切嗣「大人になれない僕らの」(112)

イリヤ「よーし、今日こそはイリヤが切嗣よりクルミの芽をたくさん見つけるんだから!」

切嗣「……フフ、そんなに走ると危ないよ」

イリヤ「早い者勝ちー!」

切嗣「(聖杯戦争の開始まで残りわずか。アイリが娘と過ごせる時間は……)」

イリヤ「あ!」

切嗣「おっ。もうあったのかな」

イリヤ「切嗣たいへん! あんなところに子どもが倒れてるよ!」



ガッシュ「う、ウヌゥ……」

ガッシュ「」ガツガツガツガツ!!

アイリ「あらあら、もう全部なくなっちゃったわね」

イリヤ「ほえー。すごい食いしん坊さん」

切嗣「……」

ガッシュ「ゴックン……ウヌウ、腹が空いて死ぬところであった。三人とも命の恩人なのだ!」

アイリ「それでガッシュくん……だったかしら、あなたはどこからやってきたの?」

ガッシュ「ウヌウ、実はどうやってここへきたのか、わたしにもよく解らない。とにかく、わたしはとても遠いところからやってきたのだ」

切嗣「どこかな。よければ僕が送っていくよ」

ガッシュ「本当か!? 切嗣!! お主は本当にいい奴だな!!」

セイバー「はぁ……どうすればマスターは心を開いてくれるのでしょうか」

セイバー「やはり私が女であるのが、先行きで不安にさせているのかもしれません」

セイバー「ならば、実戦で私の力を見せつけて切嗣に認めてもらうしかない」

セイバー「しかし、いくらなんでも聖杯戦争までにマスターとの意志疎通が全くないというのは、他のサーヴァントたちに大きな遅れをとってしまうのでは……?」

セイバー「……考えていても仕方ありませんね。それより今は、三時のおやつのことが先決です。今日もアイリスフィールが腕によりをかけたお菓子をいただくとしましょう」ジュルリ

ガチャッ

アイリ「!」

イリヤ「あ、セイバーだ!」

セイバー「こんにちは、イリヤスフィー……」

ガッシュ「ウヌ?」


スッカラカン


セイバー「……私の」

アイリ「お、落ち着いてセイバー!!」

ガッシュ「」ゲップ

セイバー「スコーンが……」

セイバー「エクス、カリバアアアアア!!」

ガッシュ「のわあああああ!?」

セイバー「ええい何者だ、貴様ぁ!!」

ガッシュ「が、ガッシュ・ベルなのだ……」ガチガチ

アイリ「やめてセイバー!! 相手は子どもよ!!」

イリヤ「えーん。こわいよ、切嗣」

切嗣「見てごらんイリヤ、あれが伝説の英雄さまの姿さ。信じられるかい?」

アイリ「日本?」

ガッシュ「ウヌ、日本のモチノキ町という場所にわたしの友達が住んでおるのだ。その者なら必ず力になってくれると思う」

アイリ「ちょうどいいわ! わたしたちもこれから日本へ行く予定なのよ。切嗣、モチノキ町ってどこにあるのか知ってる?」

切嗣「いいや。あとで調べてみるよ」

セイバー「なら、予定を早めてすぐにでも向かった方がよいのでは? 私たちと一緒にいれば、冬木での争いに巻き込んでしまう可能性があります」モグモグ

切嗣「……」

セイバー「……」モグモグ

ガッシュ「ウヌ?」

アイリ「そ、そうね! じゃあ二、三日余裕を持って行きましょう!」

日本


切嗣「舞弥、あとは頼んだ」

舞弥「はい」

アイリ「それじゃあね、ガッシュくん」

ガッシュ「ウヌ。本当に世話になった。いつか絶対にお礼を返すのだ!」

アイリ「……そう。楽しみに待ってるわ」

舞弥「では」グイグイ

ガッシュ「ま、待つのだ舞弥殿!! まだお別れが済んではおらぬ!! のおおおおおおお!! みんなありがとうなのだ!!」

セイバー「行ってしまいましたね」

アイリ「短い間だったけど、面白い子だったわね」

切嗣「もうこんな時間だ。急ごう、アイリ」

アイリ「ええ」

ブロロロロ...

ガッシュ「う、ウヌウ……」

舞弥「……」

ガッシュ「舞弥殿……?」

舞弥「……」

ガッシュ「ぬううぅぅ……!(なにか、なにかしゃべってくれないと辛いのだ)」

舞弥「……」

ガッシュ「(そ、そうなのだ。もう少しの辛抱でまた清麿に会える。楽しみだのう、高校生の清麿は立派になったのかのう。母上の料理も久しぶりなのだ。ブリ……)」グー

舞弥「……」

ガッシュ「お腹が空いたのだ……」

舞弥「降りてください」

ガッシュ「ここはどこなのだ?」

舞弥「あそこに交番があります。わかりますか?」

ガッシュ「う、ウヌウ……」

舞弥「あとは警察の方が面倒を見てくれるはずです」

ガッシュ「……ま、待ってほしいのだ!! 確かに迷惑をかけているのは分かるが、ここで一人にされては困るのだ!! できることなら、せめてモチノキ町まで……」

舞弥「モチノキ町なんて、存在しませんよ」

ガッシュ「ぬ!?」

舞弥「では」バタン

ブロロロロ...

ガッシュ「のおおおおっほっほっほっほ!!」

ガッシュ「ぬあああああ……わたしはこれからどうなってしまうのだ」シクシク


警官「二度としないでよ、まったく」

「すいません、すいません」

「なにをそこまで頭を下げる必要があるのだ、坊主。貴様は少し、自分の名誉を軽んじすぎだぞ」

「誰のせいだと思っているんだ、バァカ!!」


ガッシュ「ウヌ?」

ライダー「箱形の乗り物に免許が必要とは聞いていたが、まさか自転車までスピード違反になるとはな」

ウェイバー「僕がいないとさらに面倒なことになっていたぞ。くそ、無駄な魔力使わせやがって……」

ライダー「そう言いつつ、なんだかんだで貴様も余と二人乗りを楽しんでいたではないか。ダッハッハッハッハ!!」

ウェイバー「お前が無理矢理乗せたんだろうが!! もう、サーヴァントのくせに勝手な奴……あ?」

ガッシュ「ヌウ……」

ウェイバー「な、なんだよ」

ガッシュ「それ、おいしそうだのう」グー

ウェイバー「はあ?」

ガッシュ「少しだけ、少しだけ分けてはくれぬかのう……?」

ウェイバー「なっ! 赤の他人にせびるなんて躾がなってない子どもだな。いやだよ、ベー」

ゴチン

ウェイバー「痛っ!?」

ライダー「堅いことを言うな。それに貴様も赤の他人に施しを受けてもらっている身であろうが」

ウェイバー「う、うるさいな! わかったよ、ほら」

ガッシュ「ありがとうなのだ!」

レストラン


ライダー「コンビニ弁当とやらでは腹の足しにもならん。やはり食事はバイキングに限るな!」ガツガツ

ガッシュ「ウヌウ!」ガツガツ

ウェイバー「お前ら……いくらなんでも二人で食い過ぎだ。少しは遠慮しろよ。周りから白い目で見られているのが解らないのか」

ライダー「なーに、気にする必要はないぞ、坊主。覇道を示す者であれば、時として民草に疎ましく思われることもあろう。それに、ちゃんと金も払っている」

ウェイバー「暴飲暴食が覇道となんの関係があるんだよ!! それから、代金を出すのは僕だろうが!!」

ガッシュ「ウヌウ! ウェイバー殿は優しいな! わたしにまで食べ物を与えてくれたのだ!」

ウェイバー「う……」

ライダー「ダッハッハッハッ!! 照れるな、坊主!!」

ウェイバー「照れてない!!」

ライダー「それで小僧、貴様の家はどこにあるのだ? 迷子なら余の戦車で送っていくが」

ガッシュ「家と言えば家なのだが、モチノキ町という場所にあるのだ」

ウェイバー「モチノキ町……市内にはないな」ペラッ

ガッシュ「そうか。ウヌウ……」

ライダー「フム。まぁ、今日帰るところがないのであれば、我らのねぐらを紹介してもいいぞ」

ガッシュ「本当か!?」

ウェイバー「おい!」

ライダー「まあまあ、任せておけ。マッケンジー夫妻には余が話をつける」

ウェイバー「そういうことじゃなくて……ああもう、どうしてこうなるんだ」

切嗣「そうか、ご苦労だった」ピッ

アイリ「ガッシュくん?」

切嗣「ああ、無事に交番の前で降ろしたそうだよ」

アイリ「少し可哀想だけど、しょうがないわよね。わたしたちと一緒にいても危険だもの」

切嗣「初めはサーヴァントかとも思ったけどね。微弱な魔力が放射されていたのは、おそらく僕たちと出会う前に、誰か他の魔術師にやられた形跡だったのかもしれない」

アイリ「なんにせよ、一安心ね。これで心置きなく聖杯戦争に参加できるわ」

切嗣「ああ」

ガッシュ「ウヌウ。ウェイバー殿もイスカンダル殿も、あのおじいさんやおばあさんもみんないい人たちなのだ。ウェイバー殿にはバルカンも作ってもらったしのう」


「あはははははwwwはやく降りてきなさいよwwww」

「うわああああ!!」


ガッシュ「!?」


士郎「もうやめてよ、凛ちゃん……」ガクブル

凛「ふひひひひwwwwほれwwwほれwww」ブンブン!!


ガッシュ「いじめッ子なのだ!」

バルカン300「」カッ

ガッシュ「ウヌ。そのとおりだバルカン、悪いことを許してはならぬ。やめるのだー!」

ガッシュ「ぬおおおおおお……!!」ガクブル

士郎「ひぃぃぃ……」ガクブル

凛「あはははははwwwww」ブンブン!!

ガッシュ「や、やめるのだ!! わたしまで降りられなくなってしまったではないか!!」

凛「あんたバカじゃないの?wwwwww」

士郎「うううう」

ガッシュ「怖いのだああああ!!」

凛「あーあ、なんか飽きちゃった。下民と遊ぶのも退屈よねぇ」

スタスタ

ガッシュ「……い、行ったのだ」

ガッシュ「のほほほほほ!!」シクシク

士郎「だ、大丈夫……?」

ガッシュ「う、ウヌウ。わたしは大丈夫なのだ。それよりお主、ケガはないか?」

士郎「うん」

ガッシュ「フフフ。あの者、口ほどにもなかったな。わたしにかかればこんなものだ」

士郎「遠坂凛だって。この辺じゃ見かけない子だけど……君もはじめて会ったね」

ガッシュ「わたしはガッシュ・ベルだ」

士郎「おれは士郎。よろしく」

ウェイバー「おーい、ガーーーッシュ!!」

ガッシュ「ウヌウ、ウェイバー殿なのだ」

ウェイバー「何時だと思っているんだよ、ったく。なんでマスターの僕が子守りしなくちゃならないんだ……」

士郎「あ、もうこんな時間だ」

ガッシュ「士郎、また明日遊ぶのだ!」

士郎「うん、じゃあね」

ウェイバー「……また明日って、お前なぁ」

ガッシュ「ウヌウ?」

ウェイバー「目的忘れたのかよ。高嶺ってヤツの家を探すんだろ? 僕らだっていつまでもこの町で長居するわけじゃないんだからな」

ガッシュ「そ、そうだった。わたしはまず清麿に会わなくちゃいけないのだ」

ウェイバー「はぁ……(言うことを聞かないサーヴァントに、王様口調の変な子ども……先が思いやられるな)」

ウェイバー「ライダー、聞いてるのか!?」

ライダー「うるさいのぉ。そう喚かなくて聞こえておるわ」

ウェイバー「アサシンがやられた。よくもまぁ悠長に構えてられるな。聖杯戦争はもう始まっているんだぞ」

ガッシュ「聖杯戦争?」

ウェイバー「ガッシュには関係のない話。とにかく僕たちは他の組と比べて情報に弱い。お前もそうやって堂々と姿を出さずに、霊体化して身を潜めるべきだ。後々のために魔力を温存する必要がある」

ライダー「余の趣味ではないな」

ウェイバー「だーかーらー!」

ライダー「征服王たる余がこそこそと身を隠すなど、もっての他だ。敵を前すれば正面から迎え撃つのが戦における道理であろう」

ガッシュ「王?」

ウェイバー「お前の都合だけで考えるな! 僕は勝つためにやってるんだ!」

ライダー「聖杯の力なんぞに頼らずとも、貴様の歳なら飯をたらふく食って寝ればまだどうにでもなるわい」

ウェイバー「だから違うって!」

ガッシュ「イスカンダル殿は王様なのか?」

ライダー「いかにも。征服王イスカンダルとは余のことだ」

ウェイバー「こら、まだ話の途中……」

ガッシュ「それでは王様のための勉強もしておるのだな!?」

ライダー「ははっ。なんだ急に」

ガッシュ「教えてほしいのだ! 特にわたしは法律やけーざいが苦手でのう……」

ライダー「そうさな。余にも細かいことは解らん。そういう面倒なことは配下の専門に任せておけばいい」ホジホジ

ガッシュ「ウヌウ……。前に似たようなことをお兄ちゃんに言った時には叱られたのだ」

ライダー「無理なことは無理だと押し通すのも王の役目だ。なにも一人で背負い込むことはない」

ガッシュ「ウヌ。わたしもいつもみんなに助けてもらっているのだ!」

ライダー「そうか。余も同じだ。ダッハッハッハッハ!!」

ウェイバー「勝手に話題を脱線させるな!」

ライダー「さっきから聞いていれば、ガッシュ。まるで貴様も王であるかのような口ぶりだな」

ガッシュ「う、ウヌウ……。話してもいいものか……」

ライダー「貴様の素性からなにか解るやもしれん。我らが清麿とやらの居所を知る手掛かりにもなろう。話してみろ」

ガッシュ「そうだのう。実はーー」





ライダー「ほほう、それでは貴様はその闘いの勝者として王になったのだな?」

ガッシュ「ウヌ。清麿はその時、わたしのパートナーとして協力してくれたわたしの親友なのだ」

ライダー「なるほどなあ……」

ウェイバー「おい、信じるのかよライダー。魔界だの、ガッシュが王だの」

ライダー「その魔界の王を決める闘い、聖杯戦争に酷似しておるではないか。無関係とは思えん」

ウェイバー「そうだけど……」

ライダー「もしかすると、こやつもまたサーヴァントとして召喚された一人である可能性が高いな」

ガッシュ「信じてくれるのか?」

ライダー「信じるにせよ信じないにせよ、ガッシュ、貴様が語る王としての在り方は、余に比類するモノがある。気に入った」

ガッシュ「のおおおぉぉぉ……よかったのだ。魔界で未だにわたしを知らぬ者は、わたしを王と信じる者が少なくて……」

ライダー「ダッハッハッハッハ!! 無理もない!!」

士郎「へぇ。そうなんだ」

ガッシュ「ウヌウ、士郎。お主、信じておらぬな」

士郎「だってガッシュはまだ子どもじゃん。王子様ならわかるけど、王様って大人がなるものでしょ?」

ガッシュ「そ、それは確かにそうかもしれぬが……」

凛「あはははwwww王様だってwwwwww」

ガッシュ「ぬ。あれは」

士郎「あ、凛ちゃんだ」

凛「王様wwww王様ってwwww男子ってだっさい遊び好きよねwwwwww」

ガッシュ「ぬあああ……」プルプル


「なんだと……」


凛「へ?」


ギルガメッシュ「よくも我の前で王を侮辱したな、雑種」

時臣「英雄おおおおおおお!!」

凛「あ、お父様w」

ゴチン!

凛「オウフwww」

時臣「娘が大変なご無礼を!! 何卒!! 何卒お許しください!! どうかお戻りを」ペコペコ

ギルガメッシュ「教育がなっておらぬな、時臣。おい、そこの小僧」

ガッシュ「う、ウヌウ。わたしか?」

ギルガメッシュ「我を差し置いて王を称するなど、万死に値する。赦しを請うなら今のうちだが」

ガッシュ「しかし、わたしは本当に魔界の王様で……」

ギルガメッシュ「」ビキビキ

時臣「いいからはやく謝れ!!」

「あー、見て見てー。あのお兄ちゃんジャングルジムに登ってるー」

「ホントだー」

「やだわ、あの人。あんな格好でなにしてるのかしらw」

「駄目よ、奥さん。笑ったら」クスクス


時臣「れ、令呪を……」

ギルガメッシュ「この……!」

時臣「ッ! 間に合わないーー」

ギルガメッシュ「 痴れ者がッ!!」


ドドドドドドドッ!!

シュー・・・


ギルガメッシュ「フン。言っても解らぬ雑種は、死んで詫びさせるしか術はない」



ガッシュ「ぬぅ……!」



ギルガメッシュ「?! なに!?」

ガッシュ「大丈夫か……皆のもの」

「な、なにこれ」

「うえーん」

凛「うえーんwwww」

士郎「これは……ガッシュのマント?」

ギルガメッシュ「……貴様の仕業か、小僧」

ガッシュ「わたしが、王を名乗ったのが気に食わぬのなら謝ろう。だが、お主が傷付けようとした人たちにも謝るのだ」

時臣「また余計なことを……」


ズ・・・


ギルガメッシュ「返答は否。貴様はたったいま、またしても我を侮辱した。この英雄王の宝物がその薄汚い布切れに劣るだと……?」

ガッシュ「(あの数、マントでは防ぎきれぬ……。考えるのだ。……清麿なら、こんな時、清麿ならどうする!?)」

ギルガメッシュ「膝まずけ!! 雑種ッ!!」


ドドドドドドドッ!!


ガッシュ「ッ! ジケルド!!」

ドゥイン

ググググ・・・

ギルガメッシュ「なっ!」

ドドドドドドドーンッ!!


切嗣「驚いたな……」

舞弥「まさかあの子どもがサーヴァントだったとは。……どうします。私の位置から遠坂時臣を狙撃できますが」

切嗣「待て、舞弥。アサシンも見ている。こちらが気付かれたら元も子もない。予定変更だ」

ギルガメッシュ「おのれ時臣!! 我に恥をかかせたままここで引けと!?」

時臣「落ち着きください。あんな子どもは英雄王が手を下すまでもありません……」

ギルガメッシュ「くそ……! 覚えていろ、雑種めッ!」

凛「お父様ダサすぎwww幻滅したわwwww」

士郎「ガッシュ……あれ、ガッシュ!?」



ガッシュ「もが……(切嗣!?)」

切嗣「大人しくしていろ。舞弥、引き上げるぞ」

舞弥「はい」

ランサー「すまない、主よ」シュー

ケイネス「この、役立たずが!」

セイバー「ランサー……」

ランサー「まさか腕一本の剣に敗れるとはな。見事だ、騎士王」

セイバー「あなたも手強い兵士でした。初めの相手があなたでよかった。この冬木の地にて、ここまで大義のある闘いができるとは思いませんでした」

ランサー「礼を言うのはこちらの方だ。無念だが、少なくとも忠心のあるうちに死ねる。最後の相手がお前で、本当によかった。ありがとう、セイバー」


スゥー キラキラ


アイリ「やったわセイバー! あのアーチボルトを倒した!」

セイバー「ええ。気持ちのいい勝負でした。次からもこんな闘いができれば良いのですが……」

prrrrrr...

アイリ「あ、えっと、通話ボタン……これかしら。もしもし、切嗣……え!? ガッシュくん!?」

切嗣「マスターはどこだ」

ガッシュ「いないのだ。たぶん清麿は聖杯戦争とやらに関係ない」

切嗣「魔界から来たと言ったな。どうやって人間界へ来たのか本当に覚えていないのか?」

ガッシュ「ほ、本当にわからぬのだ……」

アイリ「もういいでしょ、切嗣。他の組はここへ来る前にキャスターも確認できたし、この子はサーヴァントじゃないのよ」

切嗣「……まぁいい。他に利用価値はいくらでもある」

ドクン

切嗣「そらきた」

ライダー「おう。無事だったか、ガッシュ」

ガッシュ「のおおおおお!! イスカンダル、ウェイバー殿!! 会いたかったのだああ!!」

ウェイバー「なにやってんだよ、ホントにお前!」



ライダー「さて、王が四人も集ったところで」

セイバー「……」

ギルガメッシュ「」ギロッ

ガッシュ「う、ウヌウ」

ライダー「始めるとするか、聖杯問答」

セイバー「……ガッシュは無関係なのではないのですか」

ライダー「せっかく異界の王いるのだからな。仲介役としていてもらう。余の見立てでは、こやつも中々の益荒男だぞ」

ガッシュ「ウヌウ! わたしは魔界の王様なのだ!」

ギルガメッシュ「粋がるなよ。我から言わせれば貴様らは所詮、仮初めの王に過ぎない雑種だ」

ライダー「まあまあ、そう言うな。お前の話から聞こうではないか」

ギルガメッシュ「我は唯一の王。それだけだ。語るまでもない。世界は我の庭、ゆえに聖杯も我の宝。雑種がそれを取り合うなど盗人猛々しい」

ライダー「強情な奴だのう……それではセイバー、お前はどうだ?」

セイバー「私の願いは、身命を捧げた祖国、ブリテンの運命を変えることだ」

ギルガメッシュ「www」

セイバー「笑われる筋合いがどこにある!?」

ライダー「運命を変えるだと……。セイバーよ、それは貴様と時代を共に生きた全ての人間に対する侮辱だ」

セイバー「英雄王、征服王。お前たちこそ王の本懐を為していないではないか!? 正しき治世と正しき統制を敷き、国に尽くすことが王の義務であろう!」

ライダー「いいや違う。貴様のように、自らの行いを否定した王はただの暗君だ。王とはその生き様で諸人を魅せ、臣民の志の総算たる者でなければならない。そうだろう、ガッシュよ」

ガッシュ「う、ウヌウ……なにか難しい話ばかりでよく解らぬが……」

ライダー「構わんさ。思うままを語ればいい」

ガッシュ「わたしが、かつての闘いで勝利することができたのは、魔界のみんなが想いを一つにして力を貸してくれたからなのだ」

セイバー「……!」

ガッシュ「だからセイバーの言う、完璧な孤高の王が絶対に正しいとは思えない。だが、決して間違っているとも思えぬ」

ギルガメッシュ「……」

ガッシュ「わたしは『優しい王様』を目指して清麿と闘った。そうありたいという気持ちは今でも変わってはおらぬ」

ライダー「……」

ガッシュ「だが、わたし一人の力でそんな王にはなれない。皆の助けが必要なのだ。イスカンダルの言う志を一つにする王と、セイバーの言う正しくあろうとする王、その両方を兼ねていなければならぬ。王とはきっとそういうモノなのだ」

ライダー「ぬ、ふふふっ……ダッハッハッハッハ!!」

ガッシュ「ウヌウ!? お、おかしいのだ?」

ライダー「こりゃあ一本取られたわい。貴様の勝ちだ、ガッシュ。然り。それこそ正に、真の王であるのやもしれぬな」

セイバー「志を一つに導く王……」

ギルガメッシュ「時臣め、無粋なマネを」

アイリ「!?」
ウェイバー「!?」



言峰「全てのアサシンを配置しました」

時臣「そうか。綺礼、なんか色々と後は任せる。……もう疲れた。根源とかどうでもいいや」

言峰「……」

後少しだけど、休みます
数時間ごとにちょいちょい投下するかも
もし落ちたらスレ立ててから続きやります

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