宇水「安価で志々雄殺す」(723)

宇水「フ……フハハハハ……!」

宇水「ついに我が心眼は完成した!」

宇水「私の異常聴覚は、ついに天の声を聞き取る領域に至った!」

宇水「これぞまさに、心眼を超えた心眼! ──“天眼”といえよう!」

宇水「この天の声に従い行動すれば、きっと志々雄とて殺せるはずだ!」

宇水「さて……まずどうするか」

宇水「天よ、答えてくれ>>5

応用戦術を開発する

宇水(なるほど……応用戦術か)

宇水(さすがは天の声! 痛いところを突いてくる……)

宇水(たしかに私はある事情があってティンベーとローチンの奥義は)

宇水(身につけぬまま、琉球を出てしまったからな……)

宇水(もっとも、ティンベーで捌き、ローチンで突くだけで)

宇水(大抵の敵には勝てたのだがな)

宇水(ふ~む……応用、か)

宇水(ローチンで捌き、ティンベーで殴る! というのはどうだろうか?)

宇水(いや、さすがに無理があるな)

宇水(どうやら、私一人で考えるのは無理なようだ)

宇水「天よ、ずばり応用戦術についてなにか手がかりでも教えてくれぬか>>15

牙突零式

宇水(牙突零式?)

宇水(なんだそれは?)

宇水(牙突は、新撰組三番隊隊長、斎藤一の得意技だったというのは知っているが)

宇水(零式というのは聞いたことがない)

宇水(もしかしたら、方治ならなにか知っているかもな)

宇水(ちょっと聞いてみるとするか)

宇水「おい、方治」

方治「なんだ宇水?」

宇水「……お前の“百識”の異名を見込んで頼みがある」

方治「頼み……? ──志々雄を害するような頼みなら聞けんぞ!」

宇水「なァに、心配するな」

宇水「お前は斎藤一の牙突を知っているな?」

方治「無論だ!」

方治「片手平突きを改良した、斎藤一の得意技だろう」

宇水「そうか。では“牙突零式”というのは知っているか?」

方治「え?」

方治「も、もちろん知っているとも!」

方治「この“百識”の方治に知らぬことなど何一つない!」

宇水「では、答えてもらおうか」

方治「う、うむ!」

方治「おっと、そういえばこれから武器商人と取引があってな」

方治「さ、さらば!」

宇水「…………」

宇水(知らなかったのか……)

宇水「他に知っているような人間はいるだろうか?>>28

刃衛

宇水(刃衛……)

宇水(“黒笠”鵜堂刃衛──政府の要人相手に辻斬りを行っているとか)

宇水(たしか元新撰組とのことだし、なにか知っているかもしれんな)

宇水「よし、会いに行ってみるか!」

宇水「フフフ、ようやく見つけたぞ」

宇水(方治の情報網も今度ばかりは役に立ったな)

刃衛「なんだお前は?」

宇水「魚沼宇水、今は志々雄の一派に属している」

刃衛「ふうん……で、この俺になにか用か?」

宇水「斎藤一の得意技、牙突のことは貴様もよく知っていると思うが」

宇水「“牙突零式”というのを知っているか?」

刃衛「牙突……零式……?」

刃衛「うふふ、知らんなァ」

宇水(くっ……やはり……)

刃衛「だが、他の技は知っているぞ」

宇水「なんだと早く教えろ!」

刃衛「通常の突きが壱式、斜め上から突き下ろすのが、弐式」

刃衛「そして対空迎撃用の参式があったはずだ」

宇水「!」ハッ

宇水「なるほど……」

宇水「よし、ここから“牙突零式”の推測は可能なはずだ!」

宇水(考えろ……)

宇水(零というのは、すなわち零距離ということ!)

宇水(もしや……牙突零式というのは、『零距離から放つ牙突』のことなのでは!?)

宇水(つまり、私も零距離から放てる強力な攻撃手段を開発しろ、と!)

宇水(これが天の声の真意だったのか!)パァァ…

宇水「礼をいうぞ、鵜堂刃衛」

宇水「ではさらば──」

刃衛「待て」

宇水「え?」

刃衛「うふふ……せっかくこんなところまで来たんだ」

刃衛「人斬りは自分では斬る相手を決めぬというのが原則だが」

刃衛「今宵は少々たぎっていてな」

刃衛「どうだ……少々遊んでいかんか」チャキッ

宇水(な、なんだと!?)

宇水(こっちは長旅で疲れているというのに……!)

宇水(う~む、ここは天の声に頼るとするか!)

宇水「天よ、どうすればいいか教えてくれ!>>51

新技の試しとして、圧倒的な実力差を見せつける

宇水(なるほど……今閃いた技を試すにはちょうどいい手合いだ)

宇水「フフフ、よかろう」

宇水「志々雄を殺る前の準備運動だ、少しの間だが遊んでやろう」

刃衛「うふふ……そうこなくてはな!」チャッ

ビュアッ! ビュオッ! ビュアッ!

宇水「!?」

宇水(け、けっこう強いぞコイツ!)

宇水(ティンベーで捌けばなんとかなるかもしれんが……)

宇水(それでは新技習得の修業にはならん!)

ザシュッ!

宇水「……くっ!」

刃衛「どうした、動きが固いぞォ」

宇水「…………」

宇水(ここはあえてティンベーに頼るのはやめだ)ポイッ

刃衛(亀甲の盾を手放した……!?)

宇水(コイツの斬撃に、あえて身をさらす!)

刃衛「うふわははははっ! 勝負ッ!」ダッ

宇水「来いッ!」

刃衛(──間合いッ!)

刃衛(もはやこの一撃はかわせんッ!)

ビュアッ!

宇水(来た!)

宇水(今ここがまさに零距離!)

宇水(生と死の狭間!)

宇水(掴み取れ……新たな応用戦術を!)

宇水(生きようとする意志はなによりも……なによりも強い!)

宇水「牙突零式ッ!」

ズドォッ!

刃衛「うふふ……みごとだ」

刃衛「まさか上半身のバネだけで、これほど強烈な突きが出せるとは……」

宇水「…………」

宇水(これが斎藤の“牙突零式”か……)

宇水(とはいえ自分で編み出したワケだから“おりじなる”といってもいいはず)

宇水(せっかくだから、名前をつけるとするか>>81

チン突

宇水(チン突か……フフフ、いい名前だ)

宇水は応用戦術『チン突』を開眼した!

刃衛「どこへ行く?」

宇水「今、私は天の声“天眼”に従い行動中だ。私とて分からん」

刃衛「ならば俺を殺してから行け」

刃衛「この深手では、当分仕事はこなせんしな」

宇水(ふむ……時代はまだ“人斬り”を必要としているということか)

宇水「…………」

宇水(鵜堂刃衛か……殺しても放っておいてもさして害はなかろうが──)

宇水(たびたびですまぬが、どうしてくれよう>>89

心の一方教えてもらう

宇水「刃衛とやら」

刃衛「なんだ?」

宇水「命は預けておいてやる。その代わりといってはなんだが──」

宇水「お前の技を私に教えろ」

宇水「“心の一方”という技が得意なはずだ」

刃衛「うふふ……うふわはははははっ!」

刃衛「打ち倒した相手に教えを乞うとは……面白いヤツもいたもんだ」

刃衛「いいだろう、教えてやろう」

刃衛「“心の一方”とは、己の眼から剣気を発して敵の動きを封じる技だ」

宇水「盲目でも習得できるのか?」

刃衛「まあ……多分なんとかなるだろう」

刃衛「しかし、この技の真価は──」ミキミキ…

ズガガガガッ!

宇水(な、なんだ!? 急激に刃衛の筋肉が増幅された!?)

刃衛「己に“心の一方”をかけることによって、己の力を増大させることができる!」

刃衛「これぞ“心の一方”影技・憑鬼の術!」

刃衛「これを駆使すれば、真剣でも岩を砕くくらいは容易い」

宇水「盲目でも習得できるのか?」

刃衛「まあ……多分なんとかなるだろう」

二週間後──

刃衛「なんとかなったようだな」

宇水「うむ」

宇水「では、そろそろおいとまさせてもらおう」

刃衛「うふふ……志々雄の変死という報を楽しみに待っているぞ」

宇水「ありがとう、刃衛」

宇水は二階堂兵法『心の一方』を会得した!

宇水「さて、次はどうするか>>118

武装強化だな

宇水(ふむ……武装強化)

宇水(たしかに志々雄の斬撃は強力無比だし、肉体は異常な頑健さを誇る)

宇水(長年愛用したティンベーとローチンではあるが)

宇水(志々雄を相手にするには、少々不安が残る)

宇水(そういえば張の愛刀や志々雄の愛刀を作ったのは新井赤空とかいう刀匠だったな)

宇水(会いに行ってみるか……)

宇水「──なんだと!? 赤空はすでに他界している!?」

方治「う、うむ……」

方治「しかし、今は青空という息子が後を継いでいるということだ」

宇水「ほう……」

宇水「新井青空か……会いに行ってみるか!」

方治(いったい宇水はなにを考えているんだ……!?)

宇水(ここが新井青空の家か……)

宇水(刃物の匂いはするが、これは刀ではない……)

宇水(どうやら現在は包丁などを作って生活しておるようだな)

青空「あ、いらっしゃいませ」

青空「なにをお探しでしょうか?」

宇水「フフフ、お前にはぜひ私の新しい武器を作ってもらいたいのだ!」

青空「……お断りします」

宇水「な、なんだと!?」

青空「ボクは……父とちがい刀匠ではありませんので」

宇水(ま、まさか断られるとは……しかしなんとか説得しなくては!)

宇水(どうやって説得するか、教えてくれ! 天の声!>>136

右目を刺す

宇水(眼は二つある……一つくらい刺しても問題あるまい!)

ザクッ!

青空「ぐああああっ……!」

梓「どうしたの、あなた!?」

伊織「びええぇぇ~~~~んっ!」

宇水(む、通報されたら面倒だな)

宇水「聞け」

宇水「私は幕末で、一瞬にして両目を失った……」

宇水「それに比べれば、片目を失うくらいどうということもなかろう」

宇水「片目さえあれば、包丁だって作れるし、愛する子の顔も見られる!」

宇水「むしろ片目だけで済んだことを幸運に思うべきだ」

青空「そうですね……あなたのおっしゃるとおりです」

梓「あなた!?」

伊織「あくすあくす」

宇水「うむ」ギュッ…

青空「目が潰れたおかげで、目が覚めました!」

青空「あなたの武器……作らせて下さい!」

宇水「目を潰した詫びに、眼帯をくれてやろう」

青空「ありがとうございます!」

青空「では……どんな武器にしますか?」

宇水(う~む……)

宇水「ちょっと待ってくれ、今天に聞いてみる>>163

伸縮自在の槍と弾丸を打ち出す盾

宇水「伸縮自在の槍と、弾丸を撃ち出す盾を作ってくれ!」

青空「分かりました……!」

青空「しかし、少々時間をいただきますが、よろしいですか?」

青空「特に弾丸は購入するのに時間がかかるので……」

宇水「うむ、かまわん」

宇水「その間はお前の家に厄介になるとしよう」

青空「え?」

伊織「めだま、めだま!」

宇水「どうだ小僧、父親は好きか?」

伊織「すき!」

宇水「フフフ……そうか」

宇水「お前の父親が作った武器で、必ずやこの私が志々雄を討ち取ってみせるからな」

伊織「あくす、あくす」

宇水「よかろう」ギュッ…

一ヶ月後──

青空「お待たせしました!」

青空「ご注文とおり、伸縮自在の槍と弾丸を発射する盾が完成しました!」

宇水(けっこう重いな……)ズシッ…

宇水(槍と盾だから……名前はローチンとティンベーのままでもかまわんが)

宇水(せっかくだ、天に名づけてもらった方が縁起がよかろう)

宇水「天よ!」

宇水「伸縮自在の槍>>176と弾丸を撃ち出す盾>>178の名前を考えてくれ!」

ぐんぐにーる

神殺槍

宇水は新たな槍『ぐんぐにーる』と新たな盾『神殺槍』を手に入れた!

宇水(ふむ、ぐんぐにーるはまあいいとして)

宇水(盾なのに槍とはいったいどういうことだ!?)

宇水(──いや、盾なのにあえて槍を名乗ることで)

宇水(敵を騙せるということか!)

宇水(なるほど、いかに志々雄でも槍を名乗る武具が盾と知れば)

宇水(スキが生じるかもしれんしな!)

宇水「世話になったな、青空」

青空「武運をお祈りしています」

梓「どうかお気をつけて……」

伊織「あくすあくす~!」

宇水「達者でな」ギュッ…

宇水「さて……新しい武器も整った。次はどうしてくれよう>>193

あとは精神面だな

宇水(ふむ……精神面か)

宇水(たしかに私は精神が強いとはいえない)

宇水(志々雄に敗れた後、“心眼”を会得して再び志々雄に挑もうとしたが)

宇水(結局力の差を感じて諦めてしまった……)

宇水(この志々雄に対する劣等感や、虚栄心をどうにかせねば)

宇水(あの傲岸不遜な志々雄は到底倒せまい……)

宇水(天はやはり私の弱点を見抜いている……!)

宇水(──とはいえ、山ごもりや滝浴びをしたところで)

宇水(とても精神を鍛えられるとは思えん)

宇水(天眼を会得し、刃衛や青空と出会って私は悟った……)

宇水(分からないことやできないことは、他人に聞くのが一番だと!)

宇水(──というわけで)

宇水「精神を鍛えるためには誰に会えばよいと思う?>>207

アンジー

宇水(ふむ……やはりこういうことは破戒僧といえど僧に聞くのが一番だろう)

宇水「オイ安慈」

安慈「どうかなされたか、宇水殿」

宇水「私は今、志々雄を倒すために天の声に従い行動している」

安慈(天の声……?)

宇水「その結果、たしかに私は強くなった」

安慈(たしかに……以前の宇水殿とは武装も気配もちがう)

宇水「──しかし!」

宇水「それでもなお、天は私には精神面で脆さがあると指摘してきた」

宇水「そこで、お前に私の精神面を鍛え直して欲しい」

安慈「分かった……では座禅を組まれよ」

宇水「こうか」スッ

安慈「そして念じるのだ」

安慈「今の世には──“救世”こそが必要不可欠なのだと!」

宇水(救世……救世……救世……)

宇水(救世、救世、救世、救世、救世、救世、救世)

宇水(救世!!!)

宇水(そうか……)

宇水(私が今まで鍛えてきた力は、この世を救うためにあるのだ!)

宇水「ありがとうよ、安慈」

宇水「志々雄を倒すという復讐心の他に」

宇水「“救世”という使命感が生まれたことで、なんだか心が晴れやかになった気がする」

安慈「それはなによりだ」

宇水(さて、せっかくだ)

宇水(安慈は十本刀の三番手、私にも迫る実力者)

宇水(もう少し、教えを乞くとするか)

宇水「さて、何を教えてもらおうか?>>220

効率のいい筋トレの仕方

宇水「安慈……お前は元々人のよい僧だったが」

宇水「廃仏毀釈で悲劇に見舞われ、その復讐心から」

宇水「今の明王の権化のような巨大な体躯になったと聞いている」

宇水「どうだ、その筋力鍛錬法を是非教えてはくれんか?」

安慈「昔の宇水殿であれば断るどころだが──」

安慈「今の宇水殿ならよかろう」

宇水「かたじけない」

安慈「ではまず、この地蔵を持って“すくわっと”だ」

宇水「え?」

一ヶ月後──

安慈「さすがだ、宇水殿」

安慈「たった一ヶ月で私とさして変わらぬ体躯になろうとは」

宇水「フフフ、礼をいうぞ安慈」ムキッ

宇水「これで新しい武器を自在に操れるようになった!」

宇水は『救世の使命感』と『筋肉』を手に入れた!

宇水「──さて、天の声よ」

宇水「次はどうする!?>>233

イズナで有名な雷十太先生に弟子入り

方治「──雷十太?」

宇水「うむ」

方治「殺人剣『真古流』を掲げ、各地で道場破りや同志集めを行っている剣客だ」

方治「だが──」

方治「調べによると、実際には人を殺したこともない小物らしい」

宇水「そいつの居所は分かるか?」

方治「分かるが……会っても益はないと思うぞ」

宇水「ないならないで、かまわん」

宇水「フフフ……」ムキムキッ

雷十太「わ、吾輩になにか用か」

宇水「私はお前が持つ“飯綱”という秘剣に興味がある」

宇水「是非、弟子にしてもらいたい」

雷十太「ふん……」

雷十太「我が真古流は少数精鋭、弟子になりたくば実力を示してみろ」

宇水(心臓がバクバクいっておるくせに、虚勢を張りおって)

宇水(まるでかつての私のようだ)

宇水(さて、どうやって実力を示してやろうか>>256

とりあえず挨拶代わりにがとつ

宇水(牙突……まぁ、チン突でよかろう)

宇水(受けてみよ、我が応用戦術!)

宇水(チン突ッ!!!)

ズガァッ!

雷十太「ぐわああああっ!」

宇水「どうだ、これで弟子にしてもらえるか」

雷十太「弟子に……」

雷十太「弟子にして下さい!」

宇水「え?」

雷十太「“飯綱”というのは、“かまいたち”という自然現象を」

雷十太「剣で起こす極意なのです」

宇水「なるほど」

雷十太「吾輩でも会得に十年かかりまして……」

宇水「私にそんな時間はない」

宇水「一週間で会得させろ」

雷十太「わ、分かりました!」

一週間後──

宇水「“纏飯綱”!」

ズガァンッ!

宇水「“飛飯綱”!」

キィンッ!

雷十太「おみごと! まさか本当に一週間で会得されるとは……」

宇水「お前の指導のおかげだ、感謝する」

宇水(さて、この雷十太にもう用はないが……どうする?>>279

小間使いにする

宇水「褒美をやろう」

宇水「お前を私の小間使いにしてやる」

雷十太「ほ、本当ですか!? この吾輩を連れていって下さるのですか!?」

雷十太「ありがとうございます!」

宇水「ではさっそく肩を揉め」

雷十太「は、はいっ! 師匠っ!」モミモミ…

宇水「さて私は今、志々雄を倒すため、天の声に従って行動している」

宇水「過酷な旅となるだろう」

宇水「場合によっては、お前にも従ってもらうことになる」

宇水「それでもかまわんな?」

雷十太「はいっ! 吾輩は師匠に一生ついていきます!」

宇水「フフフ……いい返事だ」

宇水「だいぶ私も強くなったはずだが……次はどうする、天よ>>294

飛天御剣流会得

宇水(飛天御剣流……たしか緋村抜刀斎の流派だったはず)

宇水(相対したことはないが)

宇水(天を舞うとか、一振りで数人を仕留めるだとか、伝説は聞いている)

宇水(会得して損はないかもしれんな)

宇水「方治」

方治「なんだ、宇水!?」

宇水「飛天御剣流を会得するには、どうすればいい?」

方治「ちょっと待っていろ!」

方治(もう絶対分からないとはいわん! “百識”の名にかけて!)

方治「待たせたな!」ハァハァ…

方治「流派を会得するには、むろんその流派の免許皆伝を受けている人間に」

方治「師事するのが一番だ」

方治「現在のところ飛天御剣流を会得しているのは──」

方治「東京にいる緋村抜刀斎と、この京都にいる比古清十郎だ」

方治「もっとも比古は、新津覚之進の名で陶芸家をやっているがな」

宇水(その二人のうち、どちらかに習えということか)

宇水(ここは天の声に委ねてみるか>>316

シャア

宇水(シャア……?)

宇水「おい、雷十太」

宇水「緋村と比古、どちらが“シャア”って感じがする?」

雷十太「吾輩は、比古の方が“シャア”っぽいかと」

宇水「よし、そっちにしよう」

宇水「行くぞ、雷十太!」ザッ

雷十太「はいっ!」ザッ

比古「……なんだてめぇらは」

宇水「私は魚沼宇水」

雷十太「吾輩は石動雷十太」

宇水「“飛天御剣流”を伝授してもらいたく、参上した」

宇水「どうか、私を弟子にしてくれ」

比古「どうやって、俺のことを知ったかは知らねェが」

比古「俺は弟子を取るつもりはねェ」

比古「さっさと山を下りな」

宇水(やはり、こうなるとは分かっていた)

宇水(しかしそれでも天なら……我が天眼ならなんとかしてくれる!>>334

赤いモノをプレゼント

宇水(赤いモノをプレゼント……!?)

宇水(しかし、赤いものなんてどこにもないぞ……)キョロキョロ

宇水「!」ハッ

グサッ!

雷十太「師匠、なにを!?」

宇水「比古清十郎……私には“救世”という崇高な使命がある」

宇水「それは飛天御剣流を会得せねば……成し遂げられない……!」

宇水「もし弟子にしてもらえぬなら……このまま腹をかっ切るまで……!」

雷十太「師匠っ! 止血をしないと……!」

宇水「かまうな、雷十太ッ!」

バサァ……!

比古「いいぜ、ヒゲ親父」

比古「よくぞ吠えた」

宇水「…………」

比古「切腹してでも弟子になりたいという心意気、チト臭いが、嫌いじゃねェぜ」

比古「どこかのバカ弟子にも見習わせたいくらいだ」

比古「お前ら二人には、俺の飛天御剣流(とっておき)をくれてやる」

宇水「は、ははーっ!」

雷十太「え、吾輩も!?」

比古「技ってのは手取り足とりでなく、喰らって覚えるもんだ」

比古「龍槌閃!」

バキィッ!

比古「龍翔閃!」

ドゴォッ!

比古「龍巻閃!」

ズガァッ!

比古「龍巣閃!」

ボゴォッ!

宇水(つ、強い……! だが私も確実に強くなっている!)

宇水(飛天御剣流をぐんぐにーるで使えるよう、“あれんじ”するのだ!)

一ヶ月後──

比古「まさか、一ヶ月で飛天御剣流のほとんどを体得するとはな」

比古「雷十太はまだまだだが、それでも十分強くなった」

比古「さて宇水、これが最後の修業だ」

比古「俺の“九頭龍閃”を破れれば、奥義伝授は成る」

比古「行くぞ」

ドドドドドドドドドッ!!!

宇水(死!!!)

方治『この“百識”の方治に知らぬことなど何一つない!』

刃衛『うふふ……志々雄の変死という報を楽しみに待っているぞ』

青空『目が潰れたおかげで、目が覚めました!』

伊織『あくす、あくす』

安慈『今の世には──“救世”こそが必要不可欠なのだと!』

雷十太『弟子にして下さい!』



宇水(死ねない──)

宇水(これまで私が出会った仲間のためにも!)

宇水(志々雄を倒し、救世を成すためにも!)

宇水(私はまだ死ぬわけにはいかんっ!!!)

ザンッ!

比古「──みごとだ」

比古「みごとな、魚沼流の“天翔龍閃”だった」

ドサッ……!

宇水「師匠っ!?」

比古「気にするな……これは奥義伝授の定めだ……」

宇水「し、しかし……!」

宇水(師匠はこのまま死なせるしかないのか!?)

宇水(あるいは助けられるのか!?)

宇水「天よ、答えてくれッ!>>379

助かる

比古「よっと」ムクッ

宇水「え!?」

雷十太「比古大師匠!?」

比古「どうやら……傷が浅かったようだ」

比古「おそらくその伸び縮みする槍が、命中寸前に縮んだためだろうな」

比古「持ち主の意をくんでくれる、いい槍じゃねェか……」

宇水(青空、ぐんぐにーる……ありがとう!)

宇水「雷十太よ」

宇水「そろそろ私は志々雄に挑むつもりだ」

宇水「もし私が破れれば、お前の命もなかろう」

宇水「お前はここで──」

雷十太「いえ、吾輩は地獄の果てまでもお供します!」

雷十太「させて下さい!」

宇水「仕方ないヤツめ」

宇水(さて、最後にやるべきことなどはなにかあるだろうか?)

宇水「天よ……>>405

ししおに弟子入り

宇水「久しぶりだな」ズンッ

由美「きゃあああっ!? な、なんなのよこの化け物は!?」

宗次郎「宇水さん……ですよね?」

宇水「フフフ、少しばかり修業をしてな」ムキッ

志々雄(この雰囲気……もはや以前の宇水じゃねェな)

志々雄「どうした……ついに俺と本当に殺り合う気になったか?」

宇水「いや……」

宇水「私を弟子にして欲しいのだ」

志々雄「え?」

志々雄「いったいどういう了見だ?」

志々雄「てめぇは俺を死ぬほど憎み、恐れていたはずだろう」

志々雄「今のてめぇならあるいは、俺にも通用するかもしれねェ」

志々雄「なのになぜ、弟子になることを選んだ?」

宇水「私はこの長い修業の日々で悟ったのだ」

宇水「強くなるには──」

宇水「強い人間に教えてもらうことが一番なのだと!」

志々雄「フ、フフフ……」

志々雄「ハーッハッハッハッハッハッハ!!!」

宇水「何が可笑しい!!!」

志々雄「面白ぇ、面白ェよ、宇水」

志々雄「俺はこれまでにとった弟子といえば、宗ぐらいのもんだが」

志々雄「てめえみたいなのを、懐に抱えるってのも悪くねぇかもな」

雷十太「や、やりましたね、師匠!」

志々雄「ただし条件が一つ」

志々雄「てめぇに俺の弟子になる資格があるかどうか、なにか見せてみろ」

宇水「……よかろう」

宇水(さて、どうするか>>444

天翔龍飯綱

宇水「たった今天から授かった必殺技──」

宇水「“天翔龍飯綱”!!!」

スパァンッ!

由美「きゃあああっ!」

方治「なにが起きた!? 壁に巨大な亀裂が……!」

宗次郎「あ~あ、アジトが真っ二つになっちゃった」

志々雄「……合格だ」

志々雄「弟子にしてやるよ、宇水」

宇水「感謝する」

志々雄「……合格だ(コイツ俺より強くね?)」

志々雄「弟子にするっつっても、俺の剣なんざほとんど我流だ」

志々雄「てめぇで受けて、てめぇで勝手に盗みな」

宇水(弟子教育は、比古と似た感じなのだな)

志々雄「ッシャアアアアアッ!」

宇水「来い!」

ガキィンッ!

志々雄「それと剣を燃やすには、人間の脂と無限刃が必要だが──」

志々雄「てめぇは槍に臭水(くそうず)でもまぶして、燃やしな」

宇水「そうしよう」ドボドボ…

方治「臭水などという古い呼称はおやめ下さい! 石油です!」

一ヶ月後──

宇水「焔霊!」

ボワァッ!

宇水「紅蓮腕!」

ズガァンッ!

宇水「火産霊神(カグヅチ)!」

ボワァァァッ!

志々雄「やるじゃねェか」

雷十太「さすが師匠!」

宇水「お前の教えと……青空の槍、そして方治の石油のおかげだ」

宇水(──さて、いよいよ究極の選択をせねばならん)

宇水(はっきりいって、この一ヶ月で私の志々雄に対する恨みはだいぶ薄れた)

宇水(志々雄の掲げる“弱肉強食”も理解はできる)

宇水(とはいえ決着はつけねばならんという想いもある)

宇水「──さぁ、私はどうすべきだ? 天よ!>>480

闇討ちは必要ない、正面から挑む

宇水「志々雄」

志々雄「なんだ?」

宇水「私はこれまで天の声を受け、行動してきた」

宇水「そしてここまで強くなった……」

志々雄「なるほど、つまりお前が俺の弟子になりたがったのも」

志々雄「天の采配ってわけか?」

宇水「そうだ」

宇水「だが今初めて、天の声と私自身の声が一致した!」

宇水「闇討ちなど不要、正面から貴様に挑め、と!」

志々雄「そう来ることを待ってたぜ……」ニィッ

「強敵」と書いて「とも」と読むタイプの漫画

志々雄「──ジャマは入らねェ」

志々雄「俺もこれ以上待たされてたら、こっちから斬りかかるところだった」

志々雄「それだけの価値を今のてめえは持ってる」

志々雄「さあ、かかってきな!」

宇水(“天眼”を含め、今までに会得した技術を全てぶつける!)

宇水(さあ天よ……第一手はどうする!?)

宇水(む……天からの答えがない……?)

志々雄「ッシャアアアアアッ!」

宇水(──来た!)

宇水(さぁ、天よどうする!?>>505

股間の槍で威嚇

志々雄に心の一方

宇水(──心の一方か)

宇水(刃衛、ありがたく使わせてもらうぞ!)ギンッ

志々雄「!?」ビクッ

宇水「好機!」

志々雄「シャアッ!」パァンッ!

志々雄(剣気で動きを封じようたァ……味なマネするじゃねぇか)

宇水(あっさり弾き飛ばされるとは……だがスキはできた!)

宇水(次の手だ!>>520

チン凸

ヤベェ盛り上がってきた

宇水(私がこの旅で、最初に会得したのがこれだったな……)

宇水「チン突ッ!」

ズドォッ!

志々雄「グッ……!」ブシュウ…

宇水(脇腹をかすめるように刺しただけか! さすがだ、志々雄!)

志々雄「シャアアッ!」

ザシュッ!

志々雄「痛み分けってとこか……」

宇水「フフ……そうだな」

宇水(距離が開いた……どうする?>>535

ぐんぐにーるを防がせて地蔵持ちすくわっとで鍛えた脚で思いっきり蹴る

盾の弾丸を撃ってみる

宇水(ぐんぐにーるを伸ばして……)シュルルル…

宇水(突くっ! 突くっ! 突くっ!)

ガキンッ! ガキンッ! ガキンッ!

志々雄(チマチマした攻めしやがって、何狙ってやがる)

宇水「──今だッ!」

宇水(安慈……この筋肉が与えてくれたのは、お前のおかげだ)

宇水「受けてみよ、“明王”の蹴りを!」

ズドォンッ!

志々雄「ガッ……ゲボォッ……!」

宇水(効いている! もう一撃!)

志々雄「甘ぇよ……!」

ボグッ!

宇水(志々雄……細身でありながら拳打も一流だな!)

宇水(さぁ、この調子だ!>>549

ここで基本に立ち返りティンベーとローチンの基本戦術

盾の弾丸を撃ってみる

神殺槍バルカン

宇水(青空……使わせてもらうぞ!)ジャキッ

宇水(神殺槍は槍に非ず、弾丸を発射する盾なり!)

宇水(発射ッ!)

ガガガガガッ!

志々雄「グオオオオッ!」

宇水(何発かは命中したというのに──なんという生命力!)

宇水(しかし、勝利はもう目前──)

志々雄「……宇水、まさか油断しちゃあいねェだろうな?」

志々雄「終の秘剣」

志々雄「火産霊神(カグヅチ)」

ボワァァァッ!

宇水(そうだ……この悪鬼はここからが本番!>>570

>>544

>>544

九頭火龍飯綱

宇水(九頭火龍飯綱──)

宇水(まず石油で、ぐんぐにーるの刃に火をつける)ボワァッ

宇水(そして──)

宇水(炎と真空を味方につけた刃で、九連撃ッ!)

宇水「九頭火龍飯綱(くずかりゅういずな)ッ!!!」

ズガガガガガガガガッ!

志々雄「ガガ……ガァ……」

志々雄「グオオオオオオオオオッ!」ブンッ

宇水(なんだと!?)

ボワァァァッ!

宇水(コイツは不死身なのか!?)

宇水(熱い……ッ! ど、どうする……ッ!>>581

奥義

宇水(奥義……!)

宇水(比古師匠……今こそ使わせてもらう!)

宇水(方治、刃衛、青空、伊織、安慈、雷十太……志々雄!)

宇水(恐れるものは何も無い!!!)



宇水(奥義──“天翔龍閃”ッ!!!)

ズガァンッ!



志々雄「グ……ガ……」

志々雄「なによりも……強いのはこの俺!」

志々雄「まだだァ……宇水」

宇水(志々雄──怨敵とはいえ尊敬すらしたくなる強さだ……)

宇水(今こそ“盲剣”の宇水、最大の技で倒す!>>603

この宇水さん奥義いっぱい持ってるからなww

kskst

アームストロング砲

アームストロング砲…?
神殺槍「いつから弾丸が1種類と勘違いしていた?」

宇水(アームストロング砲……幕末三大兵器の一つ)

宇水(今の私にあの威力が出せるか?)

宇水(──出せるッ!)

宇水(飛天御剣流の神速にて、ぐんぐにーるで神殺槍の銃口を広げ!)

宇水(安慈から授かった肉体で踏ん張り!)

宇水(“飛飯綱”を放つ要領で撃つ──)

宇水(さぁ、神殺槍とぐんぐにーるよ……否、ティンベーとローチンよ!)

宇水(全弾丸をまとめて発射するッ!)



 ア ー ム ス ト ロ ン グ 砲 ( カ ノ ン ) ! ! !



ズドォォォォォンッ!!!

王道少年漫画すぎて濡れる

宇水「ハァ……ハァ……ハァ……」

宇水(ぐっ……さすがのぐんぐにーると神殺槍も砕け散ったか……)

宇水「し、志々雄は……!?」

志々雄「ガ……グ……」

宇水「生きているか……まったくどうやったら死ぬんだ、この男は」

宇水(今や生殺与奪の権利は私にある)

宇水(いや……天にある!)

宇水(志々雄をどうする?)

宇水(む……また天からの返答がない……)

宇水(もしや我が“天眼”が失われつつあるのか!?)

宇水(もう一度だ)

宇水(さぁ、どうする?>>636

昔語りで惚れさす

アナル処女を奪う

あの時の台詞を返そう

宇水「志々雄」

宇水「意識があるのならば、そのまま聞け」

宇水「これで私とお前は一勝一敗」

宇水「私は両目を失い、お前は全身に火傷を負い──損傷も五分と五分」

宇水「これでようやく対等な立場になった」

宇水「志々雄」

宇水「悔しいのならば」

宇水「スキあらばいついかなる時も、私に斬りかかってかまわん!」

志々雄「……フ……」

志々雄「そう……させて……もら、う、ぜ……」

当面の目的は達成しちゃったし
そろそろ救世っちゃう?

宇水(志々雄を倒した瞬間──)

宇水(私の中からごっそりと何かが欠けるような感覚が生じた)

宇水(おそらく、“天眼”が使えるのはあと一度きり)

宇水(天よ)

宇水(これが最後の問いだ)

宇水(今後私は何をすべきか? 何をなすべきか?)

宇水(答えてくれ……!>>666

らいじゅうたの両目を潰す

くぅー疲れましたw

雷十太「安価で宇水殺す」

宇水「…………」

雷十太「師匠! 志々雄真実は倒せたのですね!?」

宇水「ああ、倒せた」

宇水「そしてお前に頼みがある」

雷十太「なんなりと!」

宇水「雷十太、お前にも私と同じ領域にたどり着いて欲しいのだ」

宇水「意味が……分かるな?」

雷十太「……望むところです!」

雷十太「実は、吾輩からお願いしようと思っていたところでした!」

宇水「そうか──では」

ズンッ! ズンッ!

雷十太「これが……これが師匠の見ている景色なのですね」

宇水「そうだ……無明の闇……」

宇水「しかし、いずれお前も“心眼”を会得することになろう」

雷十太「はいっ!」

宇水「もはや、私には天の声を聞く能力……“天眼”はない」

宇水「しかし、この旅でお前を始めとした多くの仲間と、多くの力を得た!」

宇水「たとえ天の声なくとも、我らに恐れるものは何も無い!」

宇水「来い、雷十太!」

雷十太「は、はいっ!」ヨタヨタ…

宇水「大丈夫か? 一ヶ月もすれば慣れる」



盲目の凄腕剣客二人が、明治の世で名声を得るのはそれから数年後のことである──



                                    完

1乙
プロ並の構成力と瞬発力に感心しきり

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