梓「……しょうがないですね。ちゅーしてもいいですよ」(180)

梓「先輩。今日は用事があるので私はここで」

唯「買い物?」

梓「ではないんですけど……ちょっと人と会う約束をしていて」

唯「ほう、もしやデート?」

梓「いや、ええと、それは……あっもうこんな時間! すみません失礼します!」

唯「えっ、何その反応」

唯「……」

唯「まさか本当に彼氏?」

唯「やだ……やだよ……」

唯「……追いかけよう」

唯「あずにゃん誰と会うんだろう。案外中学の時の友達とかだったりして」

唯「あっいた」

唯「うーん……ここからだと相手の顔が見えない」


梓「ごめんね待たせちゃって」

  「大丈夫だよ。それよりさ――」


唯「男の声だ……」

唯「ほんとに彼氏なの……?」


梓「……しょうがないですね。ちゅーしてもいいですよ」


唯「……え?」

唯「う、うそ……あずにゃん嘘だよね?」


梓「……んっ」

  「……」


唯「あ……あ……!」

唯は梓が知らない男とちゅーしている事実から逃げだしたくてその場を走り去った。
だが一度脳裏に焼き付いてしまったその光景は忘れたくても忘れられるものではなかった。

翌日


梓「お疲れ様です。他の先輩方はまだですか?」

唯「あ……うん」

梓「そうですか」

唯「あの、あずにゃん」

梓「はい?」

唯「えっと、昨日……あっ……その」

梓「昨日? ……先輩どうしたんですか? いつもより変ですよ?」

唯「なんでもないよ……」

梓「いつもの先輩なら今のところスルーしませんよ。何でもないようには見えないんですけど」

唯「……あの、昨日のことなんだけどさ、あずにゃんて誰に会ってたの? 何してたの?」

梓「……唯先輩、もしかして私の後つけたりしました?」

唯「それは……あの、はい」

梓「はぁ。見たんですね」

唯「うん……」

梓「なら正直に言いますけどあの人は私の彼氏です」

唯「っ! ……あ、そ、そうなんだ」

梓「……」

唯「あのっ! 昨日あずにゃん、その彼氏と……ちゅーしてたよね」

梓「……はい」

唯「えと……わ、私もあずにゃんとちゅーがしたいっていうか、つまり」

唯「あずにゃんのことが好きです。付き合って下さい」

本人から告げられた事実に気が動転し、勢い余って告白してしまった。
言ってしまった後で冷や汗を流すも時既に遅し。
下段ガードを固めた梓にスキはなかった。

梓「……ごめんなさい」

唯「あ……うぅ」

梓「ていうかちゅーがしたいって……」

唯「そ、それは言葉のあやってやつで……」

唯「あの、えっと、付き合うのがダメなら……ええと」

梓「あの」

唯「と、友達に? ううんもっと……恋人のいっこしたみたいな感じの……」

梓「あのっ!」

唯「はいっ!?」

梓「私と彼は恋人ですけどそれだけじゃなくて、だから難しいっていうか……」

唯「うん……ダメなのは当たり前だよね……っ……」

梓「……」

梓「……しょうがないですね。ちゅーしてもいいですよ」

唯「え……えっ!?」

梓「それで諦めてください」

唯「っ……」

梓「どうしますか」

唯(どうしますかって……あずにゃんがそんなこと言うなんて……私のあずにゃんが……でも)

唯「やだけど……ちゅーしたい」

梓「じゃあしましょう」

唯「……うん」

梓「どうぞ」

唯「あ……じゃあ…………んっ」

梓「ん……」

唯(あずにゃん……あずにゃんとちゅー、あずにゃんあずにゃん……!)

唯「んっ、んふ、う、ちゅ、ちゅっ……」

梓「ふふ……ペロ」

唯(っ!? あずにゃんの舌が私の口に……あ……うあぁ……!)

唯(あずにゃんのくちびる、あずにゃんの舌、あずにゃんの歯、あずにゃんのよだれ)

唯「んっ! ぺろぺろ……れろ。じゅる、れろ、あふっ……んっ……んっ!」

梓「んんっ……っはあ」

唯「ぷはっ! はー……はー……んく」

梓「ん……先輩ってちゅーは初めてですか?」

唯「……そうだよ」

梓「ふぅん……初めての割には中々良かったです」

唯「そうなんだ」

唯(嬉しいようなそうでないような)

梓「んー惜しいです。やっぱり……いやでも」

唯「な、何?」

梓「さっき言ったこと撤回してもいいですかね」

唯「えっ?」

梓「唯先輩。私達せっくちゅーふれんどになりませんか?」

唯「せっくちゅーふれんど……?」

( ゚д゚ )!?

梓「はい。ちゅーしたい時にちゅーだけをするちゅーのための関係です」

唯「なに、それ」

梓「……」

唯(それでもあずにゃんとちゅーが出来るなら……)

唯「……わかった。そのせっくちゅーふれんどっていうのになる」

梓「決まりですね」

唯「うん……」

唯(少しは深い関係になれたのかな? それとも……)

それからの二人はせっくちゅーふれんどの間柄に相応しくちゅーを繰り返した。
唯はこの関係になれたのは最初のちゅーが良かったからであり、ちゅーの上手さであるちゅーレベルを上げることによって梓を振り向かせられるのではないかと考えて必死に梓の唇に食らいついていた。
しかし梓とのちゅーレベルの差は一向に埋まらないどころか差がどんどんついていった。
それもそのはず。梓とちゅーをしているのだから梓にも同じだけちゅー験値が溜まるのだ。
さらに梓は彼氏ともちゅーをしているためちゅーの実力差は開くばかり。

唯(最近あずにゃんからちゅーしようって言われなくなった)

唯(あずにゃんと私のちゅーレベルが開きすぎてるから私に飽きてきてるんだ)

唯(このままじゃせっくちゅーふれんど解消されちゃう)

唯(そしたら逆戻りどころかあずにゃんとはもう……)

唯(いやだよそんなの……どうにかしなきゃ、どうにか)

唯(でも私一人じゃどうしようもないよ……)

唯「怒られるかもしれないけど……相談してみようかな」


週末。
唯はこんなことを相談できる唯一の友人の家に押しかけた。

唯「――というわけなんだけど、どうしたらいいかな?」

澪「…………」

唯「澪ちゃん?」

澪「あ、えっと、どうして私なんだ?」

唯「だって和ちゃんとりっちゃんはそういうことに疎そうだし、怒られそうだし」

唯「ムギちゃんに今のあずにゃんのこと話したらきっと落ち込んじゃうよ。ムギちゃんは純真だから……」

澪「私は純真じゃないと……」

唯「そうじゃないけど、怒られたとしても的確なアドバイスが聞けると思って」

澪「ん……まあ一応頼ってくれたのは嬉しいんだけど、随分とその……すごい関係になってたんだな」

唯「うん……」

澪「普通なら止めるべきなんだろうけど……まず唯はどうなりたいんだ?」

唯「ゆくゆくはあずにゃんと正式に付き合いたいと思ってるけど、今は何とかしてちゅーレベルを上げたい」

澪「ちゅーレベル……と言っても私、その、ち、ちゅーしたことないからなぁ……」

唯「そっか……このまま私捨てられちゃうのかなぁ……ん、うっ……えぐっ」

澪「おおおちつけ! 考えるから、な? 大丈夫だから」

唯「ぐすっ、ごめんね」

澪「いいよ」

ちゅーしていいよ

澪「――でだ、結局のところちゅーレベルっていうのを上げるにはちゅーをするしかないわけだ」

唯「うん」

澪「だから……うう、あんまり言いたくないけど」

唯「いいよ、お願い」

澪「……わかった。別の人とちゅーをしてレベルを上げるしかないと思う」

唯「別の人……」

澪「唯が梓のことをすごく好きなのはわかる。だから……」

唯「ううん、私他の人とちゅーする!」

澪「本気みたいだな」

唯「うん。私のふぁーちゅとはあずにゃんと出来たからそれでよしとする。……する!」

澪「唯……」

唯「でも他の人って言われてもこんなこと頼めるのは……やっぱり」

澪「…………えっ!?」

唯「だめ……かな?」

澪「わたしぃ!? いやっおまっ……へぇ!?」

唯「や、その、だめだったらいいんだけど……やっぱり別の人に」

澪「……ううぅ」

唯「ごめんね変なこと言って。実践しつつアドバイスとか貰えたらなって思って」

唯「それに澪ちゃんはまだちゅーしたことないんだもんね……よし、こうなったら」

澪「待って」

唯「うん?」

澪「……わかった。唯とちゅーする」

唯「えっ!?」

唯「いいの?」

澪「ん。その……ゆ、唯となら別にいいかなって」

唯「澪ちゃん……! あずにゃんがいなかったら惚れてたかも」

澪「そういうのはいいから。い、今からするんだろ?」

唯「うん。ありがとうだよ澪ちゃん」

澪「あの、その……やさしく、な?」

唯「はい。……ちゅ」

澪「っ! んっ……!」

唯「……ふぅ」

澪「っ……ぷは」

唯「どうだった?」

澪「なんていうか……よかった。でも梓としてるのはこんなもんじゃないんだろ?」

唯「それは、うん」

澪「いいよ。してみせて」

唯「いいの?」

澪「それしなきゃ意味ないだろ?」

唯「わかった……はむっ」

澪「!?」

唯「んふ、じゅもも、ほく、にゅるんっ」

澪「んっ!? ァ……っ……んぁ、ハァ……ッ!」

唯「――っていう感じで」

澪「あ……はっ……ひぐっ……!」

唯「大丈夫?」

澪「ん……うん……へいき」

澪(なにこれ……すごいきもちいよお)

澪「今のでも梓を満足させられないっていうのか?」

唯「あずにゃんのちゅーはもっとすごいよ」

澪「そんなに……」

唯と澪の秘密特訓が開始された。
これにより唯のちゅーレベルの上昇速度は上がった。
だがしかし、それでも尚梓との差が開いてしまう。
焦る唯を何とかしてやりたいと思う澪。
そんな澪は日々ちゅーについて考え、ちゅーを実践し、ちゅーの魅力にとりつかれていった。

澪「ちゅー……」

澪「はっ! いかんいかん、最近ちゅーのことしか考えてないかも」

澪(……誰にも聞かれてないよね?)

下校しながら独り言を呟いく、という恥ずかしい行動に気付いた澪。
赤面しながら辺りを見回す。



残念ながら真後ろに人がいた。
加えて知り合いである。

澪「ッ!!!」

聡「あ、えと、声かけようと思ったんだけど、その……」

澪(明らかにちょっと引き気味じゃないか……私のばかぁぁ)

澪「いや、ちがうんだ。別にちゅーがしたいわけではなくて」

聡「……ちゅーがしたいんだ」

澪「うん。あっ!? 違うぞ!?」

澪「……いや、待てよ」

澪(唯のちゅーレベルは日々上がっている。私も上がってるけど唯よりは遅い)

澪(これってちゅーの経験からくる成長速度の違いじゃないのか。これが最近考察した結果だ)

澪(そしてちゅーレベルの高い者とちゅーすることでより早く成長出来るかもしれない)

澪(……つまり私のちゅーレベルがあがれば唯のちゅーレベル上昇速度も上がるのでは?)

澪「……なあ聡」

聡「何?」

澪「ちゅ……ちゅーしたことあるか?」

聡「え゛っ……それは、ないけど」

澪(……決して私がちゅーしたいからじゃないんだからな)

おいやめろ

澪「なあ、もし聡が良ければなんだけど」

聡「ごくり」

澪「わ、私と……ちゅー、しないか?」

聡「マ……マァジ?」

澪「……マジ」

聡「…………する」

澪「そ、そうか。これから私の家にくるか?」

聡「……いきます」

澪の家


澪「じゃあいくぞ……」

聡「う、うん」

澪(唯以外の……それも初めて男の人とちゅー)

澪「んちゅ」

聡「んっ」

澪「――ッ!!?」

澪(な……なんだこれ!?)

澪(聡はふぁーちゅとだっていうのに、すごく……すごくきもちい!)

澪「んっ……んっ! ちゅうっ! ちゅぢゅっぺろしゃぶ!」

聡「んー! んむー!!」

澪「っ! あ゛はぁっ……! ご、ごめん、やりすぎた」

聡「ふあぁ……ぁ……」

澪(なんだろうこの感じ。唯の時とは違う何かを感じた……これは一体?)

澪(確かめる価値はありそうだ)

澪「聡。もう一回、いい?」

聡「ぁ……うん」

数日後


唯「わかったこと?」

澪「ああ。実はその……私なりに色々調べたんだけど」

唯「聡くんとちゅーして?」

澪「っ、うん……」

唯「そうかそうかー。それで澪ちゃんのちゅーレベルが上がってたんだね」

澪「ニヤニヤするな。でだ、私の仮説なんだけど」

唯「ほい」

澪「ちゅーには性別が関係しているかもしれない」

唯「なんですと……」

考えていた展開に矛盾が生じました
残念ですがこのSSはこれで終わります
さようなら

澪「聡とふぁーちゅとした時、初めて味わうような気持ちよさがあったんだ」

唯「私が下手だったから……」

澪「違う。なんていうか気持ちよさのベクトルが違ったんだ」

澪「私が聡をどうこうだからって言うんじゃないぞ。多分本能的なちゅーの仕方があるんだと思う」

唯「本能的……?」

澪「ぷろせちゅ、って言葉を知ってるか?」

唯「ぷろせちゅ……知らない」

澪「男と女ではちゅーの仕方が違うんだ。これは男女のちゅーの捉え方の違いじゃなくて、技術面の話」

澪「男の子のぷろせちゅを凸とするなら女の子のぷろせちゅは凹。つまり技術的な相性があるらしい」

唯「そうだったのか……!」

澪「多分梓も唯も私もぷろせちゅは凹のはず。そこで唯が凸のぷろせちゅを学んでそれを梓にぶつければ……」

唯「相性抜群でちゅーレベルの差を覆す事が可能に?」

澪「その可能性は高い」

唯「そっか……! なんだか希望が湧いてきたよ! 澪ちゃんほんとありがとう頼りになるぅ!」

澪「へへ……」

唯「私も男の子とちゅーをする時が来たか」

澪「あともう一つ、凹と凸でちゅーした方がレベルの上がりが早いと思う。これは実証済みだ」

唯「と言っても誰と……出来ればちゅーレベルの高い人がいいな。私が凸ちゅーを学んだとしてもあずにゃんの彼氏のちゅーレベルを上回らなきゃ意味がないし」

澪「聡はちゅーレベルまだ低いからなぁ……」

唯「とにかく探してみるよ! ありがとね!」

澪「ああ、頑張れよ」

唯「うんっ! ……でもさ」

澪「ん?」

唯「それでも……また練習に付き合ってくれないかな? ぷろせちゅに関係なく私は澪ちゃんのちゅーも好きだよ……へへ」

澪「唯……もう、当たり前だろ」

唯「えへへ」

そして唯は凸ぷろせちゅを学ぶため武者修行を開始した。
繁華街の駅前あたりで。

唯「ちゅーの上手い人いないかなぁ」

  「すごいこと聞いちゃった」

唯「へ?」

  「チュウに興味あるの?」

唯「あちゃー……言葉に出しちゃってた」

  「あはは、キミ面白いね。まさかナンパ待ち?」

唯「違いますよ~」

唯(……と思ったけど違わないじゃん。むしろ逆ナンの勢いだったよねこれ)

唯とその男はその場でしばらく談笑したあと、色々あって、飲み食いして、ホテルに入った。

唯「ここでちゅー教えてくれるの?」

  「教えてあげるよー」

唯(やっぱり緊張するよ……けどこれで凸ちゅーを覚えられる)

  「先シャワーいいよ」

唯(なんでシャワー?)

唯「私は別に……」

  「そうなんだ。それでは」

唯「んっ……んむっ」

唯「ん……ちゅ……」

  「唯ちゃんって積極的だよね」

唯「そう、かなあ……はあ、ん……ン……ちるる、んっ、じゅちぅ」

唯(これが男の子のちゅー……確かに今までのちゅーと違うけど……?)

唯(とりあえずこの感覚を覚えていけば――)

唯「っ?!」

思わぬ不意打ちを食らって身体がびくんと跳ねた。
唯の胸に男の手が添えられていた。

この世の終わり

唯「んっ……ちょ、まっへ、ふも……ンンン~~!」

添えられた手が大きさを確かめるように乳房の外縁部を撫でまわす。
唯はちゅーをするためだけにホテルへ来た。
しかし男は違う。
唯は男の目的がちゅーだけではないという簡単なことに気付けなかった。
ホテルに入った時点で双方合意の上だと思われていたし、口内への侵入をいとも容易く許してしまっては勘違いされるのも無理はない。

唯「んー! や、やあっ! やむ、ちゅる、っば、やめへぇ……ぁ、ぢゅるっ!」

拒絶の声を出そうとすると唇を塞がれ、わざと卑猥な音を立ててそれを妨害してくる。
押し返そうとするも腕と肩を掴まれて、力任せにベッドへ押し倒されてしまった。
男は唯の抵抗を本気と捉えていないのだろう。逸る気持ちを抑えず唯にむしゃぶりついている。

唯(ううー! 動けないよぉ! やだっ、なんでっ? ちゅーを教えてくれるって言ったのに!)

しかし今更そんなことを言ったとして一蹴されるのがオチだろう。
唯は頭をフル回転させてこの場から逃げる方法を考え始めた。

しばらくしてぶっちゅーが終わる頃には唯は抵抗するのをやめていた。

唯「ねえ、ちゅーを教えてくれるって約束だったのにこんなことまでするの?」

  「うん? だってこういうことするためにここに来たんじゃん」

唯「ちゅーだけだと思ったからシャワー浴びなかったのに。やっぱりシャワー浴びよ?」

  「んー……じゃあ待ってるね」

男を先に浴室に入れたかったがここで渋ると怪しまれる。
そう思った唯はなるべく自然かつ嫌な素振りを見せないように浴室へ向かった。

シャワーを浴び終えて戻ると

  「あれ、バスローブは?」

私服で戻ってきたことを指摘された。

唯「あ、あの、私こういう所初めてで、よく分からなくて……ダメだった?」

  「そうなんだ。全然だめじゃないよ」

本当は逃げるためだったが程よく真実を混ぜてうまくごまかしたようだ。

  「じゃあ……」

男が唯に近付いてくる。

唯「あ……まって、シャワーは?」

  「俺はいいよ」

唯「え……」

誤算だった。

唯「あっあのね! 実は……」

腰に手を回されて再びぶっちゅーかと思われた時、唯が相手の肩を軽く押した。
そしてもじもじと言いよどむ。

  「どしたの?」

唯「実は私……こういうことするの……初めてなの」

  「えっ」

これは本当。

唯「だからね、その、最初はちゃんとしたいっていうか、なんていうか……」

これも本当。

”初めて”ということと思わせぶりな態度に男の期待が無駄に高まる。

唯「その……えっと、お兄さんにも綺麗になってほしくて……つまり、ちょっと臭いかも」

  「え゛っ、マジで?」

唯「うん……」

臭いと言われてややショックを受ける男。
臭いというのは嘘であるが自分で自分のにおいの判断は中々できないものである。

複数の理由付けで現実味を持たせて、尚且つその後にご褒美をちらつかせる。
効果はあったようで男は早速浴槽へ向かった。

唯(よし! 今のうちに!)

シャワーの音が聞こえてから唯は部屋のドアへ向かった。
しかしドアはロックされていた。

唯(開かない! 何で!?)

どうやっても開かない。
パニックになりそうな自分を抑えつつすがるように辺りを見回す。
インターホンが目に入る。
他に方法もないのでインターホンを手に取った。

唯「あのっ玄関(?)のドアが開かないんですけど!」

そりゃそうだよと言わんばかりの回答が帰ってきた。
とにかく開けて欲しい一心で自分は未成年でよく分からずに部屋に入ってしまった、連れはそのまま泊まると捲し立てたらロックを解除してくれたので一目散に逃げ出した。

ホテルを抜け出して駅まで全力で走った。
何度も後ろを振り返りながら。
駅についたら足ががくがくしてその場にへたり込みそうになったが何とか踏ん張り、駅のホームのベンチまで耐えた。
猛ダッシュのせいで身体から湯気が出そうなのに寒気を感じて手足が震えている。
もう大丈夫と自分に言い聞かせて荒れた息を整えると次第に震えも収まっていった。

唯(怖かった……怖かったよぉ……)

しばらくして電車がホームに入る。
唯は立とうとして、まだ足に力が入らないことに気が付いた。
けれど一秒でも早くこの場所から離れたかったので無理矢理足を動かして電車に乗り込んだ。

唯「――ということがありまして……澪ちゃん?」

澪「」

澪「……はっ!」

澪「だ、だだだだ大丈夫なのかっ!?」

唯「うん!」

澪「あ……あ……ごめん……ごめん唯ぃ!」

唯「なんで澪ちゃんが謝るの?」

澪「私が男とちゅーした方がいいなんて言ったから……唯がそんな酷い目に……うっ……うぇえん……ごめんなさい……」

唯「大丈夫だって! あの時は怖かったけどその次からは上手くいったもん!」

澪「…………はい?」

ビッチな唯ちゃんは愛せない(´;ω:;.:...サヨウナラ

唯「今の彼はちゃんとちゅーのことわかってる人でさ、すっごくちゅーが上手いの!」

澪「……唯、私を殴ってくれ。なるべく強く」

唯「え? 私は気にしてないってば」

澪「いいから」

唯「わ、わかった……じゃあ強めにやっちゃうよ? えいっ」

澪「……よし。次は私の番だな」

唯「へ? ――あぎゃっ!?」

唯「いたたた……!」

澪「お前なあ! 懲りなかったのかよ!!」

唯「ちょ、待って、ちゃんと反省してるし危ないことはしてないから!」

唯「その人はちゃんとしたちゅーりすとだったから!」

澪「っ……ぅぅ……」

唯「ごめんね心配かけて。もう変な事には絶対ならないから。約束するから。だから泣き止んで?」

澪「ぐす……絶対だぞ」

唯「はい」

ちゅーりすとはその人がちゅーりすとかどうかを見分けることができる。
唯がそれに気付いたのは早かった。ある意味遅かったかもしれないが。
その選球眼で道行く人を観察して初めてわかることもあった。
ちゅーりすとは思った以上に少ないのである。
そして、その少なさ故にちゅーりすとはちゅーりすとを常に探し求める。
結果ちゅーりすと同士は惹かれあうのだ。

そして唯は彼に出会った。

ちゅーレベルの高い彼とせっくちゅーふれんどになり、彼の技を盗むため出来る限り一緒の時間を過ごした。
彼は忙しいらしく週に二回会えればいい方だったが、それでも唯のちゅーレベルはめきめき上がっていった。
ついでにわりとかっこいい。

唯「んっ……ちゅぽっ、ぺむ、しぷ、にろろぉ……んは」

彼「唯はほんとちゅーの才能あると思うよ」

唯「そうかなー」

彼「ちゅーには好みとか相性もあるけどね」

唯「なら私達って相性いいよね」

彼「うん。それは間違いない」

もうあずにゃんの事なんて忘れてるよ…(´;ω;`)ブワッ

唯は彼のちゅーにふぁーちゅとの時と同じ特別な何かを感じていた。
それは彼も同じだったのか、お互いがとても親密な関係になれると予感していた。
しかし唯には梓がいる。そのためのせっくちゅーふれんど。
だから深入りしないよう自分を抑えていた。
彼は彼で唯の深いところには入り込んでこない。
せっくちゅーふれんどの観点からすれば非常にベストな関係だった。

そして念願の凸ちゅーも習得した。
それを梓に試した時、梓はとても驚いていた。

梓「……先輩、今のは……」

唯「ふふ」

梓「……」

梓の反応に満足した。
確かな手応えを感じた。
だが。

梓「先輩。今のちゅーどこで覚えたんですか?」

梓「今のちゅーは私の彼のちゅーと似すぎています」

唯「え……」

梓「まさか」

唯「な、何言ってるのさあずにゃん! 最初に私にちゅーを教えてくれたのはあずにゃんだよ?」

唯「それから私はずっとちゅーについて勉強してきた。……あずにゃんに追いつくために」

唯「あずにゃんとするちゅー。そこから私がするべきちゅーを探して、そうしてやっと見つけたのがさっきのちゅー」

唯「なのにそんなこと言われるんじゃばからしすぎるよ。ならいいもん、あずにゃんのためのちゅーじゃなくて私のちゅーを探すから! ……先に帰るね」

多弁に無弁。梓に喋らせずに唯はその場を立ち去った。
彼のちゅーと似すぎているという最初の一言は唯の心を激しく動揺させ、言い訳のような台詞を吐かせた。

嫌な予感を払拭するべく、唯は彼と連絡を取りあぽいんちゅめんとを取る。

いつしか彼と会うこと自体が楽しみになっていた。
だからちゅーをする以外にも沢山遊んだり話をした。

今回もちゅーの前に彼とカフェで長々とお喋り。
彼がこういう場所で腰を下ろす時は必ずポケットの中身をテーブルに出す。
それが狙いだった。

しばらくして彼がトイレに向かい、その隙に彼の携帯をチェック。
自分と違う携帯の機種で電話帳の開き方に手間取る。

唯(ないよね? あるわけない……お願い)

なんとか開いた電話帳の「な行」。
スクロールする必要もなく書かれていた。

中野梓、と。

┌┴┐┌┴┐┌┴┐ -┼-  ̄Tフ ̄Tフ __ / /
  _ノ   _ノ   _ノ ヽ/|    ノ    ノ       。。
     /\___/ヽ

    /ノヽ       ヽ、
    / ⌒''ヽ,,,)ii(,,,r'''''' :::ヘ
    | ン(○),ン <、(○)<::|  |`ヽ、
    |  `⌒,,ノ(、_, )ヽ⌒´ ::l  |::::ヽl
.   ヽ ヽ il´トェェェイ`li r ;/  .|:::::i |
   /ヽ  !l |,r-r-| l!   /ヽ  |:::::l |
  /  |^|ヽ、 `ニニ´一/|^|`,r-|:「 ̄

  /   | .|           | .| ,U(ニ 、)ヽ
 /    | .|           | .|人(_(ニ、ノノ

彼「ふー。あれ、どうした?」

唯「……ねえ、この後行きたいところがあるんだけど、いいかな?」

彼「いいけどどこいくの?」

唯「ついてからのお楽しみ、かな」

生まれて二度目のラブホテルに、今度は自分から誘った。

彼「ここって……」

唯「たまにはじっくりちゅーしたいなって思って」

無駄に前回のラブホテルで手順や雰囲気を覚えたので多少の余裕があった。

唯「はー、今日暑かったねー。汗かいちゃった」

彼「もうすぐ夏だもんな」

唯「ちょっとシャワー浴びてくるね」

彼「え……うん」

浴室から上がった唯はバスローブ姿で彼の前に現れた。

彼「唯?」

唯「あ……えへへ、暑かったから、その、ね」

彼「……」

唯「じゃあ……しよっか?」

返事を待たずに、ベッドに腰掛ける彼に身を寄せた。

唯「んちゅ……ちゅー、れろろっ、ぺちゅ、てゅく、ゅろろぉ……ぢゅぃぉ」

初春「どうやら、最終的に佐天さんが満足するSSが、現行で張り付いていた場合3割ということみたいです」

佐天「完結しててもつまんない奴も多いんだね……」

初春「本文がよくても、後書きや合いの手で興醒めするのもですね」

初春「糞スレが伸びてる理由もわかりませんし」

初春「百番煎じのSSは、書いてる奴も読んでる奴も何考えてるんですかねえ」

初春「独自性出せないなら創作やるんじゃないっつーの」

初春「臭過ぎて鼻が曲がるわ」

佐天「初春?」

唯「ちゅぱっ。……んふ」

彼「今日はどうかしたのか? いつもより……」

唯「どうもしてないよぉ。こうしたいだけ」

彼「……そっか」

唯「あの、ね」

彼「ん?」

唯「その……私の……」

唯「私と、セ……っ、やっぱりなんでもない。ちゅっ!」


この日を最後に唯は彼と会うのをやめた。

   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ミ
  /   ,――――-ミ
 /  /  /   \ |
 |  /   ,(・) (・) |
  (6       つ  |
  |      ___  |   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  |      /__/ /  < ホテル行って何も無いわけねえだろ!
/|         /\   \__________

唯「……はぁ」

澪「どうしたんだよ最近。梓にふられたみたいな雰囲気じゃないか」

唯「……フラれてないよ」

澪「ならいいけど。ちゅーも上手くいってるんだろ?」

唯「それなんだけどさ、まだだめみたい」

澪「あのちゅーでもダメだっていうのか?」

唯「あのちゅーはただのコピーなんだよ。私のちゅーじゃない」

澪「でも凸のちゅーはそう簡単には……」

唯「うん…………あ」

唯「よしきめた! 私もっとちゅーを極めるよ! そして今度こそあずにゃんと……!」

澪「どうした突然」

唯「あずにゃんの彼と同レベルのちゅーじゃだめなんだよ!」

唯「それをさらに超えなきゃあずにゃんは私を選んでくれないから……だから私はさらにちゅーレベルを上げる!!」

澪「なあ、本当にどうしたんだよ。私にも言えないことなのか?」

唯「……」

澪「……いいけどさ、危ないことだけはするなよな?」

唯「大丈夫。むしろ危ない要素を排除した結果がこれだから」

澪「?」

唯は再び探し始めた。
今度はさらにすごいちゅーりすとを。

澪「そんなすごいちゅーりすとなんて……唯は既にかなりのちゅーレベルを持っていると思うけど」

唯「”伝説のちゅーりすと”」

澪「っ!! それってただの噂じゃ……」

唯「それでも探す。そのくらい圧倒的なちゅーを身につけたいの!」

澪「……わかった。あんまり無理するなよ」

唯「うん」

澪「それと出来る事があったら言ってくれ」

唯「うん! ありがとね」

唯はひたすらちゅーりすとの情報を集めて、探した。
とにかくその行為に没頭してなるべく何も考えないようにするものの、ふとした瞬間に思い出してしまう。

唯(彼はあずにゃんの彼)

唯(私が彼とちゅーしてたことはあずにゃんには知られてない。大丈夫あずにゃんには嫌われない)

唯(何も問題ないはずなのに……これ以上考える必要ないのに……ああもう)

唯(彼のことはもう忘れたの! うん、よし忘れた!)

唯(……)

伝説のちゅーりすと。
情報はどれも古く今現在存在しているのかどうかすらわからない。
だが唯は諦めず、ひたすら伝説のちゅーりすとを追い求めた。
澪も尽力してくれたし、他のちゅーりすとを見つけては情報を聞き出した。

いつしかしっぽを掴み、ゆっくりだが確実に手繰り寄せ。
ついに伝説のちゅーりすとに辿り着いた。

唯「あなたが伝説のちゅーりすと……ですね」

おじさん「違います」

見た目はやや太り気味のさえないおじさんだった。
ちゅーりすと独特の雰囲気なんて微塵も感じさせないような。
それでも唯はこのおじさんと対峙して理解したのだ。
この人はちゅーりすとだと。

唯「ちゅーりすとですねって言われたら普通の人なら”何それ?”って言いますよ」

おじさん「そんなこと言われても……」

唯「私はどうしてもあなたの力が知りたいんです。そしてそれを私のものにする」

おじさん「えぇ……」

唯「ついて来てほしいところがあるんです」

そして唯は三度目のラブホテルへと向かう。

おじさん「ねえ君……美人局とかそういうのでしょ」

唯「筒? 筒は持たせません。ただちゅーをしたいだけです」

おじさん「ちゅーって……ええぇ……そもそも君未成年でしょ?」

唯「はたち(嘘)です」

おじさん「え、えー……でも」

唯「お金とかいりませんから、ちゅーさえしてくれればそれでいいんです」

唯「さ、いきましょう」

おじさん「ちょ、ちょちょちょ……」

おじさん←なんだ俺か

おじさんを無理矢理連れ込んだ。

唯「それじゃあちゅーしましょう」

おじさん「君がちゅーをしたいのはわかったけど……」

唯「なら――きゃっ!?」

おじさんは唯の不意をついてベッドに押し倒した。
そのまま唯にのしかかり、手を抑えて身体の自由を奪う。

おじさん「君はちゅーだけがしたいようだけどおじさんもそうとは限らないだろう?」

唯ちゃんみたいな子におじさんが誘われたらそらこーなるわな(´・ω・`)

唯「……そうですね。でもいいですよ、ちゅーをしてくれるのなら、それ以外のことをしても」

おじさん「……」

唯「……」

長いにらみ合いの末、おじさんは観念したように唯から離れた。

おじさん「どうしてそこまでちゅーがしたいんだ?」

唯「それは……ちゅーで振り向かせたい人がいるから」

おじさん「そのために自分の体も差し出すって?」

唯「……はい」

唯「ちゅーのためなら私の身体だって……いいですよ」

唯「ちゅーのためならなんでもするって決めてるんだもん……」

おじさん「強い意志があるのはわかった」

唯「なら……!」

おじさん「でもおじさんにはやけくそにも見えたけどなぁ」

唯「っ! ……や、やけくそなんかじゃないもん!」

おじさん「それにずっと震えてるけど?」

唯「うっ……」

おじさん「そもそもおじさんがちゅーりすと? かどうかもわかんないんでしょ?」

唯「それは……はっきりと感じ取れないけど、でも私の中のすぴりっちゅは確かにおじさんのことをちゅーりすとだって言ってる」

おじさん「……ほう」

おじさん「かなりの素質を持っている上にちゅーレベルも高そうだ」

唯「あ! やっぱりおじさんが伝説のちゅーりすとなんだ!」

おじさん「伝説かどうかは知らないが確かにちゅーりすとだった」

唯「”だった”?」

おじさん「もうずっとちゅーはしていない」

唯「してないんだ……どうしてなの? おじさんはすごいちゅーりすとなんでしょ?」

おじさん「……君は放っておいてもどんどんちゅーレベルを上げてしまうだろうね。それがどんな悲劇を生むかも知らずに」

おじさん「昔の話をしよう」

おじさん「十有余年前、ただひたすらにちゅーを求める男がいた」

おじさん「純粋にちゅーが好きで、純粋にちゅーが人の心を動かすと信じて、純粋にちゅーレベルを上げた」

おじさん「そしてついに極めた。誰も到達できなかった境地に辿り着いた」

おじさん「そして男は、意中の人とちゅーをして……」

唯「して?」

おじさん「吐いた」

唯「え……」

おじさん「ちゅーを極めるということはね、ただちゅーが上手く、気持ちよく出来るようになるということじゃなかったんだ」

唯「どういうこと……?」

おじさん「君はテレビゲームをやったことあるかい? RPGとか」

唯「うん、ある」

おじさん「レベルを上げて強くしたり、装備を整えたり、効果的な方法で敵を倒したりするだろ」

唯「うん」

おじさん「ちゅーレベルっていうのはRPGのレベルとは違うんだ。まあ途中までは同じかもしれない。でも……」

おじさん「あるレベルを超えて”そこ”に辿り着いてしまうとね、見たくも感じたくもないものまで分かっちゃうんだよ」

おじさん「ゲームを作った側にしかわからないような”裏側”がね。ちゅーの裏側ってなんだかわかるかい?」

唯「……」

おじさん「ちゅーの相手”そのもの”。さらに相手のそのまた”相手”だよ」

唯「ッ!?」

おじさん「さっき言った……もうめんどくさいから言っちゃうけどおじさんがちゅーした人の色んな事が分かってしまってね」

おじさん「その女とちゅーしてるはずがちゅーの先の余計なものまで見えるんだよ」

おじさん「気付かないふりをするとか無理なんだ。もうね、その誰だかわからないような男がはっきり見えるの」

おじさん「知らない男とちゅーしちゃってるの」

おじさん「さらにちゅーしてる女がね、まさかのクズだったのよ。これは詳しく言わないけどとにかくちゅーで相手のことがわかりすぎちゃうの」

おじさん「それからというもの、ちゅーを純粋に楽しめなくなってしまった。苦労してちゅーれべるを上げた先に待っていたものがあれなもんで、次第にちゅーをするのが嫌になっていった」

唯「そんなことが本当に……?」

おじさん「なんなら試してみるか?」

唯「……うん。試す」

唯「だって私は……ちゅーを極めたい」

おじさん「今の話を聞いてなお極めたいと言うとは……見かけによらずビッチなんだな」

唯「ビッ……!? 違うよっ! 私は……っ!」

おじさん「すまんすまん。ただね、さっきの話を昔の恋人が分かる程度の認識にしてもらいたくないんだ」

おじさん「もっと色々見えてしまうんだよ……色々ね」

唯「……」

おじさん「とりあえず、ちゅーするんだよね?」

唯「う、うん……」

おじさん「じゃどうぞ、お好きなように」

唯「っ…………ちゅう」

唯「んっ……っ……! ――ッ!! ~~~っ!」

自分からちゅーした唯は、十秒ほどたった時点で思わずおじさんを突き放した。

唯「――はうぅっ、っはぁ、ぁ゛……ぁ……? なに、いまの……」

おじさん「君が求めてるちゅー、なのかもしれない」

唯「これが……こんなちゅーがあるんだ……信じられない」

おじさん「どうだった?」

唯「すごくきもちよかった……怖いくらいに」

おじさん「怖い、か。なるほどそうかもしれん。君の素質は本物のようだ」

おじさん「さて、今のちゅーで多少君のことが分かったんだが……言ってもいいかな?」

唯「……どうぞ」

おじさん「君のふぁーちゅとは少し珍しい形だ。相手は同性だろ?」

唯「っ! ……本当にわかるんだ」

おじさん「わかるよ。ちゅーレベルを上げるために何人かとせっくちゅーふれんどになって……その中で嫌な思いもした」

唯「う、うん」

おじさん「……ま、そんな事穿り返す必要はないな。要は今好きな男をちゅーで振り向かせたいと」

唯「違うよ? 私が好きなのはその……ふぁーちゅとした相手だよ」

おじさん「あれぇ?」

唯「……」

おじさん「……ほう」

唯「おじさんほんとに伝説のちゅーりすとなの?」

おじさん「そう言われてもねえ。そうかそっちか」

唯「そっちって」

おじさん「いやいや、そっちの子っていう意味でそっち系って意味じゃないよ」

おじさん「おじさんくらいのちゅーりすとになるとたいした問題じゃないし」

唯「ってことはおじさん男の人とも……?」

おじさん「ふふ……」

唯「さすが伝説のちゅーりすと……」

おじさん「しかしなんだ、久しぶりにちゅーしてみたけど思ったより悪くないな。相手が君だからか」

唯「えっ? ……あれ、私口説かれてる?」

おじさん「いや、君の内面が見えても嫌にならない。つまり君がいい子ってことだ」

唯「……あんまりいい子じゃないよ。だって好きな子がいるのに他の人とばっかりちゅーしてるし……」

おじさん「それはそうかもしれんが、一般的なちゅーりすとの範囲内だ。それに君は根っこの部分でいい子なんだよ」

唯「そうかな……。とにかくおじさんは私にちゅーの全てを教えてくれるんだよね?」

おじさん「……。本当に久しぶりにちゅーをしたけど、おじさんが年を取ったからなのか、過去にちゅーで感じた嫌な思いをしなかった。君がいい子だっていうのもあるけれどそれだけじゃない……昔は嫌だったことも長い年月で許容できるようになったということか……はは」

おじさん「わかった、ちゅーを教えよう」

唯「やったー!」

おじさん「君もおじさんのような気持ちを味わうかもしれないが……」

唯「それでも……お願いします!」

おじさん「ああ。おじさんも君の芯の強さに期待したくなった」

おじさん「ところで、君は好きな子の彼を寝取ることも出来たんじゃないのか? そしたら彼と君の好きな子が別れるかもしれない」

唯「ねとっ!? もうっ! そんなことしないよっ!」

おじさん「だろうね」

唯「そんなことしたらあずにゃんが悲しむし……ってあれ、別れさせたいはずなのに」

おじさん「うーんいいねえ。益々気に入った。早速ちゅーの続きをするかい?」

唯「お、おす!」

おじさん「気合十分だね」

唯「だっておじさんのちゅーって……気を抜いてるとふわふわ飛んでいっちゃいそうなんだもん」

おじさん「ふわふわ、ね。おじさんは容赦しないから体の限界まで飛ばしちゃうかもしれんよ」

唯「っ……のっ、望むところだよ!!」

先程のちゅーだけで足腰の力が抜けて身動きが取れなかった。
それでもちゅーの先にあるもののために精一杯の虚勢を張る。
この後、唯は地獄の様な快楽に何度も身を投じることとなる。

一か月後


梓「――っはぁっ!! あは、ひぐっ……ぅ……え……?」

唯「にへ」

梓「な、なんですか今のちゅーは? そもそもちゅーだったの……?」

梓「始めは、いや、始めのちゅーも相当のレベルで足に力が入らなくなって……」

梓「崩れ落ちそうになったところを思い切り抱きしめられて、覆いかぶさるようにちゅーされて」

梓「荒々しいちゅーで、ちゅーなのかただのキスなのかわからないくらいで、その境界線を行ったり来たり」

梓「かと思えば最後は恐ろしいほどのちゅーで一気に流されて……あんなちゅー今まで味わったことがないです」

ソファーにへたり込んだ梓が息も絶え絶えに今起こったことをありのままに話した。

唯「どうだった? 見直した?」

梓「あ……はい。すぐそういうこと聞いちゃう唯先輩でも今のは正直にならざるを得ません」

唯「ふふっ。やっとあずにゃんに認められた」

梓「はは……やっぱり唯先輩はすごいです」

唯「あずにゃんとあずにゃんの彼も相当だよ」

梓「えっ? どういう意味ですか?」

唯「おわっ、何でもないよ!」

梓に認められてからさらに一ヶ月。
唯は既にちゅーレベルの限界を超えていた。

唯「――っふあぁぁ……♥」

おじさん「僅かな期間でこれほど成長するとは」

唯「おじさんのおかげだよ~。そういえばおじさん最近別の人ともちゅーしてるでしょ?」

おじさん「! 今のちゅーでわかったのか……もうおじさんが教えることはないな」

唯「相手の相手が見えるってこういうことなんだね。まだはっきりとは分からないけど」

おじさん「ここまできたら放っておいてもいずれ分かるようになるだろう……今でもこれで良かったのかと考えることがある」

唯「それは私が決めたことだからいいの。あのまま何もしないであずにゃんと疎遠になってもどっちみち後悔はするもん」

おじさん「おじさんは唯ちゃんとちゅーして良かったけどね。ずっと忘れていたちゅーの良さと、今だからわかるちゅーの良さを感じることが出来た」

唯「私もおじさんに教えるちゅーはもうなくなった! りっぱなちゅーりすとに育ったね!」

おじさん「言うねえ。お互い卒業ってとこか」

唯「そだね……」

おじさん「……」

唯「でも、私はおじさんとせっくちゅーふれんど続けたいな。純粋なちゅーでおじさんより上手い人っていないもん」

おじさん「光栄だね。ここは振るのが君のためなんだろうけど、おじさんも君ほどのちゅーりすとを手放したくはないな」

おじさん「というより君ほどのちゅーりすとには今まで出会った事がない。最高のちゅーりすとだよ……おじさんの次に」

唯「あははっ! それじゃあこれからもよろしくお願いしますっ!」

おじさん「こちらこそ」

唯「でも私が悪い子になったらおじさんも嫌になっちゃうんじゃない?」

おじさん「それはないな。今の唯ちゃんも嫌いじゃないし」

唯「それじゃあ私が既に悪い子みたいじゃん!」

おじさん「あはは、気付いてなかったの?」

唯「ええ~~!」

おじさん「君がちゅーを通して誰を感じているのかを見ちゃうとね。ま、おじさんはそれもいいと思ってるけど」

唯「どゆこと?」

おじさん「自覚してるのかどうかあいまいな所もいいね。ほんと君には感謝してるよ」

唯「わかんないよ……」

おじさん「分からなかったら確かめてみるかい?」

唯「むっ、おじさんの中身全部見ちゃうんだからね! ……はむ、ちゅー♥」

達人レベルのちゅーを身につけた唯。
そんな唯のちゅーあいを受けて梓の心は唯に引き寄せられていった。

唯「んちゅっ……はえ……んふふ……ちゅぽ、ぺろすりゅりゅ……♥」

梓「あ、あふ……ゆいへんひゃい……ふき、んちょ、ぺろ、しゅきれふ……んっ♥」

唯「……ふぁ♥ ……ねえあずにゃん。さっきの言葉よく聞こえなかったからもう一度言ってほしいなぁ」

梓「わ、私何か言いましたっけ?」

唯「ええー。まいっか」

梓(それにしても唯先輩のちゅーすごいな……なんだか先輩のちゅーの先にもっとすごい何かを感じる)

唯(あずにゃんのちゅー……彼とはまだ続いてるみたいだね)

 

ちゅーはちゅーレベルの他に愛情も関係してくる。
唯とおじさんはそれすら超越したちゅーをしているが。
唯はもちろん梓のことを好いていた。
だがそれと同じかそれ以上に、もう一人。


唯は梓を通して彼のちゅーを感じていた。
今の唯ならより鮮明に彼のことを見ることができる。
もう決して会わないと決めた彼。
その彼を、彼のちゅーを感じたくて梓とちゅーをしている。

 

唯と彼の相性は抜群だった。
ちゅーも、それ以外も。
そんな彼にちゅーを通して思いを寄せている。
自覚の有無はさておき、唯の本能は相性抜群のちゅーを求め、受け入れていた。
唯は今世界で最高のちゅーを得ている。


ただし、それは唯と彼だけがもたらすちゅーではない。
二人の間にいる梓はただの橋渡しなどではないのだ。
唯が彼に思いを寄せているのは確かだが、梓にも同様の感情を抱いている。
彼と梓。
二人への愛情をちゅーに変えて、二乗のちゅーで快楽を得る。
おそらくもうあと僅かしか残されていない、今だけの特別なちゅー。
それを貪る唯はまさしく生粋のちゅーりすとだった。


梓「ねえ唯先輩……お願いします、もっと」

唯「もちろんいいよ。だってこれが私の求めてたものなんだから……ちゅー♥」


そんな唯に梓は思いを寄せ、ちゅーをせがむ。
ちゅーとは斯くも


ちゅーとはちゅーである。



END

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