結衣「京子は私のものなのにどうして」(221)

代行:dsrx2Psn0

改めて代行ありがとうございました

結衣「他の女の子と喋ってたんだ?」

京子「……」

京子「えっ、なに。急にどったの?」

結衣「はぐらかすなよ。さっきなんで私以外の女の子と喋ってたんだ」

結衣「答えろ」

京子(ほ、本気で怒ってる……何故に……)

京子「えっと、本当にどうしたの結衣? なんか目怖いけど大丈夫? 思春期特有のイライラとかそういうの?」

結衣「……誤摩化すなよ。何の話してたか答えろ」

京子「昨日やってたアニメの話だけど……」

結衣「それは私には出来ない話なのか?」

京子「そんなことないっしょ。結衣アニメ嫌いってわけじゃないし」

結衣「じゃあなんで私に話さないんだよ。あの子たちとしなきゃいけない話でもないんだろ?」

京子「それはそうかもしれないけど、友達との雑談なんだから別に……」

結衣「友達? 何言ってるんだよ。お前にそんなものいらないだろ」

京子「へ?」

初春「糞スレが伸びてる理由もわかりませんし」

初春「百番煎じのSSは、タ書いてる奴も読んでる奴も何考えてるんですかねぇ」

初春「独自性出せないなら創作やるんじゃないっつーの」

初春「臭過ぎて鼻が曲がるわ」

初春「結果スとして面白くないのは許せます。許せるだけで面白くはないんですが」

初春「パクリ二匹目のドジョウ百番煎じは許ケせませんね。書いてて恥ずかしくないんですか?」

初春「ドヤ顔してる暇があればとっとと首吊って死ねよ」

初春「まあ、一番の害悪はそういったSSを持テち上げてる人たちなんですが」

佐天「初春?」

初春「そうネットに書いてありました」

佐天「なんだネットか」

結衣「京子には私だけがいればいいし、私には京子だけがいればいい」

結衣「だから私たちは他の女の子と喋る必要も無い。そうだろ?」

京子「……」

京子「熱は……」スッ

結衣「ねえよ」

京子「えっと、結衣って冗談でそんなこと言うようなキャラだっけ?」

結衣「冗談? 何の話だよ」

京子「またそんなこと言ってー。結衣が私をからかうなんて似合わないよ?」

結衣「別にからかってるつもりなんて無いんだけど」

京子「な、なんで半ギレなのさ」

結衣「お前が意味分かんないことばっか言うからだろ」

京子「今の結衣さんが言ってることの方がよっぽど意味不明なんですが……」

結衣「京子……お前、本当に私の言ってる事が分からないのか?」

京子「結衣が私のこと大好き、ってことはよく分かったけど」

結衣「私のこと大好きなのはお前もだろ」

京子「お、おう……」

京子(今日はこのキャラで一日過ごすつもりなのか……?)

京子(これが結衣渾身のボケなら、きょっぴー&ゆっぴーの相方として受け止めない選択肢はない……)

結衣「話が逸れたから改めて言うけど、二度と私以外の女の子と喋ったりするなよ」

結衣「分かったな?」

京子「了解であります結衣少佐! 女歳納、少佐の名誉にかけて誓いを果たすであります!」ビシ

結衣「……ならいいんだ。物分かりが良いようで嬉しいよ」

結衣「私も京子に酷いことはしたくないから」ボソ

京子(な、なかなか真に迫った演技するんですね結衣さん……)

京子(しかししかし、どこまで結衣がこのキャラを崩さないのかは面白そうではある……)

京子(早速からかってみようかなー)ウシシ

京子「ねえ結衣ー」

結衣「なんだ?」

京子「結衣は私のことどれくらいちゅき?」キュルン

結衣「……そんなこと言わなくたって分かるだろ」

京子「いや分かんないよー。結衣、私にはそういうこと全然言ってくれないし」

結衣「改めて言うようなことでもないだろ……」

京子「それはそうだけどさ、たまに不安になるんだよね」

京子「結衣は本当に私のこと好きなのかな、って……」

結衣「……」

京子「私は知っての通り結衣のことが大好きで、それこそ結衣が居ないと生きていけないくらい好き」

京子「だからこそ、結衣の気持ちと私の気持ちが釣り合ってるのか……それが知りたいの」

結衣「……」

京子「ねえ結衣、教えてよ……結衣がどれだけ私のことを大切にしてるのか、結衣だけの言葉で証明して……」

結衣「……」ギュ

京子「……え?」

ずっと前に落ちたヤツの立て直しです
なんか覚えてる人いるみたいなんで一応

京子「ゆ、結衣さん? あの、なにして……」

結衣「今までの私の態度で伝わってないなら、言葉なんかじゃ伝わらないだろ……だから」


結衣「身体で教えてあげる」ボソ


京子「!?」ドキ

京子「きゃあああ!?」ドン

結衣「った……いきなり何するんだよ!」

京子「いきなり何言いだすんだよ!?」カァァ

結衣「はぁ? どれだけ好きなのか証明しろって言ったのは京子だろ」

京子「そ、それはそうだけど……」

結衣「さっきのは普通に受け入れる場面だと思うんだけど……」ジト

京子「いやいやあり得ないって」

結衣「部室でするのは嫌なのか?」

京子「ぶ、部室とかそういう問題じゃなくてですね……」

結衣「ならどういう問題だよ」ムス

京子(からかうつもりが手玉に取られてる……ここまで徹底してくるとは……)

結衣「なあ京子……あんなこと言われると、私も我慢出来なくなっちゃうんだけど……」

京子「い、一応訊いとくけど、何を我慢出来なくなっちゃうの……?」

結衣「言わせるなよ……分かってるくせに……」ス…

京子「ゆ、結衣さん……? あの、顔が近いんですけど……」

結衣「近づけてるんだから当たり前だろ……っておいコラ。逃げるな」ガシ

京子「いやいや、それは無理な相談で……」

結衣「もしかして無理やりされるのがいいのか?」

京子「なんでそうなるの!?」

京子「って、ちょ、まっ。押し倒そうとしないで!!」

結衣「誘うようなこと言っておいてお預けは無いと思うんだけど」

京子「ゆ、結衣がそういうキャラなのは分かった! だからそこまでしなくていいから!」

結衣「キャラ? 何の話だよ」

京子「そういうのもいいから……」

結衣「意味分かんないこと言うな。ほら、顔こっちに向けろって」ググ…

京子「だだ、誰か助けてーー!! 結衣に乱暴されるーー!!」

結衣「乱暴とか人聞きの悪いこと言うなよ。あと暴れるな」

京子「まま、待って結衣! 本当に分かったから!! だから落ち着け!」

結衣「お前が落ち着け。声震えてるぞ」

京子「結衣のせいでしょ! って顔が近い!?」グイ

結衣「どうしてそんなにも嫌がるんだよ。いつもなら甘えた声出してそっちからおねだりしてくるのに……」

京子「何の話!?」

結衣「あかりたちならまだ来ないから大丈夫だって。だから」

京子「ちょ、ちょっと結衣っ、本当にやめっ」

結衣「ん……」チュ…

京子「きゃああ!?」ベシ

結衣「……おいコラ」

京子「なな、何してるの!? ねえ何してるの!?」

結衣「京子にキスしてるんだよ」ググ…

京子「だからなんで半ギレなの!? ってやめろアホー!!」

 
 
ギャーギャーギャー



櫻子「なんだか中が騒がしい……」

向日葵「船見先輩と歳納先輩の声がしますけど、一体何をして……」

櫻子「二人が喧嘩してるのかも! 早く止めないと!」ダダッ

向日葵「いやいや、あのお二人方に限ってそんなこと……」


ガラ


櫻子「先輩たち! 喧嘩はやめ……て……」

櫻子「……」

向日葵「どうしましたの櫻子? 一体何が……」

向日葵「なっ……」カァァ

向日葵(ふ、船見先輩が歳納先輩を押し倒して……!?)

京子「ひまっちゃん! 櫻子ちゃん!!」パァァ

櫻子「ど、どうしたんですか二人とも……? そんなにもくっついて一体何を……」

向日葵「すす、すみません先輩方!! すぐに出て行きますからどうぞごゆっくりなさって……!」

京子「待ってひまっちゃん!」

向日葵「え?」

京子「助けて!! 見ての通り結衣がおかしいの! さっきから変な事されそうになってて……!」

向日葵(そそ、そういう展開ですの!?)

櫻子「えっと、船見先輩は歳納先輩に一体何をー……?」

結衣「……」

櫻子「船見先輩……?」

結衣「良からぬ勘違いをされてそうだから言っておくけど、別に何もしようとしてないよ?」

京子「!?」

結衣「ちょっとバランスを崩してこうなったってだけだから」

櫻子「あ、そうなんですか」

結衣「古谷さんも、コイツの冗談を真に受けるのはやめてね」

向日葵「え? あ、そ、そうですわよね。船見先輩に限ってそんなこと……」アハハ…

京子「だ、騙されないで二人とも! 私はさっきまさに結衣に襲われて……!」

結衣「はいはい。分かったからその辺にしとけって」ハァ

京子(な、なんて白々しい……!)

結衣「ところで、二人は一体何の用でここに来たんだ?」

櫻子「あかりちゃんに借りてた本返しに来ました!」

結衣「そうなんだ。今はあかりいないから、代わりに私が渡しておくよ」

櫻子「本当ですか!? ありがとうございます先輩!」

向日葵「お手数おかけして申し訳ありませんわ」

結衣「別にいいよこのくらい。それはそうと、さっきここにヘビが出てたから早く出てった方がいいよ?」

向日葵「ヘビ!?」

結衣「ああ。さっきもそいつを仕留めるために騒いでてさ」

結衣「ちょうど古谷さんが居るあたりに逃げたような……」

向日葵「ささ、櫻子、生徒会の仕事も残ってますし早く帰りますわよ」

櫻子「えー、せっかくここまで来たんだしヘビ退治手伝って……」

向日葵「そんな暇はありませんわ! ほら行きますわよ!」グイグイ

櫻子「ちょ、まっ、引っ張るなって!? おい!」

向日葵「それではお二人とも、私たちはこれで」

櫻子「また来ますねー。ってだから引っ張るな!!」

 
ギャーギャーギャー


京子「……」ポカーン

結衣「さて、と……これで邪魔者は居なくなったな」

結衣「あかりや綾乃たちはともかく、あの二人は予想外だったな……次からはもっと入念に……」ブツブツ

京子(も、もしかして……ヘビ云々ってあの二人を追い出すための口実で……)ゾク

結衣「そうだ、そもそもここの鍵をかけておけば最初から……」

京子(すっごく嫌な予感がする……)

京子(今の結衣の様子から考えるに、ここで逃げ出さないと大変なことに……)

結衣「……」テクテク

京子「すす、ストップ! ……な、何しようとしてるの?」

結衣「部室の鍵かけておこうと思ってさ。ほら、不用心だろ?」

京子「あ、あかりたちが入れなくなったら困るだろうし、締めるのはやめとこうよ……?」

結衣「大丈夫だよ。今日はあかりたち来ないから」

京子(なにその意味深な発言……)

結衣「なあ京子。さっき古谷さんたちに助けてって言ったけど……あれってどういう意味なんだ?」

京子「へ?」

結衣「京子を助けるのは私の役目なのに……それをどうしてあの二人に頼むんだよ」

結衣「そもそも私にキスされそうになって助けてって……おかしいだろ」

京子「無理やりキスされそうになったんだから、普通の反応だと思うけど……」

結衣「……私とキスするのは嫌なのか?」

京子「いやいや、そういう問題じゃなくて」

結衣「じゃあなんなんだよ」

京子「結衣、そのキャラもういいから……」

京子「お腹いっぱいっていうか正直しんどくなってきたっていうか……」

結衣「京子こそそうやって話をはぐらかすのやめろよ。嫌なら嫌ってそう言えばいいだろ」

京子「えっと、もしかして怒ってる……?」

結衣「この流れで怒らない方がおかしいだろ。自分がしたこと考えなよ」

京子「私はただ結衣のギャグにノッてあげただけで……」

結衣「……なんだよそれ。お前は私のこの気持ちが冗談だと思ってるのか?」

京子「冗談じゃなかったら結衣の言ったこと全部笑えなくなっちゃうじゃん」

結衣「……」

京子「ゆ、結衣さん……?」

京子(や、ヤバい……この感じ、結衣が本気で怒った時の雰囲気で……)

結衣「……」スッ

京子「な、なに……? どうしたの結衣……?」

京子「無言でこっちに来られるとすっごい怖いんだけど……」

結衣「……」ユラ…

京子「あの、何か返事を……」

結衣「……」ユラ…

京子「ゆ、結衣……」カタカタ

結衣「京子……」



結衣「帰るぞ」

京子「……へ?」

結衣「最終下校にはまだ早いけど、今日はあかりたちも来ないんだし娯楽部の活動は終わりでいいだろ」

結衣「それこそ私たち二人だけなら、ここよりも家の方が何かと都合がいいしな」

京子「……」

京子「え、えっと……何もしないの……?」

結衣「こんな場所で何をするんだよ。ほら、早く帰るぞ」

京子「お、おう……」

京子(なんだこのとてつもない肩透かし感は……)

京子(てっきりすごいことされるのかと思ったんだけど……)

結衣「なにぼーっとしてるんだよ。行くぞ」グイ

京子「あ……」

京子(手……)

結衣「……」テクテク…

京子(いつもの結衣なら絶対にこんなことしないのに……)

京子(薄々思ってことだけど、結衣、演技とかじゃなくて本当におかしくなってるような……)

京子(急に変な事言いだしたり、私にキスしてきたり……)

京子(さっきも本気で怒ってるみたいで怖かったし……)

京子(もしかして、西垣ちゃんが作った怪しい薬やらを飲んじゃっておかしくなったとか……?)

結衣「……」

京子(あり得る……だからと言って何をすればいいのかは分かんないけど)

京子(本当におかしくなったのかどうかもまだ分かんないし、難しい事は明日みんなで考えるかー……)

京子(結衣の家に泊まろうと思ってたけど……今日はやめとこう)

結衣「……」キュ…

京子(こうやって手を引かれるのって、なんか懐かしいかも……)ボー

 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

京子(特に何の会話もなくここまで来たけど……)

結衣「……」テクテク…

京子(明らかに結衣の家に直行しているような……)

京子「ゆ、結衣」

結衣「?」

京子「知ってると思うけど、私の家向こうだからこの辺で……」

結衣「はぁ? 何言ってるんだよ」

京子「へ?」

結衣「お前の家はこっちだろ」

京子「え、えっとー……」

結衣「買い物は昨日のうちに済ませてあるんだ。今日はもう寄り道しないからな」グイ

京子「ちょ、ちょっと待って! 結衣!」

結衣「なんだよ……」

京子「なんだよじゃなくて……私今日は家に帰るから」

結衣「だからお前の家はこっちだろ」

京子「そっちは結衣の家でしょ!」

結衣「京子と私の家だよ」

京子「な、なに恥ずかしいこと言って……」

結衣「ほら、うだうだ言ってないで帰るぞ」グイ

京子「きゃっ……ゆ、結衣っ」

結衣「……」テクテク

 
――――――――――――――――――――――

京子(結局泊まる……ことにはなってないと思うけど、結衣の家に来ちゃった)

京子(来たというよりは連れて来られた、だけど)

京子(さて、どうしたものか……夕飯食べた後にじゃあ帰るね、が通用するとも思えないし……)

京子(このままお泊まり? でも今の結衣と一緒ってすっごく嫌な予感がするし……)

京子「うーん……」

結衣「難しい顔してどうしたんだ?」

京子「おお、噂をすれば」

結衣「噂って何の噂だよ……」

京子「いや、噂ってより結衣のこと考えてたんだけどね」

結衣「随分と暇そうだな……それなら夕飯の支度手伝ってくれないか?」

京子「食後のラムレーズン2つで手を打とう!」

結衣「ホント抜け目無いなお前……」

京子「で、何すればいいの? てか今日の夕飯なに?」

結衣「今日はオムライスと―――」

 
――――――――――――――――――――――――――――

京子「ふぅ……ごちそうさまー」

結衣「お粗末様。お皿持ってくからいつもみたいに重ねといて」

京子「はいよー」

結衣「冷蔵庫にラムレーズン入ってるけど、今食べるか?」

京子「うーん……もう少ししてからでいいや」

結衣「そっか」

京子「食べたばっかでしんどいだろうし、ちょっと休めば?」

結衣「別にいいよ。あと回しにすると洗うのが面倒くさくなっちゃうし」

京子「そんときは私が手伝ってやるってー」

結衣「気味が悪いな……どういう風の吹き回しだ?」

京子「え? いや、特に他意は無いけど……」

京子(日頃のストレスのせいで変になっちゃったかもだから、気遣ってるとは言え無いなー……)

京子(まあ、学校に居た時と比べ物にならないくらいに今の結衣は普通だけど……)

結衣「……それならまあ、たまには甘えるとするかな。いつもは私がやってばっかだし」

京子「ふふん、好きなだけ甘えるがよい。今日は結衣孝行がした」

結衣「……」ギュ

京子「い気分で……」

京子「え?」

結衣「……」ギュウ…

京子「え、えっと……結衣さん? 一体何をして……」

結衣「……言わなくても分かるだろ」

京子(いやいや、冷や汗出るくらいには意味分かんないんだけど……)

結衣「……」スリスリ

京子「ちょ、ゆ、結衣っ」

結衣「好きなだけ甘えろって言ったのは京子だろ……」

京子「そ、それはそうだけど、こういう甘えるだなんて普通思わないって」

結衣「……私がこんなことするのはおかしいか?」

京子「おかしいよ。全然いつもの結衣らしくないし……」

結衣「……私もそう思う」グイ

京子「きゃっ……!?」


―――トサ


京子「ゆ、結衣……?」

結衣「……」

京子(結衣の顔を見上げていて、手首は押さえつけられてて……)

京子(これっていわゆる、押し倒されてるってヤツで……)

結衣「京子の言う通りだよ。今の私はおかしい……自分でも分かるんだ」

結衣「いつもなら絶対に言え無いようなことが言えるし、出来ないようなことでも体が動く」

京子(自分がおかしくなってることを自覚してる……?)

京子(そ、それじゃあ、今日の結衣の突拍子も無い言葉や行動って全部……)

結衣「本当になんなんだろうな、これ」

結衣「後ろから頭でも殴られたのか、西垣先生の薬でも飲まされたのか……」

京子(結衣の、本心で……)ドキドキ

結衣「まあ何にせよ、私をこんな風にしてくれた人には心の底から感謝してるよ」

京子「……へ?」

結衣「やっと自分の気持ちに正直になれそうだから」サワ…

京子「ゃっ!? どど、どこ触って!? ちょ、結衣っ」

結衣「好きだよ、京子」

京子「にゃ"っ!?」

結衣「……」ス…

京子「え……うぇえ!? まま、待って結―――」

結衣「……」チュウ





京子(う、そ……)

結衣「……京子?」

京子(私、今……結衣とキスして……)カァァ

結衣「どうしたんだよ、固まっちゃって……」

結衣「それに顔真っ赤だけど……大丈夫か?」

京子「だだ、大丈夫なわけないだろ!? アホ! 結衣のアホ!!」バシバシ

結衣「な、なんだよいきなり……って叩くな!」

京子「いきなりなのはそっちだろ!?」

京子「急に変なこと言いだしたり変なことしたり……」

京子「挙げ句の果てには、ああ、あんなこと……」カァァ

京子「アホ! アホ!! 結衣の変態! スケコマシ!!」バシバシ

結衣「痛いっ、やめろバカ! あと変態でもスケコマシでもないわ!」

京子「人のこと押し倒して無理やり唇奪っといてどの口が言ってるんだよ!?」

結衣「しょ、しょうがないだろ……したくなったんだから……」

京子「し、したくなったって……」

結衣「そもそも京子が悪いんだからな!!」

結衣「学校で散々焦らしたり、ふざけた態度取ったり」

結衣「そんなことされたら、ちょっとくらい強引になってもしょうがないだろ……」

京子「あれは別に焦らしてた訳でもふざけてた訳でもないんだけど……」

結衣「お前が私の気持ちを冗談だとか言った時は、本当にめちゃくちゃにしてやろうと思ったんだからな……」

京子「ゆ、結衣さん? 今自分がどんだけ恥ずかしいこと言ってるか分かってます……?」

結衣「京子がハッキリしないからこんなこと言ってるんだろ!?」カァァ

京子(な、なんで顔赤くして……)

京子(学校ではさっきと同じようなことしてもへっちゃらな顔してたのに……)

京子(もしかして、だんだん元に戻ってきて……?)

結衣「お前……もしかして誘ってるのか?」

京子「は?」

結衣「そうやってわざと私をやきもきさせて、自分を襲わせようと……」

京子「んなわけあるか!!」

結衣「じゃあ一体なんなんだよ……どうして私のことを拒むんだよ……」ウルウル

京子「なな、なんで泣きそうになって……」

結衣「お前のせいだろ……ぐずっ、バカ京子……」

京子(結衣のこんな顔見るの……小さいとき以来かも……)

結衣「京子は私のことが好きじゃないのか……?」

結衣「私はこんなにも京子のことが好きなのに、それなのに……」

京子「わ、私も結衣のことは好きだよ?」

京子「でも、その、そういう好きなのかどうかは分かんないっていうか、今まで考えた事もなかったし……」

結衣「なんだよそれ……」

京子「だ、だって私も女で結衣も女じゃん……」

京子「急にそんなこと言われても困るし、戸惑うよ……」

結衣「……」

京子「恋愛のことすらよく分かってないのに、女の子同士でそういうのとかもっと分かんないし……」

結衣「……私だって分からないよ」

結衣「どうしたらいいのかも、この気持ちを受け入れていいのかも分からない」

結衣「でも、京子が好きだってことだけはハッキリ分かるんだ……」

京子「そ、そういう恥ずかしいの本当にやめて……」カァァ

結衣「やめない。私はお前を誰にも取られたくない、ずっと傍にいて欲しい」

結衣「抱きしめたいしキスだってしたい。京子のことをもっと感じたい、だからっ……」

京子「ゆゆゆ、結衣!? ダメっ、ダメだって!?」

結衣「もう限界なんだよ……今までずっとお前のことで悩んで、苦しんで……」

結衣「でも今なら楽になれる……全部打ち明けて、友達とか女同士とか、そういうしがらみから抜け出した今なら……」

京子「ストップ! ストーップ!! これ以上はゆるゆりじゃなくてガチゆりに―――ひゃあ!?」

結衣「京子……」

京子(ちち、近い!? 顔が近い!)アワワ

結衣「キス……」ググ…

京子「だからダメだって!? 結衣っ、ちょ、きゃあ!?」

結衣「こうすればもう抵抗出来ないだろ。京子は力が弱いからな……」

京子(あ、あれ、この状況って……相当まずいんじゃ……)

結衣「たぶん、もう止まれないと思うから……先に謝っとく。ごめん」

京子「お、お願いだから……元に戻って……」

結衣「この気持ちが無くなるくらいなら、ずっとこのままで良い」

京子「結衣ぃ……」ウルウル

結衣「好きだよ、京子」ス…

京子(もしこのまま一線を超えちゃったら、元に戻った時結衣は……)

京子(それこそ私との関係だけじゃなくて、娯楽部での居場所まで……)

京子(そんなのっ……!)

京子「ダメっーーー!!」グォッ

結衣「へぶっ!?」ゴチン

京子(あ……思いっきり頭突きしちゃっ……)

結衣「ぅ……ぁ……」ドサ

京子「結衣!?」

京子「だだ、大丈夫!? しっかりして!」

結衣「きゅぅ……」

京子「目回してる……っていうか完全に伸びて……」

京子「流石に私の石頭には勝てなかったか……おーい、結衣ー……」ユサユサ

結衣「うーん……」

京子(い、今なら逃げれるかも……)ドキドキ

京子(でももし捕まっちゃったら今度こそ終わりだろうし、それに……)

結衣「きょう、こぉ……」

京子「……」

京子「大丈夫、どこにも行かないって 」ナデ…

結衣「……」

京子(この状態の結衣を一人にするのはやっぱ可哀想だよね……伸びさせちゃったのも私だし……)

京子(結衣が起きたら次こそヤバいかもだけど……いや本当は期待してるとかそういうのじゃなくて……)

京子「何はともあれ、とりあえず一段落……なのかなぁ」

京子(このあとのこと考えたら腕くらい縛っといた方がいいかもだけど……)アハハ

結衣「……」スゥ…

京子「……」

京子(結衣の言ってたこと、どこまで本心だったんだろ……)

  
――――――――――――――――――――――――――

結衣「ん、んぅ……」

結衣(あれ……私、何して……)

京子「おはよう結衣。意外と起きるの早いのな」

結衣「……」ポー

京子「えと、さっきはごめん。痛かったよね」

京子「で、でも私としては正当防衛が認められても良いと思ってるから、どっちもどっちってことでここは穏便にー……」

結衣「……」

京子「結衣……?」

結衣「なあ京子……お前、私に何されたか……覚えてるか?」

京子「はえ?」

結衣「いやそもそも私はお前に何かした……よな?」

京子「ど、どうしたの結衣? 頭突きのせいで記憶飛んじゃった?」

結衣「質問に答えてくれないか……?」

京子「えっと、一生忘れられないレベルのことはされたし言われたけど……」

結衣「っ……!!」

京子「え、なんで顔赤くして……うぉ!?」

結衣「わ、忘れろ……」

京子「は……?」

結衣「全部忘れろ!! 私の言ったことも! したことも! 全部!!」

京子「な、何言ってんの……そんなこと出来るわけ……」

結衣「……」ウルウル…

京子「!?」

結衣「最悪だ……どうしてあんなこと……私はなんで……」

京子「ゆ、結衣……?」

結衣「!」ビクッ

結衣「っ……」ダダッ

京子「は……? ちょ、どこ行くの!? 結衣っ!」


バタンッ


京子「って何故にトイレ……」

京子(あの結衣の反応……)

京子(明らかに様子が変だったし、私に対して覚えてるかとか何とか訊いて……)

京子「……」

京子(もしかして……)スッ



京子「結衣」

「……」

京子「ちょっと話がしたいから、出て来て欲しいんだけど……」

「……帰ってくれないか」

京子(声……)

「私、もう……京子の顔見れない……」

京子「私は結衣の顔が見たい」

「!」

京子「ねえ、開けてよ」

「っ……」

京子「結衣」

「……一人にさせてくれないか。気持ちの整理を、ぐずっ、する時間が欲しいんだ」

京子「……自分勝手なこと言うな、バカ」

京子「ほとんど無理やり連れて来て、散々好き放題して」

京子「なのに都合が悪くなったら帰れとか、意味分かんないでしょ」

「……ごめん」

京子「謝るくらいなら出て来て欲しいなー……」

「……」

京子(どんだけ落ち込んでるんだよ結衣のヤツ……)ハァ

京子「もう! じれったいなぁ!」

京子「早く出てこいアホ! 私初めてだったんだぞ!! 責任取れ!」ガンガン

「っ……」

京子「結衣がおかしくなってたことなんて知ってるよ!」

京子「私に言ったこともしたことも全部そのせいだって分かってる! だからっ」

「お前のその優しさが!!」

京子「!」

「余計に辛いんだよ……」

京子(結衣……)

「京子が私のことを分かるように、私もお前のことは分かるんだ……」

「もうとっくに気付いてるんだろ……私がどんな風におかしくなっていたかを……」

京子「……」

「お願いだから帰ってよ……私に押し倒された時嫌がったように、今それをすればだけいいだろ……」

「どうしてお前は……ひぐっ、そこに居るんだよ……」

京子「……ふふ、なんだそりゃ」

京子「私のこと、全然分かってないじゃん……」クス

「え……?」


―――ガチャ


結衣「!?」

京子「知ってた? ここのトイレのドア、10円玉で開けられるんだぜー」

結衣「京、子……」

京子「立て篭り癖は相変わらずだね」クス

結衣「なんで……?」

京子「何に対するなんでなのかはよくわかんないけど、結衣が出て来なかったから」

結衣「違う、そうじゃない……あんなことがあったのに、どうしてお前は……」

京子「言ったじゃん。私も結衣のこと好き、って」

結衣「京子の好きと私の好きは違うだろ……」

京子「それとこれとは別に関係ないっしょ」

京子「マジ泣きしてる結衣を放っておくなんて出来ないよ。なんか自殺しそうな雰囲気だったし」アハハ

結衣「……」ウルウル

京子「あとなんか勘違いしてそうだから先に言っとくけど、私が結衣のこと嫌いになったりとかあり得ないから」

京子「告白されたことに対して気持ち悪いとかも思ってないし、その、女の子同士とか以前に結衣は結衣だし……」

京子「まあ、その、なんだ。ノンケな私が落ちちゃうくらい良い女になれば良いよ!」

京子「私は逃げも隠れもしないから。どんな時でも真正面から受け止めてやるよ」ニコ

結衣「……」ポロ…

京子「えっと、なんかしらの反応が無いとすっごい恥ずかし」

結衣「……」ギュウ…

京子「あ、あはは。結衣は甘えん坊だねー……」

京子(これはこれでめっちゃ恥ずい……)

結衣「ひぐっ……」

京子(とりあえず結衣は元に戻ったんだし、これにて一件落着かなぁ)

京子(原因究明はまあ、明日の娯楽部のテーマにでもするとして……)

結衣「……」ギュ…

京子(現在進行形で、この結衣をどう扱えばいいのかがさっぱり……)

結衣「京子……」

京子「っ……な、何?」

結衣「今日だけでいいから……甘えさせてくれないか……」

京子「ふぇ……?」

結衣「明日からは、普段通りにするよう頑張る……だから、今日だけは……」

京子(な、何このめちゃくちゃ可愛い結衣……なんか変な感情芽生えそうになっちゃうんだけど……)ドキドキ

京子(これが俗に言うギャップ萌えってヤツで……)

結衣「……京子」

京子「あ……えっと、うん。別にいいよ」

京子「結衣の性格的に、一旦冷静になったらこんなこと絶対に出来なさそうだもんね」アハハ

結衣「ごめん……」

京子「そういうときはありがとうって言うんだぜー」ナデナデ

結衣「……」

結衣「京子」

京子「なに?」

結衣「今日のこと、全部忘れてくれていいからさ……」

結衣「明日からは私と普段通りに接してくれないか……?」

京子「……」

京子「ごめん、そういうのはちょっと嫌かも……」

結衣「っ……」

京子「だってそれだと結衣が辛くなるよね?」

結衣「!」

京子「おかしくなってたとは言え、結衣が勇気を出して告白してくれたのに……」

京子「その気持ちを蔑ろにするのはすごく嫌かな、って」

結衣「……」

京子「その、さ。今すぐには無理だけど……」

京子「私なりにいっぱい考えて、結衣の気持ちにちゃんと答えを出そうって思ってるから……それまで待っててくれないかな?」

京子「どんなに待たせても、中学卒業するまでには決着付ける」

京子「それでもし私が結衣の気持ちに答えられない、ってなったとしても……私と結衣の関係が変わったりなんて絶対にないから」

京子「親友のままか恋人になるか……そのどっちかだから心配しなくていいよ」アハハ

結衣「……なんで、そんなこと言うんだよ」

京子「え?」

結衣「やっと諦めようって思えたのに……もう終わりにしよう、って思ったのに……」

結衣「そんなこと言われたら、もっと好きになっちゃうだろ……バカ京子っ……」ギュゥ…

京子「あ、あはは、別にそういう思惑は一切無かったんだけど……」

京子「火に油注いじゃった感じ……?」

結衣「お前がそういう態度取るなら……ぐずっ、もう絶対に諦めないからな……」

京子「別にいいよ。さっき言ったでしょ、どんな時でも真正面から受け止める、って」

京子「女歳納、二言は無い! ってね」ニシシ

結衣「……ひぐっ」

京子「へ?」

結衣「うぁぁ……うあああ……」ポロポロ

京子「え、うぇえ!? なな、なんでガチ泣きして―――」

 
――――――――――――――――――――――――――――――――

京子(あれから、私を抱きしめながらわんわん泣く結衣を慰めたり、ナチュラルに甘えてくる結衣をあしらったりと色々あったけど……割愛)

京子「ねえ結衣……結局、何が原因でああなっちゃったのか心当たりとか無いの?」

結衣「……ある」

京子「ってあるのかよ!?」

結衣「今日の放課後、西垣先生に呼び出されてさ」

結衣「新しい薬が出来たから、試験がてら飲んでみないか、って誘われたんだ」

京子「やっぱりそんな理由……ってなんでそんな怪しい話に乗ったのさ」

京子「あの人の作る薬とかもう危ない空気しか……」

結衣「お前の望みが叶うかもしれない、そう言われた」

京子「……」

結衣「そんな言葉を真に受けて、すがってしまうくらいに……私はお前のことで追い込まれてたんだよ」

京子「な、なんかごめん」

結衣「別にいいよ。お前に振り回されるのは今に始まったことじゃないしな」

京子「む……今日に限って言えば結衣に振り回されたのは私なんだけどなー」

結衣「うっ……」

京子「ファーストキス奪われたり、恥ずかしいこといっぱい言われたりー?」

結衣「そ、そのことはもういいだろ……」

京子「ふふ、これからは惚れた弱みってヤツにどんどん付け込んでいくから、覚悟しとけよー」ニシシ

結衣「アホ……あんまりからかうとマジで襲うからな……」

京子「今までなーんにも出来なかったヘタレな結衣がそんなこと出来る訳ないじゃん」アハハ

結衣「や、やかましいわ!! お前が女同士でも気にしないって分かってる今なら私だって……!」

京子「それダウト! 女同士が大丈夫なんじゃなくて結衣だから大丈夫ってことを間違えないように!」ビシ

結衣「っ……!」カァァ

京子「くふふ、あははっ……結衣顔真っ赤……」

結衣「お、お前ホント覚えとけよ……!」

京子「結衣の歯の浮くような恥ずかしいセリフならずーっと覚えといてあげるよ?」

京子「京子は私のものなのにどうして他の女の子と―――」

結衣「うわぁぁ!? やめろバカ!!」

京子「やめない。私はお前を誰にも取られたくない、ずっと傍に居て欲しい」

京子「抱きしめたいしキスだってしたい。京子のことをもっと―――へぶっ!?」


終わり

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