杏子「今日は特別な一日だったなー」(56)

AM7:00

PiPiPi…
カチッ

杏子「おはよーまどか」

まどか「おはよう、杏子ちゃん。ふわぁ…」

杏子「よっと。まどか、顔洗いに行くぞ」

まどか「うん」

AM21:00

PiPiPi…
カチッ

杏子「おはよーまどか」

まどか「おはよう、杏子ちゃん。ふわぁ…」

杏子「よっと。まどか、顔洗いに行くぞ」

まどか「うん」

AM

まどか「いってきまーす」

知久「いってらっしゃい、まどか」

杏子「いってらー」

タツヤ「いってらさーい!」

ガチャリ

杏子「さて、アタシも走ってくる」

知久「ああ、いってらっしゃい」

AM7:50で

AM9:00

知久「これがxとyの二次関数」

杏子「はぁ…? なんだこれ」

知久「これをグラフにすると、こうなります」

杏子「……? この式が、この線を表してるってことか?」

知久「そうそう」

タツヤ「きょーこおねーちゃ! あそぼー」

杏子「わりいな、姉ちゃんは今お勉強中なんだ」

タツヤ「おべんきょ? たのしい?」

知久「ははは、どうかな? 杏子」

杏子「あー? まあまあ、楽しいぞ」

知久「それはよかった。僕も教えることに自信はないからね」

杏子「や、それはだいじょーぶだって。このニジカンスーってやつもすぐ解けるようになるよ」

知久「心強い発言だ。なあタツヤ」

タツヤ「きょーこねーちゃ! がんばれー!」

杏子「おうさんきゅー!」

AM10:10

知久「じゃあ今日はこのへんでおしまいにしよう」

杏子「ありがとうございました」

知久「ココアでも入れるよ」スタスタ

杏子「うあーっつかれたぁー」ドサッ

タツヤ「きょーこねーちゃー!」

杏子「うごっ! 上に乗るんじゃねえ!」

タツヤ「あはは! きょーこねーちゃ、ぱっかぱっか」

杏子「アタシはウマじゃねーぞ!」ドタドタ

AM10:30

杏子「いってきまーす」

知久「いってらっしゃい」

タツヤ「いってらっしゃー、おねーちゃ!」

チリンチリン


-バイト先-

杏子「おはよーございまーす」

おやっさん「おう早いな杏子! まだ時間あるぞ!」

杏子「おやっさんは相変わらず元気だなー」

後輩「センパイ、おはようございますっ!」

杏子「ああ、おはよ」

おやっさん「杏子ー! 冷蔵庫に入ってるケーキ食っていいぞ!」

杏子「マジ? よっしゃぁ!」イソイソ

後輩「ごゆっくりどうぞ!」

杏子「うめえ。ちくしょー見た目はどう見ても筋モンなのにケーキは絶品だ」

店員「そこがオジサマの素敵なところよね♪」

杏子「おお、おつかれー。わりい、片付けたらすぐレジ入るわ」

店員「うん、お願いね。ケーキ、美味しかった?」

杏子「悔しいぐらいだな。本人にはいわねーけど」

おやっさん「言えよ!!」

杏子「いたのかよ!」

店員「よかったですね、オジサマ♪」

おやっさん「まぁ俺の汗と涙の結晶だからな、うまいのは当然だ」

杏子「なんか気持ち悪くなってきた」

店員「オジサマ、私と愛の結晶を作りませんか?」

おやっさん「お、俺には故郷に、ふ、フィナンシェがいるんだ!」

杏子「お菓子じゃねーか!」

店員「フィアンセですね」

おやっさん「おう杏子レジ入れよ」

杏子「わかってるっつーの」カチャカチャ

杏子・後輩「「いらっしゃいませー」」

おばあちゃん「こんにちは。あら杏子ちゃん」

杏子「こんちは、おばーちゃん。今日もアレかい?」

おばあちゃん「ええ、4つね。お願いするわ」

杏子「あいよー」

おばあちゃん「杏子ちゃんも、すっかり慣れたわねぇ」

杏子「へへ。らくしょーだよ」

おばあちゃん「うふふ。最初のころはケーキを落としたりしてたのにねぇ」

後輩「えっそうなんですか? センパイ!」

杏子「やめてくれ! やめてください!」

おばあちゃん「あら、ごめんなさいね。先輩だものね、かっこうつけたいわよね」

杏子「はいこちら1200円になりますッ!」

おばあちゃん「ありがとうねぇ~」

杏子・後輩「「ありがとうございましたー」」

杏子「……」

後輩「……うひひ」

杏子「なんだよ! 気持ち悪い笑い方すんな!」

後輩「センパイも失敗することがあったんですね!」

杏子「あったりめーだろ! 誰だって失敗はする!」

おやっさん「そう、失敗がひとを、ときに大きく成長させるんだぜ…!」キリッ

杏子「うわーうざー」

後輩「センパイ、可愛い!」

杏子「やめろ!」

PM1:45

杏子「いただきまーす」

杏子「さあて、今日のは成功かな」パクパク

おやっさん「うん、うまいな!」

杏子「おいッ! アタシの弁当つまみぐいすんじゃねー!」

おやっさん「うんうん、杏子お前料理上手くなったな!」

杏子「ま、前からちょっとはできたんだぞ。冷えてもうまいようなものをだな…」

おやっさん「俺の弁当も作ってきてくれよ」

杏子「あんた奥さんいるだろーが!」

PM2:00

杏子「おつかれさまでーす」

チリンチリン

おやっさん「おい杏子! 帰りにまた寄れよ」

杏子「あー? なんでだよ」

おやっさん「ヒ・ミ・ツ☆」ムキッ

杏子「キモイ」

杏子「っていうかコワイ」

PM2:10
-商店街-

杏子「~♪」

八百屋「おーい杏子ちゃん!」

杏子「ういっすー」

八百屋「今日はなんか買ってかないのかい?」

杏子「今日はなんも頼まれてねえな」

八百屋「そうかい! まぁこのトマトあげるよ。美味しいからさ! はいお塩」

杏子「いやっほう!」

魚屋「おっ! 杏子ちゃんじゃないか」

杏子「どもども」

魚屋「トマト食べてんの? うちのホタルイカ、どう?」

杏子「ホタルイカ? 美味いの?」

魚屋「もっちろん! からしとポン酢で何匹だっていけちゃうよ!」

杏子「マジかっ」

魚屋「ほらほら」

杏子「うめー! これうめーなおっちゃん!」

駄菓子屋「キョーコ」

杏子「うん? おっす」

駄菓子屋「なにをモグモグしてるデスか?」

杏子「ホタルイカ。魚屋でもらったんだ」

駄菓子屋「それナラ、ウチのオカシもあげるマスよ」

杏子「いいのかよ」

駄菓子屋「オセイボ、オチュウゲン、ニッポンのプレゼント、だいじデスね?」

杏子「…時期ちげー気がするけど…さんきゅーな」

どういう設定なのかこれからわかってくもんだと思ってたら
続編なのか

PM3:00

杏子「あーなんだかんだで商店街でまったりしてしまった」

杏子「くそう、あのインベーダーゲーム、次はクリアしてやる…!」


-川沿いの公園-

杏子「おーい!」

子供A「杏子ねーちゃんだ!」

子供B「ねーちゃんおせーぞ!」

子供C「もう影鬼5回はやったよ」

杏子「よーし、今日は水切りを教えてやるよ!」

子供C「みずきりー?」

子供D「モーゼ?」

杏子「そりゃ海割りだ、ってよく知ってるなオイ!」

杏子「石を投げるんだよ、石を。まぁ見せたほうが早いか」

子供A「石をなげる?」

杏子「そそ。これがいいかな。よっ、と!」ヒュッ パシャッパシャッパシャッパシャッ

子供ら「「わあーっ!」」

杏子「へっへっへ」

>>28
そんなたいした設定はないよ

杏子「こーゆー石を探せ。丸くて薄いやつ。で、こう!」ヒュッ

子供B「さがせさがせー!」

子供A「これはどーかなー。これはだめだなー」

子供D「とおっ」ボチャン

杏子「そーじゃねーって! こうだよ、こう!」

子供C「こう!」ヒュッ パシャッ

子供A「おお!」

子供B「俺も俺も!」ヒュッ パシャッパシャッ

杏子「うん、上手いな」

杏子「みんなわりとできるようになったな」

子供C「俺4回!」

子供A「俺2回だー」

子供D「5回」

子供B「俺も5回以上はむりだー」

杏子「そんじゃいっちょ勝負すっか! 多く跳ねたやつが優勝な」

子供ら「「はーい」」

杏子「これだな。これなら、もしかして自己ベスト記録を更新できるかもしれねーな」ニヤリ

子供A「ねーちゃん、いーよー!」

杏子「よし、じゃあ並べ。気をつけろよ。いっせーのーでで投げるぞ」

子供C「はーい!」

杏子「いっせーので!」

子供ら「「ひっさつ! ろっそ・ふぁんたずま!」」ヒュヒュッ

杏子「」ボチャン

子供B「杏子ねーちゃんビリー!」

子供D「優勝」

子供A「あはは、石あたったな!」

子供C「あたっちゃったね!」

杏子「うぉぉ……」

杏子「し、しかたねーな! ほら、これみんなにやるよ! 駄菓子屋でもらったんだ」

子供ら「「わぁーい!」」

PM4:30

杏子「じゃなー」

子供ら「「ばいばーい!」」

チリンチリン

杏子(そんじゃケーキ屋寄って帰りますかねーっと)


-バイト先-

杏子「おつかれーっす」

後輩「あ、センパイ! お疲れ様です!」

おやっさん「おう杏子! 来たな。まぁ座れや」

杏子「いや別に、すぐ帰るし。っつーか何の用だよ!」

おやっさん「ああ。ちょっとな。まぁ座れって」

杏子「なんだっつーんだ…」ガチャン

おやっさん「お前がバイトを始めて、だいぶ経ったな」

杏子「ああ、まあな」

おやっさん「もう仕事は完璧といっていいはずだ」

杏子「へっ。任せとけよ」

おやっさん「というわけで、そろそろお前には新しい仕事を覚えてもらおうと思う」

杏子「は!?」

おやっさん「なんだ? 自信ないか? そうか、杏子にはまだ早かったかもな」

杏子「ち、ちっげーよ! やってやるよ!」

おやっさん「その意気だ! これは、極秘任務なんだがな…」コソッ

杏子「そ、そうなのか…?」

おやっさん「ああ。ふつうなら"運び屋"を使うんだが、今回のブツは特別でな…」

杏子「なんだよ、ブツって…。まともな仕事なんだろーな…?」

おやっさん「コレだ」ガサリ

杏子「? うちの袋だな」

おやっさん「周りからは疑われないようにしてある。中身を見るなよ。いいな。これを指定の場所に運んでほしい」

杏子「ど、どこだよ」ゴクリ

おやっさん「鹿目家」

杏子「……えっ?」

おやっさん「鹿目家だよ、鹿目家! お前のうちだよ!」

杏子「うるっせーな! いきなり大声出すんじゃねーよ!」

後輩「どーかしましたかー? センパーイ」

杏子「なんでもねー!」

おやっさん「お前を男と見込んで、ひとつ頼む!」

杏子「張っ倒すぞ!」

おやっさん「お前を女と見込んで、ひとつ頼む!」

杏子「どっちでもいいんじゃねーか! わかったよ。とりあえず持って帰ればいいんだろ」

おやっさん「おう!」

杏子「最初からそう言えよ! めんどくせーな!」

PM5:30

杏子「あーもーなんかすげー時間食ったじゃねーか」

おやっさん「わはは! 杏子はいつも食うことばっか考えてんな!」

杏子「あー時間うめーなー、って違うわコラァ!」

後輩「センパイ、ノリツッコミもできるんですね!」キラキラ

杏子「恥ずかしいわ!」

おやっさん「気をつけて帰れよー」

後輩「おつかれさまでーす!」

杏子「ったく…。じゃあな」

チリンチリン

PM5:50

杏子「ただいまー」

まどか「おかえりなさい!」

タツヤ「おかえりー!」

知久「あぁありがとう。それ僕が頼んでおいたんだ」

杏子「おじさんかよ!」

詢子「おう杏子。お疲れ」

杏子「うわ! なんすかこの料理!」

知久「腕によりをかけたよ」

まどか「わたしも手伝ったんだよー」

詢子「座れよ杏子。今日はアンタがメインだからな」

杏子「え? アタシがメイン?」

まどか「うん! 今日は、杏子ちゃんがうちに来た日なんだよ!」

杏子「え、そうだっけ」

まどか「そうだよ?」

杏子「へぇー。え、それで、いっぱい料理を?」

詢子「お祝いだからな」

知久「そしてもちろん、デザートには杏子に届けてもらったケーキだよ」

杏子「あぁ、それで…いやそれアタシに持って帰らせるか普通!?」

知久「時間稼ぎも頼んだからね」

杏子「おやっさんのヤロー…」

詢子「うっし。まどか」

まどか「うん! 杏子ちゃん、おめでとう!」

知久「おめでとう」詢子「おめでとう!」タツヤ「おめでとー!」

杏子「あはは、ありがとな!」

PM10:40
-まどかと杏子の部屋-

杏子「くは、腹いっぱいだ」

まどか「美味しかったねぇ」

杏子「しっかし一年か。早いもんだな」

まどか「えへへ。そうだね」

杏子「…そっか、だからおやっさん、ケーキ食わせてくれたのか」

まどか「ん?」

杏子「なんでもねー」

杏子「……。な、まどか」

まどか「どしたの?」

杏子「あー、あのさ。アタシも日記、つけてみたいんだけど…」

まどか「いいよ! わたしのよこに書く?」

杏子「な、なんか恥ずかしいな」

まどか「うーん、それじゃ一冊ノートを日記用にしよう!」

杏子「ああ、それいいな」

まどか「はいこれ使って?」

杏子「さんきゅ」

杏子「えーと…、なにを書けばいいんだ」

まどか「うーん、今日はどんな日だったか、でいいと思うよ」

杏子「どんな日だったかか。あー、そうだな」

杏子「今日は特別な一日だったなー」




おしまい

ありがとござましたー

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