エレン「……な、なんでアルミンとミカサが大人になってるんだ!?」(445)

アルミン「エレン、気が付いたんだね!」

ミカサ「エレン! 良かった」

エレン「ちょ、ちょっと待ってくれ。二人ともなんでそんなにおっきいんだよ。何だか成長していないか?」

ミカサ「何を言ってるのエレン?」

アルミン「待ってよミカサ。エレンは訓練中に頭を強く打ってるんだ。記憶が錯乱しているのかもしれない」

エレン「さくらん? さくらんってなんだ?」

アルミン「落ち着いてエレン。目を覚ます前に何があったか覚えてる?」

エレン「え? 今日はミカサと一緒に薪を拾いに行くから早く寝たはずだぞ。なあミカサ」

ミカサ「……? 何を言ってるのエレン。それは……」

アルミン「待ってミカサ! もしかしたら今のエレンは……」

エレン「あーお腹空いたなー。っていうかココ何処だよ。母さん御飯まだかなー」

ミカサ「エレン!? カルラおばさんは……」

アルミン「ミカサ!」

ミカサ「?」

アルミン「」フルフル

エレン「なんだよ……? お前達今日はおかしいぞ?」

アルミン「ごめんエレン。ちょっといろいろあったんだ」

エレン「いろいろってなんだよ?」

アルミン「うん。後で説明するよ。ところでエレン、今エレンって何歳だっけ?」

エレン「おいおい大丈夫かよ。アルミン俺より頭良かったじゃねーか。俺は十歳になったばかりだぜ」

アルミン「そ、そう」

ミカサ「……」

アルミン「結論から言うと、今エレンは幼児退行しているんだと思う」

ミカサ「幼児退行?」

アルミン「記憶が十歳の頃にまで巻戻ってるんだ」

アルミン「今のエレンは自分を十歳だと思ってる」

ミカサ「そんな……」

アルミン「訓練中の事故ではあるけど、やっぱり箇所が箇所だからね」

ミカサ「治るの? アルミン」

アルミン「僕からはなんとも言えない。流石にこういうことはそこまで詳しくないんだ、ごめん」

アルミン「ただ人並みな知識で言えば、ショック療法か、あるいは日常を過ごしている時にフッと思い出すことが多いって聞いたことがある」

アルミン「でも、その場合、個人差があって長い時間が掛かる場合もあるんだ。そうなるとやばいよ」

ミカサ「やばい? どうして」

アルミン「僕らはこの後教官にエレンの状態を説明しにいかなきゃならない」

ミカサ「ええ」

アルミン「どうせすぐばれるし正直に話した方がいいと思う」

ミカサ「確かに十歳の頃のエレンに今の訓練は辛いと思う。何よりわからないことが多い」

アルミン「問題はそれだけじゃない。訓練生としてここにいる以上、使えないと判断されたら開拓地送りにされる可能性もあるんだ」

ミカサ「!」

アルミン「症状が長引けばエレンは訓練生としてここにいられなくなるかもしれない」

ミカサ「そんな……」

アルミン「だから、教官の所に行くのは気が重いけど、教官のサポートなし今のエレンを助けることは出来ないよきっと」

ミカサ「……」

アルミン「アルミン・アルレルト入ります!」

ミカサ「ミカサ・アッカーマン入ります」

キース「うむ」

アルミン「同僚、エレン・イェーガー訓練生の容態を確認。報告に参りました!」

キース「話せ」

アルミン「ハッ!」

アルミン「エレン・イェーガー訓練生に目だった外傷はありません!」

キース「そうか。ではすぐにでも訓練に復帰できるのだな」

アルミン「いえ、それが……」

キース「なんだ」

アルミン「エレン・イェーガー訓練生は今回頭を強く打っており、記憶の混乱が見受けられます」

キース「記憶の……? どの程度だ」

アルミン「現在の自分を、十歳の子供と認識してしまっているようです」

キース「記憶の退行か」

アルミン「! ご存知なのですか」

ミカサ「!」

キース「訓練中に頭を強打し、記憶の混乱を起こす輩は決して皆無ではない。退行もその一つだ」

アルミン「で、では……!」

キース「一週間だ」

アルミン「えっ」

キース「一週間イェーガーには特別療養期間を与える。その間に快復の見込が無ければ、残念ながらイェーガー訓練生には出て行ってもらう」

ミカサ「そんな……!」

キース「我々は決して慈善事業ではない。知っての通り無駄飯を与える余裕は微塵もないのだ」

ミカサ「しかし……」

キース「イェーガーは優秀だ。成績も現在上位十名の中に入っている。それを鑑みての処置だ。これ以上の措置は講じられない」

アルミン「わかりました」

ミカサ「アルミン!?」

アルミン「行こうミカサ。まだ一週間で治らないって決まったわけじゃない」

ミカサ「……わかった」

アルミン「失礼します!」

ミカサ「……失礼します」

キース「……グリシャ、お前の息子をこんな目に合わせてしまっている俺を、お前は恨むか? 許せ……」

ミカサ「どうするのアルミン?」

アルミン「とりあえずみんなには説明して協力してもらおう。僕はこれまでのケースを洗ってみるよ」

ミカサ「?」

アルミン「教官の話だと過去にもこういうことは結構あったみたいだし、良い解決策があるかもしれない」

ミカサ「! わかった。がんばってアルミン」

アルミン「うん。エレンにも簡単に事情は説明する。少しだけ嘘も混ぜるけど。だから出来るだけミカサは傍にいてあげて」

アルミン「きっと今のエレンからすると知らない人ばかりで心細くなるはずだから」

ミカサ「言われなくてもエレンの傍にいる。でも嘘っていうのは?」

アルミン「例えばエレンのお母さんのこととか」

ミカサ「! わかった」

アルミン「エレン、入るよ?」

エレン「あ、アルミン、ミカサ! 見てくれよ! 俺もなんだか急に成長してるんだ! ほら、背だってこんなに伸びてる!」

アルミン「エレン、落ち着いて聞いて」

エレン「?」

~~説明ちう~~

エレン「俺が兵士に? 俺は今十五歳なのか……」

アルミン「うん、今のエレンや僕らが大きいのはそのせいなんだ」

エレン「アルミンの言うことだし、信じるよ。そうかあ、俺調査兵団に入ろうしてたんだろうな~」

エレン「あ、でもよく母さんが許してくれたな」

ミカサ「……」

アルミン「大喧嘩したみたいだけどね」

ミカサ(カルラおばさんのことは……言えない)

アルミン「それじゃみんなにも紹介して説明するから」

エレン「みんな?」

アルミン「同じ訓練兵団の仲間だよ」

エレン「わかった」

~~説明ちう~~

アルミン「というわけなんだ」

ライナー「おいおいまじか。大丈夫なのかエレン」

エレン「うわー、すげえ筋肉の兄ちゃんだな」

ライナー「に、兄ちゃん!?」

エレン「すげーすげー! 俺もこうなるのか!?」

ライナー「ま、まあ鍛えればな///」

ベルトルト「何顔を紅くしてるのさライナー」

エレン「うわー、こっちの兄ちゃんは背が高いな。俺も早くもっと大きくならないかな」

ベルトルト「え? た、高すぎてもいいことないよ」

エレン「なんで? 格好いいじゃん!」

ベルトルト「……エレンって小さい頃から良い子だったんだね、うん」

ジャン「お前等何簡単にのせられてるんだよ。馬鹿か、エレンがガキに戻ったって? 情けねーなおい」

エレン「む、この兄ちゃんは意地悪っぽい感じがする」

ジャン「なーにが兄ちゃんだよ。同じ歳だって言ってんだろ」

エレン「あ、そうだった」

ジャン「まあ頭の悪い死に急ぎ野郎は昔に戻ろうと戻るまいと頭の出来はたいして変わらないだろうけどな」

エレン「なんだと!」

エレン「あんたは人間の皮を被った化け物だな! 駆逐してやる!」

ジャン「おーおーやってみろガキエレン」

エレン「さっき同じ歳って言ったじゃないか!」

ジャン「ハハハッ、今の前は十歳なんだろうが」

エレン「っうぅ、くそぉ、駆逐してやる……」グス

ミカサ「! エレン」

エレン「な、なんだよミカサ! 泣いてねえよ!」ゴシゴシ

ミカサ「……うん、わかってる。ジャン?」ギロ

ジャン「う。わかった、俺が悪かった、エレン、俺と仲直りしようぜ。ほら握手だ」

エレン「……ふん。このイジワル兄ちゃんとは仲直りしねえよ!」プイッ

ジャン「こ、この……!」ピキピキ

ミカサ(エレン可愛い)

ジャン「下手に出てればいい気になりやがって……!」

ライナー「落ち着けよジャン、子供相手に」

ベルトルト「そうだよ、今のは君が悪いよ」

ジャン「な、なんだよお前等」

エレン「」ベーッ

ジャン「この野郎……!」

エレン「わあ!」ササッ ライナーノカゲ

ライナー「よしよし、俺が護ってやるぞ」

エレン「おお! 強いんだな筋肉兄ちゃん!」

ライナー「こうみえても訓練生二位だ」

エレン「すげー! 一位はどんな奴なんだ?」

ミカサ「私。エレンそれ私」クイクイ

エレン「えええ!? お前なのかよ!」

ミカサ「でもエレンの方が凄い」

エレン「そうなのか? 俺立体機動とか出来るの?」

ジャン「俺より下手だけどな」

エレン「ムッ」

ライナー「ジャンいい加減にしろよ」

ベルトル「そうだよジャン」

サシャ「おはようございます! 調子悪い人はいませんか? いたら私がパァンもらってあげますよ!」

エレン「わっ、なんか元気なお姉ちゃんが来た」

サシャ「お姉ちゃん? 何を言ってるんですかエレン」

エレン「俺のこと知ってるの?」

ミカサ「同期。サシャ・ブラウス」

エレン「そうなのか、よろしくな!」

サシャ「???」

ミカサ「実は……」

~~説明ちう~~

サシャ「へーっ、不思議なこともあるものですねえ」

クリスタ「どうしたの?」

ユミル「お前等ちょっと騒がしいぞ」

ミカサ「実は……」

~~説明ちう~~

クリスタ「エレンが退行?」

ユミル「なんだそりゃ。あひゃひゃ!」

クリスタ「もう笑うなんて失礼だよ」

エレン「可愛いお姉ちゃんは優しいんだな。こっちの下品なお姉ちゃんは何か恐い」

ユミル「下、下品……おいてめエレン!」

ライナー「よせよ、子供の言ったことだろ」ププッ

ベルト「そうだよ」ププッ

ユミル「てめえら……!」

クリスタ「もう、ユミル? 今のエレンは子供なんだよ?」

エレン「俺は子供じゃない!」

クリスタ「きゃっ?」

エレン「あ、ごめんなさい」シュン

クリスタ「フフ、いいのよ」ナデナデ

エレン「なっ、やめろよ!」バタバタ

クリスタ(可愛いなあ)

ユミル「私のクリスタに……!」

アニ「あんたら、何をくっちゃべってるんだい? そろそろ訓練の時間だよ」

エレン「うわ、なんであのねーちゃんは怒ってるんだ?」

ライナー「ははは!あいつはあれが素なんだよ」

ベル「そうそう」

アニ「あんたら喧嘩売ってるの?」ギロ

クリスタ「違うのよアニ! 実は」

~~説明ちう~~

アニ「ふぅん、エレンがねえ」

エレン「な、なんだよ」

アニ「別に。っていうかなんでそんなに怯えてるのさ」

エレン「なんか顔が恐い」

アニ「……」

アニ「……」スタスタ

ライナー「ん? どうし痛っ!?」ゲシッ

ベ「痛ッ!」ゲシッ

エレン「こ、こええええ……? なんだよあのねーちゃん……」

ミカサ「大丈夫、私がエレンを護る」

サシャ「訓練に遅刻しますよー」

エレン「格闘訓練かー」

キース「貴様は見学だイェーガー訓練生」

エレン「わあ、ハゲてる」

キース「……」

ライナー「wwwwww」

「wwwwww」

コニー「wwwwww」

サシャ「wwwwwww」

キース「今笑った者、良いというまで走り続けろ」

ライナー「」

コニー「」

サシャ「」

キース「む? 他にもいたような……まあいい」

エレン「あの」

キース「なんだ? それと私のことは教官と呼べ」

エレン「教官、俺も格闘訓練やってみたいです」

キース「貴様は今記憶がないのだろう」

エレン「でも、ミカサが一番って聞いた! ミカサ相手になら俺も負けないと思う」

キース「……ふむ。アッカーマン訓練生!」

ミカサ「ハッ!」

キース「イェーガーと組み手をしてみろ」

ミカサ「了解しました」

ミカサ「エレン、これにはやり方があるの」

エレン「え、ただ戦うんじゃないのか?」

ミカサ「そうじゃなくて」

キース「いい。今回に限り好きにやらせろ。それが記憶を戻す鍵になるかもしれん」

ミカサ「わかりました」

エレン「よし、いくぞミカサ!」

ミカサ「いつでも構わない、エレン」

エレン「ふっ!」

ミカサ「はっ」

エレン「やっ! コチョコチョ」

ミカサ「!? ちょ、え、えれんぅぅ……///」

ジャン「……ハァハァ」

エレン「勝った!」

キース「なん、だと……」

ザワザワ

エレンガミカサニカッタ……?

エレン「お前はくすぐりに弱いからなあ」

キース「……」

ミカサ「エレン、でもこれは私にしか通用しない」

エレン「その時は別の戦い方をするさ」

キース「やってみろ」

エレン「え?」

キース「ライナー・ブラウン! 走るのをやめてこっちへこい!」

ライナー「ハッ!」

キース「エレンと戦ってみろ」

ライナー「!? し、しかし今の彼は……」

キース「貴様は巨人と戦えと言われて狼狽するのか?」

ライナー「い、いえ……わかりました」

ライナー「行くぞ、エレン」

エレン「うわー、筋肉の兄ちゃん強そうだからなあ」

キース「始め!」

エレン「えいっ」

ライナー「!? 目つぶしの砂!?」

エレン「さっき拾っておいて良かったぜ」ゲシッ

ライナー「あいたあ! す、脛を……」

エレン「今だ!」パンチ

ライナ「l;jdkぁhjkgじあ!?」

キース(的確に相手の視界を奪い、急所を攻撃)

キース(一件荒削りな無法戦法だがどれも弱点を的確つき対応している)

キース(今までは型にはまった戦いしか教えてないが、子供の考えのような自由かつ奔放な戦い方が今のイェーガーを強くしているのか)

キース(実戦ではむしろそういった行動こそ求められる)

キース(……)

キース「イェーガー、この後の立体機動訓練、お前も参加してみろ」

エレン「え? いいんですか!?」キラキラ

ミカサ「教官!? それは……」

キース「私が個人指導を施す。もしかすると今のイェーガーは新しい風になるやもしれん」

エレン「やっほぉぉぉぉぉっ! 見ろよミカサ! 俺、立体機動してるぞ!」

ミカサ「っ! 速い! エレンに追いつくのがやっと、なんて……!」

キース(アイツはこれまでこちらの教えた技術を飲み込もうと必至に努力していた)

キース(だがあいつの天賦の才はそのせいによって殺されてしまったようだ)

キース(無邪気な子供のように自由なやり方こそイェーガーには合うのかもしれん)

キース(驚くべき逸材だ……これまでと同じ評価の仕方なら恐らく今のイェーガーは及第点に届かない)

キース(しかし実戦の戦力としてみるなら……)

エレン「あーだめだ! ミカサより浅い! くそお!」

ミカサ「フフ……」

キース(アッカーマンと同じか、もしくは……)

エレン「あー疲れたけど楽しかった!」

ミカサ「お疲れ様エレン」

エレン「ミカサもな。でもお前本当に一位なのか? 俺と変わらなかったじゃないか」

ミカサ「エレンも成績良かったから。きっと身体が覚えているんだと思う」

エレン「ふうん。まあいいや」

ライナー「エレン、風呂にいこうぜ」

エレン「うん! 背の高いにーちゃんも一緒に行こう!」

背の高い兄ちゃん「うん、いいよ」

エレン「そういえばアルミンは?」

ミカサ「調べ物してる」

エレン「昼間はごめん。お詫びに背中洗うよ」

ライナー「悪いな」

エレン「いいって」ゴシゴシ

背の高い兄ちゃ「いいなあライナー」

ライナー「ははは、羨ましいだろう」

ジャン「ケッ、あほか」

ライナー「ジャンは何を拗ねてるんだ?」

エレン「俺に立体機動の手本見せてやるとか言って負けてたから」

背の高い兄「ああ……」

ジャン「……チッ」

エレン「ふー、さっぱりした」

ライナー「おいエレン! だめだぞちゃんと頭を拭かないと」

エレン「ええーいいよメンドイし」タタタッ

ライナー「あ、おい!」

エレン「へへー」ドンッ

エレン「あ、ごめ……ってなんだミカサか」

ミカサ「だめ、エレン。ちゃんと頭は拭きなさい」ゴシゴシ

エレン「うわ、やめろよ! お前は母さんかよ!」

ミカサ「風邪をひくといけない」ゴシゴシ

エレン「ちえー」

エレン「あとは寝るだけだなー」

ミカサ「エレン、何も思い出さない?」

エレン「んー、ぜんぜん」

ミカサ「そう」

エレン「で、俺は何処で寝ればいいんだ?」

ライナー「エレンは男子寮だ。こっちだよ」

エレン「男子寮? ミカサは?」

ミカサ「私は女子寮」

エレン「……えっ」

ライナー「?」

エレン「ミカサと一緒、じゃないのか……?」

ミカサ「!」

エレン「べ、別に寂しいとかそういうわけじゃないぞ!」

エレン「ただいつも一緒に寝てたからで……」

エレン「そ、それにミカサが寂しがるからで!」

エレン「お、俺は……べ、べつに……」

エレン「な、なあ……俺本当に一人で寝る、のか?」

ライナー「俺たちと同室だよ。アルミンもいる」

エレン「ア、アルミンもいるなら……でも、ミカサは……」

ミカサ「今日は男子寮に泊まろう」

ジャン「なんだと!?」

ジャン「おいこのスケコマシ野郎が!」

ジャン「ミカサがお前のとこに泊まるだとこの羨ましい!」

エレン「何言ってるんだよイジワル兄ちゃん」

ジャン「お前は一人で寝られないほどガキなのかよ? ああん!?」

エレン「ち、ちげえよ! ミ、ミカサなんかいなくたって……いなくたって……ね、寝られる、よ……」

ジャン「じゃあ一人でいいじゃねーか!」

エレン「お、俺はミカサの心配をしてやったんだよ!」

ジャン「ミカサがお前無しで寝られないわけねーだろ!」

ミカサ「寝られない」

ジャン「え」

ミカサ「エレンなしだと寝られない。だから私は今日はエレンと寝所を共にする」

ジャン「え、え……」

ミカサ「もともと私はエレンと寝ていた。それが当たり前だった」

ジャン「い、いやでもなミカサ。男と女が……」

ミカサ「私とエレンは家族。何も問題はない」

ジャン「け、けどよ、お前も長いこと女子寮に住んでるわけだし眠れないなんてことは」

ミカサ「ジャンの言いたいことはわかった。つまり、私が嘘を吐いていると?」

ジャン「い、いやそんなことは……」

エレン「なんだよお前。ミカサの前になると急に態度変えやがって」

ジャン「うるせえガキ!」

キース「何事だ騒々しい」

ジャン「っ! 教官、いや、あの、これは……」

ミカサ「教官、お話を宜しいでしょうか」

キース「言ってみろ」

ミカサ「今のエレンの症状はまだ光明さえ見えない状況です。この状況下の彼を一人にするのは些か危険と判断します」

ライナー「いや、寮には俺たちが」

ミカサ「エレン本人もつい昨日まで私と同衾している記憶が最新のものですので、今夜から記憶が戻るまでは私が一緒に寝るのがベストと提案します」

キース「……イェーガー訓練生」

エレン「ハ、ハッ!」

キース「貴様は寝所を誰かと共にしないと眠れないのか」

エレン「しん、じょ?」

キース「寝る場所、ベッドや布団のことだ」

エレン「お、俺は一人、でも……ね、ねられ、ねれます……」

キース「……」

エレン「……」グス

キース「アッカーマン訓練生」

ミカサ「ハッ」

キース「貴様はイェーガー訓練生とは異性にあたるが同時に元同居人であり、実際に同衾の経験者だ。同衾しても何も問題は起きないと誓えるか」

ミカサ「問題ありません!」

ジャン「え、ちょ」

キース「ではアッカーマン訓練生にはイェーガー訓練生の面倒を命じる。男子寮では流石に角が立つので寝所は医務室のベッドを使え、以上だ」

エレン「お、俺は……!」

キース「イェーガー訓練生。これは命令だ。俺がそうしろと判断した。貴様、訓練生の分際で上官に逆らうのか?」

エレン「い、いえ……」

キース「明日も速い。今日以上に過酷にもなる。しっかり休め」ナデ

エレン「……はい。ありがとう、ございます」

キース「では解散! 何をしているキルシュタイン訓練生!」

ジャン「」

ミカサ「エレン、行こう。こっち」

エレン「うわっ、ひっぱるなよ!」

ジャン「」

エレン「い、いいか? 勘違いするなよ? 俺は一人でも寝られるんだ」

ミカサ「わかってる」

エレン「……ミカサ」ギュ

ミカサ「!?」

エレン「俺、おかしいのかな」

エレン「俺、本当は十歳じゃないんだろ?」

エレン「俺、俺……情けなくないかな」

ミカサ「大丈夫、大丈夫エレン」ダキッ

エレン「でもよかった。ミカサは変わって無くて。はやく母さんにも会いたいな……」

ミカサ「……」

エレン「あ、でもミカサ」

ミカサ「なに?」

エレン「何で髪を切ってるんだ?」

ミカサ「えっ」

エレン「お前の長い髪、可愛くて好きだったのに」

ミカサ「!? こ、これは立体機動の邪魔になるからって、エレンが」

エレン「あ、そっかー。確かに。ミカサが……家族がそれで命を落としたらやだもんな」

エレン「でももったいないなあ」

ミカサ「……伸ばす」

エレン「え?」

ミカサ(絶対にもう一度髪を伸ばそう)

エレン「ん……すぅすぅ」

ミカサ「エレン、寝たの?」ナデナデ

ミカサ「久しぶりにエレンと寝られる」

ミカサ「私も、ぐっすり寝られそう……おやすみエレン」ギュ

エレン「んぅ……ミカサぁ、母さん、父さん……」

ミカサ「……」ギュゥゥゥゥゥゥ

エレン「んんぅ……ぐすっ」

ミカサ「」ギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

エレン「う、う、う……?」

ミカサ「」ギュウウウウウウウウウウウウ

エレン「く、くるし……?」

ミカサ「えれん……すぅすぅ」

エレン「ギ、ギブ……」

ミカサ「エレン、エレン、起きて」

エレン「う、うう……」

ミカサ「エレンは昔から寝坊ばかり、フフ」

エレン「うう、ん、おは、よう……」

ミカサ「おはようエレン」

エレン「身体、痛い……」

ミカサ「? 筋肉痛? 昨日はエレン頑張ってたから」

エレン「わからないけど、身体、痛い……」

ミカサ「無理はしないで」

エレン「ん……」

サシャ「エレン、おはようございます!」

エレン「おはよう、元気なねーちゃん」

サシャ「なんだかそう呼ばれるのは新鮮ですけど変な気分ですねえ」

サシャ「おや? お疲れですか?」

エレン「身体痛い」

サシャ「それはそれは。昨日は大活躍だったらしいですしね、筋肉痛かもしれません。もしつらいなら私がエレンのパァンを食べてあげますよ」

エレン「なんでそうなるんだよ。自分の分はちゃんとたべるよ。元気なねーちゃんは意地汚いんだな」

サシャ「う」ガーン

ミカサ「エレン、座ろう」

エレン「ん」

クリスタ「おはよう」

エレン「あ、優しいねーちゃんおはよう。下品なねーちゃんも」

ユミル「お前その呼び方やめろ」

エレン「じゃあなんて呼べばいいのさ?」

ユミル「特別にユミル様で」

エレン「あー、馬鹿なんだなー。馬鹿ねーちゃん」

ユミル「てめこの……!」グリグリ

エレン「痛い、痛いって……この馬鹿力!」

エレン「うぅ、痛い」グス

ミカサ「ユミル……! 貴方、それは私に喧嘩を売っている物と判断する」

ユミル「おーおー保護者様のおっかねーこと」

エレン「保護者は俺だよ!」

クリスタ「ユミル! だめでしょ!もう!」

クリスタ「痛いの痛いのとんでけ~」

エレン「……優しいねーちゃん今時そんなのやる人いないよ」

クリスタ「ふぇっ?」

エレン「でもありがとう。痛くなくなった気がする」ニコ

クリスタ「あ」パアアッ

クリスタ「良い子だなあ」ナデナデ

エレン「止めろよ! 撫でるなよ! 俺は子供じゃねえよ!」

ライナー(天使)

アルミン(女神)

ミカサ「アルミンおはよう」

アルミン「おはようミカサ」

ミカサ「どうだった?」

アルミン「まずこれまでの例を調べてみた」

ミカサ「うん」

アルミン「それによると似たような例のうち八割は記憶が戻ってる」

ミカサ「!」パア

アルミン「でも、そのうち一週間以内に戻ってるのは一割から二割」

ミカサ「!?」

アルミン「おおよそ三ヶ月から一年のうちに戻るケースが多いんだ。その後も何年も経ってから思い出す人もいる。でも、一週間以内となると、流石にちょっと少ないんだ」

ミカサ「……」

アルミン「まだ一日だ。慌てるのは速いけど、少しだけ覚悟はしておいた方がいいのかもしれない」

ミカサ「わかった。もしそうなった時は、私もエレンと一緒に行く」

アルミン「ミカサ……」

ミカサ「今は考えないようにしましょう」

アルミン「うん。そうだね。僕ももう少し調べて直す方法を考えてみるよ」

ミカサ「お願い」

エレン「アルミンおはよう!」

アルミン「ああエレンおはよう」

エレン「なあなあ、また外の世界の話をしてくれよ!」

アルミン「え? しょうがないなあ、じゃあえっと……」

ミカサ「……」

アニ「おはようエレン」

エレン「おはよう恐いねーちゃん」

アニ「こ、恐くないよ」ニ、ニコォ

エレン「笑顔引きつってるよ」

アニ「」シュン

エレン「でも本当は恐いねーちゃんじゃないんだな」

アニ「わ、わかってくれたならいいさ」

エレン「なんだ、照れ屋なねーちゃんなだけか」

アニ「なっ!? だ、だれが照れ屋だって!?」

エレン「だって照れ屋じゃん」

アニ「この……」

エレン「わー! 逃げろー!」

アニ「……フフ、まちな!」

アニ「ま~て~」

エレン「やなこった~」

アニ「この~」

エレン「へへーん」

ミカサ「」

アルミン「」

アニ「!?」

アニ「い、いや、これは、その、違う、違うんだ」

クリスタ「いいなあアニ。エレンと追いかけっこ……」

アニ「/// わ、私はそんなんじゃ……」

エレン「あれ? もう終わり? 照れ屋のねーちゃん」

アニ「///」カァ

コニー「ジャン、どうしたんだよ?」

ジャン「俺、今十歳なんだ」

コニー「は?」

ジャン「記憶が退行しちゃったんだ」

コニー「おいおいマジかよやべーじゃねえか」

ジャン「うん、だからどうしたらいいか教えやがれ」

コニー「やっべーまじやっべー! 待ってろ今教官呼んでくる」

ジャン「え。あいや、そこまでおおげさにしなくてもいいんじゃねーか?」

コニー「おとなしくしてろよジャン!」タタタ

ジャン「……」

コニー「あ、アルミン!大変なんだジャンが!」

アルミン「どうしたの?」

コニー「エレンと同じく幼児退行したって!」

アルミン「ええっ!?」

コニー「俺はこれから教官に」

ジャン「いやその必要はないぜコニー」

コニー「ジャン!?」

ジャン「もう治った。ありがとな」

コニー「なんだそうか。しかし良かったなー」

アルミン「ジャン?」

ジャン「……すまん」

エレン「わぁぁぁい! 立体機動! 駆逐してやる!」ズバン!

キース(驚くべき成長速度。いや、これが本来のイェーガーの素質なのか)

キース(これなら、例え記憶が戻らなくとも……)

エレン「うわああああああっ!?」ヒューッ

キース「しまった!」

キース(少し目を離した隙にミスをしたのか!)

ミカサ「エレン!」

ミカサ(だめ、間に合わない!)

ジャン「チッ!」ダッ

エレン「え?」

ジャン「しっかりしろよ、この馬鹿」

エレン「イジワル兄ちゃん、なんで」

ジャン「バーカ、そりゃ俺が格好いいからだよ」

エレン「……」

ジャン「ほら、大丈夫なら自分で立て」

エレン「うぅ、恐かった」

ジャン「チッ」

ジャン「男がこれくらいでメソメソすんな」ナデ

エレン「! う、うん……」

ジャン(見た目はいつも通りだからやりずれェ!)

今日はもう書けなくなったから書きためキリのいいところまでやってやめにする。

ミカサ「ありがとうジャン! エレン大丈夫?」

エレン「大丈夫」

ジャン(ミカサが俺に礼を!?)

キース「よくやったキルシュタイン訓練生。貴様の動きは見事だった」

ジャン「ハッ!」

ジャン(へ、へへ!)

エレン「イジワル兄ちゃん」

ジャン「あんだよ」

エレン「ありがとう」ニコ

ジャン「お、おう……」

ライナー「あ~今日も訓練終わったな! 風呂に行くかエレン!」

エレン「うん!」

背の高い「あ、エレン、よければ今日は……」

エレン「イジワル兄ちゃん」

ジャン「あ?」

エレン「せ、背中洗ってやるよ!」

背の「」

ジャン「あ? いいって別に」

エレン「いいから!」ゴシゴシ

ライナー「くそー、兄貴分を取られた気分だぜ」

背「」

ミカサ「今日はちゃんと頭拭いた?」

エレン「拭いたよ! 馬鹿にすんなって」

ジャン「大丈夫だろうよ」

ミカサ「そう、ありがとうジャン」

ジャン「お、おお///」

エレン「……」

エレン「ミカサ、先に行っててくれ」

ミカサ「? でも」

エレン「大丈夫だから。すぐに行く」

ミカサ「わかった」

エレン「……イジワル兄ちゃん。兄ちゃんてもしかして、ミカサが好きなのか?」

ジャン「!」

ライナー「十五のエレンは俺と毎日アナルセックスしてたんだ」
エレン「アナ?なにそれ教えてくれ!」

ジャン「急にマセたのかガキ」

エレン「ちゃんと答えてよ」

ジャン「……」

エレン「……俺はミカサの家族だ。見極める必要があるんだ」ブルブル

ジャン「何そんなに震えてるんだよ」

エレン「震えてなんか」グス

ジャン「じゃあなんで泣いてんだ」

エレン「な、泣いてない!」

ジャン「……俺にミカサを取られるのは嫌か」

エレン「……わかんない。わかんないけど……ミカサがいないって思ったら、嫌だった」

ジャン「……チッ」

ジャン「別にお前からミカサをとりゃしねーよ」ガシガシ

エレン「わっ、止めろよ!」

ジャン「おいエレン」

エレン「え、名前……初めて」

ジャン「家族だっていうなら、ミカサを大切にしろよ」

エレン「なん、で」

ジャン「人のもん奪うほど落ちぶれちゃいねーよ。それだけだ。じゃあな。歯みがけよ、トイレいけよ、寝坊するなよ」ヒラヒラ

エレン「……お、俺は子供じゃない!」

エレン「……」



ここまで。みんなありがと。それじゃまた。

新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内

なんで残ってるんだよ。
落ちてると思ったのに……続きあげていくよちくしょう。

ミカサ「あ、エレン。おかえりなさい」

エレン「ただいま……ってここ家じゃないだろ?」

ミカサ「そうだけど」

エレン「まあでも、そうだな。わかるよ」

ミカサ「今日はもう寝る?」

エレン「うん」

ミカサ「じゃあ横になって」

エレン「ミカサは寝ないのか?」

ミカサ「マッサージしてあげる」

エレン「マッサージ?」

ミカサ「今朝、体が痛いって言ってたから」

エレン「ああ……できるのかミカサ」

ミカサ「大丈夫、さ、横になって」

エレン「おう」パタッ

エレン「これでいいか」

ミカサ「うん。じゃあ始める」モミモミ

エレン「うひゃっ、足が……」

ミカサ「エレンの足、結構張ってる」

ミカサ「よくほぐさないと」モミモミ

クリスタ「寝る前にエレンとミカサに挨拶を……」

「どう、気持ちいい?」

クリスタ「? 声が聞こえる……」

「気持ちいいよ……ミカサ」

クリスタ「えっ、これってまさか……」

「ふふ、エレン、こんなに固くして」

クリスタ(か、固い……ってどこなの、どこが固いの!?)

「今楽にしてあげる……」

「う、ああっ、ちょ、そこは……やめっ」

「だめよエレン。逃がさない……」

「あ、ああっ、ミカサ……!」

クリスタ「///」

「ミカサ、こんなのどこで……」

「エレンの為に覚えた。エレン楽にしていい。全て私に任せて」

クリスタ(ミカサは凄いテクニシャンだったの? あわわ///)

クリスタ(このまま中身だけショタエレンが、ミカサに食べられちゃうの?///)

クリスタ(どうしよう、どうしよう私!?)

クリスタ(大変なこと聞いちゃった///)

クリスタ(///)ソソクサ

「ふぁ……」

「寝てもいい。マッサージはしておく」

「ん……」

ミカサ「エレン? 寝た?」

エレン「すーすー」

ミカサ「ふふ」ダキ

ミカサ(エレンの匂い。小さいころから変わらない)

ミカサ(エレンは私の宝物。絶対に守って見せる)

エレン「んぅ……母さ……」

ミカサ「……」

ミカサ「エレン……」ギュ

エレン「すぅ、すぅ」

ミカサ(エレンの唇から吐息が……)ゾクゾク

ミカサ(だめ、何考えてるの私?)

ミカサ(でも、今のエレンは寝てる)

ミカサ(今なら、何をやってもわからない)

ミカサ(でもエレンは家族)

ミカサ(そんな、卑怯な泥棒みたいなやり方いけない)

ミカサ(じゃあどうして私の唇はだんだんエレンの首筋に近づいてるの?)

ミカサ(落ち着きなさいミカサ・アッカーマン)

ミカサ(あなたはあの時から自分の体を完璧にコントロールできたはず)

ミカサ(こんな裏切り行為……)

エレン「んん……? ミカサぁ……」ギュウ

ミカサ「!?」キュン

ミカサ(はぁ、はぁ、これは、やばい)

ミカサ(超大型巨人を相手にする方がはるかに楽)

ミカサ(いや、何も問題はない)

ミカサ(私たちは家族)

ミカサ(教官にもそう答えた)

ミカサ(だから)

エレン「すぅ、すぅ」

ミカサ(……)プルプル

ミカサ()スーッ

(戦え!)

ミカサ(!?)

(戦うんだ!)

ミカサ「!」

(戦わなければ、勝てない!)

ミカサ(戦う……なにと?)

ミカサ(この情動?)

ミカサ(それとも……この後ろめたい気持ち?

ミカサ(私は……!)

エレン「すぅ、すぅ……」

エレン「ミカサ、ミカサ」

ミカサ「んぅ……エレン? おはよう」

エレン「おはよう、珍しいなお前が俺より遅くまで寝てるなんて」

ミカサ「辛い戦いだった」

エレン「は?」

ミカサ「けど安心してほしい。私は戦い、勝った」

エレン「えっと、なんの話だ?」

ミカサ「……なんでもない」

エレン「? そうか。にしても今朝も体が痛いんだよなあ」

ミカサ「マッサージが不十分だったかもしれない。今度はもっとやろう」

エレン「サンキュ」

エレン「今日はどうすんだ」

ミカサ「今日はたまにある休日。申請すれば外へも行ける」

エレン「そうなのか! じゃあ行こうぜ!」

ミカサ「わかった。でもその前にまず顔を洗って朝食を済ませてから」

エレン「わかってるっての!」

ミカサ「フフ」

エレン「楽しみだなあ♪」

エレン「ん?」バシャバシャ 顔洗い

エレン「首筋になんか、痣みたいのができる。なんだろうこれ?」

ライナー「おはようエレン」

エレン「おはよー筋肉のにいちゃん!」

ライナー「どうしたんだ?」

エレン「ここに痣みたいのが……」

ライナー「本当だな、寝ている間にぶつけたのかもな」

エレン「うーん、ミカサがいたらぶつかるとしたらミカサだと思うんだけど、あ、もしかしたらあいつも何処か痣できてるかも」

エレン「聞いてくる!」

ライナー「なんか元気だなあ。本当に微笑ましい子供って感じだ」

「……」

エレン「ミカサー!」

ミカサ「エレン。私に早く会いたい気持ちはわかる。私もそれは同じ」

ミカサ「でも廊下を走ることは感心しない」

エレン「なんだよ」

ミカサ「廊下は走ってはいけない。誰かとぶつかるかもしれないし、転ぶかもしれない」

エレン「わかった、わかった。ところでお前痛いところないか?」

ミカサ「どうして?」

エレン「ほら、ここ。俺痣みたいのできてるから、もしかしたら寝てる間にミカサとぶつかったのかなって」

ミカサ「……」フイッ

エレン「? なんで目を逸らすんだよ」

ミカサ「なんでもない。痛いところはない。だから気にしないで。エレンもその痣のことは気にしない方がいい」

エレン「???」

エレン「そんなことより速く街にいこうぜ!」キラキラ

ミカサ「だめ。まずは食事をしてから」

エレン「ええーいいじゃねえか」

ミカサ「だめ。そのあと外出申請をだすから。これは私が書いてあげる」

エレン「うーわかったよ」

ミカサ「はい、これエレンの分」

エレン「はむっ」

ミカサ「エレン、いただきますが先」

エレン「お前は母さんかよ!」

ミカサ「エレン、食事中に喋らない。ほら、こぼした」フキフキ

エレン「じ、自分でできるっつーの!」

アルミン「おはよう二人とも」

エレン「アルミン! 街にいこうぜ!」

アルミン「え? あ、いや僕は調べ物があるからね」

エレン「ええーいいじゃんか」

アルミン「というかミカサ」

ミカサ「?」

アルミン(エレンを外に連れ出して大丈夫なの?)

ミカサ(どういうこと?)

アルミン(エレンがなんで外にいきたいか聞いた?)

ミカ(いいえ)

エレン「早く母さんに会いたいなー、立体軌道の自慢してやろう!」

ミカサ「!」

アルミン(やっぱり)

ミカサ「え、えっと……エレン。やっぱり外出は……」

エレン「なんだよ、ちゃんと食べたぞ。速くいこーぜ!」

ミカサ「……アルミン」

アルミン「はぁ……わかった。僕もいく。上手くいくかわからないけどどうにか誤魔化してみよう」

ミカサ「ありがとう。それと」

アルミン「?」

ミカサ「早急に髪の毛を伸ばしたい。なんとかしてほしい」

アルミン「なんて無茶な……」

ミカサ「アルミン」

アルミン「調べてみるけど、期待はしないでよ……」



キース「……」

エレン「わあ! やっぱ内地は人が多いな!」

アルミン「そ、そうだね」

アルミン(もうここは内地とは呼べないんだけどね)

エレン「なあシガンシナ区へはどっちにいけばいいんだ?」

アルミン「あ、ああそれよりエレン。おいしいお菓子が売ってる店があるんだ」

アルミン「まずはそっちへいかないかい?」

エレン「お菓子かーわかった!」

エレン「ほらミカサ!」ギュ

ミカサ「!?」

エレン「はぐれたら大変だからな!」

ミカサ(ああ、そういえばこのころはいつもこうやって手を繋いでいた)ジーン

エレン「アルミンも!」

アルミン「はは、人が多いから三人横に並ぶとかなり邪魔になるし僕ははぐれないよう後ろをついていくから大丈夫」

エレン「本当か? はぐれるなよ?」

アルミン「うん」

ミカサ「……エレン、はしゃぎすぎないように」

エレン「お前にいわれたくねーよ! なんかさっきからお前の手小刻みに震えてるぞ! 楽しみなんだろ?」

ミカサ「……うん」

エレン「まだまだ子供だなミカサは」ウキウキ

アルミン(君もね。まあ今はしょうがないけど)

エレン「わあ、美味いなあ!」

アルミン「でしょ?」

エレン「うし! じゃあはやく家にいこうぜ!」

アルミン「あ、あーっとその前に本屋によっていいかな?」

エレン「えー、早くしないと日が暮れちゃうよ」

アルミン「ご、ごめんごめん」

エレン「じゃあアルミン、後でうちへ来いよ。俺先に行ってるから」

アルミン「え!? あ、いやそれは……」

エレン「人に道を聞けば多分大丈夫だって」

ミカサ「エレン、待って」

エレン「なんだよ?」

ミカサ「今家にいくのは勧められない」

エレン「なんでだよ?」

ミカサ「それは……」

アルミン「訓練兵士は家族と連絡しちゃいけない決まりがあるんだ」

エレン「嘘だあ! だってジャン兄とか手紙のやり取りしてるって言ってたぞ!」

アルミン(ジャン……! 余計なことを!)

エレン「なんだよお前ら、なんか怪しいな」

ミカサ「そ、それは」

アルミン(どうしたらいい? どうしたらいいんだ!?)

ミカサ「おじさんとおばさんは今家にはいない」

エレン「なんで?」

ミカサ「それは……」

エレン「おかしいだろ。お前とはずっと一緒にいたのにそんなの知る暇無かったはずだ」

ミカサ「ず、ずっと前に休暇とは日程が合わないって」

エレン「それなら最初に言うだろ。ここに来てから言うなんておかしい」

エレン「お前らおかしいよ! 俺、一人でも行ってくる!」ダッ

ミカサ「あ、エレン!」

アルミン「まずい!」

エレン「すいません!」

町人「ん?」

エレン「シガンシナ区はどっちですか?」

町人「何を言ってるんだ君は?」

エレン「え?」

町人「というか君、訓練生だろうその服、、最近の訓練生は質が落ちてるのか?」

エレン「ど、どういうことだよ!」

町人「シガンシナ区なんて数年前の巨人襲撃で滅んだじゃないか」

エレン「え……!?」

町人「超大型巨人によって門は壊され、巨人の侵入を許し壊滅。人類はウォールマリアを放棄したんだ」

町人「こんなの、子供だってしってることだぞ」

エレン「そんな、そんなの、ウソだ……嘘だ!」

ミカサ「エレン!」

アルミン「エレン!」

エレン「おい! 嘘だよな!? シガンシナ区が、ウォールマリアが放棄されたなんて……!」

ミカサ「ッ!」

アルミン「ッ!」

エレン「本当、なのかよ……!」

エレン「じゃあ、母さんはどうなったんだ!?」

エレン「父さんは!?」

エレン「シガンシナ区のみんなは!?」

ミカサ「エレン……」

アルミン「だめだ、ミカサ。こうなったら全部話そう」

アルミン「エレン、冷静に聞いてほしい。僕らは巨人から逃げたんだ」

アルミン「でも、多くの人が巨人の犠牲になった」

アルミン「君の、お母さんも……」

エレン「そんな、ウソだろ……冗談なんだろ……? 母さんが、死んだ?」

ミカサ「エレン……」

エレン「おまえら、なんで教えてくれなかったんだよ!」

アルミン「ごめん」

ミカサ「ごめんなさい」

アルミン「言わないでおこうって言ったのはぼくなんだ、ミカサは悪くない」

エレン「なんで、お前ら友達だと思ってたのに、家族だと思ってたのに! こんな隠し事するなんて!」

ミカサ「聞いてエレン。でもこれは貴方のために」

エレン「うるさい! ききたくねえようそつき!」

エレン「うわあああああああああああ!!!!」ダダダ!

ミカサ「エレン!」

アルミン「まずい! おいかけないと!」

エレン(嘘だ、ウソだ、嘘だああああああ!!!!)

ドンッ

「うおっ!?」

エレン「え、ご、ごめんなさ……」

ハンネス「エレン? エレンじゃねえか」

エレン「ハンネスさん?」

ハンネス「お前はまだ訓練兵だったな、どうだ、うまくやってるか?」

エレン「……ハンネスさん、あの俺の母さんは」

ハンネス「! すまん。助けてやれなくて……」

エレン「本当、なんだ……うわあああああああ!!!!!!」

ハンネス「エレン!?」

アルミン「ありがとうございますハンネスさん。エレンを捕まえてくれて」

ハンネス「いや、しかしそうか。退行……俺の時にも一人いたよ。そいつは結局戻らなかった」

ミカサ「っ!」

エレン「」

アルミン「今日のところはつれて帰ります」

ハンネス「ああ。おまえら、エレンを頼む」

ミカサ「」コク

アルミン「行こうミカサ」

エレン「」

エレン「う……」

ミカサ「エレン、気が付いた?」

エレン「ミカサ……ここは?」

ミカサ「医務室」

エレン「そうか」

ミカサ「あのねエレン」

エレン「今は何も言わないでくれ」

ミカサ「……」

エレン「……巨人」

エレン「一匹の残らず」

エレン「駆逐してやる……!」

ミカサ「え……今日は一緒に寝ない?」

エレン「それが普通だったんだろ。俺は兵士になる!」

ミカサ「でも」

エレン「もう決めたんだ」

ミカサ「エレン……」

エレン「それから、まだお前やアルミンのことを許したわけじゃねーから」

ミカサ「!」

エレン「じゃあな」

ミカサ「……」

エレン「ぐすっ、母さん……」

ライナー「……」

「」

アルミン「……」

エレン「うぅ……ぐすっ」

ライナー「……」

「」

アルミン「……」

ライナー(俺は……)

()

アルミン(……エレン)

ミカサ「エレン、おは……何があったの!?」

エレン「なんでもねえよ」

ミカサ「でも目が真っ赤……」

エレン「なんでもないって言ってるだろ!」

ミカサ「……」

エレン「つよくなるんだ……つよく」

ミカサ「エレン……」

アルミン「……」

ライナー「……」

アニ「……」

「」

さるくらったorz



エレン「はああああああっ!」

キース(凄い気迫だな。唯一前のエレンの方が高かった目的意識までおいつてきた)

キース(今のエレンは完全無欠ともいえる)

キース(最低だな私は。このままのほうが兵士としては完成品だなどと考えてしまう)

キース(しかし、それが私の仕事だ。許してくれ、グリシャ)

エレン「はぁっ、はぁっ、駆逐してやる……!」

ライナー「……」

「」

エレン「もう一回お願い筋肉の兄ちゃん」

ライナー「少し休んだ方が……」

エレン「そんな暇はないんだ! なら背の高い、ベルトルト兄ちゃん!」

ベルトルト「! わかった! わかったよエレン!」

ライナー「ベルトルト!?」

ベルトルト「何を驚いてるのさ?」

ライナー「いや、いたんだなって」

ベルトル「……」

エレン「やああああああっ!」

エレン(今日も訓練は終わった……)

エレン(寝るときになると、急に寂しさが込み上げてくる……)

エレン(母さんはもういない)

エレン(隣にも誰もいない)

エレン「……グス カアサン、ミカサ……」

ライナー「……」

ベルト「……」

アルミン「……」

ミカサ「そう、エレンは毎晩……」

アルミン「うん、泣いてる。でも僕は嫌われちゃって近寄ると怒り出すから」

ミカサ「私もそう」

アルミン「でも、寝るときに時々ミカサの名前をエレンは呼んでるんだ」

ミカサ「……そう」

アルミン「早く、なんとかしてあげたいね。一週間ももうすぐだ」

ミカサ「アルミン、お願いがある」

アルミン「?」

ミカサ「今夜……」

エレン(夜はいやだ。いろいろ考えちゃう……)

エレン「……ぐす」

エレン(……もう少しで、眠れる)

エレン(でも、寂しい……)

ふわっ

エレン(……?)

ミカサ「……」

エレン「え」

ミカサ「しーっ、静かにして、エレン」

エレン「ミカもぐぅぅ!!!」

ミカサ「静かに」

エレン「なんで、ここに……」

ミカサ「ごめんなさい」

エレン「ここは男子寮で」

ミカサ「ごめんなさい」

エレン「俺はまだ許してないって」

ミカサ「ごめんなさい」

エレン「ミカサ」

ミカサ「ごめんなさい」

エレン「」ギュ

ミカサ「ごめんなさ……エレン?」

エレン「少し……こうさせてくれ」

ミカサ「うん」

エレン「母さんがいないってわかって、悲しかったんだ」

ミカサ「うん」

エレン「俺はもう一人だって」

ミカサ「一人じゃない。私がいる」

エレン「でも、俺意地はって」

ミカサ「本当にエレンは意地っ張り」

エレン「お前もだろ。でも、ミカサもいないって思ったら、余計さびしくなった」

エレン「な、泣いてないけどな」

ミカサ「うん、エレンは強い。だから泣かない」

エレン「……」

ミカサ「でも、たまには泣いてもいい」ギュ

エレン「うぅ、うわぁぁぁ、ミカサぁぁぁ!」ギュウウウウウ

ミカサ「……」ナデナデ

エレン「ひぐっ、ひぐっ」

ミカサ「」ナデナデ

エレン「……っ、すぅ、スゥ」

ミカサ「」ナデナデ

エレン「すぅ、すぅ」

ミカサ「」ギュゥゥゥゥゥゥ

エレン「すぅ、すぅ」

ミカサ「」チュゥゥゥゥゥ

エレン「んん、すぅ、すぅ」

ミカサ「」ギュゥゥゥゥゥゥ

ミカサ「エレン、朝、おはよう」

エレン「んん、ふぁぁ……ミカサ?」

ミカサ「おはよう」

エレン「おはよう……じゃねーよ! ここ男子寮だぞ! なんでお前がここにいるんだ!」

ミカサ「?昨夜きた」

エレン「きた、じゃねーよ! 教官に見つかったら営倉いきだぞ! ってかなんか体痛いなおい!」

ミカサ「エレン? 記憶が……」

エレン「何わけわかんねーこと言ってんだ!」

ライナー「朝から騒がしいな」

ベルト「どうしたんだい?」

エレン「ライナー! ベルトルト! あ、いやこはちがうんだ!こいつが勝手に!」

ライナー「! エレン、戻ったのか!」

ベルトルト「良かったね!僕も良かったよ!」

アルミン「エレン……!」

エレン「なんだよ!? みんなおかしいぞ!? おいミカサ」

ミカサ「エレン!」ダキッ

エレン「!?!?!?!?」

ミカサ「私は貴方と離れない、絶対に。だから心配しらない」

エレン「はーなーれーろー!」

アルミン(あれからエレンの記憶は戻った。成績も記憶を無くしたころのように上がっていってる)

アルミン(これで、元通りかな)

エレン「ふぁぁぁ」

アルミン「随分眠そうだね?」

エレン「なんか寝付けなくてな」

アルミン「へえ、どうしたんだろ」

エレン「わかんねえ。でも、なんかこう、物足りないっていうかさあ」

アルミン「物足りない?」

エレン「誰にもいうなよ?」

アルミン「うん」

エレン「なんか、昔ミカサと寝てた時のことをよく思い出すんだよなあ」

アルミン(それって……いや、まさかねえエレンに限って)

エレン「あ、そうだアルミン」

アルミン「?」

エレン「ここにある痣みたいなのなんだろうな? だいぶ薄くなってきたけど」

アルミン「え? さあ?」

エレン「おっかしーな、知らない間にぶつけたかな?」

アルミン「僕たち訓練兵はあちこちからだぶつけてるからね」

ミカサ「エレン」

エレン「お、ミカサ……髪、伸ばしてるか?」

ミカサ「少しずつ、戻そうかと思ってる」

エレン「大丈夫なのかよ」

ミカサ「似合わない?」

エレン「似合わないとはいってねーだろ!」

ミカサ「そう」フフ



キース「……」フゥ=3

さるからったからケータイから



ミカサ「エレンが気に入ってくれるのならいい」

エレン「お、俺は立体軌道の心配をしてるんだよ」

ミカサ「大丈夫、なんとかする」

エレン「気を付けろよ」

ミカサ「うん」

エレン「じゃあ訓練に行くぞ!」

ミカサ「わかった」

アルミン「うんそうだね」

エレン「最近調子上がってきてるからな、ミカサにも届きそうだ」

アルミン「これが日常、だよね」

バシュッ!カン!

エレン「やばっ、アンカーが甘かった! 落ちる!」

ミカサ「危ない!」

ドサッ!

エレン「ミカサ!?」

エレン(ミカサがクッションになって……)

エレン「馬鹿! 大丈夫か!」

ミカサ「ん……んん」

エレン「おいミカサ」

ミカサ「うぁ、えれん……?」

エレン「ホッ、心配かけやがって」

ミカサ「えれん、おっきくなってる……」

エレン「???」



おわり

アルミン「うあっ!」ズルッ  ドタンッ!!

「おいアルミン!大丈夫か!?」

アルミン(そ…そういえば前もこんな事故があったなぁ…あの時のエレンは幼児退行したんだっけ……)

アルミン(ぼ…僕も…幼児退行した振りをすれば…エレンは振りむいてくれるかな……)

エレン「おい、アルミン!大丈夫かよ!」

アルミン「………」

アルミン「あれ…ここ…どこかなエレン…?」

エレン「何言ってんだよアルミン、訓練中だぜ?」

アルミン「なんでエレンおっきくなってるの…?その服…どうしたの?」

エレン「あ…アルミン?」

これから誰か頑張ってくれ

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