照「きらい」(57)

立つか?

白糸台部室。

菫「おい、照」

照「……なに」

菫「お前にお客さんだ」

照「?」

菫「清澄の宮永、お前の妹だろ」

照「……私に妹はいない。追い返して」

菫「いや、それがもう来てるんだ」

咲「…お姉ちゃん」

照「………」

咲「久しぶり、だね」

照「はぁー…帰って」

咲「え?」

照「菫も。部外者を部室に招かないで」

菫「いや、だがな。お前の妹じゃないのか?」

照「……違う。私に妹はいない」

咲「……お姉ちゃん。うん、分かった。先に帰ってるね」

照「…は?」

咲「弘世さん、これ差し入れです」

菫「あ、ああ、ありがとう」

照「ちょっと待って」

咲「?」

照「……まさかとは思うけど泊まり?」

咲「うん、今日はお母さん家に泊まるよ?」

照「……菫」

菫「なんだ?」

照「今日だけ泊めて」

菫「今日は無理だ。それに妹なんだろ? 一緒にいてやればいいじゃないか」

照「うるさい」スタッ

菫「おい、どこにいく」

照「淡に今日は泊まっていいか聞いてくる」

咲(……お姉ちゃん。そんなに私と一緒にいるのが嫌なのかな)

―――――――

照「結局、誰も泊めてくれない」

照(どうやら私には人望がないみたい)

菫「そう気を落とすな」

咲「そ、そうだよ、お姉ちゃん」

照「まだいたんだ」

咲「あ、うん」

菫「照、今日はもう部活終了だ。帰っていい」

照「……分かった」

咲「お姉ちゃん、帰りにどこか寄って」

照「………」スタスタ

咲「あっ、待ってよ、お姉ちゃん」タッ



菫「はぁー、やれやれ」

帰路。

照「………」

咲「ね、ねぇ、お姉ちゃん」

照「…………」

咲「えーっと、お腹空かない?」

照「………」

咲「あ、あんなところにコンビニがある。やっぱり東京は凄いね」

照「…………」

咲「……お姉ちゃん」

咲「お姉ちゃん、ひとつだけ教えて」

照「………」

咲「……お姉ちゃんは私のこと…嫌い?」

照「……嫌い」

咲「ッ」

照「…もういい?」

咲「あ、うん、ごめんね」しゅん

照「……」すたすた





咲「……」ぽつーん

咲「……お姉ちゃん…やっぱり…」うるうる

咲「あれ…なんだろ…覚悟してたのに……おかしいな…」ぽたぽた

咲「……っ…」ごしごし

咲「…うぇっ…ひっく…ひくっ…なみだ…が止まらないよ…」ポロポロ

―――――――

照「ただいま」

母「おかえり、照。あれ、咲は一緒じゃないの?」

照「……知らない」

母「そう、どうしたのかしら、あの子」

照「お母さん、今日の夜ご飯はなに?」

母「麻婆豆腐よ」

照「……着替えてくる」

母「あっ、ちょっと待って。悪いけどあの子を探しにいってくれないかな」

照「………」

照「なんで私が、アレを探しにいかないといけないの?」

母「……照。おねがい」

照「………」

母「あの頃はあんなに仲が良かったじゃない」

照「昔の話はしないで」

母「ねっ、照」

照「……分かった。探しにいってくる」

―――――

咲「ここは、どこかな」

咲(うう、完全に迷子になっちゃったよ。どうしよう)

咲「……えっと……あれ…」

咲「………」じわっ

咲「っ」ふるふる

咲(いつまでも泣いてちゃダメだよね)

咲(……お姉ちゃん……)とてとて、ぐきっ

咲「キャッ!」ドサッ

咲「痛ッ…」ズキ

咲(どうしよう、足を捻った。痛くて歩けない)ズキズキ

咲「はぁー…」

咲(どうしてこんなことになったんだろ)

咲(………私はこんなにお姉ちゃんのこと好きなのに…お姉ちゃんは私のこと…嫌いなんだよね)

咲「……お姉ちゃんのバカ」ボソッ

照「……誰がバカなの?」

咲「…へ?」

咲「お、お姉ちゃん。どうして…もしかして心配を」

照「………勘違いしてるようだけどお母さんに迎えにいけと言われた。それだけ」

咲「そ、そうだよね、あはははは…」

照「………いつまで地べたに座り込んでいるつもりなの?」

咲「あっ、えーっと、その、私はまだここにいるよ」

照「………」ジーッ

咲「お、お姉ちゃん?」

照「……もしかして捻挫?」

咲「…うん。だけど大丈夫だよ、お姉ちゃん。あんまり痛くないから」

照「………仕方ない。(背中に)乗って」

咲「へ?」

照「その足じゃ歩くのも辛いはず」

咲「でも、その」

照「良いから」

咲「それじゃあ、お言葉に甘えて」ギュッ

照「…きちんと抱き着いて」

咲「う、うん」ギュウウウ

照「…おいしょと」

照(……昔に比べると重い)

咲「お、お姉ちゃん。ごめんね。重いでしょ」

照「………別に」

咲「……お姉ちゃん。なんで…来てくれたの?」

照「さっきも言ったはず。お母さんが探してこいと言ったから来ただけ」

咲「そっか…」

咲(でも、やっぱり昔に戻れたみたいで嬉しいな)ギュウウウ

照「……ちょっと力を緩めて。少し苦しい」

咲「ご、ごめんね、お姉ちゃん」

咲(お姉ちゃん、良い匂い。なんの匂いかな。なんか落ち着く)

咲「ねぇねぇ、お姉ちゃん」

照「………なに?」

咲「お姉ちゃん、良い匂いだよね」

照「……落とすよ」

咲「あ、ごめんね」

照「……別にいい」

咲「お姉ちゃん。お姉ちゃんは…そのっ」

照「……」

咲「やっぱり私のことは……」

照「…嫌い」

咲「……やっぱり…そうだよね」しゅん

照「だけど―――どうでもいいわけではない」

咲「えっ」

照「どうでもいい相手を背負ったりはしない」

咲「お姉ちゃん…」ウルッ

照「………」

咲「えへへ、私はお姉ちゃんのこと大好きだよ」ニコッ

照「……」

咲(今はまだ好きじゃなくてもいいよ、お姉ちゃん。いずれ私のことを好きにさせてみせるから)ギュウウウ

カン!

くぅ疲
二ヶ月ぶりに書いたけど疲れたわ

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