勇者♀「これでどこからどう見ても男の子だよね……」(189)

勇者「お母さん、ゆうちゃん男の子に見える?」

勇母「ええ、とても立派よ」

勇者「えへへ。良かった」

勇母「10歳のお誕生日おめでとう」

勇母「……まだこんなに小さいのに旅立たなければいけないだなんて」

勇者「大丈夫だよ、お母さん」

勇者「いってきまーす!」

国王「まずは10万Gを授けよう。その身に合う武器を探すとよい」

国王「足りなくなったら役所に申すのだぞ。援助は惜しまないからな」

勇者「はい、ありがとうございます」

大臣「これが勇者の証明章だ。例え紛失してもお主の元に戻ってくるよう魔法をかけてある」

勇者「わ、きれいなバッチ……ありがとうございます!」

町人「勇者ちゃんがんばれー!」

女性「うちで作った干し野菜あげるわ。がんばってね」

勇者「うん! ありがとう!」

勇者「がんばって魔王を倒して、皆を幸せにするからね!」


勇者(お父さんは立派な勇者だった)

勇者(魔王と相撃ちになって死んじゃったけど、とっても強かった)

勇者(今度は、ぼくが復活した魔王を倒して平和を取り戻すんだ!)

街の門

勇母「ゆうちゃん……」

勇者「お母さん、心配しなくて大丈夫だよ。ぼく、お父さんの子供だもん」

勇母「お願い、絶対に帰ってきて。あなたまでいなくなってしまったら……」

勇者「大丈夫だってばあ」

勇母「いくら魔王が復活したからと言って、あなたを旅立たせるなんて王様も酷だわ」

勇者「まだ修行不足だけど、潜在能力だけならお父さんより上なんだって。だから大丈夫」

勇者「じゃあね」

勇母「ゆうちゃん……うぅ……」

とある小さな村

勇者(皆浮かない顔してる……)

勇者「何かあったんですか?」

村人「南に行くための道の近くの洞窟に竜が棲みついてしまってね」

村人「物資の運搬が困難になって困っているんだよ」

勇者「りゅ、竜?」

村人「討伐隊もなかなか歯が立たないみたいでね……おや、その紋章は」

村人「君はもしかして勇者かい?」

勇者「はい!」

村人「おやおや、まだこんなに幼いのに……大変だねえ」

村人「15年前、君のお父さんに助けてもらったんだよ」

村人「あの方のお子さんなら期待できそうだ。竜を退治してくれるかい?」

勇者「うん!」

傭兵1「おい、勇者が来たんだってよ」

傭兵2「ならもう安心だな。俺等もこれ以上犠牲は出せねえし、前金は貰ったしな」

剣士「え……もう帰っちゃうんですか?」

傭兵1「ああ。お前もとんずらしとけ」

傭兵2「おっあれが勇者か。ちっこいなー……本当に大丈夫か?」

傭兵3「大丈夫だから旅立ったんだろ。あとはあのがきんちょに任せとけばいいんじゃねえの」

剣士(あんな小さな子に……)

勇者(竜ってどのくらい強いのかなあ)

勇者(平原で弱い魔物はなんとか倒せたけど……)

勇者(あ、きっとあの洞窟だ)

勇者(……このあたりの魔物、ちょっと強いなあ)

竜「何の用だ。俺に食われにでも来たのか?」

勇者(ひっ……人の骨が転がってる……)

勇者「この洞窟から出ていってください。村の人達が困っています」

竜「はっ、お前のような子供が一体何を言うのだ」

竜「正義感だけでは世の中やっていけぬぞ? くくく……」

竜「丸焼きにして喰らってやるわ!」ゴォォ

勇者「来る……!」タタッ

ドゴッ

勇者「うわっ」

竜「ふははは! いつまで逃げ切れるだろうな?」

勇者(怖がっちゃだめ、怖がっちゃだめ……どうにかして倒さないと)

――――

勇者「はあ、はあ……」

竜「とどめを刺してやろう」

勇者(剣も低級魔法も全然効かない……どうしよう)

竜「覚悟しろ!」ゴゴォ

剣士「危ない!」

勇者「わわっ!」

剣士「大丈夫?」

勇者「あ、ありがとう……」

剣士「君、魔法は使える?」

勇者「簡単なのなら……」

剣士「昨日あいつと戦って気付いたんだけど、あいつ、炎を吐く瞬間だけ背中にある目が開く」コソコソ

剣士「多分あそこが急所なんだ」

勇者「うん」

竜「ふん、ガキが一人増えたようだが二人まとめて焼いてやるわ!」ゴオォォオオォォ

剣士「だから僕が囮になる。その隙に攻撃して!」ダダッ

勇者「わ、わかった!」

勇者(背中が見えるくらい高い所に行かなきゃ……)


剣士「こっちだ!」

竜「見覚えがあると思ったら昨日逃したガキではないか」

竜「我の力を知っていながら……無謀なものだな」

剣士(こいつは竜の割に知能が低い。一つのことに気を取られるタイプだ)

剣士(注意を引きつけておけばあちらに気がつかないはず)

勇者「よいしょ、よいしょ」ガッガッ

勇者(よし、ここまで来れば狙いを定められる)

剣士「食べたければ食べなよ。炎を吐くしか能のない低級竜め!」

竜「おのれ……我を侮辱するな!」ゴゴゴゴオオオ

勇者「今だ、いける!」キュイイイイ

勇者「えいっ!」パシュッ

竜「ぐあっ!?」

竜「い、いつのまに……背後に……」

勇者(この竜頭悪そう……)

竜「くっ……」バタリ

剣士「……まさかこんなに弱かったなんて」

剣士「装甲が丈夫な分、急所が異常に脆かったみたいだ」

勇者「ふう……良かった」

勇者「助けてくれてありがとう」

剣士「いや……」

勇者「君が助けに来てくれなかったら、ぼく、今頃竜のお腹の中だったよ」

剣士「君みたいな小さな子に全てを任せる方がおかしいんだ」

剣士「いくら勇者だからって……大人は無責任だ」

勇者「ん……あれ? 火傷してるの?」

剣士「ああ、このくらい平気だよ。掠っただけだし」

勇者「見せて。簡単な回復魔法くらいならできるから」

剣士「あ、あり……がとう……」

剣士(この子、男の子……だよね……?)

村人「ああ、ありがとう勇者!」

子供「さっすが勇者様だあ!」

勇者「ぼくはたいしたことないよ。剣士君のおかげで勝てたんだもん」

少女「おれ、お礼! あげる!」

勇者「いいよいいよ、あげるなら剣士君に……」

剣士「もらっておきなよ。僕は別にいいからさ」

勇者「でも、こっちが名誉を独り占めしてるみたいで……」

剣士「勇者っていうのは、そういうものだからさ」

剣士「皆の希望の象徴だからね。目立って当然だよ」

剣士(皆の希望の象徴だからこそ、あらゆる人が勇者に全てを任せてしまうけれど)

剣士「仲間の一人や二人くらい、いるのが普通なんじゃ……」

勇者「いいの。ぼくが頑張れば、みんな幸せになれるんだもん」

剣士「…………」

剣士「僕、君と一緒に行っていいかな」

勇者「一緒に戦ってくれるの?」

剣士「僕だってまだ14歳で、大人とは言えない年齢だけれど……」

剣士「君一人が戦わなくちゃいけないなんてあんまりだ」

勇者「……えへへ。ありがとう」

勇者「正直ちょっと寂しかったんだ」

勇者「よろしくね!」

剣士「うん。よろしく」

剣士(手……小さいな)

剣士「この山岳地帯を抜けたら少し大きな町があるんだ」

剣士「そこで道具を揃えよう」


勇者「同じ種族の魔物でも、人がいないところに住んでる方が弱いみたいだね」

勇者「人里離れた場所の方が強い魔物がいそうなのに」

剣士「魔物は人の感情に反応して強さが変わるって言われてるんだ」

剣士「人のどんな感情に影響されているのかは不明だけど」

勇者「剣士君っていろんなこと知ってるんだね」

剣士「世間のことを知らないとやっていけないよ」

剣士「世の中には危険なことがたくさんあるんだ」

勇者「そうだね。もうちょっと勉強してから旅に出れば良かったなあ」



勇者「栄えてそうなところなのに、なんとなく寂しいね」

剣士「魔物の活動が活発化しているからね。どの町もこんな感じだよ」

剣士「魔王が倒された直後、人々は復興に向けて活発に働く」

剣士「それからしばらくすると魔王が復活して、再び衰退する」

剣士「多少年月の差はあるけど、歴史はずっとこの繰り返しだ」

勇者「へええ」

町人1「勇者様だ! 勇者様が来られたぞ!」

町人2「勇者様だあああああああやったああああああああああ」

町人3「勇者様ばんざああああああい!」

勇者「ひぃっ」

剣士「ついさっきまで死んだような目をしていたのに……」

勇者「こ、こんにちは……はじめまして、勇者です」

町人4「きゃあああああ勇者ちゃんかわいいいいいい!」

町人5「町長の所へお連れしろ! 丁寧にもてなすんだ!」

勇者「熱狂的すぎて怖いよぉ……」

町長「しばしば魔物の襲撃を受けていまして、あまり豪華な物は出せませんが……」

勇者「そ、そういうのはいいです! ぼく豪華な食事には慣れてませんし!」

勇者「ぼくなんかに出せる物があるなら、貧しい人達に分けてあげてください」

町長「おお、なんと心の綺麗な子だ」

町長「実は一つお願いがあるのです」

勇者「何ですか?」

町長「この町にいらっしゃる際、大きな防壁をご覧になったでしょう?」

勇者「はい」

町長「あれは魔法が仕込まれている特殊な壁なのですが」

町長「込められている魔力が枯渇していて機能しないのです」

町長「その上、勇者の血を引く方の魔力でないと作動しないので……」

勇者「その壁にぼくの魔力を注げば良いんですね?」

町長「ええ」

勇者「わかりました!」

勇者「この宝玉に注げば良いんですね」

町長「ええ」

兵士A(やった! これで危険な仕事をせずにすむ!)

兵士B(壁さえ作動してくれればほとんどの魔物の攻撃は防げるもんな)

兵士C(良かった……これで妻子も安心してくれるだろう)

勇者「えいっ」シュウウウウゥゥゥゥ

勇者(うわ、けっこう吸い取られるなあ……)

町長「無理は言いませんが、できればこのメーターが満杯になるまでお願いします」

勇者「は、はい!」

勇者(魔法は簡単なのしか覚えてないけど、魔力の大きさなら歴代勇者の中でも5位以内だもん)

勇者(きっといける……!)


勇者「よし、これで……容量いっぱい……」

勇者「あ……」フラ

剣士「勇者!」バサッ

勇者「ぅ……」ガクリ

剣士「ゆ、勇者! しっかりして!」

剣士「気を失ってる……」

町長「では部屋で休んでいただきましょう」

剣士「……子供が魔力の使いすぎて倒れたんですよ!」

剣士「もう少し心配したらどうなんですか!?」

町長「何を仰っているのです。その方は勇者ですよ」

町長「このくらい平気でないと魔王なんて倒せません」

町長「先代勇者はもっと屈強なお方でしたがねえ」

剣士「っ……!」

剣士(勇者とはいえまだ小さいのに……どうしてこんな扱いを受けなきゃいけないんだ……!)

剣士(こんなことが勇者の宿命だっていうのか……!?)

剣士(世の中腐ってる!)

勇父『勇者、旅をやめろ』

勇者『だれ?』

勇父『覚えてないかい。お前のお父さんだ』

勇者『お父さん……? ほんとだ、お父さんだ! 絵で見たのとそっくり!』

勇父『いいか、旅をやめるんだ。お前が苦痛を味わう必要はない』

勇父『今、人類に必要な事は……』

勇者『なに? 何て言ってるの? 聞こえないよ』

勇者『お父さん、お父さん!』

勇者「おと……さ……」

剣士「勇者!」

勇者「あ、剣士君」

剣士「良かった……」

勇者「そんなに心配しなくて大丈夫だよ。ぼく、勇者だもん。普通の人より丈夫にできてるよ」

剣士「でも、魔力の使いすぎて亡くなる魔術師だって少なくないんだ」

剣士「……無理だけはしちゃだめだよ」

勇者「そこまで言うなら気をつけるよ。心配かけてごめんね」

勇者「魔力が回復するまで待つついでに魔法書を読んで勉強するよ」

勇者「魔王城に着くまでに、最上級魔法も覚えなきゃいけないから」

剣士「……うん」

翌日

兵士「ありがとー」

町長「お気をつけて」

勇者「うん!」

剣士(彼等は勇者に感謝している。それは確かだ)

剣士(でも、いまいちすっきりしない)

剣士「…………」

勇者「剣士君、お腹でも痛いの? 大丈夫?」

剣士「何でもないよ」

勇者「そう?」

剣士「何でも……ないんだ……」

勇者「のどかそうな村だね」

剣士「うん」

勇者「お花がいっぱいで良い匂いがしてくる!」タタタッ

勇者「ほら、見てみて! こんなに綺麗な花が咲いてるよ!」

剣士「ほんとだ」

剣士「ちょっと買い物をしてくるから、先に宿に行っててくれるかい?」

勇者「うん!」

剣士(こういう村は大抵心の温かい人が多いんだ)

剣士(町よりは休めると良いんだけど……)

勇者「えっと……あの、宿ってどこですか?」

男「ん? 君……可愛いね」

男「こっちだよ。ついておいで」

勇者「はい」


勇者「あの、こっち……本当に宿なんですか?」

男「ぐふふっ……後で宿に連れて行ってあげるからさ、ちょっと服を脱いでくれるかな」

勇者「えっ……どうして……」

男「お兄さんさあ、君みたいなかわいくて小さな男の子大好きなんだよね」

男「ちょっと服を脱いでコレに触ってくれるだけで良いからさあ……」

勇者「え? え? どういうこと?」

勇者(ぬ、脱いだら女の子だってばれちゃう!)

勇者「や、やめてください!」

男「それじゃあ無理矢理脱がしちゃうよ?」

勇者「やめて! やめて! いやああああああああ!」

勇者「剣士君助けてえええ!」

剣士(今の……勇者の声!?)

剣士「勇者っ!」

勇者「た、たす……けて……」

剣士「何をしているんですか」

男「邪魔しないでくれるかなあ」

剣士「……今すぐその子を解放しなければ、容赦はしません」シャキ

男「お、おいおい剣なんて物騒だぞ」

男「わかったわかった! 俺もう帰るから!」

勇者「剣士君……」

剣士「大丈夫!?」

勇者「上着を脱がされかけただけ……大丈夫……ぐすっ……」

剣士「……すぐに宿で休もう」

剣士(なんて酷い事を……)

勇者(変な人に襲われないようにって、男の子の格好をしてるのに)

勇者(これじゃ意味ないよ……)

勇者(……怖かったなあ)

勇者(もし剣士君が助けてくれなかったら……どうなっていたんだろう)

勇者「あの、剣士君。助けてくれて、ありがと」

勇者「なんだか助けてもらってばかりだね」

剣士「そのために一緒にいるんだ」

勇者「うん……ありがとう」

勇者(何か、恩返ししたいな)

勇者(でも、ぼくには一体何ができるんだろう)

勇者(一刻も早く強くなって、世界を救うことしか考えてなかった)

勇者「うーん……」

剣士「……大丈夫?」

勇者「う、うん! だだだ大丈夫っ!」

剣士(やっぱりダメージが大きそうだ……これからは目を離さないようにしないと)

勇者(なんだか、恥ずかしい……な)

数週間後

勇者「剣士君、ぼく、最近けっこう強くなってきたよ!」

剣士「うん。びっくりするほどだよ」

剣士(やっぱり勇者の子だ。ありえないほどの早さで強くなってる)

勇者「えへへ。これも剣士君が修行につきあってくれたおかげだよ」

剣士「君ががんばったからさ」

勇者「でも、もっとがんばらないとね。だって、世界で一番強い魔王を倒さなきゃいけないんだもん」

剣士「そうだね」

勇者「じゃあお風呂に入ってくるね」

剣士「うん」

勇者「久しぶりのお風呂だあああ!」

勇者「あー……極楽…………」



勇者(長風呂しちゃった。剣士君に悪いことしたなあ)

剣士(勇者、遅いな……)

剣士(もしかして湯船で溺れてるんじゃ……)

剣士(いや、心臓麻痺でも起こしたんじゃないだろうか!?)

剣士「勇者っ!」ガラッ

勇者「っ!?」

剣士「あ、良かった。いきてt」

剣士「あ、あれ……?」

勇者「ひぁあああああ!」バシーン

剣士「うっ!?」

勇者「見ないでえええ!」ドンッ

剣士「わっ!」ガッ

勇者「うぅ…………」

剣士「いつ……」

勇者「っ! うわあああごめん! 大丈夫!?」

剣士「へ、平気……」

勇者「ああっ頭から血が……ごめんね、ごめんね! 今回復するから!」

剣士「う……」

勇者「き、気が動転してたの……ごめん」

剣士(…………無かった、よね……)

勇者「さっきはごめんね」

勇者「……あのね、剣士君にだけ言うね」

勇者「その、わかっちゃったかもしれないけど、ぼく、本当は……」

勇者「女の子、なの……」

剣士「……うん」

勇者「お願い、誰にも言わないで! 隠してたことは謝るから……」

勇者「お母さんとの約束なの。男の子として旅をするって」

剣士「わかった。誰にも言わないよ。約束する」

勇者「……ありがとう」

勇者(……裸、見られちゃった。恥ずかしいな)

剣士「…………」

勇者「…………」

勇者(き、きまずい)

剣士(すごく大変なことをやらかしてしまったはずなのにどこか安心している自分がいる)

剣士(僕って最低だ……勇者はこの前襲われそうになったことがトラウマになってるかもしれないのに)

剣士「えっと、その……勇者、ちゃん」

勇者「今まで通りの呼び方でいいよ! なんだか照れくさいから」

剣士「ご、ごめん」

勇者「あ、謝らなくても……」

剣士「う、うん」

勇者「…………」

勇者「そ、そうだ! ねえ、剣士君って一体どんなところから来たの?」

剣士「ああ、えっと……すごく田舎な村だよ」

剣士「自然がいっぱいあって、木の実がたくさん成ってて」

勇者「へええ!」

剣士「僕の家は農家なんだけど、叔父さんが小さな剣術道場を開いててさ」

勇者「そこで剣を教えてもらったの?」

剣士「うん。それで、農家を継ぐか、道場を継ぐかで迷っちゃって」

剣士「村にいても答えが出なかったからこうして旅をしてる」

勇者「そっかあ」

剣士「叔父さんには息子がいないんだけど、僕は一人息子だから養子にも行きづらくて」

剣士「普通に考えれば親の畑を継ぐべきなんだけど、剣も好きなんだ」

勇者「両方じゃだめなの?」

剣士「りょ、両方……かあ」

剣士「難しくないかな。畑は毎日面倒を見なくちゃいけないし、門下生の指導もあるし……」

勇者「一人じゃ無理でも、誰かと分担すればきっとできるよ!」

剣士「え…………」

勇者「だめなの?」

剣士「…………じゃあ、君、僕の村に来てくれる? この旅が終わったら」

勇者「っ!?」

勇者「…………いいよ! 楽しそう」

剣士「い、いいの!?」

勇者「ぼく、都会育ちだから田舎に憧れてたんだ!」

勇者「いいな~いいな~! 旅が終わった後の楽しみが増えたなあ」

勇者「お母さんも一緒に来てくれたらいいな」

剣士(お、OKしてもらえるなんて……)ドキ

勇者「魔王を倒しても、ずっと一緒にいようね!」

剣士「う、うん!」

剣士(これってプロポーズなんじゃあ……)

剣士(いやいやいや勇者ちゃんはまだ10歳なんだ。深いことを考えているわけが)

勇者「あ、でもこの言い方じゃなんだか結婚するみたいだね」

剣士「げほっげほっ!」

勇者「何を言ってもなんだか恥ずかしいや……あはは」

勇者「想像してたらなんだかワクワクしてきた」

勇者「楽しみだなあ」

剣士(魔王を倒して、勇者ちゃんが僕の村に来て)

剣士(協力しながら一緒に暮らして……そして……)

剣士(ぼ、僕は年下の女の子相手に何を妄想しているんだ!)

剣士(子供の約束なんてその場の気分次第の曖昧なものなのに!)

剣士(け、結婚、なんて……)

剣士「うわあああああああああ!」ダダッ

勇者「け、剣士君!? どこ行くの!?」

剣士「頭冷やしてくる!」バタン

勇者「お、お風呂が冷めない内に帰ってきてねー!」

剣士(4歳差なんて、大人になれば大した差でもなくなる)

剣士(けどやっぱりなんだかいけない話をしてしまったような気がするんだ……)

剣士(いや、一応女の子の体を見てしまったわけだから)

剣士(責任を取るという意味では結婚という形を取るのが一番だろうし……)

剣士(なんだか混乱してきた)

剣士(一体なにやってるんだろう、僕……)

勇者(……何で結婚なんて単語を口にしちゃったんだろう)

勇者(今更妙に気になってきた)

勇者(恥ずかしくて恥ずかしくて仕方がないよおおおおおおおおお)バタバタ

勇者「あぁあぁああああああああゴロゴロゴロゴロ」ドガン

勇者「あいたたた……」

宿主「お客さん、ちょっと静かにしてくれませんかねえ」

勇者「ご、ごめんなさい」シュン

村人A「なあ、西の町付近の魔物が強くなってるらしいぞ」

村人B「あら……恐ろしいわねえ」

剣士(西の町って……あの大きな壁があったあの町のことだ)

村人A「そうなる前に勇者様が壁の力を復活させてくださってなんともないそうだ」

村人B「良かったわ。あの町には親戚やお友達がたくさんいるんですもの」

剣士「…………」

とある町

勇者「ねえ剣士君、この頃魔物が強くなってこなかった?」

剣士「魔王城に近づいているからね」

勇者「それもそうだけど……」




少年「だから、この町の自警団を強化すべきなんだって!」

少年「勇者様が旅立ったからって皆油断しすぎだよ!」

大人「子供に何がわかるってんだ。勇者様の御力を疑ってるのか?」

少年「そうじゃないけど、勇者様はたくさんいるわけじゃない! 一人だけなんだ!」

少年「勇者様に頼ってばっかじゃあ隙が生まれて皆殺されちゃうよ!」

大人「まあまあ安心しろって」


剣士(こんな子もいるんだ)

剣士(まだ世の中捨てたものじゃないのかもしれない)

勇者「ねえ、剣士君」

剣士「何だい?」

勇者「ぼくって、やっぱり頼りないのかな」

剣士「そんなことないよ。勇者ちゃんは一生懸命やってるんだから」

勇者「でもやっぱり子供だし、本当は女の子だし……」

勇者「お父さんみたいにおっきくて強かったら、皆もっと安心してくれたんだろうなあ」

勇者「……お父さんは20歳の時にお母さんと結婚して魔王を倒しに行った」

勇者「ぼくは魔王を倒せるのかなあ……」

剣士「魔物の平均的な強さが、君のお父さんの時よりも弱いらしいんだ」

剣士「おそらく魔王も比較的弱いはず。きっとなんとかなるよ」

勇者「そうだね。噂を聞く限り復活も完全じゃないみたいだ」

西南の村

勇者「あの、依頼を受けてきた勇者です。倒さなければならない魔物とは一体どんな……」

男性「は? おまえが勇者?」

勇者「は、はい」

男性「まだ子供じゃないか! ふざけてるのか!?」バンッ

勇者「ひぁっ!」

すっごい鬱なのを頼みますね^^

男性「その上女の子みたいに細いんじゃ、魔物と戦えるわけがないだろう!」

勇者「そんなことないです! 今までたくさんの魔物を退治してきました!」

男性「ガキの戯言はもういい!」

男性「いいか野郎共! 俺達で魔物を倒しに行くぞ!」

村人「「「「おおおおおおお!」」」」

勇者「えっ……」

剣士「……」

勇者「ぐすっ……うっ……どう、して……」

剣士「勇者ちゃん……」

勇者「もっとみんなに頼ってほしいし、ぼくはみんなを助けたいのに」

剣士「長い間旅をしていればこんなこともあるよ」

剣士(……あの人達の反応は他の人々よりずっと正常だ)

剣士(普通はああいう反応をするはずなんだ)

勇者「剣士君、あの人たちが心配だから、様子を見に行こう?」

勇者「依頼を破棄されても、ぼくは勇者だから、何かあった時のために働かなくちゃ」

剣士「……うん」


男性「でやぁぁああ!」

村人「うおおぉぉぉおお!!」

キィン! ドゴォオ! ザシュ!

男性「っしゃぁああ! 魔物の首を取ったぞおおお!」

勇者「あれ? あの魔物、普通の人間じゃ太刀打ちできないほど強力なはずなのに」

勇者「すごく弱そうに見える」

勇者「この村の人達が強いのかなあ」

剣士「……そうだね」

勇者「あっ危ない!」ザシュ

男性「!?」

勇者「木の上に一体隠れていたみたいです」

男性「チッ……ガキに命を救われちまったな」

男性「仕方ねえな、約束してた報酬はやるよ」

勇者「いえ、報酬なんて要りません。お金は国から支給されるので、大丈夫です」

勇者「今晩どこかに泊めてくだされば、それで……」

男性「……わぁったよ」

勇父『勇者……』

勇者『お父さん! ねえ、この前は一体何を言おうとしていたの?』

勇父『剣士君と一緒にどこかへ逃げるんだ』

勇者『どうして? ぼくは勇者だよ? みんなのために戦わなくちゃ!』

勇父『この世界は、お前が戦えば戦うほど衰退に……向か……』

勇者『なあに? 聞こえないよ! お父さん!』


勇者「またこの夢……」

勇者(もしこの夢がただの夢じゃなったら、お父さんはぼくに一体何を伝えようとしているんだろう)

勇者(ぼくが戦えば戦うほど……どうなるんだろ?)

勇者(ぼくが戦うのをやめさせたいみたいだけど……)

勇者(でも、どうして?)

勇者(ぼくじゃないと魔王は倒せないのに)

女性「きゃあああ! 助けてー!」

勇者「魔物だ! はやく助けないと!」

勇者(やっぱりぼくにできることは人助けだ)

勇者(目の前にいる人を、この世界にいる困っている人を助けられなくて、どうして勇者だなんて名乗れるだろう)

勇者(僕は勇者の一族から生まれた勇者なんだ)

勇者(人助けこそがぼくの使命)

勇者(あの夢はぼくの不安から生まれたただの幻なんだ)

老人「魔物とは、人の悲しみや憎しみ、絶望から生まれし者」

老人「勇者とは、人の喜びや愛しさ、希望から生まれた者なのじゃよ」

子供1「へええ!」

子供2「お話もっと聞かせて!」

老人「人々に希望が満ち溢れていると、魔物は人を絶望の淵に落とし、力を得ようとするのじゃ」

老人「そこで勇者が現れ、人々に再び希望をもたらす」

老人「世界はそうして均衡を保っているのじゃよ」

勇者「ねえ、剣士君。あそこでおじいさんが子供たちにしてる話って、本当かなあ?」

剣士「魔物が人の負の感情で強くなるっていう一説はあるけど」

剣士「ちゃんと証明されたわけじゃないからね……どうだろう」

剣士「……」

勇者「何か心当たりがあるの?」

剣士「いや……もう少し確信を持てたら話すよ」

勇者「魔物の群れだ!」

勇者「いくよ……覚えたての最上級魔法発動!」ドォォォオオン

剣士「……すごい威力だ」

子供1「勇者さますごーい!」

子供2「もっと魔法見せて!」

勇者「だあめ! これは戦うための力だから、必要ない時に使っちゃだめなんだよ」

子供3「えーケチー!」

勇者(みんなの笑顔が好き)

勇者(この笑顔を守るためにも戦わなくちゃ)

村人「勇者様に全てを任せておけば安心ね!」

村人「勇者様、応援します! これからもがんばって世界を救ってください!」

勇者「うん、ありがとう! がんばるよ!」

勇者(頼ってもらえたら、嬉しい)

勇者(こんなぼくでも、頼ってくれる人達がいるんだって、嬉しくなる)

勇者(でも、ちょっと……)クラア

剣士「勇者ちゃん!?」

勇者「疲れて……きちゃ……」グタァ

剣士「勇者ちゃん? 勇者ちゃん!」

勇者『あ……お父さん!』

勇者(いつもよりくっきりとお父さんの姿が見える)

勇父『我が子よ……漸くお前に意志を届けることができた』

勇父『よく聞け、この世界は……』

勇者『……!?』



勇者『じゃあ、ぼくは……一体何のために……』

剣士「……無理はしないでくれって言ったじゃないか」

勇者「ごめんね、剣士君」

剣士「君に何かあったら……」

勇者「みんな悲しんじゃうもんね。世界を救う勇者がなくなるんだもん」

剣士「そうじゃない!」

勇者「……?」

剣士「僕は……君が大切なんだ!」

剣士「世界を救う勇者じゃない、君そのものが大事で大事で仕方ないんだ!」

勇者「っ……」

剣士「約束しただろ? 僕の故郷に一緒に来てくれるって」ギュ

勇者(手……あったかい……)

剣士「君が死んじゃうんじゃないかって思ったらすごく怖くなった」

勇者「剣士君……ありがとう」ニコ

剣士「勇者ちゃん…………」

剣士(どこか寂しそうだ)

剣士「……」

勇者「そう言ってくれて、すごく嬉しいよ」

勇者「……みんな、ぼく自身じゃなくて、勇者としてのぼくを求めてるんだ」

勇者「そんな風にぼくを思ってくれるのは、剣士君とお母さんくらい」

勇者「ありがとう」

剣士「っ……!」ギュウウ

勇者「わわっ!」

勇者「は、恥ずかしいよ……」

剣士「いなく……ならないでくれ……」

勇者「…………ありがとね、剣士君」

勇者(…………)

勇者「もうすぐ魔王城だね」

剣士「ああ」

勇者「この、魔王城に最も近い村は防衛で大変みたいだね」

勇者「ぼくが今日滞在することで、いきなり襲われたりしなければいいんだけど」

剣士「とても特殊な結界を維持しているらしいから心配ないよ」

勇者「うん」

剣士「魔王と戦う勇者の状態を高めるために、こんな住みにくい土地にもなんとか住んでる人達なんだ」

剣士「そこらの人間より遙かに強いし大丈夫だ」

勇者「……うん。そりゃそうだよね」

勇者「ねえ、剣士君は怖くないの? 魔王と戦うんだよ?」

剣士「そりゃ怖いけど、君と一緒なら大丈夫だよ」

剣士「それに、僕はこれでも剣術使いとしては天才って言われるくらいなんだから」

勇者「そっか」

剣士「じゃあ、おやすみ」

勇者「……おやすみ」

翌朝

剣士「……勇者ちゃん?」

剣士「いない……一体どこに」

剣士「っまさか!」

ガサッ

剣士「これは……手紙?」

剣士「夜の剣術も凄いんだよ」ズバンズバン!

勇者「んほおおおお!!」ビクンビクン

剣士君へ

勝手に一人で戦いに行くことを許してください。

剣士君にはたくさんたくさん助けてもらいました。

ずっと恩返しをしたいなと思っていたけど、何をすればいいのかなかなか思いつかなくて、

剣士君を魔王との戦いに巻き込まないことが、恩返しになるんだって、思いました。

恩返しどころかただの裏切りかもしれないけど、どうか生きてください。

剣士君には数えきれないほど言った言葉だけど、最後にこの二言を遺します。

ごめんなさい。ありがとう。

剣士「そ……んな……」

剣士「一緒にいてくれるだけで……よかったのに……」

剣士「一人で残されるくらいなら、一緒に死ぬ方がずっとマシなのに!」

剣士「勇者ちゃん!」ダダッ




剣士「魔王城が跡形もなく消えてる……」

勇者「……」

剣士「……勇者ちゃん!」

勇者「きて……くれた……んだ……」

剣士「魔王を……一人で……」

勇者「あ、のね……魔物を強くする……人の感情……」

剣士「すぐに手当てをするから!」

勇者「にく、しみでも……かな……しみでも……な……」

剣士「っ…………」

勇者「怠惰、なんだって……」

勇者「いっしょに……いられなく、て……ごめんね……けほっけほっ」

剣士「あ……ぁ……」

勇者「最期に会えて……良かった……」

剣士「ゆうしゃ、ちゃ……」

剣士「勇者ちゃん! 勇者ちゃん!!」

剣士「ぁぁあああああああああああああああああ!!」

――魔物は、元来怠惰に溺れた人類を戒めるために創られた存在なのだ

剣士「この……声は……」

――人類に必要だった物、それは団結だったのだよ

――そして、一人の誰かに頼らず、自らの意志で戦う強さ

――勇者が現れれば人々は怠惰に溺れる。勇者の存在とは人類にとって害悪でしかない

剣士「……」

――だが、その少女は父から真実を告げられても戦うことをやめられなかった

――人に必要とされることが生きがいだったのだ

剣士「じゃあ、10年前の魔物の方が強かったのは……」

――人々が屈強な勇者をより頼り、自らの力で戦うことを放棄した結果だ

剣士「…………」

――少年よ、世界に復讐する力が欲しいか

剣士「……欲しいさ。でも、それは復讐のための力じゃない」

剣士「人々を正すための力だ!」

勇母「お願い、あの子を甦らせて!」

勇母「あの子がいない世界なんて……ああぁ……!」

国王「すぐに蘇生魔法を発動しろ!」

大臣「魔王め、勇者の遺体を送ってきたのが間違いだったな」

大臣「すぐにでも甦らせ、再び討伐に向かわせてやろう!」

魔術師「しかし、蘇生魔法は禁術です! もし失敗すれば」

国王「かまわん! やれ!」

魔王「始まりの町が滅んだ」

魔王「人を絶望させ、自らの力で立ちあがらせるために勇者の体をわざわざ送り届けてやったというのに」

魔王「蘇生魔法に失敗し、その反動で爆発を起こすとは愚かなものだ」

魔王「成功するはずがない。勇者の魂はここに在るのだからな」

メイド人形「…………」

魔王「おいで」

メイド人形「ハイ、魔王サマ」カタカタ

魔王「勇者の遺体は国が亡ぶ寸前に回収しておいた」

魔王「悪用されぬよう、手厚く葬ってやれ」

部下「はっ」








剣士君なら、人を人の側から変えてくれるって、信じてた。

でも、ぼくが剣士君を絶望させてしまった。

絶望の化身に……魔王に、してしまった。

こんなことになるなら、一緒に……どんな形でも、人間のまま一緒にいてあげれば良かった。

お父さん、せっかく来てくれたのに、警告を無視してごめんなさい。

お母さん、約束を守れなくて、ごめんなさい。

剣士君、約束を破ってしまって、ごめんなさい。

勇者『剣士君、こんなにいっぱい収穫できたよ!』

剣士『ああ。今年は豊作だね』

勇者『道場の方も上手くいってるし、ぼく、すっごく幸せ!』

勇者『あ、また『ぼく』って言っちゃった……まだ男の子の格好をしていた頃の癖が直らないなあ』

剣士『無理に直さなくてもいいよ。似合ってるし』

勇者『だめ! 剣士君のお嫁さんになるんだもん。女の子らしくしなきゃ』

剣士『あはは。そっか。そうだね』

勇者『ずっとこの村で幸せに暮らそうね!』

剣士『うん。もちろんだ』

――――――――――――
――――――――
――――

メイド人形「魔王サマ、涙ガ」

魔王「ああ……良い夢を見ていた」

魔王「かつて夢見ていた将来の夢を……」

メイド人形「魔王サマ、魔王サマ」カタカタ

魔王「……」ナデナデ

メイド人形「好キデス、魔王サマ」

魔王「……ああ。愛している」

魔王「……愛していると、人間同士だった頃に言ってやれば少しは運命も違っていたかもしれないな」

魔王「せめて、子供らしく『好き』の一言だけでも……」

勇者の逝去と魔王の力の強大化により、人々は希望を失った。

しかし、新たに手に入れた物がある。

人々は絶望に陥ってはじめて、自ら希望をもぎ取る意志を手に入れたのだ。



そして、世界の片隅で二人は今日も愛し合っている。

本来の夢を実現できなくとも、人の形を失っても――――。



END

今回はハッピーエンド用意してないんだごめん
おやすみ

メイド人形「ッ!」ドテッ

メイド人形「う……あいたた……」

魔王「どうした……?」

メイド人形「あれ? ここ……どこ……?」

魔王「!?」

魔王「勇……者……?」

メイド人形「え?」

メイド人形「剣士……君……?」

メイド人形「あの時、一人にして……ごめんね……?」

メイド人形「次に生まれてくる時は、絶対に約束、守るから……」

魔王「勇者……勇者……!」

メイド人形「剣士君の気持ちはわかってたのに、みんなに喜んでもらうことを優先して」

メイド人形「君を、誰よりも不幸にしてしまった……」

魔王「あの日、おまえに気持ちを伝える勇気を出せなかった不甲斐なさを許してくれ」

魔王「お前を誰よりも……愛……している……」

メイド人形「ぼくも……誰よりも、剣士君のことが、好き……」

メイド人形「ああ、でもこの身体って……死ねるのかな?」

魔王「……万物には終わりがある」

魔王「いずれ、再び人間として生まれ変わろう」

メイド人形「うん……!」

人形を愛するのも幸せなんだがなぁ

メイド人形……シリコン製
         多少関節部からカタカタ音がするのもも人間の姿を忠実に再現
         ラブドール機能有

>>185うちのもシリコン
音はしないが

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom