佐天 「『時よ止まれ、汝は斯くも美しい』能力かぁ…」(87)

初春 「佐天さん。システムスキャンの結果どうでした?」

初春 「佐天さん。システムスキャンの結果どうでした?」

佐天 「うん。能力身に付いてたよ」

初春 「おめでとうございます。どんな能力ですか?」

佐天 「『時よ止まれ、汝は斯くも美しい』能力なんだ」

初春 「へぇ。凄い能力ですね」

佐天 「いや、全然ワケ分からないんだけど……」

初春 「時間よ止まって。あなたはこのように美しい、って意味ですね」

佐天 「何かの引用文かな?」

初春 「ヨハンなんとかさんの本じゃなかったですか?」

佐天 「御坂さんなら分かるかな?」

初春 「そうですね」

佐天 「あっ何ともご都合主義的タイミングで御坂さんを発見っ」

美琴 「佐天さん、初春さん。こんにちは」

初春 「こんにちは」

佐天 「御坂さん。時よ止まれって知ってます?」

美琴 「ああ、何とかウォルフガング・フォン何とかの本ね」

美琴 「私もあんまり詳しくないわ」

佐天 「白井さんなら知ってますかね?」

美琴 「そうね」

佐天 「あっ、連鎖的タイミングで白井さんと遭遇っ」

黒子 「あら、皆さんお揃いで」

佐天 「白井さん、白井さん。時よ止まれって知ってますか?」

黒子 「ああ、何とか何とかゲーテという方の文学作品に出てくる一文ですわね」

黒子 「わたくしもあまり詳しくは存じておりませんの」

佐天 「そうかぁ。やっぱり誰か分かりませんか」

佐天 「実は私、『時よ止まれ、汝は斯くも美しい』能力を身に付けたんです」

佐天 「次元に寵愛された『時』の具現がこの能力だとか……」

佐天 「『時』をア・プリオリ的に認識する知性体は総じて『時』に耽溺している」

佐天 「しかし『時』こそ私の具現でもある。私にとって『時』とは、視界の隅に映る前髪であり、」

佐天 「また私という人格そのものである」

佐天 「学園都市の教育機関に属する者達にとってのLEVELなど、所詮それ自体が単独で存在できない不完全の概念」

佐天 「それと私の『時』を比類として扱うならば、能力強度の際限、その上限こそ私の『時』と解釈できる」

佐天 「つまりLEVELによって計られる能力全てが、『時』の下位互換」

佐天 「さらに言えば、私がこの学園都市というピラミッド、ヒエラルキー、その頂点に位置付くということ」

佐天 「分かりましたね」

美琴 「そっ…そんな、私より高次の能力者だなんて……」

佐天 「違いますよ。御坂さんより高度な次元にいるわけじゃありません」

佐天 「私の『時』という大前提の下に貴方のような能力者、有象無象が賤しく成り立っているのです」

佐天 「私と相対する時、貴方がたにとってその能力こそが敗者の烙印」

佐天 「人の体に例えるのなら、学園都市の教育カリキュラムによって生み出された能力は、身体全体に対して爪の垢にも満たない」

佐天 「意思疎通できる事が、正に奇跡以外の何物でもないのです」

佐天 「と、ここまでが能力を行使するのに必要な前段階」

佐天 「私の話を聞いた三人はこの話を心のどこかで疑っていますね。まさか真実ではあるまいと」

佐天 「もはや信じさせる必要もないのです。ただ疑念を抱かせるだけで十分」

佐天 「それが私の真の能力、『絶対論証(マジレス)』」

佐天 「これの行使に成功した今、さっきまで垂れ流していた妄想は、虚偽から真実へと変わる」

佐天 「三人が目にしている外界、そして心内世界」

佐天 「そこでは、私は『時』を司る者。能力者の頂点」

佐天 「LEVELアンリミテッド第0位」

佐天 「そしてこれが私の真の能力、『絶対空論(マジレス)』」

佐天 「自らの妄想を余すところ無く他人に伝える能力です」

初春 「すっ…凄い能力ですね……」

白井 「いえ、それより妄想の方が凄過ぎて……」

美琴 「LEVELアンリミテッド第0位ってwwww」

佐天 「きゃーっ///」

佐天 「笑わないでぇ……っ」アタフタ

美琴 「でも私も経験あるわよ。そうやって自分の能力を別のものだったらなぁって」

美琴 「私の電気が天気を司る能力の片鱗…とかね」

美琴 「そういうのが自分だけの現実(パーソナルリアリティ)なのかしらね」

初春 「実は私も……。自分が考えるのと同じスピードでタイピング出来たら……とか考えた事あります」

白井 「皆さん相当妄想が達者ですのね」

美琴 「そういう黒子だって何か妄想したことぐらいあるでしょ」

白井 「わたくしはお姉様以外で妄想などしませんの」

白井 「例えば…」

佐天 「ああ、白井さんは結構」

佐天 「ついでに私の真の能力は『polygon(ポリゴン)』」

佐天 「自分を変数n角形で囲む能力です」

美琴 「それもまた妄想?wwww」

佐天 「いやいや、本当ですよ」

佐天 「何なら、空中放電する大きさの大電流を私に放って下さい」

佐天 「絶縁破壊するレベルで構いませんよ」

美琴 「できるわけ無いじゃない」

佐天 「じゃあ、お得意の超電磁砲で」

美琴 「冗談でもそんなことは言っちゃいけないわよ」

佐天 「冗談で高校生にぶっ放してたの、私見ましたよ」

美琴 「あれはっ……アイツだから…その……」

佐天 「分かってます。防げることを知っていたんですものね」

美琴 「そっ…そうよ!」

佐天 「なら私も同じです。絶対にくらうことはありません」

美琴 「でっ…でも……」

佐天 「もういいです。自分で出しますから」

ビリッ

佐天の指先から視認できる電流が発生

佐天 「polygon発動」

佐天 「変数nにアンリミテッドを代入」

佐天 「暫定的にそれを円とする」

佐天の周りを電気が自在に駆け回る

それは角の無い正円を描いた

佐天 「変数nを瞬間的に変更することによって、軌道に乗ったエネルギーを増幅することもできます」

佐天 「そしてnに1を代入して、直線の形でエネルギーを放出することもできます」

佐天 「また、0角形にしてエネルギーを消失させる事も可能です」

佐天 「皆さん勘違いしてるようですから言っておきますけど、」

佐天 「私の能力は『時よ止まれ、汝は斯くも美しい』『絶対論証』『絶対空論』『polygon』の4つです」

佐天 「あと『絶対空論』は妄想なんかを人に伝える能力ではありませんよ」

佐天 「自らの意思で他人を操る能力です。さっきは自分の妄想を各々話せと命令しました」

佐天 「白井さんのは興味無かったので、途中でやめましたけどね」

佐天 「はぁ、もう驚きもしてくれないんですね」

佐天 「人はあまりに高次な存在と相対する時、自分自身を守るために思考を停止させる」

佐天 「いい加減にしてください。私がこの世界をどれだけツギハギにしてきたと思ってるんですか」

佐天 「私の素性を明かした時、皆は思考を止め、ミイラと化す」

佐天 「それを再び動かすには、時間を巻き戻したり、『絶対論証』で私が能力について話したという事実を抹消する必要がある」

佐天 「欠陥だらけのここの教育カリキュラムにも嫌気がさしますよ」

佐天 「AIM拡散力場なんてただの能力のロスじゃないですか」

佐天 「それを能力の性質だなんて無理矢理納得して、私達にごり押しする」

佐天 「阿呆らしくて私はずっと無能力者扱いですよ。オイル漏れしてるバイクで走るような馬鹿になるつもりはありませんから」

佐天 「ああ、最後に言わせて下さい」

佐天 「時よ止まれ、とはドイツが誇る文豪ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテが著した詩劇、ファウストの一文です」

佐天 「初春は兎も角、御坂さんと白井さんが知らないなんて失望しました」

佐天 「能力の有無に関わらず、こんなの常識ですよ。ここ学園都市では」

佐天 「はぁ、空しいですね。もうやめましょう」

 
佐天 「宣言」

佐天 「初春 飾利、御坂 美琴、白井 黒子の記憶を部分抹消する」

佐天 「範囲は初春 飾利が『佐天さん。システムスキャンの結果どうでした?』と発言した時刻から、」

佐天 「現在、『絶対論証』の行使が終了するまでとする」

佐天 「佐天 涙子は任意の記憶を抹消できる」

佐天 「初春、御坂さん、白井さん、こう思ってください」

佐天 「私の声が三人の耳を通して、脳へ伝わりました」

佐天 「そして、『絶対空論』が貴方達に絶対に変わる事の無い先入観を与えます」

佐天 「続いて、『絶対論証』の行使により、貴方達の先入観は貴方達にとっての主観的世界の決定事項となる」

佐天 「これを以って事実改変の全過程を終了」

佐天 「こうして、記憶操作の可能な佐天 涙子の手により、三人は無事記憶を失いましたとさ」

佐天 「めでたし、めでたし♪」

佐天 「また楽しく遊びましょうね」ニコッ















初春 「佐天さん。システムスキャンの結果どうでした?」

佐天 「うん。能力身に付いてたよ」

初春 「おめでとうございます。どんな能力ですか?」

佐天 「―――――能力なんだ」

初春 「へぇ。凄い能力ですね」

 












佐天 「はぁ……」


 

 



佐天 「一方通行。貴方は私を殺したい」

佐天 「不倶戴天の私を殺さなければ、LEVEL6には成り得ない」

佐天 「そうでしょう?」

一方通行 「俺は……佐天 涙子を殺す」

佐天 「そうです。貴方は私を殺さなければならない」

一方通行 「死ねェ…死ねェ……」

佐天 「『絶対空論』は成功だねっ」

佐天 「じゃあ、始めましょう。一方通行さん」ニコッ


 

 

一方通行 「誰だオマエ?」

佐天 「私は佐天 涙子」

一方通行 「佐天…涙子……?」

一方通行 「オマエだな、俺が絶対に殺さなくちゃなンねェ能力者ってのは?」

佐天 「そうそう♪」

一方通行 「そうかァ。じゃあ死ね」

一方通行の手が佐天の頭に触れる

佐天 「polygon発動」

バチィッ!!

ベクトル操作によって、佐天の血液を逆流させようとしていた一方通行の手は、見えない何かに容易く弾かれる

一方通行 「ッ!? なンだっ今の!?」

佐天 「私はこの『polygon』しか能力は使いません」

佐天 「無事、私を殺せると良いですね」

佐天 「『polygon』の操作性能は髪の毛一本のみを囲む事ができます」

佐天 「そして、自分の身に付けている物なら、衣服もまたその対象に指定できるんです」

佐天 「私は回転という限定的な運動においては絶対的な支配者なんです。この『polygon』こそがね」

一方通行 「はァ? オマエが回転なら、俺はベクトル全部を支配できンだよっ」

再度、佐天の頭へ伸びる手

佐天 「何処へでも行く中途半端なベクトル操作に、私の回転が劣るとでも?」

バキッ

あっさりと通常では考えられない方向へ湾曲した一方通行の腕

佐天は未だ指先一本すら動かしてはいなかった

疲れた

もう書き溜めないよ

一方通行 「折れ…た?」

一方通行 「何だこれ? 俺の腕が折れたのかァ?」

一方通行 「くかきけこかかきくけききこかかきくここ」

一方通行 「あァァァ!!! ラリって痛みすら感じねェぜっ!!!」

一方通行 「面白れェっ、面白れェよ!!! この糞化けモンがァッッ!!!」

コンクリート片や鉄片が混じった凶悪な突風を佐天へ放つ

佐天 「だから無駄だってwww」

佐天へ向かったはずの突風は、瞬時に佐天を包み込むアーマーへと変貌を遂げ、

佐天の体を中心に、さらなる加速をする

風に捕らわれた物体はとうにその様相を失い、粉末として風と同化していた

佐天 「変数nに1を代入。一方通行へ照準を定めた直線のカタパルトとする」

ッァァァンッ

音すら遥か後方へ置き去りにする驚異的なエネルギー

それはもはや風という呼称で呼ぶに不自然なレベルで、それ自体がソニックムーブと化していた

初めてちゃんと読み直したけどなんか支離滅裂だなスマン
明日には規制される身なんだ
よけりゃ付き合ってくれ

ソニックブーム

間違った

一方通行 「どンだけ速かろうと、オマエの手から離れればただのベクトルだァ」

その言葉通り、空気の剣尖は一方通行に当たる寸前で霧散する

佐天 「流石ですね」

一方通行 「ihbf殺wq」

佐天 「くぁwせdrftgyふじこlp;@:」









佐天 「はぁ、私が相手を殺しちゃいけないんだから勝負付かないじゃん」

佐天 「次行こーっと」



 

地の文は面倒だ次行こう

 



美琴 「女の子同士で恋愛なんて有り得ないわね」

美琴 「あっ、佐天さんは別よ」

佐天 「えっ……?」

美琴 「だって佐天さんは、他の人とはちょっと違うじゃない」

佐天 「いっ…いやだなーっ、良い友達ってことですねっ。紛らわしいですよ御坂さんっ」

美琴 「勿論違うわ」

佐天 「またまたーっ。あんまりそういう冗談は好きじゃないかなぁ」

美琴 「もうっ…。つれないわね、佐天さんは」

佐天 「なんだか今日、御坂さんおかしくないですか?」

佐天 (今は二人きりだし……///)

美琴 「だって黒子も初春さんも風紀委員の警邏で来れないじゃない」

佐天 「なら遊ぶのはまた今度にしましょうよ」

美琴 「あら、佐天さんは二人で遊ぶのは嫌?」

佐天 「いえっ…そんなことはないですっ。むしろ嬉しいですけど……」

美琴 「嬉しいけど何?」

佐天 「あの御坂さんは好きな男の人とかいます?」

美琴 「んー? 教えてほしい?」

佐天 「はいっ、是非聞きたいです!!」

美琴 「それはねぇ~……」

佐天 「居るんですねっ。どんな人なんですかっ?」

美琴 「それはぁ~佐天さんっ」ギュッ

佐天 「わっ……///」

佐天 「はっ…恥ずかしいですよ御坂さん」

美琴 「あなたよ……」ボソッ

佐天 「ひゃうっ……」

佐天 「…っていやいや、私、それくらいで赤面できる程ウブじゃないですし」

美琴 「えっ」




 

 


VS漆黒戦騎ルナティック・ディザスター


 

  


バリバリィイッ!!!!
ドッガァァアーン!!!

美琴 「はぁ…はぁ…今度こそ、やったわ…!」

シュウウウ…

美琴 「……え!?」

俺 「……」スタ…スタ…

美琴 「そ、そんな…バカな…私の超電磁砲が…効かないなんて」バタリ

俺 「無駄だと言ったはずだ」クルリ

スタ…スタ…

佐天 「ちょーっと待ったぁ!!」

佐天 「余裕綽々で背中を見せるのは、些か早すぎるんじゃないの?」

俺 「誰だ…?」

佐天 「佐天 涙子」

俺 「ふん…知らんな。そこの女のようになりたくなければ、今すぐ消えろ」

佐天 「消えるのは貴方の方だよ」

俺 「ほう、それは言葉通りの意味を受け取って良いんだな?」

佐天 「人の平行世界まで干渉しといて調子良いなぁもうっ」

俺 「平行世界…だと? 貴様は次元超越の概念を知っているのか」

俺 「ならば話は早い。俺は神を喰らう者。貴様は神足り得ているか?」

佐天 「ただ時間を自由に行き来出来て、さらに別の世界に飛べるからって神様を超えたつもり?」

流石おまえらだな
書き甲斐があるよ

俺 「戯言を……。疑問に感じるのならば、試せばよかろう」

俺 「貴様の身を以ってな」

俺 「星組成爆裂(ファルボンコマンド)!!!」

佐天 「敵の体内に入り込み、中から爆破する技ですね」

俺 「……何故理解できる?」

佐天 「私は様々な思考パターンを『polygon』に取り込み、体中に纏っています」

佐天 「それはつまり、無限のスーパーコンピューターをこの頭に宿しているということなんです」

俺 「だが、例え理解できたところで防げはしないッ!!!」

ドボオォン!!

佐天 「人の話は最後まで聞きましょうね」

俺 「そうか、これは「幻影」……」

俺 「最初から貴様は姿を隠していたということか」

佐天 「ラプラスの魔という超人的知性を知っていますか?」

俺 「ああ、知っている」

俺 「ある時間軸の一点において、自然界に働く全ての力とあらゆる運動状態を把握し、」

俺 「さらに瞬時にそれを解析する能力があれば、過現未全ての自然現象を予想する事ができる」

俺 「そして、それを行える超人的な知性こそ、ラプラスが仮定したデーモン」

佐天 「はい、正にその通りです」

佐天 「私は自然界に働く全ての力と運動状態を知覚する事は出来ません」

佐天 「感覚器官の性能に限界がありますから」

佐天 「しかしその部分を、限りなく速く、限りなく膨大な思考で賄う事が出来るのです」

俺 「面白い。この世界を統べているのは紛れも無く貴様ということか」

佐天 「そうです。私はLEVEL0の能力者であるとともに、この世界の絶対的守護者でもあります」

佐天 「ですから、貴方のような卑賤で低俗な無法者を野放しにするわけにはいきません」

俺 「卑賤で低俗……。俺をそう形容した者は貴様が初めてだ」

俺 「まだ名を名乗ってはいなかったな」

俺 「俺は、漆黒戦騎ルナティック・ディザスター」

俺 「神だの悪魔だの、畏敬や信仰、または恐怖の対象にこそなった事はあるが、敵意を持たれた事はない」

俺 「人智の及ばぬ相手だと、敵が考えずとも思い至るからな」

俺 「レゾンデートルなどとうの昔に無くしたが、今更になって強敵が目の前に現れた」

俺 「少し遊んでやる。掛かってこい、サテン ルイコ」

佐天 「じゃあ、行きますよ」

佐天 「まずは、御坂さんの電気を『polygon』で増大させて放ちましょうか」

佐天 「御坂さんの超電磁砲と一緒にしないで下さいね」

バチッ

佐天 「えいっ」

バチバチバチバチバチイィィイィッ!!!!!!

俺 「魔導喰手(ソウルグレイム)」

ギュリュゥゥアアアッ!!!

バシュウゥン……

佐天 「喰われましたか」

俺 「ぬるい電気だ。本当の雷撃という物を見せてやろう」

俺 「アラムハラート…レベカフォイエル…ラビュイル…」

ブウンッ

佐天 「魔法陣…」

俺 「魔法陣より迸る殺意の奔流……」

俺 「雷龍神覇(ボルディアスホーン)!!!!」

ドドドドドドッガァァァアアアァァアアァアン!!!!!!

佐天 「きゃぁっ……」

パラ…パラ…

佐天 「」

俺 「死んだか。他愛も無い」

佐天 「いえ、生きています」

俺 「またも小賢しい幻影だったか」

佐天 「残念。貴方の出力不足ですよ」

俺 「言うじゃないか。ならば貴様をそれ以上の攻撃を繰り出せるのだな?」

佐天 「余裕ですよ」

佐天 「世界の嘆きは、白き皇の如く」

佐天 「我は、彼の声を聞き入れ石と成さん」

佐天 「白皇石(テラルフィア)」

俺 「これは……っ」

ズッツドォオオオオオオオオオンッ!!

俺 「黒炎手(ブレイヴイーター)!!!」ザシュッ!!

バッシュウウゥウウウウ……!!

俺 「それは俺の白皇石…!!」

俺 「何故貴様が使える?」

佐天 「言ったでしょう。私はラプラスの魔」

佐天 「貴方が使った事のある既存の技は全て再現する事ができます」

佐天 「勿論、貴方以外のものもね」

佐天 「魔滅の声」

ヴンッ!!

俺 「……これは!! あの時のっ!!」

佐天 「そう、精神の崩落を誘う歌声」

俺 「ならばッ、『幻葬――」

佐天 「『幻誘流心(エスペンシェルスフィア)』!!」

佐天 「でしょ?」

俺 「ぬおぉぉっ……」

佐天 「これは自らのダメージを相手の脳に送り込む技」

佐天 「「脳」に流し込むんですよね」

佐天 「私は無限の思考パターンを有してる」

佐天 「貴方の脳みそは何処まで付いてこれますかね?」

俺 「ぐああっ……」

俺 「頭がぁっ…焼き切れるッ!!!!」

佐天 「完全記憶能力者の容量不足?」

佐天 「そんなの塵以下の量ですよ」

佐天 「私はその塵が山になる以上の情報と思考を持っている」

佐天 「それを他人の頭に流し込むという事は、鍵穴に身体を通そうとしているに等しいのですよ」

佐天 「実際はもっと小さい、針の穴以下なんですけどね」

佐天 「神を喰らうのは、実に愉快だったのかもしれません」

佐天 「自らを誇示し、それを存在意義とする事は」

佐天 「しかし、それは自分の根源を湮滅している事でもあります」

佐天 「だから私のような、自分の居場所を離れない存在には勝てないんです」

佐天 「さようなら、漆黒戦騎ルナティック・ディザスター」






 

 














俺 「いいや。また逢おう、だ」

俺 「ふふふ、確かにこの世界ではサテン ルイコには勝てない」

俺 「だが俺は神を喰らう者」

俺 「いつか必ず、貴様の心臓を喰らってやる」

俺 「待っていろ、サテン ルイコ」

 








    『時よ止まれ、汝は斯くも美しい』








 

佐天 「時間を超える鬼ごっこは先に逃げた方が負けるんですよ。知ってましたか?」

俺 「な…何故、貴様がここに……」

佐天 「逆に何故貴方は、貴方が次元や時間を移動できるのに、私にはそれと同等の事が出来ないと考えたのですか?」

俺 「ふっ…ふふふ、ここまでとはな」

俺 「初めてだ。この俺が、恐怖、して、い、る、」

俺 「面白、い。愉快だよ」

俺 「ふふふふ、ふふふふふふふふ」

俺 「ははははははは、はははははははははははは」

佐天 「時間や次元を移動するということは、未だ未熟な自分を別の場所に置き去りにするということ」

佐天 「貴方は置き去りにした自分を全て把握していますか?」

佐天 「所詮有限の貴方ごときが」ザシュッ

俺 「がっ……」

佐天 「貴方を全てにおいて凌駕した私が貴方の根源を全て湮滅します」

佐天 「今度こそ終わりですよ。ルナティック・ディザスター」

俺 「くそ…俺の存在が消えていく」

俺 「全部だ。過去の俺、別の次元にいる俺。そして貴様と相対している俺」

俺 「これが敗北か」

俺 「フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ」

俺 「俺から唯一欠落した感情」

俺 「終に手に入れた……ぞ」

俺 「これは終着では無い。完成なのだ」

俺 「俺という神のな」

バシュンッ




 

 









佐天 「はぁ」

佐天 「私が唯一支配できないもの」

佐天 「それは常に過ぎ行く今」

佐天 「勝敗なんて最初からありません」

佐天 「この世に生を受けた時点で私の死が確定しました」

佐天 「それだけで私は永遠に完全にはなれないんです」

佐天 「不死身だからと言って死なない保証は無い」

佐天 「貴方が消滅した様にね」

佐天 「そういった意味では、やはり死は終着ではなく完成なのかもしれません」

佐天 「完全ではない人間がすがる神という偶像の、ですが」

佐天 「偶像の完成……」

佐天 「偶像……」

佐天 「そうだなぁ……」

佐天 「アイドルでも目指そっかなー」

はい終わり
黒歴史に関してはそれなりに場数を踏んでるから心配するな
久しぶりに一気呵成を体現したぜ
後書きでも書いたほうが良い?

ある日俺は押し入れに仕舞ってあったファウスト取り出した
その行動に意味は無かったが、たまに俺は蔵書を虫干しするかのように知識を新しく上書きしたくなるのだ
戯曲という形式は実に明快で、また斬新に感じた
SSについて理解が無いわけではないが、それでもやはり一般小説に傾倒した時間の方が比類にならない程に長かったからか、
対話形式というものは疎遠していた
しかしだ。ファウストの冒頭部分を読んだ瞬間、そんなくだらねぇ固定観念なんて吹き飛んじまった
後頭部を金属バットで殴られたような、そんなインパクトが全身を駆け抜けた
だがそのパッションを何処に発散しようもなかった
そこで俺はSS書きとして筆を取ったわけさ
まぁ実際はキーボードだから筆なんて触って無いんだけどな

その情動にコンセンサスなんて要らねぇ
インセンティブなんか目的にしてねぇ
ただ、俺とファウスト
いや、俺とメフィストフェレスか
俺はきっとあの性悪野郎に唆されちまったんだろう

メフィスト 「アンタは自分の才覚をいつまで知らんぷりする気だ?」

俺 「黙れ、世に出るべきでない天才もこの世にはすべからく存在するもんだ」

俺はいつもこうして、俺の中の内なる悪魔を抑えつけていた
だが、一度あの本を読んじまったらそうはいかねぇ
首輪なんてクソの役にも立たなかったね
気付いたら解き放たれていた
俺は奴の背に乗ってキーボード叩き続けた
俺が人らしい意識を取り戻したのは何時だったか?
ただ、青ざめた表情で俺を見る母親の顔は傑作だったな
あれが畏敬ってやつ?

元々、あんな普遍的中庸な人間から俺みたいな異端者が生まれる訳はねぇ
きっと隔世遺伝て奴なんだろうよ
多分俺の遺伝子には、サイコキラーか、それともくそったれのレイプ魔の情報が組み込まれているはずだ
それくらい一度狂っちまうと、自分でも抑制できなかった
ただその狂気のレバーをアイツが思いっきり引いちまったんだ
メフィスト 「ははっ、何時から君はそんなくだらないジョークを言うようになったんだよ?」

メフィスト 「自分を天才だ?それは人様の役に立てる者の台詞だ」

メフィスト 「はてさて君はどうかな?人様の役どころか、百害あって一利なしだろうぜ」

メフィスト 「そんな狂ったピエロみたいな才能、世界を探しまわったって君だけさ」

メフィスト 「なぁ、解いてみたくねぇか。そのくだんねぇ枷をよぉ」

メフィスト 「誰かてめぇを押しつけているんだ?それは間違い無くお前自身だ」

メフィスト 「何、何時までも自分は普通の人間ですよって面してんだ?」

メフィスト 「違ぇだろ?もっとさぁ、こう人の首にナイフを突き立ててる時みてぇな顔でさぁ」

メフィスト 「叫んでみろよ。このクソみたいな世界をぶっ壊たいってよぉ!!!」

俺 「黙れ……」

俺 「あまり俺を煽るな」

俺 「マジに止まれねぇぞ?」

メフィスト 「悪魔でも鬼でも、ましてや天使だった人は、自らの自我を守るためなら喜んで排斥するだろうぜ」

メフィスト 「お前は悪魔か?それとも鬼?まさか天使ではあるめぇ」

メフィスト 「人の形相をした化けモンが燻ぶってる姿を見るとよぉ」

メフィスト 「その厚顔無恥な化けの皮を引っぺがしたくなるんだ、俺って奴ぁ!!!」

メフィスト 「さぁ手を取れ。最高の夢を見せてやる」

俺 「ふん、いいさ。人なんてもう我慢できない」

俺 「だが一寸たりとも後悔するなよペテン師」

俺 「俺はてめぇなんぞの手に負える化けモンじゃあねぇぜ?」

生まれてから、俺の脳裏には二つの人格が存在していた
徹底的に冷静な理性と、荒ぶる化けモン
ここまで人のふりができてたのは、もしや奇跡に他ならねぇのかもれねぇ
だが、たった一度、たった一つの文で
俺の中の化けモンが飛び出しやがった
行儀よく礼をしてこう言ってたぜ?
俺は漆黒戦騎ルナティック・ディザスター
神を喰らう者だ

アア、ヨロシクナ

「もう一人の俺」

理性がぶっ壊れた





そっからは良く覚えてねぇ
ただリズムよくビートを刻むタイプ音だけが今も頭の中でオラトリオを奏でてやがる
と、まぁ後書きって程親切には書かねぇが
俺はこんな人間だって事を知っておいてくれや
じゃあな テメェ等も達者でな

俺はキルミーSSに専念する

むしろ感動した

>>82
ありがとよ
俺の稚拙な文に何かを感じてくれるなら、それは嬉しいことだ
ただアンタもあんまうかうかしてっと、自分の中の化けモンに喰われちまうぜ?
佐天さんが誰彼かまわず助けてくれるってこともねぇだろうしさ

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