P「765探偵事務所」美希「ここほれワンワンなのっ!」 (93)

続き物です、久々に書きます。
それでも良いよという方は読んで頂けるとありがたいです。

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事件4「四条家の秘宝を探せ」






美希「ハニー…まだつかないの?」

P「もう少しだから我慢しろ、ほらっ…さっさと歩く」

美希「もう限界なのっ…」

P「弥吉さんとやよいちゃんは一週間に一度ここに来てるんだぞ?」

美希「でもでもぉ」

P「まったく…お前が自分から付いてきたいって言ったんだろうが」

美希「美希とハニーは一心同体なの!」

P「ならグダグダ言わずに足を動かさんか」

美希「むぅ~!ハニーのイケず!」

P「へいへい、イケズでも何でも構いませんよ」

美希「またそういう言い方…そうだ!良い事思いついたの!」

P「良い事?まぁたどうせ訳の分からんこt…」

美希「う~、えいなのっ!」ぴょんっ!

P「ぐぉあっ!おいっ!いきなり飛びつくんじゃない!」

美希「これなら美希は疲れないし、ハニーとくっついていられるよ?」

P「いられるよ?じゃない!こんな急な坂道でお前をおぶって歩けるか!」

美希「でもハニー、美希はもう疲れて歩けないんだよ?」

P「俺の疲れは無視かっ」

美希「それともハニーは歩けない美希を置いて一人で行っちゃうの?」

P「いや、何もそんな事は」

美希「置いて行っちゃうの?」

P「だからそんな事…」

美希「置いていかないって言ったのに…」

P「…」

美希「…」

P「わかったよ!おぶってけば良いんだろ!」

美希「わーい!ハニー大好きなの!」

P「おいこら!後ろで暴れるんじゃないって!」

美希「出発進行なの!」ギューッ!

P「…しっかり掴まってろよ」


一時間後


P「」

美希「ハニ~、大丈夫?」

P「これが…大丈夫な…ように…見えるのか…」

美希「あはっ!見えないの!」

P「一時間も…このアホみたいな上り坂を…お前をおぶって登ってきたんだぞ…」

P「疲れないわけないだろうが!!!!」

美希「ハニー?普段からちゃんと運動してないからだよ?」

P「普段から寝てばかりいるお前にそんな事言われる日が来るとはな、まぁ良い…やっとこさ目的地に着いたからな」

美希「目的地についたって…ハニー?」

P「何だ?美希」

美希「ハニーはこんな暗い森に来たかったの?」

覚えていてくれていてありがたい


P「あぁ、美希は初めてだから仕方ないな」

美希「?」

P「この土地の名前は霧の森って言ってな、昔から曰く付きの土地なのさ」

美希「いわくつき?」

P「なんでも、大昔に天界から追放された神様が隠れていたとか、戦ごとで負けた国の姫君が隠れていたとかさ」

美希「ふ~ん」

P「とにかくよくわからん土地なんだよ、そのせいか大昔からこの土地にはあまり人が寄り付かないんだ」

美希「でも、ハニーは今日誰かに会いに来たんでしょ?」

P「そう、この土地に住んでるお方に会いに来た」

P「四条家二十七代目後継予定…そうだな言うなれば、この土地の姫様ってところか」

美希「お姫様~?」むっ…

P「ほら、見えてきただろう?霧の奥にさ」

美希「きりのおく?」

P「よ~く見てみろって」

美希「わっ…さっきまで何にもなかったのに」

P「これがこの土地の不思議なところなんだよ、何度来てもまるで狐につままれている様な気持ちになるが」

P「さっきまで何もなかったように思っていた所に忽然と屋敷が現れたりする」

P「こんな風にな」






事件4「四条家の秘宝を探せ」

P「しっかし、相も変わらず広い屋敷だな…」

美希「このお部屋に着くまでたくさん女中さんがいたの!」

P「まぁこの規模の屋敷を維持していくとなると相当の数の人間が必要だろうしなぁ」

美希「お部屋もたっくさんあったね!美希達のお家の何個分なのかなぁ?」

P「比べられる事自体が恥だ、考えるんじゃない…」

美希「はーいなの…」

P「比べた結果、勝手に悲しくなるんじゃない!」

美希「あっ…で、でも!美希はあのお家好きだよ!」

P「慰めんでいい!あれは元々俺の物じゃなくて社長の物なんだよ」

美希「社長って、律子さんのパパの?」

P「そうs…」


スーッ…

そうですね、まるまる一年ぶりです


貴音「…」

P「お嬢様、お久しぶりでございます」ペコッ…

美希「わぁ、きれい…」

貴音「…」

P「えぇっと、最後にお会いしたのは、もう一年近く前ですかね?」

貴音「…」

P「まぁあれから何度かお手紙やお電話があったので、そんな感じもしなかったのですが」

貴音「…」

美希「ねぇねぇハニー?」こそこそ…

P「なんだ美希」

美希「このきれいな人さっきから全然喋らないけど、いつもこうなの?」

P「まぁお喋りってわけではないんだが無口な方では…お嬢様?」

貴音「…」

P「貴音お嬢様?」

貴音「!」キッ!!!!!

美希「!?」

P「ど、どうかなさいましたか?」

貴音「どうしたもこうしたも…」

P「は、はい」

貴音「どうしたもこうしたもありますか!!!!!」

P「えっ…えぇ!?」

貴音「貴方様も…」

P「は、はい」

貴音「貴方様も色々と忙しい方です、ですから邪魔になってはいけないと自ら貴方様に会いに行くことはしませんでした」

P「確かに、一年近くご挨拶n」

貴音「十一ヶ月と四日です!」

P「は、はい!」

貴音「この十一ヶ月と四日、私がどれほど自分自身の気持ちを押し込めてきたことか」

P「申し訳ございませんっ!色々と立て込んでいたもので…」

美希「むぅ~…」

貴音「いくらなんでも…いくらなんでも長すぎます!」

P「じゅ、十一ヶ月と四日!その間色々と厄介なことがあったんですよ!」

貴音「だから手紙や電話で済ませていたと?」

P「そうなって…しまいますかね?」

貴音「貴方様?」

P「はい!」

貴音「私は誠、悲しく思っております」

P「はい、申し訳ございませんでした…」

貴音「貴方様?」

P「はい」

貴音「寂しかったのですよ?」

P「はい…」

美希「むぅ!ハニーをいじめないでっ!」

P「いや美希、これは俺が悪かったんだよ」

美希「でもでも!ハニーは別に怒られるようなことしてないよ!」

P「しかしな…」

貴音「…貴方様、この見目麗しい娘様は」

P「え?あっと、ご紹介が遅れました!彼女は星井美希、うちの…」

美希「星井美希!ハニーの奥方様だよっ」

貴音「奥方?」ピクッ…

P「またお前はわけのわからん事を!まともに自己紹介もできないのか」

美希「だから、美希は美希でハニーのハニーなのっ!」

P「すまん、言ってることがよくわからんのだが…」

美希「むぅー、なんでわからないの?」

貴音「…」

P「とても日本語とは思えなかったからな」

美希「う~ん、ハニーはちょっとお間抜けさんだからしょうがないかな?」

P「お前にだけは言われたくない事を今日一日で二つも言われてしまったよ」

貴音「貴方様」

P「あっ!はい、なんでしょうか?」

貴音「今、この娘様…自分は貴方様の奥方だと言っていましたね」

P「いや、それh…」

貴音「それに、英国や米国では愛しき人のことを『はにぃ』と呼ぶ事もあるそうです」

P「そ、そうなんですか!?いやぁそれは知らなかっt…」

貴音「英国留学までされているのに知らなかったと?」

P「」

美希「え?ハニー外国に行ったことあるの?」

P「ちょ、ちょっとだけな」

貴音「ほう、ちょっとだけ…ですか」

P「で、ですから」

貴音「まぁ良いでしょう、色々と話したいことはありますが時間も多き程にあります」

P「…」ホッ…

美希「ねぇハニー、今すっごくホッとしてたよね?」

P「静かにしなさい美希さん」

美希「誤魔化しきれてないと思うな」

貴音「えぇ、決して誤魔化されてはおりません」

P「さ、左様ですか」

貴音「ところで、私からも彼女に名乗らせて頂いても?」

P「あぁそうですね、それじゃあ」

美希「お願いしますなのっ!」

貴音「私は四条家二十六代、四条貴愛息女の四条貴音と申します」

美希「さっきハニーから聞いたよ!ここのお姫様なんだよね?」

貴音「まぁ世が世ならばその様な身になってもおかしくはなかったですが、もう時代が違います」

P「それでも高貴な方には変わりませんでしたけれどね」

貴音「えぇ、しかし父上や母上の時代と比べれば自由な生き方をさせてもらっております」

P「時代の移り変わりでしょうか」

貴音「ありがたい話です、そのお陰で私はお慕いする人とこうして自由に会う事ができるのですから」

P「なっ!?」

美希「おしたいって…ハニー?」

貴音「あぁ、良い忘れておりましたのでもう一度名乗らせて頂きましょう」

P「お、お嬢様っ!」

貴音「私は四条家二十六代、四条貴愛息女の四条貴音」

貴音「この御方の婚約者です」

美希「こ…こここっ、婚約者?」

P「あぁ、もう…」

貴音「えぇ、婚約者です」

美希「婚約者ってあの婚約者?」

貴音「えぇ、愛を誓い合った仲です」

美希「え?え?」

P「…」

貴音「美希…と申しましたか?」

貴音「以後、お見知りおきを」ニコリッ

美希「」

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四条邸 浴場



ちゃぽん…



P「はぁ…なんだっていうんだよ」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

美希「」

P「お、おい美希!美希!」

貴音「その様子ではしばらく元には戻らないでしょう」

P「勘弁してくれよ…」

貴音「積もる話はありますが、この様な状況ではあれですので…それはまた後にしておきましょう」

P「そうですか…」

貴音「ここまで歩いて来られたなら大変だったでしょう、夕餉の支度が出来るまでまだ時間があります、先に湯に使って疲れを癒してください」

P「お気遣い痛み入ります…」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


P「疲れを癒せと言われてもなぁ」

P「美希が正気に戻っても面倒だし、お嬢様の積もる話も怖い…」

P「せっかくの大きな風呂だというのに、これじゃあオチオチのんびりもできんぞ」

P「美希は諌めるのに大変だろうなぁ、今度はシベリアケーキじゃ許してもらえないかもしれない」

P「お嬢様はお嬢様で精神的にくるしなぁ」

P「はぁ…」

P「考えていても仕方ない、そろそろ腹を括って上がるか」


ガラガラッ…


P「んっ?」

貴音「貴方様」

P「あぁ、お嬢様ですか」

貴音「えぇ、お背中を流させて頂こうと思いまして」

P「そうですか背中を…背中を?」

貴音「えぇ背中を」

P「…」

貴音「さぁ貴方様、湯から上がってこちらに」

P「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!」

貴音「貴方様!どうなされたのですか!」

P「どうもこうも無いでしょう!人が風呂に入ってるのに何を平然と入ってきてるんですか!」

貴音「ですから背中を…」

P「私が言っているのはそこじゃないんですよ!」

貴音「?」

P「どうして私の言ってる事の意味が伝わらないんです…良いですか?いくら湯浴み着を着ていると言ってもいきなり裸の男の前に来るだなんておかしいでしょう?」

貴音「そうでしょうか、母上はよく父上の背中を流していましたが」

P「それはお二人がご結婚なさっていたからで…お嬢様はもう少し恥じらいというものを持ってください」

貴音「何を今更恥じらいなどと、昔は二人でよく入っていたではありませんか」

P「何年前の話をしているんですか…それはまだお嬢様が子供時分の話でしょう」

貴音「貴方様は昔から細かいことを気にする方です」むっ…

P「至極まっとうなことを言っているだけですよ」

貴音「…」むっ…

P「…」

貴音「うだうだと言わず、さぁこちらに」ぐっ…

P「わっ、わかりましたから!行きます!行きますから!」

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P「結局あれから数十分、背中が赤くなるまで洗われたが…」

P「何故この歳にもなってこんなに緊張せにゃならんのだ」

P「はぁ…」

美希「…」

P「あっ…」

美希「ハニー?」

P「おぉ美希、どうしたんだ?そんなに膨れた顔をして」

美希「どうしたもこうしたもないと思うな?」

P「へぇ…そうか」

美希「…」

P「それじゃあ俺はちょっと厠へ…」

美希「ハニー?」

P「は、はい」

美希「美希ね、ハニーに聞きたいことがたっくさんあるの」

P「俺には話したい事など無いんですが」

美希「この前のお手紙の女の人、あの人が貴音なんだよね?」

P「あぁ、そうだが」

美希「点と点が線になったの…ハニー?おしっこは我慢してね?さぁお部屋に戻ろう?」

P「いや実は俺は腹の調子g…」

美希「我慢してね?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


美希「ハニー?お座り」

P「俺は犬じゃないっての、それで?お前が聞きたいってのはお嬢様のことなんだろ?」

美希「うん、そうだよ」

P「何が聞きたいっていうんだ」

美希「あの子、どういう子なの?」

P「何者って、さっきも言っただろうが…四条家の」

美希「美希が聞きたいのはそういうことじゃないよ」

P「なら、何が聞きたいんだ」

美希「ハニーにとってあの子がどういう子なのかってこと!」

P「どういうって言われてもなぁ、お嬢様としか言いようがないさ」

美希「ふ~ん、そうやって誤魔化そうとするんだねっ」

P「俺は誤魔化してなんかいないぞ…」

美希「…婚約者」

P「あぁ、ちゃんと覚えてらっしゃいましたか」

美希「婚約者ってどういうことなのっ?」

P「それはだなぁ、なんとも説明が難しいんだが」

美希「まさか…本当に婚約してるの?」

P「いいや、今は婚約してないよ」

美希「今は?」

P「確かに数年前、ほんの僅かな時期ではあるけど婚約していたことがあった」

美希「…」

P「色々と家の問題とかがあってな、まぁそれも破談になって今となっては元婚約者様なわけだが」

美希「…」

P「おい、聞いているのか?」

美希「ハニーの…」

P「ん?」

美希「はにぃのぉぉぉ…」

P「えっと…」

美希「ハニーの浮気者ぉぉぉ!!!!」

P「えぇ!?いや待て」

美希「浮気者!最低なの!」

P「お前、浮気って何を言ってるんだ!」

美希「ハニーの奥方様は美希なんだよ?それなのに婚約者がいるなんてあんまりなの!」

P「だから元婚約者だっていってるだろ!それにお前は俺の妻でも何でもない!」

美希「そんな小さいことは気にしないの!」

P「そこが一番重要だろうが!」

美希「とにかく!浮気は浮気なの!」

P「何度も言わせるんじゃない!お前は俺の妻でも何でもないs…」

貴音「そうです、この方は貴方の夫ではありません」

美希「!?」

P「お、お嬢様!」

貴音「私の現婚約者であり、これからの四条家を共に支えていってくれる方です」

P「なっ!?」

美希「~~~っ!ハニー!」

貴音「夕餉の支度が整いました、この話はまた後にとっておきましょう」

美希「あ、あとでって…」

P「後があるのか…」

貴音「それではこちらに付いてきてください、急がないと冷めてしまいます」

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P「これはまたなんというか…」

美希「すっごく豪華なの!」

貴音「大切な客人の方がいらっしゃったのです、これくらいは当然だと」

美希「ハニー、うちは大切なお客さんが来てもこんなものだせないよね?」

P「こ、珈琲だしてるだろっ!」

貴音「貴方様の珈琲好きは相変わらずなのですね?」

P「えぇある種、中毒に近いものがありますが」

貴音「食後の珈琲もしっかりと用意してありますのでご安心を」

P「おぉ…わざわざ有難うございます」

美希「むぅ」

貴音「それでは、食べながらというのは些か行儀の悪い話かもしれませんが」

P「えぇ、本題の方に入らせて頂きましょうか」

美希「本題って?」

P「お嬢様が俺達をここに呼んだ理由だよ」

美希「理由って、ハニーに会いたかったからじゃないの?」

P「そんな事じゃなくてだな、頼み事があるからと俺h…」

貴音「そんなこと?」

P「あっ…いや、そんな事というのは深い意味があったわけではなくですね!」

貴音「そうですか」

P「と、とにかく!頼み事!そう頼み事の件ですよ!」

美希「ふ~ん」

貴音「引っ掛かる言葉はありますが、今は良しとしましょう」

P「ホッ…」

美希「ハニー?口からホッって出ちゃってたよ?」

P「や、やかましい!」

貴音「本題に入っても?」

P「ど、どうぞ!」

貴音「貴方様もご存知かと思われますが、当家は長い歴史を持ちます」

貴音「古くは平安の世から、戦乱や時代の流れを乗り越えここに至ります」

美希「そんなに昔からあるおうちなんだね」

P「あぁ、本当に名門のお家柄なんだよ」

貴音「その家柄も幕末の時分では失いかけたわけですが」

P「七卿落ちですか」

貴音「えぇ…当時の事は私にも分かりかねますが、お祖父様は大変なご苦労をなされたようです」

美希「ハニー?七卿落ちって?」

P「幕末…侍達の時代の終わりにお嬢様のお祖父様が京都を追われたんだよ」

美希「それって大変なことなの?」

P「これを説明すると長くなるからなぁ、まぁとにかく大変だったんだ」

貴音「此度の頼み事、実はそのお祖父様に関する事なのです」

P「貴謌様の?」

美希「おじいちゃんのお話?」

貴音「えぇ、私の祖父である貴謌の残した」

貴音「四条家の宝を探しだして欲しいのです」

P「四条家の…」

美希「宝?」

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美希「お宝って、お金とかそういうこと?」

P「まぁ平ったく言うとそういう事になるんじゃないか?」

貴音「いえ、その四条家の宝…場所も分からなければ、一体どの様な物なのかも分からないのです」

P「ではどうして宝の存在が?」

貴音「それは、この手紙にその宝の存在が記してあったからです」ピラッ…

P「なになに…」

美希「わぁ…ミミズが盆踊り踊ってるみたいなの」

P「達筆なんだよ!失礼なこと言うな!」

貴音「いえ、私も子供の時は読めませんでしたし」

美希「ミキは子供じゃないの!」

P「ムキになるな!それじゃあ拝見させて頂きますね…」

P「時代の流れの移り変わり、これ程滑稽なものはない」

P「どの様にか四条は生き続ける事が出来たが、これより先、何があるとも分からない」

P「四条がこれから先、動乱に飲み込まれぬよう私はここに一つの宝の置いて行く」

P「この宝があれば、四条は安泰であろう」

P「宝への想いを残し私は眠るっと…」

美希「う~ん、なんだか難しくってよくわからないの」

P「貴謌様がここまで言うのなら大層なお宝なんでしょうね」

美希「え?ハニーはこのお手紙の意味が分かったの?」

P「宝の在処だとか具体的なものはわからんが、その宝があれば四条家が今後存亡の危機に立たされる様な事が無くなるって断言しているぐらいなんだ」

P「これはとんでもない財宝が眠っているのかもしれませんね」

貴音「えぇ…お祖父様がそこまで言っておられるのですから、その可能性は高いかと」

P「しかしこう言ってはなんですが、何故今更なのですか?貴謌様はお嬢様がご幼少の頃に亡くなられています」

P「この手紙、もう十数年以上前の物ということでしょう?」

貴音「確かにこの手紙は私が幼き頃、お祖父様が亡くなられる直前に書かれたもののようですが」

P「それならば何故、今更宝探しなど?」

貴音「私もそう思いますが、実は私がその手紙の存在を知らされたのもつい最近の事でして」

P「それまで宝の存在も知らなかったと言う事ですか」

貴音「先日久方ぶりに父上にお会いした時にその手紙を渡されまして」

P「貴愛様がですか」

貴音「笑いながら言うのです、暇つぶしにでも探してみなさいと」

P「暇つぶしに宝を探せって…」

美希「なんだかすっごい話なの…」

P「まぁあのお方なら言いかねんな」

貴音「父上は昔からこの様な事が好きな方ですから」

P「それで宝探しをする事になったと」

貴音「はい、しかしながら私はこの手の事は素人…そうなれば貴方様のお力をお借りするのが良いかと」

P「なるほど、そういう事ですか」

貴音「それで、貴方様?」

P「わかりました、是非この件引き受けさせていただきましょう」

美希「ねぇねぇハニー」コソコソ…

P「ん?なんだ美希」

美希「本当にそのお宝見つけられるの?」

P「何言ってるんだお前、今まで俺が厄介な事件を解決してきたのを見てるだろう?」

美希「見てきたから言ってるんだよ?」

P「どういう意味だよ」

美希「ハニーって大変な事件とかかっこ良く解決しちゃうけど…」

P「しちゃうけど?」

美希「探しもののお仕事とかってすっごく苦手だよね?」

P「なっ!?この前あずささんの依頼を解決しただろうが!」

美希「あれは居ない人だったの!それにその後来た猫ちゃん探しのお仕事は結局解決できなかったでしょ?」

P「あっ、あれはだな…」

美希「ハニーが頑張るって言うなら美希も一緒に頑張るけど、大変だと思うな」

P「ズケズケと言いおって…」ギリギリ…

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P「えーおっほん…」

美希「仕切りなおしなの!」

貴音「はぁ」

P「やはり貴謌様が残したお宝ということとなれば、貴謌様の事をもう少し聞かないと」

貴音「お祖父様の事ですか?」

P「えぇ、私は御存命時の貴謌様にお会いしたことがありませんので…相当長生きされたとは伺いましたが」

貴音「そうですね、何から話せば良いいでしょうか…」

P「何でも構いません、お嬢様の思ったことを」

貴音「詳しい年齢は私も分かりませんが、お祖父様が亡くなったのは百を超えた時と聞きました」

美希「ひゃ、ひゃくさい!?とっても長生きなの…」

貴音「父上はお祖父様の晩年にやっと生まれた初子で大変可愛がられたと聞きます」

P「お年をめしてからの子供は大変可愛がられると聞きます、更にその子ともなればお嬢様も大変に可愛がられたでしょう」

貴音「…」

P「お嬢様?」

美希「どうしたの?」

貴音「可愛がられては、いなかったでしょう」

P「というと?」

貴音「お祖父様はどこか、私を避けておられた様でした」

貴音「亡くなるまでの数年間しか私は知りませんが、その数年の間で言葉を交わしたのはほんの幾度かの事です」

貴音「ある時勝手にお祖父様の部屋に入った時、こっ酷く怒られました」

P「…」

貴音「一度だけ、亡くなる間際に遊んでもらったような気もするのですが…それも幼き頃の記憶ゆえ確かな事かどうか」

貴音「もっとお祖父様とお話したかった、そのような想いが有りもしない記憶を作り出しているだけなのかもしれません」

P「お嬢様…」

貴音「申し訳ありません、少し湿っぽい話になってしまいましたか」

P「…」

貴音「さて、宝探しに関しては今日は明日からとして…今日は夕餉を頂いて寝ることとしましょう」

P「そうしましょう、それじゃあ美味しそうなご飯を頂いて珈琲を飲みましょうか」

美希「ハニーはそっちが目的なんだね?」

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深夜




P「ぐがー…ぐがー…」ZZZZ…


す~…


美希「…」

P「ぐがー…ぐがー…」ZZZZ…

美希「この時を…」

P「ぐがー…ぐぅー…」ZZZZ…

美希「この時を待っていたの!」

美希「起きてる時のハニーは素直じゃないし」

美希「いつもは律子さんと一緒に寝てるからハニーのところに行けないし」

美希「ちょっと眠いけど、この期を逃しちゃ駄目だって誰かが言ってる気がするの!」

P「ぐがー…ぐがー…」ZZZZ…

美希「それじゃあハニー、お邪魔しますなの~♪」

ピラッ…


貴音「…」


サッ!


美希「え、えっと…」

美希「ここはハニーのお部屋で…」

美希「ハニーがお布団で寝てて…」

美希「…」


ピラッ!


貴音「…」

美希「なんで貴音がハニーのお布団の中にいるの!」

貴音「なんでと言われましても…」

美希「ここはハニーのお布団だよ!貴音のお布団じゃないの!」

貴音「しかし、惹かれ合うもの同士が床を共にするのは当然のことかと」

美希「ハニーと惹かれ合ってるのは美希なの!」

P「ぐがー…ぐがー…」ZZZZ…

貴音「確かに仲が良いように思えますが、男女のそれとは違うのではないでしょうか」

美希「そんなわけないの!ハニーと美希は将来を誓い合った仲なんだよ」

貴音「将来を誓い合った仲…ですか?」

美希「そうなの!」

貴音「そのような事はないでしょう」

美希「あるのっ!」

貴音「この御方が私を残して別の方と将来を誓い合うだのと」

美希「貴音は『元』婚約者なんでしょ?今はわからないんじゃないかな?」

貴音「ほう…」ジーッ…

美希「なぁに?」

貴音「私はこの御方と寝屋を共にしたことが有ります」

美希「それは昔のことなの」

貴音「私はこの御方と風呂も共に入りました」

美希「それも昔のことでしょ!」

貴音「いいえ」

美希「えっ?」

貴音「今日の事です」

美希「」

貴音「今日です」

美希「ハニー…」

貴音「…」

美希「ハニー!どういうことなのー!」ゆっさゆっさ!

P「ぐうっ…ぐうっ…」ZZZZ…

美希「一緒にお風呂に入っただなんて聞いてないのー!」

貴音「その様子では共に風呂に入ったこともないようですね」

美希「貴音には関係ないの!ハニー!起きてちゃんと説明して!」ゆっさゆっさ!

P「ぐうっ…ぐうっ…」ZZZZ…

貴音「無駄です…この御方は一度寝ると朝まで起きません」

美希「えっ?」

貴音「その様子だと、それも知らなかったと」

美希「むぅ…むぅ~!」

貴音「やはりこの御方には私のほうが相応しいということなのでしょうか」ぎゅっ…

美希「そんなこと無いの!ハニーは美希のなの!」ギュッ!

貴音「…」ぎゅぎゅ!

美希「なっ!ハニーを引っ張らないで!」ギュッ!!!!

貴音「貴方こそ、引っ張らないでください」ぎゅぎゅぎゅ!

美希「だから引っ張らないで!」ギュッ!!!!!!!

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P「えぇっと…」

P「朝になって起きたら美希とお嬢様が私の布団に潜り込んでいて」

P「何が怖いって血走った目で取っ組み合ってるんですから」

美希「あふぅ…」

貴音「ふぅ…」

P「朝っぱらから一体何をやっているんですか…」

美希「貴音が!」

貴音「美希が!」

P「あぁもうわかりましたから、良いですもう何も聞きません…」

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P「さて、いよいよお宝探しを開始するわけですが」

美希「ここほれわんわんなの!」

P「楽しそうにしやがって…」

貴音「しかし貴方様、探すと言いましても」

P「現状手掛かりが無いわけですがね、とりあえずお嬢様の思い当たる所を探すのが良いかと」

貴音「思い当たる所ですか…」

P「どこかありませんか?」

貴音「実のところ、それらしい所は探してしまったのです」

P「というと?」

貴音「お祖父様が使っていたお部屋、蔵や隠し部屋…」

美希「隠し部屋なんてあるんだね」

P「元は簡易的な城だったわけだから、あってもおかしくはないな」

貴音「その他にも屋敷中を探したのですが」

P「見つからなかったと」

貴音「残念ながら…」

P「そうなると、手掛かりが出てくるまで手当たり次第に探していくしかありませんね…」

美希「手当たり次第ってどうするの?」

P「言葉の通りだ、それらしい所を探し尽くす」

美希「骨が折れそうなの…」

貴音「そうですか、では二手に分かれて探すことにしましょう」

P「その方が効率的ではありますね」

貴音「では…」グイッ…

P「わっ…」

貴音「私と貴方様、美希の二手に…」

美希「待って!なんで貴音とハニーの二人組になるの?」

貴音「なんでと申されましても」

P「ま、待ってくださいお嬢様!美希はこの屋敷の事がわかってません、それを一人で探せというのはちょっと…」

美希「そうだよっ!」

貴音「しかしながら、そうなると私は貴方様と離れてしまうということになります」

美希「むっ…」イラッ…

P「しかしですねお嬢様…」

貴音「私としては少しでも長く貴方様と共に居たいと思っているのですが」

美希「むぅぅぅぅぅ…」

P「お嬢様、何をそんなにムキに」

貴音「貴方様は私n…」

美希「ハニーは!」


ギュッ!


美希「ハニーは美希のハニーなのっ!」

P「お前も張り合わんでいい…」

貴音「そうなると困りました…美希も私も譲らないとなると」ジーッ…

P「え?」

美希「ハニーが決めなきゃいけないってことになるかな?」ジーッ…

P「え?え?」

貴音「貴方様」

美希「ミキと!」

貴音「私…」

美希・貴音「どっち(どちら)を選ぶの(ですか)!」

P「あぁ、あのですね…」

貴音「…」

美希「…」

P「そ、そうだ!わかりました!こうしましょう!」

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P「いやぁ、初めからこうすれば良かったんじゃないですか!」

P「私はこの屋敷に何度も来たことがありますから、迷うこともないでしょう!一人でも大丈夫です!」

P「美希は慣れていませんし、お嬢様について頂いて!」

P「歳も近いですし、これをきっかけに仲良くなってもらったりなんかして…」

貴音「貴方様…」

美希「ミキ、ハニーのそういう所あんまり好きじゃないかな」

P「は…ははっ!」

貴音・美希「…」

P「それじゃあ!時間がもったいないので、早速始めましょう」ダッ!

美希「あっ!ハニー!まだ話は終わってないの!」

貴音「お待ちください!」


ぴゅー…


美希「ホントに逃げ足が早いの」

貴音「えぇ、昔からこうでした」

美希「それじゃあ、ここに居ても仕方ないし」

貴音「捜索を始めましょうか」

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美希「う~ん…ここにも」

貴音「ありませんね」

美希「やっぱり手掛かりもなしに探すのなんて無理だと思うな…」

貴音「そういう事なのでしょうか、確かにこれ以上探すところは…」

美希「どうすればいいかな」

貴音「とりあえず、そこの林の中を探してみることにしましょう」

美希「うんっ」


ガサゴソッ…


貴音「実はこの辺りも一度探したのですが、やはり目新しいものは」

美希「ねぇ、貴音?」

貴音「はい、なんでしょうか」

美希「貴音はなんでハニーのことが好きになったの?」

貴音「随分と唐突な質問ですね」

美希「だって、気になるから…」

貴音「そうですか」

美希「うん…」

貴音「私とあの方が出逢ったのはまだ私が幼かった頃です」

美希「子供の時?」

貴音「えぇ、十年程前でしょうか」

貴音「あの方の家と四条家は昔から付き合いがあったそうで、その関係性からあの方が私のお守役としてこの家にやって来た事が始まりでした」

貴音「週に二、三度…私の勉強を見たり、遊び相手になって頂いたり」

貴音「場合によっては怖がりだった当時の私と一緒に寝てくれた事もありました」

美希「そうなんだね」

貴音「貴方も知っているように、あの方は優しい方です…優しすぎる程に」

貴音「それは昔も今も変わりません」

美希「そうだね、ハニーはホントに優しいよ」

貴音「私の両親が多忙のため、一人ぼっちになる時間が多かったあの頃」

貴音「もちろん爺やや多くの者が私に優しくしてくれましたが、それでも子供ながらにどこか満たされない日々を過ごしていました」

貴音「そんな時、あの方が私の前に現れてくれた…」

美希「…」

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十年前


P「はじめまして、貴音お嬢様」

貴音「…」ギュッ…

貴愛「こら貴音、前に出て挨拶せんか」

貴音「…」ふるふる…

貴愛「はぁ…すまんね、この子はとても人見知りのする子でな」

P「いいえ、これから少しづつお話させて頂きますから」

貴音「…」

P「貴音お嬢様」スッ…

貴音「…」じぃ~…

P「はじめまして、僕の名前は――――」

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P「わぁ、お嬢様!お上手ですね」

貴音「そうでしょうか」

P「えぇ、とっても上手な狸です!これはもしかしたら絵の才能があるんじゃ」

貴音「…」

P「お嬢様、どうかなさいましたか?」

貴音「それは…」

P「え?」

貴音「それはあなたさまです…」

P「あっ…」

貴音「…」じわぁ…

P「そ!そうですよね!これは僕!僕ですね!有難うございます!」

貴音「…っぐ」

P「お、お嬢様!申し訳ありませんでした!だから泣かないで!」

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貴音「あなたさま、ここはこうでいいのですか?」

P「えぇ、正解ですお嬢様」

貴音「ふぅ…」

P「疲れましたか?」

貴音「いいえ、しじょうのむすめとあろうものが」

P「これくらいで音を上げられない、ですか?」

貴音「え?」

P「最近良くおっしゃっていますから」

貴音「そうでしょうか?」

P「口癖というやつでしょうね、大変ご立派な心構えかと思います」

貴音「はい!」

P「でも…」

貴音「?」

P「貴方はまだ幼い、そんなに気を張らなくても大丈夫ですよ」

貴音「しかしっ」

P「良いんです、良いんですよお嬢様」ナデナデ…

貴音「わっ…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


P「はぁ…はぁ…お嬢様!お嬢様ー!」

P「こんな時間に帰ってこないだなんて、何か…」

貴音「あっ、あなたさまー!」

P「お、お嬢様!どこに行っていたんですか!?」

貴音「みてください!きれいなはなをみつけたのですよ」

P「これは…どこで」

貴音「あのがけのちかくです!あぶなかったのですが、あなたさm…」

P「貴方は何ということをするんですかっ!!!!」

貴音「ふぇっ…?」びくっ…

P「あの崖は危ないから近づいては駄目だと何度も言ったはずです!」

貴音「で、でも…」

P「でもじゃありません!何を考えているんですか!」

貴音「あなたさまに…みていただきたかったのです…」じわぁ…

P「…」

貴音「うっ…いってはいけないことはっ…わかっていました…」

貴音「でもっ…きれいだったからっ…あなたさまがわらってくれるとおもって…」

貴音「このところっ…あなたさまがわらっていなかったからっ…すこしでもえがおになってほしくって…」

貴音「おじいさまは、わたくしのことがきらいだったしっ…ちちうえやははうえともあえないしっ」

貴音「だから…わたくしにはあなたさましかいなくってっ…」

貴音「うぅ…ひっく…」

P「お嬢様…」

貴音「うぅっ…」

P「ありがとうございます、お嬢様」

ギュッ…

貴音「うぅ…」

P「笑えていなかったですか、まさかお嬢様に見られていたとは…」

貴音「えぐっ…うぅ…」

P「お花、本当に嬉しいです…でも」

P「そのために貴方に何かがあったとしたら…私は悲しくて悲しくて堪りません」

P「だから、もう二度とこんな危ない事はしないでくださいね?」

貴音「うっぐ…はいっ…」

P「お怪我がなくて本当に良かった」ギューッ…

貴音「えっぐ…あなたさまっ?」

P「本当にっ…よかった…」ツーっ…

貴音「…っ」

貴音「うわぁぁん…うわぁぁん…」

P「よしよし、怒鳴ったりして申し訳ありませんでした…」

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美希「…」

貴音「優しく、それでいて愛情を持って厳しく接してくれ」

貴音「時に本当の兄のようにあの方は私のそばに居てくれました」

美希「ハニーらしいの!」

貴音「そんなあの方をお慕いするのにそう時間は掛かりませんでした」

貴音「あの方は私の家族、初恋の人」

貴音「そして今でも変わらず愛する人なのです」

美希「そっか…」

貴音「はい」

美希「本当にハニーったら子供の時から浮気症なのっ」

貴音「これを浮気というかはわかりませんが…ところで美希?」

美希「ん?なぁに?」

貴音「貴方は何故あの方が好きになったのですか?」

美希「う~ん、美希がハニーを好きになった理由はね」

美希「ハニーが、美希を一人にしないって言ってくれたからだよっ」

貴音「ふふっ、何ともあの方らしい」

美希「そうでしょっ?」

貴音「まこと、あのお方は今でも浮気症です」

美希「ミキはハニーの奥さんだから浮気じゃないよ?」

貴音「私もあの方と将来を共にすることを誓った仲です、浮気ではありません」

美希「そっか、じゃあどっちも本気なの!」

貴音「えぇ、どちらも本気です」

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美希「結局、見つからなかったね…」

貴音「あれから何箇所か探しましたが、手掛かりすらありませんでした」

P「お~い、ふたりとも~」

美希「あっハニー!」

P「美希もお嬢様もお疲れ様です、どうです?ちゃんと仲良くなれましたか?」

美希「仲良くなったの!」

P「ほう、そりゃ良かった」

貴音「仲良くはなりましたが、好敵手であることに変わりはありません」

美希「うんっ!」

P「こ、好敵手って…」

貴音「ふふっ」

P「何とも交わってはいけない二人が交わってしまった気がするな…」

美希「ところでハニー、お宝の手掛かりは見つかったの?」

貴音「私達は何も見つけられませんでした」

P「あぁ、それなら…」

美希「えっ…もしかしてハニー?」

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美希「酷いの!酷すぎるの!」

P「すまんすまん!見つかったのは良いが爺やさんに捕まってしまってな」

貴音「確かに爺やは最近特に話しが長くなりましたが」

美希「ミキ達に何も知らせないで一人でお茶してるなんて!」

P「お茶じゃなくて珈琲…」

美希「一緒なのっ!」

貴音「一緒ですよ?」

P「はい…すいませんでした」

美希「それでハニー、そのお宝は一体どこにあるの?」

P「それはだな」

貴音「ここは…」

P「この部屋だ」

美希「ここって?」

貴音「ここは、お祖父様の部屋です」

美希「でもこの部屋って前に貴音が探したんじゃ」

P「部屋の中は探したんでしょうが、お嬢様?」

貴音「はい」

P「この屋敷には幾つかの隠し部屋があるとおっしゃってましたね」

貴音「えぇ、しかしこの部屋には隠し部屋があるなど聞いたことがありません、設計図にもありませんでしたし」

P「ところが、この部屋にも隠し部屋があるんです」

貴音「なんとっ」

P「恐らく、貴謌様が亡くなる間際に作られたのではないかと…その為設計図にも無かったのでしょうね」

貴音「しかし、この部屋の隣には部屋があります…横に隠し部屋を作るなど」

P「横じゃなければ」

美希「もしかして、下?」

P「その通りだよ美希」

貴音「地下室ですか…」

P「それも特定の条件下でないと開かないからくり仕立ての扉付きの地下室です」

美希「どうやって入るの?」

P「まず美希、その壺を横にずらしてくれ」

美希「はーいなの!」

P「次に、お嬢様…襖を全て右に押しやってください」

貴音「わかりました」

P「そうしたら次にこの時計を外してっと」

P「最後に掛け軸を思いっきり引っ張ってっと!」ガチャン!


ガラガラガラガラガラガラッ…


美希「わぁ…」

貴音「これは…」

P「そうすれば敷いてあった畳の一つがせり上がって…」

P「扉が現れると」

貴音「生まれてからずっとこの屋敷で過ごしていますが、この様な仕掛けがあったとは」

P「さぁ、下に降りましょうか」

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P「薄暗いですから気をつけてくださいね」

貴音「下に降りたは良いですが、特に目立つようなものはありませんね」

美希「ハニー、本当にここにお宝があるの?」

P「あぁ、しっかりあるぞ?と言っても俺達が想像していたものとは違ったものだが」

美希「どういうこと?」

P「それはこの机の中の物を読めばわかるよ」ガラッ…

貴音「…」

P「貴謌様が晩年に付けられていた日誌です、お嬢様が生まれる少し前から亡くなられるまでの数年分の」

貴音「お祖父様が日誌をつけていたとは初耳です」

P「爺やさんに聞いたところによると、生前日誌をつけていたことは知らなかったらしいです、きっとこれしか日誌は無いんじゃないでしょうか」

貴音「私が、見ても良いのでしょうか?」

P「もちろんです、どうぞ」

貴音「…」ピラッ…

P「昨日、お嬢様は貴謌様がお嬢様を避けておられたとおっしゃいました」

貴音「…」

P「一枚目には、初めて孫が出来たことへの喜びが書いてあります」

美希「きっと貴音が生まれてくるのが嬉しくて付け始めたんだね」

P「それ以降はお嬢様が生まれて来る事の待ち遠しさが、十月にも及び毎日」

貴音「…」ぺらっ…

P「そしてお嬢様が生まれた日」

P「三枚ぎっしりとその喜びが書いております」

美希「あはっ!貴音のおじいちゃん、なんだかカワイイの!」

貴音「…」ぺらっ…

P「しかしその直後です」

P「貴謌様が体調を崩されます」

貴音「…」ぺらっ…

P「症状としたら風邪のそれですが、子供に伝染れば大事になります」

P「貴謌様はそれから亡くなる間際までずっと体調が優れなかった様です、いくら百歳を過ぎて健康体だったとはいえこればかりは」

貴音「…」ぺらっ…

P「読めばお嬢様もお分かりいただけると思いますが、その日誌にはお嬢様に会えない、抱いてやれないことへの悔しさやもどかしさが書き連ねられています」

P「会いたい会いたいとは思うが、大事な大事な孫娘に病を伝染したくない」

P「だからお嬢様が貴謌様の部屋に無断で入られた時に劣化の如く怒られたのでしょう、ちなみにその後怒りすぎたと後悔していますが」

美希「おじいちゃん…」

P「それでも、どうしても耐え切れない時があったのでしょう」

P「何度か少しばかり体調のいい日にお嬢様と遊んだと記録されています」

美希「それじゃあ貴音がおじいちゃんと遊んだっていうのは」

P「あぁ、ちゃんとした想い出なんだ」

貴音「…」ぺらっ…

P「そしてまたその後、お嬢様に病が伝染っていないかと心配の記録が」

貴音「…」ぺらっ…

P「私が話に聞いていた貴謌様の人物像とはあまりにも違っていて正直驚きました」

美希「なんだかとっても優しい普通のおじいちゃんなの!」

P「あぁ、その通りだよ」

貴音「…」ぺらっ…

P「そして、最後の部分」

貴音「…」ぺらっ…

P「あの手紙似た内容です、ひとつ違うのは」

P「宝をここにと…」

美希「それじゃあこの部屋にお宝があるの?」

P「あぁ、この下の段だよ」ガラッ…

美希「これって、お菓子の缶?」

P「お嬢様、この菓子の缶に見覚えは」

貴音「これは、私が幼かった時に良く食べていた菓子です」

P「貴謌様はちゃんと知っていたみたいですね」

貴音「…」

P「そしてこの缶の中に」パカッ…

美希「これって…」

P「この紙こそが、四条の宝」

美希「わぁ!ちっちゃくてカワイイの!」

貴音「こ…これはっ…」

P「お嬢様の、生まれたばかりの時の手形です」

P「貴謌様はお嬢様に会えない分、この手形を大切に大切にしていたのでしょう」

貴音「おじい…さまっ…」

P「宝は財宝なんかじゃない、貴謌様にとっての宝は」

P「お嬢様、あなた自身だったんですよ」

貴音「…」ツーっ…

P「子は宝、まさにその通りだと思います…そしてその子がこれからの四条を高めて行ってくれる」

P「貴謌様はそう信じていたのでしょう」

美希「貴音がいれば四条は大丈夫ってことだったんだね!」

P「あぁ、そういう意味なんだろう」

貴音「そういえば…」

貴音「…こんな事を言われたような気がします」

貴謌「貴音、貴音や」

貴音「はいっ、おじいたまっ」

貴謌「お前は儂の宝、いや四条の宝だ」

貴音「たからですか?」

貴謌「あぁ、これからお前が大人になって大変な時代がやって来るだろう」

貴音「?」

貴謌「今はまだわからなくても良い、しかし貴音よ?しっかりと覚えておくのだぞ」

貴謌「時代の動乱がまたやって来た時、四条の家の者は宝であるお前を命に代えても守ろうとするだろう」

貴謌「その時、お前はただ守られるのではなく…お前からも四条の者をしっかりと守らなければならん」

貴音「はいっ!おじいたまっ!」

貴謌「よぅし、それでこそ四条の娘だ…儂の可愛い可愛い孫娘だ」

P「お嬢様は覚えておられるか分かりませんが、お嬢様が幼かった頃しきりにおっしゃっていた口癖がありました」

貴音「四条の娘…ですね」

P「えぇ、きっと幼心に貴謌様の想いを感じ取っていたんでしょう」

美希「…」

貴音「お祖父様っ…お祖父様っ」

貴音「貴方様っ…うっ…お祖父様はっ…私をっ」

P「えぇ貴謌様はお嬢様を」

P「心から愛しておられましたよ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


貴音「もう一晩、ゆっくりして頂いても良いのですが」

P「いや、宝の件はもう解決しましたし…それにあんまりゆっくりすると万代町の鬼が怒り始めますから」

美希「あはっ!律子さんの事?」

貴音「そうですか、それならば残念ですが」

P「えぇ…」

美希「ばいばい貴音!また遊びに来るねっ!」

貴音「えぇ、いつでも待っておりますよ」

P「あぁっと、美希?」

美希「ん?なぁにハニー?」

P「悪いんだが、先に歩いていてくれないか?すぐに追いつくからさ」

貴音「貴方様…」

美希「…」

P「…」

美希「うんっわかったの!早く来てねっ!」

貴音「それでは美希、またお逢いしましょう」

美希「うん!ばいばいっ!」


タッタッタッタッ!




ちょっと風呂入ってきます

P「765探偵事務所」美希「想い人を探すの!」です、続きあげてきます

P「…」

貴音「まこと、美希は心の優しい子です」

P「育った環境上、人の心に機微な子でして…場の雰囲気が読めすぎるほど読めるんですよ」

貴音「色々と事情がある子なのですね」

P「えぇ」

貴音「貴方様?」

P「なんでしょうお嬢様」

貴音「私は今から少しばかり意地の悪い事を言います」

P「はい」

貴音「…」

貴音「婚約の話が破断になった時、私はこれまで味わったことがない程の絶望を感じました」

P「本当に…申し訳ありませんでした」

貴音「正直に申しまして、貴方を恨んだ時もありました…」

P「…」

貴音「しかしながらこの婚約、元を正せば私の気持ちに気づいた父上が無理に推し進めたものです」

P「お嬢様、そんな事はっ」

貴音「貴方様は優しいお人です、そんな優しい貴方様が」

貴音「私の気持ちに気づいていた貴方様がこの話を断るはずがない」

P「…」

貴音「貴方様の優しい心に付け入った私はずるい女です」

P「お嬢様」

貴音「ですから、破談もなるべくしてなったと言えましょう」

P「…」

貴音「貴方様のことです、きっと今も私に謝って謝って謝り通すおつもりだったのでしょう?」

P「それは…」

貴音「そんな事はさせません」

P「しかしっ」

貴音「良いのです貴方様、何故なら」

貴音「何故なら私はまだ、諦めていないのですから」

P「こんな男のどこが良いのですか、どうあれ私は貴方を捨てた男です」

貴音「だから申しているのです、私は諦めていないと」

貴音「破断になったとしても、逢えなかったとしても…」

貴音「それでも、それでもです」

貴音「貴方様の婚約者は私なのですよ?」

P「で、ですから」

貴音「貴方様?」グイッ…

P「わっ…と」

貴音「私は貴方をお慕いしてやまない、諦めの悪い婚約者です」

貴音「そして」

P「お嬢っ…んっ!?」チュッ…

貴音「ずるい女なのです」

P「は、はい…」

貴音「それでは貴方様、またお逢いしましょう」

P「はい…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


美希「ハニー?ハニィ~?」

P「おっ…なんだ美希」

美希「最近のハニーなんだか変だよ?」

律子「なぁに言ってんの美希、先生が変なのは元からでしょう?」

P「律子嬢、いくらなんでも言って良い事と悪い事ってのがな!」

美希「でも本当に貴音の所から戻ってから変だよ?」

P「何も変じゃない!普通だ普通!」

美希「むぅ~…何かムキになって余計に変なの」

律子「ま、まさか先生!お嬢様に不埒な事を…不潔!不潔ですよ先生!」

P「ふ、不埒って!俺がお嬢様にそんな事するわけ無いだろうが!」

律子「どうでしょうね…先生はその辺の所怪しいと思いますよ?」

P「律子嬢…」

美希「ところでハニー?この前の宝探しの事だけど」

P「ん?あぁなんだ?」

美希「どうやってわかったの?」

P「どうやってって、それは俺の推理力で」

美希「ふ~ん…」

P「なんだよ美希、その人を疑った目は」

美希「嘘の匂いがするの!」

P「なっ!?」

律子「その反応、まさか本当に嘘なんですか?」

P「いや待て!美希は俺の嘘の匂いがわからないはずじゃ!」

律子「だから、そういう反応しちゃってる時点で…」

美希「嘘つきだってバラしてるようなものなの」

P「あっ…」

美希「それで?どうやったの?」

P「爺やさんだよ」

美希「お屋敷のおじいちゃんのこと?」

P「あぁ、あの人から手掛かりを貰ったんだ」

律子「手掛かりって一体どんなものなんですか?」

P「この一件の黒幕、お前らわかるか?」

美希「くろまく?」

律子「その場に居なかった私にわかるわけ無いじゃないですか」

P「それもそうか、まぁこの一件を仕組んだのはお嬢様の父君である四条貴愛様なんだよ」

美希「貴音のパパが考えたことってこと?」

P「あの方はかなり頭のキレる方でな、まぁそんな方が宝の存在を知っていて長らく放置しているわけもないし」

P「あの隠し部屋を見て美希は何か気づかなかったか?」

美希「あの部屋?ん~きれいなお部屋だったの!」

P「そうそこだよ」

律子「えっと、どういうことですか?」

P「おかしいだろ、貴謌様が亡くなってから十年以上立っているのに部屋が綺麗なんだぞ?」

律子「なるほど…」

P「きっと貴愛様か爺やさんが時々掃除していたんだろう、いくらなんでも爺やさんが知っていて貴愛様が部屋の存在を知らないわけがない」

P「それにだ…お嬢様のお話じゃ、笑いながら宝に関する手紙を渡してきたって言うじゃないか」

P「きっと、貴愛様はお嬢様にわかって欲しかったんだろう…」

P「貴謌様もお嬢様は愛していたってことを」

律子「それで黒幕がわかったと」

P「まぁきっとお嬢様も黒幕が父君だとは気づいていたと思うよ」

美希「それじゃああの宝探しは…」

P「四条家の催し物に付き合わされたっていうのに近いか」

美希「えぇ…」

律子「な、なんなんですかそれ…」

P「それでまぁ、あたかも全部知っているような顔で爺やさんから色々と聞き出したんだよ」

P「宝の確認がしたいとか何とか言ってな、爺やさんは四条の一切を任されてる人だし知らないはずもないだろうと思って」

律子「それでまんまと?あんまりにも簡単すぎませんか?」

P「話しているうちに最近爺やさんに孫が生まれたって話になってな、その話で気分を良くさせてから聞き出した」

美希「へ~…探しものが苦手なハニーがこんなに簡単に探しだすだなんておかしいと思ったの」

律子「先生、探偵より詐欺師に向いてるんじゃないですか?」

P「やかましい!とにかく解決したんだから良いだろうが!」

律子「でもなんか、それってずるじゃないですか?」

P「ずるでもなんでも解決すればいいんだっ!」


ガラガラッ!

弥吉「すいやせん!すいやせん!」

P「ん?弥吉さん?」

美希「それにやよいもいるの!」

やよい「うっうー!こんにちはみなさん!」

弥吉「ちょいとお冷を一杯頂けやせんかね?働き通しで疲れちまって!」

P「今日はまたどうしたんですか?確か今日は手入れの日じゃないはずじゃ」

弥吉「あれ?先生は聞いてないんですかい?」

P「聞いてないってなにが?」

弥吉「あそこの洋館に、引っ越してくるんですよ」

美希「お引越しって、やよいたちが?」

弥吉「まっさか!あっしらあんなところに住んだら背中が痒くなっちまいますよ!」

やよい「わたしも、あんなに広いおうちだと寂しくなっちゃうかなぁって」

律子「それじゃあ一体誰が?」

弥吉「そりゃあ決まってんでしょ!」


コツッ… コツッ…

美希「え?え?」

律子「せ、せんせい?」

P「なぁっ!?」


貴音「貴方様?」



P「お、お嬢様!?」

貴音「今日からまた、よろしくお願い致します」

美希「」

律子「」

P「なっ」

P「なぁぁぁぁぁぁ!?」

貴音「ふふっ」




事件4「四条家の秘宝を探せ」

懐かしいな
P「765探偵社…」美希「なの!」
P「765探偵社」美希「冤罪をはらすの!」
P「765探偵事務所」美希「想い人を探すの!」
これで全部だよね?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

美希「シッンッ様ー!」

P「やめろ!あんまり騒ぐんじゃない!」

あずさ「あらあら~」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

P「これが表に出れば、日本の歌舞伎界は…」

美希「どうなっちゃうの?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

貴音「貴方様!」

P「ですから…お嬢様を除け者にしたとか言う訳ではなくですね」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

真「僕は九代目…中村真太郎なんだっ!」


事件5「真太郎の心を探せ」




おわり

終わりです、ありがとうございました

>>78
そうですね、気づいたら以前に書いたものからもう一年も経っていました

ありがとうございました、また近いうちに続きかけたらやりたいと思います

ありがとうございました、また近いうちに続きかけたらやりたいと思います

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