P「事務所に戻ったら小鳥さんの姿がなかった」(70)

P「ただいま戻りましたー」

春香「お帰りなさい、プロデューサーさん」

P「……あれ? 春香だけなのか?」

春香「はい、私が戻ってきたときには誰も居ませんでした」

P「小鳥さん……どこ行ったんだろう?」

春香「買い物とかですかね?」

P「何か急遽必要なものがあったんだろうな」

春香「そうですね……あっ! 私、コーヒー淹れてきますよ!」

P「あぁ、頼む」

春香「はーい」


P「そっか……小鳥さん居ないのか………」

P「……………」


P(ちょっと残念だったりして……)

P「……って、俺はいつまで突っ立ってんだ」

P「…………さてと」

P「片付けたばかりの綺麗な机ってのは実に…………ん?」

P(俺のボールペンがペン立てを離れて一本だけ………)

P「おかしいな……机の上はまっさらにして出かけたはずなのに」

P「しかも……」


P「なんで濡れてるんだ? なにで濡れてるんだ?」


P「ちょっと粘度があるな」

P「…………」


P「…………」クンクン

P「匂いは特にない」

ガタン!

P「!?」

P「今の音は……春香か?」

P「どれ、味も見ておこう……」

ガタン!

P「!?」

P「春香が転んだにしては、音が近くから聞こえるんだよなぁ……」


P「まぁいい……それより、問題はこの謎の液体Xだ」

ぬーるぬる ねーとねと

P「ぬるぬるしてて、少し糸引く感じか……」

P「……あっ! よく見たら机の角も……床にも落ちてる」

P「ボールペンに付いてるのと同じ液体みたいだ」

P「…………」

P「こんなの遠心分離機にでもかけないと、何かわからんな」

P「ちょっと容器に集めておこうか……」

ガタン!

P「!?」

P「……また春香か?」

P「しっかしこれは……全体見ると結構な量だぞ?」

ガタン!

P「……うん、もう慣れた」


P「無色透明で匂いはそうなくて、ただ若干粘度がある液体……」

P(そんなの……ローションくらいしか思いつかないな……)

P「んーわからん」


P「よく考えたら、イスだって引きっぱなしじゃなく、ちゃんと戻したはずだけど……」

P「あぁ、これはわかるぞ……小鳥さんが掃除をして、戻し忘れたんだな」

P「イスを引く手間が省けたからいいや…………よいしょっと」

P「……………」






P「何をしてるんですか?」

小鳥「うぅ……」

P「どうして小鳥さんが俺の机の下に居るんですか!?」

小鳥「いや……その………」

ガチャ

小鳥「!?」

春香「はいプロデューサーさん、コーヒー」

P「お、おう! ありがとな」

春香「いえいえ」


P『春香に見つかっちゃマズイですか?』ヒソヒソ

小鳥『いえ……プロデューサーさんに見つかった時点で、もう………』ヒソヒソ

P『……そうですか』


春香「え? プロデューサーさん、何か言いました?」

P「いや、なんでもないよ」

春香「あっ、そうだ……私もちょっと出かけますね」

P「おぉそうか! 気をつけてな」

P「あっ! ちょ、ちょっと待ってくれ春香!」

春香「なんですか?」

P「えっと……お金渡すからさ、全員分のアイスを買ってきてくれないか?」ペラッ

春香「え? いいんですか!?」

P「あぁ、たまにはな」

春香「やったぁー! それじゃ、いってきまーす」

P「転ぶなよー」

春香「はーい」

バタン  ドンガラガッシャーン!!


P「…………さて」

P「小鳥さん? 春香、行きましたから……もう出てきても大丈夫ですよ」

小鳥「…………はい」

P(ずいぶんと意気消沈してるな……)

小鳥「…………」ウルウル

P(なんか涙目だし)

P「それで? 一体全体何をしてたんですか?」

小鳥「そ、それは………」

P「まさか、かくれんぼじゃないですよね?」

小鳥「これがただのかくれんぼだったらどんなにいいか……」

P「うーん……よくわかんないですけど」

小鳥「出来ればそのまま、一生わからないでいてください」

P「そう言われましても……気になるのは気になるわけで……」


小鳥「…………」チラチラ

P「どうしたんですか? 机の上ばっかり見て……」

小鳥「い、いえ……なんでも」

P「あっ! このボールペンでしょ?」

P「何なのかはわかりませんけど、濡れてるんですよねぇ」

P「ほら、机の角だってそうだし……小鳥さん、わかります?」

小鳥「…………////」

P「???」

P(……なんだ? この小鳥さんの反応は)

P(ペンや机に付着した謎の粘っこい液体と、頬を染めた美女……)

P(よくよく見てみると……なんかモジモジしてるし……)

P「…………あっ」


P「……………ま、まさか!」

小鳥「ぴよっ!」ビクンッ

P「まさか俺の身の回りの物を使って…………ABCDEF?」

小鳥「……G」

P「――に励んでて、春香が帰ってきたもんだから咄嗟に机の下に隠れた!」

P「そうこうしてるうちに、よりにもよって持ち主登場!」


P「そーいうことですか!?」

小鳥「ご、ごめんなさぁーーい!!」

P「なにで濡れてるって、ナニだったのか……」

小鳥「////」

P(息子の部屋でエロ本見つけた母親って、今みたいな気持ちになるのかな……?)

小鳥「あ、あの……」

P「はい?」

小鳥「ごめんなさい」

P「別に謝らなくてもいいですけど……今後は気をつけてくださいよ?」

小鳥「……はい」

P「見つけたのが俺だったからまだよかったものの……」

P「アイドル達に見つかったらどうするんですか?」

小鳥「…………」

P「いや、本人に見つかるのが一番悪いのか……」

小鳥「うぅ……」ウルウル

P(なんか可哀相になってきた……)

小鳥「…………ぐすん」

小鳥「うぅ……ぐすっ……」

P「ほらほら、泣かない泣かない」

小鳥「だってぇ………私のこと軽蔑したでしょ? 気持ち悪いって思ったでしょぉ?」

P「確かに驚きはしましたけど、気にしてないですから」

小鳥「……ホントですかぁ?」

P「えぇホントです!」

小鳥「でもでも……嫌いになったんでしょぉぉ?」

P「なってないですってばー」

小鳥「ボ、ボールペン触った手を……慌てて拭いてるじゃないですかぁ!」

P「そりゃ拭くでしょうよ! 舐めろとでも言うんですか?」

小鳥「…………えっ」

P「なに小鳥さんが引いてるんですか! 引きたいのはこっちですよ!!」

小鳥「やっぱり引いてるんだぁぁぁーーーー!!」

P「もぉーめんどくさーい」

P(むしろ、このぐずり泣きにどん引きですよ……小鳥さん)

小鳥「おーいおいおいおい!!」

P「号泣じゃないですか……もう泣かないでくださいって」

小鳥「ぐずっ……ひっく……ひっく………」

P「小鳥さんを嫌いになんてなりませんから、ね?」

小鳥「ほ、ほんど……でず…がぁ?」

P「ホントホント!」

小鳥「う……うぅ……うそだぁぁぁぁーーーー!!」

P「…………はぁ」


P「いいですか、小鳥さん。 俺が小鳥さんを嫌いになるわけありません」

小鳥「…………ぐすっ」

P「もちろんビックリしましたよ?」

P「でも、そういう風に見てくれてたってのは……う、嬉しいっていうか………」

小鳥「……えっ」

P「…………」

小鳥「ど、どうせ……私を泣き止ませる為の……ウソ…なんでしょ?」

P「違いますよ」

小鳥「絶対ウソよ……私、わかるもんっ!」

P「もう…………それなら正直に言いますけどねぇ!!」


P「俺だって小鳥さんでシタことありますよッ!!」


小鳥「えっ? な、なにを……」

P「バイオ2から登場するのは何ウイルスですか?」

小鳥「……G?」

P「そうです!」

小鳥「ってことは……私の、ボールペンを……?」

P「いやいやいや、ここではしたことないですよ!?」

P「っていうか俺がボールペン使うって、どう使うんですか?」

小鳥「そ、それはやっぱり……アナr」

P「ええい黙れ!!」

P「あのね……人間ですから、そーいう気持ちになることだってあります」

P「行為そのものは、別に悪いことではないじゃないですか」

小鳥「…………」

P「問題なのは場所とか、使う道具にあるわけです」

P「ですからまぁ、今後はキチンと弁えていただいてですね……」

P「…………」


P「………あーもういいや! 忘れましょう!」

小鳥「え?」

P「ここでは何も起きなかったし、俺は何も見なかった……それでいいですね?」

小鳥「…………」

P「どうしたんですか? まだなにか……」

小鳥「いや……そのぅ………」

小鳥「プロデューサーさん、私で……シタことあるって、言いましたよね?」

P「えぇ、たった今……って、そこ掘り下げますか………」

小鳥「それって、他のアイドルの子とかでは……」

P「いえ、小鳥さんだけ………ですかね」

小鳥「そ、そうですか……」

P「えぇ」


小鳥「わ、私もね? その……プ、プロデューサーさんだから………」

小鳥「だから、あぁいったことをしてた……わけで…………」

P「…………」

小鳥「そのぅ……つまり、私は……プロデューサーさんのこと…………」


P「小鳥さん……ちょっと待ってください」

小鳥「え?」

P「俺は今、何も起きなかった……何も見なかったと、そう言いましたよね?」

小鳥「は、はい……」

P「ですから小鳥さんが今言おうとしていることは、まったく意味の無いものなんです」

小鳥「…………」

小鳥「で、でも……」

P「小鳥さん、聞いてください」

小鳥「…………はい」


P「あの……こういうのってよくあるシチュじゃないですか、えっちな漫画とかだと」

P「気になってる人が自分を想って、Gをしてる現場を目撃した……とかっていうのは」

小鳥「…………」

P「で、大体その後の流れは、なし崩し的に……Gの次ですから………ね?」

小鳥(ABCDEFG………)

小鳥「え、えぇ」

P「……ですがそれは、あくまでも漫画の中だけの話です」

小鳥「そうですよね……好きでもない人に………」

P「いや、それは違いますよ」

小鳥「え?」

P「俺が言いたいのは、そういうことではありません」

P「俺は漫画と同じにはなりたくない……」

小鳥「…………」

P「偶然とか、なし崩しとかで小鳥さんと親密になりたくはないんです」

小鳥「え? 私と……し、親密に?」

P「なんていうかこう……正攻法で勝負したいっていうか……」

P「わかってくれますよね? この気持ち」

小鳥「まぁ……はい」

P「今小鳥さんが何を言おうとしたのかは、流石の俺でもわかります」

P「でもそれは、まだ早いというか……今じゃないんですよ」

小鳥「…………」

P「ただのエゴかもしれませんけど……俺はそう思ってるんです」

P「だから、今日は……今日は何もなかったんです! 小鳥さんは今帰ってきたんです!」

小鳥「うーんと……わかりました」

P「なんかすいません」

小鳥「いえ、そんな………なんか、嬉しいです」

小鳥「あのぅ……ひ、ひとつだけ聞いてもいいですか?」

P「どうぞ」

小鳥「結構頻繁に……私でシテるんですか?」

P「…………は?」

小鳥「ですから、その……」

小鳥「日本とアメリカで共同制作されたガンダムシリーズの作品は何セイバー?」

P「……G」

小鳥「そうです」


P「……それを聞いてどうするおつもりですか?」

小鳥「いや、参考までに……」

P「何の参考ですか何の!」

小鳥「だって、それによってこう……今後の妄想が変わってくるじゃないですか」

P「妄想って……少しは懲りなさいよ!!」

小鳥「ぴよぉ」

P「まさかですけど、事務所に一人で居るときは……いつも盛ってたんですか?」

小鳥「さ、盛ってたって……そんな言い方………って違いますよ! 」

小鳥「いつもはペンとかマウスをちゃんと持って帰って……」

P「……持って帰って?」

小鳥「…………あっ」


P「なんか気付いたらボールペンが無くなってると思ったら! そういうことですかッ!」

P「やたらマウスカーソルが荒ぶると思ったらぁぁーーッ!!」

小鳥「てへぴよ(・ω<)」


P「あとは何だ! 何を使ったぁ!」

小鳥「あとは……マグカップとか?」

P「マジの変態やないかいっ!!」

小鳥「だってぇ……目の前にソレがあったら………」

P「…………はぁぁ~」

P(なんでこんな人好きになったんだろ…………)

――――
――

ガチャ

春香「なんと帰りは一度も転ぶことなく、無事に戻って参りましたー!」

P「おかえり」

小鳥「おかえりなさい」

春香「あれ? 小鳥さん、もう帰ってきてたんですね!」

小鳥「え、えぇ……まぁ」

春香「どこ行ってたんですか?」

小鳥「うぅん、あの時まだイッてなかったのよ」

スパァン!

小鳥「あいだっ! プロデューサーさん、叩かないでくださいよぉ!」

P「なんてこと言うんですかアンタはッ!!」

小鳥「いや、私は聞かれたから答えただけで……」

P「その腐った脳みそ取り出して、漂白剤でジャブジャブ洗いますよ!!」

春香(……なんの話?)

春香「アイスどうします? とりあえず冷凍庫に入れときましょうか?」

P「いや、せっかくだし先に三人で食べよう」

春香「色んな種類を買ってきたんで、早い者勝ちですね!」


小鳥「あいすぅーあいすぅー♪」

P「子供かっ!」

小鳥「おおとかげーおおとかげー♪」

P「コモドかっ!」

小鳥「クロッシィ~クロッシィ~♪」

P「ドコモかっ!」

春香「……壊滅的にツマンナイです」

P・小鳥「「サーセン」」


春香「ほらほら、早く選びましょー」

P・小鳥「「はーい」」

春香「小鳥さんはどれにしますか?」

小鳥「私? 私は……この中だと………」

小鳥「バ・ナ・ナ……かしらぁ」チラッ

P「…………////」

春香「プロデューサーさんは?」

P「俺? じゃあ俺は……えーっと………」

P「マ、マンゴーかなぁ?」チラッ

小鳥「…………////」


春香「そうそう! なんかマンゴーって、2つあったんですよ!」

春香「フツーのマンゴーと、完熟マンゴー」

P「それはやっぱり、完熟……」チラッ

小鳥「ウォッホン!!」

P「フツーのマンゴーにします」

春香「そうですか」

P「春香はどれにするんだ?」

春香「私はですねぇ、ちょっと珍しいのがあって……」

春香「これこれ! このチェリーってやつを…………」

P「ウォッホン!!」

春香「な、なんですか?」

P「いんやぁ? なんでもないぞー?」

P「チェリーとかそんなの、俺にはまっっったく関係ないぞー?」

春香「なんか口調がオカシイですよ?」

小鳥「プークスクスwww」

P「…………」ギロッ

小鳥「あっいや…………ぷふっ」

P「…………」ムスッ


P「なぁ聞いてくれよ春香ぁ~、小鳥さんさぁ……俺のボールペンで………」

春香「……えっ」

小鳥「ちょ、ちょー!!」

春香「ボールペン……」

P「どーした?」

春香「へ? ……い、いえ! なんでもないですよッ!」

P「……そうか」

春香「そ、そーですよ」

春香(こっそり持って帰ってるのがバレたのかと思った……)


小鳥「…………」ニヤニヤ


小鳥「春香ちゃーん♪」

春香「……ナンデスカ?」

小鳥「そぉ~だったんだぁ~」

春香「ぎゃっ!!」

小鳥「んっふっふ~」

春香「な、何がそんなにオカシイんですか? ヘンな小鳥さんだなぁ!」

小鳥「だってぇ……ねぇ?」

春香「あ、あーいけない! 冷凍庫に入れないと残りのアイスが溶けちゃうぅー!!」

小鳥「あっコラ! 待て待てー♪」

P「…………」

P「マンゴー(゚Д゚)ウマー」


小鳥「ほらぁ、お姉さんに正直に言ってごらんなさいよぉ~」

春香「やだなぁー小鳥さん! 一体何の話をしてるんですかねぇ~」

P「…………」

小鳥「いいのよ? 人間ですもの……行為そのものは悪いことじゃ………」

春香「あーあーきこえなーい」

小鳥「私達はもう、棒姉妹……いや、ボールペン姉妹になったんだから………」

P「…………」





P「そういやこの小鳥液って俺が拭かないといけないのー?」

END

短いけど終わりです
お粗末さまでした

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