真涼「まだまだフェイクは続くわよ」鋭太「おい」(86)

鋭太(高校を卒業して9年が経ち、27歳になった)

鋭太(俺、季堂鋭太は医者になり、幼なじみの千和の腰も治すことに成功した)


真涼「久しぶりね。季堂鋭太」

鋭太(そうそう、夏川真涼は高校を卒業してすぐに外国に行ってしまった)

真涼「あら?出会ってすぐに無視?いい度胸ね?」

鋭太「…って、真涼!?」

真涼「約9年ぶりかしら?」

鋭太「お前…勝手にいなくなりやがって、どれだけ心配したと思ってんだ!」

真涼「まぁ、細かい話はさておき」

鋭太「置くなっ!」


真涼「鋭太…また私と演じましょう」

鋭太「はあ?」

真涼「フェイクを…今度は私の偽旦那になって欲しいの」

鋭太「…」

真涼「あら?どうかしたの?」


鋭太「俺はもう恋愛アンチじゃない!!」

真涼「…なんですって!?」

鋭太「俺は医者になって、出産にも経験として立ち会った」

鋭太「そこで命の誕生がどれだけ素晴らしいか気付かされたんだ」


鋭太「命の誕生…これは恋愛がないと絶対に誕生しない」

鋭太「だから、今の俺は恋愛アンチを信条としていない!」


真涼「なっ…」


鋭太「それに俺は-------」

もにょもにょ支援

■春咲千和の場合

鋭太「それに俺は…」

鋭太「幼なじみの春咲千和と明日結婚式を挙げるんだ!入籍したんだよ!」

真涼「な…ちょっと待って。耳が遠くなったみたい」

鋭太「何度でも言う。俺は千和が好きだ!千和を一生愛すると決めたんだ!」


真涼「おかしいわ!犬と結婚できるわけないでしょう!」

鋭太「おい!」

真涼「…………本当なの?」

鋭太「ああ、本当だ」

真涼「私じゃ…ダメなの?」

鋭太「勝手にいなくなったのは…真涼じゃねーか」

真涼「じゃあ、勝手にいなくならなかったら?」

鋭太「…そういうのは無しだ。今の俺は春咲千和…季堂千和が好きなんだ」


真涼「そう…」


鋭太(真涼…寂しそうに行っちまった…でも、俺は千和が好きなんだ)

 
……………………


千和「お帰りなさい、えーくんっ♪」

鋭太「ああ、ただいま」

千和「今日はあたしにする?それともご飯?お風呂?」

鋭太「風呂にするかな」

千和「えぇー、そこは恥じらいながら『千和がいいな』って所でしょっ!」

鋭太「ああー、はいはい、じゃあ千和とお風呂に入りたいなー」

千和「えぇー、狭いから嫌」

鋭太「おい!どっちなんだよ!!」

千和「えへへ~。でも夜遅くなると明日の結婚式に響くから、今日はお預け…ね?」

鋭太「…ったく、これじゃあ、どっちが犬かわからねーな」

千和「え?」

鋭太「いいや、こっちの話」

千和「変なえーくんだね~」


鋭太「ああそういえば、今日さ…」


ピンポーン


千和「あれ?誰かな?」

鋭太「また、通販か?」

千和「ん~…実は結婚式用の記念品を買ったんだけど…あれは、明後日に届く予定だし…」

鋭太「そんなの買ってくれてたのか…ありがとうな千和」

千和「ふふん。お嫁さんとして当然だよっ♪」

結婚式明日なのに結婚式用の記念品が明後日届くの?

ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン


千和「はいはい。ちょっと待って下さい」


ガチャッ


真涼「こんにちは。あら?泥棒犬さんですか?」

千和「え?あんたは…まさか…」

鋭太「真涼!?」

真涼「私とした事が自己紹介がまだでしたわ。これ名刺です」

千和「なつかわ…ふう…ぞく…夏川風俗!?」

真涼「ええ、えーと、何でしたかしら?ほら家に配達される風俗ですよ。配達風俗です」

鋭太「それを言うならデリヘルだろ!」

真涼「さすが私の鋭太くん、よくご存じで」

千和「へぇ~…えーくんは何でそういうのを知っているのかな~?」


鋭太「ちょっと待て!疑問はそこじゃないだろ!真涼、何でここに来た!?」

>>13
当日→幸せだなー
次の日→サプライズだよっ。えーくんっ→幸せだなー

千和「そうだよ!何で来たの!?ってか夏川、久しぶり!」

真涼「ええ、久しぶりですね。えーと、名前は…なんだったかしら?」

千和「ふふん。聞いて驚きなさいよ!『季堂千和』!季堂千和なんだよ!」

真涼「まぁ、それはいいです。じゃあ、私はお仕事に入らせていただきます」

鋭太「へ?仕事?」


真涼「ええ、だってほら、私電話を受けてここに来たわけですし?」

千和「ん?」

真涼「ほら、うちの名刺を渡したでしょう?今の私の職業はそれですので」

千和「え、えーくん!?これはどういう事!?あたしがいるのに、ふ、風俗なんて!」

鋭太「ち、違う!ってよく見ろその名刺!」

鋭太「明らかに手書きじゃねーか!」

千和「え?」

千和「あっ、本当だ!夏川!?どういう事!!!」

真涼「まったく名刺が手書きかどうか?そんなのは問題じゃありませんよ?」

千和「え?」

真涼「私は、鋭太くんに呼ばれてきた。ええ。それだけが事実です」

千和「な、何言ってんの!?」

真涼「ちなみに、週2回以上、私は鋭太くんにお呼ばれしています」

千和「で、でも、いつもあたし家にいるよ?」

真涼「そういうホテルがあるのくらいご存じでしょう?」


千和「え…え?えーくん?」

鋭太「信じるな。全部嘘だよ。こいつの口八丁はお前も知ってるだろう?」

真涼「じゃあ、何で私はこの家を知っているのでしょうか?」

真涼「この新しい新築の家の場所を…」

千和「え?…確かにここは数ヶ月前に建てたばかり…」

鋭太「千和!信じちゃだめだ!さっき会った時に尾行していたに違いない!」

真涼「ふふ。そうですね。さっき会ったばかりでしたね?」

千和「え…えーくん…さっき夏川と会ってたんだ…」


千和「あたしに黙って…えーくんは夏川と…」

鋭太「なっ…てめぇ!ハメやがったな!」


真涼「あらら?ハメたのはあなたじゃない。とんだ言いがかりですわー」

鋭太「こいつとはさっき9年ぶりに出会ったばかりだ!」

鋭太「千和!俺を信じてくれ!」

千和「あたし…えーくんを信じていいんだよね?」

鋭太「ああ、俺とお前の20年間は嘘じゃねえ!」

千和「…うん!」

千和「夏川!何をしても無駄!あたしはえーくんを信じる!」

千和「そもそもえーくんは浮気するような甲斐性はないんだから!」

鋭太「おい」


真涼「あくまでも鋭太を返さないというわけね」

千和「ふふん。ようやく本性を現したね!」

千和「あたしはえーくんを信じてるから、何を言っても無駄よ!」


真涼「そう…じゃあ、一つだけいいかしら?」

千和「もうえーくんはあたしの物なんだから、何を言っても無駄だよ」

真涼「鋭太の右お尻にはホクロがあるわ」

千和「え、えーくん?…あたしも知らないのに、なんでこいつが…」

鋭太「嘘だっ!嘘っ!そもそもお前が知らないなら、俺の尻にはホクロがないって事だろう!」


千和「そ、そうだよ!あたしはえーくんの事で知らない事は、何もないんだからねっ!」

真涼「ちっ」

千和「…」

千和「夏川…ねえ、もう諦めてよ。今はね、愛衣もヒメっちとも仲がいいんだ」

千和「一時期は殺し合うみたいに空気が悪かったんだけどさ…でも今は仲直りしたんだよ」

千和「せっかく日本に帰って来たならさ。…また昔みたいにみんなでお菓子食べたりしようよ」


真涼「嫌!」


千和「夏川…」

真涼「それは元々、鋭太が私の彼氏という前提の話!それが彼は春咲さんの物!」

真涼「それが仲直り!?ハッ。上から目線もいいところね!」

真涼「あまり私を舐めないでくれる!?」


真涼「私は鋭太を絶対に手に入れる…絶対にあきらめない!」

真涼「私にとって鋭太は全てで、鋭太しかいないんだから!」

鋭太「真涼…」

千和「夏川…もう、えーくんは…」

真涼「お邪魔したわね。また来るわ」

千和「うん。今度はお茶でも飲んでいってね」




鋭太「行っちまったな…」

千和「そだね」

鋭太(それから、真涼が俺たちの前に現れる事は、2度となかった…)

鋭太(選択肢が違ったら…もっとみんな幸せになっていたのかも…)

鋭太(いや、それは傲慢だな…)


子供「ぱぱー。ままー」

千和「えーくんっ♪あたし今すっごく幸せかも♪」

鋭太「はは。何言ってんだ。俺はずっと幸せだぞ?」

千和「えへへ~。実はあたしも~」

鋭太「ったく…もっと幸せになろうな」


千和「うんっ♪」




       BAD END

>>3から再スタート

■秋篠姫香の場合

鋭太「それに俺は…」

鋭太「ヒメ…いいや、秋篠姫香が好きなんだ!」

真涼「なんですって!?」

鋭太「将来は結婚も考えている!」


真涼「そう…秋篠さんと…」

鋭太「ああ、だから、お前とは付き合えない」


真涼「やっぱり、お尻が…そんなにお尻がよかったのね!?」

鋭太「そう魅力的で真っ白なお尻…それに大きな胸が…って何を言わせる!?」

真涼「このド変態」

鋭太「お願いだから、そんなゲスを見るような目をしないでよ!真涼さん!」

>>27 訂正
>>3から再スタート → >>5から再スタート

真涼「…そう、秋篠さんが…」

鋭太「ああ、3年前に告白されて…付き合ってる」


真涼「あの秋篠さんが…勇気を出したんでしょうね」

鋭太「…ああ、震えながら…泣きながら告白されたよ…」


真涼「そう。プロポーズはもうしたの?」

鋭太「…まだだ。近いうちにしようと思う」

スッ

鋭太「ん?紙?」

真涼「これ、私の住所と電話番号。結婚式には呼んでね」

鋭太「え?ああ」

真涼「さよなら、鋭太」



鋭太「あいつ…泣いてやがった…」

鋭太「でも笑顔だった…無理しやがって」

 
……………………………………………


鋭太「ただいまー」

姫香「お帰りエイタ」

鋭太「あっ今日はヒメの方が帰りが早かったんだな」

姫香「うん。エイタにご飯を作りたくて」

鋭太「ありがとう」

姫香「ううん。いつもエイタが作ってくれてるから…」


鋭太「可愛いなお前は…」ナデナデ

姫香「んっ//」

鋭太「でも、あのヒメが厨二病をやめて、旅館の手伝いじゃなくて、普通のOLをするなんて夢にも思わなかったぜ」

姫香「もう『ヒメ』って言わないでって言ってるのに」プー

鋭太「はは。むくれるなって」

姫香「でも、エイタが呼びたいなら…わたし『ヒメ』でもいいかも」


ギュウウ


姫香「え、エイタ?」

鋭太「お前は可愛いな…どんなに仕事で疲れていても…疲れが吹っ飛ぶよ」

姫香「わたしも…エイタにギュっとされると…どんなに疲れていても頑張れる」

鋭太「ヒメ…」

姫香「エイタ…」


千和「ドーーーーーーーーーン!」

鋭太「おぉっ!あぶねー」

姫香「チワワ」

千和「避けるのうまいね、えーくん!」

鋭太「千和!?」

姫香「チワワ、今日も遊びに来たの?」

千和「ヒメっち、イエーイ!」

鋭太「なあ、千和…」

千和「なぁに?えーくん」

鋭太「俺さ…ヒメと付き合ってるんだ」

千和「うん。うん。それで?」

鋭太「だからさ、できれば空気読んで帰ってくれないか?」

千和「ははははははははははははは。えーくんは何を言ってるのかな?」

鋭太「え?」

千和「あたしはヒメっちと遊ぶ為に来たんだよ。ね?ヒメっち」

姫香「え?う、うん」

鋭太「わかったよ。それなら今は何も言わない…」

■数日後

鋭太「ヒメ…最近、傷が増えてきていないか?」

姫香「その…剣道を始めて…」

鋭太「剣道!?ヒメには向いてないだろう!」

姫香「う、ううん。でも友達が誘ってくれるから」

鋭太「だからって、アザとか出来てるじゃないか!」

姫香「ち、違うの。これはわたしが転んだだけで…」

鋭太「どこのどいつだ!俺のヒメをこんなにしやがって、俺が一言文句言ってやる」

姫香「エイタ。お願い止めて…これは罰なの…」

鋭太「罰!?罰って何のだよ!ヒメが悪い事をするはずないだろ!」

姫香「エイタを一人占めにした…罰なの…」ポロポロ

鋭太「……………………なっ、もしかして…」

 
ガラララッ


千和「ヒメっちー。遊びに来たよー?」

姫香「ひぃっ」

鋭太「千和……ヒメは隠れてろ」



千和「あれ?ヒメっちは?」

鋭太「カギをかけていたのに…なんで入って来れたんだ?」

千和「え?ああ、ヒメっちに合いカギ貰っちゃって…へへーん。あたし達、親友だからっ♪」


鋭太「親友がヒメを泣かせるのかよ!」

千和「え?ヒメっちを泣かせる?そんな事するわけないじゃん。今日のえーくんは変だよ」

鋭太「じゃあ、何でヒメはアザだらけなんだよ!体中に!」

千和「あれ?何で体中にアザがあるのを知ってるのかな~?」

鋭太「はぁ!?」

千和「ヒメっちには、あれだけえーくんと一緒にならないでねって体に教え込んでおいたのに…」

鋭太「て、てめぇ!何を!」

千和「そもそもえーくんが変なんだよ?」

鋭太「何がだよ!変なのはお前だろ!」


千和「あたしの体を治したんだよ?剣道やりたくなるのは当然じゃん」

鋭太「…はぁ?」

千和「だから、あたしはヒメっちと剣道をしていただけ」

千和「だってせっかくえーくんが治したんだから、剣道をしないと勿体ないじゃん」

鋭太「てめぇー!言いたい事はそれだけか!」

姫香「もうやめて!」

鋭太「ヒメ!?」

姫香「もうやめて…お願いだから、仲良しの二人が争わないで」

千和「っ!!」

千和「だれのせいだと思ってるの!えーくんを奪った人が綺麗事を言わないで!」

鋭太「千和っ!」

姫香「エイタと別れる…別れるから…」

千和「……へ?」

鋭太「…な…に」

姫香「わたしはみんなと仲良くなりたい…仲良しでいたい…」

姫香「だから、エイタの…2番でいいと思ってたけど…」

姫香「やっぱり1番になりたくなった…エイタもわたしを受け入れてくれた…」


姫香「…でも、もう嫌…わたし…こんな…エイタの1番になれても…こんなの嬉しくない」

千和「ヒメっち…」

鋭太「ヒメ…」


「あらあら?修羅場のようですね?」


鋭太「え?」

真涼「ちょっと近くを通ったから、挨拶に来てみたのですが」

千和「…もしかして…夏川!?」

姫香「かいちょ…う?」

真涼「ええ、久しぶりです。皆さん」


鋭太「真涼?」

真涼「あら?なんですか?びっくりした顔をして?」

真涼『鋭太?これを秋篠さんに』ボソボソ

鋭太『え?』

真涼『大丈夫。損はさせないわ』


鋭太(なんだこの箱…)

千和「何?それ?」

真涼「ええ、数日前にバッタリ鋭太くんと会いまして」

真涼「その時に鋭太くんが落としていった物を、届けに来たの」

姫香「落し物?」


鋭太(こいつ…なにを考えている?)

鋭太(でも、こいつは…俺達の為に…泣きながらも笑顔を作ってくれて)

鋭太(結婚式にも呼んでくれって言った…)

鋭太(俺は…こいつの事を信じる!)


鋭太「ヒメ…これを…」

姫香「…」

パカッ

姫香「ゆ…………びわ?」

鋭太「!?」

姫香「指輪?」

鋭太「あ…えーと、その…まあ、なんだ…」

鋭太「ここで言うのもあれかもしれないんだが…」

鋭太「ヒメ…いいや、姫香。俺と結婚して欲しい」


鋭太「一緒にみんな幸せになれる家庭を作っていこうぜ」

姫香「……………エイタ…」

姫香「うぅ…ひっ…ぐすっ…」

鋭太「わ、わりぃ、やっぱり場所を選ぶべきだったよな?」

姫香「ううん、嬉しい…ありがとう…わたし頑張る。みんなで楽しくなれるように」

姫香「エイタの立派なお嫁さんになれるように…」

鋭太「姫香…」


パチパチ


真涼「」パチパチ

鋭太「拍手…真涼?」

真涼「ご結婚おめでとう…鋭太くん、秋篠さん」

千和「こうなったら仕方ないよね…」パチパチ

姫香「チワワ…」


千和「ヒメっちごめんね。今のであたし…目が覚めたよ…本当に…ごめんね」

姫香「ううん、泣かないで…チワワには笑顔でいてほしいから」

千和「うわぁぁぁぁぁぁん」


鋭太(この場で涙を流してないのは俺だけか…)

鋭太(よかったな…姫香)

 
……………………


鋭太「真涼、ありがとうな」

真涼「え?何のことかしら?」

鋭太「この前の指輪の事だよ…お前がいなかったらたぶん俺たちは…」

真涼「冬海さんから連絡があったの」

鋭太「へ?」


真涼「春咲さんから秋篠さんをどうにして、鋭太と別れさせようって相談されたって」

真涼「正直、冬海さんも秋篠さんが憎かったらしいわ」

真涼「…でも、秋篠さんに嫌がらせも、助ける事も出来なかったって…」

鋭太「そうか…冬海が…」

真涼「でも、ごめんなさい。私が勝手に指輪を選んでしまって…」

鋭太「いいや、あれでいい…ううん、あの指輪がいいんだ」

真涼「え?」

鋭太「千和が…まぁ、あれだったけど、きっかけを作ってくれて」

鋭太「それで冬海が事態を何とかしようとお前に相談して…」

鋭太「そして、事情を知ったお前が用意してくれた指輪…」

鋭太「最後に俺がみんなのお陰でプロポーズ出来た」


鋭太「全部みんなのお陰だ。みんなのお陰で俺と姫香は結婚できる」

鋭太「この指輪は、そのみんなが協力できたからこそ用意出来たものなんだ」

鋭太「だから、この指輪がいい。姫香もそれを望むはずだ」

真涼「ぷっ…ふふふふふ」

鋭太「真涼?」

真涼「まったく、綺麗事を言えるようになったのね」

鋭太「ああ、大人になったからな」


真涼「本当は私と大人になって欲しかったのに…」ボソッ

鋭太「え?」

真涼「いいえ、何でもないわ。ほら明日は結婚式。秋篠さんと一緒に過ごしなさい」

鋭太「あ、ああ。じゃあな真涼。ありがとう」

真涼「ええ、さようなら…季堂鋭太」


鋭太(あいつ…また泣いてやがった…)

鋭太(選択肢が違ったら…もっとみんな幸せになっていたのかも…)

鋭太(いや、今でも十分幸せだ…)

鋭太(ああ、俺は幸せだ!)


       BAD END

>>5から再スタート

■冬海愛衣の場合

鋭太「それに俺は…」

鋭太「冬海…いや、あーちゃんと婚約しているんだ!」

真涼「ああ、あの幼稚園の頃に書いた婚姻届でしたっけ?」

真涼「大丈夫。あれなら法的拘束力も何も」


鋭太「違う!俺達は正式に婚約したんだ!」

鋭太「近いうちに籍も入れる予定だ!」


真涼「な、何ですって…」

真涼「で、でもおかしいわ!高校時代は特に仲も良くなかったくせに!」


鋭太「…もう何年たったと思ってるんだよ」

真涼「い、1年くらいかしら?」

鋭太「高校を卒業して9年だ!」

真涼「私の中では1年くらいなの!あなたがいない人生なんて、生きてる価値もなかったの!」


鋭太「でも、俺は…今はあーちゃんが好きなんだ」

真涼「な、なんで…」

鋭太「昔、お前…ポロっと言ってくれた事あるよな?」

真涼「え?」


鋭太「恋人って支え合える関係って。どちらかが支えすぎていても崩れる。二人で支え合うのが重要って」

真涼「ま、まさか」


鋭太「ああ、俺はそれがあーちゃんだと気付いた」

鋭太「…あーちゃんは俺にとってまさに理想の女性だったんだ」

真涼「り、理想の…?」

鋭太「そうだよ。俺、季堂鋭太は冬海愛衣の事を愛してるんだ!!」

真涼「なっ…」


愛衣「あれ?タッくん?」

鋭太「あーちゃん!?」

愛衣「えへへ~。タッくんの匂いがしたから来ちゃった」

鋭太「まったく、あーちゃんはすごいなぁ~」ナデナデ

愛衣「えへへ~」


真涼「あっ…がっ…!?」

愛衣「あれ?その女の人は?」

鋭太「ああ、ほら高校時代一緒だった夏川真涼だよ」

愛衣「…ああ、あの女の人…」

真涼「ぐっ」


愛衣「久しぶりね。夏川さん」

真涼「ええ。久しぶりですね。冬海さん」

愛衣「ごめんなさい」

真涼「え?」

愛衣「もう少ししたら季堂愛衣になるの。だから冬海って呼ばないでくれない?」

真涼「…ぐっ」

愛衣「ね?タッくん?なんでここに夏川さんがいるのかな?愛衣ちゃん気になるなー?」

鋭太「え?さあ?偶然会っただけだし」

愛衣「そうなんだ。えへへ。愛衣ちゃんね、タッくんが言うなら信じる」

鋭太「ああ、ありがとうあーちゃん」

愛衣「えへへ~」


真涼「なにこれ…吐きそう」

 
………………………

真涼「酒!飲まずにはいられないッ!!」

千和「あの…すいません、もしかして…夏川さん?」

真涼「あなたは…春咲さん!?」

千和「あっ、やっぱり夏川だ!久しぶり~」

姫香「会長。久しぶり」

真涼「秋篠さんまで!?」

千和「もしかして、こっちに帰って来たの?」

真涼「え、ええ。そう。9年ぶりかしら」

姫香「会長…たくさん飲んでる」

真涼「ふふ。大丈夫。私はお酒強いから…この程度では酔っ払いもしません」

千和「へぇ~。じゃあ3人飲もうよ」

真涼「今日はたくさん飲みたい気分でしたから、是非」

姫香「やったー」

 
………………………


千和「…もしかして、やけ酒?」

真涼「ええ、ちょっと嫌な事がありまして」

千和「…もしかして、えーくんと愛衣の事?」

真涼「………ええ」

姫香「マスター…」


千和「まったくえーくんってば…恋愛アンチを辞めたと思ったら、すぐに愛衣とくっつくんだから」

姫香「マスター…わたしはミッシェルの事を信じていたのに…」

真涼「そうだったんですが、鋭太くんが…」

千和「本当だよ。すぐに子供を作っちゃってさ」

真涼「そう、子供を…………はあ?」

姫香「恋愛アンチを辞める宣言をした後、マスターに寝とられたの」

千和「あれは失策だったなぁ…実はね、愛衣すっごくお酒強いんだ」

真涼「え?え?」

姫香「エイタとチワワとわたしとマスターの4人で飲んで…みんな眠ってしまって…」


千和「その時に、愛衣がえーくんを寝とってね」

真涼「な、なっ!?」

姫香「子供が出来たから認知しろってマスターが…」

千和「それが先週の話…。妊娠2カ月だってさ」

姫香「それでエイタが責任を取って…」

真涼「なっ!?」


千和「それでね…わたしと姫香で考えたんだ」

姫香「…」

真涼「待って下さい。衝撃的な事実で…頭が…まわらなくて」


千和「赤ちゃんをお腹から引きずりだしちゃおうって」

姫香「うん」

真涼「は、はぁ!?」


千和「そもそもお互い了承した仲じゃないのにありえないよ」

姫香「マスターはともかくエイタは絶対に好きじゃないはず」

真涼「ちょっと待って!それは犯罪よ!」

千和「大丈夫。あたし達、3人でやれば…」

姫香「アリバイは簡単に作れる…」

真涼「あなた達、正気なの!?」


千和「えー?夏川なら喜んで協力してくれると思ったのになー」

姫香「会長…見損なった」

真涼「いや、ちょっと待って下さい。赤ちゃんには罪は何もない…」


千和「違う!あれは赤ちゃんじゃない!!」

姫香「その通り」

真涼「あ、あなた達、本当にやるの…?」


千和「ごめんね、夏川…協力してくれないなら…」

姫香「口封じ」

真涼「なっ…何を!?」

 
…………………………



愛衣「で、何のようなのかしら?」

千和「愛衣。さようなら」

姫香「ごめんなさい。マスター」

愛衣「え!?」

 
…………………………


「ただいまー」



鋭太「お帰り」

鋭太「ったく、こんな時間にお出かけなんて…」

鋭太「お腹の子供に何かあったら、どうするんだよ?」

愛衣「えへへ…ごめんなさい。ちょっと手間取っちゃって」

愛衣「それにしても心外だなー…私が9年間、何の準備も計画もしてないと思われるなんて…」

鋭太「え?」

愛衣「ううん。こっちの話」

鋭太「そっか。なあ、飯食べるだろ?」

愛衣「うん。タッくんの手作り楽しみ~♪」


鋭太「ああ、今日は腕によりをかけて作ったから楽しみにしておけよ」

愛衣「うん♪」



鋭太(最初、できちゃった時は焦ったが)

鋭太(俺は…こいつと一緒でよかったと思う)

鋭太(だって、俺はとても幸せだから…)

鋭太(最愛の妻がいて…子供が生まれて…)



鋭太(ああ、俺は幸せだ)



       BAD END

千和「異議あり!!!」

真涼「あら?どうしました?」

愛衣「乙女の会でビデオ上映会をやるっていうから…我慢して見てたけど…何よこれ!!!」

姫香「わたし…エイタと幸せに…嬉しい。エイタ、ギュっとして?」

鋭太「また今度な。ヒメ」


真涼「これは将来、皆さんが家庭を持った時の事を想定して作ったイメージビデオです」

鋭太「っていうか、全員BAD ENDじゃねーか!」

千和「…ん?でも…あれ?あたしは最後に幸せになったなら…いいかな?」


姫香「わたしもみんな幸せで、幸せ」


愛衣「私のは何よ!完全にネタじゃない!」

真涼「冬海さんの編集を最後にやっていたら…面倒になっちゃって。てへっ♪」

愛衣「真面目に作りなさいよ!真面目に!!!」

鋭太「というか、なんで相手が俺なんだよ!」

千和「え?」

姫香「ん?」

愛衣「え?」

真涼「あら?もしかして、『俺はハーレムがいいんだ』って爆弾発言するのかしら?」

鋭太「違う!俺は恋愛アンチ!アンチをやめるつもりはない!」

千和「でも、あたしえーくんなら…ううん、むしろえーくんがいい!」

姫香「わたしエイタにずっとギュってしてほしい」

愛衣「私は、別にーどうでもいいんだけどー、タッくんが言うなら、全然結婚してあげるし?むしろ嬉しいし?」

真涼「も、もしかして、私の体が狙いっ!?そうなのね!?」


鋭太「俺は既に真涼の彼氏だ!あと真涼!適当な事言うな!」



千和「恋愛アンチとか言いながら、夏川の彼氏のくせに」ボソボソ
愛衣「やっぱり目的は夏川さんの体ね。心は愛衣ちゃんのだし」ボソボソ
姫香「エイタ…わたしじゃダメ?」


鋭太「ほら!また変な噂が立つじゃねーか!」

真涼「立つなんて、いやらしいですわ」

鋭太「うっせえ!お前の発想がいやらしいわ!!!」

真涼「さて、まあ、今日の乙女の会は終わりになります」

愛衣「というか、何だったのよ…このビデオ…」

真涼「私達のうち、誰かが幸せになったとしても」

鋭太「幸せなんてこねーけどな」

真涼「憎み合うのは止めましょうって話です」

千和「…」

姫香「うん。うん♪」


真涼「負けた時は、負けを認め。そして負けチワワのように泥水をすすってください」

千和「な、なんですって!!!!」

真涼「あら?鋭太くんの彼女である、勝ち組の私に何か文句があるのかしら?」

千和「ぐ、ぐぬぬぬぬ」

愛衣「まぁ、それは賛成ね」

千和「愛衣?」

愛衣「最後にタッく…幸せになった人を…祝福しましょう」

姫香「うん。うん♪」

千和「そうだね。最後に…ね」

真涼「恨みっこなしですよ?」

姫香「うん。みんな仲良く…幸せ」


愛衣(まぁ…どうせ)

千和(最後に勝つのは…)

真涼(私なんですけどね)



鋭太(なんかこいつらが仲良くやってると…気味が悪いな)

 
…………………


鋭太「ずっと座ってたから、歩いて帰るのが気持ちいいぜ」

真涼「そうね」


鋭太「それにしても、お前が珍しいな」

真涼「え?」

鋭太「だって、千和。ヒメ。冬海のシーンはあったのに、お前のシーンはなかっただろ?」

鋭太「お前だったら、絶対に最強の家族計画的な物を作ってくると思ったのに」


真涼「ふふふ。何を言っているのかしら?」

鋭太「?」

真涼「それはこれから作っていけばいいじゃない」

鋭太「……」

鋭太「ちぇっ。なんだよそれ」

鋭太(それじゃあ、まるで…俺とこいつが…)


真涼「ふふっ。顔が真っ赤よ」

鋭太「うっせえ」

真涼「ふふふ♪」



鋭太(まぁ、それもいいかな…)



鋭太(と思ってしまったのが悔しかった…本当に悔しかった)







       終わり

これにて終わりになります。
支援&読んでくれてありがとうございました!
また、機会があればよろしくお願いします!

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