西垣「松本、私の家で星を観ないか?」りせ「・・・?」(86)

西垣「晴れた日は星がよく観えるんだよ」

りせ「・・・?」

西垣「ああ、そうだ。私の家には屋根が無いからな・・・」

りせ「・・・。」こくん

西垣「いや、晴れた日はなかなか快適なんだよ。うちの二階は」

りせ「・・・。」

西垣「雨の日は雨の日で降水量の観測ができるしな」

りせ「・・・。」ぶんぶん

西垣「冗談だよ。雨の日はトタンの板を被せてあるんだ」

りせ「・・・。」

西垣「仕方ないよ。科学の発展に犠牲はつきものなんだ」

りせ「・・・。」びしっ

西垣「そう言わないでくれよ松本。家ごと吹き飛ばなかった分、まだましな方だと思わない?」

りせ「・・・。」

西垣「でも、まあ、こうして星を観たりなんて事も出来るし」

りせ「・・・?」

西垣「結果オーライ、みたいな?」

りせ「・・・。」(やれやれ、のポーズ)

西垣「それより松本、星観に来るのか?」

りせ「・・・。」こくこく

西垣「そうか。じゃあ家に連絡しておくんだぞ?」

りせ「・・・。」こくん

西垣「そうだ。星を観るなら泊まりになるのか・・・」

りせ「・・・!」ぴくっ

西垣「松本、ご飯は何が食べたい?」

りせ「・・・。」

西垣「・・・松本?」

りせ「・・・///」かぁぁ

西垣「どうした松本?ぼーっとして」

りせ「・・・!!」ぶんぶんぶんぶん

西垣「あはは、変な松本だな」

西垣「まあいいや。ご飯はてきとうに作ろうか」

りせ「・・・!」びくっ

西垣「ん?気がついたか松本?」

りせ「・・・!・・・!」パタパタ

西垣「おいおい、いくら私でもビーカーで米は炊けないよ。炊飯器くらいある」

りせ「・・・。」ほっ

西垣「うーん。でもそれも面白いかもな」

りせ「・・・。」ぴくっ

西垣「よし!今夜のメニューはビーカーで炊飯に決まりだな!」

りせ「・・・。」はぁ・・・

西垣「もちろんアルコールランプでだ!楽しみだなぁ!」ニコニコ

西垣「そうと決まれば、さっそく帰ろうか」

りせ「・・・。」こくん

西垣「じゃあ校門で待っててくれ。すぐ行く」

りせ「・・・。」

【校門】

西垣「お待たせー。さて、行こうか」

キャリキャリキャリ(自転車)

りせ「・・・。」こく

西垣「よっこら、せっと!」ひょいっ

りせ「・・・!」とすん

西垣「松本は荷台な」

りせ「・・・!・・・!」

西垣「わかってるって。二人乗りはしない。このまま押して歩くさ」

キャリキャリキャリキャリ(自転車)

西垣「キレイな夕陽だなー」

りせ「・・・。」ぽーっ

西垣「雲も少ないし、星はよく観えそうだ」

りせ「・・・。」こくん

西垣「よーっし!到着だ!」ガチャン

りせ「・・・。」

西垣「どう?壮観だろ?」

りせ「・・・!」こくこく

西垣「私の発明品と、その残骸。そして数々の実験の痕跡たちだ」

りせ「・・・。」

西垣「うかつに触らない方がいい。面白い事になるからさ」ニヤリ

りせ「・・・。」こく

西垣「うーん、それじゃあ寝床から案内しようかな」

りせ「・・・。・・・///」ドキドキ

西垣「ここが私の寝室。あ、私といっしょの部屋でも良かった?」

りせ「・・・!・・・!」こくこくこくこく

西垣「そんなに言わなくても。まあ、良かったよ。他の部屋は実験器具で満杯だからさ」

りせ「・・・。」

西垣「実質人が寝泊まりできる場所はこの部屋しか無いんだよ」

りせ「・・・。」

りせ「・・・?」

西垣「いやー、確かに掃除して貰えれば嬉しいんだけど。うーんでもなぁ・・・」

りせ「・・・。」

西垣「・・・やっぱりこっちのままの方が落ち着くというか」

りせ「・・・。」びしっ

西垣「ううっ、寝室くらいは片付けるから。そんな風に言わないでくれよ松本・・・」

西垣「ふぅ、やっと片付いた」

りせ「・・・。」

西垣「もういいだろ?寝るスペースくらいはできた。布団2枚なら十分敷けるよ」

りせ「・・・!」ハッ

西垣「どうしたんだ?」

りせ「・・・。」がっくり

西垣「??」

西垣「まあいいや。片付け手伝ってくれてありがとう松本」なでなで

りせ「・・・!」ぴくっ

西垣「おかげで少しは研究がはかどりそうだ。さすがは私の爆友!」なでなで

りせ「・・・///」にこにこ

西垣「おっと、そろそろ宵の明星くらい観れるかな?まだ少し外は明るいけど」

りせ「・・・。」

西垣「そうだな。金星はいつでも観られるし、晩ご飯作ろうか?」

りせ「・・・。」こくん

西垣「あと、お風呂も用意しよう。面白い入浴剤を作ってみたんだ」

りせ「・・・。」

西垣「この入浴剤はスゴいぞ!炭酸ガスが従来の5倍は出る。オマケにその泡がそのまま泡風呂になるんだ!」

りせ「・・・・・・。」

西垣「ぜひ実験台・・・もとい、ぜひ使ってみてくれ」

りせ「・・・!?」びしっ

西垣「あははっ、すまんすまん。まだ人間が入った状態で実験してなくてさ」

りせ「・・・。」

西垣「ああ、大丈夫大丈夫。爆発してもお風呂の中ならきっと楽しいよ」

りせ「・・・。」ぶんぶんぶんぶん

西垣「そうか?なら、安全に配慮して私が監視しながら実験するよ」

りせ「・・・!!」ドキッ

西垣「それならいざ爆発しそうになっても、いっしょに爆発できるだろ?」ニコッ

りせ「・・・///」かぁぁ

西垣「・・・あれ?松本からいつものツッコミがこない。松本ー?」

りせ「・・・!」びしっ

西垣「そうそう、それそれ!いやぁ、松本のツッコミはいつもキレがあるよね」

りせ「・・・///」ドキドキ

西垣「よし、お風呂はそれでいいとして、次はご飯だな」

りせ「・・・?」

西垣「ああ、どうしようか?本当にビーカーで炊いてみる?」

りせ「・・・。」

西垣「ま、ぶっちゃけ私もどっちでもいいんだけどさ」

りせ「・・・。・・・。」

西垣「お、それいいな!じゃあそれやってみよう!」

グツグツグツグツ

西垣「いやぁ、実験器具にこんな使い方があったなんてな」

りせ「・・・。」こくん

西垣「まったく。松本が閃いたおかげで、スゴいものが食べられそうだよ」

りせ「・・・?」

西垣「ああ。私より松本の方が発明に向いてるかもな。うりうり」ぐりぐりぐりぐり

りせ「・・・♪」にこっ

でろーん

西垣「さぁ、できたぞ!」

りせ「・・・!」ドキドキ

西垣「ううむ。あの食材からこんなものが出来上がるとはね。正直びっくりだ」

りせ「・・・。」こくん

西垣「とりあえず、実食してみる?」

りせ「・・・。」ぱくっ

西垣「おっ、さすが松本。迷いなくいったな」

りせ「・・・。」もぐもぐもぐもぐ

西垣「どう?」

りせ「・・・!!」ぱぁぁぁ

西垣「なにっ!?わ、私も食べるっ!」パクリ

西垣「うまーっ!!!」

西垣「なんだこのうまさは!?」パクパクパクパク

西垣「松本、お前はとんでもない発明をしてしまったんじゃないか!?」

りせ「・・・。」こくこく

西垣「いやぁ、食った食った」ほっこり

りせ「・・・。」ふぅ

西垣「さてと、いい感じに暗くなってきたけど、もう少し待った方がいいんだ」

りせ「・・・?」

西垣「それは観てからのお楽しみだ」

りせ「・・・??」

西垣「ちょうど時間もあるし、松本にはその間に入浴剤の実験に付き合ってもらおうかな」

りせ「・・・!!」グッ!(小さくガッツポーズ)

西垣「お、食いつきいいねえ。松本は入浴剤好き?」

りせ「・・・。・・・。」こくん

西垣「そっかそっか。なら良かったよ。それじゃあさっそく風呂場に行こうな」ぎゅっ(手をつなぐ)

りせ「・・・!」

西垣「こっちだ。足元いろいろあるから、踏まないようにな」

りせ「・・・///」

西垣「よし、湯加減もちょうどいいくらいだな」

りせ「・・・。」シュルッ パサッ

西垣「ん。脱いだか。それじゃあ私も、と」シュルッ

りせ「・・・///」じー

西垣「どうした松本?湯船入らないと風邪引くぞ?」

りせ「・・・。」こくん

西垣「あ、それとも湯船を登れないとか!?松本、お前そんなに小さかったっけ?」

りせ「・・・!!・・・!!」ぷいっ

西垣「冗談冗談。怒らないでくれよ松本。よっこいしょっと!」ひょいっ

りせ「・・・!」

西垣「はい、ザブーン!」

ザバーン!!

りせ「・・・!!」けほっけほっ

西垣「あははっ、ごめんごめん。松本ちっこいから、二人で湯船入ってもけっこう平気だな」

りせ「・・・///」かぁぁぁ

西垣「うん、まあ少しせまいけどガマンしてくれよ」

りせ「・・・///」こくん

西垣「うん。じゃあ入浴剤入れるぞ?実験開始だ」

ポチャン

ブボボボボボボボバ!

西垣「・・・。」

りせ「・・・。」

西垣「うん。泡はスゴいな」

りせ「・・・。」こくん

西垣「どうだ松本?気持ちいいか?」

りせ「・・・。」ふるふる

西垣「うーん。泡が強過ぎたかな?湯船から泡が溢れて立ってないと呼吸ができないな、これ」

りせ「・・・。」こくん

ボババババババ!

西垣「泡が止まる様子がないな。そろそろ脱出しないと天井まで泡が溢れてきそうだ」

りせ「・・・///」ドキドキ

西垣「さっきから静かだけど、なぁ、無事か松本?」ぎゅっ

りせ「・・・///」ぎゅぅ

西垣「とっさに抱っこしたけど、もしそうじゃなかったら松本この泡の中で行方不明になってたかもな」ケラケラ

りせ「・・・。」びしっ

西垣「ああ、ギリギリセーフだったよ。ホント」

りせ「・・・!」

西垣「ん?この格好はアウトだって?」

りせ「・・・///」

西垣「あはは、どうよ?生徒と全裸で抱き合うとか。やっぱりアウト?」

りせ「・・・。」びしっ

西垣「だよねえ?じゃあ、今日のこの実験はみんなにはないしょだな」

りせ「・・・・・・?」

西垣「ふふっ、マッドサイエンティストには世間には公表できない実験がつきものなのさっ!」

りせ「・・・。」はぁ

しゅわしゅわしゅわ

西垣「お、泡がおさまってきたな」

りせ「・・・。」すたっ

西垣「うーん、どうせ失敗するならもっと派手に爆発するのが良かったなぁ」

りせ「・・・。」ふるふる

西垣「そう?まあ、松本が楽しかったなら良かったよ」

りせ「・・・。」こくこく

西垣「そっか。ほら、こっちおいで。泡流してあげるから」しゃわぁぁ

りせ「・・・///」こくん

西垣「ふう!サッパリしたー!」ほかほか

りせ「・・・?」ほかほか

西垣「ああ、そうだな。そろそろ良い時間だ。二階に上がろうか?」

りせ「・・・。」こくん

西垣「湯冷めしないようにな。私のパーカー貸すから、着ていくといい」

りせ「・・・!」ぴくっ

西垣「・・・松本にはデカかったな」

りせ「・・・。」ぶかっ

西垣「んー?いいならいいけど。ま、そこまで寒い時期でもないしな」

りせ「・・・。」こく

西垣「それじゃ、ここが屋根が吹き飛んだ部屋だ。開けるぞ?」

りせ「・・・?」

りせ「・・・・・・!」

西垣「スゴいだろ?もうすぐ『スーパームーン』っていって、地球と月が一番接近するんだよ」

りせ「・・・。」

西垣「それで、ここ数日は月がいつもより大きく輝いて観えるんだ」

りせ「・・・?」

西垣「ふふっ、月だって星だろ?」

りせ「・・・。」こくん

西垣「これを、松本と観たかったんだ」なでなで

りせ「・・・///」かぁぁ

西垣「松本にはいっつも私の実験に付き合ってもらってばっかりだからなぁ」

りせ「・・・?」

西垣「たまには何かお礼みたいな事をしたくてさ。家に呼んでご飯でも作ってあげよう!とか思ってみたんだけど」

りせ「・・・。」

西垣「いざ家に呼んでみたら、また掃除や片付けを手伝ってもらったり、
私より美味しい料理を作ってくれたりで、世話になりっぱなしだったりさ」

りせ「・・・。」ふるふる

西垣「うん。でも、最後にこれを見せられてよかったよ。
ちょうど天井の穴から月が観えるこの時に、松本といっしょに観たいな、って思ってたんだ」

りせ「・・・。・・・・・・///」かぁぁ

西垣「ああ、そうだな。松本の言う通りだ・・・」

りせ「・・・///」

西垣「すごくキレイだ。他に言葉が要らないくらいに」

りせ「・・・。」こくん

西垣「・・・喜んでくれた?」

りせ「・・・!・・・!」こくこく

西垣「そっか。なら良かったよ」ニコッ

りせ「・・・。」ぎゅっ

西垣「少しはお礼できたかな?」

りせ「・・・。」ふるふる

西垣「うん。ありがとう松本。これからもいっしょに実験しような」

りせ「・・・。」こくん

西垣「ああ。観るもの観たし、身体冷えないうちに寝ちゃうか?」

りせ「・・・。」

西垣「そうだな。風邪引くといけない」

西垣「うん。布団はこれで良し」

りせ「・・・。」もぞっ

西垣「電気消すよ?松本は豆球要る?」

りせ「・・・。・・・。」ふるふる

西垣「じゃあ全部消すな」パチパチン

りせ「・・・。」

西垣「ところで松本」

りせ「・・・?」

西垣「今日さ、私の誕生日なんだよ」

りせ「・・・。」こくん

西垣「あ、知ってた?」

りせ「・・・。」にこっ

西垣「うん、ありがとう。そういうのもあって、誰かを家に呼びたかったのかも」

りせ「・・・。」ふるふる

西垣「ん?他に誰も居なくて良かったって?」

りせ「・・・。」こくこく

西垣「えっ?私にプレゼント用意してくれたのか!?」

りせ「・・・・・・///」こくん

西垣「あはは、何から何まで、ホントに松本は気が利いてるよ」なでなで

りせ「・・・。」

西垣「ああ、松本はスゴいヤツだよ。そう思う」なでなで

りせ「・・・///」ギシッ

西垣「うん?プレゼント?そっか、それじゃ、遠慮なく・・・」ぎゅっ

りせ「・・・///」ぎゅーっ

西垣「ありがとう、松本」

【翌朝】


チュンチュンチュンチュン


西垣「・・・zzz」くかーっ

りせ「・・・。」すーすー


目覚まし時計『カッチ、カッチ、カッチ、カッチ』

カチッ!


松本「・・・・・・ぁ」

                              ´
                               ´.

                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                    \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                       ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙       .'                             ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                              ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
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              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
                 ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
                    ´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
                         ´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´

終わり

あれ?最後がりせじゃなくて松本になってる・・・

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