友歌「襲名と」織音「非襲名?」(65)

真琴「アキバスターが復興したのはいいけどさー。
   結局あっちゃんと智恵理に先越されたままだよね」

友歌「凪……あっちゃんと智恵理は公演とか出ずっぱりだしさ。
   このまま差が開いちゃうのは嫌だな。あたしも襲名したい!」

織音「私も!」

彼方「……あたしも襲名、したいんだけどな。ていうか、しないといけないんけどさ」

楚方「おねぃ?」

彼方「だって、美……マリコ様から宣告されたクリスマスまであと半年くらいしかないんだよ!」

真琴「そう言えば、ステージで言われてたっすね」

彼方「もしクリスマスまでに襲名できなかったらと考えると……」ガクブル

友歌「でも実際、襲名って難しいよね。総選挙なら、まだ頑張れば何とかなりそうなんだけど」

織音「魂の資質なんて言われても、どうやったら特訓出来るのか分からないもんね」

鈴子「彼方さんは、これまでどのような特訓をなさってきたんですか?」

彼方「え? 何で私に聞くの?」

鈴子「彼方さんは2年以上、マリコ様と一緒に頑張ってしてきたんですよね。
   なら、その中に襲名の手助けになりそうな要素があるのではないかと」

彼方「そう言われてもなー。レッスンは皆と同じ内容だよ。
   あー、後は、オリジナルメンバーの研究とかしたりしたっけ」

楚方「オリジナルー?」

鈴子「0048のオリジナルと言えば、AKB48ですよ、そなてぃ。
   確かに、AKB48の事をもっと知れば、魂の資質も得られるかもしれません。
   そうすれば、襲名メンバーに選ばれる日も近づくのではないかと」

真琴「でも、どうやってオリジナルの事を調べるのさ。
   当時の資料ってあんまり残ってなくて、これだけ曲や振り付けが残ってるだけで奇跡なんじゃ」

鈴子「確かにそうです。オリジナルメンバーの資料はあまり多くは残されていません。
   彼方さんが集めた資料を見せてもらうのも1つの手ではありますが……。
   実は私、密かに考えていた特訓方法があるんです」

友歌「なになに、超聞きたい!」

鈴子「皆さん、0048の曲……ひいてはAKB48の曲は大体ご存じですよね?
   では、その中でも0048の公演では滅多に流れない曲が何か分かりますか?」

織音「何だろう……渚のチェリー、じゃないんだよね?」

真琴「GIVE ME FIVE!も何年かに1回は劇場公演でやってるみたいだし」

彼方「……マジスカロックンロールとマジジョテッペンブルース?」

楚方「マジにならなきゃ勝てねーよ!だよね!楚方知ってるよー!」

鈴子「彼方さんもそなてぃも、さすがです」

彼方「そりゃ、マリコ様と一緒に勉強してきたからね。
   確か、ドラマの設定が下地になっているから、あまり公演向きではないんだよね」

鈴子「そうです。あの2曲は、ドラマの設定ありきの曲ですし、人数も必要ですから。
   現在の0048であまり披露できないのも無理はありません」

友歌「えーと、じゃあ鈴子の言う特訓って、その2曲を歌うことなわけ?」

織音「でも一応、私達その2曲もレッスンしてる、よね?」

彼方「鈴子、アンタまさか」

鈴子「えぇ。そのまさかです。
   私達で、幻のドラマ、「マジすか学園」をリメイクするんです!」

友歌「すごい、すごいよ! 襲名メンバーすらやっていないことを、
   非襲名のあたし達がやっちゃうなんてさ!」

真琴「リメイクかー。でも、そのドラマって何か媒体残ってるっけ?」

彼方「いや、探した限りでは見つからなかったよ。
   分かっているのは、オリジナルメンバーの多くが出演してたって事くらいかな」

織音「それじゃあ、リメイクなんて無理なんじゃあ」

鈴子「えぇ、ドラマを完全に再現することは残念ながら無理でしょう。
   ですが、歌詞の内容を検証すれば、ある程度筋立てを想像することはできます」

彼方「まずは、マジスカロックンロールからか」

真琴「これって……ヤンキーの歌っすよね」

鈴子「つまり、『マジすか学園』というのは、ヤンキーが主人公なのだと推測できます。
   更に重要なのが、マジジョテッペンブルースです」

友歌「こっちはもっと露骨ー」

織音「上で待ってるヤンキーに、下から別のヤンキーが挑戦しに行く曲だもんね」

楚方「ゲコクジョー!ジョジョジョジョジョー!」」

真琴「お、意外と難しい言葉」

彼方「この最後のヤバクネって言うのも気になるけど……」

鈴子「そうですね。ですが、ひとまず簡単な筋立てはそなてぃが言った通り、
   ヤンキーによるヤンキーに対する下克上、なのだろうと推察できます」

友歌「ちょっと待って、っていう事は、あたし達、ヤンキーを演じるの!?」

鈴子「そうなりますね」

織音「そ、そんなぁ」

真琴「そうだよ鈴子、いくら何でもアイドルがヤンキーなんて」

鈴子「ですが、それをオリジナルメンバー達はやっていたんですよ?」

織音「それを言われると……やらない訳にはいかないよね」

彼方「よし!襲名に少しでも近づくためだ!ヤンキーでも何でも演じるよ!」

楚方「おねぇがめらめらしてる~」

鈴子「では、僭越ながら私が脚本を務めさせていただきます。
   出来上がり次第、ツバサさんに読んでもらって、許可を取りましょう」

――――――――数日後

鈴子「と、言う訳で。ツバサさんの許可は取れました」

彼方「よく許してもらえたね。正直、ダメかと思ってたよ」

鈴子「私達のやる気を買ってもらえたのかと。例のゲリラチャンネルでなら流してくれるそうです」

友歌「でもさぁ。脚本読んだけど、アレはちょっと……」

鈴子「すみません。誤字脱字などありましたでしょうか?」

友歌「そうじゃないって!問題はそこじゃなくて」

織音「あんなの、私言えないよぉ!」

楚方「楚方、あんなアクニンみたいな事ぜったい言いたくないもん!」

彼方「ヤンキーなんだから言い回しがキツめになっちゃうのは分かってたけど。
   あの2人には特にキツいみたいでさ」

真琴「彼方さんは逆にすっごくハマってましたよね~」

彼方「うるさいよ、真琴」

真琴「痛っ!でこぴんはやめてくださいよ~」

友歌「とにかく、織音と楚方の役どころ、考え直してみてよ」

織音「鈴子、お願い」

楚方「リンダぁ~」

鈴子「演技の練習もしていましたから、大丈夫かと思っていたのですが。
   どうやら、皆さんの性格をある程度考えて手直しした方がいいかもしれませんね。
   私も、人数が少なくて画面映えしないかもしれないと考えていたところです。
   あと2日下さい。脚本を手直しして、必ず皆さんが演じやすい形にしてみせます!」

――――――――襲名メンバー試写会会場

ツバサ「という事で、今回の特別番組は77期研究生による立案されたものなの」

優子「それを、どうして私達に?」

ツバサ「ファンに見せる前に、意見を聞いてみたくてね」

たかみな「彼方達が頑張った成果なんですよね。それを最初に観られるなんて、楽しみです」

ゆきりん「たかみなさん、あくまで意見は客観的に、ですよ?」

――――――――0048版マジすか学園


青い薔薇の人「それでは、転校生を紹介します」

彼方「東雲彼方です。よろしくお願いします」ペコッ

友歌「なーにアイツ、ひ弱そう」

織音「この学園に転入してくるから強い人かと思ってたのに、残念。
   それより、焼きそばパンまだなの?」

真琴「お、お待たせしました!焼きそばパンと、メロンパンです!」

友歌「はぁ!?アンタ何言ってんのよ。
   織音は焼きそばパン。あたしはコロッケパンを頼んだんだっつーの。
   メロンパンじゃお腹ふくれないじゃない。どうしてくれるのよ!」

真琴「ひぅっ!ごめんなさい、ごめんなさい!」

彼方「…………」

友歌「なぁに? 文句があるの? 転校生?」

織音「文句があるなら、かかってきてもいいんだよ? 相手になってあげるから」

彼方「いえ……」

――――――――襲名メンバー試写会会場

たかみな「か、彼方がサラサラストレートヘア!」

ゆきりん「それにも驚きましたけど、友歌さんと織音さんも、意外と役にハマってますね。
     織音さんの丁寧な物腰も、ヤンキーという前提で見れば、プレッシャーがありますし」

優子「いや、一番ハマってるのは真琴じゃないかな。
   さすがは自称・研究生のオチ担当。パシリ役もこなすとは」

才加「それは微妙に褒めてない」

――――――――0048版マジすか学園


真琴「やめてくださいっス! その髪飾りは!」

友歌「いいじゃん。髪飾りくらい。ねぇ、織音?」

織音「そうそう。また買えばいいじゃない」

真琴「でもそれは、昔の友人の手作りで……」

友歌「へーえ。じゃあ尚更いらないよね。
   そんな昔のものを引きずってるから、こうしてパシられてるんだって自覚したら?」

織音「もっとオシャレしないとダーメ。コレは代わりに捨てておいてあげる♪」

友歌「……ん? 何だよ転校生」

彼方「それ、返してあげて下さい」

織音「聞こえないんだけど?」

彼方「大切な髪飾りなんでしょう? 返してあげてください」

友歌「やっだ。アンタなんかの頼みをどうして聞いてあげなきゃいけないわけ?」

織音「私達はむしろ親切でこれを処分してあげようっていってるのに?」

彼方「そんなの……親切なんかじゃない!」シュッ

友歌「髪なんか結んじゃって、何? ……ひょっとして、やる気?」

彼方「そちらがどうしても退かないというのなら。何としてでも」

真琴「転校生の雰囲気が変わった!?」

友歌「面白いじゃん。相手になってやるよ」

――――――――襲名メンバー試写会会場

佐江「……あれ、真琴、ですよね?」

たかみな「……うん、真琴、だよね?」

ともちん「いつも髪下ろしておけばいいのに……」

ゆきりん「それは一応禁句にしておいてあげましょう」

にゃんにゃん「でもー、逆に彼方はいつもの髪型に戻っちゃんだねー、もったいなーい」

たかみな「いや、あれでこそ彼方って気がするよ」

――――――――0048版マジすか学園


友歌 スチャ

彼方 スチャ

真琴「あぁぁ……そんな、転校してきたばっかりなのに、あの友歌とバトルなんて!」

織音「私達の意地、見せてあげて、友歌!」

友歌「言わなくても!」

彼方・友歌♪私は立ってる 憧れていたステージ 大歓声 拍手と熱気の中~♪

織音「そんな! 友歌が押されてる!」

真琴「これは……ひょっとして、ひょっとする!?」

彼方・友歌♪夢は汗の中に 少しずつ咲いていく花 その努力 決して裏切らない~
      夢は汗の中に 芽を出してずっと待っている いつかきっと願い叶うまで~♪


カラオケ採点マシーン 友歌:89点 彼方:91点

友歌「負けた!? この私が!?」

彼方「マジじゃないと勝てねぇんだよ、この芸能という世界は」

織音「いい気にならないで! たった1回、こんなのまぐれよ! 行こう、友歌!」

友歌「あ、うん……」

彼方「ふん」シュルッ

真琴「あ、あの、ありがとうございました! 髪飾り、落としていったみたいで……助かりました」

彼方「別に。私は何も。ただ日頃の努力の成果を見せただけです」シトヤカモード

真琴「姐さんと呼ばせてください!」

彼方「いえ、ですから私は」

真琴「どこまでも付いていきます!」

――――――――襲名メンバー試写会

まゆゆ「ケンカじゃない……物足りない」

たかみな「いやぁ、いいんじゃない? アイドルがケンカってのはちょっとまずいし」

ゆきりん「私達、DESに対しても攻撃しちゃいけないようになってますしね」

佐江「だからって、カラオケマシーンで対決とは盲点でした」

才加「アイドルらしいっちゃらしいんだけどね」

――――――――0048版マジすか学園


織音「待って、転校生」

彼方「……何か用ですか」

織音「今度は私と勝負して!」

彼方「申し訳ありませんが、こちらには勝負する理由がありませんので」

真琴「なら、ここは自分が相手するっス!」

織音「真琴が? 私と? 転校生の点数を見て、錯覚でも起こしたの?」

真琴「ち、違うから! ウチかて、特訓したんや!」

織音「その訛りが出るって事は、本気ということ……でも私だって負けられない!」スチャ

真琴「それはウチかて同じ! 姐さんとの特訓の成果、ここで発揮するんや!」スチャ

真琴・織音♪休み時間に女子が雑誌めくって喋っているよ♪

彼方(よし、いける!)

真琴・織音♪君がいい~ どんな世界中の美女達より 比べられないくらい
      君がいい~ 恋は自分だけのダイヤモンド 勝手に見つけるものさ それぞれのValue♪

カラオケ採点マシーン 織音:88点 真琴:90点

真琴「やった!やったっスよ姐さん!」

彼方「だから、その呼び方はやめて下さい」

織音「負けた……真琴に、私が!?」

友歌「しっかりして、織音」

織音「友歌! でも、でも!」

友歌「自分の実力は、誰より自分がよく分かっている。そうでしょ?
   悔しいけど、あたしと織音は今、アイツ等には勝てないんだ。
   すぐに報告しよう、副部長に!」

マリコ様「大変ですわ、部長」

智恵理「どうしたの? 余程の事がない限り、ここにはこないよう言っていたでしょう?」

マリコ様「転校生が、我らがてっぺん部部員である友歌と織音を負かしました」

智恵理「へぇ。転校生が……」

マリコ様「このままでは、我々てっぺん部の威厳が!」

智恵理「その威厳を保つために、どうすればいいか。分かっているわよね?」

マリコ様「……はい」

――――――――襲名メンバー試写会

才加「おおっと。ここでマリコ様の登場か」

優子「智恵理もね。ラスボス役っておいしいじゃん♪」

佐江「にしても、てっぺん部っていうネーミングは……」

たかみな「マジジョテッペンブルースから取ったんじゃない?」

ゆきりん「あぁ、なるほど」

――――――――0048版マジすか学園

楚方「おお!噂の転校生はっけーん!」

彼方「貴女、誰ですか?」

真琴「姐さんに手を出すのは許さないっスよ!」

楚方「楚方は楚方だよーん!」

彼方「楚方? それが貴女の名前なんですか?」

楚方「それより知ってる? あのてっぺん部の上級生が降りてきてるって」

彼方「てっぺん部?」

真琴「この学校を仕切ってる奴らっス。友歌と織音もそこの部員で。
   でも上級生はいつもは最上階の音楽室から出てこないのに……」

楚方「久々に腕試しをしては、大勢負かしてるんだってー!
   そんでね、負けた相手からは記念品として何かを奪って行っちゃうの!」

彼方「そんな、どうして!」

楚方「しーらないっ! てっぺん部にとって、ああいうのはゲームなんじゃないかな?」

彼方「そんなの……許せません」

真琴「姐さん?」

彼方「歌は、あくまで誰かに想いを、愛を届けるためのもの。
   それをマジで歌うのではなく、賭け事の為に歌うなんて……。
   ましてや、人の物を勝手に奪っていくなんて、許せません!」

楚方「リーンダッ!」

鈴子「そなてぃ。珍しいですね、てっぺん部に近づいてくるなんて」

楚方「だって、リンダが降りてきたんだもん。だったら会いに来るよー!」

鈴子「ありがとうございます、そなてぃ」

楚方「でもね、来るのは楚方だけじゃないよ?」

鈴子「というと?」

楚方「転校生がね、なんかガーッって燃えてたの!」

鈴子「そうですか……では、お相手しないといけませんね」

彼方「貴女達がてっぺん部ですか?」

鈴子「えぇ。織音と友歌の指導役をしておりました、神埼鈴子と申します」

マリコ様「そして、副部長のマリコですわ。マリコ様と呼んでくださいね」

真琴「まさか、鈴子だけでなくマリコ様まで降りてきてるなんて!」

彼方「他の子達に勝負ふっかけて、物を奪っていると伺いましたが、事実ですか?」

鈴子「えぇ。勝利の記念品として、頂いております」

彼方「歌を相手を負かす為に使うためだけでなく、勝手に人の物を奪うなんて、許せません!」シュルッ

真琴「姐さんがマジモードになった! お供するっス!」

鈴子「それでは、次の相手は貴女方が務めてくださるのですね?」

マリコ様「ふふっ。お互い楽しみましょう?」

彼方・真琴・鈴子・マリコ様♪ハート型ウイルスに やられてしまったみたい どんな注射もきかないわ
              貴方の事ばかり 考えてしまうの 何も手につかないくらい♪

カラオケ採点マシーン 鈴子・マリコ様:92点 彼方・真琴:94点

真琴「勝った!勝ったっスよ姐さん!」

彼方「さぁ、さっさと尻尾巻いて逃げ出しな!」

鈴子「そんな……私達が負けるなんて!」ダッ

マリコ様「やはりここは部長に頼るしかないのかしら」ダッ

――――――――

智恵理「この役立たず!」パァン

マリコ様「はうっ!」

智恵理「私に黙って、歌を賭け事に使っていたですって?」

鈴子「で、ですがそれはてっぺん部の威厳の為、良かれと思って」

智恵理「黙りなさい!」パァン

鈴子「はぁん!」

智恵理「良いわ。こうなれば私が出ましょう。
    マジジョのてっぺんは、私だと分からせてあげる」

――――――――襲名メンバー試写会

にゃんにゃん「あぁぁぁぁー! 私のムチ!」

たかみな「こっそり持っていったと思ったら、これに使う為だったのか」

ゆきりん「似合ってますね、智恵理ったら」

さえ「イメージ的に、これでいいんですかね、マリコ様は……?」

――――――――0048版マジすか学園

彼方「……真琴、今回はあたし1人で十分だ」

真琴「でも姐さん、相手はてっぺん部の部長なんすよ!?」

彼方「そんな相手だからこそ……タイマンでないとな」

真琴「姐さん……」

智恵理「いい度胸ね、転校生」

彼方「生憎、あたしには彼方っていう親がくれた大事な名前があってね」

智恵理「名前で呼んで欲しければ、私に勝ってみせなさい、転校生」

彼方「名前で呼びたくさせてやるよ、てっぺん部部長さん!」

彼方・智恵理♪We're the team A  明日もトライ 行けよ!team A 前を向いて
       そう、意地でもやるんだ これから来る者へ成功の前例を♪


カラオケ採点マシーン 智恵理:95点 彼方:95点

智恵理「同点!?」

彼方「どうやら、互角みたいだね」

智恵理「そうね。あぁ、久しぶりだわ、この感覚。悔しいのに。どこか清々しい……ゴホッ」

マリコ様「部長!」

鈴子「やっぱりご無理をなさってたんですね!」

彼方「どういう事さ?」

あっちゃん「マジジョのてっぺんは、喉を痛めて治療中の身だったの」

彼方「誰だ!」

真琴「その制服……ヤバクネの!?」

彼方「ヤバクネ?」

真琴「マジジョのライバル校っス。その生徒が単身乗り込んで来るってことは。
   アイツまさか、ヤバクネのてっぺん!?」

あっちゃん「そうだよ。
      そして、てっぺんは2人もいらない。ましてマジジョのてっぺんは喉を痛めてるしね。
      だから今ここで、宣言する。私こそ、マジジョとヤバクネの2校を束ねるてっぺんだって!」

智恵理「いいえ、その宣言は少し遅かったわ」

あっちゃん「どういう意味?」

智恵理「マジジョのてっぺんはついさっき、彼方になった。
    2校を束ねたければ、彼方を負かしてからになさい!」

彼方「アイツ、あたしの名前を……」

あっちゃん「そう?じゃあ、グラウンドに呼んであるヤバクネの生徒にも聞かせてあげようよ。
      どちらの歌が、勝っているのかを。この先に、屋上があるんだよね?」

彼方「決着は屋上、か。ほんとうにてっぺんなんだな」

あっちゃん「余裕みたいだね。でもそれも今のうちだよ?」

あっちゃん♪CHERRY CHERRYBOY CHERRY CHERRYGIRL あなたが走る
      CHERRY CHERRYBOY CHERRY CHERRYGIRL 水しぶき♪

ヤバクネ生徒「あっちゃーん!」

真琴「げっ。すごい声援!」

あっちゃん「えへ。機械の採点がなくたって、これだけの声援があれば分かるよね。
      マジジョとヤバクネ。そのてっぺんは私だけで十分だって」

彼方「いや、あたしは退かない!」

彼方♪夜の空 輝く星は 何億光年の彼方 たとえ深い絶望が 無限の闇となっても♪

ヤバクネ生徒 シーン

真琴「姐さん、やっぱりすごい! でも、ヤバクネがいるせいでアウェイ状態やんか~!」

智恵理「だったら、さっさと下へ降りましょう。てっぺん部の威厳にかけて、生徒達を外へ連れ出すの」

鈴子「ヤバクネが相手となれば、私達に恨みのある子も、力を貸してくれるでしょうしね」

マリコ様「では、部長はここで休んでいて下さいな。
     今頃友歌と織音も、他の生徒に呼びかけている筈ですもの。私達に任せて下さい」

真琴「てっぺん部……」ジーン

彼方♪夢はReincarnation 何度でも デジャビュのような遠い記憶♪

真琴「ウチの生徒がグラウンドに集まり始めとる……先頭は友歌と織音か。
   どうか、曲が終わるまで間に合って!」

彼方♪永遠のその輪の中に 先人達の道がある 広い宇宙のどこかに轍が残ってるだろう♪

真琴「いよいよ2番や……あ!マリコ様達も出てきた!」

楚方「もうそろそろマジジョ生徒全員集合かな?」

真琴「皆下に行ってるのに、どうしてここにいるんだよ、楚方」

友歌「それじゃ皆、コール行くぜー!」

マジジョ生徒「かーなーた! かーなーた!」

彼方♪夢はReincarnation いつの日か忘れた頃に痛み出すよ♪

真琴「これで、声援は互角の筈!」

楚方「ううん、それだけじゃないよ。ほら、ヤバクネの生徒も盛り上がってきてる!」

彼方♪いくつめの別れで背中向けるか? いくつめの出会いで求め合うものか?♪

マジジョ・ヤバクネ生徒「かーなーた! かーなーた!」

あっちゃん「そんな。ウチの生徒まで、あの子の名前を呼ぶなんて!」

彼方♪私の世代 夢はReincarnation 何度でもデジャビュのような遠い記憶♪

智恵理「凄い……両方の生徒をこうして盛り上げさせるなんて……何て実力の持ち主なの!?」

彼方♪いくつめの涙であきらめるのか? いくつめの命で叶うものなのか?♪

マジジョ・ヤバクネ生徒(大歓声)

彼方「ありがとう!皆ありがとうー!」

あっちゃん「この歓声……これは、認めなくちゃいけないみたいだね。
      マジジョのてっぺんは、貴女だって。
      うん、ここまで皆と盛り上がれる貴女なら、マジジョのてっぺんを任せられる」

彼方「え?」

楚方「あっちゃんもねー。前まではマジジョの生徒だったんだよ☆
   でも、智恵理が喉を痛めたって知ってから、転校しちゃったの」

智恵理「どうして……どうして私の前からいなくなってしまったの?
    おかげで私は、ライバルがいなくなって、寂しくて、貴女を見つけ出したくて……。
    気がついたら、マジジョのてっぺんにまで上り詰めていた。
    私はただ、何処かへいった貴女に歌を届けたかっただけなのに!」

あっちゃん「それはね、もし私がマジジョを辞めたら。
      智恵理が歌よりも治療に励んでくれるかもって思ったから」

智恵理「私の……為?」

あっちゃん「でも、間違ってた。智恵理は結局歌い続けて、マジジョのてっぺんになっちゃって。
      だから、私も頑張ってヤバクネのてっぺんになったんだ。
      マジジョとヤバクネのてっぺんを束ねれば、今度こそ智恵理は病院へ行くかなって」

真琴「そんな裏事情があったなんて」

あっちゃん「でも、それはいらないお節介だったかな。新しいてっぺんがこうして生まれたんだから」

彼方「私は……ただ、がむしゃらに歌っていただけで」

真琴「でも姐さんは、常に誰かの為に歌ってたじゃないっスか!」

あっちゃん「それじゃ、智恵理の為にヤバクネでのし上がった私と一緒だね」

智恵理「私も……どこかへ行ったあっちゃんを探す為に、必死で歌って……」

彼方「なぁんだ。皆、一緒なんだ。誰かに何かを届けたくて、歌を歌うんだ」

あっちゃん「あはは」

智恵理「うふふ」

彼方「ははは」

よく考えたら俺、0048は好きでもマジすか学園見たことないんだった

智恵理「それじゃあ、アンコールいきましょうか!」

あっちゃん「もう、これが終わったら智恵理は病院行きだよ?」

彼方「それじゃ、皆で派手に盛り上がろう!」

楚方「楚方も歌う~!」

全員♪虹の列車が時刻通りに 夢に向かって出発するよ
   君と一緒に旅立ちたいんだ すべて捨ててやって来い♪

――――――――

真琴「ところで、姐さんはどうして髪を結ぶか結ばないかでそうも違うんです?
   髪を結んで歌ってる時の姐さんの方がずっとカッコイイっすよ!
   ずっとそのままでいて下さいよぉ」

彼方「あたしの歌が好きだった父さんが、亡くなってね……。
   だからそれまで結んでた髪を解いて。歌うのを止めようと思ってたんだ。
   気持ちが昂って歌いたくならないように、口調も変えて、しおらしくしてさ」

真琴「姐さんにも、そんな事情があったんすね」

彼方「このリボンは、父さんがくれたものなんだ。前の学校で、悪い連中に奪われかけたことがあってね。
   それで問題起こして、ここに転校してきたってわけ」

>>39
大丈夫
俺も1・2回くらいしか見てない

真琴「その経験があったから、誰かの物を奪い取るっていうのが許せなくなってったんすね」

彼方「そういう事。にしても、今回の騒動で気付かされたよ。あたしはやっぱり、歌うのが好きだ。
   歌で、父さん以外の誰かに愛を届けたいんだ……って。だからさ、真琴」

真琴「はい?」

彼方「あたしはこれからも歌うよ! てっぺんとか何とか関係なく!」

真琴「さすが姐さんっす!」

彼方♪主なきその声聞こえるよ この空のほら どこからか♪

真琴♪確かに 誰かへと 語りかけるように♪

友歌♪主なき今風が吹き♪

織音♪雲間には ほら光が指す♪

彼方♪迷い人は耳をそばだてて 自分の道進むための力にする♪

エンドロール

――――――――襲名メンバー試写会

たかみな「さっすが彼方!」

ゆきりん「一言目がそれですか……」

優子「でも楽しそうだったね、皆。歌のシーンも良かったし」

にゃんにゃん「私もー、ちょーっと出たかったかなー」

ツバサ「あら。それなら、続編でも作ってみる?」

ともちん「面白そう」

佐江「私も大賛成です!」

ツバサ「本放送が好評だったら、の話だけどね。放映は今夜。ファンの反応が楽しみだわ」

――――――――研究生レッスンルーム

彼方「もう2度とヤダ」

織音「彼方さん、それもう何度も言ってますよね」

彼方「だって、髪型ストレートにすんのに何時間かけたと思ってんだよ!」

友歌「それより問題なのは出番の偏り! 鈴子、あれはやっぱナイよ!」

鈴子「そうでしょうか?」

友歌「結局美味しいところはあっちゃんに取られてるじゃん!マリコ様も相当目立ってたし!
   アレって元々、非襲名メンバーの特訓だった筈でしょ。
   どうせならもっとあたし達を目立たせてよー!」

楚方「楚方なんて、歌うシーンなかったんだよ? 楚方も歌いたかった!」

真琴「あたしは逆に、もっと出番少なくても良かったんだけど……」

友歌「贅沢言うな!」

鈴子「それでは続編を作ってみるとか。上級生を卒業させれば、自然と友歌さん達の出番も増えますよ」

織音「出番が増えるなら、いい……かな」

ツバサ「あら、もう続編の話が出ているの?」

鈴子「ツバサさん。珍しいですね。こちらへいらっしゃるなんて」

ツバサ「襲名メンバーへの試写会が終わったから、感想を伝えに来たのよ。
    続編があるなら出たいって言ってたわ」

彼方・友歌・織音「」

真琴「えーと……」

楚方「じゃあ、次はみんなでむぎゃ」

彼方「続編はないです」

ツバサ「え、でもさっきは」

鈴子「そうですよ、ぜひむぐぅ」

織音「ツバサさん、続編は作る予定ないです」

友歌「鈴子も、脚本作りはやっぱり大変だったみたいで」

織音「もし襲名メンバー込みで続編なんて作ったら」ヒソヒソ

友歌「あたし達の出番、もっと減りそうだもんね」ヒソヒソ

ツバサ「あらそう、残念ね。それじゃ」パタン

ツバサ(それなら、今度は私が脚本書いてみようかしら……なんてね)



END

それにしても、スレタイ見て
友歌って0048にもいたな、何のキャラなんだろ?
と思って開いたらまさにそのままで驚いたわ
珍しいよな

>>50
0048のSSって珍しいよな
次の猛者が現れるのを祈る

1期6話まで見たな
正統派ミリタリ風スペースオペラを期待してたから1~2話が最高潮で後はノレなかった

>>52
0048は無人機としか戦えない縛りがあるしな
ミリタリ成分は微々たるものしかなかった
ただ1期3話以降は全て13話の為にあったと言えるくらい、13話の出来は良かった

>>53
DGTOとDESを悪役のための悪役にしちゃった感が強かったのも俺的にはマイナス
主題はそこじゃねーと言われれば返す言葉も無いんだが、やはり俺としては悪役なりの理念を持った奴らで居て欲しかった
理念たって「私利私欲を貪る」でいいんだよ、一本筋が通ってればそれで

あと、鎮圧はしても殺しはしない、が理念の0048だが、1話で有人走行車をLASで踏んづけて潰してんだよね・・・

>>54
悪役部分に描写が圧倒的に足りなかったのは確かに痛いな
CEOが絡むことで何か判明されるかと思いきや暗殺だし

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