての!新学期だぁ…?」

千早「音無先生が泣いてしまったのは、最初の出席確認の時にいきなりあなたが睨んだりしたからでしょう?」

冬馬「あ、それか。いや、だってよ…新米のセンコーなんかに舐められたくねえじゃねえか」

P「教師人生で初の出席確認…記念すべき初めての生徒として冬馬の名前を呼んだのに、不意に『あ?』ギロリ…とかいって睨まれたらそりゃあショックだろうなぁ」

冬馬「あっ……」

春香「そう考えると小鳥先生も可哀相だよね。生徒とは友達みたいな身近な関係でありたいって言うくらいだし、ショックも大きかっただろうね~」

冬馬「うっ……」

千早「………ふぅ」

冬馬「如月、せめて何か言ってくれぇ~っ!」

ガラララ

小鳥「はーい、みんなー席に着いてね!」

小鳥「…はい、皆さん、おはようございます!ホームルームを始めますよー!」

小鳥「……と、その前に!皆さんにクラスの新しいお友達を紹介しまーす!」

ザワザワ

小鳥「はいはい、静かにしてくださいねー!そうです。なんと転入生ですよ!」

P(この時期に転入生って珍しいなぁ)

春香(そう言われればそうだねー。女の子だったら嬉しいなぁ)

小鳥「では、転入生さんに入って来てもらいましょう。転入生さん、入ってきてくださーい!」

ガラララ……ピシャン

小鳥「ありがとう。それじゃ、こっちに来てくださいねー」

転入生「はいなの!」

春香(うわぁー、すっごく可愛い子だね、千早ちゃん!スタイルも抜群だしモデルさんみたい)

千早(……そうね)

P(ん?どこかで……あっ!!)

ワイワイ…ザワザワ…

小鳥「はいはーい、静かにしてくださいねー!…はい、それじゃあ星井さん、自己紹介をお願いします!」

転入生「はいなの!ミキは、星井美希って言うの。好きな食べ物はおにぎりとかいちごババロア、キャラメルマキアートで、おしゃべりするのも大好きなの!」

P(星井美希さんっていうのか。……好きな食べ物はおにぎりって言ってるし、やっぱり今朝の子で間違いないよな。こんな金髪ロングで目立つ子なんてそうそういないだろうし)

千早(………)

美希「これからよろしくお願いしますなのっ!」

ヒューヒュー パチパチパチ

小鳥「皆さん、星井さん改め美希ちゃんと仲良くしてあげてくださいねー!それじゃあ美希ちゃんの席は……えっと、P…さんの隣が空いてますね」

P「えっ…」

小鳥「では美希ちゃん、あの窓際の一番後ろの席に着いて下さいね!」

美希「わかりましたなのー!窓際の一番後ろの……あーっ!」

P「えっ……お、俺?」

美希「………」ジー

P「…な、何かな?」

美希「………」ジー

P「えーっと…」

美希「………」ジー

P「……こほっ、こほっ」

小鳥「あら、もしかして二人はお知り合い?」

P「えーと、なんと言いますか…その」

美希「こんな人、ミキ知らないの!」

小鳥「こ、こんな人?」ポカン

千早「………」

スタスタスタ……ガタン

P「あ、えっと……俺、Pっていいます。これからよろしく星井さん」

美希「………」ジー

P「あの………え、えっと」

美希「……ミキ、おにぎりの恨み忘れてないから!」プイッ

P「あ、あはは……はぁ」

春香(お、おにぎりの恨み…?!)

千早(やはりこの子がさっきPの言っていた…)

----------

ザワザワ…ザワザワ…

「ねえねえ星井さん、どこから来たのー?」
「星井さん超可愛いよねー!スタイルもいいし、モデルとかやってたのー?」
「美希ちゃん超かわうぃ→ね!彼氏いる?好きなタイプは?TEL番聞いてもEかな?ちなみにボクちんの番号&アドレスは……コレね!」ピラッ
「ほ、星井さん!一目惚れしました!ぼ、僕と付き合って下さい!」オナシャス
「星井さん、よかったら俺が学校案内してあげるよ!」
「あっ、てめえズリいぞ!星井さんを案内するのは俺だ!」
「いや俺だ!」
「待て俺が!」

美希「あはっ、そんなにいっぺんに聞かれても、ミキ困っちゃうの」

春香「そうだよみんなー、まずは自己紹介からしなきゃ!って事で私から。私は春香!天海春香だよ!春香って呼んでね!」

美希「うん、春香!ミキの事は名前で『ミキ』って呼んで欲しいの!よろしくなの☆」

春香「それじゃあ早速……美希、よろしくね!」


冬馬「いきなりすげえ人気だな」

P「だな。しばらく質問攻めにあうだろうし、近くの席の俺達は落ち着くまではけておいた方がいいかもなぁ」

千早「そうね。ただ、私達と違って春香は転入生と一番に仲良くなろうとしているけれど」クス

冬馬「まぁ、天海らしい…よな。ところでよ、今朝Pが言ってたおにぎり女ってもしかして…」

P「ははは…まさか転入生だったとはね」

冬馬「うお、やっぱりそうなのかよ。P、お前気をつけた方がいいぜ?なんたっておにぎりの恨みは怖えからな」

P「やめてくれよ。今はあんな感じで明るくて話しやすそうだけど、星井さん俺が隣だったからかさっきはすごく不機嫌だったし」

千早「………P、あの子とぶつかった時に変な事でもしたの?」

P「は、はぁ?変な事ってなんだよ!」

千早「か、身体を触ったりだとか…」

P「いやいや、なんでそうなるんだよ?!そもそもぶつかってきたのはあっちからだからな?」

千早「本当かしら?タイプの子だからってわざとぶつかったりしたんじゃ…」

P「だからなんでそうなるんだって!制服にご飯粒まで付いちゃったし、どちらかと言えばむしろこっちが被害者っぽいんだけど。だいたいタイプの子ってなんだよ…」


千早「だって思ったのでしょう?……可愛いって」

P「いや可愛いって……それは誰だって思う事だって!星井さんの周りだってホラ、飢えた男共が群がってるだろ?」

千早「………周りには女子だっているわ」

P「う~、そりゃ男子だけって訳じゃないけどさ。とにかく男なら誰だって思う事なんだって!な、なぁ、冬馬だって星井さんは可愛いって思うだろ?」

冬馬「なっ…そこで俺に振ってくるんじゃねえよ!ったく。まぁ、結構いいセンはいってるんじゃねえか?」

P「ほらな!この冬馬が言うくらいなんだから相当なんだって!…千早サン、わかってもらえました?」

千早「まぁ…Pのタイプなんて別に、どうでもいいですけれど」

冬馬「どうでもいいって顔はしてねえけどな」

千早「……天ヶ瀬くん、何かしら?」ギロリ

冬馬「な、なんでもねえ…!」

千早「ふぅ、まぁいいわ。でもそれじゃあ何でああいう態度になるのかしら?」

千早(お人よしのこの人が、人に嫌われる理由なんて他には思い付かないけれど…)

冬馬「やっぱアレだろ、おにぎりの恨み!」

P「うーん、確かにおにぎりが好きって自己紹介でも言ってたくらいだしなぁ。機会を見てもう一度謝っておこうかな」

冬馬「でも悪いのは先にぶつかってきた星井だろ?なんでも自分を悪く言うのはお前の悪いクセだぜ?」

P「俺もぼーっとしてたしさ、やっぱり謝って仲直りしたいかな。せっかくクラスメイトになったんだから」

冬馬「ま、お前がそれでいいならいいんじゃねえか?」

P「ああ。きっと仲直りしてみせるよ」

千早「………」ジー

P「あの…千早サン、何でしょうか?」

千早「別に何でもないわ」

冬馬「………ふっ」

千早「(むかっ) 天ヶ瀬くん、ちょっといいかしら」

冬馬「あん、何だよ?」

千早「星井さんが転入してきて、あなたの後ろの席も埋まった事だし、一つ忠告しておいてあげるわ」

冬馬「忠告だと?」

千早「ええ。あなた、授業中に横ばかりチラチラ見過ぎよ。後ろの席からじゃバレバレなんだから」

冬馬「なっ…!」

P「あー、俺も前々から気付いてたよ。また春香の事見てるなーって感じで。まぁ目の前だしね」

冬馬「に…っ?」

千早「あからさま過ぎるのよあなたは。いくら春香でも、そろそろ視線感じてたりしてるかもしれないわよ?」

冬馬「マジかよ…」

千早「星井さんにも気付かれたくなければ、少しは控えた方がいいかもしれないわね…くすっ」

冬馬「くっ……。自分だってジーッと見てるくせによ」ボソッ

千早「……天ヶ瀬くん、よく聞こえなかったのだけれど、何か言った?」

冬馬「ああ、言ったね!自分だってコイツが他の女と楽しそうに話してる所を恨めしそうにジーッと……ってぇええええ!?」

P「ど、どうした冬馬?!」

千早「またハチにでも刺されたりしたのかしら…?」

P「おいおい大丈夫かよ…一日に二度もハチに刺されるとか尋常じゃないぞ。帰りは車だけじゃなくて頭上にも注意した方がいいな」

千早「それと、言動にもよく注意した方がいいわ」

冬馬「ああ、わかってるよ!くそっ…」サスサス

P「ははっ、時々思うんだが、お前らって仲良いよな」

冬馬「は?」

千早「何でそうなるのかしら?」

P「なんとなくかな。もしかして、二人は陰で付き合ってるとか?」

冬馬「はぁ?!」

千早「そんな訳ないでしょう?……P、あなたもこの人のように抓られたいのかしら?…本気で」

冬馬(この人のようにとか自分で言ってるじゃねえか?!)

P「い、いやぁ…それは遠慮しときます。ハイ」

冬馬「本気喰らったらそこらのハチよりぜってー痛えからな。ったく、この『細い』身体の何処にそんな力があるってんだよ」

千早「………細いですって?一体私のドコが細いというのかしら?」

冬馬「あ、いや別に胸が細いだとか薄いって部分的な意味で言ったんじゃな……ぐわぁぁあああああ!」

千早「………っ……!」ギュー

P「ははっ、やっぱりお前ら実は本当に付き合っ…ってぇぇえええええ!」


美希「………」

春香「あれ?美希、どうかしたの?」

美希「ううん、なんでもないの!」

美希「………別になんでも」

----------

キーンコーンカーンコーン

冬馬「うっし、Pー、飯食いに行こうぜ!」

P「ああ、そうだな。それじゃ行くか」ガタッ

春香「あっ、Pくん、冬馬くんちょっと待って!今日も屋上で食べるんだよね?」

P「ああ、そうだけど?」

春香「千早ちゃん、ごめん私ちょーっと大事な用があるからPくん達と一緒に食べててくれるかなぁ?」

千早「ええ、わかったわ」

春香「ごめんねー!それじゃまた後で」


~屋上~

冬馬「おっ、今日はまだ誰も来てねえじゃねえか!まさに貸し切りっ、だぜ!」

P「だな。今のうちに貸し切り気分を満喫してようか」

千早「そうね。それにしても春香の用事って何だったのかしら。なんだか急いでたみたいだったけれど」

冬馬「アレじゃねえか?弁当の交換ってヤツ。違うクラスの奴と味を競ってるとか言ってたしな」

P「おっ、いつも興味ないってフリしてるけど、実は春香の手作り弁当食べたかったのか?」

冬馬「なんでそうなる!」

千早「あら、春香の作ったお弁当…食べてみたくないの?遠回しに聞いてあげようと思っていたのだけれど」

冬馬「それ…マジか?」

P「あれ、冬馬にしては意外な反応。やっと自分の気持ちに素直になったか」

冬馬「べ、別にそんなんじゃねえっての!…ただ、天海の作った弁当ならボリュームありそうだしよ」

P「ははっ、それはなんとなくわかるな。春香の手作り弁当か…うん、いいかもな」

千早「………」

ギイィ

P「おっ、春香だ。おーい、春香こっち……っ!?」

春香「みんなお待たせー!ホラ美希、あっちだよ!行こ?」

美希「うんっ!」

冬馬「なぁ、天海の後ろから付いて来てる奴って…」

P「今、学校中で話題の転入生星井さんだな、うん」

千早「春香がやりそうな事だわ」

春香「えへへ~、みんな、驚いたでしょ?なんと美希も連れてきちゃいました!すっごく競争率高かったんだよ~?」

美希「おじゃましますなの!」

千早「ええ、こんにちは星井さん」

冬馬「うす」

P「…どうも」

美希「………」ジー

春香「?」

冬馬「おい、Pの奴めっちゃ見られてんぞ」ボソッ

千早「ええ。午前の授業中もずっと見られていたわ。前よりも横を見ていた時間の方が長いんじゃないかしら」ボソボソ

冬馬「おいおいマジかよ!?…って、ん?それって、自分もPの方見てないと気付かないんじゃ…」

千早「………ちっ」

冬馬「スマンっ」ビクッ

春香「??」

春香「こほんっ。それじゃ自己紹介からね!こちら如月千早ちゃん!私の一番の友達なんだぁ」エヘヘ

千早「如月千早です。星井さん、よろしくね」

美希「うん、よろしくなの。ミキの事は名前で呼んで欲しいの」

千早「ええ、わかったわ美希」

美希「うん」

春香「うんうん、早速仲良くなれたみたいだね!」

冬馬「俺には睨み合ってるようにしか見えないんだが」

P「大丈夫、俺も同じだ」

春香「それと…こっちが天ヶ瀬冬馬くんで、Pくん!」

美希「よろしくなの!」

冬馬「うす。ちなみにお前の前の席、俺だから」

美希「あっ、どうりで見たことあるツンツン頭だなぁーって思ってた所なの!」

冬馬「つ、ツンツン頭だと?!」

美希「う~ん、ミキ的にはそのバカ毛…だっけ?直した方がいいって思うな。なんだか痛そうなの」

冬馬「それを言うならアホ毛だろっ!…ってか、お前だって思いっきりアホ毛が--」

美希「ねえねえ春香」

冬馬「って、聞いてねえし!」ガーン

春香「美希、どうしたの?」

美希「この天ヶ瀬くんって人、授業中ずーっと春香の事見--」

冬馬「っ…!う、うおーーーーー腹減ったーーーーー!」アー

春香「と、冬馬くんいきなりどうしたの?」

冬馬「ぜーっ、はーっ、な、なんでもねえぜ…」ハァハァ

美希「あはっ、変な人なの!」

美希「………」クルッ

P「っ!?」ビクッ

美希「………」ジー

P「は、はは…」

千早「P、もう一度自己紹介でもしてあげたらどうかしら?」

P「そ、そうだな。えーと、Pです。知ってるかもしれないけど、隣の席の者です」

美希「知ってるの」

P「そか…よかった」ハハ

美希「………」ジー

P「あの…」

美希「………」ジー

P「星井さん、今朝の事なんだけど」

美希「………」

P「よく周り見てなかったと言うか、ボーッとしてたと言うか……とにかく今朝はごめ--」

チュッ

千早・春香「!!?」

P「へっ…?」

美希「あはっ☆キスしちゃったの…!ほっぺにだけど」

P「星井…さん?」

美希「ハニー、大好きなの♪」ピト

----------

ザワザワ

美希「ハニィ♪」スリスリ

「は?なんだあれ?」
「くっそーふざけんなよPの野郎!」
「うおお、俺の美希ちゃんが~」
「バカ、俺の美希ちゃんだ!」
「お前がバカだ。美希たそは俺の嫁~」
「P、あいつ普段から春香ちゃんと千早さん独占してやがる癖に美希ちゃんまで…」

コロス…コロス…コロス…

P「は、はは……あの、星井さん?」

美希「星井さんじゃないの。ミキなの」

P「え?いやぁ、そろそろ離れてもらえたらありがたいんだけど…」

美希「……ミキがこうして近くにいたらイヤ?」

P「そういう意味ではないというか」

美希「あはっ☆嬉しいの♪」ギュー

P「うっ、本当にそろそろ離れてもらわないと…その、周りからの殺気がヤバい…主に右隣からの」チラ

千早「………」ギリ

P「ほっ、ほら!もうすぐ授業も始まるし、星井さんも準備しないと」

美希「…ミキって、これからはずっとミキって名前で呼んでくれたら離れてあげてもいいよ?」

P「名前で?わ、わかった。えと……美希」

美希「あはっ♪ハニィー」ギュー

千早「ちょっと美希、約束通り名前で呼ばれたのだから離れなさい!今すぐに!」

美希「もー、わかってるの。ミキ、約束はちゃんと守るの!」パッ

P「ほっ…えーと、次の授業は音無先生の--」

美希「ハニィー!」バッ

P「うおっ」

千早「ちょっと美希、そういうのは離れたって言わないのよ!離れなさい!だいたいその机は何?」

美希「机がどうかした?」

千早「なんであなた達の机だけくっついてるのかって、そう聞いてるのよ」

美希「千早さん、ミキが羨ましいの?」

千早「~~~っ!ち、違うわよっ!そこだけくっついてたら不自然じゃない。だからよ!」

美希「そういう事なら~こうすればいいの!」スッ

ガガガ

冬馬「あん?それ俺の机なんだけど何やって…」

ガコンッ

春香「ふぇっ?み、美希?」

冬馬「!?」

美希「あはっ、これなら何も問題無いの!」

千早「問題大アリよ!」

冬馬「ふぅ、ま、そういう事なら仕方ねえよな。次の授業は…」ガタン

春香「もう、美希ったら!勝手に机くっつけたら先生に怒られちゃうよ?冬馬くんちょっとごめんね~んしょっと」ガガガ

冬馬「…はは、別に気にしてないぜ」

キーンコーンカーンコーン

P「あ、チャイム鳴ったし真面目に元に戻さないと…ね?」ガガガ

美希「あ…」

千早「ふぅ」

美希「………ねぇハニー」

P「ん?」

美希「ハニーの教科書見せて欲しいの。ダメ?」

P「あ、そういう事なら全然いいぞ!ほら」

美希「あはっ、ありがとなのー☆」ガガガ

千早「くっ…」

ガラララ

小鳥「はーい、小鳥先生の授業が始まりますよー!みんな席に着いてね!」

書き溜め分終了保守サンクス眠いから中途半端で落ちたらすまん

小鳥「……ん~?美希ちゃん達…あ、Pさんに教科書を見せてもらってるのね!」

美希「はいなの!」

小鳥(あら?でも美希ちゃんには今朝ちゃんと全教科の教科書は渡したハズ……まぁ仲良くなるいいきっかけよね。うんうん♪)

小鳥「はーい、それでは今日は教科書の76--」

ガッコン

小鳥「な、なに?!」ビクッ

千早「………」

P「ち…はや?」

千早「私にも教科書を見せて欲しいのだけれど」

P「ん?ああ、別にいいけど……あれ?でも千早ってさっき授業の準備してたような…」

千早「……そう。美希には見せるけど、私には見せたくないって…そう言いたいのね?」

P「い、いえっ!どうぞどうぞ見てください」

千早「~♪」

美希「見せてもらうなら右の人に見せてもらえばいいって思うな」

千早「P、今日はこのページからよ」パラ

P「おっ、さんきゅ」

美希「無視しないで欲しいの!」

千早「音無先生、すみませんでした。授業始めてください」

小鳥「え、ええ…」

千早「P、ちょっと見づらいわ。もう少しこっちに寄ってもらえる?」

P「ああ、スマンな」スッ

美希「あっ、ハニー…」

千早「ふふっ、ありがと。すごく見やすくなったわ」

美希「……戦争なの」

春香「………」

----------

美希「ハーニィ、一緒に帰ろ♪」

P「ああ、そうだな。一緒に帰ろうか」

美希「うんっ♪この街の事とか、色々と教えて欲しいな!」

P「俺はこの街には生まれた時から住んでるからな。そういう事なら任せてくれ」

美希「あはっ、期待してるね!」

千早「P、ちょっといいかしら」

P「お、千早か。どうした?」

美希「ミキ、廊下で待ってるね♪」

P「おう、悪いな!……で、どうしたんだ?」

千早「ええ。今日は春香と765カフェにパフェを食べに行くのだけれど、あなたも一緒に来てもらえるかしら?」

P「え、春香とパフェ食べに行くのになんで俺が?」

千早「…オゴリ券、今日使う事にするわ」

P「オゴリ券?」

千早「忘れたとは言わせないわよ。連休中に出された課題見せてあげたでしょう?」

P「あー、そんな事もあったな。すっかり忘れてた」

千早「もう、自分から言い出した事じゃない。いつでもいいって言ってたわよね?」

P「うーん、まぁそうなんだが……今日はなぁ」

P「なぁ千早、今日はこれから美希に街を案内してあげようと思ってたんだけど…。今日じゃないとダメか?」

千早「ええ。余計にダメね」

美希「そこのカフェ、ミキも行きたいの!」ヒョコ

P「おわっ!美希、お前廊下で待ってたんじゃ…?」

美希「ふふーん、千早さんをハニーと二人きりにさせるハズがないの!」

千早「二人きりって何よ」

美希「そのまんまの意味なの。ミキの目はごまかせないよ?」

千早「………そう」

冬馬「おーいP、何やってんだ。さっさと帰ろうぜ」

春香「千早ちゃーん、どうしたの?早く行こっ!」

P「………みんなで行くか」

千早「ふぅ…しょうがないわね」

美希「あはっ、楽しみなの♪」

春香・冬馬「?」

~765カフェ~

美希「あっ、ハニー見て!ここのメニュー飾り付けがすっごく可愛いの♪あーっ、キャラメルマキアートだ!ミキ、これにするー」キャッキャッ

千早「まったく、もう少し静かに出来ないのかしら」

春香「えー、女の子がここに来たら誰だって興奮しちゃうよぉ!あ~今日はどれにしようかな?迷っちゃうなぁ」

P「みんな、あまり高くないヤツで頼む」

冬馬「お前のオゴリなんだろ?いつものクリームソーダも捨て難いが、今日はこのジャンボチョコレートパフェにするぜ!」

春香「でもPくん、本当に私達まで奢って貰っちゃっていいの?」

P「ああ、大丈夫。半分は冬馬のオゴリだから。な?」

冬馬「は?何訳のわかんねえ事を--」

P「スマン春香、やっぱオゴリは無しだ」

春香「そ、そうだよね!何もしてないのに奢って貰うなんてそんな事…うぅ」ショボン

冬馬「……あーっ、わかったよ!出すよ。出せばいいんだろ?」

美希「わかればいいの」

冬馬「…何様だコイツ?」

P「よかったな春香!何頼んでもいいらしいぞ?」

春香「えっ、本当?!Pくん、冬馬くん、なんかごめんね!」

冬馬「まぁ、別に…」

美希「チョロいの」

P「チョロな」

冬馬「ダマれお前ら!ちっ、しょうがねえ。今日もクリームソーダにするか」

千早「ねぇ天ヶ瀬くん、あなた連休中に出された課題どうしたの?」

冬馬「連休中の課題?Pに写させて貰ったが、それがどうした?」

千早「そう。ならあなたも奢る側で当然ね。同情して損したわ」

冬馬「さっきからなんなんだお前ら…」

P「まぁ俺だけが奢らされたんじゃ理不尽だからな。そこは諦めてくれ。俺は何にするかな~」

店員「いらっしゃいませ~。おしぼりとお水をどうぞ」

美希「わぁっ、店員さんの制服もすっごく可愛いの!」

店員「ありがとうございます♪」ルン

ドンッ

P「冷たっ」

店員「ちょっとあんた、注文決まったのならさっさと頼みなさいよね!」

P「なんでいつも俺だけ…伊織、俺はこれでも一応は客なんだぞ?」

伊織「ふんっ、特別サービスよ。ありがたく思いなさい!」

美希「ハニー、この店員さんと知り合い?」

P「まぁな。伊織は俺達の隣のクラスの生徒だよ」

美希「ふーん」ジー

伊織「あんた達もほんっと暇人よね」

美希「この人ツンデレさん?」

伊織「誰がツンデレよっ!…ってあんた、今日転入してきた転校生じゃない」

春香「星井美希ちゃんだよ。伊織、仲良くしてあげてね!」

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