七宮「にーっはっはっはっ!勇者の魂をもらいにきたよー!」(120)

高校入学式前日

勇太「うーん……」

樟葉「お兄ちゃん、なにやってるの?」

勇太「樟葉、この制服の着かたどう思う?」

樟葉「何いきなり……?別に普通だと思うけど」

勇太「普通……普通か!だよな!普通だよな!!よーし!!」

樟葉「なんだか知らないけど明日入学式なんだから早く寝なよ……」スタスタ

勇太「やる!やれる!!中学までの自分と決別して普通の自分になるんだ!」

勇太「あの忌まわし過去を…………」

プラプラ…

勇太「ロープ?」

ギシッギシッ…

勇太「……」

七宮「んっ、あ、あれ……?このあたりで手すりに足がつくはず……」

勇太「……」スッ

七宮「お?おお!?」ストン

勇太「あのー……どちらさまで……ああっ!!」

七宮「にーっはっはっ!久しぶりだね勇者!!」

勇太「七宮……?お前、なんでこんな所から?」

七宮「実はまたこっちに引っ越して来たんだよ。まさかそれが勇者の拠点の上だったなんてね!」

勇太「いや、もし知らない人が住んでたらどうする気だったんだよ」

七宮「にーっはっはっはっ!その点は大丈夫!実は昨日、勇者がこの家に入るところを見ちゃったんだよね。表札も富樫って書いてたしさ♪」

勇太「……で?こんな所から何の用なんだ?来るなら玄関から来れば良いだろ」

七宮「うーん、特に用はないんだけど……しいて言うなら……」

勇太「なんだよ?」

七宮「にーっはっはっはっ♪今度こそ勇者、君の魂をいただくとするよ♪」

勇太「意味が分からん」

七宮「んー……あれ?勇者、その制服もしかして……」

勇太「高校の制服だよ。どうだ、普通だろ?」

七宮「私も同じだよ!また勇者と同じ学校に通えるんだね!!」

勇太「そうなのか?ここから結構遠いのに……偶然だな」

七宮「違うよ勇者。私がここへ引っ越して来た偶然。それと同じ学校へ通う偶然」

七宮「偶然と偶然が重なればそれはもう必然なんだよ」

勇者「お前まだそんな事言ってるのか」

七宮「にーっはっはっはっ♪私はこれからもずっと言い続けるよ!勇者と別れてから400年、また会えると信じ続けたらこうして出会えたんだからね」

勇太「まだ3年しか経ってないだろ」

七宮「あっちの世界では400年だったからね。じゃあ勇者、また明日!」

勇太「もう帰るのか?」

七宮「うん。魔法魔王少女は忙しいんだよ!」

勇太「危ないから玄関から帰れよ」

七宮「平気平気♪……あっ!大事な事を忘れてた。勇者、こっちこっち」

勇太「?」

ツンッ

七宮「はなポチ……これも久しぶりだね」

勇太「お前なぁ……もう高校生になるのに」

七宮「にーっはっはっはっ!それじゃあ勇者、さらばだー!」

シュルシュル

勇太「はぁ……先が思いやられる。……にしてもあいつ、全然変わってないな」


七宮「勇者、ちょっと大人っぽくなってた気がするな……」

七宮「こうして勇者とまた会えたのもきっと運命なんだよ!」

七宮「明日から勇者とまた同じ学校……勇者とまた同じ学校……!!」

七宮「にーっはっはっはっ!!はっはっ……」

七宮「はなポチ……ちょっとドキドキしちゃったな……」

七宮「うぅー……!ダメダメ!!私は魔法魔王少女として生きていくって決めたんだから!!」


勇者(独り言?なにやってんだあいつ)

ふえぇ……七宮ちゃんと樟葉ちゃん可愛いよぉ

翌朝

勇太「…………」スヤスヤ…

コンコンッ

勇太「うーん……」

コンコンコンッ!

勇太「ん……っ、ん……?」

七宮「勇者!勇者!!」

勇太「はぁ……」

カチャッ

七宮「にーっはっはっはっ!夜は明け決戦の火蓋は切って落とされた!さぁ勇者よ立ち上がるのだ!」

勇太「……そうだな。じゃあ寝るか」

七宮「あっ、勇者寝ちゃダメだよ。もう学校へ行く時間だよ!」グイグイ

勇太「あのなぁ……時計を見てみろ。まだ6時前だぞ」

七宮「もしかしたら通学途中で時空がネジ曲が」

勇太「って無い!」

樟葉「ふぁーぁ……おにいちゃん?朝からなに騒いで……」

七宮「何者!?なぜ勇者の拠点に部外者が!?」

勇太「部外者って……」

樟葉「あれ?もしかしてさとねちゃん?」

七宮「どうして私の仮の名を……!」

樟葉「私だよ私、樟葉。お兄ちゃんの妹の」

七宮「くずは?くずはくずは……樟葉!!」

樟葉「うん。久しぶりだねー」

七宮「樟葉ー!」ムギュッ

樟葉「わっ」

七宮「400年前に会ったときは微粒子レベルだったのに大きくなったんだね!」

樟葉「微粒子レベルでは無かったし、3年しかたってないけどありがとう」

七宮「にーっはっはっはっ!では樟葉の成長と我々の再会を祝して宴を」

勇太「学校行くんだろ!」

朝食

樟葉「そっかー、じゃあさとねちゃん上の階に引っ越してきたんだ」

七宮「そうなんだよ!偶然空いた所へ引っ越したら偶然ね!これはもう必然、運命なんだよ!」モグモグ

勇太「お前、普通にうちで飯食ってるな」

樟葉「あー……そういえば前に小鳥遊さん料理の勉強で外国に行くとか言ってたっけ」

勇太「あのちょっと怖そうな背の高い人だろ?よく良い匂いがしてたけど料理人だったのか」

樟葉「ちょっと表情は硬いけどいい人だったよ?新聞とか捨てに行ったら持ってくれたりしたし」

七宮「勇者は昔から人と接するのを避けていたからねー」

勇太「避けてたって言うか、避けられてたんだろうけどな……」

七宮「それでさ、ちょっと話は変わるんだけど良いかな?」

勇太「なんだよ?」

七宮「勇者はどうしてそんな変な話し方をしているの?昔はもっとこう……我が名はダークフレイムマスター!みたいなさ」

勇太「それは昔が変で今は普通になっただけだ!良いか?俺はもうそういうの卒業したの!」

七宮「卒業?勇者は勇者の記憶を失ったと言うこと……?」

勇太「そもそも俺は勇者じゃなくて勇太だ」

樟葉「さとねちゃんが引っ越しちゃってすぐだったよね。お兄ちゃんが普通になったのって」

七宮「つまり私とのリンクが切れて勇者に影響が……?ならまたこっちに来たんだから元に戻」

勇太「らない!!」

樟葉「さとねちゃんが引っ越してからしばらく大変だったんだよ?お兄ちゃん」

七宮「?」

樟葉「心ここにあらずって感じでポーっとしちゃって、食器なんて数えきれないくらい割っちゃったんだから」

勇太「樟葉も余計な事言うなよ」

樟葉「でね、ある日急に私の事を樟葉って呼びはじめたの。それまでは「妹よ」とかだったのに」

七宮「でもどうして急に…………ハッ!」

勇太「なんだよ?」

七宮(私が以前勇者に特別な感情を持った時、魔法魔王少女の力を失いかけたんだよね……)

七宮(あの時は感情をコントロールして魔法魔王少女であることを選んだけど、勇者は完全に記憶を失っている……)

七宮(つまり今の勇者には特別な存在が……?)

勇太「?」

七宮「ね、ねぇ勇者、勇者はさ……その、どうして記憶を失ったのかな……」

勇太「別に記憶を失ってる訳じゃ無いさ。消したいけどあの記憶は黒歴史として残ってるよ」

七宮「じゃあいつからそんな風に?誰の影響で?」

勇太「誰の影響って、そんなの決まってるだろ。お前だよお前」

七宮「え……?私?」

勇太「お前に影響されて中二病になって、いなくなったら元に戻ったんだからそうなるだろ」

七宮「そ、そうなのかな?」

勇太「あっ、別に文句言ってる訳じゃ無いからな。きっとあの時は楽しかったんだろうし」

樟葉「じゃないとさとねちゃんが居なくなった時、あんなに落ち込まないよねー」

勇太「う、うるさい!」

七宮(つまり……もしかして…………勇者も私の事、気にしてくれてたのかな……特別な意味で……)

勇太「七宮?どうかしたか?」

七宮「……え?あっ、に……にーっはっはっはっ!いやー、今日もいい天気だね!勇者!」

勇太「なんだよ急に」

七宮「樟葉の料理も美味しいし!これなら魔界へ行っても安心だよ!」

樟葉「うーん……お母さんと夢葉は海外に行ってるけど私は魔界にはいかないかな」

勇太「入学して早々に父さんの所行ったからな。うちは今樟葉と二人だけだしいつでも遊びに来いよ」

七宮「う、うん!ご、ごちそうさま!それじゃあ私は学校へ行ってくるね!」

勇太「もうそんな時間か。じゃあ樟葉、戸締まり頼んだぞ」

七宮「ええっ!?ゆ、勇者も一緒に行くの……?」

勇太「は?そのためにうちに来たんだろ?」

七宮「そ、そっか、そうだよね」

勇太「七宮、お前なんか変だぞ?」

七宮「にーっはっはっはっ!へ、変なのは勇者だよ!早く昔みたいに戻ってくれないとこっちが調子狂っちゃうからね」

勇太「戻る気は無いって言ってるだろ」

七宮「そんなの困るよ!」

勇太「いや、別に困らないだろ」

七宮「勇者がそんなだと……私まで魔法魔王少女でいる事を保てなくなりそうだし……」

勇太「良いんじゃないか?もうお前もそんなの卒業して普通になれば」

七宮「普通……それってまた勇者に……」

勇太「?」

七宮「な、なんでもない!もう先行くから!!」ダバダバー

勇太「あっ!おい!……なんだいったい?」


七宮「にーっはっはっ……ダメダメ、私は魔法魔王少女、ソフィアリング・SP・サターン7世なんだから……!」

七宮「あの日誓った事を忘れちゃいけない……私が魔法魔王少女であるために!」

七宮「そう!私は未来永劫魔法魔――」

勇太「ハァ、ハァ……やっと追い付いた。お前、相変わらず足速いな」

七宮「う……っ、うぅ……!魔法魔王少女ソフィアリングSPサターン7世だからー!」ダダダーッ

勇太「七宮ー!?」

ふえぇ……さとねちゃんと木を傷付けて樹液ペロペロしたいよぉ……

七宮「ハァッハァ……走って来たけど……私って何組なんだっけ?」

先生「はーい、あっちにクラス分けの紙が貼ってあるからねー」

七宮「あっち?あっ、あの紙かな」


七宮「えっと、私は……四組みたいだね」

七宮「……」

七宮「い、一応、なんとなく……勇者が同じ組か調べてみたりして……」チラッ

七宮「…………」

七宮「に、にーっはっはっはっ!そりゃこれだけクラスが別れてちゃ仕方ないよね」

七宮「仕方ない……か」

七宮「……」

バシッ

七宮「いたたっ」

勇太「なに先に行ってんだよ。まったく」

七宮「にーっはっはっ……ごめんごめん、勇者の脚力を確かめておきたくてさ!」

勇太「何言ってんだよ。クラス分けの紙ってこれか?」

七宮「うん……」

勇太「七宮は何組だったんだよ?」

七宮「私は四組かな……」

勇太「ああ、本当だ。じゃあこれから一年は同じクラスだな」

七宮「そう……ええ!?ど、どうして!?だって勇者の名前はうちのクラスには……」ジーッ

七宮「安本、山口、山下、山本、湯元、吉田……やっぱりないよ!」

勇太「お前……まさか勇者で探してるんじゃないだろうな……」

七宮「え?」

勇太「え?じゃない!俺は富樫勇太だ!お前だってソフィアじゃなくて七宮で載ってただろ!」

七宮「ほ、ほんとだ!勇者の名前があるよ!じゃあこれからは一緒だね!!」

勇太「あ、ああ……そうだな。ってかテンション高いな」

七宮「勇者!早く一緒に教室へ行こうよ!」

勇太「わかったからその勇者ってのやめろ!!」

先生「はーい、名前の順に席についてー」

七宮「勇者、勇者!席も隣同士なんて凄い事だよね!」

勇者「うちのクラスの男子は山本とか山下とかやたらヤ行以下が固まってたからな……」

七宮「私がシで勇者がトなのに隣同士だもんね。これはきっと」

勇太「必然、運命って言うんだろ?」

七宮「さすが勇者。よく分かってるね!」

勇太「バカバカしい……って言いたい所だけど、これだけ重なるとな……こうなる運命だったのかもな」

七宮「運命……に、にーっはっはっ!そう、運命なんだよ!!」

ふえぇ……アニメの七宮ちゃん可愛すぎて辛いよぅ……

翌日

勇太「走れ七宮!入学式の翌日に遅刻とか洒落になんないぞ!」

七宮「にーっはっはっはっ!この魔法魔王少女、ソフ」

勇太「良いから走れ!」

七宮「ハッ!まさかこれは刹那の」

勇太「良いから走れー!」

七宮「勇者、あっちから魔力を感じる!行ってみる!?」

勇太「行かないに決まってるだろ!」

七宮「くっ……どうして私達がこんな窮地に……!まさか天使達が攻撃を……?」

勇太「お前が樟葉と思い出話ばっかりしてたからだろ!!」



勇太「ハァ……ハァ……やっと着いた。やっと着いたけど……」

七宮「勇者ー、次の電車は10分後みたいだよー」

勇太「はぁ……」

七宮「まぁ起きてしまった事は仕方ないよ。前を向いて歩こう!にーっはっはっはっ」

勇太「なんで朝からこんなに疲れなくちゃいけないんだよ……喉も渇くし」

七宮「この程度で疲れるとは……やはり勇者の体に何か異変が……?」

勇太「ジュース買うけど七宮も何か飲むか?」

七宮「ううん、私は今飲食を断って修業してる最中だから遠慮しておくよ」

勇太「あっそ。……まるで自分の黒歴史を見ているようで頭が痛いな」

勇太「やれやれ……」プシュッ

七宮「あっ、その飲み物は懐かしいね!まだ売ってたんだ」

勇太「ああ、昔よく飲んだっけ」

七宮「こうして手を組んでね!」ガシッ

勇太「ぷっ……そういやそんな事もしたな」

七宮「そうだ!勇者、見てよ!コレは今でも持ってるんだよ!……ほら!」バッ

勇太「カロリーメイトか……」

七宮「常に戦いに身を置いている私達だから、食事は素早く確実に取らないとっ……て勇者が進めたんだよね!」

勇太「やめてくれ……頭が痛い」

七宮「いっただっきまーす」

勇太「食うのかよ!飲食は断ってるんじゃなかったのか?」

七宮「常に戦いに身を」

勇太「言うな!!」

勇太「久々に飲んだけどやっぱ変な味だなコレ。なんか薬くさいって言うか……」

七宮「それには魔力ふぁふぁひっ」

勇太「食べながら話すな」

七宮「んんっ!?けほっ!けほっ!!」

勇太「そらみろ、ってかそれ口の中バサバサだろ。ほら、水分とれ」

七宮「んぐっ……んぐっ……、ぷはぁ!にーっはっはっはっ!魔力回復!!」

勇太「涙出てるぞ」

七宮「やっぱりこの飲み物には魔力が含まれて……いる…………みたい……」

勇太「なんだよ?」

七宮「……な、なんでもないんだよ!にーっはっはっはっ!!」

勇太「あー、良いよ。全部飲んで。もう一本買ってくるから」

七宮「だ、だめだよそんなの!これはちゃんと返すから!!」

勇太「良いって。そんなの水分無しで食べてたらまた喉につまるぞ」

七宮「いいから!これは勇者が飲んでよ」

勇太「? 後で奢れって言っても買ってやらないからな」

七宮「うん……」

勇太「変な奴だな」ゴクゴク

七宮「…………」ジーッ

勇太「……なんだよ?」

七宮「な、なんでもないよ!にーっはっはっは!!」

勇太「はぁ……、そんなに見られてたら飲みづらいだろ」

七宮「……」

勇太「そんなに欲しいなら遠慮するなって。俺はもういらないから、はい」

七宮「じゃ……じゃあもらっちゃおうかな……」

勇太「もうすぐ電車くるし早く食べて飲んじゃえよー」

七宮「わ、わかったよ!」

七宮「…………」

七宮「んっ……」ゴクッゴクッ

七宮「…………」

勇太「おっ、電車来たぞ。……七宮?……七宮!!」

七宮「えっ!?あ、ご、ごめん!何の話だっけ?」

勇太「いや、電車がきたって話だよ」

勇太「こ、これに乗るのか……今日って何かあったっけ……満員なんて初めて見たぞ」

七宮「けっこう田舎なのに満員電車なんて珍しいねー……」

「ドアが閉まりまーす」

勇太「っと、七宮とにかく乗るぞ!」

七宮「うん!」

プシュー

勇太「なんとか乗れた……けど、大丈夫か……?」

七宮「へ、平気だよ、結界を張っているからね……」

勇太「とても平気そうには見えないけど……少しの辛抱だ頑張れ」

七宮「ひぁっ……!」

勇太「な、なんだ?」

七宮「い、今、何かが触れたような……」

勇太「そりゃ満員なんだから仕方ないだろ」

七宮「そうじゃなくて、その……変なところに……」モジモジ

勇太「……」

勇太「それってつまり……アレか?」

七宮「分からないけど……多分」

カバン「実は私がお尻に当たっただけなんですがね」

勇太「七宮、壁際まで行けるか?」

七宮「……うん。なんとか」

勇太「よし、じゃあ俺もそっちに……」グイグイ

七宮「これでどうするの?」

勇太「壁にもたれとけば後ろは大丈夫だろ。前には俺が立ってるから」

七宮「あ、ありがとう、勇者。やっぱり勇者は勇者だね……」

車掌「まもなく急カーブで車両が激しくシェイクされます。バカップルと痴漢の方々はチャンスになっておりまーす」

ギュン!!

勇太「うわっ!!」

七宮「ゆ、勇者、大丈……むぐっ!!」

勇太「悪い!だ、大丈夫か七宮!?」

七宮「むぐ!むぐむぐ……!!」

勇太「どぉぉー……!」

七宮「ぷはぁっ!!はぁ、はぁ、死ぬかと思ったよ」

勇太「大丈夫か?」

七宮「うん、勇者が守ってくれているからね」

勇太「いや、その俺に圧死させられそうになってただろ」

七宮「でも流石は勇者だね……私の結界にこうもやすやすと侵入しちゃうなんて……今だってこんなに私の身体に触れて……」

勇太「誤解を生むような言い方はやめてくれ!」

七宮「勇者?大丈夫?なんだか顔が赤くて苦しんでいるように見えるよ?」

勇太「な、なんでもない!とりあえず次で降りるか……」

七宮「わ、私は平気だよ?勇者が守ってくれているから」

勇太「いや、お前も顔が真っ赤なんだけど」

七宮「あ……あ、あてているんだよ!」

勇太「な、何言い出してんだお前は!?」

プシュー

勇太「とにかく一度降り……あれ?みんな下りていく?」

七宮「どうやらこの駅で何かあったみたいだね」

勇太「はぁ……とりあえず座るか」

プシュー

勇太「やっとついた……まったく、朝から3日分のエネルギーを使った気分だよ……」

七宮「にーっはっはっは!なかなかスリリングな登校だったね!」

勇太「もう間に合わないだろうけど急ぐか」

七宮「ねぇ勇者。勇者は部活に入らないの?」

勇太「昨日も言ったけど樟葉と二人だからな。そんな暇無いよ」

七宮「じゃあ好きな時に行って好きな時に帰る部活は?」

勇太「進学とか就職するときに部活動してれば少しはプラスになるらしいけど……そんな都合の良い部活あるわけ無いだろ」

七宮「だったら作れば良いんだよ!私と勇者で!」

勇太「さぁ、いそぐぞー」タッタッ

七宮「ねぇ勇者!人の話はちゃんと聞かないとダメだよ!」タッタッ

七宮ちゃんにそんなのダメだよ!って言われたい

勇太「すみません!遅刻しました!」

七宮「同じくです!」

先生「二人とも、まだ入学したてなのにしっかりしてよー」

勇太「はい!」ビシッ

七宮「はい」ビシッ

先生「もう良いから早く席について」

勇太「わかりました」

七宮「勇者、優しそうな先生で助かったね」ヒソヒソ

先生「じゃあHR続けるわね。クラス委員長だけど――」

七宮「クラス委員長?クラス委員長ってクラスで一番偉い人だよね!」

勇太「微妙に違う」

七宮「このクラスを総括するトップって事だよね!?」

勇太「違う!」

七宮「勇者、一緒にやろうよ!」

勇太「嫌だよ、そんなの。だいたい女子の方は俺達が来る前に決まってるみたいだぞ。ほら、黒板見てみろ」

男子 女子 丹生谷森夏

七宮「丹生谷……森夏?モリ……サマー……?」

森夏「!!」

七宮「やっぱり!モリサマー!!」

森夏「ソ、ソフィア……」

勇太「モリサマー?」

森夏「ッ!!」キッ

勇太「な、なんだ?なんで睨まれたんだ!?」

森夏(迂闊だったわ……昨日から愛想を振り撒く事で精一杯だったから……)

七宮「モリサマーも同じ学校だったんだね!」

森夏(まさかこんな危険人物を見逃していたなんて……)

七宮「どうしたの?モリサマー」

森夏「モリサマー言うな!!」

七宮「えっと、じゃあ……モリサマ?」

森夏「一緒でしょうが!いい?私の名前は丹生谷森夏!それ以外の何者でも無いの!!」

七宮「勇者、モリサマーの様子がおかしい……まさか精神攻撃?」

森夏「だからぁ……!」

先生「はいはい、まだ朝のHRの最中なんだけどなー」

森夏「あっ……」

生徒「モリサマー?ソフィア?二人とも日本人だよね?」ざわざわ

森夏「い、いやだなぁ、七宮さんってば!そんな子供の時にしたごっこ遊び思い出すなんてー♪さぁ先生、HR続けてください」

先生「それじゃあ次は男子のクラス委員長なんだけど……やってくれる人いないかなー?」

しーん……

七宮「はい!はいはい!」

先生「うーん、七宮さんは女の子だからねぇー……」

七宮「にーっはっはっはっ!そうじゃなくて私は推薦するだけだよ!この勇者を!」

先生「勇者?」

勇太「ば、ばかっ!座ってろ!!すいません先生、なんでも無いです!」

先生「富樫くんに推薦一票……っと。他にないかなー?」

勇太「あれっ、先生?」

先生「えーっと、投票の結果一票で一位だった富樫くんに決定しまーす♪」

勇太「先生!?」

先生「今日の遅刻の罰って事で♪」

森夏「クラス委員が罰って……立候補した私はいったい……」

HR後

七宮「にーっはっはっはっ!やったね勇太!このクラスの長だよ!」

勇太「長じゃないよ、まったく……」

森夏「ソフィ……七宮さん、ちょっと良いかしら」

七宮「あっ、モリサマー!」

森夏「丹・生・谷・森・夏!!」

七宮「どうしたの?モリサマー」

森夏「くっ……」

七宮「まさか勇者と同じで力を失いかけているとか……?」

森夏「勇者?」

七宮「うん。こっちが勇者。モリサマーといた中学へ行く前に同じ学校だったんだよ!」

森夏「ふーん」

勇太「ど、どうも……」

七宮「勇者とは毎日一緒に色んな所へ行ったんだよね!」

勇太「思い出したくもない黒歴史だけどな」

森夏「なに?あんた達付き合ってたの?」

七宮「そ、そそ、そんなんじゃ無いよ!!私と勇者は、べ、別にそんな……」

森夏「えっ、マジなの……?」

七宮「だから、勇者はダークフレイムマスターだから一緒に冒険してただけで!!」

勇太「その名は二度と口にするなって言っただろ!!」

森夏「ダークフレイムマスター?……うわ、さむっ」

勇太「……1200年だか1300年生き続けた精霊に言われたくないな」

森夏「ぐっ……」

七宮「にーっはっはっはっ!二人とも打ち解けたみたいでよかったよ♪」

森夏「あんた……本当にそう見えてるなら凄いわよ……」

七宮「こうして三人が再会出来たのもきっと運命だったに違いないね!」

勇太「再会も何も俺と丹生谷は初対面だけどな」

七宮「にーっはっはっはっ!じゃあさっそく部を作ろっか!」

森夏「富樫くん、こいつと付き合い長いんでしょ?なんとかして」

勇太「俺はつい最近再会したばかりなんだ。丹生谷がなんとかしてくれ」

七宮「極東魔術結社か魔法魔王黒炎クラブ、どっちが良いかな?」

森夏「あほらしい……私はチア部とか演劇部に入ってリアルの充実した高校生活を送るの。じゃあね」

七宮「あっ!待ってよモリサマー!極東魔術結社の夏にするから!!」

またかきます

先生「極東魔術結社の夏?」

七宮「にーっはっはっはっ!そう!今日から発足する新しい部なんです!!」

先生「あなたたちで?」

勇太「なんで俺まで……」ヒソヒソ

森夏「ちっ……それはこっちの台詞よ!」ヒソヒソ

勇太「人の事言えないけど、丹生谷も嫌なら断れば良かっただろ?」

森夏「断ってたわよ!なのに毎日毎日……あげくこの前のアレじゃ断り切れないじゃない……」

勇太「この前のアレ?」

前日

七宮「モリサマ!モリサマ!一緒に結社を作ろうよ!」

森夏「毎日毎日うっとうしいわねぇ……私はそんなの卒業したの!あとモリサマ言うな!」

七宮「やはりモリサマも記憶を失って……」

女子A「さとねちゃん、丹生谷さん、おはよー」

女子B「おっはよー」

七宮「にーっはっはっはっ!二人ともおはようなのだよ!」

女子A「あははっ、さとねちゃん今日も元気だねー」

丹生谷(まだ入学して間もないのに……やけに親しげね……)

女子B「二人で何してたの?」

七宮「モリサマーを結社に勧誘してたんだよ!」

女子A「モリサマー?結社??」

森夏「あ、あー!そう、七宮さんは私を部に誘ってくれてたのよ!」

女子B「そうだったんだ。それで何部に入るの?」

七宮「極東魔術結」

森夏「わあぁぁ!!あー、でも私はチア部か演劇部にしょかなーって……あはは……」

女子A「そうなんだ。私も気にはなるけど吹奏楽部に入っちゃったからなぁ……」

女子B「いくらクラス委員長でもコレはどうしようもないよねー……」

森夏「ホッ……」

女子A「部活と言えば隣のクラスの委員長知ってる?」

女子B「うん!なんかクラスメートが作ろうとしてた新しい部に人数合わせで入っちゃったんだってね」

森夏「へ、へー……そう、なんだ……」

女子A「はっ……ご、ごめんなさい!別に悪気があった訳じゃなくて……」

女子B「クラス委員長してたって普通はそこまでしないし!」

女子A「隣のクラス委員長が特別って言うか……ついたあだ名がマルオ君らしいし!」

森夏「マルオ君?」

女子B「そうそう。委員長に命懸けてるって有名なんだよね」

女子A「来年には生徒会長になるって張りきってるんだって!すごいよねー」

森夏「…………」

森夏の野望

1、愛想を振り撒いて男女問わず人気者になる

2、先輩後輩問わず来年の選挙に向け愛想を振り撒く

3、クラス委員になり地盤を固める

4、中二病の完全封印。リア充化

5、最終目標は生徒会長


森夏(まずいわね……まさか同学年にそんな強敵がいたなんて……)

女子A「あっ、噂をすれば!おーい、マルオくーん」

マルオ「おはようございます。来年の生徒会選挙には、是非私に清き一票を」

女子B「あははっ、マルオくん気が早すぎだよー」

森夏(なんか既に人気者っぽいし……)

女子A「じゃあ丹生谷さん、私たち行くね!」

森夏(くっ……!)

森夏「し、七宮さん、私で良かったらその……なんとかって部に入っても良いわよ」

七宮「本当に!?ありがとうモリサマー!」

森夏「と、当然よ!クラス委員長として仲間を見捨てる事なんて出来ないわ!」チラッ

シーン……

森夏「…………もう、誰もいないなんて」

七宮「じゃあ放課後に職員室行かなきゃだね!」

森夏「あっ、ちょっと……」

七宮「私、勇者にも伝えてくるよー!」タタタッ

森夏「はぁ……まあ良いか。入ろうとした事実は出来たし、どの道そんな部なんて……」

時間戻って翌日放課後

先生「それでー……魔術結社なんとかって部の活動内容は何なのかしら?」

森夏(そう、この部活動には設立出来ない欠点が3つあるのよ)

森夏(一つは顧問がいな――)

先生「顧問くらいなら先生がしてあげるけど……活動内容が分からないと……ねぇ」

森夏(……そう、この部活動には設立出来ない欠点が2つあるのよ!一つは活動内容が無い!)

七宮「活動内容は天使捜しです!」

先生「天使捜し?」

七宮「あとは不思議な遺跡を捜したり、未知なる世界を捜したり!」

先生「よく分からないけど……まぁそれは良いとして、問題は……」

森夏(良いの!?)

森夏(お、落ち着け私!例えここまで来ても決定的に越えられない壁があるんだから)

先生「えっと部員は七宮さんと富樫くんと丹生谷さんの3人だけ?」

七宮「にーっはっはっはっ!将来的には1万人規模になる予定だよ!」

先生「1万人は困るけど……じゃあせめて4人になったらまた来てくれるかな?」

七宮「4人?」

丹生谷(そう、この学校で部活動を始めるには最低4人必要……つまりこの部が設立する可能性はゼr――)

くみん「話しは聞かせてもらったよ!」

勇太「あなたは!……誰ですか?」

くみん「私は2年の五月七日くみんって言うの。くみん先輩って呼んでね♪」

勇太「それでその……くみん先輩は何のご用で……」

くみん「実は私が作ろうとしてる部も人数不足なんだよ。だから一緒にすれば調度4人で部活動ができるかなーって」

勇太「合わせで調度4人って……そっちはくみん先輩1人なんですね……いったい何部を作ろうとしたんですか?」

くみん「昼寝部だよ!」

七宮「じゃあ……極東魔術昼寝結社の夏にしよう!」

森夏「あのね!いくら人数が揃ってもそんな活動内容が訳わかんない部活動なんて」

先生「大丈夫大丈夫♪昼寝部が入るならシエスタって事で活動内容は問題無いし。後は先生にまかせておいて」

森夏「ええっ……!?」

七宮「やったね!勇者!モリサマ!くみん!」

勇太「七宮、くみん先輩は先輩なんだから呼び捨てはダメだろ」

くみん「良いよ良いよ、よろしくね♪七宮ちゃんに……勇者くん?」

勇太「富樫勇太です!」

くみん「そっか♪じゃあ富樫くんに……あとモリサマちゃんも♪」

森夏「モリサマ言うな!!」

七宮「しぃーっ……モリサマー、職員室では静かにだよ」

森夏「あんたにだけは言われたく無いわよ!」ヒソヒソ

くみん「ドンマイだよ、モリサマちゃん!」

森夏「あんた達ねぇ……!」

凸守「ちょっとお尋ねしても良いデスか?」

森夏「うっさぃ……(中等部?来年の選挙に関わってくるかもしれないわね……)」

森夏「えっと、なにかしら?フフフ」

凸守「いまこっちからモリサマーと聞こえた気がしたのデスが」

森夏「……」

またかきます

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年03月08日 (土) 17:07:38   ID: -VkLibmX

七宮かわゆす

2 :  SS好きの774さん   2014年03月14日 (金) 18:33:11   ID: dEnGvWDv

素晴らしい

3 :  SS好きの774さん   2014年03月15日 (土) 19:43:17   ID: JyEgkfz0

七宮かわいいいいい

4 :  SS好きの774さん   2014年03月16日 (日) 02:59:09   ID: QfAlyuti

七宮LOVEの俺には何て良ss

5 :  SS好きの774さん   2014年03月23日 (日) 23:28:31   ID: p9iIQXbz

七宮いいね

6 :  SS好きの774さん   2014年04月12日 (土) 23:15:34   ID: btr2fzLN

七宮いいよ〜

7 :  SS好きの774さん   2014年04月30日 (水) 00:02:33   ID: pA8-f1EB

七宮IFストーリー最高

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