美海「あ、光お帰り」 光「………」 (128)

光「………」プイッ

美海「あ……」

美海「………」

光「おー晃。今帰ったぞ」

晃「おむ」

美海「………」

「「「いただきます」」」

光「………」

美海「………」

あかり「……?」

至「これ美味いなあ」

晃「おむ」

光「美…」

美海「!」

光「……あー…」

光「あかり、醤油取ってくれ」

美海「……!」

あかり「ちょっと待ってー」

シュッ

美海「はい!醤油!」

あかり「美海早っ!」

光「………」

美海「…っ!」

美海「…ここ。置いておくから」

あかり「なぁにあんた達。喧嘩でもしたの?」

光「……別に。そんなんじゃねえよ」

美海「………」

あかり「よく分かん無いけど程々にしときなさいよー」

美海「う、うん」



至「うん。この煮物も美味いなあ」

晃「おむぅ……」

翌日

光「行ってくる」

ガラッ

美海「あ…光!待って!」




光「………」テクテク

美海「………」テクテク

ピタッ

光「…………おい」

美海「!」

美海(光が…話し掛けてくれた…!)

美海「な、何!?」

光「………後ろ。着いて来んなよ」

美海「え……」

美海「で、でも!行き先同じ…!」

光「………じゃあもっと離れて歩けよ」

美海「………うん。…ごめんなさい」

光「………」

さゆ「ねぇ美海」

美海「なに?さゆ」

さゆ「最近、光と何かあった?」

美海「………っ!」

美海「べ…別に何もないよ」

さゆ「嘘。最近光と話してる所全然見てないし」

美海「………」

美海「……本当はちょっと、ね…」

さゆ「ちょっとって…全然そうは見えないよ?」

美海「良いの。…私は大丈夫だから」

さゆ「美海……」

さゆ「…よし」

さゆ「私が一肌脱いであげる!」

美海「さゆ…?」

さゆ「何があったかは知らないけど、どうせあいつが悪いんでしょ?」

さゆ「だったら私があのタコ助にガツンと…」

美海「やめて!」

さゆ「!?」ビクッ

美海「…光は何も悪くない……!」

美海「全部、私が悪いんだ……!」

さゆ「……その…ごめん」

美海「………ううん…ありがとう。さゆ」

さゆ(……やっぱり、全然ちょっとじゃないじゃん……)

さゆ(…どうして…相談してくれないの?……美海)

光「………」

放課後

「きをつけー」

「礼」

「「「さよーならー」」」

美海(光…!)クルッ

光「………」ダッ

美海「……!」

美海「待って!」ダッ



廊下「…シーン」

美海「………」

光「………」

光「…どうしろってんだ……」

光「糞ッ!!」ユキグシャ





「光」

光「!?」ビクッ

紡「悪い。驚かせたか?」

光「…なんだ紡か……」

紡「?」

紡「何かあったのか」

光「なんもねえよ。で?何の用だよ」

紡「少し付き合ってくれないか」

光「はぁ?」

紡「とにかく家に来てくれ」

紡「詳しいことは道中話す」

木原家

ガンガンガン!

ちさき「お願い要!部屋から出て来て!」

教授「頼むよ伊佐木君!」

教授「君が出て来てくれないと中にあるパソコンが使えない!」

教授「それに、僕が寝る場所が無くなるんだ!」

ちさき「そうよ要!教授はここ数日、毎晩外で野宿してるのよ!」

光「………」

ちさき「光…?」

紡「俺が連れて来た」

紡「一番仲の良かった光になら、要も心を開くんじゃないかと思って」

ちさき「…そうね。光、お願い出来る?」

教授「光君頼むよぉぉぉぉぉぉぉぉ」

教授「この子、絶対に他の部屋に止まるのを許してくれないんだよぉぉぉぉぉぉ」

光「分かりましたから…!臭いから近寄るな」

光「………」

光「おい要」

『……光か』

光「お前最近姿見せねえと思ったら…」

光「こんな所で何やってんだ?」

『…君の知った事か』

光「………」

光「なぁ。俺だけでも中に入れてくれないか」

『断る。どうせ周りに他のみんなも居るんだろう』

光「………」ギクッ

『…光』

光「どうした」

『今日はもう…帰ってくれないか』

光「はぁ?おい要!」

『………』

光「要!返事しろ!」ガンガンガン

『………』

光「………!」

紡「…駄目か」

光「悪い…力になれなかったな……」

ちさき「良いのよ。光は何も悪くない」

光「…また明日来るわ」

紡「良いのか?」

光「あぁ、要が心配だしな」

光「…それに」

光「……今、ちょっと家に居づらいんだ」

…その後、俺は毎日要の家に通い詰めた。

光「でよぉ、峰岸って奴がピエロみたいで笑えるんだ」

『………』





光「さゆも心配してんぞー?たまには顔見せて……」

光「っと悪ぃ……」

『………』





光「また狭山が台パンしてよー、店追い出されてやんの」

『………』

光「…じゃあ、今日はもう帰るわ」

『………』

光「………」

紡「光、もう……」

光「じゃあな紡、また明日邪魔するから」

紡「おい…!」

ちさき「光……」



教授「かまくらの中は暖かいなあ」

潮留家前

光「!」


美海「………」

光(あいつ…家の前に…)

光「………ふん」

光(やめろよ…もう8時だぞ…)

美海「………っ」

ガラッ

光「ただいま」

あかり「遅ーい!」

晃「おむ!」

光「…悪ぃ」

あかり「早く座んなさい!今日は美海が……」

光「…いや、紡の家で食べて来たんだ」

美海「………っ!!」

あかり「また!?ここんところ毎日じゃない!」

あかり「お爺さんが入院してて大変だってのにあんた……!」

光「良いんだよ。教授が自給自足出来るようになったから」

あかり「…じゃあ、せめて一口だけでも食べてあげて」

あかり「美海が、あんたに食べて欲しいって気合い入れて…」

美海「お母さん。もう良いから」

あかり「え?でも…」

美海「私、もう部屋に戻るね」ダッ

あかり「あっ!美海!」

光「………」

あかり「……ねぇ光、いい加減に仲直りしなさいよ」

あかり「長引いた分、修復するのが難しくなるよ」

光「…分かってんよ」

光「………」

光「…いただきます」モグモグ

至「やあ光君。これ美味いよ」

晃「おむ」

美海「………」

美海「私…なんであんな事を…」





光の部屋

美海『旗、どこに……!』ガサゴソ

晃『パンツー』

美海『邪魔しないで!』

晃『おむ…』シュン

美海『えっ!?パンツ!?』

美海『晃、貸して!』

晃『おむ』

美海『これが光のパンツ…』

美海『………』ゴクリ

美海『…駄目!旗を探すの!』

美海(とりあえずポケットに……)コソコソ

美海『!』

美海『あった…!』

美海『こんなに奥にしまって……』





美海「そしてあの後……」

光「………美海…」





光『ふわ~ぁ…そろそろ寝るか』

ギシッ ギシッ

光『ん?何の音だ…?』

光『…美海の部屋からだな』

光『おいこんな時間に何やって……!』



美海『光…光…!』クンクン

ギシッ ギシッ

光「……!?」

光(あいつ…俺のパンツで何やって……)

光(とにかく…バレないように戻っ)

ガタッ

光(やべっ!)

美海『!!』ビクッ

光『………』

美海『………!///』

美海『ち、違うのこれは…!』

光「ッ!!」

バタン!!





光「………」

光「…分かんねぇよ……」

光「…どんな顔して話せば良いか……全然分かんねぇ」

光「………けど」

光「…要の所に通い詰める内に…分かっちまったんだよな……」



光「無視される…辛さ……」

翌日

光「…行って来る」

ガラッ

美海「…行って来ます」

ピシャ



光「………」

美海「………」

光(…美海は今日も俺に言われた通り少し離れて歩いている)

光(やめろ…そんな辛そうな顔して着いて来んなよ……)

光(…言おう。昨日の夕飯美味かったって)

光(…忘れよう。…元通りに戻るんだ)

光「………」ピタッ

美海「っ!」ピタッ

光「美海」

光(…そうだ。言え)

光(言ってしまえ…!)

光(美味かったって!それだけだ!)




美海「ひっ!?」ビクッ!

光「……!」

光(今…俺を怖がった……?)

美海「な…何?」

光(すぐに美海は俺に笑顔を見せた)

光(…けど…その笑顔は明らかに無理をしていて……)

光(…その前に見せた顔は…明らかに俺を恐れていた)

光「…なんでもねぇ」


光(なぁあかり…)



光「…もう…手遅れかもな……」

木原家

光「…来たぞ。要」

『………』

光「今日は…どんな話をするかな……」

『………』

光「…そうだ、こないだ皆で飯食いに行った時の話でもするか」

『………』

光「晃がオムライスを食べようと瞬間にな、変なおっさんが来て言ったんだ」

『………』

光「『このオムライスは出来損ないだ。食べられないよ』って」

『………』

光「それでそのままオムライスを捨てて行きやがって、晃がビービー泣いて…」

『………光』

光「珍しいな。お前が喋るなんて……」

『……何かあった?』

光「はぁ!?何もねぇよ」

光「大体ニートのお前に何が分かるんだよ」

『嘘だね』

『光の事なら大体分かるよ』

ガラッ

要「伊達に長い付き合いじゃないからね」

光「要!!」

要「やぁ。おはよう」

要「そして液晶の向こうの皆さん」

要「…すみません。今日って……」




要「…いつですか?」サワヤカスマイル

光「…お前にはかなわねぇな」

要「とりあえず、入って」

光「良いのか」

要「うん。光だけ特別だよ」

光「…じゃあ、遠慮なく……」

ぷ~ん

光「うっ…ひでえ臭い……」

要「そうかな?普通だと思うけど」

光「お前ずっとここにいるから麻痺してんだよ」

光「すげぇ量のペットボトル…」

要「エナが乾いた時用に塩水を入れているんだ」

要「ほら、五年前に美海ちゃんもやっていたろ?」

光「……!」

光(…やめろ。思い出させるな……!)ズキッ

要「それに、使いきった後はトイレ代わりにも出来るしね」

光「へ、へぇ…考えたな」

光「この部屋で普段何をやってんだ?」

要「これだよ」

光「パソコン?あぁ教授のか」

要「最早僕のパソコンと言っても差し支えないけどね」

要「パソコンは良いよ」

要「なんてったって人類が生み出した文化の極みだからね」

光「お、おう。そうだな」

要「これで弾幕を張ったり、艦隊を集めたりしてるんだ」

光「……訳分かんねえ」

要「後は…そうだ!」

光「どうした?」

要「今ハマっているアニメがあるんだ。ちょっと見てよ!」

光「アニメ…?別に良いけどお前、この横に流れてる文字は何なんだ?」

要「コメントだよ。面白いでしょ?」

光「こんなんじゃ鬱陶しくて集中出来ねえよ」

要「ちぇっ…仕方ないな……」

パッ

光「…こんなどうしようもねぇ物に熱中しやがって……」

要「…でも女の子と仲良くなれるし……」

要「あっ、このアニメだよ」カチッ

〈フリツ-モルコナユキガマウー〉

光「ふぅん…絵は結構綺麗だな」

要「でしょ?おっと」カチッ

要「ほら、この青髪の娘が可愛いんだ」

光「青髪……?」

要「そう」

光「うーん…俺はイマイチだな……」

要「じゃあどの娘が好きなの?」

光「…別に好きとかじゃねえけど、なんかこの黒髪の奴が引っかかるな」

要「良いセンスしてるね。その娘は一番人気なんだ」

光「…ていうかそんなアニメはどうでも良いんだよ」

光「お前、そろそろ部屋から出ろよ」

要「…嫌だ」

光「教授も可哀想だし…」

光「知ってるか?あの人今朝の狩りで体に大量のウロコが生えた男捕まえたらしいぜ」

要「…へぇ」

光「ちさきと紡にもずっと心配掛けてんだろ?」

要「それは…!」

要「…悪いと思ってる」

光「………はぁ」

光「なぁ要、知ってるか?」

光「現実には青髪の女なんて……」

要「!」

要「やめろ!言うな!!」





光「…いないんだ」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

光「な、何だ!?」

光「地震か!?」

要「光……!」

要「君はなんて事を……!」

シーン

光「収まった……?」

要「………」

要「…また揺れるといけない」

要「…今日はもう帰った方が良いよ」

光「……?」

光「あ、ああ……」

ガラッ

光「ありがとな要、底辺に堕ちたお前を見てたら自信湧いてきた」

要「うん。どういたしまして」

紡「帰るのか」

光「ああ。今日は飯は家で食べる」

光「じゃあな紡。また来る」

紡「いつも悪いな」





トントン

紡「要、飯出来たぞ」

『…うるさいな。そこに置いといてよ』

紡「…ああ」

紡「でも要、たまには一緒に……」

『うるさい!うるさいうるさいうるさい!!』

紡「…ごめん」

教授「やあ光君じゃないか」

光「あ、ども」

光「またかまくらデカくしたんすね」

教授「うん。明日には紡の家を越す見込みだよ」

光「へぇ~流石は教授だな」

教授「そうだ!これが今朝穫れたウロコの生えた男だよ」

ウロコ男「」

光「俺よりもでけぇ!」

教授「良かったら一緒にどうだい?」

光「あ~すみません。今日はちょっと」

教授「そうかい?残念だなぁ」

潮留家

ガラッ

光「…ただいま」

晃「おむ」

光「…晃だけ、か」

晃「おむぅ……」

美海「………」

光「!」

光「よ、よう……」

美海「………うん」

「「「いただきます」」」

晃「おむおむおむ」

光「………な、なあ美海」

美海「」ビクッ

光「昨日………あ、いや……」

光「………そういや…地震、大丈夫だったか?」

光「結構揺れたよな」




美海「……えっ?」

光「えっ?って…何だよその反応」

美海「だ…だって……」

あかり「なーに言ってんのよ。今日は地震なんて無かったでしょうが」

あかり「ねー?」

晃「おむ」

光「………!?」

光「…どうなってんだ……!?」

翌日

光「今日は休みか……」

光「…要の所に行こう」






光「ん?あれは……」

光「おーい紡!」

紡「光か。おはよう」

光「おう。朝から漁か?大変だな」

紡「慣れればそうでもない」

紡「要に会いに来たなら、鍵開いてるから勝手に入ってくれ」

光「おう。じゃあまたな」

光「……でよ。みんな地震なんて無かったって言うんだ」

光「…意味分かんねえよ」

要「へぇ…不思議な事もあるものだね」

光「そういや、教授は少し揺れたって言ってたな」

光「あと紡には聞き忘れたし……」

要「ふふふ、もしかしたら、この家だけが揺れたのかもね」

光「まさか、そんな訳ねぇだろ」

要「冗談だよ。冗談」

翌日

光「なんだ?校門の前に人だかりが出来てるぞ」

美海「…メガホンで何か言って……あれ、教授だよ!」

光「うわっ!マジだ!」



教授『鴛大師の皆さん!』

教授『我々はアニメオタクの存在を許してはなりません!』

教授『アニメオタクは!存在する事が罪なのです!』

おばはん「おや、そうなのかい?」

おっさん「よく分からないけど偉い学者先生が言うならそうなんだろ」

教授『皆さん良いですか!?』

教授『凶悪犯罪の陰には必ず!!アニメオタクが潜んでいるのです!!』

峰岸「ちょっと待った!」

教授『何だね?』

峰岸「アニメオタクが総じて悪というのは偏見では無いでしょうか!?」

峰岸「たまたま犯罪者がアニメを見ていただけで、アニメオタクと犯罪者は関係無いと思います!」

教授『いーや関係ある!』

教授『事実!私はアニメオタクと化した伊佐木要君に家を追い出されたのだ!』

「マジか…アニメオタク最低だな」ヒソヒソ

「同じ地球に存在しないで欲しいわ」ヒソヒソ

峰岸「そ、そんな!たった一つの例だけで……!」

女子A「ね~ちょっと峰岸必死過ぎじゃない?」

女子B「もしかしたらあいつアニメオタクじゃね!?」

峰岸「え…違…」

女子A「えーマジキモーイ!」

女子B「アニメが許されるのは小学生までだよねー」

峰岸「そ…そんな…潮留が見てるのに…」


美海「…気持ち悪い」

教授『皆さん力を貸して下さい!』

教授『全てのアニメオタクを!!血祭りに!!』

若者「それはちょっとやりすぎじゃないか?」

教授『そこのあなた!』

教授『犯罪が起こってからでは遅いのです!』

教授『私はあなたにこの言葉を贈りましょう…!』


教授『何故ベストを尽くさないのか』


若者「!」

若者「全てのアニメオタクを血祭りに!!」

教授「ふぅ…」

光「お疲れ様です教授」

教授「やあ、光か」

光「俺、教授の演説感動しました」

光「だから俺、戦います」

光「アニメオタクと…」

光「……伊佐木要と…!」

光「要!」

要「光!?学校はどうしたんだ!」

光「学校なんてどうでも良いんだよ!」

光「それより聞け要!!」

光「アニメオタクは…犯罪なんだ!」

要「光…?」

要「誰に…何を吹き込まれたんだ…!?」

光「教授に聞いたんだよ」

要「……!」

要「光は…本当にそう思っているのか……?」

光「俺は…正直よく分からねえけど」

光「…でも偉い学者先生が言ってんだから間違いないだろ」

要「なんて事だ……」

光「良いか?要」

光「アニメはな、犯罪者を生むんだ」

要「……!」

要(まずい…!)

光「だからな、アニメに存在価値なんて」

要「やめろ!言うな!!」

光「はぁ!?何キレてんだ!?」

光「これもアニメの影響か……」

光「聞け要!!」

要「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」




光「アニメに存在価値なんて…無いんだよ!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

光「地震……?」

光「この前よりデカいぞ…!」

要「終わった……」

光「終わったって…何がだよ……」

要「…この世界だ」

光「………世界?」

要「光…君がこの世界を壊したんだ」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

光「何言ってんだ…!?」

光「とにかく外に出るぞ!」

要「…そう、だね」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

光「何だよこれ……」

要「大地は裂け…海が割れ…」

要「…この世界は終焉を迎える」

要「…全て君の意志だ」

美海「光ぃぃぃぃぃ!!」

光「美海!?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

光「くっ…地割れが……」

光「美海!掴まれ!」

グイ

美海「駄目…!届かない……!」

要「無駄な努力を……」

光「もう少しで……!」

ガシッ

美海「ひか パッ

光「美海!?」

光「何だ!?美海が消えたぞ!?」

要「…世界が終わるんだ。当然その住民も全て消えて無くなる」

要「それは僕達も例外じゃないよ」

要「…そろそろかな」

パッ

光「要!?」

パッ

…ここは?

要「…なんて言えば良いのかな?」

要「……そうだね。これは“海”だ」

要「僕達は“海”の中に還っているんだ」

…“海”……

要「あれをご覧」

なんだあれ……

要「あれは僕達の世界だよ」

俺達の…世界……?

汐鹿生と鴛大師と…みんなで行った街しか無いアレが…俺達の世界……?

要「そう、だって必要無いからね」

…教えてくれ。要

俺が世界を壊したって言ったよな?

あれは…どういう意味だ?

要「教える必要は無いと思うけど……」

要「まあいいや。教えてあげる」

要「まず光、この世界は君を中心に廻っているんだ」

俺を…中心に…?

要「いわゆる主人公って奴だね」

…馬鹿みてぇな話だな

要「…でも真実だ」

要「この世界の主である君が存在を否定した物は…」

要「…誰の記憶にも残らず消えてしまうんだ」

要「これまでに君は二人の女の子の存在を否定してしまった」

要「そして、二人共消えた」

要「…僕の記憶からは何故か消えないみたいだけどね」

……!

じゃあ、俺達ももうじき消えるんだな?

要「実体は既に消えてるんだけど……」

要「まあ…じきに魂も無くなって完全な無になるだろうね」

そうか……

……?

要。嬉しそうだな

要「…僕は好きな女の子を光に消されていたからね」

要「どうやら心のどこかではこの世界の崩壊を望んでいたみたいだ」

要「光は…少し寂しそうだね」

そうだな…

あの時、あいつと仲直り出来なかったのが心残りでな……

ん?あいつ…?

誰の事だ…?

……駄目だ。思い出せねぇ

思い出せるのは……そいつの事が…本当はすげぇ大切だったって事だけだ……

要「……無理もないよ」

要「………そろそろ時間だ」

分かるのか?

要「何となく、だけどね」

…俺にはさっぱりだ

要「…ははは」

要「…さあ、お別れだ」

今までありがとな、楽しかったぜ

要「うん。僕もさ」

要「バイバイ」




要「また会おう」

END

光「………!」

美海「光?どうしたの?」

光「いや、なんでも……」

光「………」

光「…美海……!」

ガバッ

美海「ひ、光!?///」

光「…しばらく抱きしめさせてくれ」

美海「ど…どうして……?」

光「分かんねえ。けど…こうしなきゃいけねぇ気がするんだ」

ちさき「紡、おはよう」

紡「あ、ああ」

ちさき「どうしたの?変な顔して」

紡「なんか…久しぶりにちさきに会ったような気がしたんだ……」

ちさき「?」

ちさき「…変な紡」

要「………」

要(世界は終わった)

要(崩壊した世界は創作の“海”に還り…)

要(ちっぽけな心残りからまた新たな世界が作り出された)



要「光。君が全てを導くこの世界の“光”なら…」

要「僕は…その世界を支える“要”だ」

終わり

これで終わり
今までに書いた二作がラブコメテイストだったから今回はミステリー・SF風の終始シリアスな展開にしてみた

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom