夏目「獣の槍?」(93)

小さい頃から時々変なものをみた
他の人には見えないらしいそれらはおそらく
妖怪と呼ばれるものの類

夏目「良い天気だな、ニャンコ先生」

ニャンコ先生「うむ。そうだ夏目! 確か七辻屋で饅頭の安売りをやっているらしいぞ! 買っていけ!」

夏目「塔子さんに頼まれたおつかいが終わったらな」

夏目「……ん? あれは?」

???「えーっと、この辺りのはずなんだけど……あーもう!親父の奴地図分かりづらすぎるんだよ!」テクテク

夏目(なんだろう? 中学生みたいだけどここらの制服じゃないよな)

夏目(それにあの子の持っている棒、布にくるまれてるけど妙な気配がっ!?)ザワッ

ニャンコ先生「ん? どうした夏目?」

夏目(何だ? 何かが近づいてくる?)キョロキョロ

夏目「!」

ヒューン

ニャンコ先生「あれは……」

夏目「き、金色の妖怪? しかもかなり強そうだぞ……っ!?」

夏目「不味い! あの子に向かっている、まさか襲うつもりか?」ダッ

ニャンコ先生「あ、おいこら待て夏目!」

夏目(だめだ、間に合わない)

夏目「おいそこの君! すぐにそこから……」

とら「おいうしお見ろ見ろ! あそこの屋根におもしれえもんが生えてたぞこぶ!?」

潮「ばっきゃろー!とらお前そりゃBSアンテナじゃねえか、すぐ戻してこい!」ごいんごいん!

夏目「……え?」

とら「ってーなー何しやがるこのくそちびガキが!」

潮「何やってんのはおめーだこの大妖怪(笑)が! いいかげん覚えろ!」

ぎゃあぎゃあ

夏目(な、何が起きてるんだ?)

夏目(金色の妖怪が近づいたと思ったらあの子に棒で殴られてそのまま2人で喧嘩を始めた?)ハッ

ヒソヒソ

ヤーネーナニヤッテルノカシラアノコ
ハルダカラカシラネエ
ミナイカオダケドドコノコカシラ

※とらはふつーの人には見えない

夏目「と、とにかく止めないと。おいそこの君!」

潮「へ?」

とら「あん?」

ニャンコ先生「…………」

夏目「取りあえず場所を移したから少しはましかな」ゼエ、ゼエ

潮「ごめんな兄ちゃん。なんか迷惑かけたみたいで」

夏目「いや、構わないよ。それより……」フイ

夏目(やっぱり近くで見ると分かる。この妖、多分とんでもなく強い妖だ)

夏目(でもなんでこの子の傍にいるんだ?)ジィ

とら「あ? 何見てやがんだ人間、喰うぞコラ」

ニャンコ先生「勝手な事を言うな。そいつは私の獲物だ」

とら「ん?」

潮「うわなんだ!? 変な猫が喋った?」

ニャンコ先生「誰が変な猫だ! それより、久しいな長飛丸(ながとびまる)」

潮「とら? この猫?とらの知り合いか」

とら「いや、知らねえな」

ニャンコ先生「なっ!? 貴様長飛丸! この私を忘れるとはどんだけ無礼なのだ!?」

とら「わしはお前みてえな豚だか猫だかの妖怪なんざ見たこともねえ……ん?」ヒョイ

ニャンコ先生「わ、何をする貴様、離せ!」ジタバタ

とら「くんくん……おめえ、もしかして斑か?」

ニャンコ先生「む。ふん、ようやく気がついたか。全く……」

とら「だーはっはっは! おめえ何だその姿はよ! 500年前もがきんちょだったけどさらにちっちゃくなってんじゃねえか!」

ニャンコ先生「な、何を!? この姿は私を封印した招き猫であって本来の私はそれはもう高貴な」

とら「そんな豚猫みてえなもんに封印されたのかよ!ぎゃはははは「おめーも人の事言えねえだろうが」はば!?」

夏目(なんだろう……この二人の関係がいまいちよくわからない)

夏目「なあ、ちょっと聞きたいんだけど、えーっと……」

潮「あ、俺は蒼月潮、潮でいいよ」

夏目「潮君か。俺は夏目貴志、よろしく。それで、そこの妖なんだけど」

潮「あ、やっぱ見えてんだ」

とら「確かに人間にしちゃ強え力は持ってそうだな」

夏目(やっぱり敵対している雰囲気じゃない。ということは)

夏目「その、その妖は潮君の式なのか?」

夏目(名取さんも柊達を従えているし祓い屋なのかもしれない)

うしとら「「はあ?」」

とら「何言ってやがんだこのガキ? こんなガキの式になんざわしがなるわけねえだろ」

とら「わしはな、こいつに取り憑いてんのよ。今は我慢してるがこのくそ忌々しい獣の槍を手放したらすぐにでも喰ってやる」

うしお「おうやってみやがれ! その前にお前の大嫌いな獣の槍で退治してやらあ!」

夏目「獣の槍?」

ニャンコ先生「なるほど。やはりその小僧の持つソレがあの獣の槍か」

夏目「先生、知ってるの?」

ニャンコ先生「うむ。獣の槍というのは私達妖怪の天敵とも言える意志ある化物器物」

ニャンコ先生「一突きで大抵の妖を問答無用で滅ぼす凶悪な槍だ。最近再び世に現れたと聞いてはいたが」

夏目「なっ、問答無用で妖を滅ぼす!?」

夏目(それってつまり、あの的場一門のような事をこの子がやってるのか?)

夏目(……いや)

潮「うりうり」グリグリ

とら「ぐぎぎ」

夏目(妖の鼻に向かって棒、じゃなくて槍を押しつけてるこの子がそんなことをしてるようには思えない)

夏目「ところで、潮君はこんなところで何をしてたんだ? ここらの子じゃないよな?」

潮「あ、そうだった。ちょっと家の親父におつかい頼まれてさ。この辺に知り合いの人の寺があるらしいんだけど地図が分かりづらくって」

夏目「寺?……ちょっとその地図見せてもらってもいいかな」



八ツ原

田沼父「いやはや遠いところをわざわざ済みません。こんな辺鄙なところで道に迷いませんでしたか?」

潮「大丈夫だよ、です。途中で貴志兄ちゃんに会って教えてもらえたから」

田沼父「そうですか。夏目君もありがとう。せっかく来てくれて悪いけど要は今出かけてて私もこの後用事があるからお茶も出せずに申し訳ない」

夏目「いえ、構いませんよ。おれもこの後ちょっとおつかいがあるので」

田沼父「いやあ本当にありがとう。蒼月君も遠くからお疲れ様」

田沼父「父君の紫暮(しぐれ)さんには昔、修行時代にお世話になりましてね。もっとも私は妖怪を見る事も出来ませんでしたが」

とら「確かにわしがこんな近くにいても気付かんもんな」

※とらはふつーの人には見えない

田沼父「せめて法力でも付けようと門派こそ違えど一時期弟子入りのような形を取ったのですが、全く駄目でしたね」カシワデパン

とら「ぬお!?」

潮「とら!?」

夏目(ああ、そう言えば田沼のお父さんは妖は見えないけど法力は強いんだったな)

とら「このクソ坊主、間近でいきなり驚かせやがってイイ度胸じゃねえか。ちっと撫でてやろうか」

潮「やめんか馬鹿!」

ぎゃいのぎゃいの

田沼父「? 蒼月君は一体何を?」

※とらはふつー(ry

夏目「え、あ、蜂です。蜂がいたので追い払ってるみたいです」アセアセ

田沼父「はあ、そうですか。蜂なんていましたかね?」

夏目「と、ところでさっき潮君のお父さんの話してましたけど法力とかそういうのを扱う人なんですか?」

田沼父「紫暮さんですか? ええ、光覇明宗という仏門の一派ですがそのような話を聞いた事がありますね」

夏目「じゃあ、もしかしたら潮君も妖怪退治みたいなことをやっているんでしょうか?」

田沼父「はは、どうでしょうね。確か御子息はまだ仏門に入ってもおらずこのままでは芙玄院の跡継ぎがいないと紫暮さんから聞いた事はありますが」

夏目「…………」

潮「ふう。取りあえずこれで親父のおつかいも終わったな。貴志兄ちゃん、案内してくれてホントありがと!」

夏目「いいよ。友達の家だったし俺もこっちの方向に用事があったから」

潮「でもこんなところで妖怪を見える人に会うなんて思わなかったよ」

夏目「ああ、それは俺もだよ。昔は全然会わなかったのに最近はたまにそういう人と会う事が増えてきたな」

潮「へぇー、俺も最近見えるようになったけど結構色んな人と会ったぜ。大体は親父の知り合いとかだけど」

夏目「……潮君はもしかして祓い屋なのかい?」

潮「祓い屋? ああ、親父たちみたいな事? 違う違う、俺はただの中学生だよ」

夏目「その槍は妖を滅ぼせるって聞いたけど」

潮「あれ? 獣の槍の事も知ってんの?」

夏目「うん、さっき先生から聞いた。妖を問答無用で滅ぼす槍だって」

潮「確かに俺は槍を持ってるし戦うことだってあるけどけど別に好き好んで妖怪を殺したいなんて思っちゃいないよ。……殴るこぶしが痛いことだってあるし」

夏目「……ごめん、何か不味い事を聞いてしまったみたいだ」

潮「いや大丈夫だよ。 俺だって好きで使ってるわけじゃないけどやらなきゃいけない事があるのは分かってっから」

夏目「そっか」

夏目(自分でもらしくない無遠慮な質問だと思った)

夏目(もし潮君が的場一門のような祓い屋だったら会う妖全てを滅ぼしていたのかもしれない)

夏目(もしかしたら俺の知ってる妖も、ヒノエや三篠や中級達が危険にさらされるかもしれない。そう思ったら聞かずにはいられなかった)

夏目(でも、どうやら潮君は違うようで安心した)

夏目(それにこんな風に明るく笑える子がそんな事をするようには思えない)

夏目(……妖が見えてても潮君は辛くないのかな)

潮「さてと、あとは田沼さんからもらったこの手紙を持って帰るだけだし景色もいいから絵でも描いてこっかな」

とら「ああ? やめとけやめとけ。あんなド下手な絵なんざ描いてもしょうがねえわ。それよりうしお。来る時のえきまえの店でてろやきばっかが売ってたぞ。買え」

潮「お前行きに真由子からもらって喰ってたじゃねえか」

とら「あんなんじゃ足りん。なんならお前でもいいが」

潮「喰えるもんなら喰ってみやがれ」

夏目「てろやきばっか? ……ああ、もしかして照り焼きバーガーのことかな」

ニャンコ先生「ふん、長飛丸ともあろうものが人間に飯をねだるとはな。妖怪として情けない姿だな」

夏目「え?」 

ニャンコ先生「ん? どうした夏目?」

夏目「……いや、なんでもない。そういえばさっきから気になってたんだけど先生はあの長飛丸?と友達なのか?」

ニャンコ先生「友達だと? そんな仲ではない。昔国中の妖が集まって一匹の大妖と戦った事があってな。その時に少し知りあっただけだ」

夏目「国中の妖が? そんなに相手の妖怪は強かったのか?」

ニャンコ先生「……まあな。アレは他の妖とは一線を引く別物だ。光が集まって人となったようにアレは闇が集まって出来た化物。人も妖も関係なく殺すアレは獣の槍と並ぶ妖にとっての怨敵だ」

夏目「そんな妖怪が……でも今はその妖怪はいないんだな」

ニャンコ先生「…………いや、アレは」

ビュウウウウウ

ニャンコ先生「ぶわ!?」

夏目「うわ、凄い風だ!」

うしお「あ、やば! 手紙が!」ダッ

夏目「あ、潮君!」ダッ

ニャンコ先生「む? ええい、わざわざ面倒事を」ボテボテ

とら「けっ相変わらずマヌケだねーうしおはよ」ヒューン




夏目「潮君、大丈夫か?」テッテッテ

潮「あ、うん。なんとか拾えたよ」

夏目「そっか……? あれ、この辺りは」キョロキョロ

ニャンコ先生「ふむ。どうやらまた妖道のどこかに入ってしまったようだな」

夏目「みたいだな。しかもこっちの方向は確か……」

―――――ぃ―――

潮「? とら今なんか言ったか?」

とら「いや、わしじゃねえ、つーかこりゃあ」

すううううううう

夏目「霧? なんでいきなり」

夏目「(一気に辺りが霧で埋まって見えなくなった。これはやっぱり)先生、これは妖の仕業か?」

夏目「……先生? あれ? 何処行ったんだ先生?」

とら「さっきからおめーが呼んでんのは斑か?」フワ

夏目「うわ!」

とら「いちいちビビってんじゃねえよ人間。……うしおの奴もいねえな」

夏目「え? そんな、さっきまで一緒だったのに、これも妖のやったことなのか?」

とら「こりゃあこの妖霧が原因だな。シュムナとは違えみてえだが」キョロキョロ

夏目「えっと長飛丸、だったか。これがなんなのか分かるのか?」

とら「……わしをその名で呼ぶんじゃねえ、嫌いな名だ」

夏目「え、あ、ゴメン。それじゃあ、潮君が言ってたとら、でいいのか?」

とら「ふん……」

潮「あれ? とらも貴志兄ちゃんもいねえ」

ニャンコ先生「む、夏目の奴が見当たらん。ええいまたあののろまめ! 世話の焼ける」

潮「あ、斑、だっけ? 斑はいたんだな」

ニャンコ先生「む、獣の槍の小僧。人間に私の名前を呼ばれるのは不快だ。私の事は先生と呼べ」

潮「(先生?)良く分かんないけど分かったぜ先生」

ニャンコ先生「うむ。それにしてもこの霧、妖力は感じるが辺り一面に充満して何処から来てるかわからんな」

潮「獣の槍も反応はしてるけど本体が何処にいるのか分からないな……なあ先生」

ニャンコ先生「なんだ小僧?」

潮「この妖怪がどんな妖怪か分かるか? 前にシュムナって妖怪と戦ったんだけど、もしアイツみたいに人を溶かして喰っちゃう奴だったらヤバい」

ニャンコ先生「シュムナとだと? 良く生きていたな。 確かにこの霧も妖霧のようだがアレとは違うだろう。もしそうなら今頃既に溶け始めていてもおかしくない」

潮「そっか、ならよかった」

参考までに

ニャンコ先生「ただこの気配、前にどこかで」ウーム

潮「うーん、とにかく貴志兄ちゃん達を探そう。とらが一緒ならいいけどもしヤバい妖怪だったら危ないし」

ニャンコ先生「む、一緒?……!? まずい、長飛丸の奴に夏目を喰われかねん! おい小僧、急いで探すぞ!」

潮「え? とらが兄ちゃんを喰う? 平気だと思うけど」

ニャンコ先生「なんだ貴様、あいつがどんな妖か知らんのか? 長飛丸と言えばこの私ほどではないにしろこの国でも名の知れた妖怪だぞ。夏目の奴は妖力も高いからさぞ御馳走に見えているに違いない」ボテボテ

潮「あ、先生待てって!」

夏目「おーい、ニャンコ先生ー! 潮くーん! 何処だ―?」

夏目「駄目だ。只でさえ視界が悪いから何処にいるのかも分からない。もう少し奥へ行ってみようか」テクテク

とら「けっ、あんなガキ放っておいても別にかまわねえけどな」

夏目「とらは潮君が心配じゃないのか?」

とら「心配だあ~? あのな人間。さっきも言ったがわしはあいつを喰うために憑いてんのよ。そのわしがなんであんなちびを心配しなきゃならねえんだよ」

夏目(……潮君は優しそうな子だったけどこの妖はどうなんだろうか)

夏目(もし本当に潮君を食べるために取り憑いているのだとしたら、放っておいていいんだろうか)

夏目「……ともかく急ごう。ただでさえ妖道にはどんな妖怪がいるか分からないんだ。早く見つけないと」

―――――け―――

夏目「? なんだ? また妙な声が」

???「こんなところまで誰かを心配して来るなんて、やっぱり夏目は優しいね」

夏目「!?」

とら「なんだ? ガキか?」

夏目「な、なんで……君がここにいるんだ?」

カイ「俺のことは裏切ったのに」

夏目「カイ、どうして、ここに」

夏目(カイは以前俺が人間の子供だと思って接していた妖だ)

夏目(名取さんに追われていたカイは俺がカイを退治するために騙していたと誤解して、そのまま姿を消してしまった)

夏目(いつか会えたなら仲直りをしたいと思っていたけれど、なんでこんなところに)

カイ「どうして? 妖の俺がここにいるのがそんなにおかしい? ここでは人間の夏目の方がいたらおかしいんだよ」

夏目「カイ、聞いてくれ。あの時のことは」

カイ「聞きたくない。もうたくさんだ。さっさとここから出ていってくれ」

夏目「カイ! 頼む、話を」

カイ「うるさい! 聞きたくない! 出ていけ! 出ていけ! ここから出ていけ!」

夏目「……分かった。カイ、君が俺を許せないのは分かる。裏切られたような気持ちになるのも分かる」

夏目「俺にここから出ていってほしいのならそうするよ。でも今ここには俺以外にも人が入ってしまっているんだ」

夏目「だから、せめてその子を見つけるまで「うるさい! 出ていけ!」っ!」

夏目(駄目だ。カイはそんなにも俺を恨んでいるのか)

夏目(でも二人を置いて先に帰るわけには)

とら「おいこらガキ。何勝手なこと言ってんだ」

夏目「とら?」

カイ「……なんだよお前」

とら「なんでわしがおめぇのいうことなんざ聞かなきゃならねえんだよ」ひょい

カイ「おい、これ以上奥に進むな。さっさとここから出ていけ」

夏目(ん? なんだ? 何か違和感が)

とら「うるせえガキだな……ん? ああそういうことか」

カイ「何がだ。いいからここから出ていk」

とら「消えるのはてめーだ」

ゴオオオオオオオオオオオ

カイ「」

夏目(今見た物が一瞬理解出来なかった)

夏目(進むとらを引きとめようとしたカイに向かってとらが口から信じられないほどの炎を吐きだして)

夏目(そのままカイは炎に呑まれていった)

夏目「あ、ああ、あああ」

とら「ふん、やっぱりかよ」

夏目「っ! 何てことをするんだ!」

とら「あん?」

夏目「どうして、どうしてカイを、カイを!」

とら「待て、落ちつけ人間」

夏目「落ちつけって、落ちつけるか! 何でカイを」

とら「だから落ちつけ」ごん!

夏目「~~~~~っ!!」

とら「さっきのあれがおめぇのなんなのかは知んねえけどありゃ妖怪じゃねえよ」

夏目「~~~っ、妖怪じゃ、ない?」

とら「あったりめえだろ。妖怪ってのはぐちゃぐちゃにしてすりつぶさなきゃ死んだりしねえんだよ。あんなんで簡単に死ぬかよ」

夏目「じゃ、じゃあさっきのカイは誰だったっていうんだ?」

とら「あれはよ……―――」

潮「おーい! とらー! 貴志兄ちゃーん!」

ニャンコ先生「ええい! あの白もやしめ。勝手な事をするからこうなるのだ!」

潮「えっと、そういや先生はなんで貴志兄ちゃんと一緒にいるんだ?」

ニャンコ先生「ん? 私はアレの用心棒だ。アレが死んだ際には色々もらう約束をしていてな。だから勝手に他の妖怪に喰われるわけにはいかんのだ!」プンプン

潮「ふーん。まあとらが傍にいるなら大丈夫だろ」

ニャンコ先生「どこがだ! むしろ一番心配だわ!」

―――て―け―――

潮「! 槍が!」キイイイイイィ

???「『槍が鳴った。近くに妖怪がいるのか』と、思ったろう」

あ、確かにプロットは被ってんのな
インスパイアされたって奴?

>>54
何のこと?


潮「!?」

ニャンコ先生「なんだ? 妖か?」

???「『ありえない、アイツがここにいるはずがない』と、思ったろう」

さとり「『だって俺が殺してしまったんだから』と、思ったろう」

潮「さとり……」

ニャンコ先生「さとりだと? なぜ山奥にいるはずの妖がこんなところに?」

さとり「え、へへへ、久しぶりだなあ」

潮「さとり、お前、何で」

さとり「オレがなんでここにいるのかなんて決まってるだろ。ミノルとここに住むためだあ」

潮「!」

さとり「『何を言ってるんだ? ミノルは小父さん達に引き取られたはずだ』? 何言ってんのはおめぇだよ。ミノルはここでオレとずっと一緒にいるんだ」

さとり「だから出てけ」

さとり「早くここから出てけよ」

ニャンコ先生「……おい、小僧。あれはさとりではないぞ。あれは…」

潮「……分かってる。槍が教えてくれてる」

潮「何よりも分かってんだ」バサアア

さとり「何やってるんだよ。早く出てk」

ずどん!

潮「さとりは最期の時までミノルの幸せを願ってた」

潮「やり方間違えてしまったって後悔しながらもミノルの事を考えてたんだ」

潮「そのアイツがまた同じ間違いなんかやるもんかよ!」

>>55
夏目友人帳とうしとらの話が似てるって話だろ

>>57
ああそういうことか


しゅうううう

ニャンコ先生「うむ。やはり幻か。ん? どうした小僧?」

潮「……どこのどいつだよ。さとりのことを馬鹿にするようなことしやがって」ブルブル

ニャンコ先生(髪が伸びて妖力も信じられんほど高まっている。なるほど、まさに『獣の槍』だな)

潮「ああーくそ! 先生! この妖怪がどんなのかなんか知らねえか?」

ニャンコ先生「ふむ。先ほどの幻で思いだしたが、これは“むげん”だな」

夏目「霧幻?」

とら「ああ。霧で覆ってその中で人間の怖えもんや嫌いなもんとか後悔してるもんとかそういうのを心から呼び出して脅かす妖怪でよ」

とら「普通なら人間をビビらしてそれを楽しむだけのチンケなやつなんだがなんか変だったな」

夏目「そういえば前に西村達から聞いた事がある」

回想

西村「なあ夏目! 夏目って怪談とか得意か?」

夏目「え!? いや、別に得意ではないけどどうしたんだ?」

西村「いやさ、前にも肝試しとかやったけどまたそういう事やらないかなって思ってたらさ。なんと近くにそういう場所があったんだよ」

北本「ほら、八つ原に廃寺があったろ。って今は田沼の家だったな。あそこから北に向かった辺りに人が寄りつかない森があってな」

北本「そこに入り込むと何かにそこを追いだされるらしい」

夏目「何かって?」

北本「さあ、人によってバラバラでさ。小さい頃噛まれた犬だったりけんか別れした友人だったりと色々あるけどどうもその人達が苦手にしてるようなもんらしいぞ」

北本「正直眉つばな話だけど肝試しとしてはまあ悪くはないって事になってな」

西村「そうそう! だからまたいつか前みたいに人を集めてやろうぜ。家も近いし田沼も誘ってさ! あ、あと多岐さんも!」

北本「お前の目的はそれか、このー」グリグリ

夏目「ハハハ」カワイタワライ

夏目「つまり人のトラウマとかを幻にして出す妖ってことか」

とら「あ? とらうま? わしがどうした?」

夏目「それにしてもさっきの様子、脅かすというよりはここからとにかく出ていってほしい様子だった。何かあるのか」無視

とら「ん? なんか来るな」

夏目「また幻か?」

ガサガサ

ニャンコ先生「おお夏目! 喰われてはいなかったか」

夏目「先生!」

潮「とら! 貴志兄ちゃんも! 無事だったんだ」

とら「は、わしがこんな幻をつかうやつになんざ負けるかよ」

ニャンコ先生「? どうした夏目? 顔色が悪いぞ?」

夏目「……いや、何でもないよ」

夏目(とらはさっきのカイは幻だといった。妖はあのくらいでは死なない、とも)

夏目(でもあんなためらいなく攻撃されているのを見て落ちついてはいられなかった)

夏目「なあニャンコ先生。あのとらって妖はどんな妖怪なんだ?」

ニャンコ先生「とら? 長飛丸のことか? あれは2000年近く生きている大妖でな。私ほどではないにしろかなりの強さを誇っている。なにせ雷と炎を自在に操る上に飛べば遥かな距離も一瞬であることからその名がついたくらいだからな」

夏目「……悪い妖怪なのか?」

ニャンコ先生「当然だろう。長飛丸と言えば雑魚妖怪ならばその名だけで当時は震えあがり逃げ出す者もいたくらいだ」

ニャンコ先生「人も良く食う奴でな。どこぞの姫を喰い損ねたという話を聞いた時には珍しい事もあるものだと思ったほどだ」

夏目(やっぱり危険な妖怪なのか……)

潮「おいとら。 貴志兄ちゃんに迷惑かけてねえだろうな」

とら「しらねーよ。いちいち人間のことなんざ気にしてられっかよ」

夏目(潮君は親しげに話してるけど大丈夫なんだろうか?)

とら「ほれ、さっさと帰んぞうしお。こんなめんどくせえとこにもう用はねえだろ」

潮「何言ってんだよとら。悪さしてる妖怪がいんなら放っておけねえよ」

とら「おめぇはまたなんでそうやって面倒に首突っ込むんだよ! 霧幻は人を喰ったりしねえんだから別にいいだろうが!」

潮「先生もそう言ってたし確かにそうかもしんねえけど嫌なもん見せつけたり辛い事平気で突きつけるような奴このままにしておけるかよ!」

とら「あーもう! わしは手伝わねえぞ!」ぷい!

潮「おういらねえやい!」ぷい!

ニャンコ先生「あやつらはやる気のようだが私達は戻るぞ夏目」

夏目「え?」

ニャンコ先生「……まさかお前も残るつもりか? こんな妖道に入る人間など滅多におらんぞ」

夏目「それは、でも分かっていて何もしないのは」

ニャンコ先生「全く、この馬鹿者め」ボテボテ

夏目「先生?」

ニャンコ先生「霧幻は霧の発生地に本体がある。ならば奥へ進まんと見つからんぞ」

夏目「……ありがとう先生」

ニャンコ先生「ふん」

潮「大分奥に来たけどどんどん霧が濃くなってんな」

とら「ばーか、そりゃ本体に近づいてんだから当たり前だろうが」

夏目「あれ?」…ィィン

ニャンコ先生「どうした?」

夏目「なんか今友人帳が反応したような」

―――――いけ―――

一同「!」

――――ていけ―――

―――でていけ―――

―――でていけ―――

でていけでていけでていけでていけでていけでていけでていけでていけでていけでていけでていけ

ここからでていけ!

ずぞぞぞぞぞぞぞ

夏目「! な、なんだこの妖?」

夏目(今までいろんな妖を見てきた)

夏目(人に悪さする妖も親しげな妖もたくさんいた)

夏目(でもこんな)

ニャンコ先生「この匂い、白面の者か!」

夏目(悪意しか伝わってこない妖は見た事がない!)

とら「ちぃ! 婢妖の大群かよ! うしお! おめぇ何にビビってやがんだよ!」

潮「ああ!? ビビるかよ! そんなことよりやるぞとら!」バサア

とら「うっせーんだようしお! わしはやらんといっただろうが!」

夏目(これが妖なのか? こんな悪い物をそのまま形にしたようなものが妖なのか?)

ニャンコ先生「夏目! 何をしている避けろ!」ドロン

夏目「え、うわ!?」メヲギュ!

夏目「…………」

夏目「…………浮いてる?」

とら「たくよお。わしは人間なんざどうでもいいけど見殺しにしたらうしおの奴に『なんで助けなかった』とかいわれんだぜ?」フワ

夏目「……助けてくれたのか?」

とら「ふん勘違いすんじゃねえぞ? わしは人間なんざどうだっていいんだよ。おら斑! おめえの獲物だろうがしっかり持っとけ」

夏目「わっ」ドサ

ニャンコ先生「無事か夏目?」

夏目「あ、ああ」

とら「大体なんでわしがこんなことしなきゃいけねえんだよ。それもこれも全部うしおの馬鹿のせいだ。あーもう暴れちゃる!」バッ!

トラ!チョウドヨカッタノセロ!
ウッセーナオメエハヨ!

夏目「先生、なんなんだあれ!? あれも妖なのか? あんなのが妖なのか!?」

ニャンコ先生「さっき言っただろう。他の妖とは一線を引く大妖がいると。あれはその眷属だ。 あの親玉である白面の者はこんなものではないぞ」

夏目「そんな、あんな負の感情しか伝わってこない妖よりまだ凶悪なのがいるのか……? 先生、潮君は何処へ行ったんだ?」キョロキョロ

ニャンコ先生「何を言っている? あそこにいるぞ」クビサシシメシ

夏目「? あのとらの上に乗っている髪の長い妖? 確かに潮君の持ってた槍をもってるけどアレは人じゃないぞ?」

ニャンコ先生「当然だ。獣の槍は使用者の魂を削り獣と化す。だからこそあの槍は強い力を持つのだ」

夏目「あれが、潮君?」

潮「ふっ! やっ! おいとら! ホントにこれ幻かよ! 直ぐに消えるけど幾らでも出てくんぞ!」

とら「だぁほ! 幻だからよ! これを生み出している霧幻をみつけねえといつまで経ってもこいつらは消えねえぞ」

ニャンコ先生「!? 夏目 掴まれ!」

夏目「うわ!」

ニャンコ先生「おのれ!」カッ!

ばしゅうう

夏目「先生! 大丈夫か!」

ニャンコ先生「ふん。 幻などにやられる私ではないわ。それにしてもこのままではジリ貧だぞ。長飛び丸の言うとおり本体を叩かねばどうにもならん」

夏目「本体って、霧幻を見つければいいのか」

夏目「けど辺り一面妖だらけでとてもじゃないけど……ん?」

夏目(なんだあそこ? 婢妖の奥に何かある)

夏目「先生! あそこに向かってくれ! あそこに何かある!」

ニャンコ先生「何? よし!」

ずぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞ

ニャンコ先生「くそ! 数が多すぎる! これでは近づけん!」

夏目「そんな」

潮「貴志兄ちゃん! なんか分かったの?」

夏目「潮君? えっと、あそこに多分霧幻がいるんだ。ただ婢妖の数が多くて進めないんだ」

潮「あっちの方? 分かるかとら?」

とら「幻とは言え婢妖の妖気だらけで霧幻の気配なんざわかるかよ」

潮「……分かった! 婢妖は俺ととらでなんとかするから貴志兄ちゃん達で霧幻を頼む!」

とら「こらうしお! なに勝手なこと言ってn」ごいん!

潮「うるせーな! お前だってさっさと終わらせたいんだろ! だったら文句言わずに雷でも落としやがれ!」チャキ

とら「こんのクソガキがぁ! 巻き添え食らっても知らんぞ!」バリバリバリ

ニャンコ先生「ほう」

夏目「すごい。槍に落ちた雷が周囲に拡散して回りの妖がどんどん消えていく」

潮「兄ちゃん! 今だ!」

夏目「先生!」

ニャンコ先生「任せろ」カッ!

バリィィィン

夏目「霧が晴れた……」

ニャンコ先生「婢妖も消えたな」ドロン

霧幻「ひ、ひいい!」

夏目「この妖が霧幻か。 ん?」

とら「おめえかこんなめんどくせえことさせたのはよお!」ゴオ

夏目「ま、待ってくれ!」バッ

潮「げ! 止まれとら!」

とら「どわ!」キキイ

潮「貴志兄ちゃん危ないよいきなり」

ニャンコ先生「全くだ夏目。もし長飛丸に喰われでもしたらどうする?」

霧幻「……夏目?」

一同「ん?」

霧幻「夏目、夏目レイコ、レイコ、ああ来たのかレイコ! また人間に追われてたのか? 待ってろ、今直ぐ他の人間を追い払ってやるから!」

潮「な、何だコイツ? 貴志兄ちゃんの知り合いなのか?」

霧幻「こいつか? こいつがレイコを虐めたんだな? おのれ人間め。出ていけ、出ていけ、出ていけ!」

夏目「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺はレイコさんじゃない。レイコさんの孫だ!」

霧幻「ま、ご?」

霧幻「そうか、レイコはもういないのか」

夏目「ああ。ところで……あ、潮君、あと、とらも悪いけど少し向こうに行っててもらえないかな?」

とら「あん?」

潮「なんで?」

夏目「……ごめん。理由は話せない」

潮「……何か良く分かんないけど分かった。よしとら行くぞ」

とら「あ? なんでわしがこいつのいうこと聞かなきゃいけな」げごむ!

潮「い、い、か、ら、い、く、ぞ」ズルズル


夏目「えっと、改めて聞くけど霧幻? この友人帳に名前があるな?」

霧幻「友人帳? ああ、確かにレイコに名前を書かされていたな。すっかり忘れていた」

夏目「……名を返そう」

パララララ

ぱんっ

ふ……

『お化け女いたか?』

『いやいなかったぞ』

『あ、いた! あっちだ!』

『ってうわ! 犬だ!』

『は? 何言ってんだ? って蜂がいっぱい!』

『に、逃げろ!』

ワーワー

霧幻『ふ、ふふ、馬鹿だな人間は。幻に怯えて勝手に震えて。なんて臆病なんだ』

レイコ『ねえ、さっきの子達追い払ったのあなた?』

霧幻『わ!?』

レイコ『あら? 声をかけられただけで吃驚しちゃうの? あなたも十分臆病ね』

霧幻『な、なんで、お前にも幻を見せてたのに』

レイコ『幻ってあの石を投げてくる人達? 私ああいうの普段から見てるから慣れちゃった』

レイコ『そんなことよりあの子達を追い払ってくれてありがとう。直接相手しても良かったんだけどまた問題になっちゃうのも嫌だったから助かったわ』

霧幻『……え?』

レイコ『どうしたの?』

霧幻『お前、今私にありがとうと言ったのか?』

レイコ『ええ。助けてもらったならお礼を言うのは当然でしょ?』

霧幻『……お礼など言われたのは初めてだ。人間はいつも、私に怯えていたから』

―――……

レイコ『あら、もうこんな時間。そろそろ帰らなきゃ。じゃあね話してて楽しかったわ』

霧幻『……待て』

レイコ『あら、何?』

霧幻『帰る必要などない。帰ったら虐められるのだろう? ここにいろ。ここに近づく人間は私が全て追い払ってやる』

レイコ『ふふ、そうもいかないわよ。でもそうね、もし私と勝負してあなたが勝ったならここにいてあげてもいいわよ。ただし私が勝ったらあなたの名前を教えてくれる?』

霧幻『レイコは帰って行った。どうして? また虐められるのに』

霧幻『ああレイコ。石を投げられて平気なんて嘘だ。だってあれはお前の嫌な記憶だったんだから』

霧幻『レイコ。辛かったらいつでもここにおいで。近づく人間は私が追い払ってあげるから』

霧幻『だからレイコ、レイコ。またありがとうと言って私に笑ってくれ!』

夏目「………―――そうか。霧幻が幻を見せ続けてたのはレイコさんのためだったんだな」

霧幻「だがレイコは来なかった。あの後一度も。私のした事は何もレイコの為にならなかった」

夏目「……そんなことはないよ」

霧幻「え?」

夏目「確かに人に迷惑をかけていたかもしれないけど、それでもレイコさんの事を思ってやってくれていたんだろ」

夏目「孫として、とても嬉しく思う」

夏目「ありがとう霧幻。レイコさんの事を想ってくれて」

霧幻「あ……」

霧幻「お礼を言われるのは二度目だ」

霧幻「ああ、やはり怯えられるよりずっと気持ちよいな」

帰り道

潮「霧幻とは話出来たの兄ちゃん?」

夏目「ああ、ゴメンな。なんだか内緒話みたいになっちゃって」

潮「いいよ別に。霧幻の奴はホントは一発ぶん殴ってやろうかと思ってたけどなんか事情があったんでしょ?」

夏目「うん。……なあ潮君、潮君は今日みたいな事をいつもやってるのかい?」

潮「へ? いつもって程じゃないけど、まあすげー悪さする奴らとはたまにね」

夏目「……辛くはないのか? その槍を持ったせいでああいう事に巻き込まれたみたいだけど」

潮「うーん、そりゃあ時々きつい時もあるけどさ。 いいことだっていっぱいあったんだぜ? 色んな人達と知り合えたし、仲間も出来たしさ」

夏目「……そっか」

潮「それにしてもなんで婢妖だったんだろ?」

とら「ばぁか。そりゃ白面の奴を出せるほど霧幻の幻術が強くなかっただけだろ。あんなガキじゃ婢妖の大群が関の山だ」

夏目「あ、とら」

とら「あん?」

夏目「あの時、婢妖に襲われそうになった時、助けてくれてありがとう」

とら「あ? あのな人間、さっきも言ったがわしは別にお前を助けようとしたわけじゃなくてだな」

夏目「助けてもらったならお礼を言うのは当然だろ?」

とら「……けっ、調子狂うぜ。おい潮、そろそろ“でんしゃ”が出ちまうんじゃねえのか?」

潮「え? あ、やば! ごめん貴志兄ちゃん、俺もう行くね!」タタタッ

夏目「ああ、元気でね」

潮「兄ちゃんもね! 先生もじゃあね!」ブンブン

オイカエリニハンバッカカッテケ
ジカンネーッツッテンダロ

夏目(不思議な二人組だった)

夏目(終始言い争ってばかりでとても仲が良いようには見えないけれど)

夏目(今まで出会ったどの人と妖の関係とも違って見えて)

夏目(潮君の肩に当然のように乗るとら)

夏目(去りゆくその姿はまるで1つの生き物のようだった)

ニャンコ先生「夏目、そろそろ私たちも帰るぞ」

夏目「まだ塔子さんのおつかいが終わってないから待ってくれ」

ニャンコ先生「む、まだあったのか。全く、お前のせいで余計な時間を喰ったではないか」

夏目「帰りに七辻屋の饅頭を買ってくからさ」

ニャンコ先生「おう! たくさん買えよ」

夏目「ああ……先生」

ニャンコ先生「ん?」

夏目「これからも宜しく」

ニャンコ先生「……ふん、馬鹿め」

終わり

これで終わりです。

2chSSでもほとんどない作品でしかもクロス
一体どれほど需要あるんでしょうね?

もし見てくれてた人がいて少しでも楽しんでくれたなら乙と言ってくれると次の作品に手が伸びます

因みにGS美神とアナザーで
横島「ミカミレイコ?」
というタイトルで書きたいです

では最後にいるか分かりませんけど遅くまで付き合ってくれた人に感謝を

ありがとう

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年02月28日 (土) 22:26:48   ID: uKz-oGFD

ここで見たSSで一番良かった

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