アニ「くだらないね」(58)

――――格闘術訓練中。



エレン「アニ、俺と組もうぜ」

アニ「なんだい。蹴られるのは痛いから、イヤだったんじゃないの?」

エレン「ああ。嫌だけど、技術は知りたいからな。やりながらでも学ばせてくれ!」

アニ「……はぁ」

エレン「なんだよ、ため息なんかついて」

アニ「別に」

エレン「?」

アニ「前も言ったと思うけど、こんな訓練に本気になっても何も意味がないことぐらい、わかってるんでしょ?」

エレン「ああ。確かに、この訓練は直接巨人を倒すためには不必要なものだ」

エレン「けど、俺は兵士だ。だから、何があっても何に対してだって、戦えるようになりたい」

エレン「だから、お前の技術を身に着けたいんだ。ダメか?」

アニ「……くだらないね。それなら、今度説明書でも書いてあげるから、勝手に学びなよ」

エレン「え? お、おい! アニ!」

エレン「え? お、おい! アニ!」

エレン「いっちまった……ったく、結局あいつもサボりたいだけか?」

エレン(幼稚な遊びにしか思えない無駄な訓練が、楽しくねえのはわかるけどよ……。
    あんな怖ぇ面しなくたっていいじゃねえか)

エレン(……そういや、あいつの怒った顔は見たことあるけど、笑った顔とか見たことねぇな)

エレン(そもそも笑えるのか? あいつ)





――――食堂にて。

ミカサ「アニの笑った顔?」

エレン「ああ。女同士なら、どーかなって思ったんだけど」

ミカサ「……ごめん。記憶にない」

エレン「まぁ、お前だとそうだろうな」

ミカサ「…………これでも、私はアニとよく話す方」

エレン「え? そうなのか?」

ミカサ「そこまで多くは話さない。けど、同期の中ではかなり多いと思う」

エレン「そうか……。じゃあ、誰も見たことねーんだろうな」

ミカサ「たぶん」

エレン「…………なあミカサ」

ミカサ「なに?」

エレン「誰なら出来ると思う?」

ミカサ「? アニを笑わせられる人ってこと?」

エレン「ああ。俺は無理だろうし、ミカサでもダメなら他に誰なら適任かと思ってよ」

ミカサ「……見当もつかない」

エレン「だよなぁ。そもそも、誰かと話している姿をほとんど見かけねーもんな」

ミカサ「うん」

エレン「…………んー……」

ミカサ「ところでエレン。どうしてアニの笑顔なんて見たいの?
     まさか、何かアニに対して思うことが」

エレン「あ、よう。アルミン、遅かったな。先、食ってるぜ」

アルミン「うん。ちょっと調べものしてて」

ミカサ「……」

エレン「相変わらず勉強熱心だなぁお前は。俺は巨人学以外の授業はすぐ寝ちまうから」

アルミン「エレンは興味があることと、ないことへの、集中差が激しすぎるんだよ」

エレン「わかってはいるんだけどなぁ……どうも、頭がいっぱいになると、眠くなっちまうんだ」

アルミン「外の世界に出るのなら、色々と知っておいて損はないと思うけどなぁ」



アニ「アルミン」


エレン・ミカサ「!」

アルミン「ん? なんだい、アニ?」

アニ「これ、この前借りた資料」

アルミン「ああ、どうも。役には立った?」

アニ「それなりにね」

アルミン「良かった」

アニ「今度は私が使っていたのを貸すよ。読みたがってたでしょ?」

アルミン「ありがとう、助かるよ」

アニ「それじゃ」

アルミン「うん」


スタスタ……

エレン「……」

アルミン「あ、ごめん。それで、壁外に出るにしたって、やっぱ知識が必要な理由だけど」

エレン「アルミン」 ガシッ

アルミン「な、なに? どうしたの急に、真剣な顔して」

エレン「お前、アニと仲良いのか?」

アルミン「え? いや、普通……だと思うけど」

エレン「普通じゃないぞ、あれは!」

アルミン「そ、そうかな?」

ミカサ「私と話すときでも、二言以上アニは会話をしない。

     自発的に話しかけたりもしない。
     でも、アルミンとはそのすべてが違った」

エレン「アルミン、お前しかいねえよ!」

アルミン「だ、だから何がさ!?」

エレン「つまりだな……」

――――説明中。


アルミン「うーん……でも僕だって、アニの笑顔なんて見たことないよ」

エレン「そんなことわかってんだよ。だから、それを何とかするのがお前だって言ってんだ!」

ミカサ「他の人より心を開いているアルミンなら、きっと出来る」

アルミン「ええー!? そんなこと言われても……」

エレン「いいじゃねえか、減るもんでもねえし!

     協調性がないって、偶に教官から怒られてるだろアイツ。
     それを修正してやる、良い機会だとおもわねえか?」

ミカサ「悪くない考えだと思う」

アルミン「うーん……でも、それを覆す実力をアニは持っているから
     教官も、許容する姿勢を保っているんだと思うけど……」

エレン「それも……そうだな」

アルミン「それに、下手なことして訓練に支障が出る方がよっぽど、事だと僕は思うよ」

エレン「確かに……すまん。なんか変なこと言っちまって」



ミカサ「違う」

エレン・アルミン「え?」

ミカサ「エレン、あなたは巨人を一匹残らず駆逐するのが目的で、ココにいるんでしょ?」

エレン「あ、ああ」

ミカサ「それを完遂させるのは、一人では絶対できない。
     いくらエレンが頑張っても、それは揺るがない事実」

エレン「……」

ミカサ「だから、仲間が必要」

ミカサ「その仲間の欠点を補って、鍛え上げることは悪い事ではないと思う」

ミカサ「違わない? アルミン」

アルミン「……一理あるといえばあるけど」

アルミン「でも、だからって僕がその役を担えるとは思わない」

ミカサ「大丈夫。アルミンなら出来る。私達もサポートする。そうでしょ、エレン」

エレン「もちろんだ!」

ミカサ「アニは座学も格闘術もトップクラス。精神面、連帯面を養えばもっと強くなれる」

アルミン「……わかった。どこまでやれるかわからないけど、やってみる」

エレン「頼んだぜ、アルミン」

アルミン「うん」




――――後日、格闘術訓練にて。

アルミン(まずは手始めに、得意な格闘術から近づけって言われたけど……)

アニ「……」

アルミン(全然気づかなかったけど、上手に教官の目を掻い潜ってサボってるんだなぁ)

アルミン(立体機動以外の点数に大した意味はないって言われているけど……

      でも、僕だってたまには身体を休める目的で流すこともある。
      頭ごなしに否定するのは、アニに対して失礼だし)

アルミン「……うっ!?」

エレン・ミカサ  ジー……

アルミン(二人が期待と急き立ての入り混じった目で見てる……!!)

アルミン(……やらないわけにはいかないか)


アルミン「アニ」

アニ「……アルミン」

アルミン「その、訓練に付き合って欲しい……んだけど」

アニ「……どうしたんだい突然。あんた、格闘術は苦手だったろ?」

アルミン「うん。だから、上手い人と組んで少しでも上手になろうと思ってさ」

アニ「……よくは覚えてないけど」

アルミン「?」

アニ「あんた、いつもマルコと組んでなかった?
   マルコだって、格闘術なら上手な部類に入ると思うけど」

アルミン(しまった。そこまでは考えていなかった)


マルコ「あ、アルミン。こんなところにいたのか。さ、訓練はじめy」



フヒュッ!



マルコ「え?」


ドバッシィイン!!


マルコ「ぅがっ!?」

アルミン「!? ま、マルコ!?」

マルコ「……」


ミカサ「教官。マルコが受け身を失敗し、気を失ってしまいました。」


アルミン(み、ミカサ……一体どこから!? いや、むしろいつの間に!?)

キース「なに? 珍しいな。……わかった。すみやかに医務室へ運べ。
     他の者もこのような痴態を晒さないよう、気を抜くな!」

ミカサ「はい」


ミカサ チラッ


アルミン「!」

アルミン(あの目……ミカサの仕業……ってことだよね)

アニ「……」

アルミン「あ、アニ。えーと、そういうことだから。い、いいかな」

アニ「……いいよ。教官がこっちに目を付けちゃったみたいだし。
    手を抜いているのがばれて、点数引かれても困るからね」

アルミン「あ、ありがとう!」

エレン(困ったな。ミカサが居ないから、相手がいなくなっちまったぞ
     ライナーはベルトルトと組んでるし……うーん)

ミカサ「エレン」 フヒュッ

エレン「ぉわっ!? み、ミカサ!? お前、マルコを医務室に運んだんじゃ!?」

ミカサ「サシャに代わってもらった」

エレン「そ、そうか」

ミカサ「私は昨日、アルミンの助けになるといった。それに対して手を抜くことはしたくない」

エレン「ああ……そうだな」

ミカサ「それに、これはアニの為だけじゃない。アルミンの為でもある」

エレン「アルミンの?」

ミカサ「エレンもわかってると思うけれど。アルミンは、極端に自分を卑下している」

エレン「ああ。昔なんか、よく変な考えのヤツだってバカにされてたもんな」

ミカサ「それは、周りの人がアルミンの発想についていけなくて、理解できていなかっただけ。
     本当は、アルミンはもっともっと先のことを考えている。私達には及びもつかないほど、ずっと。」

エレン「それに、正しいことを導きだす能力もあるしな」

ミカサ「だから、アルミンは私たちの期待に応えられる立派な人なんだ、と自信を持ってほしい」

ミカサ「そのために、この矯正は必要。アニだけではなく、アルミン自身のために」

エレン「そうだな。あいつは、もっと胸張って生きていいはずだもんな」

ミカサ「うん」

アルミン「うがっ!?」 シュパァン!

ドサッ!

アニ「……アルミン、あんた受け身ぐらいは取ってくれない?」

アルミン「いたた……い、いや。でもそんな鋭い蹴りなんだもの、難しいよ」

アニ「これでも、かなり手加減しているんだけど……」

アルミン「そ、そうなんだ……」

アニ「はぁ……いいよ。じゃあまずは、受け身をしっかりとれるようにすることからだね」

アルミン「うん。お願いするよ」





エレン「……なんか、余計なことしなくても、上手くいきそうだな」

ミカサ「たしかに」

――――食事どき。



エレン「アルミン、おつかれ」

ミカサ「お疲れ様」

アルミン「やあ二人とも。先に食べてたんだ」

エレン「悪いな」

アルミン「ううん、医務室行っていた僕が悪いんだもの」

ミカサ「足、大丈夫?」

アルミン「うん。まあ支障がない程度には。
      エレンは凄いね。アニの、本気の蹴り受けてぴんぴんしてるんだろ?」

エレン「痛いのにかわりはねーけどな。俺も最初は動けなかったし」


ミカサ「……アルミン」

アルミン「ん?」

ミカサ「嫌でなかったら、だけど」

アルミン「うん」

ミカサ「アニはいつも、今だって。独りで食事を取っている。
     そういう時にでも、気をかけてくれたら成功確率はあがる、と私は思う」

アルミン「……つまり、一緒に摂ってこいってこと?」

ミカサ「……」 コクリ

エレン「無理にじゃねーからな。頼んだのは俺達だし、やるのはアルミンだ。
    嫌だったら嫌って言ってくれてかまわねーぞ」

アルミン「ありがとうエレン。でも、確かにミカサの言うとおりだ。
      僕も少しだけアニに興味が沸いてきたところだし、やってみるだけやってみようと思う」

ミカサ「その意気」

アルミン「じゃ、ごめんね二人とも」

エレン「おう」

ミカサ「頑張って」



――――。


アルミン「アニ。隣、良いかな?」

アニ「……構わないけど」

アルミン「ありがとう」

アニ「……」 カチャカチャ

アルミン「……」 モグモグ

アニ「……」 モグモグ

アルミン(弱ったな。何か会話でもしないと間が持たないや) ゴクン

アルミン「あのさ、アニ」

アニ「なに?」

アルミン「あの格闘術って、いったい誰から教わったの?
      書物を漁ってみても、見たことがない技術だったけど」

アニ「……お父さんのだから」

アルミン「へぇ、道理で。
      訓練兵全体にも広めて、公的なモノとしたっていいくらい、凄い技だと思うけど」

アニ「そういうのは好きじゃない。その為に身に着けたわけじゃないし」

アルミン「そっか」

アニ「……アルミン、あんたさ」

アルミン「?」

アニ「今日はやけに付きまとってくるけど、どうかしたの?」

アルミン「!」

アルミン(やっぱりバレてたか……馴れ馴れしかったもんなぁ。
      急にではなく、ゆっくりやるべきだったか)

アルミン「そうかな? いつも、こんな感じだったと思うけど」

アニ「そう」

アルミン「……ごめん。嫌だったら、そう言ってくれていいよ」

アニ「……別に。どっちだって構わないさ」

アルミン「……なら……うん。ありがとう」

アニ「……」 モグモグ





――――次の日。

午前、兵站行進訓練。



アルミン「はぁ……はぁ……!!」

キース「アルレルト、また貴様だけ遅れているぞ!!」

アルミン「ぐっ……はぁ……はぁ!」

キース「そうやって、仲間の背中を眺めるのが貴様の仕事か!? 呑気なものだな!!
     真っ先に巨人の餌になるのは、やはり貴様で間違いはないな!!」

アルミン「くそっ……!!」

アルミン(人一倍体力がないのはわかってるけど……でも、諦めるわけにはいかないんだ)

アルミン「うっ!」 ガッ

ドシャッ

マルコ「アルミン! 大丈夫か!?」

キース「ボット! 手を貸している暇があったら、一歩でも前へ進め!!
     貴様は後ろ手に巨人が迫っている時でも、同じことをする気か!?
     道ずれになるのが、貴様の望む戦いなのか!?」

マルコ「うっ……で、でも……!」

アルミン「いいんだマルコ! 先へ行ってくれ!! 足手まといにはなりたくない!!」

マルコ「アルミン……。ぐっ……すまない!」

アルミン(そうだ。助けてもらってばかりの自分が大嫌いで、訓練兵に志願したんだろ。
      エレンやミカサと同じ立場に成りたいんだったら……)

ググ……

アルミン(こんな訓練程度で、へこたれてちゃいけないんだ!!) ダッ!!


アニ(……) タッタッタッタ……






――――午後、格闘術訓練。

アルミン「あ、アニ。今日も一緒してもらっていいかな?」

アニ「……良いけど。あんた、行進後でフラフラじゃないの?」

アルミン「だ、大丈夫だよ。気にしないで。昼休憩も取ったし」

アニ「……わかった」

アルミン「いくよ!」 ダッ

アニ「ふっ!」 ガッ

アルミン「くっ!?」 グルン

アルミン(うわっ!? か、身体が思ったより重っ……!!)

ドジャァッ!

アニ「……」

アニ「……アルミン?」

アルミン「……」

キース「レオンハート、どうした」

アニ「あっ……」

キース「む……アルレルトが失神しているのか?
     貴様が組むとどうにも、こういった事案が多いな」

アニ「……すみません」

キース「まあ良い。医務室へ運んでおけ」

アニ「はい」







――――医務室。

<ハンナ……ハンナ……

<アァ……ダメヨ フランツ……

初春「糞スレが伸びてる理由もわかりませんし」

初春「百番煎じのSSは、書いてる奴も読んでる奴も何考えてるんですかねぇ」

初春「独自性出せないなら創作やるんじゃないっつーの」

初春「臭過ぎて鼻が曲がるわ」

佐天「初春?」

初春「結果として面白くないのは許せます。許せるだけで面白くはないんですが」

初春「パクリ二匹目のドジョウ百番煎じは許せませんね。書いてて恥ずかしくないんですか?」

初春「ドヤ顔してる暇があればとっとと首吊って死ねよ」

初春「そうネットに書いてありました」

佐天「なあんだネットかあ」

初春「一番の害悪はそういったSSを持ち上げてる人たちなんですけどね」

佐天「ふーん」

アニ「……」


アルミン「……」


アニ「……」


アルミン「……ん」

アニ「!」

アルミン「あれ……アニ? ここは……医務室?」

アニ「……受け身の取り方、相変わらず下手だね。アルミン」

アルミン「あぁ……もしかして、また僕……ごめん。迷惑かけちゃって……」

アニ「……ねえ、アルミン」

アルミン「ん?」

アニ「なんであんたは、そんなバカ正直に訓練をやるの?
    体力がないのなら、頭使って手を抜けばいいのに」

アルミン「なんでって……そりゃあ、立派な兵士になりたいからだよ。
     手なんか抜いたら、それに近づけないだろう?」

アニ「アルミンも憲兵団志望ってこと?」

アルミン「ううん。そうじゃないよ。それに、僕の成績で上位10人以内に入ることは無理だから。
      僕の志望は調査兵団さ」

アニ「……あの、死に急ぎ野郎と同じってことかい?」

アルミン「エレンだけじゃないよ。きっとミカサも同じだと思う」

アニ「どうしてそこまでするのさ? あんたの頭脳なら、技巧に行った方が人類にとって有益だと思うけど。
    下手な意地や叶わない理想で、適した場所を意図して避けるのは利口じゃない」

アルミン「厳しいことを言うね」

アニ「でも、事実でしょ」

アルミン「……確かに、そうかもしれないけど。僕は、あの二人と共にありたいんだ」

アルミン「変な考え方しているだとか、いじめられていた僕と、今も、今までも一緒にいてくれた」

アルミン「いつも僕は守られてばかりだったから、何かを与え返したくて。

      だから、二人と一緒に調査兵団に行きたい。
      遠くじゃなく、近くでそれを成し遂げたいんだ。僕自身の手で」

アルミン「最悪……巨人の餌になったっていい。

      そのおかげで、足止めが出来て、一匹でも巨人を倒せられれば。
      僕は足手まといだけにはならずに済んだ、って証明できるから」

アニ「……なるほどね」


アニ「……あんたも誰かに負けじ劣らない」



アニ「死に急ぎ野郎なんだね」 フッ

アルミン(あっ……笑っ……!)


アニ「あんたの考えは勝手にしたらいいけど。
    目の前で巨人に食べられるってのだけは、夢見が悪いからね」

アニ「また明日から、鍛えてあげるよ」

アルミン「あはは……お手柔らかに」





――――その夜。


エレン「よお、アルミン」

ミカサ「もう動いて平気なの?」

アルミン「うん。少し頭打っただけだからね。また明日から普通に訓練に出るよ」

エレン「そっか。悪いな、俺達が無理にアニに近づくように言ったせいだろ?」

エレン「あいつ、手加減とかしらねえからさ。やっぱアルミンにやらせるには、少し危険だったな」

エレン「すまん、あとは俺たちが勝手になんとかするからさ。もう、アニと接触はしなくていいぞ」

アルミン「え?」

ミカサ「普段通りでいいってこと」

アルミン「あぁ……そういう……」

エレン「……というか、お前でも無理なら、もうあきらめた方がいいかもな」

アルミン「あ……そのことだけど、二人とも」

エレン「ん? どうした?」

アルミン「さっき医務室で付き添いしてもらっている時に、アニが笑ったんだ」

エレン「え!? 本当か!? どんな感じだった!?」

アルミン「口元が少し緩む感じだったよ。ちょっとだけ目つきも柔らかくなってた」

ミカサ「……ちょっと、想像しにくい」

エレン「そっか……。見られなかったのは残念だが、なんにしたって成果はあったようだな」

アルミン「成果?」

ミカサ「アルミンに対して、アニが心を開いた証拠。
     いずれは、みんなにもそういう面を見せてくれるようになれば、私達も嬉しい」

エレン「やっぱアルミンに頼んで正解だったな」

アルミン「う、うん……それはどうも」

エレン「どっちにしろ、もう無理しなくて良いからな。ありがとよ!」


アルミン(なんかいいように振り回された感じだなぁ……結局いつも通りな気がするや)




エレン(これで少しはアルミンも自信もったか?) ヒソヒソ

ミカサ(うん。昨日までより、ちょっとだけ凛々しい顔になってる) ヒソヒソ

エレン(やったな)ヒソヒソ

ミカサ(うん) ヒソヒソ

アルミン「……ふぁ」

エレン「そろそろ就寝時間だなそういえば。寝るか」

ミカサ「うん。それじゃ、おやすみなさい」

アルミン「おやすみ、ミカサ」

エレン「またな」


――――。


エレン「……」

アルミン「どうしたの? エレン」

エレン「いや、アニが笑えるのはわかったけどさ」

アルミン「うん」

エレン「ミカサも、ちゃんと笑った顔見たことないなーって思って。最近はニコッとすらしねーだろ?」

アルミン「……」

アルミン「エレン」

エレン「ん?」

アルミン「それに関しては、僕は何もしないから。頑張ってね。きっと、とても簡単だよ」

エレン「お、おう?」







おしまい

アルミンが胃痛持ちという風潮に逆らいたかった
アニのにやけ顔について、エレンは見えなかったという前提です。

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