千川ちひろ「プロデューサーさん、ちょっとこちらに来てくれますか」 (40)



ちひろ「ほら、今月の恋人料金、早く払ってくださいよ」

モバP「毎月毎月、あんな額で……俺はもう嫌なんです」

ちひろ「そうですか。なら、もう恋人ではないですねっ」

P「それは、困ります。プロデューサーとして、アイドルに不信感を与えるわけには」

ちひろ「女性なら、そこら辺にたくさんいますよ」

P「それで彼女ができたら、ちひろさんに頼んでないですよ!」

ちひろ「そんなことは知りません。お金を払うのが、約束のはずでしたから」




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1392462328



P「……わかりました」

ちひろ「そんな顔をしないでくださいよ! 私はプロデューサーさんに、協力してあげてるんですから」

P「はい、感謝してます。これをどうぞ」

ちひろ「ふふ、やっぱりあるんじゃないですか。まったく、プロデューサーさんはケチンボですねっ」

P「もう、行っていいですか……」

ちひろ「いえ、私たちは恋人なんですから、渡すものがあります」

P「え?」

ちひろ「――遅れながら、ハッピーバレンタイン、プロデューサーさんっ!」




ちひろ「アイドルみんなから貰ってるときに渡すのは、少し間が悪かったので」

P「い、いいんですか」

ちひろ「恋人なんだから、貰ってくれなきゃ、困りますよ!」

P「ありがとうございます」

ちひろ「いえいえ。それじゃあ、お仕事頑張ってくださいねっ」




P「ふぅ……」

渋谷凛「……プロデューサー」

P「り、凛! いつから」

凛「ちひろさんと、お金の話をしてたときから、かな」

P「そうか、聞いてしまったのか」

凛「どういうことか、聞いてもいい?」

P「そうだな、こうなると、話さなくちゃな」




凛「――ちひろさんに彼女のふりを」

P「プロデューサーに彼女がいないと、お前らも不安かと思ったんだ」

凛「それは……昔だったらそうかもしれないけど、今は違うでしょ」

P「ああ、みんな信頼してくれてるのはわかってる」

凛「なら、もう」

P「その中に、好意をもってくれている奴がいるのも、わかってる」

凛「……そっか」




凛「ちひろさんに、幾ら払ってるの」

P「これだけだ」

凛「五!? そ、そんなに……」

P「協力してくれる人は、ちひろさんしか見つからなかった。悪いと思いながらも、協力してもらったんだ」

凛「悪いって、プロデューサーはそんなこと思う必要ないよ」

P「いや、彼女ができないのは、俺の努力不足だ。それを補ってくれるちひろさんには、感謝してる」

凛「私たちのプロデュースで忙しいから、そんな暇がないだけでしょ!」

P「お前たちを、モテない言い訳にはしたくない」

凛「プロデューサーは……良い人だよ。私だって、プロデューサーのことが」

P「凛」

凛「……ごめん」




凛「プロデューサー、ちひろさんと別れて」

P「ダメだ。俺はプロデューサーとして」

凛「みんなには、私から言うから」

P「そんなことをしたら!」

凛「みんなだって、プロデューサーが傷つくより、我慢を選んでくれるはずだよ」

凛「だから、お願い。こんなこと、もうやめて……!」

P「……なあ、凛。俺はダメな奴なんだ」

凛「それ、どういう意味?」

P「お前の決意で、取り繕っていた自分が、恥ずかしくなった」

凛「なに、どういうこと……?」

P「俺は――ちひろさんが、好きなんだ」




凛「どうして、ちひろさんは、お金で」

P「そうだ。俺が、お金を払って、付き合ってくれるよう頼んだ」

P「きっと本気で探せば、ちひろさん以外にも、協力者はいたはずなんだ」

P「それでも、俺はちひろさんを選んだんだ」

凛「……わかんない。わかんないよ」

P「もっともらしいことを言ってて、ちひろさんと付き合う口実を、作っただけなんだ」




凛「ちひろさんの、どこが良いの」

P「……付き合う前から、ちひろさんに惹かれていた」

P「明るい笑顔に、細かな気遣いに、愛らしい仕草に」

P「どれも好きだった。偽の恋人になってからも、彼女のそれは変わらなかった」

P「休日は一緒にいてくれた、料理も作ってくれた。俺はその姿に、さらに惹かれていったんだ」

凛「それは、お金を払ってるから」

P「それでもだ」




凛「……まだ、続けるつもりなんだ」

P「ちひろさんに、本当の恋人ができるまで、な」

凛「なら、せめてお金を払うのはやめて」

凛「みんなには、納得してもらうから。だから、努力して、ちひろさんと本当の恋人になって」

P「そう、だな……俺も、あれっぽっちで付き合ってもらうのは、心苦しかったしな」

凛「あれっぽっちって……本当に、ちひろさんが好きなんだね」

P「はっはっは、まあな」

凛「……妬けるな、もう」





P「今から言ってくるよ。もう五百円を払うのは、やめますって」

凛「うん……」

凛「うん?」






凛「ちょっと待って」

P「どうした?」

凛「五百円? 五千とか、五万円じゃなくて?」

P「ああ、だから、指を五本立てたんだろ?」

凛「まぎらわしいよ!」




凛「少し整理させて。……その額は、プロデューサーが決めたの?」

P「いや、ちひろさんだ。話を持ち掛けたら、五百円で付き合ってあげますよ、と」

凛「すごい良心的じゃん!」

P「お、おう。俺もそういうところに、惚れた部分あるし」

凛「え、つまりなに、ちひろさんって、月に五百円でデートし放題、料理食べ放題!?」

P「パック料金みたいだな」

凛「超得過ぎるよ!」




凛「……なら、あの冒頭の会話は? なんでプロデューサーは、お金に渋ってたの?」

P「色々してもらって、五百円は安いだろうと」

凛「遠慮してたのかよ!」

P「まさかチョコまで貰えるとは……」

凛「本当だよね。サービス精神旺盛どころじゃないよ」

P「ちひろさん、料理上手だからさ、楽しみなんだ!」

凛「惚気ないでくれる? さっきまで、すごいシリアスだったんだから」




P「まあ、凛に言われて、目が覚めたよ」

凛「私はプロデューサーの発言で、目が白黒してるけど」

P「今からちひろさんに、本当の恋人なってもらうよう、告白してくる」

凛「いいよ、もう言ってきなよ。なんか疲れちゃった」




P「ちひろさん、俺と本当の恋人になってください!」

ちひろ「……プロデューサーさん、チョコの包み、開けてないんですか」

P「え、ちょっと待ってください――これは、五百円と手紙?」

『この五百円はお返しします。私はあなたと恋人になりたいです』

ちひろ「目の前で読まれるなんて、思いもしませんでしたよ!」

P「ち、ちひろさん!」

ちひろ「わ、抱き着いちゃだめですよ、もうっ!」




島村卯月「もしもし! どうしたの、凛ちゃん」

卯月「え、失恋!? それもギャグっぽく?」

卯月「意味がよくわからいんだけど……」



                                 おしまい


ちひろさんに呼び出されたとき、とうとう無課金にお怒りになったのかと戦慄した
しかし実態は天使だった

凛ちゃんは嫌いじゃないです。ちょっと突っ込みに回ってもらった

読んでくれてあざました

依頼だしてくる

渋谷凛(15)
http://i.imgur.com/5TL4Wko.jpg
http://i.imgur.com/beyGOj7.jpg

島村卯月(17)
http://i.imgur.com/HZR1rfy.jpg
http://i.imgur.com/S5iKWdR.jpg


ちひろさんの呼び出し
http://i.imgur.com/G6U55zq.jpg


天使
http://i.imgur.com/bUqzkdO.jpg
http://i.imgur.com/MxRH60W.jpg
http://i.imgur.com/TRn5ZJs.jpg
http://i.imgur.com/0ab8QOY.jpg

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom