健夜「私まだ若いけど結婚を意識する年齢なのかな?私まだ若いけど」(431)

恒子「急にどったのすこやん」

健夜「いや、この間雑誌読んでたらそんな電波に見舞われまして」

恒子「なんの雑誌?」

健夜「ゼクシィ」

恒子「…」

健夜「…」

恒子「…すこやん今27だっけ」

健夜「はい」

恒子「…確かにそろそろ考えた方がいいかもねぇ」

健夜「はい」

恒子「ちなみに当てはあんの?」

健夜「いいえ」

恒子「…」

健夜「近所に住んでて幼い頃から面倒を見てくれる優しいお兄さんもやんちゃだけど憎めないツンデレな幼馴染も私の事お姉さんお姉さんって慕ってくれる可愛い弟分も
    スポーツ万能で日陰者な女の子あこの場合私のことねにも別け隔てなく接してくれる爽やかなイケメンクラスメイトも私の人生の道程には転がっておりませんでしたので」

恒子「…」

健夜「結婚したい」

恒子「ついにぶっちゃけたねぇ」

健夜「結婚したいです」

恒子「…」

健夜「福与アナ。結婚が…したいです……」

恒子「私にどうして欲しいってのさ」

健夜「こーこちゃん局でも売り出し中のアナウンサーでしょ?その、さ?芸能人とかでもお知り合いいっぱいいそうだし…あの」モゴモゴ

恒子「うん、まあそれなりには」

健夜「もしも普段から私を弄って遊んでいることに対して多少なりとも罪悪感とかそういった感じのものを覚えていらっしゃるようなら、どなたか手頃なイケメンを紹介していただけないものかと」

恒子「あちゃー。罪悪感とか感じたことないわ」

健夜「あれだけやっといて感じた事ないの!?」

恒子「それにすこやんを紹介って話でしょ?」

健夜「そ、そうだよ…そうです」

恒子「ちょっと私の知り合いにすこやんに紹介できるような人物は思い浮かばないな~」

健夜「ひどっ!?」

恒子「だってすこやん、ちょっと考えてみてよ?」

健夜「な~に?」

恒子「確かに私の知り合いに恋人募集中な男の人は何人かいるよ?」

健夜「うん…」

恒子「その中にはすこやんと同年代とか、年下くらいのイケメンだって結構いる。ジャニーズだってねー」

健夜「いいじゃん!」

恒子「ま、何人かは私に気があるっぽくてモーションかけてきてうざったい奴もいるんだけど~」

健夜(羨ましくて憤死しそう)

恒子「でも、所詮新人アナの私の知り合いなんて、そんな大成功したって感じの人は居ないよ?年収だってそんなだし」

健夜「いいよ!お金ならあるよ嫌味な話!」

恒子「だからダメなんじゃん」

健夜「へ?」

恒子「まだ駆け出しとか、中堅クラスの芸能人がさ?天下の小鍛治健夜とだよ?結婚を前提にお付き合いって、そりゃ~気が引けるでしょ」

健夜「なんで」

恒子「彼女に大~~きく収入や社会的地位で水空けられてさ、芸能人なんてやってる男連中の無駄にプライドはボロボロ。いざ付き合っても口喧嘩の末DVとかに発展しちゃったりなんかして」

健夜「…」

恒子「そういう意味で私としては芸能人は論外。もう一回言うけど、連中無駄にプライド高いから。最低でもそういうの気にしないか、能力・収入的にもすこやんにちゃんと釣り合う人とお付き合いして欲しいかなー」

健夜「年下のくせに!年下のくせに!なんて大人っぽい意見!くそう自分は野球選手とか捕まえて将来安泰そうな職業のくせに!」

恒子「私は一般人もいいと思うよ?いつも見に来てくれるファンで良さそうな人とかいないわけ?」

健夜「私のファン、ご老人とお子さんばっかりで…」

恒子「地方クラブだしね~」

健夜「うう…優しくてイケメン高身長家事万能高収入家柄良しとか贅沢言わないからせめて男の人と知り合いたい…」

恒子「結構理想高いねぇ」

健夜「せめて死ぬ前に男の人と手くらい繋ぎたい」

恒子「いきなり低くなった!?」

健夜「もう死にたいよ、こーこちゃん…」

恒子「ダウナー系だなぁ…」

恒子「っていうか、すこやん今まで彼氏とかいた時無いの?」

健夜「私なんかにそんなものいた事あると思う?学生時代はお父さんと学校の先生以外の男の人と喋った記憶すら曖昧だよ…」

恒子「すこやん結構可愛いと思うんだけどな~」

健夜「またそうやって嘘吐いて!今度は何が狙いなの!?もしかしてビデオ回してる!?」

恒子「そしてこの被害妄想…」

健夜「がるるるる」

恒子「仕方ないなぁ…」ゴソゴソ

健夜「?」

恒子「えーっと…確か」

健夜「こーこちゃん何してるの?」

恒子「お。あったあった、ハイこれ」スッ

健夜「なにこれ…チケット?なんの?」

恒子「街コンだよー」

健夜「街…コン…?」

恒子「出会い、欲しいんでしょ?」

健夜「え…」

恒子「なんで引くの」

健夜「でも、街コンって、あれでしょ?普段の生活でモテない負け組男女が一縷の望みをかけて行くっていう…」

恒子「偏見!?」

健夜「それに、私そこまで必死に見られたくないっていうか…」

恒子「この期に及んで見栄っ張り!?」

健夜「とにかく、こういうのは私にはまだちょっと早いかなーって…」

恒子「すこやん駄目だよそういうの!?」

健夜「え~…」

恒子「え~じゃないって!そういうこと言ってるから出会いをみすみす逃すんだよ!」

健夜「でも…」

恒子「でもじゃない~~~~!」

健夜「う~ん…」

恒子「とにかく!結婚とまでいかなくてもいいから!本気で彼氏欲しいって思ってるんなら、一回行ってみるくらいしなさい!」

健夜「まあ、こーこちゃんがそこまで言うなら…ほんと私にはまだ早いと思うんだけどね」

恒子「それでよし!」

健夜「予定日は今度の週末かー。リーグ戦中断期間だから行けるね。場所は…長野?遠いなぁ」

恒子「どーせすこやんのことだから、あんま近場だと恥のかき捨て出来ないでしょ。会場で壁の花になってないでちゃんと弾けろよ?」

健夜「ところで、なんでこーこちゃんこんなの持ってるの?」

恒子「あー。それ、今度の番組…ゲフン」

健夜「…?」

恒子「ゲホッゴホッケホッオッホンウェーッホ!!」

健夜「こーこちゃん?」

恒子「ご、ごん゙ど…ウオッホン。今度の番組のスポンサーの人が主催でね。もし良かったらって何枚か貰ったんだ」

健夜「そうなの?じゃあこーこちゃんも…」

恒子「いやぁ、そうもいかないんだよ。私は今度の週末仕事だしねー」

健夜「そうなんだ…」

恒子「それに、今思い出したけど別口ですこやんと同じ悩み抱えてる知り合いがいたの思い出したからね」

健夜「そうなの?」

恒子「うん。だから、残りのチケットはその人達にあげようかなって」

健夜「そっかー」

恒子「だから、私が居なくてもちゃんと頑張るんだぞ?すこやん」

健夜「うん…わかった。やってみるよ」

恒子「よっし!」

健夜「うん、そうだよね。行動しないと何も始まらないもんね。ありがとうこーこちゃん。相談してよかった」

恒子「あはは…それじゃあ私、そろそろ行くね」

健夜「え?もう?」

恒子「うん。一刻も早くあの子らの予定抑えとかないと。差支え出るから」

健夜「そっか。じゃあまたね」

恒子「ばいば~~~い」



健夜「…」

健夜「…ふう」

健夜「…今度の週末、かぁ」

健夜「…」

健夜「…」チラッ

健夜(…鏡の中の私は、相変わらず景気悪そうな顔をしている)

健夜(こーこちゃんみたいに明るくて表情豊かなら男の人にもモテるのかなぁ)

健夜「…」

健夜「…」グギッ

健夜「…」

健夜(…笑ったはずなのに、鏡の前にはなんか引き攣った表情の私がいらっしゃいました)

健夜「…」クシクシ

健夜(髪も切らなきゃな。美容院予約しないと)

健夜「服装は自由…か」

健夜(…あと、晒し者にならないように、せめてめいっぱいお洒落して行こう)

健夜「ちょっと小奇麗な私服でいいよね?タンスに何かあったかなぁ…」ゴソゴソ

健夜(…っていうか、最後に洋服買ったのいつだっけ)

健夜「…」

健夜「…おかーーーーさーーーーん!!!!私のワンピースどこーーーーーーー!!?」

パーティー当日

健夜(そして当日。何故か私は、リクルートスーツに身を包み街コン会場の前におります)

健夜(お母さんに服装を相談したところ、母曰く「あんた、こういう場で本当に私服で行ったら周りはちゃんとした服装ばっかりで恥かくよ!」との説得を受けまして)

健夜(じゃあどういう服でいけば良いの!?と若干興奮気味に尋ねたところ、フォーマルな服装で行くように説得を受けたわけです)

健夜(でも私が持ってるフォーマルな服装なんて、一応プロになれなかった時用にって学生時代にあつらえたこのスーツだけだし)

健夜(新しいの買おうとしたらお母さんに勿体無いって怒られたし)

健夜(出発前にお母さんに見て貰ったらなんか新入社員みたいって言われました)

健夜(で、ずっと違和感を覚えながらも時間もないしって事で電車に乗ってはるばる長野までやってきたわけですが…)チラッ


咏「いやぁ奇遇だねぃ~。まさか小鍛治プロまでここに居るとは」カラカラ (いつもよりちょっと派手な着物)

良子「ども。お久しぶりです小鍛治プロ」ペコリ (いつものスーツ)

理沙「知り合い!」=3 (ワンピース)


健夜(死にたい)

健夜(なんでみんなこんなに自然体なの…)

健夜(野依プロ、ワンピースだし。全然違和感ないし。そもそも他の参加者もみんなこんな感じだし)

健夜(おかあさんに騙された泣きたい)ギリギリギリ

健夜(あと、三尋木プロと良子ちゃんずるい。フォーマル着なのに普段使いしてるから違和感ないし会場で良い意味で目立ってるし)

はやり「あっ!すこやんだ、ひさしぶりだね~☆」

健夜「あ、その声は瑞原プ…!!?」

はやり「今日は目一杯楽しもうね!」 (背中のぱっくり割れた、スリットの深いイブニングドレスで脚強調。胸元も開いてがっつり強調)

健夜(……この人だけなんか違う!?)

はやり「いやぁ、福与アナがチケットの処分に困ってたらしくて☆それに私今日暇だったし、仕方ないから来たんだよ~。私今日すっごく暇だったし☆」

はやり「あと、街コンってあんまり聞いたこと無いイベントだったし?どういうものなのか一回くらい体験してみてもいいかなーって☆」

はやり「ほ、ほら!人生何事も経験っていうじゃない!?男の人に飢えてるとかそういうのじゃないけど、ほら、でも人生において一回くらいはこういうイベントに参加するのもありかなーって。消極的参加だけど!!」

健夜(聞いてないのになにかの弁解を始めた!?)

はやり「いやあ、本当にね~!福与アナにも困ったもんだよね~☆私暇だったからあんまり着たくなかったのに来ちゃったけど!!」

健夜(しかも同じ話題を繰り返している!?)

良子「ところで、このイベントは何の集まりなんですか?」

健夜「え?」

良子「いえ。福与アナから長野でご馳走食べ放題の楽しいイベントがあるから是非、と言われて。それに私こっちの出身なので久しぶりに里帰りもいいかな、と思って考えなしに来たのですが」

健夜「軽すぎるよ!?」

咏「私はたまたまその場に居て、面白そうだから一緒に付いてくことにしたんっす。あ、因みに私はちゃんと趣旨わかってるんで」

健夜「それもどうなの…」

理沙「ケーキ!」 =3

良子「野依プロはメールでその話をしたら私も参加したいと言う事で」

健夜「この子たちは…」

咏「このパーティーは男女の出会いの場を提供するイベントだかんな?まー簡単にいえば合コンみてーなもんだ」

良子「アイシー。なるほど把握」

理沙「合コン?男の子怖い!」 =3

健夜「だったらなんで来ちゃったの…」

はやり「大丈夫?だったらやっぱり欠席してもいいんだよ?きっとイケメンっていう名のパイは少ないと思うの。顔見知り同士、少ないパイを取り合うのは不毛だし
     別に出会いが目的で来ているんじゃない人は、真剣にお付き合いできるパートナーを求めてここに来ている人に失礼だから早々と立ち去った方が身のため
     っていうか、そんな軽い気持ちで着てんじゃねえよ小娘どもが張っ倒すぞって人も居るかもだし、私の我慢の限界、じゃなかった嫉妬した怖い人達がやってくる
     前に早く帰ったほうがいいと思うよ☆私が福与アナにチケット貰った代表として仕方ないから残ってあげるから。ね?」

ノーウェイさんは愛知出身だぜ

はやり「フー フー」

健夜(なんだか瑞原さんが怖い)

咏「あ。そろそろ始まるみたいっすよ」

健夜(無視!?)

良子「会場への案内の子が来ましたね」

理沙「メイド!」 =3

健夜「え…」


一「皆さんお待たせしましたー!会場の準備ができましたので、こちらへご入場下さ~い!」

一「本日は、第一回当龍門渕家主催の長野街コンにご参加いただき誠にありがとうございます~!」

一「後々、みなさんが参加して楽しめるようなイベントも考えていますので、ふるってご参加下さ~い!」

>>52
あれ?カードで長野出身だったような…

会場

健夜「で、気付いたらこの面子で固まっちゃったね」

咏「まーこういう場で知り合いと会ったら固まっちゃうのはしゃーないっすわ」

良子「どうします?散らばります?」

理沙「や!怖い!」 =3

健夜「…って訳だし」

良子「なら仕方ありませんね」

咏「ま、なんだたったら男の方から声かけてくるの待ったっていいんじゃねー?私らみたいな美人集団だったらすぐ声かかるっしょ」ケラケラ

健夜「だといいけど…」

良子「それじゃあ何はともあれ、ご飯にしましょう。ごはん。もうお腹ハングリーです。バイキング形式なようなので行ってきます」

理沙「待って!行く!一緒!」 =3

健夜「うん。いってらっしゃい」

咏「私らの分も適当に持ってきてくんね~?」

良子「把握しました」テクテク

理沙「わかった!」テクテク

咏「しかし、さっすがでっかい家主催のパーティーっすね。参加者多いし料理も豪華!」

健夜「うん…」チラッ

咏「それに会場のこのホテルだって長野でも有数の豪華なホテルだし…」チラッ

健夜「…」

咏「…」

はやり「…」ソワソワ

健夜「…あの」

はやり「あ。な、ななななあにかな~?すこやん☆」

咏「…瑞原さん、男探しに行かないんっすか?」

健夜(なんであれだけ気合入ってたのに普通に私達のところにいるんだろう)

はやり「だ、だって。知らない人ばっかりだし…いざ知らない男の人に声かけるってなったら何言えばいいのか…」ウルウル

健夜(半泣きだ)

咏(半泣きじゃん)

はやり「っていうか、変じゃない!?いきなり知らない人に声かけて付き合って下さいって、なんかおかしいよね!?やっぱりこんなイベント不埒だよ!二人もそう思わない!?」

咏「私はよくわかんないっすけど、第一声がそれはマジでおかしいんじゃないっすかね」

恒子「えっ?藤田プロにチケット?ないないw」

はやり「ううう…だ、駄目だぁ…テレビの中じゃ弾けられるけど、いざとなったら足が竦んじゃう。はやりってほんとダメな子だ」メソメソ

健夜(この人、派手そうな感じだったから経験豊富かと思ったらこれは処女確定だね。男の人と手繋いだ経験すら無さそう)

咏(牌のお姉さん(笑))

はやり「キャラ作るのなら幾らでも出来るのに…でもそれじゃ駄目なんだ。テレビのはやりじゃなくて、ちゃんとありのままの私を見てくれる人に出会わないと…」

健夜「瑞原さん…」

はやり「等身大のはやりを愛してくれる高身長高収入家事万能高家柄良し人柄良しプライベートで甘やかしてくれて包容力があって文句も言わずに我儘聞いてくれるイケメンに出会わないと」

健夜(ああ…)

咏(やっべぇこの人超おもしれえ)

はやり「で、でもでも。今回は本当に勝負かけてきてる訳で。せめて一人くらい前述の男性とお知り合いにならなければ…」

健夜(そもそもそんな優良物件が存在するわけが…)

咏(よしんば存在しても絶対唾付けられてるだろ。こんなとこに来るわけが…)

良子「どうも。お待たせしました」

理沙「ご飯!」

健夜「あ。二人共おかえり」

咏「まあまあ、瑞原さん。とりあえずご飯でも食べてちょっと冷静になってから作戦会議しねー?ここでいつまでもうだうだやっててもなんにもなんねーっしょ」

はやり「…うん。そうだね、切り替えよっか」ニコッ

良子「はい。みなさんどうぞ、ローストビーフです」

理沙「私も!山盛り!」 =3

健夜「わあ、ありがとう。やっぱりホテルでバイキングって言ったらローストビーフだよね」

咏(なんか貧乏くせー…)

はやり(ローストビーフばっかりだ)

良子「それと、アルコールもありましたので、僭越ながら勝手に皆さんの分も」

健夜「あ。どうも…」

良子「どうぞ。小鍛治プロにはカシスオレンジ、三尋木プロには日本酒、瑞原プロには芋焼酎です」

健夜「あ、ありがとう…」

咏「日本酒か~。まあ嫌いじゃね~し別にいいけど、なんでこの選択肢?」

良子「人によってイメージに沿ったカクテルを出すBARとかあるでしょう?そんな感じで皆さんのイメージに沿ったアルコールを選んでみました」テレテレ

健夜(私良子ちゃんの中でカシスオレンジなイメージなんだ…)

はやり(い、芋焼酎…?)

良子「ちなみに私は赤ワインで、野依プロはオレンジジュース」

健夜「コクコク」

咏「クピクピ」

はやり「チビチビ」

理沙「クピクピ」

良子「ふふ…」

健夜「ふう…」

咏「ん、中々いけんじゃんこのポン酒」

はやり「ぷっはー」

良子「くくくく…」

理沙「…」フラリ

はやり「おっと、理沙ちゃん大丈夫?」

理沙「ん…」フラフラ

健夜「あれ?」

咏「…なんか、酔ってね~?」

理沙「ねむい…」ゴシゴシ

良子(計 画 通 り)

健夜「あれ?このオレンジジュース、ちょっとお酒の匂いするよ」クンクン

理沙「ん~?」ボー

良子(まずは一人…他の年増共はやはりというか、思った通り酒には強いようですがこれは想定の範囲内です)

咏「あ。ホントだわ。ちょっと飲んでみたけどこれスクリュードライバじゃん」

良子「おっとミステイク。すみません、野依プロの分、オレンジジュースと勘違いして注いでしまったようです」

良子(目下のところは最大の脅威、野依プロを撃沈できた所で良しとしておきましょう)

はやり「も~。良子ちゃんのおっちょこちょい☆」

良子(この中で一番キュートなのは野依プロですからね)

健夜「しっかりしてそうなのにね~」

良子(コミュ障ながらも庇護欲を掻き立てられる彼女に残っていられたなら…この集団で殿方に声をかけられたとしても、きっとすぐに話題の中心は彼女になっていたでしょう)

咏「意外と抜けてんのな」

良子(なんのパーティーかは知らずに集まったとは言え…私だってそろそろ彼氏の一人でも欲しいお年ごろ。これはいい機会です)

良子「すみません、みなさん。てへぺろ」

良子(障害は早急に取り除かせて頂きました。悪く思わないで下さいね?野依プロ。貴女さえいなければ、他の年増共などへへんのぷーです)

理沙「すやすや…」

健夜「完全に寝ちゃった」

咏「この人どうすっかね」

はやり「このまま会場に置いておくわけにもいかないよね」

良子「そうですね、ここは幸いホテルです。酔い潰れた人用に休憩スペースなど用意しているかもしれませんし、その線を当たりましょう」

健夜「そうだね」

咏「んじゃホストのとこの誰かに聞きますか」

はやり「そうだね。すみませーん☆どなたか、係の人いませんかー☆」

純「はいはーい、なんでしょうかー」テクテク (ハギヨシと同型の燕尾服)

健夜咏はやり「「「!!?」」」

純(くっそー!国広くんめ!なんだよ麻雀勝負で負けたら罰ゲームで男の格好って。しかも密かに衣抱き込んでるし)

健夜(い、いけめんだ!)

咏(高身長のイケメンじゃん!)

純「あー。こりゃ酔い潰れちまってますねー。しゃーない、休める部屋手配しときますわ」

はやり(ハスキーボイスが子宮に響くゾ☆)

健夜「休める部屋」

咏(なんかいいなー野依さん。背たけー。180はあんのかな? だとしたら私が145cmだから…わお。35cm以上も差があんのか!いいね!)

はやり(ワイルドに着崩した燕尾服がイイネ☆)

良子(しまった、裏目に出ましたか!?)

純「あー。すんません大丈夫っすかー」ユサユサ

理沙「うぷ…」

健夜(あっ!搖さぶっちゃ駄目!)

咏(やっぱデカイだけあって力からつえーさすが男子)

良子(ちょっとヤングな感じもしますが…幾つくらいでしょう)

はやり(ちょっと乱暴なのもありだね☆)

純「すんませーん。聞こえてる?」ユサユサ

理沙「おえ…」

ハギヨシ「何をしているのですかあなたは…」ハァ

純「あ。萩原さん」

健夜咏はやり「「「!!?」」」

ハギヨシ「お客様が酔い潰れていらっしゃるようなら、そのように乱暴に揺するのはご法度でしょう」

純「あ、すんませんつい…」

ハギヨシ「いけませんよ?酔い潰れたお客様は丁寧に介抱して休憩用のお部屋にお連れする決まりでしょう?」

純「はーい…」

ハギヨシ「まったく…お客様、失礼致しました。今お部屋にお連れ致しますので、今しばらくお待ちください。その前に水をどうぞ」

理沙「くぴくぴ…」

健夜「ちょ、ちょちょちょ、どういう事!?三尋木さん!」ワタワタ

咏「わ、わわわわかんねー!すべてがわかんねー!どうなってやがる!?」アワアワ

良子「こ、これは…モノホンの執事!?」パクパク

はやり(高身長○、高収入(多分)○家事万能○家柄良し○(執事ってなんか良さそう)人柄良し○プライベートで甘やかしてくれそう○包容力があって○文句も言わずに我儘聞いてくれそう○イケメン○…)

健夜「な、なんかオーラが他の人と違…」

はやり(役満きたああああああああああああああああああああああああ!!!!)

ハギヨシ「それでは井上さん、今度こそ丁寧に彼女を部屋までお連れして下さい」

純「あいよ」

はやり(でもこっちも捨てがたいよねーーー!?)

ハギヨシ「野菜の声が~♪聞こ~え~るかい♪君に食~べて~と言ってるよ♪」

純「よっこらしょ」ヒョイッ

理沙「きゅう…」

健夜(お姫様抱っこ!)

咏(軽々と!)

良子(いいなぁ。私結構長身なのであの人くらいないとして貰えなさそうです)

はやり(私も酔い潰れたら介抱してもらえるかな?でもなー。流石にこの場で日本酒一升瓶換算3本飲むのは気が引けるしなー)

ハギヨシ「さて、失礼いたしましたお客様。ご友人は当龍門渕家の者が責任をもって介抱いたしますので、ご了承下さい」

健夜「あ、は、はい!ありがとうございましゅ!」

健夜(…噛んだ)

健夜「…忘れて下さい」カァー

咏(くそっ!あざといぞこの人!?)

はやり(あれあれ?なに?え?やる気?やる気なのすこやん?え?何?やる気?)

ハギヨシ「ふふ…それでは私もこれで失礼させて頂きます。引き続きお楽しみ下さいませ」ペコリ

健夜「は、はいー…」

ハギヨシ「」スタスタ

健夜「…」

健夜(…行っちゃった)

健夜「…」

咏「…」

良子「…」

はやり「…」

健夜(そして何この沈黙)

咏「…」

良子「…」

はやり「…」

健夜「…」

健夜(凄く痛いんですけど)

咏「あ~…」

健夜(なにこれ、ほんとどうしよう)

咏「あの執事の兄ちゃん達、めっちゃかっこよかったっすね」

健夜(話題!)

健夜「!う、うん!そうだね!格好良かったね!」

良子「あ、は、はい!リアリーイケメンでした!」

咏「私狙っちゃおうかなー」ケラケラ

健夜「あ、あはは…」

良子「ははは…」

健夜「…」

良子「…」

咏「…」

健夜「…本気で?」

咏「けっこーマジで」

健夜「…」

咏「…」

健夜「ち、ちなみにどちらの方を…」

咏「んー…」

限界なんで寝るます

初春「糞スレが伸びてる理由もわかりませんし」

初春「百番煎じのSSは、書いてる奴も読んでる奴も何考えてるんですかねぇ」

初春「独自性出せないなら創作やるんじゃないっつーの」

初春「臭過ぎて鼻が曲がるわ」

佐天「初春?」

初春「結果として面白くないのは許せます。許せるだけで面白くはないんですが」

初春「パクリ二匹目のドジョウ百番煎じは許せませんね。書いてて恥ずかしくないんですか?」

初春「ドヤ顔してる暇があればとっとと首吊って死ねよ」

初春「そうネットに書いてありました」

佐天「なあんだネットかあ」

初春「一番の害悪はそういったSSを持ち上げてる人たちなんですけどね」

佐天「ふーん」

初春「糞スレが伸びてる理由もわかりませんし」

初春「百番煎じのSSは、書いてる奴も読んでる奴も何考えてるんですかねぇ」

初春「独自性出せないなら創作やるんじゃないっつーの」

初春「臭過ぎて鼻が曲がるわ」

佐天「初春?」

初春「結果として面白くないのは許せます。許せるだけで面白くはないんですが」

初春「パクリ二匹目のドジョウ百番煎じは許せませんね。書いてて恥ずかしくないんですか?」

初春「ドヤ顔してる暇があればとっとと首吊って死ねよ」

初春「そうネットに書いてありました」

佐天「なあんだネットかあ」

初春「一番の害悪はそういったSSを持ち上げてる人たちなんですけどね」

佐天「ふーん」

咏「やっぱ黒髪の方っすねー」

健夜「そっか…」

良子「わ、私も、その…」

咏「ん?」

健夜「良子ちゃん?」

良子「ちょっとだけあっちの執事さんの事が気になっちゃってたりなんかしちゃったり…」

健夜「えー…」

咏「ぬう。良子ちゃんあれじゃん。まだハタチで若いんだしここはお姉さん方に譲ったって良くねー?」

健夜「そうそう。あなたはまだ若いんだし、そんなに焦ることないじゃない」

良子「い、嫌ですよ。あんな優良物件そうそう出会うことありませんし、年齢で制限されるとか」

健夜(うーん。そう言われると、年下だから譲れって言うのは傲慢な気もするし…)

良子「まあ、確かに皆さんと比べても私は若いですが、ラッキーな事に『私は』ボディーにもそこそこ自信ありますし?」

健夜「…」ピクッ

咏「…」ピクッ

良子「それによくよく考えたら、若さって、女の子の価値としてはかなりステータスですよね?ほら、やっぱり張りとか違いますし」

健夜(むう。その言い方はちょっとどうなの良子ちゃん)ヒクッ

咏(歯に衣着せない子だとは思ってたけど、結構言うじゃねーか)ヒクッ

健夜(それにこの場面で若さを自慢とかしちゃったらほら…)

はやり「…」ギギギギギギ

健夜(ああ、ほら案の定瑞原さんが巨人を駆逐したいエレンみたいな表情してるし)

良子「うん、そうですよ。やはり女は瑞々しさだと思います。だとしたら一番は若さかなぁ」

はやり「ふひっ」ビキィッ

咏(表情が消えた!?)

健夜(超大型巨人みたいな顔つきになった!)

良子「という訳で、私も参戦させて頂きますのでよしなに三尋木プロ」

咏「わ、私は文句言わねーけど…」

はやり「私も萩原さん狙いで行くよ…」

良子「!?」

健夜(ああ。さっきそんな風に呼ばれてたもんね…)

咏(だからっていきなり名字呼びするか?)

良子「むう…分かりました。望むところです」

咏「み、瑞原さんもっすか…いやぁ手強いなぁ。美人だしスタイルいいし勝てる気あんましねーなぁ」

健夜(気を使ってるね三尋木プロ…)

はやり「あはは、ありがとう咏ちゃん☆けど咏ちゃんだって小学生みたいで可愛いぞ☆」

咏「今なんつった」ビキィッ

はやり「聞こえなかったかな?その小学生は性的魅力一切ないんだからこっぴどく振られる前に諦めた方が懸命だと思うって言ったんだけど」

咏「上等じゃんその喧嘩勝ったぜこの年増奇乳ババア」

はやり「小娘が」

ゴゴゴゴゴゴ

良子(一瞬で険悪なムードに!!)

健夜(三尋木プロ沸点低すぎぃ!!)

咏「へっ!その小娘にあの兄ちゃん取られてわんわん喚いてるババアの泣きっ面がありありと想像できるぜ!」

健夜(どうしようこれ…)

良子「そ、それではお二方お取り込み中なようなので私はお先に失礼して…」ソソクサ

健夜(抜け駆け!?)

咏「ほい待った」グイッ

はやり「抜け駆けは銃殺刑だよ☆」ムンズッ

良子「ぐえ」

健夜(捕まった!)

はやり「ここはひとつ、公平に勝負して順番を決めるのがいいと思うの☆」

咏「賛成。丁度4人いますしね」

健夜(勝手に私も含まれてるし。…まあ、私もあの執事さん狙いではあったけど)

良子「しょ、勝負ですか?別に私は構いませんが、一体どうやって…」

はやり「ふふふふふふ☆」

健夜(勝負か~。丁度4人だし、ここはやっぱり私達らしく麻雀って事なのかな?だとしたら結構自信あるかも)

はやり「それは勿論☆」ガチャガチャ

良子「おお?テーブルの上の食器とかを片付け始めて…」

健夜(でもなー。一番に勝っても一番に突撃するのは嫌だなー。ここは一旦1位は譲って、最初のこの様子を見てから2番手で…)

はやり「アームレスリングで」ドン!

健夜「男らしすぎるよその決着法!?」

仕事行ってくるます

保守ありがとうござます

良子「何故そこでアームレスリング…」

咏「わかんねー…普通に考えたらこの面子でケリ付けるったら麻雀じゃねー?」

健夜「ど、同感ですが」

はやり「何言ってるのみんな。ちょっと周りを見てごらん?」

健夜「周り?」チラッ

キャッキャウフフ

健夜(すでに何組もカップル的なものが出来上がっている!?)

咏(馬鹿な!早すぎる!)

良子(マイガッ!)

はやり「こんなピンク色な雰囲気の中で麻雀なんか出来る?……最悪死ぬよ?」

健夜「死ぬ!?」

咏「た、確かに精神的には死ぬかもしんねーっすけど…」

はやり「第一牌も卓も無いし」

良子「い、今ならケータイ使えばオンラインで静かに出来ると思うのですが…」

はやり「そんなのパーティーで相手にされないからって拗ねて仲間内でゲームしてるダメ女集団みたいじゃない!!良子ちゃん馬鹿なの!?死ぬの!?お星様☆になって流れて消えるの!?」

良子「す、すみません…」

はやり「まったく…良子ちゃんはデリカシーが無いなぁ。そんなんじゃ女の子として未熟だぞ?」

健夜(未熟じゃない女性は麻雀の代わりにアームレスリングですか…)

咏(流石未熟の正反対な人は言うことがちげーなー)

良子「そ、それではアームレスリングで…」

はやり「オッケー☆それじゃあリーグ戦で勝ち星が一番多かった人から行く権利ゲットね?あと、同点だったら直接対決で勝ち星のある方優先で」

健夜(スラスラとルールが出てきたなぁ)

咏「結局アームレスリングか…自信ねー…」

健夜(そりゃあ三尋木プロ、この中で一番小さいしね…でも対して…)

良子「わかりました。でも私結構力には自信ありますよ?」

はやり「まあまあ☆それじゃあ始めるよー。まずはすこやん、私とやろー」

健夜「あ、はい…」

健夜(正直私もあんまり腕力には自信ないなぁ…)

はやり「レディー…」グッ

健夜(私こんな所まで来て何やってるんだろ…)グッ

健夜(…で)

はやり「えいっ!」クイッ

咏「うわ」コテン

はやり「はい、これで全試合終了~☆」

咏「あ~。やっぱ駄目だったか。全敗だー」

良子「三尋木プロは軽すぎです」

咏「うー」

はやり「という訳で、結果は1位良子ちゃん、2位私、3位すこやん、4位咏ちゃんでした~☆わーぱちぱち☆」

健夜(こういう結果になった、と)

咏「わー。おめでとさん」

良子「あ、どーもサンキューです。いえ~」ペコリ

健夜(意外だったなぁ。いや、体格差を考えれば意外でもなんでもないんだけど。でも普通に良子ちゃんが全勝優勝か…)

はやり「それじゃあ良子ちゃん。悔しいけど最初に執事さんのところにアタックして来ていいよ~☆」

健夜(瑞原さん、あれだけアームレスリング推しだったからには何か策でもあるのかと思ってたけど…思い過ごしだったのかな?)

良子「え…っと…」

はやり「ほらほら、行った行った☆」グイグイ

良子「わわわ、ちょ、お、押さないで下さい。今どうやって声をかけようかシミュレーションしてますんで」

はやり「恋する乙女は出たとこ勝負☆なんにも考えないで想いのままに行った方が、意外といい結果出るんだぞ☆」

良子「そんなものですか…ええい、わかりました。女戒能、行ってきます!」キッ

はやり「は~い。行ってら~☆」ヒラヒラ

良子「…」スタスタ

健夜「…」

咏「…」

はやり「…」


良子「す、すみませーん!さっきの執事さーん!」タタタタ


咏「…行ったか」

健夜「…うん」

はやり「…ふう」

健夜「あ、あの。み、瑞原さん…?」

はやり「二人共。一個だけアドバイスあげる」ニコッ

健夜「はあ…」

咏「なんっすか?」

ハギヨシ「はい、何でしょうか?お嬢さん」ニコッ

良子「あっ…」

ハギヨシ「…?」ニコニコ

良子「あの。えっと…」カーッ

ハギヨシ「ええ」ニコニコ

良子「あの…その…えっとですね…あのー…」ソワソワ

ハギヨシ「はい」ニコニコ

良子「その…」オタオタ

良子「あのあのあのあのあの…」オロオロ

ハギヨシ「…」ニコニコ

良子「あうあうあうあうあうあうあうあうあう」グスグス

良子(あうあうあうあ。こ、言葉がなんにでも出て来ませんー…)


はやり「あれが勝負時に考えなしに突撃する馬鹿の末路だぞ☆」

健夜「流石です」

咏「一生付いてくっす。姉御」

はやり「まあ、あれだわ。20になったばっかの毛も生え揃わねぇ小娘にみすみす最優良物件明け渡すのも気が引けるっしよー」ドカッ

健夜(いきなり口調が蓮っ葉になって!しかも手近なソファーにふんぞり返ってそんな悪の女幹部みたいな…)

はやり「コクコク」キューッ

咏「瑞原さん良い飲みっぷりっすね。瓶ごと持ってきたんで、どぞもう一杯」トクトク

健夜(三尋木さんはなんかいきなり部下っぽくなったし)

はやり「あ。ごめんねー☆」

咏「いえいえいえ。おっとっとー♪」トクトク

はやり「ぷっはー☆堪んねぇなこりゃククククク」キューッ

健夜「そのキャラわざとやってるでしょ二人共…」


良子「うううう…」


健夜(あ。顔真っ赤にして俯いちゃった)

はやり「…ちょっとやりすぎたかな?どう思う?すこやん☆」

健夜「…いえ。若い子にはいい経験じゃないでしょうか」

健夜(うん。若い子にはいいお灸だと思うよ?良子ちゃん自分で言ってたし。若いとかみずみずしいとか張りがあるとかスタイルにそこそこ自信あるとか)

良子(ううう…情けない。今にして思えば、ここまでが瑞原プロの策だったんですね。私が1番手になることまで見越して…なんて恐ろしい)

良子(かく言う私も実にフールです。あんな煽りとも付かぬ後押しに何の疑問も持たずに、考えすらまとめずに突撃して、案の定何も言えない…)

良子(ううう…数分前の自分を殺してやりたいくらい情けない…)

良子(目の前の執事さんは相変わらずニコニコしているけど、いつまでも待たせるのも気が引けるしどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう)

ハギヨシ「あの…」

良子「は、はい!」

良子(あうっ!?む、向こうから来ました!?どうしよう!「何の用事ですか?」などと尋ねられたら私…)

ハギヨシ「恐れながら、先程から少々気になっていたのですが松山フロティーラの戒能良子プロとお見受けいたしましたが」

良子「…………はい?」

ハギヨシ「…ああ、失礼。もしかして他人のそら似だったでしょうか?」

良子「いえ。私は如何にも松山フロティーラの戒能良子ですが…」

ハギヨシ「やはりそうでしたか。そして先程私の同僚がお連れした方は、野依理沙プロで。後のお三方は小鍛治プロ、三尋木プロ、瑞原プロ」

良子「ご、ご存知でしたか…」

ハギヨシ「勿論でございます。世の男性に、貴女達のように才能と気品、そして美しさに溢れた女性を知らぬ者が居る筈もございませんでしょう」ニコニコ

良子「…」

ハギヨシ「しかし少々意外ですね。貴女方程の女性ともなると引く手数多でしょうに。なぜこのような場へ?」

良子「え、えっと…」

良子(どうしよう。引く手数多どころか引かれた事すら無いとか言えない気分です)

ハギヨシ「おっと失礼。野暮な事を尋ねました。ところで、なにか私に御用が有ったように見受けられましたが、どういったご用件で」

良子「へ!?あー…そのですねー…」

良子(えーっと…す、隙が無いです。一体どう攻めれば…)

ハギヨシ「ああ。もしや野依プロの居場所でしょうか?申し訳ございません、同僚からの休憩所到着の報告がまだありませんので。大方どちらに向かったのかの検討は付いているのですが…」

良子「あ!いえ!そっちの方はあんまり心配していません。彼女も子供ではないので」

ハギヨシ「それもそうですか。では、彼女がある程度元気になったら合流できるよう手配させますので」

良子「あー…すみません。サンキューアンドソーリーです」

ハギヨシ「いえ。これも務めですので」

良子「そ、それでもサンキュー…です」

ハギヨシ「ふふ。ユアウエルカム、です」

良子「…」ボッ

ハギヨシ「おや。大丈夫ですか?戒能様も少々お顔がお赤くてらっしゃる。気分が優れないようでしたら戒能様も休憩所へお連れするよう手配いたしますが」

良子「い、いえ。お構いなく。お構いなく…」フラフラ

ハギヨシ「はあ。…それでは、引き続きパーティーをお楽しみ下さい。では」スッ

良子「あ…」

良子「…」

良子「…」


「すみませーん!ちょっといいですかー!」

ハギヨシ「はい。只今」スタスタ


良子「…」

良子(…戻ろう。みんなのところへ)

良子「…」スタスタ

咏「お。おかえりー良子ちゃん。どーだった?」

良子「ほっといてください」プイッ

健夜「りょ、良子ちゃん?どうしたのなんだか顔が真っ赤だけど…」

良子「ほっといてください」プイッ

はやり「りょ、良子ちゃーん?どうしてそんなに大量にエビのボイルをお皿に乗っけて戻ってきたのかの説明だけでもして貰えるとお姉さん助かるんだけど」

良子「ほっといてください」ツーン

健夜(拗ねてる。無理もないか…)

良子「ほっといてください」イジイジ

咏(いきなりエビの殻剥き始めたし)

良子「ほっといてください」ホジホジ

はやり(背わたまで丁寧に取り除いて…)

良子「ほっといてください」パクッ

良子「…」

良子「…はぁ」ガックリ

良子「…」チネチネチネ

健夜「今度こそ無心でエビの皮剥き始めちゃったよ」

咏「いやあ、駄目だったっぽいなぁ」

はやり「う~ん…計画通りではあったんだけど、なんだか可哀想にも思えてきたような気がしないでもないなぁ…う~ん…」

健夜(あ。この人にもまだまともな思考能力があった)

咏(緊急用の良心回路でも作動したか?)

良子「…」ジーッ

はやり「…?」

良子「…つーん」プイッ

はやり「うー…」

健夜「やっぱり怒ってるなぁ…」

咏「良子ちゃん、あんま瑞原さんのせいにしてやんなよ。なんだかんだ最後は自分の決断で行ったんだろ?」

良子「怒ってないです」ツーン

咏「いや怒って…」

良子「…はあ。まあいいですよ。それじゃあ次は瑞原プロの順番ですよね?とっととゴーアヘッドしちゃって下さい」チネチネチネ

はやり「あ、うん。…本当にごめんね?」

良子「いいですよ。…あ、でも瑞原プロ。ちょっと良いですか?」

はやり「?」

良子「ちょっとお耳を拝借」

はやり「はあ」

良子「ゴニョゴニョ」

はやり「…!それ本当!?」

良子「ええ。頑張ってきて下さい。私はもう半分諦めましたので」

はやり「わかった!ありがとう良子ちゃん!私頑張ってくるね!」タタタタ

良子「…」

健夜「…何話したの?」

良子「先ほどの接触で得た情報を元に、ちょっとしたアドバイスを」

咏「アドバイス?」

健夜「良かったの?」

良子「ええ。良いんです」ニコッ

健夜「でも、意外と言えば意外だったな~」

咏「え?」

良子「なにがです?」

健夜「いやね?最初は確かに良子ちゃんグダグダではあったけど、後で執事さんから声をかけてくれた後は結構いい感じだったと思ったから…」

咏「ああ、確かに。もしかしてこれ行っちゃうんじゃね?ってお姉さんヒヤヒヤもんだったぜ?肝心の話の内容は遠すぎて聞こえんかったけど」

健夜「どんなアドバイスをしたの?」

良子「ええとですね。さっきの執事さん、実は私たちの事をご存知だった様ですので…」

健夜「えっ!」

咏「マジ!?はー。まあ確かに私らは有名人ではあるけどさ~。なんか嬉しいよねー」

健夜「それでそれで?向こうはなんて?」

良子「私の所属クラブも知っていました。恐らく私たちに関して世間一般で周知されている程度の知識はあるのではないかと」

咏「うんうん!」

健夜「そっかぁ」

良子「ええ。なので…」

健夜「なので?」

よしこでええで。美子ちゃんと被るんでりょうこで変換してるからついやってもうた

はやり「すみませーん!執事さ~ん!!」タッタッター


良子「瑞原プロには『執事さんは瑞原プロが23歳だったら彼の好みのタイプドンピシャだったと言っていました』…と」


ハギヨシ「おや。貴女は…」

はやり「こんにちわ!瑞原はやり、設定では28って事になってるけどホントは23歳です☆あとあと!麻雀のプロでもあるけど、本業はグラビアアイドルです☆」


良子「あと『グラビアアイドルだったらもう本当にどんな感じでも好きになると思うだそうです』とも」

健夜「黒いよ!?真っ黒だよ!?」

咏「良子ちゃん…末恐ろしい子だねぃ…!」

ハギヨシ「おや瑞原プロ、そうだったんですか。確かに28というには可愛らしいというか、失礼ながら童顔であらせられるとは思っておりました」

はやり「え…?あ、え…えっと、あ、はい」

ハギヨシ「かと思いきや時折見せる真剣勝負での鋭い表情は大人の女性のそれでもあり」

はやり「え?あー…ま、まあそれほどでも…あの…」

ハギヨシ「子どもたちにわかりやすく麻雀を教えるための牌のおねえさんという職業。麻雀の普及に務める使命感」

はやり「えっと…その、すみません」

ハギヨシ「23という年齢には余りにも重いその役割を、ご立派に果たしていらっしゃる。私のような凡庸な人間からすれば図りかねるその器」

はやり「…や、やだ。止めて下さいって」

ハギヨシ「麻雀の解説は理論だった丁寧で分り易い説明で、私の家のお嬢様方からも大変好評でございますし」

はやり「あ、どうもありがとうございます」ペコリ

ハギヨシ「誠に、尊敬いたしますよ。瑞原様」ペコリ

はやり「あ~。いえいえ。此方こそ本日はこのような希少な場を設けて頂き、誠に有難く…友人共々とても楽しく過ごさせて頂いており…」ペコペコ


良子「というかですね。あの執事さん、どっちにしろ取り付く島無いんですけどね。こう、隙が無さ過ぎて」

健夜「お辞儀合戦始ったんだけど」

咏「あー。ほら瑞原さん変に真面目なとこあるから…」

はやり「…」スタスタ

健夜「お、おかえりなさい」

咏「えっと…瑞原さん?」

良子「エビ食べます?エビ」

はやり「私、何やってるんだろ」ウフフ

健夜「瑞原さん!?」

はやり「こんな、長野くんだりまで来て、場違いなイブニングドレスまで来ちゃったりなんかして…案の定ちょっと周りに引かれてるし」

健夜(あ。自分の格好に対する評価には気付いてたんだ)

はやり「こんな事なら家で大人しくスルメ肴に焼酎飲みながら競馬中継でも聞いてれば良かった…!」ワッ

健夜「自虐が過ぎますよ!?」

良子「普段そんなことしてるんですか」

はやり「してないよ!そこまで女捨ててまーーーーせーーーんーーー!!」

咏「ならどんな…」

はやり「休みなんかないよ!今日のイベントだって、冠やってるレギュラー番組の懇意にしてるプロデューサーに事情説明して、無理言って泣き落としして、なん!とか!収録前倒しにさせて貰ってやっと来れたんだから!」

健夜「牌のおねえさん、いつもお疲れ様です…」

                       ____                     /  /     /
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                ,  ´         /      }  ヽ{_,∠∠、     //      /
         _ _}≧x  / r---、 _ /  ___ト、≧ァー'  、 ̄`\_ ∠、    /
        (_)_) 0○))二二)_》フフフ):〉)三二T┐_,> ゝ_/  \(ィ=\ト、「`/  }
         /  :}≧チ /´    ̄´ ]厂ヒ≧:.、」 _]  `' <l/ lィ= _ノヽ  _)/{   /
.       /  /ー'           / └'^> 、  `丶-\_ノ /∧|        <フィナーレwwwwwwwwwwwww
      / /                 /         丶、 └j_}ニ\| ハ , -‐一ァ
   /⌒// /            /              └t>、_ノノ   \_))-‐ /
   / 〃  し           /               \    _ `¨(´
  / /    __          丶-‐                   \/   丶ノ|ー-|\,、_,ノフ)
  //   /⌒l }                               ヽ _    |ー∠ _}}__ら
  |'        //                       _,/\   }   丶/}
 /{ /し/  //                      _/  /_ \フ人-、   , |
 し'  {//                     r-| {ヘ {ヘ | ̄工.._ ヽ\ノ/{/{ _ _

     `¨                           _厂{ ⌒l∧ l∠\_l\ _人{>┴、┴┐
                          / , ==}V\  ∨ \   \l∠\l/ヽノー〈7
                          {_r-{/ニV^㍉\/\,、ヽ/\_/\∠|  /(
                             }ノi  ', ‘>、㌦、  \/\   \   >lイ /
                                |   /l | `'㌃ー-、_   \/}/ l/
                                | /  ヽ二/^`¬ニ二三二ニ=冖’
                                l /   /     |     |
                            八  /         |ー--‐ ,'
                               `¨´           |ー-- /

誤爆した

はやり「うーーーわーーーんーーーーー!!もういやだーーーーー!!休みないし!番組ではちっちゃ子にしか会わないし!密かに二代目牌のお姉さんに仕立ててやろうと思ってた赤土さんには断られるし!」

はやり「でーーーーーーーあーーーーーーーいーーーーーーーーがーーーーーーーほーーーーーーーーしーーーーーーいーーーーーー!!」

健夜「瑞原さん…」ホロリ

咏「いつも元気な牌のおねえさんに、こんな裏話があったとはねぃ…」ホロリ

良子「苦労してるんですねぇ」

はやり「もういっそ逆光源氏計画でも…」

健夜「あうとーーーーーーーー!!」

咏「早まるな姉御!!」

良子「ノーウェイノーウェイ」

はやり「もういいや。今日はあとはやけ酒するから。良子ちゃんお酒ありったけ持ってこーい!」

良子「ら、ラジャ!」タタタタ

はやり「はぁ…」

健夜「…」

咏「…」

はやり「……咏ちゃん、執事さんとこ、行く?」

最後の行ミス


×はやり「……咏ちゃん、執事さんとこ、行く?」

○はやり「……すこやん、咏ちゃん、執事さんとこ、行く?」


ナチュラルにハブってはいけません

健夜「う、うーん…」

はやり「…」

咏「なんか先の二人見てたらちょっと怖くなってきたんっすけど…」

健夜「私も…こう、振られる恐怖っていうか、それ以前の問題というか…」

はやり「そうだね。うん、正直、私も凄くきつかったよ…」

咏「まあそうでしょうが」

健夜「はい」

はやり「けどね?やらない後悔より、やってする後悔の方が私は良いと思うの」

健夜「瑞原さん?」

はやり「私は、さ。こんな歳になるまで、自分から男の人に『好き』って行くことができなかったから…」

咏「瑞原さん…」

はやり「結局ね。女の子だから、って。いつか素敵な白馬の王子様が来てくれるのを黙って待ってるだけじゃ駄目だったんだ。今更気付いても遅いんだけど」クスッ

健夜(あ。なんだか胸が痛い)

はやり「今時のお姫様は、さ。きっと自分から…」

はやり「自分から魔女の毒林檎を奪って相手の口にねじ込んで、王子様がやってくる前にルートを把握して小人を使って一芝居打って王子様に自分を運命の人だって印象付ける位のアクティビティが必要なんだよ」

咏「アグレッシブ過ぎやしませんかねぇ…」

はやり「だから忙しさにかまけて大事な20代を仕事に捧げちゃ駄目。ちゃんと恋愛も、遊びも、仕事と両立させなきゃ」

健夜「そういうものかなぁ…」

はやり「まあすこやんは私と殆ど変わらないしもう遅いかもだけど…」

健夜「そういうこと言わないで下さい」

はやり「まあ何が言いたいかというと、私達だけこんな惨めな目に合うのは嫌なのであなた達もちゃんと玉砕してくるように☆」

咏「それが本音か!」

健夜「台無しだよ!」

はやり「まあまあ~。ほらほら、次はすこやんの番だよ~☆」グイグイ

健夜「あっ!ちょっと!やめ、わかりましたって!」


健夜「…はあ」スタスタ

ハギヨシ「おや。今度は小鍛治プロですか?」ニコッ

健夜「ど、どうも…」

健夜(さて…何話そ)

健夜「えっと…」

ハギヨシ「はい」ニコッ

健夜「あー…あ、あの…ですね…」カチコチ

ハギヨシ「ふふ。緊張なさらないで下さい」ニコッ

健夜「ひょ!?あ、は、はい…」

ハギヨシ「して、どういったご用件で」ニコニコ

健夜「えっと…」

ハギヨシ「…」ニコニコ

健夜(うー…わ、話題が…話題…う~ん…)

ハギヨシ(先程から入れ替わり立ち代わり、どうされたのでしょう。もしや罰ゲームか何かでしょうか?先程皆さんで順番がどうとかお話されているのも聞こえましたし)

健夜「えと、ですね…あ、その…わ、私、あの、あ、折り入ってですね。あ、その、お話が…」

ハギヨシ(だとしても…お客様ですし、私は別段構いはしないのですが…)

健夜「あ~…あの、あ、ちょっと良かったらですね。あ、その、ちょっとお話をちょっと…」

ハギヨシ(ふふ。ですが…しかしこれはいけませんねぇ)

ハギヨシ「ええ。構いませんよ。そうだ、でしたら私これから丁度休憩時間に入りますので、宜しければ二人きりでテラスの方にでも…」

健夜「ええっ!?」

ハギヨシ(みなさん私のところに来るのに一様に緊張されて…実に嗜虐心が唆られていけない)クスッ

健夜「え?あれ…え?あ、でも、ちょ…」オロオロ

ハギヨシ「どうかなさいました?」ニコッ

健夜「いえ…なんでもございません」パクパク

ハギヨシ「それは良かった。さあ、こちらへ」ポン

健夜「ふえ!?」ビクッ

健夜(か、かかかかかたかたかた肩!?手がふれふれふれ触れ…)

ハギヨシ(皆さんで私をからかおうという趣旨の様ですし、これくらいの意趣返しは許されますよね?)

ハギヨシ「大丈夫。この季節は夜風も気持ちの良いものです。長野の空気は美味しいですよ」スタスタ

健夜「あ、あわ、あわわわわわ…」テクテク

健夜(な、なんだかすっごい大変なことになってきた!!)

はやり「…」

咏「…」

良子「お待たせしましたーって、あれは…」

咏「…これどういう事だい」

良子「あ、アイドンノー…」

はやり「…」

咏「なんであの人あっさり二人でどっかに行こうとしてんすか」

良子「理解不能です」

はやり「…」

咏「…姉御。ご指示を」

良子「…同じく。オーダーを」

はやり「…」

咏「…」

良子「…」

はやり「…良子ちゃん」

はやり「酒。一番強いの」

良子「此処に」スッ

はやり「…」ガシッ

はやり「ゴッゴッゴッゴ…」

咏(一升瓶一気飲み!?)

良子(あ、アンビリーバブル!)

はやり「ぷはぁ…」カラン

咏(一瞬で空けやがった…)カタカタ

良子(アルコールモンスター…)カタカタ

はやり「あのねあのね、みんな☆はやりね☆聞いて欲しい事があるの☆」

咏「は、はあ…」

良子「な、なんでしょう…」

はやり「全軍にオーダーを言い渡す」

はやり「…」クイッ

良子(首を掻っ切る動作!?)

一「お待たせしましたー!それでは、これよりボク…じゃなかった、私こと、龍門渕家に仕えるメイドの国広一による手品ショーを開始いたしまーす!」

一(って、あれ?あそこに居るのは萩原さんと…女の人!?わわわ!肩とか抱いて!やらしーんだー!)

一(あれ、その後で他に何人か後を追うように…?)

一(あーあー。これはバレたら衣がまたグズるぞー)

純「どうしたの国広君」コソコソ

一「あ。純君」

純「なんでこんなタイミングで手品…っていうか技術封印したんじゃ…」ヒソヒソ

一「別にホントに手品やるわけじゃなかったんだけどね…」ヒソヒソ

純「へ?」

一「あー…どうしたものか。計画が崩れちゃったよ…」

純「へ?」

一「うーん、なんとか間を繋がないと。純君お願いできる?」

純「いや、だから何を…」

一「すみません!やっぱり予定変更!今からこの井上純君が一発芸します!」

純「んな!?」

一「ってわけで!後は任せた!ちゃんと会場温めておいてね!」タタタタタ

純「ま、待て、国広君!!」

純(でっかい箱だけ残して行きやがって)

純「…で、どうしろってんだこれ」

テラス

ハギヨシ「さあ、着きましたよ」

健夜「えっと…」オロオロ

ハギヨシ「ふふ。先程から辺りを見回してばかりですね。何かお探しものですか?」

健夜「えっと、その…」

ハギヨシ「そんなに怯えないで。別に怖いことなど何もありませんから」

健夜「あ、はい…」

ハギヨシ「そうです。いい子ですね」

健夜「いい子っ!?」

ハギヨシ「おや、失礼。小鍛治様が余りに少女の様に愛らしくていらっしゃるのでついうっかり」

健夜「あ、あい、あいあい…」パクパク

健夜(あーいあいあーいあい。おさーるさーんだよー…)シュッポー

ハギヨシ(おやおや。からかい過ぎましたかね?)

ハギヨシ「重ねて失礼致しました。妙齢の女性に対して大変失礼な物言いでしたね」ペコリ

健夜「あ、いえ…そんな…」

ハギヨシ「ところで、先程はどういったご用件で?」

健夜「え…あー…」

健夜(ううー。さっきから変な声しか出してないよー…)

ハギヨシ「ふふ。すみません、大丈夫ですよ、ある程度は承知しているつもりです」

健夜「え?あ…ええっ!?」

健夜(えっ!?もしかして私達が執事さんの事狙ってるってバレてる!?ま、まあ当然か。あれだけ立て続けに話しかけに行ったんじゃ…)

ハギヨシ「ですが余り感心しませんよ?」

健夜「す、すみませ…」

ハギヨシ「幾ら職務中の人間が相手とは言え、美しいお嬢様方で男性をからかうような事をされては。万一のことを考えませんと」

健夜(あれ、ちょっと認識に違いあり?)

ハギヨシ「例えば、何の抵抗もなくこうやって人気のない場所に連いてくるなど…不用心ではありませんか」

健夜「え…」

ハギヨシ「この場で私に襲われる可能性は…考えていませんでしたか?」

健夜「えっと…」

ハギヨシ「…」

 




健夜「…襲う、ん、ですか?」




 

健夜(な、何馬鹿なこと言ってるの私!)

ハギヨシ「…」クスッ

健夜(あ、ほら!執事さんも笑ってるし!)

ハギヨシ「そうですねぇ…」

健夜「…」ドキッ

ハギヨシ「どうしましょうか…」スッ

健夜(え…あ、あれ…な、なんだか近づいて…ない?)ドキドキ

ハギヨシ「…ねえ、どうすればいいと思いますか?」ジッ

健夜「あ…」

健夜(綺麗な瞳…深くて、吸い込まれそうな…)

ハギヨシ「小鍛治さん」スーッ

健夜「え、ちょ、ま…」

健夜(ち、近っ!?近い近い近…)

健夜(え、でもでも、あれ、これはその、でも私の望んでた結果であるようなでもこんな筈じゃあれでもこれ拒否したら駄目だよね

    でも怖いようないけないことしてるような心臓の音がうるさくて胸が苦しくて痛くて切なくていやだけどいやじゃないようなでも
    でもこういうことはちゃんとお付き合いして段階をちゃんと踏まないといけないのにでもこれが大人の恋愛なのかもって思ったらドキドキして…・)

健夜「や…」

健夜(やだぁ…)

健夜(でも、止められるのも、少しだけ、やだ…)

健夜(怖いのに、でも、その先を見たい…ような…)

健夜(私が私で無くなっちゃうような…ううう…でもやっぱり怖い怖い怖い怖いー。こんなの聞いてないよこーこちゃん。私もう帰りたいよー…)

健夜「うー…」ポロポロ

ハギヨシ(おやおや。まあ、このくらいにしておきましょうかね)

健夜「…」ポロポロ

ハギヨシ「失礼」スッ

健夜「え…?」

健夜(涙を…指で掬われた?)

ハギヨシ「戯れが過ぎたようですね。泣かせるつもりは無かったのですが。申し訳ございませんでした」

健夜「あ、え…」

ハギヨシ「泣いている初対面の女性の唇を奪うほど、私も鬼ではありませんよ。ですが、今後はこういった事も起こりかねますので、容易に男性の誘いを受けられないほうが安全かと」

健夜「あ…」

健夜(よ、良かったぁ…)ペタン

健夜「あ、あれ?」

健夜(あ、安心したら腰が抜け…)

ハギヨシ「おっと、大丈夫ですか?お手をどうぞ」

健夜「あ、あはは…面目ありません」

ハギヨシ「いえ。悪いのは私ですので。度が過ぎました。誠に申し訳ございません。この埋め合わせはなんなりと」

健夜「…」

健夜(…なんか、ちょっと良い感じ…かも?)

健夜(だったら…)

健夜「そ、そうですか?」

ハギヨシ「ええ」

健夜(こ、今度、デートとか誘っちゃったり、とかも許され、る…?)

健夜「も、もし、その、し、執事さんが良ければ、なんですが」

ハギヨシ「はい」

健夜「あの、えっと…」

健夜「今度私とデー…」


はやり「」

咏「」

良子「」


健夜「っ!?」ゾワワワッ


ハギヨシ「小鍛治様?」


健夜(殺気!?)

はやり「  」パクパク


健夜(こ・ろ・す?何言ってるの瑞原さん!?さっき煽ったの貴女じゃ…)


咏「   」パクパクパー


健夜(裏切り者…って、知らないよ!私が腕相撲で3番目だっただけじゃない!)


良子「   」プップクプー


健夜(わかんないよ!!)


はやり「…」スッ


健夜(瑞原さん、何ですかその、私に向けられた人差し指は…)


はやり「少し…」スッ

はやり「頭冷やそうか」ニコッ


健夜(目が笑ってない…)

ハギヨシ「おや。皆様お揃いで」ニコッ

はやり「うぐ…」ピクッ

咏「むう…」

良子「シット。…これは嫉妬に掛けた高度なギャグではありません」

健夜(あ。でもこれなんとかなる。今ここには執事さん居るし。だったら瑞原さん達も下手に私を突いて来れないはず…)

はやり「ぐぬぬぬぬ…」

健夜(よ、よーし。予想通り)ソソクサ

ハギヨシ「おや、どうかなさいましたか?小鍛治さん、私の服の袖など掴まれて」

健夜「いえ。お気になさらず」ギュッ

はやり「ひぎっ!」ビキィッ

健夜(や、やーい!やーい!執事さんがいれば、みんななんか怖くないもんねー!)

はやり「ぐぎぎぎぎぎぎぎ…!」ギリギリギリ

咏「こ、ここに来てあの人まで黒くなりやがって…」ギリギリ

良子「やはり私との7年の人生経験の差は大きいですか…くっ、やはり甘く見てはいけなかった!」

健夜「と、とりあえず会場に戻りましょうか!」

ハギヨシ「畏まりました。それでは皆さん、ご一緒に参りましょうか」

はやり「はーい☆そうですねー☆」ギロッ

健夜(こわっ!?け、けど人の多いパーティー会場ならみんなもなんにもしてこないはず…)

健夜(っていうかやっぱり理不尽だよねこれ!!)

健夜(う~ん。なんだか後が怖い気もするけど、ここはなんとか逃げ切るしかないような気がする。私の直感もそれが良いって言ってるし)

健夜(あとはどうやってパーティー終了までみんなの殺意から逃れるかだけ考えて…)

健夜(あ。でも執事さんから連絡先くらいは聞いておかないと)


一「あ~!萩原さんこんな所にいたー!」

健夜「!?」

はやり「あれ?この子、さっき会場案内してた…」

良子「ホントですね。何かあったのでしょうか?」

ハギヨシ「どうかしましたか国広さん。会場のイベントは貴女の仕切りでしょうに」

一「そうだけど!ハギヨシさんが居てくれないと意味が無いじゃないか!」

ハギヨシ「それは初耳ですね。第一、貴女がイベントをやる、という以外の情報は私の耳に届けられていないのですが。…敢えてそうしたのでしょう?」

一「うぐ…そ、それはそうだけど。でも萩原さんがイベント中に抜け出すなんて思ってもみなかったじゃないかー」

ハギヨシ「はあ…」

一「とにかく、来てよ!色々待たせてるんだ!早く早く」グイグイ

ハギヨシ「わかりましたからそう急かさないで下さい」

一「間を持たせるために純君に一発芸で頑張ってもらってるんだ!」

ハギヨシ「それは大変だ。すぐに行きましょう」

健夜「えっと…」

ハギヨシ「という訳ですので、小鍛治様。そしてご友人の皆様。大変お見苦しいところをお見せいたしましたが、仕事が出来てしまいました」

健夜「えっ」

ハギヨシ「野依プロの件もございますし、仕事の方が済み次第此方からご挨拶に伺いますので、埋め合わせは一段落付いた後でご了承下さい」

健夜「あの、ちょっとま…」

はやり「仕事じゃしょうがないね~☆」ガシッ

咏「早く行ってあげなー」ガシッ

良子「我々一同、楽しみにお待ちしておりますので」ガシッ

健夜「ぐえっ」

ハギヨシ「ありがとうございます。それでは一旦、これにて」シュッ

健夜「行っちゃった…」

良子「さて…」

咏「ねえ小鍛治さん…」

はやり「何か言い残すこと、ある?」ニコッ

健夜「…すみません」

良子「…」

咏「…」

はやり「…」

健夜「キスされそうになっちゃいました」テレッ

咏良子はやり「「「死ねぇえええええええ!!!」」」

健夜「いや、でも本当にですよ!?キス一歩前まで行ったんですって!ほんとに!」

はやり「ぐぬぬぬぬ…この期に及んで自慢とは…」ワナワナ

健夜「でも私が怖がってたらちゃんと止めてくれたし。わかるかなぁこの大事にしてもらってる感覚」

健夜「きっと、二人の想いをゆっくり育んでいきたいっていう私の気持ちをちゃんと察して汲んでくれたんだよ」

健夜「あとでまた来てくれるって言うし、私を泣かせた責任もちゃんと取るって言ってくれたし、ああ、思った通り誠実な人だなぁ」

良子(なんでしょうこの人)

咏(急に経験者っぽい事言い始めたぞ)

健夜「つまり何が言いたいかというと、ここで私に何かあったら萩原さんにバレちゃうんだからね!」フンスッ

はやり「…」

良子「…」

咏「…」

健夜「…って言うことで、どうかこの場は納めていただけませんでしょうか…」ペコリ

咏(今度は急に下手に出始めた)

良子「ううん。必死ですねぇ」

はやり「ふう…」

          |       |                                 ‘,          ’
.        |.      |               ,:                    ‘,         ‘
.         |      | /              /            -‐======‐-‘,       ,
       |       :/               /                       ‘,       ′
        |      /               /       /         _    -‐===‐- ‘,       ‘
        |    /         -‐‐′ミ ,. -‐く  ()     ≪           ‘,      :
        |   -‐……‐-ミ ___/ ,.:'¨¨¨¨゙'くく   }___,,.. '´     ``丶、         ‘,      i
        | . /      () / / や. :   (( }__,ノノ¨¨¨二ニ=‐-ミ    ``丶、     ‘,     |
        | { /二ニ冖¬=r; { {フ }; i   //¨¨´           ``丶、      ``丶、‘,     |
        | ,//    / ,乂_{ {_ノ  |   //                  ``丶、    「 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄}
        | {/   /.     乂______l__彡'    _________             ``丶、 |  r──┐ ‘,
        | ,/  /.           /¨¨¨¨¨¨¨¨⌒\     \¨¨二ニ=‐-ミ____     |  | {{::}} |.  ‘,
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.        / /く/ /     │ /         / ̄{ ̄}        \    /.    \ |__{{ }}──rァ'′
      ,′/   /         | /______/     }/         ___}  { _____     \  }}_{{    ‘,
       {/     / _____,  | {      \       {_______/\)   (___| \___厂} {{__}}.    ‘,
      /    ///     )_丿 \     \             `¨¨¨¨¨´     \} }}__{{.     ‘,
      ,′   ( /     (________丿        ':, 、                          `{{__,}}    ‘,
       ___)′             /  ′`;r‐-  ...,,___,,...              }}__{{.      ‘,
.      { / |                 . : '゙    ‘, !                      {{__}}     ‘,
     (   |         __,,..               ___,                         Y Y‘,     ‘,
     {__) . |                         : ′                       ├ノ ’     ‘,
    (    |                      i ′                    | |.  ‘,     ‘,
     `¨て」                           l   ,                         | |.    |’    ‘,
                                  |  ‘,                        | |    } | | | i |
.         |                      |   ,                     | |    } | | | | |
.        |                       |     \                    | |    } | | | | |
          |                        |      \                   | |     ノ. | | | |
         |                         |.         \                   | |.      し:し:し

会場

純「え…っと、それじゃあ今度は、一発芸その12-。手を使わずに耳をヒクヒクさせます」

純「…」ヒクヒク

純「…以上でしたー」

シーーーーン

純(泣きたい)

純「で、では次の一発芸ー…あー…左の人差し指の第一関節だけを曲げます」

純「…」クイッ

純「…」

シーーーーーーーーーン

純(国広君早く帰って来てくれーーーーーーーーーー!!!)

純「では、次ー…えーっと…」

ハギヨシ「これは…予想以上に…」

一「冷え冷えだね…もう夏だっていうのに冷やしとーかさえ凍死しそうなこの会場の惨状を見てよ」

純「お前ら!!」

一「もう!純君の馬鹿!なんで温めておいてって言ったのにこんな有様なのさ!これじゃあイベント時間ずらした方が良かったよ!」

純「うるせえ!俺これでも頑張ったんだからな!?一生分の一発芸もうやったぞ!」

一「絵でも描いて当てっこゲームでもすればそれ一つでドッカンドッカン受けたはずなのに!」

純「俺に晒し者になれって!?」

一「今とどう違うんだよ!」

一純「「ぐぬぬぬぬ…」」

ハギヨシ「まあまあ。ここでそんな不毛な話をしても仕方ないでしょう。それより国広さん。本来のイベントはどのような?」

一「うーん…この会場の冷えっぷりだとなー…」

純「チクチク攻撃してきやがって。もういいよ俺が悪かったから…」ハァ

ハギヨシ「さて、どうしたものか…」

一「うーん…こうなったら一か八かやるしかないかなー」

純「やるって、何を」

一「…うん。やろう」コンコン

純「ん?さっきの…でっかい箱?」

一「はーい。皆さんご注目ー。すみません寒い中。これ終わったらあったかい飲み物でも用意させますので」

限界なので寝るます

その頃、休憩用の部屋の一室

理沙「くぅくぅくぅ…」

理沙「ん…」モゾッ

理沙「ううん…」モゾモゾ

理沙「…ふあ」

理沙「…」パチ

理沙「ねむねむ…」コシコシ

理沙「…?」キョトン

理沙「…」キョロキョロ

理沙「…みんな?」

理沙「どこ」

理沙「…」ウルッ

理沙「みんな!」

理沙「どこ!」 =3

理沙「探す!!」 =3

   (⌒)_              _(⌒)
  (⌒  )   -‐…‐-    (  ⌒)
   `¨ヽヽ/ .::::::::::::::::::::::::::.`  〃`¨´
     . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ

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    /.:::::::::::〃  | :::::::::::::::::::::::::::::::::::.
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   .:::::::::::::/     |:::::::::i:| i::| ::::: |:::::::|
   |:i:::::::::: ≧ト廴ト、::: 仏斗匕、 :}:::::::|
   {:| ::|:::::|乍≧ミ  `¨ィ≦斤|`′:: |
   ゞ ::|:::::|: 辷ソ      辷ソ |:: |::::: |
   |::::| ::::. ハ//  ,   ハハ/, ::: |::::: |
   |::::| :::::ハ     __r     .イ:::::|::::: |
   |::::| ::::i::::> .   `  イ::::|:::: |::::: |
   |::::| ::::|:::::::r‐| ≧≦ |‐、 |:::: |::::: |

   |::::|i :::{/ {人     人} .':::::,′:::|
   |::::j|::八!   \\.// /.::/ニ‐ ::l
  -≦八廴≧   \/ ≦彡'|ニニニニ`ヽ
 ニニニニニ二|/二\|/ニニ\!ニニニニ

シクシクシク

理沙「?」

理沙「泣き声?」ソーッ


衣「うううー。衣は認めないぞー!ハギヨシの裏切り者めー!」シクシク

透華「いい加減に認めてあげなさいな衣」ナデナデ

智紀「何も萩原さんが仕事を辞める訳ではない」ナデナデ

衣「二人で寄ってたかって撫でるなー!」

透華「…」ナデナデ

智紀「…」ナデナデ


理沙「?」キョトン

はやり「まあいいや。それじゃあそろそろ私達も会場に戻ろうか」ニューン

咏「そっすね」プニプニ

良子「了解」モミモミ

健夜(みんなで寄ってたかって人のほっぺたいじくり回して…)ヒリヒリ

はやり「さっき会場出る前に何かイベント始まりそうだったし、実はちょっと気になってたんだー☆」

咏「んじゃとっとと戻りましょー」

一「国広一の手品ショー。こちらのおっきい箱の中には…」

ハギヨシ「…」

一「みなさん何が入っていると思いますー?」


一「うーん。色々聞こえて来ましたが、皆さん残念!正解はこの中にはありませんねー」

ハギヨシ「…」

一「それじゃあもう一人くらい聞いてみましょうか!おっ!丁度良いところにイケメン発見!そこの執事のお兄さん!この箱の中身…なんだと思います?」

ハギヨシ「…知りませんよ」

一「もー!それじゃあお遊びにもならないじゃないか!ダメ元でもちゃんと答えてよ!」

ハギヨシ「…その大きさなら、人でも入っているのではないですか?」

一「はい、残念不正解~~~~!!」ニコニコ

ハギヨシ「…」

一「正解はーーーー…」

はやり「あ。ちょうどやってる」

咏「ほんとだ。あの箱の中何入ってるんすかね」

良子「手品ですか。うーん、箱の中身はなんでしょう」

健夜「…」


一「カツ丼でしたーーーーー」カパッ


はやり「ずこー☆」

咏「散々引っ張ってそのオチかい」

良子「信じられません」

健夜(あれ?何か嫌な予感が…)


ハギヨシ「…」ピクッ

一「いひひひ…」ニヤニヤ

ハギヨシ「国広さん。貴女まさか…」

一「因みに萩原さん、このパーティーの趣旨覚えてるよね?」

ハギヨシ「…ええ。把握しております」

ハギヨシ「このイベントに関して私が把握していなかった事といえば、このイベントに関してだけ、というくらいに把握しきっているつもりでしたが…」

一「なんだかごめんね?だけど、これくらいやらなきゃ萩原さん踏ん切り付かないかもだし」

ハギヨシ「…」

一「はい!そしてこのカツ丼がどうなるかというとですね~~~~~~!」

靖子「ああ、なんだかいい匂いがするなぁ」クンクン

一「はい!国広マジックー!なんとあの藤田靖子選手が来てくれましたーーーーーーーー!!拍手ーーーー!!!」


はやり「靖子ちゃん!?」

良子「なんであの人が…」

咏「カツ丼の匂いで召喚されたか」

健夜「あれ~~~~?」

まさかの大勝利なのか
http://i.imgur.com/wgr2Juz.jpg

衣「ううううー!それもなんでよりによって…」イジイジイジ

透華「いいじゃないですか知らない仲でも無いんですし」ナデナデ

智紀「それに、前々から衣が望むなら養子に来いって言ってくれてる」ナデナデ

衣「あんなゴミプロなんかに~~~~~~~~~~~!!」ウガーーーーーー!!



一「彼女にね。相談されたんだ」ヒソヒソ

ハギヨシ「相談…ですか」

一「何時まで経ってもプロポーズしてくれないって」ヒソヒソ

ハギヨシ「…」

一「だから、透華の提案でね?ならいっそ逃げ場の無い状況を作って逆にプロポーズしてしまいましょうって」ヒソヒソ

ハギヨシ「ですが、衣様が…」

一「そっちの方は今透華達が説得してるから」

ハギヨシ「…」

一「なんだったら、いっそホントに養子にしてみる?」ニヒッ

ハギヨシ「…はぁ」

靖子「やあ。昨晩ぶりだね」スッ

ハギヨシ「…どうも。靖子さん」

靖子「というわけなのだが」

ハギヨシ「…まさか黙ってこんな事を企んでらしたとは。脱帽です」

靖子「ふふ。お前を出し抜いてみたかったんだよ」

ハギヨシ「我が恋人ながら恐ろしいことで」

靖子「御し難い女は嫌いか?」

ハギヨシ「いえ…他ならぬ貴女ならそれも一興」

靖子「なら良かった。執事さん、この後ダンスパーティーになるらしいので、一曲踊ってはくれまいか」

ハギヨシ「わかりました。喜んで、お嬢さん」クスッ



はやり「…」

咏「…」

良子「…」

健夜「なにこれ」

靖子「他の許しは全て得た。あとは衣の許しが出たら結婚しよう」

ハギヨシ「是非もありません」

一「はい!ここでカップルが一組成立しましたー!拍手ーーーーーー!!」

一「まあ、最初から付き合ってたのは僕らも知ってたんですけどねー。ほら、正式に婚約って意味で」

ワーーーーーーーーーーーー!!!


はやり「…」

咏「…」

良子「…」

健夜「…」

理沙「みんな」ヒョコッ

良子「あ。野依さん」

理沙「どしたの?」キョトン

咏「…」

はやり「…」

健夜「…」

健夜「」ガクガクガク

咏「うわっ!?小鍛治さんが一人だけ地震起きてるみたいに揺れ始めた!?」

良子「エクソシストっていう映画でこれ見ました」

はやり「ふひっ!ふひひ。ふはふほほふふっへうふほあふはうsでゅあふほえ」

咏「こっちも壊れた!?」

理沙「二人、怖い!」 =3

はやり「え?なにこれ?これってつまりそういうわけ?このパーティ自体、本当の目的は靖子ちゃんとあの執事さんをくっ付けるのが趣旨だったわけ?」

良子「しかもサプライズです」

咏「元から恋人っぽい発言もしてましたねー」

健夜「そ、それじゃあさっきの私のアレは本当にからかわれただけ…」

良子「…っぽいです」

健夜「」パクパクパク

理沙「小鍛治さん酸欠?金魚!」 =3

咏「あ~…窒息しそうな表情ではある」

はやり「な、納得いか~~~~~~ん!」

良子「おや。シックな音楽が流れて来ましたよ?」

咏「さっき言ってたな。ダンスの時間だ」

良子「次々と男女が手を取り合って踊り始めていますね」

咏「ちょっと一般人には敷居高くね?あー…でも金持ち主催だったな。その辺の感覚ずれてそう」

理沙「踊り!?出来ない!」 =3

良子「いいんですよ。適当な振り付けしてれば」

咏「どーすっかねー。適当な余ってる男見つけて踊ってもらいます?瑞原さん、小鍛治さ…」

はやり「ええじゃないかええじゃないか~。それそれそれそれ~」

健夜「鰊来たかとたかとカモメに問えば~」

咏「嫌がらせのように珍妙な踊り始めやがった…」

良子「でもちょっと面白そうです」

理沙「踊り知ってるの思い出した!」

良子「おや。野依プロ。どんな?」

理沙「ジェンカ!」

良子「…そういえば学生時代やった記憶があります」

理沙「やる!肩!」 =3

良子「あ、はい…」

理沙良子「「」」ピョン ピョン

咏「カオス…」

良子「中々楽しいですよこれ!三尋木プロもどうです!?」ピョン ピョン

咏「う~ん…」チラッ

咏(普通の男女は見様見真似でもフォークダンスっぽいのしてるのに…)チラッ

はやり「ラジオ体操第2ー!」

健夜「まずは足を開いて深呼吸ー」

理沙良子「「~♪」」ピョン ピョン

咏(ダメだこれ)ガックシ

恒子「あちゃ~…やっちゃったねこれ」コソコソ

咏「え?こーこちゃん!?」

恒子「やっほー」ピース

咏「な、なななな、なんでこーこちゃんが。週末は仕事っつってたじゃんか…」

恒子「あ~…うん。言い難いけど、仕事で来てましゅ」

咏「仕事…?」ピクッ

恒子「うん。えっとね?つまりね?今度の番組のスポンサーの龍門渕家の当主さんがね?」

咏「…」

恒子「煮え切らない自分とこの執事さんと、地元のスターの一人である藤田靖子選手の婚約を、さっさと外堀埋めて成立させたかったんだって」

咏「…っていうと…」

恒子「本人同士はもう愛し合ってるの確定だから?誤魔化したりお茶濁したりし切れない状況のセッティングに腐心して…なんとパーティー開いてテレビまで呼んじゃいましたー」

咏「待て」

恒子「ちなみに生放送。パーティ自体は正規のものだから、みんなはちゃんと良いパートナー探してくれてれば良かったんだけどねぇ~…」

咏「待て。待て待て待て待て待て待て」

恒子「…」

咏「どこからだ」

恒子「…あ、あは…」

咏「どっから放送してやがった」ズイッ

恒子「…」

恒子「いやぁ奇遇だねぃ~。まさか小鍛治プロまでここに居るとは」

咏「最初からかよ!!?」

恒子「だってだってー!5人もトッププロが居るんだよ!?あんたら中心に回してったほうが数字取れんじゃん!!」

咏「鬼か!視聴率の鬼め!!」

恒子「しらんがな!なんでアンタら揃いも揃って、よりによってあのお兄さんとか行ったのさ!お陰で裏方みんなしっちゃかめっちゃかだったんだからね!そのせいで私も今までここに来れなかったし!」

咏「うがーーーーーーーーーーーーーーーー!!」グイッ

恒子「きゃっ!?」

咏「お前らー!なんもかもすべて、今回はこーこちゃんが主犯だぞー!!」

はやり「」ピクッ

健夜「」ピクッ

良子「」ピクッ

理沙「?」キョトン

恒子「へ?え?な、何?」

はやり「しゅ…はん…」ジリジリ

健夜「こーこ…ちゃんのせい…」ジリジリ

恒子「ちょ、ちょおっとぉ?み、みなさんなんだか怖いでありますわよ?」

はやり「」ガシッ

健夜「」ガシッ

良子「」ガシッ

咏「」ガシッ

理沙「?」ガシッ

恒子「な、何さスクラム組んで…え、ちょ、なんで私を囲むの?」

はやり「マイムマイムマイムマイム」グルグル

良子「ミィマイムベッサンソン」グルグル

健夜「マイムマイムマイムマイム」グルグル

咏「ミィマイムベッサンソン」グルグル

理沙「!マイムマイムマイムマイム♪」グルグル

恒子「ひい!?こいつら人囲んでマイムマイム踊り始めやがった!!」

はやり「もうここまでお茶の間で恥かかされたんじゃしょうがねぇ!こーこちゃん!アンタも色物集団の仲間入りだーーーー!!!」

恒子「いやああああああ!!私はアラサー前に結婚したいーーーーーーーーー!!」

健夜(そして数日後)

健夜(私の元に、一通のダイレクトメールが届いておりました)

健夜(結婚式の招待状)

健夜(靖子ちゃんから)

健夜(しかも恐ろしいことにジューン・ブライドであります。婚約から1月以内で結婚式って、どんな権力だ)

健夜(あれから瑞原さん達には会っておりません)

健夜(靖子ちゃんは…婚約以来、麻雀でも絶好調で…なんと今のところ負けなしが続いております。それだけ恋人の存在が力になっているんですね)

健夜(けど…)

健夜「…」ピッポッパッ

健夜「…あ。瑞原さんですか?お久しぶりです。小鍛治です」

健夜「ええ。ええ。今回は靖子ちゃんの結婚式の件で」

健夜「はい。私は出席しようと思っています。ところでご相談なんですが…」

健夜「はい。三尋木プロも誘って。一緒に行きませんか?ええ。それで、友人代表としても出し物とか…ええ」

 









健夜「それで出し物の内容なんですが」









 

 











健夜「私達が友人代表として、花嫁と4人で雀卓を囲むというのはどうでしょうか」

はやり『採用☆』











 

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/ や 考 ',  ̄二二 ‐-      -‐ 二二|   ん
l  め え |‐┬─┬-、       ,-┬─┤  か
|  た る |  廴_ノ_            廴,ノ|  も
l.    の レ                  人  う
ヽ       / 〃        i       〃 ` ー ´


         ┼ヽ  -|r‐、. レ |
         d⌒) ./| _ノ  __ノ

 

因みに新郎はドSなので花嫁がボコられるのを楽しそうに見てたそうです
その分夜は盛り上がったそうですが

保守とレスありがとうございました

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