エレン「流石だな!名探偵アルミン!」(117)

エレン「――は!?コニーのケーキが誰かに食われた!?」

コニー「あぁ……。昨日街で買って、今日の朝食おうと思ったら無くなってた……」

クリスタ「でもコニー、いつの間にケーキなんて買ったの?」

コニー「知らなくても無理はねぇよ。
    1人でケーキ買って食うなんて恥ずかしいからこっそり買って、隠しておいたんだ……」

ライナー「しかし誰にも知られず買って隠したものを見つけ出すとは大した犯人だな」

サシャ「許せませんね!あんな美味しいケーキを勝手に食べるなんて!」

アニ「でも一体誰が……検討も付かないね」

ジャン「参ったな……悪いなコニー。オレたちにはさっぱりだ」

ユミル「でもよ、アイツならなんとかなるんじゃねぇの?」

ミカサ「私もそう思う」

マルコ「あいつって……まさか!」

ベルトルト「確かに彼なら、この謎も解けるかもしれない」

エレン「あぁ!座学一位の名探偵!アルミン・アルレルトだ!」

アルミン「えっ?あぁ、何?呼んだ?」

アルミン「――なるほど……。大体の状況は掴めたよ。だけどまだ何も分からない。
     みんな、何か心当たりというか、手がかりになりそうなことはないかな。
     この謎を解くにはみんなの力が必要だ」

ジャン「そういうことなら1つ引っかかってることがあるぜ」

ライナー「なに!何が引っかかってるってんだ?」

ジャン「お前らは見逃してるかも知れねぇが……サシャの顔をよく見てみろ。
    口の周りにクリームがべったり付いてるだろ?」

エレン「?何が言いたいんだ?はっきり言えよ」

ジャン「あぁ……。オイ、サシャ。そのクリーム、コニーのケーキのやつじゃねぇのか?」

一同「な、なんだってーーーー!?」

クリスタ「い、言われてみればそんな気がする!」

ユミル「まったく気にしてなかったが……!」

マルコ「流石だ、ジャン!やっぱり君は現状を正しく認識する能力に長けている!」

ジャン「へへっ、よせよマルコ」

ミカサ「待って……まずはサシャの言い分を聞くべきだと思う」

コニー「オイ!どうなんだサシャ!お前が俺のケーキ食っちまったのかよ!?」

サシャ「はははっははい?ちgたちがいtがちがいますよ?
    このkるいdkるりえくrくりーむはぜんぜなぜあんぜんぜんちがいまさぐあますよ?」

コニー「な、なに?違うのか?」

コニー「オイ……違うらしいぞジャン」

ジャン「騙されるな!口でならなんとでも言える!」

ライナー「そうだ。現に証拠はあるんだ。もうサシャが犯人で間違いない」

エレン「オレもそう思うが……一応アルミンの意見も聞いてみようぜ」

マルコ「あぁ……アルミン。お前はどう思う?」

アルミン「僕は……クリームだけで犯人だと決め付けるのは早計だと思う。
     だって、そのクリームはサシャが自分で買ったケーキのものかも知れないし、
     何かの理由があって口の周りに塗りたくったのかも知れないだろ?」

ジャン「!た、確かに……。流石だな、名探偵アルミン」

ジャン「悪かったな、サシャ。証拠もないのに疑っちまってよ」

サシャ「えっ?いいえっ?べつにっ?きにしてないですよっ?」

ライナー「しかし参った……これでまた振り出しだ。犯人は誰なんだ一体……」

ユミル「イヤ……待て。そう言えば思い出した。これはかなりの手がかりになると思うんだが」

クリスタ「えっ!?何、何を思い出したの!?」

ユミル「さっきの会話でさ……言ってたよな。
    『あんな美味しいケーキを勝手に食べるなんて』って。なぁ、サシャ?」

アニ「……?何が言いたいの?」

ユミル「ケーキを買ったのはコニーしか知らねぇはずのに、なんで味まで知ってるんだ?
    サシャがケーキを食った犯人ってことじゃないのか?」

一同「な、なんだってーーーーーー!?」

ミカサ「確かに……どうしてサシャがケーキの味まで知ってるの……?」

エレン「す、すごいなお前!そんなことに気付くなんてよ……!」

クリスタ「やっぱり誰に聞いたってユミルは10番以内って答えるよ!」

ユミル「へっ、よせよ」

ライナー「答えてもらうぞサシャ。なんでお前はコニーのケーキの味を知っていたんだ?」

コニー「どうなんだよ!?やっぱお前がオレのケーキ食ったのか!?」

サシャ「ちがあおうがgtぎおあごあちがいますよわちあたいあwたあしわたしじゃないです」

コニー「ま、また違うってのかよ」

コニー「オイ!ブス!違うらしいぞ!」

ユミル「はッ……騙されるんじゃねぇよバカ。口でならなんとでも言えるさ」

ジャン「その通りだ!あの発言が何よりの証拠だ!」

マルコ「ア、アルミン。お前はどう思う?」

アルミン「僕は……その発言だけで決め付けるのは早計だと思う。
     だって、なんとなく美味しいと思っただけかも知れないし、
     サシャがケーキという単語を聞いただけで味覚を感じるタイプの人間という可能性だってあるだろ?」

ユミル「!い、言われてみりゃそうだな……。流石だぜ、名探偵アルミン」

ユミル「ちっ……悪かったな。疑っちまってよ」

サシャ「いえっ?べつにぜんぜんっ?」

ミカサ「だけど……これでまた振り出し」

アニ「……イイヤ。私も1つ、思い出したことがある」

エレン「!一体何を思い出したってんだ!」

アニ「昨日の夜中……サシャが寝言を言ってたんだ。
   『ムニャムニャ……コニーの250円のスフレチーズケーキと380円の抹茶モンブラン美味しかったです……』
   ……ってね」

ライナー「……?言いたいことがよく分からんな。どういうことだ?」

アニ「寝言で言ってた値段とケーキの種類がコニーが買ったのと同じなら、
   それはサシャが犯人ってことになるんじゃないの?」

一同「な、なんだってーーーーーーー!?」

マルコ「た、確かに……!どうなんだコニー!」

ジャン「お前が買ったのは250円のスフレチーズケーキと380円の抹茶モンブランなのか!?」

コニー「あ、あぁ……その通りだ!
    オレが買ったのは250円のスフレチーズケーキと380円の抹茶モンブランだよ!」

エレン「しかし流石アニだな!オレは思ってたぜ。格闘術を披露する時のお前は生き生きしてるって!」

アニ「ふん……よしなよ」

コニー「オイ!どうなんだサシャ!?やっぱりお前がオレのケーキを食ったのか!?」

サシャ「なふぁjふぁfないふぁんふぁなにいってるたおたおうららうえんですかちがいgたおあますよ」

コニー「これも違うのかよ……」

コニー「ま、また違うらしいぞオイ」

アニ「諦めな……言い逃れしても無駄だよ」

ミカサ「その通り。証拠は揃ってる」

クリスタ「ま、待って。一応アルミンの意見を聞いてみようよ」

ライナー「あぁ……。どうだアルミン。お前はどう思う?」

アルミン「僕は……寝言だけで決め付けるのは早計だと思う。
     だって、たまたまコニーの250円のスフレチーズケーキと380円の抹茶モンブランを食べる夢を見ただけかも知れないし、
     逆にコニーがサシャの寝言を無意識に予知してそれが深層心理に影響して、
     無意識にそのケーキを選んでしまった可能性だってあるわけだろ?」

アニ「!……確かにそうかもね。流石は名探偵アルミンだ」

アニ「悪かったよ、サシャ。変に疑ってさ」

サシャ「いいですよっ?きにしてませんよっ?」

クリスタ「でも……これでまた振り出しだね」

マルコ「……イイヤ。僕も1つ、思い出したぞ」

ミカサ「!何を思い出したの……?」

マルコ「実は、自作指紋採取キットで指紋を採取してみたんだ。そしたら……
    男子部屋のドアノブと、コニーがケーキを隠してたと言う戸棚から出てきたよ。サシャの指紋が」

ジャン「……?どういうことだ?何が言いたいんだよ」

マルコ「本来ならそんなところにサシャの指紋が付くはずのがない……。
    つまり、これはサシャがコニーのケーキを食べた犯人である証拠じゃないのか?」

一同「な、なんだってーーーーーーーーー!?」

ライナー「確かに……女子であるサシャの指紋がそんなところに付くはずがないな」

クリスタ「こ、これはもう決定的なんじゃ……」

ジャン「流石だぜマルコ!やっぱり俺はお前の班にあやかりてぇ!死に急ぎ野郎はごめんだがな!」

エレン「オイ、そりゃ誰のことだ?」

サシャ「また始まっちゃいましたよジャンの遠回しな愛情表現が」

コニー「お前は黙ってろよ!ケーキ食った犯人のクセしてよ!」

サシャ「ちがおgヴたがかおがごたいゴアちがいますわたいさふぃあしとぁわたしちががいgttgたいます」

コニー「えっ、違うのか……?」

コニー「どうやらまた違うみたいだぞ……」

エレン「イイヤ!今度こそ決定的だろ!」

マルコ「駄目だよどう考えても……言い逃れなんて出来やしないよ」

ユミル「まぁ一応アルミンの意見を聞いてみようじゃねぇか」

ミカサ「アルミン……あなたはどう思う?」

アルミン「僕は……指紋だけで決め付けるのは早計だと思う。
     だって、僕らの知らない間に男子部屋に入って戸棚を開ける用事があったのかも知れないし、
     真犯人がサシャの手を切り取って指紋を偽装した可能性だってあるだろ?」

マルコ「!た、確かに……ミステリではよくある手だ(手だけに)。流石、名探偵アルミン!」

マルコ「ごめん、サシャ……。指紋ごときで君を疑ったりして」

ユミル「だがこれでまた振り出しだな……」

ミカサ「……待って。私も1つ思い出した」

ジャン「!お前もか!何を思い出したってんだ!?」

ミカサ「昨日の夜……男子部屋に侵入してきて例の戸棚からケーキを取り出して食べていた人物が居た。
    私はそれを布団に隠れて見ていたけど……それがサシャだった」

クリスタ「……?どういうこと?もっとわかりやすく言ってくれなきゃわからないよ……」

ミカサ「つまり、サシャが男子部屋に侵入してコニーのケーキを食べたってことじゃないの?」

一同「な、なんだってーーーーーーーー!?」

ユミル「マジでそいつはサシャだったのか?距離が遠くて見間違えたってことはねぇのか?」

ミカサ「エレンのベッドは戸棚のすぐ横にある。あんな至近距離で見間違えるはずはない」

ライナー「オイオイ……これはもう確定じゃないのか?」

ジャン「流石ミカサだぜ!だから言ったろ?とても綺麗な黒髪だってよ!」

ミカサ「……どうも」

コニー「どうなんだよサシャ!やっぱりお前だったのか!?」

サシャ「わりエウィてあいてわぃちああwちきたギアgつぎたじgじゃちあおいがおぎあお」

コニー「どれだけ違うんだよお前……」

コニー「オイ……違うんだってよ」

ミカサ「騙されちゃ駄目。もう言い逃れのしようはない」

エレン「あぁ、その通りだ!」

マルコ「ま、まぁでも一応、アルミンの意見を聞いてみよう」

ユミル「どうだ、アルミン。お前はどう思う?」

アルミン「僕は……姿を見ただけで決め付けるのは早計だと思う。
     だって、もしかしたらサシャの食欲が生み出した生霊かも知れないし、
     真犯人がサシャの皮を剥ぎ取って被っていただけの可能性もあるわけだろ?」

ミカサ「!……言われてみればそうかも知れない。流石、名探偵アルミン」

ミカサ「サシャ……悪かった。私は冷静じゃなかった」

サシャ「いえっ?べつにっ?」

ジャン「しかし参った……こりゃもう手詰まりじゃねぇのか?」

クリスタ「う、うん。それに、犯人がどうやってケーキのことを知ったのかも分からないし……」

ベルトルト「……もしかしたら、分かるかも知れない……!」

エレン「うわっ!?急に喋るなよびっくりしちゃうだろうが!」

ベルトルト「あれは昨日、いつものようにライナーの後ろで汗をかいている時だった……。
      その時に見たんだ!ある2人がケーキ屋からの帰り道を歩いているのを……!
      そう、その2人こそが……サ」

ライナー「サシャとコニーか!!」

ベルトルト「えっ、あぁ、うん」

ライナー「……だが、それがどうしたって言うんだ?」

ベルトルト「その時にサシャはコニーがケーキを買ったことを知ったんじゃないかな。
      ということはサシャは、コニー以外にケーキのことを知っている唯一の人物ということになる。
      つまり……サシャがコニーのケーキを食べた犯人じゃないのか?」

ジャン「イヤ……そりゃちょっと違うんじゃねぇのか」

クリスタ「そんなことでサシャを疑うなんて……」

ユミル「酷ぇ男だなベルトルさんよぉ」

コニー「オイ、サシャ。お前からも何か言ってやれよ」

サシャ「酷いですよベルトルト!最低です!幻滅しました!バーカ!アホー!死んでしまえ!」

ベルトルト「…………」

アニ「汗かいてライナー見てないで何か言ったら?」

ベルトルト「ご、ごめんサシャ。僕が悪かった」

ミカサ「……でも、どうしよう。もう何も手がかりはない?」

ジャン「あと何も言ってねぇのは……エレンとクリスタか」

マルコ「クリスタ、何か思い出したことはないかな?」

クリスタ「え、えーっと……。あっ、そうだ!1つ思い出したよっ!」

ライナー「む、なんだ。言ってくれ」

クリスタ「えっと、昨日のことなんだけど……。
     その世界ではね、巨人なんか居ないの。みんなで壁の外に出て、花畑で遊ぶの。
     それで、鳥や動物たちが寄ってきて、同期のみんなと動物たちと一緒に遊んで……。
     ふふっ、そこでユミルったら、私が作ってあげた花の冠を小鳥に持っていかれたからって凄く怒るの。
     でも私が新しいのを作ってあげたら、凄く喜んでくれて、私も嬉しくなったの。
     ……っていう夢を見たのを今思い出しちゃった」

マルコ「あぁ……すごく良い夢だ」

コニー「やめろよ……泣いちゃうだろ……」

アニ「まったく、あんたには敵わないね」

ユミル「さすが私のクリスタ、結婚してくれ」

サシャ(神……)

アルミン(神様……)

ジャン(女神……)

ライナー(結婚しよ)

ベルトルト(故郷とかどうでも良いか……)

エレン「待ってろよ……オレが必ずその夢を現実にしてやるからな!」

ミカサ「私も協力しよう。クリスタの夢を実現させる」

エレン「だが残念ながら、犯人への手がかりにはなりそうにないな」

ジャン「オイ、エレン。お前は何か思い出したりはしねぇのかよ」

エレン「オレか?うーん、そうだな……。強いて言えば昨日の夜のうちに
    何故かパンツが脱がされて無くなってたことぐらいだが、それは今関係ないだろ?」

マルコ「確かに関係ないね」

ライナー「それはそれで謎のような気もするが、今はどうでも良いな」

ミカサ「その通り。今はエレンの黒ボーダーのボクサーパンツの匂いや味はどうでも良い。
    コニーのケーキを食べた犯人を捜すのが最優先」

アニ「だけどもう何も出そうにないよ。今度こそ本当に手詰まりじゃないの?」

アルミン「……仕方ない。奥の手を出そう」

クリスタ「お、奥の手……!?」

ユミル「なんだよそりゃ……!」

アルミン「これだよ。僕が作った機械……ビデオカメラとでも呼ぶべきかな。
     これさえあれば、動画はもちろん写真も撮れるし編集も出来る、
     ファイル形式、コーデックの変換まで出来る優れものさ」

ジャン「そんなもんがあるなら最初からそいつを出せよ!」

マルコ「ジャン、落ち着いて!君らしくもない!
    奥の手は最後まで出さないから奥の手なんだよ!」

ジャン「!そ、そうか。そうだよな、悪いアルミン。熱くなっちまった」

ライナー「つまり、そいつを昨日の夜のうちに仕掛けておいたってわけだな?」

アルミン「その通り。こんなこともあろうかとね」

エレン「ってことは、そいつに映ってるもんを見れば犯人が分かるってことか!」

アニ「流石だね。犯人を見つけ出すのにこれ以上の方法はないよ」

アルミン「でも、僕なんかの案が本当に……これが最善策なんだろうか……」

マルコ「これで行くしかない。もう手がかりもないし……これ以上の案は出ないよ」

ミカサ「大丈夫……自信を持って。アルミンには正解を導く力がある。
    私もエレンも以前はその力に命を救われた」

エレン「え?」

アルミン「そんなことが……?いつ……?」

ミカサ「自覚がないだけ……また後で話そう」

アルミン「う、うん」

アルミン「じゃあ、見るよ……再生、と」

クリスタ「……!お、男の子の部屋だ……」

アニ「ばっちり戸棚を映してるね」

ジャン「!誰か来たぞ!……なっ!?」

エレン「う、嘘だろオイ……!」

ミカサ「っ……まさか、そんな……!」

ライナー「こいつが、犯人だったってのか……!?」

ベルトルト(汗が吹き出る……!)

ユミル「こ、こいつは……!」

コニー「……サシャ……!」

サシャ「……ふふ」

コニー「う、嘘だろ……お前が犯人だったってのかよ!?オイ!?」

サシャ「はい……その通りです。私がコニーのケーキを食べました……」

クリスタ「で、でもどうして、そんなこと……」

サシャ「だって……美味しそうだったんです。だから、つい……ふふ、我慢できなくて」

ジャン「こいつ……イカれてやがる……!」

マルコ「ど、どんな理由があったとしても、
    人のケーキを勝手に食べることなんか許されることじゃない!」

エレン「しかも合わせて630円だぞ!?
    ワンコインなんてレベルで済まされる金じゃねぇ……お前はそれを分かってんのか!?」

サシャ「わかってますよ!そんなことッ!!」

俯いたまま突然大声で怒鳴ったサシャ。
その迫力にみな一瞬怯み、静寂が訪れる。
……数瞬後、サシャがぽつりと呟いた。

サシャ「……仕方なかったんです……」

俯いたまま肩を震わせ、
そして声の震えを抑えながら……言葉を紡ぐ。

サシャ「あんまり、美味しそうで……戸棚なんかに一晩置いたりしたら、
    きっと味が悪くなるって、そう思ったら……止められなかったんです……!」

コニー「っ……」

そこで、サシャは勢いよく顔を上げた。
その表情は……狂気とも怒りとも悲しみとも言えない……。
様々な感情の入り混じった、この上なく複雑な表情だった。

サシャ「傷んでいくケーキを傷む前に食べるのは悪いことですか!?
    ただ黙って傷んでいくのを見ている方がよっぽど悪いことじゃないんですか!?
    もしただ傍観するだけの方が正しいというのなら……私は悪で居た方がずっと良い!!」

エレン「……サシャ……!」

サシャ「どうですかみなさん!これが悪者の姿です!みなさんの憎むべき、悪の姿です!
    ふふ……あはは、あははははは!どうしたんですか!怒ってくださいよ!
    怒鳴ってくださいよ!ずっと犯人を捜してたんですよね!?私を捜してたんですよね!?
    ホラホラ!目の前に居ますよ!憎むべき敵が!悪が!目の前に!
    あはははははは!あははははははは!!あは、あははは!あははは!あはははは!」

……サシャは、わかっていたのだ。
人のケーキを勝手に食べるという行為がどれほど罪深いものか、わかっていた。
しかし、それを分かっていながら……サシャには、ただケーキを傷ませることができなかった。
自分の罪深さを知りながら、ケーキを救うために……自らが悪に染まることを決意したのだ。

もう……誰1人として、サシャに対して怒っても、憎んでも居なかった。

サシャ「うぁああ……うぁあああん!うわぁあああぁああああん!」

……慟哭。
いつの間にか表面を薄く覆っていた笑い声は完全に取り払われ、本来の姿を曝け出していた。
サシャは、ずっと堪えていたのだ。
罪悪感に苛まれながらも、悪で居続けなければならない苦しみに耐え続け……。
それが今、弾けたのだ。

この苦しみは誰にも理解できないものだった。
だが……理解ができないからと言って、何もできないわけではない。
この苦しみから、罪悪感からサシャを解放してやれる唯一の方法、それは……

コニー「あー、その、サシャ?良いよ別に……そんな泣くくらいなら」

サシャ「え……?」

コニー「イヤ、うん……。でもまぁ、あれだ。なんつーか……まず謝れよお前……」

サシャ「あ……はい。すみませんでした」

コニー「じゃあ……奢れよ?今度同じやつ。それでチャラにするからさ。
    あとまぁ……確かにお前の言う通り、ケーキ戸棚に一晩置いてたら悪くなっちまうよな。
    次は気を付けるわ……」

サシャ「ゆ、許してくれるんですか?私のこと……」

コニー「まぁ別に……そんな怒ってたわけでもねぇし……」

サシャ「か、神様……!」

コニー「は?何言ってんだお前」

エレン「よく分からんがこれで一件落着だな」

クリスタ「サシャ、もう人のケーキ勝手に食べちゃ駄目だよ?」

サシャ「はい!もちろんです!」

アルミン「しかし良かった、無事解決できて」

ライナー「まったくだぜ。これもアルミンのおかげだな」

ユミル「流石は座学一位のアルミン様ってとこだな」

クリスタ「アルミン、ありがとう!」

ジャン「流石名探偵アルミンだぜ!」

エレン「お前を呼んでやっぱり正解だったな!」

サシャ「ありがとうございます!私も救われました!」

ミカサ「アルミン……それじゃあ、話そう。
    アルミンが私とエレンの命を救ったという話を」

アルミン「う……うん……!」

ミカサ「――ということがあったの」

アルミン「し、知らなかった、そんなことが……」

エレン(そんなことあったっけ……)

アニ「あんたがそこまで凄い奴だったなんて……。
   ほんと凄い……マジすごい、半端じゃない。パネェ」

クリスタ「あわわわわ……こんな凄い人と同期だったなんて……」

ジャン「一生自慢できるなマジで……」

ユミル「サインくれ」

ライナー「オイオイ……今の話聞いたらもう呼び捨てじゃ呼べないな」

コニー「ア……アルミンさん……!」

マルコ「王じゃなくてアルミンさんにこの身を捧げることにするよ」

サシャ「唯一神……!」

ベルトルト(汗が吹き出る……!)

リヴァイ「……これじゃ人類の英雄も引退だな」

アルミン「リ、リヴァイ兵長!?」

リヴァイ「アルミン……お前が今日から人類の英雄だ。兵士長もお前だ」

アルミン「えっ!?いやそんな……」

エルヴィン「待てリヴァイ。それは駄目だ……アルミンには調査兵団団長をやってもらう」

アルミン「エ、エルヴィン団長!?」

ピクシス「アルミンになら掘られても良い」

アルミン「ピ、ピクシス指令!?」

ニック「壁とかもうどうでも良い。これからはアルミンに信仰を捧げる。アルミン教にする」

アルミン「ニ、ニック司祭!?」

ナイル「イイヤ、この少年には憲兵団団長として我々人類の英雄となってもらう」

アルミン「し、審議所でエレンを解剖して処分することを提案した憲兵団団長の人!?」

ダリス「イイヤ、彼にはわしの後を次いで総統となってもらう。わしはもう引退じゃよ」

アルミン「し、審議所で一番偉そうだった全兵団のトップの人!?(こんな喋り方だっけ?)」

獣の巨人「あなたみたいな人が居るなら人類攻撃するのやめます」

アルミン「ピ、ピッチングのコントロールに定評のある獣の巨人!?」

エレン「オイオイ、なんだよアルミン。一気に有名人じゃないか」

ミカサ「幼馴染として鼻が高い」

リヴァイ「てめぇらアルミンを横取りするつもりか」

エルヴィン「アルミンには調査兵団団長になってもらう。命令だ、従え」

ナイル「そうはいかん。アルミンは憲兵団がいただく」

ダリス「イイヤ、総統じゃよ」

ピクシス「アルミンになら掘られてもいいんじゃが……」

獣の巨人「ちょっと他の巨人全滅させてきます」

ニック「アルミン教ばんざい!」

サシャ「唯一神アルミン!」

 アールーミン! アールーミン!

アルミン「……えへへっ、なんだかこそばゆいや」



 おしまい

付き合ってくれた人ありがとう、お疲れ

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