原田美世「あたしの過保護なプロデューサー」 (92)

モバマスのキャラクター原田美世のSSです
初SSで至らない点があるかと思いますがよろしくお願いします

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1392467019

原田美世「プロデューサー、ドライブとか興味ない?」

P「ドライブ?」

美世「あたし、クルマのメンテが好きなんだけど、ドライブも好きなんだ!」

P「」ガクガク

美世「ねっ、いいでしょー?」

P「」ブルブル

美世「最近レッスンとか営業ばっかりでつまんないからさ」

P「」ジョボロロッロ

美世「ねっ、たまにはいいでしょ?」

P「イカン!」

美世「えっ」

P「ダメ!」

美世「そんなっ」

P「ダメなものはダメ!」

美世「な、なんで!?」

P「まさか、車を運転したりなんかしてないよな!?」

美世「えっ、一昨日買い物に行くときに使ったけど」

P「んなーっ!」

P「ダメだダメだ!」

P「アイドルが運転なんてアブナイことをしたらイカーン!」

P「事故でもしたらどーするんだ!」

美世「そんなヘマしないよ!」

P「いーや、とにかく、運転は絶対ダメだ!」

美世「そ、そんな。がんばって免許だって取ったのに!」

P「免許取ってたって、事故するときは事故っちゃうもんだ!」

P「だから車の運転はダメ!」

美世「た、確かにそうかもしれないけどっ、しっかり気をつければ、」

P「とにかく!」

P「美世は運転禁止!」バァァァーーーーz_______ン

P「少なくともアイドルやってる間はな」

美世「そ、そんな……」ガーン

P「車のカスタムも危ないな、最初に会ったときみたいに、顔にアブラが付いたら一大事だからな。それも禁止だ!」

美世「ひ、ひどいよ! ひどすぎるよPさん!」

P「これはプロデューサー権限だ! なんと言われようと、僕は自分を曲げないよ!」

美世「そんなの、むちゃくちゃじゃん!」

P「ええい、じゃあかあしい! キーをよこせ!」バッ

美世「やめてよ、鞄触んないで!」グイグイ

P「キーを事務所の金庫に入れてしまえば、どうしようもないだろ!」グイグイ

美世「やめてよ! やめてっ! お願い!」グーイ

P「これは美世のためでもあるんだ!」グウィーン

美世「そんなのエゴだよっ!」ウルウル

美世「あっ!」

P「よし、こいつがキーだな」チャリン

美世「返してっ! 返してよ!」ピョンピョン

P「ゼハハハ、届くまい届くまい」セノビー

美世「Pさんのバカー!」エーン

P「恨むなら俺を恨んだままでいい、美世」

美世「サイテー! ばかっ、あほんだらっ!」ポロポロ

P「さーて、金庫金庫」ガサゴソ

早苗「事案が発生したと聞いて」バーン

P「ふぇ?」

早苗「……」ジロリ

美世「ううっ、すんすん」ポロポロ

美世「Pさんの、Pさんのばかっ……」ポロポロ

早苗「……」クイクイ

ちひろ「はっ」ザッ

P「ファッ!?」

早苗「再生」

ちひろ「御意」カチッ

エエイ ヨコセ ヒドイヨ サワンナイデ ミヨノタメ エゴダヨ オラッ

早苗「んーっと」

早苗「有罪で」

P「ちょっ早苗さんこれには海よりも深いわけがオッファ!」ドガァ ギュルルル

早苗「続けてくらえ! ベルリンの赤い雨!」ズザッ

P「ギャアア!」ドグシャア

ちひろ「美世ちゃん大丈夫?」サスリサスリ

美世「うっ、うっ、Pさんがいけないんだ、Pさんが……」ポロポロ

美世「ひどすぎるよ、Pさん……信じてたのに……」ポロポロ

ちひろ「早苗さーん、もうちょい強めで」

早苗「タワーブリッジ!」ズドン

P「ぐわーっ!」ベギベギゴギグギン

数分後

P「」チーン

ちひろ「美世ちゃんはあっちで仁奈ちゃんをモフモフしてますから、もう大丈夫ですよ」

早苗「オーケイ、じゃあこっちもはじめよっか」

早苗「それで、なんで美世ちゃんは泣いてたワケ?」ビキビキ

P「そそそそそそれにはですね、深い訳が」

早苗「御託はいい」

P「ひぎいぃっ!」

ちひろ(あっ、般若が見える)

早苗「なーんで美世ちゃん、泣いてたのかなぁぁ?」

早苗「答えによっては四十八の殺人技の全てを見せることになるわよ」ゴゴゴ

P「ぴぃぃ」ジョーロジョーロ

ちひろ「ま、ま、早苗さん。これじゃあ、あとで始末をする凛ちゃんが喜ぶだけですよ」

早苗「だからって!」

ちひろ「とりあえず、Pさんは順を追って話していきましょう」

P「はいぃ」

早苗「ったく!」


かくかくしかじか


P「というわけでありまして」

早苗「はー」

ちひろ「そんなことが」

P「ぼ、僕は間違ってないはずですよ! もしも美世がケガなんかしたら!」

早苗「まあ、そーやってアイドルのことを思ってあげるのはいいことだけどさあ」

ちひろ「さすがに過保護すぎですよね」

早苗「そっ。美世ちゃんだって、もう二十歳で、子どもじゃあないんだからねー」

P「ぐぬぬぬ」

P「しょ、正直に言わせてもらえればですね!」ビシッ

早苗「ん?」

P「早苗さんがああいう風に、プロレス技をかけてくるのも、ホントはやめて欲しいんですよ!」

ちひろ「痛いからですか」

P「そうじゃなくて!」

P「もしもシメたときに、うっかり早苗さん自身の関節まで痛めてしまったらと思うと……」

早苗「えぇー?」

P「僕は不安でしょうがないんです!」

早苗「それはシメられるようなことをするキミが悪いんじゃない?」

ちひろ「ですよねぇ」ウンウン

P「ぐぬぬぬ」

早苗「それにさりげなく年寄り扱いしてない?」ビキッ

P「ととっととんとっ、とんでもなぁい!」

早苗「怪しいもんだわ」ハー

早苗「ま、とにかくシメるのをやめろってのは、無理な相談ね」

P「僕だって色々解決案は模索してるんですよ!」サッ

早苗「ほう?」

P「これを」ズズイ

ちひろ「えっ」

早苗「ハリセン?」

P「もしも僕をシメなければならない時が来たら!」

P「これでぶっ叩いてください!」

早苗(うわぁ)

ちひろ(うわぁ)

P「なんですかその目は! これが最善だと、一番だと、良かれと思って、一日中考えてき

たのに!」

P「よく考えてもみてくださいよ!」

P「僕は原田家の可愛い一人娘を預かっているわけです」

P「何かあったとしたら、僕は美世の親御さんに顔を合わせられないっ」

P「たたた、例えばですよ」

P「もももももも、もしも美世が追突でもされて、頭をぶつけたりなんかしたら」ガクガク

ちひろ「ちょ、Pさん、顔が真っ青ですよ」

P「美世ォ! 美世ォォォ!」ペタペタペタ

ちひろ「きゃー! モバコインのプリペイドカードを床に並べないでください!」

P「美世ォォォォォ!」ペタペタペタ

ちひろ「それまだ未使用じゃないですか! もったいないことしないで!」

早苗「ダメだこりゃ」

どうしてこうなった

その日の夜 女子寮

美世「……」ムスーッ

ケイト「どうしたデスカ? 美世はずっと不機嫌デスネ」

智香「あそこで缶ビールをイジイジしてますねっ」

若葉「美世ちゃん、ビールは好きでしたっけ~?」

美世「……」イジイジ

美世「……」グスン

ケイト「!」

智香「!」

若葉「!」

美世「……」チビチビ

ケイト「私、見逃しませんデシタヨ。美世の目に涙浮かんでマシタ」

智香「はいっ! これは事件の匂いがしますねっ」

若葉(やっぱりビール苦手なんだ)

美世「……」チビチビ

美世(苦い……)

美世「……」チビチビ

美世(苦い……)

美世(……)

美世(Pさんのバカ……)

ケイト「ンー、どうせプロデューサーがヤラカシをしたんでショウネ」

智香「ですねっ! アタシ達でバカデューサーの首根っこを掴んでやりましょうっ!!」

ケイト「私ソレ知ってマスヨ、死中引きずり回しの刑デスヨネ」

智香「あれ? ええと、んんっ? んー。はい! それですっ!」

智香「Pさんっ! 首を洗って待っていてくださいねっ!」ゴゴゴゴゴゴ

ケイト「オー!」メラメラ

若葉「お、お~?」

若葉(いいのかな?)

美世「……」チビチビ

美世(全部聞こえてるんだけど……)

翌日 事務所


智香「やい、バカデューサー!」

ケイト「バカデューサー!」

若葉「ば、バカデューサー。ご、ごめんなさい~」

P「どうしたの三人そろって」

P(バカデューサー?)

智香「ネタは上がってますよっ!」

ケイト「正直に白状したまえデス!」

若葉「あ、あのう~、女の子を泣かせるのはさすがに~」

P「泣かせる? あっ、美世のことか!?」

智香「そうですっ! 罪の自覚があるなら、償う覚悟も出来ていますよねっ☆」

ケイト「カモン、ブリッツェン!」プピプー

ブリッツェン「ぶももん」ザッ

P「ちょっ、なんだなんだ」

若葉「えっ、本当にやるんですか~?」

ケイト「モチノロンデス!」ズバン

智香「このためにわざわざイヴさんからブリッツェンさんを借りたんです!」

智香「女の子を泣かせるやつには死を! ですからねっ☆」ズバン

ブリッツェン「ぶもっ」

ケイト「サー、腹を括るがいいデスヨ、プロデューサー」

P「わっ、わっ。なんだよ! ちょっ、腹の下にくくりつけんといてっ!」ジタバタ

智香「レッツゴー★ 死中引きずり回しの刑、執行だよっ★」ペチッ

ブリッツェン「ぶもー!」シャンシャンシャン

ケイト「プロデューサーが反省するマデ、街を回ってきてクダサイ」

P「ちょ、ちょっと待て! 回るってまさか、ぎゃあ、嫌だああ!」

ブリッツェン「ぶもも」パカラッパカラッ

ドヒューン

P「ぎゃあああああああああ!」

若葉「うーん、これは自業自得なんでしょうか?」

智香「当然です!」

ケイト「オヤ……どこからともなくバック・グラウンド・ミュージックが流れてきまシタヨ」



シンデレラ・クリスマス

12時までのDream

無数の雪の華が

君の髪を飾る


ちひろ「もう冬も終わりに近いんですけどねー」

ケイト「ワッツ? チヒロ、いたのデスカ?」

ちひろ「もう、最初からいたわよ」


智香「ちひろさん、あのバカデューサーが美世さんに何をやらかしたのか、教えてください!」

ちひろ「え、理由、知らなかったの?」

智香「理由はどうあれ、女の子を泣かせる野郎は万死に値しますっ☆」

ケイト「その通りデス! イギリスではレディを泣かせたバッドボーイは銃殺刑デスヨ」

ちひろ(そんなまさか)

若葉(それは盛り過ぎでは)

智香(ここがイギリスでなくてよかったですっ)

若葉「ええと~、まずは何があったか聞かせていただけるとありがたいんですが」

ちひろ「え、あ、うん」


カクカクシカジカ


ちひろ「というわけなの」

ちひろ「Pさんが熱くなっちゃうのも、まあ分かるといえば分かるんだけどね」

智香「善意からやってるんですね! 余計にたちが悪いですっ★」

若葉「だからって、美世さんから車を取るのはあんまりなような~」

ちひろ「困ったなぁ」

ケイト「一度話しあう必要がありマスヨ」

ちひろ「絶対に、不安だ、危険だ、とかの一点張りでしょうけど」ハァ

智香「ですねっ」

若葉「あ、ブリッツェンとプロデューサーが戻ってきましたよ~」

シャンシャンシャンシャン ズザー

ブリッツェン「ぶも」

P「あ、ああ」ヨロヨロ

智香「お空の旅はどうでしたか、バカデューサーさん★」

P「は、はぁ。はは、もうサイコーだよ」ヨロヨロ

智香「もしもですよ★ また美世さんを泣かせるようなことをしたら、今度は関東地方一周ですからねっ★」

P「ヒッ、わ、わ、分かった。肝に命じとくよ」ガクブル

ちひろ「智香ちゃん、いやにPさんに厳しくないかしら?」

若葉「さぁ~。私は知らないですね~」

ケイト「ンー……」

ちひろ「何か知っているの?」

ケイト「イイエ、多分気のせいデショウ」

智香「関東は甘いですねっ★ せめてサイパンの辺りまで飛んで行ってもらいましょう★」

P「ヒエ~ッ!」

ブリッツェン「ぶもも!(勘弁してくれたまえ!)」

次の日 プロダクション事務所会議室


ちひろ「えー、静粛に、静粛に」

ちひろ「皆さんに集まってもらったのは他でもありません」

ちひろ「皆さんがご存知の通り、数日前、Pさんがアイドルを泣かせるという、非常に度し難い事件が発生しました」

美世「!」ドキッ

ちひろ「Pさんはハリケーン・ミキサー、ベルリンの赤い雨とタワーブリッジ、そして死中引きずり回しの刑を受けて罪を償いましたが、」

ちひろ「このような事件が起こったということは、つまり、Pさんとアイドル間での、十分なコミュニケーションが取れていないということでありまして」

凛「そうだそうだ!」

まゆ「もっとPさんとの交流を自由にするべきです!」

ちひろ「まあ彼女らは例外として」ユビパッチン

真奈美「ちょいと大人しくしてくれたまえよ」ペタペタ

あい「ガムテープはやりすぎなのでは……」ペタペタ

凛「」ムグームグー

まゆ「」グムムム

ちひろ「何をするべきなのか話しあった結果、やはりPさんとアイドルの、一対一での面談が必要だという結論に至りました」

凛「!」

まゆ「!」

美世「え……」

ちひろ「つきましては、こちらのクジを皆さんに引いてもらって、」

ちひろ「クジには面談の時間が書いてありますから、その時間に小会議室に行ってくださいね」

ちひろ「仕事などで行けない方は、こっちに連絡をよこしてくださいねー」

「Pさんと面談かー」「何を話しあうのかしらね?」「超能力で一番を引いてやりますよ!」「えー、この日ってパパと出かける日なんだけど!」「くじ引きでくじけるな、ふふっ」「ちひろに頼んでみたらどう?」

凛「まゆ、先に引きなよ」

まゆ「凛ちゃんこそ、お先にどうぞ?」

凛「ま、ベタなジンクスだけど。こういうのは残りものに福を祈るタイプなんだ」

まゆ「面談なんだから、時間は全員、差はないはずですよ?」

凛(まゆ、とぼけてるフリをしてるけど、そうはいかない)

まゆ(まゆは見逃しませんでしたよ)

凛(茄子さんが13:30~14:10と書かれた紙を手に入れ)

まゆ(ほたるちゃんが16:20~16:40と書かれた紙を手に入れていた)

凛(そして卯月が、10:00~10:30と書いてある紙を手にしていたのが、なんとか見えた!)

まゆ(つまり、面談時間は最短で20分、最長で40分)

凛(面談は、Pさんのオフの時間を利用しているはず)

まゆ(多忙なPさんですから、面談時間が40分の紙は少ないはずですねぇ)

凛(今、45人が引いて、中身を確認出来たのは10人)

まゆ(今、45人が引いて、中身を確認出来たのは14人)

凛(面談時間20分の紙を引いていたのは、7人と多い)

まゆ(面談時間20分の紙を引いていたのは、12人とかなり多い)

凛(データが少なすぎる! 歯がゆいけれど、今引きに行くのは得策ではない……?)

まゆ(面談時間40分の紙の総数が少ないと仮定すれば、今引きに行くべき……?)

凛(とにかく)

まゆ(とにかく)

凛(まゆだけには、40分の紙を渡さない!)

まゆ(凛ちゃんだけには、40分の紙を渡しません!)

美世(二人とも難しい顔してるなぁ、あたしと同じで、何かあったのかな)

数分後



凛「」チーン

まゆ「」チーン

友紀「エーッ、四十分も面談するのー? めんどくさいなー!」ブーブー

友紀「四十分もいらないっちゅーの! まったくもー!」

茄子「うーん……」

ほたる「ど、どうかしたんですか」

茄子「あ、ほたるちゃん。それがね、Pさんとの面談なんだけど」

茄子「この日はどうしても外せない用があってね」

ほたる「ちひろさんに相談しにいくのは……?」

茄子「それもそうなんだけど、今大変そうだから」

ギャーギャー ワーワー

ちひろ「押さんといて! 押さんといて!」

ちひろ「きゃー! 輝子ちゃん、中にキノコを生やしちゃダメー!」

茄子「ね?」

ほたる「た、確かに……」

茄子「あ、ほたるちゃん。ちょっと見せてもらってもいい?」

ほたる「え? ど、どうぞ」ペラ

茄子「うん、この時間なら合う! ね、ほたるちゃん。ほたるちゃんのと私のと、交換してくれないかな?」

ほたる「え、え、あの……い、いいんでしょうか。交換しちゃっても……」

茄子「えっ、いいんじゃないかな?」

茄子「ねー、ちひろさーん!」

ちひろ「えッ、あ、こ、交換? いいですいいです、ドンドンやっちゃってください! ファッ!? 誰ですか、箱にこんなリスザルを描いたのは!」

茄子「ほらほら。どうかな?」

ほたる「わ、分かりました、そこまで言うのなら……」

茄子「ありがとうね、ほたるちゃん!」

凛「」チーン

まゆ「」チーン

ケイト「フタリとも、誰かにトレードを頼みにいくとかしないのデスカ?」

凛「ケイトさん……」

まゆ「こういうやつはですね……」

凛まゆ「「自分で引かないと意味がないんですよ……!」」ズンゴゴゴゴゴゴ

ケイト(Awesome)

瑞希(わかるわ)

音葉(彼女らの音、泣いているようで、自らを奮い立たせているようにも聞き取れる)

ヘレン(まさに、ダンサブルね)

智香「美世さん、まだ暗い顔してますねっ」

若葉「昨日は美世ちゃん、赤色のミニカーを枕元に置いて寝てたんですよ~。なんだか可愛いですよね」

美世「……///」カァー

智香「あれ、美世さん顔が真っ赤ですっ」

若葉「あ、あれれ~? もしかして聞こえていたのかしら~?」

智香「恥ずかしがる美世さんも可愛いですねっ☆」

美世「……///」トテテテ

智香「あっ、逃げちゃいました」

美世(もー、二人ともヒソヒソ話の声が大きいんだから……)

美世(でも、どうしようか)

美世(四十分もPさんと話したくなんてないよ……)

別の日 プロダクション事務所小会議室


早苗「なーんであたしが最初になっちゃうかなー」

P「しょ、しょうがないですよ。なんせクジですから」

早苗「ま、いいよ」

早苗「で? Pくんはあたしに何をやめて欲しいの?」

P「……」

早苗「シメる行為そのもの? 深酒とか?」

P「あ、あの」

早苗「なにかな?」

P「僕、気付いたんです」

P「あの時、ハリケーン・ミキサーとベルリンの赤い雨のコンボを喰らった時」

P「わざわざベルリンの赤い雨で吹っ飛ばしたのは、」

P「ハリケーン・ミキサーを喰らったまま、僕が頭を強打しないようにしてくれたんですよね」

早苗「……」

P「もしかしたら、僕は独りよがりにアイドルの心配をしていただけなのかもしれない、いや、実際はそうなんでしょう」

P「あの時、美世を見つけた時、美世に光る物を感じたのは」

P「大好きな車がそばにあったからなのだと、今さらになって思い出したんです……」

早苗「Pくん、あたしは……」

P「僕に足りなかったのは!」

P「みんなは、それまで培ってきた経験をもっている、ということへの気付きだった」

P「早苗さんは、僕が頭を打たないように、そして自分もケガをしないように、僕をシメることができる」

P「美世は、僕が思っているよりも、ずっとずっと車が好きだった。油まみれになっても、僕が光を認める事が出来るほどに!」

P「危ないからという理由で、僕は早苗さんの経験を否定して、美世の輝きを奪ってしまうところだった」

P「僕はそれに、やっと気付いたんです……」

早苗(頭を強打とかそんなことはなんにも考えてなかったけどまあいいや)

早苗「……で、言いたいことはそれだけ?」

P「はい……」

早苗「じゃ、もうやることは決まってるわよね?」

P「は、はい!」

早苗「ちゃんと美世ちゃんと謝って、話し合うこと!」

P「分かりました!」

早苗「ふふん、もう大丈夫そうね。さっきまでと顔つきが違うもの」

P「そ、そうですか? なんだか、色々とありがとうございます」

早苗「ま、いいってことよ! じゃあ、もう時間だし、これでいいかな?」

P「あ、待って下さい」

早苗「ん?」

P「今年のお花見は、ボディコンだけはやめてくださいね。風邪ひいちゃいますよ」

早苗「」

バチーン

智香「ダメデューサーさんがアタシになんの用ですかっ☆」

P「ぜ、全員とやってる訳だし、智香とだけやらないのもな」

智香「つーん」

P「……美世とは、ちゃんと話し合うつもりだよ」

智香「……」

P「美世のついで……と言えるかもしれないけど、みんなと話しあわないとな」

P「僕がアイドルに求めていること、アイドルが本当にしたいことを……」

智香「……」

P「僕が智香に言いたいことは、あんまり頑張りすぎないでほしいってことかな」

P「こんな寒い日でも、智香は元気いっぱいで、他のアイドルの応援をしてくれてるだろ?」

智香「……」

P「無茶をして体調を崩してほしくない、ってのが、僕が言いたい事だよ」

智香「……」

P「……とにかく、そういうことだから。智香が言いたいことがないのなら、面談は終わりだよ」

智香「……」

智香「……Pさん」

P「ん?」

智香「アタシは、ヒトを応援することが好きなんですっ」

P「うん……」

智香「頑張るヒトを見るのが好きなんです!」

智香「だ、だから、アタシは……」

P「……」

智香「こ、こういう風に、アイドルのために、本気になってくれて、がんばって、がんばるPさんの姿を見て……」

P「……」

智香「で、でも、そんなPさんが美世さんを泣かせたって聞いてっ!」ガタッ

智香「な、え、ええと……ごめんなさい、頭の中、ぐちゃぐちゃで……」

P「……」

智香「アタシ、美世さんもPさんも好きだから、誰が間違ってるのか、分かんないんです」

智香「結局、自分は応援して、人に頼ることばっかりで……」

智香「自分で、何もできないんだと……」

P「……」

P(智香の言いたいことは、よく分かったつもりだ)

P(ただ、目がずっと泳いでいて、本当に言いたいことを言えないでいるような……声も震えていて、苦しそうだ)

P(でも、智香の泣きそうな顔を見ると、臆病な僕は、口を開けなかった)

P(面談なのに、プロデューサーのくせに、僕は智香の心の内を知ることが出来ない)

P(どうしようもない……)

智香「あはは……口動かしてたら、なんだかワケ分かんなくなっちゃってきました」

智香「ごめんなさいっ、もう面談は終わりの時間ですよねっ!」

P「あ、ああ……」

智香「じゃ、ボーカルのレッスンがあるので! いってきますっ☆」トテテテ

P「と、智香!」

智香「?」ピタ

P「また、一対一で話そう。今日話せなかったことは、その時に話せばいいから」

P「時間が経ったら、話せることもあると思うんだ」

智香「……」

P「多分だけど、智香は今、落ち着いて話せる状態じゃないと思うんだ」

智香「……は、はい」

智香「その時になったら!」

智香「その時になったら、アタシの話を聞いてください」

P「ああ」

智香「まずは美世さんと仲直りをしてから……」

P「分かった。絶対、美世と話をつけるよ」

智香「はいっ、頑張ってくださいっ!」

智香「頑張ってくださいねっ、プロデューサーさん!」

プロダクション事務所 給湯室



美世「……」

智香「美世さん、面談はまだなんですか?」

美世「あ、智香ちゃん……」

美世「うん、もうすぐPさんと会わなきゃいけないんだ」

智香「億劫ですか」

美世「億劫……そうね、あたし、Pさんと会うのが億劫なの」

美世「ひどいの、Pさんったら。あたしから車を取ったら、なんにも残らないのに、知ってたのか知らないのか分からないけど、どっちにしろ、ひどいな」

智香「……」

美世「あたしがアイドルになったのは、クルマのため」

美世「お金、たくさん貰えて、車につぎ込めるようになったし、モーターショーなんかの仕事で、新しい車と触れあう機会も貰った」

美世「Pさんには、いくら感謝しても足りないくらい……」

美世「でも、Pさんはあたしから車を奪おうとしたの!」

美世「善意なのは分かってる、でも、Pさんはよかれと思ってやってるから、余計にPさんが分からないの……」

智香「……」

智香(美世さん、声が震えてる。きっと、さっきのアタシみたいに、Pさんに対して、複雑な気持ちになってるんだ)

美世「……」

智香「……」

美世「……ごめんね、智香ちゃん。愚痴になっちゃったね」

智香「が、」

智香「がんばってくださいっ」

智香「今アタシに言ったこと、がんばって、あのバカデューサーに伝えてやってくださいっ!」

智香「Pさんも頑張ってます、頑張って、美世さんと仲直りしようとしてますからっ」

智香「アタシ、美世さんを応援しますねっ!」

美世「智香ちゃん……」

智香「ふ、フレー! フレー! 美世さん☆」バッバッ

智香「フレッフレッ、頑張れ頑張れ、美世さんっ☆」フリフリ



?「フレデリカ、ふぃ、いひゃいれす……」ムニーッ

??「わかるわ、わかるけれど、黙っておきなさい」ギュウウ

智香「えへへっ、どうでしたかっ☆ 元気になってもらえると嬉しいです!」

美世「うん、うん……」

美世「ありがとう、智香ちゃん。そこまで応援してくれて、黙ってる訳にはいかないよね」

美世「本当にありがとう、智香ちゃん! あたし行ってくるねっ!」トテテテ…

ワァ ミズキサンニ カエデサン ドウシタンデスカ

ワ ワカラナイワ ナンデモナイノヨ ウフフ

フレデリカチャンニ ブレ デルカ フフフ

智香「……」

智香「……ふぅー」

智香(勝負ですよ、美世さん)

智香(アタシが勝手に勝負を仕掛けてるだけだけど、これを、アタシが決断をするきっかけにしないと……)

智香(ごめんなさい、美世さん、Pさん……)

智香(アタシは、ずるい人です)

智香(チアリーダーなんて、胸を張って名乗れないくらいに)

ちょっと休憩します、今日か明日中には完結しそうです

今日には完結しそうにはないですね……すみません

まぁでも実際に危ないからね・・・
タクシー使ったら事故にあわないというわけでもないが
そういうニュースは殆ど聞いた事ないしなぁ

車の運転が危ないというより有事の際の責任の所在に問題があってな

投下再開します
なんとか今日中には……

プロダクション事務所 小会議室



P「み、美世か。座って」ガチガチ

美世「は、はい」ガチガチ

P(まいったな、緊張してるのが美世にバレてしまう)

美世(どうしよう、いざPさんの前に来てみると、やっぱり怖いし、緊張しちゃうよ……)

美世「……」チラ

P「!」

美世「……」サッ

P「!!!」ガーン

待ってた

P(だ、だめだダメだ! 僕はプロデューサーで、アイドルを導く立場なんだから!)

P「み、みみみみ、み、美世っ!」

美世「は、はいっ!」

美世(Pさん、顔がちょっと怖いな。怒られるのかな)サーッ

P(ああ、まずい。声が震えて……)

P(智香のことを笑えないじゃないか)

P(こんな緊張、これまで味わったことがないかもしれない)

P(こういう時はどうするんだったか……)

P(確か、勢いに任せればよかったんだったっけ? いや、悪かったような)

P(あ、考えてもしょうがないな、これは)

P(体が勝手に動いて、立ち上がって、長机を離れて)ガタッ

P(僕の身体が、美世の目に映るような場所に行って)ドタドタ

P「美世! 俺が悪かった!」ドゲザー

P(土下座をかますんだ)

P「許して下さい! なんでもしますから!」ドゲザー

美世「えっ、ええええ?」

P「この通りです! な、なんならこれを使って!」バッ

美世「た、タバコとライター?」

P「僕の精一杯の詫びの気持ちなんだ!」ヌギヌギ

美世「きゃああ! な、なに脱いでるのPさん!」

美世(な、生の男の人の裸を見るのは、初めてかな……)

美世(意外にたくましいんだ、Pさん……)

P「ふうう、寒さが堪える……」スッポンポン

美世「って、ぜ、全裸になってる!」

P「僕の、僕の背中に、火を付けたソレを押し当ててくれ!」

美世「やめてよ! Pさんのそんな姿、見たくない!」カオマッカ

P「これが、これが僕のやり方なんだ! さあ、早く! 早くっ!」

美世「いやあああ!」ポロポロ

早苗「事案」バーン

P「あれどうしたんですか早苗さん」ゼンラ

美世「うう、やめてよぉ……」ポロポロ

早苗「……はぁ」

早苗「ちっひちっひ」クイクイ

ちひろ「はっ」ササッ

P「ファッ!?」

キャアア ヌイデルノ フウウ ゼ、ゼンラ オシアテテ ヤメテヨ ハヤク イヤアア

早苗「あー……」

早苗「アウトだわ」



キンニクッバスター ギャアア

美世「うう……Pさんが悪いんだ、Pさんが……」ポロポロ

ちひろ「はいはい、美世ちゃんはこっちで雪美ちゃんを抱っこしに行きましょうねー」ポンポン

早苗「……」

P「……」ボロッ

早苗「あのさぁ」

P「いえっ、言いたいことはっ、早苗さんが言わんとしていることは分かっておりますっ」

早苗「だからってさぁ」

早苗「今時、根性焼きをしてください! なーんてのが、いるかねぇ、フツー」

P「しょ、しょうがなかったんです! 美世を前にしたら、緊張して、緊張して……」

早苗「……」

早苗「もしかしてさ、Pくんって、美世ちゃんのことが……」

P「み、美世のことが?」

早苗(自覚はないのね)

早苗「美世ちゃんのことが好きなんじゃあないの?」

P「」ブッホァ

早苗「いやー、だって、ねえ?」

早苗「あたしとちひろちゃんでさあ、面談の様子をね、ずっとモニタリングしてるわけなのよ。それはPくんも知っての通りでしょう?」

P「」ブクブクブク

早苗「まあ、ね。それで、Pくんがこれまで面談したのは、あたしとか美世ちゃんを入れて十五人程度な訳だけど」

早苗「あまりにも、美世ちゃんと他の子たちとで、態度が違うんだよねー」

P「」ジョロロロボババババ

早苗「どーなの? 自覚はあるわけ?」

早苗「答えによっては……はぁ、なんだか面倒だけど、シメるからね」

P「ななななななな、ああああ、あたくしは……幼少のころより女性関係とはまるでででで、縁がなくてありまして……」

早苗「つまり、年齢イコール、彼女いない歴ってこと? 恋愛経験もゼロ?」

P「は、はぁ。そうなりますね」

早苗「……」

早苗「ま、恋心を患ってるのかどうかは、自分の胸に手を当てて考えてみなさいな」

早苗「それを踏まえたうえで、美世ちゃんにちゃんと接することが出来るのなら、あたしはなーんも言わないよ」

P「そ、そんな、胸に手を当てろだなんて…….///」

早苗(ああこいつ童貞だわ)

早苗「あーはいはい。初めての恋がかなうといいわねー」フリフリ

P「い、いやだなぁ、アッハッハ。恋だなんて。アッハッハ」

P「そ、そういう早苗さんこそ、僕らに隠れて、バレないようにイイ人がいるんだったりしませんかー?」テレテレ

早苗「」

早苗「カチーンときたよ」

バッチーン

プロダクション事務所 オフィス屋上


若葉「あっ、智香ちゃん。こんなところにずっといたら、風邪をひきますよ~?」

智香「……」

若葉「智香ちゃん?」

智香「……」ゴシゴシ

智香「はいっ、そうですねっ。風邪なんてひいちゃったら、みんなに迷惑がかかっちゃいますっ☆」

智香「若林智香、元気いっぱいでいきますよーっ!」ドタドタ

若葉「あっ、いきなり走ったら危ないですよ~!」トテテテ

ケイト「……」コソッ

ケイト「フーム……」

ケイト(やはり、トモカはプロデューサーのことが好きなのデショウカ)

ケイト(アイドルという立場を考えれば、応援するワケにはいきませんネ)

ケイト(デモ、このまま彼女が苦悩し、成長する様を見たくもアル……)

ケイト(オトナという人種がズルイのは、どこのクニでも、変わりはありマセンネ)

瑞希(こうして、子どもたちは大人になっていくのね、わかるわ)

音葉(智香の……彼女の言の葉の響き……少し曇ってはしまったけれど、斜が差したそのアクセントも、また美しいわ……)

ヘレン(少女達が大人になる姿、それは誰のものでも、素晴らしい成長の過程ね。まさに、世界レベル)

凛「」チーン

まゆ「」チーン

ケイト「ま、アナタ達も塞ぎ込んでないで、二十分の面談時間を有効に使っていきマショウ」ポンポン

凛「ふえぇん」ギュー

まゆ「うあぁん」ギュー

ケイト(しかし、プロデューサーはもしや、ミヨのコトが……)

ケイト(これは誰にも言えそうにないデス)

ケイト(マッタク、オトナはこれだから……)

ケイト(オトナは、ホントウにズルイ……)

瑞希(大人はこうして強くなって、また弱くなっていくのね、わかるわ……いえ、わからないわ、と言うべきかしら)

音葉(輝きを失った心の旋律……けれど、その中に瞬く、光のような音色が、だんだんと強くなっていくのを感じるわ……)

ヘレン(活気を失っても、そこからはただ上を目指すのみ、這い上がるしかない。そうそれは、まさにクレッシェンドね)

ケイト「ちょっとウルサイデスヨ!」

プロダクション事務所 仮眠室


美世「Pさんのばか、Pさんのばか……」ギュウウ

雪美「……」

美世「ばかっ……」ポロポロ

雪美「……」

雪美(苦しい……)

美世「もう、信じらんないっ」ポロポロ

雪美「……美世……」

美世「えっ、あ、ご、ごめんね、雪美ちゃん」ハッ

美世「ごめんね……」ギュー

雪美「いい……美世に抱かれるの……好き……」

美世「ありがとう、雪美ちゃん」ギュー

雪美「……ぶい」ピース

美世「ふふっ、ありがとうね、雪美ちゃん」ギュー

雪美「……」

美世「……」ギュー

雪美「美世……?」

美世「ん、どうしたの?」ギュー

雪美「……Pの、こと……だけど……」

美世「う、うん」ギュッ

雪美(苦しい……)

雪美「私……Pと……繋がってる……」

美世「え、ええっ!?」

雪美「だから……私は……Pの心が…………分かる」キラーン

美世(あ、ああ。そういうことか)

美世(ちょっとびっくりしちゃった)ドキドキ

雪美「美世は……Pの心…………知りたい……?」

美世「Pさんの心?」

雪美「Pは……美世に…………隠し事、たくさん……あるから」

美世「あ、あたしに? あたしにだけ?」

雪美「……うん」コクン

美世「そ、そうなんだ」

美世(隠し事って、なんだろ)

美世(あたしが女の子らしくなくて、プロデュースしにくいとかかな……)

美世「……」ギュウウウ

雪美「わ、悪い意味……じゃあ……ない…………」

美世「あ、よ、よかったぁ」ホッ

雪美「……」

雪美(早く……言ってしまわないと…………こっちがもたない……)

雪美「どう……? 美世は…………知りたい……?」

美世「あ、あたしは、」ギュウウウウ

雪美(う……)

美世「あたしは知りたいかも……Pさんの隠し事」ギュウウウウウ

雪美(ろ……肋骨を……持っていかれる…………)

雪美「じゃあ……話す…………」

雪美(さっさと話して……楽になって……しまおう…………)

プロダクション事務所内


美世「あっ」

美世(Pさんの机に、あたし宛の置き手紙がある)

ちひろ「美世ちゃん、それ、Pさんが書いて置いてったのよ」

ちひろ「面と向かうと、どうしても、ああなってしまうからって」

美世(あ、ああなっちゃう……)ドキドキ

美世「そ、そうなんですかぁ」ピラ

ちひろ「手紙じゃ伝えにくいこともあるだろう、って提案したのは、わたしなんだけどね」

ちひろ「最初の一行に難儀してたみたいだけど、それからはスラスラと書いてたわ」

美世「スラスラと?」

ちひろ「そう、スラスラとね。仕事の方もそんな風にしてくれたら……」

ちひろ「ま、それはいいか」

ちひろ「言い忘れてたけど、今、Pさんは営業に行ってるから、読むなら今のうちに、誰にもいないところでこっそり読んでね」

美世「はーい」トタトタ

ちひろ「あ、ちょっと!」

美世「えっ?」クル

ちひろ「美世ちゃんって、彼氏とかいたことある?」

美世「えっ……」

ちひろ「あー、変な意味じゃなくって。ガールズトークの一つとして、気楽に捉えて欲しいの」

ちひろ「嫌なら答えないでもいいし、ね?」

美世「あ、あたしは……」

美世「彼氏なんか、出来たことないです……クルマばっかりに夢中で。周りの男の子たちも、距離を置いてたらしいんです」

美世「だ、だから。あたしが、どうして……」カァァ

美世「ええっとぉ、その」マッカ

ちひろ「えっ、ええ? か、彼氏はいたことがないってことでいいのね?」

美世「えっ?」ハッ

美世「ああっ、はい! そ、そ、その通りですっ」カオマッカ

美世「あはは……」ユデダコ

ちひろ「そ、そっかー。彼氏いたことないのかー」

ちひろ(あれ? 美世ちゃんのこの反応)

美世「……」プシュー

ちひろ(絶対、知ってる……)

ちひろ(えっ、ななな、なんで? 美世ちゃんはまだ手紙を見ていないし、そもそも、手紙にそんなことが書いてあるの?)

ちひろ(早苗さんがバラした……とも考えにくいし)

ちひろ(な、なんでー?)

女子寮 美世の部屋


P『美世へ』

P『ちひろさんから言われて手紙を書くことにしました。僕もこの方が思いを伝えやすいような気がしています。』

P『僕は美世の気持ちをなんにも考えてませんでした。美世は車と一緒にいてこそ輝けるアイドルだってことをすっかり忘れていました。』

P『こんな僕はプロデューサー失格といえるかもしれません。美世もこんな僕に幻滅したかもしれないですね。あんなことをしてしまったんですから。』

P『アイドルをやめたいと言うなら僕は止められないです。別のプロデューサーを付けてくれと言ってくれてもいいんです。』

P『美世、本当にごめんなさい』

美世(最初の段落、なんども書き直した跡がある)

美世(その字も、ちょっと線がぶれてて読みにくいな)

美世(Pさん、忙しいのに、あたしのために書いてくれたんだ……)

美世(雪美ちゃんの言った通り……)

美世(でも、あたしはアイドルで、Pさんはプロデューサーで)

美世(どうしたらいいんだろう……)

美世(あたしはどうするべき?)

美世(あたしは、Pさんのことが……)

翌日 プロダクション事務所


バッターン

智香「おっはようございまーすっ! 今日もがんばっていきましょう☆」

若葉「そんなに強く戸を開けたら危ないですよ~!」

ケイト「知ってマスヨ、今、智香がやったのは、話は聞かせてモラッタゾ! ってヤツデスネ」

ちひろ(それは、ガタッ、の時じゃなかったかしら)

ちひろ「はーい、おはようございます」

智香「……」エーット

智香「……」コソコソ

智香「あのっ、ちひろさん」

ちひろ「なあに?」

智香「Pさんと美世さん、どうなりましたかっ」

ちひろ「え? ああ、二人は、というか、Pさんは仕事のあるアイドルを連れていったんだけど、その中に美世ちゃんもいたわよ」

智香「ふんふん……」

ちひろ「どうかした?」

智香「んーと……」

智香「二人の仲が、うまくいったのかなって、気になったんですっ!」ニコッ

○×テレビジョン前


愛海「嫌だああああ!」

真奈美「ははは、我儘を言ってはいけないよ」ズルズル

愛海「もう男の大胸筋を触るのは嫌なのおおおおおおっ!」

真奈美「とは言っても、今や君の“マッスル世界レベル番付”は月7のバラエティ番組の人気コーナー」ズルズル

真奈美「穴を開けては、我々の事務所が傾くことは、想像に難くない」ズルズル

愛海「ヒドイですうううううっ!」><

真奈美「はっはっは、オトナはずるいんだよ、しっかりと覚えておきたまえ」ズルズル

P「愛海、がんばれよー」フリフリ


バタン ブロロロロ


美世「Pさんもひどいことするなぁ」

P「僕なりに、愛海の長所を活かそうとした結果なんだ。実際に愛海は結果を残してくれているし」

美世「分かってますー。Pさんは敏腕プロデューサーだものね?」

P「まだまだ、だけどね……」

P「ところで、その位置はきついんじゃないか?」

P「真ん中に座るなんて……」

美世「いーの、あたし、ここがいいの」

P「どうして?」

美世「この位置が、事故を起こしても、一番ケガをしにくいんだって」

P「ほう」

美世「あたし、あたしの身体のこととか、ぜーんぶ、Pさんに任せることにしたの!」

P「ファッ!?」


ブロロン ブロロン キキーッ


美世「ちょっと! 話しかけてるあたしも悪いけど、ちゃんとあたしを守ってよ、Pさん」

P「ななななななな、ど、どどど、どういうことでしゅか」

美世「もー、言った通りだって。何か危ないことがあったら、みーんなPさんに守ってもらうの!」

P「ま、守るったって」

美世「だって、あたしが運転するのは危ないんでしょう?」

美世「それに、Pさんの免許はゴールドだよね?」

P「あ、ああ……」

美世「ねっ、安心!」フンス

P「えぇ……」

美世「それに、ここからなら、バックミラー越しにPさんの顔がよく見えるの」

美世「あたしがPさんを守ってくれるなら、あたしもPさんを守らないと!」

美世「何か不調があったら、あたしがメンテナンスしてあげるからねっ」

P「あ、ありがとう?」

美世「えへっ、どういたしまして!」ニコッ

P(うわ、バックミラー越しだけど、美世の笑顔、可愛いな)

P(完全に個人的だったけど、美世をスカウトしてよかった)

美世(……どうしようか)

美世(言っちゃうなら、今がチャンスだよね……)

美世(でも、あたしはアイドル、Pさんはプロデューサー)

美世(……)

美世(あ、まずいかも)

美世(頭が働かなくなって、口が、勝手に……)

美世「Pさん」

P「んー?」

美世「……」ドキドキ

美世「あたしね……」

美世「あたしも、Pさんのこと……」

P「えっ……」

美世「あ、あの……す、す……」

P「……」ドッキンドッキン

美世「す、す……!」



キキキィィィッ ドガッ ズゴッゴゴゴゴゴゴ ズシャアアアア


美世「きゃあっ!?」

P「うわっ!? なんだっ!?」

美世「じ、事故?」

P「わ、分からない……」

「ひゃー!」「物凄い音がしたけど、なんだ?」「事故かしら?」「やべえよ……やべえよ……」「見ろよ、あそこでトラックが、ああ、タイヤ痕が」「こ、これはもう事務所に行くなんて、むぅーりぃー……」「氏子さんの起こした事故……ふふっ」

Pヘッドの男「……」ゴゴゴゴ

Pヘッドの男「ふう……」ゴゴゴゴゴ

金髪の少女「ハニー、すごいの! やっぱりハニーはミキのハニーなのっ!」

Pヘッドの男「プロデューサーとしてこれしきのこと、造作は無い」ムキムキ

Pヘッドの男「それよりも美希、お前は大丈夫か? どこも怪我してないか?」ムッキー

金髪の少女「ミキはダイジョーブ! だってハニーが守ってくれたんだもん!」ギュッ

Pヘッドの男「ハハハ、まったく美希は」ナデナデ

P「……」

美世「」ボーゼン

「あー765さんとこの」「これで通算五回目だな」「見ろよあのトラック、外傷がほとんどないまま止められているぞ」「運転手は衝撃で気絶しているみたいだけど、ほとんど無傷みたいね」「さすが、日高舞以来、世間に認められたカップルだなー」「すんげえや、あの筋肉」

P「……」

美世「……」

P「……あれだ」

美世「えっ」

P「美世、僕はあれこそが、プロデューサーとしてあるべき、本当の姿だと思う」

P「そうに違いない! 僕は確信した!」

美世「ちょ、ちょっと、Pさん?」

P「僕は美世に、相応しい男になってやる!」

美世「Pさーん!」

一週間後


プロダクション事務所 おしおき部屋

早苗「あのさぁ」

P「……」

早苗「なんでまた、事案になったか分かるよね?」

P「はい……」

早苗「そりゃ、一週間頑張って筋肉をつけたのは分かるよ。すっごい努力だったのも分かる」

早苗「ただ魅せるためだけの筋肉じゃなくて、実用的な、それこそヒグマとだって、戦って渡り合える筋肉を身につけたのも知ってる」

P「……」シナシナ

早苗「……まあ、トレーニングを一日欠いただけで元に戻るとは思わなかったけど」

P「……」シナーン

早苗「それでキミ、一昨日、美世ちゃんにこう言ったんだって?」カチ

P『美世! 僕の筋肉を見てくれ! 美世のため、美世を守るために身に付けた、この筋肉を!』ムキムキ

P『これで、美世に何があっても守ってやれる! 美世っ、愛してるぞっ、美世、美世ォォォォ!』ムッキムキ

早苗「うわぁ……」

早苗「何度聞いても、これはないわ」

P「……」

早苗「しかもこれ、すっぽんぽんで言ったんだよね? セクハラにも程があるよね?」

P「……返す言葉もございません」

早苗「しかも、ドサクサに紛れて告白しちゃってるよね? どうなの? そこらへん、プロデューサーとして」

P「……あの、あの時は、脳みそまで筋肉になってたといいますか……」

早苗「つまり正常な判断能力を失くしていたと?」

P「え、ええと、そのう」

早苗「……」

P「ぴぃぃ……」ブルッ

早苗「あー、失禁はしないでいいよ」

早苗「今回は美世ちゃん、泣いてなかったし、今回だけは無罪」

P「ま、マジすか」

早苗「でええい、うっさいな! 分かったらさっさと出て行けっ!」

P「は、はいっ!」スタコラ

プロダクション事務所 談話室


智香「あっ、美世さん! おはようございますっ☆」

美世「おはよう、智香ちゃん」

智香「あっ、美世さん!」トテトテ

美世「なあに?」

智香「Pさんとは、どーなりましたかっ」ボソボソ

美世「え、ええっ!?」

智香「へへっ☆ その様子だと、何かあったみたいですねっ!」

智香(ロマンチックな告白とかっ……きゃー☆)ポワワ

美世「え、な、なんで知ってるのっ!?」

美世(物凄く暑苦しい告白は……されたけど)ドキドキ

智香「チアリーダーはなんでもお見通しなんですよ☆」

美世「え、えええ……恥ずかしいよ……」マッカッカ

数時間後 プロダクション事務所 小会議室


P「どうだ? 智香、時間が経った今だからこそ、言えることもあるんじゃないか?」

智香「うーん……」

P「ま、まだ難しそうか? なら、もう少し時間をとっても……」

智香「いえ、そういうことではなくてっ」

智香「……」

P「……」

智香「いえっ、話すことは、何もありません」

P「智香……」

智香「アタシの中で、これは決着がついたことですっ!」

智香「だから、アタシはもう大丈夫です☆」

P「そっか……」

P「ま、僕でなくても、ちひろさんになら相談出来ることもあるだろうし」

P「智香がそれでいいのなら、それでいいよ」

智香「はいっ☆」

智香「……」

智香「ところで、Pさん?」

翌日


P「あ、今日はサマーバケーションの時のみんなで営業か」

P「よし、僕の車に乗り込んでくれ」

美世「はーい」

智香「はーい☆」

ケイト「オーケイ」

若葉「は~い」

美世「あっ、えっと、あたし……」

智香「はいはい、若葉ちゃんが助手席ですねっ☆」ズルズル

若葉「きゃ~! か、抱えないでください~!」ジタバタ

智香「若葉ちゃん、軽いですっ!」ズルズル

若葉「ちょ、ちょっと~! 子ども扱いしないでください~!」プンスカ

智香「美世さんは真ん中です!」ビッ

美世「ええっ?」

ケイト「プロデューサーの車、真ん中の席に乗ると、プロデューサーの顔が見やすいンデスヨ」

若葉「なんだか噂になってましたよね~。凛ちゃんやまゆちゃんが、こぞって情報を出し渋ってましたけど~」

美世「ちょ、ちょっと、あたしは別に……」

P「ん? なにやってんだ、みんなして」ヒョコ

智香「さっ、早く座ってください! お仕事に間に合わなくなっちゃいますよ☆」

P「そうだぞ。ほら、乗った乗った」

P「ほら、ケイトも……」

ケイト「……」ウーム

ケイト(プロデューサーはミヨのことが好きだというのを、知っている人は多くないデスガ……)

ケイト(ワカバはワタシと話したカラ知ってマスケド、トモカは知ってるのデショウカ?)

ケイト(そうでナケレバ、あんなコトはしないデスヨネ)

P「ケイト?」

ケイト「ン。今行きマスヨ」

バタン ブロロン ブロロン

P「若葉、大丈夫? 車酔いしてない?」

若葉「も~! Pさんまで子ども扱いして~っ!」プンスコ

美世「……」ソワソワ

ケイト「ミヨ? どうかしましたか、ソワソワしてマス」

美世「えっ? な、なんでもないよ」

智香「……」

智香「美世さん美世さん」チョイチョイ

美世「な、なあに?」

智香「すーっ」

美世「?」

P「?」

若葉「?」

ケイト(ア……トモカが悪いカオをしていマスネ)

ケイト(ご愁傷様デス、プロデューサー、ミヨ)

智香「美世さんっ★ Pさんとどこまでいったんですかっ!!!」

P「!?」

美世「!?」

若葉「あ、それ私も気になってたんです~」

ケイト「ンー、アイドルとして相応しくはないデスガ、気になりマスネ」

智香「さぁ、白状してください★ 美世さんも、Pさんもっ★」

ケイト(トモカ、なかなか良い顔をするもんデス。オトナになった証拠でもあるのデショウ)

美世「ちょ、ちょっと、Pさん!?」

P「と、と、智香ぁっ!」

智香「さぁさぁさぁ★」

智香「白状するまで、容赦しませんよ★」

別の日 プロダクション事務所


凛「……」ゴゴゴ

加蓮「な、なに? どうしたの? 凛、美世さんまで呼んで」

美世「あれ、加蓮ちゃんも凛ちゃんに呼ばれたの?」

加蓮「そーなんですよー。もう、どしたってのよ、凛は」

凛「……」ゴゴゴ

凛「プロデューサー、喉が痛いんだけど(嘘)」

P「なにっ」

P「そいつはイカンな、今日のレッスンはやめにして、辛いようなら仮眠室で休みなさい」

P「なんなら、今すぐにでも家まで連れて……」

凛「……」

P「り、凛?」

凛「仮眠室で休んでくる……」

P「お、おう」

加蓮「凛、いきなりどうしたんでしょう?」コソコソ

美世「うーん?」コソコソ

加蓮「プロデューサー、なんか頭痛いの(嘘)」

P「なにっ!?」

P「だだだ、大丈夫かっ、まま、まずは熱を計ってだな、」

P「そうだ! 確かここにとっておきの秘薬……」

P「バフ○リンだ!」ペッペケペー

P「さあ飲め、今すぐ飲んで、仮眠室で休んでなさい」

P「仕事が終わったらすぐに車を飛ばしてやるからな!」

加蓮「え、えーっと……」

加蓮「多分、薬飲んで寝てたら大丈夫だと思う……」

P「そ、そう?」


凛「さ、次は美世さんですよ」ゴゴゴ

美世「り、凛ちゃん、顔が怖いよ……」コソコソ

美世「PさんPさん、さっきのレッスンで足を痛めたみたいで……」

P「んんなにいいいいいっ!?」

P「イカン! ダメだ! 立つんじゃない!」

P「すぐに横になりなさいっ!」

美世「え、い、いいよ。そんなに大げさにならなくても」

P「ももももも、もしも、その足の痛みがエライことになって」

P「ショック死でもしたら!」クワッ

P「み、みみっ、みみみみ、美世ォ!」ジタバタ

美世「ちょ、ちょっと! モバコインのプリペイドカードを天日干しにするのはやめてっ!」

P「じゃ、じゃあ、すぐ横になりなさい! あっちで湿布を貼ろう!」ギュウ

美世「きゃっ、は、恥ずかしいよ……」



凛(お姫様だっこ……!)ギリギリ

加蓮(あー、なるほどね)

美世「もう! Pさんったら!」

P「だ、だって、美世が心配で……」

美世「だからって、あんなのはやりすぎ!」

美世「い、嫌じゃなかったけど……」ボソボソ

P「み、美世、痛いのはここか? ここなのか?」ペタペタ

美世「ひゃっ、Pさんの手、冷たい!」

P「しょ、しょうがないだろ。僕、冷え症なんだから」

美世「もう、普段ちゃんとしたご飯食べてないんでしょ?」

P「うっ……」

P「そ、そりゃっ」ペッタン

美世「ひゃっ、冷たい!」

美世「Pさんのばかっ」ペチ

P「いって」

美世「ふふっ、もう……」

P「なんだよ……」

凛「……」ギリギリギリギリ

加蓮「あー……凛、ほら、覗きなんてやめよ。ねっ」

凛「……」ギリギリギリギリ

加蓮「ほらほら」ズルズル

美世「Pさんは過保護すぎだよ」

P「え、そうか?」

美世「そうだよ……」

美世「でも、そんな優しいPさんが好きだよ」

P「えっ?」

美世「えっ?」

P「え、えーっと」

美世「?」

美世「!?」

美世「あっ! あ、あ、な、なんでもないっ!」プイッ

P「み、美世」

美世「や、やだ……顔、見られたくない」

美世(はずかしい……)

P「そ、そっか。あはは、じゃ、僕、仕事に戻るから……」

美世「う、うん……」

P「足、大事にするんだぞ」

美世「わ、分かったから!」

P「……」スタスタ

美世「……」クルッ

美世「ね、Pさんっ」

P「ん?」

美世「栄養、ちゃんと取らなきゃダメでしょ?」

P「あ、ああ……分かってはいるけど」

美世「絶対そう言うと思った!」

P「ぐっ……」

美世「だから、そんなPさんに提案があるの」

美世「明日から、あたしがお弁当、作ってきてあげるから」

美世「だから、ご飯、テキトーに食べちゃダメ!」

美世「ねっ?」

P「……」

P「……あはは、美世も、なかなか過保護じゃないか」

美世「Pさんほどじゃないよ!」

P「そうか?」

美世「そうだよ! でも、Pさんのこと、大切に思ってるのは本当だから」

美世「だから、あたしもPさんに対して過保護になるの」

美世「覚悟してよ? あたしの過保護なプロデューサーさんっ」

P「あ、あぁ」

美世「……どう? 過保護に扱われるのって」

P「……」

P「いや、とっても嬉しいよ」

P「誰かに大切に扱われるのは、窮屈だけど、嬉しいんだな……」

P「でも、僕の気持ちは、美世には絶対に負けないからな」

美世「あはは、なにそれ……」

P「僕の方が、美世をずっとずっと思ってるってこと」

美世「むっ、それは聞き捨てならないなっ」

美世「あたしだって負けないからね?」

美世「あたしだって、Pさんのことが大好きだから!」

おしまいです

SS書くのって難しいですね……
HTML化依頼出してきます

>>41
ああそうか、なんか聞いたことあるわ


美世ちゃんかわいい!

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