春香「けふは小鳥さんちに行きませう」(117)

春香「え? 今日はオフ?」

P「あぁ、せっかく来てもらったのに悪いが、急遽オフになったんだ」

春香「で、でも今日……撮影でしたよね?」

P「今朝先方から電話があってな、日程を変えてくれだとさ」

春香「当日に変更って……スゴイですね」

P「あぁ、それに関してはキッッッチリとクレームを入れたよ」

P「春香はここまで2時間もかけて来てるってのに……なぁ!」

春香「え、えぇ……それは別にいいんですけど……」

P「まったく、俺の大事なアイドルを何だと思ってるんだ!」

春香(俺の……大事な……)

P「それでだな……って、どうした? 顔が赤いぞ?」

春香「い、いえ……なんでもないですっ!////」

P「春香まで熱があるんじゃないか?」

春香「平気です! バリバリ全開ぶっちぎりです!」


春香(私までって……どういうことなのかな?)

P「それでだ、申し訳ないが今日はオフってことで……」

P「俺も多少は時間に余裕があるから、春香を家に送ろうと思ったんだけど……」

P「ここで一つ、春香にお願いがあるんだ」

春香「なんですか?」

P「えーっとな、まずこれなんだが……」チャリン

春香「それは……鍵、ですね」

P「あぁ、見るからに家の鍵だな」

春香「プロデューサーさんち?」

P「いや、この鍵は……小鳥さんちの鍵だ」

春香「へぇ……」


春香「………………なんでプロデューサーさんが持ってるんですか?」

P「な、なんだよそのジト目は? 別にやましいことはなにもないぞ」

春香「じゃあなんで持ってるんですかっ!?」ズイッ

P「まぁ待て、そう身を乗り出すな」

春香「ガルルルルーー」

P「実はな、今日小鳥さんは熱を出して寝込んでるんだ」

春香「あ、だから姿が見えないんですね?」

P「インフルエンザではなかったらしく『出勤するピヨー』とか言ってたんだけど……」

P「熱も高いみたいだから、休んでもらったピヨ」

春香「そうなんですか……大丈夫かな…………ピヨ?」

P「まぁかかって2、3日ってところじゃないか?」

春香「そっか……でもただの風邪でよかったですね」

P「そうだな」

春香「…………」


春香「…………って、ちょっと待ってくださいよ!」

P「なんだよ」

春香「小鳥さんが休んでることと、今ここに鍵があることは関係ないじゃないですか!」

P「だから待て、話を聞けったら」

春香「ガルルルルーー」

支援

P「春香は知らないと思うが、一人暮らしをしてる人はみんな事務所に合鍵を保管してる」

春香「えっ、そうなんですか?」

P「実家暮らしと違って、一人だと世話をしてくれる人が居ないだろ?」

春香「まぁ一人ですからね」

P「熱ぐらいならまだいいが……何かしらの危機的状況に陥った場合、いろいろ大変だ」

春香「んーでも中から鍵を開けてもらえばいいんじゃないですか? あとは管理人さんとか」

P「確かにそれで万事解決だけれども、それすら出来ないこともあるかもしれん」

P「その他いろんなことを考慮して、もちろん本人達の合意の上で預かっているんだ」

春香「まぁ泥棒でもない限り、悪用しようなんて人はまず居ませんからね」

P「一応、限られた人にしか管理できないようにしてるし、厳ッ重に保管してるよ」

P「安全の為にしていることが、逆にみんなを危険に晒すことに繋がっては元も子もないからな」

春香「そうですね」

P「まぁそういう理由で、ここに小鳥さんちの鍵があるというわけだ」

P「オーケー?」

春香「オーケー!」

P「というわけで、小鳥さんが休んでいて、ここに鍵があって、春香は……?」

春香「オフです」

P「そう……つまり……」

春香「つまり、小鳥さんのお見舞いに行ってくれと、そう言いたいわけですね?」

P「もちろん無理にとは言わないし、行くなら見舞いの品も俺が金を出す」

P「お見舞いに行くにしろ家に帰るにしろ、俺が送っていくよ」

春香「いえいえ、もちろんお見舞いに行きますよ! 小鳥さんが良ければですけど」

P「あぁ、事前にアポはとらないとな」


春香「それで……今、送っていくって言いました?」

P「うん、言ったよ」

春香「プロデューサーさん、お仕事は?」

P「今日は事務的な仕事だから、時間の融通が利く」

春香「でもそれだったら、その分の皺寄せが……」

P「まぁノートパソコンがあるから、車の中でも出来ることはあるし」

P「最悪、サビ残でもして取り返すさ」

支援

頭悪そうなスレタイだな

出勤するピヨー

春香「じゃあ車で待ってるんですか?」

P「そうだよ」

春香「どうして? お見舞い一緒に行きましょうよ!」

P「いやいやいやいや……それだと春香に頼む意味がないじゃないか」

春香「私に頼む意味って何ですか?」

P「だって、俺がお見舞いに行くわけにいかないだろ?」

春香「どうしてですか?」

P「小鳥さんは女性だろ? そして俺は男だ」

春香「そこがわかんないんですよ! どうしてプロデューサだと……男だとダメなんですか?」

P「あのなぁ……部屋の中とか、そういうのって異性には見られたくないじゃないか」

春香「……え?」

P「ましてや寝込んでる姿となっちゃ、なおさらだ」

春香「う~ん」

春香「考えすぎだと思います……だって、プロデューサーさんですもん」

P「あぁそうか……俺は異性として見られていないと、そういうことだな」

春香「どうしてそうなるんですか? むしろ信頼してるから安心なんですって!」

P「いやぁーやっぱりダメだって、異性の部屋に入っちゃ」

春香(もう……度胸が無いなぁ~)

春香「そんなだから、いつまで経っても彼女が……」

P「何か言ったか?」

春香「なんでもないですよー」

P「とにかく、俺は車で待ってるからな」

春香「なんだかなぁ……」

P「何とでも言え」

春香「う~ん……」


春香「…………あっそうだ!!」

ピヨピヨピピピ

春香「小鳥さんに聞いたらいいんだ!」

P「……なに?」

春香「小鳥さんが良いって言ったら、プロデューサーさんも来ればいいんですよ!!」

P「…………どうしてそんなに俺を小鳥さんの家に入れたがるんだ?」

春香「身体が弱ってるときは、心も同じって言うじゃないですか」

春香「だからプロデューサーさんが来てくれたら、小鳥さんきっと喜びますって!」

P「迷惑だと思うけどなぁ」

春香「まぁまぁ、それは小鳥さんが決めることですから」

P「いやぁー絶対迷惑だって」

春香(この“自信のなさ”に対する自信はどこから来るんだろう……)

春香(小鳥さん、あんなに分かりやすく好意をあらわしてるのに……)


春香「プロデューサーさんって、よく鈍感だって言われません?」

P「いや、言われたことないけど?」

春香「じゃあ言ってあげますよ……プロデューサーさんの鈍感!!」

P「へいへい」

支援

春香「ちょっと小鳥さんに連絡してみます」

P「あぁ、頼む」

春香「寝てたりしたらいけないから、メールにした方が良いですか?」

P「そうだな」

春香「わかりました! プロデューサーさんはまだ仕事してていいですよ」

春香「決まり次第、教えますから」

P「おう」

春香「なんて送ろうかなぁ……あんまり長いと読むのキツイかなぁ……」

春香「変に遠慮したりしないかなぁ……恩着せがましいと思われたり……」

P「…………」

春香「………なんですか?」

P「ありがとな、春香」

春香「え? あ、はい……どういたしまして」

P(スケジュールが狂うのには参ったが、春香がオフになって良かったな)

春香「んーコレでいいかな」


―――――――――――――――――――――
To:小鳥さん
―――――――――――――――――――――
Sub:(non title)
―――――――――――――――――――――

体調の悪いときにメールしてゴメンなさい

小鳥さんの迷惑じゃなければ
お見舞いに行きたいんですけど……

何か必要なものはありませんか?
あるようなら買っていきますよ!

人に会うのがイヤでしたら
鍵をお借りしてますので玄関先に
置いておくことも出来ますし……

もし無理だったら返信しなくても結構です
起こしてしまったのなら ゴメンなさい

―――――――――――――――――――――


春香「……ちょっと長いけど、いっか」

春香「よし、送信!」

Pが行くかどうかは?

つ[カンペ]
???「『人の恋路を応援してあげるなんてやっぱり春香が一番いい子ね』春香、これでいいかしら?」

春香ってこんないい子なの?

――――
――

春香「はいプロデューサーさん、お茶です」

P「おっ、ありがとう! 悪いな、せっかく休みになったのに」

春香「いいんです、どうせ家に居ても何もすることないですし……」

春香「それに、小鳥さんのお見舞いなら喜んで行かせてもらいますよ!」

P「そうか……春香は優しいな」

春香「え? そ、そんなことないですよぉ」

P「いやホント、春香は優しい子だよ」

春香「えー?」

P「春香は人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことのできる人間だ」

春香「私……そんなに大した人間じゃないですよ」

P「そんなことないさ……大げさでもなんでもなく、春香はみんなを幸せに出来る子だ」

春香「そ、そうですか……」

春香(人の幸せ……人の不幸……)

のび太やん

春香(プロデューサーさんの幸せと、小鳥さんの幸せ……)

春香(みんなの幸せと、私の幸せ)

春香(私は誰の幸せを願って、誰の不幸を悲しむの?)

春香「…………」

春香(小鳥さんはプロデューサーさんのことが……)

春香(でも……私もプロデューサーさんことが……)

春香「…………」

P「……春香?」


春香「ねぇプロデューサーさん?」

春香「みんなを幸せになんて……ホントに出来るんですか?」

P「あぁ……春香にはその力があると、俺はそう信じているよ」

春香「……そうかなぁ」

P「え?」

春香「自分の……」

P「???」

春香「自分の幸せってのはねぇ、プロデューサーさん……」

春香「他人の不幸の上に成り立っているんですよ」

P「…………え?」

春香「うぅん……なんでもないです」ニコッ

P「…………」

春香(自分の幸せは、他人の不幸……)

春香(誰かが幸せになると、誰かが不幸になる……)

春香(私が幸せになったら、不幸になるのは……誰?)


『春香は人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことのできる人間だ』


春香「…………」

P「春香? 大丈夫か?」

春香「えぇ……もう大丈夫」

春香「もし小鳥さんのお見舞いに行けたら……私、試してみようと思います」

P「え? 何を?」

春香「今プロデューサーさんが言ったことですよ」

P「俺が言ったこと?」

春香「人の幸せを願い、人の不幸を悲しむ……」

春香「私が本当にそんな人間なのか……試してみます」

P「…………」

春香「別に、大したことじゃないんですよ?」


春香「簡単に言うと、私は小鳥さんが大好きってことです!」

P「………簡単どころか、まったく話が見えないだけど?」

春香「見えなくていいんです! 個人的な話ですから!」

P「う~ん」

春香「考えなくてもいいです!!」

春香「あっ、返信来ました!」


―――――――――――――――――――――
From:小鳥さん
―――――――――――――――――――――
Sub:(non title)
―――――――――――――――――――――

こちらこそ、ご迷惑をおかけしてすみません

お見舞い? 迷惑なんかじゃないけど……
そこまでしてもらっちゃ悪いわ

それに春香ちゃんに伝染っちゃいけないし
お気持ちだけもらっておきます

正直に言うと、寂しかったりするけど……

わざわざありがとう とっても嬉しかったわ
ゆっくり休んでね! って、休むのは私か……

―――――――――――――――――――――


春香「とりあえず、長い文章を書くほどに元気はあるみたい……よかった」

春香(でも、やっぱり寂しいんだ……)

P「小鳥さん、何て?」

春香「遠慮してるみたいです」

P「そうか……」

春香「でも、まだ諦め春香ちゃんにはなりませんよ」

P「始めて聞いたぞ、諦め春香ちゃん」

春香「……そういうのにはあんまり食いつかないでください」

P「んな無茶な」

春香「とりあえず、もう一度メールを送ってみます」

P「あんまりしつこいのもどうかと思うぞ?」

春香「あと一回くらいは平気ですよ」

春香「ホントは来てほしいのに、遠慮してるだけかもしれないじゃないですか」

P「それならいいけど」

春香「もし次で小鳥さんが断ってきたら、それに従いますから」

P「そうしないと『ありがた』すら付かない、ただの迷惑だからな」

春香「そうですね」

春香「えーっと……」


―――――――――――――――――――――
To:小鳥さん
―――――――――――――――――――――
Sub:(non title)
―――――――――――――――――――――

それはお見舞いに行っても構わないと
そう解釈すればいいんですね?

私、最近すこぶる元気ですから
風邪は伝染りませんよ多分!!

本当にご迷惑だったら
断っていただいて結構です

しつこくてすみません

―――――――――――――――――――――


春香「なんか断りにくくしてるみたいだなぁ……」

春香「悪く取られなきゃ良いけど……」

P「ふむふむ……うん、小鳥さんなら分かってくれると思うぞ」

春香「あっ、もう! 覗かないでくださいッ!!」

春香「……来た来た!」


―――――――――――――――――――――
From:小鳥さん
―――――――――――――――――――――
Sub:(non title)
―――――――――――――――――――――

やっぱり春香ちゃんには敵わないなぁ

そうですよー寂しかったですよー
春香ちゃんの優しさが心に染みますよー

でも、何も買わなくていいのよ
そこまで気を遣ってもらっちゃ悪いから

本当にゴメンなさい
それから、ありがとう

―――――――――――――――――――――


春香「…………」

P「どうした?」

春香「……好意が伝わるって、すごく嬉しいことなんですね」

見てるよ

支援は紳士のつとめ

支援

春香「さて、アポも取ったことだし、さっそく行きましょう!」

P「ちょっと準備するから待っててくれ」

春香「40秒で支度してください!」

P「う~ん、もう一声!」

春香「3分間待ってやる!」

P「バルス!」

春香「目が、目がぁ~!」

P「……春香って結構ノリが良いな」

春香「そうでもないと思いますけど?」

P「そうか? まぁそんなことはいいから早く行くぞ」

春香「もう! プロデューサーさんが先に始めたんでしょー!」

P「まずはコンビニだなー」

春香「ちょっとぉ~待ってくださいよぉ!」

支援

支援するよー

コンビニ

P「春香、ポカリとアクエリどっちが好き?」

春香「個人的にはアクエリアスですね。 ポカリって薬っぽくないですか?」

P「俺はポカリの濃い感じが好きなんだけど……春香がそう言うならアクエリにしよう♪」

P「それからプリンにヨーグルト……コーヒーゼリーもいいなぁ」

P「あとは……シュークリーム……ケーキ……」

春香「お菓子ばっかりじゃないですか」

P「熱が出たときには、親が妙に優しくて、お菓子をたくさん買ってきてくれるもんだ」

春香「小鳥さんはもう子供じゃないですよ?」

P「いや……いくつになっても、このお菓子をたくさんってのは嬉しいんだって」

春香「まぁその気持ちはよく分かりますけど」

P「あーいかんいかん、アイスを忘れるところだった!」

春香(プロデューサーさんが一番子供……)


P「春香、ハーゲンダッツでどれが一番……」

春香「すとろべりぃー!」

P「……さぁ小鳥さんちに着いたぞ」

春香「それじゃ、行ってきますね」

P「おう」

春香「すぐに出れるように、準備しててくださいよ!」

P「小鳥さんの許可がない限り、俺は車から出ないぞ」

春香「そこは大丈夫ですって! 安心してください」

P「それだと俺が小鳥さんちに入りたくてしょうがないみたいじゃないか!」

春香「入りたくないんですか?」

P「いやいや、そういうわけじゃなくて……」

春香「とにかく、行ってきますから!」


P「あっ、おーい! ちょっと待て春香!」

春香「え? なんですか?」

P「……手ぶらで行くつもりか?」

春香「あっ、いけない!」

見てるぞ~

春香「よし……ここだー」

春香「えーっと鍵は……と」

カシャン

春香「おぉ! ちゃんと開いた!」

春香「…………あたりまえか」

春香(寝てるといけないから、そぉーっと……)

ガ…チャ

春香「オジャマシマース」


春香「…………あっ」

小鳥「いらっしゃい、春香ちゃん」

春香「小鳥さん! ダメですよ寝てないと!」

小鳥「いいのよ、今は薬が効いてるから」

春香「ダメですってば! ほら、寝てくださいー!」

小鳥「うふふっ、はいはい」

俺ポカリスエット派
アクエリが無かった世代ってだけです

かわゆゆ

小鳥「ゴメンなさいね、迷惑かけちゃって……」

春香「いいんです、迷惑だなんて思ってないですから」

小鳥「……ありがとう」

春香「体調はどうですか?」

小鳥「えぇ、今は熱も下がってるわ。 だからズル休みしてるみたいで……」

春香「そんなことないですよ」

小鳥「プロデューサーさんにも余計な心配かけちゃったし……」

春香「あーダメですよ、そんなに落ち込んでちゃ……病は気からって言うじゃないですか!」

小鳥「そうね! せっかく春香ちゃんがお見舞いに来てくれたんだもの」

春香「ほら、お菓子だってこぉんなに買ってきたんですから! プロデューサーさんのお金で!」

小鳥「まぁすごい! なんだか子供のころを思い出すなぁ~」

小鳥「熱が出ると、親が妙に優しくなって……」

春香「ふふっ……それ、プロデューサーさんも言ってました」

小鳥「あらほんと? やっぱり同じなのね」

春香「あの……よかったら、身体を拭いたりとか……」

小鳥「うぅん平気よ。 実はさっき、自分でやっちゃったの」

春香「あっ、そうなんですか?」

小鳥「えぇ……調子が良いときじゃないと出来ないから」

春香「そっか……えぇっと、それじゃ……おでこに濡れたタオルを……」

小鳥「熱は下がってるわ」

春香「そしたら後は……うーんと……」

春香「あっ! ネ、ネギを……」

小鳥「春香ちゃん、何もしなくていいのよ?」

春香「で、でも……」

小鳥「春香ちゃんの顔が見れただけで、すっごく嬉しいんだから」

春香「え、えへへ……そう言われると、なんか照れますね」

小鳥(かわいい)

ネギを尻に

小鳥「それにしても春香ちゃん、よく私の家が分かったわね」

春香「それはほら、名簿とか……あるじゃないですか」

小鳥「あ、そうだったわね! でも住所だけでよく……」

春香「道を考えるのは私じゃなくて、ナビですからね」

小鳥「え? スマホの?」

春香「いえいえ、カーナビです」

小鳥「え? カーナビ? ってことは……車で来たの?」

春香「そうですよ?」

小鳥「え? え? 誰が運転したの?」

春香「プロデューサーさんです」

小鳥「それなら……プロデューサーさんは今どこに?」

春香「車の中でお仕事してますよ、ノートパソコン使って」

小鳥「じゃあ、そこで待ってるの!?」

春香「はい!」

見てるよ、

小鳥「いけないわ! 待たせてるのなら、もう行ってあげなきゃ!」

春香「いいんですよ……お見舞いに来たんですから」

小鳥「で、でも……」

春香「そうそう、プロデューサーさんったら変なこと言うんですよ」

小鳥「変なこと?」

春香「一緒にお見舞いに行きましょうって言ったら……」

春香「『女性の部屋に男が入っちゃダメだー』なんて言うんです」

小鳥「え?」

春香「部屋の中とか、そういうのは異性に見られくないものだって……」

小鳥「だから春香ちゃんが?」

春香「そうです! 急遽オフになったので、それだったら行ってあげてくれって言われて」

小鳥「そうだったの……」

小鳥「…………」

春香「やっぱり、プロデューサーさんでも嫌ですか? 部屋に入られるのって」

小鳥「う~ん……ちょっと恥ずかしいっていう思いもあるけど……」

小鳥「プロデューサーさんなら平気かなぁ」

春香「ですよね! 私もそう言ったんですけど……」

小鳥「プロデューサーさん、何て?」

春香「『俺は異性として見られてないのか……』なんて、少しヘコんでました」

小鳥「い、いや……そういう意味じゃないのよ?」

小鳥「むしろプロデューサーさんだから平気なわけで……」

春香「それは本人に伝えてあげてください。 私、呼んできますから!」

小鳥「あっ……ちょっと……」

春香「どうしたんですか?」

小鳥「う、うぅん……なんでも」

支援は紳士のつとめ

春香「……呼んじゃマズイ?」

小鳥「マズくはないけど……」

春香「そうですか……では、呼んできますね!」

小鳥「えぇ」

小鳥(ちょっと前に部屋を片付けたばかりだから、散らかってなくてよかった……)

春香「…………」

春香「小鳥さん」

小鳥「は、はい?」


春香「…………ごゆっくり!」


小鳥「え? あ、あの……えっ?」

春香「待っててくださいねー! すぐ来ますからーー!」

小鳥「ちょ、ちょっと待っ……どういう意味?」

春香「行ってきまーーーっす!」

小鳥「あぁん、ちょっとぉー!」

P(お? 春香、帰ってきたな)

P(……なんであんなに走ってるんだ?)

春香「はぁ……はぁ……プ、プロデューサーさ~ん!」

P「どうした? もう済んだのか?」

春香「そうじゃ……はぁ……なくて………」

P「まぁ落ち着け落ち着け」

春香「はい……あの、小鳥さん……来ていいって……ふぅ」

P「そうか……うん、わかった」

春香「それじゃ……行ってあげてくださいねー!」

P「おいおい春香、どこ行くんだ?」

春香「ちょっとコンビニ行ってきます! 何かあったらメールしてくださーい!」

P「おーい!」

P「…………」


ハルカ「キャァ!!」

P「あっ転んだ!」

P「えぇっと……ゴメンくださーい」

小鳥「あっ……い、いらっしゃいませ」

P「あぁ小鳥さん、どうですか? 調子は」

小鳥「今はまだ薬が効いてますので……まぁ」

P「そ、そうですか……」

P(パジャマ姿……新鮮だし、かわいいな)

P(なんか……部屋もいい匂いがするし……)

P(って俺は何を考えとるんだアホッ!!)

小鳥「どうかしました?」

P「い、いえ! なんでもないです」

小鳥「あのぅ……春香ちゃんは?」

P「え? 小鳥さんが買い物頼んだんじゃ……」

小鳥「え? プロデューサーさんを呼んでくるって……」

P「えっ」

小鳥「えっ」

P(春香は何しにいったんだ?)

小鳥(春香ちゃんは一体……それに、さっき……)

P「ま、まぁそのうち帰ってくるでしょう」

小鳥「そうですね」


P「……」

小鳥「……」


P「…………」

小鳥「…………」


P「あの……」

小鳥「???」

P「いや……えっとぉ……ど、どうですか? 調子は」

小鳥「プロデューサーさん、それもう言いましたよ」

P「あはは……そうでしたっけ?」

スレタイで百合期待してた
してた

P「あ、そうだ! アクエリと……あとプリンとかも買いましたんで」

小鳥「おいくらですか? 私、お金……」

P「なに言ってるんですか、これはお見舞いの品ですから」

小鳥「で、でも……」

P「こういう時ぐらい、いいじゃないですか……たいしたことじゃないんだし」

小鳥「……ありがとうございます」


P「あっ! アイスは!?」

小鳥「春香ちゃんが冷凍庫に入れてくれましたよ」

P「……はぁ、よかったぁ~」

小鳥「…………ぷふっ」

P「はぇ?」

小鳥「うふふふっ……ふふっ」

P「ど、どうしました?」

小鳥「なんだかプロデューサーさん、子供みたい」

P「…………よく言われます」

――――
――

P「春香……遅いですね」

小鳥「…………はぁ」

P「ちょっと電話を……」

小鳥「…………ふぅ」

P「!?」

P「小鳥さん、熱が上がってるんじゃないですか?」

小鳥「…………へいきれす」

P「…………」

P「ちょ、ちょっと失礼」スッ

小鳥「…………ぁ」

小鳥(プロデューサーさんの手……冷たくて気持ちいい)

P「うん、やっぱり熱い」

P「小鳥さん、横になりましょ? ね?」

小鳥「…………ふぁい」

はよよ

小鳥「すぅ……すぅ……」

P「…………寝たか」

P(小鳥さん、やっぱりツラそうだ……)

P(……身体に障るとか言うしな)

小鳥「う、う~ん」

P(えーっと……おデコにタオルでも当ててやりたいんだけど……)

P(勝手に物色するわけにもいかないし……)

P「…………」

P「あっ、俺のハンカチでいいや」

P(本当は洗面器があればいいんだが……まぁしょうがない)

P(台所を行き来するしかないな)


P(よーく絞って……と)

小鳥「んっ………ふぅ……」

P(よしよし……看病っぽくなってきたぞ)

小鳥「すぅ……すぅ……」

P(もうしばらく様子を見とこうかな)

P「…………」

P(しかし、春香の奴……どうしたんだろう?)

P(ちょっと電話してみるか……)

小鳥「うぅ……んっ……」

P「……ん?」

小鳥「うぅ………すん……ぐすっ……」

P「…………泣いてる」

P(熱のせいで、怖い夢でも見てるのか?)

小鳥「プロデュ……さん…………」

P「…………俺?」

小鳥「…………うぅ」


P「よ、よしよし」ナデナデ

小鳥「ふぅぅ……」

P(額も汗びっしょりだ……拭いてあげないと)

P「…………」フキフキ

小鳥「……すぅ……すぅ」

P「…………」フキフキ

小鳥「……ん、ん~?」

P(やべっ……起こしてしまった……)

小鳥「…………あ」

P「ゴメンなさい、起こしちゃったみたいで」

P「うなされてましたよ? 怖い夢でも見たんですか?」

小鳥「………………」

P「どうしました? どこか具合が……」

小鳥「目が覚めたときに誰かが居てくれるって……すごく幸せですね」

P「え?」

小鳥「その人がプロデューサーさんで良かったぁ……」

P「…………」

あーかわいい

P(火照った顔で、しかも寝起きのトロンとした目でそんなこと言われたら……)

P「……こ、小鳥さん!」ダキッ

小鳥「あっ……ダ、ダメですよぉ……伝染っちゃいますからぁ……」

P「…………」

小鳥「プ、プロデューサーさん?」

P「ゴメンなさい……今の小鳥さん、すごく……」

小鳥「いえ、謝らないでください……」

P「お、俺……俺………小鳥さんのことが――」

小鳥「えっ……ケホッケホッ!」

P「あっ! だ、大丈夫ですか?」

小鳥「大丈……ゴホゴホ!!」


P「えと……な、何か食べて薬を飲みましょう!」

P「コンビニで申し訳ないですけど、お粥買いましたから」

小鳥「は、はい」

P「台所……っていうかレンジ借ります! ちょっと待っててくださいね」

ガチャン ピッ! ピッ!


…………ブウウ――――――ンンン――――――ンンンン………………。


P「…………」

P(や、やっちまったぁーーーーッ!!!)

P(風邪で弱った小鳥さんに抱きつくなんて……最低だ!)

P(しかも危うく口を滑らせるところだったし……)

P「…………」

P(小鳥さん……抵抗してこなかったな………熱のせいか?)

P(もちろん抵抗がなかったからって、抱きついて良い理由にはならないけど……)


P「小鳥さんの咳に助けられたな……」

P(それとも……邪魔をされたのか?)

P「…………」

チン!

P「あっ、出来た」

小鳥「…………」

小鳥(ビックリした……)

小鳥「…………」

小鳥(プロデューサーさん……さっき、何かを言いかけたような……)

小鳥(私のことが……って)

小鳥「…………はぁ」

小鳥(どうしてあそこで咳き込んじゃうかなぁ私……)

小鳥(もし……私が咳をしていなかったら……)


小鳥「私のことが………す……き?」

小鳥「…………」

小鳥「…………////」



小鳥「……ゴホゴホ」

し、支援

いいよー

P「お待たせしました」

小鳥「すみません、何から何まで」

P「看病とはそういうものです」

小鳥「お仕事があったでしょうに……」

P「仕事なんて、後からどうとでもなりますよ……多分」

小鳥「でも……」

P「ほら、そんなことよりお粥ですお粥」

小鳥「……お粥ですか」

P「……お粥です」

小鳥「おいしそうですね」

P「おいしそうです」




P「…………自分で食べれます?」

小鳥「…………」ウルウル

P「さいですか」

P「あふぅーーーー、あふぅーーーーー」

P「熱いですからね、よく冷まさないとね……いけませんからね」

小鳥「…………」

P「はい、あーん」

小鳥「あむ……んっ……」

P「おいしいですか?」ニコッ

小鳥「あっ……は、はい////」

小鳥(……熱があがっちゃいそう)


P「はい、あ~ん」

小鳥「……あむ」

P「こうしてると、本物の小鳥みたいですよ」

小鳥「ほひは……ゴクン………鳥は口移しですけど」

P「…………熱で頭やられてません?」

小鳥「やられてたら、口移ししてくれるんですか?」

P「しません!」

しないのかよ

小鳥「ご馳走様でした」

P「お粗末さまでした」

小鳥「えへへ……熱が出るって幸せなことだったんですね」

P「なに言ってるんですか? 元気が一番です!」

小鳥「そうですけど……」

P「はい薬……これを飲んで、風邪なんてケチョンケチョンにしてやりましょう!」

P「そしてまた、元気なお顔を見せてください」

小鳥「……はい」

P「事務所に小鳥さんが居ないと……ねぇ」

小鳥「私が居ないと、どうなんですか?」

P「…………」

小鳥「……プロデューサーさん?」

しえ支援

P「小鳥さん」

小鳥「はい」

P「さっきは変なことをしてすみません」

小鳥「ですから、謝らなくても……」

P「それと、変なことを口走りました」

小鳥「……えっ?」

P「でもあれは、あの時に言うことじゃなかったと思います」

小鳥「…………」

P「小鳥さんが元気になって、俺に勇気があったなら……」

P「その時に……ちゃんと伝えます」


小鳥「…………わかりました」

小鳥「絶対に……聞かせてくださいね?」

P「は、はい!」

小鳥(今でもよかったんだけどなぁ……)

小鳥「春香ちゃん、遅いですね」

P「そうですねぇ……」

小鳥「何しに行ったんですか?」

P「さぁ……だから俺、小鳥さんが買い物を頼んだと思ってたんですよ」

小鳥「私は何も……」

P「そうですよね……なんだろう?」

小鳥「…………」

小鳥(『ごゆっくり』って……もしかして春香ちゃん………)

小鳥「…………」

P「どうしました?」

小鳥「いえ……なんでもないです」

P「ちょっと電話してみますね」

小鳥「はい」

――――
――

春香(あの二人……何か進展あったのかな……)

春香「…………はぁ」


春香(敵に塩を送る……とはちょっと違うか)

春香「…………」

春香(試してみるなんて言ったけど……)

春香(やっぱり、私……ヤキモチやいてる)

春香(自分が小鳥さんとプロデューサーさんを二人きりにしたのに……)

春香(小鳥さんの幸せを願ったはずなのに……)

春香(時計を気にして、落ち着かなくて)

春香(何も起こらなければいいのに……なんてことばかり考えてる)


『プロデューサーさんが私を選んでくれたら……』


春香「そんなことばかり……考えちゃう」

春香(もし本当に進展があって、二人が恋人同士になったら……)

春香(私は……私はどうするんだろう?)

春香(もし恋人同士になった二人が……その後、結ばれることになったら……)

春香(私は……笑顔で二人を祝福できるのかな……?)

春香「…………」


春香「……できるよね?」

春香(だって私……プロデューサーさんと同じくらい……)

春香(小鳥さんのことが好きなんだもん)

春香「…………できるよ」


Prrrrrrrr! Prrrrrrrr!

春香「……あっ」



春香「もしもし? プロデューサーさん?」

P『春香、どこにいるんだ?』

春香「あ、もう終わりですか?」

P『終わりって?』

春香「いえ、なんでもないです!」

P『……もう戻ってくるのか?』

春香「あ、はい! もう戻ります」

P『あぁそうか、気をつけてな』

春香「もう……大げさですよ」

P『あはは、スマンスマン』

春香「それじゃ、すぐ行きますね~」

P『おう』


ピッ!

春香「…………はぁ」


春香「戻ろ」

春香「春香ちゃんが戻りましたー」

小鳥「……おかえりなさい」

春香「あっ、小鳥さん顔が赤い! 熱が上がったんですか?」

小鳥「えぇ、少しだけ」

P「もう薬は飲んだから、しばらくすればまた楽になると思う」

春香「そうですか……私達が来たから疲れちゃったんですね」

小鳥「違うわよ春香ちゃん。 ホントに嬉しかったんだから」

P「それに、春香がコンビニのレジ前で滑り込ませた、あのお粥が役に立ったよ」

春香「ホントですか? やったー!」

P「食欲もあるし……すぐ元気になりますよ、小鳥さん」

小鳥「だといいけど……」

春香「その為にも、ゆっくり休んでくださいね!」

小鳥「うん」

春香「そうそう! 冷えピタ買って来ましたよ、冷えピタ!」

P「おぉ! さっすがはるるん!!」

春香「よいしょ……はい、プロデューサーさん!」

P「は?」

春香「は? じゃないですよ……まさか自分に貼るつもりですか?」

P「いやいや……あっ、俺が貼ってあげるの?」

春香「あたりまえじゃないですか! ねぇ小鳥さん?」

小鳥「えっ……あ、うん」

P「まぁ別に……いいけど」


P「……小鳥さん、髪の毛上げてください」

小鳥「は、はい……」

P「ちょっと冷たいですからね……」ピタッ

小鳥「ひゃっ! ……ふふっ、ホントですね」

P(かわいい)

春香(かわいい)

P「それじゃ、お大事に」

春香「早く元気になってくださいね!」

小鳥「いろいろありがとうございました。 春香ちゃんも、ありがとう」

春香「いいんですよ~お礼なんて」

P「そうそう! お礼の代わりに、早く元気な姿を見せてくださいね」

小鳥「……はい」

春香「それじゃ、そろそろ……」

P「何かあったら、電話でもメールでも、すぐにしてきてください」

春香「遠慮なんてしなくていいですからね!」

小鳥「わかってます」


P「よし、行こうか春香」

春香「はーい、それじゃ!」

小鳥「うん、またね」

小鳥「春香ちゃん……わざとだったのかな……」

小鳥(うぅん……それはないわよね)

小鳥(だって春香ちゃんはプロデューサーさんのことが……)

小鳥「でも……」

P『その時に……ちゃんと伝えます』

小鳥「…………」

小鳥(プロデューサーさんの伝えたいことが、私の思っている通りのことだったら……)

小鳥(私は……私はどうするの?)

小鳥(春香ちゃんはどうなるの? どう……思うの?)

小鳥「…………」

小鳥「でも……私だって……」

小鳥(私だってプロデューサーさんのことが……)

小鳥「…………」



小鳥「……ゴホゴホ」

二日後


小鳥「……ふぅ」

小鳥「結局二日も休んじゃった……」


小鳥「この扉を開けるのが、なんだかすごく久しぶりに感じるわ……」

小鳥「…………」

小鳥「……あら? 中から声が聞こえるわね」


春香『う~ん、あんまり高いレストランとかだと……』

P『かといって居酒屋ってわけにも……』

春香『それか食事の後に、どこかスポットに行って……』

P『この辺って、そんな大したスポットなんて……』


小鳥「ん~よく聞こえないわねぇ……何の話かしら?」

小鳥「とりあえず中に入らないと!」

小鳥「いつまでもここに突っ立ってるわけにいかないわ」

ガチャ

小鳥「おはようございます!」

P「あぁ、小鳥さん! もう完全復活ですか?」

小鳥「えぇ、おかげ様ですっかり元気になりました!」

小鳥「ご迷惑をおかけして、すみませんでした」

P「いえいえ、お元気そうでなによりです」

春香「小鳥さん! おかえりなさい!!」

小鳥「あっ……春香ちゃん……」

春香「どうしたんですか?」

小鳥「うぅん、なんでもないわ」

春香「???」

小鳥(どうしても、春香ちゃんの顔を見ると……)


春香「…………」

春香「あの……小鳥さん、ちょっとこっち……会議室」

小鳥「え? あ、うん……」

支援

――

春香「えっと……間違ってたら、それはそれでいいんですけど……」

春香「小鳥さんは、私に罪悪感みたいなものを抱いてるんじゃないですか?」

小鳥「罪悪感……?」

春香「違ってたならゴメンなさい……ただの思い上がりですよね……」

小鳥「…………」

小鳥「……うぅん、春香ちゃんの言うとおりかもしれないわ」

春香「そうですか……」

小鳥「ゴメンなさい」

春香「だったら、そんなこと考えなくていいですから」

小鳥「え?」

春香「プロデューサーさんは、内緒にしとけって言ってたんですけど……」


春香「今からプロデューサーさんは、小鳥さんをお食事に誘うつもりです」

小鳥「え? 私を?」

春香「はい」

紫炎

小鳥「そ、そう……」

春香「そして……食事の席か、食事を終えた後に、とっても大事な話をすると思います」

小鳥「…………」

春香「その時は、小鳥さんは自分のことやプロデューサーさんのことだけを考えください」

小鳥「自分やプロデューサーさんのこと……だけ?」

春香「私のことも……他のみんなのことも、考えないでください」

春香「その場に居る二人のことだけを考えてください」

小鳥「そ、それって……」


春香「私はお二人が大好きです」

春香「……それはきっと、みんなだって同じです」

小鳥「…………」

春香「そんな大好きな二人の幸せを、みんなだって願っているはずです」

春香「だから遠慮とか……絶対しないでください」

春香「みんなに悪いから……とか、そんなこと言ったら私、怒っちゃいます!」

小鳥「…………」

小鳥「…………春香ちゃん」

春香「はい」

小鳥「春香ちゃんに、何て言えばいいのか……わからない……」

小鳥「ありがとうなのか…ゴメンなさいなのか……わからないわ」


春香「…………私もです」

小鳥「え?」

春香「私も、なんて言えばいいのか……わかんないです」

春香「ただ、確実に言えることがあって……それはさっきも言いましたけど……」

小鳥「…………」

春香「私は、プロデューサーさんが大好きだっていうことと……」

春香「それと同じくらい、小鳥さんが大好きだということです」

小鳥「…………」

春香「だから、平気です」

小鳥「春香ちゃん……ありがとう……ゴメンなさい」

春香「……泣かないで、小鳥さん」

小鳥「うぅ……だって……だって…………」

小鳥「嬉しくて……悲しくて……」

春香「……うん」

小鳥「申し訳なくて……自分が嫌いで……」

春香「…………うん」

小鳥「ありがとう……ゴメンなさい……ありがとう」

春香「や、やだなぁ……私まで涙を貰っちゃうじゃないですか……」

小鳥「ごべんなざい……ありがどう……」

春香「私はもう平気ですから……泣かないで」

小鳥「ひっく……ひっく……」

春香「ほら、お化粧が取れちゃいますよ? 可愛い顔が涙で台無しじゃないですか」

これで小鳥さんが勘違いしてたら面白いな

ピヨちゃん可愛いなぁ

春香「さてっ、もうお話は終わりです!」

春香「プロデューサーさんのところに行ってあげてください!」

春香「もうそろそろ決心が付いたでしょうから、プロデューサーさんも」

小鳥「顔……変じゃないかな?」

春香「えぇ、ちょっと目が赤いかなぁって感じですけど……」

春香「いつもの素敵な小鳥さんですよ」

小鳥「そ、そんな……」

春香「ささっ、私はもうしばらくここに居ますから、早く行ってあげてください」

小鳥「そうね……うん、行ってくるわ!」

春香「はい!」


バタン

春香「…………」




春香「…………ぐすっ」

――

春香(そろそろ戻ってもいいかな……)

春香(こっそり様子を覗いてみよう)
 
壁|ヮの) チラッ

P「……それじゃ、今日はベルサッサしましょう」

小鳥「鳴りドンですね?」

春香(………知らない言葉が飛び交ってる)

春香(もう、出てもいっか……)


春香「ふぁぁ………プ、プロデューサーさん、現場に向かうの何時でしたっけ?」

P「あぁ、まだゆっくりしてていいぞ」

春香「そうですか」

小鳥「は、春香ちゃん……コーヒー淹れましょうか?」

春香「あっ、はい! お願いします」

小鳥「ちょっと待っててね」

春香「あぁ! 小鳥さん!」

鳴りドンっていつの言葉だよwww
ベルサッサは時代設定が2013年なら間違いなくこいつらアラフォー

春香「……どうでした?」ヒソヒソ

小鳥「え、えぇ……食事に誘われたわ」ヒソヒソ

春香「ホント? よかったですね!」ヒソヒソ

春香(そっか…………)

春香(それなら、なるべく早くプロデューサーさんを帰してやらないと)


春香「プロデューサーさん!」

P「な、なんだ? 急に大声を出して」

春香「私、今日の撮影すっごい頑張りますからっ!!」

P「頑張り春香ちゃんか?」

春香「そう! 頑張り春香ちゃんです!!」

P「今日と言わず、毎日頑張って欲しいんだけどね」

春香「その中でも、今日は特別張り切っていきます!!」

春香「カメラマンさんに『保険でもう一枚ねー』とか言わせませんよもう」

春香「もう全部一発オッケー! 必要な枚数だけ撮って終了ッ!」

P「そ、そうか……」

P「いい心がけだけど、何をそんなに張り切ってるんだ?」

春香「だって、そのほうが早く終わって、早く帰れるじゃないですか!」

小鳥「…………あっ」

春香「アフターファイブですよ、アフターファイブ!」

P「あ、あぁ……そういうことか」


春香「ってことで、お二人とも! 今日は張り切っていきましょーー!!」

春香「おーー!!」

春香「ほら、二人も一緒に! おーーッ!!」

P・小鳥「「お、おーー!!」」

春香「もういっちょ……おぉーーッ!!」

P・小鳥「「おーーー!!」」

春香「もう一声……」

P「もうええわっ!!」


春香「おぉぉーーーーー!!!!」

いつまで続けるのこれ

春香「さぁプロデューサーさん! 行きましょう!」

P「いやだから、まだ時間が早いって」

春香「うむぅ……私のこの有り余る労働意欲はどうすれば…………」

春香「…………」

春香「よし……ちょっとその辺走ってきます!!」

P「は?」

小鳥「え?」


春香「それじゃ!!」

バタン!

P「あ、おーい、どこに行くんだね?」

P「わが765プロは、いつでも君を待って――」


どんがらがっしゃーん!!!!!


P「」

小鳥「」

ふぁっ!?

――――――
――――
――

P「よーし春香、そろそろ行こうか」

春香「はーい」

小鳥「春香ちゃん、怪我は大丈夫?」

春香「は、はい……ナントカ大丈夫みたいです……えへへ」

P「元気なのは良いけど、あんまりハジケすぎないようにな」

春香「あいあいさープロデューサー」

P「それじゃ、いってきますね」

春香「いってきm@s!!」

小鳥「いってらっしゃい」


バタン

小鳥「…………」



小鳥「春香ちゃん……ありがとう」

P「……春香のおかげで上手く誘えたよ」

春香「なに安心してるんですか? まだこれからですよ!」

P「ま、まぁな」

春香「そうそう、今日は撮影のことなんて気にしなくていいですから」

P「は?」

春香「それより今夜のシュミ……シミュレーションでもしててください!」

P「そういうわけにいかないだろ?」

春香「平気ですって! 私に任せてください!」

P「余裕ぶっこいてると、機材のコードに引っ掛かってコケるぞ?」

春香「ノンノンノン……今日の春香ちゃんはいつもの春香ちゃんじゃないんですよ」

春香「……そんなに信用してないなら、ここで走ってみせましょう!」ダッ!

P「あ、おい! 春香ーッ!」


どんがらがっしゃーん!!!!


P「…………ですよねぇ」

春香「イタタタタ……」

P「ったく、言わんこっちゃない……ほら、手」スッ

春香「あっ……ひ、一人で立てますから!」

P「そ、そうか……」

春香「…………」


春香「プロデューサーさん……私、間違ってたみたいです」

P「え?」

春香「幸せは他人の不幸の上に成り立ってるって……」

P「あぁ……あれか」

春香「私は小鳥さんが幸せになれば、自分が不幸になると思ってました」

春香「でもそれは違いました……」


春香「だって、私は今……とっても幸せですから!」

P「そうか……よく理解してやれなくて申し訳ないが、春香が幸せそうでなによりだ」

春香「はい!」

撮影スタジオ


カシャッ! カシャッ!

カメラマン『はーい、保険でもう一枚ねー』

春香「…………」

P(やっぱりこう……ストレートに言ったほうがいいかな……)


パシャッ! パシャッ!

カメラマン『念のためもう一枚おさえときまーす!』

春香「ぐぬぬ……」


P「お、お付き合いと結婚に俺を前提してくださいッ!!」

P「チガウチガウ……俺と前提を結婚にお味噌汁を毎朝食べましょう!!」

P「だぁーーッ! 何で味噌汁が出て来んだよッ!!」

P(あっヤベ……声出てた………)

スタッフ「……何やってんだあの人?」

END

終わりです
お粗末さまでした

乙ー
おもしろかったわー

乙、きれいな春香さんもいいもんだな

お前ら事務員好きだなー

アラサー可愛い事務員とか最高だろ

おつ

追いついたら終わってた、乙!

乙ピヨ

乙ですよ!乙!

ご苦労ぴよ

     ヾヽ
    γ_ ・l>  興味深いスレでしたヨネ
    ミ(ノノハヾ)   
  ヘ レハ ゚ヮ゚ノヽ 
 〈  とl>炎つ 〉 
  VWWく/__l|WV
     ∪∪

とても良いものだった

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom