アッキー「わんわん」ヒョウ(……)(22)

◆アッキーさんとヒョウくんのSSです。
◆コレジャナイ感に見舞われると思います

アッキー(今日は飼い犬の休日。愛想を振り撒かなくても良い日だ。何の幸運かご主人様までいない。ケージにも入れられてない。広い事務所をふらつきながら、1日を過ごすかな)

ヒョウ「……」

アッキー(ああ、あいつも今日は休みなのか。お互い大変だな。あいつはケージの中みたいだがな)


ヒョウ「……」ガチャガチャ

アッキー(ん、あいつ出たいのか)

ヒョウ(ああ、出たいさ)

アッキー(!!)

CALL!! CALL!!

アッキー「わん!(オタコン!!イグアナが喋ったぞ!!)」

晶葉『犬が話すのも大概だと思うが』

アッキー「わう(そういうことを言ってるんじゃない!!)」

晶葉『まあ、君の小型通信機を勝手に改造したことは認めよう』

アッキー「わん(で、何をつけたんだ?)」

晶葉『まあ、テレパシーで他の動物と分かりあえる装置だ』

アッキー「わう(俺とも分かりあえないのに大層な装置を作ったな、オタコン)」

晶葉『優秀な科学者だろう、私は』

アッキー「わん(高性能過ぎて使えないからな)」

晶葉『まあ、君が進化するまで待つ必要もないだろう』

アッキー「わん(至極最もだ。だから放っておいてくれ)」

ヒョウ(なあ、アンタ。ここから出してくれないか)

アッキー「わう(それは出来ない)」

ヒョウ(結局はアンタも戦えない臆病者って訳だ)

アッキー「わん(ああ、そうだな。だから、そこで休日を過ごすといい)」

ヒョウ(アンタはボクがここから出られないから頼んでいる、と思い込んでいる)

アッキー「わふ(違うのか?)」

ヒョウ(信じるの、はまだ早い)

アッキー「わん(出るだけなのに大層な演出をする)」

ヒョウ(なあ、アンタ。アンタはさ、運命って信じるか?)

アッキー「わん(ああ、ご主人と出会った運命を呪ってはいる)」

ヒョウ(ボクには運命などはない。無知と恐怖にのまれ足を踏み外した者だけが、運命と呼ばれる濁流にのまれるんだ)

アッキー「わん(ことわざか?生憎だが、俺に学を問うのは見当外れだ。なあ、オタコン)」

晶葉『どうだかね。君の方が生き方に詳しそうだ』

アッキー「わん(で、だ。何か用か?)」

ヒョウ(アンタを倒しに来た)

アッキー「わん(何を言っているんだ?)」

ヒョウ(戦いこそすべて、かな)

アッキー「わん(戦いなんて避けるべき事項の一つなんだがな)」

ヒョウ(退けば老いるし、憶せば死ぬ)

アッキー「わん(臆病者の方が長生きするんだがな)」

ヒョウ(逃げるの?)

アッキー「……、わん(……、逃げないさ。男だからな)」

ヒョウ(その意気や、よし)

晶葉『早まるな!!ケガなどし……』

アッキー「わん(悪いが切らせてもらう)」

ヒョウ(来てもいいんだよ)

アッキー「わん(悪いが、ケガをさせないようにしなきゃならん。友人たってのご希望でな)」

ヒョウ(強い言葉を使うと弱く見えるよ)

アッキー「わん(自分の錯覚を相手に教える奴にはまける気はしないさ)」

ヒョウ(……っ!!)

アッキー「わう(男は強さに憧れる。かつては俺もそうだった)」

ヒョウ(憧れというのは理解から最も遠い感情だよ)

アッキー「わん(まったくだな)」

ヒョウ(この勝負……、ボクが勝つ!!)

アッキー「わん(やれやれ、どの生き物も子どもの相手は大変だ)」

ヒョウ(……、ガキ扱いするなよ)

アッキー「わん(してないさ。それとも自分がガキとでも思っているのか?)」

ヒョウ(図に乗るなよ……)

アッキー「わう(男は強さに憧れる。かつては俺もそうだった)」

ヒョウ(憧れというのは理解から最も遠い感情だよ)

アッキー「わん(まったくだな)」

ヒョウ(この勝負……、ボクが勝つ!!)

アッキー「わん(やれやれ、どの生き物も子どもの相手は大変だ)」

ヒョウ(……、ガキ扱いするなよ)

アッキー「わん(してないさ。それとも自分がガキとでも思っているのか?)」

ヒョウ(図に乗るなよ……)

ヒョウ(ボクは思うんだ。守りたいものを守る強さが欲しい、って)

アッキー「わう(そうだな)」

ヒョウ(そして、君は彼女を傷つけるかもしれない)

アッキー「わん(お宅の姫様に噛みつくほどしつけがなってないわけじゃない)」

ヒョウ(絶対はない。彼女が彼を愛する限り)

アッキー「わん(なるほどな)」

ヒョウ(だから、ボクは戦うんだ!!)

アッキー(!!)バッ

アッキー(こいつ……、躊躇なく俺に爪をたてやがった。少しかすったが、ケガはしてないようだ)

ヒョウ(ボクは、この爪が嫌いだ。だって、命を刈り取る形をしているだろう)

アッキー「わん(命ねぇ……)」

ヒョウ(こうやって、戦ってると思うんだ。どいつもこいつもぶっ壊れちまえ、ってね)

アッキー「わん(お前は一匹ででかくなった訳じゃない。壊れたら、取り返しのつかないことも多い)」

ヒョウ(御託はそこまで、かな)

アッキー(クソッ……、机が邪魔で次の攻撃が避けられないか……)

ヒョウ(この世の全てはあなたを追い詰めるためにある)

ヒョウ(これで終わりだ!!)

アッキー「わん!!」

ヒョウ(なっ……、机を利用した三角飛び……だと……)

アッキー「わん(戦いは現地調達が基本だ。ましてや、いつも見ている事務所。利用する方法はいくらでもある)」

ヒョウ(なん……だと……)

アッキー「わん(返してやろうか。「信じるのは、まだ早い」)」

ヒョウ(……っ)

アッキー「わん(男の戦闘は格闘だ。始めようか)」

ヒョウ(望むところだ)

アッキー「わん」ヒュッ

ヒョウ(ぐっ……、体当たりを食らったか……、だけど……、まだ……)

アッキー「わんわん」
ドッドッ

ヒョウ(足が体に二発も……、これが……、実力の差か……)

アッキー「わん(いや、もっと大きいものの差だ)」

ヒョウ(なぜだ……、なぜ勝てない……)

アッキー「わん(さあな、まだやるかい?)」

ヒョウ(実力が足りないのか……、経験が足りないのか……)

アッキー「わん(お前と俺が戦う理由は違う)」

ヒョウ(そうか……)

アッキー「わう(これが最後の一撃だ)」

ヒョウ( 心 か……)

ヒョウ(小春ちゃん……、ボクは死んじゃうかも……)

ヒョウ(ボクは着いていけるだろうか。君のいない世界のスピードに……)

ヒョウ(ボクはただ、君にさよならを言う練習をするよ……)

ヒョウ(……)

アッキー「わう(外したか、年はとりたくないものだな)」

ヒョウ(なぜ……)

アッキー「わん(最初に言ったはずだ、友人たっての希望だ、と)」

ヒョウ(そうか……、負けちゃったんだ……)

アッキー「わう(これで、遊びも終わりだ。さっさとケージに戻ってお姫様が帰るのを待つんだな)」

ヒョウ(そうだね……)

ヒョウ(……、なんでこんなに差があるんだろう……)

アッキー「わん(まあ、ガキに負けるような人生を送っていないだけさ)」

CALL!! CALL!!

アッキー「わん(オタコンか?)」

晶葉『早まった真似はしてないだろうな』

アッキー「わう(友人の希望には沿ったつもりだ)」

晶葉『ヒョウは無事か?』

アッキー「わん(俺の言うことを疑うのなら無事ではないんじゃないか)」

晶葉『そうか……、よかった』

アッキー「わん(それで、用はそれだけか?)」

晶葉『ああ、後は優が迎えに来るくらいで……』

アッキー「わん(それが一番重要じゃないか!!)」

優「アッキーただいまー」

アッキー「わん(助けてくれ、オタコン)」

晶葉『私は忙しいんだ、オーバー』

アッキー「わん!!(オタコーン!!)」

優「アッキーぎゅーっ!!」

アッキー「わん(やめてくれー!!)」

ヒョウ(こんな関係なのに、ずっとアッキーは優さんを守り続けている)

ヒョウ(変わらぬものが心だと言えるならば、それが強さなのかもしれない)

ヒョウ(彼の忠誠心という心の強さ。変わらない強さ)

ヒョウ(ボクも小春ちゃんを守るという変わらない心があれば、あんな風に強くなれるのだろうか……)

優「アッキー!!」

アッキー「くぅーん(く、苦し……)」

ヒョウ(小春ちゃん、遅いな……)


ヒョウは知らなかった。小春に伸びる魔の手があることを……。アッキーとヒョウは協力し小春を救出に出かけるのであった。でも、これはまた別のお話。

今回のアッキーさんのお話はここまでです。次回は恋愛戦争編か小春ちゃんの救出劇を書きたいと思います。
読んで下さった方々ありがとうございました

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