塞「能力もいいけどたまには唇を塞いでみる」 (62)

 ――昼 東京>インターハイ一回戦会場


塞「……」

 >ジャラ

塞(残り36000点か……まずったなぁ)

塞(まさか 生理の重さが災いして能力が扱えなくなるとは)

塞(女の子の日つれーわー ちょーつれーわー……っていうか)

塞(塞ぐための能力が 逆に塞がれるとか想定外なんですけど!)

塞(ミイラ取りがミイラってなんなのよホントぉ……
   今だけでもいいから閉経したい 誰でもいいから塞いでよ……
    このとめどない体調不良の波をっ)

塞(麻雀協会だかなんだかに言わせてもらうけどさ
   高校生麻雀大会なんて銘うってる以上は
    女性にもっと配慮した運営を心がけるべきじゃないの?)

塞(選手全員の生理周期を把握した日程くむとかさ……!
   イヤンなにそれスゴくエッチ)

塞(あーなんで麻雀ってインドアなテーブルゲームなんだろ)

塞(外でコークスクリューやら弓矢やら天変地異が飛び交う格闘技なら
    雨天により日程がズレましたー みたいな展開も有り得たのに
     まァたったいま雨天なのは私のアソコなんだけd)

塞(ってさっきからなに支離滅裂な想像してんの私はー!)

銘苅「エー」

塞「……」

塞「――え?」

銘苅「『――え?』 あんにやっさーろ
    へーくツモりなさいよ」

塞「は……? あーハイハイ
   ツモれって事ね……よいしょ」

 >トンッ

塞(つうか調子狂うのよね沖縄代表だか
   ニライカナイだか何だか知らないけど 外国語ペラペラ喋ってくれてもう)

塞(そもそもっアンタのふざけた能力を塞ぎあぐねてるから
   わたしがこんなに苦しんでるんだっつーの……!
    あぁイライラするムラムラする……! 普通の麻雀させてよね――!)

銘苅(……)

銘苅(宮守女子の臼沢塞――)

銘苅(やっけーな奴って聞いてやしが、こんなもぬか)

銘苅(後半戦もこんまま終わらせる!)

 >トンッ

銘苅「リーチ」

塞(5巡目でもうリーチか……! ここからでも何とか――)

塞(塞ぐ……!)

 >トンッ

銘苅「――ツモ 4000オール」

塞(あ)

塞(あぁああああああああああああ゛あ゛あ゛!!!!)

塞(もー無理! 限界っ!)

塞(勝たなくちゃ! 勝たなくちゃいけないのに)

塞(このままじゃ――オーラスまでに飛んで終了しちゃう!)

塞(いやっ! そんなの
   何も出来ないまま負けるなんて絶対いやだ!)

塞(でも何が出来るの? ひたすら能力を塞いで封殺
   って作戦一つこなせない私に……)

塞(能力……塞げない なら 
   今の私に 塞げる……モノ)

塞(……あ)

塞(……そっか そうだよ)

塞(なにも 能力を塞ぐ必要なんかないんじゃない?)

塞(勝てばいいんだよ 何を塞いでも勝てばさ)

塞(それで負けちゃったらもうしょうがないよ ははは)

塞(ここまで頑張ったんだし わたしは悪くないよね?
   そうよね? なんもかんも生理が悪いんだから)

塞(あぁ……なんか解き放たれた気分)

塞(さっきまであったイライラがなくなっちゃった)

塞(まァ……それでもムラムラはしてるんだけど フ、フフッ)

銘苅(――ぬーが? コイツぬ視線……)

銘苅(きっさまでとは まるで別物やさ)

銘苅(……気色やなよ!)

塞(なぁに塞いじゃおっかなー――決めた)

塞(目の前の……生意気そうな言葉ばかり出してくる唇を)

塞(塞ぐ――!)

銘苅「……は? ちょっ」

 >ズキュウウゥン

塞「ん――チュッ」

銘苅「あ……あらんっ や――んっ……あ、だめ……!」

塞「逃げちゃダーメ――チュー……んっ」

銘苅「~っ!?!?」

 同刻――昼 東京>インターハイ解説室


恒子「おっとぉー! ここで臼沢塞!
    対面の銘苅選手の牌さばきに気をやられたのか
     キスという形で攻勢にでたぁー!」

恒子「まるでザンギエフ! 雀卓という間合いを
    一切感じさせずに距離を詰める 吸い込みからの接吻ロックぅ!」

恒子「これには銘苅選手もたまらず膝をついた!
    銘苅選手の参考画像が未だに存在し得ないおかげで
     スレをご覧の皆さまの想像に余る光景であることが 残念至極で仕方ありません!」

恒子「おっとぉー! 塞選手っ
    な、な、なんと! 舌を入れだしたぁー!
     音声ぇー! 音響あまいよ! 何やってんの!」

恒子「ん? ――あれ? こ、ここで銘苅選手ついに失神!」

恒子「伊保庄と館山商業の他二校も
    釣られて気絶しているぞぉー試合続行不可能だぁー!
     目前で繰り広げられたペッティングの 余りある激しさに耐えきれなかった模様です!」

健夜「なんだこれ」

恒子「さてここで 審判団が集まってのジャッジのようです!」

恒子「なかなか判定がおりません! 過去に類を見ない
    珍事であるだけに 審判達も決めあぐねているのでしょうか!」

恒子「おっ、判定が出た様子です! 判定は――」

恒子「なっ」

恒子「なんとなんとなんとぉー! 一回戦の勝者は
    宮守女子だぁあああああああ! まさかまさかの」

恒子「大」

恒子「逆」

恒子「転ビクトリぃいいいいい!!!!!」

恒子「20万点差を一撃で捲っての勝利ですっ
    麻雀史の歴史を覆す1ページに立ち会えた事に
     今、私はあまりの感動に粟立つ肌を抑えられません!」

健夜「なんだこれ」

 10分後――昼 東京>インターハイ会場 ろうか


塞「……」

塞「……」

塞(やってしまったorz)

塞(え? マジでやらかしたの? 私が?
   インターハイで? 公衆の面前で? キスを?
     全国中継で? ディープな? これ夢じゃないの? マジで?)

塞(……)

塞(うんっ、死のう!)

塞(とてもじゃないけど みんなに会わせる顔がない……
   この控え室の扉を開けるなんて絶対に無理よ……)

塞(森林限界やら海底やら深山幽谷やら
   そこいらの大自然に身を沈めてしまおう
    そして骸になろう……天に召されて土に還ろう)

塞「バイバイ……みんな 今までありがとう」

 >ガチャ

姉帯「あ」

塞「あ」

 >ダッ

姉帯「ま、待ってよー! 行かないで塞ー!」

塞「いやいや絶対やだぁあああ!!!」

胡桃「サエ発見! エイちゃんゴー!」

エイスリン「ヌオリャー!」

塞「は、挟み撃ち――!? うぐっ」

胡桃「とよね確保ー!」

塞「は、離してよぉー離せぇええ!!」

姉帯「ごめんねー……」

塞「う……うぅっグスッ……うわぁあああん!」

熊倉「まったく あんたは心配かけて……」

白望「ダルい……」

塞「せ、先生 シロ……グスッ」

熊倉「塞……」

塞「ひっ……ごめんなさい、ごめんなさい」

熊倉「よくやった」

塞「ごめんn……え?」

熊倉「これで二回戦も安泰だね いや
    もしかしたら優勝だって夢じゃないかもしれない」

塞「怒って……ないんですか? わ、私
   あんなことし……したのに」

熊倉「何を怒る必要があるんだい お前は
    限られたルールの中で勝利条件を満たしただけじゃないか」

熊倉「まぁ対面の選手を引き寄せる際には
    チョンボの罰符を払う必要が出てくるから
     持ち点が12000点以下になると厳しいモノはあるけどね」

熊倉「なによりも 謝るのは私の方だよ
    塞の生理周期に合わせたオーダーを組めなかった私のね」

熊倉「すまなかったね……塞」

塞「熊倉先生……」

熊倉「各方面への根回しは私に任せて
    国民全員の記憶を改竄する程度 麻雀協会にとっては造作もないことさ」

熊倉「今ごろネットに動画や画像が拡散されてるだろうけど
    削除も検挙も規制も麻雀協会に任せておけば完全に統制できる」

エイスリン「マージャンッテスゴイ!」

熊倉「だからお前は 胸を張って戦ってくればいいんだ
    塞が“したいように”勝利をかっさらってくればね」

塞「先生……」

熊倉「まぁ、実際にかっさらったのは乙女の純潔と唇だけど はっはっは」

塞「……」

胡桃「ね!」

白望「一緒に戦おう……塞と一緒に 戦いたい」

エイスリン「ウンッ」

姉帯「私もいるよー 無理だと思ったら
    いつ諦めてもいいからね その時は私がなんとかするからさー」

塞「みんな……」

塞「……」

塞「うんっ……私も みんなと一緒に戦いたい! だから」

塞「これからもヨロシクお願いします!」

 数日後――昼 東京>インターハイ二回戦会場


塞「チラッ」

初美「~♪」

塞(や……)

塞(やっべー……)

塞(なによ薄墨のこの格好……丸見えすぎるって
   ダメだっ……ビーチクに気を取られて塞げない)

塞(そうでなくともこの子 いちいち動作がオーバーだから
   和了ったりするたびに激しくなる露出を期待すると
    塞ぐのを躊躇われるんだよなぁー……)

塞(あぁ、たまんない……!)

塞「チラッ」

初美「?……なんですかー? キス魔のお姉さん」

塞「へっ!? う、ううん
   何でもないわハハハ じゃあサイコロ回すわねー」

塞「……」

塞「チラッ」

初美「~♪」

塞(……この牌かな)

 つ【東】

初美「ポンですよー」

塞(あ……今いい角度で見えた)

塞(この調子で薄墨に差し込み続けるのもいいけど……)

 >ジャラ

塞(もう15000点しかないんだよね……
   調子に乗りすぎたか)

塞(まートヨネがなんとかしてくれるらしいし
   トばなければ点棒なんかいくら減っても問題ないワケだけど)

 >トンッ

初美「それもポンですよー」

塞(イライラのない純正のムラムラが
   一回戦とは比較にならないくらい高ぶってる)

初美(テンパイしましたよー)

塞(……うん)

塞(犯っちゃうか☆)

塞(さァ覚悟するがいいよ――性的な意味で)

塞(色んなところをたぁくさん塞いであげる――悪石の巫女!)

 >バッ

初美「へっ? あ……」

 >ズキュウウゥン

絹恵「ちょっ」

和「……」

 >トンッ

絹恵(動揺なしっ!?)

塞「んっ……」

初美「やぁ……! んチュッあっ……はチュ……ピチャんんっ」

塞「ぷはぁ……ふふ アナタの唾液
   スゴく甘いね……桃みたい」

初美「や、やぁ……! だめです……よぉ
    霞ちゃんに怒られ――んんっー!?」

塞「へぇ……チュッっふ……ん あの大将さん……ハァんっ
   ジュルジュル……ゴクン……アナタの恋人なんだ……チュんっ」

塞「ピチャ……クチュチュチュぷはぁ……じゃあ
   ふふっ……もっと見せてあげよ? ほら
    アナタがこぉんなに感じてるところ……あっン……チュッ」

初美「やぁぁアッ――見ないでぇ……
    見ないでくださぁいンンッ……霞ちゃあんチュ……チュッ……ピチャクんっチュ」

塞「ぷはぁハァ……ハァ おっぱいも塞いじゃうね? 私のお口で
   ペロペロ……チュッ んーチュ――」

初美「アッ! やぁあ……! ダメぇえ!」


 同刻――昼 東京>インターハイ会場 永水の控え室


霞「あぁぁ……初美ちゃんが 初美ちゃん……!
   どうしましょう……!」

春「由々しき事態……」

小薪「zZZ」

霞「ハァ……ハァ 初美ちゃん……! 初美ちゃん」

巴「と、とにかく! 運営に連絡しましょう霞さん!」

霞「アン……初美ちゃん……わたし以外の人の手で
   そんなに喘いで……ンッ! い、卑しい子なんだから……ハァン……!」

巴「か、霞さん……?」

 >クチュ……クチュ

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