京子「ごらく部が密室に閉じ込められた」(165)

「京子」


京子「……ん」


「京子、起きて」


京子「……んぅ」


「京子」


京子「……聞こえてるよ、結衣」

結衣「良かった……起きなかったらどうしようかと心配しちゃったよ」

京子「……」

ちなつ「あの……結衣先輩」

結衣「ん?」

あかり「こ、ここ、どこなのかなぁ?」

結衣「……私も、今さっき目を覚ましたばっかりだから判らないんだ」

あかり「あかりたち、確か部室でお話してたよね?

結衣「うん……それで、突然眠くなってきちゃった所までは覚えてるけど……」

ちなつ「わたしもです!突然意識がふら~っとして……」

あかり「あ、あかりも!」

結衣「けど、ここ、部室じゃないよね……」

ちなつ「はい、見た事ない部屋です……」

あかり「学校の中……じゃないのかな」

結衣「うーん……校内でこんな部屋は見た事ないけど……京子は、どう思う?」

京子「……」

結衣「京子?」

京子「え……」

結衣「どうしたのさ、ぼーっとして」

京子「……なんでもないよ」

ちなつ「と、取りあえず、外に出ませんか?」

あかり「おそと?」

ちなつ「うん、どうして私達がこんな部屋にいるのか覚えてないけど……そろそろ夕方だろうし」

ちなつ「家に帰らないと家族の皆が心配しちゃうよ」

あかり「そ、そうだった、今日はお姉ちゃんと約束があったんだ」

結衣「……そうだな、取りあえず出口を探そっか」

ちなつ「は、はい!」

京子「……」

結論から言うと、出口は見つからなかった



私達が居る部屋……便宜上、ここを「居間」と呼ぶけど

この「居間」には4つの扉があって、それぞれが「個室」につながっていた


「個室」にはベットや冷蔵庫、シャワー室や水道が設置されていたが

「居間」に続く扉以外の出入り口は無かった

窓すら存在しない、そんな密室


私達は、そんな空間に閉じ込められてしまったのだ

ちなつ「……」

あかり「……」

京子「……」

結衣「……落ち着いて、状況を整理してみよう」

結衣「私達が探した範囲で、出入り口は存在しない」

結衣「つまり……」

あかり「きょ、今日はお家に帰れないって事かな……」

ちなつ「……今日どころか、明日も明後日も帰れるかどうか判んないよ、あかりちゃん……」

あかり「そ、そんなっ……」

ちなつ「だって、出入り口が無いんだもん……外に出れない限り、私達は家に帰れないんだよ」

あかり「けど、けど、あかり達がここにいるって事は……!」

結衣「うん、何処かに私達が入った入口があるはずだよ」

ちなつ「……そう、ですね……」

結衣「取りあえず、衣食住は4つの『個室』に十分備えつけられてるようだし」

結衣「仮に今日明日と家に帰れなかったとしても、生活に困る事はないと思う」

あかり「けど、けど帰れないと……お姉ちゃん達が心配しちゃうよぉ……」

結衣「うん……きっと、心配した両親が警察に連絡して私達を探しだしてくれると思うんだ」

ちなつ「そ、そうですよね……きっと探し出してくれますよね……」

結衣「だから、それまで頑張ろう?」

ちなつ「は、はいっ!」

あかり「う、うん……」

京子「……」



≪警察が探しに来る事はない≫


結衣「……!?」

ちなつ「……!?」

あかり「……!?」

京子「……」

結衣「な、なに?何処から声が……」



≪この密室からの脱出を考える必要もない≫



ちなつ「ゆ、結衣先輩!天井のスピーカーから声がっ!」



≪君達はただ待てばいい≫



あかり「あ、あの、誰ですかっ!」



≪何もせずただ待っていれば……3日後に、外への通路が開く≫


京子「……」

結衣「み、三日間、ここで過ごせって事?どうしてそんな事を……」

ちなつ「そうですよ!3日と言わず今すぐ外に出してください!」

あかり「あ、あのっ、あかり達何か悪いことしたのかな?それで怒って閉じ込めたのかなっ?」

京子「……」



≪ただ待てというのも酷だろう≫


≪だから、私から君達にささやかながらプレゼントを贈らせてもらった≫


≪そのプレゼントを使って≫


≪3日を存分に≫


≪楽しんで欲しい≫

結衣「ぷ、プレゼント?」



≪では、3日後にまた会おう≫



結衣「ま、待て!プレゼントっていったい……!」



≪それは既に君達に贈られている物だ≫


≪意識すれば使い方は判るだろう≫


≪けれど忘れないで欲しい≫


≪そのプレゼントはこの密室でだけ有効だという事を≫


≪ここから出れば儚く消えてしまう物だという事を≫

あかり「……スピーカーの音、聞こえなくなっちゃったね……」

結衣「……何なんだいったい……」

ちなつ「ゆ、結衣先輩、プレゼントって一体……」

結衣「さあ……使い方は判るとか言ってたけど、何の事を差して……」

あかり「……あ、あれ」

ちなつ「あかりちゃんどうしたの?」

あかり「……あれ、ど、どうしてあかり、こんな事出来るのかな……」

結衣「あかり?」

あかり「今までした事なんて無かったのに……出来るはずない事なのに……」

あかり「ど、どうして、こんな事を『出来る』と思っちゃうんだろ……」

ちなつ「あかりちゃん?何言って……あ」

結衣「……あ、私も今判った」

ちなつ「は、はい……私も、今突然……唐突に『出来る』と思った事があります……」

ちなつ「普通では絶対に出来ないような事を……な、なんでだろ、どうしてこんな事を……」

結衣「……ちょ、ちょっと落ち着こうよ」

あかり「う、うん……」

ちなつ「はい……」

結衣「今さっきの放送が言ってた『プレゼント』って言葉と照らし合わせて考えると……えっと……」

あかり「……」

ちなつ「……」

京子「……」




結衣「私達、この密室限定で何か特殊能力を使えるようになった……って考えていいのかな」

ちなつ「そ、そうです!そうなんですよ!」

あかり「う、うん!あのね!結衣ちゃん!あかりね!」

結衣「ちょ、あかり落ち着いて……」

あかり「あかりはね!」

京子「……」



あかり「死んだ人を蘇らせる事が出来るようになったの!」

結衣「え、死んだ人を……え?」

あかり「蘇らせられるようになったんだよっ!」

ちなつ「す、凄いっ!あかりちゃん凄いっ!」

あかり「え、えへへ///」

ちなつ「ゆ、結衣先輩は!?結衣先輩も何か特殊能力得たんですよね!?」

結衣「う、うん……」

あかり「ど、どんなのかな!?」

結衣「えっと……」




結衣「他の人の持つ特殊能力を、無力化する事が出来る能力……みたい」

あかり「……え」

ちなつ「むりょくか……?」

結衣「だから、例えばこの能力を使えばあかりの能力を無力化する事が出来るんだ」

結衣「但し、無力化出来るのは1人だけみたいだけど……」

あかり「そ、そんなぁ、結衣ちゃん酷いよぉっ」ウルッ

結衣「い、いや、あかりの能力を無力化とかしたりしないからさっ」

あかり「ほ、ほんと?」

結衣「う、うん……」

ちなつ「きょ、京子先輩はどんな特殊能力貰ったんですかっ……!」

京子「……」

ちなつ「京子先輩?」

京子「……それ、言う必要あるのかな」

ちなつ「え?」

京子「というか、どうしてちなつちゃんは、そんな事を知りたがるの?」

ちなつ「え……だ、だって何だか漫画の世界の事みたいで、ちょっとドキドキするじゃないですか……」

京子「……」

ちなつ「京子先輩は、ドキドキしないんですか?特殊能力ですよ?」

京子「……ほんとにそれだけ?」

ちなつ「た、他に何があるんですか?」

京子「……本当は、私達の特殊能力を調べて……何かするつもりなんじゃないの」

あかり「……!」

結衣「……!」

ちなつ「……!」

ちなつ「な、なに言ってるんですか……京子先輩、冗談にしては笑え……」

京子「こんな状況で冗談を言うつもりなんて無いよ」

結衣「お、おい京子、お前何言ってるんだよ」

あかり「そ、そうだよ京子ちゃん、ちなつちゃんが何をたくらむっていうの?」

京子「……」

ちなつ「……判りました」

結衣「ちなつちゃん?」

ちなつ「そ、そんな事で疑われるのも嫌ですし、私の特殊能力から先に言いますっ」

京子「……」

ちなつ「……それで、いいですか、京子先輩」

京子「……うん」

ちなつ「……えっと、私の特殊能力は……」

結衣「う、うん」

ちなつ「……」

あかり「ち、ちなつちゃん?」

ちなつ「……」

京子「……」




ちなつ「……他人の記憶を改ざんする能力……です」

あかり「……かい」

結衣「ざん……?」

ちなつ「えっと……対象の記憶に介入して好きな記憶に変更する事が可能なんです……」

あかり「わ、わぁ~、凄いねちなつちゃん」

結衣「う、うん……」

京子「……」

ちなつ「……あ、あの、京子先輩?」

京子「……何」

ちなつ「……京子先輩の能力は……なんですか?」

京子「……知りたい?」

ちなつ「は、はい……ちょっとさっきから京子先輩、様子がおかしいですし……」

京子「……あのね、私の能力は」

.




京子「この密室の中で過ごす3日中に自分が死亡したら、もう一度1日目からやり直す事になる能力だよ」




.

結衣「……ちょっと待って京子」

京子「なに」

結衣「……私も、さっきから京子の様子がおかしいのは気になってたけど……」

京子「うん」

結衣「……もしかして」

京子「……そうだよ、私がこの最初の一日目を体験するのは、これで3度目」



京子「つまりね、私はこの密室の中で、2回殺されてるの」

結衣「こ、殺されてるって……」

ちなつ「そ、そんな事あるはずないじゃないですか!」

京子「……」

結衣「そ、そうだよ、そんな事……」

京子「けど、私がこの能力を持ってる事も、2回死んだ事も確かなんだよ」

ちなつ「……」

結衣「……」

あかり「あ、あの……京子ちゃん」

京子「ん?」

あかり「こ、殺されちゃったんだとしたら……あの、誰に殺されたの?」

京子「……判んない」

ちなつ「い、いや、やっぱりおかしいですよそれ」

京子「なにが?」

ちなつ「だって、あかりちゃんの特殊能力を想いだしてくださいよ」

結衣「あ、そっか……あかりは、死んだ人を蘇らせる事が出来るんだ」

あかり「そ、そうだよっ!京子ちゃんが死んじゃったら、あかり絶対生き返らせるよ!」

京子「……あのね」

あかり「京子ちゃん?」

京子「私、誰かに殺されて、また1日目に戻っちゃった時、あかりにちゃんと頼んだんだよ」

京子「私は殺されるかもしれないからちゃんと生き返らせてねって」

京子「最初の時は何かのトラブルで生き返らせられなかったのかもしれないから、今度はちゃんとお願いねって」

京子「けど……私は生き返る事なく、また最初の1日目に戻って来ちゃった」

あかり「……そ、そんな」

京子「ねえ、あかり」

あかり「な、なに」

京子「どうして、生き返らせてくれなかったの?」

あかり「……あ、あかり……あかりっ……」ウルッ

ちなつ「ま、待ってくださいよ京子先輩っ!あかりちゃんを責めるのは筋違いですっ!」

京子「……うん、そうだね」

あかり「……ううぅっ……ひっく……」

京子「ごめんね、あかり」

あかり「きょ、京子ちゃん……あかりのほうこそ、ごめんね……」

あかり「生き返らせられなくて……ごめんねっ」ヒック

京子「もう、泣かないでよ、あかり……あかりが悪いわけじゃないんだよ、きっと」

あかり「けど……けど……」グスッ

京子「きっとあかりは……」

.


京子「記憶を改ざんされて、約束を忘れちゃっただけなんだよね」



.

あかり「……え」

結衣「え……」

ちなつ「……」

京子「だからね、私はあかりを許すよ」

あかり「京子……ちゃん?」

京子「なに」

結衣「記憶を改ざんって……それって……」

ちなつ「……」


京子「……うん、私を殺したのはきっと、ちなつちゃん」

結衣「きょ、京子、お前いい加減に……!」

ちなつ「……どうして、そう思ったんですか」

あかり「ち、ちなつちゃん……」

京子「だって、ちなつちゃんはそういう能力持ってるでしょ?」

ちなつ「……けど、あかりちゃんだって結衣先輩だって同じような状況を作れますよ」

結衣「……!」

あかり「……!」

ちなつ「例えばあかりちゃんが京子先輩を殺して、蘇生の力を使わなかったとか」

あかり「あ、あかり、京子ちゃんを殺したりなんかしないよっ!」

ちなつ「結衣先輩が京子先輩を殺して、無力化能力であかりちゃんの能力を消しちゃったとか」

結衣「私はそんな事しない!」

京子「……」

ちなつ「可能性だけなら、それぞれ考えられますよね?」

ちなつ「どうして……どうして私が犯人だって思ったんです?」

京子「私を殺した後の事を考えると、あかりが犯人である可能性は低いと思うよ」

京子「結衣やちなつちゃんから、どうして蘇生させないのって聞かれるだろうし」

ちなつ「……それじゃあ、結衣先輩は?」

京子「……結衣は犯人じゃない」

ちなつ「……私だってそう思いますよ、けど可能性を考えるならゼロじゃ……」

京子「結衣は、犯人じゃない……犠牲者だ」

ちなつ「……え?」



京子「……結衣はね、私が殺されちゃう前に……誰かに殺されてたんだ」

京子「最初に能力を貰った時、私はさっきまでのちなつちゃんと同じようにはしゃいでた」

京子「皆に、どんな能力貰ったのか聞いてさ」

京子「この能力はこんな風に使えそうだ~って話しあってたんだ」

京子「けどね……2日目に、結衣が4つの『個室』の一つで死んでたんだ」

京子「……殺されてたんだよ」

京子「私はショックを受けて、放心状態で過ごして……」

京子「そして、3日目の朝に、死んだ」

京子「誰かに殺されたんだ」

京子「次に気がつくと、私は結衣に揺り起されてた」

京子「その瞬間、すごく嬉しかったよ」

京子「死んだと思った結衣が……結衣が、生きてたんだから」

京子「だからね、それからはずっと結衣と二人で過ごした」

京子「念の為に、あかりに『約束』をしてね」

京子「……それが幸いしたのか、2日目に結衣が殺される事はなかった」

京子「けど、私は3日目の朝に死んだ」

京子「結衣がお風呂に入ってる間、私が仮眠を取ってる間に、殺された」

京子「それで、眼が覚めるとまた結衣に揺り起こされてたの」

京子「それ以降、ずーっと考えてた」

京子「前までは、なるべく考えないようにしてた『犯人』の事を」

京子「犯人はどんな能力をどんなふうに使ったのかって事を」

京子「それで……」


ちなつ「……消去法で、私が残されたと」

京子「ちなつちゃんなら、私が死んだ後の世界でも上手く立ちまわる事が可能だよね」

ちなつ「……」

京子「結衣とあかりの記憶を改ざんすれば、どうとでもなるし」

ちなつ「……私はやってません」

京子「……うん、そうかもしれないね」

ちなつ「……信じてませんよね」

京子「ごめんね、ちなつちゃん、わたし、三回も殺されるのはごめんなんだ」

ちなつ「……だったら、どうするんですか」

京子「……それは勿論」

京子「……結衣」

結衣「な、なに」

京子「ちなつちゃんの能力を無力化して」

結衣「え……け、けど」

あかり「京子ちゃん、ちなつちゃんはそんなことしないよっ!」

結衣「そ、そうだよ、無力化なんてしなくても……」

ちなつ「……いいですよ」

結衣「ちなつちゃん?」

ちなつ「……いいです、無力化してください」

あかり「け、けど……それじゃちなつちゃん罪を認めた事に……」

ちなつ「罪は、認めません……けど、けど……」

京子「……けど、なに」

ちなつ「……わたしは、京子先輩がそんな顔をしてるのに、耐えられないんです……」

京子「……!」

ちなつ「た、確かに私は、京子先輩をちょっと邪険に扱ってました……」

ちなつ「けど、けど、それは別に殺したいくらい憎かったからとかじゃなくて……」ウルッ

ちなつ「冗談で軽口をたたき合っても許して貰えると思ってたからで……」グスッ

あかり「ちなつちゃん……」

ちなつ「だから……だから、嫌なんです、京子先輩から疑われるの……」

ちなつ「そんな事になるくらいなら……こんな能力、無くて良いです……」

京子「……」

結衣「ほ、ほんとにいいの?ちなつちゃん」

ちなつ「……はい」コクッ

結衣「……じゃ、やるよ」

ちなつ「……」

結衣「……」ピッ



ちなつ「……」

あかり「……」

京子「……ちなつちゃん」

ちなつ「……なんですか」




京子「ごめんね……」

.




船見結衣の能力が発動した




.

初春「糞スレが伸びてる理由もわかりませんし」

初春「百番煎じのSSは、タ書いてる奴も読んでる奴も何考えてるんですかねぇ」

初春「独自性出せないなら創作やるんじゃないっつーの」

初春「臭過ぎて鼻が曲がるわ」

初春「結果スとして面白くないのは許せます。許せるだけで面白くはないんですが」

初春「パクリ二匹目のドジョウ百番煎じは許ケせませんね。書いてて恥ずかしくないんですか?」

初春「ドヤ顔してる暇があればとっとと首吊って死ねよ」

初春「まあ、一番の害悪はそういったSSを持テち上げてる人たちなんですが」

佐天「初春?」

初春「そうネットに書いてありました」

佐天「なんだネットか」

ちなつ「……おわり、ですか?」

結衣「うん、そのはずだよ」

ちなつ「……」

京子「……」

あかり「……」

ちなつ「結衣先輩、私の事が好きですか?」

結衣「え、あ、うん」

ちなつ「それは、ラブという意味で?」

結衣「い、いや、ライクという意味かな」

ちなつ「ラブに変わりませんか?」

結衣「う、うう~ん……」

ちなつ「か、変わって下さい!」

結衣「ご、ごめんね、ちなつちゃん」

ちなつ「くっ……」

あかり「く?」

ちなつ「くそぉぉぉ!結衣先輩の記憶改ざんして私への恋心を抱かせる計画がぁぁぁぁ!」

結衣「ち、ちなつちゃん、女の子がクソって……」

ちなつ「うううっ、こんな機会、もう来ないのにぃぃぃぃ!」

結衣「お、落ち着いて……」

ちなつ「け、けど結衣先輩っ!私諦めませんからっ!」

結衣「は、ははは……」

あかり「あ、あはは……ちなつちゃん、何時ものちなつちゃんだっ」

京子「……うん」


京子(ごめんね、ちなつちゃん……本当にごめん……)

京子(きっと、私の勘違いだったんだよね……)

京子(結衣が死んだのも、きっと事故か何かで……)

京子(私、馬鹿だな……馬鹿だ……)

京子(ここから出たら、ちなつちゃんに、ちゃんと謝ろう……)

.




翌朝


それぞれの『個室』から出た三人は


『居間』で吉川ちなつの死体を発見した





自殺だった



.

京子「……そんな……どうして……」

あかり「ちなつちゃん!ちなつちゃん!!」ユサユサッ

結衣「あ、あかり!能力!能力使って!」

あかり「ちなつちゃんっ!ちなつちゃぁぁぁっ!!」ユサユサッ

京子「ど、どうして自殺なんか……」

結衣「あかり!大丈夫だから!能力を使えばちなつちゃんはっ!」

あかり「ち、ちなつちゃんっ!な、なんでっ……!」ユサユサ

京子「私を殺せなくなったから、それで自殺したって事?そんな事……」

結衣「あかり!」



あかり「も、もう能力使ってるよぉっ!」

京子「……え」

あかり「ど、どうしてっ!生き返るはずなのにっ!なんでっ!」ユサユサッ

結衣「あ、あかり、落ち着いて!冷静に能力の使い方を想いだしてっ!」

あかり「やってるのにっ!やってるのにっ!!」ユサユサッ

京子「……」

結衣「や、やってるのなら何で生き返らないのさ……」

あかり「ちなつちゃんっ!ちなつちゃんっ!」ユサユサユサッ

京子「……ゆ、結衣」

結衣「な、なに!?」

京子「……あかりから離れて」

結衣「え?」

京子「そ、そうだよ、難しく考える必要なんて無かったんだ……」グイッ

結衣「お、おい、京子、引っ張るなって……」

京子「最初に結衣が殺された時も、私が殺された時も」

京子「あかりは蘇生の能力を使わなかった」

京子「そして……今も使ってない……」

京子「それってつまり……つまり……」


あかり「ちなつちゃんっ!ちなつちゃんっ!」ユサユサッ

~個室~


結衣「お、おい、どうして個室に閉じこもるんだよっ」

京子「……」

結衣「居間にはまだあかりと……ちなつちゃんが!」

京子「……結衣、落ち着いて聞いて」

結衣「な、なに」

京子「……私や結衣やちなつちゃんを殺したのは……多分、あかりだよ」

結衣「……」

京子「だから……あかりを個室に入れちゃ駄目だ」

京子「何とかここで3日目まで過ごして……」


ドンドンドンッ


京子「……!」

「結衣ちゃん、京子ちゃん、酷いよ、あかりを置き去りにして」


「ちなつちゃんと二人っきりだと怖いよ、入れてよ」


ドンドンドンッ



京子「……駄目だ、入れないよ、絶対……」ブツブツ

京子「結衣は私が守るんだ……結衣だけは……」ブツブツ

結衣「京子……」


ドンドンドンッ


「開けて、開けてよ、二人とも酷いよ、入れてよぉ」

結衣「……京子」

京子「なに」

結衣「……私、あかりと話してくる」

京子「……は?」

結衣「あかりが可哀そうだよ、ちなつちゃんの遺体と二人きりだし」

京子「な、なに言ってるの結衣!今の話聞いてなかったの!?」

結衣「……聞いてたよ」

京子「だ、だったらなんで!」

結衣「……だって京子、昨日はちなつちゃんを疑ってただろ」

京子「……!」

結衣「それが今日はあかりを犯人扱いしちゃってるし……」

京子「け、けど!もうそうとしか考えられないでしょ!?」

結衣「……そうかな」

京子「そ、そうだよ!」

結衣「京子」

京子「な、なにさ」

結衣「絶対正しいと思ってる事が、正しいとは限らないんだよ」

京子「え……?」

結衣「私達はきっと、根本的に考え方を間違ってるんだ」

結衣「そもそも、こんな訳のわからない舞台を用意したヤツが一番怪しいだろ」

京子「……そ、それは」

結衣「だからさ、私達は仲間内で疑い合うべきじゃない」

結衣「もっと、信じあわないと……多分、3日目を迎える事は出来ないんだと思う」

京子「……」

結衣「京子、私を信じて」

京子「ゆ、ゆい……」ウルッ

結衣「あかりも、怖がってるだけだろうから」

京子「う、うんっ」グスッ

結衣「だから、私がちょっと話してくるよ」

京子「危ない事、しない?」ヒック

結衣「勿論だよ」

京子「ほんと?ちゃんと生きて帰ってくる?」

結衣「うん」

京子「わたし……わたし、もう結衣が死ぬの、やだ……」

結衣「大丈夫、大丈夫だから……」



結衣「だから、ちょっと行って来るね」

.



それから、丸一日が経過した


今は、3日目の朝だ



私は1人で、結衣の帰りを待っている



.

コツッコツッ



京子「……ゆい?」



「京子ちゃん」



京子「あかり?」



「うん……」

「ごめんね、京子ちゃん、乱暴に扉叩いたりして」

「怒っちゃったよね」


京子「ううん、怒ってないよ、あかり」


「あのね、あかりね」


京子「うん」


「結衣ちゃんとお話して、判ったんだ」


京子「なにを?」


「あかりの能力はね、どうしてか判んないけど、発動しなくなっちゃったんだけど」


「それでもちなつちゃんを助ける方法は有るって」


京子「ほんと?」


「うん」

「京子ちゃん、ちなつちゃんに助かったほしいよね?」


京子「うん、たすかってほしい」

京子「もういちど会って、いっぱいあやまりたい」


「うん、あかりも」

「もう一度、ちなつちゃんと会いたいなあ……」


京子「どうすればいいの?」

京子「どうすれば、ちなつちゃんにもういちどあえるの?」


「簡単だよぉ、この扉を開けてくれればいいの」


京子「それだけでいいの?」


「うん」

京子「そっか、かんたんだね、あかり」


「うん、だから早く扉を開けて?」


京子「うん、いまあけるね」


ガチャガチャ


「きょうこちゃん、はやくはやく」


京子「まっててね、いま、ばりけーどどかすから」


「はやくはやく」


京子「まっててね」

「はやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやく」

「はやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやく」

「はやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやく」

「はやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやく」

「はやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやく」

「はやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやく」

「はやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやく」

野獣「ぬああああああん疲れたもおおおおおおおん。キツかったすねー今日は」

MUR「なあ今日はもうすげえキツかったゾ」

野獣「何でこんなキツいんすかねえ、もう辞めたくなりますよ~なんかぶっかつぅー」

MUR「どうすっかな、俺もなー」

京子「あいたよ、あかり」


「ありがとう、きょうこちゃん」


「あのね」


京子「うん」


「死んでね」

.






歳納京子の能力が発動した





.

「京子」


京子「なに、ゆい」


「京子、起きて」


京子「うん、おきてるよ、ゆい」


「京子?」


京子「ごめんね、ゆい、たすけられなくて……ごめん……」

支援!

結衣「お前、寝ぼけてるのか」

京子「……」

ちなつ「あの……結衣先輩」

結衣「ん?」

あかり「こ、ここ、どこなのかなぁ?」

結衣「……私も、今さっき目を覚ましたばっかりだから判らないんだ」

あかり「あかりたち、確か部室でお話してたよね?」

結衣「うん……それで、突然眠くなってきちゃった所までは覚えてるけど……」

ちなつ「わたしもです!突然意識がふら~っとして……」

あかり「あ、あかりも!」

結衣「けど、ここ、部室じゃないよね……」

ちなつ「はい、見た事無い部屋です」

あかり「学校の中……じゃないのかな」

結衣「うーん……校内でこんな部屋は見た事ないけど……京子はどう思う?」

京子「……」

結衣「京子?」

京子「……ちなつちゃんだ」

ちなつ「え?」

京子「ちな……ちなつちゃんっ」グスッ

ちなつ「え、ちょ、京子先輩!?」

京子「ごめんっ、うたがってごめん、ちなつちゃんごめんなさいっ!」グスッ

結衣「きょ、京子?どうしたんだよ」

京子「ゆ、ゆいも、ごめんね、ごめんっ……」ヒック

ちなつ「も、もうっ、確かに不安なのはわかりますけど、泣かなくても……」

京子「ごめんね、ごめんね……」

あかり「京子ちゃん、大丈夫?」

京子「……!」ビクッ

あかり「京子……ちゃん?」

まどか「わたしも負けられない!」

まどか「奇跡もツールもあるんだよ!」カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ

京子(そうだ……そうだ、思い出した)

京子(あかりだ、あかりが犯人だったんだ)

京子(ちなつちゃんを自殺に見せかけて殺したのも、私を殺したのも)

京子(きっと、話し合いに来てくれた結衣のことだって……!)キッ

あかり「……!」ビクッ

結衣「……京子、なにあかりを苛めてるの」コツッ

京子「いたっ」

ちなつ「そうですよ、不安だからってあかりちゃんを睨んでも何も解決しませんよ?」

京子「う、ううー……」

京子(駄目だ、あかりは普段イイコちゃんだから、二人に本当のこと言っても信じてもらえない……)

京子(どうしよう……)

京子(そ、そうだ、結衣にあかりの能力を無力化してもらって……!)

京子(……いや、だめだめ、あかりの能力は「蘇生」なんだから、そんなの封じても……)

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